(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028855
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】血液凝固分析装置および血液凝固分析方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/77 20060101AFI20240227BHJP
G01N 33/86 20060101ALI20240227BHJP
G01N 33/49 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
G01N21/77 B
G01N33/86
G01N33/49 K
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023205649
(22)【出願日】2023-12-05
(62)【分割の表示】P 2022174236の分割
【原出願日】2016-02-29
(71)【出願人】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】西村 直人
(72)【発明者】
【氏名】福崎 剛
(57)【要約】
【課題】血液凝固分析用の複数の波長の光を照射する血液凝固分析装置において、装置構成の大型化を抑制し、光源寿命が長く、かつ、容易に光軸ずれの発生を抑制する。
【解決手段】この血液凝固分析装置100の光照射部10は、血液凝固時間測定用の第1波長の光を発生させるための第1光源21と、合成基質測定用の第2波長の光を発生させるための第2光源22と、免疫比濁測定用の第3波長の光を発生させるための第3光源23と、を含む、複数の光源20と、各光源20に対向して設けられた複数の光ファイバ部30と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体と試薬を含む測定試料を収容した容器に光を照射する光照射部と、
前記光照射部から照射された光を受光するための受光部と、
前記受光部から出力される電気信号に基づいて、前記検体を分析するための分析部と、を備え、
前記光照射部は、
第1波長の光を発する第1光源と、前記第1光源に対向して設けられた第1光ファイバ部と、を含む第1光照射部と、
前記第1波長の光よりも光強度の弱い前記第1波長とは異なる第2波長の光を発する第2光源と、前記第2光源に対応して設けられた集光部と、前記集光部を介して前記第2光源に対応して設けられた第2光ファイバ部と、を含む第2光照射部と、を備える、血液凝固分析装置。
【請求項2】
前記第2光源は、前記第1波長とは波長が異なり且つ光強度の弱い光を発する複数の光源を含み、
前記第2光ファイバ部は、前記複数の光源に対応して設けられた複数の光ファイバ部を含み、
前記集光部は、複数の集光レンズを含み、前記複数の集光レンズの夫々は、前記複数の光源と前記複数の光ファイバ部との間に設けられている、請求項1に記載の血液凝固分析装置。
【請求項3】
前記複数の集光レンズの夫々は、光の収束率が異なる、請求項2に記載の血液凝固分析装置。
【請求項4】
複数の光源の夫々は、LEDである、請求項1~3のいずれか1項に記載の血液凝固分析装置。
【請求項5】
複数の光源の夫々を周期的に発光させるように制御する制御部をさらに備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の血液凝固分析装置。
【請求項6】
複数の光源の夫々を保持する複数の光源保持部と、複数の光ファイバ部の入射端を各光源保持部に保持された各光源に対向して保持する複数の入射端保持部と、を備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の血液凝固分析装置。
【請求項7】
第1光源が発する第1波長の光を前記第1光源に対向配置された第1光ファイバ部の入射端に向けて照射し、
前記第1光ファイバ部の出射端より出射する第1波長の光を検体に照射し、
前記第1波長の光よりも光強度の弱い第2光源から発する第2波長の光を、集光レンズで集光することにより光の利用効率を増大して第2光ファイバ部の入射端に向けて照射し、
前記第2光ファイバ部の出射端より出射する前記第2波長の光を検体に照射し、
前記第1波長の光および前記第2波長の光の夫々が照射された検体から得られた光信号を用いて検体を分析する、血液凝固分析方法。
【請求項8】
前記第2光源は、前記第1波長とは波長が異なり且つ光強度の弱い光を発する複数の光源を含み、
前記第2光ファイバ部は、前記複数の光源に対応して設けられた複数の光ファイバ部を含み、
前記集光部は、複数の集光レンズを含み、前記複数の集光レンズの夫々は、前記複数の光源と前記複数の光ファイバ部との間に設けられている、請求項7に記載の血液凝固分析方法。
【請求項9】
前記複数の集光レンズの夫々は、光の収束率が異なる、請求項8に記載の血液凝固分析方法。
【請求項10】
複数の光源の夫々は、LEDである、請求項7~9のいずれか1項に記載の血液凝固分析方法。
【請求項11】
複数の光源の夫々を周期的に発光させる、請求項7~10のいずれか1項に記載の血液凝固分析方法。
【請求項12】
複数の光源が周期的に発光することによって得られる、各波長に対応する時系列データのうち、測定項目に対応する波長の時系列データに基づいて前記検体を分析する、請求項7~11のいずれか1項に記載の血液凝固分析方法。
【請求項13】
第1光源が発する第1波長の光を前記第1光源に対向配置された第1光ファイバ部の入射端に向けて照射し、
前記第1光ファイバ部の出射端より出射する第1波長の光を検体に照射し、
前記第1波長の光よりも光強度の弱い第2光源から発する第2波長の光を、集光レンズで集光することにより光の利用効率を増大して第2光ファイバ部の入射端に向けて照射し、
前記第2光ファイバ部の出射端より出射する前記第2波長の光を検体に照射し、
前記第1波長の光および前記第2波長の光の夫々が照射された検体から得られた光信号を用いて検体を分析する、血液分析方法。
【請求項14】
前記第1波長の光よりも光強度の弱い第3光源から発する第3波長の光を、集光レンズで集光することにより光の利用効率を増大して第3光ファイバ部の入射端に向けて照射し、
前記第3光ファイバ部の出射端より出射する前記第3波長の光を検体に照射し、
前記第1波長、前記第2波長、および前記第3波長の光の夫々が照射された検体から得られた光信号を用いて検体を分析する、請求項13に記載の血液分析方法。
【請求項15】
前記第1波長の光よりも光強度の弱い第4光源から発する第4波長の光を、集光レンズで集光することにより光の利用効率を増大して第4光ファイバ部の入射端に向けて照射し、
前記第4光ファイバ部の出射端より出射する前記第4波長の光を検体に照射し、
前記第1波長、前記第2波長、前記第3波長、および前記第4波長の光の夫々が照射された検体から得られた光信号を用いて検体を分析する、請求項13または14に記載の血液分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、血液凝固分析装置および血液凝固分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、容器設置部に設置された測定容器に対して光照射部により、血液凝固分析用の複数の波長の光を照射して、測定容器を透過した光を受光部によって検出する血液凝固分析装置が開示されている。特許文献1の光照射部は、広帯域光源であるハロゲンランプと、透過波長の異なる複数の光学フィルタを円周に沿って保持するフィルタ部とを備える。フィルタ部は、各光学フィルタを中心軸周りに回転させて、光源からの光路中に各光学フィルタを順次配置するように構成されている。これにより、光照射部からは、容器設置部に設置された測定容器に対して複数波長の光が順次照射される。複数波長の光は、それぞれ別々の測定項目の検体測定のために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の血液凝固分析装置では、LEDなどの半導体発光素子と比較して大型のハロゲンランプと、回転機構を設けたフィルタ部とを設けているため、装置構成が大型化する。また、ハロゲンランプの光源寿命は短い。
【0005】
このような課題を解決するために、単純に、ハロゲンランプに比べて寿命が長い複数のLEDと各LEDからの光を複数のミラーおよびダイクロイックミラーによって光ファイバカプラに入射させる構成とすると、複数の光源の光軸を一致させるための光軸調整に精密な作業が必要となる。そこで、血液凝固分析用の複数の波長の光を照射する血液凝固分析装置において、装置構成の大型化を抑制し、光源寿命が長く、かつ、容易に光軸ずれの発生を抑制できる構成が望まれている。
【0006】
この発明は、血液凝固分析用の複数の波長の光を照射する血液凝固分析装置において、装置構成の大型化を抑制し、光源寿命が長く、かつ、容易に光軸ずれの発生を抑制することに向けたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による血液凝固分析装置は、検体と試薬を含む測定試料を収容した容器に光を照射する光照射部と、光照射部から照射された光を受光するための受光部と、受光部から出力される電気信号に基づいて、検体を分析するための分析部と、を備え、光照射部は、第1波長の光を発する第1光源と、第1光源に対向して設けられた第1光ファイバ部と、を含む第1光照射部と、第1波長の光よりも光強度の弱い第1波長とは異なる第2波長の光を発する第2光源と、第2光源に対応して設けられた集光部と、集光部を介して第2光源に対応して設けられた第2光ファイバ部と、を含む第2光照射部と、を備える。
【0008】
この発明の第2の局面による血液凝固分析方法は、第1光源が発する第1波長の光を第1光源に対向配置された第1光ファイバ部の入射端に向けて照射し、第1光ファイバ部の出射端より出射する第1波長の光を検体に照射し、第1波長の光よりも光強度の弱い第2光源から発する第2波長の光を、集光レンズで集光することにより光の利用効率を増大して第2光ファイバ部の入射端に向けて照射し、第2光ファイバ部の出射端より出射する第2波長の光を検体に照射し、第1波長の光および第2波長の光の夫々が照射された検体から得られた光信号を用いて検体を分析する。
【0009】
この発明の第3の局面による血液凝固分析方法は、第1光源が発する第1波長の光を第1光源に対向配置された第1光ファイバ部の入射端に向けて照射し、第1光ファイバ部の出射端より出射する第1波長の光を検体に照射し、第1波長の光よりも光強度の弱い第2光源から発する第2波長の光を、集光レンズで集光することにより光の利用効率を増大して第2光ファイバ部の入射端に向けて照射し、第2光ファイバ部の出射端より出射する第2波長の光を検体に照射し、第1波長の光および第2波長の光の夫々が照射された検体から得られた光信号を用いて検体を分析する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、血液凝固分析用の複数の波長の光を照射する血液凝固分析装置において、装置構成の大型化を抑制し、光源寿命が長く、かつ、容易に光軸ずれの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態による血液凝固分析装置の概要を示した模式図である。
【
図2】血液凝固分析装置の全体構成の一例を説明するための模式的な平面図である。
【
図3】光照射部の具体的な構成例を示した模式的な断面図である。
【
図5】光学バンドパスフィルタの特性を説明するための図である。
【
図6】
図3における第4光源の保持部の構成例を示した拡大断面図である。
【
図7】
図3における第5光源の保持部の構成例を示した拡大断面図である。
【
図8】光照射部の他の構成例を示した模式的な断面図である。
【
図9】光照射部から検出ユニットに光を導くための構成を示した模式図である。
【
図10】検出ユニットの容器設置部の構成例を示した拡大断面図である。
【
図11】
図2に示した測定部の制御的な構成例を示したブロック図である。
【
図12】制御部による各光源の発光制御を説明するための図である。
【
図13】光源の駆動回路の構成例を示した図である。
【
図14】制御部による光源の電流値制御を説明するための図である。
【
図15】分析部の構成例を示したブロック図である。
【
図16】分析部による分析処理を説明するための概念図である。
【
図17】
図2に示した血液凝固分析装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図18】
図2に示した血液凝固分析装置の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
[血液凝固分析装置の概要]
図1に示すように、血液凝固分析装置100は、検体に試薬を添加することにより調製された測定試料に光を照射し、測定試料に照射された光の透過光または散乱光を検出し、検出した光に基づいて検体を分析する装置である。検体は、血液から分離された血漿または血清である。血液凝固分析装置100は、凝固法、合成基質法、免疫比濁法または凝集法を用いて検体の分析を行う。
【0014】
血液凝固分析装置100は、検体と試薬を含む測定試料を収容した容器15に光を照射する光照射部10と、光照射部10から照射され、容器15を透過した光を検出するための受光部11と、受光部11から出力される電気信号に基づいて、検体を分析するための分析部12と、を備える。
【0015】
容器15は、検体と試薬とが混合された測定試料を収容するためのキュベットである。容器15は、透光性を有する樹脂またはガラスなどにより形成されており、照射された光に影響を与えないために十分に透明であることが好ましい。容器15は、たとえば上部が開口し底部が塞がれた筒状形状を有する。
図1では、容器15は、上方に開口する円筒状の胴部15aと、胴部15aの上端に設けられた鍔部15bとを有する。胴部15aは、上部よりも下部の直径が小さくなっている。容器15の形状は図示したものに限られない。
【0016】
光照射部10は、複数の光源20と、各光源20に対向して設けられた複数の光ファイバ部30を備える。なお、各光源20と各光ファイバ部30の入射端31とを保持するための保持部材40をさらに備えてもよい。保持部材40を備えると、より容易に各光源20と各光ファイバ部30の入射端31とを容易に保持させることができる。保持部材40を設けることなく、各光源20と各入射端31とを個別に固定してもよい。
【0017】
光源20は、血液凝固分析に用いられる複数の光源を含んでいる。具体的には、複数の光源20は、血液凝固時間測定用の第1波長の光を発生させるための第1光源21と、合成基質測定用の第2波長の光を発生させるための第2光源22と、免疫比濁測定用の第3波長の光を発生させるための第3光源23と、を含む。複数の光源20は、第1光源21、第2光源22および第3光源23以外の他の光源をさらに含んでいてもよい。
【0018】
光源20は、測定項目に応じた所定波長の光を発生させる。第1光源21が発生する第1波長の光としては、たとえば、620nm~690nmの波長帯域の光を用いることができる。より好ましくは、630nm~680nmの波長帯域の光を用いることができる。第1波長は、検体に添加される試薬に適した所定波長が選択され、たとえば660nmである。凝固法では、測定試料に第1波長の光が照射され、試料からの透過光または散乱光の電気信号に基づいて、検体中のフィブリノーゲンがフィブリンに転化する凝固時間が測定される。凝固法の測定項目としては、PT(プロトロンビン時間)、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)やFbg(フィブリノーゲン量)などがある。
【0019】
第2光源22が発生する第2波長の光としては、たとえば、390nm~420nmの波長帯域の光を用いることができる。より好ましくは、400nm~410nmの波長帯域の光を用いることができる。第2波長は、たとえば405nmである。合成基質法では、測定試料に第2波長の光が照射され、試料からの透過光の電気信号に基づいて、測定試料中の酵素に対する発色性合成基質の作用による発色度合いが測定される。合成基質法の測定項目としては、ATIII(アンチトロンビンIII)、α2-PI(α2-プラスミンインヒビター)、PLG(プラスミノーゲン)などがある。
【0020】
第3光源23が発生する第3波長の光としては、たとえば、690nm~820nmの波長帯域の光を用いることができる。より好ましくは、700nm~810nmの波長帯域の光を用いることができる。第3波長は、たとえば800nmである。免疫比濁法では、検体中の凝固・線溶因子などに対して抗原抗体反応を生じる試薬が検体に添加され、試薬に含有される物質が抗原抗体反応の結果として凝集する。測定試料に第3波長の光が照射され、試料からの透過光または散乱光の電気信号に基づいて、測定試料中の試薬含有物質の凝集速度が測定される。免疫比濁法の測定項目としては、Dダイマー、FDP(フィブリン分解産物)などがある。
【0021】
各測定項目に応じて個別に光源20を設けることにより、ハロゲンランプのように広い波長帯域をカバーする広帯域光源ではなく、測定に用いる波長を中心とする狭い波長帯域の光を発生させる光源を採用できる。たとえば第1光源21であれば、第1波長を含み、第2波長および第3波長をほとんど含まない光源を採用できる。そのため、光源20としては、測定に用いる波長を中心波長とする比較的狭帯域の光源を用いることができ、たとえばLED(light emitting diode)や半導体レーザーなどの半導体発光素子を用いることができる。
【0022】
光ファイバ部30は、入射端31と出射端32とを含むケーブル状構造を有する。光ファイバ部30は、入射端31に照射された光を出射端32に導く機能を有する。光ファイバ部30は、1本または複数本の光ファイバにより構成されている。
【0023】
複数の光ファイバ部30は、各光源20に対応して設けられている。すなわち、光ファイバ部30は、光源20毎に1つずつ設けられている。
図1の構成例では、光ファイバ部30は、第1光源21に対応する光ファイバ部30aと、第2光源22に対応する光ファイバ部30bと、第3光源23に対応する光ファイバ部30cとを含む。光源20が第1光源21~第3光源23以外の他の光源を含む場合、その光源に対応する光ファイバ部が別途設けられる。
【0024】
保持部材40をさらに備える構成では、保持部材40は、光源20と光ファイバ部30の入射端31とを保持して相互の位置関係を維持する機能を有する。保持部材40は、たとえば、各光源20を保持する複数の光源保持部41と、各光源保持部41に保持された各光源20に対向する位置にそれぞれ設けられており、光ファイバ部30の入射端31を保持する複数の入射端保持部42と、を備える。これにより、保持部材40は、各光源20と各光ファイバ部30の入射端31とを互いに対向させて保持している。光源保持部41と入射端保持部42とは、1つの光源20と、その光源20に対応する光ファイバ部30の入射端31とのペア毎に設けられている。光源保持部41および入射端保持部42は、光源20と、対応する光ファイバ部30の入射端31とを、互いに近傍の位置に保持している。保持部材40は、光源20の光軸と光ファイバ部30の中心軸とを略一致させた状態で保持している。保持部材40を設ける代わりに、光源保持部41および入射端保持部42を、光源20と入射端31とのペア毎に個別に設けてもよい。
【0025】
受光部11は、受光した光を電気信号に変換して出力する光電変換素子を含む。血液凝固分析装置100は、受光部11の光電変換素子から出力された電気信号を増幅する増幅回路を含んでよい。受光部11は、受光光量に応じた電気信号を分析部12に出力する機能を有する。受光部11は、たとえば、光ファイバ部30の出射端32と対向するように配置される。受光部11と出射端32との間に測定試料を収容した容器15が配置されることにより、受光部11は、光照射部10から照射され、容器15を透過した光を検出する。容器15を透過した光は、測定試料に照射された光による透過光または散乱光である。試料に照射された光の透過光または散乱光が、容器15を透過して受光部11に受光される。受光部11は、透過光および散乱光の両方をそれぞれ受光する構成であってもよい。
【0026】
なお、
図1では、光ファイバ部30の出射端32からの出射光が直接容器15に照射され、容器15を透過して受光部11に受光される構成例を示しているが、光ファイバ部30の出射端32と受光部11との間に他の光学要素を設けてもよい。たとえば、複数の容器15に対して光を照射する場合、光ファイバ部30の出射端32からの光を各容器15に分配するための光学要素を設けてもよい。また、容器15の直前や、容器15と受光部11との間に、所定の光学特性を有するレンズや光学フィルタを配置してもよい。
【0027】
分析部12は、プロセッサやメモリなどを備えたコンピュータにより構成される。分析部12は、汎用のコンピュータに検体分析用のプログラムを実行させることにより分析部として構成されてもよいし、専用のハードウェアによって構成されてもよい。分析部12は、受光部11から出力される電気信号のデータを記録し、測定項目に応じて検体の分析を行う。受光部11から出力された電気信号の変化は、受光部11の受光量の変化を表す。上記の第1光源21~第3光源23を用いる測定では、分析部12は、所定の測定時間の間に受光部11から出力された電気信号の変化に基づいて検体の分析ができる。分析部12は、凝固法の場合には血液凝固時間を分析し、合成基質法の場合には、発色性合成基質が発色する過程の吸光度変化を分析し、免疫比濁法の場合には、試薬が抗原抗体反応することによる吸光度変化を分析する。その他の測定法による分析を行う場合にも、分析部12は測定法に応じて電気信号から検体分析を行う。
【0028】
次に、血液凝固分析装置100による分析方法を説明する。血液凝固分析装置100は、複数の保持部40により保持された複数の光源20から光を発生させる。血液凝固分析装置100は、複数の保持部40により保持された複数の光ファイバ部30の入射端31に、それぞれ、複数の光源20からの光を入射させる。そして、血液凝固分析装置100は、複数の光ファイバ部30の各出射端32から出射された光を、検体を収容した容器15に照射させ、容器15を透過した光を検出する。血液凝固分析装置100は、検出した光に基づいて、検体を分析する。
【0029】
以上の構成により、血液凝固分析装置100では、複数の光源20と複数の光源20に対応する複数の光ファイバ部30とを設けることによって、ハロゲンランプのような広帯域光源と回転フィルタ装置との組み合わせではなく、LEDのような小型で長寿命の光源20を複数使用することにより血液凝固分析ができる。これにより、ハロゲンランプと比較して光源の寿命を長くし、装置構成の大型化も抑制できる。さらに、光源20からの光路中にミラーを配置して容器15まで光を導く構成と異なり、光源20と光ファイバ部30の入射端31とを対向させ、保持部材40の光源保持部41および入射端保持部42によって互いに近傍の位置に保持できるので、容易かつ精度よく光軸合わせができる。これらの結果、血液凝固分析用の複数の波長の光を照射する血液凝固分析装置100において、装置構成の大型化を抑制し、光源寿命が長く、かつ、容易に光軸ずれの発生を抑制できる。
【0030】
また、光源20と光ファイバ部30の入射端31とを互いに近傍の位置に保持できることにより、光源20から照射された光が光ファイバ部30に入射するまでに失われる光を少なくすることができる。それにより、受光部11から出力される電気信号に混入してしまうノイズの影響を少なくすることができ、再現性の高い血液凝固分析結果を得ることができる。例えば、血液凝固分析結果として、パーセント検出法により凝固時間を算出する場合、受光部11から出力される電気信号に混入してしまうノイズの影響が大きいと、同じ検体を複数回測定したとしても、測定毎に異なる凝固時間が算出されるおそれがある。一方、血液凝固分析装置100は、光源20と光ファイバ部30の入射端31とを互いに近傍の位置に保持できることにより、受光部11から出力される電気信号に混入してしまうノイズの影響が抑制されるので、例えば、血液凝固分析結果として、パーセント検出法により凝固時間を算出する場合であれば、再現性の高い凝固時間を得ることができる。
【0031】
[血液凝固分析装置の構成例]
以下、
図2以降を参照して、
図1に示した血液凝固分析装置100のより具体的な構成例について説明する。
図2では、血液凝固分析の自動分析装置の一構成例を示している。
【0032】
(全体構成)
図2の構成例では、血液凝固分析装置100は、測定部101、搬送部102および分析部12を備えている。光照射部10および受光部11(
図9参照)は、測定部101に設けられている。
【0033】
図2の構成例では、血液凝固分析装置100は、検体を収容する検体容器から検体を吸引して、容器15に定量分注する機能を備えている。
【0034】
搬送部102には、検体ラック105が設置される。検体ラック105には、検体を収容した検体容器106が複数本設置できる。搬送部102は、ユーザにより設置された検体ラック105を搬送して、各検体容器106を所定の検体吸引位置501または502に位置付ける。検体ラック105および検体容器106には、バーコードなどに識別情報を記録したラベル(図示せず)が貼付されている。検体ラック105および検体容器106の識別情報は、搬送経路の途中に設置されたリーダ103により読み出され、分析部12に送信される。識別情報によって、検体容器106中の検体と、検体の測定結果とが対応付けられて管理される。
【0035】
測定部101は、検体容器106中の検体を吸引して、容器15に定量分注するための検体分注部110および120を備えている。
【0036】
検体分注部110および120は、検体分注用のピペット111を旋回可能に保持する分注アームにより構成されている。ピペット111は、図示しないポンプと接続されており、検体の定量吸引および吐出ができる。検体分注部110は、ピペット111を移動させて検体吸引位置501の検体容器106から所定量の検体を吸引できる。検体分注部120は、ピペット111を移動させて検体吸引位置502の検体容器106から所定量の検体を吸引できる。検体分注部110および120は、それぞれ、ピペット111を移動させて、吸引した検体を所定の検体分注位置に配置された容器15内に吐出できる。
【0037】
測定部101は、検体分注部110により吸引した検体に所定の試薬が添加されることにより調製された測定試料に対して、光学的な測定を行う。血液凝固分析装置100は、搬送部102および検体分注部110を備えずに、予め検体が定量分注された容器15に対して測定を行う構成であってもよい。
【0038】
測定部101は、検体および試薬を収容して測定試料が調製される容器15を各部に移送する機構を備える。
図2の構成例では、測定部101は、容器テーブル130を備える。容器テーブル130は、平面視でリング形状を有し、周方向に回転できる。容器テーブル130は、周方向に沿って配列された複数の保持孔131を含む。保持孔131には、それぞれ1つずつ容器15を設置できる。検体分注部110は、検体分注位置503で容器テーブル130に保持された新しい容器15に、吸引した検体を分注できる。検体分注部120は、容器テーブル130上の検体を収容する容器15から、検体を吸引することもできる。
【0039】
測定部101は、新しい容器15を検体分注位置504に位置付ける移送部140を備えている。移送部140は、容器15を設置するための保持孔を備えた設置台を、レールに沿って移動させることができる。保持孔は、たとえば2つ設けられている。検体分注部120は、検体分注位置504において移送部140に保持された新しい容器15に、吸引した検体を分注できる。
【0040】
新しい容器15は、容器収納部150に多数収納されており、容器供給部151により容器収納部150から1つずつ取り出される。容器供給部151により取り出された容器15が、把持機構160により把持され、取り出される。把持機構160は、取り出した容器15を、容器テーブル130の保持孔131または移送部140の保持孔に設置できる。
【0041】
測定部101は、移送部170を備えている。移送部170は、移送部140と同様に保持孔を備えた設置台を、レールに沿って移動させることができる。容器供給部151の新しい容器15は、把持機構180により取り出され、移送部170の保持孔に設置される。移送部170は、設置された新しい容器15を、検体分注位置505に移送できる。検体分注部120は、検体分注位置505において移送部170に保持された新しい容器15に、吸引した検体を分注できる。
【0042】
図2の構成例では、血液凝固分析装置100は、容器15中の検体に試薬を添加して、測定試料を調製する機能を備えている。測定試料は、検体と試薬との混合液である。
【0043】
測定部101は、測定に使用する試薬容器191を収容する試薬テーブル190と、試薬テーブル190に設置された試薬容器から試薬を吸引および吐出するための試薬分注部200および210とを備える。
【0044】
試薬テーブル190は、容器テーブル130の内側に配置され、平面視で円形状を有する。試薬テーブル190には、複数の試薬容器191を周方向に沿って設置できる。試薬テーブル190は、周方向に回転可能であり、回転によって任意の試薬容器191を所定の試薬吸引位置に位置付けることができる。
【0045】
試薬分注部200および210は、試薬分注用のピペット(図示せず)を備えている。ピペットは、図示しないポンプと接続されており、試薬の定量吸引および吐出ができる。試薬分注部200は、試薬テーブル190上の所定の試薬吸引位置に位置付けられた試薬容器191から所定量の試薬を吸引できる。試薬分注部200は、ピペットを試薬分注位置506に移動させて、試薬分注位置506の容器15に所定量の試薬を吐出できる。
【0046】
試薬分注部210は、試薬テーブル190上の所定の試薬吸引位置に位置付けられた試薬吸引位置の試薬容器191から所定量の試薬を吸引できる。試薬分注部210は、ピペットを試薬分注位置507に移動させて、試薬分注位置507の容器15に所定量の試薬を吐出できる。
【0047】
測定部101は、検体が分注された容器15を保持して加温するための加温テーブル220を備える。加温テーブル220は、検体を収容した複数の容器15をそれぞれ保持するための複数の保持孔221と、容器15を把持して移送するための把持機構222とを含む。加温テーブル220は、複数の保持孔221にそれぞれ保持された容器15を加温するためのヒータ(図示せず)を内蔵している。
【0048】
加温テーブル220は、平面視で円形状を有し、複数の保持孔221が周方向に沿って配列されている。加温テーブル220は、周方向に回転可能であり、ヒータによって所定温度に加温しながら、回転によって複数の保持孔221に設置された容器15を周方向に移送できる。把持機構222は、容器15を把持して移送し、保持孔221に容器15を設置したり、保持孔221から容器15を取り出したりできる。
【0049】
把持機構222は、移送部140に設置された容器15を加温テーブル220の保持孔221に移送できる。また、把持機構222は、加温テーブル220の保持孔221において加温された容器15を取り出して、試薬分注位置506および507にそれぞれ移送できる。把持機構222は、試薬分注部200により試薬が分注された容器15を、加温テーブル220の保持孔221に戻す。
【0050】
血液凝固分析装置100は、試薬テーブル190、試薬分注部200および加温テーブル220を備えずに、調製された測定試料を予め収容させた容器15に対して測定を行う構成であってもよい。
【0051】
測定部101は、容器15中の測定試料に対する光学的な測定を行うための検出ユニット230および240を備える。2つの検出ユニット230および240は、同一の構成を有する。検出ユニット230および240のいずれか1つのみが設けられていてもよい。検出ユニット230および240は、検体を収容した容器15を設置するための容器設置部231と、容器設置部231に対応して設けられた受光部11とを含んでいる。
【0052】
図2の構成例では、検出ユニット230および240は、それぞれ、容器設置部231を複数備えている。検出ユニット230および240は、平面視で血液凝固分析装置100の1辺に沿うように直線状に延びており、複数の容器設置部231が所定間隔を隔てて直線状に配列されている。
【0053】
測定部101は、検出ユニット230および240にそれぞれ容器15を移送するための把持機構180および250を含む。
【0054】
把持機構180および250は、直交する3軸方向であるX、YおよびZの各方向への移動機構(図示せず)を備え、容器15を把持して移送できる。把持機構180は、上述した容器供給部151と移送部170との間の容器15の移送ができる。把持機構180は、加温テーブル220の保持孔221から容器15を取り出して試薬分注位置506に移送し、試薬が分注された後の容器15を検出ユニット230の容器設置部231に設置できる。把持機構250は、加温テーブル220の保持孔221から容器15を取り出して試薬分注位置507に移送し、試薬が分注された後の容器15を検出ユニット240の容器設置部231に設置できる。なお、把持機構180および250は、それぞれ、測定済みの容器15を容器設置部231から取り出して、それぞれの廃棄口260および261に移送できる。
【0055】
検出ユニット230および240の容器設置部231に設置された容器15内の測定試料に対して、光学的な測定が行われる。光照射部10は、検出ユニット230および240の容器設置部231に設置された容器15に対して、測定用の光を照射する。受光部11(
図9参照)は、容器15に照射された光の透過光または散乱光を受光して、受光量に応じた電気信号を出力する。電気信号は、分析部12に送信される。分析部12は、受光部11から出力される電気信号に基づいて、検体を分析する。
【0056】
(光照射部の構成例)
図3に光照射部10の構成例を示す。
図3の構成例では、光照射部10は、5つの光源320と、5つの光源320に対応して設けられた5つの光ファイバ部330と、各光源320と各光ファイバ部330の入射端331とを保持するための1つの保持部材340とを含んでいる。光源320、光ファイバ部330および保持部材340は、たとえば金属製のハウジング310内に収容されている。
【0057】
5つの光源320は、いずれも、LEDにより構成されている。LEDは、一般にハロゲンランプの数十倍の寿命がある。これにより、ハロゲンランプなどの広帯域光源と回転フィルタとを用いた構成と比較して、より小型で寿命の長い光照射部10を構成することができる。また、波長毎に個別のLEDを設けることができるので、それぞれの光源320の発光スペクトルおよび発光強度を個別に最適化できる。
【0058】
光源320は、第1光源321、第2光源322および第3光源323を含んでいる。
図3の構成例では、第1光源321は、第1波長として、約660nmの光を発生する血液凝固時間測定用の光源である。第2光源322は、第2波長として、約405nmの光を発生する合成基質測定用の光源である。第3光源323は、第3波長として、約800nmの光を発生する免疫比濁測定用の光源である。
【0059】
図3の構成例では、複数の光源320は、合成基質測定用の第2波長とは異なる第4波長の光を発生させるための第4光源324をさらに含んでいる。第4波長は、第2波長と同様、300nm以上380nm以下の範囲から選択される波長である。より好ましくは、320nm~360nmの波長帯域の光を用いることができる。
図3の構成例では、第4波長は、たとえば340nmである。第4波長の光は、合成基質測定のサブ波長として用いることができる。すなわち、第2波長の光に対応する電気信号と、第4波長の光に対応する電気信号と比較して、より安定した検出結果が得られている信号を採用して分析を行うことができる。これにより、より信頼性の高い電気信号による分析ができ、その場合でも装置構成の大型化を抑制できる。
【0060】
図3の構成例では、複数の光源320は、免疫比濁測定用の第3波長とは異なる第5波長の光を発生させるための第5光源325をさらに含んでいる。第5波長は、第3波長と同様、550nm以上590nm以下の範囲から選択される波長である。より好ましくは、560nm~580nmの波長帯域の光を用いることができる。
図3の構成例では、第5波長は、たとえば575nmである。第5波長の光は、免疫比濁測定のサブ波長として用いることができる。すなわち、第3波長の光に対応する電気信号と、第5波長の光に対応する電気信号と比較して、より安定した検出結果が得られている信号を採用して分析を行うことができる。これにより、より信頼性の高い電気信号による分析ができ、その場合でも装置構成の大型化を抑制できる。
【0061】
光ファイバ部330は、それぞれの光源320に対応して設けられている。5つの光ファイバ部330は、第1光源321、第2光源322、第3光源323、第4光源324および第5光源325からの光がそれぞれの入射端331から入射するように光源320毎に個別に設けられた光ファイバ部330a、330b、330c、330dおよび330eにより構成されている。
【0062】
図3の構成例では、複数の光ファイバ部330は、それぞれ複数本の光ファイバ333を含む。そして、複数の光ファイバ部330は、出射端332において、各光源320に対応した複数の光ファイバ333が略均一に分布するように混合して束ねられている。ここで「光ファイバ」とは、1本のコアを有する光ファイバ素線あるいは光ファイバ心線を意味する。各光ファイバ部330は、複数本の素線を束ねたケーブルあるいは撚り線として構成されている。この構成により、各々の光ファイバ部330の入射端331に別々に入射した各波長の光を、個別に容器15に照射するのではなく、共通の出射端332から出射させることができる。そのため、各波長の光を出射するための構成を簡素化できる。また、共通の出射端332において各波長の光の分布を均一化した状態で出射できるので、各波長の光を共通の出射端332から出射させる場合でも、波長毎の光の分布が偏ることを抑制できる。
【0063】
図3の構成例では、5つの光ファイバ部330が、途中で撚り合われて一体化し、2つの出射端332を備えるように構成されている。2つの出射端332は、2つの検出ユニット230および240(
図2参照)にそれぞれ対応するように設けられている。2つの出射端332は、ハウジング310に設けられた2つの取出口311に、それぞれ接続されている。各出射端332は、各光ファイバ部330を構成する光ファイバ333を、それぞれ略等しい本数だけ含んでいる。また、各光ファイバ部330を構成する光ファイバ333が、出射端332の端面内において略均一に分布するように混合されている。各光ファイバ部330を構成する光ファイバ333の本数は、検出ユニット230および240における容器設置部231の数に応じて決定される。たとえば、容器設置部231の数をNとし、各光ファイバ部330が1つの容器設置部231に対して光ファイバM本分の光量を伝送する場合、各光ファイバ部330は、N×M本の光ファイバ333を含む。各出射端332は、各光ファイバ部330のうちから(N×M)/2の本数の光ファイバ333を集めて構成されている。
【0064】
〈均一化部材〉
図3の構成例では、光照射部10は、光ファイバ部330の出射端332に隣接するように配置され、出射端332側から入射した光の強度分布を均一化させて出射するための均一化部材350をさらに含んでいる。ここで、出射端332に配置された個々の光ファイバ333は、第1波長から第5波長のいずれかの光のみを出射する。つまり、出射端332では波長毎の発光点がそれぞれ均一に分散して配置されることになる。そこで、出射端332からの光を均一化部材350に入射させて均一化させることにより、均一化部材350の出射面352では、面内全体にわたって各波長の強度分布が均一化される状態となる。これにより、波長毎の光強度のばらつきを効果的に均一化できる。
【0065】
均一化部材350は、ハウジング310に設けられた2つの取出口311に、それぞれ配置されている。各均一化部材350は、入射面351が光ファイバ部330の各出射端332と対向し、出射面352が取出口311の出口側に配置されている。これにより、均一化部材350を通って強度分布が均一化された光が、各取出口311から出射される。均一化部材350は、たとえば、入射面351から入射した光を内部で多重反射させて、出射面352から出射させるように構成されている。均一化部材350の一例として、
図6では多角柱状のホモジナイザロッドからなるライトパイプ353を示す。ライトパイプ353は、入射した光を内部で多重反射させることにより、出射面352から各波長の光を均一な強度分布で出射させる。なお、光ファイバ部330の出射端332において各波長の光の強度分布が十分に均一化される場合には、均一化部材350を設けなくてもよい。
【0066】
〈保持部材〉
図3に戻り、光照射部10の保持部材340は、5つの光源320を保持する。したがって、5つの光源320が、共通の保持部材340に支持されている。保持部材340は、たとえば、アルミなどの金属製であり、角柱形状に形成されている。
図3の構成例では、光源保持部341と入射端保持部342とは、それぞれ、保持部材340の一端部および他端部に設けられ、保持部材340を貫通する貫通孔からなる通路部344により互いに接続されている。
【0067】
5つの光源保持部341は、各光源320の光の出射方向と直交する方向に沿って直線状に並んで配置されている。各光源320は、中央に第4光源324が配置され、第4光源324の両側に第5光源325および第2光源322が配置され、最も外側に第1光源321および第3光源323が配置されている。
【0068】
図3の構成例では、各光源320を保持する複数の光源保持部341と、複数の光ファイバ部330の入射端331をそれぞれ保持する複数の入射端保持部342とは、保持部材340において互いに直線状に向かい合う位置に配置されている。これにより、光源320の光軸と入射端331における光ファイバ部330の軸中心とを容易に精度よく一致させることができる。
図3では、光源保持部341と入射端保持部342とが略同一軸線上で互いに対向する位置に配置されている。
【0069】
図3の構成例では、
図6および
図7に詳細に示したように、光源保持部341は、ソケット343を介して光源320を保持している。光源保持部341は、通路部344と接続された凹部345を含み、ソケット343は、凹部345に嵌め込まれた筒状部材である。光源320は、ソケット343の内部で固定的に保持されている。入射端保持部342は、保持部材340を貫通する貫通孔からなる通路部344の他端部分により構成されている。したがって、入射端保持部342は、入射端331が挿入できる孔部であり、光ファイバ部330の入射端331を含む所定長さの範囲を内部に挿入させて保持している。
【0070】
光照射部10には、光源320からの光を光ファイバ部330の入射端331に集光するための部材や、入射端331に入射する光の中心波長や半値幅などのスペクトル特性を調節するための部材を設けてもよい。
【0071】
〈光学バンドパスフィルタ〉
たとえば、
図3では、光照射部10は、所定の波長帯域の光だけを透過させる光学バンドパスフィルタ360をさらに含む。光学バンドパスフィルタ360は、円板状形状を有し、一方の表面に照射された光のうち、所定の波長帯域の光だけを他方の表面へ透過させる。保持部材340は、光源320と、対応する光ファイバ部330の入射端331との間の位置で光学バンドパスフィルタ360を保持している。これにより、光源320から出射された光の中心波長や半値幅などを計測に適した特性となるように調節して、入射端331に入射させることができる。その結果、測定精度が向上する。また、光源320にも個体差が存在し、中心波長や半値幅などが異なる場合があるが、光学バンドパスフィルタ360によって光源320の個体差の影響を吸収し、安定した測定結果を確保することができる。
【0072】
具体的には、
図5に示したように、たとえば575nmの第5波長の光を発生させる第5光源325が、厳密には575nmから僅かにずれた中心波長λ1、半値幅HW1のスペクトルSP1で発光すると仮定する。第5光源325の光が光学バンドパスフィルタ360を透過することにより、575nmの第5波長に一致し、かつ、十分に狭い半値幅HW2のスペクトルSP2となり、光ファイバ部330に入射する。なお、
図5では、縦軸に相対強度[%]をとっている。すなわち、スペクトルSP1およびSP2の各々における最大強度を100%として、それぞれの強度分布を示している。
図5におけるスペクトルSP1の最大強度(100%)とスペクトルSP2の最大強度(100%)とが一致するわけではなく、光強度の絶対値としては異なる値をとる。
【0073】
図3の構成例では、光学バンドパスフィルタ360は、5つの光源320の全てに設けられている。それぞれの光学バンドパスフィルタ360の特性は、各光源320に応じて異なる。
【0074】
図6および
図7に示すように、保持部材340は、光源320と、光学バンドパスフィルタ360と、光源320と対応する光ファイバ部330の入射端331とを、直線状に並べて配置するための直線状の通路部344を含み、光学バンドパスフィルタ360は、光源320と入射端331との間で通路部344を塞ぐように配置されている。これにより、光源320からの光が確実に光学バンドパスフィルタ360を通過して、入射端331に入射するように構成できる。その結果、光学バンドパスフィルタ360を設ける場合でも光の損失が発生するのを抑制できる。
【0075】
具体的には、通路部344は、光源320の光軸に沿って保持部材340内を直線状に延びる孔部である。光源保持部341は、通路部344よりも内径が大きくなるように形成された凹部345を含んでいる。光学バンドパスフィルタ360は、凹部345の内部で入射端保持部342側の端部に配置されている。光学バンドパスフィルタ360は、ソケット343の先端面により、リング状の弾性部材346を介して凹部345の底面に対して押圧されている。これにより、光学バンドパスフィルタ360は、入射端331が配置された通路部344を塞ぐように設けられている。光学バンドパスフィルタ360は、弾性部材346によって、損傷が発生しない適度な外力で押圧しながら固定される。
【0076】
〈集光レンズ〉
また、
図6および
図7の構成例では、光照射部10は、複数の光源320のうち少なくとも1つに対応して設けられ、光源320から出射される光を入射端331に収束させるための集光レンズ370をさらに含む。保持部材340は、光源320と、対応する光ファイバ部330の入射端331との間の位置で集光レンズ370を保持している。これにより、光源320で発生する光の利用効率を向上させることができるので、光源320の発光量あるいは光源320に供給する電流値を増大させなくても、十分な光強度を確保することができる。
【0077】
集光レンズ370は、5つの光源320の全てに対して設けてもよいが、定格電流以下の所定電流値で十分な光強度が得られる場合には必ずしも設ける必要はない。集光レンズ370は、各光源320のうちでも相対的に光強度の小さい光源に対して設けるのが効果的である。LED光源の場合、660nm、405nm、800nm、340nm、575nmのうちでは、340nmおよび575nmのLED光源の発光量が小さい。そのため、集光レンズ370は、
図3に示した5つの光源320のうち、第4光源324(
図6参照)および第5光源(
図7参照)に対して設けられ、第1光源321、第2光源322および第3光源323には設けられていない。
【0078】
図6および
図7の構成例では、保持部材340は、光源320と、集光レンズ370と、光源320と対応する光ファイバ部330の入射端331とを、直線状に並べて配置するための直線状の通路部347を含み、集光レンズ370は、光源320と入射端331との間で通路部347を塞ぐように配置されている。これにより、光源320と、集光レンズ370と、光ファイバ部330の入射端331との軸合わせを容易に行うことができ、光の利用効率を効果的に増大させることができる。
【0079】
具体的には、ソケット343が、光源320と光ファイバ部330の入射端331との間に直線状の通路部347を有する。集光レンズ370は、通路部347内に嵌め込まれて通路部347を塞ぐようにしてソケット343に保持されている。
図6および
図7の構成例では、集光レンズ370が直線状に2つ並んで設けられる例を示している。光源320からの光は、2つの集光レンズ370により2回収束させられて、入射端331に入射する。これにより、光源320と入射端331との間の距離を大きくすることなく、より広い範囲の光源320からの出射光が入射端331に入射できる。なお、光ファイバ部330により光を伝送するためには、所定の全反射条件を満たす入射角θで入射端331に光を入射させる必要がある。集光レンズ370は、光源320からの光が入射角θの範囲内で入射端331に入射するように光を集光するように構成されている。集光レンズ370は、1つだけ設けられてもよい。
【0080】
〈各部の位置関係〉
図3に戻り、複数の光源保持部341は、互いに離間して並べて配置されている。
図3の構成例では、複数の光源保持部341は、保持部材340に略等間隔で直線状に並ぶように設けられている。各光源保持部341により、複数の光源320は、互いに離間して並べて配置されている。また、
図3の構成例では、少なくとも一部の光源320と光ファイバ部330の入射端331との間の第1距離D1は、隣接する光源320同士の間の第2距離D2よりも小さい。これにより、光源320と光ファイバ部330の入射端331とを第1距離D1だけ離間した近傍の位置に配置することができるので、光源320と入射端331との光軸調整を容易に行うことができる。
【0081】
なお、
図3の構成例では、第1光源321、第2光源322および第3光源323について、第1距離D1が第2距離D2よりも小さくなっている。集光レンズ370を設けた第4光源324および第5光源325については、第1距離D3がD1よりも大きい。各距離は、D1<D3<D2の関係となっている。
【0082】
また、
図3の構成例では、複数の光ファイバ部330は、第4光源324に対応する光ファイバ部330dに沿うように集めて束ねられており、第4光源324に対応する光ファイバ部330dは、複数の光ファイバ部330のうちで入射端331から出射端332までの長さが最小となるように構成されている。ここで、各光源320のうちでは、340nmのLED光源により構成される第4光源324の発光量が最も小さい。そのため、この構成により、発光量が小さい第4光源324に対応する光ファイバ部330dの経路長が最も小さくなるので、その分だけ、光ファイバ部330を通過する際の光損失を低減できる。その結果、発光量の小さい第4光源324の光量をより多く確保できるようになる。
【0083】
入射端331から出射端332までの長さは、光ファイバ部330dに沿うように集めるための経路長が大きくなるほど長くなるため、中央の第4光源324から離れるほど大きくなる。そのため、
図3の構成例の場合、各光ファイバ部330の入射端331から出射端332までの長さの関係は、光ファイバ部330d<330e、330b<330a、330cとなっている。
【0084】
(光照射部の他の構成例)
図8は、光照射部の他の構成例を示す。
図8の構成例による光照射部10Aでは、ハウジング310に1つの取出口311が設けられている。複数の光源320の配置は、
図3の構成例と同様であるが、配置位置を異ならせてもよい。5つの光ファイバ部330は、各入射端331が各光源320と対向する位置で保持部材340に保持され、途中で撚り合わされて一体化し、1つの出射端332を備えるように構成されている。撚り合わされて一体化した部分は、筒状の保持部材313内に収容されている。出射端332では、各光ファイバ部330を構成する光ファイバが出射端332の端面内において略均一に分布するように混合されている。
【0085】
入射端331から出射端332までの長さは、第4光源324に対応する中央の光ファイバ部330dが最も小さく、光ファイバ部330dから離れるほど大きくなる。そのため、
図8の構成例においても、各光ファイバ部330の入射端331から出射端332までの長さの関係は、光ファイバ部330d<330e、330b<330a、330cとなっている。
【0086】
(光分配部材および検出ユニット)
次に、光照射部10から各検出ユニット230および240まで光を導く構成および検出ユニット230(240)の構成について説明する。上述した通り、検出ユニット230および240は、同一の構成を有する。
【0087】
図9の構成例では、光照射部10は、束ねられた出射端332からの光を、複数の容器設置部231の各々に分配するための光分配部材380を含んでいる。受光部11は、光分配部材380により各々の容器設置部231に分配された光をそれぞれ検出するように、複数の容器設置部231に対応して複数設けられている。これにより、複数の容器15をそれぞれ複数の容器設置部231に設置して、まとめて測定を行うことが可能となる。また、第1波長から第5波長までの各波長の光は出射端332において均一に分布するため、出射端332からの光を光分配部材380により分配するだけで、それぞれの容器設置部231において均一な強度の各波長の光を供給することができる。その結果、複数の容器設置部231のそれぞれに光源320を設けなくても、容易に、それぞれの容器15に均一な強度の光を照射できる。
【0088】
光分配部材380は、2つの検出ユニット230および240に対応して2つ設けられている。
図9の構成例では、各検出ユニット230および240は、12個の容器設置部231と、1個のリファレンス光計測部232とを備えている。受光部11は、これらの容器設置部231の各々に、合計12個設けられている。また、リファレンス光計測部232には、受光部11とは別個に設けられ、光照射部10からの光を容器15を透過させずに受光するためのリファレンス用受光部236が設けられている。各光分配部材380は、それぞれの検出ユニット230および240の容器設置部231およびリファレンス光計測部232の各々に光を分配する。
【0089】
光分配部材380は、たとえば、光ファイバ部330と同様の複数の光ファイバの束により構成されている。各光分配部材380の入射端381は、光照射部10のハウジング310に設けられた取出口311にそれぞれ接続され、均一化部材350の出射面352と対向するように配置されている。これにより、光分配部材380の入射端381を構成する個々の光ファイバには、第1波長~第5波長の光がそれぞれ均一化された光強度で入射する。光分配部材380の出射端382は、容器設置部231の数と、リファレンス光計測部232の数との合計数に分割されて、それぞれの容器設置部231およびリファレンス光計測部232に接続されている。つまり、
図9の構成例では、各光分配部材380は、13個に分岐した出射端382を有する。
【0090】
個々の容器設置部231の構成例を
図10に示す。
図10の構成例では、検出ユニット230および240は、上下方向に延びる穴部としての容器設置部231を含み、容器設置部231から側方に延びる穴233に、光分配部材380の出射端382が配置されている。穴233の内部には、集光レンズ234が配置されている。受光部11は、容器設置部231を挟んで穴233と対向するように形成された穴235の端部に設けられている。これにより、光分配部材380の出射端382、集光レンズ234、容器設置部231、および受光部11が、直線状に並んで配置されている。出射端382から出た光は、集光レンズ234を通って容器設置部231内の容器15および容器15内の測定試料を透過し、受光部11により検出される。なお、測定試料は検体と試薬との混合液である。
【0091】
個々の容器設置部231およびリファレンス光計測部232の構成は共通である。リファレンス光計測部232には、容器15は設置されない。そのため、リファレンス光計測部232に分配された光は、光照射部10からの光が容器15および測定試料を透過せずに、リファレンス用受光部236により受光される。受光部11およびリファレンス用受光部236は、それぞれ、受光強度に応じた電気信号を出力する。
【0092】
(制御部)
図11に示すように、血液凝固分析装置100は、測定部101の動作を制御する制御部400を備えている。制御部400は、光源320の動作を制御する。制御部400は、CPU(Central Processing Unit)またはFPGA(field-programmablegate array)などの演算処理装置を備え、記憶部410に記憶されたプログラムに従って、測定部101内の各部および搬送部102を制御する。記憶部410は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびハードディスクなどの記憶媒体を備え、制御部400の動作に必要なプログラムおよびデータを記憶している。
【0093】
一構成例では、制御部400は、複数の光源320の各々を1つずつ順番に、周期的に発光させるように制御する。具体的には、
図12に示すように、制御部400は、発光周期T1の間に、5つの光源320(すなわち、第1光源321~第5光源325)を所定の発光時間T2で順番に発光させる制御を繰り返し行う。各光源320は、発光時間T2のパルス状に発光するように制御される。受光部11およびリファレンス用受光部236は、発光周期T1毎に、それぞれの光源320からの光に基づく電気信号を、時間的にずらして個別に取得する。この構成により、同じ光照射位置でそれぞれの波長の光を個別に照射することができる。そのため、測定に用いる光の波長が検体毎に異なる場合でも共通の光照射位置で計測を行うことができるので、たとえば各光源320に対応して、特定の波長専用の光照射位置を複数設ける場合と異なり、装置構成を簡素化できる。
【0094】
制御部400は、たとえば、分析部12の主電源および測定部101の主電源がオンされると、少なくとも一部の光源320についての発光制御を行う。より具体的には、分析部12の主電源および測定部101の主電源がオンされると、制御部400は、測定部101の初期設定を実行する。測定部101の初期設定が完了すると、測定部101はスタンバイ状態となる。制御部400は、少なくとも測定部101がスタンバイ状態になってからシャットダウン指示を受け付けるまで、複数の光源320の各々を1つずつ順番に、周期的に発光させる制御を継続する。これにより、発光開始直後の温度変化などの影響による光量のばらつきを排除し、測定時の発光状態を安定させることができる。制御部400は、たとえば第1光源321、第2光源322、第3光源323および第5光源325について、測定動作中以外のスタンバイ状態でも発光させる。
【0095】
一方、各光源320は、発光波長によって特性に差異があり、たとえば340nmの第4光源324を構成するLEDでは、発光制御の開始から光量が安定するまでに要する時間が他の光源と比べて短い。そのため、制御部400は、一部の光源320として、たとえば第4光源324については、測定動作の開始時に発光制御を行い、測定動作中以外のスタンバイ状態には発光させない。これにより、光源320の更なる長寿命化を図ることができる。
【0096】
一構成例では、制御部400は、リファレンス用受光部236の電気信号(以下、リファレンス信号という)に基づいて、光源320に供給される電流値を制御するように構成されている。これにより、たとえば血液凝固分析装置100を長時間にわたって連続して稼働させ続ける場合でも、光源320の光量が変化してしまうことを抑制できる。たとえばLED光源では、素子の温度変化が発光量に影響しやすい。そのため、リファレンス用受光部236の電気信号が所定の許容範囲内に収まるように電流値を制御することにより、光源320の光強度を安定した測定結果が得られる適正範囲に維持できるようになる。
【0097】
具体的には、制御部400は、
図13に示す光源320の駆動回路420を制御する。
図13は、1つの光源320の発光制御を行うための駆動回路の例を示している。駆動回路420は、定電流回路421と、RC回路部422と、スイッチ部423とを含んでいる。光源320および定電流回路421は、電源にこの順で直列接続されている。定電流回路421には、RC回路部422と抵抗424とが並列で接続されている。定電流回路421は、RC回路部422に所定の定電流を供給する。定電流回路421は、抵抗424側の電流は変動を許容する。RC回路部422は、可変抵抗425および抵抗426と、コンデンサ427との並列回路となっている。RC回路部422は、可変抵抗425および抵抗426の合成抵抗と、コンデンサ427の容量との積に比例した時定数に応じて、光源320に流れる電流の立ち上がりを遅らせる。これにより、RC回路部422は、スイッチング時に光源320に大きな突入電流が流れることを抑制する。
【0098】
RC回路部422および抵抗424はスイッチ部423に接続されている。スイッチ部423はトランジスタにより構成され、ゲートへの電圧印加により駆動回路420への電流供給のオンオフを制御する。
【0099】
制御部400は、スイッチ部423のゲートへパルス信号を印加することにより、個々の光源320を所定の発光周期T1、所定の発光時間T2で発光させる制御を行う。RC回路部422を流れる電流は定電流回路421によって一定に維持されるため、可変抵抗425の抵抗値を変化させることにより、抵抗424側を流れる電流値が変化する。光源320を流れる電流値は、可変抵抗425および抵抗426を含むRC回路部422の抵抗値R1と、抵抗424の抵抗値R2との比(R1/R2)に比例する。制御部400は、リファレンス用受光部236の電気信号に基づいて、可変抵抗425の抵抗値を変化させることにより、光源320に供給される電流値を制御する。
【0100】
制御部400による光源320の電流値制御は、たとえば
図14に示すように、リファレンス信号RSの基準値V1および下限値V2に基づいて行われる。制御部400は、光源320の発光制御開始時には、リファレンス信号RSが基準値V1に略一致するように光源320への電流値CVを設定する。LED光源の光量は、LED光源の周囲温度や、LED素子の経時変化によって変化する。そのため、時間の経過に伴って光源320の光量が低下する場合、リファレンス信号RSの強度が徐々に低下する。制御部400は、リファレンス信号RSの強度が下限値V2に到達した場合に、光源320の電流値CVを補正する制御を行う。具体的には、制御部400は、下式(1)に基づいて補正後の電流値を算出する。
補正後の電流値=(リファレンス信号の基準値/リファレンス信号の現在値)×補正前の電流値・・・(1)
制御部400は、可変抵抗425の抵抗値を調節して、算出した補正後の電流値となるように光源320の電流値CVを補正する。その結果、経時的に低下する光源320の光量は、リファレンス信号RSが下限値V2に到達する度に上昇して、基準値V1と下限値V2との間の適正範囲内に維持される。
【0101】
(分析部)
図15に示す構成例では、分析部12は、演算処理部451と、記憶部452と、表示部453と、入力部454とを備える。演算処理部451は、CPUなどの演算処理装置を含み、記憶部452に記憶されたプログラムに従って、検体の分析処理を行う。記憶部410は、ROM、RAMおよびハードディスクなどの記憶媒体を備え、演算処理部451の処理および制御に必要なプログラムおよびデータを記憶する。表示部453は、モニタなどの表示手段を含む。入力部454は、キーボードやマウスなどの入力手段を備え、ユーザの操作入力を受け付ける。分析部12は、たとえば、パーソナルコンピュータにより構成されている。
【0102】
図16の構成例では、分析部12は、容器設置部231に設置された容器15内の検体について、受光部11から出力された電気信号から、複数の光源320の各々に対応する複数の時系列データ460を作成する。上述のように、容器設置部231には、光照射部10の5つの光源320からの光が、所定の発光周期T1毎に順番に供給される。したがって、容器設置部231に容器15が設置されると、5つの光源320からの光が容器15および測定試料を透過して、受光部11に順番に検出される。その結果、発光周期T1毎に、第1波長~第5波長の光にそれぞれ対応する5つの電気信号が受光部11から制御部400に出力される。分析部12は、制御部400からそれぞれの電気信号を受け取り、記憶部410に記憶する。
【0103】
容器設置部231に容器15が設置されている測定時間T3の間は、第1波長~第5波長の光の各々について、発光周期T1毎に1個のデータが取得される。5つの電気信号は、光が照射された測定試料の状態を反映した強度を有する。各時系列データ460は、T3/T1個のデータを含み、波長毎に取得される。第1波長~第5波長の光を照射する場合、時系列データ460は5種類取得される。
【0104】
分析部12は、たとえば、複数の時系列データ460のうちから測定項目に応じた時系列データ460を選択して、検体を分析する。このように波長毎の時系列データ460を取得しておいて、分析に使用する時系列データ460を選択する構成により、測定項目に関わらずに時系列データ460の取得に関する制御を共通化できる。たとえば発光周期T1の間の特定の波長の光が照射されるタイミングに合わせて受光部11からデータ読み出しをするような制御を行う必要がないため、時系列データ460の取得に関する制御を簡素化できる。
【0105】
分析部12は、容器設置部231に設置された容器15内の検体の測定項目が、血液凝固測定の測定項目であれば、第1波長に対応する時系列データ460から、凝固時間、検体に含まれる成分の濃度、又は活性を算出する。すなわち、分析部12は、第1光源321の光の電気信号に基づいて取得された時系列データ460を選択して、時系列データ460における受光量の変化に基づいて凝固時間を算出する。これにより、凝固時間測定用に設けられた第1光源321からの光に基づいて凝固時間を取得できるので、精度よく安定した測定結果を得ることができる。
【0106】
分析部12は、たとえばパーセント検出法により凝固時間を算出する。具体的には、分析部12は、試薬添加直後の受光強度を0%、凝固反応終了時の受光強度を100%とし、受光強度が予め設定された所定値に達した時間を反応曲線から求め、凝固時間とする。また、分析部12は、凝固時間と測定項目の対象成分の活性または濃度とを関係づける検量線を予め作成して記憶部452に記録しており、算出した凝固時間と検量線とに基づき、測定項目の対象成分の濃度または活性を取得する。
【0107】
分析部12は、容器設置部231に設置された容器15内の検体の測定項目が、合成基質測定の測定項目であれば、第2波長に対応する時系列データ460から、検体に含まれる成分の濃度又は活性を算出する。これにより、合成基質測定用に設けられた第2光源322からの光に基づいて合成基質測定ができるので、精度よく安定した測定結果を得ることができる。第2光源322に加えて第4光源324が設けられている構成においては、分析部12は、第2波長および/または第4波長に対応する時系列データ460から、検体に含まれる成分の濃度又は活性を算出する。分析部12は、受光部11から出力される第2波長または第4波長の光に対応する電気信号に基づいて、発色性合成基質が発色する過程を分析する。すなわち、分析部12は、第2光源322または第4光源324の光の電気信号に基づいて取得された時系列データ460を選択して、時系列データ460における受光量の変化に基づいて発色度合いを分析する。
【0108】
合成基質測定では、分析部12は、たとえばRate法またはVlin法により吸光度変化量を求める。Rate法は、時系列データ460における所定の開始点と終了点との間の時間の受光量変化を解析し、直線回帰により単位時間当たりの吸光度変化量を算出する方法である。Vlin法では、検体毎に吸光度変化量が最大、かつ、直線近似が最適になる開始点と終了点とを時系列データ460において設定し、設定した開始点と終了点との間の時間の受光量変化を解析し、直線回帰により単位時間当たりの吸光度変化量を算出する方法である。分析部12は、吸光度変化量と測定項目の対象成分の活性または濃度とを関係づける検量線を予め作成して記憶部452に記録しており、算出した吸光度変化量と検量線とに基づき、測定項目の対象成分の濃度または活性を取得する。
【0109】
分析部12は、容器設置部231に設置された容器15内の検体の測定項目が、免疫比濁測定の測定項目であれば、第3波長に対応する時系列データ460から、検体に含まれる成分の濃度又は活性を算出する。これにより、免疫比濁測定用に設けられた第3光源323からの光に基づいて免疫比濁測定ができるので、精度よく安定した測定結果を得ることができる。第3光源323に加えて第5光源325が設けられている構成においては、分析部12は、第3波長および/または第5波長に対応する時系列データ460から、検体に含まれる成分の濃度又は活性を算出する。分析部12は、受光部11から出力される第3波長または第5波長の光に対応する電気信号に基づいて、検体と抗体感作試薬との抗原抗体反応の過程を分析する。すなわち、分析部12は、第3光源323または第5光源325の光の電気信号に基づいて取得された時系列データ460を選択して、時系列データ460における受光量の変化に基づいて抗原抗体反応による凝集速度を分析する。
【0110】
免疫比濁測定では、分析部12は、合成基質測定と同様、たとえばRate法またはVlin法により吸光度変化量を求める。分析部12は、吸光度変化量と測定項目の対象成分の活性または濃度とを関係づける検量線を予め作成して記憶部452に記録しており、算出した吸光度変化量と検量線とに基づき、測定項目の対象成分の濃度または活性を取得する。
【0111】
なお、受光部11が測定試料に照射された光の透過光を受光する場合、受光強度は試薬添加直後が最大で、時間の経過に伴って低下する。一方、受光部11が測定試料に照射された光の散乱光を受光する場合、受光強度は試薬添加直後が最小で、時間の経過に伴って増大する。透過光と散乱光とでは、時間経過に伴う受光強度の増減の方向が異なるものの、凝固時間あるいは吸光度変化量を算出して、検量線を用いて測定項目の分析を行う点は同様である。
【0112】
(血液凝固分析装置の測定動作)
図17および
図18を参照して、
図2の構成例における血液凝固分析装置100の測定動作を説明する。測定部101および搬送部102の動作制御は制御部400により行われる。分析部12の制御は演算処理部451により行われる。以下、測定部101および搬送部102の各部については、
図18を参照するものとする。
【0113】
ユーザによって分析部12の主電源および測定部101の主電源がオンされると、
図17の制御動作が開始される。ステップS1Aにおいて、制御部400が測定部101の初期化処理などの初期設定を行い、ステップS1Bにおいて、演算処理部451が分析部12の初期化処理などの初期設定を行う。
【0114】
初期設定の完了後、制御部400は、ステップS2Aにおいて、スタンバイ状態に移行する。スタンバイ状態に移行すると、制御部400は、第4光源324以外の第1光源321、第2光源322、第3光源323および第5光源325について、1つずつ順番に、周期的に発光させる発光制御を開始する。発光制御は、後述するシャットダウン指示を受け付けるまでの間、継続される。
【0115】
スタンバイ状態において、制御部400は、分析部12からの測定開始指示を待ち受ける。演算処理部451は、ステップS2Bにおいて、測定を開始するか否かを判断する。入力部454を用いたユーザによる測定開始の操作入力を受け付けるまで、演算処理部451は、ステップS2Bを繰り返し待機する。ユーザの測定開始の入力操作を受け付けると、ステップS3Bにおいて、演算処理部451は、測定開始の指示を制御部400に送信する。
【0116】
分析部12からの測定開始の指示を受け付けると、制御部400は、ステップS3Aにおいて、測定動作を開始する。測定動作を開始するタイミングで、制御部400は、第4光源324についての発光制御を開始する。これにより、5つの光源320が、1つずつ順番に、周期的に発光するように制御される。また、制御部400は、搬送部102を制御して、吸引対象の検体容器106が検体吸引位置に配置されるように検体ラック105を搬送させる。検体ラック105の搬送途中でリーダ103が検体ラック105および検体容器106の識別情報を読み出す。
【0117】
ステップS4Aにおいて、制御部400は、読み出した識別情報を含む測定オーダの問合せを分析部12に送信する。測定オーダの問合せを受信した演算処理部451は、識別情報に対応する検体の測定オーダを取得して、制御部400に送信する。測定オーダは、記憶部452または分析部12と接続された外部のホストコンピュータに、検体の識別情報と対応付けて記録されている。
【0118】
測定オーダを受信した制御部400は、ステップS5Aにおいて、検体分注部110または120により検体を吸引させ、新しい容器15に分注させる。制御部400は、測定部101を制御して、ステップS6Aにおいて、容器15の加温テーブル220での加温と、試薬分注部200または210による容器15への試薬の添加とを行う。これにより、容器15内で検体と試薬とを含む測定試料が調製される。制御部400は、ステップS7Aにおいて、測定部101を制御して、測定試料を収容する容器15を、検出ユニット230または240の容器設置部231に設置する。なお、ステップS5A~S10Aにおける測定部101の動作の詳細については、後述する。
【0119】
ステップS3Aの測定動作の開始以降、各容器設置部231には、光照射部10からの第1波長~第5波長の光が順番に照射される状態となっている。容器設置部231への容器15の設置に伴い、光照射部10からの光が容器15に照射され、容器15を透過した光を受光した受光部11が電気信号を出力する。電気信号は、制御部400を介して分析部12に送信される。
【0120】
制御部400は、ステップS8Aにおいて、容器15を容器設置部231に設置してから、測定オーダにおいて指定された測定項目に応じた所定の測定時間T3が経過したか否かを判断する。所定の測定時間T3の間、電気信号の取得および分析部12への送信が継続される。分析部12の演算処理部451は、ステップS5Bにおいて、測定時間T3の間に受信した波長毎の電気信号から、光の波長毎に5種類の時系列データ460をそれぞれ生成する。
【0121】
なお、測定時間T3の長さは、上記の通り測定項目に応じて異なる。一例を挙げると、血液凝固測定の測定項目であるPTおよびAPTTでは、測定時間T3=170秒であり、Fbgでは測定時間T3=100秒である。合成基質測定の測定項目であるATIIIでは、測定時間T3=60秒であり、免疫比濁測定の測定項目であるDダイマーでは、測定時間T3=200秒である。
【0122】
ステップS8Aにおいて測定時間T3が経過すると、制御部400は、ステップS9Aに進み、容器15を容器設置部231から取り出させて、ステップS10Aにおいて、取り出した容器15を廃棄口260または261に廃棄させる。容器15の移送は、把持機構180または250により行われる。
【0123】
このように、ステップS7A~S10Aにおいて、制御部400は、容器設置部231に測定試料を収容した容器15を設置し、容器設置部231に設置された容器15内の検体の測定項目に対応した測定時間T3の経過後、容器設置部231から容器15を取り出し、廃棄口260または2611に容器15を廃棄するように、把持機構180または250を制御する。これにより、容器設置部231への容器15の設置時間を異ならせるだけで、共通の装置構成により各種の測定項目に対応する測定ができる。
【0124】
一方、分析部12では、ステップS6Bにおいて、演算処理部451が、作成した5つの時系列データ460のうちから、測定項目に応じた時系列データ460を選択する。演算処理部451は、ステップS7Bにおいて、選択した時系列データ460を用いて、分析を行い、測定結果を生成する。ステップS8Bにおいて、演算処理部451は、得られた記憶部452への測定結果の記録や、表示部453への測定結果の表示などを行う。
【0125】
ステップS11Aにおいて、制御部400は、搬送部102に次の検体ラック105があるか否かを判断し、次の検体ラック105がある場合には、ステップS4Aに戻って測定動作を継続する。次の検体ラック105がない場合には、ステップS12Aにおいて、分析部12からシャットダウン指示を受け付けたか否かを判断し、スタンバイ状態となる。
【0126】
一方、ステップS9Bにおいて、演算処理部451は、シャットダウン処理を行うか否かを判断する。シャットダウン処理を行わない場合、演算処理部451は、測定部101の測定動作に伴って送信される電気信号に基づいて、ステップS4B~S8Bまでの分析動作を継続する。ユーザからシャットダウンの入力操作を受け付けると、演算処理部451は、ステップS10Bにおいて、制御部400にシャットダウン指示を送信する。
【0127】
分析部12からシャットダウン指示を受け付けた場合、制御部400は、ステップS13Aに進み、所定のシャットダウン処理を行う。シャットダウン処理において、制御部400は、各光源320の発光制御を停止する。これにより、光照射部10からの光照射が停止される。
【0128】
制御部400は、ステップS13Aのシャットダウン処理の後電源をオフにし、演算処理部451は、ステップS11Bにおけるシャットダウン処理の後、処理を終了して電源をオフにする。
【0129】
(測定部の測定動作)
次に、ステップS5A~S10Aにおける測定部101の動作の詳細について説明する。
図18に示すように、測定部101の動作は、容器15を検出ユニット230に移送して測定を行うか、容器15を検出ユニット240に移送して測定を行うか、によって異なるので、それぞれ説明する。
【0130】
〈検出ユニット230での測定〉
検体を検出ユニット230で測定する場合、検体分注部110が検体吸引位置501の検体容器106から検体を吸引する。検体分注部110は、容器テーブル130に保持された容器15に検体を分注する。容器テーブル130は、周方向に回転して、検体分注部120により吸引可能な位置に容器15を移送する。検体分注部120が容器15内の検体を吸引し、容器テーブル130上の検体分注位置503で移送部140に保持された容器15に検体を分注する。移送部140が加温テーブル220の近傍まで移動し、把持機構222が移送部140上の容器15を取り出して加温テーブル220に設置する。必要に応じて、把持機構222が試薬分注位置506に容器15を移送し、試薬分注部200が容器15に調整試薬を分注する。分注後、把持機構222が容器15を加温テーブル220に戻す。
【0131】
加温テーブル220による加温が完了すると、加温テーブル220により所定の取出位置まで移送された容器15が、把持機構180により取り出され、試薬分注位置506に移送される。試薬分注部200が容器15に試薬を分注する。試薬の分注後、把持機構180が容器15を検出ユニット230のいずれかの容器設置部231に設置する。容器設置部231への容器15の設置に伴い、光照射部10からの光が容器15に照射され、容器15および測定試料を透過した光を受光した受光部11が電気信号を出力する。電気信号は、制御部400を介して分析部12に送信される。測定時間T3の間、電気信号の取得が継続され、分析部12において光の波長毎に時系列データ460が生成される。測定時間T3の経過後、把持機構180が容器設置部231から容器15を取り出して、廃棄口260に移送する。分析部12は、測定項目に応じた時系列データ460を選択し、選択した時系列データ460の分析を行い、分析結果の表示部453への表示や記憶部452への記録を行う。
【0132】
〈検出ユニット240での測定〉
検体を検出ユニット240で測定する場合、検体分注部110が検体吸引位置501の検体容器106から検体を吸引する。検体分注部110は、容器テーブル130に保持された容器15に検体を分注する。容器テーブル130は、周方向に回転して、検体分注部120により吸引可能な位置に容器15を移送する。検体分注部120が容器15内の検体を吸引し、検体分注位置504で移送部170に保持された容器15に検体を分注する。移送部170が加温テーブル220の近傍まで移動し、把持機構222が移送部170上の容器15を取り出して加温テーブル220に設置する。必要に応じて、把持機構222が試薬分注位置507に容器15を移送し、試薬分注部210が容器15に調整試薬を分注する。分注後、把持機構222が容器15を加温テーブル220に戻す。
【0133】
加温テーブル220による加温が完了すると、加温テーブル220により所定の取出位置まで移送された容器15が、把持機構250により取り出され、試薬分注位置507に移送される。試薬分注部210が容器15に試薬を分注する。試薬の分注後、把持機構250が容器15を検出ユニット240のいずれかの容器設置部231に設置する。検出ユニット240での測定動作は、検出ユニット230と同様である。所定の測定時間の経過後、把持機構250が容器設置部231から容器15を取り出して、廃棄口261に移送する。分析部12の動作は検出ユニット230で測定を行う場合と同様である。
【0134】
なお、検体分注部120は、検体吸引位置502で検体容器106から検体を吸引し、直接、検体分注位置504または505に移送された容器15に検体を分注することもできる。検体分注位置504で容器15に検体が分注された場合、検出ユニット230で測定が行われる。検体分注位置505で容器15に検体が分注された場合、検出ユニット240で測定が行われる。分注後の動作は上述の通りである。
【0135】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0136】
10:光照射部、11:受光部、12:分析部、15:容器、20:光源、21:第1光源、22:第2光源、23:第3光源、30:光ファイバ部、31:入射端、32:出射端、40:保持部材、41:光源保持部、42:入射端保持部、100:血液凝固分析装置、180:把持機構、231:容器設置部、236:リファレンス用受光部、250:把持機構、260:廃棄口、261:廃棄口、320:光源、321:第1光源、322:第2光源、323:第3光源、324:第4光源、325:第5光源、330(330a~330e):光ファイバ部、331:入射端、332:出射端、333:光ファイバ、340:保持部材、341:光源保持部、342:入射端保持部、344:通路部、347:通路部、350:均一化部材、360:光学バンドパスフィルタ、370:集光レンズ、380:光分配部材、400:制御部、460:時系列データ、D1:第1距離、D2:第2距離:D3:第1距離