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  • 特開-養液栽培における養分管理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000288
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】養液栽培における養分管理装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/00 20180101AFI20231225BHJP
【FI】
A01G31/00 601A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099002
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】000204239
【氏名又は名称】株式会社 太陽
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼田 康裕
(72)【発明者】
【氏名】村山 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】山本 悠世
【テーマコード(参考)】
2B314
【Fターム(参考)】
2B314MA14
2B314MA17
2B314PA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】栽培のための養液中の硝酸態窒素、リン、イオウ、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどを把握し、それら養分のすべてを測定しなくても、消費された養分の補給管理が可能な装置を提供する。
【解決手段】回収養液槽1と、液肥LFを貯留する液肥槽2と、給肥後の養液の電気伝導度を測定する第一電気伝導度測定装置3と、給肥前後の養液に含有される硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオンの少なくとも1種類を測定するイオン測定装置4と、給肥前後の養液の電気伝導度を測定する第二電気伝導度測定装置5と、第一電気伝導度測定装置3とイオン測定装置4及び第二電気伝導度測定装置5による各測定結果に基づいて、養液に含有されるリン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンのイオン濃度を算出し液肥LFの注入量等を算出する演算装置6を具備する養分管理装置とした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、リン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンを含有する養液を栽培地(PL)に供給して植物を栽培する養液栽培において、
前記栽培地(PL)から排出された前記養液が回収され貯留される回収養液槽(1)と、
硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、リン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンの少なくとも一種を含有する液肥(LF)を貯留し、各イオンの配合比率の相違する前記液肥(LF)を貯留する複数の液肥槽(2)と、
前記液肥槽(2)から前記液肥(LF)が供給された後であって前記栽培地(PL)までの間の給肥後経路に配設され、前記養液の電気伝導度を測定する第一電気伝導度測定装置(3)と、
前記給肥後経路における前記養液と前記液肥槽(2)より前記液肥(LF)が供給される前である前記液肥槽(2)と前記回収養液槽(1)の間の給肥前経路における前記養液に含有される硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオンをそれぞれ測定する硝酸イオン測定装置(41)、カリウムイオン測定装置(42)、カルシウムイオン測定装置(43)から選ばれる少なくとも1種類のイオン測定装置(4)と、
前記給肥後経路及び前記給肥前経路における前記養液の電気伝導度をそれぞれ測定する第二電気伝導度測定装置(5)と、
前記硝酸イオン測定装置(41)、前記カリウムイオン測定装置(42)、前記カルシウムイオン測定装置(43)から選ばれる少なくとも1種類の前記イオン測定装置(4)と、前記第二電気伝導度測定装置(5)による各測定結果に基づいて、前記養液に含有されるリン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンのイオン濃度を算出し、予め設定された各イオン濃度の目標値域との差から各前記液肥槽(2)に貯留された前記液肥(LF)の注入比又は注入量の少なくとも一方を算出する演算装置(6)と、
を具備することを特徴とする養液栽培における養分管理装置。
【請求項2】
前記演算装置(6)によって算出された各前記液肥槽(2)に貯留された前記液肥(LF)の注入比又は注入量の少なくとも一方に基づいて、前記液肥(LF)を前記養液に補給する制御を行う制御装置(7)を具備することを特徴とする請求項1に記載の養液栽培における養分管理装置。
【請求項3】
前記演算装置(6)によって算出された前記養液に含有されるリン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンと、前記演算装置(6)によって算出された前記液肥(LF)の前記注入比又は前記注入量の少なくとも一方を表示する表示装置(8)を具備することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の養液栽培における養分管理装置。
【請求項4】
前記給肥後経路における前記養液と前記給肥前経路における前記養液の酸性度を測定するpH測定装置(9)を具備することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の養液栽培における養分管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物の栽培から排出された養液を回収して再度栽培に利用するために、先の栽培にて消費された養分である各種イオンを補給するよう管理する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農作物の栽培から排出された養液を、一旦貯留し、濾過などを行って排出された養液から不純物を取り除いた後に再度栽培に利用して、循環する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、栽培地から排出された養液を貯留する貯留槽と、前記貯留槽から送液ポンプを介して送液された前記養液を濾過する第1濾過装置と、前記第1濾過装置により濾過された回収液をさらに中空糸膜にて濾過する第2濾過装置などを備え、濾過により不純物が取り除かれた養液が再度栽培地へ供給される流路における電気伝導度の測定結果に基づいて肥料槽より所定の肥料が適宜混合される養液濾過装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-24398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている養液濾過装置では、濾過により不純物が取り除かれた養液について、単に随時管理される電気伝導度の測定結果に基づいてイオン量の総量を管理しているところ、所定の電気伝導度の範囲から低下したときには、栄養分が栽培地にて消費されて減少したと判断して、所定の電気伝導度の範囲となるように肥料槽より栄養分が供給されているが、生育状況や天候など外的要因によって、作物の吸収する養液中のイオン成分量が変化するので、残された排液中の養液中のイオン成分比率は当初より変化するところ、硝酸態窒素(NO3-N)、リン(P)、イオウ(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)に由来するイオン成分のうち特に必要とされるイオンは多く植物に吸収されて養液中の比率が低下するため、循環を進めるうちに、必要量の供給が出来ていなくなっていく恐れがあり、イオン総量の管理だけでは不十分であるという課題があった。
【0006】
また、養液中の硝酸態窒素(NO3-N)、リン(P)、イオウ(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)などの各種養分すべてを測定することは煩雑であり効率が悪いなどという課題もあった。
【0007】
そこで、本発明では、農作物の栽培から排出された養液を回収して再度栽培に利用するために、養液の電気伝導度だけでなく、養液中の硝酸態窒素(NO3-N)、リン(P)、イオウ(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)などの各種養分についても把握し、さらに、それら養分のすべてを測定しなくても、先の栽培にて消費された養分を補給するよう管理することができる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
〔1〕すなわち、本発明の養分管理装置は、硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、リン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンを含有する養液を栽培地(PL)に供給して植物を栽培する養液栽培において、前記栽培地(PL)から排出された前記養液が回収され貯留される回収養液槽(1)と、硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、リン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンの少なくとも一種を含有する液肥(LF)を貯留し、各イオンの配合比率の相違する前記液肥(LF)を貯留する複数の液肥槽(2)と、前記液肥槽(2)から前記液肥(LF)が供給された後であって前記栽培地(PL)までの間の給肥後経路に配設され、前記養液の電気伝導度を測定する第一電気伝導度測定装置(3)と、前記給肥後経路における前記養液と前記液肥槽(2)より前記液肥(LF)が供給される前である前記液肥槽(2)と前記回収養液槽(1)の間の給肥前経路における前記養液に含有される硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオンをそれぞれ測定する硝酸イオン測定装置(41)、カリウムイオン測定装置(42)、カルシウムイオン測定装置(43)から選ばれる少なくとも1種類のイオン測定装置(4)と、前記給肥後経路及び前記給肥前経路における前記養液の電気伝導度をそれぞれ測定する第二電気伝導度測定装置(5)と、前記第一電気伝導度測定装置(3)と、前記硝酸イオン測定装置(41)、前記カリウムイオン測定装置(42)、前記カルシウムイオン測定装置(43)から選ばれる少なくとも1種類の前記イオン測定装置(4)と、前記第二電気伝導度測定装置(5)による各測定結果に基づいて、前記養液に含有されるリン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンのイオン濃度を算出し、予め設定された各イオン濃度の目標値域との差から各前記液肥槽(2)に貯留された前記液肥(LF)の注入比又は注入量の少なくとも一方を算出する演算装置(6)と、を具備することを特徴とする養液栽培における養分管理装置である。
【0009】
〔2〕そして、前記演算装置(6)によって算出された前記液肥(LF)の注入比又は注入量の少なくとも一方に基づいて、前記液肥(LF)を前記養液に補給する制御を行う制御装置(7)を具備することを特徴とする前記〔1〕に記載の養液栽培における養分管理装置である。
【0010】
〔3〕そして、前記演算装置(6)によって算出された前記養液に含有されるリン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンと、前記演算装置(6)によって算出された前記液肥(LF)の前記注入比又は前記注入量の少なくとも一方を表示する表示装置(8)を具備することを特徴とする前記〔1〕又は前記〔2〕に記載の養液栽培における養分管理装置である。
【0011】
〔4〕そして、前記給肥後経路における前記養液と前記給肥前経路における前記養液の酸性度を測定するpH測定装置(9)を具備することを特徴とする前記〔1〕又は前記〔2〕に記載の養液栽培における養分管理装置。
である。
【発明の効果】
【0012】
以上、本発明の養液栽培における養分管理装置によれば、農作物の栽培から排出された養液を回収して再度栽培に利用するために、養液の電気伝導度だけでなく、養液中の硝酸態窒素(NO3-N)、リン(P)、イオウ(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)などの各種養分についても把握し、さらに、それら養分のすべてを測定しなくても、先の栽培にて消費された養分を補給するよう管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の養液栽培における養分管理装置を含む循環栽培システムを表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る養液栽培における養分管理装置に関する実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨が明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。また、数値範囲を示す記載は、上限と下限を含むものである。
【0015】
図1に示すように、本発明の養液栽培における養分管理装置は、栽培地PL、回収養液槽1、液肥槽2、第一電気伝導度測定装置3、イオン測定装置4、第二電気伝導度測定装置5、演算装置6、制御装置7、表示装置8などから構成されている。そして、栽培地PLから排液された養液は、基本的に、種々の濾過装置にて濾過された後に、回収養液槽1に貯留され、そして、必要に応じて回収養液槽1からの回収養液に地下水や水道水などの灌水用原水RWが混合され、さらに、液肥槽2から液肥LFが混合され、再度、栽培地PLへ供給されるというように、循環して利用される。
【0016】
回収養液槽1は、栽培地PLから排出された養液が回収され貯留されるタンクなどの容器である。栽培地PLから排出された養液は、濾過や銀イオンの注入、紫外線の照射などの方法により滅菌、殺菌などが行われて、回収養液槽1に貯留されている。
【0017】
液肥槽2は、硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、リン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンの少なくとも一種を含有する液肥LFを貯留し、硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、リン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンの各イオンの配合比率の相違する前記液肥(LF)を貯留する複数の容器である。液肥LFは、栽培地PLにて消費されたミネラル成分などを補給するために、硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、リン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンから選ばれる成分を単体で又は複数配合されている水溶液である。栽培地PLにてどのような植物を栽培するかによって、液肥LFに含まれる上記各種イオンの種類及び配合比率が各液肥槽2ごとに異なるように、各液肥槽2ごとに液肥LFが予め調整されて配合されている。なお、本実施形態において、液肥槽2は、二基設けられているが、他の実施形態において、三基以上設けることができる。
【0018】
第一電気伝導度測定装置3は、液肥槽2から液肥LFが供給された後であって栽培地PLまでの間の給肥後経路に配設され、養液の電気伝導度を測定する装置である。換言すれば、第一電気伝導度測定装置3は、回収養液槽1の養液に、必要に応じて地下水などの灌水用原水RWが混合され、さらに、液肥LFが供給された後における栽培地PLへ供給される養液の電気伝導度を測定する装置である。第一電気伝導度測定装置3は、養液中における電気伝導のしやすさを表す物性量である電気伝導度を測定する装置である。第一電気伝導度測定装置3による電気伝導度を利用し、イオンの総量を踏まえて、演算装置6及び制御装置7にて、複数の液肥槽2に貯留されたそれぞれの液肥LFの注入比を算出し、それに基づいて液肥LFの総量の送液量を調整することができる。
【0019】
イオン測定装置4は、給肥後経路における養液と、液肥槽2より液肥LFが供給される前である液肥槽2と回収養液槽1の間の給肥前経路における養液に含有される硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオンをそれぞれ測定する硝酸イオン測定装置41、カリウムイオン測定装置42、カルシウムイオン測定装置43から選ばれる少なくとも1種類を包含する装置である。イオン測定装置4により、硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオンから選ばれる少なくとも1種のイオンを直接測定するとともに、後述するようにイオン測定装置4にて測定された数値などに基づいて直接測定していないイオンのイオン濃度を推算するために使用される。硝酸イオン測定装置41は硝酸イオンの濃度を測定する装置であり、カリウムイオン測定装置42はカリウムイオンの濃度を測定する装置であり、カルシウムイオン測定装置43はカルシウムイオンの濃度を測定する装置であり、これら測定装置は必要に応じて適宜標準液にて校正されることが好ましい。本実施において、イオン測定装置4は、硝酸イオン測定装置41、カリウムイオン測定装置42、カルシウムイオン測定装置43を含む3種類にて構成される装置であるが、硝酸イオン測定装置41、カリウムイオン測定装置42の2種類にて構成され、またはカリウムイオン測定装置42、カルシウムイオン測定装置43の2種類にて構成されるなど2種類から構成される装置、硝酸イオン測定装置41のみなど1種類で構成される装置などとすることができる。
【0020】
第二電気伝導度測定装置5は、液肥槽2から液肥LFが供給された後であって栽培地PLまでの間の給肥後経路における養液と、液肥槽2と回収養液槽1の間の給肥前経路における養液の電気伝導度をそれぞれ測定する装置である。第二電気伝導度測定装置5は、第一電気伝導度測定装置3と同様に、養液中における電気伝導のしやすさを表す物性量である電気伝導度を測定する装置であり、特許文献1のような単なる肥料濃度の目安として使用されるのではなく、イオン測定装置4にて測定された数値などに基づいて直接測定していないイオンを推算するために使用される。図1に示すように、本実施形態において、第二電気伝導度測定装置5は、液肥槽2から液肥LFが供給された後であって栽培地PLまでの間の給肥後経路における養液の電気伝導度と、液肥槽2から液肥LFが供給された後であって栽培地PLまでの間の給肥後経路における養液の電気伝導度をそれぞれ測定することができる。た、第二電気伝導度測定装置5は、必要に応じて適宜標準液にて校正されることが好ましい。
【0021】
図1に示すように、イオン測定装置4、第二電気伝導度測定装置5、pH測定装置9にて各測定を行うために、所定のタイミングにて、液肥槽2と回収養液槽1の間の給肥前経路における養液として回収養液槽1の養液を分岐させて回収液サンプリング槽ST1に一時的に貯留し、液肥槽2から液肥LFが供給された後であって栽培地PLまでの間の給肥後経路における養液を分岐させて給液サンプリング槽ST2に一時的に貯留する。回収液サンプリング槽ST1及び給液サンプリング槽ST2は、上述の養液を、イオン測定装置4、第二電気伝導度測定装置5、pH測定装置9にて各測定を行うために一時的に貯留するための容器であり、各測定後には上述の養液を排出することができ、必要に応じて洗浄される。また、回収液サンプリング槽ST1及び給液サンプリング槽ST2へそれぞれの養液を分岐して通液又は遮断させるために、回収液サンプリング槽ST1又は給液サンプリング槽ST2へ繋がるバルブを、制御装置7により自動的に又は作業者の操作により手動で操作することができる。
【0022】
演算装置6は、硝酸イオン測定装置41、カリウムイオン測定装置42、カルシウムイオン測定装置43から選ばれる少なくとも1種類のイオン測定装置4と、第二電気伝導度測定装置5による各測定結果に基づいて、養液に含有されるリン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンのイオン濃度を算出し、予め設定された各イオン濃度の目標値域との差から液肥LFの注入量を算出する装置である。なお、イオン測定装置4と、第二電気伝導度測定装置5による各測定は、養液が栽培地PLから再び栽培地PLへ循環する1周おいて、養液に含有される硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、リン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンが急激に減少するわけではないため、1日に所定回数行われたり、所定の周回数毎や所定の時間毎に行われたりしてもよい。図1に示すように、演算装置6は、イオン測定装置4、第二電気伝導度測定装置5やpH測定装置9と有線又は無線にて通信可能に接続されており、具体的的には、中央演算処理装置、記憶装置などを備えるコンピュータサーバーであることが好ましい。
【0023】
演算装置6が、イオン測定装置4と、第二電気伝導度測定装置5による各測定結果などから、養液に含有されるリン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンを以下にように算出する。本実施形態において、硝酸イオン測定装置41、カリウムイオン測定装置42、カルシウムイオン測定装置43の3種類から構成されるイオン測定装置4を備えているところ、硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオンの濃度は測定により把握され、リン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンの濃度が算出されることとなる。各イオンのイオン濃度は、1Lあたりに溶けているイオンのミリグラム当量(mE/L)であり、各イオンのモル濃度(mmol/L)にイオンの価数を乗じたものである。
【0024】
〔各種流量の算出〕
まず、養液に含有されるリン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンを算出するために、回収養液槽1から送液される回収養液の流量と液肥LFの流量を算出する。具体的には、灌水用原水RWの流量をQ0、給肥後経路における養液が送液される栽培地PLへの給液の流量をQ1、回収養液槽1から送液ポンプP1によって送液される回収養液の流量をQ2、2つの液肥槽2から送液ポンプP2によって送液される液肥LFのうち一方の流量をqa、他方をqbとする。そして、灌水用原水RWにおける硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオンの濃度をそれぞれC0(NO3-N)、C0(K)、C0(Ca)、給肥後経路における養液が送液される栽培地PLへの給液における硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオンの濃度をそれぞれC1(NO3-N)、C1(K)、C1(Ca)、回収養液槽1から送液ポンプP1によって送液される回収養液の硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオンの濃度をそれぞれC2(NO3-N)、C2(K)、C2(Ca)、2つの液肥槽2から送液ポンプP2によって送液される液肥LFのうち一方における硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオンの濃度をca(NO3-N)、ca(K)、ca(Ca)、他方における硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオンの濃度をcb(NO3-N)、cb(K)、cb(Ca)とする。そうすると、硝酸イオンの濃度収支について下式(A)、カリウムイオンの濃度収支について下式(B)、カルシウムイオンの濃度収支について下式(C)が成り立つ。
C2(NO3-N)×Q2+ca(NO3-N)×qa+cb(NO3-N)×qb+C0(NO3-N)×Q0=C1(NO3-N)×Q1・・・式(A)
C2(K)×Q2+ca(K)×qa+cb(K)×qb+C0(K)×Q0=C1(K)×Q1・・・式(B)
C2(Ca)×Q2+ca(Ca)×qa+cb(Ca)×qb+C0(Ca)×Q0=C1(Ca)×Q1・・・式(C)
ここで、灌水用原水RWの流量Q0は、回収養液槽1から送液される回収養液の流量Q2より、栽培地PLへの給液の流量Q1を差し引いた数値と概ねみなすことができる(すなわち、液肥LFの流量qa・qbが、灌水用原水RWの流量Q0及び栽培地PLへの給液の流量Q1に比べて小さいため、Q0=Q2-Q1として近似する)。そして、上述のとおり、硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオンの濃度は測定により把握されており、栽培地PLへの給液の流量Q1として流量計FMにて測定された数値又は流量計FMが配設されていないときには過去に測定したときの実績値などを用いることで、未知数は、回収養液の流量Q2、一方の液肥LFの流量qa、他方の液肥LFの流量qbの3つとなる。そうすると、未知数が3つであり、各イオンの濃度収支が3つの連立方程式で表せることから、回収養液の流量Q2、一方の液肥LFの流量qa、他方の液肥LFの流量qbを算出することができる。
【0025】
〔各種未測定イオン濃度の算出〕
次に、養液に含有されるリン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンを具体的に算出する。給肥後経路の養液であって栽培地PLへの給液と回収養液槽1から送液される回収養液において、硝酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、塩化物イオンからなる総アニオン量とカリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ナトリウムイオンからなる総カチオン量が概ね等しいことから、下式(I)及び下式(II)が成り立つ。
栽培地PLへの給液における総アニオン量=栽培地PLへの給液における総カチオン量・・・式(I)
回収養液における総アニオン量=回収養液における総カチオン量・・・式(II)
なお、ここで、灌水用原水RW及び回収養液の塩化物イオン及びナトリウムイオンの濃度については過去の実績や測定などにより予め定数値として設定することにより、これらの定数値と、上述した回収養液の流量Q2、一方の液肥LFの流量qa、他方の液肥LFの流量qbより、栽培地PLへの給液における塩化物イオン及びナトリウムイオンの濃度は予め算出されることとなる。
さらに、第二電気伝導度測定装置5にて測定された栽培地PLへの給液及び回収養液における電気伝導度(mS/cm)について、それぞれの各イオン濃度より算出される電気伝導度の総和と概ね等しいことから、下式(III)及び下式(IV)が成り立つ。
栽培地PLへの給液における電気伝導度=栽培地PLへの給液における各イオン濃度より算出される電気伝導度の総和・・・式(III)
回収養液における電気伝導度=回収養液における各イオン濃度より算出される電気伝導度の総和・・・式(IV)
ここで、式(III)及び式(IV)の右辺における各イオン濃度より算出される電気伝導度は、それぞれのイオンにおけるイオン濃度、拡張デバイヒュッケル式より算出される活量係数及び各イオンの無限希釈における当量伝導率の乗数として算出される数値であることから、各イオンの無限希釈における当量伝導率が各イオン固有の定数であり、各活量係数が各イオンのイオン濃度を変数として内包しているため、全体として各イオンのイオン濃度のみを未知数とする値である。
そうすると、未知数がリン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンの各イオン濃度の3つであり、各イオンの濃度に関して式(I)から式(IV)の4つの連立方程式で表せることから、リン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンの各イオン濃度を算出することができる。また、窒素源として、アンモニウム態窒素(NH3-N)を含む養液であるときには、アンモニウムイオンのイオン濃度は未知数であるが、アンモニウムイオンを加味した式(I)から式(IV)の4つの連立方程式から、リン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンの各イオン濃度に加えアンモニウムイオンのイオン濃度も算出することができる。
【0026】
このようにして、演算装置6にて、実際に測定された硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオンの各イオン濃度や所定の定数値に基づいて、実際には測定していないリン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンの各イオン濃度を計算により推算することができる。そして、演算装置6にて、得られた硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、リン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンの各イオン濃度が、栽培地PLにて栽培する植物において予め設定されたそれら各イオン濃度の目標値域との差、より具体的には目標値域の下限値、上限値、平均値などの数値との差から、複数の液肥槽2に貯留され予め各イオンの配合比率が既知であるそれぞれの液肥LFの注入比又は注入量の少なくとも一方を算出することができる。例えば、この注入比に基づいて、制御装置7又は手動により送液ポンプP2を制御して、それぞれの液肥槽2から液肥LFを所定量送液し、第一電気伝導度測定装置3により測定された電気伝導度に基づいて、第一電気伝導度測定装置3に関して予め設定された電気伝導度の所定範囲内である限り、それぞれの液肥LFを送液し続け、その電気伝導度の所定範囲から外れた場合には、それぞれの液肥LFの送液を中止する。すなわち、それぞれの液肥LFの注入比に基づいてそれぞれの液肥槽2から液肥LFを所定量送液しながら、第一電気伝導度測定装置3により測定された電気伝導度に基づいたフィードバック制御を行う。または、測定又は推算された各イオン濃度と、算出された各流量、すなわち灌水用原水RWの流量Q0、給肥後経路における養液が送液される栽培地PLへの給液の流量Q1、回収養液槽1から送液される回収養液の流量Q2、それぞれの液肥槽2から送液されるそれぞれの液肥LFの流量qa・qbなどに基づいて、それぞれの液肥LFの注入量を算出することができ、制御装置7又は手動により送液ポンプP2を制御して、その注入量にてそれぞれの液肥LFを送液することができる。
【0027】
本実施形態において、硝酸イオン測定装置41、カリウムイオン測定装置42、カルシウムイオン測定装置43の3種類から構成されるイオン測定装置4を備えているが、他の実施形態において、これらのうち2種類から構成されるイオン測定装置4を備えていてもよい。ただし、本実施形態において算出される硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、リン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンの各イオン濃度よりもその精度は低くなる。具体的には、上記〔各種流量の算出〕にて述べた式(A)から式(C)のうち2つの式しか立式できないことから、回収養液の流量Q2、一方の液肥LFの流量qa、他方の液肥LFの流量qbの3つの未知数すべてが定まらず、例えば、回収養液の流量Q2として過去に測定された実績値と相違ないという仮定のもと過去の実績値を用いることで、一方の液肥LFの流量qa、他方の液肥LFの流量qbの2つの未知数を算出する。そして、上記〔各種未測定イオン濃度の算出〕にて述べた式(I)から式(IV)の4つの連立方程式についてはそのまま立式できるものの、未知数がリン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンの3つの各イオン濃度に加えて、硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオンのイオン濃度のうち1つが加わるので、合計4つとなる。そうすると、未知数が4つであり、各イオンの濃度に関して式(I)から式(IV)の4つの連立方程式で表せることから、リン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンの各イオン濃度と、硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオンのイオン濃度のうち1つのイオン濃度を算出することができる。このようにして、演算装置6にて、実際に測定された硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオンのうちの2つのイオン濃度や所定の定数値に基づいて、実際には測定していないリン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンの各イオン濃度と、実際には測定されていない硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオンのうちの1つのイオン濃度を算出することができる。そして、本実施形態と同様に、演算装置6にて、液肥LFの注入量を算出することができる。また、窒素源として、アンモニウム態窒素(NH3-N)を含む養液であるときには、アンモニウムイオンのイオン濃度は未知数であることから、アンモニウムイオンを加味した式(I)から式(IV)の4つの連立方程式と、リン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンの各イオン濃度と、硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオンのうちの1つのイオン濃度、さらにアンモニウムイオンのイオン濃度と5つの未知数となるため、実際には測定していない各種イオンの濃度を算出することはできない。ところが、例えば、過去の測定実績などから、リン酸イオンと硫酸イオンの比を特定の比で近似できるとすると、未知数が4つとなることから、アンモニウムイオンを加味した式(I)から式(IV)の4つの連立方程式より各イオンのイオン濃度を算出ことができる。
【0028】
そして、本実施形態において、硝酸イオン測定装置41、カリウムイオン測定装置42、カルシウムイオン測定装置43の3種類から構成されるイオン測定装置4を備えているが、さらに他の実施形態において、これらのうち1種類から構成されるイオン測定装置4を備えていてもよい。ただし、本実施形態において算出される硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、リン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンの各イオン濃度よりもその精度はさらに低くなる。具体的には、上記〔各種流量の算出〕にて述べた式(A)から式(C)のうち1つの式しか立式できないことから、回収養液の流量Q2、一方の液肥LFの流量qa、他方の液肥LFの流量qbの3つの未知数すべてが定まらず、例えば、回収養液の流量Q2として過去に測定された実績値と相違ないという仮定のもと過去の実績値を用いることで、一方の液肥LFの流量qaと他方の液肥LFの流量qbの比を算出する。そして、一方の液肥LFの流量qaと他方の液肥LFの流量qbのうちどちらかを過去に測定された実績値と相違ないという仮定のもと過去の実績値を用いることで一方の液肥LFの流量qaと他方の液肥LFの流量qbを算出し、そして、上記〔各種未測定イオン濃度の算出〕にて述べた式(I)から式(IV)の4つの連立方程式についてはそのまま立式できるものの、未知数がリン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンの3つの各イオン濃度に加えて、硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオンのイオン濃度のうち2つが加わるので、合計5つとなる。そうすると、未知数が5つであり、各イオンの濃度に関して式(I)から式(IV)の4つの連立方程式から、リン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンの各イオン濃度と、硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオンのイオン濃度のうち2つのイオン濃度を算出することができない。ところが、例えば、過去の測定実績などから、リン酸イオンと硫酸イオンの比を特定の比で近似できるとすると、未知数が4つとなることから、式(I)から式(IV)の4つの連立方程式より各イオンのイオン濃度を算出ことができる。このようにして、演算装置6にて、実際に測定された硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオンのうちの1つのイオン濃度や所定の定数値に基づいて、実際には測定していないリン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンの各イオン濃度と、実際には測定されていない硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオンのうちの1つのイオン濃度を計算により算出することができる。そして、本実施形態と同様に、演算装置6にて、複数の液肥槽2に貯留された液肥LFの注入比や注入量を算出することができる。
【0029】
制御装置7は、演算装置6によって算出された、各液肥槽2に貯留された液肥LFの注入比又は注入量の少なくとも一方に基づいて、液肥LFを養液に補給する制御を行う装置である。制御装置7により、作業者が手動で液肥槽2から所定量の液肥LFを注入しなくとも自動で行うことができる。図1に示すように、制御装置7は、具体的には、演算装置6と通信可能に接続され、液肥槽2から液肥LFを排出する送液ポンプP2などとも通信可能に接続されており、演算装置6によって算出された液肥LFの注入比又は注入量の少なくとも一方に基づいて、送液ポンプP2を作動又は停止させることによって液肥LFの送液量を制御する。なお、制御装置7は、具体的には、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)であることが好ましい。
【0030】
表示装置8は、演算装置6によって算出された養液に含有されるリン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンと、演算装置6によって算出された液肥LFの注入比又は注入量の少なくとも一方を表示する装置である。表示装置8を備えることにより、作業者は具体的に二基などの複数の液肥槽2に貯留されたそれぞれの液肥LFをどの程度の比率で注入する必要であるか、又はどの程度の量で注入する必要があるかを理解することができることから、制御装置7を備えていない場合や制御装置7が故障した場合に、手作業により適切な割合又は適量の液肥LFを注入することができる。また、表示装置8は、液肥LFの注入比や注入量を表示するだけでなく、第一電気伝導度測定装置3、イオン測定装置4、第二電気伝導度測定装置5などの稼働状況や、それらの装置による測定された結果を表示することもできる。表示装置8としては、具体的には、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどが好ましい。
【0031】
pH測定装置9は、給肥後経路における養液と給肥前経路における養液の酸性度を測定する装置である。本実施形態において、pH測定装置9は、灌水用原水RW、栽培地PLへの給液、回収養液槽1から送液される回収養液についての酸性度を測定するができるように配設されている。pH測定装置9により、給液及び回収養液のそれぞれの養液が酸性側又はアルカリ性側に液性が変化したとしても、液性の変化に価数が変化するリン酸イオン、さらには水素イオン、水酸化物イオン等について、式(I)から式(IV)にてpHに基づいて算出されたリン酸イオン、水素イオン、水酸化物イオン等を補正項として加味し、硝酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、リン酸イオン、硫酸イオン、マグネシウムイオンの各イオン濃度の算出精度をより高めることができる。また、pH測定装置9は、第一電気伝導度測定装置3や第二電気伝導度測定装置5と同様に、必要に応じて適宜標準液にて校正されることが好ましい。
【0032】
したがって、本発明によれば、農作物の栽培から排出された養液を回収して再度栽培に利用するために、養液の電気伝導度だけでなく、養液中の硝酸態窒素(NO3-N)、リン(P)、イオウ(S)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)などの各種養分について、それぞれ硝酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムとして把握し、さらに、それら養分に関する各イオンのイオン濃度のすべてを測定しなくても、先の栽培にて消費された養分に関する各イオンを補給するよう管理することができる。これにより、循環方式の欠点であった、循環を進めていくうちに発生する恐れのある、想定している比率での養液成分の供給からのずれを抑え、個別養液成分の供給不足を防止する。そして、本発明は、既存の循環装置への後付けで装着でき、また、装置の小型化が可能であり、全イオンの測定がないため、装置を安価に提供することができる。そして、既存の循環システム、養液処理システムに後つけが可能である。さらに、今までされてこなかった、栽培期間中の養液中各イオン濃度の記録を残すことができるので、各イオン成分の吸収量の算定など、様々な解析に利用できる。栽培生育データや他の環境データと合わせて、最適な栽培方法の検証にデータを利用することができ、検証結果をフィードバックして供給養分量を再設定することも可能であり、意識が高い農家の創意工夫を引き出すことが可能となる。また、腎臓病患者用のカリウム制限作物など、特定の機能成分等を強化した品種や栽培方法の確立に寄与できる。
【符号の説明】
【0033】
1・・・回収養液槽
2・・・液肥槽
3・・・第一電気伝導度測定装置
4・・・イオン測定装置
41・・・硝酸イオン測定装置
42・・・カリウムイオン測定装置
43・・・カルシウムイオン測定装置
5・・・第二電気伝導度測定装置
6・・・演算装置
7・・・制御装置
8・・・表示装置
9・・・pH測定装置
ST1・・・回収液サンプリング槽
ST2・・・給液サンプリング槽
PL・・・栽培地
LF・・・液肥
FM・・・流量計
RW・・・灌水用原水
図1