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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028881
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】下部尿路上皮がんを処置する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20240227BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240227BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20240227BHJP
   A61K 31/7068 20060101ALI20240227BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20240227BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240227BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240227BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240227BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20240227BHJP
   A61K 31/282 20060101ALI20240227BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P35/00
A61P13/10
A61K31/7068
A61K45/06
A61P43/00 121
A61K39/395 T
A61P37/02
A61K31/337
A61K31/282
A61P37/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023206570
(22)【出願日】2023-12-07
(62)【分割の表示】P 2021172052の分割
【原出願日】2017-05-05
(31)【優先権主張番号】62/443,614
(32)【優先日】2017-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/333,151
(32)【優先日】2016-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514274409
【氏名又は名称】タリス バイオメディカル エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【弁理士】
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】ギーシング, デニス
(72)【発明者】
【氏名】キューティー, クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】サルマ, パーナナンド
(72)【発明者】
【氏名】ラリビー-エルキンス, シェリル
(72)【発明者】
【氏名】サーシー, クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】アガーワル, ヴィカス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】下部尿路(lower tract)の尿路上皮癌を処置するための改善された方法を提供する。
【解決手段】個体における下部尿路の尿路上皮癌を処置する方法であって、有効量の代謝拮抗物質を前記個体に投与するステップを含み、前記代謝拮抗物質は、膀胱に局所的に送達され、下部尿路の前記尿路上皮癌は、筋浸潤性膀胱がんである、方法とする。好ましくは、前記代謝拮抗物質はゲムシタビンである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体における下部尿路の尿路上皮癌を処置する方法であって、有効量の代謝拮抗物質を
前記個体に投与するステップを含み、前記代謝拮抗物質は、膀胱に局所的に送達され、下
部尿路の前記尿路上皮癌は、筋浸潤性膀胱がんである、方法。
【請求項2】
前記個体が、根治的膀胱切除術に不向きである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記個体が、全身的化学療法および/または前記代謝拮抗物質以外の薬剤による化学療
法を認容できない、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記個体が、根治的膀胱切除術を受けない、請求項1から3のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項5】
個体における下部尿路の尿路上皮癌を処置する方法であって、有効量の代謝拮抗物質を
前記個体に投与するステップを含み、前記代謝拮抗物質は、膀胱に局所的に送達され、下
部尿路の前記尿路上皮癌は、非筋浸潤性膀胱がんである、方法。
【請求項6】
個体における下部尿路の尿路上皮癌を処置する方法であって、有効量の代謝拮抗物質を
前記個体に投与するステップを含み、前記代謝拮抗物質は、膀胱に局所的に送達され、前
記方法は、有効量の第2の薬剤を前記個体に投与するステップをさらに含む、方法。
【請求項7】
前記代謝拮抗物質がヌクレオシドアナログである、請求項1から6のいずれかに記載の
方法。
【請求項8】
前記代謝拮抗物質がゲムシタビンである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法
【請求項9】
前記ゲムシタビンが、24時間~6週間にわたって前記個体の膀胱に持続的に送達され
る、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
個体における膀胱保存の方法であって、有効量のゲムシタビンを膀胱に局所的に送達す
るステップを含み、ゲムシタビンは、24時間~6週間にわたって前記個体の膀胱に持続
的に送達され、前記個体は、下部尿路の尿路上皮癌を有する、方法。
【請求項11】
前記ゲムシタビンが、24時間~3週間の期間にわたって前記個体の膀胱に持続的に送
達される、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ゲムシタビンが、7日間にわたって前記個体の膀胱に持続的に送達される、請求項
8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ゲムシタビンが、3週間にわたって前記個体の膀胱に持続的に送達される、請求項
8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
第1のゲムシタビン送達期間および第2のゲムシタビン送達期間を含む、請求項8から
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1および第2のゲムシタビン送達期間が、各々7日間である、請求項14に記載
の方法。
【請求項16】
前記第1および第2のゲムシタビン送達期間が、各々3週間である、請求項14に記載
の方法。
【請求項17】
前記第1および第2のゲムシタビン送達期間が、14日間の休薬期間によって分離され
る、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記代謝拮抗物質が、前記送達の第1の時期において第1の放出速度で送達され、その
後、第2の放出速度を有する前記送達の第2の時期が続く、請求項1から17のいずれか
に記載の方法。
【請求項19】
前記代謝拮抗物質が、約1mg/日~約300mg/日の用量で送達される、請求項1
から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
尿中の代謝拮抗物質の濃度が、送達期間の間約0.1μg/mL~約200μg/mL
である、請求項1から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
尿中の代謝拮抗物質の濃度が、送達期間の間約1μg/mL~約10μg/mLである
、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
尿中の代謝拮抗物質の濃度が、送達期間の間約10μg/mLである、請求項20に記
載の方法。
【請求項23】
前記個体の血漿中の代謝拮抗物質濃度が、約1μg/ml未満である、請求項1から2
2のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
代謝拮抗物質の送達の際に、前記個体の尿中の代謝拮抗物質対血漿中の代謝拮抗物質の
比が、約500:1よりも大きい、請求項1から23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
a)前記個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度が少なくとも約0.1μg/mLである、第
1の代謝拮抗物質送達期間;
b)休薬期間;および
c)前記個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度が約0.1μg/mLよりも高い、第2の代
謝拮抗物質送達期間
を含む、請求項1から24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
尿中の代謝拮抗物質の濃度が、前記休薬期間の少なくとも半分にわたって約1μg/m
Lよりも高い、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
有効量の第2の薬剤を前記個体に投与するステップをさらに含む、請求項1から26の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記第2の薬剤が、全身的に送達される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第2の薬剤または第2の化学療法剤が、局所的に送達される、請求項27に記載の
方法。
【請求項30】
前記代謝拮抗物質および前記第2の薬剤が、単一の送達デバイスを介して送達される、
請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第2の薬剤が免疫調節性薬剤である、請求項28から30のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項32】
前記免疫調節性薬剤が免疫チェックポイント阻害剤である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、PD-L1、CTLA4、PD-L2、PD-1
、B7-H3、B7-H4、HVEM、BおよびTリンパ球アテニュエータ(BTLA)
、キラー阻害受容体(KIR)、GAL9、TIM3、A2AR、LAG-3、ホスファ
チジルセリン、CD27、TNF-α、CD33、Siglec-5、Siglec-7
、Siglec-9ならびにSiglec-11からなる群から選択される免疫チェック
ポイントタンパク質の阻害剤である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記免疫調節性薬剤が、共刺激免疫分子のアゴニストである、請求項32に記載の方法
【請求項35】
前記共刺激免疫分子が、CD40、OX40、ICOS、CD28、CD137/4-
1BB、CD27、IL-10、TGF-ベータ、TOR受容体およびグルココルチコイ
ド誘導性TNFR関連タンパク質GITRからなる群から選択される、請求項34に記載
の方法。
【請求項36】
前記第2の薬剤が第2の化学療法剤である、請求項27から30のいずれか一項に記載
の方法。
【請求項37】
前記化学療法剤が、パクリタキセル、ドセタキセルおよびオキサリプラチンからなる群
から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記個体が、放射線治療を受けない、請求項1から37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
放射線治療をさらに含む、請求項1から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記代謝拮抗物質が、ネオアジュバント状況で送達される、請求項1から39のいずれ
かに記載の方法。
【請求項41】
前記代謝拮抗物質が、アジュバント状況で送達される、請求項1から39のいずれかに
記載の方法。
【請求項42】
手術を含む第3の治療をさらに含み、前記個体への代謝拮抗物質の送達が、前記手術の
時点で開始される、請求項1から41のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
前記代謝拮抗物質が、膀胱腔内送達デバイスによって膀胱中に送達される、請求項1か
ら42のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記膀胱腔内デバイスが、100mg~500mgのゲムシタビンを含む、請求項43
に記載の方法。
【請求項45】
前記膀胱腔内デバイスが、225mgのゲムシタビンを含む、請求項44に記載の方法
【請求項46】
前記膀胱腔内デバイスが、膀胱腔内挿入のために構成されたハウジング;および代謝拮
抗物質を含む投薬形態を含み、前記ハウジングが、前記投薬形態を保持し、下部尿路の尿
路上皮癌の処置に有効な量で代謝拮抗物質を放出するように構成されている、請求項43
から45のいずれかに記載の方法。
【請求項47】
前記膀胱腔内薬物送達デバイスが、
リザーバーを規定するハウジング;
前記リザーバー内に含まれる第1のユニットであって、代謝拮抗物質を含む第1のユニ
ット;および
前記第1のユニットとは別個の位置で前記リザーバー内に含まれる第2のユニットであ
って、前記ハウジングからの前記代謝拮抗物質のin vivo放出を促進する機能的薬
剤を含む第2のユニット
を含む、請求項43から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記膀胱腔内薬物送達デバイスが、前記代謝拮抗物質を含み、それを制御可能に放出し
、前記個体の膀胱において前記デバイスを保持するように構成された保持形状と前記個体
の尿道を通じた前記デバイスの通過のためのデプロイメント形状との間で弾性的に変形可
能であるハウジングを含む、請求項43から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記デバイスが、第1の壁および第2の壁を境界とした薬物リザーバー管腔を含み、前
記第1の壁が、薬物に対して不透過性であり、前記第2の壁が、前記代謝拮抗物質に対し
て透過性である、請求項43から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記膀胱腔内薬物送達デバイスが、少なくとも2つの薬物リザーバー管腔を含む、請求
項43から49のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
前記代謝拮抗物質が、浸透圧によって前記デバイスから放出される、請求項43から5
0のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記代謝拮抗物質が、拡散によって前記デバイスから放出される、請求項43から51
のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
ハウジング中に含まれる前記代謝拮抗物質が、非液体形態である、請求項43から52
のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
前記非液体形態が、錠剤、顆粒、粉末、半固体、カプセルおよびそれらの組合せからな
る群から選択される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
下部尿路の前記尿路上皮癌が膀胱がんである、請求項6から54のいずれかに記載の方
法。
【請求項56】
前記膀胱がんが筋浸潤性膀胱がんである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記膀胱がんが非筋浸潤性膀胱がんである、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記膀胱がんが、局所的に進行した膀胱がんまたは転移性膀胱がんである、請求項1か
ら4または6から55のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
前記膀胱がんが上皮内癌である、請求項5から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記膀胱がんが、BCG(カルメット・ゲラン桿菌)不応性もしくはBCG耐性がんま
たは乳頭状膀胱がんである、請求項1から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記個体がヒトである、請求項1から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記個体が、全身的化学療法に不適切である、請求項1から61のいずれか一項に記載
の方法。
【請求項63】
前記個体が、損なわれた免疫系を有する、請求項1から62のいずれか一項に記載の方
法。
【請求項64】
前記個体が、高レベルの免疫チェックポイントタンパク質を有する、請求項1から63
のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記個体が、低レベルの免疫チェックポイントタンパク質を有する、請求項1から63
のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記個体が、高レベルのヌクレオシド輸送体を有する、請求項1から65のいずれか一
項に記載の方法。
【請求項67】
前記個体が、低レベルのヌクレオシド輸送体を有する、請求項1から65のいずれか一
項に記載の方法。
【請求項68】
尿中のゲムシタビン/代謝物比を決定するステップをさらに含み、閾値を下回る比が有
効な処置を示す、請求項8から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
a)代謝拮抗物質およびb)免疫調節性薬剤を含む、個体における下部尿路の尿路上皮
癌を処置するためのキットであって、前記代謝拮抗物質は、膀胱への局所的送達のための
デバイス中にある、キット。
【請求項70】
a)代謝拮抗物質およびb)第2の薬剤を含む、個体における下部尿路の尿路上皮癌を
処置するためのキットであって、前記代謝拮抗物質は、膀胱への局所的送達のためのデバ
イス中にあり、下部尿路の前記尿路上皮癌は、筋浸潤性膀胱がんである、キット。
【請求項71】
前記第2の薬剤が免疫調節剤である、請求項70に記載のキット。
【請求項72】
前記代謝拮抗物質がゲムシタビンである、請求項69または70に記載のキット。
【請求項73】
代謝拮抗物質および免疫調節剤を含むハウジングを含む、個体の膀胱への代謝拮抗物質
および第2の薬剤の局所的送達のための送達デバイスであって、前記ハウジングは、前記
個体の膀胱中への前記代謝拮抗物質および前記第2の薬剤の局所的放出を提供するように
構成されている、送達デバイス。
【請求項74】
前記代謝拮抗物質がゲムシタビンである、請求項73に記載の送達デバイス。
【請求項75】
前記第2の薬剤が免疫調節剤である、請求項73または74に記載の送達デバイス。
【請求項76】
個体における下部尿路の尿路上皮癌に対する免疫応答を増強する方法であって、有効量
の代謝拮抗物質を前記個体に投与するステップを含み、前記代謝拮抗物質は、膀胱に局所
的に送達される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2016年5月6日に出願された米国仮出願番号第62/333,151号お
よび2017年1月6日に出願された米国仮出願番号第62/443,614号に基づく
利益および優先権を主張している。これら出願の各々の内容は、それらの全体は参考とし
て本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
膀胱がんは、著しい医療上の問題であり、現在利用可能な処置選択肢は、多くの理由の
ために、満足いくものではない。一般に、膀胱がんは、筋浸潤性膀胱がん(MIBC)ま
たは非筋浸潤性膀胱がん(NMIBC)として分類される。膀胱がんの病理学的分類およ
びステージ分けは、以下の通りである:pTa(尿路上皮の関与);pTis(高リスク
尿路上皮限局);pT1(粘膜固有層浸潤);pT2(筋浸潤);pT3(膀胱周囲脂肪
浸潤);およびpT4(骨盤内臓器進展)。膀胱がんは、グレード1/3(高分化型);
グレード2/3(中分化型);グレード3/3(低分化型)としてグレードによっても分
類できる。さらに、膀胱がんは、ステージ0~IVとしてステージによって分類できる。
ほとんどの膀胱がんは、上皮起源の移行上皮癌であり、膀胱の内層に限局された非筋浸潤
性がん(NMIBC)として分類される。最初の発現の時点では、ほとんどの膀胱がんは
、表在性NMIBCであり、これには、ステージpTa、pTisおよびpT1の疾患が
含まれる。MIBCには、ステージpT2、pT3およびpT4が含まれる。
【0003】
初期ステージNMIBCの典型的な臨床プロトコールは、膀胱鏡検査による可視化と、
その後の経尿道切除術(TUR)として公知の腫瘍(単数または複数)の外科的除去であ
る。しかし、手術後の再発率は高く、がんは筋浸潤性疾患へと進行し得る。したがって、
手術が、再発の発生率および重症度を予防するまたは遅延させることを助けるために、化
学療法剤または免疫療法剤のアジュバント膀胱腔内(intravesicular)(
膀胱内(intravesical))注入(尿路カテーテルを介した膀胱中への化学療
法剤の直接的送達)と組み合わされる場合が多い。カルメット・ゲラン桿菌(BCG)は
、そのような免疫療法薬であり、典型的には、手術後に膀胱中に注入される。しかし、多
くの患者は、BCGに対して応答せず、BCG処置はまた、様々な有害効果を誘導して、
処置の中断をもたらし得る。化学療法剤は通常、BCG治療が失敗した患者のために残さ
れている。化学療法は、典型的には、腫瘍部位において化学療法剤を濃縮するために膀胱
内適用され、薬物の全身的曝露を回避しつつ、切除術後のいずれの残留腫瘍も排除する。
【0004】
膀胱がんを処置するために臨床試験において使用される1つのかかる化学療法剤は、ゲ
ムシタビンである。ゲムシタビン(2’,2’-ジフルオロデオキシシチジン)は、転移
性膀胱がんに対する活性を有するピリミジンアナログである。ゲムシタビンは、種々の毎
週のスケジュールでの膀胱への注入によって、表在性膀胱がんおよびNMIBCを処置す
るための臨床試験においても使用されてきた。ゲムシタビンは、典型的には、典型的には
最大で100mLの食塩水中500~2000mgの範囲の用量で、1~2時間かけて、
数週間にわたって1週間に1回または2回注入される。
【0005】
かかる液体製剤は、1~2時間の短い滞留時間(dwell time)後に膀胱から
排泄されるので、それらの治療的利益は限定されることが公知である。さらに、高い濃度
(40mg/mL)および高い用量(注入1回当たり最大で2グラム)が、滞留時間の制
限の克服を試みるために、治療的組織レベルを達成するための試みにおいて使用される。
しかし、高用量のゲムシタビンの膀胱腔内(膀胱内)送達は、顕著な全身的吸収をもたら
し得、胃腸、膀胱および骨髄毒性を引き起こし得、局所的認容性の問題に加えて、臨床的
有用性をさらに制限する。
【0006】
従って、下部尿路(lower tract)の尿路上皮癌を処置するための改善され
た方法がいまだ必要とされている。
【0007】
公開された出願US2012/0203203、US2013/0158675、US
2015/0360012、US20150165177、US2015/016517
8、US20160199544、WO2014/145638、WO20152007
52、WO2011/031855は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込ま
れる。本明細書で開示される全ての他の参考文献は、それらの全体が参照によって組み込
まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0203203号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2013/0158675号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2015/0360012号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2015/0165177号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2015/0165178号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2016/0199544号明細書
【特許文献7】国際公開第2014/145638号
【特許文献8】国際公開第2015/200752号
【特許文献9】国際公開第2011/031855号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の簡単な要旨
膀胱へのゲムシタビンなどの代謝拮抗物質の局所的投与は、腫瘍微小環境における免疫
応答をモジュレートする、全身性免疫および抗原提示を誘導する、ならびに細胞毒性を誘
導するなどの複数の生物学的効果をもたらす。したがって、本出願は、下部尿路の尿路上
皮癌を処置する方法であって、有効量の代謝拮抗物質を、個体に、膀胱に局所的に投与す
るステップを含む方法を開示する。
【0010】
一部の実施形態では、この方法は、個体の下部尿路の尿路上皮癌に対する免疫応答を増
強する方法であって、有効量の代謝拮抗物質を個体に投与するステップを含み、代謝拮抗
物質は、膀胱に局所的に送達される、方法を含む。
【0011】
一部の実施形態では、この方法は、個体における下部尿路の尿路上皮癌の再発または進
行を低減させる方法であって、有効量の代謝拮抗物質を個体に投与するステップを含み、
代謝拮抗物質は、膀胱に局所的に送達される、方法を含む。
【0012】
一部の実施形態では、この方法は、下部尿路の尿路上皮癌を有する個体におけるがん免
疫療法のために腫瘍微小環境を改善する方法であって、有効量の代謝拮抗物質を個体に投
与するステップを含み、代謝拮抗物質は、膀胱に局所的に送達される、方法を含む。
【0013】
一部の実施形態では、この方法は、下部尿路の尿路上皮癌を有する個体を、放射線治療
のために感作する方法であって、有効量の代謝拮抗物質を個体に投与するステップを含み
、代謝拮抗物質は、膀胱に局所的に送達される、方法を含む。
【0014】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、この方法は、個体における筋浸潤性膀
胱がんを処置する方法であって、有効量のゲムシタビンを膀胱に局所的に送達するステッ
プを含み、ゲムシタビンは、少なくとも24時間にわたって持続的に送達される、方法を
含む。
【0015】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、この方法は、個体における膀胱保存の
方法であって、有効量のゲムシタビンを膀胱に局所的に送達するステップを含み、ゲムシ
タビンは、少なくとも24時間にわたって持続的に送達される、方法を含む。
【0016】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、この方法は、個体における非筋浸潤性
膀胱がんを処置する方法であって、ゲムシタビンを膀胱に局所的に送達するステップを含
み、ゲムシタビンは、少なくとも24時間にわたって持続的に送達される、方法を含む。
【0017】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、ヌクレオシドアナロ
グであり得る。これらの実施形態の一部では、代謝拮抗物質はゲムシタビンである。上記
方法のいずれかに従う一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、少なくとも約24時間の期
間をかけて、膀胱中に持続的に送達される。上記方法のいずれかに従う一部の実施形態で
は、代謝拮抗物質は、送達の第1の時期において第1の用量で送達され、その後、送達の
第2の時期において第2の用量で送達される。実施形態の一部では、第1の時期および第
2の時期は連続的である。あるいは、一部の実施形態では、第1および第2の時期は、休
薬期間によって分離され得る。
【0018】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、約1mg/日~約3
00mg/日の用量で送達される。上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、尿中
の代謝拮抗物質の濃度は、送達期間の間約0.1μg/mL~約200μg/mLである
。上記方法のいずれかに従うこれらの実施形態の一部では、尿中の代謝拮抗物質の濃度は
、送達期間の間約10μg/mLである。上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では
、個体の血漿中の代謝拮抗物質の濃度は、約1μg/mL未満である。上記方法のいずれ
かに従う一部の実施形態では、代謝拮抗物質の濃度は、約0.1μg/mL未満である。
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、代謝拮抗物質の送達の際に、個体の尿中
の代謝拮抗物質対血漿中の代謝拮抗物質の比は、約500:1よりも大きい。
【0019】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、少なくとも1ヶ月間
かけて送達され、各代謝拮抗物質送達期間は少なくとも1日間であり、各代謝拮抗物質送
達期間間の間隔は、約1週間以下である。上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では
、各代謝拮抗物質期間間の間隔は14日間である。一部の実施形態では、各代謝拮抗物質
送達期間間には間隔は存在しない。
【0020】
一部の実施形態では、この方法は、a)個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度が少なくとも
約0.1μg/mLである、第1の代謝拮抗物質送達期間;b)休薬期間;およびc)個
体の尿中の代謝拮抗物質の濃度が、休薬期間の少なくとも一部分にわたって少なくとも約
0.1μg/mLである、第2の代謝拮抗物質送達期間を含む。一部の実施形態では、尿
中の代謝拮抗物質の濃度は、休薬期間の少なくとも約半分にわたって、約1.0μg/m
Lよりも高い。
【0021】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、この方法は、有効量の第2の薬剤を個
体に投与するステップをさらに含む。上記方法のいずれかに従う実施形態の一部では、第
2の薬剤は、代謝拮抗物質送達が開始される時点で送達される。一部の実施形態では、第
2の薬剤は、代謝拮抗物質が送達される前に送達される。一部の実施形態では、第2の薬
剤は、代謝拮抗物質送達が開始された後に送達される。なおさらなる実施形態では、第2
の薬剤は、代謝拮抗物質送達が終結された後に送達される。
【0022】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、代謝拮抗物質送達期間と第2の薬剤送
達期間とは、互いに重複し得る。一部の実施形態では、代謝拮抗物質送達期間と第2の薬
剤送達期間とは、非重複であり得る。
【0023】
上記方法のいずれかに従う一部の態様では、第2の薬剤は、全身的に送達される。他の
態様では、第2の薬剤は、局所的に送達される。一部の実施形態では、第2の薬剤は、第
2の薬剤送達期間の第1の時期において全身的に送達され、その後、第2の薬剤送達期間
の第2の時期における局所的送達が続く。一部の実施形態では、第2の薬剤は、第2の薬
剤送達期間の第1の時期において局所的に送達され、その後、第2の薬剤送達期間の第2
の時期における全身的送達が続く。実施形態の一部では、第2の薬剤送達期間の第1の時
期および第2の薬剤送達期間の第2の時期は、少なくとも約1ヶ月間分離される。
【0024】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、代謝拮抗物質および第2の薬剤は、同
時に送達される。これらの実施形態の一部では、代謝拮抗物質および第2の薬剤は、単一
の送達デバイスを介して送達される。上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、代
謝拮抗物質および第2の薬剤は、同じ放出速度で送達される。他の実施形態では、代謝拮
抗物質および第2の薬剤は、異なる放出速度で送達される。
【0025】
一部の実施形態では、第2の薬剤は、代謝拮抗物質とは別々に送達される。
【0026】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、第2の薬剤は、全身的に送達される。
一部の実施形態では、第2の薬剤は、局所的に送達される。
【0027】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、第2の薬剤は化学療法剤である。上記
方法のいずれかに従う一部の実施形態では、化学療法剤は、パクリタキセル、ドセタキセ
ル、カルボプラチン、シスプラチンおよびオキサリプラチンからなる群から選択される。
一部の実施形態では、第2の薬剤は免疫調節性薬剤である。一部の実施形態では、免疫調
節性薬剤は免疫チェックポイント阻害剤である。一部の実施形態では、免疫チェックポイ
ント阻害剤は、PD-L1、CTLA4、PD-L2、PD-1、B7-H3、B7-H
4、HVEM、BおよびTリンパ球アテニュエータ(BTLA)、キラー阻害受容体(K
IR)、GAL9、TIM3、A2AR、LAG-3、ホスファチジルセリン、CD27
、TNF-α、CD33、Siglec-5、Siglec-7、Siglec-9なら
びにSiglec-11からなる群から選択される免疫チェックポイントタンパク質の阻
害剤である。一部の実施形態では、免疫調節性薬剤は、共刺激免疫分子のアゴニストであ
る。一部の実施形態では、共刺激免疫分子は、CD40、OX40、ICOS、CD28
、CD137/4-1BB、CD27、IL-10、TGF-ベータ、TOR受容体およ
びグルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質GITRからなる群から選択される
【0028】
上の方法のいずれかに従う一部の実施形態では、個体は、放射線治療を受けない。他の
実施形態では、この方法は、放射線治療をさらに含む。
【0029】
上の方法のいずれかに従う一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、ネオアジュバント状
況で送達される。一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、アジュバント状況で送達される
。上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、術前処置で送達され
る。一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、周術期処置で送達される。
【0030】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、この方法は、手術を含む第3の治療を
さらに含む。これらの実施形態の一部では、個体への代謝拮抗物質の送達は、手術の時点
で開始され得る。上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、個体への代謝拮抗物質
の送達は、膀胱鏡検査の間に開始される。上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では
、個体への代謝拮抗物質の送達は、手術前の膀胱鏡検査の間に開始される。一部の実施形
態では、個体への代謝拮抗物質の送達は、手術後の膀胱鏡検査の間に開始される。
【0031】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、膀胱腔内(膀胱内)
デバイスによって膀胱中に送達される。上記方法のいずれかに従うこれらの実施形態の一
部では、膀胱腔内(膀胱内)デバイスは、膀胱腔内(膀胱内)挿入のために構成されたハ
ウジング;および代謝拮抗物質を含む投薬形態を含み、ハウジングは、投薬形態を保持し
、尿路上皮癌の処置に有効な量で代謝拮抗物質を放出するように構成されている。上記方
法のいずれかに従う一部の実施形態では、膀胱腔内(膀胱内)薬物送達デバイスは、代謝
拮抗物質を含み、それを制御可能に放出し、個体の膀胱においてデバイスを保持するよう
に構成された保持形状と個体の尿道を通じたデバイスの通過のためのデプロイメント形状
との間で弾性的に変形可能であるハウジングを含む。上記デバイスのいずれかに従う一部
の実施形態では、デバイスは、第1の壁および第2の壁を境界とした薬物リザーバー管腔
を含み、第1の壁は、薬物に対して不透過性であり、第2の壁は、薬物に対して透過性で
ある。上記デバイスのいずれかに従う一部の実施形態では、第1の壁と第2の壁とは、互
いに隣接し、一緒になって、薬物リザーバー管腔を規定する環状チューブを形成する。上
記デバイスのいずれかに従う一部の実施形態では、第2の壁は、第1の壁の構造の長さの
少なくとも一部分に延びる条片の形態である。一部の実施形態では、第1の壁は円柱状で
ある。一部の実施形態では、第2の壁は、ディスク形状である。一部の実施形態では、膀
胱腔内(膀胱内)薬物送達デバイスは、少なくとも2つの薬物リザーバー管腔を含む。
【0032】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、代謝拮抗物質を送達するためにデバイ
スが使用される場合、代謝拮抗物質は、浸透圧によってデバイスから放出される。一部の
実施形態では、代謝拮抗物質は、拡散によってデバイスから放出される。
【0033】
上記デバイスのいずれかに従う一部の実施形態では、ハウジング中に含まれる代謝拮抗
物質は、非液体形態である。これらの実施形態の一部では、非液体形態は、錠剤、顆粒、
半固体、粉末、カプセルおよびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0034】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、下部尿
路の尿路上皮癌を処置する方法であって、尿路上皮癌は、膀胱がんである、方法を含む。
一部の実施形態では、膀胱がんは、局所的に進行した膀胱がんまたは転移性膀胱がんであ
る。一部の実施形態では、膀胱がんは筋浸潤性膀胱がんである。一部の実施形態では、膀
胱がんは非筋浸潤性膀胱がんである。上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、膀
胱がんは上皮内癌である。一部の実施形態では、膀胱がんは、BCG(カルメット・ゲラ
ン桿菌)不応性がんまたは乳頭状(papillary)膀胱がんである。一部の実施形
態では、膀胱がんは、BCG無応答性がんである。
【0035】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、この方法は、有効量の代謝拮抗物質を
個体に投与するステップを含み、個体はヒトである。上記方法のいずれかに従う一部の実
施形態では、個体は、全身的治療に不向きである。上記方法のいずれかに従う一部の実施
形態では、個体は、損なわれた免疫系を有する。上記方法のいずれかに従う一部の実施形
態では、個体は、高レベルの免疫チェックポイントタンパク質を有する。一部の実施形態
では、個体は、低レベルの免疫チェックポイントタンパク質を有する。上記方法のいずれ
かに従う一部の実施形態では、個体は、高レベルのヌクレオシド輸送体を有する。一部の
実施形態では、個体は、より低いレベルのヌクレオシド輸送体を有する。
【0036】
上記方法のいずれかに従う一部の実施形態では、代謝拮抗物質はゲムシタビンであり、
方法は、尿中のゲムシタビン/代謝物比を決定するステップをさらに含み、閾値を下回る
比は有効な処置を示す。
【0037】
一部の実施形態では、a)代謝拮抗物質およびb)第2の薬剤を含む、個体における下
部尿路の尿路上皮癌を処置するためのキットであって、代謝拮抗物質は、膀胱への局所的
送達のためのデバイス中にある、キットが、本明細書で提供される。これらの実施形態の
一部では、代謝拮抗物質はゲムシタビンである。一部の実施形態では、第2の薬剤は免疫
調節剤である。
【0038】
個体の膀胱への代謝拮抗物質および第2の薬剤の局所的送達のためのデバイスであって
、a)代謝拮抗物質およびb)第2の薬剤を含むデバイスもまた、本明細書で提供される
。一部の実施形態では、代謝拮抗物質はゲムシタビンである。一部の実施形態では、第2
の薬剤は免疫調節剤である。
【0039】
上記デバイスのいずれかに従う一部の実施形態では、膀胱腔内(膀胱内)薬物送達デバ
イスは、リザーバーを規定するハウジング;リザーバー内に含まれる第1のユニットであ
って、代謝拮抗物質を含む第1のユニット;および第1のユニットとは別個の位置でリザ
ーバー内に含まれる第2のユニットであって、ハウジングからの薬物のin vivo放
出を促進する機能的薬剤を含む第2のユニットを含む。一部の実施形態では、機能的薬剤
は、浸透剤、薬物可溶化剤またはそれらの組合せであり、ハウジングは、リザーバーと流
体連絡した少なくとも1つの薬物放出開口部を含む。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、90μg/ml、180μg/mlまたは350μg/mlゲムシタビンを用いて処置されたラットにおいて対照と比較した実質平均強度によって決定された腫瘍サイズを示す。
【0041】
図2図2は、ゲムシタビンの1週間の持続的送達後の膀胱組織におけるゲムシタビンのレベルを示す。
【0042】
図3図3は、ゲムシタビンの持続的送達後のラット膀胱組織層におけるゲムシタビンのレベルを示す。
【0043】
図4図4は、90~180μg/mLゲムシタビンを用いた灌流後の腫瘍微小環境に存在する活性化および制御性T細胞のレベルを示す。
【0044】
図5図5は、未処置対照ラットおよびゲムシタビンを用いて処置したラットの脾臓中の活性化CD8+およびCD4+細胞の百分率を示す。
【0045】
図6図6は、未処置対照ラットおよび180μg/mLゲムシタビンを用いて処置したラットにおけるTGF-βレベルを示す。
【0046】
図7図7は、未処置対照ラットおよび180μg/mLゲムシタビンを用いて処置したラットにおけるIL-10レベルを示す。
【0047】
図8図8A~8Cは、代謝拮抗物質の局所的かつ持続的送達を提供するために使用できる膀胱腔内(膀胱内)デバイスを示す。図8Aは、平面図である。図8Bは、図8A中の線3-3に沿って取る横断面図である。図8Cは、部分的に横断面で示されたデプロイメント装置のワーキングチャネル内に配置されたデバイスの一方の末端部分の図である。
【0048】
図9図9は、ミニブタ研究およびヒト第IB相治験において、同程度のレベルのゲムシタビンが尿中に排出されていることを示す。
【0049】
図10図10は、尿ゲムシタビン(dFdC)および代謝物(dFdU)濃度がミニブタ研究およびヒト第IB相研究において同程度であったことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本出願は、膀胱への代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)の局所的送達を介して下部
尿路の尿路上皮癌(例えば、膀胱がん)を処置するための新規方法を提供する。本出願は
、特定の投薬レジメンを用いたゲムシタビンの局所的送達が、腫瘍微小環境における免疫
応答をモジュレートする、全身性免疫および抗原提示を誘導する、ならびに細胞毒性を誘
導するなどの複数の生物学的効果をもたらすという、驚くべき知見に一部基づく。特定の
投薬レジメンを用いて膀胱に局所的に送達した場合、ゲムシタビンは、膀胱組織中に深く
浸透し、送達を停止した後であっても、延長された期間にわたって尿中に存続することが
、さらに驚くべきことに見出された。したがって、本明細書に記載されるような、膀胱へ
の代謝拮抗物質の局所的送達は、特に、第2の薬剤(例えば、免疫調節剤)と組み合わせ
て使用される場合、下部尿路の尿路上皮癌を処置するために有用である。
【0051】
したがって、本発明は、種々の態様では、個体における下部尿路の尿路上皮癌を処置す
る方法、個体における下部尿路の尿路上皮癌に対する免疫応答を増強する方法、個体の下
部尿路の尿路上皮癌の再発または進行を低減させる方法、がん免疫療法のために腫瘍微小
環境を改善する方法、下部尿路の尿路上皮癌を有する個体を、放射線治療のために感作す
る方法であって、有効量の代謝拮抗物質を個体に投与するステップを含み、代謝拮抗物質
は、膀胱に局所的に送達される、方法を提供する。一部の実施形態では、この方法は、第
2の薬剤、例えば、免疫調節性薬剤の送達をさらに含む。一部の実施形態では、個体は、
全身的投与に不適切である、または免疫不全である。
【0052】
別の態様では、a)代謝拮抗物質およびb)第2の薬剤を含む、個体における下部尿路
の尿路上皮癌を処置するためのキットであって、ゲムシタビン代謝拮抗物質は、膀胱への
局所的送達のためのデバイス中にある、キットが提供される。別の態様では、膀胱への代
謝拮抗物質および第2の薬剤の局所的送達のためのデバイスであって、a)代謝拮抗物質
およびb)第2の薬剤を含むデバイスが提供される。一部の実施形態では、代謝拮抗物質
はゲムシタビンである。一部の実施形態では、第2の薬剤は免疫調節剤である。
I.本発明の方法
【0053】
本出願は、一部の実施形態では、個体における下部尿路の尿路上皮癌を処置する方法で
あって、有効量の代謝拮抗物質(例えば、ヌクレオシドアナログ、例えば、ゲムシタビン
)を個体に送達するステップを含み、代謝拮抗物質(例えば、ヌクレオシドアナログ、例
えば、ゲムシタビン)は、膀胱に局所的に送達される、方法を提供する。一部の実施形態
では、個体における下部尿路の尿路上皮癌に対する免疫応答を増強する方法であって、有
効量の代謝拮抗物質(例えば、ヌクレオシドアナログ、例えば、ゲムシタビン)を個体に
送達するステップを含み、代謝拮抗物質(例えば、ヌクレオシドアナログ、例えば、ゲム
シタビン)は、膀胱に局所的に送達される、方法が提供される。一部の実施形態では、個
体の下部尿路の尿路上皮癌の再発または進行を低減させる方法であって、有効量の代謝拮
抗物質(例えば、ヌクレオシドアナログ、例えば、ゲムシタビン)を個体に送達するステ
ップを含み、代謝拮抗物質(例えば、ヌクレオシドアナログ、例えば、ゲムシタビン)は
、膀胱に局所的に送達される、方法が提供される。一部の実施形態では、下部尿路の尿路
上皮癌を有する個体におけるがん免疫療法のために腫瘍微小環境を改善する方法であって
、有効量の代謝拮抗物質(例えば、ヌクレオシドアナログ、例えば、ゲムシタビン)を個
体に送達するステップを含み、代謝拮抗物質(例えば、ヌクレオシドアナログ、例えば、
ゲムシタビン)は、膀胱に局所的に送達される、方法が提供される。一部の実施形態では
、下部尿路の尿路上皮癌は、筋浸潤性膀胱がん(MIBC)である。一部の実施形態では
、下部尿路の尿路上皮癌は、非筋浸潤性膀胱がん(NMBIC)である。
【0054】
用語「持続的」または「持続的に」とは、本明細書で使用する場合、一定期間かかる、
例えば、24時間~3週間の期間がかかる、代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)の持
続性の投与を指す。
【0055】
用語「個体」とは、本明細書で使用する場合、ヒトを含む哺乳動物を指す。個体には、
ヒト、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、げっ歯類または霊長類が含まれるがこれらに限定されな
い。一部の実施形態では、個体はヒトである。
【0056】
本明細書で、「約」値またはパラメーターへの言及は、その値またはパラメーター自体
に関する実施形態を含む(および記載する)。例えば、「約7日間」は、7日間を含む。
【0057】
これらの方法は、アジュバント状況で実施され得る。「アジュバント状況」とは、個体
が、増殖性疾患、特にがんの病歴を有しており、手術(例えば、外科的切除術)、放射線
療法および化学療法が含まれるがこれらに限定されない治療に対して一般に(必ずではな
いが)応答性であった、臨床状況を指す。しかし、増殖性疾患(例えば、がん)の病歴に
起因して、これらの個体は、疾患の発達のリスクがあるとみなされる。「アジュバント状
況」での処置または投与とは、引き続く処置様式を指す。リスクの程度(即ち、アジュバ
ント状況にある個体が、「高リスク」または「低リスク」とみなされる場合)は、いくつ
かの因子、最も通常には最初に処置されたときの疾患の程度に依存する。本明細書で提供
される方法は、ネオアジュバント状況でも実施され得、即ち、この方法は、一次/最終的
治療の前に実施され得る。一部の実施形態では、個体は、以前に処置されている。一部の
実施形態では、個体は、以前に処置されていない。一部の実施形態では、処置は、第一選
択治療である。
【0058】
用語「有効量」とは、本明細書で使用する場合、特定された障害、状態または疾患を処
置する、例えば、その症状の1つまたは複数を軽快させる、緩和する、低下させる、およ
び/または遅延させるのに十分な、化合物または組成物の量を指す。がんまたは他の望ま
しくない細胞増殖に関して、有効量は、腫瘍を縮小させるおよび/もしくは腫瘍の成長速
度を減少させる(例えば、腫瘍成長を抑制する)、または他の望ましくない細胞増殖を予
防するもしくは遅延させるのに十分な量を含む。一部の実施形態では、有効量は、発達を
遅延させるのに十分な量である。一部の実施形態では、有効量は、出現および/または再
発を予防するまたは遅延させるのに十分な量である。有効量は、がんの場合には、1また
は複数回の投与で投与され得、薬物または組成物の有効量は、(i)がん細胞の数を低減
させ得る;(ii)腫瘍サイズを低減させ得る;(iii)末梢臓器中へのがん細胞浸潤
を、ある程度まで阻害し得る、遅くし得る、減速させ得る、好ましくはそれを停止させ得
る;(iv)腫瘍転移を阻害し得る(即ち、ある程度まで減速させ得る、好ましくはそれ
を停止させ得る);(v)腫瘍成長を阻害し得る;(vi)腫瘍の出現および/もしくは
再発を予防し得るもしくは遅延させ得る;ならびに/または(vii)がんと関連する症
状のうち1つもしくは複数をある程度まで軽減させ得る。
【0059】
一部の実施形態では、疾患進行を減少させる方法であって、有効量の代謝拮抗物質(例
えば、ヌクレオシドアナログ、例えば、ゲムシタビン)を個体に送達するステップを含み
、代謝拮抗物質(例えば、ヌクレオシドアナログ、例えば、ゲムシタビン)は、膀胱に局
所的に送達される、方法が提供される。一部の実施形態では、腫瘍体積を低減させる方法
であって、有効量の代謝拮抗物質(例えば、ヌクレオシドアナログ、例えば、ゲムシタビ
ン)を個体に送達するステップを含み、代謝拮抗物質(例えば、ヌクレオシドアナログ、
例えば、ゲムシタビン)は、膀胱に局所的に送達される、方法が提供される。一部の実施
形態では、膀胱がんを処置する方法であって、有効量の代謝拮抗物質(例えば、ヌクレオ
シドアナログ、例えば、ゲムシタビン)を個体に送達するステップを含み、代謝拮抗物質
(例えば、ヌクレオシドアナログ、例えば、ゲムシタビン)は、膀胱に局所的に送達され
、処置後に残留外方増殖性腫瘍が存在しない、方法が提供される。
【0060】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、患者の生活の質を改善するために
有用である。例えば、本明細書で提供される方法は、膀胱切除術を受けることができない
患者に慢性処置を提供するために使用され得る。一部の実施形態では、本明細書で提供さ
れる方法は、緩和ケアとして使用され得る。一部の実施形態では、がんを有する個体にお
ける疼痛を低減させる方法が、本明細書で提供される。
【0061】
一部の実施形態では、下部尿路の尿路上皮癌を有する個体を、放射線治療のために感作
する方法であって、有効量の代謝拮抗物質(例えば、ヌクレオシドアナログ、例えば、ゲ
ムシタビン)を個体に送達するステップを含み、代謝拮抗物質(例えば、ヌクレオシドア
ナログ、例えば、ゲムシタビン)は、膀胱に局所的に送達される、方法が提供される。一
部の実施形態では、この方法は、個体を放射線治療に供するステップをさらに含む。一部
の実施形態では、放射線治療は、代謝拮抗物質の送達後に、例えば、代謝拮抗物質の送達
の約1、2、3、4、5、10、15、20または30日後のいずれかに、実施される。
本明細書で企図される放射線には、例えば、X線、γ線、および腫瘍細胞への放射性同位
体の直接的送達が含まれる。他の形態のDNA損傷因子、例えば、マイクロ波およびUV
照射もまた企図される。放射線は、単一の線量で、または線量分割したスケジュールで一
連のより小さい線量で与えられ得る。一部の実施形態では、放射線の線量は、放射線治療
のための従来の線量よりも低い。例えば、放射線の線量は、従来の線量の約95%、90
%、85%、80%、75%、60%、50%、40%、30%、20%または10%の
いずれか以下であり得る。
【0062】
代謝拮抗物質は、一部の実施形態では、膀胱中に持続的に送達される。例えば、一部の
実施形態では、代謝拮抗物質は、少なくとも約24時間(例えば、少なくとも約2、3、
4、5、6、7、8、9、10、15、20、25または30日間)にわたって、膀胱に
持続的に送達される。一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、7日間にわたって膀胱に持
続的に送達される。代謝拮抗物質は、単一の放出速度、または異なる時点において異なる
放出速度で、送達され得る。例えば、一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、送達の第1
の時期において第1の放出速度で送達され、その後、第2の放出速度を有する送達の第2
の時期が続く。一部の実施形態では、第1の放出速度は、第2の放出速度よりも速い(例
えば、少なくとも2×、3×、4×、5×または10×速い)。一部の実施形態では、第
1の速度は、第2の放出速度よりも遅い(例えば、少なくとも2×、3×、4×、5×ま
たは10×遅い)。
【0063】
一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、約1mg/日~約300mg/日、例えば、約
1mg/日~約5mg/日、約5mg/日~約10mg/日、約10mg/日~約50m
g/日、約50mg/日~約100mg/日、約100mg/日~約225mg/日(例
えば、約140mg、約160mg、約180mg、約200mgまたは約220mg)
、約200mg/日~約300mg/日のいずれかの用量で送達される。一部の実施形態
では、約100mg~約200mgのゲムシタビンが、個体に送達される。一部の実施形
態では、約160mgのゲムシタビンが、7日間かけて個体に送達される。一部の実施形
態では、約100mg~約200mgのゲムシタビンが、7日間かけて個体に送達される
。一部の実施形態では、約200mg~約225mgのゲムシタビンが、21日間かけて
個体に送達される。一部の実施形態では、約225mgの代謝拮抗物質が、21日間かけ
て個体に送達される。一部の実施形態では、225mgのゲムシタビンが、7日間かけて
個体に投与される。一部の実施形態では、225mgのゲムシタビンが、21日間かけて
個体に投与される。
【0064】
一部の実施形態では、送達期間の間の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、約0.1μg/m
L~約200μg/mL、例えば、約0~0.5、0.5~1、1~2、2~3、3~4
、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、9~10、10~20、20~30、30
~40、40~60、60~80、80~100、100~150または150~200
μg/mLのいずれかである。一部の実施形態では、個体の血漿中の代謝拮抗物質濃度は
、約1μg/mL未満、例えば、約0.5、04、0.3、0.2、0.1、0.05、
0.04、0.03、0.02または0.01μg/mLのいずれか未満である。一部の
実施形態では、代謝拮抗物質の送達の際に、個体の尿中の代謝拮抗物質対血漿中の代謝拮
抗物質の比は、約500:1よりも大きい。一部の実施形態では、dFdUの血漿濃度は
、代謝拮抗物質の送達の際に0.3μg/mL未満である。一部の実施形態では、dFd
Uの血漿濃度は、代謝拮抗物質の送達の際に0.2μg/mL未満である。一部の実施形
態では、dFdUの血漿濃度は、代謝拮抗物質の送達の際に0.1μg/mL未満である
。一部の実施形態では、dFdUの血漿濃度は、代謝拮抗物質の送達の際に0.1μg/
mLと0.3μg/mLとの間である。
【0065】
一部の実施形態では、代謝拮抗物質の送達は、それらの間に休薬期間を伴う、別々の代
謝拮抗物質送達期間を含む。異なる送達期間の間の代謝拮抗物質の投薬量または放出速度
は、同じでも異なってもよい。例えば、一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、少なくと
も1ヶ月間かけて送達され、各代謝拮抗物質送達期間は少なくとも1日間であり、各代謝
拮抗物質送達期間間の間隔は、約1週間以下である。一部の実施形態では、この方法は、
a)個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度が少なくとも約0.1μg/mLである、第1の代
謝拮抗物質送達期間;b)休薬期間;およびc)個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度が約0
.1μg/mLよりも高い、第2の代謝拮抗物質ゲムシタビン送達期間を含む。これらの
実施形態の一部では、第1の代謝拮抗物質送達期間は7日間であり、休薬期間は14日間
であり、第2の代謝拮抗物質送達期間は7日間である。一部の実施形態では、代謝拮抗物
質は、処置レジメンの1~7日目および21~28日目に送達される。一部の実施形態で
は、代謝拮抗物質は、1~14および22~34日目に送達される。
【0066】
一部の実施形態では、この方法は、休薬期間によって分離されない2つまたはそれより
も多い送達期間を含む。これらの実施形態の一部では、第1および第2の送達期間は、共
に3週間である。一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、6週間の期間をかけて送達され
る。
【0067】
一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、送達の休止後であっても存続する。例えば、一
部の実施形態では、尿中の代謝拮抗物質の濃度は、代謝拮抗物質送達の休止の後少なくと
も約6、12、18、24または36時間のいずれかにわたって、約0.1μg/mLよ
りも高い(例えば、約0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.
9または1μg/mLのいずれかよりも高い)。一部の実施形態では、代謝拮抗物質の濃
度は、6時間~7日間、6時間~3日間または6時間~24時間にわたって、0.1~1
μg/mL、0.2~0.8μg/mLまたは0.3~0.7μg/mLである。
【0068】
種々の方法が、本明細書で提供される方法によって生成される抗腫瘍効果を評価するた
めに使用され得る。例えば、AKT、CD31、Ki67およびTUNELなどのバイオ
マーカーのレベルが、細胞死を評価するために、腫瘍材料において免疫組織化学を使用し
て測定され得る。
【0069】
本明細書に記載される方法は、例えば、第2の薬剤の送達と併せた組合せ治療のために
特に適切である。例えば、一部の実施形態では、個体における下部尿路の尿路上皮癌を処
置する方法であって、a)有効量の代謝拮抗物質(例えば、ヌクレオシドアナログ、例え
ば、ゲムシタビン)、およびb)有効量の第2の薬剤を個体に送達するステップを含み、
代謝拮抗物質(例えば、ヌクレオシドアナログ、例えば、ゲムシタビン)は、膀胱に局所
的に送達される、方法が提供される。一部の実施形態では、第2の薬剤は、代謝拮抗物質
送達が開始される時点で送達される。一部の実施形態では、第2の薬剤は、代謝拮抗物質
送達が開始される前に送達される。一部の実施形態では、第2の薬剤は、代謝拮抗物質送
達が開始された後に送達される。一部の実施形態では、第2の薬剤は、代謝拮抗物質送達
が終結された後に送達される。代謝拮抗物質送達期間と第2の薬剤送達期間とは、互いに
重複してもしなくてもよい。
【0070】
代謝拮抗物質および第2の薬剤は、異なる経路を介して送達され得る。例えば、一部の
実施形態では、第2の薬剤は、全身的に送達される。一部の実施形態では、第2の薬剤は
、局所的に送達される。一部の実施形態では、第2の薬剤は、第2の薬剤送達期間の第1
の時期において全身的に送達され、その後、第2の薬剤送達期間の第2の時期における局
所的送達が続く。一部の実施形態では、第2の薬剤は、第2の薬剤送達期間の第1の時期
において局所的に送達され、その後、第2の薬剤送達期間の第2の時期における全身的送
達が続く。第2の薬剤送達期間の第1の時期および第2の薬剤送達期間の第2の時期は、
一部の実施形態では、例えば、少なくとも約1、2、3、4、5、6または7日間のいず
れかによって分離され得る。一部の実施形態では、第2の薬剤送達期間の第1の時期およ
び第2の薬剤送達期間の第2の時期は、一部の実施形態では、少なくとも約1、2、3、
4、5、6または7週間のいずれかによって分離され得る。
【0071】
一部の実施形態では、代謝拮抗物質および第2の薬剤は、同じまたは異なる投与経路の
いずれかを介して同時に送達される。
【0072】
一部の実施形態では、代謝拮抗物質および第2の薬剤は、単一の送達デバイス、例えば
、本明細書に記載される送達デバイスのいずれかを介して送達される。例えば、デバイス
は、一方が代謝拮抗物質用のものであり、他方が第2の薬剤用のものである、2つの別々
のチャンバを含み得る。あるいは、代謝拮抗物質および第2の薬剤は、例えば互いに混合
されて、同じチャンバ中に存在する。一部の実施形態では、代謝拮抗物質および第2の薬
剤は、同じ放出速度で送達される。一部の実施形態では、代謝拮抗物質および第2の薬剤
は、異なる放出速度で送達される。異なる放出速度は、例えば、薬物送達プロファイルを
調整するために、特定の設計の送達デバイスを採用することによって、達成され得る。一
部の実施形態では、代謝拮抗物質および第2の薬剤が(例えば、同じ送達デバイスを介し
て)同時に送達される場合、この方法は、さらなる用量の第2の薬剤の投与をさらに含み
得る。これは、例えば、第2の薬剤の全身的または局所的送達によって達成され得る。
【0073】
第2の薬剤は、本明細書に記載される方法に適切な任意の治療剤であり得る。一部の実
施形態では、第2の薬剤は、化学療法剤、例えば、パクリタキセル、ドセタキセル、カル
ボプラチン、シスプラチンおよびオキサリプラチンからなる群から選択される化学療法剤
である。
【0074】
一部の実施形態では、下部尿路の尿路上皮癌を処置する方法であって、代謝拮抗物質(
例えば、ゲムシタビン)をBCGと組み合わせて膀胱に局所的に投与するステップを含む
方法が、本明細書で提供される。これらの実施形態の一部では、この方法は、24時間~
3週間にわたってゲムシタビンを個体の膀胱に局所的に送達するステップ、およびBCG
を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供されるものは、ゲムシ
タビンと組み合わせてBCGを個体に投与するステップを含まない。
【0075】
一部の実施形態では、第2の薬剤は免疫調節性薬剤である。例えば、一部の実施形態で
は、個体における下部尿路の尿路上皮癌を処置する方法であって、a)有効量の代謝拮抗
物質(例えば、ヌクレオシドアナログ、例えば、ゲムシタビン)およびb)有効量の免疫
調節性薬剤を個体に投与するステップを含み、代謝拮抗物質(例えば、ヌクレオシドアナ
ログ、例えば、ゲムシタビン)は、膀胱に局所的に送達される、方法が提供される。一部
の実施形態では、免疫調節性薬剤は、PD-L1、CTLA4、PD-L2、PD-1、
B7-H3、B7-H4、HVEM、BおよびTリンパ球アテニュエータ(BTLA)、
キラー阻害受容体(KIR)、GAL9、TIM3、A2AR、LAG-3、ホスファチ
ジルセリン、CD27、TNF-α、CD33、Siglec-5、Siglec-7、
Siglec-9ならびにSiglec-11からなる群から選択される免疫チェックポ
イントタンパク質の阻害剤が含まれるがこれらに限定されない免疫チェックポイント阻害
剤である。一部の実施形態では、免疫調節性薬剤は、CD40、OX40、ICOS、C
D28、CD137/4-1BB、CD27、IL-10、TGF-ベータ、TOR受容
体およびグルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質GITRからなる群から選択
される共刺激免疫分子が含まれるがこれらに限定されない共刺激免疫分子のアゴニストで
ある。
【0076】
一部の実施形態では、個体は、放射線治療を受けない。一部の実施形態では、この方法
は、放射線治療をさらに含む。一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、ネオアジュバント
状況で送達される。一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、アジュバント状況で送達され
る。一部の実施形態では、この方法は、手術を含む第3の治療をさらに含み、個体への代
謝拮抗物質の送達は、手術の時点で、手術前に、または手術後に開始され得る。一部の実
施形態では、個体への代謝拮抗物質の送達は、膀胱鏡検査の間に開始される。
【0077】
本明細書に記載される代謝拮抗物質(および、一部の実施形態では、第2の薬剤)の送
達は、一部の実施形態では、膀胱腔内(膀胱内)送達デバイスを使用して実施され得る。
種々の膀胱腔内(膀胱内)送達デバイスが本明細書に記載される。一部の実施形態では、
膀胱腔内(膀胱内)デバイスは、膀胱腔内(膀胱内)挿入のために構成されたハウジング
;および代謝拮抗物質を含む投薬形態を含み、ハウジングは、投薬形態を保持し、尿路上
皮癌の処置に有効な量で代謝拮抗物質を放出するように構成されている。一部の実施形態
では、膀胱腔内(膀胱内)薬物送達デバイスは、代謝拮抗物質を含み、それを制御可能に
放出し、個体の膀胱においてデバイスを保持するように構成された保持形状と個体の尿道
を通じたデバイスの通過のためのデプロイメント形状との間で弾性的に変形可能であるハ
ウジングを含む。一部の実施形態では、デバイスは、第1の壁(例えば、円柱状壁)およ
び第2の壁(例えば、ディスク形状の壁)を境界とした薬物リザーバー管腔を含み、第1
の壁は、薬物に対して不透過性であり、第2の壁は、代謝拮抗物質に対して透過性である
。第1の壁が代謝拮抗物質に対して不透過性であり、第2の壁が代謝拮抗物質に対して透
過性である一部の他の実施形態では、第1の壁と第2の壁とは、互いに隣接し、一緒にな
って、薬物リザーバー管腔を規定する環状チューブを形成する。これらの実施形態の一部
では、第2の壁は、第1の壁の構造の長さの少なくとも一部分に延びる条片の形態である
。一部の実施形態では、デバイスは、少なくとも2つの薬物リザーバー管腔を含み、一部
の実施形態では、各リザーバーは、その内に含まれる異なる薬物を含む。
【0078】
代謝拮抗物質は、望ましい薬物放出プロファイルに依存して、浸透圧または拡散によっ
てデバイスから放出され得る。一部の実施形態では、ハウジング中に含まれる代謝拮抗物
質は、非液体形態であり、例えば、非液体形態は、錠剤、顆粒、半固体、粉末、カプセル
およびそれらの組合せからなる群から選択される。種々の非液体形態の薬物コアは、本明
細書にさらに記載される。
【0079】
一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、受動輸送を介して送達される。一部の実施形態
では、受動輸送は、促進輸送である。
【0080】
一部の実施形態では、下部尿路の尿路上皮癌は、膀胱がんである。例えば、一部の実施
形態では、個体における膀胱がんを処置する方法であって、a)有効量の代謝拮抗物質(
例えば、ヌクレオシドアナログ、例えば、ゲムシタビン)、および任意選択でb)有効量
の第2の薬剤(例えば、免疫調節性薬剤)を個体に投与するステップを含み、代謝拮抗物
質(例えば、ヌクレオシドアナログ、例えば、ゲムシタビン)は、膀胱に局所的に送達さ
れる、方法が提供される。一部の実施形態では、膀胱がんは、局所的に進行した膀胱がん
または転移性膀胱がんである。一部の実施形態では、膀胱がんは筋浸潤性膀胱がんである
。一部の実施形態では、膀胱がんは非筋浸潤性膀胱がんである。一部の実施形態では、膀
胱がんは上皮内癌である。一部の実施形態では、膀胱がんは、BCG(カルメット・ゲラ
ン桿菌)不応性がんまたは乳頭状膀胱がんである。
【0081】
本明細書に記載される個体は、哺乳動物、好ましくはヒトであり得る。一部の実施形態
では、個体は、全身的治療に不適切である。一部の実施形態では、個体は、損なわれた免
疫系を有する。一部の実施形態では、個体は、化学療法的治療に対して耐性または化学療
法的治療に不適切である。一部の実施形態では、個体は、他のがん免疫療法に対して耐性
または他のがん免疫療法に不適切である。一部の実施形態では、個体は、低い好中球数を
有する。一部の実施形態では、個体は、シスプラチンベースの組合せ治療に不適格である
。一部の実施形態では、個体は、膀胱への事前の放射線治療を受けていない。一部の実施
形態では、個体は、膀胱切除術を受けるのを嫌がる、または膀胱切除術を受けることがで
きない。一部の実施形態では、個体は、代謝拮抗物質による処置の後に、膀胱切除術を受
けてもよい。
【0082】
一部の実施形態では、免疫チェックポイントタンパク質のレベルは、本明細書に記載さ
れる方法を用いた処置のために個体を選択するための根拠として使用される。一部の実施
形態では、個体は、高レベルの免疫チェックポイントタンパク質(例えば、PD-L1)
を有する。一部の実施形態では、個体は、低レベルの免疫チェックポイントタンパク質(
例えば、PD-L1)を有する。一部の実施形態では、個体は、免疫チェックポイントタ
ンパク質(例えば、PD-L1)のレベルに基づいて、処置のために選択される。一部の
実施形態では、個体は、その個体が高レベルの免疫チェックポイントタンパク質(例えば
、PD-L1)を有すると決定される場合に、処置のために選択される。一部の実施形態
では、個体は、その個体が低レベルの免疫チェックポイントタンパク質(例えば、PD-
L1)を有する場合に、処置のために選択される。
【0083】
一部の実施形態では、ヌクレオシド輸送体のレベルが、本明細書に記載される方法を用
いた処置のために個体を選択するための根拠として使用される。一部の実施形態では、個
体は、高レベルのヌクレオシド輸送体(例えば、hENT1)を有する。一部の実施形態
では、個体は、低レベルのヌクレオシド輸送体(例えば、hENT1)を有する。一部の
実施形態では、個体は、ヌクレオシド輸送体(例えば、hENT1)のレベルに基づいて
、処置のために選択される。一部の実施形態では、個体は、その個体が高レベルのヌクレ
オシド輸送体(例えば、hENT1)を有すると決定される場合に、処置のために選択さ
れる。一部の実施形態では、個体は、その個体が低レベルのヌクレオシド輸送体(例えば
、hENT1)を有する場合に、処置のために選択される。
【0084】
本明細書に記載される方法の有効性は、種々の方法によって評価され得る。例えば、処
置の方法について、方法の有効性は、腫瘍成長、腫瘍縮小または生存によって評価され得
る。一部の実施形態では、方法の有効性は、1つまたは複数のマーカーのレベルに基づい
て評価される。例えば、方法の有効性は、TGF-ベータまたはIL-10のレベルに基
づいて決定され得る。一部の実施形態では、方法の有効性は、尿中の代謝拮抗物質および
その代謝産物の比に基づいて評価され得る。例えば、代謝拮抗物質がゲムシタビンである
場合、方法の有効性は、尿中のゲムシタビンおよびその代謝物(例えば、dFdU)の比
に基づいて評価され得る。がん処置について、閾値を下回る比は、有効性を示し得る。
【0085】
一部の実施形態では、炎症促進性サイトカイン産生は増加し得、抗炎症性サイトカイン
産生は減少し得る。炎症促進性サイトカインの量は、膀胱において局所的に、または全身
的に増加し得、同様に、抗炎症性サイトカインの量は、膀胱において局所的に、または全
身的に減少し得る。例えば、一部の実施形態では、IL-10のレベルが増加する。一部
の実施形態では、TGFβのレベルが減少する。一部の実施形態では、インターフェロン
ガンマ(IFN-γ)のレベルが増加する。
【0086】
サプレッサーT細胞またはT-regとしても公知の調節性T細胞は、T細胞の免疫抑
制性集団である。がんでは、調節性T細胞は、腫瘍微小環境に動員され、エフェクターT
細胞を抑制し、腫瘍に対する身体の免疫応答を減少させる免疫抑制性の腫瘍微小環境を提
供する。調節性T細胞は、抗炎症性サイトカインの細胞分泌によって、それらの免疫抑制
機能を実行する。
【0087】
したがって、一実施形態では、本方法は、代謝拮抗物質(例えば、ヌクレオシドアナロ
グ、例えば、ゲムシタビン)の投与の際に、調節性T細胞の数、レベルまたは百分率を減
少させることによって、下部尿路の尿路上皮癌の処置を促進する。当業者は、試料中の調
節性T細胞の存在を測定するための種々の方法、例えば、関連するマーカーについて免疫
組織化学的に染色すること、またはフローサイトメトリーもしくはFACS分析を実施す
ることを認識するであろう。調節性T細胞のレベルまたは百分率はまた、CD4+CD2
5-である従来のT細胞と比較して、相対的に減少し得る。
【0088】
さらに、またはあるいは、調節性T細胞の活性は、代謝拮抗物質の送達の際に減少し得
る。機能的アッセイ、例えば、サイトカイン放出が、調節性T細胞の活性を測定するため
に使用され得る。
【0089】
調節性T細胞の数、レベル、量または活性は、例えば、膀胱、腫瘍微小環境、または局
所リンパ節において、局所的に減少し得る。調節性T細胞の数、レベル、量または活性は
、全身的にも減少し得る。
【0090】
細胞傷害性T細胞は、MHCクラスI分子と会合した抗原に結合することによって標的
を認識するCD8+T細胞である。細胞傷害性T細胞は、感染細胞または損傷細胞を認識
し、カスパーゼカスケードを介してそのアポトーシスを誘導し、身体の抗がん応答におい
て重要な役割を果たすと認識されている。代謝拮抗物質の送達の際に、細胞傷害性T細胞
のレベル、数および/または活性は増加して、身体の抗がん応答を促進し得る。例えば、
細胞傷害性T細胞の相対的レベルは、抑制性調節性T細胞と比較して増加し得、これは、
FACS分析によって決定され得る。さらに、またはあるいは、細胞傷害性T細胞の活性
は増加し得、これは、機能的アッセイを使用して測定され得る。
【0091】
活性化されたエフェクターCD4+T細胞もまた、炎症促進性サイトカイン、タンパク
質またはペプチドを分泌することによって、炎症応答を生じさせることにおいて重要な役
割を果たし、身体の抗がん応答において重要な役割を果たすと認識されている。代謝拮抗
物質の送達の際に、エフェクターCD4+T細胞のレベル、数および/または活性は増加
して、身体の抗がん応答を促進し得る。例えば、エフェクターCD4+T細胞の相対的レ
ベルは、抑制性調節性T細胞と比較して増加し得、これは、FACS分析によって決定さ
れ得る。さらに、またはあるいは、エフェクターCD4+T細胞の活性は増加し得、これ
は、機能的アッセイを使用して測定され得る。
【0092】
一部の実施形態では、調節性T細胞のレベルは、細胞傷害性T細胞およびエフェクター
T細胞の両方のレベルと比較して減少する。一部の実施形態では、調節性T細胞のレベル
は、活性化された従来のCD4+/CD25-T細胞(Tcon)のレベルと比較して減
少する。
免疫チェックポイント阻害剤
【0093】
免疫調節性薬剤は、チェックポイント阻害剤をモジュレートする薬剤であり得る。免疫
チェックポイントタンパク質は、免疫応答を調節することにおいて役割を果たすシグナル
伝達タンパク質である。一部のチェックポイント阻害剤は、細胞外シグナル伝達に応答す
る細胞の表面上に位置する受容体である。例えば、多くのチェックポイントが、リガンド
-受容体相互作用によって開始される。活性化されると、チェックポイントタンパク質は
、調節性T細胞の活性化および細胞傷害性またはキラーT細胞の阻害を含み得る抗炎症応
答を生成する。がん細胞は、免疫細胞による認識を回避するための方法として、チェック
ポイントタンパク質を発現することが示されている。したがって、チェックポイント阻害
剤は、がん細胞を死滅させるために個体における免疫系を活性化するために使用され得る
。Pardoll、Nature Reviews Cancer 12巻、252~264頁(2012年)。
【0094】
例示的なチェックポイント阻害剤には、PD-L1、CTLA4、PD-L2、PD-
1、B7-H3、B7-H4、HVEM、BおよびTリンパ球アテニュエータ(BTLA
)、キラー阻害受容体(KIR)、GAL9、TIM3、A2AR、LAG-3、ホスフ
ァチジルセリン、CD27、TNF-α、CD33、Siglec-5、Siglec-
7、Siglec-9ならびにSiglec-11の阻害剤が含まれる。
【0095】
CTLA-4シグナル伝達は、特に、強いT細胞応答の間に、T細胞活性化を阻害する
。抗CTLA-4モノクローナル抗体などのCTLA-4阻害剤を使用するCTLA-4
遮断は、阻害シグナルの抑制が抗腫瘍T細胞応答の生成を生じるので、より大きい魅力を
有している。臨床データおよび前臨床データの両方が、CTLA-4遮断がCD4+およ
びCD8+エフェクター細胞の直接的活性化を生じることを示しており、抗CTLA-4
モノクローナル抗体治療は、いくつかのがん、特に黒色腫において有望さを示している。
Leachら、Science、271巻:1734~1736頁(1996年);Wolchokら、Oncol
ogist、13巻:補遺4:2~9頁(2008年)。
【0096】
CTLA-4シグナル伝達と同様に、PD-1/PD-L1は、T細胞応答をモジュレ
ートする。PD-1を発現するTregは、免疫阻害剤応答を有することが示されており
、したがって、PD-1/PD-L1発現は、自己寛容において役割を果たすと考えられ
る。がんに関して、腫瘍細胞は、免疫系による認識を逃れるために、PD-1およびPD
-L1を過剰発現する。PD-L1/PD-1を遮断する抗がん治療は、エフェクターT
細胞活性を増加させ、抑制性Treg活性を減少させて、個体の免疫系による腫瘍の認識
および破壊を可能にする。
【0097】
種々のチェックポイント阻害剤が使用され得る。例えば、チェックポイント阻害剤は、
チェックポイント阻害剤タンパク質に結合しそれをアンタゴナイズする抗体であり得る。
例示的な抗体には、抗PD1抗体(ニボルマブ、ペンブロリズマブ(pembrilizomab)、
ピディリズマブ)、抗PD-L1抗体(アテゾリズマブ、BMS-936559、MPD
L-3280A、MEDI7436、AMP224)、抗CTLA4抗体(イピリムマブ
、トレメリムマブ)などが含まれる。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤アン
タゴニストは、チェックポイント阻害剤を標的化する小分子またはRNAiであり得る。
一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、ペプチド模倣物またはポリペプチドで
あり得る。
免疫共刺激分子アゴニスト
【0098】
免疫調節性薬剤はまた、免疫共刺激分子アゴニストであり得る。免疫共刺激分子は、免
疫応答を調節する際に役割を果たすシグナル伝達タンパク質である。一部の免疫共刺激分
子は、細胞外シグナル伝達に応答する細胞の表面上に位置する受容体である。活性化され
ると、免疫共刺激分子は、調節性T細胞の抑制および細胞傷害性またはキラーT細胞の活
性化を含み得る炎症促進応答を生成する。したがって、免疫共刺激分子アゴニストは、が
ん細胞を死滅させるために個体における免疫系を活性化するために使用され得る。
【0099】
例示的な免疫共刺激分子には、CD40、OX40、ICOS、CD28、CD137
/4-1BB、CD27およびグルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質GIT
Rのいずれかが含まれる。例えば、OX40刺激は、エフェクターT細胞の生存および活
性を増強しつつ、T reg細胞機能を抑制し、それによって抗腫瘍免疫を増加させる。
【0100】
種々の免疫共刺激分子アゴニストが使用され得る。例えば、免疫共刺激分子アゴニスト
は、免疫共刺激分子に結合しそれを活性化する抗体であり得る。一部の実施形態では、免
疫共刺激分子は、CD40、OX30またはGITRに対するアゴニスト抗体であり得る
。さらなる実施形態では、免疫共刺激分子アゴニストは、免疫共刺激分子を標的化しそれ
を活性化する小分子であり得る。
投薬レジメン
【0101】
以下のセクションは、投薬および処置領域の種々の態様(実施形態)を記載し、その全
てがもれなく、本明細書に記載される方法に適用される。
【0102】
一部の実施形態では、本発明は、個体の下部尿路の尿路上皮癌を処置する方法であって
、代謝拮抗物質(例えば、ヌクレオシドアナログ、例えば、ゲムシタビン)を個体の膀胱
に局所的に送達するステップを含む方法を含む。種々の方法が、代謝拮抗物質を送達する
ために使用され得る。一実施形態では、薬物は、膀胱中への単純な溶液の直接的注入によ
って提供され得る。例えば、薬物の溶液は、処置期間にわたって持続的またはパルス様式
で、尿道または恥骨上カテーテルを介して膀胱中にポンピングされ得る。別の実施形態で
は、薬物は、膀胱中に配置されたデバイスまたは組成物から放出され、デバイスまたは組
成物は、特定された処置期間にわたって尿中の薬物の所望の濃度を生成するために有効な
速度で、薬物を持続的に放出する。例えば、薬物は、膀胱の尿中に、膀胱内挿入されたデ
バイスから放出され得、次いで、薬物は、尿から膀胱中に拡散する。処置期間の最後に、
デバイスは、膀胱から回収され得、または再吸収、溶解、排出されることもしくはそれら
の組合せによって、取り除かれ得る。
【0103】
一部の実施形態では、代謝拮抗物質(例えば、ヌクレオシドアナログ、例えば、ゲムシ
タビン)は、膀胱に持続的に送達される。一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、膀胱中
に持続的に送達される。一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、少なくとも約6、少なく
とも約12、少なくとも約18、少なくとも約24、少なくとも約36、少なくとも約4
8、少なくとも約60または少なくとも約72時間の期間をかけて、膀胱中に持続的に送
達される。一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、少なくとも約1日間、少なくとも約2
日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6
日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約1
0日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間または少
なくとも約14日間にわたって膀胱に送達される。一部の実施形態では、代謝拮抗物質は
、約1日間~約14日間、約2日間~約14日間、約3日間~約10日間、約4日間~約
8日間または約5日間~約7日間の期間をかけて膀胱に送達される。一部の実施形態では
、代謝拮抗物質は、約7日間の期間をかけて膀胱に送達される。一部の実施形態では、ゲ
ムシタビンは、約1~約30日間の期間をかけて膀胱に送達される。一部の実施形態では
、代謝拮抗物質は、約30日間の期間をかけて膀胱に送達される。
【0104】
一部の実施形態では、処置レジメンの1~7および21~28日目にゲムシタビンを膀
胱に送達するステップを含む方法が、本明細書で提供される。
【0105】
一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、膀胱の尿中に持続的に送達される。
【0106】
一部の実施形態では、有効量の代謝拮抗物質が、個体の膀胱に局所的に送達される。例
えば、代謝拮抗物質は、約1mg/日~約300mg/日の用量で送達され得る。一部の
実施形態では、代謝拮抗物質は、約5mg/日~約250mg/日、約10mg/日~約
200mg/日、約15mg/日~約100mg/日または約15mg/日~約50mg
/日の用量で送達される。一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、約1mg/日、約5m
g/日、約10mg/日、約15mg/日、約20mg/日、約23mg/日、約25m
g/日、約30mg/日、約35mg/日、約40mg/日、約45mg/日、約50m
g/日、約55mg/日、約60mg/日、約75mg/日、約100mg/日、約12
5mg/日、約150mg/日、約200mg/日、約250mg/日または約300m
g/日の用量で送達される。
【0107】
送達期間の間に個体に送達される代謝拮抗物質の総量は、約50mg~約1000mg
、約75mg~約750mg、約100mg~約500mg、約200mg~約400m
gまたは約100mg~約200mgの範囲であり得る。一部の実施形態では、約225
mgの代謝拮抗物質が、個体に送達される。一部の実施形態では、約100~約225m
gのゲムシタビン(例えば、約140mg、約160mg、約180mg、約200mg
または約220mgの代謝拮抗物質)が、7日間かけて個体に送達される。一部の実施形
態では、約100~約225mgのゲムシタビン(例えば、約140mg、約160mg
、約180mg、約200mgまたは約220mgの代謝拮抗物質)が、3週間かけて個
体に送達される。一部の実施形態では、約100~約225mgのゲムシタビン(例えば
、約140mg、約160mg、約180mg、約200mgまたは約220mgのゲム
シタビン)が、3週間かけて個体に投与される。一部の実施形態では、225mgのゲム
シタビンが、7日間にわたって個体に投与される。一部の実施形態では、225mgのゲ
ムシタビンが、3週間にわたって個体に投与される。
【0108】
一部の実施形態では、尿中の代謝拮抗物質の濃度は、代謝拮抗物質送達期間の間約0.
1μg/mL~約200μg/mLである。一部の実施形態では、尿中の代謝拮抗物質の
濃度は、約1.0μg/mL~約100μg/mL、約5.0μg/mL~約90μg/
mL、約10μg/mL~約80μg/mL、約20μg/mL~約70μg/mLまた
は約30μg/mL~約50μg/mLである。一部の実施形態では、尿中の代謝拮抗物
質の濃度は、約1.0μg/mL、約5μg/mL、約10μg/mL、約15μg/m
L、約20μg/mL、約25μg/mL、約30μg/mL、約40μg/mL、約5
0μg/mL、約60μg/mL、約70μg/mL、約80μg/mL、約90μg/
mLまたは約100μg/mLである。
【0109】
尿中の代謝拮抗物質の濃度は、膀胱排泄サイクルの過程にわたって、膀胱中の尿の量に
依存して変動し得る。例えば、膀胱の内容物が排泄された後、尿中の代謝拮抗物質の濃度
は、約50μg/mL~約100μg/mLであり得る。他方、排泄の直前には、尿中の
代謝拮抗物質の濃度は、より低く、例えば、約0.1μg/mL~約10μg/mLであ
り得る。一部の実施形態では、排泄サイクルにわたる代謝拮抗物質の平均濃度は、約1.
0μg/mL、約5μg/mL、約10μg/mL、約15μg/mL、約20μg/m
L、約25μg/mL、約30μg/mL、約40μg/mL、約50μg/mL、約6
0μg/mL、約70μg/mL、約80μg/mL、約90μg/mLまたは約100
μg/mLである。一部のバリエーションでは、排泄サイクルにわたる代謝拮抗物質の最
大濃度は、約25μg/mL~約250μg/mL、約50μg/mL~約200μg/
mLまたは約100μg/mL~約200μg/mLである。一部の実施形態では、排泄
サイクルにわたる代謝拮抗物質の最小濃度は、約0.1μg/mL~約20μg/mL、
約0.1μg/mL~約10μg/mLまたは約1μg/mL~約5μg/mLである。
【0110】
本明細書で提供される方法の1つの利点は、治療有効量の代謝拮抗物質が、代謝拮抗物
質の送達が終結された後に、尿中に存続することである。例えば、一部の実施形態では、
尿中の代謝拮抗物質の濃度は、代謝拮抗物質の送達が終結された後、少なくとも約1日間
、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間
、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間
、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約
13日間または少なくとも約14日間にわたって、約1μg/mLよりも高い。一部の実
施形態では、尿中の代謝拮抗物質の濃度は、1日間と14日間との間、1日間~10日間
の間、2日間と9日間との間または3日間と8日間との間にわたって、約1μg/mLよ
りも高い。一部の実施形態では、尿中の代謝拮抗物質の濃度は、代謝拮抗物質の送達が終
結された後、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくと
も約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくと
も約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少な
くとも約12日間、少なくとも約13日間または少なくとも約14日間にわたって、約5
μg/mLよりも高い。一部の実施形態では、尿中の代謝拮抗物質の濃度は、代謝拮抗物
質の送達が終結された後、1日間と14日間との間、1日間~10日間の間、2日間と9
日間との間または3日間と8日間との間にわたって、約5μg/mLよりも高い。一部の
実施形態では、尿中の代謝拮抗物質の濃度は、代謝拮抗物質の送達が終結された後、少な
くとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少な
くとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少な
くとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間
、少なくとも約13日間または少なくとも約14日間にわたって、約10μg/mLより
も高い。一部の実施形態では、尿中の代謝拮抗物質の濃度は、代謝拮抗物質の送達が終結
された後、1日間と14日間との間、1日間~10日間の間、2日間と9日間との間また
は3日間と8日間との間にわたって、約1μg/mLよりも高い。
【0111】
本明細書で提供される方法の別の利点は、顕著な量の代謝拮抗物質が個体の血漿中に存
在しないように、代謝拮抗物質が個体の膀胱に局所的に送達されることである。一部の実
施形態では、個体の血漿中の代謝拮抗物質の濃度は、約5μg/mL未満、約3μg/m
L未満、約1μg/mL未満、約0.5μg/mL未満、約0.1μg/mL未満、約0
.001μg/mL未満または約0.0001μg/mL未満である。
【0112】
代謝拮抗物質は膀胱に局所的に送達されるので、代謝拮抗物質の送達の際に、個体の尿
中に存在する代謝拮抗物質の濃度は、血漿よりも高く、これは、代謝拮抗物質の副作用を
低減させるために有益であり得る。例えば、膀胱への代謝拮抗物質の局所的送達は、全身
的化学療法によって引き起こされる、減少した好中球減少症、リンパ浮腫、貧血、血小板
減少症、疲労、疼痛、毛髪脱落、生殖機能不全または記憶障害を生じ得る。例えば、一部
の実施形態では、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度対個体の血漿中の代謝拮抗物質の濃度
の比は、約100:1よりも大きい、約200:1よりも大きい、約300:1よりも大
きい、約400:1よりも大きい、約500:1よりも大きい、約600:1よりも大き
い、約700:1よりも大きい、または約1000:1よりも大きい。
【0113】
代謝拮抗物質を1回よりも多く膀胱に局所的に送達することが有利であり得る。例えば
、一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも
4回、少なくとも5回または少なくとも10回、個体の膀胱に局所的に送達される。一部
の実施形態では、代謝拮抗物質は、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4
週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間または少なくとも8週間の期間をかけて、複
数回送達される。一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、少なくとも1ヶ月間、少なくと
も2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくと
も6ヶ月間、少なくとも12ヶ月間または少なくとも18ヶ月間の期間をかけて、複数回
送達される。例えば、一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、2回、3回、4回、5回ま
たは10回、個体の膀胱に局所的に送達される。一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、
1ヶ月間、1ヶ月間~18ヶ月間、2ヶ月間~18ヶ月間、3ヶ月間~18ヶ月間、1ヶ
月間~6ヶ月間または1ヶ月間~2ヶ月間の期間をかけて、複数回送達される。一部の実
施形態では、代謝拮抗物質は、膀胱に局所的に4回送達される。これらの実施形態の一部
では、代謝拮抗物質は、個体の膀胱に局所的に4回送達され、各代謝拮抗物質送達期間は
、3週間である。一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、12週間にわたって個体の膀胱
に局所的に送達される。
【0114】
一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、少なくとも1ヶ月間かけて複数回送達され、各
代謝拮抗物質送達期間は少なくとも1日間である。一部の実施形態では、代謝拮抗物質は
、少なくとも1ヶ月間の期間をかけて少なくとも2回送達される。一部の実施形態では、
代謝拮抗物質は、少なくとも1ヶ月間の期間をかけて少なくとも3回送達される。一部の
実施形態では、代謝拮抗物質は、少なくとも1ヶ月間の期間をかけて少なくとも3回送達
される。一部の実施形態では、代謝拮抗物質は、少なくとも2ヶ月間の期間をかけて少な
くとも4回送達される。一部の実施形態では、代謝拮抗物質の各送達期間間の間隔(休薬
期間)は、約4週間以下、約3週間以下、約2週間以下または約1週間以下である。一部
の実施形態では、代謝拮抗物質は、少なくとも1ヶ月間かけて送達され、代謝拮抗物質の
各送達期間は、少なくとも1日間であり、各送達期間間の間隔(休薬期間)は、約1週間
以下である。一部の実施形態では、各送達期間間の間隔(休薬期間)は、3~50日間、
3~30日間、5~20日間または8~15日間である。一部の実施形態では、休薬期間
は、最大で4ヶ月間(例えば、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間または4ヶ月間)である。
【0115】
一態様では、代謝拮抗物質送達の期間は、休薬期間によって分離され得、その間は代謝
拮抗物質は送達されない。例えば、一部の実施形態では、この方法は、第1の代謝拮抗物
質送達期間;第1の代謝拮抗物質送達期間後の休薬期間;および休薬期間後の第2の送達
期間を含む。一部の実施形態では、この方法は、7日間の第1の代謝拮抗物質送達期間;
第1の代謝拮抗物質送達期間後の14日間の休薬期間;および7日間の第2の代謝拮抗物
質送達期間を含む。一部の実施形態では、この方法は、休薬期間なしに、3週間の第1の
代謝拮抗物質送達期間とその後の3週間の第2の代謝拮抗物質送達期間とを含む。
【0116】
個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、ゲムシタビンを7日間にわた
って個体の膀胱に局所的に送達するステップを含む方法が、本明細書で提供される。一部
の実施形態では、個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、ゲムシタビン
を7日間にわたって個体の膀胱に局所的かつ持続的に送達するステップを含む方法が、本
明細書で提供される。一部の実施形態では、個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方
法であって、ゲムシタビンを7日間にわたって個体の膀胱に局所的かつ持続的に送達する
ステップを含み、ゲムシタビンは、膀胱腔内(膀胱内)デバイスによって送達される、方
法が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、個体における筋浸潤性膀胱がんを処
置する方法であって、(i)ゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを個体の膀
胱中に配置するステップであって、デバイスは、7日間にわたって膀胱中に残存し、ゲム
シタビンは、膀胱に持続的に送達される、ステップを含む方法が、本明細書で提供される
。一部の実施形態では、個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、(i)
ゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを個体の膀胱中に配置するステップであ
って、デバイスは、7日間にわたって膀胱中に残存し、ゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀
胱内)デバイスは、ゲムシタビンを受動的に送達する、ステップを含む方法が、本明細書
で提供される。一部の実施形態では、個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であ
って、(i)0日目に、第1のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを個体の
膀胱中に配置するステップ、(ii)7日目に、第1のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀
胱内)デバイスを除去するステップ、(iii)21日目に、第2のゲムシタビン放出性
膀胱腔内(膀胱内)デバイスを個体の膀胱に配置するステップ、および(iv)28日目
に、第2のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを除去するステップを含む方
法が、本明細書で提供される。これらの実施形態の一部では、デバイスは、膀胱中への配
置前に、225mgのゲムシタビンを含む。
【0117】
個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、約100~500mgのゲム
シタビンを7日間かけて膀胱に局所的に送達するステップを含む方法もまた、本明細書で
提供される。一部の実施形態では、個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であっ
て、約100~約225mgのゲムシタビン(例えば、約140mg、約160mg、約
180mg、約200mgまたは約220mg)を7日間かけて膀胱に局所的かつ持続的
に送達するステップを含む方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、個体に
おける筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、ゲムシタビンを7日間にわたって個体
の膀胱に局所的かつ持続的に送達するステップを含み、ゲムシタビンは、膀胱腔内(膀胱
内)デバイスによって送達される、方法が、本明細書で提供される。
【0118】
一部の実施形態では、個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、(i)
ゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを個体の膀胱中に配置するステップであ
って、デバイスは、7日間にわたって膀胱中に残存し、デバイスは、225mgのゲムシ
タビンを含む、ステップを含む方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、個
体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、(i)0日目に、第1のゲムシタ
ビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを個体の膀胱中に配置するステップであって、第
1のゲムシタビン放出性デバイスは、225mgのゲムシタビンを含む、ステップ、(i
i)7日目に、第1のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを除去するステッ
プ、(iii)21日目に、第2のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを個
体の膀胱に配置するステップであって、第2のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デ
バイスは、225mgのゲムシタビンを含む、ステップ、および(iv)28日目に、第
2のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを除去するステップを含む方法が、
本明細書で提供される。
【0119】
個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、ゲムシタビンを3週間にわた
って個体の膀胱に局所的に送達するステップを含む方法が、本明細書で提供される。一部
の実施形態では、個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、ゲムシタビン
を3週間にわたって個体の膀胱に局所的かつ持続的に送達するステップを含む方法が、本
明細書で提供される。一部の実施形態では、個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方
法であって、ゲムシタビンを3週間にわたって個体の膀胱に局所的かつ持続的に送達する
ステップを含み、ゲムシタビンは、膀胱腔内(膀胱内)デバイスによって送達される、方
法が、本明細書で提供される。
【0120】
一部の実施形態では、個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、(i)
ゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを個体の膀胱中に配置するステップであ
って、ゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスは、3週間にわたって膀胱中に残
存し、ゲムシタビンは、膀胱に持続的に送達される、ステップを含む方法が、本明細書で
提供される。一部の実施形態では、個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であっ
て、(i)ゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを個体の膀胱中に配置するス
テップであって、ゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスは、3週間にわたって
膀胱中に残存し、ゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスは、ゲムシタビンを受
動的に送達する、ステップを含む方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、
個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、(i)第1のゲムシタビン放出
性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを個体の膀胱中に配置するステップであって、第1のゲム
シタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスは、3週間にわたって膀胱中に残存する、ス
テップ、(ii)第1のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを除去するステ
ップ、(iii)第1のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを膀胱に配置し
た3週間後に、第2のゲムシタビン放出性デバイスを個体の膀胱中に配置するステップで
あって、第2のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスは、3週間にわたって膀
胱中に残存する、ステップ、および(iv)第2のゲムシタビン放出性デバイスを除去す
るステップを含む方法が、本明細書で提供される。
【0121】
個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、225mgよりも多いゲムシ
タビンを3週間かけて膀胱に局所的に送達するステップを含む方法もまた、本明細書で提
供される。一部の実施形態では、個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって
、225mgよりも多いゲムシタビンを3週間かけて膀胱に局所的かつ持続的に送達する
ステップを含む方法が、本明細書で提供される。これらの実施形態の一部では、ゲムシタ
ビンの約80%は、第1の週に膀胱に送達され、ゲムシタビンの約20%は、第2および
第3の週に膀胱に送達される。一部の実施形態では、個体における筋浸潤性膀胱がんを処
置する方法であって、225mgよりも多いゲムシタビンを3週間にわたって個体の膀胱
に局所的かつ持続的に送達するステップを含み、ゲムシタビンは、膀胱腔内(膀胱内)デ
バイスによって送達される、方法が、本明細書で提供される。
【0122】
個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、約225mgのゲムシタビン
を3週間かけて膀胱に局所的に送達するステップを含む方法もまた、本明細書で提供され
る。一部の実施形態では、個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、約2
25mgのゲムシタビンを3週間かけて膀胱に局所的かつ持続的に送達するステップを含
む方法が、本明細書で提供される。これらの実施形態の一部では、ゲムシタビンの約80
%は、第1の週に膀胱に送達され、ゲムシタビンの約20%は、第2および第3の週に膀
胱に送達される。一部の実施形態では、個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法で
あって、約225mgのゲムシタビンを3週間にわたって個体の膀胱に局所的かつ持続的
に送達するステップを含み、ゲムシタビンは、膀胱腔内(膀胱内)デバイスによって送達
される、方法が、本明細書で提供される。
【0123】
一部の実施形態では、個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、(i)
ゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを個体の膀胱中に配置するステップであ
って、デバイスは、3週間にわたって膀胱中に残存し、デバイスは、225mgのゲムシ
タビンを含む、ステップを含む方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、個
体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、(i)ゲムシタビン放出性膀胱腔
内(膀胱内)デバイスを個体の膀胱中に配置するステップであって、デバイスは、3週間
にわたって膀胱中に残存し、ゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスは、約22
5mgのゲムシタビンを受動的に送達する、ステップを含む方法が、本明細書で提供され
る。一部の実施形態では、個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、(i
)第1のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを個体の膀胱中に配置するステ
ップであって、第1のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスは、3週間にわた
って膀胱中に残存し、第1のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスは、225
mgのゲムシタビンを含む、ステップ、(ii)第1のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀
胱内)デバイスを除去するステップ、(iii)第1のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀
胱内)デバイスを膀胱に配置した3週間後に、第2のゲムシタビン放出性デバイスを個体
の膀胱中に配置するステップであって、第2のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デ
バイスは、3週間にわたって膀胱中に残存し、第2のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱
内)デバイスは、225mgのゲムシタビンを含む、ステップ、および(iv)第2のゲ
ムシタビン放出性デバイスを除去するステップを含む方法が、本明細書で提供される。
【0124】
一部の実施形態では、個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、(i)
ゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを個体の膀胱中に配置するステップであ
って、デバイスは、3週間にわたって膀胱中に残存し、合計で225mgよりも多いゲム
シタビンは、膀胱に持続的に送達される、ステップを含む方法が、本明細書で提供される
。一部の実施形態では、個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、(i)
ゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを個体の膀胱中に配置するステップであ
って、デバイスは、3週間にわたって膀胱中に残存し、ゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀
胱内)デバイスは、225mgよりも多いゲムシタビンを受動的に送達する、ステップを
含む方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、個体における筋浸潤性膀胱が
んを処置する方法であって、(i)第1のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイ
スを個体の膀胱中に配置するステップであって、第1のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀
胱内)デバイスは、3週間にわたって膀胱中に残存し、第1のゲムシタビン放出性膀胱腔
内(膀胱内)デバイスは、225mgよりも多いゲムシタビンを膀胱に送達する、ステッ
プ、(ii)第1のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを除去するステップ
、(iii)第1のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを膀胱に配置した3
週間後に、第2のゲムシタビン放出性デバイスを個体の膀胱中に配置するステップであっ
て、第2のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスは、3週間にわたって膀胱中
に残存し、第2のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスは、225mgよりも
多いゲムシタビンを膀胱に送達する、ステップ、および(iv)第2のゲムシタビン放出
性デバイスを除去するステップを含む方法が、本明細書で提供される。
【0125】
個体における非筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、ゲムシタビンを7日間にわ
たって個体の膀胱に局所的に送達するステップを含む方法が、本明細書で提供される。一
部の実施形態では、個体における非筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、ゲムシタ
ビンを7日間にわたって個体の膀胱に局所的かつ持続的に送達するステップを含む方法が
、本明細書で提供される。一部の実施形態では、個体における非筋浸潤性膀胱がんを処置
する方法であって、ゲムシタビンを7日間にわたって個体の膀胱に局所的かつ持続的に送
達するステップを含み、ゲムシタビンは、膀胱腔内(膀胱内)デバイスによって送達され
る、方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、個体における非筋浸潤性膀胱
がんを処置する方法であって、(i)ゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを
個体の膀胱中に配置するステップであって、デバイスは、7日間にわたって膀胱中に残存
し、ゲムシタビンは、膀胱に持続的に送達される、ステップを含む方法が、本明細書で提
供される。一部の実施形態では、個体における非筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であっ
て、(i)0日目に、第1のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを個体の膀
胱中に配置するステップ、(ii)7日目に、第1のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱
内)デバイスを除去するステップ、(iii)21日目に、第2のゲムシタビン放出性膀
胱腔内(膀胱内)デバイスを個体の膀胱に配置するステップ、および(iv)28日目に
、第2のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを除去するステップを含む方法
が、本明細書で提供される。
【0126】
個体における非筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、約225mgのゲムシタビ
ンを7日間かけて膀胱に局所的に送達するステップを含む方法もまた、本明細書で提供さ
れる。一部の実施形態では、個体における非筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、
約100~約225mgのゲムシタビン(例えば、約140mg、約160mg、約18
0mg、約200mgまたは約220mgのゲムシタビン)を7日間かけて膀胱に局所的
かつ持続的に送達するステップを含む方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態で
は、個体における非筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、約100~約225mg
のゲムシタビン(例えば、約140mg、約160mg、約180mg、約200mgま
たは約220mgのゲムシタビン)を7日間にわたって個体の膀胱に局所的かつ持続的に
送達するステップを含み、ゲムシタビンは、膀胱腔内(膀胱内)デバイスによって送達さ
れる、方法が、本明細書で提供される。
【0127】
一部の実施形態では、個体における非筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、(i
)ゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを個体の膀胱中に配置するステップで
あって、デバイスは、7日間にわたって膀胱中に残存し、デバイスは、225mgのゲム
シタビンを含む、ステップを含む方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、
個体における非筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、(i)0日目に、第1のゲム
シタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを個体の膀胱中に配置するステップであって
、第1のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスは、225mgのゲムシタビン
を含む、ステップ、(ii)7日目に、第1のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デ
バイスを除去するステップ、(iii)21日目に、第2のゲムシタビン放出性膀胱腔内
(膀胱内)デバイスを個体の膀胱に配置するステップであって、第2のゲムシタビン放出
性デバイスは、225mgのゲムシタビンを含む、ステップ、および(iv)28日目に
、第2のゲムシタビン放出性膀胱腔内(膀胱内)デバイスを除去するステップを含む方法
が、本明細書で提供される。
【0128】
一部の実施形態では、この方法は、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度が約0.1μg/
mLよりも高い、第1の代謝拮抗物質送達期間;第1の代謝拮抗物質送達期間後の休薬期
間;および個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度が約0.1μg/mLよりも高い、休薬期間
後の第2の代謝拮抗物質送達期間を含む。一部の実施形態では、この方法は、個体の尿中
の代謝拮抗物質の濃度が約5μg/mLよりも高い、第1の代謝拮抗物質送達期間;第1
の代謝拮抗物質送達期間後の休薬期間;および個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度が約5μ
g/mLよりも高い、休薬期間後の第2の代謝拮抗物質送達期間を含む。一部の実施形態
では、この方法は、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度が約7μg/mLよりも高い、第1
の代謝拮抗物質送達期間;第1の代謝拮抗物質送達期間後の休薬期間;および個体の尿中
の代謝拮抗物質の濃度が約7μg/mLよりも高い、休薬期間後の第2の代謝拮抗物質送
達期間を含む。一部の実施形態では、この方法は、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度が約
10μg/mLよりも高い、第1の代謝拮抗物質送達期間;第1の代謝拮抗物質送達期間
後の休薬期間;および個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度が約10μg/mLよりも高い、
休薬期間後の第2の代謝拮抗物質送達期間を含む。一部の実施形態では、この方法は、個
体の尿中の代謝拮抗物質の濃度が約15μg/mLよりも高い、第1の代謝拮抗物質送達
期間;第1の代謝拮抗物質送達期間後の休薬期間;および個体の尿中の代謝拮抗物質の濃
度が約15μg/mLよりも高い、休薬期間後の第2の代謝拮抗物質送達期間を含む。
【0129】
一部の実施形態では、この方法は、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度が0.1~15μ
g/mLである、第1の代謝拮抗物質送達期間;第1の代謝拮抗物質送達期間後の休薬期
間;および個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度が0.1~15μg/mLである、休薬期間
後の第2の代謝拮抗物質送達期間を含む。一部の実施形態では、この方法は、個体の尿中
の代謝拮抗物質の濃度が1~15μg/mLである、第1の代謝拮抗物質送達期間;第1
の代謝拮抗物質送達期間後の休薬期間;および個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度が1~1
5μg/mLである、休薬期間後の第2の代謝拮抗物質送達期間を含む。一部の実施形態
では、この方法は、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度が3~10μg/mLである、第1
の代謝拮抗物質送達期間;第1の代謝拮抗物質送達期間後の休薬期間;および個体の尿中
の代謝拮抗物質の濃度が3~10μg/mLである、休薬期間後の第2の代謝拮抗物質送
達期間を含む。
【0130】
個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、休薬期間の少なくとも一部分の間、上昇し得る。
例えば、尿中の代謝拮抗物質の濃度は、休薬期間の少なくとも一部分にわたって、約1μ
g/mLよりも高くてもよい。一部の実施形態では、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は
、休薬期間の少なくとも一部分にわたって、約5μg/mLよりも高い。一部の実施形態
では、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、休薬期間の少なくとも一部分にわたって、約
7μg/mLよりも高い。一部の実施形態では、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、休
薬期間の少なくとも一部分にわたって、約10μg/mLよりも高い。一部の実施形態で
は、代謝拮抗物質の濃度は、休薬期間の少なくとも一部分にわたって、1μg/mL~1
0μg/mLである。
【0131】
一部の実施形態では、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、休薬期間の少なくとも1/
4にわたって、約1μg/mLよりも高い。一部の実施形態では、個体の尿中の代謝拮抗
物質の濃度は、休薬期間の少なくとも1/4にわたって、約5μg/mLよりも高い。一
部の実施形態では、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、休薬期間の少なくとも1/4に
わたって、約7μg/mLよりも高い。一部の実施形態では、個体の尿中の代謝拮抗物質
の濃度は、休薬期間の少なくとも1/4にわたって、約10μg/mLよりも高い。一部
の実施形態では、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、休薬期間の少なくとも1/4にわ
たって、1μg/mL~10μg/mLである。
【0132】
一部の実施形態では、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、休薬期間の少なくとも2分
の1にわたって、約1μg/mLよりも高い。一部の実施形態では、個体の尿中の代謝拮
抗物質の濃度は、休薬期間の少なくとも2分の1にわたって、約5μg/mLよりも高い
。一部の実施形態では、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、休薬期間の少なくとも2分
の1にわたって、約7μg/mLよりも高い。一部の実施形態では、個体の尿中の代謝拮
抗物質の濃度は、休薬期間の少なくとも2分の1にわたって、約10μg/mLよりも高
い。一部の実施形態では、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、休薬期間の少なくとも2
分の1にわたって、1μg/mL~10μg/mLである。
【0133】
一部の実施形態では、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、休薬期間の少なくとも3/
4にわたって、約1μg/mLよりも高い。一部の実施形態では、個体の尿中の代謝拮抗
物質の濃度は、休薬期間の少なくとも3/4にわたって、約5μg/mLよりも高い。一
部の実施形態では、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、休薬期間の少なくとも3/4に
わたって、約7μg/mLよりも高い。一部の実施形態では、個体の尿中の代謝拮抗物質
の濃度は、休薬期間の少なくとも3/4にわたって、約10μg/mLよりも高い。一部
の実施形態では、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、休薬期間の少なくとも3/4にわ
たって、1μg/mL~10μg/mLである。
【0134】
一部の実施形態では、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、休薬期間全体にわたって上
昇し得る。例えば、代謝拮抗物質の濃度は、休薬期間全体にわたって、約1μg/mLよ
りも高くてもよい。一部の実施形態では、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、休薬期間
全体にわたって、約5μg/mLよりも高い。一部の実施形態では、個体の尿中の代謝拮
抗物質の濃度は、休薬期間全体にわたって、約7μg/mLよりも高い。一部の実施形態
では、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、休薬期間全体にわたって、約10μg/mL
よりも高い。一部の実施形態では、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、休薬期間全体に
わたって、1μg/mL~10μg/mLである。
【0135】
一部の実施形態では、この方法は、約1年間にわたって、3ヶ月毎に少なくとも1回、
個体に代謝拮抗物質を送達するステップを含む。一部の実施形態では、この方法は、約2
年間にわたって、3ヶ月毎に少なくとも1回、個体に代謝拮抗物質を送達するステップを
含む。一部の実施形態では、この方法は、約3年間にわたって、3ヶ月毎に少なくとも1
回、個体に代謝拮抗物質を送達するステップを含む。一部の実施形態では、この方法は、
約1年間にわたって、6ヶ月毎に少なくとも1回、個体に代謝拮抗物質を送達するステッ
プを含む。一部の実施形態では、この方法は、約2年間にわたって、6ヶ月毎に少なくと
も1回、個体に代謝拮抗物質を送達するステップを含む。一部の実施形態では、この方法
は、約3年間にわたって、6ヶ月毎に少なくとも1回、個体に代謝拮抗物質を送達するス
テップを含む。
【0136】
代謝拮抗物質の放出の速度は、送達の過程にわたって変動され得る。例えば、一部の実
施形態では、この方法は、代謝拮抗物質を、送達の第1の時期において第1の放出速度で
代謝拮抗物質を送達し、その後、第2の放出速度を有する送達の第2の時期が続くステッ
プを含む。これらの実施形態の一部では、第1の放出速度は、第2の放出速度よりも速い
。他の実施形態では、第1の放出速度は、第2の放出速度よりも遅い。一部の実施形態で
は、この方法は、代謝拮抗物質を、送達の第1の時期において第1の用量で送達し、その
後、送達の第2の時期において第2の用量で送達するステップを含む。一部の実施形態で
は、第1の時期および第2の時期は連続的である。一部の実施形態では、第1および第2
の時期は、休薬期間によって分離される。
【0137】
第2の薬剤は、異なる送達時期において局所的におよび/または全身的に送達され得る
。例えば、一部の実施形態では、第2の薬剤は、第2の薬剤送達期間の第1の時期におい
て全身的に送達され、その後、第2の薬剤送達期間の第2の時期における局所的送達が続
く。一部の実施形態では、第2の薬剤は、第2の薬剤送達期間の第1の時期において局所
的に送達され、その後、第2の薬剤送達期間の第2の時期における全身的送達が続く。こ
れらの実施形態の一部では、第2の薬剤送達期間の第1の時期および第2の薬剤送達期間
の第2の送達期間の第2の時期は、少なくとも約1ヶ月間分離される。
【0138】
代謝拮抗物質および第2の薬剤は、同時にまたは逐次的に送達され得る。一部の実施形
態では、代謝拮抗物質および第2の薬剤は、単一の送達デバイスを介して送達される。
【0139】
代謝拮抗物質および第2の薬剤は、相乗効果を提供するために、同じ放出速度で送達さ
れることが有利であり得る。他の実施形態では、代謝拮抗物質および第2の薬剤は、異な
る放出速度で送達され得る。例えば、代謝拮抗物質は、第2の薬剤の送達の速度よりも遅
い速度で送達され得、または代謝拮抗物質は、第2の薬剤の送達の速度よりも速い速度で
送達され得る。
【0140】
一部の実施形態では、この方法は、代謝拮抗物質の送達および免疫調節性薬剤などの第
2の薬剤の送達を含む。種々の用量の免疫調節性薬剤が、使用される特定の免疫調節性薬
剤に依存して使用され得る。個体に送達される免疫調節性薬剤の量は、単剤治療としての
免疫調節性薬剤の承認された投薬量に基づき得、または単剤治療として使用される場合に
送達される免疫調節性薬剤の用量よりも高くても低くてもよい。例えば、免疫調節性薬剤
は、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約15または約
20mg/kgの用量で送達され得る。
【0141】
一部の実施形態では、免疫調節性薬剤は、抗PD1抗体ニボルマブを含み得、約3mg
/kgの用量で送達され得る。一部の実施形態では、ニボルマブは、2週間毎に3mg/
kgの用量で送達され得る。一部の実施形態では、ニボルマブは、イピリムマブと組み合
わせて送達され得る。これらの実施形態の一部では、ニボルマブは、1mg/kgの用量
で送達され得、その後、同じ日、3週間毎に4用量にわたるイピリムマブが続き、その後
、2週間毎に3mg/kgの用量のニボルマブが続き得る。一部の実施形態では、免疫調
節性薬剤は、抗PD1抗体ペンブロリズマブを含み得、3週間毎に2mg/kgの用量で
投与され得る。
【0142】
一部の実施形態では、第2の薬剤は、代謝拮抗物質送達の開始前に送達され得る。一部
の実施形態では、第2の薬剤は、代謝拮抗物質送達の終結後に送達され得る。一部の実施
形態では、第2の薬剤は、代謝拮抗物質送達期間の間に投与され得る。一部の実施形態で
は、代謝拮抗物質送達期間と第2の薬剤送達期間とは、互いに重複する。一部の実施形態
では、代謝拮抗物質送達期間と第2の薬剤送達期間とは、非重複である。
【0143】
一部の実施形態では、第2の薬剤は、休薬期間の間に送達され得る。一部の実施形態で
は、第2の薬剤は、第1の代謝拮抗物質送達期間または第2の代謝拮抗物質送達期間の間
に送達され得る。
【0144】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、少なくとも約24時間の期間にわ
たって有効量の代謝拮抗物質を個体に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤を送達
するステップを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、少なくとも約
48時間の期間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個体に送達するステップおよび有効量
の第2の薬剤を送達するステップを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方
法は、少なくとも約60時間の期間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個体に送達するス
テップおよび有効量の第2の薬剤を投与するステップを含む。一部の実施形態では、本明
細書で提供される方法は、少なくとも約72時間の期間にわたって有効量の代謝拮抗物質
を個体に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤を送達するステップを含む。一部の
実施形態では、本明細書で提供される方法は、少なくとも約7日間の期間にわたって有効
量の代謝拮抗物質を個体に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤を送達するステッ
プを含む。
【0145】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、24時間と約1ヶ月間との間の期
間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個体に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤
を個体に送達するステップを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、
約24時間と約21日間との間の期間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個体に送達する
ステップおよび有効量の第2の薬剤を個体に送達するステップを含む。一部の実施形態で
は、本明細書で提供される方法は、約24時間と約14日間との間の期間にわたって有効
量の代謝拮抗物質を個体に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤を個体に送達する
ステップを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、約24時間~約7
日間の間の期間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個体に送達するステップおよび有効量
の第2の薬剤を個体に送達するステップを含む。
【0146】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、約7日間にわたって有効量の代謝
拮抗物質を個体に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤を個体に送達するステップ
を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、約3週間にわたって有効量
の代謝拮抗物質を個体に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤を個体に送達するス
テップを含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、約6週間にわたって
有効量の代謝拮抗物質を個体に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤を個体に送達
するステップを含む。
【0147】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、24時間と約1ヶ月間との間の期
間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個体に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤
を個体に送達するステップを含み、第2の薬剤が送達されるときに、個体の尿中の代謝拮
抗物質の濃度は、約1μg/mL未満である。一部の実施形態では、本明細書で提供され
る方法は、約24時間と約21日間との間の期間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個体
に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤を個体に送達するステップを含み、第2の
薬剤が送達されるときに、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、約1μg/mL未満であ
る。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、約24時間と約14日間との間
の期間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個体に送達するステップおよび有効量の第2の
薬剤を個体に投与するステップを含み、免疫調節性薬剤が送達されるときに、個体の尿中
の代謝拮抗物質の濃度は、約1μg/mL未満である。一部の実施形態では、本明細書で
提供される方法は、約24時間~約7日間の間の期間にわたって有効量の代謝拮抗物質を
個体に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤を個体に送達するステップを含み、第
2の薬剤が送達されるときに、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、約1μg/mL未満
である。
【0148】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、24時間と約1ヶ月間との間の期
間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個体に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤
を個体に投与するステップを含み、第2の薬剤が送達されるときに、個体の尿中の代謝拮
抗物質の濃度は、約5μg/mL未満である。一部の実施形態では、本明細書で提供され
る方法は、約24時間と約21日間との間の期間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個体
に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤を個体に送達するステップを含み、第2の
薬剤が送達されるときに、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、約5μg/mL未満であ
る。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、約24時間と約14日間との間
の期間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個体に送達するステップおよび有効量の第2の
薬剤を個体に投与するステップを含み、第2の薬剤が送達されるときに、個体の尿中の代
謝拮抗物質の濃度は、約5μg/mL未満である。一部の実施形態では、本明細書で提供
される方法は、約24時間~約7日間の間の期間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個体
に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤を個体に投与するステップを含み、第2の
薬剤が送達されるときに、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、約5μg/mL未満であ
る。
【0149】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、24時間と約1ヶ月間との間の期
間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個体に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤
を個体に送達するステップを含み、第2の薬剤が送達されるときに、個体の尿中の代謝拮
抗物質の濃度は、約15μg/mL未満である。一部の実施形態では、本明細書で提供さ
れる方法は、約24時間と約21日間との間の期間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個
体に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤を個体に送達するステップを含み、第2
の薬剤が送達されるときに、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、約15μg/mL未満
である。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、約24時間と約14日間と
の間の期間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個体に送達するステップおよび有効量の第
2の薬剤を個体に送達するステップを含み、第2の薬剤が送達されるときに、個体の尿中
の代謝拮抗物質の濃度は、約15μg/mL未満である。一部の実施形態では、本明細書
で提供される方法は、約24時間~約7日間の間の期間にわたって有効量の代謝拮抗物質
を個体に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤を個体に送達するステップを含み、
第2の薬剤が送達されるときに、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、約15μg/mL
未満である。
【0150】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、24時間と約1ヶ月間との間の期
間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個体に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤
を個体に送達するステップを含み、第2の薬剤が送達されるときに、個体の尿中の代謝拮
抗物質の濃度は、約1μg/mLよりも高い。一部の実施形態では、本明細書で提供され
る方法は、約24時間と約21日間との間の期間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個体
に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤を個体に送達するステップを含み、第2の
薬剤が送達されるときに、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、約1μg/mLよりも高
い。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、約24時間と約14日間との間
の期間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個体に送達するステップおよび有効量の第2の
薬剤を個体に送達するステップを含み、第2の薬剤が送達されるときに、個体の尿中の代
謝拮抗物質の濃度は、約1μg/mLよりも高い。一部の実施形態では、本明細書で提供
される方法は、約24時間~約7日間の間の期間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個体
に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤を個体に送達するステップを含み、第2の
薬剤が送達されるときに、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、約1μg/mLよりも高
い。
【0151】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、24時間と約1ヶ月間との間の期
間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個体に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤
を個体に送達するステップを含み、第2の薬剤が送達されるときに、個体の尿中の代謝拮
抗物質の濃度は、約5μg/mLよりも高い。一部の実施形態では、本明細書で提供され
る方法は、約24時間と約21日間との間の期間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個体
に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤を個体に送達するステップを含み、第2の
薬剤が送達されるときに、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、約5μg/mLよりも高
い。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、約24時間と約14日間との間
の期間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個体に送達するステップおよび有効量の第2の
薬剤を個体に送達するステップを含み、第2の薬剤が送達されるときに、個体の尿中の代
謝拮抗物質の濃度は、約5μg/mLよりも高い。一部の実施形態では、本明細書で提供
される方法は、約24時間~約7日間の間の期間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個体
に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤を個体に送達するステップを含み、第2の
薬剤が送達されるときに、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、約5μg/mLよりも高
い。
【0152】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、24時間と約1ヶ月間との間の期
間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個体に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤
を個体に送達するステップを含み、第2の薬剤が送達されるときに、個体の尿中の代謝拮
抗物質の濃度は、約15μg/mLよりも高い。一部の実施形態では、本明細書で提供さ
れる方法は、約24時間と約21日間との間の期間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個
体に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤を個体に送達するステップを含み、第2
の薬剤が送達されるときに、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、約15μg/mLより
も高い。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、約24時間と約14日間と
の間の期間にわたって有効量の代謝拮抗物質を個体に送達するステップおよび有効量の第
2の薬剤を個体に送達するステップを含み、第2の薬剤が送達されるときに、個体の尿中
の代謝拮抗物質の濃度は、約15μg/mLよりも高い。一部の実施形態では、本明細書
で提供される方法は、約24時間~約7日間の間の期間にわたって有効量の代謝拮抗物質
を個体に送達するステップおよび有効量の第2の薬剤を個体に送達するステップを含み、
第2の薬剤が送達されるときに、個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度は、約15μg/mL
よりも高い。
【0153】
第2の薬剤は、個体の膀胱に局所的に、または全身的に送達され得る。例えば、第2の
薬剤は、膀胱腔内(膀胱内)デバイス、膀胱ポンプ、カテーテルまたは注射を介して、膀
胱腔内送達され得る。第2の薬剤はまた、経口、非経口または静脈内送達され得る。
【0154】
一部の実施形態では、第2の薬剤は、全身的に送達され、その後代謝拮抗物質の局所的
送達が続く。一部の実施形態では、第2の薬剤は、最初に全身的に送達され、次いで局所
的に送達される。一部の実施形態では、第2の薬剤は、最初に局所的に投与され、次いで
全身的に投与される。
【0155】
代謝拮抗物質には、シチジンアナログ、ウラシルアナログ、プリンアナログ、デオキシ
アデノシンアナログ、デオキシシトシンアナログ、グアノシンアナログ、デオキシグアノ
シン(deoxyguanasine)アナログ、チミジンアナログおよびデオキシウリジン(deoxyura
dine)アナログが含まれる。例示的なヌクレオシドアナログには、アザシチジン(azalit
adine)、デシタビン、シタラビン(cytanabine)、ゲムシタビン、5-フルオロウラシ
ル、カペシタビン(capcitabine)、アザチオプリン、メルカプトプリン、チオグアニン
、フルダラビン、ビダラビン、シタラビン、ラミブジン、ザルシタビン、アバカビル、ア
シクロビル、エンテカビル、スタブジン、テルビブジン、ジドブジン、イドクスウリジン
およびトリフルリジンが含まれる。
【0156】
別の態様では、本明細書で提供される方法は、代謝拮抗物質、免疫調節性薬剤およびさ
らなる治療剤の送達を含み得る。一部の実施形態では、さらなる薬剤は、カルメット・ゲ
ラン桿菌(BCG)である。さらなる治療剤はまた、本明細書に記載されるチェックポイ
ント阻害剤アンタゴニストまたは免疫共刺激分子であり得る。例えば、さらなる治療剤は
、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体または抗CTLA-4抗体であり得る。
【0157】
第2のまたはさらなる薬剤は、さらなる化学療法剤、例えば、オキサリプラチン、シス
プラチン ドセタキセル、カルボプラチン、ドセタキセル、パクリタキセル、抗VEGF
抗体、代謝拮抗物質(ヌクレオシドアナログを含む)、白金ベースの薬剤、アルキル化剤
、チロシンキナーゼ阻害剤、アントラサイクリン抗生物質、ビンカアルカロイド(vinca
alkloid)、遷移金属錯体、プロテアソーム阻害剤、マクロライドおよびトポイソメラ
ーゼ阻害剤もまた含み得る。一部の実施形態では、化学療法剤は、白金ベースの薬剤、例
えば、カルボプラチン、ラパマイシンまたはその誘導体、およびゲルダナマイシンまたは
その誘導体(例えば、17-アリルアミノゲルダナマイシン(17-AAG))、レチノ
イド、微小管形成を破壊する薬剤(例えば、コルヒチンおよびその誘導体)、抗血管新生
剤、治療抗体、EGFR標的化剤である。
【0158】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、放射線治療または手術と併せて、
代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)を膀胱に局所的に投与するステップを含む。例え
ば、代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)送達は、手術前のアジュバント状況で、また
は手術後のネオアジュバント状況で開始され得る。一部の実施形態では、代謝拮抗物質(
例えば、ゲムシタビン)送達は、手術の時点で開始され得る。一部の実施形態では、代謝
拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)送達は、放射線治療前または放射線治療後に開始され
得る。一部の実施形態では、代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)による処置を受けて
いる個体は、放射線治療を受けない。
【0159】
一部の実施形態では、代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)送達は、膀胱鏡検査の間
に投与され得る。
【0160】
一部の実施形態では、本方法は、膀胱切除術の必要を遅延させる。一部の実施形態では
、本方法は、膀胱切除術前に治療域を拡張させるために使用され得る。
【0161】
一部の実施形態では、がんは、代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)の投与前に切除
される。一部の実施形態では、個体は、膀胱への代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)
の投与前に、TURBTを受ける。一部の実施形態では、視認できる腫瘍が存在しないよ
うに、腫瘍は、ゲムシタビンの投与前に最大限切除される。一部の実施形態では、患者は
、TURBT後にT0である。一部の実施形態では、個体における筋浸潤性膀胱がんを処
置する方法であって、a)腫瘍を切除するステップ、およびb)ゲムシタビンを少なくと
も24時間にわたって膀胱に局所的に投与するステップを含む方法が、本明細書で提供さ
れる。一部の実施形態では、個体における非筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、
a)腫瘍を切除するステップ、およびb)ゲムシタビンを少なくとも24時間にわたって
膀胱に局所的に投与するステップを含む方法が、本明細書で提供される。
患者集団
【0162】
本明細書で提供される方法は、尿路上皮癌を有するある範囲の個体の処置に有用である
。例えば、一部の実施形態では、尿路上皮癌は膀胱がんである。一部の実施形態では、膀
胱がんは、局所的に進行した膀胱がんである。一部の実施形態では、膀胱がんは転移性膀
胱がんである。一部の実施形態では、膀胱がんは筋浸潤性膀胱がんである。一部の実施形
態では、膀胱がんは非筋浸潤性膀胱がんである。一部の実施形態では、膀胱がんは上皮内
癌である。一部の実施形態では、膀胱がんは、BCG(カルメット・ゲラン桿菌)不応性
がんである。一部の実施形態では、膀胱がんは乳頭状膀胱がんである。一部の実施形態で
は、膀胱がんは、グレード1/3、2/3または3/3である。一部の実施形態では、膀
胱がんは、ステージI、ステージII、ステージIIIまたはステージIVの膀胱がんで
ある。一部の実施形態では、膀胱がんは、高グレード浸潤性乳頭状尿路上皮癌である。一
部の実施形態では、膀胱がんは、非浸潤性高グレード尿路上皮癌である。一部の実施形態
では、膀胱がんは、多病巣性浸潤性高グレード乳頭状尿路上皮癌である。一部の実施形態
では、膀胱がんは、cT2またはcT3である。一部の実施形態では、膀胱は、上皮内癌
でcT2である。
【0163】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、損なわれた免疫系を有する個体の
処置を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、低レベルのチェックポ
イント阻害剤(checkpoint inhibitor)を有する個体、例えば、低
発現のPD-L1および/またはPD-1を有する個体の処置を含む。一部の実施形態で
は、本明細書で提供される方法は、低い、中間または高いレベルのヌクレオシド輸送体を
有する患者の処置を含む。これらの実施形態の一部では、ヌクレオシド輸送体はhENT
である。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、血球減少症を有する個体の
処置を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、化学療法を以前に受け
た個体の処置を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、免疫調節治療
に不適格である個体の処置を含む。
【0164】
一部の実施形態では、ネオアジュバントシスプラチンベースの治療に適格でない個体に
おける膀胱がん(例えば、MIBC)を処置する方法であって、代謝拮抗物質(例えば、
ゲムシタビン)を膀胱に局所的に投与するステップを含む方法が、本明細書で提供される
。一部の実施形態では、ネオアジュバントシスプラチンベースの治療を拒絶する個体にお
ける膀胱がん(例えば、MIBC)を処置する方法であって、代謝拮抗物質(例えば、ゲ
ムシタビン)を膀胱に局所的に投与するステップを含む方法が、本明細書で提供される。
一部の実施形態では、cT2の疾患を有し、高リスク特色、例えば、リンパ管浸潤(LV
I)、水腎症および随伴性上皮内癌(CIS)が存在しない個体における膀胱がん(例え
ば、MIBC)を処置する方法であって、代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)を膀胱
に局所的に投与するステップを含む方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態では
、根治的膀胱切除術を受ける意思があるが、シスプラチンベースのネオアジュバント治療
に不適格である個体における膀胱がん(例えば、MIBC)を処置する方法であって、代
謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)を膀胱に局所的に投与するステップを含む方法が、
本明細書で提供される。これらの実施形態の一部では、個体は、cT2のがんを有する。
実施形態の一部では、個体は、cT2の筋浸潤性膀胱がんを有する。一部の実施形態では
、代謝拮抗物質は、少なくとも24時間にわたって個体の膀胱に局所的に送達される。一
部の実施形態では、代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)は、7日間にわたって個体の
膀胱に局所的に送達される。これらの実施形態の一部では、225mgのゲムシタビンが
、7日間かけて膀胱に局所的に送達される。これらの実施形態の一部では、この方法は、
225mgのゲムシタビンを7日間にわたって膀胱に局所的に送達するステップ、その後
の14日間の休薬期間、その後の225mgのゲムシタビンを7日間にわたって膀胱に局
所的に送達するステップを含む。一部の実施形態では、この方法は、代謝拮抗物質(例え
ば、ゲムシタビン)を3週間にわたって膀胱に局所的に送達するステップを含む。一部の
実施形態では、この方法は、225mgのゲムシタビンを3週間かけて膀胱に局所的に送
達するステップを含む。一部の実施形態では、この方法は、450mgのゲムシタビンを
6週間かけて膀胱に局所的に送達するステップを含む。一部の実施形態では、代謝拮抗物
質はゲムシタビンである。
【0165】
一部の実施形態では、個体は、一般状態不良、腎機能不良、難聴、末梢神経障害および
心疾患を含む併存症に基づいて、シスプラチンベースの治療に不適格である。一部の実施
形態では、個体は、1つまたは複数の高リスク特色、例えば、リンパ管浸潤(LVI)、
水腎症および随伴性上皮内癌(CIS)の非存在に基づいて、シスプラチンベースの治療
に不適格である。
【0166】
今日まで、ネオアジュバント治療とその後の根治的膀胱切除術、または膀胱の除去は、
筋浸潤性膀胱がんの処置のための標準治療であった。根治的膀胱切除術に不向きである個
体は、処置されていないまたは処置不十分の疾患の局所的進行を制限することを試みて、
緩和的経尿道膀胱腫瘍切除術(TURBT)を受ける。かかる処置は、血尿、疼痛および
緊急性の局所的症状を一時的に管理し得るが、治癒的意図では使用されない。したがって
、一態様では、本発明は、代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)を膀胱に局所的に投与
することによって、膀胱切除術に不向きであるまたは適格でない個体における膀胱がん(
例えば、MIBC)を処置する方法を提供する。
【0167】
一部の実施形態では、膀胱切除術に不向きである個体における下部尿路の膀胱がん(例
えば、MIBC)を処置する方法であって、代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)を膀
胱に局所的に送達するステップを含む方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態で
は、膀胱切除術に不適格である個体における膀胱がん(例えば、MIBC)を処置する方
法であって、代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)を膀胱に局所的に投与するステップ
を含む方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、虚弱である個体における膀
胱がん(例えば、MIBC)を処置する方法であって、代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタ
ビン)を膀胱に局所的に送達するステップを含む方法が、本明細書で提供される。一部の
実施形態では、根治的膀胱切除術を認容できない個体における膀胱がん(例えば、MIB
C)を処置する方法であって、代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)を膀胱に局所的に
送達するステップを含む方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、個体の膀
胱を除去せずに個体における膀胱がん(例えば、MIBC)を処置する方法であって、代
謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)を膀胱に局所的に送達するステップを含む方法が、
本明細書で提供される。一部の実施形態では、膀胱切除術に不向きまたは不適格である個
体における膀胱がん(例えば、MIBC)を処置する方法であって、代謝拮抗物質(例え
ば、ゲムシタビン)を膀胱に局所的に送達するステップを含む方法が、本明細書で提供さ
れる。一部の実施形態では、個体における膀胱がん(例えば、MIBC)を処置する方法
であって、膀胱がんは、転移性膀胱がんである、方法が、本明細書で提供される。一部の
実施形態では、cT2~cT3の疾患を有する個体における膀胱がん(例えば、MIBC
)を処置する方法であって、代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)を膀胱に局所的に送
達するステップを含む方法が、本明細書で提供される。膀胱切除術に不向きであるまたは
適格でない個体における膀胱がん(例えば、MIBC)を処置する方法であって、a)腫
瘍を切除するステップ、およびb)ゲムシタビンを膀胱に局所的に送達するステップを含
む方法もまた、本明細書で提供される。一部の実施形態では、膀胱切除術に不向きである
または適格でない個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、a)TURB
Tを実施するステップ、およびb)ゲムシタビンを少なくとも7日間にわたって膀胱に局
所的に送達するステップを含む方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、膀
胱切除術に不向きであるまたは適格でない個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法
であって、a)TURBTを実施するステップ、およびb)ゲムシタビンを、7日間~1
80日間、7日間~90日間、7日間~60日間、7日間~30日間、7日間~21日間
または7日間~14日間にわたって膀胱に局所的に送達するステップを含む方法が、本明
細書で提供される。これらの実施形態の一部では、ゲムシタビンは、個体の生活の質を改
善するために、膀胱に慢性的に、または個体の寿命にわたって、持続的に送達され得る。
一部の実施形態では、代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)は、少なくとも24時間に
わたって個体の膀胱に局所的に送達される。一部の実施形態では、代謝拮抗物質(例えば
、ゲムシタビン)は、24時間~3週間、2~20日間、3~16日間または4~14日
間にわたって、個体の膀胱に局所的に送達される。一部の実施形態では、代謝拮抗物質(
例えば、ゲムシタビン)は、7日間にわたって個体の膀胱に局所的に送達される。これら
の実施形態の一部では、225mgのゲムシタビンが、7日間の期間をかけて膀胱に局所
的に送達される。これらの実施形態の一部では、この方法は、225mgのゲムシタビン
を7日間にわたって膀胱に局所的に送達するステップ、その後の14日間の休薬期間、そ
の後の225mgのゲムシタビンを7日間にわたって膀胱に局所的に送達するステップを
含む。一部の実施形態では、この方法は、代謝拮抗物質を3週間にわたって膀胱に局所的
に送達するステップを含む。一部の実施形態では、この方法は、225mgのゲムシタビ
ンを3週間の期間をかけて膀胱に局所的に送達するステップを含む。一部の実施形態では
、この方法は、450mgのゲムシタビンを6週間かけて膀胱に局所的に送達するステッ
プを含む。一部の実施形態では、代謝拮抗物質はゲムシタビンである。
【0168】
一部の実施形態では、個体は、National Comprehensive Ca
ncer Network(NCCN)ガイドラインの下で根治的膀胱切除術に不適格で
ある。例えば、個体は、虚弱性に起因して、治癒的治療に不向きであり得る。本方法の前
に、かかる個体は、典型的には、化学療法なしに緩和的放射線を受けた(3.5Gy/分
割-10処置;もしくは7Gy/分割-7処置;TURBT;または処置なし)。一部の
実施形態では、個体は、白金ベースの化学療法に不向きである。一部の実施形態では、放
射線治療前の化学療法は、個体には推奨されない。一部の実施形態では、個体は、治癒的
治療も全身的化学療法も受けない。一部の実施形態では、個体は、cT2~cT3の疾患
を有する。
【0169】
一部の実施形態では、個体は、American Society of Anest
hesiology(ASA)ガイドラインに基づいて、根治的膀胱切除術を認容できな
い。例えば、根治的膀胱切除術を認容できない個体は、全身麻酔または硬膜外麻酔を必要
とする手術に医学的に不向きであるとみなされ得る。
【0170】
他の実施形態では、個体は、American Society of Anesth
esiologistsによって提供されるComprehensive Geriat
ric Assessmentによって決定されるように、有効な術後ケアのインフラま
たは人員を欠き得る。これらのガイドラインの下で、個体は、日常生活の独立した活動の
異常、重症栄養障害、認知障害、または老年医学累積疾患評価スケール(cumulat
ive illness rating scale for geriatrics)
(CISR-G)グレード3~4の併存症を示す場合、虚弱とみなされる。
【0171】
本発明の方法は、膀胱の除去を必要とする標準的な治療レジメンと比較して、重要かつ
顕著な処置利益もまた提供する。本発明は、膀胱切除術に適格であるが膀胱切除術を受け
ることを選択しない個体のための膀胱温存プロトコールとして有用であるという利点もま
た有する。本発明の方法は、現在利用可能な処置と比較して、膀胱がんを有した後に膀胱
を保持することができる可能性がある個体にとって、大きく改善された生活の質を生じる
。したがって、一部の実施形態では、個体における膀胱がん(例えば、MIBC)を処置
する膀胱温存方法であって、代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)を膀胱に局所的に送
達するステップを含む方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、個体の膀胱
を除去せずに膀胱がん(例えば、MIBC)を処置する方法であって、代謝拮抗物質(例
えば、ゲムシタビン)を膀胱に局所的に送達するステップを含む方法が、本明細書で提供
される。さもなければ膀胱切除術を受ける個体における膀胱がん(例えば、MIBC)を
処置する方法であって、代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)を膀胱に局所的に送達す
るステップを含む方法もまた、本明細書で提供される。一部の実施形態では、膀胱切除術
に適格であるがそれを受けることを選択しない個体における膀胱がん(例えば、MIBC
)を処置する方法であって、代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)を膀胱に局所的に送
達するステップを含む方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、根治的膀胱
切除術の代替法としての膀胱保存の方法であって、代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン
)を膀胱に局所的に送達するステップを含む方法が、本明細書で提供される。一部の実施
形態では、膀胱切除術を受けることを選択しない個体における膀胱がん(例えば、MIB
C)を処置する方法であって、代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)を膀胱に局所的に
送達するステップを含む方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、個体の膀
胱を保存する方法であって、代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)を膀胱に局所的に送
達するステップを含む方法が、本明細書で提供される。一部の実施形態では、膀胱を除去
せずに個体における膀胱がん(例えば、MIBC)を処置する方法であって、代謝拮抗物
質(例えば、ゲムシタビン)を膀胱に局所的に送達するステップを含む方法が、本明細書
で提供される。一部の実施形態では、さもなければ膀胱切除術を受ける個体におけるCT
2の尿路上皮癌を処置する方法であって、代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)を個体
の膀胱に局所的に送達するステップを含む方法が、本明細書で提供される。一部の実施形
態では、代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)は、少なくとも24時間にわたって個体
の膀胱に局所的に送達される。一部の実施形態では、代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビ
ン)は、24時間~3週間、2~20日間、3~16日間または4~14日間の期間にわ
たって、個体の膀胱に局所的に送達される。一部の実施形態では、代謝拮抗物質(例えば
、ゲムシタビン)は、7日間にわたって個体の膀胱に局所的に送達される。これらの実施
形態の一部では、225mgのゲムシタビンが、7日間かけて膀胱に局所的に送達される
。これらの実施形態の一部では、この方法は、225mgのゲムシタビンを7日間にわた
って膀胱に局所的に送達するステップ、その後の14日間の休薬期間、その後の225m
gのゲムシタビンを7日間にわたって膀胱に局所的に送達するステップを含む。一部の実
施形態では、この方法は、代謝拮抗物質(例えば、ゲムシタビン)を3週間の期間にわた
って膀胱に局所的に送達するステップを含む。一部の実施形態では、この方法は、225
mgのゲムシタビンを3週間かけて膀胱に局所的に送達するステップを含む。一部の実施
形態では、この方法は、450mgのゲムシタビンを6週間の期間をかけて膀胱に局所的
に送達するステップを含む。一部の実施形態では、代謝拮抗物質はゲムシタビンである。
【0172】
一部の実施形態では、本方法は、根治的切除術とその後のネオアジュバント治療を典型
的には受けるCT2患者を有する個体の処置に、特に適している。本方法は、リンパ節(
node)を含む疾患の局所的/領域的(局所領域的)制御を生じ、したがって、この膀
胱温存集団における長期処置のために使用され得る。本方法は、浸潤性再発が存在しない
こと、良好な長期膀胱機能、およびサルベージ膀胱切除術の低い割合もまた生じ、これら
は全て、70歳の平均年齢を有し、膀胱がんを有する個体の、高齢の比較的虚弱な集団に
おいて、主に重要である。
エンドポイント
【0173】
本明細書で提供される方法は、下部尿路の尿路上皮がんの処置に有用である。一部の実
施形態では、本明細書で提供される方法は、転移までの時間の減少を生じる。一部の実施
形態では、本明細書で提供される方法は、転移を予防する。一部の実施形態では、本明細
書で提供される方法は、リンパ節への転移の予防を生じる。一部の実施形態では、本明細
書で提供される方法は、リンパ節での発症(nodal involvement)を予
防する。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、既存の処置と比較して、病
理的奏効率を増加させる。例えば、本明細書で提供される方法は、約20%、約30%、
約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%または約100%の病理
的奏効率を達成する。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、膀胱切除術の
時点でアップステージされていない個体を生じる。一部の実施形態では、本明細書で提供
される方法は、腫瘍サイズにおける減少、または腫瘍の病理学的もしくは臨床的ダウンス
テージングを生じる。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、2017年3
月時点の標準ケアと比較して、増加した臨床的完全奏効(cCR)、部分奏効(cPR)
および/または全奏効(cOR)を生じる。一部の実施形態では、本明細書で提供される
方法は、病理的完全奏効(pCR)または病理学的部分奏効(pPR)を生じる。一部の
実施形態では、pPRは、残留浸潤性がんの非存在および非筋浸潤性がんの残留の存在と
して定義される。一部の実施形態では、pCRは、膀胱および所属リンパ節における残留
がんの非存在として定義される。一部の実施形態では、本方法は、無病生存期間または全
生存期間における改善を生じる。一部の実施形態では、本方法は、血尿における減少を生
じる。
【0174】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、筋浸潤性腫瘍の消失を生じる。一
部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、処置の際に病理組織学的ステージがp
T0であるような、筋浸潤性腫瘍の完全な消失を生じる。一部の実施形態では、本明細書
で提供される方法は、残留pTisを伴った、筋浸潤性腫瘍の消失を生じる。一部の実施
形態では、本明細書で提供される方法は、残留外方増殖性腫瘍を生じない。一部の実施形
態では、本明細書で提供される方法は、腫瘍体積における明らかな低減を生じる。一部の
実施形態では、本明細書で提供される方法は、腫瘍縮小を生じる。
II.膀胱腔内(膀胱内)デバイス
デバイス形状
【0175】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、膀胱腔内(膀胱内)デバイスを使
用して代謝拮抗物質(ゲムシタビンなど)を投与することを含む。一部の実施形態では、
膀胱腔内(膀胱内)デバイスは、デプロイメント形状および保持形状を含む。例えばデバ
イスは、管腔(例えば尿道)を通じた個体の膀胱への挿入に適した相対的に真っ直ぐな、
すなわち巻かれていない形状(デプロイメント形状)と、膀胱内にデバイスを保持するた
めに適した保持形状との間で弾性的に変形可能であってよい。本開示の目的のために、「
相対的に広がった形状」、「相対的に高いプロファイル形状」または「保持形状」などの
用語は、一般に、これらだけに限らないが膀胱内にデバイスを保持するために適したプレ
ッツェル形状または他のコイル形状(例えば、バイオーバル(bi-oval)または重複コイ
ルを含む)を含む、意図する移植位置にデバイスを保持するために適した任意の形状を示
す。保持形状は、個体が排尿する際にデバイスが尿中に引き込まれ、排泄されることがな
いようにする。同様に「相対的に低いプロファイル形状」または「デプロイメント形状」
などの用語は、これらだけに限らないが、カテーテル、膀胱鏡または尿道に置かれる他の
デプロイメント装置のワーキングチャネルを通じてデバイスをデプロイメントするために
適した線状または細長い形状を含めて、身体、例えば膀胱に薬物送達デバイスをデプロイ
メントするために適した任意の形状を一般に示す。実施形態では、薬物送達デバイスは、
自然に相対的に広がった形状を取ることができ、手動でまたは外部機器を用いて、身体へ
の挿入のための相対的に低いプロファイル形状に変形されてよい。例えば外部機器は、経
尿道挿入のために構成されたインサーターであってよい。膀胱腔内(膀胱内)デバイスは
、デプロイメントすると自発的にまたは自然に、身体での保持のための最初の相対的に広
がった形状に戻る。一部の実施形態では、デバイスは、スプリング様に挙動し、圧縮負荷
に応答して変形する(例えば、デバイスはデプロイメント形状に変形する)が、負荷が除
去されると自発的に保持形状に戻る。
【0176】
一部の実施形態では、先の段落において記載された膀胱腔内(膀胱内)デバイスの形状
変化機能は、上で特定し、参照により本明細書に組み込まれる特許出願公開に開示された
ものなどの形状保持フレーム(すなわち「保持フレーム」)をデバイス中に含むことによ
って提供されてよい。一部の実施形態では、デバイスは、弾性ワイヤー、例えばニチノー
ルなどの超弾性合金であってよい保持フレームが固定された保持フレーム管腔を含んでよ
い。保持フレームは、先に組み込まれた出願において開示されたものなどの「プレッツェ
ル」形状または別のコイル形状などの保持形状に自発的に戻るように構成されてよい。特
に、保持フレームは、膀胱中など身体中にデバイスを保持できる。保持形状は、個体が排
尿する際にデバイスが尿中に引き込まれ、排泄されることがないようにする。例えば保持
フレームは、デバイスが相対的に低いプロファイル形状で身体に導入されることを可能に
し、デバイスが身体内では相対的に広がった形状に戻れるようにし、かつ排尿筋の収縮お
よび排尿に伴う流体力などの予期される力に応答してデバイスが身体内で相対的に低いプ
ロファイル形状を取ることを妨げる弾性限界および弾性率を有し得る。それによりデバイ
スは、デプロイメントされると偶発的な排出を制限または防止し、個体の膀胱内に保持さ
れ得る。
【0177】
一部の他の実施形態では、膀胱腔内(膀胱内)デバイスの形状変化機能は、デバイスハ
ウジングを少なくとも部分的に熱成形硬化(thermally shape set)弾性ポリマーで形
成することによって提供され得る。
【0178】
デバイスボディー(すなわちハウジング)を形成するために使用される材料は、デプロ
イメントおよび保持形状の間をデバイスが移動できるように、少なくとも部分的に弾性ま
たは可撓性であってよい。デバイスが保持形状にある場合、保持フレーム部分は、示され
る通り、薬物リザーバー部分内に置かれる傾向にあり得るが、他の場合に保持フレーム部
分は薬物リザーバー部分の内部、外部、上または下に位置していてもよい。デバイスボデ
ィーを形成するために使用される材料は、水透過性であってよく、そのため可溶化液(例
えば尿)は、デバイスが膀胱内にデプロイメントされると薬物リザーバーに含有されてい
る代謝拮抗物質、免疫調節性薬剤、追加的治療剤、機能的薬剤またはこれらの組合せの非
液体形態を可溶化するように薬物リザーバー部分に進入できる。例えば、シリコーンまた
は別の生体適合性エラストマー性材料は使用されてよい。他の実施形態では、デバイスボ
ディーは、少なくとも部分的に、水不透過性材料で形成されてよい。
【0179】
一部の実施形態では、デバイスボディーは、弾性の、生体適合性ポリマー材料で作られ
る。材料は、非吸収性または吸収性であってよい。非吸収性材料の例として、ポリ(エー
テル)、ポリ(アクリレート)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(ビニルピロリドン(py
rolidones))、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(ウレタン)、セルロース、セルロー
スアセテート、ポリ(シロキサン)、ポリ(エチレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン
)および他のフッ素化ポリマー、ならびにポリ(シロキサン)から選択される合成ポリマ
ーが挙げられる。吸収性材料、具体的な生分解性または生体内分解性ポリマーの例として
、ポリ(アミド)、ポリ(エステル)、ポリ(エステルアミド)、ポリ(酸無水物)、ポ
リ(オルトエステル)、ポリホスファゼン、シュードポリ(アミノ酸)、ポリ(グリセロ
ール-セバシン酸)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸-co-グリコ
ール酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)(PC)誘導体、アミノア
ルコールベースポリ(エステルアミド)(PEA)およびポリ(クエン酸オクタン-ジオ
ール)(POC)ならびに他の硬化性生体吸収型エラストマーから選択される合成ポリマ
ーが挙げられる。PCベースポリマーは、エラストマー性特性を得るためにリシンジイソ
シナネートまたは2,2-ビス(e-カプロラクトン-4-イル)プロパンなどの追加的
な架橋結合剤を必要とする場合がある。共重合体、混合物および上記材料の組合せも用い
られてよい。
【0180】
一部の実施形態では、デバイスボディーは、シリコーン、熱可塑性ポリウレタン、エチ
ルビニルアセテート(EVA)、またはこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、デ
バイスボディーは、2つの異なる熱可塑性材料を含み、その1つは親水性熱可塑性ポリウ
レタンで、薬物透過性であり、他方は薬物不透過性である。薬物不透過性材料は、親水性
ポリウレタン、親水性ポリエステルおよび親水性ポリアミドからなる群から選択されてよ
い。デバイスボディーは、1つまたは複数のこれらの材料を使用して、米国特許公開第2
016/0310715号に記載の通り、押出または共押出工程によって形成された環状
チューブを含んでよい。
薬物コア
【0181】
代謝拮抗物質が膀胱内(膀胱腔内)薬物送達デバイスから送達される実施形態では、薬
物は、デバイスが薬物を膀胱中の液(例えば、尿)に制御可能に放出する特定の機序に応
じ得る、種々の形態でデバイス中に収容されてよい。一部の実施形態では、薬物は、有利
にはデバイスが使用される前に薬物の安定保存を促進でき、有利には保存されるデバイス
の薬物ペイロードが、薬物が液体溶液の形態で収容される場合に可能であるよりも小さな
容量で保存することを可能にし得る、固体、半固体または他の非液体形態で提供される。
一実施形態では、非液体形態は、錠剤、粒剤、粉剤、半固体(例えば、軟膏剤、クリーム
剤、ペースト剤またはゲル剤)、カプセルおよびこれらの組合せから選択される。一実施
形態では、薬物は、米国特許第8,343,516号に記載のミニ錠剤などの複数の錠剤
の形態である。
【0182】
例えば、代謝拮抗物質は、油性または水性ビヒクル中で懸濁液剤、溶液剤または乳剤な
どの形態を取ってよく、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化剤を含有
してよい。あるいは、活性成分は、使用前の好適なビヒクル、例えば滅菌、発熱物質不含
有水を用いた構成のために、滅菌固体の無菌単離によってまたは溶液からの凍結乾燥によ
って得られる粉末形態であってよい。
【0183】
一実施形態では、代謝拮抗物質は、デバイスハウジングの放出アパーチャーからの可溶
化代謝拮抗物質の徐放のための粘度増強剤を含む1つまたは複数の賦形剤を用いて製剤化
される。別の実施形態では、デバイスリザーバーは、代謝拮抗物質および粘度増強剤の両
方を含むが、それらは共製剤化されず、代わりにリザーバー内の別個の領域内で、例えば
別々の錠剤として提供される。これだけに限らないがポリエチレンオキシド(PEO)を
含めた好適な粘度増強剤は、医薬品分野において公知である。実施形態の一部の変形では
、粘度増強剤は、尿素または別の浸透剤と共に提供、例えば製剤化されてよい。
【0184】
一実施形態では、代謝拮抗物質は、溶解度増強剤と共に個体に投与される。一実施形態
では、溶解度増強剤は尿素である。一実施形態では、尿素は、錠剤または他の固体形態で
提供され、膀胱腔内(膀胱内)薬物送達デバイスの薬物リザーバー内に代謝拮抗物質と共
にロードされる。尿素は、デバイスに応じて、薬物リザーバー内の浸透圧の生成を促進す
る浸透剤としても機能する場合がある。特定の実施形態では、代謝拮抗物質および浸透剤
は、本明細書に参照により組み込まれるPCT WO2015/026813(Leeら
)に記載の通り、薬物リザーバーの異なる領域内に位置を定められた別々の錠剤(または
他の固体形態)として構成される。
【0185】
一部の実施形態では、デバイスは、薬物リザーバー管腔を含んでよい。これらの実施形
態の一部では、各薬物リザーバー管腔は、1つもしくは数個の薬物錠剤、または他の固体
薬物ユニットを保持してよい。一実施形態では、デバイスは、いくつかの別個の薬物リザ
ーバー管腔内にミニ錠剤などの約10~100個の円柱状薬物錠剤を保持する。ある特定
の実施形態では、ミニ錠剤は、約1.5~約3.1mmなどの約1.0~約3.3mmの
直径および約2.0~約4.5mmなどの約1.5~約4.7mmの長さをそれぞれ有し
得る。
薬物ハウジング
【0186】
本明細書に記載される膀胱腔内(膀胱内)デバイスからの代謝拮抗物質の放出は、異な
る作用機序によって駆動および制御されてよい。種々の実施形態では、薬物は、薬物ハウ
ジングの壁を通じた拡散によって、薬物ハウジングの壁の1つもしくは複数の規定のアパ
ーチャーを通じた拡散によって、薬物ハウジングのアパーチャーを通じた浸透圧によって
、1つもしくは複数の一過的に形成されたマイクロチャネルを通じた浸透圧によって、膀
胱内の尿との接触での薬物製剤の浸食によって、またはこれらの組合せによって膀胱腔内
(膀胱内)薬物送達デバイスから放出されてよい。一部の実施形態では、薬物放出は、デ
バイスハウジングの一部を規定する薬物透過性ポリマーまたはマトリクスコンポーネント
を通じた薬物拡散によって制御される。一実施形態では、デバイスは、薬物透過性ポリマ
ーコンポーネントを含む。
【0187】
壁の厚さを含むハウジングのサイズは、特に、含有される薬物(および機能的薬剤、あ
る場合)製剤(単数または複数)の容量、デバイスボディー/ハウジングからの薬物送達
の所望の速度、身体内のデバイス移植の意図する部位、デバイスについての所望の機械的
完全性、水および尿への所望の放出速度または透過性、初回放出の開始前の所望の誘導時
間、ならびに身体への挿入の所望の方法または経路に基づいて選択されてよい。ハウジン
グがチューブである実施形態では、薄すぎるチューブ壁は十分な機械的完全性を有さない
可能性がある一方で、厚すぎるチューブ壁はデバイスからの初回薬物放出のために望まし
くない長い誘導時間を経る可能性があり、および/または尿道もしくは他の狭い身体管腔
を通じた送達を可能にするための十分な可撓性を有さない可能性があることから、チュー
ブ壁厚はチューブ材料の機械的特性および水透過性に基づいて決定されてよい。
【0188】
一部の実施形態では、ハウジングは、内径約2mm~約5mmを有する細長い環状チュ
ーブであってよい。薬物、およびある場合、機能的薬剤は、細長い環状チューブの内径と
実質的に同じ直径を有する固体錠剤であってよい。一部の実施形態では、ハウジングは、
薬物を含む1つまたは複数の第1の薬物ユニット、および薬物の放出を促進する機能的薬
剤を含む1つまたは複数の第2の薬物ユニットを保持する。第1のユニット錠剤の1つま
たは複数は、チューブの管腔の長さ約1cm~約3cmに充填されてよく、第2のユニッ
ト錠剤の1つまたは複数は、チューブの管腔の長さ約10cm~約15cmに充填されて
よい。一実施形態では、第1のユニット(単数または複数)の容量対第2のユニット(単
数または複数)の容量の比は、約0.05~約0.5である。錠剤ペイロードの他の長さ
および比も考察される。
【0189】
一部の実施形態では、ハウジングは、壁厚0.2mmなどの壁厚0.1~0.4mmを
有する細長い環状チューブであってよい。ハウジング材料は、1つまたは複数の生体適合
性エラストマーを含んでよい。ハウジング材料は、ハウジングが25A、50A、65A
、70Aまたは80Aなどの25A~80Aのデュロメーターを有するように選択されて
よい。
【0190】
種々の実施形態では、膀胱腔内(膀胱内)デバイスは、本明細書で提供される方法にお
いて記載される膀胱中の尿での薬物の治療有効濃度が維持されるような、膀胱における薬
物の濃度を達成するように薬物を持続的または間欠的に放出できる。例えば1時間~1ヶ
月、例えば2時間~2週間、6時間~1週間、24時間~72時間などの期間にわたる。
ある特定の実施形態では、膀胱腔内(膀胱内)デバイスは、代謝拮抗物質を1mg/日~
1000mg/日、例えば20mg/日~300mg/日または25mg/日~300m
g/日の量で放出できる。ある特定の実施形態では、これらの放出速度は、本明細書に記
載される処置期間にわたって提供される。ある特定の実施形態では、これらの放出速度は
、14日間~21日間の処置期間にわたって提供される。
浸透および拡散システム
【0191】
in vivoデプロイメントに続いてデバイスは、薬物を放出する。上に記載の通り
、放出は、デバイスの内側と外側との間の浸透圧勾配、浸透圧力下でデバイスにおいて薬
物が1つまたは複数の開口部または通過ポアを通過することによって、生じ得る。放出は
、拡散によっても生じ得、それによって、薬物は、デバイス中の1つもしくは複数の開口
部もしくは通過ポアを、および/またはデバイスの内側と外側との間の薬物濃度勾配のた
めにデバイスの薬物透過性壁を通過する。単一デバイス内でのこれらの放出様式の組合せ
は可能であり、一部の実施形態では、個々のいずれかの様式では容易に達成できない全体
的な薬物放出プロファイルを達成するために好ましい。
【0192】
デバイスが薬物を固体形態で含む一部の実施形態では、デバイスからの薬物の溶出は、
デバイス内の薬物の溶解に続いて生じる。体液がデバイスに進入し、薬物に接触し、薬物
を可溶化し、その後溶解された薬物は、デバイスから拡散する、または浸透圧下もしくは
拡散を介してデバイスから流れる。例えば、薬物は、デバイスが膀胱中でデプロイメント
される場合には尿との接触で可溶化されてよい。ある特定の実施形態では、ハウジングの
水透過性壁部分は、可溶化された薬物が壁部分を介して放出されるように水溶液中の薬物
に透過性である、本明細書で「経壁拡散」とも称される。デバイスが移植された後、水ま
たは尿は壁を通じて透過し、リザーバーに進入し、機能的薬剤および/または薬物を可溶
化する。次いで薬物は、デバイスの内側と外側との間の薬物濃度勾配によって、制御され
た速度で壁を通じて直接拡散する。例えば、ハウジングおよび/または任意の水もしくは
薬物透過性壁部分は、シリコーン、熱可塑性ポリウレタン、エチレン-co-ビニルアセ
テート(EVA)、またはこれらの組合せであってよい。
【0193】
一部の実施形態では、膀胱腔内(膀胱内)デバイスは、225mgのゲムシタビンの単
位濃度を含有できる。これらの実施形態の一部では、デバイスは、7日間にわたってまた
は3週間にわたって、個体に約100~約225mgのゲムシタビン(例えば、約140
mg、約160mg、約180mg、約200mgまたは約220mg)代謝拮抗物質m
gを送達するように構成されてよい。
【0194】
特定の実施形態では、薬物送達デバイスは、両者とも参照によりその全体が本明細書に
組み込まれるWO2014/145638および米国特許公開第2016/031071
5号に記載される、透過システムを含んでよい。一部の実施形態では、薬物送達デバイス
は、第1の壁構造および親水性の第2の壁構造を境界とした、閉じた薬物リザーバー管腔
;ならびに薬物リザーバー管腔中に含有された代謝拮抗物質を含む薬物製剤を有するハウ
ジングを含み、第1の壁構造は水に対して透過性または不透過性および薬物に対して不透
過性であり、第2の壁構造は代謝拮抗物質に対して透過性である。
【0195】
一部の実施形態では、デバイスハウジングは、第1の壁構造としての役割を果たす第1
の材料および第2の壁構造としての役割を果たす第2の材料から作製されているデバイス
の薬物リザーバーの境界となってそれを規定している壁を有し、それにより薬物放出は基
本的に第2の材料を通じてだけ生じる。一実施形態では、デバイスは、アパーチャーを含
まず;薬物放出は第2の壁構造を通じた拡散によってのみである。本明細書において使用
される用語「薬物に対して不透過性」および「水に対して不透過性」は、治療放出期にわ
たって壁構造を通じて薬物または水が基本的に放出されない、薬物または水に対して実質
的に不透過性である壁構造を指す。膀胱での使用のために、患者への不快感および刺激を
回避または緩和するためにデバイスが排尿筋収縮中に対応していること(すなわち、容易
に曲がる、柔らかい感触)が望ましい。したがって、構築物の第1および第2の材料のデ
ュロメーターは、設計検討事項であり、高デュロメーター材料の割合は、膀胱での対応性
を適切に保ちながら所与のサイズのデバイスハウジングを構築することにおいて制限され
る場合がある。例えば、シリコーンチューブは50A~70Aのショア硬度を有する場合
があるが、Tecophilic(商標)熱可塑性ポリウレタン(Lubrizol C
orp.)は、80A~65Dなどの70Aより大きなショア硬度を有する場合がある。
したがって、水膨潤親水性、薬物透過性の第2の材料からデバイス全体を作製するよりも
、これら2つの異なるポリマー材料の組合せを利用することは有利である場合がある。
【0196】
第1および第2の壁構造の配置は、種々の形態を取ってよい。ある特定の実施形態では
、第1の壁構造は円柱状チューブであり、第2の壁構造は円柱状チューブの少なくとも一
方の末端に配置された端壁である、または第1の壁構造と第2の壁構造とは互いに隣接し
、一緒に円柱状チューブを形成する。すなわち、薬物放出は、閉じたデバイスハウジング
の部分を規定する薬物透過性コンポーネントを通じた薬物拡散によって制御される。薬物
透過性壁構造は、デバイスからの制御された薬物拡散の所望の速度を提供するように位置
を定められ、寸法を決められ、材料特性を有し得る。一実施形態では、薬物透過性壁は、
チューブの末端またはその近くのチューブの管腔中に、任意選択で内側のワッシャーと外
側のワッシャーの間に挟まれるかたちで、安定化されたディスクを含んでよい。別の実施
形態では、薬物透過性壁は、管状ハウジングの側壁の一部、または管状ハウジングの末端
に位置を定められたエンドプラグの一部である。
【0197】
長さおよび幅、例えば水透過性材料で形成された壁部分は、デバイスハウジングによっ
て規定されるリザーバーへの水流の所望の速度を提供するように選択される。一実施形態
では、水透過性壁部分の幅は、管腔軸に垂直な横断面で見た場合に壁を規定する弧の角度
によって数量化される。デバイスハウジングの水透過性領域(単数または複数)は、浸透
水浸出の選択された面積、したがって速度をもたらすように、さらに好適な生体適合性エ
ラストマーで形成されたデバイスの好適な全体的寸法および弾性を有利に維持するように
制御されてよい。有利には、共押出工程によってデバイスハウジングを形成することによ
って、水透過性領域(単数または複数)の構造的多様性は、処理パラメーターの選択によ
り従来の共押出設備を用いて創出することができ、それにより複数の構造のデバイス立体
配置を費用効率良く製造する能力を有益に提供する。一部の実施形態では、水透過性領域
(単数または複数)の長さは、デバイスの全長の一部のみにわたる。そのような実施形態
では、したがって、長期間にわたって望ましいレベルでの薬物放出の速度を保ちながら、
水透過性領域(単数または複数)のより大きな弧の角度を用い得る。
【0198】
一部の実施形態では、壁は、壁の外周にわたって厚さが様々であってよい、例えば薬物
透過性部分は薬剤不透過性部分の厚さより薄い厚さを有してよい。さらに、より薄い薬物
透過性壁構造は、隣接する、より厚い薬物不透過性壁構造に対して種々の位置に配置され
てよい。一部の実施形態では、薬物放出は、閉じたデバイスハウジングの部分を規定する
薬物透過性コンポーネントを通じた薬物拡散によって制御される。薬物透過性壁構造は、
デバイスからの制御された薬物拡散の所望の速度を提供するように位置を定められ、寸法
を決められ、材料特性を有し得る。
【0199】
一部の実施形態では、薬物送達デバイスは、互いに隣接し、一緒に薬物リザーバー管腔
を規定するチューブを形成する第1の壁構造および第2の壁構造を含むハウジング;なら
びに薬物リザーバー管腔中に含有された薬物を含み、(i)第2の壁構造または、第1の
壁構造および第2の壁構造の両方は、水に対して透過性である、(ii)薬物が第2の壁
構造を通じた拡散によってin vivoで放出可能であるように、第1の壁構造は薬物
に対して不透過性であり、第2の壁構造は薬物に対して透過性である、(iii)第2の
壁構造は、チューブの長軸方向に垂直の横断面でチューブの横断面面積の90パーセント
未満を占める、(iv)ならびに第1の壁構造は、第1のポリウレタン組成物を含む。
【0200】
一部の実施形態では、デバイスは、第1の閉じた末端と第2の閉じた末端の間に延在す
る薬物リザーバー管腔;および薬物リザーバー管腔中に含有された薬物を有する細長い弾
性ハウジングを含み、(i)ハウジングは、薬物に対して不透過性である第1の材料で全
体が形成されている第1の環状セグメント、および薬物に対して透過性である第2の材料
から少なくとも部分的に形成されており、第2の環状セグメント中の第2の材料を通じた
拡散によってin vivoで薬物を放出するように構成された第2の環状セグメントを
含む管状壁構造を含む、ならびに(ii)第1の環状セグメントは、一体に形成され、第
2の環状セグメントの第1の末端に接続された第1の末端を有する。
【0201】
一部の実施形態では、薬物リザーバー管腔を規定する壁は、厚さが様々であってよい。
異なる厚さの壁を有するハウジングは、ハウジングの可撓性、圧縮性または両方を改善で
きる。異なる壁厚は、薬物リザーバー管腔内の固体薬物ユニットを固定することに役立つ
場合もある。
【0202】
一部の実施形態では、膀胱腔内(膀胱内)デバイスボディー、またはハウジングは、組
み立て工程の際に薬物ペイロードの薬物リザーバーへのロードに続く密封を必要とする開
放部を(例えば、環状チューブの反対側の末端に)含んでよい。一体型ハウジングおよび
モジュール式ハウジングユニットを含む、ハウジングのこれらの規定の開放部または末端
のいずれかは、所望の場合、開放部を閉じるために密封されてよい。この密封は、密封物
質または構造を用いて達成されてよい。密封構造は、特に、ステンレス鋼などの金属、シ
リコーンなどのポリマー、セラミックもしくはサファイアもしくは接着剤またはこれらの
組合せを含む生体適合性材料から形成されてよい。密封物質または構造は、生分解性また
は生体内分解性であってよい。一実施形態では、医療用グレードシリコーン接着剤または
他の接着剤は、開放部に液体または実効性の形態でロードされ、次いで、ハウジング開放
部を密封するようにその中で硬化する。一部の実施形態では、ハウジングは、デバイスか
らの薬物の放出のための1つまたは複数の予め規定されたアパーチャーを含む。これらの
薬物放出アパーチャーは、密封された規定の開放部ではない。他の実施形態では、ハウジ
ングは、予め規定された薬物放出アパーチャーを含まない。
【0203】
一部の実施形態では、デバイスは、予め規定された薬物放出アパーチャー(すなわち開
口部)を用いずに薬物を放出する。予め規定された薬物放出アパーチャーを用いないデバ
イスからの薬物の放出は、拡散または浸透圧によって駆動されてよい。そのような好適な
「非開口部」放出システムの例は、参照により本明細書に組み込まれるPCT特許出願公
開第WO2014/144066号(TB130)および米国特許出願公開第2014/
0276636号(TB134)に記載されている。
【0204】
特定の実施形態では、薬物送達デバイスは、本明細書に参照により組み込まれる米国特
許公開第2016/0199544号、米国特許第8,679,094号および米国特許
公開第2016/0008271号に記載される浸透システムを含んでよい。
【0205】
一部の実施形態では、デバイスは、リザーバーを規定するハウジング;薬物を含む、リ
ザーバー内に含有される第1のユニット;およびハウジングからの薬物のin vivo
放出を促進する機能的薬剤を含む、第1のユニットとは別個の位置でリザーバー内に含有
される第2のユニットを含む。一部の実施形態では、第1のユニットは少なくとも1つの
薬物(例えば、ゲムシタビンなどの代謝拮抗物質)を含む1つまたは複数の固体錠剤を含
み、第2のユニットは1つまたは複数の固体錠剤(例えば、尿素などの浸透剤を含む)を
含む。一部の実施形態では、ハウジングは、第1および第2のユニットのすべての固体錠
剤が整列して含有された管腔(すなわち、リザーバー)を有する細長いエラストマー性チ
ューブの形態である。固体錠剤の直径は、管腔の直径と実質的に同じであってよい。
【0206】
浸透放出が所望の薬物放出様式である場合、第2のユニット中の機能的薬剤は、薬物の
浸透放出を促進する浸透剤を含んでよい。例えば、浸透剤は、浸透剤が可溶化および/ま
たは続く薬物の放出を促進するように、薬物より高い溶解度を有してよい。これは、浸透
送達に基づくデバイスから、典型的には拡散を介してだけ送達される低溶解度の、または
他の薬物の送達を有利に可能にする。デバイスは、浸透圧勾配を達成するために十分な容
量の機能的薬剤および/または薬物が可溶化される誘導期を示す場合がある。
【0207】
次に、デバイスは、長期間のゼロ次放出速度に続いて、減衰期にわたる低減された、非
ゼロ次放出速度を示す場合がある。所望の送達速度は、これらだけに限らないが、水透過
性壁の表面面積および厚さ;壁を形成するために使用される材料の水への透過性;アパー
チャーの形状、サイズ、数および配置;ならびに薬物および機能的薬剤の溶解プロファイ
ルを含めたデバイスの種々のパラメーターを制御すること/選択することによって達成で
きる。
【0208】
本明細書に記載されるデバイスは、拡散を介して、単独でまたは浸透放出と組み合わせ
て薬物を放出するように構成されてもよい。デバイスは、可溶化された薬物がハウジング
の一部またはその1つもしくは複数のアパーチャーを通じて通過できるように構成されて
よい。
【0209】
あるいは、または水透過性壁部分と組み合わせて、ハウジングはin vivoでリザ
ーバーに液が進入できるように構成された少なくとも1つのアパーチャーを含んでよい。
ハウジングは、可溶化された薬物がそれを通過できるように構成された1つまたは複数の
アパーチャーまたは通過ポアも含んでよい。
【0210】
浸透システムの一部の実施形態では、デバイスハウジングは、水透過性である第1のエ
ラストマー性材料および水不透過性である第2のエラストマー性材料を含み、両材料はハ
ウジングに含有される薬物に対して不透過性であるように選択される。
【0211】
図8A~8Cは、本明細書に記載される方法において有用な膀胱内デバイスの一実施形
態を例示する。デバイス100は薬物リザーバー部分102および保持フレーム部分10
4を含む。図8Aでは、デバイス100は、個体の膀胱内での保持のために適した相対的
に広がった形状で示されている。図8Cでは、デバイス100は、例えば患者の尿道への
およびそれを通る、ならびに膀胱への挿入のための、膀胱鏡または他のカテーテルなどの
デプロイメント装置200のワーキングチャネル202を通じたデプロイメントのための
相対的に低いプロファイル形状で示されている。膀胱へのデプロイメント(デバイスの放
出)に続いて、デバイス100は膀胱内に薬物送達デバイスを保持するための相対的に広
がった形状を取り得る。例示される実施形態では、薬物送達デバイス100の薬物リザー
バーおよび保持フレーム部分102、104は、長軸方向に整列され、一体で形成される
か、でなければそれらの長さにわたって互いに連結される。
【0212】
薬物送達デバイス100は、薬物リザーバー管腔108および保持フレーム管腔110
を規定する弾性または可撓性デバイスボディー106を含む。薬物リザーバー管腔108
は、薬物リザーバー部分102を形成するように複数の固体薬物ユニット112の形態で
ある薬物(例えば、代謝拮抗物質)を収容するように構成される。隣接する薬物ユニット
112間に形成される間隙116または割れ目は、薬物錠剤112が互いに関して動ける
ようにし、それによりデバイス100は、薬物が固体形態でロードされているにも関わら
ず可撓性である。保持フレーム管腔110は、保持フレーム部分104を形成するように
保持フレーム114を収容するように構成される。
【0213】
図8Bの横断面図に示す通り、デバイスボディー106は、薬物リザーバー管腔108
を規定するチューブまたは壁122、および保持フレーム管腔110を規定するチューブ
または壁124を含む。チューブ122、124および管腔108、110は、実質的に
円柱状であり、薬物リザーバー管腔108が保持フレーム管腔110より相対的に大きな
直径を有していてよいが、他の立体配置は、例えば、送達される薬物の量、保持フレーム
の直径、およびデプロイメント装置の内径などのデプロイメントの留意事項に基づいて選
択されてよい。デバイスボディー106は、成形または押出などを介して一体で形成され
てよいが、チューブ122、124の別々の構築および組み立ては可能である。保持フレ
ーム管腔110を規定する壁124は薬物リザーバー管腔108を規定する壁122の全
長に沿って伸長してよく、そのため、示される通り、保持フレーム管腔110は薬物リザ
ーバー管腔108と同じ長さを有するが、他の実施形態では、一方の壁は他方の壁より短
くてよい。さらに、断続的な接着は用いられ得るが、例示される実施形態では、2つの壁
122、124はデバイスの全長に沿って接着している。
【0214】
図8Aに示す通り、薬物リザーバー管腔108は、直列配置でいくつかの薬物ユニット
112がロードされている。例えば、約20~約80個の間の薬物ユニット112などの
約10~約100個の間の薬物ユニット112がロードされていてよい。薬物ユニットは
、例えば、錠剤、ビーズまたはカプセルであってよい。本質的に任意の数の薬物ユニット
が、リザーバーおよび薬物ユニットのサイズに応じて使用されてよい。薬物リザーバー管
腔108は、薬物リザーバー管腔108の反対側の末端での相対的に円形の開放部として
示される開放端130および132を含む。開放部の少なくとも1つは、デバイスのロー
ドおよび組み立ての際に薬物リザーバー管腔108に入れられる薬物ユニット112の移
入をもたらす。
【0215】
エンドプラグ120は、薬物ユニット112のロード後に開放部130および132を
塞ぐ。エンドプラグ120は、円柱状であってよく、摩擦接触および/もしく接着剤また
は他の固定手段によって薬物リザーバー管腔108に固定されてよい。各エンドプラグ1
20は、例示される通り、薬物リザーバー管腔108から薬物を放出するための通路を提
供するためにアパーチャー118を含む。一部の代替的実施形態では、エンドプラグの1
つだけがアパーチャーを含む。一部の他の代替的実施形態では、エンドプラグはいずれも
アパーチャーを含まず、これらの実施形態の一部では、チューブ壁122は、それを通じ
た薬物の放出のための規定のアパーチャーを含む。
【0216】
保持フレーム管腔110には、図8Aに示される重複コイル形状に(熱的に)形状が硬
化されるニチノールワイヤーなどの弾性ワイヤーであってよい保持フレーム114がロー
ドされる。保持フレーム114は、デバイス100が相対的に低いプロファイル形状で身
体に導入されることを可能にし、デバイス100が身体内では相対的に広がった形状に戻
れるようにし、かつ排尿筋の収縮および排尿に伴う流体力などの予期される力に応答して
デバイスが身体内で相対的に低いプロファイル形状を取ることを妨げる弾性限界および弾
性率を有してよい。
浸食ベースシステム
【0217】
低溶解度薬物を含む錠剤を使用する場合がある一部の実施形態では、薬物は、錠剤面を
露出してデバイスに固定された錠剤形態で提供され、その結果、米国特許第9,107,
816号に記載の通り、デバイスからの薬物の放出は、制御された浸食/溶解によって生
じる。一部の実施形態では、デバイスは、モジュール式ハウジングを含んでよい。モジュ
ール式ハウジングは、少なくとも2つの別々のハウジングユニットから典型的には形成さ
れ、各ユニットは少なくとも1つの固体薬物ユニットを収容する。各ハウジングユニット
を形成する材料は、固体薬物ユニットを収容できる少なくとも1つの薬物リザーバー管腔
を規定する。薬物リザーバー管腔は、1つまたは複数の規定の開放部を有してよい。例え
ば、薬物リザーバー管腔は、それに収容される少なくとも1つの固体薬物ユニットの対応
する反対側の末端表面を露出する、2つの対向する開放部を有してよい。ある特定の実施
形態では、モジュール式ハウジング中の少なくとも2つの別々のハウジングユニットは、
保持フレームによって直接または間接的に接続されている。一部の実施形態では、モジュ
ール式ハウジングユニットは、「ブレスレット」デザインを形成するように保持フレーム
上に置かれてよい。デバイスは、1つのハウジングユニットまたは複数のハウジングユニ
ットを有してよい。ハウジングユニットの数は、それらが接続される保持フレームのサイ
ズによってだけ限定され得る。
【0218】
一部の実施形態では、別々のハウジングユニットの1つまたは複数は、共有保持フレー
ムがそれを通じて伸長される保持フレーム管腔を含む。ある特定の実施形態では、各ハウ
ジングユニットの保持フレーム管腔および薬物リザーバー管腔は、互いに平行に配置され
ている。特定の実施形態では、各ハウジングユニットの保持フレーム管腔および薬物リザ
ーバー管腔は、互いに垂直に配置されている。さらなる実施形態では、各ハウジングユニ
ットの保持フレーム管腔および薬物リザーバー管腔は、5、10、30、45、60また
は85°などの0°(平行)および90°(垂直)以外の角度で配置されている。さらな
る実施形態では、本明細書に記載されるデバイスは、次の立体配置:(1)保持フレーム
管腔および薬物リザーバー管腔が互いに実質的に平行に配置されている、(2)保持フレ
ーム管腔および薬物リザーバー管腔が互いに実質的に垂直に配置されている、ならびに(
3)保持フレーム管腔および薬物リザーバー管腔が0°(平行)および90°(垂直)以
外の角度で配置されている、の少なくとも2つを含む2つまたはそれよりも多いハウジン
グユニットを含む。
一体型シリコーン薬物送達システム
【0219】
一部の実施形態では、デバイスは、本明細書にその全体が参照により組み込まれるWO
2015/200752に記載される弾性ポリマー薬物マトリクスを含んでよい。
複数の放出部分を含むデバイス
【0220】
特定の実施形態では、デバイスは、少なくとも2つの薬物放出部分を含み、その全体が
本明細書に参照により組み込まれるWO2011/031855に記載の通り、少なくと
も1つの放出部分は別の放出部分とは異なる速度で薬物を放出する。放出部分は、特に、
異なる立体配置を有することによって、異なる薬物製剤を収容することによって、もしく
は異なる放出機序を用いることによってまたはこれらの組合せで、異なる放出速度を達成
できる。放出部分は、所望の放出プロファイルを達成するために組み合わされてよい。例
えば、デバイスは、特に、初回放出の開始前に異なる誘導もしくは遅滞時間を示す、放出
開始後に異なる速度もしくは異なる放出曲線に従って薬物を放出する、または薬物ロード
が実質的に使い果たされるまでに異なる期間にわたって薬物を放出する、またはこれらの
組合せである放出部分を含んでよい。異なる放出部分は、全体としての薬物送達デバイス
からの所望の放出プロファイル、例えば、比較的短い初期遅滞時間を示し、その後、長期
間にわたって比較的一定速度での持続された放出を示す放出プロファイルを達成するよう
に組み合わされてよい。
【0221】
一部の実施形態では、デバイスは、従来の薬物錠剤よりも小さなサイズであってよいい
くつかの固体薬物錠剤の形態での薬物をロードされる。デバイスが身体への薬物の放出を
制御することから、薬物それ自体は薬物放出を制御する賦形剤をほとんどまたは全く含ま
なくてよい。代わりに、薬物錠剤に存在する賦形剤は、主にまたは完全に、錠剤化工程ま
たはin vivoでの可溶化を促進するために存在してよい。したがって、デバイスは
容量または重量ベースで高薬物ペイロードを提供でき、さらにデバイスは、侵襲性が最小
限の方式でのin vivoデプロイメントのために十分に小さくてよい。
【0222】
薬物ハウジングは、移植またはin vivo可溶化に続いて液体または半固体形態で
の薬物の放出(egress)も可能にできる。壁は、その全長に沿って薬物ハウジングを通じ
た薬物流出を可能にする薬物透過性材料から形成されてよい。壁は、少なくとも部分的に
薬物形態に応じて薬物に対して半透過性である材料から形成されてもよい。例えば、壁は
、荷電形態などの1つの形態で薬物に対して透過性であってよいが、未荷電形態などの別
の形態(例えば塩基形態対塩形態)ではそうでなくてよい。壁は、薬物が薬物ハウジング
から出られるように、完全に壁を貫通して形成された1つまたは複数の開放部または通路
を含んでもよい。
【0223】
薬物ハウジングは、直列配置で薬物ハウジング内に整列され、薬物ハウジングの反対側
の末端の進入開放部を閉じるプラグなどの密封構造を用いて薬物ハウジング内に封入され
ているいくつかの固体薬物錠剤の形態で、薬物を収容する。隣接する薬物錠剤の間に形成
された間隙または割れ目は、薬物錠剤を互いに関連して移動できるようにし、そのためデ
バイスは固体形態で薬物をロードされているにもかかわらず可撓性である。
【0224】
薬物部分は、本明細書に記載の特徴または立体配置の任意の組合せを有してよく、アパ
ーチャーが提供され、省かれ、通過ポアで置換され、または追加的アパーチャーもしくは
通過ポアで増強されてよく;ハウジングはオープンセル構造またはクローズドセル構造を
含む多孔性壁を有してよく;1つまたは複数の分解可能タイミング構造または放出調節構
造は、ハウジングを伴っていてよい、あるいはその任意の組合せを意味する。
【0225】
薬物錠剤は、薬物ハウジングの立体配置に応じて直列配置以外の任意の配置で整列され
てよい。薬物錠剤は、例示される薬物ハウジング全体ではない薬物ハウジングの任意の部
分に充填されてよい。シリコーン接着剤などの充填材は、薬物錠剤がロードされていない
薬物ハウジングの任意の部分に充填されて使用されてよく、空気が使用される場合があり
、デバイスの浮力が増大される。薬物錠剤の組成は、同じであってよく、またはデバイス
に沿って変化していてもよい。薬物は、他の液体、半固体または固体形態(例えば、粒剤
)などの薬物錠剤以外の形態であってもよい。
【0226】
特定の実施形態では、薬物送達デバイスは、単一の保持部分を伴う少なくとも2つの別
個のまたは分けられた薬物部分を含む。薬物部分はそれぞれ保持部分を伴う別々の薬物ハ
ウジングであってよく、または薬物部分は保持部分を伴う単一の薬物ハウジング内の別々
のエリアであってよい。
【0227】
各薬物部分は、薬物部分を第2の薬物部分から分離している、薬物ハウジングの壁の一
部および少なくとも1つの分割構造によって規定されてよい。分割構造は、特に、シリン
ダー、球またはディスクなどのハウジングに挿入されるプラグであってよく、そのサイズ
または接着剤を用いて適切な位置に固定される。分割構造は、成形によってなどそこで直
接形成されたハウジングの一部であってよい。
【0228】
少なくとも2つの別個の部分を含むデバイスは、対応する数の薬物リザーバーからの少
なくとも2つの薬物ペイロードの徐放のために適し得る。2つの別個の部分は、本明細書
に記載の通り、同じ立体配置または異なる立体配置を有していてよい。2つの薬物ペイロ
ードは、特に、活性成分含有量もしくは賦形剤含有量などの含有量;塩形態もしくは塩基
形態などの形態;液体、半固体もしくは固体状態などの状態;またはこれらの組合せに関
して互いに同じであってよく、または互いに異なっていてよい。したがって、2つの別個
の部分は、2つの薬物ペイロードを同時にもしくは異なる時期に、同じ速度でもしくは異
なる速度で、同じ放出機序もしくは異なる放出機序を介して、またはこれらの任意の組合
せで放出できる。
【0229】
例えば、1つの薬物部分は移植後比較的速やかにその薬物ペイロードを放出するように
構成されてよく、別の薬物部分は放出開始前に誘導時間を経るように構成されてよいし、
またはこれらの組合せであってもよい。異なる薬物部分の2つのペイロードの放出開始は
、段階的であってよい。急速放出薬物部分の例として、比較的薄い壁を有するシリコーン
チューブなどの比較的即効性の浸透ポンプとして作動する薬物部分、液体形態もしくは特
別に製剤化された固体形態などの急速放出形態で薬物をロードされた薬物部分、比較的即
効性の分解可能タイミング構造を伴う薬物部分、またはこれらの組合せが挙げられる。し
たがって、デバイスは、初期急性期中および維持期中に薬物を放出できる。
【0230】
別の例として、1つの薬物部分は、その薬物ペイロードを他の薬物ペイロードよりも比
較的速い速度で放出するように構成されてよい。例えば、1つの薬物部分は、移植後比較
的速やかに開始される拡散性放出のために低水溶性で薬物ペイロードを収容してよく、別
の薬物部分は、誘導期後の浸透放出のために高水溶性である薬物ペイロードを収容してよ
い。別の例として、1つの薬物部分は、即効性の分解可能タイミング膜を有するアパーチ
ャーを通じた急速放出のための液体状態で薬物ペイロードを収容でき、別の薬物部分は、
in vivoでの可溶化に続く遅延放出のために固体錠剤の別の薬物ペイロードを収容
できる。さらに別の例として、1つの薬物部分は比較的硬い壁を有してよい一方で、別の
薬物部分は、拡散による放出速度を増大できるその壁を貫通するように形成された、いく
つかのアパーチャーもしくはポア、または壁を通じた水もしくは薬物の透過の増大により
放出速度を増大させることができるクローズドセル多孔性壁を有してよい。
【0231】
放出部分は、所望の放出プロファイルを達成するように組み合わされてよい。例えば、
デバイスは、特に、初回放出の開始前に異なる誘導もしくは遅滞時間を示す、放出開始後
に異なる速度もしくは異なる放出曲線に従って薬物を放出する、または薬物ロードが実質
的に使い果たされるまでに異なる期間にわたって薬物を放出する、またはこれらの組合せ
である放出部分を含んでよい。異なる放出部分は、全体としての薬物送達デバイスからの
所望の放出プロファイル、例えば、比較的短い初期遅滞時間を示し、その後、長期間にわ
たって比較的一定速度での持続された放出を示す放出プロファイルを達成するように組み
合わされてよい。
【0232】
複数の異なる薬物部分を単一のデバイスに組み合わせることによって、デバイスは、代
謝拮抗物質の所望の放出プロファイルを示すことができる。全体としてのデバイスからの
放出プロファイルは、別個の部分の放出プロファイルの合計であってよく、例えば、放出
開始前の最小の遅滞時間を示す第1の部分、浸透圧勾配が発達する短い誘導期間を示す第
2の部分、および分解可能構造が溶解または分解することから開始前の長い遅延を示す第
3の部分を含む。任意の1つの部分から放出が始まると、放出速度は長期間、相対的にゼ
ロ次であってよく、減衰の期間が続く。3つの異なる部分は例であり、別個の部分の任意
の数または組合せが所望の放出プロファイルを達成するために使用されてよいことは注目
されるべきである。
【0233】
異なる薬物部分は、単一の管状ハウジング内で単に分けられたエリアであるため、デバ
イスは、構築およびデプロイメントのために有利には相対的に単純であってよく、さらに
異なる薬物部分は、異なる薬物ペイロード、アパーチャー配置および分解可能タイミング
構造のために異なる放出プロファイルを示す。薬物部分が、例えば異なる材料、厚さまた
は多孔性セル構造の壁を使用する他の実施形態では、ハウジングは、その長さが様々であ
ってもよく、別々の薬物ハウジングが使用されてもよい。したがって、徐放は、様々な方
式で達成されてよい。
ゲル
【0234】
別の実施形態では、コーティング物質は、膀胱壁に(例えば、膀胱内の尿路上皮エリア
に)膀胱内で適用されてよく、コーティング物質は、代謝拮抗物質または他の薬物、およ
びコーティング物質の膀胱壁への接着性を促進し、処置期間にわたる薬物の持続的な徐放
を提供する1つまたは複数の賦形剤材料を含む。コーティング物質は、ゲル剤、軟膏剤、
クリーム剤、ペースト剤、フィルム剤、乳液ゲル剤、錠剤、ポリマー剤、またはこれらの
組合せなどの粘膜付着性製剤であってよい。粘膜付着性製剤ポリマーとして、ハイドロゲ
ルまたは親水性ポリマー、ポリカルボフィル(すなわちカーボポールなど)、キトサン、
ポリビニルピロリドン(PVP)、レクチン、ポリエチレングリコレート化ポリマー、セ
ルロースまたはこれらの組合せが挙げられ得る。好適なセルロースとして、メチルセルロ
ース(MC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒロドキシプロピルセルロース
(HPC)またはこれらの組合せが挙げられる。コーティング物質は、透過増強剤を含ん
でよい。透過増強剤の非限定的な例として、ジメチルスルホキシド(DMSO)、カルボ
キシメチルセルロースナトリウム(NaCMC)、脂質、界面活性剤またはこれらの組合
せが挙げられる。コーティング物質は、コーティング物質が膀胱壁に結合できるように膀
胱内でデプロイメントされてよい。
【0235】
コーティング物質は、デプロイメント装置を使用して膀胱内でデプロイメントされてよ
い。デプロイメント装置は、意図する移植部位に達するように身体の天然の管腔を導くた
めに設計された任意のデバイスであってよい。膀胱内でのデプロイメントのために、デプ
ロイメント装置は膀胱へ患者の尿道を通過するためにサイズ決めされ形づくられる。デプ
ロイメント装置は、カテーテルもしくは膀胱鏡などの公知のデバイスまたは特別に設計さ
れたデバイスであってよい。デプロイメント装置は、身体内にコーティング物質をデプロ
イメントするために使用され、次に身体から除去され、コーティング物質すべてが身体に
移植される。移植されると、コーティング物質は、長期間身体へ薬物を放出できる。同等
の手順は、本明細書に記載のデバイスまたは薬物のいずれかを他の天然の管腔を通じて身
体の他の部分にデプロイメントするために使用できる。例えば、デプロイメント装置は、
尿道を通じてデプロイメント装置を通過させることによって液体薬物または薬物製剤を膀
胱内にデプロイメントさせるために使用できる。
代謝拮抗物質および第2の薬剤を含むデバイス
【0236】
一部の実施形態では、本明細書で提供される膀胱腔内(膀胱内)デバイスは免疫調節性
薬剤を含む。これらの実施形態の一部では、本明細書で提供される膀胱腔内(膀胱内)デ
バイスは免疫調節性薬剤および代謝拮抗物質を含む。一部の実施形態では、免疫調節性薬
剤および代謝拮抗物質は、異なる速度で送達される。
III.キット
【0237】
本明細書では、代謝拮抗物質および免疫調節性薬剤を含むキットが提供される。一部の
実施形態では、キットは、代謝拮抗物質を含む膀胱腔内(膀胱内)デバイスを含む。一部
の実施形態では、キットは、免疫調節性薬剤と共にパッケージされた代謝拮抗物質を含む
膀胱腔内(膀胱内)デバイスを含む。一部の実施形態では、キットは、代謝拮抗物質およ
び免疫調節性薬剤を含む膀胱腔内(膀胱内)デバイスを含む。
IV.例示的実施形態
実施形態1.個体における下部尿路の尿路上皮癌を処置する方法であって、有効量の代
謝拮抗物質を個体に投与するステップを含み、代謝拮抗物質は、膀胱に局所的に送達され
る、方法。
実施形態2.個体における下部尿路の尿路上皮癌に対する免疫応答を増強する方法であ
って、有効量の代謝拮抗物質を個体に投与するステップを含み、代謝拮抗物質は、膀胱に
局所的に送達される、方法。
実施形態3.個体の下部尿路の尿路上皮癌の再発または進行を低減させる方法であって
、有効量の代謝拮抗物質を個体に投与するステップを含み、代謝拮抗物質は、膀胱に局所
的に送達される、方法。
実施形態4.下部尿路の尿路上皮癌を有する個体におけるがん免疫療法のために腫瘍微
小環境を改善する方法であって、有効量の代謝拮抗物質を個体に投与するステップを含み
、代謝拮抗物質は、膀胱に局所的に送達される、方法。
実施形態5.下部尿路の尿路上皮癌を有する個体を、放射線治療のために感作する方法
であって、有効量の代謝拮抗物質を個体に投与するステップを含み、代謝拮抗物質は、膀
胱に局所的に送達される、方法。
実施形態6.代謝拮抗物質がヌクレオシドアナログである、実施形態1から5のいずれ
か一項に記載の方法。
実施形態7.代謝拮抗物質がゲムシタビンである、実施形態6に記載の方法。
実施形態8.代謝拮抗物質が、少なくとも約24時間の期間をかけて膀胱中に持続的に
送達される、実施形態1から7のいずれかに記載の方法。
実施形態9.代謝拮抗物質が、送達の第1の時期において第1の放出速度で送達され、
その後、第2の放出速度を有する送達の第2の時期が続く、実施形態1から8のいずれか
に記載の方法。
実施形態10.代謝拮抗物質が、送達の第1の時期において第1の用量で送達され、そ
の後、送達の第2の時期において第2の用量で送達される、実施形態1から9のいずれか
一項に記載の方法。
実施形態11.第1の時期および第2の時期が連続的である、実施形態9または10に
記載の方法。
実施形態12.第1の時期および第2の時期が、休薬期間によって分離される、実施形
態9または10に記載の方法。
実施形態13.代謝拮抗物質が、約1mg/日~約300mg/日の用量で送達される
、実施形態1から9のいずれかに記載の方法。
実施形態14.尿中のゲムシタビンの濃度が、送達期間の間約0.1μg/mL~約2
00μg/mLである、実施形態1から13のいずれかに記載の方法。
実施形態15.尿中の代謝拮抗物質の濃度が、送達期間の間約1μg/mL~約10μ
g/mLである、実施形態14に記載の方法。
実施形態16.尿中の代謝拮抗物質の濃度が、送達期間の間約10μg/mLである、
実施形態15に記載の方法。
実施形態17.個体の血漿中の代謝拮抗物質濃度が、約1μg/ml未満である、実施
形態1から16のいずれかに記載の方法。
実施形態18.代謝拮抗物質の送達の際に、個体の尿中の代謝拮抗物質対血漿中の代謝
拮抗物質の比が、約500:1よりも大きい、実施形態1から17のいずれかに記載の方
法。
実施形態19.代謝拮抗物質が、少なくとも1ヶ月間かけて送達され、各代謝拮抗物質
送達期間が、少なくとも1日間であり、各代謝拮抗物質送達期間間の間隔が、約1週間以
下である、実施形態1から18のいずれかに記載の方法。
実施形態20.a)個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度が少なくとも約0.1μg/mL
である、第1の代謝拮抗物質送達期間;b)休薬期間;およびc)個体の尿中の代謝拮抗
物質の濃度が約0.1μg/mLよりも高い、第2の代謝拮抗物質送達期間を含む、実施
形態1から19のいずれかに記載の方法。
実施形態21.尿中の代謝拮抗物質の濃度が、休薬期間の少なくとも半分にわたって約
1μg/mLよりも高い、実施形態20に記載の方法。
実施形態22.有効量の第2の薬剤を個体に投与するステップをさらに含む、実施形態
1から21のいずれか一項に記載の方法。
実施形態23.第2の薬剤が、代謝拮抗物質送達が開始される時点で送達される、
実施形態22に記載の方法。
実施形態24.第2の薬剤が、代謝拮抗物質送達が開始される前に送達される、実施形
態22に記載の方法。
実施形態25.第2の薬剤が、代謝拮抗物質送達が開始された後に送達される、実施形
態22に記載の方法。
実施形態26.第2の薬剤が、代謝拮抗物質送達が終結された後に送達される、実施形
態22に記載の方法。
実施形態27.代謝拮抗物質送達期間と第2の薬剤送達期間とが互いに重複する、実施
形態22から26のいずれか一項に記載の方法。
実施形態28.代謝拮抗物質送達期間と第2の薬剤送達期間とが非重複である、実施形
態22から26のいずれか一項に記載の方法。
実施形態29.第2の薬剤が、全身的に送達される、実施形態22から28のいずれか
一項に記載の方法。
実施形態30.第2の薬剤が、局所的に送達される、実施形態22から28のいずれか
一項に記載の方法。
実施形態31.第2の薬剤が、第2の薬剤送達期間の第1の時期において全身的に送達
され、その後、第2の薬剤送達期間の第2の時期における局所的送達が続く、実施形態2
2から30のいずれか一項に記載の方法。
実施形態32.第2の薬剤が、第2の薬剤送達期間の第1の時期において局所的に送達
され、その後、第2の薬剤送達期間の第2の時期における全身的送達が続く、実施形態2
2から30のいずれか一項に記載の方法。
実施形態33.第2の薬剤送達期間の第1の時期および第2の薬剤送達期間の第2の時
期が、少なくとも約1ヶ月間分離される、実施形態31および32に記載の方法。
実施形態34.代謝拮抗物質および第2の薬剤が、同時に送達される、実施形態22に
記載の方法。
実施形態35.代謝拮抗物質および第2の薬剤が、単一の送達デバイスを介して送達さ
れる、実施形態34に記載の方法。
実施形態36.代謝拮抗物質および第2の薬剤が、同じ放出速度で送達される、実施形
態35に記載の方法。
実施形態37.代謝拮抗物質および第2の薬剤が、異なる放出速度で送達される、実施
形態35に記載の方法。
実施形態38.代謝拮抗物質とは別々に第2の薬剤を送達するステップをさらに含む、
実施形態34から37のいずれか一項に記載の方法。
実施形態39.第2の薬剤が、全身的に送達される、実施形態38に記載の方法。
実施形態40.第2の薬剤が、局所的に送達される、実施形態38に記載の方法。
実施形態41.第2の薬剤が化学療法剤である、実施形態22から40のいずれか一項
に記載の方法。
実施形態42.第2の薬剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、カルボプラチン、シス
プラチンおよびオキサリプラチンからなる群から選択される、実施形態41に記載の方法

実施形態43.第2の薬剤が免疫調節性薬剤である、実施形態22から40のいずれか
一項に記載の方法。
実施形態44.免疫調節性薬剤が免疫チェックポイント阻害剤である、実施形態43に
記載の方法。
実施形態45.免疫チェックポイント阻害剤が、PD-L1、CTLA4、PD-L2
、PD-1、B7-H3、B7-H4、HVEM、BおよびTリンパ球アテニュエータ(
BTLA)、キラー阻害受容体(KIR)、GAL9、TIM3、A2AR、LAG-3
、ホスファチジルセリン、CD27、TNF-α、CD33、Siglec-5、Sig
lec-7、Siglec-9ならびにSiglec-11からなる群から選択される免
疫チェックポイントタンパク質の阻害剤である、実施形態44に記載の方法。
実施形態46.免疫調節性薬剤が、共刺激免疫分子のアゴニストである、実施形態43
に記載の方法。
実施形態47.共刺激免疫分子が、CD40、OX40、ICOS、CD28、CD1
37/4-1BB、CD27、IL-10、TGF-ベータ、TOR受容体およびグルコ
コルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質GITRからなる群から選択される、実施形
態46に記載の方法。
実施形態48.個体が、放射線治療を受けない、実施形態1から47のいずれか一項に
記載の方法。
実施形態49.放射線治療をさらに含む、実施形態1から48のいずれか一項に記載の
方法。
実施形態50.代謝拮抗物質が、ネオアジュバント状況で送達される、実施形態1から
49のいずれか一項に記載の方法。
実施形態51.代謝拮抗物質が、アジュバント状況で送達される、実施形態1から49
のいずれか一項に記載の方法。
実施形態52.手術を含む第3の治療をさらに含み、個体への代謝拮抗物質の送達が、
手術の時点で開始される、実施形態1から51のいずれか一項に記載の方法。
実施形態53.個体への代謝拮抗物質の送達が、膀胱鏡検査の間に開始される、実施形
態1から52のいずれか一項に記載の方法。
実施形態54.代謝拮抗物質が、膀胱腔内送達デバイスによって膀胱中に送達される、
実施形態1から53のいずれか一項に記載の方法。
実施形態55.膀胱腔内デバイスが、膀胱腔内挿入のために構成されたハウジング;お
よび代謝拮抗物質を含む投薬形態を含み、ハウジングが、投薬形態を保持し、尿路上皮癌
の処置に有効な量で代謝拮抗物質を放出するように構成されている、実施形態54に記載
の方法。
実施形態56.膀胱腔内薬物送達デバイスが、代謝拮抗物質を含み、それを制御可能に
放出し、個体の膀胱においてデバイスを保持するように構成された保持形状と個体の尿道
を通じたデバイスの通過のためのデプロイメント形状との間で弾性的に変形可能であるハ
ウジングを含む、実施形態54から55のいずれか一項に記載の方法。
実施形態57.デバイスが、第1の壁および第2の壁を境界とした薬物リザーバー管腔
を含み、第1の壁が、薬物に対して不透過性であり、第2の壁が、代謝拮抗物質に対して
透過性である、実施形態56に記載の方法。
実施形態58.第1の壁が円柱状である、実施形態57に記載の方法。
実施形態59.第2の壁がディスク形状である、実施形態57から58のいずれか一項
に記載の方法。
実施形態60.膀胱腔内薬物送達デバイスが、少なくとも2つの薬物リザーバー管腔を
含む、実施形態54から59のいずれか一項に記載の方法。
実施形態61.代謝拮抗物質が、浸透圧によってデバイスから放出される、実施形態5
4から60のいずれか一項に記載の方法。
実施形態62.代謝拮抗物質が、拡散によってデバイスから放出される、実施形態54
から61のいずれか一項に記載の方法。
実施形態63.ハウジング中に含まれる代謝拮抗物質が、非液体形態である、実施形態
54から62のいずれか一項に記載の方法。
実施形態64.非液体形態が、錠剤、顆粒、半固体、カプセルおよびそれらの組合せか
らなる群から選択される、実施形態63に記載の方法。
実施形態65.尿路上皮癌が膀胱がんである、実施形態1から64のいずれか一項に記
載の方法。
実施形態66.膀胱がんが、局所的に進行した膀胱がんまたは転移性膀胱がんである、
実施形態65に記載の方法。
実施形態67.膀胱がんが筋浸潤性膀胱がんである、実施形態64から65のいずれか
一項に記載の方法。
実施形態68.膀胱がんが非筋浸潤性膀胱がんである、実施形態64から65のいずれ
か一項に記載の方法。
実施形態69.膀胱がんが上皮内癌である、実施形態64から65のいずれか一項に記
載の方法。
実施形態70.膀胱がんが、BCG(カルメット・ゲラン桿菌)不応性がんまたは乳頭
状膀胱がんである、実施形態64から65のいずれか一項に記載の方法。
実施形態71.個体がヒトである、実施形態1から70のいずれか一項に記載の方法。
実施形態72.個体が、全身的治療に不適切である、実施形態1から71のいずれか一
項に記載の方法。
実施形態73.個体が、損なわれた免疫系を有する、実施形態1から72のいずれか一
項に記載の方法。
実施形態74.個体が、高レベルの免疫チェックポイントタンパク質を有する、実施形
態1から73のいずれか一項に記載の方法。
実施形態75.個体が、低レベルの免疫チェックポイントタンパク質を有する、実施形
態1から73のいずれか一項に記載の方法。
実施形態76.個体が、高レベルのヌクレオシド輸送体を有する、実施形態1から75
のいずれか一項に記載の方法。
実施形態77.個体が、低レベルのヌクレオシド輸送体を有する、実施形態1から75
のいずれか一項に記載の方法。
実施形態78.代謝拮抗物質がゲムシタビンであり、方法が尿中のゲムシタビン/代謝
物比を決定するステップをさらに含み、閾値を下回る比が有効な処置を示す、実施形態1
から77のいずれか一項に記載の方法。
実施形態79.a)代謝拮抗物質およびb)第2の薬剤を含む、個体における下部尿路
の尿路上皮癌を処置するためのキットであって、代謝拮抗物質は、膀胱への局所的送達の
ためのデバイス中にある、キット。
実施形態80.代謝拮抗物質がゲムシタビンである、実施形態79に記載のキット。
実施形態81.第2の薬剤が免疫調節剤である、実施形態79または80に記載のキッ
ト。
実施形態82.代謝拮抗物質および免疫調節剤を含むハウジングを含む、個体の膀胱へ
の代謝拮抗物質および第2の薬剤の局所的送達のための送達デバイスであって、ハウジン
グは、個体の膀胱中への代謝拮抗物質および第2の薬剤の局所的放出を提供するように構
成されている、送達デバイス。
実施形態83.代謝拮抗物質がゲムシタビンである、実施形態82に記載の送達デバイ
ス。
実施形態84.第2の薬剤が免疫調節剤である、実施形態82または83に記載の送達
デバイス。
実施形態85.膀胱腔内薬物送達デバイスが、リザーバーを規定するハウジング;リザ
ーバー内に含まれる第1のユニットであって、代謝拮抗物質を含む第1のユニット;およ
び第1のユニットとは別個の位置でリザーバー内に含まれる第2のユニットであって、ハ
ウジングからの薬物のin vivo放出を促進する機能的薬剤を含む第2のユニットを
含む、実施形態54から56のいずれか一項に記載の方法。
実施形態86.個体における筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、有効量のゲム
シタビンを膀胱に局所的に送達するステップを含み、ゲムシタビンは、少なくとも24時
間にわたって持続的に送達される、方法。
実施形態87.個体における膀胱保存の方法であって、有効量のゲムシタビンを膀胱に
局所的に送達するステップを含み、ゲムシタビンは、少なくとも24時間にわたって持続
的に送達される、方法。
実施形態88.ゲムシタビンが、膀胱腔内デバイスによって送達される、実施形態86
または87に記載の方法。
実施形態89.膀胱腔内デバイスが、膀胱腔内挿入のために構成されたハウジング;お
よび代謝拮抗物質を含む投薬形態を含み、ハウジングが、投薬形態を保持し、尿路上皮癌
の処置に有効な量で代謝拮抗物質を放出するように構成されている、実施形態88に記載
の方法。
実施形態90.膀胱腔内薬物送達デバイスが、代謝拮抗物質を含み、それを制御可能に
放出し、個体の膀胱においてデバイスを保持するように構成された保持形状と個体の尿道
を通じたデバイスの通過のためのデプロイメント形状との間で弾性的に変形可能であるハ
ウジングを含む、実施形態88または89に記載の方法。
実施形態91.膀胱腔内デバイスが、225mgのゲムシタビンを含む、実施形態88
から90のいずれか一項に記載の方法。
実施形態92.ゲムシタビンが、24時間~3週間の期間にわたって個体の膀胱に持続
的に送達される、実施形態86から91のいずれか一項に記載の方法。
実施形態93.ゲムシタビンが、7日間にわたって個体の膀胱に持続的に送達される、
実施形態86から92のいずれか一項に記載の方法。
実施形態94.2つのゲムシタビン送達期間を含む、実施形態86から93のいずれか
一項に記載の方法。
実施形態95.第1および第2のゲムシタビン送達期間が、各々7日間である、実施形
態94に記載の方法。
実施形態96.第1および第2のゲムシタビン送達期間が、14日間の休薬期間によっ
て分離される、実施形態94または95に記載の方法。
実施形態97.個体が、根治的膀胱切除術に不向きである、実施形態86から96のい
ずれか一項に記載の方法。
実施形態98.個体が、全身的化学療法および/または代謝拮抗物質以外の薬剤による
化学療法を認容できない、実施形態86から97のいずれか一項に記載の方法。
実施形態99.個体が、根治的膀胱切除術を受けない、実施形態86から98のいずれ
か一項に記載の方法。
実施形態100.個体における非筋浸潤性膀胱がんを処置する方法であって、ゲムシタ
ビンを膀胱に局所的に送達するステップを含み、ゲムシタビンは、少なくとも24時間に
わたって持続的に送達される、方法。
実施形態101.ゲムシタビンが、膀胱腔内デバイスによって送達される、実施形態1
00に記載の方法。
実施形態102.膀胱腔内デバイスが、膀胱腔内挿入のために構成されたハウジング;
および代謝拮抗物質を含む投薬形態を含み、ハウジングが、投薬形態を保持し、尿路上皮
癌の処置に有効な量で代謝拮抗物質を放出するように構成されている、実施形態101に
記載の方法。
実施形態103.膀胱腔内薬物送達デバイスが、代謝拮抗物質を含み、それを制御可能
に放出し、個体の膀胱においてデバイスを保持するように構成された保持形状と個体の尿
道を通じたデバイスの通過のためのデプロイメント形状との間で弾性的に変形可能である
ハウジングを含む、実施形態101または102に記載の方法。
実施形態104.膀胱腔内デバイスが、225mgのゲムシタビンを含む、実施形態1
01から103のいずれかに記載の方法。
実施形態105.ゲムシタビンが、24時間~3週間の期間にわたって個体の膀胱に持
続的に送達される、実施形態100から105のいずれか一項に記載の方法。
実施形態106.ゲムシタビンが、7日間にわたって個体の膀胱に持続的に送達される
、実施形態100から106のいずれか一項に記載の方法。
実施形態107.第1のゲムシタビン送達期間および第2のゲムシタビン送達期間を含
む、実施形態100から106のいずれか一項に記載の方法。
実施形態108.第1および第2のゲムシタビン送達期間が、各々7日間である、実施
形態107に記載の方法。
実施形態109.第1および第2のゲムシタビン送達期間が、14日間の休薬期間によ
って分離される、実施形態107または108に記載の方法。
実施形態110.個体がヒトである、実施形態86から109のいずれか一項に記載の
方法。
実施形態111.ゲムシタビンが、7日間にわたって個体の膀胱に持続的に送達される
、実施形態7から78のいずれか一項に記載の方法。
実施形態112.ゲムシタビンが、3週間にわたって個体の膀胱に持続的に送達される
、実施形態7から78のいずれか一項に記載の方法。
実施形態113.2つのゲムシタビン送達期間を含む、実施形態7から78、111、
または112のいずれか一項に記載の方法。
実施形態114.第1および第2のゲムシタビン送達期間が、各々7日間である、実施
形態113に記載の方法。
実施形態115.第1および第2のゲムシタビン送達期間が、各々3週間である、実施
形態113に記載の方法。
実施形態114.第1および第2のゲムシタビン送達期間が、休薬期間によって分離さ
れる、実施形態113から115のいずれかに記載の方法。
実施形態115.休薬期間が14日間である、実施形態114に記載の方法。
実施形態116.休薬期間が14日間~12週間である、実施形態114に記載の方法

実施形態117.ゲムシタビンが、3週間にわたって個体の膀胱に持続的に送達される
、実施形態100から104のいずれかに記載の方法。
実施形態118.第1のゲムシタビン送達期間および第2のゲムシタビン送達期間が、
各々3週間である、実施形態107に記載の方法。
【実施例0238】
(実施例1)
同所性膀胱がんモデルは、ヒト膀胱がん細胞株の処置での膀胱へのゲムシタビンの持続
的投与の有効性の評価を可能にするためにラットにおいて開発された。胸腺欠損ヌードラ
ットを0日目にカニューレ処置した。3日目にラットに蛍光標識T24ヒト膀胱がん細胞
を注射した。研究5日目に腫瘍は観察可能であった。ゲムシタビン灌流を6日目に開始し
、11日目まで持続した。3種の濃度のゲムシタビンを検査した:90μg/ml、18
0μg/mlおよび350μg/ml。図1に示す通り、5日間の研究期間にわたるゲム
シタビン90μg/mlの持続的投与は、未処置対照と比較して腫瘍体積における顕著な
低減をもたらす。抗腫瘍効果は、ゲムシタビンの投与濃度を増加させると増大した。
【0239】
11日後、膀胱を除去し、組織学的分析に供した。強い炎症応答が、検査した3種すべ
てのゲムシタビン濃度について観察された。濃度が高いほど、壊死の面積は広く、炎症細
胞の浸潤が薬物放出部位に観察された。
【0240】
ゲムシタビンを用いて処置したラットにおいて測定された尿および血液パラメーターに
おいて重要な有意差は見出されなかった。血尿が、灌流したすべての動物において観察さ
れた。
【0241】
ゲムシタビンは、軽度から中程度の体重減少を伴ってすべての灌流群において認容可能
であった。死亡数(2/6)がゲムシタビンの高用量処置(350μg/ml)において
観察された。
(実施例2)
【0242】
ミニブタモデルは、膀胱腔内(膀胱内)デバイスを使用して膀胱局所的かつ持続的にゲ
ムシタビンを投与することの効果を調査するために開発された。この研究のために、ゲム
シタビンをミニブタに1週間、膀胱腔内(膀胱内)デバイスを使用して持続的に投与した
。膀胱腔内(膀胱内)デバイスを7日目に除去した。デバイスの除去に続いてゲムシタビ
ンおよび活性代謝物の濃度をミニブタの尿中で測定した。尿中のゲムシタビンおよび活性
代謝物のレベルに基づいて、膀胱組織中の治療用ゲムシタビンレベルを概算した。驚くべ
きことに、ゲムシタビンの治療に適したレベルは、デバイスが除去された後も十分に持続
された。
(実施例3)
【0243】
実施されたパイロット研究は、膀胱にゲムシタビンを局所的かつ持続的に投与すること
の薬物動態および薬力学的特性を決定するためにオススプラーグドーリーラットを使用し
た。ラットに膀胱内カニューレ(IUBC)を装着し、放射標識14C-ゲムシタビンを
6または24時間、速度300μL/時間、ゲムシタビン濃度3.85mg/mLで灌流
した。種々の組織層中のゲムシタビン濃度を測定した。驚くべきことに、図3に示す通り
、ゲムシタビンは、深部膀胱組織に浸透できる。放射標識は、外膜および上皮に最も濃縮
されており、筋肉および粘膜固有層がこの順に続いた。
(実施例4)
【0244】
同系ラットモデルは、膀胱への持続的局所投与の処置有効性および免疫効果を評価する
ために開発された。ウィスターラットを0日目にカニューレ処置し、NBT-IIラット
膀胱腫瘍細胞を3日目に注射した。8日目に灌流を開始する前に5日間腫瘍を成長させた
。研究の8~13日目にゲムシタビンを濃度90μg/mlまたは180μg/mlで灌
流した。ラットを14日目に安楽死させた。腫瘍、脾臓、血液および血漿由来の試料を組
織病理学および免疫組織化学、フローサイトメトリーおよびサイトカインプロファイリン
グのために回収した。
【0245】
活性化CD8+およびCD4+T細胞のレベルも、CD+4およびCD8+制御性細胞
のレベルと比較して腫瘍微小環境において測定した。図4に示す通り、ゲムシタビンを用
いた処置は、腫瘍微小環境において制御性T細胞の活性化CD+4およびCD8+T細胞
に対する比を減少させた。活性化CD4+およびCD8+細胞のレベルは、ゲムシタビン
を用いて処置したラットの脾臓において増大した(図5)。理論に束縛されることなく、
活性化CD4+およびCD8+細胞について観察された効果は、血流への膀胱腫瘍抗原の
放出に続く、増強されたT細胞の輸送およびクローン拡大から生じ得る。
【0246】
血漿TGFβおよびIL-10レベルもゲムシタビンの送達に続いて測定した。図6
示す通り、TGFβのレベルは、対照動物と比較してゲムシタビンを用いて処置したラッ
トにおいて減少した。TGFβの阻害は、Treg活性化を損なうことが公知である。図
7に示す通り、IL-10レベルは、ゲムシタビンの送達で増大した。
【0247】
これらの結果は、ゲムシタビンの持続的かつ局所的送達が免疫応答を生じることを実証
している。
(実施例5)
【0248】
進行中の第1b相研究、TAR-200-101を、リンパ節郭清術を同時に伴う根治
的膀胱全摘出術(RC)を受けることが計画されている、確認された膀胱の筋浸潤性移行
上皮癌(>/=臨床および病理のステージpT2a)を有する患者において、28日間に
わたってGemRISシステムを使用して14日間の休薬期間によって分けられた225
mgの用量、7日間で膀胱内に投与されるゲムシタビンの2用量サイクルまでの安全性お
よび認容性を評価するために設計する。
【0249】
Gemcitabine Releasing Intravesical Syst
em(GemRIS)を、インサーターを通じて研究0日目に膀胱に置き、研究7日目に
除去する。GemRISは、7日間の留置期間にゲムシタビンを徐々に放出する。第2の
GemRISを研究21日目に膀胱に置き、TURBTの日である研究28日目に除去す
る。GemRISは、その作用の主な様式が7日間にわたる膀胱へのゲムシタビンの徐放
である、受動的、非吸収性ゲムシタビン放出膀胱腔内(膀胱内)システムである。
【0250】
アーム1は、TURBT後に残留腫瘍がある。TAR-200(GemRIS)を、イ
ンサーターを通じて研究0日目に膀胱に置き、研究7日目に除去する。TAR-200は
、7日間の留置期間にゲムシタビンを徐々に放出する。第2のTAR-200を研究21
日目に膀胱に置き、根治的膀胱全摘出術(RC)の日である研究28日目に除去する。
【0251】
アーム2は、TURBT後に残留腫瘍がない。TAR-200(GemRIS)を、イ
ンサーターを通じて研究0日目に膀胱に置き、研究7日目に除去する。TAR-200は
、7日間の留置期間にゲムシタビンを徐々に放出する。第2のTAR-200を研究21
日目に膀胱に置き、根治的膀胱全摘出術(RC)の日である研究28日目に除去する。
【0252】
患者は、膀胱の筋浸潤性移行上皮癌(ステージII~IIIb))の組織学的証明を有
する。閉鎖筋(obuturator)または仙骨前リンパ節のみへの転移性結節性疾患の徴候を有
する患者は含まれてよい。患者は、TURBT後に3cm以上で測定される目に見える残
留腫瘍を有さなければならない。研究に含まれる患者は、シスプラチンベース化学療法に
対して不適格であるとみなされるか、またはシスプラチンベース化学療法を拒絶した。放
射線治療が膀胱に投与されなかったことが条件で先行する放射線治療は許容される。患者
は、調査用生成物の除去および処置後の根治的膀胱全摘出術についての研究において膀胱
鏡検査を受けることに適格で、受ける意志がなければならない。
【0253】
主要評価項目は、MedDRAを用いて符号化され、CTCAE v4.0を用いて重
症度について類別された処置により発現した有害事象(TEAE)を有する参加者の数で
ある。副次評価項目は、1~7日目および21~28日目にGemRIS留置に認容性で
ある参加者の数および百分率である。dFdCおよびdFdUの血漿および尿レベルも測
定する。副次的有効性尺度は以下も含む:
【0254】
1.TAR-200留置に認容性である参加者の数[期間:0日目から7日目まで]
【0255】
2.TAR-200留置に認容性である参加者の百分率[期間:0日目から7日目まで
【0256】
3.TAR-200留置に認容性である参加者の数[期間:21日目から28日目まで
【0257】
4.TAR-200留置に認容性である参加者の百分率[期間:21日目から28日目
まで]
【0258】
5.Cmax、血漿dFdU。血漿中のジフルオロデオキシウリジン(diflourodeoxyu
ridine)(dFdU)のCmax(経時的に到達した最大濃度)の分析。[期間:0日目
から28日目まで]
【0259】
6.Tmax、血漿dFdU。血漿中のジフルオロデオキシウリジン(dFdU)のT
max(最大濃度に到達した日)の分析。[期間:0日目から28日目まで]
【0260】
7.Cavg、血漿dFdU。血漿中のジフルオロデオキシウリジン(dFdU)の濃
度の記述統計(例えば標本サイズ、平均値および中央値、四分位値、最小値および最大値
ならびにボックスプロット)の分析。[期間:0日目から28日目まで]
【0261】
8.Cmax、血漿dFdC。血漿中のゲムシタビン(デオキシジフルオロシチジン塩
酸塩dFdC)のCmax(経時的に到達した最大濃度)の分析。[期間:0日目から2
8日目まで]
【0262】
9.Tmax、血漿dFdC。血漿中のゲムシタビン(デオキシジフルオロシチジン塩
酸塩-dFdC)のTmax(最大濃度に到達した日)の分析[期間:0日目から28日
目まで]
【0263】
10.Cavg、血漿dFdC。血漿中のゲムシタビン(デオキシジフルオロシチジン
塩酸塩-dFdC)の濃度の記述統計(例えば標本サイズ、平均値および中央値、四分位
値、最小値および最大値ならびにボックスプロット)の分析[期間:0日目から28日目
まで]。
【0264】
11.Cmax、尿dFdU(アーム1のみ)。尿中のジフルオロデオキシウリジン(
dFdU)のCmax(経時的に到達した最大濃度)の分析。[期間:0日目から28日
目まで]
【0265】
12.Tmax、尿dFdU(アーム1のみ)。尿中のジフルオロデオキシウリジン(
dFdU)のCmax(経時的に到達した最大濃度)の分析。[期間:0日目から28日
目まで]
【0266】
13.Tmax、尿dFdU(アーム1のみ)。尿中のジフルオロデオキシウリジン(
dFdU)のCmax(経時的に到達した最大濃度)の分析。[期間:0日目から28日
目まで]
【0267】
14.Cavg、尿dFdU(アーム1のみ)。尿中のジフルオロデオキシウリジン(
dFdU)の濃度の記述統計(例えば標本サイズ、平均値および中央値、四分位値、最小
値および最大値ならびにボックスプロット)の分析。[期間:0日目から28日目まで]
【0268】
15.Cmax、尿dFdC(アーム1のみ)。尿中のゲムシタビン(デオキシジフル
オロシチジン塩酸塩-dFdC)のCmax(経時的に到達した最大濃度)の分析[期間
:0日目から28日目まで]
【0269】
16.Tmax、尿dFdC(アーム1のみ)。尿中のゲムシタビン(デオキシジフル
オロシチジン塩酸塩-dFdC)のTmax(最大濃度に到達した日)の分析[期間:0
日目から28日目まで]。
【0270】
17.Cavg、尿dFdC(アーム1のみ)。尿中のゲムシタビン(デオキシジフル
オロシチジン塩酸塩-dFdC)の濃度の記述統計(例えば標本サイズ、平均値および中
央値、四分位値、最小値および最大値ならびにボックスプロット)の分析。[期間:0日
目から28日目まで]
【0271】
18.薬物誘発細胞死の免疫組織化学組織バイオマーカー(AKT)について腫瘍材料
(処置後)において評価した予備的な抗腫瘍効果(アーム1)[期間:抗腫瘍分析は28
日目の研究日来診に行う。]
【0272】
19.薬物誘発細胞死の免疫組織化学組織バイオマーカー(CD31)について腫瘍材
料(処置後)において評価した予備的な抗腫瘍効果(アーム1)。[期間:抗腫瘍分析は
28日目の研究日来診に行う。]
【0273】
20.薬物誘発細胞死の免疫組織化学組織バイオマーカー(Ki67)について腫瘍材
料(処置後)において評価した予備的な抗腫瘍効果(アーム1)[期間:抗腫瘍分析は2
8日目の研究日来診に行う。]
【0274】
21.薬物誘発細胞死の免疫組織化学組織バイオマーカー(TUNEL)について腫瘍
材料(処置後)において評価した予備的な抗腫瘍効果(アーム1)[期間:抗腫瘍分析は
28日目の研究日来診に行う。]
【0275】
22.薬物誘発細胞死の免疫組織化学組織バイオマーカー(CD4)について腫瘍材料
(処置後)において評価した予備的な抗腫瘍効果(アーム1)[期間:抗腫瘍分析は28
日目の研究日来診に行う。]
【0276】
23.薬物誘発細胞死の免疫組織化学組織バイオマーカー(CD8)について腫瘍材料
(処置後)において評価した予備的な抗腫瘍効果(アーム1)[期間:抗腫瘍分析は28
日目の研究日来診に行う。]
【0277】
24.薬物誘発細胞死の免疫組織化学組織バイオマーカー(PD-L1)について腫瘍
材料(処置後)において評価した予備的な抗腫瘍効果(アーム1)[期間:抗腫瘍分析は
28日目の研究日来診に行う。]
【0278】
25.薬物誘発細胞死の免疫組織化学組織バイオマーカー(AKT)について腫瘍材料
(処置後)において評価した予備的な抗腫瘍効果(アーム2)[期間:抗腫瘍分析は42
日目の研究日来診に行う。]
【0279】
26.薬物誘発細胞死の免疫組織化学組織バイオマーカー(CD31)について腫瘍材
料(処置後)において評価した予備的な抗腫瘍効果(アーム2)[期間:抗腫瘍分析は4
2日目の研究日来診に行う。]
【0280】
27.薬物誘発細胞死の免疫組織化学組織バイオマーカー(Ki67)について腫瘍材
料(処置後)において評価した予備的な抗腫瘍効果(アーム2)[期間:抗腫瘍分析は4
2日目の研究日来診に行う。]
【0281】
28.薬物誘発細胞死の免疫組織化学組織バイオマーカー(TUNEL)について腫瘍
材料(処置後)において評価した予備的な抗腫瘍効果(アーム2)[期間:抗腫瘍分析は
42日目の研究日来診に行う。]29.薬物誘発細胞死の免疫組織化学組織バイオマーカ
ー(CD4)について腫瘍材料(処置後)において評価した予備的な抗腫瘍効果(アーム
2)[期間:抗腫瘍分析は42日目の研究日来診に行う。]
【0282】
29.薬物誘発細胞死の免疫組織化学組織バイオマーカー(CD8)について腫瘍材料
(処置後)において評価した予備的な抗腫瘍効果(アーム2)[期間:抗腫瘍分析は42
日目の研究日来診に行う。]
【0283】
30.薬物誘発細胞死の免疫組織化学組織バイオマーカー(PD-L1)について腫瘍
材料(処置後)において評価した予備的な抗腫瘍効果(アーム2)[期間:抗腫瘍分析は
42日目の研究日来診に行う。]
【0284】
次の適格性判定基準を使用する:最少年齢18歳。膀胱の筋浸潤性移行上皮癌の組織学
的証明(ステージII~III)。閉鎖筋または仙骨前リンパ節のみへの転移性結節性疾
患の徴候を有する対象は含まれてよい(N1 M0)。いかなる程度の骨盤側壁の固定も
有する対象は適格でない。アーム1では、対象はTURBT後に目に見える残留腫瘍を有
さなければならない。アーム2では、研究0日目に2~6週間先行する再ステージ分類T
URBT後に対象は完全に切除されていなければならない(すなわち、目に見える腫瘍が
ないまたは可能な限り小さな腫瘍)。投薬の21日前以内に実施される次の必要要件によ
って評価された適切な骨髄、肝臓および腎機能:a.ヘモグロビン≧9.0g/dL b
.好中球絶対数(ANC)≧1,500/mm3 c.血小板数≧100,000/mm
3 d.総ビリルビン≦1.5×ULN(正常上限値) e.アラニンアミノトランスフ
ェラーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)≦2.5
×ULN f.糸球体濾過率(GFR)≧30%(≧30ml/分/1.73m2)。対
象は、調査用生成物の除去のために研究で膀胱鏡検査を受ける意志がなければならない。
担当の泌尿器科医によるRCを受けることに適格で、その意志がある。対象は、担当する
腫瘍内科医によってシスプラチンベース併用化学療法に対して不適格であるとみなされな
ければならない。ネオアジュバントシスプラチンベース併用化学療法について医学的に適
格であり、この治療選択肢を拒否し、そのようにする危険性と利益を理解している対象。
放射線治療が膀胱に投与されなかったことが条件で先行する放射線治療は、許容される。
個人医療情報の公開についての同意書および1966年の医療保険の相互運用性と説明責
任に関する法律(HIPAA)の承認。同意時に年齢>18歳。
【0285】
次の排除判定基準を使用する:治癒的転帰が期待されて処置され、転移または死亡の危
険性が無視できる者を除く、12ヶ月以内の活動性悪性腫瘍。膀胱の移行上皮癌に対する
先行する全身性化学療法。非尿路上皮性癌に対するいかなる他の先行する全身性化学療法
も研究開始の5年超前に完了していなければならない。ゲムシタビン滴下への先行する曝
露。現在受けている他の膀胱内化学療法。処置調査者によって決定される同時の臨床的に
重要な感染。調査者の見解においてTAR-200の安全な設置、留置使用または除去を
妨げ得る任意の膀胱または尿道の解剖学的な特色の存在。膀胱尿管逆流の確認された病歴
または、スクリーニング時の留置尿管ステントもしくは腎瘻チューブの存在。登録前6ヶ
月未満以内に投与された骨盤放射線療法。登録の6ヶ月以上前に放射線療法を受けた対象
は、膀胱鏡検査での徴候または放射線性膀胱炎の症状を示してはならない。250mL超
の膀胱排尿後残尿容量(PVR)。調査者の見解において参加に禁忌となる尿路感染を含
む活動性、未制御の泌尿生殖器細菌性、ウイルス性または真菌感染。皮膚/爪真菌感染は
、排除されない。活動性帯状疱疹(水痘帯状疱疹感染)を有する対象は研究から排除され
る。調査者の見解において参加に禁忌となる任意の重大な心血管系、肺、肝臓、腎臓、胃
腸管、婦人科、内分泌、免疫学的、皮膚科学的、神経学的または精神医学的な疾患または
障害の病歴また存在。神経因性膀胱の診断の病歴。1日5mg以下の用量のステロイドを
除く、研究0日目の2週間以内のメトトレキセートまたはTNF阻害剤などの併用免疫抑
制性薬物療法。血液試料を提供することが困難であること。計画的来診および経過観察の
ための対象の再来に影響する可能性がある任意の状態(身体的、精神的または社会的)の
存在を含む、インフォームドコンセントに同意するまたは本プロトコールの必要要件に従
うことを望まないことまたはできないこと。調査者またはTARISの見解において、対
象が登録に不適であるとする他の明記されていない理由。
【0286】
10名の対象に投薬した。処置に関連する顕著な有害事象または中断はなく、GemR
ISの除去を求める対象もいなかった。膀胱炎または肉眼的血尿は報告されなかった。さ
らに、ゲムシタビンのIVまたは全身投与に典型的に見られる処置に関連する貧血、好中
球減少症または血小板減少症の徴候はなく、RCに遅延を生じる事象はなかった。化学的
膀胱炎もなかった。10名の対象についての予備的な薬物動態分析は完了し、測定可能な
尿レベルのゲムシタビンおよびdFdU(細胞内代謝物)を実証した。ゲムシタビンの血
漿濃度は、分析したすべての血漿試料(n=55)において定量のアッセイ限界(0.1
mcg/mL)より低かった。0.104~0.284mcg/mLの範囲の低いが定量
可能な血漿濃度のdFdUが、分析した55個の血漿試料のうちの10個において場合に
より観察された。
【0287】
すべての登録対象は、巨大な筋浸潤性疾患と一致するサイズ3cm以上と測定される残
留し、肉眼で見える、外方増殖性、乳頭状腫瘍を有した。著しくは、これら10名の処置
対象のうち5名は、RC時に肉眼で見える腫瘍を有さず、28日間の投薬期間中の処置効
果を示唆している。RCで目に見える腫瘍を有する残りの5名の対象のうち、3名は外方
増殖性(exhophytic)腫瘍体積の顕著な低減を示し、残りの2名(それぞれpT3ステー
ジ疾患を有する)は、持続性疾患を有した。10名の対象のうち4名は、完全な病理学的
奏効を有した1名の対象を含めて、嚢胞切除術時に残留筋浸潤性疾患の組織学的徴候を有
さなかった(<pT2)。予想外に10名の対象のうち9名は、RCの時点でいかなるリ
ンパ節での発症もなかった。リンパ節での発症の病歴での割合は、20~40%である。
さらに、RCを通じて任意の対象において診断された臨床ステージ(cT2、cT3)か
ら最終的な病理学的ステージで病理学的に上のステージに分類された者はいなかった。臨
床的にステージ分類されたMIBCを有する患者の42%が、その後、最終的な病理学的
ステージ分類で上のステージに分類されることを考慮すると、これは驚くべきことである
。さらに、近年の研究は、RCの時の病理学的な下へのステージ分類がより良好な予後を
示していることを示唆している。今日までの予備的な病理学的有効性の結果を表1に要約
する。予備的な抗腫瘍効果は、薬物誘発細胞死の免疫組織化学組織バイオマーカー(CD
4、CD8、PD-L1、AKT、CD31、Ki67、TUNEL)の評価について腫
瘍材料(処置後)において評価され得る。
【0288】
GemRISを用いて処置した数名の患者は、腫瘍周囲の炎症を伴うが、巻き込まれて
いない周辺の尿路上皮は正常に見え、著しい抗腫瘍効果を示した。これは、免疫療法を用
いる処置後に観察される肉眼的所見と一致する。
【0289】
今日までに見られた著しく無害で安全なプロファイルに加えて、GemRISは、嚢胞
切除術適格集団において現在許可されている28日ウインドウの処置を用いて顕著で予測
外の予備的な臨床有効性を実証している。GemRISは、さらに長期間の処置が可能で
ある、嚢胞切除術不適格患者のために実質的により高い利益を提供し得る。
【表1】
(実施例5)
【0290】
TAR-200-102と称される継続中の第1b相研究を、診断と膀胱腫瘍の経尿道
的切除術(TURBT)との間で非筋浸潤性膀胱がん(NMIBC)の再発の低または中
等度の危険性を有する患者において、28日間にわたってGemRISシステムを使用し
て14日間の休薬期間によって分けられた225mgの用量、7日間で膀胱内に投与され
るゲムシタビンの2用量サイクルまでの安全性および認容性を評価するために設計する。
【0291】
Gemcitabine Releasing Intravesical Syst
em(GemRIS)を、インサーターを通じて研究0日目に膀胱に置き、研究7日目に
除去する。GemRISは、7日間の留置期間にゲムシタビンを徐々に放出する。第2の
GemRISを研究21日目に膀胱に置き、TURBTの日である研究28日目に除去す
る。GemRISは、その作用の主な様式が7日間にわたる膀胱へのゲムシタビンの徐放
である、受動的、非吸収性ゲムシタビン放出膀胱腔内(膀胱内)システムである。
【0292】
アーム1:実験:7日レジメン TAR-200(GemRIS)を、インサーターを
通じて研究0日目に膀胱に置き、研究7日目に除去する。TAR-200は、7日間の留
置期間にゲムシタビンを徐々に放出する。第2のTAR-200を研究21日目に膀胱に
置き、TURBTの日である研究28日目に除去する。薬物:Gemcitabine-
Releasing Intravesical System(GemRIS/TAR
-200)。TAR-200は、その作用の主な様式が留置期間にわたる膀胱へのゲムシ
タビンの徐放である、受動的、非吸収性ゲムシタビン放出膀胱内システムである。
【0293】
アーム2:実験:21日レジメン TAR-200を、インサーターを通じて研究0日
目に膀胱に置き、研究21日目に除去する。TAR-200は、21日間の留置期間にゲ
ムシタビンを徐々に放出する。第2のTAR-200を研究21日目に膀胱に置き、研究
42日目に除去する。薬物:Gemcitabine-Releasing Intra
vesical System(GemRIS)/TAR-200。TAR-200は、
その作用の主な様式が留置期間にわたる膀胱へのゲムシタビンの徐放である、受動的、非
吸収性ゲムシタビン放出膀胱内システムである。
【0294】
研究に含まれる患者は、in situ(pTis)病理学的ステージpT1(粘膜固
有層への湿潤性)癌腫および、筋浸潤(infiltrating)ではないと判断された(pT2ま
たはそれを超える)切除可能である高悪性度疾患を除く、組織学的に確認された膀胱の尿
路上皮癌の低または中等度の危険性が確認された病歴を有する。
【0295】
主要評価項目は、MedDRAを用いて符号化し、CTCAE v4.0を用いて重症
度について類別した処置により発現した有害事象(TEAE)を有する参加者の数である
[期間:インフォームドコンセント用紙に署名した時から最後の研究来診まで、59日目
まで。]。副次評価項目は、1~7日目および21~28日目にGemRIS留置に認容
性である参加者の数および百分率である。dFdCおよびdFdUの血漿および尿レベル
も測定する。
【0296】
予備的な抗腫瘍効果は、薬物誘発細胞死の免疫組織化学組織バイオマーカー(AKT、
CD31、Ki67、TUNEL)の評価のために腫瘍材料(処置後)において評価され
る。副次評価項目は以下を含む:
【0297】
1.TAR-200留置に認容性である参加者の数(アーム1)。[期間:0日目から
7日目まで]
【0298】
2.TAR-200留置に認容性である参加者の百分率(アーム1)。[期間:0日目
から7日目まで]
【0299】
3.TAR-200留置に認容性である参加者の数(アーム1)。[期間:21日目か
ら28日目まで]
【0300】
4.TAR-200留置に認容性である参加者の百分率(アーム1)。[期間:21日
目から28日目まで]
【0301】
5.Cmax、血漿dFdU(アーム1)。血漿中のジフルオロデオキシウリジン(d
FdU)のCmax(経時的に到達した最大濃度)の分析。[期間:0日目から32日目
まで]
【0302】
6.Tmax、血漿dFdU(アーム1)。血漿中のジフルオロデオキシウリジン(d
FdU)のTmax(最大濃度に到達した日)の分析。[期間:0日目から32日目まで
【0303】
7.Cavg、血漿dFdU(アーム1)。血漿中のジフルオロデオキシウリジン(d
FdU)の濃度の記述統計(例えば標本サイズ、平均値および中央値、四分位値、最小値
および最大値ならびにボックスプロット)の分析。[期間:0日目から32日目まで]
【0304】
8.Cmax、血漿dFdC(アーム1)。血漿中のゲムシタビン(デオキシジフルオ
ロシチジン塩酸塩-dFdC)のCmax(経時的に到達した最大濃度)の分析。[期間
:0日目から32日目まで]
【0305】
9.Tmax、血漿dFdC(アーム1)。血漿中のゲムシタビン(デオキシジフルオ
ロシチジン塩酸塩-dFdC)のTmax(最大濃度に到達した日)の分析[期間:0日
目から32日目まで]
【0306】
10.Cavg、血漿dFdC(アーム1)。血漿中のゲムシタビン(デオキシジフル
オロシチジン塩酸塩-dFdC)の濃度の記述統計(例えば標本サイズ、平均値および中
央値、四分位値、最小値および最大値ならびにボックスプロット)の分析。[期間:0日
目から32日目まで]
【0307】
11.Cmax、尿dFdU(アーム1)。尿中のジフルオロデオキシウリジン(dF
dU)のCmax(経時的に到達した最大濃度)の分析。[期間:0日目から32日目ま
で]
【0308】
12.Tmax、尿dFdU(アーム1)、尿中のジフルオロデオキシウリジン(dF
dU)のTmax(最大濃度に到達した日)の分析[期間:0日目から32日目まで]
【0309】
13.Cavg、尿dFdU(アーム1)。尿中のジフルオロデオキシウリジン(dF
dU)の濃度の記述統計(例えば標本サイズ、平均値および中央値、四分位値、最小値お
よび最大値ならびにボックスプロット)の分析。[期間:0日目から32日目まで]
【0310】
14.Cmax、尿dFdC(アーム1)。尿中のゲムシタビン(デオキシジフルオロ
シチジン塩酸塩-dFdC)のCmax(経時的に到達した最大濃度)の分析。[期間:
0日目から32日目まで]
【0311】
15.Tmax、尿dFdC(アーム1)。尿中のゲムシタビン(デオキシジフルオロ
シチジン塩酸塩-dFdC)のTmax(最大濃度に到達した日)の分析。[期間:0日
目から32日目まで]
【0312】
16.Cavg、尿dFdC(アーム1)。尿中のゲムシタビン(デオキシジフルオロ
シチジン塩酸塩-dFdC)の濃度の記述統計(例えば標本サイズ、平均値および中央値
、四分位値、最小値および最大値ならびにボックスプロット)の分析[期間:0日目から
32日目まで]
【0313】
17.予備的な抗腫瘍効果は、薬物誘発細胞死の免疫組織化学組織バイオマーカー(A
KT、CD31、Ki67、TUNEL)の評価のために腫瘍材料(処置後)において評
価される。(アーム1)[期間:抗腫瘍分析は次の研究日来診である28日目に行う]
【0314】
18.TAR-200留置に認容性である参加者の数(アーム2)[期間:0日目から
21日目まで]
【0315】
19.TAR-200留置に認容性である参加者の百分率(アーム2)[期間:0日目
から21日目まで]
【0316】
20.TAR-200留置に認容性である参加者の数(アーム2)[期間:21日目か
ら42日目まで]
【0317】
21.TAR-200留置に認容性である参加者の百分率(アーム2)[期間:21日
目から42日目まで]
【0318】
22.Cmax、血漿dFdU(アーム2)。血漿中のジフルオロデオキシウリジン(
dFdU)のCmax(経時的に到達した最大濃度)の分析。[期間:0日目から47日
目まで]
【0319】
23.Tmax、血漿dFdU(アーム2)。血漿中のジフルオロデオキシウリジン(
dFdU)のTmax(最大濃度に到達した日)の分析。[期間:0日目から47日目ま
で]
【0320】
24.Cavg、血漿dFdU(アーム2)。血漿中のジフルオロデオキシウリジン(
dFdU)の濃度の記述統計(例えば標本サイズ、平均値および中央値、四分位値、最小
値および最大値ならびにボックスプロット)の分析。[期間:0日目から47日目まで]
【0321】
25.Cmax、血漿dFdC(アーム2)。血漿中のゲムシタビン(デオキシジフル
オロシチジン塩酸塩-dFdC)のCmax(経時的に到達した最大濃度)の分析。[期
間:0日目から47日目まで]
【0322】
26.Tmax、血漿dFdC(アーム2)。血漿中のゲムシタビン(デオキシジフル
オロシチジン塩酸塩-dFdC)のTmax(最大濃度に到達した日)の分析[期間:0
日目から47日目まで]
【0323】
27.Cavg、血漿dFdC(アーム2)。血漿中のゲムシタビン(デオキシジフル
オロシチジン塩酸塩-dFdC)の濃度の記述統計(例えば標本サイズ、平均値および中
央値、四分位値、最小値および最大値ならびにボックスプロット)の分析。
【0324】
28.Cmax、尿dFdU(アーム2)。尿中のジフルオロデオキシウリジン(dF
dU)のCmax(経時的に到達した最大濃度)の分析。[期間:0日目から47日目ま
で]
【0325】
29.Tmax、尿dFdU(アーム2)。尿中のジフルオロデオキシウリジン(dF
dU)のTmax(最大濃度に到達した日)の分析[期間:0日目から47日目まで]
【0326】
30.Cavg、尿dFdU(アーム2)。尿中のジフルオロデオキシウリジン(dF
dU)の濃度の記述統計(例えば標本サイズ、平均値および中央値、四分位値、最小値お
よび最大値ならびにボックスプロット)の分析。[期間:0日目から47日目まで]
【0327】
31.Cmax、尿dFdC(アーム2)。尿中のゲムシタビン(デオキシジフルオロ
シチジン塩酸塩-dFdC)のCmax(経時的に到達した最大濃度)の分析。[期間:
0日目から47日目まで]
【0328】
32.Tmax、尿dFdC(アーム2)。尿中のゲムシタビン(デオキシジフルオロ
シチジン塩酸塩-dFdC)のTmax(最大濃度に到達した日)の分析。[期間:0日
目から47日目まで]
【0329】
33.Cavg、尿dFdC(アーム2)。尿中のゲムシタビン(デオキシジフルオロ
シチジン塩酸塩-dFdC)の濃度の記述統計(例えば標本サイズ、平均値および中央値
、四分位値、最小値および最大値ならびにボックスプロット)の分析[期間:0日目から
47日目まで]
【0330】
34.予備的な抗腫瘍効果は、薬物誘発細胞死の免疫組織化学組織バイオマーカー(A
KT、CD31、Ki67、TUNEL)の評価のために腫瘍材料(処置後)において評
価される。(アーム2)[期間:抗腫瘍分析は次の研究日来診である42日目に行う]
【0331】
組み入れ基準は:in situ(pTis)、病理学的ステージpT1(粘膜固有層
への浸潤性)癌腫および、筋浸潤(infiltrating)でないと判断された(pT2またはそ
れを超える)切除可能である高悪性度疾患を除く、組織学的に確認された膀胱の尿路上皮
癌の低または中等度の危険性が確認された病歴。適切な検査パラメーター。膀胱がんに起
因し得るものを除く臨床的に重要な異常を示さない検尿スクリーニング。先行するまたは
同時の新生物疾患に対して最近3ヶ月間に積極的処置を受けておらず、処置効果から完全
に回復していること。前立腺がんに対する同時のホルモン療法を受けている患者は、登録
を許可される。
【0332】
排除基準は:膀胱内でのBCG療法および/または任意の他への曝露。単回の術後滴下
を除く登録前1年未満の化学療法剤。スクリーニング時に目に見える腫瘍が存在しないこ
と。過去12ヶ月以内の膀胱内ゲムシタビン滴下へのいかなる先行する曝露。調査者の見
解においてTAR-200の安全な設置、留置使用または除去を妨げ得る任意の膀胱また
は尿道の解剖学的な特色の存在(すなわち膀胱憩室、完全な失禁)。再発で高悪性度尿細
胞診を有する患者。現在、他の全身性または膀胱内化学療法を受けている。登録前6ヶ月
以内に投与された骨盤放射線療法。登録の6ヶ月以上前に放射線療法を受けた患者は、膀
胱鏡検査での徴候または放射線性膀胱炎の臨床症状を示してはならない。250mL超の
膀胱排尿後残尿容量(PVR)。尿路感染を含む活動性、未制御の泌尿生殖器細菌性、ウ
イルス性または真菌感染。皮膚/爪真菌感染は、排除されない。活動性帯状疱疹(水痘帯
状疱疹感染)を有する対象は研究から排除される。調査者の見解において参加に禁忌とな
る任意の重大な心血管系、肺、肝臓、腎臓、胃腸管、婦人科、内分泌、免疫学的、皮膚科
学的、神経学的または精神医学的な疾患または障害の病歴また存在。1日5mg以下の用
量のステロイドを除く、研究0日目の2週間以内のメトトレキセートまたはTNF阻害剤
などの併用免疫抑制性薬物療法。妊娠している(スクリーニング時点での尿検査によって
確認される)もしくは授乳している、または妊娠可能であり、許容される避妊方法を使用
していない女性対象。計画的来診および経過観察のための対象の再来に影響する可能性が
ある任意の状態(身体的、精神的または社会的)の存在を含む、インフォームドコンセン
トに同意するまたは本プロトコールの必要要件に従うことを望まないことまたはできない
こと。調査者またはTARISの見解において、患者が登録に不適であるとする他の明記
されていない理由。
【表2】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
上記デバイスのいずれかに従う一部の実施形態では、膀胱腔内(膀胱内)薬物送達デバ
イスは、リザーバーを規定するハウジング;リザーバー内に含まれる第1のユニットであ
って、代謝拮抗物質を含む第1のユニット;および第1のユニットとは別個の位置でリザ
ーバー内に含まれる第2のユニットであって、ハウジングからの薬物のin vivo放
出を促進する機能的薬剤を含む第2のユニットを含む。一部の実施形態では、機能的薬剤
は、浸透剤、薬物可溶化剤またはそれらの組合せであり、ハウジングは、リザーバーと流
体連絡した少なくとも1つの薬物放出開口部を含む。

特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
個体における下部尿路の尿路上皮癌を処置する方法であって、有効量の代謝拮抗物質を
前記個体に投与するステップを含み、前記代謝拮抗物質は、膀胱に局所的に送達され、下
部尿路の前記尿路上皮癌は、筋浸潤性膀胱がんである、方法。
(項目2)
前記個体が、根治的膀胱切除術に不向きである、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記個体が、全身的化学療法および/または前記代謝拮抗物質以外の薬剤による化学療
法を認容できない、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
前記個体が、根治的膀胱切除術を受けない、項目1から3のいずれか一項に記載の方法

(項目5)
個体における下部尿路の尿路上皮癌を処置する方法であって、有効量の代謝拮抗物質を
前記個体に投与するステップを含み、前記代謝拮抗物質は、膀胱に局所的に送達され、下
部尿路の前記尿路上皮癌は、非筋浸潤性膀胱がんである、方法。
(項目6)
個体における下部尿路の尿路上皮癌を処置する方法であって、有効量の代謝拮抗物質を
前記個体に投与するステップを含み、前記代謝拮抗物質は、膀胱に局所的に送達され、前
記方法は、有効量の第2の薬剤を前記個体に投与するステップをさらに含む、方法。
(項目7)
前記代謝拮抗物質がヌクレオシドアナログである、項目1から6のいずれかに記載の方
法。
(項目8)
前記代謝拮抗物質がゲムシタビンである、項目1から7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記ゲムシタビンが、24時間~6週間にわたって前記個体の膀胱に持続的に送達され
る、項目8に記載の方法。
(項目10)
個体における膀胱保存の方法であって、有効量のゲムシタビンを膀胱に局所的に送達す
るステップを含み、ゲムシタビンは、24時間~6週間にわたって前記個体の膀胱に持続
的に送達され、前記個体は、下部尿路の尿路上皮癌を有する、方法。
(項目11)
前記ゲムシタビンが、24時間~3週間の期間にわたって前記個体の膀胱に持続的に送
達される、項目8から10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
前記ゲムシタビンが、7日間にわたって前記個体の膀胱に持続的に送達される、項目8
から11のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記ゲムシタビンが、3週間にわたって前記個体の膀胱に持続的に送達される、項目8
から11のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
第1のゲムシタビン送達期間および第2のゲムシタビン送達期間を含む、項目8から1
3のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記第1および第2のゲムシタビン送達期間が、各々7日間である、項目14に記載の
方法。
(項目16)
前記第1および第2のゲムシタビン送達期間が、各々3週間である、項目14に記載の
方法。
(項目17)
前記第1および第2のゲムシタビン送達期間が、14日間の休薬期間によって分離され
る、項目14から16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
前記代謝拮抗物質が、前記送達の第1の時期において第1の放出速度で送達され、その
後、第2の放出速度を有する前記送達の第2の時期が続く、項目1から17のいずれかに
記載の方法。
(項目19)
前記代謝拮抗物質が、約1mg/日~約300mg/日の用量で送達される、項目1か
ら18のいずれかに記載の方法。
(項目20)
尿中の代謝拮抗物質の濃度が、送達期間の間約0.1μg/mL~約200μg/mL
である、項目1から19のいずれかに記載の方法。
(項目21)
尿中の代謝拮抗物質の濃度が、送達期間の間約1μg/mL~約10μg/mLである
、項目20に記載の方法。
(項目22)
尿中の代謝拮抗物質の濃度が、送達期間の間約10μg/mLである、項目20に記載
の方法。
(項目23)
前記個体の血漿中の代謝拮抗物質濃度が、約1μg/ml未満である、項目1から22
のいずれかに記載の方法。
(項目24)
代謝拮抗物質の送達の際に、前記個体の尿中の代謝拮抗物質対血漿中の代謝拮抗物質の
比が、約500:1よりも大きい、項目1から23のいずれかに記載の方法。
(項目25)
a)前記個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度が少なくとも約0.1μg/mLである、第
1の代謝拮抗物質送達期間;
b)休薬期間;および
c)前記個体の尿中の代謝拮抗物質の濃度が約0.1μg/mLよりも高い、第2の代
謝拮抗物質送達期間
を含む、項目1から24のいずれかに記載の方法。
(項目26)
尿中の代謝拮抗物質の濃度が、前記休薬期間の少なくとも半分にわたって約1μg/m
Lよりも高い、項目25に記載の方法。
(項目27)
有効量の第2の薬剤を前記個体に投与するステップをさらに含む、項目1から26のい
ずれか一項に記載の方法。
(項目28)
前記第2の薬剤が、全身的に送達される、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記第2の薬剤または第2の化学療法剤が、局所的に送達される、項目27に記載の方
法。
(項目30)
前記代謝拮抗物質および前記第2の薬剤が、単一の送達デバイスを介して送達される、
項目29に記載の方法。
(項目31)
前記第2の薬剤が免疫調節性薬剤である、項目28から30のいずれか一項に記載の方
法。
(項目32)
前記免疫調節性薬剤が免疫チェックポイント阻害剤である、項目31に記載の方法。
(項目33)
前記免疫チェックポイント阻害剤が、PD-L1、CTLA4、PD-L2、PD-1
、B7-H3、B7-H4、HVEM、BおよびTリンパ球アテニュエータ(BTLA)
、キラー阻害受容体(KIR)、GAL9、TIM3、A2AR、LAG-3、ホスファ
チジルセリン、CD27、TNF-α、CD33、Siglec-5、Siglec-7
、Siglec-9ならびにSiglec-11からなる群から選択される免疫チェック
ポイントタンパク質の阻害剤である、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記免疫調節性薬剤が、共刺激免疫分子のアゴニストである、項目32に記載の方法。
(項目35)
前記共刺激免疫分子が、CD40、OX40、ICOS、CD28、CD137/4-
1BB、CD27、IL-10、TGF-ベータ、TOR受容体およびグルココルチコイ
ド誘導性TNFR関連タンパク質GITRからなる群から選択される、項目34に記載の
方法。
(項目36)
前記第2の薬剤が第2の化学療法剤である、項目27から30のいずれか一項に記載の
方法。
(項目37)
前記化学療法剤が、パクリタキセル、ドセタキセルおよびオキサリプラチンからなる群
から選択される、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記個体が、放射線治療を受けない、項目1から37のいずれかに記載の方法。
(項目39)
放射線治療をさらに含む、項目1から38のいずれか一項に記載の方法。
(項目40)
前記代謝拮抗物質が、ネオアジュバント状況で送達される、項目1から39のいずれか
に記載の方法。
(項目41)
前記代謝拮抗物質が、アジュバント状況で送達される、項目1から39のいずれかに記
載の方法。
(項目42)
手術を含む第3の治療をさらに含み、前記個体への代謝拮抗物質の送達が、前記手術の
時点で開始される、項目1から41のいずれかに記載の方法。
(項目43)
前記代謝拮抗物質が、膀胱腔内送達デバイスによって膀胱中に送達される、項目1から
42のいずれかに記載の方法。
(項目44)
前記膀胱腔内デバイスが、100mg~500mgのゲムシタビンを含む、項目43に
記載の方法。
(項目45)
前記膀胱腔内デバイスが、225mgのゲムシタビンを含む、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記膀胱腔内デバイスが、膀胱腔内挿入のために構成されたハウジング;および代謝拮
抗物質を含む投薬形態を含み、前記ハウジングが、前記投薬形態を保持し、下部尿路の尿
路上皮癌の処置に有効な量で代謝拮抗物質を放出するように構成されている、項目43か
ら45のいずれかに記載の方法。
(項目47)
前記膀胱腔内薬物送達デバイスが、
リザーバーを規定するハウジング;
前記リザーバー内に含まれる第1のユニットであって、代謝拮抗物質を含む第1のユニ
ット;および
前記第1のユニットとは別個の位置で前記リザーバー内に含まれる第2のユニットであ
って、前記ハウジングからの前記代謝拮抗物質のin vivo放出を促進する機能的薬
剤を含む第2のユニット
を含む、項目43から46のいずれか一項に記載の方法。
(項目48)
前記膀胱腔内薬物送達デバイスが、前記代謝拮抗物質を含み、それを制御可能に放出し
、前記個体の膀胱において前記デバイスを保持するように構成された保持形状と前記個体
の尿道を通じた前記デバイスの通過のためのデプロイメント形状との間で弾性的に変形可
能であるハウジングを含む、項目43から47のいずれか一項に記載の方法。
(項目49)
前記デバイスが、第1の壁および第2の壁を境界とした薬物リザーバー管腔を含み、前
記第1の壁が、薬物に対して不透過性であり、前記第2の壁が、前記代謝拮抗物質に対し
て透過性である、項目43から48のいずれか一項に記載の方法。
(項目50)
前記膀胱腔内薬物送達デバイスが、少なくとも2つの薬物リザーバー管腔を含む、項目
43から49のいずれかに記載の方法。
(項目51)
前記代謝拮抗物質が、浸透圧によって前記デバイスから放出される、項目43から50
のいずれか一項に記載の方法。
(項目52)
前記代謝拮抗物質が、拡散によって前記デバイスから放出される、項目43から51の
いずれか一項に記載の方法。
(項目53)
ハウジング中に含まれる前記代謝拮抗物質が、非液体形態である、項目43から52の
いずれかに記載の方法。
(項目54)
前記非液体形態が、錠剤、顆粒、粉末、半固体、カプセルおよびそれらの組合せからな
る群から選択される、項目53に記載の方法。
(項目55)
下部尿路の前記尿路上皮癌が膀胱がんである、項目6から54のいずれかに記載の方法

(項目56)
前記膀胱がんが筋浸潤性膀胱がんである、項目55に記載の方法。
(項目57)
前記膀胱がんが非筋浸潤性膀胱がんである、項目55に記載の方法。
(項目58)
前記膀胱がんが、局所的に進行した膀胱がんまたは転移性膀胱がんである、項目1から
4または6から55のいずれかに記載の方法。
(項目59)
前記膀胱がんが上皮内癌である、項目5から55のいずれか一項に記載の方法。
(項目60)
前記膀胱がんが、BCG(カルメット・ゲラン桿菌)不応性もしくはBCG耐性がんま
たは乳頭状膀胱がんである、項目1から55のいずれか一項に記載の方法。
(項目61)
前記個体がヒトである、項目1から60のいずれか一項に記載の方法。
(項目62)
前記個体が、全身的化学療法に不適切である、項目1から61のいずれか一項に記載の
方法。
(項目63)
前記個体が、損なわれた免疫系を有する、項目1から62のいずれか一項に記載の方法

(項目64)
前記個体が、高レベルの免疫チェックポイントタンパク質を有する、項目1から63の
いずれか一項に記載の方法。
(項目65)
前記個体が、低レベルの免疫チェックポイントタンパク質を有する、項目1から63の
いずれか一項に記載の方法。
(項目66)
前記個体が、高レベルのヌクレオシド輸送体を有する、項目1から65のいずれか一項
に記載の方法。
(項目67)
前記個体が、低レベルのヌクレオシド輸送体を有する、項目1から65のいずれか一項
に記載の方法。
(項目68)
尿中のゲムシタビン/代謝物比を決定するステップをさらに含み、閾値を下回る比が有
効な処置を示す、項目8から67のいずれか一項に記載の方法。
(項目69)
a)代謝拮抗物質およびb)免疫調節性薬剤を含む、個体における下部尿路の尿路上皮
癌を処置するためのキットであって、前記代謝拮抗物質は、膀胱への局所的送達のための
デバイス中にある、キット。
(項目70)
a)代謝拮抗物質およびb)第2の薬剤を含む、個体における下部尿路の尿路上皮癌を
処置するためのキットであって、前記代謝拮抗物質は、膀胱への局所的送達のためのデバ
イス中にあり、下部尿路の前記尿路上皮癌は、筋浸潤性膀胱がんである、キット。
(項目71)
前記第2の薬剤が免疫調節剤である、項目70に記載のキット。
(項目72)
前記代謝拮抗物質がゲムシタビンである、項目69または70に記載のキット。
(項目73)
代謝拮抗物質および免疫調節剤を含むハウジングを含む、個体の膀胱への代謝拮抗物質
および第2の薬剤の局所的送達のための送達デバイスであって、前記ハウジングは、前記
個体の膀胱中への前記代謝拮抗物質および前記第2の薬剤の局所的放出を提供するように
構成されている、送達デバイス。
(項目74)
前記代謝拮抗物質がゲムシタビンである、項目73に記載の送達デバイス。
(項目75)
前記第2の薬剤が免疫調節剤である、項目73または74に記載の送達デバイス。
(項目76)
個体における下部尿路の尿路上皮癌に対する免疫応答を増強する方法であって、有効量
の代謝拮抗物質を前記個体に投与するステップを含み、前記代謝拮抗物質は、膀胱に局所
的に送達される、方法。
【外国語明細書】