(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028806
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】ブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)の阻害剤の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/519 20060101AFI20240227BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240227BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240227BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240227BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/5383 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/436 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/282 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/69 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/52 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/475 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/7076 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/4184 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/675 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K39/395 T
A61K45/00
A61K31/7068
A61K31/573
A61K31/4439
A61K31/5383
A61K31/436
A61K31/282
A61K31/69
A61K31/704
A61K31/52
A61K31/475
A61K31/337
A61K31/7076
A61K31/4184
A61K31/675
【審査請求】有
【請求項の数】28
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023203240
(22)【出願日】2023-11-30
(62)【分割の表示】P 2022033735の分割
【原出願日】2011-06-03
(31)【優先権主張番号】61/351,130
(32)【優先日】2010-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/351,793
(32)【優先日】2010-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/472,138
(32)【優先日】2011-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/419,764
(32)【優先日】2010-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/351,655
(32)【優先日】2010-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/351,762
(32)【優先日】2010-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515255733
【氏名又は名称】ファーマサイクリックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バギー,ジョセフ,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】エリアス,ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】ファイフ,グウェン
(72)【発明者】
【氏名】ヘドリック,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ローリー,デヴィッド,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】モディ,タラク,ディー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】濾胞性リンパ腫等の再発性及び難治性の血液悪性腫瘍の処置で使用するための医薬組成物を提供する。
【解決手段】560mgの下記構造を有するBTK阻害剤を含み、連続的な1日1回の投与レジメンのために製剤化される、濾胞性リンパ腫の処置で使用するための医薬組成物である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする個体における血液悪性腫瘍を処置する方法であって、該方法は:
a.悪性腫瘍から複数の細胞を動態化するのに十分な量の不可逆性のBtk阻害剤を個体に投与する工程;
及びb.動態化された複数の細胞を分析する工程を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記不可逆性のBtk阻害剤の量が、前記悪性腫瘍から複数の細胞のリンパ球増多症を誘発するのに十分であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記悪性腫瘍がアポゴシポールであることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記血液悪性腫瘍を処置する工程が、前記血液悪性腫瘍を管理する工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記血液悪性腫瘍がB細胞悪性腫瘍であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記血液悪性腫瘍が、白血病、リンパ増殖性障害、又は骨髄性のものであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記動態化された細胞が骨髄性細胞又はリンパ球様細胞であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記動態化された複数の細胞を分析する工程が、前記動態化された複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記Btk阻害剤の投与の前の濃度と比較して、前記動態化された複数の細胞の前記末梢血濃度が増加した後に、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の癌処置レジメンを施行する工程が、前記動態化された複数の細胞の末梢血濃度のその後の減少の後に生じることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記動態化された複数の細胞を分析する工程が、前記Btk阻害剤の投与の前の濃度と比較して、前記動態化された複数の細胞の末梢血濃度の増加の期間を測定する工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記動態化された複数の細胞の末梢血濃度が所定の時間の間に増加した後に、第2の癌処置レジメンを投与する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記動態化された複数の細胞を分析する工程が、前記末梢血において前記動態化された複数の細胞の数を数える工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記Btk阻害剤の投与の前の数と比較して、前記末梢血における前記動態化された複数の細胞の数が増加した後に、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の癌処置レジメンを施行する工程が、末梢血における前記動態化された複数の細胞の数のその後の減少の後に生じることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記動態化された複数の細胞を分析する工程が、前記Btk阻害剤の投与の前の数と比較して、末梢血における前記動態化された複数の細胞の数における増加の期間を測定する工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記末梢血における前記動態化された複数の細胞の数が所定の時間の間に増加した後に、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記動態化された複数の細胞を分析する工程が、複数の細胞から分離された細胞の個体群のためにバイオマーカー特性を調製する工程を含み、ここで、前記バイオマーカー特性は、バイオマーカーの発現、バイオマーカーの発現レベル、バイオマーカーにおける突然変異、又はバイオマーカーの存在を示すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記バイオマーカーが、任意の細胞遺伝学の、細胞表面分子の又はタンパク質の或いはRNAの発現マーカーであることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記バイオマーカーが、ZAP70;t(14,18):β-2ミクログロブリン;p53の突然変異状態;ATMの突然変異状態;del(17)p;del(11)q;del(6)q;CD5;CD11c;CD19;CD20;CD22;CD25;CD38;CD103;CD138;分泌された、表面又は細胞内の免疫グロブリン発現;VHの突然変異状態;又はそれらの組み合わせであることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記バイオマーカー特性に基づいて第2の癌処置レジメンを提供する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記バイオマーカー特性に基づいて投与する工程を含まないことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記バイオマーカー特性に基づいて第2の癌処置レジメンの効果を予測する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記血液悪性腫瘍が、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、危険の高いCLL、又は非CLL/SLLリンパ腫であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記血液悪性腫瘍が、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、辺縁帯リンパ腫、バーキットリンパ腫、非バーキットハイグレードB細胞リンパ腫、又は結節外の辺縁帯B細胞リンパ腫であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記血液悪性腫瘍が、急性又は慢性の骨髄性(あるいは脊髄性)白血病、骨髄異形成症候群、又は急性リンパ芽球性白血病であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記血液悪性腫瘍が、再発性又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、再発性又は難治性のマントル細胞リンパ腫、再発性又は難治性の濾胞性リンパ腫、再発性又は難治性のCLL;再発性又は難治性のSLL;再発性又は難治性の多発性骨髄腫であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記Btk阻害剤が、ブルトン型チロシンキナーゼ、ブルトン型チロシンキナーゼ同族体、又はBtkチロシンキナーゼシステイン同族体のシステイン側鎖により共有結合を形成することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記不可逆性のBtk阻害剤が、(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
前記不可逆性のBtk阻害剤の量が、300mg/日から1000mg/日までであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記不可逆性のBtk阻害剤の量が、420mg/日から840mg/日までであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記不可逆性のBtk阻害剤の量が、約420mg/日、約560mg/日、又は約840mg/日であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記不可逆性のBtk阻害剤の量が約420mg/日であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記Btk阻害剤のAUC0-24が、約150と約3500ng*h/mLの間にあることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記Btk阻害剤のAUC0-24が、約500と約1100ng*h/mLの間にあることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記Btk阻害剤が経口投与されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記Btk阻害剤が、1日1回、1日2回、又は1日3回投与されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
疾患進行、受け入れがたい毒性、又は個々の選択まで、前記Btk阻害剤が投与されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
疾患進行、受け入れがたい毒性、又は個々の選択まで、前記Btk阻害剤が毎日投与されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
疾患進行、受け入れがたい毒性、又は個々の選択まで、前記Btk阻害剤が一日おきに投与されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
前記Btk阻害剤が、第一選択療法、第二選択療法、第三選択療法、第四選択療法、第五選択療法、又は第六選択療法であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
前記Btk阻害剤が難治性の血液悪性腫瘍であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項43】
前記Btk阻害剤が維持療法であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項44】
前記第2の癌処置レジメンが、化学療法剤、ステロイド、免疫療法の薬剤、標的治療、又はその組み合わせを含むことを特徴とする、請求項9、10、12、14、15、17、又は21に記載の方法。
【請求項45】
前記第2の癌処置レジメンがB細胞受容体経路阻害剤を含むことを特徴とする、請求項9、10、12、14、15、17、又は21に記載の方法。
【請求項46】
前記B細胞受容体経路阻害剤は、CD79A阻害剤、CD79B阻害剤、CD19阻害剤、Lyn阻害剤、Syk阻害剤、PI3K阻害剤、Blnk阻害剤、PLCγ阻害剤、PKCβ阻害剤、又はその組み合わせであることを特徴とする、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記第2の癌処置レジメンが、抗体、B細胞受容体シグナル伝達阻害剤、PI3K阻害剤、IAP阻害剤、mTOR阻害剤、放射免疫療法のもの、DNA損傷薬剤、生体沈殿阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ヘッジホッグ阻害剤、Hsp90阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、Jak1/2阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、PKC阻害剤、PARP阻害剤又はその組み合わせを含むことを特徴とする、請求項9、10、12、14、15、17、又は21に記載の方法。
【請求項48】
前記第2の癌処置レジメンが、クロラムブシル、イホスファミド、ドキソルビシン、メサラジン、サリドマイド、レナリドミド、テムシロリムス、エベロリムス、フルダラビン、ホスタマチニブ、パクリタキセル、ドセタキセル、オファツムマブ、リツキシマブ、デキサメタゾン、プレドニゾン、CAL-101、イブリツモマブ、トシツモマブ、ボルテゾミブ、ペントスタチン、エンドスタチン又はその組み合わせを含むことを特徴とする、請求項9、10、12、14、15、17、又は21に記載の方法。
【請求項49】
前記第2の癌処置レジメンが、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン、並びに随意に、リツキシマブを含むことを特徴とする、請求項9、10、12、14、15、17、又は21に記載の方法。
【請求項50】
前記第2の癌処置レジメンがベンダムスチン、及びリツキシマブを含むことを特徴とする、請求項9、10、12、14、15、17、又は21に記載の方法。
【請求項51】
前記第2の癌処置レジメンがフルダラビン、シクロホスファミド、及びリツキシマブを含むことを特徴とする、請求項9、10、12、14、15、17、又は21に記載の方法。
【請求項52】
前記第2の癌処置レジメンがシクロホスファミド、ビンクリスチン、及びプレドニゾン、並びに随意に、リツキシマブを含むことを特徴とする、請求項9、10、12、14、15、17、又は21に記載の方法。
【請求項53】
前記第2の癌処置レジメンが、エトポシド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、プレドニゾロン、及び随意にリツキシマブを含むことを特徴とする、請求項9、10、12、14、15、17、又は21に記載の方法。
【請求項54】
前記第2の癌処置レジメンがデキサメタゾンとレナリドミドを含むことを特徴とする、請求項9、10、12、14、15、17、又は21に記載の方法。
【請求項55】
前記不可逆性のBtk阻害剤が以下の構造を含み:
【化1】
ここで:
L
aは、CH
2、O、NH又はSであり;
Arは、置換又は非置換のアリール、或いは置換又は非置換のヘテロアリールであり;
Yは、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールの中から選択された随意の置換基であり;
Zは、C(=O)、OC(=O)、NHC(=O)、C(=S)、S(=O)
x、OS(=O)
x、NHS(=O)
xであり、ここで、xは、1又は2であり;
R
6、R
7、及びR
8は、H、置換又は非置換のC
1-C
4アルキル、置換又は非置換のC
1-C
4ヘテロアルキル、置換又は非置換のC
3-C
6シクロアルキル、置換又は非置換のC
2-C
6ヘテロシクロアルキル、C
1-C
6アルコキシアルキル、C
1-C
8アルキルアミノアルキル、置換又は非置換のC
3-C
6シクロアルキル、置換又は非置換のアリール、置換又は非置換のヘテロアリール、置換又は非置換のC
1-C
4アルキル(アリール)、置換又は非置換のC
1-C
4アルキル(ヘテロアリール)、置換又は非置換のC
1-C
4アルキル(C
3-C
8シクロアルキル)、或いは置換又は非置換のC
1-C
4アルキル(C
2-C
8ヘテロシクロアルキル)の中から各々独立して選択され;
又はR
7とR
8は、共に単結合を形成し;
及び前記不可逆性のBtk阻害剤は、その薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容可能な溶媒化合物、薬学的に許容可能な塩、又は薬学的に許容可能なプロドラッグを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項56】
LaはOであることを特徴とする、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
Arはフェニルであることを特徴とする、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
Zが、C(=O)、NHC(=O)、又はS(=O)2であることを特徴とする、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
各々のR7とR8がHであることを特徴とする、請求項55に記載の方法。
【請求項60】
Yが、4員環、5員環、6員環又は7員環のシクロアルキル環であり;
又はYが、4員環、5員環、6員環又は7員環のヘテロシクロアルキル環であることを特徴とする、請求項55に記載の方法。
【請求項61】
それを必要とする個体における再発性又は難治性の非ホジキンリンパ腫を処置する方法であって、該方法は、治療上効果的な量の(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンを個体に投与する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項62】
前記非ホジキンリンパ腫が、再発性又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、再発性又は難治性のマントル細胞リンパ腫、再発性又は難治性の濾胞性リンパ腫であることを特徴とする、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンの量が、300mg/日から1000mg/日までであることを特徴とする、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンの量が、420mg/日から840mg/日までであることを特徴とする、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンの量が、約420mg/日、約560mg/日、又は約840mg/日であることを特徴とする、請求項61に記載の方法。
【請求項66】
(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンの量が、約420mg/日であることを特徴とする、請求項61に記載の方法。
【請求項67】
(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンのAUC0-24が、約150と約3500ng*h/mLの間にあることを特徴とする、請求項61に記載の方法。
【請求項68】
前記Btk阻害剤のAUC0-24が、約500と約1100ng*h/mLの間にあることを特徴とする、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンが、経口投与されることを特徴とする、請求項61に記載の方法
【請求項70】
(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンが、1日1回、1日2回、又は1日3回投与されることを特徴とする、請求項61に記載の方法。
【請求項71】
(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンが、疾患進行、受け入れがたい毒性、又は個々の選択まで投与されることを特徴とする、請求項61に記載の方法。
【請求項72】
(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンが、疾患進行、受け入れがたい毒性、又は個々の選択まで投与されることを特徴とする、請求項61に記載の方法。
【請求項73】
(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンが、疾患進行、受け入れがたい毒性、又は個々の選択まで毎日投与されることを特徴とする、請求項61に記載の方法。
【請求項74】
(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンが、疾患進行、受け入れがたい毒性、又は個々の選択まで1日おきに投与されることを特徴とする、請求項61に記載の方法。
【請求項75】
(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンが、第二選択療法、第三選択療法、第四選択療法、第五選択療法、又は第六選択療法であることを特徴とする、請求項61に記載の方法。
【請求項76】
前記Btk阻害剤が、維持療法であることを特徴とする、請求項61に記載の方法。
【請求項77】
第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項61に記載の方法。
【請求項78】
前記第2の癌処置レジメンが、非ホジキンリンパ腫から複数のリンパ系細胞の動態化の後に投与されることを特徴とする、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記第2の癌処置レジメンが、非ホジキンリンパ腫からの複数のリンパ系細胞のリンパ球増加症の後に投与されることを特徴とする、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記第2の癌処置レジメンが、化学療法剤、ステロイド、免疫療法の薬剤、標的治療、又はその組み合わせを含むことを特徴とする、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
前記第2の癌処置レジメンがB細胞受容体経路阻害剤を含むことを特徴とする、請求項77に記載の方法。
【請求項82】
前記B細胞受容体経路阻害剤が、CD79A阻害剤、CD79B阻害剤、CD19阻害剤、Lyn阻害剤、Syk阻害剤、PI3K阻害剤、Blnk阻害剤、PLCγ阻害剤、PKCβ阻害剤、又はその組み合わせであることを特徴とする、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記第2の癌処置レジメンが、抗体、B細胞受容体シグナル伝達阻害剤、PI3K阻害剤、IAP阻害剤、mTOR阻害剤、放射免疫療法のもの、DNA損傷薬剤、生体沈殿阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ヘッジホッグ阻害剤、Hsp90阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、Jak1/2阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、PKC阻害剤、PARP阻害剤、又はその組み合わせを含むことを特徴とする、請求項77に記載の方法。
【請求項84】
前記第2の癌処置レジメンが、クロラムブシル、イホスファミド、ドキソルビシン、メサラジン、サリドマイド、レナリドミド、テムシロリムス、エベロリムス、フルダラビン、ホスタマチニブ、パクリタキセル、ドセタキセル、オファツムマブ、リツキシマブ、デキサメタゾン、プレドニゾン、CAL-101、イブリツモマブ、トシツモマブ、ボルテゾミブ、ペントスタチン、エンドスタチン、又はその組み合わせを含むことを特徴とする、請求項77に記載の方法。
【請求項85】
前記第2の癌処置レジメンが、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン、並びに随意に、リツキシマブを含むことを特徴とする、請求項77に記載の方法。
【請求項86】
前記第2の癌処置レジメンがベンダムスチン、及びリツキシマブを含むことを特徴とする、請求項77に記載の方法。
【請求項87】
前記第2の癌処置レジメンが、フルダラビン、シクロホスファミド、及びリツキシマブを含むことを特徴とする、請求項77に記載の方法。
【請求項88】
前記第2の癌処置レジメンが、シクロホスファミド、ビンクリスチン、及びプレドニゾン、並びに随意にリツキシマブを含むことを特徴とする、請求項77に記載の方法。
【請求項89】
前記第2の癌処置レジメンが、エトポシド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、プレドニゾロン、及び随意にリツキシマブを含むことを特徴とする、請求項77に記載の方法。
【請求項90】
前記第2の癌処置レジメンがデキサメタゾンとレナリドミドを含むことを特徴とする、請求項77に記載の方法。
【請求項91】
それを必要とする個体におけるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、活性化したB細胞様サブタイプ(ABC-DLBCL)を処置する方法であって、該方法は、300mg/日から1000mg/日までの量の不可逆性のBtk阻害剤を個体に投与する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項92】
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫から分離された複数のリンパ系細胞の1以上のバイオマーカーの遺伝子配列を決定することにより、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、活性化したB細胞様サブタイプ(ABC-DLBCL)を有する個体を診断する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記不可逆性のBtk阻害剤が、(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンであることを特徴とする、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の活性化されたB細胞様(ABC)サブタイプが、CD79B突然変異により特徴付けられることを特徴とする、請求項91に記載の方法。
【請求項95】
前記CD79B突然変異が、免疫受容体のチロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)シグナル伝達モジュールの突然変異であることを特徴とする、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記CD79B突然変異が、最初の免疫受容体のチロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)チロシンのミスセンス突然変異であることを特徴とする、請求項94に記載の方法。
【請求項97】
前記CD79B突然変異が、表面BCR発現を増加させて、Lynキナーゼ活性を減ずることを特徴とする、請求項94に記載の方法。
【請求項98】
前記びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の活性化されたB細胞様(ABC)サブタイプが、CD79A突然変異により特徴付けられることを特徴とする、請求項91に記載の方法。
【請求項99】
前記CD79A突然変異が、免疫受容体のチロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)シグナル伝達モジュールにあることを特徴とする、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記CD79A突然変異が、免疫受容体のチロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)シグナル伝達モジュールのスプライスドナー部位突然変異であることを特徴とする、請求項98に記載の方法。
【請求項101】
CD79A突然変異が、免疫受容体のチロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)シグナル伝達モジュールを除去することを特徴とする、請求項98に記載の方法。
【請求項102】
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の活性化されたB細胞様(ABC)サブタイプが、MyD88、A20又はその組み合わせにおける突然変異により特徴付けられることを特徴とする、請求項91に記載の方法。
【請求項103】
MyD88突然変異が、MYD88 Toll/IL-1受容体(TIR)ドメインにおけるアミノ酸置換L265Pであることを特徴とする、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
不可逆性のBtk阻害剤の量が、420mg/日から840mg/日までであることを特徴とする、請求項91に記載の方法。
【請求項105】
不可逆性のBtk阻害剤の量が、約420mg/日、約560mg/日、又は約840mg/日であることを特徴とする、請求項91に記載の方法。
【請求項106】
不可逆性のBtk阻害剤の量が、約420mg/日であることを特徴とする、請求項91に記載の方法。
【請求項107】
前記Btk阻害剤のAUC0-24が、約150と約3500ng*h/mLの間にあることを特徴とする、請求項91に記載の方法。
【請求項108】
前記Btk阻害剤のAUC0-24が、約500と約1100ng*h/mLの間にあることを特徴とする、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記不可逆性のBtk阻害剤が経口投与されることを特徴とする、請求項91に記載の方法。
【請求項110】
疾患進行、受け入れがたい毒性、又は個々の選択まで、前記不可逆性のBtk阻害剤が毎日投与されることを特徴とする、請求項91に記載の方法。
【請求項111】
疾患進行、受け入れがたい毒性、又は個々の選択まで、前記不可逆性のBtk阻害剤が一日おきに投与されることを特徴とする、請求項91に記載の方法。
【請求項112】
前記不可逆性のBtk阻害剤が、第一選択療法、第二選択療法、第三選択療法、第四選択療法、第五選択療法、又は第六選択療法であることを特徴とする、請求項91に記載の方法。
【請求項113】
前記不可逆性のBtk阻害剤が、難治性の血液悪性腫瘍を処置することを特徴とする、請求項91に記載の方法。
【請求項114】
前記不可逆性のBtk阻害剤が、維持療法であることを特徴とする、請求項91に記載の方法。
【請求項115】
少なくとも1つの追加の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項91に記載の方法。
【請求項116】
前記追加の癌処置レジメンが、化学療法剤、免疫療法の薬剤、ステロイド、放射線療法、標的治療、又はその組み合わせを含むことを特徴とする、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記第2の癌処置レジメンが、抗体、B細胞受容体シグナル伝達阻害剤、PI3K阻害剤、IAP阻害剤、mTOR阻害剤、放射免疫療法のもの、DNA損傷薬剤、生体沈殿阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ヘッジホッグ阻害剤、Hsp90阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、Jak1/2阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、PKC阻害剤、PARP阻害剤、又はその組み合わせを含むことを特徴とする、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
血液悪性腫瘍を有する個体のための癌処置レジメンを決定する方法であって、該方法は:
a. 悪性腫瘍から複数の細胞を動態化するのに十分な量の不可逆性のBtk阻害剤を個体に投与する工程;
b. 動態化された複数の細胞を分析する工程;
及びc.癌処置レジメンを選択する工程を含むことを特徴とする、方法。
【請求項119】
前記癌処置レジメンが、化学療法剤、ステロイド、免疫療法の薬剤、標的治療、又はその組み合わせを含むことを特徴とする、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記癌処置レジメンが、B細胞受容体経路阻害剤を含むことを特徴とする、請求項118に記載の方法。
【請求項121】
前記癌処置レジメンが、CD79A阻害剤、CD79B阻害剤、CD19阻害剤、Lyn阻害剤、Syk阻害剤、PI3K阻害剤、Blnk阻害剤、PLCγ阻害剤、PKCβ阻害剤、又はその組み合わせを含むことを特徴とする、請求項118に記載の方法。
【請求項122】
前記癌処置レジメンが、抗体、B細胞受容体シグナル伝達阻害剤、PI3K阻害剤、IAP阻害剤、mTOR阻害剤、放射免疫療法のもの、DNA損傷薬剤、生体沈殿阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害薬、ヘッジホッグ阻害剤、Hsp90阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、Jak1/2阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、PKC阻害剤、PARP阻害剤、又はその組み合わせを含むことを特徴とする、請求項118に記載の方法。
【請求項123】
前記癌処置レジメンが、クロラムブシル、イホスファミド、ドキソルビシン、メサラジン、サリドマイド、レナリドミド、テムシロリムス、エベロリムス、フルダラビン、ホスタマチニブ、パクリタキセル、ドセタキセル、オファツムマブ、リツキシマブ、デキサメタゾン、プレドニゾン、CAL-101、イブリツモマブ、トシツモマブ、ボルテゾミブ、ペントスタチン、エンドスタチン、又はその組み合わせを含むことを特徴とする、請求項118に記載の方法。
【請求項124】
前記癌処置レジメンが、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン、並びに随意に、リツキシマブを含むことを特徴とする、請求項118に記載の方法。
【請求項125】
前記癌処置レジメンが、ベンダムスチン、及びリツキシマブを含むことを特徴とする、請求項118に記載の方法。
【請求項126】
前記癌処置レジメンが、フルダラビン、シクロホスファミド、及びリツキシマブを含むことを特徴とする、請求項118に記載の方法。
【請求項127】
前記癌処置レジメンが、シクロホスファミド、ビンクリスチン、及びプレドニゾン、並びに随意に、リツキシマブを含むことを特徴とする、請求項118に記載の方法。
【請求項128】
前記癌処置レジメンが、エトポシド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、プレドニゾロン、及び随意にリツキシマブを含むことを特徴とする、請求項118に記載の方法。
【請求項129】
前記癌処置レジメンが、デキサメタゾンとレナリドミドを含むことを特徴とする、請求項118に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〈関連出願〉
本出願は、2010年6月3日に出願の、米国仮特許出願第61/351,130号;2010年6月4日に出願の、米国仮特許出願第61/351,655号;2010年6月4日に出願の、米国仮特許出願第61/351,793号;2010年6月4日に出願の、米国仮特許出願第61/351,762号;2010年12月3日に出願の、米国仮特許出願第61/419,764号;2011年4月5日に出願の、米国仮特許出願第61/472,138号からの優先権の利益を主張するものであり;これら全ては、その全体において引用により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)、非受容体型チロシンキナーゼのTecファミリーのメンバーは、Tリンパ球とナチュラルキラー細胞を除くすべての造血細胞型において発現された、重要なシグナル伝達酵素である。Btkは、細胞表面のB細胞受容体(BCR)刺激を下流の細胞内反応に関連づけるB細胞シグナル経路において、不可欠な役割を果たす。
【0003】
Btkは、B細胞の発達、活性化、シグナル伝達、及び生存の重要なレギュレーターである(Kurosaki, Curr Op Imm, 2000, 276-281; Schaeffer and Schwartzberg, Curr Op Imm 2000, 282-288)。加えて、Btkは、多くの他の造血細胞シグナル経路(例えば、マクロファージ中でのトール様受容体(TLR)及びサイトカイン受容体を媒介としたTNF-α生成、マスト細胞中でのIgE受容体(FcepsilonRI)シグナル伝達、B系統リンパ球系細胞中でのFas/APO-1アポトーシスシグナル伝達の阻害、及びコラーゲンに刺激された血小板凝集)において役割を果たす。例えば、C. A. Jeffries, et al., (2003), Journal of Biological Chemistry 278:26258-26264; N. J. Horwood, et al., (2003), The Journal of Experimental Medicine 197:1603-1611; Iwaki et al. (2005), Journal of Biological Chemistry 280(48):40261-40270; Vassilev et al. (1999), Journal of Biological Chemistry 274(3):1646-1656, and Quek et al. (1998), Current Biology 8(20):1137-1140を参照。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特定の実施形態において、以下の工程を含む、それを必要とする個体において血液悪性腫瘍を処置する方法が本明細書に開示される:(a)悪性腫瘍から複数の細胞を動態化するのに十分な不可逆性のBtk阻害剤の量を個体に投与する工程;及び(b)動態化された複数の細胞を分析する工程。幾つかの実施形態において、不可逆性のBtk阻害剤の量は、悪性腫瘍から複数の細胞のリンパ球増多症を誘発するのに十分である。幾つかの実施形態において、血液悪性腫瘍は、CLLである。幾つかの実施形態において、血液悪性腫瘍を処置する工程は、血液悪性腫瘍を管理する工程を含む。幾つかの実施形態において、血液悪性腫瘍は、B細胞の悪性腫瘍である。幾つかの実施形態において、血液悪性腫瘍は、白血病、リンパ増殖性障害、又は骨髄性のもの(myeloid)である。幾つかの実施形態において、動態化された細胞は骨髄性細胞又はリンパ球系細胞である。幾つかの実施形態において、動態化された複数の細胞を分析する工程は、動態化された複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。幾つかの実施形態において、方法は、Btk阻害剤の投与の前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞の末梢血濃度が増加した後に、第2の癌処置レジメンを投与する工程をさらに含む。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンの投与は、動態化された複数の細胞度が続いて減少した後に生じる。幾つかの実施形態において、動態化された複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与の前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞の末梢血濃度の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態において、方法は、動態化された複数の細胞の末梢血濃度が所定長さの時間の間に増加した後に、第2の癌処置レジメンを投与する工程をさらに含む。幾つかの実施形態において、動態化された複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数を数える工程を含む。幾つかの実施形態において、方法は、Btk阻害剤の投与の前の濃度と比較して、末梢血における動態化された複数の細胞の数が増加した後に、第2の癌処置レジメンを投与する工程をさらに含む。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンを投与する工程は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数が引き続き減少した後に生じる。幾つかの実施形態において、動態化された複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与の前の数と比較して、末梢血における動態化された複数の細胞の数の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態において、方法は、末梢血における動態化された複数の細胞の数が所定の長さの時間の間に増加した後、第2の癌処置レジメンを投与する工程をさらに含む。幾つかの実施形態において、動態化された複数の細胞を分析する工程は、複数の細胞から分離された細胞の集団に関するバイオマーカー特性を調製する工程を含み、ここで、前記バイオマーカー特性は、バイオマーカーの発現、バイオマーカーの発現レベル、バイオマーカー中の変化、又はバイオマーカーの存在を示す。幾つかの実施形態において、バイオマーカーは、任意の細胞遺伝学の、細胞表面分子の又はタンパク質の或いはRNAの発現マーカーである。幾つかの実施形態において、バイオマーカーは:ZAP70;t(14,18):β-2ミクログロブリン;p53の突然変異状態;ATMの突然変異状態;del(17)p;del(11)q;del(6)q;CD5;CD11c;CD19;CD20;CD22;CD25;CD38;CD103;CD138;分泌された、表面又は細胞内の免疫グロブリン発現;VHの突然変異状態;又はそれらの組み合わせである。幾つかの実施形態において、方法は、バイオマーカー特性に基づいて第2の癌処置レジメンを提供する工程をさらに含む。幾つかの実施形態において、方法は、バイオマーカー特性に基づいて投与する工程をさらに含まない。幾つかの実施形態において、方法は、バイオマーカー特性に基づいて処置レジメンの効果を予測する工程をさらに含む。幾つかの実施形態において、血液悪性腫瘍は、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、危険の高いCLL、又は非CLL/SLLリンパ腫である。幾つかの実施形態において、血液悪性腫瘍は、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、辺縁リンパ腫、バーキットリンパ腫、非バーキット高度B細胞リンパ腫(non-Burkitt high grade B cell lymphoma)、又は結節外の辺縁B細胞リンパ腫である。幾つかの実施形態において、血液悪性腫瘍は、慢性骨髄性(あるいは脊髄性)白血病、又は急性リンパ芽球性白血病である。幾つかの実施形態において、血液悪性腫瘍は、再発性又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、再発性又は難治性のマントル細胞リンパ腫、再発性又は難治性の濾胞性リンパ腫、再発性又は難治性のCLL;再発性又は難治性のSLL;再発性又は難治性の多発性骨髄腫である。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤は、ブルトン型チロシンキナーゼ、ブルトン型チロシンキナーゼ同族体、又はBtkチロシンキナーゼシステイン同族体のシステイン側鎖により共有結合を形成する。幾つかの実施形態において、不可逆性のBtk阻害剤は、(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンである。幾つかの実施形態において、不可逆性のBtk阻害剤の量は、300mg/日から1000mg/日までである。幾つかの実施形態において、不可逆性のBtk阻害剤の量は、420mg/日から840mg/日までである。幾つかの実施形態において、不可逆性のBtk阻害剤の量は、約420mg/日、約560mg/日、又は約840mg/日である。幾つかの実施形態において、不可逆性のBtk阻害剤の量は約420mg/日である。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤のAUC0-24は、約150と約3500ng*h/mLの間にある。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤のAUC0-24は、約500と約1100ng*h/mLの間にある。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤は、経口で投与される。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤は、1日1回、1日2回、又は1日3回投与される。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤は、疾患進行、受け入れがたい毒性、又は個々の選択まで投与される。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤は、疾患進行、受け入れがたい毒性、又は個々の選択まで毎日投与される。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤は、疾患進行、受け入れがたい毒性、又は個々の選択まで一日おきに投与される。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤は、第一選択療法(front line therapy)、第二選択療法、第三選択療法、第四選択療法、第五選択療法、又は第六選択療法である。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤は難治性の血液悪性腫瘍を処置する。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤は維持療法である。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンは、化学療法剤、ステロイド、免疫療法の薬剤、標的治療、又はその組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンはB細胞受容体経路阻害剤を含む。幾つかの実施形態において、B細胞受容体経路阻害剤は、CD79A阻害剤、CD79B阻害剤、CD19阻害剤、Lyn阻害剤、Syk阻害剤、PI3K阻害剤、Blnk阻害剤、PLCγ阻害剤、PKCβ阻害剤、又はその組み合わせである。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンは、抗体、B細胞受容体シグナル伝達阻害剤、PI3K阻害剤、IAP阻害剤、mTOR阻害剤、放射免疫療法のもの(radioimmunotherapeutic)、DNA損傷剤、生体沈殿阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ハリネズミ阻害剤、Hsp90阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、Jak1/2阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、PKC阻害剤、PARP阻害剤、又はその組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンは、クロラムブシル、イホスファミド、ドキソルビシン、メサラジン、サリドマイド、レナリドミド、テムシロリムス、エベロリムス、フルダラビン、ホスタマチニブ(fostamatinib)、パクリタキセル、ドセタキセル、オファツムマブ、リツキシマブ、デキサメタゾン、プレドニゾン、CAL-101、イブリツモマブ、トシツモマブ、ボルテゾミブ、ペントスタチン、エンドスタチン、又はその組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンは、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン、並びに随意に、リツキシマブを含む。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンはベンダムスチン、及びリツキシマブを含む。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンはフルダラビン、シクロホスファミド、及びリツキシマブを含む。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンはシクロホスファミド、ビンクリスチン、及びプレドニゾン、並びに随意に、リツキシマブを含む。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンは、エトポシド、ドキソルビシン、ビンクリスチン(vinristine)、シクロホスファミド、プレドニゾロン、及び随意にリツキシマブを含む。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンはデキサメタゾンとレナリドミドを含む。幾つかの実施形態において、ブルトン型チロシンキナーゼの阻害剤は可逆性の阻害剤である。幾つかの実施形態において、ブルトン型チロシンキナーゼの阻害剤は不可逆性の阻害剤である。幾つかの実施形態において、ブルトン型チロシンキナーゼの阻害剤は、ブルトン型チロシンキナーゼ、ブルトン型チロシンキナーゼ同族体、又はBtkチロシンキナーゼシステイン同族体のシステイン側鎖により共有結合を形成する。幾つかの実施形態において、ブルトン型チロシンキナーゼの阻害剤は、式(D)の構造を有する:
【0005】
【0006】
ここで:
Laは、CH2、O、NH又はSであり;
Arは、置換又は非置換のアリール、或いは置換又は非置換のヘテロアリールであり;
Yは、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールの中から選択された随意の置換基であり;
Zは、C(=O)、OC(=O)、NHC(=O)、C(=S)、S(=O)x、OS(=O)x、NHS(=O)xであり、ここで、xは、1又は2であり;
R7とR8は独立的にHであり;
又はR7とR8は共に単結合を形成し;
R6はHであり;及び前記ブルトン型チロシンキナーゼの阻害剤は、その薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容可能な溶媒化合物、薬学的に許容可能な塩、又は薬学的に許容可能なプロドラッグを有する。幾つかの実施形態において、ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤は、(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンである。幾つかの実施形態において、LaはOである。幾つかの実施形態において、Arはフェニルである。幾つかの実施形態において、Zは、C(=O)、NHC(=O)、又はS(=O)2である。幾つかの実施形態において、R7及びR8の各々は、Hである。幾つかの実施形態において、Yは、4員環、5員環、6員環又は7員環のシクロアルキルあり;或いはYは、4員環、5員環、6員環又は7員環のヘテロシクロアルキルである。
【0007】
特定の実施形態において、治療上効果的な量の(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンを個体に投与する工程を含む、それを必要とする個体の再発性又は難治性の非ホジキンリンパ腫を処置する方法が、本明細書に開示される。幾つかの実施形態において、非ホジキンリンパ腫は、再発性又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、再発性又は難治性のマントル細胞リンパ腫、或いは再発性又は難治性の濾胞性リンパ腫である。幾つかの実施形態において、(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンの量は、300mg/日から1000mg/日である。幾つかの実施形態において、(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンの量は、420mg/日から840mg/日である。幾つかの実施形態において、(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンの量は、約420mg/日、約560mg/日、又は約840mg/日である。幾つかの実施形態において、不可逆性のBtk阻害剤の量は約420mg/日である。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤のAUC0-24は、約150と約3500ng*h/mLの間にある。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤のAUC0-24は、約500と約1100ng*h/mLの間にある。幾つかの実施形態において、(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンは、経口投与される。幾つかの実施形態において、(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンは、1日1回、1日2回、又は1日3回投与される。幾つかの実施形態において、(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンは、疾患進行、受け入れがたい毒性、又は個々の選択まで投与される。幾つかの実施形態において、(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンは、疾患進行、受け入れがたい毒性、又は個々の選択まで投与される。幾つかの実施形態において、(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンは、疾患進行、受け入れがたい毒性、又は個々の選択まで毎日投与される。幾つかの実施形態において、(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンは、疾患進行、受け入れがたい毒性、又は個々の選択まで1日おきに投与される。幾つかの実施形態において、(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンは、第二選択療法、第三選択療法、第四選択療法、第五選択療法、又は第六選択療法である。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤は維持療法である。幾つかの実施形態において、方法は、第2の癌処置レジメンを投与する工程をさらに含む。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンは、非ホジキンリンパ腫から複数のリンパ球系細胞の動態化の後に投与される。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンは、非ホジキンリンパ腫から複数のリンパ球系細胞のリンパ球増多症の後に投与される。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンは、化学療法剤、ステロイド、免疫療法の薬剤、標的治療、又はその組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンはB細胞受容体経路阻害剤を含む。幾つかの実施形態において、B細胞受容体経路阻害剤は、CD79A阻害剤、CD79B阻害剤、CD19阻害剤、Lyn阻害剤、Syk阻害剤、PI3K阻害剤、Blnk阻害剤、PLCγ阻害剤、PKCβ阻害剤、又はその組み合わせである。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンは、抗体、B細胞受容体シグナル伝達阻害剤、PI3K阻害剤、IAP阻害剤、mTOR阻害剤、放射免疫療法のもの(radioimmunotherapeutic)、DNA損傷剤、生体沈殿阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ハリネズミ阻害剤、Hsp90阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、Jak1/2阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、PKC阻害剤、PARP阻害剤、又はその組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンは、クロラムブシル、イホスファミド、ドキソルビシン、メサラジン、サリドマイド、レナリドミド、テムシロリムス、エベロリムス、フルダラビン、ホスタマチニブ(fostamatinib)、パクリタキセル、ドセタキセル、オファツムマブ、リツキシマブ、デキサメタゾン、プレドニゾン、CAL-101、イブリツモマブ、トシツモマブ、ボルテゾミブ、ペントスタチン、エンドスタチン、又はその組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンは、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン、並びに随意に、リツキシマブを含む。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンはベンダムスチン、及びリツキシマブを含む。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンはフルダラビン、シクロホスファミド、及びリツキシマブを含む。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンはシクロホスファミド、ビンクリスチン、及びプレドニゾン、並びに随意に、リツキシマブを含む。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンは、エトポシド、ドキソルビシン、ビンクリスチン(vinristine)、シクロホスファミド、プレドニゾロン、及び随意にリツキシマブを含む。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンはデキサメタゾンとレナリドミドを含む。
【0008】
特定の実施形態において、300mg/日から1000mg/日の量で不可逆性のBtk阻害剤を個体に投与する工程を含む、それを必要とする個体のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、活性化したB細胞様のサブタイプ(ABC-DLBCL)を処置する方法が、本明細書に開示される。幾つかの実施形態において、方法は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫から分離した複数のリンパ球系細胞の1以上のバイオマーカーの遺伝子配列を決定することにより、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、活性化したB細胞様のサブタイプ(ABC-DLBCL)であると個体を診断する工程をさらに含む。幾つかの実施形態において、不可逆性のBtk阻害剤は、(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンである。幾つかの実施形態において、ABC-DLBCLは、CD79B突然変異によって特徴付けられる。幾つかの実施形態において、CD79B突然変異は、免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)シグナル伝達モジュールの突然変異である。幾つかの実施形態において、CD79B突然変異は、最初の免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)チロシンのミスセンス突然変異である。幾つかの実施形態において、CD79B突然変異は、表面BCR発現を増加し、Lynキナーゼ活性を減ずる。幾つかの実施形態において、ABC-DLBCLは、CD79A突然変異によって特徴付けられる。幾つかの実施形態において、CD79A突然変異は、免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)シグナル伝達モジュールに存在する。幾つかの実施形態において、CD79A突然変異は、免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)シグナル伝達モジュールのスプライスドナー部位突然変異である。幾つかの実施形態において、CD79A突然変異は、免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)シグナル伝達モジュールを除去する。幾つかの実施形態において、ABC-DLBCLは、MyD88、A20、又はその組み合わせにより特徴付けられる。幾つかの実施形態において、MyD88突然変異は、MYD88 Toll/IL-1受容体(TIR)ドメインにおけるアミノ酸置換L265Pである。幾つかの実施形態において、不可逆性のBtk阻害剤の量は、420mg/日から840mg/日までである。幾つかの実施形態において、不可逆性のBtk阻害剤の量は、約420mg/日、約560mg/日、又は約840mg/日である。幾つかの実施形態において、不可逆性のBtk阻害剤の量は約420mg/日である。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤のAUC0-24は、約150と約3500ng*h/mLの間にある。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤のAUC0-24は、約500と約1100ng*h/mLの間にある。特定の実施形態において、不可逆性のBtk阻害剤は経口投与される。幾つかの実施形態において、不可逆性のBtk阻害剤は、疾患進行、受け入れがたい毒性、又は個々の選択まで毎日投与される。幾つかの実施形態において、不可逆性のBtk阻害剤は、疾患進行、受け入れがたい毒性、又は個々の選択まで一日おきに投与される。幾つかの実施形態において、不可逆性のBtk阻害剤は、第一選択療法、第二選択療法、第三選択療法、第四選択療法、第5選択療法、又は第六選択療法である。幾つかの実施形態において、不可逆性のBtk阻害剤は難治性の血液悪性腫瘍を処置する。幾つかの実施形態において、不可逆性のBtk阻害剤は維持療法である。幾つかの実施形態において、方法は、少なくとも1つの追加の癌処置レジメンを投与する工程をさらに含む。幾つかの実施形態において、追加の癌処置レジメンは、化学療法剤、免疫療法の薬剤、ステロイド、放射線療法、標的治療、又はその組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンは、抗体、B細胞受容体シグナル伝達阻害剤、PI3K阻害剤、IAP阻害剤、mTOR阻害剤、放射免疫療法のもの(radioimmunotherapeutic)を含み、損傷剤、生体沈殿阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ハリネズミ阻害剤、Hsp90阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、Jak1/2阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、PKC阻害剤、PARP阻害剤、又はその組み合わせである。
【0009】
特定の実施形態において、以下の工程を含む、血液悪性腫瘍を有する個体のための癌処置レジメンを決定する方法が、本明細書に開示される:(a)悪性腫瘍から複数の細胞を動態化するのに十分な不可逆性のBtk阻害剤の量を個体に投与する工程;(b)動態化された複数の細胞を分析する工程;及び(c)癌処置レジメンを選択する工程。幾つかの実施形態において、癌処置レジメンは、化学療法剤、ステロイド、免疫療法の薬剤、標的治療、又はその組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンはB細胞受容体経路阻害剤を含む。幾つかの実施形態において、B細胞受容体経路阻害剤は、CD79A阻害剤、CD79B阻害剤、CD19阻害剤、Lyn阻害剤、Syk阻害剤、PI3K阻害剤、Blnk阻害剤、PLCγ阻害剤、PKCβ阻害剤、又はその組み合わせである。幾つかの実施形態において、癌処置レジメンはB細胞受容体経路阻害剤を含む。幾つかの実施形態において、癌処置レジメンは、CD79A阻害剤、CD79B阻害剤、CD19阻害剤、Lyn阻害剤、Syk阻害剤、PI3K阻害剤、Blnk阻害剤、PLCγ阻害剤、PKCβ阻害剤、又はその組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、癌処置レジメンは、抗体、B細胞受容体シグナル伝達阻害剤、PI3K阻害剤、IAP阻害剤、mTOR阻害剤、放射免疫療法のもの(radioimmunotherapeutic)、DNA損傷剤、生体沈殿阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ハリネズミ阻害剤、Hsp90阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、Jak1/2阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、PKC阻害剤、PARP阻害剤、又はその組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、癌処置レジメンは、クロラムブシル、イホスファミド、ドキソルビシン、メサラジン、サリドマイド、レナリドミド、テムシロリムス、エベロリムス、フルダラビン、ホスタマチニブ、パクリタキセル、ドセタキセル、オファツムマブ、リツキシマブ、デキサメタゾン、プレドニゾン、CAL-101、イブリツモマブ、トシツモマブ、ボルテゾミブ、ペントスタチン、エンドスタチン、又はその組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、癌処置レジメンは、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾン、及び随意に、リツキシマブを含む。幾つかの実施形態において、癌処置レジメンはベンダムスチン、及びリツキシマブを含む。幾つかの実施形態において、癌処置レジメンは、フルダラビン、シクロホスファミド、及びリツキシマブを含む。幾つかの実施形態において、癌処置レジメンは、シクロホスファミド、ビンクリスチン、及びプレドニゾン、並びに随意に、リツキシマブを含む。幾つかの実施形態において、癌処置レジメンは、エトポシド、ドキソルビシン、ビンクリスチン(vinristine)、シクロホスファミド、プレドニゾロン、及び随意にリツキシマブを含む。幾つかの実施形態において、癌処置レジメンは、デキサメタゾンとレナリドミドを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、疾患の病因に寄与する、CLL細胞の多くのプロセスにおけるBtk活性の役割を表す。
【
図2】
図2は、CLLを有する個体のための不可逆性のBtk阻害剤による処置の間の、絶対的なリンパ球の数を提示する。
【
図3】
図3は、不可逆性のBtk阻害剤により処置される、CLLとSLLを有する患者におけるリンパ節(LN)の直径の生成物の合計の変化を提示する。
【
図4】
図4は、CLLを患う患者のLN反応を表す。左のパネルは、不可逆性のBtk阻害剤による処置の前のLNを表わし、右のパネルは、不可逆性のBtk阻害剤による処置の後のLNを表わす。
【
図5】
図5は、CLL及び/又はSLLを患う患者における経時的なLN疾患の負担及びリンパ球増多症に対する、不可逆性のBtk阻害剤の効果を表わす。
【
図6】
図6は、不可逆性のBtk阻害剤により処置された患者の副作用を表わす。グレード1-4は、効果の重症度を表わし、1は非常に軽度を表わし、4は非常に不快を表わす。
【
図7】
図7は、完全又は部分寛解(CR/PR)を達成した濾胞性リンパ腫を有する個体に、Btk阻害剤を投与した後の、絶対的なリンパ球数(ALC)/109L対サイクル日(Cycle Day)を表わす。Y軸は、X軸におけるサイクル数及び日による、各時点での絶対的なリンパ球数(ALC)を示す。全患者(Pt32009を除く)は、4週間のスケジュールで処置され、その後1週間は処置を休止する(on treatment followed by one week off)。したがって、各サイクルの1日目は、これらの患者への薬物の投与を1週間休止する(one week off drug for these patients)。ほとんどの患者の大半のサイクル中のALCの増加、及び後のサイクルの初めのALCの低下に留意する。このパターンは、患者が処置に反応したように、後のサイクルにおいてしばしば鈍らされる。患者32009は、干渉のない処置を受け、このサイクルのパターンを示さなかったが、サイクル1の15日目で増加を示し、サイクル2~5中に徐々に増加を示した。
【
図8】
図8は、処置中に安定性の疾患(SD)を有していた濾胞性リンパ腫の個体に、Btk阻害剤を投与した後の、絶対的なリンパ球数(ALC)/109L対サイクル日を表わす。Y軸は、X軸におけるサイクル数及び日による、各時点での絶対的なリンパ球数(ALC)を示す。全患者(Pt32009を除く)は、4週間のスケジュールで処置され、その後1週間は処置を休止する。したがって、各サイクルの1日目は、これらの患者への薬物の投与を1週間休止する。最初に安定していたが、後に進行性の疾患(PD)を有していた患者32004の血液ALC動態化の漸増に留意する。
【
図9】
図9は、濾胞性リンパ腫を有するPD個体にBtk阻害剤を投与した後の、絶対的なリンパ球数(ALC)/109L対サイクル日を表わす。Y軸は、X軸におけるサイクル数及び日による、各時点での絶対的なリンパ球数(ALC)を示す。38010を除く全患者は、4週間のスケジュールで処置され、その後1週間は処置を休止する。したがって、各サイクルの1日目は、これらの患者への薬物の投与を1週間休止する。動態化、特に患者38010及び32001の欠如に留意する。患者323001は、研究から得られる前に処置を限定していた。リンパ球反応は、より長期の処置上でとどまることが可能でああったなら、この患者が応答したかもしれないことを示唆する。
【
図10】
図10は、DLBCLを有するPRとSDの個体にBtk阻害剤を投与した後の、絶対的なリンパ球数(ALC)/109L対サイクル日を表わす。Y軸は、X軸におけるサイクル数及び日による、各時点での絶対的なリンパ球数(ALC)を示す。患者38011は、4週間のスケジュールで処置され、その後1週間は処置を休止する。したがって、各サイクルの1日目は、これらの患者への薬物の投与を1週間休止する。患者38008及び324001は、連続的な1日量により処置された。
【
図11】
図11は、DLBCLを有するPDの個体にBtk阻害剤を投与した後の、絶対的なリンパ球数(ALC)/109L対サイクル日を表わす。Y軸は、X軸におけるサイクル数及び日による、各時点での絶対的なリンパ球数(ALC)を示す。全患者は、4週間のスケジュールで処置され、その後1週間は処置を休止する。したがって、各サイクルの1日目は、これらの患者への薬物の投与を1週間休止する。4の患者のうちの3の動態化の欠如に留意する。患者32002は、処置のわずか1つのサイクルを受けた。
【
図12】
図12は、マントル細胞リンパ腫を有する個体にBtk阻害剤を投与した後の、絶対的なリンパ球数(ALC)/109L対サイクル日を表わす。Y軸は、X軸におけるサイクル数及び日による、各時点での絶対的なリンパ球数(ALC)を示す。患者32006、38003及び38004は、4週間のスケジュールで処置され、その後1週間は処置を休止する。したがって、各サイクルの1日目は、これらの患者への薬物の投与を1週間休止する。他の患者は、連続的な毎日の薬注により処置された。初期のPD(32014)を有する患者が動態化を示さなかったことに留意する。
【
図13】
図13は、
図12に示されるマントル細胞リンパ腫を有する個体にBtk阻害剤を投与した後の、絶対的なリンパ球数(ALC)/109L対サイクル日を表わす。
図12と比較して、軸は、低い振幅の変動を実証するために変更された。応答する全患者がある程度の動態化を示したことに留意する。
【
図14】
図14は、リンパ球動態化、特にB細胞型が、リンパ腫細胞と一致し、疾患が応答するとともに減少することを実証する。患者32007、集団4は、SDからCRまで徐々に退行した、濾胞性リンパ腫(グレード3)を有していた。この場合のALCの変化は劇的ではないが、B細胞画分はBtk阻害剤による処置に応じて特徴的な環式の増加を受けている。また、相重なる疾患管理と一致する変位のサイクル規模によって減少するサイクルに留意する。
【
図15】
図15は、疾患進行によりB細胞動態化が増加されることを実証する。患者32004、同齢集団2は、サイクル6の後のSDからPDまでに最初に進行した濾胞性リンパ腫(グレード1)を有していた。
【
図16】
図16は、マントル細胞リンパ腫の患者200-005に応答する際の、CD45
DIM B細胞亜群の初期の動態化及び最終的な減少を表す。この亜群は、典型的なMCL免疫表現型(CD45
DIM)を有し、正常なリンパ球のものと異なる。
【
図17】
図17は、動態化し、その後CR DLBCLPt324001において退行する、異常なハイライト散乱(high light scatter)CD19
+細胞を表わす。上部パネルにおいて光分散(SSC-H)を有するこれらCD45
+細胞は、ゲート制御され、それらのCD3対CD19染色は下部パネルにて表示した。ここで、推定上の悪性細胞は、単球を通常には定義する、大きなMNCウィンドウに「隠れる」。反応後の動態化の配列は、他の例に類似する。
【
図18】
図18は、薬物介入を受けていない、CLL又はSLLの高齢の患者にBtk阻害剤を投与する工程に関する、臨床試験に対する反応を提示する。個体は、420mg/日のBtk阻害剤を投与された。
【
図19】
図19は、CLL又はSLLを有するR/Rの患者にBtk阻害剤を投与する工程に関する、臨床試験に対する反応を提示する。個体は、420mg/日のBtk阻害剤を投与された。
【
図20】
図20は、危険の高いCLLを有する個体にBtk阻害剤を投与する工程に関する、臨床試験に対する反応を提示する。
【
図21】
図21は、CLL又はSLLを有する個体にBtk阻害剤を投与する工程に関する、臨床試験に対する経時的な反応を提示する。
【
図22】
図22は、CLL又はSLLを有する個体にBtk阻害剤を投与する工程に関する、臨床試験における全患者に対する最良の反応を提示する。
【
図23】
図23は、CLL又はSLLを有する個体にBtk阻害剤を投与する工程に関する、臨床試験における観念上の患者に対する最良の反応を提示する。
【
図24】
図24は、Btk阻害剤を投与する工程に関する、臨床試験に関わるCLL又はSLLの患者における予後因子による最良の反応を提示する。
【
図25】
図25は、Btk阻害剤を投与する工程に関する、臨床試験に関わるCLL又はSLLの患者における、最初の(サイクル2)反応評価、及び最良の反応(420mgの同齢集団)を提示する。
【
図26】
図26は、Btk阻害剤を投与する工程に関する、臨床試験に関わる再発性/難治性のCLL又はSLLの患者における投与量による、最初の(サイクル2)反応評価を提示する。
【
図27】
図27は、Btk阻害剤を投与する工程に関する、臨床試験に関わるCLL又はSLLの患者における血液のパラメーターの改善を提示する。
【
図28】
図28は、Btk阻害剤と、DoHH2細胞のカルボプラチン又はベルケイドの組み合わせの結果を示す、データを提示する。
【
図29】
図29は、Btk阻害剤と、DoHH2細胞のデキサメタゾン又はレナリドミドの組み合わせの結果を示す、データを提示する。
【
図30】
図30は、Btk阻害剤と、DoHH2細胞のテムシロリムス又はR406の組み合わせの結果を示す、データを提示する。
【
図31】
図31は、Btk阻害剤と、DoHH2細胞のゲムシタビン又はドキソルビシンの組み合わせの結果を示す、データを提示する。
【
図32】
図32は、Btk阻害剤と、TMD8細胞のCal-101の組み合わせの結果を示すデータを提示する。
【
図33】
図33は、Btk阻害剤と、TMD8細胞のR406の組み合わせの結果を示すデータを提示する。
【
図34】
図34は、Btk阻害剤と、TMD8細胞のビンクリスチンの組み合わせの結果を示すデータを提示する。
【
図35】
図35は、Btk阻害剤と、TMD8細胞のドキソルビシンの組み合わせの結果を示すデータを提示する。
【
図36】
図36は、Btk阻害剤と、TMD8細胞のレナリドミド(lenolidomide)の組み合わせの結果を示すデータを提示する。
【
図37】
図37は、Btk阻害剤と、TMD8細胞のベルケイドの組み合わせの結果を示すデータを提示する。
【
図38】
図38は、Btk阻害剤と、TMD8細胞のフルダラビンの組み合わせの結果を示すデータを提示する。
【
図39】
図39は、Btk阻害剤と、TMD8細胞のタキソールの組み合わせの結果を示すデータを提示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
再発性及び難治性のB細胞悪性腫瘍を含む血液悪性腫瘍、及びABC-DLBCLを処置する方法(診断する工程を含む)の必要性が現在のところ存在する。本出願は、部分的に、Btk阻害剤が固形の血液悪性腫瘍におけるリンパ球系細胞の動態化(又は、幾つかの場合において、リンパ球増多症)を誘発するという、意外な発見に基づく。リンパ球系細胞の動態化は、追加の癌処置レジメンに対するそれらの曝露、及びバイオマーカースクリーニングに関するそれらのアベイラビリティを増加させる。発明者はまた、Btk阻害剤が再発性及び難治性の悪性腫瘍、並びにABC-DLBCLを処置するのに役立つことを発見した。
【0012】
特定の実施形態において、以下の工程を含む、それを必要とする個体における血液悪性腫瘍を処置する方法が、本明細書に開示される:(a)悪性腫瘍から複数の細胞を動態化するのに十分な不可逆性のBtk阻害剤の量を個体に投与する工程;及び(b)動態化された複数の細胞を分析する工程。特定の実施形態において、以下の工程を含む、それを必要とする個体における、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、活性化したB細胞様サブタイプ(ABC-DLBCL)を処置する方法が、本明細書に開示される:300mg/日から1000mg/日までの量の不可逆性のBtk阻害剤を個体に投与する工程。特定の実施形態において、以下の工程を含む、それを必要とする個体における再発性又は難治性の非ホジキンリンパ腫を処置する方法が、本明細書に更に開示される:治療上効果的な量の(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンを個体に投与する工程。
【0013】
〈特定の専門用語〉
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、請求の範囲の主題が属する、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書の用語に関して複数の定義がある事象において、このセクションの定義が優先される。URL又は他のこのような識別子、或いはアドレスに対して言及がなされる場合、このような識別子は変更し得、インターネット上の特定の情報が現れたり消えたりし得るが、同等の情報がインターネットを検索することにより発見され得ることが理解される。これらに対する引用によって、このような情報の利用可能性及び一般的な普及が確証される。
【0014】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、例示的及び説明的なだけであり、請求される任意の主題を限定するものではないことを理解されたい。本出願において、単数形の使用は、特に別記されない限り、複数形を含む。明細書及び添付の請求項に使用されるように、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈がはっきりと特に指示していない限り、複数の指示対象を含む。本出願において、「又は」の使用は、特に明記しない限り「及び/又は」を意味する。さらに、用語「含むこと(including)」と同様に、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含まれる(included)」などの他の形態の使用は限定されない。
【0015】
本明細書で使用されるセクションの見出しは、組織化した目的のみのためであり、記載される主題を限定するものとして解釈されるべきではない。限定されないが、特許、特許出願、論文、書物、マニュアル、及び専門書を含む、本出願で引用される全ての文書、又は文書の一部は、任意の目的のため、その全体において引用により本明細書に明確に組み込まれる。
【0016】
標準化学用語の定義は、Carey and Sundberg “ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4TH ED.” Vols. A (2000) and B (2001), Plenum Press, New Yorkを含む参考資料において見出され得る。他に指示されない限り、当該技術分野の技術内で、質量分析、NMR、HPCL、タンパク質化学、生化学、組換え型DNA技術及び薬理学の従来の方法が用いられる。具体的な定義が提供されない限り、本明細書に記載される、分析化学、有機合成化学、及び医薬品化学並びに薬化学に関連して用いられる専門語、及びそれらの検査法及び技術は、当該技術分野にて既知のものである。標準的な技術は、化学合成、化学分析、医薬の調製、製剤、及び送達、並びに患者の処置に使用され得る。標準的な技術は、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、及び組織培養並びに形質転換(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)に使用され得る。反応及び精製技術は、例えば、製造者の仕様書のキットを使用して、又は当該技術分野において通常達成されるように、或いは本明細書に記載されるように実行され得る。前述の技術及び手順は、当該技術に周知の従来の方法で、及び本明細書を通して引用され考察される、様々な一般的でより具体的な参考文献において記載されるように、実行され得る。
【0017】
本明細書に記載の方法及び組成物は、本明細書に記載の特定の方法論、プロトコル、細胞株、構成物、及び試薬に限定されず、このようなものは変更し得ることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみについて記述する目的のものであり、添付された請求項によってのみ限定される、本明細書に記載の方法と組成物の範囲を制限することは意図されていない、ということが理解される。
【0018】
本明細書に言及された出版物及び特許はすべて、例えば、出版物に記載される構成及び方法論を記載して開示する目的で、その全体において引用により本明細書に組み込まれ、それは、本明細書に記載の方法、組成物及び化合物に関して使用され得る。本明細書で考察された出版物は、本出願の出願日の前のそれらの開示のためだけに提供される。本明細書においてはいずれも、本明細書に記載の発明者が、先行発明により、又は任意の他の目的のため、そのような開示に先行する権利がないという承認として解釈されない。
【0019】
「アルキル」基は、脂肪族炭化水素基を指す。アルキル部分は、「飽和したアルキル」基であり得、これは、アルキル部分が、任意のアルケン又はアルキン部分を包含しないことを意味する。アルキル部分はまた、「不飽和のアルキル」部分であり得、これは、アルキル部分が、少なくとも1つのアルケン又はアルキン部分を包含することを意味する。「アルケン」部分は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有している基を指し、「アルキン」部分は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有している基を指す。アルキル部分は、飽和又は不飽和であっても、分枝鎖、直鎖、又は環状であり得る。構造によって、アルキル基は、モノラジカル又はジラジカル(即ち、アルキレン基)であり得る。アルキル基はまた、1乃至6の炭素原子を有する「低級アルキル」であり得る。
【0020】
本明細書で使用されるように、C1-Cxは、C1-C2、C1-C3..C1-Cxを含む。
【0021】
「アルキル」部分は、1乃至10の炭素原子を有し得る(本明細書に現れる場合は常に、「1乃至10」などの数字の範囲は、所定の範囲における各整数を指し、例えば、「1乃至10の炭素原子」は、アルキル基が、10の炭素原子を含むそれ以下の、1の炭素原子、2の炭素原子、3の炭素原子などを有し得ることを意味するが、本定義はまた、数字の範囲が指定されない用語「アルキル」の出現も含む)。本明細書に記載の化合物のアルキル基は、「C1-C4アルキル」又は類似した名称として表され得る。ほんの一例として、「C1-C4アルキル」は、1乃至4の炭素原子がアルキル鎖の中にあることを示し、すなわち、アルキル鎖は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びt-ブチルの中から選択される。したがって、C1-C4アルキルは、C1-C2アルキル及びC1-C3アルキルを含む。アルキル基は、置換され得る又は置換され得ない。典型的なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、三級ブチル、ペンチル、ヘキシル、エテニル、プロペニル、ブテニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含むが、これらに限定されない。
【0022】
本明細書で使用されるように、用語「非環式のアルキル」は、環式でない(すなわち、少なくとも1つの炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖)アルキルを指す。非環式のアルキルは、十分に飽和され得る、又は非環式のアルケン及び/又はアルキンを含み得る。非環式のアルキルは、随意に置換され得る。
【0023】
用語「アルケニル」は、アルキル基の最初の2つの原子が、芳香族基の一部でない二重結合を形成する、一種のアルキル基を指す。すなわち、アルケニル基は、原子-C(R)=C(R)-Rから始まり、ここでRは、同じ又は異なるアルケニル基の残りの部分を指す。アルケニル部分は、分枝鎖、直鎖、又は環状であり得る(この場合、「シクロアルケニル」基としても知られるであろう)。構造によって、アルケニル基は、モノラジカル又はジラジカル(即ち、アルケニレン基)であり得る。アルケニル基は、随意に置換され得る。アルケニル基の制限しない例は、-CH=CH2、-C(CH3)=CH2、-CH=CHCH3、-C(CH3)=CHCH3を含む。アルケニレン基は、-CH=CH-、-C(CH3)=CH-、-CH=CHCH2-、-CH=CHCH2CH2-、及び-C(CH3)=CHCH2-を含むが、これらに限定されない。アルケニル基は、2乃至10の炭素を有し得る。アルケニル基はまた、2乃至6の炭素原子を有する「低級アルケニル」であり得る。
【0024】
用語「アルキニル」は、アルキル基の最初の2つの原子が三重結合を形成する、一種のアルキル基を指す。即ち、アルキニル基は、原子-C≡C-Rから始まり、ここでRは、同じ又は異なり得るアルキニル基の残りの部分を指す。アルキニル部分の「R」部分は、分枝鎖、直鎖、又は環式であり得る。構造によって、アルキニル基は、モノラジカル又はジラジカル(即ち、アルキニレン基)であり得る。アルキニル基は、随意に置換され得る。アルキニル基の制限しない例は、-C≡CH、-C≡CCH3、-C≡CCH2CH3、-C≡C-、及び-C≡CCH2-を含むが、これらに限定されない。アルキニル基は、2乃至10の炭素を有し得る。アルキニル基はまた、2乃至6の炭素原子を有する「低級アルキニル」であり得る。
【0025】
「アルコキシ」基は、(アルキル)O-基を指し、ここで、アルキルは本明細書に定義される通りである。
【0026】
「ヒドロキシアルキル」は、少なくとも1つのヒドロキシ基で置換された、本明細書で定義される、アルキルラジカルを指す。ヒドロキシアルキルの制限しない例は、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、1-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピル、2-ヒドロキシブチル、3-ヒドロキシブチル、4-ヒドロキシブチル、2,3-ジヒドロキシプロピル、1-(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル、2,3-ジヒドロキシブチル、3,4-ジヒドロキシブチル、及び2-(ヒドロキシメチル)-3-ヒドロキシプロピルを含むが、これらに制限されない、
【0027】
「アルコキシアルキル」は、アルコキシ基によって置換される、本明細書で定義されるような、アルキルラジカルを指す。
「アルケニルオキシ」基は、(アルキル)O-基を指し、ここで、アルケニルは本明細書に定義される通りである。
【0028】
用語「アルキルアミン」は、-N(アルキル)xHy基を指し、ここで、xとyとは、x=1、y=1及びx=2、y=0の中から選択される。x=2の場合、取り付けられるN原子と一緒に得られたアルキル基は、随意に環式の環構造を形成し得る。
【0029】
「アルキルアミノアルキル」は、本明細書で定義されたアルキルアミンによって置換される、本明細書で定義されるような、アルキルラジカルを指す。
【0030】
「アミド」は、式-C(O)NHR又は-NHC(O)Rを備えた化学部分であり、ここで、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を通じて結合される)、及びヘテロ脂環式(環炭素を通じて結合される)の中から選択される。アミド部分は、アミノ酸又はペプチド分子と、本明細書に記載の化合物との間に連鎖を形成し、それによってプロドラッグを形成する。本明細書に記載の化合物上の、任意のアミン又はカルボキシルの側鎖は、アミノ化され得る。このようなアミドを作るための手順及び特定の基は、当業者には既知であり、Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999などの引用文献に容易に見出され得、これは、その全体において引用により本明細書に組み込まれる。
【0031】
用語「エステル」は、式-COORを備えた化学部分を指し、ここで、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合される)及びヘテロ脂環式(環炭素を介して結合される)の中から選択される。本明細書に記載される化合物上の、任意のヒドロキシ又はカルボキシル側鎖は、エステル化され得る。このようなエステルを作るための手順及び特定の基は、当業者に既知であり、Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999などの引用文献に容易に見出され得、これは、その全体において引用により本明細書に組み込まれる。
【0032】
本明細書で使用されるように、用語「環」は、任意の共有結合した閉鎖構造(covalently closed structure)を指す。環は、例えば、炭素環(例えば、アリール及びシクロアルキル)、複素環(例えば、ヘテロアリール及び非芳香族複素環)、芳香族化合物(例えばアリールとヘテロアリール)、及び非芳香族(例えば、シクロアルキル及び非芳香族複素環)を含む。環は、随意に置換され得る。環は、単環式又は多環式であり得る。
【0033】
本明細書で使用されるように、用語「環系」は、1又はそれ以上の環を指す。
【0034】
用語「員環」は、任意の環式構造を包含し得る。用語「員」は、環を構築する骨格原子の数を示すように意図される。したがって、例えば、シクロヘキシル、ピリジン、ピラン及びチオピランは、6員環であり、シクロペンチル、ピロール、フラン及びチオフェンは、5員環である。
【0035】
用語「縮合」は、2以上の環が、1以上の結合を共有する構造を指す。
【0036】
用語「炭素環式」又は「炭素環」は、環を形成する原子の各々が炭素原子である、環を表す。炭素環は、アリール及びシクロアルキルを含む。従って、該用語は、環バックボーン(ring backbone)が、炭素とは異なる少なくとも1の原子(即ちヘテロ原子)を包含する、複素環(「複素環式」)と、炭素環を区別する。複素環は、ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキルを含む。炭素環及び複素環は、随意に置換され得る。
【0037】
用語「芳香族」は、4n+2πの電子を含む、非局在化されたπ電子系を有する平面環を指し、nは整数である。芳香環は、5、6、7、8、9、又は9より多い原子から形成され得る。芳香族は、随意に置換され得る。用語「芳香族」は、炭素環式アリール(例えば、フェニル)基及び複素環式アリール(又は「ヘテロアリール」或いは「ヘテロ芳香族」)基(例えば、ピリジン)の両方を含む。該用語は、単環式、又は縮合環の多環式(即ち、近接する対の炭素原子を共有する環)の基を含む。
【0038】
本明細書で使用されように、用語「アリール」は、環を形成する原子の各々が炭素原子である、芳香環を指す。アリール環は、5、6、7、8、9、又は9より多い炭素原子によって形成され得る。アリール基は、随意に置換され得る。アリール基の例は、限定されないが、フェニル、ナフタレニル、フェナントレニル、アントラセラニル、フルオレニル及びインデニルを含む。構造によって、アリール基は、モノラジカル又はジラジカル(即ち、アリーレン基)であり得る。
「アリールオキシ」基は、(アリール)O-基を表し、ここで、アリールは本明細書に定義される通りである。
【0039】
「アラルキル」は、アリール基で置換された、本明細書に定義される、アルキルラジカルを意味する。制限しないアラルキル基は、ベンジル、フェネチル等を含む。
【0040】
「アラルケニル」は、本明細書で定義されたアリール基によって置換された、本明細書で定義される、アルケニルラジカルを意味する。
【0041】
用語「シクロアルキル」は、炭素と水素のみを包含しており、飽和、部分的に不飽和、又は完全に不飽和である、単環式熱いは多環式のラジカルを指す。シクロアルキル基は、3乃至10の環状原子を有する基を含む。シクロアルキル基の実例は、次の部分などを含む:
【0042】
【0043】
構造によって、シクロアルキル基は、モノラジカル又はジラジカル(即ち、シクロアルキレン基)であり得る。シクロアルキル基はまた、3乃至8の炭素原子を有する「低級シクロアルキル」であり得る。
【0044】
「シクロアルキルアルキル」は、シクロアルキル基で置換された、本明細書に定義される、アルキルラジカルを意味する。制限しないシクロアルキルアルキル基は、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチルなどを含む。
【0045】
用語「複素環」は、O、S、及びNから各々が選択される、1乃至4のヘテロ原子を包含する、ヘテロ芳香族基及びヘテロ脂環式基を指し、ここで、各複素環基は、その環系において、4乃至10の原子を有するが、前記基の環が2つの隣接したO又はS原子を包含しないという条件が付く。本明細書において、複素環における炭素原子の数が示される(例えばC1-C6複素環)場合は常に、少なくとも1つの他の原子(ヘテロ原子)が環において存在しなければならない。「C1-C6複素環」などの呼称は、環における炭素原子の数のみを指し、環における原子の総数を指さない。ヘテロ環式の環が、環の中に追加のヘテロ原子を有し得る、ことが理解される。「4乃至6員複素環」などの呼称は、環に含有される原子の総数を指す(すなわち、少なくとも1つの原子が炭素原子であり、少なくとも1つの原子がヘテロ原子であり、残りの2乃至4の原子は炭素原子又はヘテロ原子である、4員、5員又は6員環)。2つ以上のヘテロ原子を有している複素環式化合物において、それらの2つ以上のヘテロ原子は、互いに同じ又は異なるものであり得る。複素環式化合物は、随意に置換され得る。複素環式化合物への結合は、ヘテロ原子にて、又は炭素原子を介してなされ得る。非芳香族複素環式基は、その環系内に4の原子しか備えていない基を含むが、芳香族複素環式基は、その環系内に少なくとも5の原子を備えなければならない。複素環基は、ベンゾ縮合した環系を含む。4員複素環基の例は、(アゼチジンに由来する)アゼチジニルである。5員複素環基の例は、チアゾリルである。6員複素環基の例は、ピリジルであり、10員複素環基の例は、キノリニルである。非芳香族複素環基の例は、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオクサニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアセピニル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジニル、2-ピロリニル、3-ピロリニル、インドリニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3-アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、3H-インドリル、及びキノリジニルである。芳香族複素環基の例は、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、及びフロピリジニルである。上記の基に由来するような前述の基は、可能な場合に、C-又はN-が付けられ得る。例えば、ピロールに由来する基は、(Nが付けられた)ピロール-1-イル又は(Cが付けられた)ピロール-3-イルであり得る。更に、イミダゾールに由来する基は、(両方ともNが付けられた)イミダゾル-1-イル又はイミダゾル-3-イル、或いは(全てにCが付けられた)イミダゾル-2-イル、イミダゾル-4-イル、又はイミダゾル-5-イルであり得る。複素環基は、ベンゾ縮合環系、及びピロリジン-2-オンなどの1又は2のオキソ(=O)部分で置換される環系を含む。構造により、複素環基は、モノラジカル又はジラジカル(即ち、ヘテロシクレン基)であり得る。
【0046】
用語「ヘテロアリール」、あるいは「ヘテロ芳香族」は、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1以上の環へテロ原子を含むアリール基を指す。N含有「ヘテロ芳香族」又は「ヘテロアリール」の部分は、環の骨格原子の少なくとも1つが窒素原子である、芳香族基を指す。ヘテロアリール基の実例は、以下の部分などを含む:
【0047】
【0048】
構造により、ヘテロアリール基は、モノラジカル又はジラジカル(即ち、ヘテロアリーレン基)であり得る。
【0049】
本明細書で使用されるように、用語「非芳香族の複素環式化合物」、「ヘテロシクロアルキル」あるいは「ヘテロ脂環式」は、非芳香環を指し、ここで、環を形成する1以上の原子は、ヘテロ原子である。「非芳香族の複素環式化合物」又は「ヘテロシクロアルキル」基は、窒素、酸素、及び硫黄から選択された少なくとも1つのヘテロ原子を含むシクロアルキル基を指す。ラジカルは、アリール又はヘテロアリールと縮合され得る。ヘテロシクロアルキル環は、3、4、5、6、7、8、9、又は9より多い原子によって形成され得る。ヘテロシクロアルキル環は、随意に置換される。特定の実施形態において、非芳香族の複素環式化合物は、例えば、酸素含有基及びチオ含有基のような、1以上のカルボニル基又はチオカルボニル基を包含している。ヘテロシクロアルキルの例は、限定されないが、ラクタム、ラクトン、環式イミド、環式チオイミド、環式カルバマート、テトラヒドロチオピラン、4H-ピラン、テトラヒドロピラン、ピペリジン、1,3-ジオキシン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキシン、1,4-ジオキサン、ピペラジン、1,3-オキサチアン、1,4-オキサチイン、1,4-オキサチアン、テトラヒドロ-1,4-チアジン、2H-1,2-オキサジン、マレイミド、コハク酸イミド、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ジオキソピペラジン、ヒダントイン、ジヒドロウラシル、モルホリン、トリオキサン、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロフラン、ピロリン、ピロリジン、ピロリドン、ピロリジオン、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、1,3-ジオキソール、1,3-ジオキソラン、1,3-ジチオール、1,3-ジチオラン、イソキサゾリン、イソオキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、チアゾリン、チアゾリジン、及び、1,3-オキサチオランを含む。非芳香族複素環としても称される、ヘテロシクロアルキル基の実例は、以下を含む:
【0050】
【0051】
用語「ヘテロ脂環式」はまた、限定されないが、単糖類、二糖類及びオリゴ糖類を含む、炭水化物の全ての環形状を含む。構造により、ヘテロシクロアルキル基は、モノラジカル又はジラジカル(即ち、ヘテロシクロアルキレン基)となり得る。
【0052】
用語「ハロ」、又は代わりに「ハロゲン」、或いは「ハライド」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを意味する。
【0053】
用語「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、「ハロアルキニル」及び「ハロアルコキシ」は、少なくとも1つの水素がハロゲン原子により置換される、アルキル、アルケニル、アルキニル及びアルコキシの構造を含む。2つ以上の水素原子がハロゲン原子により置換される特定の実施形態において、ハロゲン原子は、互いに、すべて同じである。2つ以上の水素原子がハロゲン原子により置換される他の実施形態において、ハロゲン原子は、互いに、すべてが同じではない。
【0054】
本明細書で使用されるように、用語「フルオロアルキル」は、少なくとも1つの水素がフッ素原子により置換されるアルキル基を指す。フルオロアルキル基の例は、-CF3、-CH2CF3、-CF2CF3、-CH2CH2CF3などを含むが、これらに限定されない。
【0055】
本明細書で使用されるように、用語「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」及び「ヘテロアルキニル」は、1以上の骨格の鎖原子がヘテロ原子(例えば酸素、窒素、硫黄、シリコン、燐、又はそれらの組み合わせ)である、随意に置換されたアルキル、アルケニル及びアルキニルラジカルを含む。ヘテロ原子は、ヘテロアルキル基の任意の内部の位置、又はヘテロアルキル基が分子の残部に付けられている位置に置かれ得る。例は、-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-H3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-CH2、-S(O)-CH3、-CH2-CH2-S(O)2-CH3、-CH=CH-O-CH3、-Si(CH3)3、-CH2-CH=N-OCH3、及び-CH=CH-N(CH3)-CH3を含むが、これらに限定されない。さらに、2つまでのヘテロ原子は、例として、-CH2-NH-OCH3及び-CH2-O-Si(CH3)3などのように、連続し得る。
【0056】
用語「ヘテロ原子」は、炭素又は水素以外の原子を指す。ヘテロ原子は、典型的には酸素、硫黄、窒素、シリコン及び燐の中から独立して選択されるが、これらの原子に限定されない。2つ以上のヘテロ原子が存在する実施形態において、2つ以上のヘテロ原子は、互いに全て同じであり得、あるいは、2つ以上のヘテロ原子のうちのいくつか又は全ては、他のものと各々異なり得る。
【0057】
用語「結合」又は「単結合」は、結合によって連結された原子が、より大きな下部構造の一部であると考えられる時の、2つの原子、又は2つの部分の間の化学結合を指す。
【0058】
「イソシアナート」基は、-NCO基を指す。
【0059】
「イソチオシアナート」基は、-NCS基を指す。
【0060】
用語「部分(moiety)」は、分子の具体的なセグメント又は官能基を指す。化学部分は、しばしば、分子に埋め込まれた又は付加された化学成分と認識される。
【0061】
「スルフィニル」基は、-S(=O)-Rを指す。
【0062】
「スルホニル」基は、-S(=O)2-Rを指す。
【0063】
「チオアルコキシ」基又は「アルキルチオ」基は、-S-アルキル基を指す。
【0064】
「アルキルチオアルキル」基は、-S-アルキル基により置換されたアルキル基を指す。
【0065】
本明細書で使用されるように、用語「O-カルボキシ」は、式RC(=O)O-の基を指す。
【0066】
「カルボキシ」は、-C(O)OH基を意味する。
【0067】
本明細書で使用されるように、用語「アセチル」は、式-C(=O)CH3の基を指す。
【0068】
「アシル」は、基-C(O)Rを指す。
【0069】
本明細書で使用されるように、用語「トリハロメタンスルホニル」は、Xがハロゲンである場合、式X3CS(=O)2-の基を指す。
【0070】
本明細書で使用されるように、用語「シアノ」は、式-CNの基を指す。
【0071】
「シアノアルキル」は、少なくとも1つのシアノ基で置換された、本明細書に定義される、アルキルラジカルを意味する。
【0072】
本明細書で使用されるように、用語「N-スルホンアミド」又は「スルホニルアミノ」は、式RS(=O)2NH-の基を指す。
【0073】
本明細書で使用されるように、用語「O-カルバミル」は、式-OC(=O)NR2の基を指す。
【0074】
本明細書で使用されるように、用語「N-カルバミル」は、式ROC(=O)NH-の基を指す。
【0075】
本明細書で使用されるように、用語「O-チオカルバミル」は、式-OC(=S)NR2の基を指す。
【0076】
本明細書で使用されるように、用語「N-チオカルバミル」は、式ROC(=S)NH-の基を指す。
【0077】
本明細書で使用されるように、用語「C-アミド」は、式-C(=O)NR2の基を指す。
【0078】
「アミノカルボニル」は-CONH2ラジカルを指す。
【0079】
本明細書で使用されるように、用語「N-アミド」は、式RC(=O)NH-の基を指す。
【0080】
本明細書で使用されるように、単独で出現し、数の指定がない置換基「R」は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合される)及び非芳香族の複素環(環炭素を介して結合される)の中から選択される置換基を指す。
【0081】
用語「随意に置換された」又は「置換された」は、参照の基が、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、アルキルスルホン、アリールスルホン、シアノ、ハロ、アシル、ニトロ、ハロアルキル、フルオロアルキル、アミノと、一置換及び二置換アミノ基を含むもの、及びそれらの保護誘導体から、個別に及び独立的に選択される1以上の追加の基によって置換され得ることを意味する。一例として、随意の置換基は、LsRsでもよく、ここで、各Lは、単結合、-O-、-C(=O)-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)2-、-NH-、-NHC(O)-、-C(O)NH-、-S(=O)2NH-、-NHS(=O)2、-OC(O)NH-、-NHC(O)O-、-(置換又は非置換のC1-C6アルキル)、或いは-(置換又は非置換のC2-C6アルケニル)から独立して選択され;各Rは、H、(置換又は非置換のC1-C4アルキル)、(置換又は非置換のC3-C6シクロアルキル)、ヘテロアリール、又はヘテロアルキルから独立して選択される。上記置換基の保護誘導体を形成し得る保護基は、当業者に既知であり、上記のGreene and Wutsなどの引用文献において見出され得る。
【0082】
用語「マイケルアクセプター(Michael acceptor)部分」は、マイケル反応(Michael reaction)に関与することができる官能基を指し、ここで、新しい共有結合は、マイケルアクセプター部分の一部とドナー部分との間で形成される。マイケルアクセプター部分は、求電子試薬であり、「ドナー部分」は、求核試薬である。
【0083】
用語「求核試薬」又は「求核性の」は、電子の豊富な化合物、又はその部分を指す。求核試薬の例には、例えば、BtkのCys481などの分子のシステイン残基を含むが、何らこれらに限定されない。
【0084】
用語「求電子試薬」又は「求電子性」は、電子に乏しい分子、又は電子が不足した分子、或いはその部分を指す。求電子試薬の例は、マイケルアクセプター部分を含むが、何らこれに限定されない。
【0085】
本明細書で使用されるように、製剤、組成物、又は成分に関して、用語「許容可能な」又は「薬学的に許容可能な」は、処置を受ける被験体の全般的な健康に対し、持続的な有害な効果を及ぼさないこと、又は、化合物の生物活性或いは特性を抑止せず、比較的無毒である、ということを意味する。
【0086】
本明細書で使用されるように、「B細胞リンパ増殖性障害(BCLD)バイオマーカー」は、任意の生体分子(血液、他の体液、又は組織のいずれかで見出される)、或いはBCLD関連の疾病又は疾患の徴候である任意の染色体異常を指す。
【0087】
「腫瘍」は、本明細書で使用されるように、すべての腫瘍細胞成長及び増殖、悪性又は良性に関わらず、すべての前癌状態の及び癌の細胞並びに組織を指す。本明細書で使用されるように、「腫瘍性である」は、調節不全の又は未制御の細胞増殖の任意の形態を指し、悪性又は良性に関わらず、異常な組織成長をもたらす。したがって、「腫瘍細胞」は、調節不全の又は未制御の細胞増殖がある、悪性及び良性の細胞を含む。
【0088】
「癌」、「癌の」は、典型的には未制御の細胞増殖を特徴とする、哺乳動物における生理学的な疾病を指す又はそのことを記載する。癌の例は、限定されないが、リンパ腫と白血病などのB細胞リンパ増殖性障害(BCLD)、及び固形腫瘍を含む。「B細胞に関連した癌」又は「B細胞系統のがん」によって、調節不全の又は未制御の細胞増殖がB細胞に関連する、任意のタイプの癌が意図される。
【0089】
癌という状況において「難治性である」により、特定の癌は、特定の治療薬による治療に耐性がある、又はそれに反応しないことが意図される。癌は、治療薬による処置期間の全体にわたって、又は治療薬によるその後の処置期間中に、特定の治療薬による処置の開始から(すなわち、治療薬に対する初期の曝露に反応しない)、或いは治療薬に対する抵抗性が進行した結果として、特定の治療薬による治療に対して難治性であり得る。
【0090】
「アゴニスト活性」によって、物質がアゴニストとして機能することが意図される。アゴニストは、細胞上の受容体と結合し、受容体の天然のリガンドによって開始されたものに類似或いはそれと同じ反応或いは活性を開始する。
【0091】
「アンタゴニスト活性」によって、物質がアンタゴニストとして機能することが意図される。Btkのアンタゴニストは、Btkによって媒介される反応の何れかの誘発を予防する又は減少させる。
【0092】
「著しい」アゴニスト活性によって、B細胞反応のアッセイにおいて測定されるような中性の物質又は陰性対照によって誘発されたアゴニスト活性よりも、少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%より多くのアゴニスト活性が意図される。好ましくは、「著しい」アゴニスト活性は、B細胞反応のアッセイにおいて測定されるような中性の物質又は陰性対照によって誘発されたアゴニスト活性よりも、少なくとも2倍大きい又は少なくとも3倍大きいアゴニスト活性である。したがって、例えば、対象のB細胞反応がB細胞の増殖である場合、「著しい」アゴニスト活性は、中性の物質又は陰性対照によって誘発されたB細胞の増殖のレベルよりも、少なくとも2倍大きい又は少なくとも3倍大きいB細胞の増殖のレベルの誘発である。
【0093】
「著しいアゴニスト活性がない」物質は、中性の物質又は陰性対照によって誘発されたアゴニスト活性より多くとも約25%より大きなアゴニスト活性を示し、好ましくは、B細胞反応のアッセイにおいて測定されるような中性の物質又は陰性対照によって誘発されたアゴニスト活性よりも、多くとも約20%より大きな、15%より大きな、10%より大きな、5%より大きな、1%より大きな、0.5%より大きな、又は更に多くとも約0.1%より大きなアゴニスト活性を示す。
【0094】
幾つかの実施形態において、Btk阻害剤治療薬は、アンタゴニスト抗Btk抗体(antagonist anti-Btk antibody)である。そのような抗体は、ヒト細胞におけるBtk抗原に結合された時、上述されるような著しいアゴニスト活性がない。本発明の1つの実施形態において、アンタゴニスト抗Btk抗体は、1つの細胞の反応において著しいアゴニスト活性がない。本発明の別の実施形態において、アンタゴニスト抗Btk抗体は、1以上の細胞の反応(例えば、増殖及び分化、又は増殖、分化、及びB細胞に関しては、抗体産生)のアッセイにおいて著しいアゴニスト活性がない。
【0095】
「Btkを媒介としたシグナル伝達」によって、直接的又は間接的にBtkの活性に依存する生物学的活性の何れかが意図される。Btkを媒介としたシグナル伝達の例は、Btk発現細胞の増殖及び生存、並びにBtk発現細胞内の1以上のBtkシグナル経路の刺激の原因となるシグナルである。
【0096】
Btk「シグナル経路」又は「シグナル伝達経路」は、少なくとも1つの生化学反応、又は生化学反応の群を意味するように意図され、それは、Btkの活性から結果として生じ、及びシグナル経路を通じて伝達された時にシグナル伝達カスケードの1以上の下流の分子の活性化の原因となる信号を発生する。シグナル伝達経路は、細胞の原形質膜にわたる、及び一連のシグナル伝達分子における1以上のものを通じる、細胞の細胞質を通じる、並びに幾つかの例において、細胞の核への、細胞表面からの信号の送信の原因となる、多くのシグナル伝達分子を含む。本発明に特に興味のあるものは、NF-κBシグナル経路を介してNF-κBの活性化を最終的に制御する(増強又は阻害する)、Btkシグナル伝達経路である。
【0097】
本発明の方法は、特定の実施形態において、癌を処置する方法において特定のBCLDバイオマーカーの発現又は存在を決定するために抗体を利用する、癌を処置する方法に向けられる。以下の用語及び定義はそのような抗体に適用する。
【0098】
「抗体」及び「免疫グロブリン」(Ig)は、同じ構造の特性を有する糖タンパク質である。用語は同義的に使用される。幾つかの実例において、免疫グロブリンの抗原特異性は既知である。
【0099】
用語「抗体」は、最も広範囲の意味において使用され、完全に組み合わさった抗体、抗原(例えば、Fab、F(ab’)2、Fv、単鎖抗体、二重特異性抗体(diabodies)、抗体キメラ、ハイブリッド抗体、二重特異性抗体(bispecific antibodies)、ヒト化抗体など)を結合できる抗体フラグメント、及び前述のものを含む組み換え型のペプチドを包含する。
【0100】
用語「単クローン抗体」及び「mAb」は、本明細書で使用されるように、抗体の実質的に均質の集団から得られた抗体を指し、すなわち、集団を含む個々の抗体は、小量で存在し得る突然変異を自然に発生させる可能性を除いては、同一である。
【0101】
「天然の抗体」及び「天然の免疫グロブリン」は、通常、約150,000ダルトンのヘテロ四量体の糖タンパク質であり、2つの同一の軽(L)鎖と2つの同一の重(H)鎖からなる。各軽鎖は1つの共有結合のジスルフィド結合によって重鎖に連結される一方で、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンのアイソタイプの重鎖の中で変化する。各重鎖及び軽鎖はまた、鎖内のジスルフィド架橋に規則的に間隔を置いた。各重鎖は、1つの末端にて、多くの定常領域に続く可変ドメイン(VH)を有する。各軽鎖は、1つの末端にて可変性のドメイン(VL)を、及びその他の末端にて定常領域を有する;軽鎖定常領域は、重鎖の最初の定常領域と一直線となり、軽鎖可変ドメインは、重鎖の可変性のドメインと一直線となる。特定のアミノ酸残基は、軽鎖及び重鎖の可変ドメイン間でインターフェースを形成すると考えられる。
【0102】
用語「可変」は、可変ドメインの特定の部分が抗体中の配列において広く異なるという事実を指す。可変領域は、抗原結合特異性を付与する。しかしながら、可変性は、抗体の可変性のドメインの至る所で均一に分配されない。それは、軽鎖及び重鎖の変異性のドメインの両方において、相補性決定領域(CDR)又は超可変領域と呼ばれる3つのセグメントにおいて濃縮される。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク(FR)領域において呼ばれる(celled)。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインの各々は、4つのFR領域を含み、主としてβ-プリーツシート構成を採用し、及びβ-プリーツシート構造に接続するループを形成し、幾つかの場合においてはその一部を形成する、3つのCDRによって接続される。各鎖におけるCDRは、FR領域によって極めて接近して共に保持され、他の鎖からのCDRにより、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.(1991)NIH PubL.No.91-3242,Vol.I,pages 647-669を参照)。定常領域は。抗体と抗原との結合に直接関係しないが、Fc受容体(FcR)結合、抗体依存性の細胞の毒性への抗体の関与、補体依存細胞毒性の開始、及びマスト細胞脱顆粒などの、様々なエフェクター機能を示す。
【0103】
用語「超可変領域」は、本明細書で使用された時、抗原結合の原因である抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、「相補性決定領域(complementarily determining region)」又は「CDR」からのアミノ酸残基を含む(すなわち、軽鎖の可変性のドメインにおいては残基24-34(L1)、50-56(L2)及び89-97(L3)、並びに重鎖の可変性のドメインにおいては31-35(H1)、50-65(H2)及び95-102(H3);Kabat et al.(1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed.Public Health Service,National Institute of Health, Bethesda, Md.)、及び/又は「超可変性のループ」からの残基を含む(すなわち、軽鎖可変ドメインにおいては残基26-32(L1)、50-52(L2)、及び91-96(L3)、並びに重鎖可変ドメインにおいては(H1)、53-55(H2)、及び96-101(13);Clothia and Lesk, (1987)J.Mol.Biol.,196:901-917)。本明細書で見なされるように、「フレームワーク」又は「FR」残基は、超可変領域の残留物以外の、それらの可変性のドメインの残基である。
【0104】
「抗体フラグメント」は、無傷の(intact)抗体、好ましくは無傷の抗体の抗原結合又は可変領域の一部を含む。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab、F(ab’)2、及びFvフラグメント;二重特異性抗体;線形の抗体(Zapata et al. (1995) Protein Eng. 10:1057-1062);単鎖抗体分子;及び抗体フラグメントから形成される多選択性抗体を含む。抗体のパパイン消化は、各々単一の抗原結合部位を備えた「Fab」フラグメントと、その名前が容易に結晶化する能力を反映する残余「Fc」フラグメントと呼ばれる、2つの同一の抗体の抗原結合性フラグメントを各々生成する。ペプシン処置は、2つの抗原結合部を有し、さらに抗原を架橋結合できる、F(ab’)2フラグメントをもたらす。
【0105】
「Fv」は、完全抗原認識及び結合部位を含む、最小の抗体フラグメントである。この領域は、堅い非共有結合の結合(association)において、1つの重鎖及び1つの軽鎖の可変性の領域の二量体から成る。個々の可変性のドメインの3つのCDRが、VH-VL二量体の表面上の抗原結合部位を定義するよう相互に作用することは、この構成におけるものである。総体として、6つのCDRは、抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、全結合部位よりも低い親和性にあるものの、単一の可変性のドメインさえ(あるいは抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)、抗原を認識して結合する能力を有する。
【0106】
Fabフラグメントはまた、軽鎖の定常領域及び重鎖の第1の定常領域(CH1)を含む。Fabフラグメントは、抗体ヒンジ領域から1つ以上のシステインを含む、重鎖CH1ドメインのカルボキシ終点にて少数の残基を追加することによって、Fab’フラグメントとは異なる。Fab’-SHは、定常領域のシステイン残基が遊離したチオール基を有する、Fab’に関する本明細書における指示である。Fab’フラグメントは、F(ab’)2フラグメントの重鎖ジスルフィド架橋を減少させることによって生成される。抗体フラグメントの他の化学的な共役も知られている。
【0107】
任意の脊椎動物種からの抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常領域のアミノ酸配列に基づき、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる、2つの明らかに異なる型のうちの1つに割り当てることができる。
【0108】
それらの重鎖定常領域のアミノ酸配列により、免疫グロブリンは異なるクラスに割り当てることができる。5つの主要なクラスのヒト免疫グロブリンがある:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM、並びにこれらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2へとさらに分けられ得る。異なるクラスの免疫グロブリンに相当する、重鎖定常領域は、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、及びミューと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造及び三次元の立体配置はよく知られている。異なるアイソタイプは、異なるエフェクター機能を有する。例えば、ヒトIgG1及びIgG3アイソタイプは、ADCC(抗体依存性細胞性細胞毒性)活性を有する。
【0109】
単語「ラベル」は、本明細書で使用される時、「標識化した」抗体を生成するために、抗体に直接又は間接的に結合される、検知可能な化合物又は組成物を指す。ラベルは、単独で検知可能であり(例えば、放射性同位元素のラベル又は蛍光のラベル)、又は酵素のラベルの場合において、検知可能な基質化合物又は組成物の化学変換を触媒し得る。本明細書で使用されるように、製剤、組成物、又は成分に関して、用語「許容可能な」又は「薬学的に許容可能な」は、処置を受ける被験体の全般的な健康に対し、持続的な有害な効果を及ぼさないこと、又は、化合物の生物活性又は特性を抑止せず、比較的無毒である、ということを意味する。
【0110】
本明細書で使用されるように、用語「アゴニスト」は、例えば、Btkなどのタンパク質に関する自然発生のリガンドの存在から結果として生じる生物活性と同じである、タンパク質の生物活性をもたらす存在である、化合物を指す。
【0111】
本明細書で使用されるように、用語「半アゴニスト」は、タンパク質に関する自然発生のリガンドの存在から結果として生じるのと同じタイプであるが、程度の低い、タンパク質の生体活性をもたらす存在である、化合物を指す。
【0112】
本明細書で使用されるように、用語「アンタゴニスト」は、タンパク質の生物活性の程度の減少をもたらす存在である、化合物を指す。特定の実施形態において、アンタゴニストの存在は、例えばBtkのようなタンパク質の生物活性の完全な抑制をもたらす。特定の実施形態において、アンタゴニストは、阻害剤である。
【0113】
本明細書で使用されるように、用語「ブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)」は、例えば、米国特許第6,326,469号に開示されるような、「ヒトからのブルトン型チロシンキナーゼを指す(GenBank Accession No. NP_000052)。
【0114】
用語「ブルトン型チロシンキナーゼ同族体」は、本明細書で使用されるように、ブルトン型チロシンキナーゼのオルソログ、例えば、マウス(GenBank Accession No. AAB47246)、イヌ(GenBank Accession No. XP_549139)、ラット(GenBank Accession No. NP_001007799)、ニワトリ(GenBank Accession No. NP_989564)、又はゼブラフィッシュ(GenBank Accession No. XP_698117)、及びブルトン型チロシンキナーゼの1以上の基質(例えばアミノ酸配列「AVLESEEELYSSARQ」を有するペプチド基質)に対してキナーゼ活性を示す、先述のものの何れかの融合タンパク質からのオルソログを指す。
【0115】
用語「同時投与」又は「併用投与」等は、本明細書で使用されるように、1人の患者への選択された治療薬の投与を包含することを意味し、治療薬が同じ又は異なる投与の経路によって、あるいは同じ又は異なる時間に投与される、処置レジメンを含むように意図される。
【0116】
用語「効果的な量」は、本明細書で使用されるように、リンパ球の亜群の血液の増加又は出現をもたらす(例えば、医薬品の減量)、投与されている十分な量のBtk阻害剤又はBtk阻害化合物を指す。例えば、診断及び/又は予後の使用に「効果的な量」は、過度の有害な副作用無しに、リンパ球の亜群の血液の増加又は出現を、臨床的に十分に減らすのに必要とされる、本明細書に開示されるような化合物を含む組成物の量である。任意の個々の場合において適切な「効果的な量」は、用量漸増試験などの技術を使用して決定され得る。
【0117】
用語「治療上効果的な量」は、本明細書で使用されるように、B細胞リンパ増殖性障害(BCLD)の1以上の症状をある程度まで和らげる、投与されている十分な量の薬剤又は化合物を指す。その結果、BCLDの徴候、症状、又は原因を減少及び/又は軽減し、あるいは、生物系の任意の他の所望の変化をもたらし得る。用語「治療に効果的な量」は、例えば、予防に効果的な量を含む。本明細書に開示される化合物の「効果的な量」は、過度の有害な副作用無しに、望ましい薬理学的効果又は治療の向上を達成するのに効果的な量である。「効果的な量」又は「治療上効果的な量」は、式(A)、式(B)、式(C)、又は式(D)の何れかの化合物の代謝、被験体の年齢、体重、一般状態、処置されている疾病、処置されている疾病の重症度、処方医師の判断における変化により、被験体ごとに異なり得ることが理解される。ほんの一例として、治療上効果的な量は、限定されないが用量増加臨床試験を含む、型通りの試験(routine experimentation)によって決定され得る。
【0118】
用語「増強する(enhannce)」又は「増強している(enhancing)」は、効力又は持続時間のいずれかにおいて、所望の効果を増加又は延長することを意味する。一例として、治療薬の効果を「増強すること」は、効力又は持続時間のいずれかにおいて、疾患、障害又は疾病の処置の間、治療薬の効果を増加又は延長する能力を指す。本明細書で使用されるように、用語「増強に効果的な量」は、疾患、障害又は疾病の処置において治療薬の効果を増強するのに適切な量を指す。患者に使用されると、この用途に効果的な量は、疾患、障害又は疾病の重篤度及び経過、以前の治療、患者の健康状態及び薬物に対する反応、処置する医師の判断に依存するであろう。
【0119】
本明細書で使用されるように、用語「同族のシステイン」は、本明細書で定義されるように、ブルトン型チロシンキナーゼのシステイン481のものと同族である配列の位置に見いだされたシステイン残基を指す。例えば、システイン482は、ブルトン型チロシンキナーゼのラットオルソログの同族のシステインである。システイン479は、ニワトリオルソログの同族のシステインである。及びシステイン481は、ゼブラフィッシュオルソログの同族のシステインである。別の例において、TXKの同族のシステイン、ブルトン型チロシンと関係するTecキナーゼファミリーは、システイン350である。また、kinase.com/human/kinome/phylogeny.htmlでワールド・ワイド・ウェブ上に公表されたチロシンキナーゼ(TK)の配列アラインメントを参照。
【0120】
本明細書で使用されるように、用語「同一」は、同じである2つ以上の配列又は部分列を指す。加えて、本明細書で使用されるように、用語「実質的に同一」は、比較ウィンドウ(comparison window)にわたる最大一致のために比較され位置を調整された時、又は、比較アルゴリズムを使用して、あるいは手作業による整列及び外観検査によって測定されたような領域を指定した時に同じになる、配列単位の割合を有する、2つ以上の配列を指す。ほんの一例として、2つ以上の配列は、連続する単位が、指定された領域上で、約60%同一、約65%同一、約70%同一、約75%同一、約80%同一、約85%同一、約90%同一、又は約95%同一である場合、「実質的に同一」である。前記割合は、2つ以上の配列の「百分率同一性」について記述するためのものである。配列の同一性は、少なくとも約75-100の連続単位の長さにある領域、約50の連続単位の長さである領域にわたり、又は、特に指定されず、全体の配列にわたって存在し得る。この定義はまた、試験配列の補体を指す。ほんの一例として、アミノ酸残基が同じ時、2つ以上のポリペプチド配列は同じである一方で、アミノ酸残基が、指定領域で、約60%同一、約65%同一、約70%同一、約75%同一、約80%同一、約85%同一、約90%同一、又は約95%同一であるならば、2つ以上のポリペプチド配列は、「実質的に同一」である。同一性は、少なくとも約75-100のアミノ酸の長さにある領域、約50のアミノ酸の長さである領域にわたり、又は、特に指定されず、ポリペプチド配列の全体の配列にわたって存在し得る。さらに、ほんの一例として、核酸残基が同じ時、2つ以上のポリヌクレオチド配列は同じである一方で、核酸残基が、指定領域で、約60%同一、約65%同一、約70%同一、約75%同一、約80%同一、約85%同一、約90%同一、又は、約95%同一であるならば、2つ以上のポリヌクレオチド配列は、「実質的に同一」である。同一性は、少なくとも約75-100の核酸の長さにある領域、約50の核酸の長さである領域、又は、特に指定されず、ポリヌクレオチド配列の全体の配列にわたって存在し得る。
【0121】
本明細書で使用されるように、キナーゼの用語「阻害する」、「阻害すること」又は「阻害剤」は、酵素のリン酸転移酵素活性の阻害を指す。
【0122】
本明細書で使用されるように、用語「不可逆性の阻害剤」は、標的タンパク質(例えばキナーゼ)との接触により、タンパク質に、あるいはタンパク質内に、新しい共有結合の形成を引き起こし、それによって、標的タンパク質の生物活性(例えばリン酸転移酵素活性)の1つ以上が、不可逆性の阻害剤の後続の存在又は欠如にもかかわらず減少されるか無効にされる、化合物を指す。
【0123】
本明細書で使用されるように、用語「不可逆性のBtk阻害剤」は、Btkのアミノ酸残基に共有結合を形成することができるBtkの阻害剤を指す。1つの実施形態において、Btkの不可逆性の阻害剤は、Btkのシステイン残基に共有結合を形成することができる。特定の実施形態において、不可逆性の阻害剤は、Btkのシステイン481残基(あるいはその同族体)又は別のチロシンキナーゼの同族の対応する位置にあるシステイン残基に共有結合を形成することができる。
【0124】
本明細書で使用されるように、用語「分離された」は、興味の無い構成成分から、興味のある構成成分を分離して除去することを指す。分離された物質は、乾燥状態、半乾燥状態で存在し、又は、限定されないが、水溶液を含む溶液内に存在し得る。分離された構成成分は、均質の状態で存在し、又は分離された構成成分は、追加の薬学的に許容可能な担体及び/又は賦形剤を含む医薬組成物の一部になりえる。ほんの一例として、核酸又はタンパク質が、自然状態で随伴する細胞成分の少なくとも幾つかに含まれていない時、又は、核酸又はタンパク質が、そのインビボ又はインビトロでの生産の濃度より高いレベルに濃縮された時、前記核酸又はタンパク質は、「分離される」。また、一例として、遺伝子を守り(flank)、興味のある遺伝子以外のタンパク質をコード化する読取枠から分離された時、遺伝子が分離される。
【0125】
本明細書に開示される化合物の「代謝物質」は、化合物が代謝されるときに形成される、その化合物の誘導体である。用語「活性代謝物」は、化合物が代謝されるときに形成される、化合物の生物学的に活性な誘導体を指す。本明細書で使用されるように、用語「代謝」は、有機体によって特定の物質が変化するプロセス(加水分解反応、及び、酸化反応のような、酵素によって触媒された反応などを含むが、これらに限定されない)の全体を指す。従って、酵素は、化合物への特定の構造的変化をもたらし得る。例えば、チトクロームP450は、様々な酸化反応及び還元反応を触媒する一方で、ウリジン二リン酸グルクロニルトランスフェラーゼは、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、カルボン酸、アミン、及び遊離スルフヒドリル基への、活性化グルクロン酸分子の転移を触媒する。代謝に関するさらなる情報は、The Pharmacological Basis of Therapeutics, 9th Edition, McGraw-Hill (1996)から得られ得る。本明細書に開示される化合物の代謝物質は、宿主への化合物の投与及び宿主からの組織サンプルの分析によって、又はインビトロでの肝細胞による化合物のインキュベーション、及び結果として生じる化合物の分析のいずれかによって確認され得る。どちらの方法も当該技術分野では周知である。幾つかの実施形態において、化合物の代謝物質は、酸化のプロセスによって形成され、対応するヒドロキシ含有化合物に相当する。幾つかの実施形態において、化合物は薬理学的に活性な代謝物に代謝される。
【0126】
用語「調節する」は、本明細書で使用されるように、ほんの一例として、標的の活性を増強する、標的の活性を阻害する、標的の活性を限定する、又は標的の活性を拡張することを含む、標的の活性を変化させるように、標的と直接的又は間接的のどちらかで相互作用することを意味する。
【0127】
本明細書で使用されるように、用語「モジュレーター」は、分子の活性を変化させる化合物を指す。例えば、モジュレーターは、モジュレーターのない場合の活性の規模と比較して、分子の特定の活性の規模の増加又は減少を引き起こし得る。特定の実施形態において、モジュレーターは、分子の1以上の活性の規模を減少させる阻害剤である。特定の実施形態において、阻害剤は、分子の1以上の活性を完全に防ぐ。特定の実施形態において、モジュレーターは、分子の少なくとも1つの活性の規模を増加させる活性化因子である。特定の実施形態において、モジュレーターの存在は、結果として、モジュレーターがない場合には生じない活性をもたらす。
【0128】
本明細書で使用されるように、用語「選択的な結合化合物」は、1以上の標的タンパク質の任意の部分に選択的に結合する化合物を指す。
【0129】
本明細書で使用されるように、用語「選択的に結合する」は、例えば、Btkなどの標的タンパク質に結合する、選択的結合化合物の能力を指し、その親和性は、非標的タンパク質に結合するよりも高い。特定の実施形態において、特異的結合は、非標的に対する親和性よりも、少なくとも10、50、100、250、500、1000倍高い又はそれ以上の親和性で標的に結合することを指す。
【0130】
本明細書で使用されるように、用語「選択的モジュレーター」は、非標的活性に対して標的活性を選択的に調節する化合物を指す。特定の実施形態において、特定のモジュレーターは、非標的活性より、少なくとも10、50、100、250、500、1000倍又はそれ以上の倍率の標的活性を調節することを指す。
【0131】
本明細書で使用されるように、用語「十分に精製された」は、精製前に興味のある構成成分に通常付随する又は相互に作用する、他の構成成分が十分に又は実質的に無い、興味のある構成成分を指す。ほんの一例として、興味のある構成成分は、興味のある構成成分の調合剤が、(乾重量に対して)約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、あるいは1%未満の汚染成分を含有している時、「十分に精製され」得る。したがって、「十分に精製された」興味のある成分は、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%以上の精製レベルを有することができる。
【0132】
本明細書で使用されるように、用語「被験体」は、処置、観察又は実験の対象である動物を指す。ほんの一例として、被験体は、限定されないが、ヒトに限定されない哺乳動物であり得る。
【0133】
本明細書で使用されるように、用語「標的活性」は、選択的モジュレーターによって調節される能力を有する生物活性を指す。特定の例示の標的活性は、結合親和性、シグナル伝達、酵素活性、腫瘍成長、B細胞リンパ球増殖性障害の病理学に関する特定のバイオマーカーに対する効果を含むが、これらに限定されない。
【0134】
本明細書で使用されるように、用語「標的タンパク質」は、分子、又は選択的な結合化合物によって結合される能力を有する分子の一部分を指す。特定の実施形態において、標的タンパク質は、Btkである。
【0135】
用語「処置する」、「処置すること」又は「処置」は、本明細書で使用されるように、疾患又は疾病、或いはその症状を軽減又は改善すること;疾患又は疾病、或いはその症状を管理すること;更なる症状を予防すること;症状の根底にある代謝の原因を改善又は予防すること;疾患又は疾病を阻害すること、例えば、疾患又は疾病の進行を妨げること;疾患又は疾病を和らげること;疾患又は疾病の回復を引き起こすこと、疾患又は疾病により引き起こされる状態を和らげること;或いは疾患又は疾病の症状を止めることを含む。用語「処置する」、「処置すること」又は「処置」は、予防的な及び/又は治療上の処置を含むが、これらに限定されない。
【0136】
本明細書で使用されるように、IC50は、前記反応を測定するアッセイにおいて、Btkの阻害のような、最大の反応の50%の阻害を達成する、特定の試験化合物の量、濃度又は投与量を指す。
【0137】
本明細書で使用されるように、EC50は、特定の試験化合物によって誘発され、引き起こされ、又は強められる、特定の反応の最大の発現の50%で用量依存性の反応を誘発する、特定の試験化合物の投与量、濃度又は量を指す。
【0138】
〈血液悪性腫瘍〉
特定の実施形態において、以下の工程を含む、それを必要とする個体における血液悪性腫瘍を処置する方法が、本明細書に開示される:(a)悪性腫瘍から複数の細胞を動態化するのに十分な不可逆性のBtk阻害剤の量を個体に投与する工程;及び(b)動態化された複数の細胞を分析する工程。幾つかの実施形態において、不可逆性のBtk阻害剤の量は、悪性腫瘍から複数の細胞のリンパ球増多症を誘発するのに十分である。幾つかの実施形態において、血液悪性腫瘍は、CLLである。幾つかの実施形態において、動態化された複数の細胞を分析する工程は、動態化された複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。幾つかの実施形態において、方法は、Btk阻害剤の投与の前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞の末梢血濃度が増加した後に、第2の癌処置レジメンを投与する工程をさらに含む。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンの投与は、動態化された複数の細胞度が続いて減少した後に生じる。幾つかの実施形態において、動態化された複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与の前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞の末梢血濃度の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態において、方法は、動態化された複数の細胞の末梢血濃度が所定の時間の長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを投与する工程をさらに含む。幾つかの実施形態において、動態化された複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数を数える工程を含む。幾つかの実施形態において、方法は、Btk阻害剤の投与の前の濃度と比較して、末梢血における動態化された複数の細胞の数が増加した後に、第2の癌処置レジメンを投与する工程をさらに含む。幾つかの実施形態において、第2の癌処置レジメンを投与する工程は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数が引き続き減少した後に生じる。幾つかの実施形態において、動態化された複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与の前の数と比較して、末梢血における動態化された複数の細胞の数の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態において、方法は、末梢血における動態化された複数の細胞の数が所定の長さの時間の間に増加した後、第2の癌処置レジメンを投与する工程をさらに含む。幾つかの実施形態において、血液悪性腫瘍は、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、危険の高いCLL、又は非CLL/SLLリンパ腫である。幾つかの実施形態において、血液悪性腫瘍は、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、辺縁帯リンパ腫、バーキットリンパ腫、非バーキット高度B細胞リンパ腫、又は結節外の辺縁帯B細胞リンパ腫である。幾つかの実施形態において、血液悪性腫瘍は、急性又は慢性の骨髄性(あるいは脊髄性)白血病、骨髄異形成症候群、又は急性リンパ芽球性白血病である。幾つかの実施形態において、血液悪性腫瘍は、再発性又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、再発性又は難治性のマントル細胞リンパ腫、再発性又は難治性の濾胞性リンパ腫、再発性又は難治性のCLL;再発性又は難治性のSLL;再発性又は難治性の多発性骨髄腫である。幾つかの実施形態において、血液悪性腫瘍は、危険の高いものとして分類される血液悪性腫瘍である。幾つかの実施形態において、血液悪性腫瘍は、危険の高いCLL又は危険の高いSLLである。
【0139】
B細胞リンパ増殖性障害(BCLD)は血液の新しい腫瘍で、とりわけ、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫および白血病を包含する。BCLDは、リンパ組織(リンパ腫の場合のように)、または骨髄(白血病と骨髄腫の場合のように)から生じることができる。また、それらはすべてリンパ球または白血球の無制約成長の何れかにより関係する。BCLDの多くの亜型が存在する(例えば、慢性リンパ性白血病(NHL)、非ホジキンリンパ腫(CLL))。BCLDの疾患方針および治療はBCLD亜型に依存する;しかしながら、各々の亜型内でさえ、臨床症状、形態の様相および治療に対する反応は不均質で存在する。
【0140】
悪性リンパ腫はリンパ組織内に主に存在する細胞の悪性形質転換で存在する。悪性リンパ腫の2つの基はホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫(NHL)で存在する。両方の型のリンパ腫は網内皮系の組織に侵入する。しかしながら、それらは、起点の腫瘍細胞、疾患の部位、全身病徴の存在、および治療(Freedmanら著、「Non-hdodgkin's Lymphomas」134章、(Cancer Medicine)(2003年に米国癌学会によって認可された刊行物)、B,C. Decker Inc. オンタリオ州、ハミルトン)に対する反応において異なる。
【0141】
〈非ホジキンリンパ腫〉
本明細書には、特定の実施形態において、そのニーズにより非ホジキンリンパ腫を処置する方法が記載されており、(a)個体に悪性腫瘍から複数の細胞を動態化する動態化するのに十分な不可逆性のBtk阻害剤の量を投与すること;および(b)細胞の動態化された複数を分析すること、を含む。幾つかの実施形態では、不可逆性のBtk阻害剤の量は悪性腫瘍から複数の細胞のリンパ球増多症を誘発するのに十分で存在する。幾つかの実施形態において、血液悪性腫瘍は、アポゴシポールで存在する。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は動態化された複数の細胞の末梢血濃度を測定することを含む。幾つかの実施形態では、方法はBtk阻害剤の投与の前に細胞増加の動態化された複数の末梢血濃度の後に濃度と比較して第2の癌処置レジメンを施行することをさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、動態化された複数の細胞の末梢血濃度の減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析はBtk阻害剤の投与の前に濃度と比較して動態化された複数の細胞の末梢血濃度の増加の期間を測定することを含む。幾つかの実施形態では、方法は動態化された複数の細胞の末梢血濃度が時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行することをさらに含む。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は末梢血中の動態化された複数の細胞の数を数えることを含む。幾つかの実施形態では、方法はBtk阻害剤の投与の前に末梢血増加で濃度と比較して動態化された複数の細胞の数の後に、第2の癌処置レジメンを施行することをさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、末梢血中の複数の動態化された細胞の数のその後の減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して末梢血における動態化された複数の細胞の数の増加の期間を測定することを含む。幾つかの実施形態では、方法は、所定の時間の長さの間に、動態化された末梢血中の複数の細胞の数が増加した後、第2の癌処置レジメンを施行することをさらに含む。
【0142】
さらに本明細書において、特定の実施形態において、それを必要とする個体における再発性、あるいは難治性の非ホジキンリンパ腫を治療する方法が開示されており、(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オン;幾つかの実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、再発性又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、再発性又は難治性のマントル細胞リンパ腫、再発性又は難治性の濾胞性リンパ腫で存在する。
【0143】
非ホジキンリンパ腫(NHL)は、目立っているB細胞起点で存在する悪性腫瘍の多様な基で存在する。NHLは、ひ臓、リンパ節または扁桃などリンパ系と関係する任意の器官で発達し得るか、任意の年齢で生じ得る。NHLは、リンパ節腫大、熱および体重損失によってしばしば特徴づけられ。NHLはB細胞またはT細胞NHLのいずれかとして分類される。骨髄または幹細胞移植に従うリンパ増殖性障害と関係するリンパ腫は、通常B細胞NHLで存在する。ワーキング・フォーミュレーション分類体系では、自然歴の価値によって、低いグレード、中間のグレード、及び高いグレードに分けられる(「Non-Hodgkin’s-Lymphoma Pathologic Classification Project」参照)(Cancer、49(1982):2112-2135頁参照)。低悪性度リンパ腫は、5~10年の中間の生存期間中央値を有し、無痛性で存在する(Horning及びRosenberg著(1984)”N.Engl.J.Med.”311:1471-1475頁)。化学療法は大多数の緩慢性リンパ腫中の緩解を誘発することができるが、治癒はまれであり、ほとんどの患者はさらなる治療を必要とするので、結局再発する。中間のグレード及び高いグレードの悪性リンパ腫は、より攻撃的な腫瘍で存在する。しかし、それらは、化学療法による治癒のためのより大きな可能性を有する。しかしながら、これらの患者は、著しい割合で再発し、さらなる治療を必要とする。
【0144】
B細胞NHLの限定しないリストは、バーキットリンパ腫(例えば、地方病性のバーキットリンパ腫(Endemic Burkitt’s Lymphoma)および散発性のバーキットリンパ腫(Sporadic Burkitt’s Lymphoma))、皮膚のB細胞リンパ腫(Cutaneous B-Cell-Lymphoma)、皮膚の辺縁リンパ腫(Cutaneous Marginal Zone Lymphoma(MZL))、びまん性大細胞型リンパ腫(DLBCL)、びまん性混合した小細胞および大細胞リンパ腫びまん性切れ込み細胞(Small Cleaved Cell)、びまん性小リンパ球性リンパ腫、結節外の辺縁領域B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、小切れ込み核細胞型濾胞性リンパ腫(Follicular Small Cleaved Cell)(グレード1)、小切れ込み核細胞型リンパ腫と大細胞濾胞性リンパ腫の混合型(グレード2)、大細胞型濾胞性リンパ腫(グレード3)、血管内の大B細胞リンパ腫(Intravascular Large B-Cell-Lymphoma)、血管内リンパ腫症、大免疫芽球性リンパ腫、大細胞リンパ腫(LCL)、リンパ芽球性リンパ腫、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、免疫芽細胞性大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)、結節外辺縁B細胞リンパ腫粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、縦隔の大きなB細胞リンパ腫(Mediastinal Large B-Cell-Lymphoma)、リンパ節辺縁B細胞性リンパ腫、脾臓の辺縁B細胞リンパ腫、第1の縦隔のB細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、ヘアリー・セル白血病、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症および第1の中枢神経系(CNS)リンパ腫。追加の非ホジキンリンパ腫は本発明の範囲内で熟考され、当業者には明らかで存在する。
DLBCL
【0145】
本明細書には、特定の実施形態において、必要とする個体内のDLCBLを処置する方法が開示されており、(a)個体に悪性腫瘍から複数の細胞を動態化するのに十分な不可逆性のBtk阻害剤の量を投与する工程;および(b)細胞の動態化された複数を分析する工程、を含む。幾つかの実施形態では、不可逆性のBtk阻害剤の量は悪性腫瘍から複数の細胞のリンパ球増多症を誘発するのに十分で存在する。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は動態化された複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞の末梢血濃度が増加した後に第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、動態化された複数の細胞の末梢血濃度のその後の減少後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与の前の濃度と比較して動態化された複数の細胞の末梢血濃度の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、動態化された複数の細胞の末梢血濃度が、時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数を数える工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、末梢血中の動態化された複数の細胞の、細胞の数が増加した後に第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、末梢血中の動態化された複数の細胞のその後の減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して末梢血における動態化された複数の細胞の数の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数が時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。
【0146】
本明細書で使用されているとおりの、「びまん性B細胞リンパ腫(DLBCL)」という用語は、びまん性の成長パターンおよび高い中間の増殖指数を有する胚中心Bリンパ球の腫瘍をいう。DLBCLは、すべてのリンパ腫のおよそ30%に相当し、胚中心細胞、免疫芽細胞、T細胞/組織球、未分化の亜型並びにお形質芽細胞の亜型を含むいくつかの形態論的変形を示し得る。遺伝子検査は、DLBCLの異なる亜型が存在することを示す。これらの亜型は、異なる外観(予後)および処置に対する反応を有するように見える。DLBCLは任意の年齢集団に影響を与え得るが、たいていは年を取った人々(平均年齢は60歳半ば)に生じる。
【0147】
本明細書では、特定の実施形態において、それを必要とする個体における、びまん性大B細胞リンパ腫、活性化したB細胞のような亜型(ABC-DLBCL)を処置する方法が開示されており、個体に、300mg/日から1000mg/日まで(1000mg/日を含む)の量の不可逆性のBtk阻害剤を投与する工程を含む。びまん性大B細胞リンパ腫(ABC-DLBCL)のABCの亜型は、プラズマの分化中に阻止されるポスト胚中心B細胞から生じると考えられる。DLBCL(ABC-DLBCL)のABCの亜型は、トータルで約30%のDLBCL診断を説明する。DLBCL分子の亜型およびそういうものとしてABC-DLBCLにより診断された患者の最も治癒の可能性が低いものが、他のタイプのDLCBLを持った個体と比較して、典型的には著しく減少した生存率を示す。ABC-DLBCLは、胚中心マスター調整剤BCL6を調整解除する染色体転座、およびPRDM1遺伝子を不活性化する突然変異に概して関係しており、プラズマ細胞分化に必要な転写抑制物質をコード化する。
【0148】
ABC-DLBCLの発生機序の特に関連するシグナル経路は、核因子(NF)-κB転写錯体によって媒介されたシグナル経路である。NF-κBファミリーは、5つのメンバー(p50、p52、p65、c-relおよびRelB)を含み、ホモダイマー及びヘテロダイマーを形成し、かつ様々な増殖、アポトーシス、炎症性および免疫反応を媒介する転写の因子として機能し、また正常なB細胞の発達および生存のために重大な意味を持つ。NF-κBは、細胞増殖と細胞生存を制御する遺伝子の調整剤として真核細胞によって広く使用される。そのため、様々なタイプのヒト腫瘍はNF-κBを誤規制した。すなわち、NF-κBは本質的に活性である。活性NF-κBは、細胞を増殖させ、さもなければアポトーシスによって死に至らしめる疾病から細胞を保護する遺伝子の発現を開始する。
【0149】
NF-kBへのABC DLBCLの依存性は、CARD11、BCL10およびMALT1(CBM錯体)で構成されたIkBキナーゼの上流のシグナル経路に依存する。CBM経路への干渉は、ABC DLBCL細胞のNF-kBシグナル伝達を消滅させ、アポトーシスを誘発する。NF-kB経路の恒常的活性の分子基盤は、現在の検査の対象であるが、ABC DLBCLのゲノムに対するいくつかの体細胞の変化は明らかにこの経路を起動する。例えば、DLBCLにおけるCARD11の多段コイル・ドメインの体細胞突然変異は、このシグナル伝達骨格蛋白質をレンダリングして、MALT1及びBCL10との蛋白質間相互作用から核を自然に形成することができ、その結果IKK活性およびNF-kB活性化を引き起こす。B細胞受容体シグナル経路の恒常的活性は、野生型CARD11を有するABC DLBCL内のNF-kBの活性化に影響を与え、これは、B細胞レセプタ・サブユニットCD79AおよびCD79Bの細胞質の尾の内部の突然変異に関係する。シグナル伝達アダプターMYD88内の腫瘍形成性の活性化する突然変異はNF-kBを活性化し、ABC DLBCL細胞の生存を維持する際にB細胞受容体シグナル伝達に相乗作用を及ぼす。加えて、NF-kB経路(A20)の負の調整剤で不活性化する突然変異が、ABC DLBCLにおいてほとんど排他的に生じる。
【0150】
実際には、NFーκBシグナル経路の複数の構成要素に影響を与える遺伝子変化が、最近ABC-DLBCL患者の50%以上で確認された。これらの病変は組成分であるNF-κB活性化を促進し、これによってリンパ腫成長に寄与する。これらは、MALT1及びBCL10と共にBCRシグナロソームを形成するCARD11(この場合の10%まで)の突然変異、リンパ球に特異的な細胞質の足場蛋白質を含み、抗原リセプターからNF-κB活性の下流のメディエータまで信号を中継する。さらに大きな小片の場合(30%まで)、負のNF-κB調整剤A20を不活性化する2対立遺伝子の遺伝の病変を運ぶ。さらにNF-κB標的遺伝子のハイレベルの発現が、ABC-DLBCL腫瘍サンプルで観察された。例えば、U.Kleinら著、(2008年)「Nature Reviews Immunology」8:22-23頁;R.E.Davisら著、(2001年)、「Jounal of Experimental Medicine」194:1861-1874頁;G. Lentzら著、(2008年)、「Science」319:1676-1679頁;M. Compagnoら著、(2009年)、「Science」459:712-721頁;および、L.Srinivasanら著、(2009年)、「Cell」139:573-586頁参照。
【0151】
OCI-Ly10などのABCの亜型のDLBCL細胞は、慢性の活性BCRシグナリングを有し、本明細書に記載されたBtk阻害剤に非常に敏感である。本明細書に記載された不可逆性のBtk阻害剤は、OCI-Ly10の成長を阻害する(EC50連続被曝=10nM、EC50(1時間のパルス)=50nM)。加えて、アポトーシスの誘発、カスパーゼ活性は、サブG0画分中のアネキシン-Vフローサイトメトリーおよび増加によって示されるように、OCILy10で観察される。敏感な細胞と耐性のある細胞の両方は、類似したレベルでBtkを発現し、蛍光標識親和プローブを使用して示されるように、Btkの活性部位は十分に阻害剤によって完全に占められる。OCI-Ly10細胞は、本明細書に記載されているBtk阻害剤によって従属的に阻害された投与量で存在するNF-kBにシグナリングする活性BCRを慢性的に有することが示される。本明細において研究された細胞系中のBtk阻害剤の活性は、BCR刺激を伴うものと、BCR刺激のないものの両方の、情報伝達特性(Btk、PLCγ、ERK、NF-kB、AKT)、サイトカイン分泌特性およびmRNA発現特性の比較により特徴づけられ、これらの特性において有意差が観察され、この有意差が、Btk阻害剤治療に対して最も敏感な患者を識別する臨床的なバイオマーカーへと導く。米国特許第7,711,492号、及びStaudtら著、「Nature」463巻、2010年1月7日、88-92頁参照。これらの内容は、その全体における引用によって本明細書に組み込まれた。
【0152】
〈濾胞性リンパ腫〉
本明細書には、特定の実施形態において、それを必要とする、個体における濾胞性リンパ腫を処置する方法が開示され、(a)個体に悪性腫瘍から複数の細胞を動態化するのに十分な不可逆性のBtk阻害剤の量を投与する工程;および、(b)動態化された複数の細胞を分析する工程、を含む。幾つかの実施形態では、不可逆性のBtk阻害剤の量は悪性腫瘍から複数の細胞のリンパ球増多症を誘発するのに十分である。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、動態化された複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞の末梢血濃度が増加した後に第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、動態化された複数の細胞の末梢血濃度のその後の減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞の末梢血濃度の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、動態化された複数の細胞の末梢血濃度が時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数を数える工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、末梢血における動態化された複数の細胞の数が増加した後に、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、末梢血中の動態化された複数の細胞の数の後に減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、末梢血における動態化された複数の細胞の数の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数が、時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。
【0153】
本明細書で使用されているとおりの、「濾胞性リンパ腫」という用語は、リンパ腫の細胞が小結節または小胞へクラスターに分けられるいくつかの型の非ホジキンリンパ腫のいずれかをいう。細胞はリンパ節中の環状のパターン、または節の存在するパターンで成長する傾向があるので、濾胞の用語が使用される。このリンパ腫を持った人々の平均年齢は約60歳である。
【0154】
〈CLL/SLL〉
本明細書には、特定の実施形態において、その必要とする、個体のCLLまたはSLLを処置する方法が開示されており、(a)個体に悪性腫瘍から複数の細胞を動態化するのに十分な不可逆性のBtk阻害剤の量を投与する工程;及び、(b)動態化された複数の細胞を分析する工程、を含む。いくつかの実施形態において、CLL又はSLLは、リスクが高い。幾つかの実施形態では、不可逆性のBtk阻害剤の量は、悪性腫瘍から複数の細胞のリンパ球増多症を誘発するのに十分である。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、動態化された複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞の末梢血濃度が増加した後に、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、動態化された複数の細胞の末梢血濃度のその後の減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与の前の濃度と比較して動態化された複数の細胞の末梢血濃度の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、動態化された複数の細胞の末梢血濃度が時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数を数える工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、末梢血における動態化された複数の細胞の数の増加後に第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、末梢血中の動態化された複数の細胞の数の後に減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血における動態化された複数の細胞の数の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数が、時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。
【0155】
慢性リンパ性白血病および小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)は、一般的に、わずかに異なる発現をもつ同一の疾患と考えられる。癌細胞が集まる場所が、CLLと呼ばれるか、或いはSLLと呼ばれるかを決定する。癌細胞がリンパ節、すなわちリンパ系(主として身体において見出される小さな道管のシステム)のアオイマメ形の構造)で主として見つかるとき、それはSLLと呼ばれる。SLLは、すべてのリンパ腫の約5%から10%を占める。ほとんどの癌細胞が血流と骨髄に存在するとき、それはCLLと呼ばれる。
【0156】
CLL(より一般的である)は、ゆっくりと成長する傾向があるが、CLLとSLLの両方は成長の遅い疾患である。CLLとSLLは同じ方法で処置される。それらは、普通、標準の治療により治癒できないが、疾患の段階と、成長速度に依存していると考えられ、ほとんどの患者は10年よりも長期間に生きている。時々、時間とともに、これらの成長の遅いリンパ腫はより攻撃的な型のリンパ腫に変形し得る。
【0157】
慢性リンパ性白血病(CLL)は最も一般的な型の白血病である。米国の100,760人がCLLと共に生きているか、CCLからの緩解を受け入れていると推測される。新しくCLLと診断されたほとんどの人々(>75%)は、50歳以上である。現在、CLL治療は、完全な治癒へ注目しているより、むしろ疾患とその症状を制御することに注目している。CLLは、化学療法、放射線療法、生物学的な治療または骨髄移植によって処置される。症状は、時として外科的に処置される(脾腫の脾摘除去)か、または放射線療法(「リンパ節腫脹の減量術(de-bulking)」)による。CLLは、ほとんどの場合ゆっくり進行するが、一般的には治癒不能と考えられる。特定のCLLは、ハイリスクに分類される。本明細書で使用されているとおりの、「ハイリスクCLL」とは、つぎの、1)17p13-;2) 11q22-;3)ZAP-70+及び/又はCD38+と共に未変異のIgVH;若しくは、4)トリソミー12、の少なくとも1つである。
【0158】
患者のクオリティオブライフに影響を与え得る点に疾患が進行したことを患者の臨床症状または血算が示すとき、CLL治療は典型的に投与される。
【0159】
小リンパ性白血病(SLL)は上述されたCLLに非常に類似しており、B細胞のがんである。SLLでは、異常なリンパ球は主としてリンパ節に影響を与える。しかしながら、CLLでは、異常細胞は主として血液と骨髄に影響を与える。ひ臓は両方の条件で影響を与えられるかもしれない。SLLは、非ホジキンリンパ腫のすべての場合の略1in25を占める。それが、青年期から老年までいかなる時も生じる場合が存在するが、50歳未満はまれである。SLLは緩慢性リンパ腫と考えられる。これは、その疾患が非常にゆっくり進行することを意味する。また、患者は、診断の何年も後に生きる傾向が存在する。しかしながら、ほとんどの患者は進んだ疾患と診断される。また、SLLは様々な化学療法薬物にかなり反応するが、それは一般に治癒不能と考えられる。いくつかのがんはいずれかの性別で、より頻繁に生じる傾向があるが、SLLによる、症例および死亡は男性と女性の間で均一に分割される。診断の時の平均年齢は60歳である。
【0160】
SLLは無痛性であるが、それは絶え間なく進行性する。この疾患の通常のパターンは、疾患緩解の期間で、放射線療法及び/又は化学療法に対す高い反応率のうちの1つである。これは後で避けられない回帰に従った数か月または年数である。再治療は、再び反応につながるが、再び、その疾患は再発する。これは、SLLの短期の予後は全くよいが、経時的に、多くの患者が再発性疾患の致命的な合併症になることを意味する。典型的には、CLL及びSLLと診断された個体の年齢を考えれば、患者のクオリティオブライフを妨げない最小の副作用を有する疾患の単純で有効な処置の技術にニーズが存在する。本発明は、当該技術のこの長期の継続的なニーズを満たすものである。
【0161】
〈マントル細胞リンパ腫〉
本明細書には、特定の実施形態において、個体内のマントル細胞リンパ腫を処置する方法が開示され、(a)個体に悪性腫瘍から複数の細胞を動態化するのに十分な不可逆性のBtk阻害剤の量を投与する工程;そして(b)細胞の動態化された複数を分析する工程を含む。幾つかの実施形態では、不可逆性のBtk阻害剤の量は悪性腫瘍から複数の細胞のリンパ球増多症を誘発するのに十分である。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は動態化された複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞中の末梢血濃度が増加した後に、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、動態化された複数の細胞の末梢血濃度のその後の減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞の末梢血濃度の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法、は動態化された複数の細胞の末梢血濃度が時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数を数える工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、末梢血中の動態化された複数の細胞の数が増加した後に、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、末梢血中の動態化された複数の細胞の数の後に減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の動態化された複数の細胞の数の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数が、時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。
【0162】
本明細書で使用されているとおりの「マントル細胞リンパ腫」という用語は、正常な胚中心濾胞を囲むマントルゾーン内のCD5の陽性の抗原-ナイーブ・プレガーミナル(naive pregarminal)中心B細胞によるB細胞リンパ腫の亜型をいう。MCL細胞は、一般にDNA内でのt(11:14)染色体転座によるサイクリンD1を過剰発現する。より具体的には、転位はt(11;14)(q13;q32)に存在する。リンパ腫のわずか約5%はこの型で存在する。細胞は培地に小さい大きさである。男性は最もしばしば影響を与えられる。患者の平均年齢は60年代の初めである。リンパ節、骨髄および何度も、ひ臓を含んでいるので、診断されるとき、リンパ腫は通常広範囲で存在する。マントル細胞リンパ腫は非常に急成長しているリンパ腫ではないが、処置するのが難しい。
【0163】
〈辺縁B細胞リンパ腫〉
本明細書には、特定の実施形態において、それを必要とする個体内の辺縁B細胞リンパ腫を処置する方法が開示されており、(a)個体に悪性腫瘍から複数の細胞を動態化するのに十分な不可逆性のBtk阻害剤の量を投与する工程;そして(b)細胞の動態化された複数を分析する工程、を含んでいる。幾つかの実施形態では、不可逆性のBtk阻害剤の量は悪性腫瘍から複数の細胞のリンパ球増多症を誘発するのに十分である。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は動態化された複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞の末梢血濃度が増加した後に、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、動態化された複数の細胞の末梢血濃度のその後の減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞の末梢血濃度の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、動態化された複数の細胞の末梢血濃度が時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数を数える工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、末梢血における動態化された複数の細胞の数の増加後に、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、末梢血中の動態化された複数の細胞の数のその後の減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与の前の数と比較して、末梢血中の動態化された複数の細胞の数の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数が、時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。
【0164】
本明細書で使用されているとおりの「辺縁B細胞リンパ腫」という用語は、関連するB細胞腫瘍の群をいい、当該腫瘍は、濾胞のマントルゾーンの外側の斑状の領域である辺縁領域のリンパ組織を含む。辺縁リンパ腫は、リンパ腫の約5%から10%を占める。これらのリンパ腫中の細胞は顕微鏡で小さく見える。3つの主要なタイプの辺縁リンパ腫が存在し、節外性辺縁B細胞性リンパ腫、リンパ節辺縁B細胞性リンパ腫および脾臓辺縁リンパ腫を含む。
【0165】
〈粘膜関連リンパ組織(MALT)〉
本明細書には、特定の実施形態において、それを必要とする、個体の粘膜関連リンパ組織を処置する方法が開示されており、(a)個体に悪性腫瘍から複数の細胞を動態化するのに十分な不可逆性のBtk阻害剤の量を投与する工程;そして(b)動態化された複数の細胞を分析する工程、を含む。幾つかの実施形態では、不可逆性のBtk阻害剤の量は、悪性腫瘍から複数の細胞のリンパ球増多症を誘発するのに十分である。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、動態化された複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞の末梢血濃度の増加後に、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、動態化された複数の細胞の末梢血濃度のその後の減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞の末梢血濃度の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、動態化された複数の細胞の末梢血濃度が時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数を数える工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、末梢血中の動態化された複数の細胞の数の増加後に第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、末梢血中の動態化された複数の細胞の数のその後の減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して末梢血中の動態化された複数の細胞の数の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数が、時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。
【0166】
本明細書に使用されているとおりの「粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫」という用語は、辺縁リンパ腫の結節外の発現をいう。少数が、最初は中間のグレードの非ホジキンリンパ腫(NHL)として示すか、或いはグレードの低い形態から発展するものの、ほとんどのMALTリンパ腫はグレードが低い。大抵のMALTリンパ腫は胃に生じる。また、胃のMALTリンパ腫のおよそ70%はヘリコバクター・ピロリ感染に関係する。いくつかの細胞遺伝学的異常が識別され、最も一般的なものはトリソミー3またはt(11;18)であった。これら他の多くのMALTリンパ腫は、また細菌またはウィルスにより感染に関連付けられた。MALTリンパ腫をもつ患者の平均年齢は約60である。
【0167】
〈リンパ節辺縁B細胞性リンパ腫〉
本明細書には、特定の実施形態において、それを必要とする、個体内のリンパ節辺縁B細胞性リンパ腫を処置する方法が開示されており、(a)個体に悪性腫瘍から複数の細胞を動態化するのに十分な不可逆性のBtk阻害剤の量を投与する工程;そして(b)動態化された複数の細胞を分析する工程、を含む。幾つかの実施形態では、不可逆性のBtk阻害剤の量は、悪性腫瘍から複数の細胞のリンパ球増多症を誘発するのに十分で存在する。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、動態化された複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法はBtk阻害剤の投与前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞の末梢血濃度の増加後に、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、動態化された複数の細胞の末梢血濃度のその後の減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞の末梢血濃度の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、動態化された複数の細胞の末梢血濃度が時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数を数える工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、末梢血中の動態化された複数の細胞の数の増加後に、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、末梢血中の動態化された複数の細胞の数のその後の減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して末梢血中の動態化された複数の細胞の数の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数が、時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。
【0168】
「リンパ節辺縁B細胞性リンパ腫」という用語は、たいていはリンパ節において見出される無痛性B細胞リンパ腫をいう。疾患はまれであり、すべての非ホジキンリンパ腫(NHL)の1%を占めるにすぎない。それは、男性より敏感な女性について、年を取った患者において最も一般的に診断される。突然変異がB細胞の辺縁で生じるので、その疾患は辺縁リンパ腫として分類される。リンパ節中のその制限により、結節点のものとして、この疾患も分類される。
【0169】
〈脾臓辺縁B細胞リンパ腫〉
本明細書には、特定の実施形態において、それを必要とする、個体内の脾臓の辺縁B細胞リンパ腫を処置する方法が開示されており、(a)個体に悪性腫瘍から複数の細胞を動態化するのに十分な不可逆性のBtk阻害剤の量を投与する工程;そして(b)動態化された複数の細胞を分析する工程、を含む。幾つかの実施形態では、不可逆性のBtk阻害剤の量は、悪性腫瘍から複数の細胞のリンパ球増多症を誘発するのに十分である。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、動態化された複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞中の末梢血濃度の増加後に、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、動態化された複数の細胞の末梢血濃度のその後の減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞の末梢血濃度の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、動態化された複数の細胞の末梢血濃度が時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数を数える工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、末梢血中の動態化された複数の細胞の数の増加後に、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、末梢血中の動態化された複数の細胞の数のその後の減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して末梢血中の動態化された複数の細胞の数の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数が、時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。
【0170】
「脾臓の辺縁B細胞リンパ腫」という用語は、世界保健機構の分類に組み入れられる特異的なグレードの低いB細胞リンパ腫をいう。特性は、脾腫の中程度リンパ球増多症であり、絨毛の存在する形態、様々な器官(とりわけ、骨髄)の洞様毛細血管内のパターン、および相対的な無痛性の経過を有している。芽細胞の形態の増加を有する腫瘍発達および攻撃行動は、少数の患者に観察される。分子・細胞遺伝学の研究は、恐らく標準化された診断基準の欠如のために不均質の結果を示した。
【0171】
〈バーキットリンパ腫〉
本明細書には、特定の実施形態において、その必要とする、個体内のバーキットリンパ腫を処置する方法が開示されており、(a)個体に悪性腫瘍から複数の細胞を動態化するのに十分な不可逆性のBtk阻害剤の量を投与する工程;そして(b)細胞の動態化された複数を分析する工程。幾つかの実施形態では、不可逆性のBtk阻害剤の量は、悪性腫瘍から複数の細胞のリンパ球増多症を誘発するのに十分で存在する。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、動態化された複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、複数の細胞中の末梢血濃度の増加後に、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、動態化された複数の細胞の末梢血濃度のその後の減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞の末梢血濃度の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、動態化された複数の細胞の末梢血濃度が時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数を数える工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、末梢血中の動態化された複数の細胞の数の増加後に、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、末梢血中の動態化された複数の細胞の数のその後の減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の動態化された複数の細胞の数の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数が、時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。
【0172】
「バーキットリンパ腫」という用語は、一般的に子供に影響を与える一種の非ホジキンリンパ腫(NHL)をいう。リンパ節以外の身体部分を頻繁に始め、かつ含むことはB細胞リンパ腫の非常に攻撃的な型である。急成長する性質にもかかわらず、バーキットリンパ腫は、多くの場合、現代の集中治療により治癒可能である。2つの広範囲の型のバーキットリンパ腫が存在する。すなわち、散発性の変種とで、固有の変種である。
【0173】
固有のバーキットリンパ腫:その疾患は、成人よりはるかかに子供を巻き込み、95%の症例でのエプスタイン-バーウイルス(EBV)感染と関係がある。主として生じるのは、赤道アフリカであり、すべての小児癌の約半分がバーキットリンパ腫である。顎骨を巻き込む可能性が高く、散発性のバーキットではまれな示唆的な特徴である。それは、また一般に腹部を巻き込む。
【0174】
散発性のバーキットリンパ腫:ヨーロッパと南北アメリカを含む世界の残りに影響を与えるバーキットリンパ腫の型は、散発性の型である。ここでまた、それは主として子供の疾患である。エプスタイン・バーウイルス感染の直接的な証拠は、5人の患者のうちの1人の患者に存在するが、エプスタイン-バーウイルス(EBV)間のリンクは固有の変種ほど強力ではない。リンパ節の関与以上に、子供の90%以上で顕著に影響を与えられるのは腹部である。骨髄の関与は散発性の変種よりも一般的である。
【0175】
〈ワルデンシュトレームマクログロブリン血症〉
本明細書には、特定の実施形態において、必要とする、個体のワルデンシュトレームマクログロブリン血症を処置する方法が開示されており、(a)個体に悪性腫瘍から複数の細胞を動態化するのに十分な不可逆性のBtk阻害剤の量を投与する工程;そして(b)動態化された複数の細胞を分析する工程、を含む。幾つかの実施形態では、不可逆性のBtk阻害剤の量は悪性腫瘍から複数の細胞のリンパ球増多症を誘発するのに十分である。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は動態化された複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞の末梢血濃度の増加後に、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、動態化された複数の細胞の末梢血濃度のその後の減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞の末梢血濃度の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、動態化された複数の細胞の末梢血濃度が時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数を数える工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、末梢血中で動態化された複数の細胞の数が増加した後に、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、末梢血中の動態化された複数の細胞の数のその後の減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の動態化された複数の細胞の数の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は末梢血中の動態化された複数の細胞の数が、時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。
【0176】
リンパ形質細胞性リンパ腫として知られている「ワルデンシュトレームマクログロブリン血症」という用語は、リンパ球と呼ばれる白血球の亜型に関係するがんである。それは、最終的に区別されたBリンパ球の抑制されないクローンの増殖を特徴とする。また、それは、免疫グロブリンM(IgM)と呼ばれる抗体を産生するリンパ腫細胞を特徴とする。IgM抗体は大量中の血液で循環し、血液の液体部をシロップのように厚くさせる。これは、多くの器官への減少した血流へと導くのであり、脳内の乏しい血流によって引き起こされた視力(目の背面の血管中の血行不良のために)および神経性の問題(頭痛、浮動性めまいおよび錯乱など)に関する問題を引き起こす場合がある。他の症状は、疲れと虚弱を感じること、および出血し易い傾向を含み得る。基礎をなす病因論は完全には理解されないが、多くの危険因子は染色体6上の位置6p21.3を含んで識別された。肝炎、ヒト免疫不全ウィルスおよびリケッチア症に関係する自己抗体および特に高いリスクを有する自己免疫性疾患の個人歴をもつ人々でのWMを発展させる2~3倍のリスク増加が存在する。
【0177】
〈多発性骨髄腫〉
本明細書には、特定の実施形態において、それを必要とする、個体内の骨髄腫を処置する方法が開示されており、(a)個体に悪性腫瘍から複数の細胞を動態化するのに十分な不可逆性のBtk阻害剤の量を投与する工程;そして(b)動態化された複数の細胞を分析する工程、を含む。幾つかの実施形態では、不可逆性のBtk阻害剤の量は悪性腫瘍から複数の細胞のリンパ球増多症を誘発するのに十分である。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は動態化された複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞の末梢血濃度の増加後に、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、動態化された複数の細胞の末梢血濃度の後に減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞の末梢血濃度の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、動態化された複数の細胞の末梢血濃度が時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は末梢血中の動態化された複数の細胞の数を数える工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、末梢血中の動態化された複数の細胞の数の増加後に、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、末梢血中の動態化された複数の細胞の数のその後の減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の動態化された複数の細胞の数の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数が、時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。
【0178】
本明細書には、特定の実施形態において、個体内の多発性骨髄腫を処置する方法が開示されており、(a)個体に悪性腫瘍から複数の細胞を動態化するのに十分な不可逆性のBtk阻害剤の量を投与する工程;そして(b)細胞の動態化された複数を分析する工程。幾つかの実施形態では、不可逆性のBtk阻害剤の量は悪性腫瘍から複数の細胞のリンパ球増多症を誘発するのに十分である。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、動態化された複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞の末梢血濃度の増加後に、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、動態化された複数の細胞の末梢血濃度のその後の減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞の末梢血濃度の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、動態化された複数の細胞の末梢血濃度が時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数を数える工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、末梢血中の動態化された複数の細胞の数の増加後に、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、末梢血中の動態化された複数の細胞の数の後に減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の動態化された複数の細胞の数の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数が、時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。
【0179】
MM、骨髄腫、プラズマ細胞骨髄腫、或いはカーレル病(オットー・ケーラー後)としても知られている多発性骨髄腫は、プラズマ細胞として知られている白血球のがんである。一種のB細胞である、プラズマ細胞は、ヒトおよび他の脊椎動物での抗体の産生の原因で存在する免疫系統の重大な一部である。それらは骨髄において生成され、リンパ系によって輸送される。
【0180】
〈白血病〉
本明細書には、特定の実施形態において、その必要とする、個体の白血病を処置する方法が開示されており、(a)個体に悪性腫瘍から複数の細胞を動態化するのに十分な不可逆性のBtk阻害剤の量を投与する工程;そして(b)細胞の動態化された複数を分析する工程、を含む。幾つかの実施形態では、不可逆性のBtk阻害剤の量は、悪性腫瘍から複数の細胞のリンパ球増多症を誘発するのに十分で存在する。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、動態化された複数の細胞の末梢血濃度を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法はBtk阻害剤の投与前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞の末梢血濃度の増加後に、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、動態化された複数の細胞の末梢血濃度のその後の減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、動態化された複数の細胞の末梢血濃度の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、動態化された複数の細胞の末梢血濃度が時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数を数える工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、末梢血中の動態化された複数の細胞の数の増加後に、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、第2の癌処置レジメンの施行が、末梢血中の動態化された複数の細胞の数のその後の減少の後に生じる。幾つかの実施形態では、動態化された複数の細胞の分析は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の動態化された複数の細胞の数の増加の期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態では、方法は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数が、時間の所定長さの間に増加した後、第2の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。
【0181】
白血病は、血液細胞、通常、白血球(白血球)の異常な増加によって特徴付けられた血液または骨髄のがんである。白血病とは、疾患の範囲をカバーする広い用語である。第一分裂はその急性形態と慢性の形態との間に存在する:(i)急性白血病は、未熟な血球の急速な増加を特徴とする。この密集は骨髄に健康な血球を生成させる。緊急治療は、悪性細胞の急速な進行および蓄積により、急性白血病において要求され、悪性細胞は、その後血流中に流れ、身体の他の器官に広がる。白血病の急性形態は子供の白血病の最も一般的な形態である;(ii)慢性白血病は、比較的成熟しているが、まだ異常な白血球から過度に構成されることによって識別される。典型的には、進行するには数か月または数年かかり、細胞は、正常細胞よりはるかに速い速度で産生され、結果として血液中に多くの異常な白血球を生じる。慢性白血病は、たいていは年を取った人々に生じるが、理論上任意の年齢集団に生じ得る。さらに、その疾患は、血球に影響を与える種類に従って細分化される。この分割は、リンパ芽球またはリンパ性白血病と、骨髄または骨髄性白血病とを分離する:(i)リンパ芽球またはリンパ性白血病、癌の変化は、次に通常リンパ球を形成する一種の骨髄細胞で起こる。それは免疫系の細胞と戦っている;(ii)骨髄または骨髄性白血病、癌の変化は、次に通常赤血球を形成する骨髄細胞の型、他のいくつかの型の白血球および血小板で起こる。
【0182】
これらの主なカテゴリー内で、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄白血病(AML)、慢性骨髄白血病(CML)およびヘアリー・セル白血病(HCL)を含むが、これらに限定されないくつかの下位のカテゴリーが存在する。
【0183】
〈Btk阻害剤〉
また本明細書には、被験体に、あくまでも一例として、BCLDなどのがんを処置する方法が提示され、被験体はBtk阻害剤の薬を飲むレジメンにより処置された。本明細書に記載された方法で使用するのに適している可逆性のBtk化合物の以下の記載において、標準的な化学用語に言及した定義が、Carey及びSundberg著、「Advanced Organic Chenistry 4th Ed.Vols.A (2000)およびB(2001)、Plenum Press、ニューヨーク」を含む参考資料に見出され得る(本明細書において、他の方法で定義されていない場合)。特に指示のない限り、当業者においては、質量分析、NMR、HPCL、タンパク質化学、生化学、組換え型DNA技術及び薬理学の従来の方法が用いられる。さらに、Btk(例えば、ヒトBtk)のための核酸およびアミノ酸シーケンスは、例えば、米国特許第6,326,469号に開示されたとおりの技術において知られている。具体的な定義が提供されない限り、本明細書に記載される、分析化学、有機合成化学、および医薬品化学及び薬化学に関連して用いられる専門語、およびそれらの検査法及び技術は当該技術分野に公知のもので存在する。標準的な技術は、化学合成、化学分析、医薬の調整、製剤、及び送達、及び患者の処置に使用され得る。
【0184】
本明細書に記載されているBtk阻害剤化合物は、Btkにおけるシステイン481のアミノ酸配列順序位置へ相同性のチロシンキナーゼのアミノ酸配列順序位置の中にシステイン残留物を有しているBtkとキナーゼのために選択的に存在する。一般に、本明細書に記載されている方法においてBtk使用されるBtkの不可逆阻害化合物は、インビトロのアッセイ、例えば、非細胞生化学的アッセイ、又は、細胞機能的アッセイの中において、同定又は特徴づけられる。前記アッセイは、不可逆性のBtk阻害化合物用のインビトロのIC50を測定するのに有用である。
【0185】
例えば、無細胞キナーゼ・アッセイは、候補の不可性Btk阻害化合物のさまざまな濃度が欠如又は存在しているキナーゼのインキュベーションの後にBtk活性を測定するために使用される。候補化合物が実際に不可逆性のBtk阻害剤であれば、Btkキナーゼ活性は、阻害剤遊離媒体での繰り返し洗浄によって回復されないだろう。例えば、のJ.B.Smaillら著(1999)、J.Med.Chem.42(10):1803-1815頁を参照。さらに、Btkと候補不可逆性のBtk阻害剤との間の共有結合型錯体組成は、当該技術において知られた多くの方法(例えば、質量分析法)によって容易に測定され得る、Btkの不可逆性阻害の有用な指標である。例えば、幾つかの不可逆性のBtk-阻害化合物は、前述されたシステイン残基(例えば、マイケル反応を介して)を備えた共有結合を形成する。
【0186】
Btk阻害のための細胞の機能のアッセイは候補不可逆性のBtk阻害化合物のさまざまな濃度が欠如または存在で細胞系(例えば、ラモスの細胞のBCR活性化)中のBtkを媒介とした経路を刺激することに応じて1つ以上の細胞の終了点を測定することを含む。BCR活性化に対する反応を測定ための有用な終了点は、例えば、Btkの自動リン酸化、Btk標的蛋白(例えばPLC-γ)のリン酸化および細胞質のカルシウム・フラックスを含む。
【0187】
多くの、無細胞生化学的アッセイ(例えば、キナーゼ・アッセイ)と、細胞機能的アッセイ(例えば、カルシウム流出)と、に対する高生産性アッセイは、当業者には周知である。さらに、ハイスループットスクリーニング・システムは、市販で入手可能で存在する(例えば Zymark Corp., Hopkinton, MA; Air Technical Industries, Mentor, OH; Beckman Instruments, Inc. Fullerton, CA; Precision Systems, Inc., Natick, MA等を参照)。これらのシステムは、典型的には、アッセイに適切な検出器中のマイクロプレートでの、全てのサンプルと試薬のピペッティング、液体調剤、時限のインキュベーション、最終的な数値の読み取り、を含む全体の手順を自動化する。自動システムは、それによって、不可逆性のBtk化合物の多数の同定および特性付けを過度の努力をせずに可能にする。
【0188】
幾つかの実施形態では、Btk阻害剤は、小さな有機分子、高分子、ペプチドまたは非ペプチドから成る群から選択される。
【0189】
幾つかの実施形態では、本明細書に提供されたBtk阻害剤は可逆性または不可逆性の阻害剤である。特定の実施形態において、Btk阻害剤は不可逆性阻害剤である。
【0190】
いくつかの実施形態では、不可逆性のBtk阻害剤は、Bruton型チロシンキナーゼ、Bruton型チロシンキナーゼ相同またはBtkチロシンキナーゼシステイン相同のシステイン側鎖を有する共有結合を形成する。
【0191】
不可逆性のBtk阻害剤化合物は、前述の症状(例えば、自己免疫疾患、炎症性疾患、アレルギー障害、B細胞の増殖の障害または血栓塞栓障害)のいずれかを処置するための薬剤の製造に使用することができる。
【0192】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載された方法のために使用される不可逆性のBtk阻害剤化合物は、Btkまたは10μM未満のインビトロのIC50を有するBtk相同キナーゼ活性を阻害する。(例えば、1μM未満、0.5μM未満、0.4μM未満、0.3μM未満、0.1μM未満、0.08μM未満、0.06μM未満、0.05μM未満、0.04μM未満、0.03μM未満、0.02μM未満、0.01μM未満、0.008μM未満、0.006μM未満、0.005μM未満、0.004μM未満、0.003μM未満、0.002μM未満、0.001μM未満、0.00099μM未満、0.00098μM未満、0.00097μM未満、0.00096μM未満、0.00095μM未満、0.00094μM未満、0.00093μM未満、0.00092μM未満、又は0.00090μM未満)一実施形態では、不可逆性Btk阻害化合物は、選択的に、そして不可逆的に、その標的チロシンキナーゼ(例えばチロシンキナーゼの燐酸化された形態)の活性化された形態を阻害する。例えば、活性化されたBtkは、チロシン551でトランスリン酸化されている。したがって、これらの実施形態では、一度標的キナーゼがシグナル伝達イベントによって活性化されさえすれば、不可逆性のBtk阻害剤は、細胞内の標的キナーゼを阻害する。
【0193】
他の実施形態では、本明細書に記載された補法に使用されるBtk阻害剤は、式(A)、式(B)、式(C)、式(D)、式(E)または式(F)のいずれかの構造を有している。また、本明細書に記載されているのは、前記化合物の、薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒化合物、薬学的に活性な代謝物、および薬学的に許容可能なプロドラッグで存在する。少なくとも1つのそのような化合物、またはそのような化合物の薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能な溶媒化合物、薬学的に活性な代謝物、および薬学的に許容可能なプロドラッグを含む医薬組成物が提供される。幾つかの実施形態では、本明細書に開示された化合物が、酸化可能な窒素原子を包含しているとき、当該技術において知られた方法によって、窒素原子は、N-酸化物に変換され得る。特定の実施形態では、式(A)、式(B)、式(C)、式(D)、式(E)、または式(F)の何れかによって表わされた構造を有する化合物の、異性体および化学的に保護された形態のものが、提供される。
【0194】
式(A)は以下のとおりである:
【0195】
【0196】
式中、Aは、NまたはCR5から独立して選択され;
R1は、H、L2-(置換または非置換のアルキル)、L2-(置換または非置換のシクロアルキル)、L2-(置換または非置換のアルケニル)、L2-(置換または非置換のシクロアルケニル)、L2-(置換または非置換の複素環式化合物)、L2-(置換または非置換のヘテロアリール)、L2-(置換または非置換のアリール)であり、ここで、L2は、単結合、O、S、-S(=O)、-S(=O)2、C(=O)、-(置換または非置換のC1-C6アルキル)、あるいは-(置換または非置換のC2-C6アルケニル)であり;
R2とR3は、H、低級アルキル、そして置換低級アルキルから独立して選択され;
R4は、L3-X-L4Gであり、ここで、L3は、随意であり、存在する場合、単結合、随意の任意に置換されたアルキル、随意の任意に置換されたシクロアルキル、随意の任意に置換されたアルケニル、随意の任意に置換されたアルキニルであり;
Xは、随意であり、存在する場合、単結合、O、-C(=O)、S、-S(=O)、-S(=O)2、-NH、-NR9、-NHC(O)、-C(O)NH、-NR9C(O)、-C(O)NR9、-S(=O)2NH、-NHS(=O)2、-S(=O)2NR9、-NR9S(=O)2、-OC(O)NH-、-NHC(O)O、-OC(O)NR9、-NR9C(O)O、-CH=NO-、-ON=CH-、-NR10C(O)NR10-、ヘテロアリール、アリール、-NR10C(=NR11)NR10-、- NR10C(=NR11)-、-C(=NR11)NR10-、-OC(=NR11)-、または、-C(=NR11)O-であり;
L4は、随意のものであり、また、存在する場合、単結合、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のアルケニル、置換または非置換のアルキニル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換の2複素環式化合物であり;
または、一緒に得られたL3、XおよびL4は、複素環を包含している窒素を形成し;
Gは、
【0197】
【0198】
であり、ここで、R6、R7及びR8は、H、低級アルキルまたは置換の低級アルキル、低級ヘテロアルキルまたは置換低級ヘテロアルキル、置換または非置換の低級シクロアルキル、および置換または非置換の低級ヘテロシクロアルキルの中から独立して選択され;
R5は、H、ハロゲン、-L6-(置換または非置換のC1-C3アルキル)、-L6-(置換または非置換のC2-C4アルケニル)、-L6-(置換または非置換のヘテロアリール)、または-L6-(置換または非置換のアリール)であり、ここで、L6は、単結合、O、S、-S(=O)、S(=O)2、NH、C(O)、-NHC(O)O、-OC(O)NH、-NHC(O)、または、-C(O)NHであり;
各R9は、H、置換または非置換の低級アルキル、および置換または非置換の低級シクロアルキルの中から独立して選択され;
各R10は、独立的に、H、置換または非置換の低級アルキル、または、置換または非置換の低級シクロアルキルであり;または、
2つのR10基は、一緒に、5、6、7又は8員環複素環を形成することができ;または、
R9とR10は、一緒に、5、6、7又は8員環複素環を形成することができ;または、
各R11は、H、-S(=O)2R8、-S(=O)2NH2、-C(O)R8、-CN、-NO2、ヘテロアリールまたはヘテロアルキルから独立して選択され;そして、前記化合物は、前記構成の、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容可能な溶媒化合物、薬学的に許容可能な塩、または、薬学的に許容可能なプロドラッグを備えている。
【0199】
一態様において、式(A1)の構造を有する化合物が開示され、
式(A1)は、
【0200】
【0201】
であり、
Aは、NまたはCR5から独立して選択され;
R1は、H、L2-(置換または非置換のアルキル)、L2-(置換または非置換のシクロアルキル)、L2-(置換または非置換のアルケニル)、L2-(置換または非置換のシクロアルケニル)、L2-(置換または非置換の複素環式化合物)、L2-(置換または非置換のヘテロアリール)、L2-(置換または非置換のアリール)であり、ここで、L2は、単結合、O、S、-S(=O)、-S(=O)2、C(=O)、-(置換または非置換のC1-C6アルキル)、あるいは-(置換または非置換のC2-C6アルケニル)であり;
R2とR3は、H、低級アルキル及び置換の低級アルキルから独立して選択され;
R4は、L3-X-L4-Gであり、ここで、L3は、随意のものであり、また、存在する場合には単結合、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリールまたはアルキルヘテロシクロアルキルから選択された随意の置換基であり;
Xは、随意であり、存在する場合、単結合、O、-C(=O)、S、-S(=O)、-S(=O)2、-NH、-NR9、-NHC(O)、-C(O)NH、-NR9C(O)、-C(O)NR9、-S(=O)2NH、-NHS(=O)2、-S(=O)2NR9、-NR9S(=O)2、-OC(O)NH-、-NHC(O)O、-OC(O)NR9、-NR9C(O)O、-CH=NO-、-ON=CH-、-NR10C(O)NR10-、ヘテロアリール、アリール、-NR10C(=NR11)NR10-、-NR10C(=NR11)-、-C(=NR11)NR10-、-OC(=NR11)-、または、-C(=NR11)O-であり;
L4は、随意のものであり、また、存在する場合は、単結合、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換された複素環式化合物であり;
または、一緒に得られたL3、XおよびL4は、複素環を包含している窒素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、またはアルキルヘテロシクロアルキルから選択された随意の置換基を形成しており;
Gは、
【0202】
【0203】
であり、ここで、Raは、H、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のシクロアルキルであり;そして、また、R7とR8は、Hであり;
R6は、H、置換または非置換のC1-C4アルキル、置換または非置換のC1-C4ヘテロアルキル、C1-C8アルキルアミノアルキル、置換または非置換のC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のC1-C8アルキルC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のC2-C8ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、C1-C4アルキル(アリール)、C1-C4アルキル(ヘテロアリール)、C1-C8アルキルエーテル、または、C1-C4アルキル(C2-C8ヘテロシクロアルキル)であり;
R6とR8は、Hであり;
R7は、H、置換または非置換のC1-C4アルキル、置換または非置換のC1-C4ヘテロアルキル、C1-C8アルキルアミノアルキル、C1-C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、置換または非置換のC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のC1-C8アルキルC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のC2-C8ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、C1-C4アルキル(アリール)、C1-C4アルキル(ヘテロアリール)、C1-C8アルキルエーテル、C1-C8アルキルアミド、またはC1-C4アルキル(C2-C8ヘテロシクロアルキル)であり;または、
R6とR8は、単結合を形成し;
R7は、H、置換または非置換のC1-C4アルキル、置換または非置換のC1-C4ヘテロアルキル、C1-C8アルキルアミノアルキル、C1-C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1-C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換または非置換のC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のC1-C8アルキルC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のC2-C8ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、C1-C4アルキル(アリール)、C1-C4アルキル(ヘテロアリール)、C1-C8アルキルエーテル、C1-C8アルキルアミド、またはC1-C4アルキル(C2-C8ヘテロシクロアルキル)であり;または、
R5は、H、ハロゲン、-L6-(置換または非置換のC1-C3アルキル)、-L6-(置換または非置換のC2-C4アルケニル)、-L6-(置換または非置換のヘテロアリール)、あるいは-L6-(置換または非置換のアリール)であり、ここで、L6は、単結合、O、S、-S(=O)、S(=O)2、NH、C(O)、- NHC(O)O、-OC(O)NH、-NHC(O)または-C(O)NHであり;
各R9は、H、置換または非置換の低級アルキル、および置換または非置換の低級シクロアルキルの中から独立して選択され;
各R10は、独立的に、H、任意に置換された低級アルキル、または、任意に置換された低級シクロアルキルであり;または、
2つのR10基は、一緒に、5、6、7又は8員環複素環を形成することができ;または、
R9とR10は、一緒に、5、6、7又は8員環複素環を形成することができ;または、
各R11は、H、-S(=O)2R8、-S(=O)2NH2、-C(O)R8、-CN、-NO2、ヘテロアリールまたはヘテロアルキルから独立して選択され;そして、前記化合物は、前記構成の、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容可能な溶媒化合物、薬学的に許容可能な塩、または、薬学的に許容可能なプロドラッグを備えている。
【0204】
別の実施形態では、式(A1)の化合物の薬学的に許容可能な塩が、提供される。ほんの一例として、前記塩は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸のような無機酸、あるいは、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸又はマロン酸のような有機酸、によって作られたアミノ基の塩で存在する。さらなる塩は、カウンターイオンが以下の陰イオン、即ちアジパート、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパルテート、ベンゼンスルフォナート、安息香酸塩、重硫酸塩、硼酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホネート、シトラート、シクロペンタンプロピオナート、ジグルコン酸、硫酸ドデシル、エタンスルフォナート、蟻酸、フマル酸、グルコヘプトネート、グリセロ燐酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸、ヘプタノアート、ヘキサノアート、ヒドロヨージド、2-ヒドロキシ-エタンスルフォナート、ラクトビオン酸、乳酸塩、ラウリン酸、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸、マレイン酸、マロナート、メタンスルフォナート、2-ナフタレンスルフォナート、ニコチネート、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモエート、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-プロピオン酸フェニル、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバレート、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、琥珀酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルフォナート、ウンデカノアートおよび吉草酸塩等を含んでいる。さらに、塩は、カウンターイオンが以下の陽イオン、即ちナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムおよび第四級アンモニウム基(少なくとも1つの有機的な部分によって置換された)陽イオン等のものを含んでいる。
【0205】
別の実施形態では、蟻酸エステル、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、アクリル酸塩およびエチルコハク酸塩からエステル基が選択されるものを含む式(A1)の化合物の薬学的に許容可能なエステルが存在する。
【0206】
別の実施形態では、式(A1)の化合物の薬学的に許容可能なカルバマートが存在する。別の実施形態では、式(A1)の化合物の薬学的に許容可能なNアシル誘導体が存在する。N-アシル基の例は、N-アセチル基およびN-エトキシカルボニル基を含んでいる。
【0207】
さらなる実施形態において、式(B)の構造を有する式(A)の化合物が存在する:
【0208】
【0209】
式中、Yは、アルキレン、置換アルキレン、または、4、5又は6員環シクロアルキレンであり;
各Raは、独立的に、H、ハロゲン、-CF3、-CN、-NO2、OH、NH2、-La-(置換または非置換のアルキル)、-La-(置換または非置換のアルケニル)、-La-(置換または非置換のヘテロアリール)、あるいは-La-(置換または非置換のアリール)であり、ここで、Laは、単結合、O、S、-S(=O)、-S(=O)2、NH、C(O)、CH2、-NHC(O)O、-NHC(O)または-C(O)NHであり;
Gは、
【0210】
【0211】
であり、ここで、R6、R7とR8は、H、低級アルキルまたは置換の低級アルキル、低級ヘテロアルキルまたは置換の低級ヘテロアルキル、置換または非置換の低級シクロアルキル、置換または非置換の低級ヘテロシクロアルキルの中から独立して選択され;
R12は、H、または低級アルキルであり;または、一緒に得られたYとR12は、4、5又は6員環複素環を形成し;そして、前記化合物は、前記構成の、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容可能な溶媒化合物、薬学的に許容可能な塩、または、薬学的に許容可能なプロドラッグを備えている。
【0212】
さらなる実施形態において、Gは、
【0213】
【0214】
から選択される。
【0215】
さらなる実施形態において、
【0216】
【0217】
は、
【0218】
【0219】
から選択される。
【0220】
さらなる実施形態では、式(A1)の化合物には、次の式(B1)の構造を有する。即ち、
【0221】
【0222】
式中、Yは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキレンアリーレン、アルキレンヘテロアリーレン、アルキレンヘテロシクロアルキレンの中から選択された随意の置換基であり;
各Raは、独立的に、H、ハロゲン、-CF3、-CN、-NO2、OH、NH2、-La-(置換または非置換のアルキル)、-La-(置換または非置換のアルケニル)、-La-(置換または非置換のヘテロアリール)、あるいは-La-(置換または非置換のアリール)であり、ここで、Laは、単結合、O、S、-S(=O)、-S(=O)2、NH、C(O)、CH2、-NHC(O)O、-NHC(O)または-C(O)NHであり;
Gは、
【0223】
【0224】
【0225】
であり、ここで、Raは、H、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のシクロアルキルであり;そして、また、R7とR8は、Hであり;
R6は、H、置換または非置換のC1-C4アルキル、置換または非置換のC1-C4ヘテロアルキル、C1-C8アルキルアミノアルキル、C1-C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1-C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換または非置換のC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のC1-C8アルキルC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のC2-C8ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、C1-C4アルキル(アリール)、C1-C4アルキル(ヘテロアリール)、C1-C8アルキルエーテル、C1-C8アルキルアミド、またはC1-C4アルキル(C2-C8ヘテロシクロアルキル)であり;
R6とR8は、Hであり;
R7は、H、置換または非置換のC1-C4アルキル、置換または非置換のC1-C4ヘテロアルキル、C1-C8アルキルアミノアルキル、C1-C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、置換または非置換のC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のC1-C8アルキルC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のC2-C8ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、C1-C4アルキル(アリール)、C1-C4アルキル(ヘテロアリール)、C1-C8アルキルエーテル、C1-C8アルキルアミド、またはC1-C4アルキル(C2-C8ヘテロシクロアルキル)であり;または、
R6とR8は、単結合を形成し;
R7は、H、置換または非置換のC1-C4アルキル、置換または非置換のC1-C4ヘテロアルキル、C1-C8アルキルアミノアルキル、C1-C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1-C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換または非置換のC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のC1-C8アルキルC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のC2-C8ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、C1-C4アルキル(アリール)、C1-C4アルキル(ヘテロアリール)、C1-C8アルキルエーテル、C1-C8アルキルアミド、またはC1-C4アルキル(C2-C8ヘテロシクロアルキル)であり;
R12は、H、または低級アルキルであり;または、一緒に得られたYとR12は、4、5又は6員環複素環を形成し;
そして、前記化合物は、前記構成の、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容可能な溶媒化合物、薬学的に許容可能な塩、または、薬学的に許容可能なプロドラッグを備えている。
【0226】
さらなる実施形態において、Gは、
【0227】
【0228】
から選択され、ここで、Rは、H、アルキル、アルキルヒドロキシ、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、アルキルアルコキシ、アルキルアルコキシアルキルで存在する。
【0229】
さらなる実施形態において、
【0230】
【0231】
は、
【0232】
【0233】
から選択される。
【0234】
さらなる実施形態において、式(B)の化合物は、つぎの式(C)の構造を有する:
【0235】
【0236】
Yは、アルキレン、置換アルキレン、または、4、5又は6員環シクロアルキレンであり;
R12は、H、または低級アルキルであり;
または、一緒に得られたYとR12は、4、5又は6員環複素環を形成し;
Gは、
【0237】
【0238】
であり、ここで、R6、R7とR8は、H、低級アルキル、置換低級アルキル、低級ヘテロアルキルまたは置換低級ヘテロアルキル、置換または非置換の低級シクロアルキル、置換または非置換の低級ヘテロシクロアルキルの中から独立して選択され;そして、前記化合物は、前記構成の、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容可能な溶媒化合物、薬学的に許容可能な塩、または、薬学的に許容可能なプロドラッグを備えている。
【0239】
さらなる実施形態において、式(B1)の化合物は、次の式(C1)の構造を有する。即ち、
【0240】
【0241】
Yは、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルキルヘテロアリール、アルキルヘテロシクロアルキルの中から選択された随意の置換基であり;
R12は、H、または低級アルキルであり;または、
一緒に得られたYとR12は、4、5又は6員環複素環を形成し;
Gは、
【0242】
【0243】
ここで、Raは、H、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のシクロアルキルであり;そして、また、R7とR8は、Hであり;
R6は、H、置換または非置換のC1-C4アルキル、置換または非置換のC1-C4ヘテロアルキル、C1-C8アルキルアミノアルキル、C1-C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1-C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換または非置換のC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のC1-C8アルキルC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のC2-C8ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、C1-C4アルキル(アリール)、C1-C4アルキル(ヘテロアリール)、C1-C8アルキルエーテル、C1-C8アルキルアミド、またはC1-C4アルキル(C2-C8ヘテロシクロアルキル)であり;
R6とR8は、Hであり;
R7は、H、置換または非置換のC1-C4アルキル、置換または非置換のC1-C4ヘテロアルキル、C1-C8アルキルアミノアルキル、C1-C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1-C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換または非置換のC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のC1-C8アルキルC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のC2-C8ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、C1-C4アルキル(アリール)、C1-C4アルキル(ヘテロアリール)、C1-C8アルキルエーテル、C1-C8アルキルアミド、またはC1-C4アルキル(C2-C8ヘテロシクロアルキル)であり;または、
R6とR8は、単結合を形成し;R7は、H、置換または非置換のC1-C4アルキル、置換または非置換のC1-C4ヘテロアルキル、C1-C8アルキルアミノアルキル、C1-C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、置換または非置換のC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のC1-C8アルキルC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のC2-C8ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、C1-C4アルキル(アリール)、C1-C4アルキル(ヘテロアリール)、C1-C8アルキルエーテル、またはC1-C4アルキル(C2-C8ヘテロシクロアルキル)であり;そして、前記化合物は、前記構成の、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容可能な溶媒化合物、薬学的に許容可能な塩、または、薬学的に許容可能なプロドラッグを備えている。
【0244】
さらなる又は代替の実施形態において、式(A1)、式(B1)、式(C1)の何れかの「G」基は、分子の物理学特性、生物学特定を調整するために使用される任意の基である。前記調整/修飾は、分子の、マイケルアクセプター化学反応性、酸性度、塩基度、脂溶性、溶解度および他の物性を調節する基を使用して達成される。Gへの前記修飾によって調節された物理的特定、生物学特性は、ほんの一例として、マイケルアクセプター基、溶解度、インビボの吸収およびインビボの代謝の化学反応性を増強することを含んでいる。さらに、インビボの代謝は、ほんの一例として、インビボのPK特性、オフターゲット活性、cypP450相互作用に関連した潜在的な毒性、薬物-薬物相互作用などを制御することを含んでいる。さらに、Gへの修飾は、一例として、血漿たんぱくおよび脂質への特定・非特異性のタンパク結合と、インビボの組織分布と、の調節によって、化合物のインビボの効能の調整を可能にする。
【0245】
別の実施形態において、本明細書に記載されているのは、式(D)のを化合物である。式(D)はつぎのとおりである:
【0246】
【0247】
ここに、Laは、CH2、O、NHまたはSであり;
Arは、置換または非置換のアリール、または置換または非置換のヘテロアリールであり;Yは、アルキレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレンの中から選択された随意の置換基であり;
Zは、C(=O)、OC(=O)、NHC(=O)、 C(=S)、 S(=O)x、 OS(=O)x、 NHS(=O)xであり、ここで、xは、1又は2であり;
R6、R7およびR8は、それぞれ、H、置換または非置換のC1-C4アルキル、置換または非置換のC1-C4ヘテロアルキル、置換または非置換のC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のC2-C6ヘテロシクロアルキル、C1-C6シクロアルキル、置換または非置換アルコキシアルキル、C1-C8アルキルアミノアルキル、置換または非置換のC3-C6シクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のC1-C4アルキル(アリール)、置換または非置換のC1-C4アルキル(ヘテロアリール)、置換または非置換のC1-C4アルキル(C3-C8シクロアルキル)、または置換または非置換のC1-C4アルキル(C2-C8ヘテロシクロアルキル)から独立して選択され;または、
R7とR8は、単結合を形成し;また、前記医薬製剤は、前記化合物の、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容可能な溶媒化合物、薬学的に許容可能な塩、または、薬学的に許容可能なプロドラッグを備えている。
【0248】
幾つかの実施形態において、化合物は、式(D1)の構造を有し:
【0249】
【0250】
Laは、CH2、O、NHまたはSであり;
Arは、随意に置換された芳香族の炭素環式化合物または芳香族の複素環式化合物であり;
Yは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキレンアリーレン、アルキレンヘテロアリーレン、アルキレンヘテロシクロアルキレン、又はそれらの組み合わせの中から選択された随意の置換基であり;
Zは、C(=O)、NHC(=O)、NRaC(=O) NRaS(=O)xであり、ここで、xは、1又は2であり、Raは、H、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のシクロアルキルであり;そして、
R7とR8は、Hであり;
R6は、H、置換または非置換のC1-C4アルキル、置換または非置換のC1-C4ヘテロアルキル、C1-C8アルキルアミノアルキル、C1-C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、置換または非置換のアルコキシアルキルアミノアルキル、置換または非置換のC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のC1-C8アルキルC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のC2-C8ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、C1-C4アルキル(アリール)、C1-C4アルキル(ヘテロアリール)、C1-C8アルキルエーテル、C1-C8アルキルアミドまたはC1-C4アルキル(C2-C8ヘテロシクロアルキル)であり;R6とR8は、Hであり;
R7は、H、任意に置換されたC1-C4アルキル、置換または非置換のC1-C4ヘテロアルキル、C1-C8アルキルアミノアルキル、C1-C8アルコキシアミノアルキル、置換または非置換のC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のC1-C8アルキルC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のC2-C8ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、C1-C4アルキル(アリール)、C1-C4アルキル(ヘテロアリール)、C1-C8アルキルエーテル、C1-C8アルキルアミド、またはC1-C4アルキル(C2-C8ヘテロシクロアルキル)であり;または、
R6とR8は、単結合を形成し;
R7は、H、任意に置換されたC1-C4アルキル、置換または非置換のC1-C4ヘテロアルキル、C1-C8アルキルアミノアルキル、C1-C8アルコキシアミノアルキル、置換または非置換のC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のC1-C8アルキルC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のC2-C8ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、C1-C4アルキル(アリール)、C1-C4アルキル(ヘテロアリール)、C1-C8アルキルエーテル、C1-C8アルキルアミド、またはC1-C4アルキル(C2-C8ヘテロシクロアルキル)であり;または、その組み合わせであり;また、前記医薬製剤は、前記化合物の、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容可能な溶媒化合物、薬学的に許容可能な塩、または、薬学的に許容可能なプロドラッグを備えている。
【0251】
別の実施形態において、式(D1)の化合物の薬学的に許容可能な塩が提供される。ほんの一例として、前記塩は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸のような無機酸、あるいは、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸又はマロン酸のような有機酸、で形成されたアミノ基の塩である。さらなる塩は、カウンターイオンが、アジパート、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパルテート、ベンゼンスルフォナート、安息香酸塩、重硫酸塩、硼酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホネート、シトラート、シクロペンタンプロピオナート、ジグルコン酸、硫酸ドデシル、エタンスルフォナート、蟻酸、フマル酸、グルコヘプトネート、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸、ヘプタノアート、ヘキサノアート、ヒドロヨージド、2-ヒドロキシ-エタンスルフォナート、ラクトビオン酸、乳酸塩、ラウリン酸、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸、マレイン酸、マロナート、メタンスルフォナート、2-ナフタレンスルフォナート、ニコチネート、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモエート、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-プロピオン酸フェニル、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバレート、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、琥珀酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルフォナート、ウンデカノアートおよび吉草酸塩などの陰イオンである塩を含んでいる。さらなる塩は、カウンターイオンが、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムおよび第四級アンモニウム(少なくとも1つの有機的な部分によって置換された)などの陽イオンである塩を含んでいる。
【0252】
別の実施形態において、蟻酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、アクリル酸塩およびエチルコハク酸塩からエステル基が選ばれるものを含む式(DI)の化合物の薬学的に許容可能なエステルがある。
【0253】
別の実施形態において、式(D1)の化合物の薬学的に許容可能なカルバマートがある。別の実施形態において、式(D1)の化合物の薬学的に許容可能なNアシル誘導体がある。N-アシル基の例は、N-アセチル基およびN-エトキシカルボニル基を含む。
【0254】
さらなる実施形態において、LaはOである。
【0255】
さらなる実施形態において、Arはフェニルである。
【0256】
さらなる実施形態において、ZはC(=O)、NHC(=O)またはNCH3C(=O)である。
【0257】
さらなる実施形態において、R1、R2およびR3の各々はHである。
【0258】
1つの実施形態において、式(D1)の化合物があり、ここでR6、R7およびR8はすべてHである。別の実施形態では、R6、R7およびR8はすべてがHであるわけではない。
【0259】
任意の、およびすべての実施形態に関して、置換基は、挙げられた代替物のサブセットの中から選択される。例えば、幾つかの実施形態では、Laは、CH2、O、またはNHである。他の実施形態では、Laは、OまたはNHである。さらに他の実施形態では、LaはOである。
【0260】
幾つかの実施形態において、Arは置換、あるいは非置換のアリールである。さらに他の実施形態において、Arは、六員アリールである。いくつかの他の実施形態において、Arはフェニルである。
【0261】
幾つかの実施形態において、xは2である。さらに別の実施形態において、ZはC(=O)、OC(=O)、NHC(=O)、S(=O)x、OS(=O)x、またはNHS(=O)xである。幾つかの他の実施形態において、ZはC(=O)、NHC(=O)、またはS(=O)2である。
【0262】
幾つかの実施形態において、R7とR8は、H、非置換C1-C4アルキル、置換C1-C4、非置換C1-C4ヘテロアルキル、および置換C1-C4ヘテロアルキルの中から独立して選択されるか;または、R7とR8は、ともに単結合を形成する。また、他の実施形態において、R7とR8の各々はHであるか;あるいは、R7とR8はともに単結合を形成する。
【0263】
幾つかの実施形態において、R6は、H、置換または非置換のC1-C4アルキル、置換または非置換のC1-C4ヘテロアルキル、C1-C6アルコキシアルキル、C1-C2アルキル-N(C1-C3アルキル)2、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリール、C1-C4アルキル(アリール)、C1-C4(ヘテロアリール)、C1-C4アルキル(C3-C8シクロアルキル)、あるいはC1-C4アルキル(C2-C8ヘテロシクロアルキル)である。幾つかの他の実施形態では、R6は、H、置換または非置換のC1-C4アルキル、置換または非置換のC1-C4ヘテロアルキル、C1-C6アルコキシアルキル、C1-C2アルキル-N(C1-C3アルキル)2、C1-C4アルキル(アリール)、C1-C4アルキル(ヘテロアリール)、C1-C4アルキル(C3-C8シクロアルキル)、あるいはC1-C4アルキル(C2-C8ヘテロシクロアルキル)である。また、他の実施形態では、R6は、H、置換または非置換のC1-C4アルキル、-CH2-O-(C1-C3アルキル)、-CH2-N(C1-C3アルキル)2、C1-C4アルキル(フェニル)、あるいはC1-C4アルキル(五または六員ヘテロアリール)である。幾つかの実施形態では、R6は、H、置換または非置換のC1-C4アルキル、-CH2-O-(C1-C3アルキル)、-CH2-N(C1-C3アルキル)2、C1-C4アルキル(フェニル)、またはC1-C4アルキル(1または2Nの原子を含む五または六員ヘテロアリール)、あるいはC1-C4アルキル(1または2Nの原子を含む五または六員ヘテロシクロアルキル)である。
【0264】
幾つかの実施形態では、Yは、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクロアルキルの中から選択された随意の置換基である。他の実施形態では、Yは、C1-C6アルキル、C1-C6ヘテロアルキル、四、五、六または七員シクロアルキル、および四、五、六または七員ヘテロシクロアルキルの中から選択された随意の置換基である。さらに他の実施形態では、Yは、C1-C6アルキルC1-C6ヘテロアルキル、1または2Nの原子を含む五または六員シクロアルキル、および、1または2Nの原子を含む五または六員ヘテロシクロアルキルの中から選択された随意の置換基である。幾つかの他の実施形態では、Yは、1または2Nの原子を含む五または六員シクロアルキル、あるいは1または2Nの原子を含む五または六員ヘテロシクロアルキルである。
【0265】
様々な変化に対する上記の基の任意の組み合わせは、本明細書で考慮される。本明細書に提供される化合物上の置換基及び置換パターンが、本明細書に明記される化合物と同様に、化学的に安定していて、技術分野において公知の技術によって合成され得る化合物を提供するために、当業者によって選択され得ることが理解される。
【0266】
1つの実施形態では、キナーゼの不可逆性阻害剤は、式(E)の構造を有し、
【0267】
【0268】
式中、
ここで、式(E)中にある球体は、チロシンキナーゼを含み、さらにBtkキナーゼ・システイン同族体を含む、キナーゼの活性部位に結合する部分であり;
Yは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、ヘテロシクロアルキレン、シクロアルキレン、アルキレンアリーレン、アルキレンヘテロアリーレン、アルキレンシクロアルキレン、およびアルキレンヘテロシクロアルキレンの中から選択された随意の置換基であり;
Zは、C(=O)、OC(=O)、NHC(=O)、NCH3C(=O)、C(=S)、S(=O)x、OS(=O)x、NHS(=O)xであり、ここで、xは、1または2であり;
R6、R7、およびR8は、H、置換または非置換のC1-C4アルキル、置換または非置換のC1-C4ヘテロアルキル、置換または非置換のC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のC2-C6ヘテロシクロアルキル、C1-C6アルコキシアルキル、C1-C8アルキルアミノアルキル、置換または非置換のC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のC1-C4アルキル(アリール)、置換または非置換のC1-C4アルキル(ヘテロアリール)、置換または非置換のC1-C4アルキル(C3-C8シクロアルキル)、あるいは、置換または非置換のC1-C4アルキル(C2-C8ヘテロシクロアルキル)であり;あるいは、R7とR8はともに単結合を形成し、前記不可逆性阻害剤は、その薬学的に活性な代謝物、または、薬学的に許容可能な溶媒化合物、薬学的に許容可能な塩、または、薬学的に許容可能なプロドラッグを有する。
【0269】
幾つかの実施形態において、式(E)中にある球体は、以下から選択された置換された融合ビアリール部分である。
【0270】
【0271】
1つの態様において、本明細書で提供されるものは、式(F)の化合物である。
【0272】
【0273】
式中、
Laは、CH2、O、NHまたはSであり;
Arは、置換または非置換のアリール、あるいは置換または非置換のヘテロアリールであり;
(a)Yは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルキレンアリーレン、アルキレンヘテロアリーレン、アルキレンシクロアルキレン、およびアルキレンヘテロシクロアルキレンの中から選択された随意の置換基であり;
Zは、C(=O)、NHC(=O)、NRaC(=O)、NRaS(=O)xであり、ここで、xは、または2であり、Raは、H、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のシクロアルキルであり;ならびに、
(i)R6、R7、R8は、H、置換または非置換のC1-C4アルキル、置換または非置換のC1-C4ヘテロアルキル、置換または非置換のC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のC2-C6ヘテロシクロアルキル、C1-C6アルコキシアルキル、C1-C8アルキルアミノアルキル、置換または非置換のC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のC1-C4アルキル(アリール)、置換または非置換のC1-C4アルキル(ヘテロアリール)、置換または非置換のC1-C4アルキル(C3-C8シクロアルキル)、あるいは、置換または非置換のC1-C4アルキル(C2-C8ヘテロシクロアルキル)であるか;
(ii)R6とR8は、Hであり;
R7は、H、置換または非置換のC1-C4アルキル、置換または非置換のC1-C4ヘテロアルキルC1-C8アルキルアミノアルキル、C1-C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1-C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換または非置換のC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のC1-C8アルキルC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のC2-C8ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、C1-C4アルキル(アリール)、C1-C4アルキル(ヘテロアリール)、C1-C8アルキルエーテル、C1-C8アルキルアミド、あるいはC1-C4アルキル(C2-C8ヘテロシクロアルキル)であるか;または、
(iii)R7とR8は、単結合を形成し;
R6は、H、置換または非置換のC1-C4アルキル、置換または非置換のC1-C4ヘテロアルキル、置換または非置換のC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のC2-C6ヘテロシクロアルキル、C1-C6アルコキシアルキル、C1-C8アルキルアミノアルキル、置換または非置換のC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のC1-C4アルキル(アリール)、置換または非置換のC1-C4アルキル(ヘテロアリール)、置換または非置換のC1-C4アルキル(C3-C8シクロアルキル)、あるいは、置換または非置換のC1ーC4アルキル(C2-C8ヘテロシクロアルキル)のいずれかから選択されるか、あるいは
(b)Yは、シクロアルキレンまたはヘテロシクロアルキレンから選択された随意の置換基であり;Zは、C(=O)、NHC(=O)、NRaC(=O) NRaS(=O)xであり、ここで、xは1または2であり、また、Raは、H、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のシクロアルキルであり;ならびに、
(i)R7とR8はHであり;
R6は、置換または非置換のC1-C4アルキル、置換または非置換のC1-C4ヘテロアルキル、C1-C8アルキルアミノアルキル、C1-C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1-C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換または非置換のC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のC1-C8アルキルC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のC2-C8ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、C1-C4アルキル(アリール)、C1-C4アルキル(ヘテロアリール)、C1-C8アルキルエーテル、C1ーC8アルキルアミド、または、C1-C4アルキル(C2-C8ヘテロシクロアルキル)であるか;
(ii)R6およびR8はHであり;
R7は、置換または非置換のC1-C4アルキル、置換または非置換のC1-C4ヘテロアルキル、C1-C8アルキルアミノアルキル、C1-C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1-C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換または非置換のC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のC1ーC8アルキルC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のC2-C8ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、C1-C4アルキル(アリール)、C1-C4アルキル(ヘテロアリール)、C1-C8アルキルエーテル、C1ーC8アルキルアミド、あるいは、C1-C4アルキル(C2-C8ヘテロシクロアルキル)であるか;または、
(iii)R7およびR8は、ともに単結合を形成し;
R6は、置換または非置換のC1-C4アルキル、置換または非置換のC1-C4ヘテロアルキル、C1ーC8アルキルアミノアルキル、C1-C8ヒドロキシアルキルアミノアルキル、C1-C8アルコキシアルキルアミノアルキル、置換または非置換のC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のC1ーC8アルキルC3-C6シクロアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のC2-C8ヘテロシクロアルキル、置換または非置換のヘテロアリール、C1-C4アルキル(アリール)、C1-C4アルキル(ヘテロアリール)、C1-C8アルキルエーテル、C1-C8アルキルアミド、または、C1-C4アルキル(C2-C8ヘテロシクロアルキル)であるか、そのいずれかであり、式(F)は、その薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容可能な溶媒化合物、薬学的に許容可能な塩、または、薬学的に許容可能なプロドラッグである
【0274】
式(A)、式(B)、式(C)、式(D)の化合物のさらなる実施形態は以下のものから成る基から選択された化合物を含むが、それに限定されない。
【0275】
【0276】
【0277】
【0278】
また別の実施形態では、本明細書で提供された化合物は、以下のものから選択される。
【0279】
【0280】
1つの態様では、本明細書で提供されたものは、以下のものから選択された化合物である。即ち、1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オン(化合物4);(E)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)but-2-エン-1-オン(化合物5);1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)スルホニルエテン(化合物6);1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-イン-1-オン(化合物8);1-(4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オン(化合物9);N-((1s,4s)-4-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)シクロヘキシル)アクリルアミド(化合物10);1-((R)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピロリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オン(化合物11);1-((S)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピロリジン-1-イル)prop-2-en-1-オン(化合物12);1-((R)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オン(化合物13);1-((S)-3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オン(化合物14);および、(E)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)-4-(ジメチルアミノ)but-2-エン-1-オン(化合物15)。
【0281】
幾つかの実施形態において、Btk阻害剤は(R)-1-(3-(4-アミノ-3-(4-フェノキシフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-1-イル)ピペリジン-1-イル)prop-2-エン-1-オンである。
【0282】
1つの実施形態において、Btk阻害剤はα-シアノ-β-ヒドロキシ-β-メチル-N-(2,5-ジブロモフェニル)プロペンアミド(LFM-A13)、AVL-101、4-tert-ブチル-N-(3-(8-(フェニルアミノ)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-6-イル)フェニル)ベンズアミド、5-(3-アミノ-2-メチルフェニル)-1-メチル-3-(4-(モルホリン-4-カルボニル)フェニルアミノ)ピラジン-2(1H)-オン、N-(2-メチル-3-(4-メチル-6-(4-(モルホリン-4-カルボニル)フェニルアミノ)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラジン-2-イル)フェニル)アセトアミド、4-tertブチル-N-(2-メチル-3-(4-メチル-6-(4-(モルホリン-4-カルボニル)フェニルアミノ)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラジン-2-イル)フェニル)ベンズアミド、5-(3-(4-tert-ブチルベンジルアミノ)-2-メチルフェニル)-1-メチル-3-(4-(モルホリン-4-カルボニル)フェニルアミノ)ピラジン-2(1H)-オン、5-(3-(3-tert-ブチルベンジルアミノ)-2-メチルフェニル)-1-メチル-3-(4-(モルホリン-4-カルボニル)フェニルアミノ)ピラジン-2(1H)-オン、3-tert-ブチル-N-(2-メチル-3-(4-メチル-6-(4-(モルホリン-4-カルボニル)フェニルアミノ)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラジン-2-イル)フェニル)ベンズアミド、6-tert-ブチル-N-(2-メチル-3-(4-メチル-6-(4-(モルホリン-4-カルボニル)フェニルアミノ)-5-オキソ-4,5-ジヒドロピラジン-2-イル)フェニル)ニコチンアミド、およびテレイン酸である。
【0283】
本明細書を通して、基およびそれらの置換基は、安定した部分および化合物を提供するために、当業者により選択され得る。
【0284】
特定の実施形態において、本発明に関して本明細書で提供された、Btk阻害剤および/または第二作用剤(the second agent)のいずれかは、i)生理学的に許容可能な担体、希釈剤、および/または賦形剤を含む薬学的化合物に含まれる。
【0285】
幾つかの実施形態において、本発明の方法のBtk阻害剤を約1.25mg/kg/日から約12.5mg/kg/日までの用量で投与する。特定の実施形態において、Btk阻害剤を、約1.25mg/kg/日、約2.5mg/kg/日、約5mg/kg/日、約8.3mg/kg/日、あるいは約12.5mg/kg/日から成る基から選択された用量で投与する。
【0286】
幾つかの実施形態において、本発明の実施に従って提供するバイオマーカーは、ZAP-70、CD5、t(14;18)、CD38、β-2ミクログロブリン、p53変異状態、ATM変異状態、染色体17pの欠損、染色体11qの欠損、表面または細胞質内免疫グロブリン、CD138、CD25、6q欠損、CD19、CD20、CD22、CD11c、CD103、染色体7qの欠損、およびVH変異状態から選択される。
【0287】
幾つかの実施形態において、1つ以上のリンパ球亜群からの1つ以上のバイオマーカーの発現または存在を測定する工程は、バイオマーカーの組み合わせのものである。特定の実施形態において、バイオマーカーの組み合わせはCD19とCD5、またはCD20とCD5である。
【0288】
他の実施形態において、第二作用剤を約1.25mg/kg/日から約12.5mg/kg/日までの用量で投与する。特定の実施形態において、第二作用剤を、約1.25mg/kg/日、約2.5mg/kg/日、約5mg/kg/日、約8.3mg/kg/日、あるいは約12.5mg/kg/日からなる群から選択された用量で投与する。第二作用剤の投与量は、1つ以上のリンパ球亜群からの1つ以上のバイオマーカーについて測定された発現または存在に基づく。医師などの当業者は、診断結果に基づいた適切なレジメン(例えば、第二作用剤の投与量)を容易に決定し得る。
【0289】
他の実施形態では、本発明は、Btk阻害剤一用量を受けた被験体の、1つ以上のリンパ球亜群から1つ以上のバイオマーカーが発現または存在することを測定する工程;および、測定された発現特性に基づいた第二作用剤を投与する工程を含む、癌治療に関する方法を提供する。
【0290】
他の実施形態において、本発明は、免疫表現型検査によって定義されたリンパ球亜群が結果的に血中で増加または出現するのに十分なBtk阻害剤を投与する工程;および、リンパ球亜群の血中の増加または出現が測定される第二作用剤を一回投与する工程を含む、癌治療のための方法も提供する。
【0291】
幾つかの実施形態において、被験体はヒトである。
【0292】
幾つかの実施形態において、Btk阻害剤は経口投与される。
【0293】
前述の態様のいずれかにおいて、投与が、経腸、非経口、またはその両方であるさらなる実施形態があり、ここで、(a)効果的な量のBtk阻害剤を、哺乳動物に全身的に投与し、(b)効果的な量のBtk阻害剤を、哺乳動物に経口投与し、(c)効果的な量のBtk阻害剤を、哺乳動物に静脈内投与し、(d)効果的な量のBtk阻害剤を、吸入投与し、(e)効果的な量のBtk阻害剤を、経鼻投与し、また、(f)効果的な量のBtk阻害剤を、哺乳動物へ注射によって投与し、(g)効果的な量のBtk阻害剤を、哺乳動物に局所的に(経皮で)投与し、(h)効果的な量のBtk阻害剤を、点眼投与し、または、(i)効果的な量のBtk阻害剤を、哺乳動物に直腸投与する。
【0294】
前述の態様のいずれかにおいて、効果的な量のBtk阻害剤の単回投与を含むさらなる実施形態があり、該実施形態は、(i)Btk阻害剤を一回投与し、(ii)Btk阻害剤を1日に複数回、哺乳動物に投与し、(iii)断続的に、あるいは(iv)継続的に投与する、さらなる実施形態を含む。
【0295】
前述の態様のいずれかにおいて、効果的な量のBtk阻害剤の複数回投与を含むさらなる実施形態があり、該実施形態は、(i)Btk阻害剤を単一用量で投与し;(ii)複数回投与の間隔が6時間毎であり、(iii)Btk阻害剤を8時間ごとに哺乳動物に投与する、さらなる実施形態を含む。さらなる、または代替的な実施形態において、方法は休薬期間を含み、ここで、Btk阻害剤の投与を一時的に中断するか、または投与されているBtk阻害剤の用量を、一時的に減らし、休薬期間の終わりに、Btk阻害剤の投薬を再開する。休薬期間の長さは、2日から1年の間で変動し得る。
【0296】
前述の態様のいずれかにおいて、投与が、経腸、非経口、またはその両方である、さらなる実施形態があり、ここで、(a)効果的な量の第二作用剤を哺乳動物に全身的に投与し、(b)効果的な量の第二作用剤を哺乳動物に経口投与し、(c)効果的な量の第二作用剤を、哺乳動物に静脈内投与し、(d)効果的な量の第二作用剤を吸入投与し、(e)効果的な量の第二作用を経鼻投与し、または(f)効果的な量の第二作用剤を哺乳動物へ注射によって投与し、(g)効果的な量の第二作用剤を、哺乳動物に局所的に(経皮で)投与し、(h)効果的な量の第二作用剤を点眼投与し、または(i)効果的な量の第二作用剤を哺乳動物に直腸投与する。
【0297】
前述の態様のいずれかにおいて、効果的な量の第二作用剤の単回投与を含むさらなる実施形態があり、該実施形態は、(i)第二作用剤を一回投与し、(ii)第二作用剤を、1日に複数回、哺乳動物に投与し、(iii)断続的に、または(iv)継続的に投与する、さらなる実施形態を含む。
【0298】
前述の態様のいずれかにおいて、効果的な量の第二作用剤の複数回投与を含むさらなる実施形態があり、該実施形態は、(i)第二作用剤を単一用量で投与し、(ii)複数回投与の間隔が6時間毎であり、(iii)第二作用剤を8時間ごとに哺乳動物に投与する、さらなる実施形態を含む。さらなる、または代替的な実施形態において、方法は休薬期間を含み、ここで、第二作用剤の投与を一時的に中断し、または投与している第二作用剤の用量を、一時的に減らし、休薬期間の終わりに、第二作用剤の投薬を再開する。休薬期間の長さは、2日から1年の間で変動し得る。
【0299】
前述の態様のいずれかにおいて、第二作用剤は、アレムツズマブ、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ(ペグ化または非ペグ化)、ベバシズマブ、セツキシマブ、シスプラチンなど白金ベースの化合物、クラドリビン、ダウノルビシン/ドキソルビシン/イダルビシン、イリノテカン、フルダラビン、5-フルオロウラシル、ゲムツズマブ、メトトレキサート、パクリタキセル(商標)、タキソール、テモゾロミド、チオグアニンまたはホルモン(抗エストロゲン、抗アンドロゲン、またはゴナドトロピン放出ホルモンアナログ)、アルファインターフェロンなどのインターフェロン、ブスルファンまたはメルファランまたはメクロレタミンなどのナイトロジェンマスタード、トレイノインなどのレチノイド、イリノテカンあるいはトポテカンなどのトポイソメラーゼ阻害剤、ゲフィチニブあるいはイマチニブなどのチロシンキナーゼ阻害剤、あるいはアロプリノール、フィルグラスチム、グラニセトロン/オンダンセトロン/パロノセトロン、ドロナビノールなどを含むような治療によって誘発された兆候や症状を治療するための薬剤から選択される。
【0300】
〈化合物の調製〉
式(D)の化合物は、当業者に公知の標準合成技術を使用して、あるいは本明細書に記載される方法と組み合わせて当業者に公知の方法を使用して合成され得る。さらに、本明細書に示される溶媒、温度およびその他の反応条件は、当業者によって変更され得る。さらなる指針として下記合成法も利用され得る。
【0301】
化学反応は、本明細書に記載されている化合物を提供するために、線状配列(linear sequence)において用いられるか、あるいは本明細書に記載されている、および/または当技術分野で知られている方法によって次いで連結されるフラグメントを合成するために利用され得る。
【0302】
〈求核試剤との求電子試剤の反応による共有結合の形成〉
本明細書に記載される化合物は、様々な求電子試剤および/または求核試剤を使用して変化され得ることで、新たな官能基または置換基を形成する。表題「共有結合およびその前駆体の例」の表1は、多種の利用可能な求電子試剤および求核試剤の組み合わせを産生し、求電子試剤および求核試剤の組み合わせに対するガイダンスとして使用できる、共有結合連鎖および前駆体官能基の選択例を挙げている。前駆体官能基は、求電子試薬基および求核試薬基として示される。
【0303】
【0304】
【0305】
〈保護基の使用〉
記載される反応において、反応に不要に関与することを避けるために、最終産生物において所望される、例えば、ヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオまたはカルボキシ基などの反応性官能基を保護する必要があり得る。保護基は、幾つかの、または全ての反応部分を遮断し、保護基が除去されるまで、このような基の化学反応への関与を防ぐために使用される。一つの実施形態では、各々の保護基は別々の手段により除去可能である。総合的に異なる反応条件下で開裂される保護基は、特異的な除去(differential removal)の要件を満たす。保護基は酸、塩基、および水素化分解によって取り除かれ得る。トリチル、ジメトキシトリチル、アセタール、およびt-ブチルジメチルシリルなどの基は、酸解離性であり、水素化分解により除去可能であるCbz基、および塩基解離性であるFmoc基で保護されたアミノ基の存在下において、カルボキシ及びヒドロキシの反応性部分を保護するために使用される。カルボン酸およびヒドロキシの反応性部分は、t-ブチルカルバメートなどの酸解離性基、または安定した酸又は塩基の両方であるが加水分解で除去可能なカルバメートで遮断される、アミンの存在下で、限定されないが、メチル、エチルおよびアセチルなどの塩基解離性基で遮断され得る。
【0306】
カルボン酸およびヒドロキシの反応性部分はまた、ベンジル基などの加水分解的に除去可能な保護基で遮断され得るが、一方で、酸と水素結合可能なアミン基は、Fmocなどの塩基解離性基で遮断され得る。カルボン酸反応部分は、本明細書に例証されるような、単純なエステル化合物への変換により保護されるか、あるいは、2,4-ジメトキシベンジル等の酸化的に除去可能な保護基で遮断される一方で、共存するアミノ基はフッ化物分解性のシリルカルバメートで遮断され得る。
【0307】
アリル遮断基は、酸保護基および塩基保護基の存在下において有用であり、これは前者が安定的であり、金属またはπ酸触媒によって後に除去可能であるためである。例えば、アリルに遮断されたカルボン酸は、酸解離性のt-ブチルカルバメートまたは塩基解離性の酢酸アミン保護基の存在下で、Pd0による触媒された反応によって脱保護され得る。保護基のまた別の形態は、化合物または中間物が付けられ得るレジンである。残基がレジンに付けられる限り、その官能基は、遮断され、反応できない。一旦レジンから解放されると、官能基は反応することができる。
【0308】
典型的な遮断基/保護基は、下記のものから選択され得る:
【0309】
【0310】
他の保護基、加えて保護基の生成及びその除去に適用可能な技術の詳細な説明は、Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999,およびKocienski, Protective Groups, Thieme Verlag, New York, NY, 1994に記載され、その全体において引用によって本明細書に組み込まれる。
【0311】
<化合物のさらなる形態>
本明細書に記載される化合物は、1つ以上の立体中心を備え得、各中心はR配置またはS配置において存在し得る。本明細書に提示される化合物は、全てのジアステレオマー、エナンチオマー、およびエピマーの形態の他に、それらの適切な混合物も含む。立体異性体は、望まれるのであれば、例えば、キラルクロマトグラフィーカラムによる立体異性体の分離などの、当該技術分野に公知の方法によって得られ得る。
【0312】
ジアステレオマー混合物は、例えば、クロマトグラフィーおよび/又は分別結晶などの既知の方法によって、それらの物理的な化学的相違に基づいて、個々のジアステレオマーへ分離され得る。1つの実施形態において、エナンチオマーはキラルクロマトグラフィーカラムにより分離され得る。他の実施形態において、エナンチオマーは、適切な光学活性化合物(例えばアルコール)との反応により、エナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に変換し、ジアステレオマーを分離し、および個々のジアステレオマーを対応する純粋なエナンチオマーに変換(例えば、加水分解して)することで、分離され得る。ジアステレオマー、エナンチオマー、およびその混合物を含む、そのような異性体のすべてが、本明細書に記載の組成物の一部として考慮される。
【0313】
本明細書に記載される方法および製剤は、N-オキシド、(多形体としても知られる)結晶形態、または本明細書に記載される化合物の薬学的に許容可能な塩の他に、同種の活性を有するこれら化合物の活性代謝物の使用を含む。幾つかの状況において、化合物は互変異性体として存在し得る。全ての互変異性体は、本明細書に示される化合物の範囲内に含まれる。さらに、本明細書に記載される化合物は、水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を用いた溶媒和形態並びに非溶媒和形態で存在し得る。本明細書に提示される化合物の溶媒和形態はまた、本明細書に開示されるべきと考えられる。
【0314】
未酸化形態の式(D)の化合物は、限定しないが、アセトニトリル、エタノール、水溶性ジオキサンなどの適切な不活性有機溶媒において、限定しないが、硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、三塩化リン、トリブロミドなどの還元剤により0-80℃で処置することによって、式(D)の化合物のN-オキシドから調製され得る。
【0315】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、プロドラッグとして調製される。「プロドラッグ」は、インビボで親薬物へと転換される薬剤を指す。幾つかの状況において、プロドラッグは、親薬物よりも投与が容易であり得るため、しばしば有用である。それらは、例えば、経口投与によって生物学的に利用可能であり得るが、親薬物はそうではない。プロドラッグはまた、親薬物以上に、医薬組成物において改善された溶解度を有し得る。制限のないプロドラッグの例は、本明細書に記載の化合物であり、該化合物は、エステル(「プロドラッグ」)として投与されることで、溶解度が移動に悪影響を与える細胞膜にわたる伝達を促進するが、その後、該化合物は、一旦水溶性が有益な細胞内にあると、活性実体であるカルボン酸に代謝的に加水分解される。プロドラッグの更なる例は、ペプチドが代謝され、活性部分を明らかにする酸基に結合された短鎖ペプチド(ポリアミノ酸)であり得る。特定の実施形態において、インビボでの投与で、プロドラッグは、化合物の、生物学的、薬学的又は治療的に活性な形態へと化学的に転換される。特定の実施形態において、プロドラッグは、1以上の工程またはプロセスによって、化合物の、生物学的、薬学的または治療的に活性な形態へと酵素的に代謝される。プロドラッグを生成するため、薬学的に活性な化合物は、インビボ投与されると活性化合物が再生されるように変更される。プロドラッグは、薬物の代謝的安定性または輸送特性を変更するように、副作用または毒性を遮蔽するように、薬物の香味を改善するように、あるいは薬物の他の特徴または特性を変更するように設計され得る。薬理学的な過程およびインビボでの薬物代謝の知識によって、当業者は、一旦薬学的に活性な化合物が知られると、化合物のプロドラッグを設計することができる。(例えば、Nogrady (1985) Medicinal Chemistry A Biochemical Approach, Oxford University Press, New York, pages 388-392; Silverman (1992), The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, Academic Press, Inc., San Diego, pages 352-401, Saulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985を参照)。
【0316】
プロドラッグがインビボで代謝されることで本明細書に明記されるような誘導体を生成する、本明細書に記載される化合物のプロドラッグの形態は、請求項の範囲内に含まれる。幾つかの場合において、本明細書に記載される化合物の幾つかは、別の誘導体または活性化合物のためのプロドラッグであり得る。
【0317】
幾つかの状況において、プロドラッグは、親薬物よりも投与が容易であり得るため、しばしば有用である。それらは、例えば、経口投与によって生物学的に利用可能であり得るが、親薬物はそうではない。プロドラッグはまた、親薬物以上に医薬組成物において改善された溶解度を有し得る。プロドラッグは、部位特異的な組織への薬物輸送を増強する修飾因子として使用するための、可逆性薬物誘導体として設計され得る。幾つかの実施形態において、プロドラッグの設計は、効果的な溶解度を増加させる。例えば、Fedorak et al., Am.J.Physiol.,269:G210-218(1995);McLoed et al.,Gastroenterol,106:405-413(1994); Hochhaus et al.,Biomed.Chrom.,6:283-286(1992); J.Larsen et al.,Int.J.Pharmaceutics,47,103(1988);Sinkula et al.,J.Pharm.Sci.,64:181-210(1975);T.Higuchi and V.Stella,Pro-drugs as Novel Delivery Systems,Vol.14 of the A.C.S.Symposium Series; and Edward B.Roche,Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987,それらすべてをその全体を引用として本明細書に引用する。
【0318】
式(D)の化合物の芳香環部分の部位は、様々な代謝反応を起こしやすく、そのため、ほんの一例として、ハロゲンのような芳香環構造上の適切な置換基の取り込みは、この代謝経路を減少、最小化または除去し得る。
【0319】
本明細書に記載される化合物は、同位体的に標識化された化合物を含み、これは、1以上の原子が、通常自然で見出される原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって置換されるという事実を除けば、本明細書に示される様々な化学式および構造において列挙されるものと同一である。本明細書の化合物内に組み込まれ得る同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、フッ素および塩素の同位体、2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、36Clをそれぞれ含む。本明細書に記載される特定の同位体的に標識化された化合物、例えば、3Hおよび14Cなどの放射性同位体が組み込まれる化合物は、薬物および/または基質の組織分布アッセイに有用である。さらに、重水素、即ち、2Hなどの同位体での置換は、より大きな代謝安定性から生じる特定の治療上の利点、例えば、増加したインビボの半減期または減少した必要用量を与え得る。
【0320】
追加の、またはさらなる実施形態において、本明細書に記載される化合物は、必要な有機体への投与によって代謝されることで、所望の治療効果を含む、所望の効果を生みだすためにその後使用される、代謝物質を生成する。
【0321】
本明細書に記載される化合物は、薬学的に許容可能な塩として、形成され得、および/または使用され得る。薬学的に許容可能な塩の種類は:(1)化合物の遊離塩基と、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、ニトリン酸、メタリン酸などの薬学的に許容可能な無機酸との;あるいは、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、2-ナフタリンスルホン酸、4-メチルビシクロ-[2.2.2]オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸(glucoheptonic acid)、4,4′-メチレンビス-(3-ヒドロキシ-2-エン-1-カルボン酸、3-フェニルプルピオン酸、トリメチル酢酸、ターシャリー・ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などの薬学的に許容可能な有機酸;との反応によって形成される酸付加塩を含み;(2)親化合物に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン(例えばリチウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類イオン(例えばマグネシウム、またはカルシウム)、またはアルミニウムイオンによって置換されるか、あるいは有機塩基と配位するときに形成される塩を含むが、これに限定されない。許容可能な有機塩基は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミンなどを含む。許容可能な無機塩基は水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどを含む。
【0322】
薬学的に許容可能な塩の対応する対イオンは、イオン交換クロマトグラフィー、イオンクロマトグラフィ、キャピラリー電気泳動法、誘導結合プラズマ、原子吸光分析、質量分析法、またはそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない様々な方法を使用して、分析され、識別され得る。
【0323】
塩は以下の技術の少なくとも1つの使用により回復される:濾過、濾過の後、非溶媒を有する沈殿、溶媒の蒸発、または水溶液の場合は凍結乾燥。
【0324】
薬学的に許容可能な塩に対する言及が、溶媒付加形態またはその結晶形態、特に溶媒和物または多形体を含むことを理解されたい。溶媒和物は、定比または不定比量の溶媒のいずれかを含み、水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒での結晶化のプロセスの間に形成され得る。水和物は、溶媒が水である時に形成され、あるいはアルコラートは、溶媒がアルコールである時に形成される。本明細書に記載される化合物の溶媒和物は、本明細書に記載されるプロセスの間に、都合よく調製または形成され得る。さらに、本明細書に提供される化合物は、溶媒和形態と同様に、非溶媒和形態でも存在し得る。一般的に、溶媒和形態は、本明細書に提供される化合物および方法の目的のために、非溶媒和形態と同等であると考えられる。
【0325】
塩に対する言及が、溶媒付加形態またはその結晶形態、特に溶媒和物または多形体を含むことを理解されたい。溶媒和物は、定比または非定比量の溶媒のいずれかを含み、水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒での結晶化のプロセス中にしばしば形成される。水和物は、溶媒が水である時に形成され、あるいはアルコラートは、溶媒がアルコールである時に形成される。多形体は、化合物の同じ元素組成の異なる結晶充填配列を含む。多形体は、通常、異なるX線回折パターン、赤外線スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形、光学および電気学上の特性、安定性、および溶解性を有する。再結晶溶媒、結晶化の速度、および保管温度などの様々な要因は、単結晶形態を優勢にし得る(to dominate)。
【0326】
本明細書に記載される化合物は、非晶質形態、粉砕形態、およびナノ粒子形態を含む、様々な形態であり得るが、これらに限定されない。さらに、本明細書に記載される化合物は、多形体としても知られる結晶形態を含む。多形体は、化合物の同じ元素組成の異なる結晶充填配列を含む。多形体は、通常、異なるX線回折パターン、赤外線スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形、光学および電気学上の特性、安定性、および溶解性を有する。再結晶溶媒、結晶化の速度、および保管温度などの様々な要因は、単結晶形態を優勢にし得る(to dominate)。
【0327】
薬学的に許容可能な塩、多形体、および/または溶媒和物のスクリーニングおよび特徴付けは、熱分析、X線回折、分光法、蒸気収着、および顕微鏡検査を含む様々な技術を使用して達成され得るが、これらに限定されない。熱分析方法は、多形転移を含むが、これに限定されない熱化学分解または熱物理プロセスを扱い、このような方法は、多形形態間の関係性を分析し、重量減少を測定して、ガラス転移温度を見出すために、または賦形剤の適合性研究のために使用される。このような方法は、示差走査熱量測定(DSC)、変調示差走査熱量測定(MDSC)、熱重量分析(TGA)、および熱重量および赤外分析(TG/IR)を含むが、これらに限定されない。X線回折法は、単結晶および粉末回折計、およびシンクロトロン放射源(synchrotron sources)を含むが、これらに限定されない。使用される様々な分光技術は、Raman、FTIR、UVIS、およびNMR(液体および固体の状態)を含むが、これらに限定されない。様々な顕微鏡検査技術は、偏光顕微鏡法、エネルギー分散X線分析(EDX)による走査型電子顕微鏡法(SEM)、EDXによる環境制御型走査型電子顕微鏡法(ガスまたは水蒸気の雰囲気における)、IR顕微鏡法、およびRaman顕微鏡法を含むが、これらに限定されない。
【0328】
本明細書を通して、基およびそれらの置換基は、安定した部分および化合物を提供するために、当業者により選択され得る。
【0329】
〈癌処置レジメン〉
特定の実施形態において、以下の工程を含む、それを必要とする固体における血液悪性腫瘍を治療する方法が本明細書に記載されている:(a)悪性腫瘍からの複数の細胞を動態化するのに十分な量の不可逆性Btk阻害剤を、個体に投与する工程;および(b)動態化された複数の細胞を分析する工程。幾つかの実施形態において、不可逆性Btk阻害剤の量は、悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増加症を誘発するのに十分である。幾つかの実施形態において、動態化された複数の細胞を分析する工程は、動態化された複数の細胞の末梢血中濃度を測定する工程を含む。幾つかの実施形態において、方法は、動態化された複数の細胞の末梢血中濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して、上昇した後に、第二の癌処置レジメンを施行することをさらに含む。幾つかの実施形態において、第二の癌処置レジメンの施行は、動態化された複数の細胞の末梢血中濃度が、その後の減少の後に生じる。幾つかの実施形態において、動態化された細胞の複数を分析することは、動態化された複数の細胞の末梢血中濃度が、Btk阻害剤の投与前の濃度と比較して増加する期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態において、方法は、動態化された複数の細胞の末梢血濃度が、所定の時間の間に増加した後に、第二の癌処置レジメンを施行することをさらに含む。幾つかの実施形態において、動態化された複数の細胞を分析する工程は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数を数える工程を含む。幾つかの実施形態において、方法は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数が、Btk阻害剤の投与前の数と比較して増加した後に、第二癌処置レジメンを施行することをさらに含む。幾つかの実施形態において、第二の癌処置レジメンの投与は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数が減少した後に生じる。幾つかの実施形態において、動態化された複数の細胞を分析する工程は、Btk阻害剤の投与前の数と比較して、末梢血中の動態化された複数の細胞の数が増加する期間を測定する工程を含む。幾つかの実施形態において、方法は、末梢血中の動態化された複数の細胞の数が、所定の時の間に増加した後、第二の癌処置レジメンを施行する工程をさらに含む。
【0330】
幾つかの実施形態において、第二の癌処置レジメンの前にBtk阻害剤を投与する工程は、第二の癌処置レジメンに対する免疫媒介性の反応を減少させる。幾つかの実施形態において、オファツムマブの前にBtk阻害剤を投与する工程は、オファツムマブに対する免疫媒介性の反応を減少させる。幾つかの実施形態において、第二の癌処置レジメンは化学療法の薬剤、ステロイド、免疫療法の薬剤、標的治療、またはそれらの組み合わせを含む。幾つかの実施形態において、第二の癌処置レジメンはB細胞受容体経路(B cell receptor pathway)阻害剤を含む。幾つかの実施形態において、B細胞受容体経路阻害剤は、CD79A阻害剤、CD79B阻害剤、CD19阻害剤、Lyn阻害剤、Syk阻害剤、PI3K阻害剤、Blnk阻害剤、PLCγ阻害剤、PKCβ阻害剤またはその組み合わせである。幾つかの実施形態において、第二の癌処置レジメンは、抗体、B細胞受容体シグナル伝達経路阻害剤、PI3K阻害剤、IAP阻害剤、mTOR阻害剤、放射免疫療法のもの、DNA損傷薬剤、生体沈殿(proteosome)阻害剤、ヒストンデアシラーゼ阻害剤、プロテインキナーゼ阻害剤、ヘッジホッグ阻害剤、Hsp90阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、Jak1/2阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、PKC阻害剤、PARP阻害剤またはその組み合わせを含む。
【0331】
幾つかの実施形態において、第二の癌処置レジメンはクロラムブシル、イホスファミド、ドキソルビシン、メサラジン、サリドマイド、レナリドミド、テムシロリムス、エベロリムス、フルダラビン、ホスタマチニブ、パクリタキセル、ドセタキセル、オファツムマブ、リツキシマブ、デキサメタゾン、プレドニゾン、CAL-101、イブリツモマブ、トシツモマブ、ボルテゾミブ、ペントスタチン、エンドスタチン、またはその組み合わせを含む。
【0332】
幾つかの実施形態において、第二の癌処置レジメンはシクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、ビンクリスチンおよびプレドニゾン、並びに随意にリツキシマブを含む。
【0333】
幾つかの実施形態において、第二の癌処置レジメンはベンダムスチンとリツキシマブを含む。
【0334】
幾つかの実施形態において、第二の癌処置レジメンはフルダラビン、シクロホスファミドおよびリツキシマブを含む。
【0335】
幾つかの実施形態において、第二の癌処置レジメンはシクロホスファミド、ビンクリスチンおよびプレドニゾン、並びに随意にリツキシマブを含む。
【0336】
幾つかの実施形態において、第二の癌処置レジメンはエトポシド、ドキソルビシン、ビンクリスチン(vinristine)、シクロホスファミド、プレドニゾロン、並びに随意にリツキシマブを含む。
【0337】
幾つかの実施形態において、第二の癌処置レジメンはデキサメタゾンとレナリドミドを含む。
【0338】
追加の癌処置レジメンは、例えば、ベンダムスチン、クロラムブシル、クロルメチン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、プレドニマスチン、トロホスファミドなどのナイトロジェンマスタード;ブスルファン、マンノスルファン、トレオスルファンのようなスルホン酸アルキル;カルボクオン、チオテパ、トリアジクオンのようなエチレンイミン;カルムスチン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、セムスチン、ストレプトゾシンのようなニトロソ尿素;例えば、エトグルシドなどのエポキシド;例えば、ダカルバジン、ミトブロニトール、ピポブロマン、テモゾロミドのなどの他のアルキル化剤;例えば、メトトレキサート、ペルメトレキセド(permetrexed)、プララトレキセート、ラルチトレキセドなどの葉酸アナログ(Folic Acid Analogues);例えば、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、メルカプトプリン、ネララビン、チオグアニンなどのプリンアナログ;例えば、アザシチジン、カペシタビン、カルモフール、シタラビン、デシタビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、テガフールなどのピリミジンアナログ;例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンフルニン、ビノレルビンなどのビンカアルカロイド;例えば、エトポシド、テニポシドなどのポドフィロトキシン誘導体(Podophyllotoxin Derivatives);例えば、デメコルチンなどのコルヒチン誘導体;例えば、ドセタキセル、パクリタキセル、パクリタキセル・ポリグルメックスなどのタキサン;例えば、トラベクテジンなどの、他の植物アルカロイドおよび天然産物;例えば、ダクチノマイシンなどのアクチノマイシン;例えば、アクラルビシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ピラルビシン、バルルビシン、ゾルビンシンなどのアントラサイクリン;例えば、ブレオマイシン、イクサベピロン、マイトマイシン、プリカマイシンなどの他の細胞傷害性抗生物質(Cytotoxic Antibiotics);例えば、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチンなどの白金化合物;例えば、プロカルバジンなどのメチルヒドラジン;例えば、アミノレブリン酸、エファプロキシラル、アミノレブリン酸メチル 、ポルフィマーナトリウム、テモポルフィンなどの感作剤;例えば、ダサチニブ、エルロチニブ、エベロリムス、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、パゾナニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムスなどのプロテインキナーゼ阻害剤;例えば、アリトレチノイン、アルトレタミン、アムサクリン(amzacrine)、アナグレリド、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、ベキサロテン、ボルテゾミブ、セレコキシブ、デニロイキンジフチトクス、エストラムスチン、ヒドロキシカルバミド、イリノテカン、ロニダミン、マソプロコール、ミルテホシン(miltefosein)、ミトグアゾン、ミトタン、オブリメルセン、ペガスパルガーゼ、ペントスタチン、ロミデプシン、シチマジーンセラデノベック、チアゾフリン、トポテカン、トレチノイン、ボリノスタットなどの抗悪性腫瘍剤;例えば、ジエチルスチルベンオール(diethylstilbenol)、エチニルエストラジオール、ホスフェストロール、リン酸ポリエストラジオールなどのエストロゲン;例えば、ゲストノロン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロールなどのプロゲストゲン;例えば、ブセレリン、ゴセレリン、リュープロレリン、トリプトレリンなどのゴナドトロピン放出ホルモンアナログ;例えば、フルベストラント、タモキシフェン、トレミフェンなどの抗エストロゲン;例えば、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミドなどの抗アンドロゲン;アミノグルテチミド、アナストロゾール、エキセメスタン、ホルメスタン、レトロゾール、ボロゾールなどの酵素阻害剤;例えば、アバレリクス、デガレリクスなどの他のホルモンアンタゴニスト;例えば、ヒスタミン二塩化水素化物、ミファムルチド、ピドチモド、プレリキサホル、ロキニメックス、チモペンチンなどの免疫促進薬;例えば、エベロリムス、グスペリムス、レフルノミド、ミコフェノール酸、シロリムスなどの免疫抑制剤;例えば、シクロスポリン、タクロリムスなどのカルシニューリン阻害剤;例えば、アザチオプリン、レナリドミド、メトトレキサート、サリドマイドなどの他の免疫抑制剤;および、例えば、イオベングアンなどの放射性医薬品を含む。
【0339】
追加の癌処置レジメンはインターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子、成長因子などを含む。
【0340】
追加の癌処置レジメンは、例えば、アンセスチム、フィルグラスチム、レノグラスチム、モルグラモスチム、ペグフィルグラスチム、サルグラモスチムなどの免疫促進薬;例えば、天然型インターフェロンアルファ(interferon alfa natural)、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファコン-1、インターフェロンアルファ-n1、天然型インターフェロンベータ、インターフェロンベータ-1a、インターフェロンベータ-1b、インターフェロンガンマ、ペグインターフェロン・アルファ-2a、ペグインターフェロン・アルファ-2bなどのインターフェロン;例えば、アルデスロイキン、オプレルベキンなどのインターロイキン;例えば、BCGワクチン、酢酸グラチラマー、ヒスタミン二塩化水素化物、イムノシアニン、レンチナン、メラノーマワクチン、ミファムルチド、ペガデマーゼ、ピドチモド、プレリキサホル、ポリI:C、ポリICLC、ロキニメックス、タソネルミン、チモペンチンなどの他の免疫促進剤;例えば、アバタセプト、アベチムス、アレファセプト、抗リンパ球免疫グロブリン(馬)、抗胸腺細胞免疫グロブリン(ウサギ)、エクリズマブ、エファリズマブ、エベロリムス、グスペリムス、レフルノミド、ムロモナブ(muromab)-CD3、ミコフェノール酸、ナタリズマブ、シロリムスなどの免疫抑制剤;例えば、アダリムマブ、アフェリモマブ、セルトリズマブペゴール、エタネルセプト、ゴリムマブ、インフリキシマブなどのTNFアルファ阻害剤;例えば、アナキンラ、バシリキシマブ、カナキヌマブ、ダクリズマブ、メポリズマブ、リロナセプト、トシリズマブ、ウステキヌマブなどのインターロイキン阻害剤;例えば、シクロスポリン、タクロリムスなどのカルシニューリン阻害剤;例えば、アザチオプリン、レナリドミド、メトトレキサート、サリドマイドなどの他の免疫抑制剤を含む。
【0341】
追加の癌処置レジメンは、アダリムマブ、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、セルトリズマブペゴール、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、ゲムツズマブ、イブリツモマブチウキセタン、インフリキシマブ、ムロモナブ(Muromonab)-CD3、ナタリズマブ、パニツムマブ、ラニビズマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、トラスツズマブなど、またはその組み合わせである。
【0342】
追加の癌処置レジメンは、例えば、アレムツズマブ、ベバシズマブ、カツマキソマブ、セツキシマブ、エドレコロマブ、ゲムツズマブ、オファツムマブ、パニツムマブ、リツキシマブ、トラスツズマブなどのモノクローナル抗体;エクリズマブ、エファリズマブ、ムロマブ(muromab)-CD3、ナタリズマブなどの免疫抑制剤;例えば、アダリムマブ、アフェリモマブ、セルトリズマブペゴール、ゴリムマブ、インフリキシマブなどのTNFアルファ阻害剤;バシリキシマブ、カナキヌマブ、ダクリズマブ、メポリズマブ、トシリズマブ、ウステキヌマブなどのインターロイキン阻害剤;イブリツモマブチウキセタン、トシツモマブなどの放射性医薬品;例えば、アバゴボマブ(abagovomab)、アデカツムマブ、アレムツズマブ、抗CD30モノクローナル抗体Xmab2513、抗METモノクローナル抗体MetMab、アポリズマブ、アポマブ、アルシツモマブ、バシリキシマブ、二重特異性抗体2B1、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ・ベドチン、カプロマブペンデチド、シクスツムマブ、クラウジキシマブ(claudiximab)、コナツムマブ、デカツムマブ、デノスマブ、エクリズマブ、エプラツズマブ、エプラツズマブ、エルツマキソマブ(ertumaxomab)、エタラシズマブ、フィギツムマブ、フレソリムマブ、ガリキシマブ、ガニツマブ、ジェムツズマブオゾガミシン、グレムバツムマブ、イブリツモマブ、イノツズマブ・オゾガミシン、イピリムマブ、レクサツムマブ、リンツズマブ、リンツズマブ、ルカツムマブ、マパツムマブ、マツズマブ、ミラツズマブ、モノクローナル抗体CC49、ネスツムマブ(necitumumab)、ニモツズマブ、オファツムマブ、オレゴボマブ(oregovomab)、ペルツズマブ、ラマクリマブ(ramacurimab)、ラニビズマブ、シプリズマブ、ソネプシズマブ、タネズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレメリムマブ、ツコツズマブ・セルモロイキン、ベルツズマブ、ビジリズマブ、ボロシキシマブ、ザルツムマブなどの他のモノクローナル抗体を含む。
【0343】
追加の癌処置レジメンは、細胞のシグナル伝達ネットワーク(例えば、B細胞受容体およびIgE受容体からシグナルを発信する、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)シグナル伝達経路)などの腫瘍微小環境に影響を与える薬剤を含む。幾つかの実施形態において、第二の作用剤は、PI3Kシグナル伝達阻害剤またはsycキナーゼ阻害剤である。1つの実施形態において、syk阻害剤はR788である。別の実施形態において、ほんの一例としてエンザスタウリンなどのPKCγ阻害剤がある。
【0344】
腫瘍微小環境に影響を与える薬剤の例は、PI3Kシグナル伝達阻害剤、sycキナーゼ阻害剤、例えば、ダサチニブ、エルロチニブ、エベロリムス、ゲフィチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、ニロチニブ、パゾナニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムスなどのプロテインキナーゼ阻害剤;例えば、GT-111、JI-101、R1530などの他の血管形成阻害剤;例えば、AC220、AC480、ACE-041、AMG900、AP24534、Arry-614、AT7519、AT9283、AV-951、アキシチニブ、AZD1152、AZD7762、AZD8055、AZD8931、バフェチニブ、BAY73-4506、BGJ398、BGT226、BI811283、BI6727、BIBF1120、BIBW2992、BMS-690154、BMS-777607、BMS-863233、BSK-461364、CAL-101、CEP-11981、CYC116、DCC-2036、ジナシクリブ、乳酸ドビチニブ(dovitinib)、E7050、EMD1214063、ENMD-2076、ホスタマチニブ(fostamatinib)ジナトリウム、GSK2256098、GSK690693、INCB18424、INNO-406、JNJ-26483327、JX-594、KX2-391、リニファニブ、LY2603618、MGCD265、MK-0457、MK1496、MLN8054、MLN8237、MP470、NMS-1116354、NMS-1286937、ON 01919.Na,OSI-027、OSI-930 Btk阻害剤、PF-00562271、PF-02341066、PF-03814735、PF-04217903、PF-04554878、PF-04691502、PF-3758309、PHA-739358、PLC3397、プロゲニポイエチン、R547、R763、ラムシルマブ、レゴラフェニブ、RO5185426、SAR103168、S3333333CH 727965、SGI-1176、SGX523、SNS-314、TAK-593、TAK-901、TKI258、TLN-232、TTP607、XL147、XL228、XL281RO5126766、XL418、XL765などの他のキナーゼ阻害剤を含む。
【0345】
Btk阻害剤の化合物と組み合わせて使用するための抗癌剤のさらなる例は、例えばU0126、PD98059、PD184352、PD0325901、ARRY-142886、SB239063、SP600125、BAY43-9006、ウォルトマニン、またはLY294002などのマイトジェン活性化プロテインキナーゼシグナル伝達の阻害剤;Syk阻害剤;mTOR阻害剤;また抗体(例えばリツキサン)を含む。
【0346】
Btk阻害剤の化合物と組み合わせて使用され得る他の抗癌剤は、アドリアマイシン、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、シスプラチン、アシビシン;アクラルビシン;アコダゾール塩酸塩;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アムボマイシン;酢酸アメタントロン;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテーパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビスアントレン;二メシル酸ビスナフィド;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナルナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼレシン;セデフィンゴール;クロラムブシル;シロレマイシン;クラドリビン;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デクソロマプラチン;デザグアニン;メシル酸デザグアミン;ジアジクオン;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;ズアゾマイシン(duazomycin);エダトレキセート;塩酸エフロルニチン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロマート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;リン酸エストラムスチンナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロオシタビン;ホスキドン;フォストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシ尿素;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イイモホシン(iimofosine);インターロイキンII(組み換え型インターロイキンII、またはrlL2を含む),インターフェロンアルファ-2a;インターフェロンアルファ-2b;インターフェロンアルファ-n1;インターフェロンアルファ-n3;インターフェロンベータ-la;インターフェロンガンマ-lb;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメテレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;メイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン(mitogillin);ミトマルシン;マイトマイシン;ミトスペル;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾイ(nocodazoie);ノガラマイシン;オルマプラチン;オクシスラン;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ログレチミド;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルホサートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌア(sulofenur);タリソマイシン;テコガランナトリウム;テガフール;塩酸トレキサトロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシビリン;トリメトレキサート;グルグロン酸トリメトレキサート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシナート;硫酸ビンレウロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;塩酸ゾルビシンを含む。
【0347】
Btk阻害化合物と組み合わせて使用され得る他の抗癌剤は、次のものを含む:20-epi-1,25のジヒドロキシビタミンD3;5‐エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アキルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL-TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アムバムスチン;アミドックス;アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラフォライド;血管形成阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリックス;抗背側化形態形成タンパク質(anti-dorsalizing morphogenetic protein)-1;抗アンドロゲン前立腺癌;抗エストロゲン;アンチネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;グリシン酸アフィジコリン;アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシス調節剤;アプリン酸;ara-CDP-DL-PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;ベータラクタム誘導体;ベータ-アレチン;ベータクラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビスアントレン;ビサジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビゼレシン;ブレフレート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシイミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カナリア痘IL-2;カペシタビン;カルボキサミド-アミノ-トリアゾール;カルボキシアミドトリアゾール;CaRest M3;CARN‐700;軟骨由来阻害剤;カルゼレシン;カセインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリックス;クロリン;クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;cis‐ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェンアナログ;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチンアナログ;コナゲニン;クラムベスシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;クラシンA;シクロペンタントラキノン;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクホスファート;細胞溶解因子;シトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デクスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジクオン;ジデムニンB;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ-5-アザシチジン;9-ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;ズオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテフール;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチンアナログ;エストロゲンアゴニスト、エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロダウノルニシン;ホルフェニメックス;ホルメスタン;ホストリエシン;ホテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリックス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ハプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロニック酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホシン;イロマスタット;イミダゾアクリドン;イミキモド;免疫促進ペプチド;例えば、成長因子-1受容体阻害剤などのインスリン;インターフェロンアゴニスト、インターフェロン;インターロイキン;ヨーベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール,4-;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;ラメラリン-Nトリアセテート;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病抑制因子;白血球アルファインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;リュープロレリン;レバミソール;リアロゾール;線状ポリアミンアナログ;脂溶性二糖ペプチド;脂溶性白金化合物;リッソクリナミド(lissoclinamide)7;ロバプラチン;ロムブリシン;ロメトレキソール(lometrexol);ロニダミン;ロソキサントロン;ロバスタチン;ロキソリビン;ラルトテカン(lurtotecan);ルテチウム・テキサフィリン;リソフィリン;溶解性ペプチド;マイタンシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリリシン阻害剤;マトリックスメタロプロテアーゼ(metalloproteinase)阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテホシン;ミリモスチム;不適正二本鎖RNA;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシンアナログ;ミトナフィド;マイトトキシン繊維芽細胞成長因子サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;モノクローナル抗体、ヒト絨毛性ゴナドトロピン ;モノホスホリルリピドA+マイオバクテリア(myobacterium)細胞壁sk;モピダモール;多剤耐性遺伝子阻害剤;外発性腫瘍サプレッサー1に基づく治療;マスタード抗癌剤;ミカペロキシドB;マイコバクテリアの細胞壁抽出液;ミリアポロン;N-アセチルジナリン;N-置換ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ(nagrestip);ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素モジュレーター;ニトロキシド酸化防止剤;ニトルリン;O6-ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;口腔サイトカイン誘発因子;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペガスパルガーゼ;ペルデシン;ペントサンポリスルフェート・ナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;ペルフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;フェニルアセテート;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニール;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノゲン活性化因子阻害剤;白金錯体;白金化合物;白金-トリアミン錯体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビス-アクリドン;プロスタグランジンJ2、プロテアソーム阻害剤;タンパク質Aベースの免疫変調成分;タンパク質キナーゼC阻害剤;タンパク質キナーゼC阻害剤、微細藻類;タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシル化ヘモグロビン・ポリオキシエチレン(polyoxyethylerie)共役;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras-GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン;レニウムRe186エチドロネート;リゾキシン;リボザイム;RIIレチンアミド;ログレチミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメックス;ルビジノン(rubiginオン)B1;ルボキシル(ruboxyl);サフィンゴール;セイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi 1ミメティック;セムスチン;老化由来阻害剤1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シグナル報伝達モジュレーター;一本鎖抗原結合タンパク質;シゾフィラン;ソブゾキサン;ボロカプテイト;フェニル酢酸ナトリウム;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルホス酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンジスタチン1;スクアラミン;幹細胞阻害剤;幹細胞分裂阻害剤;スチピアミド;ストロメリシン阻害剤;サルフィノシン;超活性(superactive)血管作用性小腸ペプチドアンタゴニスト;サラジスタ;スラミン;スワインソニン;合成グリコサミノグリカン;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テモゾロミド;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;サリブラスチン;チオコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチンミメティック;チマルファシン;チモポエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;エチルエチオプロプリンすず;チラパザミン;二塩化チタノセン;トプセンチン;トレミフェン;分化全能性幹細胞因子;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキサート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド(turosteride);チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン;UBC阻害剤;ウベニメクス;尿生殖洞由来成長阻害因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベクトル系赤血球遺伝子療法;ベラレゾール;ベラミン;ベルジン;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;および、ジノスタチンスチマラマーを含む。
【0348】
Btk阻害化合物と組み合わせて使用される、また別の抗癌剤は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、天然産生物、またはホルモン、例えばナイトロジェンマスタード(例えばメクロレタミン、シクロホスファミド、クロラムブシルなど)、スルホン酸アルキル(例えばブスルファン)、ニトロソ尿素(例えばカルムスチン、ロムスチンなど)、またはトリアゼン(デカルバジンなど)を含む。代謝拮抗剤の例は、葉酸アナログ(例えばメトトレキサート)、またはピリミジンアナログ(例えばシタラビン)、プリンアナログ(例えばメルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチンを含むが、これらに限定されない。
【0349】
Btk阻害化合物と組み合わせて使用されるアルキル化剤の例は、ナイトロジェンマスタード(例えばメクロロエタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル、メルファランなど)、エチレンイミンおよびメチルメラミン(例えばヘキサメチルメラミン、チオテパ)、スルホン酸アルキル(例えばブスルファン)、ニトロソ尿素(例えばカルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾシンなど)、またはトリアゼン(デカルバジンなど)を含むが、これらに限定されない。代謝拮抗薬の例は、葉酸アナログ(例えばメトトレキサート)、またはピリミジンアナログ(例えばフルオロウラシル、フロクソウリジン、シタラビン)、プリンアナログ(例えばメルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチンを含むが、これらに限定されない。
【0350】
安定化された微小管により、細胞をG2-M期に停止させることで作用し、Btk阻害化合物と組み合わせて使用され得る抗癌剤の例は、以下の市販薬および開発中の薬物を制限することなく含む:エルブロゾール(R-55104としても知られている)、ドラスタチン10(DLS-10およびNSC-376128としても知られている)、ミボブリンイセチオネート(CI-980としても知られている)、ビンクリスチン、NSC-639829、ディスコデルモリド、(NVP-XX-A-296としても知られている)、ABT-751(Abbott、E-7010としても知られている)、アルトリルチン(アルトリルチンAおよびアルトリルチンCなど)、スポンジスタチン(スポンジスタチン1、スポンジスタチン2、スポンジスタチン3、スポンジスタチン4、スポンジスタチン5、スポンジスタチン6、スポンジスタチン7、スポンジスタチン8およびスポンジスタチン9など)、塩酸セマドチン(LU-103793およびNSC-D-669356としても知られている)、エポチロン(エポチロンA、エポチロンB、デソキシエポチロンAまたはdEpoAとしても知られているエポチロンC、エポチロンD(KOS-862、dEpoBおよびデソキシエポチロンBも指す)、エポチロンE、エポチロンF、エポチロンB N-オキシド、エポチロンA N-オキシド、16-アザ-エポチロンB、21-アミノエポチロンB(BMS-310705としても知られている)、21-ヒドロキシエポチロンD(デソキシエポチロンFおよびdEpoFとしても知られている)、26-フルオロエポチロン)、アウリスタチンPE(NSC-654663としても知られている)、ソブリドチン(TZT-1027としても知られている)、LS-4559-P(Pharmacia、LS-4577としても知られている)、LS-4578(Pharmacia、LS-477-Pとしても知られている)、LS-4477(Pharmacia)、LS-4559(Pharmacia)、RPR-112378(Aventis)、硫酸ビンクリスチン、DZ-3358(Daiichi)、FR-182877(Fujisawa、WS-9885Bとしても知られている)、GS-164(Takeda)、GS-198(Takeda)、KAR-2(Hungarian Academy of Sciences)、BSF-223651(BASF、ILX-651およびLU-223651としても知られている)、SAH-49960(Lilly/Novartis)、SDZ-268970(Lilly/Novartis)、AM-97(Armad/Kyowa Hakko)、AM-132(Armad)、AM-138(Armad/Kyowa Hakko)、IDN-5005(Indena)、クリプトファイシン52(LY-355703としても知られている)、AC-7739(Ajinomoto、AVE-8063AおよびCS-39.HCIとしても知られている)、AC-7700(Ajinomoto、AVE-8062、AVE-8062A、CS-39-L-Ser.HCIおよびRPR-258062Aとしても知られている)、ビチレブアミド、ツブリシンA、カナデンソール、センタウレイジン(NSC-106969としても知られている)、T-138067(Tularik、T-67、TL-138067、TI-138067としても知られている)、COBRA-1(Parker Hughes Institute、DDE-261およびWHI-261としても知られている)、H10(Kansas State University)、H16(Kansas State University)、オンコシジンA1(BTO-956およびDIMEとしても知られている)、DDE-313(Parker Hughes Institute)、フィジアノリドB、ラウリマリド、SPA-2(Parker Hughes Institute)、SPA-1(Parker Hughes Institute、SPIKET-Pとしても知られている)、3-IAABU(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine、MF-569としても知られている)およびTI-138067、ナルコシン(NSC-5366としても知られている)、ナスカピン、D-24851(Asta Medica)、A-105972(Abbott)、ヘミアステルリン、3-BAABU(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine、MF-191としても知られている)、TMPN(Arizona State University)、バナドセンアセチルアセトネート、T-138026(Tularik)、モンサトロール、イナコシン(NSC-698666としても知られている)、3-lAABE(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine)、A-204197(Abbott)、T-607、RPR(Tuiarik、T-900607としても知られている)、RPR-115781(Aventis),エリュテロビン(デスメチルエリュテロビン、デスアセチルエリュテロビン(Desaetyleleutherobin)、イソエリュテロビンA、およびZ-エリュテロビンなど)、カリバエオシド、カリバエオリン、ハリコンドリンB、D-64131(Asta Medica)、D-68144(Asta Medica)、ジアゾナミドA、A-293620(Abbott)、NPI-2350(Nereus)、タッカロノリドA、TUB-245(Aventis)、A-259754(Abbott)、ジオゾスタチン、(-)-フェニルアヒスチン(NSCL-96F037としても知られている)、D-68838(Asta Medica)、D-68836(Asta Medica)、ミオセベリンB、D-43411(Zentaris、D-81862としても知られている)、A-289099(Abbott)、A-318315(Abbott)、HTI-286(SPA-110、トリフルオロ酢酸塩)としても知られている)(Wyeth)、D-82317(Zentaris)、D-82318(Zentaris)、SC-12983(NCI)、リン酸レスベラスタチンナトリウム、BPR-OY-007(National Health Research Institutes)、およびSSR-250411(Sanofi)。
【0351】
〈バイオマーカー〉
特定の実施形態において、以下の工程を含む、それを必要とする個体において血液悪性腫瘍を処置する方法が、本明細書に開示される:(a)悪性腫瘍からの複数の細胞を動態化するのに十分な量の不可逆性Btk阻害剤を個体に投与する工程;および(b)動態化された複数の細胞を分析する工程。幾つかの実施形態において、不可逆性Btk阻害剤の量は悪性腫瘍からの複数の細胞のリンパ球増多症を誘発するのに十分である。幾つかの実施形態において、動態化された複数の細胞を分析する工程は、複数の細胞から分離された集団のバイオマーカープロファイルを準備する工程を含む。幾つかの実施形態において、バイオマーカー発現プロファイルを使用して、診断し、予後を判断し、あるいは血液悪性腫瘍の予測プロファイルを作成する。幾つかの実施形態において、バイオマーカープロファイルは、バイオマーカーの発現、バイオマーカーの発現レベル、バイオマーカーの突然変異、またはバイオマーカーの存在を示す。幾つかの実施形態において、バイオマーカーは任意の細胞遺伝学的な、細胞表面分子またはタンパク質、あるいはRNA発現マーカーである。
【0352】
幾つかの実施形態において、バイオマーカーは以下のものである。ZAP70;t(14,18)β-2ミクログロブリン;p53の突然変異状態;ATMの突然変異状態;del(17)p;del(11)q;del(6)q;CD5;CD11c;CD19;CD20;CD22;CD25;CD38;CD103;CD138;分泌された、表面または細胞質内の免疫グロブリンの発現;VHの突然変異状態;またはそれらの組み合わせ。幾つかの実施形態において、方法はバイオマーカープロファイルに基づいて第2の癌処置レジメンを提供する工程をさらに含む。幾つかの実施形態において、方法はバイオマーカープロファイルに基づいて施行する工程をさらに含まない。幾つかの実施形態において、方法はバイオマーカープロファイルに基づいて処置レジメンの効果を予測する工程をさらに含む。
【0353】
特定の実施形態において、方法は、診断する工程、予後を決定する工程、特定のバイオマーカーの発現または存在に基づき血液悪性腫瘍の予測プロファイル作成する工程を含む。他の実施形態において、方法は、影響を受けたリンパ球における特定のバイオマーカーの発現または存在に基づき、患者集団を階層化(stratefy)する工程をさらに含む。また他の実施形態において、方法は、影響を受けたリンパ球における特定のバイオマーカーの発現または存在に基づき、被験者の治療のレジメンを決定する工程をさらに含む。また他の実施形態において、方法は、影響を受けたリンパ球における特定のバイオマーカーの発現または存在に基づき、被験者の治療に対する反応を予測する工程をさらに含む。
【0354】
特定の態様において、以下の工程を含む、診断する方法、予後の決定方法、または被験体の悪性腫瘍についての予測プロファイルを作成する方法が本明細書に提供される:(a)リンパ球亜群が血液中で増加または出現するのに十分なBtk阻害剤を被験体に投与する工程;および(b)1つ以上のリンパ球亜群から、1つ以上のバイオマーカーの発現または存在を測定する工程、ここで、1つ以上のバイオマーカーの発現または存在を使用して、血液悪性腫瘍を診断し、血液悪性腫瘍の予後を決定し、または血液悪性腫瘍の予測プロファイルを作成する。1つの実施形態において、リンパ球亜群の血液中での増加または出現を、免疫表現型検査によって測定する。別の実施形態において、リンパ球亜群の血液中での増加または発現を、蛍光活性化セルソーター(FACS)によって測定する。
【0355】
他の態様において、以下の工程を含む、悪性腫瘍の患者集団を階層化する方法が、本明細書に記載される:(a)リンパ球亜群が血液中で増加または出現するのに十分なBtk阻害剤を被験体に投与する工程;および(b)1つ以上のリンパ球亜群から1つ以上のバイオマーカーの発現または存在を測定する工程;ここで、1つ以上のバイオマーカーの発現または存在を使用して、血液悪性腫瘍の処置のために患者を階層化する。1つの実施形態において、リンパ球亜群の血液中における増加または出現を、免疫表現型検査法により測定する。別の実施形態において、リンパ球亜群の血液中における増加または出現を、蛍光活性化セルソーター(FACS)により測定する。
【0356】
また他の態様において、以下の工程を含む、血液悪性腫瘍を有する被験体の治療レジメンを決定する方法が、本明細書に提供される:(a)リンパ球亜群が血液中で増加または出現するのに十分なBtk阻害剤を被験体に投与する工程;および(b)1つ以上のリンパ球亜群から1つ以上のバイオマーカーの発現または存在を測定する工程;ここで、1つ以上のバイオマーカーの発現または存在を使用して、血液悪性腫瘍の処置についての治療レジメンを決定する。1つの実施形態において、リンパ球亜群の血液中における増加または出現を、免疫表現型検査法により測定する。別の実施形態において、リンパ球亜群の血液中における増加または出現を、蛍光活性化セルソーター(FACS)により測定する。
【0357】
また別の態様において、以下の工程を含む、血液悪性腫瘍を有する被験体の治療に対する反応を予測する方法が、本明細書に提供される:(a)リンパ球亜群が血液中で増加または出現するのに十分なBtk阻害剤を被験体に投与する工程;および(b)1つ以上のリンパ球亜群から1つ以上のバイオマーカーの発現または存在を測定する工程;ここで、1つ以上のバイオマーカーの発現または存在を使用し、血液悪性腫瘍の治療に対する被験体の反応を予測する。1つの実施形態において、リンパ球亜群の血液中における増加または出現を、免疫表現型検査法により測定する。別の実施形態において、リンパ球亜群の血液中における増加または出現を、蛍光活性化セルソーター(FACS)により測定する。
【0358】
特定の態様において、診断し、予後を決定し、患者の血液悪性腫瘍の予測プロファイルを作成する方法は本明細書に提供され、該方法は、Btk阻害剤の投与を受け被験体における、1つ以上のリンパ球亜群から、1つ以上のバイオマーカーの発現また存在を測定する工程を含み、ここで、1つ以上のバイオマーカーの発現または存在を用いて、血液悪性腫瘍を診断し、血液悪性腫瘍の予後を決定し、または血液悪性腫瘍の予測プロファイルを作成する。1つの実施形態において、Btk阻害剤の用量は、免疫表現型検査法によって定義されたリンパ球亜群が血液において増加または発現するのに十分である。別の実施形態において、1つ以上のリンパ球亜群から1つ以上のバイオマーカーの発現または存在を測定する工程は、1つ以上の型のリンパ球を単離する工程、検出する工程、または測定する工程をさらに含む。また別の実施形態において、Btk阻害剤は可逆性または不可逆性の阻害剤である。
【0359】
他の態様において、血液悪性腫瘍を有する被験者の集団を階層化する方法が本明細書に記載され、該方法は、Btk阻害剤の投与を受けた被験者における、1つ以上のリンパ球亜群から、1つ以上のバイオマーカーの発現また存在を測定する工程を含み、ここで、1つ以上のバイオマーカーの発現または存在を用いて、血液悪性腫瘍の処置のために患者を階層化する。1つの実施形態において、Btk阻害剤の用量は、免疫表現型検査法によって定義されたリンパ球亜群が血液において増加または発現するのに十分である。別の実施形態において、1つ以上のリンパ球亜群から1つ以上のバイオマーカーの発現または存在を測定する工程は、1つ以上の型のリンパ球を単離する工程、検出する工程、または測定する工程をさらに含む。また別の実施形態において、Btk阻害剤は可逆性または不可逆性の阻害剤である
【0360】
また別の態様において、血液悪性腫瘍を有する被験体における治療レジメンを決定する方法が本明細書に開示され、Btk阻害剤の投与を受けた被験体において、1つ以上のリンパ球亜群から1つ以上のバイオマーカーの発現また存在を測定する工程を含み、ここで、1つ以上のバイオマーカーの発現または存在を用いて、血液悪性腫瘍の処置に関する治療レジメンを決定する。1つの実施形態において、Btk阻害剤の用量は、免疫表現型検査法によって定義されたリンパ球亜群が血液において増加または発現するのに十分である。別の実施形態において、1つ以上のリンパ球亜群から1つ以上のバイオマーカーの発現または存在を測定する工程は、1つ以上の型のリンパ球を単離する工程、検出する工程、また測定する工程をさらに含む。また別の実施形態において、Btk阻害剤は可逆性または不可逆性の阻害剤である。
【0361】
また別の態様において、血液悪性腫瘍を有する被験体における治療に対する反応を予測する方法が本明細書に記載され、該方法は、Btk阻害剤の投与を受けた被験体において、1つ以上の循環リンパ球から1つ以上のバイオマーカーの発現また存在を測定する工程を含み、ここで、1つ以上のバイオマーカーの発現または存在を用いて、血液悪性腫瘍の治療に対する被験体の反応を予測する。1つの実施形態において、Btk阻害剤の用量は、免疫表現型検査法によって定義されたリンパ球亜群が血液において増加または発現するのに十分である。別の実施形態において、1つ以上のリンパ球亜群から1つ以上のバイオマーカーの発現または存在を測定する工程は、1つ以上の型のリンパ球を単離する工程、検出する工程、また測定する工程をさらに含む。また別の実施形態において、Btk阻害剤は可逆性または不可逆性の阻害剤である。
【0362】
本明細書に熟考されたように、血液悪性腫瘍に関する任意のバイオマーカーは、本発明の方法で利用されたいくつかの実施形態にある。これらのバイオマーカーは、任意の生体分子(血液、他の体液または組織のいずれかで見られる)または、血液悪性腫瘍の兆候である任意の染色体異常を含む。特定の実施形態において、バイオマーカーは、TdT、CD5、CD11c、CD19、CD20、CD22、CD79a、CD15、CD30、CD38、CD138、CD103、CD25、ZAP-70、p53の突然変異状態、ATMの突然変異状態、IgVHの突然変異状態、染色体17の欠損(del 17p)、染色体6の欠損(del 6q)、染色体7の欠損(del 7q)、染色体11の欠損(del 11q)、12トリソミー、染色体13の欠損(del 13 q)、t(11:14)染色体転座、t(14:18)染色体転座、CD10、CD23、ベータ-2ミクログロブリン、bcl-2の発現、CD9、ヘリコバクター・ピロリの存在、CD154/CD40、Akt、NF-κB、WNT、Mtor、ERK、MAPK、およびSrcチロシンキナーゼの発現を含むが、それらに限定されない。特定の実施形態において、バイオマーカーは、ZAP-70、CD5、t(14;18)、CD38、β-2ミクログロブリン、p53の突然変異状態、ATMの突然変異状態、染色体17pの欠損、染色体11qの欠損、表面または細胞質内の免疫グロブリン、CD138、CD25、6qの欠損、CD19、CD20、CD22、CD11c、CD103、染色体7qの欠損、VHの突然変異状態、またはそれらの組み合わせを含む。
【0363】
特定の実施形態において、既知の処置レジメンから利益を得るであろう血液悪性腫瘍、あるいは前血液悪性腫瘍を有する被験体の部分母集団は、当該技術分野において既知の、1つ以上の臨床的に有用なバイオマーカーのために候補の被験体をスクリーニングすることによって同定される。当業者に既知である、任意の臨床的に有用な予後のマーカーが使用され得る。幾つかの実施形態において、該部分集団は、慢性リンパ性白血病(CLL)患者を含み、並びに、特に興味のある臨床的に有用な予後のマーカーは、ZAP-70、CD38、.beta.2ミクログロブリン、および細胞遺伝学的マーカー、例えばp53の突然変異状態、ATMの突然変異状態、染色体欠損(染色体17pの欠損および染色体11qの欠損など)を含むが、これらに限定されず、これらのすべてはこの疾患に対して臨床的に有用な予後マーカーである。
【0364】
ZAP-70は、T細胞抗原受容体(TCR)のゼータ・サブユニットと結合するチロシンキナーゼであり、T細胞の活性化および発生において極めて重要な役割を担う(Chan et al.(1992)Cell 71:649-662)。ZAP-70はチロシンリン酸化し、TCR刺激に続くシグナル伝達の媒介において不可欠である。チロシンキナーゼの過剰発現または恒常的活性化は、白血病およびいくつかの型の固形腫瘍を含む、多くの悪性腫瘍に関係することが実証された。例えば、増加したZAP-70 RNA発現レベルは、慢性リンパ性白血病(CLL)の予後のマーカーである(Rosenwald et al.(2001)J.Exp.Med.194:1639-1647)。ZAP-70はT細胞とナチュラルキラー細胞で発現されるが、正常なB細胞で発現されるとは知られていない。しかしながら、ZAP-70は、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)患者のB細胞において、および、より詳細には、未変異Ig遺伝子をもつCLL/SLL患者に見られる、より進行的な臨床経過をたどる傾向があるCLL患者のサブセットにおいて、高いレベルで発現される(Wiestner et al,(2003)Blood 101:4944-4951;米国特許出願公報第20030203416号)。ZAP-70発現レベルとIg遺伝子の突然変異状態の間に相関性があるため、ZAP-70は、予後の指標として、重度疾患(高ZAP-70および未変異Ig遺伝子)を有している可能性があり、それ故、進行性治療の候補者である患者を同定するために使用され得る。
【0365】
CD38は、環状ADPリボース(cADPR)の合成および分解を触媒する表面酵素であると同時に、シグナル伝達分子でもある。CD38の発現は骨髄前駆B細胞において高レベルで呈され、静止期の正常B細胞において発現量を減少され(down-regulated)、そして、高分化型形質細胞において再発現される(Campana et al.(2000)Chem.Immunol.75:169-188)。CD38は、B-CLLにおいて信頼性のある予後の指標であり、CD38が発現した場合、一般的にそれほど好ましくない結果を示唆する(D’Arena et al.(2001)Leuk.Lymphoma 42:109;Del Poeta et al.(2001)Blood 98:2633;Durig et al.(2002)Leukemia 16:30;Ibrahim et al.(2001)Blood 98:181;Deaglio et al.(2003)Blood 102:2146-2155)。CD38の発現を伴う好ましくない臨床的指標は、進行期疾患、化学療法に対する乏しい反応性、初期治療を要する前の時間がより短いこと、および、より短い生存期間を含む(Deaglio et al.(2003)Blood 102:2146-2155)。最初は、CD38の発現とIgV遺伝子の突然変異との間に強い相関性が観察され、未変異V遺伝子を有する患者は、変異V遺伝子を有する患者よりも高い割合のCD38.sup.+B-CLL細胞を示した(Damle et al.(1999)Blood 94:1840-1847)。しかしながら、後の研究は、CD38発現が必ずしもIgV遺伝子の再配列と相互関連にあるとは限らないことを示した(Hamblin et al.(2002)Blood 99:1023;Thunberg et al.(2001)Blood 97:1892)。
【0366】
p53は腫瘍抑制因子として作用する核リンタンパク質である。野生型p53は細胞増殖と分裂の制御に関係する。p53はDNAに結合し、細胞分裂を刺激するタンパク質(cdk2)と相互に作用するタンパク質(p21)の生成を刺激する。p21がcdk2に結合されているとき、細胞は細胞分裂の次の段階に入ることを阻害される。突然変異したp53はDNAを効果的に結合できず、従って、p21が細胞分裂の停止シグナルとして作用することを妨げることにより、結果として、細胞分裂が制御されず、腫瘍形成がもたらされる。また、p53は、いくつかの腫遺伝子のDNA損傷、細胞ストレス、または異常発現に応じて細胞自己死(アポトーシス)の誘発を制御する。いくつかの癌細胞株における野生型p53の発現は、成長抑制制御を回復させると示された。(Casey et al.(1991)Oncogene 6:1791-1797;Takahashi et al.(1992)Cancer Res.52:734-736)。p53の突然変異は、結腸、乳房、肺、卵巣、膀胱および他の多くの器官の腫瘍を含む、ほとんどの腫瘍型において見られる。p53の突然変異は、バーキットリンパ腫、L3型B細胞急性リンパ芽球性白血病、B細胞慢性リンパ性白血病と関係することが見出されている(Gaidano et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 88:5413-5417)。また、p53の異常が、B細胞前リンパ球性白血病と関係することも見出されている(Lens et al.(1997)Blood 89:2015-2023)。p53に関する遺伝子は染色体17の短腕の領域17p13.105-p12に位置する。
【0367】
Β-2-ミクログロブリンは、クラスI主要組織適合遺伝子複合体(MHC)のα鎖と非共有結合する細胞外タンパク質である。Β-2-ミクログロブリンは、血清において検出可能であり、CLLにおいて有害な予後の指標である(Keating et al.(1998)Blood 86:606a)and Hodgekin’s Lymphoma(Chronowski et al.(2002)Cancer 95:2534-2538)。Β-2-ミクログロブリンは、白血病、リンパ腫および多発性骨髄腫を含むリンパ増殖性疾患に臨床的に使用され、その際、血清β-2-ミクログロブリンのレベルは、腫瘍細胞の容量、予後、および疾患活性と関係がある (Bataille et al.(1983)Br.J.Haematol.55:439-447;Aviles et al.(1992)Rev.Invest.Clin.44:215-220)。また、P2ミクログロブリンは、骨髄腫患者の病期分類に有用である(Pasqualetti et al.(1991)Eur.J.Cancer 27:1123-1126)。
【0368】
また、細胞遺伝学的異常も、血悪性腫瘍の予測プロファイルを作成するために、マーカーとして使用され得る。例えば、染色体異常はCLL患者の大きな割合においてみられ、CLLの経過予測において有用である。例えば、17pの欠損は侵攻性疾患進行を示唆する。さらに、染色体17pの欠損またはp53における突然変異、あるいはその両方を有するCLL患者は、化学療法およびリツキシマブに対する反応が乏しいことが知られている。染色体17p上の対立遺伝子の欠失は、結腸直腸癌における有用な予後のマーカーであり得、17pの欠損を有する患者は、結腸直腸癌における疾患転移傾向の上昇と関係がある(Khine et al.(1994)Cancer 73:28-35)。
【0369】
染色体11(11q)の長腕の欠損は、様々な型のリンパ増殖性障害で最も頻度の高い染色体構造異常のうちの1つである。染色体11qの欠損およびATMの変異の可能性があるCLL患者は、この欠陥または17pの欠損のいずれかも有さない患者と比較して、生存が乏しい。さらに、11qの欠損はしばしば広範囲のリンパ節浸潤を伴う(Dohner et al.(1997)Blood 89:2516-2522)。また、この欠損は、高用量の治療および自家移植の後に、疾患の持続する危険性が高い患者を確認する。
【0370】
毛細血管拡張性運動失調変異(ATA4)遺伝子は、細胞周期停止、アポトーシスおよびDNA2本鎖切断の修復に関係する腫瘍抑制遺伝子である。それは染色体11上に見られる。ATMの突然変異は、乳癌の家族歴をもつ女性の乳癌(Chenevix-Trench) et al.(2002)J.Natl.Cancer Inst 94:205-215;Thorstenson et al.(2003)Cancer Res 63:3325-3333)、および/または早期発症型乳癌(Izatt et al.(1999)Genes Chromosomes Cancer 26:286-294;Teraoka et al.(2001)Cancer 92:479-487)の危険性の上昇に関係がある。また、横紋筋肉腫のATM遺伝子の突然変異/欠損との関連性が高頻度で存在する(Zhang et al.(2003)Cancer Biol.Ther。1:87-91)。
【0371】
患者の染色体異常を検出する方法は、当技術分野において周知である(例えば、Cuneo et al.(1999)Blood 93:1372-1380;Dohner et al.(1997)Blood 89:2516-2522を参照のこと)。ATMなどの突然変異タンパク質を測定する方法は、当技術分野において周知である(例えば、Butch et al.(2004)Clin.Chem.50:2302-2308を参照のこと)。
【0372】
したがって、本明細書に記載されている方法で評価されるバイオマーカーは、細胞生存と上記のアポトーシス・タンパク質、および血液悪性腫瘍関連のシグナル経路に関係するタンパク質を含む。発現または存在の測定は、タンパク質またはヌクレイン酸のレベルであり得る。したがって、バイオマーカーはこれらのタンパク質、およびこれらのタンパク質をコード化する遺伝子を含む。タンパク質レベルで検出が行われる場合、バイオマーカータンパク質は完全長ポリペプチドまたはその任意の検知可能なフラグメントを含み、これらのタンパク質配列のバリアントを含み得る。同様に、ヌクレオチド・レベルで検出が行われる場合、バイオマーカーヌクレイン酸は、完全長コード化配列、完全長コード化配列のフラグメント、これらの配列のバリアント(例えば自然発生バリアントまたはスプライスバリアント)、またはそのような配列の補体を含有するDNAを含む。また、バイオマーカーヌクレイン酸は、例えば、興味のあるバイオマーカータンパク質をコード化する完全長配列を含むmRNAなどのRNA、興味のある完全長RNA配列のフラグメント、またはこれらの配列のバリアントを含む。また、バイオマーカータンパク質およびバイオマーカーヌクレイン酸は、これらの配列のバリアントを含む。「フラグメント」とは、ポリヌクレオチドの一部またはアミノ酸配列の一部を指し、したがってそれらによってコード化されたタンパク質も指す。バイオマーカーヌクレオチド配列のフラグメントであるポリヌクレオチドは、少なくとも10、15、20、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300または1,400の隣接するヌクレオチドを一般に含むか、あるいは本明細書に開示された完全長バイオマーカーポリヌクレオチドに存在するヌクレオチドの数までを一般に含む。一般にバイオマーカーポリヌクレオチドのフラグメントは、少なくとも15、25、30、50、100、150、200または250の隣接するアミノ酸をコード化するか、または本発明の完全長バイオマーカータンパク質に存在するアミノ酸の総数までをコード化するであろう。「バリアント」は、実質的に類似した配列を指すことが意図される。一般に、本発明の特異的なバイオマーカーのバリアントは、当技術分野で既知の配列アラインメント・プログラム(sequence alignment programs)によって測定されるようなそのバイオマーカーに対して少なくとも約40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上の配列同一性を有する。
【0373】
上に提供されるように、当該技術分野で既知の任意の方法は、本明細書に記載されているバイオマーカーの発現または存在を測定する方法に使用され得る。候補の被験体から得た血液サンプルにおけるバイオマーカーの循環レベルは、例えば、ELISAによって、放射免疫測定法(RIA)、電気化学発光(ECL)、ウェスタンブロット法、多重化技術、あるいはその他の類似した方法によって測定され得る。バイオマーカーの細胞表面発現は、例えば、フローサイトメトリー、免疫組織化学、ウェスタンブロット法、免疫沈殿、磁気ビーズ選択、およびこれらの細胞表面マーカーのいずれかを発現する細胞を定量化することによって測定され得る。バイオマーカーRNAの発現レベルは、RT-PCR、Qt-PCR、マイクロアレイ、ノーザンブロット法、またはその他の類似した技術によって測定され得る。
【0374】
先述の通り、興味のあるバイオマーカーの発現および存在の測定は、当業者に既知の任意の検出方法を使用して達成され得る。「発現を検出する工程」または「~のレベルを検出する工程」は、生体サンプルにおけるバイオマーカータンパク質または遺伝子の発現レベルまたは存在を測定することを指す。したがって、「発現を検出する工程」は、バイオマーカーが、発現されていないと測定される場合、検出可能に発現されていないと測定される場合、低レベルで発現されていると測定される場合、正常なレベルで発現されていると測定される場合、または過剰に発現されていると測定される場合の例を含む。
【0375】
本明細書で提供された方法の特定の態様において、1つ以上のリンパ球亜群は単離され、検出され、または測定される。特定の実施形態において、1つ以上のリンパ球亜群は、免疫表現型検査法を使用して、単離され、検出され、または測定される。他の実施形態において、1つ以上のリンパ球亜群は、蛍光活性化細胞分類(FACS)技術を使用して、単離され、検出され、または測定される。
【0376】
本明細書で提供される特定の実施形態において、1つ以上のバイオマーカーは、ZAP-70、CD5、t(14;18)、CD38、β-2-ミクログロブリン、p53の突然変異状態、ATMの突然変異状態、染色体の17p欠損、染色体の11q欠損、表面または細胞質内免疫グロブリン、CD138、CD25、6qの欠損、CD19、CD20、CD22、CD11c、CD 103、染色体7qの欠損、VHの突然変異状態、あるいはそれらの組み合わせを含む。
【0377】
特定の態様において、測定する工程がバイオマーカーの組み合わせの発現または存在を測定する工程を要する、本明細書に記載される方法。特定の実施形態では、バイオマーカーの組み合わせはCD19とCD5、またはCD20とCD5である。
【0378】
特定の態様において、生体サンプルにおけるこれらの様々なバイオマーカーおよび任意の臨床的に有用な予後のマーカーの発現または存在は、例えば、免疫組織化学技術またはインサイツハイブリダイゼーションやRT-PCRなどヌクレイン酸に基づいた技術を使用して、タンパク質またはヌクレイン酸のレベルで検出され得る。1つの実施形態において、1つ以上のバイオマーカーの発現または存在は、ヌクレイン酸を増幅する方法、ヌクレイン酸を配する方法、ヌクレイン酸マイクロアレイ(DNAとRNA)を利用する方法、または特異的に標識化されたプローブを使用するインサイツハイブリダイゼーションのための方法によって行われる。
【0379】
他の実施形態において、1つ以上のバイオマーカーの発現または存在を測定する工程は、ゲル電気泳動法を通して行なわれる。1つの実施形態において、測定は、膜への移動および特異なプローブを使用するハイブリダイゼーションを通じて行われる。
【0380】
他の実施形態において、1つ以上のバイオマーカーの発現または存在を測定する工程は、画像診断技術によって行われる。
【0381】
さらに他の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーの発現または存在を確認するために、検知可能な固体の基質によって測定する。1つの実施形態では、検知可能な固体の基質は抗体により機能化にされた常磁性のナノ粒子である。
【0382】
別の態様で、本明細書で提供されたのは残余リンパ腫を検知あるいは測定するための方法であり、該方法は持続的あるいは非持続的な処置を誘導する、または治療上のレジメンから別のレジメンに変わる処置の方針に従い、該方法は被験体中のリンパ球の1つ以上の亜集団から1つ以上のバイオマーカーの発現または存在を確認することを含み、この処置はBtk阻害剤による処置である。
【0383】
試験または対照の生体サンプルに含まれる本明細書に記載のバイオマーカー、随意にサイトカイン・マーカーの発現を検出する方法には、核酸あるいはタンパク質レベルのいずれかでこれらのマーカーの量あるいは存在を確認する任意の方法を含む。そのような方法は技術分野において周知で、限定されないがウェスタンブロット、ノーザンブロット、ELISA、免疫沈降、免疫蛍光法、フローサイトメトリー、免疫組織化学、核酸ハイブリッド形成技術、核酸逆転写方法および核酸増幅方法を含む。特定の実施形態では、例えば、具体的なバイオマーカータンパク質に配向される抗体を使用し、バイオマーカーの発現はタンパク質レベルで検出する。これらの抗体は、ウェスタンブロット、ELISA、多重化技術、免疫沈降または免疫組織化学技術など様々な方法の中で使用することができる。幾つかの実施形態では、サイトカイン・マーカーの検出は電気化学発光(ECL)によって達成される。
【0384】
候補の生体サンプルではバイオマーカー(例えばバイオマーカー、細胞生存または増殖のバイオマーカーまたは、アポトーシスのバイオマーカー、Btkを媒介としたシグナル経路のバイオマーカー)を特異的に確認、測定するためのあらゆる任意の方法が検討された。したがって、幾つかの実施形態では、生体サンプル中の興味のあるバイオマーカータンパク質の発現レベルは、特異的にそのバイオマーカータンパク質と相互に作用することができる結合タンパク質またはその生物学上活性な変異型を用いて検出される。好ましくは、標識抗体、その結合部分または他の結合パートナーは使用されてもよい。本明細書で使用された単語「ラベル」は、「標識化」抗体が生成されるように抗体に直接または間接的に変化する、検知可能な化合物または組成物を指す。ラベルは、単独で(例えば放射性同位元素ラベルまたは蛍光ラベル)検知可能かもしれないし、または酵素ラベルの場合には、検知可能な基質化合物または組成物の化学変換を触媒するかもしれない。
【0385】
バイオマーカータンパク質の検出用抗体は、元はモノクローナルでもポリクローナルでもよい。あるいは、合成または組み換え技術によって生成されるかもしれない。当業者に既知の標準のタンパク質検出方法論を用いて、タンパク質複合体の量は測定されている。タンパク質複合体とは例えば結合タンパク質とバイオマーカーが結合したもの、結合タンパク質とは例えばバイオマーカーに特異的に結合する抗体のことである。免疫学的アッセイの設計、理論およびプロトコールの詳細なレビューは、技術分野(例えばAusubel et al., eds. (1995) Current Protocols in Molecular Biology) (Greene Publishing and Wiley-Interscience, NY)); Coligan et al., eds. (1994) Current Protocols in Immunology (John Wiley & Sons, Inc., New York, N.Y.)を参照)の多数の書籍において見出すことができる。
【0386】
抗体に標識化するために使用されるマーカーの選択は適用に依存するので変化する。しかしながら、マーカーの選択は、当業者によって容易に決定できる。任意のバイオマーカーまたは興味のあるタンパク質の存在を検出するために、これらの標識抗体は組織学的な適用の中でも免疫測定の中でも使用されてよい。標識抗体はポリクローナルでもモノクローナルでもよい。さらに、興味のあるタンパク質の検出で使用される抗体は、放射性原子、酵素、発色あるいは蛍光部分または本明細書に別記されるような比色定量用タグにより標識されてよい。ラベルにタグを付けるかどうかの選択も所望の検出制限に依存する。酵素アッセイ(ELISA)は、典型的には酵素基質の酵素タグを付けられた複合体の相互作用によって形成された有色の生成物の検出を可能にする。検知可能なラベルとして役立つ放射性核種は例えば、I-131、I-123、I-125、Y-90、Re-188、Re-186、At-211、Cu-67、Bi-212およびPd-109を含む。検知可能なラベルとして役立つ酵素の例は、限定されないが、ワサビダイコンのペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、β‐ガラクトシダーゼおよびグルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼを含む。発色部分は、フルオレセインおよびチオトロピウムを含むが、これらに限定されない。抗体は技術分野では既知の方法によってこれらのラベルに変化するかもしれない。例えば、酵素および発色団の分子は、ジアルデヒド、カルボジイミド、ジマレインイミドなどのカップリング剤によって抗体に結合するかもしれない。あるいは、結合がリガンドレセプタペアによって生じるかもしれない。適切なリガンドレセプタペアの例はビオチン・アビジンまたはビオチン・ストレプトアビジン、および抗体抗原である。
【0387】
特定の実施形態では、生体サンプル(例えば体液のサンプル)における1つ以上のバイオマーカーあるいは興味のある他のタンパク質の発現または存在は、放射免疫測定法または酵素免疫測定法(ELISA)、競合的結合酵素免疫測定法、ドット・ブロット(例えばPromega Protocols and Applications Guide (2nd ed. ; Promega Corporation (1991)を参照)、ウェスタンブロット(例えば、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Vol. 3, Chapter 18 (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Plainview, N.Y.)を参照)、クロマトグラフィー、好ましくは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)または技術分野では既知の他のアッセイによって決定される。したがって、検出アッセイは、限定されないが、イムノブロッティング、免疫拡散、免疫電気泳動または免疫沈降の工程を含むことができる。
【0388】
特定の他の実施形態では、本発明の方法は、第一線の癌治療に対して耐性がある、上記のものを含む血液悪性腫瘍を同定することおよび処置することに役立つ。
【0389】
本明細書に記載されているバイオマーカーの1つ以上の発現または存在は、核酸レベルで測定されるかもしれない。発現を評価するための核酸ベースの技術は、技術分野において周知で、例えば、生体サンプル中のバイオマーカーmRNAのレベルを測定することを含む。多くの発現検出方法が分離されたRNAを使用する。mRNAの分離に対抗して選別しない任意のRNA分離技術は、RNAの精製(例えば Ausubel et al., ed. (1987-1999) Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley & Sons, New Yorkを参照)のために利用することができる。さらに、多くの組織試料は容易に、例えば米国特許4,843,155で開示されたシングル・ステップRNA分離プロセスのように、当業者に周知の技術を使用して処理することができる。
【0390】
したがって、幾つかの実施形態では、バイオマーカーまたは他の興味のあるタンパク質の検出に核酸プローブを使用して、核酸レベルでアッセイされる。用語「核酸プローブ」は、明確に意図した標的核酸分子、例えばヌクレオチド転写産物、と選択的に結合することができる任意の分子を指す。プローブは、当業者によって合成するか、または適切な生物学的製剤(preparation)から得られる。プローブは、例えば放射性のラベル、蛍光ラベル、酵素、化学発光のタグ、比色定量のタグまたは他のラベル、あるいは上記のまたは技術分野では知られているタグやラベルで、標識化するために特別に設計されていてもよい。プローブとして利用することができる分子の例は限定されないが、RNAとDNAを含む。
【0391】
例えば、分離したmRNAは、限定されないが、サザンあるいはノーザンの分析、ポリメラーゼ連鎖反応分析およびプローブアレイを含むハイブリダイゼーションまたは増幅アッセイの中で使用することができる。mRNAレベルの検出のための1つの方法は、検出された遺伝子によってコードされたmRNAにハイブリッド形成することができる核酸分子(プローブ)により分離したmRNAと接触することを含んでいる。核酸プローブは、例えば省略がないcDNA、または少なくとも7、15、30、50、100、250または500のオリゴヌクレオチドから成るその部分であり、そしてバイオマーカーをコードするmRNAまたはゲノムDNAに対する厳格な条件下で特異的にハイブリッド形成するのに十分な前記部分であり、本明細書に記載されている上記バイオマーカーであり得る。mRNAのプローブとのハイブリダイゼーションは、バイオマーカーまたは他の興味のある標的タンパク質が発現していることを示す。
【0392】
1つの実施形態では、例えば、mRNAは固体の表面上で固定され、例えばアガロースゲル上で分離したmRNAを流し、ニトロセルロースなど、ゲルから膜へmRNAを転写することによって、プローブと接触する。代替の実施形態では、プローブは固体の表面上で固定され、またmRNAは例えばジーンチップ・アレイで、プローブと接触する。当業者は、容易にバイオマーカーまたは他の興味のあるタンパク質をコードするmRNAレベルを検出することに、既知のmRNA検出方法を適応させることができる。
【0393】
サンプル中の興味のあるタンパク質のmRNAのレベルを測定するための代替法として、例えばRT-PCR(例えば、米国特許 No. 4,683,202参照)、リガーゼ連鎖反応 (Barany (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:189-193)、自家持続配列複製法 (Guatelli et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874-1878)、転写増幅システム (Kwoh et al. (1989) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173-1177)、Qβレプリカーゼ(Lizardi et al. (1988) Bio/Technology 6:1197)、 ローリングサークル複製(U.S. Pat. No. 5,854,033)、またはその他の任意の核酸増幅法による核酸増幅のプロセスを含み、該プロセスの後に、当業者の間でよく知られた増幅した分子を検出する方法が用いられる。そのような分子が非常に少ない数で存在するとき、これらの検出スキームは、核酸分子の検出に特に役立つ。本発明の特定の態様では、バイオマーカーの発現は定量的蛍光発生RT-PCR(すなわちTaqMan(登録商標)システム)によって評価される。
【0394】
興味のあるRNAの発現レベルは膜ブロット(ノーザン、ドットのようなハイブリダイゼーション分析の中で使用されたようなもの)、微小ウェル、試料チューブ、ゲル、ビーズまたは繊維(あるいは結合核酸を含む任意の固体担体)を使用してモニタリングされてもよい。引用文によって本明細書に組み入れられた米国特許番号5,770,722、5,874,219、5,744,305、5,677,195および5,445,934を参照してほしい。発現の検出は、溶液の中で核酸プローブを使用することも含んでよい。
【0395】
本発明の1つの実施形態では、マイクロアレイは1つ以上のバイオマーカーの発現または存在を測定するために使用される。マイクロアレイは、異なる実験間の再現性のために、特にこの目的に適している。DNAマイクロアレイは、多くの遺伝子の発現レベルを同時に測定するための1つの方法を提供する。アレイはそれぞれ、固体担体に付けられた再生可能なパターンのキャプチャープローブから成る。標識化RNAまたはDNAはアレイ上の相補的なプローブにハイブリダイズされ、次に、レーザー・スキャンによって検出される。アレイ上の各々のプローブのハイブリダイゼーション強度は測定で、相対的な遺伝子発現レベルに相当する定量的な値に変換される。本明細書の引用文に組み入れられた米国特許番号6,040,138、5,800,992および6,020,135、6,033,860および6,344,316を参照してほしい。高濃度オリゴヌクレオチド・アレイは、サンプル中の多くのRNAのための遺伝子発現プロファイルを確認するのに特に役立つ。
【0396】
機械的な合成方法を使用したこれらのアレイを合成するための技術は、全体を本明細書の引用文に組み入れた、例えば米国特許5,384,261に記載されている。平面アレイの表面が好ましいが、アレイは、事実上任意の形の表面どころか複数の表面上で組立てられてもよい。アレイは、ビーズ、ゲル、ポリマー表面、光ファイバーなど繊維、ガラスまたは他の適切な基質上のペプチドまたは核酸であってもよく、その各々全体があらゆる目的のために本明細書に組込まれた、米国特許番号5,770,358、5,789,162、5,708,153、6,040,193および5,800,992を参照してほしい。アレイは、診断またはすべてを含んだデバイスの他の操作を可能にするようにパッケージ化されていてもよい。例えば、本明細書の引用文に組み入れられた米国特許5,856,174号および5,922,591号を参照してほしい。
【0397】
〈医薬組成物/製剤〉
医薬組成物は、活性化合物を医薬的に使用され得る製剤へと処理するのを促進する賦形剤及び補助剤を含む、1つ以上の生理学的に許容可能な担体を使用する、従来の方法で調剤され得る。適切な製剤は、選択された投与の経路に依存する。周知の技術、担体、および賦形剤はどれも、適切なものとして、および当該技術分野において理解されたものとして使用され得る。本明細書に記載される医薬組成物の要約は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995);Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975;Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980;およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)において見ることができ、それら全体が引用文によって本明細書に組み込まれる。
【0398】
医薬組成物は、本明細書で使用されるように、化学式Dまたは第二の薬剤の化合物などの本明細書に記載される化合物と、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘安定剤、及び/又は賦形剤などの他の化学成分との混合物を指す。医薬組成物は、生体への化合物の投与を促進する。本明細書で提供される処置方法又は使用方法を実施することにおいて、本明細書記載の治療に効果的な量の化合物は、医薬組成物の状態で、処置されるべき疾患、不調又は疾病を患う哺乳動物に投与される。好ましくは、哺乳動物はヒトである。治療上有効な量は、疾患の重症度、被検体の年齢及び相対的な健康、使用される化合物の効力及び他の要因に依存して、幅広く変化し得る。化合物は、単独で又は混合物の成分として1つ以上の治療薬剤と組み合わせて使用され得る。
【0399】
特定の実施形態で、医薬品組成物は、下記のような緩衝剤を調節する1つ以上のpH調整剤または緩衝剤を随意に含む;酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸および塩酸などの酸;水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウムおよびトリヒドロキシメチルアミノメタンなどアルカリ;およびシトラート/デキストロース、重炭酸ナトリウム及び塩化アンモニウムなどの緩衝液。このような酸、塩基、および緩衝液は、組成物のpHを許容可能な範囲で維持するのに必要とされる量で含まれる。
【0400】
他の実施形態では、組成物はまた、組成物のモル浸透圧濃度を許容可能な範囲にするのに必要とされる量における1つ以上の塩を含む。このような塩は、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン又はアンモニウムカチオン及び塩化物アニオン、クエン酸アニオン、アスコルビン酸アニオン、ホウ酸アニオン、リン酸アニオン、重炭酸アニオン、硫酸アニオン、チオ硫酸アニオン又は亜硫酸水素アニオンを有するものを含み、適切な塩として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム及び硫酸アンモニウムを含む。
【0401】
本明細書で使用されるような用語「薬学的な組み合わせ」は、1つ以上の活性成分の混合または組み合わせに由来する生成物を意味し、活性成分の固定されたおよび固定されない組み合わせの両方を含む。用語「固定された組み合わせ」は、活性成分、例えば本明細書記載の化合物及び補助剤の両方が、単一体又は単一用量の形態で患者に同時投与されることを意味する。用語「固定されない組み合わせ」は、活性成分、例えば本明細書記載の化合物及び補助剤が、具体的な時間制限の介入なく同時に、平行して、又は連続して別々に患者に投与されることを意味し、このような投与は、患者の身体に有効なレベルの2つの化合物を提供する。後者は、カクテル療法、例えば、3つ以上の活性成分の投与にも当てはまる。
【0402】
本明細書記載の医薬製剤は、複数の投与経路によって被検体に投与可能である。この投与経路には、これらに限定されないが、経口、非経口(例:静脈内、皮下、筋肉内)、経鼻、口腔、局所、直腸、又は経皮投与経路が含まれる。本明細書に記載された医薬製剤は、これらに限定されないが、水性液体分散、自己乳化分散、固溶体、リポソーム分散、エアゾール剤、固体の剤形、散剤、即時放免製剤、制御放出製剤、速溶製剤、錠剤、カプセル剤、錠剤、遅延解除性製剤、拡張放出製剤、拍動性の放出製剤、多重微粒子の製剤、および即時混合・制御放出製剤を含む。
【0403】
本明細書記載の化合物を含む医薬組成物は、従来の様式で製造可能である。従来の様式は、ほんの一例として、従来の混合、溶解、造粒、ドラゼー製法、微粒子化、乳化、カプセル化、封入、又は圧縮プロセスなどの手段によるものである。
【0404】
「消泡剤」は処理中の泡立ちを減少させる。泡立つと水性分散液の凝析をもたらし、完成した被膜中に泡ができるあるいは一般に処理に障害をもたらすことがある。典型的な消泡剤はシリコンエマルジョンまたはソルビタンセスクオリート(sesquoleate)を含む。
【0405】
「酸化防止剤」は、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸、重亜硫酸ナトリウム、トコフェロールを含む。特定の実施形態では、酸化防止剤は、必要な場合、化学安定性を高める。
【0406】
特定の実施形態では、本明細書に提供される組成物もまた、微生物活性を阻害する1以上の防腐剤を含む。適切な防腐剤は、マーフェン(merfen)及びチオマーサルなどの、水銀包含物質;安定した二酸化塩素;および塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム及び塩化セチルピリジニウムなどの四級アンモニウム化合物を含む。
【0407】
本明細書に記載される製剤は、抗酸化剤、金属キレート剤、チオール含有化合物、及び他の一般的な安定剤から恩恵を受け得る。これら安定剤の例は、限定されないが、(a)約0.5%から約2%w/vのグリセロール、(b)約0.1%から約1%w/vのメチオニン、(c)約0.1%から約2%w/vのモノチオグリセロール、(d)約1mMから約10mMのEDTA、(e)約0.01%から約2%w/vのアスコルビン酸、(f)0.003%から約0.02%w/vのポリソルベート80、(g)0.001%から約0.05%w/vのポリソルベート20、(h)アルギニン、(i)ヘパリン、(j)硫酸デキストラン、(k)シクロデキストリン、(l)ペントサンポリサルフェート及び他のヘパリノイド、(m)マグネシウム及び亜鉛などの二価カチオン;または(n) それらの組み合わせを含む。
【0408】
「結合剤」は密着力のある性質を与えて例えば以下を含む、アルギン酸、その塩;カルボキシメチルセルロースなどセルロース誘導体、メチルセルロース(例えばMethocel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel(登録商標))、エチルセルロース(例えばEthocel(登録商標))、また微結晶性セルロース(例えばアビセル(登録商標));微晶質のデキストロース;アミロース;ケイ酸アルミニウムマグネシウム;多糖類酸;ベントナイト;ゼラチン;ポリビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー;クロスポビドン;ポビドン;デンプン;α澱粉;トラガカントゴム、デキストリン、スクロース(例えばDipac(登録商標))など砂糖、グルコース、グルコース、糖蜜、マンニトール、ソルビトール、キシリトール(例えばXylitab(登録商標))および乳糖;アカシアなど天然あるいは合成のゴム、トラガカントゴム、ガッチ(ghatti)ガム、イサポール皮(isapol husk)の粘液、ポリビニルピロリドン(例えばPolyvidone(登録商標)CL、Kollidon(登録商標)CL、Polyplasdone(登録商標)XL-10)、カラマツアラボガラクタン、Veegum(登録商標)、ポリエチレングリコール、ワックス、アルギン酸ナトリウムなど。
【0409】
「担体」または「キャリア材料」は薬剤学において一般に用いられている任意の賦形剤を含み、化学式D(Formula D)および第2の薬剤の化合物のような本明細書に記載された化合物との適合性に基づいて選択されるべきであり、求められる剤形の特性を放出する。模範的な担体物質として、例えば、結合剤、懸濁剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定化剤、滑沢剤、加湿剤、希釈剤などが含まれる。「医薬的に適合する担体物質」は、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、マルトデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン(PVP)、コレステロール、コレステロールエステル、カゼイン塩ナトリウム、大豆レシチン、タウロコール酸、ホスホチジルコリン、塩化ナトリウム、三リン酸カルシウム、二リン酸カリウム、セルロースおよびセルロース接合体、糖類、ステアロイルラクチラート塩ナトリウム、カラギーナン、モノグリセリド、ジグリセリド、α化デンプンなどを含むが、これらに限定されない。例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995);Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975;Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980;およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)(Lippincott Williams & Wilkins1999)を参照してほしい。
【0410】
「分散剤」および/または「粘度調節剤」は、液体媒体、造粒法あるいは混合法を介して薬物の拡散性および均質性を制御する物質である。幾つかの実施形態では、これらの薬剤は、またコーティングまたは浸食マトリックスの有効性を促進する。典型的な拡散促進剤/分散剤は、例えば以下を含む。親水性ポリマー、電解液、Tween(登録商標)60または80、PEG、ポリビニルピロリドン(PVP;商業上Plasdone(登録商標)として知られている)、そして炭水化物ベースの分散剤である、例えばヒドロキシプロピルセルロース(例えばHPC、HPC-SLおよびHPC-L)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばHPMC K100、HPMC K4M、HPMC K15MおよびHPMC K100M)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアリン酸塩(HPMCAS)、非晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー(S630)、エチレンオキシドおよびホルムアルデヒドを有する4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノール・ポリマー(チロキサポールとしても知られている)、ポロクサマー(例えばエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロック共重合体であるプルロニックF68(登録商標)、F88(登録商標)、F108(登録商標));またポロキサミン(例えば、ポロキサミン908(登録商標)としても知られているテトロン908(登録商標)は、四官能性のブロック共重合体であり、エチレンジアミン(バスフ株式会社、パーシッパニー、N.J.)への、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの連続する付加から誘導される)、ポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25またはポリビニルピロリドンK30(ポリビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー(S-630))、ポリエチレングリコール、例えば、ポリエチレングリコールは、約300から約6000、または約3350から約4000、または約7000から約5400の分子量を有することができ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ゴム、例えばトラガカントゴム、アラビアゴム、グアーガム、キサンタンガムを含むキサンタン、砂糖、セルロース化合物、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリソルベート80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシレート化ソルビタンモノラウリン酸、ポビドン、カルボマー、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン、キトサンおよびその組み合わせ。セルロースまたはトリエチルセルロースのような可塑剤も、分散剤として使用される。リポソーム分散と自己乳化性分散に特に役立つ分散剤は、ジミリストイルフォスファチジルコリン、卵由来の天然フォスファチジルコリン、卵由来の天然フォスファチジルグリセロール、コレステロールおよびイソプロピルミリステートである。
【0411】
1つ以上の拡散促進剤を有する1つ以上の侵食促進剤の組み合わせも、本組成物中で使用することができる。
【0412】
用語「希釈剤」は、輸送前に興味ある化合物を希釈するために使用される化合物を指す。希釈剤は、より安定した環境を提供できることから、化合物を安定させるためにも使用され得る。緩衝液中に溶解される塩(これは、pHの制御または維持も提供し得る)は、限定されないが、リン酸緩衝生理食塩溶液を含む、当該技術分野における希釈剤として利用される。特定の実施形態では、希釈剤は、圧縮を促進するまたはカプセル剤充填に際し均質な混合に十分な量を得るために、組成物の量を増加させる。このような化合物には例えば、ラクトース、デンプン、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、Avicel(登録商標)などの微結晶性セルロース;リン酸水素カルシウム、二水和リン酸二カルシウム;リン酸三カルシウム、リン酸カルシウム;無水ラクトース、噴霧乾燥ラクトース;αデンプン;Di-Pac(登録商標)(Amstar)などの縮合可能な糖(compressible sugar)、マンニトール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ショ糖ベースの希釈剤、粉砂糖;硫酸二水素カルシウム一水和物、硫酸カルシウム二水和物;乳酸カルシウム三水和物;デキストレート;加水分解された穀類固形分(cereal solid)、アミロース;粉末セルロース、炭酸カルシウム;グリシン、カオリン;マンニトール、塩化ナトリウム;イノシトール;ベントナイトなどがある。
【0413】
用語「崩壊」は、胃腸液と接触した時の剤形の分解および分散の両方を含む。「崩壊薬剤または崩壊剤」は、物質の分解または崩壊を促進する。「崩壊剤」は、物質の分解または崩壊を促進する。崩壊剤の例には、デンプン、例えばコーンスターチやジャガイモデンプンなどの天然のデンプン、National 1551やAmijel(登録商標)などのαデンプン、またはPromogel(登録商標)やExplotab(登録商標)などのグリコール酸ナトリウムデンプン;木製品(wood product)、メチル結晶セルロース、例えば、Avicel(登録商標)、Avicel(登録商標) PH101、Avicel(登録商標) PH102、Avicel(登録商標) PH105、Elcema(登録商標) P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Ming Tia(登録商標)、およびSolka-Floc(登録商標)などのセルロース、メチルセルロース、クロスカルメロースすなわち架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース(Ac-Di-Sol(登録商標))、架橋カルボキシメチルセルロース、または架橋クロスカルメロースなどの架橋セルロース;グリコール酸ナトリウムデンプンなどの架橋デンプン;クロスポビドンなどの架橋ポリマー;架橋ポリビニルピロリドン;アルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸の塩などのアルギン酸塩;Veegum(登録商標) HV(ケイ酸マグネシウムアルミニウム)などのクレイ;寒天、グアール、イナゴマメ、カラヤ(Karaya)、ペクチン、またはトラガカントなどのゴム;ナトリウムグリコール酸デンプン;ベントナイト;天然の海綿質;界面活性剤;陽イオン交換樹脂などの樹脂;シトラスパルプ;ラウリル硫酸ナトリウム;混合デンプン(combination starch)中のラウリル硫酸ナトリウムなどがある。
【0414】
「薬剤の吸収」または「吸収」という表現は、薬剤投与部位から体循環に移動する過程(例えば消化管から門脈あるいはリンパ系に移動する薬剤)を意味する。
【0415】
「腸溶コーティング」は、胃において本質的に完全なままであるが、小腸または結腸中で薬物を溶かし放出する物質である。一般に腸溶コーティングは、胃の低pH環境においては放出を妨げるが、より高いpH(典型的にはpH 6から7)ではイオン化することで、小腸内で十分に溶解して活性薬剤を小腸内に十分に放出する活性剤を含む。
【0416】
「浸食促進剤(erosion facilitator)」は、胃腸液中において特定の材料の浸食を制御する材料を含む。浸食促進剤は一般に、当業者に既知である。例示的な浸食促進剤には例えば、親水性ポリマー、電解質、タンパク質、ペプチド、およびアミノ酸などがある。
【0417】
「充填剤」には、乳糖、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、セルロース粉末、デキストロース;デキストレート;デキストラン、デンプン、αデンプン、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどの化合物などがある。
【0418】
本発明の薬学的組成物に有用な「風味剤」または「甘味剤」には例えば、アカシアシロップ、アセスルファムK、アリテーム、アニス、リンゴ、アスパルテーム、バナナ、ババロアクリーム、ベリー、クロフサスグリ、バタースコッチ、クエン酸カルシウム、ショウノウ、カラメル、サクランボ、サクランボクリーム、チョコレート、シナモン、風船ガム、シトラス、シトラスパンチ、シトラスクリーム、綿飴、ココア、コーラ、クールサクランボ、クールシトラス、チクロ、シクラメート、デキストロース、ユーカリ、オイゲノール、フルクトース、フルーツポンチ、ショウガ、グリチルリチン酸、カンゾウ(リコリス)シロップ、ブドウ、グレープフルーツ、蜂蜜、イソマルト、レモン、ライム、レモンクリーム、グリチルリチン酸モノアンモニウム(MagnaSweet(登録商標))、マルトール、マンニトール、メープル、マシュマロ、メントール、ミントクリーム、ミックスベリー、ネオヘスペリジンDC、ネオテーム、オレンジ、西洋ナシ、モモ、ペパーミント、ペパーミントクリーム、Prosweet(登録商標)パウダー、ラズベリー、ルートビール、ラム酒、サッカリン、サフロール、ソルビトール、ハッカ、ハッカクリーム、イチゴ、イチゴクリーム、ステビア、スクラロース、ショ糖、サッカリンナトリウム、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、マンニトール、タリン、シリトール(sylitol)、スクラロース、ソルビトール、スイスクリーム、タガトース、タンジェリン、タウマチン、トゥッティフルッティ、バニラ、クルミ、スイカ、野生のサクランボ、冬緑油、キシリトール、またはこれらの風味成分の任意の組み合わせ、例えばアニス-メントール、サクランボ-アニス、シナモン-オレンジ、サクランボ-シナモン、チョコレート-ミント、蜂蜜-レモン、レモン-ライム、レモン-ミント、メントール-ユーカリ、オレンジ-クリーム、バニラ-ミント、およびそれらの混合物などがある。
【0419】
「潤滑剤」および「流動促進剤」は、材料の付着または摩擦を妨げる、低下させる、または阻害する化合物である。例示的な潤滑剤には例えば、ステアリン酸;水酸化カルシウム;タルク;ステアリルフマル酸ナトリウム;鉱油などの炭化水素、または水素添加ダイズ油(Sterotex(登録商標))などの硬化植物油;高級脂肪酸、およびアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、グリセロール、タルク、ロウ、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコール(例えばPEG-4000)などのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、またはCarbowax(商標)などのメトキシポリエチレングリコール、オレイン酸ナトリウム、グリセリルベヘネート、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸マグネシウムもしくはラウリル硫酸ナトリウム、Syloid(商標)、Carb-O-Sil(登録商標)などのコロイド状シリカ、コーンスターチなどのデンプン、シリコーン油、界面活性剤などがある。
【0420】
「測定可能な血清濃度」または「測定可能な血漿濃度」は、典型的には、投与後に血流中に吸収される治療薬の、1ml、1dl、もしくは1lの血清あたりの、mg、μg、またはngの治療薬として測定される血清濃度または血漿濃度を意味する。本明細書に使用されるように、測定可能な血漿濃度は、ng/mlまたはμg/mlで典型的に測定される。
【0421】
「薬力学的」という表現は、作用部位における薬剤の濃度に対して観察される生物学的反応を決定する因子を意味する。
【0422】
「薬物動態学的」という表現は、作用部位における適切な濃度の薬剤の到達および維持を決定する因子を意味する。
【0423】
「可塑剤」は、マイクロカプセル化用材料またはフィルムコーティングを軟化して、もろくならないようにするために使用される化合物である。適切な可塑剤には例えば、PEG 300、PEG 400、PEG 600、PEG 1450、PEG 3350、およびPEG 800などのポリエチレングリコール、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸、およびトリアセチンなどがある。幾つかの実施形態では、可塑剤は分散剤または湿潤剤として機能することができる。
【0424】
「可溶化剤」は、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクサートナトリウム、ビタミンE TPGS、ジメチルアセトアミド、Nメチルピロリドン、N-ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、n-ブタノール、イソプロピルアルコール、コレステロール、胆汁塩、ポリエチレングリコール200―600、グリコフロール、トランスキトール、プロピレングリコール、ジメチルイソソルビド等を含む。
【0425】
「安定剤」には、任意の抗酸化剤、緩衝剤、酸などの化合物などが含まれる。
【0426】
「定常状態」は、本明細書に用いられるように、投与された薬物の量が頭打ちまたは一定の血漿薬剤曝露をもたらす1つの投与間隔内に除去された薬の量と等しい時のことである。
【0427】
「懸濁剤」には、ポリビニルピロリドン、例えばポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、またはポリビニルピロリドンK30、ビニルピロリドン/ビニルアセテート共重合体(S630)、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールの分子量は例えば、約300~約6000、または約3350~約4000、または約7000~約5400の場合がある、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシ-プロピルメチルセルロース、ポリソルベート-80、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ガム、例えば、トラガカントガムやアカシアガムなど、グアールガム、キサンタン、キサンタンガムを含む、糖類、セルロース系物質、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど、ポリソルベート-80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポビドンなどの化合物が含まれる。
【0428】
「界面活性剤」には、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクセートナトリウム、Tween60または80、トリアセチン、ビタミンE TPGS、ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリソルベート、ポロキサマー、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリン、酸化エチレンと酸化プロピレンの共重合体(例えばPluronic(登録商標)(BASF))などの化合物が含まれる。その他の界面活性剤として、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド及び植物油、例えば、ポリオキシエチレン(60)水素化ヒマシ油;およびポリオキシエチレンアルキルエーテル及びアルキルフェニルエーテル、例えば、オクトキシノール10、オクトキシノール40を含む。いくつかの実施形態において、界面活性剤は、物理的安定性を高めるために、または他の目的のために含まれる。
【0429】
「増粘剤」は例えばメチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルアセテートステアリン酸塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボマー、ポリビニルアルコール、アルギン、アカシア、キトサンおよびその組み合わせを含む。
【0430】
「湿潤剤」には、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリン、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ドキュセートナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、トリアセチン、Tween 80、ビタミンE TPGS、アルミニウム塩などの化合物がある。
【0431】
〈剤形〉
本明細書記載の医薬製剤は、任意の投与経路によって被検体に投与可能である。この投与経路には、経口、非経口(例:静脈内、皮下、筋肉内)、経鼻、口腔、局所、直腸、投与又は経皮投与経路が含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用されるように、用語「被験体」は、動物、好ましくは、ヒトまたはヒト以外を含む哺乳動物を意味するために使用される。患者、被験体という用語は交換可能に使用されてもよい。
【0432】
さらに、本明細書に記載の医薬組成物は、任意の化学式Dまたは第2の薬剤の化合物が任意の適切な剤形へ処方されることを含み、治療される患者による経口摂取のための水性経口分散、液体、ゲル、シロップ剤、エリキシル剤、スラリー、懸濁液、固体の経口投薬剤形、エアゾール剤、制御放出製剤、速溶製剤、発泡性製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、散剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、遅延解除性製剤、拡張放出製剤、拍動性の放出製剤、多重微粒子の製剤および即時混合放出および制御放出製剤を含むが、これらに限定されない。
【0433】
経口使用のための医薬調製物は、所望されれば、錠剤またはドラゼーコアを得るために、適切な補助剤を加えた後に、1以上の固体の賦形剤を、本明細書に記載される化合物の1以上と混合させ、随意に、結果として生じる混合物を粉砕し、顆粒の混合物を処理することによって得られ得る。適切な賦形剤は、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む砂糖などの充填剤;例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、じゃがいもデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース調製物;あるいは、次に挙げるような他のもの:ポリビニルピロリドン(PVPまたはポビドン)またはリン酸カルシウムを含む。所望されれば、架橋結合クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、アガー、或いはアルギン酸、又はアルギン酸ナトリウム等のそれらの塩等の、崩壊剤が加えられる。
【0434】
ドラゼーコアは、適切なコーティングによって提供される。この目的のために、濃縮された砂糖溶液が使用され得、これは、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、および適切な有機溶媒または溶媒混合物を随意に含み得る。色素またはピグメントは、識別のために、または活性化合物の用量の異なる組み合わせを特徴付けるために、錠剤またはドラゼーのコーティングに加えられ得る。
【0435】
経口で使用され得る医薬調製物は、ゼラチンで作られた押し込み型カプセル剤の他に、ゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤で作られた密閉された軟カプセル剤も含む。押し込み型カプセル剤は、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、及び/又はタルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、および随意に安定剤との混合物の中に、活性成分を含み得る。軟カプセル剤において、活性化合物は、脂肪油、液動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体中で溶解または懸濁され得る。さらに、安定剤が加えられ得る。経口投与のためのすべての製剤は、そのような投与に適した用量であるべきである。
【0436】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載の固形の剤形は、タブレット(懸濁液タブレット、速溶タブレット、咬合崩壊タブレット(a bite-disintegration tablet)、迅速崩壊タブレット、発泡錠またはカプレットを含む)、錠剤、粉末(無菌包装された粉末、分配可能な粉末または発泡粉末を含む)、カプセル(軟または硬カプセル剤、例えば動物性のゼラチンまたは植物性のHPMCから作られたカプセル)、あるいは、「スプリンクルカプセル」の両方を含む)、固形の分散剤、固溶体、生体内分解性剤形、制御放出製剤、パルス放出剤形、多重微粒子剤形、ペレット剤、顆粒剤、またはエアロゾルの形状であり得る。他の実施形態において、医薬製剤は粉末形状である。さらに他の実施形態において、医薬製剤はタブレットの形状であって、これは速溶タブレットを含むがこれに限定されない。さらに、本明細書に記載される医薬製剤は、単一のカプセル又は複数のカプセル剤形として投与可能である。いくつかの実施形態において、医薬製剤は2又は3又は4つのカプセル又はタブレットで投与される。
【0437】
いくつかの実施形態において、固形剤形、例えばタブレット、発泡タブレット及びカプセルは、任意の式(A1-A6)、式(B1-B6)、式(C1-C6)又は式(D1-D6)の化合物の粒子と、1又はそれ以上の医薬賦形剤と混合して調整され、これによりバルク混合組成物が形成される。これらバルク混合組成物を均質と呼ぶ場合、それは、式(A1-A6)、式(B1-B6)、式(C1-C6)又は式(D1-D6)の粒子が組成物中において均一に分散していることを意味し、このため、組成物はタブレット、錠剤及びカプセル等のように、効果的な単位用量形態へと容易に分割されることが可能である。個々の単位用量はまた、フィルムコーティングも含み、経口摂取されたり、或いは希釈剤と接触すると崩壊する。これらの剤形は従来の薬理的技術で製造されることができる。
【0438】
従来の薬理学的な技術は、例えば以下の方法のうち1つあるいはその組み合わせを含む:(1)乾燥した混合、(2)直接の圧縮、(3)製粉、(4)乾式あるいは非水性の造粒、(5)湿式造粒法または(6)融合。例えば、Lachman et al., The Theory and Practice of Industrial Pharmacy (1986)を参照にしてほしい。他の方法は、例えば噴霧乾燥、パンコーティング、溶解造粒、造粒、流動層噴霧乾燥またはコーティング(例えばワースターコーティング)、接線コーティング、トップ噴霧、錠剤化、押し出し加工などを含む。
【0439】
本明細書に記載された薬学的に固形の剤形は、本明細書に記載の化合物、および互換性をもつ担体、結合剤、充填剤、懸濁化剤、香料添加剤、甘味剤、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、潤滑剤、着色剤、希釈剤、溶解剤、湿潤剤、可塑剤、安定剤、経皮吸収促進剤、加湿剤、抗起泡剤、酸化防止剤、防腐剤などの1つ以上の薬学的に許容可能な添加剤またはそれらの1つ以上の組み合わせを含み得る。さらに他の態様において、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 20th Edition (2000)に記載されていたものなどの標準の被膜手順を使用し、フィルムコーティングは、任意の式(A1-A6)、式(B1-B6)、式(C1-C6)、又は式(D1-D6)のいずれかの化合物の製剤のまわりに提供される。ある実施形態では、任意の式(A1-A6)、式(B1-B6)、式(C1-C6)、式(D1-D6)のいずれかの化合物の粒子のいくつか又は全てがコーティングされる。別の実施形態では、任意の式(A1-A6)、式(B1-B6)、式(C1-C6)、式(D1-D6)のいずれかの化合物の粒子のいくつか又は全てがマイクロカプセル化される。更に別の実施形態では、任意の式(A1-A6)、式(B1-B6)、式(C1-C6)、式(D1-D6)のいずれかの化合物の粒子は、マイクロカプセル化されず、コーティングされない。
【0440】
本明細書記載の固形剤形に用いるのに適切な担体は、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、マルトデキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、カゼイン酸ナトリウム、大豆レシチン、塩化ナトリウム、リン酸三カルシウム、リン酸二カリウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、カラギーナン、モノグリセリド、ジグリセリド、αデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート、ショ糖、微結晶性セルロース、ラクトース、マンニトール等を含むが、これらに限定されない。
【0441】
本明細書記載の固形剤形に用いるのに適切な充填剤は、ラクトース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、第二リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、セルロース粉末、デキストロース、デキストレート、デキストラン、デンプン、αデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアレート(HPMCAS)、スクロース、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコール等を含むが、これらに限定されない。
【0442】
任意の式(A1-A6)、式(B1-B6)、式(C1-C6)、式(D1-D6)のいずれかの化合物を固体投与形態マトリックスから可能な限り効率的に放出するために、崩壊剤がしばしば剤形において、特に投与形態が結合剤で圧縮される場合に用いられる。水分が投与形態内へ吸収された場合、崩壊剤は膨張又は毛管運動によって投与形態マトリックスが断裂する助けをする。本明細書に記載されている固体の剤形で使用される適切な崩壊剤は、限定されないが、デンプン、例えばコーンスターチやジャガイモデンプンなどの天然のデンプン、National 1551やAmijel(登録商標)などのαデンプン、またはPromogel(登録商標)やExplotab(登録商標)などのグリコール酸ナトリウムデンプン;木製品(wood product)、メチル結晶セルロース(methylcrystalline cellulose)、例えば、Avicel(登録商標)、Avicel(登録商標) PH101、Avicel(登録商標) PH102、Avicel(登録商標) PH105、Elcema(登録商標) P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Ming Tia(登録商標)、およびSolka-Floc(登録商標)などのセルロース、メチルセルロース、クロスカルメロースすなわち架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース(Ac-Di-Sol(登録商標))、架橋カルボキシメチルセルロース、または架橋クロスカルメロースなどの架橋セルロース、グリコール酸ナトリウムデンプンなどの架橋デンプン、クロスポビドンなどの架橋ポリマー、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸の塩などのアルギン酸塩、Veegum(登録商標) HV(ケイ酸マグネシウムアルミニウム)などのクレイ、寒天、グアール、イナゴマメ、カラヤ(Karaya)、ペクチン、またはトラガカントなどのゴム、ナトリウムグリコール酸デンプン、ベントナイト、天然の海綿質、界面活性剤、陽イオン交換樹脂などの樹脂、シトラスパルプ、ラウリル硫酸ナトリウム、混合デンプン(combination starch)中のラウリル硫酸ナトリウムなどがある。
【0443】
結合剤は固形の経口投薬形態製剤に粘着性を与える:粉末充填カプセルの製剤に関しては、柔らかいあるいは硬い殻のカプセルに充填できる栓形成に効果的である。またタブレットの製剤に関しては、圧縮後にタブレットが損傷を受けないようにし、圧縮又は充填の工程前に混合均一性を確実にする手助けをする。本明細書に記載されている固体の剤形中の結合剤は限定されないがカルボキシメチルセルロースおよびメチルセルロース(例えばMethocel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばハイプロメロースUSP Pharmacoat-603、ヒドロキシプロピルメチルセルロース・アセテート・ステアリン酸塩(Aqoate HS-LFおよびHS)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel(登録商標))、エチルセルロース(例えばEthocel(登録商標))を含んでいるとともに、使用に適している物質 また微結晶性セルロース(例えばアビセル(登録商標))、微晶質のグルコース、アミロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、多糖類酸、ベントナイト、ゼラチン、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー、架橋ポピドン、ポビドン、デンプン、αデンプン、トラガカントゴム、デキストリン、サッカロース(例えばDipac(登録商標))など砂糖、グルコース、グルコース、糖蜜、マンニトール、ソルビトール、キシリトール(例えばXylitab(登録商標))、 乳糖、アカシアなど天然か合成のゴム、トラガカントゴム、ghattiゴム、isapol殻の粘液、デンプン、ポリビニルピロリドン(例えばポビドン(登録商標)CL、Kollidon(登録商標)CL、Polyplasdone(登録商標)XL-10およびポビドン(登録商標)K-12)、 カラマツarabogalactan、Veegum(登録商標)、ポリエチレングリコール、ワックス、アルギン酸ナトリウムなどを含む。
【0444】
一般に、結合剤量の20-70%は、粉末充填ゼラチンカプセル製剤に使用される。錠剤の製剤における結合剤の利用量は、直接圧縮、湿式造粒法、ローラー圧縮、或いは単独で適度な結合剤として作用できる充填剤等の他の賦形剤の利用のいずれかで変化する。当業者は剤形用の結合剤量を決定可能であるが、タブレット剤形における70%までの結合剤利用量が一般的である。
【0445】
本明細書に記載されている固体の剤形で使用される、適切な滑沢剤または流動促進剤は限定されないが、例示的な潤滑剤には例えば、ステアリン酸;水酸化カルシウム;タルク;コーンスターチ、ステアリルフマル酸ナトリウム;およびアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ロウ、Stearowet(登録商標)、 ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコールあるいはメトキシポリエチレングリコール(例えばCarbowax(商標)、PEG-4000、PEG-5000、PEG-6000、ポリピレングリコール)などのこのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、またはオレイン酸ナトリウム、グリセリルベヘネート、ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸マグネシウムもしくはラウリル硫酸ナトリウムなどがある。
【0446】
本明細書記載の固形剤形で使用するのに適切な希釈剤は、糖(ラクトース、スクロース、およびデキストロースを含む)、多糖(デキストレート及びマルトデキストリンを含む)、ポリオール(マンニトール、キシリトール及びソルビトールを含む)、シクロデキストリン等を含むが、これらに限定されない。
【0447】
用語「非水溶性の希釈剤」は、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、デンプン、加工デンプンおよび微結晶性セルロースなど医薬品および微粒子セルロース(例えば、約0.45g/cm3、例えばアビセル、粉末セルロースの密度を有して)の製剤の中で典型的には使用される化合物、およびタルクを表わす。
【0448】
本明細書に記載の固形剤形で使用するのに適切な湿潤剤は、例えば、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリル、ソルビタンモノオレアート、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリル酸ポリオキシエチレンソルビタン、第四級アンモニウム化合物(例えば、Polyquat 10(登録商標))、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ドクセートナトリウム、トリアセチン、ビタミンE TPGS等を含む。
【0449】
本明細書に記載されている固体の剤形で使用されるのに適切な界面活性剤は例えばラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリソルベート、ポロキサマー、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリン、酸化エチレンと酸化プロピレンの共重合体(例えばPluronic(登録商標)(BASF))などを含む。
【0450】
本明細書記載の固形剤形で使用するのに適切な懸濁剤は、以下のものを含むが、これらに限定されない。即ち、ポリビニルピロリドン(例えばポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25、またはポリビニルピロリドンK30)、ポリエチレングリコール(ポリエチレングリコールの分子量は例えば、約300~約6000、または約3350~約4000、または約7000~約5400の場合がある)、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシ-プロピルメチルセルロース、ポリソルベート-80、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ガム(例えば、トラガカントガムやアカシアガムなど)、グアールガム、キサンタン(キサンタンガムを含む)、糖類、セルロース系物質(例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど)、ポリソルベート-80、アルギン酸ナトリウム、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート、ポビドンなどの化合物が含まれる。
【0451】
本明細書記載の固形剤形で使用するのに適切な抗酸化物質は、例えばブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸ナトリウム、及びトコフェノールを含む。
【0452】
本明細書で説明される固体投与形態で用いられる添加剤の間には相当な重複が存在する。したがって、上記列挙した添加物は本明細書に記載の剤形に含まれる可能性のある添加物の種類の単なる一例にすぎず、かつ、これらに限定されるわけでもない。このような添加剤の量は説明される特定の特性に従い、当業者によって容易に決定することができる。
【0453】
他の実施形態では、医薬製剤の1以上の層は可塑化される。実例として、可塑剤は一般に高沸点の固体又は液体である。好適な可塑剤は約0.01乃至約50重量%(w/w)のコーティング用組成物が添加されることが可能である。可塑剤には、フタル酸ジエチル、クエン酸エステル、ポリエチレングリコール、グリセロール、アセチル化グリセリド、トリアセチン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸、ステアロール、ステアレート、及びヒマシ油が含まれるが、これらに限定されない。
【0454】
圧縮タブレットは、上記の製剤のバルク混合を圧縮することにより調合された固形剤形である。様々な実施形態において、口内で溶解するよう設計された圧縮タブレットは、1又はそれ以上の香味剤を有する。他の実施形態において、圧縮タブレットは最終圧縮タブレットを包囲するフィルムを有する。幾つかの実施形態では、フィルムコーティングにより、製剤から本明細書記載の任意の化学式Dあるいは第二の薬剤の化合物が遅延放出される。他の実施形態において、フィルムコーティングは患者の薬剤服用順守に役立つ(例:Opadry(登録商標)コーティング又は糖衣)。Opadry(登録商標)を含むフィルムコーティングは、典型的にタブレットの約1乃至約3重量%の範囲である。他の実施形態において、圧縮タブレットは、1又はそれ以上の賦形剤を含む。
【0455】
カプセルは、例えば、上記の、任意の化学式Dあるいは第二の薬剤の化合物の製剤のバルク混合物をカプセル内に配することにより調合され得る。いくつかの実施形態において、剤形(非水溶性懸濁液及び溶液)はソフトゼラチンカプセル内に配される。他の実施形態において、剤形は標準的なゼラチンカプセル内、或いは非ゼラチンカプセル(HPMCを含むカプセル等)に配される。他の実施形態において、カプセル全体は飲み込まれるか、或いはカプセルを開けて食事前に食べ物の上に中身が拡散される。いくつかの実施形態において、治療用量は複数(例:2,3又は4つ)のカプセルに分割される。いくつかの実施形態において、剤形の全用量はカプセル形状で輸送される。
【0456】
様々な実施形態では、化学式Dあるいは第二の薬剤の化合物の粒子と1以上の賦形剤は、乾燥混合され、タブレット等の塊に圧縮される。この塊は、経口投与後、約30分未満、約35分未満、約40分未満、約45分未満、約50分未満、約55分未満、又は約60分未満以内で略分解され、それにより製剤を胃腸液へ放出する、医薬組成物がもたらされるのに十分な硬さを有する。
【0457】
別の態様では、剤形はマイクロカプセル化された製剤を含み得る。いくつかの実施形態において、1又はそれ以上の他の適合物質は、マイクロカプセル化物質内に存在する。例示の物質として、pH調整剤、腐食促進剤、消泡剤、抗酸化物質、香味剤、及び担体物質(結合剤、懸濁剤、分解剤、充填剤、界面活性剤、可溶化剤、安定化剤、潤滑剤、湿潤剤、及び希釈剤等)が含まれるが、これらに限定されない。
【0458】
本明細書に記載されているマイクロカプセル化に役立つ物質は、化学式Dまたは第二薬剤の化合物と適合する物質を含み、それらは他の非適合性の賦形剤から化学式Dまたは第二薬剤の化合物を十分に分離する。化学式Dまたは第二薬剤の化合物と適合する物質は、化学式Dまたは第二薬剤の化合物の放出をin vivoで遅らせるものである。
【0459】
化合物を含む製剤の放出を遅らせるのに役立つ本明細書に記載されている典型的なマイクロカプセル化物質は限定されないが、Klucel(登録商標)、Nisso HPC、およびPrimaFlo HP22などのセルロースヒドロキシプロピルエーテル(HPC);低置換型のヒドロキシプロピルエーテル(L-HPC);セルロースヒドロキシプロピルメチルエーテル(HPMC)(Seppifilm-LC、Pharmacoat(登録商標)、Metolose SR、Opadry YS、PrimaFlo、Benecel MP824、およびBenecel MP843など);メチルセルロースポリマー(Methocel(登録商標)-A、ヒドロキシポロピルメチルセルロースアセテートステアレートAqoat (HF-LS, HF-LG,HF-MS)およびMetolose(登録商標)など);エチルセルロース(EC)、およびE461、Ethocel(登録商標)、Aqualon(登録商標)-EC、Surelease(登録商標)などとの混合物;ポリビニルアルコール(PVA)(Opadry AMBなど);ヒドロキシエチルセルロース(Natrosol(登録商標)など);カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースの塩(CMC)(Aqualon(登録商標)-CMCなど);ポリビニルアルコールとポリエチレングリコールの共重合体(Kollicoat IR(登録商標)など);モノグリセリド(Myverol)、トリグリセリド(KLX)、ポリエチレングリコール、改変食用デンプン(modified food starch)、アクリルポリマーおよびアクリルポリマーとセルロースエーテルの混合物(Eudragit(登録商標) EPO, Eudragit(登録商標) L30D-55, Eudragit(登録商標) FS 30D Eudragit(登録商標) L100-55, Eudragit(登録商標) L100, Eudragit(登録商標) S100, Eudragit(登録商標) RD100, Eudragit(登録商標) E100, Eudragit(登録商標) L12.5, Eudragit(登録商標) S12.5, Eudragit(登録商標) NE30D, and Eudragit(登録商標) NE 40D);酢酸フタル酸セルロース;セピフィルム(sepifilm)(HPMCとステアリン酸の混合物、シクロデキストリン、およびこれらの材料の混合物など)を含む。
【0460】
さらに他の実施形態では、ポリエチレングリコール(例:PEG 300、PEG 400、PEG 600、PEG 1450、PEG 3350、及びPEG 800)等の可塑剤、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸、及びトリアセチンは、マイクロカプセル化物質に取り込まれる。他の実施形態では、医薬組成物の放出を遅延させるのに有用なマイクロカプセル化物質は、USP又は国民医薬品集(NF)から得られる。さらに他の実施形態において、マイクロカプセル化物質はKlucelである。さらに他の実施形態において、マイクロカプセル化物質はmethocelである。
【0461】
化学式Dまたは第二薬剤のマイクロカプセル化された化合物は、当業者に知られている方法によって調剤されるかもしれない。このような周知の方法は、例えば噴霧乾燥法、回転円板溶媒法、熱溶解法、噴霧冷却法、流動床、静電沈着、遠心押出、回転懸濁液分離、液体ガス又は固体ガス面における重合、押出圧力、又は噴霧溶媒抽出浴を含む。これらに加え、例えば複合コアセルベーション、溶媒蒸発、高分子間不和合性、液体培地内重合、in situ重合、液中乾燥法、及び液体培地内脱溶媒和等の幾つかの化学的手法も利用可能である。さらに、ローラー圧縮、押し出し/球形化、コアセルベーション、又はナノ粒子コーティングもまた使用される。
【0462】
1つの実施形態では、化学式Dまたは第二の薬剤の化合物の粒子は、上記の形態のうちの1つへ調剤される前にマイクロカプセル化される。さらに別の実施形態では、粒子状物質のうちのいくつかまたは大部分はRemington’s Pharmaceutical Sciences, 20th Edition (2000)に記載されていたものなど標準コーティング手順の使用によりさらに調剤される前にコーティングされる。
【0463】
他の実施形態では化学式Dまたは第二の薬剤の化合物の固体の投薬製剤は、1つ以上の層により可塑化される(コーティングされる)。実例として、可塑剤は一般に高沸点の固体又は液体である。好適な可塑剤は約0.01乃至約50重量%(w/w)のコーティング用組成物が添加されることが可能である。可塑剤には、フタル酸ジエチル、クエン酸エステル、ポリエチレングリコール、グリセロール、アセチル化グリセリド、トリアセチン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸、ステアロール、ステアレート、及びヒマシ油が含まれるが、これらに限定されない。
【0464】
他の実施形態では化学式Dまたは第二の薬剤の化合物を含む本明細書に記載されている粉末は、1つ以上の薬学の賦形剤および着香料を含めて調剤されるかもしれない。そのような粉末は、バルク混合組成物を形成するために、例えば製剤および随意の薬学の賦形剤を混合することにより、調製されているかもしれない。追加の実施形態はまた懸濁化剤及び/又は湿潤剤を含む。このバルク混合は、単位投薬パッケージングまたは複合投薬パッケージング単位へ一様に細分される。
【0465】
さらに他の実施形態では、発泡粉末も、本開示にしたがって調合される。発泡塩は経口投与用に薬を水に分散させるため用いられた。発泡塩は顆粒又は粗粉末であって、乾燥混合物内に薬剤を含有する。この混合物は通常、重曹、クエン酸及び/又は酒石酸で構成される。塩は、二酸化炭素ガスを遊離するのに反応する水、酸及び塩基に添加され、これにより「発泡」が起こる。発泡塩の例には以下の成分が含まれる。すなわち、重曹又は重曹と炭酸ナトリウムの混合物、クエン酸及び/又は酒石酸が含まれる。二酸化炭素の遊離を結果としてもたらす任意の酸‐塩基の組み合わせは、成分が医薬的使用に好適であり、pHが約6.0又はそれ以上となる限りは、重曹及びクエン酸及び酒石酸の組み合わせに代わって利用可能である。
【0466】
幾つかの実施形態では、本明細書記載の固形剤形は、腸溶コーティングされた遅延放出経口剤形として処方され、すなわち、本明細書記載の医薬組成物の経口剤形であって、腸溶コーティングを利用して、消化管の小腸における放出に作用する。腸溶コーティングされた投与形態は、圧縮又は成形又は押出されたタブレット/モールド(コーティング又は非コーティング)であって、活性成分及び/又は他の組成物要素の顆粒、粉末、ペレット、ビーズ、又は粒子を含み、これら自身はコーティング又は非コーティングである。腸溶コーティングされた経口剤形はまた、カプセル(コーティング又は非コーティング)であり、固形担体又は組成物のペレット、ビーズ、又は顆粒を含有し、これら自身はコーティングされる又はコーティングされない。
【0467】
本明細書で使用される、用語「遅延放出」は、放出が消化管内のいくつかの一般的に予測可能な位置で達成可能である輸送を指し、この位置は、遅延放出変化がなかった場合に達成される位置よりも遠位である。いくつかの実施形態において、放出を遅延させる方法はコーティングである。いかなるコーティングも、十分な厚みに適応されるべきであって、この厚みにより、コーティング全体はpH約5未満の消化液内では溶解しないが、pH約5及びそれ以上では溶解する。下方胃腸管に対する輸送を達成するのに本明細書に記載されている方法および組成物の中で腸溶コーティングとしてpH依存の溶解度特性を示す任意の陰イオンポリマーを使用することができることが期待される。幾つかの実施形態において、本明細書に記載されているポリマーは陰イオンのカルボキシル基のポリマーがある。他の実施形態では、ポリマーおよびその適合性の混合物、またそれらの特性のうちのいくつかは、限定されないが:
(a) シェラック、精製ラックとも呼ばれる昆虫の樹脂質の分泌から得られた精製品。
このコーティングは媒体pH>7で溶解する;
(b) アクリルポリマー。アクリルポリマーの性能(主にその生体液内における溶解度)は、置換の度合い及び種類に基づき、変化し得る。好適なアクリルポリマーの例は、メタクリル酸共重合体及びメタクリル酸アンモニウム共重合体を含む。EudragitシリーズE、L、S、RL、RS及びNE(Rohm Pharma)は、有機溶媒、水分散液、又は乾燥粉末内で可溶化される時に利用可能である。EudragitシリーズRL、NE及びRSは消化管内で不溶性であるが浸透性であって、また主に結腸標的のために用いられる。EudragitシリーズEは胃で溶解する。EudragitシリーズL、L-30D及びSは胃において溶解せず、腸内で溶解する。
(c) セルロース誘導体。適切なセルロース誘導体の例は:エチルセルロース;無水フタル酸を有するセルロースの部分的なアセテート・エステルの反応混合物。性能は、置換の程度及び種類に基づいて変化し得る。酢酸フタル酸セルロース(CAP)はpH>6で溶解する。Aquateric(FMC)は水性の系であって、1μm未満の分子で噴霧乾燥したCAP偽ラテックスである。Aquateric内の他の成分は、pluronic、Tween、及びアセチル化モノグリセリドを含むことができる。他の適切なセルロース誘導体は以下を含む:酢酸セルロース・トリメリテート(Eastman);メチルセルロース(Pharmacoat、Methocel);ヒドロキシプロピルメチルセルロース・フタレート;(HPMCP)ヒドロキシプロピルメチルセルロース琥珀酸エステル;(HPMCS)またヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート琥珀酸エステル(例えばAQOAT(Shin Etsu))。性能は、置換の程度及び種類に基づいて変化し得る。例えば、HP-50、HP-55、HP-55S、HP-55Fグレード等のHPMCPが好適である。性能は、置換の程度及び種類に基づいて変化し得る。例えば、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースの適切なグレードは、pH5で溶解するAS-LG(LF)、pH5.5で溶解するAS-MG(MF)、及びより高いpHで溶解するAS-HG(HF)を含むが、これらに限定されない。ポリマーは水分散液用に顆粒、又は微粒子として提供される。ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)PVAPは、pH>5で溶解し、水蒸気及び胃液に対する透過性が非常に少ない。
【0468】
いくつかの実施形態において、コーティングは可塑剤及び場合によっては他のコーティング賦形剤、着色剤、タルク、及び/又はステアリン酸マグネシウム等を含むことができ、通常は含んでいる。これは当該技術分野において周知である。好適な可塑剤には、クエン酸トリエチルシトラート(Citroflex 2)、トリアセチン(三酢酸グリセリル)、クエン酸アセチルトリエチル(Citroflec A2)、Carbowax 400(ポリエチレングリコール400)、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチル、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、脂肪酸エステル、プロピレングリコール、及びフタル酸ジブチルを含む。特に、アニオンカルボン酸アクリルポリマーは通常10乃至25重量%の可塑剤、特にフタル酸ジブチル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル及びトリアセチンを含む。噴霧又はパンコーティング等の従来のコーティング技術を用い、コーティングが施される。コーティングの厚みは、局所輸送が消化管内の所望の部位に到達するまで、経口剤形が確実に傷付かずに残存するほど十分なものでなければならない。
【0469】
着色剤、粘着性除去剤(detackifiers)、界面活性剤、消泡剤、潤滑剤(例:カルナバワックス又はPEG)は、可塑剤に加えてコーティングに加えることができ、これによりコーティング材料を可溶化或いは分散させて、コーティング性能及びコーティングされた製品を改善させる。
【0470】
他の実施形態では、化学式Dまたは第二薬剤の化合物を含む本明細書に記載の製剤は、拍動性の剤形を使用して輸送される。パルス状剤形は、遅延時間が制御された後の予め定められた時点、又は特定の部位にて、1以上の即時放出パルスをもたらすことが可能である。多くの他の種類の制御放出系は、本明細書記載の製剤と共に用いることが適切である。
そのような輸送系の例は、例えばポリ乳酸およびポリグリコール酸、ポリ無水物およびポリカプロラクトンなどポリマーベースの系、多孔性のマトリクス、コレステロール、コレステロールエステルおよび脂肪酸、または中性脂肪(モノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリド)などのステロールを含む脂質である非ポリマーベースの系;ヒドロゲル放出系;シラスティック系;ペプチドベースの系;ワックスコーティング、生体内分解性の剤形、従来の結合剤を使用する圧縮錠剤などを含む。Singh et al., Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, 2nd Ed., pp. 754-757 (1990);Singh et al., Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, 2nd Ed., pp. 754-757 (2002);米国特許番号4,327,725、4,624,848、4,968,509、5,461,140、5,456,923、5,516,527、5,622,721、5,686,105、5,700,410、5,977,175、6,465,014および6,932,983(その各々は引用文によって明確に組込まれる)を参照してほしい。
【0471】
幾つかの実施形態では、医薬製剤は本明細書に記載されている任意の化学式Dまたは第二薬剤の化合物の粒子を含み、また被験体への経口投与用の少なくとも1つの分散剤または懸濁化剤を含む。前記製剤は、懸濁のため粉末及び/又は顆粒であり、水と混合すると、略均一な懸濁液が得られる。
【0472】
経口投与のための液体製剤の剤形は、水性懸濁液と分散液であり、薬学的に許容可能な水性経口分散剤、エマルジョン、溶液、エリキシル剤、ゲル及びシロップを含むが、これらに限定されない群から選択される。Singh et al., Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, 2nd Ed., pp. 754-757 (2002)を参照のこと。化学式(A1-A6)の化合物の粒子状物質に加えて、液体の剤形は次のような添加物を含むかもしれない:(a)崩壊剤;(b) 分散剤;(c) 湿潤剤;(d)少なくとも1つの防腐剤、(e)粘度促進剤、(f)少なくとも1つの甘味剤および(g)少なくとも1つの香料。幾つかの実施形態では、水性分散液はさらに結晶性阻害剤を含むことができる。
【0473】
The USP Pharmacists’ Pharmacopeia(2005年版、905章)に定義されるように、本明細書に記載の水性懸濁液および分散液は、少なくとも4時間、均質の状態を保つことができる。均一性は、全組成物の均一性を測定することを考慮して、一貫した試料採取法によって測定されるべきである。1つの実施形態では、水性懸濁液は1分未満続く物理的な撹拌によって均質な懸濁液へ再懸濁することができる。別の実施形態では、水性懸濁液は45秒未満続く物理的な撹拌によって均質な懸濁液へ再懸濁することができる。また別の実施形態では、水性懸濁液は30秒未満続く物理的な撹拌によって均質の懸濁液へ再懸濁することができる。また別の実施形態では、撹拌は均質な水性分散液を維持するのには必要ではない。
【0474】
水性懸濁液と分散で使用される崩壊剤の例は限定されないが、デンプン、例えばコーンスターチやジャガイモデンプンなどの天然のデンプン、National 1551やAmijel(登録商標)などのアルファ化デンプン、またはPromogel(登録商標)やExplotab(登録商標)などのグリコール酸ナトリウムデンプン;木製品(wood product)、メチル結晶セルロース(methylcrystalline cellulose)、例えば、Avicel(登録商標)、Avicel(登録商標) PH101、Avicel(登録商標) PH102、Avicel(登録商標) PH105、Elcema(登録商標) P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Ming Tia(登録商標)、およびSolka-Floc(登録商標)などのセルロース、メチルセルロース、クロスカルメロースすなわち架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース(Ac-Di-Sol(登録商標))、架橋カルボキシメチルセルロース、または架橋クロスカルメロースなどの架橋セルロース;グリコール酸ナトリウムデンプンなどの架橋デンプン;クロスポビドンなどの架橋ポリマー;架橋ポリビニルピロリドン;アルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸の塩などのアルギン酸塩;Veegum(登録商標) HV(ケイ酸マグネシウムアルミニウム)などのクレイ;寒天、グアール、イナゴマメ、カラヤ(Karaya)、ペクチン、またはトラガカントなどのゴム;ナトリウムグリコール酸デンプン;ベントナイト;天然の海綿質;界面活性剤;陽イオン交換樹脂などの樹脂;シトラスパルプ;ラウリル硫酸ナトリウム;混合デンプン(combination starch)中のラウリル硫酸ナトリウムなどがある。
【0475】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されている水性懸濁液および分散に適している分散剤は、技術分野で知られており、例えば、親水性ポリマー、電解液、Tween(登録商標)60または80、PEG、ポリビニルピロリドン(PVP;商業上Plasdone(登録商標)として知られている)、そして炭水化物ベースの分散剤である、例えばヒドロキシプロピルセルロース(例えばHPC、HPC-SLおよびHPC-L)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばHPMC K100、HPMC K4M、HPMC K15MおよびHPMC K100M)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアリン酸塩(HPMCAS)、非晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー(S630)、エチレンオキシドおよびホルムアルデヒドを有する4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノール・ポリマー(チロキサポールとしても知られている)、ポロクサマー(例えばエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロック共重合体であるプルロニックF68(登録商標)、F88(登録商標)、F108(登録商標)); またポロキサミン(例えば、ポロキサミン908(登録商標)としても知られているテトロン908(登録商標)は、四官能性のブロック共重合体であり、エチレンジアミン(バスフ株式会社、パーシッパニー、N.J.)への、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの連続する付加から誘導される、を含む。その他の実施形態では、分散剤は以下の薬剤を含まない群から選択される:親水性ポリマー、電解液、Tween(登録商標)60または80、PEG、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースエステル(例えばHPC、HPC-SLおよびHPC-L)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースエステル(例えばHPMC K100、HPMC K4M、HPMC K15MおよびHPMC K100M及びPharmacoat (登録商標)USP 2910 (Shin-Etsu))、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートステアリン酸塩、非晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー(S630)、エチレンオキシドおよびホルムアルデヒドを有する4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノール・ポリマー、ポロクサマー(例えばエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロック共重合体であるプルロニックF68(登録商標)、F88(登録商標)、F108(登録商標)); またポロキサミン(例えば、ポロキサミン908(登録商標)としても知られているテトロン908(登録商標)を含む。
【0476】
本明細書に記載されている水性懸濁液および分散に適している湿潤剤は、技術分野で知られており、限定されないが、セチルアルコール、グリセロール・モノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(例えば、市販のTween(登録商標)、例えばTween20とTween80(登録商標)(ICIのSpecialty Chemicals部門))およびポリエチレングリコール(例えばCarbowaxs3350(登録商標)および1450(登録商標)、およびCarbopol934(登録商標)(Union Carbide))、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリン、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、 ドキュセートナトリウム 、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、トリアセチン、Tween 80、ビタミンE TPGS、アルミニウム塩などの化合物がある。
【0477】
本明細書に記載されている水性懸濁液または分散に適切な防腐剤は例えば、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸エステル類(例えばメチルパラベンとプロピルパラベン)、安息香酸およびその塩、ブチルパラベンなどパラオキシ安息香酸の他のエステル、エタノールまたはベンジルアルコールなどのアルコール、フェノールなどフェノール類または塩化ベンザルコニウムなど第4級化合物を含む。本明細書に使用されているように防腐剤は微生物の生育を阻害するのに十分な濃度を剤形に組み入れられる。
【0478】
本明細書に記載されている水性懸濁液に適切な粘度促進剤または分散剤は、限定されないが、メチルセルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、Plasdon(登録商標)S-630、カルボマー、ポリビニルアルコール、アルギン、アカシア、キトサンおよび組み合わせを含む。粘度促進剤の濃度は選択された薬剤および所望の粘度に依存する。
【0479】
本明細書に記載されている水性懸濁液または分散に適している甘味剤の例として、アカシアシロップ、アセスルファムK、アリテーム、アニス、リンゴ、アスパルテーム、バナナ、ババロアクリーム、ベリー、クロフサスグリ、バタースコッチ、クエン酸カルシウム、ショウノウ、カラメル、サクランボ、サクランボクリーム、チョコレート、シナモン、風船ガム、シトラス、シトラスパンチ、シトラスクリーム、綿飴、ココア、コーラ、クールサクランボ、 クールシトラス、チクロ、シクラメート、デキストロース、ユーカリ、オイゲノール、フルクトース、フルーツポンチ、ショウガ、グリチルリチン酸、カンゾウ(リコリス)シロップ、ブドウ、グレープフルーツ、蜂蜜、イソマルト、レモン、ライム、レモンクリーム、グリチルリチン酸モノアンモニウム(MagnaSweet(登録商標))、マルトール、マンニトール、メープル、マシュマロ、メントール、ミントクリーム、ミックスベリー、ネオヘスペリジンDC、ネオテーム、オレンジ、西洋ナシ、モモ、ペパーミント、 ペパーミントクリーム、Prosweet(登録商標)パウダー、ラズベリー、ルートビール、ラム酒、サッカリン、サフロール、ソルビトール、ハッカ、ハッカクリーム、イチゴ、イチゴクリーム、ステビア、スクラロース、ショ糖、サッカリンナトリウム、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、マンニトール、タリン、シリトール(sylitol)、スクラロース、 ソルビトール、スイスクリーム、タガトース、タンジェリン、タウマチン、トゥッティフルッティ、バニラ、クルミ、スイカ、野生のサクランボ、冬緑油、キシリトール、またはこれらの風味成分の任意の組み合わせ、例えばアニス-メントール、サクランボ-アニス、シナモン-オレンジ、サクランボ-シナモン、チョコレート-ミント、蜂蜜-レモン、レモン-ライム、レモン-ミント、メントール-ユーカリ、オレンジ-クリーム、バニラ-ミント、およびそれらの混合物などがある。1つの実施形態では、水性分散剤は、約0.001%から約1.0%までの濃度の甘味剤または香味を含むことができる。別の実施形態では、水性分散剤は、約0.005%から約0.5%までの濃度の甘味剤または香味を含むことができる。また別の実施形態では、水性分散剤は、約0.01%から約1.0%までの濃度の甘味剤または香味を含むことができる。
【0480】
上記の添加物に加えて、液体薬剤は、水または他の溶媒、可溶化剤および分散剤など、一般に技術分野で使用される不活性な希釈剤を含むことができる。典型的な乳化剤は、エタノール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレン・グリコール、ジメチルホルムアミド、ラウリル硫酸ナトリウム、ドクセートナトリウム、コレステロール、コレステロールエステル、タウロコール酸、ホスホチジルコリン、綿実油など鉱油、ラッカセイ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブオイル、ヒマシ油および胡麻油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタン脂肪酸エステルまたはこれらの物質などの混合物などがある。
【0481】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載の医薬製剤は、自己乳化型薬物輸送系(SEDDS)であってもよい。エマルジョンは別の形状、通常ならば、溶滴の形状における不混和層1つの分散である。一般的に、エマルジョンは活発な機械的分散によって生成される。エマルジョン又はマイクロエマルジョンとは対照的に、SEDDSは外部で機械的に分散又は攪拌が行わずに過度の水に加えられると、自発的にエマルジョンを形成する。SEDDSの利点は、溶滴を溶液中に行き渡らせる為にそっとかき混ぜるだけですむということである。さらに、水又は水相を投与直前に加えることも可能で、これによって不安定又は疎水性の活性成分の安定性が確保される。したがって、SEDDSは、疎水性の活性成分の経口及び非経口輸送のための、効果的な輸送系を提供する。SEDDSは疎水性の活性成分の生体利用効率を改善させることもある。
【0482】
自己乳化型投与剤形を作り出す方法は従来技術で公知であり、例えば、米国特許第5,858,401号、米国第6,667,048号、及び、米国第6,960,563号(その各々は引用文によって明確に組込まれる)を含むが、これらに限定されるわけではない。所定の添加物は分野の異なる実行者によって異なるように分類されることがしばしばあり、又は、複数の異なる機能のいずれかのために共有して用いられることがあるため、本明細書に記載の水分散液及び懸濁液中で用いられる上記列挙した添加物間には重なりがあることを理解されたい。したがって、上記列挙した添加物は本明細書に記載の剤形に含まれる可能性のある添加物の種類の単なる一例にすぎず、かつ、これらに限定されるわけでもない。このような添加剤の量は所望の特定の特性に従い、当業者によって容易に決定することができる。
【0483】
〈鼻腔内製剤〉
経鼻投与の剤形は従来技術で周知であり、例えば、米国特許第4,476,116号、第5,116,817号、第6,391,452号(その各々は引用文によって明確に組込まれる)に記載されている。本明細書に記載の任意の化学式(A1-A6)、化学式 (B1-B6)、化学式 (C1-C6)、化学式 (D1-D6)の化合物のいずれかを含む剤形は、従来技術で非常によく知られているこれらの技術及び他の技術に従って準備されるが、このような剤形は、従来技術で公知のベンジルアルコール又は他の好適な保存料、フルオロカーボン、可溶化剤又は分散剤を用いて生理食塩水中の溶液として用意される。例えば、Ansel, H.C. et al., Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Sixth Ed.(1995) を参照されたい。好ましくは、これらの組成物及び剤形を、適切で毒性のない、薬学的に許容される成分を用いて用意する。これらの成分は鼻腔への剤形の調製に熟練している人々の間で知られている。また、これらのうちのいくつかは、技術分野において標準的な参考文献であるREMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY、第21版、2005年において見出すことができる。適切な担体の選択は、所望の鼻腔剤形(例えば、溶液、分散液、軟骨剤、又はゲル)の正確な性質に大きく依存している。鼻腔剤形は一般的に、活性成分に加えて、大量の水を含有する。pH調節剤、乳化剤、又は分散剤、保存料、界面活性剤、ゲル化剤、又は緩衝剤、及び他の安定剤及び可溶化剤などの少量の他の成分も同様に存在することもある。鼻腔剤形は、鼻からの分泌物と等張であるべきである。
【0484】
吸入による投与に関して、本明細書に記載される化学式Dまたは第二の薬剤の化合物は、エアロゾル、噴霧、又は粉末としての形態であり得る。本明細書に記載の医薬組成物は、好適な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、又は他の好適な気体)を用いて、加圧型パック又は噴霧器から送り出されるエアロゾルの噴霧という形状で効果的に輸送される。加圧したエアロゾルの場合において、投与単位は、測定された量を輸送するための弁を提供することによって決定され得る。例えば、ほんの一例として、吸入具又は吸入器を用いるためのゼラチンのカプセル及び薬包を、本明細書に記載の化合物の粉末混合物及び好適な粉末(例えば、ラクトース又はスターチ)を含むように処方してもかまわない。
【0485】
〈口腔製剤〉
本明細書に記載の化合物を含む口腔用剤形は、当該分野では公知の様々な剤形を用いて投与される。例えば、そのような製剤は限定されないが、米国特許番号4,229,447、4596795、4,755,386および5,739,136(その各々は引用文によって特に組込まれる)に含まれる。更に、本明細書に記載の口腔剤形は、生体内分解性(加水分解性)のポリマー担体をさらに含み、該ポリマー担体はまた、この剤形を頬粘膜に接着させるよう機能する。口腔剤形は、予め定められた期間を超えると次第に浸食されるように加工され、任意の化学式Dまたは第二薬剤の化合物の輸送は本質的にくまなく行われる。当業者には理解されているように、口腔の薬剤輸送は薬物の経口投与に伴う不利益(例えば、吸収の悪さ、消化管に存在する流体による活性化剤の分解、及び/又は肝臓における初回通過時の不活性化)を避ける。生体内分解性(加水分解性)のポリマー担体に関して、当然のことながら、所望の薬物の放出特性が低下しない限り、実際にこのような任意の担体は使用可能であり、この担体は本明細書に記載の任意の化学式Dまたは第二薬剤の化合物、及び、口腔の投与ユニットに存在する他の化合物と適合する。一般的に、ポリマー担体は口腔粘膜の湿潤表面と接着する親水性(水溶性及び水膨潤性)ポリマーを備える。本明細書に用いられるポリマー担体の実施例は、例えば「カルボマー」(B.F.Goodrichから入手可能なCarbopol(登録商標)はそのようなポリマーの1つである)として知られているアクリル酸ポリマーを含む。他の構成要素も、本明細書に記載の口腔剤形に組み込まれてよく、崩壊剤、希釈剤、結合剤、潤滑剤、香味料、着色料、保存料を含むが、これらに限定されない。口腔投与又は舌下投与のために、組成物は錠剤、トローチ剤、又は従来の手法で処方されたゲルの形状を取ることもある。
【0486】
〈経皮製剤〉
本明細書に記載の経皮製剤は、当該技術分野で記載された様々な装置を用いて投与される。例えば、そのような装置は限定されないが、米国特許第3,598,122号、第3,598,123号、第3,710,795号、第3,731,683号、第3,742,951号、第3,814,097号、第3,921,636号、第3,972,995号、第3,993,072号、第3,993,073号、第3,996,934号、第4,031,894号、第4,060,084号、第4,069,307号、第4,077,407号、第4,201,211号、第4,230,105号、第4,292,299号、第4,292,303号、第5,336,168号、第5,665,378号、第5,837,280号、第5,869,090号、第6,923,983号、第6,929,801号、及び、第6,946,144号(その各々は全体として引用文によって明確に組込まれる)を含む。
【0487】
本明細書に記載の経皮剤形は、当該技術分野では従来から知られている、特定の薬学的に許容可能な賦形剤を組み込んでもよい。1つの実施形態において、本明細書に記載される経皮製剤は、少なくとも3つの成分を含む:(1)式Dまたは第二薬剤の化合物の製剤;(2)浸透促進剤;及び(3)水性のアジュバント。加えて、経皮製剤は、例えば、ゲル化剤、クリーム、および軟膏基剤などの追加化合物を含み得るが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、経皮製剤は、吸収を促進し、皮膚からの除去を防ぐために、織布基材、又は不織布基材をさらに含み得る。他の実施形態では、本明細書に記載の経皮製剤は、肌への拡散を促進するために飽和状態又は過飽和状態を維持することが可能である。
【0488】
本明細書に記載される化合物の経皮投与に適した製剤は、経皮輸送装置及び経皮輸送パッチを用い得、ポリマー又は接着剤中で溶解及び/又は分散する、脂溶性のエマルジョン又は緩衝水溶液であり得る。このようなパッチは、連続的、パルス状、または要求に応じた医薬品の輸送のために構築され得る。またさらに、本明細書に記載される化合物の経皮輸送は、イオン導入パッチなどの手段によって達成され得る。さらに、経皮貼付剤は、化学式Dまたは第二薬剤の化合物の制御された輸送を提供することができる。律速膜を使用することによって、あるいはポリマーマトリックスまたはゲル内で化合物を捕捉することによって、吸収の速度は遅らせることができる。逆に、吸収促進剤は、吸収を促進するために使用され得る。吸収促進剤または担体は、皮膚への通過を補助する吸収性の薬学的に許容可能な溶媒を含み得る。例えば、経皮デバイスは、裏当て材(backing member)、随意に担体を備える化合物を含み、随意に、長時間にわたって制御された速度及び予め定められた速度で化合物を宿主の皮膚に輸送するための律速バリアを含有するリザーバーおよび装置を、皮膚に固定するための手段を含む包帯(bandage)の形態である。
【0489】
〈注射可能な製剤〉
任意の化学式Dまたは第二薬剤の化合物を含み、筋肉注射、皮下注射、又は静脈注射に適切な製剤は、生理学的に許容可能な滅菌した水溶液又は非水溶液、分散液、懸濁液、又はエマルション、及び、滅菌した注射剤又は分散剤に再構築される滅菌した粉末を含み得る。好適な水溶性及び非水溶性の担体は、希釈剤、溶媒、又は、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、クレモホール)を含む賦形剤、それらの好適な混合物、植物油(オリーブオイルなど)、及びオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルである。好適な流動性は、例えば、レシチンなどの被膜剤を用いること、分散の際に必要な粒子の大きさを維持すること、及び界面活性剤を用いることによって、維持可能である。皮下注射に適切な製剤も、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤などの添加物を含有し得る。微生物の成長は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸といった様々な抗菌剤及び抗真菌薬によって確実に阻害可能である。砂糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を含むことも望ましい。注射可能な医薬品形態の持続的な吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどを用いることによって可能となる。
【0490】
静脈注射に関して、本明細書に記載される化合物は、水溶液、好ましくは、Hank’s 液、Ringer’s液、又は、緩衝生理食塩水などの生理学的に混合可能な緩衝液中で調剤され得る。経粘膜投与に関して、浸透されるべき障壁に好適な浸透剤は、その剤形で使用される。このような浸透剤は、一般的に、当該技術分野に公知である。他の非経口注射に関して、好適な剤形は、好ましくは、生理学的に相溶性のある緩衝液又は賦形剤とともに、水溶液又は非水溶液を含み得る。このような賦形剤は、一般的に、当該技術分野に公知である。
【0491】
非経口注射剤は、ボーラス投与又は持続投与に関連する。注射のための製剤は、ユニット剤形、例えば、アンプルまたは複数用量容器において、加えられた防腐剤とともに提供され得る。本明細書に記載の医薬組成物は、油性又は水溶性の賦形剤中の滅菌した懸濁液、水溶液、又はエマルシジョンとして、注射剤に好適な形状であってもかまわない。非経口投与用の製剤は、水溶性形状の活性化合物の水溶液を備える。さらに、活性化合物の懸濁液は、適切な油性の注射懸濁液として調製され得る。適切な親油性の溶媒またはビヒクルは、胡麻油などの脂肪油、オレイン酸エチルまたはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームを含む。水溶性の注射懸濁液は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール、またはデキストランなどの、懸濁液の粘性を増加させる物質を含み得る。随意に、懸濁液はまた、化合物の溶解度を増加させる適切な安定剤または薬剤を含み得、高濃縮溶液の調製を可能にする。あるいは、活性成分は、使用前には、好適なビヒクル、例えば、滅菌したピロゲンを含まない水で構成するための粉末形態であり得る。
【0492】
〈他の製剤〉
特定の実施形態では、医薬化合物(例えば、リポソーム又はエマルジョンなど)の輸送システムが利用され得る。特定の実施形態によっては、本明細書で提供される組成物は、例えば、カルボキシルメチルセルロース、カルボマー(アクリル酸ポリマー)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリアクリルアミド、ポリカルボフィル、アクリル酸/アクリル酸ブチルコポリマー、アルギン酸ナトリウム、デキストランから選択される粘膜付着性ポリマーも備えることが可能である。
【0493】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、局所的に投与可能であるとともに、溶液、懸濁液、ローション剤、ゲル、ペースト剤、薬用スティック、鎮痛剤、クリーム、軟骨剤などの局所的に処方可能な様々な組成物で処方されることも可能である。このような医薬化合物は、可溶化剤、安定剤、等張化促進剤、緩衝液、および防腐剤を含み得る。
【0494】
本明細書に記載される化合物は、浣腸剤、直腸ゲル、直腸発泡剤(rectal foams)、直腸エアロゾル、坐剤、ゼリー状の坐薬、又は停留浣腸剤などの、直腸製剤において調剤され、ココアバター又は他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤の他に、ポリビニルピロリドン、PEGなどの、合成ポリマーも含有する。組成物の坐剤形態において、限定されないが、脂肪酸グリセリドの混合物などの低融点ワックスは、随意にココアバターと組み合わせて、最初に融解される。
【0495】
〈投薬および処置レジメン〉
本明細書に記載された一定の実施形態では、必要としている個体内での血液悪性腫瘍を処置する方法として次のものを含む:(a)悪性腫瘍から複数の細胞を動態化するのに十分な不可逆性Btk阻害剤の量を個体に投与すること;そして(b)動態化された複数の細胞を分析すること。幾つかの実施形態では、不可逆性Btk阻害剤の量は悪性腫瘍から複数の細胞のリンパ球増多症を誘発するのに十分である。幾つかの実施形態では、不可逆性Btk阻害剤の量は300mg/日から1000mg/日までであり、1000mg/日も含む。幾つかの実施形態では、不可逆性Btk阻害剤の量は420mg/日から840mg/日までであり、840mg/日も含む。幾つかの実施形態では、不可逆性Btk阻害剤の量は、約420mg/日、約560mg/日、また約840mg/日である。幾つかの実施形態では、不可逆のBtk阻害剤の量は約420mg/日である。幾つかの実施形態では、Btk阻害剤のAUC0-24は約150から約3500 ng*h/mLの間にある。幾つかの実施形態では、Btk阻害剤のAUC0-24は約500から約1100 ng*h/mLの間にある。特定の実施形態において、Btk阻害剤は、経口で投与される。幾つかの実施形態では、Btk阻害剤は1日当たり1回、1日当たり2回または1日当たり3回投与される。ある実施形態では、Btk阻害剤は疾患進行、受け入れがたい毒性または個々の選択まで投与される。幾つかの実施形態では、Btk阻害剤は、疾患進行、受け入れがたい毒性または個々の選択まで毎日投与される。幾つかの実施形態では、Btk阻害剤は疾患進行、受け入れがたい毒性または個々の選択まで一日おきに投与される。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤は、シスアルケンである。
【0496】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載された化合物は、Btkまたはそのホモログの抑制のため、またはBtk或いはそのホモログの抑制から少なくとも一部分が利益を得る、疾患または疾病の処置のための薬物の調製に使用でき、血液悪性腫瘍と診断された患者及び/または被験体に使用することができる。さらに、そのような処置を必要とする被験体における、本明細書に記載された疾患または疾病のうちのいずれかを治療する方法は、前記被験体への治療上効果的な量において、少なくとも式(A)、式(B)、式(C)、あるいは式(D)のうちのいずれか一つの本明細書に記載された化合物、あるいはそれらの薬学的に許容可能な塩、薬学的に許容可能なN-酸化物、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容可能なプロドラッグまたは薬学的に許容可能な溶媒化合物を含む、医薬組成物の投与に関係する。
【0497】
本明細書に記載される化合物(複数可)を含有する組成物は、予防的、治療的、あるいは維持療法のために投与され得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されている化合物を含んでいる組成物は、治療への応用のために投与される(例えば、血液悪性腫瘍と診断された患者への投与)。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されている化合物を含んでいる組成物は、治療への応用のために投与される(例えば、血液悪性腫瘍に敏感なあるいは血液悪性腫瘍を発展させるリスクのある患者への投与)。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されている化合物を含んでいる組成物は、維持療法として寛解期にある患者に投与される。
【0498】
本明細書に記載された化合物の量は使用に依存する(例えば、治療的、予防的、維持療法のため)。使用に有効な量は、疾患又は疾病の重症度及び経過、以前の治療、被験体の健康状態、体重、薬物への反応、および治療に当たる医師の判断に依存する。当業者による所定の試験により、そのような治療上有効な量はよく考慮される(投与量漸増臨床試験を含むが、これらに限定されない)。幾つかの実施形態では、不可逆性Btk阻害剤の量は300mg/日から1000mg/日までであり、1000mg/日を含む。幾つかの実施形態では、不可逆性Btk阻害剤の量は420mg/日から840mg/日までであり、840mg/日を含む。幾つかの実施形態では、Btk阻害剤の量は400mg/日から860mg/日までであり、860mg/日を含む。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤の量は、1日約360mg/日である。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤の量は、1日約420mg/日である。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤の量は、1日約560mg/日である。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤の量は、1日約840mg/日である。幾つかの実施形態では、Btk阻害剤の量は2mg/kg/日から13mg/kg/日であり、13mg/kg/日を含む。幾つかの実施形態では、Btk阻害剤の量は2.5mg/kg/日から8mg/kg/日であり、8mg/kg/日を含む。幾つかの実施形態では、Btk阻害剤の量は2.5mg/kg/日から6mg/kg/日であり、6mg/kg/日を含む。幾つかの実施形態では、Btk阻害剤の量は2.5mg/kg/日から4mg/kg/日であり、4mg/kg/日を含む。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤の量は、1日約2.5mg/kg/日である。幾つかの実施形態において、Btk阻害剤の量は、1日約8mg/kg/日である。
【0499】
幾つかの実施形態において、本明細書に記載されたBtk阻害剤は、毎日投与される。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されたBtk阻害剤は一日おきに投与される。
【0500】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されたBtk阻害剤は1日当たり1回投与される。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されたBtk阻害剤は、1日当たり2回投与される。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されたBtk阻害剤は、1日当たり回投与される。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されたBtk阻害剤は、1日当たり回投与される。
【0501】
幾つかの実施形態では、Btk阻害剤は疾患進行、受け入れがたい毒性または個々の選択まで投与される。幾つかの実施形態では、Btk阻害剤は疾患進行、受け入れがたい毒性または個々の選択まで毎日投与される。幾つかの実施形態では、Btk阻害剤は疾患進行、承諾しがたい毒性または個々の選択まで一日おきに投与される。
【0502】
患者の状態が改善する症例の場合、医師の判断で、本明細書に記載される化合物の投与は、継続的に行われ得る。あるいは、投与される薬物の投与量を特定の期間、一時的に減らしたり、一時的に中止したりすることもある(休薬期間)。休薬期間の長さは2日から1年と様々であり、ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、又は365日を含む。休薬期間の間の用量減少は、10%~100%の範囲であり得、ほんの例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、及び100%を含む。
【0503】
一旦患者の症状が改善すると、必要ならば維持量が投与される。その後、投与量又は頻度、あるいはその両方を、症状に応じて、改善した疾病、障害又は状態が維持される程度まで減少させることが可能である。しかしながら、患者は、症状が再発すると、長期的に断続的な処置を必要とし得る。
【0504】
前記薬剤量に相当する予め与えられたそのような量は、特定の化合物、疾患又は、及び、処置を必要とする被験体又は宿主の固有性(例えば、体重)などの因子によって変化するが、それでもなお、その事案を取り囲む特定の環境(例えば、投与される特定の薬剤、投与経路、される、処置を受ける被検体あるいは宿主を含む)に従って、当該技術分野において公知の様式で決定可能である。しかしながら、一般的に、成人男性の処置に用いられる用量は、典型的に、一日当たり0.002~5000mgの範囲、あるいは一日当たり1~1500mgの範囲である。所望の用量は、単回投与で、または分割量を同時に(又は短時間に)投与する、または例えば、一日当たり、2、3、4回、又はそれ以上のサブ用量(sub-doses)のように、好適な間隔をおいて投与される分割量として、便宜に与えられ得る。
【0505】
本明細書に記載される医薬組成物は、正確な投与量の単回投与に適したユニット剤形であり得る。単位剤形において、製剤は、1またはそれ以上の化合物の適量を含む単位用量に分割される。単位用量は、製剤の別々の量を含有するパッケージの形態であり得る。非限定的な例は、包装された錠剤またはカプセル剤、および、バイアルまたはアンプル中の粉末である。水溶性懸濁液組成物は、単回投与の再密閉が不可能な容器に入れられ得る。あるいは、複数回投与の密閉可能な容器が使用され得、その場合、組成物中に防腐剤を含むことが典型的である。ほんの一例として、非経口注射用の製剤は、単位剤形で提供され、この形態はアンプル、又は防腐剤を加えた複数回投与用の容器を含むが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、単位剤形はそれぞれ本明細書に記載された210mgの化合物を含む。幾つかの実施形態では、個体は1日当たり1単位の剤形を投与される。幾つかの実施形態では、個体は1日当たり2単位の剤形を投与される。幾つかの実施形態では、個体は1日当たり3単位の剤形を投与される。幾つかの実施形態では、個体は1日当たり4単位の剤形を投与される。
【0506】
個体のレジメンに関する変数の数が大きいため、前述の範囲は単に示唆的なものでしかなく、このような推奨値からの大きい逸脱はまれではない。このような投与量は、限定されないが、使用される化合物の活性、処置される疾患又は疾病、投与の様式、個々の被験体の要件、処置されている疾患又は疾病の重症度、及び開業医の判断などの、多くの変数によって変化し得る。
【0507】
このような治療レジメンの毒性および治療効果は、限定されないが、LD50(個体群の50%が死に至る用量)及びED50(個体群の50%に治療上有効な用量)を含む、細胞培養物又は実験動物における標準の薬学的手順によって測定され得る。毒性効果と治療効果との間の用量比は、治療指数であり、LD50とED50との間の比率として表され得る。高い治療指数を示す化合物が好ましい。細胞培養アッセイおよび動物研究から得られたデータは、ヒトに使用するための様々な投与量を製剤するのに使用され得る。このような化合物の投与量は、好ましくは、最小の毒性を有するED50を含む血中濃度の範囲内にある。投与量は、用いられる投与形態および利用される投与の経路によって、この範囲内で変わり得る。
【0508】
〈キット/製品〉
本発明は、また本発明の方法を実行するためのキットを包含する。例えば、キットは、本明細書に記載された、バイオマーカーを検出することができる標識化合物または薬剤、例えば、生物学的なサンプル(例えば、関心のあるバイオマーカーをコードするRNAと結合する抗体またはオリゴヌクレオチド探索)中およびサンプル中のバイオマーカーの量を測定するための手段における、プロテイン又は核酸レベルのいずれかにおける、アポトーシス、細胞増殖または生存、若しくはBtkを媒介としたシグナル経路のバイオマーカーを含むことができ、BCLD治療薬を有するサンプルのインキュベーションを生じる。キットは、各々の個別の関心のあるバイオマーカーを検出することができる標識化された化合物又は薬剤と、サンプル中のそれぞれのバイオマーカーの量を測定する手段とを含むことによって、関心のある複数のバイオマーカーの検出を可能にするためにパッケージ化され得る。
【0509】
用いられる第2薬剤の特定の選択は、主治医の診断、患者の状態に対する主治医の判断、及びBtk阻害剤の適切な処置プロトコールに依存する。
【実施例0510】
以下の特定の、非限定的な実施例は、単なる例証と解釈されるべきであり、いかなる方法においても本開示を限定するものではない。さらに詳細に説明しないでも、当業者は本明細書の記載に基づいて本開示をもっとも完全な程度にまで利用し得る。本明細書に引用したすべての刊行物は、それらの全体が引用によって本明細書に組み込まれる。URL又は他のそのような識別子若しくはアドレスに言及される場合、そのような識別子は変更することができ、インターネット上の特定の情報が現れたり消えたりし得るが、同等の情報がインターネットを検索することにより発見され得ることは理解される。これらへの言及は、そのような情報の利用可能性及び一般的な普及を確証するものである。
【0511】
〈実施例1:医薬品の減量を誘発するためにBtk阻害剤を投与することによる非ホジキンリンパ腫の処置〉
非ホジキンリンパ腫(各々15)を有する2人の患者の群をBtk阻害剤により、又はBtk阻害剤無しで処置し、続いて第2薬剤(タキサン)を投与する。第1群は第2薬剤(タキサン)のみで処置し、第2群はBtk阻害剤で2日間処置し、続いて、観測されたリンパ球の1つ以上の亜集団からの1つ以上のB細胞リンパ増殖性障害(BCLD)の発現及び存在に基づいて第2薬剤を投与する。
【0512】
〈実施例2:非ホジキンリンパ腫の処置のためにBtk阻害剤を投与した後のBCLDの発現又は存在の測定〉
化合物15を第1群の患者に対して投与した後のBCLDの発現又は存在の測定は既知の手法を用いる。
【0513】
〈実施例3.非ホジキンリンパ腫の処置のためのタキサンの使用〉
患者内での1つ以上の亜集団からの1つ以上のB細胞リンパ増殖性障害(BCLD)バイオマーカーの発現又は存在の測定に続いて、第2群にタキシンを用いる。
【0514】
〈実施例4:Btk阻害剤を用いたBCLDの測定の臨床的実施例〉
BCLDを有する患者は、Btk阻害剤による処置又は他の処置を完了し、完全寛解状態にあるように見える。この処置を止めた後、次に短期間Btk阻害剤が与えられる。悪性腫瘍細胞のマーカーを有する細胞が末梢血に現れたとき、いくつかの実施形態においては、それは継続的な処置又は別の処置を開始するための兆候である。末梢血で検査された1つの例は、CD5及びCD20マーカーの両方を運ぶ細胞で、それはCLL/SLL及びマントル細胞リンパ腫に典型的である。これらのマーカーはフローサイトメトリー(flow cytometry)によって検出され得る。細胞型のさらなる例として、濾胞性リンパ腫を挙げることができ、それは他の実施形態において末梢血から集積された細胞のPCR又はin situ hybridizationよって検出可能なt(14;18)を有する細胞によって特徴づけられる。
【0515】
末梢血において測定された悪性腫瘍細胞のマーカーに基づいて、好適な第2処置レジメンが施行される。
【0516】
〈実施例5:医薬組成物〉
下記の組成物は説明を目的として化学式(D)の化合物と共に提示される。任意の化学式(A)、(B)、(C)、(D)の任意の化合物をこのような医薬組成物に用いることができる。
【0517】
〈実施例5a:非経口組成物〉
注射による投与に好適な医薬組成物を調製するために、化学式(D)の化合物の水溶性塩100mgをDMSOに溶解し、その後0.9%の滅菌食塩水10mLと混合させる。混合物を注射による投与に好適な投与量単位で取り込む。
【0518】
〈実施例5b:経口組成物〉
経口輸送用の医薬組成物を調製するために、化学式(D)の化合物100mgをスターチ750mgと混合させる。混合物を、経口投与に好適な、例えば硬ゼラチンカプセル等の経口投与量単位で取り込む。
【0519】
〈実施例5c:舌下(硬ロゼンジ)組成物〉
硬トローチ剤等の口腔輸送用の医薬組成物を調製するために、化学式(D)の化合物100mgを、ライトコーンシロップ1.6mL、蒸留水2.4mL、及びミント抽出物0.42mLと混合した粉末状砂糖420mgと混合させる。混合物を軽く混ぜ、型に流し込むことで、口腔投与に好適なトローチ剤を形成する。
【0520】
〈実施例5d:吸入用組成物〉
吸入輸送用の医薬組成物を調製するために、化学式(D)の化合物20mgを無水クエン酸50mg及び0.9%の塩化ナトリウム溶液100mLと混合させる。混合物を、例えば噴霧器等の、吸入投与に好適な吸入輸送用ユニットに取り込む。
【0521】
〈実施例5e:直腸ゲル組成物〉
直腸輸送用の医薬組成物を調製するために、化学式(D)の化合物100mgを、メチルセルロース(1500mPa)2.5g、メチルパラペン100mg、グリセリン5g、及び精製水100mLと混合させる。結果として生じるゲル混合物を、その後、例えば、注射器等の、直腸投与に好適な直腸輸送用ユニットに取り込む。
【0522】
〈実施例5f:局所ゲル組成物〉
医薬局所ゲル組成物を調製するために、化学式(D)の化合物100mgを、ヒドロキシプロピルセルロース1.75g、プロピレングリコール10mL、ミスチリン酸イソプロピル10mL、及び精製アルコールUSP100mLと混合させる。結果として生じるゲル混合物を、その後、例えば、チューブ等の、局所投与に好適な容器に取り込む。
【0523】
〈実施例5g:点眼溶液組成物〉
医薬点眼溶液組成物を調製するために、化学式(D)の化合物100mgを、100mLの精製水中でNaCl0.9gと混合させ、0.2ミクロンのフィルタを用いてろ過する。結果として生じる等張液を、その後、例えば、点眼薬容器等の、点眼投与に好適な点眼用輸送ユニットに取り込む。
【0524】
〈実施例6―CLL及びSLL患者において不可逆性のBtk阻害剤の有効性を測定するための臨床試験〉
〈CLL及び/又はSLLを有する患者〉
本明細書で提供されるデータは不可逆性のBtk阻害剤の2つの臨床試験から得られたCLL又はSLLを有する患者の蓄積された分析である。最初の試験(試験04753)は、再発性又は難治性B細胞を有する患者における不可逆性のBtk阻害剤の第1A相マルチコホート、初めてのヒト(first-in-human)、用量漸増試験である。56人の患者を2009年3月から2010年9月の間に登録し2種類の投与を評価した。すなわち、不可逆性のBtk阻害剤を1日1回28日連続で経口投与し、7日間投与しないスケジュール、及び継続的に毎日経口投与するスケジュールである。登録した56人の患者の内、16人のCLL/SLL患者がこの蓄積された分析に含まれる。
【0525】
第2の試験(試験1102)はCLL又はSLLを有する患者の2つの集団において不可逆性のBtk阻害剤を1日2回経口投与する第1B/2相試験である。少なくとも過去2回の処置レジメンの後に難治性疾患の再発性を有する患者を含むコホート、及び治癒未経験の疾患を有する高齢患者の第2コホートである。この試験は2010年5月に登録を開始し、現在までに56人の患者を登録した。この蓄積された分析の目的のために、最短である28日の追跡検査をうける38人の患者及び実験腫瘍評価を受ける28人の患者をこの分析に含む。要するに、2つの実験から56人の患者をこの分析に含む。
【0526】
2つの試験に登録された患者の基線特性をここにまとめる。試験04753において、年齢の中央値は66で、11人のCLLを有する患者と5人のSLLを有する患者が存在した。以前に処置を受けた回数の中央値は3で、回数の幅は1-10だった。x%の患者が以前にヌクレオチドアナログを摂取したことが有り、x%が以前に抗CD20薬剤を摂取していた。
【0527】
試験1102では年齢の中央値は68で、32人の患者がCLLを有し、2人の患者がSLLを有していた。CLLを有する患者の内、10人がdel17pを有していた。15人の患者が、直径が5cmより大きい結節性腫瘤として定義される巨大病変を有していた。再発性/難治性コホートにおいて、以前のレジメンの回数の中央値はx.3であり、有資格者要件によって、全ての患者はヌクレオチドアナログベースのレジメンを受けていた。93%が以前に抗CD20薬剤を、9%がアレムツズマブを、19%がベンダムスチンを、それぞれ摂取していた。
【0528】
分析の目的
【0529】
この蓄積された分析の目的はCLLにおける不可逆性のBtk阻害剤に対する反応の特質及び動態を特性化することである。不可逆性のBtk阻害剤化合物はBCRシグナル伝達阻害剤の新たなクラスの1つで、本経路の他の阻害剤と類似し、反応の動態は末梢血と結節性区画(compartment)との間で異なる。第2の目的は処置上の最良の反応、患者の性質、及び時間について2つの実験の現在の状態を要約することだった。最後の目的はより多く幅広いCLL又はSLLを有する患者の集団でのBtk阻害剤の有害事象特性の要約である。
【0530】
〈反応基準〉
これらの試験ではCLLを有する患者とSLLを有する患者とで個々に異なる反応基準を適用した。生物学的に類似の(又は同一の)疾患と考えられるものの、提示(presentation)における表現型の違いを考慮すると、CLLのためのIW基準は循環性リンパ球、結節性/脾臓/骨髄に基づく疾患、及び血液パラメーターの正常化における改善に基づく。対照的に、この疾患(又はSLL)のリンパ腫の提示を測定するために用いるNHL基準はリンパ節症及び臓器肥大症の改善のみに基づく。
【0531】
〈リンパ球数〉
図5は以前に複数回治療を受けた後に疾患が再発し、また、危険性の高い細胞遺伝学的特性を有するdel11qを有し、略6カ月前に不可逆性のBtk阻害剤を用いて処置を開始した57歳の高齢患者の、処置によるリンパ球数の変化を示している。不可逆性のBtk阻害剤を用いて処置した大多数の典型的CLL患者では、結節性疾患及び脾臓のサイズにおける、初期に、急速で、顕著な縮小が見られ、結節性及び脾臓区画(compartment)に対するリンパ球ホーミングにおける不可逆性のBtk阻害剤の阻害効果の結果と同じように、縮小に対応する循環リンパ球数の増加があった。これらの変化と同時に、患者は巨大病変の分解と矛盾しない症状の改善を報告した。時間とともに、アデノパシー及び脾腫が継続的に減少したにもかかわらず初期のリンパ球の増加は処置前の水準に戻った。不可逆性のBtk阻害剤及び類似の薬剤に関して見られるこのような症例は、より新しい薬剤標準反応基準を適用する際の困難さを強調するものである。
【0532】
〈リンパ節SPDに対する処置効果〉
図6に示すように、不可逆性のBtk阻害剤を用いて処置を施した患者では処置に対し即座に著しい結節性反応が見られた。85%の評価可能な患者で部分反応が達成され、いくらかのLN収縮さえ見られた。測定可能なLN疾患を有する患者の80%で処置2サイクル目以内にSPDの50%の縮小が達成された。
図7は上記の57歳の患者での、処置後におけるリンパ節の著しい縮小を示す。
【0533】
〈リンパ節及び絶対リンパ球数(ALC)の変化〉
図8は患者の第1a相試験からの時間経過に伴う、LN疾患の負担やリンパ球増多症に対する不可逆性のBtk阻害剤の効果を表したものである。早期リンパ球数増多症患者からの簡易統計は、SPDによって測定されたALC及びLN疾患の負担の両方における中央値の割合の経時変化において類似のパターンを示した。直ちに行われた後続実験では患者は時間と共に処置前又は正常レベルまで減少するリンパ球数増多症を発症する。垂直の直径(perpendicular diameters)全体のLNによって示された疾患負担における継続的な減少が見られた。このように、いくらかのタイミングのばらつきはあるものの、多くの患者は継続した処置によって末梢血及びLN疾患の両方における腫瘍負担の著しい減少を示す。
【0534】
〈悪影響〉
処置の副作用と見られる悪影響が
図9でアウトライン化されたものとして観測された。影響は重症度によってグレード1-4に分類した。グレード3以上の症例は極めてまれである。大多数の症例は重症度において軽度だった。処置の早期に起こるほとんどの報告の内、下痢、吐き気、及び疲労感が最も一般的に報告される悪影響であった。
【0535】
このように、経口Btk阻害剤は、ハイリスクのptsを含むCLL及びSLLを有する患者において著しい活性を有する。一般的に6カ月を超える追跡検査でそれは、よい疾患抑制を提供する。薬物関連の骨髄抑制又は累積毒性の証拠はない。
【0536】
〈実施例7:化学式(D)の化合物の安全性及び有効性を測定するための臨床試験〉
この臨床試験の目的は化学式(D)の化合物の副作用及び最適用量を実験すること及び再発性B細胞リンパ腫を有すると診断された患者の処置における有効性を測定することである。
【0537】
〈試験計画〉
6人の患者ずつのコホートは化学式(D)の化合物を、それぞれ1.25、2.5、5,0、8.3、12.5、17.5mg/kg/dだけMTDが確立されるまで摂取した。MTDに達しなかった場合は、投与水準を17.5mg/kg/dを超えて33%だけ増加させた。患者は28日間毎日処置を受け、続いて7日間休息期間(1サイクル)を取った。薬物によるBtk占有試験(「占有」)はサイクル1中の1、2、8、15、29日目、及びサイクル3、5、7、9、11中の1、15日目に行われた。もし1DLT(「用量規定毒性」)以下であることがサイクル1中のコホートで観測されれば、次のコホートに向けて漸増を進める。コホートに登録した6人の患者の内4人がDLTを経験することなしにサイクル1を達成すれば、その患者を次のコホートに登録し、一方で残った2人の患者の評価を完了する。もし2DLT以上であることがサイクル1中で確認されれば、その用量及びそれ以上の用量での投与を中止し、MTDは前のコホートのものとして確立する。患者にMTDでの投与を継続することを許可する。もし5.0mg/kg/dのコホートで2DLT以上が見られれば、追加の6人の患者のコホートを3.75mg/kg/dで加えてもよい。
【0538】
MTDの測定に際して、6人の患者のコホートを登録し、MTD又は「望ましい占有用量」の化学式(D)の化合物を休息期間なしで35日継続して投与する(1サイクル)。
【0539】
〈試験集団〉
WHO分類による再発性表面免疫グロブリン陽性B細胞非ホジキンリンパ腫(小リンパ球性リンパ腫/慢性リンパ性白血病を含む)を有する52人までの患者
【0540】
〈実験目的〉
1.一次的な目的は以下のものを含む:
【0541】
A.経口投与された化学式(D)の化合物の薬物動態(PK)を測定する。
【0542】
B.腫瘍反応を評価する。患者は処置開始前30日以内にスクリーニング(基線等)疾患評価をしている。患者は特定の投与サイクルの後に追跡検査疾患評価を受ける。処置において疾患進行の形跡がない患者は最大で6ヶ月間疾患進行処置を中止する。スクリーニングでは、コンピューター断層撮影(CT)(もし禁忌が示されなかったならば造影剤(contrast)を有する)及び陽電子射出断層撮影法(PET)又は、胸部、腹部、及び骨盤のCT/PETスキャンが必要である。他の臨検では、胸部、腹部、及び骨盤のCT(もし禁忌が示されなかったならば造影剤(contrast)を有する)スキャンが得られる。CT/PET又はPETは完全寛解を確認するために必要である。骨髄生検は随意である。試験薬を用いた処置の前に陽性の骨髄を有すると知られていた患者には処置後の完全寛解を確認するために繰り返し生検を行うべきである。International Working Group Revised Response Criteria for Malignant Lymphoma、 Guidelines for the diagnosis and treatment of chronic lymphocytic leukemia14、及び Uniform Response Criteria in Waldenstrom’s Macroglobulinemiaに基づいて全ての患者の反応を評価する。
【0543】
C.Btkの薬物占有、標的酵素、B細胞機能のバイオマーカーに対する効果を含めるために薬力学的パラメーターを測定する。特に、この実験は2つのPDアッセイを用いる末梢血単核細胞(PBMC)における薬物の薬力学を検査する。最初のPDアッセイでは特別に設計された蛍光プローブを用いた薬物によってBtk活動部位の占有を測定する。2番目のPDアッセイでは抗IgM/IgGを用いたex vivoBCR内のPBMCを刺激することによってB細胞の活性の阻害を測定しフローサイトメトリーによって活性マーカーCD69の細胞表面発現を分析する。薬物の経口投与後4~6時間経った患者から取り除いた血液サンプルからin vitroでPDバイオマーカーを測定する。これらのアッセイによってBtkの最大占有及びBCRシグナル伝達の最大阻害を達成するためにどの薬物水準が必要かを決定する。可能な時、患者の血液から分離された循環腫瘍細胞で類似の試験が行なわれる。
【0544】
2.二次的な目的は以下を含む:
【0545】
A:アポトーシスのバイオマーカー発現分析のために腫瘍生検サンプルを(可能なときに)分析すること。
【0546】
〈包含基準〉
この試験の参加資格を有するために、患者は以下の基準を満たしていなければならない:
・18歳以上の男女
・体重が40kg以上
・ ヴァルデンストレームマクログロブリン血症(WM)を含む、小リンパ球性リンパ腫/慢性リンパ性白血病(SLL/CLL)およびリンパ形質細胞性リンパ腫を含むWHO分類による再発性表面免疫グロブリン陽性B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)
・測定可能な疾患(NHLでは、二次元の疾患で少なくとも1つの次元において直径が2cm以上、CLLでは1mm3あたりの白血病細胞数が5000以上、WMでは最小のIgMレベルを有する免疫グロブリンMパラプロテインの発現が1000mg/dL以上及びリンパ形質細胞性細胞による骨髄の浸潤)
・過去に一度以上リンパ腫の処置に失敗していて標準的な処置が受けられない。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を有する患者は自家幹細胞移植に失敗したか拒絶したか、資格がなかったはずである。
・ECOGパフォーマンスステータスが1以下
・経口のカプセル剤を容易に飲み込む能力を有する
・書面のインフォームドコンセントに署名する意思及び能力がある
【0547】
〈除外基準〉
以下の基準のうちのいずれかを満たす患者は、本実験から除外される:
・CLL患者を除いて、4度を超える以前の全身治療(維持のためのリツキシマブは数えない)。自家骨髄移植につながるサルベージ治療/検査レジメンは、1つのレジメンであると考える。
・以前の同種骨髄移植
・試験薬投与1日目の前4週間以内に免疫療法、化学療法、放射線治療又は実験的治療を受けている
・試験薬投与1日目の前4週間以内に大手術を受けた
・リンパ腫によるCNS合併
・活動性日和見感染又は試験薬投与1日目の前4週間以内に日和見感染の処置を受けている
・以下のものを含むがこれらに限定されない抑制されない病気:実験要件の遵守を規定する進行中又は活動性感染、徴候性うっ血性心不全(New York Heart Association Class III又はIVの心不全)、不安定狭心症、心不整脈および精神病
・過去6か月以内に心筋梗塞、急性冠動脈症候群(不安定狭心症を含む)、冠動脈形成術及び/又はステント術を使った病歴がある
・既知のHIV感染
・B型肝炎sAg又はC型肝炎に陽性である
・研究者の意見において、患者の安全性を損なうか、試験薬の安全性の評価を妨害する、他の医学的疾患又は精神疾患、又は器官機能障害
・妊婦又は授乳期の女性(妊娠の可能性がある女性の患者は薬物投与の初日の前14日以内にネガティブ血清妊娠試験を受けなければならず、又は、陽性の場合は超音波によって妊娠を除外する)
・2年前未満に癌に羅患した、但し、皮膚の基底細胞上皮癌または扁平上皮癌、in situ子宮頸癌、又は他の上皮内癌を除く。
【0548】
結果:
過去の治療回数の中央値が3である29pts(濾胞12、CLL/SLL7、DLBCL4、マントル4、辺縁2)をコホート1~4に登録した。治療は最有害事象がグレード2未満でよく耐性を示した。1つのプロトコールではDLT(好中球減少による投与の遅延7日を超える)が観察されたと規定した。コホート1~3の19/22ptsが評価可能である。ORRは42%である、すなわちCR(SLL)1、PR7(CLL/SLL4、MCL2、及びFL1)である。コホート2では、全てのPtsで投与4時間後の酵素占有が95%以上で、化学式(D)の化合物によるBtkの完全寛解をPDが示した。Btk依存の細胞プロセスである好塩基球脱顆粒現象が24時間まで完全に阻害された。T細胞反応は影響を受けず、末梢血B、T、又はNK細胞数の著しい減少は観測されなかった。PBMC(1日目と8日目の平均)におけるBtk活性部位占有と1.25mg/kg投与での化学式(D)の化合物の血漿AUC0-°(1日目)との間には正相関(R2=0.93)が発見された。
【0549】
〈実施例8:Btk阻害剤を用いたBCLDの診断の臨床的実施例〉
BCLDを有する患者はBtk阻害剤を用いた治療又は他の処置を完了し完全寛解状態に見える。この処置を止めた後、次に短期間Btk阻害剤を与える。悪性細胞のマーカーを有する細胞が末梢血に現れた場合、いくつかの実施形態においては、それは継続的な処置や別の処置の兆候である。末梢血で検査された亜集団の1つの例はCD5及びCD20マーカーの両方を運ぶ細胞で、それはCLL/SLL及びマントル細胞リンパ腫に典型的である。これらのマーカーはフローサイトメトリーによって検出可能になり得る。細胞型のさらなる例として濾胞性リンパ腫が挙げられ、それは他の実施形態において末梢血から集積された細胞のPCR又はin situ hybridizationによって検出可能なt(14;18)を有する細胞によって特徴づけられる。
【0550】
初めて処置を開始した患者では悪性亜集団の増加が反応又は反応持続の早期の予測マーカーになり得る。
【0551】
以前に処置を受けていて、診断ではない変化(スキャン等)に基づいた進行の疑いがある患者では、末梢血細胞増加のBTK試験を、再発防止早期処置を可能にする情報に追加することができた。これはBCLDの処置を再開するか注意して見守るか代替の診断を求めるかの決断する際に役に立つ。
【0552】
この試験では自身のBCLDがより侵攻性の高い細胞形態に変形する疑いのある患者のためのより良い診断情報をもたらした。例えばCLL/SLL及びより低いグレードの濾胞性リンパ腫が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に類似するかもしれないより高いグレードのプロセスに変形し、さらに積極的な処置が必要である可能性がある。
【0553】
〈実施例9:患者選択〉
患者選択スクリーンはDLBCLのABCサブタイプを用いて個体を同定するために行う。Nugenキットを用いて増幅し、Affymetrix U133Plus2.0arrays上でアッセイしたRNAを用いたFFPE生検材料を用いて遺伝子発現プロファイリングを行う。
【0554】
サンプルを、再発性体細胞突然変異について選抜する。これは、エクソン増幅及び標準的なジデオキシ自動塩基配列決定法により、NF-kB及びB細胞レセプターシグナル伝達経路(例えば、CARD11、CD79A、CD79B、MYD88、TNFAIP3)及びp53における従来の候補遺伝子の再配列によって達成する。
【0555】
患者選択スクリーンはまた、特にBtk阻害剤に対して敏感又は耐性のあるABC DLBCLを有する患者を同定する。CARD11突然変異への陽性結果は、個体がBtk阻害剤に対して耐性があることを示し、それはBTKの下流である工程においてCARD11突然変異がNF-kB経路を活性化させるからである。
【0556】
ゲノムのコピー数分析も又、予後の評価同様Btk阻害剤に対する反応に関連するかもしれない発癌性経路の活性の適切な評価が必要である。とりわけ、ABC DLBCLは、NF-kBの負の制御因子であるA20をコードするTNFAIP3座のゲノム欠失を保護する。したがって、A20の状態の全体的な評価は、体細胞変異を探すための再順序付け、および欠失を探すためのコピー数分析の両方を要求する。加えて、患者は、これらのゲノムの異常がABC DLBCLにおける予後不良に関係するので、INK4a/ARF座内でのゲノムの欠失を保護するか、染色体3のトリソミーを有するDLBCL腫瘍と同定される。シングルパスハイスループットDNA塩基配列決定は、ゲノムのコピー数を全体的に評価するためにIllumina HiSeq2000プラットフォームを使用して実行される。
【0557】
〈実施例10:CLL又はSLLを有する患者におけるBtk阻害剤のPKおよび有効性〉
Btk阻害剤を、CLL又はSLLを有すると診断された33人の患者に投与した。有効性及びPKを測定した。
【0558】
【0559】
〈実施例11:Btk阻害剤を用いた臨床試験〉
CLLを有する患者に対するBtk阻害剤の効果を実験するために第1b/II相臨床試験を行った。
【0560】
実験タイプ:介入研究
【0561】
割り付け(Allocation):作為(Non-Randomized)
【0562】
エンドポイント分類:安全性実験
【0563】
介入モデル:並列試験
【0564】
マスキング:非盲検ラベル
【0565】
主目的:治療
【0566】
第I群(高齢、未処置、患者)は420mg/日のBtk阻害剤を摂取した。第II群(R/R患者、フルダラを用いた処置を2度受けたことがある)は420mg/日のBtk阻害剤を摂取した。第III群(R/R患者、フルダラを用いた処置を2度受けたことがある)は840mg/日のBtk阻害剤を摂取した。
【0567】
【0568】
腫瘍評価は2度の処置サイクルごとに行った。
【0569】
〈目的〉
CLL/SLLを有する患者におけるBtk阻害剤の抗腫瘍作用の特性の記載。例えば、リンパ節症/脾腫の縮小、及び絶対リンパ球数(ACL)の変化の動態等。
【0570】
Btk阻害剤の安全性プロファイルを要約する。
【0571】
〈包含基準〉
未処置の群のみ(を対象とする基準):NCI又は国際ワーキンググループ(International Working Group)のガイドライン11-14によって処置を必要とする、CLL/SLLの診断が確認された65歳以上の男女
【0572】
再発性/難治性群のみ(を対象とする基準):治療に対し不応性の再発性/難治性CLL/SLLの診断(すなわち、過去に2度以上CLL/SLLの処置に失敗し、かつそのうち少なくとも1度レジメンでCLLを有する被験者用のプリンアナログ(フルダラビン等)の投与を有していなければならない)が確認された18歳以上の男女
【0573】
体重が40kg以上
【0574】
ECOGパフォーマンスステータスが2以下
【0575】
性的に活発で出産が可能である場合、試験の間および試験薬の最後の服用後30日間避妊法を用いることの同意
【0576】
容易にカプセルを飲み込むことを含むこの試験プロトコールにおける全ての必要とされる評価や手順に参加する意思があり、可能であること。
【0577】
実験の目的やリスクを理解し、保護された健康情報(国及び地方の被験体プライバシー規制に従う)を使用するために署名され又日付のあるインフォームドコンセント及び承認を提供することができる。
【0578】
〈除外基準〉
研究者の意見において、被験者の安全を害する、あるいはBtk阻害剤POの吸収又は代謝を阻害するか、あるいは試験結果を過度に危険にさらすおそれのある、生命にかかわる病気、病状又は内蔵系機能障害
【0579】
試験薬の最初の投与前4週間以内に何らかの免疫療法、化学療法、放射線療法、又は実験的治療を受けた(疾患に関わる症状用のコルチコステロイドは許可されているが試験薬投与前に1週間のウオッシュアウトを必要とする)
【0580】
中枢神経系(CNS)に関わるリンパ腫
【0581】
最初の試験薬投与前4週間以内に大手術を受けた
【0582】
原則的な(institutional)標準値の上限(ULN)の1.5倍を超えるクレアチニン;ULN(ジルベール病によるものでない場合に)の1.5倍を超えるビリルビンの総量;疾患と関係ない、ULNの2.5倍を超えるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)又はアミノトランスフェラーゼ(ALT)
【0583】
QT延長又はトルサード・ド・ポワンツ(torsades de pointes)を引き起こすと知られている薬の併用
【0584】
左脚ブロック、第2度AVブロックII型、第3度ブロック、徐脈、及びQTcが470msecより大きいものを含む有意なスクリーニング心電図(ECG)異常
【0585】
授乳していること又は妊娠していること
【0586】
〈反応基準〉
NHLIWG基準は修正のないSLLの症例に適用した。
【0587】
2008CLLIWG基準は以下の修正を有するCLLの症例に適用した:
a.分離されたリンパ球増多症は、PDの基準を満たす他のパラメーターの欠如で、PDと考えなかった。
b.リンパ球増多症を経験したが他の測定可能なパラメーターによってPRを得た患者は、PRとして分類された症例での基線から50%のALC縮小が見られるまで「結節性」反応として分類した。
c.5K未満に正常化する必要がある処置関連のリンパ球増多症を有する基線において正常なALC(5K未満)を有する患者はPRとして分類する。
【0588】
【0589】
【0590】
結果は、
図18から27にさらに要約される。
図18は、未試験の420mg/日のグループの反応を表している。
図19は、R/Rの420mg/日のグループの反応を表している。
図20は、予後因子による反応を表している。
図21は、長時間にわたる反応を表している。
図22は、全ての患者の最良の反応を表している。
図23は、抽出した患者の最良の反応を表している。
図24は、予後因子による最良の反応を表している。
図25は、最初(サイクル2)の反応評価及び最良の反応(420mgのコホート)を表している。
図26は、投与量により、再発した又は難治性に関する最初(サイクル2)の反応評価を表している。
図27は、血液数値における改善を表している。
【0591】
〈結論〉
中間段階IIのデータにより、Btk阻害剤は、未試験の患者の治療と再発した又は難治性のCLL/SLL患者の治療の両方において、非常に活性化することが確認された。
【0592】
同時リンパ球増多症を伴う、クラス特異的な急速なリンパ節の減少が大多数の患者に見られた。
【0593】
2008 CLL IWGの対象となる反応(PR+CR)及び結節の反応が、耐性があり、かつ高度なリスクを有する遺伝的特徴とは無関係に現れた。
【0594】
再発した又は難治性の患者のうちの多くの割合(85%)が6ヶ月進行しなかった(420mgコホート)。
【0595】
〈実施例12:Btk阻害剤を用いた患者の長期追跡試験〉
この試験の目的は、B細胞リンパ腫又は慢性リンパ性白血病/小リンパ性白血病(CLL/SLL)の患者における、Btk阻害剤POの固定投与及び毎日のレジメンの長期的な安全性を確認することである。
【0596】
試験タイプ:介入研究
【0597】
割り付け(Allocation):作為(Non-Randomized)
【0598】
エンドポイント分類:安全性試験
【0599】
介入モデル:単群試験
【0600】
マスキング:非盲検ラベル
【0601】
主目的:治療
【0602】
介入:420mg/日のBtk阻害剤
【0603】
適用条件:B細胞リンパ性慢性白血病;小リンパ球性リンパ腫;びまん性分化型リンパ性リンパ腫;B細胞リンパ腫;濾胞性リンパ腫;マントル細胞リンパ腫;非ホジキンリンパ腫;ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;バーキットリンパ腫;B細胞びまん性リンパ腫
【0604】
〈一次的な評価項目〉
有害事象/安全認容性[期間枠:試験薬の服用後30日間]-有害事象の頻度、重症度及び関連性
【0605】
〈二次的な評価項目〉
腫瘍の反応[期間枠:治療標準当たりにおいて行われる腫瘍評価の頻度]-腫瘍の反応は、確立された反応基準当たりで評価される。この試験により、疾患の進行及び反応の持続時間が判明するであろう。
【0606】
腫瘍の反応[期間枠:疾患の進行時間]-反応の持続性は、B細胞リンパ腫及び慢性リンパ性白血病において確立された反応基準によって測定される。
【0607】
〈包括基準〉
先のBtk阻害剤試験において、少なくとも6ヶ月間、安定した疾患又はBtk阻害剤POへの反応を有しており、試験薬の継続を望んでいるか、PCYC-04753において疾患が進行し、より高い投与を試みることを望んでいる、B細胞リンパ腫又はCLL/小リンパ性白血病(SLL)を有している男女。
【0608】
Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)のパフォーマンスステータスが2以下。
【0609】
もし、性的に活発で出産が可能である場合には、試験の間、及び試験薬の最後の服用後30日間は、避妊法を用いることの合意。
【0610】
容易にカプセルを飲み込むことを含むこの試験プロトコールにおける全ての必要とされる評価及び手順に参加する意思があり、可能であること。
【0611】
試験の目的及びリスクを理解し、インフォームドコンセント及び保護された健康情報の使用の承諾に署名し、日付を確定する能力(全国・地方被験体プライバシー規則に従う)。
【0612】
〈除外基準〉
研究者の意見において、被験体の安全を害する、あるいはBtk阻害剤POの吸収又は代謝を阻害する、あるいは、試験結果を過度のリスクにさらすおそれのある、生命にかかわる病気、病状又は内蔵系機能障害。
【0613】
免疫療法、化学療法、放射線治療、コルチステロイド(20mg/日を超えるプレドニゾンと同量の投与)、又は実験的治療との併用。
【0614】
QT延長又は心室頻拍を引き起こすと知られている薬との併用。
【0615】
中枢神経系(CNS)に関わるリンパ腫。
【0616】
原則的な(institutional)標準値の上限(ULN)の1.5倍を超えるクレアチニン;ULN(ジルベール病によるものでない場合に)の1.5倍を超えるビリルビンの総量;疾患と関係ない、ULNの2.5倍を超えるアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)又はアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)。
【0617】
授乳期であること又は妊娠していること。
【0618】
〈実施例13:R/R MCLにおけるBtk阻害剤の第2相試験〉
この試験の目的は、前のボルテゾミブを用いたことのある被験体と用いたことのない被験体とで、MCLの再発した/難治性の被験体におけるBtk阻害剤の効率性を評価することにある。
【0619】
第2の目的は、この集団において、Btk阻害剤カプセルの固定的な毎日のレジメンの安全性を評価することにある。
【0620】
試験タイプ:介入研究
【0621】
割り付け(Allocation):作為(Non-Randomized)
【0622】
エンドポイント分類:安全性/有効性試験
【0623】
介入モデル:並列試験
【0624】
マスキング:非盲検ラベル
【0625】
主目的:治療
【0626】
介入:560mg/日のBtk阻害剤
【0627】
〈一次的な評価項目〉
試験薬に反応した患者の数を測定すること[期間枠:疾患の進行又は別の抗癌治療が始まるまで、参加者は追跡される]。
【0628】
〈二次的な評価項目〉
安全性と認容性の基準として、有害事象が生じた参加者の数を測定すること[期間枠:疾患の進行又は別の抗癌治療が始まるまで、参加者は追跡される]。
【0629】
身体が試験薬にどのように反応するのかを決定することを補助するための、参加者の薬物動態の数を測定すること[期間枠:試験薬を受け取ってから最初の1ヶ月間で行われる手順]。
【0630】
患者による成果報告[期間枠:疾患の進行又は別の抗癌治療が始まるまで、参加者は追跡される]。
【0631】
クオリティオブライフに関係する健康を決定するために、参加者によって報告された項目の数を測定すること。
【0632】
〈包括基準〉
18歳以上の男女
【0633】
ECOGパフォーマンスステータスが2以上
【0634】
サイクリンD1又はt(11;14)の過剰発現の証拠、及び断面画像上測定可能な、最大直径が2cm以上の疾患、及び2つの垂直な側面(perpendicular dimensions)で測定可能な疾患によって、病理学的に確認されるMCL。
【0635】
最近の処置レジメンにより、少なくとも部分奏功(PR)に達したことが証明された失敗、又は疾患が進行したことが証明された疾患。
【0636】
MCLにおける、1以上5以下の先行処置レジメン(注:被験体は、単一の薬剤として又は併用レジメンの一部として、ボルテゾミブによる先行処置のサイクルを2以上受けており、ボルテゾミブに晒されたと考えられよう)。
【0637】
容易にカプセルを飲み込むことを含むこの試験プロトコールにおける全ての必要とされる評価及び手順に参加する意思があり、可能であること。
【0638】
試験の目的及びリスクを理解し、インフォームドコンセント及び保護された健康情報の使用の承諾に署名し、日付を確定する能力(全国・地方被験体プライバシー規則に従う)。
【0639】
〈主な除外基準〉
3週間以内の先行する化学療法、6週間以内のニトロソ尿素、4週間以内の治療用抗癌抗体、10週間以内の放射性又は毒素免疫複合体、3週間以内の放射線治療、又は最初の試験薬の服用から2週間以内の主な外科手術。
【0640】
研究者の意見で、被験体の安全を害する、あるいは、Btk阻害剤カプセルの吸収又は代謝を阻害する、あるいは、試験結果を過度のリスクにさらすおそれのある、生命にかかわる病気、病状又は内蔵系機能障害。
【0641】
抑制されていない又は徴候的な不整脈、うっ血性心不全、又はスクリーニングの6ヶ月以内の心筋梗塞、又はNew York Heart Association Functional Classificationが定義する、任意の3又は4の心臓病のような、医学的に重要な循環器疾患。
【0642】
吸収不良症候群、胃腸の機能に大きな影響を与える疾患、又は胃若しくは小腸若しくは潰瘍性大腸炎の切除、兆候的な炎症性腸疾患、又は部分的若しくは完全な腸閉塞。
【0643】
以下の検査値の異常のうち任意のもの:
a.骨髄と関係することが証明されなかった場合において、好中球絶対数(ANC)が750cells/mm3(0.75x109/L)未満
b.骨髄と関係することが証明されなかった場合において、輸血援助とは無関係に、血小板数が50,000cells/mm3(50x109/L)未満
c.血清アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST/SGOT)又はアラニン・トランスアミナーゼ(ALT/SGPT)が標準値の上限(ULN)の3.0倍以上
d.クレアチニンがULNの2.0倍を超える
【0644】
〈実施例14:R/R CLLにおけるBtk阻害剤+オファツムマブの第2相試験〉
この試験の目的は、再発した/難治性のCLL/SLL及び関連する疾患を有する被験体おいて、オファツムマブと組み合わされた、経口で投与されたBtk阻害剤の固定投与量及び毎日のレジメンの有効性及び安全性を確認することであった。
【0645】
試験タイプ:介入研究
【0646】
割り付け(Allocation):作為(Non-Randomized)
【0647】
エンドポイント分類:安全性試験
【0648】
介入モデル:単群試験
【0649】
マスキング:非盲検ラベル
【0650】
主目的:治療
【0651】
介入:420mg/日のBtk阻害剤、標準的なオファツムマブの投与
【0652】
適用条件:B細胞慢性リンパ性白血病;小リンパ球性リンパ腫;びまん性分化型リンパ性リンパ腫;前リンパ球性白血病;リヒタートランスフォーメーション
【0653】
〈一次的な評価項目〉
Btk阻害剤の反応及び安全性[期間枠:サイクル1及び3の最後]
【0654】
慢性リンパ性白血病における最近のガイドラインによって定義される反応率
【0655】
〈二次的な評価項目〉
薬理動態学的/薬理学的な評価[期間枠:サイクル1から2の間]
【0656】
Btk阻害剤の薬理動態学(例えば、Btkの薬物占有、及び生物学的市場(biological market 1/2)における効果)
【0657】
腫瘍反応[期間枠:サイクル2、4、及び6の最後(各サイクルの28日間)]
【0658】
CLLにおける最近のガイドラインによって定義されるような全体的な反応率
【0659】
〈包括的な基準〉
造血器腫瘍に関するWHOの分類により定義されるような、組織学的に確認された慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、又はCLL/SLL以外で生じるリヒタートランスフォーメーションを有する被験体であって、以下の条件のうち1以上に当てはまるもの:
【0660】
身体的診察又はX線検査によって確認される進行性の脾腫及び/又はリンパ節症
【0661】
骨髄に関係する、貧血症(11g/dL未満)又は血小板減少症(100,000/μL未満)
【0662】
過去6ヶ月にわたる10%を超える意図しない体重減少の存在
【0663】
NCI CTCAE Gradeが2又は3の疲労
【0664】
100.5度を超える発熱又は感染症の証拠なしに2週間を超える寝汗
【0665】
2ヶ月にわたる50%を超える増加、又は6ヶ月未満の予測される倍化時間を有する進行性のリンパ球増多症
【0666】
肝細胞移植に先立った細胞減数の必要性
【0667】
被験体は、ヌクレオチドアナログを含むCLLのための2以上の先の治療方法、又は、もしそのような治療方法が禁忌であれば、ヌクレオチドアナログを含まない2以上の先の治療方法に失敗していなければならない
【0668】
10%を超える腫瘍細胞上のCD20の発現
【0669】
ECOGパフォーマンスステータスが2以下
【0670】
余命12週間以上
【0671】
被験体は以下のように定義される器官及び骨髄機能を有していなければならない。
【0672】
骨髄と関係がない場合において、好中球絶対数(ANC)が1000/μL以上、血小板数が30,000/μL、ジルベール病によらない場合において、原則的な(institutional)標準値の上限の1.5倍以上のビリルビンの総量、肝浸潤によらない場合において、原則的な(institutional)標準値の上限の2.5倍以上のAST(SGOT)、2.0mg/dL以下のクレアチニン、あるいは、50mL/分以上のクレアチニンクリアランス
【0673】
リツキシマブに対する先のアナフィラキシー反応の病歴がない
【0674】
オファツムマブへの先の曝露の病歴がない
【0675】
18歳以上であること
【0676】
体重40kg以上
【0677】
容易にカプセルを飲み込むことができ、吸収不良症候群、胃腸の機能に大きな影響を与える疾患、又は胃若しくは小腸若しくは潰瘍性大腸炎の切除、徴候的炎症性腸疾患、又は部分的若しくは完全な腸閉塞の病歴がないこと
【0678】
〈除外条件〉
研究者の意見において、被験体の安全を害する、あるいは、Btk阻害剤POの吸収又は代謝を阻害する、あるいは、試験結果を過度のリスクにさらすおそれのある、生命にかかわる病気、病状又は内蔵系機能障害
【0679】
試験薬の最初の服用の前4週間の、任意の抗癌性免疫療法、化学療法、放射線治療又は実験的治療。もし一週間で流出(washout)することが起きれば、疾患に関連する症状のためのコルチコステロイドの使用が可能である
【0680】
活性中枢神経系(CNS)に関わるリンパ腫
【0681】
試験薬の最初の服用の前4週間における主要な外科手術
【0682】
授乳期にある又は妊娠していること
【0683】
基底細胞が十分に治療されている、又は扁平細胞上皮癌、in situ子宮頸癌、又はその他の癌であって、被験体が少なくとも2年以上罹患していないか、生存を2年未満に制限しない癌を除く、前の悪性腫瘍の病歴
【0684】
先の抗癌療法から続いているグレード2以上の毒性経歴(History of Grade≧2 toxicity)(脱毛症を除く)
【0685】
〈結果〉
6人の患者を、これらの患者に生じたサイクル2.0DLTsの最後までDLTについて評価した。
【0686】
4人の患者が、サイクル3の最後に、スキャンと血球数検査を受けた。4人中3人がIWG基準によって反応した者である。我々の反応率はこれらのポイント(pts)の75%である。
【0687】
〈実施例15:R/R CLLにおけるBtk阻害剤+BR又はFCRの第2相試験〉
この試験の目的は、慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)の患者において、フルダラビン/シクロホスファミド/リツキシマブ(FCR)及びベンダムスチン/リツキシマブ(BR)の組み合わせによるBtk阻害剤の経口投与の安全性を確立することにある。
【0688】
試験タイプ:介入研究
【0689】
割り付け(Allocation):作為(Non-Randomized)
【0690】
エンドポイント分類:安全性試験
【0691】
介入モデル:単群試験
【0692】
マスキング:非盲検ラベル
【0693】
主目的:治療
【0694】
介入:420mg/日のBtk阻害剤、標準的なFCR又はBRレジメン
【0695】
適用条件:B細胞慢性リンパ性白血病;小リンパ球性白血病:びまん性リンパ性リンパ腫
【0696】
〈一次的な評価項目〉
持続的な血液の毒性を有する参加者の数を測定すること[期間枠:最初の服用から8週間]
【0697】
〈二次的な評価項目〉
安全性と認容性の基準として有害事象を有する参加者の数を測定すること[期間枠:Btk阻害剤の最後の服用後30日間]
【0698】
リンパ節及び/又は血液検査の結果において、疾患の増加又は減少を測定することにより、治療に反応した患者の数を測定すること[期間枠:患者は、最後の被験体がBtk阻害剤の12サイクルの最大の完了を登録するまで、試験に残ることができる。そのときにBtk阻害剤をまだ受けとっているあらゆる被験体は、Btk阻害剤のカプセルを受け取り続ける長期間の追跡調査に参加することができる。]
包括基準
【0699】
組織学的に確認されたCLL又はSLL、及び治療を必要とする以下の条件の内、少なくとも1つに該当すること:
【0700】
身体的検査又はX線検査によって確認された、進行性の脾腫及び/又はリンパ節症
【0701】
骨髄に関係する、貧血症(11g/dL)又は血小板減少症(100,000/μL)
【0702】
過去6ヶ月にわたる10%を超える意図しない体重減少の存在
【0703】
NCI CTCAE Gradeが2又は3の疲労
【0704】
100.5度を超える発熱又は感染症の証拠なしに2週間を超える寝汗
【0705】
2ヶ月にわたる50%を超える増加、又は6ヶ月未満の予測される倍化時間を有する進行性のリンパ球増多症
【0706】
CLL/SLLのための1から3の先行処置レジメン
【0707】
ECOGパフォーマンスステータスが1以下
【0708】
18歳以上であること
【0709】
容易にカプセルを飲み込むことを含むこの試験プロトコールにおける全ての必要とされる評価及び手順に参加する意思があり、可能であること。
【0710】
試験の目的及びリスクを理解し、インフォームドコンセント及び保護された健康情報の使用の承諾に署名し、日付を確定する能力(全国・地方被験体プライバシー規則に従う)。
【0711】
〈除外基準〉
任意の化学療法、治療上の抗腫瘍性抗体(放射性又は毒性免疫複合体を含まない)、放射線治療、又は試験薬の最初の服用から4週間以内の実験的な抗腫瘍薬治療、試験薬の最初の服用から10週間以内の放射性又は毒素共役抗体治療
【0712】
QT延長又は心室頻拍を引き起こすと知られている薬との併用
【0713】
リンパ腫の変化又はリヒタートランスフォーメーション
【0714】
研究者の意見において、被験体の安全を害する、あるいは、Btk阻害剤POの吸収又は代謝を阻害する、あるいは、試験結果を過度のリスクにさらすおそれのある、生命にかかわる病気、病状又は内蔵系機能障害
【0715】
以下の検査血の異常のうち任意のもの:
a.好中球絶対数(ANC)が1000cells/mm3(1.0x109/L)未満
b.血小板数が50,000/mm3(50x109/L)未満
c.血清アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST/SGOT)又はアラニン・トランスアミナーゼ(ALT/SGPT)が標準値値(ULN)の上限の3.0倍
d.クレアチニンが2.0xULNを超えていること又はクレアチニンクリアランスが40mL/分未満
【0716】
〈実施例16:R/R DLBCLにおけるBtk阻害剤の第2相試験〉
この試験の目的は、再発した/難治性のde novo活性化したB細胞(ABC)及び肺細胞B細胞(GCB)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)におけるBtk阻害剤の有効性を評価することにある。
【0717】
試験タイプ:介入研究
【0718】
割り付け(Allocation):作為(Non-Randomized)
【0719】
エンドポイント分類:安全性試験
【0720】
介入モデル:単一群試験
【0721】
マスキング:非盲検ラベル
【0722】
主目的:治療
【0723】
介入:560mg/日のBtk阻害剤
【0724】
〈一次的な評価項目〉
試験薬への反応があった患者の数を測定すること[期間枠:最初の投与から24週間]
【0725】
疾患の進行又は別の抗がん治療の開始まで、参加者を追跡する
【0726】
〈二次的な評価項目〉
安全性及び認容性の基準として、有害事象を有する参加者の数を測定すること。[期間枠:Btk阻害剤の最後の投与後30日間]
【0727】
疾患の進行又は別の抗がん治療の開始まで、参加者を追跡する
【0728】
身体が試験薬にどのように反応するのかを決定することを補助するための、参加者の薬物動態の数を測定すること[期間枠:試験薬を受け取ってから最初の1ヶ月間で行われる手順]。
【0729】
〈包括基準〉
18歳以上の男女
【0730】
Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)パフォーマンスステータスが2以下
【0731】
病理学的に確認されたde novo DLBC;被験体は、適格であることを中央検査(central review)するために有効な保管の組織を有していなければならない。
【0732】
再発した又は難治性の疾患であって、いずれかに定義される:1)完全寛解(CR)後の疾患の再発、又は2)先の試験に参加し処置レジメンを完了した場合の、部分反応(PR)、安定性の疾患(SD)、又は進行した疾患(PD)(残余の疾患):被験体は、事前に適切な第一線の処置レジメンを受け取っていなければならない。直接的に先の試験登録の処置レジメン後に、疑わしい残存疾患の被験体は、残存のDLBCLの生検デモンストレーション(biopsy demostration)を有していなければならない。高用量化学療法/自家幹細胞移植(HDT/ASCT)を受けたことのない被験体は、以下の基準のうち任意のものに該当することによって定義されるようなHDT/ASCTに不適格でなければならない:70歳以上、肺機能検査(PFT)によって一酸化炭素による肺気量の拡張が50%未満であること、multiple gated acquisition(MUGA)/ソノグラフ(ECHO)による左室駆出率(LVEF)が50%未満であること、病状の治療に関連した受け入れがたいリスクを根拠としてHDT/ASCTの使用を排除する他の器官の機能障害又は共存症、被験体のHDT/ASCTの拒絶。
【0733】
被験体は、コンピューター断層(CT)スキャンにおいて、1以上の測定可能な(最大直径2cmを超える)疾患部位を有していなければならない。
【0734】
転換した(transformed)DLBCL又は共存する組織構造を有するDLBCL(例えば、濾胞又は粘膜に関連するリンパ組織[MALT]リンパ腫)
【0735】
主要な胸膜(胸腺)の大細胞型B細胞リンパ腫(PMBL)
【0736】
既知の中枢神経系(CNS)リンパ腫
【0737】
試験薬の最初の服用から3週間以内における、任意の化学療法、外部ビーム放射線療法、又は抗癌抗体
【0738】
試験薬の最初の投与から10週間以内における、放射性又は毒素免疫複合体
【0739】
試験薬の最初の投与から2週間以内の主要な外科手術
【0740】
研究者の意見において、被験体の安全を害する、試験結果を過度のリスクにさらすおそれのある、生命にかかわる病気、病状又は内蔵系機能障害
【0741】
抑制されていない又は徴候的な不整脈、うっ血性心不全、又はスクリーニングの6ヶ月以内の心筋梗塞、又はNew York Heart Association Functional Classificationが定義する、任意の3又は4の心臓病のような、医学的に重要な循環器疾患
【0742】
吸収不良症候群、胃腸の機能に大きな影響を与える疾患、又は胃若しくは小腸若しくは潰瘍性大腸炎の切除、兆候的な炎症性腸疾患、又は部分的若しくは完全な腸閉塞
【0743】
以下の検査血の異常のうち任意のもの:
a.骨髄と関係しないことが証明された場合において、好中球絶対数(ANC)が750cells/mm3(0.75x109L)未満
b.骨髄と関係しないことが証明された場合において、輸血援助とは無関係に、血小板数が50,000cells/mm3(50x109L)未満
c.血清アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST/SGOT)又はアラニン・トランスアミナーゼ(ALT/SGPT)が標準値の上限(ULN)の3.0倍以上
d.クレアチニンがULNの2.0倍を超えている
【0744】
〈実施例17:複合薬の分析〉
Btk阻害剤と追加的な癌治療剤の組み合わせは、DoHH2細胞を用いてアッセイされた。
【0745】
DOHH2は、転換した濾胞性リンパ腫患者のDLBCL(びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)の細胞株である。それは、Btk阻害剤に中程度に感受性を有する。
【0746】
Btk阻害剤は、2日間、他の制癌剤とともに培養された。アッセイはアラマーブルーであった。
【0747】
組み合わせは以下の通りである:
a.Btk阻害剤及びゲムシビン;
b.Btk阻害剤及びデキサメタゾン;
c.Btk阻害剤及びレナリノミド;
d.Btk阻害剤及びR-406;
e.Btk阻害剤及びテムシロリムス;
f.Btk阻害剤及びカルボプラチン;
g.Btk阻害剤及びボルテゾミブ;そして
h.Btk阻害剤及びドキソルビシン。
【0748】
【0749】
〈実施例18:複合薬のアッセイ〉
Btk阻害剤と追加的な癌治療剤の組み合わせは、TMD8細胞を用いてアッセイされた。
【0750】
TMD8は、NF-kBシグナル依存的なABC-DLBCL細胞株である。それは、低いナノモル濃度(G150~1-3nM)において、Btk阻害剤に単独で感受性を有する。Btk阻害剤は、2日間、他の制癌剤とともに培養された。アッセイはアラマーブルーであった。
【0751】
組み合わせは以下の通りである:
a.Btk阻害剤及びCAL-101;
b.Btk阻害剤及びレナリノミド;
c.Btk阻害剤及びR-406;
d.Btk阻害剤及びボルテゾミブ;
e.Btk阻害剤及びビンクリスチン;
f.Btk阻害剤及びタキソール;
g.Btk阻害剤及びフルダラビン;そして
h.Btk阻害剤及びドキソルビシン。
【0752】
【0753】
〈実施例19:BRを組み合せたBtk阻害剤の臨床試験〉
臨床試験は、BR(ベンダムスチンとリツキシマブ)とBtk阻害剤を組み合わせる効果を測定するために行なわれた。Btk阻害剤を投与した。末梢血中のリンパ細胞の濃度の増加に伴い、BRを投与した。最初の結果は、Btk阻害剤とBRの組み合わせにより、実質的に、末梢血中のリンパ細胞が認められなくなった。
【0754】
〈実施例20:オファツムマブを組み合せたBtk阻害剤の臨床試験〉
臨床試験は、オファツムマブとBtk阻害剤を組み合わせる効果を測定するために行なわれた。Btk阻害剤を投与した。末梢血中のリンパ細胞の濃度の増加に伴い、オファツムマブを投与した。最初の結果は、Btk阻害剤とオファツムマブの組み合わせは、末梢血中のリンパ細胞を減少させた。