(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028796
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】回転するカメラを有する内視鏡、および、関連する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/045 20060101AFI20240227BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240227BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
A61B1/045 610
A61B1/00 714
G02B23/24 B
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023202552
(22)【出願日】2023-11-30
(62)【分割の表示】P 2020560226の分割
【原出願日】2019-04-26
(31)【優先権主張番号】62/663,058
(32)【優先日】2018-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】594010009
【氏名又は名称】デカ・プロダクツ・リミテッド・パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】モロー、ティモシー ディー
(72)【発明者】
【氏名】クルバッキ、アレック ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ブラムバーグ、デイヴィッド ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】アダムス、ポール エル
(72)【発明者】
【氏名】リヴィニウス、グレッグ ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ヘニング、スティーブン エル
(72)【発明者】
【氏名】フィルゲート、ジョシュア
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アクセスしにくい空間で視認し作動する内視鏡器具を提供する、
【解決手段】内視鏡10は、ハンドル12と、先端に光学ハウジングを有するシャフト14を備え、光軸がシャフト回転軸にある角度となるカメラセンサを取り囲む。カメラセンサは、ハンドルの基部ハウジングに対して、シャフトと一緒に回転する。ハンドルの回転センサがカメラセンサの基部ハウジングに対する回転角を検知する。プロセッサは、視野の回転変化を平行移動変化に変換して、画像センサからの画像の角度方向を修正する。プロセッサは、表示画像の回転に可変平滑化を適用し、回転減速時の平滑化は回転加速時より大きい。シャフトは、トロカールに取り囲まれ、シャフトとトロカールの間の空間が、洗浄液をシャフト末端の空間へあるいは空間から運べるようにする。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡とプロセッサであって、前記内視鏡は、前記内視鏡のシャフトの先端に置かれたカメラを有し:
前記シャフトと前記カメラは、前記シャフトの回転軸回りに一緒に回転可能であり;
前記カメラは、前記シャフトの前記回転軸に対してゼロでない角度である光軸を有し;
前記内視鏡は、前記カメラから表示される画像の初めの角度方向からの前記回転軸回りの前記カメラの回転角を測定する回転センサを有し;
前記プロセッサは、前記カメラからの画像データを処理し、前記表示される画像の前記初めの角度方向を維持し、
前記表示される画像は、前記カメラが前記回転軸回りに前記初めの角度方向から第2角度方向に回転すると、第1視野から別の第2視野に平行移動する;
内視鏡とプロセッサ。
【請求項2】
前記カメラの光軸は、前記回転軸に対して30°から70°の間の角度で固定される;
請求項1に記載の内視鏡とプロセッサ。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記回転センサからの回転信号を平滑化し、前記カメラの回転が加速されているときよりも前記カメラの回転が減速されているときにより大きな平滑化が適用されるように構成される;
請求項1に記載の内視鏡とプロセッサ。
【請求項4】
内視鏡であって、前記内視鏡のシャフトの先端に置かれたカメラを有し:
前記シャフトは、前記内視鏡のハンドルの先端ハンドル・ハウジングに接続され;
前記内視鏡は、前記先端ハンドル・ハウジングに接続され、マグネット位置センサを含むPCBを有し;
前記内視鏡は、前記PCBを取り囲む前記ハンドルの基部ハンドル・ハウジングを有し、前記先端ハンドル・ハウジング、前記シャフトおよび前記カメラは、前記基部ハンドル・ハウジングに対して一緒に回転可能であり;
前記基部ハンドル・ハウジングは、前記位置センサの反対側に配置された1つ以上の磁石を含み、前記位置センサは、前記1つ以上の磁石に対して回転し、前記基部ハンドル・ハウジングに対する前記先端ハンドル・ハウジング、前記シャフトおよび前記カメラの回転角を示す角度位置信号を生成するようになされ;
前記カメラは、カメラの光軸が前記先端ハンドル・ハウジングおよび前記シャフトの回転軸に対してゼロでない角度となるような位置とされ;
前記カメラの光軸の前記ゼロでない角度が、前記角度位置信号と共同して、前記カメラの画像の視覚的表示が、変化する視野の回転する画像から前記変化する視野の平行移動する画像に変換されるようにできる;
内視鏡。
【請求項5】
回転するカメラからの表示される画像の角度方向を修正するシステムであって、前記カメラは、前記カメラの回転軸に対してゼロでない角度である光軸を有し、前記システムは:
前記表示される画像の初めの角度方向からの前記回転軸回りの前記カメラの回転角を測定するようになされた回転センサと;
前記表示される画像の前記初めの角度方向を維持するように前記カメラからの画像データを処理するように構成されたプロセッサとを備え;
前記カメラが前記回転軸回りに前記初めの角度方向から第2角度方向まで回転すると、前記表示される画像は第1視野から異なる第2視野へ平行移動する;
システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記カメラの方向をユーザに伝える標識を、表示される画像に投影する;
請求項1に記載の内視鏡とプロセッサ。
【請求項7】
前記標識は矢印である;
請求項6に記載の内視鏡とプロセッサ。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記カメラから受信した画像を逆に回転して中央の特徴の直立表示を維持するようになされた;
請求項1に記載の内視鏡とプロセッサ。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記カメラから受信した画像を逆に回転して、回転するロッドレンズから受信した画像の静止したカメラセンサの視覚的効果をシミュレートするようになされた;
請求項1に記載の内視鏡とプロセッサ。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記カメラの方向をユーザに伝える標識を、表示される画像に投影する;
請求項5に記載のシステム。
【請求項11】
前記標識は矢印である;
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記プロセッサは、前記カメラから受信した画像を逆に回転して中央の特徴の直立表示を維持するようになされた;
請求項5に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセスしにくい空間で視認し作動する内視鏡器具に関し、ある態様では、内視鏡または関節鏡などを用いて体内の狭い解剖空間で動作する内視鏡器具に関する。
【背景技術】
【0002】
アクセスが困難な空間においてリモートでの視認や動作を可能にする、医療分野での内視鏡器具の使用は、確立されてきている。このような器具は、自動車、航空機、配管、エレクトロニクス、および他の多くの産業分野でも有用である。医療や獣医学の実務の分野では、最小限の切開あるいは切開しないことが望まれる場合に、解剖領域を視認あるいは処理するのに、または、近くの組織を乱すことを避けるのに、内視鏡検査や関節鏡検査がしばしば用いられる。例えば、整形外科の分野では、ひざや肩などの関節の状態は、一つ以上の小さな切開を通して関節へ入れられた一つ以上の関節鏡器具を用いてアクセスできる。これらの器具は、種々の関節内の組織を修復するのにも用いられる。これらの解剖範囲を視認し、修復する標準的な切開手術は、大きなリスクと患者のトラウマを伴う、比較するとより時間を要するもので、回復期間が長くなる。加えて、切開手術に伴う麻酔は、より複雑で、費用も掛かる。改良された視野のために、内視鏡は、その器具のハンドル端部でユーザに操作される能動的に柔軟な先端部分を備える。このことは、内視鏡先端部分を曲げるための可動域を有さない狭い空間に先端が位置するときには、効果的な選択肢ではない。医療用途において、そのような例の一つは、関節内の手術であろう。一般的に、能動的に柔軟な先端部分を有する器具の使用が困難であれば、剛な挿入シャフトを有する器具を用いることが好ましい。柔軟でないシャフトは、改善された光学または画像の再生、付加的機能性のための器具内の増大した空間、および、より大きな耐久性を提供する。
しかし、剛な内視鏡や関節鏡では、視野が限られ、視野を増すために、頻繁に置き直したり、回転させたりする必要があるであろう。内視鏡や関節鏡によっては、視野を変えるために、物理的に患者から取り外されて一部分を交換する必要がある。カニューレ・システムは、このアプローチを楽にするが、手順を複雑にし、切開を大きくする。この制限により、オペレータ(執刀医)の効率が下がり、手術時間が長くなり、医原性損傷のリスクが増加する。医療、その他の実務において、内視鏡が、能動的に柔軟な先端部分を使用することなく、増大または変化する視野を有することは有利であろう。また、内視鏡のシャフトの全体的な直径を小さくするために、複数の機能を単一の導管内にまとめることも有利であろう。加えて、現状の器具では、繰り返しの使用、洗浄および/または消毒により機能と光学的品質が低下しがちである。製造・組立てコストが、再利用しないことを経済的に正当化できるほどに低い、内視鏡の設計もまた有利であろう。繰り返しの洗浄あるいは消毒および再パッケージするコストが不要になり、使い捨て機器の無菌性、品質および信頼性を標準化しやすい。
【発明の概要】
【0003】
一つの態様では、2部分のハンドルであって、先端ハンドル・ハウジングが先端に実装されたカメラセンサを有する内視鏡シャフトに接続されたハンドルを有する内視鏡は、ユーザの手で掴める基部ハンドル・ハウジングに対して回転可能である。カメラセンサは、カメラの光軸が内視鏡シャフト、光学ハウジングおよびカメラセンサと一定のゼロでない角度を維持するようにカメラを位置させる光学ハウジング内に実装される。先端ハンドル・ハウジングの回転は、画像の回転が所定の水平面に対する先端ハンドル・ハウジングの回転度数をトレースする信号を用いて修正されない限り、カメラセンサにより作り出される画像を回転させることになる。基部および先端ハンドル・ハウジングの両方が一緒に回転するならば、この画像の回転の修正をすることができるが、先端ハンドル・ハウジングが基部ハンドル・ハウジングに対して回転するときに画像の回転の修正をするのが有効であろう。これは、3軸絶対位置センサのように、マグネット位置センサを含む先端ハンドル・ハウジングに取り付けられたPCBを覆う基部ハンドル・ハウジングの内壁に磁石を取り付けることによって、行われる。先端ハンドル・ハウジング(および取り付けられたカメラセンサ)が回転すると、プロセッサは位置センサから入力を受け取り、画像配置を逆方向にほぼ同じ量だけ回転させ、表示される画像は一定の角度方向を維持する。この方法により、カメラが最初の角度方向から2番目の角度方向に回転軸回りに回転すると、表示される画像は、第1視野から別の第2視野に移動する。また、コントローラが表示される画像の近傍で方向ポインタを生成して表示し、ハンドルの基部ハンドル・ハウジングに対するカメラセンサの実際の回転変位を視認者またはユーザに知らせてもよい。一実施の形態では、カメラの光軸は、回転軸に対し30°から70°の間で固定されてもよい。カメラの光軸のゼロでない角度は、角度位置信号と共同して、カメラからの画像の画像表示を、変化する視野の回転する画像からその変化する視野の平行移動する画像に変換することができる。プロセッサは、カメラの回転が増大するときよりも減速するときにより平滑化されるように、回転センサからの回転信号を平滑化するように構成されてもよい。
【0004】
上記のシステムは、内視鏡や関節鏡には限定されない。そのシステムは、回転軸に対してゼロでない角度の光軸を有する、回転するカメラに用いられるようになされる。
【0005】
別の態様では、内視鏡シャフトの先端用光学ハウジングは、カメラセンサと光源を部分的に内包するように構成された成型部材を備え、内視鏡シャフトの先端の長手軸に対するカメラセンサと光源の角度位置を固定し、カメラセンサと光源を内視鏡を備える円筒形鞘の先端内にしっかりと止める。成型部材は、内視鏡シャフトの円筒形鞘の一部と漏れのないシールをする係合を提供する外径を有してもよく、成型部材の外面上に形成された複数の溝を備え、内視鏡シャフトの流体経路と内視鏡シャフトの外面との間に1つ以上の流体流路を提供してもよい。カメラはセンサに近接してレンズを備えてもよく、光学ハウジングは内視鏡シャフトの先端にレンズが受光するためのレンズ開口部を含んでもよい。光源は、レンズに隣接して発光ダイオード(LED)を備えてもよく、光学ハウジングは、LEDが内視鏡シャフトの先端の外側の範囲に光を照射するためのLED開口部を含んでもよい。カメラセンサは、カメラセンサプリント基板上に実装され、カメラセンサプリント基板は光学ハウジング内に内包される。光源は光源プリント基板上に実装され、光源プリント基板は光学ハウジング内に内包される。光源は、光源プリント基板上に実装された発光ダイオードを備え、光源プリント基板は、カメラセンサの近傍のレンズが突出するための開口部を含んでいてもよい。鞘は、光学ハウジングの末端に近接ずる位置に端部を有してもよく、成型部材の外面上の1つ以上の溝が、鞘の末端で光学ハウジングと鞘の間の1つ以上の横方向開口部と連通してもよい。鞘は、内視鏡シャフトの先端で鞘の末端に近接して洗浄用開口部を含み、洗浄用開口部は、光学ハウジングの1つ以上の溝と流体連通してもよい。洗浄液用流路は、光学ハウジングを成型するプロセスで形成することができる。一実施の形態では、上側の流路は、カメラセンサに近接して位置するカメラセンサ・レンズに隣接する1つ以上の開口部で内視鏡シャフトの先端片から流体が流出するような向きにしてもよい。これらの開口部からの流体流は、レンズ表面に接触する(それゆえ、カメラセンサの動作を邪魔する)気泡、ごみ、その他の物を洗い流すのに役立つ。さらに横側の流路も光学ハウジングに形成され、カメラ-レンズ-LEDアセンブリに近接する内視鏡の先端シャフトの横および内部の開口部からある程度の洗浄液を流出するように向ける。鞘と光学ハウジングは、トロカールに挿入されるようになされてもよく、トロカールは、鞘の洗浄用開口部と整列するトロカール開口部を含んでもよい。
【0006】
プロセッサは、フィルタを用いて、位置センサ信号に生じたノイズの影響、また、ユーザの意図しない手の動きや震えにより生ずる画像の細かな位置変化を減じてもよい。回転する画像の安定化は、位置センサ信号のアナログ段階、デジタル変換後、あるいは、コントローラソフトウエアコードが回転中に画像の表示を伝達している間のいずれかにおいて、多くのフィルタ技術によりなされてもよい。本質的に高周波成分を有する僅かな回転の動きは、多くのローパスフィルタ技術の一つを用いてフィルタすることができる。ユーザの回転入力に対する表示コントローラの反応性を高めるため、コントローラは、カメラセンサが比較的高速で、または、比較的高加速もしくは高減速で回転されているか、あるいは、回転信号のスペクトルが低周波成分により重いウェイトを掛けるか、を決めてもよい。その場合、コントローラのローパスフィルタ係数は、回転が始まり継続すると画像の回転の修正が少ない待ち時間で表示できるように、リアルタイムでその影響を減じるように調整されてもよい。ユーザがカメラの回転の終わりに近づくと、あるいは、ユーザがカメラセンサを固定位置に維持しようとすると、コントローラが、回転速度か加速度の測定により、または、信号のスペクトル解析により、エラーまたは高周波が強調された回転信号をより強くフィルタすることが始められるべきであるかを決めてもよい。
【0007】
ある態様では、回転センサが、回転軸に対するカメラの回転角を測定するように構成されてもよい。回転センサからの回転信号にフィルタをかけて表示される画像の回転を平滑化するように、プロセッサを構成することができる。また、カメラの回転が加速しているときより減速しているときに、より大きな平滑化を提供するように、フィルタを構成することもできる。フィルタは、ローパスフィルタでよく、平滑化は、ローパスフィルタの折点周波数に対し逆の関係を有していてもよい。フィルタは、カメラが一定の速度で回転しているならば、表示される画像の回転の一定の平滑化を維持してもよい。
【0008】
また、表示される画像の品質は、表示される画像彩度の選択的な協調により、強化されてもよい。使い捨ての内視鏡では、低価格のカメラセンサの画像品質が、白色の強度を減じることなく、画像の彩度を選択的に強調することにより改善されてもよい。画素の彩度は、色相、彩度、明度(HSV)色空間における彩度の係数で、および、色相、彩度、輝度(HSL)色空間における輝度の係数で、強調される。一つの態様では、画像処理方法は、HSV値をHSV色空間の画像データの画素に割り当て、その画素の彩度は彩度数の所定の範囲内であることと、HSL値をHSL色空間の画像データの画素に割り当て、その画素の輝度は輝度数の所定の範囲内であることとを備える。プロセッサは、0と1の間の分数を備える第1ファクタを計算でき、第1ファクタ分数は、彩度数の所定の範囲の下半分内のある数の周りを中心とする確率分布によって定められる。プロセッサは、0と1の間の分数を備える第2ファクタを計算でき、第2ファクタ分数は、輝度数の所定の範囲の中央のある数の周りを中心とする確率分布によって定められる。HSV色空間の画素の割り当てられた彩度を1+(所定の固定分数と第1ファクタと第2ファクタの積との積)に等しい値を乗じることで、HSV色空間の画素の彩度を調整する。そしてプロセッサは、HSV色空間の画素の割り当てられた彩度を1+(所定の固定分数と第1ファクタと第2ファクタの積との積)に等しい値を乗じることで、HSV色空間の画素の彩度を調整する。所定の固定分数は、0.5とされてもよい。確率分布は、ガウス分布とすることができる。確率分布は、所定の範囲の彩度数の約25-40%を備える数の廻りを中心とすることができる。また、確率分布は、所定の範囲の輝度数の約25-40%を備える数の廻りを中心とすることができる。
【0009】
小さな彩度値へ変換されたガウス関数は、すでに飽和した画素を過度に増幅することなく、非飽和画素を強めるようにデザインされる。第2のガウス関数は、ほとんど白色およびほとんど黒色の画素について彩度を強めることを減らすように、HSL色空間の輝度に用いられる。これらの因数は、下記の指揮を用いて彩度を強めるのに用いられる。
強められ彩度値=(元の彩度値)x(1+(因子1x因子2x0.5))
【0010】
内視鏡シャフトからの外部へ放射される電磁放射を削減するために、内視鏡の先端のカメラセンサと内視鏡ハンドル内のメインPCBとの間の信号配線を伝達する剛または柔な拡張ボードを、従来多く組み立てられたマイクロストリップよりも、ストリップラインとして構成することが好ましい。ストリップライン構造は、剛または柔な拡張ボードに埋め込まれた伝送線(信号配線を含む)の上下のグラウンドプレーンを備える。このことにより、ボード全体で均一なグラウンドプレーンとし、ボード上側から高周波電磁放射が進展することを妨げる。
【0011】
光学的結合方式が、デジタル・エレクトロニクスおよび内視鏡の外部の画像処理ユニットのシャーシ・グラウンドからの内視鏡の電気的絶縁(患者の拡張による)を強めるように実行される。例示の方式では、USB3.0の電力および信号インターフェースを用いて、内視鏡のPCBと画像処理ユニットの電子的コントロールとの間の電気的電子的接続を提供する。信号インターフェースは、5GHzまでで動作するように構成される。したがって、内視鏡ケーブルと画像処理ユニット間の接続の光学的結合は、適切な形の絶縁を提供する。例えば、USB3.0光ファイバー延長ケーブルを用いて、USB3.0信号絶縁を提供することができる。ローカルとリモート拡張間のデジタル通信のインターフェースは、0.5Mの光ファイバーケーブルで光学的に結合できる。
【0012】
他の態様では、内視鏡組立体は、内視鏡とトロカールを備えてもよい。シャフトが、シャフトの基部部分のシャフト口とシャフトの先端部分の洗浄口間で洗浄液を搬送流用になされた単一の導管を含んでもよい。シャフトは、トロカール内に挿入されるようになされ、トロカールは、シャフトの先端が開口を通じて突出できるように先端の開口を有する。
トロカールの基部部分は、トロカール流体口に接続され、トロカールの先端部分は1つ以上の側部の口を含んで、流体がトロカールの内壁と内視鏡のシャフトの外壁で画成されるトロカール空間に出入りするようにしてもよい。したがって内視鏡組立体は、洗浄用トロカール空間と吸引用シャフト導管を用いて、あるいは、吸引用トロカール空間と洗浄用シャフト導管を用いて、洗浄と吸引を同時に行うようになされる。
【0013】
これらおよび他の態様は、以下の本開示の種々の実施の形態の図面を参照しての詳細な説明から、より明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、内視鏡用の2部品のハンドルデザインを示す説明図である。
【
図4】
図4は、内視鏡のハンドル基部セクションの分解図を示す。
【
図5】
図5は、内視鏡のハンドル基部セクションの他の例の分解図を示す。
【
図6】
図6は、内視鏡のハンドル基部セクションの他の例の分解図を示す。
【
図7A】
図7Aは、内視鏡のハンドル基部セクションの一例の斜視図を示す。
【
図7B】
図7Bは、例示の内視鏡のハンドル部分を取り除いた側面図を示す。
【
図7C】
図7Cは、内視鏡の例示のハンドル先端セクションの部分の詳細図を示す。
【
図8】
図8は、内視鏡のハンドル先端セクションと回転検知アセンブリの例の分解図を示す。
【
図9A】
図9Aは、例示の内視鏡ハンドルの部分組立図を示す。
【
図9B】
図9Bは、例示の回転検知配置を含む内視鏡のハンドルの部分切欠図を示す。
【
図10A】
図10Aは、ユーティリティ部品がハンドルから内視鏡の導管へ流すことを可能にする通り抜け流体バリアの具体的な説明図を示す。
【
図10B】
図10Bは、柔軟な部品を有する通り抜けバリアの具体的な説明図を示す。
【
図11A】
図11Aは、通り抜け流体バリアとして機能する内側鞘マウントの例の分解図を示す。
【
図11D】
図11Dは、いくつかのユーティリティ部品が貫通する通り抜け流体バリアの実施例を示す。
【
図14】
図14は、組立て位置にある内側鞘マウント、旋回制御構造または組立体、およびシール部材を有する、例示の内視鏡の部分組立図を示す。
【
図15】
図15は、保護材またはハウジングに納められた通り抜けバリア、旋回制御構造、およびプリント基板を有する、例示の内視鏡の部分組立図を示す。
【
図18】
図18は、内側鞘マウント、内側鞘および外側鞘が組立て位置にある、内視鏡の拡大部分切欠図を示す。
【
図19】
図19は、内視鏡の外側鞘またはトロカールに挿入される、例示のオブトラトールを示す。
【
図20】
図20は、内側鞘から分離された、カメラ組立体マウントの例を示す。
【
図21】
図21は、内側鞘の部品としての、カメラ組立体マウントの別の例を示す。
【
図23】
図23は、カメラ組立体と、外側鞘の一部と、カメラ組立体マウントの一部の例を示す。
【
図24】
図24は、カメラ組立体と、外側鞘の一部と、カメラ組立体マウントの一部の別の例を示す。
【
図25】
図25は、カメラ組立体と、外側鞘の一部と、カメラ組立体マウントの一部の別の例を示す。
【
図26】
図26は、保護ガード、シールドあるいは先端構造なしで、カメラ組立体がシャフトの先端に実装された、内視鏡シャフトの先端の斜視図を示す。
【
図27】
図27は、プル・ワイヤを有する回転するカメラハウジングと、内視鏡シャフトのむき出しの端部(周囲の鞘を取り除いた)のLEDバンクを示す。
【
図28】
図28は、カメラ組立体用の回転楕円体の回転ハウジングの半分を示す。
【
図29】
図29は、カメラ組立体用の回転楕円体の回転ハウジングの他の半分を示す。
【
図30】
図30は、カメラ組立体用のハウジングを回転させる旋回およびベアリング要素を示す。
【
図31】
図31は、カメラ組立体用のハウジングを回転させる旋回およびベアリング要素を示す。
【
図33】
図33は、見やすさのためにカメラ組立体マウントの壁を取り除いた、カメラ組立体およびカメラ組立体マウントの側面図を示す。
【
図34】
図34は、見やすさのためにカメラ組立体マウントの壁を取り除いた、別の例示のカメラ組立体およびカメラ組立体マウントの側面図を示す。
【
図35】
図35は、見やすさのためにカメラ組立体マウントの壁を取り除いた、別の例示のカメラ組立体およびカメラ組立体マウントの側面図を示す。
【
図36】
図36は、別のカメラ組立体が取り得る回転位置の一つを示す。
【
図37】
図37は、別のカメラ組立体が取り得る回転位置の一つを示す。
【
図38】
図38は、別のカメラ組立体が取り得る回転位置の一つを示す。
【
図39】
図39は、別のカメラ組立体が取り得る回転位置の一つを示す。
【
図40】
図40は、別のカメラ組立体が取り得る回転位置の一つを示す。
【
図42】
図42は、カメラ組立体とLEDおよびそれぞれの電力・通信の拡張PCBの関係を示す。
【
図43】
図43は、内視鏡シャフト用拡張部品を有する内視鏡用PCBのフォームファクタを示す。
【
図45】
図45は、拡張PCBを内視鏡シャフトでどのように位置させるのかを示す(鞘を取り除いている)。
【
図46】
図46は、通り抜け流体バリアまたは隔壁とPCBを示す一部組立てた内視鏡を示す。
【
図47】
図47は、内視鏡ハンドルの内視鏡のPCBと他の内部の部品との関係を示す。
【
図48】
図48は、内視鏡シャフトの内側鞘内に配置された流体を搬送する内部空間と拡張PCBを示す。
【
図49】
図49は、内視鏡ハンドル内部の内部流体流路を示す。
【
図50】
図50は、光ファイバの束と電気可撓ケーブルが付けられた例示のカメラ組立体を示す。
【
図51】
図51は、例示のカメラ組立体とカメラ組立体マウントの上面図を示す。
【
図52】
図52は、カメラ組立体と可撓な光ファイバの束またはリボンの斜視図を示す。
【
図53】
図53は、モノリシックなカメラハウジングと発光特徴を有するカメラ組立体の斜視図を示す。
【
図55】
図55は、可撓な光ファイバの束またはリボンの例を示す。
【
図68】
図68は、例示のセンサと多数の照明源に加え、内視鏡の先端のカメラ組立体の具体的な図を示す。
【
図69】
図69は、内視鏡シャフトに突出する拡張部分を含む例示のプリント基板の上面図を示す。
【
図70】
図70は、突出する部分を含む例示のプリント基板の側面図を示す。
【
図71】
図71は、受信したセンサのデータに基づき、内視鏡の少なくとも1つの可変光源を、プロセッサでコントロールするのに用いられるいくつかの例示の工程を列挙するフローチャートの例を示す。
【
図72】
図72は、例示のカメラ組立体、例示のセンサ、及びいくつかの例示の光源を実装したプリント基板の突出部分の側面図を示す。
【
図73】
図73は、
図72に示したプリント基板の例示の突出部分を含む例示の内視鏡の先端の上面図を示す。
【
図75】
図75は、光源がシャフトに置かれカメラ組立体の視野から概して離れる方向に光を照射する、内視鏡の先端の斜視図を示す。
【
図76】
図76は、例示の内視鏡と例示のキャリブレーション治具を示す。
【
図77】
図77は、内視鏡の可変照明源の照明パラメータ値をキャリブレートするのに用いられるいくつかの例示の工程を含むフローチャートの例を示す。
【
図78】
図78は、ハンドルプリント基板、電力/HDMI(登録商標)ケーブル、照明用ファイバ、および洗浄ラインを組み立てられた位置に有する、内視鏡の一部組立て図を示す。
【
図79】
図79は、例示の画像処理システムのブロック図を示す。
【
図80】
図80は、回転検知アセンブリからの入力を用いて画像を正す方法を説明する図を示す。
【
図81】
図81は、内視鏡のPCB上の回転センサに対する基部ハンドル・ハウジングのマグネットの相対的位置を示す。
【
図82】
図82は、カメラセンサにより視認できる模式図を示す。
【
図83A】
図83Aは、画像の回転の修正により生ずるプロセッサの視界の影響を示す。
【
図83B】
図83Bは、画像の回転の修正により生ずるプロセッサの視界の影響を示す。
【
図83C】
図83Cは、画像の回転の修正により生ずるプロセッサの視界の影響を示す。
【
図83D】
図83Dは、画像の回転の修正により生ずるプロセッサの視界の影響を示す。
【
図84】
図84は、カメラセンサの移動速度または加速度に応じて画像の移動のフィルターを変化させるプロセッサのアルゴリズムを示す。
【
図85】
図85は、カメラセンサの移動速度または加速度に応じて画像の回転のフィルターを変化させるプロセッサのアルゴリズムを示す。
【
図86】
図86は、カメラセンサの回転速度または加速度に応じて画像の回転のフィルターを変化させる第2のプロセッサのアルゴリズムを示す。
【
図87】
図87は、カメラセンサの回転速度または加速度に応じて画像の回転のフィルターを変化させる第3のプロセッサのアルゴリズムを示す。
【
図88A】
図88Aは、内視鏡シャフトの細長いPCB部品用のPCB構成の変形を示す。
【
図88B】
図88Bは、内視鏡シャフトの細長いPCB部品用のPCB構成の変形を示す。
【
図89】
図89は、内視鏡の外部に置かれた画像処理ユニットからの内視鏡の電気的絶縁を説明するブロック図である。
【
図90A】
図90Aは、内視鏡シャフトに対し固定された角度位置を有するカメラセンサと付属するLEDの配置を示す。
【
図90B】
図90Bは、内視鏡シャフトに対し固定された角度位置を有するカメラセンサと付属するLEDの別の配置を示す。
【
図91】
図91は、シャフト部品先端の固定カメラとLEDと共にハンドル部品とシャフト部品を含む内視鏡のPCBを示す。
【
図93】
図93は、シャフトの先端のカメラセンサに隣接するLEDに電力を供給する内視鏡シャフトのPCBの一部の一部切欠図を示す。
【
図94】
図94は、内視鏡シャフトの先端のカメラとLEDを囲む光学ハウジングまたはマウントの配置を示す。
【
図97】
図97は、内視鏡シャフトの内側鞘に挿入された光学ハウジングを示す。
【
図98】
図98は、光学ハウジングを含む内視鏡シャフト用の洗浄液の流体流路を示す。
【
図99】
図99は、内視鏡シャフトの光学ハウジングと内側鞘を囲む外側鞘またはトロカールを示す。
【
図103】
図103は、別の流路を通じて流体洗浄と吸引を出来る組み合わせた内視鏡-トロカールの代表的概念図の長手方向断面図を示す。
【
図104】
図104は、別の流体洗浄と吸引用の内視鏡シャフト先端近くの先端口の例示の配置を示す。
【
図106】
図106は、カメラからの画像を選択的彩度強化するためのプロセッサによるアルゴリズムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本書で用いる用語「内視鏡」と「関節鏡」は、交換可能に用いられ、それらの広義の解釈を与え、それぞれの用語は、目視検査、診断および/または処置または修復の目的で、そうでなければ最小の侵襲的方法でアクセスの困難な空間へ挿入される細長い部分を有する器具を意味する。医学や獣医学の実務の分野では、そのような空間は、体腔や組織の空洞、関節の空間、組織平面あるいは他の体構造を含むであろう。その器具はまた、多くの非医療的(例えば、産業の)用途、例えば、視認用器具の挿入部分(柔軟であっても、剛であっても)の直径が最小となされるボアスコープや、剛なボアスコープが作動する空間が能動的に柔軟な先端部分を使うには狭すぎる場合、にも用いられる。
【0016】
内視鏡10の2部品のハンドルデザインを
図1に示す。例示の内視鏡10は、ハンドル基部セクション16とハンドル先端セクション30を含む。ハンドル基部セクション16は、ハウジングであってもよい。図示のように、ハンドル先端セクション30は、少なくとも部分的にハンドル基部セクション16内に伸びる。ハンドル先端セクション30とハンドル基部セクション16とは互いに回転できる。ある実施の形態では、ユーザがハンドル基部セクション16が動かないように持ち、ハンドル先端セクション30を親指または指で回転させてもよい。内視鏡10は、例えば、回転検知アセンブリ、流体導管、照明、撮像装置またはカメラ組立体、撮像装置用旋回制御具などを有するが、これらには限定されない。
【0017】
内視鏡10の更なる特徴が
図2に示される。内視鏡10は、ハンドル基部セクション16とハンドル先端セクション30を含む。この例では、挿入シャフトまたはセクション14の少なくとも一部がハンドル先端セクション30に固定され、ハンドル先端セクション30と共に動く。ハンドル先端セクション30は、ハンドル基部セクション16に対しハンドル先端セクション30を回転しやすくするためにユーザが押すための表面を提供するハンドル突起またはフィン36を含む。ある実施の形態では、ユーザの手でハンドル基部セクション16を動かないように持ち、ユーザの指の1本を使ってハンドル先端セクション30を回転する。
【0018】
ある実施の形態では、ハンドル基部セクション16とハンドル先端セクション30の片方または両方が、ハウジングとして機能し、または、内視鏡10の他の部品の支持構造を提供してもよい。
図2に示す内視鏡10では、回転検知アセンブリ150を含んでもよい。回転検知アセンブリ150は、ハンドル基部セクション16に対するハンドル先端セクション30の回転をトレースする。ある実施の形態では、回転検知アセンブリ150は、ハンドル基部セクション16に関して不動の部品と、ハンドル先端セクション30に関して不動の部品とを含む。例えば、回転検知アセンブリ150は、ポテンショメータとキー付きシャフトを含む。ポテンショメータは、例えば、ハンドル基部セクション16の内部ハウジングを備える支持部材に実装されてもよい。あるいは、ハンドル先端セクション30もまた、回転検知アセンブリ150の一つ以上の部品を実装する支持部材を備えてもよい(例えば、
図8の回転センサホルダ参照)。いずれの場合でも、回転検知アセンブリの回転または移動部品は、ハンドル基部セクション16に対するハンドル先端セクション30の回転量に比例して動くように配置される。
【0019】
例示の内視鏡(または、例えば関節鏡)10を
図3Aに示す。内視鏡10は、種々の内視鏡処理で、なかでも関節鏡検査を含んで、用いることができる。図示のように、内視鏡10は、ハンドル12と、1つ以上の作動部材、電気/通信ワイヤ、照明または光伝達ケーブルおよび/または流体経路を内部に配置できる細長い中空シャフトを備える挿入セクションまたはシャフト14を含む。図示のように、ある実施の形態では、ハンドル12は概して円筒形の丸い形状である。挿入セクション14はまた概略円筒形状で、長手軸に沿って延長されてもよい。ある実施の形態では、挿入セクション14は剛で、比較的直線状であってもよい。他の実施の形態では、挿入セクション14は、長さ方向の少なくとも一つの部分で、曲線状または曲げられてもよい。さらに別の実施の形態では、挿入セクション14は、曲げられて所望の形状に保たれるような、半剛性で展性のある材料を備えてもよい。挿入セクション14の直径は、ハンドル12の直径よりかなり小さい。実施の形態によっては、挿入セクション14の直径は、約5.5mm以下である。内視鏡10の挿入セクション14は、ハンドル12の長さと概略同じ長さでもよい。別の実施の形態では、ハンドル12と挿入セクション14の長さと形状は、大きく異なっていてもよい。
【0020】
挿入セクション14の少なくとも一部は、ハンドル12から取り外せる。そのような実施の形態では、挿入セクション14または挿入セクション14の取り外せる部分は、締りばめ、スナップばめ、ねじカップリング、バヨネット・マウント等を含むがこれらには限定されない種々の方法により、ハンドル12に連結される。実施の形態によっては、挿入セクション14は、使い捨て部品でもよく、ハンドル12は再利用可能な部品でもよい。
挿入セクション14が使い捨ての実施の形態では、挿入セクション14は使用後に廃棄されてもよい。他の実施の形態では、挿入セクション14は、使用後にオートクレーブ、溶液浸漬、その他の適切な消毒処理により消毒してもよい。好ましい実施の形態では、ハンドル12と挿入セクション14の両方が使い捨てで、使用後に廃棄され、消毒処理や機器の必要性と費用(エチレンオキサイド、放射線等による使用前、あるいは例えば製造中、組立て中あるいは機器の梱包中の消毒とは別に)を不要にする。さらに、内視鏡10のハンドル12と挿入セクション14の両方を使い捨てにすることにより、繰り返しの使用や繰り返しの清掃による機能や信頼性の低下が無くなる。内視鏡10の全部を使い捨てにすることにより、以下にいくつか記載するような他の利点がある。
【0021】
好ましくは、使い捨て内視鏡10は、特に再利用した器具の消毒が機能を低下するような場合には、再利用を防止する手段を備えるのが良い。例えば、内視鏡10は、内視鏡10が使用や画像表示のために接続されるベースユニットの電子プロセッサで認識できる識別コードを記録するメモリチップを含んでもよい。接続は、ベースユニットのコントローラと内視鏡10のメモリチップ間の有線通信、または例えば、内視鏡10に実装されたRFID機器を用いた無線通信を含む。(BluetoothやWi-Fiなどの他の無線通信を使ってもよい。)ある実施の形態では、ベースユニットは、最初の使用時に内視鏡10のメモリ装置を符号化するようにプログラムされても、内視鏡10がその後にいずれかのベースユニットに再接続されるときには、内視鏡10が以前に使用されたことを示すコードを読み込み認識するようにプログラムされてもよい。使用された内視鏡10と認識した場合には、コントローラは、内視鏡10とベースユニット間の電子的および画像の通信を止めるようにプログラムされてもよい。このようなコードと通信は、システムセキュリティを強めるように暗号化されてもよい。あるいは、内視鏡10は、使用後に内視鏡10を使用できない状態にするソフトウエアの無効化機構を含んでもよい。
【0022】
図3Aに示すように、内視鏡10のハンドル12はいくつかの異なった特徴を有してもよい。ハンドル12は、ハンドル基部セクション16を含む。ハンドル基部セクション16は、
図3Aに示すように比較的平坦である。ハンドル基部セクション16は、1つ以上の窪みセクションを備えてもよい。ハンドル基部セクション16はまた、いくつかの人間工学的特性を含むように形づけられてもよい。実施の形態によっては、ハンドル基部セクション16の少なくとも一部は、平滑化された表面を有さず、ギザギザのある、うねのある、ハニカム構造等のテクスチャ、および/または、ゴム引きした、または、エラストマの表層を含んで、操作中に内視鏡10を掴みやすくしてもよい。例示の実施の形態では、ハンドル基部セクション16は、いくつかのフィンガーグルーブ18を有して形成されてもよい。実施の形態によっては、ハンドル基部セクション16は、柔らかい感触を有する、または、掴んだときに気持ちの良い材料(例えば、ゴムや他のエラストマ)で形成されてもよい。実施の形態によっては、ピストルの握りのような特徴(図示せず)をハンドル基部セクション16の一部に含んでもよい。
【0023】
図3Aに示すように、ハンドル基部セクション16は2つの分かれた部分に分かれてもよい。
図3Aのハンドル基部セクション16は、ハンドル上部セクション20とハンドル下部セクション22を含む。ハンドル基部セクション16のハンドル上部セクション20とハンドル下部セクション22は、2つの別の部品として製造されて、接着、ねじ止め、スナップばめ等の適切な手段により一体に連結されてもよい。図示のように、ハンドル上部セクション20は滑らかで、ハンドル下部セクション22と異なった外形であってもよい。このことにより、ユーザは、感覚で内視鏡10の方向を素早く容易に決定することができる。実施の形態によっては、ハンドル上部セクション20とハンドル下部セクション22は、違った感触の表面材(例えば、金属とプラスチック、金属とエラストマ、滑らかとざらつき、等)を備えてもよい。
【0024】
内視鏡10のハンドル12はまた、ハンドル先端セクション30を含んでもよい。
図3Aに示すように、ハンドル先端セクション30は、ハンドル基部セクション16から挿入セクション14方向に延在する。ハンドル先端セクション30は、ハンドル基部セクション16より直径が細くてもよい。図示のように、ハンドル先端セクション30は、ハンドル基部セクション16より長いが、別の実施の形態では、ハンドル先端セクション30とハンドル基部セクション16の相対的な寸法は、違っていてもよい。
【0025】
ハンドル先端セクション30の少なくとも一部分に、
図3Aに示すように、掴み用のテクスチャがあってもよい。
図3Aに示す例示の実施の形態では、掴み用のテクスチャは、一連の螺旋状のリブ32である。他の実施の形態では、非螺旋状のリブ、こぶ、突起、溝、ハニカムパターンや他の形状のギザギザまたは市松模様等が、用いられてもよい。図示のように、例示の実施の形態での螺旋状のリブ32は、ハンドル先端セクション30の外径のほとんどを取り囲む。ハンドル先端セクション30上の掴み用のテクスチャを含む実施の形態によっては、掴み用のテクスチャは、ハンドル先端セクション30の連続した部分として形成されなくてもよい。そのような実施の形態では、掴み用のテクスチャは、ハンドル先端セクション30に適用された外皮またはスリーブであってもよい。掴み用のテクスチャの外皮は、限定はされないが、接着、スナップばめ、種々の留め具等のような適切な手段にてハンドル先端セクション30に連結されてもよい。実施の形態によっては、掴み用のテクスチャの外皮は、ハンドル先端セクション30と異なった材料で形成されてもよい。例えば、掴み用のテクスチャの外皮は、ハンドル先端セクション30の材料より掴みやすく滑りにくい、柔軟な、エラストマまたはゴム材料であってもよい。
【0026】
図3の例示の実施の形態では、ハンドル先端セクション30は、ハンドル先端セクション30の先端から突き出る、高くなったハンドル部34を含む。この例では、高くなったハンドル部34は、ハンドル先端セクション30の残りの部分から鋭く突き出てはいない。代わりに、高くなったハンドル部34ハンドル先端セクション30の残りの部分から優しく上に曲がるように作られている。この例では、螺旋状のリブ32は、高くなったハンドル部34を超えたり、その頂部に延在してはいない。高くなったハンドル部34の更なる特徴を以下に詳細に記載する。
【0027】
ある態様では、ハンドル先端セクション30の底部から突き出るのは、ハンドル・フィンまたはパドル36でもよい。この例では、ハンドル・フィン36は、ハンドル先端セクション30の残りの部分から内視鏡10の下がったまたは従属位置に向けて優しく曲がって作られてもよい。螺旋状のリブ32は、ハンドル・フィン36の底部を越えて、その上まで延在してもしなくてもよい。他の実施の形態では、ハンドル・フィン36は、ハンドル先端セクション30の頂部から突き出るように作られ、高くなったハンドル部34は、ハンドル先端セクション30の他の場所から突き出るように作られてもよい。ハンドル・フィン36は、技術者には周知のように、種々のケーブルや洗浄液等の内視鏡の入り口位置に対応するように配置される。このことは、そのような入り口が、回転を容易にするために押す表面や、方向の印として使えるので、好ましい。ハンドル・フィン36の更なる特徴を以下に記載する。
【0028】
内視鏡(または、例えば関節鏡)10の代替の実施の形態を
図3Bに示す。図示のように、内視鏡10は、ハンドル12と、1つ以上の作動部材、電気/通信ワイヤ、照明または光伝達ケーブルおよび/または流体経路を内部に配置できる細長い中空シャフトを備える挿入セクションまたはシャフト14を含む。シャフト14の少なくとも一部は、ハンドル12から取り外せてもよい。例示の実施の形態では、内視鏡のシャフト14は、取り付け構造15に取り付けられた外側鞘、トロカールまたはカニューレ318を備え、取り付け構造15は、限定はされないが、締りばめ、スナップばめ、 ねじカップリング、バヨネット・マウント等を含む種々の手段によりカニューレのハンドル12への取り外しが容易になる。
【0029】
図31Bに示すように、内視鏡10のハンドル12は、シャフト先端のセンサにより検出された画像データのコントロールまたは処理用の、および/または、シャフト端部の光源(例えばLED)に電力を供給するためのプリント基板(PCB)を囲むハンドル基部セクション16を含んでもよい。また、シャフト14内の流体搬送内部空間に接続する流体導管を収納してもよい。ハンドル基部セクション16は2つの別の部分に分離できてもよい。
図3Bのハンドル基部セクション16は、ハンドルの第1半殻とハンドルの第2半殻23を含む。ハンドル基部セクション16のハンドルの第1半殻21とハンドルの第2半殻23は、2つの別の部品として製造され、たとえば、接着、ねじ止め、スナップばめ等の適切な手段で組立て中に互いに連結されてもよく、対称形状であってもよい。例えば、ハンドルの第1半殻21を、超音波溶接技術を用いてハンドルの第2半殻23に超音波溶接してもよい。さらに、代替またはオプションとして、ハンドルの半殻21、23は、当該技術分野で既知の射出成型技術を用いて製造してもよい。
【0030】
また内視鏡10のハンドル12は、ハンドル先端セクション30を含んでもよい。
図31Bに示すように、ハンドル先端セクション30は、ハンドル基部セクション16からシャフト14方向に延在する。ハンドル先端セクション30の底部から突き出た部分は、半ドル・フィンまたはパドル36であってもよい。また、ハンドル先端セクション30は、旋回制御構造100(例えば
図14参照)の指先接触98を収容する大きさの窪み35を含む。旋回制御構造100の例は、以下でも記載され、シャフト14の先端で旋回可能なセンサ収納を回転するのに用いられる。
【0031】
また、
図31Bには,画像またはカメラ・コントロール・ボタン37が示される。それは、シャフト14の先端の画像センサで作られた画像をファイルに保存するのに用いられる。実施の形態によっては、ユーザは所定のパターンあるいは手順でボタン37を押して、例えば、シャフト14先端の画像センサの視野のディスプレイに示された画像のビデオ記録を始めたり止めたりし、シャフト14先端の画像センサの視野のディスプレイに示された画像のスナップショットを記録し、内視鏡シャフト14の端部の光エレメント(例えばLED)の輝度を変え、あるいは、センサまたは表示される画像の他の特性(例えば、白色バランス、彩度、デジタル倍率等)を調整する。センサの特性とLEDの照射を、内視鏡のPCBそのものではなく、内視鏡に接続されたグラフィカルユーザインターフェースと関連するプロセッサでコントロールするようにすることが、内視鏡のPCBのオンボード処理電力量とコストを低減できるので、好ましい。
【0032】
ボタン37は、内視鏡ハンドル先端セクション30内のメインPCBに置かれた電気機械スイッチを操作してもよい。PCB電子部品の耐湿性を最強にするために、ボタン37の動きを検知する磁気または光学センサを用いるのが好ましい。
図46(ハンドル12内のいくつかの部品の相対的位置を示す)に示されるように、ある実施の形態では、内視鏡のPCB518上のホール効果センサが、シャフト38がボタン37に接続される位置の下で近くに置かれてもよい。ボタン37はばねで留められてもよく、PCB518に接近したシャフト38の端部ははめ込まれた磁石を含むようにすることができる。ボタンシャフト38は、PCBのホール効果センサに近づいたり離れたり動くと、センサは、ボタンシャフト38の位置とその位置にある期間とに対応する適切な信号を生成することができる。
【0033】
図4および5は、
図3Aに示すハンドル基部セクション16のハンドル上部セクション20とハンドル下部セクション22の例示の実施の形態を示す。ハンドル上部セクション20とハンドル下部セクション22は、連結を解かれ、または、分解された表示で示される。ハンドル基部セクション16は、組み立てられると、殻(シェル)のような構造を形成する。ハンドル下部セクション22は、ハンドル下部セクション22の上面46から所定の距離離れて下部セクション内壁42に巻き付くレッジ40を含んでもよい。図示のように、ハンドル下部セクション22には、ハンドル下部セクション22の上面46とほぼ直交する角度で配置された、曲がった、または、U字形切り込み44がある。2つのペグ突起47が、ハンドル下部セクション22の後部の近くに含まれてもよい。ペグ突起47は、レッジ40の僅か上方にまで延在し、レッジ40の上面に略直交する角度でよい。
【0034】
図4および5に示すように、ハンドル上部セクション20の一部は、ハンドル基部セクション16が組み立てられるとハンドル下部セクション22に重なるような寸法である。
重なったセクション48は、
図4および5に示すように、ハンドル上部セクション外面50から入り込んでもよい。重なったセクション48の高さは、ハンドル下部セクション22のレッジ40の頂部とハンドル下部セクション22の上面46との距離とほぼ同じか、僅かに長くなるように選定される。このような実施の形態では、完全に組み立てられると、ハンドル上部セクション20の下面52(組み立てられたときの方向を参照しての)は、ハンドル下部セクション22のレッジ40の頂部に当接する。このような実施の形態ではさらに、ハンドル上部セクション外面50とハンドル下部セクション外面54は互いにぴったり重なり、その2つの間にギャップがほとんどないほぼ連続した表面を形成できる。実施の形態によっては、ハンドル上部セクション外面50とハンドル下部セクション外面54の間に小さなギャップがあってもよい(
図3に示す小さなギャップ)。
【0035】
図示のように、ハンドル上部セクション20は、ハンドル下部セクション22のペグ突起47を受け入れるように形作られ、配置されたペグ切込み59を含んでもよい。ハンドル上部セクション20は、ハンドル上部セクション20の根本または基部部分に曲面切り込み58を含んでもよい。図示のように、曲面切り込み58は、ハンドル上部セクション20の下面52(組み立てられたときの方向を参照しての)に実質的に直交する角度でハンドル上部セクション20への窪みであってもよい。ハンドル基部セクション16が組み立てられると、ハンドル下部セクション22の曲面またはU字形切り込み44とハンドル上部セクション20の曲面切り込み58は一緒になって、以下に記載する、実質的に円形のまたは楕円形のハンドル空間または開口60を形成する。本書で用いる用語「切り込み(切り抜き)」「切れ目(cut)」等は、切り込みや材料除去プロセスにより材料が物理的に取り除かれなければならないことを意味するとは、解釈しなくてもよいことを理解願う。実施の形態によっては、曲面またはU字形切り込み44と曲面切り込み58は、製造中に材料を物理的に除去することなしで形成されてもよい。
【0036】
図4に示すように、ハンドル下部セクション22は、シャフト支持部材63を含んでもよい。
図4のシャフト支持部材63は、
図5の歯付き突起62の位置におおよそ対応する曲がり部分または半円部分を有する。シャフト支持部材63はまた柱を含む。柱は、半円部分の中心点から突き出て、柱の両側に半円部分を90°ほど残す。シャフト支持部材63の柱の頂部からハンドル基部セクション16の先端方向に直交方向に、シャフト支持セクション65が突き出る。シャフト支持セクション65は、センサ歯車シャフト120(
図8参照)の一部が据え付けられる窪みを含んでもよい。シャフト支持部材63の柱は、ハンドル基部セクション16が完全に組み立てられたときに、半円部分の半径と同じくらいの長さでよい。シャフト支持部材63、歯付き突起62および歯付き突起64を以下にさらに説明する。
【0037】
図5に示すように、ハンドル下部セクション22は、代替または任意に、曲がり歯付き突起62を含んでもよい。曲がり歯付き突起62は、ハンドル上部セクション20に含まれる類似の歯付き突起64とで完成する。歯付き突起62と歯付き突起64は、ハンドル基部セクション16が完全に組み立てられたときに、互いに整列し、円環または内側リングギアを形成するように、配置される。
【0038】
図4および5に示すように、ハンドル下部セクション22の曲がりまたはU字形切り込み44に対向する面とハンドル基部セクション20の曲面切り込み58に対向する面は、半円の開口または隙間70を含んでもよい。曲がりまたはU字形配線72が、
図4および5に示すように、それぞれの半円の隙間70の円弧全体にわたり半円の隙間70の縁に窪んで形成されてもよい。
【0039】
図6は、
図3Bに示したハンドル基部セクション16のハンドルの第1半殻21とハンドルの第2半殻23の例示の実施の形態を示す。ハンドルの第1半殻21とハンドルの第2半殻23とは、連結されない、または、分解された図で示される。ハンドル基部セクション1は、組み立てられるとシェル状構造を形成する。ハンドルの第1半殻21とハンドルの第2半殻23のうちの一つは、組み立てやすいように、ハンドルの第1半殻21とハンドルの第2半殻23のうちの他の一つの共同壁状拡張43とフィットする大きさのスロット41を含んでもよい。
図4および5と同様に、
図6の例示の実施の形態は、曲面切り込み58を含んでもよい。これらの曲面切り込み58は、ハンドル基部セクション16が組み立てられたときにハンドル基部セクション16の内部空間へのアクセスを可能にする。
【0040】
シャフト先端でのハンドル先端セクション30、シャフト14、およびセンサまたはカメラに対するハンドル基部セクション16の回転方向をトレースできることは有益であろう。ある実施の形態では、このことは、ホール効果センサと組み合わされた磁石との間の相互作用を通じて成し遂げられる。ホール効果センサをハンドル基部セクション16上に配置し、ハンドル基部セクション16内の内部部品上に磁石を配置してもよく、または、1つ以上の磁石をハンドル基部セクション16に配置し、1つ以上の組み合わされるホール効果センサをハンドル基部セクション16内のPCB上に載置してもよい。実施の形態によっては、1つ以上の磁石51をハンドル12の一部にはめ込み、または、取り付けてもよい。
図6に示す例示に実施の形態では、ハンドル基部セクション16は、互いにほぼ対向して配置された2つの磁石51を含む。他の実施の形態では、異なった数の磁石51が用いられる。図示のように、この場合、ハンドルの第1半殻21とハンドルの第2半殻23とはそれぞれ、内部壁に挿入された磁石51を含む。例示の実施の形態では、磁石51は、ハンドル基部セクション16の所定位置に磁石51を保持する保持構造53に連結される。磁石は、適切なレアアースまたは遷移金属、あるいは、それらの合金で作られるのも任意である。
【0041】
図3Aの例示のハンドル先端セクション30は、
図7Aではハンドル12の残りの部分から離されて図示される。
図7Aは、ほぼ上側からの斜視図でハンドル先端セクション30を示す。図示のように、上記に詳述した螺旋状のリブ32と前面の高くなったハンドル部34が、ハンドル先端セクション30上に見える。ハンドル先端セクション30の垂直中央面を下に走る継ぎ目で示されるように、ハンドル先端セクション30は、2つ以上の別々の部分(例示の実施の形態では、30aと30b)として作られてもよく、それらは、スナップばめ、接着および/またはねじ止めなどの適切な手段または適切な手段の組み合わせにより連結される。
【0042】
図7Aのハンドル先端セクション30は、
図3Aに示されないセクションをさらに含む。
図3Aのように、内視鏡10が組み立てられると、ハンドル先端セクション30の一部は、ハンドル基部セクション16の内部に収納されてもよい。例えば、収容されたハンドル電子部分80は、外部ハンドル遠位部分82(
図3Aおよび
図7Aの両方で見える)から近位方向に突き出る。収容されたハンドル電子部分80について、以下にさらに説明する。
【0043】
収容されたハンドル電子部分80と外部ハンドル遠位部分82との間には、小径わたり84がある。図示のように、小径わたり84は、小径わたり84の外表面に食い込んだ丸溝86を含む。実施の形態によっては、完全に組み立てられると、ハンドル先端セクション30の小径わたり84は、ハンドル基部セクション16の半円の開口70内に位置してもよい。小径わたり84の丸溝86と半円の開口70の曲がるまたはU字形の配線72は、互いに整列してもよい。このことにより、内視鏡10が使用されると、ハンドル先端セクション30とハンドル基部セクション16は互いに回転できる。任意ではあるが、ハンドル先端セクション30の小径わたり84の丸溝86およびハンドル基部セクション16の半円の開口70のU字形配線72に沿って、ボールベアリング(不図示)または他のタイプのベアリングを用いてもよい。好適な実施の形態では、ハンドル先端セクション30の小径わたり84の丸溝86にOリング(不図示)が置かれてもよい。Oリング(不図示)は、ハンドル基部セクション16とハンドル先端セクション30の間のダイナミックシールとして機能する。このような実施の形態では、ハンドル基部セクション16の内部からの流体をシールしつつ、ハンドル基部セクション16とハンドル先端セクション30とは相対的に回転できる。
【0044】
ハンドル・フィンまたはパドル36あるいは他の隆起物は、ハンドル基部セクション16とハンドル先端セクション30とが相対的に回転するときにユーザ用の方向マーカとして作用できる。方向は、目視または手触りで確認できる。実施の形態によっては、ハンドル・フィンまたはパドル36上の掴み用のテクスチャが、ハンドル先端セクション30の残りの部分の螺旋状のリブ32と異なり、手触りでの方向確認を容易にする。
【0045】
図7Aに示すように、高くなったハンドル部34は、ボタン90を含んでもよい。実施の形態によっては、高くなったハンドル部34は2つ以上のボタン90を含んでも、あるいは、ボタンを全然含まなくてもよい。ボタン90は、ハンドル先端セクション30のどこにでも、あるいは、ハンドル12のどこにでも、配置され得る。実施の形態によっては、高くなったハンドル部34が1つのボタン90を含み、1つ以上の他のボタン90がハンドル12のいずれかに配置されてもよい。実施の形態によっては、ボタン90は、押されることによる回路をつなげ、または切断する、押せる部品を含む機械的作動スイッチである。ボタン90は、磁石をハンドル先端セクション30内のホール効果センサの近くのボタン部分にはめ込むことにより、磁石またはホール効果によるスイッチを備えてもよい。他のタイプのボタンまたはスイッチを用いてもよい。ボタン90に、種々のユーザの操作により作動する複数の機能を割り当ててもよい。実施の形態によっては、ボタン90の1つまたはそれ以上が、外部ハンドル遠位部分82に関してシールされて、液体浸入を防止する。
【0046】
ボタン90は、画像保存ボタンであってもよい。このような実施の形態では、ボタン90を押すと、内視鏡10で生成された画像の写真が記録される。実施の形態によっては、ユーザがボタン90をダブルタップし、ボタン90を長押し、または、ボタン90を押し続けることにより、画像装置を内視鏡10に接続してビデオ録画を始めてもよい。ビデオ録画を止めるのに、ユーザが、ボタン90をダブルタップし、ボタン90を長押し、または、ボタン90を放してもよい。実施の形態によっては、ユーザは、ビデオ録画を止めるのに、ボタン90を押して放すことだけを要求されてもよい。実施の形態によっては、内視鏡10がビデオ録画している間に、ユーザがボタン90を1回押すと、ビデオ記録を中断することなしに、静止画が記録されてもよい。別の方法においては、ボタン90を早く押して放すことが静止画の記録のトリガーとなり、より長く押して放すこと、または、押して維持することが、ビデオセグメントの記録のトリガーとなってもよい。
【0047】
高くなったハンドル部34は、スライドボタン窪み92をさらに含んでもよい。
図7Aに示すように、スライドボタン窪み92は、横方向の動きを拘束しつつ、スライドボタンまたは指先接触98(
図14参照)の前後方向への動きができるように配置される。スライドボタンは、実施の形態によっては、旋回制御具または旋回制御構造100(例えば、
図14参照)の一部であってもよい。実施の形態によっては、
図7Aに示す実施の形態を含み、スライドボタン窪み92は、その中に配置されるハンドルの部分の形状に合致するように僅かに曲がっていてもよい。
【0048】
図7Aに示すように、スライドボタン窪み92は、スライドボタンの対応する要素と係合できるいくつかの突起または戻り止め94を含んでもよく、ユーザがスライドボタンを前後に動かすときに一連の個別の明確なストップを提供する。いくつかの実施の形態では、突起94を含まなくてもよい。実施の形態によっては、ユーザが作用する旋回制御構造100(
図12参照)の一部は、高くなったハンドル部34のスライドボタン窪み92内に配置される旋回制御構造ノッチ96(
図14参照)を通って突出する。
図7Aに示す例示の実施の形態では、旋回制御構造100のそのような一部が指先接触98を含む。図示のように、指先接触98は、人間工学的理由により、傾斜した輪郭を有してもよい。旋回制御構造100について、以下にさらに説明する。
【0049】
図7Bおよび
図7Cは、旋回制御構造100の指先接触98を収容するのに用いられる窪み35の代替の実施例を示す。ハンドル基部セクション16とハンドル先端セクション30の一部は、見やすさのために取り除かれている。
図7Cは、
図7Bの領域7Cの詳細図を示す。
図7Cでよく見えるように、実施の形態においては、窪み35は、
図7Aに示すスライドボタン窪み96の動きと同様に旋回制御構造の段階的動き用の突起94を含む。あるいは、窪み35はほぼ滑らかであり、旋回制御構造100の移動経路を収容するように曲がっていてもよい。
【0050】
ハンドル先端セクション30の内部は、窪み35の下方に位置する棚95を含んでもよい。棚95は、輪郭が窪み35の輪郭によく似た表面を有する。棚95は、1つ以上の突起または戻り止め94を含み、ユーザが旋回制御構造100を前後に動かすときに一連の個別の明確なストップを提供する。これらの突起94は、旋回制御構造100から延在する1つ以上のアーム97と相互作用する。アーム97は、棚95の滑らかで突起や戻り止め94の無い部分上を自由に動ける。アーム97の一つが突起94に遭遇すると、突起はそのアーム97に当接し、突起94により与えられる機械的相互作用を越えるのに十分な力が作用するまで、旋回制御構造100のそれ以上の移動を妨げる。すなわち、突起94は、指先接触98がすべき位置から外れて作動することを防止する力バリアを形成する。
実施の形態に応じて、突起94は、棚95の表面に対で置かれてもよい。突起94の対のそれぞれの突起94は、旋回制御構造100のアーム97の幅と同じくらいに離れて置かれてもよい。
【0051】
図8は、取り付けられた挿入セクション14を無しにした例示のハンドル先端セクション30のより詳細な図を示す。例示の回転検知アセンブリ150も
図8に示される。図示のように、ハンドル先端セクション30は2つの部分30aと30bとして製造される。
例示の実施の形態では、ハンドル先端セクション30の2つの部分30aと30bは、ねじ止めされるいくつかのねじ穴102を含む。ねじ(不図示)または他の適切な留め具を用いて、ハンドル先端セクション30の2つの部分30aと30bを一体に連結する。実施の形態によっては、2つの部分30aと30bは、スナップばめ、超音波溶接、接着等により一体に連結されてもよい。
【0052】
実施の形態によっては、ハンドル先端セクション30の2つの別々の部分30aと30bの内の1つは、2つの別々の部分30aと30bの他の1つ上の相補のペグ受け入れ空洞106内にフィットするペグ状の突起104を含んでもよい。このことにより、2つの別々の部分30aと30bとを整列させ、および/または、一体に連結するのに役立つ。
実施の形態によっては、
図8に示す実施例を含めて、外部ハンドル遠位部分82は、本質的に中空である。いくつかの実施の形態では、外部ハンドル遠位部分82の中空部は、流体に対してシールされなくてもよい。
図8に示す例示の実施の形態では、ドレーン通路108が、例えばハンドル・フィン36に含まれてもよい。ドレーン通路108によりどんな流体も外部ハンドル遠位部分82の中空部に入り、容易に排出される。代替の実施の形態では、追加のおよび/または異なったドレーン配置を含んでもよい。
【0053】
ハンドル先端セクション30は、
図8に示されるように、また、回転センサホルダ110を含んでもよい。回転センサホルダ110は、内視鏡10が完全に組み立てられたとき、回転検知アセンブリ150を保持する。図示のように、回転検知アセンブリ150は、前進ギア112を含んでもよい。前進ギア112は、前進ギアシャフト114に配置される。
図8に示すように、分配ギア116も前進ギアシャフト114に置かれ、前進ギア112の回転が分配ギア116を同様に回転させてもよい。分配ギア116は、センサ歯車シャフト120に配置されたセンサシャフトギア118と噛み合ってもよい。前進ギア112が回転すると、センサシャフトギア118とセンサ歯車シャフト120も回転する。
ギアアセンブリの使用により、取り付けられたポテンショメータ122をハンドル先端セクション30の中央回転軸からずれた位置に置くことができ、他の内部構造(例えば、洗浄導管、光ファイバの束、電気可撓ケーブル、または他の電子部品)を中央に置くことができる。
【0054】
図8の例示の実施の形態のように、センサ歯車シャフト120は、キー溝を付けた、または、キー付きの(例えば、D字形の)部分を含んでもよい。キー付きの部分は、動作可能なように1つ以上の回転ポテンショメータ122と係合してもよい。
図8の例示の実施の形態では、2つの回転ポテンショメータ122がある。ポテンショメータ122は、
図78を参照して説明されるハンドルの取り付け要素、またはプリント基板の一部に実装され、あるいは、取り付けられてもよい。それぞれのポテンショメータ122は、キー付きの(例えばD字形の)空洞を含み、センサ歯車シャフト120の対応するキー付きの部分と接続される。センサ歯車シャフト120が回転すると、ポテンショメータ122の電気抵抗が比例して変化する。抵抗値は、センサ歯車シャフト120の回転量と予測可能に変化するので、ポテンショメータ122の測定抵抗値は、ハンドル基部セクション16とハンドル先端セクション30の(延長すると、挿入セクション14の)間で生ずる回転量を判断するのに用いることができる。
【0055】
実施の形態によっては、各ポテンショメータ122の筐体は、収容されたハンドル電子部分80の要素(あるいはハンドル先端セクション30に取り付けられた他の要素)に実装され、よって、ポテンショメータ122のシャフトまたは回転ハブがハンドル基部セクション16に接続されつつ、ハンドル先端セクション30(延長すると、挿入セクション14)に対して固定される。別の実施の形態では、ポテンショメータ122の筐体は、ハンドル基部セクション16に対して固定され、シャフトまたは回転ハブが、ハンドル先端セクション30またはハンドル電子セクション80の要素に接続されてもよい。
【0056】
図8の例示の実施の形態は、一緒に重ねられた2つの回転ポテンショメータ122を含み、互いに回転上でずれている。代替の実施の形態では、ポテンショメータ122互いに離間し、しかし共通の回転軸(例えば、両ポテンショメータ122のワイパーが共通シャフトで動かされる)を有していてもよい。この配列では、コントローラは、両ポテンショメータ122からの電気抵抗値を受信し、360°の回転において所望の精度でセンサシャフト(および、結局は内視鏡先端の部品)の回転角度を算定でき、よって、内視鏡の先端シャフト(例えば、カメラ)の部品の回転の測定で、計算上の「盲点」を無くすのに役立つ。可動域の末端における1つのポテンショメータ122のワイパーの位置により生ずる盲点は、可動域の末端位置にはない第2のポテンショメータ122のワイパーにより補完される。代替の実施の形態では、2つ以上の回転でずれているポテンショメータ122を用いてもよい。ポテンショメータ122間の回転上のずれは、計算単純化のため180°でよく、しかし、1つのポテンショメータ122により生ずる盲点が他のポテンショメータ122の作動範囲に重なることができる回転上のずれであれば、同様の結果を得るために他の角度のずれを用いてもよい。代替の実施の形態では、前進ギア112、分配ギア116およびセンサシャフトギア118間のギア比は、回転測定における正確度の要求、ポテンショメータ122の繊細度、その他の要素に応じて変化してもよい。代替の実施の形態では、回転検知アセンブリ150は、1つ以上のギアアセンブリではなく、ベルトを用いてもよい。例えば、分配ギア116とセンサシャフトギア118は、ベルトに置き換えられてもよい。当該技術分野で公知の他の回転-回転配列を用いてもよい。実施の形態によっては、前進ギアシャフト114は、ポテンショメータ122と動作可能なように直接係合するキー特徴(例えば、D字形部分)を含んでもよい。ポテンショメータ122以外の回転センサをまた、用いてもよい。代替の実施の形態では、回転エンコーダ、回転可変作動トランス、あるいは、他のエンコード装置などの回転センサを含んでもよい。回転エンコーダを用いる実施の形態では、エンコーダは、グレイエンコーダ、磁気エンコーダ(例えば、
図9B参照)、光学式エンコーダ等でよい。
【0057】
ある実施の形態では、センサ歯車シャフト120は、シャフト支持部材63のシャフトギアセクションにまで延在していなくてもよい。むしろ、回転検知アセンブリ150は、回転センサホルダ110に支持されてもよい。他の利点の中でも、この配列では、ハンドル基部セクション16に対してハンドル先端セクション30は無制限の回転角度を許容する。さらに、当業者であれば理解できるように、このことは、回転検知アセンブリ150の部品が中心からずれた位置に配置されることを可能とする。このことは、組立て中にいくつかの利点を提供する。例えば、洗浄ライン434(
図78参照)、電力ケーブル432(
図78参照)等の経路設定を単純化できる。
【0058】
他の実施の形態では、シャフト支持部材63とポテンショメータ122がシャフトで直接接続される。先端にキー溝を付けたまたはキー付きのシャフトが、シャフト支持部材63のシャフトギアセクションから延在し、ポテンショメータ122の対応するキー溝を付けた、または、キー付きの(例えば、D字形の)空洞へ延びる。シャフト支持部材63は、ハンドル基部セクション16に対して固定されるので、ハンドル基部セクション16に対するハンドル先端セクション30の回転は、ポテンショメータ122で測定される抵抗値を変化させる。上述のように、抵抗値は、1つのハンドルセクションの他に対する回転につれ予測可能に変化するので、抵抗の測定を用いて、ハンドル先端セクション(及び、結局は、例えば
図23に示される内視鏡の先端またはカメラ組立体350)による回転量を判断することができる。
【0059】
別の実施の形態では、回転検知アセンブリ150は、収容されたハンドル電子部分80(
図7A参照)に配置されたレンジ・ファインダを含んでもよい。ハンドル基部セクション16(
図4参照)の内部壁は、ハンドル基部セクション16の内部壁の360°のほとんどまたは全てに巻き付く、変化する厚さまたは高さの高くなった表面を含み、その円周経路に沿って所定の方法で厚さまたは高さが変化してもよい。ハンドル基部セクション16とハンドル先端セクション30とが相対的に回転すると、レンジ・ファインダは、コントローラにレンジ・ファインダで読み取られた変化する表面(変化する厚さか高さのいずれか)までの距離に応じて変化する信号を提供する。この信号は、レンジ・ファインダで測定した所定の基本位置に対する厚さ/高さまたは距離に関連し、基本位置では、表面は特定の厚さまたは高さを有し、ハンドル基部セクション16に対するハンドル先端セクション30の特定の角度回転に関連する。この距離を直前の距離と比較し、生じた回転量を決定する。レンジ・ファインダは、いかなるタイプのレンジ・ファインダ(例えば、機械的位置センサ、音響レンジ・ファインダ、レーザーまたは他の光学的レンジ・ファインダ等)でよい。
【0060】
さらに別の代替の実施の形態では、光学マウスのようなセンサ配列を用いてもよい。センサは、1つの収容されたハンドル電子部分80またはハンドル基部セクション16に実装され、他の収容されたハンドル電子部分80またはハンドル基部セクション16の動きをトレースするように構成されてもよい。このような実施の形態では、センサで検知された動きの量と方向を用いて、生じた回転変位の量と方向を決定できる。実施の形態によっては、センサでトレースされた表面は、参照グリッド、いくつかの独特な標識、マーク、または他の区別できる表現を有し、センサが開始時点での回転方向の決定をできるようにする。当業者に公知の他の種類の回転検知アセンブリ150を、様々な実施の形態で用いてもよい。
【0061】
図8に示すように、ハンドル先端セクション30の回転センサホルダ110は、ハンドル先端セクション30の2つの別々の部分30aと30bが一体に連結されるときに回転検知アセンブリ150が2つの別々の部分30aと30bの間に掴まれるような形状でよい。それぞれの側の回転センサホルダ110は、前進ギアシャフト溝124とセンサ歯車シャフト溝126を含む。組み立てられると、前進ギアシャフト溝124とセンサ歯車シャフト溝126は、それぞれ前進ギアシャフト114とセンサ歯車シャフト120用の軸受表面として動作できる。両側の回転センサホルダ110はまた、保持空洞128を含んでもよい。保持空洞128は、ハンドル先端セクション30が完全に組み立てられると分配ギア116、センサシャフトギア118、およびポテンショメータ122が回転センサホルダ110内にフィットするような大きさと形状でよい。
【0062】
図9Aは、内視鏡10のハンドル12の一部組立て図である。
図9にはハンドル基部セクション16のハンドル下部セクション22だけが示される。図示では、ハンドル基部セクション16のハンドル下部セクション22の一部は切り取られている。さらに、
図9Aに示す実施の形態では、ハンドル先端セクション30は、2つの別々の部分30aと30b(
図8参照)から組み立てられる。ハンドル先端セクション30の1つの半分(30b)は、
図9Aでは見やすさのために取り除かれている。{
図9Aに示す実施の形態では、ハンドル先端セクション30は、2つの別々の部分30aと30b(例えば
図8参照)から組み立てられる。ハンドル先端セクション30の1つの半分(30a)は、
図9Aでは見やすさのために取り除かれている。}収容されたハンドル電子部分80は、ハンドル基部セクション16内に置かれる。外部ハンドル遠位部分82は、ハンドル基部セクション16を越えて延在し、環境に晒される。
【0063】
上述の通り、回転検知アセンブリ150は、回転センサホルダ110内に配置される。
図示のように、回転検知アセンブリ150の前進ギア112は、歯付き突起62と歯付き突起64(
図5に明確に示される)で形成された円環ギアと噛み合う。このような実施の形態では、ハンドル12が完全に組み立てられると、ハンドル先端セクション30のハンドル基部セクション16に対する回転は、歯付き突起62と歯付き突起64で形成された円環ギアと噛み合うので、前進ギア112を回転させる。その後、この回転は、回転検知アセンブリ150の残りの部分を通じて伝達され、回転が、回転検知アセンブリ150により計測できる。好適な実施の形態では、全体のギア比は、ほぼ1:1である。
【0064】
あるいは、ギア要素ではなく、
図4に示されるのと類似して、ハンドル基部セクション16は、シャフト支持部材63のシャフト支持セクション65に固定されたキー付きシャフトまたは一部キー付きシャフトを備えてもよい。シャフトのキー付きの部分は、回転センサホルダ110内に保持される、1つ以上のポテンショメータ122のハブと噛み合うように配置される。よって、ハンドル先端セクション30がハンドル基部セクション16に対して回転すると、1つ以上のポテンショメータ122のワイパーは、ハンドル先端セクション30と基部セクション16の相対位置を回転方向を決定するのに用いられる電気抵抗に変換することができる。
【0065】
ここで
図9Bを参照して、回転検知アセンブリ150を含む内視鏡10の例示のハンドル12について説明する。ハンドルの第1半殻21だけを
図9Bに示して、ハンドル12の内部を見えるようにしている。さらに、ハンドルの第1半殻21の一部を切り除いてある。
【0066】
図9Bに示されるのは、シャフト先端の画像センサからの画像データ処理、任意ではあるが内視鏡シャフトの先端の光源(例えば、LED)に電力の提供、のための電子部品を備えるプリント基板(PCB)用の筐体431である。PCBもまた、または、追加で防水材料で包まれているので、筐体431は任意の構造である。防水材料は、例えば、パリレン、または、PCB上に実装された個々の電子部品をコーティングし保護する他の化学蒸着したポリマー等、適切なポッティング材であればよい。また、ハンドルの第1半殻21に含まれる磁石51も示される。筐体431内のプリント基板は、例えば、ホール効果センサまたはセンサ配置などの1つ以上のマグネット位置センサ430gを含んでもよい。
図6に関連して上で述べたように、ハンドルの第1半殻21とハンドルの第2半殻23のそれぞれは、実施の形態によっては1つまたは複数の磁石51を含む。ある実施の形態では、2つの磁石51が、ハンドル基部セクション16の半分のそれぞれに向かい合って配置される。ハンドル基部セクション16がハンドル先端セクション30に対して回転すると、磁石51は、筐体431および囲まれたプリント基板に対して移動する。プリント基板上のマグネット位置センサ430gは、磁石がプリント基板に対して動くので磁場の強さと位置の変化により磁石51の相対的位置を検出できる。ある実施の形態では、磁石51を検知するのに単一3軸位置センサを用いる。1つ以上のセンサからのデータは、ハンドル基部セクション16のハンドル先端セクション30に対する(そして、内視鏡シャフトの先端での光学センサまたはカメラの位置に対する)相対位置にセンサのデータを変換するコントローラまたはプロセッサに伝達される。よって、内視鏡シャフトの先端のカメラを実際に動かすことなく、カメラの視野の表示される画像を、所望の方向へ回転させることができる。
【0067】
ここで10Aを参照すると、ある実施の形態において、内視鏡10の挿入セクション14は、そこを通じて動作または機能がなされる導管157を含む。産業用途または医療用途において、この導管157を用いて、挿入セクション14の末端で対象を処理するために器具(把持装置、鉗子、クランプ、ワイヤバスケット、拡張器、ナイフ、ハサミ、磁気ピックアップ等の器具)を通してもよい。流体(ガスまたは液体)も外部の源と挿入セクション14が置かれる空間との間で通させてもよい。医療用途では、このような導管157を用いて、体腔にガスを吹き込み、体腔からガスを抜き取り、空間を液体で洗浄し、液体および/または浮遊粒子を吸引してもよい。導管157は、任意で、光伝達、情報伝達、動力伝達および機械制御部品などのユーティリティ部品を搬送してもよく、挿入セクション14内のスペースを節約し、挿入セクション14の全体直径を減じるのに役立つ。光伝達部品は、例えば、光ファイバ束、リボン、光導体、発光要素および/または類似の物を含む。情報伝達部品は、例えば、挿入セクション14の末端の撮像装置または画像センサをハンドル12内に置かれた若しくは内視鏡10の外部の画像処理ユニットに接続する電気ケーブル束またはリボンを含む。このようなケーブルはまた、画像センサに電力を供給する。機械制御部品は、例えば、挿入セクション14の末端近くの要素の動きを制御するプッシュ・ロッド、プル・ワイヤ等を含む。これには、例えば、ハンドル12から延在する機械制御部品を用いて能動的に曲げられる挿入セクション14の能動的に柔軟な先端部分を含む。さらに、例えば、ハンドル12から延在する機械制御部品を用いて能動的に動かされる、挿入セクション14の末端の回転するカメラまたはカメラ・マウントを含む。
【0068】
ある実施の形態では、挿入シャフトまたはセクション14内の流体搬送導管157は、例えば、光ファイバ束、通信ケーブルおよび機械的アクチュエータのような、内視鏡10のユーティリティ部品を囲むように構成される。さらなる実施の形態では、導管157は、挿入シャフト14の先端のカメラ組立体350(例えば、
図23参照)と流体連通してもよい。カメラ組立体350は、通信ケーブルと接続するカメラセンサまたは撮像装置を含む。この場合には、カメラセンサと通信ケーブルの接点および関連レンズ組立体の内部部品は、導管157に存在する液体に晒されることに対してシールされる。カメラ組立体350、レンズ組立体、通信ケーブル、機械的アクチュエータ(例えば、プル・ワイヤ)および光ファイバケーブルまたは束が「湿った」導管にされてもよくすることは、内視鏡10の少なくとも一部分が使い捨て機器、すなわち、医療処理での使用後に廃棄可能であれば、実現可能である。内部導管部品を十分に消毒することについての技術的課題は、このように取り除かれる。
【0069】
内視鏡10のいくつかの部品、特にハンドルセクション12内に配置された電子部品は、乾燥されていることが好ましい。挿入セクション14の導管157とハンドル12の間の隔壁またはバリア要素159は、導管157からハンドル12の内部空間への流体の浸入を防止しながら、ハンドル12から挿入セクション14の導管157への部品の通り抜け上記のを許容してもよい(
図10Aにおいて、線分155で代表され、通り抜け部品として参照される)。バリア159は、上記のユーティリティ部品などの通り抜け部品155がハンドル12から、挿入セクション14の導管157へ通過できる通路(穴、スリットなど)を備えてもよい。通路は、通り抜け部品155の外表面周りにかなりきつくフィットするように形成されてもよい。実施の形態によっては、エラストマーガスケット、Oリングまたは他の類似要素が、挿入セクション14からハンドル12の内部空間への液体の浸入を防止するのを補助してもよい。バリア159は、ハンドル12と挿入セクション14の基部の間の結合領域を分ける壁を備えてもよい。結合領域は、導管157が導管157に外部流体接続を提供する導管開口に接続する領域に近くてもよい。バリア159は、代替としてブロックを備え、ブロックを通じて経路管が、ブロックの第1側の導管157と連通するユーティリティー孔を、ブロックの第1側の反対のブロックの第2側、またはブロックの第3側(実施の形態によっては、ブロックの第1側とほぼ直交する)の1つ以上の特徴(例えば、導管開口)と接続してもよい。ハンドル12からのケーブル、リボン、ワイヤ、プッシュ・ロッドあるいは他の部品の通路は、ブロックの第1側の反対のブロックの第2側に形成されてもよく、ブロックのユーティリティー孔と整列していてもよい。導管157は、器具のハンドル12に接続したまたは取り付けられた鞘(
図18の内側鞘312など)から形成されてもよい。実施の形態によっては、ハンドル12と挿入セクション14の鞘との間の通り抜けバリア159は、鞘マウントを備え、鞘マウントは、ハンドル12でその基端に近い基部側で挿入セクション14の鞘を支持し、ハンドル12に接触または接続する。実施の形態によっては、挿入セクション14は、その中に鞘が位置するカニューレを備えてもよい。カニューレは、切断機構を介してハンドル12に実装され、ハンドル12と鞘を含めて、内視鏡10が現場から引き抜かれても、カニューレが現場に留まるようにしてもよい。
【0070】
ここで
図10Bを参照すると、実施の形態によっては、バリア159は、柔軟なまたはエラストマーの部材153を含んでもよい。1つ以上の通り抜け部品155は、バリア159の柔軟部材153を通って延在してもよい。実施の形態によっては、柔軟部材153における通り抜け部品155の出入り口の1つまたは両方は、シール部材または物質151でシールされてもよい。シール部材または物質151は、導管157とハンドル12の間の流体の流れを防止する。シール部材または物質151は、通り抜け部品155を、柔軟部材153内で出入り口に対する動きを防止されるように、保持する。例えば、のり、エポキシ、他の接着剤のような、適切なシール部材または物質151が用いられる。別の実施の形態では、通り抜け部品は、柔軟部材153に溶剤結合、加熱結合等をされてもよい。さらに別の実施の形態では、柔軟部材153は、通り抜け部品155と柔軟部材153の間にシールが生成されるように、製造中に通り抜け部品155の周囲に形成されてもよい。
【0071】
通り抜け部品155が動くと(例えば、カメラ組立体の回転のためにプル・ワイヤを作動する)、通り抜け部品155は、固定され、シール部材または物質151のために柔軟部材153内の出入り口に対して変位することを防止されているので、柔軟部材153は伸びまたは曲がる。よって、導管157からハンドル内への流体の進入または漏れは実質的にまたは完全に防止され、一方、通り抜け部品155の前後への動きは許容される。固定された位置にとどまり動かない通り抜け部品155は、必ずしも柔軟部材153を通り抜けなくてもよい。代わりに、これらの部品は、柔軟部材153に連結され、または連結されないバリア159の剛な部分を通り抜けてもよい。柔軟部材153は、例えば、エラストマー部材、柔軟な膜、受難な壁、ベロースのようなもの、ダイアフラム等で作られる。
【0072】
図10Aと関連して説明したバリア159を
図11Aに示し、内側鞘マウント160としても参照する。図示のように、内側鞘マウント160は、先端セクション161aと基部セクション161bを含み、
図11Aでは互いに分離して内側鞘マウント160の内部を見せる。図示のように、先端セクション161はノッチ162を先端セクション161aの各側に含む。
図11Aの例示の実施の形態に示すように、先端セクション161a
の内面164(組み立てたとき)の一部分は、くぼんでいる。洗浄または吸引経路管166もまた、内側鞘マウント160の先端セクション161a内の奥におかれる。図示のように、洗浄経路管166は、くぼんだ面164内に置かれる。洗浄経路管166は、ユーティリティー孔168と第1端部で連通する。例示の実施の形態では、ユーティリティー孔168は、くぼんだ面164内で、ほぼ先端セクション161aの中央付近に置かれる(しかし、別の実施の形態では、ユーティリティー孔168は中心である必要はない)。
【0073】
内側鞘マウント160の基部セクション161bもまた、先端セクション161aにくぼんだノッチ162に似た、ノッチ170を左右両側に含む。ノッチ170は、基部セクション161b全体にわたって延在してもよい。内側鞘マウント160のノッチ162とノッチ170は、ハンドル先端セクション30の突き出しを収容する大きさとされ、内視鏡10が完全に組み立てられたときに内側鞘マウント160を所定位置に保持するのに役立つ。
【0074】
基部セクション161bはまた、内面(組み立てたとき)の高くなった部分172を含んでもよい。図示のように、高くなった部分172は、先端セクション161aのくぼんだ面164とほぼ同じ外寸法である。組み立てられると、高くなった部分172は、くぼんだ面164に押し込まれ、先端セクション161aと基部セクション161bは一体に連結される。実施の形態によっては、くぼんだ面164と高くなった部分172の間に、のりまたは他の適切な接着剤を用いて、基部セクション161bを先端セクション161aに接着してもよい。このことは、2部品間の水力的シールを生成する働きもする。
【0075】
基部セクション161bは、いくつかの他の特徴を含んでもよい。図示のように、基部セクション161bは、洗浄または吸引通路174を含む。洗浄または吸引通路174は、基部セクション161bが先端セクション161aと一体となったときに洗浄経路管166の第2端部と整列するように据え付けられる。内視鏡10が使用されるとき、洗浄または吸引流体は、洗浄経路管166を介してユーティリティー孔168と洗浄通路174間を流れる。
【0076】
図11Aの例示の実施の形態に示されるように、内側鞘マウント160の基部セクション161bは、鞘マウントスリット176を含んでもよい。図示のように、鞘マウントスリット176は水平に向けられており(方向は、
図11Aに示されるものを参照)、ほぼユーティリティー孔168と整列して、内側鞘マウント160の基部セクション161bに配置される。別の実施の形態では、鞘マウントスリット176は異なる方向にされてもよい。
図11Aの例示の実施の形態では、鞘マウントスリット176は、基部セクション161bの内面(組み立てられたとき)の平面に略直交する角度で、基部セクション161b全体にわたって延在する。
【0077】
内側鞘マウント160の基部セクション161bはまた、いくつかの孔178を含んでもよい。
図11Aの例示の実施の形態では、孔178は、基部セクション161b全体を貫通する小径の穴で、ハンドル内から内視鏡10の先端までプルまたはプッシュ・ケーブルまたはワイヤが通過できる。基部セクション161bはまた、光ファイバ通路179を含んでもよい。例示の実施の形態では、孔178と光ファイバ通路179は、基部セクション161bの内面(組み立てられたとき)に直交する角度である。代替の実施の形態では、孔178と光ファイバ通路179は、異なる角度、または、異なる直径であってもよい。図示のように、孔178は、鞘マウントスリット176の周りに配置される。内側鞘マウント160が完全に組み立てられると、鞘マウントスリット176と孔178は、先端セクション161aのユーティリティー孔168と整列する。
【0078】
代替の実施の形態では、隔壁、通り抜けバリアまたは内側鞘マウント160のいくつかの特徴の形状、位置、寸法等が異なっていてもよい。通り抜けバリアまたは内側鞘マウント160は、さらなる特徴を有し、または、ある特徴を含めなくてもよい。実施の形態によっては、より多数または少数の孔178がある。実施の形態によっては、孔178は
図11Aに示す空間配置に配列されなくてもよい。2つ以上の洗浄通路174があってもよい。実施の形態によっては、内側鞘マウント160は、ガスケットを結合し、または、含み、内視鏡のハンドル内の敏感な領域への流体浸入をさらに防止してもよい。
【0079】
ハンドル電子セクション80(
図7A参照)は、過度の流体浸入を防止するのが好ましい機械および電子部を囲むように構成される。(好ましく電子部品が耐湿フィルムで覆われているならば、少量の液体または湿気は、内視鏡の適切な機械的または電気的操作を妨げるとは限らない。)外部ハンドル遠位部分82(旋回制御具筐体)は、内視鏡シャフトまたは挿入シャフトの先端のカメラ組立体の動きを制御する旋回制御構造と作動ケーブルを収容するようになされ、内視鏡の操作において相対的に最小の影響で液体に晒される。
したがって、ハンドル電子セクション80と外部ハンドル遠位部分82の間に液体シールを維持することが、より重要である。
図13および
図14に示されるシール部材210のような隔壁または通り抜けバリアを作り、内視鏡の先端から外部に出る前の基部の末端へ通過する電気可撓ケーブル、光ファイバの束または他の構造の周囲にタイトシール(例えば、エラストマーシール)を提供してもよい。一方、
図11Aおよび
図14に示す内側鞘マウント160のような通り抜けバリアは、特に旋回制御構造から内視鏡シャフトの先端に通過するプル・ワイヤまたはケーブルに用いられる場合において、より簡単なシールでよい。ハンドル先端セクション82への流体の浸入は、例えば
図8に示される通路108のような、筐体の垂れ下がった部分に作られた1つ以上のドレーン穴または通路を通って筐体から出ることが、許されてもよい。
【0080】
代替の実施の形態においては、ハンドル先端セクションまたは旋回制御具筐体82と内視鏡のシャフトの間の通り抜けバリア159(
図10B参照)は、旋回制御具筐体から内視鏡シャフトの先端へのプル・ケーブルまたは作動ケーブルの動きを許す完全シール構造を備えてもよい。例えば、通り抜けバリアは、柔軟な(柔らかい)膜、ひだ付きのエラストマー膜、アコーディオン構造のゴム円筒、ベロー構造、または、筐体の近くに取り付けられる他の変位可能な膜を備えてもよく、その中央付近で通り抜ける構造の周囲に流体タイトシールを形成し、その中央領域は遠近方向に自由に前後に動いて、通り抜ける旋回制御ケーブルを自由に動けるようにする。内視鏡のこの部分でのより完全なシールにより、旋回制御具筐体とハンドル電子セクション80との間の二次的シ-ルの必要性が減少し、または、無くなる。
【0081】
図11Bは、柔軟部材153を備える隔壁または通り抜けバリア159の代替の実施の形態を示す。図示のように、通り抜けバリア159は、剛構造167と柔軟部材153を含む。剛な部分または構造167は、柔軟部材153が取り付けられ、または、結合されたフレームとして作用する。実施の形態によっては、二重成型プロセスを用いて、製造過程で柔軟部材153と剛な部分または構造167を一体に結合してもよい。剛構造167は、ハンドル先端セクション30の協働し結合する特徴(例えば、
図15参照)と一体になる大きさである、1つ以上の結合する特徴173を含んでもよい。実施の形態によっては、結合する特徴173のハンドル先端セクション30の協働する部分(例えば、
図15参照)との相互作用は、通り抜けバリア159とハンドル先端セクションの間のシール(例えば、
図15参照)を生成する。
【0082】
ここで
図11Cをも参照すると、そのようなシールの生成を容易にするため、ガスケット部材163が、通り抜けバリア159周辺の周囲に含まれる。そのようなガスケット部材163は、通り抜けバリア159の外縁165(
図11B)に沿って置かれる。あるいは、二重成型プロセスを用いて、製造過程でガスケット部材163を通り抜けバリア159に取り付けてもよい。ガスケット部材163は、剛構造167を完全に取り囲み、圧縮性の、または、エラストマーの材料で形成される。
【0083】
図11Bと
図11Cをさらに参照すると、柔軟部材153は、いくつかの通り抜け要素を含む。いくつかの孔178が、例示の柔軟部材153に含まれる。さらに、柔軟部材153は、任意の照明または光ファイバ通路179を含んでもよい。そのような照明通路179は、照明が、例えば、内視鏡シャフトの先端の1つ以上のLEDにより提供される実施の形態では必要ない。さらに、スリットまたはスロット177が、柔軟部材153に含まれてもよい。例示の実施の形態では、スリット177は、柔軟部材153から剛構造167を抜けて通り抜けバリア159の縁まで延びる。
【0084】
通り抜けバリア159における通り抜け要素および通路は、通り抜けバリア159の剛なフレーム構造167にも配置されてもよい。例えば、固定された、または、不動の部品と関連する通り抜け要素および通路は、通り抜けバリア159の剛構造167に配置されるのが好ましい。例示の実施の形態では、剛構造の通路169は、剛構造167を通り抜ける通路を提供するものとして示される。
【0085】
導管取り付け箇所または開口256がまた、通り抜けバリア159に含まれてもよい。
図示のように、導管取り付け開口256は、剛構造167から突き出し、任意ではあるが、柔軟なチューブまたは導管がその上にしっかりと止められるバーブ継手を含む。導管取り付け箇所256は、通り抜けバリア159を通り抜けて延在する内部空間を含んでもよい。
図11Bに示す例示の実施の形態では、内部空間は、通り抜けバリア159の片側から反対側へ流体を搬送する洗浄または吸引通路174である。
【0086】
ここで
図11Dを参照すると、組み立てられたときに種々の通り抜け部品155が、通り抜けバリア159の孔178、通路179およびスリット177を通り抜ける。通り抜け部品155が通り抜けバリア159に据え付けられると、任意ではあるがシール部材または物質151を通り抜けバリア159の通り抜け部品155の出入り口の1つまたは両方に塗布してもよい。例示の実施の形態では、シール部材または物質151は接着剤のような固定剤であるが、他の実施の形態では、適切なシール部材または物質を用いてもよい。シール部材または物質151は、通り抜けバリア159の通り抜け要素を液体が通過するのを防止できる。さらに、柔軟部材153に塗布されるとき、通り抜け部品155が柔軟部材153における出入口に対して動かないように固定してもよい。結果として、この場合、通り抜け部品155の変位は、柔軟部材153も同様に前後に動かす。
【0087】
図12は、旋回制御構造100の実施の形態の例示的分解図を示す。旋回制御構造100は、構造物の旋回を制御する。構造物とは、例えば、挿入セクション14の先端(
図14ン参照)のカメラ組立体350(
図23参照)である。代替の実施の形態では、代わりにまたは追加で、旋回制御構造100を用いて挿入セクション14の柔軟なセクションの曲げを制御してもよい。旋回制御構造100の実施の形態によっては、以下に開示する実施の形態とは異なり、歯車装置、モータ、多関節リンク、ダイアル等を含んでもよい。
【0088】
図12の例示の旋回制御構造100は、分解図で示される。上記に詳述した指先接触98が、旋回制御構造100から離れて示される。図示のように、任意ではあるが、指先接触98の底面がいくつかのペグ突起180を含んでもよい。
図12に示す例示の実施の形態では、ほぼ円筒形状をしたペグ突起180が4つある。(ペグ突起の数と形状は異なってもよい)。さらに指先接触98は、指先接触98の下面に据えられる指先接触スロット182を含む。
【0089】
指先接触98の下方に、旋回制御構造100の旋回部分184の例示の実施の形態が示される。旋回制御構造100の旋回部材184の頂部は、スライダ186を含んでもよい。スライダ186の中央から突き出るのは、指先接触スロット182と結合するように配置された指先接触ポスト188である。任意ではあるが、指先接触ポスト188の各側に指先接触ペグ穴190が位置してもよい。指先接触98が旋回制御構造100に取り付けられると、指先接触スロット182はスライダ186の指先接触ポスト188上に滑る。
さらに、組み立てられると、指先接触98のペグ突起180は、もしあるのなら、スライダ186の指先接触ペグ穴190内に据え付けられる。
【0090】
旋回制御構造100は、内視鏡の1つ以上の特徴と相互作用して、所望の方向で固定されまたは保持されるようにしてもよい。図示のように、旋回部材184のスライダ186の底面は、任意で1つ以上の留め棒または戻り止め要素192を含んでもよい。別の実施の形態では、複数の留め棒192がスライダ186の底に配置され、ハンドル12条の対向する高くなった特徴または突起94と係合するように配置されてもよい。
【0091】
留め棒または戻り止め要素192は、上述のハンドルの高くなった部分32のスライドボタン窪み92の高くなった特徴または突起94(
図7Aに明確に示される)と相互作用してもよい。旋回制御構造100がユーザによって動かされると、突起94間のスペースは、スライダ186の留め棒192が「留まる」戻り止めとして作用できる。このことは、ユーザが旋回制御構造100を所望の位置に動かして戻したときに、旋回制御構造100の一定の場所に留まらないことまたは動きを防止するのに役立つ。また、器具の使用中に旋回制御構造100が意図しない動きをしないことを確実にするのにも役立つ。代替の実施の形態では、
図7Cに関連して上述したように、実施の形態によっては、旋回制御構造100は、留め棒または戻り止め要素192として作用するアーム97を含んでもよい。
【0092】
図示のように、旋回制御構造100の旋回部材184は、曲面の内部シールド194を含む。内部シールド194は、スライダ186の下方、組み立てるとハンドル・ハウジングの下部に重ねられる。柱196が、内部シールド194の上面とスライダ186の下面との間の距離に及ぶ。実施の形態によっては、留め棒192が、内部シールド194の頂部に位置する。そのような実施の形態では、上述の突起94は、突起94が内部シールド194上の留め棒192の戻り止めを形成するように、ハンドル先端セクション30の内部壁上に位置してもよい。上術のように、このことにより、旋回制御構造100は、所望の位置で「留まる」ことができる。
【0093】
内部シールド194の底面から延在するのは、旋回アーム198でよい。例示の実施の形態では、旋回アーム198は、2つの機械的ケーブル取付点または穴202を含む。1つの穴202は、旋回シャフト204の1つの側に据え付けられ、第2の穴202は、旋回シャフト204の反対側に据え付けられる。図示の実施の形態では、スライダ186の前方への動きは、下側の穴202に接続された機械ケーブルを手前側に引き込み、スライダ186の後方への動きは、上側の穴202に接続された機械ケーブルを手前側に引き込む。ハンドルの基部端からハンドルの先端への光ファイバまたは電気ケーブルの比較的スムースな通路を提供するために、旋回アーム198は、例えば、旋回シャフト204(または、同軸スリーブや旋回シャフト24を囲むハブ)上に切り込みを入れ、通過するケーブルが旋回シャフト204上で自由に置かれるようにしてもよい。このような配列によれば、通路に横方向または縦方向に最小の変位を許す。
【0094】
ここで
図12および
図14を参照すると、旋回アーム198は、旋回領域200と旋回シャフト204を取り囲む横ずれセクション199を有して作られる。よって、旋回シャフト204を取り囲むハブまたはスリーブ(組み立てられたとき)は、通り抜けるケーブルが置かれる軸受表面として作用するように示される。旋回アーム198の下部分は、旋回シャフト204のハブまたはスリーブの下方の位置から下向きに延在する。実施の形態によっては、旋回アーム198の下部分は、任意ではあるが、旋回アーム198の上部分と鉛直方向に整列し、取付点または穴202に接続する機械ケーブルも鉛直方向に整列する。他の実施の形態では、1つ以上のケーブル(例えば、ケーブル250)は、他の様々な方法で旋回シャフト204のハブの周囲に(または通過して)引かれてもよく、その経路は旋回制御構造100の旋回アーム198によって最小の妨げしか受けない。
【0095】
任意ではあるが、二次的通り抜けシールは、ハンドル先端セクション30の筐体へ浸入する流体と、電子セクション80が収容されるハンドル基部セクション16の筐体との間の追加のバリアを提供する。シールは、光ファイバ束、電子ケーブルおよび/または流体導管類を含むがこれらには限定されない部品が通り抜ける、孔、穴またはスリットを含んでもよい。穴またはスリットは、これらの部品が通り抜けると部品にぴったりとフィットする大きさにされる。ある実施の形態では、二次的通り抜けシールはゴムまたはエラストマー材料から形成され、流体シール特性を強化する。実施の形態によっては、例えば、柔軟部材153を含むが二次的通り抜けシールを含まない通り抜けバリア159を含むものが、含まれてもよい。そのような実施の形態では、電子セクション80と外部ハンドル遠位部分82は、同じ体積であっても、接続された体積であってもよい。
【0096】
図13は、二次的シールの例示的実施の形態、すなわち、シール部材210を示す。シール部材210は、
図13に示すように、大略長方形形状をしている。
図13に示すように、シール部材210の第1端部は、第1形状(例えば、長方形)で、一方、第2端部は第2形状(例えば、丸まった縁を有していたり、丸かったり)でもよい。このことにより、組立て中にシール部材210が正しい方向に実装されることを確実にするという利点が得られる。シール部材210は、いくつかの孔を含んでもよい。例示の実施の形態では、シール部材210は、光ファイバ束(例えば、照明ファイバ)孔212、柔軟ケーブル(例えば、電子ケーブル)孔214および流体管類(例えば、洗浄ライン)孔216を含む。
図13に示す例示の実施の形態では、照明ファイバ孔212、柔軟ケーブル孔214、および洗浄ライン孔216が、シール部材210全体を通り抜けて延びている。照明ファイバ孔212は、比較的小径で、ファイバ束または光導体の径と合致している。柔軟ケーブル孔214は、電気可撓ケーブルの大きさと形状に合致する、スリットである。洗浄ライン孔216は、円筒形で、照明ファイバ孔212より大きな直径を有する。照明ファイバ孔212、柔軟ケーブル孔214、および洗浄ライン孔216は、シール部材210の前面(
図13に関して)に実質的に直交する角度でシール部材210を通り抜けて延在する。代替の実施の形態では、シール部材210の孔は、数量、大きさ、あるいは、形状で異なっていてもよい。実施の形態によっては、シール部材210は、例えば、ボタンへの配線用のさらなる穴を含んでもよい。
【0097】
図13の例示の実施の形態で示されるように、シール部材210は、いくつかのガスケット・アーム218をも含んでよい。
図13の例示の実施の形態では、ガスケット・アーム218は、シール部材210の背側縁部近くでシール部材210の上面および下面から離れるように突き出る。図示のように、2つのガスケット・アーム218があってもよい。実施の形態によっては、ガスケット・アーム218は直線状でもよい。例示の実施の形態では、ガスケット・アーム218は、ガスケット・アーム218をシール部材210から離すように曲げる弓形セクションで接続された2つの直線状セクションを含む。
【0098】
図14は、ハンドル先端セクション30の1つの半分(30a)の例示の実施の形態を示す。図示のように、内側鞘マウント160、旋回制御構造100およびシール部材210が組み立てられ、ハンドル先端セクション30の図示の半分(30a)内に配置される。柔軟ケーブル250(例えば、柔軟な電子通信/電力ケーブル)も図示される。
図14に示す例示の実施の形態では、内側鞘マウント160の先端セクション161aは、鞘マウントハブ252を含む。鞘マウントハブ252は、ユーティリティー孔168(
図11A参照)と同じ軸上で遠位方向に延びる。例示の実施の形態では、鞘マウントハブ252は中空で、実質的に円筒形である。任意ではあるが、鞘マウントハブ252の内径は、ユーティリティー孔168の直径と、ほぼ同じか、若干大きい。例示の実施の形態では、鞘マウントハブつまみ254が鞘マウントハブ252の外面から上方に突き出る。鞘マウントハブつまみ254は、鞘マウントハブ252が突き出る挿入側片160aの表面に隣接して位置する。鞘マウントハブつまみ254は、鞘マウントハブ252に実装されると鞘(例えば、
図18に示す内側鞘312)を正しい方向にする作用をし、任意ではあるが、鞘を鞘マウントハブ252と鞘マウント160にしっかりと止める固定部材として作用することができる。
【0099】
他の実施の形態では、鞘マウントハブつまみ254は、鞘マウントハブ252の内部の表面に配置されてもよい。このことは、鞘の導管の直径の制限をなくし、鞘の内部の内側鞘マウントハブ252を入れ子にする必要性を取り除くので、好ましい。結果として、そのような導管を流れるより速い流れが達成できる。あるいは、実施の形態によっては、鞘マウントハブつまみ254が含まれなくてもよい。代わりに、何か適切な固定具(不図示)で鞘が、鞘マウントハブ252に向けてしっかりと止められてもよい。
【0100】
図示のように、柔軟ケーブル250は、内側鞘マウント160を通り抜けて延びる。柔軟ケーブル250は、内側鞘マウント160の先端セクション161a内へと鞘マウントハブ252を通り抜ける。柔軟ケーブル250はまた、基部セクション161bの鞘マウントスリット176を通り抜ける経路を取る。
【0101】
内側鞘マウント160の基部セクション161bは、流体導管取り付け箇所または開口256を含む。流体導管取り付け箇所256は中空な略円筒形の突起で、内側鞘マウント160の基部セクション161bから紙面の右側方向(
図14に関して)に延びる。洗浄ライン434の管類(
図78参照)は、流体導管開口256の外表面を避けて通り、任意ではあるが、流体導管開口256は、顎付きで管類の設置されたセクションを維持するのを助けてもよい。図示のように、流体導管開口256の右側縁は、管類断片の開口256への設置を簡単にするような方法で面取りをしてもよい。追加で、
図14に示すように、流体導管開口256の基部端部は、開口256表面の残りよりもわずかに大きな径にテーパを付けられてもよい。これは、返しとして作用し、一旦取り付けられると洗浄ライン434の管類(
図78参照)が確実に簡単には取り外せないことに役立つ。代替の実施の形態では、導管開口256は、シール部材210の洗浄ライン孔216に延び、嵌る。そして、洗浄ライン434の顎の部分/取付場所は、シール部材210に置かれる。
【0102】
図14に示されるように、旋回制御構造100は、旋回可能にハンドル先端セクション30に連結される。図示のように、旋回シャフト204は、旋回制御構造100の旋回アーム198で旋回シャフト穴200を通り抜けて延びる。ハンドル先端セクション30の離れた壁に挿入された旋回シャフト204(または周囲のハブ)の末端は、ハンドル先端セクション30の内壁から突き出る旋回ベアリング260内に置かれてもよい。完全に組み立てられると、旋回シャフト204の反対側の端部は、同様に、ハンドル先端セクション30の他の半分(30b)の内壁から突き出る旋回ベアリング260に置かれてもよい。
【0103】
図14に示されるように、旋回制御構造100のスライダ186と内部シールド194は、ハンドル先端セクション30の壁の厚さよりわずかに大きい距離だけ、柱196によって互いにずれされていてもよい。柱196は、上述のように旋回制御構造ノッチ96を通り抜けて延びる。スライダ186と内部シールド194の曲率は、スライダ186と内部シールド194がユーザの入力で、ハンドル先端セクション30の筐体の壁と干渉することなく自由に前後に動けるように選定される。旋回制御構造ノッチ96の長さは、ユーザが旋回制御構造100への入力で生じさせる旋回変位の量を決定する。
【0104】
実施の形態によっては、旋回制御構造ノッチ96の壁は柱196に摩擦力を働かせる。
そのような実施の形態では、この摩擦力は、旋回制御構造100が一カ所に「留まる」ことを可能にする。そのような実施の形態では、旋回制御構造ノッチ96は、ゴムあるいは他のエラストマー材料などの高摩擦材料で作られてもよい。そのような実施の形態では、旋回制御構造100は、上述の留め棒192や突起94を含む必要はない。
【0105】
内視鏡10はまた、プル・ケーブル若しくはワイヤ、ベルト、またはプッシュ・ロッドの形の機械的旋回アクチュエータを含んでもよい。アクチュエータは、細長部材、立体、編んだもの、または、内視鏡10のハンドルから挿入セクションの先端の移動する部材に延びる他の物であってもよい。細長部材は、柔軟であっても、実質的に剛であってもよい。細長部材は、丸くても(ケーブルの例のように)楕円形でも、かなり平らでもよく、あるいは、いかなる形状または断面形状を有してもよい。実施の形態によっては、アクチュエータはベルトである。
【0106】
シャフト先端または挿入セクション若しくはその近くにパン撮り可能なカメラ若しくはカメラ・マウントを有する内視鏡では、パン撮り可能なカメラ若しくはカメラ・マウントは、プル・ワイヤまたはプッシュ・ロッドを用いて回転されてもよい。プル・ワイヤを用いる実施の形態では、カメラ回転用ケーブルを、ケーブル取付穴202に取り付けたり接続したり、あるいは、通して輪にしたりしてもよい。実施の形態によっては、2本のカメラ回転用ケーブルが各ケーブル取付穴202に取り付けられてもよい。好適な実施の形態では、1本のカメラ回転用ケーブルの両端が、各ケーブル取付穴202に取り付けられ、輪となってもよい。あるいは、1本のケーブルが、その中点近くでケーブル取付穴202を通って輪になり、ケーブルの両端は、回転するカメラまたはカメラ・マウントに遠位で接続されてもよい。カメラ回転用ケーブルは、旋回アーム198のケーブル取付穴202から延び、内側鞘マウント160の基部セクション160bの1つ以上の孔を通る経路とされてもよい。そして、カメラ回転用ケーブルは、ユーティリティー孔168を通り抜け、内側鞘で形成された導管を通り抜け、任意ではあるが、電気可撓ケーブル250および/または光ファイバ束の長さ方向に並行して、延びてもよい。旋回制御構造100を旋回することで、カメラ回転用ケーブルまたはケーブル取付穴202の1つに接続されたケーブルは引っ張られ、他の取付穴202に接続されたケーブルは緩む。あるケーブル取付穴202と関連するカメラ回転用ケーブル(単数または複数)を旋回点の片側に取り付け、他のケーブル取付穴202と関連するカメラ回転用ケーブル(単数または複数)を旋回点の反対側に取り付けることにより、旋回制御構造100を用いて内視鏡の挿入セクションで遠位の旋回対象物を選択的に回転することができる。他の実施の形態では、同様なケーブル機構を用いて、挿入セクションの柔軟な先端部分を能動的に曲げてもよい。
【0107】
実施の形態によっては、旋回制御構造100の旋回アーム198を、歯車装置を介して旋回してもよい。そのような実施の形態では、指先接触98、指先接触ポスト188(
図12参照)、スライダ186、鉛直な柱196および内部シールド194は必要ではない。少なくともハンドル先端セクション30に内蔵されるユーザ入力歯車の一部が、高くなったハンドル部34から突き出ていればよい。ユーザ入力歯車は、ハンドル先端セクション30内に配置された旋回軸回りに回転できる。この回転は、例えば、ユーザの指によりユーザにより起動される。ユーザ入力歯車は、旋回制御構造100の旋回アーム198用の旋回シャフト204回りに配置された旋回シャフトギアと噛み合う。このような実施の形態では、ユーザ入力歯車が回転すると、旋回シャフトギアと旋回アーム198もまた回転し、上述のように、旋回アクチュエータ(例えば、カメラ回転用ワイヤ、作動ワイヤまたはプル・ワイヤ)に作用する。実施の形態によっては、ユーザ入力歯車と旋回シャフトギアの間に、1つのまたはいくつかの中間ギアがあって、動きの精度や人間工学の要求に合うように所望のギア減速を提供してもよい。
【0108】
他の実施の形態では、旋回アーム198が、電動モータ(例えば、ブラシレスモータ、ステッピングモータ等)を介して回転させられてもよい。モータによる回転は、ボタン90のような1つ以上のユーザ入力手段により制御されてもよい。少なくとも1つのボタン90を含む実施の形態では、ボタン90(単数または複数)は、旋回アーム198の動きの速さと方向を制御してもよい。
【0109】
実施の形態によっては、旋回シャフト204は、ハンドル先端セクション30の外部へ突き出る。そのような実施の形態では、旋回シャフト204(または覆うハブ若しくはスリーブ)は、ユーザにより直接回転させられてもよい。実施の形態によっては、ハンドル先端セクション30から突き出る旋回シャフト204の一部分は、ノブ、ダイアル、クランク等を含み、ノブ、ダイアル、クランク等を掴んで回すことでユーザが簡単に旋回シャフト204を回せるようにしてもよい。
【0110】
図14に示すように、シール部材210は、ガスケット窪み270に配置される。ガスケット窪み270は、ガスケットアーム窪み272を含んでもよい。上述のように、様々な部品がシール部材210を通り抜ける。図示のように、ハンドル基部セクション16に収容された電子セクション80のプリント基板430a(例えば、
図78参照)に接続された柔軟ケーブル250が、シール部材210の柔軟ケーブル孔214を通り抜け、ハンドル先端セクション30と鞘マウント160の筐体を抜けシール部材210を超えて延び、最終的には内視鏡の挿入セクションに至る。洗浄ライン434(
図78参照)と光ファイバ束(例えば、照明用ファイバ364。
図78参照)はそれぞれ、洗浄ライン孔216と光ファイバ束孔212を通り抜け、柔軟ケーブル250と同様に、ハンドル先端セクション30を抜けて延びる。実施の形態によっては、シール部材210が含まれなくてもよい。代わりに、電子セクション80は、ハンドル12の残りの部分から区切られなくてもよい。そのような実施の形態では、囲まれたプリント基板431(例えば
図15参照)がコーティングされても、または、ポッティングのような保護コートまたは保護層に包み込んでもよい。シール部材210を含む実施の形態においてもなお、プリント基板(例えば
図15参照)が保護コートまたは保護層に包み込まれてもよい。追加で、または代替として、内側鞘マウント160は、
図11B-Cに示すのと同様に、周囲のシールを形成し、内側鞘マウント160を通り抜ける通り抜け部品(例えば、柔軟ケーブル250、アクチュエータまたはケーブル、照明用ファイバ等)が変位すると変位する、柔軟部材153を含んでもよい。
【0111】
ガスケット窪み270の1つの半分だけが、
図14に示される。ガスケット窪み270の他の半分は、ハンドル先端セクション30の図示されない反対側(30b。例えば、
図8参照)に配置される。完全に組み立てられると、シール部材210は、ガスケット窪み270の2つの半分の間に捕らえられる。完全に組み立てられると、シール部材210は、ハンドル先端セクション30に存在する液体が、電子セクション80を備え電子部品を包含するハンドル基部セクション16へ浸入することを防止できる。シール部材210は、適切に従動する(例えばエラストマー)材料または他のガスケット材料で作られ、ガスケット窪み270に押し込まれてタイトシールを確実にするのがよい。実施の形態によっては、シール部材210は接着剤を用いて所定の位置に保持されてもよい。
【0112】
図15は、ハンドル先端セクション30の1つの半分(30a)の他の例示の実施の形態を示す。図示のように、通り抜けバリア159と旋回制御構造100とが組み立てられ、ハンドル先端セクション30の図示の半分(30a)内に置かれる。保護材752内に包み込まれているプリント基板の筐体431も、ハンドル先端セクション30の半分30a内に置かれて示される。実施の形態では、突起部分430hはリボンまたは柔軟ケーブル250(例えば
図14参照)でよい。プリント基板は、隔壁または通り抜けバリア159を通り抜ける1つ以上のリボンケーブルを通じて、シャフト14の先端の部品と通信できる。これらのケーブルは、内視鏡シャフトの先端のセンサまたはカメラ筐体の回転の動きを受け入れ、または、シャフト14が柔軟なシャフトなら曲がりまたは伸びを受け入れるために、隔壁を通じて僅かに前後にずれる必要があったり、無かったりするかもしれない。あるいは、PCBが、通り抜けバリア159を抜けてシャフトまたは挿入セクション14中に延びる、PCBそのものの拡張430hを含んでもよい。いくつかの特定の実施の形態では、プリント基板とその拡張430hは、
図43及び44または
図69に関連して示され説明されるものと類似している。シール物質151は、突起部分430hの周囲の所定の位置に示される。通り抜けバリア159は、実施の形態によっては、周辺ガスケット163(例えば、
図11D参照)を含んでもよい。通り抜けバリア159は、ハンドル先端セクション30に、接着エポキシ、のり、溶剤結合、圧入等、いくつの方法で連結されてもよい。
【0113】
図15の旋回制御構造100は、
図12および
図14に示すものと類似している。しかし、旋回制御構造100は、
図7Cに関連して上記に説明した突起94と干渉するアーム94を含む。さらに、この特定の実施の形態では、旋回制御構造100の旋回アーム198は、旋回制御構造100の旋回アーム198は、プル・ワイヤ取付穴202(例えば
図14参照)を含んではいない。その代わりに、アイレット201を含む留め具203または類似の構造が、旋回アーム198に取り付けられ、または、旋回アーム198の一部として供される。プル・ワイヤは、アイレット201を通じて旋回アームに取り付けられてもよく、旋回制御構造100を用いて、柔軟シャフトまたは挿入セクション14を曲げ、または、挿入セクション14のカメラ組立体を回転するなど、プル・ワイヤを作動させてもよい。プル・ワイヤは、通り抜けバリア159の柔軟部材153を通り抜け、挿入セクション14の部品を作動させてもよい。
【0114】
図15に示すように、通り抜けバリア159は、ハンドル先端セクション30および基部セクション16に収容される電子部品から挿入セクション14を分離するバリアに過ぎなくてもよい。シール部材210(例えば
図14参照)が含まれなくてもよい。実施の形態によっては、電子セクション80は、ハンドル12の残りの部分から区切られなくても、流体的に隔離されなくてもよい。
図11Cに関連して上述したように、通り抜けバリア159は、実施の形態によっては、周辺ガスケット部材163を含んで、追加のシールを提供してもよい。
【0115】
図17は、外側鞘、トロカールまたはカニューレ・マウント300の例示の実施の形態を示す。
図16Aおよび
図16Bに示すように、外側鞘、トロカールまたはカニューレ318を使用して、挿入セクションの先端の部品に追加の保護を提供し、または、ユーザがカニューレ318をそのままの位置に残しつつ内視鏡の挿入セクションを引き抜けるようにし、内視鏡の挿入セクションの後での再挿入を可能にする。図示のように、カニューレ・マウント300は円錐台形状を有して、内側鞘312(例えば
図18参照)上のトロカールまたはカニューレ318の実装用のコネクタ(例えばバヨネット・マウント)を形成する大径セクションを近位に有してもよい。カニューレ・マウント穴302は、カニューレ・マウント300を通り抜けてカニューレ溝に同化してもよい。カニューレまたは外側鞘マウント穴302は、カニューレ318を受け入れ、保持するように構成されてもよい。カニューレ318は、内視鏡または関節鏡のシャフトを画成する挿入セクションの内側鞘312上のスリーブとして作用するように構成されてもよい。
【0116】
図示のように、雌バヨネット・マウント部分304は2つのスロット306を含む。任意ではあるが、スロット306は、ハンドル先端セクション30の先端部分の接続される(雄の)コネクタに関して、カニューレ318の向きを確実に正しくするため、異なった寸法とされてもよい。実施の形態によっては、雌バヨネット・マウント部分304のスロット306は、例えば皿バネ座金を用いて雄バヨネット・マウント部分308がばねで留められるセリフを含んでもよい。そのような実施の形態では、ばねで留められた接続は、2つのピース(カニューレ318とハンドル先端セクション30)が互いによりしっかりと固定されるのを確実にするのに役立つ。
【0117】
実施の形態によっては、組立て中にカニューレ318をカニューレ・マウント300と、最終的には挿入セクションの内側鞘312(例えば
図18参照)に設置されたときに内側鞘312と、正しい向きにするため、整列用特徴がカニューレ・マウント300に含まれてもよい。
図17の例示の実施の形態では、外側鞘またはトロカール・マウントつまみ310が、外側鞘マウント穴302の内壁から突き出してもよい。外側鞘マウントつまみ310は、雌バヨネット・マウント部分304の遠位面から延在し、バヨネット・マウント300を、組立て中に接続するスロットを有するカニューレ318と整列させるのに用いられる。あるいは、このような特徴の必要性は、外側鞘またはカニューレ318とカニューレ・マウント300を適切な固定具で連結することにより、取り除かれる。
【0118】
図18は、ハンドル先端セクション30の絵に面の例示の実施の形態の部分切欠図を示す。内側鞘312は、内側鞘マウント160の鞘マウントハブ252に実装される。内側鞘312は、鞘マウントノッチ314を含む。内側鞘マウントノッチ314は、鞘マウントハブ252の鞘マウントハブつまみ254を受け入れる大きさとされる。そのような実施の形態では、鞘マウントハブつまみ254と内側鞘マウントノッチ314は、内側鞘312が内視鏡10で正しい向きを向くことを確実にする。
【0119】
内側鞘312(および/または外側鞘、トロカールまたはカニューレ318。
図17参照)は鉄鋼、硬化プラスチックまたは他の剛で丈夫な材料から形成されてもよい。あるいは、内側鞘312またはその一部は柔軟で、内視鏡の挿入セクションが、直線状でない対象範囲内に挿入する必要に応じて曲がるようにしてもよい。このような実施の形態では、ユーザが外側鞘またはカニューレ318に使用を止め、あるいは、カニューレ318そのものが同様に柔軟な材料で作られてもよい。
【0120】
雄バヨネット・マウント部分308もまた、
図18に示す例示の実施の形態で示される。雄バヨネット・マウント部分308は、2つの突起物316を含んでもよい。突起物316は、ここで
図17をも参照すると、雌バヨネット・マウント部分304のL字形スロット306の足にはめ込む大きさにできる。外側鞘318とカニューレ・マウント300は、突起物316をスロット306と整列し、突起物316にバヨネット・マウントを押し付け、バヨネット・マウントを所定の位置に固定するように回すことにより、ハンドル先端セクション30に連結できる。図示のように、任意ではあるが、2つの突起物316は異なった寸法とされて、外側鞘またはトロカール・マウント300が、ハンドル先端セクション30に連結されるときに1つだけの可能な向きを有するようにしてもよい。
【0121】
ここで
図16および17を参照し続けると、外側鞘、トロカールまたはカニューレ318は、スリーブを形成して、内側鞘312を避けて通ってもよい。外側鞘318の内径を内側鞘312の外径より少しだけ大きくして、ぴったりはまることを確実にする。外側鞘318は、外側鞘ノッチ320を含んでもよい。外側鞘ノッチ320は、内視鏡10が完全に組み立てられるときに、外側鞘マウントつまみ310を受け入れる大きさとされる。
実施の形態によっては、外側鞘318は、外側鞘マウント穴302を囲む壁に締りばめされ、接着され、または他の方法で融合され、または、取り付けられる。外側鞘マウントつまみ310は、内視鏡10が完全に組み立てられるとき、外側鞘318を確実に正しい向きとすることに役立つ。
【0122】
内視鏡10のシャフトまたは挿入セクション14(
図3参照)が目的領域に挿入されると、外側鞘318と外側鞘マウント300は、上述のように、内視鏡10の残りの部分から連結を外される。このことは、外側鞘318がカニューレとして使用されるようにして、そのままの位置で内視鏡10が、目的領域に再度導かれることを許容できる。
【0123】
図19に示されるのは、外側鞘318と共に用いられるようになされたオブトラトール319である。内視鏡を手術部位に入れる間、オブトラトールを外側鞘またはトロカール318に挿入し、外側鞘318が所望の位置へ入るのを容易にし、その後トロカールは引き抜かれ、シャフト14の内側鞘312が挿入される。手術中にシャフト14を手術部位で大幅に置き換える必要があると、外側鞘318を所定の位置に保ったままで内視鏡シャフト14を患者から引き抜き、オブトラトールを外側鞘318内に入れ、オブトラトール/トロカール組立体を必要な位置に再配置できる。一旦適切な位置になると、オブトラトールは、外側鞘またはトロカール318から引き抜かれ、内視鏡シャフトは内側鞘312と共に外側鞘またはトロカール318内に再挿入できる。図示の例では、オブトラトール319は、とがったまたはとがっていない端部323を有する硬いシャフト部分321とベース部分325を含む。任意ではあるが、ベース部分325は、内視鏡ハンドルにハンドル先端セクション30の固定マウントと適合する固定マウントを備え、使用時にオブトラトールを外側鞘/トロカール318にしっかりと止める。要望があれば、外側鞘、トロカールまたはカニューレ318を、他の器具を対象領域に導く導管として用いてもよい。
外側鞘またはトロカール318はまた、流体を対象領域に導き、抜き取る導管としても機能できる。
【0124】
カメラ組立体筐体330または先端作動セクションが、内側鞘312の先端から分離されて、
図20に示される。この実施の形態では、内視鏡の挿入セクションの先端作動セクションは、内側鞘312から分離されて作られ、その後組立て中に内側鞘312の先端と一体とされてもよい。他の実施の形態では、内側鞘312は、先端作動セクションを含んで1ピースとして作られてもよい。先端作動セクションが別に作られる実施の形態では、先端作動セクションは、内側鞘312とは異なった材料で作られてもよい。さらに、いくつかの組み立てる部品から作ってもよい。
【0125】
図20に示す例示の実施の形態では、内側鞘312の先端縁は、内側鞘先端ノッチ322を含む。カメラ組立体筐体330は、内視鏡10の組立て中に内側鞘312の先端に挿入されるのに適した形状と外径の入れ子部332を含んでもよい。入れ子部332は、入れ子部タブ334または他の整列用特徴を含んでもよい。入れ子部タブ334は、内視鏡10を組み立てるときに内側鞘先端ノッチ322と一体となるような寸法とされる。入れ子部タブ334と内側鞘先端ノッチ322は、内視鏡10を組み立てるときにカメラ組立体筐体330が正しい向きで整列するのを確実にするのに役立つ。
【0126】
カメラ組立体筐体330は、さらに作動部336を含んでもよい。図示のように、
図20の作動部336は、底部割れ目340を有するか有していない上部割れ目338を含む。上部割れ目338と底部割れ目340は、カメラ組立体筐体330の作動部336のほとんどの長さに亘って延在してもよい。丸まった先端342が、カメラ組立体筐体330の作動部336の先端に含まれてもよい。図示のように、任意ではあるが、丸まった先端342は、朝顔状開口344を含んでもよい。朝顔状開口344の縁は、斜めにされ、面取りされ、あるいは、丸くされてもよい。例示の実施の形態では、朝顔状開口344は、上部割れ目338に続く。実施の形態によっては、同様に上部割れ目338と底部割れ目340も朝顔状にされる。
【0127】
図20に示す丸まった先端342のような丸まった先端342はいくつかの利点を有する。丸まった先端342は、挿入セクション14の患者の目的領域への挿入を容易にできる。実施の形態によっては、このことは、オブトラトールの必要性を取り除く。関節鏡の利用においては、丸まった先端342の輪郭が、内視鏡10を関節内の狭い空間へ湯堂されるのを可能にする。さらに丸まった先端342は、オペレータが目的領域内の組織に傷付けないように圧力をかけることを可能にもできる。丸まった先端342はまた、カメラ組立体350の保護特徴としても作用する。
【0128】
図20に示すように、カメラ組立体筐体330の作動部336の内部壁は、2つのカメラ・マウント旋回ベアリング346を含む。
図20に示す例示の実施の形態では、カメラ・マウント旋回ベアリング346は、カメラ組立体筐体330の内壁から実質的に直交方向に突き出る。カメラ組立体筐体330は、鉄鋼、硬化プラスチック、または他の適切な頑丈で剛な材料で作ることができる。
【0129】
図20に示す例示の実施の形態では、カメラ組立体筐体330の作動部336の内部壁は、いくつかのケーブル案内穴348を含む。好適な実施の形態では、2つのケーブル案内穴348だけがあってもよい。1つのケーブル案内穴348が一方の側壁に位置し、もう1つのケーブル案内穴348が反対側の側壁に位置してもよい。好ましくは、ケーブル案内穴348はカメラ・マウント旋回ベアリング346の下方に配置され、制御ケーブルの先端が、接続されるカメラ、カメラ・マウント、またはカメラ組立体350(例えば、
図25参照)に関してある角度を作る。カメラ組立体筐体330はまた、1つまたはいくつかの拘束機構を含んでもよい。
図17に示す例示の実施の形態では、2つの拘束ノッチ349がある。1つの拘束ノッチ349が一方の側壁に位置し、他の拘束ノッチ349が反対側の側壁に位置する。
図17に示すように、拘束ノッチ349はケーブル案内穴348とほぼ並んでいる。ケーブル案内穴348と拘束ノッチ349について、以下にさらに説明する。
【0130】
図21は、一体部品として製作される先端作動セクションまたはカメラ組立体筐体330と内側鞘312の実施の形態を示す。
図22をも参照すると、
図21のカメラ組立体筐体330の線20-20での断面が示される。先端作動セクションまたはカメラ組立体筐体330と内側鞘312が一体部品として製作される実施の形態では、それらは、鉄鋼で作られてもよい。そのような場合、内側鞘312とカメラ組立体筐体330の先端形状は、圧延工程で作り出すことができる。例えば、上述で説明したような、種々の割れ目、開口及び他の特徴が、一体部品に後で機械加工される。
図21に示す例示の実施の形態では、カメラ組立体筐体330は、カメラ・マウント旋回ベアリング346だけを含む。
【0131】
内側鞘312とカメラ組立体筐体330を一体部品として作り出すことは有利かも知れない。利点の中でも特に、一体部品はより頑丈であろう。他の利点としては、入れ子になる部分の必要性が取り除かれることである。その結果、内側鞘312とカメラ組立体筐体330との結合点の断面積の「弱点」が取り除かれる。このことには、いくつかの利益がある。そのような弱点を取り除くことで、内側鞘312およびカメラ組立体筐体330内のユーティリティ部品などの種々の部品に、より多くの空間ができる。さらに、そのような弱点を取り除くことで、内側鞘312およびカメラ組立体筐体330内の洗浄液の流量増加ができる。代替若しくは追加で、内側鞘312およびカメラ組立体筐体330の全体的直径を小さくできる。内側鞘312およびカメラ組立体筐体330をまた、厚くすることができる。このことは、一体部品を強化するのに役立つ。厚くすることは一体部品を強化するので、外側鞘またはカニューレ318を薄くすることができる。薄い外側鞘またはカニューレ318は、代わりに、大径の内側鞘312およびカメラ組立体筐体330を可能にする。すなわち、挿入セクション14(外側鞘318、内側鞘312およびカメラ組立体筐体330から成る)の全体的直径を大きくすることなく、挿入セクション14内の導管の断面積を大きくできる。厚くすることはさらに、カメラ・マウント旋回ベアリング346が大きな軸受表面となることを可能にし、ベアリングに作用する圧力がより広い領域に分散することになる。
【0132】
図23は、挿入セクション14(
図3Aに明確に示される)の先端の組み立てた図を示す。カメラ組立体筐体330、カメラ組立体350および外側鞘またはカニューレ318が
図23に示される。図示のように、カメラ組立体筐体330の丸まった先端342は、外側鞘またはカニューレ318の先端を通り越して突き出る。視覚ノッチ352が、外側鞘318の先端で窪んでいる。カメラ組立体350は、朝顔状開口344および視覚ノッチ352の組合せにより作られる開口により画定される視覚範囲で回転して撮影可能である。実施の形態によっては、回転して撮影可能な範囲は、約180°である。回転して撮影するとき、カメラ組立体350は、カメラ・マウント旋回ベアリング346(例えば、
図20参照)上で旋回してもよい。回転撮影を作動することについては、以下にさらに説明する。
【0133】
実施の形態によっては、内視鏡10の挿入セクション14(
図3参照)が目的領域に挿入されるときに、外側鞘318が挿入位置(不図示)まで回転されてもよい。挿入位置では、視覚ノッチ352は、朝顔状開口344および上部割れ目338と整列しない。このことにより、挿入の間カメラ組立体350が保護され、医療用途では挿入セクション14の挿入による組織の損傷リスクを低減できる。挿入後、外側鞘318を、視覚ノッチ352が朝顔状開口344および上部割れ目338と整列し全視覚範囲が再び得られる位置に戻るように回転する。
【0134】
実施の形態によっては、キャップまたは窓材が、視覚ノッチ352および朝顔状開口344を画成する開口を覆いまたは開口に置かれ、カメラ組立体350を保護してもよい。
実施の形態によっては、外側鞘318および視覚ノッチ352の先端縁が、朝顔状で、丸められ、斜めにされ、等で、鋭い縁を持つことから生ずる損傷を防止するのに役立つようにしてもよい。
【0135】
例示の実施の形態では、キャップや窓は用いられない。そのような配置には、いくつかの利益がある。例えば、挿入セクション14の先端にキャップや窓を用いないことで、サファイヤ、特殊ガラスなどの高価な耐引っかき性および耐摩耗性のある材料を使わないことから、内視鏡のコストを下げられる。キャップや窓がないことはまた、カメラにより撮られる画像の鮮明さに影響するであろう、キャップや窓からの好ましくない反射を無くすことができる。さらに、キャップや窓を用いないことにより、目的領域の洗浄を内視鏡10の内側鞘312(
図15参照)の導管を通じて行うことができる。このことにより、洗浄能力を維持しながら、挿入セクション14の全体の直径を小さくすることができる。さらに、内側鞘312内の洗浄流れは、カメラ組立体350及び付属のレンズからごみや物を除去/洗浄するのに役立つ。一例では、洗浄流れがカメラ組立体350のレンズ組立体354(例えば、
図32参照)を洗い、ごみや不要なものを流し去るように、ユーザは、洗浄の間にカメラ組立体350を回すことによりカメラ組立体350を効果的に洗浄することが可能である。追加の利点として、洗浄流れはまた、カメラ組立体350と関連する 画像センサ380(例えば、
図65参照)を冷却するのに役立つ。
【0136】
図示のように、朝顔状開口344および視覚ノッチ352は、キャップや窓が不要でカメラ組立体350を保護するような寸法とされてもよい。
図23に示す例示の実施の形態では、朝顔状開口344と視覚ノッチ352は、朝顔状開口344と視覚ノッチ352で形成される外面より引っ込んだカメラ組立体350を、部分的に囲う。よって、朝顔状開口344と視覚ノッチ352は、カメラ組立体350用保護の縁を画定する。部分的に囲うことは、カメラ組立体350の移動部品と関連部品(例えば、制御ケーブル、電気ケーブル、情報ケーブル等)を、挿入セクションを目的領域に挿入する間または目的領域で器具を使用する間に外的物体と接触することから守るのに役立つ。朝顔状開口344と視覚ノッチ352は、挿入セクションと無関係な物体(例えば、かみそりなどの医療器具のような)からの起こり得る損傷にカメラ組立体350の小さな部分だけを晒す一方、カメラ組立体350に無制限の視野を与える。このことは、挿入中あるいは操作中にカメラ組立体350が損傷しないことを確実にするのに役立つ。
【0137】
カメラ組立体350が回転すると、カメラ組立体350と外側鞘318の距離は変化する。結果として、カメラ組立体350の視野に入る外側鞘318の量も変化する。カメラ組立体350から外側鞘318への距離が大きくなると、カメラ組立体350の視野内となる外側鞘318は多くなる。よって、カメラ組立体350に与える保護の最適な量と無制限の視野は、視覚ノッチ352の幅を変えることで達成される。
【0138】
図24は、視覚ノッチ352が変化する幅を有する、挿入セクション14(
図3Aに明確に示される)の先端の代替の組立図を示す。視覚ノッチ352の幅が変化し、視覚ノッチ352がカメラ組立体350のいかなる角度方向においてもカメラ組立体350の視野の外になる。これにより、カメラ組立体350はより大きな程度で外側鞘318により囲われる。
【0139】
図25は、挿入セクション14(
図3Aに明確に示される)の先端のさらに代替の組立図を示し、バー351に区切られたいくつかの開口353が、
図22に示したのと同様に、所定の位置に含まれる。このような配列は、カメラ組立体350にさらなる保護を提供できる。バー351が邪魔するカメラ組立体350の視野を最少とするため、バー351は透明な材料で作られてもよい。他の実施の形態では、バー351は、例えば外側鞘318と同じ材料の、不透明な材料で作られてもよい。
【0140】
あるいは、視覚ノッチ352(
図24参照)または1つ以上の開口353(
図25参照)を部分的に覆うカバー部材(不図示)をシャフトまたは挿入セクション14(例えば
図1参照)の先端に実装してもよい。そのようなカバー部材は、例えば、カメラ組立体350に追加の保護を与えつつカメラ組立体350の実質的に鮮明な視野を可能にするケージであってもよい。実施の形態によっては、カバー部材は、光学的に鮮明な部分的覆いを含んでもよい。
【0141】
別の実施の形態では、カメラ組立体は、保護先端構造342なしで、内視鏡シャフトの先端に実装されてもよい。先端構造342はカメラ組立体にある程度の保護を与えるが、可動域内の全ての位置でカメラの完全な視野を妨げることもある。代替の配置の例を
図26に示す。この例では、センサまたはカメラ筐体500自体が、囲まれたカメラ組立体(例えば、レンズおよびセンサ組立体)に十分な保護を提供するように作られる。例えば、カメラ筐体500は、少なくとも一部が鉄鋼または同様に丈夫な材料で作られ、筐体の少なくとも外殻は、内視鏡の挿入端が入れられたり、位置変えされたりしたときに、物理的外乱に耐えるように作られる。筐体500の晒される部分は、外側が球状、回転楕円体(扁球、扁長、等)、またはドーム型で、あるいは、内視鏡シャフトを手術部位内に挿入しまたは動かすときに組織に損傷を与えることを防止するような丸まった縁を提供するような他の丸まった形状、を有することが好ましい。カメラ組立体を内視鏡シャフト14の先端550で強化され少なくとも部分的に丸まった筐体500に置くことにより、カメラ組立体や近くの組織を損傷するリスクのある場所に置くことなしに、手術部位のより多くの部分の邪魔のない視野が得られる。この例では、センサまたはカメラ筐体500は、プル・ワイヤ502、ケーブルまたはバンドを用いて軸504回りに回転し、カメラ組立体(レンズおよびセンサ組立体)の光軸を、内視鏡シャフト14の先端550の長手軸に関して0°より小さい角度から90°より大きい角度まで向けることができる。センサやカメラ組立体が広い視野を有するように配置されると、カメラ筐体の可動域は、内視鏡シャフトの先端または挿入端で長手軸に関して約35°と135°の間の光軸可動域を提供するように配置される。この配置では、オペレータは、内視鏡シャフトの先端とまさに反対側の手術部位を見ることができ、さらに内視鏡の先端の後ろ側の手術部位の領域を見ることもできる。この配置ではまた、オペレータは、カメラ組立体を90°以上の位置まで回転させることで、カメラ組立体の表面を洗浄し、堆積した表面のごみを取り除くことができる。
【0142】
カメラ組立体350を、分離して
図32に示す。この配置は、
図18-23に示される内視鏡シャフト先端の作動端の丸まった先端342により得られる物理的保護のため、
図25に示す挿入セクションまたはシャフトにより適している。図示のように、リボンまたは柔軟ケーブル250は、カメラ組立体350内に連結され、カメラ組立体350との間の電力およびデータ通信路を提供する。カメラ組立体350は、内視鏡10のカメラを支持するように構成された適切な構造でよい。カメラ組立体350が回転する実施の形態では、カメラ組立体350は旋回アクチュエータ取付特徴を含んでもよい。
【0143】
図示のように、カメラ組立体350は、レンズ組立体354を含む。図示のように、レンズ組立体354は、カメラ筐体上部356とカメラ筐体下部358の間の所定の位置に保持される。組み立てられると、カメラ筐体上部356とカメラ筐体下部358は、限定されないが、のり、接着剤、超音波溶接、協働する特徴の圧入等の適切な手段で、一体に連結される。
図32の例示の実施の形態では、レンズ組立体354は、カメラ筐体上部356のレンズ開口360を通って突き出し、目的の解剖学的領域の鮮明な視野を有する。
実施の形態によっては、レンズ組立体354の少なくとも一部がカメラ筐体上部356から突き出る。
【0144】
カメラ筐体上部356は、いくつかの他の空洞を含んでもよい。
図32に示す実施の形態では、カメラ筐体上部356は、レンズ開口360の左右(
図32において)の側面に配置された2つの細長い光投射空洞362を含み、空洞362は、光ファイバの末端要素(または任意で、LEDなどの他の光源)を収容するようになされて、カメラレンズまたはレンズ組立体354が向けられた方向と一致する目的領域に光を照射する。図示の例では、右の細長い空洞362の形状は台形で、左の細長い空洞362の形状はひし形である。代替の実施の形態では、空洞362の形状は異なっており、例えば、両方とも玉子形である。代替の実施の形態では、追加の空洞362があってもよい。例えば、実施の形態によっては、レンズ開口360の周りに三角形状に配置された3つの空洞362があってもよい。実施の形態によっては、レンズ開口360の周りに四角形状、正方形状、円形状、または玉子形状に配置された4つの空洞362があってもよい。
【0145】
内視鏡10用の1つ以上の照明源が、少なくとも部分的に内視鏡10内に含まれてもよい。照明源は、カメラ組立体350の回転された位置に関わらず、カメラ組立体350のカメラの視野を照射する。実施の形態によっては、照明源は、カメラ組立体350内にあってもよい。
図32の例示の実施の形態では、照明源は、内視鏡10の外部の照明要素(不図示)からの光を伝達できるいくつかの光ファイバ(例えば、光ファイバのファイバ)364である。光ファイバ364は、カメラ筐体上部356の空洞362内に経路を有し連結されてもよい。例示の実施の形態では、光ファイバ364は、カメラ筐体上部356の空洞362内に経路を有する。光ファイバ364の数は、大体の実施の形態では異なっていてもよい。光ファイバ36の発光端は、カメラ筐体上部356の上面とほぼ同一面であってもよい。実施の形態によっては、例えばLEDなどの他の照明源を用いてもよい。
光ファイバ364または他の照明源は、所定の光照射角度で所望の色彩または強度の光を提供するように構成される。
【0146】
図32の例示の実施の形態で示されるように、カメラ組立体350は、旋回ピン366を含んでもよい。旋回ピン366は、カメラ組立体筐体330(
図20参照)の旋回ピンベアリング346に旋回可能に連結される。旋回ピン366は、挿入セクションの長手軸からほぼ直交方向に突き出してよい。旋回ピン366は、カメラ組立体350と光ファイバ364(または他の照明源)が互いに一列になって旋回できるようにする。
【0147】
カメラ組立体350はまた、上述の旋回アクチュエータ取付特徴を含んでもよい。
図32の例示の実施の形態では、カメラ組立体350は、上部ケーブル取付特徴またはアンカー点372および下部ケーブル取付特徴またはアンカー点374を含む。上部ケーブル取付特徴372と下部ケーブル取付特徴374について、以下にさらに説明する。
【0148】
上述のように、内視鏡10はまた、1つまたは福数の旋回アクチュエータを含んでもよい。旋回アクチュエータは、旋回取付特徴を介してカメラ組立体350を引き寄せたり押すのに用いられる細長部材でよい。図示の例では、旋回アクチュエータは大抵はプル・ケーブルまたはワイヤであるが、旋回アクチュエータをケーブル状の構造に限定するものではない。細長部材は柔軟でも、実質的に剛であってもよい。細長部材は、丸でも(ケーブルの例のように)、平たくても、または他の形状または断面を有してもよい。実施の形態によっては、旋回アクチュエータは、協同する接続特徴を回る経路を有するベルトであって、接続特徴はベルトの内周の特徴と摩擦係合しまたは噛み合うようになされてもよい。
好適な実施の形態では、旋回アクチュエータは、引っ張る面を提供するためだけに使用されてもよい。そのような配置では、より小径の挿入セクション14(
図3A参照)が可能になる。何故ならば、旋回アクチュエータは、旋回アクチュエータを押す力に応じて挿入セクション14内での実質的な横方向変位を防ぐのに十分な厚さまたは断面強度である必要がなくまたは支持軌道内に閉じ込められる必要がないからである。プル・ワイヤまたはプル・ケーブルの配置はまた、旋回アクチュエータを作るのにより多くの範囲の材料を用いることを可能にする。何故ならば、材料は、圧縮剛性ではなく、引張強度を有することだけを必要とするからである。
【0149】
図33に示すように、カメラ回転用ケーブルは、旋回ピン366の上下でカメラ組立体350に接続される。例示の実施の形態では、図示が簡単なように比較的緩んだように示される。操作においては、旋回ピン366の片側の1本以上のカメラ回転用ケーブルは引張状態にあり、旋回ピン366の反対側の1本以上のカメラ回転用ケーブルは緩んでいる。上で詳細に説明し、またここで
図14を参照すると、カメラ回転用ケーブルは、旋回制御構造100(
図14参照)のケーブル取付穴202の近くに取り付けられる。実施の形態によっては、カメラ回転用ケーブルはそれぞれのケーブル取付穴202に取り付けられる。カメラ回転用ケーブルは、旋回アーム198のケーブル取付穴202から延在し、内側鞘マウント160(
図11A参照)の基部セクション161bの1つ以上の孔178を通る経路を有する。それからカメラ回転用ケーブルは、柔軟ケーブル250と並行してユーティリティー孔168を通って延びる。ケーブル取付穴202が旋回アーム198の旋回点の対向する側に置かれるので、旋回制御構造100の旋回は、ケーブル取付穴202の1つに取り付けられたカメラ回転用ケーブルを緩め、他に取付られたカメラ回転用ケーブルを張ることになる。1つのケーブル取付穴202に関連するカメラ回転用ケーブルを旋回ピン366の片側のカメラ組立体350に取り付け、他のケーブル取付穴202に関連するカメラ回転用ケーブルを旋回ピン366の反対側に取り付けることにより、旋回制御構造100を用いてカメラ組立体350を選択的に回転することができる。実施の形態によっては、旋回制御構造100を前方に押すことで、カメラ組立体350を前方に回し、旋回制御構造100を後方に引くことで、カメラ組立体350を後方に回してもよい。
実施の形態によっては、組み立てると、すべてのカメラ回転用ケーブルが引張状態となってもよい。
【0150】
好適な実施の形態では、1本のカメラ回転用ケーブルだけが旋回制御構造100の旋回アーム198(
図14参照)のそれぞれのケーブル取付穴202に取り付けられてもよい。このような実施の形態では、上部カメラ回転用ケーブル368と下部カメラ回転用ケーブル370があってもよい。上部カメラ回転用ケーブル368と下部カメラ回転用ケーブル370は、上述のように、カメラ組立体350まで延在する。上部カメラ回転用ケーブル368は、カメラ組立体350の上部ケーブル取付特徴372を巻き、そこから延びる旋回アーム198の同じケーブル取付穴202に戻る。下部カメラ回転用ケーブル370は、カメラ組立体350の下部ケーブル取付特徴374を巻き、そこから延びる旋回アーム198の同じケーブル取付穴202に戻る。代替として、カメラ回転用ケーブルは、取付穴202を通って輪になり、両端は遠位でケーブル取付特徴上で終わってもよい。
【0151】
例示の実施の形態では、上部ケーブル取付特徴372(
図32に明確に示される)は、カメラ筐体上部356に2つの穴を含む。上部ケーブル取付特徴372は、さらに2つの穴を連結させる窪みを有する。上部カメラ回転用ケーブル368は、2つの穴の内いずれかの1つに入り、窪みに従い、2つの穴の内の他の穴から出て、ハンドルのケーブル取付穴202(
図14参照)に戻る。下部ケーブル取付特徴374(
図32に明確に示される)は、カメラ筐体下部358の反対側から突き出す2つの取付点またはフックを含む。下部ケーブル取付特徴374は、上部ケーブル取付特徴372とは旋回ピン366の反対側にある。下部カメラ回転用ケーブル370は、下部ケーブル取付特徴374の1つの取付点またはフックを巻き、下部ケーブル取付特徴374の2番目の取付点またはフックに引っ掛けられ、そこからハンドルの旋回アーム198のケーブル取付穴202に戻る。代替の実施の形態では、上部ケーブル取付特徴372および/または下部ケーブル取付特徴374は、例えば、アイレット、突起物、ペグ等を備えてもよい。
【0152】
上部カメラ回転用ケーブル368と下部カメラ回転用ケーブル370は、金属でも合成ポリマでも、編んだものでもモノフィラメントでも、適切なケーブルまたはワイヤ状の材料から作られてよい。上部カメラ回転用ケーブル368と下部カメラ回転用ケーブル370は、例えば、横方向に曲がる金属またはプラスチックの細長い片またはバンドでよい。
好適な実施の形態では、上部カメラ回転用ケーブル368と下部カメラ回転用ケーブル370は、引張状態での延びに対し抵抗のある材料で作られる。旋回アーム198(
図14参照)のそれぞれのケーブル取付穴202からの1本のカメラ回転用ケーブルをカメラ組立体350の旋回アクチュエータ取付特徴に巻き付けることは、カメラ組立体350に至るカメラ回転用ケーブルの方がカメラ組立体350から戻るカメラ回転用ケーブルの方と同じ引張になることを確実にするので、好ましい。時間経過または使用によるケーブルの一部の延びは、ケーブルの両半分に同じ影響をもたらす。
【0153】
好適な実施の形態では、上部カメラ回転用ケーブル368は、カメラ組立体筐体330の各内部壁のケーブル案内穴348の1つを通って引かれる。
図33に示すように、上部カメラ回転用ケーブル368は、ケーブル案内穴348の1つを通り抜け、カメラ組立体筐体330の外側に沿ってカメラ組立体350方向に延び続ける。実施の形態によっては、上部カメラ回転用ケーブル368が取る経路に沿って、カメラ組立体筐体330の外側にへこむ窪みまたは溝があってもよい。そのような実施の形態では、窪みまたは溝は、ガイドとして作用する。窪みまたは溝はまた、上部カメラ回転用ケーブル368がカメラ組立体筐体330の外表面にほぼ同じ面とあることを確実にするのに役立つ。このことは、外側鞘318(
図23参照)が上部カメラ回転用ケーブル368にぶつかって、完全に組み立てた内視鏡10の使用中にその動きを阻害することがないことを確実にするのに役立つ。
【0154】
図33に示すように、上部カメラ回転用ケーブル368は、カメラ組立体筐体330の内部に再度入ると、拘束ノッチ349を通って張られる。それから上部カメラ回転用ケーブル368は、上述のように、上部ケーブル取付特徴372に至る。ケーブル取付穴202(
図14参照)への戻りでは、上部カメラ回転用ケーブル368は、上部ケーブル取付特徴372からカメラ組立体筐体330の反対側の壁(
図20参照)の拘束ノッチ349へ至る。それから上部カメラ回転用ケーブル368は、カメラ組立体筐体330の前壁の外表面に沿い、任意ではあるが、壁の窪みまたは溝に沿う。それから、上部カメラ回転用ケーブル368は、カメラ組立体筐体330の内部空間に再度入り、前述のように、ハンドルのケーブル取付穴202に戻る。
【0155】
挿入セクションの先端の旋回組立体への接続に近位の旋回アクチュエータ(例えば、ワイヤまたはケーブル)の末端セグメントは、アクチュエータの方向を変える支点または支持点で拘束され、挿入セクションまたはシャフトの長手軸に対して角度を持ってもよい。
例えば、上部カメラ回転用ケーブル368をケーブル案内穴348および拘束または方向変換ノッチ349を通って引いて、それから旋回ピン366の反対側の上部ケーブル取付特徴372に向けて曲げることにより、カメラ組立体350を旋回する広がった旋回範囲が達成できる。よって、予め決まったまたは固定の角度視野を有する画像センサを回転して回転する視野を可能にし、可視領域を180°までの範囲に広がることができる。別の実施の形態では、180°を越える可視領域を達成するように回転してもよい。
図33に示すように、説明したようにケーブルを引くことで、ケーブルを取付点372により正確な入射角で置かれ、よって、カメラ組立体350のより大きな角度の逆回転が可能になる。
【0156】
実施の形態によっては、ここで
図34も参照すると、カメラ組立体35は、2セットのケーブル案内穴348があるから、180°以上に回転することができる。なお、ケーブル案内穴348の下側のセットは、カメラ筐体上部セクションをコントロールし、ケーブル案内穴348の上側のセットは、カメラ筐体下部セクションをコントロールする。カメラ組立体350が回転できる角度は、カメラ回転用ケーブルの末端部分がカメラ回転用ケーブルの基部部分または挿入セクション(または内視鏡シャフト)14(
図1参照)に関して作れる角度の関数となる。カメラ回転用ケーブルがカメラ組立体筐体330の外側に再入するときにカメラ回転用ケーブルの末端部分が挿入セクション14の長手方向に対して作る角度が大きいほど、カメラ組立体350にもたらされる可動域は大きくなる。好適な実施の形態では、カメラ組立体筐体330の再入表面または方向変換ガイドは、カメラ回転用ケーブルの末端部分の角度が、挿入セクション14の長手軸に対して約30-90°の範囲内となるように、配置される。他の実施の形態では、カメラ組立体350の回転可動域は、カメラ回転用ケーブルの末端部分の角度が約45-80°の範囲内となるようにケーブル再入表面またはガイドを配置することでカメラ回転用ケーブルの摩擦抵抗を限定しながら、改良できる。上述のように、そのような実施の形態では、1組の相補するケーブル368、370のいずれかを、1本のケーブルを上部ケーブル取付特徴372に取り付くまで挿入セクション14の先端または末端位置で上に曲げ、1本のケーブルを対応する下部ケーブル取付特徴374に至るまで挿入セクション14の先端または末端位置で下に曲げるための、引く力だけが必要である。この配置によれば、いずれの作動ケーブルも挿入セクション14のほとんどの長さにおいて横方向または横断方向に動かす必要がなく、挿入セクション14の内部空間を狭めることができ、全体的直径を最小化するのに役立つ。
【0157】
実施の形態によっては、拘束または方向変換ノッチ349を用いなくてもよい。いくつかの実施の形態では、挿入セクションの先端の壁に組み込まれた別のタイプの拘束または方向変換要素を用いる。実施の形態によっては、拘束として、プーリまたはアイレットを用いてもよい。ピン、ペグ、柱等を拘束または方向変換要素として用いてもよい。実施の形態によっては、くし形または曲がった突起を、カメラ組立体筐体330の側壁に形成してもよい。くし形は、カメラ組立体筐体330の内部壁とくし形との間に空間があるように、カメラ組立体筐体330の内部空間に延在してもよい。上部カメラ回転用ケーブル368がこの空間を通り抜け、くし形で拘束されてもよい。多くの実施の形態では、拘束とケーブルの接触点は、平滑であるか、内視鏡の操作中にカメラ回転用ケーブルへの摩擦損傷の可能性を最小化するような曲率半径を有するのが好ましい。場合によっては、拘束を、テフロン(登録商標)のような低摩擦係数の材料でコーティングするのが良い。
【0158】
実施の形態によっては、上部カメラ回転用ケーブル368の代わりに下部カメラ回転用ケーブル370が、前述と同様に拘束され、一方向が他方向の回転より大きなカメラ組立体350の旋回範囲を可能にしてもよい。
図34に示すように、実施の形態によっては、下部カメラ回転用ケーブル370と上部カメラ回転用ケーブル368との両方が、より大きな旋回範囲を可能にしつつ、拘束または方向変換されてもよい。
【0159】
図34には、外側鞘318、カメラ組立体筐体330およびカメラ組立体350が示される。2組のケーブル案内穴348がある。1組は、カメラ組立体筐体330の長手軸の上方で、もう1組は、カメラ組立体筐体330の長手軸の下方である。また、2つの拘束ノッチ349がある。拘束ノッチ349の1つは、カメラ組立体筐体330の長手軸の上方に置かれ、他の1つは、カメラ組立体筐体330の長手軸の下方に置かれる。
【0160】
カメラ回転用ケーブルの改良された機械的利点が、方向変換要素(例えば、ノッチ)をカメラ組立体350の長手軸の片側(例えば下方)に置き、カメラ回転用ケーブルの末端をカメラ組立体350の旋回軸の反対側(例えば、上方)にあるカメラ組立体350上の点に接続することにより、得られる。
【0161】
図示のように、上部カメラ回転用ケーブル368は、長手軸の下方のケーブル案内穴348の1つを通り抜け、長手軸の下方の拘束ノッチ349でカメラ組立体筐体330内に再度入る。それから上部カメラ回転用ケーブル368は、カメラ組立体350の上部ケーブル取付特徴372に向けて再度方向変換する。
図34では、下部カメラ回転用ケーブル370は、カメラ組立体筐体330の長手軸の上方でケーブル案内穴348を通り抜ける。それから下部カメラ回転用ケーブル370は、カメラ組立体筐体330の長手軸の上方の拘束ノッチ349を通って、カメラ組立体筐体330内に再度入る。それから下部カメラ回転用ケーブル370は、下部ケーブル取付特徴374に向けて再度方向変換する。上部カメラ回転用ケーブル368と下部カメラ回転用ケーブル370は、カメラ組立体350が旋回した位置に応じて、カメラ組立体350の一部分に巻き付けられてもよい。
図34では、下部カメラ回転用ケーブル370は、カメラ組立体350の一部分に巻き付いて示される。
【0162】
いくつかの実施の形態では、旋回アクチュエータとして、ベルト384を用いる。旋回アクチュエータとしてベルト384を含む実施の形態が
図35に示される。図示のように、ベルト384は、カメラ組立体350の旋回ピン366の1つに巻き付く。実施の形態によっては、旋回ピン366は、旋回ピン366の少なくとも1つの一部分が旋回ベアリング346から延在するように、引き延ばされてもよい。そのような実施の形態では、ベルト384は、
図35に示すように、旋回ピン366のこの部分に巻き付けられる。実施の形態によっては、カメラ組立体35の形状は、ベルト384がカメラ組立体350に巻き付くように、異なっていてもよい。例えば、カメラ組立体350は実質的に円筒形形状をしている。カメラ組立体350の実質的な円筒形形状は、旋回ピン366と同軸でもよい。そのような実施の形態では、ベルト384は、カメラ組立体350の周囲に巻き付けられる。
【0163】
実施の形態によっては、ベルト384が巻き付けられる表面は、側面の表面に対して窪んでいても(例えばV字形)よい。このことは、運転中にベルト384を所定の位置に保つのに役立つ。他の実施の形態では、他のタイプのガイドを用いてもよい。例えば、ベルト384が巻き付けられた表面が、運転中にベルト384を所定の位置に保つ2つの壁により側面を守られてもよい。
【0164】
ベルト384は、高摩擦材で形成され、ベルト384が駆動されたときにベルト384が巻き付いた表面上で滑らないようにしてもよい。実施の形態によっては、ベルト384は粗い表面を有し、または、歯付きとされ、カメラ組立体旋回ピン366(歯車付きでもよい)を掴むあるいは確実に係合するのを助けてもよい。ベルト384を使用することで、カメラ組立体350の広範囲の旋回が可能となり、カメラ組立体350の等価な可動域を達成するために挿入セクション14内でプル・ケーブル旋回アクチュエータを横方向に方向変換する必要性が無くなる。このことにより、挿入セクション14をより小さな直径とすることができる。
【0165】
ベルト384を用いる実施の形態では、ベルト384は、旋回制御構造100(
図14参照)の変位により駆動されるように構成してもよい。実施の形態によっては、ベルト384がカメラ組立体350または旋回ピン366に巻き付くのと反対側端部が、旋回制御構造100の旋回シャフト204に巻き付いてもよい。そのような実施の形態では、旋回シャフト204の回転がベルト384を駆動する。ベルト384が巻き付く旋回シャフト204の部分は、相対的に大きな直径であってもよい。このことは、ベルト384を比較的大きく動かすのに旋回シャフト204の小さな旋回変位だけが必要であるので、好ましい。ベルト384が歯を含む実施の形態では、ベルト384の歯は、旋回制御構造100の旋回シャフト204に配置された歯車と互いに噛み合ってもよい。そのような実施の形態では、旋回シャフト204と旋回シャフト204上の歯車の回転は、ベルト384を駆動する。ベルト384が駆動されると、ベルト384の動きがカメラ組立体350に駆動力を働かせ、カメラ組立体350を旋回させる。
【0166】
他の実施の形態では、旋回アクチュエータは、ラック-ピニオン方式のラックであってもよい。そのような実施の形態では、カメラ組立体350の旋回ピン366は歯付き部分を含む。旋回ピン366の歯付き部分は、旋回アクチュエータのラックと相互に噛み合うピニオンギアであってもよい。ラックが挿入セクション14内で長手方向に変位すると、この動きが、旋回ピン366の歯付きピニオン部分を介して、カメラ組立体350の回転に変換される。このような実施の形態では、カメラ組立体350を回転させるのに引く力にのみ依存してはいないが、旋回アクチュエータは、依然として挿入セクション14内でのアクチュエータの横方向の変位を必要としない。特定の実施の形態では、それにもかかわらずプッシュ-プル・ラック型アクチュエータはいくつかの特徴(例えば、剛であること、厚さ)を必要とし、あるいは、ラックに圧縮力が作用している間、横方向または左右交互の曲がりを防止するように経路内に拘束される。
【0167】
1本以上のカメラ回転用ケーブルを用いるさらに別の方法では、類似の旋回範囲が、カメラ回転用ケーブルの経路設定がカメラ組立体筐体330に含まれる種々の特徴を通る必要なしで、達成できる。このことは、挿入セクション14(
図1参照)の直径を小さくできるので、好ましい。さらに、そのような実施の形態用のカメラ組立体筐体330は、穿孔(例えば、
図20のケーブル案内穴348)または再方向変換要素/拘束(例えば、
図20の拘束ノッチ349)を必要とせず、よって、カメラ組立体マウントの製造を容易にする。そのような実施の形態では、
図21の例示の実施の形態で示されるように、カメラ組立体筐体330と内側鞘312を用いてもよい。
【0168】
そのような実施の形態では、カメラ組立体350は、1つ以上の巻き取り機構または面1400を含んでもよい。巻き取り機構は、少なくとも部分的にカメラ回転用ケーブルの末端部分をカメラ組立体350の筐体周りに巻くように構成される。カメラ回転用ケーブルの末端の接続または取り付け点は、巻き付け機構の遠位のカメラ組立体筐体上に据え付けられる。巻き付け機構は、カメラ組立体筐体の一部に部分的または完全に巻き付く、曲がって、多少窪んだ表面を有するのが好ましい。よって、種々の実施の形態で、カメラ回転用ケーブルは、部分的にだけ筐体周りに巻かれても、筐体周りに1重以上の完全な輪になってもよい。より長い巻き取り機構は、カメラ組立体のより広い回転範囲を提供する。
作動の間、関連したカメラ回転用ケーブルは、巻き取り機構1400に巻かれ、または、巻きが解かれる。巻き取り機構1400は、カメラ組立体350の旋回範囲を大きくできる。巻き取り機構1400は、回転の間、より着実なトルクをカメラ組立体350に作用させることができる。巻き取り機構1400は、所望のまたは変化する長さのモーメントアームを作り出すように作られてもよい。さらに、巻き取り機構1400をカメラ組立体の回転軸から円周方向に離れて置くことには、カメラ回転用ケーブルが回転トルクを効率的に生成するのに役立つ。
【0169】
一連の
図36-40は、いくつかの回転位置における巻き取り機構1400を含むカメラ組立体350を概念的に図示する。図示のように、巻き取り機構1400は、弓形部分と直線部分を含んでもよい。弓形部分は、カメラ組立体350の旋回軸から延在する曲率半径を有するような形とされる。巻き取り機構1400の直線部分は、トルク増大特徴として作用するような角度とされる。さらに、巻き取り機構1400の直線部分により、カメラ筐体355がより多くの材料(弓形セクションに続くのに除去されなければならなくなるであろう材料)を有して作ることができ、よって、カメラ筐体355の構造的統合性を高めることになる。このことは、カメラ組立体350が非常に小さな空間に合わせられ、よって非常に小さなフォームファクタで作られなければならない実施の形態で、特に重要である。
【0170】
図36に示すように、上部カメラ回転用ケーブル368は、巻き取り機構1400周りに巻かれる。上部カメラ回転用ケーブル368により作用する引っ張り力は、カメラ組立体350の旋回軸回りのトルクを生じ、カメラ組立体350を時計方向に回転させる。さらに、巻き取り機構1400の直線部分は、長いモーメントアームを作り出し、よって、与えられた引っ張り力の大きさにより得られるトルクを増大する。
【0171】
カメラ組立体350が
図37に示される位置に回転すると、上部カメラ回転用ケーブル368は、巻き取り機構1400から巻きを解かれ始める。力が作用し続け、カメラ組立体が回転し続けると、上部カメラ回転用ケーブル368は、
図38に示すように、巻き取り機構から巻きを解かれ続ける。十分に巻きが解かれると、上部カメラ回転用ケーブル368が巻き取り機構1400から離れる位置は、巻き取り機構1400の弓形セクションに位置することになる(
図37および
図38に示されるように)。ある実施の形態では、巻き取り機構1400の弓形セクション上の全ての点が、旋回軸から等距離に位置してもよい。
【0172】
例示の実施の形態では、上部カメラ回転用ケーブル368により引っ張り力が作用され続けると、カメラ組立体350は、
図39に示されるように、上部カメラ回転用ケーブル368が巻き取り機構1400の表面にもはや接触しなくなるまで回転し続ける。それからカメラ組立体350は、上部カメラ回転用ケーブル368を引っ張る力がカメラ組立体350の回転軸と一致するように近づくまで、回転し続ける。この位置は、
図40に示される。当業者には理解されるように、カメラ回転用ケーブル368は巻き取り機構1400周りに1回以上巻かれ、カメラ回転用ケーブル368を用いて生み出される回転量を増大する。カメラ回転用ケーブル368がカメラ組立体350の接触面周りに巻かれる角度により、90°を超えるカメラ組立体350の回転範囲が可能となる。そして、カメラ組立体350の回転角度は、付属する電気可撓ケーブルおよび/または光ファイバの束の緩み量及び柔軟性のみによって制限されるであろう。
【0173】
ある実施の形態では、カメラ回転用ケーブルおよび巻き取り表面は、カメラ組立体350が、遠位の内視鏡シャフトの長手軸の約90°から約120°の間の位置まで回転できるように構成され、カメラ組立体のレンズ面を少なくとも部分的には内視鏡シャフトの基端の方向に向ける。この位置では、レンズ表面のごみや汚染物質を、内視鏡シャフトを遠位方向に流れる洗浄液によって洗い去ることができる。
【0174】
カメラ組立体350を
図40の位置から
図38に示される位置に回転するため、引っ張り力が下部カメラ回転用ケーブル370を介して掛けられる。実施の形態によっては、下部カメラ回転用ケーブル370は、巻き取り特徴と関連してもよい。例えば、下部カメラ回転用ケーブル370が巻き付くカメラ組立体350の角または縁は、丸められてもよい。
【0175】
図41は、巻き取り機構1400を含むカメラ組立体350の特定の例示の実施の形態の上面斜視図を示す。カメラ組立体350は、レンズ組立体354を含む。レンズ組立体354は、カメラ筐体355の内部に配置される。巻き取り機構1400は、図示のように、カメラ筐体355の側面に窪んでもよい。例示の実施の形態の巻き取り機構1400は、弓形部分と直線部分を含む。巻き取り機構1400の弓形部分は、旋回ピン366または旋回軸の中央から延在する曲率半径を有するような形とされる。
【0176】
図41に明確に示されるように、巻き取り機構1400が窪む壁は、第1空洞1402を含んでもよい。カメラ筐体355はまた、第2空洞1404を含んでもよい。第2空洞1404は、カメラ筐体355の上面からカメラ筐体355の底面まで通り抜けてもよい。
【0177】
図示のように、1本のカメラ回転用ケーブル1406だけが用いられてもよい。カメラ回転用ケーブル1406は、カメラ筐体355の第1空洞1402と第2空洞1404の両方を抜けて延びる。カメラ回転用ケーブル1406の一端は、旋回アーム198(
図14参照)のケーブル取付穴202に取り付けられる。カメラ回転用ケーブル1406の他端は、旋回アーム198の他のケーブル取付穴202に取り付けられる。実施の形態によっては、カメラ回転用ケーブル1406は1箇所以上でカメラ筐体355に固く取り付けられてもよい。例えば、膠の接着剤を空洞1402または空洞1404の1つに置いてもよい。このことにより、作動の間にカメラ回転用ケーブル1406がカメラ筐体355の表面を滑ったり移動したりしないことを確実にできる。さらに実施の形態によっては、カメラ回転用ケーブル1406は、1箇所以上で結わかれてもよい。例えば、カメラ回転用ケーブル1406は、第1空洞1402と第2空洞1404の1つを越えて引かれ、結わかれ、それから第1空洞1402と第2空洞1404の他の1つを越えて引かれる。好ましくは、結び目の幅は、第1空洞1402と第2空洞1404のいずれにも合わないように十分に大きくされる。そのような結び目もまた、作動の間にカメラ回転用ケーブル1406がカメラ筐体355の表面を滑ったり移動したりしないようにするのに役立つ。
【0178】
当業者には理解されるように、
図41-43に示す実施の形態では、2本のカメラ回転用ケーブルを使うように容易に変更できる。1本のカメラ回転用ケーブルは、第1空洞1402内または第1空洞1402の位置に端部を有し、カメラ筐体355に固く取り付けられる。第2のカメラ回転用ケーブルは、第2空洞1404内または第1空洞1402の位置に端部を有し、カメラ筐体355に固く取り付けられる。
【0179】
代替の例として、
図27は、どのように旋回制御構造100で操作されるプル・ワイヤ502が、内視鏡シャフト14の先端で、丸まったドーム型のセンサまたはカメラ筐体500の周りに巻かれ、または、取り付けられるのかを示す。内側鞘312は、見やすさのために取り除かれている。この例では、カメラ筐体500は、筐体500内に内包されるレンズ/カメラ組立体と干渉しないように筐体500の片側へずれている、ほぼ円周のスロット501(好ましくは、組み立てられた2つの筐体の半分のほぼ中央に位置する)を含む。プル・ワイヤ502は、スロット501内に留められ、窪み503で筐体500にしっかりと止められる。プル・ワイヤ502の結び目は、窪み503にはめ込まれ、プル・ワイヤ502が内視鏡シャフトに沿って前後に動かされるときに筐体500を回転する取付点として動作する。任意ではあるが、少量の接着剤を用いて内視鏡の組立て中に追加の取付手段を提供してもよい。好適な実施の形態では、プル・ワイヤ502は、延びに対し高い長手方向強度と抵抗を有する、ケブラー(登録商標)糸を備える。他のワイヤのタイプでは、鉄鋼(編んだものまたは1本のより糸)、ナイロン、または、延びに対して適切な強度と抵抗を有する他の材料を含んでもよい。
【0180】
図26と23.2に示す丸まったセンサ筐体500は、より単純に構成されたレンズ510と画像センサ512を囲むことができ、手術部位の照明用の光源は、筐体そのものに実装される必要なしで、センサ/カメラ筐体500の近くに配置できる。
図28と
図29は、どのように丸まったまたはドーム型のセンサ/カメラ筐体500が、2つのセクション500aとセクション500bから作られるのかを示す。これらのセクションのそれぞれは、拡張PCB514または柔軟なケーブルの先端、関連するセンサ512を置くための内部切り抜き、関連するセンサ512(例えば、CMOSまたはCCD)および適切なレンズ510を置くための内部切り抜きを有するように成型または機械加工される。2つのセクション500aと500bは、いくつかの方法によりこれらの部品を覆って接合できる。図示の例では、セクション500bの1つ以上のピン500cが、セクション500aの適合する窪み500dの対応する配列と接続される。
図30に示されるように、それぞれのセクションの外側の旋回シャフト505が、組立てられるように弾性的に柔軟な、内視鏡シャフトの内側鞘312の先端の対応する孔、ベアリングまたは軸受筒507に挿入される。組み立てられた筐体500は、穴507内の所定の位置に押し込まれまたはスナップばめされ、2つのセクション500aと500bが一体に結合されるようにする。任意ではあるが、接着剤を用いて、ピン500cを対応する窪み500dにしっかりと結合してもよい。図示されたセンサ/カメラ筐体500では光源を含まないが、これは任意であり、以下に説明するように、適切な大きさのLEDまたはLED群をレンズの周辺の辺りに含むこともでき、あるいは、光ファイバケーブルの末端を同様に設置することもできる。
【0181】
例示の配列では、1つ以上のLED508が、内視鏡シャフト14の内側鞘312の開口部506に沿って配置できる。
図42は、センサ筐体500内のセンサ512およびレンズ510組立体を示す(見やすさのために筐体の半分は取り除かれている)。レンズ510とセンサ512(例えば、CMOSまたはCCDセンサ)の両方は、適切にシールされ、液体がそれらの間に入るのを防止する。センサ512は、内視鏡シャフトを通って内視鏡ハンドルのPCBに惹かれるリボンまたは柔軟ケーブルに接続される。同様に、光源/LEDは、電力を受けるためにリボンまたは柔軟ケーブルに接続され、または、センサ通信ケーブルに隣接する別のリボンまたは柔軟ケーブルに接続される。代替の例では、内視鏡ハンドルのメインPCBは、内視鏡シャフトを通ってシャフト先端の1つ以上の部品に延在するように配置された細長い拡張と一緒に製造できる。PCBは、剛な部品に挟まれた柔な部品を有して構成されてもよい。柔な部品は、メインPCBから現れて、内視鏡シャフトのPCB拡張を形成してもよい。剛な部品は、同様に、メインPCBから現れて、内視鏡シャフトのPCB拡張を形成してもよい。これらの拡張のいずれか、または、両方は、メインPCBからのリボンまたは柔軟ケーブルと交互に組み合わされ、電力または通信を内視鏡シャフトの先端の部品に提供してもよい。例えば、センサ512は、内視鏡ハンドル12のメインPCBからの柔軟なPCB拡張の先端に実装することができる。センサPCB拡張514は、柔軟で、充分なゆるみを有し、センサ筐体500が回転するとセンサ512とレンズ510の回転ができるようにする。また、この例での光源は、センサPCB拡張に実装されるか、あるいは好ましくは別の光源PCB拡張516に実装される1つ以上のLED508を備える。光源の電力の要求のために、電力供給ワイヤを別の柔軟ケーブルまたはPCB拡張516に実装することは、内視鏡の信頼性を高める。また、内視鏡シャフト14が剛であると(例えば、多くの関節鏡の場合のように)、光源の電力ワイヤを剛なPCB拡張に実装でき、さらに、内視鏡の全体的な構造安定性を高める。
図42で示される例では、柔軟なPCB拡張514が、そのベースを覆うように折られ、剛な光源PCB拡張516に対して置かれ、両方の拡張は、内視鏡のハンドル12内のメインPCBに統合されている(以下参照)。
【0182】
図26および
図42に示される実施の形態用のプリント基板(PCB)のフォームファクタを
図43に示す。
図43および
図44に示すフォームファクタは、どのようにリボンまたは柔軟ケーブルが、折り畳まれ、対になるリボンまたは柔軟ケーブルに隣接して、または、対になるPCBに隣接して、隔壁を通ってシャフト先端の接続する部品まで内視鏡シャフトに沿って引かれるかを説明するのにも使えることに注意願う。一例では、剛なメインPCB518(その上にいくつかの電子処理部品が実装される)は、互いに重ねられた剛な部品と柔な部品との双方を備え、メインPCB518は内視鏡ハンドルに置かれる。柔なPCB拡張部分514は、合成メインPCB518から剛な拡張部分516の方向に向く角度で現れ、柔なPCB拡張部分514の近位脚部514aが点520(
図44)で折り畳まれ、
図44に示すように、剛な拡張部分516に隣接して引かれる。図示の例では、柔な拡張部分の近位脚部514aは、剛な拡張部分に対して約90°の角度である。実施の形態によっては、角度は、近位脚部514aが不完全に整列した折り畳みを許容する柔軟な拡張部分の柔軟さのために、90°より小さくても大きくてもよい。柔なPCB拡張514は、
図45では、剛なPCB拡張516に隣接して、内視鏡シャフト(見やすさのために内側鞘、センサ筐体およびレンズは取り除く)に沿って引かれて示される。
この方法では、両方の拡張PCBは、隔壁または流体バリアのエラストマーのスロット、
図11Bまたは11Cに示すスロット177のようなスロット、を通り抜けることができる。
【0183】
図46は、例示の内視の切欠図を示す。メインPCB518は、ハンドル基部セクション16、カメラ制御ボタン37、隔壁または通り抜けバリア159、および旋回制御構造100と関連して示される。回転位置センサ磁石51は、ハンドル基部セクション16とメインPCB518との双方に関連して示される。例示の流体導管434(洗浄用または吸引用)は、隔壁159に至るように示される。流体導管434は、
図47に示すようにバーブ継手256を通じて、または、しっかりとした接続の他のいかなる手段を通じて、隔壁159に接続してもよい。この場合、内側鞘312は、説明の明確さのために、取り除かれている。
【0184】
図47は、ハンドル、内側鞘、旋回制御構造および流体導管なしの内視鏡のPCBを示し、その拡張は、隔壁または通り抜けバリア159を通り抜けている。加えて、回転位置検出磁石51とカメラ制御ボタン37とシャフト38(はめ込まれた磁石を有する)は、メインPCB518との関連で示され、これらの磁石のそれぞれのホール効果センサをPCB518上でどこに置けるのかを示唆している。図示のように、柔なPCB拡張の折り畳み点520は、隔壁159の近位に置かれ、組み合わせた隣接する柔と剛なPCB拡張が、スロット177で隔壁を通り抜ける。この場合のスロットは、柔なPCB拡張514の十分な量の緩みが、末端の近くのセンサ512で提供されるので、流体浸入に対してしっかりとしたシールができる。
【0185】
図48に示すように、流体または空気搬送内部空間157は、内視鏡シャフト14内の空間を、光源に電力を供給し内視鏡シャフト14の先端に置かれたセンサ/カメラと通信する拡張PCB514、516(あるいは、1本以上のリボンまたは柔軟ケーブル)と分け合う。センサ/カメラ筐体は、見やすさのために取り除かれている。(シャフト14の内側鞘312は、センサ/カメラ筐体の近位に切り抜きまたは開口を有し、上方で光源またはLEDによる照明を提供し、任意ではあるが、下方でセンサ/カメラ筐体周りの流体流れを改善する。このことは、例えば
図26と72.6に示される。)
【0186】
図49は、上部内視鏡のハンドル先端セクション30内部の切欠図を示す。隔壁または流体バリア159は、比較的乾燥した領域(旋回制御構造、カメラ制御ボタンおよびメインPCBの先端が置かれたところ)を湿潤セクション30aから分離する。流体または空気導管434は、内視鏡ハンドルの外側からハンドル基部セクション16を通って引かれ、隔壁159の開口256に接続する。この例では、導管434と開口256を通過する流体は、湿潤セクション30aによって占められる空間を介して、内視鏡シャフト14の内部空間157と連通する。適切なシールを用いて、流体または空気が遠位のセクション筐体と内視鏡内側鞘312の基部端との間で漏洩しないように、この流体を封じ込めることができる。
【0187】
ここで
図7Cと14に戻ると、旋回制御構造100は、ハンドル12の高くなったハンドル部34または他の部分のスライドボタン窪み92の突起94で画定される戻り止めに「留め置かれる」ようにされてもよい。実施の形態によっては、突起94は、突起94により形成された戻り止めがカメラ組立体350の特定の角度方向と一致するように、間をあけてもよい。実施の形態によっては、突起94により形成された戻り止めは、その位置がカメラ組立体350の特定の角度増分(例えば、30°)に対応するように、間をあけてもよい。
【0188】
上述のように(
図7A参照)、ハンドル先端セクション30は、ハンドル基部セクション16に対して回転してもよい。このような回転はまた、挿入セクション14の長手軸をもまた回転させる。次に、カメラ組立体350は、挿入セクション14と共に回転してもよい。このことにより、ユーザは、内視鏡10の角度再配置を最少またはゼロで、問題となっている解剖学的領域の近くて広範囲な視野を得られる。ユーザは、カメラ組立体350をパンし、ハンドル先端セクション30をハンドル基部セクション16に対して回転するだけで、解剖学的領域内の所望の視野を得ることができる。
【0189】
光ファイバ364などの光ファイバのねじりや曲げの繰り返しは、1本以上のファイバの破断または損傷を生じることがある。光ファイバ364の場合には、このことは、光及び照明ロスにつながり、より多くの光ファイバ364が損傷すると増加する。このような曲げは、光ファイバ364が、上述のように旋回するカメラ組立体350の一部に端部を有し、接続または結合されると、生じ得る。内視鏡10が使い捨てとされるならば、光ファイバ364の完全性や性能の低下は、その器具の予定された寿命に関して許容限界内であるかもしれない。結果として、実施の形態によっては、光ファイバ364は、光ファイバ364の損傷や結果としての光源ロスについての最小限の心配で、旋回できるカメラ組立体350に取り付けまたは結合してもよい。光ファイバ364と関連する終端照明、発光要素または発光体は、実施の形態によっては、カメラ組立体350のレンズ組立体354が回転またはパンされた目標または視野に光を照射するために、有利にカメラ組立体350に実装されるかも知れない。そのような配置は、レンズ組立体354の視野(
図25-27で破線で示される)が、カメラ組立体350の回転範囲内でカメラ組立体350がどこへ回転したかに関係なく、常に光ファイバ364により明るくされることを確実にするのに役立つ。
【0190】
実施の形態によっては、照明システムは、ライトガイドまたは光導体375を含んでもよい。実施の形態によっては、光ファイバ364は、照明システムの経路の少なくとも一部に沿うライトガイドまたは光導体375(例えば、
図51参照)を含んでもよい。用語「ライトガイド」と「光導体」は、本書では同じ意味で使われる。光ファイバが比較的直線のときには、ファイバ内の光の入射角が十分に浅くほとんどすべての反射を光ファイバ内にするので、光損失は比較的少ない。しかし、光ファイバを曲げることは、ファイバ外の光の伝達が起こり得るところまで入射角を変える。しかし、光導体またはガイドの曲げは制御され得る。この理由のために、可能なところでのライトガイド375の使用は、光ファイバ364を備える照明システムでの光損失を最小化するのに役立ち、または、光ファイバに完全にとって代わってもよい。ライトガイド375はまた、いくつかの他の利益を提供する。例えば、ライトガイド375は、装置の組み立てや組立て時間短縮の助けとなり得る。ライトガイド375は、本書で説明したタイプでも、あるいは、当業者に公知の適切なタイプのライトガイドであってもよい。
【0191】
図51は、光導体375を利用する内視鏡10の例示の実施の形態を示す。2本の大径の光導体375が、内側鞘312(
図20参照)の壁の1つ以上のセクションに沿って、カメラ組立体筐体330に延び、そして、1つのカメラ組立体旋回ベアリング346内に曲がる。各光導体375の曲がった部分は、向きを変えたときに光導体375に出る光の損失を最小化するために、高反射材料376でコーティングしてもよい。当業者に公知の適切な高反射材料376を用いることができる。このような実施の形態では、カメラ組立体350はまた、旋回ベアリング346で光導体375との接点に形成される作り付けカメラ組立体光導体377を有してもよい。光導体375により運ばれる光は、接点でカメラ組立体光導体377に伝達される。カメラ組立体光導体377は、各旋回ピン366からカメラ組立体350内に延びてもよい。カメラ組立体光導体377は光投射空洞362に端部を有し、カメラおよびレンズ組立体の回転位置に関わらず、カメラ組立体350の視野が明るくされる。このような実施の形態では、カメラ組立体光導体377による曲がり部は、上述のように、高反射材料376でコーティングされる。実施の形態によっては、高反射材料376は、光導体375およびカメラ組立体光導体377の曲がり部に加え、光導体375およびカメラ組立体光導体377の他の部分に含まれてもよい。
【0192】
カメラ組立体350の旋回領域と一致する光導体接点を作ることは、カメラ組立体350が回転するときに光ファイバ364の曲げやねじれを回避し、光ファイバ364の損傷リスクをなくすので、好ましい。そのような設計は、再使用可能な内視鏡10、使い捨て内視鏡10のいずれの使用でも採用できる。この配置はまた、内視鏡10の製造または組立コストを低減できる。
【0193】
光導体375を用いる他の例示の実施の形態(不図示)では、大径の光導体375が、柔軟ケーブル250の経路にほぼ沿って延在する。光導体375の内側鞘マウント160に一番近い末端は、光ファイバ364との接点を形成し、または、他の照明源からの光を引き出すように配置されてもよい。光導体375のカメラ組立体350に一番近い末端はまた、カメラ組立体350に延びる照明用ファイバ364との接点を形成してもよい。
【0194】
実施の形態によっては、カメラ組立体350への光ファイバ364は、柔軟なリボン1000を形成するように配列され、最少の曲げ、または、1次元だけでの曲げ(例えば
図52参照)で、発光要素内に端部を有するファイバの直線配列を作り出してもよい。あるいは、柔軟なリボン1000は、ファイバの直線配列でなく、代わりに、実施の形態によっては、ライトガイド材料の単一のリボン状の柔軟な片であってもよい。実施の形態によっては、それぞれがカメラ組立体350の光投射空洞362の1つに延びる2本の柔軟なリボン1000でもよい。実施の形態によっては、柔軟なリボン1000は、高反射材料376でコーティングされ、カメラ組立体350での光量を最大にしてもよい。実施の形態によっては、柔軟なリボン1000は、光導体と接点を形成してもよい。
【0195】
実施の形態によっては、カメラ筐体上部356は、発光要素または照明として作用する光導体材料を備えてもよい。この場合、光は、カメラ筐体上部356のほとんどからカメラ組立体350の視野に投射される。実施の形態によっては、カメラ筐体上部356のある領域は明かりを消されまたはマスクされ、カメラ筐体上部356の所望の領域からだけ投射される。実施の形態によっては、カメラ筐体上部356のある領域は高反射材料376でコーティングされ、それらの領域からの不要な光の放出を防止する。
【0196】
図52は、光ファイバ364が柔軟なリボン1000に組み込まれ、任意ではあるが、高反射材料376でコーティングされた、実施の形態を示す。図示のように、柔軟なリボン1000は、カメラ組立体350まで延在する。柔軟なリボン1000は、カメラ組立体350にオーバーモールドされ、ポッティングされ、融合され、または他の方法で連結される。
【0197】
図52の例示の実施の形態では、カメラ組立体350は、モノリシックのカメラ筐体1002を備える。取り付けられる柔軟なリボン1000無しのモノリシックのカメラ筐体1002の例が、
図53により詳細に示される。例示の実施の形態では、モノリシックのカメラ筐体1002は、光導体または伝達材料で作られ、発光要素として機能する。例示の実施の形態のモノリシックのカメラ筐体1002は、ほとんど全体が高反射材料376でコーティングされ、モノリシックのカメラ筐体1002のコーティングされていないまたはマスクされていない領域からの光出力を最大にする。光照射または照明面1004は、モノリシックのカメラ筐体1002のレンズおよび画像センサ組立体に近接して置くのに適した形状を有し、高反射材料376の塗布の間にその領域をマスキングして作られる(あるいは、単に遮光マスク)。例示の実施の形態では、光照射面1004はリング状の形状を有する。他の実施の形態では、光照射面1004は、三日月形、半円でもよく、あるいは、他の所望の形状を有する。光は、モノリシックのカメラ筐体1002の光照射面1004から照射され、レンズ組立体354の視野を照らす。上述した実施の形態のように、照明域は、カメラ組立体350と共に旋回し、レンズ組立体354の視野がいつでも照らされていることを確実にするのが好ましい。
【0198】
図54は、モノリシックのカメラ筐体1002の別の例示の実施の形態を示す。輪郭で示されるように、モノリシックのカメラ筐体1002は、結合窪み1006を含む。結合窪み1006により、柔軟なリボン1000はモノリシックのカメラ筐体1002に適切に連結される。実施の形態によっては、結合窪み1006により、柔軟なリボン1000がモノリシックのカメラ筐体1002に、例えばスナップばめにより連結できる。実施の形態によっては、結合窪み1006は、柔軟なリボン1000に組み込まれない光ファイバ364を収容する。
図53と同様に、
図54では、モノリシックのカメラ筐体1002は、発光要素として機能できる。モノリシックのカメラ筐体1002はまた、
図53と関連して説明したモノリシックのカメラ筐体1002と同様にコーティングおよび/またはマスキングされてもよい。
【0199】
図55と
図56は、発光要素1005が柔軟なリボン1000の末端に組み込まれる実施の形態を示す。発光要素1005は、光導体材料から形成され、実施の形態によっては、光ファイバ束または柔軟なリボン1000から光を投射するのに適した形状に所望の方法でファイバ群を融合したものであってもよい。実施の形態によっては、発光要素1005と柔軟なリボン1000は、2つの別の部分を一体に融合した(例えば、加熱によりまたは化学的手段により)ものであってもよい。他の実施の形態では、発光要素1005と柔軟な光ファイバのリボン1000は、単一の成型された部分であってもよい。実施の形態によっては、発光要素1005は、
図49-62に関連して説明したように作り出されてもよい。
【0200】
さらに
図55と
図56を参照すると、柔軟なリボン1000は、高反射材料376でコーティングされてもよい。発光要素1005の底部と側部の壁もまた、高反射材料376でコーティングされてもよい。このことにより、光が発光要素1005のコーティングされていない頂部からレンズ組立体354の視野へだけ照射されることが確実になる。
図56に示すように、発光要素1005または柔軟なリボン1000は、結合機構1008を含んでもよい。結合機構1008により発光要素1005と柔軟なリボン1000はカメラ組立体350の上部または内部に連結されることができる。結合機構1008は、発光要素1005の一体の部分であってもよい。
【0201】
図57と
図58は、光導体材料から形成される発光要素1005を含む柔軟なリボン1000の2つの例示の実施例を示す。
図57の発光要素1005は、一般的にリング形状を有し、
図58の発光要素1005は一般的に三日月形状を有するが、所望により他の形状も選択できる。
図57と
図58の例示の実施の形態では、発光要素1005の上面だけが高反射材料376でコーティングされずに残る。
【0202】
発光要素1005は、1つまたはいくつかのテクスチャ1010を備え、発光要素1005から照射される光の方向付けに役立つ。実施の形態によっては、テクスチャ1010は、光が拡散して照射されるようにする。テクスチャ1010は、例えば、発光要素1005の成型中に作り出され、あるいは、発光要素1005を形成する光導体材料が、発光要素1005から光が拡散して照射されるようにする充填材を含んでもよい。
【0203】
図59と60は、発光要素1005の別の例示の実施例の上面と下面の斜視図をそれぞれ示す。図示のように、発光要素1005は、リング形状である。発光要素1005はまた、
図60の下面の斜視図に示されるように、結合機構1008を含む。
図6の結合機構1008は、発光要素1005の一体の部分である。例示の実施の形態では、結合機構1008は、レッジまたは棚である。レッジ結合機構1008は、カメラ組立体350のような他の部品上に発光要素1005を置いたり整列させたりするのに役立つ。さらに、実施の形態によっては、接着剤や膠をレッジ結合機構1008に沿って置いて、発光要素1005を、カメラ組立体350のような他の部品に固定してもよい。
図64では、発光要素1005は、例示のカメラ組立体350に取り付けられて示される。
【0204】
図59-60に示される発光要素1005は、高反射コーティングまたは材料376(例えば、
図55参照)を含んではいない。そのような高反射コーティングまたは材料376の必要性は、発光要素1005を、入射する光であって、光の放出が好ましくない発光要素1005内での全内部反射を増加または最大化するような寸法にすることにより、最小化される。このことは、光の放出が望ましくない発光要素1005の領域内で曲がり部を大きな半径とすることにより、なされる。さらに、このことは、発光要素1005を、発光要素1005中での厚さの変化を発光要素1005での光の入射角の変化、入射角を臨界角より小さくするかもしれない変化を生じないような寸法にすることで、なされる。
発光要素1005の厚さは、発光要素1005が取り付けられる光ファイバまたは柔なリボンの厚さより薄くならないことが好ましい。また、光の放出が好ましくないところでは、発光要素1005の表面が平滑化されることが好ましい。
【0205】
図61、62、63は、
図59-60に示す発光要素1005のいくつかの断面を示す。断面は、
図59の線43-43、44-44および45-45での断面である。図示のように、発光要素1005に入る光は、発光要素1005の上面から放射される前に第1曲がり部1300と第2曲がり部1302を越えなければならない。
図61-63に示されるように、発光要素1005は、これらの半径が発光要素1005の面に応じて変化するような形状である。これらの曲がり部1300および1302のそれぞれの半径は、与えられた面で使える空間内で可能な限り緩やかになるように選定される。また、図示のように、発光要素1005の厚さは、概して一定に保たれる。このことにより、厚さの変動による入射角の変化を最小にすることができる。
【0206】
図59-63に関連して図示され、説明された発光要素1005は、
図64の例示のカメラ組立体350に取り付けられる。図示のように、発光要素1005は、光を初期照明領域(この初期照明領域の周囲の領域も、放出される光の散乱と反射のために、明るくされ得る)に投射するように配置され、初期照明領域はレンズ組立体354の視野と実質的に一致する。
【0207】
光ファイバ発光要素を製造する例示の方法が、2014年1月31日出願の米国特許出願番号第14/170,080号(米国出願公開第2014/0221749号)に説明され、そのすべてを参照して本書に取り込む。
【0208】
図65は、レンズ組立体354を含む例示のカメラ組立体の、
図32の線61-61での示される面での断面図を示す。レンズ組立体354は、
図32のように、カメラ筐体上部356とカメラ筐体下部358の間に収容されて示される。図示のように、レンズ組立体354は、画像を画像センサ380の面上に投影するように配置される。画像センサ380のタイプには、例えば、CCD画像センサ、CMOS画像センサ等が含まれる。好ましくは、画像センサ380は、カメラ組立体350のシールされたセクションに収容され、流体に晒されることから保護される。使い捨て内視鏡では、組立体は、消毒や再利用の厳しさに耐えるようにしなくてもよいので、経費を節約したプロセスを用いて画像センサを流体に晒されることに対してシールしてもよい。
【0209】
図65に示されるように、画像センサ380は、柔軟ケーブル250のフレキシブル基板381に電気的に連結されてもよい。実施の形態によっては、絶縁保護コーティング材料を用いて湿気に対する追加保護を与えてもよく、任意ではあるが、画像センサ380用に実装されるボール・グリッド・アレイの接続を支持するように作られてもよい。柔軟ケーブル250は、画像センサ380とのデータおよび/または指令の搬送手段であるのに加え、 画像センサ380に動力を提供してもよい。実施の形態によっては、カメラ組立体350には補強材382が含まれてもよい。
図65に示す例示の実施の形態では、補強材382は、画像センサ380が支持される構造を強化するように配置され、画像センサ380の物理的完全性を保護するのに役立つ。補強材382は、例えば薄いアルミの裏打ち(例示の実施の形態では、厚さ約0.05mm(0.002インチ)である)を備えてもよい。
【0210】
カメラ組立体350は1つまたはいくつかのファイバ・ガイド384を含んでもよい。
図65に示す例では、ファイバ・ガイド384は、カメラ筐体下部358の下面に連結される。例示のファイバ・ガイド384は、ガイド溝386を含む。ファイバ・ガイド384のガイド溝386の後壁は、
図65の頁の底辺に向かって突き出して見えかも知れない。ファイバ・ガイド384は、いくつかの方向付けノッチまたは溝388であっても、それらを含んでもよく、
図65に示す例示のファイバ・ガイド384では、ガイド溝386の後壁に窪んでいる。実施の形態によっては、
図65の例示の実施の形態を含んで、実施の形態によっては、方向付けノッチまたは溝388は、カメラ筐体上部356とカメラ筐体下部358の1つまたは両方に形成される。ファイバ・ガイド384は、内視鏡10の組立て中に照明用ファイバ364の経路を決めるのに役立つ。ファイバ・ガイド384は、内視鏡10の操作中に照明用ファイバ364を所定の位置に維持するための働きもする。ファイバ・ガイド384の位置、形状、数、寸法等は、内視鏡10の特定の形態に応じて変化してもよい。実施の形態によっては、ファイバ・ガイド384に加えて、膠、エポキシまたはその他の適切な接着剤等を用いて、照明用ファイバ364を所望の位置に維持するのを補助してもよい。例えば、ライトガイドや発光要素(例えば
図51-58に、または、
図66に示されるような)を用いる場合には、ファイバ・ガイド384は組立て中に用いられなくてもよい。
【0211】
図66は
図5に示すカメラ組立体350の
図50の線62-62における断面を示す。
図示のように、レンズ組立体354はカメラ筐体355の所定の位置に示される。レンズ組立体は、画像を画像センサ380に投影するように配置される。上述の通り、画像センサ380はいかなるタイプの画像センサ(例えばCCD、CMOS等)でもよく、液体に晒されることに対してシールされている。また上述のように、画像センサ380は、柔軟ケーブル250に取り付けられたフレキシブル基板381に連結される。
図66に示されるカメラ組立体350は、ファイバ・ガイド384(
図65参照)を含まない。代わりに、発光要素または発光体2005は、
図66のカメラ組立体350上の所定の位置にある。
【0212】
図示のように、例示の実施の形態では、柔軟ケーブル250は、それ自体の上に折り返される。このことは、柔軟ケーブル25を曲げ、その後に柔軟ケーブル250の影響のある範囲に膠や他の固定剤を塗布して曲がりを維持することによりなされる。カメラ組立体350の下方で柔軟ケーブル250を二重ループにすることは、カメラ組立体350が狭い空間で囲む実施の形態では有利である。例えば、カメラ組立体350は、
図24に示すように内側鞘312内の空間に閉じ込めることは、曲げるために利用できる柔軟ケーブル250の量を制限する。そして、柔軟ケーブル250は、カメラ組立体350のある回転位置では、好ましくない小さな半径で曲がらならければならないかもしれない。そのような小さな曲げ半径は、特に繰り返し生ずる場合には、柔軟ケーブル250に有害となり得る。この問題は、内側鞘312の直径が小さくなるにつれ、大きな問題となる。しかし、柔軟ケーブル250をそれ自体の上に折り返すように配置することで、より長い柔軟ケーブル250が、カメラ組立体350の回転時の繰り返しの曲げに対して利用でき、最小曲げ半径を大きくすることができる。よって、このことにより、小半径での曲げと伸ばしの繰り返しによる柔軟ケーブル250の完全性に関する懸念なしで、内側鞘312を小径にすることができる。
【0213】
発光要素2005につながる柔軟ケーブル250と光ファイバ364とは、曲げに対してある程度の抵抗を示す。さらに、それら両方は、曲げられると復元するばね力を発揮する。この曲げに対する抵抗は、回転に対するカメラ組立体350の抵抗を増大する。
図67に示すように、柔軟ケーブル250と光ファイバ364とは互いに対して角度を有する。このような配置は、光ファイバ364に対する柔軟ケーブル250の剛性を利用し、またその逆も同様で、カメラ組立体350を回転するのに役立つ。この概念を最もよく示すのに、
図67では、柔軟ケーブル250は、それ自体の上に折り返されていない。
【0214】
実施の形態によっては、カメラ組立体350用の少なくとも1つの照明源は、カメラ組立体350の視野への方向以外の方向に光を照射するように配置される。すなわち、照明源の直接の照明範囲は、カメラ組立体の視野の外または視野と一致していない。そのような照明源は、間接照明源と称してもよく、カメラ組立体350の視野を直接照射する照明源は、直接照明源と称される。間接照明源は、例えば、カメラ組立体350の裏側に、または、カメラ組立体350の視野と逆方向に光を放出してもよい。例えば、レンズ組立体354またはレンズの周囲で連結し、レンズ組立体354またはレンズの視野に光を照射する発光要素2005に代えて、または加えて、発光要素2005が、カメラ組立体350のレンズ組立体354またはレンズと反対の部分に取り付けられてもよい。
【0215】
直感で分かるものではないが、カメラ組立体350の視野の外側に光を照射することは(例えば、視野と反対方向にカメラ組立体350の背後に)、向上した画像品質を提供し、画像処理の必要性を低減する。例えば、そのような照明配置は、そうでなければ直接明るくされるであろう範囲の影付けが維持されるので、より深い奥行き認識を提供するのに役立つ。発光要素2005または他の照明源から光をカメラ組立体350の視野の外側の点に放出することにより、色褪せて見えるホットスポットまたは範囲および露出不足に見えるダークスポットまたは範囲が、軽減される。このような照明配置は、カメラ組立体350の視野内でより均一な照明を提供するのに役立つ。
【0216】
いくつかの光源702a-dからカメラ組立体350の視野700の内側と外側の範囲に光を放出する照明配置の具体的な実施の形態を
図68に示す。図示のように、内視鏡ハンドル内のプリント基板の拡張430hがカメラ組立体350に延在して示される。プリント基板拡張430hは、挿入セクション14内の種々の部品への電力およびデータ通信通路を提供できる。実施の形態によっては、リボンや柔軟ケーブル250(例えば
図14参照)をプリント基板拡張430hの代わりに用いてもよい。いくつかの部品がプリント基板拡張430hに実装される。これらの部品は、センサ、発光体等のように、どのような部品でもいろいろな異なった部品であってもよい。例示の実施の形態では、部品は、光源702a-dとして説明する。光源702a-dは、限定はされないが、光ファイバケーブル、発光要素2005(例えば、
図62参照)、LED、LED列等のどのような適切な電源であってもよい。
【0217】
特定の実施の形態では、種々の理由により、LEDを使用することが好ましい。例えば、LEDの使用により、照明用ファイバの束/リボンの必要性が取り除かれる。光ファイバは、使用中に長期の曲げを受けると劣化し、曲げられると光損失を生じがちである。LEDは長持ちし、曲げを受けるファイバの長い束が必要ではない。LEDの使用により、内視鏡の乾燥セクション(例えば、ハンドル12)と湿潤セクション(例えば、挿入セクション14)間の通り抜け要素の数を最小化することもできる。さらに、光ファイバを無くすことにより、挿入セクション14の流体導管の断面積のより少ない部分だけが塞がれまたは埋められるようになる。このことにより、洗浄液が挿入セクション14をより速い流速で流れられるようになる。LEDはまた、製造を単純化し、あるいは、より簡単にするのに役立つ。
【0218】
図示のように、第1光源702aは、概してカメラ組立体350の視野700に向けて光を投射するように配置される。そのような光源702aは一般的に視野700の直接照明を提供する。実施の形態によっては、直接光源702aは、例えば、光源702b-dの1つあるいは組み合わせのような、1つ以上の他の間接照明源により、省略されたり、付随させられたりしてもよい。直接照明源702aが1つ以上の間接照明源と併せて含まれる実施の形態では、直接照明源702aは、1つ以上の間接照明より弱い強度の光を提供してもよい。実施の形態によっては、直接照明源702aは、異なったスペクトルまたは間接照明源から放出されるスペクトルのサブセットで光を提供してもよい。例えば、直接照明源702aはRBGのLEDで、間接照明源は白色光を放出してもよい。
【0219】
いくつかの他の光源702b-dもまた、
図68に示される。これらの光源は図示のために一緒に示され、これまでの実施の形態で全てが必要ということではない。種々の実施の形態では、任意の数の光源702a-dが含まれる。種々の実施の形態では、いくつかの光源702a-dが省略されてもよい。それぞれの光源702b-dは間接照明源であって、前記カメラ組立体350の視野700に直接光を放出しないように配置される。光源702b-dは、カメラ組立体350の視野700と実質的に反対の方向に光を放出するように配置される。光源702dはカメラ組立体350に取り付けられ、カメラ組立体350の側部から光を放出するように配置されてもよい。好適な実施の形態では、背面照明は、手術部位の照明源だけを提供する。この場合、内視鏡の先端の照明源は、例えば、位置702bに配置された1つ以上のLEDを備えるだけである。すなわち、カメラ組立体の視野のほとんどが、そこから向けられる側部から離れた内視鏡シャフトの側部から光を照射する。よって、光は、カメラ組立体に寄手視認される空間に、より間接的に拡散して照明を提供し、カメラを直接狙った光の明るい反射を防止し、あるいは、影の投影を減少し、オペレータの視野を改善する。一方、LEDを位置702aに置くことは、カメラ視野700が向けられる手術部位の範囲の照明を改善することができる。
【0220】
カメラ組立体350は、1つ以上の光学フィルタを含んで、光源702a-dの1つ以上から放出される波長を選択的に用いてもよい。例えば、偏光フィルタやバンドギャップフィルタを用いて、カメラ組立体350による画像の解像度を上げることができる。
【0221】
実施の形態によっては、カメラ組立体350は、挿入セクション14内で回転可能である。そのような実施の形態では、カメラ組立体350が回転するので、光源702a-dは静止したままでもよい。あるいは、1つ以上の光源702a-dが、カメラ組立体350と共に回転してもよい(例えば、光源702a-dがカメラ組立体350に取り付けられ、よって、カメラ組立体350と共に回転する)。光源702a-dは、カメラ組立体350の取り得る回転位置のいくらかまたは大きなパーセント(例えば、約70%から100%)で視野700に直接光を放出しないように、配置されてもよい。実施の形態によっては、シャフト先端全体または挿入セクション14(または挿入セクション14全体)を透明にして、カメラ組立体350がその中で回転して透明な部分を通して多くの視野角を得てもよい。この特定の実施の形態では、任意ではあるが、挿入セクション14の先端部分が、周囲の空間から流体的にシールされ、カメラと光源がシャフト先端の透明性に依存してもよい。
【0222】
さらに、実施の形態によっては、カメラ組立体350の回転位置をモニタするコントローラは、視野700の位置に応じて、種々の光源702a-dから放出される光の強さを増減してもよい。例えば、コントローラが、旋回シャフト204(例えば
図14参照)に取り付けられた回転ポテンショメータのようなセンサを介して旋回制御構造100(例えば
図14参照)の変位をモニタしてもよい。センサから集められたデータに基づいて、コントローラは、光源702a-dが直接光源から間接光源に変えるか、またはその逆を判断してもよい。そして、コントローラは、その光源702a-dにより生成される光の強さを調整してもよい。センサの読みに応じて、コントローラは、例えば、どの光源702a-dがカメラ組立体350の視野700に光を放出するのかを判断し、それらの光源702a-dにより生成される光の強さを減じてもよい。コントローラは、センサの読みを用いて、その前に視野700に直接光を放出していた光源702a-dが、今は間接光源として動作するようにカメラ組立体350が回転したのかを判断してもよい。光源702a-dが直接光源から間接光源に変えられたと判断すると、光源702a-dにより生成される光の強さは、増加されてもよい。放出光の調整は、連続的に徐々な方法で、段階的方法で、あるいは、2値的な方法(例えば、所定の直接強度レベルと間接強度レベルとの間での切替)で行われてもよい。
【0223】
プリント基板430aの拡張430h上にいくつかのLED光源750とセンサ754を含むプリント基板(PCB)430aの例を、
図69-70に示す。センサまたはカメラ組立体350もまた、PCB拡張430hの端部に示される。
図69は、プリント基板430aの上面図を示し、
図70は、プリント基板430aの側面図を示す。
【0224】
プリント基板430は、シャフ部分430Hがそこから延びるメイン部分430Lを含む。プリント基板430aのメイン部分430Lは、内視鏡10のハンドル12(例えば、
図3Aおよび3B参照)内に収容されてもよい。
図69-70に示される例示の実施の形態では、メイン部分430Lは、単純化のために電子部品を装着せずに示される。例示の部品430b-fを装着した例示のプリント基板430aを
図78に示す。実施の形態によっては、そして
図70に示すように、プリント基板430aのメイン部分430Lの少なくとも一部は、コーティングされまたは保護コートまたは材料層に包み込まれてもよい。保護材は、種々のポッティング材または絶縁保護コーティング材料の何れであってもよい。アクリル、エポキシ、ポリウレタン、シリコン、パリレン、熱硬化樹脂、ゴム、あるいは、他のポッティング材や絶縁保護コーティング材料が用いられる。好ましくは、保護材は、生体適合性を有し、防水特性を供する。透明な保護コートがまた、突起部分430h上のLED750およびセンサ754を覆って配置されてもよい。
【0225】
PCB拡張(または、任意のリボンケーブル)430hは、通り抜けバリア159(例えば
図15参照)を通り抜けて、内視鏡10の挿入セクション14(例えば
図15参照)の軸に沿って、延在する。突起部分430hは、挿入セクション14(例えば
図15参照)内の種々の部品(例えば、カメラ組立体350および/またはLED750)に電力とデータ通信の経路を提供できる。突起部分430hはいくつかの異なった部分に分断されてもよい。図示の例では、突起部分430hは、第1部分430i、第2部分430jおよび第3部分430kを含む。(別の実施の形態では、突起部分430hは、異なった数の部品に分断されてもよい。)突起部分430hのそれぞれの部分は、異なった特性を持っていてもよい。例えば、突起部分430hのそれぞれの部分は、異なった柔軟性を有してもよい。ある部分は剛な回路基板で、他の部分が柔軟ケーブルであってもよい。さらに、回路基板のそれぞれが、異なった層数、異なった幅、各層の異なった配線数等を有してもよい。プリント基板430aの突起部分430hの少なくとも一部が柔軟ケーブルであるか、そうでなければ柔軟であることが、好ましい。このことは、カメラ組立体350の回転を容易にするのに役立つ。
【0226】
実施の形態によっては、第1部分430iは6層の剛な回路基板である。第2部分430jは2層の柔軟ケーブルである。第3部分430kは、4層の剛な回路基板である。各セクションは、次のセクションに移行し、あるいは、突起部分430hの1つ以上のセクション間にコネクタが用いられてもよい。製造を単純化しコストを削減するために、内視鏡シャフトの通信および電力線が、内視鏡ハンドル内に置かれるメインPCBの柔軟なおよび/または剛な拡張を備えることが好ましい。拡張を備える全PCBは、
図43で示されるように製造され、柔軟なPCB拡張は
図44に示すように折り畳まれ、内視鏡の組立て中に対のPCB拡張(剛または柔)に隣接して引かれる。
【0227】
センサ754は、種々のセンサのいずれかでよい。実施の形態によっては、センサ754は、サーミスタ、熱電対あるいは抵抗温度計のような温度センサであってもよい。特定の実施の形態によっては、センサ754はサーミスタである。温度センサ754を用いて、LED750の、または、近くの環境温度をモニタしてもよい。
【0228】
内視鏡操作の間、洗浄液が、LED750上を流れてもよい。この流体は、LED750を冷却し、LED750の温度を所望の温度範囲内に維持するのに役立つ。内視鏡10が患者の外部で、洗浄液が流れていない場合、コントローラがセンサ754からのデータをモニタしてLED750近くの環境が所望の温度範囲より熱くなっているかを判定してもよい。温度が温度範囲を超えている場合、コントローラは、LED750への電流を下げるように指令しても、LED750の消灯を指令してもよい。また、温度センサを洗浄液の流量センサとして用いてもよい。内視鏡操作の間、洗浄液の流量は、LED750の周囲の範囲が所望の温度範囲内になるように、LED750により生ずる熱を対流で消散させるのに十分であるとよい。流量がある量を超えて減少した場合、LED750に近い範囲の温度は上昇する。この上昇は、実施の形態によっては、コントローラによって洗浄液の流量減少と解釈される。応答として、コントローラは、この影響のユーザへの通知を生成してもよい。
【0229】
図71は、計測された温度に基づき挿入セクション14内のLEDをコントロールするのにコントローラによって用いられるいくつかの例示の工程を詳述するフローチャートを示す。ステップ756で、コントローラは、LED近くの温度センサからデータサンプルを受信する。それからコントローラは、ステップ758でデータサンプルを分析する。ステップ760で温度が第1所定範囲外でないなら、ステップ756を繰り返す。ステップ760で温度が第1所定範囲外なら、コントローラは、ステップ762で1つ以上のLEDを第1状態から第2状態に移す。温度範囲は、40℃-50℃の間(例えば、50℃)の上限を有してもよい。第1状態は、光の高出力のオン状態で、第2状態は、オフ状態であってもよい。例示のフローチャートでは、第2状態は、暗くした状態またはオフ状態である。コントローラは、ステップ764で温度センサからデータサンプルを受信し、ステップ766でデータサンプルを分析する。ステップ768でデータサンプルが温度が第2所定範囲外であると示すと、ステップ764が繰り返される。ステップ768でデータサンプルが温度が第2所定範囲内であると示すと、ステップ770で、少なくとも1つのLEDが点灯され、あるいは、光の強さを増加するように指令される。
【0230】
第1所定範囲および第2所定範囲は同じであってもよいし、第2所定範囲が第1所定範囲より小さく、異なっていてもよい。このことは、コントローラが点灯と消灯または、LEDからの光の強さの増減を急速に切り替えることがないことを確実にする。実施の形態によっては、ステップ762に達した後に、タイマーが開始される。タイマーは、明るさが調整された少なくとも1つのLEDの暗くするまたは消灯の最低限タイマーである。暗くするまたは消灯の最低限タイマーが経過していない場合には、たとえ温度が第2所定範囲内であっても、その少なくとも1つのLEDは、点灯されたり光の出力を装荷するように指令されることはない。このことにより、再びLEDの状態の急速な切替が防止される。
【0231】
図72は、プリント基板430aの突起部分430hの端部の拡大側面図を示す。図示のように、突起部分430hは、第1部分430i、第2部分430j、および第3部分430kを含む。カメラ組立体350は、第3部分430kに取り付けられる。センサ754は、いくつかのLED750a-dの近傍で第1部分430iに実装される。センサ754は、サーミスタのような温度センサで、LED750a-dのコントロールを補助するように用いられてもよい。温度以外の流体環境の特性(例えば、伝導率、pHなど)を検出するセンサを用いてもよい。
【0232】
LED750aは、直接光源で、普通はカメラ組立体350の視野700に光を照射する。LED750aは、突起部分430hの第1部分430iの第1側430mに実装される。LED750b-dは、第1部分430mの反対側である、第1部分430iの第2側430nに実装される。これらのLED750b-dは、間接光源であり、実施の形態によっては、カメラ組立体350のいかなる回転方向においてでもカメラ組立体350の視野700に直接光を照射することはない。実施の形態によっては、LED750aは、RGBのLEDアレイである。LED750aは、カメラ組立体350の画像センサによって生成される画像の色を所望のように修正するのに役立つスペクトルで光を照射するように調整されてもよい。例えば、LED750aは、カメラ組立体350の画像センサのカラーバイアスを修正するように調整されてもよい。図示のように、突起部分430hの第1部分430iは、突起部分430hの他の部分430j、430kに比べて、プリント基板の厚い部分である。このことにより、LED750a-dの電力需要を容易に満たすことができる。
【0233】
第1部分430iは、突起部分430hの第2部分430jに移行する。第2部分430jは、比較的薄い柔軟ケーブルでよい。第2部分430jは、カメラ組立体350の旋回ピン366の軸回りのカメラ組立体350の回転を容易にできる。図示のように、第2部分430jは、第1部分430iと第3部分430kとが互いに並行となるときに、弓のように曲がるか、または、アーチ状となるような長さである。このことは、カメラ組立体350の可動域を大きくするのに、役立つ。
【0234】
図73は、挿入セクション14のカメラ組立体筐体330の例示の実施の形態を示す。
図74は、
図73の線72-72で見たカメラ組立体筐体330の断面図を示す。カメラ組立体筐体330は、内側鞘312に続き、その両方を単一の部品として形成することもできる。
図73および74に示すように、プリント基板430a(例えば、
図70参照)の突起部分430hは、カメラ組立体筐体330内に示される。突起部分430hは、
図72に示されるものと類似し、カメラ組立体350、いくつかのLED750a-d、および、任意ではあるがセンサ754を含む。図示のように、LED750a-dは、カメラ組立体筐体330の上下開口338、340から外に光を照射するように、配列される。カメラ組立体350は、視野が丸まった先端342の朝顔状開口344から上部割れ目338により提供される開口までなぞるように回転させられる。完全に組み立てられると、外側鞘318(例えば、
図24参照)は、カメラ組立体筐体330と内側鞘312を覆って置かれ、邪魔されない視野を提供しつつ、カメラ組立体350を保護する。
【0235】
図26は、内視鏡(または関節鏡)のシャフト14先端の斜視図で、センサまたはカメラ筐体500がシャフト先端に位置する。この場合、内側鞘312は、最先端の保護ガード、シールドまたは先端構造を有してはいない。回転可能なセンサまたはカメラ筐体500(すなわち、最先端の部分)の少なくとも一部は、内視鏡挿入端の最先端要素を形成する。よって、センサ筐体500は、柔らかい組織、骨、軟骨あるいは関節面を含む解剖構造への繰り返しの接触にも耐えるように構成されるのが好ましい。一実施の形態では、カメラ組立体350について上述したように、丸まったあるいはドーム型のカメラ筐体500もまた、回転するカメラ筐体と移動可能で、カメラ筐体500の視野に連続的に向けられた光源を含んでもよい。光源は、例えば、1つ以上のLEDまたは光ファイバ束の終端を備える。
図26に示す例では、光源508(この場合は、LEDのバンク)は、回転するセンサまたはカメラ筐体500の位置のすぐ近くのシャフトの側に位置する。図では、光源508は、内視鏡シャフト14の長手軸に対して約90°回転したときにカメラ/レンズ組立体500の概略の視野方向に照明を向ける側にある。(あるいは、光源は、カメラ組立体-レンズとセンサ-が向くことができる側と反対に配置されてもよい。)図示の配置では、カメラ組立体の光軸は、内視鏡の挿入端の第1側から照射される光の方向にほぼ向けられる。別の配置では、光源は、挿入端の反対側の第2側に位置して、カメラ組立体の光軸が内視鏡の挿入端の第1側の反対の視野に略向けられつつ、内視鏡の挿入端の第2側から光を照射してもよい。
図75は、この後者の配置の斜視図を示し、光源508(この例ではLED)により放出される光は、センサとレンズ512の視野から概略離れる領域に向けられている。代替の第2の配置は、カメラ組立体の視野の間接照明(または背面照明)を提供することを意図したもので、内視鏡の手術部位の照明源により生ずる周辺光に頼っている。照明源またはLEDは、内側鞘または挿入端のシャフトの外面と並びまたは外面から窪んで実装される。窪んでいるならば、LEDにより生ずる熱が手術部位の辺りの組織に直接接触したり傷つけたりする可能性が少ない。
選択的彩度強化
【0236】
低コスト画像センサ(使い捨て内視鏡にあるようなもの)で生成され表示される画像の品質は、表示される画像彩度の選択的強化を通じて高めることができる。内視鏡または関節鏡が用いられる臨床環境では、赤と白の色相が、満足のいく画像を生成するのに特に重要であることが知られている。よって、カメラセンサからの画像品質は、不飽和画素の強度を減じることなしで画像の彩度を選択的に強調することにより改良できる。各画素は、その色相、彩度、および明度または輝度により分析される。画素の彩度は、HSV(色相、彩度、明度)色空間における彩度の係数とHSL(色相, 彩度, 輝度) 色空間における輝度の係数によって強められる。この例では、低彩度値に変換されたガウス関数は、既に飽和した画素を過度に増幅することなしに、非飽和画素を強めるように設計されている。
同様に、ほとんど白色およびほとんど黒色の画素の彩度強化を減じるために、第2のガウス関数をHSL色空間での輝度のために用いる。ガウス関数以外の分布(すなわち、他のタイプの確率分布)を用いてもよく、選択的強化プロセスがガウス関数の使用に特に依存する必要もない。
【0237】
図106に示すように、一例では、画素1050が中間の彩度の赤のレンジとすると、プロセッサは0-1の範囲内で値(「係数1」)1052を割り当て、確率分布1054(例えばガウス分布)に基づき、彩度レンジが低/中のHSV色空間1056での彩度値に1の値を割り当ててもよい。確率分布のセンタリング1058は、彩度レンジの下半分のどこででもなされ、一例では、確率分布は、彩度レンジの約25-40%の値の周囲に中心を置かれる。このことは、比較的低彩度の画素に偏っている画素の彩度の重み係数を提供し、比較的高彩度の触れられない画素は相対的にそのままとする。それから、第2の値(「係数2」)が計算され、HSL色空間1064の画素の輝度の確率分布(例えばガウス分布)に基づいてもよい。確率分布は、範囲の約50%の輝度値の周囲に中心1066を置かれ、スペクトルの各端部に向かう値にゼロに近い値が割り当てられてもよい。画素がほとんど白色であると、第2ファクタは、最終的計算で強化を大いに弱めるであろう。画素の彩度は、次式で強められる。
【0238】
強められた彩度値=(元の彩度値)×(1+(係数1×係数2×0.5))
[式0003]
この例では、係数1と係数2を乗じられた固定小数0.5は、任意数であり、表示される画像の強化プロセスの影響の観察を通じて経験的に調整されてもよい。
【0239】
ここで
図76を参照すると、異なった強度および/またはスペクトルの光を生ずる少なくとも1つの可変照明源を含む実施の形態では、内視鏡10は、キャリブレーション治具780内に置かれ、種々の照明のパラメタを設定するのを助ける。1つ以上の白色LEDと1つ以上の色付きLED(例えばRGB・LEDアレイ)を伴う実施の形態は、例えば、使用前にキャリブレーション治具内に置かれ、LEDの光出力強度を調整し、1つ以上の色付きLEDの色出力を調整してもよい。このことは、より均質な画像を確実にし、および、LED間のおよび/または画像間の変動に起因する内視鏡10間での差異を最小化するのに役立つ。
【0240】
キャリブレーション治具780は、内視鏡10の挿入セクション14にフィットする大きさとされた開口782を含む、遮光箱または他の容器であってもよい。この開口782は、内視鏡10がキャリブレーション治具780に設置されたときに内視鏡10の挿入セクション14に対して遮光シールが形成されるようにガスケットが付けられてもよい。キャリブレーション治具780の内部は、内視鏡10のカメラ組立体350(例えば
図73参照)の視野内に置かれる既知の指標を有する1つ以上の目標を含む。例えば既知の色彩の指標を有する目標がキャリブレーション治具780内に置かれてもよい。
【0241】
コントローラは、カメラ組立体350の画像センサにより撮られた画像の1つ以上の目標の指標をモニタしてもよい。目標の指標(例えば、色)は既知であるから、コントローラは、撮られた画像の目標の指標が目標の既知の指標と一致または範囲内になるまで可変光源により提供される照明を調整することができる。例えば、挿入セクション14に含まれるいくつかのLED750a-d(例えば、
図72参照)により生ずる光の強度またはスペクトルが調整される。
【0242】
図77は、内視鏡に含まれる少なくとも1つの可変光源の1つ以上のパラメータを較正するのに用いられるいくつかの例示の工程を詳細に示すフローチャートを示す。ステップ784では、カメラ組立体を含む内視鏡の挿入セクションの一部がキャリブレーション治具内に置かれる。挿入されると、コントローラは、内視鏡内の可変照明源に光を放出するようにステップ786で指令する。光は、初期設定のパラメータ(例えば、光強度および色のパラメータ)に基づいて放出されてもよい。ステップ788において、コントローラは、内視鏡のカメラ組立体の画像センサから画像データを受信する。このデータは、ステップ790にてコントローラにより分析される。画像データは、例えば、撮られた画像の目標の関心のある1つ以上の指標を決めるのに分析されてもよい。これらの指標は、ステップ792で、画像にされた目標の既知または予想される指標と比べられてもよい。撮られた画像の目標の指標が794で既知または予想される指標の範囲内であれば、ステップ796でキャリブレーションが完了したと考えられる。撮られた画像の目標の指標が794で既知または予想される指標の範囲内でなければ、コントローラは、ステップ798で内視鏡の少なくとも1つの可変照明源の1つ以上の照明パラメータを調整してもよい。例示の実施の形態では、少なくとも1つの可変光源により生ずる光の強度またはスペクトルが、ステップ798で調整される。調整した後に、ステップ788が繰り返されてもよい。画像は、比較および分析され続け、撮られた画像の目標の指標が既知または予想される値の範囲内になるまで照明パラメータは調整される。内視鏡シャフトの先端のセンサまたはカメラの画像に焦点を合わせるために、レンズまたはレンズ群の製造および組立てでは種々の方法が用いられる。そのような方法および技術の例は、2014年1月31日出願の米国特許出願番号14/170,080(米国特許出願公開第2014/0221749)に開示されており、そのすべてを参照して本書に組み込む。
【0243】
図78は、内視鏡10の別の例示の実施の形態を示す。外側鞘318は、
図8では内視鏡に設置されて示される。さらに、ハンドル基部セクション16の下部半殻22とハンドル先端セクション30の半分(30a)だけが見え、この説明を明確にする。図示のように、内視鏡10は、ハンドルに囲まれたプリント基板430a(ここでは、ハンドルまたはメインPCB430aとも称する)を含む。電子ケーブル(例えば、電力/HDMIケーブルなど)432、光ファイバ364および洗浄/吸引ライン434もまた示される。
図78は、電力/HDMIケーブル432、光ファイバ364および洗浄ライン434の例示の経路設定を示す。図示のように、電子ケーブル423、光ファイバ364および洗浄ライン434は、ハンドル基部セクション16の後部または台尻端部の開口60を通って内視鏡10内へ入る。この入口は、挿入セクションがハンドル基部セクション16に対して回されたときに種々のコードやケーブルが絡まる可能性を減らすので、ハンドル側部の入口より利点がある。
【0244】
実施の形態によっては、電子ケーブル432、光ファイバ364(もし、あれば)および洗浄ライン434は、後部ハンドル開口60に対してある角度で内視鏡に入ってもよい。そのような方法は、ユーザがハンドル基部セクション16の後部のより大きな部分を掴めるようにすることで、ユーザに人間工学的利益を与えるであろう。
【0245】
図示のように、電子ケーブル432、光ファイバ364(もし、内視鏡内に実装されれば)および洗浄ライン434は、ハンドル基部セクション16に入った後にハンドルPCB430aを越えて延在する。電子ケーブル432は、ハンドルPCB430aのコネクタ430b(例えば、電力/HDMIコネクタなど)にプラグを差し込まれる。電子ケーブル432は、内視鏡10に電力を提供してもよい。画像データは、柔軟ケーブル250を介してハンドルPCB430aに渡されてもよい。電子ケーブル432は、内視鏡10で収集された映像データを外部のグラフィカル・ユーザ・インターフェース・ディスプレイ(不図示)に送信してもよい。光ファイバ364(もし、内視鏡内に実装されれば)および洗浄ライン434は、ハンドルPCB430aの下を延在し、前述した経路に従う。
内視鏡10が使い捨ての実施の形態では、電子ケーブル432、光ファイバ364および洗浄ライン434は全て使い捨て部品として含まれて、内視鏡を使うたびに無菌状態であることを確実にし、あるいは、消毒や再使用のためのパッケージ詰めの費用を節約できる。
【0246】
この例では、ボタン90用の制御線91もまた
図78に示される。図示のように、制御線91は、シール部材210の孔を通り抜ける。制御線91は、ハンドルPCB430aと通信する。また
図78に示されるように、ハンドルPCB430は、ハンドルPCB柔軟ケーブル430eを含む。ハンドルPCB柔軟ケーブル430eは、ハンドルPCB部430fにつながり、ハンドルPCB部430fがハンドルPCB430aの残りの部分に対しある角度(例えば、直角)方向を向くようにできる。組み立てられると、取り付けられた柔軟なハンドルPCB部430fは、例示の回転検知アセンブリ150(
図8参照)の2つのポテンショメータ122の間に配置される。
【0247】
実施の形態によっては、ハンドルPCB430aは、画像またはグラフィック処理ユニット430cを含んでもよい。しかし、画像処理ユニット430cは、内視鏡10の外部に置かれるのが好ましい。画像処理ユニット430cは、内視鏡10の電子的矯正機構として機能できる。画像処理ユニット430cは、画像センサ380から柔軟ケーブル250経由でハンドルPCB430aに送られた画像センサ380で撮られた画像を受信する。好適な実施の形態では、画像センサ380で撮られた画像は、それから電子ケーブル432経由で内視鏡10の外部の画像処理ユニット430cに送信される。画像処理ユニット430cは、回転検知アセンブリ150からの信号も受信してもよい。実施の形態によっては、AD変換器430dがハンドルPCB430aに含まれ、回転検知アセンブリ150からの信号を変換してもよい。画像処理ユニット430cは、回転検知アセンブリ150からの信号を用いて、画像を所望の方向に電子的に「矯正」する。実施の形態によっては、画像は、画像処理ユニット430cによって回転させられ、あたかもユーザの視点から撮られたように画像が表示される。実施の形態によっては、画像処理ユニット430cは、レンズのゆがみによる影響を修正してもよい。
【0248】
グラフィカル・ユーザ・インターフェースに表示される画像の方向が最初に修正されないと、表示される画像は、ユーザにとって方向感覚を失わせるものとなる。ユーザの視点に従って方向を決めることにより、画像処理ユニット430cは、回転検知アセンブリ150からのデータを用いて、画像がユーザの視点と一致するように自動的に画像を回転する。
【0249】
図79は、画像システムの例示のブロック図を示す。図示のように、画像システムは、画像を撮る画像センサ380を含む。画像センサ380で撮られた画像は、カメラ・シリアル・インターフェース(CSI)450(例えば、MIPI-モバイル・インダストリー・プロセッサー・インターフェース-カメラ・シリアル・インターフェース)を経由して画像処理ユニット452に渡される。すると画像処理ユニット452(IPU)は、画像フレームを画像システムの他のハードウェア部品に動かす。他のハードウェア部品は、これらには限定されないが、メモリ装置およびグラフィカル・プロセッシング・ユニット(GPU)430cを含む。グラフィカル・プロセッシング・ユニット430cは、レンズ組立体354で生じたゆがみを修正できる。
【0250】
実施の形態によっては、グラフィカル・プロセッシング・ユニット430cは、グラフィカル・プロセッシング・ユニット430cにロードされた表面のテクスチャで画像を代表することによりこのゆがみを修正する。このことにより、画像は、レンズ組立体354により持ち込まれたゆがみを修正および/または除去するやり方で、調整または引き延ばされる。画像が正される実施の形態では、グラフィカル・プロセッシング・ユニット430cは、その後回転検知アセンブリ150(例えば
図8参照)からの入力により修正された画像を回転してもよい。例えば、回転検知アセンブリ150からの測定は、AD変換器430d(例えば
図78参照)を通じてグラフィカル・プロセッシング・ユニット430cに渡されてもよい。AD変換器430dからの信号は、次に画像をその正しい方向に回転するのに用いられる。実施の形態によっては、ユーザは、画像矯正、ゆがみ修正、および/または実行されたりされなかったりする種々の他の画像操作を切り替えることができる。画像矯正については、
図80に関連して、本明細書で以下にさらに説明する。
【0251】
画像処理ユニット430cからの処理済み画像は、グラフィカル・ユーザ・インターフェースまたはディスプレイ454に表示されてもよい。実施の形態によっては、画像処理ユニット430cからの処理済み画像は、メモリに保存されてもよい。そのような実施の形態では、ユーザは、画像を撮り、例えばボタン90で起動することで後で呼び戻すようにメモリに保存してもよい。いくつかの実施の形態は、画像センサ380からのフレームを記録可能なビデオフォーマットに符号化するビデオ処理ユニット456を含んでもよい。そのような実施の形態では、符号化されたビデオは、メモリに保存されてもよい。ユーザが、上述のようにボタン90などのボタンとの相互作用によりビデオのファイル保存を開始し停止することを、内視鏡に指令してもよい。
【0252】
実施の形態によっては、画像処理ユニット430cは、撮られた画像をフィードバック解析させてもよい。特定の実施の形態では、画像ヒストグラムが画像の全ての画素から生成される。そして画像ヒストグラムを用いて、画像を調整し、または、画像チップまたはセンサ380で受信する後続の画像の露出を調整してもよい。画像処理ユニット430cによるこのようなさらなる処理は、画像の色が飛んで白色化した領域や、画像の露出不足の暗い領域を減ずるのに役立つ。例えば、トーンマッピングのような画像を調整する他の手段もまた、用いることができる。
【0253】
図80は、回転検知アセンブリ150(例えば
図80参照)からの入力を用いてどのように画像が矯正されるかを示す例示の略図を示す。図示のように、第1ブロック210と第2ブロック2102が示される。各ブロック2100、2201内に視野2104を有する内視鏡10が示される。第1ブロック2100の内視鏡10の視野2104は、第2ブロック2102の内視鏡10からは、約180°の方向である。このことは、内視鏡10の基端に対して内視鏡10の先端を回転することにより成される。従来の内視鏡10では、基部セクションに対して先端セクションを回転する間、画像センサは基部セクションに収容されるので画像センサは回転しない。よって、第1ブロック210と第2ブロック2102に示される内視鏡10はともに画像2106を撮影したであろう。
【0254】
このことは、画像センサ380が内視鏡10の先端と回転する、本書で述べた実施の形態では当てはまらない。第1ブロック2100に示した内視鏡10は画像2106を撮影し、第2ブロック2102に示される位置に回転した同じ内視鏡10は画像2108を撮影するであろう。画像センサが内視鏡10の先端と回転すると、画像センサは画像を反転させる。この位置で、例えば、画像センサの頂部は、従来の内視鏡10に慣れた人が画像の底に予想するものをピックアップする。
【0255】
任意ではあるが、画像は、内視鏡10の先端の回転の度数に比例して回転させられてもよい。よって、画像は常に、従来の内視鏡10に慣れたユーザが予想する方法で表示される。このことは、回転する画像センサと関連する問題を軽減するのに役だつ。
画像の回転の修正
【0256】
図81では、磁石51が向かい合う位置に示される。実際には内視鏡ハンドルの基部ハンドル・ハウジングの内面に実装されるが、この図では、見やすさのために基部と先端ハンドル・ハウジングはどちらも取り除かれている。回転センサ704はハンドルPCBに実装され、センサ704を含む回転面で磁石51の位置に対応する位置に、示される。任意ではあるが、センサ(および、よってセンサが取り付けられるPCBと先端ハンドル・ハウジング)に対する磁石(および、よって基部ハンドル・ハウジング)の位置データをセンサ704に提供する機能を実行するのに、1つだけの磁石51を用いることができることに注意願う。相対回転信号はコントローラに提供され、先端ハンドル・ハウジングとシャフトは基部ハンドル・ハウジングに対して回転するが、表示される画像の方向は静止したままとすることができる。
【0257】
PCBのコントローラ(または、より離れてでは、内視鏡の外部の画像処理ユニット)のいずれかに提供される「矯正機構」は、従来のロッドレンズ内視鏡の画像方向をシミュレートするようになされ、従来のロッドレンズ内視鏡では、内視鏡シャフトに近位の画像センサ (カメラ)は固定位置に保持され、ロッドの端部の斜めのレンズの角度はロッドとシャフトが回転すると回転する。(ロッド端の角度の付いたまたは斜めのレンズはプリズムとして動作し、ロッドレンズの回転の間、周囲の画像の種々のセクションがカメラの視野の内外に移動するのに、カメラの画像は直立のまま留まる。)この場合には、カメラは、回転する内視鏡シャフトの先端に置かれ、カメラは内視鏡シャフトに対して90°より小さな角度で実装される。内視鏡または画像処理ユニットのコントローラは、内視鏡の基部ハンドル部分に対する「ロッド」(又は、この場合にはカメラ)部分の回転位置をトレースし、コントローラは、表示される画像を逆に回転して直立に見えるように保つ。最終的な結果は、表示される直立のままで回転しない画像であり、視野は、回転による変化ではなく水平移動により変化するように見える。
【0258】
図82は、内視鏡のシャフトの端部にある角度で実装されたカメラセンサにより受け取られた画像の領域を模式的に表す。中央の特徴904-および存在するならどの中央要素も-は、直立位置で示される。カメラセンサは、
図99に示すように、内視鏡シャフトの先端の長手軸に対して上向きに傾けられる。カメラセンサおよびレンズの光軸841(カメラとレンズの回転対称を示す線を意味する)は、内視鏡とカメラセンサ812の先端の回転軸843に対してゼロでない角度Φである。
図82には、カメラ812の角度の付いた方向が、マーカ900で示される。上位の周辺視野は、領域906で代表される。右側の周辺視野は、領域908で代表される。下位の周辺視野は、領域910で代表される。
左側の周辺視野は、領域912で代表される。カメラセンサとその台は、先端の内視鏡シャフトの長手軸から上方に傾いているので、中央要素904と上位領域906は、画像境界902として示されるように、カメラセンサ列で処理された画像の視認者により支配的に見える。他の周辺領域は、内視鏡シャフトと関連するカメラセンサおよび台が回転すると、回転することなく、支配的な視野に入ってくる。カメラセンサの角度は、プロセッサにより実行される画像の回転の修正のために、種々の視野を並進的に表示される画像に持ち込む。
【0259】
図83A-Dは、画像の回転修正プロセッサにより生ずる効果を図解する。矢印900は、矢印に向かって角度の付いた斜めの端部を有するカメラセンサ台(およびカメラセンサ)の位置を示し、カメラセンサ802の光軸は、内視鏡シャフトの回転軸から矢印の方向に角度が付けられる。角度そのものは任意であり、シャフト先端の長手軸に対していかなる角度にもなり得るが、この場合は、光軸はゼロでない角度であり、例えば、水平面から(すなわち、内視鏡シャフトの先端の長手軸に対して)約30°である。オペレータをアシストするために、矢印900または類似の図式的標識がオペレータの画像表示スクリーンに投影され、オペレータは連続的にカメラセンサ802の方向を認識できる。内視鏡シャフトまたは挿入セクションが基部ハンドルに対して回転すると、カメラの方向は、カメラが
図83Aから
図83Dへと回転しても固定した位置に留まるカメラ領域904に関して回転する。第1位置で、例えば、中央対象物904上方の視野906が視野に入る(
図83A)。第2位置で、中央対象物904の右方向の視野908が視野に入る(
図83B)。第3位置で、中央対象物904下方の視野910が視野に入る(
図83C)。第4位置で、中央対象物904の左方向の視野912が視野に入る(
図83D)。画像矯正または画像の回転修正コントローラは、これらの位置の間に連続的に変わる目標視野を投影でき、周辺視野は、回転より並進的に視野に出入りすることに注意願う。この特徴なしでは、表示スクリーンに投影される画像は、内視鏡シャフトと共に回転し、例えば、
図83Aで直立位置の中央対象物904(視野の残りの部分も一緒に)はカメラセンサ802と共に回転し、静止したままの対象物904と並進する視野ではなく、対象物914(および関連する視野)の対応する回転を示すことになろう。よって、画像の回転修正コントローラは、回転するロッドレンズからの画像を受信して静止したカメラセンサの視覚的効果をシミュレートする。
【0260】
一実施の形態では、回転修正システムは、PCBに実装され、基部ハンドルの内面に実装される1個、2個、あるいはそれ以上の磁石と関連する空間のx、yおよびz軸での磁束密度を測定できる「3軸」マグネット絶対位置センサを用いてもよい。(例示のセンサは、メレキシス社製MLX90365 Triaxis(登録商標)位置センサを含む。)基板取付磁気センサは、PCB、先端ハンドル・ハウジングおよび内視鏡のシャフトに対して固定される。磁気センサは、先端ハンドル・ハウジングと共に回転し、xとy方向には僅かまたは最少のずれでz軸に関して回転するように構成される。磁石は基部ハンドル・ハウジングの方向を向き、360°の回転の間にセンサの位置で一定の電界均一性を維持し、センサのz軸回りにx-y面で回転する。より頑強な実施の形態では、基部ハンドル・ハウジングの向かい合う位置に2個の磁石が用いられる(しかし、1個の磁石で、システムの運転に対しては実際に充分である)。
【0261】
磁気センサは、そこを通過する磁束密度のx-yベクトル成分の角度に対応する線形出力を提供するように構成される。角度は、次式を用いて計算される。
【0262】
【0263】
ここで、αは磁気角度、βxとβyは磁束密度のx成分とy成分、VxとVyはβxとβyのホール信号の測定値、kはβxとβy間のセンサ感度の不整合を定義するプログラム可能なスケールファクタである。位置センサ自体が、出力を線形化する計算を内部で実行する。最終結果は、上記式を用いた角度位置に対応する0Vと5Vの間の線形電圧出力である。
【0264】
【0265】
ADC値は、基板取付マイクロコントローラにより読み込まれる。センサの出力は、その供給電圧に比例し、出力を適切にスケールするために供給電圧もまたADCで読み取られる。
【0266】
一実施の形態では、コントローラに要求されると、ADCから読み込まれた回転値は、内視鏡のPCBからUSBリンクを通じて外部の画像処理ユニット(IPU)に送信される。この値は、ハードウェアとコントローラのアプリケーションとの間のインターフェースとして作動する動的リンク・ライブラリ(DLL)を通じてアプリケーションに受信される。ADCで測定された回転値は、内視鏡で稼働するファームウエアかDLLまたは、アプリケーション自体でカウントから回転角度に変換される。例示のアーキテクチャでは、変換は、DLLで実行される。
【0267】
キャリブレーション作業を通じて、例示の配置では、360°から0°まででセンサの交差する点でみられる最小値および最大値は、測定されて内視鏡のPCBのオンボードEEPROM(電気的消去可能読み取り専用メモリ)(または他の適切なメモリチップ)に保存される。これら最大および最小出力値は、保存される前に供給電圧にスケーリングされる。スケーリングされた値は、内視鏡がコントローラのアプリケーションに接続されたときに読み取られ、回転値を決めるのに用いられる。電流がスケーリングされたADC値を適した角度に変換する式は、例えば、
【0268】
【数3】
ここで、αは回転角、Vadcは電流がスケーリングされたADC値、VminとVmasはキャリブレーション中に測定された最大および最小のスケーリングされたADC値である。
【0269】
スケーリングされた回転値を受信した後で、アプリケーションで処理されている画像は、スクリーンに表示される前に同じ量で逆方向に回転される。さらに、コントローラは任意で、表示される画像の周辺にポインタを生成し表示してもよく、ポインタは、表示される画像回りに回転し、エンドユーザに0°の点に対する現在の回転位置を示す。表示される画像、ポインタのいずれかにもジッターが確実に生じないようにするため、フィルターがそれぞれの部品に対し位置の値に適用され、電子システムに読み取られた生のADC値でジッターから生ずるであろう微細な調整を取り去ることができる。エンドユーザにより見られる結果としての影響は、センサがどちらを向いているかに関わらず直立位置にある静止画像であり、センサの回転軸回りに回転する投影された視野である。
【0270】
画像の移動の平滑化
【0271】
カメラレンズを開始位置から終了位置まで移動する動作は、モニターで見ると、好ましくない視覚的影響と関連し得る。このことは、カメラの移動がオペレータにより手で行われるならば、特にそうである。移動の荒々しさの視覚的影響が和らげられたりフィルターされたりしなければ、カメラセンサからの画像表示は、ジッターを示し、移動中や停止しようとするときにカメラの意図しない小さな動きから行き過ぎや往復運動の不自然な動きとなる。画像の回転や平行移動にフィルタをかけるいくつかの方法があり、カメラの回転や平行移動の前、その間あるいはその後に、不自然な動き、信号のノイズまたは手の震えによる視覚的影響を減ずる。フィルタ掛けは、カメラの実際に測定した平行移動位置または回転角度位置に対して行うことができる。回転または移動される画像の画像表示が、1つ以上の可変フィルタ係数を有するローパスフィルタを提供することで、改善されることが分かっており、プロセッサは、カメラの移動が始まっているのか終わっているのか、または、カメラが速く動くのか遅く動くのかに基づいてフィルタ係数を選定する。移動する対象物に合わせ、または、場面をパンしようとするカメラの動きに適用するときには、速い動きの間はフィルタの度合いを下げ、遅い動きの間は上げてもよい。新しい視野へ動かそうとするカメラの動きに適用するときには、カメラの回転または平行移動位置のフィルタの度合いは、カメラの動きの初めでは下げ、カメラが視覚目的に近づくにつれ上げてもよい。(カメラの動きの始まりは、通常カメラの加速と相関し、カメラの動きの終わりは、通常カメラの減速と相関する。)このことは、回転または平行移動の終点近くの画像に「ソフトランディング」視覚効果を生じ、一方、表示される画像が意図された目的画像近くの点まで早く動くことを可能にする。画像の回転がプロセッサにより修正されて視野の直立方向を維持するならば、「ソフトランディング」効果は、見える画像が終点に移動するときに観察される。
【0272】
一般的に、平滑化で用いられるローパスフィルタは、可変折点周波数を有するように較正またはプログラムされ、折点周波数は、カメラに結び付けられた動きまたは位置センサにより生成される回転または平行移動データに従って変化する。例えば、
図81に示す位置センサ704を用いて、基部内視鏡ハンドル(磁石51を保持する)に対するカメラの角度位置を検出してもよい。あるいは、位置センサが、
図27に示す旋回可能なカメラ筐体500のプル・ワイヤ502に連結されても、または、カメラ筐体を回転するプル・ワイヤまたはケーブルを動かすのに含まれる、
図12に示すハンドルベース機構に結び付けられてもよい。位置データは、回転または平行移動速度、あるいは、回転または平行移動加速度に関連付けられてもよい。さらに、フィルタ掛けまたは平滑化は、位置信号またはデータがカメラの加速か減速を示すかに応じて異なって変化するようになされてもよい。
ここで用いられるように、ローパスフィルタは、その折点周波数またはカットオフ周波数が下げられると、より大きなフィルタ掛けまたは平滑化をするように決められる。デジタル的には、このことは、実際の現在の位置データを直前にフィルタされまたはフィルタされていない位置データに、より強くバイアスを掛けまたは関連付けることにより、成される。フィルタを構成またはプログラムする方法はいくつかあるが、通常は、最終結果は、プロセッサが、センサにより検出されるカメラの回転または平行移動の性質に応じてローパスフィルタの1つ以上のフィルタ係数をリアルタイムで自動的に調整することである。
この特徴の例示的実施は、回転可能な内視鏡シャフトの先端にカメラを有する内視鏡により提供される。この例では、内視鏡ハンドルのセンサにより生成された回転信号は、画像の回転の修正なしで、または、画像の回転の修正処理が行われた前または後で、フィルタを掛けることができる。
【0273】
図84は、カメラ加速度に基づく平滑化アルゴリズムを実行するプロセッサのフローチャートを示し、表示される画像がカメラの動きの開始に対して迅速に反応し、または、表示される画像が、視界目標に到着する前にオペレータがカメラの動きを遅くすると、よりゆっくりと目標画像位置に到着するようにする。時間ステップ増分は一定であると仮定される。位置センサがカメラの位置を検出する(920)。この位置を、前の時間ステップにおける位置と比較し、プロセッサは、位置の変化がカメラが加速されているか(922)、減速されているか(924)、一定速度を維持しているか(926)を判定する。加速しているならば、プロセッサは、デジタルフィルタを位置データの平滑化を減少するように調整する(928)。減速しているならば、プロセッサは、デジタルフィルタを位置データの平滑化を増加するように調整する(930)。一定の速度ならば、プロセッサは、前のフィルタ平滑化を維持する(932)。ローパスフィルタを、選定されたフィルタ特性を用いてカメラ位置データに適用し(934)、プロセッサ時間ステップを進める(936)。
【0274】
図85は、カメラ回転に基づく平滑化アルゴリズムを実行するプロセッサのフローチャートを示し、表示される画像がカメラの回転の開始に対して迅速に反応し、または、表示される画像が、視界目標に到着する前にオペレータがカメラの回転を遅くすると、よりゆっくりと目標画像位置に到着するようにする。時間ステップ増分は一定であると仮定される。位置センサがカメラの位置を検出する(940)。この位置を、前の時間ステップにおける位置と比較し、プロセッサは、位置の変化がカメラが加速されているか(942)、減速されているか(944)、一定速度を維持しているか(946)を判定する。加速しているならば、プロセッサは、デジタルフィルタを位置データの平滑化を減少するように調整する(948)。減速しているならば、プロセッサは、デジタルフィルタを位置データの平滑化を増加するように調整する(950)。一定の速度ならば、プロセッサは、前のフィルタ平滑化を維持する(952)。ローパスフィルタを、選定されたフィルタ特性を用いてカメラ位置データに適用し(954)、プロセッサ時間ステップを進める(956)。
【0275】
適切なローパスフィルタは、例えば、単極フィルタ、指数的重み付け移動平均フィルタ、二次バターワースフィルタなどの無限インパルス応答(IIR)フィルタ、または、移動平均フィルタ、移動窓関数フィルタなどの有限インパルス応答(FIR)フィルタを含む。一例では、計測した平行移動または角度位置に離散、無限インパルス応答(IIR)、単極、ローパスフィルタを用いることができる。ローパスフィルタは、角速度に基づき平滑化に影響する可変フィルタ係数および各加速度の符号に基づくスルーレートを有することができる。
【0276】
IIR応答フィルタの一例は、
【数4】
ここで、α
iは時間iにおけるフィルタ係数、B
iは時間iにおける測定値、A
f,i-1は、前のフィルタされた値、A
f,iは時間iのフィルタされた値である。フィルタ係数α
iは、筐体または内視鏡ハンドルなどの固定構造に対するカメラの回転速度または回転加速度と共に変化してもよい。
【0277】
フィルタ係数に関する平滑化の影響は、一次フィルタの折点周波数(f
C)に関係する:
【数5】
ここで、Δtはサンプル周波数である。よって、フィルタの折点周波数は、ハンドルに対するカメラの回転速度または加速度と共に変化する。フィルタを可変フィルタ係数を有するとして説明するのがより便利ではあるが、フィルタ係数に関する平滑化の影響は、与えられたローパスフィルタの折点周波数またはカットオフ周波数に関係することを理解しなければならない。
【0278】
図86は、回転するカメラの回転信号をフィルタするIIRローパスフィルタアルゴリズムを実行するプロセッサのフローチャートである。ローパスフィルタは、回転速度と回転加速度に基づく可変フィルタ係数を有することができる。アルゴリズムは、ステップ962でカメラの現在の角度θ
iを受け取る。ステップ964で、アルゴリズムは、フィルタされた角速度θ’
f,iを決定し、ここで、フィルタされた角速度は、現在の角度θ
iと前のカメラ角度θ
i-1に基づく。角速度θ’
f,iは、固定時間ステップ(Δt)に対する(θ
m,
i-θ
f,
i-1)と等しい。ステップ966で、アルゴリズムは、フィルタされた角加速度θ’’
f,iを決定し、ここで、フィルタされた角加速度は、カメラの現在の角速度θ’
f,iと前の角速度θ’
f,i-1に基づく。角速度θ’
f,iは、固定時間ステップ(Δt)に対する(θ
m,
i-θ
f,
i-1)と等しい。各変化速度係数(例えば、θ’
f,i等)について、式のΔt部分は、式(例えば、速度の項)の係数に陰に関連付けられ、または、必要でないために除外される(例えば、一実施の形態では、加速度の項だけが符号を決めるのに計算される)。
【0279】
変化するフィルタ係数βiがステップ1000で定められ、角加速度が正のとき平滑化の影響を減少し(折点周波数を増大)、ゼロのとき平滑化の影響を一定に維持し、角加速度が負のとき平滑化の影響を増大する(折点周波数を減少)として特徴づけられる。一例では、フィルタ係数βiの変動は数学的に次のように記載できる。
【0280】
【0281】
ここで、θ’f,iはカメラ位置の角速度、θ’’f,iはカメラ位置の角加速度、βi-1は前の時間ステップにおけるフィルタ係数の変動部分である。式Cにおける項2と項0.1は、任意であり、他の定数でもよく、試験して画像回転のフィルタの最も視覚的に訴える効果を見出すことにより経験的に求めることもできる。
【0282】
離散化、無限インパルス応答、単極ローパスフィルタがステップ1010で実行され、現在の角度信号θ
iの一部α
iが、に加えられる。角度信号θ
i-1の前のフィルタされた値の第2部分(1-α
i)に加えられる。このフィルタ掛けの工程は、式Dと式Eで表現される。
【数7】
ここで、θ
f,iは時間ステップiにおけるフィルタされた角度位置、α
iは時間ステップiにおけるフィルタのフィルタ係数、θ
m,iは時間ステップiにおける測定角度位置、θ
f,i-1は時間ステップi-1におけるフィルタされた角度位置、Aは定数係数、β
iは時間ステップiにおけるフィルタ係数の変動部分である。
【0283】
ステップ1010における式C-Dで表現されたフィルタは、限定されないが、C++、Python、機械言語等を含む種々のコードで実行されてもよい。コードの選定は任意である。ステップ1012でフィルタされた角度θf,i-1は、画像を回転するプロセッサに出力され、または、任意であるが、カメラが回転すると表示される視野の直立位置を維持するように回転画像を修正するプロセッサに出力される。
【0284】
一例では、
図84で説明したIIR法をより一般的に、カメラセンサの平行移動の動きに適用できる。その方法は、位置X
i、速度X’
i、加速度X’’
iが角度位置θ
i、角速度θ’
i、角加速度θ’’
iに変わる点を除いて、変化しない。
【0285】
平行移動の動きに対して離散化、無限インパルス応答、単極ローパスフィルタを実施することは、次式で与えられる。
【数8】
ここで、X
f,iは時間ステップiにおけるフィルタされた位置、α
iは時間ステップiにおけるフィルタのフィルタ係数、X
m,iは時間ステップiにおける計測された位置、X
f,i-1は時間ステップi-1におけるフィルタされた位置、Aは定数係数、β
iは時間ステップiにおけるフィルタ係数の変動部分である。
【0286】
可変フィルタ係数β
iは、速度と加速度の符号に基づくことができる。
【数9】
【0287】
【0288】
図87は、カメラの回転の角加速度に基づき画像の回転角にフィルタを掛けることにより表示される画像を改善するようになされたプロセッサアルゴリズム1020の別の例を示す。アルゴリズム1020は、受け取ったカメラの角度を修正し、アルゴリズムの安定性を改善するために中間値を制限する工程を含む。ステップ1022で、プロセッサは、現在のカメラの角度位置θ
iを受信する。ステップ1024でプロセッサは、巻き付く角度を修正、例えば、360°を超えていたり、0°未満であると、角度値を0°と360°の間の等価角度に修正する。この工程は、角度センサが1回転内、例えば0°と360°の間の角度だけを知らせるように構成されているならば、含まれる必要はない。
【0289】
ステップ1026で、アルゴリズムは、現在の角度位置θi,cと前のフィルタされた角度位置θf,i-1との間の最小角度Δθiを求める。円上の任意の2つの角度位置間には、2つの角度があることに注意願う。180°より小さな大きさの最小角度と、180°より大きな第2の角度である。アルゴリズム1020は、後の計算での安定性とアルゴリズムの安定性を改善するために最小角度Δθiを選定する。固定された時間ステップに対しては、最小角度は角速度と考えることもできる点に注意願う。
【0290】
ステップ1028で、角加速度係数dmiが、180で正規化された最小角度Δθiと前のフィルタ係数βi-1とから算定される。角加速度係数dmiは、効果的に正規化された加速度であり、正規化された角速度の変化に等しい。ステップ1028で、結果としての角加速度係数は、最小値dmMINより小さくなく、最大値dmMAXより大きくないように制限される。例によっては、dmMINは-1に、dmMAXは1.0に設定される。上記のように、Δθiは角速度であり、180で除することにより角度を最大の可能な角度差の比に正規化する。以下に説明するように、フィルタ係数βiは、βiがβi-1プラス正規化した加速度に等しいので、正規化された角速度と考えられる。
【0291】
ステップ1030で、フィルタ係数βiが、加速度係数dmiに基づき求められる。平滑化の影響は、加速度係数がゼロより大きいときに減少される(フィルタ折点周波数が増大される)。加速度係数がゼロより小さいと、平滑化の影響は増大される(フィルタ折点周波数が減少される)。加速度係数がゼロだと、平滑化の影響は変化されない。次に、ステップ1030は、結果としてのフィルタ係数βiを最小値dβMINより小さくなく、最大値dβMAXより大きくないよう制限する。いくつかの例では、dβMINは-1に、dβMAXは1.0に設定できる。
【0292】
ステップ1040で実行されるフィルタは、離散化、無限インパルス応答、単極ローパスフィルタの形である。ステップ1040では、角度差Δθiの部分が回転位置θf,i-1に加算され、新たなフィルタされた角度位置θfiを規定する。係数C3は定数で、ある例では0.95に設定されるが、フィルタの視覚的効果の経験的観察に基づき他の分数に設定されてもよい。フィルタ係数は上述のようにステップ1030で求められる。他の例では、ステップ1040で特定されたフィルタは、バターワースフィルタ(接点周波数が平滑化の影響に関連する)、または、移動窓関数フィルタ(窓の幅が平滑化の影響に比例する)などの有限インパルス応答フィルタのような別のタイプのフィルタでもよい。
【0293】
ステップ1042で、新たなフィルタされた回転位置または角度θfiが、全回転の割合を代表でき、θMINより小さくなくθMAXより大きくなく制限される。この場合、θMINは0に、θMAXは1に設定される。そのようにして、割合の角度位置は、1(360°の全回転を示す)より小さな分数内に維持される。最後にステップ1044で、フィルタされ制限された新しい回転角度が画像を回転するプロセッサに、または任意で回転画像を修正しカメラが回転すると表示される視野の成立方向を維持するプロセッサに出力される。
【0294】
画像の回転の修正と一緒に用いられると、表示される画像の観察者は、画像の回転修正がカメラセンサの回転の初めの間にほとんどの待ち時間なしで急速に生ずること、および、目的回転位置が近づいてオペレータがカメラの回転を減速すると目的位置に近づく前の画像の回転待ち時間が増大することに気づくであろう。または、コントローラが目的回転位置の行き過ぎの修正をすると、画像の回転待ち時間はまた増大してもよい。視覚的効果は、目的回転位置で「ソフトランディング」を行うように見える画像の回転と類似する。
電磁放射線の減少
【0295】
図88Aは、マイクロストリップ構造を有するプリント基板708にはめ込まれた信号、通信およびクロック配線706の典型的な配置の略図を示す。このタイプの構造は、標準的で、一般的にほとんどのアプリケーションに適合する。しかし、内視鏡のシャフトに沿って延在するPCB(剛でも柔軟でも)においては、高周波伝達(ギガヘルツの範囲に達し得る)は、基板やシャフトからの過度な電磁放射線の原因となり得る。マイクロストリップ構造のシングルユニフォームグラウンドプレーン710は、基板の上側からこのような放射線の伝播を抑えるには不十分であるかもしれない。
図88Bは、ストリップライン 基板712構造の実施の略図を示す。この場合、グラウンドプレーン710は、基板にはめ込まれた信号配線の下方に位置し、第2グラウンドプレーン714が信号配線の上方に位置する。グラウンドプレーン710および714は、グラウンドプレーンVIA(vertical interconnect access)716により連結される。上側のグラウンドプレーン714と下側のグラウンドプレーン710の追加により、内視鏡シャフトの全長に亘って延在する細長い基板からの電磁放射線が大幅に減少することが分かっている。
【0296】
内視鏡の画像処理ユニットからの電気的絶縁
【0297】
図89は、内視鏡が外部画像処理ユニットからどのように電気的に絶縁されるのかを説明するブロック図を示す。この例では、光学的結合配置を実行して、内視鏡の外部の画像処理ユニットのデジタルエレクトロニクスとシャーシ・グラウンドから内視鏡(延長して考えると、患者)の電気的絶縁を強める。例示の配置では、USB3.0電力信号インターフェースを用いて内視鏡720のPCBと画像処理ユニット722の電子制御との電気的電子的接続を提供する。信号インターフェースは、約5GHzまでで動作するようになされる。内視鏡のケーブルと画像処理ユニット間の接続の光学的結合724、726は、それゆえ絶縁の適した形を提供できる。例えば、USB3.0光ファイバー延長ケーブルを用いて、USB3.0信号絶縁を提供することができる。ローカル726とリモート724間のデジタル通信インターフェースが、0.5M光ファイバケーブルを通じて光学的に連結される。例としては、他の選択肢に加えて、Icron Spectra(登録商標)3022、Intelix(登録商標)DIGI-FO-USB3.0、Newnex FIreNEX(登録商標)-5000H基板セットがある。
固定角度カメラセンサおよびLED筐体組立体
【0298】
ある実施の形態では、カメラセンサとLEDライトは、
図90AおよびBと
図99に示すように、所定の角度で固定されてもよい。この例では、
図90AおよびBと
図91に示すように、剛なプリント基板800がカメラセンサ802を保持する。回路基板800(この場合は柔/剛の混成)は、カメラセンサ802の光軸を内視鏡シャフトの先端の長手軸に対して所望の角度(この場合には、約30°)で置くように曲げられたフレキシブル基板804の近くに延在する。電力をLED806に伝える第2基板804(柔または剛)は、フレキシブル基板808またはケーブルの近くに延在する。基板804は、穴810を有し、そこを通ってレンズ812がカメラセンサ802に目標画像の焦点を合わせるように突出する。
【0299】
図90Bに示すように、代替の構成では、フレキシブル基板またはケーブル808は、回路基板800の下がった部分または末端から延在して、LED806を支持するように接地面を提供する。この配置では、LED基板804がカメラレンズ812を越えて延在する必要がなく、LED812が突出するLED基板の穴を作る必要がなくなる。
【0300】
図91は、ハンドル部分PCB518とシャフト部分PCB804(柔、剛、柔と剛の混成、または、それらの組合せ)を含む固定角度カメラ組立体を含む。シャフト部分PCB804の先端800は剛で、カメラ/レンズ組立体812またはLED806の台を提供してもよい。フレキシブル基板は、光学部品の角度を決める部分808に適しているであろう。フレキシブル基板でも、硬質基板でも、それらの組合せでも、内視鏡シャフトに挿入される部分804に使用できる。図示のように、シャフト部分PCB804はハンドル部分PCB518に恒久的な接続を形成し、組み合わさった電子部品は単一で分離できない構造を形成する。いくつかの場合には、シャフト部分PCBは、ハンドル部分PCBの単なる拡張であってもよい。他の場合には、内視鏡の予備組立て(例えば、シャフト部分PCBと光学ハウジングの内側鞘への挿入)後に、ハンドル部分PCB518へのシャフト部分PCB804の恒久的取付または接続805を形成するのが便利である。恒久的接続はハンドル部分PCB518に形成することができる。全体的組立体は、2つのPCB部品は組立て後に分離されないので、液体浸入に対して単体としてコーティングすることができる(例えば、電子部品のパリレンコーティングを用いる)。
【0301】
図92は、シャフト先端に固定角度カメラとLEDを有する内視鏡の例の分解図を示す。内側鞘312内の混成柔/剛基板は、光学台820のカメラセンサ/LED組立体を有する先端に端部を有する。先端ハンドル・ハウジングまたはハンドルセクション30は、基部ハンドル組立体21、23に部分的に囲まれる。この例では、ハンドルPCBは、ハンドル先端セクション30に接続された筐体431内に置かれる。洗浄ライン434は、内側鞘312内の導管に接続され、この例では、内視鏡ハンドル21,23の後端から抜け出る。
【0302】
図93は、カメラセンサ802の対応する基板上に位置するLED806用の柔/剛基板808の部分切欠図を示す。この例では、穴がLED基板808に形成され、カメラレンズ812の突出部分を受け入れる。
図94は、カメラセンサとLEDが実装または設置される光学ハウジングまたは台820を示す。光学ハウジング820は、内視鏡の内側鞘826の末端から遠位方向に外側に延びる。光学ハウジングおよび関連するカメラレンズとLEDの末端は、内視鏡の使用時(
図99に示される)には外側鞘またはトロカール840に実質的に覆われ、または、保護される。
【0303】
図95は、光学ハウジングまたは台820の上面斜視図を示す。内視鏡シャフトフレキシブル基板またはケーブルの先端、カメラセンサおよび関連するLEDの先端は、光学要素、それらが実装される基板、および、1つ以上のフレキシブル基板の先端部分を光学ハウジング820に入れることにより、内視鏡シャフトの長手軸に対して固定角度で実装できる。これは、内視鏡の先端の光学部品およびフレキシブル基板の周囲に流し込んで作った成型品が成型される(例えばインジェクション・モールド)、成型プラスチック部品であり得る。このことは、光学および照明要素(カメラセンサ、LED)とそれらのフレキシブル基板を適切な位置に固定すること、および、それらの部品の液体への接触からシールすることの両方の役に立つ。一旦形成され硬化されると、組立体(光学ハウジング820と包み込まれた光学および照明部品)は、内視鏡シャフトに挿入できる。(圧入を介して、または、例えば、接着剤を用いて)。どのような角度を選んでもよいが、いくつかの例では、カメラセンサおよび/またはLEDの光軸は、内視鏡シャフトの先端の長手軸に対して約30°と70°の間の角度のような、ゼロでない角度に固定される。
【0304】
図96は、光学ハウジング820の下面斜視図を示す。成型されたLED用の孔822と成型されたカメラレンズ用の孔824が、ハウジング820の外面上で洗浄液をいろいろな方向に向けるようになされた表面溝と共に、示される。
【0305】
図97は、内視鏡シャフトの内側鞘826の先端に挿入された後の光学ハウジング820を示す。上方で、内側鞘826の先端828が光学ハウジング820の隆起セクション830に当接し、ハウジング820の外面上に形成された流路を除いたハウジングに対して液体シールを形成する。上部流路832は、内側鞘826の先端横側部836とハウジング820の横側部838との間の横穴834と連通して示される。この例では、横穴834は、ハウジング820の両側に存在し、それぞれが内視鏡シャフトの中央流路からカメラレンズ812およびLED806を覆う領域までの液体出口流路を提供する。このように、これらの横穴を通る液体流は、気泡、ごみ、あるいは、内視鏡の使用中にレンズやLED表面に接触する他の物質を洗い流すのに役立つ。任意ではあるが、上部流路はまた、端部光学要素812、806の上部側に洗浄液を直接流すように成型されてもよい。
【0306】
図98は、内側鞘826に挿入された光学ハウジング820の上側斜視図を示す。上側流体流838の一般的な方向の説明図が示される。光学ハウジング820の先端部分は、使用中は内視鏡の外側鞘(トロカール)により少なくとも部分的に覆われるようになされることに注意願う。このことは
図99に示され、そこでは内視鏡シャフト(内側鞘および光学ハウジングを含む)は外側鞘またはトロカール840に挿入されて示される。トロカール隙間/穴842により、横穴834がレンズ812およびLED806の外面に開いたままであることに注意願う。この配置では、光学ハウジングの上部上方で流体が出られるようにするための穴が上方にはない。別の実施の形態では、トロカールのデザインが上方に配置された隙間を提供し、洗浄流れが端部光学要素812、806の上部上で可能になる。またこの図では、外側鞘/トロカール840に下部穴844が示され、洗浄液が、光学要素812、806の光学軸から離れる方向でより近位で内視鏡シャフトから出ることができる。
【0307】
さらに、横側流路もまた、光学ハウジングに形成され、洗浄液をカメラ-レンズ-LEDアセンブリの近くの内視鏡の先端シャフトの横下部の穴から出るように方向付ける。
図100に示すように、光学ハウジング820の底面斜視図では、成型品に溝が形成され、洗浄液がハウジング820の外面に沿って横方向846および下方向848の双方に流れるようにする。
図101は、内視鏡シャフトの内側鞘826の下部穴850および横部穴852の双方を示し、洗浄液が内視鏡シャフト内部から内視鏡シャフトの外面に向けて流れる流路壁を完成させる。
図102は、使用中に配置されるように、外側鞘またはトロカール840に挿入された内側鞘および光学ハウジングを備える内視鏡シャフトを示す。この例では、外側鞘/トロカールは、使用時に洗浄経路が内視鏡で使えるように完成させる先端の穴842に加え、下部に穴854と側部に穴856を含む。この特定の配置は、決して排他的ではなく、所望の特定の洗浄液流れ特性に応じて、他の穴の配置や寸法を選定できることに注意願う。
洗浄・吸引組み合わせの配置
【0308】
適切に設計されたトロカールと組み合わせて使用すると、内視鏡は、洗浄と吸引を同時に行う、または、洗浄と吸引をより便利に交互に行うように構成できる。
図103は、トロカール860の内壁と内視鏡シャフト862の外壁の間に液体流路を作る内視鏡トロカール/挿入シャフト組合せの略図的長手断面図を示す。この場合、内視鏡シャフト862の鞘は、この内側鞘とトロカールを備える外側鞘の間に流体通路864を収容するため、より小さな断面での内部空間面積を有する。他の配置では、トロカールの直径を大きくして、鞘間空間864、すなわち、外側鞘(トロカール)860と内視鏡シャフトの内側鞘862との間の空間、を提供することもできる。内視鏡シャフトの先端866は、カメラ(CCD)および/またはレンズおよびLED台または筐体を収容するのに充分なだけ大きくなければならないことに注意願う。カメラおよび/またはレンズの寸法要求は、内視鏡シャフト先端866の最小直径をどのくらい小さくできるのかを決めがちである。しかし、内視鏡シャフト862の残りの部分を、その中の部品(流体内部空間、LED/カメラ電力線、カメラ信号線)は先端866より小さな断面空間しか占めないので、先端866より直径で小さくすることができることに注意を願う。したがって、内視鏡シャフト-トロカール組立体の全体直径は、トロカール860と内視鏡シャフト鞘862の間に流体通路864を収容するために大きくする必要はない。
【0309】
図103の説明では、内視鏡シャフトの中央内部空間868は、先端構造866と関連する開口、例えば図示の先端開口870、と連通する。中央内部空間868は、基部開口872と連通し、基部開口872は、図示のように、内視鏡ハンドル(不図示)の先端874から分岐でき、または、開口876を介して内視鏡ハンドル内を通り抜け、ハンドルの基端部(例えば、
図46および
図78に示すように)でハンドルから抜け出ることができる。好ましくは、鞘間の内部空間(または内部空間の外側)864は、トロカール860の先端部分に形成された先端開口878と、先端866の位置の近くで、連通し、中央内部空間868とその開口870、および、鞘間内部空間864とその開口878が処置または診察中の同じ解剖空間と連通するようにする。鞘間または外側の内部空間864は、トロカール860の基部筐体882に形成された基部開口880と連通する。そのような基部開口880は、例えば、
図3Bに示されるトロカール取り付け構造15、
図16A、Bのカニューレ・マウント300、あるいは、
図78に示されるカニューレ318の基部に含まれ得る。任意ではあるが、エラストマーシールが、遠位または近位に含まれ、中央内部空間868の流体内容物を鞘間または外側の内部空間864から隔離してもよい。
例えば、Oリング884が、先端の台866とトロカール860の間に位置してもよい。
別の例では、Oリング886が、トロカール基部筐体882と内視鏡ハンドルの先端部分874へのカップリングとの間に位置してもよい。図示の配置では、中央内部空間868または鞘間内部空間864のいずれかを、内視鏡が適用される特定の用途に基づいて、洗浄導管または吸引導管として用いてもよい。
図104は、先端中央導管開口870と先端鞘間開口878をどのように並べられるかの例を示す。もし先端ハウジング820が、
図85-92に示すように、用いられるなら、先端中央導管開口はより複雑な方法で配置されるであろう。
【0310】
しかし、開口は、解剖位置に送られる流体圧と流速の値が、内視鏡に適用される洗浄と吸引の相対的圧力を調整することにより自動的に調整されるように、配置される。このことは、基部開口に接続されたバルブを通じて手動で、あるいは、電子的になされる。例えば、1つ以上の電気機械式バルブを1つまたは両方の基部開口に接続し、内視鏡ハンドルに設置されたボタンまたはスイッチを用いてユーザによりコントローラを介してコントロールされ得る。この配置により、ユーザは、診察される空洞を画成する解剖学的組織に洗浄液により作用される吹き込み圧を調整できる。さらに、洗浄液の流速は調査される空洞内の位置から、または、内視鏡シャフトの先端のカメラ、レンズ、LEDまたは他の光学要素の表面からごみを除去するために、調整することもできる。コントローラを用いて、洗浄入口圧を負圧源から提供される所与の吸引圧に、または、基部吸引開口に接続された出口弁により提供される所与の出口流れ抵抗に調整することにより、解剖位置の内部空洞圧力を調整してもよい。またコントローラを用いて、洗浄入口と吸引出口間の差圧を調整することにより洗浄液流速を制御してもよい。このことには、圧力源の圧力(正圧または負圧のいずれでも)を制御すること、または、洗浄開口および吸引開口に接続されたバルブを用いて流れ抵抗を変更することを含んでもよい。コントローラは、吸引ラインおよび洗浄ラインに接続されたセンサを用いて流体流量または圧力のいずれかを監視し、流速や圧力を制御してもよい。あるいは、必要な圧力と流量の調整は、オペレータが内視鏡ハンドルの1つ以上の電子式ボタンやスイッチを用い、調整の効果を視覚的に観察することで、経験的になされてもよい。
【0311】
好適な配置では、鞘間空間(すなわち、トロカール/外側鞘と内視鏡シャフト/内側鞘の間の空間)を用いて、内視鏡先端の近くに位置する空間から流体を除去する吸引を提供してもよい。この配置の利点は
図99に示される。中央内部空間868に接続された先端開口870は、流体が解剖空間888に入る前に、きれいな流体を内視鏡シャフト先端に位置するカメラ、レンズ、LEDおよび/または他の光学要素に向けるように構成することもできる。戻り流体は、内視鏡シャフトのより近位に位置する鞘間先端開口878経由で吸引できる。よって、洗浄液は、処置中に光学要素をごみのない状態に保ち、また、検査または処置される解剖空間を液で満たしおよび/または広げるのに役立つ。
【0312】
図面に示した種々の実施の形態は、開示の特徴のある例を示すためだけに提示されたものである。所与の図面に示された特徴の全てが、請求項の装置または特徴に含まれなければならない訳ではない。図面は、説明の目的のためだけであると解されるものであり、ある要素の寸法は誇張されていることもあり、特定のスケールで描かれてはいない。さらに、同じ参照符号を有する図面中に示された要素は、状況に応じて、同一の要素であることも、類似または同様の要素を示していることもある。
【0313】
「第1」、「第2」「第3」等の用語は、詳細な説明で用いられても請求項で用いられ
ても、類似の要素間の区別を意図しており、必ずしも順番や時間的順序を述べてはいない
。そのように用いられた用語は、適切な状況では置き換え可能であり(明らかに、そうで
はないと述べられていない限り)、ここで記載した開示の実施の形態は、他の順序および
/または本書で説明または図解した配置以外の配置で操作可能であることが、理解される
べきである。
本発明の第1の態様は、
内視鏡シャフトの先端用の光学ハウジングであって:
カメラセンサと光源を部分的に囲み、内視鏡シャフトの先端の長手軸に対して、前記カ
メラセンサと前記光源の角度位置を固定し、前記カメラセンサと前記光源を前記内視鏡シ
ャフトを備える円筒形の鞘の先端内にしっかりと止める成型部材と;
前記内視鏡シャフトの前記鞘の少なくとも一部に漏れがない密封した係合をする外径を
有する成型部材を備え;
前記成型部材は、前記成型部材の外面に形成された複数の溝を備え、前記内視鏡シャフ
トの流体経路と前記内視鏡シャフトの外面の間に1つ以上の液体流路を提供する;
光学ハウジングである。
本発明の第2の態様は、
前記カメラセンサは、前記カメラセンサに隣接してレンズを備え、前記光学ハウジング
はレンズ開口部を含み、そこを通して前記内視鏡シャフトの先端で前記レンズが光を受け
取る;
第1の態様に記載の光学ハウジングである。
本発明の第3の態様は、
前記光源は、前記レンズの隣に位置する発光ダイオード、すなわちLED、を備え、前
記光学ハウジングはLED開口部を含み、そこを通して前記LEDは光を前記内視鏡シャ
フトの先端の外側の領域に投射する;
第2の態様に記載の光学ハウジングである。
本発明の第4の態様は、
前記カメラセンサはカメラセンサプリント基板に実装され、前記カメラセンサプリント
基板は前記光学ハウジングに囲まれている;
第1の態様に記載の光学ハウジングである。
本発明の第5の態様は、
前記光源は光源プリント基板に実装され、前記光源プリント基板は前記光学ハウジング
に囲まれている;
第1の態様に記載の光学ハウジングである。
本発明の第6の態様は、
前記光源は、光源プリント基板に実装されたLEDを備え、前記光源プリント基板は穴
を含み、そこを通って前記カメラセンサに隣接したレンズが突出する;
第2の態様に記載の光学ハウジングである。
本発明の第7の態様は、
前記鞘は、前記光学ハウジングの末端の近位の位置に末端を有し、前記成型部材の前記
外面の1つ以上の溝が前記光学ハウジングと前記鞘の前記末端での前記鞘との間の1つ以
上の横穴と連通する;
第1の態様に記載の光学ハウジングである。
本発明の第8の態様は、
前記鞘は、前記内視鏡シャフトの先端で前記鞘の末端の近位に洗浄用開口部を含み、前
記洗浄用開口部は、前記光学ハウジングの前記1つ以上の溝と流体連通する;
第1の態様に記載の光学ハウジングである。
本発明の第9の態様は、
前記鞘と前記光学ハウジングは、トロカールに挿入するように構成され、前記トロカー
ルは遠位開口を有して光が前記カメラセンサに届くように、また、光が前記光源から放射
されるようにし、前記トロカールは前記鞘の前記洗浄用開口部と整列するトロカール開口
部を含む;
第8の態様に記載の光学ハウジングである。
本発明の第10の態様は、
内視鏡とプロセッサであって、前記内視鏡は、前記内視鏡のシャフトの先端に置かれた
カメラを有し:
前記シャフトと前記カメラは、前記シャフトの回転軸回りに一緒に回転可能であり;
前記カメラは、前記シャフトの前記回転軸に対してゼロでない角度である光軸を有し;
前記内視鏡は、前記カメラから表示される画像の初めの角度方向からの前記回転軸回り
の前記カメラの回転角を測定する回転センサを有し;
前記プロセッサは、前記カメラからの画像データを処理し、前記表示される画像の前記
初めの角度方向を維持し、
前記表示される画像は、前記カメラが前記回転軸回りに前記初めの角度方向から第2角
度方向に回転すると、第1視野から別の第2視野に平行移動する;
内視鏡とプロセッサである。
本発明の第11の態様は、
前記カメラの光軸は、前記回転軸に対して30°から70°の間の角度で固定される;
第10の態様に記載の内視鏡とプロセッサである。
本発明の第12の態様は、
前記プロセッサは、前記回転センサからの回転信号を平滑化し、前記カメラの回転が加
速されているときよりも前記カメラの回転が減速されているときにより大きな平滑化が適
用されるように構成される;
第10の態様に記載の内視鏡とプロセッサである。
本発明の第13の態様は、
内視鏡であって、前記内視鏡のシャフトの先端に置かれたカメラを有し:
前記シャフトは、前記内視鏡のハンドルの先端ハンドル・ハウジングに接続され;
前記内視鏡は、前記先端ハンドル・ハウジングに接続され、マグネット位置センサを含
むPCBを有し;
前記内視鏡は、前記先端ハンドル・ハウジングと共に前記PCBを取り囲む前記ハンド
ルの基部ハンドル・ハウジングを有し、前記シャフトと前記カメラは、前記基部ハンドル
・ハウジングに対して一緒に回転可能であり;
前記基部ハンドル・ハウジングは、前記位置センサの反対側に配置された1つ以上の磁
石を含み、前記位置センサは、前記1つ以上の磁石に対して回転し、前記基部ハンドル・
ハウジングに対する前記先端ハンドル・ハウジング、前記シャフトおよび前記カメラの回
転角を示す角度位置信号を生成するようになされ;
前記カメラは、カメラの光軸が前記先端ハンドル・ハウジングおよび前記シャフトの回
転軸に対してゼロでない角度となるような位置とされ;
前記カメラの光軸の前記ゼロでない角度が、前記角度位置信号と共同して、前記カメラ
の画像の視覚的表示が、変化する視野の回転する画像から前記変化する視野の平行移動す
る画像に変換されるようにできる;
内視鏡である。
本発明の第14の態様は、
回転するカメラからの表示される画像の角度方向を修正するシステムであって、前記カ
メラは、前記カメラの回転軸に対してゼロでない角度である光軸を有し、前記システムは
:
前記表示される画像の初めの角度方向からの前記回転軸回りの前記カメラの回転角を測
定するようになされた回転センサと;
前記表示される画像の前記初めの角度方向を維持するように前記カメラからの画像デー
タを処理するように構成されたプロセッサとを備え;
前記カメラが前記回転軸回りに前記初めの角度方向から第2角度方向まで回転すると、
前記表示される画像は第1視野から異なる第2視野へ平行移動する;
システムである。
本発明の第15の態様は、
内視鏡とプロセッサであって、前記内視鏡は、前記内視鏡のシャフトの先端に置かれた
カメラを有し:
前記シャフトと前記カメラは、前記シャフトの回転軸回りに一緒に回転可能であり;
前記内視鏡は、前記回転軸回りの前記カメラの回転角を測定するようになされた回転セ
ンサを有し;
前記プロセッサは、前記回転センサからの回転信号をフィルタに掛け表示される画像の
回転を平滑化するように構成され;
前記フィルタは、前記カメラの回転が加速されているときよりも前記カメラの回転が減
速されているときにより大きな平滑化を提供するように構成される;
内視鏡とプロセッサである。
本発明の第16の態様は、
前記フィルタは、ローパスフィルタであり、前記平滑化は、前記ローパスフィルタの折
点周波数に対し逆の関係を有する;
第15の態様に記載の内視鏡とプロセッサである。
本発明の第17の態様は、
前記フィルタは、前記カメラが一定の速さで回転しているならば、前記表示される画像
の前記回転の一定の平滑化を維持する;
第15の態様に記載の内視鏡とプロセッサである。
本発明の第18の態様は、
回転するカメラセンサの回転信号を処理するフィルタであって:
前記フィルタは、前記カメラセンサからの画像の表示される回転を平滑化するように構
成され;
回転センサからの前記回転信号は、前記カメラセンサの角度方向を測定するように構成
され;
前記フィルタは、前記カメラセンサが加速されているときよりも前記カメラセンサが減
速されているときにより大きな平滑化を提供するように構成される;
フィルタである。
本発明の第19の態様は、
カメラセンサからの画像を処理する方法であって:
HSV色空間において画像データの画素に色相、彩度、明度(HSV)を割り当て、前
記画素の彩度は彩度数の所定の範囲内である、工程と;
HSL色空間において画像データの前記画素に色相、彩度、輝度(HSL)を割り当て
、前記画素の輝度は輝度数の所定の範囲内である、工程と;
0と1の間の分数から成る第1ファクタを計算し、前記第1ファクタ分数は、前記彩度
数の所定の範囲の下半分の数値辺りに中心を持つ確率分布により決められる、工程と;
0と1の間の分数から成る第2ファクタを計算し、前記第2ファクタ分数は、前記輝度
数の所定の範囲の中央の数値辺りに中心を持つ確率分布により決められる、工程と;
前記HSV色空間における前記画素の前記彩度を調整する工程であって、前記HSV色
空間における前記画素の前記割り当てられた彩度を、所定の固定分数に前記第1ファクタ
と前記第2ファクタの積を掛けた値に1を加えたものに等しい値で乗じることにより、調
整する工程とを備える;
方法である。
本発明の第20の態様は、
前記所定の固定分数は0.5である;
第19の態様に記載の方法である。
本発明の第21の態様は、
前記確率分布はガウス分布である;
第19の態様に記載の方法である。
本発明の第22の態様は、
前記確率分布は、前記彩度数の所定の範囲の25-40%から成る数値の辺りに中心が
ある;
第19の態様に記載の方法である。
本発明の第23の態様は、
前記確率分布は、前記輝度数の所定の範囲の50%から成る数値の辺りに中心がある;
第19の態様に記載の方法である。
本発明の第24の態様は、
内視鏡とトロカールを備える内視鏡組立体であって:
前記内視鏡は、基部ハンドル、先端ハンドルおよびシャフトを有し;
前記先端ハンドルは前記シャフトに接続され、取り付けられたPCBを備え;
前記基部ハンドルは、前記PCBを取り囲み;
前記シャフト、前記先端ハンドルおよび前記PCBは、前記基部ハンドルに対して一緒
に回転可能であり;
前記シャフトは、前記シャフトの基部部分のシャフト口と前記シャフトの先端部分の洗
浄口の間で洗浄液を運ぶようになされた単一の導管を含み;
前記シャフトは、前記トロカールに挿入されるようになされ、前記トロカールは、先端
開口を有してシャフト先端が前記先端開口を通り抜けて突出できるようにし;
前記トロカールの基部部分はトロカール流体口に接続され、前記トロカールの先端部分
は1つ以上の側部の開口を含み、前記トロカールの内壁と前記内視鏡の前記シャフトの外
壁で画定されるトロカール空間空間に流体が出入できるようにし;
前記内視鏡組立体は、洗浄用に前記トロカールの空間を、そして吸引に前記シャフトの
導管を使い、または、吸引用に前記トロカールの空間を、そして洗浄に前記シャフトの導
管を使い、洗浄と吸引を同時に行えるようになされた;
内視鏡組立体である。