(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028790
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】水素生成システム、及び水素燃料利用システム
(51)【国際特許分類】
C01B 3/00 20060101AFI20240227BHJP
C01B 3/02 20060101ALI20240227BHJP
C01B 13/02 20060101ALI20240227BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20240227BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20240227BHJP
【FI】
C01B3/00 B
C01B3/02 H
C01B13/02 Z
C25B1/04
C25B9/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023201829
(22)【出願日】2023-11-29
(62)【分割の表示】P 2021022025の分割
【原出願日】2021-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】523111957
【氏名又は名称】株式会社オン
(74)【代理人】
【識別番号】110001782
【氏名又は名称】弁理士法人ライトハウス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川島 弘江
(57)【要約】
【課題】
本発明の第一の目的は、原水から水素を生成する水素生成システムを提供することである。
【解決手段】
本発明は、原水から純水を生成する純水生成手段と、純水生成手段により生成された純水から水素を生成する水素生成手段と、水素生成手段により生成された水素を貯蔵する水素貯蔵手段を備える、水素生成システムに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水から純水を生成する純水生成手段と、
純水生成手段により生成された純水から水素を生成する水素生成手段と、
水素生成手段により生成された水素を貯蔵する水素貯蔵手段
を備える、
水素生成システム。
【請求項2】
水素生成手段が、水素を生成する際に酸素も生成するものであり、
水素生成手段により生成された酸素を貯蔵する酸素貯蔵手段
を備える、
請求項1に記載の水素生成システム。
【請求項3】
水素貯蔵手段が、水素吸蔵合金タンクである、
請求項1又は2に記載の水素生成システム。
【請求項4】
原水から純水を生成する純水生成手段と、
純水生成手段により生成された純水から水素を生成する水素生成手段と、
水素生成手段により生成された水素を貯蔵する水素貯蔵手段と、
水素貯蔵手段により貯蔵された水素を燃料として利用する水素燃料利用手段と、
再生可能エネルギーにより純水生成手段、水素生成手段、水素貯蔵手段、及び/又は水素燃料利用手段へ電力を供給する電力供給手段
を備える、
水素燃料利用システム。
【請求項5】
水素燃料利用手段が、水素バーナーシステム、及び/又は燃料電池システムである、
請求項4に記載の水素燃料利用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素生成システム、及び水素燃料利用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水素は、環境に優しい燃料として注目されている。しかしながら、一般的な水素の入手方法は、商業用に製造、及び販売されている水素を購入するという方法に限られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の第一の目的は、原水から水素を生成する水素生成システムを提供することである。
【0004】
また、本発明の第二の目的は、再生可能エネルギーを用いて、原水から水素を生成し、生成した水素を燃料として利用する水素燃料利用システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の[1]~[5]により、上記課題を解決するものである。
[1]原水から純水を生成する純水生成手段と、純水生成手段により生成された純水から水素を生成する水素生成手段と、水素生成手段により生成された水素を貯蔵する水素貯蔵手段を備える、水素生成システム;
[2]水素生成手段が、水素を生成する際に酸素も生成するものであり、水素生成手段により生成された酸素を貯蔵する酸素貯蔵手段を備える、[1]に記載の水素生成システム;
[3]水素貯蔵手段が、水素吸蔵合金タンクである、[1]又は[2]に記載の水素生成システム;
[4]原水から純水を生成する純水生成手段と、純水生成手段により生成された純水から水素を生成する水素生成手段と、水素生成手段により生成された水素を貯蔵する水素貯蔵手段と、水素貯蔵手段により貯蔵された水素を燃料として利用する水素燃料利用手段と、再生可能エネルギーにより純水生成手段、水素生成手段、水素貯蔵手段、及び/又は水素燃料利用手段へ電力を供給する電力供給手段を備える、水素燃料利用システム;
[5]水素燃料利用手段が、水素バーナーシステム、及び/又は燃料電池システムである、[4]に記載の水素燃料利用システム。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、原水から水素を生成する水素生成システムを提供することができる。
【0007】
また、本発明によれば、再生可能エネルギーを用いて、原水から水素を生成し、生成した水素を燃料として利用する水素燃料利用システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、水素生成システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、水素生成システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、水素燃料利用システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面等を用いて本発明の実施の形態について説明をするが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明は以下の実施の形態に限定されない。
【0010】
(水素生成システム)
図1は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、水素生成システムの構成を示すブロック図である。図示するように、水素生成システム1は、原水供給部10、純水生成部11(11a、11b、11c、11d)、水素生成部12(12a、12b、・・・、12j)、及び水素貯蔵部13から構成される。
【0011】
まず、原水供給部10から純水生成部11へ、原水が供給される。そして、純水生成部11において、供給された原水から純水が生成される。生成された純水は、純水生成部11から水素生成部12へ供給される。そして、水素生成部12において、供給された純水から水素が生成される。生成された水素は、水素生成部12から水素貯蔵部13へ供給され、水素貯蔵部13において貯蔵される。
【0012】
原水供給部10と純水生成部11、純水生成部11と水素生成部12、水素生成部12と水素貯蔵部13は、それぞれ、
図1の矢印の線に示されるように、パイプなどで接続されていてもよい。そして、原水、純水、及び水素の供給は、該パイプなどを経由して行われてもよい。
【0013】
原水供給部10は、純水生成部11へ、原水を供給するものである。原水は、純水を生成するために用いられる。原水には、工業用水、水道水、雨水、井戸水、海水、湖水、河川水などを用いることができる。
【0014】
原水は、タンクなどの容器に貯蔵されていてもよい。そして、原水供給部10は、タンクに貯蔵された原水を、純水生成部11へ供給することとしてもよい。あるいは、原水供給部10は、タンクなどの容器を経由せず、河川などから直接、純水生成部11へ原水を供給することもできる。
【0015】
原水供給部10は、特に限定されず、純水生成部11へ原水を供給することができればよい。原水供給部10は、水素生成システム1を設置する施設の周辺の環境などにより、適宜設計が可能である。
【0016】
純水生成部11は、原水から純水を生成するものである。
【0017】
図1においては、水素生成システム1は、純水生成部11a~11dの、4個の純水生成部11を備えている。水素生成システム1が備える純水生成部11の数は特に限定されず、水素生成システム1を設置する施設の広さなどにより、適宜設計が可能である。例えば、1個でも、2個でも、5個でもよい。
【0018】
水素生成システム1が純水生成部11を2個以上備えることで、水素生成システム1が備える純水生成部11の一部が、故障などにより使用できない場合や、長期使用による交換が必要な場合でも、他の純水生成部11を使用することで、水素生成システム1の稼働を続けることができる。
【0019】
純水生成部11が原水から純水を生成する方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば、蒸留、イオン交換樹脂、逆浸透膜、電気再生式脱塩装置(EDI装置)などにより純水を生成することとしてもよい。
【0020】
純水生成部11は、特に限定されず、原水から純水を生成することができればよい。純水生成部11は、原水の種類、水素生成部12が水素を生成するために適した純水の純度、求められる純水の生成量などにより、適宜設計が可能である。
【0021】
水素生成部12は、純水生成部11により生成された純水から、水素を生成するものである。水素生成部12は、純水を電気分解することにより、気体状の水素を生成する。
【0022】
図1においては、水素生成システム1は、水素生成部12a~12jの、10個の水素生成部12を備えている。水素生成システム1が備える水素生成部12の数は特に限定されず、水素生成システム1を設置する施設の広さなどにより、適宜設計が可能である。例えば、1個でも、5個でも、20個でもよい。
【0023】
水素生成システム1が水素生成部12を2個以上備えることで、水素生成システム1が備える水素生成部12の一部が、故障などにより使用できない場合や、長期使用による交換が必要な場合でも、他の水素生成部12を使用することで、水素生成システム1の稼働を続けることができる。
【0024】
水素生成部12の、気体状の水素の生成量は、40m3/h以上であることが好ましく、50m3/h以上であることがより好ましく、60m3/h以上であることがさらに好ましい。
【0025】
水素生成部12は、特に限定されず、純水から水素を生成することができればよい。水素生成部12は、供給される純水の純度、求められる水素の生成量などにより、適宜設計が可能である。
【0026】
水素貯蔵部13は、水素生成部12により生成された水素を貯蔵するものである。水素貯蔵部13は、貯蔵する水素の圧力を調整するための機構を備えることとしてもよい。
【0027】
図1においては、水素生成システム1は、1個の水素貯蔵部13を備えている。水素生成システム1が備える水素貯蔵部13の数は特に限定されず、水素生成システム1を設置する施設の広さなどにより、適宜設計が可能である。例えば、1個でも、2個でも、3個でもよい。
【0028】
水素貯蔵部13は、特に限定されず、水素を貯蔵することができればよい。例えば、水素貯蔵部13は、水素吸蔵合金タンク、高圧ガスタンク、ガスタンクなどであってもよい。
【0029】
水素吸蔵合金タンクは、水素分子と接触することで水素化物として水素を保持する合金を充填した、水素を貯蔵するためのタンクである。水素吸蔵合金タンクは、高圧ガスタンクと比べて低気圧の内部圧力で水素を貯蔵することができるため、安全性が高い。
【0030】
また、図示しないが、水素生成システム1は、原水供給部10、純水生成部11、水素生成部12、及び水素貯蔵部13を総括的に制御する、制御部を備えている。制御部は、水素生成システム1を、他のシステムと連動するように制御することも可能である。
【0031】
このように、水素生成システム1が、原水から純水を生成し、生成された純水から水素を生成し、生成された水素を貯蔵することにより、原水から水素を生成することができる。原水から水素を生成することで、商業用に製造、及び販売されている水素を購入するよりも、コストを抑えることができる。また、水素生成システム1を設置する施設の周辺の環境や広さなどに合わせて、水素を生成するシステムを構築することが可能である。
【0032】
また、水素生成部12は、純水の電気分解により水素を生成するため、水素を生成する際に、気体状の酸素も生成する。水素生成部12により生成された酸素は、水素と同様に、貯蔵することができる。
【0033】
図2は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、水素生成システムの構成を示すブロック図である。
図2に示す水素生成システム1は、原水供給部10、純水生成部11(11a、11b、11c、11d)、水素生成部12(12a、12b、・・・、12j)、水素貯蔵部13、及び酸素貯蔵部14から構成される。
【0034】
原水から水素が生成され、生成された水素が貯蔵される態様に関しては、前述の記載を必要な範囲で採用できる。そして、
図2に示す水素生成システム1では、水素生成部12において生成された酸素は、水素生成部12から酸素貯蔵部14へ供給され、酸素貯蔵部14において貯蔵される。
【0035】
原水供給部10と純水生成部11、純水生成部11と水素生成部12、水素生成部12と水素貯蔵部13、水素生成部12と酸素貯蔵部14は、それぞれ、
図2の矢印の線に示されるように、パイプなどで接続されていてもよい。そして、原水、純水、水素、及び酸素の供給は、該パイプなどを経由して行われてもよい。
【0036】
原水供給部10、純水生成部11、水素生成部12、及び水素貯蔵部13に関しては、前述の記載を必要な範囲で採用できる。
【0037】
酸素貯蔵部14は、水素生成部12により生成された酸素を貯蔵するものである。
【0038】
図2においては、水素生成システム1は、1個の酸素貯蔵部14を備えている。水素生成システム1が備える酸素貯蔵部14の数は特に限定されず、水素生成システム1を設置する施設の広さなどにより、適宜設計が可能である。例えば、1個でも、2個でも、3個でもよい。
【0039】
酸素貯蔵部14は、特に限定されず、酸素を貯蔵することができればよい。例えば、酸素貯蔵部14は、高圧ガスタンク、ガスタンクなどであってもよい。酸素貯蔵部14は、貯蔵する酸素の圧力を調整するための機構を備えることとしてもよい。
【0040】
また、
図2には示さないが、水素生成システム1は、原水供給部10、純水生成部11、水素生成部12、水素貯蔵部13、及び酸素貯蔵部14を総括的に制御する、制御部を備えている。制御部は、水素生成システム1を、他のシステムと連動するように制御することも可能である。
【0041】
水素生成システム1が、水素貯蔵部13、及び酸素貯蔵部14を備えることで、後述する水素燃料利用システムにおいて、水素、及び酸素を利用することが容易となる。
【0042】
(水素燃料利用システム)
図3は、本発明の実施の形態の少なくとも1つに対応する、水素燃料利用システムの構成を示すブロック図である。図示するように、水素燃料利用システム2は、ソーラーパネル20、パワーコンディショナー21、商用電力22、切替装置23、蓄電機能付きUPS24、水用バッファータンク25、水素生成システム26、水素高圧化装置27、水素用バッファータンク28、酸素高圧化装置29、酸素用バッファータンク30、水素バーナーシステム31から構成される。ここでは、水素生成システム26は、
図2に示した、水素貯蔵部13、及び酸素貯蔵部14を備える水素生成システム1のことを指すものとする。
【0043】
水用バッファータンク25と水素生成システム26、水素生成システム26と水素高圧化装置27、水素高圧化装置27と水素用バッファータンク28、水素用バッファータンク28と水素バーナーシステム31、水素生成システム26と酸素高圧化装置29、酸素高圧化装置29と酸素用バッファータンク30、及び酸素用バッファータンク30と水素バーナーシステム31は、それぞれ、
図3の矢印の線に示されるように、パイプなどで接続されていてもよい。そして、原水、水素、及び酸素の供給は、該パイプなどを経由して行われてもよい。
【0044】
また、ソーラーパネル20とパワーコンディショナー21、パワーコンディショナー21と切替装置23、商用電力22と切替装置23、切替装置23と蓄電機能付きUPS24、並びに、蓄電機能付きUPS24と水素生成システム26内の純水生成部11、水素生成部12、水素貯蔵部13、及び/又は酸素貯蔵部14は、それぞれ、導線などにより電気的に接続されていてもよい。さらに、蓄電機能付きUPS24と、水用バッファータンク25、水素高圧化装置27、水素用バッファータンク28、酸素高圧化装置29、酸素用バッファータンク30、及び/又は水素バーナーシステム31は、それぞれ、導線などにより電気的に接続されていてもよい。そして、電力の供給は、該導線などを経由して行われてもよい。
【0045】
水素燃料利用システム2は、ソーラーパネル20において、太陽光を電力に変換することで発電を行う。以下、ソーラーパネル20において行われた発電をソーラー発電という。ソーラー発電により生じた電気は、パワーコンディショナー21によって、電気を利用する環境に適した状態に変換される。例えば、ソーラー発電により生じた電気は直流であることが多いため、一般的な環境で利用することができるように、交流に変換される。パワーコンディショナー21は、特に限定されず、電気を利用する環境に適した状態に変換することができればよい。
【0046】
また、水素燃料利用システム2は、商用電力22を備えている。ソーラー発電による電力の供給と商用電力22による電力の供給の切り替えは、切替装置23によって行われる。切替装置23は、ソーラー発電による電力を優先的に蓄電機能付きUPS24に供給し、ソーラー発電による電力が不足した場合には、商用電力22による電力を蓄電機能付きUPS24に供給する。その際、切替装置23は、ソーラー発電による電力の供給量が所定の値以下となった場合に、ソーラー発電による電力の供給から、商用電力22による電力の供給に切り替えることとしてもよい。そして、切替装置23は、ソーラー発電による電力の供給量が所定の値以上となった場合に、商用電力22による電力の供給から、ソーラー発電による電力の供給に切り替えることとしてもよい。
【0047】
ソーラー発電による電力を優先的に蓄電機能付きUPS24に供給することで、商用電力22による電力の供給を優先した場合に比べ、電力の供給に関するコストを低減することができる。また、災害などで商用電力22による電力の供給が途絶えた際にも、水素燃料利用システム2を稼働することが可能となる。
【0048】
蓄電機能付きUPS24は、ソーラー発電による電力の供給、又は商用電力22による電力の供給を受ける機能、供給された電力を蓄積する機能、及び、供給された電力、又は蓄積された電力を外部の装置などに供給する機能を有している。蓄電機能付きUPS24は、供給される電力が途切れた場合に、蓄積された電力を外部の装置などに供給することで、該外部の装置などに電圧の低下や停電などが起きることを防いでいる。水素燃料利用システム2は、蓄電機能付きUPS24によって、純水生成部11、水素生成部12、水素貯蔵部13、酸素貯蔵部14、及び/又は水素バーナーシステム31へ電力を供給している。
【0049】
なお、
図3においては、ソーラー発電により純水生成部11、水素生成部12、水素貯蔵部13、酸素貯蔵部14、及び/又は水素バーナーシステム31へ電力が供給されているが、水素燃料利用システム2は、再生可能エネルギーにより純水生成部11、水素生成部12、水素貯蔵部13、酸素貯蔵部14、及び/又は水素バーナーシステム31へ電力を供給することができればよい。再生可能エネルギーは、特に限定されず、利用する以上の速度で自然に再生するエネルギーであればよい。再生可能エネルギーには、例えば、ソーラー発電、風力発電、水力発電、地熱発電、微生物発電などが含まれる。
【0050】
また、水素燃料利用システム2は、後述する燃料電池システムとは異なる、又は同一の、燃料電池システムにより発電した電力を、純水生成部11、水素生成部12、水素貯蔵部13、酸素貯蔵部14、及び/又は水素バーナーシステム31へ供給することもできる。
【0051】
再生可能エネルギーによる電力の供給量は、特に限定されず、純水生成部11、水素生成部12、水素貯蔵部13、酸素貯蔵部14、及び/又は水素バーナーシステム31の稼働に必要な電力が供給されればよい。例えば、純水生成部11の稼働には500Wh、水素生成部12の稼働には5.5~6.5kWhの電力が、再生可能エネルギーにより供給されることとしてもよい。
【0052】
水用バッファータンク25には、水素生成システム26内の純水生成部11へ供給される原水が貯蔵されている。水用バッファータンク25に関しては、原水供給部10の記載を必要な範囲で採用できる。
【0053】
水用バッファータンク25から供給された原水により、水素生成システム26において、純水が生成され、該純水から、水素、及び酸素が生成される。そして、水素生成システム26において、該水素、及び酸素が貯蔵される。水素生成システム26に関しては、前述の、
図2に示した、水素貯蔵部13、及び酸素貯蔵部14を備える水素生成システム1の記載を必要な範囲で採用できる。
【0054】
水素生成システム26において貯蔵された水素は、水素高圧化装置27へ供給される。水素高圧化装置27は、水素を高圧化できるものであれば、特に限定されない。水素高圧化装置27は、装置内に封入した水素を、ピストン等を利用して圧縮して、水素を高圧化することができる。高圧化された水素は、高圧状態を維持したまま、水素用バッファータンク28へ供給される。
【0055】
水素用バッファータンク28では、水素高圧化装置27から供給された高圧の水素を貯蔵する。水素用バッファータンク28は、高圧化された水素を貯蔵できるものであれば、特に限定されない。水素用バッファータンク28は、高い耐圧性と高い気密性を有するものであることが好ましい。水素用バッファータンク28に貯蔵された水素は、必要に応じて、水素バーナーシステム31へ供給される。
【0056】
水素用バッファータンク28から水素バーナーシステム31への水素の供給は、連続的に、又は、断続的に行われてもよい。
【0057】
また、水素用バッファータンク28から水素バーナーシステム31への水素の供給量は、後述する、制御部により制御してもよい。この場合、水素バーナーシステム31における水素の消費量や水素の残存量等に応じて、水素バーナーシステム31への水素の供給量を変化させることができる。この場合、水素バーナーシステム31における水素の消費量や水素の残存量等が推定され、測定された情報が制御部へ送信される。制御部では、水素バーナーシステム31における水素の消費量や水素の残存量等をもとに、水素用バッファータンク28からの水素の供給量を算定する。
【0058】
水素生成システム26において貯蔵された酸素は、酸素高圧化装置29へ供給される。酸素高圧化装置29は、酸素を高圧化できるものであれば、特に限定されない。酸素高圧化装置29は、装置内に封入した酸素を、ピストン等を利用して圧縮して、酸素を高圧化することができる。高圧化された酸素は、高圧状態を維持したまま、酸素用バッファータンク30へ供給される。
【0059】
酸素用バッファータンク30では、酸素高圧化装置29から供給された高圧の酸素を貯蔵する。酸素用バッファータンク30は、高圧化された酸素を貯蔵できるものであれば、特に限定されない。酸素用バッファータンク30は、高い耐圧性と高い気密性を有するものであることが好ましい。酸素用バッファータンク30に貯蔵された酸素は、必要に応じて、水素バーナーシステム31へ供給される。
【0060】
酸素用バッファータンク30から水素バーナーシステム31への酸素の供給は、連続的に、又は、断続的に行われてもよい。
【0061】
また、酸素用バッファータンク30から水素バーナーシステム31への酸素の供給量は、後述する、制御部により制御してもよい。この場合、水素バーナーシステム31における酸素の消費量や酸素の残存量等に応じて、水素バーナーシステム31への酸素の供給量を変化させることができる。この場合、水素バーナーシステム31における酸素の消費量や酸素の残存量等が推定され、測定された情報が制御部へ送信される。制御部では、水素バーナーシステム31における酸素の消費量や酸素の残存量等をもとに、酸素用バッファータンク30からの酸素の供給量を算定する。
【0062】
図3においては、水素燃料利用システム2は、水素高圧化装置27、水素用バッファータンク28、酸素高圧化装置29、及び酸素用バッファータンク30を、それぞれ1個ずつ備えている。水素燃料利用システム2が備える水素高圧化装置27、水素用バッファータンク28、酸素高圧化装置29、及び酸素用バッファータンク30の数は特に限定されず、水素燃料利用システム2を設置する施設の広さなどにより、適宜設計が可能である。例えば、1個でも、2個でも、3個でもよい。また、水素燃料利用システム2は、水素高圧化装置27、水素用バッファータンク28、酸素高圧化装置29、及び酸素用バッファータンク30の、一部又は全部を備えていなくともよい。
【0063】
水素用バッファータンク28から水素バーナーシステム31へ供給された水素は、水素バーナーシステム31において、燃料として利用される。具体的には、例えば、水素用バッファータンク28から供給された水素を、酸素用バッファータンク30から供給された酸素と混合し、燃焼させることができる。水素バーナーシステム31には、焼却炉、ボイラー、ストーブ、ガス溶接用の吹管、ガスバーナーなどが含まれる。
【0064】
あるいは、水素燃料利用システム2は、水素用バッファータンク28から供給された水素を、燃料電池システムの燃料として利用してもよい。具体的には、例えば、水素用バッファータンク28から供給された水素を、酸素用バッファータンク30から供給された酸素と反応させ、発電することができる。
【0065】
また、
図3には示さないが、水素燃料利用システム2は、ソーラーパネル20、パワーコンディショナー21、商用電力22、切替装置23、蓄電機能付きUPS24、水用バッファータンク25、水素生成システム26、水素高圧化装置27、水素用バッファータンク28、酸素高圧化装置29、酸素用バッファータンク30、及び水素バーナーシステム31を総括的に制御する、制御部を備えている。制御部は、水素燃料利用システム2を、他のシステムと連動するように制御することも可能である。また、水素燃料利用システム2の制御部は、水素生成システム26の制御部を兼ねていてもよい。
【0066】
なお、水素生成システム26、及び/又は水素燃料利用システム2の制御部へは、再生可能エネルギーにより電力が供給されることとしてもよい。
【0067】
上記において、水素生成システム26は、
図2に示した、水素貯蔵部13、及び酸素貯蔵部14を備える水素生成システム1のことを指すこととしたが、
図1に示した、水素貯蔵部13を備える水素生成システム1のことを指すこととしてもよい。その場合、水素燃料利用システム2は、酸素高圧化装置29、及び酸素用バッファータンク30を備えないこととしてもよい。
【0068】
このように、水素燃料利用システム2が、原水から純水を生成し、生成された純水から水素を生成し、生成された水素を貯蔵し、貯蔵された水素を燃料として利用し、再生可能エネルギーにより電力を供給することで、再生可能エネルギーを用いて、原水から水素を生成し、生成した水素を燃料として利用することができる。つまり、再生可能エネルギーと原水があれば、水素を燃料として利用することが可能となる。
【0069】
また、水素燃料利用システム2において生成した水素、及び/又は酸素に余剰が生じた場合には、余剰の水素、及び/又は酸素を、ガスボンベなどの容器に貯蔵することができる。そして、ガスボンベなどの容器に貯蔵した水素、及び/又は酸素は、他のシステムに供給することが可能である。あるいは、ガスボンベなどの容器に貯蔵した水素、及び/又は酸素を、販売することもできる。
【符号の説明】
【0070】
1 水素生成システム
2 水素燃料利用システム
10 原水供給部
11 純水生成部
12 水素生成部
13 水素貯蔵部
14 酸素貯蔵部
20 ソーラーパネル
21 パワーコンディショナー
22 商用電力
23 切替装置
24 蓄電機能付きUPS
25 水用バッファータンク
26 水素生成システム
27 水素高圧化装置
28 水素用バッファータンク
29 酸素高圧化装置
30 酸素用バッファータンク
31 水素バーナーシステム