(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028890
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】メディトープ対応T細胞
(51)【国際特許分類】
C12N 15/12 20060101AFI20240227BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240227BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20240227BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240227BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20240227BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240227BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240227BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240227BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240227BHJP
A61K 35/17 20150101ALN20240227BHJP
【FI】
C12N15/12
C12N5/10 ZNA
C07K16/18
C07K19/00
C07K16/00
C12N15/63 Z
A61K39/395 T
A61P35/00
A61P35/02
A61K35/17
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023206682
(22)【出願日】2023-12-07
(62)【分割の表示】P 2020536020の分割
【原出願日】2018-12-31
(31)【優先権主張番号】62/680,442
(32)【優先日】2018-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/611,924
(32)【優先日】2017-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】598004424
【氏名又は名称】シティ・オブ・ホープ
【氏名又は名称原語表記】City of Hope
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,ジョン・シー
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,クリスティーン
(72)【発明者】
【氏名】ジェンキンズ,カート
(72)【発明者】
【氏名】クオ,イー-チウ
(72)【発明者】
【氏名】クオ,チュン-フー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】治療用抗体のオフターゲット効果を低減する組成物を提供する。
【解決手段】がんを処置する方法において使用するための組成物であって、組換えタンパク質をコードする単離核酸を含む発現ベクターを含むTリンパ球を含み、組換えタンパク質は、(i)非CDR Fab結合性ペプチドドメイン;(ii)細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン;及び(iii)非CDR Fab結合性ペプチドドメインを細胞内T細胞シグナル伝達ドメインに接続している膜貫通ドメインを含み、組換えタンパク質は、連続的な単鎖ポリペプチドであり、非CDR Fab結合性ペプチドドメインは、メディトープであり、方法は、がんの処置を必要とする対象に、有効量のTリンパ球及び非CDR Fab結合性ペプチドドメインに結合することが可能な抗原結合性ドメインを投与するステップを含み、抗原結合性ドメインががん抗原結合性ドメインである、組成物である。
【選択図】
図35
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)非CDR Fab結合性ペプチドドメイン;
(ii)細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン;及び
(iii)非CDR Fab結合性ペプチドドメインを細胞内T細胞シグナル伝達ドメインに接続している膜貫通ドメイン
を含む組換えタンパク質。
【請求項2】
細胞内T細胞シグナル伝達ドメインが、CD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達ドメインである、請求項1に記載の組換えタンパク質。
【請求項3】
膜貫通ドメインが、CD8α膜貫通ドメイン、CD28膜貫通ドメイン、CD4膜貫通ドメイン又はCD3ゼータ膜貫通ドメインである、請求項1に記載の組換えタンパク質。
【請求項4】
膜貫通ドメインが、CD28膜貫通ドメインである、請求項3に記載の組換えタンパク質。
【請求項5】
非CDR Fab結合性ペプチドドメインを膜貫通ドメインに接続しているスペーサー領域をさらに含む、請求項4に記載の組換えタンパク質。
【請求項6】
スペーサー領域が、重鎖定常3(CH3)ドメインである、請求項5に記載の組換えタンパク質。
【請求項7】
非CDR Fab結合性ペプチドドメインをスペーサー領域に接続しているペプチドリンカーをさらに含む、請求項6に記載の組換えタンパク質。
【請求項8】
膜貫通ドメインを細胞内T細胞シグナル伝達ドメインに接続している細胞内共刺激シグナル伝達ドメインをさらに含む、請求項7に記載の組換えタンパク質。
【請求項9】
細胞内共刺激シグナル伝達ドメインが、CD28細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン、4-1BB細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン、ICOS細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン又はOX-40細胞内共刺激シグナル伝達ドメインである、請求項8に記載の組換えタンパク質。
【請求項10】
細胞内共刺激シグナル伝達ドメインが、CD28細胞内共刺激シグナル伝達ドメインである、請求項9に記載の組換えタンパク質。
【請求項11】
細胞内共刺激シグナル伝達ドメインが、4-1BB細胞内共刺激シグナル伝達ドメインである、請求項10に記載の組換えタンパク質。
【請求項12】
細胞内T細胞シグナル伝達ドメインのC末端に結合している検出用ドメインをさらに含む、請求項11に記載の組換えタンパク質。
【請求項13】
検出用ドメインが、切断型CD19タンパク質である、請求項12に記載の組換えタンパク質。
【請求項14】
細胞内T細胞シグナル伝達ドメインを検出用ドメインに接続している自己切断性ペプチジル配列をさらに含む、請求項13に記載の組換えタンパク質。
【請求項15】
自己切断性ペプチジルリンカー配列が、T2A配列又は2A配列である、請求項14に記載の組換えタンパク質。
【請求項16】
組換えタンパク質が、細胞の一部を形成する、請求項1に記載の組換えタンパク質。
【請求項17】
組換えタンパク質が、T細胞の一部を形成する、請求項1に記載の組換えタンパク質。
【請求項18】
膜貫通ドメインが、T細胞の細胞膜の一部を形成する、請求項17に記載の組換えタンパク質。
【請求項19】
非CDR Fab結合性ペプチドドメインが、抗原結合性ドメインに結合している、請求項1に記載の組換えタンパク質。
【請求項20】
抗原結合性ドメインが、Fab、IgG又は二特異性抗体である、請求項19に記載の組換えタンパク質。
【請求項21】
抗原結合性ドメインが、セツキシマブメディトープ対応ドメイン、トラスツズマブメディトープ対応ドメイン、ペルツズマブメディトープ対応ドメイン、M5Aメディトープ対応ドメイン又はリツキシマブメディトープ対応ドメインである、請求項20に記載の組換えタンパク質。
【請求項22】
抗原結合性ドメインが、がん抗原に結合することが可能である、請求項19に記載の組換えタンパク質。
【請求項23】
抗原結合性ドメインが、がん抗原に、非共有結合によって結合することが可能である、請求項19に記載の組換えタンパク質。
【請求項24】
がん抗原が、Her2、EGFR、CD19又はCD20である、請求項22に記載の組換えタンパク質。
【請求項25】
がん抗原が、細胞の一部を形成する、請求項22に記載の組換えタンパク質。
【請求項26】
細胞が、がん細胞である、請求項25に記載の組換えタンパク質。
【請求項27】
がんが、卵巣がん、腎細胞癌、B細胞悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、乳がん、結腸直腸がん、前立腺がん、神経芽細胞腫、黒色腫、髄芽腫、肺がん、骨肉腫、神経膠芽腫又は神経膠腫である、請求項26に記載の組換えタンパク質。
【請求項28】
請求項1に記載の組換えタンパク質をコードする単離核酸。
【請求項29】
請求項28に記載の核酸を含む発現ベクター。
【請求項30】
レンチウイルス又はオンコレトロウイルスである、請求項29に記載の発現ベクター。
【請求項31】
請求項29に記載の発現ベクターを含むTリンパ球。
【請求項32】
請求項1に記載の組換えタンパク質を含むTリンパ球。
【請求項33】
請求項1に記載の組換えタンパク質を含み、膜貫通ドメインがTリンパ球の細胞膜内にある、Tリンパ球。
【請求項34】
Tリンパ球が、自家Tリンパ球である、請求項31に記載のTリンパ球。
【請求項35】
Tリンパ球が、異種Tリンパ球である、請求項31に記載のTリンパ球。
【請求項36】
非CDR Fab結合性ペプチドドメインが、抗原結合性ドメインに結合している、請求項31に記載のTリンパ球。
【請求項37】
抗原結合性ドメインが、Fab、IgG又は二特異性抗体である、請求項36に記載のTリンパ球。
【請求項38】
抗原結合性ドメインが、がん抗原に結合している、請求項36に記載のTリンパ球。
【請求項39】
がん抗原が、Her2、EGFR、CD19又はCD20である、請求項38に記載のTリンパ球。
【請求項40】
抗原結合性ドメインが、がん抗原結合性ドメインである、請求項36に記載のTリンパ球。
【請求項41】
抗原結合性ドメインが、セツキシマブメディトープ対応ドメイン、トラスツズマブメディトープ対応ドメイン、ペルツズマブメディトープ対応ドメイン、M5Aメディトープ対応ドメイン又はリツキシマブメディトープ対応ドメインである、請求項36に記載のTリンパ球。
【請求項42】
がんを処置する方法であって、がんの処置を必要とする対象に、有効量の、請求項31に記載のTリンパ球及び非CDR Fab結合性ペプチドドメインに結合することが可能な抗原結合性ドメインを投与するステップを含み、抗原結合性ドメインががん抗原結合性ドメインである、方法。
【請求項43】
Tリンパ球及び抗原結合性ドメインが、同時に又は逐次的に投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
Tリンパ球が第1の時点で投与され、抗原結合性ドメインが第2の時点で投与され、第1の時点が第2の時点に先行する、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
抗原結合性ドメインが第1の時点で投与され、Tリンパ球が第2の時点で投与され、第1の時点が第2の時点に先行する、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
(i)投与する前に、インビトロで非CDR Fab結合性ペプチドドメインを抗原結合性ドメインに結合させ、これによりTリンパ球-組換えタンパク質複合体を形成するステップ;及び
(ii)Tリンパ球-組換えタンパク質複合体を対象に投与し、これにより対象におけるがんを処置するステップ
を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
がんが、卵巣がん、腎細胞癌、B細胞悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、乳がん、結腸直腸がん、前立腺がん、神経芽細胞腫、黒色腫、髄芽腫、肺がん、骨肉腫、神経膠芽腫又は神経膠腫である、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
抗原結合性ドメインが、セツキシマブメディトープ対応ドメイン、トラスツズマブメディトープ対応ドメイン、ペルツズマブメディトープ対応ドメイン、M5Aメディトープ対応ドメイン又はリツキシマブメディトープ対応ドメインである、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
組換えタンパク質が第1の組換えタンパク質であり、非CDR Fab結合性ペプチドドメインが第1の非CDR Fab結合性ペプチドドメインであり、細胞内T細胞シグナル伝達ドメインが第1の細胞内T細胞シグナル伝達ドメインであり、膜貫通ドメインが第1の膜貫通ドメインであり、スペーサー領域が第1のスペーサー領域であり、細胞内共刺激シグナル伝達ドメインが第1の細胞内共刺激シグナル伝達ドメインである、請求項1に記載の組換えタンパク質。
【請求項50】
第1の組換えタンパク質が、第2の組換えタンパク質に非共有結合によって結合しており、第2の組換えタンパク質が、
(i)第2の非CDR Fab結合性ペプチドドメイン;
(ii)第2の細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン;
(iii)第2の非CDR Fab結合性ペプチドドメインを第2の細胞内T細胞シグナル伝達ドメインに接続している第2の膜貫通ドメイン;及び
(iv)第2の非CDR Fab結合性ペプチドドメインを第2の膜貫通ドメインに接続しており、第1のスペーサー領域が非共有結合によって結合している、第2のスペーサー領域
を含む、請求項49に記載の組換えタンパク質。
【請求項51】
第1のスペーサー領域及び第2のスペーサー領域が、第1の重鎖定常3(CH3)ドメイン及び第2の重鎖定常3(CH3)ドメインである、請求項50に記載の組換えタンパク質。
【請求項52】
第1の非CDR Fab結合性ペプチドドメイン及び第2の非CDR Fab結合性ペプチドドメインが、化学的に異なる、請求項49に記載の組換えタンパク質。
【請求項53】
第1の非CDR Fab結合性ペプチドドメイン及び第2の非CDR Fab結合性ペプチドドメインが、化学的に同じである、請求項49に記載の組換えタンパク質。
【請求項54】
第1の非CDR Fab結合性ペプチドドメインが、第1の抗原結合性ドメインに非共有結合によって結合している、請求項49に記載の組換えタンパク質。
【請求項55】
第2の非CDR Fab結合性ペプチドドメインが、第2の抗原結合性ドメインに非共有結合によって結合している、請求項50に記載の組換えタンパク質。
【請求項56】
第1の抗原結合性ドメイン及び第2の抗原結合性ドメインが、化学的に異なる、又は化学的に同じである、請求項54に記載の組換えタンパク質。
【請求項57】
第1の抗原結合性ドメイン及び第2の抗原結合性ドメインが、独立に、セツキシマブメディトープ対応ドメイン、トラスツズマブメディトープ対応ドメイン、ペルツズマブメディトープ対応ドメイン、M5Aメディトープ対応ドメイン又はリツキシマブメディトープ対応ドメインである、請求項54に記載の組換えタンパク質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により全体において、全ての目的のために本明細書に組み込まれる、2017年12月29日に出願された、米国仮出願第62/611,924号、2018年6月4日に出願された、米国仮出願第62/680,442号に対する優先権を主張する。
【0002】
ASCIIファイルとして提出された、「配列表」、表又はコンピュータプログラム一覧の付表の参照
048440-621001WO_Sequence_Listing_ST25というファイルに書き込まれ、2018年12月31日に、29,672バイト、マシンフォーマットをIBM-PCとし、MS Windowsオペレーションシステムにより創出された配列表が、参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(発明の要旨)
一態様において、第1の組換えタンパク質が提供される。第1の組換えタンパク質は、(i)第1の非CDR Fab結合性ペプチドドメイン;(ii)第1の細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン;及び(iii)第1の非CDR Fab結合性ペプチドドメインを第1の細胞内T細胞シグナル伝達ドメインに接続している第1の膜貫通ドメインを含む。複数の実施形態において、第1の組換えタンパク質は、第1の非CDR Fab結合性ペプチドドメインを第1の膜貫通ドメインに接続している第1のスペーサー領域を含む。複数の実施形態において、第1のスペーサー領域は、第1のCH3領域である。
【0004】
一態様において、その実施形態を含む本明細書において提供される第1の組換えタンパク質をコードする単離核酸が提供される。
【0005】
一態様において、その実施形態を含む本明細書において提供される核酸を含む発現ベクターが提供される。複数の実施形態において、ベクターは、レンチウイルス又はオンコレトロウイルスである。
【0006】
一態様において、その実施形態を含む本明細書において提供される発現ベクターを含むTリンパ球が提供される。
【0007】
一態様において、その実施形態を含む本明細書において提供される第1の組換えタンパク質を含むTリンパ球が提供される。
【0008】
一態様において、その実施形態を含む本明細書において提供される第1の組換えタンパク質を含むTリンパ球であって、膜貫通ドメインがTリンパ球の細胞膜内にある、Tリンパ球が提供される。
【0009】
一態様において、がんを処置する方法が提供される。方法は、がんの処置を必要とする対象に、有効量の、その実施形態を含む本明細書において提供されるTリンパ球を投与するステップを含み、第1の抗原結合性ドメイン及び第2の抗原結合性ドメインは、独立に、抗がん抗原結合性ドメインである。
【0010】
ある態様において、組換えタンパク質が提供される。組換えタンパク質は、(i)非CDR Fab結合性ペプチドドメイン;(ii)細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン;及び(iii)非CDR Fab結合性ペプチドドメインを細胞内T細胞シグナル伝達ドメインに接続している膜貫通ドメインを含む。
【0011】
ある態様において、その実施形態を含む本明細書において提供される組換えタンパク質をコードする単離核酸が提供される。
【0012】
ある態様において、その実施形態を含む本明細書において提供される核酸を含む発現ベクターが提供される。
【0013】
ある態様において、その実施形態を含む本明細書において提供される発現ベクターを含むTリンパ球が提供される。
【0014】
ある態様において、その実施形態を含む本明細書において提供される組換えタンパク質を含むTリンパ球が提供される。
【0015】
ある態様において、その実施形態を含む本明細書において提供される組換えタンパク質を含むTリンパ球であって、膜貫通ドメインがTリンパ球の細胞膜内にある、Tリンパ球が提供される。
【0016】
ある態様において、がんを処置する方法が提供される。方法は、がんの処置を必要とする対象に、有効量の、その実施形態を含む本明細書において提供されるTリンパ球及び非CDR Fab結合性ペプチドドメインに結合することが可能な抗原結合性ドメインを投与するステップを含み、抗原結合性ドメインは、がん抗原結合性ドメインである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】キメラ抗原受容体(CAR)T細胞が、抗原特異的単鎖可変Fab(例えば、mAbの重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメイン)を、CD3ゼータ鎖と融合させることにより、典型的に創出されることを示す図である。このように、各CAR T細胞は、標的特異性を変化させる、新たな遺伝子の創出を要求する。
【
図1B】この制約を取り除くために、本出願者らがメディトープ技術を使用して、抗体断片上において、操作T細胞に「スナップ」したことを示す図である。具体的に、本出願者らは、scFvcを、QFDメディトープにより置きかえた。
【
図1C】単一抗原特異的CAR T細胞のための現行の技術及びメディトープ技術をどのように使用して、ユニバーサルCARを創出しうるのかについての描画による明示である。
【
図2A】CHO-S細胞に、ベクターなし(モック)、親CAR(1)、メディトープ-CH3(3)又はメディトープ-CD28(2)をトランスフェクトして、蛍光色素であるAlexa Fluor 647とコンジュゲートしているメディトープ対応I83EトラスツズマブIgG(647-I83E IgG)、蛍光色素であるAlexa Fluor 647とコンジュゲートしているメディトープ対応I83EトラスツズマブFab(647-I83E Fab)及び蛍光色素であるAlexa Fluor 647とコンジュゲートしている非メディトープ対応イピリムマブIgG(647-Ipi IgG)の結合について調べたことを示す図である。生存トランスフェクト細胞を、FSC/SSC→PI
-→CD19
+ゲーティングを使用して同定した(
図3Aを参照されたい)。細胞を、APCシグナルの平均値蛍光強度(MFI)について解析した。
【
図2B】ベクターなし(モック)、親CAR(1)又はメディトープ-CD28(2)をトランスフェクトされた細胞が、647-I83E IgG、647-I83E Fab又は647-Ipi IgGにより染色したところ、MFIのシフトを示さなかったことを示す図である。
【
図2C】メディトープ-CH3(3)をトランスフェクトされた細胞が、647-I83E IgG又は647-I83E Fabにより染色したところ、MFIの著明なシフトを示したが、647-Ipi IgGにより染色したところ、最小限のシフトを示すに過ぎなかったことを示す図である。
【
図3A】フローサイトメトリー解析のためのゲーティング戦略を示す図である。FSC/SSC(左パネル)、PI染色(生存細胞を指し示す;中パネル)及びCD19発現(トランスフェクションマーカー;右パネル)により、細胞にゲートをかけた。
【
図3B】フローサイトメトリー解析のためのゲーティング戦略を示す図である。ゲートをかけた細胞についてのさらなる解析により、それぞれ、抗体及びHer2の結合を指し示す、647シグナル(左パネル)及びVioBlueシグナル(右パネル)を測定した。
【
図4A】メディトープ対応のIgG及びFabが、メディトープ-CH3 CARに結合することを示す図である。生存トランスフェクト細胞を、FSC/SSC→PI
-→CD19
+ゲーティングを使用して同定した。細胞を、APCシグナルの平均値蛍光強度(MFI)について解析した。染料を伴わない細胞を使用して、APC
+細胞についてゲートをかけた。非メディトープ対応647-Ipi IgGにより染色された細胞は、APC MFIの最小限のシフトを示した。メディトープ対応の647-I83E IgG及び647-I83E Fabにより染色された細胞は、APC MFIの著明なシフトを示したことから、647コンジュゲートタンパク質の、メディトープ-CH3発現細胞への結合を裏付けた。
【
図4B】メディトープ対応のIgG及びFabが、メディトープ-CH3 CARに結合することを示す図である。この傾向は、メディトープ-CD28構築物において見られなかった。
【
図4C】メディトープ対応のIgG及びFabが、メディトープ-CH3 CARに結合することを示す図である。647-IgG又は647-Fabについて陽性である、CD19
+細胞の生存百分率(ゲートをかけた細胞:FSC/SSC→PI
-→CD19
+→APC
+;親集団のAPC
+細胞の頻度)である。
【
図5A】メディトープ-CH3発現細胞が、メディトープ対応抗体に結合し、その後、メディトープ対応抗体が、抗原に結合しうることを示す図である。APC
+(ゲートをかけた細胞:FSC/SSC→PI
-→CD19
+→APC
+)である、メディトープ-CH3 CAR細胞上における、Her2平均値蛍光強度(MFI)についてのヒストグラムである。
【
図5B】メディトープ-CH3発現細胞が、メディトープ対応抗体に結合し、その後、メディトープ対応抗体が、抗原に結合することを示す図である。Her2について陽性である、CD19
+647
+細胞の生存百分率(上記と同じゲーティング戦略による、祖父母集団のHer2
+細胞頻度)である。
【
図6A】647
+Her2
+二重陽性細胞の同定を示す図である。生存トランスフェクト細胞を、FSC/SSC→PI
-→CD19
+ゲーティングを使用して同定した(
図3Aを参照されたい)。次いで、細胞を、647レベル(x軸)及びHer2レベル(VioBlue)について解析した。多くの647
-細胞が、y軸上にあることが注目される。メディトープ対応647-I83E Fabにより染色された細胞についての解析である。
【
図6B】647
+Her2
+二重陽性細胞の同定を示す図である。生存トランスフェクト細胞を、FSC/SSC→PI
-→CD19
+を使用して同定した(
図3Aを参照されたい)。次いで、細胞を、647レベル(x軸)及びHer2レベル(VioBlue)について解析した。多くの647
-細胞が、y軸上にあることが注目される。メディトープ対応647-I83E IgGにより染色された細胞についての解析である。
【
図6C】647
+Her2
+二重陽性細胞の同定を示す図である。生存トランスフェクト細胞を、FSC/SSC→PI
-→CD19
+を使用して同定した(
図3Aを参照されたい)。次いで、細胞を、647レベル(x軸)及びHer2レベル(VioBlue)について解析した。多くの647
-細胞が、y軸上にあることが注目される。非メディトープ対応647-Ipi IgGにより染色された細胞についての解析である。
【
図7】Her2
+細胞の同定を示す図である。生存トランスフェクト細胞を、FSC/SSC→PI
-→CD19
+ゲーティングを使用して同定した。PacBlue-Her2を伴わない試料による解析を使用して、次のゲートをかけて、Her2
+細胞を同定した。次いで、細胞を、Her2(VioBlue)レベルについて解析した。
【
図8】メディトープ対応のセツキシマブFab及びトラスツズマブFabが、メディトープ-CH3 CARに結合することを示す図である。(
図8A)647-Fabについて陽性である、CD19
+細胞の生存百分率(ゲートをかけた細胞:FSC/SSC→PI
-→CD19
+→APC
+;親集団のAPC
+細胞の頻度)である。(
図8B)メディトープ-CH3をトランスフェクトされた生存細胞を、FSC/SSC→PI
-→CD19
+ゲーティングを使用して同定した。細胞を、APCシグナルの平均値蛍光強度(MFI)について解析した。染料を伴わない細胞を使用して、APC
+細胞についてゲートをかけた。非メディトープ対応647-Ipi Fabにより染色された細胞は、APC MFIの最小限のシフトを示した。メディトープ対応の647-I83Eセツキシマブ(cetux)Fab及び647-I83Eトラスツズマブ(tras)Fabにより染色された細胞は、APC MFIの著明なシフトを示したことから、647コンジュゲートタンパク質の、メディトープ-CH3発現細胞への結合を裏付けた。
【
図9A】647
+Her2
+二重陽性細胞の同定を示す図である。生存トランスフェクト細胞を、FSC/SSC→PI
-→CD19
+ゲーティングを使用して同定した。次いで、細胞を、647レベル(x軸)及びHer2レベル(Pacific Blue)について解析した。メディトープ対応647-I83Eセツキシマブ(cetux)Fabにより染色された細胞についての解析である。
【
図9B】647
+Her2
+二重陽性細胞の同定を示す図である。生存トランスフェクト細胞を、FSC/SSC→PI
-→CD19
+を使用して同定した。次いで、細胞を、647レベル(x軸)及びHer2レベル(Pacific Blue)について解析した。メディトープ対応647-I83Eトラスツズマブ(tras)Fabにより染色された細胞についての解析である。
【
図10】異なる濃度のメディトープ対応Her2を使用する、卵巣がん細胞株における腫瘍殺滅アッセイを示す図である。
【
図11】異なる濃度のメディトープ対応Her2を使用する、乳がん細胞株における腫瘍殺滅アッセイを示す図である。
【
図13】切替え型Fab CAR-T細胞を示す図である。
【
図14】メディトープ-CARを、Jurkat細胞に形質導入し、切断型CD19を、マーカーとして共発現させたことを示す図である。形質導入の後、CD19が陽性である細胞を分取し、後続の実験のために拡大した。
【
図15】メディトープ-CARを発現させるJurkat細胞を、メディトープ部位を伴う、又はこれを伴わないトラスツズマブと共にインキュベートし、次いで、二次抗カッパ-647(Abcam#202832)又は二次抗ヒトIgG Fc-488(ThermoFisher#H10120)により染色したことを示す図である。結果は、細胞を、フローサイトメトリーにより解析した後において、memAbトラスツズマブだけが、メディトープ-CARを発現させるJurkat細胞に結合しうることを示した。
【
図16】左:がん細胞、Jurkat-NFAT-Lucメディトープ-CAR細胞及びmemAbトラスツズマブを、白色壁面の96ウェルプレート内において共インキュベートしたことを示す図である。図中の最高濃度は、15nMであり、4倍の希釈系列をこれに後続させた。6時間にわたるインキュベーションの後、ルシフェラーゼ基質を、各ウェルに添加し、プレートリーダーを使用して、発光を速やかに測定した。memAbトラスツズマブの存在下において、Jurkat細胞の活性化は、15nMにおけるフック効果状況にもかかわらず、用量依存的に増大した。各細胞株についてのEC50は、0.35nM(SKOV3)、0.83nM(SKBR3)、0.42nM(MCF7)、0.27nM(OVCAR3)及び0.26nM(BT474)である。Jurkat細胞の活性化レベルは、BT474細胞株を除き、がん細胞上のHER2の発現と正に関連する。BT474は、高HER2発現を示すが、Jurkat細胞を、他の高HER2発現細胞(SKOV3及びSKBR3)と同じレベルまで活性化させない。右:細胞5×10
5個を、PBS中に1%のFBS中に100nMのmemAbトラスツズマブにより、30分間にわたり処置した。3回にわたる洗浄の後、細胞を、二次抗カッパ-647抗体により、30分間にわたり標識した。細胞のフルオロフォア強度は、BD Accuri C6フローサイトメーターにより解析した。赤色のピークは、二次抗カッパ-647抗体単独により処置された細胞である。緑色のピークは、memAbトラスツズマブ及び二次抗カッパ-647抗体により処置された細胞である。フローサイトメトリーを使用して、二次抗体単独により染色された細胞と、memAbトラスツズマブ及び二次抗体により染色された細胞とを比較することにより、HER2発現レベルを解析した。中央値蛍光強度(MFI)は、MCF7細胞について、338及び985;SKBR3細胞について、330及び34405;BT474細胞について、392及び31720;SKOV3細胞について、370及び43191;OVCAR3細胞について、307及び1436である。HER2発現を伴う細胞は、高度から低度に、SKOV3、SKBR3、BT474、OVCAR3及びMCF7である。
【
図17】左:がん細胞、FabRack Jurkat-NFAT-Luc細胞及びセツキシマブを、白色壁面の96ウェルプレート内において共インキュベートしたことを示す図である。図中の最高濃度は、60nMであり、4倍の希釈系列をこれに後続させた。6時間にわたるインキュベーションの後、ルシフェラーゼ基質を、各ウェルに添加し、プレートリーダーを使用して、発光を速やかに測定した。各細胞株についてのEC50は、0.14nM(SKOV3)、0.12nM(SKBR3)、0.12nM(MCF7)、0.11nM(OVCAR3)及び1.1nM(BT474)である。右:細胞5×10
5個を、PBS中に1%のFBS中に100nMのセツキシマブにより、30分間にわたり処置した。3回にわたる洗浄の後、細胞を、二次抗カッパ-647抗体により、30分間にわたり標識した。細胞のフルオロフォア強度は、BD Accuri C6フローサイトメーターにより解析した。赤色のピークは、二次抗カッパ-647抗体単独により処置された細胞である。緑色のピークは、セツキシマブ及び二次抗カッパ-647抗体により処置された細胞である。中央値蛍光強度は、EGFR発現を伴う細胞が、高度から低度に、OVCAR3(4819)、SKOV3(4479)、SKBR3(2865)、BT474(651)及びMCF7(480)であることを示した。
【
図18】memAbトラスツズマブとあらかじめ混合し、洗浄した、Jurkat細胞又はがん細胞を示す図である。Jurkat細胞又はがん細胞を、memAbトラスツズマブとあらかじめ結合させた後に洗浄する。がん細胞(100ul当たり2.5×10
4個)を、白色壁面の96ウェルプレート内に播種した。一晩にわたる細胞接着の後、プレート内の培地を除去し、Jurkat-NFAT-Lucメディトープ-CAR細胞(60ul当たり1×10
5個)を、各ウェルに添加した。memAbトラスツズマブを、持続的に存在させる、又はJurkat-NFAT-Luc medi-CAR細胞若しくはがん細胞にあらかじめ結合させ、洗浄する(グラフ内のバーは、左から右に、処置なし;持続的に存在させたハーセプチン(4nM);持続的に存在させたmemAbトラスツズマブ(4nM);memAbトラスツズマブ(100nM)とあらかじめ結合させた後に洗浄した、FabRack Jurkat-NFAT-Luc細胞;memAbトラスツズマブ(100nM)とあらかじめ結合させた後に洗浄した、がん細胞を表す。)。細胞を、37℃において、6時間にわたりインキュベートした後に、50ulのルシフェラーゼ基質(Invivogen#rep-qlc2)を、各ウェルに追加した。発光は、Biotek’s Synergy 4 multi-detectionマイクロプレートリーダーを使用して、速やかに測定した。
【
図19】memAbをあらかじめ結合させたT細胞(左)及びmemAbをあらかじめ結合させたがん細胞(右)を示す図である。
【
図20】ハーセプチンが、I83Eに媒介されたJurkat-NFAT-Lucの活性化を遮断することを示す図である。memAbトラスツズマブ及びハーセプチンを持続的に存在させた。がん細胞(100ul当たり2.5×10
4個)を、白色壁面の96ウェルプレート内に播種した。一晩にわたる細胞接着の後、プレート内の培地を除去し、Jurkat-NFAT-Luc me-CAR細胞(60ul当たり1×10
5個)を、各ウェルに添加した。memAbトラスツズマブを、持続的に存在させた、又はJurkat細胞又はがん細胞にあらかじめ結合させ、洗浄した(グラフ内のバーは、左から右に、持続的に存在させたmemAbトラスツズマブ(4nM);持続的に存在させたmemAbトラスツズマブ(4nM)及びハーセプチン(40nM);持続的に存在させたmemAbトラスツズマブ(4nM)及びハーセプチン(400nM)を表す)。細胞を、37℃において、6時間にわたりインキュベートした後に、50ulのルシフェラーゼ基質(Invivogen#rep-qlc2)を、各ウェルに追加した。発光は、Biotek’s Synergy 4 multi-detectionマイクロプレートリーダーにより、速やかに読み取った。4nMのmemAbトラスツズマブの連続的な存在下において、Jurkat-NFAT-Luc medi-CAR細胞は、memAbトラスツズマブによる、がん細胞への結合に起因して活性化された。ハーセプチンは、本発明者らのmemAbトラスツズマブと同じエピトープを有し、HER2上の同じ結合性部位について競合しうるため、インキュベーション時における、ハーセプチンの持続的存在は、Jurkat細胞の活性化を遮断しうる。memAbトラスツズマブ(4nM)の100倍濃度のハーセプチン(400nM)が、Jurkat細胞の活性化を、ほぼ完全に遮断することから、Jurkat細胞の活性化が、ハーセプチンにより認識される、同じHER2エピトープに結合する、memAbトラスツズマブにより引き起こされることが裏付けられた。
【
図21】ハーセプチンが、Jurkat細胞を、memAbトラスツズマブとあらかじめ結合させ、洗浄した後における、memAbに媒介されたJurkat-NFAT-Lucの活性化を遮断することを示す図である。memAbトラスツズマブを、まず、Jurkat細胞にあらかじめ結合させ、洗浄する。ハーセプチンを持続的に存在させた。がん細胞(100ul当たり2.5×10
4個)を、白色壁面の96ウェルプレート内に播種した。一晩にわたる細胞接着の後、プレート内の培地を除去し、Jurkat-NFAT-Luc me-CAR細胞(60ul当たり1×10
5個)を、各ウェルに添加した。memAbトラスツズマブを、持続的に存在させた、又はJurkat-NFAT-Luc medi-CAR細胞にあらかじめ結合させ、洗浄した(グラフ内のバーは、左から右に、持続的に存在させたmemAbトラスツズマブ(4nM);memAbトラスツズマブ(100nM)とあらかじめ結合させた後に洗浄した、Jurkat-NFAT-Luc medi-CAR細胞;memAbトラスツズマブ(100nM)とあらかじめ結合させた後に洗浄した、Jurkat-NFAT-Luc medi-CAR細胞+持続的に存在させたハーセプチン(40nM);memAbトラスツズマブ(100nM)とあらかじめ結合させた後に洗浄した、Jurkat-NFAT-Luc medi-CAR細胞+持続的に存在させたハーセプチン(400nM)を表す)。細胞を、37℃において、6時間にわたりインキュベートした後に、50ulのルシフェラーゼ基質(Invivogen#rep-qlc2)を、各ウェルに追加した。発光は、Biotek’s Synergy 4 multi-detectionマイクロプレートリーダーを使用して、速やかに測定した。Jurkat-NFAT-Luc medi-CAR細胞を、memAbトラスツズマブとあらかじめ結合させ、洗浄することは、発光活性を、高HER2発現細胞(SKBR3、BT474及びSKOV3)と共に共インキュベートした場合に、memAbを持続的に存在させた細胞と比較して、著明に減殺したが、低HER2発現細胞(MCF7及びOVCAR3)と共に共インキュベートした場合に、それほど減殺しなかった。インキュベーション時における、ハーセプチンの持続的存在は、Jurkat細胞の活性化を遮断しうる。各Jurkat細胞上のmedi-CAR又は各がん細胞上の標的分子の数は、各T細胞内において、どのくらい大きな活性化が示されるのか、又はどのくらい多くのT細胞が活性化されるのかを決定しうる。
【
図22】ハーセプチンが、がん細胞を、memAbとあらかじめ混合し、洗浄した後における、memAbトラスツズマブに媒介されたJurkat-NFAT-Lucの活性化を、ほとんど遮断しなかったことを示す図である。memAbトラスツズマブを、まず、がん細胞にあらかじめ結合させ、洗浄する。ハーセプチンを持続的に存在させた。がん細胞を、memAbトラスツズマブとあらかじめ結合させ、洗浄することは、発光活性を、memAbを持続的に存在させた細胞と比較して、劇的に減殺しなかった。インキュベーション時における、ハーセプチンの持続的存在は、Jurkat細胞の活性化に対する遮断効果を、全く及ぼさなかった、又はある程度及ぼした。このデータは、memAbトラスツズマブを、がん細胞上のHER2に結合させたところ、それは、メディトープ結合性部位を伴わないトラスツズマブにほとんど競合されないことを裏付けた。がん細胞(100ul当たり2.5×10
4個)を、白色壁面の96ウェルプレート内に播種した。一晩にわたる細胞接着の後、プレート内の培地を除去し、Jurkat-NFAT-Luc me-CAR細胞(1×10
5)を、各ウェルに添加した。memAbトラスツズマブを、持続的に存在させた、又はがん細胞にあらかじめ結合させ、洗浄した(グラフ内のバーは、左から右に、持続的に存在させたmemAbトラスツズマブ(4nM);memAbトラスツズマブ(100nM)とあらかじめ結合させた後に洗浄した、がん細胞;memAbトラスツズマブ(100nM)とあらかじめ結合させた後に洗浄した、がん細胞+持続的に存在させたハーセプチン(40nM);memAbトラスツズマブ(100nM)とあらかじめ結合させた後に洗浄した、がん細胞+持続的に存在させたハーセプチン(400nM)を表す)。細胞を、37℃において、6時間にわたりインキュベートした後に、50ulのルシフェラーゼ基質(Invivogen#rep-qlc2)を、各ウェルに追加した。発光は、Biotek’s Synergy 4 multi-detectionマイクロプレートリーダーを使用して、速やかに測定した。
【
図23】T細胞が、memAbとあらかじめ混合し、洗浄したがん細胞を、死滅させることを示す図である。生存率(%)=[Luc
(cancer cells + T cells + antibody) - Luc
(T cells + antibody)]/[Luc
(cancer cells + Tmock cells) - Luc
(Tmock cells)]である。0.1nM又は0.5nMのmem抗体の持続的存在下において、FabRack T細胞との共インキュベーションを伴うがん細胞の生存率は、モックT細胞共インキュベーションとの共インキュベーションを伴うがん細胞と比較して減少した。乳がん細胞において、0.1及び0.5nMとしたときに、細胞生存率は、用量依存的に低下したが、卵巣がん細胞は、これらの2つの濃度においても、同様の生存率を示す。抗体とあらかじめ結合させ、洗い流したがん細胞は、持続的な抗体処置を伴うがん細胞と比較して、5~18%の、生存率の逆戻しにもかかわらず、ヒトFabRack T細胞により、やはり死滅させることができる。腫瘍殺滅アッセイのために、がん細胞(100ul当たり2.5×10
4個)及びヒトT細胞(100ul当たり6,250個)を、抗体の存在下又は非存在下において、96ウェル丸底プレート内に播種した。72時間にわたるインキュベーションの後、細胞を、250×gにおいて、5分間にわたり遠心分離し、各ウェル内、100ulずつの培地を除去した。細胞生存率について調べるために、Promega CellTiterキットからの試薬100ulを、各ウェル内に添加した。2分間にわたるインキュベーションの後、100ulの混合物を、白色壁面の96ウェルプレートに移し、Biotek’s Synergy 4 multi-detectionマイクロプレートリーダーを使用して測定した。
【
図24】FabRack T細胞が、がん細胞を、memAbトラスツズマブを低用量として、効果的に死滅させることを示す図である。がん細胞を、モックT細胞又はFabRack T細胞と共に、memAbトラスツズマブの存在下において、3日間にわたりインキュベートした。このデータは、FabRack T細胞が、memAbトラスツズマブを介して、がん細胞に結合するので、HER2陽性がん細胞を、効果的に死滅させたことを示した。memAbトラスツズマブ及びFabRack T細胞と共に、共インキュベートされたがん細胞のIC50は、0.33nM(BT474)、0.11nM(SKBR3)、0.069nM(MCF7)、0.046nM(SKOV3)及び0.027nM(OVCAR3)である。殺滅効果は、がん細胞上のHER2発現レベルと関連しなかった。腫瘍殺滅アッセイのために、がん細胞(100ul当たり2.5×10
4個)及びヒトT細胞(100ul当たり6,250個)を、抗体の存在下又は非存在下において、96ウェル丸底プレート内に播種した。72時間にわたるインキュベーションの後、細胞を、250×gにおいて、5分間にわたり遠心分離し、各ウェル内、100ulずつの培地を除去した。細胞生存率について調べるために、Promega CellTiterキットからの試薬100ulを、各ウェル内に添加した。2分間にわたるインキュベーションの後、100ulの混合物を、白色壁面の96ウェルプレートに移し、Biotek’s Synergy 4 multi-detectionマイクロプレートリーダーを使用して測定した。
【
図25】メディトープ-CAR T細胞(その実施形態を含む本明細書において提供される組換えタンパク質を発現させるT細胞)の、scFv CAR T細胞及びFab CAR T細胞と比較した腫瘍殺滅を示す図である。
【
図26】卵巣がんにおける腫瘍殺滅アッセイ(FACS)を示す図である。フローサイトメトリーを使用して、どれほど多くのがん細胞が、それらを、FabRack T細胞及びmemAbトラスツズマブと共に共インキュベートした後において、やはり生存しているのかについて、陽性対照としての、HER2 scFv CAR又はHER2Fab CAR T細胞と共にインキュベートされたがん細胞と比較して解析した。FabRack T細胞及びmemAbトラスツズマブと共に共インキュベートしたところ、3日間にわたるインキュベーションの後、生存がん細胞は、劇的に減少した。FabRack T細胞の殺滅効果は、HER2 scFv CAR T細胞又はHER2Fab CAR T細胞と同様であった、又はこれらよりなお良好であった。
【
図27】乳がんにおける腫瘍殺滅アッセイ(FACS)を示す図である。フローサイトメトリーを使用して、どれほど多くのがん細胞が、それらを、FabRack T細胞及びmemAbトラスツズマブと共に共インキュベートした後において、やはり生存しているのかについて、陽性対照としての、HER2 scFv CAR又はHER2Fab CAR T細胞と共にインキュベートされたがん細胞と比較して解析した。FabRack T細胞及びmemAbトラスツズマブと共に共インキュベートしたところ、3日間にわたるインキュベーションの後、生存がん細胞は、劇的に減少した。FabRack T細胞の殺滅効果は、HER2 scFv CAR T細胞又はHER2Fab CAR T細胞と同様であった、又はこれらよりなお良好であった。
【
図28】T細胞内の、CD107a及びIFN-gの発現についてのヒストグラムを示す図である。フローサイトメトリーは、ヒトT細胞のうちの約40%が、メディトープ-CARの形質導入に成功したことを示した。がん細胞を、あらかじめ混合し、洗浄したmemAbトラスツズマブと併せて、又はmemAbトラスツズマブの持続的存在下においてインキュベートしたところ、FabRack T細胞は、CD107a及びIFNγの発現を増大させた。CD107a及びIFNγの発現について解析するために、がん細胞(5×10
4/100ul)を、96ウェル丸底プレート内に播種し、ヒトTモック細胞又はFabRack細胞(100ul当たり5×10
4個)を、がん細胞が存在する各ウェルに添加した。エフェクターの、標的に対する比は、1:1である。CD107a-FITC(BD#555800)抗体及び輸送体阻害剤であるGolgistop(BD#554724)を、インキュベーション時に、各ウェルに添加した。5時間にわたるインキュベーションの後、細胞を、Fixable Viability Dye(Thermo Fisher Scientific#L34965)により、暗所内、4℃において、30分間にわたり染色した。2回にわたり洗浄した後、細胞を、CD4-PerCP(BD#347324)、CD8-APCCy7(BD#348793)及びCD19-PECy7(BD#557835)により、暗所内、4℃において、30分間にわたり染色した。2回にわたり洗浄した後、細胞を、BD Cytofix/Cytopermキット(BD554714)により固定及び透過化するのに続き、細胞内IFNを、IFN-APC(BD#554702)により、暗所内、室温において、30分間にわたり染色した。2回にわたり洗浄した後、細胞を、100ulの最終容量において再懸濁させ、40ulの試料を、フローサイトメーターにより解析した。
【
図29】CD107a及びIFN-γを示す図である。
【
図30】I83Eトラスツズマブが、標的細胞を伴わないFabRack T細胞を活性化させえないことを示す図である。試験に利用可能な活性化マーカー:上方調節:CD69(生存時間が短い)、CD137(4-1BB)、CD44、CD27、CD45RO、CD154;下方調節:CD62L、CCR7(CD197)(CD25、CD69、CD137(4-1BB)、KLRG、CD62L、CD45RO、CD27、CD28)である。0.5nMのmemAbトラスツズマブと共に、5時間にわたりインキュベートしたところ、FabRack T細胞は、CD107a及びIFNγの発現の増大を示さなかった。
【
図31】4つの構築物を作出したことを示す図である。上の2つの概略図は、形質転換細胞についてのマーカーとして使用される、切断型CD19遺伝子を含む。これらの2つは、共刺激シグナルである、C28又は41BBにより異なる。下の2つの概略図は、CD19リードアウトマーカーを除き、同じである。
【
図32】分取の前及び後における、Jurkat-NFAT-Luc細胞内の切断型CD19(CD19t)の発現についてのヒストグラムである。細胞を、CD19-PE-Cy7により染色し、CD19t陽性細胞を、BD Aria SORPフローサイトメーターにより分取した。切断型CD19マーカーを使用する細胞分取により単離された、形質転換細胞の均質集団である。
【
図33A】今後の課題を示す図である。メディトープ対応IgGは、4つの変異体(CD19t及びCD28共刺激シグナル又は41BB共刺激シグナルを伴う、又はこれを伴わない)のうちの1つだけに結合する。
【
図33B】今後の課題を示す図である。非形質転換Jurkat細胞は、IgGに結合しない。
【
図33C】今後の課題を示す図である。同様に、親抗体(例えば、非メディトープ対応)は、FabRack Jurkat細胞に結合しない。言い換えれば、異なるmemAbを、異なるFabrack変異体と組み合わせることができる。
【
図34】乳がん細胞株(MCF7、SKBR3及びBT474)又は卵巣がん細胞株(SKOV3及びOVCAR3)が、memAbの、HER2又はEGFRへの結合を示した図である。memAb結合を伴う、又はこれを伴わない細胞の中央値蛍光強度(MFI)を、それぞれのグラフの下に示す。Her2、EGFR及びCD20の抗原密度を、Fabrackが、抗原特異性を切り替える能力及び効能について調べるのに、その後、広範にわたり使用する、解析用サイトメトリーを使用して、一連の細胞株にわたり、独立に定量した。
【
図35】乳がん細胞又は卵巣がん細胞(2.5×10
4個)を、白色壁面の96ウェルプレート内に播種したことを示す図である。一晩にわたる細胞接着の後、プレート内の培地を除去し、多様な用量のmemAb(抗HER2又は抗EGFR)を伴う、Jurkat-NFAT-Luc Fabrack細胞(CD28形、1×10
5個)を、各ウェルに添加した。細胞を、37℃において、6時間にわたりインキュベートした後に、ルシフェラーゼ基質(Invivogen#rep-qlc2)を、各ウェルに追加した。発光は、Biotek’s Synergy 4 multi-detectionマイクロプレートリーダーを使用して、速やかに測定した。「EC50」は、全ての細胞について1nM未満であるが、プラトーは、大きく異なる。増大は、BT474細胞の場合を除き、抗原発現と相関する。この例外は、さらなる研究(Her3又は他の分子による干渉か)を要求する。右パネルにおいて、EGFRについても、同様の傾向が観察される。セツキシマブを使用すると、MFIは、BT474について、651;MCF7について、480;OVCAR3について、4819;SKBR3について、2865であり、SKOV3について、4479である。BT474は、MCF7より、わずかに多くのEGFRを発現させるが、プラトー内の傾向は、抗原密度に従う傾向がある。BT474細胞株の特性の一部は、ウェブサイト:ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3236329/において見出すことができる。
【
図36】CD19を発現させるがん細胞(5×10
4個)を、白色壁面の96ウェルプレート内に播種し、多様な用量のCD19 memAbを伴う、Jurkat-NFAT-Luc Fabrack細胞(41BB形又はCD28形、1×10
5個)と共培養したことを示す図である。細胞を、37℃において、6時間にわたりインキュベートした後に、ルシフェラーゼ基質(Invivogen#rep-qlc2)を、各ウェルに追加した。発光は、Biotek’s Synergy 4 multi-detectionマイクロプレートリーダーを使用して、速やかに測定した。左パネルは、異なるCD19発現細胞をターゲティングしうることを示す。プラトーは、抗原密度と共に変動する。RajiについてのMFIは、21566であり;DaudiについてのMFIは、12263であり;Sup-B15についてのMFIは、12617である。右パネルは、CD28活性化シグナルが、41BBより強いことを指し示す。
【
図37】memAb及び標的細胞の存在下における、FabRack Jurkat細胞の活性化を示す図である。異なる用量のmemAbトラスツズマブのIgG又はFabを、FabRack Jurkat細胞及び標的細胞を含有するウェル内に、6時間にわたり存在させる。インキュベーションの終了時に、ルシフェラーゼ基質を、各ウェルに添加し、発光は、プレートリーダーにより、速やかに読み取った。乳がん細胞又は卵巣がん細胞(2.5×10
4個)を、白色壁面の96ウェルプレート内に播種した。一晩にわたる細胞接着の後、プレート内の培地を除去し、多様な用量のmemAbトラスツズマブ又は非memAbペルツズマブを伴う、Jurkat-NFAT-Luc Fabrack細胞(CD28形、1×10
5個)を、各ウェルに添加した。細胞を、37℃において、6時間にわたりインキュベートした後に、ルシフェラーゼ基質(Invivogen#rep-qlc2)を、各ウェルに追加した。発光は、Biotek’s Synergy 4 multi-detectionマイクロプレートリーダーを使用して、速やかに測定した。本発明者らのFACSデータに基づき、MCF7は、最低量のHer2を発現させる(MFI=985)。OvCAR3は、わずかに高量(MFI=1435)を発現させる。SKBR3(MFI=34405)及びSKOV3(MFI=43191)は、MCF7及びOvCAR3より、はるかに高量を発現させる。これもまたHer2に結合するペルツズマブは、メディトープに対応せず、Fcを含有する。ペルツズマブが結合しないという事実は、メディトープ対応Fab/Mabが要求されること(予測された通り)を指し示す。フック効果は、IgGフォーマットを使用する、全ての細胞株において活性である。この効果は、抗原密度が「低度」である細胞について、早期に始まる(「当てはめ」のピークは、MCF7及びOvCAR3について、10nM未満であり、SKBR3及びSKOV3について、10nMを超える)。この知見は、細胞由来の抗原が、低濃度において飽和されることと符合する。価数は、大きな影響を及ぼす(例えば、フック効果は、IgG{二価}を使用すると、Fab{一価}を使用する場合と比較して、低濃度において始まる)。興味深いことに、「プラトー」は、Fabを使用する場合に、はるかに高値となる。差違が見られるという事実は、効果を最適化するように、memAbの特性を微調整しうることを指し示す。この事実はまた、フック効果を、安全性機構として使用しうることも示唆する。注:
図8及び
図9において、フック効果は、明白ではなかった。これは、部分的に、これらの研究において使用された、低濃度範囲に起因する(抗体濃度は、10nMに達したに過ぎないが、本明細書において、1uMに達している)。「フック効果」についての情報は、ウェブサイト:en.wikipedia.org/wiki/Hook_effectにおいて見出すことができる。
【
図38】memAbトラスツズマブを、標的細胞にあらかじめ結合させた、又はmemAbトラスツズマブを、FabRack Jurkat細胞にあらかじめ結合させた、4nMのmemAbトラスツズマブの存在下において、がん細胞と共培養した、FabRack Jurkat細胞の活性化を示す図である。がん細胞又はFabRack Jurkat細胞を、100nMのmemAbトラスツズマブとあらかじめ結合させた後に洗い流した。4nMのハーセプチン処置を伴う、FabRack Jurkat細胞の活性化レベルは、処置なしと同様である。方法:がん細胞(100ul当たり2.5×10
4個)を、白色壁面の96ウェルプレート内に播種した。一晩にわたる細胞接着の後、プレート内の培地を除去し、Jurkat-NFAT-Lucメディトープ-CAR細胞(60ul当たり1×10
5個)を、各ウェルに添加した。memAbトラスツズマブを、持続的に存在させる、又はJurkat-NFAT-Luc medi-CAR細胞又はがん細胞にあらかじめ結合させ、洗浄する。グラフ内のバーは、左から右に、持続的に存在させたmemAbトラスツズマブ(4nM)、memAbトラスツズマブ(100nM)とあらかじめ結合させた後に洗浄したFabRack Jurkat-NFAT-Luc細胞、memAbトラスツズマブ(100nM)とあらかじめ結合させた後に洗浄したがん細胞、持続的に存在させたハーセプチン(4nM)及び処置なしを表す。細胞を、37℃において、6時間にわたりインキュベートした後に、50ulのルシフェラーゼ基質(Invivogen#rep-qlc2)を、各ウェルに追加した。発光は、Biotek’s Synergy 4 multi-detectionマイクロプレートリーダーを使用して、速やかに測定した。全ての場合に、4nMのmemAbトラスツズマブの、「メディトープCAR」であるJurkat-NFAT-Lucと混合した腫瘍細胞への添加は、最大のシグナルをもたらした。他の2つの試料を、プレインキュベートし、洗浄し、次いで、第3の構成要素に添加した。1つの場合に、memABトラスツズマブを、腫瘍細胞に添加し、洗浄し、次いで、「メディトープCAR」であるJurkat-NFAT-Lucに曝露した。他の場合に、memABトラスツズマブを、「メディトープCAR」であるJurkat-NFAT-Lucに添加し、洗浄し、次いで、腫瘍細胞に添加した。抗原発現が高度である細胞について、腫瘍細胞の前処置は、高度の活性化をもたらした。抗原発現が低度である細胞(MCF7及びOVCAR3)について、「メディトープCAR」細胞であるJurkat-NFAT-Luc細胞のプレインキュベーションは、高レベルの活性化をもたらした。細胞「を洗浄した」後におけるmemAbの濃度は、わからないが、確実に、4nM未満であることに注意することが重要である。この異なる処理は、4nMの処置における高シグナルを説明する可能性が高い。
【
図39】ハーセプチンが、がん細胞及び4nMのmemAbトラスツズマブと共に、共インキュベートされた、FabRack Jurkat細胞の活性化を遮断したことを示す図である。処置の全持続時間において、ハーセプチン及びmemAbトラスツズマブを持続的に存在させた。方法:がん細胞(100ul当たり2.5×10
4個)を、白色壁面の96ウェルプレート内に播種した。一晩にわたる細胞接着の後、プレート内の培地を除去し、Jurkat-NFAT-Luc me-CAR細胞(60ul当たり1×10
5個)を、各ウェルに添加した。グラフ内のバーは、左から右に、持続的に存在させたmemAbトラスツズマブ(4nM)、memAbトラスツズマブ(4nM)及び持続的に存在させたハーセプチン(40nM)並びにmemAbトラスツズマブ(4nM)及び持続的に存在させたハーセプチン(400nM)を表す。細胞を、37℃において、6時間にわたりインキュベートした後に、50ulのルシフェラーゼ基質(Invivogen#rep-qlc2)を、各ウェルに追加した。発光は、Biotek’s Synergy 4 multi-detectionマイクロプレートリーダーにより、速やかに読み取った。結果:4nMのmemAbトラスツズマブの持続的存在下において、Jurkat-NFAT-Luc medi-CAR細胞は、memAbトラスツズマブによる、がん細胞への結合に起因して活性化された。ハーセプチンは、本発明者らのmemAbトラスツズマブと同じエピトープを有し、HER2上の同じ結合性部位について競合しうるため、インキュベーション時における、ハーセプチンの持続的存在は、Jurkat細胞の活性化を遮断しうる。memAbトラスツズマブ(4nM)の100倍濃度のハーセプチン(400nM)が、Jurkat細胞の活性化を、ほぼ完全に遮断することから、Jurkat細胞の活性化が、ハーセプチンにより認識される、同じHER2エピトープに結合する、memAbトラスツズマブにより引き起こされることが裏付けられた。fabrack T細胞の活性化は、メディトープの相互作用を要求することから、提起された作用機構についてのさらなる証拠がもたらされる。
【
図40】がん細胞にあらかじめ結合させたハーセプチンが、がん細胞及び4nMのmemAbトラスツズマブと共インキュベートされたFabRack Jurkat細胞の活性化を遮断したことを示す図である。がん細胞を、40nM又は400nMのハーセプチンとあらかじめ結合させた後に洗い流した。ハーセプチンと、memAbトラスツズマブとの唯一の差違は、後者が、メディトープに対応していることである。細胞を、ハーセプチンにより前処置することにより、抗原へのアクセスが遮断される。ハーセプチンにより処置された細胞を、memAbトラスツズマブ/Fabrack Jurkat処置の前に洗浄することは、結合しなかったハーセプチンを除去する。しかし、結合したハーセプチンは、時間経過にわたり、細胞から解離する。したがって、活性化の低減は、この実験におけるほど劇的ではない(
図41と比較して)。
【
図41】ハーセプチンが、memAbとあらかじめ結合させたがん細胞と共培養したFabRack Jurkat細胞の活性化を、ほとんど遮断しないことを示す図である。がん細胞を、100nMのmemAbトラスツズマブとあらかじめ結合させた後に洗い流した。がん細胞を、memAbトラスツズマブとあらかじめ結合させ、洗浄することは、発光活性を、劇的に減殺しなかった。インキュベーション時における、ハーセプチンの持続的存在は、Jurkat細胞の活性化に対して、小さな遮断効果を及ぼした。このデータは、memAbトラスツズマブを、がん細胞上のHER2に結合させたところ、結合が、臨床トラスツズマブにより、ほとんど遮断されないことを裏付けた。方法:がん細胞(100ul当たり2.5×10
4個)を、白色壁面の96ウェルプレート内に播種した。一晩にわたる細胞接着の後、プレート内の培地を除去し、Jurkat-NFAT-Luc me-CAR細胞(1×10
5)を、各ウェルに添加した。memAbトラスツズマブを、持続的に存在させた、又はがん細胞にあらかじめ結合させ、洗浄した(グラフ内のバーは、左から右に、持続的に存在させたmemAbトラスツズマブ(4nM);memAbトラスツズマブ(100nM)とあらかじめ結合させた後に洗浄した、がん細胞;memAbトラスツズマブ(100nM)とあらかじめ結合させた後に洗浄した、がん細胞+持続的に存在させたハーセプチン(40nM);memAbトラスツズマブ(100nM)とあらかじめ結合させた後に洗浄した、がん細胞+持続的に存在させたハーセプチン(400nM)を表す)。細胞を、37℃において、6時間にわたりインキュベートした後に、50ulのルシフェラーゼ基質(Invivogen#rep-qlc2)を、各ウェルに追加した。発光は、Biotek’s Synergy 4 multi-detectionマイクロプレートリーダーを使用して、速やかに測定した。memAbトラスツズマブを、細胞に結合させると、それは、ハーセプチンが、細胞由来の抗原に結合することを遮断する。
【
図42】FabRack T細胞の活性化マーカー及びサイトカインの発現を示す図である。FabRack T細胞を、卵巣がん細胞である、SKOV3及びOVCAR3又は乳がん細胞である、SKBR3、BT474及びMCF7と共に、0.5nMのmemAbトラスツズマブの存在下において、5時間にわたり共培養した。エフェクター細胞の、標的細胞に対する比は、1:1である。HER2 scFv CAR及びHER2 Fab CARを、陽性対照として使用した。5時間にわたるインキュベーションの後、活性化マーカーを、フローサイトメトリーにより解析した:多数の対照を、これらの実験において使用した。ここで使用されたscFv CAR及びFab CARのCDRループは、Fabrackのために使用されたmemAbと同じである。モックとは、非形質転換T細胞である。サイトメトリーを使用して、T細胞活性化についてのマーカーである、CD69及びCD25のレベルを測定した。腫瘍細胞の非存在下において、変異体の活性化は、観察されなかった。抗原保有腫瘍細胞の存在下においてもまた、Fabrack T細胞(memAbを伴わない)、モック又はモック及びI83EmemAbトラスツズマブについて、活性化は、ほとんど~全く観察されなかった。最後に、FabrackT細胞+I83E memAbトラスツズマブ及びscFVCAR T細胞について、T細胞活性化の著明な増大が観察された。Fab-CAR T細胞もまた、活性化されたが、大きなばらつきを顕示した。
【
図43】FabRack T細胞を、卵巣がん細胞である、SKOV3及びOVCAR3又は乳がん細胞である、SKBR3、BT474及びMCF7と共に、0.5nMのmemAbトラスツズマブの存在下において、5時間にわたり共培養したことを示す図である。エフェクター細胞の、標的細胞に対する比は、1:1である。HER2 scFv CARを、陽性対照として使用した。5時間にわたるインキュベーションの後、脱顆粒マーカーである、CD107a及びIFNγを、フローサイトメトリーにより解析した:Fab T細胞は、従来のCAR T細胞と同様に挙動する。
【
図44】がん細胞を、モックT細胞又はFabRack T細胞と共に、多様な用量のmemAbトラスツズマブの存在下において、3日間にわたりインキュベートしたことを示す図である。エフェクター細胞の、標的細胞に対する比は、1:4である。インキュベーションの終了時に、Promega CellTiterキットの指示書に基づき、細胞生存率を測定した。結果:がん細胞を、モックT細胞又はFabRack T細胞と共に、memAbトラスツズマブの存在下において、3日間にわたりインキュベートした。このデータは、FabRack T細胞が、memAbトラスツズマブを介して、がん細胞に結合するので、HER2陽性がん細胞を、効果的に死滅させたことを示す。memAbトラスツズマブ及びFabRack T細胞と共に、共インキュベートされたがん細胞のIC50は、0.33nM(BT474)、0.11nM(SKBR3)、0.069nM(MCF7)、0.046nM(SKOV3)及び0.027nM(OVCAR3)である。殺滅効果は、がん細胞上のHER2発現レベルと関連しなかった。方法:腫瘍殺滅アッセイのために、がん細胞(100ul当たり2.5×10
4個)及びヒトT細胞(100ul当たり6,250個)を、抗体の存在下又は非存在下において、96ウェル丸底プレート内に播種した。72時間にわたるインキュベーションの後、細胞を、250×gにおいて、5分間にわたり遠心分離し、各ウェル内、100ulずつの培地を除去した。細胞生存率について調べるために、Promega CellTiterキットからの試薬100ulを、各ウェル内に添加した。2分間にわたるインキュベーションの後、100ulの混合物を、白色壁面の96ウェルプレートに移し、Biotek’s Synergy 4 multi-detectionマイクロプレートリーダーを使用して測定した。
【
図45】memAbトラスツズマブ及びFabRack T細胞と共に、共インキュベートされたがん細胞のIC50が、0.33nM(BT474)、0.11nM(SKBR3)、0.069nM(MCF7)、0.046nM(SKOV3)及び0.027nM(OVCAR3)であることを示す図である。
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図46】結果を示す図である:0.1nM又は0.5nMのmemAb抗体の持続的存在下において、FabRack T細胞との共インキュベーションを伴うがん細胞(中央バー)の生存率は、モックT細胞共インキュベーションとの共インキュベーションを伴うがん細胞(左バー)と比較して減少した。乳がん細胞において、0.1及び0.5nMとしたときに、細胞生存率は、用量依存的に低下したが、卵巣がん細胞は、これらの2つの濃度においても、同様の生存率を示す。抗体とあらかじめ結合させ、洗い流したがん細胞(右バー)は、持続的な抗体処置を伴うがん細胞と比較して、5~18%の、生存率の逆戻しにもかかわらず、ヒトFabRack T細胞により、やはり死滅させることができる。方法:腫瘍殺滅アッセイのために、がん細胞(100ul当たり2.5×10
4個)及びヒトT細胞(100ul当たり6,250個)を、memAb抗体の存在下又は非存在下において、96ウェル丸底プレート内に播種した。72時間にわたるインキュベーションの後、細胞を、250×gにおいて、5分間にわたり遠心分離し、各ウェル内、100ulずつの培地を除去した。細胞生存率について調べるために、Promega CellTiterキットからの試薬100ulを、各ウェル内に添加した。2分間にわたるインキュベーションの後、100ulの混合物を、白色壁面の96ウェルプレートに移し、Biotek’s Synergy 4 multi-detectionマイクロプレートリーダーを使用して測定した。
【
図47】フローサイトメトリーを使用して、DAPI染色の後におけるがん細胞の生存について解析したことを示す図である。HER2 scFv CAR及びHER2 Fab CARを、陽性対照として使用した。結果:フローサイトメトリーを使用して、どれほど多くのがん細胞が、それらを、FabRack T細胞及びmemAbトラスツズマブと共に共インキュベートした後において、やはり生存しているのかについて、陽性対照としての、HER2 scFv CAR又はHER2Fab CAR T細胞と共にインキュベートされたがん細胞と比較して解析した。FabRack T細胞及びmemAbトラスツズマブと共に共インキュベートしたところ、3日間にわたるインキュベーションの後、生存がん細胞は、劇的に減少した。FabRack T細胞の殺滅効果は、HER2 scFv CAR T細胞又はHER2Fab CAR T細胞と同様であった、又はこれらよりなお良好であった。細胞生存率を読み取るための代替法を使用しても、同様の結果がもたらされる。
【
図48】フローサイトメトリーを使用して、DAPI染色の後におけるがん細胞の生存について解析したことを示す図である。HER2 scFv CAR及びHER2 Fab CARを、陽性対照として使用した。結果:フローサイトメトリーを使用して、どれほど多くのがん細胞が、それらを、FabRack T細胞及びmemAbトラスツズマブと共に共インキュベートした後において、やはり生存しているのかについて、陽性対照としての、HER2 scFv CAR又はHER2Fab CAR T細胞と共にインキュベートされたがん細胞と比較して解析した。FabRack T細胞及びmemAbトラスツズマブと共に共インキュベートしたところ、3日間にわたるインキュベーションの後、生存がん細胞は、劇的に減少した。FabRack T細胞の殺滅効果は、HER2 scFv CAR T細胞又はHER2Fab CAR T細胞と同様であった、又はこれらよりなお良好であった。
【
図49】標的細胞及び異なる濃度のmemAbトラスツズマブを伴う共培養物中の、T細胞数の倍数変化を示す図である。エフェクター細胞の、標的細胞に対する比は、インキュベーション時において、1:4である。これらの実験は、memAbの存在に応じた細胞増殖をもたらす、T細胞の活性化を指し示す。
【
図50】乳がん細胞(2.5×10
4個)を、白色壁面の96ウェルプレート内に播種したことを示す図である。一晩にわたる細胞接着の後、プレート内の培地を除去し、多様な用量の2N1 memAbを伴う、Jurkat-NFAT-Luc Fabrack細胞(41BB形、1×10
5個)を、各ウェルに添加した。細胞を、37℃において、6時間にわたりインキュベートした後に、ルシフェラーゼ基質を、各ウェルに追加した。発光は、Biotek’s Synergy 4 multi-detectionマイクロプレートリーダーにより、速やかに読み取った。
【発明を実施するための形態】
【0018】
定義
本明細書において、本発明の多様な実施形態及び態様を示し、これらについて記載してきたが、このような実施形態が、例だけを目的として提示されていることは、当業者に明らかである。今や、本発明から逸脱しない限りにおいて、当業者は、多数の変動、変化及び代用に想到する。本明細書において記載される、本発明の実施形態に対する、多様な代替物が、本発明の実施において利用されうることを理解されたい。
【0019】
本明細書において使用される節の見出しは、構成だけを目的とするものであり、記載される対象物を限定するものとは見なさないものとする。限定せずに述べると、特許、特許出願、論文、書籍、マニュアル及び論考を含む、本出願において引用された、全ての文献又は文献の部分は、任意の目的のために、参照によりそれらの全体において明示的に組み込まれる。
【0020】
本明細書において使用される略号は、化学技術分野及び生物技術分野内における、それらの従来の意味を有する。本明細書において明示された化学構造及び化学式は、化学技術分野において公知の化学価についての標準的な規則に従い構築される。
【0021】
置換基が、それらの従来の化学式により指定され、左から右に書かれる場合、それらは、構造を、右から左に書くことから生じる、化学的に同一な置換基を、等しく包含する、例えば、-CH2O-は、-OCH2-と等価である。
【0022】
「アルキル」という用語は、そうでないことが言明されない限りにおいて、それ自体、又は別の置換基の部分として、完全飽和の場合もあり、一価不飽和の場合もあり、多価不飽和の場合もある、直鎖型(すなわち、非分枝型)若しくは分枝型の非環状炭素鎖(又は炭素)又はこれらの組合せを意味し、表記された炭素原子数(すなわち、C1~C10とは、1~10個の炭素を意味する)を有する、二価基及び多価基を含みうる。飽和炭化水素基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、(シクロヘキシル)メチルなどの基、例えば、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルの相同体及び異性体などを含むがこれらに限定されない。不飽和アルキル基とは、1つ以上の二重結合又は三重結合を有するアルキル基である。不飽和アルキル基の例は、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-プロピニル及び3-プロピニル、3-ブチニル並びに上級の相同体及び異性体を含むがこれらに限定されない。アルコキシとは、酸素リンカー(-O-)を介して、分子の残余部分に接合しているアルキルである。アルキル部分は、アルケニル部分でありうる。アルキル部分は、アルキニル部分でありうる。アルキル部分は、完全飽和アルキル部分でありうる。
【0023】
「アルキレン」という用語は、そうでないことが言明されない限りにおいて、それ自体、又は別の置換基の部分として、-CH2CH2CH2CH2-により例示されるがこれらに限定されないアルキルに由来する二価基を意味する。典型的に、アルキル(又はアルキレン)基は、1~24個の炭素原子を有するが、本発明において、10個以下の炭素原子を有する基が好ましい。「低級アルキル」又は「低級アルキレン」とは、一般に、8個以下の炭素原子を有する、短鎖アルキル基又は短鎖アルキレン基である。「アルケニレン」という用語は、そうでないことが言明されない限りにおいて、それ自体、又は別の置換基の部分として、アルケンに由来する二価基を意味する。
【0024】
「ヘテロアルキル」という用語は、そうでないことが言明されない限りにおいて、それ自体、又は別の用語と組み合わせて、少なくとも1個の炭素原子及び少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、O、N、P、Si又はS)を含み、窒素原子及び硫黄原子が、任意選択的に、酸化される場合があり、窒素によるヘテロ原子が、任意選択的に、四級化されうる、安定的な非環状の直鎖型鎖若しくは分枝型鎖又はこれらの組合せを意味する。ヘテロ原子(複数可)であるO、N、P、S及びSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置又はアルキル基が分子の残余部分に接合している位置に配置されうる。例は、-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-CH2、-S(O)-CH3、-CH2-CH2-S(O)2-CH3、-CH=CH-O-CH3、-Si(CH3)3、-CH2-CH=N-OCH3、-CH=CH-N(CH3)-CH3、-O-CH3、-O-CH-2-CH3及び-CNを含むがこれらに限定されない。例えば、-CH2-NH-OCH3及び-CH2-O-Si(CH3)3など、最大で、2又は3個のヘテロ原子が連続しうる。ヘテロアルキル部分は、1個のヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si又はP)を含みうる。ヘテロアルキル部分は、2個の、任意選択的に異なるヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si又はP)を含みうる。ヘテロアルキル部分は、3個の、任意選択的に異なるヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si又はP)を含みうる。ヘテロアルキル部分は、4個の、任意選択的に異なるヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si又はP)を含みうる。ヘテロアルキル部分は、5個の、任意選択的に異なるヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si又はP)を含みうる。ヘテロアルキル部分は、最大で8個の、任意選択的に異なるヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si又はP)を含みうる。
【0025】
同様に、「ヘテロアルキレン」という用語は、そうでないことが言明されない限りにおいて、それ自体、又は別の置換基の部分として、-CH2-CH2-S-CH2-CH2-及び-CH2-S-CH2-CH2-NH-CH2-により例示されるがこれらに限定されない、ヘテロアルキルに由来する二価基を意味する。ヘテロアルキレン基について、ヘテロ原子はまた、鎖末端の一方又は両方も占有しうる(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。なおさらに、アルキレン連結基及びヘテロアルキレン連結基について、連結基の配向性は、連結基の式が書かれた方向により含意されない。例えば、式-C(O)2R’-は、-C(O)2R’-及び-R’C(O)2-の両方を表す。上記において記載した通り、本明細書において使用されるヘテロアルキル基は、-C(O)R’、-C(O)NR’、-NR’R’’、-OR’、-SR’及び/又は-SO2R’など、ヘテロ原子を介して分子の残余部分に接合している基を含む。「ヘテロアルキル」が列挙されるのに続き、-NR’R’’など、具体的なヘテロアルキル基の列挙がなされる場合、ヘテロアルキル及び-NR’R’’という用語は、冗長でも、互いに排他的でもないことが理解される。そうではなくて、具体的なヘテロアルキル基は、明確さを付け加えるために列挙される。したがって、本明細書において、「ヘテロアルキル」という用語は、-NR’R’’など、具体的なヘテロアルキル基を除外するものとして解釈されるべきではない。
【0026】
「シクロアルキル」及び「ヘテロシクロアルキル」という用語は、そうでないことが言明されない限りにおいて、それら自体、又は他の用語と組み合わせて、それぞれ、「アルキル」及び「ヘテロアルキル」の、非芳香族環状形を意味するが、この場合、1つ以上の環を構成する炭素は、水素以外の原子との結合に参与する、全ての炭素結合価に起因して、必ずしも、水素に結合させる必要がない。加えて、ヘテロシクロアルキルについて、ヘテロ原子は、複素環が分子の残余部分に接合している位置を占有しうる。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチル、3-ヒドロキシ-シクロブタ-3-エニル-1,2-ジオン、1H-1,2,4-トリアゾイル-5(4H)-オン、4H-1,2,4-トリアゾイルなどを含むがこれらに限定されない。ヘテロシクロアルキルの例は、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロチエン-3-イル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニルなどを含むがこれらに限定されない。「シクロアルキレン」及び「ヘテロシクロアルキレン」は、単独において、又は別の置換基の部分として、それぞれ、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルに由来する二価基を意味する。ヘテロシクロアルキル部分は、1個の環ヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si又はP)を含みうる。ヘテロシクロアルキル部分は、2個の、任意選択的に異なる環ヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si又はP)を含みうる。ヘテロシクロアルキル部分は、3個の、任意選択的に異なる環ヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si又はP)を含みうる。ヘテロシクロアルキル部分は、4個の、任意選択的に異なる環ヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si又はP)を含みうる。ヘテロシクロアルキル部分は、5個の、任意選択的に異なる環ヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si又はP)を含みうる。ヘテロシクロアルキル部分は、最大で8個の、任意選択的に異なる環ヘテロ原子(例えば、O、N、S、Si又はP)を含みうる。
【0027】
「ハロ」又は「ハロゲン」という用語は、そうでないことが言明されない限りにおいて、それら自体、又は別の置換基の部分として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を意味する。加えて、「ハロアルキル」などの用語は、一価ハロアルキル及び多価ハロアルキルを含むことが意図される。例えば、「ハロ(C1~C4)アルキル」という用語は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどを含むがこれらに限定されない。
【0028】
「アシル」という用語は、そうでないことが言明されない限りにおいて、-C(O)R[式中、Rは、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール又は置換若しくは非置換のヘテロアリールである]を意味する。
【0029】
「アリール」という用語は、そうでないことが言明されない限りにおいて、単一の環の場合もあり、互いに縮合した(すなわち、縮合環アリール)、又は共有結合によって連結された複数の環(好ましくは、1~3つの環)の場合もある、多価不飽和芳香族の炭化水素置換基を意味する。縮合環アリールとは、互いに縮合した複数の環を指し、この場合、縮合環のうちの少なくとも1つはアリール環である。「ヘテロアリール」という用語は、N、O又はSなど、少なくとも1個のヘテロ原子を含有するアリール基(又は環)を指し、この場合、窒素原子及び硫黄原子が任意選択的に酸化され、窒素原子(複数可)が任意選択的に四級化されている。したがって、「ヘテロアリール」という用語は、縮合環ヘテロアリール基(すなわち、縮合環のうちの少なくとも1つが、ヘテロ芳香族環である、互いに縮合した複数の環)を含む。5,6-縮合環ヘテロアリーレンとは、一方の環が5員を有し、他方の環が6員を有する、互いに縮合した2つの環を指し、この場合、少なくとも1つの環は、ヘテロアリール環である。同様に、6,6-縮合環ヘテロアリーレンとは、一方の環が6員を有し、他方の環が6員を有する、互いに縮合した2つの環を指し、この場合、少なくとも1つの環は、ヘテロアリール環である。さらに、6,5-縮合環ヘテロアリーレンとは、一方の環が6員を有し、他方の環が5員を有する、互いに縮合した2つの環を指し、この場合、少なくとも1つの環は、ヘテロアリール環である。ヘテロアリール基は、炭素原子又はヘテロ原子を介して、分子の残余部分に接合していてもよい。アリール基及びヘテロアリール基の非限定例は、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ビフェニル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾイル、2-イミダゾイル、4-イミダゾイル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソキサゾリル、4-イソキサゾリル、5-イソキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンズイミダゾイル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリル及び6-キノリルを含む。上記において言及されたアリール環系及びヘテロアリール環系の各々の置換基は、下記される、許容可能な置換基の群から選択される。「アリーレン」及び「ヘテロアリーレン」とは、単独において、又は別の置換基の部分として、それぞれ、アリール及びヘテロアリールに由来する二価ラジカルを意味する。アリール基及びヘテロアリール基の非限定例は、ピリジニル、ピリミジニル、チオフェニル、チエニル、フラニル、インドリル、ベンゾキサジアゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、チアナフタニル、ピロロピリジニル、インダゾリル、キノリニル、キノキサリニル、ピリドピラジニル、キナゾリノニル、ベンゾイソキサゾリル、イミダゾピリジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾチオフェニル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、ピロリル、ピラゾイル、イミダゾイル、ピラジニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、フリルチエニル、ピリジル、ピリミジル、ベンゾチアゾリル、プリニル、ベンズイミダゾイル、イソキノリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピロリル、ジアゾリル、トリアゾイル、テトラゾリル、ベンゾチアジアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾロピリミジニル、ピロロピリミジニル、ベンゾトリアゾイル、ベンゾキサゾリル又はキノリルを含む。上記の例は、置換ヘテロアリールの場合もあり、非置換ヘテロアリールの場合もあり、上記の各ヘテロアリールの例の二価基は、ヘテロアリーレンの非限定例である。ヘテロアリール部分は、1個の環ヘテロ原子(例えば、O、N又はS)を含みうる。ヘテロアリール部分は、2個の、任意選択的に異なる環ヘテロ原子(例えば、O、N又はS)を含みうる。ヘテロアリール部分は、3個の、任意選択的に異なる環ヘテロ原子(例えば、O、N又はS)を含みうる。ヘテロアリール部分は、4個の、任意選択的に異なる環ヘテロ原子(例えば、O、N又はS)を含みうる。ヘテロアリール部分は、5個の、任意選択的に異なる環ヘテロ原子(例えば、O、N又はS)を含みうる。アリール部分は、単一の環を有しうる。アリール部分は、2つの、任意選択的に異なる環を有しうる。アリール部分は、3つの、任意選択的に異なる環を有しうる。アリール部分は、4つの、任意選択的に異なる環を有しうる。ヘテロアリール部分は、1つの環を有しうる。ヘテロアリール部分は、2つの、任意選択的に異なる環を有しうる。ヘテロアリール部分は、3つの、任意選択的に異なる環を有しうる。ヘテロアリール部分は、4つの、任意選択的に異なる環を有しうる。ヘテロアリール部分は、5つの、任意選択的に異なる環を有しうる。
【0030】
縮合環である、ヘテロシクロアルキル-アリールは、ヘテロシクロアルキルと縮合したアリールである。縮合環である、ヘテロシクロアルキル-ヘテロアリールは、ヘテロシクロアルキルと縮合したヘテロアリールである。縮合環である、ヘテロシクロアルキル-シクロアルキルは、シクロアルキルと縮合したヘテロシクロアルキルである。縮合環である、ヘテロシクロアルキル-ヘテロシクロアルキルは、別のヘテロシクロアルキルと縮合したヘテロシクロアルキルである。縮合環である、ヘテロシクロアルキル-アリール、縮合環である、ヘテロシクロアルキル-ヘテロアリール、縮合環である、ヘテロシクロアルキル-シクロアルキル又は縮合環である、ヘテロシクロアルキル-ヘテロシクロアルキルは、各々、独立に、非置換の場合もあり、本明細書において記載される置換基のうちの1つ以上により置換される場合もある。
【0031】
本明細書において使用される、「オキソ」という用語は、炭素原子に二重結合している酸素を意味する。
【0032】
本明細書において使用される、「アルキルスルホニル」という用語は、式-S(O2)-R’[式中、R’は、上記において規定された置換又は非置換のアルキル基である]を有する部分を意味する。R’は、指定された数の炭素(例えば、「C1~C4アルキルスルホニル」)を有しうる。
【0033】
上記の用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「シクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」、「アリール」及び「ヘテロアリール」)の各々は、表示の基の置換形態及び非置換形態の両方を含む。各種の基に好ましい置換基は、下記に提示される。
【0034】
アルキル基及びヘテロアルキル基(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル及びヘテロシクロアルケニルと称されることが多い基を含む)の置換基は、ゼロ~(2m’+1)[式中、m’は、このような基内の炭素原子の総数である]の範囲の数の、-OR’、=O、=NR’、=N-OR’、-NR’R’’、-SR’、-ハロゲン、-SiR’R’’R’’’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-CO2R’、-CONR’R’’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NR’’C(O)2R’、-NR-C(NR’R’’)=NR’’’、-S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2N(R)(’R’’-NRSO2R’)、-CN及び-NO2から選択されるがこれらに限定されない、様々な基のうちの1つ以上でありうる。R’、R’’、R’’’及びR’’’’は、各々、好ましくは、独立に、水素、置換若しくは非置換のヘテロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール(例えば、1つ~3つのハロゲンによるアリール置換)、置換若しくは非置換のアルキル、アルコキシ基若しくはチオアルコキシ基又はアリールアルキル基を指す。本発明の化合物が、例えば、1つを超えるR基を含む場合、R基の各々は、各R’基、R’’基、R’’’基及びR’’’’基のうちの1つを超える基が存在する場合に、これらの基が選択されるのと同様に、独立に選択される。R’及びR’’が、同じ窒素原子に接合している場合、それらは、4員環、5員環、6員環又は7員環を形成するように、窒素原子と組み合わせられうる。例えば、-NR’R’’は、1-ピロリジニル及び4-モルホリニルを含むがこれらに限定されない。置換基についての上記の議論から、当業者は、「アルキル」という用語が、ハロアルキル(例えば、-CF3及び-CH2CF3)及びアシル(例えば、-C(O)CH3、-C(O)CF3、-C(O)CH2OCH3など)など、水素基以外の基に結合している炭素原子を含む基を含むことが意図されることを理解する。
【0035】
アルキル基について記載される置換基と同様に、アリール基及びヘテロアリール基の置換基は、多様であり、ゼロ~芳香族環系上の開放結合価の総数の範囲の数の、例えば、-OR’、-NR’R’’、-SR’、-ハロゲン、-SiR’R’’R’’’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-CO2R’、-CONR’R’’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、NR’’C(O)2R’、NRC(NR’R’’)=NR’’’、S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2N(R’)(R’’、-NRSO2R’)、-CN、-NO2、-R’、-N3、-CH(Ph)2、フルオロ(C1~C4)アルコキシ及びフルオロ(C1~C4)アルキルから選択され;R’、R’’、R’’’及びR’’’’は、好ましくは、独立に、水素、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール及び置換又は非置換のヘテロアリールから選択される。本発明の化合物が、例えば、1つを超えるR基を含む場合、R基の各々は、各R’基、R’’基、R’’’基及びR’’’’基のうちの1つを超える基が存在する場合に、これらの基が選択されるのと同様に、独立に選択される。
【0036】
部分が、R置換基により置換されている場合、基は、「R置換された」と称されうる。部分が、R置換されている場合、部分は、少なくとも1つのR置換基により置換されており、各R置換基は、任意選択的に、異なる。例えば、本明細書における部分が、R1Aによる置換又は非置換のアルキルである場合、複数のR1A置換基は、アルキル部分に接合している場合があり、この場合、各R1A置換基は、任意選択的に、異なる。R置換部分が、複数のR置換基により置換されている場合、本明細書において、R置換基の各々は、R’、R’’など、プライム記号(’)を使用して差別化されうる。例えば、部分が、R3Aによる置換又は非置換のアルキルであり、部分が、複数のR3A置換基により置換されている場合、複数のR3A置換基は、R3A’、R3A’’、R3A’’’などとして差別化されうる。一部の実施形態において、複数のR置換基は、3つのR置換基である。一部の実施形態において、複数のR置換基は、2つのR置換基である。
【0037】
アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基又はヘテロシクロアルキル基を形成するように、2つ以上の置換基が、任意選択的に接続されうる。このような、いわゆる環形成置換基は、必ずしもではないが、典型的に、環状塩基構造に接合されていることが見出される。一実施形態において、環形成置換基は、塩基構造の隣接する員に接合している。例えば、環状塩基構造の隣接する員に接合している2つの環形成置換基は、縮合環構造を創出する。別の実施形態において、環形成置換基は、塩基構造の単一の員に接合している。例えば、環状塩基構造の単一の員に接合している2つの環形成置換基は、スピロ環構造を創出する。さらに別の実施形態において、環形成置換基は、塩基構造の隣接しない員に接合している。
【0038】
アリール環又はヘテロアリール環の、隣接する原子上の置換基のうちの2つは、任意選択的に、式-T-C(O)-(CRR’)q-U-[式中、T及びUは、独立に-NR-、-O-、-CRR’-又は単結合であり、qは、0~3の整数である]の環を形成しうる。代替的に、アリール環又はヘテロアリール環の、隣接する原子上の置換基のうちの2つは、任意選択的に、式-A-(CH2)r-B-[式中、A及びBは、独立に、-CRR’-、-O-、-NR-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2NR’-又は単結合であり、rは、1~4の整数である]の置換基により置きかえられうる。このように形成された、新たな環の単結合のうちの1つは、任意選択的に、二重結合により置きかえられうる。代替的に、アリール環又はヘテロアリール環の、隣接する原子上の置換基のうちの2つは、任意選択的に、式-(CRR’)s-X’-(C’’R’’R’’’)d-[式中、変数であるs及びdは、独立に、0~3の整数であり、X’は、-O-、-NR’-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-又は-S(O)2NR’-である]の置換基により置きかえられうる。置換基である、R、R’、R’’及びR’’’は、好ましくは、独立に、水素、置換又は非置換のアルキル、置換又は非置換のヘテロアルキル、置換又は非置換のシクロアルキル、置換又は非置換のヘテロシクロアルキル、置換又は非置換のアリール及び置換又は非置換のヘテロアリールから選択される。
【0039】
本明細書において使用される、「ヘテロ原子」又は「環のヘテロ原子」という用語は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、リン(P)及びケイ素(Si)を含むことが意図される。
【0040】
本明細書において使用される、「置換基」とは、以下の部分:
(A)オキソ、ハロゲン、-CF3、-CN、-OH、-NH2、-COOH、-CONH2、-NO2、-SH、-SO2Cl、-SO3H、-SO4H、-SO2NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC=(O)NHNH2、-NHC=(O)NH2、-NHSO2H、-NHC=(O)H、-NHC(O)-OH、-NHOH、-OCF3、-OCHF2、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール並びに
(B)アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールであって、
(i)オキソ、ハロゲン、-CF3、-CN、-OH、-NH2、-COOH、-CONH2、-NO2、-SH、-SO2Cl、-SO3H、-SO4H、-SO2NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC=(O)NHNH2、-NHC=(O)NH2、-NHSO2H、-NHC=(O)H、-NHC(O)-OH、-NHOH、-OCF3、-OCHF2、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール並びに
(ii)アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールであって、
(a)オキソ、ハロゲン、-CF3、-CN、-OH、-NH2、-COOH、-CONH2、-NO2、-SH、-SO2Cl、-SO3H、-SO4H、-SO2NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC=(O)NHNH2、-NHC=(O)NH2、-NHSO2H、-NHC=(O)H、-NHC(O)-OH、-NHOH、-OCF3、-OCHF2、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリール、非置換ヘテロアリール及び
(b)アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールであって、オキソ、ハロゲン、-CF3、-CN、-OH、-NH2、-COOH、-CONH2、-NO2、-SH、-SO2Cl、-SO3H、-SO4H、-SO2NH2、-NHNH2、-ONH2、-NHC=(O)NHNH2、-NHC=(O)NH2、-NHSO2H、-NHC=(O)H、-NHC(O)-OH、-NHOH、-OCF3、-OCHF2、非置換アルキル、非置換ヘテロアルキル、非置換シクロアルキル、非置換ヘテロシクロアルキル、非置換アリールから選択された、少なくとも1つの置換基により置換された、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール
から選択された、少なくとも1つの置換基により置換された、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール
から選択された、少なくとも1つの置換基により置換された、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール
から選択された基を意味する。
【0041】
本明細書において使用される、「サイズ限定置換基」又は「サイズ限定置換基」とは、「置換基」について、上記された置換基の全てから選択された基を意味し、この場合、各置換又は非置換のアルキルは、置換又は非置換のC1~C20アルキルであり、各置換又は非置換のヘテロアルキルは、置換又は非置換の2~20員ヘテロアルキルであり、各置換又は非置換のシクロアルキルは、置換又は非置換のC3~C8シクロアルキルであり、各置換又は非置換のヘテロシクロアルキルは、置換又は非置換の3~8員ヘテロシクロアルキルであり、各置換又は非置換のアリールは、置換又は非置換のC6~C10アリールであり、各置換又は非置換のヘテロアリールは、置換又は非置換の5~10員ヘテロアリールである。
【0042】
本明細書において使用される、「低級置換基」又は「低級置換基」とは、「置換基」について、上記された置換基の全てから選択された基を意味し、この場合、各置換又は非置換のアルキルは、置換又は非置換のC1~C8アルキルであり、各置換又は非置換のヘテロアルキルは、置換又は非置換の2~8員ヘテロアルキルであり、各置換又は非置換のシクロアルキルは、置換又は非置換のC3~C7シクロアルキルであり、各置換又は非置換のヘテロシクロアルキルは、置換又は非置換の3~7員ヘテロシクロアルキルであり、各置換又は非置換のアリールは、置換又は非置換のC6~C10アリールであり、各置換又は非置換のヘテロアリールは、置換又は非置換の5~9員ヘテロアリールである。
【0043】
一部の実施形態において、本明細書の化合物内に記載される各置換基は、少なくとも1つの置換基により置換されている。より具体的に、一部の実施形態において、本明細書の化合物内に記載される、置換アルキル、置換ヘテロアルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、置換アリール、置換ヘテロアリール、置換アルキレン、置換ヘテロアルキレン、置換シクロアルキレン、置換ヘテロシクロアルキレン、置換アリーレン及び/又は置換ヘテロアリーレンの各々は、少なくとも1つの置換基により置換されている。他の実施形態において、これらの基のうちの、少なくとも1つ又は全ては、少なくとも1つのサイズ限定置換基により置換されている。他の実施形態において、これらの基のうちの、少なくとも1つ又は全ては、少なくとも1つの低級置換基により置換されている。
【0044】
本明細書の化合物についての、他の実施形態において、各置換又は非置換のアルキルは、置換又は非置換のC1~C20アルキルであることが可能であり、各置換若しくは非置換のヘテロアルキルは、置換若しくは非置換の2~20員ヘテロアルキルであり、各置換若しくは非置換のシクロアルキルは、置換若しくは非置換のC3~C8シクロアルキルであり、各置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルは、置換若しくは非置換の3~8員ヘテロシクロアルキルであり、各置換若しくは非置換のアリールは、置換若しくは非置換のC6~C10アリールであり、かつ/又は各置換若しくは非置換のヘテロアリールは、置換若しくは非置換の5~10員ヘテロアリールである。本明細書の化合物についての、一部の実施形態において、各置換若しくは非置換のアルキレンは、置換若しくは非置換のC1~C20アルキレンであり、各置換若しくは非置換のヘテロアルキレンは、置換若しくは非置換の2~20員ヘテロアルキレンであり、各置換若しくは非置換のシクロアルキレンは、置換若しくは非置換のC3~C8シクロアルキレンであり、各置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキレンは、置換若しくは非置換の3~8員ヘテロシクロアルキレンであり、各置換若しくは非置換のアリーレンは、置換若しくは非置換のC6~C10アリーレンであり、かつ/又は各置換若しくは非置換のヘテロアリーレンは、置換若しくは非置換の5~10員ヘテロアリーレンである。
【0045】
一部の実施形態において、各置換若しくは非置換のアルキルは、置換若しくは非置換のC1~C8アルキルであり、各置換若しくは非置換のヘテロアルキルは、置換若しくは非置換の2~8員ヘテロアルキルであり、各置換若しくは非置換のシクロアルキルは、置換若しくは非置換のC3~C7シクロアルキルであり、各置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキルは、置換若しくは非置換の3~7員ヘテロシクロアルキルであり、各置換若しくは非置換のアリールは、置換若しくは非置換のC6~C10アリールであり、かつ/又は各置換若しくは非置換のヘテロアリールは、置換若しくは非置換の5~9員ヘテロアリールである。一部の実施形態において、各置換若しくは非置換のアルキレンは、置換若しくは非置換のC1~C8アルキレンであり、各置換若しくは非置換のヘテロアルキレンは、置換若しくは非置換の2~8員ヘテロアルキレンであり、各置換若しくは非置換のシクロアルキレンは、置換若しくは非置換のC3~C7シクロアルキレンであり、各置換若しくは非置換のヘテロシクロアルキレンは、置換若しくは非置換の3~7員ヘテロシクロアルキレンであり、各置換若しくは非置換のアリーレンは、置換若しくは非置換のC6~C10アリーレンであり、かつ/又は各置換若しくは非置換のヘテロアリーレンは、置換若しくは非置換の5~9員ヘテロアリーレンである。一部の実施形態において、化合物は、下記の実施例節、図又は表において明示された化学種である。
【0046】
本明細書において使用される、「コンジュゲート」という用語は、原子又は分子の間の会合を指す。会合は、直接的な会合の場合もあり、間接的な会合の場合もある。例えば、核酸とタンパク質とのコンジュゲートは、例えば、共有結合による、直接的コンジュゲートの場合もあり、例えば、非共有結合(例えば、静電相互作用(例えば、イオン結合、水素結合、ハロゲン結合)、ファンデルワールス相互作用(例えば、双極子間相互作用、双極子-誘起双極子間相互作用、ロンドン分散力)、環スタッキング(パイ効果)、疎水性相互作用など)による、間接的コンジュゲートの場合もある。複数の実施形態において、コンジュゲートは、求核置換(例えば、アミン及びアルコールの、ハロゲン化アシル、活性エステルとの反応)、求電子置換(例えば、エナミン反応)並びに炭素間及び炭素-ヘテロ原子間の多重結合への付加(例えば、マイケル反応、ディールス-アルダー付加)を含むがこれらに限定されない、コンジュゲート化学反応を使用して形成される。これらの有用な反応及び他の有用な反応は、例えば、March、「ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY」、3版、John Wiley & Sons、New York、1985;Hermanson、「BIOCONJUGATE TECHNIQUES」、Academic Press、San Diego、1996及びFeeneyら、「MODIFICATION OF PROTEINS」、「Advances in Chemistry Series」、198巻、American Chemical Society、Washington,D.C.、1982において論じられている。複数の実施形態において、微粒子は、微粒子の成分と、固体支持体の成分との、非共有結合化学反応を介して、固体支持体に非共有結合によって接合している。他の実施形態において、微粒子は、1つ以上の反応性部分、例えば、本明細書において記載される、共有結合反応性部分(例えば、アミン反応性部分)を含む。他の実施形態において、微粒子は、1つ以上の反応性部分、例えば、本明細書において記載される、共有結合反応性部分(例えば、アミン反応性部分)を伴うリンカーを含む。
【0047】
本明細書におけるコンジュゲート化学反応(当技術分野において公知の「クリック化学反応」を含む)において使用される、有用な反応性部分又は官能基は、例えば、
(a)N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、N-ヒドロキシベンズトリアゾールエステル、ハロゲン酸、アシルイミダゾール、チオエステル、p-ニトロフェニルエステル、アルキル、アルケニル、アルキニル及び芳香族エステルを含むがこれらに限定されない、カルボキシル基及びこれらの多様な誘導体;
(b)エステル、エーテル、アルデヒドなどに転換されうるヒドロキシル基;
(c)ハロゲン化物が、その後、例えば、アミン、カルボン酸アニオン、チオールアニオン、カルバニオン又はアルコキシドイオンなどの求核基により置きかえられ、これにより、新たな基の、ハロゲン原子部位における、共有結合による接合をもたらす、ハロアルキル基;
(d)例えば、マレイミド基など、ディールス-アルダー反応に参与することが可能な、ジエノフィル基;
(e)後続の誘導体化が、例えば、イミン、ヒドラゾン、セミカルバゾン若しくはオキシムなどのカルボニル誘導体の形成を介して、又はグリニャール付加若しくはアルキルリチウム付加などの機構を介して可能となるような、アルデヒド基又はケトン基;
(f)例えば、スルホンアミドを形成する、後続のアミンとの反応のための、ハロゲン化スルホニル基;
(g)ジスルフィドに転換される場合もあり、ハロゲン化アシルと反応する場合もあり、金などの金属に結合している場合もある、チオール基;
(h)例えば、アシル化、アルキル化、又は酸化されうる、アミン基又はスルフヒドリル基;
(i)例えば、シクロ付加、アシル化、マイケル付加などを経る、アルケン;
(j)例えば、アミン化合物及びヒドロキシル化合物と反応しうる、エポキシド;
(k)核酸合成において有用な、ホスホルアミダイト及び他の標準的な官能基;
(l)金属酸化ケイ素結合;
(m)例えば、リン酸ジエステル結合を形成する、反応性リン基(例えば、ホスフィン)への金属結合並びに
(n)スルホン、例えば、ビニルスルホンを含む。
【0048】
当技術分野において、コンジュゲート(「クリック」)化学反応を使用して、低分子モジュラーユニットを接続することによる、組成物の化学合成が周知であり、例えば、それらの全てが、それらの全体において、かつ、全ての目的のために、参照により本明細書に組み込まれた、H.C.Kolb、M.G.Finn及びK.B.Sharpless((2001)、「Click Chemistry:Diverse Chemical Function from a Few Good Reactions」、Angewandte Chemie International Edition、40(11):2004~2021);R.A.Evans((2007)、「The Rise of Azide-Alkyne 1,3-Dipolar ‘Click’ Cycloaddition and its Application to Polymer Science and Surface Modification」、Australian Journal of Chemistry、60(6):384~395;W.C.Guidaら、Med.Res.Rev.、3頁、1996;Spiteri,Christian及びMoses,John E.((2010)、「Copper-Catalyzed Azide-Alkyne Cycloaddition:Regioselective Synthesis of 1,4,5-Trisubstituted 1,2,3-Triazoles」、Angewandte Chemie International Edition、49(1):31~33);Hoyle,Charles E.及びBowman,Christopher N.((2010)、「Thiol-Ene Click Chemistry」、Angewandte Chemie International Edition、49(9):1540~1573);Blackman,Melissa L.及びRoyzen,Maksim及びFox,Joseph M.((2008)、「Tetrazine Ligation:Fast Bioconjugation Based on Inverse-Electron-Demand Diels-Alder Reactivity」、Journal of American Chemical Society、130(41):13518~13519);Devaraj,Neal K.及びWeissleder,Ralph及びHilderbrand,Scott A.((2008)、「Tetrazine Based Cycloadditions:Application to Pretargeted Live Cell Labeling」、Bioconjugate Chemistry、19(12):2297~2299);Stoeckmann,Henning;Neves,Andre;Stairs,Shaun;Brindle,Kevin;Leeper,Finian((2011)、「Exploring isonitrile-based click chemistry for ligation with biomolecules」、Organic & Biomolecular Chemistry)において記載されている。
【0049】
本明細書において記載されるタンパク質又は核酸の化学的安定性に参与又は干渉しないように、反応性官能基が選び出されうる。例として述べると、核酸は、ビニルスルホン又は他の反応性部分(例えば、マレイミド)を含みうる。任意選択的に、核酸は、式-S-S-Rを有する反応性部分を含みうる。Rは、例えば、保護基でありうる。任意選択的に、Rは、ヘキサノールである。本明細書において使用される、「ヘキサノール」という用語は、式C6H13OHを伴う化合物を含み、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、2-メチル-1-ペンタノール、3-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-1-ペンタノール、2-メチル-2-ペンタノール、3-メチル-2-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-メチル-3-ペンタノール、3-メチル-3-ペンタノール、2,2-ジメチル-1-ブタノール、2,3-ジメチル-1-ブタノール、3,3-ジメチル-1-ブタノール、2,3-ジメチル-2-ブタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール及び2-エチル-1-ブタノールを含む。任意選択的に、Rは、1-ヘキサノールである。
【0050】
本明細書において使用される、「約」という用語は、当業者が、指定された値と同様であると妥当に考える、指定された値を含む値の範囲を意味する。複数の実施形態において、「約」という用語は、当技術分野において、一般に許容可能な測定値を使用する、標準偏差以内を意味する。複数の実施形態において、「約」とは、指定された値から、±10%まで拡がる範囲を意味する。複数の実施形態において、「約」とは、指定された値を意味する。
【0051】
本明細書において使用される、「ある(a)」又は「ある(an)」という用語は、1つ以上を意味する。加えて、本明細書において使用される、「a[n]により置換された」という語句は、指定された基が、名指された置換基のいずれか又は全てのうちの1つ以上により置換されうることを意味する。例えば、アルキル基又はヘテロアリール基などの基が、「非置換のC1~C20アルキル又は非置換の2~20員ヘテロアルキルにより置換されている」場合、基は、1つ以上の非置換C1~C20アルキル及び/又は1つ以上の非置換2~20員ヘテロアルキルを含有しうる。さらに、部分が、R置換基により置換されている場合、基は、「R置換された」と称されうる。部分が、R置換されている場合、部分は、少なくとも1つのR置換基により置換されており、各R置換基は、任意選択的に、異なる。
【0052】
そうでないことが規定されない限りにおいて、本明細書において使用される技術用語及び科学用語は、当業者により一般に理解された意味と同じ意味を有する。例えば、Singletonら、「DICTIONARY OF MICROBIOLOGY AND MOLECULAR BIOLOGY」、2版、J.Wiley & Sons(New York、NY 1994);Sambrookら、「MOLECULAR CLONING,A LABORATORY MANUAL」、Cold Springs Harbor Press(Cold Springs Harbor、NY 1989)を参照されたい。本発明の実施において、本明細書において記載されるものと類似する、又は同等な、任意の方法、デバイス及び材料が使用されうる。以下の定義は、本明細書において頻繁に使用される、ある特定の用語の理解を容易とするために提示されるものであり、本開示の範囲を限定することが意図されるものではない。
【0053】
「生物学的試料」又は「試料」とは、対象又は患者から得られた材料又はこれらに由来する材料を指す。生物学的試料は、生検試料及び剖検試料など、組織の切片及び組織学的な目的のために採取された凍結切片を含む。このような試料は、血液及び血液画分又は血液生成物(例えば、血清、血漿、血小板、赤血球など)などの体液、痰、組織、培養細胞(例えば、初代培養物、外植片及び形質転換細胞)、糞便、尿、滑液、関節組織、滑膜組織、滑膜細胞、線維芽細胞様滑膜細胞、マクロファージ様滑膜細胞、免疫細胞、造血細胞、線維芽細胞、マクロファージ、T細胞などを含む。生物学的試料は、典型的に、霊長動物、例えば、チンパンジー又はヒト;ウシ;イヌ;ネコ;齧歯類、例えば、モルモット、ラット、マウス;ウサギなどの哺乳動物又は鳥類;爬虫類若しくは魚類などの真核生物から得られる。
【0054】
本明細書において使用される、「細胞」とは、そのゲノムのDNAを保存又は複製するのに十分な、代謝機能又は他の機能を果たす細胞を指す。細胞は、例えば、インタクトの膜の存在、特定の色素による染色、後代をもたらす能力又は、配偶子の場合には生存子孫細胞をもたらすように第2の配偶子と配偶する能力を含む、当技術分野において周知の方法により同定されうる。細胞は、原核細胞及び真核細胞を含みうる。原核細胞は、細菌を含むがこれらに限定されない。真核細胞は、酵母細胞及び植物及び動物に由来する細胞、例えば、哺乳動物細胞、昆虫(例えば、スポドプテラ(Spodoptera)属)細胞及びヒト細胞を含むがこれらに限定されない。細胞は、天然において非接着性である、又は例えば、トリプシン処理により、表面に接着しないように処理されている場合に有用でありうる。
【0055】
本明細書において、「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すように、互換的に使用され、この場合、ポリマーは、任意選択的に、アミノ酸からならない部分とコンジュゲートしていてもよい。用語は、1つ以上のアミノ酸残基が、対応する天然のアミノ酸の、人工的な化学的模倣体であるアミノ酸ポリマーのほか、天然のアミノ酸ポリマー及び非天然のアミノ酸ポリマーにも適用される。「融合タンパク質」とは、単一の部分として組換え発現された、2つ以上の個別のタンパク質配列をコードするキメラタンパク質を指す。
【0056】
「ペプチジル」及び「ペプチジル部分」という用語は、分子の残余部分(例えば、本明細書において提供される組換えタンパク質又は本明細書において提供される組換えタンパク質のペプチドドメイン形成部分)に接合しているペプチドを指す。ペプチジル部分は、ペプチジル部分を、組換えタンパク質の残余部分(例えば、膜貫通ドメイン、スペーサー領域又はペプチジルリンカー)に接合させるのに用いられる化学リンカーにより置換されうる。ペプチジル部分はまた、さらなる化学的部分(例えば、さらなるR置換基)によっても置換されうる。複数の実施形態において、非CDR Fab結合性ペプチドドメインは、ペプチジル部分を含む。複数の実施形態において、非CDR Fab結合性ペプチドドメインは、ペプチジル部分である。本明細書において使用される「メディトープ」という用語は、本明細書において記載されるペプチドドメイン内に含まれたペプチジル部分を指す。したがって、複数の実施形態において、非CDR Fab結合性ペプチドドメインは、メディトープである。複数の実施形態において、非CDR Fab結合性ペプチドドメインは、メディトープを含む。
【0057】
ペプチジル部分(例えば、メディトープ)は、直鎖状ペプチド部分の場合もあり、環状ペプチド部分の場合もある。例えば、インビボにおける安定性に対処し、後続のコンジュゲーション化学反応のための化学選択的制御を可能とするように、ペプチド部分の結晶化のための、多様な方法が使用されうる。一部の実施形態において、結晶化戦略は、頭-尾(頭尾)ラクタム結晶化(非環状ペプチドの末端残基の間の)及び/又は他の残基の間のラクタム連結を含む、ラクタム結晶化戦略である。ラクタムの形成はまた、グリシン、β-Ala及び/又は7-アミノヘプタン酸などの残基を、非環状ペプチド結晶前駆体に組み込んで、異なるラクタム環のサイズ及び接続方式をもたらすことによっても影響を受ける。「クリック」化学反応及びオレフィンメタセシスなど、さらなる結晶化戦略もまた使用されうる。当技術分野において、このようなペプチド及びペプチド模倣体の結晶化の方法が周知である。複数の実施形態において、ペプチジル部分(例えば、メディトープ)は、直鎖状ペプチジル部分(例えば、直鎖状メディトープ)である。複数の実施形態において、ペプチジル部分(例えば、メディトープ)は、環状ペプチジル部分(例えば、環状メディトープ)である。
【0058】
「標識」、「検出用ドメイン」又は「検出用部分」とは、分光的手段、光化学的手段、生化学的手段、免疫化学的手段、化学的又は他の物理的手段により検出可能な組成物である。例えば、有用な標識は、32P、蛍光色素、高電子密度試薬、酵素(例えば、ELISAにおいて、一般に使用される)、ビオチン、ジゴキシゲニン若しくはハプテン及びタンパク質又は、例えば、放射性標識を、標的ペプチドと特異的に反応性である、ペプチド又は抗体に組み込むことにより、検出可能とされうる、他の実体を含む。抗体を標識とコンジュゲートさせるための、当技術分野において公知の任意の適切な方法であって、例えば、Hermanson、「Bioconjugate Tecqueniques」、1996、Academic Press,Inc.、San Diegoにおいて記載された方法を使用する方法が利用されうる。
【0059】
「標識タンパク質又は標識ポリペプチド」とは、標識タンパク質又は標識ポリペプチドの存在が、標識タンパク質又は標識ポリペプチドに結合している標識の存在を検出することにより検出されうるように、リンカー若しくは化学結合を介して、共有結合によって、又はイオン性結合、ファンデルワールス結合、静電結合若しくは水素結合を介して、非共有結合によって、標識に結合しているタンパク質又はポリペプチドである。代替的に、高アフィニティー相互作用を使用する方法であって、結合パートナーの対のうちの一方が、他方、例えば、ビオチン、ストレプトアビジンに結合する方法も、同じ結果を達成しうる。
【0060】
「アミノ酸」という用語は、天然のアミノ酸及び合成アミノ酸のほか、天然のアミノ酸と同様に機能する、アミノ酸類似体及びアミノ酸模倣体を指す。天然のアミノ酸は、遺伝子コードによりコードされたアミノ酸のほか、その後において修飾されたアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸及びO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体とは、天然のアミノ酸と同じ、基本化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基及びR基に結合しているα炭素を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。このような類似体は、修飾R基(例えば、ノルロイシン)又は修飾ペプチド骨格を有するが、天然のアミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸模倣体とは、アミノ酸の一般的化学構造と異なる構造を有するが、天然のアミノ酸と同様に機能する化合物を指す。
【0061】
本明細書において、アミノ酸は、それらの一般に公知であり、IUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨されている、3文字記号又は1文字記号により言及されうる。ヌクレオチドも同様に、それらの一般に許容された1文字コードにより言及されうる。
【0062】
アミノ酸又はヌクレオチド塩基の「位置」は、参照配列内の各アミノ酸(又はヌクレオチド塩基)を、N末端(又は5’末端)と比べた、その位置に基づき、順次同定する番号により表示される。一般に、最適のアライメントを決定する場合に考慮されうる、欠失、挿入、切断、融合などに起因して、単純に、N末端から数えることにより決定された、被験配列内のアミノ酸残基番号は、必ずしも、参照配列内の、その対応する位置の番号と同じにならない。例えば、変異体が、アライメントされた参照配列と比べて、欠失を有する場合、変異体内に、欠失部位における、参照配列内の位置に対応するアミノ酸は存在しない。アライメントされた参照配列内に、挿入が存在する場合、この挿入は、参照配列内の、番号付けされたアミノ酸位置に対応しない。切断又は融合の場合、参照配列内又はアライメントされた配列内に、対応する配列内のいかなるアミノ酸にも対応しないアミノ酸の連なりが存在しうる。
【0063】
所与のアミノ酸配列又はポリヌクレオチド配列の番号付けの文脈において使用される場合における、「~に照らして番号付けされた」又は「~に対応する」という用語は、所与のアミノ酸配列又はポリヌクレオチド配列が、参照配列と比較された場合における、指定された参照配列の残基の番号付けを指す。タンパク質内のアミノ酸残基は、それが、タンパク質内の、所与の残基と同じ、本質的な構造位置を占有する場合に、所与の残基「に対応する」。例えば、選択された抗体(又はFabドメイン)内の、選択された残基は、選択された残基が、Kabatによる40位における軽鎖トレオニンと、同じ本質的な、空間関係又は他の構造関係を占有する場合に、Kabatによる40位における軽鎖トレオニンに対応する。一部の実施形態において、選択されたタンパク質が、抗体(又はFabドメイン)の軽鎖との最大の相同性についてアライメントされる場合、アライメントされる、選択されたタンパク質内の、トレオニン40とアライメントする位置は、トレオニン40に対応する。例えば、選択されたタンパク質の構造が、Kabatによる40位における、軽鎖トレオニン及び比較される全体構造との最大の対応についてアライメントされる場合、一次配列アライメントの代わりに、三次元構造アライメントもまた使用されうる。この場合、構造モデル内のトレオニン40と同じ本質的位置を占有するアミノ酸は、トレオニン40残基に対応するものとされる。
【0064】
「保存的に修飾された変異体」は、アミノ酸配列及び核酸配列のいずれにも適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に修飾された変異体とは、同一なアミノ酸配列若しくは本質的に同一なアミノ酸配列をコードする核酸を指す、又は、核酸が、アミノ酸配列をコードしない場合、本質的に同一な配列を指す。遺伝子コードの縮重のために、多数の、機能的に同一な核酸配列が、任意の所与のアミノ酸残基をコードする。例えば、コドンである、GCA、GCC、GCG及びGCUは、全て、アミノ酸であるアラニンをコードする。したがって、アラニンが、コドンにより指定される、いずれの位置においても、コドンは、コードされたポリペプチドを変更せずに、記載された、対応するコドンのうちのいずれかに変更されうる。このような核酸変異は、保存的な修飾変異の一種である、「サイレント変異」である。本明細書における、ポリペプチドをコードする、あらゆる核酸配列はまた、核酸の、あらゆる可能なサイレント変異についても記載する。当業者は、核酸内の各コドン(通常は、メチオニンだけのコドンであるAUG及び通常は、トリプトファンだけのコドンであるTGGを除く)が、機能的に同一な分子をもたらすように修飾されうることを認識する。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の、各サイレント変異は、発現産物に関して、記載された各配列内に含意されているが、プローブ配列に関しては含意されていない。
【0065】
アミノ酸配列に関して、当業者は、コードされた配列内の、単一のアミノ酸又は小さな百分率のアミノ酸を変更する、付加する、又は欠失させる、核酸配列、ペプチド配列、ポリペプチド配列又はタンパク質配列への個々の置換、欠失又は付加は、変更が、アミノ酸の化学的に類似するアミノ酸による置換をもたらす場合に、「保存的に修飾された変異体」であることを認識する。機能的に類似するアミノ酸をもたらす保存的置換の表は、当技術分野において周知である。このような保存的に修飾された変異体は、加えて、本発明の多形変異体、種間相同体及び対立遺伝子でもあり、これらを除外しない。
【0066】
以下の8つの群は、各々、互いに対する保存的置換であるアミノ酸:1)アラニン(A)、グリシン(G);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リシン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);7)セリン(S)、トレオニン(T)及び8)システイン(C)、メチオニン(M)(例えば、Creighton、「Proteins」(1984)を参照されたい)を含有する。
【0067】
「核酸」とは、一本鎖形態又は二本鎖形態にある、デオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド及びこれらのポリマー並びにこれらの相補体を指す。「ポリヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドの直鎖状配列を指す。「ヌクレオチド」という用語は、典型的に、単一のポリヌクレオチド単位、すなわち、単量体を指す。ヌクレオチドは、リボヌクレオチドの場合もあり、デオキシリボヌクレオチドの場合もあり、これらの修飾形の場合もある。本明細書において想定されたポリヌクレオチドの例は、一本鎖及び二本鎖のDNA、一本鎖及び二本鎖のRNA(siRNAを含む)並びに一本鎖及び二本鎖のDNA及びRNAの混合物を有するハイブリッド分子を含む。本明細書において使用される核酸はまた、天然の核酸と同じ、基本的化学構造を有する核酸も指す。このような類似体は、修飾糖及び/又は修飾環の置換基を有するが、天然の核酸と同じ、基本的化学構造を保持する。核酸模倣体とは、核酸の一般的化学構造と異なる構造を有するが、天然の核酸と同様に機能する化合物を指す。このような類似体の例は、限定せずに述べると、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、メチルホスホネート、キラルメチルホスホネート、2-O-メチルリボヌクレオチド及びペプチド核酸(PNA)を含む。
【0068】
「配列同一性の百分率」は、2つの、最適にアライメントされた配列を、比較域にわたり比較することにより決定されるが、この場合、比較域内の、ポリヌクレオチド配列又はポリペプチド配列の部分は、2つの配列の最適のアライメントのために、参照配列(付加又は欠失を含まない)と比較して、付加又は欠失(すなわち、ギャップ)を含みうる。百分率は、マッチさせた位置の数をもたらすように、同一な核酸塩基又はアミノ酸残基が、両方の配列内において生じる位置の数を決定し、マッチさせた位置の数を、比較域内の位置の総数により除し、結果に100を乗じて、配列同一性の百分率をもたらすことにより計算される。
【0069】
2つ以上の核酸配列又はポリペプチド配列の文脈における「同一」又は「同一性」パーセントという用語は、2つ以上の配列若しくは部分配列が同じである、又は以下の配列比較アルゴリズムのうちの1つを使用して、若しくは手作業のアライメント及び目視により測定された比較域若しくは指定領域にわたり、最大の対応について比較され、アライメントされた場合に、2つ以上の配列若しくは部分配列の、指定された百分率のアミノ酸残基又はヌクレオチドが同じである(すなわち、例えば、本発明の全ポリペプチド配列又は本発明のポリペプチドの個々のドメインの、指定された領域にわたる、60%の同一性、任意選択的に、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%又は99%の同一性を有する)ことを指す。したがって、このような配列は「実質的に同一」であるものとされる。この定義はまた、被験配列の相補体も指す。任意選択的に、同一性は、少なくとも約50ヌクレオチドの長さの領域にわたり、又はより好ましくは、100~500若しくは1000ヌクレオチド以上の長さの領域にわたり存在する。本発明は、配列番号1~35のうちのいずれかと、実質的に同一であるポリペプチドを含む。
【0070】
配列比較のために、1つの配列が、それに照らして被験配列が比較される参照配列として働くことが典型的である。配列比較アルゴリズムを使用する場合、被験配列及び基準配列が、コンピュータに入力され、必要な場合は、部分配列座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムのパラメータが指定される。デフォルトのプログラムパラメータが使用される場合もあり、代替的なパラメータが指定される場合もある。次いで、配列比較アルゴリズムが、プログラムパラメータに基づき、被験配列について、参照配列と比べた配列同一性パーセントを計算する。
【0071】
本明細書において使用される「比較域」は、2つの配列が、最適にアライメントされた後で、配列が、同じ数の連続的な位置を有する参照配列と比較されうる、例えば、全長配列又は20~600、約50~約200若しくは約100~約150アミノ酸若しくはヌクレオチドからなる群から選択された、連続的な位置の数のうちのいずれか1つを有するセグメントに対する言及を含む。当技術分野において、比較のための配列アライメント法が周知である。比較のための最適の配列アライメントは、例えば、Smith及びWaterman(1970)、Adv.Appl.Math.、2:482cによる局所相同性アルゴリズムにより行うこともでき、Needleman及びWunsch(1970)、J.Mol.Biol.、48:443による相同性アライメントアルゴリズムにより行うこともでき、Pearson及びLipman(1988)、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA、85:2444による類似性検索法により行うこともでき、これらアルゴリズムのコンピュータ化された実装(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)により行うこともでき、手作業のアライメント及び目視(例えば、Ausubelら、「Current Protocols in Molecular Biology」(1995、増補版)を参照されたい)により行うこともできる。
【0072】
配列同一性パーセント及び配列類似性パーセントを決定するのに適するアルゴリズムの例は、それぞれ、Altschulら(1977)、Nuc.Acids Res.25:3389~3402及びAltschulら(1990)、J.Mol.Biol.215:403~410において記載されている、BLASTアルゴリズム及びBLAST 2.0アルゴリズムである。BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)により公表されている。このアルゴリズムは、データベース配列内の同じ長さのワードによりアライメントされた場合に、ある正の値の閾値スコアTにマッチする、又はこれを満たす、クエリー配列内の短いワード長Wを同定することにより、高スコア配列対(HSP)をまず同定することを伴う。Tは、隣接ワードスコア閾値(Altschulら、前出)と称される。これらの初期の隣接ワードヒットが、これらを含有するより長いHSPを見出す検索を開始するためのシードとして働く。累積アライメントスコアが増大しうる限りにおいて、ワードヒットは、各配列に沿っていずれの方向にも拡張される。累積スコアは、ヌクレオチド配列について、パラメータM(マッチする残基の対についてのリウォードスコア;常に>0)及びN(ミスマッチ残基についてのペナルティースコア;常に<0)を使用して計算される。アミノ酸配列について、累積スコアを計算するのに、スコアリングマトリックスが使用される。累積アライメントスコアが、達成されたその最大値から数量Xだけ低下する場合;1つ以上の負スコア残基のアライメントの累積のために、累積スコアが、ゼロ以下に低下する場合又はいずれかの配列の末端に達する場合、各方向へのワードヒットの拡張が停止される。BLASTアルゴリズムのパラメータであるW、T、及びXは、アライメントの感度及び速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、11のワード長(W)、10の期待値(E)、M=5、N=-4をデフォルトとして使用し、両方の鎖の比較を行う。アミノ酸配列のためのBLASTPプログラムは、3のワード長、及び10の期待値(E)及び50のBLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff及びHenikoff(1989)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:10915を参照されたい)アライメント(B)、10の期待値(E)、M=5、N=-4をデフォルトとして使用し、両方の鎖の比較を行う。
【0073】
BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列の間の類似性についての統計学的解析(例えば、Karlin及びAltschul(1993)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:5873~5787を参照されたい)も実施する。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1つの尺度は、2つのヌクレオチド配列間又はアミノ酸配列間のマッチが偶然に生じる確率の指標をもたらす、最小合計確率(P(N))である。例えば、被験核酸を参照核酸に照らして比較したときの最小合計確率が約0.2未満であり、より好ましくは、約0.01未満であり、最も好ましくは、約0.001未満であれば、核酸は参照配列と類似すると考えられる。
【0074】
2つの核酸配列又はポリペプチドが実質的に同一であることの指標は、下記される通り、第1の核酸によりコードされたポリペプチドが、第2の核酸によりコードされたポリペプチドに対して惹起された抗体と免疫学的に交差反応性であることである。したがって、例えば、2つのペプチドが保存的置換だけにより異なる場合、ポリペプチドは、典型的に、第2のポリペプチドと実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であることの別の指標は、下記される通り、2つの分子又はそれらの相補体が、厳密な条件下において、互いとハイブリダイズすることである。2つの核酸配列が実質的に同一であることのさらに別の指標は、配列を増幅するのに、同じプライマーを使用されうることである。
【0075】
遺伝子に言及して、本明細書において使用される、「発現」又は「発現される」という語は、この遺伝子の転写産物及び/又は翻訳産物を意味する。DNA分子の、細胞内の発現レベルは、細胞内に存在する対応するmRNAの量又は細胞により産生された、このDNAによりコードされたタンパク質の量に基づき決定されうる。非コード核酸分子(例えば、siRNA)の発現レベルは、当技術分野において周知の、標準的なPCR法又はノーザンブロット法により検出されうる。Sambrookら、1989、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、18.1~18.88を参照されたい。
【0076】
トランスフェクトされた遺伝子の発現は、細胞内において一過性に生じる場合もあり、安定的に生じる場合もある。「一過性発現」時に、トランスフェクトされた遺伝子は、細胞分裂時に娘細胞に転移されない。その発現は、トランスフェクト細胞に制限されるので、遺伝子の発現は、時間経過と共に失われる。これに対し、トランスフェクトされた遺伝子の安定的発現は、遺伝子が、選択の利点をトランスフェクト細胞に付与する別の遺伝子と共に共トランスフェクトされる場合に生じうる。このような選択の利点は、細胞に提供される、ある特定の毒素に対して抵抗性でありうる。トランスフェクトされた遺伝子の発現は、宿主ゲノムへのトランスポゾン媒介型挿入によりさらに達せられうる。トランスポゾン媒介型挿入時に、遺伝子は、宿主ゲノムへの挿入並びに後続の切出しを可能とする、2つのトランスポゾンリンカー配列の間に、予測可能な形において配置される。トランスフェクトされた遺伝子の安定的な発現は、細胞に、感染の後、細胞ゲノムの部分を形成し(細胞ゲノムに組み込まれ)、その結果として、遺伝子の安定的発現をもたらす、レンチウイルスベクターを感染させることによりさらに達せられうる。
【0077】
「プラスミド」、「ベクター」又は「発現ベクター」という用語は、遺伝子の発現に必要な遺伝子及び/又は調節エレメントをコードする核酸分子を指す。遺伝子の、プラスミドからの発現は、シスにおいて生じる場合もあり、トランスにおいて生じる場合もある。遺伝子が、シスにおいて発現される場合、遺伝子及び調節エレメントは、同じプラスミドによりコードされる。トランスにおける発現とは、遺伝子と、調節エレメントとが、個別のプラスミドによりコードされる場合を指す。
【0078】
「トランスフェクション」、「形質導入」、「トランスフェクトする」又は「形質導入する」という用語は、互換的に使用される場合があり、核酸分子又はタンパク質を、細胞に導入する過程として規定される。核酸は、非ウイルスベースの方法又はウイルスベースの方法を使用して、細胞に導入される。核酸分子は、完全なタンパク質をコードする遺伝子配列の場合もあり、この機能的部分をコードする遺伝子配列の場合もある。トランスフェクションの非ウイルス法は、核酸分子を、細胞に導入する送達系として、ウイルスDNA又はウイルス粒子を使用しない、任意の適切なトランスフェクション法を含む。例示的な非ウイルストランスフェクション法は、リン酸カルシウムトランスフェクション、リポソームトランスフェクション、ヌクレオフェクション、ソノポレーション、熱ショックを介するトランスフェクション、マグネトフェクション及び電気穿孔を含む。一部の実施形態において、核酸分子は、当技術分野において周知の標準的な手順に従う電気穿孔を使用して、細胞に導入される。ウイルスベースのトランスフェクション法のために、本明細書において記載される方法において、任意の有用ウイルスベクターが使用されうる。ウイルスベクターの例は、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター及びアデノ随伴ウイルスベクターを含むがこれらに限定されない。一部の実施形態において、核酸分子は、当技術分野において周知の標準的な手順に従うレトロウイルスベクターを使用して、細胞に導入される。「トランスフェクション」又は「形質導入」という用語はまた、タンパク質を、外部環境から、細胞に導入することも指す。典型的に、タンパク質の形質導入又はトランスフェクションは、細胞膜を横断ことが可能なペプチド又はタンパク質の、目的のタンパク質への接合に依拠する。例えば、Fordら(2001)、Gene Therapy、8:1~4及びProchiantz(2007)Nat.Methods、4:119~20を参照されたい。
【0079】
「抗体」とは、抗原に特異的に結合し、これを認識する、免疫グロブリン遺伝子又はこの断片に由来するフレームワーク領域を含むポリペプチドを指す。認知された免疫グロブリン遺伝子は、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン及びミューの定常領域遺伝子のほか、無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖は、カッパ鎖又はラムダ鎖として分類される。重鎖は、ガンマ鎖、ミュー鎖、アルファ鎖、デルタ鎖又はイプシロン鎖として分類され、これらが、それぞれ、免疫グロブリンのクラスである、IgG、IgM、IgA、IgD及びIgEを規定する。典型的に、抗体の抗原結合性領域は、結合の特異性及びアフィニティーの決定において、著明な役割を果たす。一部の実施形態において、抗体又は抗体の断片は、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ラクダなどを含む、異なる生物に由来しうる。本発明の抗体は、所望の抗体の機能(例えば、グリコシル化、発現、抗原の認識、エフェクター機能、抗原への結合、特異性など)を改善又はモジュレートするように、1つ以上のアミノ酸位置において修飾された、又は突然変異した抗体を含みうる。
【0080】
抗体とは、複雑な内部構造を伴う、大型の複合体分子(分子量を約150,000Daとする、又は約1320アミノ酸である)である。天然の抗体分子は、各対が、1つの軽鎖及び1つの重鎖を有する、2つの同一なポリペプチド鎖の対を含有する。各軽鎖及び各重鎖は、2つの領域:標的抗原への結合に関与する、可変(「V」)領域及び免疫系の他の構成要素と相互作用する、定常(「C」)領域からなる。軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は、三次元空間内において、一体となって、抗原(例えば、細胞の表面上における受容体)に結合する、可変領域を形成する。各軽鎖可変領域内又は重鎖可変領域内に、相補性決定領域(「CDR」)と呼ばれた、3つの短いセグメント(平均して、10アミノ酸の長さである)が存在する。6つのCDR抗体可変ドメイン(軽鎖に由来する3つ及び重鎖に由来する3つ)は、三次元空間内において、一体に折りたたまれて、標的抗原(エピトープ)にドッキングする、実際の抗体側の結合性部位(パラトープ)を形成する。CDRの位置及び長さは、Kabat,E.ら、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、U.S. Department of Health and Human Services、1983、1987により、正確に規定されている。CDR内に含有されない可変領域の部分は、フレームワーク(「FR」)と呼ばれ、これは、CDRのための環境を形成する。
【0081】
本明細書において提供される「抗体変異体」とは、抗原に結合することが可能であり、抗体又はこれらの断片の、1つ以上の構造ドメイン(例えば、軽鎖可変ドメイン、重鎖可変ドメイン)を含むポリペプチドを指す。抗体変異体の非限定例は、単一ドメイン抗体又はナノボディー、単一特異性Fab2、二特異性Fab2、三特異性Fab3、一価IgG、scFv、二特異性ダイアボディー、三特異性トリアボディー、scFv-Fc、ミニボディー、IgNAR、V-NAR、hcIgG、VhH又はペプチボディーを含む。本明細書において提供される「ペプチボディー」とは、抗体のFcドメインに接合している(共有結合リンカー又は非共有結合リンカーを介して)ペプチド部分を指す。当技術分野において公知の抗体変異体の、さらなる非限定例は、軟骨魚又はラクダ科動物により産生された抗体を含む。ラクダ科動物に由来する抗体及びこの可変領域並びにそれらの産生、単離及び使用のための方法についての一般的記載は、参照によりそれらの全体において全ての目的のために本明細書に組み込まれた参考文献である、WO97/49805及びWO97/49805において見出されうる。同様に、軟骨魚に由来する抗体及びこの可変領域並びにそれらの産生、単離及び使用のための方法は、参照によりそれらの全体において全ての目的のために本明細書に組み込まれた、WO2005/118629において見出されうる。
【0082】
本明細書において提供される「CDR L1」、「CDR L2」及び「CDR L3」という用語は、抗体の可変軽(L)鎖の相補性決定領域(CDR)1、2及び3を指す。複数の実施形態において、本明細書において提供される可変軽鎖は、N末端からC末端の方向に、CDR L1、CDR L2及びCDR L3を含む。同様に、本明細書において提供される「CDR H1」、「CDR H2」及び「CDR H3」という用語は、抗体の可変重(H)鎖の相補性決定領域(CDR)1、2及び3を指す。複数の実施形態において、本明細書において提供される可変重鎖は、N末端からC末端の方向に、CDR H1、CDR H2及びCDR H3を含む。
【0083】
本明細書において提供される「FR L1」、「FR L2」、「FR L3」及び「FR L4」という用語は、当技術分野における、それらの一般的な意味に従い使用され、抗体の可変軽(L)鎖の、フレームワーク領域(FR)1、2、3及び4を指す。複数の実施形態において、本明細書において提供される可変軽鎖は、N末端からC末端の方向に、FR L1、FR L2、FR L3及びFR L4を含む。同様に、本明細書において提供される「FR H1」、「FR H2」、「FR H3」及び「FR H4」という用語は、当技術分野におけるそれらの一般的な意味に従い使用され、抗体の可変重(H)鎖のフレームワーク領域(FR)1、2、3及び4を指す。複数の実施形態において、本明細書において提供される可変重鎖は、N末端からC末端の方向に、FR H1、FR H2、FR H3及びFR H4を含む。
【0084】
「抗体」という用語は、当技術分野において一般に公知である、その意味に従い使用される。抗体は、例えば、インタクトの免疫グロブリンとして、又は多様なペプチダーゼを伴う消化によりもたらされた、多数の十分に特徴付けられた断片として存在する。したがって、例えば、ペプシンは、それ自体、ジスルフィド結合により、VH-CH1に接続された軽鎖である、Fabの二量体であるF(ab)’2をもたらすように、ヒンジ領域内のジスルフィド連結の下方の抗体を消化する。F(ab)’2は、マイルドな条件下において、ヒンジ領域内のジスルフィド連結を切断し、これにより、F(ab)’2二量体を、Fab’単量体に転換するように、還元されうる。Fab’単量体は、本質的に、ヒンジ領域の一部を伴うFabである(「Fundamental Immunology」(Paul編、3版、1993)を参照されたい)。インタクト抗体の消化との関係において、多様な抗体断片が規定されるが、当業者は、このような断片が、化学的に、又は組換えDNA法を使用することにより、デノボにおいて合成されうることを察知する。したがって、本明細書において使用される抗体という用語はまた、全抗体の修飾により作製された抗体断片又は組換えDNA法を使用して、デノボにおいて合成された抗体断片(例えば、単鎖Fv)又はファージディスプレイライブラリーを使用して同定された抗体断片も含む(例えば、McCaffertyら、Nature、348:552~554(1990)を参照されたい)。
【0085】
例示的な免疫グロブリン(抗体)の構造単位は、四量体を含む。各四量体は、各対が、1つの「軽鎖」(約25kD)及び1つの「重鎖」(約50~70kD)を有する、2つの同一なポリペプチド鎖の対から構成される。各鎖のN末端は、主に、抗原認識の一因となる、約100~110以上のアミノ酸の可変領域を規定する。可変軽鎖(VL)又は軽鎖可変領域及び可変重鎖(VH)又は重鎖可変領域という用語は、それぞれ、これらの軽鎖領域及び重鎖領域を指す。本明細書において言及された、可変軽鎖(VL)及び軽鎖可変領域という用語は、互換的に使用されうる。本明細書において言及された、可変重鎖(VH)及び重鎖可変領域という用語は、互換的に使用されうる。Fc(すなわち、Fc(fragment crystallizable)領域)とは、免疫グロブリンの「ベース」又は「テール」であり、典型的に、抗体のクラスに応じて、2つ又は3つの定常ドメインに寄与する、2つの重鎖から構成される。特異的タンパク質に結合することにより、Fc領域は、各抗体が、所与の抗原に対する、適切な免疫応答を発生させることを確保する。Fc領域はまた、Fc受容体など、多様な細胞受容体及び補体タンパク質など、他の免疫分子にも結合する。
【0086】
本明細書において提供される「抗原」という用語は、本明細書において提供される抗体結合性ドメインに結合することが可能な分子を指す。本明細書において提供される「抗原結合性ドメイン」とは、抗原(エピトープ)に結合する、抗体の領域である。上記において記載した通り、抗原結合性ドメインは一般に、重鎖及び軽鎖の各々の、1つの定常ドメイン及び1つの可変ドメイン(それぞれ、CH、CL、VH及びVL)から構成される。パラトープ又は抗原結合性部位は、抗原結合性ドメインのN末端上に形成される。抗原結合性ドメインのうちの、2つの可変ドメインは、典型的に、抗原上のエピトープに結合する。
【0087】
抗体は、例えば、インタクトの免疫グロブリンとして、又は多様なペプチダーゼを伴う消化によりもたらされた、多数の十分に特徴付けられた断片として存在する。したがって、例えば、ペプシンは、それ自体、ジスルフィド結合により、VH-CH1に接続された軽鎖である、Fabの二量体であるF(ab)’2をもたらすように、ヒンジ領域内のジスルフィド連結の下方の抗体を消化する。F(ab)’2は、マイルドな条件下において、ヒンジ領域内のジスルフィド連結を切断し、これにより、F(ab)’2二量体を、Fab’単量体に転換するように、還元されうる。Fab’単量体は、本質的に、ヒンジ領域の一部を伴う抗原結合性部分である(「Fundamental Immunology」(Paul編、3版、1993)を参照されたい)。インタクト抗体の消化との関係において、多様な抗体断片が規定されるが、当業者は、このような断片が、化学的に、又は組換えDNA法を使用することにより、デノボにおいて合成されうることを察知する。したがって、本明細書において使用される抗体という用語はまた、全抗体の修飾により作製された抗体断片又は組換えDNA法を使用して、デノボにおいて合成された抗体断片(例えば、単鎖Fv)又はファージディスプレイライブラリーを使用して同定された抗体断片も含む(例えば、McCaffertyら、Nature、348:552~554(1990)を参照されたい)。
【0088】
単鎖可変断片(scFv)は、典型的に、10~約25アミノ酸の短いリンカーペプチドにより接続された、免疫グロブリンの重鎖(VH)可変領域と、軽鎖(VL)可変領域との融合タンパク質である。リンカーは、通例、可撓性のために、グリシンに富む場合があるほか、可溶性のために、セリン又はトレオニンに富む場合がある。リンカーは、VHのN末端をVLのC末端に接続する場合もあり、この逆の場合もある。
【0089】
mAbのエピトープとは、mAbが結合する、その抗原の領域である。2つの抗体は、各々が、他の抗体の抗原への結合を競合的に阻害する(遮断する)場合、同じエピトープ又は重複エピトープに結合する。すなわち、1倍、5倍、10倍、20倍又は100倍過剰量の、一方の抗体は、他方の抗体の結合を、競合的結合アッセイにおいて測定される通り、少なくとも30%であるが、好ましくは、50%、75%、90%又はなお99%阻害する(例えば、Junghansら、Cancer Res.、50:1495、1990を参照されたい)。代替的に、抗原内の、一方の抗体の結合を低減する、又はこれを消失させる、本質的に全てのアミノ酸突然変異が、他方の抗体の結合も低減する、又はこれを消失させる場合、2つの抗体は、同じエピトープを有する。一方の抗体の結合を低減する、又はこれを消失させる、一部のアミノ酸突然変異が、他方の抗体の結合も低減する、又はこれを消失させる場合、2つの抗体は、重複エピトープを有する。
【0090】
本発明の適切な抗体、例えば、組換え抗体、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体の調製及び本発明に従う使用のために、当技術分野において公知の多くの技法が使用されうる(例えば、Kohler及びMilstein、Nature 256:495~497(1975);Kozborら、Immunology Today、4:72(1983);Coleら、77~96頁、「Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy」、Alan R.Liss,Inc.(1985);Coligan、「Current Protocols in Immunology」(1991);Harlow及びLane、「Antibodies,A Laboratory Manual」(1988);並びにGoding、「Monoclonal Antibodies:Principles and Practice」(2版、1986)を参照されたい)。目的の抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子は、細胞からクローニングされる場合がある、例えば、モノクローナル抗体をコードする遺伝子は、ハイブリドーマからクローニングされる場合があり、組換えモノクローナル抗体を作製するのに使用されうる。モノクローナル抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子ライブラリーもまた、ハイブリドーマ又は形質細胞から作られうる。重鎖遺伝子産物と、軽鎖遺伝子産物とのランダムな組合せは、異なる抗原特異性を伴う、大規模な抗体プールを作り出す(例えば、Kuby、「Immunology」(3版、1997)を参照されたい)。単鎖抗体又は組換え抗体を作製するための技法(米国特許第4,946,778号、米国特許第4,816,567号)は、抗体を、本発明のポリペプチドに作製するのに適合されうる。また、トランスジェニックマウス又は他の哺乳動物など、他の生物も、ヒト化抗体又はヒト抗体を発現させるのに使用されうる(例えば、米国特許第5,545,807号;同第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,661,016号、Marksら、Bio/Technology、10:779~783(1992);Lonbergら、Nature、368:856~859(1994);Morrison、Nature、368:812~13(1994);Fishwildら、Nature Biotechnology、14:845~51(1996);Neuberger、Nature Biotechnology、14:826(1996);並びにLonberg及びHuszar、Intern.Rev.Immunol.、13:65~93(1995)を参照されたい)。代替的に、ファージディスプレイ技術は、選択された抗原に特異的に結合する抗体及びヘテロマーのFab断片を同定するのに使用されうる(例えば、McCaffertyら、Nature、348:552~554(1990);Marksら、Biotechnology、10:779~783(1992)を参照されたい)。抗体はまた、二特異性、すなわち、2つの異なる抗原を認識することが可能ともされうる(例えば、WO93/08829、Trauneckerら、EMBO J.、10:3655~3659(1991)及びSureshら、Methods in Enzymology、121:210(1986)を参照されたい)。抗体はまた、ヘテロコンジュゲート、例えば、2つの共有結合によって接続された抗体又は免疫毒素でもありうる。(例えば、米国特許第4,676,980号、WO91/00360;WO92/200373及びEP03089)を参照されたい。
【0091】
当技術分野において、非ヒト抗体をヒト化又は霊長動物化するための方法が周知である(例えば、米国特許第4,816,567号;同第5,530,101号;同第5,859,205号;同第5,585,089号;同第5,693,761号;同第5,693,762号;同第5,777,085号;同第6,180,370号;同第6,210,671号及び同第6,329,511号;WO87/02671;欧州特許出願第0173494号;Jonesら(1986)、Nature、321:522;及びVerhoyenら(1988)、Science、239:1534)。ヒト化抗体については、例えば、Winter及びMilstein(1991)、Nature、349:293において、さらに記載されている。一般に、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源から、それに導入された、1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、典型的に、移入可変ドメインから取り出された、移入残基と称されることが多い。ヒト化は、Winter及び共同研究者による方法(例えば、Morrisonら、PNAS USA、81:6851~6855(1984)、Jonesら、Nature、321:522~525(1986);Riechmannら、Nature、332:323~327(1988);Morrison及びOi、Adv.Immunol.、44:65~92(1988)、Verhoeyenら、Science、239:1534~1536(1988)並びにPresta、Curr.Op.Struct.Biol.、2:593~596(1992)、Padlan、Molec.Immun.、28:489~498(1991);Padlan、Molec.Immun.、31(3):169~217(1994)を参照されたい)に従い、齧歯動物のCDR又はCDR配列を、ヒト抗体の対応する配列により置換することにより、本質的に実施されうる。したがって、このようなヒト化抗体は、実質的に、インタクトに満たないヒト可変ドメインが、非ヒト種に由来する、対応する配列により置換された、キメラ抗体(米国特許第4,816,567号)である。実際は、ヒト化抗体は、典型的に、一部のCDR残基及び、おそらく、一部のFR残基が、齧歯動物抗体内の類似する部位に由来する残基により置換されている、ヒト抗体である。例えば、ヒト化免疫グロブリンフレームワーク領域をコードする、第1の配列及び所望の免疫グロブリン相補性決定領域をコードする、第2の配列セットを含むポリヌクレオチドは、合成により作製される場合もあり、適切なcDNAセグメント及びゲノムDNAセグメントを組み合わせることにより作製される場合もある。ヒト定常領域DNA配列は、周知の手順に従い、様々なヒト細胞から単離されうる。
【0092】
「キメラ抗体」とは、(a)抗原結合性部位(可変領域)が、クラス、エフェクター機能及び/若しくは種が異なる、又はクラス、エフェクター機能、及び/若しくは種が変更された定常領域、又はキメラ抗体に新たな特性を付与する、全く異なる分子、例えば、酵素、毒素、ホルモン、成長因子、薬物などに連結されるように、定常領域もしくその一部が、変更された、置きかえられた、もしく交換された抗体分子又は(b)可変領域もしくその一部が、抗原特異性が異なる、若しくは抗原特異性が変更された可変領域により変更された、置きかえられた、もしくこれと交換された抗体分子である。本発明の好ましい抗体及び本発明に従う使用に好ましい抗体は、ヒト化モノクローナル抗体及び/又はキメラモノクローナル抗体を含む。
【0093】
本明細書において提供される「治療用抗体」とは、がん、自己免疫疾患、移植片拒絶、心血管疾患又は本明細書において記載される疾患若しくは状態など、他の疾患若しくは状態を処置するのに使用される、任意の抗体又はこの機能的断片を指す。治療用抗体の非限定例は、Erbitux(セツキシマブ)、ReoPro(アブシキシマブ)、Simulect(バシリキシマブ)、Remicade(インフリキシマブ);Orthoclone OKT3(ムロモナブ-CD3);Rituxan(リツキシマブ)、Bexxar(トシツモマブ)、Humira(アダリムマブ)、Campath(アレムツズマブ)、Simulect(バシリキシマブ)、Avastin(ベバシズマブ)、Cimzia(セルトリズマブペゴル)、Zenapax(ダクリズマブ)、Soliris(エクリズマブ)、Raptiva(エファリズマブ)、Mylotarg(ゲムツズマブ)、Zevalin(イブリツモマブチウキセタン)、Tysabri(ナタリズマブ)、Xolair(オマリズマブ)、Synagis(パリビズマブ)、Vectibix(パニツムマブ)、Lucentis(ラニビズマブ)及びHerceptin(トラスツズマブ)を含むがこれらに限定されない、マウス抗体、マウス化キメラ抗体若しくはヒト化キメラ抗体又はヒト抗体を含む。
【0094】
治療剤を抗体とコンジュゲートさせるための技法が周知である(例えば、Arnonら、「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy」、「Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy」、Reisfeldら(編)、243~56頁(Alan R. Liss,Inc.1985);Hellstromら、「Antibodies For Drug Delivery」、「Controlled Drug Delivery」(2版)、Robinsonら(編)、623~53頁(Marcel Dekker,Inc.1987);Thorpe、「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review」、「Monoclonal Antibodies ’84:Biological And Clinical Applications」、Pincheraら(編)、475~506頁(1985)並びにThorpeら、「The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody-Toxin Conjugates」、Immunol.Rev.62:119~58(1982)を参照されたい)。本明細書において使用される、「抗体-薬物コンジュゲート」又は「ADC」という用語は、抗体とコンジュゲートしている、又は他の形において共有結合によって結合している治療剤を指す。本明細書において言及された、「治療剤」とは、がんなどの疾患の処置又は防止において有用な組成物である。
【0095】
タンパク質又はペプチドに言及する場合における、抗体「に特異的に(又は選択的に)結合する」又は抗体「と特異的に(又は選択的に)免疫反応性の」という語句は、タンパク質の、しばしば、タンパク質及び他の生物学的薬剤の不均質集団内の存在を決定する結合反応を指す。したがって、指定された免疫アッセイ条件下において、指定された抗体は、特定のタンパク質に、バックグラウンドの、少なくとも2倍、より典型的に、バックグラウンドの10~100倍を超えて結合する。このような条件下における、抗体への特異的な結合は、典型的に、特定のタンパク質に対するその特異性について選択された抗体を要求する。例えば、ポリクローナル抗体は、選択された抗原と、特異的に免疫反応性であるが、他のタンパク質と特異的に免疫反応性でない抗体のサブセットだけを得るように選択されうる。この選択は、他の分子と交差反応する抗体を除外することにより達成されうる。様々な免疫アッセイフォーマットは、特定のタンパク質と、特異的に免疫反応性である抗体を選択するのに使用されうる。例えば、固相ELISA免疫アッセイは、タンパク質と、特異的に免疫反応性である抗体を選択するのに、日常的に使用されている(特異的免疫反応性を決定するのに使用されうる、免疫アッセイのフォーマット及び条件の記載について、例えば、Harlow及びLane、「Using Antibodies,A Laboratory Manual」(1998)を参照されたい)。
【0096】
「リガンド」とは、受容体に結合することが可能な薬剤、例えば、ポリペプチド又は他の分子を指す。
【0097】
例えば、細胞、核酸、タンパク質又はベクターに言及して使用される場合における、「組換え」という用語は、細胞、核酸、タンパク質又はベクターが、実験室法により改変されている、又は実験室法の結果であることを指し示す。したがって、例えば、組換えタンパク質は、実験室法により作製されたタンパク質を含む。組換えタンパク質は、タンパク質の天然(非組換え)形態内に見出されないアミノ酸残基を含む場合もあり、修飾された、例えば、標識されたアミノ酸残基を含む場合もある。
【0098】
核酸の部分に言及して使用される場合の、「異種」という用語は、核酸が、天然において、互いと同じ関係にあることが見出されない、2つ以上の部分配列を含むことを指し示す。例えば、新たな機能的核酸、例えば、1つの供給源に由来するプロモーター及び別の供給源に由来するコード領域を作るように配置された、非類縁遺伝子に由来する、2つ以上の配列を有する核酸は、典型的に、組換えにより作製される。同様に、異種タンパク質は、タンパク質が、天然において、互いと同じ関係にあることが見出されない、2つ以上の部分配列を含むこと(例えば、融合タンパク質)を指し示す。
【0099】
核酸又はタンパク質に適用された場合における、「単離」という用語は、核酸又はタンパク質が、天然状態において、それが会合する、他の細胞成分を、本質的に含まないことを表す。「単離」は、例えば、均質状態にあり、乾燥溶体の場合もあり、水溶液の場合もある。純度及び均質性は、典型的に、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又は高速液体クロマトグラフィーなどの分析化学法を使用して決定される。調製物中に存在する主要種であるタンパク質は、実質的に精製されている。
【0100】
「~を接触させること」とは、その明白な通常の意味に従い使用され、少なくとも2つの顕著に異なる分子種(例えば、生体分子又は細胞を含む化合物)を、反応する、相互作用する、又は物理的に接触するのに十分に近接させる過程を指す。しかし、得られる反応生成物は、添加された試薬の間の反応から直接生成される場合もあり、反応混合物中において生成されうる、添加された試薬のうちの1つ以上に由来する中間体から生成される場合もあることを察知されたい。
【0101】
「~を接触させること」という用語は、2つの分子種を、反応させる、相互作用させる、又は物理的に接触させることを含むことが可能であり、この場合、2つの分子種は、例えば、本明細書において記載される組換えタンパク質及び抗原結合性ドメインでありうる。複数の実施形態において、接触させることは、例えば、本明細書において記載される組換えタンパク質を、抗原結合性ドメインと相互作用させることを含む。
【0102】
「対照」試料又は「対照」値とは、被験試料との比較のための参照、通例既知である参照として用いられた試料を指す。例えば、被験試料は、例えば、被験化合物の存在下にある被験条件から採取され、既知の条件、例えば、被験化合物の非存在下(陰性対照)又は既知の化合物の存在下(陽性対照)にある試料と比較されうる。対照はまた、多数の試験又は結果から集めた平均値も表しうる。当業者は、対照が、任意の数のパラメータについての評価のためにデザインされうることを認識する。例えば、対照は、治療利益を、薬理学的データ(例えば、半減期)又は治療測定値(例えば、副作用の比較)に基づき比較するために案出されうる。当業者は、どの対照が、所与の状況において価値があり、対照値との比較に基づき、データを解析することが可能な対照であるのかを理解する。対照はまた、データの有意性を決定するためにも価値がある。例えば、所与のパラメータについての値が、対照において、広範に変動している場合、被験試料中の変動は、有意であると考えられない。
【0103】
「患者」又は「それを必要とする対象」とは、本明細書において提供される組成物又は医薬組成物の投与により処置されうる疾患又は状態を患っている、又はこれらへの素因がある生物を指す。非限定例は、ヒト、他の哺乳動物、ウシ科動物、ラット、マウス、イヌ、サル、ヤギ、ヒツジ、ウシ、シカ及び他の非哺乳動物を含む。一部の実施形態において、患者は、ヒトである。
【0104】
「疾患」又は「状態」という用語は、本明細書において提供される化合物、医薬組成物又は方法により処置されることが可能な、患者又は対象の現況又は健康状態を指す。複数の実施形態において、疾患は、がん(例えば、肺がん、卵巣がん、骨肉腫、膀胱がん、子宮頸がん、肝臓がん、腎臓がん、皮膚がん(例えば、メルケル細胞癌)、精巣がん、白血病、リンパ腫、頭頸部がん、結腸直腸がん、前立腺がん、膵臓がん、黒色腫、乳がん、神経芽細胞腫)である。
【0105】
「~を処置すること」又は「処置」という用語は、損傷、疾患、病理又は状態の処置又は改善の任意の成功の徴候であって、症状の軽減;寛解;消失又は損傷、病理若しくは状態を、患者にとってより忍容可能とすること;変性又は減退の速度の緩徐化;最終的な変性点を、それほど消耗性ではなくすること;患者の身体的福利又は精神的福利を改善することなど、任意の客観的パラメータ又は主観的パラメータを含む徴候を指す。症状の処置又は改善は、全身検診、神経精神科検診及び/又は精神科査定の結果を含む、客観的パラメータ又は主観的パラメータに基づきうる。「~を処置すること」という用語及びその活用形は、損傷、病理、状態又は疾患の防止を含む。複数の実施形態において、「~を処置すること」とは、がんの処置を指す。
【0106】
「有効量」とは、化合物が、化合物の非存在と比べて、言明された目的を達成する(例えば、そのためにそれが投与される効果を達成する、疾患を処置する、酵素活性を低減する、酵素活性を増大させる、シグナル伝達経路を低減する、又は疾患若しくは状態の1つ以上の症状を低減する)のに十分な量である。「有効量」の例は、疾患の1つ以上の症状の処置、防止又は軽減に寄与するのに十分な量であって、「治療有効量」ともまた称されうる量である。1つ以上の症状(及びこの語句の文法的同等物)の「低減」とは、症状(複数可)の重症度若しくは頻度の減弱又は症状(複数可)の消失を意味する。正確な量は、処置の目的に依存し、公知の技法を使用して、当業者により確認可能である(例えば、Lieberman、「Pharmaceutical Dosage Forms」(1~3巻、1992);Lloyd、「The Art、Science and Technology of Pharmaceutical Compounding」(1999);Pickar、「Dosage Calculations」(1999);及びRemington「Science and Practice of Pharmacy」、20版、2003、Gennaro編、Lippincott,Williams & Wilkinsを参照されたい)。
【0107】
本明細書において使用される、「Her2タンパク質」又は「Her2」という用語は、CD340(cluster of differentiation 340)、がん原遺伝子である、Neu、Erbb2(齧歯動物)若しくはERBB2(ヒト)としてもまた公知の受容体チロシン-タンパク質キナーゼであるerbB-2又はHer2の活性(例えば、Her2と比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%以内の活性)を維持するその変異体若しくは相同体の組換え形態又は天然形態のうちのいずれかを含む。一部の態様において、変異体又は相同体は、天然のHer2タンパク質と比較して、全配列又は配列の部分(例えば、50、100、150又は200連続アミノ酸の部分)にわたり、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。複数の実施形態において、Her2タンパク質は、UniProt参照番号:P04626によって識別されるタンパク質又はこれとの実質的な同一性を有する変異体若しくは相同体と実質的に同一である。
【0108】
本明細書において使用される、「EGFRタンパク質」又は「EGFR」という用語は、ヒトにおいて、ErbB-1又はHER1としてもまた公知の、表皮成長因子受容体(EGFR)又はEGFRの活性(例えば、EGFRと比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%以内の活性)を維持するその変異体若しくは相同体の組換え形態又は天然形態のうちのいずれかを含む。一部の態様において、変異体又は相同体は、天然のEGFRタンパク質と比較して、全配列又は配列の部分(例えば、50、100、150又は200連続アミノ酸の部分)にわたり、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。複数の実施形態において、EGFRタンパク質は、UniProt参照番号:P00533によって識別されるタンパク質又はこれとの実質的な同一性を有する変異体若しくは相同体と実質的に同一である。
【0109】
本明細書において使用される、「CD19タンパク質」又は「CD19」という用語は、CD19分子(cluster of differentiation 19)、Bリンパ球表面抗原B4、T細胞表面抗原Leu-12及びCVID3としてもまた公知の、Bリンパ球抗原CD19又はCD19の活性(例えば、CD19と比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%以内の活性)を維持するその変異体若しくは相同体の組換え形態又は天然形態のうちのいずれかを含む。一部の態様において、変異体又は相同体は、天然のCD19タンパク質と比較して、全配列又は配列の部分(例えば、50、100、150又は200連続アミノ酸の部分)にわたり、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。複数の実施形態において、CD19タンパク質は、UniProt参照番号:P15391によって識別されるタンパク質又はこれとの実質的な同一性を有する変異体若しくは相同体と実質的に同一である。
【0110】
本明細書において使用される、「CD20タンパク質」又は「CD20」という用語は、Bリンパ球抗原CD20若しくはCD20(cluster of differentiation 20)又はCD20の活性(例えば、CD20と比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%以内の活性)を維持するその変異体若しくは相同体の組換え形態又は天然形態のうちのいずれかを含む。一部の態様において、変異体又は相同体は、天然のCD20タンパク質と比較して、全配列又は配列の部分(例えば、50、100、150又は200連続アミノ酸の部分)にわたり、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。複数の実施形態において、CD20タンパク質は、UniProt参照番号:P11836によって識別されるタンパク質又はこれとの実質的な同一性を有する変異体若しくは相同体と実質的に同一である。
【0111】
組換えタンパク質組成物
本明細書において、とりわけ、T細胞により発現され、抗原結合性ドメイン(例えば、抗体、変異体又はこれらの断片)に結合し、これによりT細胞を抗原結合性ドメインにより結合している抗原を発現させる細胞(例えば、腫瘍細胞)にターゲティングすることが可能な組換えタンパク質が提示される。T細胞により発現された組換えタンパク質の抗原結合性ドメインへの結合及び抗原結合性ドメインの標的細胞により発現された抗原への結合を介して、T細胞は、活性化され、細胞傷害性となり、これにより標的細胞(例えば、がん細胞)を消失させる。本明細書において提供される組換えタンパク質は、とりわけ、養子免疫療法に、機能性を迅速に付加することを可能とし、とりわけ、多種多様な治療目的及び診断目的に有用である。例えば、その実施形態を含む本明細書において提供される組換えタンパク質は、エフェクターT細胞(例えば、自家T細胞)及び治療用抗体をそれらの作用部位に方向付け、これにより、オフターゲット効果を減殺する手段として使用されうる。本明細書において提供される組成物は、個別のCAR T細胞を創出及び最適化せずに、標的特異性を、迅速かつ効率的に変更することを可能とする。
【0112】
本明細書において提供される組換えタンパク質は、例えば、非CDR Fab結合性ペプチドドメイン、細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン及び非CDR Fab結合性ペプチドドメインを細胞内T細胞シグナル伝達ドメインに接続している膜貫通ドメインを含む、連続的な単鎖ポリペプチドである。本明細書において提供される組換えタンパク質は、それらの全てが、前記連続的な単鎖ポリペプチドの部分を形成するさらなるエレメント、例えば、スペーサー領域、ペプチドリンカー、細胞内共刺激シグナル伝達ドメインを含みうる。本明細書において提供される連続的な単鎖ポリペプチドとは、互いに共有結合によって接合しており、これにより連続的なポリペプチド鎖を形成するエレメントを含むポリペプチド鎖を指す。
【0113】
したがって、一態様において、組換えタンパク質が提供される。組換えタンパク質は、(i)非CDR Fab結合性ペプチドドメイン;(ii)細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン;及び(iii)非CDR Fab結合性ペプチドドメインを細胞内T細胞シグナル伝達ドメインに接続している膜貫通ドメインを含む。複数の実施形態において、細胞内T細胞シグナル伝達ドメインは、CD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達ドメインである。
【0114】
本明細書において提供される「非CDR Fab結合性ペプチドドメイン」とは、抗体、抗体変異体又はこれらの断片の非CDR結合性部位に結合することが可能な、ペプチド又はペプチドを含むペプチドドメインを指す。複数の実施形態において、非CDR Fab結合性ペプチドドメインは、ペプチドである。複数の実施形態において、非CDR Fab結合性ペプチドドメインは、ペプチドを含む。複数の実施形態において、非CDR Fab結合性ペプチドドメインは、非CDR結合性部位に結合する。複数の実施形態において、非CDR Fab結合性ペプチドドメインは、ペプチジル部分である。複数の実施形態において、ペプチジル部分は、参照によりその全体において全ての目的のために本明細書に組み込まれた、米国出願公開第US20120301400A1号において記載された部分である。
【0115】
複数の実施形態において、非CDR Fab結合性ペプチドドメインは、式:
X0-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-X12(I)
のペプチド部分を含む。式(I)において、X0は、Ser又はヌルである。X1は、Ser、Cys、Gly、β-アラニン、ジアミノプロピオン酸、β-アジドアラニン又はヌルである。X2は、Gln又はヌルである。X3は、Phe、Tyr、β,β’-ジフェニル-Ala、His、Asp、2-ブロモ-L-フェニルアラニン、3-ブロモ-L-フェニルアラニン、4-ブロモ-L-フェニルアラニン、Asn、Gln、修飾Phe、水和性のカルボニル含有残基又はボロン酸含有残基である。X4は、Asp又はAsnである。X5は、Leu、β,β’-ジフェニル-Ala、Phe、Trp、Tyr、フェニルアラニン、トリプトファン又はチロシンの非天然類似体、水和性のカルボニル含有残基又はボロン酸含有残基である。X6は、Cys又はSerである。X7は、Cys、Thr又はSerである。X8は、保護Arg、Arg又はAlaである。X9は、Cys、Arg又はAlaである。X10は、Leu、Gln、Glu、β,β’-ジフェニル-Ala、Phe、Trp、Tyr;フェニルアラニン、トリプトファン又はチロシンの非天然類似体、水和性のカルボニル含有残基又はボロン酸含有残基である。X11は、Cys、Gln、Lys又はArgである。X12は、Ser、Cys、Gly、7-アミノヘプタン酸、β-アラニン、ジアミノプロピオン酸、プロパルギルグリシン、イソアスパラギン酸又はヌルである。X1とX12とは、任意選択的に、互いに接続されて、環状ペプチジル部分を形成する。
【0116】
複数の実施形態において、非CDR Fab結合性ペプチドドメインは、式:
X0-X1-X2-X3-X4-X5-X6-X7-X8-X9-X10-X11-X12(I)
のペプチド部分を含む。式(I)において、X0は、Ser又はヌルである。X1は、Ser、Cys、Gly、β-アラニン又はヌルである。X2は、Gln又はヌルである。X3は、Phe、Tyr、His、Asp、Asn又はGlnである。X4は、Asp又はAsnである。X5は、Leu、Phe、Trp、Tyr、トリプトファン又はチロシンである。X6は、Cys又はSerである。X7は、Cys、Thr又はSerである。X8は、Arg又はAlaである。X9は、Cys、Arg又はAlaである。X10は、Leu、Gln、Glu、Phe、Trp、Tyr、トリプトファン又はチロシンである。X11は、Cys、Gln、Lys又はArgである。X12は、Ser、Cys、Gly又はヌルである。X1とX12とは、任意選択的に、互いに接続されて、環状ペプチジル部分を形成する。
【0117】
複数の実施形態において、非CDR Fab結合性ペプチドドメインは、配列番号32の配列を含む。複数の実施形態において、非CDR Fab結合性ペプチドドメインは、配列番号32の配列を有する。複数の実施形態において、組換えタンパク質は、配列番号37の配列を有するシグナル伝達ペプチドをさらに含む。複数の実施形態において、シグナル伝達ペプチドは、非CDR Fab結合性ペプチドドメインのN末端に結合している。
【0118】
本明細書において提供される「非CDR結合性部位」という用語は、抗原結合性ドメイン(例えば、抗体のFabドメイン、抗体変異体又はこれらの断片)の結合性部位であって、抗体の重鎖のCDR残基及び軽鎖のCDR残基を含まない結合性部位を指す。「非CDRペプチド結合性部位」とは、本明細書において提供される組換えタンパク質の、非CDR Fab結合性ペプチドドメインに、非共有結合によって結合することが可能である、抗原結合性ドメインの領域である。複数の実施形態において、非CDR結合性部位は、フレームワーク領域のアミノ酸残基を含む。複数の実施形態において、非CDR結合性部位は、重鎖又は軽鎖のFR残基を含む。複数の実施形態において、非CDR結合性部位は、重鎖及び軽鎖のFR残基を含む。複数の実施形態において、非CDR結合性部位は、Kabatによる83位に対応する位置における残基、Kabatによる30位に対応する位置における残基又はKabatによる52位に対応する位置における残基を含む。複数の実施形態において、非CDR結合性部位は、Kabatによる40位に対応する位置における残基、Kabatによる41位に対応する位置における残基、Kabatによる30位に対応する位置における残基、Kabatによる52位に対応する位置における残基、Kabatによる83位に対応する位置における残基又はKabatによる85位に対応する位置における残基を含む。複数の実施形態において、非CDR結合性部位は、Kabatによる40位に対応する位置における残基を含む。複数の実施形態において、非CDR結合性部位は、Kabatによる41位に対応する位置における残基を含む。複数の実施形態において、非CDR結合性部位は、Kabatによる30位に対応する位置における残基を含む。複数の実施形態において、非CDR結合性部位は、Kabatによる52位に対応する位置における残基を含む。複数の実施形態において、非CDR結合性部位は、Kabatによる83位に対応する位置における残基を含む。複数の実施形態において、非CDR結合性部位は、Kabatによる85位に対応する位置における残基を含む。複数の実施形態において、非CDR結合性部位を形成する残基は、参照によりその全体において全ての目的のために本明細書に組み込まれた、米国出願公開第US20120301400A1号において記載された残基である。
【0119】
本明細書において提供される非CDR結合性部位はまた、「メディトープ結合性部位」とも称されうる。複数の実施形態において、非CDR Fab結合性ペプチドドメインを介して、非CDR結合性部位に結合する組換えタンパク質は、抗原結合性ドメインの、エピトープへの結合に影響を与えない(例えば、これに測定可能な影響を与えない)。言い換えれば、複数の実施形態において、非CDR結合性部位の占有は、抗原への結合に影響を及ぼさない。複数の実施形態において、非CDR結合性部位は、その実施形態を含む本明細書において提供される組換えタンパク質の非CDR Fab結合性ペプチドドメイン(例えば、メディトープ)と非共有結合によって相互作用する。非CDR Fab結合性ペプチドドメイン(例えば、メディトープ)と相互作用することが可能なアミノ酸残基は、抗体の部分、Fab、抗体の変異体又はこれらの任意の断片を形成しうる。非CDR結合性部位は、任意の適切な抗体、変異体又はこれらの断片に操作され、これにより、非CDR結合性部位を伴う抗原結合性ドメインを形成しうる。本明細書において、非CDR結合性部位を含む抗原結合性ドメインはまた、「メディトープ対応抗体」、「メディトープ対応ドメイン」又は「メディトープ対応抗体領域」とも称される。
【0120】
本明細書において提供される「抗原結合性ドメイン」とは、抗原(エピトープ)に結合する、抗体、変異体又はこれらの断片の領域である。本明細書において記載される通り、抗原結合性ドメインは一般に、重鎖及び軽鎖の各々の、1つの定常ドメイン及び1つの可変ドメイン(それぞれ、VL、VH、CL及びCH1)から構成される。パラトープ又は抗原結合性部位は、抗原結合性ドメインのN末端上に形成される。抗原結合性ドメインのうちの、2つの可変ドメインは、典型的に、抗原上のエピトープに結合する。複数の実施形態において、抗原結合性ドメインは、抗体の一部を形成する。複数の実施形態において、抗原結合性ドメインは、治療用抗体の一部を形成する。複数の実施形態において、抗原結合性ドメインは、Fabの一部を形成する。複数の実施形態において、抗原結合性ドメインは、Fabである。
【0121】
複数の実施形態において、抗原結合性ドメインは、重鎖定常領域(CH)及び軽鎖定常領域(CL)を含む。複数の実施形態において、重鎖定常領域(CH)は、抗体の重鎖の定常領域又はこの断片である。複数の実施形態において、軽鎖定常領域(CL)は、抗体の軽鎖の定常領域又はこの断片である。複数の実施形態において、重鎖定常領域(CH)は、Fabの定常領域である。複数の実施形態において、軽鎖定常領域(CL)は、Fabの軽鎖の定常領域である。複数の実施形態において、重鎖定常領域(CH)は、F(ab)’2二量体の定常領域である。複数の実施形態において、軽鎖定常領域(CL)は、F(ab)’2二量体の軽鎖の定常領域である。複数の実施形態において、抗原結合性ドメインは、Fcドメインを含む。複数の実施形態において、抗原結合性ドメインは、ヒト化抗原結合性ドメインである。複数の実施形態において、抗原結合性ドメインは、ヒト化マウス抗原結合性ドメインである。
【0122】
複数の実施形態において、抗原結合性ドメインは、トラスツズマブメディトープ対応ドメイン、ペルツズマブメディトープ対応ドメイン、M5Aメディトープ対応ドメイン又はリツキシマブメディトープ対応ドメインである。複数の実施形態において、抗原結合性ドメインは、ヒト化リツキシマブメディトープ対応ドメインである。
【0123】
複数の実施形態において、その実施形態を含む本明細書において提供される抗原結合性ドメインは、抗原結合性について、例えば、アバゴボマブ、アブシキシマブ、アダリムマブ、アデカツムマブ、アレムツズマブ、アルツモマブ、アルツモマブペンテテート、アナツモマブ、アナツモマブマフェナトクス、アルシツモマブ、アチリズマブ、バシリキシマブ、ベクツモマブ、エクツモマブ、ベリムマブ、ベンラリズマブ、ベバシズマブ、ブレンツキシマブ、カナキヌマブ、カプロマブ、カプロマブペンデチド、カツマキソマブ、カルトリズマブ、クリバツズマブテトラキセタン、ダクリズマブ、デノスマブ、エクリズマブ、エドレコロマブ、エファリズマブ、エタラシズマブ、エルツマキソマブ、ファノレソマブ、Fbta05、フォントリズマブ、ゲムツズマブ、ギレンツキシマブ、ゴリムマブ、イブリツモマブ、イゴボマブ、インフリキシマブ、イピリムマブ、ラベツズマブ、メポリズマブ、ムロモナブ、ムロモナブ-CD3、ナタリズマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、オファツムマブ、オマリズマブ、オレゴボマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ラニビズマブ、リツキシマブ、サツモマブ、スレソマブ、イブリツモマブ、イブリツモマブチウキセタン、トシリズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、Trbs07、ウステキヌマブ、ビジリズマブ、ボツムマブ、ザルツムマブ及び/若しくはブロダルマブ並びに/又はアンルキンズマブ、バピネウズマブ、ダロツズマブ、デムシズマブ、ガニツマブ、イノツズマブ、マブリリムマブ、モキセツモマブパスドトクス、リロツムマブ、シファリムマブ、タネズマブ、トラロキヌマブ、トレメリムマブ、ウレルマブ、ハイブリドーマ10B5により作製された抗体(Edelson及びUnanue、Curr Opin Immunol、2000年8月、12(4):425~31を参照されたい。)、B6H12.2(abcam)又は他の抗CD47抗体(Chaoら、Cell、142、699~713、2010年9月3日を参照されたい)など、任意の市販される抗体を含む、1つ以上の公知の抗体の、重鎖CDR1、2及び/若しくは3並びに/又は軽鎖CDR1、2及び/若しくは3を含む、1つ、これを超える、又は全てのCDR(又はCDRに対する、少なくとも、又は約75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98若しくは99%の同一性を含むCDR)と同じ抗原又はエピトープと競合する、これらに特異的に結合する、かつ/又はこれらを含有する。
【0124】
複数の実施形態において、抗原結合性ドメインは、CA-125、糖タンパク質(GP)IIb/IIIa受容体、TNFアルファ、CD52、TAG-72、癌胎児性抗原(CEA)、インターロイキン6受容体(IL-6R)、IL-2、インターロイキン2受容体a鎖(CD25)、CD22、B細胞活性化因子、インターロイキン5受容体(CD125)、VEGF、VEGF-A、CD30、IL-1ベータ、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、CD3、EpCAM、EGF受容体(EGFR)、MUC1、ヒトインターロイキン2受容体、Tac、RANKリガンド、補体タンパク質、例えば、C5、EpCAM、CD11a、例えば、ヒトCD11a、インテグリン、例えば、アルファ-vベータ-3インテグリン、ビトロネクチン受容体アルファvベータ3インテグリン、HER2、neu、CD3、CD15、CD20(小型ループ及び/又は大型ループ)、インターフェロンガンマ、CD33、CA-IX、TNFアルファ、CTLA-4、癌胎児性抗原、IL-5、CD3イプシロン、CAM、アルファ-4-インテグリン、IgE、例えば、IgE Fc領域、RSV抗原、例えば、RSV(respiratory syncytial virus)のFタンパク質、TAG-72、NCA-90(顆粒球抗原)、IL-6、GD2、GD3、IL-12、IL-23、IL-17、CTAA16.88、IL13、インターロイキン1ベータ、ベータ-アミロイド、IGF-1受容体(IGF-1R)、デルタ様リガンド4(DLL4)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子受容体のアルファサブユニット、肝細胞成長因子、IFNアルファ、神経成長因子、IL-13、CD326、プログラム細胞死1リガンド1(PD-L1、別称:CD274、B7-H1)、CD47及びCD137からなる群から選択された抗原に特異的に結合する。
【0125】
複数の実施形態において、抗原結合性ドメインは、抗CD19タンパク質、抗CD20タンパク質、抗CD22タンパク質、抗CD30タンパク質、抗CD33タンパク質、抗CD44v6/7/8タンパク質、抗CD123タンパク質、抗CEAタンパク質、抗EGP-2タンパク質、抗EGP-40タンパク質、抗erb-B2タンパク質、抗erb-B2,3,4タンパク質、抗FBPタンパク質、抗胎児型アセチルコリン受容体タンパク質、抗GD2タンパク質、抗GD3タンパク質、抗Her2/neuタンパク質、抗IL-13R-a2タンパク質、抗KDRタンパク質、抗k-軽鎖タンパク質、抗LeYタンパク質、抗L1細胞接着分子タンパク質、抗MAGE-A1タンパク質、抗メソテリンタンパク質、抗マウスCMV感染細胞タンパク質、抗MUC2タンパク質、抗NKGD2タンパク質、抗、癌胎児性抗原タンパク質、抗PCSAタンパク質、抗PSMAタンパク質、抗TAA(mAb IgEによりターゲティングされた)タンパク質、抗EGFRタンパク質、抗TAG-72タンパク質又は抗VEGF-72タンパク質である。複数の実施形態において、抗原結合性ドメインは、セツキシマブではない。
【0126】
非CDR Fab結合性ペプチドドメインへの、非共有結合による結合に加えて、抗原結合性ドメインは、治療用部分又はイメージング部分若しくは検出用部分を含むように修飾(例えば、遺伝子修飾又は化学修飾)されうる。したがって、複数の実施形態において、抗原結合性ドメインは、治療用部分又は検出用部分を含む。
【0127】
本明細書において提供される「治療用部分」という用語は、その明白な通常の意味に従い使用され、それを必要とする対象に施されると、治療利益(例えば、処置される基礎障害の防止、根絶、改善)をもたらす一価化合物を指す。本明細書において提供される治療用部分は、限定せずに述べると、ペプチド、タンパク質、核酸、核酸類似体、低分子、抗体、ナノボディー、酵素、プロドラッグ、リシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、タキソール、臭化エチジウム、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ジヒドロキシアントラシンジオン、アクチノマイシンD、ジフテリア毒素、シュードモナス(Pseudomonas)属外毒素(PE)A、PE40、アブリン及びグルココルチコイドを含むがこれらに限定されない細胞傷害剤(例えば、毒素)を含みうる。複数の実施形態において、治療用部分は、本明細書において記載される、抗がん剤又は化学療法剤である。複数の実施形態において、治療用部分は、核酸部分、ペプチド部分又は低分子薬物部分である。複数の実施形態において、治療用部分は、核酸部分である。複数の実施形態において、治療用部分は、抗体部分である。複数の実施形態において、治療用部分は、ペプチド部分である。複数の実施形態において、治療用部分は、低分子薬物部分である。複数の実施形態において、治療用部分は、ヌクレアーゼである。複数の実施形態において、治療用部分は、免疫刺激剤である。複数の実施形態において、治療用部分は、毒素である。複数の実施形態において、治療用部分は、ヌクレアーゼである。複数の実施形態において、治療用部分は、サイトカイン(例えば、IL-2)である。複数の実施形態において、治療用部分は、非天然アミノ酸を含む。複数の実施形態において、治療用部分は、siRNAを含む。複数の実施形態において、治療用部分は、siRNAである。複数の実施形態において、治療用部分は、アンチセンス核酸を含む。複数の実施形態において、治療用部分は、アンチセンス核酸である。
【0128】
本明細書において提供される「イメージング部分又は検出用部分」は、分光的手段、光化学的手段、生体化学的手段、免疫化学的手段、化学的手段又は他の物理的手段により検出可能な一価化合物である。複数の実施形態において、イメージング部分は、ペプチド化合物に共有結合によって接合している。例示的なイメージング部分は、限定せずに述べると、32P、放射性核種、ポジトロン放射性同位体、蛍光色素、フルオロフォア、抗体、生体発光分子、化学発光分子、光反応性分子、金属、高電子密度試薬、酵素(例えば、ELISAにおいて、一般に使用される)、磁気造影剤、量子ドット、ナノ粒子、ビオチン、ジゴキシゲニン、ハプテン及びタンパク質又は、例えば、放射性標識を、標的ペプチドと特異的に反応性である、ペプチド又は抗体に組み込むことにより検出可能とされうる他の実体である。抗体を部分とコンジュゲートさせるための、当技術分野において公知の任意の方法であって、例えば、Hermanson、「Bioconjugate Tecqueniques」、1996、Academic Press,Inc.、San Diegoにおいて記載された方法を使用する方法が利用されうる。例示的なフルオロフォアは、フルオレセイン、ローダミン、GFP、クマリン、FITC、ALEXA fluor、Cy3、Cy5、BODIPY及びシアニン色素を含む。例示的な放射性核種は、フッ素18、ガリウム68及び銅64を含む。例示的な磁気造影剤は、ガドリニウム、酸化鉄及び鉄-白金合金及びマンガンを含む。複数の実施形態において、イメージング部分は、生体発光分子である。複数の実施形態において、イメージング部分は、光反応性分子である。複数の実施形態において、イメージング部分は、金属である。複数の実施形態において、イメージング部分は、ナノ粒子である。
【0129】
本明細書において提供される組換えタンパク質は、それらの全てが、1つの連続的な単鎖ポリペプチドの部分を形成する、複数のドメイン(例えば、細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン、膜貫通ドメイン、スペーサー領域、細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン)を含む。
【0130】
本明細書において提供される「細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン」とは、抗原の、その実施形態を含む本明細書において提供される抗体領域への結合に応答して、一次シグナル伝達をもたらすことが可能なアミノ酸配列を含む。複数の実施形態において、細胞内T細胞シグナル伝達ドメインのシグナル伝達は、細胞内T細胞シグナル伝達ドメインを発現させるT細胞の活性化をもたらす。複数の実施形態において、細胞内T細胞シグナル伝達ドメインのシグナル伝達は、細胞内T細胞シグナル伝達ドメインを発現させるT細胞の増殖(細胞分裂)をもたらす。複数の実施形態において、細胞内T細胞シグナル伝達ドメインのシグナル伝達は、前記T細胞による、当技術分野において、活性化T細胞(例えば、CTLA-4、PD-1、CD28、CD69)に特徴的であることが公知であるタンパク質の発現をもたらす。複数の実施形態において、細胞内T細胞シグナル伝達ドメインは、ヒトCD3複合体のゼータ鎖のシグナル伝達ドメインを含む。複数の実施形態において、細胞内T細胞シグナル伝達ドメインは、CD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達ドメインである。
【0131】
複数の実施形態において、細胞内T細胞シグナル伝達ドメインは、配列番号34の配列を含む。複数の実施形態において、細胞内T細胞シグナル伝達ドメインは、配列番号34の配列である。複数の実施形態において、細胞内T細胞シグナル伝達ドメインは、配列番号11の配列を含む。複数の実施形態において、細胞内T細胞シグナル伝達ドメインは、配列番号11の配列である。
【0132】
本明細書において提供される組換えタンパク質について、膜貫通ドメインは、非CDR Fab結合性ペプチドドメインを細胞内T細胞シグナル伝達ドメインに接続している。複数の実施形態において、膜貫通ドメインは、非CDR Fab結合性ペプチドドメインと細胞内T細胞シグナル伝達ドメインとの間にある。言い換えれば、膜貫通ドメインは、非CDR Fab結合性ペプチドドメインのC末端に直接的に又は間接的に(例えば、スペーサーを介して)接続しており、細胞内T細胞シグナル伝達ドメインのN末端に直接的に又は間接的に(例えば、共刺激シグナル伝達ドメインを介して)接続している。
【0133】
本明細書において提供される「膜貫通ドメイン」とは、生体膜のポリペプチド形成部分を指す。本明細書において提供される膜貫通ドメインは、膜の一方の側から膜の他方の側に、生体膜(例えば、細胞膜)にわたることが可能である。複数の実施形態において、膜貫通ドメインは、細胞膜の細胞内側から細胞外側にわたる。膜貫通ドメインは、その実施形態を含む本明細書において提供されるタンパク質を生体膜(例えば、T細胞の細胞膜)内にアンカリングする非極性の疎水性残基を含みうる。その実施形態を含む本明細書において提供されるタンパク質をアンカリングすることが可能な任意の膜貫通ドメインが想定される。複数の実施形態において、膜貫通ドメインは、L-セレクチンである。本明細書において提供される「L-セレクチン」という用語は、CD62Lとしてもまた公知のL-セレクチンタンパク質又はL-セレクチン活性(例えば、L-セレクチンと比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%以内の活性)を維持するその変異体若しくは相同体の組換え形態又は天然形態のうちのいずれかを含む。複数の実施形態において、変異体又は相同体は、天然のL-セレクチンポリペプチドと比較して、全配列又は配列の部分(例えば、50、100、150又は200連続アミノ酸の部分)にわたり、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。複数の実施形態において、L-セレクチンは、NCBI配列参照番号GI:262206315によって識別されるタンパク質、その相同体又は機能的断片である。膜貫通ドメインの非限定例は、CD8α、CD4又はCD3ゼータの膜貫通ドメインを含む。複数の実施形態において、膜貫通ドメインは、CD8α膜貫通ドメイン、CD28膜貫通ドメイン、CD4膜貫通ドメイン又はCD3ゼータ膜貫通ドメインである。複数の実施形態において、膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメインである。
【0134】
本明細書において提供される「CD28膜貫通ドメイン」という用語は、CD28の膜貫通ドメイン、又はCD28の膜貫通ドメイン活性(例えば、CD28膜貫通ドメインと比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%以内の活性)を維持するその変異体若しくは相同体の組換え形態又は天然形態のうちのいずれかを含む。一部の態様において、変異体又は相同体は、天然のCD28膜貫通ドメインポリペプチドと比較して、全配列又は配列の部分(例えば、50、100、150又は200連続アミノ酸の部分)にわたり、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。複数の実施形態において、CD28膜貫通ドメインは、配列番号18又は配列番号2によって識別されるタンパク質、その変異体、相同体又は機能的断片である。複数の実施形態において、CD28は、NCBI配列参照番号GI:340545506によって識別されるタンパク質、その相同体又は機能的断片である。
【0135】
複数の実施形態において、膜貫通ドメインは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号18によって識別されるタンパク質ドメイン、その相同体又は機能的断片である。複数の実施形態において、膜貫通ドメインは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号18によって識別されるタンパク質ドメイン、その相同体又は機能的断片を含む。
【0136】
同様に、本明細書において提供される「CD8α膜貫通ドメイン」という用語は、CD8αの膜貫通ドメイン又はCD8αの膜貫通ドメイン活性(例えば、CD8α膜貫通ドメインと比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%以内の活性)を維持するその変異体若しくは相同体の組換え形態又は天然形態のうちのいずれかを含む。一部の態様において、変異体又は相同体は、天然のCD8α膜貫通ドメインポリペプチドと比較して、全配列又は配列の部分(例えば、50、100、150又は200連続アミノ酸の部分)にわたり、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。
【0137】
本明細書において提供される「CD4膜貫通ドメイン」という用語は、CD4の膜貫通ドメイン又はCD4の膜貫通ドメイン活性(例えば、CD4膜貫通ドメインと比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%以内の活性)を維持するその変異体若しくは相同体の組換え形態又は天然形態のうちのいずれかを含む。一部の態様において、変異体又は相同体は、天然のCD4膜貫通ドメインポリペプチドと比較して、全配列又は配列の部分(例えば、50、100、150又は200連続アミノ酸の部分)にわたり、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。
【0138】
本明細書において提供される「CD3ゼータ膜貫通ドメイン」という用語は、CD3ゼータの膜貫通ドメイン又はCD3ゼータの膜貫通ドメイン活性(例えば、CD3ゼータ膜貫通ドメインと比較して、少なくとも50%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%以内の活性)を維持するその変異体若しくは相同体の組換え形態又は天然形態のうちのいずれかを含む。一部の態様において、変異体又は相同体は、天然のCD3ゼータ膜貫通ドメインポリペプチドと比較して、全配列又は配列の部分(例えば、50、100、150又は200連続アミノ酸の部分)にわたり、少なくとも90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%のアミノ酸配列同一性を有する。
【0139】
複数の実施形態において、組換えタンパク質は、非CDR Fab結合性ペプチドドメインを膜貫通ドメインに接続しているスペーサー領域を含む。複数の実施形態において、スペーサー領域は、膜貫通ドメインと非CDR Fab結合性ペプチドドメインとの間にある。言い換えれば、スペーサー領域は、非CDR Fab結合性ペプチドドメインのC末端に直接的に又は間接的に(例えば、ペプチドリンカーを介して)接続しており、膜貫通ドメインのN末端に直接的に又は間接的に(例えば、別のペプチドリンカーを介して)接続している。こうして、本明細書において提供される組換えタンパク質は、第1のペプチドリンカー及び第2のペプチドリンカーを含むことが可能であり、第1のペプチドリンカーは、非CDR Fab結合性ペプチドドメインのC末端をスペーサー領域のN末端に接続しており、第2のペプチドリンカーは、スペーサー領域のC末端を膜貫通ドメインのN末端に接続している。
【0140】
本明細書において提供される「スペーサー領域」は、非CDR Fab結合性ペプチドドメインを、膜貫通ドメインと接続するポリペプチドである。複数の実施形態において、非CDR Fab結合性ペプチドドメインの、抗原結合性ドメイン(例えば、Fab)に対する結合アフィニティーは、スペーサー領域の非存在と比較して増大している。複数の実施形態において、非CDR Fab結合性ペプチドドメインと抗原結合性ドメイン(例えば、Fab)との間の立体障害は、スペーサー領域の存在下において減殺される。
【0141】
複数の実施形態において、スペーサー領域は、Fc領域を含む。本明細書において提供される組成物及び方法のために想定されたスペーサー領域の例は、限定せずに述べると、免疫グロブリン分子又はこれらの断片(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)及びFc受容体への結合に影響を及ぼす突然変異を含む、免疫グロブリン分子又はこれらの断片(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)を含む。複数の実施形態において、スペーサー領域は、IgG(例えば、IgG4)の断片であり、この場合、前記断片は、CH2ドメインの欠失を含む。複数の実施形態において、スペーサー領域は、IgG(例えば、IgG4)の断片であり、この場合、前記断片は、CH3領域を含む。複数の実施形態において、スペーサー領域は、CH3領域である。複数の実施形態において、スペーサー領域は、CH3領域を含む。複数の実施形態において、スペーサー領域は、CH2領域である。複数の実施形態において、スペーサー領域は、CH2領域を含む。スペーサー領域は、ペプチドリンカーでありうる。複数の実施形態において、スペーサー領域は、セリン-グリシンリンカーである。複数の実施形態において、スペーサー領域は、配列GGSGを有する。複数の実施形態において、スペーサー領域は、配列GGSGを含む。複数の実施形態において、スペーサー領域は、配列GSGSGSGS(配列番号24)を有する。複数の実施形態において、スペーサー領域は、配列GSGSGSGS(配列番号24)を含む。複数の実施形態において、スペーサー領域は、少なくとも4アミノ酸の長さである。複数の実施形態において、スペーサー領域は、約4アミノ酸の長さである。複数の実施形態において、スペーサー領域は、4~250アミノ酸の間の長さである。スペーサー領域は、本明細書において提供されるタンパク質のインビボにおける(例えば、血漿中)半減期を延長することが可能な残基を含みうる。複数の実施形態において、スペーサー領域は、10アミノ酸の長さである。複数の実施形態において、スペーサー領域は、229アミノ酸の長さである。複数の実施形態において、スペーサー領域は、GGGSSGGGSG(配列番号31)である。複数の実施形態において、スペーサー領域は、配列GGGSSGGGSG(配列番号31)を含む。スペーサー領域は、「PAS化」されうる。「PAS化された」又は「PAS化」という用語は、その一般的な意味において使用され、それらのプロリン、アラニン及びセリンの高含量に起因して、高度に可溶性の生物学的ポリマーを形成するアミノ酸配列を指す。したがって、複数の実施形態において、スペーサー領域は、組み合わされた約200のプロリン残基、アラニン残基及びセリン残基を含む。複数の実施形態において、スペーサー領域は、組み合わされた、約10~約200の、プロリン残基、アラニン残基及びセリン残基を含む。複数の実施形態において、スペーサー領域は、親水性残基を含む。複数の実施形態において、組換えタンパク質は、スペーサー領域を含まない。
【0142】
複数の実施形態において、スペーサー領域は、配列番号33の配列を含む。複数の実施形態において、スペーサー領域は、配列番号33の配列を有する。
【0143】
複数の実施形態において、組換えタンパク質は、非CDR Fab結合性ペプチドドメインをスペーサー領域に接続しているペプチドリンカーを含む。複数の実施形態において、ペプチドリンカーは、非CDR Fab結合性ペプチドドメインとスペーサー領域との間にある。言い換えれば、ペプチドリンカーは、非CDR Fab結合性ペプチドドメインのC末端に直接的に又は間接的に(例えば、ペプチドリンカーを介して)接続しており、スペーサー領域のN末端に直接的に又は間接的に(例えば、別のペプチドリンカーを介して)接続している。本明細書において提供されるペプチドリンカー(例えば、第1のペプチドリンカー又は第2のペプチドリンカー)は、5~50アミノ酸の長さでありうる。複数の実施形態において、ペプチドリンカー(例えば、第1のペプチドリンカー又は第2のペプチドリンカー)は、5~45アミノ酸の長さである。複数の実施形態において、ペプチドリンカー(例えば、第1のペプチドリンカー又は第2のペプチドリンカー)は、5~40アミノ酸の長さである。複数の実施形態において、ペプチドリンカー(例えば、第1のペプチドリンカー又は第2のペプチドリンカー)は、5~35アミノ酸の長さである。複数の実施形態において、ペプチドリンカー(例えば、第1のペプチドリンカー又は第2のペプチドリンカー)は、5~30アミノ酸の長さである。複数の実施形態において、ペプチドリンカー(例えば、第1のペプチドリンカー又は第2のペプチドリンカー)は、5~25アミノ酸の長さである。複数の実施形態において、ペプチドリンカー(例えば、第1のペプチドリンカー又は第2のペプチドリンカー)は、5~20アミノ酸の長さである。複数の実施形態において、ペプチドリンカー(例えば、第1のペプチドリンカー又は第2のペプチドリンカー)は、5~15アミノ酸の長さである。複数の実施形態において、ペプチドリンカー(例えば、第1のペプチドリンカー又は第2のペプチドリンカー)は、5~10アミノ酸の長さである。複数の実施形態において、ペプチドリンカー(例えば、第1のペプチドリンカー又は第2のペプチドリンカー)は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50アミノ酸の長さである。複数の実施形態において、ペプチドリンカー(例えば、第1のペプチドリンカー又は第2のペプチドリンカー)は、18アミノ酸の長さである。複数の実施形態において、ペプチドリンカーは、配列番号25の配列を有する。複数の実施形態において、ペプチドリンカーは、配列番号25の配列を含む。複数の実施形態において、ペプチドリンカーは、配列SAPASSASAPSAASAPAG(配列番号26)である。
【0144】
複数の実施形態において、ペプチドリンカーは、第1のペプチドリンカーであり、組換えタンパク質は、第2のペプチドリンカーを含み、第2のペプチドリンカーは、スペーサー領域を膜貫通ドメインと接続する。したがって、複数の実施形態において、第2のペプチドリンカーは、スペーサー領域と膜貫通ドメインとの間にある。言い換えれば、第1のペプチドリンカーは、非CDR Fab結合性ペプチドドメインのC末端に接続しており、スペーサー領域のN末端に接続しており;第2のペプチドリンカーは、スペーサー領域のC末端に接続し、膜貫通ドメインのN末端に接続している。
【0145】
複数の実施形態において、本明細書において提供される組換えタンパク質は、膜貫通ドメインを細胞内T細胞シグナル伝達ドメインに接続している細胞内共刺激シグナル伝達ドメインを含む。複数の実施形態において、細胞内共刺激シグナル伝達ドメインは、膜貫通ドメインと細胞内T細胞シグナル伝達ドメインとの間にある。言い換えれば、細胞内共刺激シグナル伝達ドメインは、膜貫通ドメインのC末端に直接的に又は間接的に(例えば、ペプチドリンカーを介して)接続しており、細胞内T細胞シグナル伝達ドメインのN末端に直接的に又は間接的に(例えば、別のペプチドリンカーを介して)接続している。
【0146】
本明細書において提供される「細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン」とは、抗原の、その実施形態を含む本明細書において提供される抗体領域への結合に応答して、共刺激シグナル伝達をもたらすことが可能なアミノ酸配列を含む。複数の実施形態において、共刺激シグナル伝達ドメインのシグナル伝達は、サイトカインの産生及びサイトカインを発現させるT細胞の増殖をもたらす。複数の実施形態において、細胞内共刺激シグナル伝達ドメインは、CD28細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン、4-1BB細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン、ICOS細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン又はOX-40細胞内共刺激シグナル伝達ドメインである。複数の実施形態において、細胞内共刺激シグナル伝達ドメインは、CD28細胞内共刺激シグナル伝達ドメインを含む。複数の実施形態において、細胞内共刺激シグナル伝達ドメインは、CD28細胞内共刺激シグナル伝達ドメインである。複数の実施形態において、細胞内共刺激シグナル伝達ドメインは、4-1BB細胞内共刺激シグナル伝達ドメインを含む。複数の実施形態において、細胞内共刺激シグナル伝達ドメインは、4-1BB細胞内共刺激シグナル伝達ドメインである。複数の実施形態において、細胞内共刺激シグナル伝達ドメインは、CD28細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン、4-1BB細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン、ICOS細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン、OX-40細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン又はこれらの任意の組合せである。
【0147】
配列及び受託番号を含む、例示的な細胞内共刺激シグナル伝達ドメインは、表2に列挙される。複数の実施形態において、細胞内共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15又は配列番号16によって識別されるタンパク質を含む。複数の実施形態において、細胞内共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15又は配列番号16である。複数の実施形態において、細胞内共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号13である。複数の実施形態において、細胞内共刺激シグナル伝達ドメインは、配列番号14である。
【0148】
複数の実施形態において、組換えタンパク質は、細胞内T細胞シグナル伝達ドメインのC末端に結合している検出用ドメインを含む。複数の実施形態において、検出用ドメインは、切断型CD19(CD19t)ドメインである。「CD19t」という用語は、細胞内シグナル伝達能を欠く、切断型CD19タンパク質を指す。本明細書において使用される、切断型CD19は、本明細書において提供される組換えタンパク質を含むT細胞を同定する検出用ドメインとして機能する、不活性分子である。複数の実施形態において、検出用ドメインは、配列番号22の配列を含む。複数の実施形態において、検出用ドメインは、配列番号22の配列である。
【0149】
複数の実施形態において、組換えタンパク質は、細胞内T細胞シグナル伝達ドメインを検出用ドメインに接続している自己切断性ペプチジル配列を含む。複数の実施形態において、自己切断性ペプチジルリンカー配列は、T2A配列又は2A配列である。複数の実施形態において、自己切断性ペプチジル配列は、細胞内T細胞シグナル伝達ドメインと検出用ドメインとの間にある。言い換えれば、自己切断性ペプチジル配列は、細胞内T細胞シグナル伝達ドメインのC末端に直接的に又は間接的に(例えば、ペプチドリンカーを介して)接続しており、検出用ドメインのN末端に直接的に又は間接的に(例えば、別のペプチドリンカーを介して)接続している。
【0150】
複数の実施形態において、自己切断性ペプチジルリンカーは、配列PVKQLLNFDLLKLAGDVESNPGP(配列番号27)を有する。複数の実施形態において、自己切断性ペプチジルリンカーは、A型ウマ鼻炎ウイルスの配列を有する。複数の実施形態において、自己切断性ペプチジルリンカーは、配列QCTNYALLKLAGDVESNPGP(配列番号28)を有する。複数の実施形態において、自己切断性ペプチジルは、1型ブタテッショウウイルスの配列を有する。複数の実施形態において、自己切断性ペプチジルは、配列ATNFSLLKQAGDVEENPGP(配列番号29)を有する。複数の実施形態において、自己切断性ペプチジルリンカーは、トセア・アシグナ(Tosea asigna)ウイルスの配列を有する。複数の実施形態において、自己切断性ペプチジルリンカーは、配列EGRGSLLTCGDVESNPGP(配列番号30)を有する。複数の実施形態において、自己切断性ペプチジルリンカーは、配列番号21の配列を有する。複数の実施形態において、自己切断性ペプチジルリンカーは、配列番号21の配列である。
【0151】
複数の実施形態において、組換えタンパク質は、細胞の一部を形成する。複数の実施形態において、組換えタンパク質は、T細胞の一部を形成する。複数の実施形態において、膜貫通ドメインは、T細胞の細胞膜の一部を形成する。
【0152】
上記において記載した通り、本明細書において提供される組換えタンパク質は、抗原結合性ドメインに結合しうる。その実施形態を含む本明細書において提供される組換えタンパク質のエレメント(例えば、非CDR Fab結合性ペプチドドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン、細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン)が、互いに共有結合によって結合し、これにより、連続的な単鎖ポリペプチドを形成するのに対し、組換えタンパク質は、抗原結合性ドメインに非共有結合によって結合する。複数の実施形態において、非CDR Fab結合性ペプチドドメインは、抗原結合性ドメインに結合している。複数の実施形態において、非CDR Fab結合性ペプチドドメインは、抗原結合性ドメインに非共有結合によって結合している。
【0153】
上記において記載した通り、抗原結合性ドメインは、Fab、IgG又は二特異性抗体でありうる。複数の実施形態において、抗原結合性ドメインは、セツキシマブメディトープ対応ドメイン、トラスツズマブメディトープ対応ドメイン、ペルツズマブメディトープ対応ドメイン、M5Aメディトープ対応ドメイン又はリツキシマブメディトープ対応ドメインである。複数の実施形態において、抗原結合性ドメインは、がん抗原に結合することが可能である。複数の実施形態において、抗原結合性ドメインは、がん抗原に結合することが可能である。複数の実施形態において、抗原結合性ドメインは、がん抗原に非共有結合によって結合することが可能である。複数の実施形態において、がん抗原は、Her2、EGFR、CD19又はCD20である。複数の実施形態において、がん抗原は、細胞の一部を形成する。複数の実施形態において、がん抗原は、細胞の表面上において発現される。複数の実施形態において、細胞は、がん細胞である。複数の実施形態において、がんは、卵巣がん、腎細胞癌、B細胞悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、乳がん、結腸直腸がん、前立腺がん、神経芽細胞腫、黒色腫、髄芽腫、肺がん、骨肉腫、神経膠芽腫又は神経膠腫である。
【0154】
本明細書において提供される組成物は、複数(すなわち、1つを超える、少なくとも2つ)の、その実施形態を含む本明細書において提供される組換えタンパク質を含みうる。組成物が、1つを超える、その実施形態を含む本明細書において提供される組換えタンパク質を含む場合、組換えタンパク質は、本明細書において、第1、第2、第3、第4などの組換えタンパク質と称される。したがって、前記第1、第2、第3、第4などの組換えタンパク質の部分を形成するエレメントは、本明細書において、それぞれ、第1、第2、第3若しくは第4の非CDR Fab結合性ペプチドドメイン、第1、第2、第3若しくは第4の細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン、第1、第2、第3若しくは第4の膜貫通ドメイン、第1、第2、第3若しくは第4のスペーサー領域又は第1、第2、第3若しくは第4の細胞内共刺激シグナル伝達ドメインと称される。組成物が、複数の、その実施形態を含む本明細書において提供される組換えタンパク質を含む場合、組換えタンパク質は、異なる場合もあり、同じ場合もある。言い換えれば、組換えタンパク質は、同じドメイン又は異なるドメイン(例えば、非CDR Fab結合性ペプチドドメイン、細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン、膜貫通ドメイン、スペーサー領域、細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン)を含む場合もあり、同じ抗原結合性ドメイン又は異なる抗原結合性ドメインに結合することが可能な場合もある。
【0155】
本明細書において提供される組成物が、複数の、本明細書において提供される組換えタンパク質を含む場合、組換えタンパク質は、それらのそれぞれのスペーサー領域の非共有結合による結合を介して、互いと二量体化しうる。例えば、第1の組換えタンパク質は、第2の組換えタンパク質の第2のCH3ドメインに非共有結合によって結合する第1のCH3ドメインを含みうる。したがって、複数の実施形態において、組換えタンパク質は、第1の組換えタンパク質であり、非CDR Fab結合性ペプチドドメインは、第1の非CDR Fab結合性ペプチドドメインであり、細胞内T細胞シグナル伝達ドメインは、第1の細胞内T細胞シグナル伝達ドメインであり、膜貫通ドメインは、第1の膜貫通ドメインであり、スペーサー領域は、第1のスペーサー領域であり、細胞内共刺激シグナル伝達ドメインは、第1の細胞内共刺激シグナル伝達ドメインである。
【0156】
複数の実施形態において、第1の組換えタンパク質は、第2の組換えタンパク質に非共有結合によって結合しており、第2の組換えタンパク質は、(i)第2の非CDR Fab結合性ペプチドドメイン;(ii)第2の細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン;(iii)第2の非CDR Fab結合性ペプチドドメインを第2の細胞内T細胞シグナル伝達ドメインに接続している第2の膜貫通ドメイン;及び(iv)第2の非CDR Fab結合性ペプチドドメインを第2の膜貫通ドメインに接続しており、第1のスペーサー領域が非共有結合によって結合している、第2のスペーサー領域を含む。複数の実施形態において、第1のスペーサー領域及び第2のスペーサー領域は、第1の重鎖定常3(CH3)ドメイン及び第2の重鎖定常3(CH3)ドメインである。
【0157】
複数の実施形態において、第1の非CDR Fab結合性ペプチドドメイン及び第2の非CDR Fab結合性ペプチドドメインは、化学的に異なる。複数の実施形態において、第1の非CDR Fab結合性ペプチドドメイン及び第2の非CDR Fab結合性ペプチドドメインは、化学的に同じである。
【0158】
複数の実施形態において、第1の非CDR Fab結合性ペプチドドメインは、第1の抗原結合性ドメインに非共有結合によって結合している。複数の実施形態において、第2の非CDR Fab結合性ペプチドドメインは、第2の抗原結合性ドメインに非共有結合によって結合している。複数の実施形態において、第1の抗原結合性ドメイン及び第2の抗原結合性ドメインは、化学的に異なる、又は化学的に同じである。複数の実施形態において、第1の抗原結合性ドメイン及び第2の抗原結合性ドメインは、独立に、セツキシマブメディトープ対応ドメイン、トラスツズマブメディトープ対応ドメイン、ペルツズマブメディトープ対応ドメイン、M5Aメディトープ対応ドメイン又はリツキシマブメディトープ対応ドメインである。
【0159】
一実施形態において、組換えタンパク質は、配列番号32の非CDR Fab結合性ペプチドドメイン、配列番号33のスペーサー領域、配列番号18のCD28膜貫通ドメイン、配列番号13のCD28細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン、配列番号34のCD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン、配列番号21の自己切断性ペプチジルリンカー配列及び配列番号22の検出用ドメインを含む。
【0160】
一実施形態において、組換えタンパク質は、配列番号32の非CDR Fab結合性ペプチドドメイン、配列番号33のスペーサー領域、配列番号18のCD28膜貫通ドメイン、配列番号14の4-1BB細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン、配列番号34のCD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン、配列番号21の自己切断性ペプチジルリンカー配列及び配列番号22の検出用ドメインを含む。
【0161】
一実施形態において、組換えタンパク質は、配列番号32の非CDR Fab結合性ペプチドドメイン、配列番号33のスペーサー領域、配列番号18のCD28膜貫通ドメイン、配列番号13のCD28細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン及び配列番号34のCD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達ドメインを含む。
【0162】
一実施形態において、組換えタンパク質は、配列番号32の非CDR Fab結合性ペプチドドメイン、配列番号33のスペーサー領域、配列番号18のCD28膜貫通ドメイン、配列番号14の4-1BB細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン及び配列番号34のCD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達ドメインを含む。
【0163】
一実施形態において、組換えタンパク質は、配列番号32の非CDR Fab結合性ペプチドドメイン、配列番号25のペプチドリンカー、配列番号33のスペーサー領域、配列番号18のCD28膜貫通ドメイン、配列番号13のCD28細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン、配列番号34のCD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン、配列番号21の自己切断性ペプチジルリンカー配列及び配列番号22の検出用ドメインを含む。
【0164】
一実施形態において、組換えタンパク質は、配列番号32の非CDR Fab結合性ペプチドドメイン、配列番号25のペプチドリンカー、配列番号33のスペーサー領域、配列番号18のCD28膜貫通ドメイン、配列番号14の4-1BB細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン、配列番号34のCD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン、配列番号21の自己切断性ペプチジルリンカー配列及び配列番号22の検出用ドメインを含む。
【0165】
複数の実施形態において、組換えタンパク質は、配列番号37のシグナルペプチドを含む。複数の実施形態において、シグナルペプチドは、非CDR Fab結合性ペプチドドメインのN末端に結合している。
【0166】
一実施形態において、組換えタンパク質は、配列番号32の非CDR Fab結合性ペプチドドメイン、配列番号25のペプチドリンカー、配列番号33のスペーサー領域、配列番号18のCD28膜貫通ドメイン、配列番号13のCD28細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン及び配列番号34のCD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達ドメインを含む。
【0167】
一実施形態において、組換えタンパク質は、配列番号32の非CDR Fab結合性ペプチドドメイン、配列番号25のペプチドリンカー、配列番号33のスペーサー領域、配列番号18のCD28膜貫通ドメイン、配列番号14の4-1BB細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン及び配列番号34のCD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達ドメインを含む。
【0168】
一実施形態において、組換えタンパク質は、配列番号35の配列を含む。一実施形態において、組換えタンパク質は、配列番号35の配列である。一実施形態において、組換えタンパク質は、配列番号36の配列を含む。一実施形態において、組換えタンパク質は、配列番号36の配列である。
【0169】
複数の実施形態において、組換えタンパク質は、N末端からC末端に、非CDR Fab結合性ペプチドドメイン、スペーサー領域、CD28膜貫通ドメイン、CD28細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン、CD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン、自己切断性ペプチジルリンカー配列及び検出用ドメインを含む。
【0170】
複数の実施形態において、組換えタンパク質は、N末端からC末端に、非CDR Fab結合性ペプチドドメイン、スペーサー領域、CD28膜貫通ドメイン、4-1BB細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン、CD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン、自己切断性ペプチジルリンカー配列及び検出用ドメインを含む。
【0171】
複数の実施形態において、組換えタンパク質は、N末端からC末端に、非CDR Fab結合性ペプチドドメイン、スペーサー領域、CD28膜貫通ドメイン、CD28細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン及びCD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達ドメインを含む。
【0172】
複数の実施形態において、組換えタンパク質は、N末端からC末端に、非CDR Fab結合性ペプチドドメイン、スペーサー領域、CD28膜貫通ドメイン、4-1BB細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン及びCD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達ドメインを含む。
【0173】
複数の実施形態において、組換えタンパク質は、N末端からC末端に、非CDR Fab結合性ペプチドドメイン、ペプチドリンカー、スペーサー領域、CD28膜貫通ドメイン、CD28細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン、CD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン、自己切断性ペプチジルリンカー配列及び検出用ドメインを含む。
【0174】
複数の実施形態において、組換えタンパク質は、N末端からC末端に、非CDR Fab結合性ペプチドドメイン、ペプチドリンカー、スペーサー領域、CD28膜貫通ドメイン、4-1BB細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン、CD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン、自己切断性ペプチジルリンカー配列及び検出用ドメインを含む。
【0175】
複数の実施形態において、組換えタンパク質は、N末端からC末端に、非CDR Fab結合性ペプチドドメイン、ペプチドリンカー、スペーサー領域、CD28膜貫通ドメイン、CD28細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン及びCD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達ドメインを含む。
【0176】
複数の実施形態において、組換えタンパク質は、N末端からC末端に、非CDR Fab結合性ペプチドドメイン、ペプチドリンカー、スペーサー領域、CD28膜貫通ドメイン、4-1BB細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン及びCD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達ドメインを含む。
【0177】
核酸組成物
本明細書において、その実施形態を含む本明細書において提供される組換えタンパク質をコードする核酸が提示される。したがって、一態様において、その実施形態を含む本明細書において提供される組換えタンパク質をコードする核酸が提示される。別の態様において、その実施形態を含む本明細書において提供される核酸を含む発現ベクターが提示される。複数の実施形態において、発現ベクターは、レンチウイルス又はオンコレトロウイルスである。複数の実施形態において、発現ベクターは、レンチウイルスである。複数の実施形態において、発現ベクターは、オンコレトロウイルスである。
【0178】
細胞組成物
本明細書において提供される組換えタンパク質及び核酸は、細胞の一部を形成しうる(すなわち、細胞に含まれ、かつ/又は発現される)。したがって、ある態様において、その実施形態を含む本明細書において提供される発現ベクターを含むTリンパ球が提供される。
【0179】
別の態様において、その実施形態を含む本明細書において提供される組換えタンパク質を含むTリンパ球が提供される。本明細書において提供される組換えタンパク質の一部は、それが発現される細胞の細胞膜の一部を形成しうる。膜貫通ドメインは、例えば、T細胞の、膜の一方の側から膜の他方の側に、細胞膜にわたることが可能である。複数の実施形態において、膜貫通ドメインは、細胞膜の細胞内側から細胞外側にわたる。したがって、非CDR Fab結合性ペプチドドメイン及びスペーサー領域が、細胞膜の細胞外側に配置されるのに対し、細胞内T細胞シグナル伝達ドメインは、細胞の細胞内側に配置される。複数の実施形態において、膜貫通ドメインは、Tリンパ球の細胞膜内にある。複数の実施形態において、Tリンパ球は、自家Tリンパ球である。複数の実施形態において、Tリンパ球は、異種Tリンパ球である。
【0180】
したがって、複数の実施形態において、非CDR Fab結合性ペプチドドメインは、抗原結合性ドメインに結合している。複数の実施形態において、抗原結合性ドメインは、Fab、IgG又は二特異性抗体である。複数の実施形態において、抗原結合性ドメインは、がん抗原に結合している。
【0181】
抗原結合性ドメインは、第1のFabドメイン及び第2のFabドメインを含む抗体であることが可能であり、組換えタンパク質は、第1のFabドメインの非CDR結合性部位に結合することが可能であり、第2のFabドメインは、がん抗原に結合しうる。複数の実施形態において、組換えタンパク質は、第1のFabドメインの非CDR結合性部位に結合し、第1のFabドメインは、がん抗原に結合する。複数の実施形態において、組換えタンパク質は、第1のFabドメインの非CDR結合性部位に結合し、第1のFabドメインは、第1のがん抗原に結合し、第2のFabドメインは、第2のがん抗原に結合する。複数の実施形態において、第1の組換えタンパク質は、第1のFabドメインの非CDR結合性部位に結合し、第2の組換えタンパク質は、第2のFabドメインの非CDR結合性部位に結合する。さらなる実施形態において、第1のFabドメインは、第1のがん抗原に結合し、第2のFabドメインは、第2のがん抗原に結合する。
【0182】
複数の実施形態において、がん抗原は、Her2、EGFR、CD19又はCD20である。複数の実施形態において、抗原結合性ドメインは、がん抗原結合性ドメインである。複数の実施形態において、抗原結合性ドメインは、セツキシマブメディトープ対応ドメイン、トラスツズマブメディトープ対応ドメイン、ペルツズマブメディトープ対応ドメイン、M5Aメディトープ対応ドメイン又はリツキシマブメディトープ対応ドメインである。
【0183】
処置法
その実施形態を含む本明細書において提供される組成物は、とりわけ、がんなどの疾患に効果的な処置をもたらすのに有用である。したがって、ある態様において、がんを処置する方法が提供される。方法は、それを必要とする対象に、有効量の、その実施形態を含む本明細書において提供されるTリンパ球及び有効量の、非CDR Fab結合性ペプチドドメインに結合することが可能な抗原結合性ドメインを投与するステップを含み、抗原結合性ドメインは、がん抗原結合性ドメインである。
【0184】
複数の実施形態において、Tリンパ球及び抗原結合性ドメインは、同時に又は逐次的に投与される。複数の実施形態において、Tリンパ球及び抗原結合性ドメインは、同時に投与される。
【0185】
Tリンパ球及び抗原結合性ドメインは、共時的に(例えば、混合物として)、個別であるが同時に(例えば、個別の静脈ラインを介して)又は逐次的に(例えば、1つの薬剤が、まず投与されるのに続き、第2の薬剤の投与がなされる)、組み合わせて投与されうる。したがって、「組合せ」という用語は、Tリンパ球及び抗原結合性ドメインの、共時的投与、同時的投与又は逐次的投与を指すのに使用される。Tリンパ球及び抗原結合性ドメインが、逐次的に投与される実施形態において、Tリンパ球は第1の時点で投与され、抗原結合性ドメインは第2の時点で投与され、第1の時点は第2の時点に先行する。処置のコースは、対象の特定の特徴及び選択された処置種類に応じる、個体ベースにおいて、最も良く決定される。本明細書において開示された処置などの処置は、毎日、1日2回、隔週、毎月又は、治療的に有効である、任意の適用可能なベースにおいて、対象に投与されうる。処置は、単独において、又は本明細書において開示された、又は当技術分野において公知である、他の任意の処置と組み合わせて投与されうる。さらなる処置は、第1の処置と同時に投与される場合もあり、異なる時点で投与される場合もあり、全く異なる治療スケジュール(例えば、第1の処置は、毎日の処置でありうるのに対し、さらなる処置は、毎週の処置である)により投与される場合もある。したがって、複数の実施形態において、Tリンパ球及び抗原結合性ドメインは、同時に又は逐次的に投与される。
【0186】
複数の実施形態において、Tリンパ球は第1の時点で投与され、抗原結合性ドメインは第2の時点で投与され、第1の時点は第2の時点に先行する。複数の実施形態において、第2の時点は、第1の時点から約120、90、60、50、40、30、20、19、18、17、16、15、14、13、12、10、11、9、8、7、6、5、4、3、2又は1日未満以内である。複数の実施形態において、第2の時点は、第1の時点から約120日未満以内である。複数の実施形態において、第2の時点は、第1の時点から約90日未満以内である。複数の実施形態において、第2の時点は、第1の時点から約60日未満以内である。複数の実施形態において、第2の時点は、第1の時点から約50日未満以内である。複数の実施形態において、第2の時点は、第1の時点から約40日未満以内である。複数の実施形態において、第2の時点は、第1の時点から約30日未満以内である。複数の実施形態において、第2の時点は、第1の時点から約20日未満以内である。
【0187】
複数の実施形態において、抗原結合性ドメインは第1の時点で投与され、Tリンパ球は第2の時点で投与され、第1の時点は第2の時点に先行する。複数の実施形態において、第2の時点は、第1の時点から約120、90、60、50、40、30、20、19、18、17、16、15、14、13、12、10、11、9、8、7、6、5、4、3、2又は1日未満以内である。複数の実施形態において、第2の時点は、第1の時点から約120日未満以内である。複数の実施形態において、第2の時点は、第1の時点から約90日未満以内である。複数の実施形態において、第2の時点は、第1の時点から約60日未満以内である。複数の実施形態において、第2の時点は、第1の時点から約50日未満以内である。複数の実施形態において、第2の時点は、第1の時点から約40日未満以内である。複数の実施形態において、第2の時点は、第1の時点から約30日未満以内である。複数の実施形態において、第2の時点は、第1の時点から約20日未満以内である。
【0188】
複数の実施形態において、Tリンパ球及び抗原結合性ドメインは、投与する前に混合される。複数の実施形態において、方法は、(i)投与する前に、インビトロで非CDR Fab結合性ペプチドドメインを抗原結合性ドメインに結合させ、これによりTリンパ球-組換えタンパク質複合体を形成するステップ;及び(ii)Tリンパ球-組換えタンパク質複合体を対象に投与し、これにより対象におけるがんを処置するステップを含む。
【0189】
複数の実施形態において、Tリンパ球及び抗原結合性ドメインは、逐次的に投与される。複数の実施形態において、Tリンパ球は第1の時点で投与され、前記抗原結合性ドメインは第2の時点で投与され、第1の時点は第2の時点に先行する。複数の実施形態において、抗原結合性ドメインは第1の時点で投与され、前記Tリンパ球は第2の時点で投与され、第1の時点は第2の時点に先行する。
【0190】
複数の実施形態において、がんは、卵巣がん、腎細胞癌、B細胞悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、乳がん、結腸直腸がん、前立腺がん、神経芽細胞腫、黒色腫、髄芽腫、肺がん、骨肉腫、神経膠芽腫又は神経膠腫である。複数の実施形態において、抗原結合性ドメインは、セツキシマブメディトープ対応ドメイン、トラスツズマブメディトープ対応ドメイン、ペルツズマブメディトープ対応ドメイン、M5Aメディトープ対応ドメイン又はリツキシマブメディトープ対応ドメインである。
【0191】
本明細書において使用される、「がん」という用語は、哺乳動物において見出された、がん、新生物又は悪性腫瘍の全ての種類であって、白血病、リンパ腫、黒色腫、神経内分泌腫瘍、癌腫及び肉腫を含む、全ての種類を指す。本明細書において提供される化合物、医薬組成物又は方法により処置されうる、例示的ながんは、リンパ腫、肉腫、膀胱がん、骨がん、脳腫瘍、子宮頸がん、結腸がん、食道がん、胃(gastric)がん、頭頸部がん、腎臓がん、骨髄腫、甲状腺がん、白血病、前立腺がん、乳がん(例えば、トリプルネガティブ乳がん、ER陽性乳がん、ER陰性乳がん、化学療法耐性乳がん、ハーセプチン耐性乳がん、HER2陽性乳がん、ドキソルビシン耐性乳がん、タモキシフェン耐性乳がん、卵管癌、小葉癌、原発性乳がん、転移性乳がん)、卵巣がん、膵臓がん、肝臓がん(例えば、肝細胞癌)、肺がん(例えば、非小細胞肺癌、扁平上皮肺癌、腺癌、大細胞肺癌、小細胞肺癌、カルチノイド、肉腫)、多形性神経膠芽腫、神経膠腫、黒色腫、前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がん、乳がん、トリプルネガティブ乳がん、神経膠芽腫、卵巣がん、肺がん、扁平上皮がん(例えば、頭部、頸部又は食道)、結腸直腸がん、白血病、急性骨髄性白血病、リンパ腫、B細胞リンパ腫又は多発性骨髄腫を含む。さらなる例は、甲状腺がん、内分泌系がん、脳がん、乳がん、子宮頸がん、結腸がん、頭頸部がん、食道がん、肝臓がん、腎臓がん、肺がん、非小細胞肺がん、黒色腫、中皮腫、卵巣がん、肉腫、胃(stomach)がん、子宮がん又は髄芽腫、ホジキン疾患、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、多形性神経膠芽腫、卵巣がん、横紋筋肉腫、原発性血小板減少症、原発性マクログロブリン血症、原発性脳腫瘍、がん、悪性膵島細胞腫、悪性カルチノイド、膀胱がん、前悪性皮膚病変、精巣がん、リンパ腫、甲状腺がん、神経芽細胞腫、食道がん、尿生殖路がん、悪性高カルシウム血症、子宮内膜がん、副腎皮質がん、膵内分泌腺又は膵外分泌腺の新生物、甲状腺髄様がん、甲状腺髄様癌、黒色腫、結腸直腸がん、甲状腺乳頭がん、肝細胞癌、乳首のパジェット病、葉状腫瘍、小葉癌、乳管癌、膵星細胞がん、肝星細胞がん又は前立腺がんを含む。
【0192】
「白血病」という用語は、広く、造血器の進行性の悪性疾患を指し、一般に、血液中及び骨髄中の、白血球及びそれらの前駆体の、異常な増殖及び発生により特徴付けられる。白血病は、一般に、(1)疾患の持続時間及び特徴(急性又は慢性);(2)関与する細胞の種類;骨髄性(myeloid(myelogenous))、リンパ性(lymphoid(lymphogenous))又は単球;並びに(3)血中の異常細胞の数の増大又は非増大(白血性又は非白血性(亜白血性)に基づき、臨床的に分類される。本明細書において提供される化合物、医薬組成物又は方法により処置されうる、例示的な白血病は、例えば、急性非リンパ球性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性顆粒球性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性前骨髄球性白血病、成人T細胞白血病、非白血性白血病、白血性白血病、好塩基球性白血病、芽球性白血病、ウシ白血病、慢性骨髄球性白血病、皮膚白血病、胎児性白血病、好酸球性白血病、グロス白血病、有毛細胞白血病、血芽球性白血病、血球母細胞性白血病、組織球性白血病、幹細胞性白血病、急性単球性白血病、白血球減少性白血病、リンパ性(lymphatic)白血病、リンパ芽球性白血病、リンパ球性白血病、リンパ性(lymphogenous)白血病、リンパ性(lymphoid)白血病、リンパ肉腫細胞性白血病、マスト細胞性白血病、巨核球性白血病、小骨髄芽球性白血病、単球性白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄球性白血病、骨髄顆粒球性白血病、骨髄単球性白血病、ネーゲリ型白血病、形質細胞(plasma cell)性白血病、多発性骨髄腫、形質細胞性(plasmacytic)白血病、前骨髄球性白血病、リーダー細胞性白血病、シリング白血病、幹細胞性白血病、亜白血性白血病又は未分化細胞性白血病を含む。
【0193】
「肉腫」という用語は、一般に、胎児性結合組織様物質から構成された腫瘍を指し、一般に、小線維状物質中又は均質物質中に埋め込まれた、緊密に詰まった細胞から構成される。本明細書において提供される化合物、医薬組成物又は方法により処置されうる肉腫は、軟骨肉腫、線維肉腫、リンパ肉腫、黒色肉腫、粘液肉腫、骨肉腫、アバーネシー肉腫、脂肪肉腫(adipose sarcoma、liposarcoma)、胞巣状軟部肉腫、エナメル上皮線維肉腫、ブドウ状肉腫、緑色腫、絨毛癌、胎児性肉腫、ウィルムス腫瘍、子宮内膜肉腫、間質肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、線維芽細胞肉腫、巨細胞肉腫、顆粒球性肉腫、ホジキン肉腫、特発性多発性色素性出血性肉腫、B細胞免疫芽球性肉腫、リンパ腫、T細胞免疫芽球性肉腫、イエンセン肉腫、カポジ肉腫、クッパー細胞肉腫、血管肉腫、白血肉腫、悪性間葉腫、傍骨性肉腫、網状赤血球肉腫、ラウス肉腫、漿液嚢胞性肉腫、滑膜肉腫又は毛細管拡張性肉腫を含む。
【0194】
「黒色腫」という用語は、皮膚及び他の器官の色素細胞性系から生じる腫瘍を意味するように理解される。本明細書において提供される化合物、医薬組成物又は方法により処置されうる黒色腫は、例えば、末端性黒子性黒色腫、無色素性黒色腫、良性若年性黒色腫、クラウドマン黒色腫、S91黒色腫、ハーディング-パッセー黒色腫、若年性黒色腫、悪性黒子型黒色腫、悪性黒色腫、結節型黒色腫、爪下黒色腫又は表在拡大型黒色腫を含む。
【0195】
「癌腫」という用語は、周囲組織に浸潤し、転移をもたらす傾向がある、上皮細胞から構成された、悪性の新たな増殖を指す。本明細書において提供される化合物、医薬組成物又は方法により処置されうる、例示的な癌腫は、例えば、甲状腺髄様癌、家族性甲状腺髄様癌、腺房癌、腺房細胞癌、腺嚢癌、腺様嚢胞癌、腺腫内癌、副腎皮質癌、肺胞上皮癌、肺胞上皮細胞癌、基底細胞癌(basal cell carcinoma、carcinoma basocellulare)、類基底細胞癌、基底細胞型扁平上皮がん、細気管支肺胞上皮癌、細気管支癌、気管支原性癌、脳状癌、胆管細胞癌、絨毛癌、膠様癌腫、面皰癌、子宮体がん、篩状癌、鎧状癌、皮膚癌、円柱上皮癌、円柱上皮細胞癌、腺管癌、乳管癌、緻密癌、胎児性癌、脳様癌、類表皮癌、腺様上皮癌、外向発育癌、潰瘍性癌、線維性癌、ゼラチン状癌、膠様癌、巨細胞癌(giant cell carcinoma、carcinoma gigantocellulare)、腺癌、顆粒膜細胞癌、毛母癌、肝様癌、肝細胞癌、ヒュルトレ細胞癌腫、ガラス状癌、腎明細胞癌、小児型胎児性癌、上皮内癌(carcinoma in situ)、表皮内癌、上皮内癌(intraepithelial carcinoma)、クロムペッヘル癌、クルチスキー細胞癌、大細胞癌、レンズ状癌(lenticular carcinoma、carcinoma lenticulare)、脂肪性癌、小葉癌、リンパ上皮癌、髄様癌(carcinoma medullare、medullary carcinoma)、色素性癌、軟性癌、粘液性癌(mucinous carcinoma、carcinoma muciparum)、粘液細胞癌、粘膜表皮癌、粘膜癌(carcinoma mucosus、mucous carcinoma)、粘液腫状癌、鼻咽頭癌、燕麦細胞癌、骨化性癌、類骨癌、乳頭癌、門脈周囲癌、前浸潤癌、有棘細胞癌腫、粥状癌腫、腎細胞癌、予備細胞癌、肉腫性癌、シュナイダー癌、硬性癌、陰嚢癌、印環細胞癌腫、単純癌、小細胞癌、ナス状癌、球状細胞癌腫、紡錘細胞癌腫、海綿様癌、扁平上皮癌、扁平上皮がん、紐様癌、血管拡張性癌(carcinoma telangiectaticum、carcinoma telangiectodes)、移行上皮癌、結節癌(carcinoma tuberosum)、管状癌、結節癌(tuberous carcinoma)、疣状癌又は絨毛癌腫を含む。
【0196】
本明細書において使用される、「転移」、「転移性」及び「転移性がん」という用語は、互換的に使用される場合があり、増殖性疾患又は増殖性障害、例えば、がんの、1つの器官若しくは別の隣接しない器官又は身体部分からの拡散を指す。由来部位、例えば、乳腺において生じるがんは、原発性腫瘍、例えば、原発性乳がんと称される。原発性腫瘍又は由来部位における一部のがん細胞は、局所領域内の、周囲の正常組織を透過し、これらに浸潤する能力並びに/又はリンパ系若しくは血管系の内壁透過し、リンパ系及び血管系を介して、体内の他の部位及び組織に循環する能力を獲得する。原発性腫瘍のがん細胞から形成された、臨床的に検出可能な二次腫瘍は、転移性腫瘍又は続発性腫瘍と称される。がん細胞が転移する場合、転移性腫瘍及びその細胞は、元の腫瘍の細胞と同様であると推測される。したがって、肺がんが、乳腺に転移する場合、乳腺部位における続発性腫瘍は、異常な肺細胞からなり、異常な乳腺細胞からならない。乳腺内の続発性腫瘍は、転移性肺がんと称される。したがって、転移性がんという語句は、対象が、原発性腫瘍を有する、又はこれを有したことがあり、かつ、1つ以上の続発性腫瘍を有する疾患を指す。非転移性がんという語句又は転移性でないがんを伴う対象とは、対象が、原発性腫瘍を有するが、1つ以上の続発性腫瘍を有さない疾患を指す。例えば、転移性肺がんは、原発性肺腫瘍を伴う、又はこの履歴を伴い、1つ以上の続発性腫瘍を、第2の場所又は複数の場所、例えば、乳腺内に伴う対象における疾患を指す。
【0197】
「抗がん剤」は、その明白な通常の意味に従い使用され、抗新生物特性又は細胞の成長又は増殖を阻害する能力を有する組成物(例えば、化合物、薬物、アンタゴニスト、阻害剤、モジュレーター)を指す。複数の実施形態において、抗がん剤は、化学療法剤である。複数の実施形態において、抗がん剤は、がんを処置する方法において有用性を有すると、本明細書において同定された薬剤である。複数の実施形態において、抗がん剤は、がんの処置について、FDA又は米国以外の国の同様の規制機関により承認された薬剤である。
【0198】
疾患(例えば、がん(例えば、前立腺がん、腎臓がん、転移性がん、黒色腫、去勢抵抗性前立腺がん、乳がん、トリプルネガティブ乳がん、神経膠芽腫、卵巣がん、肺がん、扁平上皮がん(例えば、頭部、頸部又は食道)、結腸直腸がん、白血病、急性骨髄性白血病、リンパ腫、B細胞リンパ腫又は多発性骨髄腫))と関連した物質又は物質の活性若しくは機能の文脈における、「関連した」又は「~と関連した」という用語は、疾患(例えば、肺がん、卵巣がん、骨肉腫、膀胱がん、子宮頸がん、肝臓がん、腎臓がん、皮膚がん(例えば、メルケル細胞癌)、精巣がん、白血病、リンパ腫、頭頸部がん、結腸直腸がん、前立腺がん、膵臓がん、黒色腫、乳がん、神経芽細胞腫)が、物質又は物質の活性若しくは機能により、(全体的に、又は部分的に)引き起こされる、又は疾患の症状が、(全体的に、又は部分的に)引き起こされることを意味する。
【0199】
「化学療法の」又は「化学療法剤」は、その明白な通常の意味に従い使用され、抗新生物特性又は細胞の成長又は増殖を阻害する能力を有する、化学的組成物又は化合物を指す。
【0200】
本明細書において使用される「異常」という用語は、正常と異なることを指す。酵素活性について記載するのに使用される場合において、異常とは、正常対照又は正常な非罹患対照試料の平均を超える、又はこれ未満の活性を指す。異常な活性とは、疾患をもたらす量の活性を指す場合があり、この場合、異常な活性を、正常量又は非疾患関連量に戻すこと(例えば、本明細書において記載される方法を使用することにより)は、疾患又は1つ以上の疾患症状の軽減をもたらす。
【実施例0201】
CAR T細胞は、液性腫瘍を処置するのに、目覚ましい成功を裏付けており、充実性腫瘍及び他の疾患を処置するために、急速に拡張されつつある。現行の手法は、単一の抗原をターゲティングするCAR T細胞を創出することである。指定された抗原を発現させる腫瘍細胞を消失されるのに効果的であるが、抗原を発現させない腫瘍細胞は、免れ、増殖することが可能であり、より侵襲性となることが多い。したがって、これらの細胞をターゲティングするために、異なる腫瘍をターゲティングするscFvを発現させる、全く新たなCAR T細胞が創出される必要がある。本明細書において、本出願者らは、メディトープ技術を使用して、この問題に取り組む。具体的に、本出願者らは、腫瘍ターゲティングscFvを、超高アフィニティーメディトープ(非CDR Fab結合性ペプチドドメイン)により置きかえる。その後、抗原特異的なメディトープ対応Fab又はmAb(抗原結合性ドメイン)を使用して、腫瘍特異性が追加される。
【0202】
本出願者らは、メディトープ相互作用を使用して、ユニバーサルCAR T細胞を創出した。具体的に、本出願者らは、抗原ターゲティング領域を、メディトープ(非CDR Fab結合性ペプチドドメイン)により置きかえ、メディトープ対応Fab/mAbを付加し、Fabに特異的な抗原に結合させうることを裏付けた。本明細書における利点は、本出願者らが、メディトープ-ゼータ鎖T細胞を作り、疾患に特異的なメディトープ対応Fabと交換しうること又は複数の抗原を対象とすることである。
【0203】
CAR T細胞の分野は、迅速に発展しつつあり、臨床結果が入手可能となるにつれ、CAR T細胞の特異性を変更する必要が裏付けられている。本出願者らは、ユニバーサルCAR T細胞プラットフォームを提示するが、この場合、本出願者らは、CAR T細胞内のscFvを、メディトープ(例えば、非CDR Fab結合性ペプチドドメイン)により置きかえ、メディトープ対応mAb/Fab(抗原結合性ドメイン)を使用して、抗原特異性を付加する。このプラットフォーム技術は、本出願者らが、個々のCAR T細胞を創出し、最適化せずに、標的特異性を、迅速かつ効率的に変更することを可能とする。本出願者らは、2つの異なるメディトープ対応mAbを使用するFACSを介して、概念実証を示す。本出願者らは、リンカーのデザイン及びドッキングを最適化することができ、メディトープ-CARの抗原特異性を、インサイチューにおいて変更することにより、動物モデルにおける効能を裏付ける。
【0204】
メディトープを発現させる、単一のT細胞を、腫瘍内の、異なる抗原/エピトープをターゲティングする、Fab/Mabと混合及びマッチさせ、がんの複数の形態に適用されうる、優れた生成物を、潜在的に作製することができる。Fab/mAbは、一般に、scFvより安定であり、一般に、抗原に対して、scFvより高度なアフィニティーを有し、抗原上の異なるエピトープに結合するFabのパネルは、たやすく作製され、迅速な最適化を可能とする(例えば、分野内の目下の問題は、受容体エピトープと腫瘍膜との間のどのくらいの距離が効能に影響を及ぼすのかという問題である)。
【0205】
本出願者らは、メディトープを、レンチウイルス内にパッケージングして、FabRack(本明細書において提供される組換えタンパク質)を作製し、インビトロ及びインビボにおける腫瘍の根絶を特徴付けることができる。本出願者らは、インサイチューにおいて、特異性を変更し、特徴付けることができる。本出願者らは、リンカー(例えば、リムーバーであるCH3ドメイン)を変更して、一価FabRackを創出し、作製し、特異性を特徴付け、変更することができる。
【0206】
従来のCAR及びメディトープCAR:基本概念:scFv変異体は、診療所において使用される。「最も単純な」FabRackは、メディトープ対応のIgG又はFab断片に結合している。これは、IgG又はFabに限定されず、二特異性IgG又はバイオニクス又は単一アームのfabも作りうることが注目される。基本的に、メディトープに対応しているFabに、いかなるものも融合させることができる。
【0207】
Fabrack-T細胞は、メディトープ対応IgGに媒介され、腫瘍細胞に結合していてもよい。生産的な相互作用をもたらしうる、複数の組合せ/相互作用が存在する。一方のFabアームがFabrack T細胞に結合し、他方のアームが腫瘍細胞に結合する。同じFabアームがFABrack T細胞及び腫瘍抗原に結合する。両方のFabアームが腫瘍に結合し、一方又は他方のFabアームがFabrack T細胞に結合する。両方のFabアームが、Fabrack T細胞及び腫瘍に結合するなどである。
【0208】
メディトープCAR構築物は、レンチウイルスベクター内にパッキングされうる。細胞外ドメインは、メディトープ(非CDR Fab結合性ペプチドドメイン)、リンカー(ペプチドリンカー)及びIgGのCH3ドメイン(スペーサー領域)を含み、これに続き、CD28膜貫通ドメイン(CD28tm)、CD28共刺激ドメイン(CD28)及びCD3ζ細胞溶解性ドメイン(本明細書においてまた、細胞内T細胞シグナル伝達ドメインとも称される)(CD3ζ)を含む。CD3ζとCD19tとは、T2A配列により隔てる。memAb(メディトープ対応モノクローナル抗体)を、標的細胞及びNFAT応答性ルシフェラーゼを保有するFabRack発現Jurkat細胞に結合させる。これは、T細胞に移る前に、概念を試すための、簡単なリードアウトである。
【0209】
memAb(メディトープ対応モノクローナル抗体;抗原結合性ドメイン)を、FabRack細胞(本明細書において提供される組換えタンパク質を発現させるT細胞)に、あらかじめ結合させることもでき、memAb(抗原結合性ドメイン)を、標的細胞(例えば、がん細胞)にあらかじめ結合させることもできる。標的細胞上の抗原発現のレベルは、T細胞の活性化に影響を及ぼす。T細胞の活性化は、memAbをあらかじめ結合させたT細胞と、memAbをあらかじめ結合させたがん細胞であって、がん細胞上における抗原の発現が低度であるがん細胞とについて同等である。最高のT細胞活性化は、がん細胞を、memAbとあらかじめ結合させ、かつ、がんにおける抗原発現が高度である場合に達成することができる。同様に、がんにおける抗原発現レベルが高度である場合に、T細胞を、memAb(メディトープ対応モノクローナル抗体、抗原結合性ドメイン)にあらかじめ結合させていれば、T細胞の活性化は、高度である。
図19を参照されたい。
【0210】
材料及び方法
クローニング:親抗Her2 scFv_IgG4op(HL-CH3)_CD28gg_op-Zeta_op-T2A-CD19t_epHIV7ベクターは、C.Brown博士より恵与された。GM-CSFr secretion signal_meditope_PASlinker17遺伝子カセットは、DNA2.0により合成し、NheI及びSbfIの制限部位を使用して、IgG4op(HL-CH3)ドメイン(それぞれ、メディトープ-CH3及びメディトープ-CD28)を伴う、又はこれを伴わないCARベクターに挿入した。クローニングされたプラスミドは、MaxiPrepキット(Qiagen)を使用して精製した。
【0211】
フルオロフォアによる、可溶性タンパク質の標識付け:製造元のプロトコールに従うアミンコンジュゲーションを使用して、Alexa Fluor色素(ThermoFisher)を、可溶性タンパク質に接合させた。略述すると、Alexa Fluor 647 NHS Ester色素を、トラスツズマブI83E IgG及びトラスツズマブI83E Fab並びにイピリムマブIgGとコンジュゲートさせた。標識度(DOL)は、A280及びAmaxを使用して、分子1つ当たり色素1≦DOL≦3の間であると計算した。Pacific Blue NHS Ester色素を、sHer2とコンジュゲートさせた。サイズ除外クロマトグラフィー(SEC)によりにより、タンパク質の相互作用を特徴付けてから、結合活性について評価するFACSアッセイを行った。
【0212】
トランスフェクション:0日目に、継代9代目のCHO-S細胞(Invitrogen)に、ベクターなし(モック)又は親CARベクター、メディトープ-CH3ベクター又はメディトープ-CD28ベクターをトランスフェクトした。細胞に、製造元のプロトコールに従い、FreeStyle MAXトランスフェクションキット(ThermoFisher)を使用してトランスフェクトした。
【0213】
フローサイトメトリー:5日目に、細胞を採取し、カウントした。細胞3×106個を、5mLのFACSチューブ(VWR)に添加し、FACS染色液(Hanks’Balanced Salt Solution中に2%のFCS、0.5%のNaN3;Batch#05092016)により、1mL当たりの細胞1×106個に適量化させた。細胞0.1×106個を、V字底96ウェルプレート(Corning Costar)の各ウェルに、条件1つ当たりのウェル3つずつとして添加した。細胞を、100μLの染色液により、2回にわたり洗浄し、4℃、300gにおいて、3分間にわたりスピンし、上清をデカントした。細胞を、光から保護した、100μLの一次染色液(1:100に希釈されたPE-Cy7-CD-19及び100nMの647-IgG、100nMの647-Ipi又は200nMの647-Fab)中、4℃において、30分間にわたり再懸濁させた。細胞を、100μLの染色液により、2回にわたり洗浄し、光から保護した二次染色液(200nMのPacBlue-Her2)中、4℃において、30分間にわたり再懸濁させた。細胞を、100μLの染色液により、2回にわたり洗浄し、150μLのPI溶液(染色液中、1:100に希釈したPI)中に再懸濁させた。細胞試料は、試料1例当たり40μLを使用する、MACSQuant測定器(#2、West side of Brown lab)を使用して解析した。電圧は、以下:FSC=358V、SSC=520Vの通りであった。解析チャネルは、PE(PI)、PE-Cy7(CD19)、APC(647)及びVioBlue(Her2)であった。ゲーティング戦略は、
FSC/SSC→PE-→PE-Cy7+→APC+→VioBlue+
FSC/SSC→PI-→CD19+→647+→Her2+
であった。
【0214】
動物の割付け:各群は、4匹ずつのマウスを有する。
【0215】
1.腫瘍だけ:OVCAR3-lucでも、SKOV3-lucでもよい。
【0216】
2.HER-2 CAR T細胞を伴う腫瘍:Fab CARでも、scFv CAR T細胞でもよい。各マウスにつき陽性細胞1×107個とする。
【0217】
3.モックT細胞を伴う腫瘍:各マウスにつきモックT細胞1×107個とする。
【0218】
4.メディトープ-CAR T細胞を伴う腫瘍:各マウスにつき陽性CAR T細胞1×107個とする。
【0219】
5.あらかじめ混合したモックT細胞+HER2抗体を伴う腫瘍:各マウスにつきモックT細胞1×107個とする。T細胞注射の1日前に、4mg/kgのHER2抗体を、腹腔内に施す。T細胞を、100nMの抗体と、あらかじめ混合し、洗浄する。抗体は、4mg/kgを、毎週2回ずつ、2週間にわたり、腹腔内に施す。
【0220】
6.あらかじめ混合したメディトープ-CAR T細胞+HER2抗体を伴う腫瘍:各マウスにつきCAR T細胞1×107個とする。T細胞注射の1日前に、4mg/kgのHER2抗体を、腹腔内に施す。T細胞を、100nMの抗体と、あらかじめ混合し、洗浄する。抗体は、4mg/kgを、毎週2回ずつ、2週間にわたり、腹腔内に施す。
【0221】
7.あらかじめ混合していないメディトープ-CAR T細胞+HER2抗体を伴う腫瘍:各マウスにつきCAR T細胞1×107個とする。T細胞注射の1日前に、4mg/kgのHER2抗体を、腹腔内に施す。T細胞を、抗体と、あらかじめ混合しない。抗体は、4mg/kgを、毎週2回ずつ、2週間にわたり、腹腔内に施す。
【0222】
【0223】
Fabrackについての動物データ
方法(OVCAR3)
OVCAR3-gfp-luc細胞500万個を、1日目に、マウスに、腹腔内(ip)注射した。Fabrack T細胞(群6及び7)により処置されたマウスにおいて、マウスに、4mg/kgのmemAbトラスツズマブを、3日ごとに施し(合計5回の投与)、初回のAb投与は、8日目に施した。ヒトT細胞1000万個を、9日目に、マウスにip注射した。群6において、Fabrack T細胞を、memAbと、あらかじめ混合し、洗浄した。150μlのルシフェリン(28.57mg/ml)を、マウスにip注射した後、マウスの腫瘍負荷を、発光により測定した(群1:腫瘍だけ;群2:モックT細胞;群3:Fabrack T細胞だけ;群4:モックT細胞+Ab;群5:HER2 scFv CAR;群6:Fabrack T細胞(あらかじめ混合した)+Ab;群7:Fabrack T細胞+Ab)。
【0224】
結果(OVCAR3)
マウスは、Fabrack T細胞及びmemAbを施された場合(群6及び7)、Fabrack T細胞を、memAbとあらかじめ混合したのか、しなかったのかに関わらず、腫瘍サイズの実質的な減少を示す。しかし、腫瘍は、14日目ごろに再発した。腫瘍の再発は、マウス腹水中のHER2+腫瘍細胞を示すフローサイトメトリー結果に基づく、HER2抗原の喪失と符合しなかった。腫瘍の再発は、マウスの血液中及び腹水中に、ごく少数のFabrack T細胞しか残存していないことからの、T細胞の非存続に起因しうる。腫瘍根絶に最適化するための投与スケジュールを策定中である。
【0225】
方法(MCF7)
MCF7-gfp-luc細胞500万個を、1日目に、マウスに、腹腔内(ip)注射した。Fabrack群において、マウスに、4mg/kgのmemAbトラスツズマブを、約4日ごとに施し、初回のAb投与を、T細胞と併せてip注射した。ヒトT細胞200万個の初回投与を、8日目に、マウスにip注射した。Fabrack T細胞200万個を、約6日ごとに、さらに施した。150μlのルシフェリン(28.57mg/ml)を、マウスにip注射した後、マウスの腫瘍負荷を、発光により測定した。
【0226】
結果(MCF7)
腫瘍サイズの減少は、Fabrack T細胞及びmemAbを施されたマウスにおいて、11日目及び14日目に見られた。しかし、16日目に、腫瘍の再発が見られた。22日目におけるマウス血液の解析は、Fabrack T細胞が存在し、memAbが、Fabrack T細胞に結合していることを示した。45日目におけるマウス腹水の解析は、腫瘍細胞の抗原逃避を示さなかった。腫瘍の再発は、その投与が、腫瘍上及びT細胞上のAb結合性部位を飽和させうる、Abに由来するフック効果に起因しうる。Fabrack T細胞の用量は、OVCAR3研究における1000万個と比較して、MCF7異種移植研究において、200万個であるので、Abへの結合のためのFabrack T細胞は少数であった。加えて、MCF7及びOVCAR3は、HER2の発現が低度であるので、それらのHER2は、Abにより、容易に飽和される。腫瘍根絶に最適化するための投与スケジュールを策定中である。
【0227】
表
【0228】
【0229】
【0230】
P実施形態
実施形態P1.(i)第1の非CDR Fab結合性ペプチドドメイン;(ii)第1の細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン;及び(iii)前記第1の非CDR Fab結合性ペプチドドメインを、前記第1の細胞内T細胞シグナル伝達ドメインに接続している第1の膜貫通ドメインを含む、第1の組換えタンパク質。
【0231】
実施形態P2.前記第1の非CDR Fab結合性ペプチドドメインを前記第1の膜貫通ドメインに接続している第1のスペーサー領域をさらに含む、実施形態P1に記載の第1の組換えタンパク質。
【0232】
実施形態P3.前記第1のスペーサー領域が、第1のCH3領域である、実施形態P2に記載の第1の組換えタンパク質。
【0233】
実施形態P4.前記第1の組換えタンパク質が、第2の組換えタンパク質に非共有結合によって結合しており、前記第2の組換えタンパク質が、(i)第2の非CDR Fab結合性ペプチドドメイン;(ii)第2の細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン;(iii)前記第2の非CDR Fab結合性ペプチドドメインを前記第2の細胞内T細胞シグナル伝達ドメインに接続している第2の膜貫通ドメイン;及び(iv)前記第2の非CDR Fab結合性ペプチドドメインを前記第2の膜貫通ドメインに接続しており、第2のCH3領域を含み、前記第1のCH3領域が、前記第2のCH3領域に結合している第2のスペーサー領域を含む、実施形態P3に記載の第1の組換えタンパク質。
【0234】
実施形態P5.前記第1の非CDR Fab結合性ペプチドドメイン及び前記第2の非CDR Fab結合性ペプチドドメインが、化学的に異なる、実施形態P1~P5のいずれか一項に記載の第1の組換えタンパク質。
【0235】
実施形態P6.前記第1の非CDR Fab結合性ペプチドドメイン及び前記第2の非CDR Fab結合性ペプチドドメインが、化学的に同じである、実施形態P1~P5のいずれか一項に記載の第1の組換えタンパク質。
【0236】
実施形態P7.前記第1の細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン及び前記第2の細胞内T細胞シグナル伝達ドメインが、独立に、CD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達ドメインである、実施形態P1~P6のいずれか一項に記載の第1の組換えタンパク質。
【0237】
実施形態P8.前記第1の非CDR Fab結合性ペプチドドメインが、第1の抗原結合性ドメインに、非共有結合によって結合している、実施形態P1~P7のいずれか一項に記載の第1の組換えタンパク質。
【0238】
実施形態P9.前記第2の非CDR Fab結合性ペプチドドメインが、第2の抗原結合性ドメインに、非共有結合によって結合している、実施形態P1~P8のいずれか一項に記載の第1の組換えタンパク質。
【0239】
実施形態P10.実施形態1~3のいずれか一項に記載の第1の組換えタンパク質をコードする単離核酸。
【0240】
実施形態P11.実施形態P10に記載の核酸を含む発現ベクター。
【0241】
実施形態P12.前記ウイルスが、レンチウイルス又はオンコレトロウイルスである、実施形態P11に記載の発現ベクター。
【0242】
実施形態P13.実施形態P11~P12のいずれか一項に記載の発現ベクターを含むTリンパ球。
【0243】
実施形態P14.実施形態P1~P9のいずれか一項に記載の第1の組換えタンパク質を含むTリンパ球。
【0244】
実施形態P15.実施形態P1~P9のいずれか一項に記載の第1の組換えタンパク質を含み、前記膜貫通ドメインが、前記Tリンパ球の細胞膜内にある、Tリンパ球。
【0245】
実施形態P16.がんを処置する方法であって、がんの処置を必要とする対象に、有効量の、実施形態P15のTリンパ球を投与するステップを含み、前記第1の抗原結合性ドメイン及び前記第2の抗原結合性ドメインが独立に抗がん抗原結合性ドメインである、方法。
【0246】
実施形態
実施形態1.(i)非CDR Fab結合性ペプチドドメイン;(ii)細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン;及び(iii)前記非CDR Fab結合性ペプチドドメインを前記細胞内T細胞シグナル伝達ドメインに接続している膜貫通ドメインを含む組換えタンパク質。
【0247】
実施形態2.前記細胞内T細胞シグナル伝達ドメインが、CD3ζ細胞内T細胞シグナル伝達ドメインである、実施形態1に記載の組換えタンパク質。
【0248】
実施形態3.前記膜貫通ドメインが、CD8α膜貫通ドメイン、CD28膜貫通ドメイン、CD4膜貫通ドメイン又はCD3ゼータ膜貫通ドメインである、実施形態1又は2に記載の組換えタンパク質。
【0249】
実施形態4.前記膜貫通ドメインが、CD28膜貫通ドメインである、実施形態1~3のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【0250】
実施形態5.前記非CDR Fab結合性ペプチドドメインを前記膜貫通ドメインに接続しているスペーサー領域をさらに含む、実施形態1~4のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【0251】
実施形態6.前記スペーサー領域が、重鎖定常3(CH3)ドメインである、実施形態5に記載の組換えタンパク質。
【0252】
実施形態7.前記非CDR Fab結合性ペプチドドメインを前記スペーサー領域に接続しているペプチドリンカーをさらに含む、実施形態1~6のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【0253】
実施形態8.前記膜貫通ドメインを前記細胞内T細胞シグナル伝達ドメインに接続している細胞内共刺激シグナル伝達ドメインをさらに含む、実施形態1~7のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【0254】
実施形態9.前記細胞内共刺激シグナル伝達ドメインが、CD28細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン、4-1BB細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン、ICOS細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン又はOX-40細胞内共刺激シグナル伝達ドメインである、実施形態8に記載の組換えタンパク質。
【0255】
実施形態10.前記細胞内共刺激シグナル伝達ドメインが、CD28細胞内共刺激シグナル伝達ドメインである、実施形態8又は9に記載の組換えタンパク質。
【0256】
実施形態11.前記細胞内共刺激シグナル伝達ドメインが、4-1BB細胞内共刺激シグナル伝達ドメインである、実施形態8~10のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【0257】
実施形態12.前記細胞内T細胞シグナル伝達ドメインのC末端に結合している検出用ドメインをさらに含む、実施形態1~11のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【0258】
実施形態13.前記検出用ドメインが、切断型CD19タンパク質である、実施形態12に記載の組換えタンパク質。
【0259】
実施形態14.前記細胞内T細胞シグナル伝達ドメインを前記検出用ドメインに接続している自己切断性ペプチジル配列をさらに含む、実施形態1~13のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【0260】
実施形態15.前記自己切断性ペプチジルリンカー配列が、T2A配列又は2A配列である、実施形態14に記載の組換えタンパク質。
【0261】
実施形態16.前記組換えタンパク質が、細胞の一部を形成する、実施形態1~15のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【0262】
実施形態17.前記組換えタンパク質が、T細胞の一部を形成する、実施形態1~16のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【0263】
実施形態18.前記非CDR Fab結合性ペプチドドメインが、抗原結合性ドメインに結合している、実施形態1~17のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【0264】
実施形態19.前記抗原結合性ドメインが、Fab、IgG又は二特異性抗体である、実施形態18に記載の組換えタンパク質。
【0265】
実施形態20.前記抗原結合性ドメインが、セツキシマブメディトープ対応ドメイン、トラスツズマブメディトープ対応ドメイン、ペルツズマブメディトープ対応ドメイン、M5Aメディトープ対応ドメイン又はリツキシマブメディトープ対応ドメインである、実施形態18~19のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【0266】
実施形態21.前記抗原結合性ドメインが、がん抗原に結合することが可能である、実施形態18~20のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【0267】
実施形態22.前記抗原結合性ドメインが、がん抗原に結合することが可能である、実施形態18~21のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【0268】
実施形態23.前記がん抗原が、Her2、EGFR、CD19又はCD20である、実施形態21又は22に記載の組換えタンパク質。
【0269】
実施形態24.前記がん抗原が、細胞の一部を形成する、実施形態21又は22に記載の組換えタンパク質。
【0270】
実施形態25.前記細胞が、がん細胞である、実施形態24に記載の組換えタンパク質。
【0271】
実施形態26.前記がんが、卵巣がん、腎細胞癌、B細胞悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、乳がん、結腸直腸がん、前立腺がん、神経芽細胞腫、黒色腫、髄芽腫、肺がん、骨肉腫、神経膠芽腫又は神経膠腫である、実施形態25に記載の組換えタンパク質。
【0272】
実施形態27.実施形態1~26のいずれか一項に記載の組換えタンパク質をコードする単離核酸。
【0273】
実施形態28.実施形態27に記載の核酸を含む発現ベクター。
【0274】
実施形態29.前記ウイルスが、レンチウイルス又はオンコレトロウイルスである、実施形態28に記載の発現ベクター。
【0275】
実施形態30.実施形態28~29のいずれか一項に記載の発現ベクターを含むTリンパ球。
【0276】
実施形態31.実施形態1~26のいずれか一項に記載の組換えタンパク質を含むTリンパ球。
【0277】
実施形態32.実施形態1~26のいずれか一項に記載の組換えタンパク質を含むTリンパ球であって、前記膜貫通ドメインが前記Tリンパ球の細胞膜内にある、Tリンパ球。
【0278】
実施形態33.前記Tリンパ球が、自家Tリンパ球である、実施形態30~32のいずれか一項に記載のTリンパ球。
【0279】
実施形態34.前記Tリンパ球が、異種Tリンパ球である、実施形態30~32のいずれか一項に記載のTリンパ球。
【0280】
実施形態35.前記非CDR Fab結合性ペプチドドメインが、抗原結合性ドメインに結合している、実施形態30~34のいずれか一項に記載のTリンパ球。
【0281】
実施形態36.前記抗原結合性ドメインが、Fab、IgG又は二特異性抗体である、実施形態35に記載のTリンパ球。
【0282】
実施形態37.前記抗原結合性ドメインが、がん抗原に結合している、実施形態35又は36に記載のTリンパ球。
【0283】
実施形態38.前記がん抗原が、Her2、EGFR、CD19又はCD20である、実施形態37に記載のTリンパ球。
【0284】
実施形態39.前記抗原結合性ドメインが、がん抗原結合性ドメインである、実施形態35~38のいずれか一項に記載のTリンパ球。
【0285】
実施形態40.前記抗原結合性ドメインが、セツキシマブメディトープ対応ドメイン、トラスツズマブメディトープ対応ドメイン、ペルツズマブメディトープ対応ドメイン、M5Aメディトープ対応ドメイン又はリツキシマブメディトープ対応ドメインである、実施形態35~39のいずれか一項に記載のTリンパ球。
【0286】
実施形態41.がんを処置する方法であって、がんの処置を必要とする対象に、有効量の、実施形態30~34のいずれか一項に記載のTリンパ球及び前記非CDR Fab結合性ペプチドドメインに結合することが可能な抗原結合性ドメインを投与するステップを含み、前記抗原結合性ドメインががん抗原結合性ドメインである、方法。
【0287】
実施形態42.前記Tリンパ球及び前記抗原結合性ドメインが、同時に又は逐次的に投与される、実施形態41に記載の方法。
【0288】
実施形態43.前記Tリンパ球が第1の時点で投与され、前記抗原結合性ドメインが第2の時点で投与され、第1の時点が第2の時点に先行する、実施形態41又は42に記載の方法。
【0289】
実施形態44.前記抗原結合性ドメインが第1の時点で投与され、前記Tリンパ球が第2の時点で投与され、第1の時点が第2の時点に先行する、実施形態41又は42に記載の方法。
【0290】
実施形態45.(i)前記投与する前に、インビトロで前記非CDR Fab結合性ペプチドドメインを前記抗原結合性ドメインに結合させ、これによりTリンパ球-組換えタンパク質複合体を形成するステップ;及び(ii)前記Tリンパ球-組換えタンパク質複合体を前記対象に投与し、これにより前記対象におけるがんを処置するステップを含む、実施形態41に記載の方法。
【0291】
実施形態46.前記がんが、卵巣がん、腎細胞癌、B細胞悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、乳がん、結腸直腸がん、前立腺がん、神経芽細胞腫、黒色腫、髄芽腫、肺がん、骨肉腫、神経膠芽腫又は神経膠腫である、実施形態41~45のいずれか一項に記載の方法。
【0292】
実施形態47.前記抗原結合性ドメインが、セツキシマブメディトープ対応ドメイン、トラスツズマブメディトープ対応ドメイン、ペルツズマブメディトープ対応ドメイン、M5Aメディトープ対応ドメイン又はリツキシマブメディトープ対応ドメインである、実施形態41~46のいずれか一項に記載の方法。
【0293】
実施形態48.前記組換えタンパク質が第1の組換えタンパク質であり、前記非CDR Fab結合性ペプチドドメインが第1の非CDR Fab結合性ペプチドドメインであり、前記細胞内T細胞シグナル伝達ドメインが第1の細胞内T細胞シグナル伝達ドメインであり、前記膜貫通ドメインが第1の膜貫通ドメインであり、前記スペーサー領域が第1のスペーサー領域であり、前記細胞内共刺激シグナル伝達ドメインが第1の細胞内共刺激シグナル伝達ドメインである、実施形態1~26のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【0294】
実施形態49.前記第1の組換えタンパク質が、第2の組換えタンパク質に非共有結合によって結合しており、前記第2の組換えタンパク質が、(i)第2の非CDR Fab結合性ペプチドドメイン;(ii)第2の細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン;(iii)前記第2の非CDR Fab結合性ペプチドドメインを、前記第2の細胞内T細胞シグナル伝達ドメインに接続している第2の膜貫通ドメイン;及び(iv)前記第2の非CDR Fab結合性ペプチドドメインを前記第2の膜貫通ドメインに接続しており、前記第1のスペーサー領域が非共有結合によって結合している、前記第2のスペーサー領域を含む、実施形態48に記載の組換えタンパク質。
【0295】
実施形態50.前記第1のスペーサー領域及び前記第2のスペーサー領域が、第1の重鎖定常3(CH3)ドメイン及び第2の重鎖定常3(CH3)ドメインである、実施形態49に記載の組換えタンパク質。
【0296】
実施形態51.前記第1の非CDR Fab結合性ペプチドドメイン及び前記第2の非CDR Fab結合性ペプチドドメインが、化学的に異なる、実施形態48~50のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【0297】
実施形態52.前記第1の非CDR Fab結合性ペプチドドメイン及び前記第2の非CDR Fab結合性ペプチドドメインが、化学的に同じである、実施形態48~50のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【0298】
実施形態53.前記第1の非CDR Fab結合性ペプチドドメインが、第1の抗原結合性ドメインに、非共有結合によって結合している、実施形態48~52のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【0299】
実施形態54.前記第2の非CDR Fab結合性ペプチドドメインが、第2の抗原結合性ドメインに、非共有結合によって結合している、実施形態49~53のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【0300】
実施形態55.前記第1の抗原結合性ドメイン及び前記第2の抗原結合性ドメインが、化学的に異なる、又は化学的に同じである、実施形態53又は54に記載の組換えタンパク質。
【0301】
実施形態56.前記第1の抗原結合性ドメイン及び前記第2の抗原結合性ドメインが、独立に、セツキシマブメディトープ対応ドメイン、トラスツズマブメディトープ対応ドメイン、ペルツズマブメディトープ対応ドメイン、M5Aメディトープ対応ドメイン又はリツキシマブメディトープ対応ドメインである、実施形態53~55のいずれか一項に記載の組換えタンパク質。
【0302】
非公式の配列表
CD3z;GI:623041(配列番号1)
LCYLLDGILFIYGVILTALFL
【0303】
CD28;GI:340545506(配列番号2)
FWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWV
【0304】
CD4;GI:179143(配列番号3)
MALIVLGGVAGLLLFIGLGIFF
【0305】
CD8;GI:225007534(配列番号4)
IYIWAPLAGTCGVLLLSLVIT
【0306】
CD8;GI:225007534(配列番号5)
IYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLY
【0307】
CD8;GI:225007534(配列番号6)
IYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYC
【0308】
41BB;GI:315259099(配列番号7)
IISFFLALTSTALLFLLFF LTLRFSVV
【0309】
OX40;GI:315360637(配列番号8)
VAAILGLGLVLGLLGPLAILL
【0310】
ICOS;GI:251823951(配列番号9)
FWLPIGCAAFVVVCILGCILI
【0311】
CD62L;GI:262206314(配列番号10)
PLFIPVAVMVTAFSGLAFIIWLA
【0312】
CD3ζ;GI:623041;配列番号11:
【0313】
【0314】
CD28;GI:340545506;配列番号12:
RSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRS
【0315】
CD28gg*;GI:340545506;配列番号13:
RSKRSRGGHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRS(ref)
【0316】
41BB;GI:315259099;配列番号14:
KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL
【0317】
OX40;GI:315360637;配列番号15:
ALYLLRRDQRLPPDAHKPPGGGSFRTPIQEEQADAHSTLAKI
【0318】
ICOS;GI:251823951;配列番号16:
CWLTKKKYSSSVHDPNGEYMFMRAVNTAKKSRLTDVTL
【0319】
スペーサー(IgG4-CH3を含む);配列番号17:
【0320】
【0321】
CD28膜貫通;配列番号18:
MFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWV
【0322】
CD28cyto(LLmGG);配列番号19:
RSKRSRGGHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRS
【0323】
細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン(CD3ゼータ):配列番号20:
【0324】
【0325】
自己切断性ペプチジルリンカー(T2A):配列番号21:
LEGGGEGRGSLLTCGDVEENPGPTR
【0326】
マーカーペプチド(CD19t):配列番号22:
【0327】
【0328】
自己切断性ペプチジルリンカー(2A):配列番号23:
GGSTSEGRGSLLTCGDVEENPGP
【0329】
スペーサー領域:配列番号24
GSGSGSGS
【0330】
ペプチドリンカー:配列番号25
SAPASSASAPSAASAPAG
【0331】
配列番号26
SAPASSASAPSAASAPAG
【0332】
自己切断性ペプチジルリンカー:配列番号27
PVKQLLNFDLLKLAGDVESNPGP
【0333】
自己切断性ペプチジルリンカー:配列番号28
QCTNYALLKLAGDVESNPGP
【0334】
自己切断性ペプチジルリンカー:配列番号29
ATNFSLLKQAGDVEENPGP
【0335】
自己切断性ペプチジルリンカー:配列番号30
EGRGSLLTCGDVESNPGP
【0336】
スペーサー領域:配列番号31
GGGSSGGGSG
【0337】
配列番号32:メディトープ(非CDR Fab結合性ペプチドドメイン)
CQFDLSTRRLQC
【0338】
配列番号33:CH3(スペーサー領域)
【0339】
【0340】
配列番号34:CD3ゼータ鎖(細胞内T細胞シグナル伝達ドメイン)
【0341】
【0342】
配列番号35:全4-1BB Fabrack配列
【0343】
【0344】
配列番号36:全CD28 Fabrack配列
【0345】
【0346】
配列番号37:シグナルペプチド
MLLLVTSLLLCELPHPAFLLIP
がんが、卵巣がん、腎細胞癌、B細胞悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、乳がん、結腸直腸がん、前立腺がん、神経芽細胞腫、黒色腫、髄芽腫、肺がん、骨肉腫、神経膠芽腫又は神経膠腫である、請求項1に記載の組成物。
抗原結合性ドメインが、セツキシマブメディトープ対応ドメイン、トラスツズマブメディトープ対応ドメイン、ペルツズマブメディトープ対応ドメイン、M5Aメディトープ対応ドメイン又はリツキシマブメディトープ対応ドメインである、請求項1に記載の組成物。