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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002885
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】混注装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/20 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
A61J1/20 314C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023005212
(22)【出願日】2023-01-17
(31)【優先権主張番号】P 2022102209
(32)【優先日】2022-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】上野 孝
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA05
4C047AA11
4C047CC04
4C047DD25
4C047DD26
4C047DD27
4C047HH03
4C047HH10
4C047KK05
4C047KK06
4C047KK08
4C047KK09
4C047KK12
4C047KK14
4C047KK15
4C047KK40
(57)【要約】
【課題】輸液容器に元々付されている情報とは異なる情報を当該輸液容器に付する。
【解決手段】混注装置において、第2搬送部(120)、貼付部(54)及びガイド部(56)は、第3読取部(122)が第1ラベル(LA11)に含まれる第1情報を読取った後、第1情報とは異なる第2情報を含む第2ラベル(LA12)を輸液容器(503)の第2面(SF2)に貼付する。
【選択図】図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸液を収容し、かつ、前記輸液の種類を示す第1情報が表面に付された輸液容器に、薬剤を注入する注入部と、
前記第1情報とは異なる第2情報を、前記輸液容器の表面に付する付与部と、
前記輸液容器から前記第1情報を読取る読取部と、を備え、
前記付与部は、前記読取部が前記第1情報を読取った後、前記第2情報を前記輸液容器の表面に付する、混注装置。
【請求項2】
輸液を収容し、かつ、前記輸液の種類を示す第1情報が表面に付された輸液容器に、薬剤を注入する注入部と、
前記第1情報とは異なる第2情報を、前記輸液容器の表面に付する付与部と、を備え、
前記付与部は、前記輸液容器の表面において、前記第1情報と重ならない位置に前記第2情報を付する、混注装置。
【請求項3】
前記第2情報は、前記薬剤の種類を示す情報である、請求項1又は2に記載の混注装置。
【請求項4】
前記付与部は、前記輸液容器の、前記第1情報が付された第1面とは異なる第2面に、前記第2情報を付する、請求項1又は2に記載の混注装置。
【請求項5】
前記第2面は、前記第1面とは反対側の面である、請求項4に記載の混注装置。
【請求項6】
前記第1面の向きを認識する認識部を備え、
前記付与部は、前記認識部の認識結果に基づいて、前記第2面に前記第2情報を付する、請求項4に記載の混注装置。
【請求項7】
前記認識部は、前記輸液容器の、所定方向を向いた表面において反射した光を受ける受光部を備え、
前記認識部は、前記受光部の受光結果に基づいて、前記第1面が前記所定方向を向いているかを認識する、請求項6に記載の混注装置。
【請求項8】
前記認識部が、前記第1面が所定方向を向いていると認識した場合に、前記付与部は、前記所定方向以外の方向を向いた前記第2面に、前記第2情報を付する、請求項6に記載の混注装置。
【請求項9】
前記第2情報が前記輸液容器の表面に付与されているかを判定する判定部を備える、請求項1又は2に記載の混注装置。
【請求項10】
前記輸液容器から前記第2情報を読取る第2読取部を備え、
前記判定部は、前記第2読取部が前記第2情報を読取った場合に、前記第2情報が前記輸液容器の表面に付与されていると判定する、請求項9に記載の混注装置。
【請求項11】
前記第2情報は、前記輸液容器の表面に貼付されるラベルに示されており、
前記付与部は、前記ラベルを前記輸液容器の表面に貼付する貼付部を含み、
前記判定部は、前記ラベルが前記輸液容器の表面に貼付されていると判定した場合に、前記第2情報が前記輸液容器の表面に付与されていると判定する、請求項9に記載の混注装置。
【請求項12】
前記第2情報は、前記輸液容器の表面に貼付されるラベルに示されるものであり、
前記ラベルの貼付に関わる部材の故障、又は、前記ラベルの欠品を検出する検出部を備え、
前記判定部は、前記検出部が前記故障又は前記欠品を検出した場合に、前記ラベルが前記輸液容器の表面に貼付されていないものと判定する、請求項9に記載の混注装置。
【請求項13】
前記第2情報が付与された輸液容器を受入れる輸液受入棚を備え、
前記判定部が前記輸液容器の表面に前記第2情報が付与されていないと判定した場合、前記第2情報が付与されていない状態で、前記輸液受入棚に、前記輸液容器を払出す払出部を備える、請求項9に記載の混注装置。
【請求項14】
前記払出部は、前記輸液受入棚に収容されている、前記第2情報が付与されていない輸液容器の数が、所定数未満である場合に、前記第2情報が付与されていない輸液容器を前記輸液受入棚に払出す、請求項13に記載の混注装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、混注装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、混注装置の一例が開示されている。特許文献1の混注装置は、薬剤充填部及び混注処理部を備える。ユーザは、薬剤充填部の作業テーブル上に載置されたトレイの所定の位置に、薬剤容器、注射器を構成し得る各部材、及び輸液容器を載置した後、トレイを混注処理部に充填する。これにより、特許文献1の混注装置は、混注処理を開始できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-063313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には、製造時に輸液容器に貼付されたラベルと異なり、かつ当該ラベルに示された情報とは異なる情報が示されたラベルが、当該輸液容器に貼付されることについては、開示されていない。
【0005】
本発明の一態様は、輸液容器に元々付されている情報とは異なる情報を当該輸液容器に付することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る混注装置は、輸液を収容し、かつ、前記輸液の種類を示す第1情報が表面に付された輸液容器に、薬剤を注入する注入部と、前記第1情報とは異なる第2情報を、前記輸液容器の表面に付する付与部と、前記輸液容器から前記第1情報を読取る読取部と、を備え、前記付与部は、前記読取部が前記第1情報を読取った後、前記第2情報を前記輸液容器の表面に付する。
【0007】
また、本発明の一態様に係る混注装置は、輸液を収容し、かつ、前記輸液の種類を示す第1情報が表面に付された輸液容器に、薬剤を注入する注入部と、前記第1情報とは異なる第2情報を、前記輸液容器の表面に付する付与部と、を備え、前記付与部は、前記輸液容器の表面において、前記第1情報と重ならない位置に前記第2情報を付する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、輸液容器に元々付されている第1情報とは異なる第2情報を当該輸液容器に付することができる。また、第1情報とは異なる第2情報が輸液容器に付される場合であっても、第1情報を読取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の混注装置の全体構成の一例を示す斜視図である。
図2】混注装置を前方から見たときの、混注装置の概略的な内部構成の一例を示す斜視図である。
図3】混注装置を後方から見たときの、混注装置の概略的な内部構成の一例を示す斜視図である。
図4】混注装置の全体構成の一例を示すブロック図である。
図5】混注ユニットの構成の一例を示す斜視図である。
図6】混注ユニットの概略的な構成の一例を示す正面図である。
図7】注射器の針先位置の調整について説明するための図である。
図8】第2搬送部の構成の一例を示す図である。
図9】第1情報の読取位置について説明するための図である。
図10】注射器棚及びバイアル棚の全体構成の一例を示す斜視図である。
図11】第1搬送部側から見たときの1つの注射器棚及び1つのバイアル棚の構成の一例を示す図と、バイアル棚を説明するための図である。
図12】制御部がバイアルの回収指示を受付けた場合の、制御部の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13】輸液棚の構成の一例を示す斜視図である。
図14】押込部の具体的構成の一例を示す図である。
図15】押込搬送部の一例を示す側面図である。
図16】印刷・鑑査ユニットの全体構成の一例を示す斜視図である。
図17】印刷・鑑査ユニットを後方から見たときの斜視図である。
図18】印刷・鑑査ユニットの内部構成の一例を示す斜視図である。
図19】第1情報の読取りから第2ラベルの貼付けまでの動作例を説明するための図である。
図20】第1面に第1ラベルが貼付されている輸液容器の一例と、第2面に第2ラベルが貼付されている輸液容器の一例とを示す図である。
図21】輸液受入棚の一例を示す正面図である。
図22】輸液受入棚の一例を示す側面図である。
図23】レール部の形状の一例を示す図である。
図24】シャッターについて説明するための図である。
図25】輸液受入棚の変形例を示す図である。
図26】第2ラベルの貼付有無の判定、及び、当該判定に伴う制御部の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態1]
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。なお、各図面において、X軸およびY軸は、水平面(混注装置1の接地面)内における互いに垂直な2方向の軸である。X軸正方向を右方向、X軸負方向を左方向と称することもある。また、Y軸正方向を奥方向又は後方向、Y軸負方向を手前方向又は前方向と称することもある。Z軸はXY平面に対して鉛直に延びる軸であり、Z軸正方向を上方向、Z軸負方向を下方向と称することもある。
【0011】
〔混注装置の全体構成〕
図1は、混注装置1の全体構成の一例を示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係る混注装置1は、注射器棚10、バイアル棚20、輸液棚30、印刷・鑑査ユニット50、輸液受入棚60、ゴミ箱部70、タッチパネル80、及びボタン90を備える。
【0012】
混注装置1は、調製及び投薬に関するデータ(以降、調製・投薬データと称する)に示された薬剤と注射器と輸液とを用いて、薬剤と輸液とを混合する混注処理(混注動作)を実行する装置である。例えば、混注装置1は、注射器を用いて、調製・投薬データに示された薬剤を、当該薬剤が収容されたバイアル(薬剤容器の一例)から吸引し、当該注射器から輸液容器(輸液バッグ)に当該薬剤を注入することにより、混注処理を実行する。混注処理に用いられる輸液は、例えば、食塩水(生理用食塩水)又はブドウ糖を含む液体であってよい。
【0013】
混注処理の他の例には、注射器を用いてバイアルから薬剤を吸引して他のバイアルに注入する処理、又は注射器を用いて輸液容器から輸液を吸引してバイアルに注入する処理等も含まれる。バイアルに固体状の薬剤が収容されている場合、混注装置1は、注射器を用いて輸液容器から輸液を吸引して、当該バイアルに輸液を注入する。これにより、バイアルにおいて、固体状の薬剤を液体状にすることができる。その後、混注装置1は、注射器を用いて液体状の薬剤を輸液容器に注入する。
【0014】
混注装置1は、例えば、扉の開閉により、ユーザが注射器、バイアル及び輸液容器を混注装置1の内部に充填できる。後述の空気清浄部によって、混注装置1の内部を清浄な状態に保ち、混注処理時に薬剤及び輸液が汚染される可能性を低減している。また、混注装置1の内部を清浄な状態に保つために、混注装置1の内部は、陽圧に保たれている。
【0015】
また、上記調製・投薬データは、混注装置1の制御部140(図4参照)が混注処理及び第2ラベル(図20の符号1062参照)の印字処理を行うために必要とするデータであり、処方データに基づいて生成される。
【0016】
調製・投薬データには、例えば、混注処理に使用する薬剤の種類を示す情報、当該薬剤の処方量、注射器の種類を示す情報、輸液の種類を示す情報(輸液種類情報)、及び、輸液容器からの輸液の抜取量を示す情報が含まれる。
【0017】
さらに、調製・投薬データには、第2ラベルLA12に印字される情報として、薬剤が注入された輸液容器503に関する情報が含まれる。当該情報としては、処方属性情報、処方明細情報、処方の受付順を示すオーダー番号、及び、輸液種類情報(例:輸液名)等が含まれる。
【0018】
処方属性情報には、薬剤が処方された患者名及び患者ID、当該患者が入院する病棟名及び病室名、混注された薬剤を患者に投与する医療従事者が属する部署名、並びに、混注装置1が混注処理を実施した混注実施日(輸液容器に処方された薬剤が注入された日)等を示す情報が含まれる。
【0019】
処方明細情報には、Rp(recipe)番号、点滴の手技、ルート、薬剤名(薬剤の種類を示す情報の一例)、用法、用量、コメント等を示す情報が含まれる。Rpは、薬剤名、用法及び用量等を含む情報である。ルートは、薬剤が注入された輸液容器内の液体の、体内への取入れ先(例:抹消静脈又は内頸抹消)を示す情報である。
【0020】
薬剤が注入された輸液容器503に関する情報としては、少なくとも、薬剤名、患者名、病室名及び混注実施日を示す情報が含まれていればよい。
【0021】
注射器棚10は、混注装置1に充填された注射器を保管可能な器材保管棚である。注射器棚10には、注射器側扉16が設けられている。ユーザは、注射器側扉16を開閉することにより、注射器を注射器棚10に保持させることができる。
【0022】
バイアル棚20は、混注装置1に充填されたバイアルを保管可能な器材保管棚である。バイアル棚20には、バイアル側扉27が設けられている。ユーザは、バイアル側扉27を開閉することにより、バイアルをバイアル棚20に保持させることができる。
【0023】
輸液棚30は、混注装置1に充填された輸液容器を保管可能な輸液保管棚である。輸液棚30には、輸液側扉34が設けられている。ユーザは、輸液側扉34を開閉することにより、輸液容器を輸液側扉34に保持させることができる。
【0024】
注射器側扉16、バイアル側扉27及び輸液側扉34はそれぞれ、注射器棚10、バイアル棚20又は輸液棚30へのユーザのアクセスを遮断可能な扉である。混注装置1では、注射器側扉16、バイアル側扉27及び輸液側扉34のうち、1つの扉のみがロックが解除された状態となるように、後述する制御部140によって制御される。
【0025】
印刷・鑑査ユニット50は、第2ラベルLA12を印刷し、薬剤注入前又は薬剤注入後の輸液容器に貼付するユニットである。印刷・鑑査ユニット50は、不適情報ラベル(後述)を印刷し、薬剤注入後の輸液容器に貼付してもよい。また、印刷・鑑査ユニット50は、薬剤注入前後の輸液容器を計量するユニットである。
【0026】
輸液受入棚60は、第2ラベルLA12が貼付された薬剤注入後の輸液容器を受入れるユニットである。輸液受入棚60には、輸液受入扉61が設けられている。ゴミ箱部70は、使用済みの注射器を受入れる箱である。タッチパネル80は、ユーザによる各種操作を受付ける操作部と、各種情報を表示する表示部と、の機能を有する。操作部と表示部とが別の部材として設けられていてもよい。また、表示部に代えて、各種情報を提示する提示部(例:スピーカ)が設けられてもよい。
【0027】
ボタン90は、注射器側扉16、バイアル側扉27、輸液側扉34及び輸液受入扉61のそれぞれについて、ロックを解除するために、ユーザ操作を受付けることが可能な機械的なボタンである。注射器側扉16、バイアル側扉27、輸液側扉34及び輸液受入扉61のそれぞれに対応して1つずつ設けられている。注射器側扉16、バイアル側扉27、輸液側扉34及び輸液受入扉61は閉鎖状態となると、ロック機構(不図示)によりロックされる。注射器側扉16、バイアル側扉27、輸液側扉34及び輸液受入扉61は、ユーザがボタン90を押下したときのみロックが解除された状態となる。但し、後述の制御部140は、何れかの扉のロックを解除して開放状態とすることが可能となった場合、閉鎖状態でありかつロックされた状態の扉に対応するボタン90に対するユーザ操作を受付けても無効とする。これにより、制御部140は、ロックが解除された扉以外の扉について、閉鎖状態でありかつロックされた状態を維持する。
【0028】
なお、制御部140は、後述の第1搬送部110又は第2搬送部120がアクセス中である注射器棚10、バイアル棚20、輸液棚30又は輸液受入棚60の扉に対応するボタン90を押してもロックを解除しない。また、注射器棚10、バイアル棚20、輸液棚30及び輸液受入棚60のそれぞれに対応して、発光部材(不図示)が設けられてもよい。制御部140は、第1搬送部110又は第2搬送部120がアクセスする棚に対応する発光部材を点灯させてもよい。この場合、各扉のロック機構が必ずしも設けられていなくてもよい。
【0029】
〔混注装置の内部構成の概要〕
図2は、混注装置1を前方(手前側)から見たときの、混注装置1の概略的な内部構成の一例を示す斜視図である。図3は、混注装置1を後方(奥方向)から見たときの、混注装置1の概略的な内部構成の一例を示す斜視図である。
【0030】
図2及び図3に示すように、混注装置1は、上述した注射器棚10、バイアル棚20、輸液棚30、印刷・鑑査ユニット50、輸液受入棚60及びゴミ箱部70の他、混注ユニット40、第1搬送部110、第2搬送部120及び空気清浄部130を備える。
【0031】
混注ユニット40は、輸液を収容する輸液容器503に、薬剤を注入する注入部として機能する。混注ユニット40が輸液容器503に薬剤を注入することにより、輸液容器503内の輸液に薬剤が混合される。また、混注ユニット40は、輸液容器503から輸液を抜取る部材としても機能する。混注ユニット40は、輸液容器503から輸液を抜取ることにより、輸液をバイアル502に注入できる。これにより、バイアル502に収容されている固体状の薬剤を液体状にすることができる。本実施形態では、混注ユニット40は、注射器棚10及びバイアル棚20と、輸液棚30及び輸液受入棚60と、の間に位置している。
【0032】
第1搬送部110は、調製・投薬データに示された注射器501を注射器棚10から混注ユニット40へ、又は、調製・投薬データに示された薬剤が収容されたバイアルをバイアル棚20から混注ユニット40へと搬送する容器搬送部として機能する。調製・投薬データが入力されると、第1搬送部110は、注射器棚10に保管されている注射器501と、バイアル棚20に保管されているバイアル502とを、混注ユニット40へと搬送する。本実施形態では、第1搬送部110は、注射器棚10に保管されている注射器501の胴部の上部を掴み、注射器501を混注ユニット40に受渡す。同様に、第1搬送部110は、バイアル棚20に保管されているバイアル502の首部を掴み、バイアル502を混注ユニット40に受渡す。
【0033】
また、第1搬送部110は、注射器棚10に保管されている注射器501を混注ユニット40に搬送する前に、キャップ着脱部(不図示)に搬送する。これにより、第1搬送部110は、注射器501の針に取付けられた針キャップを外すことができると共に、針キャップが外された状態の注射器501を混注ユニット40に搬送できる。また、第1搬送部110は、混注処理後の注射器501及びバイアル502(不要になった注射器501及びバイアル502)をゴミ箱部70に搬送する。
【0034】
なお、第1搬送部110は、注射器501及びバイアル502を搬送する、注射器501及びバイアル502共用の搬送部であるが、これに限れられない。注射器501を搬送する専用の搬送部、及びバイアル502を搬送する専用の搬送部がそれぞれ設けられていてもよい。
【0035】
第2搬送部120は、調製・投薬データに示された輸液容器503を、輸液棚30、混注ユニット40、印刷・鑑査ユニット50及び輸液受入棚60の間で搬送する輸液容器搬送部として機能する。
【0036】
第2搬送部120は、輸液容器503を混注ユニット40へ搬送する。調製・投薬データが入力されると、第2搬送部120は、輸液棚30に保管されている輸液容器503を混注ユニット40へと搬送する。本実施形態では、第2搬送部120は、輸液棚30に保管されている輸液容器503の胴部を吸着し、混注ユニット40に受渡す。
【0037】
また、第2搬送部120は、輸液容器503を、混注ユニット40と印刷・鑑査ユニット50との間で搬送する。本実施形態では、例えば、第2搬送部120は、薬剤注入後の輸液容器503の胴部を吸着し、印刷・鑑査ユニット50に搬送する。
【0038】
また、第2搬送部120は、混注ユニット40により薬剤が注入された輸液容器503を、輸液受入棚60に受渡す受渡部として機能する。本実施形態では、第2搬送部120は、印刷・鑑査ユニット50により、第1情報とは異なる第2情報が付された(第2ラベルLA12、又は、第2ラベルLA12及び不適情報ラベルが貼付された)薬剤注入後の輸液容器503の胴部を吸着し、輸液受入棚60に受渡す。第1情報及び第2情報の詳細は後述する。
【0039】
空気清浄部130は、混注装置1内の空気を清浄化して排気する。本実施形態では、混注装置1の上部に設けられている。空気清浄部130が清浄化した空気は、混注装置1の上部から底部へと流れる。空気清浄部130は、例えば、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタを有する。
【0040】
なお、混注装置1における各部材の配置態様は、上述した配置態様に限られない。例えば、バイアル棚20は注射器棚10の上段に設けられてもよい。また、注射器棚10及びバイアル棚20と、輸液棚30、輸液受入棚60及び印刷・鑑査ユニット50と、の配置位置が逆であってもよい。また本実施形態では、注射器棚10、バイアル棚20及び輸液棚30がそれぞれ複数段設けられているが、それぞれ1段ずつ設けられる構成であってもよい。本実施形態では、輸液受入棚60は1段設けられているが、複数段設けられる構成であってもよい。また、印刷・鑑査ユニット50と輸液受入棚60との配置位置が逆であってもよい。混注装置1における各部材の配置態様は、ユーザの利便性、及び製造の容易性等を考慮して決定されればよい。
【0041】
また、混注装置1の側面(図2、紙面右側)に、注射器側扉16及び/又はバイアル側扉27が設けられていてもよい。後述するように、混注装置1の前面からは1つの注射器501及び1つのバイアル502が充填される。一方で、混注装置1の側面側からは、複数の注射器501又は複数のバイアル502を充填可能である。なお、輸液棚30が注射器棚10及びバイアル棚20と同様の構成の場合、混注装置1の側面側(図2、紙面左側)に、輸液側扉34を設けてもよい。
【0042】
〔その他の構成〕
図4は、混注装置1の全体構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、制御部140及び記憶部200を備える。なお、図4では、混注装置1が備えるハード構成のうち、制御部140が制御し得る主たるハード構成のみを図示している。
【0043】
制御部140は、調製・投薬データに基づいて、混注装置1の動作を統括して制御する。制御部140は、例えば、注射器搬送制御部141、バイアル搬送制御部142、第1搬送制御部143、混注ユニット制御部144、第2搬送制御部145、押込制御部147、印刷・鑑査ユニット制御部148、及びタッチパネル制御部149を備える。
【0044】
注射器搬送制御部141は、注射器棚10において、注射器501の搬送に関連する部材の動作を制御する。バイアル搬送制御部142は、バイアル棚20において、バイアル502の搬送に関連する部材の動作を制御する。混注ユニット制御部144は、混注ユニット40が備える部材の動作を制御する。
【0045】
第1搬送制御部143は、第1搬送部110が備える部材の動作を制御する。第1搬送制御部143は、例えば、注射器棚10、バイアル棚20、混注ユニット40、ゴミ箱部70及びキャップ着脱部(不図示)の間における第1搬送部110の移動を制御する。第2搬送制御部145は、第2搬送部120が備える部材の動作を制御する。第2搬送制御部145は、例えば、輸液棚30、混注ユニット40、印刷・鑑査ユニット50及び輸液受入棚60との間における第2搬送部120の移動を制御する。
【0046】
押込制御部147は、輸液棚30において、輸液容器503の搬送に関連する部材の動作を制御する。印刷・鑑査ユニット制御部148は、印刷・鑑査ユニット50が備える部材の動作を制御する。タッチパネル制御部149は、タッチパネル80を制御する。
【0047】
また、記憶部200には、制御部140が混注処理及び印字処理を行うためのデータが記憶される。記憶部200には、例えば、調製・投薬データが記憶される。
【0048】
〔混注ユニットの具体的構成〕
図5は、混注ユニット40の構成の一例を示す斜視図である。図6は、混注ユニット40の概略的な構成の一例を示す正面図であり、混注ユニット40の動作例を説明するための図である。図7は、注射器501の針先位置の調整について説明するための図である。
【0049】
図5に示すように、混注ユニット40は、注射器保持部41と、バイアル保持部42と、輸液容器保持部43と、栓位置検出部45と、第1検出部46と、を備える。
【0050】
注射器保持部41は、輸液容器503に薬剤を注入するための注射器501(第1搬送部110によって搬送された注射器501)を保持する部材である。注射器501は、シリンジ5011、針5014及びプランジャ5015を備える。プランジャ5015は、シリンジ5011に対して出入りする押し子である。プランジャ5015がシリンジ5011に対して出入りすることにより、薬剤等をシリンジ5011内に引入れたり、シリンジ5011内の薬剤等を排出したりすることができる。シリンジ5011は、針5014が装着される針側端部5012と、針側端部5012と反対側の端部であって、プランジャ5015が出入りする側の端部であるフランジ5013と、を備える。
【0051】
注射器保持部41は、針挟持部411と、位置固定部412と、第1シリンジ保持部416と、プランジャ挟持部417と、を備える。なお、本明細書において、対象物を挟持するものとして説明する部材はあくまで一例であり、当該部材は対象物を保持できる部材であればよい。
【0052】
針挟持部411は、針5014を挟持する部材である。針挟持部411は、針5014を挟持して、針5014の先端を決まった位置に位置させる。これにより、混注処理時に、曲がっている針5014であっても、輸液容器503に設けられた栓の所望の位置(正しい位置)に穿刺できる。
【0053】
第1シリンジ保持部416は、第1搬送部110が注射器棚10から搬送してきた注射器501を、最初に保持する部材である。第1シリンジ保持部416は、第1シリンジ保持部416に挿入されたシリンジ5011(例:シリンジ5011の下部)の側面を挟持する。
【0054】
位置固定部412は、針側端部5012とフランジ5013とにおいて、注射器501の延伸方向における注射器501の位置を固定する部材である。本実施形態では、位置固定部412を構成する第2シリンジ保持部413と第3シリンジ保持部414との相対的な位置は、注射器501の延伸方向に沿って変更できる。第2シリンジ保持部413及び第3シリンジ保持部414は、第2シリンジ保持部413及び第3シリンジ保持部414の少なくとも何れか一方が注射器501の延伸方向に沿って移動可能なように取り付けられている。
【0055】
本実施形態では、位置固定部412によって注射器501が保持されるとき、第2シリンジ保持部413が針側端部5012の下側から当接し、かつ、第3シリンジ保持部414がフランジ5013の上側から当接する。これにより、位置固定部412は、注射器501の延伸方向に沿って注射器501を挟持できる。位置固定部412は、注射器501の延伸方向に沿って挟持することによって、シリンジ5011の側面だけを挟持する場合よりも小さい力で、シリンジ5011を注射器501の延伸方向に滑らないように固定できる。さらに、側面の挟持によるシリンジ5011の変形がないため、スムーズなプランジャ5015の操作が可能となる。そのため、注射器501の吸引及び注入量の調整精度が高まる。
【0056】
プランジャ挟持部417は、プランジャ5015を挟持する部材である。本実施形態では、プランジャ挟持部417は、プランジャ5015の先端部を挟持する。プランジャ挟持部417が、針挟持部411、位置固定部412及び第1シリンジ保持部416に対して上下方向に移動することにより、シリンジ5011に対してプランジャ5015を移動させることができる。
【0057】
バイアル保持部42は、輸液容器503に注入される薬剤を収容するバイアル502(第1搬送部110によって搬送されたバイアル502)を保持する部材である。本実施形態では、バイアル保持部42は、バイアル502の首部を挟持する。
【0058】
輸液容器保持部43は、輸液容器503(第2搬送部120によって搬送された輸液容器503)を保持する部材である。本実施形態では、輸液容器保持部43は、輸液容器503の首部を挟持する輸液挟持部431と、輸液容器503から輸液を抜取るとき、又は、輸液容器503に輸液を注入するときに輸液容器503が載置される載置台432と、を備える。
【0059】
図5及び図6に示すように、混注ユニット40は、輸液棚30の側壁に設けられている。具体的には、混注装置1において、混注ユニット40は、注射器保持部41、バイアル保持部42及び輸液容器保持部43が注射器棚10及びバイアル棚20の方向(+X軸方向)を向くように配置されている。
【0060】
また、図6に示すように、注射器保持部41は、上下方向(±Z軸方向)に移動可能である。これにより、注射器保持部41が保持する注射器501の直下に位置するバイアル502又は輸液容器503に、針5014を穿刺できる。
【0061】
また、バイアル保持部42及び輸液容器保持部43は、混注装置1の前後方向(±Y軸方向)に移動可能である。本実施形態では、バイアル保持部42及び輸液容器保持部43は基部44に取り付けられており、基部44が混注装置1の前後方向に移動する。基部44は、バイアル保持部42及び輸液容器保持部43を、注射器保持部41によって保持された注射器501の針5014の延伸方向(±Z軸方向)と直交する方向(±Y軸方向)に移動させる移動部として機能する。当該針5014の延伸方向と直交する方向を、単に針5014との直交方向と称することもある。
【0062】
これにより、バイアル保持部42及び輸液容器保持部43は、図6の符号1001に示す位置と、図6の符号1002に示す位置との間で移動できる。図6の符号1001に示す位置は、針5014をバイアル502に穿刺するときの第1穿刺位置であり、図6の符号1002に示す位置は、針5014を輸液容器503に穿刺するときの第2穿刺位置である。従って、注射器保持部41に保持された注射器501の針5014の穿刺位置に、バイアル保持部42に保持されたバイアル502、又は、輸液容器保持部43に保持された輸液容器503を位置させることができる。
【0063】
なお、基部44は上記移動部の一例であって、上記移動部は基部44に限らず、バイアル保持部42及び輸液容器保持部43を、針5014との直交方向に移動させる部材であればよい。また、上記移動部は、注射器保持部41を、バイアル保持部42及び輸液容器保持部43に対して、針5014との直交方向に移動させるものであってもよい。上記移動部は、バイアル保持部42及び輸液容器保持部43を、注射器保持部41に対して相対的に移動させることができればよい。
【0064】
また、図6の符号1002に示すように、混注ユニット40は、回転軸Ax周りに(Axを回転軸として)回転可能に設けられている。回転軸Axは、注射器保持部41、バイアル保持部42及び輸液容器保持部43が設けられた台座に対して垂直方向(±X軸方向)に延伸する軸である。
【0065】
図6の符号1001に示す第1穿刺位置において、混注ユニット40が回転軸Ax周りに回転することにより、バイアル502を注射器501よりも上側に移動させることができる。図6の符号1002に示す第2穿刺位置において、混注ユニット40が回転軸Ax周りに回転することにより、輸液容器503を注射器501よりも上側に移動させることができる。これらの状態において、混注ユニット40は、プランジャ5015を下方向に移動させることにより、バイアル502に収容された薬剤、又は、輸液容器503に収容された輸液を、シリンジ5011に移動させることができる。
【0066】
なお、シリンジ5011に収容された輸液は、図6の符号1001の状態(バイアル502が注射器501の直下に位置する状態)において、バイアル502に注入される。同様に、シリンジ5011に収容された薬剤は、図6の符号1002の状態(輸液容器503が注射器501の直下に位置する状態)において、輸液容器503に注入される。
【0067】
図6に示すように、輸液容器503は、第1面SF1及び第2面SF2を有している。第1面SF1及び第2面SF2は、輸液容器503において互いに反対側の面であって、輸液容器503の主面である。輸液容器503の主面とは、輸液容器503を構成する複数の面のうち、面積が広い面を指す。
【0068】
輸液棚30において、輸液容器503は、輸液容器503の第1面SF1及び第2面SF2が所定方向を向くように保管される。本実施形態では、輸液容器503は、第1面SF1が混注装置1の奥方向を向き、第2面SF2が混注装置1の手前方向を向くようにして、輸液棚30のレール部36に保持される。そして、第2搬送部120は、輸液棚30において第1面SF1を吸引して輸液容器503を保持し、その向きを変更することなく輸液容器503を輸液容器保持部43に搬送して受渡す。その後、輸液容器503から輸液を抜取るために、混注ユニット40が回転軸Ax周りに回転する。これにより、輸液容器503は、第2面SF2が載置台432に当接した状態で、載置台432に載置される。
【0069】
このように、載置台432は、水平面(XY平面)において、上記所定方向(±Y軸方向)と直交する回転軸Ax周りに回転する。そのため、上述したように、輸液棚30から搬送された輸液容器503の向きを変更することなく、載置台432に輸液容器503を載置できる。従って、輸液容器503を載置台432に載置するために、混注装置1に、輸液容器503の向きを変更する機構を設ける必要が無い。
【0070】
また、載置台432の表面はX軸方向に略平行である。そのため、混注ユニット40を回転軸Ax周りに回転させて、混注ユニット40の回転位置を調整することにより、輸液容器503の向きを変更しなくても、載置台432の表面を、輸液容器503の第1面SF1及び第2面SF2が向いている所定方向に向けることができる。載置台432の表面と輸液容器503の第1面SF1及び第2面SF2とを同一方向に向けることにより、輸液容器503を載置台432に当接させたときに、輸液容器503の形状が崩れることを緩和できる。また、輸液容器503を載置台432に当接させたときに、輸液容器503において液体が収容された部分(例:輸液容器503の胴部)の位置が移動することを緩和できる。
【0071】
図5に戻り、栓位置検出部45は、バイアル保持部42に保持されたバイアル502のゴム栓5021の位置を検出するセンサである。ゴム栓5021は、バイアル502の上面部に設けられ、針5014が穿刺される部材である。本実施形態では、栓位置検出部45は、図6の符号1002に示す第2穿刺位置においてバイアル保持部42の直上となる位置に配置されている。栓位置検出部45は、例えば測距センサであってよい。
【0072】
第1検出部46は、注射器保持部41に保持された注射器501の針5014の針先を検出する。注射器保持部41は、バイアル保持部42に保持されたバイアル502、又は、輸液容器保持部43に保持された輸液容器503に針5014を穿刺するときに、下方向に移動する。第1検出部46は、この下方向の移動に伴い移動してきた針5014の針先を検出する。第1検出部46は、例えば、針5014において反射した光を受光する受光部を備える光センサであってよい。
【0073】
上下方向における、栓位置検出部45が対象物を検出する位置と、第1検出部46が対象物を検出する位置と、の間の距離を示す基準距離情報は、予め記憶部200に記憶されている。混注ユニット制御部144は、栓位置検出部45が検出した、栓位置検出部45からゴム栓5021までの距離と、基準距離情報が示す距離との差分から、第1検出部46の前方を通過した針5014の位置からゴム栓5021までの距離を算出できる。
【0074】
上述したように、バイアル保持部42は、上記針5014との直交方向(±Y軸方向)に移動する。そのため、図6の符号1001に示す第1穿刺位置と、図6の符号1002に示す第2穿刺位置とにおいて、上下方向におけるバイアル502の位置はほぼ同じである。そのため、第2穿刺位置において栓位置検出部45が検出したゴム栓5021の位置は、第1穿刺位置においても適用できる。従って、混注ユニット制御部144は、算出した距離の分、第1検出部46の前方を通過した針5014を下方向に移動させることにより、針5014の針先のみをゴム栓5021に穿刺できる。
【0075】
針5014の針先をバイアル502の内部に深く穿刺すると、バイアル502に収容された薬剤の全てを注射器501に吸引できない。上述のように精度よく針先をバイアル502に穿刺することにより、バイアル502に収容された薬剤のほとんどを注射器に501に吸引できる。
【0076】
さらに、図7に示すように、混注ユニット40は、第2検出部47を備えていてもよい。第2検出部47は、第1検出部46の直上において、注射器保持部41を検出するセンサである。第2検出部47は、第1検出部46と同様、光センサであってよい。第1検出部46及び第2検出部47を用いることにより、混注ユニット制御部144は、注射器保持部41に保持された注射器501の針5014の先端位置を検出できる。
【0077】
具体的には、図7の符号1011に示すように、治具601(基準注射器)を注射器保持部41に取付けた後、注射器保持部41を所定速度Vで下方向に移動させる。混注ユニット制御部144は、第2検出部47が注射器保持部41を検出したときから、第1検出部46が治具601の針を検出するまでの第1検出時間T1を測定する。第2検出部47が注射器保持部41を検出したときの治具601の針の先端位置を人などが測定し、記憶部200に予め記憶しておく。先端位置の測定基準となる位置は任意に設定できる。
【0078】
図7の符号1012に示すように、混注処理で実際に使用する注射器501を注射器保持部41に取付けた状態で、注射器保持部41を所定速度Vで下方向に移動させる。混注ユニット制御部144は、第2検出部47が注射器保持部41を検出したときから、第1検出部46が針5014を検出するまでの第2検出時間T2を測定する。その結果、混注ユニット制御部144は、(第2検出時間T2-第1検出時間T1)×所定速度Vと、記憶部200に予め記憶した治具601の針の先端位置とから、混注処理で実際に使用する注射器501を保持した状態の注射器保持部41が第2検出部47で検出されたときの、混注処理で実際に使用する注射器501の針5014の先端位置を求めることができる。
【0079】
〔第2搬送部の具体的構成〕
図8は、第2搬送部120の構成の一例を示す図である。第2搬送部120は、例えば、調製・投薬データに示された輸液容器503に薬剤を注入するために、輸液棚30から当該輸液容器503を取出す部材である。第2搬送部120は、吸着部121と、第3読取部122(読取部)と、を備える。
【0080】
吸着部121は、輸液容器503の胴部5031を吸着する部材である。吸着部121は輸液容器503を保持する保持部材の一例であり、第2搬送部120が輸液容器503を保持できれば、当該保持部材は吸着部121でなくてもよい。第2搬送制御部145は、吸着部121における空気圧を制御することにより、輸液容器503を脱着する。
【0081】
本実施形態では、吸着部121は、第2搬送部120における輸液容器503と対向する位置において、上下方向に沿って3つ設けられている。3つの吸着部121は、主吸着部121Aと、2つの副吸着部121Bとを含む。
【0082】
主吸着部121Aは、第2搬送部120が輸液容器503を保持するときに、輸液容器503を吸着するために常時使用されるものである。主吸着部121Aは、混注装置1に保管され得る、大きさが互いに異なる複数種類の輸液容器503の全てと対向可能な位置に設けられている。2つの副吸着部121Bは、輸液容器503の上下方向の大きさに応じて、主吸着部121Aと共に輸液容器503を吸着する。従って、2つの副吸着部121Bの少なくとも何れかは、輸液容器503の大きさによっては、輸液容器503を吸着しない場合がある。
【0083】
第2搬送部120が輸液容器503を保持するときに、主吸着部121Aが常時使用されるように、輸液容器503の吸着場所(例:輸液棚30及び混注ユニット40)と第2搬送部120との位置関係が予め決められている。
【0084】
制御部140は、第2搬送部120が搬送している最中の輸液容器503の種類を揮発性メモリに記憶している。そのため、第2搬送部120が輸液容器503を搬送している最中に停電等で混注装置1の電源がオフになった場合、制御部140は、第2搬送部120が保持している輸液容器503の種類を管理できなくなる可能性がある。このような場合、電源投入後の混注装置1において、印刷・鑑査ユニット50は、第2搬送部120が保持している輸液容器503に対して、当該輸液容器503を用いた混注処理が正しく実行されなかった可能性があることを示す情報が印字されたラベルを貼付する。当該情報は、第1情報(後述)とは異なる第2情報の一例であってよく、この場合、当該ラベルは、第2情報を示したラベルであって、第2ラベルLA12と同様、第1ラベルLA11(図20の符号1061参照)と重ならない位置に貼付されてよい。
【0085】
このとき、上記ラベルは、第2面SF2における主吸着部121Aと対向する領域Ar11に貼付される。上記ラベルを領域Ar11に貼付可能なように、主吸着部121Aと印刷・鑑査ユニット50のガイド部56(後述)との位置関係が予め決められている。第2面SF2のうち、吸着部121で吸着されている部分の対面は、動きにくくラベルをより確実に貼り付けることができる。領域Ar11は、どの輸液容器503でも吸着されている部分の対面である。よって、領域Ar11をラベル貼付位置とすることで、どのような輸液容器503が第2搬送部120に保持されていてもラベルをより確実に貼り付けることができる。
【0086】
なお、上記ラベルは、ユーザにより貼付されてもよい。また、上記ラベルの少なくとも一部が領域Ar11に貼付されてもよい。また、吸着部121の数は3つに限られず、1つであってもよいし、3つ以外の複数であってもよい。吸着部121が複数設けられている場合、少なくとも1つが主吸着部121Aであればよい。
【0087】
第3読取部122は、輸液容器503の胴部5031に貼付された第1ラベルLA11(図20の符号1061参照)に含まれる第1情報を読取る。第1ラベルLA11は、輸液容器503を提供する製薬メーカーによって、輸液容器503に予め貼付されているラベルであり、輸液ラベルとも称される。第3読取部122が読取る第1情報は、例えば、輸液の種類を示す輸液種類情報である。
【0088】
本実施形態では、第3読取部122は、輸液容器503の表面において反射した光を受光する受光部1222を備える。第3読取部122が、例えば、輸液棚30に保管されている輸液容器503の表面に対して光を出射する光出射部1221を備える場合、受光部1222は、光出射部1221が出射した光が輸液容器503の表面において反射し、その反射した光を受光してもよい。第3読取部122は、受光部1222が受光した光の光量の変化に基づいて、第1情報を読取る。バーコードに第1情報が含まれている場合、第3読取部122は、バーコードリーダにより実現されてもよい。
【0089】
また本実施形態では、第3読取部122は、輸液容器503の第1面SF1の向きを認識する認識部として機能する。具体的には、第3読取部122は、受光部1222が受光した光の光量の変化に基づいて、第1面SF1の向きを認識する。この場合、第3読取部122は、光学部材として機能することにより、第1面SF1の向きを認識できる。本実施形態では、第3読取部122が第1情報を読取ることができた場合に、制御部140は、第1面SF1の向きが所定方向であると認識する。本実施形態では、当該所定方向は、混注装置1の奥方向(輸液棚30から見て第3読取部122がある方向)である。
【0090】
第3読取部122は、第2搬送部120が輸液棚30から輸液容器503を取出すときに、輸液棚30に保管された状態の輸液容器503から、第1ラベルLA11に含まれる第1情報を読取る。本実施形態では、第1面SF1に第1ラベルLA11が貼付されている。そのため、第3読取部122は、第2搬送部120が輸液棚30から輸液容器503を取出すときに、第2搬送部120と第1ラベルLA11とが対向するように輸液容器503が輸液棚30に保管されている場合に、第1面SF1の向きが混注装置1の奥方向であると認識できる。
【0091】
なお、制御部140は、第3読取部122が第1情報を読取った結果、第1情報が示す輸液の種類が、調製・投薬データで示された輸液の種類と同一であるかを判定する。制御部140は、上記2つの種類が同一であると判定した場合、同一でない旨のエラーを報知せずに、混注ユニット40等に輸液容器503を搬送する。一方、制御部140は、上記2つの種類が同一ではないと判定した場合、エラーを報知してもよいし、輸液受入棚60に配置して、別の輸液容器503を輸液棚30から取出してもよい。
【0092】
(第1情報の読取位置の変更例1)
第3読取部122による第1情報の読取位置は、第3読取部122の読取対象となる輸液容器503の種類毎に予め設定されている。読取位置は、例えば、第1面SF1において第1情報が付された位置、及び、輸液棚30における輸液容器503の保管位置(充填位置)に基づいて、予め設定されている。輸液容器503の保管位置は、第2搬送部120が輸液棚30から輸液容器503を取出す取出位置における輸液容器503の位置である。輸液容器503の保管位置は、複数の輸液棚30のうちの、取出対象の輸液容器503が保管された輸液棚30での取出位置における、輸液容器503の位置である。取出位置は、輸液棚30が備えるレール部36の奥側端部362(図13参照)に相当する位置である。
【0093】
読取位置を示す情報は、記憶部200に記憶されている。そのため、第2搬送制御部145は、記憶部200を参照することにより、第2搬送部120が取出対象とする輸液容器503と対向する位置において、当該輸液容器503に付された第1情報を読取る位置に、第2搬送部120を移動できる。
【0094】
第2搬送制御部145は、第2搬送部120が輸液棚30から輸液容器503を取出すときに、上記読取位置(登録位置)を初期読取位置として、第1情報の読取りを実行する。第2搬送制御部145は、第3読取部122が初期読取位置において第1情報を読取ることができなかった場合、読取位置を移動させる。本実施形態では、第2搬送部120を移動させることにより、読取位置を移動させる。読取位置を移動させる方向、及び、1回あたりの移動において読取位置を移動させる距離は、任意に設定できる。
【0095】
第2搬送制御部145は、読取位置を移動させながら、第3読取部122による読取りを実行する。そして、第2搬送制御部145は、第3読取部122が第1情報を読取ることができた範囲を特定し、記憶部200に記憶されている読取位置を示す情報を、当該範囲の中央位置を示す情報に書換える。
【0096】
従って、第3読取部122は、以降の処理において、読取位置を変更した輸液容器503に収容された輸液と同種の輸液を収容した輸液容器503から第1情報を読取る場合に、変更後の読取位置を用いて第1情報の読取処理を実行する。そのため、輸液容器503に貼付された第1ラベルLA11のレイアウトが変更される等して、輸液容器503における第1情報の位置が変更された場合であっても、変更後の第1情報の位置にあわせて読取位置を変更できる。
【0097】
(第1情報の読取位置の変更例2)
第2搬送制御部145は、第3読取部122が、予め設定されている読取位置において第1情報を読取ることができなかった場合、第2搬送部120(向き変更部)を制御して、第3読取部122の向きを変えてもよい。
【0098】
輸液棚30において、輸液容器503はレール部36に吊下げられた状態で保管されている。そのため、輸液容器503は、上下方向に平行な軸線を回転軸として回転してしまう虞がある。この回転により、上記取出位置において、第1面SF1が混注装置1の奥方向を向いていない虞がある。そのため、第1情報の位置が左右方向にずれてしまうことを原因として、第3読取部122が第1情報を、予め設定されている読取位置(初期読取位置)で読取ることができない虞がある。
【0099】
上記のように、第3読取部122の向きを変えることにより、第1面SF1が混注装置1の奥方向を向いていない場合であっても、第3読取部122が第1情報を読取ることができる可能性を高めることができる。例えば、第3読取部122の向きを、第1情報を読取る輸液容器503の幅方向に沿って変更してもよい。本実施形態では、当該輸液容器503の幅方向は、混注装置1の左右方向である。
【0100】
図9は、第1情報の読取位置について説明するための図である。本実施形態では、第3読取部122が、初期読取位置で第1情報を読取ることができなかった場合、図9の符号1021に示すように、第2搬送部120が左右方向に移動することにより、第3読取部122を、輸液容器503の幅方向に移動させる。これにより、第2搬送部120は、読取位置を、輸液容器503の幅方向に移動させることができる。
【0101】
また、図9の符号1022に示すように、第3読取部122を、上下方向に平行な軸線を回転軸として回転させることにより、読取位置を、輸液容器503の幅方向に移動させてもよい。第2搬送部120の動作により、第3読取部122を当該回転軸周りに回転させてもよいし、第2搬送部120が、第3読取部122を当該回転軸周りに回転させる機構を有していてもよい。
【0102】
また、第2搬送制御部145は、第3読取部122の向きを輸液容器503の幅方向に沿って変更しても、第3読取部122が第1情報を読取ることができなかった場合、当該向きを、第1情報を読取る輸液容器503の高さ方向に沿って変更してもよい。本実施形態では、当該輸液容器503の高さ方向は、混注装置1の上下方向である。これにより、第3読取部122が第1情報を読取ることができる可能性を更に高めることができる。
【0103】
本実施形態では、第3読取部122が、図9の符号1023に示すように、第2搬送部120が上下方向に移動することにより、第3読取部122を、輸液容器503の高さ方向に移動させる。これにより、第2搬送部120は、読取位置を、輸液容器503の高さ方向に移動させることができる。
【0104】
また、第2搬送制御部145は、読取位置と第1情報とが対向するように、第3読取部122の向きを変更してもよい。これにより、第3読取部122が第1情報を読取ることができる可能性を更に高めることができる。
【0105】
本実施形態では、図9の符号1024に示すように、上方から見たときに、第3読取部122が、上記取出位置において輸液容器503の首部が位置する位置を中心として、略円弧状に移動する。これにより、第2搬送部120は、読取位置を、第1情報と対向させるように移動させることができる。第2搬送部120の動作により、第3読取部122を略円弧状に移動させてもよいし、第2搬送部120が、第3読取部122を略円弧状に移動させる機構を有していてもよい。
【0106】
〔注射器棚の具体的構成〕
図10は、注射器棚10及びバイアル棚20の全体構成の一例を示す斜視図である。図11の符号1025は、第1搬送部110側から見たときの1つの注射器棚10及び1つのバイアル棚20の構成の一例を示す図である。図11の符号1026は、バイアル棚20を説明するための図である。
【0107】
図10に示すように、注射器棚10は、複数の器材保持部11と、器材搬送部12と、対象物検出部13と、注射器検出部14と、を備える。なお、図10に示す器材搬送部12の取付部1211にも器材保持部11が取り付けられているが、その図示は省略している。
【0108】
混注処理に先立ち、注射器棚10には、ユーザにより注射器501が充填されている。注射器501は、針5014に針キャップ5016が取付けられた状態で注射器棚10に充填される。
【0109】
本実施形態では、各注射器棚10を規定する板状部材171には、複数の孔172が形成されている。これにより、例えば、空気清浄部130(図2参照)が清浄化した空気を、混注装置1の上部から底部へと、効率良く流すことが可能となる。
【0110】
複数の器材保持部11は、注射器501を保持可能な部材である。本実施形態では、1つの器材保持部11に1つの注射器501が保持されるが、1つの器材保持部11に複数の注射器501が保持されてもよい。本実施形態では、図11に示すように、器材保持部11は、フリーローラ1111と、器材挟持部1112と、を備える。
【0111】
器材挟持部1112は、注射器501を挟持する。本実施形態では、器材挟持部1112は、注射器501のフランジ5013を挟持する。器材挟持部1112は、器材保持部11に注射器501が保持されたときに、注射器501が板状部材171に触れない程度の高さに設けられている。
【0112】
一対の器材挟持部1112は、注射器501を挟持可能なように、互いに近づく方向に付勢されている。本実施形態では、器材挟持部1112は、フランジ5013を挟持していない状態において、フランジ5013の幅よりも小さい程度に離隔している。器材挟持部1112の間にフランジ5013が挿入されると、器材挟持部1112は、フランジ5013の形状にあわせて移動する。これにより、器材挟持部1112は、注射器501を挟持できる。
【0113】
器材挟持部1112の先端部の下には、上下方向に延伸する回転軸を有し、XY平面上においてに回転可能なフリーローラ1111が設けられている。フリーローラ1111は、器材挟持部1112により挟持されたシリンジ5011の、フランジ5013近傍を保持する。
【0114】
器材搬送部12は、作業領域Ar1に、複数の器材保持部11のうちの少なくとも1つを搬送する部材である。本実施形態では、器材搬送部12は、複数の器材保持部11が接続された無端状の回転部材(回転ベルト)である。そのため本実施形態では、器材搬送部12は、器材保持部11を1つずつ作業領域Ar1に搬送する。但し、器材搬送部12は、複数の器材保持部11を一度に作業領域Ar1に搬送する搬送部であってもよい。
【0115】
作業領域Ar1は、複数の器材保持部11のうちの少なくとも1つに対してユーザが注射器501を保持させる領域である。また作業領域Ar1は、複数の器材保持部11のうちの少なくとも1つの器材保持部11に保持された注射器501をユーザが取外す領域である。本実施形態では、作業領域Ar1は、1つの器材保持部11に対してユーザが注射器501を保持させると共に、1つの器材保持部11に保持された注射器501をユーザが取外す領域である。
【0116】
なお、作業領域Ar1は、複数の器材保持部11のうちの少なくとも1つに対してユーザが注射器501を保持させる領域としてのみ機能してもよい。この場合、器材保持部11に保持された注射器501をユーザが取外す領域は、作業領域Ar1とは別の位置に設けられていてもよい。また、作業領域Ar1は、器材保持部11に保持された注射器501をユーザが取外す領域としてのみ機能してもよい。この場合、ユーザが注射器501を器材保持部11に保持させる領域は、作業領域Ar1とは別の位置に設けられていてもよい。
【0117】
また本実施形態では、器材搬送部12は、対象物検出部13が、対象物(例:ユーザの手)を検出後、対象物を検出しなくなったというユーザの動作検出を契機として、作業領域Ar1に位置する器材保持部11に代えて、別の器材保持部11を搬送する。この場合、ユーザの手が作業領域Ar1に挿入され、ユーザが注射器501を器材保持部11に保持させた後、ユーザの手が作業領域Ar1から離れたときに、器材搬送部12は作業領域Ar1に別の器材保持部11を搬送する。また、器材搬送部12は、ユーザの動作検出に加え、注射器検出部14が器材保持部11に保持された注射器501を検出したこと、又は、注射器検出部14が器材保持部11に保持された注射器501が検出できなくなったことを契機として、作業領域Ar1に別の器材保持部11を搬送してもよい。
【0118】
なお、器材搬送部12は、ユーザの搬送指示を契機として、作業領域Ar1に位置する器材保持部11に代えて、別の器材保持部11を搬送してもよい。この場合、注射器搬送制御部141は、例えばタッチパネル80を介してユーザの搬送指示を受付けてよい。
【0119】
器材搬送部12は、例えば反時計回りに回転することにより、作業領域Ar1に位置する器材保持部11を変更する。この搬送動作により、作業領域Ar1において注射器501が保持された器材保持部11に代えて、注射器501が保持されていない別の器材保持部11を、作業領域Ar1に搬送できる。
【0120】
対象物検出部13は、作業領域Ar1に挿入された対象物を検出する部材である。本実施形態では、対象物検出部13は、作業領域Ar1に挿入された状態のユーザの手又は腕を検出する。注射器検出部14は、作業領域Ar1に位置する器材保持部11に保持された注射器501を検出する部材である。本実施形態では、注射器検出部14は、器材保持部11に注射器501が保持されている場合、シリンジ5011を検出する。
【0121】
〔バイアル棚の具体的構成〕
図10及び図11の符号1025に示すように、バイアル棚20は、複数の器材保持部21と、器材搬送部22と、対象物検出部23と、バイアル検出部24と、を備える。また、図11の符号1025に示すように、第1読取部25(読取部)と、ローラ駆動部26と、を備える。なお、図10に示す器材搬送部22の取付部221にも器材保持部21が取り付けられているが、その図示は省略している。
【0122】
混注処理に先立ち、バイアル棚20には、ユーザによりバイアル502が充填されている。バイアル502には、開口を塞ぐゴム栓5021(図5参照)とゴム栓5021に被せられた蓋とが設けられている。バイアル502は、当該蓋をとった状態でバイアル棚20に充填される。また、注射器棚10と同様、各バイアル棚20を規定する板状部材171には、複数の孔172が形成されている。
【0123】
器材保持部21は、バイアル502を保持可能な部材である。本実施形態では、1つの器材保持部21に1つのバイアル502が保持されるが、1つの器材保持部21に複数のバイアル502が保持されてもよい。
【0124】
本実施形態では、図11に示すように、器材保持部21は、フリーローラ211と、器材挟持部212と、駆動ローラ213と、第1マグネットギア214と、を備える。
【0125】
器材挟持部212は、バイアル502を挟持する。本実施形態では、器材挟持部212は、バイアル502の首部を挟持する。器材挟持部212は、器材保持部21にバイアル502が保持されたときに、バイアル502が板状部材171に触れない程度の高さに設けられている。
【0126】
一対の器材挟持部212は、バイアル502を挟持可能なように、互いに近づく方向に付勢されている。本実施形態では、器材挟持部212は、バイアル502の首部を挟持していない状態において、当該首部の幅よりも小さい程度に離隔している。器材挟持部212の間に当該首部が挿入されると、器材挟持部212は、当該首部の形状にあわせて移動する。これにより、器材挟持部212は、バイアル502を挟持できる。
【0127】
器材挟持部212の先端部には、上下方向に延伸する回転軸を有し、XY平面上においてに回転可能なフリーローラ211が設けられている。図11の符号1026に示すように、フリーローラ211は、器材挟持部212が軸支されている側であって、フリーローラ211の中央部と対向する位置に設けられた駆動ローラ213と共に、バイアル502の首部を3点で支持することにより、バイアル502を保持する。バイアル502を保持した状態で駆動ローラ213が回転すると、バイアル502も回転する。この回転に伴い、フリーローラ211も回転する。
【0128】
駆動ローラ213の上部には、第1マグネットギア214が設けられている。駆動ローラ213と第1マグネットギア214とは、上下方向に延伸する共通の回転軸に接続されており、XY平面上において回転可能である。ローラ駆動部26が備える第2マグネットギア261の回転に伴い第1マグネットギア214が回転することにより、駆動ローラ213も回転する。
【0129】
器材搬送部22は、作業領域Ar2に、複数の器材保持部21のうちの少なくとも1つを搬送する部材である。本実施形態では、器材搬送部22は、複数の器材保持部21が接続された無端状の回転部材である。そのため、本実施形態では、器材搬送部22は、器材保持部21を1つずつ作業領域Ar2に搬送する。但し、器材搬送部22は、複数の器材保持部21を一度に作業領域Ar2に搬送する搬送部であってもよい。
【0130】
作業領域Ar2は、作業領域Ar1と同様、複数の器材保持部21のうちの少なくとも1つに対してユーザがバイアル502を保持させる領域である。また作業領域Ar2は、複数の器材保持部21のうちの少なくとも1つの器材保持部21に保持されたバイアル502をユーザが取外す領域である。また、作業領域Ar2は、作業領域Ar1と同様、バイアル502を保持させる領域としてのみ機能する領域、又は、バイアル502を取外す領域としてのみ機能する領域であってもよい。
【0131】
本実施形態では、器材搬送部22は、器材搬送部12と同様の機能を有する。具体的には、器材搬送部22は、対象物検出部23が、対象物(例:ユーザの手)を検出後、対象物を検出しなくなったというユーザの動作検出を契機として、作業領域Ar2に位置する器材保持部21に代えて、別の器材保持部21を搬送する。また、器材搬送部12は、ユーザの動作検出に加え、バイアル検出部24が器材保持部21に保持されたバイアル502を検出したこと、又は、バイアル検出部24が器材保持部21に保持されたバイアル502が検出できなくなったことを契機として、作業領域Ar2に別の器材保持部11を搬送してもよい。器材搬送部12は、例えば反時計回りに回転することにより、作業領域Ar2に位置する器材保持部21を変更する。
【0132】
また、バイアル搬送制御部142は、注射器搬送制御部141と同様、例えばユーザの搬送指示を契機として、作業領域Ar2に位置する器材保持部21に代えて、別の器材保持部21を搬送してもよい。
【0133】
対象物検出部23は、作業領域Ar2に挿入された対象物を検出する部材である。本実施形態では、対象物検出部23は、作業領域Ar2に挿入された状態のユーザの手又は腕を検出する。バイアル検出部24は、作業領域Ar2に位置する器材保持部21に保持されたバイアル502を検出する。
【0134】
第1読取部25は、器材搬送部22が複数の器材保持部21を搬送する搬送経路の一部において、バイアル502の表面に示された、バイアル502に収容された薬剤の種類を示す種類情報を読取る部材である。バイアル502には、種類情報が記録されたバーコードが付されていてよい。この場合、第1読取部25は、バーコードリーダであってよい。図11の符号1025に示すように、第1読取部25は、取出位置PO11に搬送されたバイアル502のバーコードを読取可能な位置に配置されている。取出位置PO11は、第1搬送部110がバイアル502を取出す位置である。
【0135】
ローラ駆動部26は、器材保持部21の駆動ローラ213を回転させるために、ローラ駆動部26に取付けられた第2マグネットギア261を回転させるモータである。ローラ駆動部26の回転軸はY軸方向に延伸しており、当該回転軸に第2マグネットギア261が取付けられている。バイアル搬送制御部142がローラ駆動部26を駆動させると、第2マグネットギア261も回転する。第2マグネットギア261の回転に連動して、第1マグネットギア214が回転する。第1マグネットギア214の回転に連動して、第1マグネットギア214と共通の回転軸に接続された駆動ローラ213が回転することにより、駆動ローラ213に当接しているバイアル502が回転する。このようにバイアル502が回転することにより、バイアル502の表面のどの位置にバーコードが付されている場合であっても、第1読取部25はバーコードを読取ることができる。
【0136】
(器材保持部の搬送処理)
バイアル搬送制御部142は、器材搬送部22を制御することにより、取出対象のバイアル502を保持する器材保持部21を、順次、取出位置PO11へと搬送させる。
【0137】
記憶部200には、例えば、各器材保持部21を識別する情報と、各器材保持部21に保持されたバイアル502に収容された薬剤の種類を示す情報と、各器材保持部21の搬送位置を示す情報と、が対応付けて記憶されている。
【0138】
調製・投薬データは、1回の混注処理毎に、混注装置1の上位システム(不図示)から混注装置1に送信されるものであってよい。この場合、例えば、制御部140は、例えば、混注ユニット40による混注処理が完了したときに、混注ユニット40が次の混注処理を実行するための調製・投薬データの送信を、上位システムに要求する。制御部140は、当該調製・投薬データを受信すると、次の混注処理を開始する。従って、調製・投薬データは、混注ユニット40での混注処理を実行する混注指示(注入指示)となる。
【0139】
バイアル搬送制御部142は、調製・投薬データを受付けると、記憶部200を参照することにより、取出対象のバイアル502を特定し、器材搬送部22を制御して、当該バイアル502を取出位置PO11へと搬送させる。
【0140】
具体的には、バイアル搬送制御部142は、第1搬送部110が器材保持部21からバイアル502を取出した後に調製・投薬データを受付けたときに、次の混注処理に使用されるバイアル502を保持する器材保持部21を、取出位置PO11に搬送する。但し、バイアル搬送制御部142は、第1搬送部110がバイアル502を取出した後に調製・投薬データを受付けずとも、当該バイアル502と同一種類の薬剤を収容するバイアル502を保持する器材保持部21を、取出位置PO11に搬送してもよい。
【0141】
例えば、バイアル搬送制御部142は、記憶部200を参照することにより、第1搬送部110が取出対象としているバイアル502と同一種類の薬剤を収容するバイアル502を保持する器材保持部21が存在するかを判定する。バイアル搬送制御部142は、当該バイアル502を保持する器材保持部21が存在すると判定した場合、調製・投薬データの受付け有無に依らず、当該器材保持部21を取出位置PO11に搬送する。
【0142】
これにより、第1搬送制御部143は、調製・投薬データを受付けたときに、バイアル502の取出位置PO11への搬送を待たずに、バイアル502を取出位置PO11から取出すことができる。そのため、制御部140は、混注装置1に将来送られる調製・投薬データに基づく混注処理を素早く開始できるので、混注処理にかかる全体の時間を短縮することが可能となる。なお、混注装置1は、注射器501の使用数を節約するために、注射器501を使いまわして、同一種類の薬剤を用いた混注処理を連続させることを許容する場合に、このような処理を実行してよい。
【0143】
(バイアルの回収処理)
図12は、制御部140がバイアル502の回収指示を受付けた場合の、制御部140の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0144】
器材搬送部22は、バイアル502の回収指示を契機として、回収対象として指定されているバイアル502を保持する器材保持部21を、作業領域Ar2に搬送してよい。これにより、ユーザは、バイアル棚20に保管したバイアル502を簡易に回収できる。
【0145】
なお本実施形態では、複数のバイアル棚20のそれぞれに、器材保持部21に保持されたバイアル502を回収する回収モードとなる順番が予め設定されているものとして説明する。当該順番を示す情報は、各バイアル棚20に対応付けて、記憶部200に記憶されている。また、どのバイアル502が回収対象として指定されているかという情報についても、記憶部200に記憶されている。
【0146】
制御部140は、例えば、第1読取部25がバイアル502から種類情報を読取ることができなかったときに、当該バイアル502を回収対象として指定する。この場合、器材搬送部22は、上記回収指示を受付けた場合に、種類情報を読取ることができなかったバイアル502を保持する器材保持部21を、作業領域Ar2に搬送する。混注装置1は、種類情報を読取ることができないバイアル502に収容された薬剤を、混注処理に使用できない。そのため、上記の指定に基づくバイアル502の搬送により、ユーザは、混注処理において使用できないバイアル502を回収できる。
【0147】
また、制御部140は、例えば、ユーザがタッチパネル80を介して指定したバイアル502を、回収対象として指定する。この場合、器材搬送部22は、上記回収指示を受付けた場合に、ユーザが指定するバイアル502を保持する器材保持部21を、作業領域Ar2に搬送する。従って、ユーザは、ユーザが指定したバイアル502を回収できる。なお、上記回収指示に、ユーザが回収対象として指定したバイアル502の情報が含まれていてもよい。
【0148】
図12に示すように、バイアル搬送制御部142は、例えばタッチパネル80を介して、上記回収指示を受付けたかを判定する(S11)。バイアル搬送制御部142は、上記回収指示を受付けるまで、上記回収指示の受付けを待機する(S11でNOの場合)。
【0149】
バイアル搬送制御部142は、上記回収指示を受付けたと判定した場合(S11でYES)、記憶部200を参照することにより、上記回収モードの順番のうち、最小の順番が設定されたバイアル棚20を選択する(S12)。バイアル搬送制御部142は、選択したバイアル棚20のステータスが、第1搬送部110(取出部)がバイアル502を取出している状態であること(バイアル502の取出し中)を示しているかを判定する(S13)。
【0150】
上記ステータスは、記憶部200において、バイアル棚20毎に管理されている。制御部140は、バイアル棚20に保持されているバイアル502が取出し対象となった場合、当該バイアル棚20のステータスをバイアル502の取出し中に設定する。一方、制御部140は、第1搬送部110がバイアル棚20からバイアル502を取出したと判定した場合に、当該バイアル棚20のステータスをバイアル502の非取出し中に設定する。制御部140は、例えば、第1搬送部110がバイアル502を保持し、バイアル棚20から一定距離移動したと判定した場合に、当該バイアル棚20のステータスをバイアル502の非取出し中に設定する。
【0151】
バイアル搬送制御部142は、上記バイアル棚20のステータスがバイアル502の取出し中を示していないと判定した場合(S13でNO)、選択したバイアル棚20を回収モードに設定する。そして、バイアル搬送制御部142は、記憶部200を参照することにより、選択したバイアル棚20に回収対象のバイアル502が存在するかを判定する(S14)。
【0152】
バイアル搬送制御部142は、選択したバイアル棚20に回収対象のバイアル502が存在すると判定した場合(S14でYES)、器材搬送部22を制御して、当該バイアル棚20から、回収対象のバイアル502を作業領域Ar2に搬送させる。このとき、バイアル搬送制御部142は、複数の器材保持部21のそれぞれに、回収対象のバイアル502が保持されているかを判定する。バイアル搬送制御部142は、回収対象のバイアル502が保持されていると判定した場合、器材搬送部22を制御して、器材保持部21への保持順番が早いバイアル502を保持する器材保持部21を優先的に、作業領域Ar2に搬送する(S15)。なお、記憶部200には、器材保持部21の位置に対応付けて、バイアル502の保持順番を示す情報が記憶されている。
【0153】
上記保持順番が早いバイアル502ほど、有効期限が切れる時期の到来が早い可能性が高い。従って、上記保持順番が早いバイアル502を優先的に作業領域Ar2に搬送することにより、ユーザは、有効期限が切れる時期が早い可能性が高いバイアル502を優先的に回収できる。
【0154】
例えば、ユーザが、上記回収指示において、回収対象とするバイアル502の本数を指定していた場合で、かつ、バイアル棚20に、当該薬剤を収容したバイアル502が当該本数以上保管されている場合を考える。この場合、制御部140は、上記保持順番が早い(バイアル棚20への充填順番が早い)バイアル502から優先的に、ユーザが指定した本数分のバイアル502を、回収対象のバイアル502として指定する。そしてS15において、バイアル搬送制御部142は、器材搬送部22を制御して、上記本数分のバイアル502を作業領域Ar2に搬送する。これにより、ユーザは、所望する本数分のバイアル502を、上記保持順番が早いバイアル502から優先的に回収できる。
【0155】
なお、ユーザが回収する本数を指定するバイアル502は、同種の薬剤を収容したバイアル502であってもよい。また、バイアル搬送制御部142は、選択したバイアル棚20に上記本数を満たすバイアル502が存在しない場合、他のバイアル棚20から残余のバイアル502を取出してもよい。また、上記本数が指定されていない場合、バイアル搬送制御部142は、上記保持順番の早さに依らず任意の順番で、回収対象の全てのバイアル502を、作業領域Ar2に搬送させてもよい。
【0156】
バイアル搬送制御部142は、選択したバイアル棚20において、器材搬送部22が、全ての回収対象のバイアル502を作業領域Ar2に搬送したかを判定する(S16)。バイアル搬送制御部142は、全ての回収対象のバイアル502の搬送が完了していないと判定した場合(S16でNO)、S15の処理を実行する。一方、バイアル搬送制御部142は、全ての回収対象のバイアル502の搬送が完了したと判定した場合(S16でYES)、更に選択できるバイアル棚20が存在するかを判定する(S17)。バイアル搬送制御部142は、S12において選択したバイアル棚20に設定された回収モードの順番が最後の順番ではない場合、更に選択できるバイアル棚20が存在すると判定する。
【0157】
バイアル搬送制御部142は、更に選択できるバイアル棚20が存在すると判定した場合(S17でYES)、S12において選択したバイアル棚20に設定された順番の次の順番が設定されたバイアル棚20を選択し(S18)、S13の処理を実行する。一方、バイアル搬送制御部142は、更に選択できるバイアル棚20が存在しないと判定した場合(S17でNO)、全てのバイアル棚20についてバイアル502の回収動作が完了したものとして、図12の処理フローを終了する。
【0158】
このように、バイアル搬送制御部142は、上記回収指示を契機として、回収モードとなる順番が任意の順番に設定されたバイアル棚20において、回収対象として指定されているバイアル502を保持する器材保持部21を、作業領域Ar2に搬送する。バイアル搬送制御部142は、当該器材保持部21の搬送が完了した後、上記任意の順番の次の順番に設定されたバイアル棚20において、回収対象として指定されているバイアル502を保持する器材保持部21の、作業領域Ar2への搬送を開始する。これにより、バイアル棚20毎にバイアル502の回収動作を実行できるため、ユーザは、バイアル502を効率よく回収できる。
【0159】
なお、バイアル搬送制御部142は、選択したバイアル棚20のステータスがバイアル502の取出し中を示していると判定した場合には(S13でYES)、S17の処理を実行する。従って、バイアル搬送制御部142は、バイアル502を取出中のバイアル棚20が回収モードに設定される順番となった場合、当該バイアル棚20を回収モードに設定せず、当該順番の次の順番に設定されたバイアル棚20を、回収モードに設定する。そのため、ユーザは、第1搬送部110によるバイアル502の取出しを待機することなく、次の順番に設定されたバイアル棚20からバイアル502を回収できる。バイアル搬送制御部142は、回収モードに設定しなかったバイアル棚20については、回収モードとなる順番を、代わりに回収モードに設定したバイアル棚20の次の順番、又は、最後の順番に割り当てる。
【0160】
また、バイアル搬送制御部142は、選択したバイアル棚20に回収対象のバイアル502が存在しないと判定した場合にも(S14でNO)、S17の処理を実行する。
【0161】
〔輸液棚の構成〕
図13は、輸液棚30の構成の一例を示す斜視図である。図13に示すように、輸液棚30は、押込部31と、押込搬送部35と、レール部36(吊下保持部)と、を備える。また、図3に示すように、シャッター37を備える。
【0162】
混注処理に先立ち、輸液棚30には、ユーザにより輸液容器503が充填されている。また、注射器棚10及びバイアル棚20と同様、各輸液棚30を規定する板状部材301には、複数の孔302が形成されている。
【0163】
レール部36は、輸液棚30の内部に設けられ、輸液側扉34(図1参照)側から混注装置1の奥方向(すなわち+Y軸方向)へ延伸する部材である。レール部36において、輸液側扉34側に位置する端部を扉側端部361、混注装置1の奥側に位置する端部を奥側端部362と称することもできる。輸液容器503は、扉側端部361からレール部36に充填され、奥側端部362から第2搬送部120により取出される。レール部36には、少なくとも1つの輸液容器503を吊下げ可能である。本実施形態では、一対のレール部36の間に、輸液容器503の首部が吊下げ可能である。具体的には、一対のレール部36の間に、輸液容器503の首部5033の一部であるフランジ5034が吊下げ可能である。
【0164】
本実施形態では、各輸液棚30には、レール部36が3つずつ設けられている。但し、各輸液棚30に設けられるレール部36の数は3つに限定されない。また本実施形態では、レール部36のそれぞれには、同種の輸液容器503(輸液容器に503に収容される輸液の種類、及び輸液容器503の大きさが同一の輸液容器)が充填される。そして、輸液棚30毎に、充填されるべき輸液容器503が定められている。但し、レール部36のそれぞれに異種の輸液容器503が充填されてもよい。
【0165】
押込部31は、レール部36に沿って移動可能であり、レール部36に吊下げられた輸液容器503を、扉側端部361から奥側端部362へ押込む部材である。本実施形態では、押込部31は、押込搬送部35に接続されている。押込搬送部35は、レール部36に沿って設けられている。押込搬送部35は、押込制御部147の制御を受けて動作することにより、レール部36に沿って押込部31を移動させることが可能である。押込搬送部35は、例えば無端状の回転部材であってよい。押込部31の移動によりレール部36に吊下げられた輸液容器503を押込むことが可能なように、押込部31の大きさ、及び、レール部36と押込搬送部35との位置関係が規定されている。
【0166】
押込部31は、輸液側扉34のロックが解除されている状態、又は輸液側扉34が開放状態のとき、扉側端部361側で、かつ輸液容器503の充填(レール部36への吊下げ)の邪魔とならない位置PO31に位置している。押込制御部147は、例えば輸液棚30のボタン90(図1参照)が押下されたときに(輸液側扉34のロックが解除されたときに)、押込搬送部35を制御することにより、押込部31を位置PO31に移動させてよい。
【0167】
押込部31は、輸液側扉34がロックされた状態となったことを契機として、レール部36に吊下げられた輸液容器503を、扉側端部361から奥側端部362へ押込む。本実施形態では、輸液側扉34が閉鎖状態となった後ロックされた状態となったときに、押込制御部147は、押込搬送部35を制御することにより、押込部31を位置PO31から奥側端部362へ移動させる。輸液棚30を構成する壁部の奥側端部362には、奥側端部362に存在する輸液容器503を検出する検出部(不図示)が設けられている。押込制御部147は、当該検出部が輸液容器503を検出するまで、押込部31を奥側端部362側へと移動させる。
【0168】
また、レール部36に複数の輸液容器503が吊下げられた状態において、第2搬送部120が奥側端部362に位置する輸液容器503を取出した場合を考える。第2搬送部120が当該輸液容器503を取出した後、押込部31は、レール部36に吊下げられた残余の輸液容器503を、扉側端部361から奥側端部362へ押込む。本実施形態では、第2搬送部120が奥側端部362に位置する輸液容器503を取出したときに、押込制御部147は、押込搬送部35を制御することにより、押込部31を奥側端部362へ更に移動させる。
【0169】
シャッター37は、奥側端部362に位置する輸液容器503の、奥方向(+Y軸方向)への移動を妨げるものである。シャッター37は、制御部140により上下方向に移動可能に制御される。シャッター37は、例えば、輸液側扉34が閉じられると、当該輸液側扉34に対応する輸液棚30の奥側に位置するように制御部140により制御される。また、シャッター37は、第2搬送部120が輸液容器503を取出すとき、当該輸液容器503が保管された輸液棚30以外の輸液棚30に移動する。
【0170】
(押込部の具体的構成)
図14は、押込部31の具体的構成の一例を示す図であり、符号1031は押込部31の斜視図、符号1032は押込部31と輸液容器503との位置関係を示す図である。図14の符号1032は下方向から見た図である。
【0171】
本実施形態では、図14の符号1031に示すように、押込部31は、押込搬送部35と接続される接続部311と、接続部311に取付けられ、輸液容器503の胴部5031に接触する接触部312と、を備える。接触部312は、上下方向に延伸する回転軸Az周りに回転可能な回転部材である。接触部312は、押込部31の移動により輸液容器503に接触したときに回転する。
【0172】
図14の符号1032に示すように、混注装置1の奥方向(所定方向)D1と、輸液容器503の第1面SF1が向く方向D2とが異なっている場合を考える。この場合、接触部312が輸液容器503に接触した状態で押込部31が奥方向D1に移動していくと、接触部312の回転により、輸液容器503は、首部5033を通る上下方向の軸線を回転軸として、接触部312の回転方向とは逆方向に回転する。その結果、輸液容器503は、第1面SF1が向く方向D2が奥方向D1と略一致した状態で、レール部36に吊下げられた状態となる。
【0173】
従って、接触部312を備えることにより、押込部31による押込動作に伴い、レール部36は、輸液容器503の向きを所定方向に向けて、輸液容器503を保持できる。そのため、奥側端部362における、第2搬送部120による輸液容器503の取出し(輸液容器503の吸着)の失敗、及び、第3読取部122による第1情報の読取りの失敗が生じる可能性を低減できる。
【0174】
なお、接触部312が回転機能を有していなくてもよい。押込部31は、輸液容器503を押込むときに、胴部5031に接触する部分を有していればよく、例えば、平板形状であってもよい。この場合であっても、第1面SF1が向く方向D2が奥方向D1と略一致するように、輸液容器503の向きを変更できる。
【0175】
従って、押込部31は、レール部36に吊下げられた輸液容器503の胴部5031に接触することにより、輸液容器503を押込む構成であれば、輸液容器503の向きを所定方向に向けた状態で、輸液容器503をレール部36に吊下げておくことができる。また、当該効果を奏するために、押込部31が輸液容器503と接触する位置(輸液容器503を押込む位置)は、レール部36に支持された部分より下側の部分であればよく、例えば輸液容器503の肩部5032よりも下側の位置であればよい。
【0176】
(脱落防止部)
図15は、押込搬送部35の一例を示す側面図である。押込搬送部35は、奥側端部362からの輸液容器503の脱落を防止する脱落防止部38を備えている。本実施形態では、押込搬送部35は無端状の回転部材である。そのため、押込部31と脱落防止部38とは連動して移動する。
【0177】
図15の符号1041に示すように、押込部31が位置PO31に位置するとき、脱落防止部38は、奥側端部362において、レール部36の直上の位置PO32に位置する。この状態において、ユーザは、輸液棚30に輸液容器503を充填できる。従って、輸液容器503の充填時に、位置PO32に脱落防止部38が位置することにより、奥側端部362からの輸液容器503の脱落を防止できる。
【0178】
図15の符号1042に示すように、押込部31が輸液容器503の押込みを開始可能な位置PO33に位置するとき、脱落防止部38は、奥側端部362において、押込搬送部35を挟んで位置PO32と反対側の位置PO34に位置する。そのため、押込部31がレール部36に沿って前後方向(±Y軸方向)に移動するとき、脱落防止部38は、押込搬送部35の上部空間を移動する。
【0179】
脱落防止部38は、レール部36側に位置するときに、レール部36に吊下げられた輸液容器503に接触可能な大きさを有していればよい。本実施形態では、脱落防止部38は、レール部36側に位置するときに、レール部36に接触せず、レール部36に吊下げられた輸液容器503の首部5033の一部(輸液容器503の頭部)に接触する程度の大きさを有している。
【0180】
このように、脱落防止部38の上下方向の寸法H38は、押込部31の上下方向の寸法H31よりも短い。これにより、脱落防止部38を設けた場合であっても、脱落防止部38が移動する押込搬送部35の上方空間を比較的小さく設計できる。
【0181】
記憶部200には、輸液容器503の1つあたりの、第1面SF1と第2面SF2との間の寸法を記憶している。また、制御部140は、公知の技術により、押込部31の、位置PO31から位置PO32までの移動範囲における位置を取得できる。従って、制御部140は、当該寸法と当該位置とに基づいて、レール部36に吊下げられた輸液容器503の数を算出できる。これにより、制御部140は、輸液棚30に保管されている輸液容器503の在庫数を管理できる。
【0182】
〔印刷・鑑査ユニットの具体的構成〕
図16は、印刷・鑑査ユニット50の全体構成の一例を示す斜視図である。図17は、印刷・鑑査ユニット50を後方から見たときの斜視図である。図18は、印刷・鑑査ユニット50の内部構成の一例を示す斜視図である。なお、図17及び図18においては、計量部52の図示を省略している。また、図16では、第2搬送部120の吸着により、輸液容器503が印刷・鑑査ユニット50に位置している状態の一例を示している。
【0183】
図16図18に示すように、印刷・鑑査ユニット50は、印刷部51と、計量部52と、第2読取部53と、貼付部54と、ガイド部56と、を備える。
【0184】
印刷部51は、輸液種類情報である第1情報とは異なる第2情報を印刷した第2ラベルLA12を払出す部材である。第2情報は、輸液容器503に注入される薬剤の種類を示す情報である。第2情報が示す当該薬剤の種類は、調製・投薬データに示される薬剤であり、調製・投薬データに従って第1搬送部110がバイアル棚20から混注ユニット40に搬送したバイアル502に収容された薬剤である。また、印刷部51は、不適情報を印刷した不適情報ラベルを払出してもよい。
【0185】
印刷・鑑査ユニット制御部148は、薬剤注入後の輸液容器503に対する鑑査を行う。本実施形態における鑑査とは、輸液容器503への薬剤の注入量が調製・投薬データに示された処方量に対応するかどうか、又は、輸液容器503からの輸液の抜取量が調製・投薬データに示された抜取量に対応するかどうかを判定することを含む。
【0186】
また、印刷・鑑査ユニット制御部148は、第2読取部53の読取結果に基づき、薬剤注入後の輸液容器503に、適切な第2ラベルLA12が貼付されているか否かを判定する。印刷・鑑査ユニット制御部148は、第2読取部53が第2ラベルLA12から読取った第2情報が示す薬剤が、当該第2情報を読取った輸液容器503に注入された薬剤であるか(当該輸液容器503に注入すべき薬剤として調製・投薬データに示された薬剤であるか)を判定する。
【0187】
印刷・鑑査ユニット制御部148により鑑査結果が適と判定された場合、第2搬送部120は、第2ラベルLA12が貼付された輸液容器503を、輸液受入棚60に払出す。一方、印刷・鑑査ユニット制御部148により鑑査結果が不適と判定された場合、印刷部51は、不適情報ラベルを払出す。不適情報は、計量部52が計量した重量が不適であることを示す情報、及び/又は、第2読取部53の読取結果が調製・投薬データに示された薬剤ではないことを示す情報であってよい。第2搬送部120は、第2ラベルLA12に加え、不適情報ラベルが貼付された輸液容器503を、輸液受入棚60に払出す。なお、不適情報は、第1情報とは異なる第2情報の一例であってよい。
【0188】
計量部52は、薬剤注入前後の輸液容器503の重量を計量する。本実施形態では、図16に示すように、計量部52は、輸液容器503の首部を係止する第1係止部521を備える。第2搬送部120が輸液容器503の首部を第1係止部521に係止することにより、計量部52は輸液容器503の重量を計量できる。計量部52は、例えばロードセルである。一対の第1係止部521は、輸液容器503の首部を挟持可能なように、ばね(不図示)で互いに近づく方向に付勢されている。一対の第1係止部521が最も近接する距離は、最も細い輸液容器503の首部を係止できる距離に規定されている。
【0189】
バイアル502に収容されている薬剤が液体である場合、計量部52は、薬剤注入前の輸液容器503の重量と、薬剤注入後の輸液容器503の重量と、を計量する。
【0190】
この場合、まず、第2搬送部120は、輸液棚30から輸液容器503を取出し、計量部52に搬送する。計量部52が輸液容器503の重量を計量後(1回目の計量後)、第2搬送部120は、輸液容器503を混注ユニット40に搬送する。混注ユニット40による混注処理後、第2搬送部120は、輸液容器503を計量部52に搬送する。計量部52が輸液容器503の重量を計量後(2回目の計量後)、第2ラベルLA12、又は、第2ラベルLA12及び不適情報ラベルを貼付する貼付位置PO50(図18参照)に輸液容器503を搬送する。そして、印刷・鑑査ユニット50は、計量部52の計測結果に応じて、第2ラベルLA12、又は、第2ラベルLA12及び不適情報ラベルを輸液容器503に貼付する。なお、印刷・鑑査ユニット制御部148は、1回目と2回目との計量結果の差分に基づき、輸液容器503への薬剤の注入量が調製・投薬データに示される処方量に対応しているかを鑑査する。
【0191】
計量後の輸液容器503にラベルを貼付することにより、計量部52は、1回目の計量も2回目の計量もラベルが貼付されていない状態で計量できる。例えば、輸液容器503にラベルを貼付された後に計量部52が2回目の計量を行った場合、2回目の計量時にはラベルの重量分、輸液容器503の重量が増加する。そのため、印刷・鑑査ユニット制御部148が正確な鑑査を行うことができない虞がある。上記のように、ラベルを貼付していない状態で2回の計量を行うことにより、印刷・鑑査ユニット制御部148は正確な鑑査を行うことができる。
【0192】
但し、重量が比較的軽く、鑑査結果にあまり影響を与えないラベルを使用する場合、ラベルは、2回目の計量前に輸液容器503に貼付されてもよい。なお、印刷・鑑査ユニット制御部148は、第2ラベルLA12の印字をどのタイミングで実行してもよい。例えば、輸液棚30から輸液容器503を取出す前に第2ラベルLA12に印字してもよい。
【0193】
バイアル502に収容されている薬剤が固体状である場合、まず、第2搬送部120は、輸液棚30から輸液容器503を取出し、計量部52に搬送する。計量部52が輸液容器503の重量を計量後(1回目の計量後)、第2搬送部120は、輸液容器503を混注ユニット40に搬送する。混注ユニット40は、固体状の薬剤を溶かすために、輸液容器503から一定量の輸液を抜取り、バイアル502に注入する。第2搬送部120は、一定量の輸液が抜取られた輸液容器503を計量部52に搬送する。計量部52が輸液容器503の重量を計量後(2回目の計量後)、第2搬送部120は、輸液容器503を混注ユニット40に搬送する。
【0194】
混注ユニット40が、液体状となった薬剤を輸液容器503に注入した後、第2搬送部120は、輸液容器503を計量部52に搬送する。計量部52が輸液容器503の重量を計量後(3回目の計量後)、第2ラベルLA12、又は、第2ラベルLA12及び不適情報ラベルを貼付する貼付位置PO50に輸液容器503を搬送する。そして、印刷・鑑査ユニット50は、計量部52の計測結果に応じて、第2ラベルLA12、又は、第2ラベルLA12及び不適情報ラベルを輸液容器503に貼付する。
【0195】
計量後の輸液容器503にラベルを貼付することにより、計量部52は、1回目~3回目の計量をラベルが貼付されていない状態で計量できる。そのため、薬剤が液体である場合と同様、印刷・鑑査ユニット制御部148は正確な鑑査を行うことができる。
【0196】
なお、印刷・鑑査ユニット制御部148は、1回目の計量と2回目の計量との差分に基づき、輸液容器503からの輸液の抜取量が調製・投薬データに示された抜取量に対応しているかを鑑査する。また、印刷・鑑査ユニット制御部148は、2回目の計量と3回目の計量との差分に基づき、輸液容器503への薬剤の注入量(液体状となった薬剤の注入量)が調製・投薬データに示される処方量に対応しているかを鑑査する。
【0197】
また本実施形態では、ガイド部56を挟んで計量部52と反対側の位置に、第2係止部57が設けられている。第2係止部57は、第2搬送部120が輸液棚30から取出した輸液容器503を、一時的に保持するバッファとして機能する。計量後の輸液容器503(第1輸液容器と称する)が混注ユニット40に搬送されている間に、次の混注処理で用いる輸液容器503(第2輸液容器と称する)を輸液棚30から取出し、計量部52で第2輸液容器の重量を計量する。その後、第2輸液容器を第2係止部57に係止しておく。第1輸液容器への薬剤注入が完了し、計量部52が第1輸液容器を計量した後、第2輸液容器が第2係止部57から混注ユニット40に搬送される。これにより、混注装置1は混注処理を効率よく実行できる。
【0198】
第2読取部53は、薬剤注入後の輸液容器503に貼付された第2ラベルLA12を読取る。第2読取部53は、例えばバーコードリーダである。
【0199】
貼付部54は、薬剤注入後の輸液容器503に第2ラベルLA12を貼付する。貼付部54は、例えば、印刷・鑑査ユニット制御部148が鑑査結果を出力する前に(好ましくは、最終的な輸液容器503の計量後、かつ、当該鑑査結果の出力前に)、薬剤注入後の輸液容器503に第2ラベルLA12を貼付してもよい。その後、貼付部54は、印刷・鑑査ユニット制御部148による鑑査結果が不適の場合に、薬剤注入後の輸液容器503に不適情報ラベルを貼付する。
【0200】
本実施形態では、貼付部54は、図17に示すように、吸着機構541及び移動機構542を備える。印刷部51が払出した第2ラベルLA12及び不適情報ラベルを吸着機構541が吸着することにより、貼付部54は第2ラベルLA12又は不適情報ラベルを保持できる。移動機構542は、印刷部51から払出された第2ラベルLA12または不適情報ラベルを吸着する位置と、薬剤注入後の輸液容器503に第2ラベルLA12又は不適情報ラベルを貼付する貼付位置PO50との間において、吸着機構541を移動させる。
【0201】
また、図18に示すガイド部56は、貼付部54が薬剤注入後の輸液容器503に第2ラベルLA12又は不適情報ラベルを貼付するときに、第2ラベルLA12又は不適情報ラベルの、薬剤注入後の輸液容器503への移動をガイドする。
【0202】
貼付位置PO50に第2ラベルLA12又は不適情報ラベルが移動された状態において、第2搬送部120は、貼付位置PO50において、薬剤注入後の輸液容器503をガイド部56に押し当てる。これにより、第2ラベルLA12又は不適情報ラベルが薬剤注入後の輸液容器503に貼付される。従って、本実施形態では、第2搬送部120、貼付部54及びガイド部56が、輸液容器503の表面に第2情報を付する付与部として機能する。
【0203】
印刷・鑑査ユニット50は、吸着機構541に接続された真空ポンプ(不図示)を有していてもよい。印刷・鑑査ユニット制御部148は、真空ポンプを動作させることにより、真空ポンプは、吸着機構541が備える吸着パッドを介して、吸着パッドの周囲の空気を吸引する。これにより、吸着機構541は、吸着パッドを介して、第2ラベルLA12又は不適情報ラベルを吸着できる。
【0204】
本実施形態では、第2搬送部120が薬剤注入後の輸液容器503をガイド部56(貼付位置PO50に位置する第2ラベルLA12)に押し当てた後、真空ポンプが吸引動作を行っている状態を維持する。そして、この状態のまま、移動機構542は、吸着機構541を、貼付位置PO50から離れる方向へ(第2ラベルLA12の吸着位置の方向へ)と移動させる。この移動により、吸着機構541(具体的には吸着パッド)を、薬剤注入後の輸液容器503に貼付された第2ラベルLA12から離すことができる。
【0205】
但し、第2搬送部120が輸液容器503をガイド部56に押し当てた状態において、吸着機構541は、第2ラベルLA12又は不適情報ラベルの吸着を解除してもよい。本実施形態では、印刷・鑑査ユニット制御部148が真空ポンプの吸引動作を停止することにより、吸着機構541は、第2ラベルLA12又は不適情報ラベルの吸着を解除してもよい。この吸着の解除によっても、吸着機構541を、薬剤注入後の輸液容器503に貼付された第2ラベルLA12から離すことができる。
【0206】
輸液容器503に第2ラベルLA12を貼付することにより、輸液容器503の表面に元々付されている第1情報とは異なる第2情報として、輸液容器503に注入される薬剤の種類を示す情報を、薬剤が注入される輸液容器503に表示できる。そのため、混注装置1及びユーザは、輸液容器503に注入された薬剤が、少なくともどのような種類の薬剤であるかを判断できる。
【0207】
なお、第2搬送部120、貼付部54及びガイド部56は、薬剤注入前の輸液容器503に第2ラベルLA12を貼付してもよい。この場合、混注装置1及びユーザは、輸液容器503に注入される薬剤が、少なくともどのような種類の薬剤であるかを判断できる。第2搬送部120、貼付部54及びガイド部56は、例えば、1回目の計量前に第2ラベルLA12を貼付してもよい。この場合、計量部52は、第2ラベルLA12を輸液容器503に貼付した状態で1回目~3回目の計量を行うことができるため、ラベルの重量が印刷・鑑査ユニット制御部148による鑑査に影響を及ぼすことがない。
【0208】
また、第2ラベルLA12が輸液容器503に貼付された後、印刷・鑑査ユニット制御部148が鑑査結果を出力するまで、第2搬送部120は、当該輸液容器503を輸液受入棚60に受渡さない。印刷・鑑査ユニット制御部148による鑑査結果が適の場合(適との鑑査結果が出力された後)、第2搬送部120は、当該輸液容器503を輸液受入棚60に受渡す。一方、印刷・鑑査ユニット制御部148による鑑査結果が不適の場合(不適との鑑査結果が出力された後)、当該輸液容器503に不適情報ラベルが貼付される。その後、第2搬送部120は、不適情報ラベルが貼付された輸液容器503を輸液受入棚60に受渡す。
【0209】
(第1情報の読取りから第2ラベルの貼付けまでの動作例)
図19は、第1情報の読取りから、薬剤注入後の輸液容器503の、輸液受入棚60への受渡しまでの動作例を示す図である。図19の符号1051~1054は、第1情報の読取りから第2ラベルLA12の貼付けまでの動作例を説明するための図である。
【0210】
図19の符号1051に示すように、第2搬送部120が、奥側端部362において、レール部36に吊下げられた輸液容器503を取出すときに、第3読取部122は、第1ラベルLA11から第1情報を読取る。本実施形態では、第3読取部122は、第1情報を読取ることができた場合に、輸液容器503の、第1ラベルLA11が貼付された第1面SF1が、奥方向(+Y軸方向)(所定方向)を向いていると認識する。
【0211】
第3読取部122により第1情報が読取ることができた場合、第1面SF1が奥方向を向いているものとして、混注ユニット40において輸液容器503への薬剤の注入が実行される。バイアル502に収容されている薬剤が固体状の場合、第3読取部122により第1情報が読取ることができた場合に、混注ユニット40において輸液容器503からの薬剤の抜取りが実行される。
【0212】
混注ユニット40において輸液容器503に薬剤が注入された後、第2搬送部120は、薬剤注入後の輸液容器503を計量部52に搬送する。計量部52が輸液容器503を計量した後、図19の符号1052に示すように、第2搬送部120は、ガイド部56(貼付位置PO50)と対向する位置に輸液容器503を搬送する。輸液容器503がこの位置に搬送されるまでに、印刷部51が第2ラベルLA12を払出し、吸着機構541が第2ラベルLA12を貼付位置PO50に搬送している。但し、輸液容器503が上記位置に搬送された後に、第2ラベルLA12が貼付位置PO50に搬送されてもよい。
【0213】
図19の符号1052に示すように、第2ラベルLA12が貼付位置PO50に位置する状態において、第2搬送部120は、貼付位置PO50の方向(-Y軸方向)へと移動する。そして、図19の符号1053に示すように、貼付位置PO50において、第2搬送部120がガイド部56に押し当てる。このように、第2搬送部120、貼付部54及びガイド部56は、輸液容器503の、第1面SF1と反対側の第2面SF2に、第2ラベルLA12を貼付する。
【0214】
本実施形態では、吸着機構541を第2ラベルLA12から離すために、第2搬送部120が薬剤注入後の輸液容器503をガイド部56に押し当てた状態において、移動機構542は、真空ポンプが吸引している状態のまま、吸着機構541を移動させる。但し、第2搬送部120が薬剤注入後の輸液容器503をガイド部56に押し当てた状態において、真空ポンプの吸引動作を停止することにより、吸着機構541が吸着を解除してもよい。
【0215】
その後、図19の符号1054に示すように、第2搬送部120は、第2ラベルLA12を貼付する前の位置まで移動することにより、輸液容器503を輸液受入棚60に搬送できる状態とする。図19の符号1055,1056に示す、第2ラベルLA12を貼付した輸液容器503を輸液受入棚60に搬送した後の動作については、後述する。
【0216】
なお、図19の符号1051の状態において、第3読取部122が第1情報を読取ることができなかった場合、制御部140は、輸液容器503の保管状態が第2ラベルLA12を貼付できる状態ではないと判定してよい。この場合、タッチパネル制御部149は、輸液容器503から第1情報を読取ることができない旨を示す情報、又は、当該輸液容器503を保管する場所を示す情報を通知してもよい。また、第3読取部122は、別の場所に保管された輸液容器503からの第1情報の読取りを実行することにより、混注装置1の稼働を続行してもよい。
【0217】
また、第3読取部122が、第1情報の読取結果(受光部1222の受光結果)に基づいて、第1面SF1が所定方向を向いているかを認識する必要は必ずしもない。第3読取部122とは異なる部材が、第1面SF1が所定方向を向いているかを認識する認識部として、混注装置1に設けられていてもよい。また、認識部は第1面SF1の向きを認識できればよく、必ずしも光学部材によって実現されていなくてもよい。
【0218】
(上記動作例による効果)
以上のように、付与部は、輸液容器503の表面において、第1情報と重ならない位置に第2ラベルLA12を貼付する。これにより、混注装置1は、輸液容器503の表面に元々付されている第1情報とは異なる第2情報を、当該輸液容器503の表面に付する場合であっても、第1情報が第2情報と重ならないようにすることができる。そのため、混注装置1は、第2情報を付することによる、第1情報の読取不良の発生を回避できる。また、第2情報が輸液容器503の表面に付されたとしても、ユーザもまた、第1情報を読取ることができる。
【0219】
付与部は、輸液容器503の、第1情報が付された第1面SF1とは異なる面に第2ラベルLA12を貼付することにより、第1情報と重ならないように、第2情報を輸液容器503の表面に付することができる。上述の通り、本実施形態では、付与部は、第1面SF1の反対側の第2面SF2に第2ラベルLA12を貼付するため、第1情報とより重ならないように、第2情報を輸液容器503の表面に付することができる。
【0220】
付与部は、認識部による第1面SF1の向きの認識結果に基づいて、第1面SF1とは異なる面(例:第2面SF1)に第2ラベルLA12を貼付する。そのため、第1情報と重ならないように、第2情報を輸液容器503の表面に付することができる。具体的には、認識部によって第1面SF1が所定方向(例:奥方向)を向いていると認識された場合に、付与部は、所定方向以外の方向を向いた面(例:第2面SF2)に、第2ラベルLA12を貼付する。これにより、混注装置1は、輸液容器503の向きを変更しなくても、第2面に第2情報を付することが可能になる。
【0221】
本実施形態では、第3読取部122が奥側端部362と対向する位置から第1面SF1に付された第1情報の読取りを実行する。そして、第3読取部122が第1情報を読取ることができた場合に、輸液棚30の下方に位置する印刷・鑑査ユニット50において、第2面SF2に第2ラベルLA12を貼付する。従って、図19の符号1051~1053に示すように、第2搬送部120は、輸液容器503の向きを変更せずに、所定方向以外の方向を向いた第2面SF2に第2ラベルLA12を貼付できる。
【0222】
また、付与部は、第3読取部122が第1情報を読取った後、第2ラベルLA12を輸液容器503の表面に貼付する。これにより、混注装置1は、輸液容器503の表面に元々付されている第1情報とは異なる第2情報を、当該輸液容器503の表面に付する前に、当該輸液容器503から第1情報を読取ることができる。そのため、混注装置1は、第2情報を付することによる、第1情報の読取不良の発生を回避できる。
【0223】
(第1ラベル及び第2ラベル)
図20の符号1061は、胴部5031の第1面SF1に第1ラベルLA11が貼付されている輸液容器503の一例を示し、符号1062は、胴部5031の第2面SF2に第2ラベルLA12が貼付されている輸液容器503の一例を示す。
【0224】
製薬メーカーによって第1面SF1に貼付された第1ラベルLA11には、当該製薬メーカーによって輸液容器503に注入された輸液に関する情報が含まれている。輸液に関する情報には、第1情報、製薬メーカー(製造元)、販売メーカー(販売元)、輸液の組成、収容量、使用期限、及び製造番号を示す情報等が含まれる。輸液に関する情報は、バーコードの形式であっても、文字情報であってもよい。
【0225】
図20の符号1061に示す例では、第1情報の一例である輸液名「○○生食注100mL/B」と、製薬元と、販売元とが文字情報として、第1ラベルLA11に示されている。また、第1ラベルLA11は、バーコードBC11が示されている。
【0226】
印刷・鑑査ユニット50及び第2搬送部120によって第2面SF2に貼付した第2ラベルLA12には、上述した、薬剤が注入された輸液容器503に関する情報が含まれている。なお、当該輸液容器503に関する情報に含まれる各種情報は、第1情報とは異なる第2情報の一例であってよい。つまり、当該輸液容器503に関する情報のうち、輸液容器503に注入される薬剤の種類を示す情報(例:薬剤名)以外の情報もまた、第1情報とは異なる第2情報の一例であってよい。
【0227】
図20の符号1062に示す例では、病棟名、混注実施日、オーダー番号、患者ID、患者名が、文字情報として、第2ラベルLA12に示されている。また、Rp番号、輸液名「○○生食注100mL/B」、及び、薬剤名「○○静注用3g」等が、文字情報として、第2ラベルLA12に示されている。また、第2ラベルLA12は、バーコードBC12が示されている。
【0228】
バーコードBC12は、第2ラベルLA12を輸液容器503に貼付したときに、バーコードBC12の長手方向が輸液容器503の長手方向(底面に略垂直な方向)と略平行となるように印刷されている。
【0229】
なお図示しないが、上述したように、印刷・鑑査ユニット制御部148により鑑査結果が不適であると判定された場合、貼付部54は、第2面SF2に不適情報ラベルを貼付する。不適情報ラベルは、第1ラベルLA11の少なくとも一部(例:輸液名及び/又はバーコードBC11)と重ならない位置に貼付される。不適情報は、例えば、文字又は記号により示されてよい。例えば、不適情報は、×印であってよい。
【0230】
また上述した種々の効果は、第2情報が、上記薬剤の種類を示す情報以外の、第2ラベルLA12に印字される情報であっても、また、不適情報であっても、奏することができる。また、上述した種々の効果は、第2情報が、上述した、混注処理が正しく実行されなかった可能性があることを示す情報であっても、奏することができる。
【0231】
(変形例)
本実施形態では、第2情報を含む第2ラベルLA12が輸液容器503に貼付される。これに限らず、第2情報が直接、輸液容器503に付されてもよい。例えば、貼付位置PO50に位置する輸液容器503に、印刷部51がインクを吐出することにより、輸液容器503に直接、第2情報を付してもよい。この場合、第2情報を印刷した第2ラベルLA12が不要となるため、ランニングコストを低下させることができる。
【0232】
また本実施形態では、第2搬送部120が輸液棚30から取出した輸液容器503の向きを変更せずに、印刷・鑑査ユニット50において輸液容器503に第2ラベルLA12を貼付できるように、輸液棚30及び印刷・鑑査ユニット50が位置決めされている。そのため、第1面SF1が奥方向を向くように輸液容器503が輸液棚30に保管されれば、図19に示すような動作を経て、第2面SF2に第2ラベルLA12が貼付される。
【0233】
但し、上記のように輸液棚30及び印刷・鑑査ユニット50が位置決めされている必要は必ずしもない。上記付与部が、上記認識部が認識した第1面SF1の方向に基づいて、少なくとも第1情報と重ならないように、第2ラベルLA12を輸液容器503に貼付できればよい。この場合、第2搬送部120は、上記認識部の認識結果に基づいて、保持している輸液容器503の向きを変更してもよい。
【0234】
また本実施形態では、上記付与部は、輸液容器503の表面において、第1情報と重ならない位置に第2ラベルLA12を貼付するものとして説明した。但し、付与部が、第3読取部122が第1情報を読取った後、第2ラベルLA12を輸液容器503の表面に貼付する構成さえ実現できればよい場合、付与部は、第2情報を第1情報に重なる位置に付してもよい。この場合であっても、第3読取部122が第2情報の付与前に第1情報を読取るため、混注装置1は、第1情報の読取不良の発生を回避できる。そして、この場合であっても、制御部140は第1情報を認識できるため、混注処理に使用する輸液容器503が調製・投薬データに示された輸液容器503と同一種類であるかを判定できる。
【0235】
なお、第2情報を第1情報と重なるように付す場合、例えば、貼付部54及びガイド部56が輸液棚30の下に配置されておらず、第2搬送部120による輸液容器503の搬送経路を挟んで、輸液棚30とは反対側の位置に配置されていてもよい。
【0236】
〔輸液受入棚の具体的構成〕
図21は、輸液受入棚60の一例を示す正面図である。図22は、輸液受入棚60の一例を示す側面図である。図23は、レール部62の形状の一例を示す図である。図24は、シャッター63について説明するための図である。
【0237】
図21に示すように、輸液受入棚60は、混注ユニット40により薬剤が注入された輸液容器503を吊下げて保持可能な一対のレール部62を備える。レール部62は、輸液容器503の首部5033の一部(輸液容器503の頭部)を吊下げて保持する。レール部62は、輸液容器503を吊下げて保持可能な吊下保持部の一例である。輸液受入棚60には1又は複数のレール部62が設けられてよく、本実施形態では4つのレール部62が設けられている。
【0238】
輸液受入棚60がレール部62を備えることにより、薬剤注入後の輸液容器503を吊下げて保持できる。そのため、自立困難な輸液容器503であっても整列させた状態で保持できる。レール部62は、輸液容器503を整列させた状態で保持できるので、ユーザが取出しやすいように保持できる。また、薬剤注入後の複数の輸液容器503をトレイ(不図示)に投入する場合と異なり、レール部62は輸液容器503を見栄えよく保持できると共に、輸液容器503同士の衝突による輸液容器503の損傷のリスクを低減できる。
【0239】
図22に示すように、レール部62は、混注装置1の前後方向(±Y軸方向)に延伸しており、第2搬送部120により輸液容器503が受渡される第1部分621と、レール部62に保持された輸液容器503が取出される第2部分622と、を備える。
【0240】
第2搬送部120は、混注ユニット40により薬剤が注入された輸液容器503を、第1部分621においてレール部62に受渡す。具体的には、第2搬送部120は、印刷・鑑査ユニット50により第2面SF2に第2ラベルLA12が貼付された、薬剤注入後の輸液容器503を、レール部62に受渡す。第2搬送部120は、当該薬剤注入後の輸液容器503を順次レール部62に受渡すことにより、レール部62は、複数の輸液容器503を一列に保持する。
【0241】
第2搬送部120は、輸液容器503の、第2ラベルLA12が貼付された第2面SF2を、第1部分621から第2部分622を見た方向(-Y軸方向)に向けて、レール部62に輸液容器503を受渡す。
【0242】
具体的には、図19の符号1052~1054に示すように、第2搬送部120は、輸液容器503の、第1ラベルLA11が貼付された第1面SF1を吸着した状態で、第1面SF1とは反対側の第2面SF2に第2ラベルLA12を貼付させる。その後、第2搬送部120は、輸液容器503の向きを変更することなく、第1面SF1を吸着した状態で、輸液容器503を輸液受入棚60と対向する位置に移動させる。その後、図19の符号1055及び図22に示すように、第2搬送部120は、輸液受入棚60側(混注装置1の前方向;-Y軸方向)に移動する。これにより、図19の符号1056に示すように、第2搬送部120は、第2ラベルLA12が貼付された第2面SF2が混注装置1の前方向を向くように、輸液容器503をレール部62に受渡す。
【0243】
このように輸液容器503がレール部62に受渡されることにより、図21及び図22に示すように、輸液受入棚60において、第2ラベルLA12が前方向を向くように輸液容器503を保持できる。そして、ユーザは、例えば輸液受入棚60から輸液容器503を取出すときに、第2ラベルLA12に示された情報(薬剤注入後の輸液容器503に関する情報)を容易に認識できる。
【0244】
図22に示すように、レール部62は、混注装置1の左右方向(±X軸方向)から見たときに、第2部分622の位置が第1部分621の位置よりも低くなるように傾斜して、輸液受入棚60に設けられている。これにより、レール部62は、第1部分621で保持した輸液容器503を、輸液容器503の自重により、第1部分621から第2部分622側へと移動させることができる。つまり、上記のようにレール部62が傾斜して設けられることにより、レール部62は、保持した輸液容器503を第1部分621から第2部分622へと移動させる移動部として機能する。
【0245】
図21及び図23の符号1071に示すように、輸液受入棚60は、一対のレール部62のそれぞれを保持するレール保持部69を備える。一対のレール部62は、レール保持部69の内側(レール保持部69から一対のレール部62のそれぞれが互いに近づく方向)に延伸している。また、図23の符号1071に示すように、レール部62は、輸液容器503の首部5033を支持する支持部分626を備える。
【0246】
本実施形態では、レール部62の、レール部62の延伸方向と垂直な断面の形状は、以下の2つの条件を満たす形状である。
・一対のレール部62のそれぞれの支持部分626同士が輸液容器503の首部5033の寸法より近接している。
・一対のレール部62のそれぞれにおいて支持部分626から遠ざかるにつれて、一対のレール部62が下方に傾斜している。
つまり、一対のレール部62の上記断面の形状は、支持部分626を中心とした末広がりの形状である。
【0247】
レール部62が上記のような形状である場合、レール部62と首部5033との接触は面接触とはならず、図23の符号1072に示すような輸液容器503の保持状態においては、点接触となる。また、図23の符号1073に示すような輸液容器503の保持状態においては、レール部62と首部5033との接触は線接触となる。そのため、レール部62に吊下げられた輸液容器503の滑りがよくなる。
【0248】
但し、一対のレール部62の上記断面の形状は、上記のような末広がりの形状に限られず、一対のレール部62が輸液容器503と点接触又は線接触となる形状であればよい。
【0249】
例えば、図23の符号1074に示すように、輸液受入棚60は、一対のレール部62に代えて、一対のレール部62Aを備えていてもよい。一対のレール部62Aは、一対のレール部62と同様に、レール保持部69に保持されている。一対のレール部62Aは、一対のレール部62のように板状部材ではなく、輸液容器503を支持する支持部分626が突起形状となった部材である。支持部分626を突起形状とすることにより、レール部62と同様、レール部62Aの全体ではなくその一部のみにおいて、輸液容器503と接触させることができ、輸液容器503との接触面積を小さくすることができる。そのため、レール部62Aであっても、上述した輸液容器503との点接触又は線接触を実現でき、輸液容器503の滑りを向上させることができる。
【0250】
その他、一対のレール部は、板状部材又は突起形状を有する部材でなくてもよく、点接触又は線接触により輸液容器503を支持する線状部材であってもよい。つまり、一対のレール部において、一対のレール部に輸液容器503を吊下げたときに一対のレール部が輸液容器503と接触する部分の形状は、線状であればよい。
【0251】
また、図21及び図22に示すように、レール部62の第2部分622には、レール部62に保持された輸液容器503の移動を妨げるシャッター63(ストッパー)が設けられている。シャッター63は、シャッター63の閉鎖方向に付勢されている。シャッター63は、例えばばね(不図示)により付勢されている。これにより、通常の状態においてシャッター63は閉鎖状態となっているため、レール部62に保持された輸液容器503が第2部分622から脱落する可能性を低減できる。また、ユーザは、取出したい輸液容器503の本数にあわせて、シャッター63を開放状態とすることができる。
【0252】
図24の符号1081は、シャッター63の閉鎖状態を示す図であり、符号1082は、シャッター63の開放状態を示す図である。図24の符号1081、符号1082及び後述する符号1083において、-Y軸方向に向く矢印は、レール部62に保持された輸液容器503の取出方向である。
【0253】
図24の符号1081,1082に示すように、本実施形態では、シャッター63は、一対のレール部62の一方の端部において、上下方向を軸線とする回転軸A63周りに回動可能に設けられる。シャッター63は回転軸A63周りに回動することにより、第2部分622を開閉する。具体的には、シャッター63を支持する支持部64が回転軸A63に接続されている。また、支持部64が当接する当接部65が、レール部62の端部から延伸している。図24の符号1082に示すように、支持部64は、基準線L11と当接部65との間で回動する。当接部65は、シャッター63が最も開いたときに、輸液容器503を取出せる位置に設けられていればよい。
【0254】
図24の符号1081に示すように、シャッター63は、閉鎖状態において、レール部62に保持された輸液容器503と当接することにより、輸液容器503の取出方向への移動を妨げている。この状態から、ユーザが、先頭の輸液容器503を把持して、ばね(不図示)の付勢力以上の力で輸液容器503を取出方向に引っ張る。この引っ張りにより、輸液容器503がシャッター63に当接しながらシャッター63を開いていくため、ユーザは、輸液容器503を取出すことができる。輸液容器503が取出されると、シャッター63はばねの付勢力によって閉鎖状態となる。これにより、後段の輸液容器503の取出方向への移動が妨げられる。従って、ユーザは、先頭の輸液容器503を引っ張る以外の操作を行うことなく、当該輸液容器503を取出すことができる。
【0255】
ユーザが複数本の輸液容器503(例:レール部62に保持された複数の輸液容器503の全て)を一度に取出したい場合、ユーザは、支持部64を把持して当接部65の方へ回動させ、シャッター63の開放状態を維持する。ユーザは、所望する本数の輸液容器503を取出したときに、支持部64から手を離すことにより、ばねの付勢力によりシャッター63は閉鎖状態となる。従って、ユーザは、支持部64を操作するだけで、所望する本数の輸液容器503を取出すことができる。なお、1本の輸液容器503を取出すときも、ユーザは、支持部64を操作してもよい。
【0256】
このように、シャッター63が閉鎖方向に付勢されていることにより、輸液容器503がレール部62から脱落する可能性を低減すると共に、ユーザは、1本でも複数本でも、所望する本数の輸液容器503を、簡易な操作で取出すことができる。
【0257】
また、図24の符号1081に示すように、シャッター63の、レール部62に保持された輸液容器503との当接面631は、シャッター63の閉鎖状態において、輸液容器503の取出方向(移動方向)に対して傾斜している。具体的には、当接面631は、上方から見たときに、シャッター63の閉鎖状態において、取出方向に向けて、シャッター63と、シャッター63が設けられていないレール部62との間の距離が短くなるように、取出方向に対して傾斜している。
【0258】
当接面631が取出方向に対して傾斜していることにより、当接面631が傾斜していない場合(シャッター63の閉鎖状態において、当接面631がレール部62の延伸方向と垂直である場合)と比べ、シャッター63の開放のための操作角度を小さくできる。そのため、シャッター63の開閉操作の操作性を向上できる。また、操作角度を小さくできるので、輸液容器503を取出した後、すぐにシャッター63を閉鎖状態とすることができる。そのため、取出した輸液容器503の後段の輸液容器503が、取出した輸液容器503と共に払出される可能性を低減できる。
【0259】
図24の符号1083は、レール部62及びシャッター63の上下方向の位置関係の一例を示す図であり、符号1084は、比較例としての当該位置関係の一例を示す図である。図24の符号1083はシャッター63が開放状態であるときの図である。
【0260】
図24の符号1083に示すように、本実施形態では、シャッター63は、レール部62の最下部を含む平面よりも下方に位置している。これは、当該平面とシャッター63の上面との間の距離(高さ)H60が0よりも大きいことを意味する。そのため、図24の符号1081~1083に示すように、レール部62とシャッター63とが接触(干渉)しないように、レール部62とシャッター63とをオーバーラップさせることができる。図24の符号1081~1083の符号OLは、レール部62とシャッター63とのオーバーラップ位置を示している。
【0261】
図24の符号1082,1083に示すように、シャッター63の開放状態においても、シャッター63がレール部62の下方に位置することにより、図24の符号1084に示すように、シャッター63が開放しても、レール部62とシャッター63との間に隙間D60ができない。図24の符号1084に示すように、隙間D60が存在する場合、取出方向にレール部62を移動してきた輸液容器503の首部5033がシャッター63に引っ掛かってしまう。開放状態においてもシャッター63の一部がレール部62とオーバーラップするように、シャッター63とレール部62との位置関係を規定することにより、輸液容器503がシャッター63に引っ掛かってしまう可能性を低減できる。
【0262】
また本実施形態では、第2搬送部120が、第2ラベルLA12が貼付された輸液容器503の向きを変更することなく、第2面SF2を取出方向に向けて輸液受入棚60に保管可能なように、印刷・鑑査ユニット50及び輸液受入棚60が位置決めされている。但し、このように位置決めされている必要は必ずしもない。この場合、例えば、第2搬送部120は、第2面SF2が取出方向に向けて輸液受入棚60に保管されるように、保持している輸液容器503の向きを変更してもよい。
【0263】
また本実施形態では、一対のレール部62は輸液受入棚60に固定されているが、輸液受入棚60に対して着脱可能であってもよい。この場合、ユーザは、輸液容器503が保持された状態で輸液受入棚60から一対のレール部62を取外して、混注装置1の筐体の外に出すことができる。そのため、混注装置1の筐体の外において、輸液容器503をレール部62から取外すことができる。
【0264】
(変形例)
輸液受入棚60に設けられる吊下保持部は、レール部62(レール状)でなくてもよいし、例えば胴部5031に設けられた孔を介して吊下げるなど、首部5033以外の位置を吊下げるものであってもよい。
【0265】
また、輸液受入棚60に設けられる移動部は、第2部分622の位置が第1部分621の位置よりも低くなるように傾斜したレール部62でなくてもよい。当該移動部は、吊下保持部に吊下げられた輸液容器503を、第1部分621から第2部分622まで移動させる、吊下保持部とは別の機構であってもよい。当該機構は、例えば、輸液容器503を押して移動する機構、又は、輸液容器503を保持して移動する機構等であってよい。レール部62に当該機構が適用される場合、レール部62は傾斜している必要は必ずしもない。
【0266】
また、混注装置1は、輸液受入棚60に代えて、図25に示すような輸液受入棚60Aを備えていてもよい。図25は、輸液受入棚60Aの一例を示す図である。図25の符号1091に示すように、輸液受入棚60Aは、レール部62に代えて、第1収容部67及び第2収容部68を備える。本変形例では、輸液受入棚60Aは、混注装置1の前方(-Y軸方向)に引出し可能となっている。
【0267】
第1収容部67は、吊下保持部66を収容する空間部である。吊下保持部66が第1収容部67に収容された状態で、第2搬送部120は、薬剤注入後の輸液容器503を、第2収容部68側から吊下保持部66に受渡す。第2収容部68は、第3読取部122が第1ラベルLA11の第1情報を読取ることができなかった輸液容器503、及び、印刷・鑑査ユニット制御部148により鑑査結果が不適と判定された輸液容器503を収容する空間部である。従って、本変形例では、第2搬送部120は、鑑査結果が適と判定された輸液容器503を吊下保持部66に受渡す。また、第2搬送部120は、第3読取部122が第1情報を読取ることができなかった輸液容器503、及び、鑑査結果が不適と判定された輸液容器503を第2収容部68に搬送する。
【0268】
吊下保持部66は、輸液受入棚60Aに対して着脱可能となっている。本変形例では、ユーザは、第1収容部67が開口している上方から吊下保持部66を収容し、吊下保持部66を上方へと取外すことができる。
【0269】
吊下保持部66の両端部には、切欠部が設けられている。第1収容部67を構成する箱体における第1上面部671及び第2上面部672の、当該切欠部と対向する位置には、位置決めピンが設けられている。そのため、当該位置決めピンの位置において、吊下保持部66は、第1収容部67に収容される。
【0270】
第1収容部67を左右方向から見たとき、輸液容器503が受渡される側の第1上面部671の位置は、第2上面部672の位置よりも高い。そのため、第1収容部67において、吊下保持部66は、第1上面部671側が第2上面部672側よりも高くなる。従って、吊下保持部66に吊下げられた輸液容器503は、輸液容器503の自重により第2上面部672側へと移動する。
【0271】
図25の符号1092に示すように、吊下保持部66は、輸液容器503の首部を吊下げて保持可能な一対のレール部661を備えている。吊下保持部66の、輸液容器503が受渡される第1部分には、レール部661よりも吊下保持部66の天面側に段部662が設けられている。吊下保持部66の、輸液容器503が受渡される側と反対側である第2部分においては、レール部661と吊下保持部66の天面とを接続する壁部が設けられている。そのため、吊下保持部66は、第1部分から輸液容器503を受取ることができると共に、ユーザが吊下保持部66を持ち運んでいるときに、吊下保持部66に保持された輸液容器503が第1部分又は第2部分から脱落する可能性を低減できる。
【0272】
また、図25の符号1092に示すように、輸液容器503を保持した状態の吊下保持部66をテーブルに載置することにより、吊下保持部66による輸液容器503の保持状態が解除される。そのため、ユーザが、輸液容器503を押えながら、図示された矢印方向に吊下保持部66を引っ張ったときに、段部662が輸液容器503の首部と干渉しない。従って、ユーザは、吊下保持部66から輸液容器503を取外すことができる。
【0273】
〔実施形態1のまとめ〕
(B1)混注装置は、薬剤を収容する薬剤容器を保持可能な複数の器材保持部と、前記器材保持部に保持された前記薬剤容器をユーザが取外す作業領域に、前記複数の器材保持部のうちの少なくとも1つを搬送する器材搬送部と、を備え、前記器材搬送部は、前記薬剤容器の回収指示を契機として、回収対象として指定されている薬剤容器を保持する器材保持部を、前記作業領域に搬送する。
【0274】
(B2)混注装置は、上記(B1)において、前記器材保持部に保持された薬剤容器に示された種類情報を読取る読取部を備え、前記器材搬送部は、前記種類情報を読取ることができなかった薬剤容器を、前記回収対象として指定されている薬剤容器として保持する器材保持部を、前記作業領域に搬送する。
【0275】
(B3)混注装置では、上記(B1)又は(B2)において、前記器材搬送部は、ユーザが指定した薬剤容器を、前記回収対象として指定されている薬剤容器として保持する器材保持部を、前記作業領域に搬送する。
【0276】
(B4)混注装置では、上記(B1)から(B3)の何れかにおいて、前記器材搬送部は、前記複数の器材保持部のうちの少なくとも2つのそれぞれが、前記回収対象として指定されている薬剤容器を保持している場合に、前記器材保持部への保持順番が早い前記薬剤容器を保持する器材保持部を、優先的に前記作業領域に搬送する。
【0277】
(B5)混注装置は、上記(B1)から(B4)の何れかにおいて、前記器材保持部に保持された薬剤容器を保管可能な複数の器材保管棚を備え、前記複数の器材保管棚のそれぞれには、前記器材保持部に保持されている薬剤容器を回収する回収モードとなる順番が予め設定されており、前記器材搬送部は、前記回収指示を契機として、前記回収モードとなる順番が任意の順番に設定された器材保管棚において、前記回収対象として指定されている薬剤容器を保持する器材保持部を、前記作業領域に搬送し、前記任意の順番に設定された器材保管棚において、前記回収対象として指定された薬剤容器を保持する全ての器材保持部の搬送が完了した後、前記回収モードとなる順番が前記任意の順番の次の順番に設定された器材保管棚において、前記回収対象として指定された薬剤容器を保持する器材保持部の、前記作業領域への搬送を開始する。
【0278】
(B6)混注装置は、上記(B5)において、前記器材保管棚から前記薬剤容器を取出す取出部を備え、前記取出部が前記薬剤容器を取出している器材保管棚が前記回収モードに設定される順番となった場合、当該器材保管棚を前記回収モードに設定せず、当該順番の次の順番に設定された器材保管棚を、前記回収モードに設定してもよい。
【0279】
(B7)混注装置は、薬剤を収容する薬剤容器を保持可能な複数の器材保持部と、輸液を収容する輸液容器に、前記薬剤を注入する注入部と、前記薬剤容器を、前記器材保持部から前記注入部へと搬送する容器搬送部と、前記複数の器材保持部のうちの少なくとも1つを、前記容器搬送部が前記器材保持部から前記薬剤容器を取出す取出位置に搬送する器材搬送部と、を備え、前記器材搬送部は、前記容器搬送部が前記器材保持部から前記薬剤容器を取出した後、次の注入指示を受付けずとも、取出された薬剤容器と同一種類の薬剤を収容する薬剤容器を保持する器材保持部を、前記取出位置に搬送する。
【0280】
(C1)混注装置は、輸液を収容する輸液容器を吊下げて保持可能な吊下保持部と、前記吊下保持部に吊下げられた輸液容器の胴部に接触することにより、前記輸液容器を押込む押込部と、を備える。
【0281】
(C2)混注装置は、輸液を収容する輸液容器の表面に付された、前記輸液の種類を示す輸液種類情報を読取る読取部を備え、前記読取部による前記輸液種類情報の読取位置は、前記読取部の読取対象となる輸液容器の種類毎に予め設定されており、前記読取部が前記読取位置において前記輸液種類情報を読取ることができなかった場合、前記読取部の向きを、前記輸液種類情報を読取る輸液容器の幅方向に沿って変更する向き変更部と、を備える。
【0282】
(C3)混注装置では、上記(C2)において、前記向き変更部は、前記読取位置を前記輸液容器の幅方向に移動させても、前記読取部が前記輸液種類情報を読取ることができなかった場合、前記読取部の向きを、前記輸液種類情報を読取る輸液容器の高さ方向に沿って変更する。
【0283】
(C4)混注装置では、前記向き変更部は、上記(C2)又は(C3)において、前記読取位置と前記輸液容器の表面に付された輸液種類情報とが対向するように、前記読取部の向きを変更する。
【0284】
(D1)混注装置は、輸液を収容する輸液容器の主面を所定方向に向けて、前記輸液容器を保管可能な輸液保管棚と、前記輸液容器に薬剤を注入すると共に、前記輸液容器から輸液を抜取る注入部と、を備え、前記注入部は、前記輸液容器から輸液を抜取るとき、又は、前記輸液容器に輸液を注入するときに、前記輸液容器の主面が当接した状態で前記輸液容器が載置される載置台を備え、前記載置台は、水平面において前記所定方向と直交する回転軸周りに回転する。
【0285】
(D2)混注装置は、輸液を収容する輸液容器に薬剤を注入する注入部を備え、前記注入部は、前記輸液容器に前記薬剤を注入するための注射器を保持する注射器保持部と、前記輸液容器に注入される前記薬剤を収容する薬剤容器を保持する薬剤容器保持部と、前記輸液容器を保持する輸液容器保持部と、を備え、前記薬剤容器保持部及び前記輸液容器保持部を、前記注射器保持部に対して,前記注射器保持部によって保持された注射器の針の延伸方向と直交する方向に相対的に移動させる移動部をさらに備える。
【0286】
(E1)混注装置は、輸液を収容する輸液容器に薬剤を注入する注入部と、前記注入部により前記薬剤が注入された前記輸液容器を吊下げて保持可能な吊下保持部と、前記注入部により前記薬剤が注入された前記輸液容器を、前記吊下保持部に受渡す受渡部と、を備える。
【0287】
(E2)混注装置では、上記(E1)において、前記輸液容器において、前記輸液の種類を示す第1情報が付された面とは異なる面に、前記第1情報とは異なる第2情報が付されており、前記吊下保持部は、前記受渡部により前記輸液容器が受渡される第1部分と、前記吊下保持部に保持された前記輸液容器が取出される第2部分と、を備え、前記受渡部は、前記輸液容器の、前記第2情報が付された面を、前記第1部分から前記第2部分を見た方向に向けて、前記吊下保持部に前記輸液容器を受渡す。
【0288】
(E3)混注装置では、上記(E1)又は(E2)において、前記吊下保持部は、前記受渡部により前記輸液容器が受渡される第1部分と、前記吊下保持部に保持された前記輸液容器が取出される第2部分と、を備え、前記吊下保持部に保持された前記輸液容器を、前記第1部分から前記第2部分へと移動させる移動部と、前記第2部分に設けられ、前記輸液容器の移動を妨げるシャッターと、を備え、前記シャッターは、前記シャッターの閉鎖方向に付勢されている。
【0289】
(E4)混注装置では、上記(E3)において、前記吊下保持部は、前記輸液容器の首部を吊下げて保持可能な一対のレール部であり、前記シャッターは、前記一対のレール部の最下部を含む平面よりも下方に位置している。
【0290】
(E5)混注装置では、上記(E4)において、前記シャッターの一部は、前記シャッターの開放状態においても、前記一対のレール部の下方に位置する。
【0291】
(E6)混注装置では、上記(E3)から(E5)の何れかにおいて、前記シャッターは、回転軸周りに回動することにより、前記第2部分を開閉するものであり、前記シャッターの、前記吊下保持部に保持された前記輸液容器との当接面は、前記シャッターの閉鎖状態において、前記輸液容器の移動方向に対して傾斜している。
【0292】
(E7)混注装置では、上記(E1)から(E6)の何れかにおいて、前記吊下保持部は、前記輸液容器の首部を吊下げて保持可能な一対のレール部であり、前記一対のレール部において、前記一対のレール部に前記輸液容器を吊下げたときに前記一対のレール部が前記輸液容器と接触する部分の形状は、線状である。
【0293】
[実施形態2]
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。他の実施形態についても同様である。本実施形態では、付与部が輸液容器503に第2情報を付する動作として、主として、第2搬送部120が輸液容器503に第2ラベルLA12を押当てて、貼付部54が輸液容器503に第2ラベルLA12を貼付する動作を例示して説明する。
【0294】
〔装置構成例〕
図4に示すように、制御部140は、判定部150を備えていてもよい。判定部150は、第2情報が輸液容器503の第2面SF2に付与されているかを判定する。そのため、制御部140は、第2情報が付されていない場合にその旨を報知するなど、第2情報が付されなかった後の各種処理を実行できる。
【0295】
例えば、判定部150は、第2情報の付与動作後に、第2読取部53が第2情報を読取った場合に、第2情報が第2面SF2に付与されていると判定してもよい。第2情報の付与動作とは、例えば、第2搬送部120及び貼付部54による第2ラベルLA12の貼付動作であってもよい。
【0296】
第2搬送部120が、保持している輸液容器503を貼付位置PO50(図18参照)へと移動させ、貼付部54が第2面SF2に第2ラベルLA12を貼付した後、制御部140は、第2読取部53の読取動作を行う。第2読取部53は、第2ラベルLA12に付された模様(例:バーコード又は文字)を読取ればよい。第2読取部53は、バーコードを読取る場合にはバーコードリーダであり、文字等を読取る場合にはカメラであってもよい。
【0297】
第2情報が第2面SF2に直接付与されている場合には、判定部150は、カメラが撮像した第2面SF2の像を解析することにより、第2情報が第2面SF2に付与されているかを判定してもよい。カメラは、第2情報を読取る読取部の一例である。
【0298】
また例えば、判定部150は、第2情報の付与動作後に、第2情報が印刷された第2ラベルLA12が第2面SF2に貼付されていると判定した場合に、第2情報が第2面SF2に付与されていると判定してもよい。判定部150は、貼付部54が備える吸着機構541の内圧が第2ラベルLA12の吸着状態における内圧よりも低下した場合に、第2ラベルLA12が第2面SF2に貼付されていると判定してもよい。
【0299】
移動機構542は、印刷部51が払出した第2ラベルLA12を吸着機構541が吸着した後、第2ラベルLA12が貼付位置PO50に位置するように、吸着機構541を移動させる。その後、第2搬送部120が、保持している輸液容器503を貼付位置PO50へと移動させることにより、第2ラベルLA12が第2面SF2に貼付される。本実施形態では、この状態において、移動機構542が、第2ラベルLA12の吸着位置へと吸着機構541を移動させることにより、吸着機構541の吸着パッドが、第2面SF2に貼付された第2ラベルLA12から離れる。
【0300】
従って、第2ラベルLA12が第2面SF2に貼付された場合には、吸着機構541の内圧は低下する。一方、第2ラベルLA12が第2面SF2に貼付されなかった場合(貼付に失敗した場合)、吸着機構541は第2ラベルLA12を吸着したままであるため、吸着機構541の内圧は変化しない。判定部150は、この変化の有無により、第2ラベルLA12が第2面SF2に貼付されたかを判定できる。
【0301】
印刷・鑑査ユニット50は、吸着機構541を構成する管の内圧を検出する圧力計(不図示)を備えていてもよい。また、記憶部200には、例えば実験等を経て、制御部140が、吸着パッドが第2面SF2に貼付された第2ラベルLA12から離れたことを検出可能な閾値が設定されていてもよい。判定部150は、圧力計により検出された内圧と閾値とを比較することにより、第2ラベルLA12が第2面SF2に貼付されたかを判定してもよい。
【0302】
判定部150は、カメラが撮像した第2面SF2の像を解析することにより、第2ラベルLA12が第2面SF2に貼付されているかを判定してもよい。カメラは、第2ラベルLA12を読取る読取部の一例である。
【0303】
その他、判定部150は、ラベルの貼付に関わる部材が故障した場合、又は、ラベルが欠品した場合に、第2ラベルLA12が第2面SF2に貼付されていないものと判定してもよい。この場合、混注装置1が、第2ラベルLA12が輸液容器503に貼付されているかどうかを検出する機構を備えていなくても、判定部150は、上記部材の故障又はラベルの欠品の検出により、第2ラベルLA12が輸液容器503に貼付されていないと判定できる。
【0304】
図4に示すように、印刷・鑑査ユニット50は、故障検出部58を備えていてもよい。故障検出部58は、ラベルの貼付に関わる部材の故障を検出する検出部である。ラベルの貼付に関わる部材としては、例えば、印刷部51及び真空ポンプが挙げられる。この場合、故障検出部58は、印刷部51及び真空ポンプのそれぞれに設けられている。判定部150は、故障検出部58が対象部材の故障を検出した場合に、第2ラベルLA12が第2面SF2に貼付されていないものと判定する。
【0305】
上記の判定は、例えば、第2ラベルLA12の貼付動作中に対象部材が故障していることが検出されている場合に行われてもよい。具体的には、上記の判定は、例えば、第2ラベルLA12の貼付動作中に対象部材の故障が検出された場合、又は、第2ラベルLA12の貼付動作前に対象部材の故障が検出され、その状態が解消しないまま、当該貼付動作が実行された場合に行われてもよい。
【0306】
また、図4に示すように、印刷・鑑査ユニット50は、ラベル供給部55(図17にも図示)及び欠品検出部59を備えていてもよい。ラベル供給部55は、印刷部51により第2情報が印刷されるラベルを、印刷部51に供給する。欠品検出部59は、ラベル供給部55に収容されたラベルの欠品を検出する検出部である。判定部150は、欠品検出部59がラベルの欠品を検出した場合に、第2ラベルLA12が第2面SF2に貼付されていないものと判定する。
【0307】
上記の判定は、例えば、第2ラベルLA12の貼付動作中にラベルが欠品していることが検出されている場合に行われてもよい。具体的には、上記の判定は、例えば、第2ラベルLA12の貼付動作中にラベルの欠品が検出された場合、又は、第2ラベルLA12の貼付動作前にラベルの欠品が検出され、その状態が解消しないまま、当該貼付動作が実行された場合に行われてもよい。
【0308】
判定部150が第2面SF2に第2ラベルLA12が貼付されていないと判定した場合、第2搬送部120は、第2ラベルLA12が貼付されていない輸液容器503(ラベル無しの輸液容器503とも称する)を、輸液受入棚60に払出してもよい。これにより、ユーザは、第2ラベルLA12が貼付されている輸液容器503と同様に、第2ラベルLA12が貼付されていない輸液容器503についても、輸液受入棚60から取出すことが可能となる。第2搬送部120は、輸液容器503を輸液受入棚60に払出す払出部の一例である。
【0309】
例えば、タッチパネル制御部149は、輸液容器503に貼付される予定であった第2ラベルLA12に含まれる第2情報を、タッチパネル80に表示してもよい。この場合、ユーザは、ラベル無しの輸液容器503について、注入された薬剤の種類、患者名、病棟等を把握できる。そのため、ラベル無しの輸液容器503を混注装置1から取出せるようにすることにより、ユーザは、当該輸液容器503を使用できる。
【0310】
また例えば、輸液受入棚60のレール部62に対応して、発光部材(不図示)(例えばLED;Light Emitting Diode)が設けられていてもよい。制御部140は、第2搬送部120がラベル無しの輸液容器503を払出した後、ラベル無しの輸液容器503を保持するレール部62に対応する発光部材を点灯させてもよい。これにより、制御部140は、ラベル無しの輸液容器503が保持されているレール部62を、ユーザに報知できる。制御部140は、例えば第1輸液検出部101の検出結果に基づき、レール部62に対応する発光部材を点灯させてもよい。
【0311】
第2搬送部120は、輸液受入棚60に収容されているラベル無しの輸液容器503の数が、所定数未満である場合に、ラベル無しの輸液容器503を輸液受入棚60に払出してもよい。
【0312】
輸液受入棚60に収容されるラベル無しの輸液容器503の数が多くなる程、ユーザは、取出しを所望するラベル無しの輸液容器503を特定しにくく、所望するラベル無しの輸液容器の取出しに手間を要する。輸液受入棚60に、ラベル無しの輸液容器503を、所定数を超えて収容できないようにすることにより、ユーザは、ラベル無しの輸液容器503の存在を把握しやすいため、ラベル無しの輸液容器503の取出しに要する手間を低減できる。また、制御部140の処理が煩雑化する可能性、及び、装置構成が複雑化する可能性を低減できる。
【0313】
所定数は、ユーザの手間、制御部140の処理の煩雑化、及び、装置構成の複雑化等を考慮して、決定されてもよい。所定数は、例えば1に設定されていてもよい。所定数を示す情報は記憶部200に記憶されている。
【0314】
輸液受入棚60は、例えば、図4に示すように、第1部分621(図22参照)に位置する輸液容器503を検出する第1輸液検出部101と、第2部分622(図22参照)に位置する輸液容器503を検出する第2輸液検出部102と、を備えていてもよい。制御部140は、第1輸液検出部101及び第2輸液検出部102の検出結果に基づき、輸液受入棚60に収容されている輸液容器503を計数してもよい。
【0315】
例えば、第1輸液検出部101が、輸液受入棚60に払出された輸液容器503を検出したときに、制御部140は、輸液受入棚60に収容されている輸液容器503の数を1増加させる。一方、第2輸液検出部102が、輸液受入棚60から取出される輸液容器503を検出したときに、制御部140は、輸液受入棚60に収容されている輸液容器503の数を1減少させる。これにより、制御部140は、輸液受入棚60に収容されている輸液容器503を計数できる。
【0316】
輸液受入棚60にラベル無しの輸液容器503が収容される前に、判定部150は、当該輸液容器503に第2ラベルLA12が貼付されていないと判定している。そのため、制御部140は、ラベル無しの輸液容器503が輸液受入棚60に払出されたときに、輸液受入棚60に収容されている輸液容器503の数を1増加させると共に、ラベル無しの輸液容器503が輸液受入棚60に払出されたことを特定できる。
【0317】
所定数が1に設定されている場合について考える。この場合、輸液受入棚60にラベル無しの輸液容器503が収容されている状態では、制御部140は、収容された全ての輸液容器503が輸液受入棚60から取出された場合に、ラベル無しの輸液容器503が輸液受入棚60から取出されたと判定してもよい。これにより、制御部140は、輸液受入棚60に収容されているラベル無しの輸液容器503の数が所定数未満(1未満)になったと判定できる。
【0318】
図21に示すように、輸液受入棚60に複数のレール部62が設けられている場合、所定数は、レール部62毎に設定されていてもよい。また、第1輸液検出部101及び第2輸液検出部102は、レール部62毎に設けられていてもよい。この場合、制御部140は、レール部62毎に、収容されている輸液容器503の数を計数できると共に、ラベル無しの輸液容器503を払出せるかを判定できる。
【0319】
〔第2ラベルの貼付に係る処理例〕
図26は、第2ラベルLA12の貼付有無の判定、及び、当該判定に伴う制御部140の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0320】
図26に示すように、混注装置1の電源投入後、制御部140は、例えば故障検出部58の検出結果に基づき、ラベルの貼付に関わる部材が故障したかを判定している(S21)。また、制御部140は、例えば欠品検出部59の検出結果に基づき、ラベル供給部55に収容されているラベルが欠品したかを判定している(S21)。
【0321】
上記部材の故障もラベルの欠品も検出されていない場合(S21でYES)、制御部140は、混注装置1の各部材の動作を制御して、ある薬剤についての混注動作を行う。制御部140は、第2搬送部120及び貼付部54を制御して、薬剤注入後の輸液容器503に対して、第2ラベルLA12の貼付動作を行う(S22)。
【0322】
判定部150は、第2ラベルLA12の貼付動作後、第2情報が輸液容器503に付与されているかを判定する。本実施形態では、判定部150は、第2ラベルLA12の貼付動作後、第2読取部53が第2情報を読取ったかを判定する(S23)。また、判定部150は、第2ラベルLA12の貼付動作後、吸着機構541の内圧が第2ラベルLA12の吸着状態における内圧(閾値)よりも低下したかを判定する(S24)。S23の処理とS24の処理とは並行して行われてもよいし、S24の処理後にS23の処理が行われてもよい。
【0323】
判定部150は、第2読取部53が第2情報を読取ったと判定した場合(S23でYES)、第2ラベルLA12が輸液容器503に貼付されていると判定する。また、判定部150は、吸着機構541の内圧が閾値よりも低下したと判定した場合(S24でYES)、第2ラベルLA12が輸液容器503に貼付されていると判定する。これにより、判定部150は、第2情報が輸液容器503に付与されていると判定する(S25)。
【0324】
そして、第2搬送制御部145は、第2搬送部120を制御して、第2ラベルLA12が貼付されている輸液容器503(ラベル有りの輸液容器503とも称する)を、輸液受入棚60に払出す(S26)。第2ラベルLA12が輸液容器503に貼付されている場合、第2搬送制御部145は、輸液受入棚60に収容されているラベル無しの輸液容器503の数に依らず、ラベル有りの輸液容器503を輸液受入棚60に払出す。
【0325】
一方、S21において、制御部140が、上記部材の故障又はラベルの欠品が検出されたと判定した場合(S21でNO)、判定部150は、第2情報が付与されていないものと判定する(S27)。具体的には、判定部150は、第2ラベルLA12が輸液容器503に貼付されていないものと判定する。判定部150は、上記部材の故障又はラベルの欠品が検出され続けている状態において第2ラベルLA12の貼付動作が実行された場合に、上記の判定を行ってもよい。S21でNOの場合、タッチパネル制御部149は、タッチパネル80に、上記部材が故障していること、又は、ラベルが欠品していることを示す画像を表示してもよい。
【0326】
またS23において、制御部140が、第2ラベルLA12の貼付動作後、第2情報を読取らなかったと判定した場合(S23でNO)、判定部150は、第2ラベルLA12が輸液容器503に貼付されていないと判定する。またS24において、制御部140が、第2ラベルLA12の貼付動作後、吸着機構541の内圧が閾値よりも低下しなかったと判定した場合(S24でNO)、判定部150は、第2ラベルLA12が輸液容器503に貼付されていないと判定する。これにより、判定部150は、第2情報が輸液容器503に付与されていないと判定する(S27)。
【0327】
S27の判定後、タッチパネル制御部149は、タッチパネル80に、輸液容器503に第2情報が付与されていないことを示す画像(例えば、第2ラベルLA12が貼付されていないこと示す画像)を表示する(S28)。このとき、タッチパネル制御部149は、タッチパネル80に、輸液容器503に貼付される予定であった第2ラベルLA12に含まれる第2情報を表示してもよい。
【0328】
制御部140は、輸液受入棚60に収容されているラベル無しの輸液容器503の数が所定数未満であるかを判定する(S29)。制御部140は、ラベル無しの輸液容器503の数が所定数未満であると判定した場合(S29でYES)、第2搬送部120を制御して、ラベル無しの輸液容器503を、輸液受入棚60に払出す(S26)。
【0329】
一方、制御部140は、ラベル無しの輸液容器503の数が所定数以上であると判定した場合(S29でNO)、タッチパネル制御部149は、タッチパネル80に、ラベル無しの輸液容器503の取出しを促す画像を表示する(S30)。その後、制御部140は、再度S29の処理を行う。
【0330】
従って、制御部140は、ラベル無しの輸液容器503が輸液受入棚60から取出されて、輸液受入棚60に収容されているラベル無しの輸液容器503の数が所定数未満となるまで、輸液容器503の輸液受入棚60への払出しを待機する。そのため、制御部140は、輸液受入棚60に収容されているラベル無しの輸液容器503の数を、所定数未満に維持できる。
【0331】
S26において、制御部140は、輸液容器503が輸液受入棚60に払出された後、輸液受入棚60に収容されているラベル無しの輸液容器503の数が所定数未満であるかを判定する(S31)。制御部140は、ラベル無しの輸液容器503の数が所定数未満であると判定した場合(S31でYES)、本フローを終了する。
【0332】
一方、制御部140は、ラベル無しの輸液容器503の数が所定数以上であると判定した場合(S31でNO)、タッチパネル制御部149は、タッチパネル80に、ラベル無しの輸液容器503の取出しを促す画像を表示する(S32)。これにより、ユーザがラベル無しの輸液容器503を取出して、輸液受入棚60に収容されているラベル無しの輸液容器503の数が所定数未満とすることができる。この場合、次の混注動作においてラベル無しの輸液容器503が発生した場合であっても、当該輸液容器503を輸液受入棚60に収容できる。
【0333】
(次の混注に係る動作の開始タイミング例)
第2読取部53が第2情報を読取れなかった場合(S23でNO)、又は、吸着機構541の内圧が閾値よりも低下しなかった場合(S24でNO)、次の混注動作で薬剤が注入された輸液容器503に、第2ラベルLA12を貼付できる可能性は高い。上記部材が故障しておらず、かつ、ラベルが欠品していないため、何らかの理由で今回の貼付動作においてのみ、第2ラベルLA12を貼付できなかった可能性が高いためである。そのため、S23でNOの場合、又は、S24でNOの場合には、制御部140は、その後のどのタイミングにおいて、次の混注に係る動作(例えば薬剤の注入動作)を行ってもよい。またこの場合、制御部140は、例えば貼付部54を制御して、貼付できなかった第2ラベルLA12をゴミ箱(不図示)に廃棄してもよい。制御部140は、例えば次の混注動作に係る第2ラベルLA12を吸着機構541が吸着するまでの間に、貼付できなかった第2ラベルLA12をゴミ箱に廃棄してもよい。
【0334】
一方、上記部材の故障又はラベルの欠品を検出した場合(S21でNO)、上記部材を修理もしくは交換しない限り、又は、ラベル供給部55にラベルを補充しない限り、次の混注動作で薬剤が注入された輸液容器503に、第2ラベルLA12を貼付できない。S30及びS32において、ラベル無しの輸液容器503を取出す旨の報知が行われたとき、ユーザは、ラベル無しの輸液容器503を輸液受入棚60から取出すために、混注装置1にアクセスする。従ってこのタイミングで、ユーザは、上記部材の修理もしくは交換、又は、ラベル供給部55へのラベルの補充を行う可能性が高い。
【0335】
そのため、S21でNOの場合、制御部140は、S29又はS31の処理後に、次の混注に係る動作(例えば薬剤の注入動作)を行ってもよい。これにより、制御部140は、輸液受入棚60にラベル無しの輸液容器503が所定数以上収容されている状態において、ラベル無しの輸液容器503が取出されたときに、上記部材の修理等が行われたものとして、上記動作を行うことができる。従って、上記部材の故障又はラベルの欠品により、次の混注により薬剤が注入された輸液容器503の、輸液受入棚60への払出しを待機させる可能性を低減できる。
【0336】
但し、上記のような輸液受入棚60への払出しの待機を許容する場合には、S23でNO及びS24でNOの場合と同様、制御部140は、S21の判定処理後のどのタイミングにおいて、次の混注に係る動作を行ってもよい。この場合、制御部140は、混注に係る動作の再開指示を示すユーザ操作を受付けるまで、当該動作を再開しないようにしてもよい。
【0337】
(変形例)
制御部140は、第2情報を読取ったかどうかの判定(S23の処理)、及び、吸着機構541の内圧が閾値よりも低下したかどうかの判定(S24の処理)のうち、何れか一方のみを行ってもよい。
【0338】
また、制御部140は、上記部材の故障又はラベルの欠品が検出されたかどうかの判定(S21)、S23の処理及びS24の処理の全てを行わず、これらの処理のうちの1又は2の処理を行うだけであってもよい。
【0339】
また、制御部140は、ある薬剤についての混注に係る動作を開始してから第2ラベルLA12の貼付動作を行う前に、上記部材の故障又はラベルの欠品が検出されたと判定した場合には、第2ラベルLA12の貼付動作(S22の処理)を行わなくてもよい。この場合、制御部140は、S23及びS24の処理を行わなくてもよい。
【0340】
また、第2ラベルLA12の貼付動作中に上記部材の故障又はラベルの欠品が検出された場合も、判定部150は、S21でNOと判定してもよい。
【0341】
〔実施形態1及び2のまとめ〕
(A1)混注装置は、輸液を収容し、かつ、前記輸液の種類を示す第1情報が表面に付された輸液容器に、薬剤を注入する注入部と、前記第1情報とは異なる第2情報を、前記輸液容器の表面に付する付与部と、前記輸液容器から前記第1情報を読取る読取部と、を備え、前記付与部は、前記読取部が前記第1情報を読取った後、前記第2情報を前記輸液容器の表面に付する。
【0342】
(A2)混注装置は、輸液を収容し、かつ、前記輸液の種類を示す第1情報が表面に付された輸液容器に、薬剤を注入する注入部と、前記第1情報とは異なる第2情報を、前記輸液容器の表面に付する付与部と、を備え、前記付与部は、前記輸液容器の表面において、前記第1情報と重ならない位置に前記第2情報を付する。
【0343】
(A3)混注装置は、上記(A1)又は(A2)において、前記第2情報は、前記薬剤の種類を示す情報である。
【0344】
(A4)混注装置は、上記(A1)から(A3)の何れかにおいて、前記付与部は、前記輸液容器の、前記第1情報が付された第1面とは異なる第2面に、前記第2情報を付する。
【0345】
(A5)混注装置は、上記(A4)において、前記第2面は、前記第1面とは反対側の面である。
【0346】
(A6)混注装置は、上記(A4)又は(A5)において、前記第1面の向きを認識する認識部を備え、前記付与部は、前記認識部の認識結果に基づいて、前記第2面に前記第2情報を付する。
【0347】
(A7)混注装置は、上記(A6)において、前記認識部は、前記輸液容器の、所定方向を向いた表面において反射した光を受ける受光部を備え、前記認識部は、前記受光部の受光結果に基づいて、前記第1面が前記所定方向を向いているかを認識する。
【0348】
(A8)混注装置は、上記(A6)又は(A7)において、前記認識部が、前記第1面が所定方向を向いていると認識した場合に、前記付与部は、前記所定方向以外の方向を向いた前記第2面に、前記第2情報を付する。
【0349】
(A9)混注装置は、上記(A1)から(A8)の何れかにおいて、前記第2情報が前記輸液容器の表面に付与されているかを判定する判定部を備える。
【0350】
(A10)混注装置は、上記(A9)において、前記輸液容器から前記第2情報を読取る第2読取部を備え、前記判定部は、前記第2読取部が前記第2情報を読取った場合に、前記第2情報が前記輸液容器の表面に付与されていると判定する。
【0351】
(A11)混注装置は、上記(A9)又は(A10)において、前記第2情報は、前記輸液容器の表面に貼付されるラベルに示されており、前記付与部は、前記ラベルを前記輸液容器の表面に貼付する貼付部を含み、前記貼付部は、前記ラベルを吸着する吸着機構を備え、前記判定部は、前記吸着機構の内圧が前記ラベルの吸着状態における内圧よりも低下した場合に、前記ラベルが前記輸液容器の表面に貼付されていると判定する。
【0352】
(A12)混注装置は、上記(A9)から(A11)の何れかにおいて、前記第2情報は、前記輸液容器の表面に貼付されるラベルに示されるものであり、前記ラベルの貼付に関わる部材の故障、又は、前記ラベルの欠品を検出する検出部を備え、前記判定部は、前記検出部が前記故障又は前記欠品を検出した場合に、前記ラベルが前記輸液容器の表面に貼付されていないものと判定する。
【0353】
(A13)混注装置は、上記(A9)から(A12)の何れかにおいて、前記第2情報が付与された輸液容器を受入れる輸液受入棚を備え、前記判定部が前記輸液容器の表面に前記第2情報が付与されていないと判定した場合、前記第2情報が付与されていない状態で、前記輸液受入棚に、前記輸液容器を払出す払出部を備える。
【0354】
(A14)混注装置は、上記(A13)において、前記払出部は、前記輸液受入棚に収容されている、前記第2情報が付与されていない輸液容器の数が、所定数未満である場合に、前記第2情報が付与されていない輸液容器を前記輸液受入棚に払出す。
【0355】
〔ソフトウェアによる実現例〕
混注装置1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部140に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0356】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0357】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0358】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0359】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0360】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0361】
1 混注装置
40 混注ユニット(注入部)
53 第2読取部
54 貼付部(付与部)
541 吸着機構
56 ガイド部(付与部)
58 故障検出部(検出部)
59 欠品検出部(検出部)
60 輸液受入棚
120 第2搬送部(付与部、払出部)
122 第3読取部(読取部、認識部)
1222 受光部
150 判定部
503 輸液容器
SF1 第1面
SF2 第2面
図1
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