(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028943
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】蓄冷材
(51)【国際特許分類】
C09K 5/06 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
C09K5/06 K ZAB
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023208923
(22)【出願日】2023-12-12
(62)【分割の表示】P 2023540420の分割
【原出願日】2022-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2021129389
(32)【優先日】2021-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発」に係る委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100163463
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 光彦
(72)【発明者】
【氏名】町田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 基啓
(57)【要約】 (修正有)
【課題】テトラヒドロフランを含有しつつ使用中に離水が生じることを抑制すること及びゲル強度の観点から有利な蓄冷材を提供する。
【解決手段】本開示の蓄冷材は、テトラヒドロフランと、水と、増粘ゲル化剤と、を含有する。テトラヒドロフランの含有量及び水の含有量の総量に対するテトラヒドロフランの含有量の比は、質量基準で、0.16以上0.24以下である。増粘ゲル化剤は、ローカストビーンガム及びキサンタンガムのみからなる主成分を含んでおり、前記ローカストビーンガムの質量に対する前記キサンタンガムの質量の比は、1以上4以下であり、前記増粘ゲル化剤の全量に対する前記主成分以外の成分の含有割合は、20質量%以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラヒドロフランと、
水と、
増粘ゲル化剤と、を含有し、
前記テトラヒドロフランの含有量及び前記水の含有量の総量に対する前記テトラヒドロフランの含有量の比は、質量基準で、0.16以上0.24以下であり、
前記増粘ゲル化剤は、ローカストビーンガム及びキサンタンガムのみからなる主成分を含んでいる、
蓄冷材。
【請求項2】
前記蓄冷材は、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、及びポリメタクリル酸ナトリウムを架橋して生成された合成高分子を含んでいない、
請求項1に記載の蓄冷材。
【請求項3】
前記ローカストビーンガム及び前記キサンタンガムの総量に対する前記ローカストビーンガムの量の比は、質量基準で、0.15以上0.85以下である、
請求項1に記載の蓄冷材。
【請求項4】
前記増粘ゲル化剤における前記主成分以外の成分の含有量は、20質量%以下である、
請求項1に記載の蓄冷材。
【請求項5】
化学式Ag3PO4により表されるリン酸銀、化学式Ag2CO3により表される炭酸銀、及び化学式AgOにより表される酸化銀からなる群より選択される少なくとも1つの銀化合物をさらに含有している、請求項1に記載の蓄冷材。
【請求項6】
前記銀化合物は、前記リン酸銀である、請求項5に記載の蓄冷材。
【請求項7】
前記銀化合物は、前記炭酸銀である、請求項5に記載の蓄冷材。
【請求項8】
前記銀化合物は、前記酸化銀である、請求項5に記載の蓄冷材。
【請求項9】
前記水の含有量に対する前記銀化合物の含有量のモル比が、2.64×10-8以上3.75×10-4以下である、請求項5に記載の蓄冷材。
【請求項10】
前記テトラヒドロフランの含有量、前記水の含有量、及び前記増粘ゲル化剤の含有量の総量に対する、前記銀化合物の含有量の比は、質量基準で0.00050以上0.020以下である、請求項5に記載の蓄冷材。
【請求項11】
前記テトラヒドロフランの含有量、前記水の含有量、及び前記増粘ゲル化剤の含有量の総量に対する、前記銀化合物の含有量の比は、質量基準で0.0010以上0.010以下である、請求項10に記載の蓄冷材。
【請求項12】
蓄冷材であって、
テトラヒドロフランと、
水と、
増粘ゲル化剤と、を含有し、
前記増粘ゲル化剤は、種子由来の多糖類及び微生物由来の多糖類を含み、
前記蓄冷材は、ASTM D 4359-90の固体-液体判定試験によって固体と判定される、
蓄冷材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄冷材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、蓄熱液と、形状保持体とを備えた蓄熱ゲル材を開示する。蓄熱液は、水に蓄熱主剤が分散され、所定の相転移温度を有する。形状保持体は、有機分子によるネットワーク構造を有し、蓄熱液に対して0.2重量%以上の寒天類で形成されている。蓄熱主剤の例として、テトラヒドロフラン(THF)が挙げられている。特許文献1には、THF30重量%水溶液及び寒天を用いた実施例(第9の実施例等参照)が記載されている。
【0003】
特許文献2は、第一のゲル化材料と、第二のゲル化材料と、無機又は水系蓄熱材料とを有する蓄熱材を開示する。第二のゲル化材料は、第一のゲル化材料と保水力が異なり、第一のゲル化材料に混合されている。無機又は水系蓄熱材料は、第一のゲル化材料と第二のゲル化材料とに保持されている。第一のゲル化材料には、ポリアクリルアミド誘導体等の合成高分子又は架橋されたゼラチンが用いられている。第二のゲル化材料には、多糖類、寒天、又はゼラチン等の天然高分子が用いられ、多糖類には、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ジュランガム、又はカラギーナンが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2016/190333号
【特許文献2】国際公開第2014/091938号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、テトラヒドロフランを含有しつつ使用中に離水が生じることを抑制すること及びゲル強度の観点から有利な蓄冷材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における蓄冷材は、
テトラヒドロフランと、
水と、
増粘ゲル化剤と、を含有し、
前記テトラヒドロフランの含有量及び前記水の含有量の総量に対する前記テトラヒドロフランの含有量の比は、質量基準で、0.16以上0.24以下であり、
前記増粘ゲル化剤は、ローカストビーンガム及びキサンタンガムのみからなる主成分を含んでいる。
【発明の効果】
【0007】
本開示における蓄冷材は、上記の増粘ゲル化剤の働きにより所望のゲル強度及び弾力性を有しやすい。そのため、テトラヒドロフランを含有しつつ使用中に離水が生じることを抑制する観点から有利である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1における蓄冷材の放冷時の特性を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、常温で液体の蓄冷材は、貯蔵、保管、及び輸送において蓄冷材の容器が破損した場合に、物品を汚染する可能性があった。そのため、当該業界では、蓄冷材の容器が破損したときに、蓄冷材が漏洩して物品を汚染することを防止するため、増粘ゲル化剤を蓄冷材に添加して、蓄冷材を増粘させること又は蓄冷材をゲル化することが一般的であった。そうした状況下において、本発明者らは、テトラヒドロフランのクラスレートハイドレートの融解熱量が大きいことをヒントにして、テトラヒドロフランと、水と、増粘ゲル化剤とを含有する蓄冷材を製造するという着想を得た。そして、本発明者らは、その着想を実現するためには、テトラヒドロフランと、水と、増粘ゲル化剤とを含有する蓄冷材の使用中に離水が生じやすいという課題があることを発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
【0010】
そこで、本開示は、テトラヒドロフランを含有しつつ使用中に離水が生じることを抑制すること及びゲル強度の観点から有利な蓄冷材を提供する。
【0011】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0012】
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0013】
(実施の形態1)
以下、
図1を用いて、実施の形態1を説明する。
【0014】
[1-1.構成]
実施の形態1における蓄冷材は、テトラヒドロフラン(THF)と、水と、増粘ゲル化剤とを含有している。この蓄冷材において、THFの含有量及び水の含有量の総量に対するTHFの含有量の比は、質量基準で0.16以上0.24以下である。増粘ゲル化剤は、ローカストビーンガム及びキサンタンガムのみからなる主成分を含んでいる。本明細書において、「主成分」とは質量基準で最も多く含まれる成分を意味する。
【0015】
蓄冷材において、THF及び水はクラスレートハイドレートを形成しうる。クラスレートハイドレートは、水分子の水素結合によって形成されたかご状の構造の中に水以外の物質であるゲスト分子が配置された結晶である。クラスレートハイドレートを形成するために水分子及びゲスト分子が過不足なく存在している状態に対応するゲスト分子の濃度を調和濃度という。クラスレートハイドレートにおけるゲスト分子がTHFである場合、調和濃度は約19質量%である。実施の形態1における蓄冷材では、上記の比が0.16以上0.24以下であるので、調和濃度又は調和濃度付近にTHFの含有量が調整されている。
【0016】
蓄冷材の融点は、蓄冷材の技術分野においてよく知られているように、例えば、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定されうる。
【0017】
図1は、実施の形態1における蓄冷材の放冷時の特性を示すグラフであり、THF及び水が予めTHFハイドレートとして結晶化された状態から蓄冷材を加熱したときの蓄冷材の温度の時間変化を示している。
図1において、横軸及び縦軸は、それぞれ、時間t及び温度Tを示す。
図1に示す区間Eにおいて、蓄冷材の温度は、融点Tm以下の温度に維持されている。例えば、クーラーボックスの蓋が閉められている間、クーラーボックスの内部に配置された蓄冷材の温度が融点Tm以下に維持されるように、クーラーボックスの内部の温度が融点Tm以下に設定されている。
【0018】
次に、蓄冷材は、徐々に温められる。
図1における区間Fを参照せよ。例えば、区間Eの終わり、すなわち、区間Fの始まりでクーラーボックスの蓋が開けられると、又は、蓋が開けられて食品が収められると、クーラーボックスの内部の温度は、徐々に高くなる。これにより、蓄冷材の温度が蓄冷材の融点Tmに達すると、蓄冷材の温度は、蓄冷材の融点Tm付近に維持される。
図1に含まれる区間Gを参照せよ。仮に、クーラーボックスの内部に蓄冷材がない場合には、クーラーボックスの内部の温度は、
図1に含まれる区間Zに示されるように連続的に上昇する。一方、クーラーボックスの内部に蓄冷材がある場合には、区間Gの一定期間の間、クーラーボックスの内部の温度が蓄冷材の融点付近に維持される。このようにして、蓄冷材に蓄えられた冷熱によって保冷がなされうる。区間Gの終わりで、蓄冷材においてTHFハイドレートの結晶が融解して消失する。その結果、蓄冷材においてTHFハイドレートが液化する。蓄冷材が融点Tm付近の温度を保持できる時間、すなわち区間Gが長いほど、蓄冷材の保冷性能が高い。
【0019】
その後、液化したTHF及び水を含む蓄冷材の温度は、周囲温度と等しくなるように上昇する。
図1に含まれる区間Hを参照せよ。
【0020】
蓄冷材は冷却されて、再利用されうる。
【0021】
例えば、生鮮品又は食品を内部に有することができるクーラーボックスに、クラスレートハイドレートを用いた蓄冷材を適用するためには、以下の条件(I)、条件(II)、及び条件(III)が充足されていることが有利である。
条件(I)蓄冷材の融点が、生鮮品又は食品の適正温度と同等か数℃低い。
条件(II)蓄冷材が、225J/g以上の潜熱量を有する。
条件(III)蓄冷材が、液体ではなく、ゲル化されている。
【0022】
条件(I)が満たされていると、環境温度に応じてクーラーボックスの内部の温度が上昇する場合に、クーラーボックスの内部の温度を生鮮品又は食品の適正温度以下に長期間保つことができる。
【0023】
条件(II)が満たされていると、蓄冷材が高い潜熱量を有する。本明細書において、潜熱量は、融解熱量を意味する。例えば、5.9℃の融点を有するn-テトラデカンの潜熱量は229J/gである。9.9℃の融点を有するn-ペンタデカンの潜熱量は、168J/gである。18.2℃の融点を有するn-ヘキサデカンの潜熱量は、229J/gである。
【0024】
条件(III)が満たされていると、万一、蓄冷材の容器が破損した場合に、蓄冷材の成分が広範囲に飛散して生鮮品又は食品が汚染させるリスクを低減できる。
【0025】
蓄冷材における増粘ゲル化剤の含有量は、特定の値に限定されない。その含有量は、例えば、質量基準で1%以上10%以下である。
【0026】
実施の形態1における蓄冷材において、増粘ゲル化剤は、上記の主成分を含んでいる限り、特定の態様に限定されない。例えば、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの総量に対するローカストビーンガムの量の比は、特定の値に限定されない。その比は、質量基準で、例えば0.15以上0.85以下である。この比は、望ましくは、0.2以上0.8以下であり、より望ましくは0.2以上0.7以下であり、さらに望ましくは0.2以上0.6未満である。増粘ゲル化剤の総量に対するキサンタンガムの含有量の比は、特定の値に限定されない。例えば、その比は、質量基準で0.6以上であってもよいし、その比は、0.6未満であってもよい。増粘ゲル化剤は、主成分以外の成分を含んでいてもよいし、主成分のみを含んでいてもよい。例えば、増粘ゲル化剤は、離水の抑制及びゲル強度の観点から所望の特性を有する限り、主成分以外の成分を所定量含んでいてもよい。増粘ゲル化剤における主成分以外の成分の含有量は、例えば20質量%以下である。増粘ゲル化剤における主成分以外の成分の含有量は、15質量%以下であってもよく、10質量%以下であってもよく、5質量%以下であってもよく、1質量%以下であってもよい。
【0027】
実施の形態1における蓄冷材は、THF、水、及び増粘ゲル化剤のみを含有していてもよいし、THF、水、及び増粘ゲル化剤以外の成分を含有していてもよい。蓄冷材は、過冷却抑制剤、増粘剤、及び防腐剤等の添加剤を含有していてもよい。一方、蓄冷材は、望ましくは、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、及びポリメタクリル酸ナトリウムを架橋して生成された合成高分子を含んでいない。
【0028】
蓄冷材は、リン酸銀、炭酸銀、及び酸化銀からなる群より選択される少なくとも1つの銀化合物をさらに含有していてもよい。リン酸銀は、化学式Ag3PO4により表される。炭酸銀は、化学式Ag2CO3により表される。酸化銀は、化学式AgOにより表される。
【0029】
蓄冷材が上記の銀化合物を含有している場合、蓄冷材において、水の含有量に対する銀化合物の含有量のモル比は、特定の値に限定されない。そのモル比は、例えば、2.64×10-8以上3.75×10-4以下である。
【0030】
蓄冷材が上記の銀化合物を含有している場合、蓄冷材において、THFの含有量、水の含有量、及び増粘ゲル化剤の含有量の総量に対する、銀化合物の含有量の比は、特定の値に限定されない。その比は、例えば、質量基準で0.00050以上0.020以下である。その比は、質量基準で0.0010以上0.010以下であってもよい。
【0031】
実施の形態1における蓄冷材を製造する方法は、特定の方法に限定されない。実施の形態1における蓄冷材は、例えば、THFと、水と、増粘ゲル化剤とを混合して、加熱及び冷却を含むプロセスに従って製造されうる。このプロセスには、公知のプロセスを適用しうる。
【0032】
蓄冷材は、必要に応じて、密閉された容器の内部に存在する状態で提供されうる。この場合、THF、水、及び増粘ゲル化剤を含む混合物又は蓄冷材を容器に入れて、その容器を密閉してもよい。
【0033】
[1-2.動作]
実施の形態1における蓄冷材について、その動作、作用を説明する。
【0034】
蓄冷材の使用において、蓄冷と、放冷とが繰り返される。蓄冷において、THFと水からTHFハイドレートが生成される。放冷において、THFハイドレートが融解する。このため、例えば、蓄冷材を用いて10℃以下での保冷が可能である。
【0035】
蓄冷材は、増粘ゲル化剤を含有しており、ゲル化されている。このため、例えば、蓄冷材によって保冷されている物品の輸送中に、万一、蓄冷材の容器が破損しても、蓄冷材が広範囲に飛散して輸送中の物品を汚染する可能性が低い。このように、この蓄冷材は、貯蔵、保管、及び輸送における安全性の観点から有利である。
【0036】
実施の形態1における蓄冷材において、THFの含有量及び水の含有量の総量に対するTHFの含有量の比は、質量基準で0.16以上0.24以下である。このため、この蓄冷材において、調和濃度又は調和濃度付近にTHFの含有量が調整されており、蓄冷材の潜熱量が大きくなりやすい。なぜなら、クラスレートハイドレートを形成する蓄冷材の融解熱量は、ゲスト分子の濃度が調和濃度付近にあると最も高くなりやすいからである。
【0037】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、蓄冷材は、THFと、水と、増粘ゲル化剤とを含有している。この蓄冷材において、THFの含有量及び水の含有量の総量に対するTHFの含有量の比は、質量基準で、0.16以上0.24以下である。増粘ゲル化剤は、ローカストビーンガム及びキサンタンガムのみからなる主成分を含んでいる。
【0038】
これにより、蓄冷材が所望のゲル強度及び弾力性を有しやすい。弾力性に乏しいゲルは、時間経過とともにゲルネットワークが収縮し、ゲルネットワークの隙間が小さくなる。このため、ゲルネットワークの隙間に蓄えられていた水が離水しやすい。一方、所望の弾力性を有するゲルは、そのような離水が起こりにくい。そのため、蓄冷材は、テトラヒドロフランを含有しつつ使用中に離水が生じることを抑制する観点から有利である。
【0039】
本実施の形態のように、増粘ゲル化剤は、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、及びポリメタクリル酸ナトリウムを架橋して生成された合成高分子を含んでいなくてもよい。これにより、蓄冷材が所望のゲル強度及び弾力性をより有しやすい。そのため、蓄冷材は、テトラヒドロフランを含有しつつ使用中に離水が生じることを抑制する観点からより有利である。
【0040】
本実施の形態のように、ローカストビーンガム及び前記キサンタンガムの総量に対する前記ローカストビーンガムの量の比は、質量基準で0.15以上0.85以下であってもよい。これにより、蓄冷材が所望のゲル強度及び弾力性をより有しやすい。そのため、蓄冷材は、テトラヒドロフランを含有しつつ使用中に離水が生じることを抑制する観点からより有利である。
【0041】
本実施の形態のように、増粘ゲル化剤における前記主成分以外の成分の含有量は、20質量%以下であってもよい。このような場合でも、蓄冷材が所望のゲル強度及び弾力性を有しうる。そのため、蓄冷材は、テトラヒドロフランを含有しつつ使用中に離水が生じることを抑制する観点からより有利である。
【0042】
本実施の形態のように、蓄冷材は、リン酸銀、炭酸銀、及び酸化銀からなる群より選択される少なくとも1つの銀化合物をさらに含有していてもよい。これにより、THF分子における酸素原子(親水基)は、水分子と水素結合するよりも、銀化合物の銀原子と配位結合した方が安定化しやすい。このため、配位結合するTHF分子の割合が大きくなりやすい。配位結合したTHF分子の親水基は銀原子に配位し、THF分子の疎水基は水に囲まれる。その結果、THF分子が疎水性水和に適した状態になる。銀化合物の銀-酸素結合の酸素原子は、配位結合を安定化する役割を担う。その結果、蓄冷材において、THF分子及び水分子が分子運動を通してクラスレートハイドレートを形成する確率が高くなりやすい。このため、蓄冷材において過冷却が抑制されやすい。その結果、蓄冷材においてTHFハイドレートが生成される温度が高くなりやすく、例えば、その温度が0℃以上になり、氷が形成されることなくTHFのクラスレートハイドレートが形成されやすい。
【0043】
本実施の形態のように、銀化合物は、リン酸銀であってもよい。これにより、蓄冷材において、THF分子が疎水性水和に適した状態になり、THF分子及び水分子が分子運動を通してクラスレートハイドレートを形成する確率が高くなりやすい。このため、蓄冷材において過冷却が抑制されやすい。
【0044】
本実施の形態のように、銀化合物は、炭酸銀であってもよい。これにより、蓄冷材において、THF分子が疎水性水和に適した状態になり、THF分子及び水分子が分子運動を通してクラスレートハイドレートを形成する確率が高くなりやすい。このため、蓄冷材において過冷却が抑制されやすい。
【0045】
本実施の形態のように、銀化合物は、酸化銀であってもよい。これにより、蓄冷材において、THF分子が疎水性水和に適した状態になり、THF分子及び水分子が分子運動を通してクラスレートハイドレートを形成する確率が高くなりやすい。このため、蓄冷材において過冷却が抑制されやすい。
【0046】
本実施の形態のように、蓄冷材において、水の含有量に対する銀化合物の含有量のモル比は、2.64×10-8以上3.75×10-4であってもよい。これにより、蓄冷材において、THF分子が疎水性水和に適した状態になり、THF分子及び水分子が分子運動を通してクラスレートハイドレートを形成する確率が高くなりやすい。このため、蓄冷材において過冷却が抑制されやすい。
【0047】
本実施の形態のように、蓄冷材において、テトラヒドロフランの含有量、水の含有量、及び増粘ゲル化剤の含有量の総量に対する、銀化合物の含有量の比は、質量基準で0.00050以上0.020以下であってもよい。この比は、質量基準で0.0010以上0.010以下であってもよい。これにより、蓄冷材において、THF分子が疎水性水和に適した状態になり、THF分子及び水分子が分子運動を通してクラスレートハイドレートを形成する確率が高くなりやすい。このため、蓄冷材において過冷却が抑制されやすい。
【0048】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を説明する。
【0049】
[2-1.構成]
実施の形態2における蓄冷材は、THFと、水と、増粘ゲル化剤とを含有している。増粘ゲル化剤は、種子由来の多糖類及び微生物由来の多糖類を含んでいる。増粘ゲル化剤は、加熱及び冷却によってゲル化可能である。例えば、増粘ゲル化剤は、カチオンを添加することなく、温度調整のみによってTHFと、水と、増粘ゲル化剤とを含有する混合物をゲル化させることができる。蓄冷材は、ASTM D 4359-90の固体-液体判定試験によって固体と判定される。
【0050】
増粘ゲル化剤に含まれる種子由来の多糖類は、特定の多糖類に限定されない。種子由来の多糖類の例は、ローカストビーンガムである。
【0051】
増粘ゲル化剤に含まれる微生物由来の多糖類は、特定の多糖類に限定されない。微生物由来の多糖類の例は、キサンタンガムである。
【0052】
実施の形態2における蓄冷材において、増粘ゲル化剤は、種子由来の多糖類及び微生物由来の多糖類を含んでいる限り、特定の態様に限定されない。増粘ゲル化剤は、複数種類の多糖類を含んでいてもよい。例えば、実施の形態2における蓄冷材において、増粘ゲル化剤は、ローカストビーンガム及びキサンタンガムを含んでいてもよい。この場合、増粘ゲル化剤の総量に対するキサンタンガムの含有量の比は、特定の値に限定されない。例えば、その比は、質量基準で0.6以上であってもよいし、その比は、0.6未満であってもよい。また、例えば、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの総量に対するローカストビーンガムの量の比は、例えば、質量基準で、0.15以上0.7以下である。この比は、質量基準で、0.2以上0.7以下であってもよいし、0.3以上0.7以下であってもよい。
【0053】
実施の形態2における蓄冷材において、THFの含有量及び水の含有量の総量に対するTHFの含有量の比は、特定の値に限定されない。その比は、例えば、質量基準で0.16以上0.24以下である。
【0054】
実施の形態2における蓄冷材は、THF、水、及び増粘ゲル化剤のみを含有していてもよいし、THF、水、及び増粘ゲル化剤以外の成分を含有していてもよい。蓄冷材は、過冷却抑制剤、増粘剤、及び防腐剤等の添加剤を含有していてもよい。一方、蓄冷材は、望ましくは、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、及びポリメタクリル酸ナトリウムを架橋して生成された合成高分子を含んでいない。
【0055】
蓄冷材は、リン酸銀、炭酸銀、及び酸化銀からなる群より選択される少なくとも1つの銀化合物をさらに含有していてもよい。リン酸銀は、化学式Ag3PO4により表される。炭酸銀は、化学式Ag2CO3により表される。酸化銀は、化学式AgOにより表される。
【0056】
蓄冷材が上記の銀化合物を含有している場合、蓄冷材において、水の含有量に対する銀化合物の含有量のモル比は、特定の値に限定されない。そのモル比は、例えば、2.64×10-8以上3.75×10-4以下である。
【0057】
蓄冷材が上記の銀化合物を含有している場合、蓄冷材において、THFの含有量、水の含有量、及び増粘ゲル化剤の含有量の総量に対する、銀化合物の含有量の比は、特定の値に限定されない。その比は、例えば、質量基準で0.00050以上0.020以下である。その比は、質量基準で0.0010以上0.010以下であってもよい。
【0058】
実施の形態2における蓄冷材の製造方法は、特定の方法に限定されない。実施の形態2における蓄冷材は、実施の形態1における蓄冷材の製造方法を参照して製造できる。
【0059】
[2-2.動作]
実施の形態2における蓄冷材について、その動作、作用を説明する。
【0060】
蓄冷材の使用において、蓄冷(THFハイドレートの生成)と、放冷(THFハイドレートの融解)とが繰り返される。このため、例えば、この蓄冷材を用いて10℃以下での保冷が可能である。
【0061】
蓄冷材は、増粘ゲル化剤を含有しており、ゲル化されている。加えて、蓄冷材は、ASTM D 4359-90の固体-液体判定試験によって固体と判定される。このため、例えば、蓄冷材によって保冷中の物品の輸送中に、万一、蓄冷材の容器が破損しても、蓄冷材が広範囲に飛散して輸送中の物品を汚染する可能性が低い。この蓄冷材は、貯蔵、保管、及び輸送における安全性の観点から有利である。
【0062】
[2-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、蓄冷材は、THFと、水と、増粘ゲル化剤とを含有している。増粘ゲル化剤は、種子由来の多糖類及び微生物由来の多糖類を含んでいる。蓄冷材は、ASTM D 4359-90の固体-液体判定試験によって固体と判定される。
【0063】
これにより、蓄冷材が所望のゲル強度及び弾力性を有しやすい。そのため、蓄冷材は、THFを含有しつつ使用中に離水が生じることを抑制する観点から有利である。加えて、上記の増粘ゲル化剤は、例えば、加熱及び冷却によってゲル化可能であり、カチオンを添加することなく温度調整のみによってゲル化が可能である。このため、カチオン添加に伴う凝固点降下を回避でき、蓄冷材におけるTHFハイドレートの融点が低くなりにくい。加えて、蓄冷材の潜熱量が大きくなりやすい。例えば、蓄冷材の潜熱量が225J/g以上になりやすい。
【0064】
本実施の形態のように、増粘ゲル化剤は、ローカストビーンガムと、キサンタンガムとを含んでいてもよい。加えて、増粘ゲル化剤の総量に対するキサンタンガムの含有量の比が質量基準で0.6以上であってもよい。さらに、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの総量に対するローカストビーンガムの量の比は、質量基準で、0.15以上0.7以下であってもよい。これにより、蓄冷材は、所望のゲル強度及び弾力性をより有しやすい。そのため、蓄冷材は、THFを含有しつつ使用中に離水が生じることを抑制する観点からより有利である。
【0065】
本実施の形態のように、蓄冷材は、リン酸銀、炭酸銀、及び酸化銀からなる群より選択される少なくとも1つの銀化合物をさらに含有していてもよい。これにより、THF分子が疎水性水和に適した状態になり、蓄冷材においてTHF分子及び水分子が分子運動を通してクラスレートハイドレートを形成する確率が高くなりやすい。このため、蓄冷材において過冷却が抑制されやすい。その結果、蓄冷材においてTHFハイドレートが生成される温度が高くなりやすく、例えば、その温度が0℃以上になりやすい。
【0066】
本実施の形態のように、銀化合物は、リン酸銀であってもよい。これにより、蓄冷材において、THF分子が疎水性水和に適した状態になり、THF分子及び水分子が分子運動を通してクラスレートハイドレートを形成する確率が高くなりやすい。このため、蓄冷材において過冷却が抑制されやすい。
【0067】
本実施の形態のように、銀化合物は、炭酸銀であってもよい。これにより、蓄冷材において、THF分子が疎水性水和に適した状態になり、THF分子及び水分子が分子運動を通してクラスレートハイドレートを形成する確率が高くなりやすい。このため、蓄冷材において過冷却が抑制されやすい。
【0068】
本実施の形態のように、銀化合物は、酸化銀であってもよい。これにより、蓄冷材において、THF分子が疎水性水和に適した状態になり、THF分子及び水分子が分子運動を通してクラスレートハイドレートを形成する確率が高くなりやすい。このため、蓄冷材において過冷却が抑制されやすい。
【0069】
本実施の形態のように、蓄冷材において、水の含有量に対する銀化合物の含有量のモル比は、2.64×10-8以上3.75×10-4であってもよい。これにより、蓄冷材において、THF分子が疎水性水和に適した状態になり、THF分子及び水分子が分子運動を通してクラスレートハイドレートを形成する確率が高くなりやすい。このため、蓄冷材において過冷却が抑制されやすい。
【0070】
本実施の形態のように、蓄冷材において、THFの含有量、水の含有量、及び増粘ゲル化剤の含有量の総量に対する、銀化合物の含有量の比は、質量基準で0.00050以上0.020以下であってもよい。この比は、質量基準で0.0010以上0.010以下であってもよい。これにより、蓄冷材において、THF分子が疎水性水和に適した状態になり、THF分子及び水分子が分子運動を通してクラスレートハイドレートを形成する確率が高くなりやすい。このため、蓄冷材において過冷却が抑制されやすい。
【0071】
(実施の形態3)
以下、
図2を用いて、実施の形態3を説明する。
【0072】
図2は、実施の形態3におけるクーラーボックス100を示す。
【0073】
クーラーボックス100は、底(図示せず)及び側部を有する断熱ボックス101と、断熱蓋102とを備えている。
【0074】
例えば、断熱ボックス101の内側の底面、断熱ボックス101の内側の側面、及び断熱蓋102の内側の面からなる群より選択される少なくとも1つに沿って、実施の形態1又は2における蓄冷材が配置されている。
図2では、直方体の形状を有する断熱ボックス101の内側の4つの各側面に接するように、実施の形態1又は2における蓄冷材を内包する蓄冷材パック110が設けられている。
【0075】
実施の形態1又は2における蓄冷材は、断熱ボックス101の底の内部、断熱ボックス101の側部の内部、及び断熱蓋102の内部からなる群より選択される少なくとも1つに配置されてもよい。実施の形態1又は2における蓄冷材は、蓄冷材パック110において内包された状態でクーラーボックス100の内部の空間に配置されていてもよい。クーラーボックス100の内部の空間は、例えば、断熱ボックス101の内側の底面、断熱ボックス101の内側の側面、及び断熱蓋102の内側の面によって形成される空間である。
【0076】
断熱ボックスの側部、断熱ボックスの断熱蓋、及び断熱ボックス自体からなる群から選択される少なくとも1つの内部に、実施の形態1又は2における蓄冷材が設けられていてもよい。この場合も、実施の形態1又は2における蓄冷材は、蓄冷材パック110において内包された状態で配置されていてもよい。
【0077】
断熱ボックス101の内部には、例えば、医薬品、生体組織、細胞、食品、及び花卉からなる群より選択される少なくとも1つが入れられる。実施の形態1又は2における蓄冷材は、医薬品、生体組織、細胞、食品、及び花卉等の鮮度保持が求められる対象物の貯蔵、保管、又は輸送のために用いられる。例えば、
図2に示す断熱ボックス101の内部には、医薬品120が入れられる。医薬品の例は、液状医薬品である。液状医薬品の例は、ワクチンである。実施の形態3におけるクーラーボックスは、実施の形態1又は2における蓄冷材を備えているので、鮮度保持が求められる対象物の貯蔵、または、保管、輸送に適している。
【実施例0078】
以下の実施例を参照しながら、本開示がより詳細に説明される。
【0079】
本実施例において、テトラヒドロフランは、「THF」と略記される。THFは、東京化成工業株式会社より購入された。
【0080】
(実施例1A-1)
表1に示す通り、0.38gの多糖類、1.83gのTHF、及び7.78gの純水が60ミリリットルの容量を有するスクリュー管に添加され、混合物を得られた。多糖類は、ローカストビーンガム及びキサンタンガムのみを含んでおり、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの総量に対する、ローカストビーンガムの量の比は、質量基準で、0.5であった。混合物はスクリュー管内で十分に撹拌され、60℃に加熱された後、自然放冷された。このようにして、実施例1A-1に係る蓄冷材が得られた。実施例1A-1において、加熱及び冷却のみで混合物がゲル化した。スクリュー管は、ねじのついた蓋を有するガラス管であった。蓄冷材における多糖類の含有量は、4質量%であった。
【0081】
(融点および潜熱量の測定)
パーキンエルマージャパン社製の示差走査熱量計DSC-8500を用いて、約10ミリグラムの実施例1A-1に係る蓄冷材に対して示差走査熱量測定(DSC)を行った。予めプログラムされた通りに温度調整を行いこの測定を行った。まず、基準物質の温度が摂氏20度に10分間、維持された。次いで、基準物質の温度が摂氏1度/1分の速度で、低下された。その冷却過程において、蓄冷材におけるTHFハイドレートの生成に伴う温度上昇が発熱ピークとして観測され、その後、蓄冷材の温度はプログラムされた温度に収束した。これにより、THFハイドレートの結晶化が完了したことを確認した。この冷却過程における蓄冷材の温度上昇開始時の蓄冷材の温度を蓄冷材の結晶化温度Tcと決定した。基準物質の温度が摂氏マイナス20度に到達した後、基準物質の温度は摂氏マイナス20度で10分間、維持された。その後、基準物質の温度は摂氏マイナス20度から摂氏20度まで、摂氏1度/1分の速度で、上昇された。THFハイドレートの融解が始まると、潜熱量に対応する熱量が吸熱されるので、蓄冷材の温度変化が停滞した。THFハイドレートの融解が終了し、蓄冷材の温度変化がもとの温度上昇曲線に収束した。この場合の吸熱ピークの温度を融点Tmとし、吸熱量を潜熱量と決定した。このようして、示差走査熱量計DSC-8500を用いて、実施例1A-1に係る蓄冷材の融点Tm及び潜熱量が決定された。その結果、実施例1A-1に係る蓄冷材の融点Tmは、摂氏5.0度であり、その蓄冷材の潜熱量は240J/gであった。結果を表5に示す。
【0082】
(ゲル強度試験)
実施例1A-1に係る蓄冷材を40℃の環境に4時間以上静置した。その後、実施例1A-1に係る蓄冷材の入ったスクリュー管を40℃の環境において横倒しにして(90°傾けて)3分間経過した後に、蓄冷材の状態を目視により確認した。この確認結果に基づいて、下記の基準に従って、蓄冷材のゲル強度を評価した。結果を表5に示す。
A:蓄冷材と空気との界面に変形が見られず垂直に延びている。
B:蓄冷材と空気との界面に比較的小さい変形が見られる。
C:蓄冷材と空気との界面に比較的大きい変形が見られる。
【0083】
(離水の評価)
実施例1A-1に係る蓄冷材を40℃の環境に4時間静置した。その後、蓄冷材の入ったスクリュー管を40℃の環境において横倒しにして(90°傾けて)3分間経過した後に、蓄冷材の状態を目視により確認した。この確認結果に基づいて、下記の基準に従って、蓄冷材における離水を評価した。結果を表5に示す。
A:液体成分の分離が明確には見られない。
NG:液体成分の分離が明確にみられる。
【0084】
(実施例1A-2)
下記の点以外は、実施例1A-1と同様にして、実施例1A-2に係る蓄冷材を調製した。表1に示す分量で、多糖類、THF、純水、及び酸化銀(II)が添加された。酸化銀(II)は、富士フィルム和光純薬社から入手した酸化銀(II)(Silver (II) Oxide)であり、過冷却抑制剤として添加された。実施例1A-2に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0085】
(実施例1A-3)
下記の点以外は、実施例1A-1と同様にして、実施例1A-3に係る蓄冷材を調製した。表1に示す分量で、多糖類、THF、純水、及びリン酸銀(I)が添加された。リン酸銀(I)は、三津和化学薬品社から入手したリン酸銀(I)であり、過冷却抑制剤として添加された。実施例1A-3に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0086】
(実施例1A-4)
下記の点以外は、実施例1A-1と同様にして、実施例1A-4に係る蓄冷材を調製した。表1に示す分量で、多糖類、THF、純水、及び炭酸銀が添加された。炭酸銀は、富士フィルム和光純薬社から入手した炭酸銀であり、過冷却抑制剤として添加された。実施例1A-4に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0087】
(実施例1B-1)
下記の点以外は、実施例1A-1と同様にして、実施例1B-1に係る蓄冷材を調製した。表1に示す分量で、多糖類、THF、及び純水が添加された。実施例1B-1に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0088】
(実施例1B-2)
下記の点以外は、実施例1A-2と同様にして、実施例1B-2に係る蓄冷材を調製した。表1に示す分量で、多糖類、THF、純水、及び酸化銀(II)が添加された。実施例1B-2に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0089】
(実施例1B-3)
下記の点以外は、実施例1A-3と同様にして、実施例1B-3に係る蓄冷材を調製した。表1に示す分量で、多糖類、THF、純水、及びリン酸銀(I)が添加された。実施例1B-3に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0090】
(実施例1B-4)
下記の点以外は、実施例1A-4と同様にして、実施例1B-4に係る蓄冷材を調製した。表1に示す分量で、多糖類、THF、純水、及び炭酸銀が添加された。実施例1B-4に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0091】
(実施例2A-1)
下記の点以外は、実施例1A-1と同様にして、実施例2A-1に係る蓄冷材を調製した。表2に示す分量で、多糖類、THF、及び純水が添加された。多糖類は、ローカストビーンガム及びキサンタンガムのみを含んでおり、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの総量に対する、ローカストビーンガムの量の比は、質量基準で、0.4であった。実施例2A-1に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0092】
(実施例2A-2)
下記の点以外は、実施例2A-1と同様にして、実施例2A-2に係る蓄冷材を調製した。表2に示す分量で、多糖類、THF、純水、及び酸化銀(II)が添加された。実施例2A-2に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0093】
(実施例2A-3)
下記の点以外は、実施例2A-1と同様にして、実施例2A-3に係る蓄冷材を調製した。表2に示す分量で、多糖類、THF、純水、及びリン酸銀(I)が添加された。実施例2A-3に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0094】
(実施例2A-4)
下記の点以外は、実施例2A-1と同様にして、実施例2A-4に係る蓄冷材を調製した。表2に示す分量で、多糖類、THF、純水、及び炭酸銀が添加された。実施例2A-4に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0095】
(実施例2B-1)
下記の点以外は、実施例2A-1と同様にして、実施例2B-1に係る蓄冷材を調製した。表2に示す分量で、多糖類、THF、及び純水が添加された。実施例2B-1に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0096】
(実施例2B-2)
下記の点以外は、実施例2A-2と同様にして、実施例2B-2に係る蓄冷材を調製した。表2に示す分量で、多糖類、THF、純水、及び酸化銀(II)が添加された。実施例2B-2に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0097】
(実施例2B-3)
下記の点以外は、実施例2A-3と同様にして、実施例2B-3に係る蓄冷材を調製した。表2に示す分量で、多糖類、THF、純水、及びリン酸銀(I)が添加された。実施例2B-3に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0098】
(実施例2B-4)
下記の点以外は、実施例2A-4と同様にして、実施例2B-4に係る蓄冷材を調製した。表2に示す分量で、多糖類、THF、純水、及び炭酸銀が添加された。実施例2B-4に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0099】
(実施例2C-1)
下記の点以外は、実施例1A-1と同様にして、実施例2C-1に係る蓄冷材を調製した。表2に示す分量で、多糖類、THF、及び純水が添加された。多糖類は、ローカストビーンガム及びキサンタンガムのみを含んでおり、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの総量に対する、ローカストビーンガムの量の比は、質量基準で、0.25であった。実施例2C-1に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0100】
(実施例2C-2)
下記の点以外は、実施例1A-2と同様にして、実施例2C-2に係る蓄冷材を調製した。表2に示す分量で、多糖類、THF、純水、及び酸化銀(II)が添加された。実施例2C-2に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0101】
(実施例2C-3)
下記の点以外は、実施例1A-3と同様にして、実施例2C-3に係る蓄冷材を調製した。表2に示す分量で、多糖類、THF、純水、及びリン酸銀(I)が添加された。実施例2C-3に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0102】
(実施例2C-4)
下記の点以外は、実施例1A-4と同様にして、実施例2C-4に係る蓄冷材を調製した。表2に示す分量で、多糖類、THF、純水、及び炭酸銀が添加された。実施例2C-4に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0103】
(実施例2D-1)
下記の点以外は、実施例2C-1と同様にして、実施例2D-1に係る蓄冷材を調製した。表2に示す分量で、多糖類、THF、及び純水が添加された。実施例2D-1に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0104】
(実施例2D-2)
下記の点以外は、実施例2C-2と同様にして、実施例2D-2に係る蓄冷材を調製した。表2に示す分量で、多糖類、THF、純水、及び酸化銀(II)が添加された。実施例2D-2に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0105】
(実施例2D-3)
下記の点以外は、実施例2C-3と同様にして、実施例2D-3に係る蓄冷材を調製した。表2に示す分量で、多糖類、THF、純水、及びリン酸銀(I)が添加された。実施例2D-3に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0106】
(実施例2D-4)
下記の点以外は、実施例2C-4と同様にして、実施例2D-4に係る蓄冷材を調製した。表2に示す分量で、多糖類、THF、純水、及び炭酸銀が添加された。実施例2D-4に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0107】
(実施例2E-1)
下記の点以外は、実施例1A-1と同様にして、実施例2E-1に係る蓄冷材を調製した。表3に示す分量で、多糖類、THF、及び純水が添加された。多糖類は、ローカストビーンガム及びキサンタンガムのみを含んでおり、ローカストビーンガム及びキサンタンガムの総量に対する、ローカストビーンガムの量の比は、質量基準で、0.2であった。実施例2E-1に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0108】
(実施例2E-2)
下記の点以外は、実施例1A-2と同様にして、実施例2E-2に係る蓄冷材を調製した。表3に示す分量で、多糖類、THF、純水、及び酸化銀(II)が添加された。実施例2E-2に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0109】
(実施例2E-3)
下記の点以外は、実施例1A-3と同様にして、実施例2E-3に係る蓄冷材を調製した。表3に示す分量で、多糖類、THF、純水、及びリン酸銀(I)が添加された。実施例2E-3に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0110】
(実施例2E-4)
下記の点以外は、実施例1A-4と同様にして、実施例2E-4に係る蓄冷材を調製した。表3に示す分量で、多糖類、THF、純水、及び炭酸銀が添加された。実施例2E-4に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0111】
(実施例2F-1)
下記の点以外は、実施例2E-1と同様にして、実施例2F-1に係る蓄冷材を調製した。表3に示す分量で、多糖類、THF、及び純水が添加された。実施例2F-1に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0112】
(実施例2F-2)
下記の点以外は、実施例2E-2と同様にして、実施例2F-2に係る蓄冷材を調製した。表3に示す分量で、多糖類、THF、純水、及び酸化銀(II)が添加された。実施例2F-2に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0113】
(実施例2F-3)
下記の点以外は、実施例2E-3と同様にして、実施例2F-3に係る蓄冷材を調製した。表3に示す分量で、多糖類、THF、純水、及びリン酸銀(I)が添加された。実施例2F-3に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0114】
(実施例2F-4)
下記の点以外は、実施例2E-4と同様にして、実施例2F-4に係る蓄冷材を調製した。表3に示す分量で、多糖類、THF、純水、及び炭酸銀が添加された。実施例2F-4に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表5に示す。
【0115】
(比較例1)
下記の点以外は、実施例1A-1と同様にして、比較例1に係る蓄冷材を調製した。多糖類として、グアーガムが用いられた。表4に示す分量で、グアーガム、THF、及び純水が添加された。比較例1において、グアーガム、THF、及び純水の混合物が60℃に加熱された後、自然放冷された。比較例1において、加熱及び冷却のみではゲル化できなかった。比較例1に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表6に示す。
【0116】
(比較例2)
下記の点以外は、実施例1A-1と同様にして、比較例2に係る蓄冷材を調製した。多糖類として、Low-Acyl(LA)ゲランガムが用いられた。LAゲランガムは、脱アシル型ゲランガムとも呼ばれる。表4に示す分量で、LAゲランガム、THF、及び純水が添加された。比較例2において、LAゲランガム、THF、及び純水の混合物が40℃に加熱された後、自然放冷された。比較例2において、加熱及び冷却のみではゲル化できず、乳酸カルシウム(カルシウムイオン)の添加が必要であった。比較例2に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表6に示す。
【0117】
(比較例3)
下記の点以外は、実施例1A-1と同様にして、比較例3に係る蓄冷材を調製した。多糖類として、寒天が用いられた。表4に示す分量で、寒天及び純水が添加された。比較例3において、寒天及び純水の混合物が90℃に加熱された後、自然放冷された。その後、表4に示す分量でTHFが添加され、さらに撹拌されて放置された。比較例3に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表6に示す。
【0118】
(比較例4)
下記の点以外は、比較例3と同様にして、比較例4に係る蓄冷材を調製した。寒天の代わりに、グアーガム及び寒天の混合物が用いられた。この混合物における寒天の含有量は50質量%であった。表4に示す分量で、グアーガム及び寒天の混合物及び純水が添加された。比較例4において、グアーガム、寒天、及び純水の混合物が90℃に加熱された後、自然放冷された。その後、表4に示す分量でTHFが添加され、さらに撹拌されて放置された。比較例4に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表6に示す。
【0119】
(比較例5)
下記の点以外は、比較例3と同様にして、比較例5に係る蓄冷材を調製した。寒天の代わりに、グアーガム及び寒天の混合物が用いられた。この混合物における寒天の含有量は80質量%であった。表4に示す分量で、グアーガム及び寒天の混合物及び純水が添加された。比較例5において、グアーガム、寒天、及び純水の混合物が90℃に加熱された後、自然放冷された。その後、表4に示す分量でTHFが添加され、さらに撹拌されて放置された。比較例5に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表6に示す。
【0120】
(比較例6)
下記の点以外は、実施例1A-1と同様にして、比較例6に係る蓄冷材を調製した。表4に示す分量で、多糖類、THF、及び純水に加えて、ポリアクリル酸ナトリウムを添加した。ポリアクリル酸ナトリウムは、富士フィルム和光純薬株式会社製のポリアクリル酸ナトリウムPoly(acrylic acid), sodium salt, 20% soln. In water [MW ~225,000]であった。比較例6に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表6に示す。
【0121】
(比較例7)
下記の点以外は、実施例1A-1と同様にして、比較例7に係る蓄冷材を調製した。表4に示す分量で、多糖類、THF、及び純水に加えて、ポリアクリル酸ナトリウムを添加した。比較例7に係る蓄冷材について、実施例1A-1と同様の評価がなされた。結果を表6に示す。
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
表5に示す通り、各実施例に係る蓄冷材のゲル強度は良好であった。加えて、各実施例に係る蓄冷材において、離水は明確に確認にされず、各実施例に係る蓄冷材は、THFを含有しているものの使用中に離水が生じにくいことが示された。なお、各実施例に係る蓄冷材おける各成分の質量比と等しくなるように蓄冷材の試料を1L(リットル)作製して、ASTM D 4359-90の固体-液体判定試験を行った。その結果、各実施例に係る蓄冷材は固体であると判定された。
【0129】
一方、各比較例に係る蓄冷材のゲル強度は良好であるとは言い難かった。加えて、各比較例に係る蓄冷材において、離水が明確に確認され、各比較例に係る蓄冷材は、使用中に離水が生じやすいことが示された。各比較例に係る蓄冷材におけるTHFと多糖類との組み合わせでは、ゲルの弾力性が乏しいものと推察される。比較例1及び2では、加熱及び冷却のみによってゲル化できず、比較例2では、カチオン等の添加が必要であった。このようなカチオンの添加は凝固点降下を引き起こすことが懸念される。比較例3から5では、多糖類及び純水の混合物をゲル化のために90℃に加熱する必要がある。この加熱温度は、THFの沸点よりも高く、THFの存在下でこのような加熱を行うと、THFが沸騰して蓄冷材の特性が低下する可能性がある。実施例1B-1と、比較例6及び7との対比より、ポリアクリル酸ナトリウムの添加は離水及びゲル強度の観点から望ましくないことが示唆された。比較例6と比較例7とを対比すると、ポリアクリル酸ナトリウムの含有量が多いほど離水の量が多くなり、ゲル強度が低下することが示唆された。
【0130】
表5に示す通り、実施例1A-1と、実施例1A-2から実施例1A-4との対比等によれば、過冷却抑制剤として所定の銀化合物が添加されていると、蓄冷材の結晶化温度Tcが高くなりやすいことが理解される。例えば、蓄冷材の結晶化温度が摂氏マイナス20℃という低い温度から摂氏0度以上摂氏3度以下という高い温度に改善される。
前記蓄冷材は、前記蓄冷材を40℃の環境に4時間以上静置した後に40℃の環境で前記蓄冷材が入った容器を横倒して3分間経過後に液体成分の分離が目視で確認されない、 請求項1に記載の蓄冷材。
前記蓄冷材は、前記蓄冷材を40℃の環境に4時間以上静置した後に40℃の環境で前記蓄冷材が入った容器を横倒して3分間経過後に前記蓄冷材と空気との界面に変形が見られず前記界面が水平面に対して垂直な方向に延びている、
請求項1に記載の蓄冷材。
前記蓄冷材は、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、及びポリメタクリル酸ナトリウムを架橋して生成された合成高分子を含んでいない、
請求項1に記載の蓄冷材。
前記テトラヒドロフランの含有量、前記水の含有量、及び前記増粘ゲル化剤の含有量の総量に対する、前記銀化合物の含有量の比は、質量基準で0.00050以上0.020以下である、
請求項5に記載の蓄冷材。
前記テトラヒドロフランの含有量、前記水の含有量、及び前記増粘ゲル化剤の含有量の総量に対する、前記銀化合物の含有量の比は、質量基準で0.0010以上0.010以下である、
請求項10に記載の蓄冷材。