(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002888
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20231228BHJP
B60K 35/00 20240101ALI20231228BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20231228BHJP
G02F 1/1333 20060101ALN20231228BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G09F9/00 302
B60K35/00 Z
B60R11/02 C
G02F1/1333
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023019683
(22)【出願日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】P 2022100829
(32)【優先日】2022-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】518078142
【氏名又は名称】上海天馬微電子有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100183955
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 悟郎
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100180334
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 洋美
(74)【代理人】
【識別番号】100177149
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 浩義
(74)【代理人】
【識別番号】100174067
【弁理士】
【氏名又は名称】湯浅 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 成美
(72)【発明者】
【氏名】吉田 仁
(72)【発明者】
【氏名】中西 太
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 紀之
(72)【発明者】
【氏名】番匠谷 晃
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 昭
(72)【発明者】
【氏名】朝香 真吾
(72)【発明者】
【氏名】石川 孔悦
【テーマコード(参考)】
2H189
3D020
3D344
5G435
【Fターム(参考)】
2H189AA53
2H189AA54
2H189AA55
2H189AA57
2H189AA58
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2H189AA75
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2H189LA02
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2H189LA08
2H189LA10
2H189LA18
2H189LA19
2H189LA20
2H189MA08
3D020BA04
3D020BC02
3D344AA01
3D344AA07
3D344AA19
3D344AA27
3D344AD01
5G435AA00
5G435AA07
5G435BB12
5G435CC09
5G435EE02
5G435EE05
5G435EE13
5G435GG43
5G435HH18
5G435LL03
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】使用者に対する安全性が高い表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置10は、表示面100aを有する表示部100と、表示部100の表示面100aの反対側の面に設けられ、表示部100を被固定対象物500に固定する保持部200とを備える。表示装置10は、被固定対象物500に固定された状態において、衝突体が表示領域の中心P0を通り表示領域に垂直な中心線S1上で表示面100aに衝突した場合に、衝突体の衝突に対する剛性が非対称である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面を有する表示部と、
前記表示部の前記表示面の反対側の面に設けられ、前記表示部を被固定対象物に固定する保持部と、を備え、
前記被固定対象物に固定された状態において、衝突体が前記表示部の表示領域の中心を通り前記表示領域に垂直な中心線上で前記表示面に衝突した場合に、前記衝突体の衝突に対する剛性が非対称である、
表示装置。
【請求項2】
前記保持部は開口部を有し、
平面視した場合に、前記表示領域の中心の位置と前記開口部の前記表示部側の開口の中心の位置がずれ、前記開口部の一方向の最小幅は、前記衝突体の前記一方向の最大幅よりも小さい、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記保持部は、前記表示部に対向する面に凹部を有し、
平面視した場合に、前記表示領域の中心の位置と前記凹部の開口の中心の位置がずれ、前記凹部の一方向の最小幅は、前記衝突体の前記一方向の最大幅よりも小さい、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記保持部は、開口部を有し、
平面視した場合に、前記保持部は、前記開口部を挟んで対向し、互いに異なる剛性を有する材料から形成された第1部分と第2部分とを有し、前記開口部の一方向の最小幅は、前記衝突体の前記一方向の最大幅よりも小さい、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
複数の前記保持部を備え、
平面視した場合に、前記複数の保持部は、前記表示領域の中心を通り前記表示領域に垂直な中心線に対して非対称に配置され、前記保持部のそれぞれの端部と前記表示領域の中心との距離が、前記衝突体の最大幅の半分よりも小さい、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
複数の前記保持部を備え、
少なくとも1つの前記保持部の前記表示部を保持する面の面積が、他の前記保持部の前記表示部を保持する面の面積と異なり、
平面視した場合に、前記保持部のそれぞれの端部と前記表示領域の中心との距離が、前記衝突体の最大幅の半分よりも小さい、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示部を前記表示部の前記表示面の反対側に位置する前記被固定対象物に固定する、複数の前記保持部を備え、
平面視した場合に、前記表示領域の中心の位置と前記保持部の中心を結ぶ線分に囲まれた多角形の中心の位置がずれ、前記表示領域の中心の位置と前記保持部のそれぞれの外周面との最短距離が、前記衝突体の最大幅の半分よりも小さい、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示部は、表示パネルと、前記表示パネルを収容する筐体と、前記筐体に接着部材を介して設けられ、前記表示パネルを保護するカバーとを備え、
平面視した場合、前記接着部材の前記表示パネルを挟んで対向する部分の厚さが異なる、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記被固定対象物は、前記保持部を介して、前記表示部を前記衝突体が衝突する方向の反対側から支持し、
前記被固定対象物の剛性が前記保持部の剛性よりも大きい、
請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両、列車等では、搭乗者(乗員、乗客等)の安全性の向上のために、車両、列車等に設けられる表示装置が搭乗者に与える危害を小さくする必要がある。例えば、車両に関する欧州規格(ECE-R21:the Economic Commission for Europe of the United Nations(UN/ECE)-Regulation No 21)には、搭乗者の頭部に見立てたインパクトヘッドが表示装置に衝突した際の、インパクトヘッドの減速度に関する基準がある。ECE-R21では、例えば、インパクトヘッドが表示装置に衝突した時、インパクトヘッドの減速度が80Gを超える連続時間を3ms以下としている。
【0003】
また、車両が衝突した場合に、乗員が車両の車室に設けられたディスプレイから受ける衝撃を緩和できる、インストルメントパネル構造が知られている。例えば、特許文献1は、インストルメントパネルの裏側に設けられたインストルメントパネルリインフォースメントと、インストルメントパネルリインフォースメントに固定された筒状の固定部材と、固定部材に装着された軸受部材と、軸受部材を介して固定部材に支持された支持部材と、を有するインストルメントパネル構造を開示している。支持部材は、インストルメントパネル上に配設されたディスプレイが車両前後方向の後端部に固定され、ディスプレイに衝撃荷重が入力されると固定部材の軸方向に沿ってスライド可能となるように固定部材に支持されている。特許文献1のインストルメントパネル構造では、ディスプレイを固定された支持部材が固定部材の軸方向に沿ってスライドすることにより、乗員がディスプレイから受ける衝撃を緩和する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のインストルメントパネル構造では、ディスプレイを車室に設けるために、固定部材と軸受部材と支持部材が必要となり、更に、構成が複雑である。
【0006】
本開示は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、使用者に対する安全性が高い表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の表示装置は、
表示面を有する表示部と、
前記表示部の前記表示面の反対側の面に設けられ、前記表示部を被固定対象物に固定する保持部と、を備え、
前記被固定対象物に固定された状態において、衝突体が前記表示部の表示領域の中心を通り前記表示領域に垂直な中心線上で前記表示面に衝突した場合に、前記衝突体の衝突に対する剛性が非対称である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、表示装置は、被固定対象物に固定された状態において、衝突体の衝突に対する剛性が非対称であるので、衝突体の減速度が大きい時間を短くでき、使用者に対する安全性を高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係る表示装置を示す平面図である。
【
図2】
図1に示す表示装置をA-A線で矢視した断面図である。
【
図3】実施形態1に係る表示部を示す断面図である。
【
図4】実施形態1に係る液晶表示パネルを示す平面図である。
【
図5】実施形態1に係る保持部を示す平面図である。
【
図6】
図5に示す保持部をB-B線で矢視した断面図である。
【
図7】実施形態1に係る衝突体と保持部の開口を示す断面図である。
【
図8】実施形態1に係る衝突体の減速度を示す図である。
【
図9】実施形態1に係る、衝突体の減速度の変化を説明するための模式図である。
【
図10】実施形態1に係る、衝突体の減速度の変化を説明するための模式図である。
【
図11】実施形態1に係る表示装置の各部の寸法を示す図である。
【
図12】実施形態1に係る表示装置の各部の寸法を示す図である。
【
図13】比較例に係る衝突体の減速度を示す図である。
【
図14】実施形態1に係る衝突体の減速度を示す図である。
【
図15】実施形態1に係る衝突体の減速度を示す図である。
【
図16】実施形態2に係る保持部を示す斜視図である。
【
図17】実施形態2に係る表示装置を示す断面図である。
【
図18】実施形態3に係る表示装置を示す断面図である。
【
図19】実施形態4に係る保持部を示す平面図である。
【
図20】
図19に示す保持部をC-C線で矢視した断面図である。
【
図21】実施形態4に係る衝突体と保持部の開口を示す断面図である。
【
図22】実施形態4に係る、衝突体の減速度の変化を説明するための模式図である。
【
図23】実施形態4に係る、衝突体の減速度の変化を説明するための模式図である。
【
図24】実施形態5に係る表示装置を示す平面図である。
【
図25】
図24に示す表示装置をD-D線で矢視した断面図である。
【
図26】実施形態6に係る表示装置を示す平面図である。
【
図27】
図26に示す表示装置をE-E線で矢視した断面図である。
【
図28】実施形態7に係る表示装置を示す平面図である。
【
図29】
図28に示す表示装置をF-F線で矢視した断面図である。
【
図30】実施形態8に係る表示装置を示す平面図である。
【
図31】
図30に示す表示装置をG-G線で矢視した断面図である。
【
図32】実施形態8に係る、筐体と接着部材とを示す平面図である。
【
図33】
図32に示す筐体と接着部材とをJ-J線で矢視した断面図である。
【
図34】実施形態8に係る、衝突体の減速度の変化を説明するための模式図である。
【
図35】実施形態8に係る、衝突体の減速度の変化を説明するための模式図である。
【
図36】実施形態9に係る衝突体の減速度を示す図である。
【
図37】実施形態9に係る衝突体の減速度を示す図である。
【
図38】実施形態9に係る衝突体の減速度を示す図である。
【
図39】実施形態10に係る表示部装置を示す断面図である。
【
図40】実施形態10に係る表示装置の各部の寸法を示す図である。
【
図41】実施形態10に係る表示装置の各部の寸法を示す図である。
【
図42】実施形態10に係る、衝突体の減速度の変化を説明するための模式図である。
【
図43】実施形態10に係る、衝突体の減速度の変化を説明するための模式図である。
【
図44】変形例に係る表示装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る表示装置について、図面を参照して説明する。
【0011】
<実施形態1>
図1~
図15を参照して、本実施形態に係る表示装置10を説明する。表示装置10は、車両、航空機、家電、家具等に搭載される。本実施形態と以下の実施形態では、車両への搭載を例に表示装置10を説明する。
【0012】
表示装置10は、
図1と
図2に示すように、車両のインストルメントパネル500の開口部510に嵌め込まれ、開口部510に固定される。インストルメントパネル500は、例えば、樹脂から形成され、矩形形状の開口部510を有している。インストルメントパネル500は被固定対象物に相当する。
【0013】
本実施形態では、後述するように、衝突体Qが表示部100の表示領域112の中心P0を通り表示領域112に垂直な中心線S1上で表示面100aに衝突した場合、インストルメントパネル500に固定された表示装置10の衝突に対する剛性が、非対称となっている。衝突体Qは、例えば、搭乗者の頭部に見立てたインパクトヘッドである。本実施形態と以下の実施形態では、直径(すなわち、一方向の最大幅)QDの球形を有する衝突体(インパクトヘッド)Qを例に、表示装置10を説明する。また、搭乗者は使用者に相当する。
【0014】
表示装置10は、表示部100と保持部200とを備える。表示部100は、文字、画像等を表示する。保持部200は、表示装置10をインストルメントパネル500の開口部510の内に固定する。なお、理解を容易にするため、本明細書では、表示部100の搭乗者側の面を表示部100の表示面100aとし、衝突体Qが表示面100aに衝突する衝突位置P1を原点として、
図1における表示装置10の短手方向(紙面の下方向)を+X方向、長手方向(紙面の左方向)を+Y方向、+X方向と+Y方向に垂直な方向(紙面の奥方向、搭乗者の反対側)を+Z方向として説明する。
【0015】
表示装置10の表示部100は、
図1と
図2に示すように、保持部200を介して、開口部510の内壁510aに固定される。表示部100は、
図3に示すように、液晶表示パネル110と、バックライト120と、筐体130と、カバー140とを備える。なお、
図3では、理解を容易にするため、筐体130のハッチングを省略している。
【0016】
表示部100の液晶表示パネル110は、例えば、TFT(Thin Film Transistor)によりアクティブマトリクス駆動される透過型の液晶表示パネルである。液晶表示パネル110は、バックライト120からの光を変調して、文字、画像等を表示する。液晶表示パネル110は、
図4に示すように、表示領域112と周縁部114とを有する。表示領域112は、画素PXがマトリクス状に配置され、文字、画像等を表示可能な領域である。周縁部114は、配線、駆動回路等が配置された領域である。本明細書では、
図3と
図4に示すように、表示領域112の中心P0を通り表示領域112に垂直な線を、中心線S1とする。
【0017】
表示部100のバックライト120は、
図3に示すように、液晶表示パネル110の背面側(+Z側)に配置される。バックライト120は、液晶表示パネル110の光源であり、液晶表示パネル110に白色光を出射する。バックライト120は、白色LED(Light emitting diode)素子、反射シート、拡散シート、点灯回路等を備えている(いずれも図示せず)。
【0018】
表示部100の筐体130は、液晶表示パネル110とバックライト120とを収容する。筐体130は、シャーシ132とベゼル136とを有する。
【0019】
シャーシ132は、箱形形状を有し、樹脂又は金属から形成される。シャーシ132は、内側に、液晶表示パネル110とバックライト120とを収容する。液晶表示パネル110とバックライト120は、シャーシ132の底に配置されている。シャーシ132の底面133には、保持部200が設けられる。本実施形態では、シャーシ132の底面133は、表示部100の表示面100aの反対側の面100bに相当する。
【0020】
ベゼル136は、箱形形状で、底部137に開口部138を有する。ベゼル136は、例えば、金属から形成される。ベゼル136は、底部137を-Z側に向けて、シャーシ132を覆い、液晶表示パネル110の周縁部114を保護する。開口部138からは、液晶表示パネル110の表示領域112が露出している。
【0021】
表示部100のカバー140は、例えば、透光性の樹脂から矩形状に形成される。カバー140は、接着部材142を介して、筐体130(ベゼル136の底部137)に設けられ、液晶表示パネル110を保護する。接着部材142は、接着剤、両面テープ等であり、ベゼル136の底部137(筐体130の側板の上面に相当する部分)に設けられている。カバー140と液晶表示パネル110との間には、透光性を有する接着剤144(例えば、OCA:Optical Clear Adhesive)が充填されている。本実施形態では、カバー140の-Z側(搭乗者側)の面140aが表示部100の表示面100aに相当する。また、衝突体Qは中心線S1上で表示部100の表示面100a(カバー140の面140a)に衝突するので、中心線S1と表示面100a(面140a)との交点が、衝突体Qが表示面100aに衝突する衝突位置P1に相当する。
【0022】
表示装置10の保持部200は、図示しない接着剤を介して、表示装置10(表示部100)をインストルメントパネル500の開口部510の内に固定する。保持部200は、接着剤により、表示部100の表示面100aの反対側の面100b(シャーシ132の底面133)に設けられる。また、保持部200の外周面200aが、接着剤により、インストルメントパネル500の開口部510の内壁510aに接着される。
【0023】
保持部200は、金属(例えば、ステンレス)または樹脂から形成される。保持部200は、
図5と
図6に示すように、外形がインストルメントパネル500の開口部510の内形に沿った枠形状を有し、中央部に矩形状の開口部210を有している。
【0024】
本実施形態では、表示装置10を平面視した場合、開口部210の表示部100側(-Z側)の開口の中心P2の位置が、表示領域112の中心P0の位置から-X方向にずれている。開口部210の表示部100側の開口の中心P2の位置と表示領域112の中心P0の位置がずれており、保持部200は表示部100をインストルメントパネル500の開口部510の内に固定するので、衝突体Qが表示領域112の中心P0を通り表示領域112に垂直な中心線S1上で表示面100aに衝突した場合に、インストルメントパネル500に固定された保持部200(すなわち表示装置10)の衝突に対する剛性は、非対称(X方向に非対称)になる。より具体的には、保持部200(表示装置10)において、中心線S1に対して+X側の剛性が、中心線S1に対して-X側の剛性よりも高くなる。
【0025】
また、
図7に示すように、開口部210の表示部100側の開口の一方向(X方向)の幅D1は、衝突体Qの一方向(X方向)の最大幅QDよりも小さい。これにより、衝突体Qが表示装置10を貫通することを、抑制できる。なお、
図7では、衝突体Qと表示部100のハッチングを省略している。また、以下の図では、表示部100、衝突体Q等のハッチングを省略する場合がある。
【0026】
次に、
図7~
図15を参照して、衝突体Qが表示領域112の中心P0を通り表示領域112に垂直な中心線S1上で表示面100aに衝突した場合における、衝突体Qの減速度について説明する。ここでは、
図6に示すように、球形の衝突体Qが、-Z側から中心線S1上を移動し、中心線S1上で表示面100aに衝突する場合を例に、衝突体Qの減速度を説明する。
【0027】
図8は、衝突体Qの減速度を示す。
図8において、X方向の減速度とY方向の減速度とZ方向の減速度は、それぞれの方向における減速度を表す。また、X方向の減速度とY方向の減速度とZ方向の減速度において、減速度の値が正である場合+方向の減速度(例えば、+X方向の減速度)を表し、減速度の値が負である場合-方向の減速度(例えば、-X方向の減速度)を表す。合成減速度は、X方向の減速度とY方向の減速度とZ方向の減速度とを合成した減速度を表す。
【0028】
図8に示すように、衝突体Qが中心線S1上で表示面100a(衝突位置P1)に衝突すると、第1期間において、表示部100の折れ曲がりにより+Z方向の減速度が生じて、表示部100の構成に応じた、2つのピークが+Z方向の減速度と合成減速度に生じる。第1期間の後の第2期間では、保持部200の+X側の剛性が-X側の剛性よりも高いので、まず、衝突体Qによる荷重が、
図9に示すように、主に保持部200の+X側に掛かることにより、
図8に示すように、+Z方向の減速度と共に+X方向の減速度が生じる。次いで、保持部200の+X側の剛性が-X側の剛性よりも高いので、衝突体Qが-X側に移動し、衝突体Qによる荷重が、
図10に示すように、主に保持部200の-X側に掛かることにより、
図8に示すように、+Z方向の減速度と共に-X方向の減速度が生じる。すなわち、時間の経過に伴い、荷重が主に掛かる方向が変化し、X方向の減速度が+X方向から-X方向に変動する。これにより、2つピークが合成減速度に生じ、合成減速度が基準値を連続して超える時間t1、t2、すなわち衝突体Qの減速度が大きい時間を短くできる。
【0029】
より具体的な例で、衝突体Qの減速度について説明する。本実施形態の表示装置10は、例えば、
図11と
図12に示す各部の寸法を有する(カバー140の外形と筐体130のベゼル136の外形:180mm×278mm、ベゼル136の開口部138:174mm×272mm、保持部200の外形:182mm×280mm、保持部200の開口部:140mm×238mm、表示領域112の中心P0の位置と開口の中心P2の位置とのずれα:1mm、2mm)。この表示装置10をインストルメントパネル500の開口部510の内に固定した。そして、衝突試験機を用いて、直径(最大幅)QD:165mm、重量:6.8kgの球形の衝突体Qを24.1km/hで、-Z側から中心線S1上を移動させ、中心線S1上で表示面100a(衝突位置P1)に衝突させた。
【0030】
表示領域112の中心P0の位置と開口部210の開口の中心P2の位置とのずれがない場合(
図13、比較例:α=0mm)における、合成減速度が基準値を連続して超える時間tmax0を100%とすると、表示領域112の中心P0の位置と開口の中心P2の位置とのずれαが1mmである場合(
図14)、合成減速度が基準値を連続して超える時間のうちの、最も長い時間tmax1はtmax0の87%であった。また、表示領域112の中心P0の位置と開口の中心P2の位置とのずれαが2mmである場合(
図15)、合成減速度が基準値を連続して超える時間のうちの、最も長い時間tmax2はtmax0の91%であった。以上のように、本実施形態の表示装置10は、衝突体Qの減速度が大きい時間を短くできる。
【0031】
以上のように、表示装置10を平面視した場合、保持部200の開口部210の表示部100側の開口の中心P2の位置が表示領域112の中心P0の位置からずれているので、衝突体Qが表示領域112の中心P0を通り表示領域112に垂直な中心線S1上で表示面100aに衝突した場合に、インストルメントパネル500に固定された表示装置10(保持部200)の衝突に対する剛性は非対称になる。これにより、表示装置10は、衝突体Qの減速度が大きい時間を短くできる。したがって、表示装置10は、搭乗者に対する安全性を高くできる。
【0032】
<実施形態2>
実施形態1では、保持部200は開口部210を有する。保持部200は、開口部210の代わりに、凹部220を有してもよい。本実施形態の表示装置10は、実施形態1の表示装置10と同様に、表示部100と保持部200とを備え、インストルメントパネル500の開口部510の内に固定される。本実施形態の表示部100の構成は実施形態1の表示部100と同様であるので、本実施形態の保持部200を説明する。
【0033】
本実施形態の保持部200は、実施形態1の保持部200と同様に、接着剤により、表示部100の面100b(シャーシ132の底面133)に設けられる。また、本実施形態の保持部200の外周面200aは、接着剤により、インストルメントパネル500の開口部510の内壁510aに接着される。
【0034】
本実施形態の保持部200は、
図16と
図17に示すように、インストルメントパネル500の開口部510の内形に沿った矩形形状を有する。本実施形態の保持部200は、表示部100に対向する面200bに、矩形形状の凹部220を有する。
【0035】
表示装置10を平面視した場合、本実施形態の凹部220の開口の中心P3の位置は、実施形態1の開口部210の開口の中心P2の位置と同様に、表示領域112の中心P0の位置から-X方向にずれている。したがって、本実施形態では、実施形態1と同様に、衝突体Qが表示領域112の中心P0を通り表示領域112に垂直な中心線S1上で表示面100aに衝突した場合に、インストルメントパネル500に固定された保持部200(表示装置10)の衝突に対する剛性は、非対称になる。
【0036】
また、凹部220の開口の一方向(X方向)の幅D2は、衝突体Qの一方向(X方向)の最大幅QDよりも小さい。これにより、実施形態1同様に、衝突体Qが表示装置10を貫通することを抑制できる。
【0037】
実施形態1と同様に、衝突体Qが表示領域112の中心P0を通り表示領域112に垂直な中心線S1上で表示面100aに衝突した場合に、インストルメントパネル500に固定された表示装置10(保持部200)の衝突に対する剛性が非対称であるので、本実施形態の表示装置10は、衝突体Qの減速度が大きい時間を短くできる。したがって、本実施形態の表示装置10も、搭乗者に対する安全性を高くできる。
【0038】
<実施形態3>
実施形態2では、保持部200は矩形形状の凹部220を有している。また、凹部220の開口の一方向(X方向)の幅D2は、衝突体Qの一方向(X方向)の最大幅QDよりも小さい。凹部220の形状は矩形形状に限られず、凹部220の一方向の最小幅D3minが、衝突体Qの一方向の最大幅QDよりも小さくともよい。
【0039】
本実施形態の表示装置10は、実施形態1と実施形態2の表示装置10と同様に、表示部100と保持部200とを備え、インストルメントパネル500の開口部510の内に固定される。本実施形態の表示部100の構成は実施形態1の表示部100と同様であるので、本実施形態の保持部200を説明する。
【0040】
本実施形態の保持部200は、実施形態2の保持部200と同様に、接着剤により、表示部100の面100b(シャーシ132の底面133)に設けられる。また、本実施形態の保持部200の外周面200aは、接着剤により、インストルメントパネル500の開口部510の内壁510aに接着される。
【0041】
本実施形態の保持部200は、インストルメントパネル500の開口部510の内形に沿った矩形形状を有する。本実施形態の保持部200は、
図18に示すように、表示部100に対向する面200bに凹部230を有する。
【0042】
本実施形態においても、表示装置10を平面視した場合、凹部230の開口の中心P3の位置は、実施形態2の凹部220の開口の中心P3の位置と同様に、表示領域112の中心P0の位置から-X方向にずれている。したがって、本実施形態では、実施形態1と同様に、衝突体Qが表示領域112の中心P0を通り表示領域112に垂直な中心線S1上で表示面100aに衝突した場合に、インストルメントパネル500に固定された保持部200(表示装置10)の衝突に対する剛性は、非対称になる。
【0043】
一方向(X方向)を含む断面(XZ断面)で断面視した場合、凹部230は台形形状を有し、凹部230の一方向(X方向)の幅D3は、表示部100と反対方向(+Z方向)に向かって狭くなっている。本実施形態では、凹部230の開口の一方向(X方向)の幅D2は、衝突体Qの一方向(X方向)の最大幅QDよりも大きい。さらに、凹部230の一方向(X方向)の最小幅(凹部230の底面230aの幅)D3minは、衝突体Qの一方向(X方向)の最大幅QDよりも小さい。なお、本実施形態では、凹部230の開口の幅D2は、凹部230の一方向(X方向)の最大幅に相当する。
【0044】
本実施形態では、凹部230の一方向(X方向)の最小幅D3minが、衝突体Qの一方向(X方向)の最大幅QDよりも小さいので、衝突体Qが表示装置10を貫通することを抑制できる。
【0045】
実施形態1と実施形態2と同様に、衝突体Qが表示領域112の中心P0を通り表示領域112に垂直な中心線S1上で表示面100aに衝突した場合に、インストルメントパネル500に固定された表示装置10(保持部200)の衝突に対する剛性が非対称であるので、本実施形態の表示装置10は、衝突体Qの減速度が大きい時間を短くできる。また、凹部230の幅D3を調節することにより、本実施形態の表示装置10は、より小さな衝突体Qの衝突に対しても、衝突体Qの減速度が大きい時間を短くでき、衝突体Qが表示装置10を貫通することを抑制できる。したがって、本実施形態の表示装置10も、搭乗者に対する安全性を高くできる。
【0046】
<実施形態4>
実施形態1~実施形態3では、表示装置10を平面視した場合、保持部200の開口の中心P2、P3の位置が、表示領域112の中心P0の位置からずれている。表示装置10を平面視した場合、保持部200の開口の中心の位置は、表示領域112の中心P0の位置からずれていなくともよい。
【0047】
本実施形態の表示装置10は、実施形態1~実施形態3の表示装置10と同様に、表示部100と保持部200とを備え、インストルメントパネル500の開口部510の内に固定される。本実施形態の表示部100の構成は実施形態1の表示部100と同様であるので、本実施形態の保持部200を説明する。
【0048】
本実施形態の保持部200は、実施形態1の保持部200と同様に、表示部100の面100b(シャーシ132の底面133)に設けられる。本実施形態の保持部200の外周面200aは、接着剤により、インストルメントパネル500の開口部510の内壁510aに接着される。
【0049】
本実施形態の保持部200は、インストルメントパネル500の開口部510の内形に沿った矩形形状を有する。本実施形態の保持部200は、
図19に示すように、中央部に矩形状の開口部240を有する。本実施形態では、表示装置10を平面視した場合、開口部240の表示部100側の開口の中心P4の位置と表示領域112の中心P0の位置は、一致している。
【0050】
本実施形態の保持部200は、開口部240の中心P4を通りY方向に延びる中心線242に対して、-X側に位置する第1部分244と+X側に位置する第2部分246とを有する。第1部分244と第2部分246は、
図20に示すように、開口部240を挟んでX方向に対向している。第1部分244と第2部分246は、溶接又は接着により、接合されている。
【0051】
本実施形態では、保持部200は、互いに異なる剛性(ヤング率あるいは硬度)を有する2種類の材料から形成される。具体的には、第1部分244は、所定の剛性を有する材料から形成され、第2部分246は、第1部分244を形成する材料よりも高い剛性を有する材料から形成されている。例えば、第1部分244は、シリコンゴム(ヤング率:4MPa、硬度:アスカーC35)、ウレタンゴム(ヤング率:40MPa、硬度:ショアA70)等から形成され、第2部分246は、ステンレス(ヤング率:193GPa、硬度:ショア67)から形成される。第2部分246を形成する材料の剛性が第1部分244を形成する材料の剛性よりも高いので、衝突体Qが表示領域112の中心P0を通り表示領域112に垂直な中心線S1上で表示面100aに衝突した場合に、中心線S1に対して+X側(第2部分246)の剛性が、中心線S1に対して-X側(第1部分244)の剛性よりも高くなる。すなわち、衝突体Qが表示領域112の中心P0を通り表示領域112に垂直な中心線S1上で表示面100aに衝突した場合に、インストルメントパネル500に固定された保持部200(表示装置10)の衝突に対する剛性は、非対称になる。
【0052】
さらに、
図21に示すように、開口部240の表示部100側の開口の一方向(X方向)の幅D4は、衝突体Qの一方向(X方向)のの最大幅QDよりも小さい。これにより、衝突体Qが表示装置10を貫通することを、抑制できる。
【0053】
次に、
図22と
図23を参照して、衝突体Qが表示面100aの中心P1に衝突した場合における、衝突体Qの減速度について説明する。球形の衝突体Qが-Z側から中心線S1上を移動し、中心線S1上で表示面100aに衝突する場合を例に、衝突体Qの減速度を説明する。
【0054】
衝突体Qが中心線S1上で表示面100a(衝突位置P1)に衝突すると、保持部200の第2部分246(+X側)の剛性が保持部200の第1部分244(-X側)の剛性よりも高いので、
図22に示すように、衝突体Qによる荷重が主に第2部分246側に掛かり、第1部分244は変形する。これにより、実施形態1と同様に、+Z方向の減速度と共に+X方向の減速度が生じる。次いで、衝突体Qが変形した第1部分244側に移動し、
図23に示すように、衝突体Qによる荷重が主に第1部分244側に掛かる。これにより、実施形態1と同様に、+Z方向の減速度と共に-X方向の減速度が生じる。すなわち、本実施形態においても、実施形態1と同様に、時間の経過に伴い、荷重が主に掛かる方向が変化し、X方向の減速度が+X方向から-X方向に変動する。したがって、本実施形態の表示装置10は、実施形態1の表示装置10と同様に、衝突体Qの減速度が大きい時間を短くできる。
【0055】
以上のように、保持部200の第1部分244と第2部分246が互いに異なる剛性を有する材料から形成されることにより、衝突体Qが表示領域112の中心P0を通り表示領域112に垂直な中心線S1上で表示面100aに衝突した場合に、インストルメントパネル500に固定された表示装置10(保持部200)の衝突に対する剛性は非対称になる。これにより、表示装置10は、衝突体Qの減速度が大きい時間を短くできる。
【0056】
<実施形態5>
実施形態1~実施形態4では、表示装置10は1つの保持部200を備える。表示装置10は、複数の保持部310を備えてもよい。
【0057】
本実施形態の表示装置10は、
図24に示すように、表示部100と5つの保持部310とを備える。保持部310は、実施形態1の保持部200と同様に、表示部100をインストルメントパネル500の開口部510の内に固定する。本実施形態の表示部100の構成は実施形態1の表示部100と同様であるので、保持部310を説明する。
【0058】
保持部310は、直方体形状を有し、樹脂又は金属から形成される。保持部310は、
図25に示すように、接着剤により、表示部100の面100b(シャーシ132の底面133)に設けられる。本実施形態では、保持部310の上面310aの一部が、接着剤により、表示部100の面100bに接着される。また、保持部310の側面310bが接着剤により、インストルメントパネル500の開口部510の内壁510aに接着される。
【0059】
5つの保持部310は、表示装置10を平面視した場合に、表示領域112の中心P0を通り表示領域112に垂直な中心線S1に対して、非対称に配置される。具体的には、
図24に示すように、3つの保持部310が表示部100の+Y側の端部に配置され、2つの保持部310が表示部100の-Y側の端部に配置されている。本実施形態では、5つの保持部310が、表示領域112の中心P0を通り表示領域112に垂直な中心線S1に対して非対称に配置されているので、衝突体Qが表示領域112の中心P0を通り表示領域112に垂直な中心線S1上で表示面100aに衝突した場合に、インストルメントパネル500に固定された表示装置10の衝突に対する剛性は、非対称になる。
【0060】
また、表示装置10を平面視した場合に、
図24に示すように、保持部310のそれぞれの端部310cと表示領域112の中心P0との距離L1は、衝突体Qの最大幅QDの半分(QD/2)よりも小さい。これにより、衝突体Qが表示装置10を貫通することを、抑制できる。なお、保持部310の端部310cと表示領域112の中心P0との距離L1は、保持部310の長さ(Y方向の長さ)、保持部310の配置等により、調整できる。
【0061】
本実施形態においても、衝突体Qが表示領域112の中心P0を通り表示領域112に垂直な中心線S1上で表示面100aに衝突した場合に、インストルメントパネル500に固定された表示装置10の衝突に対する剛性が非対称であるので、本実施形態の表示装置10は、衝突体Qの減速度が大きい時間を短くできる。
【0062】
<実施形態6>
実施形態5では、表示装置10は複数の保持部310を備える。表示装置10は、大きさが異なる、複数の保持部322、324を備えてもよい。
【0063】
本実施形態の表示装置10は、
図26に示すように、表示部100と、3つの保持部322と、3つの保持部324とを備える。保持部322、324は、実施形態1の保持部200と同様に、表示部100をインストルメントパネル500の開口部510の内に固定する。本実施形態の表示部100の構成は実施形態1の表示部100と同様であるので、保持部322、324を説明する。
【0064】
保持部322、324は、直方体形状を有し、樹脂又は金属から形成される。本実施形態では、
図26に示すように、保持部324の幅(X方向の長さ)D6は保持部322の幅(X方向の長さ)D5よりも広く、後述する保持部324の表示部100を保持する面324cの面積は、後述する保持部322の表示部100を保持する面322cの面積よりも広い。なお、保持部322の長さ(Y方向の長さ)と保持部324の長さ(Y方向の長さ)は、同じである。
【0065】
表示装置10を平面視した場合、3つの保持部322は表示部100の+Y側の端部に配置され、3つの保持部324は表示部100の-Y側の端部に配置される。1つの保持部322と1つの保持部324が対向している。
【0066】
保持部322、324は、
図27に示すように、表示部100の面100b(シャーシ132の底面133)に設けられる。本実施形態では、保持部322の上面322aの一部が表示部100の面100bに接着され、保持部324の上面324aの一部が表示部100の面100bに接着される。表示部100の面100bに接着される、保持部322の上面322aの一部が、保持部322の表示部100を保持する面322cに相当する。表示部100の面100bに接着される、保持部324の上面324aの一部が、保持部324の表示部100を保持する面324cに相当に相当する。
【0067】
また、保持部322の側面322bは、インストルメントパネル500の開口部510の内壁510aに接着される。保持部324の側面324bは、インストルメントパネル500の開口部510の内壁510aに接着される。
【0068】
本実施形態では、保持部324の表示部100を保持する面324cの面積が、保持部322の表示部100を保持する面322cの面積よりも広い。さらに、保持部324は表示部100の+Y側の端部に配置され、保持部324が表示部100の-Y側の端部に配置されている。したがって、衝突体Qが表示領域112の中心P0を通り表示領域112に垂直な中心線S1上で表示面100aに衝突した場合に、インストルメントパネル500に固定された表示装置10の衝突に対する剛性は、非対称になる。以下では、保持部322と保持部324とを総称して、保持部320と記載する場合がある。
【0069】
さらに、
図26に示すように、表示装置10を平面視した場合に、保持部322、324のそれぞれの端部322d、324dと表示領域112の中心P0との距離L2、L3は、衝突体Qの最大幅QDの半分(QD/2)よりも小さい。これにより、衝突体Qが表示装置10を貫通することを、抑制できる。距離L2、L3は、保持部322、324の長さ、保持部322、324の配置等により、調整できる。
【0070】
本実施形態のおいても、インストルメントパネル500に固定された表示装置10の衝突に対する剛性が非対称であるので、本実施形態の表示装置10は、衝突体Qの減速度が大きい時間を短くできる。したがって、本実施形態の表示装置10も、搭乗者に対する安全性を高くできる。
【0071】
<実施形態7>
実施形態1~実施形態6では、保持部200~324は表示部100を車両のインストルメントパネル500に固定する。保持部は、表示部100を車両のインストルメントパネルリインフォースメント(以下、インパネリインフォースと記載)に固定してもよい。インパネリインフォースは、車両の骨格部材であり、インストルメントパネル500を背後から支持している。
【0072】
本実施形態の表示装置10は、
図28に示すように、表示部100と、4つの保持部410とを備える。本実施形態の表示部100は、インストルメントパネル500の開口部510の内に配置される。保持部410は、表示部100を、表示部100の表示面100aの反対側に位置するインパネリインフォース520に固定する。インパネリインフォース520は被固定対象物に相当する。本実施形態の表示部100の構成は実施形態1の表示部100と同様であるので、保持部410を説明する。
【0073】
保持部410は、樹脂又金属から、円柱状に形成される。保持部410は、
図29に示すように、表示部100の面100b(シャーシ132の底面133)に設けられ、表示部100をインパネリインフォース520に固定する。保持部410の-Z側の面が表示部100の面100bに接着される。また、保持部410の+Z側の面がインパネリインフォース520に接着される。
【0074】
表示装置10を平面視した場合、
図28に示すように、4つの保持部410のそれぞれは、-Z側の面(円形の面)の中心410Pを結ぶ線分により囲まれる領域が四角形(本実施形態では長方形)415となり、形成された四角形415の中心P5の位置が表示領域112の中心P0の位置から-X方向にずれる位置に配置される。さらに、表示装置10を平面視した場合、保持部410のそれぞれは、表示領域112の中心P0と保持部410のぞれぞれの外周面410aとの最短距離L4が衝突体Qの最大幅QDの半分(QD/2)よりも短い位置に、位置している。
【0075】
本実施形態では、表示装置10を平面視した場合に、4つの保持部410の中心410Pを線分で結ぶことにより形成される四角形415の領域の中心P5の位置と、表示領域112の中心P0の位置がずれているので、衝突体Qが表示領域112の中心P0を通り表示領域112に垂直な中心線S1上で表示面100aに衝突した場合に、インパネリインフォース520に固定された表示装置10の衝突に対する剛性が非対称となる。また、表示領域112の中心P0と保持部410のぞれぞれの外周面410aとの最短距離L4が衝突体Qの最大幅QDの半分(QD/2)よりも短いので、表示装置10は衝突体Qの貫通を抑制できる。
【0076】
本実施形態においても、衝突体Qが表示領域112の中心P0を通り表示領域112に垂直な中心線S1上で表示面100aに衝突した場合に、インパネリインフォース520に固定された表示装置10の衝突に対する剛性が非対称であるので、本実施形態の表示装置10は、衝突体Qの減速度が大きい時間を短くできる。したがって、本実施形態の表示装置10も、搭乗者に対する安全性を高くできる。
【0077】
<実施形態8>
実施形態1~実施形態7では、保持部200~410の構成により、表示装置10の衝突に対する剛性を非対称にしている。表示装置10は、表示部100の構成により、衝突に対する剛性を非対称にされてもよい。
【0078】
本実施形態の表示装置10は、
図30に示すように、表示部100と、6つの保持部420とを備える。本実施形態の表示部100は、インストルメントパネル500の開口部510の内に配置される。保持部420は、実施形態7の保持部410と同様に、表示部100をインパネリインフォース520に固定する。
【0079】
本実施形態の表示部100は、
図31に示すように、保持部420を介して、インパネリインフォース520に固定される。本実施形態の表示部100は、液晶表示パネル110と、バックライト120と、筐体450と、カバー140とを備える。本実施形態の液晶表示パネル110とバックライト120は、実施形態1の液晶表示パネル110とバックライト120と同様であるので、本実施形態の筐体450とカバー140とを説明する。
【0080】
本実施形態の筐体450は、箱形形状を有し、樹脂又は金属から形成される。筐体450は、内側に、液晶表示パネル110とバックライト120とを収容する。筐体450は、
図32に示すように、底板452と側板454a~454dとを有する。
【0081】
底板452は、矩形形状の平板である。
図31に示すように、バックライト120が底板452の上に配置される。底板452の+Z側の面450bが、表示部100の表示面100aの反対側の面100bに相当する。
【0082】
側板454a~454dは、液晶表示パネル110とバックライト120とを囲む。
図32に示すように、側板454aはY方向に延びて-X側に位置し、側板454cはY方向に延びて+X側に位置している。側板454aと側板454cは、液晶表示パネル110とバックライト120を挟んで、X方向に対向している。また、側板454bはX方向に延びて-Y側に位置し、側板454dはX方向に延びて+Y側に位置している。側板454bと側板454dは、液晶表示パネル110とバックライト120を挟んで、Y方向に対向している。
【0083】
カバー140を筐体450の側板454a~454dの上に設けるために、接着部材460aが側板454aの上面(-Z側の面)に設けられ、接着部材460bが側板454b~454dの上面(-Z側の面)に設けられる。本実施形態では、接着部材460aの厚さth1は、
図33に示すように、接着部材460bの厚さth2よりも厚い。接着部材460aの厚さth1は例えば1mmであり、接着部材460bの厚さth2は例えば0.2mmである。接着部材460a、460bは、両面テープ、接着剤等である。なお、本実施形態では、接着部材460aの厚さth1と側板454aの高さH2との和と、接着部材460bの厚さth2と側板454b~454dの高さH3との和とを高さH1に一致させるために、側板454aの高さH2は側板454b~454dの高さH3よりも低い。
【0084】
本実施形態のカバー140は、接着部材460a、460bを介して、筐体130の側板454a~454dの上に設けられる。本実施形態では、
図31に示すように、液晶表示パネル110が、透光性を有する接着剤144により、カバー140に貼り付けられている。本実施形態のカバー140のその他の構成は、実施形態1のカバー140と同様である。以下では、接着部材460aと接着部材460bとを総称して、接着部材460と記載する場合がある。
【0085】
保持部420は、樹脂又金属から、円柱状に形成される。保持部410は、
図31に示すように、表示部100の面100b(筐体450の面450b)に設けられ、表示部100をインパネリインフォース520に固定する。保持部420の-Z側の面が表示部100の面100bに接着される。また、保持部410の+Z側の面がインパネリインフォース520に接着される。
【0086】
表示装置10を平面視した場合、
図30に示すように、6つの保持部420は、Y方向に沿って、3つずつ2列に配列されている。また、6つの保持部420は、X軸とY軸に対して対称に位置している。保持部420は、表示部100を表示領域112の中心P0に対して対称に支持している。
【0087】
本実施形態では、保持部420は表示部100を表示領域112の中心P0に対して対称に支持する。また、表示部100のカバー140を表示部100の筐体450の側板454aに接着する接着部材460aの厚さth1と、表示部100のカバー140を表示部100の筐体450の側板454cに接着する接着部材460bの厚さth2が異なる。したがって、衝突体Qが表示領域112の中心P0を通り表示領域112に垂直な中心線S1上で表示面100aに衝突した場合に、インパネリインフォース520に固定された表示装置10の衝突に対する剛性は、非対称(X方向に非対称)になる。
【0088】
次に、
図34と
図35を参照して、衝突体Qが表示面100aの中心P1に衝突した場合における、衝突体Qの減速度について説明する。球形の衝突体Qが-Z側から中心線S1上を移動し、中心線S1上で表示面100aに衝突する場合を例に、衝突体Qの減速度を説明する。
【0089】
衝突体Qが中心線S1上で表示面100a(衝突位置P1)に衝突すると、衝突体Qによる荷重が表示装置10に+Z方向に掛かるので、+Z方向の減速度が生じる。この場合、筐体450の側板454a上の接着部材460aの厚さth1が筐体450の側板454c上の接着部材460bの厚さth2よりも厚いので、
図34に示すように、接着部材460aが大きく圧縮されて、カバー140とカバー140に貼り付けられている液晶表示パネル110とバックライト120が側板454a側(-X側)に傾く。これにより、衝突体Qが側板454a側に移動し、
図35に示すように、衝突体Qによる荷重が主に側板454a側に掛かるので、+Z方向の減速度と共に-X方向(側板454a側)の減速度が生じる。本実施形態においても、時間の経過に伴い、荷重が主に掛かる方向が変化し、X方向の減速度が変動する。したがって、本実施形態の表示装置10は、実施形態1の表示装置10と同様に、衝突体Qの減速度が大きい時間を短くできる。
【0090】
本実施形態では、
図34と
図35に示すように、筐体450の一方向(X方向)の幅D5が、衝突体Qの一方向(X方向)の最大幅QDよりも狭いことが、好ましい。これにより、衝突体Qが表示装置10を貫通することを抑制できる。
【0091】
以上のように、接着部材460aの厚さth1と接着部材460bの厚さth2が異なるので、衝突体Qが表示領域112の中心P0を通り表示領域112に垂直な中心線S1上で表示面100aに衝突した場合に、インパネリインフォース520に固定された表示装置10の衝突に対する剛性は、非対称(X方向に非対称)になる。また、本実施形態においても、荷重が主に掛かる方向が変化し、X方向の減速度が変動するので、本実施形態の表示装置10は、衝突体Qの減速度が大きい時間を短くできる。
【0092】
<実施形態9>
剛性又は硬度が小さい材料から保持部200~420を形成することが、好ましい。本実施形態では、
図11と
図12に図示した実施形態1の具体例と同形(同寸法)の表示装置10における、保持部200を形成する材料と衝突体Qの減速度を説明する。
【0093】
本実施形態では、ステンレス(ヤング率:193GPa、硬度:ショア67)、ウレタンゴム(ヤング率:40MPa、硬度:ショアA70)、シリコンゴム(ヤング率:4MPa、硬度:アスカーC35)から保持部200を形成した。なお、表示領域112の中心P0の位置と開口の中心P2の位置とのずれαは2mmであり、保持部200の厚さth3は10mmである。
【0094】
本実施形態では、実施形態1の具体例と同様に、上記の表示装置10をインストルメントパネル500の開口部510の内に固定した。そして、衝突試験機を用いて、直径(最大幅)QD:165mm、重量:6.8kgの球形の衝突体Qを24.1km/hで、-Z側から中心線S1上を移動させ、中心線S1上で表示面100a(衝突位置P1)に衝突させた。
【0095】
図36は、保持部200をステンレスから形成した表示装置10における衝突体Qの減速度を示す。
図37は保持部200をウレタンゴムから形成した表示装置10における衝突体Qの減速度を示し、
図38は保持部200をシリコンゴムから形成した表示装置10における衝突体Qの減速度を示す。
【0096】
保持部200をステンレスから形成した表示装置10における、合成減速度が基準値を連続して超える時間のうちの、最も長い時間tmax3(
図36)を100%とすると、保持部200をウレタンゴムから形成した表示装置10における、合成減速度が基準値を連続して超える時間のうちの、最も長い時間tmax4(
図37)はtmax3の88%であった。また、保持部200をシリコンゴムから形成した表示装置10における、合成減速度が基準値を連続して超える時間のうちの、最も長い時間tmax5(
図38)はtmax3の16%であった。
【0097】
以上のように、剛性又は硬度がより小さい材料(ステンレス>ウレタンゴム>シリコンゴム)から形成された保持部200を有する表示装置10は、衝突体Qの減速度が大きい時間をより短くできる。したがって、剛性又は硬度がより小さい材料から形成された保持部200を有する表示装置10は、搭乗者に対する安全性をより高くできる。なお、衝突体Qの減速度が零にまで減少する時間は、保持部200を形成する材料の剛性又は硬度が小さいほど、長い(
図36~
図38)。
【0098】
<実施形態10>
本実施形態では、箱形形状のインストルメントパネル500の底面512に固定された表示装置10を例に、被固定対象物の剛性が保持部200の剛性よりも大きい構成における、衝突体Qの減速度を説明する。
【0099】
本実施形態のインストルメントパネル500は、アルミニウム合金(例えば、ADC12)を用いたアルミダイキャストにより、+Z側に開口した箱形形状に形成される。ADC12のヤング率は71Gpaである。ADC12のロックウェル硬さはHRBで54である。本実施形態のインストルメントパネル500は、
図39に示すように、表示装置10の液晶表示パネル110、バックライト120、保持部200等を内側に収容する。
【0100】
本実施形態では、インストルメントパネル500と表示装置10のカバー140の外周は、表面材600に覆われている。表面材600は、例えば、樹脂から形成される。表面材600の色とカバー140の色は同じである。表面材600は、接着、ネジ止め等により、インストルメントパネル500とカバー140の外周に設けられる。インストルメントパネル500とカバー140の外周を覆う表面材600の色とカバー140の色が同じであるので、インストルメントパネル500と表示装置10との一体感を向上できる。
【0101】
本実施形態の表示装置10は、実施形態1の表示装置10と同様に、表示部100と保持部200とを備える。表示部100は文字、画像等を表示する。保持部200は、表示装置10をインストルメントパネル500の内側の底面512に固定する。
【0102】
本実施形態の表示部100は、液晶表示パネル110とバックライト120と筐体130とカバー140に加えて、タッチパネル150を更に備える。タッチパネル150は、図示しない接着層により、カバー140の+Z側の面140bに設けられる。タッチパネル150は、例えば、静電容量方式のタッチパネルであり、搭乗者がカバー140に接触した位置を検出する。
【0103】
本実施形態では、カバー140に設けられたタッチパネル150と液晶表示パネル110との間に、接着剤144が充填される。
【0104】
本実施形態のカバー140は、接着部材142により、インストルメントパネル500の側壁514の上面に貼り付けられる。したがって、本実施形態のカバー140は、インストルメントパネル500の側壁514により、衝突体Qが衝突する方向の反対側(-Z側)から支持されている。
【0105】
本実施形態の表示部100のその他の構成は、実施形態1の表示部100と同様である。
【0106】
本実施形態の保持部200は、実施形態1の保持部200と同様に、枠形状を有し、中央部に矩形状の開口部210を有している。本実施形態の保持部200は、ウレタンゴム(ヤング率:40MPa、硬度:ショアA70)又はシリコンゴム(ヤング率:4MPa、硬度:アスカーC35)から形成されている。
【0107】
本実施形態の保持部200は、接着剤により、表示部100の表示面100aの反対側の面100b(シャーシ132の底面133)に設けられる。本実施形態の保持部200は、接着剤を介して、表示装置10(表示部100)をインストルメントパネル500の内側の底面512に固定する。インストルメントパネル500は+Z側に開口した箱形形状を有し、保持部200は表示装置10をインストルメントパネル500の内側の底面512に固定するので、表示装置10(表示部100)は、保持部200を介して、衝突体Qが衝突する方向の反対側(-Z側)から底面512によって支持されている。
【0108】
本実施形態の保持部200は、実施形態1の保持部200と同様に、開口部210の表示部100側(-Z側)の開口の中心P2の位置が表示領域112の中心P0の位置から-X方向にずれている。本実施形態における、表示領域112の中心P0の位置と開口の中心P2の位置とのずれαは2mmである。
【0109】
次に、衝突体Qの減速度を説明する。本実施形態の表示装置10は、例えば、
図40と
図41に示す各部の寸法を有する。カバー140とタッチパネル150と保持部200の外形と、保持部200の厚さth3とを除き、各部の寸法は、実施形態1の具体例の寸法と同様である(カバー140の外形:220mm×318mm、タッチパネル150の外形:180mm×278mm、保持部200の外形:180mm×278mm、保持部200の厚さth3:10mm)。底面512に固定された表示装置10に対して、実施形態1の具体例と同様に、衝突試験機を用いて、直径(最大幅)QD:165mm、重量:6.8kgの球形の衝突体Qを24.1km/hで、-Z側から中心線S1上を移動させ、中心線S1上で表示面100a(衝突位置P1)に衝突させた。
【0110】
図42は、保持部200をウレタンゴムから形成した表示装置10における衝突体Qの減速度を示す。
図43は、保持部200をシリコンゴムから形成した表示装置10における衝突体Qの減速度を示す。
【0111】
本実施形態9における、合成減速度が基準値を連続して超える時間tmax3を100%とすると、保持部200をウレタンゴムから形成した表示装置10における、合成減速度が基準値を連続して超える時間のうちの、最も長い時間tmax6(
図42)は、実施形態9の保持部200をウレタンゴムから形成した表示装置10と同様に、tmax3の88%であった。また、保持部200をシリコンゴムから形成した表示装置10における、合成減速度が基準値を連続して超える時間のうちの、最も長い時間tmax7(
図43)は、実施形態9の保持部200をシリコンゴムから形成した表示装置10と同様に、tmax3の16%であった。したがって、本実施形態においても、剛性又は硬度がより小さい材料から形成された保持部200を有する表示装置10は、衝突体Qの減速度が大きい時間をより短くできる。
【0112】
表示装置10がタッチパネル150を有し、保持部200の剛性が小さい場合、搭乗者のタッチパネル150への接触感が保持部200の変形により弱くなり、タッチパネル150の操作性が低下する虞がある。本実施形態では、保持部200を形成する材料の剛性よりも剛性が大きい材料により形成されたインストルメントパネル500が、表示装置10を、衝突体Qの衝突方向(すなわち、搭乗者の方向)の反対側から支持しているので、タッチパネル150の操作性を損なわず、衝突体Qの減速度が大きい時間を短くできる。すなわち、インストルメントパネル500の剛性は保持部200の剛性よりも大きいことが、好ましい。
【0113】
なお、保持部200の厚さth3は、衝突体Qが衝突した際に、保持部200の圧縮変形の限界を超えない厚さであることが、好ましい。保持部200が衝突体Qの衝突により圧縮変形の限界を超えた場合、インストルメントパネル500の剛性により、衝突体Qの減速度が大きい時間が長くなる虞がある。例えば、本実施形態のシリコンゴムから形成された保持部200では、保持部200の厚さth3は3mm以上であることが、好ましい。
【0114】
<変形例>
以上、実施形態を説明したが、本開示は、要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0115】
例えば、実施形態では、保持部200~420は、接着により、表示部100の筐体130(シャーシ132)、450に設けられている。保持部200~420は、ネジ止め、溶接等により表示部100の筐体130(シャーシ132)、450に設けられてもよい。また、保持部200~420と筐体130(シャーシ132)、450は一体成形されてもよい。
【0116】
実施形態では、保持部200~420は、インストルメントパネル500又はインパネリインフォース520に接着されている。保持部200~420は、インストルメントパネル500又はインパネリインフォース520に、ネジ止めされてもよい。
【0117】
実施形態では、表示部100はカバー140を備える。表示部100はカバー140を備えなくともよい。表示部100がカバー140を備えない場合、液晶表示パネル110の-Z側(搭乗者側)の面が表示部100の表示面100aに相当する。
【0118】
実施形態では、表示部100は、液晶表示パネル110とバックライト120とを備える。表示部100は、他の表示パネル(表示デバイス)を備えてもよい。例えば、表示部100は、液晶表示パネル110とバックライト120の代わりに、有機EL(Electro Luminescence)表示パネルを備えてもよい。
【0119】
実施形態では、表示部100は、インストルメントパネル500の開口部510に配置されている。表示部100の位置は、インストルメントパネル500の開口部510に限られない。例えば、
図44に示すように、実施形態1の表示装置10の表示部100は、インストルメントパネル500の開口部510とインパネリインフォース520の開口部530とに跨がって、配置されてもよい。この場合、保持部200の表示部100側の面200cが、インパネリインフォース520の背面522に接着される。
【0120】
実施形態1~実施形態3では、表示領域112の中心P0の位置と、開口部210の開口の中心P2の位置と凹部220、230の開口の中心P3は、-X方向にずれている。表示領域112の中心P0の位置と、開口部210の開口の中心P2の位置と凹部220、230の開口の中心P3がずれる方向は、任意である。例えば、表示領域112の中心P0の位置と、開口部210の開口の中心P2の位置と凹部220、230の開口の中心P3は、-Y方向にずれてもよい。
【0121】
実施形態1と実施形態4では、開口部210、240は矩形形状に形成されている。開口部210、240では、実施形態3の凹部230と同様に、一方向(X方向)の幅が、表示部100と反対方向(+Z方向)に向かって狭くなってもよい。この場合、開口部210、240の一方向(X方向)の最小幅が、衝突体Qの一方向(X方向)の最大幅QDよりも小さい。また、開口部210、240の最小幅が衝突体Qの最大幅QDよりも小さい方向は、X方向に限られず、任意である。例えば、開口部210のY方向の最小幅が衝突体QのY方向の最大幅(直径)QDよりも小さくともよい。
【0122】
実施形態3の凹部230の断面形状は、台形形状に限られない。凹部230の断面形状は、例えば、V字形状であってもよい。
【0123】
実施形態3においても、凹部230の最小幅が衝突体Qの最大幅QDよりも小さい方向は、X方向に限られず、任意である。
【0124】
実施形態4の保持部200では、第1部分244の剛性と第2部分246の剛性が異なり、第1部分244と第2部分246はX方向に対向している。第1部分244と第2部分246は対向していればよく、第1部分244と第2部分246はY方向に対向してもよい。
【0125】
実施形態5における保持部310の配置は、中心線S1に対して非対称に配置されればよい。例えば、保持部310は、表示部100の+Y側の端部と-Y側の端部と+X側の端部とに配置されてもよい。
【0126】
実施形態6では、少なくとも1つの保持部320の表示部100を保持する面の面積と、他の保持部320の表示部100を保持する面の面積が、異なればよい。
【0127】
実施形態7では、保持部410は円柱状に形成されている。また、表示装置10を平面視した場合、4つの保持部410の中心410Pを結ぶ線分により囲まれる領域が四角形415を形成し、形成された四角形415の中心P5の位置と表示領域112の中心P0の位置がずれている。保持部410は、四角柱状、円錐台状等であってもよい。保持部410の数は4つに限られない。表示装置10を平面視した場合、複数の保持部410の中心を結ぶ線分により囲まれる領域が多角形を形成し、多角形の中心と表示領域112の中心P0の位置がずれていればよい。例えば、五角形の領域が5つの保持部410から形成されてもよい。
【0128】
実施形態8では、液晶表示パネル110とバックライト120を挟んで対向する、接着部材460の厚さが異なっていればよい。また、筐体450の幅が衝突体Qの最大幅QDよりも小さい方向は、X方向に限られず、任意である。
【0129】
以上、好ましい実施形態について説明したが、本開示は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、本開示には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲が含まれる。
【符号の説明】
【0130】
10 表示装置、100 表示部、100a 表示面、100b 面、110 液晶表示パネル、112 表示領域、114 周縁部、120 バックライト、130 筐体、132 シャーシ、133 底面、136 ベゼル、137 底部、138 開口部、140 カバー、140a,140b 面、142 接着部材、144 接着剤、150 タッチパネル、200 保持部、200a 外周面、200b,200c 面、210,240 開口部、220,230 凹部、230a 底面、242 中心線、244 第1部分、246 第2部分、310,320,322,324 保持部、310a,322a,324a 上面、310b,322b,324b 側面、310c 端部、322c,324c 面、322d,324d 端部、410 保持部、410a 外周面、410P 中心、415 四角形、420 保持部、450 筐体、450b 面、452 底板、454a~454d 側板、460,460a,460b 接着部材、500 インストルメントパネル、510 開口部、510a 内壁、512 底面、514 側壁、520 インパネリインフォース、522 背面、530 開口部、600 表面材、α ずれ、D1,D2,D3,D4,D5,D6 幅、D3min 最小幅、H1,H2,H3 高さ、L1,L2,L3 距離、L4 最短距離、P0,P2,P3,P4,P5 中心、P1 衝突位置、Q 衝突体、QD 直径,最大幅、S1 中心線、t1,t2,tmax0,tmax1,tmax2,tmax3,tmax4,tmax5,tmax6,tmax7 時間、th1,th2,th3 厚さ