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特開2024-28885遠隔圧力感知のための圧力感知ユニット、システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028885
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】遠隔圧力感知のための圧力感知ユニット、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0215 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
A61B5/0215 C
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023206610
(22)【出願日】2023-12-07
(62)【分割の表示】P 2020570167の分割
【原出願日】2019-06-11
(31)【優先権主張番号】18178783.9
(32)【優先日】2018-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】グライヒ バーナード
(72)【発明者】
【氏名】ラマー ユルゲン エルウィン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】遠隔的で受動的な生体埋込型の圧力センサを使用した圧力感知装置を提供する。
【解決手段】無線圧力感知ユニット20は、空洞の外側壁部分を形成するメンブランと、空洞内の2つの永久磁石とを備える。1つの磁石はメンブランに結合され、少なくとも一方の磁石は回転運動によって自由に振動する。少なくとも一方は回転運動によって自由に振動する。振動は、感知される圧力の関数である共鳴周波数において起こり、この圧力は、2つの永久磁石の間の間隔に影響を与える。この振動周波数は、振動によって変化した磁場を測定することによって、遠隔的に感知され得る。無線圧力感知ユニットは、カテーテル21又はガイドワイヤ上に設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉じられた空洞であって、前記閉じられた空洞の外側壁部分を形成する少なくとも1つのメンブランを備える、閉じられた空洞と、
前記少なくとも1つのメンブランに結合される、前記閉じられた空洞内の第1の永久磁石と、
前記閉じられた空洞内の第2の永久磁石と
を備える、圧力感知ユニットであって、
前記第2の永久磁石は、固定的結合部によって前記閉じられた空洞に結合され、前記第1の永久磁石は、回転運動を可能とする長細構造によって前記少なくとも1つのメンブランに結合される、
圧力感知ユニット。
【請求項2】
前記長細構造は柔軟性材料から成る、請求項1に記載の圧力感知ユニット。
【請求項3】
前記少なくとも1つのメンブランは、エラストマ又はパターン付き金属シートから作られる、請求項1又は2に記載の圧力感知ユニット。
【請求項4】
前記閉じられた空洞は円筒であり、
前記円筒の1つの端部を形成する1つのメンブランが存在するか、又は、
前記円筒の各端部を形成するそれぞれのメンブランが存在する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の圧力感知ユニット。
【請求項5】
前記第1及び第2の永久磁石のうちの一方は、球又は円筒などの回転対称形状を有する、請求項4に記載の圧力感知ユニット。
【請求項6】
前記閉じられた空洞は真空化されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の圧力感知ユニット。
【請求項7】
前記圧力感知ユニットは、1mmの直径、0.5mmの直径、又は0.3mmの直径の円筒内に嵌入するような外側形状を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の圧力感知ユニット。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の圧力感知ユニットと、
磁場を生成することによって前記第1及び第2の永久磁石のうちの少なくとも一方の共鳴回転振動を無線で誘起するための励起コイル構成部と
を備える、圧力感知システム。
【請求項9】
前記第1及び第2の永久磁石のうちの前記少なくとも一方の共鳴振動を誘起及び維持するように前記励起コイル構成部を制御することと、
前記共鳴振動によって変化した磁場を測定することと
を行うコントローラを更に備える、請求項8に記載の圧力感知システム。
【請求項10】
前記コントローラは、不連続的外部磁場を印加することによって共鳴振動を誘起及び維持するように前記励起コイル構成部を制御する、請求項9に記載の圧力感知システム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記不連続的外部磁場のアクティブ期間の合間に磁場を測定する、請求項10に記載の圧力感知システム。
【請求項12】
前記コントローラは、前記共鳴振動を誘起及び維持するために、前記磁場を測定するためのものと同一の1つ又は複数のコイルを使用する、請求項8から11のいずれか一項に記載の圧力感知システム。
【請求項13】
複数の圧力感知ユニットを備え、その各々は異なる共鳴周波数を有する、請求項8から12のいずれか一項に記載の圧力感知システム。
【請求項14】
カテーテル又はガイドワイヤと、
請求項8から13のいずれか一項に記載の圧力感知システムであって、前記圧力感知ユニットが前記カテーテル又はガイドワイヤに沿って設けられた、圧力感知システムと
を備える、カテーテル又はガイドワイヤシステム。
【請求項15】
励起コイル構成部を使用して、圧力感知ユニットを無線で励起して共鳴振動させるステップと、
前記共鳴振動によって変化した磁場を測定するステップと、
測定された前記磁場の変化の周波数から圧力を求めるステップと
を有し、
前記圧力感知ユニットは、
閉じられた空洞であって、前記閉じられた空洞の外側壁部分を形成する少なくとも1つのメンブランを備える、閉じられた空洞と、
前記少なくとも1つのメンブランに結合される、前記閉じられた空洞内の第1の永久磁石と、
前記閉じられた空洞内の第2の永久磁石とを備え、前記第2の永久磁石は、固定的結合部によって前記閉じられた空洞に結合され、前記第1の永久磁石は、回転運動を可能とする長細構造によって前記少なくとも1つのメンブランに結合され、磁気モーメントの少なくとも一部は回転軸に垂直に方向付けられ、前記永久磁石のうちの少なくとも一方が励起されて共鳴振動する、
圧力感知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力感知、特には、遠隔的で受動的な圧力センサ、例えば、埋め込み型圧力センサを使用した圧力感知に関する。
【背景技術】
【0002】
血圧の測定は、医学において重要である。
【0003】
ここ数十年、例えば、ワイヤをベースにした冠状動脈の血圧の測定が、例えば血流予備量比(FFR)処置において、狭窄症の重症度を評価するための重要なツールとなっている。これは、冠状動脈へのカテーテル処置を伴い、この処置中に、シース及びガイドワイヤを使用してカテーテルが大腿(鼠径部)動脈又は撓骨動脈(手首)内に挿入される。FFRは、ワイヤの先端部の小さなセンサを使用し、圧力、温度及び流量を測定して病変の正確な重症度を判定する。これは、適切な医薬品を注入することによって誘起され得る最大血流(充血)の最中に行われる。
【0004】
右心の圧力を測定するために、埋め込み型肺動脈圧センサも提案され、製品化されている。
【0005】
FFR処置の主な問題点は、迅速なワークフローを促進する完全な無線による解決策がないことである。加えて、2つ以上のセンサをガイドワイヤに有することが望ましく、もしもセンサの正確な場所特定が可能であれば有益であろう。
【0006】
例えば動脈瘤における圧力監視などの他の適用例の場合においては、やはり、十分に小さい無線による解決策がいまだに存在しない。
【0007】
1つの無線的手法は、外部コントローラとの通信を確立するために、埋め込み型センサの一部として誘導コイルを提供することを伴う。これらのコイルは、約1mmの直径を有することを必要とし、そのため、これらはいくつかの送達タイプ及び埋め込み箇所に対しては大きすぎる。
【0008】
超音波をベースにしたセンサも提案されているが、これらは身体の全ての場所において機能するわけではなく(例えば、肺)、読み出しには皮膚との直接的な接触が必要となり、これはしばしば実際的でない。
【0009】
Ee Lim Tanらによる記事「Design, Fabrication, and Implementation of a Wireless Passive Implantable Pressure Sensor Based on Magnetic Higher-Order Harmonic Fields」Biosensors 2011、1、134-152、ISSN 2079-6374は、磁気的軟質材料及び永久磁石ストリップを使用して2つの要素の離間距離に依存する磁気特性図を生む圧力センサを開示している。離間距離は、感知される圧力によって変化する。これは、(反磁場係数の結果として)弱い信号を生み、従って、小型化は容易でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
遠隔的で受動的な圧力測定のための小型の無線の解決策への需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は特許請求の範囲によって定められる。
【0012】
本発明の態様による実施例によると、無線圧力感知ユニットが提供され、無線圧力感知ユニットは、
閉じられた空洞であって、閉じられた空洞の外側壁部分を形成する少なくとも1つのメンブランを備える、閉じられた空洞と、
少なくとも1つのメンブランに結合される、閉じられた空洞内の第1の永久磁石と、
閉じられた空洞内の第2の永久磁石と
を備え、
第1及び第2の永久磁石のうちの少なくとも一方は、回転軸を中心とする回転運動を行い得、磁気モーメントの少なくとも一部は回転軸に垂直に方向付けられる。
【0013】
この圧力感知ユニットは、2つの永久磁石を備え、少なくとも一方は回転を実現するように運動可能である。2つの永久磁石の間の離間距離は、外部圧力(すなわち、空洞の外部)の関数であり、というのは、これはメンブランを変形させ、これにより2つの永久磁石が互いに対して移動するからである。第1の永久磁石が結合されるメンブランがただ1つあればよいが、代わりに、各々がそれぞれの永久磁石に結合された2つのメンブランがあってもよい。
【0014】
全ての場合において、離間距離はメンブランの撓みによって変化し、これは、それらの磁場の相互作用の仕方に影響を与え、従って、磁気力学的共鳴周波数に影響を与える。故に、圧力は、検知された磁場における、特には、固定されていない永久磁石の回転振動運動によってもたらされる共鳴周波数成分に基づいて感知され得る。
【0015】
このような感知手法は、回転振動に基づいて、感度の高い動作を提供するとともに、ユニットが、例えば遠隔読み出し機能を有する埋め込み型センサとしての使用のために小型化されることを可能とする。
【0016】
1つの構成において、第1及び第2の永久磁石のうちの一方は回転運動を行い得、第1及び第2の永久磁石のうちの他方は固定される。これは、可動部がただ1つだけ存在することを意味する。しかしながら、両方の永久磁石が運動可能であってもよく、生成される磁場への結果的な影響は依然として検知可能である。
【0017】
例えば、2つの永久磁石は、それらの磁極が反対方向を向くように、すなわち安定状態に並べられ、次いで、外部場によって乱される。これは、2つの磁石が互いに対して吸引されることを意味する。
【0018】
運動可能な永久磁石は、他の永久磁石の磁場内で回転振動を行う。局所的な磁場は、磁石の近接性に依存し、このことが、振動の共鳴周波数を決定する。
【0019】
この圧力感知ユニットは、全体的なシステムの遠隔部に過ぎないことに留意されたい。共鳴への励起及び読み出しは、個別の遠隔ユニットによって達成される。
【0020】
少なくとも1つのメンブランは、例えば、エラストマ又はパターン付き金属シートから作られる。これは、外部圧力に応じて変形し、それによって離間距離を変化させる。
【0021】
閉じられた空洞は円筒であり、メンブランが円筒の1つの端部を形成し、又は、円筒の各端部にメンブランが存在する。
【0022】
円筒は、例えば血管のような導管に沿って通すための小型センサに特に適している。
【0023】
第1及び第2の永久磁石のうちの少なくとも一方は、球又は円筒などの回転対称形状を有する。これにより、回転は物理的な震えを誘起しない。両方の永久磁石は、同一の形状を有してよく、又は異なる形状を有してもよい。所望のサイズ及び許容誤差への製造が容易であるので、球形の磁石が好ましい。
【0024】
第1及び第2の永久磁石のうちの少なくとも一方は、摩擦表面接触することなく空間内で振動するように、周囲に間隔を有して円筒内に嵌入する。第1及び第2の永久磁石のうちの少なくとも一方は、2つの磁石の間の吸引力の結果として回転するように拘束される。故に、永久磁石の運動は、任意の追加的な空間を占有するユニットを必要としない。
【0025】
第2の永久磁石は、例えば、固定的結合部によって空洞に結合され、第1の永久磁石は、ワイヤ又はスレッドによって少なくとも1つのメンブランに結合される。
【0026】
このワイヤ又はスレッドは、例えば、2つの永久磁石の間の吸引の磁力によってピンと張られた状態に保たれる。この力は、例えば、重力よりも一桁以上大きい。故に、センサユニットは、どの方向を向いていても動作し得る。ワイヤ又はスレッドは、磁力による伸長的な負荷を受けるように保たれる。これらの力は、第1及び第2の永久磁石のうちの少なくとも一方を中央に位置付けるようにも働き、故に、固定的な軸を中心とする回転を保証する。
【0027】
第1の永久磁石は、例えば、円筒内に接着され、その一方、第2の永久磁石は、ワイヤ又はスレッドによって吊るされた状態になる。ワイヤ又はスレッドは、ピンと張られた状態に保たれるので、メンブランと第2の永久磁石との間に固定的な距離をもたらすが、共鳴振動を可能とするように捩れることはできる。代替的な構成において、メンブランと関連付けられた永久磁石が固定され、空洞と関連付けられた永久磁石が自由に回転してもよいことに留意されたい。
【0028】
ユニットは、例えば、1mmの直径、例えば0.5mmの直径、例えば0.3mmの直径の円筒内に嵌入するような外側形状を有する。
【0029】
小型化のこれらのレベルは、デバイスを身体への埋め込みに特に適したものとする。
【0030】
本発明は、圧力感知システムも提供し、圧力感知システムは、
上に定められた圧力感知ユニットと、
磁場を生成することによって第1及び第2の永久磁石のうちの少なくとも一方の共鳴回転振動を無線で誘起するための励起コイル構成部と
を備える。
【0031】
全体的なシステムは、外部励起システムを有する。これは、圧力感知ユニットを包囲する(例えば、圧力感知ユニットが埋め込まれた対象者の身体部分を包囲する)、若しくは単に身体に対して置かれる1つのコイルであり、又は、圧力感知ユニットの両側におかれる複数のコイルである。埋め込まれた圧力感知ユニットの場所は、例えば、X線によって求められるが、代わりに、感知自体に基づいて求められてもよい。
【0032】
1つの外部コイル(又は複数の外部コイル)は、低強度の振動磁場を生成し、回転機械振動を励起する。
【0033】
圧力感知システムは、
第1及び第2の永久磁石のうちの他方の共鳴振動を誘起及び維持するように励起コイル構成部を制御することと、
共鳴振動によって変化した磁場を測定することと
を行うように適合されたコントローラを更に備える。
【0034】
こうして、共鳴振動が検知され得、それらの周波数は、感知される圧力と相関関係を持つ。
【0035】
コントローラは、不連続的外部磁場を印加することによって共鳴振動を誘起及び維持するように励起コイル構成部を制御するように適合される。
【0036】
このようにして、共鳴振動は維持され、そうでなければ振動を衰退させる摩擦損失及び他の損失を克服する。
【0037】
コントローラは、不連続的外部磁場のアクティブ期間の合間に、又は不連続的外部磁場のアクティブ期間中に、又は連続的外部磁場の期間中に磁場を測定するように適合される。故に、励起及び測定の反復するシーケンスが存在し、又は、そうでなければ、同時的な励起及び測定のシーケンスが存在する。
【0038】
励起コイル構成部は、共鳴振動を誘起及び維持するための少なくとも3つの非共線的なコイルと、磁場を測定するための少なくとも3つの非共線的なコイルとを備える。このような複数のコイルの使用は、励起場に対する圧力感知ユニットの任意の向きが許容され得ることを保証する。
【0039】
コントローラは、共鳴振動を誘起するために、磁場を測定するためのものと同一の1つ又は複数のコイルを使用するように適合されてよい。このことは、低コストなハードウェアのセットを提供する。もちろん、必要に応じて個別のコイルが使用されてよい。
【0040】
圧力感知システムは、複数の圧力感知ユニットを備え、その各々は異なる共鳴周波数を有する。
【0041】
これらは、複数の場所において圧力を測定するために使用され、異なる場所が、それらが生む共鳴周波数の既知の範囲に基づいて特定され得る。
【0042】
本発明は、カテーテル又はガイドワイヤシステムも提供し、カテーテル又はガイドワイヤシステムは、
カテーテル又はガイドワイヤと、
上記圧力感知システムであって、圧力センサユニットがカテーテル又はガイドワイヤに沿って設けられた圧力感知システムと
を備える。
【0043】
先端部に1つの圧力感知ユニットが存在し、又は、カテーテル又はガイドワイヤの長さに沿って複数の圧力感知ユニットが存在する。
【0044】
本発明は、圧力感知方法も提供し、圧力感知方法は、
励起コイル構成部を使用して、圧力感知ユニットを無線で励起して共鳴振動させるステップと、
共鳴振動によって変化した磁場を測定するステップと、
測定された磁場の変化の周波数から圧力を求めるステップと
を有し、
圧力感知ユニットは、
閉じられた空洞であって、閉じられた空洞の外側壁部分を形成する少なくとも1つのメンブランを備える、閉じられた空洞と、
少なくとも1つのメンブランに結合される、閉じられた空洞内の第1の永久磁石と、
閉じられた空洞内の第2の永久磁石とを備え、第1及び第2の永久磁石のうちの少なくとも一方は、回転軸を中心とする回転運動を行い得、磁気モーメントの少なくとも一部は回転軸に垂直に方向付けられ、永久磁石のうちの少なくとも一方は励起されて共鳴振動する。
【0045】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に説明される実施形態から明らかであり、これらを参照して明瞭にされるであろう。
【0046】
本発明のより良好な理解のために、及び、どのようにして本発明が実行に移されるかをよりはっきりと示すために、添付の図面への参照が単なる例示としてなされる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】圧力感知システムを図示する。
図2】圧力感知ユニットをより詳細に図示する。
図3】励起コイル構成部、X線システム及び患者ベンチが組み合わされた装置を図示する。
図4】可能な励起コイル構成部の第1の実施例を図示する。
図5】可能な励起コイル構成部の第2の実施例を図示する。
図6】可能な励起コイル構成部の第3の実施例を図示する。
図7】圧力感知方法を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図面を参照して、本発明が説明される。
【0049】
詳細な説明及び特定の実施例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示すが、例示のみを目的とすると意図されるものであり、本発明の範囲を限定すると意図されるものでないことが理解されるべきである。本発明の装置、システム及び方法のこれらの及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からより良好に理解されよう。図面は単なる概略であって、縮尺通りに描かれていないことが理解されるべきである。図面全体を通じて同一の又は類似の部分を示すために同一の参照番号が使用されることも理解されるべきである。
【0050】
本発明は、2つの永久磁石を備える無線圧力感知ユニットを提供する。磁石のうちの少なくとも一方は、回転運動によって自由に振動する。振動は、感知される圧力の関数である共鳴周波数において起こり、この圧力は、2つの永久磁石の間の間隔に影響を与える。この振動周波数は、遠隔的に感知され得る。
【0051】
図1は、局所的な圧力を感知する圧力感知ユニット20を備える圧力感知システム10を図示する。圧力感知ユニット20は無線式であり、自機内の電力源を必要としない。これは、感知される圧力に基づいて、生成された磁場を変調する。特には、これは、外部電磁場によって誘起されて機械的共鳴振動の状態になり、この機械的共鳴は、感知ユニット20自体によって生み出された磁場に対して有する効果によって検知され得る。この実施例において、圧力感知ユニット20は、医療用介入シャフト21、すなわちカテーテル又はガイドワイヤの端部にある。これは、シャフトに沿った任意の位置であってよく、又は、実際はシャフトに沿って複数の圧力感知ユニットがあってよい。圧力感知ユニットは、代わりに、恒久的に埋め込まれるデバイス、例えばステント又は医療用コイルの一部、であってもよい。
【0052】
システム10は、磁気的に誘起される機械的共鳴を無線で誘起するための励起コイル構成部30を有する。
【0053】
励起コイル構成部は、単一のコイル(これは、1つ又は複数の個別の巻き回しを意味するが、全てが互いに対して平行であり、共通の軸の周りにある)であってよく、又は、平行な向き若しくは平行でない向きの複数のコイルであってよい。
【0054】
図1は、圧力感知ユニット20の脇に励起コイル構成部30を概略的な形で図示する。これは、代わりに、圧力感知ユニットを包囲してもよい(例えば、圧力感知ユニットが埋め込まれた対象者の身体部分を包囲する)。2つ以上のコイルがあってもよいが、全てのコイルが、アレイを形成する同一の平面に配置され、巻き回される。このコイルアレイは、患者の下方に置かれる(例えば、患者は平坦な構造の上に横たわっている)。しかしながら、励起コイル構成部の配置には多くのやり方がある。別の実施例は、患者の(両)脇に置かれた軟磁性(フェライト)ロッドに巻き回されたコイルを使用することである。
【0055】
外部コイルに必要とされるサイズは、使用される技術に依存する。平坦なコイルアレイの全体的な直径は、例えば、最大測定距離の大きさと同程度となる。コイルがより小さいと、より大きな電力が必要とされ、場合によってはノイズ受信がより少ない増幅器が必要とされる。軟磁性材料のコアを利用するコイルは、直径がより一層小さくなり得る。例としては、各コイルが、最大距離の10分の1前後の直径を有する。
【0056】
コントローラ40は、交番電磁場を生成するように励起コイル構成部30を駆動するために使用される。加えて、コントローラは、検知された磁場を分析し、特には、感知される局所的圧力に依存する圧力感知ユニットの機械的共鳴周波数を検知する。
【0057】
典型的な使用において(しかしながら唯一の可能な使用ではない)、圧力感知ユニット20は、対象者の血管22又は臓器内に埋め込まれる。この場所は、圧力感知ユニットを所望の場所に置くために、X線などの撮像システムによって特定及び追跡される。励起コイル構成部は、適切な場所に位置付けられ得る。代替的に、圧力感知ユニットは、圧力感知ユニット20によって生成された磁場の場所の外部コイル30による検知に基づいて所望の場所に運ばれ得る。
【0058】
コントローラ40は、1つの外部コイル30(又は複数のコイル)を使用して低強度の振動場を生成し、共鳴を励起するだけでなく、共鳴振動を維持する。図1の実施例において、同一の励起コイル構成部が、共鳴振動によって変化した磁場を測定するために使用される。代替的に、別個の1つ又は複数のコイルが、振動によって生成された、変化する磁場の検知のために使用されてよい。
【0059】
コントローラは、パルス交番場を印加することによって、共鳴振動を誘起及び維持し、パルス間の磁場を測定する。故に、励起及び測定のシーケンスが存在する。
【0060】
図2は、圧力感知ユニット20の実施例をより詳細に図示する。
【0061】
圧力感知ユニット20は、金属又はポリマーのケーシングによって形成された、閉じられた空洞24を備える。変形可能なメンブラン25が、空洞の外側壁部分を形成する。メンブラン25は、例えば、エラストマ又は構造化された金属箔である。空洞は気体(例えば、空気)によって満たされ、又は真空化されている。
【0062】
図示される実施例において、空洞は円筒であり、メンブラン25は一方の端部壁を形成する。代替的な実施例において、両方の端部壁がメンブランによって形成され、2つのメンブランは、外部圧力の増加に応じて互いに向かって内側に移動する。
【0063】
円筒の外径、従って感知ユニットの外径は、0.3mmよりも小さく、例えば、0.2mmほどの小ささでよく、より一般的には1mmよりも小さく、好ましくは0.5mmよりも小さい。より一般的には(及び特定の形状に関わらず)、圧力感知ユニットは、上に列記された内径の円筒内に嵌入する。次いで、圧力感知ユニットは、ステント又は動脈瘤コイルなどの恒久的な埋め込み物、又はガイドワイヤ又はカテーテルなどの一時的な埋め込み物に一体化され得、或いは、血流を介して肺に進入するなど、別に送達され得る。
【0064】
圧力感知ユニットは、例えば、1mmから5mmの範囲の長さを有する。
【0065】
第1の永久磁石26は、長細構造27(例えば、ワイヤ又はスレッド)によってメンブランに結合される。第2の永久磁石28は、空洞の内部、特には、メンブラン25の反対側の閉じられた端部に結合される。第2の永久磁石は、例えば、接着剤29によって取り付けられる。故に、この特定の実施例において、第2の永久磁石は(空洞の固定的部分に対して)静止している。
【0066】
永久磁石は、球であり、少なくとも第1の永久磁石26は、周り全体に間隔を空けて空洞内に嵌入する。固定された第2の永久磁石28は、長細構造27とともに、回転する第1の永久磁石26をデバイス内で自動的に中央に位置付ける。このようにして、回転する磁石は、ケーシングの内側に決して接触することがない。このことは、高品質係数の振動を可能とする。
【0067】
回転軸は、空洞の長さ方向に沿って延びるワイヤ又はスレッドの長細軸に対応する。運動可能な永久磁石26の磁気モーメントの少なくとも一部は、回転軸に垂直に方向付けられる。故に、磁石26が受ける磁力は、回転軸を中心とする回転トルクを誘起する。図示される実施例において、永久磁石は、双極子磁石であり、それらの磁気モーメントは回転軸に対して完全に垂直である。磁力は、磁石を回転軸に沿って整列させ、それらの磁気モーメントは図示されるように反対方向である。永久磁石の間の吸引力が、長細構造27をピンと張られた状態に保ち、従って、長細構造は、柔軟性を有する材料から作られたワイヤ又はスレッドである。
【0068】
円筒形の磁石又は全く別の形状など他の磁石形状が使用されてよい。運動可能な第1の磁石は、好ましくは、回転の均衡がとられるように、回転の軸を中心とする回転対称形状を有する。図示される球形の磁石の利点は、これらは高精度で容易に製造され得、従って、容易に入手可能であることである。
【0069】
2つの永久磁石は、同一のサイズ、形状、又はタイプである必要はない。基本的に、固定された永久磁石は、静的な場を生むために使用され、運動する永久磁石の場がこの静的な場と相互作用する。運動する永久磁石は、回転振動を生むために使用され、従って、回転場は、固定された永久磁石の静的な場と相互作用する。
【0070】
2つの永久磁石は、反対向きに、すなわちN極-S極及びS極-N極のペアが互いに隣接した状態で並べられる。長細構造(ワイヤ又はスレッド)の回転剛直性は、磁場による捩れと比べて低くなるように選ばれ得る。2つの磁石間には強い吸引力があるので、ワイヤ又はスレッドの方向の応力がワイヤ又はスレッドに与えられる。磁力は、典型的には、重力の数百倍である。故に、ワイヤ又はスレッドは、著しい剛性を必要とせず、例えば、非常に薄いUHMWPE(超高分子量ポリエチレン)のスレッドであってよい。これは、センサユニットが任意の向きで動作され得ることも意味し、というのは、センサ読み出し値への重力の影響が無視できるからである。
【0071】
図示される実施例において、第2の永久磁石28は、固定的で、静止した角位置に結合され、第1の永久磁石26は、角回転運動を可能とする柔軟性を有する長細構造(例えば、ワイヤ又はスレッド)に結合される。
【0072】
2つの磁石の間の離間距離は、外部圧力(すなわち、空洞の外部)の関数であり、というのは、これはメンブラン25を変形させ、これにより2つの永久磁石が互いに対して移動するからである。永久磁石26とメンブラン25との間の距離は、2つの磁石間の磁気的吸引力によってピンと張られた状態に保たれた長細構造(ワイヤ又はスレッド)によって一定になる。
【0073】
永久磁石26は回転可能であり、特には、ワイヤ又はスレッド27によって定められる軸を中心として回転可能である。ワイヤ又はスレッドは十分に細いので、ワイヤ又はスレッドの捩れによる永久磁石26へのトルクは、磁力によって受けるトルクよりも小さい。しかしながらこのことは必須ではない。より剛直性の大きなワイヤ又はスレッドは、振動の共鳴周波数をより高い値にシフトさせ、従って、記録される信号はより高い周波数になり、これは処理がより容易である。しかしながら、より周波数の高い信号は、単位圧力変化当たりのより低い周波数変化をもたらす。
【0074】
共鳴周波数は、共鳴体の線寸法に概ね反比例する。従って、1mmの直径のデバイスでは、共鳴周波数は500Hz前後であり、0.2mmのデバイスでは、周波数は2.5kHz前後である。
【0075】
共鳴回転振動は、励起コイル構成部30によって生成された適切な電磁インパルスによって開始される。
【0076】
励起信号は、もしも前もっておよそのところが分かっているならば、共鳴周波数に依存する、選択された周波数とともに使用される。代替的に、振動は、単一の短い励起パルスで開始される。このことは、記録可能な振動を開始させる。次いで、共鳴周波数が測定され得、次いで、次のパルスが、振動の振幅が増加するように時間調節される。
【0077】
代替的な手法は、狭周波数スペクトルを有するパルスの長いトレインを使用して振動を開始することである。次いで、センサからの信号を受信するように共鳴が十分に良好に合ったものになるまで、中心周波数が変更される。次いで、周波数が追跡され得る。パルストレインの長さを変更することによって、スペクトル選択度が変更され得る。長い(スペクトル選択)パルストレインの利点は、センサを共鳴状態に設定するために必要とされる磁場振幅がより低いことである。従って、送信/受信システムにおいて必要とされる技術的努力も少なくなり、及び/又は、コイルからの距離がより離れたセンサを見つけることができる。
【0078】
スペクトル選択的パルスの使用の欠点は、センサを見つけるまでに、平均的に、より長くかかることである。
【0079】
故に、共鳴振動を持続させるために一連のパルスが使用される。次いで、この一連のパルスが、不連続的外部磁場によって共鳴振動を誘起及び維持する。振動を維持するために使用されるパルスは、例えば、長さにおいて振動期間の少なくとも1/8の持続期間を有し、すなわち、1mmの球(500Hz)については0.25ms、及び0.2mmの球(2.5kHz)については0.05msである。パルスは、振幅を増加させることによって、更に短くされ得る。
【0080】
振動の存続期間は、例えば、2秒間など、数秒間程度である。従って、励起パルスの最大間隔は、およそ1秒である。原則的には、存続期間はより一層長く、数十秒から数百秒までにもなり得、励起パルスの間のギャップは、それに従って適合され、最大ギャップは振動存続期間の半分程度となる。しかしながら、実質的に一定の振幅の共鳴応答を持続させるために、1秒当たりに数多くの励起を実施することが好ましい。
【0081】
例として、圧力を1秒当たりに約10回測定することが望ましく、従って、1秒当たり10個の励起トレインの使用が適切である。例えば、1秒当たり50回以上の測定を行うためにはより小さなデバイスが望ましく、1秒当たりにより多くの励起を提供することが好ましい。各信号読み出しについて励起が存在し、振動の存続期間における同一ポイントにおいて読み出しが実行されるが、これは必須ではない。励起の合間の期間と信号読み出しの合間の期間との間に任意の比率が存在する。
【0082】
不連続的励起信号の使用は、時系列的な励起及び読み出しを可能とする。このようにして、第1の永久磁石26の回転振動がいったん開始されると、振動を増強させるように後続の場パルスが時間調節される。送られる励起パルスの間に、センサユニットによって生成される振動磁場が測定される。
【0083】
しかしながら、同時的な励起及び読み出しも可能であり、この場合、連続的励起信号が使用される。これは、より複雑な受信器システムを必要とする。
【0084】
特には、励起を提供しつつ同時的な信号測定を促進するために、励起信号自体に応じて受信器において生成される信号は最小化されなければならない。これは、受信器における送信された(送信)信号のアナログ減算(例えば、送信信号の一部が供給される受信器の前でトランスフォーマを使用することによる)とデジタル減算との組み合わせによって達成され得る。デジタル減算ステップにおいて、受信器における残りの送信信号が先ず特徴付けられ、次いで、デジタル化された受信された信号からデジタル減算される。
【0085】
このように、センサを共鳴振動状態に設定するための様々なやり方が存在する。
【0086】
磁石のペアによって生成された磁場における共鳴周波数の測定は、運動可能な磁石の機械的回転(又は、もしも両方の磁石が運動可能であるなら、回転システムとしての両方の磁石の回転)に依存するが、これも様々なやり方によって実行される。測定は、上述されたように同一の励起コイル構成部によって実施され、又は、別個の受信システムによって実施される。受信システムは、単純なコイル以外に、磁束ゲート磁力計などの磁場センサを利用するが、コイルは必要とされる感度を既に提供し得る。
【0087】
2つの永久磁石の間の離間距離は、上に説明されたように、外部場に対する運動可能な永久磁石の機械的反応に影響を与える。特には、運動可能な永久磁石が固定された永久磁石に近いほど、運動可能な永久磁石を整列させるために、固定された永久磁石の磁場によって提供される力は大きくなる。この力は、機械的共鳴のより高い共鳴周波数をもたらす。
【0088】
2つの磁場の間の相互作用は検知可能であり、運動可能な永久磁石の機械的運動への依存性が存在するので、共鳴周波数が検知され得る。
【0089】
図3は、励起コイル構成部30、撮像システム40(例えば、X線Cアーム)及び患者ベンチ42が組み合わされた装置を図示する。圧力感知ユニットは、ベンチに横たわる患者に埋め込まれたセンサである。撮像システムは、この場合はX線Cアームであるが、圧力感知ユニットの設置のために使用される。
【0090】
励起コイル構成部30は、患者ベンチ42に一体化される平坦なコイルアレイを形成する、重なり合った略平坦なコイル44のアレイを備える。コイルは、例えば、合計の厚さがmm規模の、例えば厚さ2mmよりも薄いアルミニウムから作られる。X線システムからのX線吸収は低い。
【0091】
コイルは、単一のループ、又は金属シートからカットされた平坦な螺旋を備える。上述されたように、個々のコイル及び全体的なコイル構成部のサイズは、センサユニットにおける必要とされる磁場及びセンサユニットまでの最大距離を考慮して設計される。
【0092】
図4は、可能な励起コイル構成部の第1の実施例を図示し、これは、図3において図示された構成部をより明瞭に示す。これは、平坦なコイル44のアレイを備える。
【0093】
図5は、筒状のコイル46のアレイを備える、可能な励起コイル構成部の第2の実施例を図示する。これらは、空芯コイル、又はフェライトコアを有するコイルを備える。
【0094】
図6は、3つの非共線的なコイル48を有する、可能な励起コイル構成部の第3の実施例を図示する。図示される実施例において、3つのコイルの磁気モーメントは互いに対して垂直である。このことは、励起コイル構成部に対して圧力感知ユニットが任意の向きを有する自由度を向上させる。
【0095】
励起システム及び受信システムは両方とも、少なくとも3つの非共線的な場生成器及び受信器を有する。しかしながら、多くの適用例、例えば、時々しか読み取られない埋め込み型センサについては、一軸システムで十分であり、特にこれが自由に方向付けられ得る場合にはそうである。
【0096】
このように、励起コイル構成部について多くの可能な設計が存在することが分かり、これらは当業者には明らかであろう。
【0097】
システムは、複数のセンサユニットを含むように拡張され得る。このことは、複数の場所における感知を可能とするとともに、一定の振動振幅を持続させるために必要とされる受信システムにおける相対的な振幅又は励起システムにおける相対的な振幅を使用して、センサユニットの位置を再構成するやり方も提供する。
【0098】
複数のセンサは、例えば、永久磁石の間の異なる距離又はセンサにおける異なる磁気特性を使用して、それらが異なる共鳴周波数に調整されるならば、並列的に動作する。
【0099】
共有のコイルシステムが使用されてよく、例えば、全てのセンサがそれらのエネルギー含量を増加させるように励起パルスのタイミング及び/又は形状を保証する。このとき、理想的には、異なるセンサユニットのための可能な共鳴周波数の範囲は、異なる位置に設置された励起及び受信コイルを有する受信システムがセンサを区別できるように、重ならない。
【0100】
上の実施例において、メンブランは、運動可能な永久磁石に取り付けられる。もちろん、メンブランに関連付けられた永久磁石が代わりメンブランに対して固定的であり、空洞に関連付けられた永久磁石が自由に回転してもよい。上述されたように、2つのメンブランが存在し、各々が永久磁石の一方に結合されて、外部圧力の存在下で、それらの両方が互いに向かって移動するようにしてもよい。2つの永久磁石のうちの一方だけが、回転運動を可能とするようにそれぞれのメンブランに結合されてもよく、又はそうでなければ、両方が回転運動を可能とするように結合され、すなわち、それらの両方が長細構造(ワイヤ又はスレッド)によってそれぞれのメンブランに接続されてもよい。
【0101】
センサがそのために設計された全体的な圧力範囲に応じた共鳴周波数の変化は、例えば、ファクタ2による周波数変化に対応する。ワイヤ又はスレッドは、振動中に発生するトルクにも寄与し、周波数応答は、ワイヤ又はスレッドの設計に応じてより顕著になる。
【0102】
望ましい圧力範囲は、例えば、約800mBar(80kPa、絶対圧力)から約1300mBar(0.13MPa、絶対圧力)である。例えば、下端は、高地(例えば、メキシコシティ)での低血圧に対応する。所望に応じて、2つ(又はそれよりも多く)の製品設計があってよく、1つは標準的な高度のためのものであり、1つは高地のためのものであって、圧力範囲を狭め、従って感度を増加させる。
【0103】
圧力感知ユニットは、カテーテル又はガイドワイヤに適用され、又は、肺動脈圧力センサ、埋め込まれた弁のセンサ、ステント若しくは医療用コイルにおける圧力センサなどの他の用途において使用される。
【0104】
図7は、圧力感知方法を図示し、この圧力感知方法は、
ステップ50において、上に説明された圧力感知ユニットを無線で励起して共鳴振動させるために励起コイル構成部を使用するステップと、
ステップ52において、共鳴振動によって変化した磁場を測定するステップと、
ステップ54において、測定された磁場の変化の周波数から圧力を求めるステップと
を有する。
【0105】
開示された実施形態に対する変更が、特許請求された発明を実践するに当たって、図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲を検討することにより、当業者によって理解され得、実行され得る。特許請求の範囲において、「備える、有する」という語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、単数形は複数性を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に記載されたいくつかのアイテムの機能を果たし得る。特定の手段が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用され得ないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに、又は他のハードウェアの一部として提供される光学的記憶媒体又は固体記憶媒体などの適切な媒体上に記憶/分配され得るが、インターネット又は他の有線若しくは無線遠隔通信システムを介してなど、他の形態で分配されてもよい。特許請求の範囲における任意の参照記号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-12-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体内で圧力を感知する圧力感知ユニットであって、前記圧力感知ユニットは、外側壁を備える閉じられた空洞を備え、前記閉じられた空洞の前記外側壁の少なくとも一部分は、変形可能であるようにエラストマ又はパターン付き金属シートから作られており、前記圧力感知ユニットは、
前記外側壁に結合される、前記閉じられた空洞内の第1の永久磁石と、
前記外側壁の少なくとも一部分に結合される、前記閉じられた空洞内の第2の永久磁石であって、前記結合は、回転運動を可能とする長細構造を介して行われる、第2の永久磁石と
を更に備える、圧力感知ユニット。
【請求項2】
前記第1の永久磁石はスレッド又はワイヤを通じて前記外側壁に結合される、請求項1に記載の圧力感知ユニット。
【請求項3】
前記第1の永久磁石は固定的結合を通じて前記外側壁に結合される、請求項1に記載の圧力感知ユニット。
【請求項4】
前記閉じられた空洞は、当該閉じられた空洞の外側壁部分を形成するメンブランを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の圧力感知ユニット。
【請求項5】
前記メンブランは、エラストマ又は構造化された金属箔で作られる、請求項に記載の圧力感知ユニット。
【請求項6】
前記第1の永久磁石及び前記第2の永久磁石は各々、長細構造によって結合される、請求項1から5のいずれか一項に記載の圧力感知ユニット。
【請求項7】
前記第1の永久磁石と前記第2の永久磁石との間の離間距離は、外部圧力の関数である、請求項1から6のいずれか一項に記載の圧力感知ユニット。
【請求項8】
前記回転運動は回転振動である、請求項1から7のいずれか一項に記載の圧力感知ユニット。
【請求項9】
前記第1の永久磁石及び前記第2の永久磁石のうちの少なくとも一方は、2つの磁石の間の吸引力の結果としての回転運動を提供するように拘束される、請求項1から8のいずれか一項に記載の圧力感知ユニット。
【請求項10】
前記圧力感知ユニットは1.0mm以下の直径を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の圧力感知ユニット。
【請求項11】
恒久的な埋め込み物に一体化されるか、一時的な埋め込み物に一体化されるか、或いは別に送達される、請求項1から10のいずれか一項に記載の圧力感知ユニット。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の圧力感知ユニットを少なくとも2つ含み、前記少なくとも2つの圧力感知ユニットのうちの少なくともいくつかは、異なる周波数を有する、圧力感知ユニットアセンブリ。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか一項に記載の圧力感知ユニットと、
磁場を生成することによって前記第1の永久磁石及び前記第2の永久磁石のうちの少なくとも一方の共鳴回転振動を無線で誘起するための励起コイル構成部と
を備える、圧力感知システムであって、前記第1の永久磁石及び前記第2の永久磁石のうちの前記少なくとも一方の前記共鳴回転振動を誘起且つ維持するように前記励起コイル構成部を制御するコントローラを更に備える、圧力感知システム
【請求項14】
励起コイル構成部を使用して、請求項1から11のいずれか一項に記載の圧力感知ユニットを無線で励起して共鳴振動させるステップと、前記共鳴振動によって変化した磁場を測定するステップと、測定された前記磁場の変化の周波数から圧力を求めるステップとを有する、圧力感知方法。