(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028906
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】抗VISTA抗体およびフラグメント
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20240227BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240227BHJP
C12N 5/078 20100101ALI20240227BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C12N15/13
C12N5/078
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023206950
(22)【出願日】2023-12-07
(62)【分割の表示】P 2022021219の分割
【原出願日】2016-06-23
(31)【優先権主張番号】62/184,108
(32)【優先日】2015-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/187,659
(32)【優先日】2015-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516186212
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカ エヌブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】スナイダー,リンダ
(72)【発明者】
【氏名】パワーズ,ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】セプルベダ,マヌエル アレハンドロ
(72)【発明者】
【氏名】アルバレス,ジョン,ディー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】抗VISTA抗体およびフラグメントを提供すること。
【解決手段】(i)ヒト対象に由来する少なくとも1つの腫瘍試料、ならびに(ii)ヒトのT細胞活性化IgV領域抑制因子(VISTA)タンパク質に結合する、抗原結合領域を含む単離抗体、またはその抗原結合フラグメント、ここで前記抗体が、a)それぞれ特定のアミノ酸配列を有するVHCDR1、VHCDR2、およびVHCDR3を含む抗体VHドメイン;b)それぞれ特定のアミノ酸配列を有するVLCDR1、VLCDR2、およびVLCDR3を含む抗体VLドメイン;c)非ヒト抗体重鎖定常領域;ならびにd)非ヒト抗体軽鎖定常領域を含む、を含み、前記CDRを含む抗VISTA抗体またはその抗原結合フラグメントの抗腫瘍効果の調査での使用に適している、組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)ヒト対象に由来する少なくとも1つの腫瘍試料、ならびに
(ii)ヒトのT細胞活性化IgV領域抑制因子(VISTA)タンパク質に結合する抗原結合領域を含む単離抗体、またはその抗原結合フラグメント、ここで前記抗体が、
a)配列番号31のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号32のア
ミノ酸配列を有するVH CDR2、および配列番号33のアミノ酸配列を有
するVH CDR3を含む抗体VHドメイン;
b)配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号35のア
ミノ酸配列を有するVL CDR2、および配列番号36のアミノ酸配列を有
するVL CDR3を含む抗体VLドメイン;
c)非ヒト抗体重鎖定常領域;ならびに
d)非ヒト抗体軽鎖定常領域
を含む、
を含み、前記CDRを含む抗VISTA抗体またはその抗原結合フラグメントの抗腫瘍効果の調査での使用に適している、組成物。
【請求項2】
前記抗体または抗原結合フラグメントが、以下:
(i)配列番号64を含む抗体VHドメイン;
(ii)配列番号45を含む抗体VLドメイン;
(iii)マウス抗体重鎖定常領域を含む非ヒト抗体重鎖定常領域;
(iv)マウスIgG1重鎖定常領域を含む非ヒト抗体重鎖定常領域;
(v)配列番号76におけるマウスIgG1重鎖定常領域を含む非ヒト抗体重鎖定常領域;
(vi)マウスIgG2a重鎖定常領域を含む非ヒト抗体重鎖定常領域;
(vii)マウス抗体軽鎖定常領域である非ヒト抗体軽鎖定常領域;
(viii)マウスIgG1軽鎖定常領域である非ヒト抗体軽鎖定常領域;
(ix)配列番号77におけるマウスIgG1軽鎖定常領域を含む非ヒト抗体軽鎖定常領域;または
(x)マウスIgG2a軽鎖定常領域を含む非ヒト抗体軽鎖定常領域
の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記抗体または抗原結合フラグメントは、ヒトのT細胞活性化IgV領域抑制因子(VISTA)タンパク質に結合する抗原結合領域を含み、前記抗体は、配列番号76を含む抗体重鎖、および配列番号77を含む抗体軽鎖を含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記腫瘍試料は、VISTA発現ヒト免疫細胞を含む、請求項1~3いずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記抗体または抗原結合フラグメントは、検出可能な標識を含む、請求項1~4いずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記検出可能な標識は、放射性核種、蛍光体、酵素、色素原または免疫組織化学的染色を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
(i)ヒト対象に由来する少なくとも1つの腫瘍試料、ならびに
(ii)ヒトのT細胞活性化IgV領域抑制因子(VISTA)タンパク質に結合する抗原結合領域を含む単離抗体、またはその抗原結合フラグメント、ここで前記抗体が、
a)配列番号31のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号32のア
ミノ酸配列を有するVH CDR2、および配列番号33のアミノ酸配列を有
するVH CDR3を含む抗体VHドメイン;
b)配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号35のア
ミノ酸配列を有するVL CDR2、および配列番号36のアミノ酸配列を有
するVL CDR3を含む抗体VLドメイン;
c)非ヒト抗体重鎖定常領域;ならびに
d)非ヒト抗体軽鎖定常領域
を含む、
を含み、前記CDRを含む抗VISTA抗体またはその抗原結合フラグメントの抗腫瘍効果の調査に使用するための組成物。
【請求項8】
前記抗体または抗原結合フラグメントが、以下:
(i)配列番号64を含む抗体VHドメイン;
(ii)配列番号45を含む抗体VLドメイン;
(iii)マウス抗体重鎖定常領域を含む非ヒト抗体重鎖定常領域;
(iv)マウスIgG1重鎖定常領域を含む非ヒト抗体重鎖定常領域;
(v)配列番号76におけるマウスIgG1重鎖定常領域を含む非ヒト抗体重鎖定常領域;
(vi)マウスIgG2a重鎖定常領域を含む非ヒト抗体重鎖定常領域;
(vii)マウス抗体軽鎖定常領域である非ヒト抗体軽鎖定常領域;
(viii)マウスIgG1軽鎖定常領域である非ヒト抗体軽鎖定常領域;
(ix)配列番号77におけるマウスIgG1軽鎖定常領域を含む非ヒト抗体軽鎖定常領域;または
(x)マウスIgG2a軽鎖定常領域を含む非ヒト抗体軽鎖定常領域
の少なくとも1つを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記抗体または抗原結合フラグメントは、ヒトのT細胞活性化IgV領域抑制因子(VISTA)タンパク質に結合する抗原結合領域を含み、前記抗体は、配列番号76を含む抗体重鎖、および配列番号77を含む抗体軽鎖を含む、請求項7または8に記載の組成物。
【請求項10】
前記腫瘍試料は、VISTA発現ヒト免疫細胞を含む、請求項7~9いずれかに記載の組成物。
【請求項11】
前記抗体または抗原結合フラグメントは、検出可能な標識を含む、請求項7~10いずれかに記載の組成物。
【請求項12】
前記検出可能な標識は、放射性核種、蛍光体、酵素、色素原または免疫組織化学的染色を含む、請求項11に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2015年6月24日に出願された米国仮特許出願第62/184,108号および2015年7月1日に出願された同第62/187,659号の優先権および利益を主張するものである。上記出願の教示は全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
ASCIIテキストファイル中の材料の参照による組み込み
本明細書とともに提出された次のASCIIテキストファイル:2016年6月22日に作成された、87KBのサイズを有するファイル名01481142017SEQUENCELISTING.txtに含まれる配列表は参照により本願に組み込まれる。
【0003】
本発明は、抗VISTA抗体およびフラグメントに関する。
【背景技術】
【0004】
腫瘍微少環境における癌細胞または免疫細胞によるネガティブ免疫チェックポイントレギュレーターの発現は、腫瘍に対する宿主免疫応答を抑制する。癌と効果的に戦うには、宿主免疫応答の腫瘍媒介抑制をブロックすることが望ましい。したがって、抗腫瘍免疫応答を抑制する腫瘍微少環境におけるネガティブ免疫チェックポイントレギュレーターを阻害する新しい有効な治療薬が要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第8,236,304号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、抗VISTA抗体およびフラグメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一実施形態において、哺乳動物のT細胞活性化IgV領域抑制因子(VISTA)タンパク質に結合する抗原結合領域を含む単離抗体(例えば、キメラ抗体)、またはその抗原結合フラグメントを提供する。抗体は、配列番号31のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号32のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および配列番号33のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む抗体VHドメインを含む。抗体は、さらに、配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号35のアミノ酸配列を有するVL CDR2、および配列番号36のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む抗体VLドメインを含む。さらに、抗体は、非ヒト抗体重鎖定常領域および非ヒト抗体軽鎖定常領域を含む。
【0008】
一実施形態において、抗体VHドメインは、配列番号64を含む。他の実施形態において、抗体VLドメインは、配列番号45を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、抗体は、マウス非ヒト抗体重鎖定常領域である非ヒト抗体重鎖定常領域を含む。ある特定の実施形態では、マウス非ヒト抗体重鎖定常領域は、マウスIgG1重鎖定常領域である。ある特定の実施形態では、マウスIgG1重鎖定常領域は、配列番号76の重鎖定常領域を含む。他の一実施形態において、マウス抗体重鎖定常領域は、マウスIgG2a重鎖定常領域である。
【0010】
他の実施形態において、抗体は、マウス抗体軽鎖定常領域である非ヒト抗体軽鎖定常領域を含む。ある特定の実施形態では、マウス抗体軽鎖定常領域は、マウスIgG1軽鎖定常領域である。ある特定の実施形態では、マウスIgG1軽鎖定常領域は、配列番号77の軽鎖定常領域を含む。他の一実施形態において、マウス抗体軽鎖定常領域は、マウスIgG2a軽鎖定常領域である。
【0011】
ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、ヒトVISTAタンパク質に結合する。ある特定の実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、以下に示すアミノ酸配列を有するヒトVISTAタンパク質に存在するエピトープに結合する。
【化1】
【0012】
1つの実施形態では、抗体、または抗原結合フラグメントは全抗体である。
【0013】
他の一実施形態では、本発明は、配列番号77を含む抗体重鎖を含むおよび配列番号68の抗体軽鎖を含む単離抗体、または、その抗原結合フラグメントを提供する。
【0014】
さらに他の実施形態では、本発明は、本発明の抗体、または抗原結合フラグメントを含む組成物を提供する。
【0015】
さらなる実施形態では、本発明は、試料中の哺乳動物VISTAタンパク質を検出する方法を提供する。本発明は、試料を本発明の抗体または抗原結合フラグメントと、抗体または抗原結合フラグメントが試料中のVISTAタンパク質に結合する条件下で接触させる工程と、試料中のVISTAタンパク質に結合した抗体または抗原結合フラグメントを検出する工程を含む。
【0016】
1つの実施形態では、試料は細胞である。特に、細胞としては、免疫細胞(例えば、ミエロイド細胞)、間質細胞(例えば、線維芽細胞、内皮細胞)、および/あるいは癌(例えば、悪性)細胞、例えば、肺癌細胞、前立腺癌細胞、急性骨髄性白血病(AML)細胞、メラノーマ細胞、卵巣癌細胞もしくは結腸癌細胞、またはこれらの組み合わせが挙げられる。ある特定の実施形態では、試料は、組織または体液を含む。
【0017】
1つの実施形態では、本方法に使用される抗体または抗原結合フラグメントは、検出可能な標識を含む。
【0018】
ある特定の実施形態では、本方法は、免疫組織化学的(IHC)染色アッセイを含む。他の一実施形態において、本方法は、フローサイトメトリーアッセイを含む。
【0019】
本発明は、生物材料中のVISTAタンパク質を検出するための改良された試薬および方法を提供する。そのような試薬および方法は、典型的には、増強された感受性および/または選択性を有する。
【0020】
即ち、本発明の要旨は、以下のものに関する。
項1
(i)ヒト対象に由来する少なくとも1つの腫瘍試料、ならびに
(ii)ヒトのT細胞活性化IgV領域抑制因子(VISTA)タンパク質に結合する抗原結合領域を含む単離抗体、またはその抗原結合フラグメント、ここで前記抗体が、
a)配列番号31のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号32のア
ミノ酸配列を有するVH CDR2、および配列番号33のアミノ酸配列を有
するVH CDR3を含む抗体VHドメイン;
b)配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号35のア
ミノ酸配列を有するVL CDR2、および配列番号36のアミノ酸配列を有
するVL CDR3を含む抗体VLドメイン;
c)非ヒト抗体重鎖定常領域;ならびに
d)非ヒト抗体軽鎖定常領域
を含む、
を含み、前記CDRを含む抗VISTA抗体またはその抗原結合フラグメントの抗腫瘍効果の調査での使用に適している、組成物。
項2
前記抗体または抗原結合フラグメントが、以下:
(i)配列番号64を含む抗体VHドメイン;
(ii)配列番号45を含む抗体VLドメイン;
(iii)マウス抗体重鎖定常領域を含む非ヒト抗体重鎖定常領域;
(iv)マウスIgG1重鎖定常領域を含む非ヒト抗体重鎖定常領域;
(v)配列番号76におけるマウスIgG1重鎖定常領域を含む非ヒト抗体重鎖定常領域;
(vi)マウスIgG2a重鎖定常領域を含む非ヒト抗体重鎖定常領域;
(vii)マウス抗体軽鎖定常領域である非ヒト抗体軽鎖定常領域;
(viii)マウスIgG1軽鎖定常領域である非ヒト抗体軽鎖定常領域;
(ix)配列番号77におけるマウスIgG1軽鎖定常領域を含む非ヒト抗体軽鎖定常領域;または
(x)マウスIgG2a軽鎖定常領域を含む非ヒト抗体軽鎖定常領域
の少なくとも1つを含む、項1に記載の組成物。
項3
前記抗体または抗原結合フラグメントは、ヒトのT細胞活性化IgV領域抑制因子(VISTA)タンパク質に結合する抗原結合領域を含み、前記抗体は、配列番号76を含む抗体重鎖、および配列番号77を含む抗体軽鎖を含む、項1または2に記載の組成物。
項4
前記腫瘍試料は、VISTA発現ヒト免疫細胞を含む、項1~3いずれかに記載の組成物。
項5
前記抗体または抗原結合フラグメントは、検出可能な標識を含む、項1~4いずれかに記載の組成物。
項6
前記検出可能な標識は、放射性核種、蛍光体、酵素、色素原または免疫組織化学的染色を含む、項5に記載の組成物。
項7
(i)ヒト対象に由来する少なくとも1つの腫瘍試料、ならびに
(ii)ヒトのT細胞活性化IgV領域抑制因子(VISTA)タンパク質に結合する抗原結合領域を含む単離抗体、またはその抗原結合フラグメント、ここで前記抗体が、
a)配列番号31のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号32のア
ミノ酸配列を有するVH CDR2、および配列番号33のアミノ酸配列を有
するVH CDR3を含む抗体VHドメイン;
b)配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号35のア
ミノ酸配列を有するVL CDR2、および配列番号36のアミノ酸配列を有
するVL CDR3を含む抗体VLドメイン;
c)非ヒト抗体重鎖定常領域;ならびに
d)非ヒト抗体軽鎖定常領域
を含む、
を含み、前記CDRを含む抗VISTA抗体またはその抗原結合フラグメントの抗腫瘍効果の調査に使用するための組成物。
項8
前記抗体または抗原結合フラグメントが、以下:
(i)配列番号64を含む抗体VHドメイン;
(ii)配列番号45を含む抗体VLドメイン;
(iii)マウス抗体重鎖定常領域を含む非ヒト抗体重鎖定常領域;
(iv)マウスIgG1重鎖定常領域を含む非ヒト抗体重鎖定常領域;
(v)配列番号76におけるマウスIgG1重鎖定常領域を含む非ヒト抗体重鎖定常領域;
(vi)マウスIgG2a重鎖定常領域を含む非ヒト抗体重鎖定常領域;
(vii)マウス抗体軽鎖定常領域である非ヒト抗体軽鎖定常領域;
(viii)マウスIgG1軽鎖定常領域である非ヒト抗体軽鎖定常領域;
(ix)配列番号77におけるマウスIgG1軽鎖定常領域を含む非ヒト抗体軽鎖定常領域;または
(x)マウスIgG2a軽鎖定常領域を含む非ヒト抗体軽鎖定常領域
の少なくとも1つを含む、項7に記載の組成物。
項9
前記抗体または抗原結合フラグメントは、ヒトのT細胞活性化IgV領域抑制因子(VISTA)タンパク質に結合する抗原結合領域を含み、前記抗体は、配列番号76を含む抗体重鎖、および配列番号77を含む抗体軽鎖を含む、項7または8に記載の組成物。
項10
前記腫瘍試料は、VISTA発現ヒト免疫細胞を含む、項7~9いずれかに記載の組成物。
項11
前記抗体または抗原結合フラグメントは、検出可能な標識を含む、項7~10いずれかに記載の組成物。
項12
前記検出可能な標識は、放射性核種、蛍光体、酵素、色素原または免疫組織化学的染色を含む、項11に記載の組成物。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、抗VISTA抗体およびフラグメントが提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】TF1 AML細胞のVISTA発現を示すグラフ。TF-1AML細胞株におけるフローサイトメトリーによるVISTAタンパク質の発現を示す。
【
図2】ヒトミエロイドおよびリンパ球サブセットを特定するための染色およびゲーティング戦略を示すグラフ。
【
図3】一人の健常ドナーのヒトミエロイドおよびリンパ球サブセットのVISTA発現を示すグラフ。
【
図4】多くの健常ドナーのヒトミエロイドおよびリンパ球サブセットのVISTA発現を示すグラフ。
【
図5】ヒト単球およびマクロファージのVISTA発現を特定するための染色およびゲーティング戦略を示すグラフ。
【
図6】ヒト単球およびマクロファージのVISTA発現を示すグラフ。
【
図7】ヒトTおよびNK細胞サブセットのVISTA発現を特定するための染色およびゲーティング戦略を示すグラフ。
【
図8】一人の健常ドナーのヒトTおよびNK細胞サブセットのVISTA発現を示すグラフ。
【
図9】多くの健常ドナーのヒトTおよびNK細胞サブセットのVISTA発現を示すグラフ。
【
図10】ヒト樹状細胞サブセットのVISTA発現を特定するための染色およびゲーティング戦略を示すグラフ。
【
図11】一人の健常ドナーのヒト樹状細胞サブセットおよび好塩基球のVISTA発現を示すグラフ。
【
図12】多くの健常ドナーのヒト樹状細胞サブセットおよび好塩基球のVISTA発現を示すグラフ。
【
図13】健康なヒトの抹消血液細胞のVISTA発現の分析。マルチカラーフローサイトメトリー分析による健康なヒトの抹消血液細胞のVISTA発現のプロファイル:異なる2個体からの全血試料について、単球SSC
lo、CD11b
hiCD14
hiCD16
-veCD33
+veHLA-DR
+veCD19
-ve)(
図13A)、好中球(SSC
hiCD177
+CD11b
hiCD14
loCD16
+veCD33
+veHLA-DR
-veCD19
-ve)(
図13B)のVISTA発現を分析した。CD4+T細胞(CD3
+veCD4
+ve)(
図13C)、およびCD8+T細胞(CD3
+veCD8
+ve)(
図13D)の分析のために、フィコール勾配を使用して抹消血液単核球を単離した。
【
図14】肺癌患者および対照健常ドナーの末梢血液細胞のVISTA発現の分析。マルチカラーフローサイトメトリー分析による肺癌患者の抹消血液細胞のVISTA発現のプロファイル:一個体の代表的なFACSプロット(
図14A)を示す。抹消血液単核球をフィコールにより単離し、単球(CD14+CD11b+CD33+HLADR+CD15-)(
図14B)およびミエロイド由来サプレッサー細胞(CD14-CD11b+CD33-HLADR-CD15+CD16+)(
図14C)のVISTA発現を分析した。
【
図15】マルチカラーフローサイトメトリー分析による結腸癌患者の抹消血液細胞のVISTA発現のプロファイル:一個体の代表的なFACSプロット(
図15A)を示す。抹消血液単核球をフィコールにより単離し、単球(CD14+CD11b+CD33+HLADR+CD15-)(
図15B)およびミエロイド由来サプレッサー細胞(CD14-CD11b+CD33-HLADR-CD15+CD16+)(
図15C)のVISTA発現を分析した。
【
図16】マルチカラーフローサイトメトリー分析によるカニクイザルの抹消血液細胞のVISTA発現のプロファイル:異なる4匹のサルからの全血試料について、単球(SSC
loCD11b
hiCD14
hiHLA-DR
hiCD16
-veCD19
-ve(
図16A)および好中球CD11b
hiCD14
loHLA-DR
-veCD16
-veCD19
-ve(
図16B)のVISTA発現を分析した。CD4+T細胞(TCRα/β
+veCD4
+ve)(
図16C)およびCD8+T細胞(TCRα/β
+veCD8
+ve)(
図16D)の分析のために、フィコール勾配を使用して、3匹のサルから抹消血液単核球を単離した。
【
図17】ヘム細胞株におけるVISTA RNAの絶対発現値を示すグラフ。
【
図18】マウスA20細胞にGFPまたはVISTAを形質移入した。それらをovaペプチドおよびDO11.10T細胞とともにインキュベートした。インキュベーション開始の24時間後にT細胞によるCD25発現を測定した。A20-huVISTA細胞はT細胞によるCD25発現を抑制するが、この読み出しはVSTB95.とともにインキュベートすることにより大きく回復する。
【
図19】ヒトVISTA ELISAの結果を示すグラフ。
【
図20】ヒトVISTAを発現する細胞に結合する抗VISTA抗体を示すヒトVISTA FACSの結果。
【
図21】6種の抗VISTA抗体候補の混合リンパ球反応物における希釈(30μg/ml~0.0μg/ml)の研究。
【
図22】6種の抗VISTA抗体候補のSEBアッセイ(個々のCPM値およびIFN-g濃度)における希釈(30μg/ml~0.0μg/ml)の研究。
【
図23】Proteon SPRチップにコーティングした抗VISTA抗体VSTB85、および同チップ上を走らせた表示コンペティター(表16に記載したコンペティター)によるVISTAタンパク質を用いたセンサーグラムプロット。
【
図25】雌C57Bl/6マウスにおけるMB49腫瘍増殖。グラフは、抗マウスVISTA抗体(
図25B)または対照IgG(
図25A)で処理した個々のマウスの腫瘍増殖を示す。
【
図26】ヒトVISTAのアミノ酸配列(配列番号46)。
【
図27】VISTAオルソログの多重配列アラインメント。
【
図28】HDXにより測定された、VSTB50およびVSTB60抗体(上)またはVSTB95およびVSTB112抗体(下)が結合したヒトVISTAの領域
【
図29】VSTB112が結合したVISTAエピトープ。(上)標識された鎖を有するVISTAをイラストで示す。複合体中のVSTB112の5Å以内の少なくとも1つの原子を有する残基は青色に着色されている。青色および橙色の球体は鎖の切断を示し、青緑色および似鳥色の球体はそれぞれ、VISTA構造のN末端およびC末端を示す。(下)構造決定に使用したVISTAコンストラクトの配列。配列の下の丸は、VSTB112との主鎖接触部のみを構成する残基を示すために使用され、三角は側鎖接触部を示し、四角は、PISAによる計算で、側鎖接触部が水素結合または塩架橋相互作用をもたらしていることを示す。形状は、所与の残基により接触している最大原子数を有するCDRを示すために
図59に定義するCDR色で着色してある。二次構造要素は、MOEプログラムにおいて定義されるように、黄色の矢印はβ鎖を示し、赤色の長方形はα鎖を示す。
【
図30】VSTB112パラトープ。(上)VISTA抗原をイラストで示し、VISTAの5オングストローム以内のVSTB112の表面を、下の配列で特定したCDR同一性を指定するために使用した色で示している。CDRに隣接する接触フレームワーク残基には、VSTB112Fv領域の対応するCDR(下)配列と同様の着色を付している。背景色を付した部分は、キャバット定義によるCDRを示している。配列の下の丸は、VISTAとの主鎖接触部のみを構成する残基を示すために使用され、三角は側鎖接触部を示し、四角は、PISAによる計算で、側鎖接触部が水素結合または塩架橋相互作用をもたらしていることを示す。
【
図31】結晶学的、かつ水素重水素交換(HDX)により同定されたエピトープ領域の比較。構造決定に使用したVISTAコンストラクトの配列。配列の下の丸は、VSTB112との主鎖接触部のみを構成する残基を示すために使用され、三角は側鎖接触部を示し、四角は、PISAによる計算で、側鎖接触部が水素結合または塩架橋相互作用をもたらしていることを示す。
【
図32】全PBMC中のCD14+単球のVSTB174(VSTB112由来)による活性化。実験の各部分で、細胞をPBS、IgG1対照抗体、またはVSTB174(1、0.1もしくは0.01ug/ml)と共にインキュベートした。左のパネルはCD80 MFIを示し、右のパネルはHLA-DR MFIを示す(代表的な結果が得られた2つの試験ドナーを示す)。
【
図33】K562-VISTA細胞に対するVSTB174のADCC活性を示すグラフ。
【
図34】K562-VISTA細胞に対するVSTB174のADCP活性を示すグラフ。表記した両抗体は同じFabを有するが、VSTB174はIgG1Fcを有し、VSTB140はFcサイレントIgG2を有する。
【
図35】VSTB174、VSTB149またはVSTB140mAbにより仲介されたK562-VISTAに対する食作用を示すグラフ。各mAbを0.0008μg/ml~0.56μg/mlの範囲で7種の3.3倍用量(half log dose)で試験した。
【
図36】VSTB174、VSTB149またはVSTB140mAbにより仲介されたミエローマ細胞株K562細胞に対する食作用を示すグラフ。各mAbを0.0008μg/ml~0.56μg/mlの範囲で7種の3.3倍用量(half log dose)で試験した。
【
図37】雌のVISTA-KIマウスにおけるVSTB123(1、5、7.5および10mg/kg)のMB49腫瘍効果を評価する研究。移植6日後の投与開始時の腫瘍容積は、約50mm
3であった。VSTB123はマウスFc骨格に接合されたVSTB112Fabであり、VISTA-KIマウス中のヒトVISTAに結合する。
【
図38】グラフは、VISTAを高/中レベルで発現するCD14+細胞が、肺癌試料中13/13で、ならびに患者の遠位肺癌組織および抹消血液中に見出されることを示している。
【
図39】GG8による肺癌のVISTAのIHC染色。
【
図42】ヒト扁桃腺におけるVISTA(VSTB175)染色。VISTA(VSTB175)抗体でブロック染色された扁桃腺組織の2領域を示す(左および右のパネル)。
【
図43】ヒト肺癌組織におけるVISTA(VSTB175)染色。3組織試料の代表的な領域が20倍の倍率で示されており、コホート研究で観察されたVISTA染色を示す。
【
図44】細胞株、VISTA-K562.VISTA-K562細胞中で抗体VSTB175は頻繁な強い染色を示した。40倍の倍率。
【
図45】細胞株、ラージ。陰性対照ラージ細胞においてVSTB175抗体は陰性であった。40倍の倍率。
【
図46】肺呼吸上皮(左のパネル)、肺胞(右のパネル).この正常な肺の試料は、43歳の女性から手術時に得た。抗体VSTB175は、血管内白血球(殆どが好中球)中で染色を示し、呼吸上皮内の上皮内好中球では稀である。上皮自体および残りの細胞タイプ、例えば、マクロファージは陰性であった。40倍の倍率。
【
図47】リンパ節。この正常なリンパ節の試料は、37歳の男性から得た。抗体VSTB175は、洞のリンパ節組織で陰性であった。40倍の倍率。
【
図48】胎盤絨毛。この正常な胎盤の試料は、20歳の女性から手術時に得た。抗体VSTB175は、トロホブラストにおいて膜染色を示した。40倍の倍率。
【
図49】脾臓。この正常な脾臓の試料は、アルツハイマー病の73歳の女性からオートプシーで得た。抗体VSTB175は赤脾髄中の単核球、好中球および類洞内皮細胞で限局性染色を示した。白脾髄リンパ球はほぼ陰性であった。40倍の倍率。
【
図50】扁桃腺。この正常な扁桃腺の試料は、11歳の女性から得た。抗体VSTB175は、表面扁平上皮関連単球で限定的染色を示したが、殆どのリンパ球では陰性であった。40倍の倍率。
【
図51】結腸、上皮性悪性腫瘍。この結腸の試料は、57歳の女性から手術時に得た。悪性細胞および炎症細胞(好中球)を含むこの試料では抗体VSTB175は陰性であった。40倍の倍率。
【
図52】メラノーマ。このメラノーマの試料は、54歳の女性から手術時に得た。抗体VSTB175は良性のマクロファージでは限定的染色を示したが、悪性細胞では陰性であった。40倍の倍率。
【
図53】卵巣、上皮性悪性腫瘍。この卵巣の試料は、53歳の女性から得た。抗体VSTB175は、単核球および多型核好中球をいずれも含む血管内白血球では限定的染色を示した。悪性細胞は陰性で、散在炎症細胞は殆ど特定されなかった。40倍の倍率。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態例を以下に記載する。
【0024】
本発明は、T細胞活性化免疫グロブリンV領域抑制因子(VISTA)(Genbank:JN602184)(Wang et al.,2010、2011)と名付けられた新規な免疫グロブリンファミリーリガンドに対する抗体に関する。VISTAはPD-L1に対し相同性を有するが、造血系に限定される特有の発現パターンを示す。特に、VISTAはCD11bhighミエロイド細胞の構成的に、かつ多く発現し、CD4+およびCD8+T細胞では低レベルで発現する。ヒトホモログは、マウスVISTAと略85%の相同性を有し、類似の発現パターンを持つ(Lines et al.,Cancer Research 74:1924、2014)。抗原提示細胞(APC)で発現したVISTAは、CD4+およびCD8+T細胞増殖、およびPD-1と無関係の類似の受容体によるサイトカイン産生を抑制する。受動的EAE(実験的自己免疫性脳脊髄炎)疾患モデルにおいては、VISTA特異的モノクローナル抗体は、T細胞依存免疫応答を増強し、病気を悪化させた。腫瘍細胞におけるVISTAの過剰発現は、腫瘍を持った宿主における防御抗腫瘍免疫を低下させた。ヒトVISTAに関する研究によって、ヒトT細胞に対するその抑制機能が確認された(Lines et al Cancer Research 74:1924、2014)。Fliesらによる研究もまた、VISTA (PD-1Hと称する)が強力な免疫抑制分子であることを確認した(Flies et al.,2011)。VISTAは、米国特許出願公開第20130177557 A1号明細書、ならびに米国特許第7,919,585号明細書および同第8,236,304号明細書にさらに詳細に記載されており、それらすべて参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0025】
本明細書の実施例12に記載するように、マウス腫瘍モデルにおけるVISTA特異的モノクローナル抗体による処理により、腫瘍免疫微少環境の抑制性を逆転させ、防御抗腫瘍免疫を増強させ、それ故、VISTAモノクローナル抗体の癌免疫療法の新しい治療法としての可能性を示すことがわかった。
【0026】
本発明の抗体およびフラグメント
「抗体」という用語は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体および抗イディオタイプ(抗Id)抗体、ならびに、限定はされないが、酵素的開裂、ペプチド合成または組み換え技術などの知られた技術で得られる、それらのフラグメント、領域または誘導体を含むものとする。本発明の抗VISTA抗体は、免疫応答を調節、制御または増強するVISTAの一部に結合することができる。いくつかの実施形態では、抗体は本明細書に記載の1種以上の抗VISTA抗体を競合的に阻害する。2つ以上の抗体が同じ標的への結合を競合するか否かを決定する方法は、当該技術分野で知られている。例えば、1つの抗体が他の抗体の標的への結合をブロックするか否かを決定するために、競合結合アッセイを使用することができる。一般に、競合結合アッセイは、固体基質または細胞に結合した精製標的抗原(例えば、PD-1)、標識されていない試験結合分子、および標識された参照結合分子の使用を含む。競合阻害は、固体基質または細胞に結合した標識量を、試験結合分子の存在下に測定することによって測定される。通常、試験結合分子は過剰に含まれる。一般に、競合結合分子が過剰に存在すると、共通抗原に対する参照結合分子の特異的結合が、少なくとも50~55%、55~60%、60~65%、65~70%、70~75%またはそれ以上阻害される。いくつかの実施形態では、競合阻害は、競合阻害ELISAアッセイによって測定される。
【0027】
ポリクローナル抗体は、抗原で免疫性が付与された動物の血清に由来する異種の抗体分子の集団である。モノクローナル抗体は、抗原に特異的な抗体の実質的に同種の集団を含み、その集団は実質的に類似のエピトープ結合部位を含む。モノクローナル抗体は、当業者に知られた方法で得ることができる。例えば、Kohler and Milstein,Nature,256:495-497 (1975);米国特許第4,376,110号明細書;Ausubel et al.,eds.,Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publishing Assoc.and Wiley Interscience、N.Y.,(1987、1992);およびHarlow and Lane ANTIBODIES:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory(1988);Colligan et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,Greene Publishing Assoc.and Wiley Interscience,N.Y.,(1992、1993)を参照されたい。これらの全ての内容は参照によって本明細書にその全体が組み込まれる。そのような抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、GILDおよびそれらのサブクラスを含む免疫グロブリンクラスに分類され得る。本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、インビトロ、インサイチューまたはインビボで培養することができる。
【0028】
本発明はまた、消化フラグメント、その特定の部分および変異体、例えば、抗体類似体、あるいは抗体またはその特定フラクメントもしくは部分の構造および/または機能が類似する抗体部分、例えば、一本鎖抗体およびそのフラグメントを包含する。機能的フラグメントとしては、哺乳動物のVISTAタンパク質に結合する抗原結合フラグメントが挙げられる。例えば、VISTAまたはその一部に結合することができる抗体フラグメント、例えば、限定はされないが、Fab(例えば、パパイン消化による)、Fab’(例えば、ペプシン消化および部分還元による)、およびF(ab’)2(例えば、ペプシン消化による)、facb(例えば、プラスミン消化による)、pFc’(例えば、ペプシンまたはプラスミン消化による)、Fd(例えば、ペプシン消化、部分還元および再集合による)、FvまたはscFv(例えば、分子生物学的技術による)フラグメントは、本発明に包含される(例えば、Colligan、Immunology、上記)を参照)。本発明の抗体フラグメントとしてはまた、Aaron L.Nelson、mAbs2:1、77-83(January/February2010)において論じられ、説明されているものが含まれる。
【0029】
そのようなフラグメントは、例えば、当該技術分野で知られ、かつ/または本明細書に記載される、酵素的開裂、合成または組み換え技術によって生成することができる。抗体はまた、種々の欠失型において、1つ以上の終止コドンが天然の終止部位の上流に導入されている抗体遺伝子を用いて生成することができる。例えば、F(ab’)2重鎖部分をコードする組み合わせ遺伝子を、CH1ドメインおよび/または重鎖のヒンジ領域をコードするDNA配列を含むように設計することができる。抗体の種々の部分は、従来技術により化学的に結合することができ、または遺伝子工学手法を用いて隣接タンパク質として作成することができる。
【0030】
1つの実施形態では、免疫グロブリン鎖、またはその一部(例えば、可変領域、CDR)は、本明細書に記載の対応する可変配列鎖のアミノ酸配列に対し、約70~100%の同一性(例えば、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100またはその任意の範囲もしくは値)を有する。好ましくは、70~100%のアミノ酸同一性(例えば、85、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100またはその任意の範囲もしくは値)は、当該技術分野で知られているように、好適なコンピュータアルゴリズムを用いて決定することができる。
【0031】
重鎖および軽鎖の可変領域の配列は本明細書に示される。
【0032】
本発明の抗体、またはその特定の変異体は、本発明の抗体の任意の数の隣接するアミノ酸残基を含むことができ、その数は、抗TNF抗体の隣接残基数の10~100%からなる整数の群から選択される。任意選択により、この隣接アミノ酸残基の部分配列は、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250もしくはそれ以上のアミノ酸長、またはその任意の範囲もしくは値である。さらに、そのような部分配列の数は、1~20からなる群から選択される整数、例えば、少なくとも2、3、4または5であり得る。
【0033】
当業者が認識しているように、本発明は、本発明の少なくとも1種の生物学的に活性な抗体を含む。生物学的に活性な抗体は、天然(非合成)の、内因性の、または関連する既知の抗体の少なくとも20%、30%または40%、好ましくは、少なくとも50%、60%または70%、最も好ましくは、少なくとも80%、90%、または95%~100%の比活性を有する。酵素活性および基質特異性の分析および定量的測定の方法は、当業者によく知られている。
【0034】
実質的な類似性は、天然(非合成)の、内因性の、または関連する既知の抗体の少なくとも85%(例えば、少なくとも95%)の同一性と、少なくとも85%(例えば、少なくとも95%)の活性を有する化合物を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「ヒト抗体」という用語は、タンパク質の実質的に全ての部分(例えば、CDR、フレームワーク、CL、CHドメイン(例えば、CH1、CH2、CH3)、ヒンジ、(VL、VH))が、僅かな配列の変化もしくは変異を含む、ヒトにおいて実質的に非免疫原性である抗体を指す。同様に、霊長目(サル、ヒヒ、チンパンジーなど)、齧歯動物(マウス、ラットなど)、およびその他の哺乳動物を指定した抗体は、そのような種、亜属、属、亜科、科の特異抗体を示す。さらに、キメラ抗体は、上記の任意の組み合わせを含むことができる。そのような変化もしくは変異は、非改変抗体に比べて、ヒトまたは他の種の免疫原性を維持または低減するものであってよく、またそれが好ましい。したがって、ヒト抗体は、キメラもしくはヒト化抗体と異なっている。ヒト抗体は、機能的に再配列されたヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖および/または軽鎖)遺伝子を発現することができる非ヒト動物細胞、または原核細胞もしくは真核細胞によって産生することができると言える。さらに、ヒト抗体が一本鎖抗体の場合、天然ヒト抗体にはないリンカーペプチドを含むことができる。例えば、Fvは、2~約8個のグリシンまたは他のアミノ酸残基などのリンカーペプチドを含むことができ、それは、重鎖の可変領域および軽鎖の可変領域に結合する。そのようなリンカーペプチドは、ヒト起源であると考えられる。
【0036】
モノクローナル、好ましくは、少なくとも2種の抗原に結合特異性を有するモノクローナル抗体、好ましくはヒトまたはヒト化モノクローナル抗体である二重特異性、異種特異性、ヘテロ共役性、または類似の抗体もまた、使用することができる。この場合、結合特異性の1つは少なくとも1つのVISTAタンパク質に対するものであり、他は、他の任意の抗原に対するものである。二重特異性抗体の生成方法は当該技術分野で知られている。二重特異性抗体の組み換え生成は、2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の同時発現に基づいて行うことができるが、ここで、2本の重鎖は異なる特異性を有する(Milstein and Cuello、Nature 305:537(1983))。国際公開第93/08829号パンフレット、米国特許第6,210,668号明細書、同第6,193,967号明細書、同第6,132,992号明細書、同第6,106,833号明細書、同第6,060,285号明細書、同第6,037,453号明細書、同第6,010,902号明細書、同第5,989,530号明細書、同第5,959,084号明細書、同第5,959,083号明細書、同第5,932,448号明細書、同第5,833,985号明細書、同第5,821,333号明細書、同第5,807,706号明細書、同第5,643,759号明細書、同第5,601,819号明細書、同第5,582,996号明細書、同第5,496,549号明細書、同第4,676,980号明細書、国際公開第91/00360号パンフレット国際公開第92/00373号パンフレット、欧州特許第03089号明細書、Traunecker et al.,EMBO J.10:3655(1991)、Suresh et al.,Methods in Enzymology121:210(1986)もまた参照されたい。これらはそれぞれ参照によって本明細書に組み込まれる。
【0037】
一実施形態では、発明は、VISTAおよび第2の標的タンパク質(例えば、免疫チェックポイントタンパク質)を標的とする二重特異性抗体に関する。二重特異性抗体の例としては、VISTAおよびPD-L1を標的とする二重特異性抗体、ならびに、VISTAおよびPD-L2を標的とする二重特異性抗体が挙げられる。
【0038】
ヒトVISTAタンパク質またはそのフラグメントに特異的なヒト抗体は、VISTAタンパク質またはその一部(合成ペプチドなどの合成分子を含む)などの適切な免疫原性抗原に対して作ることができる。
【0039】
他の特異的または一般的な哺乳動物抗体を同様に作ることができる。免疫原性抗原の調製およびモノクローナル抗体の生成は、任意の好適な手法を用いて行うことができる。
【0040】
例えば、ハイブリドーマは、好適な不死の細胞株(例えば、限定はされないが、Sp2/0、Sp2/0-AG14、NSO、NS1、NS2、AE-1、L.5、>243、P3X63Ag8.653、Sp2SA3、Sp2MAI、Sp2SS1、Sp2SA5、U937、MLA144、ACT IV、MOLT4、DA-1、JURKAT、WEHI、K-562、COS、RAJI、NIH3T3、HL-60、MLA144、NAMAIWA、NEURO 2Aなどのミエローマ細胞株、もしくは異種ミエローマ、それらの融合産物、またはそれらから誘導される細胞もしくは融合細胞、あるいは当該技術分野で知られている他の好適な任意の細胞株、例えば、www.atcc.orgを参照)、を抗体産生細胞と融合させることによって生成することができる。抗体産生細胞としては、単離もしくはクローン化された脾臓、末梢血、リンパ、扁桃腺もしくは他の免疫細胞(例えば、B細胞)、あるいは重鎖もしくは軽鎖、定常もしくは可変、またはフレームワークもしくは相補性決定領域(CDR)配列を発現する他の細胞を挙げることができる。そのような抗体産生細胞は、組み換えまたは内因性細胞であってよく、また、原核または真核生物(例えば、齧歯動物、ウマ、ヒツジ、ヤギ、雌ヒツジ、霊長目などの哺乳動物)の細胞であってよい。例えば、Ausubel(上記)、およびColligan,Immunology(上記),chapter2を参照されたい。これらは参照によって本明細書にその全体が組み込まれる。
【0041】
抗体産生細胞はまた、目的の抗原で免疫したヒトもしくは他の好適な動物の、末梢血、または、好ましくは脾臓もしくはリンパ節から得ることができる。他の好適な宿主細胞もまた、本発明の抗体、特定のフラグメントまたはその変異体をコードする異種または内因性核酸を発現させるために使用することができる。融合細胞(ハイブリドーマ)または組み換え細胞は選択培養条件または他の好適な知られた方法で単離することができ、また限界希釈法もしくは細胞選択、または他の知られた方法によってクローン化することができる。所望の特異性を有する抗体を産生する細胞は、好適なアッセイ(例えば、酵素結合免疫吸着検査法(ELISA))によって選択することができる。
【0042】
必要特異性を有する抗体を産生もしくは単離する他の好適な方法、例えば、限定はされないが、ペプチドもしくはタンパク質ライブラリー(例えば、限定はされないが、バクテリオファージ、リボソーム、オリゴヌクレオチド、RNA、cDNAなどのディスプレイライブラリー;例えば、Cambridge antibody Technologies、Cambridgeshire、UK;MorphoSys、Martinsreid/Planegg、DE;Biovation、Aberdeen、Scotland、UK;Bioinvent、Lund、Sweden;Dyax Corp.、Enzon、Affymax/Biosite;Xoma、Berkeley、Calif.;Ixsys.から入手可能。例えば、PCT/GB91/01134号明細書、PCT/GB92/01755号明細書、PCT/GB92/002240号明細書、PCT/GB92/00883号明細書、PCT/GB93/00605号明細書、PCT/GB94/01422号明細書、PCT/GB94/02662号明細書、PCT/GB97/01835号明細書、国際公開第90/14443号パンフレット;国際公開第90/14424号パンフレット;国際公開第90/14430号パンフレット、PCT/U594/1234号明細書、国際公開第92/18619号パンフレット、国際公開第96/07754号パンフレット、欧州特許第614989号明細書、国際公開第95/16027号パンフレット、国際公開第88/06630号パンフレット、国際公開第90/3809号パンフレット、米国特許第4,704,692号明細書、PCT/US91/02989号明細書、国際公開第89/06283号パンフレット、欧州特許第371998号明細書、欧州特許第550400号明細書、欧州特許第229046号明細書、PCT/US91/07149号明細書を参照)、または、確率的に生成されたペプチドもしくはタンパク質―米国特許第5,723,323号明細書、同第5,763,192号明細書、同第5,814,476号明細書、同第5,817,483号明細書、同第5,824,514号明細書、同第5,976,862号明細書、国際公開第86/05803号パンフレット、欧州特許第590689号明細書;各文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)から組み換え抗体を選択する方法;あるいは、当該技術分野で知られているように、かつ/または本明細書に記載されているように、一連のヒト抗体を産生することができる遺伝子組み換え動物の免疫付与を利用する方法(例えば、SCIDマウス、Nguyen et al.,Microbiol.Immunol.41:901-907(1997);Sandhu et al.,Crit.Rev.Biotechnol.16:95-118(1996);Eren et al.,Immunol.93:154-161(1998);各文献、ならびに関連特許および関連出願は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)を使用することができる。そのような手法としては、限定はされないが、リボソームディスプレイ(Hanes et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA、94:4937-4942(May1997);Hanes et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA、95:14130-14135(November1998));単一細胞抗体産生技術(米国特許第5,627,052号明細書、Wen et al.,J.Immunol.17:887-892(1987);Babcook et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA93:7843-7848(1996));ゲル微小液滴(gel microdroplet)およびフローサイトメトリー(Powell et al.,Biotechnol.8:333-337(1990);One Cell Systems,Cambridge,Mass.;Gray et al.,J.Imm.Meth.182:155-163(1995);Kenny et al.,Bio/Technol.13:787-790(1995));B細胞選択(Steenbakkers et al.,Molec.Biol.Reports19:125-134(1994);Jonak et al.,Progress Biotech、Vol.5,In Vitro Immunization in Hybridoma Technology,Borrebaeck、ed.,Elsevier Science Publishers B.V.,Amsterdam,Netherlands(1988))が挙げられる。
【0043】
非ヒトまたはヒト抗体を改変またはヒト化する方法もまた使用することができ、当該技術分野でよく知られている。一般に、ヒト化または改変抗体は、非ヒト源、例えば、限定はされないが、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長目または他の哺乳動物に由来するアミノ酸残基を1個以上有する。これらのヒトアミノ酸残基は、しばしば「インポート」残基と呼ばれ、それらは、通常、既知のヒトの配列の「インポート」可変、定常または他の領域から取り込まれる。知られているヒトIg配列は、例えばwww.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi; www.atcc.org/phage/hdb.htmlに開示されており、それぞれ参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0044】
このようにインポートされた配列は、免疫原性の低減、または、当該技術分野で知られているような結合、アフィニティ、親和性、特異性、半減期もしくはその他の好適な特性を低下、増強もしくは改変するために使用することができる。一般に、非ヒトもしくはヒトCDR配列の一部または全部は維持されるが、フレームワークおよび/または定常領域の非ヒト配列の一部または全部がヒトまたは他のアミノ酸で置換される。抗体はまた、任意選択により、当業者に知られている三次元免疫グロブリンモデルを用いて、抗原に対する高いアフィニティを、他の好ましい生物学的特性を保持してヒト化され得る。選択した候補免疫グロブリン配列の推定三次元配座構造を説明し表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示を調べることで、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の可能性のある役割の分析、すなわち、候補免疫グロブリンの抗原結合能力に影響するが残基の分析が可能となる。このようにして、フレームワーク(FR)残基を、標的抗原に対するアフィニティの増大などの所望の抗体特性が得られるように、コンセンサスおよびインポート配列から選択し、組み合わせすることができる。一般に、CDR残基は、抗原との結合に影響する直接的、かつ大きく関与している。本発明の抗体のヒト化または改変は、知られた方法、例えば、限定はされないが、例えば、Winter (Jones et al., Nature 321:522 (1986); Riechmann et al., Nature 332:323 (1988); Verhoeyen et al., Science 239:1534 (1988)), Sims et al., J. Immunol.151:2296 (1993); Chothia and Lesk, J. Mol.Biol.196:901 (1987), Carter et al., Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:4285 (1992); Presta et al., J. Immunol.151:2623 (1993)、米国特許第5,723,323号明細書、同第5,976862号明細書、同第5,824514号明細書、同第5,817483号明細書、同第5,814476号明細書、同第5,763,192号明細書、同第5,723,323号明細書、同第5,766,886号明細書、同第5,714,352号明細書、同第6,204,023号明細書、同第6,180,370号明細書、同第5,693,762号明細書、同第5,530,101号明細書、同第5,585,089号明細書、同第5,225,539号明細書、同第4,816,567号明細書に記載された方法により行うことができる。これらはそれぞれ、本明細書に引用された文献とともに、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0045】
抗VISTA抗体はまた、任意選択により、本明細書に記載され、かつ/または当該技術分野で知られているように、一連のヒト抗体を産生することができる遺伝子組み換え動物、(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、非ヒト霊長目など)を免疫することによって生成することができる。ヒト抗VISTA抗体を産生する細胞は、好適な方法、例えば、本明細書に記載の方法で、そのような動物から単離し、不死化することができる。
【0046】
ヒト抗原に結合する一連のヒト抗体を産生することができる遺伝子組み換え動物は、知られた方法(例えば、限定はされないが、Lonberg et al.に対し発行された米国特許第5,770,428号明細書、同第5,569,825号明細書、同第5,545,806号明細書、同第5,625,126号明細書、同第5,625,825号明細書、同第5,633,425号明細書、同第5,661,016号明細書および同第5,789,650号明細書;Jakobovits et al.国際公開第98/50433号パンフレット、Jakobovits et al.国際公開第98/24893号パンフレット、Lonberg et al.国際公開第98/24884号パンフレット、Lonberg et al.国際公開第97/13852号パンフレット、Lonberg et al.国際公開第94/25585号パンフレット、Kucherlapate et al.国際公開第96/34096号パンフレット、Kucherlapate et al.欧州特許第0463151B1号明細書、Kucherlapate et al.欧州特許出願公開第0710719A1、Surani et al.米国特許第5,545,807号明細書、Bruggemann et al.国際公開第90/04036号パンフレット、Bruggemann et al.欧州特許第0438474B1号明細書、Lonberg et al.欧州特許出願公開第0814259A2号明細書、Lonberg etal.英国特許出願公開第2272440A号明細書、Lonberg et al.Nature 368:856-859(1994)、Taylor et al.,Int.Immunol.6(4)579-591(1994)、Green et al,Nature Genetics7:13-21(1994)、Mendez et al.,Nature Genetics15:146-156(1997)、Taylor et al.,Nucleic Acids Research 20(23):6287-6295(1992)、Tuaillon et al.、Proc Natl Acad Sci USA 90(8)3720-3724(1993)、Lonberg et al.,Int Rev Immunol 13(1):65-93(1995)、ならびにFishwald et al.,Nat Biotechnol 14(7):845-851(1996)、これらはそれぞれ参照によってその全体が本明細書に組み込まれる)で生産することができる。一般にこれらのマウスは、機能的に再配列されるか、または機能的再配列を受けることができる少なくとも1つのヒト免疫グロブリン座からのDNAを含む少なくとも1つの導入遺伝子を含む。そのようなマウスにおける内因性免疫グロブリン座は、内因性遺伝子によってコードされる抗体を産生する動物の能力を除くために、破壊または欠失させることができる。
【0047】
類似のタンパク質またはフラグメントに特異的に結合する抗体のスクリーニングは、ペプチドディスプレイライブラリーを用いて都合良く行うことができる。この方法は、所望の機能または構造を有する個々のメンバーを膨大な数のペプチドからスクリーニングすることを伴う。ペプチドディスプレイライブラリーの抗体スクリーニングは、当該技術分野でよく知られている。ディスプレイされるペプチド配列は3~5000個以上のアミノ酸長、多くの場合5~100個のアミノ酸長、さらに多くの場合8~25個のアミノ酸長であり得る。ペプチドライブラリーを生成するための直接化学合成法に加えて、いくつかの組み換えDNA法が報告されている。1つのタイプは、バクテリオファージまたは細胞表面のペプチド配列のディスプレイを含む。各バクテリオファージまたは細胞は、特定のディスプレイされたペプチド配列をコードするヌクレオチド配列を含む。そのような方法は、国際公開第91/17271号パンフレット、同第91/18980号パンフレット、同第91/19818号パンフレットおよび同第93/08278に記載されている。ペプチドライブラリーを生成する他のシステムは、インビトロ化学合成法および組み換え法の両方の態様を有する。国際公開第92/05258号パンフレット、同第92/14843号パンフレットおよび同第96/19256号パンフレットを参照されたい。また、米国特許第5,658,754号明細書および同第643,768号明細書も参照されたい。ペプチドディスプレイライブラリー、ベクターおよびスクリーニングキットは、Invitrogen(Carlsbad、Calif.)およびCambridge antibody Technologies(Cambridgeshire、UK)などの供給者から商業的に入手可能である。例えば、Dyaxに譲渡された米国特許第4,704,692号明細書、同第4,939,666号明細書、同第4,946,778号明細書、同第5,260,203号明細書、同第5,455,030号明細書、同第5,518,889号明細書、同第5,534,621号明細書、同第5,656,730号明細書、同第5,763,733号明細書、同第5,767,260号明細書、同第5,856,456;5,223,409号明細書、同第5,403,484号明細書、同第5,571,698号明細書、同第5,837,500号明細書、Cambridge antibody Technologiesに譲渡された同第5,427,908号明細書、同第5,580,717号明細書、同第;5,885,793号明細書、Genentechに譲渡された同第5,750,373号明細書、同第5,618,920号明細書、同第5,595,898号明細書、同第5,576,195号明細書、同第5,698,435号明細書、同第5,693,493号明細書および同第5,698,417号明細書を参照されたい。
【0048】
本発明の抗体はまた、乳中にそのような抗体を生成するヤギ、雌ウシ、雌ヒツジなどの遺伝子組み換え動物を提供する核酸をコードする少なくとも1つの抗VISTA抗体を用いて調製することができる。そのような動物は知られた方法で提供することができる。例えば、限定はされないが、米国特許第5,827,690号明細書、同第5,849,992号明細書、同第4,873,316号明細書、同第5,849,992号明細書、同第5,994,616号明細書、同第5,565,362号明細書、同第5,304,489号明細書などを参照されたい。それらはそれぞれ参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0049】
本発明の抗VISTA抗体はまた、遺伝子組み換え植物を用い、知られた方法にしたがって生成することができる。例えば、Fischer et al.,Biotechnol.Appl.Biochem.30:99-108(October、1999)、Cramer et al.,Curr.Top.Microbol.Immunol.240:95-118(1999)およびそれらに引用された文献;Ma et al.,Trends Biotechnol.13:522-7(1995);Ma et al.,Plant Physiol.109:341-6(1995);Whitelam et al.,Biochem.Soc.Trans.22:940-944(1994);およびそれらに引用された文献もまた参照されたい。上記各文献は参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0050】
本発明の抗体はヒトVISTAと広範なアフィニティ(KD)で結合することができる。好ましい実施形態では、本発明の少なくとも1つのヒトモノクローナル抗体は、任意選択により、ヒトVISTAに抗アフィニティで結合することができる。例えば、ヒトモノクローナル抗体は、ヒトVISTAに約10-7以下、例えば、限定はされないが、0.1~9.9(または、その中の任意の範囲もしくは値)×10-7、10-8、10-9、10-10、10-11、10-12、10-13またはその中の任意の範囲もしくは値のKDで結合することができる。いくつかの実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、ヒトVISTAに、少なくとも1×10-7リットル/モル、例えば、少なくとも1×10-8リットル/モル、例えば、少なくとも1×10-9リットル/モルリットル/モルのアフィニティで結合することができる。
【0051】
抗体の抗原に対するアフィニティまたは親和性は、任意の好適な方法を用いて実験的に決定することができる。(例えば、Berzofsky、et al.,”Antibody-Antigen Interactions”,In Fundamental Immunology,Paul,W.E.,Ed.,Raven Press:New York,N.Y.(1984);Kuby、Janis Immunology,W.H.Freeman and Company:New York,N.Y.(1992);および本明細書に記載の方法を参照されたい)。特定の抗体抗原相互作用のアフィニティ測定値は、異なる条件(例えば、塩濃度、pH)の下で測定した場合には変わり得る。したがって、アフィニティおよび他の抗原結合パラメータ(例えば、KD、Ka、Kd)の測定は、抗体および抗原液の標準液と標準緩衝液とで行うことが好ましい。
【0052】
核酸分子
本明細書に示された情報、例えば、少なくとも1つの特定のフラグメントの少なくとも70~100%の連続したアミノ酸をコードする核酸配列、その変異体もしくはコンセンサス配列、またはそれらの配列の少なくとも1つを含む寄託されたベクターを使用して、配列番号1、2および3の重鎖可変CDR領域の全てと、配列番号4、5および6の軽鎖可変CDR領域の全てを含む少なくとも1つの抗VISTA抗体をコードする本発明の核酸分子を、本明細書に記載の方法、または当該技術分野で知られた方法に依り得ることができる。
【0053】
本発明の核酸分子は、RNAの形態、例えば、mRNA、hnRNA、tRNAもしくは他の形態、またはDNAの形態、例えば、限定はされないが、クローニングによって得られた、もしくは合成により生成されたcDNAおよびゲノムDNA、またはこれらの任意の組み合わせであり得る。DNAは、三本鎖、二本鎖もしくは一本鎖、またはこれらの組み合わせであり得る。DNAもしくはRNAの少なくとも1本の鎖の一部は、センス鎖としても知られるコード鎖、またはアンチセンス鎖とも呼ばれる非コード鎖であり得る。
【0054】
本発明の単離核酸分子としては、オープンリーディングフレーム(ORF)、例えば、限定はされないが、少なくとも1本の重鎖もしくは軽鎖の、CDR1、CDR2および/もしくはCDR3などの、少なくとも1つのCDRの少なくとも1つの特定部分を含む核酸分子;抗VISTA抗体またはフラグメント、例えば、可変領域を含むフラグメントのコード配列を含む含む核酸分子;ならびに、上記のものと異なるが、遺伝子コードの退化のために、本明細書に記載され、かつ/または当該技術分野で知られる少なくとも1つの抗VISTA抗体をなおコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を挙げることができる。そのような、本発明の特異的抗VISTA抗体をコードする、退化した核酸変異体の生成は、当業者であれば日常的な仕事であろう。例えば、Ausubel、et al.(上記)を参照されたい。そのような核酸変異体は本発明に含まれる。
【0055】
本明細書に記載のように、抗VISTA抗体をコードする核酸を含む本発明の核酸分子としては、限定はされないが、抗体フラグメントのアミノ酸配列をコードするもの、全抗体またはその一部をコードする配列;抗体、フラグメントもしくは一部をコードする配列、および追加の配列、例えば、前記追加のコード配列の有無にかかわらず、少なくとも1つのシグナルリーダーまたは融合ペプチド、例えば、追加の非コード配列(例えば、限定はされないが、非コード5’および3’配列、例えば、転写、mRNAプロセッシング、例えば、スプライシング、およびポリアデニル化シグナル(例えば、mRNAのリボソーム結合および安定性)に役割を持つ転写された非翻訳配列)と共に含まれる少なくとも1つのイントロン;
追加のアミノ酸、例えば追加の機能を付与するアミノ酸をコードする追加のコード配列を挙げることができる。したがって、抗体をコードする配列はマーカー配列、例えば、抗体フラグメントまたは一部を含む融合抗体の精製を促進するペプチドをコードする配列に融合することができる。
【0056】
本発明の抗体、フラグメントおよび領域の定常(C)領域をコードするヒト遺伝子は、知られた方法によって、ヒト胎児肝ライブラリーから取り出すことができる。ヒトC領域遺伝子は、ヒト細胞、例えば、ヒト免疫グロブリンを発現し産生する細胞から取り出すことができる。ヒトCH領域は、ヒトH鎖、例えばγ、μ、α、δもしくはεおよびそれらのサブタイプ、例えば、G1、G2、G3およびG4の知られたクラスまたはアイソタイプから取り出すことができる。H鎖アイソタイプは、抗体の様々なエフェクター機能を担っているため、CH領域の選択は、所望のエフェクター機能、例えば、補体結合、または抗体依存性細胞障害性(ADCC)活性によって導かれるであろう。
【0057】
組成物
本明細書に開示の医薬組成物は、標準的手順にしたがって調製され、治療、例えば、軽減、予防もしくは除去のため、または、治療する病態の進行の遅延もしくは半減のために選択される用量で投与される(例えば、ヒト治療用の各種薬剤の投与方法の一般的な説明のためのRemington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PAおよびGoodman and Gilman’s The Pharmaceutical Basis of Therapeutics、McGraw-Hill、New York、N.Y.を参照(これらの内容は参照によって本明細書に組み込まれる))。開示の抗体および薬剤を含む組成物は、制御もしくは持続放出型送達システム(例えば、カプセル、生分解性マトリックス)によって送達することができる。本開示化合物の組成物の投与に好適な薬物送達のための遅延放出型送達システムは、例えば、米国特許第5,990,092号明細書、同第5,039,660号明細書、同第4,452,775号明細書および同第3,854,480に記載されており、それらの全教示は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0058】
本発明の抗VISTA抗体および/またはフラグメントから医薬組成物を調製するために、医薬的に許容される担体は、固体または液体であり得る。固形製剤としては、粉剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、座薬および顆粒剤が挙げられる。例えば、本発明の化合物は、送達時に再構成する粉末の形態であり得る。固体担体は、希釈剤、香味剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁化剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤またはカプセル化材としても機能し得る1種以上の物質であり得る。粉剤では、担体は、微粉化した有効成分との混合物を形成する微粉化した固体である。
【0059】
粉剤および錠剤は、約1~約70パーセントの活性成分を含有することが好ましい。好適な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融ワックス、ココアバターなどである。錠剤、粉剤、カシェ剤、トローチ剤、速く溶けるストリップ剤、カプセル剤および丸剤は、経口投与に好適な有効成分を含有する固形の剤形として使用することができる。
【0060】
液体製剤としては、溶液、懸濁液、停留かん腸およびエマルション、例えば、水溶液または水性プロピレングリコール溶液が挙げられる。注射剤では、液体製剤を水性プロピレングリコール溶液中に溶液で配合することができる。
【0061】
医薬組成物は単位剤形とすることができる。そのような剤形では、組成物を適正量の有効成分を含有する単位用量に小分けする。単位剤形はパッケージ製剤とすることができ、パッケージは単位用量の分離量を含有する。投与量は患者の必要性、治療する病態の重症度、化合物および使用する投与経路によって変わり得る。特定の状況に適した投与量の決定は、当業者の能力の範囲内である。
【0062】
また、医薬組成物には、必要に応じて、他の混合可能な薬剤、例えば、医薬品、治療薬または予防薬を含有させることができる。治療薬または予防薬としては、限定はされないが、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、融合タンパク質、核酸分子、小分子、模倣剤、合成薬、無機分子および有機分子が挙げられる。そのような薬剤の分類例としては、限定はされないが、細胞毒素、血管新生阻害薬、免疫調節薬、免疫療法薬、および、痛みの軽減、または1種以上の治療薬の有害作用を相殺するために使用される薬剤(例えば、グルココルチコイドの高カルシウム血作用を軽減するために使用されるビスホスフォネート)が挙げられる。
【0063】
血管新生阻害薬、本発明に記載の組成物および方法での使用に適した薬剤および療法としては、限定はされないが、アンジオスタチン(プラスミノゲンフラグメント);血管新生阻害アンチトロンビンIII;angiozymeが挙げられる。ビスホスフォネートとしては、限定はされないが、アレンドロネート、クロドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、パミドロネート、リセドロネート、チルドロネートおよびゾレドロネートが挙げられる。
【0064】
本明細書に記載の組成物および方法での使用に好適な免疫調節剤および免疫調節療法としては、限定はされないが、抗T細胞受容体、例えば、抗CD3抗体(例えば、Nuvion(Protein Design Labs)、OKT3(Johnson & Johnson)または抗CD20抗体Rituxan(IDEC))、抗CD52抗体(例えば、CAMPATH 1H(Ilex))、抗CD11a抗体(例えば、Xanelim(Genentech));抗サイトカインまたは抗サイトカイン受容体抗体およびアンタゴニスト、例えば、抗IL-2受容体抗体(Zenapax(Protein Design Labs))、抗IL-6受容体抗体(例えば、MRA(Chugai))、および抗IL-12抗体(CNTO1275(Janssen))、抗TNFアルファ抗体(Remicade(Janssen))またはTNF受容体アンタゴニスト(Enbrel(Immunex))、抗IL-6抗体(BE8(Diaclone)およびシルツキシマブ(CNTO32(Centocor))、ならびに、腫瘍関連抗原に免疫特異的に結合する抗体(例えば、トラスツズマブ(Genentech))が挙げられる。
【0065】
本明細書に記載の組成物および方法での使用に好適な免疫療法薬としては、限定はされないが、イピリムマブ(抗CTLA-4)、ニボルマブ(抗PD-1)、ペンブロリズマブ(抗PD-1)、抗PD-L1抗体および抗LAG-3抗体が挙げられる。
【0066】
組成物は、治療有効量の抗体またはフラグメントを含む単位剤形の形態で作成されることが好ましい。単剤剤形の例には、錠剤およびカプセル剤がある。治療目的のためには、錠剤およびカプセル剤は、有効成分に加えて、結合剤などの従来の担体、例えば、アカシアガム、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ソルビトールまたはトラガント;充填剤、例えば、リン酸カルシウム、グリシン、ラクトース、トウモロコシデンプン、ソルビトールまたはスクロース;潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、エチレングリコール、シリカまたはタルク;崩壊剤、例えば、ジャガイモデンプン、香味剤もしくは着色剤、または許容される湿潤剤を含有することができる。一般に水性もしくは油状溶液、懸濁液、エマルション、シロップ剤またはエリキシル剤の形態の経口液体製剤は、懸濁化剤、乳化剤、非水剤、保存料、着色剤および香味剤などの従来の添加剤を含有することができる。液体製剤の添加剤の例としては、アカシア、アーモンド油、エチルアルコール、分画ココナッツ油、ゼラチン、グルコースシロップ、グリセリン、食用硬化油脂、レシチン、メチルセルロース、メチルもしくはプロピルパラヒドロキシベンゾエート、プロピレングリコール、ソルビトールまたはソルビン酸が挙げられる。
【0067】
本明細書に記載の化合物および組成物の作製方法および使用方法に関する他の一般的な詳細は、当該技術分野でよく知られている。例えば、米国特許第7,820,169号明細書を参照されたい。その内容はその全体が組み込まれる。
【0068】
治療方法
当業者、例えば臨床医は、個人に投与するための、特定の抗体、フラグメントおよび組成物の好適な用量および投与経路を、選択した薬剤、医薬製剤および投与経路、患者の各種因子および他の検討事項を考慮して決定することができる。用量は、引き起こされる、または生じる有害な副作用が最小、またはゼロになるものであることが好ましい。標準的な多剤投与処方では、薬剤は、患者が受ける治療において、あらかじめ決定された、または最適な血漿濃度を維持するように設計された処方計画にしたがって投与され得る。抗体、フラグメントおよび組成物は適切な用量範囲または治療有効量、例えば0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1.0mg/kg、1.5mg/kg、2.0mg/kg、2.5mg/kg、3.0mg/kg、4.0mg/kg、5.0mg/kg、6.0mg/kg、7.0mg/kg、8.0mg/kg、9.0mg/kg、10.0mg/kg、11.0mg/kg、12.0mg/kg、13.0mg/kg、14.0mg/kg、15.0mg/kg、16.0mg/kg、17.0mg/kg、18.0mg/kg、19.0mg/kg、20.0mg/kg、30mg/kg、40mg/kg、50mg/kg60mg/kg、70mg/kg、80mg/kg、90mg/kgおよび100mg/kgで添加することができる。1つの実施形態では、投与する組成物、抗体またはフラグメントは、1回の投与当たり0.1~15mg/kgである。
【0069】
抗体またはフラグメントは、1日に、1回、少なくとも1回、2回、少なくとも2回、3回、または少なくとも3回投与することができる。抗体またはフラグメントは、1週間に、1回、少なくとも1回、2回、少なくとも2回、3回、少なくとも3回、4回、少なくとも4回、5回、少なくとも5回、6回、または少なくとも6回投与することができる。抗体またはフラグメントは、1カ月に1回、1カ月に少なくとも1回、1カ月に2回、1カ月に少なくとも2回、1カ月に3回、または1カ月に少なくとも3回投与することができる。抗体または抗体フラグメントは、1年に1回、1年に少なくとも1回、1年に2回、1年に少なくとも2回、1年に3回、1年に少なくとも3回、1年に4回、1年に少なくとも4回、1年に5回、1年に少なくとも5回、1年に6回、または1年に少なくとも6回投与することができる。
【0070】
抗VISTA抗体、フラグメントおよび組成物は、例えば、非経口または経口で、例えば、静脈内に、皮下に、経口で、直腸に、筋肉内に、腹腔内に、粘膜に、髄腔内に、鼻腔内に、または局所的に投与することができる。当業者は、以下の剤形が、有効成分として、本発明の化合物、または本発明の化合物に対応する薬学的に許容される塩を含み得ることを認識していよう。いくつかの実施形態では、これらの剤形が、有効成分として、化合物、または化合物に対応する薬学的に許容される塩を含み得る。
【0071】
本発明の抗VISTA抗体を、併用療法(例えば、互いに、または1種以上の他の治療薬と)の一部として投与することができる。本発明の化合物は、1種以上の他の治療薬の前、後、または同時に投与することができる。いくつかの実施形態では、本発明の化合物および他の治療薬は、個別の製剤として、または混合した製剤として、同時に(例えば、一斉に)同時投与することができる。あるいは、薬剤は、個別の組成物として、熟練した臨床医によって決定される適切な時間枠(例えば、療法における医薬効果が重なって現れるのに十分な時間)内で、連続的に投与することができる。本発明の化合物または1種以上の他の治療薬は、単回投与または多数回投与で、順に、所望の治療効果を達成するのに好適なスケジュールで、投与することができる。
【0072】
本発明はまた、細胞、組織、臓器、動物または患者の少なくとも1つの悪性疾患の調節または治療方法を提供する。いくつかの実施形態では、本発明の化合物および組成物は、癌の治療または予防に使用される。癌には、任意の臓器系または体系の任意の悪性または良性の腫瘍が含まれ得る。例としては、限定はされないが、以下のものが挙げられる:乳癌、消化器/消化管癌、内分泌癌、神経内分泌癌、眼癌、泌尿生殖器癌、胚細胞癌、婦人科癌、頭頸部癌、血液癌、筋骨格癌、神経癌、呼吸器/胸部癌、膀胱癌、結腸癌、直腸癌、肺癌、子宮内膜、腎臓癌、膵臓癌、肝臓癌、胃癌、精巣癌、食道癌、前立腺癌、脳腫瘍、子宮頸癌、卵巣癌および甲状腺癌が挙げられる。他の癌としては、白血病、メラノーマおよびリンパ腫、ならびに本明細書に記載の癌を挙げることができる。いくつかの実施形態では、固形腫瘍に骨髄細胞および/またはT細胞が浸潤する。いくつかの実施形態では、癌は、白血病、リンパ腫、骨髄異形成症候群および/または骨髄腫である。いくつかの実施形態では、リンパ性白血病または骨髄性白血病などの任意の種類またはタイプの白血病、例えば、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、有毛細胞白血病、T細胞前リンパ性白血病、大型顆粒リンパ球白血病、または成人T細胞白血病であり得る。いくつかの実施形態では、リンパ腫は、組織球性リンパ腫、濾胞性{ろほうせい}リンパ腫またはホジキンリンパ腫であり、いくつかの実施形態では、癌は、多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、癌は、固形腫瘍、例えば、メラノーマまたは膀胱癌である。ある特定の実施形態では、癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)などの肺癌である。
【0073】
本発明はまた、細胞、組織、臓器、動物または患者の少なくとも1つの悪性疾患、例えば、限定はされないが、白血病、急性白血病、急性リンパ性白血病(ALL)、B細胞、T細胞またはFAB ALL、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、有毛細胞白血病、骨髄異形成症候群(MDS)、リンパ腫、ホジキン病、悪性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、形成、カポジ肉腫、大腸癌、膵臓癌、上咽頭癌、悪性組織球増殖症、悪性の腫瘍随伴性症候群/高カルシウム血症、固形腫瘍、腺癌、肉腫、悪性メラノーマ、血管腫、転移疾患、癌関連骨吸収、癌関連骨痛などの少なくとも1つを調節または治療する方法を提供する。
いくつかの実施形態では、固形腫瘍に骨髄細胞および/またはT細胞が浸潤する。ある特定の実施形態では、固形腫瘍は非小細胞肺癌(NSCLC)などの肺癌である。
【0074】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物および療法は、ワクチン(ウイルスベクターワクチン、細菌ワクチン、細胞ワクチン、DNAワクチン、RNAワクチン、ペプチドまたはタンパク質ワクチンなど)と同時投与される。そのようなワクチンは、当該技術分野でよく知られている。例えば、Jeffrey Schlom、“Therapeutic Cancer Vaccines:Current Status and Moving Forward、”J Natl Cancer Inst;104:599-613(2012)を参照されたい。その内容はその全体が組み込まれる。
【0075】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物および療法は、化学療法、ホルモン療法および生物学的療法用薬剤、ならびに/またはビスホスフォネートと同時投与される。いくつかの実施形態では、化学療法用薬剤としては、次の1種以上が挙げられる:カルボプラチン(パラプラチン)、シスプラチン(プラチノール、プラチノール-AQ)、シクロヒスファミド(シトキサン、ネオサール)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エトポシド(ベプシド)、フルオロウラシル(5-FU)、ゲムシタビン(ジェムザール)、イリノテカン(カンプトサール)、パクリタキセル(タキソール)、トポテカン(ハイカムチン)、ビンクリスチン(オンコビン、ビンカサールPFS)、ビンブラスチン(ベルバン)。
【0076】
他の実施形態では、本明細書に記載の抗VISTA化合物および療法は、1種以上の免疫チェックポイント抗体、例えば、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、トレメリムマブ、イピリムマブ、抗PD-L1抗体、抗PD-L2抗体、抗TIM-3抗体、抗LAG-3v、抗OX40抗体および抗GITR抗体などと同時投与される。
【0077】
他の一実施形態では、本明細書に記載の抗VISTA化合物および療法は、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)小分子阻害剤とともに同時投与される。
【0078】
本発明の抗VISTA化合物および組成物は、癌を予防(癌の再発防止を含む)または治療(例えば、癌またはその1種以上の症状の管理または改善)するために、それを必要としている対象に投与することができる。癌またはその1種以上の症状の予防、治療、管理または改善に有用であると知られているか、または使用されてきたか、もしくは現在使用されている薬剤または療法(例えば、化学療法、放射線療法、イマチニブ、ソラフェニブおよびベムラフェニブなどの標的療法、ホルモン療法、および/または生物学的療法もしくは免疫療法)は、本明細書に記載の本発明の化合物または組成物と併用することができる。抗癌剤としては、限定はされないが、以下のものが挙げられる:5-フルオロウラシル;アシビシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ビカルタミド;硫酸ブレオマイシン;ブレキナルナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼルシン;セデフィンゴール;クロラムブシル;シロレマイシン;シスプラチン;クラドリビン;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;ダクチノマイシン、塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソマプラチン;デザグアニン;メシル酸デザグアニン;ジアジクオン;ドセタキセル;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;ドロロキシフェンシトラート;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン;塩酸エフロルニチン;エンロプラチン;エンプロマート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;エストラムスチンリン酸ナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルロシタビン;ホスキドン;フォストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシウレア;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモフォシン;インターロイキンIl(組換えインターロイキンII、すなわちrlL2を含む)、インターフェロンアルファ-2a;インターフェロンアルファ-2b;インターフェロンアルファ-m;インターフェロンアルファ-n3;インターフェロンベータ-Ia;インターフェロンガンマ-Ib;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;ランレオチドアセテート;レトロゾール;リュープロリドアセテート;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;塩酸メクロレタミン;メゲストロールアセテート;メレンゲストロールアセテート;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;マイトマイシン;ミトスペル;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;ミコフェノール酸;ノコダゾール;オルマプラチン;パクリタキセル;ペグアスパルガーゼ;ポルフロマイシン(porfromycin);プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;ログレチミド;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルフォセートナトリウム;スパルソマイシン;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌール;タリソマイシン;テガフール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;トリメトレキサート;グルクロン酸トリメトレキサート;トリプトレリン;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;硫酸ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシナート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;塩酸ゾルビシン。標的療法としては、限定はされないが、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、イマチニブ、ソラフェニブおよびベムラフェニブ)が挙げられる。本発明はまた、x線、ガンマ線および癌細胞を破壊する他の線源の使用を含む放射線療法と組み合わせた本発明の抗VISTA化合物の投与を包含する。癌治療は当該技術分野で知られており、Physician’s Desk Reference(57th ed.、2003)などの文献に記載されている。
【0079】
本明細書に記載の抗VISTA抗体はまた、例えば、慢性感染症、とりわけHIV、HBV、HCV、およびHSVなどの治療に有用である。
【0080】
VISTAタンパク質の検出
本明細書に記載の発明の抗体および抗原結合フラグメントは、一般に、例えば、試料(例えば、生物材料)中のVISTAタンパク質の検出に有用である。本発明の抗体は、当該技術分野で知られている多くのタンパク質検出アッセイ、例えば、免疫学的方法および免疫化学的方法、例えば、限定はされないが、フローサイトメトリー(例えば、FACS分析)、酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)、例えば、化学発光法、、放射免疫測定法、免疫ブロット法(例えば、ウエスタンブロット)、免疫組織化学的検査法(IHC)、免疫沈降法、および他の抗体に基づく定量法(例えば、Luminex(登録商標)ビーズに基づくアッセイ)を適用可能である。他の好適な方法としては、例えば、質量分析法が挙げられる。
【0081】
本発明のVISTA検出法は、一般に、試料(例えば、細胞試料)を、本明細書に記載の、本発明のVISTA抗体または抗原結合フラグメントと、抗体または抗原結合フラグメントが試料中のVISTAタンパク質に結合する条件下で接触させることを含む。本発明の抗体または抗原結合フラグメントの試料中のVISTAタンパク質への結合に好適な条件は、当業者であれば容易に決定することができ、当該技術分野で知られている様々な条件を含む。例えば、そのような条件としては、本明細書の実施例27に記載のものが挙げられる。
【0082】
例えば、VISTAに対する抗体は、試料中のVISTAの存在レベルおよび/または発現レベルを、例えば、免疫組織化学的検査法(IHC)により測定するために使用することができる。特に、IHCは、インサイチューで、試料または組織標本中の標的を検出する方法を提供する(Mokry 1996、ACTA MEDICA 39:129を参照)。IHCでは、試料の細胞の全体的な完全性は保持され、は保持され、したがって、目的の標的の存在および位置を検出することができる。
【0083】
IHC染色手順は、組織のカットおよびトリミング、固定、脱水、パラフィン浸潤、薄い切片の切り出し、スライドグラスへの搭載、ベーキング、脱パラフィン、再水和、抗原回復、ブロッキング工程、一次抗体の適用、洗浄、二次抗体-酵素接合体の適用、洗浄、ポリマーに接合させ、酵素と結合させた三次抗体の接合体の適用、色素原基質の適用、洗浄、対比染色、カバーガラスの適用および顕微鏡検査などの手順を含み得る。洗浄工程は、好適な緩衝液または溶媒、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、トリス緩衝生理食塩水、蒸留水で行うことができる。洗浄用緩衝液は、任意選択により、洗剤、例えばTWEEN(登録商標)-20またはNP-40を含有してもよい。
【0084】
1つの実施形態では、IHC試料をホリマリンで固定し、パラフィンに包埋し、染色およびその後の光学顕微鏡による検査のために切片に切り分ける。今日のIHC法では、直接標識または二次抗体に基づく標識もしくはハプテンに基づく標識を使用する。知られたIHCシステムの例としては、例えば、EnVision(商標)(DakoCytomation)、Powervision(登録商標)(Immunovision、Springdale、Ariz.)、NBA(登録商標)キット(Zymed Laboratories Inc.、South San Francisco、Calif.)、ヒストファイン(登録商標)(Nichirei Corp、東京、日本)が挙げられる。
【0085】
VISTAタンパク質は、様々なタイプの試料、例えば、限定はされないが、組織試料、生体液試料(例えば、哺乳動物の血漿、血清、リンパ液、全血、脊髄、羊膜または他の動物由来の液)、細胞(例えば、腫瘍細胞、免疫細胞)試料などで検出することができる。試料としては、例えば、(a)固定されていない新鮮組織および/または細胞を含む標本;(b)固定包埋された組織標本、例えば、保存材料;ならびに(c)凍結した組織または細胞が挙げられる。したがって、試料は、新鮮であるか、あるいは、液体溶液、急速冷凍もしくは凍結乾燥、スライドまたは他の支持材上に塗布、または乾燥、包埋もしくは固定して保存され得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、組織または細胞試料は固定または包埋される。例えば、細胞および組織を再生可能で生きているような方法で保存するために、固定液が使用される。固定液はまた、細胞および組織を安定化し、それにより、プロセッシングおよび染色の厳しさからそれらを保護する。例えば、組織のブロック、切片、塗抹を含む試料を固定液に浸漬、または塗布物の場合には乾燥させる。
【0087】
組織試料を固定し包埋する方法は、例えば、アルコール固定、およびホルマリン固定、その後のパラフィン包埋(FEPE)など、多くの方法が知られている。任意の好適な固定剤を使用することができる。例としては、エタノール、酢酸、ピクリン酸、2-プロパノール、3,3’-ジアミノベンジジンテトラヒドロクロリド二水和物、アセトイン(モノマーの混合物)およびダイマー、アクロレイン、クロトンアルデヒド(cis+trans)、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、グリオキサール、重クロム酸カリウム、過マンガン酸カリウム、四酸化オスミウム、パラホルムアルデヒド、塩化第二水銀、2,4-ジイソシアン酸トリレン、トリクロロ酢酸、タングステン酸が挙げられる。他の例としては、ホルマリン(水性ホルムアルデヒド)and中性緩衝ホルマリン、グルタルアルデヒド、カルボジイミド、イミダート、ベンゾキノン、オスミン酸および四酸化オスミウムが挙げられる。新鮮な生検標本、細胞標品(例えば、タッチ標本(touch preparation)および血液塗抹)、凍結切片およびIHC分析用組織は、有機溶媒、例えば、エタノール、酢酸、メタノールおよび/またはアセトンに固定することができる。
【0088】
試料を採取するために、患者から試料を採取する任意の方法、例えば、採血、脊椎穿刺、組織スミアもしくはスクレープ、または組織生検を使用することができる。したがって、試料は、生検標本(例えば、腫瘍、ポリープ、腫瘤(固形細胞))、吸引物、塗抹または血液試料であり得る。試料は、腫瘍(例えば、癌性増殖)および/または腫瘍細胞を有するか、あるいは、腫瘍および/または腫瘍細胞を有する疑いのある組織であり得る。例えば、腫瘍生検は、直視下生検、標的領域から全(切除生検)または部分(切開生検)腫瘤を除去する手順で得ることができる。あるいは、腫瘍試料は、経皮的生検、針用器具を用い、小切開または穿刺を行って(画像装置の助けの有無にかかわらず)、個々の細胞もしくは細胞塊(例えば、微細針吸引(FNA))、または組織のコアもしくはフラグメントを得る手順で得ることができる。
【0089】
試料は、細胞学的に(例えば、塗抹))、組織学的に(例えば、凍結もしくはパラフィン切片)または他の任意の好適な方法(例えば、分子診断法)により検査することができる。腫瘍試料はまた、個体組織由来の培養ヒト細胞からインビトロで採集することによっても得ることができる。腫瘍細胞は、必要に応じて、分析前に、急速凍結、または管理された凍結レジームなどの、分析可能な条件で試料のタンパク質および/または核酸を保存する好適な貯蔵手段によって貯蔵することができる。必要に応じて、凍結は、抗凍結剤、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、またはプロパンジオール-スクロースの存在下に行うことができる。腫瘍細胞は、必要に応じて、貯蔵前または貯蔵後に、分析目的のためにプールすることができる。
【0090】
本発明の抗体は、標識、例えば、生物試料中の抗体、および抗体(例えば、VISTA)によって結合したタンパク質の検出を可能にする検出標識を含むことができる。検出標識は特に診断用途に好適である。例えば、VISTA抗体は、放射性同位体(ラジオアイソトープ)、で標識することができ、それは、当業者により、γカウンター、シンチレーションカウンターを用いて、またはオートラジオグラフィーもしくは他の好適な手段によって検出することができる。本発明の目的のために有用な同位体としては、限定はされないが、3H、125I、131I、32P、35S、14C、51Cr、36Cl、57Co、58Co、59Feおよび75Seが挙げられる。
【0091】
本発明の抗体はまた、蛍光化合物(例えば、色素)で標識することができる。蛍光標識された抗体を適当な波長の光に曝露すると、その存在を化合物の蛍光によって検出することができる。最も一般的に使用されている蛍光標識は、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルアルデヒドおよびフルオレスカミンである。本発明の抗体はまた、152Eu、または他のランタニド系などの蛍光を発する金属を用いて標識することができる。これらの金属は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、テトラアザシクロドデカン四酢酸(DOTA)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの金属キレート基によって抗体分子に結合することができる。
【0092】
本発明の抗体はまた化学発光化合物に結合することができる。有用な化学発光標識化合物の例は、ルミノール、イソルミノール、セロマティックアクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩およびシュウ酸エステルである。
【0093】
同様に、生物発光化合物を、本発明の抗体の標識のために使用することができる。生物発光は、触媒タンパク質が化学発光反応効率を増大させる生物系で見出された化学発酵のタイプである。生物発光タンパク質の存在は、発光の存在を検出することによって測定される。抗体を標識する目的のために有用な生物発光化合物は、ルシフェリン、ルシフェラーゼおよびエクオリンである。
【0094】
標識された抗体の検出は、検出可能な標識が放射性放出体の場合には、例えば、シンチレーションカウンターで、あるいは、標識が蛍光体である場合には、例えば、蛍光光度計で行うことができる。酵素標識の場合、検出は、酵素の基質を使用する比色法によって行うことができる。検出はまた、基質の酵素反応の範囲を、同様に調製した標準と目視で比較することにより行うことができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、試料中のVISTAタンパク質の適切な量もまた決定される。例えば、試料からの標識の強度を、知られた標準または対照試料の強度と比較することができる。試料中の検出可能な標的(例えば、VISTAタンパク質)の量を推定することは、例えば、様々な診断検査で有用であり、推定値は疑われる病気または疾患の治療計画を立てるために使用することができる。いくつかの市販の濃度測定ソフトウエアプログラムおよび関連機器、例えば、Fuji Film、Applied Biosystems、およびMolecular Dynamicから入手できるものが、試料中の染色した標的の強度を定量するために利用可能である。
【0096】
本発明の抗VISTA抗体を選択するための各種特性および配列情報を本明細書中の表1A、1Bおよび2に示す。
【0097】
【0098】
【0099】
【0100】
【0101】
【0102】
【実施例0103】
実施例1:ヒト造血細胞におけるVISTA発現の分析
方法:VISTA発現用新鮮ヒトPBMCの調製および染色
いくつかのドナーから新鮮単離したPBMC(末梢血単核球)におけるVISTA発現を試験した。染色に抗ヒトVISTAビオチン(GA-1)を使用した(5μg/ml)。マウスIgG1、Kビオチン(クローンMOPC-21、5μg/ml)をアイソタイプ対照として使用した。
【0104】
ドナー材料
Biological Specialty Corp.(Colmar、PA)から血液試料を得、同じ日に採取し、分析した。ヘパリン硫酸を含む全血10mlを分析のために送った。
【0105】
試料の調製
血液を滅菌PBSにより1:1に希釈した。希釈した臍帯血22mlを、50mlコニカルチューブ内の滅菌Ficoll-Hypaque(GE Healthcare カタログ番号17-144003)上に注ぎ、層を形成した。チューブを1800rpmで20分間、室温で遠心分離機にかけた。遠心分離後、1mlピペットを用いて界面の単核球を採取し、2本の50mlコニカルチューブに入れた。滅菌PBSを各チューブに加えて、体積を50mlとし、細胞を300gで、10分間、4℃で遠心分離機にかけた。上清を捨てた。細胞を50mlの滅菌PBS中に再懸濁し、チューブを300gで10分間、4℃で回転させた。上清を捨てた。細胞をまとめ、計数前に、50mlの滅菌PBS中に再懸濁した。
【0106】
染色プロトコル:5×107個のPBMCを含有する凍結バイアルを、補償制御のために使用し、かつ染色用対照として使用した。
【0107】
以下の試薬および/または消耗品を使用した。
【0108】
0.2%EDTAを補充したBD Biosciences製のFACS染色緩衝液(BSA)(カタログ番号554657);リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Gibco カタログ番号14190);96ウエルポリプロピレン丸底プレート(BD#3077);1.2mlプリプロピレンクラスターチューブ(Corning#4451);ImmunoNext製のビオチン化抗VISTAクローンGA-1 Lot番号080612B(5μg/mlで使用);ビオチン化mIgG1、Kアイソタイプ対照(クローンMOPC-21);Biolegendカタログ番号400104、ロット番号B116649(5μg/mlで使用);抗ヒト抗体(下の染色表を参照);近赤外吸収ライブ・デッド色素(Invitrogen、カタログ番号L10119);およびSTP-APC(BD Biosciences カタログ番号554067、ロット番号04251)(FACS緩衝液で1:200に希釈して使用)、STP-PE(Biolegendカタログ番号405203、ロット番号B139688)(FACS緩衝液で1:200に希釈して使用))、STP-PECy7(アイソタイプ対照試料臭いて非特異的結合を示す)、STP-Q605(Invitrogenカタログ番号Q10101MP、ロット番号53449A)(FACS緩衝液で1:200に希釈して使用)を含むトレプトアビジン試薬。
【0109】
細胞表面染色プロトコル
染色前に、1×106個の細胞を96ウエル丸底プレートに移し、150μlのPBSで洗浄した。その後、プレートを、1300rpm、4℃で、3分間、遠心分離機にかけた。
【0110】
その後、細胞をPBSで再度洗浄し、上記のように遠心分離機にかけた。
【0111】
その後、0.25μlの近赤外吸収ライブ・デッド色素を含有する50μlのPBS中で染色を行った。室温で、10分後、ウエルを150μlのFACs染色緩衝液で洗浄し、1300rpm、4℃で、3分間、遠心分離機にかけた。上清を捨てた。
【0112】
ヒト血清を1:100で含む50μlのFACS染色緩衝液で細胞をブロックした。プレートを4℃で、15分間インキュベートした。その後、ウエルを150μlのFACs染色緩衝液で洗浄し、1300rpm、4℃で、3分間、遠心分離機にかけた。上清を捨てた。
【0113】
その後、表面染色のために、以下の抗体を含有するカクテルを各ウエルに加えた。カクテルを下の表3~6に記載する。各カクテルは対象の集団に応じて、他とは別に使用される。
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
表面染色後、細胞をFACS染色緩衝液で2回、前述のようにして洗浄し、1300rpm、4℃で、5分間、遠心分離機にかけた。試料を、蛍光標識された適切なストレプトアビジンを含む50μlのFACS染色緩衝液中に再懸濁した。試料を4℃で30分間インキュベートした。細胞を150μlのFACS染色緩衝液で洗浄し、1300rpm、4℃で、5分間、遠心分離機にかけた。この洗浄工程を繰返した後、試料を250μlのFACS染色緩衝液中に再懸濁した。同日、試料をBD LSRFortessaTMセルアナライザー(BD Biosciences)で分析した。
【0119】
データ解析
特定の表現型個体群をゲーティングするために、FlowJo Version9ソフトウエアを用いて、フローサイトメトリーデータを再分析した。異なる細胞サブセットにおけるVISTA発現を比較するために、幾何平均の一覧を使用した。抗VISTA処理試料の平均値からアイソタイプ対照の値を減算することによって、各個体群をバックグラウンドで正規化した。グラフをプリズムで作成し、スチューデントのt検定(2種の試料のみを比較する場合)、またはボンフェローニのポスト検定を含む一元配置ANOVAを使用して統計処理を行った。
【0120】
結果:
ヒトミエロイドおよびリンパ球サブセットにおけるVISTAの発現:
図2A~2E、3A~3G、4、5A~5Bおよび6A~6Cに示すように、CD14
+単球におけるVISTA発現は、他の全ての個体群と大きく異なっていた(p<0.001)。他の個体群間では大きな違いは認められなかった。末梢血では、単球が最も高レベルでVISTAを発現し、CD14
+CD16
-サブセットがCD14
loCD16
+細胞よりはるかに高い発現を示した。一方、APCは中程度のVISTA発現を示し、リンパ球サブセットは低い発現レベルを示した。
【0121】
ヒトTサブセットおよびNKサブセットにおけるVISTAの発現:
図7A~7E、8A~8Gおよび9に示すように、NKサブセットを含むCD56
lo細胞はCD56
HiNK細胞よりはるかに高いVISTA発現レベルを示した。T細胞サブセットのうち、CD8
+記憶細胞は最も高い発現レベルを示したが、CD8
+ナイーブT細胞またはCD4
+T細胞よりさほど高くはなかった。
【0122】
ヒト樹状細胞サブセットにおけるVISTAの発現:
図10A~10D、11A~11Cおよび12に示すように、VISTA発現に大きな違いは認められず、DCおよび好塩基球は低いVISTA発現を示し、形質細胞用樹状細胞(pDC)は一般にそれらと比較して高かったが顕著なほどではなかった。
【0123】
結論:これらの結果は、各種の免疫細胞サブセッにおけるVISTA発現を示し、VISTAは単球で最も高く発現し、種々のT細胞サブセットおよびNK細胞ではいくらか発現し、B細胞では殆ど発現しない。
【0124】
実施例2:末梢血細胞におけるVISTA発現
方法:
全血の染色:新鮮な単離全血(100μl)を下記に示した抗体カクテルで、4℃で30分間インキュベーションすることによって染色した。赤血球(RBC)を溶解緩衝液で溶解し、残りの細胞を染色緩衝液で1回洗浄した。細胞を200μlの染色緩衝液に再懸濁した。MACSQuantフローサイトメーターを用いてデータを集め、FlowJo解析ソフトウエアを用いて解析した。
【0125】
末梢血単核球(PBMC)の染色:末梢血単核球をフィコール勾配を用いて全血から単離した。新しく単離した1×106PBMCを100μlの染色緩衝液中で抗体カクテルにより染色した。試料を4℃で30分間インキュベートし、その後、染色緩衝液で1回洗浄した。細胞を100μlの染色緩衝液に再懸濁した。MACSQuantフローサイトメーター(Miltenyi Biotec)を用いてデータを集め、FlowJo解析ソフトウエアを用いて解析した。
【0126】
使用した抗体は、CD11b、CD33、CD177、CD16、CD15、CD14、CD20、HLADR、CD3、CD4、CD8、CD127、CD69、およびFOXP3抗体(Biolegend、San Diego、CA)であった。APC-結合マウス抗ヒトVISTA(クローンGG8)をImmuNext(Lebanon、NH)により作製した。
【0127】
結論:
健常ヒト末梢血細胞におけるVISTAの発現
全血および末梢血単核球のVISTA発現をマルチカラーフローサイトメトリーを用いて解析した。
図15Aおよび15Bに示すように、最も高いVISTA発現は、単核球で検出され、続いて、好中球で検出された。
図13Cおよび13Dに示すように、CD4+およびCD8+T細胞のVISTA発現は低レベルであった。
【0128】
癌患者の末梢血細胞におけるVISTAの発現
図14A~Cに示すように、肺癌患者の末梢血単核球(PBMC)を解析した。
図14Aは、CD14
+単球およびCD15
+ミエロイド由来の抑制性細胞(MDSC)の解析を示す代表的なフロープロットである。結果は、表現型の上では、CD15
+c細胞が好中球由来のMDSCであることを示唆している。さらに、これらの細胞は健常者の血液試料には存在しない。
図14Bは、健常者と癌患者由来の単球におけるVISTA発現の代表的なヒストグラムであり、健常対照に比較して癌患者のVISTA発現レベルが高いことを示唆している。同様に、
図14Cに示すように、癌患者のMDSCでは、高レベルのVISTAが認められた。
【0129】
図15Aは、結腸癌患者の血液に好中球由来のMDSCが存在することを示す代表的なFACSプロットである。
図15Bおよび15Cは、健常なドナーの血液試料に比べて癌患者の単球におけるVISTA発現がより高いことを示す代表的なヒストグラムである。
【0130】
カニクイザルの末梢血細胞におけるVISTAの発現
図16Aおよび16Bに示すように、サルの全血のフローサイトメトリー解析はヒト細胞に似たVISTA発現パターンを示した。単球および好中球はいずれも、CD4
+(
図16C)およびCD8
+(
図16D)T細胞に比べて最高レベルでVISTAを発現した。
【0131】
実施例3:ヘム悪性細胞株におけるRNAレベルおよびタンパク質レベルでのVISTA発現
VISTAはヘム悪性腫瘍で発現するため、抗VISTA抗体は悪性細胞を破壊の標的とし、また、VISTAをブロックして、抗腫瘍免疫反応を促進する可能性がある。
【0132】
データは約140ヘム悪性細胞株(解析においては、いくつかの細胞種は繰り返される)のRNAseqを含む。データを
図17に示す。
【0133】
RNAseq値をFPKM(マップされたフラグメント100万本当たりのエクソン1キロベース当たりのフラグメント数)値で示す。
【0134】
実質的に、これは、遺伝子のエクソン領域内の全リードが計数され、遺伝子長と試料当たりの全リード数により正規化されていることを意味する(試料間の差を説明するため)。カットオフ値は1で、1超はVISTA発現(RNAレベルで)が陽性であり、1未満はVISTA発現が陰性である。
【0135】
結果は、多くの細胞株がRNAレベルで陽性であることを示した(急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病)。VISTAは正常なミエロイド細胞で高発現し、その機能は抗腫瘍免疫応答などの免疫応答を低下させると考えられることから、このことが予期され得る。
【0136】
実施例4:VISTAに対するモノクローナル抗体の生成
ファージパニング
24のファージパニング実験を行い、Cyno VISTA-Hisに対するファージの反応性を向上させた。カニクイザルVISTAタンパク質は、ヒトVISTAタンパク質より良好なビオチン結合を示すため、これらの実験にはそのカニクイザルVISTAタンパク質を使用した。ファージ実験の成功を決定するために、それぞれのパニングラウンドからのファージプールをビオチン化cyno VISTA-Hisでコーティングしたニュートラアビジンプレートに加え、HRP-結合抗M13抗体で検出した。ファージ選択ラウンドで個々のコロニーを採取し、96ウエルプレート中でFabタンパク質を産生させた。発現したFab上清をビオチン化cyno VISTA-Hisへの結合について分析した。これには200より多くがヒットした。
【0137】
FabプレートのVHおよびVL領域を増幅し、DNA配列決定を行い、FASTAファイルとしてエクスポートした。変質されMABとして試験されるべきクローンを採取する場合に、クローンは配列多様性ならびに翻訳語修飾の危険性が限られていること、および疎水性残基がなるべく少ないことを基準に選択された。
【0138】
ファージクローンからのVHおよびVLを哺乳動物のIgG1/kappa発現ベクターにサブクローン化し、HEK293細胞に導入した。Protein A Sepharose Fast Flow親和性樹脂により、抗体を精製した。Nanodrop測定を使用した定量ELISAによりファージMABの濃度を決定した。抗体パネルは高レベルで発現した。SDS-PAGE分析から、発現した各抗体変異体の完全性が示された。
【0139】
VL多様性を有するファージベクターへクローニングするための、パニングの最終ラウンドから得られたポリクローナル抗体混合物のVHドメインを増幅することによって、ファージ抗体をインライン成熟させた。これにより、濃縮されたVHプールが得られ、これはVLの多様性が加わった試料となった。ファージは、VISTA ECD Hisタンパク質への非常に高アフィニティの結合を同定しようとする期待を伴った、1~2ラウンドの厳しいパニングにより採取された。モノクローナルFabのELISAを行い、成熟が成功したことを決定した。ELISAおよび発現データを、元のもののパニング実験から100%に設定された参照クローンに対して正規化し、cyno VISTA抗原への結合シグナルが参照クローンより強いアフィニティ成熟クローンが同定された。このプロセスは、低濃度の抗原(1nM)でスクリーニングすると、200%までの結合を示す数種のクローンを生み出し、最も高いアフィニティを有するクローンは、MABとしてその配列が決定され生産された。
【0140】
ハイブリドーマの生成
BALB/cAnNCrlマウスの1グループは、完全フロイントアジュバント中で乳化したHu VISTA-Ig組み換えタンパク質(Sino)50μgの腹腔内(IP)注射を1回受け、2週後、不完全フロイントアジュバント中で乳化したHu VISTA-Ig組み換えタンパク質50μgのIP注射を1回受けた。2週後、マウスは、不完全フロイントアジュバント中で乳化したcyno VISTA-Fc組み換えタンパク質50μgのIP注射を1回受けた。全てのマウスは、尾の基部にPBS中25μgのヒトおよび同25μgのcyno VISTAの最終注射を受け、5日後、融合のために脾臓を回収した。
【0141】
別の群のBALB/cAnNCrlマウスは、完全フロイントアジュバント中で乳化したHu VISTA-His組み換えタンパク質50μgのIP注射を1回受けた。2週間後、マウスは、不完全フロイントアジュバント中で乳化したHu VISTA-His組み換えタンパク質50μgのIP注射を1回受けた。2週間後、マウスは、不完全フロイントアジュバント中で乳化したCyno VISTA-His組み換えタンパク質50μgのIP注射を1回受けた。2週間後、全てのマウスは、PBS中25μgのHu VISTA-Hisおよび同25μgのCyno VISTA-Hisの最終注射を受け、3日後、融合のために脾臓を回収した。
【0142】
融合の日に、マウスをCO2窒息により安楽死させ、脾臓を取り出し、10mLの冷リン酸緩衝食塩水に入れた。小さい乳棒を用いて、細かい網目のスクリーンを通して脾臓をすり潰し、室温でPBSにより濯いで、脾臓細胞の単一細胞懸濁液を調製した。細胞をPBS中で1回洗浄し、RBC溶解に供した。簡潔に記せば、脾臓ごとに細胞を3mLのRBC溶解バッファ(Sigma#R7757)に再懸濁させ、氷上に5分間置いた。再度、細胞をPBSにより室温で1回洗浄し、磁気ソートのために標識した。製造業者の指示書により、細胞には、抗マウスThy1.2、抗マウスCD11bおよび抗マウスIgM磁気ビーズ(それぞれMiltenyi Biotec#130-049-101、130-049-601および130-047-301)で標識し、その後、Midi MACSを用いてMSカラムによりソートした。陰性の細胞画分(陽性の細胞画分は廃棄した)をFO細胞と融合させた。1:1の比のマウス骨髄細胞対生脾臓細胞で融合を行った。簡潔に記せば、脾臓および骨髄細胞を一緒に混合して、ペレット化し、50mLのPBS中で1回洗浄した。10e8個の脾臓細胞当たり1mLのポリエチレングリコール(PEG)溶液(2g PEG、分子量4000、2mL DMEM、0.4mL DMSO)を用いて、ペレットを37℃で30秒間再懸濁させた。次いで、細胞/融合混合物を緩やかに撹拌しながら37℃の水浴に約60秒間浸漬した。37℃のDMEMを1分間かけて徐々に添加し、融合反応を停止させた。融合した細胞を室温で5分間静置し、次いで150Gで5分間遠心分離した。その後、HAT(Sigmaカタログ番号H0262)を含むMedium E-HAT(Medium E(StemCell Technologiesカタログ番号03805)に細胞を再懸濁させ、96ウエル平底ポリスチレン組織培養プレート(Corning#3997)に播種した。
【0143】
捕捉EIAを使用して、cyno VISTA特異的抗体についてハイブリドーマ上清をスクリーニングした。簡潔に記せば、プレート(Nunc-Maxisorp#446612)は、少なくとも60分間、コーティングバッファ(Thermo28382)中のヤギ抗マウスIgG(Fc)抗体(Jackson#115-006-071)で4μg/mlの濃度でコーティングした。プレートを、PBS中200μl/ウェルの0.4%(重量/体積)ウシ血清アルブミン(BSA)により、室温で30分間ブロッキングした。プレートを1回洗浄し、50μl/ウェルのハイブリドーマ上清を加え、室温で少なくとも30分間インキュベートした。プレートを1回洗浄し、50μl/ウェルの0.1μg/mLのcyno VISTA-huIgを加え、室温で30分間インキュベートした。プレートを1回洗浄し、0.4%BSA/PBS中1:40,000のストレプトアビジンHRP(Jackson 016-030-084)をプレートに加え、室温で30分間インキュベートした。プレートを3回洗浄し、続いて100μl/ウェルTMB Turbo基質(Thermo Scientific 34022)を使用して、室温で約10分間インキュベートして、発色させた。25μl/ウェルの4N硫酸を使用して反応を停止させ、自動プレート分光計を使用して450nmで吸光度を測定した。限界希釈法により、一次ヒットのうち15個をサブクローニングのために選択し、一次スクリーニングと同じ形式でスクリーニングした。
【0144】
全てのcyno VISTA反応性ハイブリドーマ細胞株を、ヒトVISTA-Igを使用して交差スクリーニングし、交差反応性を評価した。簡潔に記せば、プレート(Nunc-Maxisorp #446612)を、0.1M炭酸-重炭酸ナトリウムバッファ、pH9.4(Pierce 28382 BupHTM)中4μg/mLのヤギ抗ms Fc(Jackson#115-006-071)により、4℃で終夜コーティングした。洗浄せずに、ウェルを、200μlのブロック液(PBS(Invitrogen)中0.4%BSA(Sigma)(重量/体積))により、4℃で終夜ブロッキングした。ブロック溶液を除去した後、希釈していないハイブリドーマ上清を、コーティングしたプレート上、室温で30分間インキュベートした。プレートをPBST(PBS中0.02%Tween 20(Sigma)(重量/体積))で1回洗浄し、その後Hu VISTA-Igをブロック液中で100ng/mlに希釈して30分間インキュベートした。プレートを、1回洗浄し、ブロック液中1:10,000に希釈したヤギ抗ヒトFc-HRP(Jackson#109-036-098)により、室温で30分間プローブ処理した。プレートを再度洗浄し、続いて100μl/ウェルのTMB Turbo基質(Thermo Scientific 34022)を使用して、室温で約10分間インキュベートして発色させた。25μl/ウェルの4N硫酸を使用して反応を停止させ、自動プレート分光計を使用して450nmで吸光度を測定した。
【0145】
ヒトおよびカニクイザルの両方のVISTAに反応性を有することを示したハイブリドーマは、クローニングされたV領域抗体配列を有した。ハイブリドーマ細胞を調製し、その後InvitrogenのSuperScript III cells Direct cDNA Systemを用いて逆転写(RT)反応を行った。簡潔に記せば、培養培地を廃棄し、プレートを氷上に置き、200μlの冷PBSに再懸濁させた。40μlをMicroAmp高速96ウェル反応PCRプレートに移し、プレートを冷金属プレートベース上に置き、プラスチックフィルムで密封して、700rpmで3分間回転させた。PBSを廃棄し、各ウェルに10μl再懸濁バッファおよび1μlの溶解促進剤を加えた。プレートを密封し、75℃で10分間インキュベートして、-80℃で保存した。
【0146】
RT反応のために、各ウェルは5μlの水、1.6μlの10×DNaseバッファ、1.2μlの50mM EDTA、2μlのOligo(dT)20(50mM)および1μlの10mM dNTP Mixを含んだ。プレートを70℃で5分間インキュベートし、続いて氷上で2分間インキュベートし、その後以下の試薬を各ウェルに加えた:6μlの5×RTバッファ、1μlのRNaseOUTTM(40U/μl)、1μlのSuperScriptTMIII RT(200U/μl)および1μlの0.1M DTT。プレートに封をし、50℃に予備加熱したサーマルサイクラー上に置き、50℃で50分間インキュベートし、その後不活性化させた(85℃で5分間のインキュベーション)。反応物を氷上で冷やし、一本鎖cDNAを、次に使用するまで-80℃で保存した。
【0147】
V領域増幅のために、20μlのPCR反応を設定した。各ウェルは、16.2μlの水、2.0μlの10×PCR反応バッファ、0.8μlのMgSO4(50mM)、0.4μlの10mM dNTP、0.15μlの100uMフォワードプライマー混合物、0.05μlの100uMリバースプライマー、0.2μlのHiFi Tag酵素を含んだ。上記のように調製したcDNA(2μl/ウェル)をPCR内容混合物に移し、プレートに封をして、増幅反応を行った:VHに対してプログラムは、(i)94℃で1分間、(ii)94℃で15秒間、(iii)55℃で30秒間、(iv)68℃で1分間とした。工程(ii~iv)を合計35サイクル繰り返し、その後、68℃で3分の最後の伸長を続けた。VLに対してプログラムは、(i)94℃で1分間、(ii)94℃で15秒間、(iii)55℃で30秒間、(iv)65℃で30秒間、(v)68℃で1分間とした。工程(ii~v)を合計35サイクル繰り返し、その後68℃で3分の最後の伸長を続けた。
【0148】
フォワードプライマーを予め混合し、そうした混合物とリバースプライマーを3:1の比で使用した。PCR産物をアガロースゲル上で検証した。促進剤(In-Fusion HC Cloning Kit、カタログ番号639650、Clontech)を加えることにより、注入クローニングのための反応物を調製した。5μlのPCR反応物をPCRプレートに移し、続いて2μlの促進剤/ウエルを移した。プレートに封をし、サーマルサイクラー(37℃で15分および80℃で15分)中でインキュベートした。Esp3I消化により目的のベクター(vDR243またはvDR301)を調製した(30μlの反応において、1.5μgのベクターは3μlのTangoバッファ、2lのEsp3Iおよび水中で、37℃で2時間かけて消化した)。
【0149】
注入クローニングのために、2μlの促進剤で処理したPCR産物を100ngのEsp3I消化ベクターおよび2μlの5X注入酵素(Clontech)と混合した。注入反応は、96ウエルPCRプレート形式で行った。PCRマシン上でプレートを50℃で15分間インキュベートし、Stellaコンポーネント細胞を、振盪することなく42℃で40秒間ヒートショックにより形質転換し、選択抗生物質を有するLB寒天プレート上に撒き、37℃で終夜インキュベートした。翌日、コロニーを、LB/カーベニシリン培地を含む96ウエルの深底ウエルプレートに採取し、37℃で終夜増殖させた。等容量の30%重量/体積グリセロールと混合した終夜培養物から凍結ストックを作製した。配列決定プライマーSPF0052を使用してV領域を配列決定した。配列を解析して、ハイブリドーマvHおよびvL当たり1つの陽性ウエルを選択し、新しいプレートに再配置して、アンピシリンを有する富化培地中で終夜増殖させた。次いで、96ウエルプレート中、小規模トランスフェクションのためにクローンをミニプレップDNA調製した。
【0150】
重鎖および軽鎖の両方について48個の選択されたマウスハイブリドーマ配列は、インターナルソフトウェアプログラムを使用して適合させたヒトフレームワークであった。マウスvHまたはvLのそれぞれ1つについて1つのヒトフレームワークを選択した。逆翻訳によりV領域DNA配列を得た。HFAアミノ酸配列に対応する合成DNA領域は、Integrated DNA Technologies(Coralville、IA)に注文した。予め切断したvDR149およびvDR157、ヒトIgG1およびヒトκそれぞれにクローニングした。Qiagen Endo-free Maxi-prepキットを使用してDNAを調製した。Expi293(100ml)培養物を使用してこの抗体パネルを発現させた。
【0151】
実施例5:インビトロにおけるヒトVISTA-IG T細胞抑制アッセイのためのプロトコル
マウスA20細胞に、GFPまたはヒトVISTAのいずれかを安定にトランスフェクトした。それらをovaペプチドおよびDO11.10 T細胞とインキュベートした。インキュベーションの開始から24時間後、T細胞によるCD25の発現を測定した。A20-huVISTA細胞は、T細胞によるCD25発現を抑制するが、この読み出しは、VSTB95とのインキュベーションにより有意に修復される(
図18)。
【0152】
実施例6:抗VISTA抗体のヒトフレームワーク領域の適合
重鎖および軽鎖の両方のマウスハイブリドーマ配列は、インターナルソフトウェアプログラムを使用してCDR移植(Jones、et al.Nature、321:522-525(1986)により適合されたヒトフレームワークであった。このプログラムは、Kabatの定義(Wu、T.T.& Kabat、E.A.(1970).J Exp Med、132、211-50)に従ってV領域配列の相補性決定領域(CDR)を表し、Blastを使用してフレームワーク領域とヒト生殖細胞系遺伝子を比較する。マウスフレームワークに対して最も高い配列同一性を有するヒト生殖細胞系を、ヒトフレームワーク適合(HFA)のためのアクセプター遺伝子として選択した。いくつかの場合において、ヒトフレームワークが良好に発現された以前の実験に基づいて、密接に関連のあるヒト生殖細胞系遺伝子を代わりに選択した。マウスvHまたはvLのV領域のそれぞれについて選択されたヒトフレームワークについてのDNA配列を逆翻訳により得た。HFAアミノ酸配列に対応する合成DNA領域は、Integrated DNA Technologies(Coralville、IA)に注文した。ヒトIgG1およびヒトκのそれぞれへのクローニングを行った。
【0153】
実施例7:抗VISTA抗体構築物
細胞株開発用分子のためのプラスミドおよび配列情報:VSTB112可変領域およびIgG1κ定常領域(VSTB174、定常領域中のアロタイプ変化のために新しい番号)、IgG2σ定常領域(VSTB140)またはIgG1プロテアーゼ耐性定常領域(VSTB149)を有する抗VISTA抗体のためにプラスミド構築物を作製した。
【0154】
Lonzaベクター
pEE6.4およびpEE12.4チャイニーズハムスターの卵巣(CHO)発現ベクター系(Lonza Biologics、PLC)は、哺乳動物発現細胞株における治療用mAb作製のための一次発現系としてBiologics Research(BR)およびPharmaceutical Development & Manufacturing Sciences(PDMS)で確立された。各ベクターは、重鎖(HC)または軽鎖(LC)の発現を駆動するためのヒトサイトメガロウイルス(huCMV-MIE)プロモーターを含み、アンピシリン耐性遺伝子を含む。pEE12.4ベクターはまた、グルタミンシンターゼ(GS)酵素をコードする遺伝子を含む。グルタミンシンターゼ活性を必要とする増殖条件は、発現ベクターを維持するために、細胞に選択的な圧力を加える(GS Gene Expression System Manual Version4.0)。一遺伝子ベクターとして、pEE6.4を使用してHC遺伝子をクローニングし、pEE12.4を使用してLC遺伝子をクローニングした。これらの2つのLonza一遺伝子ベクターからLonza二重遺伝子プラスミドが作製される。
【0155】
選択VIST AmAbの重鎖可変領域のアミノ酸配列
【0156】
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
選択VIST AmAbの軽鎖可変領域のアミノ酸配列
【0162】
【0163】
【0164】
【0165】
【0166】
【0167】
実施例8:抗VISTA抗体のELISAおよびFACSスクリーニング
これらの実験は、産生された抗体のヒトまたはカニクイザルVISTAタンパク質に対する結合能をELISAにおいて測定するため、および、FACSスクリーニングにより、その抗体の、ヒトまたはカニクイザルVISTAタンパク質を発現するK562細胞(ヒト骨髄性白血病細胞株)の表面のVISTAタンパク質に対する結合能を測定するために行われた。
【0168】
方法:
ELISA手順概要:プレートを、終夜、4℃で、1μg/ml SB0361(ヒト)またはSB0361(cyno(カニクイザル))タンパク質をコーティングした。それらはそれぞれの種からのVISTAの細胞外ドメインである。抗体を出発濃度として1μg/mlに希釈し、計4種の濃度に1:4の段階希釈を行い、室温室温(RT)で2時間インキュベートした。マウス抗ヒトIgG1-HRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)を検出のために使用し、RTで1時間インキュベートした。洗浄は全て、PBS-Tween(0.05%)を用いて行った。
【0169】
FACS手順概要:2×105K562-G8(ヒト)またはK562-C7(cyno)細胞を、5μg/mlの各試験抗体で染色し、4℃で30分間インキュベートした。ヤギ抗ヒトIgG1-PE(フィコエリスリン)抗体を、二次検出抗体として5μg/mlで使用した。細胞をBD Fortessaにかけ、FlowJoソフトウエアを用いて(Tree Star、Inc.、Ashlang、OR)生きた集団のMFI(平均蛍光強度)で解析した。
【0170】
データ解析/結果:各抗体について、ELISAおよびFACS解析の両方で、抗体が確実に結合したか否かに関する主観的スコア(イエス/ノー)を、4アッセイのそれぞれで示した。s抗体がいずれかのアッセイで結合に対し「ノー」という結果を示したなら、それがネガティブであることを確認することを繰り返した。結果を、下の表7と、
図19A~19Fおよび20A~20Fに示す。
【0171】
【0172】
実施例9:混合リンパ球反応(MLR)およびブドウ球菌腸毒素B(SEB)活性化アッセイを使用した抗ヒトVISTA抗体のスクリーニング結果
この試験の目的は、混合リンパ球反応(MLR)アッセイおよびブドウ球菌腸毒素B活性化(SEB)アッセイにおいて細胞性免疫応答を高める多機能的αVISTA抗体の同定を支援するデータを示すことであった。
【0173】
混合リンパ球反応(MLR)は、同種異系T細胞応答を駆動するのにミスマッチなMHCクラスIおよびIIに依存する標準的な免疫学的アッセイである。末梢血単核細胞を2つのミスマッチの個体から単離して、一緒にインキュベートし、これらのミスマッチの結果として増殖およびサイトカイン産生が起こる。
【0174】
材料と方法:
500mlのRPMIと50mlのヒトAB血清、5mlのペニシリン/ストレプトマイシン(10,000U/ml)、5mlのL-グルタミン(100x)および10mlのHEPES(1M)を合わせて10%AB培地を調製した。培地は14日を超えない日数保存した。0.2mlのチミジンストック(1mCi/ml)を9.8mlのRPMIで希釈して、1mCiの力価のチミジンを調製した。
【0175】
可溶性VISTA抗体を10%AB血清培地中で20μg/mlに希釈した。100μlの適切な抗体溶液を96ウエルU底プレート(Falcon product #353077または同等物)の適切なウエルに加えた。種々の細胞集団を添加した後、最終濃度は10μg/mlであった。
【0176】
白血球の単離:ドナーは少なくとも18歳であり、一般に健常で、局所的な集団から無作為的に選択された。単離チューブから50ml円錐チューブにドナーの血液を移した。25mlの血液当たり、15mlのフィコール1077を、血液と混合しないように注意して下に入れた。室温で、細胞を1250Gで25分間中断せずに遠心分離した。フィコールおよび血清の界面で白血球を単離し、細胞を40mlのハンクスバランス塩溶液(HBSS)に加えて希釈した。細胞を、4℃で10分間、453G(1500rpm)で遠心分離した。細胞を50mlのHBSSに再懸濁させ、500μlの別のチューブに移して計数した。
【0177】
混合リンパ球反応(MLR)96ウエルプレートの設定:分析する試料の数に基づいて、アッセイに必要な「刺激細胞」および「応答細胞」の適切な数を決定した。96ウエルU底プレートの1ウエル当たり刺激集団は0.5×105細胞/ウエルで播種し、応答集団は1.0×105細胞/ウエルで播種する。全ての条件は3回実施しなければならない。適切な数の「刺激細胞」を新しい円錐にピペッティングし、前述のように遠心分離した。細胞を10mlに再懸濁し、4000radで照射した。細胞を前述のように遠心分離し、10%AB血清培地中1×106/mlの濃度で再懸濁させ、50μlを適切なウエルに加えた。必要な数の応答細胞を単離し、前述のように遠心分離し、10%AB血清培地中2×106/mlの濃度で再懸濁させ、50μlを適切なウエルに加えた。細胞を37℃で5日間、5%CO2中でインキュベートした。5日目に、インターフェロンガンマ(IFN-γ)産生の分析のために、30μlの上清を除去した。5日目に、25μlの40μCi/mlの力価のチミジン溶液をそれぞれのウエルに添加し、37℃および5%CO2で8時間インキュベートした。製造業者の指示書により、細胞を96ウエルマイクロシンチレーションプレートに移した。製造業者に指示書により、マイクロシンチレーション計数器を使用して計数した。IFN-γ濃度は、製造業者のプロトコルを使用して、ELISA(eBioscienceカタログ番号88-7316-88)により決定した。
【0178】
データ解析:未処理のウエルについて1分当たりの平均カウント数(CPM)またはIFN-γの濃度を計算した。各試験群の平均CPMまたはIFN-γを計算した。データセットをLog10変換した。それぞれの化合物について12MLR倍のスコアを使用して、それぞれの化合物の12試験群のセットについての平均を計算した。12試験の平均スコア=Σ[(log10(試験化合物についての3回の平均CPM))-(log10(未処理について3回の平均CPM))]/12
【0179】
許容基準:アッセイを行う前に、全ての試験試薬および適切な対照をエンドトキシンについて試験し、それらは<0.1EU/mgのレベルを有した。応答細胞は単独では、平均で700CPM未満のCPMカウントを有し、単独でインキュベートしたときに、細胞が休眠状態にあったことが示された。MLR群についてのCPMは、単独でインキュベートした応答細胞のCPMよりも少なくとも2倍高く、反応が起こったことおよびドナーがミスマッチであったことが示された。全てのMLRアッセイは、ヒトIgG1陰性対照タンパク質を含んだ。ヒトIgG1陰性対照の結果は、スチューデントt検定の使用に基づいて、未処理試料とは統計的に異ならなかった。
【0180】
MLRにおける抗VISTA抗体のスクリーニング:全ての化合物の最初のスクリーニング。抗VISTA抗体を用いたMLRを行う前に、抗体が、FACS分析により細胞結合VISTAおよびELISAによりVISTAタンパク質の両方に結合することを確認した。抗体S26(VSTB77)、S30(VSTB86)、S31(VSTB88)、S32(VSTB90)およびS39(VSTB74)は、この最初のスクリーニングに失敗したが、アッセイにおいて依然試験中である。最初のスクリーニングの目的で、全ての抗体は、増殖を伴うMLR中10μg/mlで試験し、IFN-γは測定されたパラメータであった(
図21A~21Dおよび22A~22B)。
【0181】
6個の誘導抗体の選択。最初のスクリーニングから、さらなる分析のために6個の候補VSTB112(S2)、VSTB116(S5)、VSTB95(S16)、VSTB50(S41)、VSTB53(S43)およびVSTB60(S47)を選択した。
【0182】
MLRにおける上部の6個の候補の希釈試験:プロトコルの調整。プロトコルは、抗体を以下の濃度:30、10、3、1、0.3、0.1、0.03、0.01および0μg/mlの濃度に希釈するように調整して、前述のものと同じである。
【0183】
IC50値の決定:元の(Raw)CPM数およびIFN-γ濃度を使用して、それぞれの抗体についてのIC50を決定した。IC50の計算は、プログラム「EZ-R stats」を使用して決定した。6個の個々の応答体を使用してIC50値を決定した。誘導候補の用量力価を有するMLRにおける個々のCPM数およびIFN-γ濃度。
【0184】
【0185】
結論:最初のスクリーニングは、複数のVISTA特異的抗体はMLR細胞性免疫応答を高め得ることを示した。次いで、有効性および変動に基づいて抗体をランク付けし、これらの結果に基づいてVSTB112、VSTB116、VSTB95、VSTB50、VSTB53およびVSTB60を選択して、用量-力価実験を評価した。VSTB60は、用量-力価実験において、他の5つの抗体よりも弱い応答を誘導した。
【0186】
ブドウ球菌エンドトキシンB(SEB)活性化アッセイ:SEBは、特異的なVβ+ T細胞の活性化を誘導する細菌性の超抗原である。末梢血単核細胞を単離して、培養中でSEB抗原とインキュベートすると、強いサイトカイン産生が誘導される。このアッセイは、5個の誘導候補に対して行った。このアッセイは、5個の誘導候補に対して行った。
【0187】
10%AB培地の調製、1mCi力価チミジンの調製、可溶性VISTA抗体の調製、および白血球細胞の単離は全てMLRにおいて上述の通りに行った。
【0188】
SEB96ウエルプレート設定:分析対象の試料の数に基づいて、アッセイに必要な応答細胞の適切な数を決定した。96ウエルU底プレート1ウエル当たり2.0x105細胞で応答集団を播種する。全ての条件は3回行わなければならなかった。上述のように細胞を遠心分離し、10%AB血清培地中4x106/mlの濃度で再懸濁し、適切なウエルに50μlを添加した。SEB抗原を含む50μlの10%AB血清培地を40ng/mlの濃度で添加した。記載される実験において、SEBは、Sigma Aldrichから入手した(カタログ番号S0812)。ウエル中の最終濃度は10ng/mlであった。細胞を37℃、5%CO2で3日間インキュベートした。3日目に、IFN-γ産生の分析のために30μlの上清を除去した。25μlの1mCi/ml力価チミジン溶液をそれぞれのウエルに添加し、37℃、5%CO2で8時間インキュベートした。製造業者の指示書により、細胞を96ウエルマイクロシンチレーションプレーに移した。マイクロシンチレーション計測器を使用して、製造業者の指示書により計測を行った。IFN-γ濃度は、製造業者の指示書を用いてELISA(eBioscienceカタログ番号88-7316-88)により決定した。
【0189】
プロトコル:データ分析。全ての濃度で、それぞれの抗体について1分あたりの平均数(CPM)またはIFN-γ濃度を計算した。許容基準は上述の通りに行った。記載の通りにIC50値の決定を行った。誘導候補の用量力価を有するSEBアッセイにおける個々のCPM数およびIFN-γ濃度。
【0190】
【0191】
結論:SEBアッセイにおいて、VISTA特異的抗体は、用量依存的な様式でサイトカイン産生および増殖を高めた。SEB試験由来のIC50値は一般に、MLR希釈試験の結果と同様であった。
【0192】
実施例10:エピトープ結合アッセイ
方法:ProteOn XPR36系(BioRad)を使用して、エピトープ結合(binning)を行った。アミン共役化学(BioRad、カタログ番号176-2410)についての製造業者の指示書を使用して、ProteOn GLCチップ(BioRad, Cat#176-5011)を二組の6個のモノクローナル抗体(mAb)でコーティングした。
【0193】
過剰(250nM終濃度)な競合mAbを、ヒトVISTA(25nM終濃度)と、室温で4時間予備インキュベートして、コーティングmAbのパネルでコーティングしたチップ上で同時に6個を、4分の結合時間で走らせ、5分間解離させた。それぞれの施行の後、100mMリン酸でチップを再生させた。
【0194】
データ分析は、リガンドによる全てのセンサーグラムのグループ分け、およびXおよびY軸整列および人為的影響の除去を自動で行う整列ウィザードの適用を含んだ。次いでデータにスポット間補正を適用した。
【0195】
非競合mAbは、A1シグナル(ヒトVISTAのみに結合)と同じかまたはそれより大きい結合シグナルを有するものとして規定された。
【0196】
競合mAbは、A1シグナル(すなわち、ヒトVISTAのみに結合)よりはるかに小さい結合シグナルを有するものとして規定された。
【0197】
結果:
図23に示される例示センサーグラムにおいて、VSTB85抗体をProteon SPRチップにコーティングし、指定される競合剤を用いて予備インキュベートされたVISTAタンパク質を、チップ上で走らせた。VISTA/VSTB50複合体を走らせる場合に陽性の反応が見られたので、VSTB50は非競合性抗体の例である。VISTAと複合体化されたGG8、VSTB49およびVSTB51は、チップ上にコーティングされたVSTB85に結合せず、そのためVISTA上のVSTB85と同じ結合部位に対して競合すると分類された。
【0198】
【0199】
【0200】
実施例11:PROTEON親和性決定
抗IgG Fcコーティング表面を使用して、ProteOnチップ上で抗体を捕捉した。0.39nM~100nMの範囲のVISTAタンパク質の濃度でのヒトおよびカニクイザル(cyno)VISTA細胞外ドメイン(ECD)の結合について、抗体を試験した。抗原を、抗体コーティングチップに4分間結合/会合(bind/associate)させ、その後、解離を30分間モニタリングした。100mMリン酸の18秒間の2回の処理でチップを再生させた。全ての実験は25℃で行い、データを1:1 Langmuir結合モデルに適合させた。
【0201】
実施例12:MB49マウス膀胱腫瘍モデルにおける抗VISTA処理の効果
方法:
C57Bl/6マウスにMB49腫瘍細胞を注射した。腫瘍が確立されたところで、抗VISTA処理を開始した。次いで腫瘍増殖を1週間に3回モニタリングした。腫瘍が任意の寸法で15mmに達したところでIACUC規則に従ってマウスを安楽死させた。
【0202】
それぞれの実験について、MB49細胞の凍結バイアルを解凍して、10%血清およびペニシリン/ストレプトマイシン抗生物質を加えたRPMI 1640(+L-Glut)中で増殖させた。培養の3日後、StemPro Accutaseを使用して細胞を回収し、5x106細胞/mlの濃度でRPMIに再懸濁してマウス1匹当たり50μlを注射した。
【0203】
6~8週齢の雌C57Bl/6マウスを国立癌研究所から購入した。到着した際に、マウスを1日間順化させ、次いで右わき腹の毛を剃り、尾に入れ墨をした。次いで3~5日後にマウスに注射した。
【0204】
腫瘍注射(皮内):マウスの毛を剃った脇腹に、50μlのMB49細胞懸濁物(約250,000細胞)を皮内(i.d.)注射した。
【0205】
腫瘍増殖のモニタリング:最初に広い寸法(L)次いで最初の測定に対して90°の角度(W)を横切る電気毛細管を使用して、腫瘍増殖を測定した。腫瘍容積を次のようにして得た:
体積=(L2*W2)/2
【0206】
腫瘍の直径が約5mm(約60mm3体積)に達したところで腫瘍が確立されたとみなした。確立されたところで治療を開始した。腫瘍増殖は、治療経過の間、実験を終了するまで1週間に3回測定した。
【0207】
抗VISTA治療:キメラ化13F3-mIgG2aモノクローナル抗体を10mg/kgで腹腔内注射した。注射スケジュールは、4週間にわたり毎週3回行った。
【0208】
マウスの安楽死:IACUC要件に従い、腫瘍が最も長い寸法で15mmに達した際に動物を安楽死させた。
【0209】
有効性の分析:データ管理のためにエクセルおよびグラフ化のためにGraphPad Prismを使用してマウス腫瘍体積を分析した。R統計学的コンピューターソフトウェアについてマクロを使用して統計学的分析を行った。
【0210】
【0211】
結果:
雌マウスにおけるCh13F3-mIgG2a治療により、70%の動物で完全な腫瘍の拒絶(CR)および30%(n=7)で部分寛解(PR)が誘導された(表13および
図25B)。対照的に、全ての対照mIgG2a処理マウスは、腫瘍の進行性の増殖を示した(6/6)(
図25A)。これらのデータは、抗VISTA処理が腫瘍増殖に大きな効果を有し得ることを示す。
【0212】
【0213】
Wangら、2011、上述(その内容は全体において本明細書に援用される)から適用されたヒトVISTA配列を
図26および27に示す。
【0214】
実施例13:水素/重水素(H/D)交換試験を使用した抗VISTA抗体のエピトープマッピング
ヒトVISTA上のVSTB50、60、95および112についてのエピトープを同定するために、対応するFabを使用して、溶液(solution)水素/重水素交換質量分析(HDX-MS)を行った。H/D交換について、Fab摂動(perturbation)を分析するために使用した手順は、いくつかの変更を有して前述のもの(Hamuro et al., J. Biomol.Techniques 14:171-182, 2003;Horn et al., Biochemistry 45:8488-8498, 2006)と同様であった。Pierce Fab Preparation Kit (Thermo Scientific, Cat# 44985)を使用して、パパイン消化およびプロテインA捕捉によりIgGからFabを調製した。ヒトVISTAタンパク質配列は、6個のN結合グリコシル化部位を含む。配列カバー率を向上させるために、PNGアーゼFによりタンパク質を脱グリコシル化した。脱グリコシル化VISTAタンパク質を、重水素化水溶液中で所定の時間インキュベートして、交換可能水素原子に重水素取り込みを生じた。重水素化VISTAタンパク質を、4℃で30秒、2分、10分および60分の間、46μLの酸化重水素(D2O)中VSTB50、VSTB60、VSTB95またはVSTB112のFabのいずれかと複合体化した。低pHにより交換反応をクエンチし、ペプシンでタンパク質を消化した。同定されたペプチドでの重水素レベルを、LC-MSの質量シフトからモニタリングした。参照対照として、Fab分子と複合体化しないこと以外は、VISTAタンパク質を同様に処理した。Fabに結合した領域は、交換から比較的保護され、そのため参照VISTAタンパク質よりも多くの重水素の画分を含む部位であると推測された。タンパク質の約94%を、特定の領域にマッピングし得た。
【0215】
VISTAとVSTB50/VSTB60、およびVSTB95/VSTB112の溶液HDX-MS摂動マップを
図28の上および下のそれぞれに示す。2つのエピトープ群を同定した。抗VISTA VSTB50はVSTB60と同じエピトープを認識し、VSTB95は、VISTA上でVSTB112とは別のエピトープに結合する。抗VISTA VSTB50および60は、断片
103NLTLLDSGL
111(配列番号:62)および
136VQTGKDAPSNC
146(配列番号:63)を含む同じエピトープを共有する(
図28、上)。抗VISTA VSTB95および112は、断片
27PVDKGHDVTF
36(配列番号:74)および
54RRPIRDLTFQDL
65(配列番号:65)を含む同様のエピトープを標的すると思われる(
図28、下)。残基39~52および118~134を含むVSTB95および112による弱い摂動を示す2つの他の断片がある。しかしながら、減少のレベルは、差動マップにおける以前の領域(27~36および54~65)ほど強くはない。VSTB95および112による強い摂動を示す1つのペプチド
100TMR
102がVISTA表面の他の面に位置するが、これはエピトープ領域27~36および54~65とは離れている。この摂動はアロステリック効果のためであり得る。これらのHDX-MSの結果は、抗VISTA抗体についてのペプチドレベルでのエピトープを提供する。これら2つのエピトープ群についてエピトープ領域の重複はなかった。これらの結果は、互いに競合しない以前の競合結合(binning)データと一致する。
【0216】
実施例14:タンパク質結晶学によるヒトVISTA ECD:VSTB112 Fab複合体の構造決定
VISTA構造を決定して、VISTA細胞外ドメイン(ECD)と誘導抗体VSTB112のFab断片の間の相互作用を規定するエピトープおよびパラトープを示す努力において、複合体を結晶化し、1.85Åの解像度まで構造を決定した。T抗体VSTB112のFab断片と複合体化したヒトVISTAのECDの構造は、VISTA ECD自身の構造を決定し、この相互作用のためのエピトープ/パラトープの両方を規定するための努力において決定された。該構造は、VISTAが、IgV折りたたみにTCR Vα鎖と同様の鎖トポロジーを適用することを明らかにする。βサンドイッチの背面および前面のB鎖とF鎖を架橋する規範的なジスルフィド結合に加えて、該構造により、ECDが、2つのさらなるジスルフィド結合を有し、その1つがCC’ループを前面シートにつなぎ、第2のものがA’鎖とG’鎖の間にあることが明らかになる。VISTA分子間に結晶接触が存在するが、それらは小さなものであり、この構造に基づくVISTA ECDの二量体についての証明はない。VSTB112エピトープは、VISTA BC、CC’およびFGループと最も近い前面βシート(C’CFG)の残基と共に、これらのループの一部を含むことが示される。パラトープは、接触を最小にするCDR L3との重鎖相互作用に対して大きく偏る。
【0217】
VISTA:VSTB112相互作用を規定するエピトープ/パラトープ
VSTB112 Fabは、VISTA ECDへの結合の際に1024.3Å2の表面積が埋まり、重鎖表面の埋没はこの合計の715.3Å2となる。VISTAとVSTB112軽鎖の間に7個の水素結合および4個の塩の架橋相互作用が形成され、VISTAとVSTB112重鎖の間に10個の水素と2個の塩の架橋相互作用が形成される。VSTB112は、FGループの近位の末端で前面シート鎖C’、C、FおよびG中の残基、ならびにBC、FGおよびCC’ループ中の残基を認識する(
図29および30)。CC’ループとの相互作用は、さらなる軽鎖相互作用を作製するFGループ中の残基E125およびR127のみを有するFab軽鎖との接触のほとんどの原因となる。VISTA FGループに対応する残基119~127は、VSTB112との結合時に埋まる合計1034.8Å2の表面積の38%になる。顕著に、このループは高度に極性であり、以下の配列-IRHHHSEHR-(配列番号:75)で構成される。さらに、VSTB112 CDR H3中のW103は、VISTAの主鎖の残基H122およびH123を正確に包み、VISTA H121は、CDR H2中のF55の芳香族環との相互作用上の端を形成する。
【0218】
結晶学およびHDXにより同定したエピトープ領域の比較を
図31に示す。
【0219】
実施例15:抗VISTA抗体によるT細胞および単球の活性化
抗VISTA抗体の機能的効果を2つのインビトロアッセイ、混合白血球反応(MLR)およびSEB(スタフィロコッカス(Staphylococcus)エンテロトキシンB)で評価した。両アッセイは、T細胞増殖およびサイトカイン誘導を一次読み出しとして測定するが、これらの効果は異なるメカニズムによる。MLRにおいて、異なる2人のヒトドナーからの末梢血単核球(PBMC)を一緒にインキュベートし、1人のドナーからのT細胞と他方のドナーの樹状細胞間の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)の不適合は、T細胞の増殖よインターフェロン(IFNγ)産生をもたらす。SEBアッセイでは、単一ドナーからのPBMCを細菌性超抗原とともにインキュベートする。これは、抗原提示細胞(APC)表面のMHC Class IIタンパク質をT細胞のT細胞受容体(TCR)に結合させ、T細胞の活性化、増殖、およびサイトカイン分泌を引き起こす。両アッセイにおいて、VSTB174の親分子であるVSTB112は、T細胞増殖およびサイトカイン産生の用量依存的誘導を示し、候補の中で最も強力であった(
図21A~21D、T表12)。
【0220】
【0221】
単球活性化アッセイ
表12に示したアッセイデータは、VSTB174の親分子であるVSTB112で生成された。VSTB174の活性をより理解するために、単球活性化アッセイを行った。結果は、全PBMCと共にVSTB174をインキュベートすると、CD14+単球上の活性化マーカ(CD80およびHLA-DR)の上方制御を誘導し、VISTAを高発現すると知られている免疫細胞サブセットに結合する抗体の効果を示すことを示した(
図32)。他の問題は、全PBMCにおける単球活性化に対する作用が、VISTAに結合し、IgG1 Fcを有する抗体によって促進されるか否かである。抗体VSTB103およびVSTB63は、VSTB112およびVSTB111と同様、VISTAに高アフィニティ(それぞれ、KD6.36E-10および8.30E-10respectively)で結合し、かつVISTAタンパク質を発現する細胞に結合する。VSTB103はVSTB112と同じエピトープ・ビンにあり、一方、VSTB63は異なるエピトープ・ビンにあり、抗体はいずれも単球活性化を促進しない。総合すると、これらの結果は、VSTB174がT細胞活性化/増殖に影響を及ぼし得るメカニズムは、NK細胞によって促進される単球活性化によるものであることを示している。
【0222】
培地の調製
500mlのRPMI 1640(Corning、10-040-CV)を50mlのヒトAB血清(Valley Biomedical、Inc、ロット番号3C0405)、5mlのペニシリン/ストレプトマイシン(Lonza、17-602E)10,000U/ml、5mlのL-グルタミンglutamine(100×)(Gibco、25030-081)および10mlのHEPES(1M)(Fisher BP299-100、ロット番号-1)と混合した。培地を4℃で、14日以内の間、保存した。
【0223】
可溶性VISTAおよび対照抗体の調製
抗体を10%AB血清中で2×所望の濃度に希釈した:VSTB174:lot VSTB174.003
【0224】
96ウエルU底プレート(Falcon、353077)の適切なウエルに100μlの適切な抗体溶液を加えた。種々の細胞集団を100μlに加え、各抗体の最終濃度を1、0.1または0.01g/mlとした。IgG1対照抗体CNTO3930(Lot6405、ENDO<0.1EU/mg)を最終濃度1μg/mlで加えた。
【0225】
PBMCを単離した。
【0226】
ドナーは、少なくとも18歳で、概ね健康であり、地域個体群からランダムに選択した。
【0227】
ドナーの血液を、単離チューブから50mlコニカルチューブに移した。
【0228】
15mlのFicoll1077(SIGMA、10771)を、血液と混合しないように注意しながら、下に位置させた。これは血液25ml当たりであった。
【0229】
細胞を室温、1250gで、25分間、ブレーキをかけずに遠心分離した。
【0230】
Ficollと血清の相間の白血球を単離し、40mlのハンクス平衡塩溶液(HBSS)中に希釈させた。
【0231】
細胞を4℃、453g(1500rpm)で、10分間、遠心分離した。
【0232】
細胞を50mlのHBSSの再懸濁し、個別のエッペンドルフ型チューブに500μlを移すことによってカウントした。
【0233】
さらに、Miltenyi製のPan Monocyte単離セットを製造会社の使用説明書(カタログ番号130-096-537)どおりに使用して、いくつかの処理群における陰性選択によってCD14+細胞を単離した。
【0234】
インビトロ培養手順
必要とする適切な数の細胞を、解析すべき試料数に基づき、アッセイのために決定した。応答個体群を2.0×105c細胞/96ウエルU底プレートに播種した。CD14負の選択個体群では、0.5×105個の細胞を播種した。すべての条件を3回行った。
【0235】
細胞を上記のように遠心分離し、全PBMC個体群では、10%AB血清培地中に、2×106/mlの濃度に、CD14負の選択個体群では、0.5×106/mlの濃度に再懸濁し、試験抗体100μlを適切なウエルに加え、各ウエルの全体積を200μlとした。
【0236】
細胞を37℃および5%CO2で、1、2、または3日間インキュベートした。
【0237】
抗体染色およびフローサイトメトリー
96ウエルU底プレートを453gで5分間遠心分離にかけ、上清を除去した。
【0238】
細胞を200μlのPBSで洗浄し、工程5.5.1.と同様にして遠心分離機にかけた。
【0239】
上清を捨て、以下の抗体を含有する50μlのPBS中に再懸濁した:
・CD14-APC(クローン HCD14)1:250(Biolegend カタログ番号325608)
・HLA-DR-PE Cy7(クローン L243)1:250(Biolegend カタログ番号307616)
・CD80-PE(クローン 2D10)1:250(Biolegend カタログ番号305208)
・Hu FcR結合阻害剤(eBioscienceカタログ番号14-9161-73)
【0240】
暗所の濡れた氷で20分間インキュベートした。
【0241】
150μlのPBSを加え、工程5.5.1.と同様にして遠心分離機にかけた。
【0242】
150lのPBS緩衝液を添加し、FACSにより解析した。
【0243】
試料をMiltenyi MACSQuant 10-パラメータフローサイトメーターにかけ、FlowJo9.7.5を用いて、CD14+個体群上のHLA-DRおよびCD80の発現を解析した。幾何平均蛍光強度(MFI)、一連の数の中央傾向を決める統計値を、処理を比較する定義統計として使用した。
【0244】
統計解析
全ての統計をPrism GraphPad,version6で行った。多重性に対するテューキーの補正を含むOne-Way ANOVAを使用して、各タイムポイントで、グループ間の一対比較を行った。全ての検定および比較で、0.05未満のP値は、有意であると見なした。全てのグラフ及び表で、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
【0245】
実施例16:抗VISTA抗体のADCCおよびADCP活性
VSTB174はIgG1Fcを有し、それは抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、および抗体依存性細胞媒介性食作用(ADCP)活性を与え得る。両タイプのアッセイを行い、VSTB174は、K562-VISTA細胞を溶解または貪食する(
図33-34)が、K562ミエローマ細胞株親細胞はしないことがわかった(データは示さず)。VISTAの阻害作用を調節するVSTB174の作用のさらなるメカニズムは、VISTAを高レベルで発現する細胞の溶解または呑食であり、したがって、局所微少環境からそれらを除去する。
【0246】
実施例17:さらなる抗VISTA抗体のADCP活性
抗ヒトVISTA mAb(VSTB173およびVSTB174)によりVIATAを異所的に発現する細胞のマクロファージ媒介食作用増強の研究に、インビトロ食作用アッセイを使用した。これらのmAbを異なるFc骨格(IgG1 WT(野生型)、IgG1 PR(プロテアーゼ耐性)およびIgG2σ)にクローニングし、食作用の増強に関し異なる活性を持つ可能性があると仮定した。IgG1およびIgG1 PR骨格は、Fc受容体に結合することができ、ADCPを引き起こす可能性があるが、IgG2σは、Fc受容体に結合せず、ADCPを媒介しない。
【0247】
ADCPアッセイにおいてK562親細胞およびK562-VISTA標的細胞を用いて抗VISTA抗体を試験した。
図35~36に示すように、VSTB174、VSTB149、VSTB173およびVSTB145は、K562-VISTA細胞のhMa食作用を増強した。Fc受容体に結合しなかったIgG2σ Fcを有するVISTA抗体、VSTB140またはVSTB132、予想どおり食作用を増強しなかった。IgG1Fcを有するVISTA mAb、VSTB174およびVSTB173は、IgG1PR Fcを有するVSTB149およびVSTB145より、より強い食作用を示した(EC
50値を示す表13および14を参照)。
【0248】
【0249】
【0250】
VSTB174およびVSTB173は、最大濃度でもK562親細胞の食作用に対する増強は弱く(
図35~36)、これはK562細胞によるVISTAの発現が低いためであり得る。他の抗VISTA抗体はK562細胞の食作用を増強させなかった。
【0251】
K562-VISTA食作用アッセイにおいて、陰性対照抗体をそれぞれ2種類の濃度で試験したが、食作用は全く誘導されなかった。この結果は、抗VISTA抗体によって媒介される食作用が特異的で、K562-VISTA細胞によるVISTA抗原の発現によるものであることを示している。
【0252】
実施例18:さらなる抗VISTA抗体のADCP活性
ADCCを誘導するそれらの能力を試験するために、以下の3種のヒト抗VISTA抗体を試験した:
VSTB174(IgG1)
VSTB149(IgG1 PR)
VSTB174.LF(IgG1 LF(低フコース))。
【0253】
各抗体について、同じプレートで、6種の異なる濃度を、2回の個別の実験で、全6個のデータポインドで各3回試験した。
【0254】
VSTB174、VSTB149、およびVSTB174.LFはそれぞれ10、1、0.1および0.01μg/mL、で測定可能なADCC活性を示したが、0.001μg/mLでは、LF抗体のみが測定可能なADCC活性を示し、0.0001μg/mLでは抗体はいずれもADCCを示さなかった。これらの各抗体はIgG1またはIgG1変異Fcを有しており、この結果が予想される。LF抗体曲線のEC50値(0.002293μg/mL)が標準のIgG1抗体曲線(0.02381μg/mL)に比べて小さいこと明らかなように、LF抗体は、ADCC効力の増大を示した。IgG1PR抗体曲線は、標準のIgG1曲線(0.01846μg/mL)に類似したEC50値を有した。
【0255】
【0256】
ヒトIgG1、ヒトIgG1 PRおよびヒトIgG1 LF抗体は全て、10、1、0.1および0.01μg/mL抗体濃度で、測定可能なADCC媒介性傷害を示したが、LF抗体のみが0.001μg/mL抗体濃度で傷害を示した。0.0001μg/mL抗体濃度では、抗VISTA抗体はいずれも傷害を示さなかった。
【0257】
EC50値から明らかなように、LF抗体は、標準のIgG1抗体またはIgG1PR抗体の約10倍を超えるADCC傷害効果を示した。
【0258】
実施例19:VSTB174のヒトおよびカニクイザルVISTAに対するアフィニティ
ヒトおよびカニクイザルVISTA細胞外ドメイン(ECD)に対するVSTB174のアフィニティを、ProteOn装置を用いる表面{ひょうめん}プラズモン共鳴(SPR)法によって測定した。VSTB174は各タンパク質に対して非常に類似したKD値を示した(ヒトVISTA ECDで1.56E-10 MおよびカニクイザルVISTAで8.66E-11 M)。
【0259】
実施例20:マウス腫瘍モデルにおいて、VISTA抗体は有効性を示す
マウス種、試薬および腫瘍モデル
【0260】
インビボ試験では、C57Bl/6バックグラウンドと戻し交配したヒトVISTAノックイン(VISTA-KI)マウスを使用した。
【0261】
抗ヒトVISTA抗体を作製して、マウスFc IgG2aに移植したVSTB174可変領域(VSTB123)を使用したVISTA-KIマウスにおける試験が可能になった。
【0262】
VISTA KIマウスにおいて、MB49膀胱癌を評価した。
抗VISTA抗体療法が野生型マウスにおいて腫瘍増殖を抑制することを示す公開された試験(Le Mercier et al.,2014)に加えて、異なる投与スケジュールを使用したwtマウス、およびVSTB123で治療したVISTA-KIマウスにおいて、代理母ハムスター抗体による抗腫瘍の有効性が示された。
【0263】
VISTA-KIマウスのMB49腫瘍モデルにおけるインビボ有効性試験
雌VISTA-KIマウスにおいてMB49有効性試験を行い、1~10mg/kgの範囲のいくつかの用量でVSTB123を試験した。0日目に、マウスに250,000個のMB49腫瘍細胞を皮内注射した。
6日目に、
図37に示すように投与を開始した(10mg/kgのアイソタイプ対照mIgG2aまたは示した用量のVSTB123のいずれか;10匹のマウス/群)。
【0264】
図37に示すように、VSTB123は、低用量に対して高用量でより有効であった。10mg/kgおよび7.5mg/kgの用量は同等であったが、5または1mg/kgで投与したマウスで腫瘍はより速く増殖した。
【0265】
実施例21:抗VISTA抗体を用いたヒト腫瘍におけるVISTA発現の検出
図1は、AML腫瘍細胞株によるVISTA発現を示し、これと、
図17のRNA seq発現データは、AML細胞によりVISTAが発現されるという考え、および抗VISTA薬物が、免疫調節または抗体媒介性傷害に対し、これらの細胞を直接標的にすることにより効果的であるという考えを支持する。
【0266】
肺癌においてVISTA発現を評価するためのデータは、外科的切除による肺腫瘍試料から得た。細胞を解離させ、VISTAおよび多くの他のマーカーの発現について特徴付けした。結果は、13/13肺腫瘍(扁平上皮癌または腺癌)がCD14+VISTA+ミエロイド細胞を含むことを示した(
図38)。
【0267】
実施例22:抗VISTA抗体を使用した肺腫瘍におけるVISTA発現の検出
クローンGG8、抗ヒトVISTAマウスIgG1を使用して、免疫組織化学アッセイを最適化した。このmAbを使用して、非小細胞肺癌(NSCLC)FFPE腫瘍切片におけるVISTAの染色を調べた。
【0268】
FFPE腫瘍切片を、標準的な抗原回復法を用いて処理した後に染色した。GG8マウス抗ヒトVISTA抗体は1:500希釈で使用した。ウサギ抗マウスポリクローナル抗体、その後、抗ウサギポリマーHRPを使用して、GG8結合を検出した。続いて、ヘマトキシリンでの対比染色を行い、その後、腫瘍切片をスコアリングした。
【0269】
肺癌におけるVISTA発現は、免疫浸潤にほぼ限定され(
図39に示した例)、高レベルのVISTA陽性細胞は、多くの肺癌試料中に存在した。
【0270】
実施例23:vstb174のFabフラグメントと複合体化されたヒトVISTAの細胞外ドメイン(ECD)の構造
VISTA抗原変異体を作製して、結晶学のために精製した。組み換えhisタグ付加VSTB174 Fabを内部発現させて精製した。結晶を作製し、シンクロトロン照射を使用してVISTA ECD:VSTB174 Fab複合体についての高解像度データを補正するために使用し、相同性モデリングおよび電子密度分析を併用して、構造決定を解決した(
図29(上))。
【0271】
x線結晶学によりVISTA ECD:VSTB174 Fab複合体の構造を、1.85Åの解像度まで決定し、VISTA ECDの第1の構造を提供し、VSTB174エピトープおよびパラトープを示した。VISTA ECDは、IgV折りたたみにCTLA-4ECDと類似のトポロジーを採用するが、βサンドイッチの前面シートから伸長する特有のG’鎖を有する。A’およびG’は、A’鎖の残基C12とG’鎖の残基C146の間に形成されるジスルフィド架橋を介してさらに化学的に接続される。3つの分子内ジスルフィド結合につながれる6個のシステインが見られたが、結晶接触に基づけば、二量体化VISTAの証拠はない。
【0272】
VSTB174は、FGループの近位の末端上の前面シートの鎖C’、C、FおよびG中の残基、ならびにBC、FGおよびCC’ループ内の残基を認識する。
【0273】
実施例24:VSTB116 VHおよびVL領域のマウスIgG1骨格へのクローニング
VSTB116重鎖(配列番号57)および軽鎖(配列番号58)可変領域マウスIgG1骨格にサブクローニングしてVSTB175を作製した。VSTB175重鎖発現プラスミド、pDR23170をベクターvDR000367(マウスIgG1 Balb C定常領域をコードするpUnderベクター)およびpDR17582由来のVSTB116可変領域を使用して作製した。pDR23170の標準的な合成は、Genewiz with HindIII_BamH1サイトで行い、ベクターvDR000367(pUnder_mG1 Balb C)にHindIII_BamH1サイトでカスタムクローニングし、最終生成物pDR23170を作製した。VSTB175軽鎖発現プラスミド、pDR21003を、アダプター追加したGeneArtで、可変領域の標準的な合成によって作製した。vDR000371(マウスカッパ定常領域をコードするpUnderベクター)を、Esp3Iサイトを用いて直線化した。合成されたVSTB175軽鎖可変領域配列のフラグメントを、vDR000371に融合クローニングして、pDR21003を作製した。得られた一次転写物の配列を決定し、確認し、大規模のDNA調製物を形質移入用に調製した。
【0274】
【0275】
実施例25:VSTB175の発現、精製および分析
Expi293F細胞(Life Technologies Corporationカタログ番号A14527)を、Expi293発現培地(Life Technologies Corporationカタログ番号A14351-01)で、37°C;7%CO2;130RPMで増殖させた。形質移入の2日前に細胞を7e5細胞/mlで分けた。形質移入時、細胞を計数し、細胞が少なくとも30e5細胞/mlの濃度で95%超が生細胞であることを確認した。それぞれ30-mLの形質移入のために、30μgのプラスミドDNAをOpti-MEM I Reduced Serum Medium(Life Technologies Corporationカタログ番号31985-070)中で混合し、総体積1.5mLとした。(15μgのpAdvantage DNAおよび15ugの発現ベクターDNA(抗体用、これはHC:LC比が1:3の発現コンストラクト)。81μLのExpiFectamine 293試薬(Life Technologies Corporation カタログ番号 A14525).をその後、Opti-MEMI培地中に希釈して総容量1.5mLとした。希釈したDNAおよびExpiFectamine溶液をその後、静かに撹拌し、室温で5分間インキュベートした。希釈DNAを希釈ExpiFectamine 293試薬に添加し、静かに撹拌し、室温で20分間インキュベートした。インキュベーション後、混合物を、125ml振盪フラスコに入れた25.5mlの細胞に加えた。形質移入後直ちに、150uLのExpiFectamine 293 Transfection Enhancer 1および1.5mLのExpiFectamine 293 Transfection Enhancer 2を各フラスコに加えた(Life Technologies Corporationカタログ番号A14525)。形質移入の5日後、細胞上清を遠心分離によって採集し、0.2ミクロンフィルタによって清澄化した。
【0276】
2つのVSTB175一過性293Expiトランスフェクション採集物をプールし、1×DPBS+0.5M NaClの緩衝液に加えた。試料をAKTApurifierを用いて2~10℃で精製した。試料をMabSelect SuRe樹脂(20mL、1.6cmID×10cmH)に捕獲した。固定されていない試料を、1×DPBS+0.5M NaClにより、樹脂から洗い流した。mAbを0.1MNa+酢酸塩、pH3.5で溶出した。OD280が>25mAU/2mmのとき、溶出画分(8-mL)をまとめた。溶出画分を、1画分当たり、2mLの2.5MトリスHCl pH7.2で中和し、さらなる処理を行うまで、2~10℃で保存した。溶出ピーク画分をOD280およびSE-HPLCにより分析し、タンパク質濃度および凝集体%を測定した。この分析で多量の凝集体が観察されたため、試料をSECでポリッシングする必要が生じた。試料を濃縮し、Superdex200カラム(26/60カラム、2.5mL/min1×DPBS、4-mLフラクション)を用いて、SEC分別を行った。試料をOD280(タンパク質濃度)、LAL(エンドトキシン量)SE-HPLC(%モノマーmAb)、およびSDS-PAGEで分析した。試料は、SE-HPLCによる分析で98.22%がモノマーmAbであった。
【0277】
1)アッセイを開始する前に、10分間、トランスフェクション培地(例えば、Freestyle 293発現培地(Life Technologies)またはCHO)中に抗ヒトFcバイオセンサーを浸漬する。FIA96ウエルプレートに培地120μlを加える。バイオセンサートレイに96ウエルプレートを置き、トレー内の培地にチップを置く。2)試料をトランスフェクション培地中に1:10(または、濃縮試料では1:25)に希釈する。3)各ニート120μlおよび1:10希釈試料を第2の96ウエルブラックFIAプレートに移す。4)機器に既にロードした標準曲線。5)未知の試料を全て加えた後、3種の標準試料(40,20および10μg/mlの標準対照抗体)を加える。レファレンスとしてトランスフェクション培地をカラムの残りのウエルに充填する。6)製造会社の使用説明書にしたがって、ForteBio Octetで試料を分析する。
【0278】
実施例26:VSTB175分子病理免疫組織化学アッセイの展開
推奨濃度:10μg/ml;希釈剤:Dako共通抗体
【0279】
使用した回復法:加圧容器中(リトリーバー)で新しく調製したDako低pH回復溶液に20分間、121℃で、その後、リトリーバで40分間冷却。取り出し、室温で15分間冷却。
【0280】
検出システム:Anti Mouse Polymer Envision+システムDAB(Dako)。
【0281】
装置:Biogenex i6000
【0282】
プロトコル工程:1)4μmパラフィン切片の脱イオン水による脱パラフィン化。2)抗原回復。3)脱イオン水中により洗浄。4)ペルオキダーゼブロック(3%H2O2)15分。5)少なくとも15分間の洗浄緩衝液による洗浄。6)タンパク質ブロック(Dako、Carpinteria、California)室温で60分間。7)一次抗体60分。室温にて。8)洗浄緩衝液による洗浄、5回。8)ペルオキダーゼ標識ポリマー抗マウス、30分。9)洗浄緩衝液による洗浄、5回。10)5分間、DABを稼働。11)脱イオン水による洗浄、3回。12)洗浄緩衝液による洗浄、5回。13)Mayersヘマトキシリンによる5分間の対比染色。14)水道水による洗浄、およびカバーガラス装着前の溶媒による処理。
【0283】
【0284】
【0285】
【0286】
実施例27:肺癌組織におけるVSTB175抗体クローン
材料および方法
VISTA VSTB175抗体およびNSCLC試料:VISTA VSTB175抗体の凍結アリコートを、ヒトNSCLC組織試料の最適化のために用意した。9個のホルマリンで固定し、パラフィン包埋した(FEPE)試料を評価用に選択し、スライドグラス上の無染色切片を免疫組織化学的(IHC)染色のために、最適化されたVISTA(VSTB175)IHCアッセイが特定されたところで用意した。
【0287】
IHCアッセイの最適化:VISTA(VSTB175)IHCアッセイの最適化を、扁桃腺および脾臓組織で行った。2通りの抗原検索時間(20分および40分)を、抗体希釈範囲(1:500、1:1000および1:2000)でpH6のクエン酸ナトリウムで評価した。扁桃腺および脾臓組織の染色の提示が、有資格の獣医病理学者により評価され、最適アッセイ条件が特定された。最適IHCアッセイは、pH6で、40分間、90℃(この温度は、研究室が高地にあるため選ばれた)で、クエン酸ナトリウムによる抗原回復、60分間のVISTA(VSTB175)抗体の1:500の希釈(開始濃度6.36mg/ml)、およびDABによる10分間の展開を使用した。IHCアッセイは、Leica Bond RX自動染色装置を用い、以下のプロトコルにしたがって行った:
【0288】
詳細なプロトコル(Leica Bond RXまたはMax自動染色装置を使用):
1.1回の通常の切片作成プロトコルにつき、スライドを4ミクロンに切断する。スライドを風乾し、その後、60℃で60分間ベークする。スライドは一般に、切断の2週間以内に染色に使用する。
2.Leicaのスライドラックにベークしたスライドを置き、自動染色装置にラックを挿入する。
3.一次抗体Leica抗体希釈液(#AR9352)で1:500に希釈する。
【0289】
Leica Bond RX/Max自動染色装置で行われる工程:
1.Bond Dewax Solution(#AR9222)を72℃で3回適用。
2.100%エタノールを3回適用。
3.Leica Bond Wash 1×Solution(#AR9590)を3回適用。
4.Leica ER 1 Epitope Retrieval Solution(#AR9961)は、40分間90℃でインキュベートする。
5.Leica Bond Wash 1×Solutionを5回適用。
6.Thermo Pierce rotein-Free Blocking Buffer(#37584)は5分間インキュベートする。
7.抗体適用前に洗浄は行わない。
8.抗体希釈液は60分間インキュベートする。
9.Leica Bond Wash 1× Solutionを3回適用。
10.Post Primary Link(Leica Bond Polymer Refine Kit#DS9800)は8分間インキュベートする。
11.Leica Bond Wash 1X Solutionを2分間、3回適用。
12.ポリマー(Leica Bond Polymer Refine Kit #DS9800)は8分間インキュベートする。
13.Leica Bond Wash 1× Solutionを2分間、2回適用。
14.DI水による濯ぎ。
15.Peroxide Block(Leica BPRキット)10分間インキュベートする。
16.Leica Bond Wash 1× Solutionを2回適用。
17.DI水による濯ぎ。
18.DABクロマゲン(chromagen)/基質(Leica BPRキットt)は10分間インキュベートする。
19.Leica Bond Wash 1× Solutionを3回適用。
20.ヘマトキシリン対比染色(Leica BPR Kit)は2分間インキュベートする。
21.DI水による洗浄。
22.Leica Bond Wash 1× Solutionを1回適用。
23.DI水による濯ぎ。
24.Leica Bond RX/Maxからスライドを取り出す。
脱水およびカバースリップを次のように手で行う:
23.95%エタノールを2回交換(各1分)
24.100%エタノールを2回交換(各1分)
25.キシレンを2回交換(各2分)
26.Cytoseal封入剤でカバースリップする。
【0290】
スライドスキャニングおよび注釈:IHC染色が終了したなら、スライドグラスをAperioモデルCSおよびXTスキャナーでデジタル化した。各スライドグラスをデジタル化したなら、注釈を付して染色領域(ROA)を特定した。ROAは、各サンプル内に解析可能な腫瘍組織およびその周囲の間質組織部分を取り込んだ。壊死、大面積の炭粉沈着(炭素顔料)、リンパ濾胞(非腫瘍関連の前から存在するリンパ球集団など)などの望ましくない組織特性を注釈前に分析から除去した。注釈によって特定した各ROA、画像解析を行う前に病理学者によって評価され、確認された。
【0291】
画像解析:VISTA陽性細胞s/mm2の数を本試験の主要評価項目として、プロジェクト開始前に特定した。腫瘍細胞巣および関連浸潤性炎症細胞を腫瘍組織部分として解析した。間質細胞領域および関連浸潤性炎症細胞を、腫瘍微少環境(TME)組織部分として解析した。結果:
【0292】
結果を上記の表17および18に示す。
【0293】
VISTA(VSTB175)のためのIHCアッセイの開発:IHCアッセイ条件のマトリックスを試験して、VISTA VSTB175抗体試薬のための最適IHCアッセイを特定した。表19に最適化中に評価した条件の概要を示す。
図42は、独立した2染色日のヒト扁桃腺切片(陽性対照組織)の染色を示す。最適アッセイ条件を扁桃腺(陽性対照)および脾臓(陰性対照)組織切片によって特定した。一般に、扁桃腺濾胞では陽性細胞はほとんど特定されなかった。さらに、濾胞の外の上皮下領域ではVISTA染色は観察されず、読み取ることができなかった。
【0294】
【0295】
最適なアッセイ条件が特定されたところで、9人のヒト肺癌試料をVISTA(VSTB175)IHCアッセイで染色した。
図43は、試験試料で観察されたVISTA+(VSTB175)染色の3例を示す。各試験試料の初期の主観評価では、VISTA+細胞は、あっても非常に少なかった。染色は、各試験試料の多数の細胞で観察した。
【0296】
VISTA解析溶液の開発:誤った陽性細胞を最小化する間、細胞で観察される低レベルのVISTA染色を得するための最適ゲートを決定するため、感受性DAB(すなわちVISTA)陽性ゲートの範囲を評価した。試料の順位は抗体クローン間でほとんど保存されず、腫瘍組織部分において異なる現象を各抗体が捕えていることを示唆した。これらの発見は、VISTA VSTB175クローンの特異性の向上が、腫瘍組織部分における誤った陽性細胞をほとんど見られなくするというという考えと一致していた。最後に、VSTB175クローンに基づく試料の順位が、VISTA陽性ゲートに依存しておらず、さらに、両ゲートが異なる感受性を持った同じ生物学的情報を測定していることを示した。
【0297】
【0298】
【0299】
実施例28:免疫組織化学
方法:
Janssenから提供された抗体を用いて抗体滴定実験を行った。免疫組織化学的染色をVSTB175(キメラ抗体)およびすぐに使用可能なIgG1アイソタイプ対照抗体(BioGenexカタログ番号HK119-7M、BGX-Ms-IgG1と称する)を用いて行い、シグナルの最小バックグラウンドおよび最大検出をもたらす濃度を確立した。LifeSpanより供給されたホルマリン固定パラフィン包埋組織上の2種の試験抗体、およびJanssenから供給された陽性(Vista K562)および陰性(ラージ)対象細胞株を用いて、20μg/ml、10μg/ml、5μg/mlおよび2.5μg/mlの連続希釈を行った。アイソタイプ対照抗体は、すぐに使用可能な濃度でのみ使用した。一次抗体として、VSTB175およびBGX-Ms-IgG1抗体を使用し、主要検出システムはベクター抗マウスセカンダリー(BA-2000)、およびベクター赤色基質キット(SK-5100)を含むベクターABC-APキット(AK-5000)で構成した、これは、フクシャ色に着色した堆積物を生成するために使用された。
【0300】
組織はまた、組織抗原が保存され、免疫組織化学解析が利用可能であることを確認するため、陽性対照抗体(CD31およびビメンチン)で染色した。CD31およびビメンチン染色に陽性であった組織のみを、この研究の残りのために選択した。
【0301】
陰性対照は、一次抗体を含まない隣接切片で免疫組織化学の全手順を行うことから構成したが、これらのスライドは適切に陰性であった。
【0302】
報告した濃度で染色したスライドを、Nikon顕微鏡に接続したDVC 1310Cデジタルカメラで撮像した。画像をAdobe PhotoshopによりTIFFファイルとして保存した。結果を
図44~53に示す。
【0303】
本明細書中に引用した全ての特許、公開された出願、および文献の教示は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0304】
本発明を、その実施形態例に関して詳細に説明し記載してきたが、当業者であれば、添付した特許請求の範囲に包含される発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細に様々な変化を加え得ることは理解されよう。
【0305】
本発明の態様として、以下のものが挙げられる。
[1]哺乳動物のT細胞活性化IgV領域抑制因子(VISTA)タンパク質に結合する抗原結合領域を含む単離抗体、またはその抗原結合フラグメントであって、前記抗体が、
a)配列番号31のアミノ酸配列を有するVH CDR1、配列番号32のアミノ酸配列を有するVH CDR2、および配列番号33のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含む抗体VHドメイン;
b)配列番号34のアミノ酸配列を有するVL CDR1、配列番号35のアミノ酸配列を有するVL CDR2、および配列番号36のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含む抗体VLドメイン;
c)非ヒト抗体重鎖定常領域;ならびに
d)非ヒト抗体軽鎖定常領域
を含む単離抗体、またはその抗原結合フラグメント。
[2]前記抗体VHドメインは配列番号64を含む[1]に記載の単離抗体、または抗原結合フラグメント。
[3]前記抗体VLドメインは配列番号45を含む[1]または[2]に記載の単離抗体、またはその抗原結合フラグメント。
[4]前記非ヒト抗体重鎖定常領域は、マウス抗体重鎖定常領域である[1]、[2]または[3]に記載の単離抗体、または抗原結合フラグメント。
[5]前記マウス抗体重鎖定常領域は、マウスIgG1重鎖定常領域である[4]に記載の単離抗体、または抗原結合フラグメント。
[6]前記マウスIgG1重鎖定常領域は、配列番号76の重鎖定常領域を含む[5]に記載の単離抗体、または抗原結合フラグメント。
[7]前記マウス抗体重鎖定常領域は、マウスIgG2a重鎖定常領域である[4]に記載の単離抗体、または抗原結合フラグメント。
[8]前記非ヒト抗体軽鎖定常領域は、マウス抗体軽鎖定常領域である[1]~[7]のいずれか一項に記載の単離抗体、または抗原結合フラグメント。
[9]前記マウス抗体軽鎖定常領域は、マウスIgG1軽鎖定常領域である[8]に記載の単離抗体、または抗原結合フラグメント。
[10]前記マウスIgG1軽鎖定常領域は、配列番号77の軽鎖定常領域を含む[9]に記載の単離抗体、または抗原結合フラグメント。
[11]前記マウス抗体軽鎖定常領域は、マウスIgG2a軽鎖定常領域である[8]に記載の単離抗体、または抗原結合フラグメント。
[12]前記哺乳動物VISTAタンパク質は、ヒトVISTAタンパク質である[1]~[11]のいずれか一項に記載の単離抗体、または抗原結合フラグメント。
[13]前記抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号46のエピトープに結合する[1]~[12]のいずれか一項に記載の単離抗体、または抗原結合フラグメント。
[14]前記抗体は、全抗体である[1]~[13]のいずれか一項に記載の単離抗体、または抗原結合フラグメント。
[15]哺乳動物のT細胞活性化IgV領域抑制因子(VISTA)タンパク質に結合する抗原結合領域を含む単離抗体、またはその抗原結合フラグメントであって、前記抗体は、配列番号76を含む抗体重鎖、および配列番号77を含む抗体軽鎖を含む単離抗体、またはその抗原結合フラグメント。
[16][1]または[15]に記載の抗体、または抗原結合フラグメントを含む組成物。
[17]試料中の哺乳動物VISTAタンパク質を検出する方法であって、前記試料を[1]または[15]に記載の抗体、または抗原結合フラグメントと、前記抗体、または抗原結合フラグメントが前記試料中のVISTAタンパク質に結合する条件下で接触させる工程と、前記試料中のVISTAタンパク質に結合した前記抗体、または抗原結合フラグメントを検出する工程を含む方法。
[18]前記試料は細胞を含む[17]に記載の方法。
[19]前記試料は組織を含む[17]または[18]に記載の方法。
[20]前記試料は、免疫細胞もしくは間質細胞、またはそれらの組み合わせを含む[17]~[19]のいずれか一項に記載の方法。
[21]前記免疫細胞はミエロイド細胞、単球またはT細胞である[20]に記載の方法。
[22]前記試料は癌細胞を含む[17]~[21]のいずれか一項に記載の方法。
[23]前記癌細胞は、肺癌細胞、前立腺癌細胞、急性骨髄性白血病急性骨髄性白血病(AML)細胞、メラノーマ細胞、卵巣癌細胞および結腸癌細胞からなる群から選択される[22]に記載の方法。
[24]前記抗体、または抗原結合フラグメントは、検出可能な標識を含む[17]~[23]のいずれか一項に記載の方法。
[25]免疫組織化学的(IHC)染色アッセイを含む[17]~[24]のいずれか一項に記載の方法。
[26]フローサイトメトリーアッセイを含む[17]~[24]のいずれか一項に記載の方法。