(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002882
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】圧力センサ及び圧力センサの製造方法
(51)【国際特許分類】
G01L 9/00 20060101AFI20231228BHJP
B81B 3/00 20060101ALI20231228BHJP
B81C 1/00 20060101ALI20231228BHJP
H01L 29/84 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
G01L9/00 305A
B81B3/00
B81C1/00
H01L29/84 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204814
(22)【出願日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2022102076
(32)【優先日】2022-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】ヘラー,マーティン ウィルフリード
(72)【発明者】
【氏名】藤田 有真
【テーマコード(参考)】
2F055
3C081
4M112
【Fターム(参考)】
2F055AA01
2F055BB03
2F055CC02
2F055DD05
2F055EE25
2F055FF43
2F055GG11
3C081AA01
3C081AA17
3C081BA22
3C081BA29
3C081BA32
3C081BA44
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3C081CA02
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3C081CA29
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3C081CA42
3C081DA03
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3C081DA29
3C081DA30
3C081EA02
3C081EA03
4M112AA01
4M112AA02
4M112BA07
4M112CA42
4M112CA45
4M112CA51
4M112CA56
4M112DA02
4M112DA07
4M112DA10
4M112EA03
4M112EA06
4M112FA07
(57)【要約】
【課題】製造時におけるメンブレンの破損を抑制しつつ、パッケージ等による保護を不要とする、圧力センサを提供する。
【解決手段】圧力センサ1は、第1主面10aと第2主面10bとを有しZ方向に厚みを有する基板10と、基板10に対して第1主面10aから-Z方向へ窪んだ第1室5と、基板10に対して第1主面10aから-Z方向へ窪んで第1室5に対してX方向に間隔を隔てて隣り合う第2室6と、基板10に対して第1主面10aから-Z方向へ窪んで第1室5を外部に連通させる流体通路7と、基板10の第1主面10a上に積層されて少なくとも第1室5及び第2室6の第1主面10a上の開口を閉止する閉止層15と、基板10のうち第1室5及び第2室6によってこれらの間にX方向に区画されてY方向とZ方向とに平行な面内に延びるメンブレン31とを有している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と前記第1主面に対向する第2主面とを有しており、前記第1主面と前記第2主面とが対向する第1方向に厚みを有する、基板と、
前記基板に対して前記第1主面から前記第1方向へ窪んだ、第1室と、
前記基板に対して前記第1主面から前記第1方向へ窪んでおり、前記第1室に対して前記第1方向に直交する第2方向に間隔を隔てて隣り合う、第2室と、
前記基板に対して前記第1主面から前記第1方向へ窪んでおり、前記第1室を外部に連通させる、流体通路と、
前記基板の前記第1主面上に積層されており、少なくとも前記第1室及び前記第2室の前記第1主面上の開口を閉止する、閉止層と、
前記基板のうち前記第1室及び前記第2室によってこれらの間に前記第2方向に区画されており、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向と前記第1方向とに平行な面内に延びる、メンブレンと
を有する圧力センサ。
【請求項2】
前記基板は、
前記第1主面側に位置する第1基板と、前記第1基板の前記第2主面側に位置する第2基板とを有し、
前記第1基板と前記第2基板とが積層されて、これらの間にpn接合が構成されており、
前記第1基板と前記第2基板との間に逆バイアス電圧が印加されており、
前記メンブレンは、前記第1基板と前記第2基板とにわたって構成されている、
請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記基板に対して、前記第1室及び前記第2室によって区画されており、前記メンブレンに導電可能に連結されており、前記メンブレンよりも厚み寸法が拡大されており、前記第1基板と前記第2基板とにわたって構成された、配線接続部
をさらに備えた、請求項2に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記メンブレンは、前記第1方向における深さ寸法が前記第2方向における厚み寸法よりも大きい、
請求項1又は2に記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記メンブレンは、前記第2方向における厚み寸法が1.5μm以上3μ未満である、
請求項1又は2に記載の圧力センサ。
【請求項6】
前記メンブレンは、前記第3方向における幅寸法が前記第1方向における深さ寸法よりも大きい、
請求項1又は2に記載の圧力センサ。
【請求項7】
前記基板のうち前記第2室によって前記メンブレンとは反対側に区画されて、前記メンブレンに前記第2方向に対向する、固定電極と、
前記メンブレンと前記固定電極とによって構成されるコンデンサと
をさらに備えた、請求項1又は2に記載の圧力センサ。
【請求項8】
前記第2室は、前記第1室を挟んだ両側に一対に位置しており、
前記メンブレンは、前記第1室と一対の前記第2室それぞれとの間に、一対に位置しており、
前記一対のメンブレンによってコンデンサが構成される、
請求項1又は2に記載の圧力センサ。
【請求項9】
前記閉止層の前記基板とは反対側の表面には、密閉層がさらに積層されている、
請求項1又は2に記載の圧力センサ。
【請求項10】
前記閉止層は、モノシリコン又はポリシリコンである、
請求項1又は2に記載の圧力センサ。
【請求項11】
前記流体通路は、前記基板を該流体通路が位置する部位においてダイシングすることによって外部に連通する、
請求項1又は2に記載の圧力センサ。
【請求項12】
前記流体通路は、外部に連通する複数の経路を有する、
請求項1又は2に記載の圧力センサ。
【請求項13】
前記流体通路は、前記第1室に複数箇所で接続されている、
請求項1又は2に記載の圧力センサ。
【請求項14】
樹脂によって包まれている、
請求項1又は2に記載の圧力センサ。
【請求項15】
前記第1方向から見たときに、
前記第2室は、前記固定電極を囲むように延びており、
前記メンブレンは、前記第2室を囲むように延びており、
前記第1室は、前記メンブレンを囲むように延びている、
請求項7に記載の圧力センサ。
【請求項16】
前記メンブレンを第1メンブレンとして、
前記基板に対して前記第1主面から前記第1方向へ窪んだ、第3室と、
前記基板に対して前記第1主面から前記第1方向へ窪んでおり、前記第3室に対して前記第2方向に間隔を隔てて隣り合う、第4室と、
前記基板のうち前記第3室及び前記第4室によってこれらの間に前記第2方向に区画されており、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向と前記第1方向とに平行な面内に延びており、前記第1基板と前記第2基板とにわたって構成されている、第2メンブレンと
をさらに備え、
前記第3室および前記第4室は、前記第1主面上の開口が前記閉止層によって閉止されており、外部に対して密閉されている、
請求項1又は2に記載の圧力センサ。
【請求項17】
前記基板のうち、前記第4室によって前記第2メンブレンとは反対側に区画されて、前記第2メンブレンに前記第2方向に対向する、第2固定電極と、
前記第2メンブレンと前記第2固定電極とによって構成される、第2コンデンサと
をさらに備えた、
請求項16に記載の圧力センサ。
【請求項18】
前記第4室は、前記第3室を挟んだ前記第2方向の両側に一対に位置しており、
前記第2メンブレンは、前記第3室と一対の前記第4室それぞれとの間に、一対に位置しており、
前記一対の第2メンブレンによって第2コンデンサが構成される、
請求項16に記載の圧力センサ。
【請求項19】
第1主面と前記第1主面に対向する第2主面とを有しており前記第1主面と前記第2主面との間を延びる第1方向に厚みを有してする、基板を準備し、
前記基板に対して、前記第1主面から前記第1方向へ窪ませて、第1トレンチを形成し、
前記基板に対して、前記第1主面から前記第1方向へ窪ませて、前記第1トレンチに対して前記第1方向に直交する第2方向に間隔を隔てて隣り合う、第2トレンチを形成し、
前記基板に対して、前記第1主面から前記第1方向へ窪ませて、前記第1トレンチを外部に連通させる、第3トレンチを形成し、
前記基板の前記第1主面上に、少なくとも前記第1トレンチ及び前記第2トレンチの前記第1主面上の開口を閉止する、閉止層を積層し、
前記基板を前記第1トレンチ及び前記第2トレンチによって前記第2方向に区画して、前記第1トレンチと前記第2トレンチとの間を、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向と前記第1方向とに平行な面内を延びる、メンブレンを形成する、
ことを含む圧力センサの製造方法。
【請求項20】
前記基板を、前記第2主面側に位置する第2基板と、前記第2基板の前記第1主面側に積層させて構成し、
前記第1トレンチを形成するとき、前記基板を前記第1基板を貫通して前記第2基板に至らせ、
前記第2トレンチを形成するとき、前記基板を前記第1基板を貫通して前記第2基板に至らせる、
請求項19に記載の圧力センサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧力センサ及び圧力センサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体微細加工技術を用いて製造されるMEMS(Micro Electro Mechanical System)センサが知られている。MEMSセンサとして、特許文献1には圧力センサが開示されている。特許文献1の圧力センサは、基板に形成されたキャビティと、キャビティを密閉するシリコンダイアフラム(以下、メンブレンと称する)とを有し、キャビティ内の気圧と外部の気圧との差に基づくメンブレンの変形を電気的に検出することによって、外部の気圧を検出可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の気圧センサでは、メンブレンは、基板に対して、キャビティの開口部を覆うように積層されて接合されている。すなわち、メンブレンは、厚み方向を積層方向に向けた姿勢で基板に接合されている。さらに、メンブレンの外表面には絶縁層が積層されている。ここで、メンブレンは、厚みが薄いため厚み方向の剛性が弱い。このため、メンブレンは、該メンブレンを積層するとき及び/又は絶縁層をさらに積層するとき等に、厚み方向に過度な荷重を受けると破損するおそれがある。
【0005】
また、この気圧センサでは、メンブレンは、絶縁層で覆われた状態で、外表面上に平行に現れている。このため、該気圧センサは、メンブレンを、例えばパッケージ等で空間部を介して外表面側から覆って保護する場合がある。
【0006】
本開示は、製造時におけるメンブレンの破損を抑制しつつ、パッケージ等による保護を不要とする、圧力センサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、
第1主面と前記第1主面に対向する第2主面とを有しており、前記第1主面と前記第2主面とが対向する第1方向に厚みを有する、基板と、
前記基板に対して前記第1主面から前記第1方向へ窪んだ、第1室と、
前記基板に対して前記第1主面から前記第1方向へ窪んでおり、前記第1室に対して前記第1方向に直交する第2方向に間隔を隔てて隣り合う、第2室と、
前記基板に対して前記第1主面から前記第1方向へ窪んでおり、前記第1室を外部に連通させる、流体通路と、
前記基板の前記第1主面上に積層されており、少なくとも前記第1室及び前記第2室の前記第1主面上の開口を閉止する、閉止層と、
前記基板のうち前記第1室及び前記第2室によってこれらの間に前記第2方向に区画されており、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向と前記第1方向とに平行な面内に延びる、メンブレンと
を有する圧力センサを提供する。
【0008】
本開示に係る圧力センサは、基板に複数層を第1方向に積層することによって構成されており、外部に連通した第1室と外部から密閉された第2室との間に設けられたメンブレンの、第1室と第2室との圧力差に起因した変形を電気的に取り出すことによって、第1室内の圧力を検出できる。
【0009】
ここで、メンブレンはその厚み方向を圧力センサの積層方向に対して直交する方向に向けた姿勢で設けられている。その結果、圧力センサの製造時に基板に対して複数層を積層する際に生じ得る積層方向への荷重が、メンブレンに対して面直方向に作用しない。よって、圧力センサの製造時におけるメンブレンの損傷を抑制しやすい。
【0010】
さらに、圧力センサは、メンブレンが外表面上に直接又は他の層を介して平行に現れないので、圧力センサの外周を樹脂で覆ったとしても、該樹脂によるメンブレンの破損が抑制されると共にメンブレンの作動が妨げられることがない。よって、パッケージで覆って保護することを不要とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る圧力センサによれば、製造時におけるメンブレンの破損を抑制しつつ、パッケージ等による保護を不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は本開示の第1実施形態に係る圧力センサの平面図である。
【
図7A】
図7Aは本発明の第1実施形態に係る圧力センサの製造工程の一部を示す図である。
【
図8A】
図8Aは変形例に係る圧力センサの製造工程の一部を示す図である。
【
図11】
図11は変形例に係る流体通路を示すV-Vと同様の断面図である。
【
図12】
図12は変形例に係る流体通路を示すのVI-VIと同様の断面図である。
【
図13】
図13は第2実施形態に係る圧力センサのセンサ部を示す平面図である。
【
図15】
図15は第3実施形態に係る圧力センサのセンサ部を示す平面図である。
【
図17】
図17は第4実施形態に係る圧力センサのセンサ部を示す平面図である。
【
図19】
図19は第5実施形態に係る圧力センサのセンサ部を示す平面図である。
【
図21】
図21は第6実施形態に係るコンボセンサの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の一実施形態に係る圧力センサを添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは相違している。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、本開示の第1実施形態に係る圧力センサ1を示す平面図である。本実施形態に係る圧力センサ1は半導体微細加工技術を用いて製造されるMEMSセンサである。
図1のII部において圧力センサ1の内部に構成されたセンサ部2が透過して示されている。
図2は
図1のII部を拡大して示す拡大図である。
図3~
図6はそれぞれMEMSセンサ1の断面図を示している。
図1~
図6に示されるように、MEMSセンサ1は、基板10と、基板10内に設けられたセンサ部2と、センサ部2との間で電気信号(電圧)が入出力される電極パッド3とを有している。
【0015】
以下の説明では、便宜上、
図1及び
図2に示す平面視においてMEMSセンサ1の各辺に沿った方向のうち
図1の左右方向をX方向、
図1の上下方向をY方向と称し、
図3~
図6に示す各断面視においてMEMSセンサ1の厚み方向(
図3~
図6における上下方向)をZ方向とそれぞれ称する。特に、
図1及び
図2における、右側を+X方向、左側を-X方向、上側を+Y方向、下型を-Y方向とそれぞれ称する。
図3~
図6における、上側を+Z方向、下側を-Z方向と称する。
【0016】
基板10は、MEMSセンサ1の本体を構成している直方体状部材である。基板10は、+Z側に位置する第1主面10aと-Z側に位置しており第1主面10aに対向する第2主面10b(
図3参照)とを有している。第1主面10a及び第2主面10bは、X方向及びY方向に平行に延びている。
【0017】
図2を参照してセンサ部2について詳述する。センサ部2には、基板10において第1主面10aから-Z側に窪んだ溝20が形成されている。溝20の溝幅は例えば1.0μm以上3.0μm以下である。複数の溝20には、Y方向に延びる複数の第1縦溝21と、Y方向に延びており第1縦溝21に対してX方向に所定間隔を空けて隣り合う複数の第2縦溝22と、第1縦溝21のY方向両端部21a,21bからX方向に延びる複数の第1横溝23と、第2縦溝22のY方向両端部22a,22bからX方向に延びる複数の第2横溝24とが、含まれている。
【0018】
第1縦溝21は、+Y側端部21aが第2縦溝22の+Y側端部22aよりも+Y側に位置しており、-Y側端部21bが第2縦溝22の-Y側端部22bよりも-Y側に位置している。したがって、+Y側に設けられた+Y側第1横溝23Aは対応する+Y側第2横溝24Aよりも+Y側に位置しており、-Y側に設けられた-Y側第1横溝23Bは対応する-Y側第2横溝24Bよりも-Y側に位置している。
【0019】
X方向に隣り合う一対の第1縦溝21と、これらに接続されておりY方向に隣り合う一対の第1横溝23とによって、四角環状に延びる第1環状溝25が構成されている。第1環状溝25の内側には、X方向に隣り合う一対の第2縦溝22と、これらに接続されておりY方向に隣り合う一対の第2横溝24とによって、四角環状に延びる第2環状溝26が構成されている。
【0020】
基板10は、第1環状溝25と第2環状溝26とによって、これらの内側に四角環状に延びる可動電極30が区画されている。さらに、基板10は、第2環状溝26によって、この内側に四角形状の固定電極40が区画されている。
【0021】
図3は、
図2のIII-III線に沿った、各溝20のY方向及びZ方向に平行な断面図である。
図3に示されるように、基板10は、第1主面10a側に位置する第1基板11と、第1基板11の第2主面10b側に位置する第2基板12とを有している。本実施形態では、第1基板11は、第2基板12の+Z側表面上に、リンなどのn型の不純物が高濃度(例えば10
18~10
20/cm
3)にドーピングされたシリコンをエピタキシャル成長させることにより形成されている。第2基板12は、シリコン基板にボロンなどのp型の不純物がドーピングされたp型半導体基板である。第1基板11のZ方向における厚み寸法D11は例えば40μm以上60μm以下である。
【0022】
第1基板11と第2基板12との間の接合面13にはpn接合が構成されている。第1基板11と第2基板12との間には電極パッド3(
図1参照)を介して逆バイアス電圧が印加されており、第1基板11と第2基板12との間に電流は流れない。
【0023】
各溝20は、第1基板11をZ方向に貫通して第2基板12に至っており、-Z側端部が第2基板12内で終端している。その結果、溝20によって区画された可動電極30及び固定電極40は、第1基板11によって構成される第1部分30a,40aと、第2基板12によって構成される第2部分30b,40bとを、それぞれ有している。
【0024】
図2に示されるように、可動電極30は、Y方向に延びるX方向に一対のメンブレン31と、一対のメンブレン31の+Y側両端部に接続された可動電極配線接続部32と、一対のメンブレン31の-Y側両端部をX方向に連結する連結部33とを有している。
【0025】
メンブレン31は、厚み方向をX方向に向けた姿勢で、Y方向及びZ方向に平行な面内に延びている。
図3を併せて参照して、メンブレン31は、Z方向における深さ寸法D31がX方向における厚み寸法T31よりも大きく、Y方向における幅寸法W31が深さ寸法D31よりも大きい。よって、メンブレン31は、X方向視でY方向に長い矩形状に構成されている。
【0026】
本実施形態では、メンブレン31の厚みT31は1.0μm以上3μm未満であるが、好ましくは、1.5μm以上3.0μm未満である。メンブレン31の厚み寸法T31が1.5μm未満であると、メンブレン31を形成するように一対の溝20を1.5μm未満の離間距離で形成するのが容易ではない。メンブレン31の厚み寸法T31が3μ以上であると、メンブレン31の変形性を確保しにくい。メンブレン31の深さ寸法D31は第1基板11の厚みD11よりも大きく、例えば40μm以上100μm以下である。メンブレン31の幅寸法W1は、例えば200μm以上600μm以下である。メンブレン31の大きさ及び枚数は、MEMSセンサ1に要求される検出感度に応じて適宜設定できる。
【0027】
可動電極配線接続部32は、Z方向視でX方向に長い矩形状に構成されている。
図4を合わせて参照して、可動電極配線接続部32は、可動電極30に対する電気信号を入出力するための第1コンタクト51が+Z側から接続可能な大きさに構成されている。可動電極配線接続部32のY方向における厚み寸法T32は、メンブレン31の厚み寸法T31よりも大きい。連結部33は、X方向に延びており、Y方向における厚み寸法T33は、メンブレン31の厚み寸法T31と略同一である。
【0028】
固定電極40は、Z方向視でY方向に長い矩形状に構成されており、Y1側の端部に固定電極配線接続部41と、固定電極配線接続部41の-Y側に-Z側に窪んでおりX方向に延びる複数の肉抜き部42とを有している。
【0029】
固定電極配線接続部41は、Z方向視でX方向に長い矩形状に構成されている。
図3を併せて参照して、固定電極配線接続部41は、固定電極40に対する電気信号を入出力するための第2コンタクト52が+Z側から接続可能な大きさに構成されている。
【0030】
複数の肉抜き部42は、Y方向に等間隔を空けて設けられている。肉抜き部42は、固定電極40の剛性、特に可動電極に対向する対向壁部43における剛性が低下しない程度の数、大きさで設けられている。
【0031】
本実施形態では、可動電極30と固定電極40とによってコンデンサCが構成されるが、上述したように可動電極30は、大部分を構成するメンブレン31及び連結部33の厚み寸法が薄く構成されており、固定電極40には肉抜き42が形成されているため、コンデンサCの寄生容量が低減が図られている。コンデンサCの寄生容量の低減によって、コンデンサCの静電容量の変化を感度よく検出しやすい。
【0032】
また溝20には、第1環状溝25と基板の外部とを連通する第3溝27がさらに含まれている。第3溝27の溝幅は例えば1.5μm以上3.0μm以下であるが、エッチング条件によっては下限を1.0μm以上としてもよい。第3溝27は、基板10から-Z側に窪んでおり、Y方向に延びる複数の第3縦溝27aと、複数の第3縦溝27aに対して交差してX方向に延びる複数の第3横溝27bとを有している。
【0033】
図5は
図2のV-V線に沿った第3縦溝27aのX-Z方向における断面図であり、
図6は
図2のVI-VI線に沿った第3横溝27bのY-Z方向における断面図である。
図5及び
図6に示されるように、第3溝27は、第1基板11をZ方向に貫通して第2基板12内において終端している。本実施形態では、第3溝27の溝深さD27は、第1縦溝21の溝深さD21と略同一である。第3縦溝27aと第3横溝27bとは同じ深さである。
【0034】
図3に示されるように、基板10には、第1主面10a上に閉止層15が例えば2μm以上5μm以下の厚さで積層されている。本実施形態では閉止層15は酸化シリコンである。閉止層15によって、各溝20の第1主面10a上の+Z方向への開口が閉止されている。第1環状溝25と閉止層15とによって第1室5が構成されている。第2環状溝26と閉止層15とによって第2室6が構成されている。
図6を併せて参照して、第3溝27と閉止層15とによって流体通路7が構成されている。第1室5は流体通路7を介して外部に流体連通している。第2室6は外部に対して密閉された空間として構成されている。例えば、第2室6は略真空状態に設定されている。
【0035】
なお、閉止層15は酸化シリコン製であるため通気性を有し、各溝20の第1主面10a上の+Z方向への開口における密閉性を確保し難い。このため、本実施形態では、閉止層15のZ1側に密閉層16がさらに積層されている。密閉層16によって閉止層15の密閉性が高められている。密閉層16としては、酸化アルミニウム、又は酸化アルミニウムと酸化チタンとの複数層を用いることができる。
【0036】
また、密閉層16は、第1室5、第2室6及び流体通路7の、基板10の第1主面10a上での密閉性を高めるため、各溝20に沿ってこれらを囲むように第1主面10a上に直接に積層されている。このため、密閉層16が直接に積層された部分には、閉止層15が存在していない。よって、密閉層16は、第1主面10a上に直接に積層された部分が-Z側に窪むように凹凸状に積層されている。
【0037】
すなわち、可動電極30及び固定電極40は、+Z側において閉止層15によって互いに電気的に絶縁されており、-Z側において第1基板11と第2基板12との間の接合面13において逆バイアス電圧が印加されたpn接合において互いに電気的に絶縁されている。一方、第1室5及び第2室6は、+Z側において密閉層16によって互いに流体が流通しないように密閉されている。
【0038】
凹凸状に積層された密閉層16の+Z側を平坦化するため、密閉層16の+Z側の表面には保護層17がさらに積層されている。保護層17は例えば酸化シリコンである。平坦化された保護層17上には電極パッド3(
図1参照)と、電極パッド3に接続される配線層18とがさらに積層されている。配線層18は、閉止層15、密閉層16及び保護層17をZ方向に貫通する、第1コンタクト51及び第2コンタクト52を介して、固定電極配線接続部41及び可動電極配線接続部32(
図4参照)にそれぞれ電気的に接続されている。
【0039】
電極パッド3及び配線層18は、例えばアルミニウムと銅との合金であるAlCu層であってもよい。第1コンタクト51及び第2コンタクト52は、例えばタングステンを用いることができる。電極パッド3、配線層18、第1コンタクト51及び第2コンタクト52を、Ti層とTiN層とが積層されたTi/TiN層などのバリア層を介して下層上に積層するようにしてもよい。
【0040】
さらに、保護層17及び配線層18の+Z側には、電極パッド3がZ1側に表出するようにパッシベーション層19が積層されている。パッシベーション層19は、例えば酸化シリコン又は窒化シリコンを用いることができる。
【0041】
すなわち、圧力センサ1によれば、流体通路7を介して第1室5に導入された流体の圧力と第2室6内の気圧との差に起因して、メンブレン31がX方向に変形する。その結果、メンブレン31と固定電極40との間の距離が変化し、メンブレン31と固定電極40との間に構成されるコンデンサCの静電容量が変化する。該コンデンサCの静電容量の変化を検出し、該静電容量の変化に基づいて流体通路7から第1室5に導入される流体の圧力を検出することができるように構成される。
【0042】
しかも、メンブレン31は、厚みをX方向に向けて積層方法と平行な面内(Y-Z平面)を延びるように圧力センサ1の内部に設けられており、積層方向(Z方向)に対して面直に延びていない。その結果、閉止層15、密閉層16、保護層17、配線層18及びパッシベーション層19を、基板10に対して順に積層する際に生じ得るZ方向への積層荷重が、メンブレン31に対して面内方向に作用するので、メンブレン31に対して面直方向に作用することが防止される。
【0043】
次に、圧力センサ1の製造方法について、
図7A~
図7Gを参照して説明する。まず、
図7Aを参照して、例えばボロンなどのp型の不純物がドーピングされたp型シリコン基板である第2基板12の+Z側に、リンなどのn型の不純物が高濃度にドーピングされたシリコンを例えば40μm以上60μm以下の厚さでエピタキシャル成長させることによりn型エピタキシャル成長層である第1基板11を積層させて、基板10を形成する。
【0044】
次に、
図7Bに示されるように、基板10に対して、第1主面10aから-Z方向へ窪んだ溝20をエッチングにより形成する。エッチングの詳細は省略するが、例えばフォトリソグラフィ及びエッチングにより溝20に対応する部分が開口したマスクを形成し、該マスクを用いて異方性エッチングにより基板10を-Z方向に掘り込むことにより溝20を形成できる。各溝20のエッチングは、第1基板11をZ方向に貫通して第2基板12に至り、第2基板12内で終端するように実施される。
【0045】
次に、
図7Cに示されるように、基板10に対して、第1主面10a上に酸化シリコンをPECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)により2μm以上5μm以下の厚さで積層させることによって、閉止層15を形成する。閉止層15によって各溝20の+Z側の開口が閉止される。
【0046】
次に、
図7Dに示されるように、閉止層15の+Z側に、酸化アルミニウム、又は酸化アルミニウムと酸化チタンとの複数層を積層することによって、密閉層16を形成する。密閉層16は、各溝20に沿ってこれらを囲むように第1主面10a上に直接に積層されている。このため、密閉層16が直接に積層される部分については、閉止層15は予め除去さる。
【0047】
次に、
図7Eに示されるように、密閉層16の+Z側に、酸化シリコンを積層することによって、保護層17を形成する。保護層17の+Z側の外表面は、CMP(Chemical Mechanical Polish)処理によって平坦化される。
【0048】
次に、
図7Fに示されるように、閉止層15、密閉層16及び保護層17を貫通して、可動電極30及び固定電極40の+Z側の表面にそれぞれ至るコンタクト孔14をエッチングによりそれぞれ形成する。次に、コンタクト孔14に、タングステンを埋め込んで第1コンタクト51及び第2コンタクト52を形成する(
図7Fでは、第2コンタクト52のみを示している)。次に、AlCu層を、保護層17の+Z側にパターニングすることによって、第1コンタクト51及び第2コンタクト52に直接又は間接的に接続される配線層18及び電極パッド3を形成する。なお、第1コンタクト51、第2コンタクト52及び配線層18の形成時に、Ti層とTiN層とが積層されたTi/TiN層などのバリア層を介して下層上に積層するようにしてもよい。
【0049】
最後に、
図7Gに示されるように、保護層17及び配線層18を+Z側から覆うように酸化シリコンを積層することによって、パッシベーション層19を形成する。なお、パッシベーション層19は、電極パッド3が+Z側に表出するようにマスクを用いて積層されている。
【0050】
上述した本実施形態に係る圧力センサ1によれば次の効果を奏する。
【0051】
(1)圧力センサ1は、第1主面10aと第1主面10aに対向する第2主面10bとを有しており第1主面10aと第2主面10bとが対向するZ方向に厚みを有する基板10と、基板10に対して第1主面10aから-Z側へ窪んだ第1室5と、基板10に対して第1主面10aから-Z側へ窪んでおり第1室5に対してX方向に間隔を隔てて隣り合う第2室6と、基板10に対して第1主面10aから-Z側へ窪んでおり第1室5を外部に連通させる流体通路7と、基板10の第1主面10a上に積層されており少なくとも第1室5及び第2室6の第1主面10a上の開口を閉止する閉止層15と、基板10のうち第1室5及び第2室6によってこれらの間にX方向に区画されておりY方向とZ方向とに平行な面内に延びるメンブレン31とを有している。
【0052】
その結果、圧力センサ1は、基板10に複数層をZ方向に積層することによって構成されており、外部に連通した第1室5と外部から密閉された第2室6との間に設けられたメンブレン31の、第1室5と第2室6との圧力差に起因した変形を電気的に取り出すことによって、第1室5内の圧力を検出できる。ここで、メンブレン31はその厚み方向を圧力センサ1の積層方向に対して直交する方向に向けた姿勢で設けられている。その結果、圧力センサ1の製造時に基板10に対して複数層を積層する際に生じ得る積層方向(Z方向)への荷重が、メンブレン31に対して面直方向に作用しない。よって、圧力センサ1の製造時におけるメンブレン31の損傷を抑制しやすい。
【0053】
(2)基板10は、第1主面10a側に位置する第1基板11と、第1基板11の第2主面10b側に位置する第2基板12とを有し、第1基板11と第2基板12とが積層されて、これらの間にpn接合が構成されており、第1基板11と第2基板12との間に逆バイアス電圧が印加されており、メンブレン31は、第1基板11と第2基板12とにわたって構成されている。
その結果、メンブレン31を第1基板11から第2基板12に延びるように構成しつつ、固定電極40に対して電気的に絶縁できる。
【0054】
(3)基板10に対して、第1室5及び第2室6によって区画されており、メンブレン31に導電可能に連結されており、メンブレン31よりも厚み寸法が拡大されており、前記第1基板と前記第2基板とにわたって構成された、可動電極配線接続部32をさらに備えている。
その結果、一般的に薄膜に構成されておりZ方向及びY方向に平行な面内に延びておりZ方向視で薄く構成されたメンブレン31に対して、可動電極配線接続部32を介してZ方向に電気信号を入力し又は取り出すことができる。
【0055】
(4)メンブレン31は、Z方向における深さ寸法D31がX方向における厚み寸法T31よりも大きい。
その結果、圧力センサ1は、メンブレン31がZ方向に延びるように構成されるので、X方向にコンパクト化しやすい。
【0056】
(5)メンブレン31は、X方向における厚み寸法T31が1.5μm以上3μm未満である。
その結果、メンブレン31を、第1室5と第2室6との間の圧力差に起因してX方向に変形させやすく、圧力センサ1の検出性を確保しやすい。
【0057】
(6)メンブレン31は、Y方向における幅寸法W31が深さ寸法D31よりも大きい。
その結果、メンブレン31がY方向に細長く構成されるので、第1室5及び第2室6の深さD31が過大となることを抑制しつつも、第1室5と第2室6との間の圧力差に起因してX方向に変形させやすく、圧力センサ1の検出性を確保しやすい。
【0058】
(7)基板10のうち第2室6によってメンブレン31とは反対側に区画されて、メンブレン31にX方向に対向する、固定電極40と、メンブレン31と固定電極40とによって構成されるコンデンサCとをさらに備えている。
その結果、メンブレン31のX方向への変形を、メンブレン31と固定電極40とによって構成されるコンデンサCにおける静電容量の変化として検出できる。
【0059】
(8)閉止層15の+Z側には密閉層16がさらに積層されている。
その結果、閉止層15に例えば通気性の大きな酸化シリコンを採用した場合でも、さらに積層された密閉層16によって、第1室5及び第2室6の第1主面10a側の開口における密閉性を確保しやすい。
【0060】
(9)流体通路7は、外部に連通する複数の経路を有する。
その結果、流体通路7は複数の経路を有しているので、一部の経路が目詰まりしたとしても、他の通路によって第1室5の外部への連通を確保しやすい。
【0061】
(10)流体通路7は、第1室5に複数箇所で接続されている。
その結果、流体通路7は第1室5に複数箇所で接続されているので、一部の接続部が目詰まりしたとしても、他の接続部を介して第1室5の外部への連通を確保しやすい。
【0062】
(11)
図1に二点鎖線で示すように、圧力センサ1を樹脂9によってさらに包んでもよい。
その結果、樹脂9によって圧力センサ1を容易且つ安価に保護できる。具体的には、圧力センサ1は、メンブレン31が外表面上に直接又は他層を介しても平行に現れないので、圧力センサ1の外周を樹脂9で覆ったとしても、該樹脂9によるメンブレン31の破損が抑制されると共にメンブレン31の作動が妨げられることがなく、さらに圧力センサ1をパッケージで覆う場合に比して低コストで圧力センサ1を保護できる。
【0063】
(12)Z方向視で、第2室6は、固定電極40を囲むように延びており、メンブレン31は、第2室6を囲むように延びており、第1室5は、メンブレン31を囲むように延びている。
その結果、メンブレン31を長大化しやすく、メンブレン31の変形性を確保しやすい。また、メンブレン31を含むコンデンサCの静電容量を増大させやすく、圧力センサ1の検出性を向上させやすい。
【0064】
上記実施形態では、基板10が、p型シリコン基板である第2基板12上にn型シリコンエピタキシャル成長層である第1基板11を積層させてこれらに逆バイアス電圧を印加するように構成したがこれに限らない。例えば、基板10が、n型シリコン基板である第2基板上にp型シリコン基板である第1基板を積層させてこれらに逆バイアス電圧を印加するように構成してもよい。この場合、第2基板上にp型シリコンをエピタキシャル成長させることによって第1基板を形成してもよい。
【0065】
(第1変形例)
図8A~
図8Eは第1実施形態の第1変形例に係る圧力センサ60の製造方法を示している。第1変形例に係る圧力センサ60は、圧力センサ1に対して、閉止層15に換えて閉止層61を有すると共に、これに関連して密閉層16を有していない点で異なっており、その他の構成については実質的に共通である。圧力センサ60を製造するには、
図7A及び
図7Bと同様に、まず基板10が準備されて、基板10に各溝20が形成される。
【0066】
次に、
図8Aに示されるように、基板10に対して、第1主面10a上にボロンでドーピングされた非結晶n型シリコンを積層させた後、該非結晶n型シリコンを結晶化温度まで昇温させることによって多結晶n型シリコン又は単結晶n型シリコンに変化させることによって、閉止層61を形成する。閉止層61によって各溝20の+Z側の開口が閉止される。ここで、結晶化されたn型シリコンである閉止層61は緻密であるため、各溝20を閉止層61で密閉することができるので、上述したように本変形例では密閉層16を必要としない。
【0067】
次に、
図8Bに示されるように、閉止層61の+Z側の表面に酸化シリコンを積層して、該酸化シリコンをフォトリソグラフィ及びエッチングすることによって、可動電極配線接続部32及び固定電極配線接続部41に対応する位置が開口した保護層64を形成する。
【0068】
次に、
図8Cに示されるように、保護層64をマスクとして用い、閉止層61に対してリンなどのn型の不純物を高濃度に注入することによって、可動電極配線接続部32及び固定電極配線接続部41それぞれに電気的に接続される第1コンタクト62及び第2コンタクト63を形成する(
図8Cでは第2コンタクト63のみ示している)。
【0069】
次に、
図8Dに示されるように、保護層64の+Z側から、AlCu層をパターニングすることによって、配線層65と電極パッド3とを形成する(
図8Dでは配線層65のみ示している)。配線層65は、第1コンタクト62及び第2コンタクト63上に配線層65上にも積層されている。
【0070】
最後に、
図8Eに示されるように、保護層64及び配線層65を+Z側から覆うように酸化シリコンを積層することによって、パッシベーション層66を形成する。なお、パッシベーション層66は、電極パッド3が+Z側に表出するようにマスクを用いて積層されている。
【0071】
上述した第1変形例に係る圧力センサ60によれば、閉止層61が酸化シリコンに比して緻密な単結晶n型シリコン又は多結晶n型シリコンで構成されているので、更なる密閉層16なしでも各溝20の第1主面10a側の開口における密閉性を確保できる。また、閉止層61と、可動電極30及び固定電極40との間に逆バイアス電圧を印加することによって、可動電極30及び固定電極40から閉止層61に電流が流れることを防止できるので、可動電極30及び固定電極40を+Z側において互いに電気的に絶縁できる。
【0072】
(第2変形例)
図9は、第1実施形態の第2変形例に係る圧力センサ70の基板71を示している。圧力センサ70は、圧力センサ1に対して基板71の構成が異なり、他の構成は実質的に共通であるため共通部分の説明を省略して、基板71についてのみ説明する。
【0073】
基板71は、シリコン製のベース基板72と、ベース基板72の+Z側に積層された酸化シリコンである絶縁層73と、絶縁層73の+Z側に積層された酸化アルミニウムである密閉層74と、密閉層74の+Z側に積層された第1基板75とを有している。第1基板75は、密閉層74に対してシリコン基板を接着することによって形成してもよく、多結晶シリコンをエピタキシャル成長させることによって形成してもよい。基板71では、各溝20は第1主面71aから-Z側に窪んで、第1基板75をZ方向に貫通して密閉層74で終端している。
【0074】
したがって、基板71によれば、絶縁層73によって可動電極30と固定電極40とを-Z側端部において互いに電気的に絶縁しており、密閉層74によって各溝20の-Z側端部における密閉性を確保している。すなわち、上記実施形態のように、第1基板11と第2基板12との間のpn接合において、逆バイアス電圧を印加することによって絶縁することを要しない。
【0075】
(第3変形例)
図10は、第1実施形態の第3変形例に係る圧力センサ80の基板81を示している。圧力センサ80は、圧力センサ1に対して基板81の構成が異なり、他の構成は実質的に共通であるため共通部分の説明を省略して、基板81についてのみ説明する。
【0076】
圧力センサ80は、圧力センサ1に対して基板81の構成が異なり、他は同一でありその説明を省略する。基板81は、シリコン製のベース基板82と、ベース基板82の+Z側に積層された酸化シリコンである絶縁層83と、絶縁層83の+Z側に積層された第1基板85とを有している。基板81では、各溝20は第1主面81aから-Z側に窪んで、第1基板85をZ方向に貫通して絶縁層83で終端している。さらに、各溝20の内表面には、酸化アルミニウムを積層することによって、密閉層84が構成されている。
【0077】
したがって、基板81によれば、絶縁層83によって可動電極30と固定電極40とを-Z側端部において互いに電気的に絶縁しており、密閉層84によって各溝20の-Z側端部における密閉性を確保している。すなわち、第2変形例と同様に、第1基板11と第2基板12との間のpn接合において、逆バイアス電圧を印加することによって絶縁することを要しない。
【0078】
(第4変形例)
図11は、第1実施形態の第4変形例に係る圧力センサ90の
図5に対応する断面を示している。圧力センサ90は、上記実施形態とは異なる流体通路91を有しており、他の構成は実質的に共通であるため共通部分の説明を省略して、流体通路91についてのみ説明する。
【0079】
流体通路91は、第3溝92の溝壁面を熱酸化することによって、溝壁面に酸化シリコン層93を形成し、さらに酸化シリコン層93の表面に多結晶シリコンを積層することによって形成されるシリコン層94によって、第3溝92の第1主面10a側の口元を閉塞させて形成されている。なお、酸化シリコン層93を積層することによって、第3溝92の口元を閉塞させることができるのであれば、シリコン層94の積層を省略してもよい。
【0080】
図は省略するが、流体通路91を形成した後に、流体通路91の+Y側の端部を開口させた状態で、流体通路91に対してY方向に連通するように残りの各溝20を形成すればよい。
【0081】
(第5変形例)
図12は、第5変形例に係る圧力センサ100の
図6に対応する断面を示している。
図12において、ダイシング前の基板101が二点鎖線により示されている。基板101をダイシングする前の状態で、基板101は、第1主面101aから-Z側に窪んでおりX方向に延びるダイシング用の切欠き102と、切欠き102を超えて-Y側に延びる流体通路103とを有している。流体通路103は、基板101の-Y側の端面と間隔を空けた位置で終端している。
【0082】
基板101によれば、ダイシングにより流体通路103は外部と連通するように構成されている。すなわち、ダイシング前に流体通路103に異物が混入することが抑制されるので、流体通路103の目詰まりを抑制しやすく、圧力センサ100の検出性を確保しやすい。
【0083】
[第2実施形態]
図13は、第2実施形態に係る圧力センサ110のセンサ部111を示している。
図13に示されるように、センサ部111は、第1実施形態と同様に構成された第1センサ部112と、流体通路7に接続されていない第2センサ部113とを有している。
【0084】
第1センサ部112には、四角環状の第1可動電極112aとこの内側に位置する第1固定電極112bとにより構成される第1コンデンサC1と、四角環状の第2可動電極112cとこの内側に位置する第2固定電極112dとにより構成される第2コンデンサC2とが、含まれている。
【0085】
第2センサ部113には、四角環状の第3可動電極113aとこの内側に位置する第3固定電極113bとにより構成される第3コンデンサC3と、四角環状の第4可動電極113cとこの内側に位置する第4固定電極113dとにより構成される第4コンデンサC4とが、含まれている。
【0086】
第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2は、流体通路7から第1室5に導入される流体の圧力と第2室6との圧力差に起因したメンブレン31のX方向への変形によって静電容量が変化する。具体的には、第1室5の圧力が第2室6の圧力よりも高いと、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2の静電容量は増大する。一方、第3コンデンサC3及び第4コンデンサC4は、第1室5が流体通路7に接続されていないため、メンブレン31は変形することがなく静電容量は一定値となる。圧力センサ110は、第1~第4コンデンサC1~C4を組み合わせて、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2における静電容量の変化を検出するように構成されている。
【0087】
図14は、第1~第4コンデンサC1~C4がホイーストンブリッジ回路を構成するように組み合わされた回路116の等価回路図である。回路116では、第1コンデンサC1と第4コンデンサC4とがこの順で直列に接続された第1回路117と、第3コンデンサC3と第2コンデンサC2とがこの順で直列に接続された第2回路118とが並列に接続されている。
【0088】
回路116の一端部に駆動電圧V+in、他端部にV-inを印加したときの、第1回路117における第1コンデンサC1と第4コンデンサC4との間の電位V-outと、第2回路118における第3コンデンサC3と第2コンデンサC2との間の電位V+outとの電位差を検出する。検出された電位差に基づいて、第1センサ部112におけるメンブレン31の変形を算出して、算出されたメンブレン31の変形に基づいて外部から流体通路7に導入される流体の圧力を算出することができる。
【0089】
[第3実施形態]
図15は、第3実施形態に係る圧力センサ120のセンサ部121を示している。
図15に示されるように、センサ部121は、第1センサ部122と第2センサ部123とを有している。第1センサ部122は、X方向に一対の可動電極30を有しているが、固定電極を有していない点で第1実施形態のセンサ部2とは異なっている。一方、第2センサ部123は、第1センサ部122に対して、流体通路7に接続されていない点で異なっている。
【0090】
第1センサ部122では、X方向に隣り合う一対のメンブレン31によって第1コンデンサC1が構成されている。第2センサ部123では、X方向に隣り合う一対のメンブレン31によって第2コンデンサC2が構成されている。センサ部121は、第1センサ部122と同様に構成されており第3コンデンサC3が構成される第3センサ部124と、第2センサ部123と同様に構成されており第4コンデンサC4が構成される第4センサ部125とを有している。
【0091】
第1コンデンサC1及び第3コンデンサC3は、流体通路7から第1室5に導入される流体の圧力と第2室6との圧力差に起因したメンブレン31のX方向への変形によって静電容量が変化する。具体的には、第1室5の圧力が第2室6の圧力よりも高いと、第1コンデンサC1及び第3コンデンサC3の静電容量は増大する。一方、第2コンデンサC2及び第4コンデンサC4は、第1室5が流体通路7に接続されていないため、メンブレン31は変形することがなく静電容量は一定値となる。圧力センサ110は、第1~第4コンデンサC1~C4を組み合わせて、第1コンデンサC1及び第3コンデンサC3における静電容量の変化を検出するように構成されている。
【0092】
図16は、第1~第4コンデンサC1~C4がホイーストンブリッジ回路を構成するように組み合わされた回路126の等価回路図である。回路126では、第1コンデンサC1と第2コンデンサC2とがこの順で直列に接続された第1回路127と、第4コンデンサC4と第3コンデンサC3とがこの順で直列に接続された第2回路128とが並列に接続されている。
【0093】
回路126の一端部に駆動電圧V+in、他端部にV-inを印加したときの、第1回路127における第1コンデンサC1と第2コンデンサC2との間の電位V+outと、第2回路128における第4コンデンサC4と第3コンデンサC3との間の電位V-outとの電位差を検出する。検出された電位差に基づいて、第1センサ部122及び第3センサ部124におけるメンブレン31の変形を算出して、算出されたメンブレン31の変形に基づいて外部から流体通路7に導入される流体の圧力を算出することができる。
【0094】
[第4実施形態]
図17は、第4実施形態に係る圧力センサ130のセンサ部131を示している。
図17に示されるように、センサ部131は、第1センサ部132と第2センサ部133とを有している。
【0095】
第1センサ部132には、四角環状の第1可動電極132aとこの内側に位置する第1固定電極132bとにより構成される第1コンデンサC1と、四角環状であってこの内側に固定電極を有していない第2可動電極132cと第1可動電極132aとにより構成される第2コンデンサC2とが、含まれている。
【0096】
第2センサ部133には、四角環状の第3可動電極133aとこの内側に位置する第3固定電極133bとにより構成される第3コンデンサC3と、四角環状であってこの内側に固定電極を有していない第4可動電極133cと第3可動電極133aとにより構成される第4コンデンサC4とが、含まれている。
【0097】
第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2は、流体通路7から第1室5に導入される流体の圧力と第2室6との圧力差に起因したメンブレン31のX方向への変形によって静電容量が変化する。具体的には、第1室5の圧力が第2室6の圧力よりも高いと、第1コンデンサC1の静電容量は増大し、第2コンデンサC2の静電容量は減少する。一方、第3コンデンサC3及び第4コンデンサC4は、第1室5が流体通路7に接続されていないため、メンブレン31は変形することがなく静電容量は一定値となる。圧力センサ130は、第1~第4コンデンサC1~C4を組み合わせて、第1コンデンサC1及び第2コンデンサC2における静電容量の変化を検出するように構成されている。
【0098】
図18は、第1~第4コンデンサC1~C4がホイーストンブリッジ回路を構成するように組み合わされた回路136の等価回路図である。回路136では、第1コンデンサC1と第4コンデンサC4とがこの順で直列に接続された第1回路137と、第2コンデンサC2と第3コンデンサC3とがこの順で直列に接続された第2回路138とが並列に接続されている。
【0099】
回路136の一端部に駆動電圧V+in、他端部にV-inを印加したときの、第1回路137における第1コンデンサC1と第4コンデンサC4との間の電位V+outと、第2回路138における第2コンデンサC2と第3コンデンサC3との間の電位V-outとの電位差を検出する。検出された電位差に基づいて、第1センサ部132におけるメンブレン31の変形を算出して、算出されたメンブレン31の変形に基づいて外部から流体通路7に導入される流体の圧力を算出することができる。
【0100】
[第5実施形態]
図19は、第5実施形態に係る圧力センサ140のセンサ部141を示している。
図19に示されるように、センサ部141は、第1センサ部142と第2センサ部143とを有している。
【0101】
第1センサ部142は、第4実施形態に係る圧力センサ130の第1センサ部132と同様に構成されており、四角環状の第1可動電極142aとこの内側に位置する第1固定電極142bとにより構成される第1コンデンサC1と、四角環状であってこの内側に固定電極を有していない第2可動電極142cと第1可動電極142aとにより構成される第2コンデンサC2とが、含まれている。
【0102】
第2センサ部143も、第1センサ部142と同様に構成されており、すなわち流体通路7に接続されており、四角環状の第3可動電極143aとこの内側に位置する第3固定電極143bとにより構成される第3コンデンサC3と、四角環状であってこの内側に固定電極を有していない第4可動電極143cと第3可動電極143aとにより構成される第4コンデンサC4とが、含まれている。
【0103】
第1~第4コンデンサC4は、流体通路7から第1室5に導入される流体の圧力と第2室6との圧力差に起因したメンブレン31のX方向への変形によって静電容量が変化する。具体的には、第1室5の圧力が第2室6の圧力よりも高いと、第1及び第3コンデンサC1,C3の静電容量は増大し、第2及び第4コンデンサC2,C4の静電容量は減少する。圧力センサ130は、第1~第4コンデンサC1~C4を組み合わせて、第1~第4コンデンサC1~C4における静電容量の変化を検出するように構成されている。
【0104】
図20は、第1~第4コンデンサC1~C4がホイーストンブリッジ回路を構成するように組み合わされた回路146の等価回路図である。回路146では、第1コンデンサC1と第4コンデンサC4とがこの順で直列に接続された第1回路147と、第2コンデンサC2と第3コンデンサC3とがこの順で直列に接続された第2回路148とが並列に接続されている。
【0105】
回路146の一端部に駆動電圧V+in、他端部にV-inを印加したときの、第1回路147における第1コンデンサC1と第4コンデンサC4との間の電位V+outと、第2回路148における第2コンデンサC2と第3コンデンサC3との間の電位V-outとの電位差を検出する。検出された電位差に基づいて、第1及び第2センサ部142,143におけるメンブレン31の変形を算出して、算出されたメンブレン31の変形に基づいて外部から流体通路7に導入される流体の圧力を算出することができる。
【0106】
[第6実施形態]
圧力センサと加速度センサとを備えたコンボセンサ(例えば、TPMS:Tire Pressure Management System)が知られている。第6実施形態は、縦型のメンブレン31を有する圧力センサ1と、慣性量(加速度、角速度等)を計測する慣性センサとを一体的に有すしており効率的に形成できるコンボセンサ及びコンボセンサの製造方法を提供するものである。
【0107】
図21は、本開示の第6実施形態に係るコンボセンサ200を示す平面図である。コンボセンサ200は、圧力センサ201と、加速度センサ210とを有している。コンボセンサ200は、圧力センサ201と加速度センサ210とが、1つの基板を半導体微細加工技術を用いて同一プロセスで加工することで製造されるMEMSセンサである。
図21のIII部及びIV部においてコンボセンサ200の内部に設けられた圧力センサ201及び加速度センサ210がそれぞれ透過して示されている。コンボセンサ200は、複数の層が積層された基板10と、基板10内に設けられた圧力センサ201と、加速度センサ210と、圧力センサ201及び加速度センサ210との間で電気信号(電圧)が入出力される電極パッド3を有している。
【0108】
以下の説明において、第1実施形態と同一の要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
図21に示す平面視においてコンボセンサ200の各辺に沿った方向の
図21の左右方向をX方向、
図21の上下方向をY方向と称し、
図22の断面図においてコンボセンサ200の厚み方向(
図22における上下方向)をZ方向とそれぞれ称する。特に、
図21における、右側を+X方向、左側を-X方向、上側を+Y方向、下側を-Y方向とそれぞれ称する。
図22における、上側を+Z方向、下側を-Z方向と称する。
【0109】
図22は、
図21のA-A線に沿ったコンボセンサ200の断面図である。
図22に示されるように、コンボセンサ200は、-Z側に位置するデバイス基板205と+Z側に位置するリッド基板206とを有している。デバイス基板205に、圧力センサ201及び加速度センサ210が設けられている。圧力センサ201は、第1実施形態における圧力センサ1に対して、基板10の第1主面10aに該第1主面10aが熱酸化された熱酸化シリコン層202を有している点で異なっている。熱酸化シリコン層202は第1基板11と閉止層15とのZ方向の間に位置している。
【0110】
すなわち、圧力センサ201では、圧力センサ1に対して、閉止層15、密閉層16、保護層17、配線層18、パッシベーション層19及び電極パッド3が熱酸化シリコン層202の厚み分+Z側に位置している。コンタクト51,52(
図22ではコンタクト52のみ示す)は、熱酸化シリコン層202をZ方向に貫通して第1基板11に至っている。さらに、圧力センサ201は、圧力センサ1に対して、各溝20のZ方向に延びる溝壁面に酸化シリコン層203が積層されている点で異なっている。すなわち、圧力センサ201は、圧力センサ1と同様に、積層方向Zに直交するX方向に対向した、メンブレン31及び固定電極40を有している。
【0111】
図21に示されるように、加速度センサ210は、基板10の第1主面10aから-Z方向に凹んだキャビティ211と、キャビティ211の内側に位置する固定電極220及び可動電極230とを有している。本実施形態では、加速度センサ210はX方向における加速度を検出可能に構成されている。
図22を併せて参照して、キャビティ211の底面211a(以下キャビティ底面211aとも称する)は第2基板12に位置している。
【0112】
固定電極220は、-X側に位置しておりY方向に一対の第1固定電極221と、+X側に位置しておりY方向に一対の第2固定電極222とを有している。第1固定電極221は、Y方向に延びる第1固定電極子221aを含んでいる。第2固定電極222は、Y方向に延びる第2固定電極子222aを含んでいる。第1及び第2固定電極子221a,222aは、Y方向の外側端部が固定電極アンカー部223を介してキャビティ底面211aに支持されている。
【0113】
図22を併せて参照して、第1及び第2固定電極子221a,222aは、キャビティ底面211aに対して+Z側に離間しており、第1基板11によって形成されている。固定電極アンカー部223は、キャビティ底面211aから+Z側に延びており、第1基板11及び第2基板12にわたって形成されている。
【0114】
可動電極230は、X方向に延びるプルーフマス233と、プルーフマス233からY方向の両側に延びる可動電極子231とを有している。プルーフマス233のX方向両端部には、スプリング部234がそれぞれ接続されている。スプリング部234のX方向両端部は、可動電極アンカー部235を介してキャビティ底面21laに支持されている。
【0115】
図22を併せて参照して、可動電極子231、プルーフマス233及びスプリング部234は、キャビティ底面211aに対して+Z側に離間しており、第1基板11によって形成されている。可動電極アンカー部235は、キャビティ底面211aから+Z側に延びており、第1基板11及び第2基板12にわたって形成されている。
【0116】
なお、第1基板11と第2基板12との間にはpn接合が構成されているので、固定電極アンカー部223及び可動電極アンカー部235は、+Z側に位置する第1基板11によって形成される部分が-Z側に位置する第2基板12によって形成される部分に対してpn接合を介して機械的に連結される一方で電気的に絶縁されている。
【0117】
可動電極子231は、第1固定電極子221aに対して+X側から対向する第1可動電極子231aと、第2固定電極子222aに対して-X側から対向する第2可動電極子231bとを有している。第1固定電極子221aとこれに対向する第1可動電極子231aとによって第1コンデンサ212が構成されている。第2固定電極子222aとこれに対向する第2可動電極子231bとによって第2コンデンサ213が構成されている。第1及び第2コンデンサ212,213は、各電極間の間隔W0は等しく、例えば1μm以上3μm未満であり、圧力センサ201における各溝20の溝幅と略同一である。
【0118】
第1コンデンサ212の+X側(第1可動電極子231aが位置する側)には第1空間部214が構成されている。第1空間部214は、X方向における幅W1が第1コンデンサ212における各電極間の間隔W0よりも幅広である。第2コンデンサ213の-X側(第2可動電極子231bが位置する側)には第2空間部215が構成されている。第2空間部215は、X方向における幅W2が第2コンデンサ213における各電極間の間隔W0よりも幅広である。
【0119】
詳細は省略するが、固定電極アンカー部223及び可動電極アンカー部235の+Z側には、絶縁層と、絶縁層を貫通するコンタクト217が形成されている。コンタクト217は不図示の配線層を介して電極パッド3に接続されている。
【0120】
コンボセンサ200によれば、圧力センサ201によって圧力センサ1と同様に周囲の圧力を計測できる。さらに、コンボセンサ200では、加速度センサ210における第1コンデンサ212及び第2コンデンサ213における静電容量の変化を電極パッド3を介して検出することによって、X方向に作用する加速度を計測できる。すなわち、1つのコンボセンサ200によって、圧力と加速度とを計測できる。
【0121】
次に、コンボセンサ200の製造方法を
図23A~
図23Pを参照して説明する。
まず、第1実施形態と同様に例えばボロンなどのp型の不純物がドーピングされたp型シリコン基板である第2基板12の+Z側に、リンなどのn型の不純物が高濃度にドーピングされたシリコンを例えば40μm以上60μm以下の厚さでエピタキシャル成長させることによりn型エピタキシャル成長層である第1基板11を積層させて、基板10を形成する。
【0122】
次に、
図23Aに示されるように、第1基板10を+Z側から熱酸化させることによって、第1主面10a上に熱酸化シリコン層202を形成する。熱酸化シリコン層202は、後述するトレンチ240(
図23C参照)を形成する際及び加速度センサ210の各電極220,230をキャビティ底面211aからリリースさせる際のハードマスクとして使用される。
【0123】
次に、
図23Bに示されるように、熱酸化シリコン層202の+Z側表面にレジストをパターニングし、該レジストを利用して熱酸化シリコン層202を部分的に除去して、基板10の第1主面10aのうちトレンチ240を形成する部分を表出させる。
【0124】
次に、
図23Cに示されるように、熱酸化シリコン層202をハードマスクとして、基板10を異方性エッチングにより-Z側に掘り込むことによってトレンチ240を形成する。トレンチ240のエッチングは、第1基板11を貫通して第2基板12内に至り、第2基板12内で終端するように実施される。
【0125】
図23Dは
図23CのB-B線に沿った断面図である。
図23Dを併せて参照して、トレンチ240には、基板10から圧力センサ201の各要素(例えばメンブレン31及び固定電極40)を区画する圧力センサ用トレンチ241と、基板10から加速度センサ210の各要素(例えば固定電極220及び可動電極230)を区画する加速度センサ用トレンチ246とが含まれている。本実施形態では、トレンチ240の幅は1μm以上3μm未満である。
【0126】
加速度センサ用トレンチ246は、X方向に隣り合う第1コンデンサ212間に第1空間部214が形成されるように、隣り合う第1コンデンサ212間の一方のみを区画するように設けられている。換言すれば、隣り合う第1コンデンサ212それぞれを区画する加速度センサ用トレンチ246は個別に設けられている。この結果、隣り合う第1コンデンサ212の間に、第1コンデンサ212を構成しないダミーパターン部216が区画されることになる。
【0127】
同様に、加速度センサ用トレンチ246は、X方向に隣り合う第2コンデンサ213間に第2空間部215が形成されるように、隣り合う第2コンデンサ213間の一方のみを区画するように設けられている。換言すれば、隣り合う第2コンデンサ213それぞれを区画する加速度センサ用トレンチ246は個別に設けられている。この結果、隣り合う第2コンデンサ213の間に、第2コンデンサ213を構成しないダミーパターン部216が区画されることになる。
【0128】
なお、ダミーパターン部216のX方向における幅寸法が加速度センサ210を構成する各電極220,230と略同一になるように、ダミーパターン部216をさらに区画するように加速度センサ用トレンチ246を形成してもよい。
【0129】
次に、
図23Eに示されるように、+Z側のレジストを除去した後、+Z側から酸化シリコン層203を積層する。酸化シリコン層203は、例えばCVDにより、熱酸化シリコン層202の+Z側表面上と各トレンチ240の内壁面上(溝の縦壁及び底壁)とに積層される。
【0130】
次に、
図23Fに示されるように、酸化シリコン層203をターゲットとして、+Z側から異方性エッチングを実施する。その結果、熱酸化シリコン層202の+Z側に積層された酸化シリコン層203の少なくとも一部と、各トレンチ240の底壁に積層された酸化シリコン層203の全てとが除去されて、トレンチ240の底壁に第2基板12が表出する。
【0131】
次に、
図23Gに示されるように、基板10に対して、+Z側から酸化シリコンをPECVDにより2μm以上5μm以下の厚さで積層させることによって、閉止層15を形成する。閉止層15によって各トレンチ240の+Z側の開口が閉止される。なお、X方向に幅広とされた第1空間部214及び第2空間部に対応する部分の基板10には、該部位全体にわたる幅広のトレンチが形成されていないので、トレンチ240に対して閉止層15を形成できる。
【0132】
次に、
図23Hに示されるように、閉止層15の+Z側に、酸化アルミニウム、又は酸化アルミニウムと酸化チタンとの複数層を積層することによって、密閉層16を形成する。密閉層16は、圧力センサ用トレンチ241に沿ってこれらを囲むように第1主面10a上に直接に積層されている。このため、密閉層16が直接に積層される部分については、閉止層15及び熱酸化シリコン層202は予め除去される。
【0133】
次に、
図23Iに示されるように、密閉層16の+Z側に、酸化シリコンを積層することによって、保護層17を形成する。保護層17の+Z側の外表面は、CMP処理によって平坦化される。
【0134】
次に、
図23Jに示されるように、熱酸化シリコン層202、閉止層15、密閉層16及び保護層17を貫通して、圧力センサ201における可動電極30及び固定電極40の+Z側の表面にそれぞれ至るコンタクト孔14をエッチングによりそれぞれ形成する。図示は省略するが、加速度センサ210においても同様に、固定電極220及び可動電極230の+Z側の表面にそれぞれ至るコンタクト孔をエッチングによりそれぞれ形成する。
【0135】
次に、
図23Kに示されるように、圧力センサ201において、コンタクト孔14に、アルミニウム系金属(例えば、Pure Al、AlCuおよびAlSiCu等)を埋め込んで第1コンタクト51及び第2コンタクト52(
図23Kでは第2コンタクト52のみが示されている)を形成する。このとき保護層17の+Z側に上記アルミニウム系金属を同時にパターニングすることによって、第1コンタクト51及び第2コンタクト52に直接又は間接的に接続される配線層18及び電極パッド3を形成する。なお、コンタクト孔14にタングステンを埋め込んで第1コンタクト51、第2コンタクト52を形成してもよい。この場合には、配線層18の形成時に、上記タングステンに対してTi層とTiN層とが積層されたTi/TiN層などのバリア層を介して積層する。同様に、加速度センサ210においても、コンタクト孔にコンタクト217を形成すると共に、コンタクト217と電極パッド3とを接続する配線層18を形成する。
【0136】
次に、
図23Lに示されるように、保護層17及び配線層18を+Z側から覆うように酸化シリコンを積層することによって、パッシベーション層19を形成する。なお、パッシベーション層19は、電極パッド3が+Z側に表出するようにマスクを用いて積層されている。
【0137】
次に、
図23Mに示されるように、加速度センサ210の+Z側に対応する領域において、まずパッシベーション層19及び保護層17をエッチングにより除去し、次いで密閉層16をエッチングにより除去する。すなわち、加速度センサ210の+Z側に対応する位置において、熱酸化シリコン層202が表出する。
【0138】
次に、
図23Nに示されるように、加速度センサ210の+Z側に対応する領域において、固定電極220及び可動電極230を除く部位、すなわち加速度センサ用トレンチ246及びダミーパターン部216上の熱酸化シリコン層202及び閉止層15がエッチングにより除去される。
【0139】
次に、
図23Oに示されるように、加速度センサ210に対応する領域を、例えばSF6/XeF2ガスを使用して等方性エッチングにより除去する。その結果、基板10は、加速度センサ用トレンチ246の底部から掘り込まれて、X方向に隣り合う加速度センサ用トレンチ246同士が底部において接続されてキャビティ211が形成されると共に、固定電極220及び可動電極230がキャビティ底面211aからリリースされて+Z側に離間する。
【0140】
一方、第1空間部214及び第2空間部215に対応する位置において、ダミーパターン部216上の熱酸化シリコン層202が除去されているので、ダミーパターン部216は+Z側及び-Z側からエッチングされて除去される。
図23Pは、
図23OのC-C線に沿った断面図である。
図23Oに示されるように、ダミーパターン部216の消失した結果、第1空間部214及び第2空間部215に対応する領域には、ダミーパターン部216の側壁に積層されていた酸化シリコン層203が残留することになる。
【0141】
最後に、異方性エッチングにより、加速度センサ210において、固定電極220及び可動電極230の+Z側に形成された熱酸化シリコン層202を除去すると共に、該電極220,230の縦壁に形成された酸化シリコン層203と第1空間部214及び第2空間部215に残留する酸化シリコン層203とを例えば気相フッ酸エッチング(HF Vapor Phase Etching)により除去する。これによって、圧力センサ201及び加速度センサ210が、1つの基板10(デバイス基板205)上において同一の加工プロセスにより並行して形成される。
【0142】
すなわち、コンボセンサ200は、
第1基板11及び第2基板12を有しこれらが積層方向Zに積層された基板10を備え、
基板10は、
積層方向Zに直交するX方向に対向したメンブレン31及び固定電極40を含む圧力センサ201と、
積層方向Zに直交するX方向に対向した固定電極220及び可動電極230を含む加速度センサ210と
を有している。
【0143】
その結果、コンボセンサ200は、基板10に圧力センサ201と加速度センサ210とが含まれているので、1つのコンボセンサによって、圧力と加速度を計測できる。圧力センサ201及び加速度センサ210をそれぞれ構成する各電極は、積層方向Zに直交するX方向に向いているので、基板10に対してトレンチ240をZ方向に形成することによって共通のプロセスにより並行して形成できる。すなわち、圧力センサ201と加速度センサ210とを別々に形成してこれらを組み合わせることを要せず、両センサを一体的に有するコンボセンサ200を効率的に形成できる。
【0144】
また、基板10には、積層方向Zに延びる複数のトレンチ240が形成されており、
複数のトレンチ240には、
圧力センサ201のメンブレン31及び固定電極40を区画する圧力センサ用トレンチ241と、
加速度センサ210の各電極220,230を区画する加速度センサ用トレンチ246とが含まれている。
【0145】
その結果、圧力センサ用トレンチ241及び加速度センサ用トレンチ246を、基板10に対してZ方向に同一プロセスで掘り込むことができ、圧力センサ201のメンブレン31及び固定電極40と、加速度センサ210の各電極220,230とを同時に並行して形成できる。
【0146】
また、基板10は、
積層方向Zに窪んでおり、内側に加速度センサ210の各電極220,230が配置された、キャビティ211と、
キャビティ底面211aから積層方向Zに突出しており、加速度センサ210の各電極220,230をキャビティ底面211aに対して支持する、固定電極アンカー部223及び可動電極アンカー部235と
をさらに備え、
固定電極アンカー部223及び可動電極アンカー部235は、pn接合を介して積層方向Zに積層された第1基板11と第2基板12とによって構成されている。
【0147】
その結果、固定電極アンカー部223及び可動電極アンカー部235を、キャビティ底面211aに対して機械的に連結しつつ、+Z側に位置する第1基板11をpn接合を介して-Z側に位置する第2基板12に対して電気的に絶縁できる。
【0148】
また、コンボセンサ200を製造する方法は、
基板10を積層方向Zに除去加工することによって圧力センサ用トレンチ241および加速度センサ用トレンチ246を同時に形成する、ことを含んでいる。
【0149】
その結果、圧力センサ201のメンブレン31及び固定電極40と、加速度センサ210の各電極220,230とを同時に形成できる。
【0150】
また、コンボセンサ200を製造する方法において、
加速度センサ用トレンチ246を、加速度を計測する方向に隣り合う第1コンデンサ212又は隣り合う第2コンデンサ213それぞれを個別に区画するように設けて、
基板10に、加速度センサ用トレンチ246によって隣り合う第1コンデンサ212間又は隣り合う第2コンデンサ213間に、ダミーパターン部216を区画し、
ダミーパターン部216を除去することによって、隣り合う第1コンデンサ212間又は隣り合う第2コンデンサ213間に、第1空間部214又は第2空間部215を形成する。
【0151】
その結果、最終的に空間部214,215を形成しつつも、該領域には途中のプロセスではダミーパターン部216が形成されているので、基板10の表面にわたって閉止層15を積層させやすい。これにより、以降のプロセスで、閉止層15の+Z側に全体的に、密閉層16、保護層17、配線層18、パッシベーション層19を積層しやすい。これに対して、ダミーパターン部216を形成せずに、最初から第1空間部214又は第2空間部215に相当する幅で加速度センサ用トレンチ246を形成すると、第1空間部214又は第2空間部215に閉止層15を閉じるように積層するのが困難となり、以下のプロセスにおける各層の積層がより困難となる。
【0152】
また、ダミーパターン部216の除去は、加速度センサ210の各電極220,230をキャビティ底面211aからリリースさせるときに同時に実施される。
【0153】
その結果、ダミーパターン部216の除去と加速度センサ210の各電極220,230の除去とを同時に実施できるので、個別で実施する場合に比して、加速度センサ210の各電極220,230及び空間部214,215を効率的に形成できる。
【0154】
コンボセンサ200は、加速度センサ210に換えて角速度を検出するジャイロセンサを採用してもよい。この場合でも、ジャイロセンサを構成する各電極を積層方向Zに直交するX方向又はY方向に延びるトレンチによって区画するよう構成すれば、圧力センサの各電極と同一プロセスで形成することができる。すなわち、コンボセンサ200は、圧力センサと慣性センサとを有するように構成してもよい。
【0155】
上記実施形態では、加速度センサ210の各電極220,230及び圧力センサ201のメンブレン31及び固定電極40をX方向に延びるように構成してが、積層方向Zに直交する方向に形成すればよく、両方ともY方向に延びるように構成してもよく、一方をX方向に延びるように構成し他方をY方向に延びるように構成してもよく、さらにそれぞれの各電極をX方向及びY方向に傾斜した方向に延びるように構成してもよい。
【0156】
[付記]
本開示に係る圧力センサおよび圧力センサの製造方法は以下の態様を提供する。
【0157】
[態様1]
第1主面と前記第1主面に対向する第2主面とを有しており、前記第1主面と前記第2主面とが対向する第1方向に厚みを有する、基板と、
前記基板に対して前記第1主面から前記第1方向へ窪んだ、第1室と、
前記基板に対して前記第1主面から前記第1方向へ窪んでおり、前記第1室に対して前記第1方向に直交する第2方向に間隔を隔てて隣り合う、第2室と、
前記基板に対して前記第1主面から前記第1方向へ窪んでおり、前記第1室を外部に連通させる、流体通路と、
前記基板の前記第1主面上に積層されており、少なくとも前記第1室及び前記第2室の前記第1主面上の開口を閉止する、閉止層と、
前記基板のうち前記第1室及び前記第2室によってこれらの間に前記第2方向に区画されており、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向と前記第1方向とに平行な面内に延びる、メンブレンと
を有する圧力センサを提供する。
【0158】
[態様2]
前記基板は、
前記第1主面側に位置する第1基板と、前記第1基板の前記第2主面側に位置する第2基板とを有し、
前記第1基板と前記第2基板とが積層されて、これらの間にpn接合が構成されており、
前記第1基板と前記第2基板との間に逆バイアス電圧が印加されており、
前記メンブレンは、前記第1基板と前記第2基板とにわたって構成されている、
態様1に記載の圧力センサを提供する。
【0159】
[態様3]
前記基板に対して、前記第1室及び前記第2室によって区画されており、前記メンブレンに導電可能に連結されており、前記メンブレンよりも厚み寸法が拡大されており、前記第1基板と前記第2基板とにわたって構成された、配線接続部
をさらに備えた、態様1又は2に記載の圧力センサを提供する。
【0160】
[態様4]
前記メンブレンは、前記第1方向における深さ寸法が前記第2方向における厚み寸法よりも大きい、
態様1~3のいずれか1つに記載の圧力センサを提供する。
【0161】
[態様5]
前記メンブレンは、前記第2方向における厚み寸法が1.5μm以上3.0μm未満である、
態様1~4のいずれか1つに記載の圧力センサを提供する。
【0162】
[態様6]
前記メンブレンは、前記第3方向における幅寸法が前記第1方向における深さ寸法よりも大きい、
態様1~5のいずれか1つに記載の圧力センサを提供する。
【0163】
[態様7]
前記基板のうち前記第2室によって前記メンブレンとは反対側に区画されて、前記メンブレンに前記第2方向に対向する、固定電極と、
前記メンブレンと前記固定電極とによって構成されるコンデンサと
をさらに備えた、態様1~6のいずれか1つに記載の圧力センサを提供する。
【0164】
[態様8]
前記第2室は、前記第1室を挟んだ両側に一対に位置しており、
前記メンブレンは、前記第1室と一対の前記第2室それぞれとの間に、一対に位置しており、
前記一対のメンブレンによってコンデンサが構成される、
態様1~7のいずれか1つに記載の圧力センサを提供する。
【0165】
[態様9]
前記閉止層の前記基板とは反対側の表面には、密閉層がさらに積層されている、
態様1~8のいずれか1つに記載の圧力センサを提供する。
【0166】
[態様10]
前記閉止層は、モノシリコン又はポリシリコンである、
態様1~9のいずれか1つに記載の圧力センサを提供する。
【0167】
[態様11]
前記流体通路は、前記基板を該流体通路が位置する部位においてダイシングすることによって外部に連通する、
態様1~10のいずれか1つに記載の圧力センサを提供する。
【0168】
[態様12]
前記流体通路は、外部に連通する複数の経路を有する、
態様1~11のいずれか1つに記載の圧力センサを提供する。
【0169】
[態様13]
前記流体通路は、前記第1室に複数箇所で接続されている、
態様1~11のいずれか1つに記載の圧力センサを提供する。
【0170】
[態様14]
樹脂によって包まれている、
態様1~13のいずれか1つに記載の圧力センサを提供する。
【0171】
[態様15]
前記第1方向から見たときに、
前記第2室は、前記固定電極を囲むように延びており、
前記メンブレンは、前記第2室を囲むように延びており、
前記第1室は、前記メンブレンを囲むように延びている、
態様7に記載の圧力センサを提供する。
【0172】
[態様16]
前記メンブレンを第1メンブレンとして、
前記基板に対して前記第1主面から前記第1方向へ窪んだ、第3室と、
前記基板に対して前記第1主面から前記第1方向へ窪んでおり、前記第3室に対して前記第2方向に間隔を隔てて隣り合う、第4室と、
前記基板のうち前記第3室及び前記第4室によってこれらの間に前記第2方向に区画されており、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向と前記第1方向とに平行な面内に延びており、前記第1基板と前記第2基板とにわたって構成されている、第2メンブレンと
をさらに備え、
前記第3室および前記第4室は、前記第1主面上の開口が前記閉止層によって閉止されており、外部に対して密閉されている、
態様1~15のいずれか1つに記載の圧力センサを提供する。
【0173】
[態様17]
前記基板のうち、前記第4室によって前記第2メンブレンとは反対側に区画されて、前記第2メンブレンに前記第2方向に対向する、第2固定電極と、
前記第2メンブレンと前記第2固定電極とによって構成される、第2コンデンサと
をさらに備えた、
態様16に記載の圧力センサを提供する。
【0174】
[態様18]
前記第4室は、前記第3室を挟んだ前記第2方向の両側に一対に位置しており、
前記第2メンブレンは、前記第3室と一対の前記第4室それぞれとの間に、一対に位置しており、
前記一対の第2メンブレンによって第2コンデンサが構成される、
態様16に記載の圧力センサを提供する。
【0175】
[態様19]
第1主面と前記第1主面に対向する第2主面とを有しており前記第1主面と前記第2主面との間を延びる第1方向に厚みを有してする、基板を準備し、
前記基板に対して、前記第1主面から前記第1方向へ窪ませて、第1トレンチを形成し、
前記基板に対して、前記第1主面から前記第1方向へ窪ませて、前記第1トレンチに対して前記第1方向に直交する第2方向に間隔を隔てて隣り合う、第2トレンチを形成し、
前記基板に対して、前記第1主面から前記第1方向へ窪ませて、前記第1トレンチを外部に連通させる、第3トレンチを形成し、
前記基板の前記第1主面上に、少なくとも前記第1トレンチ及び前記第2トレンチの前記第1主面上の開口を閉止する、閉止層を積層し、
前記基板を前記第1トレンチ及び前記第2トレンチによって前記第2方向に区画して、前記第1トレンチと前記第2トレンチとの間を、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向と前記第1方向とに平行な面内を延びる、メンブレンを形成する、
ことを含む圧力センサの製造方法を提供する。
【0176】
[態様20]
前記基板を、前記第2主面側に位置する第2基板と、前記第2基板の前記第1主面側に積層させて構成し、
前記第1トレンチを形成するとき、前記基板を前記第1基板を貫通して前記第2基板に至らせ、
前記第2トレンチを形成するとき、前記基板を前記第1基板を貫通して前記第2基板に至らせる、
態様19に記載の圧力センサの製造方法を提供する。
【0177】
[態様21]
複数の層を有し、該複数の層が積層方向に積層された、基板を備え、
前記基板は、
前記積層方向に直交する方向に対向したメンブレン及び固定電極を含む、圧力センサと、
前記積層方向に直交する方向に対向した可動電極及び固定電極を含む、慣性センサと
を有する、コンボセンサ。
【0178】
[態様22]
前記基板には、前記積層方向に延びる複数のトレンチが形成されており、
前記複数のトレンチには、
前記圧力センサの各電極を区画する圧力センサ用トレンチと、
前記慣性センサの各電極を区画する慣性センサ用トレンチと
が含まれている、
態様21に記載のコンボセンサ。
【0179】
[態様23]
前記基板は、
積層方向に窪んでおり、内側に前記慣性センサの各電極が配置された、キャビティと、
前記キャビティの底面から前記積層方向に突出しており、前記慣性センサの各電極を前記キャビティの底面に対して支持する、アンカーと
をさらに備え、
前記アンカーは、PN接合を介して前記積層方向に積層された第1基板と第2基板とによって構成されている、
態様22に記載のコンボセンサ。
【0180】
[態様24]
態様23に記載のコンボセンサを製造する方法であって、
前記基板を前記積層方向に除去加工することによって前記圧力センサ用トレンチおよび前記慣性センサ用トレンチを同時に形成する、
コンボセンサの製造方法。
【0181】
[態様25]
前記加速度センサ用トレンチを、加速度を計測する方向に隣り合うコンデンサそれぞれを個別に区画するように設けて、
前記基板における前記隣り合うコンデンサ間に前記加速度センサ用トレンチによってダミーパターン部を区画し、
前記ダミーパターン部を除去することによって前記隣り合うコンデンサ間に空間部を形成する、
態様24に記載のコンボセンサの製造方法。
【0182】
[態様26]
前記ダミーパターン部の除去は、前記慣性センサの各電極を前記キャビティの底面からリリースさせるときに同時に実施される、
態様25に記載のコンボセンサの製造方法。
【符号の説明】
【0183】
1 圧力センサ
2 センサ部
3 電極パッド
5 第1室
6 第2室
7 流体通路
10 基板
10a 第1主面
10b 第2主面
11 第1基板
12 第2基板
13 接合面
15 閉止層
16 密閉層
17 保護層
18 配線層
19 パッシベーション層
20 溝
21 第1縦溝
22 第2縦溝
23 第1横溝
24 第2横溝
25 第1環状溝
26 第2環状溝
27 第3溝
30 可動電極
31 メンブレン
32 可動電極配線接続部
33 連結部
40 固定電極
41 固定電極配線接続部
42 肉抜き部
51 第1コンタクト
52 第2コンタクト
C コンデンサ
C1~C4 第1~第4コンデンサ