(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028900
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】動脈瘤を治療するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/12 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
A61B17/12
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023206877
(22)【出願日】2023-12-07
(62)【分割の表示】P 2020540281の分割
【原出願日】2019-01-17
(31)【優先権主張番号】15/875,767
(32)【優先日】2018-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517290486
【氏名又は名称】ギャラクシー セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】バッドラディン,アミール
(72)【発明者】
【氏名】ペレイラ,エドガルド ルイス ラモス
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ,トーマス ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ザイダット,オサマ オー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】血管内の動脈瘤を治療するための装置を提供する。
【解決手段】血管内の動脈瘤を治療するための装置は、ワイヤ上に配置された閉塞要素を含み、閉塞要素は、動脈瘤の首部を覆うための内部カバー722と、内部アンカリング部材740とを含む。内部カバー722は、動脈瘤の首部を覆うために管の遠位端から前に進められると、管内の圧縮された構成から拡張された構成に拡張するように構成される。内部カバー722は、球体の上部を球体の底部の中に折り込むことによって形成される2つのメッシュ層を含む半球体に形成されるメッシュ材料の球体を含む。内部アンカリング部材740は、内部カバー722の第2の表面に結合され、そこから延在し、動脈瘤の内表面に接触するように構成される。内部アンカリング部材740は、内部カバー722の中央部分から延びる円筒形ステムとすることができる。
【選択図】
図25
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動脈瘤を治療するためのデバイスであって、前記デバイスは、前記動脈瘤の内部空間内に配置されるように構成された閉塞要素を備え、前記閉塞要素は、前記動脈瘤の首部分を覆うためのカバーを備え、前記カバーは、細長いプッシュワイヤから着脱可能であるように構成され、前記カバーは、前記閉塞要素の遠位端を画定するカバー遠位端、および前記閉塞要素の近位端を画定するカバー近位端を有し、前記カバーは、前記カバーは、前記プッシュワイヤによってカテーテルの遠位端の外に前進されるときに、前記カテーテルの内腔内の圧縮された構成から拡張された構成に拡張するように構成され、前記カバーは、前記拡張された構成において二重層半球体形状メッシュを備え、前記メッシュの内層は、前記メッシュの外層の中に折り込まれており、前記内層は遠位凹面を備え、前記メッシュは複数のワイヤを備え、前記カバーは、前記動脈瘤の首部分に隣接する前記動脈瘤の第1の内面に接するように座位し、前記外層の第1の部分は前記動脈瘤の第1の内面に対向し、前記外層の第2の部分は前記動脈瘤の首部分を覆い、それによって、前記閉塞要素の遠位端は、前記動脈瘤の首部分の反対側に位置する前記動脈瘤の第2の内面に接触しない、デバイス。
【請求項2】
前記メッシュはメッシュ球体から形成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記複数のワイヤは共に織られる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記内層は、前記カバーが前記カテーテルを出る際に前記外層内にあるように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記カバーは、前記拡張された構成に向かって付勢される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記カバーは、100マイクロメートル未満の厚さを有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記カバーは、前記拡張された構成において、5mmと12mmとの間のカバー直径を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記閉塞要素は、内皮化を促進するためのマトリックスをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記閉塞要素は、生分解性または生体吸収性であるように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記細長いプッシュワイヤをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記カバーは、前記プッシュワイヤから電気的に着脱可能である、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記カバーは、前記プッシュワイヤから機械的に着脱可能である、請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
前記カバーは、前記プッシュワイヤから外されるように構成される、請求項10に記載のデバイス。
【請求項14】
前記カバーは金属を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記カバーはチタン-ニッケル合金を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
前記カバーはプラチナを備える、請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は2018年1月19日に提出された米国特許出願第15/875,767号に付与された優先権およびその利益を主張し、その全体は参照によって本願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
動脈瘤は血管、しばしば動脈の異常な膨らみまたは脆弱化であり、多くの合併症を有し得る。血管の膨らみは周辺組織を乱し得る、または周辺組織に圧力を与え得る。脳内では、これによって視力障害、言語障害、平衡障害等の様々な副作用が生じ得る。さらに、動脈瘤は血管を流れる血液の主流路に沿わない空間を形成する。したがって、動脈瘤は血液がよどむ場所として機能し得、渦流のために、血栓塞栓症の形成に寄与し得る。動脈瘤は破裂すると、内部出血を引き起こし得る。
【0003】
動脈瘤は開腹手術により外部から治療され得る。当該手順は、通常、血管鉗子または結紮糸などのデバイスで動脈瘤の入り口すなわち「首」を閉鎖することを含む。しかしながら、当該回復外科手順は非常に侵襲的であり得、隣接する組織への外傷および他の副作用につながり得る。
【0004】
動脈瘤は血管内手順によっても治療され得る。1つの手順では、分離可能な長さのワイヤ(例えば、コイル)が動脈瘤の内部空間にカテーテルを使用して挿入される。コイルによって動脈瘤への血液の流れを低減するために動脈瘤の内部空間を充填することが意図され、血液の流れが停滞し動脈瘤の凝固を促進する。大きな脳の動脈瘤の場合では、複数のコイルで動脈瘤を充填することによって質量効果を誘引し、これによって脳腫脹をおこし、新しい症状を独立して生じさせ得る。別の手順では、比較的大きな首を有する動脈瘤では、補助的にステントを使用し動脈瘤内でのコイルの保持力をアシストする。このアプローチは追加で抗血栓剤が必要になるので、破裂性の動脈瘤を治療する場合に使用することはできない。別の手順では、血管の中で膨らました一時的なバルーンでコイルを動脈瘤の内部空間に保持する。一旦コイルが固定されるとバルーンは空気が抜かれて除去される。さらに別の手順では、ステントデバイスが動脈の中に配置され、動脈瘤を過ぎて通過する血液の流れを促進する。これによって動脈瘤の内部の血液の流れを停滞させ、動脈瘤空間の内部に血栓を形成する。しかしながら、ステントデバイスが配置される主動脈の側枝はトラップまたは「拘束」され得、これにより側枝へのアクセスが妨げられる。他の場合には、側枝は塊になり得るので、脳卒中を引き起こし得る。さらに、当該手順は一般に追加の抗血栓剤の使用が必要になり、それは破裂性動脈瘤の治療において当該デバイスの使用を制限する。ステントデバイスは一般に比較的密な織り方で形成される。密な織り方は血流を脇へそらすのでステントデバイスの効果を増大させるが、それはまた動脈瘤空間または拘束された動脈へのアクセスを邪魔する、または妨げる。動脈瘤が塊にならないと、ステントデバイスによって動脈瘤が閉塞されるので、塞栓デバイスを動脈瘤の中に配置することができなくなる。追加のステントの配置または開腹手術などの追加の手順によって後遺症を治療する必要があり得る。
【0005】
動脈瘤の空間をパッキングする工程を含む全ての手順はいくつかの共通した欠点に苦しむことになる。第1に、動脈瘤空間を充填するには多数のコイルワイヤが必要となり、それによって時間がかかり、手順を完了するまでの時間が増大する。さらに、コイルは時間の経過と共に収縮し得るので、動脈瘤の全容積のより小さいパーセンテージを占有することになる。コイルを充分に圧縮すると動脈瘤の再発を懸念させ、さらなる治療が必要になり得る。
【0006】
動脈瘤を治療するための改良されたシステムおよび方法を提供することは有利であろう。
【発明の概要】
【0007】
一実施形態は、ワイヤ上に配置された閉塞要素を含む、血管内の動脈瘤を治療するための装置に関し、閉塞要素は、動脈瘤の首部を覆うためのカバーと、内部アンカリング部材とを含む。カバーは、動脈瘤の首部を覆うために管の遠位端から前に進められると、管内の圧縮された構成から拡張された構成に拡張するように構成される。カバーは、球体の上部を球体の底部の中に折り込むことによって形成される2つのメッシュ層を含む半球体に形成されるメッシュ材料の球体を含む。内部アンカリング部材は、カバーの第2の表面に結合され、そこから延在し、動脈瘤の内表面に接触するように構成される。内部アンカリング部材は、カバーの中央部分から延びる円筒形ステムとすることができる。
【0008】
一実施形態は、ワイヤ上に配置された閉塞要素を含む、血管内の動脈瘤を治療するための装置に関する。閉塞要素は、動脈瘤の首部を覆うためのカバー、動脈瘤の内面に接触するための内部アンカリング部材、およびカバーと内部アンカリング部材を接続する中央ステムを含む。閉塞要素は、カバーの外面でワイヤに結合されている。カバーおよび内部アンカリング部材は、動脈瘤内に位置付けられるように管の遠位端から前に進められると、管内に配置されている間の圧縮された構成から拡張された構成に拡張するように構成される。カバーおよび内部アンカリング部材は実質的に同様の直径を有し、中央ステムはカバーおよび内部アンカリング部材の直径よりも小さい直径を有する。
【0009】
一実施形態は、ワイヤ上に配置された閉塞要素を含む、血管内の動脈瘤を治療するための装置に関する。閉塞要素は、動脈瘤の首部を覆うためのカバーと、内部アンカリング部材とを含む。カバーは、動脈瘤の首部を覆うために管の遠位端から前に進められると、管内の圧縮された構成から拡張された構成に拡張するように構成される。カバーは、外層の中に折り込まれた内層を含む二重層メッシュを含み、その結果、カバーの内層の内面は凹面を含む。内部アンカリング部材は、カバーの内面に直接結合され、そこから延び、動脈瘤の内面に接触するように構成される。
【0010】
本発明は他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施され得る。代替の例示的実施形態は、一般に特許請求の範囲に言及され得る他の特徴および特徴の組み合わせに関連する。
【0011】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様ならびに有利な点は、以下の記載、添付の特許請求の範囲、および図面に示される添付の例示的実施形態から明らかになるであろう。図面について以下に簡潔に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】例示的実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成された血管内デバイスを有する動脈瘤の概略断面側面図である。
【
図2】
図1の動脈瘤閉塞デバイスの概略断面底面図である。
【
図3A】例示的実施形態による
図1の動脈瘤閉塞デバイスを展開するカテーテルの概略側断面図である。
【
図3B】例示的実施形態による
図1の動脈瘤閉塞デバイスを展開するカテーテルの概略側断面図である。
【
図3C】例示的実施形態による
図1の動脈瘤閉塞デバイスを展開するカテーテルの概略側断面図である。
【
図3D】例示的実施形態による
図1の動脈瘤閉塞デバイスを展開するカテーテルの概略側断面図である。
【
図3E】例示的実施形態による
図1の動脈瘤閉塞デバイスを展開するカテーテルの概略側断面図である。
【
図4】別の例示的実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成される血管内デバイスを有する動脈瘤の概略断面側面図である。
【
図5】例示的実施形態によるカテーテル内部の
図4の閉塞デバイスの概略断面図である。
【
図6】別の例示的実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成される血管内デバイスを有する動脈瘤の概略断面側面図である。
【
図7】別の例示的実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成される血管内デバイスを有する動脈瘤の概略断面側面図である。
【
図8】別の例示的実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成される血管内デバイスを有する動脈瘤の概略断面側面図である。
【
図9】別の例示的実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成される血管内デバイスを有する動脈瘤の概略断面側面図である。
【
図10】例示的実施形態によるカテーテルの内部の
図7の閉塞デバイスの概略断面図である。
【
図11】別の例示的実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成される血管内デバイスを有する動脈瘤の概略断面側面図である。
【
図12】例示的実施形態による動脈瘤閉塞デバイスの概略断面底面図である。
【
図13】例示的実施形態による動脈瘤閉塞デバイスの概略断面底面図である。
【
図14】例示的実施形態による動脈瘤閉塞デバイスの概略断面底面図である。
【
図15】別の例示的実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成される血管内デバイスを有する動脈瘤の概略断面側面図である。
【
図16】別の例示的実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成される血管内デバイスを有する動脈瘤の概略断面側面図である。
【
図17】例示的実施形態による動脈瘤閉塞デバイスのための外部アンカリング部材の概略底面図である。
【
図18A】例示的実施形態による動脈瘤閉塞デバイスのためのカバーの概略上面図である。
【
図19】別の例示的実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成される血管内デバイスの概略側面図である。
【
図20】別の例示的実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成される血管内デバイスを備える動脈瘤の概略断面側面図である。
【
図21】別の例示的実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成される血管内デバイスを備える動脈瘤の概略側面図である。
【
図22】別の例示的実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成される血管内デバイスを備える動脈瘤の概略側面図である。
【
図23A】例示的実施形態による動脈瘤閉塞デバイスの概略底面図である。
【
図23B】例示的実施形態による動脈瘤閉塞デバイスの概略底面図である。
【
図24】別の例示的実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成された血管内デバイスを備える動脈瘤の概略側面図である。
【
図25】例示的実施形態による動脈瘤閉塞デバイスの概略側面図である。
【
図26A】例示的実施形態による動脈瘤閉塞デバイスの概略側面図である。
【
図26B】例示的実施形態による
図26Aの動脈瘤閉塞デバイスの概略上面図である。
【
図27】別の例示的実施形態による動脈瘤を塞ぐように構成された血管内デバイスを備える動脈瘤の概略側面図である。
【
図28】例示的実施形態による動脈瘤閉塞デバイスの概略側面図である。
【
図29】例示的実施形態による動脈瘤閉塞デバイスの概略側面図である。
【
図30】例示的実施形態による動脈瘤閉塞デバイスの概略側面図である。
【
図31】例示的実施形態による動脈瘤閉塞デバイスの概略側面図である。
【
図32A】例示的実施形態による動脈瘤閉塞デバイスの概略側面図である。
【
図32B】例示的実施形態による動脈瘤閉塞デバイスの概略側面図である。
【
図32C】例示的実施形態による動脈瘤閉塞デバイスの概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
概して
図1~14を参照すると、いくつかの例示的実施形態による動脈瘤10を治療するように構成された動脈瘤閉塞デバイスが図示されている。動脈瘤10は血管12の壁13の外側に広がった膨らみであり、首部分16の開口部を通じて血管12と流体連通する内部空間14を有する。動脈瘤10は血管12の一部分で発生し得、その壁13は病気または外傷によって脆弱化している。一実施形態では、動脈瘤10は頭蓋の動脈(例えば、頭蓋底動脈、中大脳動脈等)などの動脈に沿って存在し得る。図に示される動脈瘤10は説明の目的だけであり、本明細書に記載される閉塞デバイスは様々なサイズおよび位置の動脈瘤を治療するために使用され得ることが理解されよう。例えば、動脈瘤10は血管の2つの側枝の間に位置し得る。
【0014】
図1~3Eを参照すると、1つの例示的実施形態による閉塞デバイス20は動脈瘤10の首部分16に配置して図示され、血管12と動脈瘤の内部空間14との間の血流の流れを遮断または阻止するので、動脈瘤10が破裂する可能性を低減する。閉塞デバイス20は低プロファイルデバイスとして構成され、血管12の側枝18等の周辺組織への干渉を最小化する。閉塞デバイス20は生分解性または生体吸収性材料で構成され得、内皮化を促進するように構成され得る。
【0015】
閉塞デバイス20は、動脈瘤10の内部空間14の中に配置されるように構成された内部カバー22(例えば、プレート、薄膜等)を含む。内部カバー22は、完全に広げられたときに、首部分16の直径よりも大きい外径を有する。内部カバー22は薄く、柔軟性が有り、凹面体であり、それは捩じる(例えば、潰す)ことができ、首部分16を介して動脈瘤10の内部空間14に挿入され(例えば、カテーテルによって挿入され)、首部分16を少なくとも部分的に塞ぐように開く。本明細書で使用される場合、凹面とは、一側面に沿ってくぼみまたは空洞を有するように形成されるいずれかのボディを示すことを意味する。
図1に示すように、1つの例示的実施形態では、内部カバー22は全体的にドーム形状であり得る。別の実施形態では、内部カバー22は別の凹面形状(例えば、円錐形状)であり得、首部分16に配置され、内部空間14に向かって開く。一実施形態では、カバー22は円板形状であり得る。
【0016】
内部カバー22は柔軟性(例えば軟質)の生体適合材料から形成され、それはマイクロカテーテルの中に折り畳まれ得、血管内を搬送されて動脈瘤10に到達する。内部カバー22の柔軟性によって内部カバー22は動脈瘤10の内部表面15の形状に一致することができ、動脈瘤10と血管12間の血液の流れを効率的に妨げる。動脈瘤10の内部表面15の形状に緊密に一致することによって、内部カバー22の動脈瘤10の組織への接着および首部分16を塞ぐ新組織の形成を促進する。
【0017】
内部カバー22は特定の動脈瘤10に一致するサイズになり得る。
図1~2に示されるように、内部カバー22は首部分16の直径よりも大きい直径を有し、内部カバー22の周辺部分24は動脈瘤10の内部表面15に接触する。内部カバー22の柔軟性によって、内部カバー22は動脈瘤10に損傷を与えずに(例えば、断裂させないで)首部分16のサイズよりも大きくなり得る。例えば、直径約5mmの内部カバーは首部分の直径が4mmまでの動脈瘤を塞ぐために使用され得、直径が約8mmの内部カバーは首部分の直径が4~6mmの動脈瘤を塞ぐために使用され得、直径が約12mmの内部カバーは首部分の直径が6~10mmの動脈瘤を塞ぐために使用され得る。
【0018】
一実施形態では、内部カバー22は、プラチナ、ステンレス鋼、チタニウム、チタニウムニッケル合金(例えば、ニチノール)等の生体適合金属または金属合金から形成され得る。例えば、内部カバー22はシート状にカットされたニチノールから形成される凹面円板であり得る。ニチノール合金は所望の凹面形状を形成するために第2の熱処理を実施するように構成され得る。例示的実施形態によれば、内部カバー22の厚さは100ミクロン未満であり得、所望の柔軟性を有する。別の実施形態では、内部カバー22は、一緒に結合(例えば、溶接、はんだ付け、編む等)された複数のワイヤまたはファイバーで形成された37ミクロンメッシュ等の比較的密度の高いメッシュとして形成され得る。
【0019】
別の実施形態では、内部カバー22は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、変性ポリウレタン、シリコーンまたは他の適切なポリマー等の生体適合ポリマーから形成され得る。さらに他の例示的実施形態では、内部カバー22は、ポリマー(例えば、パリレン、PTFE、PFE等)をコートした金属または合金から形成され得、潤滑性および生体適合性を増加させ、血栓の形成を低減する。内部カバー22は固定シートまたは薄膜として形成され、または、比較的密度の高いメッシュとして形成され得る。いくつかの実施形態では、内部カバー22は、バルク部分を低減するとともに、内皮化のためのマトリックスを提供するためにレーザで孔が開けられたナイロンシートを含み得る。別の実施形態では二光子重合を含み得、すなわち3次元印刷された生体適合材料で搬送システムに直接載る内部カバー22を形成し、または、搬送システムに接続する骨組枠の上で横になり、治療時点での内部カバー22の最終的な形状をカスタマイズすることが可能になる。
【0020】
図3A~3Dを参照すると、例示的実施形態による内部カバー22がカテーテル30によって展開される様子を示す。
図3Aを参照すると、プッシュワイヤ32を含むカテーテル30が血管12の中を通って動脈瘤10の位置に進む。カテーテル30の遠位端34が首部分16を通過し、動脈瘤10の内部空間14、または、首部分16に近い血管12の一部に進む。プッシュワイヤ32はカテーテル30に形成された内腔の中に位置する。カテーテル30は1つの内腔を有し得るか、または、プッシュワイヤ32はカテーテル30の内部に形成された、いくつかの内腔の1つの中に位置し得る。内部カバー22はプッシュワイヤ32の遠位端36に結合し、折り畳まれた構成で、内腔の中に収まる。折り畳まれた構成では、内部カバー22の周辺部分24はプッシュワイヤ36が結合する中央部分26に比べて上流(例えば、遠位端34の近傍)に位置する。
図3Bを参照すると、内部カバー22がカテーテル30の端部34から出はじめるまで、プッシュワイヤ32はカテーテル30に対して内腔内を移動する。内部カバー22はカテーテル30の端部34を通過すると、(例えば、内部カバー22の内部スプリング力によって)内部空間14の中で展開した構成になるように展開される。カテーテル30を静止させてプッシュワイヤ32を進めて(例えば、押圧して)、プッシュワイヤ32を静止させてカテーテル30を引っ張り(例えば、さやから抜いて)、または、カテーテル30とプッシュワイヤ32の移動の組み合わせによって、プッシュワイヤ32をカテーテル30に対して移動させ得る。内部カバー22は血管12の中または動脈瘤10の中に位置してカテーテル30の遠位端34で部分的に展開し得る。
【0021】
図3Cを参照すると、内部カバー22がカテーテル30から完全に展開する前に、カテーテル30の遠位端34は動脈瘤10の内部空間14の中に進む。
図3Dを参照すると、カテーテル30から内部カバー22が完全に展開した状態で、内部カバー22が動脈瘤の内部表面15に座位するまで、カテーテル30および/またはプッシュワイヤ32が引っ込められる。
図3Eを参照すると、プッシュワイヤ32の遠位端36は内部カバー22から離脱され、カテーテル30とプッシュワイヤ32は血管12から引き出され、一方で内部カバー22は動脈瘤10の首部分16または下部に残り得る。プッシュワイヤ32は、いずれかの適切な電気または機械的切断デバイスによって内部カバー22から離脱され得る。あるいは、ワイヤ32を後退させ、カバー22を管30の遠位端に係合させ、ワイヤ32から外すことによって、内部カバー22は除去され得る。
【0022】
一実施形態では、内部カバー22は開いた、拡張された位置の方向に付勢されるように構成され得る。別の実施形態では、内部カバー22は、内部カバー22の中心部から外側に放射状に伸びるリブ部材またはスプラインによって支持されるメッシュを含み得る。リブ部材またはスプラインは一実施形態の開いた位置の方向に付勢され得る。一実施形態では、リブ部材およびスプラインは傘をさかさまにした動作態様で動作し、一旦完全に開いた位置に到達すると完全に開いた位置でロックされる。
【0023】
図4~5を参照すると、例示的実施形態による動脈瘤10の下部に位置した閉塞デバイス120が図示され、血管12と動脈瘤の内部空間14との間の血流の流れを途絶あるいは停止させるので、動脈瘤10が破裂する可能性を低減する。閉塞デバイス120は低プロファイルデバイスで構成され、血管12の側枝18等の周辺の組織への影響を最小化する。閉塞デバイス120は生分解性または生体吸収性材料で構成され得、内皮化を促進するように構成され得る。
【0024】
閉塞デバイス120は、動脈瘤10の内部空間14の中に配置される上述した内部カバー22に類似する内部カバー122(例えば、プレート、薄膜等)を含む。閉塞デバイス120は、動脈瘤10の中に配置される内部アンカリング部材140をさらに含む。内部アンカリング部材140は、首部分16の近くの動脈瘤10内部の内部カバー122を止めるように構成される。内部アンカリング部材140は内部カバー122を支持する比較的剛性のあるボディであって、内部カバー122が血管12の血液の流体圧力によって首部分16からずれる可能性を低減する。
【0025】
例示的実施形態によれば、内部アンカリング部材140は、適切な生体適合金属または合金(例えば、プラチナ、ステンレス鋼、ニッケルチタニウム合金等)から形成されたコイルの1つまたは複数の巻線を含む。金属コイルは血管内のコイリング手順で一般に使用されるコイルに類似し得る。内部アンカリング部材140は内部カバー122に結合し、動脈瘤10の内部表面15に接触する少なくとも1つのコイルを含む。内部アンカリング部材140の巻線は内部空間14の全体、または内部空間14のかなりの部分を充填しない。その代わり、内部アンカリング部材140は少ない数の巻線だけを含み得る。1つの例示的実施形態では、内部アンカリング部材140はコイルの単一の巻線を含み得る。別の実施形態では、アンカリング部材140は実質的に内部空間14を満たす多数の巻線を含む。内部アンカリング部材140の巻線の方向、数、およびサイズは、動脈瘤10のサイズおよび形状によって変化し得る。
【0026】
図5を参照すると、例示的実施形態による内部カバー122と内部アンカリング部材140がカテーテル30の中に配置されて図示される。内部カバー122はプッシュワイヤ32の遠位端36に結合され、折り畳まれた構成で、カテーテル30の内腔内に配置される。折り畳まれた構成では、内部カバー122の周辺部分124は、プッシュワイヤ36が第1の表面144の上に結合する中央部分126に比較して上流に位置する(例えば、遠位端34に近い)。内部アンカリング部材140は第1の表面142の反対側の内部カバー122の第2の表面146に結合し、内部カバー122の上流側のカテーテル30の内腔の内部に位置する。
【0027】
内部カバー122および内部アンカリング部材140を含む閉塞デバイス120は動脈瘤10の内部で
図3A~3Eを参照して説明されたプロセスに類似して展開する。カテーテル30の遠位端34が動脈瘤10の首部分16の近くに位置すると、プッシュワイヤ32はカテーテル30に対して内腔の内部で移動する。プッシュワイヤの移動によってアンカリング部材140は内部空間14に到達し、内部空間14の中で渦巻き状になる。
【0028】
一実施形態では、プッシュワイヤ32は円形中実断面を有し、アンカリング部材140はコイル状の断面を有し(例えば、電話コードのような)内部空間14の中で渦巻き状に巻くことを促進する。一実施形態では、プッシュワイヤ32とアンカリング部材140は円形中実断面を有する。一実施形態では、プッシュワイヤ32とアンカリング部材は渦巻き状の中実断面を有する。
【0029】
アンカリング部材140の渦巻き形状化が完了すると、内部アンカリング部材140はカテーテルから内部空間14に押し出され、そこで動脈瘤10の内部表面15に接触する。プッシュワイヤ32は内部カバー122がカテーテル30の端部34から表れ始めるまでさらに移動し、内部空間14の中で拡張した構成になるまで広がる。次に、カテーテル30および/またはプッシュワイヤ32は内部カバー122が動脈瘤10の内部表面15に座位し、内部アンカリング部材140によって適切な位置に保持されるまで引っ込められる。プッシュワイヤ32の遠位端36は内部カバー122の第1の表面146から離れ、カテーテル30とプッシュワイヤ32は血管12から引き抜かれ得るが、内部カバー22は動脈瘤10の首部分16または下部に第2の表面146に結合する内部アンカリング部材140とともに残る。
【0030】
図6を参照すると、一例示的実施形態では、アンカリング部材140は可変の剛性を有し得る。例えば、内部アンカリング部材140は近位端146で比較的しなやかであり得、遠位端148で比較的硬くなり得る。比較的硬い遠位端148は動脈瘤10の壁を強化して追加的に支持するように構成され得る。内部アンカリング部材140のより硬い部分は動脈瘤の内部空間14の内部に構造体を形成するように構造部材として利用され得るし、よりしなやかな部分は動脈瘤の内部空間を充填し内部カバー122を支持するように利用され得る。内部アンカリング部材140の堅さは様々な方法で制御され得、コイルの厚さ、コイルの半径、および/または、コイルを形成するために使用される材料を変更することによって制御される。
【0031】
内部アンカリング部材のよりしなやかな部分は着脱可能なシースまたは層を含み得、動脈瘤10内部でアンカリング部材140の内部のより硬い部分のポジショニングを補助する。遠位端148に内部アンカリング部材140のより硬い部分が適所に位置するとシースは除去され得る。
【0032】
一実施形態では、内部アンカリング部材140の剛性は、遠位端148と近位端146の間で内部アンカリング部材140の長さ方向に沿って滑らかに、または、徐々に変化し得る。他の例示的実施形態では、内部アンカリング部材140は2つ以上の区分領域または部分を含み得、各部分は剛性または特性が異なる。内部アンカリング部材140はマーカまたは他の指示部を含み得、1つの領域から別の領域へ遷移することを表示する。一実施形態では、指示部は外部にあってもよく、プッシュワイヤに接合する外部シャフトの上に指示部があり、外部指示部のそれぞれは第1の堅さを有する領域から第2の堅さを有する領域への遷移に対応する。別の実施形態では、指示部は内部にあってもよく、領域間で内部アンカリング部材140上の放射線不透過性の指示部(例えば、プラチナコーティング)であってもよい。
【0033】
一実施形態では、堅さが可変のアンカリング部材140は、内部カバー122が無くとも利用され得る。当該実施形態では、アンカリング部材140は内部空間14を満たす。一実施形態では、複数のアンカリング部材140が利用され得る。一実施形態では、最初に展開したアンカリング部材140の可変剛性は(例えば、厚さ)は次に展開したアンカリング部材の可変剛性(例えば、厚さ)よりも大きい。
【0034】
図7~10を参照すると、例示的実施形態による閉塞デバイス220が首部分26の近くまたは中で動脈瘤20の下部に位置して図示され、血管22と動脈瘤20の内部空間14の間の血流の流れを遮断または停止するので、動脈瘤20が破裂する可能性を低減する。閉塞デバイス220はロープロファイルデバイスで構成され、血管22の側枝28等の周辺組織への干渉を最小化する。閉塞デバイス220は生分解性または生体吸収性材料で構成され得るので、内皮化を促進するように構成され得る。
【0035】
閉塞デバイス220は、上述した内部カバー22、122に類似する動脈瘤10の内部空間14の中に配置される内部カバー222(例えば、プレート、薄膜等)を含む。閉塞デバイス220はまた、上述した内部アンカリング部材140に類似する動脈瘤10の内部に配置される内部アンカリング部材240を含む。内部アンカリング部材240は、首部分16の近くまたは首部分16で動脈瘤20の内部に内部カバー222を止めるように構成される。閉塞デバイス220は動脈瘤10の近傍の血管12内に配置される外部アンカリング部材250をさらに含む。外部アンカリング部材250は内部カバー222を支持する比較的剛性のあるボディを提供し、内部カバー222が血管12の血液の流体圧力によって首部分16からずれる可能性を低減する。
【0036】
図7を参照すると、例示的実施形態による外部アンカリング部材250は適切な生体適合金属または合金(例えば、プラチナ、ステンレス鋼、ニッケルチタニウム合金等)から形成されたコイルの巻線252を含む。金属コイルは、通常、血管内コイリング手順で使用されるコイルに類似し得る。一実施形態では、巻線252は内部カバー222に結合し、血管12の壁13に接触する。一実施形態では、巻線252は血管12を通過する血液の流れに対して垂直方向に位置する。一実施形態では、複数のコイルまたは巻線252が使用され得る。
【0037】
図8を参照すると、例示的実施形態による外部アンカリング部材250は第1の巻線254と第2の巻線256を含む。巻線254および256は、適切な生体適合金属または合金(例えば、プラチナ、ステンレス鋼、ニッケルチタニウム合金等)から形成されるコイルの巻線であり得る。巻線254と256の少なくとも1つは内部カバー222と結合し、血管12の壁13と接触する。第1の巻線254は血管12の内周の周りで血管12を通過する血液の流れに垂直になるように広がる。第2の巻線256は血管12を通過する血液の流れに平行になる。第2の巻線256は極めて直径が小さいコイルから形成され、実質的に血管を通過する血液の流れを妨害しない。他の実施形態では、外部アンカリング部材250は3つ以上の巻線を含み得る。巻線の方向、数、およびサイズは、血管12のサイズおよび形状によって変化し得る。
【0038】
図9を参照すると、別の例示的実施形態による、外部アンカリング部材250は、適切な生体適合金属または合金(例えば、プラチナ、ステンレス鋼、ニッケルチタニウム合金等)または適切な生体適合ポリマーから形成されるステント258を含む。ステント258は、折り畳まれた状態で動脈瘤10に近い血管12までカテーテル30によって案内される。血管12の内部で一旦展開すると、ステント258は血管12の壁と係合するように広がる。ステント258は自己拡張型、または、インフレータブルバルーンのように別のデバイスと一緒に拡張し得る。ステント258の全部または一部はプラチナ等の放射線不透過性の材料でコートまたはカバーされ得、(例えば、ステント258の配置中または配置後に)ステント258を可視化できる。
【0039】
ステント258は動脈瘤10の首部分16を塞ぐことを意図しておらず、内部カバー222の配置およびアンカリングすることを補助する構造を形成する。したがって、ステント258は首部分16と同じ広さ、または、より広い広さである必要はなく、比較的長さが短いボディであり得る(例えば、動脈瘤10の首部分16の幅よりも短い)。ステン
ト258が比較的短い長さを有することによって、外部アンカリング部材250が血管12の側枝18等の周囲の組織を破裂させる可能性を低減する。さらに、ステント258は可変なセル形態である非稠密な、比較的開放的な構成であり得、首部分16から血管12中の近位に広がり得る。他の実施形態では、ステント258は、金属または合金から形成される比較的薄い厚さのバンド等の中実部材であり得る。
【0040】
別の実施形態では、外部アンカリング部材250は、閉塞デバイス320が動脈瘤の首部分16に配置され動脈瘤10の壁に結合した後に、カテーテル30とともに除去される一時的な部材であり得る。例えば、外部アンカリング部材は動脈瘤に近い血管12の中で、空気で膨らむバルーンであり得、内部カバー222を支持する一時的な構造を提供する。
【0041】
図10を参照すると、例示的実施形態による内部カバー222、内部アンカリング部材240、および、外部アンカリング部材250がカテーテル30の中に配置されて図示される。外部アンカリング部材250はプッシュワイヤ32の遠位端36に結合し、折り畳まれた構成で、カテーテル30の内腔で覆われる。外部アンカリング部材250は内部カバー222に結合し、折り畳まれた構成で、外部アンカリング部材250の上流でカテーテル30の内腔で覆われる。外部アンカリング部材250は、例えば、粘着して内部カバー222に結合し得る。折り畳まれた構成で、内部カバー222の周辺部分224は中央部分226の上流に位置し、それに外部アンカリング部材250が第1の表面244上で結合する。内部アンカリング部材240は第1の表面242に対向する内部カバー222の第2の表面246に結合し、内部カバー222の上流のカテーテル30の内腔の中に配置される。
【0042】
内部カバー222および内部アンカリング部材240を含む閉塞デバイス220は、
図3A~3Eを参照して上述されたプロセスと同様に動脈瘤20の中で展開する。カテーテル30の遠位端34が動脈瘤10の首部分16の近傍に位置すると、プッシュワイヤ32はカテーテル30に対して内腔内で移動する。内部アンカリング部材240がカテーテルから押し出されて、内部空間14内に移動し、そこで動脈瘤20の内部表面25に接触する。プッシュワイヤ32は内部カバー222がカテーテル30の端部34から表れ始めるまでさらに移動し、内部空間14の内部で広がった構成になるように拡張する。次に、カテーテル30および/またはプッシュワイヤ32は、内部カバー222が動脈瘤20の内部表面25に座位し、内部アンカリング部材240によって適切な位置に保持されるまで引っ込められる。プッシュワイヤ32は、カテーテル30から外部アンカリング部材250が表れるまでさらに移動する。外部アンカリング部材250は、例えば、1つ以上の巻線252、254、または256、若しくは、ステント258であり得る。プッシュワイヤ32の遠位端36は外部アンカリング部材から離れ、カテーテル30およびプッシュワイヤ32が血管22から引き出され得るが、内部カバー22は動脈瘤20の首部分16の近くまたは首部分16に残り、内部アンカリング部材240は第2の表面246に結合し、外部アンカリング部材250は血管12の中に位置する。他の実施形態では、プッシュワイヤ32は内部カバー222に直接結合し得、外部アンカリング部材250は別に展開し得る(例えば、別のカテーテルによって)。
【0043】
図11~14を参照すると、例示的実施形態による閉塞デバイス320が動脈瘤10の首部分16に配置して図示され、血管12と動脈瘤の内部空間14との間の血流の流れを阻止または停止させるので、動脈瘤10が破裂する可能性を低減する。閉塞デバイス320はロープロファイルデバイスとして構成され、血管12の側枝18等の周辺組織への干渉を最小化する。閉塞デバイス320は生分解性または生体吸収性材料で構成され得、内皮化を促進するように構成され得る。
【0044】
閉塞デバイス320は動脈瘤10の内部空間14の中に配置される上述した内部カバー22、122または222に類似する内部カバー322(例えば、プレート、薄膜等)を含む。閉塞デバイス320は動脈瘤10の近傍の血管12内に位置する外部カバー360をさらに含む。外部カバー360は内部カバー322に結合し得、比較的剛性のあるボディを提供し、内部カバーを支持する。外部カバー360によって、血管32内の血液の流体圧力によって内部カバー322が首部分16から移動する可能性を低減する。外部カバー360は、内部カバー322を首部分16に固定する内部アンカリング部材140または外部アンカリング部材250等の別のデバイスとともに、または、その代わりに使用され得る。
【0045】
図11を参照すると、例示的実施形態による外部カバー360は、金属または合金(例えば、プラチナ、ステンレス鋼、ニッケルチタニウム合金等)、またはポリマー(例えば、PTFE等)等の適切な生体適合部材から形成される比較的薄い部材(例えば、プレート、シート等)である。例示的実施形態によれば、外部カバー360の厚さは2mm未満である。好ましい実施形態によれば、外部カバー360の厚さは1mm未満である。外部カバー360はロープロファイルボディであって、血管12を通過する血液の流れを実質的に妨げない。外部カバー360は周辺部分362を含み、それは動脈瘤10の首部分16の周りの血管12の壁13に接触し中央部分364は首部分16に位置する。中央部分364は内部カバー322と一体に形成され得るし、または、内部カバー322と(例えば、適切な粘着によって)結合し得る。外部カバー360の全部または一部はプラチナ等の放射線不透過性の材料によってコートまたは覆われ得るので、(例えば、外部カバー360の配置中または配置後に)外部カバー360を可視化できる。実施形態では、外部カバー360は首部分16よりも小さい領域(例えば、首部分の領域の90パーセント、75パーセント、または50パーセント)を有する中央領域で内部カバーに取り付けられる。一実施形態では、中央領域は円形形状である。
【0046】
外部カバー360は動脈瘤10の首部分16を塞ぐことを意図しておらず、内部カバー322を止めることを補助する構造を形成する。したがって外部カバー360は首部分16を完全に覆う必要はない。したがって外部カバー360は首部分16の一部分が覆われていない、および/または、多孔性材料から形成される(例えば、メッシュ)形状であり得る。
図12を参照すると、一実施形態では、外部カバー360は外部カバー360の周辺部分362が首部分16の周囲全体に広がるように首部分16を完全に覆うシートであり得る。
【0047】
図13を参照すると、別の実施形態では、外部カバー360は首部分16から外側に広がる放射状の丸い突出部366等の複数のセグメントまたはセクションを含み得る。各丸い突出部366は、首部分16の中に位置する中央部分364と、首部分16を超えて広がり血管12の壁13に接触する周辺部分362を含み得る。
【0048】
図14を参照すると、別の実施形態では、外部カバー360は渦巻きボディ368を含み得る。渦巻きボディ368の内側の巻線は中央部分364を形成し得、渦巻きボディ368の外側の巻線は周辺部分362を形成し得る。
【0049】
外部カバー360は内部カバー322と同じ手順でカテーテルから展開し得る。したがって外部カバー360は内部カバー322と結合し、カテーテルの中で覆われるように折り畳まれる構成であり得る。外部カバー360は、カテーテルの中で、中央部分364が内部カバー322と結合し、周辺部分362の上流側に位置するように構成され得る。内部カバー322は
図3A~Dを参照して説明したように展開し得る。一旦内部カバー322がカテーテルから展開し首部分16の中に位置すると、カテーテルのプッシュワイヤは外部カバー360を展開するためにさらに前に進行し得る。血管12内の血液流体圧力によって、外部カバー360を血管12の壁13に対向させる。他の実施形態では、プッシ
ュワイヤ32は内部カバー322に直接結合し得、外部カバー360は(例えば、別のカテーテルによって)別に展開し得る。
【0050】
図15~16を参照すると、例示的実施形態による閉塞デバイス420が動脈瘤10の首部分16などの下部に配置して図示される。閉塞デバイス420は動脈瘤10の内部空間14の中に配置される内部カバー422(例えば、プレート、薄膜等)を含む。閉塞デバイス420は、動脈瘤10の内部に配置される内部アンカリング部材440、および/または、外部アンカリング部材450をさらに含む。内部アンカリング部材440は首部分16の動脈瘤10の内部で内部カバー422を止めるように構成される。例示的実施形態によれば、内部アンカリング部材440は適切な生体適合金属または合金(例えば、プラチナ、ステンレス鋼、ニッケルチタニウム合金等)から形成された1つ以上のストラットまたはアームを含む。内部アンカリング部材440は内部カバー422に結合し、内部カバー422の周囲を超えて延伸し、動脈瘤10の内部表面15に接触するように構成される。したがって内部アンカリング部材440は比較的広い首16を有する動脈瘤10の内部カバー422を配置することを補助するために使用され得る。内部アンカリング部材440のストラットあるいはアームは、全内部空間14または内部空間14のかなりの部分を充填しない。動脈瘤10の大きさは血管が治癒するにしたがって収縮するので、動脈瘤10の「質量効果」は減少し、その結果、動脈瘤による周辺組織への圧力は低減する。内部アンカリング部材440のアームの向き、数、および、長さは、動脈瘤10のサイズおよび形状によって変化し得る。上述したマイクロカテーテル30のように、内部アンカリング部材440のアームはマイクロカテーテルによって搬送されるように一緒に折り畳まれるように構成され得る。
【0051】
なおも
図15~16を参照すると、外部アンカリング部材450は、首16に位置し内部カバー422に結合する第1の部分452(例えば、遠位部分)と、血管12内に位置する第2の部分454(例えば、近位部分)を含む。外部アンカリング部材450は適切な生体適合金属または合金(例えば、プラチナ、ステンレス鋼、ニッケルチタニウム合金等)または適切な生体適合ポリマーから形成される。外部アンカリング部材450の全部または一部はプラチナ等の放射線不透過性の材料でコートまたはカバーされ得、(例えば、外部アンカリング部材450の配置中または配置後に)外部アンカリング部材450を可視化できる。外部アンカリング部材450は(例えば、真っ直ぐに)折り畳んだ状態で動脈瘤10の近傍の血管12にカテーテルで導かれる。一旦血管12内で展開すると、外部アンカリング部材450は外部アンカリング部材の少なくとも一部分が血管12の壁を押圧するように広がる。外部アンカリング部材450は単一の連続したスパイラルとして形成され得、スパイラルの巻線は様々な特性(例えば、直径、厚さ、柔軟性等)を持つように形成され得る。例えば、第1の部分452は比較的小さい直径の、柔軟性があるコイルであるように形成され得、一方第2の部分454は大きな、比較的剛性があるコイルであるように形成され得、血管12の壁13に沿って外部アンカリング部材450を配置するように半径方向の外向きに増大する力を提供する。
【0052】
図17を参照すると、別の例示的実施形態による外部アンカリング部材460の一部は二重スパイラルで形成され得る。他の例示的実施形態によれば、外部アンカリング部材は様々な他の形状の(例えば、蜘蛛の巣形状、星形形状等)であり得、所望の柔軟性を付与し動脈瘤の首部分で内部カバーを支持する。
【0053】
図18A~18Bを参照すると、別の例示的実施形態による閉塞デバイスのための内部カバー470は星形形状のボディであり得る。内部カバー470は(例えば、折り目を付ける、ミシン目を付ける、型で成形して)あらかじめ定められた折り目に沿って折り畳まれて形成される。
【0054】
図19を参照すると、外部アンカリング部材482を有する閉塞デバイス480が図示される。外部アンカリング部材482は様々な形状のボディであり得る(例えば、ストレート、スパイラル、マルチスパイラル、集合体等)。外部アンカリング部材482は、閉塞デバイス480を配置し、固定することができる構造体を形成する最少のセグメント数を有する比較的オープンな構造で形成され、血管の壁との接触を最小化する。外部アンカリング部材482のオープンな特性のために、血管の支管を拘束するリスクすなわち血管を流れる血液の流れを変えてしまうリスクが小さい。
【0055】
図20を参照すると、別の例示的実施形態による閉塞デバイス490のための内部アンカリング部材494が図示される。内部アンカリング部材494は、カバー492に結合する中央ワイヤ496と中央ワイヤ496に結合する1つ以上の外側ワイヤ498を含む。外側ワイヤ498は中央ワイヤ496から外側に広がり、動脈瘤10の内部表面15に接触する。内部アンカリング部材494は、折り畳まれた(例えば、真っ直ぐな)状態で動脈瘤10にカテーテル30によって挿入される。一旦動脈瘤10の中に展開されると、カテーテル30は引き抜かれ、外側ワイヤ498は外側に開き、外側ワイヤ298の少なくとも一部分が内部表面15に接触し、カバー492を首16に配置させて止める。
【0056】
図21を参照すると、例示的な実施形態による閉塞デバイス520が示されている。閉塞デバイス520は、動脈瘤10の首部分16の中または近くに配置されて、血管12と動脈瘤10の内部空間14との間の血流の流れを中断または停止し、それにより動脈瘤10が破裂する可能性を低減する。閉塞デバイス520は、低プロファイルデバイスであるように構成され、血管の側枝などの周囲の組織への混乱を最小限に抑える。閉塞デバイス520は、生分解性または生体吸収性材料であるように構成され得、そして内皮化を促進するように構成され得る。
【0057】
閉塞デバイス520は、動脈瘤10の内部空間14内に配置された内部カバー522を含む。内部カバー522は、動脈瘤10の首部分16を覆うように配置される。内部カバー522は、互いに結合された(例えば、溶接された、はんだ付けされた、織られた、その他)複数のワイヤまたは繊維によって形成されたミクロンメッシュなどの比較的高密度のメッシュから形成される。この実施形態では、内部カバー522は、メッシュの二重層である。メッシュの二重層は、最初にメッシュ球体として形成される。いくつかの実施形態では、メッシュ球体は、動脈瘤10への血管内送達のためにマイクロカテーテル30内に折り畳まれている。カバー522がマイクロカテーテル30から解放されると、プッシュワイヤ32がメッシュ球体の上部中央部分を保持し、その結果、メッシュ球体は解放され、半球体形に拡大する。二重層カバー522は、メッシュ球体によって形成され、球体の第1の上部は、球体の第2の下部に対しておよびその中に折り重ねられ、それにより、二重層の半球体形状を形成し、その結果、内部カバー522の内面は、
図21~22に示されるように、凹面を備える。球体の拡張された形状は、球体の上部中心と球体の下部中心の間の距離に依存するため、ワイヤを移動することによって調整することができる。
【0058】
内部カバー522を含む閉塞デバイス520は、
図3A~3Eを参照して上に記載したプロセスと同様に、動脈瘤20内に展開されてもよい。カテーテル30の遠位端34が動脈瘤10の首部分16に近接して配置された状態で、プッシュワイヤ32は、カテーテル30に対して内腔内で移動される。内部カバー522は、カテーテル30の端部34から現れ始め、内部空間14内で拡張された構成に拡張する。一実施形態では、内部カバー522は、メッシュ球体の形態で現れる。次に、内部カバー522が動脈瘤10の内面25に着座するまで、カテーテル30および/またはプッシュワイヤ32が引っ込められる。内部カバー522の二重層は、例えば上部が下部と接するまでプッシュワイヤ32を引くなどして、球体の上部を底部に折り重ねることによって形成される。他の実施形態では、内部カバー522は、既に二重層構成でカテーテル30から展開され、最初に球体として現れない。
【0059】
次に
図22を参照すると、閉塞デバイス520は別の例示的な実施形態に従って示され、ここでは閉塞デバイス520は外部アンカリング機構550をさらに含む。外部アンカリング部材550は、内部カバー522に結合され、それを支持し、内部カバー522が血管12内の血液の流体圧によって首部分16から移動する可能性を低減する。図示の実施形態では、外部アンカリング機構550は、首部分16から外向きに延在する半径方向ローブ566などの2つ以上のセグメントまたはセクションによって形成されている。ローブ566のそれぞれは、ニチノール、ポリマー、または同様の材料で作られた単一のワイヤ巻線で形成されてもよい。巻線の代わりに、ローブ566は、内部カバー522から延びる中実の実質的に平坦な材料片であってもよい。各ローブ566は、首部分16内に配置されるように構成された中央部分564と、首部分16を越えて延在し血管12の壁13と接触するように構成された周辺部分562とを含み得る。ワイヤ巻線は、オール形状と同様に、中央部分564の近くのより狭い部分と、周辺部分562の近くのより広い部分とを有するように形成され得る。いくつかの実施形態では、
図23Aに示される閉塞デバイス520の底面図に示されるように、より狭い部分およびより広い部分はそれぞれ均一な直径を有する。他の実施形態では、
図23Bに示される閉塞デバイス520の底面図に示されるように、巻線の直径は、最も中央の部分と最も周辺の部分との間で連続的に広がる。ローブ566は、示されたものに加えて、他の形状およびサイズをとることができる。閉塞デバイス520は、2つから8つの範囲のローブ566を有し得る。
【0060】
再び
図22を参照すると、閉塞デバイス520のローブ566は、角度570で内部カバー522に結合される。いくつかの実施形態では、内部カバー522の側面と半径方向ローブの平面との間に形成される角度570は、15度と45度の間である。このようにして、ローブ566は、首部分16の近くの血管12の壁13に係合するクリップとして作用し、首部分16の近くの動脈瘤12の下部における閉塞デバイス520の位置決めを維持する。
【0061】
図24を参照すると、1つの例示的な実施形態において、動脈瘤10内に配置された内部アンカリング部材640を有する閉塞デバイス620が示されている。内部アンカリング部材640は、首部分16でまたはその近くで、動脈瘤10の下部内に内部カバー622を固定するように構成される。内部アンカリング部材640は、内部カバー622を支持する比較的剛性の高い本体を提供し、血管12内の血液の流体圧力によって内部カバー622がネック部分16から変位する可能性を低減する。例示的な実施形態によれば、内部カバー622は、内部カバー522と同様に形成された二重層である。内部カバー622は、動脈瘤10の内面15に接触する周辺部分を有する。
【0062】
例示的な実施形態によれば、内部アンカリング部材640は、適切な生体適合性金属または合金(例えば、プラチナ、ステンレス鋼、ニッケル-チタン合金、その他)から形成されたコイルの1つまたは複数の巻線を含む。金属コイルは、ばねのようなものであり得、そして血管内コイリング処置において典型的に利用されるコイルと同様であり得る。内部アンカリング部材640は、内部カバー622に結合され、動脈瘤10の内面15に接触する少なくとも1つのコイルを含む。図示の実施形態では、内部アンカリング部材640の巻線は、内部空間14全体も内部空間14のかなりの部分も満たさない。代わりに、内部アンカリング部材640は、ステムのようにカバー622から延びる単一セットの巻線のみを含む。いくつかの実施形態では、アンカリング部材640は、ソフトネットコイルであってよい。他の実施形態では、アンカリング部材640は、内部空間14を実質的に満たす多数の巻線を含み得る。内部アンカリング部材640の巻線の向き、数、およびサイズは、動脈瘤10のサイズおよび形状に応じて異なり得る。
【0063】
あるいは、内部カバー622および内部カバー522は、本開示に記載されるように、任意の内部アンカリング部材で実装され得る。さらに、
図24には示されていないが、閉塞デバイス620は、外部アンカリング部材250、360、450、460、482、および550を含むがこれらに限定されない、本開示に記載されるような外部アンカリング部材のいずれかを含み得る。
【0064】
図25を参照すると、1つの例示的な実施形態において、内部アンカリング部材740を有する閉塞デバイス720が示されている。内部アンカリング部材740は、内部カバー722を、ネック部分16でまたはその近くで、動脈瘤10の下部内に固定するように構成される。内部アンカリング部材740は、内部カバー722を支持する比較的剛性の本体を提供し、内部カバー722が血管12内の血液の流体圧力によって首部分16から変位する可能性を低減する。例示的な実施形態によれば、内部カバー722は、内部カバー522、622と同様に形成された二重層である。内部カバー722は、動脈瘤10の内面15に接触する周辺部分を有する。
【0065】
例示的な実施形態によれば、内部アンカリング部材740は、ステムのようにカバー722の実質的に中央部分から延びるという点で、内部アンカリング部材640と同様である。この実施形態では、内部アンカリング部材640とは異なり、内部アンカリング部材740は、メッシュ材料のシートから作製された円筒形ステムである。円筒形ステムは、動脈瘤10の内面15と接触するステムの遠位端で囲まれ得る。メッシュ材料は、コイルを形成する一組の巻線の周りに巻き付けられ得るか、または自己支持性であり得る。内部アンカリング部材740は、動脈瘤10の内面15に押し付けられたときに収縮することができるアコーディオン状の構造を形成する複数の折り目742を含み得る。いくつかの実施形態では、メッシュ材料は、非常に細かい高密度のワイヤメッシュである。メッシュ材料は、金属および糸と織り交ぜられたニチノールの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、内部アンカリング部材740の上端744は、覆われるかまたは閉じられる。
【0066】
図25の内部アンカリング部材740は、カバー722と一体の構造として構成され得る。例えば、同じメッシュシートを使用して、内部アンカリング部材740のステムを形成する延長部分を有するカバー722を形成することができる。他の実施形態では、カバー722および内部アンカリング部材740は、一緒に結合または成形される別個の要素である。
【0067】
図25に示されないが、閉塞デバイス720は、外部アンカリング部材250、360、450、460、482、および550を含むがこれらに限定されない、本開示に記載されるような外部アンカリング部材のいずれかを含み得る。
【0068】
図26A~Bを参照すると、1つの例示的な実施形態において、閉塞デバイス用の内部カバー822が示されている。この実施形態では、内部カバーは、多層の内部カバー822である。内部カバー822は、互いに重なり合う関係で配置され、個別に移動可能な複数のリーフ824を含む。リーフ824は、内部カバー822の中央部分の周りに配置される。
図26Aの側面図において、内部カバー822は、部分的に収縮した構成で示されており、リーフは、中央部分の周りに密に位置付けられている。内部カバー822が動脈瘤10の首16の近くに展開されるときなどの拡張された構成において内部カバーを示す上面図である
図26Bでは、リーフ824は、それらが内部カバー822の中央部分から外側に延在するように拡張される、または扇状に広げられる。内部カバー822のリーフ824の少なくとも一部は、拡張された構成にあるときに動脈瘤10の内面15と接触するように構成される。
【0069】
例示的な実施形態によれば、内部カバー822の個々のリーフ824は、プラチナ、ステンレス鋼、チタン、チタン-ニッケル合金(例えば、ニチノール)など、生体適合性金属または金属合金などのメッシュ材料から作製される。内部カバー822のリーフ824は、互いに結合または成形される複数のワイヤまたは繊維によって形成される37ミクロンメッシュなどの比較的高密度のメッシュで形成されてもよい。内部カバー822は、以下に記載されかつ
図27~32に示される内部アンカリング部材および中心ステムを含むがこれらに限定されない、本明細書の他の場所に記載されるような内部アンカリング部材と組み合わせて使用され得る。
【0070】
図27~32はそれぞれ、同様の全体構造を有する閉塞デバイスを示す。例えば、そこに示される各実施形態は、中央ステム(930、1030、1130、1230、1330、1430、1530、1630)で接続された、内部カバー(922、1022、1122、1222、1322、1422、1522、1622)および内部アンカリング部材(940、1040、1140、1240、1340、1440、1540、1640)を含む。これらの実施形態では、内部カバーおよび内部アンカリング部材は、実質的に同様の直径を有する円板である。中央ステムは、内部カバーおよび内部アンカリング部材の直径よりも小さい直径を有する円筒形本体であり得る。内部カバー、内部アンカリング部材、および中央ステムは、上記の閉塞デバイスと同様に、全てメッシュ材料で構成される。
図27~32のいくつかの実施形態では、内部カバーはより高密度のメッシュで作られ、内部アンカリング部材はより低密度のメッシュで作られる。
【0071】
様々な構成および組み合わせが、
図27~32を参照して示され、記載される。本設計は示されている実施形態に限定されるのではなく、
図27~32に記載されている様々な特徴は互いに他の組み合わせおよび構成で使用できることが考えられる。さらに、
図27~32に示される実施形態はいずれも、
図26A~26Bに示される多層カバー822を利用してもよい。示される実施形態はまた、上記の外部アンカリング部材(250、360、450、460、482、および550)を含むがこれらに限定されない外部アンカリング部材のいずれかを組み込んでもよい。
【0072】
図27を参照すると、1つの例示的な実施形態において、閉塞デバイス920は、動脈瘤10内に配置されて示されている。閉塞デバイス920は、中央ステム930によって接続された内部カバー922および内部アンカリング部材940を有する。中央ステム930は、円筒形本体であってもよい。内部カバー922および内部アンカリング部材940はそれぞれ概して凹面体であり、凹面はステム930の方を向き、互いに向き合っている。内部カバー922、内部アンカリング部材940、および中央ステム930は、別々に構成され、一緒に結合されてもよい。他の実施形態では、3つの要素は単一のシートから形成され、一体である。この実施形態では、内部カバー922と内部アンカリング機構940の両方が、メッシュ材料の単層円板で構成される。
【0073】
図28を参照すると、1つの例示的な実施形態において、閉塞デバイス1020が示されている。閉塞デバイス1020は、中央ステム1030によって接続された内部カバー1022および内部アンカリング部材1040を有する。内部カバー1022および内部アンカリング部材1040はそれぞれ概して凹面体であり、凹面はステム1030の方を向き、互いに向き合っている。内部カバー1022、内部アンカリング部材1040、および中央ステム1030は、別々に構成され、一緒に結合されてもよい。他の実施形態では、3つの要素は単一のシートから形成され、一体である。
図28の閉塞デバイス1020は、内部カバー1022および内部アンカリング機構1040の両方が、メッシュ材料の二重層で構成されている点で閉塞デバイス920とは異なり、メッシュ材料の二重層は上述の内部カバー522、622、または722と同様に形成され得る。
【0074】
図29を参照すると、1つの例示的な実施形態において、閉塞デバイス1120が示されている。閉塞デバイス1120は、中央ステム1130によって接続された内部カバー1122および内部アンカリング部材1140を有する。内部カバー1122および内部アンカリング部材1140はそれぞれ概して凹面体であり、その凹面はステム1130の方を向き、互いに向き合っている。内部カバー1122、内部アンカリング部材1140、および中央ステム1130は、別々に構成され、一緒に結合されてもよい。他の実施形態では、3つの要素は単一のシートで形成され、一体である。
図29の閉塞デバイス1120は、内部カバー1122がメッシュ材料の単層で構成され、内部アンカリング機構1140がメッシュ材料の二重層で構成されるという点で閉塞デバイス920とは異なり、メッシュ材料の二重層は上述の内部カバー522、622、または722と同様に形成され得る。
【0075】
図30を参照すると、1つの例示的な実施形態において、閉塞デバイス1220が示されている。閉塞デバイス1220は、中央ステム1230によって接続された内部カバー1222および内部アンカリング部材1240を有する。内部カバー1222および内部アンカリング部材1240はそれぞれ概して凹面体であり、その凹面はステム1230の方を向き、互いに向き合っている。内部カバー1222、内部アンカリング部材1240、および中央ステム1230は、別々に構成され、一緒に結合されてもよい。他の実施形態では、3つの要素は単一のシートで形成され、一体である。
図30の閉塞デバイス1220は、内部アンカリング機構1240がメッシュ材料の単層で構成され、内部カバー1222がメッシュ材料の二重層で構成されるという点で閉塞デバイス920とは異なり、メッシュ材料の二重層は上述の内部カバー522、622、または722と同様に形成され得る。
【0076】
図31を参照すると、1つの例示的な実施形態において、閉塞デバイス1320が示されている。閉塞デバイス1320は、中央ステム1330によって接続された内部カバー1322および内部アンカリング部材1340を有する。
図31の閉塞デバイス1320は、内部アンカリング機構1240がメッシュ材料の単層から構成され、内部カバー1222がメッシュ材料の二重層から構成され、メッシュ材料の二重層は上述の内部カバー522、622または722と同様に形成され得るという点で
図30の閉塞デバイス1220と同様であるが、この実施形態では、内部アンカリング機構1340は、外方に広がってステム1330の非外傷性端部1332を形成する中央ステム1330の単層の端部である。閉塞デバイスはまた、閉塞デバイス1320の一部として示されている外方に広がった内部アンカリング機構1340に加えて、外方に広がった内部カバーを含んでもよい。
【0077】
図32A~32Cは、例示的な実施形態による、閉塞デバイスに対する他の修正形態を示す。これらの図のそれぞれは、
図27~31と同様に、中央ステムによって接続された内部カバーおよび内部アンカリング機構を有する閉塞デバイスを示している。
図32A~32Cの実施形態では、内部カバーおよび内部アンカリング機構は形状の変化を有し得ることが示されている。例えば、内部カバーおよび/または内部アンカリング機構は、平坦な湾曲していない形状を有することができる。あるいは、内部カバーおよび/または内部アンカリング機構は、傾斜したまたは湾曲した形状を有してもよい。この代替実施形態では、内部カバーおよび/または内部アンカリング機構は、傾斜したまたは隆起した縁部を備えた実質的に平坦な中央部分を有することができる。上述の
図28は、内部カバー1022および内部アンカリング部材1040の両方が傾斜している、または湾曲している閉塞デバイス1020を示している。
図32Aは、内部カバー1422および内部アンカリング部材1440が両方とも直線である閉塞デバイス1420を示す。
図32Bは、内部カバー1522が傾斜しており、内部アンカリング部材1540が直線である閉塞デバイス1520を示している。
図32Cは、内部カバー1622が直線であり、内部アンカリング部材1640が傾斜している閉塞デバイス1620を示す。
【0078】
様々な例示的な実施形態に示されているような動脈瘤閉塞デバイスの要素の構造および配置は、単なる例示である。この開示では少数の実施形態のみを詳細に記載したが、この開示を検討する当業者は、本明細書に記載されている主題の新規の教示および利点から実質的に逸脱することなく多くの修正が可能である(例えば、様々な要素のサイズ、寸法、構造、形状および比率の変化、パラメータの値、取り付けの配置、材料の使用、色、向き、その他)ことを容易に理解するであろう。例えば、一体的に形成されたものとして示されている要素は、複数の部品または要素から構成されてもよく、要素の位置は逆転または別の方法で変化してもよく、個別の要素または位置の性質または数は変更または変化してもよい。システムの要素および/またはアセンブリは、十分な強度、耐久性、または生体適合性を提供する多種多様な材料のいずれかから構築されてよいことに留意されたい。本発明の範囲から逸脱することなく、好ましいおよび他の例示的な実施形態および医療手順の設計、動作条件および配置において、他の置換、修正、変更および省略を行うことができる。