(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028827
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】標的化送達のための磁性ナノ粒子
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20240227BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20240227BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240227BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240227BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240227BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/58 20060101ALI20240227BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20240227BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240227BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240227BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20240227BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
A61K45/00
A61K9/51
A61K47/02
A61K47/10
A61K47/34
A61K31/496
A61K31/58
A61K31/573
A61P31/04
A61P29/00
A61K9/19
A61K9/14
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023204132
(22)【出願日】2023-12-01
(62)【分割の表示】P 2019572658の分割
【原出願日】2018-06-30
(31)【優先権主張番号】62/527,274
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.BRIJ
3.PLURONIC
4.SPAN
(71)【出願人】
【識別番号】520152766
【氏名又は名称】オトマグネティクス,インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】19 Firstfield Road #200,Gaithersburg,MD 20878 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャピロ,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】シュコール,モハメッド
(57)【要約】 (修正有)
【課題】治療剤または複数の治療剤を、組織関門を横切ってそれらの背後にある標的に送達することができるナノ粒子を提供する。
【解決手段】直径約3~30nmである酸化鉄コアであって、1つまたは複数のコアの構成からなる酸化鉄コアと、1以上の治療剤であって、第1の治療剤を含む1以上の治療剤と、ポリマーコーティングであって、約37度で水中で分解し、その平均分子量が約0.1~約300kDaであるポリマーコーティングとを含み、直径約100~約450nmである、組織を横切ることができるナノ粒子である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を横切ることができるナノ粒子であって、
酸化鉄コアと、
第1の治療剤と、
ポリマーコーティングとを含み、前記コーティングは、約37度で水中で分解する、ナノ粒子。
【請求項2】
前記コアは、直径3~30ナノメートルである、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項3】
前記コアは、直径10~100ナノメートルである、請求項1記載のナノ粒子。
【請求項4】
前記コーティングは、PLGAである、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項5】
前記コーティングは、ポロキサマーコーティングである、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項6】
第2の治療剤をさらに含む、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項7】
前記第1の治療剤は、シプロフロキサシンである、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項8】
前記第1の治療剤は、フルオシノロンアセトニドである、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項9】
前記第1の治療剤は、デキサメタゾンである、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項10】
患者を治療するための方法であって、
ナノ粒子の凍結乾燥組成物を提供するステップと、
前記ナノ粒子を再構成するステップと、
前記ナノ粒子を部位に適用するステップと、
磁気勾配を使用して、標的部位に前記ナノ粒子を移動させるステップと、を含む、方法。
【請求項11】
治療剤を対象に提供するための方法であって、それを必要とする対象に第1の治療剤および磁性コアを含む磁性ナノ粒子を投与するステップと、磁気勾配を使用して、標的部位に前記ナノ粒子を移動させるステップと、を含む、方法。
【請求項12】
磁石を使用して前記対象内で前記粒子を方向付けるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ナノ粒子の組成物であって、前記ナノ粒子は、凍結乾燥されている、ナノ粒子の組成物。
【請求項14】
第1の薬剤および第2の薬剤を有するナノ粒子組成物を調製するための方法であって、
a.前記第1の薬剤間に疎水性イオン複合体を形成するステップと、
b.前記疎水性イオン複合体の形成後に前記第2の薬剤を添加するステップと、を含む、方法。
【請求項15】
凍結乾燥医薬組成物であって、
a.酸化鉄コア、第1の治療剤、およびポリマーコーティングを有する、組織を横切ることができるナノ粒子であって、前記コーティングは、約37度で水中で分解する、ナノ粒子と、
b.前記ナノ粒子の周囲の糖と、を含む、凍結乾燥医薬組成物。
【請求項16】
乳化ポリマーと、界面活性剤と、磁性コアと、第1の生物学的活性剤と、第2の生物学的活性剤と、を含む、ナノ粒子であって、前記第1の生物学的活性剤は、複合体化されて、疎水性イオン複合体を形成している、ナノ粒子。
【請求項17】
前記組成物を凍結乾燥するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
放射線を使用して、前記組成物を滅菌するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年6月30日に出願された米国仮特許出願第62/527,274号の優先権および利益を主張し、その全開示内容は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0002】
本出願は、概して、治療用磁性粒子を使用した標的化された薬物送達に関する。より具体的には、本出願は、薬剤と共に製剤化され、かつ磁気デバイスによって標的化された、修飾強磁性ナノ粒子に関する。
【背景技術】
【0003】
ナノ粒子は、他の治療法では不可能な様式で機能することができるので、新しいクラスの治療法として台頭してきている。多くのタイプのナノ粒子が存在するが、研究グレードのナノ粒子を臨床グレードのナノ粒子に移行することに関して問題があるために、臨床使用に到達するのに適切な属性を有するものはわずかしかない。
【0004】
以前に開示された磁性ナノ粒子の多くは、組織関門を通り抜けて標的までの安全かつ効果的な移動を可能にするための、幾何学形状、構成、粒径、または鉄酸化物コアサイズ、コアサイズ分布、ならびに電荷およびコーティング弾性を有していない。以前に開示された粒子の多くはまた、必要な安定性、無菌性、貯蔵寿命、または複数の薬物もしくは他の治療的ペイロードを運搬する能力を有していない。
【0005】
開示された従来の磁性ナノ粒子は、概して、身体または身体部分への注入を意図されている。例えば、Asmatuluら(US2012/0265001A1)は、磁性粒子が注射器による侵襲性注射により疾患部位に配置されなければならないことを教示し、また、アルブミンを取り込む腫瘍のメカニズムにより疾患(例えば、がん)標的に効果的に到達して、それらの代謝を支援する、生物学的標的化剤(例えば、ヒト血清アルブミン)の必要性も教示している。このような技術は、鉄酸化物コア用の薬剤を分散させてもよい。これらの技術は、組織を通過するのに好適ではない。
【0006】
従って、改善されたナノ粒子に対する必要性が常に存在する。(例えば、沈着部位からの)磁気勾配に応答して組織関門を横切ることができ、生物学的標的化剤(例えば、アルブミン、抗体、遺伝子、ヌクレオチド、または他の標的化剤)を用いずに効果的に送達することができる磁性ナノ粒子に対する必要性が存在する。本開示が対象とするのは、とりわけ、これらの必要性である。
【発明の概要】
【0007】
一態様は、治療剤または複数の治療剤を、組織関門を横切ってそれらの背後にある標的に送達することができるナノ粒子を含む。これらのナノ粒子は、細孔を有する担体と、細孔よりも小さい治療剤とを含む。例えば、ナノ粒子は、大分子(大分子治療剤、タンパク質、抗体、ヌクレオチドまたは遺伝子治療剤)を、組織関門を通り抜けて標的に送達することができる。このような大分子は、大きすぎて、拡散によって組織関門を横切れないことが多く、ナノ粒子は、印加された磁気勾配の作用に応答して、またはそれを用いて、組織関門を横切ってそれらを輸送することができる。
【0008】
別の態様は、複数の薬物または治療剤が装填されたナノ粒子であり、したがって、1種を超える薬剤を標的部位に送達することを可能にする。
【0009】
別の態様は、ポリマーコーティングまたはマトリックス内に、磁性または超常磁性の酸化鉄コア(例えば、マグネタイト、マグヘマイト、または他の酸化鉄)を有する粒子またはナノ粒子を含む。鉄は人体に自然に見出され、鉄は赤血球に使用するために体に容易に吸収される。これらのナノ粒子は生体適合性であってもよく、例示的な粒子では、人体への注入に安全として、FDAによって従前に認可された物質のみを含有する。
【0010】
別の態様は、印加された磁気勾配によって、組織関門を通り抜けてまたは横切って効果的に移動することができるナノ粒子を含む。概して、組織は物質を排除する。例えば、皮膚の上皮は、物質が皮膚を通して体内へ侵入することを防止し、または眼の外強膜は、物質が眼に入るのを防止する。他の組織関門は、鼓膜、窓膜、器官間または器官を囲む膜、液体関門(眼の硝子体、または浸出を伴う中耳炎の際に中耳を満たすまたは部分的に満たす浸出液など)、または筋肉、脂肪、骨もしくは他の組織タイプによる組織関門に見られる。
【0011】
別の態様は、実質的に単分散性であるかまたは狭い粒径分布を有する粒子を有する組成物または医薬組成物を含む。例示的な粒子では、酸化鉄コアは単分散性であり、狭いサイズ分布を有する。
【0012】
別の態様は、(例えば、約37度で水中で)生分解性のポリマーコーティングを有し、複数の生物学的に活性な薬剤を保持することができるナノ粒子を含む。一実施例では、コーティングはPLGAを含んでもよく、(例えば、疎水性、親水性、および親油性の分子を装填する)複数の治療薬/治療剤を可能にする。(例えば、抗生物質および抗炎症薬を用いて)同時に複数の治療剤が存在し得、治療剤の順次放出を可能にする。これは、1種以上の異なる治療剤のオンデマンド時限放出を可能にする。この方法は、溶解度(親水性および疎水性)、電荷(カチオン性、アニオン性、および/または両性イオン性)、pH依存性、親油性などの異なる化学シグネチャを有する2種以上の薬物を単一のナノ粒子に同時に封入することを可能にする。いくつかの実施例では、薬物は、化学的に変更および/または他の試薬と結合されず、それらの天然形態で装填される。
【0013】
複数の薬剤を有する別の態様のナノ粒子、およびナノ粒子に複数の薬剤を装填する方法。特定の実施例は、薬剤を、異なるpKa値を有する薬剤と共に含む。このような両性イオン性薬物は、より広いpH範囲に対して溶解性を示し、漏洩のために低封入効率となることが多い。一実施例では、シプロフロキサシンのpH依存性溶解性を、関心対象の薬物と界面活性剤との間に疎水性イオン複合体(HIP)を形成することにより、低減/抑制した。他方で、ステロイドは高度に疎水性であり、最小から無の水溶性を示す。これらの化合物は、その他の点では、非生体適合性であり、高い健康リスクをもたらすことが多い有機溶媒に可溶である。特定の実施例は、中分子量および高分子量の薬物および生体分子を有するナノ粒子を含む。
【0014】
生理学的条件下でのポリマーコーティング(例えば、PLGA)の分解速度および細孔の大きさは、治療剤の迅速な「バースト」放出(数分または数時間内)、または治療剤のゆっくりとした持続放出(数週間または数ヶ月にわたる)を可能にする。ポリマーおよび薬剤は、特定の疾患標的を治療するように選択することができる(例えば、感染を迅速に死滅させるためのより迅速なプロファイル、または慢性または長期の状態に対して持続的治療を提供するためのよりゆっくりしたプロファイル)。
【0015】
別の態様は、さまざまな範囲の粒径を有するナノ粒子を含む。粒子の大きさは、直径10nm~450nmとでき、内部の酸化鉄コアの大きさは、1nm~50nmであってもよい。鉄含有量(5~40%)は、組織関門を通り抜けてそれらの背後にある標的への治療剤の送達を最大にするように選択されている。
【0016】
別の態様は、滅菌されたナノ粒子またはそれらの組成物を含む。滅菌性は、γ線もしくはe-ビームの照射または濾過によって達成される。
【0017】
別の態様は、凍結乾燥(フリーズドライ)によって達成されるより長い貯蔵寿命を有するナノ粒子の医薬製剤または組成物を含む。粒子および治療剤の製剤は、安全に保存し、次いで、使用直前に水または生理食塩水または他の緩衝液を添加することによって再構成することができる。
【0018】
別の態様は、水性緩衝液中に含有されてもよいナノ粒子を含む。この溶液が、磁場が印加される前に、まず非水性環境(例えば、油性皮膚の表面)に置かれた状況では、それらの状況に対して、有効な界面活性剤(例えば、FDAによって従前に使用が認可されている、例示的な界面活性剤、塩化セトリモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポロキサマー、Triton X-100、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリソルベート(20、40、60、80)、ベンジルアルコールなど)を、粒子を含有する緩衝液中に含ませることができる。これにより、緩衝液の表面張力が低下し、粒子が緩衝液から容易に離れること、および組織関門に進入し、次いでそれを横切る(例えば、油性皮膚に容易に進入して横切る)ことが可能となる。例示的な界面活性剤または他の添加剤はまた、当該分野において認識される他の手段によって、例えば、細胞および組織の表面電荷との改善された相互作用によって、緊密な細胞接合を変性することによって、細胞間および膜網を通り抜けるより良好な輸送を可能にすることによって、組織関門を通り抜ける改善された輸送を可能にしてもよい。界面活性剤または他の化学物質を粒子周囲の液体に添加する別の理由は、組織関門の強度を変化させること(例えば、関門細胞間の緊密な接合の強度を低下させること)である。
【0019】
またさらなる態様によれば、本開示に従うナノ粒子を含むキットが提供される。
【0020】
本発明のさらなる態様および実施形態は、以下の説明および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】組織を通り抜けて進行し、治療剤(薬物、タンパク質、ヌクレオチド)を組織関門の背後にまたはその全域に送達する磁性ナノ粒子を模式的に示す。
【
図2A】小分子リガンド、PEGなどのポリマーリガンドおよびまたはブロックコポリマーで被覆された単一のFe2O3またはFe3O4コアからなるナノ粒子システムの例示的な設計を示す。
【
図2B】非官能化PLGA磁性ナノ粒子の別の例示的な設計を示す。
【
図2C】組織関門を通り抜けて薬剤を輸送するための、非官能化PLGA磁性ナノ粒子の別の例示的な設計を示す。
【
図2D】薬物PSAが装填されたカチオン性PLGAナノ粒子の別の例示的な設計を示す。
【
図2E】薬物PSAが装填されたカチオン性PLGAナノ粒子の別の設計を示す。
【
図2F】薬物PSAが装填されたカチオン性PLGAナノ粒子の別の例示的な設計を示す。
【
図2G】PSAを封入するカチオン性PLGAナノ粒子の別の概略設計。
【
図3A】5nmの酸化鉄コアを有する例示的な磁性PLG被覆ナノ粒子が組織関門を横断するところを示す。
【
図3B】組織関門を横断することができる、10nmの酸化鉄コアを有する例示的なPLGA被覆磁性ナノ粒子を示す。
【
図3C】組織関門を横切ることができる、20nmの酸化鉄コアを有するPLGA被覆磁性ナノ粒子を示す。
【
図4】水性緩衝液中のガラススライド上の例示的なナノ粒子を示す。
【
図5】
図5A~
図5Cは、媒体を通り抜ける粒子速度を決定するための画像処理から得られた結果を示す。
【
図6】例示的なナノ粒子の製造プロセスの概略図を示す。
【
図7A】ウシ眼への送達後の酸化鉄のプルシアン染色を示し、例示的なPLGA鉄酸化物ナノ粒子が眼の上皮層を横断できたことを立証した。
【
図7B】ウシ眼への送達後の酸化鉄のプルシアン染色を示し、例示的なPLGA鉄酸化物ナノ粒子が眼の上皮層を横断できたことを立証した。
【発明を実施するための形態】
【0022】
複数の治療剤を送達するためのナノ粒子製剤が開示される。特定の実施形態は、単一の治療剤または複数の治療剤を有する磁性ナノ粒子を含む。これらの粒子は、約3ナノメートル、約10ナノメートル、100ナノメートル以上のうちの少なくとも1つの寸法を有してもよい。このような磁性ナノ粒子は、外部から印加される磁場勾配を使用してそれらの移動を操作することにより、より具体的には、磁場の作用下で粒子に無傷の組織関門を横断させる(横切らせる)ことにより、医療法の選択肢を提供することができる。特定のナノ粒子は、治療処置および/または診断臨床処置において使用することができる。
【0023】
図1は、組織関門を通り抜けてまたは横切って進行し、治療剤(薬物、タンパク質、ヌクレオチド)を、それらの組織関門の背後にある疾患標的に送達する磁性ナノ粒子を模式的に示す。この図は、印加された磁気勾配の作用下で組織関門を横断することができる治療剤溶出ナノ粒子を示す。
【0024】
実施形態では、組織を横切ることができるナノ粒子は、酸化鉄コア(例えば、単一コアまたはマルチコア)と、第1の治療剤と、ポリマーコーティングまたはマトリックスとを有し、約37度で水中で分解する。
【0025】
一実施例は、鉄酸化物ナノコアを有するPLGA(ポリ乳酸-コ-グリコール酸)ナノ粒子を含む。ナノ粒子には、PVA(ポリビニルアルコール)および/またはキトサンによって安定化されかつ凍結乾燥(急速冷凍)されたポリマーマトリックス(ポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド)(またはポリカプロラクトンまたはポビドンなど)の2つの親水性鎖を側鎖とする(ポリ(プロピレンオキシド))の中央疎水性鎖からなる、PLGAまたはPEGまたはポロキサマー非イオン性トリブロックコポリマー)中の治療剤を装填することができる。
【0026】
一実施形態では、ナノ粒子は、滅菌性のために、濾過されてもよいし、またはγ線もしくはe-ビームが照射されてもよい。粒子は、概して、1つまたは多数の磁性コア(マグネタイトFe3O4、マグヘマイトγ-Fe2O3、および/または他の鉄酸化生成物)
と、周囲のポリマーマトリックスとからなる。一実施例では、コアは、天然に存在する酸化鉄であるマグネタイトまたはマグヘマイトであってもよい。一実施例では、ナノ粒子は、中性表面電荷の単一酸化鉄コアを有し、比較的剛性で、約5~50nmまたは30~250nmのサイズを有し、凍結乾燥され、滅菌されている。広範囲のポリマー系コーティングまたはマトリックス材料が、(a)薬物を封入し、さらにナノ粒子をカチオン性、親水性、アニオン性などにするために使用される(PEG、ヒアルロン酸塩、ポロキサマーなど)。生体適合性と生分解性と治療剤放出プロファイルおよび速度とについては、ポリマーは、分子量、密度、および官能性末端基に基づいてカスタム選択することができる。ナノ粒子は、約0.1~0.5の多分散指数(PDI)を有してもよい。これは、ナノ粒子分布が、サイズばらつきまたは粒子不均一性がほとんどなく、均一であることを意味する。
【0027】
別の実施例では、ナノ粒子は、正の表面電荷を有し、複数のコアを有し、比較的剛性で、約10~400または180~350nm(ナノメートル)のサイズを有し、凍結乾燥され、滅菌されている。別の実施例では、ナノ粒子は、主にポリマーPLGA(ポリ乳酸-コ-グリコール酸)から構成することができる。例示的な粒子では、PLGAは、L:G=50:50および分子量(Mw)=30kDa~50kDaを有してもよい。他の実施例では、PLGAの分子量の範囲は、10kDaから100kDaまで変化した。PLGAは、官能性末端基、-カルボキシル、-アミン、-エステルを有することができる。ラクチド:ガラクチドは、(50:50、65:35、75:25、85:15)と変化する比を有することができる。
【0028】
別の実施形態では、ナノ粒子は、糖(例えば、トレハロース、マンニトール、スクロース、またはグルコース)の存在下で凍結乾燥されてもよい。これにより、ナノ粒子は、それらの凍結乾燥状態において糖で被覆されている。生体適合性と生分解性と治療剤放出プロファイルおよび速度とについては、粒子PLGAは、分子量、組成比(例えば、ラクチド対ガラクチド)、密度、および官能性末端基を選択することによって調節することができる。ナノ粒子は、約0.1~0.5の多分散指数(PDI)を有してもよい。これは、ナノ粒子分布が、サイズばらつきまたは粒子不均一性がほとんどなく、均一であることを意味する。
【0029】
図2A、
図2B、
図2C、
図2D、
図2E、および
図2Fは、磁気勾配の作用下で組織関門を横断することができ、それらの関門の背後にある標的に治療剤を運搬および送達することができる磁性ナノ粒子の実施例を示す。
【0030】
図2Aは、小分子リガンド、PEGなどのポリマーリガンド、およびまたはポロキサマー(F68、F127など)などのブロックコポリマーで被覆された単一のFe
2O
3またはFe
3O
4のコアからなり、単一または複数の薬物を封入し、磁気勾配の作用下で組織関門を通り抜けて輸送することが実証された、ナノ粒子システムの別の概略設計を示す。薬剤は、ポリマーリガンドでコーティングまたはマトリックス化する前に、酸化鉄コアと予め混合することもできるし、または、一工程で、酸化鉄コアをコーティングまたはマトリックス化しながら同時に装填することもできる。現行システムの場合、酸化鉄コアのサイズは5~30nmの範囲である。本粒子の組成、機能、および特性は、本明細書に開示された概念に基づいて選択され、組織関門を通り抜けてそれらの背後にある標的に治療剤を送達することを可能にする。PLGAマトリックスには、さまざまな治療剤、少分子もしくは大分子の薬物、タンパク質もしくは抗体、またはヌクレオチド(遺伝子、DNA、RNA、mRNA、siRNAなど)も装填することができる。
【0031】
図2Bは、磁気勾配の作用下で組織関門を通り抜けて輸送するための非官能化PLGA磁性ナノ粒子の別の概略設計を示す。PLGAナノ粒子は、負に帯電し、異なる化学シグネチャ(溶解性、親水性および疎水性、電荷(カチオン性、アニオン性、および/または両性イオン性)、pH依存性、親油性など)を有する1種を超える薬物または治療剤を共装填されている。図に見られるように、2つの異なるクラスの薬物、例えば、(1)両性イオン性抗生物質(シプロフロキサシン)および(2)脂肪族/疎水性ステロイド(フルオシノロンアセトニド)が単一のナノ粒子内に共装填されている。シプロフロキサシンは広いpH範囲(酸性pKal=6.2および塩基性pKa2=8.8)で可溶であり、このシプロフロキサシンのpH依存性溶解性は、シプロフロキサシンと界面活性剤、硫酸デキストランとの間の疎水性イオン複合体(HIP)の形成により低下/阻害された。複合体は、フルオシノロンアセトニドおよび磁性酸化鉄コア(10nm)と共にナノ粒子に導入されている。PLGAマトリックスには、さまざまな治療剤、1種以上の薬剤、小分子もしくは大分子の薬物、タンパク質もしくは抗体、またはヌクレオチド(遺伝子、DNA、RNA、mRNA、siRNAなど)も装填することができる。
【0032】
図2Cは、磁気勾配の作用下で組織関門を通り抜けて薬剤を輸送するための非官能化PLGA磁性ナノ粒子の別の概略設計を示す。PLGAナノ粒子は、負に帯電し、薬物PSA(酢酸プレドニゾロン)および磁性酸化鉄コア(5nm)を装填され、組織関門を通り抜けてそれらの背後にある標的に治療剤を送達することを可能にする。PLGAマトリックスには、さまざまな治療剤、小分子もしくは大分子の薬物、タンパク質もしくは抗体、またはヌクレオチドも装填することができる。
【0033】
図2Dは、薬物PSAおよび磁性酸化鉄コア(10nm)を装填されたカチオン性PLGAナノ粒子の別の概略設計を示す。ナノ粒子は、カチオン性リン脂質N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムメチルサルフェート(DOTAP)を取り込み、正の表面電荷を呈する。PLGA中の細孔には、さまざまな治療剤、1種以上の薬剤、小分子もしくは大分子の薬物、タンパク質もしくは抗体、またはヌクレオチドを装填することができる。
【0034】
図2Eは、薬物PSAおよび磁性酸化鉄コア(20nm)を装填されたカチオン性PLGAナノ粒子の別の概略設計を示す。ナノ粒子は、カチオン性リン脂質DOTAPを取り込み、正の表面電荷を呈する。PLGA中の細孔には、さまざまな治療剤、1種以上の治療剤、小分子もしくは大分子の薬物、タンパク質もしくは抗体、またはヌクレオチド(遺伝子、DNA、RNA、mRNA、siRNAなど)を装填することができる。
【0035】
図2Fは、薬物PSAおよび1つまたは複数の磁性酸化鉄コア(20nm)を装填されたカチオン性PLGAナノ粒子の別の概略設計を示す。ナノ粒子は、アミン(NFh)官能基を有するPLGA(PLGA-NFh)から作られ、正の表面電荷を呈する。PLGA中の細孔には、さまざまな治療剤、小分子もしくは大分子の薬物、タンパク質もしくは抗体、またはヌクレオチド(遺伝子、DNA、RNA、mRNA、siRNAなど)を装填することができる。
【0036】
図2Gは、PSAおよび磁性酸化鉄コア(20nm)を封入するカチオン性PLGAナノ粒子の別の概略設計を示す。ナノ粒子マトリックスは、PLGAと、アミン(NFh)末端基を含有するオイドラギット(RL PO)ポリマーとの混合体であり、正の表面電化を呈する。PLGA中の細孔には、さまざまな治療剤、小分子もしくは大分子の薬物、タンパク質もしくは抗体、またはヌクレオチド(遺伝子、DNA、RNA、mRNA、siRNAなど)を装填することができる。
【0037】
図3A~
図3Cは、酸化鉄コアを装填されたPLGAナノ粒子を示すTEM(透過型電子顕微鏡)画像を示し、粒径の尺度も提供する(粒径対スケールバーを参照)。
図3Aは、磁気勾配の作用下で組織関門を横断することができ、それらの関門の背後にある標的に
治療剤を運搬および送達することができる、5nmの酸化鉄コアを有する例示的な磁性PLG被覆ナノ粒子を示す。
図3Bは、磁気勾配の作用下で組織関門を横断することができ、それらの関門の背後にある標的に薬剤を運搬および送達することができる、10nmの酸化鉄コアを有するPLGA被覆磁性ナノ粒子を示す。
図3Cは、磁気勾配の作用下で組織関門を横断することができ、それらの関門の背後にある標的に薬剤を運搬および送達することができる、20nmの酸化鉄コアを有するPLGA被覆磁性ナノ粒子を示す。TEM画像は、粒径の尺度を提供する(粒径対スケールバーを参照)。
【0038】
方法は、粒子と、粒子内の鉄酸化物コアとの両方について、単分散性、狭いサイズ分布を提供する。1つの典型的な事例では、本発明者らの粒子は、直径200~250nm(ナノメートル)の狭いサイズ分布で作製される。他の典型的な事例では、粒子はより小さく、サイズは20~50nmまたは20~100nmの範囲である。
【0039】
一実施形態では、ナノ粒子は製薬剤を含んでもよい。薬剤は、薬物、タンパク質、またはヌクレオチド物質(例えば、DNA、mRNA、siRNA)であってもよい。磁性粒子は、さまざまな形態をとってもよい。磁性粒子は、磁性コアと、治療剤が含有されたマトリックスとを含んでもよい。
【0040】
製薬剤は、DNA、RNA、干渉性RNA(RNAi)、siRNA、ペプチド、ポリペプチド、アプタマー、薬物、小分子または大分子を含んでもよい。小分子は、これらに限定されないが、タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣物(例えば、ペプトイド)、薬物、ステロイド、抗生物質、アミノ酸、ポリヌクレオチド、1モル当たり約10,000グラム未満の分子量を有する有機または無機化合物(すなわち、ヘテロ有機および有機金属化合物を含む)、1モル当たり約5,000グラム未満の分子量を有する有機または無機化合物、1モル当たり約1,000グラム未満の分子量を有する有機または無機化合物、1モル当たり約500グラム未満の分子量を有する有機または無機化合物、ならびにそのような化合物の塩、エステル、および他の医薬的に許容される形態を含む。
【0041】
治療剤は、耳または眼または皮膚の疾患または損傷を予防または治療するための治療剤を含んでもよく、標的位置は、耳または眼組織または皮膚内もしくは皮下の組織を含んでもよい。治療剤は、聴力低下、耳鳴り、めまい、メニエール病などの症状を治療するために、化学療法レジメンからまたは聴覚を損傷する他の医薬(例えば、ループ利尿薬、アミノグリコシドなどのいくつかの抗生物質、非ステロイド性抗炎症薬など)から聴覚を保護するために、および内耳の他の状態を治療するために、標的位置としての内耳(蝸牛および/または前庭システム)へ送達するためのステロイド、例えば抗炎症性ステロイドを含んでもよい。治療剤はまた、例えば、(例えば、蝸牛毛細胞を発生させ、細胞の成長を支援し、それによって、聴覚を回復させるための成長因子を送達することにより、または体が蝸牛毛細胞を始動させ、細胞成長を支援するヌクレオチドまたは遺伝子を送達することにより)聴覚を保護、回復、または修復させるように内耳へ送達するための、薬物、タンパク質、成長因子(幹細胞誘導因子を含む)、またはヌクレオチドもしくは遺伝子を含んでもよい。治療剤としては、プレドニゾロン、デキサメタゾン、STS(チオ硫酸ナトリウム)、D-メチオニン、トリアムシノロンアセトニド、CHCP1または2、エピガロカテキンガレート(EGCG)、グルタチオン、グルタチオンレダクターゼなどが挙げられる。粒子および治療剤を内耳に送達するために、粒子は、磁場の作用下で無傷の楕円形および/または円形の窓膜を横断して(横切って)、治療剤を内耳に送達する。
【0042】
治療剤は、中耳感染および炎症(中耳炎)などの状態を治療するように標的位置として中耳に送達するための、抗炎症性ステロイドおよび抗生物質を含んでもよい。治療剤は、シプロフロキサシンおよびフルオシノロンアセトニドまたはシプロフロキサシンおよびデキサメタゾンを含んでもよい。治療剤はまた、中耳感染および炎症を治療するための薬物、タンパク質、ヌクレオチドもしくは遺伝子、または他の薬剤も含んでもよい。粒子および治療剤を中耳に送達するために、粒子は、磁場の作用下で鼓膜(鼓膜)を横断して(横切って)、中耳に治療剤を送達する。このような横断および治療剤送達は、鼓膜(鼓膜)が開いていること、つまり外科的に穿刺するかまたは偶発的に破断していることを必要しない。
【0043】
一実施例では、治療剤は、例えば、粘膜溶解性、粘膜付着性などに対する組織特性に基づくコーティングまたはマトリックス(例えば、キトサン)を有することができる。単分子リガンド、オリゴマー、(広範囲の分子量(100Da~300,000Da)に及ぶ)バイオ/ポリマーを使用してナノ粒子表面上に電荷または無電荷(例えば、カチオン性、アニオン性および中性)を導入することにより、粒子が進行する容易性を制御することができる。粘膜不活性ナノ粒子のために、Pluronics(F127、F68など)を使用するナノ粒子の親水性コーティング、またはポリエチレングリコール(PEG)を使用するナノ粒子のPEG化など、他のコーティングもこのような特性を制御することができる。
【0044】
一実施例では、ナノ粒子は、乳化重合のための修飾を有する。これは、ナノ粒子径および固体/油/水エマルションを低減させるための共溶媒の導入を含む。界面活性剤/脂質を油/水界面におけるエマルション安定剤として使用する。
【0045】
封入しようとする分子の性質に応じて、脱溶媒、熱変性、液滴形成、架橋、ナノ沈殿乳化などの幅広い調製の選択肢が利用可能である。システムの粒径は、温度、pHなどの合成パラメータのわずかな変化によって微調整することができる。さらに、ナノ粒子は、保存中または投与後のin vivoでより高い安定性を有し、がん標的リガンドとの結合のための表面官能基を提供する。それらはまた、異なる経路を通しての投与に好適である。
【0046】
例えば、1種以上のアニオン性、カチオン性、非イオン性(中性)および/または両性イオン性界面活性剤を含む任意の界面活性剤を、用途のナノ粒子および製造方法に使用することができる。アニオン性界面活性剤の例としては、これらに限定されないが、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸アンモニウム、他のアルキル硫酸塩、ラウレス硫酸ナトリウム(ラウリルエーテル硫酸ナトリウム:SLESとしても周知)、またはアルキルベンゼンスルホネートが挙げられる。カチオン性界面活性剤の例としては、これらに限定されないが、アルキルトリメチルアンモマム塩、セチルピリジニウムクロリド(CPC)、ポリエトキシル化タローアミン(POEA)、塩化ベンザルコニウム(BAC)、および塩化ベンゼトニウム(BZT)が挙げられる。両性イオン性界面活性剤の例としては、これらに限定されないが、ドデシルベタイン、ドデシルジメチルアミンオキシド、コカミドプロピルベタイン、およびココ両性グリシネートが挙げられる。非イオン性界面活性剤の例としては、これらに限定されないが、アルキルポリ(エチレンオキシド)、またはアルキルポリグルコシド(オクチルグルコシドおよびデシルマルトシド)が挙げられる。非イオン性界面活性剤の例としては、これらに限定されないが、ポリグリセリンアルキルエーテル、グルコシルジアルキルエーテル、クラウンエーテル、エステル結合界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、Brij、Spans(ソルビタンエステル)およびTweens(ポリソルベート)が挙げられる。
【0047】
一実施形態では、ナノ粒子は、ナノ粒子内に疎水性イオン対合(HIP)を含む。帯電/両性イオン性薬物、タンパク質、生体分子(RNA、DNAなど)と(脂質、ポリマー、単分子を含む)界面活性剤とのHIP複合体の形成。HIP複合体化界面活性剤:SDS、ドキュセートナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、硫酸デキストランなど。一(in-situ)工程のHIP複合体化。二(修飾後)工程のHIP複合体化。例えば、ナノ粒子組成物を調製する方法は、第1の薬剤および第2の薬剤を有し、第1の薬剤間に疎水性イオン複合体を形成するステップと、疎水性イオン複合体の形成後に第2の薬剤を添加するステップとを含む。
【0048】
ナノ粒子の形態は変化してもよい。いくつかの実施例では、ナノ粒子は、単一磁性体(Fe2O3/Fe3O4コア-PLGAシェル)であってもよい。他の実施例では、ナノ粒子は、マルチコアクラスター磁性体(Fe2O3/Fe3O4-PLGAシェル)であってもよい。他では、ナノ粒子は、キトサンまたはPluronics(F68、F127)またはPEG被覆Fe2O3/Fe3O4コアであってもよい。
【0049】
組成物は、賦形剤を含有してもよい。このような賦形剤には、安定剤、化学浸透促進剤、保存剤、抗菌剤、およびpH安定剤が含まれる。ナノ粒子の分散性を増強し、かつ緩衝液中での再製剤化時のナノ粒子の凝集または沈殿を低減/制限するための例示的な安定剤。イオン性、非イオン性(立体)、単分子、ポリマー系賦形剤を使用してもよい。組織関門を通り抜けるナノ粒子の浸透/移動および可逆性を増強/促進するための化学浸透促進剤。小分子:溶媒、脂肪酸、界面活性剤、テルペンなど。高分子系:ポリマー、生体高分子、単分子リガンドも添加してもよい。
【0050】
一実施形態では、ナノ粒子は、活性薬剤の装填または共装填を含む。例えば、ナノ粒子には、ナノ粒子上にフルオシノロンアセトニドを装填することができ、MNP上にシプロフロキサシンおよびフルオシノロンアセトニドを共装填し、ナノ粒子上にシプロフロキサシンおよびデキサメタゾンを共装填する。一実施例では、ナノ粒子は、シプロフロキサシン、フルオシノロンアセトニド、またはデキサメタゾンから選択される治療剤を含有する。別の実施例では、ナノ粒子は、シプロフロキサシン、フルオシノロンアセトニド、デキサメタゾンまたはこれらの組み合わせからなる群から選択される2種以上の治療剤を含有する。さらに別の実施例では、ナノ粒子は、シプロフロキサシン、フルオシノロンアセトニド、デキサメタゾンを含有する。投与量または比率は、広範囲に変化させることができる(例えば、単一投与量対複数投与量)。
【0051】
薬物放出プロファイルは、さまざまな薬物動態、薬力学(例えば、迅速なバースト放出対ゆっくりした持続性)を示すことができる。本発明者らは、治療剤の高速(バースト)または徐放(持続性)放出に対して細孔のサイズを選択するステップをさらに開示する。大きな細孔は、より迅速な治療剤の放出を可能にし(バースト放出)、小さな細孔は治療剤をよりゆっくりと放出する(持続放出)。本発明者らは、生理学的状態に対してポリマーの生分解速度を調整するステップをさらに開示する。高密度架橋を有するポリマーまたはPLGAを選択することにより、ポリマーは体内でゆっくりと分解し、治療剤をゆっくりと放出する。低密度架橋を有するポリマーまたはPLGAを選択することにより、ポリマーまたはPLGAは迅速に分解し、治療剤を迅速に放出する。薬物または治療剤のバースト放出は、ガラクチド含有量を増加させることによりPLGAポリマーをより親水性にすることによって、低分子量PLGAを使用することによりナノ粒子径を低減させることによって、およびナノ粒子表面を親水性安定剤でコーティングすることによって、達成することができる。薬物または治療剤の徐放および持続放出は、PLGAの疎水性を高めることによりナノ粒子中への水拡散速度に抵抗することによって、ナノ粒子表面における薬物または治療剤の局在化を低減または抑制することによって、およびナノ粒子径を増大させることによって、達成することができる。特定の実施例では、例示的な粒子は、治療剤を迅速に(数時間内に)またはゆっくりと(数週間または数ヶ月にわたって)放出させることができる。選択PLGA属性(分子量およびL:G比)、薬物タイプ(疎水性、親水性、または親油性)、および安定剤化学特性は、薬物のバーストおよび/または持続放出を達成するために磁性粒子をカスタマイズすることを可能にする。
【0052】
治療剤は、眼の状態、例えばVEGF(血管内皮増殖因子)の治療に使用される薬剤もしくは黄斑変性のための関連化合物、または緑内障もしくは眼の他の状態の治療に使用される薬剤もしくはタンパク質もしくは他の治療剤を含んでもよい。粒子および治療剤を眼のさまざまな組織に送達するために、磁場の作用下で、粒子は、強膜、および/または角膜上皮、および/または硝子体液、および/または眼の他の部分を横断して(横切って)、網膜、眼間質、眼の前房内眼、または眼内の他の標的など、眼内の標的組織に到達する。
【0053】
治療剤は、皮膚状態の治療、火傷または創傷の治療、または床ずれもしくは(糖尿病性潰瘍を含む)潰瘍の治療のために使用される薬剤、あるいは体の他の状態を治療するために使用されるが、現在は皮膚を通して送達されている薬剤(例えばワクチン、Botoxなど)を含んでもよい。薬剤は、薬物、タンパク質、もしくはヌクレオチド、または他の治療剤であってもよい。標的位置は、皮膚のより深層、表皮層、真皮、皮下組織、またはその下に横たわる組織または血管であってもよい。磁場の作用下で、粒子は、皮膚の層を横断し(横切り)、その下に横たわる標的皮膚層または他の組織に到達する。
【0054】
治療剤は、概して、薬物、タンパク質、(例えば、幹細胞または他の細胞から誘導される)因子、またはヌクレオチド(遺伝子、DNA、RNA、mRNA、siRNAなど)であってもよい。磁場の作用下で、粒子は、組織関門を横切って、それらの関門の背後にある疾患または損傷標的に到達し、治療剤または薬剤を送達してもよい。
【0055】
粒子は、その内部に含有される治療剤の放出速度について調整することができる。薬物送達の技術に精通している者は、いくつかの事例において、例えば、急性炎症を迅速に抑制するため、または感染を迅速に排除するために、迅速な「バースト」放出が所望され得ること(例えば、数分または数時間内)を認識するであろう。他の事例では、例えば、長期にわたる慢性の状態の治療または軽減のために(例えば、再発性または慢性の中耳感染または炎症を治療すること、長期間の化学療法レジメンから聴覚を保護すること、または黄斑変性または緑内障などの眼の持続性状態に対する持続的な治療剤放出を提供することなど)、(数週間または数ヶ月にわたる)治療剤のゆっくりしたまたは持続的な放出が所望され得る。状況によっては、バースト放出に続いて持続的治療を行うことが望ましい。
【0056】
他の場合では、1種を超える治療剤を一緒にまたは順番に放出することが望ましい場合がある。複数の治療剤を一緒に放出するために、1種を超える治療剤を本発明者らの粒子の細孔内に装填してもよい。さらに、治療剤を順番に放出するために、本発明者らは、同じナノ粒子システム内に2種の異なる薬物を装填する可能性を提供するハイブリッドPLGAナノ粒子を開示する。例えば、本発明者らの例示的なPLGA-脂質コア-シェルハイブリッドナノ粒子は、PLGAコア内に疎水性薬物を担持することができ、より親油性の薬物を、周囲脂質シェルの二層内に装填することができる。
【0057】
患者の組織関門の背後にある疾患標的への治療の磁気的送達を可能にするために、特定の粒子が発明された。患者における安全かつ効果的な治療を可能にするために達成されるべき多くの因子が存在する(先に述べたように、これまでに、患者を治療するためにFDA認可されている唯一の磁性ナノ粒子しか存在せず、その粒子は、それを磁性にし、かつ患者の鉄欠乏性貧血を治療するための鉄を患者に提供する酸化鉄コア以外の治療剤を運搬することはできない)。本発明者らの粒子の態様は、患者の安全かつ効果的な治療を可能にする基準を達成することを含み、FDA認可および/または他の規制機関による認可を可能にすることが予想される。
【0058】
特に、人体における安全性を保証するために、本発明者らは、本発明者らの粒子を磁性にする物質として鉄酸化物を選択した。やはり磁性であり、従来技術において磁性ナノ粒子に使用されている他の物質(コバルト、ニッケル、アルミニウム、ビスマス)と比較して、これらとは対照的に、酸化鉄は人体内に自然に見出される物質であり、赤血球に使用するために体に容易に吸収され、FDAは、人体への注入のための安全な物質として酸化鉄をすでに認可している。
【0059】
使用において、磁気システムを使用して粒子に磁力を印加し、粒子を磁気システムに向かう方向またはそこから離れる方向に移動させやすくすることができる。具体的には、粒子を、組織関門を通り抜けて、それらの背後にある疾患または損傷標的まで移動させてもよい。特定の実施例および実施形態は、鉄酸化物ナノ粒子を提供し、体内の標的への安全かつ効果的な磁気送達(例えば、磁気注入)を提供する。一事例では、これらの粒子は、抗生物質および/または抗炎症薬を装填され、外耳に配置されてもよい。次いで、磁気勾配が、それらを、鼓膜を通り抜けて中耳に送達して、中耳感染を消失させ、中耳炎症を低減させる。これにより、(急性感染のための)全身性抗生物質を用いない、または(典型的には子供の再発性または慢性の中耳感染および炎症の治療のための)鼓膜を貫いてチューブを挿入することを含む中耳腔換気用チューブ手術を伴わない、中耳感染の治療が可能になる。別の事例では、これらの粒子を眼の表面上に配置し、次いで、磁気勾配を印加して、これらの粒子を強膜を通して眼内の標的に、例えばレンズの背後に、硝子体内に、または網膜に輸送することができる。これにより、眼内への針注射の必要性を回避することができる。さらに別の事例では、これらの粒子を皮膚上に配置し、磁気勾配を印加して、皮膚の表皮を通して表皮の下の標的層に輸送することができる。磁気勾配は、粒子を磁石に向かって引っ張る1つまたは複数の磁石によって(磁石に向かう磁気勾配)、または磁気注入装置によって(装置から離れる磁気勾配)、印加することができる。両方の場合において、粒子は、印加された磁気勾配の方向(例えば、
図1)に反応する。
【0060】
磁性粒子は、多くの適切な方法のいずれかで形成されてもよい。粒子は、試薬調製および混合、乳化および溶媒蒸発ならびに洗浄および凍結乾燥の工程によって形成されてもよい。例えば、粒子は、磁性物質が鉄酸化物ナノコアとしてその中に担持され、かつ治療剤もその中に担持されているマトリックスを用いて形成されてもよい。磁性粒子は、磁性物質を鉄酸化物ナノコアとして担持する、PLGAポリマーマトリックスなどのマトリックスを有する。治療剤もまた、マトリックス中に担持されてもよい。このような粒子は、さまざまな方法で製造することができる。
【0061】
いくつかの実施例では、PLGAナノ粒子の直径は、約100~約400nmである。別の実施例では、直径は、約130~約400nmである。さらに他の実施例では、直径は、約130~約220nmである。さらに他の実施例では、直径は、20~約100nmである。
【0062】
別の実施形態は、滅菌ナノ粒子構造を作成する方法を含む。磁性ナノ粒子は、γ線によってまたはe-ビーム(電子ビーム)の照射によって、5kGy~22kGyの範囲の線量で照射される。このような放射線は、微生物を破壊して死滅させ、滅菌製剤を提供する。粒子特性(サイズ、ポリマー、組成物)および放射線量の選択、ならびに検証実験により、微生物は確実に破壊されるが、粒子内に含有される治療剤は破壊されないことが保証される。第2の事例(代替的な滅菌手順)では、粒径は、直径220nm未満、場合によっては直径180nm未満に選択され、滅菌濾過時の収率を高める。この第2の事例では、ナノ粒子を、FDA指導書で推奨されている0.22um(220nm)ミクロン定格フィルタを通過させ、微生物を濾別し、製剤の無菌性を保証する。
【0063】
別の実施形態は、貯蔵寿命を増大する凍結乾燥製剤を含む。凍結乾燥またはフリーズドライは、物質を冷凍し(例えば、-80Cで24時間、または液体窒素(N2)を使用して急速冷凍し)、高真空下で乾燥させるプロセスである。ナノ粒子を、糖(例えば、トレ
ハロース、マンニトール、スクロース、グルコース)の存在下で凍結乾燥し、ナノ粒子を凍結乾燥中にそのような糖で被覆する。結果は、室温条件を含む、長い貯蔵寿命(例えば、2年以上)を有する安定な粉末である。凍結乾燥製剤が保存されているとき、治療剤(薬物、タンパク質、または遺伝子)は粒子から出たり漏れたりしない(治療剤装填は時間を経ても安定したままである)。使用するためには、本発明者らの粒子は、水、生理食塩水、または緩衝液の添加によって再構成される。再構成は、使いやすいバイアル内で達成することができる。一実施例では、1回ひねると、緩衝剤が上方チャンバから流入する2チャンババイアルが存在してもよく、次いで、使用者は、バイアルを混合して、製剤を再構成する。一実施例では、糖、ポリオール、マンニトール、および/またはソルビトールがプロセス中に使用されてもよい。安定剤の他の例としては、スクロース、トレハロース、マンニトール、ポリビニルピロリドン(PVP)、デキストロース、およびグリシンが挙げられる。これらの薬剤は、スクロースとマンニトールのように、組み合わせて使用して、非晶質構造および結晶構造の両方を生成することができる。別の実施形態は、患者を治療するための方法であって、ナノ粒子の凍結乾燥組成物を提供するステップと、ナノ粒子を再構成するステップと、ナノ粒子を部位に適用するステップと、磁気勾配を使用してナノ粒子を標的部位に移動させるステップとを含む。
【実施例0064】
実施例1
粒子は、印加された磁気勾配の作用下で組織関門を安全かつ効果的に横断するために、PLGAなどの生分解性および生体適合性の物質から構成される(特に、例示的な粒子は、体内に投与するために、FDAによって従前に認可された物質のみから構成される)。例示的なナノ粒子は、広いサイズ範囲(2~50nm)の磁性コアを封入する能力を示す。ナノ粒子径は、意図される用途に基づいてカスタマイズすることができ、例示的な粒子は、サイズが直径100~450nmの範囲である。ナノ粒子はまた、選択的な添加剤を組み込むことにより、カチオン性、アニオン性、または中性にされる。
図3A~
図3Eは、例示的なナノ粒子の試料の電子顕微鏡画像を示す。各例示的なナノ粒子は、最終粒径を<450nmに維持しつつ、さまざまなサイズ(2~50nmのサイズ、例えば5nm、10nm、または20nmのサイズ)の磁性コアを封入する能力を示す。例示的な粒子の対応する設計を
図2A~
図2Gに示す)。
【0065】
図4は、水性緩衝液(1%SDS)中のガラススライド上の例示的なナノ粒子を示し、粒子が磁気勾配に応答していることを示す。典型的な事例を上に示す。
【0066】
図5A~
図5Cは、媒体を通り抜ける粒子速度を決定するための画像処理から得られた結果を示す。
図5Aは、PLGA MNPの生スナップ写真を示し、
図5Bは、PLGA MNPの平均バックグラウンドを示し、
図5Cは、PLGA MNPのスナップ写真を示す。10倍ズーム対物光学レンズを使用した倒立型落射蛍光顕微鏡(Zeiss Axiostar plus)下でMNPを観察した。これらのような画像から、ナノ粒子は磁気勾配に応答した。
【0067】
実施例2
図7Aおよび
図7Bは、ウシ眼への送達後の酸化鉄のプルシアン染色を示し、例示的なPLGA鉄酸化物ナノ粒子が(皮膚の上皮層と同様の、関門として作用する)眼の上皮層を横断し、この層の背後にある標的組織に進入できたことを実証した。送達された鉄酸化物の定量的量は、典型的には、ICP-MSまたはICP-OES(誘導結合型プラズマ質量分析法または光学的発光分光法)によって測定され、(1粒子当たりの鉄酸化物の量は予め測定されていたので)何個の粒子が標的に送達されたかの尺度を提供した。標的に送達された治療剤の量は、複数の方法によって測定することができ、典型的な事例では、本発明者らは、UPLC-MS(高速液体クロマトグラフィー質量分析)使用して、送達された薬物の量を測定した。これは、1粒子当たりの治療剤の量も予め測定されていたので、何個の粒子が標的に送達されたかの尺度を提供する。
【0068】
組織関門を通り抜ける粒子の運動を、複数の異なる生体動物試験において検査した。第1の組の試験では、被検粒子をラットの外耳道に配置し、次いで、プッシュデバイスを用いて磁気勾配を印加して、鼓膜(組織関門)を通り抜けて中耳組織(標的)に至る粒子の運動を検査した。第2の組の試験では、被検粒子を、中耳またはラットおよびマウスに注射器によって配置し、次いで、プッシュデバイスを用いて磁気勾配を印加して、窓膜(組織関門)を通り抜けて蝸牛(標的)に至る粒子の運動を試験した。第3の組の試験では、被検粒子をラットの眼の表面に配置し、次いで、プルマグネットによって磁気勾配を印加して、強膜(組織関門)を通り抜けて眼内に入り、網膜(標的)に至る粒子の運動を検査した。第4の組の試験では、被検粒子をラット足の皮膚の表面上に配置し、次いで、プルマグネットによって磁気勾配を印加して、皮膚の最上位上皮層(組織関門)を通り抜けて下に横たわる皮膚層に入り、ずっと進んで皮下組織(標的)に至る粒子の運動を検査した。
【0069】
大型動物およびヒト死体においても検査を行った。第1、第2、および第3の組の試験では、被検粒子をブタ、ヒツジ、ネコの中耳内に配置し、次いで、プッシュデバイスを用いて磁気勾配を印加して、窓膜(組織関門)を通り抜けて蝸牛(標的)に至る粒子の運動を検査した。第4の組の試験では、ヒト死体試験において、窓膜を横切り、蝸牛に進入する能力についても、粒子を検査した。第5の組の試験では、被検粒子をウシの眼の表面上に配置し、次いで、プルマグネットによって磁気勾配を印加して、強膜(組織関門)を通り抜けて眼(標的)内に至る粒子の運動を検査した。
【0070】
生体動物試験および死体試験の全ての場合において、鉄酸化物ナノ粒子が標的に到達したかまたは到達しなかったかを、(生体動物については動物犠牲の後に)標的組織を抽出し、次いで、標的組織に送達された鉄酸化物および治療剤の存在および量を測定することによって判定した。標的組織中の粒子の存在を、組織のプルシアンブルー染色によって定性的に評価した。プルシアンブルーは、鉄酸化物に対する染色であり、粒子が標的組織に到達したか(または到達しなかったか)、を示した。
【0071】
実施例3
本実施例は、30~60g/モルの重量範囲のPLGA分子を有する粒子を含む。この分子量範囲は、7日間~3ヶ月間の所要の薬物放出を達成することができる。PLGA粘度は、約0.55~0.75dL/gであった。ナノ粒子径は約100~500nmの範囲であり、治療剤放出は10日間~1ヶ月間であった。PLGAは、官能基として、A=薬物/治療剤の迅速な放出(<3ヶ月)を達成するためにはカルボキシル(COOH)、B=長期作用放出(LAR)システム(>3か月)用のナノ粒子を開発するためにはエステルを有し、LGAゼータ電位:-5~-30mVを有する。これは、ナノ粒子の効率的なコロイド安定性に帰する。
【0072】
直径鉄酸化物コアは、約3~50nmであった。この範囲内の鉄酸化物コアは優れた磁気特性を示し、PLGAナノ粒子内のコアの効率的な装填が達成される。
【0073】
PLGAマトリックス中の鉄酸化物コアの濃度:[Fe]=0.06~0.30mg(鉄)/mg(PLGA)。鉄酸化物コア(3~50nm)の磁性コア装填は、PLGAナノ粒子径に悪影響を及ぼすことなく、非常に効率的である。
【0074】
ナノ粒子はFe2O3から構成され、オレイン酸により安定化された。単分散性で超常磁性の酸化鉄コアが所望された。多分散指数(PDI)は、約0.01~0.2であった。コア毎の変動がほとんどない、高単分散で均一なサイズ分布(均等性)。
【0075】
コア中の鉄濃度は、約15%~20%であった。超常磁性と高磁気含有量とを達成するため。磁化率:1×10Λ-5~3×10Λ-5。この範囲は、3~20nmの大きさの酸化鉄ナノコアの最大封入を保証する。
【0076】
磁気応答性:水中で、3T/mの磁気勾配下で50~100μm/sの速度で進行する。速度範囲は、PLGAナノ粒子が生物学的関門を通り抜けて効果的に移動することを可能にする。
【0077】
ポリビニルアルコール(PVA):Mw=31,000~50,000g/モル、(加水分解度:98~99%)。使用したPVAは、所望のサイズ範囲200~280nmで、7日間~3ヶ月間の放出プロファイルを有するPLGAナノ粒子を製造する。
【0078】
粒子には、薬物、タンパク質、または遺伝子が装填された。
【0079】
実施例4
本実施例は、鉄酸化物ナノコアを有し、PLGAマトリックス中に治療剤が装填され、正に帯電したリン脂質および界面活性剤PVA(ポリビニルアルコール)によって安定化され、凍結乾燥(急速冷凍)され、そして、滅菌のためにγ線またはe-ビームが照射された、カチオン性PLGA(ポリ乳酸-コ-グリコール酸)ナノ粒子を含む。
【0080】
直径PLGAナノ粒子:180~280nm。PLGAは生体適合性、生分解性であり、それらの放出プロファイルは、正しい分子量、組成比(ラクチド:ガラクチド)、密度、および官能性末端基を選択することによって容易に調整することができる。
【0081】
多分散指数(PDI):0.1~0.5。ナノ粒子分布が均一であり、従って、サイズばらつきまたは粒子不均一性がないことを意味する。粒子毎の変動はほとんどない。
【0082】
PLGA分子量範囲:30~60g/モル。この分子量範囲は、7日間~3ヶ月間の所要の薬物放出を達成するのに最良である。
【0083】
PLGA粘度:0.55~0.75dL/g。所望のサイズ範囲(100~500nm)で、10日間~1ヶ月間の治療剤放出を有するナノ粒子を得るのに最良。
【0084】
PLGAは、官能基として、
【0085】
A=薬物/治療剤の迅速な放出(<3ヶ月)を達成するためにはカルボキシル(COOH)、
【0086】
B=長期作用放出(LAR)システム(>3か月)用のナノ粒子を開発するためにはエステルを有し、PLGAゼータ電位:+10~+30mVを有する。この属性は、ナノ粒子の効率的なコロイド安定性に帰する。
【0087】
カチオン性脂質:生物学的膜を通しての浸透を増強するために、カチオン性脂質を使用して、正に帯電したPLGAナノ粒子を生成した。
【0088】
油性関門を通り抜ける運動を可能にするための、界面活性剤添加剤:
【0089】
DOTAP:1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(塩化物塩)
【0090】
DOTMA:1,2-ジ-O-オクタデセニル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(塩化物塩)
【0091】
DC-コレステロール:3β-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール塩酸塩
【0092】
DOPE:1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン
【0093】
直径鉄酸化物コア:3~50nm。この範囲内の鉄酸化物コアは優れた磁気特性を示し、PLGAナノ粒子内のコアの効率的な装填が達成される。PLGAマトリックス中の鉄酸化物コアの濃度:[Fe]=0.06~0.30mg(鉄)/mg(PLGA)。鉄酸化物コア(3~50nm)の磁性コア装填は、PLGAナノ粒子径に悪影響を及ぼすことなく、非常に効率的である。ナノ粒子はFe2O3から構成され、オレイン酸により安定化される。高品質、単分散性、超常磁性の酸化鉄コアを得るため。
【0094】
多分散指数(PDI)は、約0.01~0.2である。高単分散でかつ均一なサイズ分布。コア中の鉄濃度は、15%~20%の範囲であった。超常磁性と高磁気含有量とを達成するため。
【0095】
磁化率:1x10Λ-5~3x10Λ-5。この範囲は、3~20nmの大きさの酸化鉄ナノコアの最大封入を保証する。
【0096】
磁気応答性:ナノ粒子は、水中で、3T/mの磁気勾配下で50~100μm/sの速度で進行する。速度範囲は、PLGAナノ粒子が生物学的関門を通り抜けて効果的に移動することを可能にする。
【0097】
ポリビニルアルコール(PVA):Mw=31,000~50,000g/モル、(加水分解度:98~99%)。使用したPVAは、所望のサイズ範囲(200~280nm)で、7日間~3ヶ月間の放出プロファイルを有するPLGAナノ粒子を製造する。
【0098】
治療剤:粒子には、薬物、タンパク質、または遺伝子が装填されてもよい。
【0099】
実施例5
本実施例は、鉄酸化物ナノコアを有し、PLGAマトリックス中に治療剤が装填され、界面活性剤PVA(ポリビニルアルコール)によって安定化され、凍結乾燥(急速冷凍)され、そして滅菌のためにγ線またはe-ビームが照射された、PLGA(ポリ乳酸-コ-グリコール酸)+ポリメタクリレート系コポリマー(オイドラギット、RLPO)の混合物であるナノ粒子を含む。
【0100】
直径PLGAナノ粒子:160~250nm。PLGAは生体適合性、生分解性であり、それらの放出プロファイルは、正しい分子量、組成比(ラクチド:ガラド)、密度、および官能性末端基を選択することによって調節することができる。
【0101】
オイドラギット(RL PO)、アクリル酸エチルと、メタクリル酸メチルと、低含有量の、分子量が32,000g/モルの第4級アンモニウム基を有するメタクリル酸エステルとの共重合体。
【0102】
RL POをPLGAと組み合わせて使用した。
【0103】
正に帯電したナノ粒子。正電荷は、組織関門を通り抜けるより良好な運動を可能にする。
【0104】
カスタマイズされた治療剤放出。所望の割合での治療剤放出を可能にする。
【0105】
多分散指数(PDI)は、約0.1~0.5であった。ナノ粒子分布は、この範囲で均一であり、サイズばらつきまたは粒子不均一性を示さない。
【0106】
PLGA分子量範囲は、30~60g/モルであった。分子量範囲は、7日間~3ヶ月間の所要な薬物放出を達成するのに最良である。
【0107】
PLGA粘度:0.55~0.75dL/g。ナノ粒子は、約100~500nmの範囲のサイズを有し、10日間~1ヶ月間の治療剤放出プロファイルを有する。直径鉄酸化物コアは、約3~50nmであった。この範囲内の鉄酸化物コアは優れた磁気特性を示し、PLGAナノ粒子内のコアの効率的な装填が達成される。
【0108】
PLGAマトリックス中の鉄酸化物コアの濃度:[Fe]=0.06~0.30mg(鉄)/mg(PLGA)。鉄酸化物コア(3~50nm)の磁性コア装填は、PLGAナノ粒子径に悪影響を及ぼすことなく、非常に効率的である。
【0109】
Fe2O3から構成され、オレイン酸により安定化された。高品質、単分散性、かつ超常磁性の酸化鉄コアを得るため。
【0110】
多分散指数(PDI):0.01~0.2。高単分散かつ均一サイズ分布。コア毎の変動はほとんどない。
【0111】
コア中の鉄濃度:15%~20%の範囲の鉄(Fe)。超常磁性と高磁気含有量とを達成するため。
【0112】
磁化率:1×10Λ-5~3×10Λ-5。この範囲は、3~20nmの大きさの酸化鉄ナノコアの最大封入を保証する。
【0113】
磁気応答性:水中で、3T/mの磁気勾配下で50~100μm/sの速度で進行する。速度範囲は、PLGAナノ粒子が生物学的関門を通り抜けて効果的に移動することを可能にする。
【0114】
ポリビニルアルコール(PVA):Mw=31,000~50,000g/モル、(加水分解度:98~99%)。使用したPVAは、所望のサイズ範囲200~280nmで、7日間~3ヶ月間の放出プロファイルを有するPLGAナノ粒子を製造する。
【0115】
粒子には、薬物、タンパク質、または遺伝子を装填することができる。
【0116】
実施例6
図6は、実施例によるナノ粒子の製造プロセスが以下の工程を含むことを示す概念図である。
【0117】
工程1:カチオン性ポリマーナノ粒子を、磁性酸化鉄コアと、カチオン性脂質界面活性剤DOTAP(1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(塩化物塩))と、薬物(酢酸プレドニゾロン、PSA)とを含有する生分解性ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)ポリマーマトリックスを使用して、単一エマルション溶媒蒸発(SESE)法を使用して、製剤化する。
【0118】
工程1a。典型的な手順では、10mgのPSA(プレドニゾロン21-アセテート)を5mlのクロロホルム(CHL)に、37Cに維持した温水浴中でのボルテックスおよびインキュベーションの間欠的サイクルによって溶解させる。
【0119】
工程1b。一旦透明な薬物溶液が得られたら、室温で、12.5mgのDOTAP(1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(塩化物塩)、Avanti Biolipids)を添加し、続いて50mgのPLGA(ラクチド:グリコリド(50:50)30,000~60,000 Da)を添加する。有機相を激しく混合して、全ての成分が溶解し、透明な溶液が得られることを保証する。最後に、800μlの磁性コアを、得られた有機相に添加する。
【0120】
工程1c。有機相を、水浴中で10秒間のパルスで、ボルテックスおよび超音波処理する。
【0121】
工程1d。得られた有機相を、50mlのPVA溶液(2%ポリビニルアルコール、31,000~60,000 Da)中に連続磁気攪拌下で滴下し、氷/水浴中で5分間プローブ超音波処理する。
【0122】
工程1e。上記で得られた滑らかな乳状エマルションを磁気攪拌プレート上で18時間攪拌し、有機溶媒の完全な蒸発を確実にする。
【0123】
工程2:上記で得られたナノ粒子エマルションを2つの50ml falcon遠心管に分割し、12000rpmで60分間遠心分離して、ナノ粒子ペレットを回収する。ペレットを、15mlの脱イオン水中に再分散させ(ボルテックス-超音波処理サイクル)、上記のように遠心分離する。遠心分離プロセスを2回繰り返して、いかなる遊離した過剰な試薬も除去する。次いで、得られたペレットを、次に説明するように塔型凍結乾燥機を使用して凍結乾燥する。
【0124】
工程3:凍結乾燥:典型的な手順では、上記で得られたナノ粒子ペレットを、3mlの糖溶液(2%トレハロース)を含むガラスバイアル内で再分散させる。次いで、試料を凍結(-80C 24時間(または)液体窒素N2中で3分間の急速冷凍)させてから、凍結乾燥機に48時間置く。得られた最終生成物は、自由流動性微粉末である。
【0125】
実施例7-薬物装填方法
【0126】
(A)磁性PLGAナノ粒子内への薬物の組み合わせ(ステロイドおよび抗生物質)の共装填。
【0127】
界面活性剤のタイプ:ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドキュセートナトリウム(Doc Na)、デオキシコール酸ナトリウム(Na DeOxyChol)、硫酸デキストラン(DS)など。
【0128】
抗生物質:シプロフロキサシン/シプロフロキサシン塩酸塩(CIP.HC1)、レボフロキサシン(LVFX)、オフロキサシン(OFLX)など。
【0129】
ステロイド:プレドニゾロン21アセテート(PSA)、デキサメタゾン21アセテート(DexA)、フルオシノロンアセトニド(FA)、デキサメタゾン(Dex)、プレドニゾロン(PS)など。
【0130】
1工程:抗生物質と界面活性剤との疎水性イオン対合(HIP)複合体のin-situ形成、続いてステロイドの共装填。フルオシノロンアセトニド(FA)を、DCM中に、37Cに維持した水浴中でのボルテックスおよびインキュベーションの間欠的サイクルによって溶解した。100mgのPLGA-COOH、続いて600ulの酸化鉄コアを、上記で得られた油相(O)に溶解させた。
【0131】
5mgのCIP.HC1を0.5mlの水に溶解し、37C(水浴)で10分間インキュベートして、完全な溶解性を確保した。これを水相(W1.1)と呼ぶ。
【0132】
25mgのDSを0.5mlの水に溶解し、ボルテックスした。これを水相(W1.2)と呼ぶ。
【0133】
W1.1を(O)相と混合し、氷/水浴中で、30%振幅で1分間プローブ超音波処理した(1/8”固体プローブ、QSonica Q500、500ワット、20kHz)。これにより、W1.1/Oエマルションが得られた。
【0134】
上記W1.1/Oエマルションに、0.5mlの水相W1.2を添加し、続いて、氷/水浴中で、30%振幅で1分間プローブ超音波処理を行った(1/8”固体プローブ、QSonica Q500、500ワット、20kHz)。これにより、W1.1/O/W1.2エマルションが得られた。
【0135】
上記W1.1/O/W1.2エマルションに、5mlの1%PVA(W2)を添加し、続いて、20秒間ボルテックスした。次いで、混合物を、氷/水浴中で、30%振幅で3分間プローブ超音波処理した(1/8”固体プローブ、QSonica Q500、500ワット、20kHz)。これにより、(W1.1/OAV1.2)/W2エマルションが得られた。
【0136】
上記から得たエマルションを40mlの1%PVAで希釈し、100mlビーカーに移した。希釈したエマルションを磁気攪拌プレート上で4時間攪拌して、有機溶媒の完全な蒸発を確実にし、ポリマーナノ粒子を形成させた。
【0137】
上記で得られたナノ粒子溶液を、2つの50ml falcon遠心管に分割し、13500rpmで30分間遠心分離し、ナノ粒子ペレットを回収した。ペレットを、15mlの水中に再分散させ(ボルテックス-超音波処理サイクル)し、上記のように遠心分離した。遠心分離プロセスを2回繰り返して、いかなる遊離した過剰の試薬も除去した。得られたペレットを、下記のように塔型凍結乾燥機を使用して凍結乾燥した。
【0138】
凍結乾燥:典型的な手順では、上記で得られたナノ粒子ペレットを3mlの糖溶液(2%トレハロース)中に再分散させ、20mlのガラスバイアルに移した。ナノ粒子-糖懸濁液を、液体N2中で2分間、急速冷凍し、48時間凍結乾燥した。得られた最終生成物は、自由流動性微粉末であった。
【0139】
(II)2工程:抗生物質と界面活性剤とのHIP複合体の予備形成、続いてステロイドの共装填。
【0140】
5mgのCIP.HClを0.5mlの水に溶解し、37C(水浴)で10分間インキュベートして、完全な溶解性を確保した。
【0141】
3mgのDSを0.5mlの水に溶解し、ボルテックスした。
【0142】
0.5mlのCIP.HCl溶液を0.5mlのDS中に滴下し、続いて混合物をボルテックスした。
【0143】
次いで、混合物を、室温で10分間、ロッカー上で混合させてから、14000rpmで5分間遠心分離した。
【0144】
得られたCIP-DS HIP複合体のペレットを、ボルテックスにより水中に再分散させ、遠心分離してペレットとした。洗浄工程を2回繰り返した。
【0145】
複合体を真空遠心機内で、30Cで4時間乾燥させ、固(S)相とも呼ばれる乾燥ペレットを得た。
【0146】
5mgのフルオシノロンアセトニド(FA)を2mlのDCMに、37Cに維持された水浴中でのボルテックスおよびインキュベーションの間欠的サイクルによって溶解した。これは油相(O)として知られている。100mgのPLGA-COOH、続いて600ulの酸化鉄コアを、上記で得られた油相(O)に溶解させた。
【0147】
CIP-DS複合体(S)をFA+PLGA-COOH溶液(O)中に再分散させ、20秒間ボルテックスした。次いで、混合物を氷/水浴中で、30%振幅で1分間プローブ超音波処理した(1/8”固体プローブ、QSonica Q500、500ワット、20kHz)。これにより、S/Oエマルションが得られた。上記のS/Oエマルションに、5mlの1%PVA(W)を添加し、続いて、20秒間ボルテックスした。次いで、混合物を氷/水浴中で、30%振幅で3分間プローブ超音波処理した(1/8”固体プローブ、QSonica Q500、500ワット、20kHz)。これにより、S/O/Wエマルションが得られる。上記から得られたS/O/Wエマルションを25mlの1%PVAで希釈し、100mlビーカーに移した。希釈したエマルションを磁気攪拌プレート上で4時間攪拌して、有機溶媒の完全な蒸発を確実にし、ポリマーナノ粒子を形成させた。
【0148】
上記で得られたナノ粒子溶液を、2つの50ml falcon遠心管に分割し、13500rpmで30分間遠心分離し、ナノ粒子ペレットを回収した。ペレットを15mlの水中に再分散させ(渦-超音波処理サイクル)、上記のように遠心分離した。遠心分離プロセスを2回繰り返して、いかなる遊離した過剰な試薬も除去した。得られたペレットを、下記のように、タワー凍結乾燥機を使用して凍結乾燥した。
【0149】
凍結乾燥:典型的な手順で、上記で得られたナノ粒子ペレットを3mlの糖溶液(2%トレハロース)中に再分散させ、20mlガラスバイアルに移した。ナノ粒子-糖懸濁液を、液体N2中で2分間急速冷凍し、48時間凍結乾燥した。得られた最終生成物は、自由流動性微粉末であった。
【0150】
(B)薬物(ステロイドおよび抗生物質)が装填されたポリマー被覆磁性ナノ粒子。
【0151】
インハウスで、オレイン酸で安定化された磁性酸化鉄コア(10、20、30nm)を合成した。10mgのステロイドを5mlのクロロホルム中に溶解し、酸化鉄ナノ粒子と混合した。
【0152】
ナノ粒子-薬物溶液を室温で3~5時間混合し、磁気的に分離し、エタノールで洗浄して、いかなる遊離した薬物分子も除去した。得られたステロイド-酸化鉄複合体をヘキサン中に再分散させた。
【0153】
ブロックコポリマーPluronics(F68、F127など)を使用して、上記で得られたステロイド-酸化鉄複合体を安定化させた。異なる量のブロックコポリマーをPBS緩衝液中に溶解し、等量の、薬物-酸化鉄複合体を含有するヘキサンと混合した。上記反応混合物を30Cで12時間混合し、ヘキサン:水(1:1)で2回洗浄した。
【0154】
有機溶媒から水相への酸化鉄コアの完全な相転移は、Pluronicポリマーの官能化後に達成された。
【0155】
実施例8
例示的な粒子からの薬物放出を測定するための例示的なプロセスでは、凍結乾燥粒子のストック溶液(1mg/ml)を、人工脳脊髄液(aCSF、pH7.4)に配置し、直ちにガラスバイアルに等量(1ml)ずつ移した。次いで、試料を、37℃の一定温度で、振とう器/インキュベータ中に配置した。例示的な時間間隔(例えば、0、0.5、1、4、9、24、48、および72時間)で、製剤バイアルを(例えば、n=2で重複させて)取り出し、18,000gで10分間遠心分離した。HPLC分析のために、上清溶液をペレットから分離し、等量のアセトニトリルと混合した。例示的な粒子は、治療剤の迅速な放出(数分または数時間内)、または治療剤の徐放放出(数週間または数ヶ月内)を有するように設計および合成された。
【0156】
いくつかの方法および実施形態の前述の説明は、説明のために提示された。網羅的であること、または請求を、正確に開示された工程および/または形態を限定することを意図するものではなく、明らかに、多くの修正および変形が上記の教示に照らして可能である。