(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028779
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】流体からの疾患材料の捕捉および除去のためのデバイス
(51)【国際特許分類】
C12M 1/34 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
C12M1/34 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023200941
(22)【出願日】2023-11-28
(62)【分割の表示】P 2020534886の分割
【原出願日】2019-01-04
(31)【優先権主張番号】62/614,250
(32)【優先日】2018-01-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520214514
【氏名又は名称】パス イーエックス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,シニード,イー.
(72)【発明者】
【氏名】バックマン,アラン
(72)【発明者】
【氏名】ランスデン,ジェフリー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】流体から病原体および/または毒素を除去するためのデバイスを提供する。
【解決手段】対象の血液で運ばれる材料の捕捉および吸着のためのデバイス1900であって、前記デバイスは、少なくとも1つの入口1901および少なくとも1つの出口1903を備える流体カートリッジと、前記少なくとも1つの入口と前記少なくとも1つの出口との間の多方向の流体流路であって、少なくとも1つの内壁を備える、多方向の流体流路と、前記多方向の流体流路の少なくとも1つの内壁の少なくとも一部をコーティングする物質と、を含む、デバイスとする。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の血液で運ばれる材料の捕捉および吸着のためのデバイスであって、前記デバイスは:
少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備える流体カートリッジと;
前記少なくとも1つの入口と前記少なくとも1つの出口との間の多方向の流体流路であって、少なくとも1つの内壁を備える、多方向の流体流路と;
前記多方向の流体流路の少なくとも1つの内壁の少なくとも一部をコーティングする物質と、
を含む、デバイス。
【請求項2】
前記物質は、抗体、橋架剤、ペプチド、タンパク質、抗生物質、ポリマー、アミン、ポリエーテル、アミノ酸、アプタマー、腫瘍壊死因子、接着受容体、E-セレクチン、サイトカイン、化学療法薬剤、クオラムセンシングタンパク質、クオラムセンシング受容体、および生物学的製剤からなる群から選択される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
流路の壁をコーティングする物質は、固定され、共有結合されたポリペプチド抗生物質を含む、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
共有結合されたポリペプチド抗生物質はポリミキシンである、請求項1~3のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項5】
固定されたポリミキシンの量は少なくとも0.5mMである、請求項1~4のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項6】
固定されたポリミキシンの量は約1.0~約50.0mMである、請求項1~5のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項7】
共有結合されたポリペプチド抗生物質はバンコマイシンである、請求項1~3のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項8】
固定されたバンコマイシンの量は少なくとも0.5mMである、請求項1~7のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項9】
固定されたバンコマイシンの量は約1.0~約50.0mMである、請求項1~8のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項10】
前記流路の壁をコーティングする物質は、ヘキサメチレンジアミン、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール誘導体、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、およびグリシンからなる群から選択される固定された橋架剤を含む、請求項1~9のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項11】
基材に固定されたヘキサメチレンジアミン橋架剤は、約1%~約20%(v/v)の水溶液である、請求項1~10のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項12】
前記基材に固定された橋架剤は、固定された量が約1.0~約50.0mMであるポリエチレングリコールあるいは誘導物質である、請求項1~10のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項13】
前記多方向の流路は、少なくとも1つの表面が露出した官能基を有する、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー基材からなる、請求項1~11のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項14】
前記熱可塑性ポリマー基材は、カルボニル基、カルボキシル基、アルコール基、アミノ基、クロリド基、スチレン基、α-ハロゲン化アシル基、ベンジル基、イソシアン酸基、および他のポリマーあるいはコポリマー、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリルアミド、ポリエチレン、ポリエチレン・テレフタレート・アクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、およびメタクリル酸メチルからなる群から選択される、少なくとも1つの表面が露出した官能基を有する、請求項1~13のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項15】
基材はポリカーボネートである、請求項1~13のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項16】
流体デバイスは使い捨てである、請求項1~15のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項17】
前記多方向の流路は、約0.01~約1,000.0mmの幅を有する、請求項1~16のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項18】
前記多方向の流路は、約1.0~約10.0mmの幅を有する、請求項1~17のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項19】
前記多方向の流路は、約0.001~約100.0mmの高さを有する、請求項1~18のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項20】
前記多方向の流路は、約0.1~約10.0mmの高さを有する、請求項1~19のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項21】
前記多方向の流路は、0.1~10,000mmの長さを有する、請求項1~20のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項22】
前記多方向の流路は、約1.0~約3,000.0mmの長さを有する、請求項17~21のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項23】
前記多方向の流路が渦巻形状である、請求項1~22のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項24】
渦巻形状の流路は、約1.0~約1,000.0mmの最も外側の曲率半径を有する、請求項1~23のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項25】
前記渦巻形状の流路は、約5.0~約100.0mmの最も外側の曲率半径を有する、請求項1~24のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項26】
前記渦巻形状の多方向の流路は、0.01~1,000mmの流路間の距離を有する、請求項1~25のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項27】
前記渦巻形状の多方向の流路は、約1.0~約10.0mmの渦巻状の流路間の距離を有する、請求項1~26のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項28】
前記多方向の流路は、螺旋形状であり、マンドレルの周りに製造される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項29】
螺旋形状の多方向の流路は、約1.0~約1,000.0mmの曲率半径を有する、請求項1~28のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項30】
前記螺旋形状の多方向の流路は、約5.0~約100.0mmの曲率半径を有する、請求項1~29のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項31】
前記螺旋形状の多方向の流路は、約1.0~約1,000.0mmのピッチを有する、請求項1~30のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項32】
前記螺旋形状の多方向の流路は、約10.0~約100.0mmのピッチを有する、請求項1~31のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項33】
前記多方向の流路は封入される、請求項1~32のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項34】
前記多方向の流路は、ボルト、接着剤、結合剤、熱膨張、樹脂、エポキシ、内側および/または外側のスリーブ、ベースプレート、マンドレル、カバーガラス、硬化、押出し溶接、接触溶接、高周波溶接、摩擦圧接、レーザー溶接、超音波溶接、溶剤接着、あるいは鋳造を使用して封入される、請求項1~33のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項35】
前記多方向の流路は、3Dプリンティング、押出し、ソフトリソグラフィ、フォトリソグラフィ、射出成形、ブロー成形、鋳造、超音波溶接、高周波溶接、熱ジグ溶接または熱板溶接、溶剤接着、レーザー溶接、回転溶接、赤外線溶接、振動溶着、接着結合、機械加工、旋削、穴あけ、穿孔、リーミング、放電加工、あるいはミリングからなる群から選択される少なくとも1つの方法を使用して製造される、請求項1~34のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項36】
管は、継手、キャップ、あるいはルアーロックコネクタを使用して、前記多方向の流路の入口および/または出口に取り付けられる、請求項1~35のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項37】
対象の材料の捕捉および吸着のための方法であって、前記方法は:
流体のサンプルを、多方向の、ポリペプチド抗生物質でコーティングされた流路に接触させる工程と;
前記対象の物質を前記多方向の流路の壁に吸着させる工程と;
前記多方向の、ポリペプチド抗生物質でコーティングされた流路内に捕捉された前記対象の物質の存在あるいは量を検出する工程と、
を含む、方法。
【請求項38】
流体サンプルは、ポンプを使用して、多方向の、ポリペプチド抗生物質でコーティングされた流路に接触させられる、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記ポンプは蠕動ポンプである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記ポンプはシリンジポンプである、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
流体サンプルは、シリンジを使用して、多方向の、ポリペプチド抗生物質でコーティングされた流路に接触させられる、請求項1~10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項42】
前記ポリペプチド抗生物質はポリミキシンである、請求項37~41のいずれか1つに記載の方法。
【請求項43】
前記ポリペプチド抗生物質はバンコマイシンである、請求項37~41のいずれか1つに記載の方法。
【請求項44】
前記多方向の、ポリペプチド抗生物質でコーティングされた流路内に捕捉された対象の物質の存在あるいは量の検出は、細胞計数、MALDI-TOF MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析)、質量分析法、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、バイオセンシング、フローサイトメトリー、および蛍光標識からなる群から選択される方法を使用して実施される、請求項37~43のいずれか1つに記載の方法。
【請求項45】
対象の血液で運ばれる材料の捕捉および吸着のためのシステムであって、前記システムは:
少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備える流体カートリッジと;
前記少なくとも1つの入口と前記少なくとも1つの出口との間の多方向の流体流路であって、少なくとも1つの内壁を備える、多方向の流体流路と;
多方向の流体流路の少なくとも1つの内壁の少なくとも一部に固定および共有結合される、抗体、橋架剤、ペプチド、タンパク質、抗生物質、ポリマー、アミン、ポリエーテル、アミノ酸、アプタマー、腫瘍壊死因子、接着受容体、E-セレクチン、サイトカイン、化学療法薬剤、クオラムセンシングタンパク質、クオラムセンシング受容体、および生物学的製剤、コーティングからなる群から選択される物質と、
を含む、システム。
【請求項46】
流路の壁をコーティングする前記物質は、固定され、共有結合されたポリペプチド抗生物質を含む、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
共有結合されたポリペプチド抗生物質はポリミキシンである、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記共有結合されたポリペプチド抗生物質はバンコマイシンである、請求項46に記載のシステム。
【請求項49】
前記流路の壁をコーティングする物質は、ヘキサメチレンジアミン、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール誘導体、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、およびグリシンからなる群から選択される固定された橋架剤を含む、請求項45~48のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項50】
多方向の流路は、少なくとも1つの表面が露出した官能基を有する少なくとも1つの熱可塑性ポリマー基材からなる、請求項45~49のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項51】
前記熱可塑性ポリマー基材は、カルボニル基、カルボキシル基、アルコール基、アミノ基、クロリド基、スチレン基、α-ハロゲン化アシル基、ベンジル基、イソシアン酸基、および他のポリマーあるいはコポリマー、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリルアミド、ポリエチレン、ポリエチレン・テレフタレート・アクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、およびメタクリル酸メチルからなる群から選択される、少なくとも1つの表面が露出した官能基を有する、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
基材はポリカーボネートである、請求項50または51に記載のシステム。
【請求項53】
流体デバイスは使い捨てである、請求項45~52のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項54】
菌血症、内毒血症、あるいは敗血症が疑われる患者を処置するための方法であって、前記方法は:
血液のサンプルを、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口との間に多方向の流体流路を備える流体カートリッジに接触させる工程と;
前記多方向の流体流路の少なくとも1つの壁に、対象の1つ以上の材料を吸着させる工程と;
処理された血液を生成するために、前記血液のサンプルから前記対象の1つ以上の材料を除去する工程と;
前記患者に前記処理された血液を戻す工程と、
を含む、方法。
【請求項55】
菌血症、内毒血症、あるいは敗血症が疑われる患者を診断するための方法であって、前記方法は:
流体のサンプルを、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口との間に多方向の流体流路を備える流体カートリッジに接触させる工程と;
前記多方向の流体流路の少なくとも1つの壁に、対象の1つ以上の材料を吸着させるか、あるいは捕捉する工程と;
前記多方向の流体流路の前記少なくとも1つの壁に沿って、捕捉された対象の材料の存在あるいは量を検出する工程と、
を含む、方法。
【請求項56】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、光学活性なマイクロビーズ、光学活性なナノ粒子、およびマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間(MALDI-TOF)からなる群から選択される手順により、前記捕捉された対象の材料を識別する工程を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
培養方法により、前記捕捉された対象の材料を識別する工程を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記捕捉された対象の材料の溶出と、その後の、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、光学活性なマイクロビーズ、光学活性なナノ粒子、および/またはマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間(MALDI-TOF)、あるいは培養からなる群から選択される手順により、前記捕捉された対象の材料を識別する工程を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
対象の血液で運ばれる材料の捕捉および吸着のためのフィルタープレートであって、前記フィルタープレートは:
少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備える螺旋形状の流体流路であって、少なくとも1つの内壁を備える、螺旋形状の流体流路と;
前記螺旋形状の流体流路の前記少なくとも1つの内壁の少なくとも一部をコーティングする物質と、
を備える、フィルタープレート。
【請求項60】
前記物質は、抗体、橋架剤、ペプチド、タンパク質、抗生物質、ポリマー、アミン、ポリエーテル、アミノ酸、アプタマー、腫瘍壊死因子、接着受容体、E-セレクチン、サイトカイン、化学療法薬剤、クオラムセンシングタンパク質、クオラムセンシング受容体、および生物学的製剤からなる群から選択される、請求項59に記載のフィルタープレート。
【請求項61】
流路の壁をコーティングする前記物質は、固定され、共有結合されたポリペプチド抗生物質を含む、請求項59または60に記載のフィルタープレート。
【請求項62】
共有結合されたポリペプチド抗生物質はポリミキシンである、請求項59~61のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項63】
固定されたポリミキシンの量は少なくとも0.5mMである、請求項59~62のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項64】
固定されたポリミキシンの量は約1.0~約50.0mMである、請求項59~63のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項65】
前記共有結合されたポリペプチド抗生物質はバンコマイシンである、請求項59~61のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項66】
前記固定されたバンコマイシンの量は少なくとも0.5mMである、請求項59~62のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項67】
前記固定されたバンコマイシンの量は約1.0~約50.0mMである、請求項59~63のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項68】
前記流路の壁をコーティングする物質は、ヘキサメチレンジアミン、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール誘導体、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、およびグリシンからなる群から選択される固定された橋架剤を含む、請求項59~67のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項69】
基材に固定されたヘキサメチレンジアミン橋架剤は、約1%~約20%(v/v)の水溶液である、請求項59~68のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項70】
前記基材に固定された橋架剤は、固定された量が約1.0~約50.0mMである、ポリエチレングリコールあるいは誘導物質である、請求項59~69のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項71】
前記フィルタープレートは多方向性である、請求項59~70のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項72】
多方向の流路は、少なくとも1つの表面が露出した官能基を有する少なくとも1つの熱可塑性ポリマー基材からなる、請求項59~71のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項73】
前記熱可塑性ポリマー基材は、カルボニル基、カルボキシル基、アルコール基、アミノ基、クロリド基、スチレン基、α-ハロゲン化アシル基、ベンジル基、イソシアン酸基、および他のポリマーあるいはコポリマー、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリルアミド、ポリエチレン、ポリエチレン・テレフタレート・アクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、およびメタクリル酸メチルからなる群から選択される、少なくとも1つの表面が露出した官能基を有する、請求項59~72のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項74】
基材はポリカーボネートである、請求項59~73のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項75】
フィルタープレートは使い捨てである、請求項59~74のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項76】
前記多方向の流路は、約0.01~約1,000.0mmの幅を有する、請求項59~75のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項77】
前記多方向の流路は、約1.0~約10.0mmの幅を有する、請求項59~76のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項78】
前記多方向の流路は、約0.001~約100.0mmの高さを有する、請求項59~77のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項79】
前記多方向の流路は、約0.1~約10.0mmの高さを有する、請求項59~78のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項80】
前記多方向の流路は、0.1~10,000mmの長さを有する、請求項59~79のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項81】
前記多方向の流路は、約1.0~約3,000.0mmの長さを有する、請求項59~80のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項82】
前記多方向の流路が渦巻形状である、請求項59~81のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項83】
渦巻形状の流路は、約1.0~約1,000.0mmの最も外側の曲率半径を有する、請求項59~82のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項84】
前記渦巻形状の流路は、約5.0~約100.0mmの最も外側の曲率半径を有する、請求項59~83のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項85】
前記渦巻形状の多方向の流路は、0.01~1,000mmの流路間の距離を有する、請求項59~84のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項86】
前記渦巻形状の多方向の流路は、約1.0~約10.0mmの渦巻状の流路の間の距離を有する、請求項59~85のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項87】
前記多方向の流路は、螺旋形状であり、マンドレルの周りに製造される、請求項59~86のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項88】
螺旋形状の多方向の流路は、約1.0~約1,000.0mmの曲率半径を有する、請求項59~87のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項89】
前記螺旋形状の多方向の流路は、約5.0~約100.0mmの曲率半径を有する、請求項59~88のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項90】
前記螺旋形状の多方向の流路は、約1.0~約1,000.0mmのピッチを有する、請求項59~89のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項91】
前記螺旋形状の多方向の流路は、約10.0~約100.0mmのピッチを有する、請求項59~90のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項92】
前記螺旋形状の多方向の流路は、積み重ね可能なプレート構造で形成される、請求項59~91のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項93】
前記積み重ね可能なプレート構造は1~25枚のプレートである、請求項59~92のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項94】
前記積み重ね可能なプレート構造は2~23枚のプレートである、請求項59~93のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項95】
前記積み重ね可能なプレート構造は3~20枚のプレートである、請求項59~94のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項96】
螺旋形状の多方向の積み重ね可能なプレートは:
-3Dプリンティング;
-ソフトリソグラフィ;
-フォトリソグラフィ;
-射出成形;
-ブロー成形;
-鋳造;
-機械加工;
-旋削;
-穴あけ;
-穿孔;
-リーミング;
-放電加工(EDM);あるいは、
-ミリング
を使用して製造される、請求項59~95のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項97】
螺旋形状の多方向の積み重ね可能なプレート構造は、ボルト、接着剤、結合剤、熱膨張、樹脂、エポキシ、内側スリーブ、外側スリーブ、ベースプレート、マンドレル、カバーガラス、硬化、押出し溶接、接触溶接、高周波溶接、摩擦圧接、レーザー溶接、超音波溶接、溶剤接着、あるいは鋳造を使用して組み立てられる、請求項59~96のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項98】
前記多方向の流路は押し出される、請求項59~97のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項99】
前記多方向の流路は押し出されたポリカーボネート管である、請求項59~98のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項100】
前記多方向の流路は封入される、請求項59~99のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項101】
前記多方向の積み重ね可能なプレート構造はシリンダー内に封入される、請求項59~100のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項102】
前記多方向の流路はマンドレルのまわりで押し出される、請求項59~101のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項103】
前記多方向の流路は射出成形ポリカーボネートである、請求項59~102のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項104】
前記多方向の流路は、マンドレルのまわりに形成されたハウジングに組み込まれる、請求項59~103のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項105】
前記多方向の流路は、マンドレルのまわりに形成されたハウジングの内面に組み込まれる、請求項59~104のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項106】
前記多方向の流路は、マンドレルのまわりに形成されたハウジングの外面に組み込まれる、請求項59~105のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項107】
前記多方向の流路は、マンドレルのまわりに形成されたハウジングに組み込まれ、および、シリンダー内に収容される、請求項59~106のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項108】
前記多方向の流路は、積み重ね可能であり、および、シリンダー内に収容され、請求項59~107のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項109】
前記多方向の流路は、積み重ね可能であり、およびシリンダー内に収容され、ここで、第1の多方向の流路は第1のポリペプチドで機能化され、第2の多方向の流路は第2のポリペプチドで機能化される、請求項59~108のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項110】
前記第1のポリペプチドはポリミキシンを含む、請求項59~109のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項111】
前記第2のポリペプチドはバンコマイシンを含む、請求項59~110のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項112】
シリンダー内に収容される積み重ね可能な多方向の流路は、接続管を使用して接続された単一のデバイスを形成し、ここで、前記流路は、前記単一のデバイス内の流動流体からグラム陰性菌、グラム陽性菌、およびエンドトキシンを捕捉および除去する、請求項59~111のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項113】
単一のデバイスを形成する前記シリンダー内に収容される積み重ね可能な多方向の流路は、インライン濾過システムに接続され得る、請求項59~112のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項114】
前記インライン濾過システムは透析システムである、請求項59~113のいずれか1つに記載のフィルタープレート。
【請求項115】
対象の血液で運ばれる材料の捕捉および吸着のためのデバイスであって、前記デバイスは:
少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備える螺旋形状の流体流路を含むシートであって、前記螺旋形状の流体流路が少なくとも1つの内壁を備える、シートと;
前記シートに取り付けられたマンドレルであって、ここで、前記シートは前記マンドレルの周りに巻かれて螺旋形状を形成する、マンドレルと;
前記螺旋形状の流体流路を含むシートの少なくとも1つの内壁の少なくとも一部をコーティングする物質と、
を含む、デバイス。
【請求項116】
前記物質は、抗体、橋架剤、ペプチド、タンパク質、抗生物質、ポリマー、アミン、ポリエーテル、アミノ酸、アプタマー、腫瘍壊死因子、接着受容体、E-セレクチン、サイトカイン、化学療法薬剤、クオラムセンシングタンパク質、クオラムセンシング受容体、および生物学的製剤からなる群から選択される、請求項115に記載のデバイス。
【請求項117】
流路の壁をコーティングする前記物質は、固定され、共有結合されたポリペプチド抗生物質を含む、請求項115または116に記載のデバイス。
【請求項118】
共有結合されたポリペプチド抗生物質はポリミキシンである、請求項115~117のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項119】
固定されたポリミキシンの量は少なくとも0.5mMである、請求項115~118のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項120】
前記固定されたポリミキシンの量は約1.0~約50.0mMである、請求項115~119のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項121】
前記共有結合されたポリペプチド抗生物質はバンコマイシンである、請求項115~120のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項122】
固定されたバンコマイシンの量は少なくとも0.5mMである、請求項115~121のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項123】
前記固定されたバンコマイシンの量は約1.0~約50.0mMである、請求項115~122のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項124】
前記流路の壁をコーティングする物質は、ヘキサメチレンジアミン、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール誘導体、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、およびグリシンからなる群から選択される固定された橋架剤を含む、請求項115~123のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項125】
基材に固定されたヘキサメチレンジアミン橋架剤は、約1%~約20%(v/v)の水溶液である、請求項115~124のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項126】
前記基材に固定された橋架剤は、固定された量が約1.0~約50.0mMである、ポリエチレングリコールあるいは誘導物質である、請求項115~125のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項127】
前記シートは多方向性である、請求項115~126のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項128】
多方向の流路は、少なくとも1つの表面が露出した官能基を有する少なくとも1つの熱可塑性ポリマー基材からなる、請求項115~127のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項129】
前記熱可塑性ポリマー基材は、カルボニル基、カルボキシル基、アルコール基、アミノ基、クロリド基、スチレン基、α-ハロゲン化アシル基、ベンジル基、イソシアン酸基、および他のポリマーあるいはコポリマー、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリルアミド、ポリエチレン、ポリエチレン・テレフタレート・アクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、およびメタクリル酸メチルからなる群から選択される、少なくとも1つの表面が露出した官能基を有する、請求項115~128のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項130】
基材はポリカーボネートである、請求項115~129のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項131】
前記デバイスは使い捨てである、請求項115~130のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項132】
前記多方向の流路は、約0.01~約1,000.0mmの幅を有する、請求項115~131のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項133】
前記多方向の流路は約1.0~約10.0mmの幅を有する、請求項115~132のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項134】
前記多方向の流路は、約0.001~約100.0mmの高さを有する、請求項115~133のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項135】
前記多方向の流路は、約0.1~約10.0mmの高さを有する、請求項115~134のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項136】
前記多方向の流路は、0.1~10,000mmの長さを有する、請求項115~135のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項137】
前記多方向の流路は、約1.0~約3,000.0mmの長さを有する、請求項115~136のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項138】
前記多方向の流路が渦巻形状である、請求項115~137のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項139】
渦巻形状の流路は、約1.0~約1,000.0mmの最も外側の曲率半径を有する、請求項115~138のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項140】
前記渦巻形状の流路は、約5.0~約100.0mmの最も外側の曲率半径を有する、請求項115~139のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項141】
前記渦巻形状の多方向の流路は、0.01~1,000mmの流路間の距離を有する、請求項115~140のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項142】
前記渦巻形状の多方向の流路は、約1.0~約10.0mmの渦巻状の流路の間の距離を有する、請求項115~141のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項143】
前記多方向の流路が螺旋形状であり、マンドレルのまわりに製造される、請求項115~142のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項144】
螺旋形状の多方向の流路は、約1.0~約1,000.0mmの曲率半径を有する、請求項115~143のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項145】
前記螺旋形状の多方向の流路は、約5.0~約100.0mmの曲率半径を有する、請求項115~144のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項146】
前記螺旋形状の多方向の流路は、約1.0~約1,000.0mmのピッチを有する、請求項115~145のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項147】
前記螺旋形状の多方向の流路は、約10.0~約100.0mmのピッチを有する、請求項115~146のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項148】
前記シートがマンドレルのまわりに1~100回巻かれる、請求項115~147のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項149】
前記シートがマンドレルのまわりに1~20回巻かれる、請求項115~148のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項150】
前記シートがマンドレルのまわりに1~5回巻かれる、請求項115~149のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項151】
前記シートは、
-3Dプリンティング;
-ソフトリソグラフィ;
-フォトリソグラフィ;
-射出成形;
-ブロー成形;
-鋳造;
-機械加工;
-旋削;
-穴あけ;
-穿孔;
-リーミング;
-放電加工(EDM);あるいは、
-ミリング
を使用して製造される、請求項115~150のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項152】
前記デバイスは、ボルト、接着剤、結合剤、熱膨張、樹脂、エポキシ、内側スリーブ、外側スリーブ、ベースプレート、カバーガラス、硬化、押出し溶接、接触溶接、高周波溶接、摩擦圧接、レーザー溶接、超音波溶接、溶剤接着、あるいは鋳造を使用して組み立てられる、請求項115~151のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項153】
前記多方向の流路が封入される、請求項115~152のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項154】
前記デバイスはシリンダー内に封入される、請求項115~153のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項155】
第1の多方向の流路は、第1のポリペプチドで機能化され、第2の多方向の流路は第2のポリペプチドで機能化される、請求項115~154のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項156】
前記第1のポリペプチドはポリミキシンを含む、請求項115~155のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項157】
前記第2のポリペプチドはバンコマイシンを含む、請求項115~156のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項158】
シリンダー内に収容されるデバイスは、接続管を使用して接続された単一のデバイスを形成し、ここで、前記流路は、前記単一のデバイス内の流動流体からグラム陰性菌、グラム陽性菌、およびエンドトキシンを捕捉および除去する、請求項115~157のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項159】
単一のデバイスを形成する前記シリンダー内に収容される積み重ね可能な多方向の流路は、インライン濾過システムに接続され得る、請求項115~158のいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項160】
前記インライン濾過システムは透析システムである、請求項115~159のいずれか1つに記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2018年1月5日に出願された米国仮出願第62/614,250号の利益を主張し、該仮出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、全米科学財団によって与えられた認可番号1721476の下で、政府支援を受けてなされた。政府は本発明に対する一定の権利を有する。
【発明の概要】
【0003】
本明細書に記載される方法、デバイス、およびシステムは、敗血症、内毒血症、菌血症感染、および他の血液で運ばれる疾患の処置のために、流体から細菌性病原菌または関連する毒素を捕捉あるいは除去するために使用される。ポリペプチド抗生物質および/または他の物質でコーティングされる多方向の流路に流体を流すことによって、流体から病原体および/または毒素を除去するための方法、デバイス、およびシステムが本明細書で提供される。
【0004】
対象の血液で運ばれる材料の捕捉および吸着のためのデバイス、方法、およびシステムが本明細書で提供され、上記デバイス、方法、およびシステムは、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を有する流体カートリッジと;上記少なくとも1つの入口と上記少なくとも1つの出口との間の多方向の流体流路であって、少なくとも1つの内壁を含む、多方向の流体流路と;上記多方向の流体流路の少なくとも1つの内壁の少なくとも一部をコーティングする物質と、を含む。いくつかの実施形態では、上記物質は:抗体、橋架剤、ペプチド、タンパク質、抗生物質、ポリマー、アミン、ポリエーテル、アミノ酸、アプタマー、腫瘍壊死因子、接着受容体、E-セレクチン、サイトカイン、化学療法薬剤、クオラムセンシングタンパク質(quorum sensing protein)、クオラムセンシング受容体(quorum sensing receptors)、および生物学的製剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、流路の壁をコーティングする物質は、固定された、共有結合されたポリペプチド抗生物質を含む。いくつかの実施形態において、共有結合されたポリペプチド抗生物質は、ポリミキシン-ポリミキシンBおよび/またはポリミキシンEである。いくつかの実施形態において、固定されたポリミキシンの量は、約0.5mM(ミリモル)~約50mmである。いくつかの実施形態において、固定されたポリミキシンの量は、少なくとも約0.5mMである。いくつかの実施形態において、固定されたポリミキシンの量は、最大約50mMである。いくつかの実施形態において、固定されたポリミキシンの量は、約0.5mM~約1mM、約0.5mM~約5mM、約0.5mM~約10mM、約0.5mM~約20mM、約0.5mM~約30mM、約0.5mM~約40mM、約0.5mM~約50mM、約1mM~約5mM、約1mM~約10mM、約1mM~約20mM、約1mM~約30mM、約1mM~約40mM、約1mM~約50mM、約5mM~約10mM、約5mM~約20mM、約5mM~約30mM、約5mM~約40mM、約5mM~約50mM、約10mM~約20mM、約10mM~約30mM、約10~40mM、約10mM~約50mM、約20mM~約30mM、約20mM~約40mM、約20mM~約50mM、約30mM~約40mM、約30mM~約50mM、あるいは約40mM~約50mMである。用語「約」は、ポリミキシンの量に関して使用される場合、0.5mM、1mM、5mM、10mM、20mM、30mM、40mM、あるいは50mMを意味する。いくつかの実施形態では、共有結合されたポリペプチド抗生物質はバンコマイシンである。いくつかの実施形態において、固定されたバンコマイシンの量は、約0.5mM~約50mmである。いくつかの実施形態において、固定されたバンコマイシンの量は、少なくとも約0.5mMである。いくつかの実施形態において、固定されたバンコマイシンの量は、最大約50mMである。いくつかの実施形態において、固定されたバンコマイシンの量は、約0.5mM~約1mM、約0.5mM~約5mM、約0.5mM~約10mM、約0.5mM~約20mM、約0.5mM~約30mM、約0.5mM~約40mM、約0.5mM~約50mM、約1mM~約5mM、約1mM~約10mM、約1mM~約20mM、約1mM~約30mM、約1mM~約40mM、約1mM~約50mM、約5mM~約10mM、約5mM~約20mM、約5mM~約30mM、約5mM~約40mM、約5mM~約50mM、約10mM~約20mM、約10mM~約30mM、約10mM~約40mM、約10mM~約50mM、約20mM~約30mM、約20mM~約40mM、約20mM~約50mM、約30mM~約40mM、約30mM~約50mM、あるいは約40mM~約50mMである。用語「約」は、バンコマイシンの量に関して使用される場合、0.5mM、1mM、5mM、10mM、20mM、30mM、40mM、あるいは50mMを意味する。いくつかの実施形態では、流路の壁をコーティングする物質は:ヘキサメチレンジアミン、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール誘導体、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、およびグリシンからなる群から選択される、固定された橋架剤を含む。いくつかの実施形態において、基材に固定されるヘキサメチレンジアミン橋架剤は、約1%の体積/体積(v/v)水溶液~約20%(v/v)の水溶液である。いくつかの実施形態において、基材に固定されるヘキサメチレンジアミン橋架剤は、少なくとも約1%(v/v)の水溶液である。いくつかの実施形態において、基材に固定されるヘキサメチレンジアミン橋架剤は、最大で約20%(v/v)の水溶液である。いくつかの実施形態において、基材に固定されるヘキサメチレンジアミン橋架剤は、約1%(v/v)の水溶液~約2%(v/v)の水溶液、約1%(v/v)の水溶液~約3%(v/v)の水溶液、約1%(v/v)の水溶液~約4%(v/v)の水溶液、約1%(v/v)の水溶液~約5%(v/v)の水溶液、約1%(v/v)の水溶液~約10%(v/v)の水溶液、約1%(v/v)の水溶液~約15%(v/v)の水溶液、約1%(v/v)の水溶液~約20%(v/v)の水溶液、約2%(v/v)の水溶液~約3%(v/v)の水溶液、約2%(v/v)の水溶液~約4%(v/v)の水溶液、約2%(v/v)の水溶液~約5%(v/v)の水溶液、約2%(v/v)の水溶液~約10%(v/v)の水溶液、約2%(v/v)の水溶液~約15%(v/v)の水溶液、約2%(v/v)の水溶液~約20%(v/v)の水溶液、約3%(v/v)の水溶液)~約4%(v/v)の水溶液、約3%(v/v)の水溶液~約5%(v/v)の水溶液、約3%(v/v)の水溶液~約10%(v/v)の水溶液、約3%(v/v)の水溶液~約15%(v/v)の水溶液、約3%(v/v)の水溶液~約20%(v/v)の水溶液、約4%(v/v)の水溶液~約5%(v/v)の水溶液、約4%(v/v)の水溶液~約10%(v/v)の水溶液、約4%(v/v)の水溶液~約15%(v/v)の水溶液、約4%(v/v)の水溶液~約20%(v/v)の水溶液、約5%(v/v)の水溶液~約10%(v/v)の水溶液、約5%(v/v)の水溶液~約15%(v/v)の水溶液、約5%(v/v)の水溶液~約20%(v/v)の水溶液、約10%(v/v)の水溶液~約15%(v/v)の水溶液、約10%(v/v)の水溶液~約20%(v/v)の水溶液、あるいは約15%(v/v)の水溶液~約20%(v/v)の水溶液である。用語「約」は、ヘキサメチレンジアミン橋架剤の水溶液の量に関して使用される場合、1%(v/v)の水溶液、2%(v/v)、水溶液、3%(v/v)の水溶液、4%(v/v)の水溶液、5%(v/v)の水溶液、10%(v/v)の水溶液、15%(v/v)の水溶液、あるいは20%(v/v)の水溶液を意味する。いくつかの実施形態において、基材に固定される橋架剤は、固定される量が約1mM~約50mMであるポリエチレングリコールあるいは誘導物質である。いくつかの実施形態において、基材に固定される橋架剤は、固定される量が少なくとも約1mMであるポリエチレングリコールあるいは誘導物質である。いくつかの実施形態において、基材に固定される橋架剤は、固定される量が最大で約50mMであるポリエチレングリコールあるいは誘導物質である。いくつかの実施形態において、基材に固定される橋架剤は、固定される量が約1mM~約5mM、約1mM~約10mM、約1mM~約20mM、約1mM~約30mM、約1mM~約40mM、約1mM~約50mM、約5mM~約10mM、約5mM~約20mM、約5mM~約30mM、約5mM~約40mM、約5mM~約50mM、約10mM~約20mM、約10mM~約30mM、約10mM~約40mM、約10mM~約50mM、約20mM~約30mM、約20mM~約40mM、約20mM~約50mM、約30mM~約40mM、約30mM~約50mM、あるいは約40mM~約50mMであるポリエチレングリコールあるいは誘導物質である。用語「約」は、架橋剤の量に関して使用される場合、1mM、5mM、10mM、20mM、30mM、40mM、あるいは50mMを意味する。本明細書におけるデバイスあるいはシステムのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、少なくとも1つの表面が露出した官能基を有する少なくとも1つの熱可塑性ポリマー基材からなる。いくつかの実施形態において、熱可塑性ポリマー基材は、カルボニル基、カルボキシル基、アルコール基、アミノ基、クロリド基、スチレン基、α-ハロゲン化アシル基、ベンジル基、イソシアン酸基、および他のポリマーあるいはコポリマー、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリルアミド、ポリエチレン、ポリエチレン・テレフタレート・アクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、およびメタクリル酸メチルからなる群から選択される、少なくとも1つの表面が露出した官能基を有する。いくつかの実施形態において、基材はポリカーボネートである。
【0005】
デバイスのいくつかの実施形態において、流体デバイスは使い捨てである。デバイスのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、約0.01mm(ミリメートル)~約1,000mmの幅を有する。デバイスのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、少なくとも約0.01mmの幅を有する。デバイスのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、最大で約1,000mmの幅を有する。デバイスのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、約0.01mm~約0.05mm、約0.01mm~約0.1mm、約0.01mm~約0.5mm、約0.01mm~約1mm、約0.01mm~約10mm、約0.01mm~約50mm、約0.01mm~約100mm、約0.01mm~約500mm、約0.01mm~約1,000mm、約0.05mm~約0.1mm、約0.05mm~約0.5mm、約0.05mm~約1mm、約0.05mm~約10mm、約0.05mm~約50mm、約0.05mm~約1000mm、約0.05mm~約500mm、約0.05mm~約100mm、約0.1mm~約0.5mm、約0.1mm~約1mm、約0.1mm~約10mm、約0.1mm~約50mm、約0.1mm~約100mm、約0.1mm~約500mm、約0.1mm~約1,000mm、約0.5mm~約1mm、約0.5mm~約10mm、約0.5mm~約50mm、約0.5mm~約100mm、約0.5mm~約500mm、約0.5mm~約1,000mm、約1mm~約10mm、約1mm~約50mm、約1mm~約100mm、約1mm~約500mm、約1mm~約1,000mm、約10mm~約50mm、約10mm~約100mm、約10mm~約500mm、約10mm~約1,000mm、約50mm~約100mm、約50mm~約500mm、約50mm~約1,000mm、約100mm~約500mm、約100mm~約1,000mm、あるいは約500mm~約1,000mmの幅を有する。用語「約」は、多方向の流路の幅に関して使用される場合、0.01mm、0.05mm、0.1mm、0.5mm、1mm、10mm、50mm、100mm、あるいは500mmを意味する。デバイスのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、約0.001mm~約100mmの高さを有する。デバイスのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、少なくとも約0.001mmの高さを有する。デバイスのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、最大で約100mmの高さを有する。デバイスのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、約0.001mm~約0.005mm、約0.001mm~約0.01mm、約0.001mm~約0.05mm、約0.001mm~約0.1mm、約0.001mm~約0.5mm、約0.001mm~約1mm、約0.001mm~約10mm、約0.001mm~約50mm、約0.001mm~約100mm、約0.005mm~約0.01mm、約0.005mm~約0.05mm、約0.005mm~約0.1mm、約0.005mm~約0.5mm、約0.005mm~約1mm、約0.005mm~約10mm、約0.005mm~約50mm、約0.005mm~約100mm、約0.01mm~約0.05mm、約0.01mm~約0.1mm、約0.01mm~約0.5mm、約0.01mm~約1mm、約0.01mm~約10mm、約0.01mm~約50mm、約0.01mm~約100mm、約0.05mm~約0.1mm、約0.05mm~約0.5mm、約0.05mm~約1mm、約0.05mm~約10mm、約0.05mm~約50mm、約0.05mm~約100mm、約0.1mm~約0.5mm、約0.1mm~約1mm、約0.1mm~約10mm、約0.1mm~約50mm、約0.1mm~約100mm、約0.5mm~約1mm、約0.5mm~約10mm、約0.5mm~約50mm、約0.5mm~約100mm、約1mm~約100mm、約1mm~約50mm、約1mm~約10mm、約10mm~約50mm、約10mm~約100mm、あるいは約50mm~約100mmの高さを有する。用語「約」は、多方向の流路の高さに関して使用される場合、0.001mm、0.005mm、0.01mm、0.05mm、0.1mm、0.5mm、1mm、10mm、あるいは50mmを意味する。デバイスのいくつかの実施形態では、多方向の流路は、約0.1mm~約10,000mmの長さを有する。デバイスのいくつかの実施形態では、多方向の流路は、少なくとも約0.1mmの長さを有する。デバイスのいくつかの実施形態では、多方向の流路は、最大で約10,000mmの長さを有する。デバイスのいくつかの実施形態では、多方向の流路は、約0.1mm~約0.5mm、約0.1mm~約1mm、約0.1mm~約10mm、約0.1mm~約50mm、約0.1mm~約100mm、約0.1mm~約500mm、約0.1mm~約1,000mm、約0.1mm~約5000mm、約0.1mm~約10,000mm、約0.5mm~約1mm、約0.5mm~約10mm、約0.5mm~約50mm、約0.5mm~約100mm、約0.5mm~約500mm、約0.5mm~約1,000mm、約0.5mm~約5,000mm、約0.5mm~約10,000mm、約1mm~約10mm、約1mm~約50mm、約1mm~約100mm、約1mm~約500mm、約1mm~約1,000mm、約1mm~約5,000mm、約1mm~約10,000mm、約10mm~約50mm、約10mm~約100mm、約10mm~約500mm、約10mm~約1,000mm、約10mm~約5,000mm、約10mm~約10,000mm、約50mm~約100mm、約50mm~約500mm、約50mm~約1,000mm、約50mm~約5,000mm、約50mm~約10,000mm、約100mm~約500mm、約100mm~約1,000mm、約100mm~約5,000mm、約100mm~約10,000mm、約500mm~約1,000mm、約500mm~約5,000mm、約500mm~約10,000mm、約1,000mm~約5,000mm、約1,000mm~約10,000mm、あるいは約5,000mm~約10,000mmの長さを有する。用語「約」は、多方向の流路の長さに関して使用される場合、0.1mm、0.5mm、1mm、10mm、50mm、100mm、500mm、1,000mm、あるいは5,000mmを意味する。デバイスのいくつかの実施形態では、多方向の流路は、約1.0~約3,000.0mmの長さを有する。デバイスのいくつかの実施形態では、渦巻形状の流路は、約0.1mm~約1,000mmの最も外側の曲率半径を有する。デバイスのいくつかの実施形態では、渦巻形状の流路は、少なくとも約0.1mmの最も外側の曲率半径を有する。デバイスのいくつかの実施形態において、渦巻形状の流路は、最大約1,000mmの最も外側の曲率半径を有する。デバイスのいくつかの実施形態において、渦巻形状の流路は、約0.1mm~約10mm、約0.1mm~約50mm、約0.1mm~約100mm、約0.1mm~約500mm、約0.1mm~約1,000mm、1mm~約10mm、約1mm~約50mm、約1mm~約100mm、約1mm~約500mm、約1mm~約1,000mm、約10mm~約50mm、約10mm~約100mm、約10mm~約500mm、約10mm~約1,000mm、約50mm~約100mm、約50mm~約500mm、約50mm~約1,000mm、約100mm~約500mm、約100mm~約1,000mm、あるいは約500mm~約1,000mmの最も外側の曲率半径を有する。デバイスのいくつかの実施形態において、渦巻形状の流路は、約5mm~約100mmの最も外側の曲率半径を有する。デバイスのいくつかの実施形態において、渦巻形状の流路は、少なくとも約5mmの最も外側の曲率半径を有する。デバイスのいくつかの実施形態において、渦巻形状の流路は、最大約100mmの最も外側の曲率半径を有する。デバイスのいくつかの実施形態において、渦巻形状の流路は、約5mm~約10mm、約5mm~約25mm、約5mm~約50mm、約5mm~約75mm、約5mm~約100mm、約10mm~約25mm、約10mm~約50mm、約10mm~約75mm、約10mm~約100mm、約25mm~約50mm、約25mm~約75mm、約25mm~約100mm、約50mm~約75mm、約50mm~約100mm、あるいは約75mm~約100mmの最も外側の曲率半径を有する。デバイスのいくつかの実施形態において、渦巻形状の多方向の流路は、渦巻形状の流路間の中心間距離が約0.01mm~約1,000mmである。デバイスのいくつかの実施形態において、渦巻形状の多方向の流路は、渦巻形状の流路間の中心間距離が少なくとも約0.01mmである。デバイスのいくつかの実施形態において、渦巻形状の多方向の流路は、渦巻形状の流路間の中心間距離が最大約1,000mmである。デバイスのいくつかの実施形態において、渦巻形状の多方向の流路は、渦巻形状の流路間の中心間距離が約0.01mm~約0.05mm、約0.01mm~約0.1mm、約0.01mm~約0.5mm、約0.01mm~約1mm、約0.01mm~約10mm、約0.01mm~約50mm、約0.01mm~約100mm、約0.01mm~約500mm、約0.01mm~約1,000mm、約0.05mm~約0.1mm、約0.05mm~約0.5mm、約0.05mm~約1mm、約0.05mm~約10mm、約0.05mm~約50mm、約0.05mm~約100mm、約0.05mm~約500mm、約0.05mm~約1,000mm、約0.1mm~約0.5mm、約0.1mm~約1mm、約0.1mm~約10mm、約0.1mm~約50mm、約0.1mm~約100mm、約0.1mm~約500mm、約0.1mm~約1,000mm、約0.5mm~約1mm、約0.5mm~約10mm、約0.5mm~約50mm、約0.5mm~約100mm、約0.5mm~約500mm、約0.5mm~約1,000mm、約1mm~約10mm、約1mm~約50mm、約1mm~約100mm、約1mm~約500mm、約1mm~約1,000mm、約10mm~約50mm、約10mm~約100mm、約10mm~約500mm、約10mm~約1,000mm、約50mm~約100mm、約50mm~約500mm、約50mm~約1,000mm、約100mm~約500mm、約100mm~約1,000mm、あるいは約500mm~約1,000mmである。用語「約」は、渦巻形状の流路間の距離に関して使用される場合、0.01mm、0.05mm、0.1mm、0.5mm、1mm、10mm、50mm、100mm、あるいは500mmを意味する。デバイスのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、螺旋形状であり、円筒状のチャンバの周りで製造される。デバイスのいくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、約0.1mm~約1,000mmの曲率半径を有する。デバイスのいくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、少なくとも約0.1mmの曲率半径を有する。デバイスのいくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、最大約1,000mmの曲率半径を有する。デバイスのいくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、約0.1mm~約5mm、約0.1mm~約10mm、約0.1mm~約50mm、約0.1mm~約100mm、約0.1mm~約500mm、約0.1mm~約1,000mm、1mm~約5mm、約1mm~約10mm、約1mm~約50mm、約1mm~約100mm、約1mm~約500mm、約1mm~約1,000mm、約5mm~約10mm、約5mm~約50mm、約5mm~約100mm、約5mm~約500mm、約5mm~約1000mm、約10mm~約50mm
、約10mm~約100mm、約10mm~約500mm、約10mm~約1,000mm、約50mm~約100mm、約50mm~約500mm、約50mm~約1,000mm、約100mm~約500mm、約100mm~約1,000mm、あるいは約500mm~約1,000mmの曲率半径を有する。用語「約」は、螺旋形状の多方向の流路の曲率半径に関して使用される場合、0.1mm、1mm、5mm、10mm、50mm、100mm、500mm、あるいは1,000mmを意味する。デバイスのいくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、5.0~100.0mmの曲率半径を有する。デバイスのいくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、約5.0~約100.0mmの曲率半径を有する。デバイスのいくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、約1mm~約1,000mmのピッチを有し、ピッチは、螺旋の軸に平行に測定された1つの完全な螺旋巻きの高さとして測定される。デバイスのいくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、少なくとも約0.1mmのピッチを有する。デバイスのいくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、最大約1,000mmのピッチを有する。デバイスのいくつかの実施形態において、螺旋形状の流路は、約0.1mm~約5mm、約0.1mm~約10mm、約0.1mm~約50mm、約0.1mm~約100mm、約0.1mm~約500mm、約0.1mm~約1,000mm、1mm~約5mm、約1mm~約10mm、約1mm~約50mm、約1mm~約100mm、約1mm~約500mm、約1mm~約1,000mm、約5mm~約10mm、約5mm~約50mm、約5mm~約100mm、約5mm~約500mm、約5mm~約1,000mm、約10mm~約50mm、約10mm~約100mm、約10mm~約500mm、約10mm~約1,000mm、約50mm~約100mm、約50mm~約500mm、約50mm~約1,000mm、約100mm~約500mm、約100mm~約1,000mm、あるいは約500mm~約1,000mmのピッチを有する。用語「約」は、ピッチに関して使用される場合、0.1mm、1mm、5mm、10mm、50mm、100mm、500mm、あるいは1,000mmを意味する。デバイスのいくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、約1.0~約100.0mmのピッチを有する。デバイスのいくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、約1mL/分(毎分ミリリットル)~約1,000mL/分の流量で動作する。デバイスのいくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、少なくとも約1mL/分の流量で作動する。デバイスのいくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、最大約1,000mL/分の流量で作動する。デバイスのいくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、約1mL/分~約5mL/分、約1mL/分~約10mL/分、約1mL/分~約50mL/分、約1mL/分~約100mL/分、約1mL/分~約500mL/分、約1mL/分~約1,000mL/分、約5mL/分~約10mL/分、約5mL/分~約50mL/分、約5mL/分~約100mL/分、約5mL/分~約500mL/分、約5mL/分~約1,000mL/分、約10mL/分~約50mL/分、約10mL/分~約100mL/分、約10mL/分~約500mL/分、約10mL/分~約1,000mL/分、約50mL/分~約100mL/分、約50mL/分~約500mL/分、約50mL/分~約1,000mL/分、約100mL/分~約500mL/分、約100mL/分~約1,000mL/分、あるいは約500mL/分~約1,000mL/分の流量で作動する。用語「約」は、流量に関して使用される場合、1mL/分、5mL/分、10mL/分、50mL/分、100mL/分、200mL/分、500mL/分、あるいは1000mL/分を意味する。デバイスのいくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、約50~約400mL/分の流量で作動する。デバイスのいくつかの実施形態において、多方向の流路は封入されている。デバイスのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、ボルト、接着剤、結合剤、熱膨張、樹脂、エポキシ、内側および/または外側のスリーブ、ベースプレート、マンドレル、カバーガラス、硬化、押出し溶接、接触溶接、高周波溶接、摩擦圧接、レーザー溶接、超音波溶接、溶剤接着、あるいは鋳造を使用して封入される。デバイスのいくつかの実施形態において、多方向の流路は:3Dプリンティング、ソフトリソグラフィ、フォトリソグラフィ、射出成形、ブロー成形、鋳造、超音波溶接、高周波溶接、熱ジグ溶接または熱板溶接、溶剤接着、レーザー溶接、回転溶接、赤外線溶接、振動溶着、接着結合、機械加工、旋削、穴あけ、穿孔、リーミング、放電加工、あるいはミリングからなる群から選択される少なくとも1つの方法を使用して製造される。デバイスのいくつかの実施形態において、管が、継手、キャップ、あるいはルアーロックコネクタの使用によって、多方向の流路の入口および/または出口に取り付けられている。
【0006】
対象の材料の捕捉および吸着のための方法が本明細書で提供され、上記方法は:流体のサンプルを、多方向のポリペプチド抗生物質でコーティングされた流路に接触させる工程と;対象の上記材料を上記多方向の流路の壁に吸着する工程と;多方向のポリペプチド抗生物質でコーティングされた流路内に捕捉された対象の上記材料の存在あるいは量を検出する工程と、を含む。上記方法のいくつかの実施形態において、流体サンプルは、ポンプを使用して、多方向のポリペプチド抗生物質でコーティングされた流路に接触させられる。いくつかの実施形態では、ポンプは蠕動ポンプである。いくつかの実施形態では、ポンプはシリンジポンプである。上記方法のいくつかの実施形態において、流体サンプルは、シリンジを使用して、多方向のポリペプチド抗生物質でコーティングされた流路に接触させられる。いくつかの実施形態では、ポリペプチド抗生物質はポリミキシンである。いくつかの実施形態では、ポリペプチド抗生物質はバンコマイシンである。上記方法のいくつかの実施形態において、ヘパリン、クエン酸ナトリウム、あるいは他の抗凝固剤は、多方向のポリペプチド抗生物質でコーティングされた流路に接触させる前に、流体サンプルに加えられる。いくつかの実施形態において、多方向のポリペプチド抗生物質でコーティングされた流路内に捕捉された対象の材料の存在あるいは量の検出は:細胞計数、MALDI-TOF MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析)、質量分析法、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、バイオセンシング、フローサイトメトリー、および蛍光標識からなる群から選択される方法を使用して実施される。
【0007】
対象の血液で運ばれる材料の捕捉および吸着のためのシステムが本明細書で提供され、上記システムは、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備える流体カートリッジと;上記少なくとも1つの入口と上記少なくとも1つの出口との間の多方向の流体流路であって、少なくとも1つの内壁を備える、多方向の流体流路と;多方向の流体流路の少なくとも1つの内壁の少なくとも一部に固定および共有結合される、抗体、橋架剤、ペプチド、タンパク質、抗生物質、ポリマー、アミン、ポリエーテル、アミノ酸、アプタマー、腫瘍壊死因子、接着受容体、E-セレクチン、サイトカイン、化学療法薬剤、クオラムセンシングタンパク質、クオラムセンシング受容体、および生物学的製剤、コーティングからなる群から選択される物質と、を含む。上記システムのいくつかの実施形態において、流路の壁をコーティングする物質は固定され、共有結合されたポリペプチド抗生物質を含む。上記システムのいくつかの実施形態において、共有結合されたポリペプチド抗生物質はポリミキシンである。いくつかの実施形態において、共有結合されたポリペプチド抗生物質はバンコマイシンである。上記システムのいくつかの実施形態において、流路の壁をコーティングする物質は:ヘキサメチレンジアミン、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール誘導体、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、およびグリシンからなる群から選択される、固定された橋架剤を含む。上記システムのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、少なくとも1つの表面が露出した官能基を有する少なくとも1つの熱可塑性ポリマー基材からなる。上記システムのいくつかの実施形態において、熱可塑性ポリマー基材は:カルボニル基、カルボキシル基、アルコール基、アミノ基、クロリド基、スチレン基、α-ハロゲン化アシル基、ベンジル基、イソシアン酸基、および他のポリマーあるいはコポリマー、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリルアミド、ポリエチレン、ポリエチレン・テレフタレート・アクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、およびメタクリル酸メチルからなる群から選択される、少なくとも1つの表面が露出した官能基を有する。上記システムのいくつかの実施形態において、基材はポリカーボネートである。上記システムのいくつかの実施形態において、流体デバイスは使い捨てである。
【0008】
菌血症、内毒血症、あるいは敗血症が疑われる患者を処置するための方法が本明細書で提供され、上記方法は、血液のサンプルを、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口との間に多方向の流体流路を備える流体カートリッジに接触させる工程と;多方向の流体流路の少なくとも1つの壁に、対象の1つ以上の材料を吸着させる工程と;処理された血液を生成するために、血液のサンプルから対象の1つ以上の材料を除去する工程と;上記患者に上記処理された血液を戻す工程と、を含む。
【0009】
菌血症、内毒血症、あるいは敗血症が疑われる患者を診断するための方法が本明細書で提供され、上記方法は、流体のサンプルを、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口との間に多方向の流体流路を備える流体カートリッジに接触させる工程と;多方向の流体流路の少なくとも1つの壁に、対象の1つ以上の材料を吸着させる工程と;多方向の流体流路の少なくとも1つの壁に沿って、捕捉された対象の材料の存在あるいは量を検出する工程と、を含む。いくつかの実施形態において、上記方法は:ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、光学活性なマイクロビーズ、光学活性なナノ粒子、およびマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間(MALDI-TOF)からなる群から選択される手順により、捕捉された対象の材料を識別する工程を含む。いくつかの実施形態において、上記方法は、培養方法により、捕捉された対象の材料を識別する工程を含む。いくつかの実施形態において、上記方法は、捕捉された対象の材料の溶出と、その後の、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、光学活性なマイクロビーズ、光学活性なナノ粒子、および/またはマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間(MALDI-TOF)、あるいは培養からなる群から選択される手順により、対象の捕捉された材料を識別する工程を含む。
【0010】
対象の血液で運ばれる材料の捕捉および吸着のためのフィルタープレートが本明細書で提供され、上記フィルタープレートは:少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備える螺旋形状の流体流路と;少なくとも1つの内壁を備える上記螺旋形状の流体流路と;上記螺旋形状の流体流路の上記少なくとも1つの内壁の少なくとも一部をコーティングする物質と、を含む。いくつかの実施形態では、上記物質は:抗体、橋架剤、ペプチド、タンパク質、抗生物質、ポリマー、アミン、ポリエーテル、アミノ酸、アプタマー、腫瘍壊死因子、接着受容体、E-セレクチン、サイトカイン、化学療法薬剤、クオラムセンシングタンパク質、クオラムセンシング受容体、および生物学的製剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、上記流路の壁をコーティングする物質は、固定され、共有結合されたポリペプチド抗生物質を含む。いくつかの実施形態において、共有結合されたポリペプチド抗生物質は、ポリミキシンである。いくつかの実施形態において、固定されたポリミキシンの量は少なくとも0.5mMである。いくつかの実施形態において、固定されたポリミキシンの量は、約1.0~約50.0mMである。いくつかの実施形態において、共有結合されたポリペプチド抗生物質はバンコマイシンである。いくつかの実施形態において、固定されたバンコマイシンの量は少なくとも0.5mMである。いくつかの実施形態において、固定されたバンコマイシンの量は、約1.0~約50.0mMである。いくつかの実施形態では、流路の壁をコーティングする物質は:ヘキサメチレンジアミン、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール誘導体、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、およびグリシンからなる群から選択される固定された橋架剤を含む。いくつかの実施形態において、基材に固定されたヘキサメチレンジアミン橋架剤は、約1%~約20%(v/v)の水溶液である。いくつかの実施形態において、基材に固定された橋架剤は、固定される量が約1.0~約50.0mMであるポリエチレングリコールあるいは誘導物質である。いくつかの実施形態において、フィルタープレートは多方向性である。いくつかの実施形態において、多方向の流路は、少なくとも1つの表面が露出した官能基を有する少なくとも1つの熱可塑性ポリマー基材からなる。いくつかの実施形態において、熱可塑性ポリマー基材は、カルボニル基、カルボキシル基、アルコール基、アミノ基、クロリド基、スチレン基、α-ハロゲン化アシル基、ベンジル基、イソシアン酸基、および他のポリマーあるいはコポリマー、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリルアミド、ポリエチレン、ポリエチレン・テレフタレート・アクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、およびメタクリル酸メチルからなる群から選択される、少なくとも1つの表面が露出した官能基を有する。いくつかの実施形態において、基材はポリカーボネートである。いくつかの実施形態において、フィルタープレートは使い捨てである。いくつかの実施形態において、多方向の流路は、約0.01~約1,000.0mmの幅を有する。いくつかの実施形態において、多方向の流路は、約1.0~約10.0mmの幅を有する。いくつかの実施形態において、多方向の流路は、約0.001~約100.0mmの高さを有する。いくつかの実施形態において、多方向の流路は、約0.1~約10.0mmの高さを有する。いくつかの実施形態において、多方向の流路は、0.1~10,000mmの長さを有する。いくつかの実施形態において、多方向の流路は、約1.0~約3,000.0mmの長さを有する。いくつかの実施形態において、上記多方向の流路は渦巻形状である。いくつかの実施形態において、渦巻形状の流路は、約1.0~約1,000.0mmの最も外側の曲率半径を有する。いくつかの実施形態において、渦巻形状の流路は、約5.0~約100.0mmの最も外側の曲率半径を有する。いくつかの実施形態において、渦巻形状の多方向の流路は、0.01~1,000mmの流路間の距離を有する。いくつかの実施形態において、渦巻形状の多方向の流路は、約1.0~約10.0mmの渦巻状の流路間の距離を有する。いくつかの実施形態において、多方向の流路は、螺旋形状であり、マンドレルの周りに製造される。いくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、約1.0~約1,000.0mmの曲率半径を有する。いくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、約5.0~約100.0mmの曲率半径を有する。いくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、約1.0~約1,000.0mmのピッチを有する。いくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、約10.0~約100.0mmのピッチを有する。いくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、積み重ね可能なプレート構造で形成される。いくつかの実施形態において、積み重ね可能なプレート構造は、1枚のプレート~25枚のプレートである。いくつかの実施形態において、積み重ね可能なプレート構造は、2枚のプレート~23枚のプレートである。いくつかの実施形態において、積み重ね可能なプレート構造は、3枚のプレート~20枚のプレートである。いくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の積み重ね可能なプレートは:3Dプリンティング;ソフトリソグラフィ;フォトリソグラフィ;射出成形;ブロー成形;鋳造;機械加工;旋削;穴あけ;穿孔;リーミング;放電加工(EDM);あるいはミリング、を使用して製造される。いくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の積み重ね可能な流路は、ボルト、接着剤、結合剤、熱膨張、樹脂、エポキシ、内側スリーブ、外側スリーブ、ベースプレート、マンドレル、カバーガラス、硬化、押出し溶接、接触溶接、高周波溶接、摩擦圧接、レーザー溶接、超音波溶接、溶剤接着、あるいは鋳造を使用して組み立てられる。いくつかの実施形態において、多方向の流路は押し出される。いくつかの実施形態において、多方向の流路は、押し出されたポリカーボネート管である。いくつかの実施形態において、多方向の流路は封入される。いくつかの実施形態において、多方向の積み重ね可能なプレート構造は、シリンダー内に封入される。いくつかの実施形態において、多方向の流路は、マンドレルのまわりで押し出される。いくつかの実施形態において、多方向の流路は、射出成されたポリカーボネートである。いくつかの実施形態において、多方向の流路は、マンドレルのまわりで形成されたハウジングに組み込まれる。いくつかの実施形態において、多方向の流路は、マンドレルのまわりで形成されたハウジングの内面に組み込まれる。いくつかの実施形態において、多方向の流路は、マンドレルのまわりで形成されたハウジングの外面に組み込まれる。いくつかの実施形態において、マンドレルのまわりに形成されたハウジングに組み込まれ、および、シリンダー内に収容される。いくつかの実施形態において、多方向の流路は、積み重ね可能であり、シリンダー内に収容される。いくつかの実施形態において、多方向の流路は、積み重ね可能であり、シリンダー内に収容され、ここで、第1の多方向の流路は第1のポリペプチドで機能化され、第2の多方向の流路は第2のポリペプチドで機能化される。いくつかの実施形態において、第1のポリペプチドはポリミキシンを含む。いくつかの実施形態において、第2のポリペプチドはバンコマイシンを含む。いくつかの実施形態において、シリンダー内に収容される積み重ね可能な多方向の流路は、接続管を使用して接続された単一のデバイスを形成し、ここで、上記流路は、上記単一のデバイス内の流動流体からグラム陰性菌、グラム陽性菌、およびエンドトキシンを捕捉および除去する。いくつかの実施形態において、単一のデバイスを形成するシリンダー内に収容される積み重ね可能な多方向の流路は、インライン濾過システムに接続することができる。いくつかの実施形態において、インライン濾過システムは透析システムである。
【0011】
対象の血液で運ばれる材料の捕捉および吸着のためのデバイスが本明細書で提供され、上記デバイスは:少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備える螺旋形状の流体流路を含むシートと;少なくとも1つの内壁を備える上記螺旋形状の流体流路と;上記シートに取り付けられたマンドレルであって、ここで、上記シートは上記マンドレルの周りに巻かれて螺旋形状を形成する、マンドレルと;螺旋形状の流体流路を含むシートの少なくとも1つの内壁の少なくとも一部をコーティングする物質と、を含む。いくつかの実施形態では、上記物質は:抗体、橋架剤、ペプチド、タンパク質、抗生物質、ポリマー、アミン、ポリエーテル、アミノ酸、アプタマー、腫瘍壊死因子、接着受容体、E-セレクチン、サイトカイン、化学療法薬剤、クオラムセンシングタンパク質、クオラムセンシング受容体、および生物学的製剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、流路の壁をコーティングする物質は、固定され、共有結合されたポリペプチド抗生物質を含む。いくつかの実施形態において、共有結合されるポリペプチド抗生物質は、ポリミキシンである。いくつかの実施形態において、固定されたポリミキシンの量は少なくとも0.5mMである。いくつかの実施形態において、固定されたポリミキシンの量は、約1.0~約50.0mMである。いくつかの実施形態において、共有結合されたポリペプチド抗生物質はバンコマイシンである。いくつかの実施形態において、固定されたバンコマイシンの量は少なくとも0.5mMである。いくつかの実施形態において、固定されたバンコマイシンの量は、約1.0~約50.0mMである。いくつかの実施形態では、流路の壁をコーティングする物質は:ヘキサメチレンジアミン、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール誘導体、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、およびグリシンからなる群から選択される固定された橋架剤を含む。いくつかの実施形態において、基材に固定されたヘキサメチレンジアミン橋架剤は、約1%~約20%(v/v)の水溶液である。いくつかの実施形態において、基材に固定された橋架剤は、固定される量が約1.0~約50.0mMであるポリエチレングリコールあるいは誘導物質である。いくつかの実施形態において、上記デバイスは多方向性である。いくつかの実施形態において、多方向の流路は、少なくとも1つの表面が露出した官能基を有する少なくとも1つの熱可塑性ポリマー基材からなる。いくつかの実施形態において、熱可塑性ポリマー基材は、カルボニル基、カルボキシル基、アルコール基、アミノ基、クロリド基、スチレン基、α-ハロゲン化アシル基、ベンジル基、イソシアン酸基、および他のポリマーあるいはコポリマー、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリルアミド、ポリエチレン、ポリエチレン・テレフタレート・アクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、およびメタクリル酸メチルからなる群から選択される、少なくとも1つの表面が露出した官能基を有する。いくつかの実施形態において、基材はポリカーボネートである。いくつかの実施形態において、上記デバイスは使い捨てである。いくつかの実施形態において、多方向の流路は、約0.01~約1,000.0mmの幅を有する。いくつかの実施形態において、多方向の流路は、約1.0~約10.0mmの幅を有する。いくつかの実施形態において、多方向の流路は、約0.001~約100.0mmの高さを有する。いくつかの実施形態において、多方向の流路は、約0.1~約10.0mmの高さを有する。いくつかの実施形態において、多方向の流路は、0.1~10,000mmの長さを有する。いくつかの実施形態において、多方向の流路は、約1.0~約3,000.0mmの長さを有する。いくつかの実施形態において、上記多方向の流路は渦巻形状である。いくつかの実施形態において、渦巻形状の流路は、約1.0~約1,000.0mmの最も外側の曲率半径を有する。いくつかの実施形態において、渦巻形状の流路は、約5.0~約100.0mmの最も外側の曲率半径を有する。いくつかの実施形態において、渦巻形状の多方向の流路は、0.01~1,000mmの流路間の距離を有する。いくつかの実施形態において、渦巻形状の多方向の流路は、約1.0~約10.0mmの渦巻状の流路間の距離を有する。いくつかの実施形態において、上記多方向の流路は、螺旋形状であり、マンドレルの周りに製造される。いくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、約1.0~約1,000.0mmの曲率半径を有する。いくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、約5.0~約100.0mmの曲率半径を有する。いくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、約1.0~約1,000.0mmのピッチを有する。いくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、約10.0~約100.0mmのピッチを有する。いくつかの実施形態において、シートは、マンドレルのまわりに1~100回巻かれる。いくつかの実施形態において、シートは、マンドレルのまわりに1~20回巻かれる。いくつかの実施形態において、シートは、マンドレルのまわりに1~5回巻かれる。いくつかの実施形態において、シートは:3Dプリンティング;ソフトリソグラフィ;フォトリソグラフィ;射出成形;ブロー成形;鋳造;機械加工;旋削;穴あけ;穿孔;リーミング;放電加工(EDM);あるいはミリング、を使用して製造される。いくつかの実施において、デバイスは、ボルト、接着剤、結合剤、熱膨張、樹脂、エポキシ、内側スリーブ、外側スリーブ、ベースプレート、カバーガラス、硬化、押出し溶接、接触溶接、高周波溶接、摩擦圧接、レーザー溶接、超音波溶接、溶剤接着、あるいは鋳造を使用して組み立てられる。いくつかの実施形態において、多方向の流路は封入される。いくつかの実施形態において、デバイスはシリンダー内に封入される。いくつかの実施形態において、第1の多方向の流路は第1のポリペプチドで機能化され、ここで、第2の多方向の流路は第2のポリペプチドで機能化される。いくつかの実施形態において、第1のポリペプチドはポリミキシンを含む。いくつかの実施形態において、第2のポリペプチドはバンコマイシンを含む。いくつかの実施形態において、シリンダー内に収容されるデバイスは、接続管を使用して接続された単一のデバイスを形成し、ここで、上記流路は、上記単一のデバイス内の流動流体からグラム陰性菌、グラム陽性菌、およびエンドトキシンを捕捉および除去する。いくつかの実施形態において、単一のデバイスを形成するシリンダー内に収容される積み重ね可能な多方向の流路は、インライン濾過システムに接続することができる。いくつかの実施形態において、インライン濾過システムは透析システムである。
【0012】
引用による組み込み
本明細書で言及される出願公開、特許、及び特許出願は全て、あたかも個々の出願公開、特許、あるいは特許出願がそれぞれ参照により組み込まれるように具体的且つ個々に指示されるように同じ程度にまで、参照により本明細書に組込まれる。本出願は、PCT出願番号PCT/US17/41038の内容を、参照により本明細書に明示的に組み込む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の新規な特徴は、とりわけ添付の特許請求の範囲内に明記される。本発明の特徴および利点のより良い理解は、本発明の原理が用いられる例示的実施形態を説明する以下の詳細な説明と、以下の添付図面とを引用することによって得られるであろう。
【
図1】流路を流れる粒子および関連する力の表現である。
【
図2A】実施形態のポリカーボネートデバイスのポリミキシンで機能化された壁に沿った、蛍光標識されたアシネトバクター・バウマンニ ATCC 17978の吸着を示す。
【
図2B】実施形態のポリカーボネートデバイスのPEG化された壁に沿った、蛍光標識されたアシネトバクター・バウマンニ ATCC 17978の吸着がないことを示す。
【
図3A】実施形態のポリカーボネートデバイスのバンコマイシン機能化された壁に沿った、蛍光標識された黄色ブドウ球菌ATCC 29213の吸着を示す。
【
図3B】実施形態のポリカーボネートデバイスのPEG化された壁に沿った、蛍光標識された黄色ブドウ球菌ATCC 29213の吸着がないことを示す。
【
図4】本明細書に記載される実施形態による、ポリミキシンE(つまり、コリスチン)でのポリカーボネート面の機能化の化学を示す。
【
図5】本明細書に記載される実施形態による、バンコマイシンでのポリカーボネート面の機能化の化学を示す。
【
図6】本明細書の記載に従って準備された実施形態のデバイスを示す。
【
図7】本明細書の記載に従って準備された実施形態のデバイスを示す。
【
図8A】ミリング技術を使用して製造され、2つのポリカーボネート片をともにボルトで固定することによって密封された、渦巻形状の多方向の流路(流路の長さ=1,816mm、幅=5.08mm、高さ=1.75mm)の非限定的な実施形態を示す。
【
図8B】ミリング技術を使用して製造され、2つのポリカーボネート片をともにボルトで固定することによって密封された、渦巻形状の多方向の流路(流路の長さ=2,009mm、幅=2mm、高さ=0.25mm)の別の非限定的な実施形態を示す。
【
図9A】円筒状のチャンバあるいはマンドレルのまわりで製造される螺旋形状の多方向の流路を示す。
【
図9B】円筒状のチャンバあるいはマンドレルのまわりで製造されない螺旋形状の多方向の流路を示す。
【
図9C】円筒状のチャンバあるいはマンドレルのまわりで製造されない、よりコンパクトな螺旋形状の多方向の流路を示す。
【
図10A】ポリミキシンでコーティングされたデバイス(つまり、コリスチン化デバイス(colistinated device))を80ml min
-1で流れる際の、アシネトバクター・バウマンニ ATCC 17978の捕捉を示す。
【
図10B】デバイスの総捕捉能力が2.39E7 CFUであったことを示す。
【
図11A】ポリミキシンEでコーティングされたデバイス(つまり、コリスチン化デバイス)を80ml min
-1で流れる場合の、肺炎桿菌ATCC 700603の捕捉を示す。
【
図11B】デバイスの総捕捉能力が1.98E7 CFUであったことを示す。
【
図12A】ポリミキシンEでコーティングされたデバイス(つまり、コリスチン化デバイス)を80ml min
-1で流れる場合の、コリスチン耐性アシネトバクター・バウマンニの捕捉を示す。
【
図12B】最初の捕捉効率がほぼ100%であったことを示し;デバイスの総捕捉能力は7.89E6 CFUであった。
【
図13A】ポリミキシンEでコーティングされたデバイス(つまり、コリスチン化デバイス)を80ml min
-1で流れる場合の、コリスチン耐性肺炎桿菌ATCC 700603の捕捉を示す。
【
図13B】最初の捕捉効率がほぼ80%であったことを示す。デバイスの総捕捉能力は7.31E6 CFUであった。
【
図14A】バンコマイシンで機能化されたデバイスを80ml min
-1で流れる場合の黄色ブドウ球菌ATCC 29213の捕捉を示す。
【
図14B】デバイスの総捕捉能力は5.24E6 CFUであった。
【
図15】様々なバクテリア菌株を使用して、細菌吸着デバイスの捕捉能力を要約する。
【
図16】エンドトキシンがエンドトキシンフリー水(1ミリリットル当たり1マイクログラム(ug ml
-1))にスパイクされ、ポリミキシンEでコーティングされたデバイス(つまり、コリスチン化デバイス)およびPEG化された二重渦巻流体デバイスを80ml min
-1で流され、経時的に捕捉されたエンドトキシンの量が評価され、結果は平均値±SD、n=3としてプロットされたことを示す。
【
図17】外側スリーブを使用して密封あるいは封入される円筒状のチャンバあるいはマンドレルのまわりで製造された、螺旋形状の多方向の流路を示す。
【
図18】
図17の流路の入口および/または出口の嵌合を示す。
【
図19】例示的な実施形態を示し、ここで、細菌および/またはエンドトキシンに感染した全血が、細菌およびエンドトキシンを捕捉するように設計された、ポリペプチド抗生物質で流路の壁に沿って機能化される二重渦巻流体デバイスの入口へと、患者からポンプで送られ、その後、患者に健康な材料のみを含む血液が患者に戻される。
【
図20】細菌および/またはエンドトキシンに感染した全血が、患者から螺旋形状の流体デバイスの入口へと直列にポンプで送られる、例示的な実施形態を示す。
【
図21A】機械加工法あるいは射出成形を使用して製造された螺旋形状の流路であるフィルタープレートを含む実施形態を示し、各フィルタープレートの流路は曲線の最外端で98mmの長さである。
【
図21B】組み立てられ、積み重ねられ、溶剤接着および接着剤を使用して、ともに密封される複数のフィルタープレートを含み、1960mmの流路の全長をもたらす実施形態を示す。
【
図21C】
図21Bの積み重ねられた螺旋状のプレートの実施形態の横断面図を示す。
【
図21D】
図21Bの積み重ねられた螺旋状のフィルタープレートの実施形態の密封された接合部を示す。
【
図22A】ハウジング内に積み重ねられた螺旋状のフィルタープレートを含み、入口および出口を組み込む実施形態を示す。
【
図22B】ハウジング内に積み重ねられた螺旋状のフィルタープレートを2セット含み、その各々は異なるポリペプチドを有する、実施形態のデバイスを示す。
【
図23A】螺旋形状の多方向の流路を形成するために押し出されたポリカーボネート管を含む、実施形態のデバイスを示す。
【
図23B】マンドレルのまわりで製造される螺旋形状の多方向の流路を形成するために押し出されたポリカーボネート管を有する、実施形態のデバイスを示す。
【
図24A】シート設計に組み込まれた螺旋形状の流路を備える、マンドレルに取り付けられた、射出成形ポリカーボネートシートから作られた実施形態のデバイスを示す。
【
図24B】最初にポリカーボネート・フラット・シートを加熱し、その後、そのフラットシートをマンドレルのまわりにしっかりと巻き付けて、螺旋形状を作ることにより、マンドレルのまわりの螺旋形状へと巻き付けられたシートから作られた実施形態のデバイスを示し、ここで、これらの巻き付けられたシートの2つは、接続管(図示せず)を使用して、直列に接続される。
【
図25A】中実の内側マンドレルを使用しながら、螺旋形状の流路設計をハウジングへと組み込む、射出成形ポリカーボネート片から作られた実施形態のデバイスを示す。
【
図25B】
図25Aのマンドレルのまわりに巻かれた螺旋状のハウジングの断面図を示す。
【
図25C】超音波溶接および/または溶剤接着を使用して、マンドレルのまわりで組み立てられた
図25Aの実施形態の螺旋状のハウジングを示す。
【
図26A】鋳造されたか、あるいは押し出されたポリカーボネートの外管と、コアAおよびコアBの射出成形ポリカーボネートの外管とを含み、螺旋状の流路設計が上記コアへと組み込まれ、ここで、コアAおよびコアBの面はエラストマーでコーティングされ得る、実施形態を示す。
【
図26B】コアの半分が組み立てられ、エラストマーを使って密封しながら外管へと押し込まれる、
図26Aの実施形態を示す。
【
図27A】中実の外管を使用しながら、螺旋形状の流路設計をコア片へと組み込む、2つの積み重ねられて組み立てられた、射出成形ポリカーボネート部分を含む実施形態を示し、これにより、単一のデバイス内の流動流体からグラム陰性菌、グラム陽性菌、およびエンドトキシンの捕捉および除去を可能にする。
【
図28】ハウジング内に積み重ねられた螺旋状のフィルタープレートを含み、入口および出口を組み込む、
図22Aの実施形態のデバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
エンドトキシンは、グラム陰性菌の細胞壁に由来するリポ多糖である。血液中のエンドトキシン、グラム陽性菌、および/またはグラム陰性菌の存在が、敗血症を引き起こす可能性のある、局所的および全身的な調節機構のカスケードを開始させる。感染に対する調節不全の宿主応答によって引き起こされる、生命に危険のある臓器の機能障害として定義される敗血症は、毎年100万人以上のアメリカ人を苦しめ、25~50%の範囲の関連する死亡率を有する。敗血症は、米国における重病の死亡の主因であり、毎年200億ドルを超える費用がかかっている。平均寿命の増大および侵襲的処置の数が増えるにつれて、敗血症の発生率は上昇している。現在、特定の敗血症の処置は利用可能ではない。敗血症の処置は、主に、早期認識、抗生物質の迅速な投与、輸液蘇生、および血管作用薬に依存する。早期の効果的な抗生物質治療は不可欠であり、患者への影響を改善する。しかし、敗血症関連の死亡率は、受け入れがたい程度に高いままであるため、新しい敗血症治療の緊急の必要性を強調する。抗生物質の広範囲の使用は、薬剤耐性のバクテリア菌株の数を大幅に増大させ、体外デバイスベースの治療が全体的により効果的であり得ることを示唆している。
【0015】
体外のサイトカイン濾過、組換え体ヒト活性化プロテインC、コルチコステロイド、ヒト組換えラクトフェリン、および免疫調節などの敗血症の実験的補助治療を評価するために、多くの研究が行われてきた。免疫調節が広く期待されているが、患者集団の不均一性および敗血症の原因の複雑さは、これらの実験的アプローチの進展を制限する。インターロイキン-1(IL-1)あるいは腫瘍壊死因子-α(TNF-α)などの単一のメディエーターの遮断は、敗血症の生存を改善する見込みをほとんど示していない。サイトカイン切除は、動物研究における有望な結果を示した;しかし、結果は、サイトカイン切除の直接の影響ではなく、他の下流メカニズムを調節した結果であると考えられる。磁性ナノ粒子を使用する機械的細菌の切除は、敗血性のげっ歯類モデルの生存を改善することが報告されている。細菌を標的とするリガンドを使用するナノ粒子の表面改質は、いくつかの重要な病原菌の効率的で再現可能な捕捉に結びつく可能性がある。しかし、これらのアプローチは、大規模な生物系の処置のためのスケールアップにおける潜在的な制限およびナノ粒子の血液との接触に関する不確実な規定のハードルに苦しむ。
【0016】
敗血症の全身炎症反応特性を緩和し、敗血症進行の阻害を支援するために、病原菌を除去し、結果として生じる分子のエフェクターを調節することができる、敗血症のための臨床翻訳可能な代替療法であるデバイス、システム、および方法が本明細書で提供される。本明細書に記載される方法、デバイス、およびシステムは、敗血症、内毒血症、菌血症感染、ならびに他の血液で運ばれる疾患の処置のために、流体から細菌性病原菌あるいは関連する毒素を捕捉および除去するために使用される。ポリペプチド抗生物質および/または他の材料でコーティングされる多方向の流路に流体を流すことによって、流体から病原菌および/または毒素を除去するための方法、デバイス、およびシステムが本明細書で提供される。
【0017】
敗血症のための体外血液浄化技術は、他のものによって試験されているが、ほとんど成功していない。これらの技術は、過去に、炎症性分子を捕捉するために、透析膜、繊維、あるいは多孔性ビーズを、サイズまたは分子量に基づいて使用した。しかし、細菌および多くの他の敗血症メディエーターは大きすぎるため、これらの技術を使用して血液から除去することができない。さらに、現在の体外血液浄化技術は目詰まりしやすく、健康な血液細胞成分の無差別な捕捉をしがちである。ポリミキシンE(コリスチンとしても知られる)は、グラム陰性菌感染症の処置およびエンドトキシンの解毒に使用されるカチオン性ポリペプチド抗生物質である。ポリミキシン(すなわち、コリスチン)の正電荷は、グラム陰性病原体およびエンドトキシンの負電荷を帯びた外膜に結合することを可能にする。それは強力な抗生物質であるが、その使用は、その腎毒性および神経毒性により制限されている。したがって、その静脈内の使用は制限されている。ビーズ上で固定されたポリミキシンがエンドトキシンを吸収できることは知られている。しかし、ビーズ、ナノ粒子、多孔性材料、および繊維の使用は、血液などの流体からのエンドトキシンの捕捉において非効率的であることが分かっている。バンコマイシンは、グラム陽性感染症の処置に使用することができるポリペプチド抗生物質である。バンコマイシンは、グラム陽性病原体の細胞壁と相互に作用し、細菌細胞壁の構築を阻害する。このことは、溶解により細胞壁を破壊する細菌の自己溶菌酵素の活性化に結びつく。しかし、バンコマイシンは、全身的に投与される場合、腎毒性である。さらに、敗血症技術のためのこれらの体外血液浄化技術のいずれも、敗血症の根本的原因である血液で運ばれるグラム陽性病原体およびグラム陰性病原体を効率的に捕捉ならびに吸着することができない。
【0018】
対象の血液で運ばれる材料の捕捉および吸着のためのデバイス、方法、およびシステムが本明細書で提供され、上記デバイス、方法、およびシステムは、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備える流体カートリッジと;上記少なくとも1つの入口と上記少なくとも1つの出口との間の多方向の流体流路であって、少なくとも1つの内壁を備える、多方向の流体流路と;上記多方向の流体流路の少なくとも1つの内壁の少なくとも一部をコーティングする物質と、を含む。いくつかの実施形態において、流路の壁をコーティングする物質は、流路の壁に固定されている。いくつかの実施形態では、上記物質は:抗体、橋架剤、ペプチド、タンパク質、抗生物質、ポリマー、アミン、ポリエーテル、アミノ酸、アプタマー、腫瘍壊死因子、接着受容体、E-セレクチン、サイトカイン、化学療法薬剤、クオラムセンシングタンパク質、クオラムセンシング受容体、および生物学的製剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、流路の壁をコーティングする物質は、共有結合されたポリペプチド抗生物質を含む。いくつかの実施形態において、共有結合されたポリペプチド抗生物質は、ポリミキシン-ポリミキシンBおよび/またはポリミキシンEである。いくつかの実施形態において、共有結合されたポリペプチド抗生物質は、ポリミキシン-ポリミキシンBおよび/またはポリミキシンEである。いくつかの実施形態において、固定されたポリミキシンの量は、約0.5mM~約50mmである。いくつかの実施形態において、固定されたポリミキシンの量は、少なくとも約0.5mMである。いくつかの実施形態において、固定されたポリミキシンの量は、最大約50mMである。いくつかの実施形態において、固定されたポリミキシンの量は、約0.5mM~約1mM、約0.5mM~約5mM、約0.5mM~約10mM、約0.5mM~約20mM、約0.5mM~約30mM、約0.5mM~約40mM、約0.5mM~約50mM、約1mM~約5mM、約1mM~約10mM、約1mM~約20mM、約1mM~約30mM、約1mM~約40mM、約1mM~約50mM、約5mM~約10mM、約5mM~約20mM、約5mM~約30mM、約5mM~約40mM、約5mM~約50mM、約10mM~約20mM、約10mM~約30mM、約10mM~約40mM、約10mM~約50mM、約20mM~約30mM、約20mM~約40mM、約20mM~約50mM、約30mM~約40mM、約30mM~約50mM、あるいは約40mM~約50mMである。用語「約」は、ポリミキシンの量に関して使用される場合、0.5mM、1mM、5mM、10mM、20mM、30mM、40mM、あるいは50mMを意味する。いくつかの実施形態において、固定され、共有結合されたポリペプチド抗生物質はバンコマイシンである。いくつかの実施形態において、共有結合されたポリペプチド抗生物質はバンコマイシンである。いくつかの実施形態において、流路の壁をコーティングする物質は、共有結合されたポリペプチド抗生物質を含む。したがって、いくつかの実施形態において、固定され、共有結合されたポリペプチド抗生物質はバンコマイシンである。いくつかの実施形態において、共有結合されたポリペプチド抗生物質は、流路の壁に固定されている。いくつかの実施形態において、流路の壁をコーティングする物質は、流路の壁に固定されている。固定されたバンコマイシンの量は、約0.5mM~約50mmである。いくつかの実施形態において、固定されたバンコマイシンの量は、少なくとも約0.5mMである。いくつかの実施形態において、固定されたバンコマイシンの量は、最大約50mMである。いくつかの実施形態において、固定されたバンコマイシンの量は、約0.5mM~約1mM、約0.5mM~約5mM、約0.5mM~約10mM、約0.5mM~約20mM、約0.5mM~約30mM、約0.5mM~約40mM、約0.5mM~約50mM、約1mM~約5mM、約1mM~約10mM、約1mM~約20mM、約1mM~約30mM、約1mM~約40mM、約1mM~約50mM、約5mM~約10mM、約5mM~約20mM、約5mM~約30mM、約5mM~約40mM、約5mM~約50mM、約10mM~約20mM、約10mM~約30mM、約10mM~約40mM、約10mM~約50mM、約20mM~約30mM、約20mM~約40mM、約20mM~約50mM、約30mM~約40mM、約30mM~約50mM、あるいは約40mM~約50mMである。用語「約」は、バンコマイシンの量に関して使用される場合、0.5mM、1mM、5mM、10mM、20mM、30mM、40mM、あるいは50mMを意味する。
【0019】
本明細書で使用されるように、別段の定めがない限り、「対象の材料」あるいは「疾患材料」という語句は、癌細胞、循環腫瘍細胞、ペプチド、βアミロイド、タンパク質、酵素、毒素、異常細胞、感染性微生物、細胞、寄生生物、真菌、ウイルス、微生物、細菌、細菌毒素、クオラムセンシングタンパク質あるいはクオラムセンシング受容体、リポ多糖、サイトカイン類、IL-Ιβ、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IL-11、IL-13、IL-15、IL-16、腫瘍壊死因子、カルシトニン、プロカルシトニン、病原体関連分子パターン、C反応性タンパク質、あるいは、肝不全に関連する小さな、または、タンパク質結合生体分子を含む、1つ以上の疾患材料である捕捉された疾患材料を意味する。
【0020】
本明細書で使用されるように、および別段の定めがない限り、用語「約」または「およそ」は、当業者によって決定されるような特定の値に対する許容可能な誤差を意味し、これは部分的に、値がどのように測定または決定されるかに依存する。特定の実施形態では、用語「約」または「およそ」は、1、2、3、または4の標準偏差内であることを意味する。特定の実施形態では、用語「約」または「およそ」は、与えられた値または範囲の30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、または0.05%内であることを意味する。特定の実施形態では、用語「約」または「およそ」は、与えられた値または範囲の40.0mm、30.0mm、20.0mm、10.0mm、5.0mm、1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、または0.1mm内であることを意味する。
【0021】
本明細書で使用されるように、用語「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」、またはその任意の他の変形は、非排他的包含をカバーするように意図され、その結果、要素のリストを含む、プロセス、方法、記事、または装置は、それらの要素だけではなく、明確にリストされていない、またはそのようなプロセス、方法、記事、または装置に固有でない他の要素を含み得る。
【0022】
本明細書で使用されるように、「ユーザー」、「被験体」、あるいは「患者」という用語は、互換的に使用される。本明細書で使用されるように、用語「被験体」および「被験体」は、動物(例えば、鳥類、爬虫類、および哺乳動物)、霊長類(例えば、サル、チンパンジー、およびヒト)および非霊長類(例えば、ラクダ、ロバ、シマウマ、雌牛、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラット、およびマウス)を含む哺乳動物を指す。ある実施形態では、哺乳動物は、6~12ヶ月齢、0~6か月齢、1~5年齢、5~10年齢、10~15年齢、15~20年齢、20~25年齢、25~30年齢、30~35年齢、35~40年齢、40~45年齢、45~50年齢、50~55年齢、55~60年齢、60~65年齢、65~70年齢、70~75年齢、75~80年齢、80~85年齢、85~90年齢、90~95年齢、あるいは90~100年齢である。いくつかの実施形態では、被験体または患者はブタである。ある実施形態では、ブタは、0~6ヶ月齢、6~12ヶ月齢、1~5歳年齢、5~10年齢、10~15年齢である。ブタの自然寿命は10~15年である。
【0023】
本明細書で使用されるように、別段の定めがない限り、用語「横方向の力」(オイラー力とも呼ばれる)は、任意の角加速度に反応して感じられる接線力である。さらに、方位角加速度あるいは横加速度として知られている。それは、非均一の回転座標系が運動の分析に使用され、かつ基準座標系の軸の角速度に変化がある場合に現れる加速度である。この定義は、固定された軸のまわりを回転する基準座標系に典型的に制限される。オイラー力は「F=ma」によりオイラー加速度に関連づけられ、ここで、「a」はオイラー加速度であり、mは体の質量である。別の言い方をすると、オイラー力は、メリー・ゴー・ランドに乗っている人によって感じられる。メリー・ゴー・ランドの回転が始まると、オイラー力は、馬の後部へと人を押す見かけの力になり、メリー・ゴー・ランドの回転が止まると、それは、馬の前部へと人を押す見かけの力になる。メリー・ゴー・ランドの周囲に近い馬に乗っている人は、回転軸に近い馬に乗っている人より大きな見かけの力を受ける。オイラー力は遠心力に垂直で、回転面にある。
【0024】
本明細書で使用されるように、用語「治療」は、疾病(例えば、ウイルス感染症あるいはそれに関連した疾病または症状、ウイルス感染症以外の感染症あるいはそれに関連した疾病または症状、IFN処置可能な疾患あるいは弱毒株ウイルスをベクターとして使用して、疾病に関連した特定の抗原に対する免疫応答を誘発することができる疾病)の予防、処置、管理、あるいは寛解に使用され得る、任意のプロトコル、方法、組成物、製剤、および/または薬剤を指し得る。ある実施形態では、用語「治療」は、当業者に既知の、ウイルス感染症あるいはそれに関連した疾病または症状、ウイルス感染症以外の感染症あるいはそれに関連した疾病、IFN処置可能な疾患あるいは弱毒株ウイルスをベクターとして使用して、特定の抗原に対する免疫応答を誘発することができる疾病の処置、管理、予防、あるいは寛解に有用な生物学的療法、支持療法、および/または他の治療を指す。
【0025】
本明細書で使用されるように、用語「管理する(manage)」、「管理すること(managing)」、および、「管理(management)」とは、病気の治療を結果としてもたらさない、治療薬(例えば、予防剤または治療剤)から被験体が得られる有益な効果を指す。ある実施形態では、病気の進行あるいは悪化を防ぐために、被験体に1つ以上の治療薬(例えば、1つ以上の予防剤あるいは治療剤)を投与して、病気を「管理する」。
【0026】
本明細書で使用されるように、用語「防ぐ(prevent)」、「防ぐこと(preventing)」および「防止(prevention)」とは、治療薬(例えば、予防剤または治療剤)の投与あるいは治療薬の組み合わせ(例えば、予防剤または治療剤の組み合わせ)の投与に起因する、被験体の疾病(例えば:ウイルス感染症あるいはそれに感染した疾病、ウイルス感染症以外の感染症あるいはそれに関連した疾病、IFN処置可能な疾患あるいは弱毒株ウイルスをベクターとして使用して、疾病に関連した特定の抗原免疫応答に対する免疫応答を誘発することができる疾病)の発展または発症の阻害、あるいは疾病(例えば、ウイルス感染症あるいはそれに関連した疾病、ウイルス感染症以外の感染あるいはそれに関連した疾病、またはIFN処置可能な疾患)の1つ以上の症状の疾病の再発、発症、または発展の防止を指す。
【0027】
本明細書で使用されるように、用語「処置する(treat)」、「処置treating」、および「処置すること(treating)」とは、ウイルス複製あるいはウイルス以外の病原体(例えば、ウイルス、細菌)の複製の根絶または制御、ウイルスの力価あるいはウイルス以外の力価の減少、病原体の数の減少、疾病(例えば、ウイルス感染症あるいはそれに関する疾病、ウイルス感染症以外の感染症あるいはそれに関連した疾病または症状、IFNの治療可能な疾患あるいは弱毒株ウイルスをベクターとして使用して、疾病に関連した特定の抗原に対する免疫応答を誘発することができる疾病)の進行、重症度、および/または持続時間の減少あるいは寛解、あるいは1つ以上の治療薬の投与(限定されないが、1つ以上の予防剤または治療剤の投与を含む)に起因する1つ以上の症状の寛解を指す。
【0028】
本明細書で使用されるように、用語「治療剤」とは、疾病またはその症状(例えば、感染症あるいはそれに関連した疾病または症状、ウイルス感染症以外の感染症あるいはそれに関連した疾病または症状、IFN治療可能な疾患あるいは弱毒株ウイルスをベクターとして使用して、疾病に関連した特定の抗原に対する免疫応答を誘発することができるあるいは疾病)の予防、処置、管理、あるいは寛解に使用することができる、任意の薬剤を指す。いくつかの実施形態において、治療剤は、ウイルス感染症あるいはそれに関連した疾病または症状、ウイルス感染症以外の感染症あるいはそれに関連した疾病または症状、IFNの治療可能な疾患あるいは弱毒株ウイルスをベクターとして使用して、疾病に関連した特定の抗原に対する免疫応答を誘発することができる疾病の予防、処置、管理、あるいは寛解に有用であると知られているか、あるいはその予防、処置、管理、あるいは寛解に使用されてきたか、または現在使用されている薬剤である。
【0029】
本明細書で使用されるように、別段の定めがない限り、用語「螺旋」とは、コルク抜きまたは渦巻階段のように、シリンダーまたは円錐のまわりに単層で均一に巻かれたワイヤーのような立体形状を有する物体を意味する。代替の同義語には、渦巻状のコルク抜き、カール、装飾的な渦巻き(curlicue)、ねじれ、渦巻(gyre)、渦状紋、渦巻き(convolution)などを含む。本明細書で使用されるように、幾何学的な螺旋は、表面が平面に広げられた場合に直線になる円錐状または円筒状の表面上の曲線を意味することもある。
【0030】
本明細書で使用されるように、別段の定めがない限り、用語「円筒状」は直線の並列の側面および円形あるいは楕円形の断面を有し;シリンダーの形状または形態であり;すなわち:「円筒状のプラスティック容器」を意味する。
【0031】
本明細書で使用されるように、別段の定めがない限り、用語「多方向」は、いくつかの方向に関与および作動すること、例えば、非限定的な例として、カラム、シリンダー、円錐、樽形、放物線状、楕円、双曲線のまわりなどで、曲がった非線形または半径方向に動き回ることなどを意味する。
【0032】
対象の血液で運ばれる材料の捕捉および吸着のためのデバイス、方法、およびシステムが本明細書で提供され、上記デバイス、方法、およびシステムは、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備える流体カートリッジと;上記少なくとも1つの入口と上記少なくとも1つの出口との間の多方向の流体流路であって、少なくとも1つの内壁を含む、多方向の流体流路と;上記多方向の流体流路の少なくとも1つの内壁の少なくとも一部をコーティングする物質とを含む。
【0033】
現在説明されている実施形態は、連続流およびハイスループットが可能である、膜のない病原体およびエンドトキシン吸着デバイス技術に関する。作動原理は2つの構成要素に依存する:1)デバイスの流路の壁に結合されたポリペプチド抗生物質と、2)膜ベースのフィルターあるいは外力の必要性をなくした、渦巻または螺旋などの、曲がった多方向の流路構造における流体の流れ。
図1は、流路を流れる粒子および関連する力の表現である。渦巻または螺旋などの多方向の流路における横方向の力は、設計された流路のアスペクト比に従って粒子を集中させる(
図1)。横方向ディーン流れは、渦巻流路中で流れる粒子にディーン抗力(FD)を及ぼす。壁面揚力、剪断揚力、およびディーン抗力の間の競合は、粒子径に依存する特有の均衡点への粒子の差次的な移動を結果としてもたらす(Johnston, I. D. et al. Dean flow focusing and separation of small microspheres within a narrow size range. Microfluid. Nanofluidics 17, 509-518 (2014))。ポリペプチド抗生物質で機能化された多方向の流路の側壁の近くで、細菌およびエンドトキシンなどの粒子を集中させることで、ポリペプチド抗生物質と流体の相互作用によりこれらの粒子の捕捉、吸着、および除去が促進される。この設計の単純性(つまり、可動部、膜ベースではないフィルターなど)により、血液透析などの他の下流プロセスへのこのデバイスの組み込みが可能になる。このデバイスは、菌血症、内毒血症、敗血症、および他の血液で運ばれる疾患の診断ならびに処置のためのスタンドアロンの血液濾過デバイスとして機能することもできる。
【0034】
記載される実施形態は、流体(つまり、血液、生理食塩水、尿)中を流れる粒子(つまり、細菌およびエンドトキシン)に遠心力を導入するための渦巻または螺旋のデバイスの曲がった流路を使用して、流体からのそのような粒子の改善された分離、捕捉、および除去を促進する。これらの粒子が流路を流れると、粒子は流路の中心からオフセットされた位置で流路側壁の方へと押し付けられる。螺旋状あるいは渦巻形状の多方向の流路における遠心力および流体力の組み合わせにより、細菌およびエンドトキシンの捕捉ならびに吸着のために、ポリペプチド抗生物質で機能化された側壁近くに粒子を集中させることができる。
【0035】
ポリミキシンおよびバンコマイシンを含む、本明細書に記載されるポリペプチド抗生物質は、グラム陽性菌とグラム陰性菌の様々な菌種の外膜に対して強力な親和性、ならびに、エンドトキシンに対して親和性を有する抗生物質である。これにより、これらの生物製剤の捕捉および吸着が可能になる。
【0036】
本明細書のデバイスあるいはシステムのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、少なくとも1つの表面が露出した官能基を有する少なくとも1つの熱可塑性ポリマー基材からなる。いくつかの実施形態において、基材はポリカーボネートである。本明細書のデバイスあるいはシステムのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、典型的にはポリカーボネートなどの熱可塑性ポリマーである基材で作られている。いくつかの実施形態では、熱可塑性ポリマーは、ポリミキシン、バンコマイシン、および他の相対分子を固定することができる、表面が露出した官能基を有する。基材に特徴的な露出した官能基の例は、カルボニル基、カルボキシル基、アルコール類、アミノ基、クロリド基、スチレン基、α-ハロゲン化アシル基、ベンジル基、イソシアン酸基、および他のポリマーあるいはコポリマー、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリルアミド、ポリエチレン、ポリエチレン・テレフタレート・アクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、およびメタクリル酸メチルなどを含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、流路の壁をコーティングする物質は、流路の壁に固定されている。いくつかの実施形態では、上記物質は:抗体、橋架剤、ペプチド、タンパク質、抗生物質、ポリマー、アミン、ポリエーテル、アミノ酸、アプタマー、腫瘍壊死因子、接着受容体、E-セレクチン、サイトカイン、化学療法薬剤、クオラムセンシングタンパク質、クオラムセンシング受容体、および生物学的製剤からなる群から選択される。
【0038】
表記された材料の中でも、ポリカーボネート誘導体は、露出したカルボニル基および生体適合性により担体に適している。ポリカーボネート面上の露出したカルボニル基は、コリスチンまたはバンコマイシンなどのポリペプチド抗生物質のアミン基により、求核付加反応を経験する。この反応は、ポリマー鎖の切断および末端カルバメートの形成を結果としてもたらす。1つ以上のアミン基を含有しているポリペプチド抗生物質の添加は、ポリペプチド抗生物質で装飾されたポリカーボネート面を結果としてもたらし、それは、細菌および/またはエンドトキシンの後続の捕捉に利用可能である(
図4および
図5)。
【0039】
図4は、本明細書に記載される実施形態による、ポリミキシンE(つまり、コリスチン)でのポリカーボネート面の機能化の化学を示す。
図4は、本明細書に記載される実施形態による、ポリミキシンE(つまり、コリスチン)でのポリカーボネート面の機能化の化学を示す。いくつかの実施形態において、流路の壁をコーティングする物質は、共有結合されたポリペプチド抗生物質を含む。いくつかの実施形態において、共有結合されたポリペプチド抗生物質は、ポリミキシン-ポリミキシンBおよび/またはポリミキシンEである。いくつかの実施形態において、共有結合されたポリペプチド抗生物質は、ポリミキシン-ポリミキシンBおよび/またはポリミキシンEである。いくつかの実施形態において、固定されたポリミキシンの量は、約0.5mM~約50mMである。いくつかの実施形態において、固定されたポリミキシンの量は、少なくとも約0.5mMである。いくつかの実施形態において、固定されたポリミキシンの量は、最大約50mMである。いくつかの実施形態において、固定されたポリミキシンの量は、約0.5mM~約1mM、約0.5mM~約5mM、約0.5mM~約10mM、約0.5mM~約20mM、約0.5mM~約30mM、約0.5mM~約40mM、約0.5mM~約50mM、約1mM~約5mM、約1mM~約10mM、約1mM~約20mM、約1mM~約30mM、約1mM~約40mM、約1mM~約50mM、約5mM~約10mM、約5mM~約20mM、約5mM~約30mM、約5mM~約40mM、約5mM~約50mM、約10mM~約20mM、約10mM~約30mM、約10mM~約40mM、約10mM~約50mM、約20mM~約30mM、約20mM~約40mM、約20mM~約50mM、約30mM~約40mM、約30mM~約50mM、あるいは約40mM~約50mMである。用語「約」は、ポリミキシンの量に関して使用される場合、0.5mM、1mM、5mM、10mM、20mM、30mM、40mM、あるいは50mMを意味する。
【0040】
図5は、本明細書に記載される実施形態による、バンコマイシンでのポリカーボネート面の機能化の化学を示す。
図5は、本明細書に記載される実施形態による、バンコマイシンでのポリカーボネート面の機能化の化学を示す。いくつかの実施形態において、固定され、共有結合されたポリペプチド抗生物質はバンコマイシンである。いくつかの実施形態において、共有結合されたポリペプチド抗生物質はバンコマイシンである。いくつかの実施形態において、流路の壁をコーティングする物質は、共有結合されたポリペプチド抗生物質を含む。したがって、いくつかの実施形態において、固定され、共有結合されたポリペプチド抗生物質はバンコマイシンである。いくつかの実施形態において、共有結合されるポリペプチド抗生物質は流路の壁に固定されている。いくつかの実施形態において、流路の壁をコーティングする物質は、流路の壁に固定されている。固定されたバンコマイシンの量は、約0.5mM~約50mMである。いくつかの実施形態において、固定されたバンコマイシンの量は、少なくとも約0.5mMである。いくつかの実施形態において、固定されたバンコマイシンの量は、最大約50mMである。いくつかの実施形態において、固定されたバンコマイシンの量は、約0.5mM~約1mM、約0.5mM~約5mM、約0.5mM~約10mM、約0.5mM~約20mM、約0.5mM~約30mM、約0.5mM~約40mM、約0.5mM~約50mM、約1mM~約5mM、約1mM~約10mM、約1mM~約20mM、約1mM~約30mM、約1mM~約40mM、約1mM~約50mM、約5mM~約10mM、約5mM~約20mM、約5mM~約30mM、約5mM~約40mM、約5mM~約50mM、約10mM~約20mM、約10mM~約30mM、約10mM~約40mMである。約10mM~約50mM、約20mM~約30mM、約20mM~約40mM、約20mM~約50mM、約30mM~約40mM、約30mM~約50mM、あるいは約40mM~約50mMである。用語「約」は、バンコマイシンの量に関して使用される場合、0.5mM、1mM、5mM、10mM、20mM、30mM、40mM、あるいは50mMを意味する。
【0041】
代替的に、同様の化学を使用して、基材表面に結合された他の官能基に結合されてもよい。例えば、グリシンまたは類似の構造を使用して、カルボキシル化表面を生成することができる。さらに、ヘキサメチレンジアミンは、ジアミンによる求核付加によって、ポリカーボネートの表面へ機能化することができ、結果として、末端ヘキシルアミノカルバマートの形成をもたらす。その後、NHS-ポリエチレングリコール-NHS(NHS-PEG-NHS)などのNHSエステル(N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)を、架橋剤として使用し、カルボジイミド化学を使用して、ヘキシルアミノカルバマート表面上で露出したアミン基と反応させることができる。この反応は表面が露出したNHS基をもたらし、これを使用して、バンコマイシンまたはポリミキシンなどの、ポリペプチド抗生物質の露出したアミン基と反応させて、ポリペプチドの機能化された表面を形成することができる(
図6および
図7)。この機能化の方法は、ポリカーボネート面からのポリペプチド抗生物質のさらなる伸長を可能にし、それにより、場合によっては、細菌とエンドトキシンなどの標的生物製剤の相互作用、捕捉、および吸着を改善する。基材に結合した窒素原子はさらに、グラム陰性病原体およびエンドトキシンの捕捉および除去に効果的である。
【0042】
基材に固定されたポリペプチド抗生物質の量は、いくつかの実施形態では、物質の0.5mMよりも多く、いくつかの実施形態では、物質の1.0mM~50.0mMである。上記量が物質の0.5mM未満である場合、いくつかの実施形態では、解毒は無効になる場合もある。いくつかの実施形態において、流路の壁をコーティングする物質は:ヘキサメチレンジアミン、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール誘導体、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、およびグリシンからなる群から選択される固定された橋架剤を含む。基材に固定されるNHS-PEH-NHSなどの橋架剤の量は、いくつかの実施形態では、物質の0.1mMよりも多く、いくつかの実施形態では、物質の1.0の~50.0mMである。
【0043】
図6は、本明細書に記載される実施形態による、橋架剤およびポリミキシンE(つまり、コリスチン)でのポリカーボネート面の機能化の化学を示す。
図7は、本明細書に記載される実施形態による、橋架剤およびバンコマイシンでのポリカーボネート面の機能化の化学を示す。いくつかの実施形態において、基材に固定された橋架剤は、固定される量が約1mM~約50mMである、ポリエチレングリコールあるいは誘導物質である。いくつかの実施形態において、基材に固定された橋架剤は、固定される量が少なくとも約1mMである、ポリエチレングリコールあるいは誘導物質である。いくつかの実施形態において、基材に固定された橋架剤は、固定される量が最大で約50mMである、ポリエチレングリコールあるいは誘導物質である。いくつかの実施形態では、基材に固定された橋架剤は、固定される量が約1mM~約5mM、約1mM~約10mM、約1mM~約20mM、約1mM~約30mM、約1mM~約40mM、約1mM~約50mM、約5mM~約10mM、約5mM~約20mM、約5mM~約30mM、約5mM~約40mM、約5mM~約50mM、約10mM~約20mM、約10mM~約30mM、約10mM~約40mM、約10mM~約50mM、約20mM~約30mM、約20mM~約40mM、約20mM~約50mM、約30mM~約40mM、約30mM~約50mM、あるいは約40mM~約50mMである、ポリエチレングリコールあるいは誘導物質である。用語「約」は、橋架剤の量に関して使用される場合、1mM、5mM、10mM、20mM、30mM、40mM、あるいは50mMを意味する。基材に固定されるヘキサメチレンジアミンなどの橋架剤の量は、いくつかの実施形態では、0.1%を超えるヘキサメチレンジアミン水溶液であり、いくつかの実施形態では、1%~20%の水性のヘキサメチレンジアミン水溶液である。いくつかの実施形態において、基材に固定されるヘキサメチレンジアミン橋架剤は、約1%(v/v)の水溶液~約20%(v/v)の水溶液である。いくつかの実施形態において、基材に固定されるヘキサメチレンジアミン橋架剤は、少なくとも約1%(v/v)の水溶液である。いくつかの実施形態において、基材に固定されるヘキサメチレンジアミン橋架剤は、最大で約20%(v/v)の水溶液である。いくつかの実施形態において、基材に固定されるヘキサメチレンジアミン橋架剤は、約1%(v/v)の水溶液~約2%(v/v)の水溶液、約1%(v/v)の水溶液~約3%(v/v)の水溶液、約1%(v/v)の水溶液~約4%(v/v)の水溶液、約1%(v/v)の水溶液~約5%(v/v)の水溶液、約1%(v/v)の水溶液~約10%(v/v)の水溶液、約1%(v/v)の水溶液~約15%(v/v)の水溶液、約1%(v/v)の水溶液~約20%(v/v)の水溶液、約2%(v/v)の水溶液~約3%(v/v)の水溶液、約2%(v/v)の水溶液~約4%(v/v)の水溶液、約2%(v/v)の水溶液~約5%(v/v)の水溶液、約10%(v/v)の水溶液、約15%(v/v)の水溶液への約2%(v/v)の水溶液、約20%(v/v)の水溶液(約4%(v/v)の水溶液への約3%(v/v)の水溶液)への約2%(v/v)の水溶液への約2%(v/v)の水溶液、約3%(v/v)の水溶液~約5%(v/v)の水溶液、約3%(v/v)の水溶液~約10%(v/v)の水溶液、約3%(v/v)の水溶液~約15%(v/v)の水溶液、約3%(v/v)の水溶液~約20%(v/v)の水溶液、約4%(v/v)の水溶液~約5%(v/v)の水溶液、約4%(v/v)の水溶液~約10%(v/v)の水溶液、約4%(v/v)の水溶液~約15%(v/v)の水溶液、約4%(v/v)の水溶液~約20%(v/v)の水溶液、約5%(v/v)の水溶液~約10%(v/v)の水溶液、約5%(v/v)の水溶液約15%(v/v)の水溶液、約5%(v/v)の水溶液~約20%(v/v)の水溶液への約5%(v/v)の水溶液、約10%(v/v)の水溶液~約15%(v/v)の水溶液、約10%(v/v)の水溶液~約20%(v/v)の水溶液、あるいは約15%(v/v)の水溶液~約20%(v/v)の水溶液である。用語「約」は、ヘキサメチレンジアミン橋架剤水溶液の量に関して使用される場合、1%(v/v)の水溶液、2%(v/v)の水溶液、3%(v/v)の水溶液、4%(v/v)の水溶液、5%(v/v)の水溶液、10%(v/v)の水溶液、15%(v/v)の水溶液、あるいは20%(v/v)の水溶液を意味する。
【0044】
本明細書に記載されるような多方向の流体流路の実施形態は、限定されないが、
図8A、8B、9A、9B、9C、17、18、21A、21B、21C、21D、22A、22B、23A、23B、24A、24B、25A、25B、25C、26A、26B、27A、27B、および28に示されるものを含む、様々な幾可学的形状を含む。いくつかの実施形態では、多方向の流路は、0.001平方メートル(m
2)~100m
2の内部流路表面積を有する。いくつかの実施形態では、多方向の流路は、0.001m
2~10m
2の表面積、ならびに、ポリミキシンおよびバンコマイシンを固定することができる露出した官能基を有する。大きすぎる(例えば、実施形態に応じて、最大100m
2あるいは10m
2を超える)表面積は、デバイスを通過した流体(例えば、血液)の圧力降下をあまりに増大させ、ならびに、小さすぎる(0.001m
2未満)表面積は、少なくとも細菌および/または病原体の除去において、デバイスの解毒する能力を不十分にする。圧力降下は、いくつかの実施形態では、10ポンド/平方インチ(psi)[69キロパスカル(kPa)]未満であり、いくつかの実施形態では、3psi[21 kPa]未満である。
【0045】
内部流路表面積は、物質によってコーティングされた表面全体の面積を含み得る。いくつかの実施形態では、多方向の流路は、0.001m2~80m2、0.001m2~70m2、0.001m2~60m2、0.001m2~50m2、0.001m2~40m2、0.001m2~30m2、0.001m2~25m2、0.001m2~20m2、0.001m2~19m2、0.001m2~18m2、0.001m2~17m2、0.001m2~16m2、0.001m2~15m2、0.001m2~14m2、0.001m2~13m2、0.001m2~12m2、0.001m2~11m2、0.01m2~20m2、0.01m2~19m2、0.01m2~18m2、0.01m2~17m2、0.01m2~16m2、0.01m2~15m2、0.01m2~14m2、0.01m2~13m2、0.01m2~12m2、0.01m2~11m2、0.01m2~10m2、0.01m2~100m2、0.01m2~80m2、0.01m2~70m2、0.01m2~60m2、0.01m2~50m2、0.01m2~40m2、0.01m2~30m2、0.01m2~25m2、0.1m2~20m2、0.1m2~19m2、0.1m2~18m2、0.1m2~17m2、0.1m2~16m2、0.1m2~15m2、0.1m2~14m2、0.1m2~13m2、0.1m2~12m2、0.1m2~11m2、0.1m2~10m2、0.1m2~100m2、0.1m2~80m2、0.1m2~70m2、0.1m2~60m2、0.1m2~50m2、0.1m2~40m2、0.1m2~30m2、0.1m2~25m2、1m2~20m2、1m2~19m2、1m2~18m2、1m2~17m2、1m2~16m2、1m2~15m2、1m2~14m2、1m2~13m2、1m2~12m2、1m2~11m2、1m2~10m2、1m2~100m2、1m2~80m2、1m2~70m2、1m2~60m2、1m2~50m2、1m2~40m2、1m2~30m2、1m2~25m2、約0.001m2~約100m2、あるいは約0.001m2~約10m2の内部流路表面積を有する。
【0046】
曲率半径は、流路の外面上の点で流路のコーティングされた面の曲線に最も接近する円弧の半径(ディーンの壁誘導揚力の方向の)であり得る。螺旋形状の多方向の流路は、いくつかの実施形態では、0.1mm~1,000mmの曲率半径を有し、ある実施形態では、10mm~500mmの曲率半径を有し、ある実施形態では、5mm~100mmの曲率半径を有している。デバイスのいくつかの実施形態では、渦巻形状の流路は、約0.1mm~約1,000mmの最も外側の曲率半径を有する。デバイスのいくつかの実施形態では、渦巻形状の流路は、少なくとも約0.1mmの最も外側の曲率半径を有する。デバイスのいくつかの実施形態では、渦巻形状の流路は、最大約1,000mmの最も外側の曲率半径(ディーンの壁誘導揚力の方向の)を有する。デバイスのいくつかの実施形態において、渦巻形状の流路は、約0.1mm~約10mm、0.1mm~約50mm、約0.1mm~約100mm、約0.1mm~約500mm、約0.1mm~約1,000mm、1mm~約10mm、約1mm~約50mm、約1mm~約100mm、約1mm~約500mm、約1mm~約1,000mm、約10mm~約50mm、約10mm~約100mm、約10mm~約500mm、約10mm~約1,000mm、約50mm~約100mm、約50mm~約500mm、約50mm~約1,000mm、約100mm~約500mm、約100mm~約1,000mm、あるいは約500mm~約1,000mmの最も外側の曲率半径を有する。渦巻形状の流路は、約5mm~100mmの最も外側の曲率半径を有する。デバイスのいくつかの実施形態では、渦巻形状の流路は、少なくとも約5mmの最も外側の曲率半径を有する。渦巻形状の多方向の流路は、いくつかの実施形態では、0.1mm~1,000mmの最も外側の曲率半径を有し、いくつかの実施形態では、渦巻形状の多方向の流路は、1mm~500mmの最も外側の曲率半径を有し、および、いくつかの実施形態では、渦巻形状の多方向の流路は、5mm~100mmの最も外側の曲率半径を有する。デバイスのいくつかの実施形態において、渦巻形状の流路は、最大約100mmの最も外側の曲率半径を有する。デバイスのいくつかの実施形態において、渦巻形状の流路は、約5mm~約10mm、約5mm~約25mm、約5mm~約50mm、約5mm~約75mm、約5mm~約100mm、約10mm~約25mm、約10mm~約50mm、約10mm~約75mm、約10mm~約100mm、約25mm~約50mm、約25mm~約75mm、約25mm~約100mm、約50mm~約75mm、約50mm~約100mm、あるいは約75mm~約100mmの最も外側の曲率半径を有する。
【0047】
渦巻形状の多方向の流路は、いくつかの実施形態では、0.01mm~1,000mmの流路間の距離(流路内腔の中心から流路内腔の中心まで定義される)を有し、いくつかの実施形態では、渦巻形状の多方向の流路は、0.1mm~100mmの流路間の距離を有し、および、いくつかの実施形態では、渦巻形状の多方向の流路は、1mm~10mmの流路間の距離を有する。デバイスのいくつかの実施形態において、渦巻形状の多方向の流路は、約0.01mm~約1,000mmの渦巻形状の流路間の中心間距離を有する。デバイスのいくつかの実施形態において、渦巻形状の多方向の流路は、渦巻形状の流路間の中心間距離が少なくとも約0.01mmである。デバイスのいくつかの実施形態において、渦巻形状の多方向の流路は、渦巻形状の流路間の中心間距離が最大約1,000mmである。デバイスのいくつかの実施形態において、渦巻形状の多方向の流路は、約0.01mm~約0.05mm、約0.01mm~約0.1mm、約0.01mm~約0.5mm、約0.01mm~約1mm、約0.01mm~約10mm、約0.01mm~約50mm、約0.01mm~約100mm、約0.01mm~約500mm、約0.01mm~約1,000mm、約0.05mm~約0.1mm、約0.05mm~約0.5mm、約0.05mm~約1mm、約0.05mm~約10mm、約0.05mm~約50mm、約0.05mm~約100mm、約0.05mm~約500mm、約0.05mm~約1,000mm、約0.1mm~約0.5mm、約0.1mm~約1mm、約0.1mm~約10mm、約0.1mm~約50mm、約0.1mm~約100mm、約0.1mm~約500mm、約0.1mm~約1,000mm、約0.5mm~約1mm、約0.5mm~約10mm、約0.5mm~約50mm、約0.5mm~約100mm、約0.5mm~約500mm、約0.5mm~約1,000mm、約1mm~約10mm、約1mm~約50mm、約1mm~約100mm、約1mm~約500mm、約1mm~約1,000mm、約10mm~約50mm、約10mm~約100mm、約10mm~約500mm、約10mm~約1,000mm、約50mm~約100mm、約50mm~約500mm、約50mm~約1,000mm、約100mm~約500mm、約100mm~約1,000mm、あるいは約500mm~約1,000mmの渦巻形状の流路間の中心間距離を有する。用語「約」は、渦巻形状の流路間の距離に関して使用される場合、0.01mm、0.05mm、0.1mm、0.5mm、1mm、10mm、50mm、100mm、あるいは500mmを意味する。デバイスのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、渦巻形状であり、円筒状のチャンバの周りで製造される。
【0048】
螺旋状の流路のピッチは、螺旋状のデバイスの円筒軸(例えば、非放射状対称軸)における流路内腔の中心から流路内腔の中心まで定義され得る。デバイスは円筒状の螺旋あるいは円錐形の螺旋であってもよい。螺旋状の流路のピッチは、いくつかの実施形態では、0.1mm~1,000mmであり、いくつかの実施形態では、1mm~500mmのピッチを有し、および、いくつかの実施形態では、1mm~100mmのピッチを有する。いくつかの実施形態では、螺旋形状の多方向の流路は、約1mm~約1,000mmのピッチを有し、ピッチは、螺旋の軸に平行に測定された1つの完全な螺旋巻きの高さとして測定される。デバイスのいくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、少なくとも約0.1mmのピッチを有する。デバイスのいくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、最大約1,000mmのピッチを有する。デバイスのいくつかの実施形態において、螺旋形状の流路は、約0.1mm~約5mm、約0.1mm~約10mm、約0.1mm~約50mm、約0.1mm~約100mm、約0.1mm~約500mm、約0.1mm~約1,000mm、1mm~約5mm、約1mm~約10mm、約1mm~約50mm、約1mm~約100mm、約1mm~約500mm、約1mm~約1,000mm、約5mm~約10mm、約5mm~約50mm、約5mm~約100mm、約5mm~約500mm、約5mm~約1,000mm、約10mm~約50mm、約10mm~約100mm、約10mm~約500mm、約10mm~約1,000mm、約50mm~約100mm、約50mm~約500mm、約50mm~約1,000mm、約100mm~約500mm、約100mm~約1,000mm、あるいは約500mm~約1,000mmのピッチを有する。用語「約」は、ピッチに関して使用される場合、0.1mm、1mm、5mm、10mm、50mm、100mm、500mm、あるいは1,000mmを意味する。デバイスのいくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、約1.0~約100.0mmのピッチを有する。
【0049】
いくつかの実施形態において、流路の内腔の断面は多角形(例えば、正方形、長方形、六角形など)であり得るか、あるいは楕円体であり得る。流路幅は、その最も広い点の流路内腔の内面から表面の距離であり得る。螺旋形状および渦巻形状の多方向の流路は、いくつかの実施形態では、0.01mm~1,000mmの流路幅を有し、いくつかの実施形態では、螺旋形状および渦巻形状の多方向の流路は、0.1mm~100mmの流路幅を有し、いくつかの実施形態では、螺旋形状および渦巻形状の多方向の流路は、1mm~10mmの流路幅を有する。流路の高さは、その最も広い点での最も広いポイントに垂直な内腔内の最も広い中心間距離であり得る。螺旋形状および渦巻形状の多方向の流路は、いくつかの実施形態では、0.001mm~100mmの流路高さを有し、いくつかの実施形態では、螺旋形状および渦巻形状の多方向の流路は、0.01mm~20mmの流路高さを有し、および、いくつかの実施形態では、螺旋形状および渦巻形状の多方向の流路は、いくつかの実施形態では、0.1mm~10,000mmの流路の長さを有する。螺旋形状および渦巻形状の多方向の流路は、いくつかの実施形態では、0.1mm~10,000mmの流路の長さを有し、いくつかの実施形態では、螺旋形状および渦巻形状の多方向の流路は、1mm~5,000mmの流路の長さを有し、および、いくつかの実施形態では、螺旋形状および渦巻形状の多方向の流路は、いくつかの実施形態では、1mm~3,000mmの流路の長さを有する。
【0050】
いくつかの実施形態において、流路の内腔の断面は多角形(例えば、正方形、長方形、六角形など)であり得るか、あるいは楕円体であり得る。流路幅は、その最も広い点の流路内腔の内面から表面の距離であり得る。デバイスのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、約0.01mm~約1,000mmの幅を有する。デバイスのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、少なくとも約0.01mmの幅を有する。デバイスのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、最大で約1,000mmの幅を有する。デバイスのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、約0.01mm~約0.05mm、約0.01mm~約0.1mm、約0.01mm~約0.5mm、約0.01mm~約1mm、約0.01mm~約10mm、約0.01mm~約50mm、約0.01mm~約100mm、約0.01mm~約500mm、約0.01mm~約1,000mm、約0.05mm~約0.1mm、約0.05mm~約0.5mm、約0.05mm~約1mm、約0.05mm~約10mm、約0.05mm~約50mm、約0.05mm~約1000mm、約0.05mm~約500mm、約0.05mm~約100mm、約0.1mm~約0.5mm、約0.1mm~約1mm、約0.1mm~約10mm、約0.1mm~約50mm、約0.1mm~約100mm、約0.1mm~約500mm、約0.1mm~約1,000mm、約0.5mm~約1mm、約0.5mm~約10mm、約0.5mm~約50mm、約0.5mm~約100mm、約0.5mm~約500mm、約0.5 mm~約1,000mm、約1mm~約10mm、約1mm~約50mm、約1mm~約100mm、約1mm~約500mm、約1mm~約1,000mm、約10mm~約50mm、約10mm~約100mm、約10mm~約500mm、約10mm~約1,000mm、約50mm~約100mm、約50mm~約500mm、約50mm~約1,000mm、約100mm~約500mm、約100mm~約1,000mm、あるいは約500mm~約1,000mmの幅を有する。用語「約」は、多方向の流路の幅に関して使用される場合、0.01mm、0.05mm、0.1mm、0.5mm、1mm、10mm、50mm、100mm、あるいは500mmを意味する。
【0051】
流路の高さは、その最も広い点で垂直な内腔内の最も広い中心間距離であり得る。デバイスのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、約0.001mm~約100mmの高さを有する。デバイスのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、少なくとも約0.001mmの高さを有する。デバイスのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、最大で約100mmの高さを有する。デバイスのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、約0.001mm~約0.005mm、約0.001mm~約0.01mm、約0.001mm~約0.05mm、約0.001mm~約0.1mm、約0.001mm~約0.5mm、約0.001mm~約1mm、約0.001mm~約10mm、約0.001mm~約50mm、約0.001mm~約100mm、約0.005mm~約0.01mm、約0.005mm~約0.05mm、約0.005mm~約0.1mm、約0.005mm~約0.5mm、約0.005mm~約1mm、約0.005mm~約10mm、約0.005mm~約50mm、約0.005mm~約100mm、約0.01mm~約0.05mm、約0.01mm~約0.1mm、約0.01mm~約0.5mm、約0.01mm~約1mm、約0.01mm~約10mm、約0.01mm~約50mm、約0.01mm~約100mm、約0.05mm~約0.1mm、約0.05mm~約0.5mm、約0.05mm~約1mm、約0.05mm~約10mm、約0.05mm~約50mm、約0.05mm~約100mm、約0.1mm~約0.5mm、約0.1mm~約1mm、約0.1mm~約10mm、約0.1mm~約50mm、約0.1mm~約100mm、約0.5mm~約1mm、約0.5mm~約10mm、約0.5mm~約50mm、約0.5mm~約100mm、約1mm~約10mm、約1mm~約50mm、約1mm~約100mm、約10mm~約50mm、約10mm~約100mm、あるいは、約50mm~約100mmの高さを有する。用語「約」は、多方向の流路の高さに関して使用される場合、0.001mm、0.005mm、0.01mm、0.05mm、0.1mm、0.5mm、1mm、10mm、あるいは50mmを意味する。
【0052】
流路の長さは、コーティングにさらされている間に流体が移動した総距離であり得る。デバイスのいくつかの実施形態では、多方向の流路は、約0.1mm~約10,000mmの高さを有する。デバイスのいくつかの実施形態では、多方向の流路は、少なくとも約0.1mmの高さを有する。デバイスのいくつかの実施形態では、多方向の流路は、最大で約10,000mmの長さを有する。デバイスのいくつかの実施形態では、多方向の流路は、約0.1mm~約0.5mm、約0.1mm~約1mm、約0.1mm~約10mm、約0.1mm~約50mm、約0.1mm~約100mm、約0.1mm~約500mm、約0.1mm~約1,000mm、約0.1mm~約5,000mm、約0.1mm~約10,000mm、約0.5mm~約1mm、約0.5mm~約10mm、約0.5mm~約50mm、約0.5mm~約100mm、約0.5mm~約500mm、約0.5mm~約1,000mm、約0.5mm~約5,000mm、約0.5mm~約10,000mm、約1mm~約10mm、約1mm~約50mm、約1mm~約100mm、約1mm~約500mm、約1mm~約1,000mm、約1mm~約5,000mm、約1mm~約10,000mm、約10mm~約50mm、約10mm~約100mm、約10mm~約500mm、約10mm~約1,000mm、約10mm~約5,000mm、約10mm~約10,000mm、約50mm~約100mm、約50mm~約500mm、約50mm~約1,000mm、約50mm~約5,000mm、約50mm~約10,000mm、約100mm~約500mm、約100mm~約1,000mm、約100mm~約5,000mm、約100mm~約10,000mm、約500mm~約1,000mm、約500mm~約5,000mm、約500mm~約10,000mm、約1,000mm~約5,000mm、約1,000mm~約10,000mm、約5,000mm~約10,000mmの長さを有する。用語「約」は、多方向の流路の長さに関して使用される場合、0.1mm、0.5mm、1mm、10mm、50mm、100mm、500mm、1,000mm、あるいは5,000mmを意味する。デバイスのいくつかの実施形態では、多方向の流路は、約1.0~約3,000.0mmの長さを有する。
【0053】
デバイスのいくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、約1mL/分毎分~約1,000mL/の流量で動作する。デバイスのいくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、少なくとも約1mL/分の流量で作動する。デバイスのいくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、最大約1,000mL/分の流量で作動する。デバイスのいくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、約1mL/分~約5mL/分、約1mL/分~約10mL/分、約1mL/分~約50mL/分、約1mL/分~約100mL/分、約1mL/分~約500mL/分、約1mL/分~約1,000mL/分、約5mL/分~約10mL/分、約5mL/分~約50mL/分、約5mL/分~約100mL/分、約5mL/分~約500mL/分、約5mL/分~約1,000mL/分、約10mL/分~約50mL/分、約10mL/分~約100mL/分、約10mL/分~約500mL/分、約10mL/分~約1,000mL/分、約50mL/分~約100mL/分、約50mL/分~約500mL/分、約50mL/分~約1,000mL/分、約100mL/分~約500mL/分、約100mL/分~約1,000mL/分、あるいは約500mL/分~約1,000mL/分の流量で作動する。用語「約」は、流量に関して使用される場合、1mL/分、5mL/分、10mL/分、50mL/分、100mL/分、200mL/分、500mL/分、あるいは1000mL/分を意味する。デバイスのいくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、約50~約400mL/分の流量で作動する。
【0054】
いくつかの実施形態において、デバイスを通過した流体中の病原菌の開始濃度と比較した1分での病原菌のパーセント減少として定義されるような、代替的に、本明細書において捕捉効率と呼ばれる、本明細書におけるデバイス、システム、および方法の解毒する能力は、実施形態に応じて、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、あるいは少なくとも99%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%である。
【0055】
図8Aおよび
図8Bは、渦巻形状流路を備える多方向の流体流路の非限定的な実施形態を示す。多方向の流路(801)は渦巻形状であり得る。いくつかの実施形態において、渦巻形状の多方向の流路(800)は、細菌/エンドトキシンの除去のための1つの入口(803)および1つの出口(804)を備える二重渦巻流路を形成するために、S接合部(802)で接合される2つの3~10ループの渦巻流路(801)を有する。いくつかの実施形態において、渦巻形状の多方向の流路は、細菌/エンドトキシンの除去のための1つの入口および1つの出口を備える二重渦巻流路を形成するために、S接合部で接合される2つの3~6ループの渦巻流路を有する(
図8Aおよび
図8B)。いくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、細菌/エンドトキシンの除去のための1つの入口および1つの出口を備える3未満のループを含む。いくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、細菌/エンドトキシンの除去のための1つの入口および1つの出口を備える20よりも多いループを含む。理想的には、螺旋形状の多方向の流路は、時間と表面積の両方で最大の露出を提供して、疾患を引き起こす材料を捕捉し、吸着し、および/または体液から除去することを可能にするように構成される。あるいは、デバイスが患者とのインライン手順で使用される場合に、過度の圧力降下が生じないことを確実にするために、ループの最終的な長さおよび/または数をモニタリングしなければならない。
【0056】
多方向の流路は、本明細書に記載されるような血液で運ばれる材料の捕捉および吸着のためのデバイスの一部であり得る。多方向の流路は、少なくとも1つの入口(803)および少なくとも1つの出口(804)を備え得る。多方向の流路は、S接合部(802)で接合された二重渦巻流路(800)であり得る。
図8Aは、ミリング技術を使用して製造され、2つのポリカーボネート片を一緒にボルトで固定することによって密封された、渦巻形状の多方向の流路(流路の長さ=1,816mm、幅=5.08mm、高さ=1.75mm)の非限定的な実施形態を示す。
図8Bは、ミリング技術を使用して製造され、2つのポリカーボネート片を一緒にボルトで固定することによって密封された、渦巻形状の多方向の流路(流路の長さ=2,009mm、幅=2mm、高さ=0.25mm)の他の非限定的な実施形態を示す。
【0057】
図9Aは、円筒状のチャンバあるいはマンドレルのまわりで製造される、螺旋形状の多方向の流路の非限定的な例を示す。
図9Bは、円筒状のチャンバあるいはマンドレルのまわりで製造されない、螺旋形状の多方向の流路の非限定的な例を示す。
図9Cは、円筒状のチャンバあるいはマンドレルのまわりで製造されない、よりコンパクトな螺旋形状の多方向の流路を示す。螺旋形状の多方向の流路デバイス(900)は、円筒状のチャンバあるいはマンドレルの周囲または内部で製造されるか、押し出される(
図9A、9B、9C、22A、22B、23B、24A、24B、25A、25B、および25C)。垂直に設計されたデバイスは、一定の曲率半径、コンパクトなサイズ、および形状を提供する。単一の組み立てられた螺旋形状の多方向の流路(901)は、いくつかの実施形態では、細菌/エンドトキシンの除去のための1つの入口(902)および1つの出口(903)を備えるマンドレルのまわりに製造された3~40のループを有する。いくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の流路は、細菌/エンドトキシンの除去のための1つの入口および1つの出口を備えるマンドレルのまわりに製造された3~20のループから構成される。いくつかの実施形態において、単一の組み立てられた螺旋形状の流路は、ハウジング内の接続管を使用して、他の単一の組み立てられた螺旋形状の流路と直列に接続される(
図22B)。これにより、単一のデバイス内で流体からグラム陰性、グラム陽性、およびエンドトキシンを捕捉ならびに除去することが可能になる。
【0058】
図17は、外側スリーブを使用して密封あるいは封入される円筒状のチャンバまたはマンドレルのまわりで製造された、螺旋形状の多方向の流路の非限定的な例を示す。上記の方法の1つによって、円筒状のチャンバあるいはマンドレル(1701)のまわりに製造される螺旋形状の多方向の流路(1702)を備える螺旋形状の多方向の流路デバイス(1700)は、外側スリーブ(1710)を使用して、密封あるいは封入される。
図18は、
図17の流路を嵌合する流路の入口および/または出口を示す。密封スリーブ(1810)内に螺旋形状の多方向の流路を封入することに続いて、流路(1802)に、
図18に示されるような適切な入口継手(つまり:(1801))および出口継手(図示せず)が取り付けられる。
【0059】
図21Aは、機械加工法あるいは射出成形を使用して製造された螺旋形状の流路であるフィルタープレートを含む、デバイスの非制限的な実施形態を示し、各フィルタープレート流路は98mmの長さである。いくつかの実施形態において、
図21Aに示されるように、螺旋形状のフィルタープレート流路(2102)は、上記のように、機械加工法あるいは射出成形を使用して製造され、各フィルタープレート流路は、その曲線の最外端で98mmの長さである。この概念を拡張すると、複数のフィルタープレート(2100)および(2102)は組み立て可能であり、積み重ねて、溶剤接着および接着剤を使用して共に密封して、
図21Bに示されるような、1,960mmの流路の全長をもたらすことで、請求項に記載されるデバイスの別の変形を作り、そのデバイスは、それぞれ螺旋形状のフィルタープレート流路(2102)に取り付けられる入口アダプター(2101)および出口アダプター(2103)をさらに備える。
図21Cは、積み重ねられた螺旋状プレート(2100)および(2102)を備える実施形態の断面図を示す。
図21Dは、積み重ねられた螺旋状のフィルタープレートを含む実施形態の各フィルタープレート流路(2102)の一方側にある密封された接合部(2109)を示す。各プレートは、半透明のポリカーボネートで作られていてもよい。
【0060】
本明細書に記載される積み重ねられたプレート構造について拡張すると、
図22Aは、密封フィルターハウジングアセンブリ(2200)における積み重ねられた螺旋状のフィルタープレートの実施形態を示し、それは、螺旋形状のフィルタープレート流路(2202)へと続くか、あるいはそれから遠ざかる入口ラインと出口ラインがそれぞれ取り付けられた、入口アダプター(2201)および出口アダプター(2203)を組み込む。アセンブリは、マンドレル(2220)のまわりのシリンダー(2210)に収容され、サブアセンブリ全体がシリンダー内でキャップされる(2207a)、(2207b)。
図22Aは、本明細書に記載される積み重ねられたプレート構造の非限定的な実施形態を示す(流路の長さ=1,960mm、組み立てられたデバイスの直径=4.44cm、積み重ねられた渦巻=20、1プレートあたりの流路の長さ=98mm)。
図22Aに示される実施形態では、互いに積み重ねられ、ともに接着されている20枚の
図21Aのプレートを含み得る。いくつかの実施形態において、螺旋形状の多方向の積み重ね可能なプレート構造は、ボルト、接着剤、結合剤、熱膨張、樹脂、エポキシ、内側スリーブ、外側スリーブ、ベースプレート、マンドレル、カバーガラス、硬化、押出し溶接、接触溶接、高周波溶接、摩擦圧接、レーザー溶接、超音波溶接、溶剤接着、あるいは鋳造を使用して組み立てられる。いくつかの実施形態において、積み重ね可能なプレート構造は、1~25枚のプレートである。いくつかの実施形態において、積み重ね可能なプレート構造は、2~23枚のプレートである。いくつかの実施形態において、積み重ね可能なプレート構造は、3~20枚のプレートである。
図28は、
図22Aに示される実施形態の組み立てられたデバイスの写真を示す。
【0061】
さらに、
図22Bは、積み重ねられた螺旋状のフィルタープレートの2つのセット(2202a)、(2202b)を直列に含む実施形態を示し、密封されたハウジング(2210)において、スペーサ管(2220)により間隔をあけられ、および接続管(2230)によって接続される、積み重ねられた螺旋状のフィルタープレート(2202a)、(2202b)を備える。積み重ねられた螺旋状のフィルターのセットは(2202a)、(2202b)は、
図21Bの積み重ねられたプレート構造の変形形態または実施形態であってもよい。積み重ねられた螺旋状のフィルタープレート(2202a)の第1のセットは、ポリミキシンEなどの1つのポリペプチドで機能化することができ、螺旋状のプレートの第2のセット(2202b)は、バンコマイシンなどの他のポリペプチドで機能化することができる。これにより、単一のデバイス内で流動流体からグラム陰性菌、グラム陽性菌、およびエンドトキシンを捕捉ならびに除去することが可能になる。
図22Bの実施形態は、本明細書に記載される濾過システムに組み込まれてもよい。
【0062】
図23Aは、螺旋形状の多方向の流路(2302)を形成するために押し出された、ポリカーボネート管を備える実施形態のデバイスを示す。一方、
図23Bは、マンドレル(2320)のまわりで製造される、螺旋形状の多方向の流路(2302)を形成するために押し出されたポリカーボネート管を備える、実施形態のデバイスを示す。いくつかの実施形態において、多方向の流路は、押し出されたポリカーボネート管である。いくつかの実施形態において、多方向の流路は封入される。いくつかの実施形態において、多方向の積み重ね可能なプレート構造はシリンダー内に封入される。いくつかの実施形態において、多方向の流路は、マンドレルのまわりで押し出される。
図23Aおよび
図23Bの実施形態は、本明細書に記載される他の多方向の流体流路の同様の寸法、例えば、流路の長さ、ピッチ、直径などを有する多方向の流体流路を備え得る。
【0063】
図24Aは、マンドレル(2420)に取り付けられた射出成形ポリカーボネートシート(2405)を形成する工程を含む製造法から作られた実施形態デバイスを示し、螺旋形状の流路(2402)がシート設計に組み込まれる。その後、形成されたシートは、最初にポリカーボネート・フラット・シートを加熱することによって、マンドレルのまわりに螺旋形状へと巻かれ、次に、マンドレルのまわりにしっかりと巻き付けられて、螺旋形状を作る。いくつかの実施形態において、これらの巻かれたシートの2つ(2402a)、(2402b)が、
図24Bに示されるように、接続管(図示せず)を使用して、直列に接続され、入り口アダプター(2401)および出口アダプター(2403)を備えるエンドキャップ(2407a)、(2407b)を含むシリンダー(2410)内に置かれて、別のアセンブリ実施形態(2400)を形成することができる。いくつかの実施形態において、シートは、マンドレルのまわりに1~100回巻かれる。いくつかの実施形態において、シートは、マンドレルのまわりに1~20回巻かれる。いくつかの実施形態において、シートは、マンドレルのまわりに1~5回巻かれる。
図24Aおよび
図24Bの実施形態は、本明細書に記載される他の多方向の流体流路の同様の寸法、例えば、流路の長さ、流路の幅などを有する多方向の流体流路を備え得る。
【0064】
さらに別の実施形態(2500)では、螺旋形状流路の設計をハウジングへと組み込む射出成形したポリカーボネート部品(2502
x1)、(2502
x2)は、さらに別の製造方法を用いて製造され、その後、中実の内部マンドレル(2520)のまわりで組み立てられ、
図25A~25Cに示されるように、超音波溶接および/または溶剤接着(2511)を用いて密封され得る。
図25Aは、中実の内部マンドレルを使用しながら、螺旋形状の流路設計をハウジングへと組み込む、射出成形ポリカーボネート部品から作られた実施形態デバイスを示す。
図25Bは、
図25Aのマンドレルのまわりに巻かれた螺旋状のハウジングの断面図を示す。
図25Cは、超音波溶接および/または溶剤接着を使用して、マンドレルのまわりに組み立てられた、
図25Aの実施形態の螺旋状のハウジングを示す。
図25A、
図25B、および
図25Cは、本明細書に記載される他の多方向の流体流路の同様の寸法、例えば、流路の長さ、ピッチ、直径などを有する多方向の流体流路を備え得る。
【0065】
いくつかの実施形態において、デバイスは、外管、キャスト・ポリカーボネート・スリーブ、あるいは押し出されたポリカーボネート・スリーブ、および、螺旋状の流路設計を芯の外部へと組み込む、射出成形したポリカーボネートを含む少なくとも2つのコア(2602a)(「A」)および(2602b)(「B」)を備える。少なくとも2つのコアAおよびBの面は、いくつかの実施形態では、
図26A-
図26Bに示されるように、エラストマーでコーティングされる。コーティング工程に続いて、少なくとも2つのコア(2602a)および(2602b)(示される通り半分)は、アセンブリ(2640)へと形成され、外管またはスリーブ(2710)へと押し込まれ、ならびに、エラストマーを使用して密封される。その後、入口および出口の接続部を有するエンドキャップは、管またはスリーブの末端に取り付けられる。
図26Aおよび
図26Bは、本明細書に記載される他の多方向の流体流路の同様の寸法、例えば、流路の長さ、ピッチ、直径などを有する多方向の流体流路を備え得る。
【0066】
図22bおよび24Bに記載される先の概念を拡張すると、
図27Aは、2つの積み重ねられ、組み立てられた、射出成形ポリカーボネート部品(例えば:(2640a)、(2640b))を示し、それは、中実の外管(2710)を使用しながら、螺旋形状流路設計をコア片(2640a/2602aおよび2640b/2602b)へと組み込む。螺旋状の流路を含む射出成形ポリカーボネートの第一の部分(2640a/2602a)は、ポリミキシンEなどの1つのポリペプチドで機能化され得、螺旋状の流路を含む射出成形ポリカーボネートの第2の部分(2640b/2602b)は、バンコマイシンなどの他のポリペプチドで機能化され得る。射出成形ポリカーボネートの螺旋状の流路のこれらの2つの部分は、接続管を使用して接続され得る。これにより、単一のデバイス内で流動流体からグラム陰性菌、グラム陽性菌、およびエンドトキシンを捕捉ならびに除去することが可能になる。
図27Bは、
図27Aの組み立てられた螺旋状のコア流路デバイスの断面図を示し、それは、他のアセンブリ実施形態(2700)を形成する、入り口アダプター(2701)および出口アダプター(2703)を備えるエンドキャップ(2707a)、(2707b)を有する。
【0067】
請求項に記載されるデバイスは、任意の数の技術を利用して作ることができる。例えば、それは、3Dプリンティング、ソフトリソグラフィ、フォトリソグラフィ、射出成形、ブロー成形、鋳造、超音波溶接、高周波溶接、熱ジグ溶接または熱板溶接、溶剤接着、レーザー溶接、回転溶接、赤外線溶接、振動溶着、接着結合、押出し、および機械加工により作られてもよい。いくつかの実施形態において、機械加工法は、旋削、穴あけ、穿孔、リーミング、放電加工、および/またはミリングである。材料は、所望の寸法の筐体を作るために、例えば、流路全体の射出成形、押出し、機械加工によって、あるいは、ボルト、接着剤、エポキシ、溶接、熱膨張、あるいは別の手段を使用して密閉あるいは封入され得る、流路半分の機械加工によって、機械加工されるか、あるいは射出成形されてもよい(
図8A、8B、9A、9B、9C、17、18、21A、21B、21C、21D、22A、22B、23A、23B、24A、24B、25A、25B、25C、26A、26B、27A、27B、および28)。流路について、管は、継手、キャップ、あるいはルアーロックコネクタを使用して入口および出口に取り付けられても良い(
図18、22A、22B、24A、24B、27A、27B、および28)。機械加工は、様々なグレードのポリカーボネートを含む、様々な生体適合性材料で実施され得る。その後、デバイスは、前述の方法を使用して、ポリミキシンあるいはバンコマイシンなどの物質でコーティングされ得る。コーティングは、従来の手段を用いて少なくとも多方向の流路の内壁の一部をコーティングすることができる。
【0068】
デバイスのいくつかの実施形態において、多方向の流路は封入される。デバイスのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、ボルト、接着剤、結合剤、熱膨張、樹脂、エポキシ、内側および/または外側のスリーブ、ベースプレート、マンドレル、カバーガラス、硬化、押出し溶接、接触溶接、高周波溶接、摩擦圧接、レーザー溶接、超音波溶接、溶剤接着、あるいは鋳造を使用して封入される。デバイスのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、3Dプリンティング、ソフトリソグラフィ、フォトリソグラフィ、射出成形、ブロー成形、鋳造、超音波溶接、高周波溶接、熱ジグ溶接および熱板溶接、溶剤接着、レーザー溶接、回転溶接、赤外線溶接、振動溶着、接着結合、機械加工、旋削、穴あけ、穿孔、リーミング、放電加工、あるいはミリングからなる群から選択される少なくとも1つの方法を使用して製造される。デバイスのいくつかの実施形態において、管は、継手、キャップ、あるいはルアーロックコネクタを使用して、多方向の流路の入口および/または出口に取り付けられる。
【0069】
対象の血液で運ばれる材料の捕捉および吸着のためのシステムが本明細書で提供され、上記システムは、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備える流体カートリッジと;上記少なくとも1つの入口と上記少なくとも1つの出口との間の多方向の流体流路であって、少なくとも1つの内壁を備える、多方向の流体流路と;多方向の流体流路の少なくとも1つの内壁の少なくとも一部に固定および共有結合される、抗体、橋架剤、ペプチド、タンパク質、抗生物質、ポリマー、アミン、ポリエーテル、アミノ酸、アプタマー、腫瘍壊死因子、接着受容体、E-セレクチン、サイトカイン、化学療法薬剤、クオラムセンシングタンパク質、クオラムセンシング受容体、および生物学的製剤、コーティングからなる群から選択される物質と、を含む。システムのいくつかの実施形態において、上記流路の壁をコーティングする物質は、固定され、共有結合されたポリペプチド抗生物質を含む。システムのいくつかの実施形態において、共有結合されるポリペプチド抗生物質は、ポリミキシンである。いくつかの実施形態において、共有結合されたポリペプチド抗生物質はバンコマイシンである。システムのいくつかの実施形態において、流路の壁をコーティングする物質は:ヘキサメチレンジアミン、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール誘導体、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、およびグリシンからなる群から選択される固定された橋架剤を含む。システムのいくつかの実施形態において、多方向の流路は、少なくとも1つの表面が露出した官能基を有する少なくとも1つの熱可塑性ポリマー基材からなる。システムのいくつかの実施形態において、熱可塑性ポリマー基材は、カルボニル基、カルボキシル基、アルコール基、アミノ基、クロリド基、スチレン基、α-ハロゲン化アシル基、ベンジル基、イソシアン酸基、および他のポリマーあるいはコポリマー、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリルアミド、ポリエチレン、ポリエチレン・テレフタレート・アクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、およびメタクリル酸メチルからなる群から選択される、少なくとも1つの表面が露出した官能基を有する。システムのいくつかの実施形態において、基材はポリカーボネートである。システムのいくつかの実施形態において、流体デバイスは使い捨てである。システムは、本明細書に記載される多方向の流体流路の任意の実施形態を含んでもよい。システムは、
図8A、8B、9A、9B、9C、17、18、21A、21B、21C、21D、22A、22B、23A、23B、24A、24B、25A、25B、25C、26A、26B、27A、27B、および28の1つ以上の多方向の流体流路を含み得る。
【0070】
いくつかの実施形態において、請求項に記載されるデバイスは、
図19に示されるように、細菌および/またはエンドトキシンに感染した全血(1906)を、患者から二重渦巻流体デバイス(1900)の入口(1901)へとポンプで送る(1930)ことができるように、インライン濾過および捕捉のために構成可能である。デバイスは、細菌およびエンドトキシンを捕捉するように設計されるポリペプチド抗生物質を有する流路の壁(1902)に沿って機能化される。流体デバイスによる処理の後に、健康な材料のみを含む血液が、出口(1903)を経由して患者へと戻される。
【0071】
同様に、
図20に示されるように、細菌および/またはエンドトキシンに感染した全血を、患者から螺旋状の流体デバイスの入口(2001)へと直列にポンプで送る(2010)ことができるように、インライン濾過および捕捉のために構成可能な実施形態である(2000)。実施形態のデバイスは、細菌およびエンドトキシン(2006)を捕捉するように設計されるポリペプチド抗生物質を有する流路の壁(2002)に沿って機能化される。流体デバイスによる処理の後に、健康な材料のみを含む血液は、出口(2003)を経由して患者へと戻される。
【0072】
いくつかの実施形態において、細菌およびエンドトキシンは、体外循環によって血液から除去され、ここで、患者の体に戻す前に、患者の体から除去された血液あるいは血液から分離された血漿成分は、本明細書に記載されるような多方向の細菌およびエンドトキシンの吸着デバイスを通過し、細菌およびエンドトキシンが除去された、きれいになった血液または血漿成分が、患者の体に戻される(
図19)。
【0073】
さらに、本明細書に記載または企図されるデバイスのいずれかは、直列あるいは並列で使用され得ることを理解されたい(
図20)。
【0074】
対象の材料の捕捉および吸着のための方法が本明細書で提供され、上記方法は:流体のサンプルを、多方向のポリペプチド抗生物質でコーティングされた流路に接触させる工程と;対象の上記物質を上記多方向の流路の壁に吸着する工程と;多方向のポリペプチド抗生物質でコーティングされた流路内に捕捉された対象の上記材料の存在あるいは量を検出する工程と、を含む。上記方法のいくつかの実施形態において、流体サンプルは、ポンプを使用して、多方向のポリペプチド抗生物質でコーティングされた流路に接触させられる。上記方法は、本明細書に記載される流路の任意の変形、実施形態、あるいは例を含むことができる。いくつかの実施形態では、ポンプは蠕動ポンプである。いくつかの実施形態では、ポンプはシリンジポンプである。上記方法のいくつかの実施形態において、流体サンプルは、シリンジを使用して、多方向のポリペプチド抗生物質でコーティングされた流路に接触させられる。いくつかの実施形態では、ポリペプチド抗生物質はポリミキシンである。いくつかの実施形態では、ポリペプチド抗生物質はバンコマイシンである。上記方法のいくつかの実施形態において、ヘパリン、クエン酸ナトリウム、あるいは他の抗凝固剤は、多方向のポリペプチド抗生物質でコーティングされた流路に接触させる前に、流体サンプルに添加される。いくつかの実施形態において、多方向のポリペプチド抗生物質でコーティングされた流路内に捕捉された対象の材料の存在あるいは量の検出は:細胞計数、MALDI-TOF MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析)、質量分析法、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、バイオセンシング、フローサイトメトリー、および蛍光標識からなる群から選択される方法を使用して実施される。
【0075】
菌血症、内毒血症、あるいは敗血症が疑われる患者を処置するための方法が本明細書で提供され、上記方法は、血液のサンプルを、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口との間に多方向の流体流路を備える流体カートリッジに接触させる工程と;多方向の流体流路の少なくとも1つの壁に、対象の1つ以上の材料を吸着させる工程と;処理された血液を生成するために、血液のサンプルから対象の1つ以上の材料を除去する工程と;上記患者に上記処理された血液を戻す工程と、を含む。上記方法は、本明細書に記載される流路の任意の変形、実施形態、あるいは例を含むことができる。
【0076】
菌血症、内毒血症、あるいは敗血症が疑われる患者を診断するための方法が本明細書で提供され、上記方法は、流体のサンプルを、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口との間に多方向の流体流路を備える流体カートリッジに接触させる工程と;多方向の流体流路の少なくとも1つの壁に、対象の1つ以上の材料を吸着させる工程と;多方向の流体流路の少なくとも1つの壁に沿って、捕捉された対象の材料の存在あるいは量を検出する工程と、を含む。上記方法は、本明細書に記載される流路の任意の変形、実施形態、あるいは例を含むことができる。いくつかの実施形態において、上記方法は:ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、光学活性なマイクロビーズ、光学活性なナノ粒子、および マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間(MALDI-TOF)からなる群から選択される手順により、捕捉された対象の材料を識別する工程を含む。いくつかの実施形態において、上記方法は、培養方法により、捕捉された対象の材料を識別する工程を含む。いくつかの実施形態において、上記方法は、捕捉された対象の材料の溶出と、その後の、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、光学活性なマイクロビーズ、光学活性なナノ粒子、および/またはマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間(MALDI-TOF)、あるいは培養からなる群から選択される手順により、対象の捕捉された材料を識別する工程を含む。
【0077】
輸血、敗血症処置、菌血症処置、内毒血症処置、および他の血液で運ばれる疾患のめに、流体から病原体およびエンドトキシンを除去するべく使用される材料が本明細書で提供される。血液などのこれらの流体は、細菌およびエンドトキシンの吸着デバイスの流路を通過するか、あるいは循環し得る。上記方法は、本明細書に記載される流路の任意の変形、実施形態、あるいは例を含むことができる。
【0078】
熱可塑性の管が、ポリペプチド抗生物質でコーティングされる方法が本明細書で提供される。上記方法は、本明細書に記載される流路の任意の変形、実施形態、あるいは例を含む。
【0079】
実施例
本明細書に記載される実施例および実施形態は、例示的目的のみのためであり、請求される発明を限定することを意図しないことを理解されたい。本明細書に記載される例と実施形態に照らして、様々な修正あるいは変更が当業者に示唆され、本出願および添付された請求項の範囲の精神および範囲内に含まれることも理解される。
【0080】
以下の例は、ミリング技術を使用して製造され、2つのポリカーボネート部分をともにボルトで締めることにより密封された、以下のパラメーター(流路の長さ=1,816~2,009mm、幅=2mm~5.08mm、高さ=0.25~1.75mm)を有する渦巻形状の多方向の流路デバイスを利用する。ヘキサメチレンジアミン溶液(100mMのホウ酸塩緩衝液において10%(v/v)水性)を、ポリカーボネート流路面に45分間加えた。ジアミンの添加は、後の機能化反応に利用可能なアミン基で装飾された表面を結果としてもたらす。
【0081】
コリスチン化デバイスの場合、コリスチン硫酸塩(0.28g)を、16mLの50-50の蒸留水/エタノール混合物(50%のDiH2O/50%のEtOH(v/v))に加えた。コリスチン溶液を、ポリカーボネートベースの流路に加え、室温で、流路内で1時間インキュベートした。その後、流路をEtOHで洗浄し、風乾させた。
【0082】
バンコマイシンを有するデバイスの場合、バンコマイシン(0.22g)を、13mLのエタノール/水混合物(50%のDiH2O/50%のEtOH(v/v))に加えた。バンコマイシン溶液を、ポリカーボネートベースの流路に加え、室温で、流路内で1時間インキュベートした。その後、流路をEtOHで洗浄し、風乾させた。
【0083】
PEG化デバイスの場合、NHS-PEG1000-NHS(0.24グラム(g))を、16mLのエタノール/水混合物(50%のDiH2O/50%のEtOH(v/v))に加えた。NHS-PEG1000-NHS溶液を、ポリカーボネートベースの流路に加え、室温で、流路内で45分間インキュベートした。その後、流路をEtOHで洗浄し、乾燥させた。
【0084】
図2Aおよび
図2bは、アシネトバクター・バウマンニを使用して多方向の流体流路の細菌捕捉能力のものを評価するための、本開示のデバイスの例示的実施を示す。細菌捕捉能力ならびにコリスチン化およびポリエチレングリコール(PEG化)機能化された流体デバイスを、定性的および定量的に評価するための標準検体として、アシネトバクター・バウマンニ ATCC 17978細菌細胞を選択した。
図2Aは、実施形態ポリカーボネートデバイスのポリミキシンで機能化された壁に沿った、蛍光で標識されたアシネトバクター・バウマンニ ATCC 17978の吸着を示す。蛍光で標識されたアシネトバクター・バウマンニ ATCC 17978は、80mL min
-1で流体デバイスを通過し、その後、コリスチン化された流路の壁に結合し、その後洗浄される(
図2A)。
図2bは、実施形態ポリカーボネートデバイスのPEG化された壁に沿った、蛍光で標識されたアシネトバクター・バウマンニ ATCC 17978の吸着がないことを示す。おそらくコリスチンの表面機能化がないために、PEG化された渦巻流体デバイス(対照として機能した)内で有意な細菌捕捉が起こらなかった(
図2B)。
【0085】
図3Aおよび
図3Bは、黄色ブドウ球菌のための多方向の流体流路の細菌捕捉能力を評価するための、本開示のデバイスの例示的実施を示す。細菌捕捉能力ならびにバンコマイシンで機能化された、およびポリエチレングリコール(PEG化)機能化された流体デバイスを、定性的および定量的に評価するための標準検体として、黄色ブドウ球菌ATCC 29213細菌細胞を選択した。実施形態のポリカーボネートデバイスのバンコマイシンで機能化された壁に沿った、蛍光標識された黄色ブドウ球菌ATCC 29213の吸着を示す。蛍光標識された黄色ブドウ球菌ATCC 29213細菌細胞は、80mL min
-1で流体デバイスを通過した後、バンコマイシンで機能化された流路の壁に結合し、その後、洗浄される(
図3A)。実施形態のポリカーボネートデバイスのPEG化された壁に沿った、蛍光標識された黄色ブドウ球菌ATCC 29213の吸着がないことを示す。おそらくバンコマイシンの表面機能化がないために、PEG化された渦巻流体デバイス(対照として機能した)内で有意な細菌捕捉が起こらなかった(
図3B)。
【0086】
図10Aおよび
図10Bは、アシネトバクター・バウマンニを使用して多方向の流体流路の細菌捕捉能力を評価するための、本開示のデバイスの例示的実施を示す。ポリミキシンでコーティングされたデバイス(つまり、コリスチン化デバイス)を80ml min
-1で流れる際の、アシネトバクター・バウマンニ ATCC 17978の捕捉を示す。デバイスを流れるアシネトバクター・バウマンニ ATCC 17978の濃度は、1ミリリットル当たりおよそ10
5 コロニー形成単位(CFU/mL)であった。捕捉はPEG化デバイス内で観察されなかった。n=、4、p<0.05
*。したがって、アシネトバクター・バウマンニ ATCC 17978懸濁液を、コリスチンでコーティングされたデバイスを80mL min
-1の流量で流すことによって、細菌捕捉能力を定量化した。10
7コロニー形成単位(CFU)以上に対する細菌細胞の捕捉能力は、デバイスを出る流体から培養され得るコロニーの減少によって確認されるように、コリスチン化した二重渦巻流体デバイスの単一の通過および流れの最初の1分内にほぼ100%の捕捉効率で達成された(
図10Aおよび
図10B)。
図10Bは、デバイスの総捕捉能力が2.39E7 CFUであったことを示す。
【0087】
図11Aおよび
図11Bは、肺炎桿菌のための多方向の流体流路の細菌捕捉能力を評価するための、本開示のデバイスの例示的実施を示す。
図11Aは、ポリミキシンEでコーティングされたデバイス(つまり、コリスチン化デバイス)を80ml min
-1で流れる際の、肺炎桿菌 ATCC 700603の捕捉を示す。デバイスを流れる肺炎桿菌ATCC 700603の濃度は、およそ10
5 CFU/mLであった。n=、4、p<0.05
*。他のグラム陰性ヒト病原体である肺炎桿菌ATCC 700603も、コリスチン化デバイスを通る流れの最初の1分内のほぼ100%の関連する捕捉能力で、流動流体から成功裡に除去された(
図11Aおよび
図11B)。
図11Bは、デバイスの総捕捉能力が1.98E7 CFUであったことを示す。
【0088】
図12Aおよび
図12Bは、アシネトバクター・バウマンニを使用して多方向の流体流路の細菌捕捉能力を評価するための、本開示のデバイスの例示的実施を示す。コリスチン化した二重渦巻流体デバイスは、コリスチン耐性のアシネトバクター・バウマンニ((Qureshi, Z. A. et al. Colistin-resistant acinetobacter baumannii: Beyond carbapenem resistance. Clin. Infect. Dis. 60, 1295-1303 (2015))およびコリスチン耐性の肺炎桿菌ATCC 700603を含む、抗生物質耐性菌を捕捉し、流動流体から除去した(
図12A、12B、13A、および13B)。
図12Aは、ポリミキシンEでコーティングされたデバイス(つまり、コリスチン化デバイス)を80ml min
-1で流れる際の、コリスチン耐性アシネトバクター・バウマンニの捕捉を示し、デバイスを流れるコリスチン耐性アシネトバクター・バウマンニの濃度は、およそ10
4 CFU/mL、n=4、p<0.05
*であった。
図12Bは、最初の捕捉効率がほぼ100%であったことを示し;デバイスの総捕捉能力は7.89E6 CFUであった。
【0089】
図13Aおよび
図13Bは、肺炎桿菌のための多方向の流体流路の細菌捕捉能力を評価するための、本開示のデバイスの例示的実施を示す。
図13Aは、ポリミキシンEでコーティングされたデバイス(つまり、コリスチン化デバイス)を80ml min
-1で流れるコリスチン耐性肺炎桿菌ATCC 700603の捕捉を示す。デバイスを流れるコリスチン耐性肺炎桿菌ATCC 700603の濃度は、およそ10
4 CFU/mL、n=4、p<0.05
*であった。
図13Bは、最初の捕捉効率がほぼ80%であったことを示す。デバイスの総捕捉能力は7.31E6 CFUであった。
【0090】
図14Aおよび
図14Bは、黄色ブドウ球菌のための多方向の流体流路の細菌捕捉能力を評価するための、本開示のデバイスの例示的実施を示す。バンコマイシンで機能化された二重渦巻流体デバイスは、流れの最初の1分以内にほぼ80%の捕捉効率でグラム陽性の病原体を捕捉し、黄色ブドウ球菌ATCC 29213を含む流動流体から除去した(
図14Aおよび14B)。
図14Aは、バンコマイシンで機能化されたデバイスを80ml min
-1で流れる際の、黄色ブドウ球菌ATCC 29213の捕捉を示した。デバイスを流れる黄色ブドウ球菌ATCC 29213の濃度は、およそ10
4 CFU/mLであった。捕捉はPEG化デバイス内で観察されなかった。n=、4、p<0.05
*。
図14Bは、デバイスの総捕捉能力が5.24E6 CFUであったことを示す。PEG化デバイスは、グラム陽性の黄色ブドウ球菌ATCC 29213あるいはグラム陰性のアシネトバクター・バウマンニ ATCC 17978を捕捉せず、コリスチンおよびバンコマイシンで機能化されたデバイスにおいて病原体に対する特異性を確認した(
図11Bおよび14B)。
【0091】
試験データの要約が
図15に示され、それは、
図10A-14Bに記載および示されているような様々な菌種を使用して、細菌吸着デバイスの捕捉能力を示している。
【0092】
エンドトキシン(グラム陰性菌の外膜の主成分の1つ)は、敗血症の特性である全身性炎症反応症候群にさらに寄与する(Wiesel, P. et al. Endotoxin-induced mortality is related to increased oxidative stress and end-organ dysfunction, not refractory hypotension, in heme oxygenase-1―deficient mice. Circulation 102, 3015-3022 (2000))。したがって、本明細書の方法に従って、本明細書に記載される多方向の純流デバイスの実施形態を使用して、流動流体からのエンドトキシンの除去を評価した。
図16は、エンドトキシンが、エンドトキシンフリー水(1ug ml
-1)へとスパイクされ、および、ポリミキシンEでコーティングされたデバイス(つまり、コリスチン化デバイス)およびPEG化された二重渦巻流体デバイスを80ml min
-1で流されたことを示す。経時的に捕捉されたエンドトキシンが評価された。結果は、平均±SD、n=3としてプロットされた。エンドトキシンは、コリスチン化流体デバイスを流れる流体から迅速に補足され、
図16に示されるように、エンドトキシン捕捉効率は、単一パス操作(single pass operation)で100%に接近する。これに対して、エンドトキシンは、PEG化デバイスを使用して有効に捕捉されず、多方向の流体デバイス中のエンドトキシン吸着におけるコリスチンの重大な必要性を実証する。
【0093】
図28は、
図22Aに示される実施形態の組み立てられたデバイスの写真を示す。流路の長さ-2060mm(外壁):ピッチ-3.8mm:曲率半径-16.5mm(外壁の半径):デバイスの直径-44.5mm(ハウジングのOD):プレートの数-20。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の血液で運ばれる材料の捕捉および吸着のためのデバイスであって、前記デバイスは、
少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備える流体カートリッジと、
前記少なくとも1つの入口と前記少なくとも1つの出口との間の多方向の流体流路であって、少なくとも1つの内壁を備える、多方向の流体流路と、
前記多方向の流体流路の少なくとも1つの内壁の少なくとも一部をコーティングする物質と、
を含む、デバイス。
【外国語明細書】