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特開2024-28821CO2および他のC1基質の、ビーガン栄養素、肥料、バイオスティミュラント、および土壌炭素隔離の加速のためのシステムへの微生物変換
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028821
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】CO2および他のC1基質の、ビーガン栄養素、肥料、バイオスティミュラント、および土壌炭素隔離の加速のためのシステムへの微生物変換
(51)【国際特許分類】
   C12P 1/00 20060101AFI20240227BHJP
   C12P 21/00 20060101ALI20240227BHJP
   C12P 13/04 20060101ALI20240227BHJP
   C07K 14/195 20060101ALI20240227BHJP
   C12M 1/02 20060101ALI20240227BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20240227BHJP
   C05F 11/08 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
C12P1/00 Z
C12P21/00 A
C12P13/04
C07K14/195
C12M1/02 Z
C12N1/20 Z
C05F11/08
【審査請求】有
【請求項の数】79
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023203977
(22)【出願日】2023-12-01
(62)【分割の表示】P 2019542162の分割
【原出願日】2018-02-04
(31)【優先権主張番号】62/454,347
(32)【優先日】2017-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パイレックス
(71)【出願人】
【識別番号】512278478
【氏名又は名称】キベルディ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】KIVERDI,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100187540
【弁理士】
【氏名又は名称】國枝 由紀子
(72)【発明者】
【氏名】ダイソン,リサ
(72)【発明者】
【氏名】リード,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ゲラー,ジル
(72)【発明者】
【氏名】ハンデ,ソナリ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低費用かつ持続可能な原料から、アミノ酸、タンパク質、ビタミン、および他の生物学的栄養素を含む有機化学物質を生成するためのシステム、方法および組成物を提供する。
【解決手段】再生可能なHおよび廃棄CO発生炉ガス、または合成ガスなどのガス状基質を、ヒトの栄養のために、あるいは植物、真菌、もしくは他の微生物の栄養素として、または土壌の炭素、窒素、および他の無機質栄養素の供給源として直接使用することができる高タンパク質バイオマスに変換する、微生物およびバイオプロセスが提供される。本発明のプロセスで使用される再生可能なHは、太陽光または風力を使用する電気分解によって生成することができる。本発明のプロセスで使用される発生炉ガスは、廃棄物原料および/もしくはバイオマス残渣のガス化、工業プロセスからの廃棄ガス、または天然ガス、バイオガス、もしくは埋立地ガスを含む供給源に由来し得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1個以上の炭素原子を含有する無機および/または有機分子を、炭素固定反応または同化生合成を介して生成されるアミノ酸、タンパク質、および/またはビタミンを含む有機分子に生物学的に変換するための生物学的および化学的方法であって、
培養培地中の微生物細胞を含む環境に、1個以上の炭素原子を含有する無機および/または有機分子を導入することであって、前記培養培地が、前記微生物細胞を維持するのに好適であり、
前記1個以上の炭素原子を含有する無機および/または有機分子が、成長および/または生合成のために前記微生物細胞によって炭素源として使用される、導入することと、
前記1個以上の炭素原子を含有する無機および/または有機分子を、前記環境内で、前記微生物細胞中に含有される少なくとも1つの炭素固定反応または少なくとも1つの同化生合成経路を介して、アミノ酸、タンパク質、および/またはビタミンを含む前記有機分子生成物に変換することであって、
前記炭素固定反応または同化生合成経路が、化学的および/もしくは電気化学的および/もしくは熱化学的に生成されている、かつ/または前記環境の外部にある少なくとも1つの供給源から前記環境に導入される、電子供与体および/または電子受容体によって提供される、化学的および/または電気化学的エネルギーによって少なくとも部分的に推進され、
前記微生物細胞が、前記アミノ酸、タンパク質、および/またはビタミンを含むバイオマスを含む、変換することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記微生物細胞が、細菌細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記微生物細胞が、ガス状基質の存在下、前記微生物の成長およびバイオ生成物の生成に好適な条件下で培養した時に、アミノ酸および/またはタンパク質および/またはビタミンおよび/またはバイオマスを生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ガス状基質が、炭素源としてCOおよび/またはCOおよび/またはCHを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ガス状基質が、Hを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記ガス状基質が、エネルギー源としてHおよび/またはOを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記ガス状基質が、Hおよび/またはCOおよび/またはCHのうちの1つ以上を含む電子供与体を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記ガス状基質が、熱分解ガスまたは発生炉ガスまたは合成ガスまたは天然ガスまたはバイオガスを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記ガス状基質が、Hおよび/またはCOおよび/またはCOを含むガスの混合物を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記微生物が、Cupriavidus菌種またはRalstonia菌種である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記微生物が、Cupriavidus necatorまたはCupriavidus metalliduransである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記微生物によって生成される前記バイオマスおよび/または有機分子が、1つ以上の他の生物に栄養を供給または提供するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記アミノ酸および/またはタンパク質および/またはビタミンが、植物バイオスティミュラントまたはキノコ成長増強剤を生成するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
請求項1に記載の生成されたバイオマス、アミノ酸、タンパク質、および/またはビタミンを含む、植物バイオスティミュラント。
【請求項15】
作物を処理するための方法であって、請求項14に記載の植物バイオスティミュラントを、植物、および/または植物が成長する土壌、および/または植物の成長に使用される液体培地に散布することと、前記植物を収穫することと、を含む、方法。
【請求項16】
前記環境において生成された前記バイオマス、アミノ酸、タンパク質、および/またはビタミンを、植物、および/または植物が成長する土壌、および/または植物の成長に使用される液体培地に散布することと、前記植物を収穫することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記植物が、農作物である、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記微生物細胞が、溶解され、それによって溶解物が生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記溶解物が、乳濁液または懸濁液を生成するために使用される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記溶解物が、不溶性画分および可溶性画分に分離される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記不溶性画分および/または可溶性画分が、濃縮または乾燥される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
請求項18~21のいずれか1項に記載の溶解物、乳濁液、懸濁液、またはそれらの画分を含む、植物バイオスティミュラント。
【請求項23】
前記タンパク質が、加水分解され、それによって加水分解物が生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記加水分解物が、乳濁液または懸濁液を生成するために使用される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記加水分解物が、不溶性画分および可溶性画分に分離される、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記不溶性画分および/または可溶性画分が、濃縮または乾燥される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記加水分解物が、濾過され、それによって濾液および濾過物が生成される、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
請求項23~27のいずれか1項に記載の加水分解物、乳濁液、懸濁液、画分、それらの濾液、または濾過物を含む、植物バイオスティミュラント。
【請求項29】
前記バイオマスが、植物バイオスティミュラントの生成に使用され、前記方法が、前記バイオマスを加水分解して加水分解物を得ることと、葉面散布および/または土壌補助剤もしくは添加剤としての散布のため、ならびに/あるいは植物成長のための液体培地中での使用のための植物バイオスティミュラントとして前記加水分解物を配合することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法によって得られる、植物バイオスティミュラント。
【請求項31】
前記植物バイオスティミュラントを、植物、および/または植物が成長する土壌、および/または植物の成長に使用される液体培地に散布することと、前記植物を収穫することと、を更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記加水分解が、タンパク質を遊離アミノ酸およびオリゴペプチドのうちの少なくとも1つに加水分解することができる少なくとも1つの酵素を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記加水分解が、酸加水分解を実行することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記加水分解が、アルカリ加水分解を実行することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記微生物が、水素酸化微生物である、請求項3に記載の方法。
【請求項36】
前記ガス状基質が、Hおよび/またはCOを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記ガス状基質が、熱分解ガスまたは発生炉ガスまたは合成ガスである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記ガス状基質が、都市固形廃棄物、黒液、農業廃棄物、木材廃棄物、ストランデッド天然ガス、バイオガス、サワーガス、メタンハイドレート、タイヤ、石油コークス、下水、堆肥、藁、リグノセルロースエネルギー作物、リグニン、作物残渣、バガス、おが屑、林業残渣、食品廃棄物、廃棄カーペット、廃棄プラスチック、埋立地ガス、昆布、海藻、および/またはリグノセルロースバイオマスに由来する、請求項3に記載の方法。
【請求項39】
前記環境において生成されたアミノ酸および/またはタンパク質および/またはビタミンおよび/またはバイオマスが、前記培養培地から回収される、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記炭素源が、1個の炭素原子のみを含有し、1個の炭素原子のみを含有する前記電子供与体および/または分子が、ガス化、熱分解、水蒸気改質、および自動改質のうちの少なくとも1つを含む、有機物に作用する熱化学的プロセスを通して生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
前記炭素源が、1個の炭素原子のみを含有し、1個の炭素原子のみを含有する前記電子供与体および/または有機分子が、メタン水蒸気改質によって生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
前記ガス状基質が、ガス化および/または熱分解および/または自動改質および/また
は水蒸気改質から生成されるH、CO、およびCOを含むガス流に由来し、ガス化および/または熱分解および/または自動改質および/または水蒸気改質による前記ガス出力物中の水素対一酸化炭素の比率が、前記ガス流が前記微生物に送達される前に、水性ガスシフト反応を使用して調整される、請求項40および41に記載の方法。
【請求項43】
前記微生物細胞が、以下の属、Cupriavidus菌種、Rhodococcus菌種、Hydrogenovibrio菌種、Rhodopseudomonas菌種、Hydrogenobacter菌種、Gordonia菌種、Arthrobacter菌種、Streptomycetes菌種、Rhodobacter菌種、および/またはXanthobacterのうちの1つ以上から選択される微生物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項44】
アンモニア;アンモニウム;一酸化炭素;亜ジチオン酸塩;元素硫黄;炭化水素;水素;メタ重亜硫酸塩;一酸化窒素;亜硝酸塩;チオ硫酸ナトリウム(Na)またはチオ硫酸カルシウム(CaS)を含むが、これらに限定されないチオ硫酸塩などの硫酸塩;硫化水素などの硫化物;亜硫酸塩;チオン酸塩;亜チオン酸塩(thionite);溶解相または固相にある、遷移金属またはそれらの硫化物、酸化物、カルコゲン化物、ハロゲン化物、水酸化物、オキシ水酸化物、リン酸塩、硫酸塩、または炭酸塩;ならびに固体電極材料中の伝導帯または価電子帯電子から選択される1つ以上の電子供与体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項45】
二酸化炭素;酸素;亜硝酸塩;硝酸塩;第二鉄イオンまたは他の遷移金属イオン;硫酸塩;固体電極材料中の価電子または伝導帯孔から選択される1つ以上の電子受容体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項46】
前記生物学的変換が、前記微生物によって必要とされる電子供与体および/または電子受容体および/または炭素源および/または無機質栄養素が、少なくとも1つの入力化学物質から生成および/もしくは精製される、かつ/または前記炭素固定ステップから生じる化学物質から再利用される、かつ/または他の工業、鉱業、農業、下水、もしくは廃棄物生成プロセス由来の廃棄物流から生成されるかもしくはその中に含有される、1つ以上の化学的前処理ステップによって先行される、請求項1に記載の方法。
【請求項47】
前記電子供与体および/または電子受容体が、温室効果ガス排出量が少ない再生可能、代替、または従来の電力供給源を使用して生成または再利用され、前記電力供給源が、太陽光、太陽熱、風力、水力発電、原子力、地熱、高温岩体地熱、海洋熱、海洋波力、および潮力のうちの少なくとも1つから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
前記電子供与体および/または電子受容体が、電気系統の供給が電気系統の需要を超える期間中に系統電気を使用して生成され、貯蔵タンクが、前記電子供与体および/または電子受容体の生成、ならびに前記炭素固定反応におけるそれらの消費を緩衝する、請求項1に記載の方法。
【請求項49】
前記電子供与体が、メタン流改質、石油精製、鉄鋼生産、アルミニウム生産、マンガン生産、クロロアルカリプロセス、カーボンブラック製造、メタノール合成、アンモニア合成、冶金プロセス、化学プロセス、および電気化学プロセスのうちの1つ以上からの排ガスに由来するHおよび/またはCOおよび/またはメタンを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項50】
前記炭素源が、有機物のガス化;生石灰CaOを生成するための石灰石CaCOのか焼;メタン水蒸気改質;燃焼、焼却、またはフレア;糖の嫌気性または好気性発酵;メタ
ノトローフバイオプロセス;他の生物の呼吸、排水処理;埋立地ガス、リン酸ナトリウムの生成;地質学的または地熱的に生成または排出されたガス;酸性ガス、サワーガス、または天然ガス;海水または他の地表水もしくは地下水;および大気を含む1つ以上の供給源から捕捉または指向されたC1分子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項51】
前記有機分子生成物が、5炭素長以上の炭素骨格を有する化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項52】
電子供与体として分子水素を含み、前記水素が、水の電気分解;水の熱化学的分離;ブラインの電気分解;硫化水素の電気分解および/または熱化学的分離のうちの少なくとも1つを使用する方法を介して生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項53】
水素の生成のための水の電気分解が、プロトン交換膜(PEM);KOHなどの液体電解質;アルカリ電気分解;固体ポリマー電解質電気分解;高圧電気分解;および高温水蒸気電気分解(HTES)のうちの1つ以上を使用して実行される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
水素の生成のための水の熱化学的分離が、酸化鉄サイクル、酸化セリウム(IV)-酸化セリウム(III)サイクル;亜鉛酸化亜鉛サイクル;硫黄-ヨウ素サイクル;銅-塩素サイクル;カルシウム-臭素-鉄サイクル;ハイブリッド硫黄サイクルのうちの1つ以上を使用して実行される、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記微生物細胞が、電子供与体として分子水素を含む化学合成反応を介して前記アミノ酸、タンパク質、および/またはビタミンを生成し、前記水素が、炭素捕捉および隔離(CCS)対応メタン水蒸気改質;CCS対応石炭ガス化;クヴァーナープロセスおよびカーボンブラック生成物を生成する他のプロセス;バイオマスのCCS対応ガス化または熱分解;ならびにバイオ炭連産物を生成するバイオマスの熱分解のうちの1つ以上を含む、二酸化炭素排出量が少ないかまたは二酸化炭素を排出しないで水素を生成することが知られている電気化学的または熱化学的プロセスを介して生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項56】
アミノ酸および/またはタンパク質および/またはビタミンおよび/またはバイオマスを生成するための方法であって、請求項1に記載の微生物を、前記微生物の成長ならびにアミノ酸および/またはタンパク質および/またはビタミンおよび/またはバイオマスの生成に好適な条件下、ガス状基質と、成長およびバイオ生成物生成のための他の栄養素を含む培養培地とを含むバイオリアクター内で培養することを含み、前記微生物が、アミノ酸および/またはタンパク質および/またはビタミンおよび/またはバイオマスを生成する、方法。
【請求項57】
溶解物を生成するための方法であって、請求項1に記載の微生物を、前記微生物の成長に好適な条件下、バイオリアクター内で培養することを含み、前記バイオリアクター内で生成されたバイオマスが、前記バイオリアクターから回収および除去され、前記バイオリアクターから除去された前記バイオマスが、その後溶解され、それによって溶解物が生成される、方法。
【請求項58】
前記溶解物が、タンパク質を含み、前記方法が、前記溶解物中のタンパク質を加水分解し、それによって加水分解物を生成することを更に含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
請求項1に記載の微生物細胞から単離される、タンパク質濃縮物。
【請求項60】
約5%未満の核酸を有する、請求項59に記載のタンパク質濃縮物。
【請求項61】
約3%未満の核酸を有する、請求項60に記載のタンパク質濃縮物。
【請求項62】
a.前記微生物細胞を破裂させるステップであって、前記細胞が、1つ以上のヌクレアーゼ酵素を含み、それによって可溶性核酸、ヌクレアーゼ、およびタンパク質を含み、かつ不溶性細胞壁細片を含む混合物を生成する、ステップと、b.前記核酸が前記ヌクレアーゼで加水分解され、それによって加水分解核酸が生成される条件下で、前記可溶性核酸、ヌクレアーゼ、およびタンパク質を前記不溶性細胞壁細片から分離するステップと、d.前記タンパク質を不溶性にするステップと、e.前記加水分解核酸を含む残りの可溶性材料から、前記不溶性タンパク質を分離するステップと、を含む、濃縮されたタンパク質生成物を生成することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項63】
前記不溶性タンパク質が、約5%未満の核酸を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記不溶性タンパク質が、約3%未満の核酸を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記細胞が、ホモジナイズによって破裂される、請求項57または62に記載の方法。
【請求項66】
少なくとも1つの炭素固定反応および少なくとも1つの同化生合成経路が、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂質、多糖類、および/またはビタミンのうちの少なくとも1つを含むバイオ生成物の形成をもたらす、請求項1に記載の方法。
【請求項67】
前記少なくとも1つの炭素固定反応および少なくとも1つの同化生合成経路が、カルビンサイクルおよびアミノ酸生合成経路を含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記バイオマスおよび/または有機分子が、発酵のための有機炭素源および/もしくは窒素源;他の微生物もしくは生物の成長のための栄養源;プレバイオティクス;ヒトの栄養源もしくは食品成分;動物の飼料;製造もしくは化学プロセスのための原料もしくは化学中間体として;薬学的、医学的、もしくは栄養学的物質の供給源;肥料;土壌添加剤;土壌安定剤;土壌補助剤;植物バイオスティミュラント;ならびに/またはキノコ成長増強剤のうちの少なくとも1つとしての用途を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項69】
前記肥料および/もしくは土壌添加剤、ならびに/または土壌安定剤、ならびに/または土壌補助剤、ならびに/または植物バイオスティミュラント、ならびに/またはキノコ成長増強剤が、土壌に炭素および/または窒素を添加し、それによってそれが散布される前記土壌の前記炭素および/または窒素の含有量の増加をもたらす、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記炭素源が、ガス状C1分子であり、前記土壌に添加される前記炭素が、隔離された炭素であり、ガス状C1炭素源から土壌炭素へのエンドツーエンドプロセスが、炭素隔離プロセスである、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記肥料および/またはバイオスティミュラントが、水耕栽培、気耕栽培、養殖水耕栽培、または垂直農法システムで栽培される作物に散布される、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
前記肥料および/またはバイオスティミュラントが、施肥灌水に使用される、請求項68に記載の方法。
【請求項73】
前記肥料および/またはバイオスティミュラントが、温室内、屋内、および/または人
工照明を使用して栽培される作物に散布される、請求項68に記載の方法。
【請求項74】
C1原料から有機酵素抽出物を得るための方法であって、請求項1に記載の方法を含み、前記炭素源が、1個の炭素原子のみを含み、前記方法が、機械的溶解、酵素的溶解、pH調整、圧力の増加または減少、温度の増加または減少、電場または電磁場、超音波、浸透圧の変化、および酵素加水分解のうちの1つ以上に前記微生物細胞を供し、それによって有機酵素抽出物を生成することを更に含む、方法。
【請求項75】
請求項1に記載の方法で生成された前記バイオマスおよび/またはタンパク質を含む、キノコ成長増強剤。
【請求項76】
請求項75に記載のキノコ成長増強剤を、キノコ堆肥と組み合わせることを含む、キノコ成長を増強するための方法。
【請求項77】
請求項76に記載の組み合わせたキノコ堆肥およびキノコ成長増強剤を含む、キノコ成長組成物。
【請求項78】
微生物および他の生物を成長させるための方法であって、前記微生物および生物を、土壌中、請求項68に記載の前記栄養源で成長させる、方法。
【請求項79】
前記有機炭素および/または窒素源を使用する前記発酵が、市販の酵素、抗生物質、アミノ酸、タンパク質、植物バイオスティミュラント、キノコ成長増強剤、プロバイオティクス、プレバイオティクス、生物肥料、食品、食品成分、ビタミン、脂質、バイオプラスチック、多糖類、栄養補助食品、および/または医薬品を含む1つ以上のバイオ生成物を生成する、請求項68に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年2月3日出願の米国仮特許出願第62/454,347号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、農業に適用される化学の分野、具体的には有機植物および真菌栄養、動物の給餌、ならびにヒトの栄養に関する。具体的には、本発明は、農業、特に有機農業においてバイオスティミュラントおよび/もしくは生物肥料として、ならびに/または動物飼料中のタンパク質および栄養補助食品として、ならびに/またはヒトの栄養成分として使用することができる、栄養素、ならびにC1基質および他の無機入力物から生成される有機材料由来の抽出物を得るための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
増大する食品の必要性を満たすのを補助するために、持続可能かつ再生可能なアミノ酸、タンパク質、ビタミン、および他の栄養素の供給源が必要とされている。二酸化炭素および他の温室効果ガス(GHG)の大気への排出量を低減し、食品生産系における石炭、石油、および天然ガスの利用に基づく水の消費量および世界的なエネルギー消費量を低減する必要性もまた存在する。世界経済における需要の増加により、土地および水資源に対する圧力が増加している。食品および他の農業由来製品の生産のための、伝統的な化石炭化水素の入力物に対する圧力もまた増加している。現代の農業を含む多くの産業は、作物の生産および加工のための入力物として化石炭化水素源の利用可能性に著しく依存している。現在の既存の慣行に代わる費用対効果の高い代替物は、土地使用、自然生息地、水、化石資源の需要、原材料費用、および温室効果ガスの排出に対する圧力の上昇を緩和するのに役立つ可能性がある。
【0004】
天然の生化学的代謝プロセスを通してガス状炭素を固定する生物系が知られている。高等植物作物の光合成に基づく現在の農業系は、明白な一例である。光合成反応を通してCOから食品および他の農業由来製品を作製するための藻類系もまた開発されてきた。糖類などの固定炭素供給原料を利用する従属栄養反応および生成もまた存在し、それらは転じて、光合成を介してCOから生成される。したがって、これらの従属栄養反応および生成は、光合成に間接的に依存している。しかしながら、現在の農業、畜産業、水産養殖業、ならびに現在利用されている光合成由来の栄養素および飼料は、いくつかの問題および限界に直面している。
【0005】
世界の農業系は、(A)2050年には93億人を超えると推定されている世界人口の増加と共に生じる需要を満たすための食品生産の増加、ならびに(B)ヒトの健康および環境に対する農業の有害な影響の低減という、2つの相反する必要性を満たすという課題に直面している[T.Searchinger,C.Hanson,J.Ranganathan,B.Lipinski,R.Waite,R.Winterbottom,A.Dinshaw,and R.Heimlich,“The great balancing act,”World Resources Institute Working Paper,Washington,DC,2013.]。過去半世紀にわたる世界的な中流階級の台頭により、より高タンパク質の食事に対する需要の上昇が加熱している。食品タンパク質の不足だけでなく、土地使用の限界、水不足、気候変動、ならびに世界市場での飼料および食品価格の長期的なインフレーションなどの、食品生産に影響を与えるかまたはそれから生じる環境問題に関する懸念もまた存在する[S.Matass
a,N.Boon,and W.Verstraete(2015)“Resource
recovery from used water:the manufacturing abilities of hydrogen-oxidizing bacteria”Water Research68:467-478(http://view.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25462753)]。
【0006】
現在使用されている肥料は主に、無機および/または合成化合物からなる。しかしながら、有機肥料および調整剤の使用に関心が高まっている。アンモニウム、硝酸イオン、および硫酸イオンなどの植物栄養素が、土壌ミクロフローラの作用によって放出されるため、そのような有機材料を土壌に添加することができる[Wainwright,M.,W.Nevell,and U.Skiba(1985)“Fertilizer potential of some commercially available forms of keratin microbial biomass”Enzyme Microb.Technol.7:108-110]。
【0007】
植物および真菌の栄養素の包括的な供給源を提供することに加えて、有機肥料は、土壌に有機物を与え、これは例えば、調整剤効果のために、砂質土壌または低活性粘土質土壌にとって、物理的、化学的、および生物学的特性の改善となる。土壌調整に有用な肥料は、微量栄養素および有益な微生物、例えば、酵母、細菌、または真菌を含み得る。中国特許第CN1911870号は、土壌微生物を増強し、植物の成長を促進し、肥料の利用率を増加させ、かつ病害およびストレスに対する植物の耐性を増加させる植物栄養素を記載している。この栄養素は、Saccharomyces cerevisiae酵母、Lactobacillus plantarum細菌およびLactobacillus
acidophilus細菌と、ジャガイモまたはコーヒー誘導体、グルコース、ペプトン、硫酸マグネシウムおよび硫酸マンガン、リン酸水素二カリウム、ならびに塩化ナトリウムなどの他の構成要素とを含む。
【0008】
土壌中、特に植物の根圏中で繁殖する微生物が豊富に存在する。相当数の細菌種および真菌種が機能的関係を有し、植物と全体論的システムを構成することは周知である。それらは、植物の成長に有益な効果を発揮することができる。窒素固定剤によって誘導される窒素固定の効果が、マメ科植物だけでなく、非マメ科植物にも重要であることが明らかになっている。更に、いくつかの菌株は、植物の成長に対する複数の機能を有する。Azospirillumの有益な効果は、その窒素固定および根の発達に対する刺激効果の両方に由来する可能性がある。同様に、Azotobacterは、窒素を提供するだけでなく、インドール酢酸、ジベレリン、およびビタミンB群などの様々な成長促進物質もまた生成することが報告されている。これらの物質は、少なくともある程度まで、根の滲出液の生成を刺激する。根の滲出液は転じて、Azotobacterによる根圏へのアンモニアの排出を刺激し、それによって土壌の窒素含有量を増加させることが報告されている。植物の滲出液によって与えられる効果と同様の効果は、有機肥料中に含有される有機炭素に起因している。好適な農場堆肥、緑肥、ならびに他の有機堆肥および肥料の使用が、AzotobacterによるN固定を増強し得ることが報告されている。これは、窒素固定反応が、窒素原子間の結合を切断するために利用可能な有機炭素から大量のエネルギーを必要とするという事実に起因し得る。
【0009】
リン酸塩(P)およびカリウム(K)可溶化細菌は、不溶性Pを可溶化し、土壌中のケイ酸塩からKを放出することにより、植物による無機質の取り込みを増強することができる。
【0010】
要約すると、土壌微生物は、土壌中の栄養素の利用可能性に寄与し得るだけでなく、土壌粒子の安定な凝集体への結合を補助し、これが土壌構造を改善し、侵食の可能性を低減
させるため、天然の土壌亜生態系における重要な構成要素である。
【0011】
天然条件下で成長する植物の大部分は、真菌菌根に関連している。生態系の生物的部分と地球化学的部分とを結び付けることによる菌根共生はまた、根と周囲の土壌の微小生息地とを接続する架け橋と見なすこともできる。根圏細菌は、「菌根形成補助細菌」として機能することができ、これは、菌根菌が植物の根に生着する能力を改善する。
【0012】
近年、農作物生産の持続可能性を改善しながら、生産性もまた増加させることを目的とした新たな戦略が提案されている。1つの有望なアプローチは、「バイオスティミュラント」および/または「生物肥料」としても定義される物質および/または微生物の散布である[P.Calvo,L.Nelson,andJ.Kloepper(2014)“Agricultural uses of plant biostimulants,”Plant and Soil383(1-):3-41,2014.(http://dx.doi.org/10.1007/s11104-014-2131-8)]。
【0013】
微生物生成物の植物への散布は、(i)微生物生成物は現在使用されている多くの化学物質よりも安全であると考えられること、(ii)有害物質も微生物自体も食物連鎖に蓄積されないことを含む、農業目的の従来の化学物質よりも優れたいくつかの利点を有する。
【0014】
近年、土壌への肥料の散布に加えて、葉面植物肥料に対してますます関心が集中している。葉面栄養供給は、植物の葉に液体肥料を直接散布することによって、植物に栄養を供給する技術である。葉面肥料の散布において、窒素、カリウム、リン、カルシウム、およびマグネシウムなどの塩基性化学元素だけが植物によって必要とされるのではないことが認識されている。様々な元素の効率および許容性を増強することができる付随化合物も同様に非常に重要であることもまた、認識されている。そのような増強化合物には、アミノ酸、接着剤、および界面活性剤が含まれ、それらの多くは、現代の葉面肥料中に含まれている[“Amino acid and soluble protein cocktail from waste keratin hydrolysed by a fungal keratinase of Paecilomyces marquandii”;Vesela,M.,and Friedrich(2009)J.,Biotechnology and Bioprocess Engineering14:84-90]。
【0015】
植物の「バイオスティミュラント」は、葉面散布時または土壌への散布時に植物の成長および/または代謝に影響を及ぼす肥料以外の構成要素を指すことがある。いくつかの植物バイオスティミュラントは、植物ホルモンを上方調節または下方調節することによって機能する。植物バイオスティミュラントは一般に、アミノ酸、ペプチド、およびタンパク質混合物;ホルモン;ならびに腐植物質の3つのカテゴリーのうちの1つに分類される。
【0016】
バイオスティミュラントは、作物の品質パラメータおよび栄養効率を増強し、成長速度、光合成速度、作物収量、植物の根および葉の成長、非生物的ストレス耐性、ならびに病害耐性を増加させ、栽培土壌を改善し、かつ雑草の成長に対抗することが報告されている。例示的な植物バイオスティミュラントには、海藻抽出物、酵母抽出物、フミン酸、アミノ酸、サリチル酸、バイオ固体、加水分解タンパク質、ケイ酸塩、および/または合成化合物に基づく組成物が含まれる。例示的なストレス要因には、熱、低温、干ばつ、摩耗、水分過剰、塩分、アルカリ度または他の有害な土壌pH、栄養素欠乏、酸化、重金属毒性、および病害などが含まれる。
【0017】
微生物由来のバイオスティミュラントおよび生物肥料に対する関心が増加している。例えば、Kobayashiらは、エンドウマメ植物の成長に対するSaccharomyces cerevisiae酵母抽出物と無機肥料との組み合わせの効果を研究した[“Effect of yeast extracts on higher plants”,Kobayashi et al,Plant and Soil(1980),57(1)4:1-7;]。ハンガリー特許第HU9902060号は、酵母Saccharomycesに加えて、微量元素、錯化剤、緩衝剤、およびアミノ酸、フミン酸、酵素、糖類などの他のいくつかの栄養素を含有する、植物の葉および根のための水性肥料組成物を記載している。
【0018】
タンパク質加水分解物(PH)は、部分加水分解を使用してタンパク質性原料から製造される、ポリペプチド、オリゴペプチド、およびアミノ酸の混合物を含む植物バイオスティミュラントの重要なカテゴリーである[G.Schaafsma(2009)“Safety of protein hydrolysates,fractions thereof and bioactive peptides in human nutrition”European journal of clinical nutrition63(10):1161-1168(http://view.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19623200)]。PHに対する関心が高まっているが、これは、特に環境ストレス条件下での、果樹、野菜、花作物、および観賞植物を含む園芸作物の生産性および品質に対する、PHの有益な影響のためである。それらは、シュートおよび根のバイオマスおよび生産性を増加させることが見出されている[K.Edward,G.Aneta,S.Agnieszka,and W.Renata,“The effect of cultivar type,time of cultivation,and biostimulant treatment on
the yield of spinach(spinacia oleracea l.),”pp.9+,2013.[オンライン]。入手可能:http://dx.doi.org/10.2478/fhort-2013-0153、Lisiecka et al., 2011; N.Paradikovic,T.Vinkovic,I.Vinkovic Vrcek,I.Zuntar,M.Bojic,and Medic-Saric,“Effect of natural biostimulants on yield and nutritional quality:an example of sweet yellow pepper(capsicum annuum l.)plants,”J.Sci.Food Agric.,vol.91,no.12,pp.2146-2152,Sep.2011.[オンライン]。入手可能:http://dx.doi.org/10.1002/jsfa.4431、G.Colla,Y.Rouphael,R.Canaguier,E.Svecova,and M.Cardarelli,“Biostimulant action of a plant-derived protein hydrolysate produced through enzymatic hydrolysis,”Frontiers in Plant Science,vol.5,p.448,2014.[オンライン]。入手可能:http://journal.frontiersin.org/article/10.3389/fpls.2014.00448、A.Ertani,D.Pizzeghello,O.Francioso,P.Sambo,S.Sanchez-Cortes,and S.Nardi,“Capsicum chinensis l.growth and nutraceutical properties are enhanced by biostimulants in a long-term period:chemical and metabolomic approaches.”Frontiers in plant science,vol.5,2014.[オンライン]。入手可能:http://view.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25136346)。それらは、園芸をよ
り持続可能にするための効果的なツールであり、多くの研究調査が、いくつかの園芸作物の成長、収量、生産物品質、資源使用効率、ならびに環境および化学土壌ストレスへの耐性に対する、PH散布の利点を実証している。
【0019】
PHの散布は、いくつかの園芸作物の栄養成長ならびに主要栄養素および微量栄養素の取り込みを促進し、作物の生産性の増加をもたらすことが示されている。野菜および花作物、観葉植物、ならびに芝草の発芽および初期成長を増強するためのPHによる種子コーティングもまた、有望な用途である。
【0020】
アミノ酸および小ペプチドは、根および葉の両方によって吸収され、その後植物内に移行する。植物は、気孔を通してアミノ酸を吸収する。特定の植物では、アミノ酸が窒素の主な供給源である[Chapin,F.S.,L.Moilanen,and K.Kielland(1993)“Preferential use of organic
nitrogen for growth by a non-mycorrhizal arctic sedge”Nature361:150-153]。本質的に、葉面栄養は、アナナス類、特に着生アナナス類にとって、窒素取り込みの非常に重要な機構である[Endres,L.and H.Mercier(2003)“Amino acid uptake and profile in bromeliads with different habits cultivated in vitro”Plant Physiol.Biochem.41:181-187]。タンパク質加水分解物および葉面噴霧の形態の葉面栄養は、タンパク質合成のための既製の根幹を提供する。
【0021】
根/葉の取り込み後、アミノ酸およびペプチドは、植物の代謝および発達を支持するように、植物の維管束系(木部および師部)を通して細胞間および長距離にわたって輸送される。いくつかのクラスの膜内在性タンパク質が、植物の細胞膜を通したアミノ酸およびペプチドの輸送に関与している。例えば、リジン-ヒスチジン様トランスポーターファミリー、アミノ酸パーミアーゼファミリー、およびプロリントランスポーターファミリーのメンバーは、根を通したアミノ酸の取り込みにおいて直接的な役割を果たす。アミノ酸およびアミドは、ほとんどの植物で有機窒素の主要な輸送形態であり、それらは、タンパク質合成および他の必須窒素化合物に直接使用することも、代謝することもできる。
【0022】
葉圏および根圏中に生存する微生物もまた、PH散布に対する作物応答に影響を及ぼし得るが、これは、それらがアミノ酸およびペプチドを求めて植物と競合しているだけでなく、ペプチドを加水分解してシグナル伝達化合物として機能し得る小さな断片にすることができる酵素を分泌し、作物応答を調節するためでもある。更に、近年の研究では、レタスに対する植物由来のPHの散布が、N固定、P可溶化、およびインドール酢酸生産菌などの望ましい天然に存在する微生物を刺激することが示されている。上記の発見は、PHが微生物を媒介した植物成長の増強を通して植物バイオスティミュラントとしても機能し得ることを示唆している。植物の葉および根へのPHの散布は、FeおよびNの代謝および栄養素取り込みを改善し、硝酸塩などの望ましくない化合物の濃度を低減し、かつ主要要素および微量要素ならびに水利用の効率を改善することが観察されている[M.Cerdan,A.Sanchez-Sanchez,J.D.Jorda,M.Juarez,and J.Sanchez-Andreu(2013)“Effect of commercial amino acids on iron nutrition of tomato plants grown under lime-induced iron deficiency,”Z.Pflanzenernahr.Bodenk.176(6):859-866(http://dx.doi.org/10.1002/jpln.201200525)、A.Ertani,L.Cavani,D.Pizzeghello,E.Brandellero,A.Altissimo,C.
Ciavatta,and S.Nardi(2009)“Biostimulant activity of two protein hydrolyzates in the growth and nitrogen metabolism of maize seedlings”Z.Pflanzenernahr.Bodenk172(2):237-244(http://dx.doi.org/10.1002/jpln.200800174)、M.Halpern,A.Bar-Tal,M.Ofek,D.Minz,T.Muller,and U.Yermiyahu(2015),The Use of Biostimulants for Enhancing Nutrient Uptake.Elsevier,vol.130,pp.141-174(http://dx.doi.org/10.1016/bs.agron.2014.10.001)]。PHを補充した植物における栄養素取り込みの上昇に起因する原因には、(A)土壌酵素活性および微生物活性の増加、(B)微量栄養素、特にCu、Fe、Mn、およびZnの移動性および溶解性の改善、(C)根の密度、長さ、および側根数などの植物の根の構造の変化、ならびに(D)Fe(III)-キレートレダクターゼ、硝酸レダクターゼ、およびグルタミンシンテターゼの活性の増加が含まれる[M.Cerdanら(2013)上記、A.Ertaniら(2009)上記、A.M.Garcia-Martinez,A.Diaz,M.Tejada,J.Bautista,B.Rodriguez,C. Santa Maria,E.Revilla,and J.Parrado(2010)“Enzymatic production of an organic soil biostimulant from wheat-condensed distiller solubles:Effects on soil biochemistry and biodiversity”Process Biochemistry45(7):1127-1133(http://dx.doi.org/10.1016/j.procbio.2010.04.005)、G.Colla,Y.Rouphael,R.Canaguier,E.Svecova,and M.Cardarelli(2014)“Biostimulant action of a plant-derived protein hydrolysate produced through enzymatic hydrolysis”Frontiers in Plant Science5:448(http://journal.frontiersin.org/article/10.3389/fpls.2014.00448)、L.Lucini,Y.Rouphael,M.Cardarelli,R.Canaguier,P.Kumar,and G.Colla(2015)“The effect of a plant-derived biostimulant on metabolic profiling and crop performance of lettuce grown under saline conditions”Scientia Horticulturae182:124-133,Jan.2015(http://dx.doi.org/10.1016/j.scienta.2014.11.022)]。アミノ酸を微量栄養素と一緒に散布すると、植物内の微量栄養素の吸収および輸送を促進することができる。
【0023】
タンパク質加水分解物は、窒素代謝および同化を刺激することが示されている。植物における窒素同化の増加についての可能性のある説明は、炭素骨格の生成およびアミノ酸生合成に必要なエネルギー供給に対するPHの正の効果であり得る。
【0024】
アミノ酸およびペプチドは、シグナル伝達化合物として重要な役割を果たし得る。細胞膜上の特異的受容体は、シグナル伝達のためにペプチド(エリシター)と相互作用し、植物の形態生理学的および生化学的変化をもたらす。PHは、植物の植物ホルモンバランスに影響を及ぼし、トリプトファンなどの特定のペプチドおよび植物ホルモン生合成前駆体の作用を通して植物の発達に影響を与え得る[G.Collaら(2014)上記。いくつかの異なる植物で生成される生物活性ペプチドは、ホルモン様活性を有することが見出
されている[Y.Ito,I.Nakanomyo,H.Motose,K.Iwamoto,S.Sawa,N.Dohmae,and H.Fukuda(2006)“Dodeca-CLE peptides as suppressors of plant stem cell differentiation”Science313(5788):842-845,(http://dx.doi.org/10.1126/science.1128436)、T.Kondo,S.Sawa,A.Kinoshita,S.Mizuno,T.Kakimoto,H.Fukuda,and Y.Sakagami(2006)“A plant peptide encoded by
CLV3 identified by in situ MALDI-TOF MS
analysis”Science313(5788):845-848,Aug.2006(http://dx.doi.org/10.1126/science.1128439)]。植物由来のPHは、作物性能を改善するオーキシン様およびジベレリン様活性を誘発することが報告されている[M.Schiavon,A.Ertani,and S.Nardi(2008)“Effects of an alfalfa protein hydrolysate on the gene expression and activity of enzymes of the tricarboxylic acid(TCA)cycle and nitrogen metabolism in zea mays l”Journal of agricultural and food chemistry56(24):11 800-11 808(http://view.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19053364)、A.Ertaniら(2009)上記、G.Collaら(2014)上記]。
【0025】
ブドウでは、葉におけるレスベラトロールの生合成(すなわち、レスベラトロールシンターゼ)に関与するスチルベンシンターゼ酵素をコードするカゼインおよびダイズの上方制御遺伝子由来のPHの葉面散布が報告されている。これら両方の加水分解物は、ブドウべと病の原因物質であるPlasmopara viticolaに対するブドウの免疫力を増強するための誘発剤として作用することが証明されている。中国特許第CN1966663号(“Composite Microorganism Foliage Fertilizer Bacteria Agent And Its Producing Method And Use”)は、Saccharomyces cerevisiae、Lactobacillus plantarum、Mucor racemosus、およびAspergillus oryzaeからなる抗菌剤を記載している。
【0026】
フェニルプロパノイド経路に関与するフェニルアラニン(チロシン)アンモニア-リアーゼ酵素の遺伝子発現の増加などの、植物由来のPHによる二次代謝の活性化は、有益な栄養学的特性をもたらし得る。果物および野菜に見られる植物化学化合物は、それらの健康上の利益の特性から、科学者、食品栄養学者、および生産者の間で大きな関心を集めている。植物化学物質は、心血管障害、虚血性脳卒中、関節炎、および炎症性腸疾患などの慢性疾患を低減または予防することができる天然の抗酸化化合物である。いくつかの研究は、PHの散布が抗酸化化合物(カロチノイド、ポリフェノール、フラボノイドなど)の蓄積を刺激して、一次および二次代謝を修飾することができることを見出している。
【0027】
PHは、タンパク質供給源およびタンパク質加水分解の方法に基づいて分類することができる。PHは現在、主に動物または植物由来の原料から供給されており、一般に化学および/または酵素加水分解を通して生成されている。[P.Maini(2006)“The experience of the first biostimulant,based on amino acids and peptides:a short retrospective review on the laboratory
researches and the practical results”Fertilitas Agrorum1(1):29-43, 2006.、M.Schiavonら(2008)上記、M.Halpern,A.Bar-Tal,M.Ofek,D.Minz,T.Muller,and U.Yermiyahu(2015)“The Use of Biostimulants for Enhancing Nutrient Uptake”Elsevier vol.130,pp.141-174(http://dx.doi.org/10.1016/bs.agron.2014.10.001)]。タンパク質源および生成プロセスの両方が、PHの化学的特性に強い影響を及ぼす。[Cavani,L.,C.Ciavatta,and C.Gessa(2003)“Determination of free L-and D-alanine in hydrolysed protein fertilizers
by capillary electrophoresis”J.Chromatogr.A985:463-469]。アミノ酸は、微量栄養素に対するキレート効果を有する[Koksal,A.I.,H.Dumanoglu,N.T.Gunes,and
M.Aktas(1999)“The effects of different amino acid chelate foliar fertilizers on
yield,fruit quality,shoot growth and Fe,Zn,Cu,Mn content of leaves in Williams pear cultivar(Pyrus communis L.)”Turk.J.Agric.For.23:651-658.]。
【0028】
PHは多くの場合、酵素加水分解を通して生成される。これは、動物の器官(例えば、パンクレアチン、ペプシン)、植物(例えば、ブロメライン、フィシン、パパイン)、または微生物(例えば、アルカラーゼ、フレーバーザイム、ケラチナーゼ)に由来し得るタンパク質分解酵素が、タンパク質加水分解を触媒する場合である。タンパク質分解酵素は多くの場合、特定のペプチド結合を標的とする(例えば、パンクレアチンは、アルギニン、リジン、チロシン、トリプトファン、フェニルアラニン、およびロイシン結合に隣接する結合でアミノ酸鎖を切断し、パパインは、アルギニン、リジン、およびフェニルアラニンに隣接する結合で切断し、ペプシンは、フェニルアラニンまたはロイシンが存在する場合に切断し、ケラチナーゼは主に、セリンまたはメタロプロテアーゼである)。中国特許第CN19191800号は、Saccharomyces cerevisiae酵母スラッジを水中に希釈し、これをパパイン、中性プロテイナーゼ、および塩化ナトリウムと混合し、その後混合物を加水分解し、酵素を不活性化し、最後に得られた生成物を濃縮または乾燥することによって調製される、植物および動物の栄養素を記載している。最終生成物は、高含有量の吸収速度が早い栄養素を含有する。
【0029】
アミノ酸の構造を保存し、純粋な化学的加水分解と比較してエネルギーを保存するのに役立ち得る、化学加水分解プロセスと酵素加水分解プロセスとの組み合わせが開発されている。
【0030】
アミノ酸およびペプチドに加えて、PHは、バイオスティミュラント作用に寄与し得る他の化合物を含有する。これらの化合物には、脂肪、炭水化物、フェノール、無機質元素、植物ホルモン、および他の有機化合物(例えば、ポリアミン)が含まれる。
【0031】
農工業副産物から生成されたPHは、持続可能な廃棄物処分の1つの選択肢であり、これは、環境的観点および経済的観点の両方から興味深い[V.Kasparkova,K.Kolomaznik,L.Burketova,V.Sasek,and L.Simek(2009)“Characterization of low-molecular weight collagen hydrolysates prepared by combination of enzymatic and acid h
ydrolysis”The Journal of the American Leather Chemists Association 104(2):46-51,2009.、J.Pecha,T.Furst,K.Kolomaznik,V.Friebrova,and P.Svoboda(2012)“Protein biostimulant foliar uptake modeling:The impact of climatic conditions”AIChEJ.58(7):2010-2019(http://dx.doi.org/10.1002/aic.12739)、A.Baglieri,V.Cadili,C.Mozzetti Monterumici,M.Gennari,S.Tabasso,E.Montoneri,S.Nardi,and M.Negre(2014)“Fertilization of bean plants with tomato plants hydrolysates.effect on biomass production, chlorophyll content and n assimilation”Scientia Horticulturae176:194-199(http://dx.doi.org/10.1016/j.scienta.2014.07.002)]。Celus,et al.(2007)“Enzymatic Hydrolysis Of Brewer’s Spent Grain Proteins And Technofunctional Properties Of The Resulting Hydrolysates”J.Agric.FoodChem.55(21):8703-8710)は、アルコール発酵前のマスト生産から生じる大麦麦芽からの不溶性残渣であり、かつ醸造産業の主な副産物を構成する、醸造所の使用済み穀物またはバガス(BSG)からのタンパク質の酵素加水分解を記載している。結果として生じる加水分解物は、それらの理想的な発泡特性および乳化特性のために、食品および飲料産業において使用されている。スペイン特許第ES2329750A1号(“Procedure For Obtaining Fertilizer Products From Brewing Waste”)は、マストのアルコール発酵後の醸造廃棄物から肥料を作製するための多ステッププロセスを記載している。このプロセスは、廃棄物をアルカリ化し、分離して、液相を得、その後これを酸処理に供し、ここから転じて固相を分離し、これを最後に酵素加水分解または酸加水分解に供する、様々な相を含む。
【0032】
有機作物の食用部分に対するこれらの生成物の散布を禁止している欧州規制第354/2014号に示されているように、食品安全性に関する動物由来のPHの影響についての懸念が増加している。動物由来のPHのペプチド分子量は、BSE/TSEプリオンのヒトへの伝達のいかなる危険性も防止するため、10kDaよりも低くあるべきである。
【0033】
植物に対するバイオスティミュラント作用に加えて、PHおよびタンパク質性材料はまた、より一般には、キノコおよび真菌に対する栄養およびバイオスティミュラント効果を有し、キノコの収量を改善することができる[Kurbanoglu,E.B.and O.F.Algur(2002)“The influence of ram horn hydrolyzate on the crop yield of the mushroom Agaricus bisporus”Sci.Hortic.94:351-357.]。いくつかの栽培されている主要なキノコ、Agaricus bisporus、Coprinus quadrifidus、Lepista nuda、およびPleurotus ostreatusは、細菌を直接溶解させ、消費することができることが知られている。A.bisporus(すなわち、ボタン、クリミニ、およびポルタベラ)ならびにP.ostreatus(すなわち、オイスターマッシュルーム)は、食品用に最も広く栽培されている2つのキノコである。A.bisporusは典型的には、堆肥で成長し、堆肥の微生物バイオマス構成要素が、窒素、炭素、および無機質の供給源として、かつ貯水源として機能する。タンパク質に富んだ栄養補助剤は、キノコ堆肥(すなわち、成長基質)への添加時にキノコの収量(49~61%)を刺激す
ることが見出されている。そのようなタンパク質に富んだ栄養補助剤には、Pro-Fam(登録商標)H200FG加水分解ダイズタンパク質、Remoの商業的栄養補助剤、l-イソロイシン(ile)、卵白タンパク質、アミノブレンドHLA-198加水分解乳清、綿実粕、ダイズ粕、乾燥スキムミルク、魚粉、麦芽、醸造所の酵母生成物、カゼイン、小麦胚芽、ヒマワリ種子、トウモロコシグルテン、およびピーナッツタンパク質が含まれる。[L C.Schisler and J.W.Sinden(1962)の“Nutrient Supplementation of Mushroom Compost at Spawning,”Mushroom Science5:150-164および“Nutrient Supplementation of Mushroom Compost at Casing”Mushroom Science5:267-280と題する論文]。これらの材料を使用する収量の増加は、それらの比較的高い窒素濃度に起因する。米国特許第3,942,969号は、変性タンパク質材料(すなわち、抽出物)を使用するキノコの栄養組成物を記載している。多くのキノコを栽培するために使用される天然のリグノセルロースは、限られた栄養素含有量を有し、一般に化学的および生物学的栄養補助剤の形態の栄養補充を必要とする。基礎基質を有する栄養補助剤の添加は、収量、栄養価、および薬価を増強するために、キノコ栽培において一般的な慣行となっている。オイスターマッシュルーム(P.ostreatus)は、水田藁、トウモロコシの茎/穂軸、野菜植物残渣、バガスなどを含む様々なリグノセルロース基質で成長することができる。しかしながら、急速なキノコの成長のためには、理想的な基質は窒素(栄養補助剤)を含有するべきであることが見出されている。窒素栄養補充を有する基質中でのP.ostreatusの成長は、生産性および栄養価を増加させている。キノコの栄養補充に関する他の研究はまた、窒素材料に加えて、キノコ堆肥への植物性脂質(脂肪物質)の添加に利点が存在することを報告している[Schisler,L C.and J.W.Sinden(1966)“Nutrient Supplementation of Mushroom Compost at Casing-Vegetable Oils”Can.J.BOL44:1063-1069、Schis
ler,L C.(1967)“Stimulation of Yield 15in
the Cultivated Mushroom by Vegetable Oils”Appl Microbiol15:844-850、Schisler,L.C.and T.G.Patton,Jr.(1970)“Stimulation of
Yield in the Cultivated Mushroom by Vegetable Oils:Effect of Sterols and Ethyl Linoleate”Agric Food Chem18:1102-1103 20]。
【0034】
多数の肥料、生物肥料、および植物バイオスティミュラントが市販されているにもかかわらず、様々な必要性に応えることができる改善された生成物に対する需要が継続して存在している。ストレス要因に対する植物の耐性を増加させる植物バイオスティミュラントに対する必要性が存在する。経済的な関心の対象となる植物の増殖率を増加させる必要性が存在する。現在入手可能な市販の生成物よりも少ない頻度で適用した場合に効果的である植物バイオスティミュラントに対する必要性、過剰散布が生じた場合に植物損傷の危険性の低減をもたらす植物バイオスティミュラントに対する必要性が存在する。食品作物の栄養素使用効率を増加させ、環境への栄養素の浸出を低減することに対する必要性もまた存在する。
【0035】
大規模な商業的規模で使用可能な真菌および/またはキノコの成長増強剤に対する必要性が依然として存在する。細菌およびカビを含む競合する微生物の成長を刺激することなく、成長中のキノコ作物に栄養素を添加することができる、成長刺激剤が必要とされている。堆肥の温度を、種菌およびキノコ菌糸体の成長を阻害し得る望ましくない高レベルまで上昇させない、栄養補助剤に対する必要性が存在する。
【0036】
動物または植物に由来しないPHを用いて、現在の動物および植物由来のタンパク質加水分解物を増大させる必要性が存在する。土壌中の炭素の隔離の加速に対する必要性もまた存在し、一般に堆肥化プロセス中に炭素の半分以上がCO排出物として失われる堆肥化とは対照的に、炭素の大部分または全部が隔離される炭素廃棄物処理に対する必要性が存在する[S.M.Tiquia,T.L.Richard,and M.S.Honeyman(2002)“Carbon,nutrient,and mass loss
during composting”Nutrient Cycling in Agroecosystems62(1):15-24]。
【0037】
微生物タンパク質、ビタミン、および他の生体分子を栄養素として植物および/または真菌に提供することに加えて、ヒトによるこれらの微生物由来の栄養素の直接的な消費もまた選択肢である。しかしながら、ヒトの直接的な消費に関する1つの懸念分野は、栄養素の核酸含有量である。ヒトの栄養のためには、酵母由来のものなどの単細胞タンパク質の核酸含有量は、SCPが食事の大部分を占める場合、より低いレベルまで低減される必要があり得る。Food and Nutrition Board(全米研究評議会)のタンパク質の一日所要量は、70キログラムの成人男性では1日あたり65グラムであり、Protein Advisory Group(国連システム)は、微生物タンパク質から1日あたりに摂取される核酸の量が1日あたり2グラム未満であることを推奨している。したがって、これらの基準によれば、SCPが唯一の食事性タンパク質の供給源である場合、タンパク質に対する核酸含有量の比率は、3パーセント未満であるべきである。Candida utilis種およびSaccharomyces cerevisiae種由来の酵母細胞などのいくつかのSCP源の核酸含有量は、粗タンパク質100グラムあたり約12~15グラムの核酸であり得る。したがって、ヒトの栄養のために実質的な量のこれらのSCP源を利用することを可能にするために、核酸含有量を数倍低減するための方法が開発されている。
【0038】
細菌、酵母、および他の微生物細胞は、従属栄養発酵系において、糖原料をタンパク質およびアミノ酸などの有用な有機化合物に処理するために適用されてきた。しかしながら、これらのシステムには重大な欠点が存在する。有機炭素栄養素で成長し、生産菌株と競合し得る他の従属栄養微生物が周囲環境に偏在するため、従属栄養発酵は、汚染に対して不安定である。従属栄養科学技術はまた一般に、現在の食品生産様式との競合に関して限界がある。多くの従属栄養系では、本質的にある食物源を使用して、別の食物源を作製している。これは、多くの負の環境への影響および非効率性をもたらす可能性がある。
【0039】
COからタンパク質またはアミノ酸を生成するための独立栄養微生物系は元来、人類の宇宙飛行計画において提案されていた[G.L.Drake,C.D.King,W.A.Johnson,and E.A.Zuraw,“Study of life support systems for space missions exceeding one year in duration,”NASA,Tech.Rep.SP-134,Apr.1966]。
【0040】
現在、異なるガス状および液体基質、特に廃棄物基質および持続可能な方法で生成された基質での、タンパク質合成および他の栄養素の合成のための微生物学的科学技術の開発に対する関心が復活している。
【0041】
化学独立栄養微生物は、C1原料から、タンパク質、タンパク質由来生成物、および他の栄養素を生成するための光合成生物に対する、あまり探求されていない代替物である。COおよび他の形態の無機炭素を有機化合物に固定するための化学独立栄養生物によって実行される化学合成反応は、光の放射エネルギーによってではなく、無機化学物質に貯
蔵された位置エネルギーによって促進される[J.M.Shively,G.van Keulen,and W.G.Meijer(1998)“Something from almost nothing:carbon dioxide fixation
in chemoautotrophs.”Annual review of microbiology52:191-230(http://dx.doi.org/10.1146/annurev.micro.52.1.191)、A.J.Smith,J.London,and R.Y.Stanier,”Biochemical basis of obligate autotrophy in Blue-Green algae and thiobacilli”(1967)Journal of
Bacteriology94(4):972-983 (http://jb.asm.org/content/94/4/972.abstract)、M.Hugler,C.O.Wirsen,G.Fuchs,C.D.Taylor,and S.M.Sievert(2005)“Evidence for autotrophic CO2 fixation via the reductive tricarboxy
lic acid cycle by members of the ε subdivision of proteobacteria”Journal of Bacteriology187(9):3020-3027,(http://dx.doi.org/10.1128/jb.187.9.3020-3027.2005)、K.M.Scott and C.M.Cavanaugh,“CO2 uptake and
fixation by endosymbiotic chemoautotrophs from the bivalve solemya velum”(2007)Applied and Environmental Microbiology73(4):1174-1179(http://dx.doi.org/10.1128/aem.01817-06)]。化学独立栄養生物において生じる炭素固定生化学的経路には、還元的トリカルボン酸サイクル、カルビン-ベンソン-バシャムサイクル[Jessup Shively,Geertje van Kaulen,Wim Meijer(1998)Annu.Rev.Microbiol.191-230]、およびウッド-ユングダール経路が含まれる[L.G.Ljungdahl,“The autotrophic pathway of acetate synthesis in acetogenic bacteria,”Annual Review of Microbiology,vol.40,no.1,pp.415-450,1986.[オンライン]。入手可能:http://dx.doi.org/10.1146/annurev.mi.40.100186.002215]。
【0042】
化学独立栄養生物は、生物学的ステップが単独でCO固定のみに限定されているCOを有機化学物質に変換するための、ハイブリッド化学的/生物学的プロセスに特に適している。このCO固定ステップは、光合成において生じる暗反応におよそ対応する。このハイブリッド化学的/生物学的アプローチは、バイオ系生成物の生成に関して、より伝統的な従属栄養または光合成のバイオプロセスよりもはるかに注目されていない。しかしながら、COを固定する上で何十億年もの進化を通して得られた酵素能力を、太陽光、太陽熱、風力、地熱、水力、または原子力などの広範な非生物的エネルギー変換科学技術と効率的に組み合わせて、CO炭素源による生化学的生成プロセス全体を効率的かつクリーンに促進する能力を含む、そのようなハイブリッドアプローチの潜在的な利点がいくつか存在する。
【0043】
同様の範囲のバイオ生成物(単細胞タンパク質(SCP)、ポリヒドロキシブチレート(PHB))もまた、メタン酸化細菌を使用してメタンおよび天然ガス原料から得ることができる。これらは、比較的よく研究されている微生物であり、過去には実物大のSCP生成系において実装され、ウシおよび魚のためのタンパク質に富んだ飼料添加剤として試験されている。微生物を適用して、下水処理場および堆肥処理場で生成されるバイオガス
を利用することができる。メタン酸化細菌は、低価値のメタンをバイオ生成物の供給源として使用される微生物バイオマスにアップグレーディングするための科学技術を可能にし得る。
【0044】
COまたはメタン含有ガスの捕捉および固定炭素生成物への変換における、化学独立栄養微生物またはメタン栄養微生物の特定の用途が知られている。しかしながら、以前に報告されているアプローチの多くは、それらの有効性、経済的実現可能性、実用性、および商業的採用を限定する欠点に悩まされている。
【0045】
農業生産高の大きな増加に関連する妨げを、非常に大きな規模で、持続可能な方法で打破する必要性が存在する。水平方向に規模拡張し、かつ高度に土地および水集約的である伝統的な農業事業とは対照的に、コンパクトで垂直方向に規模拡張する生物学的生成に対する必要性が存在する。食品対自然の衝突および土地使用に関する衝突、ならびに自然生息地の破壊を緩和する必要性が存在する。
【0046】
低費用の合成ガス、CO、および/またはメタンを、アミノ酸、タンパク質、ビタミン、肥料、バイオスティミュラント、および他の生物学的栄養素を含むが、これらに限定されないより価値の高い有機化学物質に変換するバイオプロセスに対する必要性が存在する。
【0047】
従来のおよび規模拡張可能な完結型反応容器内で成長することができ、かつ商業的に実現可能な方法で、特に4炭素原子長を超える商業的に実行可能な有機炭素鎖の組を生成する、微生物の組を特定する必要性が存在する。糖類などの典型的な有機炭素入力物によって代謝的に制限されない微生物を特定する必要性が存在する。合成ガス、発生炉ガス、天然ガス、バイオガス、またはH/COガス混合物中間体を通して指向される炭素およびエネルギーの広範な非生物源を、アミノ酸、タンパク質、および他の生物学的栄養素の合成のために追加で利用することができる、微生物およびシステムに対する必要性が存在する。これは、同等の従属栄養系をはるかに超える原料の柔軟性をもたらすであろう。合成ガス、発生炉ガス中に存在するか、または広範な非生物的な再生可能および/もしくは低CO放出エネルギー科学技術を通して容易に生成される、水素などの電子供与体を、成長および炭素固定に利用することができる微生物を特定および使用する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0048】
低費用かつ持続可能な原料から、アミノ酸、タンパク質、ビタミン、および他の生物学的栄養素を含むが、これらに限定されない有機化学物質を生成するためのシステム、方法、および組成物が提供される。いくつかの実施形態では、これらの高価値の有機化合物の効率的な生成を、炭素の廃棄物源の処分および/またはCOの捕捉と結び付け、これは、更なる収益および/または社会的価値を生み出すことができる。
【0049】
天然に存在するか、または操作された微生物を使用して、COガス、合成ガス、発生炉ガス、および/またはメタンを、アミノ酸、タンパク質、ビタミン、および他の生物学的栄養素を含むが、これらに限定されないより価値が高い中~長炭素鎖長の分子に変換することができる。本明細書に記載の科学技術は、一時的なものであり、かつ現在高等植物の農作物または動物源から大量にしか生成されていない、様々な比較的長い炭素鎖の有機化合物を生成および/または分泌させるための、生物学的ガスから化学物質への(GTC)プロセスにおいて合成ガスバイオ処理に使用できる、新たな天然のもしくは古典的に育種された、かつ/または遺伝的に増強された菌株の微生物の開発を可能にする。
【0050】
生成微生物がガス培養下で標的とする化学生成物を合成するように、合成ガスおよび/
またはCOなどのガス状炭素源で成長し、バイオマスを合成する天然の能力を有する、水素酸化、一酸化炭素酸化、および水素酸化微生物を含むが、これらに限定されない微生物の選択、育種、および/または操作のための方法が提供される。本明細書に記載の微生物および方法は、石油化学物質および/または高等植物由来のアミノ酸、タンパク質、および他の生物学的栄養素と価格面で競合することができる、生化学物質の低費用の合成を可能にし得る。特定の実施形態では、これらのアミノ酸、タンパク質、ビタミン、および他の生物学的栄養素は、従属栄養または微生物の光合成合成を通して生成されるアミノ酸、タンパク質、ビタミン、および他の生物学的栄養素よりも実質的に低い価格を有すると予測される。
【0051】
合成ガス、および/またはガス状CO、および/またはCOガスとHガスとの混合物、および/またはメタンを、アンモニア、アンモニウム、および/または尿素を含むが、これらに限定されない窒素源と共に、1つ以上のアミノ酸、タンパク質、ビタミン、および/または他の生物学的栄養素へと変換する微生物が提供される。いくつかの実施形態では、微生物は、以下の群、水素酸化化学独立栄養微生物、一酸化炭素酸化微生物、水素酸化微生物、および/またはメタン栄養微生物のうちの1つ以上である。水素酸化微生物、水素化栄養生物、カルボキシド栄養生物、および化学独立栄養生物はより幅広くは、生物学的成長を支持するためのそれらの唯一の炭素源としてCOまたはCOを捕捉することができる。メタン栄養生物は、それらの唯一の炭素源としてCHを捕捉することができる。いくつかの実施形態では、この微生物成長は、アミノ酸およびタンパク質の生合成を含む。水素酸化微生物および他の水素化栄養生物は、呼吸および生化学的合成のための還元電子源としてHを使用することができる。いくつかの実施形態では、水素酸化微生物、水素化栄養生物、カルボキシド栄養生物、他の化学独立栄養微生物、および/またはメタン栄養微生物を、以下、CO、CO、H、CHのうちの1つ以上を含むが、これらに限定されないガス流で、水溶液中に溶解した無機鉱物と共に成長させる。いくつかの実施形態では、水素酸化微生物、水素化栄養微生物、カルボキシド栄養微生物、化学独立栄養微生物、および/またはメタン栄養微生物を利用して、温室効果ガス(GHG)を、アミノ酸およびタンパク質、ならびにビタミンを含むが、これらに限定されない生体分子へと変換する。
【0052】
本明細書に開示される微生物のいずれかを含む、組成物もまた提供される。組成物は、成長および/またはバイオ生成物生成のための栄養素を含む成長培地中の微生物を含み得る。例えば、組成物は、本明細書に記載のガス状基質が導入されるバイオリアクター内にあり得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、微生物は、Rhodococcus属またはGordonia属から選択される。いくつかの実施形態では、微生物は、Rhodococcus opacusである。いくつかの実施形態では、微生物は、Rhodococcus opacus(DSM43205)またはRhodococcus菌種(DSM3346)である。いくつかの実施形態では、微生物は、Ralstonia属またはCupriavidus属から選択される。いくつかの実施形態では、微生物は、Cupriavidus necatorである。いくつかの非限定的な実施形態では、Cupriavidus necatorの菌株は、DSM531またはDSM541である。
【0054】
一態様では、発生炉ガスもしくは合成ガスなどのガス状基質、またはHと、COおよび/もしくはCOおよび/もしくはCHとを含有する別のガス混合物を、アミノ酸、タンパク質、および他の生物学的栄養素に変換することができる、天然のまたは操作された微生物が提供される。ガス状基質は、微生物によって炭素源および/またはエネルギー源として使用される。いくつかの実施形態では、ガス状基質で成長することができる微生物は、アミノ酸、タンパク質、または他の生物学的栄養素の生合成に必要とされる遺伝子
をコードするポリヌクレオチドで形質転換される。いくつかの実施形態では、アミノ酸、タンパク質、他の生物学的栄養素、または全細胞生成物は、微生物細胞または微生物成長培地から回収される。本明細書に記載の微生物成長プロセスにおいて使用され得る発生炉ガスは、廃棄物原料および/またはバイオマス残渣原料のガス化、あるいは工業プロセス由来の廃棄ガスまたは天然ガスもしくはバイオガスの水蒸気改質を含む供給源から生じ得る。
【0055】
一態様では、炭素源および/またはエネルギー源としてガス状基質で成長することができる天然に存在しない微生物が提供され、これらの微生物は、少なくとも1つの外因性核酸を含む。いくつかの実施形態では、微生物は、細菌細胞である。例えば、いくつかの態様では、細菌細胞は、Cupriavidus菌種またはRalstonia菌種、例えば、Cupriavidus necatorであるが、これに限定されない。いくつかの非限定的な実施形態では、微生物は、Cupriavidus necator DSM531またはDSM541である。
【0056】
いくつかの実施形態では、ガス状基質は、炭素源としてCOを含む。いくつかの実施形態では、ガス状基質は、エネルギー源としてHおよび/またはOを含む。いくつかの実施形態では、ガス状基質は、発生炉ガス、合成ガス、または熱分解ガスを含む。いくつかの実施形態では、ガス状基質は、Hおよび/またはCOおよび/またはCOおよび/またはCHを含む、ガスの混合物を含む。いくつかの実施形態では、微生物は、ガス状基質の存在下、微生物の成長およびバイオ生成物生成に好適な条件下で培養した時に、アミノ酸、タンパク質、および他の生物学的栄養素を生成する。
【0057】
別の態様では、炭素源および/またはエネルギー源としてのガス状基質で成長することができる本明細書に記載の微生物を使用して、アミノ酸、タンパク質、および他の生物学的栄養素を生成するための方法が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の微生物は、その微生物の成長に好適な条件下、ガス状基質と、成長およびバイオ生成物生成のための他の栄養素を含む培養培地(例えば、液体成長培地)とを含むバイオリアクター内で培養され、これらの微生物は、アミノ酸、タンパク質、および他の生物学的栄養素を生成する。
【0058】
いくつかの実施形態では、バイオリアクター内のガス状基質は、Hおよび/またはCOを含む。いくつかの実施形態では、ガス状基質は、発生炉ガス、合成ガス、または熱分解ガスである。いくつかの実施形態では、ガス状基質は、天然ガスまたはバイオガスである。いくつかの実施形態では、ガス状基質は、都市固形廃棄物、黒液、農業廃棄物、木材廃棄物、ストランデッド天然ガス、バイオガス、サワーガス、メタンハイドレート、タイヤ、石油コークス、下水、堆肥、藁、リグノセルロースエネルギー作物、リグニン、作物残渣、バガス、おが屑、林業残渣、食品廃棄物、廃棄カーペット、廃棄プラスチック、埋立地ガス、および/またはリグノセルロースバイオマスに由来する。
【0059】
いくつかの実施形態では、アミノ酸、タンパク質、ビタミン、および/または他の生物学的栄養素は、培養培地から回収される。
【0060】
別の態様では、アミノ酸、タンパク質、ビタミン、および/または他の生物学的栄養素を生成するための微生物および方法が提供される。いくつかの実施形態では、天然に存在するかまたは天然に存在しない微生物が提供され、これらの微生物は、ゼロまたは少なくとも1つの外因性核酸をそれぞれ含み、かつ炭素源および/またはエネルギー源としてのガス状基質で成長することができ、該微生物は、アミノ酸、タンパク質、ビタミン、および/または他の生物学的栄養素を生合成する。いくつかの実施形態では、天然に存在するかまたは天然に存在しない微生物は、Cupriavidus菌種またはRalston
ia菌種である。いくつかの実施形態では、微生物は、Cupriavidus necatorまたはCupriavidus metalliduransである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の天然に存在するかまたは天然に存在しない微生物を利用して、アミノ酸、タンパク質、ビタミン、および/または他の生物学的栄養素を生成するための方法が提供され、これらの微生物は、ゼロまたは少なくとも1つの外因性核酸をそれぞれ含み、かつ炭素源および/またはエネルギー源としてのガス状基質で成長することができ、かつアミノ酸、タンパク質、ビタミン、および/または他の生物学的栄養素を生合成し、この方法は、天然に存在するかまたは天然に存在しない微生物を、微生物の成長およびアミノ酸、タンパク質、ビタミン、および/または他の生物学的栄養素の生成に好適な条件下、ガス状基質および培養培地(例えば、液体成長培地)を含み、かつ成長およびバイオ生成物生成のための他の栄養素もまた含むバイオリアクター内で培養することを含み、微生物は、アミノ酸、タンパク質、ビタミン、および/または他の生物学的栄養素を生成する。
【0061】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の微生物を使用して、工業用煙道ガスからCOを捕捉し、タンパク質に富んだバイオマスを生成する。いくつかの実施形態では、このタンパク質に富んだバイオマスは、商品である。いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだバイオマスは、単細胞タンパク質(SCP)として使用される。いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだバイオマスは、以下の用途、肥料、バイオスティミュラント、真菌成長増強剤または栄養補助剤、栄養素、成分、動物飼料または動物飼料配合物中、ヒトの食品またはヒトの食品配合物中のうちの1つ以上において使用される。いくつかの実施形態では、タンパク質に富んだバイオマスは、魚粉および/もしくは他の動物性タンパク質の高タンパク質代替物として使用され、かつ/または植物肥料製品ならびに/もしくはキノコおよび真菌成長増強剤に使用される。いくつかの非限定的な実施形態では、本発明は、GHG低減のため、ならびに植物肥料および/またはバイオスティミュラントおよび/または真菌肥料および/または栄養補助食品および/またはヒトの食品成分を含むが、これらに限定されない用途のための高タンパク質生成物の生成のための両方に使用される。
【0062】
いくつかの実施形態では、高タンパク質生成物は、加水分解に供される。いくつかの実施形態では、加水分解の収量は、タンパク質に富んだバイオマスへの水蒸気処理の適用によって改善される。いくつかの不溶性タンパク質は、水分の存在下で加熱した時により難溶性の劣る形態に変換される[Kida,K.,S.Morimura,J.Noda,Y.Nishida,T.Imai,and M.Otagiri(1995)“Enzymatic hydrolysis of the horn and hoof of cow and buffalo”J.Ferment.Bioeng.80:478-484.]。
【0063】
本開示の特定の実施形態は、低下した核酸含有量を有する微生物タンパク質単離物に関する。特定の実施形態では、単離物の核酸含有量は、9重量%未満である。特定の非限定的な実施形態では、単離物のタンパク質当量比(PER)は、1超である。
【0064】
特定の実施形態では、酵母SCPの核酸含有量を低減するために開発されている方法と同様の方法が、本明細書に記載される原核細胞に適用される。酵母の核酸は主に、リボ核酸またはRNAである。特定の実施形態では、細胞の核酸もまた主にRNAであり、本出願では、RNAおよび核酸という用語は、互換的に使用されることがある。特定の実施形態では、タンパク質に対する核酸含有量の比率は、3パーセント未満に低減される。特定の実施形態では、タンパク質に対する核酸の比率は、当業者および当該技術分野の知識によって、ヒトの食事におけるタンパク質所要量の実質的な割合または全部を提供するのに安全であると考えられるレベルまで低減される。
【0065】
本開示の特定の実施形態は、他の工業発酵において原料または栄養源として使用される微生物加水分解物に関する。Ummadi,M.and Curic-Bawden,M.(2010)“Use of Protein Hydrolysates in Industrial Starter Culture Fermentations.”Protein Hydrolysates In Biotechnology91-114(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0066】
本開示の特定の実施形態は、スポーツ医学において用途を有する微生物タンパク質単離物および/または加水分解物に関し、具体的には、特定の非限定的な実施形態では、該加水分解物の消費は、無傷タンパク質よりも急速な身体へのアミノ酸の吸収を可能し、それによって筋肉組織への栄養素の送達を最大化する。Manninen,Anssi H.,“Protein Hydrolysates In Sports And Exercise:A Brief Review”(2004)Journal of Sports Science and Medicine,3:60-63,(2004)(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0067】
一態様では、植物および真菌のバイオスティミュラントおよび栄養素を生成するための方法が提供される。そのようなプロセスによって生成されるバイオスティミュラントおよび栄養素もまた提供される。いくつかの実施形態では、細菌細胞を加水分解して、加水分解物を得ることと、葉面散布、土壌補助剤としての散布、および/または土壌肥料としての散布のための、植物バイオスティミュラントおよび/または肥料として加水分解物を配合することとを含む、植物バイオスティミュラントおよび/または肥料を生成する方法が提供される。本明細書に記載の方法によって得られる植物バイオスティミュラントおよび/または肥料もまた提供される。そのような植物または真菌のバイオスティミュラントおよび栄養素を散布することによって、植物または真菌を成長させる方法もまた提供される。そのような植物または真菌から生成物を調製するためのプロセスもまた提供される。そのような植物または真菌を生物に給餌することによって、従属栄養生物を育てる方法もまた提供される。そのような従属栄養生物から生成物を生成する方法もまた提供される。
【0068】
別の態様では、市販のキノコの収量および/または生存率を増加させることができるキノコ成長増強剤が提供される。市販のキノコの増殖を育成しながら、競合する外来性微生物にとって食物源として利用しにくいキノコ成長増強剤もまた提供される。製造および使用するのが経済的なキノコ成長増強剤もまた提供される。低濃度レベルで効果的なキノコ成長増強剤もまた提供される。容易に入手可能、低費用、および/または廃棄物材料から製造されるキノコ成長増強剤もまた提供される。再生可能エネルギー源を使用して容易に製造されるキノコ成長増強剤もまた提供される。
【0069】
一態様では、1個以上の炭素原子を含有する無機および/または有機分子を、炭素固定反応または同化生合成によって生成されるアミノ酸、タンパク質、および/またはビタミンを含む有機分子に生物学的に変換するための生物学的および化学的方法が提供され、この方法は、微生物細胞の維持に好適な培養培地中の微生物細胞を含む環境に、1個以上の炭素原子を含有する無機および/または有機分子を導入することであって、1個以上の炭素原子を含有する無機および/または有機分子が、微生物細胞によって成長および/または生合成のための炭素源として使用される、導入することと、1個以上の炭素原子を含む無機および/または有機分子を、環境内で、微生物細胞中に含有される少なくとも1つの炭素固定反応または少なくとも1つの同化生合成経路を介して、アミノ酸、タンパク質、および/またはビタミンを含む有機分子生成物に変換することであって、炭素固定反応または同化生合成経路が、化学的および/もしくは電気化学的および/もしくは熱化学的に生成されている、かつ/または環境の外部にある少なくとも1つの供給源から環境に導入
される、電子供与体および/または電子受容体によって提供される、化学的および/または電気化学的エネルギーによって少なくとも部分的に推進され、微生物細胞が、該アミノ酸、タンパク質、および/またはビタミンを含むバイオマスを含む、変換することとを含む。いくつかの実施形態では、有機分子生成物は、5炭素以上の炭素骨格を有する化合物を含む。いくつかの実施形態では、環境内で生成されたアミノ酸および/またはタンパク質および/またはビタミンおよび/またはバイオマスは、培養培地から回収される。
【0070】
いくつかの実施形態では、炭素源は、1個の炭素原子のみを含有し、1個の炭素原子のみを含有する該電子供与体および/または分子は、ガス化、熱分解、水蒸気改質、および自動改質のうちの少なくとも1つを含む、有機物に作用する熱化学的プロセスを通して生成される。いくつかの実施形態では、炭素源は、1個の炭素原子のみを含有し、1個の炭素原子のみを含有する電子供与体および/または有機分子は、メタン水蒸気改質によって生成される。いくつかの実施形態では、ガス化および/または熱分解および/または自動改質および/または水蒸気改質から生成されるH、CO、およびCOを含むガス流に由来し、ガス化および/または熱分解および/または自動改質および/または水蒸気改質によるガス出力物中の水素対一酸化炭素の比率は、ガス流が微生物に送達される前に、水性ガスシフト反応を使用して調整される。
【0071】
いくつかの実施形態では、炭素源は、有機物のガス化;生石灰CaOを生成するための石灰石CaCOのか焼;メタン水蒸気改質;燃焼、焼却、またはフレア;糖類の嫌気性または好気性発酵;メタン栄養バイオプロセス;他の生物の呼吸、排水処理;埋立地ガス、リン酸ナトリウムの生成;地質学的または地熱的に生成または排出されたガス;酸性ガス、サワーガス、または天然ガス;海水または他の地表水もしくは地下水;および大気を含む1つ以上の供給源から捕捉または指向されたC1分子を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、1つ以上の電子供与体は、アンモニア;アンモニウム;一酸化炭素;亜ジチオン酸塩;元素硫黄;炭化水素;水素;メタ重亜硫酸塩;一酸化窒素;亜硝酸塩;チオ硫酸ナトリウム(Na)またはチオ硫酸カルシウム(CaS)を含むが、これらに限定されないチオ硫酸塩などの硫酸塩;硫化水素などの硫化物;亜硫酸塩;チオン酸塩;亜チオン酸塩(thionite);溶解相または固相にある、遷移金属またはそれらの硫化物、酸化物、カルコゲン化物、ハロゲン化物、水酸化物、オキシ水酸化物、リン酸塩、硫酸塩、または炭酸塩;ならびに固体電極材料中の伝導帯または価電子帯電子から選択される。いくつかの実施形態では、1つ以上の電子受容体は、二酸化炭素;酸素;亜硝酸塩;硝酸塩;第二鉄イオンまたは他の遷移金属イオン;硫酸塩;固体電極材料中の価電子または伝導帯孔から選択される。
【0073】
いくつかの実施形態では、生物学的変換には、微生物によって必要とされる電子供与体および/または電子受容体および/または炭素源および/または無機質栄養素が、少なくとも1つの入力化学物質から生成および/もしくは精製される、かつ/または炭素固定ステップから生じる化学物質から再利用される、かつ/または他の工業、鉱業、農業、下水、もしくは廃棄物生成プロセス由来の廃棄物流から生成されるかもしくはその中に含有される、1つ以上の化学的前処理ステップが先行する。
【0074】
いくつかの実施形態では、電子供与体および/または電子受容体は、温室効果ガス排出量が少ない再生可能、代替、または従来の電力供給源を使用して生成または再利用され、該電力供給源は、太陽光、太陽熱、風力、水力発電、原子力、地熱、高温岩体地熱、海洋熱、海洋波力、および潮力のうちの少なくとも1つから選択される。いくつかの実施形態では、電子供与体および/または電子受容体は、電気系統の供給が電気系統の需要を超える期間中に系統電気を使用して生成され、貯蔵タンクが、該電子供与体および/または電子受容体の生成、ならびに該炭素固定反応におけるそれらの消費を緩衝する。
【0075】
いくつかの実施形態では、電子供与体は、メタン流改質、石油精製、鉄鋼生産、アルミニウム生産、マンガン生産、クロロアルカリプロセス、カーボンブラック製造、メタノール合成、アンモニア合成、冶金プロセス、化学プロセス、および電気化学プロセスのうちの1つ以上からの排ガスに由来するHおよび/またはCOおよび/またはメタンを含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、分子水素は、電子供与体として利用され、該水素は、水の電気分解;水の熱化学的分離;ブラインの電気分解;硫化水素の電気分解および/または熱化学的分離のうちの少なくとも1つを使用する方法を介して生成される。いくつかの実施形態では、水素の生成のための水の電気分解は、プロトン交換膜(PEM);KOHなどの液体電解質;アルカリ電気分解;固体ポリマー電解質電気分解;高圧電気分解;および高温水蒸気電気分解(HTES)のうちの1つ以上を使用して実行される。いくつかの実施形態では、水素の生成のための水の熱化学的分離は、酸化鉄サイクル、酸化セリウム(IV)-酸化セリウム(III)サイクル;亜鉛酸化亜鉛サイクル;硫黄-ヨウ素サイクル;銅-塩素サイクル;カルシウム-臭素-鉄サイクル;ハイブリッド硫黄サイクルのうちの1つ以上を使用して実行される。
【0077】
一実施形態では、微生物細胞は、細菌細胞である。いくつかの実施形態では、微生物は、Cupriavidus菌種またはRalstonia菌種である。いくつかの実施形態では、微生物は、Cupriavidus necatorまたはCupriavidus metalliduransである。いくつかの実施形態では、微生物細胞は、以下の属、Cupriavidus菌種、Rhodococcus菌種、Hydrogenovibrio菌種、Rhodopseudomonas菌種、Hydrogenobacter菌種、Gordonia菌種、Arthrobacter菌種、Streptomycetes菌種、Rhodobacter菌種、および/またはXanthobacterのうちの1つ以上から選択される微生物を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、微生物細胞は、ガス状基質の存在下、微生物の成長およびバイオ生成物の生成に好適な条件下で培養した時に、アミノ酸および/またはタンパク質および/またはビタミンおよび/またはバイオマスを生成する。いくつかの実施形態では、ガス状基質は、炭素源としてCOおよび/またはCOおよび/またはCHを含む。一実施形態では、ガス状基質は、Hを含む。一実施形態では、ガス状基質は、エネルギー源としてHおよび/またはOを含む。いくつかの実施形態では、ガス状基質は、Hおよび/またはCOおよび/またはCH4のうちの1つ以上を含む電子供与体を含む。いくつかの実施形態では、ガス状基質は、熱分解ガスまたは発生炉ガスまたは合成ガスまたは天然ガスまたはバイオガスを含む。いくつかの実施形態では、ガス状基質は、Hおよび/またはCOおよび/またはCOを含む、ガスの混合物を含む。いくつかの実施形態では、ガス状基質は、都市固形廃棄物、黒液、農業廃棄物、木材廃棄物、ストランデッド天然ガス、バイオガス、サワーガス、メタンハイドレート、タイヤ、石油コークス、下水、堆肥、藁、リグノセルロースエネルギー作物、リグニン、作物残渣、バガス、おが屑、林業残渣、食品廃棄物、廃棄カーペット、廃棄プラスチック、埋立地ガス、昆布、海藻、および/またはリグノセルロースバイオマスに由来する。
【0079】
一実施形態では、アミノ酸および/またはタンパク質および/またはビタミンおよび/またはバイオマスを生成するための方法が提供され、この方法は、本明細書に記載の微生物を、微生物の成長ならびにアミノ酸および/またはタンパク質および/またはビタミンおよび/またはバイオマスの生成に好適な条件下、ガス状基質と、成長およびバイオ生成物生成のための他の栄養素を含む培養培地とを含むバイオリアクター内で培養することを含み、該微生物は、アミノ酸および/またはタンパク質および/またはビタミンおよび/
またはバイオマスを生成する。
【0080】
いくつかの実施形態では、微生物は、水素酸化微生物である。一実施形態では、ガス状基質は、Hおよび/またはCOを含む。いくつかの実施形態では、ガス状基質は、熱分解ガスまたは発生炉ガスまたは合成ガスである。
【0081】
一実施形態では、微生物細胞は、電子供与体として分子水素を含む化学合成反応を介して該アミノ酸、タンパク質、および/またはビタミンを生成し、該水素は、炭素捕捉および隔離(CCS)対応メタン水蒸気改質;CCS対応石炭ガス化;クヴァーナープロセスまたはカーボンブラック生成物を生成する他のプロセス;バイオマスのCCS対応ガス化または熱分解;ならびにバイオ炭連産物を生成するバイオマスの熱分解のうちの1つ以上を含む、二酸化炭素排出量が少ないかまたは二酸化炭素を排出しないで水素を生成することが知られている電気化学的または熱化学的プロセスを介して生成される。
【0082】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの炭素固定反応および少なくとも1つの同化生合成経路は、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂質、多糖類、および/またはビタミンのうちの少なくとも1つを含むバイオ生成物の形成をもたらす。一実施形態では、少なくとも1つの炭素固定反応および少なくとも1つの同化生合成経路は、カルビンサイクルおよびアミノ酸生合成経路を含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法で微生物によって生成されたバイオマスおよび/または有機分子は、1つ以上の他の生物に栄養を供給または提供するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法で生成されるアミノ酸および/またはタンパク質および/またはビタミンは、植物バイオスティミュラントまたはキノコ成長増強剤を生成するために使用される。
【0084】
別の態様では、本明細書に記載の方法に従って生成されたバイオマス、アミノ酸、タンパク質、および/またはビタミンを含む、植物バイオスティミュラントが提供される。一実施形態では、作物を処理するための方法が提供され、この方法は、本明細書に記載の植物バイオスティミュラントを、植物、および/または植物が成長する土壌、および/または植物の成長に使用される液体培地に散布することと、植物を収穫することとを含む。一実施形態では、本明細書に記載の炭素固定化反応または同化生合成を通して生成されたバイオマス、アミノ酸、タンパク質、および/またはビタミンを、植物、および/または植物が成長する土壌、および/または植物の成長に使用される液体培地に散布することと、植物を収穫することとを含む、方法が提供される。いくつかの実施形態では、植物は、農作物である。
【0085】
別の態様では、本明細書に記載の方法で成長させた微生物細胞を溶解させ、それによって溶解物を生成する。いくつかの実施形態では、溶解物を使用して、乳濁液または懸濁液を生成する。いくつかの実施形態では、溶解物は、不溶性画分および可溶性画分に分離され、そのいずれかまたは両方は、任意で濃縮または乾燥されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のように生成された溶解物、乳濁液、懸濁液、またはそれらの画分を含む、植物バイオスティミュラントが提供される。
【0086】
別の態様では、本明細書に記載の方法で生成されたタンパク質を加水分解し、それによって加水分解物を生成する。一実施形態では、加水分解は、酸加水分解を実行することを含む。一実施形態では、加水分解は、タンパク質を遊離アミノ酸およびオリゴペプチドのうちの少なくとも1つに加水分解することができる少なくとも1つの酵素を含む。一実施形態では、加水分解は、アルカリ加水分解を実行することを含む。いくつかの実施形態では、加水分解物は、乳濁液または懸濁液を生成するために使用される。いくつかの実施形
態では、加水分解物は、不溶性画分および可溶性画分に分離され、そのいずれかまたは両方は、任意で濃縮または乾燥されてもよい。いくつかの実施形態では、加水分解物を濾過し、それによって濾液(透過物)および濾過物(残余分、残渣)が生成される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のように生成された加水分解物、乳濁液、懸濁液、それらの画分、濾液、または濾過物を含む、植物バイオスティミュラントが提供される。
【0087】
別の態様では、本明細書に記載の方法で生成されるバイオマスは、植物バイオスティミュラントの生成に使用され、この方法は、該バイオマスを加水分解して加水分解物を得ることと、葉面散布および/または土壌補助剤もしくは添加剤としての散布のため、ならびに/あるいは植物成長のための液体培地中での使用のための植物バイオスティミュラントとして加水分解物を配合することとを含む。一実施形態では、この方法は、植物バイオスティミュラントを、植物、および/または植物が成長する土壌、および/または植物の成長に使用される液体培地に散布することと、植物を収穫することとを更に含む。一実施形態では、加水分解は、タンパク質を遊離アミノ酸およびオリゴペプチドのうちの少なくとも1つに加水分解することができる少なくとも1つの酵素を含む。一実施形態では、加水分解は、酸加水分解を実行することを含む。一実施形態では、加水分解は、アルカリ加水分解を実行することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のバイオマス加水分解物を含む、植物バイオスティミュラントが提供される。
【0088】
別の態様では、溶解物を生成するための方法が提供され、この方法は、本明細書に記載の微生物を、微生物の成長に好適な条件下、バイオリアクター内で培養することを含み、該バイオリアクター内で生成されたバイオマスをバイオリアクターから回収および除去し、バイオリアクターから除去された該バイオマスをその後溶解し、それによって溶解物を生成する。いくつかの実施形態では、細胞は、ホモジナイズによって破裂される。いくつかの実施形態では、溶解物は、タンパク質を含み、この方法は、該溶解物中のタンパク質を加水分解し、それによって加水分解物を生成することを更に含む。
【0089】
別の態様では、本明細書に記載の方法で成長させた微生物から単離されるタンパク質濃縮物が提供される。一実施形態では、タンパク質濃縮物は、約5%未満の核酸を含有する。一実施形態では、タンパク質濃縮物は、約3%未満の核酸を含有する。
【0090】
別の態様では、1個以上の炭素原子を含有する無機および/または有機分子を、炭素固定反応または同化生合成によって生成されるアミノ酸、タンパク質、および/またはビタミンを含む有機分子に生物学的に変換するための、本明細書に記載の方法は、a.該微生物細胞を破裂させるステップであって、該細胞が、1つ以上のヌクレアーゼ酵素を含み、それによって可溶性核酸、ヌクレアーゼ、およびタンパク質を含み、かつ不溶性細胞壁細片を含む混合物を生成する、ステップと、b.核酸がヌクレアーゼで加水分解され、それによって加水分解核酸が生成される条件下で、可溶性核酸、ヌクレアーゼ、およびタンパク質を不溶性細胞壁細片から分離するステップと、d.タンパク質を不溶性にするステップと、e.加水分解核酸を含む残りの可溶性材料から、不溶性タンパク質を分離するステップとを含む、濃縮されたタンパク質生成物を生成することを更に含む。いくつかの実施形態では、細胞は、ホモジナイズによって破裂される。一実施形態では、不溶性タンパク質は、約5%未満の核酸を含む。一実施形態では、不溶性タンパク質は、約3%未満の核酸を含む。
【0091】
別の態様では、本明細書に記載のように生成されるバイオマスおよび/または有機分子は、発酵のための有機炭素源および/もしくは窒素源;他の微生物もしくは生物の成長のための栄養源;プレバイオティクス;ヒトの栄養源もしくは食品成分;動物の飼料;製造もしくは化学プロセスのための原料もしくは化学中間体として;薬学的、医学的、もしくは栄養学的物質の供給源;肥料;土壌添加剤;土壌安定剤;土壌補助剤;植物バイオステ
ィミュラント;ならびに/またはキノコ成長増強剤のうちの少なくとも1つとしての用途を有する。一実施形態では、肥料および/もしくは土壌添加剤、ならびに/または土壌安定剤、ならびに/または土壌補助剤、ならびに/または植物バイオスティミュラント、ならびに/またはキノコ成長増強剤は、土壌に炭素および/または窒素を添加し、それによってそれが散布される土壌の炭素および/または窒素の含有量の増加をもたらす。一実施形態では、炭素源は、ガス状C1分子であり、土壌に添加される炭素は、隔離された炭素であり、ガス状C1炭素源から土壌炭素へのエンドツーエンドプロセスは、炭素隔離プロセスである。一実施形態では、肥料および/またはバイオスティミュラントは、水耕栽培、気耕栽培、養殖水耕栽培、または垂直農法システムで栽培される作物に散布される。一実施形態では、肥料および/またはバイオスティミュラントは、施肥灌水に使用される。一実施形態では、肥料および/またはバイオスティミュラントは、温室内、屋内、および/または人工照明を使用して栽培される作物に散布される。一実施形態では、微生物および他の生物を成長させるための方法が提供され、該微生物および生物を、土壌中、本明細書に記載のように生成される栄養源で成長させる。一実施形態では、発酵方法が提供され、この方法は、該有機炭素および/または窒素源を使用して、市販の酵素、抗生物質、アミノ酸、タンパク質、植物バイオスティミュラント、キノコ成長増強剤、プロバイオティクス、プレバイオティクス、生物肥料、食品、食品成分、ビタミン、脂質、バイオプラスチック、多糖類、栄養補助食品、および/または医薬品を含む1つ以上のバイオ生成物を生成する。
【0092】
別の態様では、C1原料から有機酵素抽出物を得るための方法が提供され、この方法は、1個以上の炭素原子を含有する無機および/または有機分子を、本明細書に記載の炭素固定化反応または同化生合成を通して生成されたアミノ酸、タンパク質、および/またはビタミンを含む有機分子に変換するための方法を含み、該炭素源は、1個の炭素原子のみを含み、該方法は、機械的溶解、酵素的溶解、pH調整、圧力の増加または減少、温度の増加または減少、電場または電磁場、超音波、浸透圧の変化、および酵素的加水分解のうちの1つ以上に該微生物細胞を供し、それによって有機酵素抽出物を生成することを更に含む。
【0093】
別の態様では、本明細書に記載の方法で生成されたバイオマスおよび/またはタンパク質を含む、キノコ成長増強剤が提供される。一実施形態では、キノコ成長増強剤を、キノコ堆肥と組み合わせることを含む、キノコの成長を増強する方法が提供される。一実施形態では、組み合わせたキノコ堆肥およびキノコ成長増強剤を含む、キノコ成長組成物が提供される。
【0094】
本明細書に記載の方法、システム、微生物、および組成物の様々な目的、特徴、態様、および利点は、本発明のいくつかの例示的な実施形態についての以下の発明を実施するための形態から、より明らかになるであろう。
【0095】
本発明の非限定的な実施形態は、添付の図面を参照しながら例として記載されており、それらのいくつかは、概略的であり、縮尺通りに描写されることは意図されていない。明確にする目的のため、当業者による本発明の理解を可能にするのに図示が必要ではない場合、全ての図において全ての構成要素が標識されているわけでも、また示される本発明の各実施形態の各構成要素が標識されているわけでもない。
【図面の簡単な説明】
【0096】
図1】ODとバイオマス密度との間の相関関係を描写する。
図2】ガスでの血清瓶内のCupriavidus necatorの成長曲線を描写する。
図3】血清瓶内のガスでのCupriavidus necatorの成長のヘッドスペース圧力の経時変化を描写する。
図4】血清容器内のCupriavidus necatorに消費されたH1モルあたりで生成された乾燥バイオマスを描写する。
図5】バイオリアクター内、H/CO/Oで成長させたCupriavidus necatorの成長曲線を描写する。
図6】異なる炭素源での化学栄養微生物および油性微生物の成長を明示する。示された日数(括弧内)後、650nmでの光学密度(OD)検出を使用して、細菌成長を測定した。培地および成長条件は、下記の実施例の節に記載する。ND、行わず。
図7】ガスでC.necatorを成長させるために使用したバイオリアクターおよび支持系の概略図を示す。
図8】ドラフト内、ガスでC.necatorを成長させる、2つの20Lのバイオリアクターを示す。
図9】20Lのリアクターを操作するために使用したApplikon制御装置および制御卓を、爆発性ガス検知系、質量流量計、レベル制御装置、塩基制御リザーバー、培地添加リザーバー、および気泡制御リザーバーと共に示す。
図10】超音波処理前(左)(褐色を有する)、および細胞を完全に破壊した超音波処理後(右)(バイオマスの色が褐色からクリーム色に変化した)のC.necatorのバイオマススラリーを示す。
図11】バイオリアクター内、Hガスと、COガスと、Oガスとの混合物で成長するHydrogenovibrio marinus DSM11271菌株を示す。
図12】Rhodopseudomonas capsulata DSM1710菌株の成長に使用したガス送達系および培養瓶を概略図で示す。
図13】R.capsulataの顕微鏡写真を示す。
図14】遠心分離後に回収されたR.capsulataバイオマスのペレットを示す。
図15】成長のための唯一のエネルギー源および炭素源としてのHガスと、COガスと、Oガスとの混合物でXanthobacter autotrophicus DSM432菌株を成長させるのに使用した、2リットルのガラス発酵槽系の概略図を示す。
図16】X.autotrophicusを成長させるのに使用した2リットルのバイオリアクターのヘッドプレートを概略図で示す。
図17】圧力計;ガス流量計;安全弁および逆止弁;0.2ミクロンのフィルター;バイオリアクター容器、センサー、駆動装置、および制御装置;冷却器および気泡トラップ;ならびに出口孔を含む、Xanthobacter autotrophicusを成長させるためのリアクター系の概略図を示す。
図18】X.autotrophicusの成長に使用したガス送達系の概略図を示す。
図19】X.autotrophicusのOD600と細胞乾燥重量(CDW)との間の相関関係を示す。
図20】H/CO/Oで成長させたX.autotrophicusの成長曲線を描写する。
図21】本明細書に記載の方法の一実施形態のブロック図を示し、水性細胞懸濁液の形態の発酵ブロスをアルカリ処理し、続いて物理的処理および酵素加水分解を行って、有機酵素抽出物を得る。
図22】本明細書に記載の方法の一実施形態のブロック図を示し、それによって高タンパク質で低核酸の単離物が本明細書に記載の細胞から導出される。
図23】化学独立栄養一次生産者による、複合性の多段階生命維持系または生態系を概略的に示す。
図24】例えば、バイオスティミュラント、動物飼料、もしくは肥料として、または直接的なヒトの栄養のために使用することができる高タンパク質粉の生産のための、CO+再生可能Hの使用を概略的に示す。
図25】廃棄物COおよびオフピークの断続的な再生可能エネルギーを、高タンパク質バイオスティミュラント、飼料、肥料、および/または栄養素に変換する、統合システムの概略図を示す。COの捕捉および貴重な栄養素の生成に加えて、このシステムは、需要が少ない期間中の過剰な再生可能生成による系統への負担を軽減する。
【発明を実施するための形態】
【0097】
本明細書の開示は、合成ガスまたは発生炉ガスまたは熱分解ガスまたはHガスとCOガスとの混合物などのガス状基質を、炭素源およびエネルギー源として使用する微生物系における、アミノ酸およびタンパク質および他のバイオマス成分の生物学的生成に関する。本開示はまた、他の生物またはヒトに栄養素を供給または提供するための、微生物アミノ酸、タンパク質、および他のバイオマス成分の使用にも関する。開示される方法に従って生成されるアミノ酸、タンパク質、および他のバイオマス成分は、食品および他のバイオ系生成物の生成のために、他の生物によって栄養素として消費および使用することができる。
【0098】
本開示はまた、合成ガス、発生炉ガス、熱分解ガス、CO、一酸化炭素、および水素ガスを含有するそれらの混合物などの炭素含有ガスで成長する、細菌または他の微生物を培養することを通して、アミノ酸、タンパク質、および他のバイオマス成分を生成するための組成物および方法にも関する。それはまた、バイオガスなどのメタンを含有するガス混合物、または天然ガスにも関する。本開示は更に、ガス状入力物由来の炭素を、アミノ酸、タンパク質、ビタミン、および他の栄養素などの有用な有機分子に固定する方法に関する。本明細書に開示される細菌および/または微生物は、本明細書に記載の方法または他の態様で使用するために遺伝子操作することができる。本明細書に記載のいくつかの他の態様では、微生物は、遺伝子操作されておらず、すなわち、野生型である。
【0099】
本開示は更に、ガス由来の炭素を、アミノ酸、タンパク質、ビタミン、および他の栄養素などの有用な有機分子に固定する方法に関する。本開示は更に、二酸化炭素または他の無機炭素源、および無機化学物質由来化学エネルギーを含む無機エネルギーまたは電源に直接由来する無機エネルギーを、商業的価値のある炭素系生成物、ならびに特に商業的価値のあるアミノ酸、タンパク質、ビタミン、および他の栄養素へと変換することを通して、炭素系生成物を生成する能力を生物に付与するための機構、および/または生物によるその生成を増強するための機構を記載する。
【0100】
本開示は更に、人工生態系、操作された栄養系、閉鎖生態系、ミクロ生態系、連続培養系、生物再生および閉ループ生命維持系に関する(それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、Freda B.Taub(1974)Closed Ecological Systems Annual Review of Ecology and Systematics5:139-160、およびE.A.Zuraw(1966)“Study of life support systems for space missions exceeding one year in duration”NASA,Tech.Rep.SP-134)。
【0101】
本開示は更に、水素ガスの使用に関する。水素は一般に、化石燃料に代わる持続可能な代替物として、または電気エネルギー貯蔵の手段として見なされてきた。しかしながら、それはまた、水素酸化微生物を培養するための原料および一次エネルギー源としても使用することができる。
【0102】
本開示は更に、化学独立栄養微生物、特に水素酸化細菌の科学技術的な用途に関する。
これらは、単細胞タンパク質(SCP)およびポリヒドロキシブチレート(PHB)の潜在的な生産者として過去に研究されてきた特殊な細菌群である(G.L.Drake,C.D.King,W.A.Johnson,and E.A.Zuraw,“Study
of life support systems for space missions exceeding one year in duration,”NASA,Tech.Rep.SP-134,Apr.1966.、R.Repaske and
R.Mayer,“Dense autotrophic cultures of Alcaligenes eutrophus”(1976)Applied and environmental microbiology32(4):592-597(http://aem.asm.org/cgi/content/abstract/32/4/592))。
【0103】
本開示は更に、微生物抽出物およびタンパク質加水分解物に関する。(米国特許第3,887,431号、米国特許第9,416,062号、米国特許出願第2012/0129695号、欧州特許出願第EP2,752,399号は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。本開示はまた、従属栄養微生物、真菌、動物、および植物のための、バイオスティミュラントおよび/または生物肥料の能力、ならびに高い生物吸収の能力を有する抽出物を得ることも対象とするため、それらは、有機農業、発酵、動物飼料、および直接的なヒトの栄養にとって特に有用である。
【0104】
本開示は更に、バイオスティミュラントおよび生物肥料に関する。本開示はまた、植物および真菌栄養素、バイオスティミュラント、生物肥料の生成方法、ならびにそれによって生成されるバイオスティミュラントおよび/または生物肥料にも関する。本開示はまた、キノコ成長増強材料にも関する。本開示はまた、そのようなバイオスティミュラント、生物肥料、および/または成長増強材料を散布することによって、植物および真菌を成長させる方法にも関する。本開示は更に、そのような植物および真菌から生成物を調製するためのプロセス、そのような植物または真菌を家畜に給餌することによって家畜を育てるためのプロセス、ならびにそのような家畜から生成物を生成するためのプロセスに関する。(参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、Colla,G.et al.(2015)“Protein hydrolysates as biostimulants in horticulture”Scientia Horticulturae196:28-38(http://dx.doi.org/10.1016/j.scienta.2015.08.037)、米国特許出願第US2012/0129695号、欧州特許出願第EP2752399A1号、および米国特許第4,776,872号)。
【0105】
アミノ酸、タンパク質、ビタミン、および他の生物学的栄養素の生合成生成のための方法およびシステムが本明細書に提供される。特定の実施形態では、発生炉ガス、合成ガス、排ガス、熱分解、水素酸化ガス、天然ガス、バイオガス、ならびにHと、COおよび/またはCOおよび/またはCHとを含有するガス混合物を含むが、これらに限定されないガス状基質で、アミノ酸、タンパク質、および他の生物学的栄養素を生成する、天然または操作された微生物が提供される。ガス状基質は、微生物の成長およびバイオ生成物の生合成のための炭素源ならびに/またはエネルギー源ならびに/または電子供与体および/もしくは電子受容体の供給源として機能することができる。特定の実施形態では、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ビタミン、および/または他の栄養素は、単純C1と、以下、合成ガス、発生炉ガス、H、CO、CO、HO、NH、CH、CHOH、HCOH、尿素のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない無機前駆体とから合成される。
【0106】
合成ガス、または発生炉ガス、ならびに/またはH、ならびに/またはCO、なら
びに/またはCO、ならびに/またはCH、ならびに/またはアミノ酸(リジンおよび/もしくはメチオニンを含むが、これらに限定されない)を生成することができる他の廃棄ガスで成長することができる、野生型または操作された微生物などの微生物もまた提供される。
【0107】
特定の実施形態では、アミノ酸、および/またはペプチド、および/またはタンパク質、および/またはビタミンは、単純C1と、以下、H、CO、CO、HO、NH、CH、CHOH、HCOH、尿素のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない無機前駆体とから合成される。他の非限定的な実施形態では、アミノ酸、および/またはペプチド、および/またはタンパク質、および/またはビタミンは、糖類などであるが、これに限定されない多炭素有機分子から従属栄養的に生成される。
【0108】
いくつかの実施形態では、本開示は、1つ以上のアミノ酸またはタンパク質またはビタミンを生成する方法に関し、この方法は、細菌細胞を、合成ガス、ならびに/または発生炉ガス、ならびに/またはガス状COおよび/もしくはHおよび/もしくはCOおよび/もしくはCH、例えば、HおよびCOおよび/もしくはCOおよび/もしくはCHに供することを含み、細菌細胞は、ガス状COおよび/または他のC1分子を、1つ以上のアミノ酸またはタンパク質またはビタミンに固定することができ、微生物は、外因性核酸を含まないか、または少なくとも第1の外因性核酸を含む。いくつかの実施形態では、細胞は、還元当量および/または代謝エネルギーの供給源としてガス状基質(複数可)を利用して、1つ以上のアミノ酸またはタンパク質またはビタミンを合成する。いくつかの実施形態では、微生物は、その天然の機構を通して、アミノ酸および/またはタンパク質および/またはビタミンを生成する。
【0109】
いくつかの実施形態では、本開示は、アミノ酸および/またはタンパク質および/またはタンパク質性バイオマスおよび/またはビタミンを生成するための方法に関し、この方法は、天然微生物株または操作された微生物を、合成ガス、ならびに/または発生炉ガス、ならびに/またはCOおよび/もしくはHガスおよび/もしくはCOおよび/もしくはCH、ならびに/またはバイオガス、ならびに/または天然ガス、例えば、Hと、COおよび/またはCOおよび/またはCHとを含む原料を有するバイオリアクター内または溶液中で培養することを含む。いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の組成物または細菌細胞もしくは微生物細胞を含むバイオリアクターに関する。いくつかの実施形態では、本開示は、1つ以上のアミノ酸、タンパク質、または栄養素を生成するためのシステムに関し、この方法は、(a)本明細書に記載の細胞を含む微生物集団と、(b)合成ガスもしくは発生炉ガス、ならびに/またはガス状COおよび/もしくはHおよび/もしくはCOおよび/もしくはCHおよび/もしくはメタノール、例えば、Hと、CO、および/またはCO、および/またはCH、および/またはメタノールとを含む原料の送達を可能にする原料源に接続された入口とを含む、バイオリアクターを含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の組成の細胞を含む微生物集団内でアミノ酸、タンパク質、または他の栄養素を生成する方法に関し、この方法は、合成ガスもしくは発生炉ガス、ならびに/またはガス状COおよび/もしくはHおよび/もしくはCOおよび/もしくはCHおよび/もしくはメタノール、例えば、Hと、CO、および/またはCO、および/またはCH、および/またはメタノールとを含む原料中の、本明細書に記載の細胞または組成物を含む微生物集団を培養することを含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、本開示は、1つ以上のアミノ酸、タンパク質、または他の栄養素を製造する方法に関し、この方法は、(a)合成ガスもしくは発生炉ガス、ならびに/またはガス状COおよび/もしくはHおよび/もしくはCOおよび/もしくはCH
、例えば、Hと、CO、および/またはCO、および/またはCHとの存在下、反応容器内またはバイオリアクター内で本明細書に記載の細胞を培養することであって、細胞が、その細胞の総乾燥細胞質量の少なくとも10%以上の量で、1つ以上のアミノ酸、またはタンパク質、または他の栄養素を生成および/または分泌する、培養することと、(b)1つ以上のアミノ酸、またはタンパク質、または他の栄養素、または全細胞生成物を反応容器から分離することとを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、反応容器またはバイオリアクターからの分離後に、1つ以上のアミノ酸、またはタンパク質、または他の栄養素、または全細胞生成物を精製することを更に含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸、またはタンパク質、または他の栄養素、または全細胞生成物は、別の生物に提供される飼料もしくは栄養素供給物もしくは肥料内に含まれる構成要素もしくは前駆体である。いくつかの実施形態では、本開示は、1つ以上のアミノ酸を生成する方法に関し、この方法は、細菌細胞、古細菌細胞、および/または他の微生物細胞を、合成ガスならびに/またはガス状COおよび/もしくはH、および/もしくはCO、および/もしくはCH、例えば、Hと、CO、および/もしくはCO、および/もしくはCHとに曝露することを含み、細胞は、ガス状COおよび/または他のC1炭素源を1つ以上のアミノ酸および/またはタンパク質および/またはビタミンに固定することができ、化合物は、バイオリアクターから回収され、第2またはそれ以上の追加のリアクターおよび/またはプロセスステップに供給され、ここで化合物は後処理されて、以下、肥料、バイオスティミュラント、成長補助剤、ヒトの栄養、またはビタミンのうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない生成物を生成する。
【0112】
1つ以上の炭素固定プロセスステップにおいて、絶対または任意化学独立栄養微生物、および特に化学無機独立栄養微生物を利用する化学的および生物学的プロセスを通して、二酸化炭素含有ガス流、および/あるいは大気中の二酸化炭素または溶解、液化、もしくは化学結合形態の二酸化炭素から、二酸化炭素を捕捉するための組成物および方法が提供される。本開示はまた、化学独立栄養生物によって実行されて、無機炭素が、アミノ酸および/またはタンパク質および/またはビタミンおよび/またはバイオマスを含むが、これらに限定されない中間または最終化学物質である有機化合物に固定される、化学合成反応の化学生成物の回収、処理、および使用のための組成物および方法も提供する。本開示はまた、化学合成に必要とされる電子供与体および電子受容体の提供を含むが、これらに限定されない化学合成および化学独立栄養培養物の維持に必要とされる化学栄養素の生成、処理、および送達のための組成物および方法も提供する。本開示はまた、化学合成および化学独立栄養成長に役立つ環境の維持、ならびに未使用の化学栄養素およびプロセス水の回収および再利用のための組成物および方法も提供する。
【0113】
本明細書の特定の実施形態の1つの特徴は、一酸化炭素、メタン、メタノール、ギ酸塩、もしくはギ酸を含むが、これらに限定されないC1炭素源、ならびに/または様々なガス化、熱分解、もしくは水蒸気改質固定炭素原料および/もしくはメタン原料から生成される様々な合成ガス組成物を変換するプロセス全体において、C1化学物質をより長い炭素鎖の有機分子(すなわち、C2以上、およびいくつかの実施形態では、C5以上の炭素鎖の分子)に変換するための生体触媒として化学栄養微生物を利用する1つ以上のプロセスステップを含むことである。いくつかのそのような実施形態では、合成ガスもしくはプロセスガスを含有するC1、または液体形態もしくは溶液中に溶解されたC1化学物質は、栄養培地および化学栄養微生物を含有する容器または筺体にポンピングされるか、または別の方法で添加される。いくつかのそのような場合、化学栄養微生物は、C1化学物質に貯蔵された炭素および電子を使用して、ならびに/あるいは分子水素、および/または固体状態の電極材料中の価電子もしくは伝導電子、および/または栄養培地にポンピングされるか、もしくは別の方法で提供される、以下、アンモニア;アンモニウム;一酸化炭素;亜ジチオン酸塩;元素硫黄;炭化水素;メタ重亜硫酸塩;一酸化窒素;亜硝酸塩;チオ硫酸ナトリウム(Na)またはチオ硫酸カルシウム(CaS)などを
含むが、これらに限定されないチオ硫酸塩などの硫酸塩;硫化水素などの硫化物;亜硫酸塩;チオン酸塩;亜チオン酸塩;可溶性相または固相にある、遷移金属またはそれらの硫化物、酸化物、カルコゲン化物、ハロゲン化物、水酸化物、オキシ水酸化物、硫酸塩、または炭酸塩を含むが、これらに限定されない電子供与体の一覧のうちの1つ以上由来の電子および水素を使用して、C1化学物質をより長い炭素鎖の有機化学物質に伸長させる生化学合成を実行する。電子供与体は、化学合成呼吸反応において電子受容体によって酸化され得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の微生物によって呼吸に使用される電子受容体には、酸素、二酸化炭素、第二鉄イオンもしくは他の遷移金属イオン、硝酸塩、亜硝酸塩、酸素、または固体電極材料中の孔のうちの1つ以上が含まれるが、これらに限定されない。特定の非限定的な実施形態では、該化学栄養微生物は、水素酸化微生物または酸水素微生物である。
【0114】
特定の実施形態では、本開示は、外因性核酸を含まないか、または1つ以上の外因性核酸配列を含む、化学栄養細菌株に関する。本発明は、化学栄養細菌および特定の関連微生物が、化学物質、タンパク質、飼料、肥料、モノマー、油、燃料、ならびにガス状原料および廃棄物炭素原料由来の他の生物学的物質の経済的および大規模生成において、予期せぬ利点をもたらすという発見に部分的に起因する。
【0115】
本明細書に記載の微生物によって合成されるタンパク質、脂質、および他の生化学物質は、バイオスティミュラント、生物肥料、またはキノコ成長補助剤の生成の原料を含むが、これらに限定されない用途に適用すること、ならびにバイオスティミュラント、生物肥料、肥料、動物飼料、食品、パーソナルケア、および化粧品の製品中の成分として適用することができる。いくつかの実施形態では、酵素的および化学的プロセスを利用して、ビタミン、アミノ酸、および/またはタンパク質を生成することができる。いくつかの実施形態は、バイオスティミュラントおよび/または肥料の生成方法を提供する。加えて、本開示は、改善されたアミノ酸および/もしくはタンパク質収量ならびに/またはより低い生産費用のために、化学栄養細菌を培養および/または修飾するための方法を提供する。
【0116】
本開示は、絶対または任意化学独立栄養微生物中の、化学物質、モノマー、ポリマー、アミノ酸、タンパク質、多糖類、ビタミン、および栄養補助食品もしくは医薬品またはそれらの中間体を含むが、これらに限定されない対象となる炭素系生成物の生成および/または分泌を付与して、これらの生物が、二酸化炭素ならびに/または他の形態の無機炭素ならびに/または合成ガスならびに/または他のC1化合物(メタノールなど)ならびに/または熱分解反応の液体、ガス状、および固体生成物(熱分解ガスおよび/もしくは油など)を、対象となる炭素系生成物に変換するようにするための方法および機構に関し、具体的には、化学物質、モノマー、ポリマー、アミノ酸、タンパク質、多糖類、ビタミン、動物飼料、バイオスティミュラント、肥料、および栄養補助食品もしくは医薬品またはそれらの中間体の商業生産のためのそのような生物の使用に関する。しかしながら、本開示はまた、糖類などであるが、これらに限定されない多炭素有機分子炭素源から従属栄養的に該生成物を生成する方法にも関する。
【0117】
いくつかの実施形態では、本開示はまた、未精製の生入力化学物質を、化学合成炭素固定ステップの支持に適したより精製された化学物質に変換する;エネルギー入力を、化学合成の推進に使用することができる化学的形態、ならびに特に電子供与体および電子受容体の形態の化学エネルギーに変換する;化学合成炭素固定の支持に好適な条件下で、工業または大気または水生の供給源から捕捉された無機炭素を、プロセスの炭素固定ステップ(複数可)に指向する;化学合成炭素固定ステップの出力生成物を、貯蔵、出荷、および販売に好適な形態へと更に処理する;化学合成反応ステップと連続および/または並行して生じる、化学プロセスステップのための組成物および方法も提供し、該生成物には、アミノ酸および/またはタンパク質および/またはビタミンおよび/またはバイオマスが含
まれるが、これらに限定されない。生物学的化学合成炭素固定ステップと組み合わせた、完全に化学的で非生物的なプロセスステップは、本発明の炭素捕捉および変換プロセス全体を構成する。本発明は、他の生物形態と比較して、化学プロセス流内に生体触媒として化学独立栄養微生物を統合する独自の容易さを利用する。
【0118】
本明細書で別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。Singleton,et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology,second ed.,John Wiley and Sons,New York(1994)、およびHale&Markham,The Harper Collins Dictionary of Biology,Harper Perennial,NY(1991)は、本明細書で使用される用語の多くについての一般的な辞書を当業者に提供している。本明細書に記載の方法、システム、および組成物の実施または試験には、本明細書に記載のものと同様または同等の任意の方法および材料を使用することができる。
【0119】
別段示されない限り、本発明の実施は、当該技術分野の技術の範囲内である分子生物学(組み換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、および生化学の従来の技術を用いるであろう。そのような技術は、文献、例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,second edition(Sambrook et al.,1989)、Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel et al.,eds.,1994)、PCR:The Polymerase Chain Reaction(Mullis et al.,eds.,1994)、およびGene Transfer and Expression:A Laboratory Manual(Kriegler,1990)に完全に説明されている。
【0120】
本明細書に提供される数値範囲は、その範囲を定義する数を含む。
【0121】
別段示されない限り、それぞれ、核酸は、5´~3´への配向で左から右に記述され、アミノ酸配列は、アミノからカルボキシへの配向で左から右に記述される。
【0122】
定義
文脈が明確に指示しない限り、「a(1つの)」、「an(1つの)」、および「その」は、複数の参照対象を含み、したがってそれとは反対に明確に示さない限り、本明細書において明細書および特許請求の範囲で使用される場合、不定冠詞「a(1つの)」、「an(1つの)」、および「その」は、「少なくとも1つ」を意味すると理解されたい。
【0123】
本明細書において明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「および/または」という語句は、そのように結合された要素、すなわち、場合によっては結合的に存在し、他の場合には分離的に存在する要素の「いずれかまたは両方」を意味すると理解されたい。それとは反対に明確に示されない限り、具体的に特定された要素に関連するか関連しないかにかかわらず、「および/または」の条項によって具体的に特定される要素以外の他の要素が任意に存在してもよい。したがって、非限定的な一例として、「含む」などの非限定語と共に使用される場合、「Aおよび/またはB」に対する言及は、一実施形態ではBを有しないA(任意でB以外の他の要素を含む)、別の実施形態ではAを有しないB(任意でA以外の他の要素を含む)、更に別の実施形態ではAおよびBの両方(任意で他の要素を含む)を指すことができるなどである。
【0124】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、量および持続時間などの測定可能な値を指す時、指定の値から±20%、±10%、±5%、±1%、または±0.1%の変動(そのような変動が、開示される方法を実行するのに、または開示される組成物との関連で適切である場合)を包含することを意味する。
【0125】
「アミノ酸」という用語は、炭素に結合したアミン基およびカルボキシル基の両方を含有する分子を指し、これは、アルファ-炭素と称される。好適なアミノ酸としては、天然に存在するアミノ酸のD異性体およびL異性体の両方、ならびに有機合成または他の代謝経路によって調製される天然に存在しないアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、単一の「アミノ酸」は、拡張脂肪族または芳香族骨格スキャフォールドに利用可能であるような、複数の側鎖部分を有し得る。別段文脈が具体的に示さない限り、本明細書で使用される場合、アミノ酸という用語は、アミノ酸類似体を含むことが意図されている。
【0126】
「同化」は、生存生物がより単純な分子から生命の複合分子を合成するプロセスを指す。同化プロセスは、ペプチド、タンパク質、多糖類、脂質、および核酸を生成する。同化作用に必要とされるエネルギーは、アデノシン三リン酸(ATP)などの細胞内エネルギー担体によって供給される。
【0127】
「オーキシン」は、いくつかのモルフォゲン様の特徴を有する植物ホルモン(または植物成長物質)のクラスである。オーキシンは、植物の生活環における多くの成長および挙動プロセスの協調において中心的な役割を有し、植物体の発達に不可欠である。
【0128】
「生体吸収」は、物質が生物の組織および器官によって吸収されるプロセスを指す。
【0129】
「バイオスティミュラント(Bio-stimulant)」または「バイオスティミュラント(Biostimulant)」は、植物、例えば、農作物の成長および発達を刺激すること、ならびに土壌の微生物学的活性を増加および増強することができる化合物を指す。
【0130】
「バイオマス」という用語は、細胞の成長および/または増殖によって生成される材料を指す。バイオマスは、細胞および/または細胞内内容物、ならびに細胞によって分泌される化合物を含むが、これに限定されない、細胞外材料を含有し得る。
【0131】
「バイオリアクター」または「発酵槽」という用語は、細胞が成長および維持される閉鎖型または部分的に閉鎖型の容器を指す。細胞は、液体懸濁液中にあってもよいが、必ずしも液体懸濁液中に保持される必要はない。いくつかの実施形態では、細胞は、液体懸濁液中に保持されるのではなく、代替的に、固体成長支持材料を含むが、これに限定されない別の非液体基質と接触して、その上で、またはその中で成長および/または維持されてもよい。
【0132】
「炭素固定」反応または経路という用語は、CO、CO、およびCHを含むが、これらに限定されない周囲条件下でガス状である炭素の形態を、周囲条件下で液体もしくは固体であるか、または水溶液中に溶解されるかもしくはその中に懸濁して保持される、炭素系生化学物質に変換する、酵素反応または代謝経路を指す。
【0133】
「炭素源」は、微生物が有機生合成に必要とされる炭素を導出する分子の種類を指す。
【0134】
一酸化炭素を許容または酸化することができる「カルボキシド栄養」微生物。好ましい実施形態では、カルボキシド栄養微生物は、炭素源として、ならびに/または生合成およ
び/もしくは呼吸のための還元電子源としてCOを利用することができる。
【0135】
「触媒」という用語は、触媒は生成物自体には変換されたり、化学反応の完了時に別の方法で変化したり消費されたりしない一方で、反応物(複数可)が生成物(複数可)に変換される化学反応が生じる速度を加速させる、分子または巨大分子構造などの化学作用物質を指す。触媒が1つの化学反応に関与した後、それは変化していないため、それは更なる化学反応に関与し、追加の反応物に作用して、追加の生成物を作り出すことができる。化学反応を加速させるために、触媒は反応経路にわたる活性化エネルギーの障壁を減少させ、化学反応がより低温で、または所与の温度でより速く生じることを可能にする。このようにして、化学平衡に対するシステムのより急速なアプローチを達成することができる。触媒は、タンパク質触媒である酵素を包含する。
【0136】
「セルロース材料」という用語は、一般に数百~数千個のβ(1→4)連結D-グルコースモノマーの直鎖からなる、式、(C10を有する多糖類である多量のセルロースを有する任意の材料を指す。セルロース材料の供給源には、厚紙、綿、トウモロコシ茎葉、紙、木材チップ、おが屑、テンサイパルプ、サトウキビバガス、およびスイッチグラスが含まれるが、これらに限定されない。
【0137】
「化学独立栄養生物」は、化学電子受容体による化学電子供与体の酸化によってエネルギーを得、生物によって生存および成長に必要とされる全ての有機化合物を二酸化炭素から合成する生物を指す。
【0138】
「CoA」または「補酵素A」という用語は、脂肪酸合成および酸化、ピルビン酸塩酸化、アセチル基または他のアシル基転移、ならびに他のアセチル化に関与する酵素を縮合させるための有機補因子を指す。
【0139】
「補因子」という用語は、その触媒活性を実行するために酵素によって必要とされる全ての分子を包含する。いくつかの実施形態では、補因子は、基質とは別の任意の分子である。
【0140】
特許請求の範囲および明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「担持する」、「有する」、「含有する」、「伴う」、および「保持する」などの全ての移行句は、非限定的である、すなわち、「含むが、それに限定されない」を意味すると理解されたい。「からなる」および「から本質的になる」という移行句のみが、それぞれ閉鎖または半閉鎖移行句であるものとする。
【0141】
「培養する」という用語は、液体または固体培地中、成長に好適な条件下で細胞集団、例えば、微生物細胞を成長させることを指す。
【0142】
「に由来する」という用語は、「に由来する」、「から得られる」、「から得ることができる」、「から単離される」、および「から作製される」という用語を包含し、一般に1つの特定の材料の起源が別の特定の材料中にあるか、または別の特定の材料に関して説明することができる特徴を有することを示す。
【0143】
「誘発剤」は、植物害虫、病害、または相乗的生物に多くの場合関連付けられる外因性または外来性分子である。誘発剤分子は、植物細胞膜に位置する特別な受容体タンパク質に結合することができる。
【0144】
「エネルギー源」は、好気性呼吸において酸素によって酸化される電子供与体、または嫌気性呼吸において酸化される電子供与体と還元される電子受容体との組み合わせのいず
れかを指す。
【0145】
「土壌」は、特にそれが生存生物に影響する場合、土壌のもの、もしくは土壌に関連するもの、および/または特定の種類の土壌に関連するものを意味する。
【0146】
「リグノセルロース材料」という用語は、炭水化物ポリマー(セルロースおよびヘミセルロース)がリグニンに緊密に結合した、セルロース、ヘミセルロース、およびリグニンからなる任意の材料である。リグノセルロース材料は、農業残渣(トウモロコシ茎葉およびサトウキビバガスを含む)、大部分のバイオマスエネルギー作物、木材残渣(製材所および製紙工場の廃棄物を含む)、ならびに都市廃棄物の実質的な画分を包含する。
【0147】
「脂質」という用語は、非極性溶媒(クロロホルムおよび/またはエーテルなど)中に溶解させることができ、かつ水中では低い溶解性を有するかまたは全く溶解性を有しない分子のカテゴリーを指す。脂質分子の疎水特性は典型的には、分子内の長鎖炭化水素区分の存在から生じる。脂質は、以下の分子の種類、炭化水素、脂肪酸(飽和および不飽和)、脂肪アルコール、脂肪アルデヒド、ヒドロキシ酸、二酸、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質、スフィンゴ脂質、ステロール(コレステロールおよびステロイドホルモンなど)、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、およびKなど)、ポリケチド、テルペノイド、ならびにワックスを包含する。
【0148】
「溶解物」という用語は、細胞溶解から生じる細胞内容物の混合物および/または溶液を含有する液体を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、細胞溶解物中の化学物質または化学物質の混合物の精製を含む。いくつかの態様では、本方法は、細胞溶解物中のアミノ酸および/またはタンパク質の精製を含む。
【0149】
「溶解」という用語は、相当量の細胞内材料が細胞外空間に逃げるような、細胞の細胞壁、および存在する場合、原形質膜の破裂を指す。溶解は、電気化学的、機械的、浸透圧的、熱的、またはウイルス的手段を使用して実行することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の細胞または微生物の溶解を実行して、バイオリアクターの内容物から化学物質または化学物質の混合物を分離することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、本明細書に記載の細胞または微生物の溶解を実行して、バイオリアクターまたは細胞成長培地の内容物からアミノ酸またはアミノ酸および/もしくはタンパク質の混合物を分離することを含む。
【0150】
本明細書において明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「または」は、上記に定義される「および/または」と同じ意味を有すると理解されたい。例えば、一覧表内の項目を分離する場合、「または」または「および/または」は、包括的であるものとして解釈されるものとし、包括的とは、すなわち、いくつかの要素または要素の一覧表、および任意で列挙されていない追加の項目のうちの少なくとも1つ(しかし2つ以上も含む)を含むことである。特許請求の範囲で使用される場合、「のうちの1つのみ」または「のうちの厳密に1つ」などの、それとは反対に明確に示される用語のみが、いくつかの要素または要素の一覧表のうちの厳密に1つの要素を含むことを指す。一般に、本明細書で使用される場合、「または」という用語は、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」などの排他的な用語が先行する場合にのみ、排他的な代替物(すなわち、「両方ではなく、一方または他方」)を示すものとして解釈されるものとする。特許請求の範囲において使用される場合、「から本質的になる」は、特許法の分野において使用される場合のその通常の意味を有するものとする。
【0151】
「力価」は、微生物発酵プロセスにおいて単位体積あたりの微生物によって生成される物質の量を指す。例えば、バイオマス力価は、溶液1リットルあたりに生成されるバイオ
マスのグラムとして表すことができる。
【0152】
「収量」は、全ての供給物質が生成物に変換された場合に生成されるであろう物質の総量に対する、供給材料(例えば、糖類)から生成される生成物の量を指す。例えば、アミノ酸収量は、供給物質の100%がアミノ酸に変換された場合の理論収量に対する、生成されるアミノ酸の%として表すことができる。
【0153】
「生産性」は、微生物発酵プロセスにおいて、単位時間あたりで単位体積あたりの微生物によって生成される物質の量を指す。例えば、バイオマス生産性は、1時間あたり溶液1リットルあたりに生成されるバイオマスのグラムとして表すことができる。
【0154】
「野生型」は、天然に存在する状態の微生物を指す。
【0155】
「遺伝子」は、ポリペプチドの生成に関与するDNAセグメントを指し、コード領域の前後の領域、および個々のコードセグメント(エキソン)間の介在配列(イントロン)を含む。
【0156】
本明細書で使用される場合、「回収される」、「単離される」、「精製される」、および「分離される」という用語は、それが天然状態で関連付けられる少なくとも1つの構成要素から除去される材料(例えば、タンパク質、核酸、または細胞)を指す。例えば、これらの用語は、例えば、無傷の生物系などの、その天然の状態において見出されるような、通常それに付随する構成要素を実質的にまたは本質的に含まない材料を指すことができる。
【0157】
「無機独立栄養」は、生物が無機化学電子受容体による無機化学電子供与体の酸化をエネルギー源として利用する、特定の種類の化学独立栄養性を指す。
【0158】
「水素酸化ガス」という用語は、分子水素と酸素ガスとの混合物を指す。「水素酸化微生物」は、アデノシン-5´-三リン酸(ATP)などの細胞内エネルギー担体の生成のための呼吸において、電子供与体として水素を、電子受容体として酸素を使用することができる微生物である。「酸水素」および「酸水素微生物」という用語は、それぞれ「水素酸化ガス」および「水素酸化微生物」と同義に使用することができる。水素酸化微生物は一般に、ヒドロゲナーゼにより分子水素を使用し、電子のいくつかがNAD(および/または細胞内還元等価物)の還元に利用されるHから供与され、電子のいくつかが好気性呼吸に使用されるHから供与される。水素酸化微生物は一般に、カルビンサイクルまたは逆クエン酸サイクルを含むが、これらに限定されない経路を通して、独立栄養的にCOを固定する[“Thermophilic bacteria”,Jakob Kristjansson,Chapter 5,Section III,CRC Pre
ss,(1992)]。
【0159】
「従属栄養生物」は、生物によって生存および成長に必要とされる全ての有機化合物を二酸化炭素から合成することができず、成長のために有機化合物を利用しなければならない生物を指す。従属栄養生物は、自らの食物を生成することはできず、代わりに植物性および動物性物質などの有機物質を取り込み、代謝すること(すなわち、二酸化炭素などの無機源から炭素を固定するのではない)によって、食物およびエネルギーを得る。
【0160】
「ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド」は、酸化還元反応に関与し、1つの反応から別の反応へと電子を運搬する、全ての生存細胞に見出される補酵素である。ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドは、2つの形態、すなわち、それぞれNADおよびNADHと省略される酸化型および還元型で存在する。
【0161】
「水素酸化菌」は、細胞内還元等価物の生成のために、および/または呼吸において、電子供与体として還元Hを利用する微生物を指す。
【0162】
「酢酸生成菌」は、嫌気性呼吸の産物として最大C4鎖長の酢酸および/または他の短鎖有機酸を生成する微生物を指す。
【0163】
「メタン生成菌」は、嫌気性呼吸の産物としてメタンを生成する微生物を指す。
【0164】
「メチル栄養生物」は、それらの成長のための炭素源としておよび/または電子供与体として、メタノールまたはメタンなどであるが、これらに限定されない還元型一炭素化合物を使用することができる微生物を指す。
【0165】
「極限環境生物」は、地表または地表近くに見出される大部分の生物形態によって許容される地表上または海洋上の条件と比較して、物理的または地球化学的極限条件(例えば、高温もしくは低温、高pHもしくは低pH、または高塩分)で繁殖する微生物を指す。
【0166】
「好熱菌」は、一生涯にわたって比較的高い温度、典型的には約45℃~約122℃で繁殖する一種の極限環境生物を指す。
【0167】
「超好熱菌」は、一生涯にわたって極度に高温、典型的には約60℃(140°F)以上の環境で繁殖する一種の極限環境生物を指す。
【0168】
「好酸性菌」は、強酸性条件下(通常、pH2.0以下)で繁殖する一種の極限環境生物を指す。
【0169】
「好塩菌」は、非常に高濃度の塩を有する環境で繁殖する一種の極限環境生物を指す。
【0170】
「好冷菌」は、低温、典型的には約10℃以下で成長および繁殖することができる一種の極限環境生物を指す。
【0171】
「発生炉ガス」は、様々な割合のH、CO、およびCOを含有し、かつ標準条件下で単位体積あたり、典型的には天然ガスの1/2~1/10の間の範囲の発熱量を有するガス混合物を指す。発生炉ガスは、炭素系原料のガス化、水蒸気改質、または自動改質を含む、様々な原料から様々な方法で生成することができる。H、CO、およびCOに加えて、発生炉ガスは、生成プロセスおよび原料に応じて、メタン、硫化水素、凝縮性ガス、タール、および灰を含むが、これらに限定されない他の成分を含有してもよい。混合物中のNの割合は、空気がリアクター内で酸化剤として使用されるかどうか、および反応のための熱が直接燃焼または間接熱交換によって提供されるかどうかに応じて、高くても低くてもよい。
【0172】
「フラボノイド」(またはバイオフラボノイド)(それらの天然の色である黄色を意味するラテン語のflavusという単語から)は、植物および真菌の二次代謝物のクラスである。化学的には、フラボノイドは、2つのフェニル環(AおよびB)ならびに複素環(C)からなる15個の炭素骨格の一般構造を有する。この炭素構造は、C6-C3-C6と省略することができる。
【0173】
「肥料」は、土壌を富化し、通常の栄養成長のための1つ以上の必須栄養素を植物に提供するために使用される、有機または無機、天然または合成の物質である。特定の実施形態では、肥料という用語はまた、真菌およびキノコの生産のための栄養素も指す。
【0174】
「施肥灌水」は、灌漑システムへの肥料、土壌改良剤、および他の水溶性生成物の注入である。
【0175】
「ガス化」という用語は、炭素系材料を、合成ガス(synthesis gas)、合成ガス(syngas)、または発生炉ガスと呼ばれる、水素、一酸化炭素、および二酸化炭素を含むガスの混合物に変換する、一般に高温のプロセスを指す。この方法は一般に、炭素系材料の完全燃焼には不十分な酸素しか存在しないような酸素および/または水蒸気の制御された添加と共に、部分燃焼および/または外部から発生した熱を適用することを伴う。
【0176】
「ジベレリン」(GA)は、成長を制御し、茎の伸長、発芽、休眠、開花、性発現、酵素誘導、ならびに葉および果実の老化を含む様々な発達プロセスに影響を与える植物ホルモンである。
【0177】
「グルコシノレート」は、カラシナ、キャベツ、およびセイヨウワサビなどの、多くの辛味のある植物の天然成分である。それらの植物の辛味は、植物材料を咀嚼、切断、または他の方法で損傷させた時にグルコシノレートから生成されるカラシ油によるものである。
【0178】
「微生物(microorganism)」および「微生物(microbe)」という用語は、微視的な単細胞生物を意味する。
【0179】
「分子」という用語は、1つ以上の原子を含む物質の、任意の異なるまたは区別可能な構造単位を意味し、例えば、炭化水素、脂質、ポリペプチド、およびポリヌクレオチドを含む。
【0180】
「油性」という用語は、油に富んでいるか、または油を大量に生成するものを指す。
【0181】
「オリゴペプチド」は、比較的少数のアミノ酸残基、例えば、約2~約20個のアミノ酸を含有するペプチドを指す。
【0182】
「有機化合物」という用語は、無機と見なされる以下の例外、炭化物、炭酸塩、炭素の単純酸化物、シアン化物、ならびに純炭素の同素体(ダイアモンドおよびグラファイトなど)を除いて、炭素原子を含有する任意のガス状、液体、または固体の化学化合物を指す。
【0183】
パパイヤプロテイナーゼIとしても知られる「パパイン」は、パパイヤ(Carica
papaya)およびカリカ(Vasconcellea cundinamarcensis)に存在するシステインプロテアーゼ(EC3.4.22.2)酵素である。
【0184】
「ペプシン」は、タンパク質をより小さなペプチドに分解する酵素(すなわち、プロテアーゼ)である。それは胃内で生成され、ヒトおよび他の多くの動物の消化器系の主要な消化酵素の1つであり、食品中のタンパク質の消化を助ける。
【0185】
「ペプチド」は、鎖状に連結した2つ以上のアミノ酸からなる化合物であり、各酸のカルボキシル基は、例えば、R-OC-NH-R’型の結合によって次の酸のアミノ基に接合している(約2~約50個のアミノ酸)。
【0186】
「に対する前駆体」または「の前駆体」という用語は、最終生成物の構成要素のうちの
1つ以上の生成に向けた中間体である。
【0187】
「生成する」という用語は、細胞からの化合物の分泌を含む、細胞内および細胞外での化合物の生成の両方を含む。
【0188】
「葉圏」は、微生物の生息地としての植物の地上部分全体を指すために微生物学において使用される用語である。
【0189】
「植物毒性」は、植物成長に対する化合物の毒性作用である。そのような損傷は、微量金属、塩分、農薬、植物毒素、またはアレロケミカルを含む、多様な化合物によって引き起こされ得る。
【0190】
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」は、アミノ酸から構成され、当業者によってタンパク質として認識される組成物を指す。アミノ酸残基の従来の一文字または三文字のコードが、本明細書で使用される。「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために本明細書で互換的に使用される。ポリマーは直鎖であっても分岐鎖であってもよく、それは修飾アミノ酸を含んでもよく、それは非アミノ酸によって中断されてもよい。この用語はまた、天然状態でまたは介入によって(例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識構成要素との共役などの任意の他の操作もしくは修飾など)修飾されているアミノ酸ポリマーも包含する。また、例えば、アミノ酸の1つ以上の類似体(例えば、非天然アミノ酸などを含む)を含有するポリペプチド、および当該技術分野において既知である他の修飾もまたこの定義に含まれる。
【0191】
「根圏」は、根の分泌物および関連する土壌微生物によって直接影響を受ける、狭い土壌の領域である。
【0192】
「硫黄酸化菌」は、細胞内還元等価物の生成および/または呼吸における電子供与体として、HSを含むが、これに限定されない還元硫黄含有化合物を利用する微生物を指す。
【0193】
「合成ガス(Syngas)」または「合成ガス(Synthesis gas)」は、類似した発生炉ガスがHおよびCOを含有するが、特定の種類の化学生成物(メタノールまたはフィッシャー・トロプシュディーゼルなどであるが、これらに限定されない)の合成のためにHおよびCOの含有量および比率ならびに不純物のレベルに関してより具体的に調整されている、一種のガス混合物を指す。合成ガスは一般に、主要な構成要素としてH、CO、およびCOを含有し、それは、メタン、液体石油ガス、もしくはバイオガスの水蒸気改質;またはバイオマス、廃棄有機物、様々なポリマー、泥炭、および石炭を含むが、これらに限定されない任意の有機、可燃性、炭素系材料のガス化を通してを含む、確立された方法を通して発生させることができる。合成ガスの水素構成要素は、水性ガスシフト反応におけるCOと水蒸気との反応を通して、合成ガス混合物中のCOを同時に増加させることによって増加させることができる。
【0194】
「トリプシン」(EC3.4.21.4)は、多くの脊椎動物の消化器系に見出されるPAクランスーパーファミリーのセリンプロテアーゼであり、タンパク質を加水分解する。トリプシンは、そのプロ酵素型(膵臓によって生成されるトリプシノーゲン)が活性化された時に小腸内で形成される。トリプシンは、どちらかの後にプロリンが続く場合を除いて、主にアミノ酸リジンまたはアルギニンのカルボキシル側でペプチド鎖を切断する。それは、多数の生物工学的プロセスに使用されている。このプロセスは一般に、トリプシンタンパク質分解またはトリプシン処理と称され、トリプシンで消化/処理されたタンパ
ク質は、トリプシン処理されていると言われる。本明細書の特定の実施形態は、本明細書に記載のように生成されるタンパク質のトリプシン処理を利用する。
【0195】
本明細書で使用される場合、「ポリヌクレオチド」という用語は、任意の長さならびに任意の三次元構造および一本鎖または複数本鎖(例えば、一本鎖、二本鎖、三重螺旋など)のヌクレオチドのポリマー形態を指し、これは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、および/またはデオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドの類似体もしくは修飾形態(修飾ヌクレオチドもしくは塩基またはそれらの類似体を含む)を含有する。遺伝暗号は縮重しているため、2つ以上のコドンを使用して、特定のアミノ酸をコードすることができ、本発明は、特定のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを包含する。使用条件下でポリヌクレオチドが所望の機能性を保持する限り、ヌクレアーゼ耐性を増加させる修飾(例えば、デオキシ、2´-O-Me、ホスホロチオエートなど)を含む、任意の種類の修飾ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体を使用することができる。例えば、放射性もしくは非放射性の標識またはアンカー(例えば、ビオチン)などの標識が検出または捕捉の目的で組み込まれてもよい。ポリヌクレオチドという用語はまた、ペプチド核酸(PNA)も含む。ポリヌクレオチドは、天然に存在するものでも天然に存在しないものでもよい。「ポリヌクレオチド」、「核酸」、および「オリゴヌクレオチド」という用語は、本明細書で互換的に使用される。ポリヌクレオチドは、RNA、DNA、もしくはその両方、ならびに/またはそれらの修飾形態および/もしくは類似体を含有し得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成要素によって中断されてもよい。1つ以上のホスホジエステル結合は、代替的な連結基によって置き換えられてもよい。これらの代替的な連結基には、リン酸がP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR.sub.2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR´、CO、またはCH.sub.2(「ホルムアセタール」)によって置き換えられている実施形態が含まれるが、これらに限定されず、ここで、各RまたはR´は独立して、任意でエーテル(--O--)結合、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、またはアラルジルを含有する、Hまたは置換もしくは非置換アルキル(1-20C)である。ポリヌクレオチド中の全ての結合が、同一である必要はない。ポリヌクレオチドは、直鎖状であっても環状であってもよく、または直鎖状部分と環状部分との組み合わせを含んでもよい。
【0196】
本明細書で使用される場合、「宿主細胞」という用語は、ポリペプチド生成のための組み換え発現ベクターが、そのポリペプチドの発現のためにトランスフェクトされ得る細胞または細胞株を指す。宿主細胞は、単一の宿主細胞の子孫を含み、その子孫は、天然、偶然、または意図的な変異のために、元の親細胞と(形態において、または全ゲノムDNA相補体において)必ずしも完全に同一ではなくてもよい。宿主細胞は、インビボで発現ベクターでトランスフェクトまたは形質転換された細胞を含む。
【0197】
「組み換え」という用語は、例えば、改変されたポリペプチドを生成するようにコード配列を変異させること、コード配列を別の遺伝子のコード配列と融合させること、遺伝子を異なるプロモーターの制御下に置くこと、異種生物において遺伝子を発現させること、減少または上昇したレベルで遺伝子を発現させること、およびその天然の発現プロファイルとは異なる様式で条件的または構成的に遺伝子を発現させることによって、その配列または発現特徴を改変するように修飾されている遺伝子材料(すなわち、核酸、それらがコードするポリペプチド、ならびにそのようなポリヌクレオチドを含むベクターおよび細胞)を指す。一般に、組み換え核酸、ポリペプチド、およびそれらに基づく細胞は、それらが天然に見出される関連する核酸、ポリペプチド、および細胞と同一にはならないように、人間によって操作されている。組み換え細胞はまた、「操作された」とも称され得る。
【0198】
本明細書で使用される場合、「ベクター」は、核酸を1つ以上の細胞型に導入するよう
に設計されたポリヌクレオチド配列を指す。ベクターには、クローニングベクター、発現ベクター、シャトルベクター、プラスミド、ファージ粒子、およびカセットなどが含まれる。
【0199】
本明細書で使用される場合、「発現」という用語は、ある遺伝子の核酸配列に基づいてポリペプチドが生成されるプロセスを指す。このプロセスには、転写および翻訳の両方が含まれる。
【0200】
本明細書で使用される場合、「発現ベクター」は、宿主においてコード配列の発現をもたらすことができる1つ以上の好適な制御配列(複数可)に操作可能に連結されているDNAコード配列(例えば、遺伝子配列)を含有するDNA構築物を指す。そのような制御配列には、転写をもたらすプロモーター、そのような転写を制御する任意のオペレーター配列、好適なmRNAリボソーム結合部位をコードする配列、ならびに転写および翻訳の終結を制御する配列が含まれる。ベクターは、プラスミド、ファージ粒子、または単に潜在的なゲノム挿入物であり得る。好適な宿主に形質転換されると、ベクターは、宿主ゲノムとは独立して複製および機能し得るか、または場合によっては、ゲノム自体に統合され得る。プラスミドは、最も一般的に使用される発現ベクターの形態である。しかしながら、本発明は、同等の機能を果たし、当該技術分野において既知であるかまたは既知となる、そのような他の形態の発現ベクターを含むことが意図されている。
【0201】
「プロモーター」は、遺伝子の転写を開始するためのRNAポリメラーゼの結合に関与する制御配列を指す。プロモーターは、誘導性プロモーターまたは構成的プロモーターであり得る。「誘導性プロモーター」は、環境的または発達的な制御条件下で活性であるプロモーターである。
【0202】
「操作可能に連結された」という用語は、それらが協調して機能してある効果をもたらすことを可能にする、特定の要素の並置または配置を指す。例えば、あるプロモーターがコード配列の転写を制御する場合、そのプロモーターはコード配列に操作可能に連結されている。
【0203】
「転写制御下」は、ポリヌクレオチド配列の転写が、それが転写の開始に寄与する要素または転写を促進する要素に操作可能に連結していることに依存することを示す、当該技術分野においてよく理解されている用語である。
【0204】
ポリヌクレオチドまたはタンパク質に関して「異種」または「外因性」という用語は、特定の細胞、例えば、宿主細胞内に天然には存在しないポリヌクレオチドまたはタンパク質を指す。この用語は、天然に存在する遺伝子、変異遺伝子、および/または合成遺伝子によってコードされるタンパク質を包含することが意図される。対照的に、ポリヌクレオチドまたはタンパク質に関して「同種」という用語は、細胞内に天然に存在するポリヌクレオチドまたはタンパク質を指す。
【0205】
別段本明細書で定義されない限り、本開示に関連して使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。更に、別段文脈によって要求されない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。本開示の方法および技術は一般に、当該技術分野において周知の従来の方法に従って実行される。一般に、本明細書に記載の生化学、酵素学、分子生物学、細胞生物学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質および核酸の化学およびハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法と、それらの技術に関連して使用される命名法とは、当該技術分野で周知かつ一般的に使用されるものである。別段示されない限り、本開示の方法および技術は一般に、当該技術分野で周知の従来の方法に従って、かつ本明細書全体を通して
引用され、考察される様々な一般的かつより具体的な参考文献に記載のように実行される。
ガス状エネルギーおよび炭素基質からのアミノ酸、タンパク質、および他の生物学的栄養素の生成
【0206】
いくつかの実施形態では、発生炉ガス、またはHおよび/もしくはCOおよび/もしくはCOおよび/もしくはCH、例えば、Hと、COおよび/もしくはCOおよび/もしくはCHとを含有するガス混合物を、アミノ酸、タンパク質、および他の生物学的栄養素に変換することができる、天然または操作された微生物が提供される。いくつかの実施形態では、発生炉ガス、またはHおよび/もしくはCOおよび/もしくはCOおよび/もしくはCH、例えば、Hと、COおよび/もしくはCOおよび/もしくはCHとを含有するガス混合物を、アミノ酸、タンパク質、ビタミン、および/または他の生物学的栄養素に変換することができる、天然または操作された微生物が提供される。特定の実施形態では、以下、ビタミンB1、B2、および/またはB12のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない1つ以上のビタミンBが生成される。
【0207】
いくつかの実施形態では、合成ガス;ならびに/またはHと、COおよび/もしくはCOおよび/もしくはCHと;ならびに/または他の廃棄ガスで成長することができ、かつ成長基質として該ガスを使用して、アミノ酸、タンパク質、ビタミン(ビタミンBを含むが、これらに限定されない)、および/または他の生物学的栄養素を生成することができる天然微生物が提供される。
【0208】
いくつかの実施形態では、バイオリアクター内または溶液中で、炭素含有ガスと、合成ガス、発生炉ガス、CO、一酸化炭素、および(水素ガスを含有する)それらの混合物などの炭素含有ガス;HおよびCOおよび/もしくはCOおよび/もしくはCH4;ならびに/またはメタンもしくはメタノールを含むが、これらに限定されないC1化合物(ガス状もしくは液体)を、アミノ酸、タンパク質、および/または他の生物学的栄養素(ビタミンBを含むが、これらに限定されない)に変換する、天然または操作された菌株の微生物とを組み合わせることによって、アミノ酸、タンパク質、および他の生物学的栄養素(例えば、ビタミンBなどであるが、これらに限定されないビタミンなど)を生成するための方法が提供される。
【0209】
このプロセスで使用される発生炉ガスは、廃棄物原料および/もしくはバイオマス残渣原料のガス化、または工業プロセス由来の廃棄ガス、またはガス(天然ガス、バイオガス、埋立地ガス、ストランデッド天然ガス、および/もしくはフレア天然ガスを含むが、これらに限定されない)を含有するメタンの改質を含む供給源から生じ得る。
【0210】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の操作されたまたは天然の微生物および方法を使用して、メタンを、アミノ酸、タンパク質、および/または他の生物学的栄養素(ビタミンを含むが、これらに限定されない)に変換することができる。
【0211】
微生物
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法で利用される微生物は、化学独立栄養生物である。化学独立栄養生物は、光合成を実行する微生物におけるような光からの放射エネルギーではなく、反応を推進するために無機化学物質に貯蔵された潜在的なエネルギーを使用して、COおよび/または他の形態の無機炭素を有機化合物に固定する化学合成反応を実行することができる[J.M.Shively,G.van Keulen,and W.G.Meijer,“Something from almost nothing:carbon dioxide fixation in chemoautotrophs”(1998)Annual review of microbio
logy52:191-230(http://dx.doi.org/10.1146/annurev.micro.52.1.191)、A.J.Smith,J.London,and R.Y.Stanier“(1967)“Biochemical basis of obligate autotrophy in Blue-Green algae and thiobacilli”Journal of Bacteriology94(4):972-983(http://jb.asm.org/content/94/4/972.abstract)、M.Hugler,C.O.Wirsen,G.Fuchs,C.D.Taylor,and S.M.Sievert(2005)“Evidence for autotrophic CO2fixation via the reductive tricarboxylic acid
cycle by members of the ε subdivision of proteobacteria”Journal of Bacteriology187(9):3020-3027(http://dx.doi.org/10.1128/jb.187.9.3020-3027.2005)、K.M.Scott and C.M.Cavanaugh(2007)“CO2 uptake and fix
ation by endosymbiotic chemoautotrophs from the bivalve solemya velum”Applied and Environmental Microbiology73(4):1174-1179(http://dx.doi.org/10.1128/aem.01817-06)]。化学独立栄養生物において生じる炭素固定生化学的経路には、還元的トリカルボン酸サイクル、およびカルビン-ベンソン-バシャムサイクル[J.M.Shively,G.,et al.(1998)、上記]、およびウッド-ユングダール経路が含まれる[L.G.Ljungdahl(1986)“The autotrophic pathway of acetate synthesis in acetogenic bacteria”Annual Review of Microbiology40(1):415-450(http://dx.doi.org/10.1146/annurev.mi.40.100186.002215)]。
【0212】
本明細書に記載の微生物のいずれか(例えば、本明細書に記載の1つ以上の微生物)を含む組成物もまた提供される。
【0213】
いくつかの実施形態では、微生物は、Hydrogenobacter属から選択される。いくつかの実施形態では、微生物は、Hydrogenobacter thermophilusである。いくつかの実施形態では、微生物は、逆クエン酸サイクルまたは逆クレブスサイクルとしても知られる逆トリカルボン酸サイクル(rTCA)を含有する。[Miura,A.,Kameya,M.,Arai,H.,Ishii,M.&Igarashi,Y.(2008)“A soluble NADH-dependent
fumarate reductase in the reductive tricarboxylic acid cycle of Hydrogenobacter
thermophilus TK-6”J Bacteriol190,7170-7177,doi:JB.00747-08[pii]10.1128/JB.00747-08、Shively,J.M.,van Keulen,G.&Meijer,W.G.(1998)“Something from almost nothing:carbon dioxide fixation in chemoautotrophs”Annu Rev Microbiol52:191-230,doi:10.1146/annurev.micro.52.1.191(それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)]。
【0214】
いくつかの実施形態では、微生物は、Rhodococcus opacusまたはRhodococcus jostiiまたはRhodococcus菌種である。いくつ
かの非限定的な実施形態では、微生物は、Rhodococcus opacus DSM43205、DSM43206、DSM44193、および/またはRhodococcus菌種DSM3346である。
【0215】
いくつかの実施形態では、天然のまたは操作された菌株は、Rhodococcus属、Gordonia属、Ralstonia属、またはCupriavidus属を含むが、これらに限定されない水素利用微生物を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、組成物は、天然状態でH/COおよび/または合成ガスで成長することができる微生物を含み、微生物は、天然状態で細胞バイオマスの50重量%以上まで脂質を蓄積することができる。いくつかの実施形態では、微生物は、脂肪酸生合成経路に沿って高流量の炭素を送る天然の能力を有する。いくつかの実施形態では、これらの形質を呈する微生物は、Rhodococcus opacus(DSM43205またはDSM43206またはDSM44193)である。
【0216】
いくつかの実施形態では、微生物は、外因性遺伝子を含まないか、または1つ以上の外因性遺伝子(複数可)を含む、放線菌綱のものである。いくつかの実施形態では、微生物は、放線菌綱またはNocardiaceae科のものである。いくつかの実施形態では、微生物は、外因性遺伝子を含まないか、または1つ以上の外因性遺伝子(複数可)を含む、Corynebacterium、Gordonia、Rhodococcus、Mycobacterium、またはTsukamurella微生物である。いくつかの実施形態では、Nocardiaceae科の微生物は、外因性遺伝子を含まないか、または1つ以上の外因性遺伝子(複数可)を含み、微生物は、Mycobacterium属のものではない。いくつかの実施形態では、微生物は、外因性遺伝子を含まないか、または1つ以上の外因性遺伝子(複数可)を含むRhodococcus属のものであり、いくつかの実施形態では、微生物は、Rhodococcus菌種、Rhodococcus opacus、Rhodococcus aetherivorans、Rhodococcus aurantiacus;Rhodococcus baikonurensis;Rhodococcus boritolerans;Rhodococcus equi;Rhodococcus coprophilus;Rhodococcus corynebacterioides;Nocardia corynebacterioides(同義語:Nocardia corynebacterioides);Rhodococcus erythropolis;Rhodococcus
fascians;Rhodococcus globerulus;Rhodococcus gordoniae;Rhodococcus jostii;Rhodococcus koreensis;Rhodococcus kroppenstedtii;Rhodococcus maanshanensis;Rhodococcus
marinonascens;Rhodococcus opacus;Rhodococcus percolatus;Rhodococcus phenolicus;Rhodococcus polyvorum;Rhodococcus pyridinivorans;Rhodococcus rhodochrous;Rhodococcus rhodnii;(同義語:Nocardia rhodnii);Rhodococcus ruber(同義語:Streptothrix rubra);Rhodococcus菌種RHA1;Rhodococcus triatomae;Rhodococcus tukisamuensis;Rhodococcus wratislaviensis(同義語:Tsukamurella wratislaviensis);Rhodococcus yunnanensis;Rhodococcus zopfiiの菌株である。いくつかの実施形態では、動物および/または植物および/またはヒトに対して非感染性または非病原性であるRhodococcus微生物が提供される。いくつかの実施形態では、微生物は、動物および/または植物に非感染性であるRhodococcus equiまたはRhodococcus fascian
sである。いくつかの実施形態では、微生物は、Rhodococcus opacus
DSM番号43205もしくは43206、またはRhodococcus菌種DSM番号3346である。いくつかの実施形態では、微生物は、Rhodococcus equiおよび/またはRhodococcus fasciansから選択される種ではないRhodococcusである。
【0217】
いくつかの実施形態では、微生物は、corynebacterineae亜目またはburkholderiaceae科に由来する。いくつかの実施形態では、微生物は、E.coliではない。
【0218】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の微生物は、動物および/または植物および/またはヒトに対して病原性ではない。
【0219】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の微生物は、総細胞質量の60%超までタンパク質を蓄積することができる。いくつかの実施形態では、微生物は、総細胞質量の70%超までタンパク質を蓄積することができる。いくつかの実施形態では、微生物は、総細胞質量の80%超までタンパク質を蓄積することができる。いくつかの非限定的な実施形態では、微生物は、Cupriavidus necator DSM番号531または541である。
【0220】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の微生物は、天然状態でH/COおよび/または合成ガスで成長することができ、微生物は、天然状態で細胞重量の50%以上までポリヒドロキシブチレート(PHB)またはポリヒドロキシアルカノエート(PHA)を蓄積することができる。いくつかの実施形態では、微生物は、アセチル-CoA代謝中間体を通して高流量の炭素を指向する天然の能力を有し、これは、PHAおよびPHB合成を含むいくつかの他の合成経路、ならびにアミノ酸と共に、脂肪酸生合成をもたらし得る。いくつかの態様では、これらの形質を呈する微生物は、Cupriavidus necator(DSM531またはDSM541)である。
【0221】
いくつかの非限定的な実施形態では、天然または操作された微生物株は、Corynebacterium autotrophicumである。いくつかの非限定的な実施形態では、天然または操作された微生物は、Corynebacterium autotrophicumおよび/またはCorynebacterium glutamicumである。いくつかの実施形態では、微生物は、Hydrogenovibrio marinusである。いくつかの実施形態では、微生物は、Rhodopseudomonas capsulata、Rhodopseudomonas palustris、またはRhodobacter sphaeroidesである。
【0222】
いくつかの実施形態では、微生物は、酸水素菌株または水素酸化菌株である。いくつかの実施形態では、微生物、または微生物を含む組成物は、以下の水素酸化微生物、Aquifex pyrophilus、Aquifex aeolicus、または他のAquifex菌種;Cupriavidus necatorまたはCupriavidus metalliduransまたは他のCupriavidus菌種;Corynebacterium autotrophicumまたは他のCorynebacterium菌種;Gordonia desulfuricans、Gordonia polyisoprenivorans、Gordonia rubripertincta、Gordonia hydrophobica、Gordonia westfalica、または他のGordonia菌種;Nocardia autotrophica、Nocardia opaca、または他のNocardia菌種;Rhodobacter sphaeroides、Rhodopseudomonas palustr
is、Rhodopseudomonas capsulata、Rhodopseudomonas viridis、Rhodopseudomonas sulfoviridis、Rhodopseudomonas blastica、Rhodopseudomonas spheroides、Rhodopseudomonas acidophila、または他のRhodopseudomonas菌種を含むが、これらに限定されない紅色非硫黄光合成細菌;Rhodobacter菌種、Rhodospirillum rubrum、または他のRhodospirillum菌種;Rhodococcus opacusまたは他のRhodococcus菌種;Rhizobium
japonicumまたは他のRhizobium菌種;Thiocapsa roseopersicinaまたは他のThiocapsa菌種;Pseudomonas facilis、Pseudomonas flava、Pseudomonas putida、Pseudomonas hydrogenovora、Pseudomonas hydrogenothermophila、Pseudomonas palleronii、Pseudomonas pseudoflava、Pseudomonas saccharophila、Pseudomonas thermophile、または他のPseudomonas菌種;Hydrogenomonas pantotropha、Hydrogenomonas eutropha、Hydrogenomonas facilis、または他のHydrogenomonas菌種;Hydrogenobacter thermophiles、Hydrogenobacter
halophilus、Hydrogenobacter hydrogenophilus、または他のHydrogenobacter菌種;Hydrogenophilus islandicusまたは他のHydrogenophilus菌種;Hydrogenovibrio marinusまたは他のHydrogenovibrio菌種;Hydrogenothermus marinusまたは他のHydrogenothermus菌種;Helicobacter pyloriまたは他のHelicobacter菌種;Xanthobacter autotrophicus、Xanthobacter flavus、または他のXanthobacter菌種;Hydrogenophaga flava、Hydrogenophaga palleronii、Hydrogenophaga pseudoflava、または他のHydrogenophaga菌種;Bradyrhizobium japonicumまたは他のBradyrhizobium菌種;Ralstonia eutrophaまたは他のRalstonia菌種;Alcaligenes eutrophus、Alcaligenes facilis、Alcaligenes hydrogenophilus、Alcaligenes latus、Alcaligenes paradoxus、Alcaligenes ruhlandii、または他のAlcaligenes菌種;Amycolata菌種;Aquaspirillum autotrophicumまたは他のAquaspirillum菌種;Arthrobacter菌株11/X、Arthrobacter methylotrophus、または他のArthrobacter菌種;Azospirillum lipoferumまたは他のAzospirillum菌種;Variovorax paradoxusまたは他の菌種;Acidovorax facilisまたは他のAcidovorax菌種;Bacillus schlegelii、Bacillus tusciae、他のBacillus菌種;Calderobacterium hydrogenophilumまたは他のCalderobacterium菌種;Derxia gummosaまたは他のDerxia菌種;Flavobacterium autothermophilumまたは他のFlavobacterium菌種;Microcyclus aquaticusまたは他のMicrocyclus菌種;Mycobacterium gordoniaeまたは他のMycobacterium菌種;Paracoccus denitrificansまたは他のParacoccus菌種;Persephonella marina、Persephonella guaymasensis、また
は他のPersephonella菌種;Renobacter vacuolatumまたは他のRenobacter菌種;Seliberia carboxydohydrogenaまたは他のSeliberia菌種、Streptomycetes coelicoflavus、Streptomycetes griseus、Streptomycetes xanthochromogenes、Streptomycetes thermocarboxydus、および他のStreptomycetes菌種;Thermocrinis ruberまたは他のThermocrinis菌種;Wautersia菌種;Anabaena oscillarioides、Anabaena spiroides、Anabaena cylindrica、または他のAnabaena菌種、およびArthrospira platensis、Arthrospira maxima、または他のArthrospira菌種を含むが、これらに限定されないシアノバクテリア;Scenedesmus obliquusまたは他のScenedesmus菌種、Chlamydomonas reinhardiiまたは他のChlamydomonas菌種、Ankistrodesmus菌種、およびRhaphidium polymorphiumまたは他のRhaphidium菌種を含むが、これらに限定されない緑藻類;ならびに酸水素微生物を含む微生物のコンソーシアムのうちの1つ以上を含む。
【0223】
いくつかの非限定的な実施形態では、無機電子供与体および電子受容体を使用するATP生成のためのエネルギー保存反応(酸水素反応を含むが、これに限定されない)によって、メタンまたは短鎖有機酸(酢酸もしくは酪酸など)を同時に生成することなく、ATP消費生合成反応の支持および細胞維持のためのATPを生成するための、化学独立栄養代謝を含む組成物およびそれを使用する方法が提供される。
【0224】
電子供与体および/または炭素源としての一酸化炭素で成長することができる、いくつかの異なる微生物(すなわち、カルボキシド栄養微生物)が、特徴付けられている。場合によっては、カルボキシド栄養微生物はまた、電子供与体としてHを使用すること、および/または混合栄養的に成長することもできる。場合によっては、カルボキシド栄養微生物は、任意化学無機独立栄養微生物である[Biology of the Prokaryotes,edited by J Lengeler,G.Drews,H.Schlegel,John Wiley&Sons,Jul10,2009は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる]。いくつかの実施形態では、微生物または微生物を含む組成物は、以下のカルボキシド栄養微生物、Acinetobacter菌種;Alcaligenes carboxydusまたは他のAlcaligenes菌種;Arthrobacter菌種;Azomonas菌種;Azotobacter菌種;Bacillus schlegeliiまたは他のBacillus菌種;Hydrogenophaga pseudoflavaまたは他のHydrogenophaga菌種;Pseudomonas carboxydohydrogena、Pseudomonas carboxydovorans、Pseudomonas compransoris、Pseudomonas gazotropha、Pseudomonas thermocarboxydovorans、または他のPseudomonas菌種;Rhizobium japonicumまたは他のRhizobium菌種;およびStreptomyces G26、Streptomyces thermoautotrophicus、または他のStreptomyces菌種のうちの1つ以上を含む。特定の実施形態では、カルボキシド栄養微生物が使用される。特定の実施形態では、化学独立栄養性が可能であるカルボキシド栄養微生物が使用される。特定の実施形態では、呼吸および/または生合成において電子供与体としてHを利用することができるカルボキシド栄養微生物が使用される。
【0225】
いくつかの実施形態では、唯一の電子供与体、水素原子源、および炭素源としての合成
ガスで成長することができる微生物が提供される。
【0226】
いくつかの実施形態では、微生物または微生物を含む組成物は、以下、Acetoanaerobium菌種;Acetobacterium菌種;Acetogenium菌種;Achromobacter菌種;Acidianus菌種;Acinetobacter菌種;Actinomadura菌種;Aeromonas菌種;Alcaligenes菌種;Alcaliqenes菌種;Aquaspirillum菌種;Arcobacter菌種;Aureobacterium菌種;Bacillus菌種;Beggiatoa菌種;Butyribacterium菌種;Carboxydothermus菌種;Clostridium菌種;Comamonas菌種;Dehalobacter菌種;Dehalococcoide菌種;Dehalospirillum菌種;Desulfobacterium菌種;Desulfomonile菌種;Desulfotomaculum菌種;Desulfovibrio菌種;Desulfurosarcina菌種;Ectothiorhodospira菌種;Enterobacter菌種;Eubacterium菌種;Ferroplasma菌種;Halothibacillus菌種;Hydrogenobacter菌種;Hydrogenomonas菌種;Leptospirillum菌種;Metallosphaera菌種;Methanobacterium菌種;Methanobrevibacter菌種;Methanococcus菌種;Methanococcoides菌種;Methanogenium菌種;Methanolobus菌種;Methanomicrobium菌種;Methanoplanus菌種;Methanosarcina菌種;Methanospirillum菌種;Methanothermus菌種;Methanothrix菌種;Micrococcus菌種;Nitrobacter菌種;Nitrobacteraceae菌種、Nitrococcus菌種、Nitrosococcus菌種;Nitrospina菌種、Nitrospira菌種、Nitrosolobus菌種;Nitrosomonas菌種;Nitrosospira菌種;Nitrosovibrio菌種;Nitrospina菌種;Oleomonas菌種;Paracoccus菌種;Peptostreptococcus菌種;Planctomycetes菌種;Pseudomonas菌種;Ralstonia菌種;Rhodobacter菌種;Rhodococcus菌種;Rhodocyclus菌種;Rhodomicrobium菌種;Rhodopseudomonas菌種;Rhodospirillum菌種;Shewanella菌種;Siderococcus菌種;Streptomyces菌種;Sulfobacillus菌種;Sulfolobus菌種;Thermothrix菌種、Thiobacillus菌種;Thiomicrospira菌種;Thioploca菌種;Thiosphaera菌種;Thiothrix菌種;Thiovulum菌種のうちの1つ以上を含む、絶対および/または任意化学独立栄養微生物;硫黄酸化菌;水素酸化菌;鉄酸化菌;酢酸生成菌;およびメタン生成菌;化学独立栄養生物を含む微生物のコンソーシアム;熱水噴出口、地熱噴出口、温泉、冷水湧出帯、地下滞水層、塩湖、含塩層、鉱山、酸性鉱山排水、鉱山尾鉱、油井、製油所廃水、炭層、深準表層;排水および下水処理場;地熱発電所、硫気地帯、および土壌のうちの少なくとも1つに天然の化学独立栄養生物;ならびに好熱菌、超好熱菌、好酸性菌、好塩菌、および好冷菌のうちの1つ以上から選択される極限環境生物を含む。
【0227】
いくつかの実施形態では、温度、放射線、圧力、重力、真空、乾燥、塩分、pH、酸素圧、および化学物質などの様々な環境パラメータの極限に耐えることができる極限環境生物である微生物が提供される。それらには、Pyrolobus fumariiなどの超好熱菌;Synechococcus lividisなどの好熱菌;Psychrobacterなどの中温菌および好冷菌、ならびにThermoproteus菌種、Pyrodictium菌種、Sulfolobus菌種、およびAcidianus菌種などの極度に好熱性の硫黄代謝菌;Deinococcus radioduransな
どの放射線耐性生物;好圧菌(piezophile)または好圧菌(barophile)を含む耐圧性生物;Artemia salinaなどの好乾菌を含む乾燥耐性生物および無水生物;微生物および真菌;HalobacteriaceaおよびDunaliella salinaなどの好塩菌を含む耐塩性生物;Natronobacterium、Bacillus firmus OF4、Spirulina菌種などの好アルカリ菌、ならびにCyanidium caldariumおよびFerroplasma菌種などの好酸菌を含むpH耐性生物;Cyanidium caldariumを含む、純粋なCOを許容するガス耐性生物;ならびにFerroplasma acidarmanusおよびRalstonia菌種などの金属耐性菌を含む金属耐性生物が含まれる。
【0228】
特定の実施形態では、本明細書で提供される微生物は、真核生物植物、藻類、シアノバクテリア、緑色硫黄細菌、緑色非硫黄細菌、紅色硫黄細菌、紅色非硫黄細菌、極限環境生物、酵母、真菌、プロテオバクテリア、それらの操作された生物、および合成生物から選択される細胞株を含む。特定の実施形態では、Spirulinaが利用される。
【0229】
特定の実施形態では、以下の属、Chloroflexus、Chloronema、Oscillochloris、Heliothrix、Herpetosiphon、Roseiflexus、およびThermomicrobiumを含むが、これらに限定されない緑色非硫黄細菌が利用される。
【0230】
特定の実施形態では、以下の属、Chlorobium、Clathrochloris、およびProsthecochlorisを含むが、これらに限定されない緑色硫黄細菌が使用される。
【0231】
特定の実施形態では、以下の属、Allochromatium、Chromatium、Halochromatium、Isochromatium、Marichromatium、Rhodovulum、Thermochromatium、Thiocapsa、Thiorhodococcus、およびThiocystisを含むが、これらに限定されない紅色硫黄細菌が使用される。
【0232】
特定の実施形態では、以下の属、Phaeospirillum、Rhodobaca、Rhodobacter、Rhodomicrobium, Rhodopila、Rhodopseudomonas、Rhodothalassium、Rhodospirillum、Rodovibrio、およびRoseospiraを含むが、これらに限定されない紅色非硫黄細菌が使用される。
【0233】
いくつかの実施形態では、微生物は、メタン栄養生物および/またはメチル栄養生物である。いくつかの実施形態では、微生物は、Methylococcus属にある。いくつかの実施形態では、微生物は、Methylococcus capsulatusである。いくつかの実施形態では、微生物は、メチル栄養生物である。いくつかの実施形態では、微生物は、Methylobacterium属にある。いくつかの実施形態では、微生物は、以下の種、Methylobacterium zatmanii、Methylobacterium extorquens、Methylobacterium chloromethanicumのうちの1つ以上から引き出される。いくつかの実施形態では、微生物が、水素酸化性化学独立栄養生物および/またはカルボキシド栄養生物および/またはメチル栄養生物および/またはメタン栄養生物である、組成物が提供される。
【0234】
特定の実施形態では、微生物は、天然に存在する微生物および/もしくは非遺伝子組み
換え(非GMO)微生物であり、かつ/または非病原性であり、かつ/または周囲環境には存在しないバイオプロセスによって提供される特定の環境条件に依存する。
【0235】
特定の実施形態では、微生物または微生物のコンソーシアムは、環境試料から単離され、水素、CO、合成ガス、および/またはメタンのうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない標的とする電子供与体と、酸素、硝酸塩、第二鉄、および/またはCOのうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない電子受容体と、環境条件(例えば、温度、pH、圧力、溶存酸素(DO)、塩分、様々な不純物および汚染物質の存在など)との存在下での成長を通して、微生物学の技術分野で既知の方法を使用して、望ましい微生物について富化される。
【0236】
いくつかの実施形態では、微生物によって生合成および/または呼吸に利用される電子供与体は、以下の還元剤、アンモニア;アンモニウム;一酸化炭素;亜ジチオン酸塩;元素硫黄;水素;メタ重亜硫酸塩;一酸化窒素;亜硝酸塩;チオ硫酸ナトリウム(Na)またはチオ硫酸カルシウム(CaS)を含むが、これらに限定されないチオ硫酸塩などの硫酸塩;硫化水素などの硫化物;亜硫酸塩;チオン酸塩;ならびに亜チオン酸塩のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない。
【0237】
いくつかの実施形態では、微生物は、メタンまたは短鎖有機酸(酢酸および/もしくは酪酸などであるが、これらに限定されない)(2~4炭素長の炭素鎖長を含む短鎖有機酸)を合成することなく、無機電子供与体(Hおよび/またはCOなどであるが、これらに限定されない)からATPを生成することができる。いくつかの非限定的な実施形態では、微生物は、呼吸においてCO以外の電子受容体に結び付いた無機電子供与体(Hおよび/またはCOなどであるが、これらに限定されない)からATPを生成する。特定のそのような実施形態では、電子受容体は、呼吸に使用される電子供与体との反応のより負のギブス自由エネルギーを有するという意味で、COよりも強い電子受容体である。
【0238】
いくつかの実施形態では、微生物は、合成ガス、および/またはガス状CO、および/またはCOガスとHガスとの混合物、および/またはCO、および/またはCHを1つ以上の有機化合物に変換することができ、微生物によって生成される有機化合物の10重量%未満はメタンである。いくつかの実施形態では、微生物は、合成ガス、および/またはガス状CO、および/またはCOガスとHガスとの混合物、および/またはCO、および/またはCHを1つ以上の有機化合物に変換することができ、生成される有機化合物の10重量%未満は遊離有機酸(すなわち、ポリマーに含まれない)、および/またはアミノ酸を除いて4炭素長以下の炭素鎖長を有する遊離有機酸の塩である。いくつかの実施形態では、微生物は、合成ガスおよび/またはガス状CO、および/またはCOガスとHガスとの混合物、および/またはCO、および/またはCHを1つ以上の有機化合物に変換することができ、生成される有機化合物の10重量%未満は遊離有機酸(すなわち、ポリマーに含まれない)、および/または以下のアミノ酸、アラニン、スレオニン、セリン、グリシン、アスパラギン、アスパラギン酸、システインのうちの1つ以上を除いて4炭素長以下の炭素鎖長を有する遊離有機酸の塩である。
【0239】
特定の実施形態は、例えば、Oなどであるが、これに限定されないATP生成のためのエネルギー保存反応においてより多くの電気陰性電子受容体を使用する、水素酸化、および/またはCO酸化、および/またはCH酸化微生物を利用する。
【0240】
いくつかの実施形態では、微生物は、唯一の電子供与体および炭素源として、未処理の粗グリセロールおよび/またはグルコースおよび/またはメタノールおよび/または酢酸塩で成長することができる。いくつかの実施形態では、微生物は、有機炭素源で、かつ無機電子供与体または炭素源を使用して、混合栄養的に成長することができる。
【0241】
特定の実施形態では、本明細書で提供される微生物は、真核生物植物、藻類、シアノバクテリア、緑色硫黄細菌、緑色非硫黄細菌、紅色硫黄細菌、紅色非硫黄細菌、極限環境生物、酵母、真菌、プロテオバクテリア、それらの操作された生物、および合成生物から選択される細胞株を含む。
【0242】
本明細書の微生物の特定の非限定的な実施形態では、細胞呼吸によって引き起こされる検出可能な酸生成は存在しない。
【0243】
微生物培養物
本明細書に記載の微生物細胞を成長させるために使用される液体培養物は、当該技術分野で既知かつ使用される培養容器内に収容することができる。いくつかの実施形態では、バイオリアクター容器内での大規模生成を使用して、大量の所望の分子および/またはバイオマスを生成することができる。
【0244】
特定の実施形態では、バイオリアクター容器は、培養環境を含有、単離、かつ/または保護するために使用される。例えば、培養容器は、以下、アミノ酸;ペプチド;タンパク質;ビタミンB1、B2、およびB12などであるが、これらに限定されないビタミン;ならびに/または他の栄養素のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない有機化合物の生成のためのいくつかの非限定的な実施形態において使用することができる。培養容器は、大規模微生物培養の技術分野の当業者に既知であるものを含む。そのような培養容器は、以下、エアリフトリアクター;生物学的洗浄カラム;気泡カラム;撹拌タンクリアクター;連続撹拌タンクリアクター;向流、上向流、膨張床リアクター;下水および廃水処理またはバイオレメディエーションの先行技術において既知のものなどの温浸器および特に温浸器系;散水濾床フィルター、回転生物接触器フィルター、回転ディスク、土壌フィルターを含むが、これらに限定されないフィルター;流動床リアクター;ガスリフト発酵槽;固定化細胞リアクター;ループリアクター;膜バイオフィルムリアクター;パチューカタンク;充填床リアクター;栓流リアクター;静的ミキサー;トリクル床リアクター;ならびに/または垂直シャフトバイオリアクターのうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない。
【0245】
有機化合物、ならびに具体的にはアミノ酸、ペプチド、タンパク質、および他の栄養素の商業生産を目的とした微生物培養は、典型的にははるかに大きい規模(例えば、500L、1,000L、5,000L、10,000L、50,000L、100,000L、1,000,000L以上のバイオリアクター体積)でバイオリアクター内で実行される。
【0246】
特定の実施形態では、化学独立栄養微生物および/または従属栄養微生物および/またはカルボキシド栄養微生物および/またはメタン栄養微生物および/またはメチル栄養微生物を、本明細書に記載の方法を使用してバイオリアクター内の液体培地中で成長させる。
【0247】
いくつかの実施形態では、微生物を含有するバイオリアクターは、培養物をほぼまたは完全に暗闇に維持する不透明材料から構築される。鋼および/または他の金属合金および/または鉄筋コンクリートおよび/またはガラス繊維および/または様々な高強度プラスチック材料などの不透明材料から構築されるバイオリアクターは、大きな作業体積を有するように設計することができる。いくつかの実施形態では、体積が50,000リットル以上の鋼または他の金属合金で構築された発酵槽が利用される。いくつかの実施形態では、周囲圧力を超える正のヘッドスペース圧力を含有することができるバイオリアクターが利用される。いくつかの実施形態では、体積が3,000,000リットル以上の卵型ま
たは円筒型温浸器または垂直シャフトバイオリアクターが利用される。いくつかの実施形態では、微生物を含むバイオリアクターは、その中に含有される液体体積の一部または大部分または全部に光を透過させない。特定の非限定的な実施形態では、CO固定ステップにおいて使用される微生物は、光合成しない。特定の非限定的な実施形態では、バイオリアクター設計は、光合成で一般に必要とされるように、培養物を薄層内に限局しないか、または透明な壁を有することで、光を全部分に利用可能にする。いくつかの実施形態では、微生物は、有意なまたはいかなる光への曝露もなく培養される。特定のそのような実施形態では、化学独立栄養代謝および条件のために、正味のCO消費は、依然として光の不在下で生じる。特定の実施形態では、電気の人工光への変換は、COの捕捉および変換のために生物系において必要とされない。
【0248】
特定の実施形態では、光依存性の欠如は、いかなる人工照明も必要とせずに、昼夜を問わず、一年中、あらゆる天候条件において、連続的なCO捕捉動作を促進する。
【0249】
いくつかの実施形態では、微生物は、光の不在下で、合成ガス、発生炉ガス、排ガス、熱分解ガス、またはHとCOとのガス混合物などであるが、これらに限定されないガス状炭素源を含有する培地中で、アミノ酸、またはタンパク質、または他の栄養素、または全細胞生成物の生成のために成長および維持され、そのような成長は、化学独立栄養成長として知られている。
【0250】
特定の実施形態では、システム容量の増加は、水平方向にのみ規模拡張するのではなく、垂直方向への規模拡張によって満たされる。これは、CO捕捉のために藻類、シアノバクテリア、または高等植物を使用する光合成アプローチとは対照的である。実用的かつ経済的な観点から、光合成系のための様々な垂直農法計画が提案されてきたが、光栄養系は、例えば、藻類の場合には、浅い池または光バイオリアクター内では水平方向に拡張しなければならない。これは、大きな地理的な占有スペースおよび多くの負の環境への影響をもたらす。
【0251】
人工照明で成長させた藻類系または高等植物系の課題は、光エネルギーの非効率的な利用、および電気エネルギーの光エネルギーへの非効率的な変換である。特定の実施形態では、人工照明下で成長させた同等の藻類培養物または高等植物培養物は、CO捕捉および/またはバイオマス生成に関して、本明細書に記載のCO捕捉および/またはバイオマス生成系よりも多くの電力を必要とするであろう。特定の実施形態では、人工照明下で成長させた同等の藻類培養物または高等植物培養物は、CO捕捉および/またはバイオマス生成の単位あたりの電力に関して、本明細書に記載のCO捕捉および/またはバイオマス生成系よりも少なくとも10倍以上の電力を必要とするであろう。人工照明で成長させた藻類または高等植物の場合、排熱所要量は、電気入力にほぼ正比例する。本明細書に記載の方法の特定の実施形態では、人工照明で成長させた時のCO捕捉および/またはバイオマス生成に関して、排熱所要量は、同等の藻類系または高等植物系よりも低い。特定の実施形態では、人工照明で成長させた時のCO捕捉および/またはバイオマス生成に関して、排熱所要量は、同等の藻類系または高等植物系よりも少なくとも10倍少ない。
【0252】
例示的ではあるが、非限定的な一実施形態では、栄養培地を含有するバイオリアクターに生成細胞を接種する。一般に、細胞が倍増し始める前には、遅滞期が続く。遅滞期の後、細胞倍増時間は減少し、培養物は対数期に入る。理論によって制限されることを意図するものではないが、対数期の後には、物質移送制限、窒素源もしくは無機質源を含む栄養素の枯渇、または阻害化学物質の濃度の上昇、または微生物によるクオラムセンシングのいずれかから生じると考えられる、倍増時間の増加が最終的に続く。成長は減速し、その後培養物が定常期に入った時に停止する。特定の実施形態では、定常期の前に算術的成長
期が存在する。細胞質量を回収するために、特定の実施形態では、培養物は、対数期および/または算術期および/または定常期に回収される。
【0253】
バイオリアクターまたは発酵槽を使用して、細胞の生理学的サイクルのさまざまな期を通して細胞を培養する。細胞の培養にはバイオリアクターが利用され、細胞はそれらの成長曲線の特定の期で維持され得る。バイオリアクターの使用は、化学独立栄養成長の培養にとって多くの点で有利である。特定の実施形態では、タンパク質またはタンパク質加水分解物の生成に使用されるタンパク質に富んだ細胞質量は、液体懸濁液中で高密度まで成長される。一般に、溶存二酸化炭素、酸素、および他のガス(水素など)、ならびに他の溶存栄養素、微量元素、温度、およびpHの制御を含む成長条件の制御は、バイオリアクター内で促進される。特定の実施形態では、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、加水分解物、抽出物、または全細胞生成物の生成に使用されるタンパク質に富んだ細胞質量は、バイオリアクター内の液体懸濁液中で高密度まで成長され、かつ/または高生産性で成長される。
【0254】
栄養培地およびガスは、バッチ添加として、または定期的に、または枯渇の検出もしくはプログラム設定点に応じて、または培養物が成長および/もしくは維持される期間にわたって連続的にのいずれかで、バイオリアクターに添加することができる。特定の実施形態では、接種時のバイオリアクターは、成長開始時に栄養培地および/または1つ以上のガスの出発バッチで充填されており、接種後に追加の栄養培地および/または1つ以上のガスは添加されない。特定の実施形態では、接種後に栄養培地および/または1つ以上のガスが定期的に添加される。特定の実施形態では、栄養素および/またはガスの枯渇の検出に応じて、接種後に栄養培地および/または1つ以上のガスが添加される。特定の実施形態では、接種後に栄養培地および/または1つ以上のガスが連続的に添加される。
【0255】
特定の実施形態では、添加される栄養培地は、いかなる有機化合物も含有しない。
【0256】
特定の実施形態では、少量の微生物細胞(すなわち、接種材料)が一定量の培養培地に添加され、次いで培養物がインキュベートされ、細胞質量は、成長の遅滞期、対数期、減速期、および定常期を通過する。
【0257】
バッチ培養系では、微生物が培養される条件(例えば、栄養素濃度、pHなど)は一般に、成長期間全体を通して連続的に変化する。特定の非限定的な実施形態では、バッチ培養物に固有の変動する条件を回避し、かつ培養系の全体的な生産性を改善するために、タンパク質および/またはビタミンおよび/または他の栄養素の生成に使用される微生物は、恒成分培養槽と呼ばれる連続培養系において成長する。そのようなシステムでは、培養物の体積[V]を一定に維持しながら、同時に培養物に一定の速度[F]で新鮮な培地を供給することによって、培養物を永久的に対数成長期に維持することができる。特定の実施形態では、連続培養系は、細胞がほぼ一定のままである環境条件下で培養されることを確実にする。特定の実施形態では、細胞は、恒成分培養槽系の使用を通して永久的に対数期に維持される。そのような場合、培養物の希釈率(D)は微生物の成長速度に等しく、D=F/Vによって示される。連続培養における微生物の成長速度は、希釈率を改変することによって変化させることができる。特定の実施形態では、微生物の成長速度は、希釈速度を改変することによって変化させることができる。特定の非限定的な実施形態では、細胞は、恒成分培養槽内、約0.2時間-1の希釈率で成長する。
【0258】
特定の実施形態では、バイオリアクターへの培養物の接種は、別のバイオリアクターに存在する既存の培養物からの培養物の移送、またはインキュベーター内で育てた種子ストックからのインキュベーションを含むが、これらに限定されない方法によって実行される。特定の実施形態では、菌株の種子ストックは、粉末、液体、凍結、または凍結乾燥形態
、および任意の他の好適な形態を含み、これらは、当業者により容易に認識され得るが、これらに限定されない形態で輸送および貯蔵することができる。特定の非限定的な実施形態では、予備の細菌培養物は、再出発に必要とされるまで代謝的に不活性な凍結乾燥状態に維持される。特定の実施形態では、非常に大きなリアクター内で培養物を確立する時、培養物は、実物大の容器への接種の前に、漸進的により大きくなる中規模容器内で成長および確立される。
【0259】
特定の実施形態では、バイオリアクターは、以下、回転撹拌子、刃、羽根車、またはタービン;スピン、揺動、または回転する船舶;ガスリフト、スパージング;再循環導管を介した容器の底部から頂部へのブロスの再循環、ループおよび/または静的ミキサーを通したブロスの流動のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない栄養培地の混合を可能にする機構を有する。培養培地は、連続的または断続的に混合することができる。
【0260】
特定の実施形態では、微生物含有栄養培地は、バイオリアクターから部分的または完全に、定期的または連続的に除去されてもよく、特定の実施形態では、新鮮な無細胞培地と置き換えられて、細胞培養物が対数成長期に維持されるか、または枯渇した栄養素が成長培地に補充され、かつ/もしくは阻害廃棄物が除去される。
【0261】
バイオリアクターにおいて標準的なポートを利用して、ガス、液体、固体、および/またはスラリーを、微生物を封入するバイオリアクター容器に送達し、かつ/またはそこからまたは引き出すことができる。多くのバイオリアクターは、異なる目的(例えば、培地添加、ガス添加、pHおよびDOのためのプローブ、ならびに試料採取のためのポート)のための複数のポートを有し、所与のポートは、発酵実験の過程にわたって様々な目的のために使用され得る。一例として、あるポートは、ある時点ではバイオリアクターに栄養培地を添加するために使用されてもよく、別の時点では試料採取に使用されてもよい。好ましくは、試料採取ポートの複数回の使用は、汚染物質または侵入種を成長環境に導入することなく実行され得る。試料採取ポートには、試料流の制御または連続的な試料採取を可能にする弁または他の駆動装置が提供されてもよい。特定の実施形態では、バイオリアクターは、培地またはガスの添加を含む他の用途に更に役立ち得る、培養物接種に好適な少なくとも1つのポートを備える。バイオリアクターポートは、培養環境へのガス組成および流量の制御を可能にする。例えば、ポートは、バイオリアクターへのガス入口として使用することができ、それを通してガスがポンピングされる。
【0262】
いくつかの実施形態では、バイオリアクターにポンピングすることができるガスには、以下、合成ガス、発生炉ガス、熱分解ガス、水素ガス、CO、CO、O、空気、空気/CO混合物、天然ガス、バイオガス、メタン、アンモニア、窒素、希ガス(アルゴンなど)、および他のガスのうちの1つ以上が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、システムにポンピングされるCOは、有機物のガス化由来のCO;生石灰CaOを生成するための石灰石CaCOのか焼由来のCO;アンモニア、メタノール、または水素生成由来のCO副産物などのメタン水蒸気改質由来のCO;燃焼、焼却、またはフレア由来のCO;糖類の嫌気性または好気性発酵のCO副産物;メタン栄養バイオプロセスのCO副産物;排水処理由来のCO;リン酸ナトリウム生成由来のCO副産物;地質学的または地熱的に生成または排出されたCO;酸性ガスまたは天然ガスから除去されたCOを含むが、これらに限定されない供給源から生じる。特定の非限定的な実施形態では、COは、工業用煙道ガスから除去されるか、またはさもなければ自然に大気中に排出されるであろう地質学的供給源から遮断される。特定の実施形態では、炭素源は、海水または他の地表水または地下水中に溶解したCOおよび/または重炭酸塩および/または炭酸塩である。特定のそのような実施形態では、無機炭素は、液体水に溶解させて、および/または固体としてバイオリアクターに導入することができる。特定の実施形態では、炭素源は、大気から捕捉されたCOである。特定の非
限定的な実施形態では、COは、例えば、国際宇宙ステーション(ISS)で利用されているCO除去アセンブリ(CDRA)などであるが、これらに限定されない機器を使用して、閉ループ生命維持系の一部としての閉鎖型キャビンから捕捉されている。
【0263】
特定の非限定的な実施形態では、高濃度のエネルギー源(例えば、Hガス、HSガス、COガス)および/または炭素源(例えば、CO、HCO 、CO 2-)および/または他の溶存無機質を排出する、地熱噴孔および/または熱水噴孔などであるが、これらに限定されない地質学的特徴を、本明細書の微生物のための栄養源として利用することができる。
【0264】
特定の実施形態では、二酸化炭素に加えて、または代替炭素源としての二酸化炭素の代わりに、電子供与体および/または炭素源(例えば、水素および/またはCOおよび/またはメタンガス)を含むが、これらに限定されない1つ以上のガスが溶液中に溶解され、培養ブロスに供給され、かつ/または培養ブロスに直接溶解される。特定の実施形態では、入力ガスは、合成ガス(例えば、炭化水素)の他のガス成分および不純物;アンモニア;硫化水素;ならびに/または他のサワーガス;ならびに/またはO;ならびに/または微粒子および灰を含有する無機質などであるが、これらに限定されない他の電子供与体および/または電子受容体および/または炭素源および/または無機質栄養素を含んでもよい。
【0265】
特定の実施形態では、以下、水素、一酸化炭素、メタン、硫化水素、または他のサワーガスのうちの1つ以上などであるが、これらに限定されないガス状電子供与体;CO、CO、CHなどであるが、これらに限定されないガス状炭素源;および空気中の酸素(例えば、20.9%の酸素)または純Oとしての酸素またはO濃縮ガスとしての酸素のいずれかなどであるが、これらに限定されない電子受容体を含むが、これらに限定されない1つ以上のガスが、培養ブロスに溶解される。いくつかの実施形態では、これらおよび他のガスの溶液への溶解は、発酵工学の技術分野の当業者に既知の圧縮機、流量計、および流動弁のシステムを使用して達成され、このシステムは、ガスを溶液中に分散させるのに広く使用されている以下のシステム、スパージング機器;ドーム状、管状、ディスク状、またはドーナツ状の幾何学を含むが、これらに限定されない拡散器;粗気泡または微細気泡通気装置;ベンチュリ機器のうちの1つ以上へと供給する。特定の実施形態では、表面通気および/またはガス質量移送はまた、パドル通気装置などを使用して実行され得る。特定の実施形態では、ガス溶解は、羽根車またはタービンによる機械的混合、および気泡サイズを低減するための水圧式剪断デバイスによって増強される。特定の実施形態では、ガスを取り込む微生物を保持するリアクター系を通過した後、残渣ガスは、バイオリアクターに再循環されても、プロセス熱のために燃焼されても、フレアされても、地下に注入されても、大気中に放出されてのいずれかでもよい。電子供与体としてHを利用する本明細書の特定の実施形態では、培養培地を通して泡立てることによって、または液体培養培地と干渉する当該技術分野で既知の水素透過性水不透過性膜を通して拡散させることのいずれかによって、Hを培養容器に供給することができる。
【0266】
特定の実施形態では、微生物は、微好気性条件下、HおよびCOならびに他の溶存栄養素で成長および増殖する。特定の実施形態では、一酸化炭素、メタン、メタノール、ギ酸塩、もしくはギ酸などであるが、これらに限定されないC1化学物質、および/または様々なガス化、熱分解、もしくは水蒸気改質固定炭素原料などであるが、これらに限定されないC1化学物質を含有する混合物は、以下、好気性、微好気性、無酸素性、嫌気性、および/または通性条件のうちの1つ以上の条件下で、より長鎖の有機化学物質(すなわち、C2長以上、およびいくつかの実施形態では、C5長以上の炭素鎖分子)に生化学的に変換される。
【0267】
制御された量の酸素もまた、いくつかの実施形態の培養ブロス中に維持することができ、特定の実施形態では、酸素は、培養ブロスに供給される溶液中に能動的に溶解され、かつ/または培養ブロス中に直接溶解される。標的とするDOレベルを維持するために培養ブロス中に空気または酸素をポンピングすることを必要とする特定の好気性または微好気性実施形態では、混合および酸素移送に最適な直径で酸素の気泡がブロスに注入されてもよい。
【0268】
いくつかの実施形態では、微生物は、合成ガス、発生炉ガス、熱分解ガス、バイオガス、排ガス、煙道ガス、CO、CO、H、天然ガス、メタン、およびそれらの混合物を含むが、これらに限定されない燃料ガスを変換する。いくつかの実施形態では、燃料ガスの熱含有量は、1標準立方フィート(scf)あたり少なくとも100BTUである。いくつかの実施形態では、微生物の含有および成長に使用されるバイオリアクターは、ガス送達のための微細気泡拡散器および/または高剪断羽根車を備える。
【0269】
ガスが培地を通して泡立てまたはスパージするように、ガス入口を液体培地の表面下に位置させる場合、バイオリアクターへの導入および/またはガス流量の上昇は、培養物の混合を増強し、乱流を生成する。特定の実施形態では、混合は、液体培地を通したガスの気泡および/またはスパージングおよび/またはガスの閉塞によって提供される乱流を通して増強される。いくつかの実施形態では、バイオリアクターは、ガスを逃がし、圧力を解放するためのガス出口ポートを備える。いくつかの実施形態では、ガスの入口および出口は、ガスの逆流を防止するための逆止弁を備えることが好ましい。
【0270】
バイオリアクター内で化学合成反応が生じる特定の実施形態では、1種以上の電子供与体および1種以上の電子受容体が、ボーラス添加として、または定期的もしくは連続的かのいずれかで、反応容器内の化学独立栄養生物を含有する栄養培地へとポンピングされるか、または他の方法で添加される。細胞呼吸において電子供与体から電子受容体への電子の移送によって推進される化学合成反応は、無機二酸化炭素ならびに/または他の溶存炭酸塩および/もしくは他の炭素酸化物を、有機化合物およびバイオマスに固定する。
【0271】
特定の実施形態では、培養物の成長および生成のための栄養培地が使用され、これは、好適な無機質、塩、ビタミン、補因子、緩衝剤、および微生物成長に必要とされる当業者に既知の他の構成要素を含む[Bailey and Ollis,Biochemical Engineering Fundamentals,2nd ed;pp383-384and620-622;McGraw-Hill:New York(1986)]。
【0272】
特定の実施形態では、当該技術分野で既知の微生物培養物の維持および成長に使用される化学物質が、栄養培地中に含まれる。特定の実施形態では、これらの化学物質としては、以下、アンモニア、アンモニウム(例えば、塩化アンモニウム(NHCl)、硫酸アンモニウム((NHSO))、硝酸塩(例えば、硝酸カリウム(KNO))、尿素、または有機窒素源などの窒素源;リン酸塩(例えば、リン酸二ナトリウム(NaHPO)、リン酸カリウム(KHPO)、リン酸(HPO)、ジチオリン酸カリウム(KPS)、オルトリン酸カリウム(KPO) 、リン酸二カリウム(KHPO));硫酸塩;酵母抽出物;キレート鉄;カリウム(例えば、リン酸カリウム(KHPO)、硝酸カリウム(KNO)、ヨウ化カリウム(KI)、臭化カリウム(KBr));ならびに他の無機塩、無機質、および微量栄養素(例えば、塩化ナトリウム(NaCl)、硫酸マグネシウム(MgSO7HO)または塩化マグネシウム(MgCl)、塩化カルシウム(CaCl)または炭酸カルシウム(CaCO )、硫酸マンガン(MnSO7HO)または塩化マンガン(MnCl)、塩化第二鉄(FeCl)、硫酸第一鉄(FeSO7HO)、または塩化第一鉄(FeCl.s
ub.2 4H.sub.2O)、重炭酸ナトリウム(NaHCO)または炭酸ナトリウム(NaCO)、硫酸亜鉛(ZnSO)または塩化亜鉛(ZnCl)、モリブデン酸アンモニウム(NHMoO)またはモリブデン酸ナトリウム(NaMoO2HO)、硫酸第一銅(CuSO)または塩化銅(CuCl2HO)、塩化コバルト(CoCl6HO)、塩化アルミニウム(AlCl・6HO)、塩化リチウム(LiCl)、ホウ酸(HBO))、塩化ニッケル(NiCl6HO)、塩化スズ(SnClO)、塩化バリウム(BaCl2HO)、セレン酸銅(CuSeO5HO)または亜セレン酸ナトリウム(NaSeO)、メタバナジン酸ナトリウム(NaVO)、クロム塩)のうちの1つ以上を挙げることができるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、Schlegelらが配合した無機質塩培地(MSM)を使用してもよい[“Thermophilic bacteria”,Jakob
Kristjansson,Chapter 5,Section III,CRC
Press,(1992)]。
【0273】
本明細書に記載の態様は、微生物(例えば、細菌細胞)を用いたバイオ生成物の成長および/または発現に関する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の微生物(例えば、細菌細胞)は、発酵培地を含む任意の種類(富栄養または最少)および任意の組成の培地中で培養することができる。当業者によって理解されるように、通例の最適化により様々な種類の培地の使用が可能となるであろう。選択された培地は、様々な追加の構成要素で補充することができる。補充構成要素のいくつかの非限定的な例には、グルコース、抗生物質、遺伝子誘導のためのIPTG、およびATCC Trace Mineral Supplementが含まれる。同様に、本明細書に記載の微生物の培地および成長条件の他の態様が、通例の実験を通して最適化され得る。例えば、pHおよび温度は、最適化され得る因子の非限定的な例である。いくつかの実施形態では、培地の選択、培地補助剤、および温度などの因子が所望の分子の生成レベルに影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、補充構成要素の濃度および量が最適化され得る。いくつかの実施形態では、培地に1つ以上の補充構成要素を補充する頻度、および所望の分子の回収前に培地を培養する時間量が最適化される。
【0274】
特定の実施形態では、プロセスに入る生廃棄物原料中に存在する全ての病原性微生物は、1つ以上のC1捕捉および生物変換ステップをもたらす、ガス化および/または熱分解および/または焼却ステップ(複数可)を通して殺滅される。
【0275】
特定の実施形態では、栄養化学物質(例えば、電子供与体、電子受容体、炭素源、および/または様々な無機質栄養素)の濃度は、最適な炭素取り込みおよび/または固定および/または変換および/または有機化合物の生成のためのそれらそれぞれの最適レベルまたはそれに近いレベルで、バイオリアクター内で維持され、これらの最適レベルは、利用される微生物に応じて変動するが、微生物培養の技術分野の当業者が過度の実験をすることなく、既知または決定可能である。
【0276】
特定の実施形態では、以下のパラメータ、廃棄物レベル、pH、温度、塩分、溶存酸素、溶存二酸化炭素ガス、液体流量、撹拌速度、ガス圧のうちの1つ以上が、バイオリアクター内で監視および/または制御される。特定の実施形態では、化学独立栄養成長に影響を及ぼす動作パラメータは、センサー(例えば、電子供与体/受容体濃度を計測するための溶存酸素プローブまたは酸化還元プローブ)で監視され、かつ/またはセンサーからのフィードバックに基づいて、駆動弁、ポンプ、および撹拌機を含むが、これらに限定されない機器の使用を通して手動または自動のいずれかで制御される。特定の実施形態では、流入するブロスおよび流入するガスの温度は、冷却器、加熱器、および/または熱交換器などであるが、これらに限定されないシステムによって制御される。
【0277】
特定の実施形態では、細胞集団および環境パラメータ(例えば、細胞密度、pH、DO、化学物質濃度)が経時的に一定のレベルを標的とする定常状態で、連続的流入ならびに栄養培地および/またはバイオマスの除去を使用して、微生物培養および生物反応を維持する。特定の実施形態では、一定のレベルは、原料変換および/または標的有機化合物の生成に最適なレベルである。特定の実施形態では、細胞密度は、直接試料採取によって、細胞密度に対する光学密度の相関関係によって、および/または粒径分析器を用いて監視され得る。特定の実施形態では、水圧およびバイオマス保持時間は、ブロス化学および細胞密度の両方の独立した制御を可能にするように分離することができる。特定の実施形態では、水圧保持時間がバイオマス保持時間と比較して比較的短くあるように希釈率を十分に高く保ってもよく、これにより細胞成長および/または原料変換および/または有機化合物の生成のための高度に補充されたブロスがもたらされる。特定の実施形態では、培養ブロス補充および栄養補充および/または廃棄物除去と、希釈率と共に上昇するポンピング、入力物の増加、および他の要件による処理費用の増加との間の、最適な技術経済的トレードオフに希釈率を設定する。
【0278】
特定の実施形態では、微生物培養物のpHは、制御される。特定の実施形態では、pHは、微生物の維持、および/または微生物の成長、および/または微生物による原料の変換、および/または微生物による有機化合物の生成、および/または微生物の生存に最適な範囲内に制御される。特定の実施形態では、pHの低下に対処するために、バイオリアクター環境において直接、または再循環ループを介して培地を培養容器に戻して再利用する前に、中和ステップを実行してもよい。特定の実施形態のブロス中の酸の中和は、以下、石灰石、石灰、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化アンモニウム、苛性カリ、酸化マグネシウム、酸化鉄、アルカリ灰のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない塩基の添加によって達成することができる。
【0279】
特定の実施形態では、化学独立栄養微生物の水性懸濁液は、1つ以上の電子供与体およびCOを原形質に変換する。特定の実施形態では、水素酸化微生物の水性懸濁液を使用して、水素および二酸化炭素を微生物原形質に変換することができる。特定の実施形態では、一酸化炭素酸化微生物の水性懸濁液を使用して、一酸化炭素ならびに水素および/または水を原形質に変換することができる。特定の実施形態では、メタン酸化微生物の水性懸濁液を使用して、メタンを原形質に変換することができる。特定の実施形態では、懸濁液中の微生物は、細菌または古細菌である。特定の非限定的な実施形態では、H酸化化学独立栄養微生物の水性懸濁液またはバイオフィルムは、いくつかの他の溶存無機質栄養素と共に、HおよびCOを生化学物質および原形質に変換する。特定の実施形態では、他の溶存無機質栄養素には、窒素源、リン源、およびカリウム源が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、生成される原形質は、ヒトおよび/または他の動物および/または他の従属栄養生物にとって食品価値があるものである。特定の実施形態では、栄養価および/または様々な有機化学もしくは燃料用途における価値を有する特定の生化学物質を、原形質および/または細胞外ブロスから抽出することができる。特定の実施形態では、原形質のこの生成を推進する細胞内エネルギーは、電子受容体による電子供与体の酸化に由来する。特定の非限定的な実施形態では、電子供与体には、以下、H、CO、CHのうちの1つ以上が含まれるが、これらに限定されない。特定の非限定的な実施形態では、電子受容体には、Oおよび/またはCOが含まれるが、これらに限定されない。特定の非限定的な実施形態では、エネルギー生成反応または呼吸の生成物には、水が含まれるが、これに限定されない。特定の実施形態では、COからの生化学物質および原形質のこの合成を推進するのに使用される呼吸由来の細胞内エネルギーは、ATPを含むが、これに限定されない生化学分子内に貯蔵および運搬される。本明細書の特定の実施形態で使用される水素酸化微生物の場合、電子受容体はOであり、呼吸の生成物は水である。
【0280】
いくつかの実施形態では、タンパク質生成および生成されるアミノ酸分子の分布は、以下、バイオリアクター条件の制御、栄養素レベルの制御、および/または細胞の遺伝子修飾のうちの1つ以上を通して最適化される。特定の実施形態では、アミノ酸、またはタンパク質、または他の栄養素、または全細胞生成物への経路は、特定の成長条件(例えば、窒素、酸素、リン、硫黄、微量の微量栄養素(無機イオンなど)のレベル、および存在する場合、一般には栄養源またはエネルギー源と見なされない可能性のある任意の制御分子)を維持することによって、化学生成物の生成のために制御および最適化される。特定の実施形態では、溶存酸素(DO)は、微生物の要件に応じて、ブロスを好気性、微好気性、無酸素性、嫌気性、または通性条件に維持することによって最適化することができる。通性環境は、水柱の層形成によって引き起こされる好気性上層および嫌気性下層を有する環境と見なされる。本明細書に開示される微生物によるアミノ酸、またはタンパク質、または他の栄養素、または全細胞生成物の生合成は、対数期中、または細胞倍増が停止したその後の定常期中(但し、十分な炭素源およびエネルギー源および他の栄養源の供給が存在することを条件とする)に起こり得る。
【0281】
本明細書に記載のバイオリアクター、培養条件、従属栄養および化学栄養成長、維持、ならびにアミノ酸、またはタンパク質、もしくは他の栄養素、または全細胞生成物の生成方法の具体的な例を任意の好適な様式で組み合わせて、微生物成長およびアミノ酸、またはタンパク質、もしくは他の栄養素、または全細胞生成物の生成の効率を改善することができる。
【0282】
電子供与体および受容体
特定の非限定的な実施形態では、COの生合成還元は、水の電気分解によって生成されるO電子受容体および/またはH電子供与体を利用する。特定の非限定的な実施形態では、水の電気分解によって生成されるOの一部、およびHの全部が、本明細書に記載される微生物の水性懸濁液に供給される。特定の非限定的な実施形態では、Oのモルに対する、微生物の水性懸濁液に供給されるHのモル比は、2:1超である。O電子受容体およびH電子供与体が水の電気分解によって生成される特定の非限定的な実施形態では、本明細書に記載の微生物のHおよびOについての代謝要件が全て満たされた後に、余剰のOが残る。特定のそのような実施形態では、余剰のOは、ヒトおよび/もしくは他の好気性生物形態および/もしくは根通気のための水耕栽培系に供給されてもよく、かつ/またはガス化もしくは部分酸化もしくは燃焼プロセスで使用され、かつ/または化学連産物として貯蔵および販売される。
【0283】
電子供与体として分子水素を利用する特定の実施形態では、再生可能および/またはCOを排出しないエネルギー入力物を使用する分子水素の生成において形成される化学連産物が存在し得る。特定の実施形態では、呼吸に使用される酸水素反応は、酸化的リン酸化に酵素的に連結している。特定の実施形態では、このようにして形成されるATPおよび/または他の細胞内エネルギー担体は、アミノ酸および/またはタンパク質の同化合成に利用される。特定の実施形態では、水素酸化微生物による炭素固定および有機化合物生成のための最適条件を維持するために呼吸に必要とされる量を超えて水分解によって生成される酸素は、商業的酸素ガス生成の当該技術および科学分野で既知のプロセスステップを通して販売に好適な形態に加工されてもよい。
【0284】
C4よりも長い炭素鎖長を有する有機分子の生成は、脂肪酸生合成などの同化生合成経路[C.R.Fischer,D.Klein-Marcuschamer,and G.Stephanopoulos(2008)“Selection and optimization of microbial hosts for biofuels
production”Metabolic Engineering10(6):295-304(http://dx.doi.org/10.1016/j.ymben
.2008.06.009)]および様々なアミノ酸生合成経路を通して、最も一般的かつ効率的には生物学的に達成される。特定の実施形態は、例えば、Oなどであるが、これに限定されない、ATP生成(例えば、呼吸)のためのエネルギー保存反応においてCOよりも多くの電気陰性電子受容体を使用する、水素酸化、および/またはCO酸化および/またはCH酸化微生物を適用する。例えば、酸水素反応、2H+O→2HOをATP生成に結び付ける、水素化栄養性の酸水素微生物または水素酸化微生物は、Hおよび/または呼吸に消費される他の電子供与体あたりで、呼吸において電子受容体としてCOを使用する酢酸生成菌またはメタン生成菌よりも多くのATPを生成することができる。例えば、水素酸化微生物は、呼吸において消費されるHあたり少なくとも2個のATPを生成することができ[L.Bongers(1970)“Energy generation and utilization in hydrogen bacteria”Journal of bacteriology104(1):145-151(http://jb.asm.org/content/104/1/145.abstract)(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)]、これは、呼吸において電子供与体としてHおよび電子受容体としてCOを使用して、メタン生成または酢酸生成を受ける微生物中で生成され得るものよりも、呼吸において消費されるHあたりで8倍多いATPの生成である。この理由から、同化生合成(合成ガスまたはHからのアミノ酸またはタンパク質または脂肪酸生合成などであるが、これらに限定されない)のための呼吸およびATPの生成においてより電気陰性の電子受容体を利用することができる微生物(水素酸化微生物などであるが、これらに限定されない)の使用は、酢酸生成菌またはメタン生成菌(短鎖酸またはアルコール(例えば、酢酸またはエタノール)の生成のための生物学的GTC科学技術において現在使用されているものなどであるが、これらに限定されない)を使用するよりも効率的であり得る。特定の実施形態では、呼吸に使用される酸水素反応は、酸化的リン酸化に酵素的に連結している。特定の実施形態では、好気性呼吸は、ATPの生成のために本明細書に記載の微生物細胞によって利用される。特定の実施形態では、このようにして形成されるATPおよび/または他の細胞内エネルギー担体は、アミノ酸および/またはタンパク質の同化生合成に利用される。いくつかの実施形態では、水素酸化微生物および/もしくはカルボキシド栄養微生物および/もしくはメタン栄養微生物および/もしくは従属栄養微生物、またはこれらの微生物を含む組成物が利用され、これらの微生物は、対象となる有用な炭素系生成物(合成ガスまたは発生炉ガスまたは天然ガスまたはバイオガスまたは再生可能なHもしくはCOもしくはメタンを含むガスと組み合わせた廃棄COを含むが、これらに限定されない炭素含有ガス原料に由来する、化学物質、モノマー、ポリマー、タンパク質、多糖類、ビタミン、栄養補助食品、抗生物質、もしくは医薬品、またはそれらの中間体を含むが、これらに限定されない)の生合成を可能にする1つ以上の酵素を発現する。いくつかの実施形態では、対象となるこれらの該炭素系生成物は、グルコース、フルクトース、および他の糖類などであるが、これらに限定されない有機多炭素原料から従属栄養的に生合成することができる。いくつかの非限定的な実施形態では、微生物または微生物を含む組成物が利用され、この微生物は、呼吸を通した1個のATPの生成に、4HまたはNADH未満を必要とする。他の非限定的な実施形態では、微生物または微生物を含む組成物が利用され、この微生物は、呼吸を通して消費されるHまたはNADHあたり2個以上のATPを生成する。他の非限定的な実施形態では、微生物または微生物を含む組成物が利用され、この微生物は、呼吸を通して消費されるHもしくはNADHあたり少なくとも2個のATP、または呼吸を通して消費されるHもしくはNADHあたり少なくとも2.5個のATPを生成する。
【0285】
特定の非限定的な実施形態の追加の特徴は、二酸化炭素および/または他のC1原料を有機化合物に固定するために化学独立栄養微生物によって使用される電子供与体の供給源、生成、または再利用に関する。特定の実施形態では、二酸化炭素捕捉および炭素固定に使用される電子供与体は、太陽光、太陽熱、風力、水力、原子力、地熱、高温岩体地熱、
海洋熱、海洋波力、潮力を含むが、これらに限定されないいくつかの異なる再生可能および/または低炭素排出エネルギー科学技術からの電力を使用して、電気化学的または熱化学的に生成または再利用することができる。化学独立栄養生物が成長することができる還元無機化学物質(例えば、H、CO、HS、第一鉄、アンモニウム、Mn2+)の多くは、太陽光、太陽熱、風力、水力、原子力、地熱、高温岩体地熱、海洋熱、海洋波力、または潮力を含むが、これらに限定されない、様々な二酸化炭素を排出しないか、もしくは低炭素排出、および/または再生可能な電源によって電力供給することができる、化学工学の当該技術および科学分野で周知の電気化学的および/または熱化学的プロセスを使用して容易に生成することができる。
【0286】
再生可能エネルギー源からの水素の生成は、化石原料系からの生成に徐々に取って代わりつつあり、エネルギー分野における技術的進歩は近い将来、環境に優しい水素の生成価格を低下させると予想されている。例えば、商業および工業グレードの電気分解槽によって、最大73%の電気エネルギー効率が既に達成されており、新たな材料および電気分解槽構成に関する研究は、96%もの高い効率を示している。特定の実施形態では、70%超の電気エネルギー効率を有する市販の電気分解科学技術を利用して、H電子供与体および/またはO電子受容体を生成する。特定の実施形態では、73%以上のエネルギー効率、および/または最大96%以上のエネルギー効率を有する電気分解科学技術を使用する。
【0287】
電子供与体として分子水素を使用する特定の実施形態では、Hは、以下、プロトン交換膜(PEM)、液体電解質(KOHなど)、アルカリ電気分解、固体ポリマー電解質電気分解、高圧電気分解、水蒸気の高温電気分解(HTES)を使用するアプローチを含むが、これらに限定されない水の熱化学的電気分解を通して;ならびに/または酸化鉄サイクル、酸化セリウム(IV)-酸化セリウム(III)サイクル、亜鉛酸化亜鉛サイクル、硫黄-ヨウ素サイクル、銅-塩素サイクル、カルシウム-臭素-鉄サイクル、ハイブリッド硫黄サイクルを含むが、これらに限定されない方法を通した水の熱化学的分解を通して;ならびに/または硫化水素の電気分解;ならびに/または硫化水素の熱化学的分解;ならびに/または低二酸化炭素排出もしくは二酸化炭素を排出しないで水素を生成することが既知である電気化学的もしくは熱化学的プロセス(炭素捕捉および隔離(CCS)対応メタン水蒸気改質、CCS対応炭素ガス化、クヴァーナープロセスおよびカーボンブラック製品を生成する他のプロセス、バイオマスのCCS対応ガス化もしくは熱分解を含むが、これらに限定されない)のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない化学工学およびプロセス工学の当該技術および科学分野で周知の方法によって生成される。特定の実施形態では、Hを生成するためのアプローチには、再生可能な電気エネルギーおよび/または低GHG供給源からの電気によって電力供給される電気分解が含まれるが、これに限定されない。特定の実施形態では、電気分解は、以下、太陽光および/または太陽熱;風力、水力;原子力;地熱;高温岩体地熱;海洋熱;海洋波力;潮力のうちの1つ以上によって電力供給される。
【0288】
世界中には非常に大きな風力エネルギー源が存在し、そのうちほんのわずかしか利用されていない。現在の利用率の低さは主に、経時的に発電量の変動をもたらす風力資源の断続的な性質、およびほとんどの時間にエネルギー需要を満たす能力の未活用に起因するものである。風力供給と系統需要との間の一般的な不一致は、供給過剰のためにタービンを停止するよう風力発電所に金銭が支払われてきたスコットランド[http://www.mnn.com/earth-matters/energy/blogs/blown-away-wind-turbines-generate-enough-energy-to-power-every-home-in]および風力が強く需要が低い夜間に電気が無料で提供されているテキサス州の一部などの世界中の例において示されている[http://www.nytimes.com/2015/11/09/bus
iness/energy-environment/a-texas-utility-offers-a-nighttime-special-free-electricity.html?_r=2]。この課題は、オフピーク需要の時間中に生成された風力を利用して、本明細書の特定の実施形態におけるプロセスのためのH原料を生成することによって解決可能であり得る。
【0289】
現在、水素は、いわゆる「電力からガスへの」アプローチにおいて可能性のあるエネルギー貯蔵系としてますます見なされている。再生可能エネルギー生成(特に、太陽光および風力エネルギー)、ならびに過剰な系統電気(オフピークエネルギー)の固有の不安定性は、水の電気分解による水素の生成によって緩和される可能性がある。現在の計画によれば、生成された水素ガスはその後、ピーク需要の期間中に、燃料電池および/またはガスタービンによって電気に戻される。あるいは、Hは、ガス系統に供給されても、メタン化を介してメタンに変換されてもよい。更に、水素は、化学産業、石油化学産業、冶金産業、および食品産業における原料として使用することができる。特定の実施形態は、生化学物質、および特に、タンパク質、アミノ酸、肥料、およびバイオスティミュラントを含む、より広範囲の生成物中でのHの使用を可能にすることによって、電気からガスへの枠組みに新たな選択肢を提供する。特定の実施形態では、過剰な系統電気および/またはオフピークエネルギーを使用して生成された水素は、水素利用微生物において生じる1つ以上の代謝経路のための電子供与体として使用される。特定の実施形態では、水素酸化細菌および/または好気性細菌による微生物生合成に必要な水素および/または酸素は、再生可能エネルギー、および特にオフピーク電気(すなわち、エネルギー供給が需要を上回る時に利用可能であり、現在の状況では多くの場合に浪費されている電力)を使用する水の電気分解によって生成される。
【0290】
特定の実施形態では、HガスおよびCOガスの施設内での貯蔵は、再生可能発電量が電気需要を上回る期間中にのみ、系統からの電力の転換を可能にする。特定の実施形態では、より需要が高い期間中に、通常通り電力が系統に流動することを許容する。特定の実施形態では、このプロセスは再生可能電力供給を破壊することなく、むしろ風力および太陽光などであるが、これらに限定されない再生可能エネルギー生成能力のより完全な利用を可能にする。特定の実施形態は、発電量が系統需要を上回る期間(例えば、オフピークの風力または太陽光発電)中でも、連続的な再生可能動作および発電を可能にする。
【0291】
特定の実施形態では、水素電子供与体は、低二酸化炭素排出もしくは二酸化炭素を排出しないで必ずしも生成されるわけではない。しかしながら、特定のそのような実施形態では、水素は、化学工学およびプロセス工学の技術分野で既知の方法を使用して、廃棄物、持続可能もしくは低価値のエネルギー源および/または炭素源から生成される。そのような方法としては、以下、都市固形廃棄物、黒液、農業廃棄物、木材廃棄物、ストランデッド天然ガス、バイオガス、サワーガス、メタンハイドレート、液体石油ガス、石油コークス、タイヤ、下水、堆肥、藁、海藻および昆布、ならびに一般に低価値の高リグノセルロース系バイオマスのうちの1つ以上などであるが、これらに限定されない原料のガス化、熱分解、水蒸気改質、または自己熱改質が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、Hおよび/またはCOおよび/またはCOを含有する合成ガスまたは発生炉ガスが、電子供与体および/または炭素源として利用される。特定の実施形態では、合成ガスまたは発生炉ガスに含有されるHおよび/またはCOおよび/またはCOは、再生可能および/または低GHGエネルギー源ならびに変換プロセス(本明細書に記載の変換プロセスのうちの1つ以上など)を使用して生成されるHによって補充される。
【0292】
特定の非限定的な実施形態では、廃棄COの低減が生じ、かつ/または食品もしくは栄養源として利用することができる細胞材料の合成が生じ、かつ/または廃棄尿素の処分
および利用が生じ、かつ/または他の生物学的廃棄物が生じる。
【0293】
特定の実施形態では、合成ガスまたは発生炉ガス中の一酸化炭素に対する水素の比率は、ガスが微生物培養物に送達される前に、水性ガスシフト反応および/または炭素捕捉を通して調整されてもよい。特定の実施形態では、C1化合物は、メタンもしくは天然ガス、および特にストランデッド天然ガス、または別の方法で大気にフレアまたは放出される天然ガス、またはバイオガス、または埋立地ガスのメタン水蒸気改質を通して生成され、合成ガスおよび/もしくは発生炉ガス、またはC1化合物の液体流として、微生物の培養物に提供され、特定の実施形態では、合成ガスまたは発生炉ガス中の一酸化炭素に対する水素の比率は、ガスが微生物培養物に送達される前に、水性ガスシフト反応および/または炭素捕捉を通して調整されてもよい。
【0294】
特定の実施形態では、電子供与体はまた、以下、プロセスガス、排ガス、増強石油回収孔ガス、ストランデッド天然ガス、バイオガス、埋立地ガス、およびサワーガスのうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない汚染物質または廃棄物から供給または精製されてもよい。特定の実施形態では、Hおよび/またはCHおよび/またはCOを含有する排ガスが、電子供与および/または炭素の供給源として使用される。特定の実施形態では、石油精製所からの排ガスが、電子供与体および/または炭素の供給源として使用される。
【0295】
生成物
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の微生物は、液体培養懸濁液1リットルあたり少なくとも1mgの対象となる炭素系生成物を生成する。いくつかの例では、生成物は、微生物によって培養培地に分泌される。他の例では、生成物は、発酵の過程において微生物中に保持される。場合によっては、生成物は、細胞を溶解させ、生成物を分離することによって回収されてもよい。他の場合では、生成物は、微生物由来の生成物を有意に調製または精製することなく、無傷の微生物において商業的価値を有し得る。
【0296】
特定の実施形態では、液体懸濁液由来の細胞質量の分離が実行される。特定の実施形態では、この分離は、微生物培養の技術分野で既知の方法によって実行される。細胞質量回収技術の例は、例えば、PCT出願第WO08/00558号、米国特許第5,807,722号、米国特許第5,593,886号、および米国特許第No.5,821,111号に提供されており、分離は、遠心分離;凝結;浮選;膜状、中空繊維、渦巻形、またはセラミックのフィルター系を使用する濾過;真空濾過;接線流濾過;清澄化;凝結;液体サイクロンを含むが、これらに限定されない1つ以上の方法によって実行することができる。細胞質量がマトリックス上に固定化され得る特定の実施形態では、それは、重力沈降または濾過を含むが、これらに限定されない方法によって回収されてもよく、かつスクレイピングまたは液体剪断力によって成長基質から分離されてもよい。
【0297】
特定の実施形態では、細胞質量の除去後に残された液体は、バイオプロセスの溶存化学生成物および/または未反応栄養素の除去および/または回収のためのシステムにポンピングされてもよい。特定の実施形態では、未反応栄養素および/もしくは水は、可能な範囲まで回収および再利用され、かつ/または特定の実施形態では、連産物として販売および/もしくは適切に処分される。特定の実施形態では、当該技術分野で既知の方法および科学技術を使用する、廃棄物ならびに/または汚染物質ならびに/またはあらゆる阻害および/もしくは有害な化合物の除去は、水および/または未反応栄養素をバイオリアクター(複数可)に戻す前に実行される。
【0298】
特定の実施形態では、遊離および/または溶存有機分子は、細胞排出または分泌または細胞溶解を含むが、これらに限定されない方法を通して、微生物からプロセス流溶液中に
放出されてもよい。
【0299】
特定の実施形態では、水溶液からの化学生成物および/または未反応栄養素の回収および/または再利用は、プロセス工学の技術分野で既知であり、かつ溶媒抽出;水抽出;蒸留;分留;浸炭;化学析出;アルカリ溶液吸収;活性炭、イオン交換樹脂、または分子篩への吸収または吸着;溶液pHおよび/または酸化還元電位の修飾;蒸発器;分別晶析装置;固液分離機;ナノ濾過;逆浸透;ならびにそれら全ての組み合わせを含むが、これらに限定されない特定の実施形態の化学生成物を標的とした機器および技術を使用して達成することができる。
【0300】
特定の実施形態では、化学生成物および/または未反応栄養素は、他の生物の成長を支持する環境に流入する。特定の実施形態では、流出水および未反応栄養素を使用して、高等植物および/もしくは海藻および/もしくは藻類を灌漑および施肥し、かつ/または真菌、酵母、および/もしくは細菌などの従属栄養生物を給餌する。特定の実施形態では、バイオリアクター流出液由来の無機栄養素は、水産養殖および/または水耕栽培で使用される池および/または他の筺体の一次生産を増加させ得る無機肥料として機能する。
【0301】
特定の化学独立栄養種によって達成可能な高い成長速度により、それらは、光合成微生物によって達成することができる現存単位バイオマスあたりの最高速度の炭素固定および/またはバイオマス生成に匹敵するかまたはそれを凌ぐことができる。特定の実施形態では、余剰バイオマスを生成することができる。特定の実施形態では、細胞質量の余剰成長をシステムから除去して、バイオマス生成物を生成することができる。いくつかの実施形態では、細胞質量の余剰成長をシステムから除去して、連続的な高い炭素捕捉率および固定率ならびに/または原料変換率のために、微生物培養物中の望ましい(例えば、最適な)微生物集団および細胞密度を維持してもよい。
【0302】
特定の実施形態では、バイオマス生成物の有用な製品への加工を助けるために、回収された微生物細胞は、以下、ボールミル粉砕、キャビテーション圧力、超音波処理、ホモジナイズ、または機械的剪断のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない周知の方法を使用して破砕され得る。
【0303】
いくつかの実施形態では、回収されたバイオマスは、1つ以上のプロセスステップ(複数可)で乾燥されてもよい。特定の実施形態では、バイオマス乾燥は、以下、遠心分離、ドラム乾燥、蒸発、凍結乾燥、加熱、噴霧乾燥、真空乾燥、および/または真空濾過のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない周知の科学技術を使用して実行することができる。特定の実施形態では、廃熱をバイオマスの乾燥に使用してもよい。特定の実施形態では、炭素源として使用される煙道ガスの工業供給源からの熱廃棄物をバイオマスの乾燥に使用してもよい。特定の実施形態では、上記に考察される電子供与体および/またはC1炭素源の生成からの熱連産物をバイオマスの乾燥に使用してもよい。
【0304】
例示的であるが非限定的な一実施形態では、栄養培地を含有するバイオリアクターに生成細胞を接種し、一般には、細胞が倍増し始める前に遅滞期が続く。遅滞期の後、細胞倍増時間は減少し、培養物は対数期に入る。理論によって制限されることを意図するものではないが、対数期の後には、溶存ガス、窒素源、もしくは無機質源を含む栄養素の枯渇、または阻害化学物質の濃度の上昇、または微生物によるクオラムセンシングのいずれかから生じると考えられる、倍増時間の増加が最終的に続く。特定の場合、および特に好気性バイオプロセスでは、定常期の開始前に、延長した線形成長期または算術成長期が対数期に続き得る。この算術成長期は、O制限を特徴とする。細胞質量を回収するために、特定の実施形態では、培養物は、対数期後期、または算術期中、または定常期に回収される。いくつかの実施形態では、細胞は、対数期に回収される。脂質またはPHBなどの炭素
貯蔵の蓄積は一般に、炭素源または電子源(例えば、水素)を除いた、窒素源または別の重要な栄養素の枯渇によって引き起こされ得る。これは、過剰な炭素源およびエネルギー源から生成された還元炭素を貯蔵するように細胞にシグナル伝達する。
【0305】
例示的であるが非限定的な一実施形態では、閉鎖型培養容器を使用し、水素、酸素、およびCOを液体作業体積の底部で圧力下で容器に供給し;チャンバに流れるガス流をガスセンサーによって制御して、チャンバのヘッドスペース内のH、O、およびCOの固定濃度を維持し;ガスおよび培養培地を容器内で機械的撹拌により混合して、液体中へのガス拡散を最大化し;水素ガスおよび酸素ガスを水電気分解セルによって供給し、COを廃棄物源から、または機室空気から、または通常大気中に排出される点源から捕捉し;プロセス流は培養容器からタンパク質および/またはタンパク質性バイオマス回収ユニットに流れ;遠心分離作用を使用して、液体から固体を分離し;分離した液体は水再生利用ユニットに流れ;さもなければシステム内に蓄積する可能性があるあらゆる望ましくない物質を、水再生利用ユニットで除去し;再生利用水を水電気分解セルで再使用し;栄養構造を培養容器に供給して、標的とする培地組成を維持し;特定のそのような実施形態では、栄養源のうちの1つとして尿を提供し;回収された脱水バイオマスを栄養素および/または肥料および/または成分および/または食品へと更に加工する。特定のそのような実施形態では、バイオリアクターのヘッドスペースへと泡立つ未使用のガスは、液体作業体積の底部に再循環して戻され、そこから液体作業体積に再導入される。他の特定の実施形態では、新たに入力されたHおよび/またはCOは、作業体積の底部ではなくバイオリアクターのヘッドスペースに直接供給され、次いで他のヘッドスペースガスと共に、再循環系を通して液体作業体積の底部へと再循環され、そこでガスは液体作業体積へと溶解および/または泡立てられる。
【0306】
特定の実施形態では、バイオマスは、有用な生化学物質の分離および生成を助けるために、乾燥後、または先行する乾燥ステップなしで更に処理される。特定の実施形態では、この追加の処理は、微生物バイオマスからのタンパク質または脂質内容物またはビタミンまたは他の標的とする生化学物質の分離を伴う。特定の実施形態では、脂質の分離は、非極性溶媒を使用して、ヘキサン、シクロヘキサン、エチルエーテル、アルコール(イソプロパノール、エタノールなど)、リン酸トリブチル、超臨界二酸化炭素、酸化トリオクチルホスフィン、第二級および第三級アミン、またはプロパンなどであるが、これらに限定されない脂質を抽出することによって実行することができる。特定の実施形態では、クロロホルム、アセトン、酢酸エチル、およびテトラクロロエチレンのうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない溶媒を使用して、他の有用な生化学物質を抽出することができる。特定の実施形態では、細胞溶解が実行される。
【0307】
いくつかの実施形態では、バイオリアクター内または溶液中で、アミノ酸生合成経路、ビタミン生合成経路、炭素含有ガスを含むが、これらに限定されない1つ以上の生合成経路と、合成ガス、発生炉ガス、天然ガス、バイオガス、CO、一酸化炭素、および(水素ガスを含有する)それらの混合物などの炭素含有ガス;ならびに/またはメタノールもしくはメタンを含むが、これらに限定されないC1化合物(ガス状もしくは液体)を、アミノ酸および/またはタンパク質および/またはビタミンに変換する、操作されたまたは天然の微生物とを組み合わせることによって、アミノ酸および/またはタンパク質および/またはビタミンを生成する方法が提供される。いくつかの実施形態では、化学、化学工学、微生物学、農学、および/または食品科学の当該技術および科学分野で既知のプロセスを使用して、アミノ酸および/またはタンパク質および/またはビタミンは、肥料、バイオスティミュラント、生物肥料、微生物栄養培地、キノコ成長増強剤、動物飼料配合物、および/またはヒトの食品製品のうちの1つ以上に含められる。いくつかの非限定的な実施形態では、微生物は、Cupriavidus necator DSM531またはDSM541である。いくつかの非限定的な実施形態では、ビタミンは、ビタミンB、
およびより具体的にはビタミンB1、B2、および/またはB12である。
【0308】
特定の実施形態では、1つ以上のアミノ酸を生成するための方法が提供され、この方法は、細菌細胞および/または古細菌細胞および/または他の微生物細胞を、合成ガス、ならびに/または発生炉ガス、ならびに/またはガス状CO、ならびに/または天然ガス、ならびに/またはガス状COおよび/もしくはガス状Hおよび/もしくはCOおよび/もしくはCHの混合物(例えば、H、およびCOおよび/もしくはCOおよび/もしくはCH)に曝露することを含み、微生物細胞は、ガス状COおよび/または他のC1炭素源を1つ以上のアミノ酸および/またはタンパク質および/またはビタミンに固定することができ、化合物は、バイオリアクターから回収され、第2またはそれ以上の追加のリアクターに供給され、ここで化合物は後処理されて、以下、肥料、バイオスティミュラント、生物肥料、キノコ成長増強剤、水産養殖飼料、動物飼料、食品成分、ヒトの栄養(例えば、食品もしくは栄養補助食品)、またはビタミンのうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない生成物を生成する。いくつかの実施形態では、組成物は、細菌細胞を含み、細菌は、Rhodococcus属から選択される。特定の実施形態では、細菌細胞は、Rhodococcus opacus(DSM43205もしくは43206もしくは44193)またはRhodococcus菌種(DSM3346)である。いくつかの実施形態では、細菌細胞は、Ralstonia属またはCupriavidus属から選択される。いくつかの実施形態では、細菌細胞は、Cupriavidus necatorまたはCupriavidus metalliduransである。いくつかの実施形態では、細菌細胞は、corynebacterineae亜目またはburkholderiaceae科に由来する。
【0309】
一実施形態では、合成ガス、ならびに/またはHおよび/もしくはCOおよび/もしくはCOおよび/もしくはCHの混合物(例えば、H、およびCOおよび/もしくはCOおよび/もしくはCH)、ならびに/または他の廃棄ガスで成長することができ、かつリジンを含むが、これに限定されないアミノ酸を生成することができる野生型または操作された微生物が利用される。
【0310】
いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸、ペプチド、タンパク質、ビタミン、または他の栄養素を製造する方法が提供され、この方法は、(a)合成ガス、ならびに/または発生炉ガス、ならびに/または天然ガス、ならびに/またはバイオガス、ならびに/またはバイオガス、ならびに/またはガス状COおよび/もしくはガス状Hおよび/もしくはCOおよび/もしくはCHの混合物(例えば、H、およびCOおよび/もしくはCOおよび/もしくはCH)の存在下、反応容器またはバイオリアクター内で本明細書に記載の細胞を培養することであって、細胞が、細胞の総乾燥細胞質量の少なくとも10%以上の量で、1つ以上のアミノ酸またはタンパク質または他の栄養素を生成および/または分泌する、培養することと、(b)1つ以上のアミノ酸、ペプチド、タンパク質、ビタミン、もしくは他の栄養素、および/または全細胞生成物を、反応容器から分離する(例えば、反応容器内の培養培地から分離する)こととを含む。
【0311】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法で生成される1つ以上のアミノ酸もしくはタンパク質もしくは他の栄養素、または全細胞生成物は、代替的または非従来的なタンパク質および/または栄養素源として使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法で生成される1つ以上のアミノ酸もしくはタンパク質もしくは他の栄養素、または全細胞生成物は、別の生物に提供される飼料もしくは栄養素供給物の構成要素もしくは前駆体であるか、またはその中に含まれる。特定の非限定的な実施形態では、該栄養素供給物を消費する他の種類の生物は、以下、細菌、古細菌、酵母、微細藻類、海藻、昆布、動物性プランクトン、真菌、キノコ、植物、甲殻類もしくは他の無脊椎動物、魚、鳥、または哺乳動物のうちの1つ以上である。
【0312】
特定の非限定的な実施形態では、本明細書に記載のように生成されるタンパク質性バイオマスは、代替的なタンパク質源として使用される。特定の実施形態では、それは、魚粉および/またはカゼインおよび/または乳清および/またはダイズ粉に取って代わるものとして使用される。特定の非限定的な実施形態では、タンパク質生成物は、リジンおよび/またはメチオニンが欠乏していない。特定の実施形態では、本明細書に記載のように生成されるアミノ酸、ペプチド、および/またはタンパク質は、魚粉、カゼイン、乳清、および/もしくはダイズ粉、ならびに/または他の植物タンパク質の代わりに、肥料、バイオスティミュラント、生物肥料、キノコ成長増強剤、飼料配合物、および/またはヒトの食品成分に使用される。特定の非限定的な実施形態では、タンパク質生成物は、いかなる必須アミノ酸も欠乏していない。特定の非限定的な実施形態では、タンパク質生成物は、リジンおよび/またはメチオニンが欠乏していない。特定の非限定的な実施形態では、タンパク質性バイオマスは、有意な量の抗栄養因子を含有しない。特定の実施形態では、タンパク質性バイオマスは、有意な量の、以下、ゴシポール、グルコシノレート、サポニン、またはトリプシン阻害剤のうちの1つ以上を含有しない。
【0313】
魚粉を含むが、これらに限定されないタンパク質および栄養素のいくつかの現在の供給源は、水銀(Hg)および/もしくは鉛(Pb)などの重金属、ならびに他の有毒化学物質および有機物で汚染されている可能性があるが、これは、魚が収穫される水が汚染されているためである。特定の実施形態は、魚粉を含むが、これに限定されないタンパク質および他の栄養素の現在の供給源と比較して、重金属および/または有毒有機物などであるが、これらに限定されない特に低レベルの有毒汚染物質を有するタンパク質生成物に関する。
【0314】
高等植物のかなりの画分は、ヒトおよび他の非反芻動物を含むが、これらに限定されない多くの異なる動物にとって非食用である。これは、エネルギーおよび炭素の望ましくない副産物または廃棄物へのチャネリング、所望の生成物の収量の低下、および廃棄物処理および処分のための追加の負担の追加を含む、多数の不利益をもたらし得る。特定の実施形態では、CO捕捉、バイオマス生成、および/またはタンパク質生成に関して、同等の高等植物作物よりも大きい流量の炭素および/またはエネルギーが標的となるバイオマス生成物に指向される。特定の実施形態では、本明細書に記載のように生成されるバイオマスの(例えば、ヒトにとっての)食用画分に対する非食用画分の比率は、同等の高等植物作物よりも低い。特定の実施形態では、同等の高等植物作物よりも少ない量の食品廃棄物が存在する。
【0315】
バイオ生成物および/またはバイオマス生成のためのシステム
特定の非限定的な実施形態は、バイオプロセスと、COおよび/または他の炭素廃棄物を生成する工業施設との並置を可能にする、比較的小さな土地占有スペースを有する生産施設に関する。特定の非限定的な実施形態では、それらの工業施設は、以下、化石燃料発電所;石油精製所;タールサンドによるアップグレーディング施設;天然ガスまたは石油掘削事業;エタノール蒸留所;セメント製造所;アルミニウム製造所、クロロアルカリ製造所、製鋼所;地熱発電所のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない。特定の実施形態では、コンパクトな垂直設計は、工業煙道ガス源の隣への好都合な並置、およびバイオマス乾燥を含むが、これに限定されない生成プロセスにおいて更に利用することができる関連する廃熱を可能にする。
【0316】
特定の実施形態では、生物学的CO捕捉および変換のためのいくつかの代替的なシステムと比較して、比較的高度に制御された完結型のシステムを介して、追加の実用的利点が実現される。いくつかの実施形態では、使用されるバイオリアクターは、気密かつ液密であり、構造的に頑強であり、周囲環境から高度に単離および遮蔽され、比較的緊密に制
御された内部パラメータ(例えば、温度、圧力など)、入力物、および出力物を有する。この比較的閉鎖型のシステムは、いくつかの実施形態では、実際の藻類系または伝統的な農業系における微生物よりもはるかに著しく、水素酸化微生物および/または水素化栄養微生物および/またはカルボキシド栄養微生物および/または化学独立栄養微生物および/またはメタン栄養微生物を含む培養物を保護する。実用的な藻類系および伝統的な農業系は必然的に、生物が周囲環境および生態系に直接曝露される非常に開放的なシステムである。特定の実施形態では、このプロセスの比較的高度に制御された完結型の態様は、実用的な藻類系または伝統的な農業系と比較して、環境汚染、病害、または害虫および雑草の危険性を大幅に低減する。特定の実施形態では、このプロセスは、実用的な藻類系または伝統的な農業系よりも、天気および気候の変動から遮蔽されている。特定の実施形態では、このプロセスは、実用的な藻類系または伝統的な農業系と比較して、バッチ損失および/または生産性の変動が低減している。
【0317】
特定の実施形態では、気密および液密バイオリアクターによって提供される高い封じ込め、ならびに入力物および出力物の厳密な制御のために、特定の実施形態では、水および栄養素の再利用が大幅に促進される。特定の実施形態では、水の再利用は、冷却器を含むが、これに限定されない適切なユニットをバイオリアクター出口の下流に追加することによって達成される。そのような種類の機器および方法は、水の回収および再利用の当該技術および科学分野で周知である。特定の実施形態では、蒸発による損失および/または水の流出および/または栄養素の流出および/または周囲地下水および水路の汚染は、開放的な藻類系または伝統的な農業系より著しく防止される。対照的に、開放的な藻類系および伝統的な農業では、蒸発による水の損失が大きく、かつ農業用水の流出が起こりやすく、これは、肥料および水の浪費;湖および水路の富栄養化;ならびに「酸欠海域」(Oが高度に枯渇した水域)の出現さえももたらす。高等植物は、蒸散によって水を失う。特定の実施形態では、蒸散によって水が失われることはない。開放的な藻類および伝統的な農業系もまた、非天然生物が周辺環境に「逃げる」こと、および遺伝的な交差汚染の危険性が高い。特定の実施形態では、非天然生物が周囲環境に「逃げる」こと、または遺伝的な交差汚染の危険性は、開放的な藻類系および伝統的な農業系よりも低い。特定の実施形態では、このバイオプロセスでは、農薬、除草剤、または抗生物質の使用が存在しない。特定の実施形態は、バイオ系生成物の生成において、化学独立栄養生物が光合成植物、藻類、もしくは微生物;または従属栄養真菌、細菌、もしくは動物に取って代わる、新たな種類の農業である。特定の実施形態では、これらのバイオ系生成物は、従来の農業および/または畜産業の生成物を補充するか、増大させるか、取って代わるか、または拡張する。
【0318】
タンパク質生成の最適化および特定のアミノ酸分布の標的化は、バイオリアクター条件および/もしくは栄養素レベルの制御によって、ならびに/または細胞の遺伝子修飾によって達成することができる。いくつかの実施形態では、タンパク質生成および生成されるアミノ酸分子の分布は、以下、バイオリアクター条件の制御、栄養素レベルの制御、細胞の遺伝子修飾のうちの1つ以上を通して最適化される。特定の実施形態では、アミノ酸、タンパク質、ビタミン、および/もしくは他の栄養素への経路、ならびに/またはより一般的には好気性および嫌気性のバイオリアクター系の空間的に分離した領域。本明細書に開示される微生物によるアミノ酸、タンパク質、もしくは他の栄養素、または全細胞生成物の生合成は、対数期中、線形期中、または細胞倍増が停止したその後の定常期中(但し、十分な炭素源およびエネルギー源および他の栄養源の供給が存在することを条件とする)に起こり得る。
【0319】
および/またはCOおよび/またはCOおよび/またはCHを含むガス状原料からタンパク質、アミノ酸、および他の栄養素を生成するための化学独立栄養微生物の使用は、例えば、MICROORGANISMS AND ARTIFICIAL ECO
SYSTEMS FOR THE PRODUCTION OF PROTEIN,FOOD,AND USEFUL CO-PRODUCTS FROM C1SUBSTRATESと題する、2017年3月18日に受領された国際特許出願第PCT/US17/23110号に記載されている。この出願は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0320】
水素酸化微生物の操作は、例えば、「INDUSTRIAL FATTY ACID ENGINEERING GENERAL SYSTEM FOR MODIFYING
FATTY ACIDS」と題する、2012年9月19日出願の米国特許出願第13/623,089号に記載されている。この出願は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0321】
合成ガス、発生炉ガス、または他のHと、COおよび/もしくはCOとを含有するガス混合物を、中~高炭素鎖数の分子または同化分子に変換するための水素酸化微生物の使用は、例えば、USE OF OXYHYDROGEN MICROORGANISMS FOR NON-PHOTOSYNTHETIC CARBON CAPTURE AND CONVERSION OF INORGANIC AND/OR C1 CA
RBON SOURCES INTO USEFUL ORGANIC COMPOUNDSと題する、米国特許商標局において2012年10月26日出願の特許出願第13/643,872号に記載されている。この出願は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0322】
COを有用な有機化学物質に変換するための化学栄養微生物の使用は、例えば、BIOLOGICAL AND CHEMICAL PROCESS UTILIZING CHEMOAUTOTROPHIC MICROORGANISMS FOR THE CHEMOSYTHETIC FIXATION OF CARBON DIOXIDE
AND/OR OTHER INORGANIC CARBON SOURCES INTO ORGANIC COMPOUNDS,AND THE GENERATION
OF ADDITIONAL USEFUL PRODUCTSと題する、2010年12月5日出願のPCT出願第PCT/US2010/001402号に記載されている。この出願は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0323】
いくつかの実施形態の追加の特徴には、(例えば、紫外線もしくは化学処理を使用する)加速変異誘発、遺伝子操作もしくは修飾、ハイブリダイゼーション、合成生物学、または伝統的な選択的育種を含むが、これらに限定されない人工的な手順を通して本明細書に記載の微生物を修飾することが含まれるが、これらに限定されない。微生物の可能な修飾には、増加した量および/または品質のアミノ酸、および/またはタンパク質、および/または酵素、および/またはビタミンを生成することを指向するものが含まれるが、これらに限定されない。
【0324】
特定の実施形態では、1つ以上の外因性核酸配列を含む化学栄養細菌株が利用される。本明細書に記載の微生物によって合成される生化学物質は、石油化学物質代替物、モノマー、ポリマー生成用原料、潤滑剤、肥料成分として、動物飼料、食品、パーソナルケア、および化粧品の製品を含むが、これらに限定されない用途に適用することができる。いくつかの実施形態では、酵素的および化学的プロセスを利用して、ビタミン、アミノ酸、および/またはタンパク質を生成することができる。いくつかの実施形態は、肥料、バイオスティミュラント、または動物飼料の生成を可能にする。加えて、改善されたアミノ酸および/もしくはタンパク質および/もしくはビタミン収量ならびに/またはより低い生産費用のために、化学栄養細菌を培養および/または修飾するための方法が提供される。いくつかの実施形態では、遺伝子組み換え微生物(例えば、細菌)は、遺伝子組み換えされ
ていない同じ微生物と比較して、より多くの特定の種類のビタミンまたはアミノ酸分子またはタンパク質または酵素を生成する。
【0325】
本明細書に記載のバイオリアクター、培養条件、従属栄養および化学栄養成長、維持、ならびにアミノ酸、タンパク質、ビタミン、他の栄養素、および/または全細胞生成物の生成方法の具体的な例を任意の好適な様式で組み合わせて、微生物成長ならびにアミノ酸、タンパク質、ビタミン、他の栄養素、および/または全細胞生成物の生成の効率を改善することができる。
【0326】
バイオプロセス後の生成物回収および使用用途
特定の非限定的な実施形態では、本明細書のプロセスによって、植物バイオスティミュラントおよび/または生物肥料および/または有機肥料が得られる。特定の実施形態は、少なくとも1つのアミノ酸発酵液および/または微生物細胞を植物バイオスティミュラントに添加することを含む。特定の非限定的な実施形態では、微生物細胞は、グラム陰性菌および/またはグラム陽性菌である。特定の非限定的な実施形態では、微生物細胞は、本明細書に記載のC1炭素源の変換を通して得られる。特定の実施形態の更なる目的は、廃棄物および/または低費用の原料からバイオスティミュラントおよび/または肥料および/または栄養素を調製するための比較的安価な方法を提供することである。特定の実施形態では、アミノ酸および/またはオリゴペプチドおよび/または低分子量ペプチドは、C1炭素源を含むが、これらに限定されない廃棄物および/または低費用の原料から生成される。特定の実施形態では、C1炭素源を含むが、これに限定されない廃棄物および/または低費用の原料から生成される栄養素は、葉および/または根を通して植物によって容易に吸収および同化される。特定の実施形態では、吸収された栄養素は、例えば、芽、花、または果実などの植物器官に輸送される(Gjalakshimi et al.(2004)Bioresource Technology(92):291-296、Parrado et al.(2008)Bioresource Technology99:2312-2318)。特定の実施形態では、植物がアミノ酸および/またはオリゴペプチドおよび/または低分子量ペプチドを使用して、植物自らのタンパク質を発達させることができる。特定の実施形態では、これは、さもなければ植物における1つ以上のエネルギー消費代謝プロセスにおいて消費されるであろう代謝エネルギーを節約する(Higgings,C.F.,Payne,J.W.(1982)Plant peptides.In:Boulder,D.,Parthier,B.,(Eds).Encyclopedia of Plant Physiology,14A.Springer.438-458)。特定の実施形態では、土壌環境における微小動物相が、炭素源および/または窒素源を含むが、これらに限定されない供給源として、本明細書に記載のように生成される栄養素を使用することができる。特定の実施形態では、微小動物相は、栄養素を植物の成長および活性に有益な形態に変換する。同様に、アミノ酸、オリゴペプチド、低分子量ペプチド、および本明細書に記載のように生成される他の栄養素もまた、動物の食餌に組み込まれた場合に動物によって容易に吸収および同化される。
【0327】
特定の実施形態では、微生物細胞は、微生物細胞質量を生成する工業プロセスの副産物として得られる。例えば、工業プロセスは、アミノ酸、エタノール、他のアルコール、有機酸、脂質、および/もしくは炭化水素の生成、ならびに/または廃水処理から選択され得る。特定の非限定的な実施形態では、細胞は、例えば、リジン、スレオニン、トリプトファン、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、バリン、グリシン、セリン、システイン、チロシン、アラニン、アスパラギン酸、プロリン、アスパラギン、および/またはグルタミンから選択される、少なくとも1つのアミノ酸の生成由来の使用済み培地中に提供される。
【0328】
統合型多栄養水産養殖では、1つの種の副産物を別の種の飼料として再利用することが
できるように、いくつかの種が一緒に育てられる。統合型農業(特に、水耕栽培)および水産養殖では、池または再循環系を使用して、魚介類ならびに他の生物(例えば、魚およびレタス)の両方を育てる。特定の実施形態では、本明細書に記載のように生成されるタンパク質および/または他の栄養素は、以下、再循環系、統合型多栄養水産養殖、統合型農業および水産養殖のうちの1つ以上において、レタスおよび/または魚を育てるための技術および科学技術において使用される。
【0329】
いくつかの実施形態では、バイオリアクターは、アミノ酸、またはタンパク質、ビタミン、または対象となる他の栄養素に対する経路酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸配列を含む微生物を含む。いくつかの実施形態では、システムは、2つ以上、3つ以上、または4つ以上のバイオリアクターを含み、そのうちの少なくとも1つが、アミノ酸、またはタンパク質、ビタミン、または対象となる他の栄養素に対する経路酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸配列を含む微生物を含む。いくつかの実施形態では、バイオリアクター系は、少なくとも第1および第2のバイオリアクターを含み、第1のバイオリアクターは、アミノ酸、またはタンパク質、またはビタミン、または対象となる他の栄養素に対する経路酵素をコードする少なくとも1つの内因性または外因性核酸配列を含む微生物を含み、第2のバイオリアクターは、異なる種由来の微生物を含み、異なる種由来のこの微生物は、少なくとも1つの外因性核酸配列を含み得る。いくつかの実施形態では、バイオリアクター系は、本明細書に記載の微生物を含む第1のバイオリアクターと、動物プランクトン、真菌、微細藻類、酵母、または細菌細胞を含む第2のバイオリアクターとを含む。いくつかの実施形態では、システムは、本明細書に記載の微生物を含む第1のバイオリアクターと、多細胞動物系および/または水産養殖系および/または水耕栽培系を含む第2のタンクまたは容器とを含む。
【0330】
特定の非限定的な実施形態では、本明細書に記載の微生物は、他の生物との相利共生関係および/または栄養関係に維持される。そのような関係の一例を、図23に示す。
【0331】
特定の実施形態では、ブロス水溶液からの生合成化学生成物および/または使用済み栄養素の回収は、プロセス工学の技術分野で既知であり、かつ溶媒抽出;水抽出;蒸留;分留;浸炭;化学析出;アルカリ溶液吸収;活性炭、イオン交換樹脂、または分子篩への吸収または吸着;溶液pHおよび/または酸化還元電位の修飾、蒸発器、分別晶析装置、固液分離機、ナノ濾過、ならびにそれら全ての組み合わせを含むが、これらに限定されない本明細書に記載の特定の実施形態の化学生成物を標的とした機器および技術を使用して達成することができる。
【0332】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のように生成されるバイオマスは、化学、化学工学、および/または食品科学の当該技術および科学分野で周知の方法およびプロセスを使用して、肥料、バイオスティミュラント、生物肥料、キノコ成長増強剤、動物飼料、および/またはヒトの栄養用途のために、高タンパク質および/または高ビタミンおよび/または高栄養素生成物に変換される。
【0333】
特定の実施形態では、本明細書に記載のように生成されるバイオマスは、補助給餌栄養素として使用される。特定の実施形態では、バイオマスは、土壌中の化学特性および微生物特性を回復させるため、および/または作物の生産性を増加させるための有機肥料材料として使用される。
【0334】
いくつかの実施形態では、微生物によって生成されるアミノ酸および/またはペプチドおよび/またはタンパク質に由来する窒素の90%超が、その後、本明細書に記載のように生成されるアミノ酸および/またはペプチドおよび/またはタンパク質および/またはタンパク質性バイオマスを消費する他の微生物、植物、真菌、動物、または人々によって
吸収される。いくつかの実施形態では、微生物細胞は、別の生物への給餌前に煮沸される。他の実施形態では、細胞は、別の生物への給餌前に超音波処理されるか、または他の方法で溶解もしくは破裂される。
【0335】
特定の実施形態では、以下の群、高タンパク質菌株、高油/脂肪菌株、高炭水化物/多糖類菌株のうちの1つ以上に由来するバイオマスを組み合わせて、配合物が作製される。特定のそのような実施形態では、結果として生じる配合物は、単独で利用される菌株の収集物のいずれの亜群よりも、別の生物の栄養要件の食事のためのタンパク質、油および脂肪、ならびに炭水化物のより適切なバランスを有する。
【0336】
特定の実施形態では、バイオリアクターから回収されたバイオマスは水で洗浄され、特定のそのような実施形態では、付着した色および味覚体を除去するために希アルカリが洗浄に組み込まれてもよい。特定の実施形態では、低温殺菌ステップが存在する。特定の実施形態では、低温殺菌は、約220°Fで約5分間生じる。いくつかの実施形態では、微生物細胞は、別の生物への施肥または給餌前に煮沸される。
【0337】
バイオマス生成物の有用な製品への加工を助けるために、回収された微生物細胞は、以下、ボールミル粉砕、キャビテーション圧力、超音波処理、機械的剪断、高圧ホモジナイズ、サンドミルまたはコロイドミル、反復凍結解凍サイクル、溶解酵素のうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない周知の方法を使用して破砕され得る。いくつかの実施形態では、細胞は、別の生物への施肥または給餌前に、以下、ボールミル粉砕、キャビテーション圧力、超音波処理、機械的剪断、高圧ホモジナイズ、サンドミルまたはコロイドミル、反復凍結解凍サイクル、溶解酵素のうちの1つ以上に供される。
【0338】
大部分のタンパク質および他の大きな生体分子は細胞内に見出され、特定の実施形態では、これらの生体分子は細胞内環境から抽出される[Doelle,H.W.Microbial Process Development(World Scientific,1994).URL https://books.google.com/books?id=_qDabLa-0ukC.]。いくつかのタンパク質は、内膜および/または超微細構造を含む細胞の不溶性部分と構造的に関連している。多くの場合、これらの生成物を回収するためには、まず細胞を破裂または破砕する必要がある。特定の実施形態では、細胞は、破裂または破砕されている。細胞破壊には多くの方法が存在し、特定の細胞型がこれらのうちの1つ以上に最適である可能性がある。微生物(例えば、細菌)は、かなり脆弱なものから高度に弾力のあるものまで変動する。特定の実施形態では、特定の細胞型によく適していることが当業者に既知である細胞破壊の方法を利用して、本明細書に記載のように生成される細胞を破砕する。
【0339】
ホモジナイザーまたはプレス機は、細菌などの微生物の溶解に使用される一般的なデバイスである。プレス機は、細胞懸濁液を加圧し、急激に圧力を解放することによって、細胞を溶解させる。これは、細胞を溶解させることができる液体剪断力を作り出す。特定の実施形態では、細胞破壊プロセスにおいて圧力ホモジナイザーが使用される。フレンチ圧力式細胞プレス機、またはフレンチプレス機は、細胞を高圧下で狭い弁に通過させることによって細胞の原形質膜を破壊するために使用される装置である。Gaulinホモジナイザーは、食品および乳製品、医薬品、石油、ならびに化学を含む多くの産業で安定した乳濁液および分散液の作製に使用される機械である。フレンチプレス機およびManton-Gaulinホモジナイザーの典型的な動作圧力は、6000~10,000psiである。適切な溶解を達成するためには、一般に複数回(例えば、約2~3回)の通過が必要である。しかしながら、高い動作圧力は、動作温度の上昇をもたらす。したがって、圧力セルは多くの場合、使用前に冷却される(例えば、約4℃)。Hughes Pressは、細胞の凍結懸濁液を、700~5,500バールの圧力で受容チャンバ内の小さ
な間隙に通過させる。最小で25μmまでのスリット幅を使用することがでる。X-Pressは、凍結細胞にも機能するという点で、Hughes Pressの改良版である。この場合、細胞は、ディスクの円筒形の穴を通過する。二重プランジ配置は、細胞を数回前後に通過させて、細胞損傷を増加させることを可能にする。X-pressは、2,000バール超~6,000バールで動作する。
【0340】
特定の実施形態では、以下のホモジナイザーまたはプレス機、Gaulin、Manton-Gaulin、フレンチ、Chaikoff、Hughes、X-press、および/またはSorvall-Ribi分留装置のうちの1つ以上が細胞破壊に使用される。Sorvall-Ribi分留装置は、針弁が冷却窒素による冷却能力を有する改良型またはフレンチプレス機である。特定の実施形態では、細胞は、Sorvall-Ribi分留装置内で1,000バール超、または1,700バール超、または2,400バール超の圧力に供される。いくつかの現代のホモジナイザーは多くの場合、連続式であり、より古いモデルよりも高い圧力で動作することができる。Avestin Emulsiflex-C5は、15,000psi(100Mpa)の1回の通過でE.coli細胞を効率的に溶解させることが報告されている。特定の非限定的実施形態では、Avestin Emulsiflex-C5を使用して、細胞を溶解させる。特定の非限定的な実施形態では、細胞溶解は、ホモジナイザーを通した単一回の通過で達成される。特定の非限定的な実施形態では、細胞は、ホモジナイザー内で約15,000psi以上に曝露される。特定の非限定的な実施形態では、ホモジナイズは、以下の条件下、5000~15000psigの圧力、ホモジナイザーを通した1~5回の通過、32°F~122°Fの温度、4.5~6.5のpHで生じる。
【0341】
超音波および超音波処理は、可能性としては真菌を除いて、ほとんど全ての細胞型について細胞破壊に好適な技術であることが見出されている。細胞は、液体剪断およびキャビテーションによって溶解される。課題は、温度の制御である。これは、懸濁液を氷上で維持し、休止(10~30秒)しながらいくつかの短いパルス(5~10秒)を使用して、低温を再確立することによって対処される。DNAもまた、超音波処理中に剪断される。特定の実施形態では、DNAの加水分解のために細胞懸濁液にデオキシリボヌクレアーゼを添加する必要はない。特定の実施形態では、超音波は、細菌細胞および/または古細菌細胞の破壊に使用される。
【0342】
■ 特定の実施形態では、細胞破壊は、細胞材料を固体表面に対して粉砕することによって達成される。植物、酵母、および細菌細胞を含むビーズミルでは、ほとんどの細胞型の効率的な破砕が実証されている。最大20リットルまでのシステムが利用可能であり、40~70kg/時の処理量での酵母の破壊では90%超の収量、および200kg/時の処理量では最大80%の収量が報告されている[Doelle,H.W.Microbial Process Development(World Scientific,1994).URL https://books.google.com/books?id=_qDabLa-0ukC.]。特定の実施形態では、(研磨粉末を用いるかもしくは用いない)乳棒乳鉢、Potter-Elvehjiemホモジナイザー、Braunホモジナイザー、ビーズミルおよび/またはコロイドミルを含むが、これらに限定されない1つ以上のミル粉砕方法が細胞破壊に使用される。特定の実施形態では、ビーズのサイズおよび密度、ならびに量および組成;ローター速度;刃および/またはローター軸の設計;細胞濃度;粘度;ならびに温度を含むが、これらに限定されない1つ以上の因子が、最も効率的および/または費用対効果の高い細胞破壊に対して最適化される。
【0343】
特定の実施形態では、機械的方法に加えて、または機械的方法を追加することなく、細胞の物理的および/または化学的および/または酵素的溶解を含む非機械的方法を細胞溶解に使用してもよい。
【0344】
浸透圧ショックは細胞が低張液に懸濁された場合に生じ、水は細胞内に拡散し、細胞を膨張させ、最終的には破裂させる。この技術は比較的穏やかであり、制御可能である。典型的な溶液には、例えば、1Mのグリセロール、1Mのスクロース、蒸留水、または単に上清の希釈液が含まれる。特定の非限定的な実施形態では、浸透圧ショックが細胞溶解プロセスの一部として使用される。
【0345】
特定の非限定的な実施形態では、圧力開放が細胞溶解プロセスの一部として使用される。特定の実施形態では、細胞懸濁液はガス下で加圧され、平衡化するまで放置される。ブロスおよび細胞の細胞質において、ガス圧が増加する。急激に圧力を解放すると、ガスが溶液から放出され、細胞内の膨張により細胞が爆発する。特定のそのような実施形態では、細胞懸濁液は、最大60バールまで加圧される。特定の非限定的な実施形態では、細胞懸濁液は、35バール以上の亜酸化窒素下で3分以上平衡化される。他の非限定的な実施形態では、細胞懸濁液は、35バール以上の窒素下で3分以上平衡化される。
【0346】
特定の非限定的な実施形態では、凍結解凍が、細胞溶解プロセスの一部として使用される。細胞を凍結した後に解凍すると、多くの場合、細胞を穿刺する氷結晶の作用を通して膜が破裂する。特定の実施形態では、1回以上の凍結解凍サイクルが利用される。
【0347】
特定の実施形態では、凍結と粉砕との組み合わせが、細胞溶解プロセスの一部として使用される。特定の実施形態では、細胞は、例えば、液体窒素であるが、これに限定されないものを使用して凍結され、次いで凍結細胞は、上記の粉砕およびミル粉砕のアプローチのうちの1つ以上を使用して粉末へと粉砕される。特定の実施形態では、同様に液体窒素で冷却された乳鉢乳棒が使用される。特定の実施形態では、細胞溶解物は、該凍結粉砕粉末を5体積の緩衝液に添加することによって調製される。
【0348】
乾燥(Drying)または乾燥(desiccation)は、微生物細胞を破壊するために一般的に使用され、多くの場合、微生物細胞が緩衝作用を受けやすいようにする。特定の非限定的な実施形態では、乾燥(Drying)もしくは乾燥(desiccation)および/または緩衝液の作用が、細胞溶解プロセスの一部として使用される。特定の実施形態では、真空を適用して、プロセスを促進してもよい。特定の実施形態では、凍結乾燥を用いてもよく、他の実施形態では、緩徐な空気乾燥を用いてもよい。特定の実施形態では、揮発性化学物質を用いた乾燥を使用してもよい。アセトン、エタノール、およびエーテルなどの試薬は、緩衝液中の生成物の溶解度を改善することができる。特定の非限定的な実施形態では、アセトンおよび/またはエタノールおよび/またはエーテルが、細胞溶解プロセスの一部として使用される。
【0349】
特定の非限定的な実施形態では、酵素的溶解が、細胞溶解プロセスの一部として使用される。1つ以上の酵素(複数可)を使用して、特定の結合を攻撃することによって細胞壁を溶解させてもよい。酵素的溶解は、例えば、細菌細胞のペプチドグリカン層の消化に基づき得る。酵素は一般に、各破壊バッチで失われるが、特定の状況では、酵素を巨大分子に共役させ、限外濾過によってそれを回収することが可能である。特定の非限定的な実施形態では、溶解酵素(複数可)は、巨大分子に共役され、かつ/または限外濾過によって回収される。一般的に使用される酵素はリゾチームであり、これは卵白から得られる。それは、細胞壁のムラミン酸ペプチドを攻撃し、グラム陽性菌およびグラム陰性菌に有効であることが見出されている。しかしながら、グラム陰性菌は、細胞壁の外側にあり、かつペプチドグリカン層を曝露させるために透過処理される必要がある外膜を有する。多くの場合、溶解方法において緩衝液として使用されるトリスは、外膜を効果的に透過処理する。この効果は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(例えば、約1mM)を添加することによって増強することができる。EDTAは、膜を安定化させるマグネシウムイオンを
キレート化する。特定の非限定的な実施形態では、1つ以上のリゾチーム(複数可)が、細胞溶解プロセスの一部として使用される。特定の非限定的な実施形態では、トリスが、溶解における緩衝液として使用される。特定の非限定的な実施形態では、EDTAが、溶解におけるキレート剤として使用される。特定の非限定的な実施形態では、酵素的溶解が、超音波処理と共に実行される。
【0350】
特定の非限定的な実施形態では、洗剤および/または溶媒および/または他の化学物質が、細胞溶解プロセスの一部として使用される。カチオン性およびアニオン性洗剤、アルカリ、酸、ならびに溶媒(クロロホルムおよびトルエンなど)は、細胞膜の脂質またはリポタンパク質を損傷させるのに有効である。特定の非限定的な実施形態では、カチオン性および/もしくはアニオン性洗剤(複数可)ならびに/またはアルカリ(複数可)ならびに/または酸(複数可)ならびに/または溶媒(複数可)(クロロホルムもしくはトルエンなどであるが、これらに限定されない)が、細胞溶解プロセスの一部として使用される。特定のそのような実施形態では、化学薬剤は、細胞溶解プロセスの下流の最終生成物中に植物および/または真菌および/または動物および/または環境に対して有毒または有害な残渣をもたらさないように選択される。特定のそのような実施形態では、植物および/または真菌および/または動物および/または環境に対して有害な影響(当該技術分野で周知のものなど)を及ぼし得るあらゆる化学物質を安全なレベルまで除去するためのプロセスが、細胞溶解プロセスの下流で実装される。
【0351】
ポリミキシン、アムホテリシンB、および/またはナイスタチンなどの抗生物質は、細菌膜の透過性を増加させ、溶解を誘導し得る。ペニシリン系抗生物質は、細菌の細胞壁合成の効果的な阻害剤であるが、細胞がまだ活発に成長している場合の細胞破壊に対してのみ価値がある。特定の非限定的な実施形態では、ポリミキシン、アムホテリシンB、ナイスタチン、および/またはペニシリンのうちの1つ以上を含むが、これらに限定されない抗生物質が、細胞溶解プロセスの一部として使用される。特定のそのような実施形態では、抗生物質は、細胞溶解プロセスの下流の最終生成物中に植物および/もしくは真菌および/もしくは動物および/もしくは環境に対して有毒もしくは有害な、かつ/または抗生物質耐性微生物の医学的問題を悪化させ得る残渣をもたらさないように選択される。
【0352】
特定の非限定的な実施形態では、バクテリオファージが、細胞溶解プロセスの一部として使用される。大部分の群の細菌は、バクテリオファージに対して感受性である。ファージは、核酸浸透のために細胞膜を加水分解する酵素を担持する。重度の感染は、溶解をもたらす可能性がある。そのような実施形態では、そのようなファージ汚染を発酵容器内に再利用することは非常に危険であり、そのような汚染を防止するために、当業者に既知であるそのような汚染の防止ステップが実装される。
【0353】
細胞を任意の方法で破裂させると、細胞破片画分および可溶性細胞質成分画分が一般に得られる。これらの画分は、遠心分離または濾過などであるが、これらに限定されない方法によって分離することができる。可溶性細胞質成分の中には、個々に存在するかまたは共役されているかのいずれかの核酸およびタンパク質がある。実質的な量のDNAが、細胞溶解によって遊離され、粘度を上昇させ得る。特定の非限定的な実施形態では、溶解された調製物の粘度を低減するために、デオキシリボヌクレアーゼ(例えば、約1mg/ml)が添加される。細胞溶解後、等電沈殿によるタンパク質の回収は、特定の実施形態では望ましくない核酸含有量を有するタンパク質性生成物をもたらし得る。特定の実施形態では、タンパク質性材料の核酸含有量を低減または排除するための当該技術分野において周知の対策が講じられる。
【0354】
特定の実施形態では、細胞材料からの抽出物が得られる。特定のそのような実施形態では、抽出物は、有機抽出物である。特定のそのような実施形態では、抽出物は、酵素抽出
物である。そのような方法によって得られるか、または得ることができる細胞抽出物が提供される。いくつかの実施形態では、細胞抽出物(例えば、有機抽出物)は、農業、動物の給餌、および/または直接的なヒトの栄養に使用される。
【0355】
本明細書に記載のように、発現培養物および/またはブロスは、微生物の成長および生成のためにC1炭素源および/または有機炭素源を使用し得る、本明細書に開示されるバイオプロセスを通して得られる細胞懸濁液を指す。より具体的には、培養物および/またはブロスは、微生物細胞および/またはそれらの代謝産物および/または未消費の栄養素を含み、これらには、以下、タンパク質、水溶性ビタミンB複合体、他のビタミン、リン酸塩、無機質(カリウム、硫黄、マグネシウム、カルシウム、および/またはナトリウムなどであるが、これらに限定されない)、飽和および/または不飽和脂肪酸、レシチン、セファリン、炭水化物(グリコーゲン、トレハロース、グルカン、および/またはマンナンなど)、エチルアルコール、二酸化炭素、エステル、アルデヒド、ケトン、ならびに高級アルコールなどのうちの1つ以上が含まれ得るが、これらに限定されない。これらの残渣は、乾燥もしくは濃縮されることなくバイオリアクターから出たままの状態で、または水を除去した後に濃縮された液体もしくは固体の形態で、水溶液中に懸濁および/または溶解され得る。残遺水は、例えば、濾過、沈降、または遠心分離などであるが、これらに限定されない任意の従来の方法によって分離することができる。
【0356】
米国特許出願第2003/022357号は、Saccharomyces属の酵母細胞および廃水貯蔵または廃水処理場由来のスラッジに基づく生物学的肥料を記載しており、その製造のために、酵母細胞は、磁場を印加することによって活性化される。本明細書の特定の非限定的な実施形態では、C1原料で成長させる微生物細胞は、磁場を印加することによって活性化される。米国特許出願第US2002/187900号は、牛糞尿と組み合わせた、Saccharomyce属の電磁気的に活性化させた酵母細胞を含む生物学的肥料を記載しており、米国特許出願第US2002/187552号は、鳥糞尿と組み合わせた、電磁気的に活性化させたSaccharomyces細胞も含む生物学的肥料を開示している。本明細書の特定の非限定的な実施形態では、H、CO、CO、およびCHのうちの1つ以上を含むが、これらに限定されないガス状基質で成長している微生物細胞は、電磁気的に活性化される。特定の実施形態では、細胞は、牛糞尿および/もしくは鳥糞尿および/もしくは他の糞尿、ならびに/または植物、海藻、および/もしくは昆布および/もしくは動物廃棄物からの抽出物を含むが、これらに限定されない1つ以上の他の成分と組み合わされる。
【0357】
タンパク質加水分解
特定の非限定的な実施形態では、本明細書に記載の微生物(細菌)細胞からの有機抽出物は、遊離アミノ酸、オリゴペプチド、および/または他の高分子量の他のペプチドのうちの1つ以上を含む、加水分解状態のほぼ全てのタンパク質含有量と、出発全細胞材料の実質的に全てとを含有する。特定のそのような実施形態では、抽出物は、高い生物肥料および/またはバイオスティミュラント能力、ならびに真菌および/または動物および/または植物に対するより大きい生物吸収能力を有する。特定の実施形態では、これらの抽出生成物は、有機農業において、ならびに/または動物飼料において、ならびに/または水耕栽培において、ならびに/または家畜および/もしくは水産養殖のための高い栄養価を有する添加剤として、ならびに/または従属栄養微生物および/もしくはマクロ微生物の成長のための栄養素として、ならびに/またはヒトの直接的な消費のための栄養素として有用である。
【0358】
特定の非限定的な実施形態では、本明細書に記載の微生物細胞を加水分解して、加水分解物を得る。様々な例示的な実施形態では、植物バイオスティミュラントを生成する方法は、微生物細胞を加水分解して、加水分解物を得ることと、葉面散布および/または土壌
補助剤としての散布および/または土壌肥料としての散布のための、植物バイオスティミュラントおよび/もしくは植物栄養素および/もしくは肥料として加水分解物を配合することとを含む。特定の非限定的な実施形態では、加水分解物は、野菜および花作物、観葉植物、ならびに芝草の発芽および初期成長を増強するために種子コーティングにおいて使用される。特定の非限定的な実施形態は、植物バイオスティミュラントおよび/または肥料を生成する方法を含み、この方法は、例えば、本明細書に記載のように成長させた微生物細胞を加水分解して、加水分解物を得ることと、葉面散布または土壌補助剤としての散布または種子コーティングにおける散布ための、植物バイオスティミュラントとして加水分解物を配合することとを含む。特定の非限定的な実施形態では、微生物細胞の加水分解は、約1~約30重量パーセントの固形分含有量を有する細胞クリームを加水分解することを含む。特定の非限定的な実施形態では、微生物細胞の加水分解は、約0.12~約4重量パーセントの窒素含有量を有する細胞クリームを加水分解することを含む。微生物細胞を加水分解によって処理して、無傷の細胞または部分的に溶解した細胞と比較してはるかに粘度が低減した、より短鎖の化合物をもたらすことができる。他の細胞の使用は可能であるが、本明細書に記載の特定の実施形態による植物バイオスティミュラントおよび/または真菌栄養素の調製には、微生物細胞(好ましくは、原核細胞、より好ましくは、細菌細胞または真正細菌細胞)が用いられる。アミン含有化合物は、植物細胞または動物細胞を加水分解することによって得ることができる。微生物細胞を加水分解する本明細書の例示的な方法はまた、植物バイオスティミュラントとして作用し得る、ペプチドグリカン、リポ多糖類、脂肪、脂質、ビタミン、炭水化物、フェノール、無機質元素、植物ホルモン、アミン含有化合物、およびポリアミンなどの生物活性化合物ももたらし得る。
【0359】
微生物細胞の加水分解は、細胞構成成分を短鎖または単一の化合物へと実質的に溶解させる任意の既知の方法によって実行することができる。あるいは、部分加水分解を利用して、よりエネルギー集約性が低く、より短い加水分解期間を利用することによって、細胞から植物バイオスティミュラントおよび/または肥料を生成することができる。
【0360】
微生物細胞がそのような酵素加水分解に適している実施形態では、酵素加水分解を用いることができる。特定の非限定的な実施形態では、微生物細胞の加水分解は、酵素加水分解を実行することを含む。最終的な酵素加水分解後、「有機酵素抽出物」と称され得る生成物が得られる。有機酵素は、農業、家畜、および/またはヒトの栄養目的のためにそのまま使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の有機酵素抽出物は、農業、動物の給餌、および/または従属栄養発酵の用途に使用される。特定の実施形態では、有機酵素抽出物は、アミノ酸、オリゴペプチド、およびペプチド(植物および/または土壌生物によるこれらの分子の吸収を可能にする低分子量を有する)のその特別な組成を考慮すると、バイオスティミュラントとして、および/または有機農業における生物肥料として使用することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って生成され、作物に散布されるバイオスティミュラントは、以下の結果、作物品質パラメータおよび/または栄養効率の増強、成長速度の増加、光合成速度の増加、作物収量の増加、植物の根および葉の成長の増加、非生物的ストレス耐性の増加、病害耐性の増加、土壌品質の改善、より少ない雑草の成長のうちの1つ以上を送達する。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って生成されるバイオスティミュラントは、該バイオスティミュラントを散布した作物による栄養素使用の効率を増加させ、かつ/または作物を植えた田畑から環境への栄養素の浸出を減らす。特定の非限定的な実施形態では、本明細書に記載の方法に従って生成されるバイオスティミュラントは、ストレス要因に対する植物の耐性を増加させ、かつ/または植物の増殖率を増加させ、かつ/または現在入手可能な市販の製品よりも用量あたり大きな有効性を有し、かつ/または現在入手可能な市販の製品と比較して過剰散布が生じた場合に植物損傷の危険性の低減を提供する。特定の実施形態では、本明細書に記載のタンパク質加水分解物または有機抽出物は、N固定、P可溶化、およびインドール酢酸生産菌などの望ましい天然に存在する土壌微生物を刺激する。特
定の非限定的な実施形態では、バイオスティミュラントは、Azospirillum菌種および/またはAzotobacter菌種を含む。特定の実施形態では、有機酵素抽出物は、真菌(例えば、キノコ)のための栄養素または補助剤として使用することができる。特定の実施形態では、有機酵素抽出物は、動物飼料のように、より具体的には、家畜飼料(ウシ、ヒツジ、ヤギなど)のための、および/または水産養殖のための、および/または昆虫(例えば、ミツバチ)もしくは他の無脊椎動物(例えば、赤虫)のための、および/または従属栄養発酵のための、および/または飼育動物もしくはペットのための、および/またはヒトの直接的な消費のための、高付加価値を有する栄養添加物として使用することができる。
【0361】
特定の実施形態では、抽出物は、出発タンパク質の実質的に全てを加水分解形態で含有する。特定の非限定的な実施形態では、出発タンパク質の90重量%超が、加水分解形態、例えば、遊離アミノ酸、オリゴペプチド、および他のより高い分子量を有するペプチドの形態である。特定の非限定的な実施形態では、加水分解プロセスに入る培養物中の細胞からの実質的に全ての栄養素は、加水分解物に含有される。特定の実施形態では、有機物の液体溶液または懸濁液からの細胞外栄養素もまた、生成物中に含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法によって得られるか、または得ることができる加水分解物および/または有機酵素抽出物が提供される。特定の実施形態では、抽出物は、例えば、ほとんどがペプチド(例えば、10,000ダルトン未満の低分子量を有するオリゴペプチドおよびペプチド)ならびに遊離アミノ酸の形態であるタンパク質に富んでいる。特定の実施形態では、遊離アミノ酸は、高い生体吸収を有する。特定の実施形態では、抽出物は、炭水化物を含有する。本明細書に記載のそのような酵素を用いることによって、加水分解において強酸または強塩基の代替物を使用して植物バイオスティミュラントを得ることが可能である。様々な例示的な実施形態では、微生物(例えば、細菌)細胞の酵素加水分解は、任意の好適な酵素または酵素組成物を使用して実行することができる。
【0362】
特定の非限定的な実施形態では、微生物は、微生物(例えば、細菌)タンパク質を遊離アミノ酸および/または短いペプチドに加水分解することができる少なくとも1つの酵素で加水分解される。特定の実施形態では、酵素加水分解は、精製酵素による加水分解を含む。特定の実施形態では、酵素加水分解は、酵素とその酵素が調製された培地との混合物による加水分解を含む。特定の実施形態では、酵素加水分解は、植物および/または動物および/または細菌および/または古細菌および/または真菌起源の酵素による加水分解を含む。特定の実施形態では、酵素加水分解は、植物、動物、細菌、古細菌、および/または真菌起源の1つ以上の酵素(複数可)の混合物による加水分解を含む。特定の実施形態では、加水分解酵素は、本明細書に記載の微生物株によって生成される。特定の実施形態では、加水分解酵素は、C1基質ならびに/またはHおよび/もしくは合成ガス原料から生成される。例示的な実施形態では、細菌細胞は、プロテアーゼ、リパーゼ、およびアミラーゼのうちの1つ以上で加水分解することができる。特定の実施形態では、酵素加水分解は、微生物、植物、真菌、および/または動物起源の1つ以上のタンパク質分解酵素(複数可)を含む。特定の実施形態では、この方法は、アルカリプロテアーゼの使用を含む。特定の実施形態では、酵素加水分解は、パンクレアチン;パパイン;ブロメライン;フィシン;細菌プロテアーゼ;真菌プロテアーゼ;Bacillus菌種Alcalase2.4L、Bacillus B.licheniformis、および/もしくはSubtilisin carlesbergによって生成される中性プロテアーゼ;B.lentus由来のエスペラーゼ(Esperase);B.amyloliquifacus由来のヌトラーゼ(Nutrase);Bacillus菌種由来のプロタメックス(Protamex);B.thermoproteolyticus由来のテロリシン(Therolysin)/テロラーゼ(therolase);Aspergillus oryzae由来のフレーバーザイム(Flavouzyme);B.subtilis由来のプロテアーゼN;トリプシン;キモトリプシン;ケラチナーゼ;ペプシン
;ズブチリシン;ならびに/またはレンニンから選択される、少なくとも1つの酵素による加水分解を含む。当業者によってよく理解されるように、パンクレアチンは、消化酵素と、プロテアーゼと、リパーゼと、アミラーゼとの混合物を含む。
【0363】
微生物(例えば、細菌)細胞の酵素加水分解は、任意の好適な条件下で、任意の好適な量の酵素と細菌細胞とを組み合わせることを含み得る。一般に、反応物の量、反応条件、および反応ステップの順序は、理想的な酵素活性を達成するように選択される。特定の実施形態では、酵素加水分解の圧力、温度、pH、および時間の条件は、最大または好適なレベルの酵素活性が達成される条件である。特定の実施形態では、酵素加水分解の実行は、微生物(例えば、細菌)細胞の窒素含有量100gあたり約0.1~約10gの範囲の重量比で酵素と細菌細胞とを組み合わせることを含む。別の特定の実施形態では、酵素加水分解は、アゾカゼインアッセイを使用して、約70,000単位の活性を有する0.05体積%~0.5体積%の濃度の酵素原液を使用して実行される。様々な例示的な実施形態では、任意の好適な方法を用いて、微生物(例えば、細菌)細胞の酵素加水分解の効率を改善することができる。特定の実施形態では、酵素加水分解は、酵素と微生物細胞とを組み合わせることと、組み合わせた酵素および微生物細胞を任意の好適な方法で撹拌することとを含む。酵素処理は、例えば、温度制御および撹拌を有するリアクターなどの当業者に既知である任意の好適なデバイスで実行することができる。
【0364】
上記に示されるように、加水分解は、任意の好適な条件下で実行することができるが、様々な例示的な実施形態では、加水分解は、2~約10の範囲のpHで実行することができる。特定の実施形態では、酵素加水分解は、pH4~12の範囲内のpH条件下で実行される。他の実施形態では、加水分解は、5~9.5のpH範囲内、またはpH6~8、またはpH7で実行される。各種類の酵素はそれ自体の最適pHで加水分解し、最適pHは所望の加水分解の速度および程度に応じて異なり得ることを理解するべきである。特定の実施形態では、pH値は、例えば、水酸化アンモニウムまたは水酸化カリウムなどの塩基の添加によって酵素加水分解の間一定に維持され、他の実施形態では、pHは、酸の添加によって維持される。様々な例示的な実施形態では、加水分解は、15.5℃~55℃の温度で、2~120時間の範囲の期間にわたって実行することができる。特定の実施形態では、酵素加水分解は、10℃~80℃の範囲の温度条件下で、他の実施形態では、10~65℃または10~55℃の範囲の温度下で実行される。
【0365】
特定の実施形態では、酵素加水分解の実行は、触媒の存在下で酵素と微生物細胞とを反応させることを含む。不均一触媒、均一触媒、および/または電極触媒などの、1つ以上の酵素(複数可)の効率を改善する任意の触媒を用いることができる。特定のそのような実施形態では、触媒は、鉄、銅、コバルト、ニッケル、ホウ素、マグネシウム、カルシウム、および希土類金属(ランタンなどであるが、これに限定されない)のうちの少なくとも1つを含む。特定の実施形態では、酵素加水分解は、電流が印加されている間に酵素と微生物細胞とを反応させることを含む。特定の実施形態では、酵素加水分解は、微生物細胞を酵素加水分解する前および/またはその間に微生物細胞を電流で処理することを含む。電流は、任意の好適な方法によって、かつ任意の好適な条件下で細胞に印加することができる。電流を印加するための例示的な方法および条件は、例えば、Tokuda,et
al.(2006)“Effects of electrical pre-treatment on the hydrolysis of agricultural
Wastes,”J.Brewing Soc.Jap.,101(10):769-775(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。様々な例示的な実施形態では、電流は、2V~120Vの量で1~60分間にわたって印加される。
【0366】
本明細書の方法の様々な例示的な実施形態は、微生物(例えば、細菌)細胞を酵素加水分解する前の前処理を更に含み得る。酵素を使用する微生物タンパク質加水分解の効率は
、様々な前処理方法を使用することによって改善することができる。そのような前処理方法は、細胞の構造を分解し、それによって酵素による加水分解の速度および程度を増加させると考えられる。タンパク質加水分解の効率を増加させることによって、より少ない酵素を使用して加水分解を実行すること、または所与の酵素量について通常必要とされるよりも短い時間で加水分解を実行することが可能である。使用される酵素量の低減は、生産費用を実質的に低減することができるため、より少ない酵素を使用して加水分解を実行することが特に望ましい。
【0367】
特定の実施形態では、酵素加水分解の実行は、微生物細胞を酵素加水分解する前に、微生物(例えば、細菌)細胞を弱酸または弱塩基で処理することを含む。様々な例示的な実施形態では、塩酸または硫酸などであるが、これらに限定されない酸を使用して、ブロスのpHを3から5に低下する範囲に調整することによって、穏やかな酸性前処理が実行される。特定の実施形態では、穏やかな酸性前処理は、100℃~130℃の温度で、0.25時間~10時間にわたって実行することができる。様々な例示的な実施形態では、穏やかな塩基性前処理は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、またはアンモニアなどであるが、これらに限定されない塩基を使用して、細菌細胞のpHを9~12に調整することによって実行される。特定の実施形態では、穏やかな塩基性前処理は、100℃~130℃の温度で、0.25時間~10時間にわたって実行することができる。特定の実施形態では、酵素加水分解は、微生物細胞を酵素加水分解する前および/またはその間に微生物細胞を超音波振動で処理することを含む。特定の実施形態では、酵素加水分解は、微生物細胞を酵素加水分解する前に微生物細胞を超臨界水および/または超臨界二酸化炭素で処理することを含む。
【0368】
特定の実施形態は、「ワンポット」合成を通して加水分解物または有機酵素抽出物を得るための方法を含む。本発明の文脈において、「ワンポット」という表現は、その手順が中間分離ステップなしで実行されることを意味する。特定の実施形態では、細胞ブロスの物理的処理は、超大気圧および高温で、相分離なしで生じ、ここで、細胞ブロスは、酵素加水分解を受ける前に濃縮された塩基で処理される。特定の実施形態では、細胞ブロスは、一種の「ワンポット」合成に供され、これは、特定の非限定的な実施形態では、(a)細胞懸濁液を含むブロスに濃縮された塩基を添加して、pHを調整するするステップと、(b)ステップ(a)で得られた混合物を超大気圧および高温に供するステップと、(c)ステップ(b)で得られた混合物を酵素加水分解に供して、有機酵素抽出物を得るステップとを含む。特定の実施形態では、ステップ(a)のアルカリ処理は、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、および/または水酸化カルシウムのうちの1つ以上から選択される好適な塩基を使用する。特定の実施形態では、塩基は、過剰な反応体積の増加(これは、加熱、濃縮などによるエネルギー費用および機器費用を増加させる)を回避するために濃縮された形態で使用される。特定の実施形態では、この濃度は、その後の酵素加水分解にとって所望のpH範囲に従って選択される。特定の非限定的な実施形態では、約28重量%の水酸化アンモニウムが使用され、他の実施形態では、およそ10Mの水酸化カリウムが使用される。
【0369】
特定の実施形態では、ブロスのアルカリ処理後、混合物の物理的処理は、超大気圧および/または高温で実行される。特定の非限定的な一実施形態では、102kPa~141kPaの圧力が、ステップ(b)において高温で印加される。いくつかの特定の実施形態では、90℃~140℃の温度が、物理的処理に使用される。いくつかの特定の実施形態では、102kPa~141kPaの圧力が、ステップ(b)において90℃~140℃の温度で印加される。この物理的処理は、例えば、オートクレーブなどの、当業者によって選択される任意の好適なデバイスにおいて実行される。
【0370】
特定の実施形態では、酵素処理は、物理的処理後に実行される。特定の実施形態では、
物理的処理後かつ酵素処理前に、処理される混合物が使用される酵素にとって最適なpH値を有するように、濃縮された塩基および/または酸が添加される。特定の実施形態では、ステップ(c)の酵素加水分解に使用される1つ以上の酵素は、微生物、植物、真菌、または動物由来のタンパク質分解酵素である。特定の実施形態では、ステップ(c)の酵素加水分解は、40℃~70℃の温度および8~11のpHで、2時間~48時間実行される。特定の実施形態では、ワンポット合成は、プロセスの単純性を増加させ、かつ/または費用を低下させ、かつ/または同等のマルチポットプロセスよりも汚染が少ない。
【0371】
酵素の補助の有無にかかわらず、微生物(例えば、細菌)細胞の加水分解は、十分な熱および圧力条件と組み合わせた酸またはアルカリ加水分解の適用を通して達成することができる。特定の非限定的な実施形態では、微生物細胞の加水分解は、酸加水分解の実行を含む。特定のそのような実施形態では、酸加水分解は、硫酸、塩酸、リン酸、炭酸、ホウ酸、酢酸、プロピオン酸、およびクエン酸から選択される少なくとも1つの薬剤で、微生物細胞を含む組成物のpHを調整することを含む。様々な例示的な実施形態では、酸加水分解は、微生物細胞クリームのpHを約0.5~約5のpHに調整することによって実行される。特定のそのような実施形態では、酸加水分解は、微生物(例えば、細菌)細胞を含む組成物のpHを調整することと、pH調整した組成物を30℃~200℃の温度まで約10分間~約48時間加熱することを含む。特定のそのような実施形態では、酸加水分解は、微生物(例えば、細菌)細胞を含む組成物のpHを調整することと、pH調整した組成物を圧力下で加熱することとを含む。特定の非限定的な実施形態では、微生物細胞の加水分解は、アルカリ加水分解の実行を含む。そのようなある実施形態では、アルカリ加水分解の実行は、微生物細胞を含む組成物のpHを約8~約14のpHに調整することを含む。特定のそのような実施形態では、アルカリ加水分解は、微生物細胞を含む組成物のpHを、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、およびアンモニアから選択される少なくとも1つの薬剤で調整することを含む。そのようなある実施形態では、アルカリ加水分解は、微生物(例えば、細菌)細胞を含む組成物のpHを調整することと、pH調整した組成物を30℃~200℃の温度まで約10分間~約48時間加熱することとを含む。特定のそのような実施形態では、アルカリ加水分解は、微生物(例えば、細菌)細胞を含む組成物のpHを調整すること、およびpH調整された組成物を加圧下で加熱することとを含む。本明細書に記載のようなそのような酸またはアルカリ加水分解技術は一般に、可溶性物質および細胞壁破片を含む加水分解物をもたらす。
【0372】
単細胞タンパク質および微生物タンパク質単離物
本開示の特定の実施形態は、低下した核酸含有量を有する単細胞タンパク質(SCP)および/または微生物タンパク質単離物に関する。いくつかの実施形態では、核酸を比較的含まないが、それでもなお良好な栄養価および許容される摂食(すなわち、消費)品質を提供するタンパク質生成物が提供される。特定の実施形態では、核酸含有量は、9重量%未満に低減される。特定の実施形態では、RNA含有量は、ヒトの消費に関する世界保健機関(WHO)のガイドラインを満たすように低減される。特定の実施形態では、SCPのRNA含有量は2乾燥重量%未満であり、いくつかの実施形態では、それは1%乾燥重量未満である。特定の実施形態では、タンパク質100グラムあたり2~3グラム以下の核酸を含有する細胞材料を生成する、核酸低減プロセスが含まれる。特定の非限定的な実施形態では、細胞単離物のタンパク質当量比(PER)は、1超である。特定の非限定的な実施形態では、細胞単離物の組成は、重量百分率に関して、65%~85%以上のタンパク質、0.5%~9%の核酸、7%~15%の脂質、1%~5%の灰、ならびに5%~20%の炭水化物および/または他のNを含まない非脂質有機物である。
【0373】
特定の実施形態では、細胞は、プロテアーゼを不活性化し、プロテアーゼによるタンパク質の分解は停止させるが、リボヌクレアーゼ(RNA消化酵素)によるリボソームRNAの分解は依然として可能にする温度に供される。特定のそのような態様では、この温度
は、少なくとも約64℃である。特定のそのような態様では、このRNA消化の小さな生成物は細胞壁を通して培養ブロス中に拡散し、このようにして最終SCP生成物から除去される。特定のそのような態様では、このRNA除去ステップは、バイオリアクターと流体接続しているRNA低減容器内で生じる。特定のそのような実施形態では、培養物は、バイオリアクターから連続的に回収される。特定のそのような実施形態では、RNA含有量が低減した後、細胞質量は大型移動フィルター上に広がり、それを通して液体の大部分が真空によって引き出される。特定のそのような実施形態では、これにより、高タンパク質材料の薄いシート、例えば、核酸含有量が少ない高タンパク質材料の薄いシートが残る。
【0374】
本明細書の特定の実施形態の細胞単離物は、細胞を破裂させることと、細胞壁残渣を除去することとを伴うプロセスによって作製することができる。特定のそのような態様では、この細胞破裂は、アルカリ性培地中で実行される。特定の実施形態では、核酸含有量の低減は、細胞内の核酸を、断片がタンパク質から離れて細胞から拡散することができるようなサイズの断片へと加水分解することによって、達成することができる。
【0375】
酵母を含むいくつかの異なる微生物中に存在するヌクレアーゼ酵素は、核酸分子をより小さな断片に加水分解または分解することが知られている。酵素的方法による核酸の加水分解は、加水分解の化学的方法に一般に必要とされる条件よりも、pHおよび温度に関してはるかに穏やかな条件の使用を可能にし、ここでより穏やかな条件はそれぞれ、7により近いpHおよび周囲温度により近い温度であると考えられる。特定の実施形態では、穏やかな条件により、耐酸性または耐アルカリ性機器が不要になる。特定の実施形態では、同等の化学的な加水分解方法よりもタンパク質の栄養価をより良好に保存する、酵素プロセスおよび穏やかな条件が利用される。いくつかのヌクレアーゼ源が、文献に記載されている。本明細書の特定の実施形態は、当業者に周知の核酸ポリマーの加水分解にヌクレアーゼ(複数可)を利用する。特定の実施形態では、そのようなヌクレアーゼ(複数可)は、加水分解された核酸と共に細胞外のアミノ酸および/または小ペプチドを同時拡散することによるタンパク質回収率の低下を引き起こし得る、プロテアーゼなどの二次酵素系を含まない。特定の実施形態では、ヌクレアーゼ調製物は、核酸低減プロセス由来の生成物に望ましくない風味を与えない。特定の実施形態では、使用されるヌクレアーゼ調製物は、市販されている。特定の実施形態では、ヌクレアーゼは、食品グレードである。特定の実施形態では、酵母由来のヌクレアーゼを使用して、核酸分子を小さな断片へと分解する。特定の実施形態では、内因性および/または外因性ヌクレアーゼを利用して、核酸分子を小さな断片へと分解する。
【0376】
いくつかの実施形態では、例えば、タンパク質の沈殿によって核酸断片をタンパク質から分離することができるように、内因性ヌクレアーゼを使用して核酸を加水分解する、タンパク質単離物を作製するためのプロセスが提供される。細胞内の核酸の加水分解は、自己完結型および/または内因性ヌクレアーゼを活性化して、不溶性核酸ポリマーを可溶性核酸に変換するための多ステップ加熱プロセスによって達成することができることもまた、当該技術分野で既知である。特定の実施形態では、多ステップ加熱プロセスを使用して、自己完結型および/または内因性ヌクレアーゼを活性化して、不溶性核酸ポリマーを可溶性核酸に変換する。特定の実施形態では、細胞溶解物は、可溶性部分に含有される内因性ヌクレアーゼが細胞内に存在する核酸を可溶性形態に分解するような様式でインキュベートされる。
【0377】
核酸はまた、細胞を外部ヌクレアーゼに曝露することによって加水分解することもできる。特定の実施形態では、細胞および/または細胞溶解物は、外部(外因性)ヌクレアーゼに曝露される。
【0378】
ヌクレアーゼは、特定のpHを超えると可溶性画分へと抽出可能であることが知られている。特定の実施形態では、ヌクレアーゼは、4超のpHで可溶性である。特定の実施形態では、ヌクレアーゼは、5.5超のpHで可溶性である。特定の実施形態では、ヌクレアーゼ抽出のためのpHは、適切な可溶性ヌクレアーゼ収量での最小のアルカリ添加および/または塩含有量のために最適化される。特定の実施形態では、ヌクレアーゼは、ヌクレアーゼが可溶性だが不活性であるpHで抽出され、その活性が必要とされるまで不活性状態に維持され、活性が必要となった時点でヌクレアーゼ活性を回復するためにpHが低下される。
【0379】
特定の実施形態では、細胞株は、ヌクレアーゼ活性の増加のために改善および/または操作されている。特定の実施形態では、細胞のヌクレアーゼ含有量は、遺伝子操作および/または環境操作によって増加される。特定の実施形態では、株は、RNAを適切に低減させるために、内在性ヌクレアーゼを超えて追加のヌクレアーゼを必要とする。特定の実施形態では、この追加のヌクレアーゼは、外部供給源から、および/または内部ヌクレアーゼの増加のための株の選択的発達によってのいずれかで提供される。
【0380】
ヌクレアーゼは一般に、最大の凝集体活性(すなわち、個々の活性酵素あたりの変換率×活性酵素の数)に最適なpHおよび温度を有することが知られている。反応速度は、温度と共に増加するが、不活性化される酵素の画分もまた一般に、温度の上昇と共に増加する。これら2つの相殺効果は一般に、特定の温度範囲内で最大の活性を呈する酵素をもたらす。特定の実施形態では、この最適条件は、当業者に既知の標準的な実験方法に従って特定および使用される。
【0381】
特定の実施形態では、ヌクレアーゼによるRNA分解のためのインキュベーション時間は、最適化されている。
【0382】
核酸ポリマーおよびタンパク質は、特定のpH未満で共沈殿して、核タンパク質混合物を生成することが知られている。特定の実施形態では、溶解物が曝露されるpHは、核タンパク質混合物の形成を回避するために、このpHを超えて維持される。
【0383】
Chargaff(Vol.I,The Nucleic Acids)は、リボ核酸(RNA)は100℃で1時間1NのHClの作用によって、または100℃で0.1NのNaOHの作用によって加水分解され得ると述べている。特定の実施形態では、細胞破裂によって放出された微生物細胞質成分に酸性またはアルカリ性条件を適用すると、核酸が加水分解される。特定の実施形態では、HClまたはNaOHが、RNAの加水分解に利用される。特定の非限定的な実施形態では、RNAは、約1NのHClまたは約0.1NのNaOHを使用して、約100℃で約1時間加水分解される。
【0384】
特定の実施形態では、核酸ポリマーの加水分解後に2つの画分が得られ、一方の画分は、減少した含有量の核酸を含有する固形分を含み、他方の画分は、溶解した核酸断片および他の拡散性材料を含有する周囲の培地である。特定の実施形態では、加水分解および溶解された核酸からタンパク質を分離するために、タンパク質を不溶性にする。特定の実施形態では、不溶性タンパク質画分は、可溶性核酸を含有する画分から分離される。特定の実施形態では、pH、時間、温度、および/または濃度を含むが、これらに限定されない反応条件は、低含有量の核酸および許容可能なタンパク質収量を有するタンパク質生成物を回収するために最適化され、かつ/または許容可能な核酸含有量でのタンパク質収量を最大化するために最適化される。特定の実施形態はまた、低核酸含有量であり、かつ細胞壁破片を含まないタンパク質を作製する方法も含む。特定のそのような実施形態では、ヌクレアーゼを使用して、内因性ヌクレアーゼを含むが、これに限定されない核酸を可溶化する。図22に提供される図面は、この特定の態様のプロセスの一実施形態のブロック図
である。
【0385】
タンパク質加水分解物およびそれらの使用
加水分解物は、生物工学産業において細胞培養物に対する補助剤として使用されている[M.S.Ummadi and M.Curic-Bawden(2010)“Use
of protein hydrolysates in industrial starter culture fermentations,”in Protein
Hydrolysates in Biotechnology,V.K.Pasupuleti and A.L.Demain,Eds.Springer Netherlands,pp.91-114(http://dx.doi.org/10.1007/978-1-4020-6674-0_6)]。本開示の特定の実施形態は、本明細書に記載のように生成され、他の工業発酵およびバイオプロセスにおいて原料または栄養源として使用される微生物加水分解物に関する。特定の実施形態では、本明細書に記載のように生成される加水分解物は、細胞培養物中の補助剤として使用される。
【0386】
タンパク質加水分解物は、その消費が無傷タンパク質よりも急速な身体へのアミノ酸の吸収を可能し、それによって筋肉組織への栄養素の送達を最大化するため、スポーツ医学において特別な用途を見出している[Manninen,Anssi H.(2004)“Protein Hydrolysates In Sports And Exercise:A Brief Review”Journal of Sports Science and Medicine3:60-63]。本明細書の本開示の特定の実施形態は、スポーツ医学において用途を有する微生物タンパク質単離物および/または加水分解物および/または抽出物に関し、具体的には、特定の非限定的な実施形態では、該単離物および/または加水分解物および/または抽出物の消費は、無傷タンパク質よりも急速な身体へのアミノ酸の吸収を可能し、それによって筋肉組織への栄養素の送達を最大化する。特定の実施形態では、加水分解物および/または単離物および/または抽出物は、抗酸化剤および/またはL-アスパラギン酸および/またはマンガンおよび/またはセレンに富んでいる。特定の実施形態は、イヌまたはウマなどの哺乳動物用の食品を含むが、これらに限定されないペットフードにおける、微生物タンパク質単離物および/または加水分解物および/または抽出物の使用に関する。
【0387】
本明細書に記載の有機酵素抽出物および/または加水分解物を農作物に散布する方法は、例えば、土壌への直接散布、または葉を介した散布、または施肥灌水による散布などの任意の従来の技術によって実行することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って生成される加水分解物バイオスティミュラントの散布は、該バイオスティミュラントを受容する植物の一次および/または二次代謝の修飾をもたらす。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って生成される加水分解物バイオスティミュラントの散布は、該バイオスティミュラントを受容する植物内のカロチノイド、ポリフェノール、および/またはフラボノイドなどであるが、これらに限定されない抗酸化化合物の生成および蓄積を刺激する。アミノ酸およびペプチドに加えて、本明細書に記載の特定の実施形態に従って作製される加水分解物は、脂肪、脂質、ビタミン、炭水化物、フェノール、無機質元素、植物ホルモン、ポリアミン、および他の有機化合物を含むバイオスティミュラント作用に寄与し得る他の化合物を含有する。
【0388】
更に、本明細書に記載の加水分解物は代替的に、安定化のために更なる濃縮および/または分離ステップ(複数可)を受けてもよい。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、加水分解後に更なるステップを含み、加水分解物を濃縮に供して、濃縮された加水分解物を得る。特定の実施形態では、濃縮された加水分解物は、少なくとも40重量%の乾燥物、他の実施形態では、少なくとも50重量%の乾燥物、および他の実施形態では、50~55重量%以上の乾燥物を有する。この濃度は、例えば、加熱および恒温浴または
逆浸透を有する回転蒸発器の使用によってなどの、当該技術分野で既知の任意の従来の方法、または任意の他の好適なデバイスによって達成することができる。
【0389】
別の特定の実施形態では、本方法は、タンパク質加水分解後に更なるステップ(複数可)を含み、加水分解後に得られるタンパク質加水分解物を分離に供して、(i)可溶性加水分解物画分と、(ii)固相の不溶性加水分解物画分とを得る。この分離は、例えば、デカンターまたは他の好適な工業機器を使用する濾過または遠心分離によってなどの、当該技術分野において既知の任意の従来の固液分離方法によって行うことができる。本明細書に記載の方法の様々な実施形態では、加水分解物の配合は、加水分解物の液体画分および固体画分の両方を回収することを含む。特定の実施形態では、加水分解物はそのまま、バイオスティミュラントとして、および/または肥料として散布することができる。例えば、加水分解物の配合は、単に加水分解物の全ての画分を回収することと、加水分解物の合わせた液体画分または固体画分を植物バイオスティミュラントおよび/または肥料として作物に散布することとを含み得る。他の実施形態では、加水分解物の配合は、加水分解物の液体画分および固体画分を分離することと、液体画分および/または固体画分を植物バイオスティミュラントおよび/または肥料として保持することとを含む。他の実施形態では、加水分解物は、それぞれ葉面散布および土壌散布のために、可溶性画分および不溶性画分に分離することができる。特定の実施形態では、可溶性加水分解物画分は、実質的に全ての加水分解された出発タンパク質を含有し、特定の実施形態では、90重量%超の加水分解された出発タンパク質を含有する。特定の実施形態では、不溶性画分は、水分または水蒸気処理の存在下での加熱作用を通して還元される。
【0390】
特定の実施形態では、可溶性加水分解物画分は、遊離アミノ酸、オリゴペプチド、およびペプチド(低分子量を有する)のその特別な組成を考慮すると、農業および家畜目的、ならびにより具体的には、有機農業におけるバイオスティミュラントおよび/または生物肥料として、好適な組成物を提供する。
【0391】
特定の実施形態では、加水分解物はまた、動物飼料のための、より具体的には、家畜用動物飼料(ウシ、ヒツジ、ヤギなど)、または水産養殖、または昆虫(例えば、ミツバチ)もしくは他の無脊椎動物(例えば、虫)、または従属栄養微生物(例えば、酵母、E.coli)のための、または飼育動物もしくはペットのための、またはヒトの直接的な消費のための、高付加価値を有する栄養添加剤としても使用することができる。
【0392】
任意で、可溶性加水分解物画分は、更なる濃縮を受けてもよい。特定の実施形態では、上記のものなどの固液分離ステップに続いて、可溶性加水分解物画分は、濃縮された可溶性加水分解物画分を得るために更なる濃縮ステップに供される。特定の実施形態では、濃縮された可溶性加水分解物画分は、少なくとも40重量%の乾燥物を有し、他の実施形態では、少なくとも50重量%の乾燥物、または50~55重量%以上の乾燥物を有する。この濃縮は、例えば、加熱および恒温浴または逆浸透を有する回転蒸発器を使用する真空によってなどの、当該技術分野で既知の任意の従来の方法、または任意の他の好適なデバイスによって実行することができる。特定の実施形態の濃縮された可溶性加水分解物は、それを農業および家畜目的に好適にする組成を有し、特に、いくつかの実施形態では、それは、植物および/または土壌生物によるこれらの分子の吸収を可能にするアミノ酸、オリゴペプチド、およびペプチド(低分子量を有する)のその特別な組成を考慮すると、有機農業におけるバイオスティミュラントおよび/または生物肥料として使用することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載のタンパク質加水分解物または有機抽出物は、N固定、P可溶化、およびインドール酢酸生産菌などの望ましい天然に存在する土壌微生物を刺激する。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って生成されるアミノ酸は、植物微量栄養素に対してキレート効果を有する。特定の実施形態では、濃縮された可溶性加水分解物は、成長する真菌(例えば、キノコ)のための栄養素または補助剤と
して使用することができる。特定の実施形態では、それは、動物飼料のための、より具体的には、家畜用動物飼料(ウシ、ヒツジ、ヤギなど)、または水産養殖(例えば、魚、甲殻類)、または昆虫(例えば、ミツバチ)もしくは他の無脊椎動物(例えば、赤虫)のための、または従属栄養微生物(例えば、酵母、E.coli)のための、または飼育動物もしくはペットのための、または直接のヒトの栄養のための、栄養添加剤としても使用することができる。
【0393】
植物バイオスティミュラントおよび肥料
上記のように得られる加水分解物の固体画分は、固体形態で、または水性培地などの好適な溶媒中に再溶解させた後のいずれかで、植物バイオスティミュラントおよび/または肥料として作物に散布することができる。特定の実施形態では、加水分解物の不溶性画分は、10~15重量%以下の水分含有量を有するペーストまたは粉末の形態の固体を得るために最終乾燥プロセスを受けてもよい。そのような乾燥プロセスは、例えば、熱風循環炉を使用することによって、または凍結乾燥によってなどの任意の従来の方法によって実行することができる。乾燥または未乾燥の不溶性加水分解物は、動物飼料のための、より具体的には、家畜用動物飼料(ウシ、ヒツジ、ヤギなど)、または水産養殖(例えば、魚、甲殻類)、または昆虫(例えば、ミツバチ)もしくは他の無脊椎動物(例えば、赤虫)のための、または従属栄養微生物(例えば、酵母、E.coli)のための、または飼育動物もしくはペットのための、またはヒトの直接的な消費のための、高付加価値を有する栄養添加剤として使用することができる。
【0394】
特定の非限定的な実施形態では、加水分解物の固体画分は造粒され、固体画分の造粒は、飼料用ペレット製造機、ピンミキサー、ディスクペレット製造機、ドラムペレット製造機、および圧縮造粒機から選択される装置の使用を含む。特定の実施形態では、固体画分の造粒は、約0.25mm~約5mmのサイズを有する顆粒を得ることを含む。特定の実施形態では、固体画分は、水性培地に分散または溶解している。
【0395】
造粒生成物は、そのまま作物に散布しても、溶媒を添加することによって液体として再構成し、次いで作物に散布してもよい。特定の実施形態では、加水分解物の配合は、加水分解物の液体画分および固体画分のうちの1つのみを回収することを含む。例えば、加水分解物の配合は、加水分解物を固体画分および液体画分に分離することと、そのような画分のうちの1つだけを保持することとを含み得る。そのような場合、液体または固体画分は、植物バイオスティミュラントおよび/または肥料として作物に散布することができる。加水分解物の配合はまた、加水分解物の固体画分および液体画分のうちの一方の全てと、他方の画分の一部分のみとを回収することも含み得る。あるいは、加水分解物の配合は、加水分解物の固体画分および液体画分の各々の一部分のみを回収することを含み得る。
【0396】
本明細書に記載の様式で生成される植物バイオスティミュラントは、アミノ酸含有植物バイオスティミュラントおよび/または肥料として分類することができる。有機肥料または堆肥は伝統的に全ての動植物材料を含むこと、ならびにそれらの肥料価値(バイオスティミュラントまたは生物肥料の側面を無視する)は主にそれらそれぞれの炭素(C)、窒素(N)、リン(P)、およびカリウム(K)含有量に依存することが理解される。一般的な有機肥料には、魚粉、鶏糞、牛糞、および豚糞、綿実粕、イネ藁、ならびに他の農業廃棄物が含まれる。本明細書の特定の実施形態では、新たな種類の非植物、非動物系有機肥料が導出される。特定の実施形態では、有機肥料は追加的に、バイオスティミュラントおよび/または生物肥料である。特定の実施形態では、本明細書に記載の微生物プロセスで生成される栄養素は、混合養殖が実装される池の施肥に使用される。特定の実施形態では、栄養素は、イネを含むが、これに限定されない植物作物の施肥に使用される。
【0397】
特定の実施形態では、本明細書に記載のように得られる加水分解物は、葉面散布用の液
体生成物として、および/または土壌散布用の乾燥生成物として配合される。特定の非限定的な実施形態では、加水分解物の配合は、加水分解物をキレート化することなく、かつ/または加水分解物からアミノ酸を分離することなく配合することを含む。特定の非限定的な実施形態では、植物バイオスティミュラントは、乾燥物に基づいて約0.5重量%~約15重量%の総窒素含有量、および/または約2重量%~約100重量%の総固形分含有量を有する。特定の実施形態では、植物バイオスティミュラントのpHは、約2~約10である。
【0398】
特定の実施形態では、本明細書に記載のように生成されるバイオスティミュラントおよび/または生物肥料および/または加水分解物中に含有される窒素は、この材料が散布される植物によって、以下、タンパク質、核酸、クロロフィルなどのうちの1つ以上の生成において使用される。特定の実施形態では、この散布される窒素源は、植物および/または真菌および/または微生物の代謝活性を増強する。
【0399】
特定の実施形態では、本明細書に記載のように生成されるバイオスティミュラントおよび/または生物肥料および/または加水分解物中に含有される炭素は、土壌微生物によって、細胞質量の生成および/もしくは呼吸のため、ならびに/またはNの固定のため、ならびに/またはリン酸塩の可溶化の増強のため、ならびに/またはインドール酢酸生産菌の刺激のために使用される。特定の実施形態では、本明細書に記載のように生成されるバイオスティミュラントおよび/または生物肥料および/または加水分解物中に含有される炭素は、土壌中に隔離され、かつ/または土壌の炭素含有量を増加させる。さもなければ大気中に放出されるであろうCO源からCOが捕捉されるか、またはCOが大気から捕捉される、そのような実施形態では、本明細書に記載の方法は、炭素が土壌炭素として隔離される炭素捕捉および隔離の一形態と見なされ得る。本明細書の特定の実施形態は、廃棄物炭素および他の元素の、貴重なバイオマス、またはバイオ系生成物(溶解物、加水分解物、タンパク質、ペプチド、ビタミン、および/もしくはアミノ酸など)への持続可能な変換である。特定の実施形態では、有機炭素入力物を堆肥に変換する場合よりも、入力炭素のより多くの画分が最終肥料またはバイオスティミュラント生成物中に残る。特定の実施形態では、最終肥料またはバイオスティミュラント生成物への変換において、入力炭素の半分未満がCO排出として失われる。特定の実施形態では、最終肥料またはバイオスティミュラント生成物への変換において、入力炭素の10%未満がCO排出として失われる。
【0400】
特定の実施形態では、本明細書の方法は、得られた植物バイオスティミュラントおよび/または肥料に追加の構成要素を混合することを含む。そのような追加の構成要素は、加水分解中および/または配合中におよび/または配合後に添加することができる。特定の実施形態では、クエン酸、安息香酸、プロピレングリコール、プロピオン酸、ソルビン酸、硫酸亜鉛、硫酸鉄、硫酸銅、および塩化銀から選択される少なくとも1つのメンバーを含む、少なくとも1つの防腐剤が植物バイオスティミュラントに添加される。特定の実施形態は、少なくとも1つの肥料および/または植物マクロ栄養素を植物バイオスティミュラントに添加することを含み、肥料または植物マクロ栄養素は、窒素、カリウム、リン、鉄、銅、亜鉛、ホウ素、マンガン、カルシウム、モリブデン、およびマグネシウムから選択される少なくとも1つの元素を含む。特定の実施形態は、除草剤、農薬、および殺真菌剤から選択される少なくとも1つの組成物を植物バイオスティミュラントに添加することを含み、少なくとも1つの組成物は、チオファネートメチル、クロロタロニル、キャプタン、ピペラリン、フェナリモール、メタラキシル、トリフォリン、エトキシチアジアゾール、ピレチン、殺藻剤、オリザリン、アルドキシルアリールポリエトキシエタノール(aldxylarypolyethoxyethanol)、グリホサート、およびナフタレンから選択される。他の特定の実施形態は、配合物が有機肥料および/または有機バイオスティミュラントであると見なされるように、かつ有機肥料および/またはバイオステ
ィミュラントが散布される作物が関連規制機関によって有機栽培されていると見なされるように、除草剤、農薬、殺真菌剤、または合成肥料を配合物に添加しないことを含む。
【0401】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の植物バイオスティミュラントを作物に散布するための方法が提供される。本明細書の植物バイオスティミュラントおよび/または肥料を散布することができる作物は、特に限定されないが、例示的な作物には、食品作物および観賞作物が含まれ得る。例示的な食品作物には、果物、野菜、塊茎、および穀物が含まれ得る。例示的な観賞作物には、芝草、木、低木、および花が含まれ得る。特定の実施形態は、作物を処理するための方法であって、本明細書に記載のように生成される植物バイオスティミュラントを作物に散布することを含む、方法である。特定の非限定的な実施形態は、本明細書に記載のように生成される植物バイオスティミュラントが、1,000平方フィートあたり約0.001~約3.0ポンドの窒素量で散布されるプロセスを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載のように生成される植物バイオスティミュラントおよび/または肥料は、作物に散布される。特定の実施形態では、植物バイオスティミュラントおよび/または肥料の作物への散布は、植物バイオスティミュラントおよび/または肥料と、除草剤、農薬、および殺真菌剤から選択される少なくとも1つの組成物とを作物に散布することを含む。他の実施形態では、植物バイオスティミュラントおよび/または肥料の作物への散布は、植物バイオスティミュラントおよび/または肥料を散布することと、作物にいかなる合成除草剤、農薬、および殺真菌剤も散布しないこととを含む。特定のそのような実施形態では、植物バイオスティミュラントおよび/または肥料の作物への適用は、関連規制機関に従って有機食品としての資格を得るのに必要とされる要件に従って作物を栽培することの文脈で行われる。
【0402】
いくつかの実施形態では、農産物および/または消費者製品および/または工業製品を作製するためのプロセスが提供され、このプロセスは、本明細書に記載の方法によって、植物バイオスティミュラントおよび/または肥料および/または真菌補助剤を調製することと、本明細書に記載のように生成される植物バイオスティミュラントおよび/または肥料および/または真菌補助剤を作物に散布することと、作物を収穫して、農作物を得ることと、特定の場合には、農産物を更に加工して、消費者製品または工業製品を得ることとを含む。特定のそのような実施形態では、作物は、食品作物である。特定のそのような実施形態では、食品作物は、果物、野菜、塊茎、および穀物から選択される少なくとも1つのメンバーを含む。農産物の例には、ブロッコリー、カリフラワー、アーティチョーク、エンドウマメ、マメ、ケール、コラード青菜、ホウレンソウ、ルッコラ、ビート青菜、チンゲンサイ、チャード、チョイサム、カブ青菜、エンダイブ、レタス、マスタード、青菜、クレソン、ニラ、ガイラン、ネギ、芽キャベツ、ケーパー、コールラビ、セロリ、ルバーブ、カルドン、キンサイ、レモングラス、アスパラガス、タケノコ、ガランガル、ショウガ、ダイズ、リョクトウ、ウーラット、ニンジン、パースニップ、ビート、ダイコン、ルタバガ、カブ、ゴボウ、タマネギ、エシャロット、ネギ、ニンニク、サヤインゲン、レンズマメ、およびサヤエンドウなどの野菜;トマト、キュウリ、スクワッシュ、ズッキーニ、カボチャ、メロン、ピーマン、ナス、トマティーヨ、ハヤトウリ、オクラ、パンノキ、アボカド、ブラックカラント、レッドカラント、グーズベリー、グアバ、ルクマ、チリペッパー、ザクロ、キウイフルーツ、ブドウ、クランベリー、ブルーベリー、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ、ブラックベリー、ラズベリー、ボイセンベリー、パイナップル、イチジク、マルベリー、ヘッジアップル、リンゴ、ローズヒップ、およびイチゴなどの果物;アーモンド、ピーカンナッツ、クルミ、ブラジルナッツ、ククイナッツ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、トチノキナッツ、マカデミアナッツ、マラバークリ、モンゴンゴ、ピーナッツ、松の実、およびピスタチオなどのナッツ;ジャガイモ、サツマイモ、キャッサバ、ヤムイモ、およびダリアなどの塊茎;ならびにトウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギ、モロコシ、キビ、エンバク、ライムギ、ライコムギ、フォニオ、ソバ、およびキノアなどの禾穀類または穀物が含まれるが、これらに限定されない。他の実
施形態では、作物は、観賞作物である。特定のそのような実施形態では、観賞作物は、芝草、木、低木、および花から選択される少なくとも1つのメンバーを含む。他の実施形態では、作物は、キノコまたは真菌である。真菌作物の例としては、Agaricus bisporus(ボタン、クリミニ、およびポルタベラ)、Coprinus quadrifidus、Lepista nuda、およびPleurotus ostreatus(オイスターマッシュルーム)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本明細書に記載のタンパク質加水分解物は、キノコまたは真菌に散布される。特定の実施形態では、本明細書に記載の全細胞バイオマス(すなわち、未溶解細胞)は、細菌を溶解および消費する能力を有するキノコまたは真菌に供給される。特定のそのような実施形態では、本明細書に記載のように生成される細菌細胞を溶解および消費するキノコには、以下、Agaricus bisporus、Coprinus quadrifidus、Lepista nuda、およびPleurotus ostreatusのうちの1つ以上が挙げられる。
【0403】
キノコの収穫直前の紫外線への曝露は、FDAの1日摂取量の2倍超のビタミンD 2含有量(すなわち、ビタミンDのビーガン食事源)をもたらし得ることが知られている。特定の実施形態では、本明細書に記載のように生産されるキノコは、高いビタミンD2含有量がもたらされるように、紫外線に曝露される。
【0404】
特定の実施形態では、農産物、作物、または他の植物の収量を増加させるための方法が提供される。特定の実施形態では、農作物、作物、または他の植物の収量は、同じ条件下ではあるが、バイオスティミュラントを散布しないで栽培した同じ種類の植物と比較して、本明細書に記載のように生成されるバイオスティミュラントまたは肥料を受容する植物において、成長期にわたって少なくとも5%、または少なくとも10%、または少なくとも40%増加する。特定の実施形態では、本明細書に記載のように生成される肥料および/またはバイオスティミュラントの使用は、作物収量を成長期にわたって少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、または55%超増加させる。
【0405】
本明細書の特定の実施形態は、硝酸尿素、硝酸アンモニウム、硝酸カルシウムアンモニウム、および/または他の硝酸塩もしくはアンモニウム肥料などであるが、これらに限定されない従来の化学窒素肥料の使用の低減または排除を可能にする。特定の非限定的な実施形態では、本明細書に記載のように生成される肥料および/またはバイオスティミュラントの散布を通して、農産物、作物、または他の植物の同じ収量を保持しながら、そのような従来の化学窒素肥料の使用を低減または排除することができる。特定の実施形態では、本明細書に記載の肥料および/またはバイオスティミュラントの散布は、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、または50%の従来の化学窒素肥料の低減を伴い得る。特定のそのような実施形態では、従来の化学窒素肥料の低減は、50%超または最大100%(すなわち、完全な排除)であり得る。
【0406】
特定の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、土壌有機物を2倍以上に倍増させることができる。別の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、土壌有機物を最大約140%または約150%以上まで増加させることができる。他の実施形態では、それは、土壌有機物の初期レベルに応じて、土壌有機物を約40%~約150%増加させることができる。
【0407】
食品製品
消費者製品の例には、ポテトチップス、コーンチップス、ジャム、ゼリー、朝食用シリアル、パン、クッキー、ケーキ、クラッカー、小麦粉、タンパク質粉末、タンパク質バー、スポーツおよび/またはエネルギー飲料、タンパク質シェイクおよび/またはスムージ
ー、動物飼料などの加工食品が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載の農産物をそのような消費者製品に加工する能力は、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0408】
いくつかの実施形態では、栄養製品、および/または食品成分、および/または食品を作製するためのプロセスが提供される。特定の実施形態では、高タンパク質成分および/または高ビタミン成分は、本明細書に記載の微生物細胞に由来する。特定の実施形態では、製品は、動物性タンパク質または脂肪を有しない。特定の実施形態では、高タンパク質成分および/または高ビタミン成分は、乳製品、乳製品代替品、肉製品、肉製品代替品および/もしくは人造肉製品、ベーカリー製品、菓子類、健康バーおよびタンパク質バー、タンパク質粉末、スポーツおよび/もしくはエネルギー飲料、ならびに/またはタンパク質シェイクおよび/もしくはスムージーなどを含むが、これらに限定されない食品製品に組み込まれるものである。特定の実施形態では、高タンパク質成分および/または高ビタミン成分は、肉製品および/または人造肉製品に組み込むためにテクスチャ加工されている。特定の実施形態では、高タンパク質成分は、牛肉パティの肉増量剤として使用することができる。
【0409】
特定の実施形態では、本明細書に記載の微生物細胞および/または有機物は、ベジタリアンまたはビーガン食品製品の製造に利用される。特定の実施形態では、それらは、有機食品製品、ならびに/または無農薬および/もしくは無除草剤および/もしくは無殺真菌剤および/もしくは無抗生物質および/もしくは非遺伝子組み換え(非GMO)食品製品の製造に利用される。特定の実施形態では、それらは、地元産の食品製品に利用される。特定の実施形態では、それらは、プロバイオティクス食品製品またはプレバイオティクス食品もしくは栄養製品に利用される。
【0410】
特定の非限定的な実施形態では、タンパク質加水分解は実行されない。これらの非限定的な実施形態では、低温殺菌、比較的全タンパク質、および/または防腐剤の添加の組み合わせは、キノコ成長増強剤として散布した時に、遅延栄養素放出特性および/または競合微生物を妨げる特性および/またはキノコ基質中の望ましくない温度上昇を防止する特性を呈する、キノコ成長生成物を提供する。
【0411】
本発明は、その用途において、発明を実施するための形態に明記されているか、または図面に示されている、構築の詳細および構成要素の配置に限定されない。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施または実行することができる。また、本明細書で使用される表現法および用語法は説明を目的としており、限定であると見なされるべきではない。本明細書における「含む(including)」、「含む(comprising)」、または「有する」、「含有する」、「伴う」、およびそれらの変化形の使用は、その後に列挙される項目およびその等価物、ならびに追加の項目を包含することを意味する。
【0412】
本発明が以下の実施例によって更に説明されるが、これは決して更なる限定として解釈されるべきではない。本明細書を通して引用される全ての参考文献(文献の参考文献、発行特許、公開特許出願、および同時係属中の特許出願を含む)の全内容は、特に上述の教示に関して、これにより参照により本明細書に明示的に組み込まれる。しかしながら、いかなる参考文献の引用も、その参考文献が先行技術であることの承認は意図していない。
【0413】
本発明の他の特徴は、以下の実施例の説明過程で明らかになるであろう。以下の実施例は、本発明の説明を意図しており、本発明の限定を意図していない。
【実施例0414】
実施例1
Cupriavidus necator菌株DSM531を、成長のための唯一のエネルギー源および炭素源として、Hガスと、COガスと、Oガスとの混合物で成長させた。
【0415】
気密血清瓶内のガスの混合物を使用して実行される実験では、以下のプロトコルに従った。
【0416】
実験接種材料:5体積%、別のH成長血清瓶培養物から取得。
【0417】
転じて、最初のH成長血清瓶培養物に、Lysogenyブロス(LB)成長Cupriavidus necator接種材料から5%の接種材料を与え、元のLB成長培養物からの接種後にH/CO/Oガス混合物で約72時間成長させた。元のLB成長接種材料を、-80℃で貯蔵したグリセロールストックから回収した。
【0418】
ガスでの血清瓶成長を、160mlの栓付き密封Wheatonガラス血清瓶(VWR製品番号16171-385)内で実行した。液体培地の体積は、20mlであった。Wheaton Hand-Operated Crimper(VWR番号80078-996)を使用して、ゴム栓(VWR番号100483-774)およびアルミニウムシール(VWR番号89047-008)で瓶に栓をした。20mlの作業体積は、Thermophilic Bacteria,CRC Press,Boca Raton,FL,Jacob K.Kristjansson,ed.,1992(87頁、表4)に記載の19mlの最少塩培地(MSM)+1mlの接種材料(5%の接種材料)を含んだ。
【0419】
MSMを瓶内に分配し、ガス状化合物を以下のように添加した:滅菌MSMを滅菌条件下で瓶内に移送した。5%のガス培養接種材料を滅菌条件下で瓶内に接種し、瓶にゴム栓で栓をして密封した。ガス混合物を、マニホールドを通して15psigで瓶に添加した。ガス混合物の添加後、シールをアルミニウムで圧着して血清瓶を密封した。次に、瓶を振盪フラスコインキュベーター内に置いた。
【0420】
以下の実験結果を、30℃、250RPMでインキュベートした16本の血清瓶(14本の実験複製物、2本の対照)から得た。16本全ての血清瓶を、上記のマニホールドを使用して、67%のH、24%の空気(4.8%のO)、9%のCOガス混合物で同時にパージした。血清瓶の接続前に、マニホールドを通過するガス組成物を、ガスクロマトグラフィー(GC)を使用して確認した。瓶を7つの時点で分析のために犠牲にした。2つの陰性対照をそれぞれT0および最終時点で犠牲にした。陰性対照用瓶は、実験用瓶から接種材料を除いたものと同一の調製物を有しており、これらを使用して、いかなる汚染および/または非生物的損失もしくは瓶のヘッドスペースからのガス漏れも検出した。陰性対照のガスヘッドスペース圧力の読み取り試料を取得して、液体培地中へのいかなる非生物的COおよびHの収着ならびに/または漏れによるガスの損失も観察した。
【0421】
試料採取および分析手順
全ての試料は、瓶実験用のシリンジおよび針を使用して滅菌条件下で取得した。光学濃度(OD)は、100マイクロリットルの試料を使用して、650nmでBeckman
Coulter DU720 UV/Vis分光光度計を使用して測定した。
【0422】
各時点で、1~3個の実験複製物瓶を分析のために犠牲にした。血清瓶内のガス消費量は、針に接続した圧力計を使用して測定した。犠牲にした各瓶についてヘッドスペースガス圧力を測定し、ガスクロマトグラフィー(GC)分析のためにヘッドスペースガスの試料を気密シリンジによって取得した。GCによるガスヘッドスペース試料の分析は、気密
シリンジを介してGCに注入された100μLのヘッドスペースガスの試料を使用した。血清瓶内のH、CO、O、およびNのガスヘッドスペース含有量を、各時点で定量化した。ブロスの試料採取のために、血清瓶のセプタムをEtOHで拭き、瓶の圧力を使用して、瓶の全液体内容物を30mLのシリンジに引き出した。650nmでのOD測定のために、100μLの試料をピペットで取り出した。試料を、4℃、12,000Gで15分間遠心分離した。ペレットを、10mLの滅菌PBS中に再懸濁し、ボルテックスし、予め秤量した0.45μmのフィルターを通して真空濾過した。フィルターを乾燥させ、フィルター+バイオマス残余分を秤量して、バイオマス乾燥重量を決定した。乾燥重量は、60℃で24時間乾燥させ、乾燥器内で室温まで冷却し、秤量することによって、膜フィルター(0.45μm)で回収した細胞について決定した。乾燥および再秤量のこのサイクルを、重量が一定になるまで続けた。ODとバイオマス密度(体積あたりの乾燥細胞重量)との間には、相関関係が発生した。
【0423】
ODとバイオマス密度との間の相関関係を図1に示す。この実験の成長曲線を図2に示す。個々の実験複製物について測定されたODを菱形の記号で表し、平均ODを実線によって表す。対数成長は、9~30時間で生じた。成長する培養物によるガスの消費によるヘッドスペースガス圧力の経時的な変化を、図3に示す。
【0424】
ヘッドスペースガスの理想気体の法則(PV=nRT)を想定して、ガスの総モル数を計算し、試料時点における温度変動を説明する。各瓶のヘッドスペース内のそれぞれの各ガスの割合を、GCによって決定した。ガスヘッドスペースの結果および測定された乾燥重量を使用して、消費されたHのモル数に対する細胞重量の比例性を決定した。図4は、それぞれの各瓶についてヘッドスペース圧力測定およびGC分析によって決定して、犠牲にした各瓶について測定した乾燥バイオマスを、消費されたHのモル数に対してプロットしたものを示す。これらの結果は、消費されたH1モルあたり6.7~7.2グラムの乾燥細胞質量、またはH1グラムあたり3.3~3.6グラムの細胞質量が合成されたことを示した。
【0425】
実施例2
成長のための唯一のエネルギー源および炭素源として、Hガスと、COガスと、Oガスとの混合物で、Cupriavidus necator菌株DSM531を、乾燥細胞密度1リットルあたり38グラムまで成長させた。
【0426】
撹拌タンクバイオリアクター内でH、CO、およびOを含むガスの混合物を使用して実行した実験では、以下のプロトコルに従った。
【0427】
装置:PEEKヘッドプレートを有する特注の500mLのガラス発酵槽を使用して、培養物をバッチで成長させた。温度およびpHを、市販の制御装置(Electrolab、Fermac360、United Kingdom)を用いて制御および監視した。磁気撹拌棒と、280mL/分での連続再利用との組み合わせを使用して、混合した。再利用は、リアクターの底部液体区分から回収し、気泡を制御するために噴霧器を通してヘッドスペースに戻すか、または逆に実行して、ヘッドスペースガスおよび気泡をブロスの底部へと再利用するかのいずれかであり得る。ガス供給は、各々20psiに制御した、圧縮H、圧縮CO、および室内空気からであった。Hおよび空気を、ガスの相対分率を設定した流量配分器(Matheson G2-4D151-E401/E401、20psi)に送達した。次いで、H/空気ガスの混合物を、可変面積流量計を通して各発酵槽に送達し、同じH/空気の組成物の各発酵槽への流量は、流量計の針弁によって調整することができた。COガスを分割し、各発酵槽の個々の可変面積流量計に送達した。COおよびH/空気ラインは、発酵槽に送達される単一のラインへとT字状に合わさる。圧力計を使用して、発酵槽へのガス送達圧力を監視した。ガスを、4つの2
ミクロン拡散石(p/n KEG592、http://morebeer.com/products/diffusion-stone-2-micron-oxygen.html)を介して発酵ブロス中に混合し、冷却器を介してリアクターから気泡溢流瓶へと、次いで排気系へと換気した。
【0428】
培地:この実験に使用した培地は、実施例1に記載されている。pH制御は、2NのNHOHまたは2NのNaOHを用いて実行した。2NのNHOHは、5MのNHOH、Fluke318612(4℃に維持)(120mL)、およびオートクレーブ処理したmilliQ-HO(180mL)から調製した。
【0429】
独立栄養的に調製した接種材料:Cupriavidus necator DSM531接種材料は、H/CO/O成長血清瓶培養物から取得した。転じて、血清瓶用の接種材料は、DSMZ531j菌株用に-80℃で貯蔵した0.5mLの保存グリセロールストックから調製した。実施例1に記載の血清瓶プロトコルに従って、H/CO/Oガス混合物で、気密血清瓶内の0.5mLのグリセロールストックを20mLの最少塩培地(MSM)に添加して、再生培養を開始した。次いで、この初期血清瓶を、1mL~20mLの新鮮なMSMで、標準的なH/CO/Oガスヘッドスペース下で2本の血清瓶に継代培養した。これらの血清瓶を、30℃、250RPMでインキュベートした。ガスによるグリセロールストックからの初期再生には2日間を要し、継代培養は成長に更にもう1日を要した。2つの血清瓶培養物を、バイオリアクター用の接種材料として提供した。接種材料の光学密度(OD)およびDNA分析用の試料を取得した。ガスで成長させた接種材料は、約1のODを有した。発酵槽に接種して、初期ODを約0.1にした。換言すると、血清瓶ブロスをバイオリアクター内で1:10の比率で希釈した。接種材料を、60mLのシリンジを使用して、血清瓶からバイオリアクターに移送した。接種後、T0のODを取得した。一般に、全てのOD測定は、Beckman Coulter DU720 UV/Vis分光光度計を用いて実行した。
【0430】
発酵槽操作:
塩基添加-pHは、2NのNHOHで制御した。
【0431】
気泡制御-気泡が1/2超のヘッドスペースを充填し、ヘッドスペース噴霧または再利用によって制御されなかった場合、消泡剤を使用した。(A8011、Sigma消泡剤C乳濁液、http://www.sigmaaldrich.com/catalog/product/sigma/a8011?lang=en&region=US)
【0432】
栄養素改良剤-成長を延長させ、無機質栄養素の限界が生じるのを防止するために、NHOHの塩基添加によって提供される窒素栄養素に加えて、実験中に他の無機質栄養素を添加した。
【0433】
図5は、このプロトコルに従ってH/CO/Oガス基質で成長させた水素酸化微生物Cupriavidus necatorの成長曲線の一例を示す。y軸の単位は、650nmで測定した光学濃度(OD)であり、x軸は、日数で測定した時間である。650nmで測定した最終ODは、132であり、最終乾燥バイオマス密度は、H/CO/Oガス基質での成長から38グラム/リットルであった。対数成長は最初の1日半続いたが、バイオマスは5日目の実験終了時に依然として線形速度で蓄積していた。
【0434】
実施例3
接種および成長条件
Rhodococcus属およびCupriavidus属由来の生物を、それらが異なる炭素源で成長する能力について試験した(図6)。30℃でLB寒天プレートで成長
させた菌株からのコロニーを、30%および250rpmで3~20日間、10%(v/v)の示した培地(すなわち、従属栄養または化学独立栄養)を含有するフラスコ内に移送した。R.opacus菌株DSM44193は、40g/Lのグルコースで補充したMSM培地(1Lあたり1Lの培地A:9gのNaHPO.12HO、1.5gのHPO、1.0gのNHCl、および0.2gのMgSO.7HO;10mlの培地B:100mlあたり50mgのクエン酸第二鉄アンモニウムおよび100mgのCaCl;10mlの培地C:100mlあたり5gのNaHCO;ならびに1mlの微量無機質溶液:1Lあたり100mgのZnSO.7HO、30mgのMnCl.4HO、300mgのHBO、200mgのCoCl.6HO、10mgのCuCl.2HO、20mgのNiCl.6HO、および30mgのNaMoO.2HO)で、650nmでの光学密度(OD)によって測定して、従属栄養成長条件下でのみ成長を呈した。R.opacus菌株DSM43205は、OD=9.0に達する従属栄養条件下で同一の成長速度を示した。菌株DSM43205もまた、化学独立栄養条件(66.7%のH、9.5%CO、5%O、および18.8%のNで補充したMSM培地)下で成長することができた。Rhodococcus菌種(DSM3346)は、従属栄養条件および化学独立栄養条件(DSMZ培地81:1Lの化学合成無機栄養成長用の無機質培地:1Lあたり2.9gのNaHPO.2HO、2.3gのKHPO、1.0gのNHCl、0.5gのMgSO.7HO、0.5gのNaHCO、0.01gのCaCl.HO、および0.05gのクエン酸Fe(NH);ならびに80%のH、10%のCO、および10%のOで補充した5mlの微量無機質溶液)下で成長を呈した。Cupriavidus necator(DSM531)は、従属栄養および化学独立栄養条件(DSM43205菌株について記載の培地)下で成長することができた(図6)。
【0435】
実施例4
実験のうちの一群では、30℃でLB寒天プレートで成長させたRhodococcus菌株由来のコロニーを、示した成長培地およびガス混合物を含有する気密血清瓶内に移送した。(元のLBで成長させた接種材料は、-80℃で貯蔵したグリセロールストックから以前に回収した)。ガスでの血清瓶成長を、160mlの栓付き密封Wheatonガラス血清瓶(VWR製品番号16171-385)内で実行した。液体培地の体積は、10~20mlであった。Wheaton Hand-Operated Crimper(VWR番号80078-996)を使用して、ゴム栓(VWR番号100483-774)およびアルミニウムシール(VWR番号89047-008)で瓶に栓をした。無菌成長培地を、滅菌条件下で瓶内に移送した。接種材料を滅菌条件下で瓶に導入し、瓶にゴム栓で栓をして密封した。ガス混合物を、瓶に添加した。ガス混合物の添加後、シールをアルミニウムで圧着して血清瓶を密封した。次に、瓶を振盪フラスコインキュベーター内に置いた。瓶を、30℃、250RPMでインキュベートした。全ての試料は、シリンジおよび針を使用して滅菌条件下で取得した。成長は、分光光度計内で、650nmでの光学密度(OD)を測定することによって評価した。
【0436】
上記の手順に従って、Rhodococcus opacus菌株DSM43205は、以下の培地、MSM培地(1Lの培地A:1Lあたり9gのNaHPO.12HO、1.5gのHPO、1.0gのNHCl、および0.2gのMgSO.7HO;10mlの培地B:100mlあたり50mgのクエン酸第二鉄アンモニウムおよび100mgのCaCl;10mlの培地C:100mlあたり5gのNaHCO;ならびに1mlの微量無機質溶液:1Lあたり100mgのZnSO.7HO、30mgのMnCl.4HO、300mgのHBO、200mgのCoCl.6HO、10mgのCuCl.2HO、20mgのNiCl.6HO、および30mgのNaMoO.2HO、66.7%のH、9.5%のCO、5%のO、および18.8%のNを含有するガス混合物で補充したもの)中、化学独立栄養条件下
で成長を呈した。液体体積は20mLであり、ガスヘッドスペース体積は140mLであった。
【0437】
Rhodococcus菌種DSM3346は、以下の培地、80%のH、10%のCO、および10%のOを含有するガス混合物で補充したDSMZ培地81(1Lの化学合成無機栄養成長用の無機質培地:1Lあたり2.9gのNaHPO.2HO、2.3gのKHPO、1.0gのNHCl、0.5gのMgSO.7HO、0.5gのNaHCO、0.01gのCaCl.2HO、および0.05gのクエン酸Fe(NH);ならびに5mlの微量無機質溶液)中、化学独立栄養条件下で成長を呈した。液体体積は10mLであり、ガスヘッドスペース体積は150mLであった。
【0438】
72時間後に細胞を回収し、各菌株によって生成されたトリアシルグリセロール(TAG)などの中性脂質中に含有される脂肪酸のプロファイルを、ガスクロマトグラフィーおよび質量分析(GC/MS)によって決定した。
【0439】
実施例5
別の実験では、R.opacus菌株DSM43205を、1リットルの瓶内、成長のための唯一のエネルギー源および炭素源として、Hガスと、COガスと、Oガスとの混合物で成長させた。接種材料を、-80℃で貯蔵した水+MSMストックのアリコートから回収した。使用した培地は、上記のMSMであった。-80℃で貯蔵したストック由来のアリコートを、小さな血清瓶内、MSM(20ml)に接種した。67%のH、24%の空気(4.8%のO)、9%のCOからなるガス混合物を用いて、160mlの栓付き密封Wheatonガラス血清瓶内で、上記のようにガスでの血清瓶成長を実行した。瓶を振盪フラスコインキュベーター内に置き、30℃、250RPMでインキュベートした。
【0440】
およそ72時間の成長後、遠心分離し、新鮮なMSM中に再懸濁することによって、高密度の継代培養接種材料をガス血清瓶培養物から調製した。高密度接種材料を、ガスの流入および流出を可能にする2つの弁を有する気密キャップを有する1Lのガラス瓶内の100mlのMSMに接種した。以下の比率、H:71%、O:4.2%、N:15.8%、CO:9.0%で、ガス混合物を1Lの瓶のヘッドスペースに提供した。
【0441】
ガス添加後、密封した1リットルの瓶を、28℃および200rpmの振盪フラスコインキュベーター内に置いた。ガスは、1日1回リフレッシュした。培養物を、650nmでの最終ODがOD=1.27に達するまでガスで成長させた。
【0442】
1Lの瓶内、ガスで成長させた後に、最終的に回収された細胞に対してDNA配列決定を実行して、最終的な培養物の菌株の同一性を確認した。27Fおよび800Rプライマーを使用して、16S rRNA配列を決定した。両方のプライマーを用いて、上位のBLASTヒットは、Rhodococcus菌種、 Rhodococcus opacus、Rhodococcus wrastislaviensis(それぞれGenBank番号EU127452.1、AB032565.1、およびAY940038.1)と特定された。
【0443】
実施例6
多数の酸水素種が公的に入手可能であるか、または本明細書に記載の技術を使用して単離することができる。例えば、少なくとも238個の異なるRhodococcus菌株および少なくとも55個の異なるCupriavidus菌株が、公的DSMZ(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)菌株保管所、ならびにHydrogenovibr
io、Rhodopseudomonas、Hydrogenobacter、Xanthobacter、およびHydrogenothermusを含む酸水素微生物を含む、他の多くの属に由来する菌株から入手可能である。酸水素菌株はまた、富化方法を使用した土壌試料または地熱流体試料からの単離などの通例のプロセスによっても得ることができる。酸水素成長、ならびに特許請求されている化学合成条件下で、アミノ酸およびタンパク質を含むが、これらに限定されない炭素数C5以上のものを含む有機化合物を生成する能力についての菌株の試験は、当該技術分野において通例である。例えば、Rhodococcus菌株がCOを炭素源として使用して酸水素条件下で成長する能力は、前の実施例において上記のように実行することができる。COを炭素源として使用して酸水素(水素酸化)条件下で成長させるための他の方法は、Thermophilic bacteria,”Jakob Kristjansson,Chapter5,Section III,CRC Press,1992,pp.86-88に記載されており、多様な属から引き出される多様な菌株と共に良好に機能することが見出されている。酸水素種によって化学合成的に生成されるものなどの有機化合物の生成の評価もまた、当該技術分野において通例である。例えば、実施例5に記載のように、ガスクロマトグラフィーおよび質量分析(GC / MS)を使用することができる。他の方法としては、Waltermann et al.(2000)“Rhodococcus opacus
strain PD630 as a new source of high-value single-cell oil?Isolation and characterization of triacylglycerols and other
storage lipids”Microbiology146:1143-1149に記載の、脂質抽出、薄層クロマトグラフィー(TLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、および質量分析(MS)が挙げられる。
【0444】
実施例7
成長のための唯一のエネルギー源および炭素源として、Hガスと、COガスと、Oガスとの混合物で成長させたCupriavidus necator菌株DSM531によって、約5キログラムのバイオマス(乾燥重量)を生成した。このバイオマスからヘキサン可溶性油を抽出し、分析した。撹拌タンクバイオリアクター内でH、CO、およびO原料からバイオマスを生成し、次いでバイオマスから油を抽出する上で、以下のプロトコルを使用した。
【0445】
装置:Applikon Biotechnology(Applikon)からの2つの20リットルのリアクターを使用して、C.necator培養物をバッチで成長させた(図7および図8)。
【0446】
バイオリアクター:各バイオリアクターは、エラストマーシールを有するステンレス鋼ヘッドプレートを有する支持台に取り付けられたガラス容器からなった。ヘッドプレートは、多数のフィードスルー用ポートを有し、それらは全て、リアクターへのまたはリアクターからのガス漏れを防止するためのエラストマーシールを有した。これらのフィードスルーは、サーモウェル、pHプローブ、溶存酸素プローブ、ガスの入口、液体の入口、ガス出口、および液体試料採取ポートなど全てをヘッドプレートに取り付けることを可能にした。
【0447】
バイオリアクターセンサー:サーモウェル内に位置する温度プローブを使用して、温度を監視し、加熱器の制御を可能にした。pHプローブを使用してpHを監視し、必要に応じて、より高いまたはより低いpHの緩衝溶液のリアクターへの添加を制御した。気泡センサーを使用して、消泡剤の添加を制御した。溶存酸素プローブを使用して、リアクター液体中の酸素レベルを測定し、それを使用して、撹拌の制御またはリアクターへのガス流
の開閉が可能であった。センサーの全ては、バイオリアクター制御装置/制御卓によって電力供給され、それによって制御され、かつそれに入力を提供した。
【0448】
撹拌:撹拌機は、完全なシールおよび磁気結合を有するヘッドプレートを通過した。撹拌機は、撹拌シャフトの外側部分の周りに嵌合する別個の部品である外部モーターを有した。モーター速度は、回転速度の正確な制御を可能にする外部制御装置によって制御した。
【0449】
加熱/冷却:バイオリアクター系制御装置を介してPt100温度プローブにより制御された閉ループ比例積分微分制御装置(PID)を使用する、外部電気加熱ブランケットによって、リアクターを加熱した。温度を維持するために、撹拌機モーターによる培地の過熱を防止するために冷却フィンガーもまた配管した。
【0450】
バイオリアクターの取り付け:バイオリアクター系を金属製の三脚ホルダーに取り付けた。クランプまたはチェーンを使用して、リアクターの転倒を防止するために、この三脚をドラフトの内側に位置する支柱取り付け部に取り付けた。三脚およびリアクター装置の全体を浅いプラスチック容器内に置いて、二次的な封じ込めを提供した。
【0451】
バイオリアクターおよび支持系の概略図を、図7に示す。図8に示されるように、2つの20Lのバイオリアクターをドラフト内に位置付けた。バイオリアクターをドラフトの内側に設置して、水素ガスの放出を封じ込めた。制御装置およびガス供給源は全て、ガスシリンダー、リアクター制御装置、質量流量計、水素センサー、およびガス制御弁と同様に、ドラフトの外側に位置付けた。図8に示されるのは、唯一のエネルギー源および炭素源として、Hガス、COガス、およびOガスでのC.necatorの成長中に使用される、2つの20リットルのリアクターである。
【0452】
制御装置/制御卓:バイオリアクター系制御装置/制御卓は、バイオリアクター系を制御および操作する構成要素を含有した。これらのユニットは、電力、温度制御、撹拌制御を提供し、センサーから入力を受容し、センサー入力に基づいて供給ポンプ(酸、塩基、消泡剤、および追加の栄養素)のオンおよびオフを切り替え、かつ電磁弁およびロータメーターによってガス流のオン/オフを切り替えるために使用された。全てのステンレス鋼構成要素の欠如のため、水素の漏れの危険性を最小化するために、これらのユニットは水素の制御には使用しなかった。漏れの場合に備えて水素への曝露を最小化し、かつオペレーターがバイオリアクターの周囲での直接作業に費やす時間を最小化するために、制御装置/制御卓ユニットは、バイオリアクターから離れてドラフトの外側に位置付けた。図9は、リアクターの操作に使用したApplikon制御装置および制御卓を示す。図9に含まれるのは、制御装置、制御卓、撹拌機制御、爆発性ガス検知系、質量流量計、レベル制御装置、塩基制御リザーバー、培地添加リザーバー、および気泡制御リザーバーである。全てのリアクター制御装置は、ドラフトの外側に位置付けた。
【0453】
ガス送達:ガスは、ヘッドプレートを通過したスパージャー装置を通してバイオリアクターの下部に送達された。リアクターのすぐ外側に位置する弁は、各リアクターでガス流を別個に手動で遮断することを可能にした。リアクターに配管されたガス供給ラインは、可能性のある汚染を最小化するためにリアクターヘッドに設置された0.2ミクロンのフィルターを有する可撓性ステンレス鋼ラインであった。ドラフトの外側に位置する質量流量計を使用して、リアクターへの流量を制御した。シリンダーと質量流量計との間のラインは、手動および自動の両方のガス遮断のための、手動および自動の両方の電磁弁を有した。電磁弁は、実験室内またはドラフト内での水素の検出時にガス流を自動的に遮断する爆発性ガスセンサーに接続された。
【0454】
ガス貯蔵:ガスキャビネットを使用して、水素シリンダーを貯蔵した。ガスキャビネットは定位置に取り付けられ、換気装置およびスプリンクラーを含んだ。キャビネットは、古いシリンダーから新たなシリンダーへの容易な切り替えを可能にするための複数のシリンダーを貯蔵するのに十分な余裕を含んだ。
【0455】
安全制御:爆発性ガス検知器を使用して、実験室内の水素の存在を決定した。複数のセンサーを、実験室周辺およびドラフト内の戦略的な場所に位置付けた。これらのガス検出器は、水素が検出された場合にガス送達ライン上の電磁弁を遮断するように構成されており、これにより、リアクターへのガスの流れが遮断される。
【0456】
蠕動ポンプ:追加の蠕動ポンプをドラフト内に位置付けた。このポンプを使用して、バッチ実験の開始時に新鮮な培地をリアクターに移送し、バッチ実験の終了時に培地およびバイオマスを除去した。
【0457】
培地貯蔵:プラスチック製のカーボイまたはガラス瓶を使用して、新鮮な培地を貯蔵し、バッチ実験の後にバイオマスを回収した。
【0458】
培地:この実験に使用したMSM培地は、Thermophilic Bacteria,CRC Press,Boca Raton,FL,Jacob K.Kristjansson,ed.,1992(87頁、表4)に記載されている。
【0459】
接種材料:Cupriavidus necator接種材料を、DSMZ531菌株用に-80℃で貯蔵した0.5mLの保存グリセロールストックから調製した。実施例1に記載の血清瓶プロトコルに従ってH/CO/Oガス混合物上で、気密血清瓶内の0.5mLのグリセロールストックを20mLの最少塩培地(MSM)に添加して再生培養を開始した。接種材料を複数の容器内に提供し、これらをバイオセーフティーキャビネットの内側で組み合わせて、滅菌移送キャップアセンブリを備えた単一の滅菌培地瓶にした。接種材料のODおよび画線を取得した。次いで、接種材料を、滅菌移送管および蠕動ポンプを使用してリアクターに移送した。リアクターに接種した後、試料アセンブリを使用してバッチの出発ODを取得した。
【0460】
培地調製および添加:20リットルの規模にはより大量に必要とされたことを除いて、培地は全て、Thermophilic Bacteria,CRC Press,Boca Raton,FL,Jacob K.Kristjansson,ed.,1992(87頁、表4)に提供される処方を使用して調製した。主な培地構成成分(A)は、滅菌液体移送キャップおよびフィルターアセンブリを備えた20リットルのNalgeneカーボイ内で調製した。培地をカーボイ内でオートクレーブ処理し、汚染を回避するために滅菌管および蠕動ポンプを使用して、オートクレーブ処理したリアクター内に移送した。より小さな培地構成成分(BおよびD)は、大型のリザーバー内で調製し、セプタムを使用して、使い捨ての0.2ミクロンの滅菌フィルターを通して溶液をリアクターに直接シリンジ注入することによって滅菌した。セプタムの使用は、リアクターの開放の回避を可能にするため、汚染の危険性を最小化した。滅菌移送キャップを備えたより大型のリザーバーを培地で調製し、オートクレーブ処理し、滅菌管および蠕動ポンプを使用して培地を移送したという点で、第4のより小さな培地構成成分(C)をAと同様の様式で取り扱った。
【0461】
バイオリアクターの調製および始動:新鮮に接種したバッチの開始前に、バイオリアクターをオートクレーブのために準備した。リアクターヘッドプレートを定位置に取り付けた。移送ラインを接続し、クランプし、端部を箔で被覆し、オートクレーブテープで密封した。流入するガスを滅菌するために、0.2ミクロンのフィルターをスパージャーのガ
ス入口に接続した。孔ラインを固定し、箔で密封した。サーモウェル、冷却器、気泡レベルプローブ、冷却コイル、試料採取装置、調整可能液体目盛管、および溶存酸素プローブを設置した。pHプローブのポートを被覆し、箔で密封した。次いで、リアクターを、乾燥サイクル、131℃で60分間オートクレーブ処理した。pHプローブを急速燃焼、エタノール、および紫外線の組み合わせで滅菌した。バイオリアクターをオートクレーブ処理し、室温まで冷却した後、リアクターおよびプローブの両方がバイオセーフティーキャビネットの内側にある状態で、pHプローブをリアクター内に挿入した。次いで、リアクターをドラフト内に取り付け、すなわち、冷却ライン、移送ライン、電子制御装置、加熱器、撹拌モーターなどを全て接続した。可能な限り急速に培地構成成分Aをリアクターに移送して、pHプローブが乾燥している時間を最小化した。温度制御および撹拌をオンに切り替え、必要に応じて冷却水もまたオンに切り替えた。培地の温度が所望の温度に達したら、培地構成成分B、C、およびDを上記の方法を介してリアクターに移送した。次いで、pH制御を開始した。
【0462】
接種バイオリアクター:新鮮な接種を上記のように実行した。いくつかの実験では、典型的には1リットル未満の残渣体積(これは次のバッチの接種に使用した)を除いて、蠕動ポンプを介して以前のバッチからの培地およびバイオマスを除去した。以前のバッチからの残渣体積を接種する時、培養物の大部分を除去した後、室温で滅菌培地構成成分Aをバイオリアクターに移送し、加熱をオンに切り替えた。次いで、残りの培地構成成分B、C、およびDを上記の方法を介して移送した。次いで、ガス流をオンに切り替え、撹拌を強め、pH制御をオンに切り替えた。この時点で、実験が開始したと見なし、出発ODを取得した。リアクターが動作温度に達した後、冷却をオンに切り替えた。
【0463】
ガス組成および流量:使用したガス組成は、節5に明記したものであった。比率は、質量流量制御装置を使用して制御した。ガス流量は、総ガス流量の0.05~0.3VVMの範囲であった。典型的な流量は、両方のリアクターが動作中であり、かつ気泡制御を有した場合、週末には0.05VVMであり、平日には0.2VVMであった。気泡制御を使用しなかった実験では、0.05~0.075VVMの典型的な値を使用して、気泡を取り扱いが可能なレベルまで低減させた。
【0464】
pH制御:水酸化アンモニウム(2.0M)を使用して、バイオリアクター内の培地のpHを制御した。水酸化アンモニウム溶液は、滅菌移送キャップおよびフィルターアセンブリを備えた2リットルの培地瓶内で1200mLのMilliQ水をオートクレーブ処理し、バイオセーフティーキャビネットの内側にフィルター滅菌した5.0Mの水酸化アンモニウムを800mL添加することによって調製した。水酸化アンモニウムは、pHプローブシグナルを使用してバイオリアクター制御装置によって制御される蠕動ポンプを介して、リアクターに自動的に移送した。
【0465】
栄養素添加/改良:使用した栄養素改良剤は、初期培地に使用したものと同じであるが、異なる量であった。成長を延長させ、無機質栄養素の限界が生じるのを防止するために、実験中に無機質栄養素を添加した。改良剤溶液は、シリンジを使用し、かつ0.2ミクロンのフィルターを通して滅菌して、リアクターに直接添加するか、または蠕動ポンプを使用して、リアクターに接続したままの滅菌管を通して添加するかのいずれかにした。少量の反応培地およびバイオマスを除去して、約15.5Lの作業体積を維持することによって、総リアクター体積もまた、定期的に(典型的には毎日)手動で調整した。これは、栄養素改良剤からの水の添加、および細胞呼吸による水の生成を補償して、安定した混合速度を維持し、溢流を防止するために行った。
【0466】
試料採取:培地溶液の小アリコートを、液体試料アセンブリを介してバイオリアクターから一定間隔で取得した。これらを使用して、Eppendorf Biophotom
eter PlusでOD600測定を実行し、DNA分析用の微量遠心試料もまた得た。微量遠心試料を10000rpmで10分間回転させ、デカントし、-20℃で貯蔵した。
【0467】
気泡制御:約15のODに達した後、気泡はヘッドスペースを充填し始め、未制御の場合、0.2VVMのガス流量の使用時に、気泡は2リットルの溢流リザーバーを容易に充填するであろう。気泡センサーを使用して気泡の存在を決定し、シリコン系消泡乳濁液の溶液を送達するポンプをオンに切り替えた。バッチ11および12においてガス流量および撹拌機速度を必要に応じて調整して、過度の気泡の蓄積を防止した。0.05VVM~0.075VVMのガス流量では、バイオリアクターは、消泡剤なしで動作することができた。しかしながら、気泡はヘッドスペースを充填し、ガス出口を介した少量の水の気泡溢流容器への流入を引き起こす。
【0468】
バッチ中、温度、pH、およびODを監視および記録した。細胞純度は、画線プレートを使用して監視された。C.necatorを使用して、20リットルの規模で合計9バッチを実行した。バッチの最終光学濃度(OD)は典型的には、30~50であった。これらの20リットルのバッチの結果を、表1に要約する。
【表1】
【0469】
バッチのうちの8つが39超の最終ODに達し、より低いガス流で実行したもの(番号11)は30のODを達成し、低い撹拌速度に制限した1つのバッチ(番号5)は6.7のODにしか達しなかった。達成された最高のODは、バッチ番号7で50であった。成長させた全てのバイオマスを、培養ブロスから遠心分離した。
【0470】
バイオマス遠心分離および貯蔵:Beckman Coulter Allegra X-12R遠心分離機を使用して、バッチ実験から回収されたブロスを遠心分離して、バイオマスを回収した。Allegra-12Rは、-10℃までの冷蔵装置を有し、3,750rpmのSX4750スインギングバケットローターを備え、3Lの容量を有する
。バッチ後、蠕動ポンプを使用してバイオマスおよび培地をバイオリアクターから10リットルのポリプロピレン製ジェリー缶に移送した。バイオマスおよび培地のジェリー缶は、それらが遠心分離されるまで冷蔵庫内に貯蔵した。バイオマスを、4本の750mLのポリカーボネート遠心分離瓶に分けて、一度に3リットルで遠心分離した。遠心分離機は、3750rpm、4℃で30分間運転した。上清をデカントし、処分する前に漂白剤で滅菌した。単一バッチ用の脱水バイオマスを組み合わせ、冷蔵庫内のポリプロピレン瓶内に貯蔵した。
【0471】
実施例8
Cupriavidus necator菌株の湿潤バイオマスからの細胞破裂物および油の抽出
我々は、湿潤細胞材料の試料からの効率的な油の抽出は、細胞溶解、およびそれに続く後述のイソプロパノール/ヘキサン油の抽出手順を使用して得ることができると決定した。この手順を使用して、唯一の炭素源としてのCOで成長させたC.necatorバイオマスから粗ヘキサン抽出物を回収し、そこから微生物油を得た。
【0472】
湿潤バイオマスの水分含有量を推定するために、2つの空バイアルを標識付けし、それらの重量を記録し、1グラムの湿潤バイオマスをバイアルの各々に割り当て、真空炉(Binder Safety Vacuum Oven、モデルVDL115-9030-0040)を使用して60℃で12時間乾燥させた。統計的に有意な数を得るために、試料を二連で実験した。
【0473】
溶媒ヘキサンおよび2-プロパノールを使用した脂質抽出のためのプロセスパラメータおよび動作条件を研究するために、10g(A1)および9.4g(A2)の湿潤バイオマスを、それぞれ33.5mLおよび31.5mLの2-プロパノールに混合した。次いで、細胞懸濁液を250mLのビーカーに移送し、これらのビーカーを氷浴上に維持し、バッチモードで20分間超音波処理した。完全な細胞破壊、細胞溶解、および微生物細胞からの油の回収のために、湿潤バイオマスを2-プロパンで超音波処理した。QSonica Q700超音波処理器を使用した。温度プローブをビーカー内に浸して、超音波処理中の温度変化を記録した。超音波処理器または超音波を使用する細胞の破壊は、細胞溶解の非常に一般的な方法であり、超音波は、20kHz~最大数ギガヘルツまでの周波数を有する周期的な音圧波である。低圧サイクル中、高強度の超音波は液体中に小さな真空気泡を作製する。気泡がもはやエネルギーを吸収することができない体積に達すると、気泡は高圧サイクルの間に激しく崩壊し、結果として生じる剪断力が細胞外被を破砕する。図10に示されるように、完全な細胞破壊後、バイオマスの色は褐色からクリーム色に変化した。超音波処理前のバイオマススラリーを図10の左側に、超音波処理後のものを右側に示す。初期バイオマス懸濁液は粘性であったが、超音波処理後に試料の粘度は低下し、これはおそらく巨大分子の剪断効果のためであった。
【0474】
2-プロパノール中での超音波処理による細胞溶解の後、33.5mLおよび31.5mLのヘキサンをそれぞれA1およびA2に添加し、60℃で1時間インキュベートした。混合物を100rpmで撹拌した。1時間の反応時間後、試料を遠心分離管に移送し、卓上遠心分離機(Eppendorf遠心分離機R)を使用して3200gで15分間遠心分離した。ヘキサンと、2-プロパノールと、溶存油との混合物である上清、ならびに脂質およびポリマーをRotavapフラスコに移送し、回転蒸発器(Rotavap R-210/215)を使用して60℃で蒸留した。ヘキサンおよび2-プロパノールを、60℃および200ミリバール未満の真空圧で蒸発させた。ヘキサンおよび2-プロパノールの蒸発後、約4グラムの黄色油を回収した。
【0475】
【0476】
バッチあたり200g~250グラムの湿潤バイオマス抽出
小規模抽出結果を確認した後、大規模抽出の作業を開始した。4kgの湿潤C.necatorバイオマスを、抽出のために20個のバッチ(1バッチあたり0.2kg)に分割し、各バッチを振盪フラスコに移送した。各フラスコに650mlのイソプロパノールを添加した。1.5グラムの湿潤バイオマスあたり、5mLの2-プロパノール溶媒を使用した。バイオマスを2-プロパノールとよく混合して、均一な懸濁液を作製した。
【0477】
均一な懸濁液の作製後、超音波処理を使用して細胞を溶解させた。完全な細胞破壊のためにQSonica Q700超音波処理器を、連続モードで動作させた。超音波処理器のフローセルをホーンに取り付け、管をフローセルの入口および出口ポートに接続した。フローセル上の入口管を蠕動ポンプに通過させ、それをバイオマス懸濁液を含有するフラスコ内に浸しながら、フローセルからの出口管を同じフラスコ内に入れて、循環させた。完全な細胞溶解を実行するためには、湿潤バイオマス1グラムあたり1~1.2kJのエネルギーが消費された。温度プローブを試料ビーカー内に浸して、超音波処理中の温度変化を記録した。
【0478】
4kgの入力物から作製した20個の部分の各々を、1分間の各超音波破裂の間に30秒の間隔をもって、100%の振幅、バッチモードで30分間超音波処理した。
【0479】
2-プロパノールで超音波処理した後、湿潤バイオマス1gあたり5mLのヘキサンを添加し、次いでKuhner Shaker Xを使用して、試料を60℃で1時間インキュベートした。650mlのヘキサンを各バッチに添加し、次いでこれを60℃で60分間インキュベートした。
【0480】
試料を遠心分離管に移送し、Eppendorf遠心分離機Rを使用して3200gで15分間遠心分離した。バイオマスの各バッチを、4本の400mLのEppendorf遠心分離機Rの管に分配した。遠心分離機の回転速度は4000rpmに設定し、これは18cmのローター半径について3200gと等価である。
【0481】
細胞ペレットの分離後、有機抽出物(すなわち、上清)を回転蒸発器(Rotavap)混合フラスコに移送した。Rotavapを使用して、油およびポリマーをヘキサンおよび2-プロパノールから分離した。ヘキサンおよび2-プロパノールを60℃および200~100ミリバールで蒸発させ、油を溶媒で乾燥させた。ヘキサンおよび2-プロパノールを60℃の加熱浴によって加熱した。
【0482】
大規模抽出について、最適な蒸留条件には、100ミリバールの真空圧および60℃の水加熱浴で達したが、ヘキサンおよび2-プロパノールを蒸発させた後、黄色のポリマー/油の混合物が混合フラスコの内側に残った。黄色のポリマーから油を分離するために、ヘキサンを再適用し、次いでポリマーを遠心分離によって分離した。
【0483】
ポリマー/油/ヘキサンの混合物を60℃まで10分間再加熱し、遠心分離管に移送し、3200rpmで5分間回転させた。再加熱および遠心分離の後、油が分離し、これを単離し、分析した。油抽出物は、パーム油の主成分であるパルミチン酸を含む、大部分が飽和および一不飽和C16およびC18脂肪酸を含有することが見出された。約1kgの乾燥バイオマスに相当する4kgの湿潤C.necatorバイオマスから、80グラムの粗ヘキサン抽出物(すなわち、ヘキサン可溶性油)を回収した。
【0484】
この節に記載の方法に従って、水素、電子、および炭素の唯一の供給源としてHおよびCOから生成されたCupriavidus necatorの様々な試料から、合
計約230mlの油を抽出した。これは、約210グラムの油に相当する。この合計のうち、この節に記載の20リットルのバッチ実験によって生成された試料から、約160ml(140グラム)の油を抽出し、残部は、H/COの気質上での他の連続実験およびバッチ実験からのものであった。
【0485】
油の抽出後に残った残渣バイオマスは、PHBおよびタンパク質を多く含むことが見出された。
【0486】
実施例9
合成ガスまたはその構成要素からなる原料からのアミノ酸の生成。
Cupriavidus necator菌株DSM531およびDSM541を、H/CO/Oガス混合物および無機質塩発酵培地を使用して培養した。培養物を、66.7%のH、9.5%のCO、5%のO、および18.8%のNで、30℃および200rpmで補充した血清瓶内、20mlのMSM培地(1Lあたり1Lの培地A:9gのNaHPO.12HO、1.5gのHPO、1.0gのNHCl、および0.2gのMgSO.7HO;10mlの培地B:100mlあたり50mgのクエン酸第二鉄アンモニウムおよび100mgのCaCl;10mlの培地C:100mlあたり5gのNaHCO;ならびに1mlの微量無機質溶液:1Lあたり100mgのZnSO.7H2O、30mgのMnCl.4HO、300mgのHBO、200mgのCoCl.6HO、10mgのCuCl.2HO、20mgのNiCl.6HO、および30mgのNaMoO.2HO)中で96時間成長させた。
【0487】
成長培地中のリジン検出のために、1mlの細胞(OD=0.1)を遠心分離(10,000rpm、室温で5分間)によって分離し、上清(200マイクロリットル)を更に濾過した(0.22ミクロン)。表2に示されるように、上清の試料を回収し、リジン、チロシン、およびフェニルアラニンを含むアミノ酸などのアミノ含有化合物の分泌について分析した。
【表2】
【0488】
リジンは6個の炭素分子であり、チロシンおよびフェニルアラニンは9個の炭素分子である。C.necator菌株DSM541は、C.necator菌株DSM531と比較して、培地中により高い濃度のリジン、チロシン、およびフェニルアラニンを分泌することが観察された。分析は、200μlの滅菌濾過発酵培地で実行した。精製および誘導体化キット(例えば、EZ-FaaST(Phenomenex))、続いて液体クロマトグラフィー-質量分析を使用して、化合物を単離および誘導体化して、細菌株によって培地中に分泌された化合物を分離および特定した(表2)。DSM541由来の培地中に見出されたリジンのレベルは、DSM531よりも125倍高かった。
【0489】
実施例10
Hydrogenovibrio marinus菌株DSM11271を、乾燥細胞密度1リットルあたり8グラムを超えるまで、成長のための唯一のエネルギー源および炭素源として、Hガスと、COガスと、Oガスとの混合物で成長させた(図11)。撹拌タンクバイオリアクター内で、H、CO、およびOを含むガスの混合物を使用
して実行した実験では、以下のプロトコルに従った。
【0490】
装置:PEEKヘッドプレート、0.2μmのフィルターを有するガス送達用の管に接続された1つの多孔質ガラスフリットを有するスパージ管、改良剤送達用のセプタムポート、無菌試料採取アセンブリを有する底部への浸漬管、ガス出口に0.2μmのフィルターを有する溢流容器に管を介して接続された冷却器、滅菌シリンジに装着されたルアーを有する塩基送達用のポートおよび塩基送達用の管、接地プローブ、消泡剤送達用のポート、pH/温度プローブ、酸化/還元プローブ(ORP)を有する特注の500mLのガラス発酵槽を使用して、培養物をバッチで成長させた。市販の制御装置(Electrolab、Fermac360、United Kingdom)を使用して、温度を37℃に、pHを6.5に制御した。標的温度は、リアクターの底部の加熱パッド、および冷却水用の統合型ガラスジャケットによって維持した。6NのNHOHを使用して、pHを6.5に維持した。リアクターを撹拌プレート(VWR12365-344)上に置き、磁気撹拌棒(十字型、VWR「spinplus」番号58947-828)を使用して混合した。撹拌プレートは、300~400RPMに設定した。バイオリアクターへのガス流量は、1VVMであった。ガス供給は、各々20psiに制御した、圧縮H、圧縮CO、および室内空気からであった。HおよびCOを、ガスの相対分率を設定した流量配分器(Matheson G2-4D151-E401/E401、20psi)に送達した。空気を可変面積流量計(Key Instruments1G03_R5)に送達した。流量配分器からのH/COガス混合物は、空気中へとT字状に合わさり、次いで可変面積流量計を通して発酵槽に送達された。圧力計を使用して、発酵槽へのガス送達圧力を監視した。入口ガスは、0.2μmのフィルター(Pall、p/n4251)を通して流れ、次いで1つの多孔質パイレックスフリット(40~60μm、Sigma-Aldrich、CLS3953312-C)を介して発酵槽ブロス中に分散させ、(ジャケット付きかつ冷却された)冷却器を介してリアクターから2Lの気泡溢流瓶へと換気させ、次いで別の0.2μmのフィルター(Pall、p/n4251)を通して、最後に排気系へと換気させた。CO流量は、最小c.l.=5(c.l.=浮子中心線)に設定し、他のガスは、標的ガス組成を達成するように設定し、流量計の表に従って計算し、GCによって組成を測定し、調整および再測定した。c.l.H=25、c.l.空気=45を使用して、11/6.3/59のCO/O/Hのそれぞれの割合を有するガス混合物を得た。Foxyプローブを使用して、流入ラインおよび流出ラインにおけるOの継続的な監視を行った。時折、GC分析のためにガス試料を取得した(1Lの箔袋内、skcinc.com p/n262-01)。
【0491】
培地:1リットルの基本培地は、2.0gのKHPO、1.0gのKHPO、5.0gの(NHSO、29.3gのNaCl、0.2gのMgSO-7H0、10.0mgのCaCl、10.0mgのFeSO.7HO、0.6mgのNiSO.7HO、および2.0mlの微量元素溶液を含有した。微量元素溶液は、Thermophilic Bacteria,CRC Press,Boca Raton,FL,Jacob K.Kristjansson,ed.,1992(87頁、表4)から取得した。
【0492】
独立栄養接種材料:10%の接種用のガスで成長させた接種材料を、50mLの液体培地を含有する栓付きの2本の500mL瓶内で調製した。61.5mLの体積の接種材料(OD600、0.75)を、液位より下まで浸漬管を介してバイオリアクター内に注入して、ヘッドスペース内の分散を防止した。接種後にラインに濾過した空気を流して、浸漬管内に捕捉された接種材料を除去した。
【0493】
発酵槽操作:塩基添加-pHは、6NのNHOHで制御した。栄養素改良剤-NHOHの塩基添加によって提供される窒素栄養素に加えて、ブロスOD=3の時に0.2グ
ラムのFeSO.7HOを、ブロスOD=10の時に2グラムのMgSO.7HOを添加した。流入Oは約5%であると測定され、流出Oは3~4%の範囲であった。25mLの瓶を有する無菌試料採取系を使用して、リアクターの底部まで延びる管から試料を引き出した。DNA配列決定の結果はH.marinusを確認し、実験全体を通して毎日画線した寒天プレート上では汚染物質の成長は観察されなかった。
【0494】
表3は、実験中の様々な時点で測定した細胞乾燥重量(CDW)密度を示す。5日目に、CDW密度は8グラム/リットル超に達した。様々な時点で試料採取したバイオマスの百分率として、クロロホルム/メタノール可溶性脂質、およびヘキサン可溶性脂質の含有量もそれぞれ、表3に示す。上記の方法を使用して、GC/MSによって脂質を分析したところ、14~20炭素長の範囲の脂肪酸を含有することが見出された。
【表3】
【0495】
実施例11
Rhodopseudomonas capsulata菌株DSM1710を、4.5のODになるまで、成長のための唯一のエネルギー源および炭素源として、Hガスと、COガスと、Oガスとの混合物で成長させた。連続ガス流を供給した1リットルの密封瓶内のH、CO、およびOを含むガスの混合物を使用して実行した実験では、以下のプロトコルに従った。
【0496】
装置:1リットルの高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)溶媒送達瓶(これは培養瓶としての用途に再利用した)を含む特注のシステムを使用して、培養物をバッチ中で成長させた。これらの1リットルの培養瓶には、ガスタンク、ガスミキサー、フィルター(0.2ミクロン)、流量計、および加湿器のシステムから、連続的にガスを供給した。このガス送達系および培養瓶を、図12に概略的に示す。多孔質ガラスフリットを使用して、ガスを溶液中に分配し、混合した。培養瓶は200mLの液体培地を含有し、アルミニウム箔で包んで、光が培地を透過するのを防止した。培養瓶を水浴に浸すことによって温度を制御した。培地中への化学緩衝液の包含を超えては、pHを制御しなかった。ガスは、0.2ミクロンのフィルターを通しての培養瓶からの出口であり、システム全体をドラフトの内側に設置した。ガス供給は、圧縮HとCOとのガス混合物、および圧縮Oの別個のタンクからであった。実験用の標的ガス混合物は、10%のO、5%のCO、および85%のHであった。H/COガスタンク混合物からの流量計は25に設定し、Oタンクからの流量計は34に設定した。これにより、10.5%のOと、5%のCOと、84.5%のHとのガス混合物がもたらされ、これは、GC(Shimadzu GC-8A、TCD検出器、およびAlltech CTR Iカラム)によって測定して、実験を実行するのに標的混合物に十分近いと見なされた。
【0497】
培地:970mlの脱イオン水、20mgのNa.EDTA、12mgのFeSO
.7HO、200mgのMgSO.7HO、75mgのCaCl.2HO、1gのNaCl、1gの(NHSO、1mgのチアミンHCl、15μgのビオチン、1mlの微量元素溶液。微量元素溶液:250mLの脱イオン水、700mgのHBO、398mgのMnSO.HO、188mgのNaMoO.2HO、60mgのZnSO.7HO、10mgのCu(NO。オートクレーブ処理前にpHを7.2に調整した。オートクレーブ処理後、1.2gのKHPOおよび1.8gのKHPOを有する30mlの滅菌溶液を加えた。pHをpH=7.2に再調整した。
【0498】
接種材料:250rpmの撹拌で、光で光従属栄養的に成長させた、R.capsulata培養から得た10%の接種材料。Wall,J.D.,Johansson,B.C.,Gest,H.,1977.A pleiotropic mutant of Rhodopseudomonas capsulata defective in nitrogen metabolism.Arch.Microbiol.115:259-263に示されるRCVB培地を使用して、濃緑色を有する接種材料を光従属栄養に成長させた。この光従属栄養的に成長させた接種材料を、転じて-80℃で貯蔵した菌株のグリセロールストックから開始した。
【0499】
操作:10%の接種材料は、0.15の出発ODをもたらした。ガスで8日間成長させた後、ODは4.5に達した。ODは、Beckman Coulter DU720UV/Vis分光光度計を使用して650nmで測定した。化学独立栄養的に成長させた培養物の色は、濃赤色であった。Axioskop研究用顕微鏡(Zeiss,Germany)を有する位相差光学系を使用して、培養物の湿潤スライドを観察した。画像化およびデータ保存にPictureFrame(Optronics、Galeta,CA)ソフトウェアを使用するMacroFIREデバイス(Optronics、Galeta,CA)を用いて、顕微鏡写真を生成した。R.capsulataの顕微鏡写真を、図13に示す。化学独立栄養成長後、培養物を10,000G、4℃で15分間遠心分離した。次いで、上清を捨て、バイオマスペレットを一時的に-20℃で貯蔵し、次いで凍結乾燥した。遠心分離後に回収されたR.capsulataバイオマスのペレットの写真を、図14に示す。生合成のための唯一の水素源、電子源、および炭素源として、HおよびCOで成長させたR.capsulataの単一の1リットル瓶から、このようにして合計2.59グラムの湿潤バイオマスを回収した。脂質を抽出し、上記の方法を使用してGC/MSによって分析したところ、主に16~18炭素長の脂肪酸を含有することが見出された。
【0500】
実施例12
Hydrogenobacter thermophilus DSM6534を、1リットルの気密瓶内で、成長のための唯一のエネルギー源および炭素として、Hガスと、COガスと、Oガスとの混合物で成長させた。ガスヘッドスペース下の血清瓶内のH.thermophilus DSM6534の生培養物を、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen(DSMZ)から受容した。Hydrogenobacter thermophilus DSM6534は、rTCA CO固定サイクルを含有することが既知である。この生培養物を使用して、8:1:1のH:CO:O雰囲気下、“Thermophilic bacteria,”Jakob Kristjansson,Chapter5,Section III,CRC Press,1992,pp.86-88に示されるMSM培地を含有する160mlの血清瓶に、10%の接種材料を提供した。接種後の600nmでの初期ODは、0.03であった。血清瓶を温水浴に浸すことによって、血清瓶の温度を70℃に維持した。撹拌は適用しなかった。培地の濁りが観察され、65時間後にODは0.354と測定され、これは10倍超の増加であった。次いで
、この血清瓶を、10%の接種材料として、120mLのMSM培地および8:1:1のH:CO:O雰囲気を含有する1リットルの気密瓶に継代培養した。水浴を使用して培養瓶を70℃に維持し、撹拌はしなかった。64時間にわたってガスヘッドスペースは1回リフレッシュされ、ODは0.25に増加した。その後の24時間にわたって、ODは0.42まで増加した。ヘッドスペースガスを再びリフレッシュし、2日後にODを測定したところ、0.56であった。1mLの培養ブロスを、DNA抽出および配列決定のために試料採取した。16S rRNA配列を決定し、上位のBLASTヒットは、Hydrogenobacter thermophilus TK-6菌株と特定した。次いで、培養ブロスを1リットルの瓶から取得し除去し、10,000g、4℃で15分間遠心分離した。遠心分離後に生じる湿潤バイオマスのペレットは、212mgの重さであった。湿潤バイオマスのヘキサン抽出は、上記の実施例に記載のように実行された。15.2mgのヘキサン可溶性脂質が湿潤バイオマスから回収されたか、または7.2%の湿潤バイオマス重量がヘキサン可溶性脂質から構成された。脂質を抽出し、上記の方法を使用してGC/MSによって分析したところ、20炭素鎖長を有する比較的高い割合の脂肪酸を有することが見出された。
【0501】
実施例13
成長のための唯一のエネルギー源および炭素として、Hガスと、COガスと、Oガスとの混合物で、Xanthobacter autotrophicus DSM432株を乾燥細胞密度1リットルあたり14グラムまで成長させた。撹拌タンクバイオリアクター内で、H、CO、およびOを含むガスの混合物を使用して実行した実験では、以下のプロトコルを遵守した。
【0502】
装置:図15に概略的に示す2リットルのガラス発酵槽および図16に概略的に示すヘッドプレートを使用して、培養物をバッチで成長させた。温度およびpHは、pHおよび温度プローブならびに市販の制御装置を用いて制御および監視された。pHは、2NのNaOHを自動的に添加することによって調整された。バイオリアクターのポートは、栄養補助剤および消泡剤の提供、接種材料の送達、塩基、新鮮な培地、ならびに無菌試料採取に利用することができた。タービンによって撹拌を提供し、ガラスフリットを通してガスをスパージングした。リアクター系を、図17に概略的に示す。それは、圧力計;ガス流量計;安全弁および逆止弁;0.2ミクロンのフィルター;バイオリアクター容器、センサー、駆動装置、および制御装置;冷却器および気泡トラップ;ならびに出口孔を含んだ。ガス供給は、各々20psiに制御した、圧縮H、圧縮CO、および室内空気からであった。ガス送達系の概略図を、図18に示す。HおよびCOを、ガスの相対分率を設定した流量配分器(Matheson G2-4D151-E401/E401、20psi)に送達した。流量配分器で使用した設定は、c.l.H=35、c.l.CO=10、およびc.l.空気=55であった。これは、GC(Shimadzu GC-8A、TCD検出器、およびAlltech CTR Iカラム)によって測定して、64%のH、11%のCO、5.4%のOのガス混合物のバイオリアクターへの送達をもたらした。
【0503】
培地:この実験に使用したMSM培地は、Thermophilic Bacteria,CRC Press,Boca Raton,FL,Jacob K.Kristjansson,ed.,1992(87頁、表4)に記載されている。
【0504】
接種材料:Xanthobacter autotrophicus菌株DSM432の接種材料は、-80℃で貯蔵した単一のグリセロールストックバイアルから開始し、これを1リットルの気密瓶内の200mLのMSMに移送した。H/CO/Oヘッドスペースのガス圧は、10psigであった。培養瓶を、150rpm、30℃で撹拌した。
【0505】
発酵槽操作:接種前に、1.3リットルのMSMをバイオリアクター容器に移送した。NaOHを使用して、pHを6.8に調整した。温度は30℃に設定し、撹拌は500RPMに設定した。無菌試料採取アセンブリを通したODおよび脂質分析のために、試料を1日2回取得した。全てのOD測定は、Beckman Coulter DU720UV/Vis分光光度計を用いて実行した。1日1回、細胞形態を確認するために1日1回顕微鏡下で試料を検査した。全ての培養ブロス試料を、12,000gで遠心分離した。1mLの上清を、NH 分析用に-20℃で貯蔵した。湿潤バイオマスペレットを一時的に-80℃で貯蔵し、次いで凍結乾燥した。
【0506】
OD600とCDW(mg/ml)との間の相関関係を図19に示す。この相関関係の線形フィットは、R2=0.957でCDW=0.9944*(OD600)+0.4101であった。図20は、このプロトコルに従ってH/CO/Oガス基質で成長させた水素酸化微生物Xanthobacter autotrophicusの成長曲線を示す。600nmで測定した最終ODは、14.8であり、最終CDWは、H/CO/Oガス基質での成長から13.8グラム/リットルであった。実験開始時に短時間対数成長した後、バイオマスは6日目の実験終了までほぼ直線的な線形速度で蓄積した。脂質を抽出し、上記の方法を使用してGC/MSによって分析したところ、18炭素長の比較的高い割合の脂肪酸を有することが見出された。
【0507】
実施例14
化学独立栄養菌株のスクリーニング
AlmoreのVacu-Quickジャー系を使用して、プレート上での化学独立栄養性について、菌株をまずスクリーニングした。次いで、有望な菌株を液体培養物中で試験した。
【0508】
最少塩培地(MSM)を上記のように調製し、組み合わせ、アガロース(1.5%)プレートに無菌的に添加した。以下の属、Cupriavidus、Xanthobacter、Dietzia、Gordonia、Mycobacterium、Nocardia、Pseudonocardia、Arthrobacter、Alcanivorax、Rhodococcus、Streptomyces、Rhodopseudomonas、Rhodobacter、およびAcinetobacterから引き出される、162の候補菌株を試験した。各菌株を最少塩培地(MSM)+アガロース(1.5%)のプレート上に画線した。次いで、それぞれのプレートを全て、AlmoreのVacu-Quickジャー系内に置いた。各チャンバの底部に滅菌水を浸した滅菌ペーパータオルを敷いて、チャンバ内の湿度を維持し、かつインキュベーション中のプレートの乾燥を防止した。次いで、プレートを装填した気密チャンバを排気し、続いてH:CO:空気(70/10/20)のガス混合物を供給した。ガスは、成長のための唯一のエネルギー源および炭素源を供給した。ガスチャンバを30℃で7~10日間インキュベートし、毎日新鮮なガス混合物をパージした。化学独立栄養成長を呈するプレート/コロニーについては、コロニーを摘み取り、次いで新鮮な最少塩培地(MSM)+アガロース(1.5%)のプレート上に画線し、続いてHおよびCOおよび空気(70/10/20)を供給したAlmoreのVacu-Quickジャー系内で第2のインキュベーションを行った。この第2のインキュベーションにおいて強いコロニー成長を呈する菌株を、次いで液体無機質塩培地(MSM)中で化学独立栄養試験に供した。実験は、アルミニウム製キャップで圧着した、固体ネオプレンゴム栓(Wheaton Science Products、番号224100331)のキャップが付いた、5mLの作業体積を有する(Chemglass CLS-4209-10、嫌気性、18×150mm)Hungate管内で実行した。高処理量スクリーニング用に設計されたガスマニホールドを使用して、H:CO:空気(70/10/20)のガス混合物で管をパージした。管
は、毎日新鮮なガス混合物でパージされた。管は、Multitron Pro Infors HT振盪機内、45°の角度で、600rpmおよび30℃で96時間インキュベートされた。分光光度計(Genesys10S、UV-Vis分光光度計、Thermo Scientific)によって、24時間毎に600nmでの光学密度を測定した。以下の細菌株、Arthrobacter methylotrophus DSM14008、Rhodococcus opacus DSM44304、Rhodococcus opacus DSM44311、Xanthobacter autotrophicus DSM431、Rhodococcus opacus DSM44236、Rhodococcus ruber DSM43338、Rhodococcus opacus DSM44315、Cupriavidus metallidurans DSM2839、Rhodococcus aetherivorans DSM44752、Gordonia desulfuricans DSM44462、Gordonia polyisoprenivorans DSM44266、Gordonia polyisoprenivorans DSM44439、Gordonia rubripertincta DSM46039、Rhodococcus percolatus DSM44240、Rhodococcus opacus DSM43206、Gordonia hydrophobica DSM44015、Rhodococcus zopfii DSM44189、Gordonia westfalica DSM44215、Xanthobacter autotrophicus DSM1618、Xanthobacter autotrophicus DSM2267、Xanthobacter autotrophicus DSM3874、Streptomycetes coelicoflavus DSM41471、Streptomycetes griseus DSM40236、Streptomycetes菌種DSM40434、Streptomycetes xanthochromogenes DSM40111、Streptomycetes thermocarboxydus DSM44293、Rhodobacter sphaeroides DSM158は、水素酸化混合物で化学独立栄養性であると特定された。
【0509】
唯一の炭素源およびエネルギー源として水素酸化混合物を用いて、液体MSM培地中で成長させた水素酸化菌株に対して、完全な近似分析を実行した。算術成長期中に取得した試料については、C.necator DSM531およびDSM541が総タンパク質の70重量%超および80重量%超を蓄積することが見出された。C.necator DSM531およびDSM541の両方とも、ビタミンB1、ビタミンB2、およびビタミンB12を含むビタミンを合成することもまた見出された。
【0510】
実施例15
C.necator DSM531溶解物調製物
Cupriavidus necator菌株DSM531を、成長のためのエネルギー源および炭素源としての滅菌MSMG培地(最少塩培地+40g/LのD-グルコース)で成長させ、細胞を溶解させた。
【0511】
C.necator菌株DSM531バイオマス生成および溶解物調製では、以下のプロトコルに従った。
【0512】
実験菌株のバイオマス生成:菌株グリセロールストックから取得して、72時間の播種には1体積%、続いて菌株バイオマス生成のための120時間の培養には、10体積%。
【0513】
C.necator菌株の初期成長物を、振盪インキュベーター(New Brunswick Scientific、Series25Incubator Shaker,Floor Model)内の500mLの三角フラスコ(VWR番号10536-9
26)内、1.5mLのグリセロールストックから160mLのMSMG培地へと、250rpm、30℃で72時間播種した。菌株を、Nutrient Broth(NB)寒天プレートによって、SpectraMax M5分光光度計で600nmの光学密度について確認し、顕微鏡Labomed iVu3100で1000倍のレンズ倍率で形態学的に確認した。
【0514】
20mLの播種ストックを、200mLのMSMG培地を含有する2Lの三角フラスコ(VWR番号10545-844)に移送し、160mLの播種ストックから合計8本の2Lのフラスコを得た。2Lのフラスコを、インキュベーター振盪機内、250rpm、30℃で120時間インキュベートした。菌株を、Nutrient Broth(NB)寒天プレート上に画線することによって、分光光度計で600nmの光学密度について監視し、pH測定、および回収時に1000倍のレンズ倍率で形態確認した。
【0515】
培養ブロスを、風袋重量の250mLの滅菌遠心分離瓶(Fisher Scientific番号05 564 1)に移送し、遠心分離機(Sorvall Evolution RC)内、8000rpm、4℃で20分間回転させた。ブロスをデカントし、ペレットを風袋重量の50mLの滅菌Falcon管(VWR番号89039-656)に移送した。ペレットを-80℃で貯蔵した。
【0516】
回収時に、C.necator DSM531菌株の細胞乾燥重量測定もまた探求した。2Lのフラスコの回収前に、各フラスコから10mLの培養ブロスを風袋重量の50mLの滅菌Falcon管に移送した。管を、12000rpm、4℃で5分間遠心分離機(Eppendorf)にかけた。ブロスをデカントし、湿潤ペレットを-80℃で2時間凍結した。凍結ペレットを凍結乾燥器(Virtis Benchtop、-62.6℃、56mTorr)に18時間かけた。
【0517】
160mLのMSMG培地中にグリセロールストックを75時間播種した後、OD600を測定したところ、0.792、pH=7.34であった。培養物は、乳白色の外観を有した。陰性対照として機能する未接種のMSMG培地もまた、NB寒天プレート上に画線した。
【0518】
フラスコ1本あたり200mLのMSMG培地中、20mLの播種ストックから2Lのフラスコへの113時間の継代培養の後。各2Lのフラスコからの細胞をNB寒天プレート上に画線し、1000倍の拡大率の顕微鏡で観察した。菌株純度は、約99.9%で視覚的に決定された。
【0519】
2Lのフラスコ内のC.necator培養物を、密封キャップを有する250mLの滅菌遠心分離瓶内、8000rpm、4C、20分間の遠心分離を介して回収した。ブロスをデカントし、湿潤ペレットを組み合わせ、-80℃で貯蔵した。回収時点で、平均OD600=19.9かつpH=6.2-6.3であった。培養ブロス中の湿潤ペレットの重量および濃度を測定した。
【0520】
回収前に、各2Lのフラスコからの10mLの培養ブロスを、風袋重量のFalcon管に移送して、細胞乾燥重量を測定した。
【0521】
溶解細胞抽出物の調製
30gの湿潤細胞ペレットを室温で15分間解凍した。30gの滅菌MilliQ水を添加した。均一な溶液が生成されるまで、管を激しくボルテックスした。細胞溶液を、各々10gを含有する6~50mlのFalcon管に分割し、1/8インチの先細りマイクロチッププローブ(番号101-148-070)を有するBranson Soni
fier250を使用して、氷水浴中で超音波処理に供した。プローブを、管の底部から1cm以内に低下させた。1分間の合計超音波処理時間で、電力のダイヤルを40~60%の出力まで緩徐に上げた。マイクロチップおよび細胞溶液の両方を約10分間冷却させた。その間に10分の冷却時間をおいて、更に2回、1分間のサイクルで超音波処理を反復した。
【0522】
溶解細胞抽出物のタンパク質測定
Bradfordアッセイを使用して、全溶解細胞抽出物中、透明な溶解物中、および分子量カットオフ(MWCO)フィルター膜を通過した透過物中のタンパク質濃度を決定した。
【0523】
5μLの試料およびBSA標準物(BIO-RAD番号5000201)を、透明な96ウェル平底プレートに添加した。BSA濃度は、150ug/mL~600ug/mLの範囲である。続いて、250μLの1×色素試薬(Comassie Blue G250、BIO-RAD番号5000201)をプレートの各ウェルに添加した。室温、300rpmで、プレートをプレート振盪機上に30分間置き、続いてSpectraMax M5分光光度計で595nmで吸光度を読み取った。
【0524】
加水分解物の調製
このプロトコルに従って生成された細胞溶解物を、当該技術分野で周知の化学および酵素加水分解方法に供する。
【0525】
実施例16
プロテアーゼ実証実験
微生物(例えば、真菌P.marquandii)は、好気性湛水条件下、好適な培地中で成長し、プロテアーゼ(例えば、ケラチナーゼ)を合成する。
【0526】
細胞外液を濃縮し、部分的に精製して、酵素粉末を生成する。酵素粉末の平均活性を決定する。
【0527】
ケラチナーゼについては、陽性対照としてHoof and Horn基質を粉砕し、篩にかけ、次いで0.75~3.00g/Lの濃度のケラチナーゼで、50℃およびpH8.0で処理(1:67~1:17の酵素/基質比)することによって、ケラチン粉末の加水分解を実行する。これは、ケラチナーゼ酵素の活性に対する陽性対照として機能する。
【0528】
この実験のため、Cupriavidus necatorまたはH/CO2で成長させた別の微生物由来の凍結乾燥微生物バイオマス粉末を、0.75~3.00g/Lの濃度のケラチナーゼで、50℃およびpH8.0で処理(1:67~1:17の酵素/基質比)することによって加水分解する。
【0529】
加水分解反応は、最大6時間まで続ける。インキュベーション中、ケラチンまたはタンパク質の分解を測定し、可溶化窒素の割合として表す。また、液相にある可溶性タンパク質の量の増加および総遊離アミノ酸の増加も記録する。加水分解物の遊離アミノ酸組成もまた、決定する。ケルダール法によって測定して、溶液中の窒素含有量を、乾燥粉(ケラチンまたは微生物)中の総窒素含有量の百分率として表す。可溶化された元のバイオマス中のN含有量の部分を決定する。ブランク試料(酵素なし)と比較した、タンパク質可溶化の増強を測定する。タンパク質可溶化に対する異なる濃度のプロテアーゼ酵素の効果を決定する。可溶性タンパク質の増加を時間の関数として測定し、酵素反応の時間経過を決定する。
【0530】
植物に対して正の効果を有することが以前に見出されているアミノ酸を測定する。得られた加水分解物のアミノ酸含有量(合計の%)の比較を、文献に記載のタンパク質加水分解物の組成と比較する。
【0531】
陽性対照として、P.marquandiiのケラチナーゼを、粉末状のHoof and Horn基質に適用すると、酵素濃度、および4,000mg/L超の加水分解物中の遊離アミノ酸濃度に応じて、5時間で4g/L~5g/Lの可溶性タンパク質が得られると予想される。
【0532】
経過観察実験では、水蒸気およびそれに続く酵素加水分解によるタンパク質に富んだバイオマスの処理を試験する。水蒸気前処理した場合またはしない場合の、窒素の可溶化を比較する。水蒸気前処理したタンパク質に富んだバイオマス対水蒸気処理していない材料の、プロテアーゼによる加水分解の時間経過を比較する。基質から溶液中に放出されたタンパク質、ペプチド、およびアミノ酸の量を、水蒸気処理した場合と処理していない場合との間で比較する。P.marquandiiのケラチナーゼを水蒸気処理した粉末状のHoof and Horn基質に適用する陽性対照では、ケラチン窒素の98%の可溶化が予想される。
【0533】
C1炭素源を含むが、これらに限定されない基質で成長させた、Streptomyces菌種を含むが、これに限定されない本明細書に記載の菌株由来のプロテアーゼを試験する、類似の実験を実行する。
【0534】
【0535】
実施例17
酵素PHプロセス
図21は、本明細書に記載の方法の一実施形態のブロック図を示し、水性細胞懸濁液の形態の培養ブロスはアルカリ処理を受け、続いて物理的処理および酵素加水分解を行って、直接有機酵素抽出物を得る。場合によっては、濃縮および/または分離および/または乾燥の更なるステップを実行して、様々な有機酵素抽出物生成物を得る。このアプローチの実験的試験では、本発明の方法によって得られた抽出物のペプチドプロファイルを決定する。
【0536】
図21に示されるブロック図に従って、実験を実行する。500mlの培養ブロス中の乾燥物の百分率を、10~11%w/wおよびw/vの標的をもって決定する。ブロス中の細胞の化学組成もまた決定する(例えば、C、H、O、N、P、K、Sの%)。培養ブロスを、撹拌(60~80rpm)しながら、pHが9.6になるように28%のNHを添加した開放型ガラスリアクター内で処理する。
【0537】
アルカリ処理後、オートクレーブ内で混合物を115kPaの圧力および120℃の温度に20分間供する。このようにして得た溶液を、水酸化カリウム10MでpH9.2に調整する。pH9.2のこの溶液を恒温浴中で撹拌(60~80rpm)しながら55℃に維持し、0.3%v/vのズブチリシン(アゾカゼインアッセイに従って70,000単位の活性のプロテアーゼストック溶液から)を添加する。pHを28%のアンモニアで維持する。これらの加水分解条件を24時間維持する。結果として生じる加水分解物を24時間の時点で回収し、化学組成を決定する(例えば、C、H、O、N、P、K、Sの%)。加水分解の窒素および有機物収量を決定する。
【0538】
加水分解物の体積を測定し、次いで70℃の恒温浴を有する回転蒸発器内で加水分解物
を5倍に濃縮し、それによって濃縮された加水分解物を得る。乾燥物のパーセント重量を濃縮後に測定し、50~55重量%の乾燥物を標的とする。この実験は、この濃縮された加水分解物が安定したシロップの形態をとるかどうかを試験する。
【0539】
別の体積の加水分解物を測定し、4000Gで30分間遠心分離する。可溶性加水分解物画分と呼ばれる上清の体積、および不溶性加水分解物画分と呼ばれるペレットの重量を得る。各々の乾燥物含有量および両画分中の乾燥物の化学組成(例えば、C、H、O、N、P、K、Sの%)を決定する。各画分の有機物収量を決定する。各画分のアミノ酸組成、およびそのペプチドプロファイルもまた確立する。300Da未満のサイズを有するペプチドは、遊離アミノ酸および小ペプチドに関する。そのような遊離アミノ酸および小ペプチドの含有量を決定する。
【0540】
可溶性加水分解物の濃度を決定し、体積および有機物%w/wを測定する。可溶性加水分解物の粘稠度を観察する(例えば、シロップ様であるかどうか)。不溶性加水分解物画分を90℃で乾燥させ、最終重量および水分含有量を測定する。
【0541】
実施例18
低減した核酸を有するタンパク質抽出物
本発明に従って成長させた細胞に高圧ホモジナイズを適用する。内因性ヌクレアーゼの活性を保持しながら細胞の大部分を破裂させること、回収されたタンパク質を保存すること、およびいかなる風味も与えないことに関して、最適条件を特定するために条件を試験する。以下のホモジナイズパラメータ、5,000~15,000psigの圧力、32°F~122°Fの温度および4.5~6.5のpH、1~5回のホモジナイザーの通過を試験する。破裂した細胞(ホモジネート)は、処理ならびにヌクレアーゼおよびタンパク質抽出性を増強するために、必要に応じて希釈し、温めるかまたは冷却し、かつpH調整してもよい。ホモジネートを、5~60分および40°F~140°Fの温度で、5.5超のpHに調整し、特に8~11のpH範囲を試験する。この目的は、ヌクレアーゼ、タンパク質、および他のアルカリ可溶性物質を抽出することである。ホモジネートを、遠心分離および/または濾過によって、不溶性細胞壁残渣と、アルカリ抽出物と称される可溶性抽出物とに分離する。内因性ヌクレアーゼの抽出および利用に影響を与える因子は、ヌクレアーゼ含有量、pH、処理温度、反応時間、基質濃度、活性化剤、および阻害剤である。これらの因子は相互作用して、タンパク質組成および収量に影響を及ぼす可能性があり、これらを最適化して、タンパク質収量を最大化かつ/または核酸汚染を最小化する。1972年11月29日出願のYeast Glycan and Process of Making Same(第310,452号)と題する特許出願に記載の酵母グリカン生成物に類似したグリカン生成物を、細胞壁残渣から開発する試みを実行する。パン酵母グリカンは、酵母Saccharomyces cerevisiaeの粉砕、洗浄、低温殺菌、および乾燥した細胞壁である。それは主に、乾燥固形分に基づいて85%以上の長鎖炭水化物で構成される。炭水化物は、約2:1の比率のグリカン単位およびマンナン単位で構成される。それは、サラダドレッシング、冷凍デザート類似物、サワークリーム類似物、チーズ風味およびサワークリーム風味のスナックディップにおいて、乳化剤および乳化塩ならびに安定剤ならびに増粘剤ならびにテクスチャ化剤として使用することができる。
【0542】
細胞壁残渣の分離後、可溶性残部をインキュベートし、内因性ヌクレアーゼによる核酸ポリマーの分解を可能にする。試験したインキュベーション条件は、40℃~60℃、5~8のpH、および15~120分間の範囲である。タンパク質を遠心分離によって分離する。ヌクレアーゼ反応段階の終了時に、システムを様々な方法で処理して、タンパク質スラッジの遠心分離速度の増加を試みる。タンパク質の回収を促進するために、0.1~1.0重量%の固形分のCaClを試験する。試験した遠心分離条件は、4~7のpH
および4℃~90℃の温度の範囲である。内因性ヌクレアーゼ反応の完了後かつ遠心分離前の塩化カルシウムの添加が、遠心分離速度または処理量を有意に改善するかどうかを試験する。1つの可能性のある実施形態のブロック図を、図22に提供する。
【0543】
ヌクレアーゼ反応混合物を、遠心分離によって低RNA-タンパク質スラッジ画分と可溶性細胞質成分画分とに分離する。可溶性細胞質成分画分を組成について試験する。それは、核酸断片、いくつかのタンパク質およびタンパク質断片、グリコーゲン、ならびにビタミンを含む多くの代謝中間体を含有すると予想される。可溶性細胞質成分は、総微生物画分のうちの貴重な画分を構成すると予想され、かつ酵母抽出物または酸性乳清と同様の用途を有すると予想される。
【0544】
不溶性タンパク質画分の水洗を、風味への影響について試験する。追加の真空脱水ステップを試験し、続いて粉末へと乾燥させる。試験した真空条件は、10~60分間、T=120°F~200°Fで20~28インチHgの範囲である。最終乾燥ステップに入る固形含有量を、5%~25%固形分の範囲にわたって試験する。試験した乾燥方法は、噴霧乾燥、ドラム乾燥、および凍結乾燥などを含む。
【0545】
粉末の組成を試験する。無細胞組成物および生存細胞の不在が確認される。近似分析を実行して、乾燥固形分基準の重量で、タンパク質、核酸(約3%未満を標的とする)、脂質、灰、炭水化物、繊維、他のバイオマスの組成を確立する。ビタミンおよび無機質の含有量もまた決定する。
【0546】
実施例19
Cupriavidus necatorからのタンパク質の調製
本発明の方法に従ってHおよびCOで成長させたバイオマスを3回水洗し、必要に応じて遠心分離によって11重量%の固形分へと濃縮する。
【0547】
45ポンドのC.necator固形分を含有するこの懸濁液50ガロンを45°Fまで冷却し、8,000PSIGの圧力でのホモジナイズに供し、直ちに45°Fまで冷却する。ホモジナイズを合計3回の通過で反復する。ホモジネートを水で150ガロンの体積に希釈し、pHが9.5に達するまで食品グレードのアルカリ性試薬水酸化ナトリウムを添加する。材料を15分間撹拌し、次いで遠心分離する。不溶性残渣(細胞壁破片)を除去する。ホモジネート固形分の初期量を、アルカリ抽出物可溶性バイオマスおよび不溶性バイオマスのホモジナイズ、抽出、および分離後の回収と共に秤量する。アルカリ抽出物を1つの通常の塩酸の添加によってpH6.0に調整し、122°Fまで温める。抽出物をpH6.0で1時間穏やかな撹拌に供して、内因性ヌクレアーゼによる核酸の消化を可能にする。
【0548】
比較のための並行実験は、アルカリ抽出物を、pH7の外因性ヌクレアーゼで、50℃で2時間処理することを伴う。外因性ヌクレアーゼを麦芽から抽出し、C.necator抽出物固形分18ポンドあたり9ポンドの麦芽抽出物固形分の割合で使用する。
【0549】
比較のための他の並行実験:1)RNAを低減させるために低温高アルカリプロセスを使用する。このプロセスでは、ホモジネートからのアルカリ抽出物をNaOHでpH12に調整し、60℃で2時間加熱する。システムをpH4.5に調整した後、タンパク質を単離する。2)RNAを低減さるために高温低アルカリプロセスを使用する。このプロセスでは、ホモジネートからのアルカリ抽出物をpH10.5に調整し、80℃で4時間加熱する。システムをpH4.5に調整した後、タンパク質を単離する。
【0550】
インキュベーションの終了時に、37.5グラムの塩化カルシウムを添加する。タンパ
ク質懸濁液を175°Fまで温め、遠心分離して、タンパク質スラッジおよび酸性乳清を得る。それぞれの各画分中の乾燥固形分の重量を測定する。タンパク質スラッジを2体積の水で希釈し、温度を175°Fに維持しpHを6.0に維持しながら再び遠心分離することによって、洗浄する。乾燥固形分に基づいて、洗浄したタンパク質スラッジの量を洗浄した固形分の量と共に測定する。洗浄したタンパク質スラッジを、175°F、pH6で、真空(28インチのHg)中で20%の固形分まで濃縮し、噴霧乾燥する。水分%、粗タンパク質%(N×6.25)、核酸%、脂質%、灰%、炭水化物%(差異による)を含む、噴霧乾燥した生成物の組成を決定する。
【0551】
核酸含有量が上記の様々な方法によって低減されている、未分画のC.necatorおよび単離したC.necatorタンパク質の栄養価を比較する。未分画のバイオマスを水で3回洗浄し、噴霧乾燥する。
【0552】
必須アミノ酸含有量を、全ての試料について決定する。含有量を、FAO Committee on Protein Requirements(1957b)“FAO Nutritional Studies No.16”によって引用される含有量と比較し、含有量を分析して、それが成長する試験ラットのアミノ酸要件を満たすかまたは超えるかどうかを決定する。
【0553】
タンパク質当量比またはPERを、カゼインベースラインに対して決定する(PER=2.5)。飼料中の10%の補正タンパク質のレベルを使用して、ラットによる給餌試験を実行する。Official Methods of Analysis of the A.O.A.C.p.800,11th Edition(1970)に公開されている試験手順に従う。いくつかの試験は、RNAの低減を試みていない未分画のC.necatorバイオマスを使用して実行する。
【0554】
タンパク質単離物に対する未分画バイオマスのPERおよびRNA含有量を比較する。内因性ヌクレアーゼのみを使用して作製した単離物もまた、外因性ヌクレアーゼを使用して作製した単離物、およびより強いアルカリプロセスを使用して作製した単離物と比較する。
【0555】
実施例20
PHにおけるバイオスティミュラント効果の試験
トリカルボン酸サイクルにおいて機能する酵素をコードする遺伝子の転写パターンに対するPHの効果を、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応を介して分析する。研究した酵素をコードする遺伝子の転写物蓄積を研究して、それらがPH処理によって上方制御されるかどうかを決定する。酵素活性もまた試験する。同じアプローチを使用して、革なめし残渣の加水分解に由来するものなどの対照PH生成物のバイオスティミュラント効果を検証する。
【0556】
実施例21
バイオスティミュラントの生成および試験
本明細書に記載のC1原料から生成された細菌細胞クリームを、膜濾過によって単離する。細胞クリームの総固形含有量および総窒素含有量を測定する。標的とする量はそれぞれ、約8重量%および0.8重量%である。粘度もまた測定する。硫酸を約300mlの細胞クリームに添加して、細胞クリームのpHを3.5に調整する。pH調整した細胞クリームを、箔で被覆した500mlの三角フラスコに充填し、16ポンドの圧力下、128℃で24時間オートクレーブ内に置くことによって、加水分解を実行する。加水分解後、細胞クリーム(加水分解物)の粘度を再び測定する。それは、可溶物および不溶物の明確な分離により、大幅に低減すると予想される。冷却後、加水分解物を20ミクロンのペーパーフィルターを通して濾過し、可溶性画分を更なる分析のために回収する。可溶性画
分の総固形含有量および総窒素を測定する。対照処理と比較して、経時的なシュート密度の変化を測定することによって、可溶性画分を、芝草において植物ホルモン応答を誘発するその能力について試験する。70日間の試験中、温室内の芝草プロットは、水、硫酸アンモニウム、または可溶性画分のいずれかを用いて隔週で葉面処理される。硫酸アンモニウムおよび可溶性画分の両方を、1000平方フィートあたり0.05ポンドの窒素量で散布する。0日目、44日目、および70日目に、芝草シュート密度を測定する。0日目~70日目まで、可溶性画分で処理した芝草を、対照処理と比較して、シュート密度の統計的に有意な(p<0.05)増加について試験する。
【0557】
実施例22
ダイコンの成長に対する工業用微生物細胞質量および加水分解物の影響
赤ダイコン(Raphanus salivus)の品種Championの成長および収量に対する、異なる肥料処理の効果を測定するように、試験を設計する。種子を霧吹き床で発芽させ、ピートモス、パーライト、およびバーミキュライトをそれぞれ20:5:5の比率で含有する直径6インチの鉢に移植する。1週間に3回、鉢に200mlの水を与える。発芽期には肥料は提供しない。移植と同じ日に処理肥料を散布する。処理には、肥料を有しない陰性対照、陽性対照、硫酸アンモニウムを有するもの、および市販の9-3-6肥料を有する別のもの、ならびにプロテアーゼおよびパパインによる加水分解から生じる加水分解物が含まれる。加水分解物は、大量および少量で散布する(例えば、110kgのN/ヘクタールおよび28kg N/ヘクタール)。陽性対照は、匹敵する大量で散布する(例えば、110kgのN/ヘクタール)。高い窒素の割合、例えば、110kg/ヘクタールは、ダイコン生産の要件を満たすと予想される。例えば、28kg/ヘクタールの低い窒素の割合は、Nの要件を下回ると予想される。各処理は、完全に無作為化したブロック設計において4つの複製物に適用する。
【0558】
加水分解物は、本発明に従ってC1原料から生成されたSCP培養ブロスから得る(約10%の総固形分)。パパイン(Liquipanol(登録商標)T-100、Enzyme Development Corporation、New York,N.Y.)および細菌プロテアーゼ(Enzeco(登録商標)Alkaline Protease L660Enzyme Development Corporation、New York,N.Y.)を添加する前に、30%の水酸化カリウムでpHを7または9に調整することによって、タンパク質性ブロスを加水分解する。撹拌機によって提供される一定の撹拌、水浴中で60℃に維持された温度を用いて、細胞クリームを合計24時間加水分解する。酵素は、加水分解物を120℃で5分間オートクレーブ処理することによって変性させる。
【0559】
全ての肥料処理のダイコン重量を、肥料を有しないものと比較する。硫酸アンモニウムおよび対照9-3-6の比較は、リンまたはカリウムについて満たされない要件が存在するかどうかを試験する。差異の欠如は、PおよびKのレベルが適切であることを支持する。プロテアーゼおよびパパイン加水分解物による低N処理を、高N処理と比較する。低いNの場合は、より少ない窒素で高収量が可能かどうか、およびダイコン生産のための窒素使用の効率が統計的により高いかどうかを見るために試験する。効率の改善はバイオスティミュラント効果を反映しており、加水分解された細胞クリームがより低い栄養入力物で根菜類の生産を増加させる潜在性を有することを支持する。
【0560】
実施例23
水耕栽培系における加水分解物試験
この実験の目的は、微生物由来のPHの使用が、いかだ浮遊式水耕栽培系で成長させたレタスの成長およびN吸収を増強することができるかどうかを決定することである。
【0561】
浮遊いかだまたはDWC(深水培養)は、特定の種類の野菜、特にレタスの大量生産に適している。通常大きなポリスチレンシートで作製した浮遊いかだ(植物の根を収容するためのいくつかの孔が開いている)にレタスの苗が置かれる。
【0562】
清潔な酸素水が必須である。植物の根が、著しく酸素化される。根自体は、常に水に浸されている。汚れは植物の白根に付着し、植物の根が植物の成熟および成長を可能にする重要な酸素および無機質を取り込むのを遮断するため、汚れの粒子は除去する必要がある。
【0563】
浮遊いかだ系は、規則的な間隔でいくつかのエアーストーンを使用して、植物の根を著しく酸素化する。この領域に入る水は、ここまで固形物をほとんど含まないはずである。植物の根は、清潔かつ白く見えるはずである。このレタスは急速に成長し、収穫は容易に実行されるはずである。
【0564】
完全なおよび低減した水耕栽培栄養溶液濃度を使用して、毎週のPHの葉面散布を、新鮮なバイオマス、SPAD指数、およびN吸収に対する影響について試験する。水へのPHの導入もまた、試験する。
【0565】
葉の緑色度および厚さを決定するために、2つの波長での葉を通した光透過率を測定する機器を使用して、SPAD指数を決定する。赤外域の透過率は葉の厚さに関する測定値を提供し、赤色光域の波長を使用して緑色度を決定する。2つの波長の透過率は、CCIまたは代替的にはSPAD指数と称されるクロロフィル含有量指数を提供する。CCIは線形スケール、SPADは対数スケールである。これらの機器およびスケールは、非常に高いレベルを除いて、クロロフィル含有量についてのクロロフィル化学試験と相関することが示されている。窒素ストレスおよび硫黄ストレスを含む栄養素の植物ストレス測定には、クロロフィル含有量メーターが一般に使用される。
【0566】
実施例24
キノコ成長増強剤の配合
キノコ成長増強剤は、C.necatorなどであるが、これに限定されない本明細書に記載の高タンパク質細胞によって、上記に開示される方法に従って生成される。成長および回収後、細胞質量を脱水し、その水分含有量が13重量%以下の水分になるように乾燥させる。
【0567】
乾燥バイオマスの粒径を、当業者に既知の方法を使用して標準化する。粒径の集中的な分布は、最適化された平均サイズで生成される。キノコの堆肥を通した適切な分布および栄養分の利用可能性を提供しながら、栄養素を利用可能性が過剰にならないように(過剰であると、細菌または外来性のカビなどの競合する微生物によって粒子が急速に利用され得る)、最適な平均サイズを決定する。製造プロセスのこの段階では、乾燥粒子生成物を分析して、生成物が主に-10+30米国標準メッシュ(プラスマイナス5%)より大きくてもより小さくもない粒子を含有することを確認する。この生成物を、あらゆる生存可能な汚染生物の存在についても試験する。
【0568】
生成物の炭水化物含有量を、実験的に試験する。炭水化物は一般に、望ましくない外来性微生物にとって重要な成長刺激剤であるため、低炭水化物生成物が標的とされる。したがって、低炭水化物は、そのような生物の増殖を制限する。特定の非限定的な実施形態では、単位重量あたりの生成物のタンパク質含有量および結果として得られる効力を更に増加させるために、炭水化物は除去される。
【0569】
生成物が上記の基準を満たす場合、それをミキサーユニット(Forberg Mod
el C200-SS-2Dまたは等価物)に移送する。ミキサーユニットでは、生成物を防腐剤と組み合わせる。好ましい防腐剤としては、銅含有、カルバメート、フェノール、および抗生物質化合物が挙げられ、これらの具体例は、以下の通りである。
1.銅含有材料-硫酸銅単独または石灰との組み合わせ。
2.カルバメート材料-メチル1-(ブチルカルバモイル)-2-ベンズイミダゾカルバメート、エチレンビスジチオカルバミン酸亜鉛。
3.フェノール材料-o-フェニルフェノール、o-ベンジルパラ-クロロフェノール、およびそれらの塩。
4.抗生物質-ストレプトマイシン、テラマイシン。
【0570】
選択された薬剤は、堆肥中にある間に生成物を外来性微生物活性から保護するのに有効であるが、キノコ菌糸体によるその利用を防止するほどではない量で添加される。
【0571】
残りのプロセスステップは、好ましくは連続した様式で実行される。次のステップは、生成物を低温殺菌することを伴う。低温殺菌を達成するために、生成物を乾燥器装置(Nara Paddle Dryer Model1.6Wまたは等価物)内で加熱する。乾燥器を操作して、約5分間で生成物の温度を周囲レベルから220°Fまで上昇させる。Nara Paddle Dryer Model1.6Wを使用する場合、これは、約325°Fでの95psiの水蒸気の注入を通して生じるであろう。低温殺菌は、以下の目標、(1)栄養細菌およびカビのプレート数の、少なくとも3対数の低減、(2)中温性細菌胞子の不活性化、ならびに(3)リポキシゲナーゼの不活性化の達成を目的とする。しかしながら、上記の熱量は、生成物を実質的に変性させるのに不十分であることが意図されている。低温殺菌は、種菌接種実験中の外来性微生物による早期かつ望ましくない熱生成の可能性を低減することを意図する。生存微生物の低温殺菌前後のレベルを決定する。
【0572】
低温殺菌の完了後、生成物を振動流動床コンベヤー(Jeffrey Dresser
Industries、Model IXIO TMVまたは等価物)からなる冷却器/蒸発器ユニットに移送する。冷却器/蒸発器ユニットは、2500CFMで濾過された周囲空気を使用して、約1~2分間で生成物温度を220°F~100°Fまで低下させる。このようにして冷却した後、生成物の水分レベルを測定する。この段階で標的とする水分レベルは、約7.5%である。生成物の水分含有量は、低温殺菌/冷却相中の生成物の温度プロファイルと共に、上記のプロセス中に測定され、追跡される。
【0573】
上記のような生成物からの水の蒸発は、細菌胞子を含む低温殺菌中に殺滅されなかった微生物による腐敗を防止することが意図されている。1~2分間で100°Fへの急速な冷却は、タンパク質の変性を防止することが意図されている(タンパク質の変性は、生成物が高温で維持される時間に比例する)。
【0574】
結果として生じる最終キノコ成長増強剤生成物は、実質的に未変性のタンパク質材料からなることが意図されている。変性は、タンパク質の物理的および生物学的特性に対する結果的な変化を伴う、タンパク質の三次または四次構造の修飾を含む。本明細書で使用される場合、「実質的に未変性の」という用語は、「PDI」または「タンパク質分散性指数」と呼ばれる指数によって反映される。PDI測定の取得は、水による細胞生成物の抽出、およびケルダール分析を使用した抽出部分の分析を伴う。ケルダール分析を実行する上で、生成物を濃縮されたHSOで温浸し、これにより生成物中の結合窒素を硫酸アンモニウムに変換する。次いで、結果として生じる溶液をアルカリ性物質で処理し、アンモニアを遊離させる。遊離したアンモニアの量を、標準酸による滴定によって決定する。次いで、滴定の結果を使用して、生成物中の窒素量を計算することができる。PDIを計算するために、AOCS法Ba10-65に提供される式を使用する。本出願では、「実
質的に未変性の」タンパク質は、50以上のPDIを有するものとして特徴付けられる。生成物に対してPDI分析を実行し、ホルムアルデヒド変性ダイズ材料を使用して市販の生成物と比較し、約11.4のPDIを有することが報告された。タンパク質、水分、脂肪、灰、粗繊維、炭水化物の含有量を含む、キノコ成長増強剤の近似分析を実行する。カロリー含有量もまた決定される。
【0575】
キノコ成長増強剤は、調製直後に使用されるか、または後で使用するために袋詰めされ、乾燥した涼しい場所で貯蔵される。使用時、生成物は、好ましくはキノコ栽培の種菌接種期に、堆肥と均一に組み合わされる。合わせた堆肥/成長増強剤生成物は、14日間の種菌接種実験中、75°F~85°Fの温度範囲内に維持される。この範囲外、特に90°F超の温度では、収量および品質が大幅に損失される可能性がある。最適な結果のために堆肥に添加されるキノコ成長増強剤の重量パーセントを、試験を通して決定する。堆肥の3.5乾燥重量%、またはより幅広くは堆肥の2~5(乾燥重量)%の範囲の最適成長増強剤の重量を標的とする。
【0576】
実施例25
キノコ成長増強剤の試験
試験に使用した堆肥は、鶏糞(20,000ポンド)、綿実殻(15,000ポンド)、硫酸カリウム(700ポンド)、尿素(300ポンド)、割れダイズ(3,500ポンド)、および綿実粕(7,000ポンド)と組み合わせた麦藁(46,700ポンド)から調製する。完成した堆肥を、トレイ1つあたり4ポンドの綿実油を有する深さ8インチのトレイに置き、低温殺菌する。低温殺菌後、トレイ1つあたり4.2ポンドのA.bisporusキノコ種菌を、2~6重量%の範囲の添加で、C1基質で成長させたタンパク質性細胞質量から上記のように調製した補助材料と組み合わせて堆肥に添加する。陽性対照は、市販のダイズタンパク質系配合物である。陰性対照では、堆肥に補助剤は追加していない。補充パーセントは、1平方フィートあたり6.5ポンドの堆肥乾燥物に基づく。補助剤は全て、標準メッシュを使用して同様の粒径を有することを試験する。
【0577】
次いで、補助剤の添加後、水をトレイに添加して、内容物の水分レベルを約70%まで上昇させる。次に、トレイを90~95%の相対湿度を有する制御された環境室に置く。堆肥温度を78°F~82°Fに維持する。13日間の種菌成長後、1.75インチの緩和土壌の層を堆肥表面に適用し、容量まで水を与える。次いで、トレイを制御された環境室(65°F~73°F、10,000ppmのCO)に13日間維持し、続いて60°Fおよび800ppmのCOまで急激な空気温度およびCOのシフトを行って、キノコを結実させる。次いで、トレイを製造室に置き、毎週4回のフラッシュのために回収する。関与する期間は以下の通り、(a)I相堆肥化-56日間、(b)II相堆肥化-6日間、(c)種菌接種実験-13日間、(d)ケース保持-13日間、および(e)収穫-32日間である。キノコのkg/mでの平均総収量を、実験および対照について決定する。
【0578】
実施例26
肉代替物の食品加工
上記のように生成された核酸含有量が低減した高タンパク質生成物(HPP)を、食品成分として使用する。
【0579】
調製:
1.必要とされる量のHPPを秤量し、Hobart混合ボウル内に置く。
2.HPPに対しておよそ3:2の比率で水を測定し、およそ1:60の比率で水にカラメル着色料を添加する。ミキサーを速度Iに設定する。
3.Hobartミキサーをオンに切り替え、混合しながら、Hobart混合ボウル内
のHPPにカラメル色の水を非常に緩徐に添加する。材料をよくブレンドする。
4.肉挽き器を通してブレンドした材料を押し出し(例えば、Hobartアタッチメント)、乾燥トレイまたは皿に押し出したHPPを捕らえる。押し出したHPPは、それが押し出し機から出るにつれて所望の長さに切断されてもよく、あるいはそれは、長いストランドとして回収され、乾燥後に所望のサイズに縮小されてもよい。
5.押し出した材料を、対流式炉内で水分含有量が約10%になるまで乾燥させる。乾燥させ、テクスチャ加工したHPPを、a)室温で1~2時間、(過剰量)水中で再水和させることによって、またはb)過剰量の温水(100~140°F)で1時間再水和させることによって、食品製品用途における更なる使用のために再水和させる。テクスチャ加工したHPPに対する吸水率を決定する。
【0580】
実施例27
テンペ生産のための成長増強剤としての試験、およびおからを用いた試験配合物
おからは、豆乳/豆腐製造後に生じる大豆系副産物である。それは、比較的高いタンパク質含有量を有する。おからは、テンペスターターを使用して、真菌Rhizopus oligosporusと共に発酵させることによってテンペに変換することができるか、または玄米、ブルグア小麦、ダイズおよび他のマメ科植物、ならびに穀物の組み合せのなどの成分を使用して、プレスケーキテンペに変換することができる。
【0581】
この実験では、本発明の細胞、および/またはそれらの抽出物、および/または加水分解物を、おから基質と組み合わせてR.oligosporusの成長増強剤として使用することができるかどうかを試験する。成長増強剤を用いて生成された結果として生じるテンペが、それだけに限らないが、負の対照と比較して、栄養価などであるがこれに限定されない優れた特徴を有するかどうかもまた試験する。
【0582】
この実験はまた、プレスケーキテンペの製造において、細胞、抽出物、および/または加水分解物を、おから単独と共に、または玄米、ブルグア小麦、ダイズおよび他の豆類、ならびに穀物の組み合わせなどの他の成分と組み合わせて使用することができるかどうかもまた試験する。
【0583】
実施例28
本明細書に記載の特定の実施形態は、太陽光および風力などの断続的な再生可能電源を活用して、炭素固定に必要なHを生成する。CO源は、発電所などの工業的供給源である。電気分解槽は一般に、電気需要が低く再生可能電力供給が高い期間中に電力を引き出す。需要が低く再生可能発電が高いそのような期間中に、テキサス州、スコットランド、およびドイツなどの地域では、電気供給のうちのCOを排出しない再生可能な含有量は、最大95%に達し得る。したがって、事実上、電気分解槽は、COを排出しない電力を引き出して水からHを生成しており、利用するとしてもCO集約的電力はほとんど利用しないであろう。そのような地域では、再生可能電力の供給が高く系統需要が低い期間は、およそ50%の時間で生じるため、電気分解槽は、およそ50%の時間で動作すると予想される。施設内でのHおよびCOのタンク貯蔵は、工業的供給源からのCO生成と電気分解槽からのH生成との間のタイミングの差異を緩衝し、これらのガスの両方がCO固定バイオプロセスに連続的に流れることを可能にする。化学独立栄養水素酸化微生物は、CO、H、および無機質栄養素(すなわち、NPK)を高タンパク質バイオマスに変換する。このタンパク質に富んだバイオマスは、植物のバイオスティミュラント、またはキノコの成長補助剤、または動物飼料、またはヒトの直接的な栄養素に変換することができる(図23および図24)。電気分解槽からのOは、微好気性水素酸化バイオプロセスの要件を超えるであろう。この余剰のOは、純ガス副産物として販売されてもよく(図25)、または他に化石燃焼もしくは発電ユニットに戻るように供給して、ユニットの熱効率を増加させ、ユニットから出てくる煙道ガス流中のCO濃度を増
加させてもよい。CO濃度の増加は、炭素捕捉ステップを促進する。
【0584】
カーボンニュートラル性を達成するために、このシステムは、好ましくは断続的な再生可能発電量が高い地域に位置付けられる。電気分解槽は、電気需要が低く再生可能電力が供給過剰である期間中にのみ電力を引き出す。これにより、断続的な再生可能エネルギーによって引き起こされる系統への負担を軽減する(図25)。COの捕獲、貴重な栄養素の生成、および需要が低い期間中の過剰な再生可能エネルギー生成からの系統への負担の軽減に加えて、このシステムはまた、需要が低い期間中でも再生可能エネルギーを継続的に発生させることによって、再生可能エネルギーのより完全な利用も可能にする。電気分解槽科学技術の主要な現在の用途は、再生可能電力が供給過剰である期間中に生成されたHを、電気需要が高く再生可能電力供給が低い期間中に系統電気に戻すように変換すること、事実上、Hから電気へと価値連鎖を遡ることである。HおよびCOは、タンパク質へと、ならびにそこから植物、キノコ、動物、およびヒトのための栄養素へと変換され、事実上、Hから価値連鎖の更に上へと続いてゆく。
【0585】
本発明の特定の好ましい実施形態は、当業者が発明の全範囲を実施することが可能であるように十分詳細に本明細書に記載されている。しかしながら、これらの実施形態は例示的であること、および具体的に記載されていない本発明の多くの可能性のある変形が依然として本発明および添付の特許請求の範囲の範囲内にあることを理解されたい。
【0586】
前述の発明が、理解を明確にする目的で図示および実施例によってある程度詳細に記載されているが、添付の特許請求の範囲に描写されている本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく特定の変更および修正が実施され得ることは当業者にとって明らかになるであろう。したがって、説明は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0587】
本明細書に与えられる説明は、例としてのみ追加されており、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。より一般には、当業者は、本明細書に記載の全てのパラメータ、寸法、材料、および構成が例示的であることを意味すること、ならびに実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成は、本発明の教示が使用される特定の用途(複数可)に依存することを容易に理解するであろう。本明細書で数値的限界または範囲が述べられている場合、終点が含まれる。また、数値的限界または範囲内の全ての値および部分範囲は、あたかも明示的に書き出されているかのように具体的に含まれる。当業者であれば、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または通例的な実験のみを使用してそれらを確かめることができるであろう。多くの変形、修正、追加、および減算が可能である。更にまた、本明細書に記載の多くのステップの順序は入れ替えてもよく、多くのステップが追加または削除されてもよい。したがって、前述の実施形態は例としてのみ提示されること、ならびに添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内で、本発明は具体的に記載および主張されている方法以外にも実施され得ることを理解されたい。
【0588】
本発明は、本明細書に記載の個々の各特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象とする。加えて、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が互いに矛盾していない場合、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の2つ以上の任意の組み合わせも本発明の範囲内に含まれる。
【0589】
本明細書に引用される全ての刊行物、特許、および特許出願は、それらの全体が、あらゆる目的で、かつあたかも個々の各刊行物、特許、または特許出願が具体的かつ個々にそのように参照により組み込まれるように示されるのと同じ程度まで、これにより参照によ
り本明細書に組み込まれる。
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【手続補正書】
【提出日】2023-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1個以上の炭素原子を含有する無機および/または有機分子を、炭素固定反応または同化生合成を介して生成されるアミノ酸、タンパク質、および/またはビタミンを含む有機分子に生物学的に変換するための生物学的および化学的方法であって、
培養培地中の微生物細胞を含む環境に、1個以上の炭素原子を含有する無機および/または有機分子を導入することであって、前記培養培地が、前記微生物細胞を維持するのに好適であり、
前記1個以上の炭素原子を含有する無機および/または有機分子が、成長および/または生合成のために前記微生物細胞によって炭素源として使用される、導入することと、
前記1個以上の炭素原子を含有する無機および/または有機分子を、前記環境内で、前記微生物細胞中に含有される少なくとも1つの炭素固定反応または少なくとも1つの同化生合成経路を介して、アミノ酸、タンパク質、および/またはビタミンを含む前記有機分子生成物に変換することであって、
前記炭素固定反応または同化生合成経路が、化学的および/もしくは電気化学的および/もしくは熱化学的に生成されている、かつ/または前記環境の外部にある少なくとも1つの供給源から前記環境に導入される、電子供与体および/または電子受容体によって提供される、化学的および/または電気化学的エネルギーによって少なくとも部分的に推進され、
前記微生物細胞が、前記アミノ酸、タンパク質、および/またはビタミンを含むバイオマスを含む、変換することと、を含む、方法。