(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028844
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20240227BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20240227BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
G01C21/36
G06F3/0481
B60R11/02 C
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023205065
(22)【出願日】2023-12-05
(62)【分割の表示】P 2021192749の分割
【原出願日】2016-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】高橋 圭三
(57)【要約】
【課題】ユーザの操作に関係なく、システム側からユーザにアクセスすることでサプライズを与える。システムに人間味を感じさせ、システムに対する愛着を増幅させ、購買意欲を掻き立てることができる、エンターテイメント性に優れたシステムを提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置1の制御部18は、アクセスメッセージ出力条件を満足したときに、ユーザに対するアクセスメッセージを出力して音声認識を開始する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザとの対話後に所定イベントを開始する機能を備えたシステムであって、
前記所定イベントが開始すると、キャラクタを、当該システムの機能を阻害する大きさで表示手段に表示させる機能を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
当該システムの本来の機能を無視し、キャラクタが画面をハイジャックするよう表示する機能を備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記キャラクタを、当該システムの機能に応じて前記表示手段に表示されるメニュー画面を阻害しないように表示する機能を備え、前記所定イベントが開始すると前記キャラクタを表示手段に表示されるメニュー画面を覆うほどの大きさで表示する機能を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のシステムの機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばユーザに対するアクセスメッセージを出力して音声認識を開始する制御手段を備えたシステム及びプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
表示画面に表示されたキャラクタが運転者とのコミュニケーションを図ることによって、運転者の運転を支援するシステムが提案されている。例えば特許文献1では、ユーザが、キャラクタとの対話を行いながら経路検索やパワーウィンドウ開閉等の各種の指示を行うことができるシステムが提案されている。システムの記憶部に、想定されるユーザの質問と、その質問に対応するキャラクタの回答のパターンを記憶しておき、ユーザの質問に答えながら会話を誘導して各種の指示を行わせる。単なる機器操作とは異なり、擬人化したキャラクタとの会話で操作を行うことによって、エンターテインメント性を感じさせることができる。
【0003】
ユーザとキャラクタの会話がワンパターンであると、例えば、会話を何度も繰り返すことによって、エンターテインメント性が薄れていってしまうおそれがある。そのため、社交的、積極的、内向的といった複数の性格に合わせた異なる会話のパターンを記憶しておく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のシステムでは、キャラクタとの会話はあくまでユーザがシステムに指示を与えるために行われ、ユーザからの質問に答える形で、基本的に受け身である。そのため、システムの一機能を超えた個性を感じさせることは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係るシステムは、所定条件を満足したときに、ユーザに対するアクセスメッセージを出力して音声認識を開始する制御手段を有するものとした。
【0007】
車載用電子機器等に搭載されたシステムは、通常は、ユーザのボタン操作や音声入力によって動作するが、ユーザの操作や入力がなくとも、システム側からユーザにアクセスするメッセージを出力することで、ユーザにサプライズを与えることができ、単なる利便性以外に、ユーザを惹きつける付加価値をもたらすことができる。特に、キャラクタのアニメーション表示や音声出力を行っているシステムにおいては、ユーザにサプライズを感じさせることは、キャラクタの人間味をより増加させることとなり、キャラクタを目的としてシステムを利用するユーザの購買意欲を掻き立てることができる。
【0008】
「所定条件」は、例えば、車載用電子機器が搭載された車両の走行距離又は走行時間とすると良い。例えば、走行距離100kmごと又は走行時間3時間ごとにアクセスメッセージを出力することで、ともすれば単調になりがちなドライブに刺激をあたえることができる。所定条件は、例えば、車載用電子機器が搭載された車両の走行地域とすると良い。例えば、車両に設置したGPSにより車両の位置を検出し、車両がある県から隣接する県に移動したときに、アクセスメッセージを出力すると良い。例えば、アクセスメッセージの内容をその県特有の方言や観光情報とすると良く、このようにすれば、ユーザはその地域特有の有益な情報が得られ、ともすれば単調になりがちなドライブに刺激をあたえることができる。所定条件は、例えば、車載用電子機器に搭載されたシステムの起動回数又は音声認識機能の使用回数とすると良い。例えば、システムの起動回数が30回になったところで、又は、音声認識機能の使用回数が100回となったところでなど、システムの起動回数が所定回数となった場合、又は、音声認識機能の使用回数が所定回数となった場合に、アクセスメッセージを出力するようにすれば、特に、システム又は音声認識の利用意欲を掻き立てることができる。
【0009】
「ユーザに対するアクセスメッセージ」は、例えば、ユーザに何らかの応答を求めるメッセージであると良い。アクセスメッセージは、例えば、キャラクタの発言として出力すると良い。例えば、アクセスメッセージをきっかけにユーザとの対話を行う場合には、アクセスメッセージは、例えば、「あの~、いま話していいですか?」というような対話開始の許可を求めるメッセージであると良い。他にも、例えば、「こんにちは、いま話していいですか?」といった挨拶となる言葉を含めると良い。また、例えば、「ゆーくん、いま話していいですか?」というように、予め入力されたユーザの名前に応じて作成されたニックネームを含めると良い。アクセスメッセージは、例えば、車載用電子機器のスピーカを介して音声で出力してもよく、車載用電子機器の表示部上に、文字や画像情報により表示しても良い。
【0010】
(2)前記制御手段は、前記アクセスメッセージに対するユーザの応答内容が肯定的である場合に、所定の情報出力と当該情報に対するユーザの応答の音声認識による、ユーザとの対話を開始すると良い。
【0011】
システム側からユーザにアクセスし、さらに対話を行うことによって、とかく無機質に感じられがちなシステムに人間味を感じさせ、システムの付加価値をさらに高めることができる。また、アクセスメッセージに対するユーザからの応答内容に応じて、ユーザとの対話を開始することによって、ユーザにサプライズを与えつつも、その後のシナリオはユーザの都合を考慮して進行させることができるため、ユーザにわずらわしさを感じさせることを防ぐことができる。
【0012】
ユーザから肯定的な応答があった場合にのみ、対話を開始することで、勝手にシナリオが進行してユーザにわずらわしさを感じさせることを防ぐことができる。そのため、特に記憶されたシナリオに基づいてシステム側のキャラクタが対話を進めるシステムで有益である。またキャラクタを使用している場合は、そのキャラクタの慎ましさをユーザに感じさせることができる。
【0013】
「ユーザとの対話」とは、例えば、システムが出力した所定の情報に対するユーザの応答を音声認識し、その内容に応じて更なる情報の出力を行うことである。例えば、システムが、ユーザにコミュケーションが成立している、と感得させるに足りる情報の出力を行うことである。情報は、例えばキャラクタの発言として出力すると良い。
【0014】
対話を構成する所定の情報は、例えば、質問、お礼又は感嘆詞等の複数のフレーズからなるものとすると良い。複数のフレーズは、例えば、少なくとも1つ質問が含まれ、ユーザに肯定的又は否定的な応答のいずれかを促す内容とすると良い。質問と組み合わされるのは、例えば、キャラクタの性格を表す感情表現の言葉やお礼とすると良く、システムの本来機能とは関係ない言葉とすると良い。複数のフレーズは、キャラクタの発言として出力すると良い。例えば、以下のような発言を出力すると良い。
・「あの~、この度は私のナビ買ってくれてありがとう。気に入ってもらえてるかなあ?ちょっと心配」
・「ちょっと暇だったの。たまにこうして話しかけることがあるけど、おじゃまですか?」
・「たくさん使ってくれてありがとう。お礼の歌をプレゼントしたいんだけど、いいかな?」
【0015】
システムは、例えば、ユーザの応答内容として想定される語句を、予め記憶手段に記憶させると良い。語句は、例えば、「肯定的」又は「否定的」のいずれかに分類すると良い。肯定的な語句としては、例えば「イエス」「うん」「オッケー」「いいよ」とすると良い。否定的な語句としては、例えば「ノー」「ダメ」「だめだね」「うるさい」「いいや」とすると良い。記憶されている語句に該当しない場合は、認識不能として処理すると良い。
【0016】
さらに、「対話」におけるユーザの応答内容として想定される語句も、予め記憶手段に記憶させると良い。語句は、例えば、「肯定的」又は「否定的」のいずれかに分類すると良い。「対話」においてシステムが出力する情報は、例えば複数種類あるため、「対話」段階においては、アクセスメッセージ出力段階よりも多くの語句を記憶しておくと良い。
【0017】
肯定的な語句としては、例えば「イエス」「うん」「オッケー」「いいよ」「気に入っている」「気に入った」「いいねえ」「知ってる」「わかった」とすると良い。否定的な語句としては、例えば「ノー」「ダメ」「だめだね」「うるさい」「いいや」「気に入らない」「気に入らん」「知らない」「知らん」「違う」「ちげーよ」とすると良い。
【0018】
システムは、出力した情報に対するユーザの応答が「肯定的」か「否定的」であるかによって、次に出力すべき情報を選択すると良い。
【0019】
アクセスメッセージに対するユーザの応答が無い場合、又は応答内容を音声認識することができなかった場合には、例えば、ユーザの応答を促す催促メッセージを、所定間隔で所定回数出力させるようにすると良い。ユーザの応答を促す催促メッセージは、例えば応答が無い場合は「ねえ、何か言って」「何か言ってくれないとさびしいです」とすると良い。音声認識不能の場合には、例えば「何て言ったの?わかんない。もう一度言って」とすると良い。また、所定時間内に催促メッセージに対するユーザの応答が無い場合には、例えば、「また今度ね」等の終了メッセージを出力して音声認識を解除すると良い。
【0020】
(3)前記アクセスメッセージに対するユーザの応答が否定的である場合に、前記制御手段は、ユーザとの対話を開始しない旨の報知を含む情報を出力して音声認識を終了させると良い。
【0021】
ユーザの応答が否定的な場合には対話を開始させないことで、勝手にシナリオが進行してユーザにわずらわしさを感じさせることを防ぐことができる。キャラクタを使用している場合は、そのキャラクタの慎ましさをユーザに感じさせることができる。例えば、アクセスメッセージとして「あの~、いま話していいですか?」という発言を出力し、ユーザが「だめ」という否定的な応答をした場合に、「ごめんなさい。じゃあ、また次の機会に」という発言を出力すると良い。
【0022】
(4)前記制御手段は、前記ユーザとの対話において、対話終了の報知を含む情報を出力し、前記ユーザとの対話終了後に所定イベントを開始すると良い。
【0023】
ユーザとの対話終了後に所定イベントを開始する、すなわち、ユーザとの対話が、例えば、所定イベント開始のトリガとなることで、ユーザが対話を行う意欲を掻き立て、システムへの愛着を増加させることができる。
【0024】
ユーザとの対話終了とは、例えば、情報出力の終了と音声認識の解除であると良い。「対話終了の報知」は、例えば、ユーザにキャラクタとの対話が終了することを知らせるものであると良い。例えば、お礼と終了の挨拶の語句を組み合わせたものを、キャラクタの発言として出力すると良い。例えば、以下のような発言を出力すると良い。
・「ありがとう。うれしい~。これからも使ってね。じゃあ、また次の機会に」
・「ほんと?またおしゃべりするね」
【0025】
「所定イベント」は、例えば、新規な情報、キャラクタに関する情報あるいはこれらの情報の組み合わせとすると良い。例えば、キャラクタが新しい衣装を装着した画像情報であると良い。また、例えば、キャラクタが歌を歌ったりダンスを踊ったりする動画情報であると良い。所定イベントは、システムの記憶手段に複数記憶させておくと良い。所定イベントは、ユーザに対して出力した情報とその情報に対するユーザの返答の組み合わせに応じて、開始する所定イベントを決定すると良い。あるいは、季節、年中行事といった時期的条件や車両の走行地域といった場所の条件に応じて、開始する所定イベントを決定する良い。
【0026】
(5)前記制御手段は、前記ユーザとの対話において、所定イベント開始の許可を求める問いかけを含む情報を出力し、当該情報に対するユーザの応答が肯定的である場合に、対話終了の報知を含む情報を出力し、対話終了後に所定イベントを開始すると良い。
【0027】
例えば、所定イベントがキャラクタの動画であった場合、動画を全て表示するのは時間がかかる場合もあるため、動画表示前にユーザに対して動画表示可否の問いかけを行い、ユーザが表示を望む返答をした場合のみイベントを開始することで、ユーザにとって使い勝手が良いシステムとすることができる。例えば、所定イベント開始の許可を求める問いかけ情報と、当該情報に対するユーザの肯定的な応答は以下のようにすると良い。
・所定イベント開始の許可を求める問いかけ情報:「とっておきのダンスがあるんだけど、今見せてもいいかな?」
・ユーザの肯定的な応答:「イエス」「うん」「オッケー」「いいよ」「ありがとう」
【0028】
(6)前記制御手段は、前記ユーザとの対話において、所定イベント開始の許可を求める問いかけを含む情報を出力し、当該情報に対するユーザの応答が否定的である場合に、対話終了の報知と所定イベント開始条件を報知し、対話を終了させると良い。
【0029】
例えば、所定イベントがキャラクタの動画であった場合、動画を全て表示するのは時間がかかる場合もあるため、動画表示前にユーザに対して動画表示可否の問いかけを行い、ユーザが表示を望まない返答をした場合には、動画を表示する代わりに、動画の表示条件を報知することで、ユーザは好きな時に動画を見ることができ、ユーザにとって使い勝手が良いシステムとすることができる。例えば、所定イベント開始の許可を求める問いかけ情報、当該情報に対するユーザの否定的な応答、及び対話終了の報知と所定イベント開始条件の報知は、以下のようにすると良い。
・所定イベント開始の許可を求める問いかけ情報:「とっておきのダンスがあるんだけど、今見せてもいいかな?」
・ユーザの否定的な応答:「だめ。今運転中だから」
・対話終了の報知と所定イベント開始条件の報知:「わかった。画像はイベントログに置いておくから、好きな時にアクセスしてね。じゃあまたね。」
【0030】
(7)前記制御手段は、前記所定イベントが開始すると、前記キャラクタを、システムの機能を阻害する大きさで表示手段に表示させると良い。
【0031】
所定イベントは、例えば、キャラクタの画像情報を表示する場合に、レーダー探知機やカーナビといった本来の機能を無視し、キャラクタが画面をハイジャックする勢いで表示することで、ユーザに大きなサプライズを与えることができる。
【0032】
システムの機能を阻害する大きさで表示する、とは、例えば、表示部に既に表示されている画像を覆うように表示すると良い。
【0033】
(8)前記制御手段は、前記音声認識を開始する際に表示手段にキャラクタがユーザの音声を聴き取ろうとしている様子を示すマークを表示させると良い。
【0034】
音声認識を開始する際には、例えば、車載用電子機器の表示部に、キャラクタがヘッドセットを装着した画像又はキャラクタが耳を傾けるジェスチャを行っている画像を表示すると良い。ユーザはキャラクタが自分の声に耳を傾けているという印象を抱くことができ、キャラクタに対して親しみを抱きやすくなる。また、音声認識機能が動作していることを容易に視認することができ、利便性が高い。
【0035】
(9)前記制御手段は、前記所定条件を満足している場合でも、所定の抑制条件に該当する場合は、当該抑制条件に該当しなくなるまで前記アクセスメッセージの出力を遅延させると良い。
【0036】
ユーザが対話よりも優先させるべき状況にあるかどうかを判定して、例えば、所定走行距離を超えている場合でも、例えばOBDから検出した加速条件が高い場合は、加速条件が低くなるまでアクセスメッセージの出力を遅延させることで、運転への集中力を阻害させることがなく、安全性が高い。
【0037】
抑制条件は、例えば、車載用電子機器等に搭載されたシステムの本来の機能であるルート案内中であること、音声認識中であること、警報音声発生中であること、その他音声発生中あること、キャラクタ表示モードでないこと、100km/h以上で走行していること等とすると良い。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、例えば、ユーザの操作に関係なく、システム側からユーザにアクセスすることでサプライズを与えることができる。また、システムに人間味を感じさせ、システムに対する愛着を増幅させ、購買意欲を掻き立てることができる優れたシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の一実施形態におけるシステムを構成するポータブルナビゲーション 装置の外観構成を示す斜視図である。
【
図2】ポータブルナビゲーション装置の機能ブロック図である。
【
図3】表示部へ表示する警告画面例を示す図である。
【
図4】表示部へ表示する経路表示画面例を示す図である。
【
図5】本実施形態で実現される対話機能例1のフローを示すフローチャートである 。
【
図6】本実施形態で実現される対話機能例2のフローを示すフローチャートである 。
【発明を実施するための形態】
【0040】
[基本構成]
図1は、本発明のシステムを構成する電子機器として好適なナビゲーション装置1の一実施形態の外観図を示しており、
図2は、その機能ブロック図を示しており、
図3及び
図4は表示形態の一例を示している。
図1に示すように、ナビゲーション装置1は、持ち運び可能な携帯型の装置本体2と、それを保持する取付部材たるクレードル3とを備える。装置本体2をクレードル3に装着することで、車載用のナビゲーション装置として機能し、クレードル3から取り外すことで携帯型のナビゲーション装置(PND)として機能する。本実施形態は、装置本体2をクレードル3に着脱可能とし、クレードル3と共に車両のダッシュボード上に設置して利用したり、クレードル3から装置本体2を取り外して携帯型(PND)として利用したりすることができるタイプであるが、クレードル3に対して簡単に着脱できない車載固定タイプでも良いし、携帯型専用のものでもよい。さらには、例えば携帯電話などの携帯端末に所定のアプリケーションプログラムをインストール(プリインストールを含む)して実現されるものでもよい。アプリケーションプログラムは、ナビゲーションを行うためのシステム自身でも良いし、ナビゲーションを行うためのシステムが実装されているサーバにアクセスし、当該システムを利用するためのプログラムでも良い。本発明は、係る各種のタイプのナビゲーションシステムに適用できる。
【0041】
装置本体2は、クレードル3に対して着脱自在に取り付けられる。装置本体2は、扁平な矩形状のケース本体4を備えている。そのケース本体4の前面には、表示部5が配置され、その表示部5上には表示部5のどの部分がタッチされたかを検出するタッチパネル8を備え、前面の両サイドには警報ランプ9を備えている。クレードル3は、装置本体2を保持するクレードル本体6と、車室内の所定の位置(ダッシュボード等)において、クレードル本体6を任意の姿勢で指示する台座部7と、を備えている。台座部7は、底面に設けた吸盤にて、ダッシュボードなどの上に吸着して固定される。台座部7とクレードル本体6とは、ボールジョイント等の連結機構を介して所定の角度範囲内で回転可能に連結される。ボールジョイントであるため、台座部7とクレードル本体6は、相対的に三次元方向の任意の角度範囲内で回転移動し、ジョイント部分における摩擦抵抗により任意の角度位置でその位置をとどめる。よって、クレードル本体6に取り付けられた装置本体2も、ダッシュボード上において任意の姿勢で配置することができる。
【0042】
さらにケース本体4の一方の側面には、SDメモリカード用スロット部21を備え、そのSDメモリカード用スロット部21に地図データなどが記録されたSDメモリカード22を挿入可能としている。このSDメモリカード用スロット部21は、挿入されたSDメモリカード22に対して情報の読み書きを行うメモリカードリーダライタを含む。また、ケース本体4のSDメモリカード用スロット部21を設けた側面には、DCジャック10を設けている。DCジャック10は、図示省略のシガープラグコードを接続するためのもので、そのシガープラグコードを介して車両のシガーソケットに接続して電源供給を受け得るようにする。
【0043】
一方、SDメモリカード用スロット部21とは反対側の側面には、電源スイッチや、USB端子23を設けている。このUSB端子23を介してパソコンと接続し、ソフトウェアアプリケーションのバージョンアップなどを行なうことができる。
【0044】
ケース本体4の内部には、以下の各機器・部品を配置している。すなわち、ケース本体4の背面側内部には、マイクロ波受信機11を配置する。マイクロ波受信機11は、所定周波数帯のマイクロ波を受信するもので、その設定された周波数帯のマイクロ波を受信した場合に、その受信したマイクロ波の信号レベルを検出する。具体的には、その信号レベルであり電界強度に対応するRSSI電圧を利用する。上記の所定周波数帯は、たとえば車両速度測定装置から出射されるマイクロ波の周波数が含まれる周波数帯としている。
【0045】
また、ケース本体4の上面側内部には、GPS信号を受信し現在位置を求めるGPS受信機12を配置している。ケース本体4の前面側内部には、赤外線通信機14を配置する。赤外線通信機14は携帯電話機15等の赤外線通信機を内蔵した通信装置との間でデータの送受を行なう。さらに、ケース本体4内には、スピーカ20も内蔵されている。
【0046】
更に、本実施形態の装置は、無線受信機13とリモコン受信機16を備えている。無線受信機13は、飛来する所定周波数の無線を受信する。リモコン受信機16は、リモコン(携帯機:子機)17とデータ通信をし、装置に対する各種の設定を行なう。無線受信機13は、飛来する所定周波数帯の無線を受信する。この所定周波数は、例えば、緊急車両が基地局に対して自車位置を通知する際に使用する無線の周波数帯とすることができる。
【0047】
本実施形態のナビゲーション装置1は、ナビゲーション機能に加え、周囲に存在する車両速度測定装置その他の交通監視ポイント等の目標物を報知する目標物報知装置としての目標物報知機能も備えている。これらのナビゲーション機能並びに目標物報知機能は、制御部18に有するコンピュータが実行するプログラムとして制御部18のEEPROM上に格納され、これを制御部18に有するコンピュータが実行することで実現される。
【0048】
すなわち、制御部18は、上記の各種の入力機器(GPS受信機12、マイクロ波受信機11、無線受信機13、タッチパネル8、赤外線通信機14、リモコン受信機16、SDメモリカードスロット部21、USB端子23等)から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器(表示部5、警報ランプ9、スピーカ20、赤外線通信機14、SDメモリカードスロット部21、USB端子23等)を利用して所定の情報・警報・メッセージを出力する。この所定の処理が、上記の各機能を実行するためのものであり、必要に応じてデータベース19や、SDメモリカード22にアクセスする。
【0049】
ここでデータベース19は、制御部18のマイコン内あるいはマイコンに外付けした不揮発性メモリ(たとえばEEPROM)により実現できる。なお、データベース19には、出荷時に一定の目標物や地図その他の各機能を実施するために必要な情報が登録されており、その後に追加された目標物についてのデータ等は、所定の処理を経て更新することができる。この更新のための処理は、例えば、追加データが格納されたSDメモリカード22をSDメモリカード用スロット部21に装着すると共に、そのSDメモリカード22からデータベース19に転送することで行うことがある。また、このデータ更新は、赤外線通信機14を用いたり、USB端子23を介して接続されるパソコンその他の外部機器を用いたりすることで行うことができる。
【0050】
目標物報知機能を実現するための制御部18は、以下のような動作をする。すなわち、制御部18は、マイクロ波受信機11が所望のマイクロ波を受信した場合、予め定めた警報を出力する。この警報としては、スピーカ20を用いたブザーやマイクロ波の受信(車両速度測定装置の検出等)を知らせるための音声の出力、警報ランプ9の点灯、及び表示部5を用いた文字或いはイメージによるメッセージの出力などがある。
【0051】
また、制御部18は、無線受信機13が所望の無線を受信した場合、予め定めた警報を出力する。この警報としては、スピーカ20を用いたブザーやマイクロ波の受信(緊急車両の接近等)を知らせるための音声の出力や、表示部5を用いた文字或いはイメージによるメッセージの出力などがある。この無線の受信に伴う警報と、上記のマイクロ波の受信に伴う警報の形態は、異なるようにすると良い。
【0052】
さらに、制御部18は、GPS受信機12によって検出した現在位置と、データベース19に記憶している交通監視ポイント等の目標物の位置が、所定の位置関係にあるとき、所定の警報を出力する。そのため、データベース19には、検出対象の目標物に関する情報(経度・緯度を含む目標物の位置情報や目標物の種別情報等)や、事故多発地帯や交通取締り情報などのより注意を持って安全に運転するための交通安全情報や、ランドマークや運転に有益な各種の情報がある。各情報は、具体的な情報の種類(目標物の種類、交通取り締まりの種類、事故多発地帯、ランドマークの名称等)と位置情報とを関連づけて登録されている。
【0053】
警報を発する際の目標物までの距離は、目標物の種類ごとに変えることができる。警報の態様としては、上記と同様に、スピーカ20を用いた音声等による警報と、表示部5を用いた警報等がある。
図3は、表示部5による警報の一例を示している。本実施形態では、装置がナビゲーション装置1であるので、後述するように地図データを有していることから、基本画面として、制御部18は、現在位置周辺の道路ネットワーク情報を読み出し、現在位置周辺の地図を表示部5に表示する機能を有する。そして、表示部5に、現在表示中の画面(ここでは現在位置周辺の地図)に重ねて警告画面70を表示する。
図3は、地
図50を表示している際に、現在位置と交通監視ポイントの一つである速度測定装置の一種であるLHシステムとの距離が500mになった場合の警告画面70の表示例を示している。さらに、「500m先LHシステムです」といった警報種類と距離を示す警告音声をスピーカ20から出力する処理を行う。
【0054】
一方、ナビゲーション機能を実現するための制御部18は、以下のような動作をする。まず、データベース19は、ナビゲーション用の道路ネットワーク情報を記憶している。このデータベース19に格納するナビゲーションのための情報は、出荷時において全国についてのすべての情報を格納しておいても良いし、地図データ等は、地方毎にSDメモリカード22に格納したものを提供するようにし、ユーザは必要な地図データ等が格納されたSDメモリカード22を用意し、それをSDメモリカード用スロット部21に装着して使用するようにしても良い。なお、SDメモリカード22に格納された地図データ等は、データベース19に転送して格納しても良いし、制御部18がSDメモリカード22にアクセスし、そこから読み出して使用するようにしても良い。
【0055】
制御部18は、データベース19から現在位置周辺の道路ネットワーク情報を読み出し、現在位置周辺の地図を表示部5に表示する機能を有する。この制御部18は、この道路ネットワーク情報を利用してある位置から別の位置に至るルート(経路)を検索することができる。また、データベース19は、電話番号とその電話番号の住宅・会社・施設等の位置情報及び名称とを対応づけて記憶した電話番号データベースと、住所とその住所の位置情報とを対応づけて記憶した住所データベースを備える。またデータベース19には、速度測定装置等の交通監視ポイントの位置情報がその種類とともに記憶されている。
【0056】
また、制御部18は、一般的なナビゲーション装置1の処理を行う機能を有する。すなわち、表示部5に現在位置周辺の地図を随時表示し、目的地設定ボタンを表示する。制御部18は、タッチパネル8によって、目的地設定ボタンの表示位置に対応する位置のタッチを検出した場合に、目的地設定処理を行う。目的地設定処理では、目的地設定メニューを表示部5に表示し、目的地の設定方法の選択をユーザに促す。目的地設定メニューは、目的地の設定方法の選択をユーザに促す電話番号検索ボタンと住所検索ボタンとを有する。電話番号検索ボタンがタッチされたことを検出した場合には、電話番号の入力画面を表示し、入力された電話番号に対応する位置情報をデータベース19から取得する。住所検索ボタンがタッチされたことを検出した場合には、住所の選択入力画面を表示し、入力された住所に対応する位置情報をデータベース19から取得する。そして、取得した位置情報を目的地の位置情報として設定し、現在位置から目的地までの推奨経路を、データベース19に記憶している道路ネットワーク情報に基づいて求める。この推奨経路の算出方法としては例えばダイクストラ法など公知の手法を用いることができる。
【0057】
そして、制御部18は、算出した推奨経路を、周辺の地図とともに表示する。例えば、
図4に示すように、現在位置51から目的地52にいたるルート53を推奨経路として、所定の色(例えば赤色)で表示する。これは、一般的なナビゲーションシステムと同様である。そして本実施形態では、制御部18は、ルート53上の位置情報とデータベース19に記憶された交通監視ポイント等の目標物の位置情報とを比較し、ルート53上に位置する交通監視ポイント等の位置を表示する。なお、ルート53を安全運転で走行するための情報提供としては、データベース19に格納された各種の目標物の内、交通監視ポイントに限るようにしても良い。
【0058】
これにより、例えば、
図4に示すように、道路上の位置から吹き出しを表示し、データベース19に記憶されたその位置の交通監視ポイントの種類を吹き出しの中に表示する。例えば、
図4(a)は、警告ポイント検索画面の表示例であり、交通監視ポイント55aから55fを表示した例を示している。交通監視ポイント55aは、Nシステムを示す「N」の文字を吹き出しの中に表示している。交通監視ポイント55b、55c、55eは、LHシステムを示す「LH」の文字を吹き出しの中に表示している。交通監視ポイント55dは、ループコイルを示す「ループ」の文字を吹き出しの中に表示している。交通監視ポイント55fは、Hシステムを示す「H」の文字を吹き出しの中に表示している。このように、吹き出しの中に文字を表示する簡略表示状態の吹き出し位置へのタッチをタッチパネル8が検知した場合には、
図4(b)に示すように、簡易表示を詳細表示へと切り替える。詳細表示は、
図3に示した警告画面を吹き出しの中に表示するものである。
【0059】
また、
図4(a)に示すように表示部5内の右下側には、交通監視ポイント種別指定部56を表示する。交通監視ポイント種別指定部56は、ルート53上に存在する交通監視ポイントの種別を列挙したボタン表示を行う部分である。
図4(a)の例では、交通監視ポイント55aのNシステムを示す「N」の種別ボタン57aと、交通監視ポイント55b、55c、55eのLHシステムを示す「LH」の種別ボタン57bと、交通監視ポイント55dのループコイルを示す「ループ」の種別ボタン57cと、交通監視ポイント55fのHシステムを示す「H」の種別ボタン57dを表示している。制御部18は、この種別ボタンの表示部5へのタッチをタッチパネル8から検出した場合、タッチされた種別ボタンを反転表示するとともに、タッチされた種別ボタンに対応する交通監視ポイントの表示態様を、簡易表示中であれば詳細表示に切り替え、詳細表示中であれば簡易表示中に切り替える。
【0060】
本実施形態のカーナビゲーション装置1は、目的地(以下、経由地も含む)の設定方法として、周辺検索機能を備えている。この周辺検索機能が選択されて起動された場合、制御部18は、指定された条件に合致する施設であって、現在位置から近いものを抽出し、その抽出結果を表示部5に描画する。そして、ユーザは、表示部5に描画された候補の中からいずれかを選択し、確定することで目的地(経由地を含む)に指定することができる。
【0061】
すなわち、かかる機能を実現するため、本実施形態のデータベース19は、各施設についての情報を、その位置情報とともに施設の分類に関する情報と関連付けて記憶している。施設の分類に関する情報は、各施設が合致するジャンルの呼び名でまとめられた複数種類の項目である。
【0062】
本実施形態では、いずれかの項目が指定されると、制御部18は、指定された項目に合致する施設であって、現在位置から近いものを抽出し、その抽出結果を目的地の候補として表示部5に描画する。ユーザは、表示部5に描画された候補の中からいずれかを選択することによって、目的地として指定することができる。
【0063】
項目のいずれか選択された場合、制御部18は、データベース19にアクセスし、現在位置を中心として、基準距離(たとえば、10km)以内に存在する施設であって、指定された項目の分類に一致するものを抽出する。そして、近いものから所定数(たとえば10個)の施設を表示部5に描画されている地図上の対応する箇所に、当該施設を示すアイコン(マーク)を重ねて描画する。データベース19に格納した施設の情報として、各施設に対して、それぞれのアイコンを関連づけて登録しておき、描画に際しては、その関連づけられたアイコンを読み出して表示部5の所定位置に描画する。
【0064】
なお、表示部5に描画された地図上に、現在位置が存在している場合には、その現在位置に該当する位置に自車を示す自車アイコンを重ねて描画する。さらに、このような施設のアイコンを描画するに際し、自車から近い順に番号を付記して表示する。自車の移動に伴い、随時番号は更新する。
【0065】
そして、ユーザが、所望の施設を選択すると、それを認識した制御部18が、係る施設を目的地とした推奨経路を求め、その結果を表示部5の地図に重ねて描画する。
【0066】
さらに、制御部18は、設定された目的地までのルート案内を行う機能を有する。つまり、制御部18は、ユーザによる案内開始の選択に応じて、GPSや自律航法で自車位置を逐次検出しながら、道路などを表す地図情報を表示部5に描画しつつ、目的地までの道案内を画像や音声を用いて行う。
【0067】
上記のユーザによる指定、選択等の指示入力は、表示部5に項目や機能の名称が表示されたボタン、施設のアイコンをタッチしたり、リモコン操作により選択したり、所定の音声が入力がなされたことを、制御部18が検出することを契機として行うことができる。
【0068】
[キャラクタとの対話機能]
《対話機能の基本》
以下、本実施形態の特徴であるキャラクタとの対話機能について説明する。この対話機能は、制御部18が、プログラムを実行することにより実現される機能である。対話機能は、例えば、ユーザの操作や入力に応じて音声認識を起動させた後に、ユーザの入力するフレーズに応じて、周辺検索、スケール変更、音量変更、輝度変更等の、システム本来の機能を発揮させるための機能がある。
【0069】
本実施形態の対話機能は、さらに、ユーザの操作や入力に関係なく、システム側からアクセスメッセージを出力してユーザとの対話を実現する。これによって、ユーザにサプライズを与え、ともすれば無機質となりがちなナビゲーション装置1にエンターテインメント性を与えるものである。
【0070】
《対話機能例1》
図5に、本実施形態で実現される対話機能の一つの例を示している。制御部18は、ユーザの操作や入力に関係なく、アクセスメッセージ出力条件を満たしたことをトリガとして(ステップS01:Yes)、アクセスメッセージを出力し(ステップS02)、同時に音声認識を起動させる(ステップS03)。アクセスメッセージに対するユーザの応答が肯定的であった場合にのみ(ステップS04:Yes)、制御部18は対話メッセージの出力を行い、ユーザとの対話を開始する(ステップS05)。対話は、制御部18の対話メッセージの出力と、対話メッセージに対するユーザの応答から成り立つ。対話メッセージは複数のパターンがあり、一回の出力とユーザの応答で対話が終了する場合もあれば、複数回の出力とユーザの応答を重ねる場合もある。対話を終了する際に、制御部18は終了メッセージ(ステップS06)を出力して、音声認識を終了する(ステップS07)。
【0071】
ステップS04において、アクセスメッセージに対するユーザの応答が否定的であった場合(ステップS04:No)、制御部18はすぐに終了メッセージ(ステップS08)を出力して、音声認識を終了する(ステップS09)。すなわち制御部18はユーザがシステムとの対話を望んでいる場合のみ、ユーザとの対話を行う。
【0072】
なお、ステップS04及びステップS05において、ユーザの応答が無い場合又は応答内容を音声認識することができなかった場合には、例えば、ユーザの応答を促す催促メッセージを、所定間隔で所定回数出力させるようにすると良い。催促メッセージに対する応答があった場合には、その後のステップに進むと良い。所定時間内に催促メッセージに対するユーザの応答が無い場合には、終了メッセージを出力して音声認識を終了させると良い。
【0073】
以上の対話機能を実現するため、データベース19は、アクセスメッセージ出力条件(以下、単に「出力条件」ともいう)、アクセスメッセージ、ユーザの音声による応答を認識するための認識ワード、認識ワードに対応する対話メッセージ、終了メッセージ、催促メッセージ等のデータを記憶している。他にも、システムの機能の実現に必要なデータを適宜記憶している。制御部18は、データベース19を参照して、上述したステップS01~S09を実行する。
【0074】
≪アクセスメッセージ出力条件≫
アクセスメッセージ出力条件は、例えば、ナビゲーション装置1が搭載された車両の走行距離、走行時間、走行地域が予め定めた条件を満たしたときとすると良い。例えば、制御部18は、車両の走行計から情報を取得できるようにして、走行距離100kmごとに、あるいは走行時間3時間ごとに、アクセスメッセージを出力すると良い。また、例えば、車両に設置したGPSにより車両の位置を検出し、車両がある県をから隣接する県に移動したときに、アクセスメッセージを出力すると良い。アクセスメッセージ出力条件は、例えば、ナビゲーション装置1に搭載されたシステムの起動回数又は音声認識機能の使用回数とすると良い。例えば、システムを初回に起動した際、起動回数が30回になった際、又は、音声認識機能の使用回数が100回となった際等において、アクセスメッセージを出力すると良い。
【0075】
ただし、アクセスメッセージ出力条件を満足している場合でも、車両やナビゲーション装置1の状態によってアクセスメッセージを出力することが望ましくないことがある。アクセスメッセージを出力することが望ましくない状態を抑制条件としてデータベース19に保存しておくと良い。制御部18は、アクセスメッセージ出力条件を満足しても、これらの抑制条件に該当する場合は、抑制条件に該当しなくなるまでアクセスメッセージの出力を遅延させると良い。
【0076】
抑制条件は、例えば、OBDから検出した加速度が所定値以上であること、ルート案内中であること、音声認識中であること、その他音声発生中あること、キャラクタ表示モードでないこと、100km/h以上で走行していること等とすると良い。
【0077】
≪アクセスメッセージ≫
アクセスメッセージは、例えば、ユーザに何らかの応答を求めるメッセージであると良い。アクセスメッセージは、例えば、キャラクタの発言として出力すると良い。また、以降のメッセージもキャラクタの発言として出力すると良い。これにより、ユーザは、システムである電子機器を利用して、キャラクタと簡単な対話ができる。本実施形態のキャラクタは、例えば、「レイ」という名前の少女として設定されている。上記の周辺検索等の諸機能も、キャラクタとの対話で行うことができる。データベース19は、キャラクタの呼び名として、「れーたん」を、認識ワードとして記憶している。
【0078】
メッセージをキャラクタの発言として行う場合には、データベース19は、キャラクタの音声データ及び画像(静止画、動画を含む)データを記憶している。制御部18は、この画像データに基づいて、キャラクタの静止画、動画を、表示部5に表示させることができる。なお、制御部18は、一部の応答フレーズについては、出力する応答フレーズと合致するように、表示部5に表示させるキャラクタの口や身体を動かすリップリンクにより、キャラクタがしゃべっている状況をリアルに感じさせることができる。
【0079】
さらに、データベース19が記憶するキャラクタの音声、画像としては、同一人物について、複数の態様(モード)が設定されている。例えば、データベース19は、「レイ」という一人の人物でありながら、「標準レイ」、「変身後のレイ」、「ちびレイ」という3つのモードに分けて、それぞれの応答フレーズ、画像データを記憶している。「標準レイ」はキャラクタの基本となるモードである。「変身後のレイ」は、「標準レイ」とは衣服及び髪型を変えたモードである。「ちびレイ」は、頭身を変えて、子どもっぽくしたモードである。制御部18は、ユーザによるいずれかのモードの選択に従って、キャラクタの音声、画像を出力する。
【0080】
アクセスメッセージは、例えば、「あの~、いま話していいですか?」「あのね、いま話してい~い?」というような対話開始の許可を求めるメッセージであると良い。他にも、例えば、「こんにちは、いま話していいですか?」といった挨拶となる言葉を含めると良い。また、例えば、「ゆーくん、いま話していいですか?」というように、予め入力されたユーザの名前に応じて作成されたニックネームを含めると良い。ユーザの名前は、例えば、システムの各種設定画面から入力できるようにすると良い。アクセスメッセージは、例えば、出力条件ごとに異なるものを用意すると良い。制御部18は、アクセスメッセージを、例えば、ナビゲーション装置1のスピーカ20を介して音声で出力すると良い。また、例えば、ナビゲーション装置1の表示部5上に、文字や画像情報により表示すると良い。
【0081】
≪対話メッセージ≫
対話メッセージは、例えば、ユーザにコミュニケーションが成立している、と感得させるに足りる情報を含むものであると良い。対話メッセージは、例えばキャラクタの発言として出力すると良い。対話メッセージが含む情報は、特定のものに限定されないが、例えば、質問、お礼又は感嘆詞等の複数のフレーズからなるものとすると良い。複数のフレーズには、例えば、少なくとも1つ質問が含まれ、ユーザに肯定的又は否定的な応答のいずれかを促す内容とすると良い。質問と組み合わされるフレーズは、例えば、キャラクタの性格を表す感情表現の言葉やお礼とすると良く、システム本来の機能と離れた人間味を感じさせる言葉とすると良い。複数のフレーズは、キャラクタの発言として出力すると良い。例えば、以下のような発言を出力すると良い。
・対話メッセージの例
「あの~、この度は私のナビ買ってくれてありがとう。気に入ってもらえてるかなあ?ちょっと心配」
「ちょっと暇だったの。たまにこうして話しかけることがあるけど、おじゃまですか?」
【0082】
対話メッセージを複数回出力する場合には、以下の例に示すように、ユーザの応答内容によって出力メッセージを異ならせるようにしても良い。
・対話例1
最初の対話メッセージ:「あの~、この度は私のナビ買ってくれてありがとう。気に入ってもらえてるかなあ?ちょっと心配」
ユーザの応答:「気に入っている」
次の対話メッセージ:「嬉しい! またこうやって話しかけてもいいかな?」
・対話例2
最初の対話メッセージ:「あの~、この度は私のナビ買ってくれてありがとう。気に入ってもらえてるかなあ?ちょっと心配」
ユーザの応答:「気に入らない」
次の対話メッセージ:「そっかー。残念。でも、またこうやって話しかけてもいいかな?」
【0083】
制御部18は、対話メッセージを、例えば、ナビゲーション装置1のスピーカ20を介して音声で出力すると良い。また、例えば、ナビゲーション装置1の表示部5上に、文字や画像情報により表示すると良い。
【0084】
≪音声認識≫
制御部18は、音声認識を開始する際には、ナビゲーション装置1の表示部5上に、文字や画像情報により表示すると良い表示手段にキャラクタがユーザの音声を聴き取ろうとしている様子を示すマークを表示させると良い。
【0085】
音声認識を開始する際には、例えば、ナビゲーション装置1の表示部5に、キャラクタがユーザの音声を聴き取ろうとしている様子を示すマークを表示させると良い。そのようなマークとして、例えば、キャラクタがヘッドセットを装着した画像、キャラクタが耳を傾けるジェスチャを行っている画像等を表示すると良い。
【0086】
≪認識ワード≫
認識ワードは、例えば、アクセスメッセージ又は後述する対話メッセージに対する、ユーザの応答内容として想定される語句である。認識ワードは、例えば、「肯定的」なワードと、「否定的」なワードのグループに分類すると良い。制御部18は、音声認識したユーザの応答内容が、記憶されている認識ワードの中で肯定的なものか否定的なものかを判断して、対話を始めるか否かを判断し、又は次の対話メッセージの内容を決定する。アクセスメッセージに対する肯定的なワードとしては、例えば「イエス」「うん」「オッケー」「いいよ」とすると良い。否定的なワードとしては、例えば「ノー」「ダメ」「だめだね」「うるさい」「いいや」とすると良い。制御部18は、ユーザの応答内容を音声認識し、「肯定的」なワードか「否定的」なワードか、を判定して、次の処理を行う。なお、記憶されている語句に該当しない場合は、認識不能として「もういちど言って?」といったように、ユーザの再入力を促すような語句を出力すると良い。
【0087】
さらに、対話メッセージに対するユーザの応答内容として想定される語句も、予め記憶手段に記憶させると良い。語句は、例えば、「肯定的」又は「否定的」のいずれかに分類されるよう記憶しておくと良い。「対話」においてシステムが出力する情報は、例えば複数種類あるため、「対話」段階においては、アクセスメッセージ出力段階よりも多くの語句を記憶しておくと良い。ユーザの応答が肯定的か否定的かによって、次に出力する対話メッセージを選択すると良い。
【0088】
肯定的な語句としては、例えば「イエス」「うん」「オッケー」「いいよ」「気に入っている」「気に入った」「いいねえ」「知ってる」「わかった」とすると良い。否定的な語句としては、例えば「ノー」「ダメ」「だめだね」「うるさい」「いいや」「気に入らない」「気に入らん」「知らない」「知らん」「違う」「ちげーよ」とすると良い。ただし、「うん」「いいや」といった言葉は、質問の内容によって肯定的になることもあれば否定的になることもある。例えば、「たまにこうして話しかけることがあるけどおじゃまですか」という質問に対して「いいや」と答えることは肯定的である。よって、認識ワード及び分類は各対話メッセージに含まれる質問と関連付けて記憶しておき、その記憶された分類に基づいて肯定的な場合の処理、否定的な場合の処理のいずれかに分岐する制御をすると良い。
【0089】
≪終了メッセージ≫
終了メッセージは、対話メッセージの出力を終了して、音声認識を解除するタイミングで出力するメッセージである。終了メッセージは、例えば、ユーザにキャラクタとの対話が終了することを知らせるものであると良い。例えば、お礼と終了の挨拶の語句を組み合わせたものを、キャラクタの発言として出力すると良い。終了メッセージは、他にも、直前の対話におけるユーザの応答に対する反応を含むと良い。
・終了メッセージの例1
対話メッセージ:「あの~この度は私のナビ買ってくれてありがとう。気に入ってもらえてるかなあ? ちょっと心配。」
ユーザの応答:「気に入ってる」
終了メッセージ:「ありがとう。うれしい~。これからも使ってね。じゃあ、また次の機会に」
・終了メッセージの例2
対話メッセージ:「あの~この度は私のナビ買ってくれてありがとう。気に入ってもらえてるかなあ? ちょっと心配。」
ユーザの応答:「気に入らん」
終了メッセージ:「ショックゥ。でもこれからも使ってね。じゃあ、また次の機会に」・終了メッセージの例3
対話メッセージ:「ちょっと暇だったの。たまにこうして話しかけることがあるけど、おじゃまですか?」
ユーザの応答:「いいや」
終了メッセージ「ほんと? またおしゃべりするね」
【0090】
また、終了メッセージは、アクセスメッセージに対するユーザの応答が否定的であり(ステップS04:No)、対話を開始しない場合にも出力する。この場合の終了メッセージには、ユーザとの対話を開始しない旨の報知を含むと良い。終了メッセージは、他にも、ユーザを邪魔したことに対する謝罪、ユーザが対話を拒絶したことに対する落胆を表わす内容を含むと良い。
・例1
アクセスメッセージ:「あの~、いま話していいですか?」
ユーザの応答:「ダメ」
終了メッセージ:「ごめんなさい。じゃあ、また次の機会に」
・例2
アクセスメッセージ:「あのね、いま話してい~い?」
ユーザ:「うるさい」
終了メッセージ:「ううww じゃあ、また次の機会に」
【0091】
制御部18は、終了メッセージを、例えば、ナビゲーション装置1のスピーカ20を介して音声で出力すると良い。また、例えば、ナビゲーション装置1の表示部5上に、文字や画像情報により表示すると良い。
【0092】
≪催促メッセージ≫
催促メッセージは、ユーザの応答を促す催促メッセージである。制御部18は、アクセスメッセージ及び対話メッセージに対するユーザの応答が無い場合、又は応答内容を音声認識することができなかった場合に、催促メッセージを、例えば30秒ごとといった所定間隔で、例えば3回等の所定回数出力させるようにすると良い。ユーザの応答を促す催促メッセージは、例えば応答が無い場合は「ねえ、何か言って」「何か言ってくれないとさびしいです」とすると良い。音声認識不能の場合には、例えば「何て言ったの?わかんない。もう一度言って」とすると良い。所定時間内に催促メッセージに対するユーザの応答が無い場合の終了メッセージは、例えば、「また今度ね」等とすると良い。
【0093】
《対話機能例2》
図6に、本実施形態で実現される対話機能の別の例を示している。別の例では、制御部18はユーザとの対話をトリガとして、イベントを開始する。ステップS11~S15までは、
図5のステップS01~S05と同様である。制御部18は、対話メッセージの出力を行ってユーザと対話を行った制御部18の対話を行った後に、イベント開始の許可を求める問いかけを出力する(ステップS16)。イベント開始の許可を求める問いかけに対して、ユーザの応答が肯定的であった場合(ステップS17:Yes)は、制御部18は、終了メッセージを出力して(ステップS18)、音声認識を終了(ステップS19)した後に、イベントを開始する(ステップS20)。
【0094】
イベント開始の許可を求める問いかけに対して、ユーザの応答が否定的であった場合(ステップS17:No)は、制御部18は、終了メッセージを出力して(ステップS21)、音声認識を終了する(ステップS22)が、その後にイベントは開始させず、処理を終了する。
【0095】
≪イベント≫
イベントは、新規な情報、キャラクタに関する情報あるいはこれらの情報の組み合わせとすると良い。例えば、キャラクタが新しい衣装を装着した画像情報であると良い。また、例えば、キャラクタが歌を歌ったりダンスを踊ったりする動画情報であると良い。このようなイベントの画像、動画及び音声のデータは、データベース19に複数記憶させておくと良い。制御部18は、データベース19に記憶されたイベントの画像又は動画を表示部5に表示させ、スピーカ20から出力させると良い。
【0096】
イベントは、例えば、対話を開始するきっかけとなったアクセスメッセージ出力条件に応じて決定すると良い。例えば、走行距離100kmを達成したときはキャラクタが新しい衣装を装着した画像情報とし、走行距離200kmを達成したときはキャラクタが歌を歌ったりダンスを踊ったりする動画として、走行距離が長くなると発生するイベントがより華やかになると良い。
【0097】
制御部18は、例えば、対話の内容であるユーザに対して出力した情報とその情報に対するユーザの返答の組み合わせに応じて、開始する所定イベントを決定すると良い。例えば、対話メッセージを複数回出力して、各対話メッセージに対するユーザの応答が肯定的だったか否定的だったかの組み合わせにより、出力するイベントを変更しても良い。例えば、以下の対話例1の場合には、イベントは、新たな衣装を装着してダンスを踊るキャラクタの画像とすると良い。また、例えば以下の対話例2の場合には、イベントは、新たな衣装ではあるが、やや残念そうな表情をしているキャラクタの画像とすると良い。また、例えば以下の対話例3の場合は、衣装は従来からのものであり、落ち込んでいる表情をしているキャラクタの画像とすると良い。
・対話例1
最初の対話メッセージ:「あの~、この度は私のナビ買ってくれてありがとう。気に入ってもらえてるかなあ?ちょっと心配」
ユーザの応答:「気に入っている」
次の対話メッセージ:「嬉しい! またこうやって話しかけてもいいかな?」
ユーザの応答:「いいよ」
・対話例2
最初の対話メッセージ:「あの~、この度は私のナビ買ってくれてありがとう。気に入ってもらえてるかなあ?ちょっと心配」
ユーザの応答:「気に入らない」
次の対話メッセージ:「そっかー。残念。でも、またこうやって話しかけてもいいかな?」
ユーザの応答:「いいよ」
・対話例3
最初の対話メッセージ:「あの~、この度は私のナビ買ってくれてありがとう。気に入ってもらえてるかなあ?ちょっと心配」
ユーザの応答:「気に入らない」
次の対話メッセージ:「そっかー。残念。でも、またこうやって話しかけてもいいかな?」
ユーザの応答:「だめ」
【0098】
また、イベントは、例えば、季節、年中行事といった時期的条件や車両の走行地域といった場所の条件に応じて、変更しても良い。例えば、季節が春であれば、桜の木の下でキャラクタが立っている画像とすると良い。また、例えば、バレンタインデーが近ければ、キャラクタがチョコレートを持っている画像とすると良い。また、例えば、横浜を走行中であれば、みなとみらい地区の街並みを背景としたキャラクタの画像とすると良い。
【0099】
イベントにおいて表示部5に表示されるキャラクタは、例えば、システムの機能を阻害する大きさであると良い。通常、キャラクタは、システムの機能に応じて表示部5に表示されるメニュー画面又は地図情報等を阻害しないように表示されることが多い。これに対して、イベントにおいては、表示部5に表示されるメニュー画面を覆うほどの大きさで表示すると良い。
【0100】
開始を決定したイベントは、例えば、ユーザが所望したときに後から見直すことができるようにすると良い。例えば、イベントログ機能を設け、制御部18は開始を決定したイベントをイベントログに記録すると良い。ユーザがイベントログにアクセスすることで、所望のイベントを見直すことができる。
【0101】
≪イベント開始の許可を求める問いかけ≫
イベント開始の許可を求める問いかけは、例えば、イベントがキャラクタの動画の場合、「とっておきのダンスがあるんだけど、今見せてもいいかな?」という、ユーザに対して動画の表示を許可するか否かの問いかけであると良い。動画を全て表示するのは時間がかかる場合もある。ユーザが表示を望む返答をした場合のみイベントを開始することで、ユーザにとって使い勝手が良いシステムとすることができる。
【0102】
≪終了メッセージ≫
対話機能例1と同様に、制御部18は、音声認識を解除するタイミングで終了メッセージを出力すると良い。対話機能例2においては、イベント開始の許可を求める問いかけの後に出力されるため、問いかけに対するユーザの応答が肯定的な場合と否定的な場合によって終了メッセージの内容を変更すると良い。ユーザの応答が肯定的な場合、終了メッセージには、イベントの開始の告知を含めると良い。ユーザの応答が否定的な場合には、終了メッセージにイベント開始条件を含めると良い。イベント開始条件は、例えば、ユーザ自身が都合の良い時にイベントを開始することができる条件であると良く、開始を決定したイベントが記録されているイベントログへのアクセスであると良い。以下に、終了メッセージの例を示す。
・ユーザの応答が肯定的な場合の例:
許可を求める問いかけ:「とっておきのダンスがあるんだけど、今見せてもいいかな?」
ユーザの応答:「いいよ」
終了メッセージ:「ありがとう。うれしい~。じゃあ見てね!」
・ユーザの応答が否定的な場合の例:
許可を求める問いかけ:「とっておきのダンスがあるんだけど、今見せてもいいかな?」
・ユーザの否定的な応答:「だめ。今運転中だから」
・終了メッセージ「わかった。画像はイベントログに置いておくから、好きな時にアクセスしてね。じゃあまたね。」
【0103】
[効果]
上述した本実施の形態は、次のような効果を有する。
(A)ナビゲーション装置1の制御部18は、アクセスメッセージ出力条件を満足したときに、ユーザに対するアクセスメッセージを出力して音声認識を開始する。ナビゲーション装置1は、通常は、ユーザのボタン操作や音声入力によって動作するが、ユーザの操作や入力がなくとも、装置側からユーザにアクセスするメッセージを出力することで、ユーザにサプライズを与えることができる。これによって、単なる利便性以外に、ユーザを惹きつける付加価値をもたらすことができる。特に、ルート案内等の機能においてキャラクタのアニメーション表示や音声出力を行っているナビゲーション装置1においては、ユーザにサプライズを感じさせることは、キャラクタの人間味をより増加させることとなり、キャラクタを目的としてナビゲーション装置1を利用するユーザの購買意欲を掻き立てることができる。
【0104】
アクセスメッセージ出力条件は、例えば、ナビゲーション装置1が搭載された車両の走行距離又は走行時間とすると良い。例えば、走行距離100kmごと又は走行時間3時間ごとにアクセスメッセージを出力することで、ともすれば単調になりがちなドライブに刺激をあたえることができる。アクセスメッセージ出力条件は、例えば、ナビゲーション装置1が搭載された車両の走行地域とすると良い。例えば、車両に設置したGPSにより車両の位置を検出し、車両がある県から隣接する県に移動したときに、アクセスメッセージを出力すると良い。アクセスメッセージの内容をその県特有の方言や観光情報とすることで、ユーザは有益な情報が得られ、ともすれば単調になりがちなドライブに刺激をあたえることができる。アクセスメッセージ出力条件は、例えば、ナビゲーション装置1の起動回数又は音声認識機能の使用回数とすると良い。例えば、システムの起動回数が30回になったところで、又は、音声認識機能の使用回数が100回となったところで、アクセスメッセージを出力することで、システム又は音声認識の利用意欲を掻き立てることができる。
【0105】
「ユーザに対するアクセスメッセージ」は、例えば、ユーザに何らかの応答を求めるメッセージであると良い。アクセスメッセージは、例えば、キャラクタの発言として出力すると良い。例えば、アクセスメッセージをきっかけにユーザとの対話を行う場合には、アクセスメッセージは、例えば、「あの~、いま話していいですか?」というような対話開始の許可を求めるメッセージであると良い。他にも、例えば、「こんにちは、いま話していいですか?」といった挨拶となる言葉を含めると良い。また、例えば、「ゆーくん、いま話していいですか?」というように、予め入力されたユーザの名前に応じて作成されたニックネームを含めると良い。アクセスメッセージは、例えば、ナビゲーション装置1のスピーカ20を介して音声で出力してもよく、ナビゲーション装置1の表示部5上に、文字や画像情報により表示しても良い。
【0106】
(B)制御部18は、アクセスメッセージに対するユーザの応答内容が肯定的である場合に、所定の情報出力である対話メッセージと対話メッセージに対するユーザの応答の音声認識による、ユーザとの対話を開始すると良い。
【0107】
ナビゲーション装置1側からユーザにアクセスし、さらに対話を行うことによって、とかく無機質に感じられがちな装置に人間味を感じさせ、ナビゲーション装置1の付加価値をさらに高めることができる。また、アクセスメッセージに対するユーザからの応答内容に応じて、ユーザとの対話を開始することによって、ユーザにサプライズを与えつつも、その後のシナリオはユーザの都合を考慮して進行させることができるため、ユーザにわずらわしさを感じさせることを防ぐことができる。
【0108】
ユーザから肯定的な応答があった場合にのみ、対話を開始することで、勝手にシナリオが進行してユーザにわずらわしさを感じさせることを防ぐことができる。キャラクタを使用している場合は、そのキャラクタの慎ましさをユーザに感じさせることができる。
【0109】
「ユーザとの対話」とは、例えば、システムが出力した対話メッセージに対するユーザの応答を音声認識し、応答の内容に応じて更なる対話メッセージの出力を行うことである。例えば、ナビゲーション装置1が、ユーザにコミュケーションが成立している、と感得させるに足りる対話メッセージの出力を行うと良い。対話メッセージは、例えばキャラクタの発言として出力すると良い。
【0110】
対話を構成する対話メッセージは、例えば、質問、お礼又は感嘆詞等の複数のフレーズからなるものとすると良い。複数のフレーズは、例えば、少なくとも1つ質問が含まれ、ユーザに肯定的又は否定的な応答のいずれかを促す内容とすると良い。質問と組み合わされるのは、例えば、キャラクタの性格を表す感情表現の言葉やお礼とすると良く、システムの本来機能とは関係ない言葉とすると良い。複数のフレーズは、キャラクタの発言として出力すると良い。例えば、以下のような発言を出力すると良い。
・「あの~、この度は私のナビ買ってくれてありがとう。気に入ってもらえてるかなあ?ちょっと心配」
・「ちょっと暇だったの。たまにこうして話しかけることがあるけど、おじゃまですか?」
・「たくさん使ってくれてありがとう。お礼の歌をプレゼントしたいんだけど、いいかな?」
【0111】
ナビゲーション装置1のデータベース19に、例えば、ユーザの応答内容として想定される語句を、予め記憶させると良い。語句は、例えば、「肯定的」又は「否定的」のいずれかに分類すると良い。肯定的な語句としては、例えば「イエス」「うん」「オッケー」「いいよ」とすると良い。否定的な語句としては、例えば「ノー」「ダメ」「だめだね」「うるさい」「いいや」とすると良い。記憶されている語句に該当しない場合は、認識不能として処理すると良い。
【0112】
さらに、「対話」におけるユーザの応答内容として想定される語句も、予め記憶手段に記憶させると良い。語句は、例えば、「肯定的」又は「否定的」のいずれかに分類すると良い。「対話」においてシステムが出力する情報は、例えば複数種類あるため、「対話」段階においては、アクセスメッセージ出力段階よりも多くの語句を記憶しておくと良い。
【0113】
肯定的な語句としては、例えば「イエス」「うん」「オッケー」「いいよ」「気に入っている」「気に入った」「いいねえ」「知ってる」「わかった」とすると良い。否定的な語句としては、例えば「ノー」「ダメ」「だめだね」「うるさい」「いいや」「気に入らない」「気に入らん」「知らない」「知らん」「違う」「ちげーよ」とすると良い。
【0114】
ナビゲーション装置1は、対話メッセージに対するユーザの応答が「肯定的」か「否定的」であるかによって、次に出力すべき対話メッセージを選択すると良い。
【0115】
アクセスメッセージに対するユーザの応答が無い場合、又は応答内容を音声認識することができなかった場合には、例えば、ユーザの応答を促す催促メッセージを、所定間隔で所定回数出力させるようにすると良い。ユーザの応答を促す催促メッセージは、例えば応答が無い場合は「ねえ、何か言って」「何か言ってくれないとさびしいです」とすると良い。音声認識不能の場合には、例えば「何て言ったの?わかんない。もう一度言って」とすると良い。また、所定時間内に催促メッセージに対するユーザの応答が無い場合には、例えば、「また今度ね」等の終了メッセージを出力して音声認識を解除すると良い。
【0116】
(C)制御部18は、アクセスメッセージに対するユーザの応答が否定的である場合に、ユーザとの対話を開始しない旨の報知を含む終了メッセージを出力して音声認識を終了させると良い。
【0117】
ユーザの応答が否定的な場合には対話を開始させないことで、勝手にシナリオが進行してユーザにわずらわしさを感じさせることを防ぐことができる。キャラクタを使用している場合は、そのキャラクタの慎ましさをユーザに感じさせることができる。例えば、アクセスメッセージとして「あの~、いま話していいですか?」という発言を出力し、ユーザが「だめ」という否定的な応答をした場合に、「ごめんなさい。じゃあ、また次の機会に」という発言を出力すると良い。
【0118】
(D)制御部18は、ユーザとの対話において、終了メッセージを出力し、ユーザとの対話を終了した後にイベントを開始すると良い。
【0119】
ユーザとの対話終了後にイベントを開始する、すなわち、ユーザとの対話が、例えば、イベント開始のトリガとなることで、ユーザが対話を行う意欲を掻き立て、ナビゲーション装置1への愛着を増加させることができる。
【0120】
ユーザとの対話終了とは、例えば、対話メッセージの出力終了と音声認識の解除であると良い。対話終了の報知である終了メッセージは、例えば、ユーザにキャラクタとの対話が終了することを知らせるものであると良い。例えば、お礼と終了の挨拶の語句を組み合わせたものを、キャラクタの発言として出力すると良い。例えば、以下のような発言を出力すると良い。
・「ありがとう。うれしい~。これからも使ってね。じゃあ、また次の機会に」
・「ほんと?またおしゃべりするね」
【0121】
イベントは、例えば、新規な情報、キャラクタに関する情報あるいはこれらの情報の組み合わせとすると良い。例えば、キャラクタが新しい衣装を装着した画像情報であると良い。また、例えば、キャラクタが歌を歌ったりダンスを踊ったりする動画情報であると良い。イベントは、ナビゲーション装置1のデータベース19に複数記憶させておくと良い。イベントは、ユーザに対して出力した情報とその情報に対するユーザの返答の組み合わせに応じて、開始するイベントを決定すると良い。あるいは、季節、年中行事といった時期的条件や車両の走行地域といった場所の条件に応じて、開始するイベントを決定する良い。
【0122】
(E)制御部18は、ユーザとの対話において、イベント開始の許可を求める問いかけを出力し、問いかけに対するユーザの応答が肯定的である場合に、終了メッセージを出力し、対話終了後にイベントを開始すると良い。
【0123】
例えば、所定イベントがキャラクタの動画であった場合、動画を全て表示するのは時間がかかる場合もあるため、動画表示前にユーザに対して動画表示可否の問いかけを行い、ユーザが表示を望む返答をした場合のみイベントを開始することで、ユーザにとって使い勝手が良いナビゲーション装置1とすることができる。例えば、イベント開始の許可を求める問いかけと、問いかけに対するユーザの肯定的な応答は以下のようにすると良い。
・所定イベント開始の許可を求める問いかけ情報:「とっておきのダンスがあるんだけど、今見せてもいいかな?」
・ユーザの肯定的な応答:「イエス」「うん」「オッケー」「いいよ」「ありがとう」
【0124】
(F)制御部18は、ユーザとの対話において、イベント開始の許可を求める問いかけを出力し、問いかけに対するユーザの応答が否定的である場合に、対話終了の報知と所定イベント開始条件の報知を含む終了メッセージを出力し、対話を終了させると良い。
【0125】
例えば、イベントがキャラクタの動画であった場合、動画を全て表示するのは時間がかかる場合もあるため、動画表示前にユーザに対して動画表示可否の問いかけを行い、ユーザが表示を望まない返答をした場合には、動画を表示する代わりに、動画の表示条件を報知することで、ユーザは好きな時に動画を見ることができ、ユーザにとって使い勝手が良いシステムとすることができる。例えば、イベント開始の許可を求める問いかけ、問いかけに対するユーザの否定的な応答、及び終了メッセージとイベント開始条件は、以下のようにすると良い。
・イベント開始の許可を求める問いかけ:「とっておきのダンスがあるんだけど、今見せてもいいかな?」
・ユーザの否定的な応答:「だめ。今運転中だから」
・終了メッセージ:「わかった。画像はイベントログに置いておくから、好きな時にアクセスしてね。じゃあまたね。」
【0126】
(G)制御部18は、イベントが開始すると、キャラクタを、システムの機能を阻害する大きさで表示部5に表示させると良い。イベントは、例えば、キャラクタの画像情報を表示する場合に、レーダー探知機やカーナビといった本来の機能を無視し、キャラクタが画面をハイジャックする勢いで表示することで、ユーザに大きなサプライズを与えることができる。システムの機能を阻害する大きさで表示する、とは、例えば、表示部5に既に表示されている画像を覆うように表示すると良い。
【0127】
(H)制御部18は、音声認識を開始する際に表示部5にキャラクタがユーザの音声を聴き取ろうとしている様子を示すマークを表示させると良い。
【0128】
音声認識を開始する際には、例えば、ナビゲーション装置1の表示部5に、キャラクタがヘッドセットを装着した画像又はキャラクタが耳を傾けるジェスチャを行っている画像を表示すると良い。ユーザはキャラクタが自分の声に耳を傾けているという印象を抱くことができ、キャラクタに対して親しみを抱きやすくなる。また、音声認識機能が動作していることを容易に視認することができ、利便性が高い。
【0129】
(I)制御部18は、アクセスメッセージ出力条件を満足している場合でも、所定の抑制条件に該当する場合は、抑制条件に該当しなくなるまでアクセスメッセージの出力を遅延させると良い。
【0130】
ユーザが対話よりも優先させるべき状況にあるかどうかを判定して、例えば、所定走行距離を超えている場合でも、例えばOBDから検出した加速条件が高い場合は、加速条件が低くなるまでアクセスメッセージの出力を遅延させることで、運転への集中力を阻害させることがなく、安全性が高い。
【0131】
抑制条件は、例えば、ナビゲーション装置1に搭載されたシステムの本来の機能であるルート案内中であること、音声認識中であること、警報音声発生中であること、その他音声発生中あること、キャラクタ表示モードでないこと、100km/h以上で走行していること等とすると良い。
【0132】
[その他の実施形態]
本発明は、上記のような実施形態に限定されるものではなく、以下のような態様も構成可能である。
【0133】
上述の実施形態では、システムを構成する電子機器として、ナビゲーション装置を使用する例を説明したが、これに限られない。例えば、ナビゲーション装置から目標物報知機能を独立させたレーダー探知機又はドライブレコーダー等の他の車載用電子機器としても良い。また、たとえば、スマートフォン又はタブレット等の携帯端末装置に専用のアプリケーションをインストールすることによって、上述の実施形態で説明した機能を実施させることができる。
【0134】
システムは電子機器とサーバとを備え、電子機器は4G,LTE等の携帯電話網または無線LAN等のインターネット接続された無線通信機能を備え、サーバはインターネット接続されており、サーバから電子機器へアクセスメッセージの出力指示を送信し、電子機器がこの出力指示に基づいてアクセスメッセージを出力する構成とするとよい。例えば、サーバはアクセスメッセージの出力指示にアクセスメッセージの内容の情報を含んで電子機器へ送信し、電子機器はその出力指示を
図6のS11で受けた場合にそのアクセスメッセージをS12で出力する構成とするとよい。特にサーバは他のサーバや他の電子機器からの情報を受け取り、その情報が予め定められたアクセスメッセージ毎の出力条件に合致する場合に、その出力条件に合致するアクセスメッセージの内容の情報を含む出力指示を電子機器に送信する構成とするとよい。
【符号の説明】
【0135】
1 ナビゲーション装置
2 装置本体
3 クレードル
4 ケース本体
5 表示部
6 クレードル本体
7 台座部
8 タッチパネル
9 警報ランプ
10 DCジャック
11 マイクロ波受信機
12 GPS受信機
13 無線受信機
14 赤外線通信機
15 携帯電話
16 リモコン受信器
17 リモコン
18 制御部
19 データベース
20 スピーカ
21 SDメモリカード用スロット部
22 SDメモリカード
23 USB端子