(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028878
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】靴の一体化したソール/インソール部品を製造する方法
(51)【国際特許分類】
B29D 35/12 20100101AFI20240227BHJP
A43B 13/04 20060101ALI20240227BHJP
A43B 13/18 20060101ALI20240227BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20240227BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240227BHJP
B29C 64/386 20170101ALI20240227BHJP
B33Y 50/00 20150101ALI20240227BHJP
【FI】
B29D35/12
A43B13/04 A
A43B13/18
B33Y80/00
B33Y10/00
B29C64/386
B33Y50/00
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023206420
(22)【出願日】2023-12-06
(62)【分割の表示】P 2021570412の分割
【原出願日】2019-05-28
(71)【出願人】
【識別番号】522243428
【氏名又は名称】シーオー12 ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クラウス,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,オリバー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ソール要素およびこれと一体的に形成されたインソール要素を備えた、靴の一体化したソール/インソール部品を製造する方法を提供する。
【解決手段】製造されるソール/インソール部品のインソール要素の幾何学的/構造的な設計を記述するインソール要素データを提供し、着用者の少なくとも1つの足の形態を少なくとも部分的に任意選択的には完全に記述する足データを基にして、前記インソール要素データが生成されるステップと、製造されるソール/インソール部品のソール要素の幾何学的/構造的な設計を記述するソール要素データを提供するステップS1と、前記インソール要素データおよび前記ソール要素データを基にして、一体化したソール/インソール部品を付加製造するステップS2と、を含むことを特徴とする方法。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間ソール要素またはアウトソール要素であるソール要素(23)、およびこれと一体的に形成されたインナーソール要素であるインソール要素(22)、を備えた、整形外科用靴(25)の一体化したソール/インソール部品(21)を製造する方法であって、
製造されるソール/インソール部品(21)のインソール要素(22)の幾何学的/構造的な設計を記述するインソール要素データを提供し、着用者の少なくとも1つの足の形態を少なくとも部分的に記述する足データを基にして、前記インソール要素データが生成されるステップと、
製造されるソール/インソール部品(21)のソール要素(23)の幾何学的/構造的な設計を記述するソール要素データを提供するステップと、
前記インソール要素データおよび前記ソール要素データを基にして、1つの付加製造プロセスで、前記一体化したソール/インソール部品(21)を付加製造するステップと、
を含み、
前記インソール要素(22)には着用者の足を囲む接触表面部分が含まれ、
前記インソール要素データは、着用者の少なくとも1つの足の形態を記述する足データに基づいて生成され、
前記インソール要素は、着用者の少なくとも1つの足の形態に対応する形状を有し、
前記ソール要素データは相互接続された複数の支柱様構造要素(4,5)を備える構造要素組立体(3)によって、少なくとも部分的に形成される前記ソール要素(23)の幾何学的/構造的な設計を記述し、
前記インソール要素データは前記足データによって記述される少なくとも1つの足の形態を考慮して選択される人間工学的な成形によって、少なくとも部分的に形成される前記インソール要素(22)の幾何学的/構造的な設計を記述し、
前記インソール要素(22)が、前記ソール/インソール部品(21)の着用性の向上が可能なように、足データによって記述される足の形態を考慮して個別に構成されるクッションを有するようにして少なくとも部分的に設計され、
前記ソール要素の減衰特性または硬さもしくは変形の自由度を定めるソール要素(23)の機械的な特性が、前記構造要素組立体(3)の幾何学的/構造的な構成から生じるものであって、
前記支柱様構造要素(4,5)の各々の配置および/または向きは、構造的な特性の異なる複数の部分もしくは区域が形成されるように選択され、足の前部分に対して一以上の部分もしくは区域が形成され、足の中間部分に対して一以上の部分もしくは区域が形成され、足の後ろ部分(かかと部分)に対して一以上の部分もしくは区域が形成されることで、前記一体化したソール/インソール部品(21)が、着用者の特定の足に対して個別的に適応された構造的な特性を有するように構成されている、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記一体化したソール/インソール部品(21)が1つの付加製造プロセスで製造されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記インソール要素(22)は、基準面に対して、周縁部に、少なくとも部分的に形成されたインソール要素部分を有して製造され、前記インソール要素部分が、前記一体化したソール/インソール部品(21)の履かれた状態で、着用者の足を、少なくとも部分的に取り囲むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記一体化したソール/インソール部品(21)がプラスチック材料から少なくとも部分的に製造されることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記一体化したソール/インソール部品(21)が、光造形法、バインダージェッティングプロセス、熱溶解積層法(FDM)、または連続液体界面製造(CLIP)プロセス、を用いて製造されることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の方法で靴(25)の一体化したソール/インソール部品(21)を製造するステップ、または請求項1~5の何れか一項に記載の方法で製造された一体化したソール/インソール部品(21)を提供するステップと、
少なくとも1つの靴構成要素(27)を製造するステップ、または少なくとも1つの靴構成要素(27)を提供するステップと、
製造または提供された前記一体化したソール/インソール部品(21)を、製造または提供された前記少なくとも1つの靴構成要素(27)に接続して、製造される靴(25)を形成するステップと、
を備えることを特徴とする、整形外科用靴(25)の製造方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの靴構成要素(27)が靴の上側の部品を形成する靴構成要素であることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの靴構成要素(27)として、着用者の足を少なくとも部分的に取り囲む靴構成要素(27)が製造または提供されることを特徴とする請求項6または7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの靴構成要素(27)として、織物材料構造により少なくとも部分的に形成された靴構成要素(27)が製造または提供されることを特徴とする請求項6~8の何れか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソール要素と、これと一体的に形成されたインソール要素とを備える、靴の一体化したソール/インソール部品を付加製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
靴または靴の部品を製造するために、従来技術から様々な製造アプローチが知られている。
【0003】
これまでのようなアプローチでは、個々の靴部品を製造し、これら接合を接合し、製造される靴を、何れも別々の工程または製造プロセスステップにおいて、提供することが行われていた。したがってこれまでのところ、製造される靴の各々の靴部品、特にソール要素とインソール要素は互いに別々に製造されており、靴製造の文脈において、通常は少なくとも1つの第1工程または製造プロセスステップで製造され、少なくとも1つの別のさらなる工程または製造プロセスステップで相互接続される。
【0004】
このアプローチは靴をできるだけ効率的に製造するという観点から改善の余地があるため、ここにおいて開発の必要性がある。これはまた、可能なかぎり個別化されたまたは個別化可能に構成されたまたは構成可能な靴の製造における背景に対して特に適応される。
【発明の概要】
【0005】
特に、ソール要素およびこれと一体的に形成されたインソール要素を含む、靴の一体化したソール/インソール部品を効率的に製造する原理が望ましく、そのソール/インソール部品の特性を、可能な限り個別化されているか個別化可能に構成することができる。
【0006】
本発明の目的は、靴のソール/インソール部品、または靴を製造するための改善された方法を特定することにある。
【0007】
この目的は請求項1に記載されている靴の一体化したソール/インソール部品の付加製造方法、ならびに請求項11に記載されている靴の製造方法により達成される。これらの従属クレームは何れも、各方法の可能な実施形態に関する。
【0008】
本明細書に記載の本発明の第1の態様は、靴の一体化したソール/インソール部品の付加製造方法に関する。本方法に従って製造されたまたは製造可能な一体化したソール/インソール部品(以下、略して「ソール/インソール部品」と呼ぶことにする)は靴の部品を構成する。ソール/インソール部品は従って、靴部品として考えられ、そのように呼ぶことができる。以下で明確になるように、靴の製造に関連して、ソール/インソール部品は、少なくとも1つのさらなる靴部品と、特に靴構成要素と接合させることができ、特に靴の上側の部品を形成する上側要素と接合させることができる。したがって、靴を製造するためには、本明細書に記載された本発明のさらなる態様に関連して以下に説明されるように、ソール/インソール部品は、少なくとも1つの靴部品に接合される。
【0009】
ソール/インソール部品は、少なくとも1つのインソール要素と、そこに一体的に形成される少なくとも1つのソール要素と、を備えている。ソール要素は、ソール/インソール部品のソール部分として考えられるか、そのように言及され、またインソール要素は、ソール/インソール部品のインソール部分として考えられるか、そのように言及される。したがって、ソール/インソール部品には2つの異なる機能が想定されており、具体的には、ソール要素の機能とインソール要素の機能の両方が想定されている。ソール/インソール部品はしたがって、一般的に、一体化された部品として考えられるかそのように言及される。
【0010】
特に、ソール/インソール部品が1つの部品を形成する靴の構造について、ソール/インソール部品のソール要素は、中間ソール要素または外方ソール要素(アウトソール要素)とすることができる。中間ソール要素としての実施形態において、ソール要素には、ソール/インソール部品が設けられた靴が履かれた状態において、地面と接する外表面またはトレッドは含まれず、アウトソール要素としての実施形態において、ソール要素には、ソール/インソール部品が設けられた靴が履かれた状態において地面と接する、任意選択的に形成された外表面またはトレッドが含まれる。
【0011】
特に、ソール/インソール部品が1つの部品を形成する靴の構造について、ソール/インソール部品のインソール要素は、インナーソール要素とすることができる。ソール/インソール部品が設けられた靴が履かれた状態において、インソール要素はしたがって、着用者の足の接触面を形成する。これは、ソール/インソール部品が設けられた靴の構造について、インソール要素に、皮材料、織物材料、等の機能材料からなる機能層が、着用者の足に面する接地表面部分に、少なくとも部分的に、任意選択的には完全に設けられているような、想定される実施形態についても当てはまる。したがってインソール要素に関連して、これには通常、着用者の足を取り囲んだ接触表面部分が設けられることについて言及する必要がある。したがってインソール要素に関連して、これには通常、着用者の足に対し取り囲まれた接触表面部分が設けられることについて言及する必要がある。
【0012】
ソール要素および/またはインソール要素は、互いに独立して、一以上の開口部を有する構造として、または開口部のない閉鎖された構造として、設計することができる。
【0013】
本方法によれば、ソール/インソール部品は付加的に製造され、つまり少なくとも1つの付加製造プロセスが使用または実施される。この場合、原理的には全ての付加製造プロセスが可能である。例えば、粉末造形材料または非粉末造形材料、特により糸状の造形材料による付加加工を可能にする付加製造プロセスが可能である。さらに、例えば、放射ベースの付加製造、つまりエネルギー放射(放射エネルギー)の影響により造形材料を選択的に硬化させる付加製造、または非放射ベースの付加製造、つまりエネルギー放射(放射エネルギー)の影響がなく造形材料を選択的に硬化させる付加製造を可能にするような付加製造プロセスが可能である。
【0014】
ソール/インソール部品は通常、必須ではないが、少なくとも部分的に、特に完全にプラスチック材料(「プラスチック材料」との用語には、化学的および/または物理的に異なるプラスチック材料の混合物も含まれる)から製造されるため、インソール要素とソール要素は通常、同じ材料から作製され、特にプラスチック材料の付加加工を可能にする付加製造加工もまた考慮される。単なる例として、これに関連して、光造形法、バインダージェッティングプロセス、熱溶解積層法(FDM)または連続液体界面製造(CLIP)プロセスが挙げられる。ソール/インソール部品はしたがって、例えば、光造形法、バインダージェッティングプロセス、熱溶解積層法(FDM)または連続液体界面製造(CLIP)プロセスを使用することによって製造することができる。したがって、本方法の第2ステップを実行するために、以下により詳細に説明されるように、例えば、光造形法、バインダージェッティングプロセス、熱溶解積層法(FDM)または連続液体界面製造(CLIP)プロセスを実行するように設計された付加製造装置を使用することができる。
【0015】
ソール/インソール部品が、プラスチック材料とは異なる金属等の材料から少なくとも部分的に、特に完全に製造される場合には、それに応じて、プラスチック材料とは異なる少なくとも1つの材料の付加加工を可能にするこれらの付加製造プロセスが考慮される。単なる例として、選択的レーザー焼結法、選択的レーザー溶融法、メタルバインダージェッティング法、等が挙げられる。
【0016】
本方法は具体的には以下のステップを含む。本方法の第1ステップにおいて、インソール要素データとソール要素データが提供される。この提供は例えば、データ媒体を介して、またはインターネットもしくはイントラネットなどのローカルデータネットワークもしくはグローバルデータネットワークなどのデータ接続を介して、行うことができる。インソール要素データとソール要素データの提供は通常、付加製造装置で行われるか、またはこれに関連し、ハードウェアおよび/またはソフトウェアが実装されたコントローラーで行われ、当該コントローラーは、付加製造プロセスを準備および/または実行するために、そこに提供されたインソール要素データおよびソール要素データをデータ処理するように設計されている。
【0017】
提供されたインソール要素データは、インソール要素の幾何学的/構造的な設計を記述しており、インソール要素は、上記の通り、製造されるソール/インソール部品の部品を形成する。インソール要素データは通常、製造されるソール/インソール部品のインソール要素の幾何学的/構造的なパラメターを全て含んでいる。インソール要素データはまた、インソール要素の構造データとして言及され、考えられ、または使用することができる。インソール要素データはあらゆるファイルフォーマットで提供することができ、単なる例として、STL,COLLADA,OBJ、FBXおよびX3Dのフォーマットが挙げられる。
【0018】
インソール要素データは、着用者の少なくとも1つの足の形態を少なくとも部分的に、任意選択的には完全に記述する足データに基づいて生成されたものであるか、または生成される。インソール要素データはしたがって、足データにより記述される少なくとも1つの足の形態を記述するか、または前記足データにより記述される少なくとも1つの足の形態に対して、少なくとも部分的に、任意選択的には完全に調節されるインソール要素の幾何学的/構造的な設計を記述している。本方法によれば、インソール要素はしたがって、対応するインソール要素データに基づき、ユーザーの足に対して個別的に構成されるように設計された幾何学的/構造的な設計を有するようにして、少なくとも部分的に任意選択的には完全に、設計することができる。インソール要素データを生成する際に対応する足データ(これは例えば、足の光記録(スキャン)、足跡、等のデータに基づいて確立させることができる)を考慮することによって、ソール/インソール部品を、(高度に)個別化可能なまたは(高度に)個別化させて製造するための基礎が形成される。
【0019】
提供されたソール要素データは、ソール要素の幾何学的/構造的な設計を記述しており、ソール要素は上記の通り、製造されるソール/インソール部品の一部品を構成する。ソール要素データは通常、製造されるソール/インソール部品のソール要素の幾何学的/構造的なパラメターを全て含んでいる。ソール要素データはまた、ソール要素の構造データとして言及され、考えられ、または使用することができる。ソール要素データはあらゆるファイルフォーマットで提供することができ、単なる例として、STL、COLLADA、OBJ、FBXおよびX3Dのフォーマットが挙げられる。
【0020】
インソール要素データおよびソール要素データを、インソール要素データおよびソール要素データの両方を含む共通のデータセットとして提供することは、当然に可能である。したがって、対応する共通のデータセットは通常、ソール/インソール部品の幾何学的/構造的なパラメターを全て含んでいる。
【0021】
本方法の第2ステップにおいて、インソール要素データおよびソール要素データまたは対応する共通データセットに基づいて、ソール/インソール部品の付加製造が行われる。したがって、本方法の第2ステップにおいて、ソール/インソール部品を製造する少なくとも1つの付加製造方法を適応することにより、ソール/インソール部品の実際の製造が行われる。この場合において、1つの付加製造プロセスにおいてソール/インソール部品が製造的に簡単な方法で製造されることが重要であって、これによってソール/インソール部品の一体的または統合的または単一的な構成が生じる。インソール要素とソール要素はしたがって、1つの付加製造プロセスで共に製造され、ソール/インソール部品を形成する。これにより、インソール要素がソール要素に着脱不能に接続され、また逆にソール要素がインソール要素に着脱不能に接続されていることを特徴とする、ソール/インソール部品の一体的な設計となる。ソール/インソール部品を製造するために適応される付加製造プロセスにはしたがって、インソール要素およびソール要素の付加形成が含まれ、何れも一体化された部品としての付加製造プロセスの文脈で製造されるため、着脱不能な方法で(損傷あるいは破壊がなく)一体的に相互接続されるようにして製造される。インソール要素とソール要素はしたがって、互いに直接接合されるか、または互いが直接的に融合する。したがって、付加製造装置の造形スペースにおける、例えばソール/インソール部品の配置または向きについて、インソール要素をソール要素の上に直接構築することができ、あるいは逆にソール要素をインソール要素の上に直接構築することができる。しかしながら、付加製造装置の造形スペースにおける、ソール/インソール部品の配置または向きに応じて、インソール要素の一部とソール要素の一部が(層ベースの方法で)例えば同時に造形されるような他の造形方法を考えることもできる。
【0022】
全体として、ソール/インソール部品を製造し、また同時に、足に具体的に個別化されたまたは個別化可能なインソール要素の形状を可能にする、高効率の方法が提供される。
【0023】
足データによって記述される少なくとも1つの足の形態を考慮して選択される人間工学的な成形によって、少なくとも部分的に、特に完全に形成されるインソール要素の幾何学的/構造的な設計を記述するインソール要素を提供することができる。インソール要素はしたがって、例えば足データによって記述される足の形態を考慮し、個別に構成されるクッションを有するようにして、少なくとも部分的に、任意選択的には完全に設計され、これによりソール/インソール部品の着用性を向上させることができる。
【0024】
相互接続された複数の支柱様または支柱状の構造要素を備える構造要素組立体により少なくとも部分的に、特に完全に形成されたソール要素の幾何学的/構造的な設計を記述するソール要素データを提供することができる。ソール要素はしたがって、ソール要素データにより記述される構造要素組立体の形状に製造することができ、構造要素組立体は、相互接続された複数の支柱様または支柱状の構造要素によって少なくとも部分的に、特に完全に構成される。支柱様または支柱状の構造要素は簡単のため以下において「構造要素」とよぶこととする。以下により詳細に説明されるように、対応する構造要素組立体の様々な構造によって、ソール要素、ひいてはソール/インソール部品に関する様々な構造的な特性、すなわち特に様々な機械的な特性を、意図的に達成することができ、これによりソール/インソール部品の着用性を向上させることができる。
【0025】
インソール要素は、周縁部に、少なくとも部分的に、任意選択的には完全に形成されたインソール要素部分を有して製造することができ、インソール要素部分は特に、基準面に対して隆起しており(これは例えば、インソール要素の接触表面部分により定めることができる)、このインソール要素部分は、ソール/インソール部品の履かれた状態で、着用者の足を、(足の)周りで少なくとも部分的に取り囲む。このようにしてソール/インソール部品の着用性を向上させることもできる。
【0026】
ソール要素および/またはインソール要素は、様々な幾何学的/造形的および/または様々な構造的な特性、特に機械的な特性を有する複数の区域を備えて、少なくとも部分的に、任意選択的には完全に製造することができる。例えば、足の前部分に対して少なくとも1つの区域を設定することができ、足の中間部分に対して少なくとも1つの区域を設定することができ、足の後ろ部分(かかと部分)に対して少なくとも1つの区域を設定することができ、これらの部分はその構造的な特性、特にその機械的な特性を異なるものとすることができる。このようにして、ソール/インソール部品が高度に個別化された構造が達成され、この結果によりソール/インソール部品の着用性を向上させることができる。対応する区域は特に、着用者に特有に個別化された方法で設計することができ、これらは例えば足の中間部分で減衰性が高くなるように所望する着用者のために、例えば足の後ろ部分の減衰性を高くしようと望む着用者の場合と比較して、例えば少なくとも足の中間部分に関する区域において減衰性が高くなるような、様々な構造的な特性を有するようにして設計される。
【0027】
相互接続された複数の支柱様または支柱状の構造要素を備える構造要素組立体により少なくとも部分的に、特に完全に形成されたソール要素の幾何学的/構造的な設計を記述するソール要素データが提供可能なことについて言及した。ソール要素の構造的な特性、特に減衰特性または硬さもしくは変形の自由度を定めるソール要素の機械的な特性は、構造要素の幾何学的/構造的な構成、特に構造要素の数および/または配置および/または向きから実質的に生じる場合がある。したがって、ソール要素の構造的な特性、特に減衰特性、または硬さもしくは変形の自由度を定めるソール要素の機械的な特性は、それぞれの構造要素の数および/または配置および/または向きの意図的な選択または変化によって、意図的に設定することができる。特に、各々の構造要素の配置および/または向きに関する、部分もしくは区域による意図的な選択、または部分もしくは区域による意図的な変化により、任意数の部分もしくは区域を達成することができ、例えば足の前部分に対して一以上の部分もしくは区域、足の中間部分に対して一以上の部分もしくは区域、また足の後ろ部分(かかと部分)に対して一以上の部分もしくは区域で、異なる構造的な特性、特に異なる機械的な特性を有するような任意数の部分もしくは区域を達成することができる。したがって、着用者に対して、特に着用者の特定の足に対して、個別的に適応された又は適応可能な構造的な特性、特に機械的な特性を有するソール/インソール部品を達成することができる。
【0028】
構造要素に関する支柱様または支柱状の幾何学的/構造的な基本形状は通常、構造要素の長い基本形状から生じるものである。各構造要素の長い基本形状は、少なくとも部分的に、任意選択的には完全に直線状の関連する構造要素の延長によって、および/または、少なくとも部分的に、任意選択的には完全に湾曲して延在する関連する構造要素の延長によって、形成することができる。
【0029】
各構造要素の断面形状に鑑みて、様々な形状が可能である。構造要素は例えば多角形、特に四角形の断面形状を有して設計することができるが、原理的には、他の例えば円形または丸型の断面形状を考えることもできる。当然に、異なる断面形状を有する異なる構造要素を形成することができる。異なる構造要素はしたがって、異なる断面形状を有することができる。同様にして(1つの)構造要素が異なる断面形状を有するように形成されることを考えることができる。したがって、(1つの)構造要素は、異なる断面形状からなる各部分を有するようにして形成することができる。
【0030】
以下で明らかなように、異なる構造要素は、その幾何学的/構造的な特性、例えばその幾何学的な寸法、特に長さ、幅、厚み(高さ)が異なるようにすることができ、幾何学的な寸法が異なるために、異なる構造要素が異なる構造的な特性、特に異なる機械的な特性を有するようになっている。
【0031】
上記の議論から明らかなように、対応する構造要素組立体は、同一のまたは異なる配置および/または向きにおいて、同一のまたは異なる構造要素を有して形成することができる。
【0032】
対応する構造要素組立体はしたがって、第1構造要素と第2構造要素を有して設計することができる。第1構造要素は第1の空間方向または空間向きに配置または形成することができ、第2構造要素は、前記第1の空間方向または空間向きとは異なる第2の空間方向または空間向きに配置または形成することができる。第1の空間方向または空間向きは、例えば、鉛直空間軸により定められる鉛直的な空間方向または空間向きとすることができ、また第2の空間方向または空間向は、水平空間軸により定められる水平な空間方向または空間向きとすることができる。第1構造要素はしたがって、第2構造要素に対して角度をつけて、例えば第2構造要素に対して直角になるように配置または配向することができる(また逆も真である)。
【0033】
当然に、対応する構造要素組立体は、対応する第1構造要素と第2構造要素に加えてさらなる構造要素を有して形成することができ、これらは第1もしくは第2の空間方向または空間向きとは異なる、少なくとも1つのさらなる空間方向または空間向きに配置または形成されており、例えば、鉛直および/または水平な空間方向または空間向きに対して斜めに延在するような空間方向または空間向きに配置または形成されている。以下により明らかなように、第1および/または第2構造要素を、鉛直および/または水平な空間方向または空間向きに対して、斜めに延在するような空間方向または空間向きに配置または形成することもまた可能である。
【0034】
特にその異なる配置または配向によって、対応する第1構造要素および第2構造要素は異なるように機能化され、すなわち異なる機能を有するように設計することができる。第1構造要素は、目的とする使用の際にソール/インソール部品に作用する力、特に圧縮力を伝達するように配置または設計することができる。第1構造要素はしたがって力伝達要素、特に圧縮力伝達要素とも呼ぶことができるか、そのように考えることができる。第2構造要素は例えば、目的とする使用の際にソール/インソール部品に作用する力を減衰させるように、特に圧縮力を減衰させるように配置または設計することができる。第2構造要素はしたがって、減衰要素と(しても)呼ぶことができるか、そのように考えることができる。
【0035】
対応する構造要素組立体は、示される通り、第1構造要素や第2構造要素とは機能的に異なる、第3構造要素をさらに設けて形成することができる。対応する第3構造要素は、ソール/インソール部品に作用する引張力、特にソール/インソール部品の長手方向の引張力を伝達するように設計された引張力伝達要素として配置または設計することができるか、および/または、ソール/インソール部品の内部で生じた引張力、特にソール/インソール部品の長手方向に作用する引張力を伝達するように設計された引張力伝達要素として、配置または設計することができる。第3構造要素はしたがって、引張力伝達要素として言及されるか、そのように考えることができる。第3構造要素はとりわけ、特に平行になるようにして配置または形成された2つの第2構造要素の間に形成することができる。
【0036】
対応する第3構造要素は、第3の空間方向または空間向きに配置または形成することができる。この第3の空間方向または空間向きは、水平な空間軸により定められる水平な空間方向または空間向きとすることができる。第3の空間方向または空間向きは、第2構造要素の第2の空間方向または空間向きに対応するものとすることができる。
【0037】
対応する第1構造要素および/または第2構造要素は、分割された方法で形成することができる。したがって第1構造要素および/または第2構造要素は、少なくとも2つの構造要素分割部を有して形成することができ、これら少なくとも2つの構造要素分割部は特に、少なくとも部分的に平行に延在するように配置されている。構造要素が分割されている設計(第1構造要素のみが分割、または第1構造要素のみが分割、または第1構造要素と第2構造要素の両方が、分割された方法で形成されること想定される)によって、ソール/インソール部品の構造特性、特にソール/インソール部品の機械特性に、より意図的な方法で、影響を与えることができる。
【0038】
それぞれの構造要素分割部をペアで配置または形成することができる。これは平行に配置または形成された構造要素分割部に対して特に適応される。第1および/または第2構造要素はしたがって、平行となるように配置または形成された構造要素分割部からなる複数のペアを有するように設計することができる。平行に配置または形成された少なくとも2つの構造要素分割部は構造要素分割部ペアを形成することができる。
【0039】
考え得る分割された設計とは関係なく、第1構造要素および/または第2構造要素は、水平もしくは鉛直な基準軸もしくは基準面に対して斜めに延在するように設計することができる。それぞれの構造要素の経路であって、その経路が水平もしくは鉛直の基準軸もしくは基準面に対し対応して斜めになるように配置されている経路、またはそれぞれの構造要素分割部が分割されている設計の場合の経路はまた、ソール/インソール部品の構造的な特性、特にソール/インソール部品の機械的な特性に、意図的に影響を与えるための手段を構成するが、これは例えば他の減衰特性がこの斜めの経路から生じるためである。したがって、特に減衰要素として配置または形成された第2構造要素は、水平もしくは鉛直の基準軸もしくは基準面に対して斜めに延在するように配置するように設計することができる。この場合、ソール/インソール部品の上面に対して上側の第2構造要素が、対応する基準軸または基準平面に対して、下側の第2構造要素とは異なる角度で、ソール/インソール部品の上面に対して、斜めに延在するようにして設計することが考えられる。
【0040】
各構造要素が分割された設計と、水平または鉛直の基準軸または基準平面に対して斜めに配置された各構造要素の経路との組み合わせもまた、考えることができる。したがって、第1構造要素および/または第2構造要素は、少なくとも部分的に平行に延在するように特に配置された少なくとも2つの構造要素分割部により形成されるか、または少なくとも部分的に平行に延在するように特に配置された少なくとも2つの構造要素分割部を備えることができ、各第1構造要素の各第1構造要素分割部および/または各第2構造要素の各第2構造要素分割部は、水平または鉛直の基準軸または基準平面に対して、斜めに延在するようにして配置されるように設計される。
【0041】
複数の対応する構造要素分割部ペアにより形成された分割された構造要素については、第1構造要素分割部ペアは、水平または鉛直の基準軸または基準平面に対して第1の角度で延在するように設計することができ、また第2構造要素分割部ペアは、水平または鉛直の基準軸または基準平面に対して、前記第1の角度とは異なる第2の角度で延在するように設計することができる。
【0042】
対応する第1構造要素および第2構造要素の定められた配置により、複合された力伝達/減衰部分構造体を形成することができる。したがって、上記の通り、力伝達要素として機能する第1構造要素と、上記の通り、減衰要素として機能する第2構造要素によって、複合された力伝達/減衰部分構造体(以下、略して「部分構造体」とよぶこととする)に、力伝達特性と減衰特性の両方が備わる。部分構造体はしたがって、力伝達機能と減衰機能の両方によって特徴付けられる。
【0043】
実施例により提供される実施形態において、部分構造体は例えば、2つの力伝達要素たる2つの第1構造要素と、2つの減衰要素たる2つの第2構造要素により形成される。これら2つの力伝達要素は、特にソール/インソール部品の意図する使用の際にソール/インソール部品に作用する力の方向(力の作用方向)に対して、平行の向きに配置されるようにして形成することができる。これら2つの減衰要素は、特にソール/インソール部品の意図する使用の際にソール/インソール部品に作用する力の方向(力の作用方向)を横切る向きに配置されるようにして形成することができる。
【0044】
各減衰要素組立体の減衰特性は、当該組立体を形成する減衰要素の寸法、とりわけ減衰要素の厚み、ならびに当該組立体を形成する各減衰要素間の間隔から特に生じるものである。したがって例えば、減衰要素の幾何的な寸法、とりわけその厚みと、その相互間隔が、減衰要素組立体の特定の減衰特性に関する意図的な選択と設定に対するパラメターを提供する。このようにパラメターを選択および設定することによって、例えば、減衰要素組立体に関する特定の変形、特に最大変形を、減衰要素組立体に作用する特定の力に対して定めることができる。
【0045】
力は通常、各部分構造体の各力伝達要素を用いて、減衰要素組立体に導入される。第1の減衰要素に対してこれと隣接するように第1力伝達要素を配置することができ、これにより減衰要素組立体に力を伝達することができるようになっている。第2の減衰要素に対してこれと隣接するように第2力伝達要素を配置することができ、これにより減衰要素組立体から力を伝達することができるようになっている。
【0046】
この場合、部分構造体の2つの減衰要素は互いに平行となるようにして形成することができ、これにより減衰要素組立体を形成する。異なる減衰要素組立体を提供することにより局所的に異なる減衰特性を各区域に形成することができる。
【0047】
上記の通り力伝達要素が通常は鉛直向きであることと、上記の通り減衰要素が通常は水平向きであることによって、部分構造体に二重のT構造を生じさせることができ、減衰要素により形成された「T」の各水平延長部分が、互いに横たわるように配置されるように設計され、また力伝達要素により形成された「T」の各鉛直延長部分が、鉛直方向に互いに一直線に配置されるようにして設計される。
【0048】
対応する構造要素組立体は、複数の対応する部分構造体を有して形成することができ、複数の部分構造体は部分構造組立体を形成することができる。この部分構造体は、ソール/インソール部品の(共通の)平面内に配置されるようにして形成される。
【0049】
構造要素に加えて、ソール要素は、目的とする使用の際にソール/インソール部品に作用する力を、少なくとも1つの部分構造体にそれぞれ導入するように設計された、複数の平面状、特に平板様または平板状の力伝達要素を備えるように設計することができる。以下において略して「力伝達要素」と言及される平面状の各力伝達要素は、特に四角形等の多角形をした基本形状を有することができる。各力伝達要素は、構造要素組立体の上面および/または下面に配置または形成することができる。第1力伝達要素が、構造要素組立体の上面に形成されており、また第2力伝達要素が、構造要素組立体の下面に形成されている。構造要素組立体の上面または下面に配置または形成された各力伝達要素は通常、互いに直接は相互接続されていない。したがって、構造要素組立体の上面または下面に直接隣接するように配置または形成される力伝達要素の間に、間隙を形成することができる。このため、第1力伝達要素への力の導入が、この第1力伝達要素に直接隣接するように形成された第2力伝達要素に対して、必ずしも力を導入するようなものではなくなる。
【0050】
力伝達要素は、ソールに作用する力を、各部分構造体の力伝達要素(第1構造要素)に導入するように設計することができ、そのようにして少なくとも1つの力伝達要素に接続されている。したがって通常は、少なくとも1つの第1力伝達要素が、各力伝達要素に接続されている。各第1構造要素は通常、減衰要素の方向において、構造要素組立体を向く各力伝達要素の上面または下面から、鉛直方向に突出する。
【0051】
ソール要素のユニットセルは、対応する力伝達要素と対応する部分構造体により形成することができる。ユニットセルは、ソール要素の幾何学的/構造的な基本モジュールとして言及することができ、またはそのように考えることができる。ユニットセルは通常、ソールの(共通)平面において、90°などの特定の角度で互いに回転または移動するようにして配置または配向される複数の部分構造体に加えて、前記部分構造体の上面または下面に配置または形成される複数の力伝達要素により形成される。ユニットセルの部分構造体は特にその末端部分において、特にブロック状の接続部分を用いて相互接続することができる。力伝達要素は通常、各ユニットセルの上面および下面を形成する。部分構造体は通常、各ユニットセルの側面を形成する。
【0052】
ユニットセルに係る個々の部材の具体的な寸法に応じて、各ユニットセルは例えば、直方体様もしくは直方体形状の基本形状を有して、特に立方体様もしくは立方体形状の基本形状を有して形成することができる。対応する直方体様もしくは直方体形状のユニットセルの縁または辺の長さは、例えば5~15mmの範囲、とくにおよそ10mmとすることができる。対応する直方体様もしくは直方体形状のユニットセルの高さも同様にして、例えば、5~15mmの範囲、とくにおよそ10mmとすることができる。これより大きなまたは小さな寸法を有するユニットセルを考えることもできる。
【0053】
特定の実施形態において、対応するユニットセルは、互いに90°だけ回転または移動するように配置または配向される4つの部分構造体を備えることができ、これら部分構造体は部分構造組立体を形成する。第1力伝達要素は、前記部分構造組立体の上に形成され、第2力伝達要素はその底部に形成される。ユニットセルはしたがって、4つの部分構造体と2つの力伝達要素を備える。部分構造体は、ユニットセルの側面を形成し、第1力伝達要素は上面を形成し、第2力伝達要素はユニットセルの下面を形成する。ユニットセルは、直方体様もしくは直方体形状の基本形状、特に立方体様もしくは立方体形状の基本形状を有する。
【0054】
各ユニットセルの構造的な特性、特に機械的な特性は、ユニットセルの各部品の構造的な特性、とくに機械的な特性に加えて、互いの配置と配向によって定められている。
【0055】
ソール要素は、幾何学的/構造的な特性、特にその寸法について、および/またはその構造上の性質、特にその機械的な性質について、同一のまたは異なる複数のユニットセルを有して形成することができる。各ユニットセルはしたがって、同じような幾何学的/構造的な特性を示し、また同じ構造上の特性を示すことができる。しかしながら、それぞれのユニットセルが、同じ幾何学的/構造的な特性および異なる構造上の特性を示すことも考えられる。同じことは異なる幾何学的/構造的な特性を有するユニットセルについても適応され、つまり、それぞれのユニットセルが異なる幾何学的/構造的な特性および同じ幾何学的/構造的な特性を示すか、または異なる幾何学的/構造的な特性および異なる構造上の特性を示す。
【0056】
直接的に隣接するように配置されたユニットセルは、少なくとも1つの接続部分を用いて相互接続することができる。このような接続部分は、例えば、直接的に隣接するように配置されたユニットセルの各減衰要素または減衰要素組立体の部分に形成することができる。直接的に隣接するように配置されたユニットセル間の接続は(破壊または損傷がなく)着脱可能にまたは着脱不能とすることができる。
【0057】
したがって、同一のおよび異なるユニットセルの配置によって、同一のまたは異なる幾何学的/構造的な特性、特に異なる機械特性、減衰、硬さの程度、変形の程度、等を有する各区域を形成することができる。
【0058】
ソール要素、ひいてはソール/インソール部品(原理的には各ユニットセルとは独立に適応される)はしたがって、幾何学的/構造的な特性が異なり、また構造上の特性が異なる複数の区域に分割されるようにして形成することができる。足の前部分に対して一以上の区域を形成することができ、足の中間部分に対して一以上の区域を形成することができ、また足の後ろ部分(かかと部分)に対して一以上の区域を形成することができ、これらの区域はその幾何学的/構造的な特性、およびその構造上の特性を異なるものとすることができる。
【0059】
各構造要素組立体に関連する上記全ての議論はインソール要素についても同様にして適用される。したがって、本方法によれば、相互に接続された複数の支柱様または支柱状の構造要素を備える構造要素組立体により、少なくとも部分的に、特に完全に形成されるインソール要素の、幾何学的/構造的な設計を記述するような、インソール要素データを提供することができる。ソール要素に関連するさらなる議論は全てインソール要素に対しても同様に適応される。
【0060】
本明細書に記載の本発明のさらなる態様は、靴を製造するための方法に関する。本方法は以下の各ステップを備えており、
ソール/インソール部品を付加製造するために、本明細書に記載の方法で靴の一体化したソール/インソール部品を製造するか、またはソール/インソール部品を付加製造するために、本明細書に記載の方法に従って製造されたソール/インソール部品を提供するステップと、
少なくとも1つの靴構成要素、特に靴の上側の部品を形成する靴構成要素を製造するか、または少なくとも1つの靴構成要素、特に靴の上側の部品を形成する靴構成要素を提供するステップと、
製造または提供された一体化したソール/インソール部品を、前記少なくとも1つのさらなる靴構成要素、特に靴の上側の部品を形成する靴構成要素に接続(原理的には、あらゆる圧力ばめ、および/または、一体接続タイプが考えられる)して、製造される靴を形成するステップと、
を備えている。
【0061】
原理的には、本方法を使用してあらゆる靴寸法と形状を有するあらゆるタイプの靴を製造することができる。単なる例として、運動靴、慣用靴、または整形外科用靴などの機能靴を挙げることができる。
【0062】
本方法によれば、着用者の足を取り囲み、特に着用者の足の特に甲を、少なくとも部分的に、任意選択的には完全に取り囲む、さらなる靴構成要素を製造または提供することができる。したがって本方法を用いて、完全に取り囲まれた靴、部分的に取り囲まれた靴、または開放された靴を製造することができる。
【0063】
本方法によれば、織物材料構造、特に編み生地または織物生地により少なくとも部分的に、任意選択的に完全に形成された、さらなる靴構成要素を、製造または提供することができる。したがって、織物材料構造、特に編み生地または織物生地により、少なくとも部分的に、任意選択的には完全に形成された、さらなる靴構成要素に、ソール/インソール部品を接続させることができる。
【0064】
本明細書に記載の本発明のさらなる態様は、第1の態様に係る方法によって製造されるソール/インソール部品と、第2の態様に係る方法によって製造される靴に関する。本方法に関する各議論は、ソール/インソール部品または靴についても同様にして適応される。
【0065】
本発明は、各図面に図示されているそれぞれの実施形態を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】
図1は一実施形態におけるソール/インソール部品の概略図である。
【
図2】
図2は一実施形態における靴の概略図である。
【
図3】
図3は一実施形態における方法のフローチャートである。
【
図4】
図4は第1実施形態におけるソール/インソール部品のソール要素の概略図である。
【
図5】
図5は第1実施形態におけるソール/インソール部品のソール要素の概略図である。
【
図8】
図8は、一実施形態における構造要素組立体を表す。
【
図9】
図9は、一実施形態における構造要素組立体を表す。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図1は一実施形態に係る一体化したソール/インソール部品21の基本的な概略図である。ソール/インソール部品21は靴の一部品を形成する(靴25の一実施形態に係る基本的な概略図でもある
図2を参照のこと)。このためソール/インソール部品21は靴部品として考えられまたそのように言及される。
【0068】
ソール/インソール部品21には、インソール要素22と、これと一体的に形成されるソール要素23と、が備えられている様子が認められる。ソール要素23は、ソール/インソール部品21のソール部分として考えられるか、そのように言及され、またインソール要素22は、ソール/インソール部品21のインソール部分として考えられるか、そのように言及される。したがって、ソール/インソール部品21には2つの異なる機能が想定されており、具体的には、ソール要素の機能とインソール要素の機能の両方が想定されている。ソール/インソール部品21はしたがって、一般的に、一体化された部品として考えられるか、そのように言及することができる。
【0069】
特に、ソール/インソール部品21が1つの部品を形成する靴25の構造について、ソール/インソール部品21のソール要素23は、中間ソール要素または外方ソール要素(アウトソール要素)とすることができる。中間ソール要素としての実施形態において、ソール要素23には、ソール/インソール部品21を備えた靴25が履かれた状態において、地面と接する外表面またはトレッドは含まれず、アウトソール要素としての実施形態において、ソール要素23には、ソール/インソール部品21を備えた靴25が履かれた状態において、地面と接する任意選択的に形成された外表面またはトレッドが含まれる。
【0070】
特に、ソール/インソール部品21が1つの部品を形成する靴25の構造に関して、ソール/インソール部品21のインソール要素22は、インナーソール要素とすることができる。ソール/インソール部品21が設けられた靴25が履かれた状態において、インソール要素はしたがって、着用者の足の接触面を形成する。これは、ソール/インソール部品21が設けられた靴25の構造について、インソール要素22に、皮材料、織物材料、等の機能材料からなる機能層が、着用者の足に面する接地表面部分4に、少なくとも部分的に、任意選択的には完全に設けられているような、想定される実施形態についても当てはまる。したがってインソール要素22に関連して、これには通常、着用者の足に対して、囲まれた接触表面部分4が設けられることについて言及する必要がある。
【0071】
図3はソール/インソール部品21を製造するための方法に係る実施形態を表している。この方法によれば、ソール/インソール部品21は付加的に製造され、つまり少なくとも1つの付加製造プロセスが使用または実施される。この場合、原理的には全ての付加製造プロセスが可能である。例えば、粉末造形材料または非粉末造形材料、特により糸状の造形材料による付加加工を可能にする付加製造プロセスが可能である。さらに、例えば、放射ベースの付加製造、つまりエネルギー放射(放射エネルギー)の影響により造形材料を選択的に硬化させる付加製造、または非放射ベースの付加製造、つまりエネルギー放射(放射エネルギー)の影響がなく造形材料を選択的に硬化させる付加製造を可能にするような付加製造プロセスが可能である。
【0072】
ソール/インソール部品21は通常、必須ではないが、少なくとも部分的に、特に完全にプラスチック材料(「プラスチック材料」との用語には、化学的および/または物理的に異なるプラスチック材料の混合物も含まれる)から製造されるため、インソール要素 22とソール要素23は通常、同じ材料から作製され、特にプラスチック材料の付加加工を可能にする付加製造加工もまた考慮される。単なる例として、これに関連して、光造形法、バインダージェッティングプロセス、熱溶解積層法(FDM)または連続液体界面製造(CLIP)プロセスが挙げられる。ソール/インソール部品はしたがって、例えば、光造形法、バインダージェッティングプロセス、熱溶解積層法(FDM)または連続液体界面製造(CLIP)プロセスを使用することによって製造することができる。したがって、本方法の第2ステップを実行するために、以下により詳細に説明されるように、例えば、光造形法、バインダージェッティングプロセス、熱溶解積層法(FDM)または連続液体界面製造(CLIP)プロセスを実行するように設計された付加製造装置を使用することができる。
【0073】
ソール/インソール部品21が、プラスチック材料とは異なる金属等の材料から少なくとも部分的に、特に完全に製造される場合には、したがってプラスチック材料とは異なる少なくとも1つの材料の付加加工を可能にするこれらの付加製造プロセスが考慮される。単なる例として、選択的レーザー焼結法、選択的レーザー溶融法、メタルバインダージェッティング法、等が挙げられる。
【0074】
本方法は具体的には以下のステップを含む。本方法の第1ステップ(ステップS1を参照)において、インソール要素データとソール要素データが提供される。この提供は例えば、データ媒体を介して、またはインターネットもしくはイントラネットなどのローカルデータネットワークもしくはグローバルデータネットワークなどのデータ接続を介して、行うことができる。インソール要素データとソール要素データの提供は通常、付加製造装置で行われるか、またはこれに関連し、ハードウェアおよび/またはソフトウェアが実装されたコントローラーで行われ、当該コントローラーは、付加製造プロセスを準備および/または実行するために、そこに提供されたインソール要素データおよびソール要素データをデータ処理するように設計されている。
【0075】
提供されたインソール要素データは、インソール要素22の幾何学的/構造的な設計を記述しており、インソール要素22は、上記の通り、製造されるソール/インソール部品21の部品を形成する。インソール要素データは通常、製造されるソール/インソール部品21のインソール要素22の幾何学的/構造的なパラメターを全て含んでいる。インソール要素データはまた、インソール要素22の構造データとして言及され、考えられ、または使用することができる。インソール要素データはあらゆるファイルフォーマットで提供することができ、単なる例として、STL,COLLADA,OBJ、FBXおよびX3Dのフォーマットが挙げられる。
【0076】
インソール要素データは、着用者の少なくとも1つの足の形態を少なくとも部分的に、任意選択的には完全に記述する足データに基づいて生成されたものであるか、または生成される。インソール要素データはしたがって、足データにより記述される少なくとも1つの足の形態に対して、少なくとも部分的に、任意選択的には完全に調節されるインソール要素22の幾何学的/構造的な設計を記述している。本方法によれば、インソール要素22はしたがって、対応するインソール要素データに少なくとも部分的に任意選択的には完全に基づき、ユーザーの足に対して個別的に構成されるように設計された幾何学的/構造的な設計を有するようにして、設計することができる。インソール要素データを生成する際に対応する足データ(これは例えば、足の光記録(スキャン)、足跡、等のデータに基づいて確立させることができる)を考慮することによって、ソール/インソール部品を、(高度に)個別化可能なまたは(高度に)個別化させて製造するための基礎が作られる。
【0077】
提供されたソール要素データは、ソール要素23の幾何学的/構造的な設計を記述しており、ソール要素23は上記の通り、製造されるソール/インソール部品21の部品を構成する。ソール要素データは通常、製造されるソール/インソール部品21のソール要素23の幾何学的/構造的なパラメターを全て含んでいる。ソール要素データはまた、ソール要素23の構造データとして言及され、考えられ、または使用することができる。ソール要素データはあらゆるファイルフォーマットで提供することができ、単なる例として、STL、COLLADA、OBJ、FBXおよびX3Dのフォーマットが挙げられる。
【0078】
インソール要素データおよびソール要素データを、インソール要素データおよびソール要素データの両方を含む共通のデータセットとして提供することは、当然に可能である。したがって、対応する共通のデータセットは通常、ソール/インソール部品21の幾何学的/構造的なパラメターを全て含んでいる。
【0079】
本方法の第2ステップ(ステップS2を参照)において、インソール要素データおよびソール要素データまたは対応する共通データセットに基づいて、ソール/インソール部品21の付加製造が行われる。したがって、本方法の第2ステップにおいて、ソール/インソール部品21を製造する少なくとも1つの付加製造方法を適応することにより、ソール/インソール部品21の実際の製造が行われる。この場合において、1つの付加製造プロセスにおいてソール/インソール部品21が製造的に簡単な方法で製造されることが重要であって、これによってソール/インソール部品21の一体的または統合的または単一的な構成が生じる。インソール要素22とソール要素23はしたがって、1つの付加製造プロセスで共に製造され、ソール/インソール部品21を形成する。これにより、インソール要素22がソール要素23に着脱不能に接続され、また逆にソール要素23がインソール要素22に着脱不能に接続されていることを特徴とする、ソール/インソール部品21の一体的な設計となる。ソール/インソール部品21を製造するために適応される付加製造プロセスにはしたがって、インソール要素22およびソール要素23の付加形成が含まれ、何れも一体化された部品としての付加製造プロセスの文脈で製造されるため、着脱不能な方法で(損傷あるいは破壊がなく)一体的に相互接続されるようにして製造される。インソール要素22とソール要素23はしたがって、互いに直接接合されるか、または互いが直接的に融合する。したがって、付加製造装置の造形スペースにおける、例えばソール/インソール部品21の配置または向きについて、インソール要素22をソール要素23の上に直接構築することができ、あるいは逆にソール要素23をインソール要素22の上に直接構築することができる。しかしながら、付加製造装置の造形スペースにおける、例えばソール/インソール部品21の配置または向きに応じて、インソール要素22の一部とソール要素23の一部が(層ベースの方法で)例えば同時に造形されるような他の造形方法を考えることもできる。
【0080】
足データによって記述される少なくとも1つの足の形態を考慮して選択される人間工学的な成形によって、少なくとも部分的に、特に完全に形成されるインソール要素22の幾何学的/構造的な設計を記述するインソール要素を提供することができる。インソール要素22はしたがって、例えば足データによって記述される足の形態を考慮し、個別に構成されるクッションを有するようにして、少なくとも部分的に、任意選択的には完全に設計される。
【0081】
相互接続された複数の支柱様または支柱状の構造要素5を備える構造要素組立体6により少なくとも部分的に、特に完全に形成されたソール要素23の幾何学的/構造的な設計を記述するソール要素データを提供することができる。ソール要素23はしたがって、ソール要素データにより記述される構造要素組立体6の形状に製造することができ、構造要素組立体6は、相互接続された複数の支柱様または支柱状の構造要素5によって少なくとも部分的に、特に完全に構成される。
図4以降に記載の実施形態に関連して、以下により詳細に説明されるように、対応する構造要素組立体6の様々な構造によって、ソール要素23、ひいてはソール/インソール部品21に関する様々な構造的な特性、すなわち特に様々な機械的な性質を、意図的に達成することができる。
【0082】
インソール要素22は、周縁部に、少なくとも部分的に、任意選択的には完全に形成されたインソール要素部分を有して製造することができ、インソール要素部分は特に、基準面に対して隆起しており(これは例えば、インソール要素22の接触表面部分4により定めることができる)、このインソール要素部分は、ソール/インソール部品21の履かれた状態で、着用者の足を、(足の)周囲において少なくとも部分的に取り囲む。
【0083】
ソール要素23および/またはインソール要素22は、様々な幾何学的/造形的および/または様々な構造的な特性、特に機械的な特性を有する複数の区域Z1~Znを少なくとも部分的に、任意選択的には完全に備えて製造することができる。例えば、
図1に単なる例示のために図示されているように、足の前部分に対して少なくとも1つの区域Z1を形成することができ、足の中間部分に対して少なくとも1つの区域Z2を形成することができ、足の後ろ部分(かかと部分)に対して少なくとも1つの区域Z3を形成することができ、これらの部分はその構造的な特性、特にその機械的な特性を異なるものとすることができる。対応する区域Z1~Znは特に、着用者に特有の方法で個別化されるように設計することができる。
【0084】
図3に戻り、靴25の製造に関連して補足すると、本方法の任意選択的な第3ステップ(ステップS3)において、少なくとも1つの靴構成要素27、特に靴の上側の部品を形成する靴構成要素の製造または提供を行うことができ、また本方法の任意選択的な第4ステップ(ステップS4)において、ソール/インソール部品21の少なくとも1つの靴構成要素27への接続、特に靴の上側の部品を形成する靴構成要素への接続を行うことができ、製造される靴25が形成される。
【0085】
本方法によれば、ステップS3において、着用者の足の特に甲回りを、少なくとも部分的に、任意選択的には完全に取り囲む、さらなる靴構成要素27を製造または提供することができる。したがって本方法を用いて、完全に囲まれた靴、部分的に囲まれた靴、または開放された靴を製造することができる。
【0086】
本方法によれば、ステップS3において、織物材料構造、特に編み生地または織物生地により少なくとも部分的に、任意選択的に完全に形成された、さらなる靴構成要素27を、製造または提供することができる。したがって、織物材料構造、特に編み生地または織物生地により、少なくとも部分的に、任意選択的には完全に形成されたさらなる靴構成要素に、ソール/インソール部品を接続させることができる。
【0087】
図4は一実施形態に係るソール/インソール部品21のソール要素23の概略斜視図である。
図4に図示のソールの詳細部分VIは、
図6における拡大図に図示されている。
図6に図示の詳細部分VIIは、
図7における拡大図に図示されている。
【0088】
図4~7によれば、ソール要素23が構造要素組立体3により形成されるか、または構造要素組立体3を備えていることが明らかである。構造要素組立体3は相互接続された複数の支柱様または支柱状の構造要素4,5により形成されるか、または相互接続された複数の支柱様または支柱状の構造要素4,5を備えている。
【0089】
構造要素4,5の支柱様または支柱状の幾何学的/構造的な基本形状は、構造要素4,5の長い基本形状から生じるものである。各図面に図示の実施形態において、構造要素4,5の断面形状は多角形、特に四角形であるが、他の例えば円形または丸型の断面形状を考えることも原理的にはできる。
【0090】
ソール要素23の構造的な性質、特に減衰特性または硬さもしくは変形の自由度を定めるソール要素23の機械的な性質は、構造要素の幾何学的/構造的な構成、特に構造要素4,5の配置および/または向きから実質的に生じるものである。したがって、ソール要素23の構造的な性質、特に減衰特性、または硬さもしくは変形の自由度を定めるソール要素23の機械的な性質は、構造要素4,5の配置および/または向きの意図的な選択または変化によって意図的に設定することができる。
【0091】
特に、各々の構造要素4,5の配置および/または向きに関する、部分もしくは区域による意図的な選択、または部分もしくは区域による意図的な変化により、任意数の部分もしくは区域を達成することができ(7つの異なる区域Z1-Z7からなる一様な配置が例として示されている
図5を参照のこと。7つを超えるまたはそれ未満の区域からなる、一様でない配置も当然に考えられるであろう。)、例えば足の前部分に対して一以上の部分もしくは区域Z1,Z2、足の中間部分に対して一以上の部分もしくは区域Z3,Z4,Z5、また足の後ろ部分(かかと部分)に対して一以上の部分もしくは区域Z6,Z7で、異なる構造的な特性、特に異なる機械的な特性を有するような部分もしくは区域を達成することができる。ソール要素23はしたがって、着用者に対して、特に着用者の特定の足に対して、個別的に適応された又は適応可能な構造的な特性、特に機械的な特性を有することができる。
【0092】
構造要素組立体3には、第1の空間方向または空間向きに配置または形成された第1構造要素4(鉛直的な空間方向または空間向き、z方向)と、前記第1の空間方向または空間向きとは異なる第2の空間方向または空間向き(水平な空間方向または空間向き、x方向)に配置または形成された第2構造要素5と、が備えられていることが認められる。第1の空間方向または空間向きとは、鉛直空間軸により定められる鉛直的な空間方向または空間向きであって、また第2の空間方向または空間向きとは、水平空間軸により定められる水平な空間方向または空間向きである。第1構造要素4はしたがって、第2構造要素5に対して直角になるように配置または配向される(また逆に、第2構造要素5は第1構造要素4に対して直角になるように配置または配向される)。
【0093】
特にその異なる配置または配向によって、第1構造要素4および第2構造要素5はそれぞれ別々に機能化されており、すなわちその機能が異なっている。第1構造要素4は、目的とする使用の際にソール要素23に作用する力(
図4の矢印を参照のこと)を伝達するように配置または設計されおり、そのため力伝達要素ともよばれる。第2構造要素5は、目的とする使用の際にソールに作用する力を減衰させるように配置または設計され、そのため減衰要素ともよばれる。
【0094】
各図面に図示された第1構造要素4および第2構造要素5の配置と配向によって、複合的な力伝達/減衰部分構造体6が形成される。力伝達要素として機能する第1構造要素4によって、各々の部分構造体6に、力伝達特性と、減衰要素として機能する第2構造要素5によって、減衰特性と、の両方が備えられる。それぞれの部分構造体6はしたがって、力伝達機能と減衰機能の両方によって特徴づけられる。
【0095】
図4以降に図示の実施形態において、部分構造体6は、2つの第1構造要素4、すなわち2つの力伝達要素と、2つの第2構造要素5、すなわち2つの減衰要素と、により形成される。2つの力伝達要素(第1構造要素4)は、ソール/インソール部品21の目的とする使用の際に、ソール要素23に作用する力の方向(力の作用方向)に対して平行な鉛直向きに配置される。2つの減衰要素(第2構造要素5)は、ソール/インソール部品21の目的とする使用の際に、ソール要素23に作用する力の方向(力の作用方向)に対して横断的な水平向きに配置される。
【0096】
部分構造体6のこれら2つの減衰要素(第2構造要素5)は、互いに平行となるように配置または形成され、減衰要素組立体7を形成することが明らかである。それぞれの減衰要素組立体7の減衰特性は、当該組立体を形成する減衰要素の厚み、ならびに当該組立体を形成する各減衰要素の間隔から特に生じるものである。したがって例えば、減衰要素の厚みとその相互間隔が、減衰要素組立体7の特定の減衰特性に関する意図的な選択と設定に対するパラメターを提供する。このようにパラメターを選択および設定することによって、例えば、減衰要素組立体7に関する特定の変形、特に最大変形、例えば1mmの最大変形を、減衰要素組立体7に作用する特定の力に対して定めることが可能となる。
【0097】
それぞれの部分構造体6の力伝達要素(第1構造要素4)を用いて、それぞれの減衰要素組立体7に力が導入される。この目的のために、第1もしくは上側の減衰要素に対して第1もしくは上側の力伝達要素が隣接して配置され、これにより減衰要素組立体7に力が伝達可能となっている。第2もしくは下側の減衰要素に対して第2もしくは下側の力伝達要素が隣接して配置され、これにより減衰要素組立体7から力を伝達することができる。
【0098】
力伝達要素が鉛直向きであることと減衰要素が水平向きであることによって、部分構造体6に二重のT構造が生じ、減衰要素により形成された「T」の各水平延長部分が、互いに横たわるように配置されるように設計され、また力伝達要素より形成された「T」の各鉛直延長部分が鉛直方向に互いに一直線に配置されるようにして設計される。
【0099】
構造要素組立体3には、複数の対応する部分構造体6、つまり多数の部分構造体6が設けられていることが明らかである。部分構造体6は、ソール要素23の(共通の)平面(x-y平面)内に配置および配向される。複数の部分構造体6は部分構造組立体10を形成することができる。
【0100】
構造要素4,5に加えてソール要素23には、目的とする使用の際にソール要素23に作用する力を各々の部分構造体6に導入するように設計された、複数の平面状、特に平板様または平板状の力伝達要素8が備えられる。各図面に図示の各実施形態において、力伝達要素8は四角形等の多角形をした基本形状を有している。それぞれの力伝達要素8は、構造要素組立体3の上面および/または下面に配置または形成されていることが認められる。図示の実施形態において、第1または上側の力伝達要素8が、構造要素組立体3の上面に配置または形成されて提供されており、また第2または下側の力伝達要素8が、構造要素組立体3の下面に配置または形成されて提供されている。
【0101】
構造要素組立体3の上面または下面に配置または形成された各々の力伝達要素8は、互いに直接は相互接続されていないことが認められる。構造要素組立体3の上面または下面に直接隣接するように配置または形成される力伝達要素8の間には、間隙が形成される。このため、第1力伝達要素8への力の導入が、この第1力伝達要素8に直接隣接するように配置または形成された第2力伝達要素8に対して、必ずしも力を導入するようなものではなくなる。
【0102】
力伝達要素8は、ソール要素23に作用する力を、それぞれの部分構造体6の力伝達要素(第1構造要素4)に導入するように設計され、そのようにして少なくとも1つの力伝達要素に接続されている。したがって、少なくとも1つの力伝達要素は、それぞれの力伝達要素8に接続されている。それぞれの力伝達要素は通常、減衰要素またはそれぞれの減衰要素組立体7の方向において、構造要素組立体3を向く各力伝達要素8の上面または下面から、鉛直方向に突出する。
【0103】
図7に図示のソール要素23のユニットセル9は、対応する力伝達要素8と対応する部分構造体6により形成される。ユニットセル9は、ソール要素23の幾何学的/構造的な基本モジュールとして言及することができ、またはそのように考えることができる。ユニットセル9は、ソール要素23の(共通)平面において、特定の角度で互いに回転または移動するようにして配置または配向される複数の部分構造体6に加えて、前記部分構造体6の上面または下面に配置または形成される複数の力伝達要素8により形成されることが、
図7から認められる。部分構造体6はその末端部分において、例えばブロック状の接続部分12を用いて相互接続されており、これらは
図4以降の各実施形態に図示されている。
【0104】
図4以降に図示の実施形態において図示されたユニットセル9は、互いに90°だけ回転または移動するように配置または配向される4つの部分構造体6を備えており、これら部分構造体は部分構造組立体10を形成する。第1または上側の力伝達要素8は、前記部分構造組立体10の上に配置または形成され、第2または下側の力伝達要素8は、前記部分構造組立体10の底部に配置または形成される。ユニットセル9はしたがって、4つの部分構造体6と2つの力伝達要素8を備える。部分構造体6はユニットセル9の側面を形成し、第1または上側の力伝達要素8は上面を形成し、第2または下側の力伝達要素8はユニットセル9の下面を形成する。
【0105】
ユニットセル9は、直方体様もしくは直方体形状または立方体様もしくは立方体形状の基本形状を有する。ユニットセル9の縁または辺の長さは、例えば5~15mmの範囲、とくに約10mmとすることができる。ユニットセル9の高さは例えば、5~15mmの範囲、とくに約10mmとすることができる。
【0106】
それぞれのユニットセル9の構造的な特性、特に機械的な特性は、ユニットセル9の各部品の構造的な特性、とくに機械的な特性に加えて、互いの配置と配向によって定められているか、定めることができる。
【0107】
図4以降からは、ソール要素23には、幾何学的/構造的な特性、特にその寸法が同一な複数のユニットセル9を含むことができることが認められる。直接隣接するように配置されたユニットセル9は、接続部分11により相互接続される。
図4以降に図示の実施形態において、直接隣接するように配置されたユニットセル9のそれぞれの減衰要素または減衰要素組立体7の部分において、対応する接続部分11が形成されている。
【0108】
ソール要素23の同じ区域に配置されたユニットセル9は通常、同じような構造的特性を示し、特に同じ機械特性を示す。ソール要素23の異なる区域に配置されたユニットセル9は、異なる構造的特性を示す場合があり、特に異なる機械特性を示す場合がある。
【0109】
したがって、構造的特性、特に機械特性について同一のまたは異なるユニットセル9の配置によって、同一のまたは異なる構造的特性、特に異なる機械特性、減衰、硬さの程度、変形の程度を有する各区域を形成することができる。
図5に図示の実施形態と併せて説明したように、ソール要素23を異なる構造特性を有する複数の区域に分割することができる。上記の通り、特定の区域に関するユニットセル9は通常、同じ幾何学的/構造的な特性および同じ構造的な特性を示す。
【0110】
図8および
図9は、さらなる実施形態に係る構造要素組立体3またはユニットセル9を示している。構造要素組立体3および/またはユニットセル9が、
図8において斜視図で示され、
図9において正面図で示されている。
【0111】
図8および
図9に図示の実施形態は、
図7に図示のユニットセル9の実施形態に対する代替例となるため、ソール要素23を形成するために、
図7に図示の実施形態に係るユニットセル9の代わりに、
図8および
図9に図示の実施形態に係るユニットセル9を使用することもできる。
図7に図示の実施形態に係るユニットセル9と、
図8および
図9に図示の実施形態に係るユニットセル9の両方を含むソール要素23を考えることもできる。
【0112】
図8および
図9に図示の実施形態から、第2構造要素5を分割するようにして設計することができることを認めることができる。同様のことは第1構造要素4についても、図示はされてはいないが、適応される。第2構造要素5はしたがって、平行に延在するように配置された複数の構造要素分割部5a~5dによって形成することができる。第2構造要素5が分割された設計により、構造要素組立体3、ひいてはソール要素23の構造特性、特にソール要素23の機械特性に、より意図的な方法で、影響を与えることができる。
【0113】
平行に配置または形成された複数の構造要素分割部5a~5dをペアにして配置または形成することができることは明らかである。第2構造要素5はしたがって、平行となるように配置または形成された複数の構造要素分割部5a~5dを備えることができる。
図8および
図9に図示の実施形態において、平行となるように配置または形成された2つの構造要素分割部5a~5dは、1つの構造要素分割部ペアを形成する。各第2構造要素5はしたがって、2つの構造要素分割部ペアから形成されるか、または2つの構造要素分割部ペアを備える。
【0114】
図8および
図9に図示の実施形態から、分割された設計とは原理的に独立して、第2構造要素5(第1構造要素4についても同様に当てはまるが)は、水平または鉛直な基準軸または基準面に対して、斜めに延在させることができる。それぞれの構造要素5の経路、またはそれぞれの構造要素5が、
図8および
図9に図示されている分割された設計の場合であって、その経路が水平もしくは鉛直の基準軸もしくは基準面に対し対応して斜めになるように配置されている場合の経路は、構造要素組立体3またはソール要素23の構造的な特性、特に構造要素組立体3またはソール要素23の機械的な特性に、意図的に影響を与えるための手段を構成するが、これは特に構造要素組立体3の他の減衰特性をこの斜めの経路から生じさせることができるからである。したがって、特に減衰要素または第2構造要素5は、水平もしくは鉛直な基準軸もしくは基準面に対して斜めに延在するように配置させることができる。ここにおいて、
図8および
図9に図示の通り、ソール要素23の上面に関して、上側の第2構造要素5は、対応する基準軸または基準平面に対し、下側の第2構造要素5とは異なる角度で、斜めに延在するようにして配置または形成される。
【0115】
図8および
図9には、第2構造要素5の分割された設計と、水平または鉛直の基準軸または基準平面に対して斜めに配置された第2構造要素5の経路との組み合わせが示されている。第2構造要素5はしたがって、平行に延在するように配置された複数の構造要素分割部5a~5dにより形成され、また構造要素分割部5a~5dは、水平または鉛直の基準軸または基準平面に対して斜めに延在するようにして配置される。
【0116】
第2構造要素5のそれぞれの構造要素分割部ペアに対して、第1構造要素分割部ペアは、水平または鉛直の基準軸または基準平面に対して第1の角度で延在するように配置され、2つの構造要素分割部5a~5dに係る第2構造要素分割部ペアは、水平または鉛直の基準軸または基準平面に対して、第2の角度で延在するように配置されている。このようにして、
図8および
図9に図示の通り、第2構造要素5についてくさび様またはくさび状の幾何形状が生じ、それぞれの構造要素分割部ペアによって、くさび側面が形成される。
【0117】
それぞれの第2構造要素5を形成するそれぞれの構造要素分割部ペアが鏡面対称の配置であることが明らかである。それぞれの構造要素分割部ペア同士の角度は鈍角、つまり通常は90度を超えており、特に130度を超え、任意選択的には150度を超える。
【0118】
さらには、
図8および
図9に図示の実施形態において、任意選択的な第3構造要素13が認められる。したがって、構造要素組立体3はさらに、第1構造要素4や第2構造要素5とは機能的に異なる第3構造要素13を含むことができる。第3構造要素13は、ソール要素23または構造要素組立体3に作用する引張力、特にソール要素23または構造要素組立体3の長手方向の引張力を伝達するように設計された引張力伝達要素として配置または設計することができるか、および/または、ソール要素23または構造要素組立体3の内部で生じた引張力、特にソール要素23または構造要素組立体3の長手方向に作用する引張力を伝達するように設計された引張力伝達要素として、配置または設計することができる。第3構造要素13はしたがって、引張力伝達要素として言及されるか、そのように考えることができる。
【0119】
2つの第2構造要素5の間にそれぞれの第3構造要素13が配置または形成され、何れも、水平空間軸により定められる水平な空間方向または空間向きに配置されることを認めることができる。
【0120】
特定の実施形態に関連して説明される個々の、複数の、またはすべての特徴は、必要に応じて、他の少なくとも1つの実施形態の個々の、複数の、またはすべての特徴と、組み合わせることができる。