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特開2024-28951汎発性膿疱性乾癬の処置のための抗IL-36R抗体の使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028951
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】汎発性膿疱性乾癬の処置のための抗IL-36R抗体の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240227BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240227BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20240227BHJP
【FI】
A61K39/395 U
A61P17/06 ZNA
A61K39/395 N
C07K16/28
【審査請求】有
【請求項の数】54
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023209816
(22)【出願日】2023-12-13
(62)【分割の表示】P 2020547406の分割
【原出願日】2019-03-08
(31)【優先権主張番号】62/642,641
(32)【優先日】2018-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/683,720
(32)【優先日】2018-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/699,274
(32)【優先日】2018-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/729,518
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】トーマ,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ラマー,ジャニン
(72)【発明者】
【氏名】パドゥラ,スティーヴン・ジョン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】汎発性膿疱性乾癬(GPP)を処置する方法を提供する。
【解決手段】治療有効量の抗IL-36R抗体を患者に投与するか又は投与した工程を含む、患者における汎発性膿疱性乾癬を処置する方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量の抗IL-36R抗体を患者に投与するか又は投与した工程を含む、患者における汎発性膿疱性乾癬(GPP)を処置する方法。
【請求項2】
治療有効量の抗IL-36R抗体を患者に投与するか又は投与した工程を含む、患者における中等度から重度の汎発性膿疱性乾癬を処置する方法。
【請求項3】
治療有効量の抗IL-36R抗体を患者に投与するか又は投与した工程を含む、患者における急性期の汎発性膿疱性乾癬の突発の兆候及び症状を低減又は軽減する方法。
【請求項4】
治療有効量の抗IL-36R抗体を患者に投与するか又は投与した工程を含む、汎発性膿疱性乾癬フレアの重症度及び持続時間を低減させる方法。
【請求項5】
治療有効量の抗IL-36R抗体を患者に投与するか又は投与した工程を含む、急性の汎発性膿疱性乾癬に関連した皮膚障害を処置する方法。
【請求項6】
抗IL-36R抗体が、a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号35、102、103、104、105、106又は140のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域を含む、請求項1~5のいずれか記載の方法。
【請求項7】
抗IL-36R抗体が、
I.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号102のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、
II.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号103のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、
III.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号104のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、
IV.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号105のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、
V.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号106のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、
VI.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号140のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、
を含む、請求項1~6のいずれか記載の方法。
【請求項8】
抗IL-36R抗体が、
(i)配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(ii)配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(iii)配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(iv)配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(v)配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(vi)配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(vii)配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(viii)配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(ix)配列番号86のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(x)配列番号86のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む、請求項1~7のいずれか記載の方法。
【請求項9】
抗IL-36R抗体が、
i.配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ii.配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号126のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iii.配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iv.配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
v.配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号126のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
vi.配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
vii.配列番号123のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
viii.配列番号123のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号139のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ix.配列番号124のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖
を含む、請求項1~8のいずれか記載の方法。
【請求項10】
抗IL-36R抗体が1回以上の静脈内用量で投与される、請求項1~9のいずれか記載の方法。
【請求項11】
抗IL-36R抗体が患者の体重1kgあたり約10mgの1回の静脈内用量で投与される、請求項10の方法。
【請求項12】
1回以上の静脈内用量(群)のそれぞれが、210mg、300mg、350mg、450mg、600mg、700mg、750mg、800mg、850mg、又は900mgの該抗IL-36R抗体を含む、請求項10の方法。
【請求項13】
抗IL-36R抗体が700mgの単回の静脈内用量で投与される、請求項10の方法。
【請求項14】
抗IL-36R抗体が750mgの単回の静脈内用量で投与される、請求項10の方法。
【請求項15】
抗IL-36R抗体が800mgの単回の静脈内用量で投与される、請求項10の方法。
【請求項16】
抗IL-36R抗体が850mgの単回の静脈内用量で投与される、請求項10の方法。
【請求項17】
抗IL-36R抗体が900mgの単回の静脈内用量で投与される、請求項10の方法。
【請求項18】
1回、2回又は3回の静脈内用量が投与される、請求項10の方法。
【請求項19】
2回又は3回の静脈内用量が、4~12週間隔で投与される、請求項19の方法。
【請求項20】
投与により、以下:
(a)1週目の汎発性膿疱性乾癬に対する総合評価(GPPGA)のスコアが0又は1;
(b)目に見える膿疱が全くないことを示す1週目のGPPGA膿疱形成サブスコアが0;
(c)4週目の汎発性膿疱性乾癬の乾癬面積及び重症度指標(GPPASI)が75;
(d)4週目の疼痛視覚的アナログスケール(VAS)スコアのベースラインからの変化;
(e)4週目の乾癬症状尺度(PSS)スコアのベースラインからの変化;
(f)4週目の慢性疾患治療・疲労の機能評価(FACIT)スコアのベースラインからの変化;
(g)4週目のGPPGAが0又は1;
(h)目に見える膿疱が全くないことを示す4週目のGPPGAの膿疱形成サブスコアが0;
(i)1週目及び4週目のGPPASIが50;又は
(j)1週目及び4週目のGPPASIの膿疱、紅斑、又は鱗屑の重症度サブスコアのベースラインからの変化
の中の1つ以上の有効性評価項目が得られる、請求項1~19のいずれか記載の方法。
【請求項21】
予防有効量の抗IL-36R抗体を1回以上の皮下用量で患者に投与する工程を含む、請求項1~20のいずれか記載の抗IL-36R抗体の1回以上の静脈内用量(群)で処置された患者における、GPPフレアの再発を予防する方法。
【請求項22】
有効量の抗IL-36R抗体を1回以上の皮下用量で患者に投与する工程を含む、請求項1~21のいずれか記載の抗IL-36R抗体の1回以上の静脈内用量(群)で処置された患者において、汎発性膿疱性乾癬に対する総合評価(GPPGA)スコア0を達成する方法。
【請求項23】
有効量の抗IL-36R抗体を1回以上の皮下用量で患者に投与する工程を含む、請求項1~22のいずれか記載の抗IL-36R抗体の1回以上の静脈内用量(群)で処置された患者における、GPP症状の完全な寛解を達成する方法であって、ここでのGPP症状は、膿疱、紅斑、又は鱗屑を含み、完全な寛解はGPPGAスコア0を含む、該方法。
【請求項24】
1回以上の皮下用量のそれぞれが、150mg、225mg、300mg、450mg、又は600mgの該抗IL-36R抗体を含む、請求項21~23のいずれか記載の方法。
【請求項25】
1回、2回、3回又はそれ以上の皮下用量が患者に投与され、初回の皮下用量は最後の静脈内用量の後に投与される、請求項21~23のいずれか記載の方法。
【請求項26】
初回の皮下用量が、最後の静脈内用量が投与された2~8週間後、4~6週間後、2週間後、4週間後、6週間後、又は8週間後に投与され、2回目の皮下用量が、前記の初回の皮下用量が投与された4、6、8、10、又は12週間後に投与される、請求項21~23のいずれか記載の方法。
【請求項27】
患者の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%が、処置の12、24、36、48、60、又は72週間目に、0又は1のGPPGAスコアによって判断されるように臨床的に寛解したままである、請求項21~26のいずれか記載の方法。
【請求項28】
患者の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%が、処置の12、24、36、48、60、又は72週間目にベースラインからのGPPASIの変化によって判断されるように臨床的に寛解したままである、請求項21~26のいずれか記載の方法。
【請求項29】
患者の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%が、処置の12、24、36、48、60、又は72週間目にベースラインからのGPPASIの膿疱、紅斑、又は鱗屑の重症度サブスコアの変化によって判断されるように臨床的に寛解したままである、請求項21~26のいずれか記載の方法。
【請求項30】
治療有効量の1回以上の静脈内用量(群)の請求項1~29のいずれか記載の抗IL-36R抗体を、続いて、1回以上の皮下用量(群)の抗IL-36R抗体を患者に投与する工程を含む、患者における汎発性膿疱性乾癬を処置する方法。
【請求項31】
1回又は2回又は3回の静脈内用量(群)の抗IL-36R抗体の後に、1回又は2回又は3回の皮下用量(群)の抗IL-36R抗体が続く、請求項30の方法。
【請求項32】
1回の静脈内用量の抗IL-36R抗体の後に、1回又は2回又は3回の皮下用量(群)の抗IL-36R抗体が続く、請求項30の方法。
【請求項33】
2回の静脈内用量の抗IL-36R抗体の後に、1回又は2回又は3回の皮下用量(群)の抗IL-36R抗体が続く、請求項30の方法。
【請求項34】
3回の静脈内用量の抗IL-36R抗体の後に、1回又は2回又は3回の皮下用量(群)の抗IL-36R抗体が続く、請求項30の方法。
【請求項35】
1回以上の静脈内用量(群)のそれぞれが、210mg、300mg、350mg、450mg、600mg、700mg、750mg、800mg、850mg、又は900mgの抗IL-36R抗体を含み、1回以上の皮下用量(群)のそれぞれが、150mg、225mg、300mg、450mg、又は600mgの抗IL-36R抗体を含む、請求項30~34のいずれか記載の方法。
【請求項36】
静脈内用量が2、4、6、8、10、又は12週間隔で投与され、皮下用量が4、6、8、10、又は12週間隔で投与され、初回の皮下用量が最後の静脈内用量が投与された2~8週間後、4~6週間後、2週間後、4週間後、6週間後、又は8週間後に投与される、請求項30の方法。
【請求項37】
(a)患者から生物学的試料を得る工程、ここで、生物学的試料は、皮膚病変部又は全血を含む入手源から得られる;
(b)1つ以上の遺伝子の遺伝子発現プロファイルを決定する工程;
(c)請求項1~36のいずれか記載の抗IL-36R抗体の有効量を患者に投与する工程
を含む、患者における汎発性膿疱性乾癬を処置する方法。
【請求項38】
1つ以上の遺伝子が、皮膚病変部ではIL12B、IL1B、IL6、CXCL1、IL23A、TNF、IL17C、IL24、又はIL1Bであり、全血ではIL1B、S100A9、S100A12、S100A8、MMP25、MMP9、又はCD177である、請求項37の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国仮特許出願番号第62/642,641号(2018年3月14日に出願)、第62/683,720号(2018年6月12日に出願)、第62/699,274号(2018年7月17日に出願)及び第62/729,518号(2018年9月11日に出願)の優先権を主張し、その各々の全内容がこれにより、本明細書において全部示されているかのように、参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
配列表
本出願は、EFS-Webを介してASCII形式で提出され、その全体が参照により本明細書に組み入れられた、配列表を含む。2019年3月5日に作成された該ASCIIコピーは09-0683-US-4-2019-03-08-SL.txtと命名され、146,018バイトのサイズである。
【0003】
発明の技術分野
本発明は、汎発性膿疱性乾癬(GPP)の処置のための方法及び組成物に関する。より具体的には、本発明は、GPP被験者へのインターロイキン-36受容体(IL-36R)抗体の投与に関する。
【0004】
背景
汎発性膿疱性乾癬は、皮膚及び内臓を冒す全身炎症によって引き起こされる、急性フレアの反復発生によって特徴付けられる重度の皮膚疾患である。急性の汎発性膿疱性乾癬の古典的症状は、1909年に初めてvon Zumbuschによって再発膿疱型の乾癬として記載された。汎発性膿疱性乾癬及び局面型乾癬は、個々の患者において同時に起こる場合があるが、汎発性膿疱性乾癬は、臨床症状、病態生理、組織病理、治療法に対する応答、疫学、及び遺伝学において局面型乾癬とは明確に異なる。
【0005】
それ故、汎発性膿疱性乾癬を、続発性の膿疱を伴う局面型乾癬又は紅皮性乾癬と区別することは非常に重要である。汎発性膿疱性乾癬の臨床症状は、その症状の発現の性質において尋常性乾癬(PV)とは極めて異なり、非常に急性で深刻な疾患フレアの合間においては正常な外見の皮膚を伴うことが多い。汎発性膿疱性乾癬は臨床的には、典型的な局面型乾癬の原発巣を象徴する、銀色の鱗屑で覆われた赤色の皮疹ではなく、むしろ紅皮の基盤上にある原発巣である膿疱が優勢であることによって特徴付けられる。さらに、汎発性膿疱性乾癬の組織病理学的特徴は、表皮の角層下部分に位置する、明瞭なコゴイ海綿状膿疱である。汎発性膿疱性乾癬は、全身症状(発熱、CRP上昇、及び好中球増加)及び重篤な真皮外の臓器の徴候(肝不全、腎不全、循環器ショック)を伴う場合がある。汎発性膿疱性乾癬患者は、尋常性乾癬の既往があるか又は併発している場合があるので、一連の徴候(原発巣は、局面型皮疹ではなく膿疱)、及び局面型乾癬ではなくむしろ紅斑の基盤上に汎発性膿疱性乾癬の膿疱が局在していることに基づいて、続発性膿疱の構成要素を有する原発性の局面型皮疹疾患(尋常性乾癬)を有する患者を、併発した局面型皮疹の構成要素を有する原発性膿疱症(汎発性膿疱性乾癬)を有する患者から臨床的に区別することが可能である。
【0006】
汎発性膿疱性乾癬についての記載は、標準的な皮膚科の教科書の間で一致しないが、欧州のまれで重度の乾癬専門家ネットワーク(ERASPEN)は、急性汎発性膿疱性乾癬の重要な診断基準として、全身性炎症を伴う又は伴わない、局面型乾癬を伴う又は伴わない、再発する(1回を超える症状の発現)又は持続性(3か月超)のいずれかである、先端ではない皮膚上に原発性で無菌性で顕微鏡で見える膿疱の存在(膿疱が局面型乾癬に限局している場合を除く)を含む、コンセンサス基準を定義した。
【0007】
慢性の汎発性膿疱性乾癬は、症状の完全な欠如、又は紅斑及び鱗屑及び小さな膿疱などの残存皮膚症状の持続によって特徴付けられ得る、疾患フレアの合間の状態を描写する。
【0008】
急性の汎発性膿疱性乾癬及び皮膚応答を制御するための現在の処置選択肢は限定され、持続した効力をもたらさない。米国及び欧州では汎発性膿疱性乾癬のために現在認可されている処置は全くないが、レチノイド、シクロスポリン又はメトトレキサートが推奨される。これらの処置は、70~84%の患者において「顕効又は有効」であると記載されているが(J Am Acad Dermatol. 2012;67(2):279-88)、これらのデータは、明確に定義された評価項目を含まない、日本の後向きコホート研究に基づく(Japanese Journal of Dermatology. 2010;120(4):815-39)。さらに、これらの処置は、副作用及び禁忌に因り長期に使用できない(レチノイド:催奇形性、毛髪脱落;シクロスポリン:過剰な発毛、腎毒性;メトトレキサート:肝毒性)。
【0009】
少数の公表されている一連の症例に基づいて、より重度であるか、広範であるか、又は処置に抵抗性である汎発性膿疱性乾癬患者を処置するために、生物学的製剤(主にTNF阻害剤、時折IL-1又はIL-17の阻害剤)が使用されることがますます増えている。しかしながら、これらの薬物はまた、有効性(不完全で遅延した応答が頻繁である)及び安全性並びに禁忌(輸注反応、結核、心血管疾患)において制約を伴う。したがって、当技術分野において、汎発性膿疱性乾癬の治療及び/又は予防のための新規な標的化療法の必要性がある。
【0010】
発明の要約
本発明は、IL-36Rに結合するバイオ医薬品、特に抗体を提供することによって上記の必要性に取り組み、急性及び/又は慢性の汎発性膿疱性乾癬、並びに汎発性膿疱性乾癬フレアなどの随伴する兆候及び症状のための治療的又は予防的な療法を提供する。
【0011】
第一の態様では、本発明は、患者における汎発性膿疱性乾癬(GPP)を処置する方法に関し、該方法は、治療有効量の抗IL-36R抗体を患者に投与するか又は投与した工程を含む。
【0012】
第二の態様では、本発明は、治療有効量の抗IL-36R抗体を患者に投与するか又は投与した工程を含む、患者における中等度から重度の汎発性膿疱性乾癬を処置する方法に関する。
【0013】
第三の態様では、本発明は、患者における急性期の汎発性膿疱性乾癬の突発の兆候及び症状を低減又は軽減する方法に関し、該方法は、治療有効量の抗IL-36R抗体を患者に投与するか又は投与した工程を含む。
【0014】
第四の態様では、本発明は、汎発性膿疱性乾癬フレアの重症度及び持続期間を減少させる方法に関し、該方法は、治療有効量の抗IL-36R抗体を患者に投与するか又は投与した工程を含む。
【0015】
第五の態様では、本発明は、急性の汎発性膿疱性乾癬を伴う皮膚障害を処置する方法に関し、該方法は、治療有効量の抗IL-36R抗体を患者に投与するか又は投与した工程を含む。
【0016】
第一から第五のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号35、102、103、104、105、106又は140のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域を含む。
【0017】
第一から第五のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、
I.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号102のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、
II.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号103のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、
III.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号104のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、
IV.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号105のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、
V.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号106のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、
VI.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号140のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域
を含む。
【0018】
第一から第五のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、
(i)配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(ii)配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(iii)配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(iv)配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(v)配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(vi)配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(vii)配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(viii)配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(ix)配列番号86のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(x)配列番号86のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む。
【0019】
第一から第五のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、
i.配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ii.配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号126のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iii.配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iv.配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
v.配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号126のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
vi.配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
vii.配列番号123のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
viii.配列番号123のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号139のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ix.配列番号124のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖
を含む。
【0020】
第一から第五のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、1回以上の静脈内用量(群)で投与される。関連した実施態様では、1回以上の静脈内用量(群)のそれぞれが、210mg、300mg、350mg、450mg、600mg、700mg、750mg、800mg、又は900mgの該抗IL-36R抗体を含む。
【0021】
第一から第五のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、抗IL-36R抗体は、1回の静脈内用量で投与される。上記のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、抗IL-36R抗体は、患者の体重1kgあたり約10mgの1回の静脈内用量で投与される。上記のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、抗IL-36R抗体は、210mgの1回の静脈内用量で投与される。上記のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、抗IL-36R抗体は、300mgの1回の静脈内用量で投与される。上記のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、抗IL-36R抗体は、350mgの1回の静脈内用量で投与される。上記のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、抗IL-36R抗体は、450mgの1回の静脈内用量で投与される。上記のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、抗IL-36R抗体は、600mgの1回の静脈内用量で投与される。上記のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、抗IL-36R抗体は、700mgの1回の静脈内用量で投与される。上記のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、抗IL-36R抗体は、750mgの1回の静脈内用量で投与される。上記のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、抗IL-36R抗体は、800mgの1回の静脈内用量で投与される。上記のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、抗IL-36R抗体は、850mgの1回の静脈内用量で投与される。上記のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、抗IL-36R抗体は、900mgの1回の静脈内用量で投与される。
【0022】
第一から第五のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、1回、2回又は3回の静脈内用量(群)が投与される。上記のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、2回又は3回の静脈内用量(群)が、2、4、6、8、10、又は12週間隔で投与される。
【0023】
第一から第五の上記のいずれかの実施態様又は態様に関連した別の実施態様では、投与により、以下:
(a)1週目の汎発性膿疱性乾癬に対する総合評価(GPPGA)のスコアが0又は1;
(b)1週目のGPPGA膿疱形成サブスコアが0(これは、目に見える膿疱が全くないことを示す);
(c)4週目の汎発性膿疱性乾癬の乾癬面積及び重症度指標(GPPASI)が75;
(d)4週目の疼痛視覚的アナログスケール(VAS)スコアのベースラインからの変化;
(e)4週目の乾癬症状尺度(PSS)スコアのベースラインからの変化;
(f)4週目の慢性疾患治療・疲労の機能評価(FACIT)スコアのベースラインからの変化;
(g)4週目のGPPGAが0又は1;
(h)4週目のGPPGAの膿疱形成サブスコアが0(これは、目に見える膿疱が全くないことを示す);
(i)1週目及び4週目のGPPASIが50;又は
(j)1週目及び4週目のGPPASIの膿疱、紅斑、又は鱗屑の重症度サブスコアのベースラインからの変化
の中の1つ以上の有効性評価項目が得られる。
【0024】
上記の実施態様に関連した別の実施態様では、投与に応答した患者の比率は、プラセボ患者と比較して、評価項目(a)~(j)の1つ以上について、統計学的に有意により高い。
【0025】
第六の態様では、本発明は、第一から第五のいずれかの態様又は上記の実施態様に記載の抗IL-36R抗体の1回以上の静脈内用量(群)で処置された患者における、汎発性膿疱性乾癬フレアの再発を予防する方法に関し、該方法は、予防有効量の抗IL-36R抗体を1回以上の皮下用量で患者に投与する工程を含む。
【0026】
第七の態様では、本発明は、第一から第五のいずれかの態様又は上記の実施態様に記載の抗IL-36R抗体の1回以上の静脈内用量(群)で処置された患者における、汎発性膿疱性乾癬に対する総合評価(GPPGA)スコア0を達成する方法に関し、該方法は、有効量の抗IL-36R抗体を1回以上の皮下用量で患者に投与する工程を含む。
【0027】
第八の態様では、本発明は、第一から第五のいずれかの態様又は上記の実施態様に記載の抗IL-36R抗体の1回以上の静脈内用量(群)で処置された患者における、汎発性膿疱性乾癬症状の完全寛解を達成する方法に関し、該方法は、有効量の抗IL-36R抗体を1回以上の皮下用量で患者に投与する工程を含み、ここでの汎発性膿疱性乾癬症状は、膿疱、紅斑、又は鱗屑を含み、完全な寛解はGPPGAスコア0を含む。
【0028】
第六から第八のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、1回以上の皮下用量はそれぞれ、150mg、225mg、300mg、450mg、又は600mgの該抗IL-36R抗体を含む。
【0029】
第六から第八のいずれかの態様に関連した1つの実施態様又は関連した実施態様(群)では、1回、2回、3回又はそれ以上の皮下用量が患者に投与され、ここでの初回の皮下用量は、最後の静脈内用量の後に投与される。
【0030】
第六から第八のいずれかの態様に関連した1つの実施態様又は関連した実施態様(群)では、初回の皮下用量は、最後の静脈内用量が投与された2~8週間後、4~6週間後、2週間後、4週間後、6週間後、又は8週間後に投与され、2回目の皮下用量は、前記の初回の皮下用量が投与された4、6、8、10、又は12週間後に投与される。
【0031】
第六から第八のいずれかの態様に関連した1つの実施態様又は関連した実施態様(群)では、患者の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%は、処置の12、24、36、48、60、又は72週間目に、0又は1のGPPGAスコアによって判断されるように臨床的に寛解したままである。
【0032】
第六から第八のいずれかの態様に関連した1つの実施態様又は関連した実施態様(群)では、患者の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%は、処置の12、24、36、48、60、又は72週間目に、ベースラインからのGPPASIの変化によって判断されるように臨床的に寛解したままである。
【0033】
第六から第八のいずれかの態様に関連した1つの実施態様又は関連した実施態様(群)では、患者の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%は、処置の12、24、36、48、60、又は72週間目にベースラインからのGPPASIの膿疱、紅斑、又は鱗屑の重症度サブスコアの変化によって判断されるように臨床的に寛解したままである。関連した実施態様では、投与に応答した患者の比率は、プラセボ患者と比較して、列挙された評価項目のいずれかについて、統計学的に有意により高い。
【0034】
第九の態様では、本発明は、第一から第五の態様及びそれらの関連した実施態様に記載の、治療有効量の1回以上の静脈内用量(群)の抗IL-36R抗体、続いて、1回以上の皮下用量(群)の抗IL-36R抗体を患者に投与する工程を含む、患者における汎発性膿疱性乾癬を処置する方法に関する。
【0035】
第九の態様に関連した1つの実施態様では、1回又は2回又は3回の静脈内用量(群)の抗IL-36R抗体の後に、1回又は2回又は3回の皮下用量(群)の抗IL-36R抗体が続く。
【0036】
第九の態様に関連した1つの実施態様では、1回の静脈内用量(群)の抗IL-36R抗体の後に、1回又は2回又は3回の皮下用量(群)の抗IL-36R抗体が続く。
【0037】
第九の態様に関連した1つの実施態様では、2回の静脈内用量(群)の抗IL-36R抗体の後に、1回又は2回又は3回の皮下用量(群)の抗IL-36R抗体が続く。
【0038】
第九の態様に関連した1つの実施態様では、3回の静脈内用量(群)の抗IL-36R抗体の後に、1回又は2回又は3回の皮下用量(群)の抗IL-36R抗体が続く。
【0039】
第九の態様に関連した1つの実施態様及びその関連する実施態様では、1回以上の静脈内用量(群)のそれぞれが、210mg、300mg、350mg、450mg、600mg、700mg、750mg、800mg、850mg、又は900mgの抗IL-36R抗体を含み、1回以上の皮下用量(群)のそれぞれが、150mg、225mg、300mg、450mg、又は600mgの抗IL-36R抗体を含む。関連した実施態様では、静脈内用量は、2、4、6、8、10、又は12週間隔で投与され、皮下用量は、4、6、8、10、又は12週間隔で投与され、初回の皮下用量は、最後の静脈内用量が投与された2~8週間後、4~6週間後、2週間後、4週間後、6週間後、又は8週間後に投与される。
【0040】
上記のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、静脈内用量(群)の後に、1回以上の皮下用量(群)が続いてもよい。
【0041】
上記のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片(本明細書に開示されている)は、本発明の態様のいずれか1つに従って、哺乳動物又は患者に投与するための、安定な医薬製剤(2019年3月8日に出願された同時係属中の米国仮特許出願番号第62/815,405号(この全内容はここに、その全体の参照により本明細書に組み入れられる)に記載のような)中に安定に存在する。
【0042】
1つの実施態様では、本明細書に記載のいずれかの態様に記載の処置法は、約20mg/mLから約150mg/mLの抗IL-36R抗体(本明細書に開示されている)、約20mM~約80mMの薬学的に許容される緩衝液(例えば酢酸緩衝液)、約100mM~約250mMの薬学的に許容される等張化剤(例えばショ糖)、約0mM~約80mMの薬学的に許容される安定化剤(例えばアルギニン)、又は薬学的に許容されるその塩、約0~約150mMの薬学的に許容される塩(例えば塩化ナトリウム)、及び約0g/L~約1.5g/Lの量の薬学的に許容される界面活性剤(例えばポリソルベート20)を含む、治療量の安定な医薬製剤を哺乳動物又は患者に投与する工程を含み、ここで、患者における汎発性膿疱性乾癬(GPP)が処置されるか、又は患者における中等度から重度の汎発性膿疱性乾癬が処置されるか、又は患者における急性期の汎発性膿疱性乾癬の突発の徴候及び症状が低減若しくは軽減されるか、又は患者における汎発性膿疱性乾癬フレアの重症度及び持続時間が低減されるか、又は患者における急性汎発性膿疱性乾癬に伴う皮膚障害が処置されるか、又は患者における汎発性膿疱性乾癬フレアが予防若しくは抑制されるか、又は患者における汎発性膿疱性乾癬に対する総合評価(GPPGA)のスコア0が達成されるか、又は患者における汎発性膿疱性乾癬症状の完全寛解が達成される。関連した実施態様では、安定な医薬製剤は、水性医薬製剤である。関連した実施態様では、水性医薬製剤のpHは約5~約7である。関連した実施態様では、医薬製剤は、哺乳動物又は患者への静脈内投与用である。関連した実施態様では、医薬製剤は、哺乳動物又は患者への皮下投与用である。関連した実施態様では、静脈内投与用の医薬製剤は、約60mg/mLの量の抗IL-36R抗体を含む。関連した実施態様では、皮下投与用の医薬製剤は、約150mg/mLの量の抗IL-36R抗体を含む。
【0043】
第十の態様では、本発明は、
(a)患者から生物学的試料を得る工程(ここでの、生物学的試料は、皮膚病変部又は全血を含む入手源から得られる);
(b)1つ以上の遺伝子の遺伝子発現プロファイルを決定する工程;
(c)第一から第五の態様に関連したいずれかの実施態様に記載の抗IL-36R抗体の有効量を患者に投与する工程
を含む。
【0044】
第十の態様に関連した1つの実施態様では、1つ以上の遺伝子は、皮膚病変部ではIL12B、IL1B、IL6、CXCL1、IL23A、TNF、IL17C、IL24、又はIL1Bであり、全血ではIL1B、S100A9、S100A12、S100A8、MMP25、MMP9、又はCD177である。
【0045】
本発明の追加の特色及び利点は、以下の説明に示され、一部は、該説明から明らかであるか、又は本願の技術の実践によって学習され得る。前記の全般的な説明及び以下の詳細な説明は両方共に、例示のため及び説明のためのものであり、特許請求されているような本発明のさらなる説明を提供するものであることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
添付図面(これは本発明のさらなる理解をもたらすために含まれ、本明細書に取り込まれ、本明細書の一部を構成する)は本願の技術の態様を説明し、該添付図面は説明と一緒に、本発明の原理を説明する役割を果たす。
図1A図1は、20週目までの本発明の抗IL-36R抗体による処置を用いた臨床応答の変化を示す;パネルAは、汎発性膿疱性乾癬に対する医師総合評価(GPPGA)スコア0(消失)又は1(ほぼ消失)が達成された患者の比率を示す;パネルBは、汎発性膿疱性乾癬の面積及び重症度指標(GPPASI)のベースラインからの変化率を示す;パネルCは、膿疱の消失(GPPASIの膿疱の構成要素の重症度スコアに基づく)が達成された患者の比率を示す。分析は、少なくとも1つの入手可能なベースライン後の数値を有する全患者を含む。1人の患者は、「疼痛」の処置のために4週目以後にメトトレキサートの投与を受け、それ故、12週目及び20週目におけるデータは除外されている(GPPGA及び膿疱消失に関して無応答に設定されている)。1週目までに、IL36RN突然変異を有する3人中2人の患者が、GPPGA0又は1を達成し;4週目までに、3人全ての患者が、GPPGA0又は1を達成した。2週目に、1人の患者についてのGPPGAスコアが欠損していた。
図1B図1は、20週目までの本発明の抗IL-36R抗体による処置を用いた臨床応答の変化を示す;パネルAは、汎発性膿疱性乾癬に対する医師総合評価(GPPGA)スコア0(消失)又は1(ほぼ消失)が達成された患者の比率を示す;パネルBは、汎発性膿疱性乾癬の面積及び重症度指標(GPPASI)のベースラインからの変化率を示す;パネルCは、膿疱の消失(GPPASIの膿疱の構成要素の重症度スコアに基づく)が達成された患者の比率を示す。分析は、少なくとも1つの入手可能なベースライン後の数値を有する全患者を含む。1人の患者は、「疼痛」の処置のために4週目以後にメトトレキサートの投与を受け、それ故、12週目及び20週目におけるデータは除外されている(GPPGA及び膿疱消失に関して無応答に設定されている)。1週目までに、IL36RN突然変異を有する3人中2人の患者が、GPPGA0又は1を達成し;4週目までに、3人全ての患者が、GPPGA0又は1を達成した。2週目に、1人の患者についてのGPPGAスコアが欠損していた。
図1C図1は、20週目までの本発明の抗IL-36R抗体による処置を用いた臨床応答の変化を示す;パネルAは、汎発性膿疱性乾癬に対する医師総合評価(GPPGA)スコア0(消失)又は1(ほぼ消失)が達成された患者の比率を示す;パネルBは、汎発性膿疱性乾癬の面積及び重症度指標(GPPASI)のベースラインからの変化率を示す;パネルCは、膿疱の消失(GPPASIの膿疱の構成要素の重症度スコアに基づく)が達成された患者の比率を示す。分析は、少なくとも1つの入手可能なベースライン後の数値を有する全患者を含む。1人の患者は、「疼痛」の処置のために4週目以後にメトトレキサートの投与を受け、それ故、12週目及び20週目におけるデータは除外されている(GPPGA及び膿疱消失に関して無応答に設定されている)。1週目までに、IL36RN突然変異を有する3人中2人の患者が、GPPGA0又は1を達成し;4週目までに、3人全ての患者が、GPPGA0又は1を達成した。2週目に、1人の患者についてのGPPGAスコアが欠損していた。
図2図2は、20週目までのGPPASI50/75/90応答率を示す。この図では、汎発性膿疱性乾癬の面積及び重症度指標(GPPASI50、75又は90)の50%、75%又は90%を超える減少を達成した患者の比率が経時的に示されている。分析は、少なくとも1つの入手可能なベースライン後の数値を有する全患者を含む。1人の患者は、「疼痛」の処置のために4週目以後にメトトレキサートの投与を受け、それ故、12週目及び20週目におけるデータは無応答に設定されている。
図3A図3は、20週目までのGPPASIサブスコアを示す。この図では、膿疱(パネルA)、紅斑(パネルB)及び鱗屑(パネルC)についての汎発性膿疱性乾癬の面積及び重症度指標(GPPASI)重症度サブスコアの個々の及び平均の変化率が示されている。分析は、少なくとも1つの入手可能なベースライン後の数値を有する全患者を含む。1人の患者は、「疼痛」の処置のために4週目以後にメトトレキサートの投与を受け、それ故、12週目及び20週目におけるデータは除外されている。
図3B図3は、20週目までのGPPASIサブスコアを示す。この図では、膿疱(パネルA)、紅斑(パネルB)及び鱗屑(パネルC)についての汎発性膿疱性乾癬の面積及び重症度指標(GPPASI)重症度サブスコアの個々の及び平均の変化率が示されている。分析は、少なくとも1つの入手可能なベースライン後の数値を有する全患者を含む。1人の患者は、「疼痛」の処置のために4週目以後にメトトレキサートの投与を受け、それ故、12週目及び20週目におけるデータは除外されている。
図3C図3は、20週目までのGPPASIサブスコアを示す。この図では、膿疱(パネルA)、紅斑(パネルB)及び鱗屑(パネルC)についての汎発性膿疱性乾癬の面積及び重症度指標(GPPASI)重症度サブスコアの個々の及び平均の変化率が示されている。分析は、少なくとも1つの入手可能なベースライン後の数値を有する全患者を含む。1人の患者は、「疼痛」の処置のために4週目以後にメトトレキサートの投与を受け、それ故、12週目及び20週目におけるデータは除外されている。
図4図4は、4週目までのFACIT-Fのベースラインからの変化を示す。経時的なFACIT-Fスコアのベースラインからの変化の平均値(SD)が示されている。分析は、少なくとも1つの入手可能なベースライン後の数値を有する全患者を含む。FACIT-F=慢性疾患治療・疲労の機能評価;SD=標準偏差。
図5図5は、4週目までの疼痛-VASのベースラインからの変化を示す。経時的な疼痛-VASのベースラインからの変化の平均値(SD)が示されている。分析は、少なくとも1つの入手可能なベースライン後の数値を有する全患者を含む。SD=標準偏差;VAS=視覚的アナログスケール。N=6。
図6図6は、4週目までのPSSのベースラインからの変化を示す。経時的なPSSのベースラインからの変化の平均値(SD)が示されている。分析は、少なくとも1つの入手可能なベースライン後の数値を有する全患者を含む。PSS=乾癬症状尺度;SD=標準偏差。
図7図7は、4週目までのCRPのベースラインからの変化を示す。経時的なCRPのベースラインからの変化の平均値(SD)が示されている。CRP=C反応性タンパク質;SD=標準偏差。
図8図8は、4週目までの好中球の絶対数を示す。経時的な好中球の絶対数が示されている。分析は、少なくとも1つの入手可能なベースライン後の数値を有する全患者を含む。SD=標準偏差。
図9-1】図9は、実施例2に考察されているような試験デザインを示す。
図9-2】図9は、実施例2に考察されているような試験デザインを示す。
【0047】
発明の詳細な説明
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解をもたらすために、数多くの具体的な詳細が示されている。しかしながら、当業者には、本願の技術は、これらの中のいくつかの具体的な詳細を用いなくても実践され得ることが明らかであろう。他の場合では、本発明を明瞭にするために、周知の構造及び技術は詳細に示されてない。
【0048】
「態様」などの語句は、このような態様が、本発明にとって必須であることを、又はこのような態様が本願の技術の全ての構成に当てはまることを意味するものではない。態様に関連した開示は、全ての構成又は1つ以上の構成に当てはまり得る。態様は、開示の1つ以上の例を提供し得る。「態様」などの語句は1つ以上の態様を指し得、逆もそうである。「実施態様」などの語句は、このような実施態様が本願の技術にとって必須であることを、又はこのような実施態様が本願の技術の全ての構成に当てはまることを意味するものではない。実施態様に関連した開示は、全ての実施態様又は1つ以上の実施態様に当てはまり得る。実施態様は、開示の1つ以上の例を提供し得る。
【0049】
本発明者らは驚くべきことにとりわけ、本発明の1回量のヒト化抗インターロイキン-36R(抗IL-36R)モノクローナル抗体を用いてのインターロイキン-36経路の阻害により、急性汎発性膿疱性乾癬患者における急速かつ持続的な臨床症状の寛解がもたらされ、1回量の投与から20週間、GPPフレアの再発は全く観察されなかったことを発見した。
【0050】
それ故、本発明は、汎発性膿疱性乾癬(GPP)並びにその兆候及び症状の治療及び/又は予防のための組成物及び方法に関する。より具体的には、本発明は、本発明の抗IL36R抗体又はその抗原結合断片を用いての、哺乳動物における中等度から重度のGPP、急性GPP、慢性GPP、及び/又はGPPフレアを治療及び/又は予防するための組成物及び方法に関する。該組成物及び該方法は、治療有効量の抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を哺乳動物に投与する工程を含み、ここでの抗IL-36R抗体は1回の静脈内用量で投与される。1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、1回以上の静脈内用量(この後に場合により、1回以上の皮下用量が続く)で投与される。
【0051】
この理論に拘りたくはないが、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片はヒト抗IL-36Rに結合し、よって、IL-36アゴニストの結合に干渉し、そのようにすることで、IL-36Rから炎症メディエーターへのシグナル伝達カスケードを少なくとも部分的に遮断すると考えられている。本発明の抗IL-36R抗体は、米国特許第9,023,995号又は国際公開公報第2013/074569号に開示され、その各々の全内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0052】
様々な重症度の急性GPPフレアが大半の患者において起こり、特発性であり得るか、あるいは、感染、副腎皮質ステロイドの使用若しくは退薬、ストレス、又は妊娠などの外的刺激によってトリガーされ得る。中等度から重度のGPPフレアは、圧痛のある皮膚病変、極度の疲労、高熱、末梢血中好中球増加、及び急性期応答及び敗血症に因り、かなりの罹患率及び死亡率を引き起こす。急性期は、10日間の平均入院期間(3~44日間の範囲)を伴う。マレーシアのジョホールにある第三次医療機関で見られる102症例のGPPを用いての後向き試験で報告され7%であると観察された死亡率は過小評価であるようである。なぜなら、全てのGPP患者が、試験に含まれていなかったからである。死亡率はまた、GPPとして死因を同定していなかったために過小評価されているようであり、これは主に、感染合併症及び真皮外の臓器の徴候、例えば腎不全、肝不全、呼吸器不全、及び心不全によって引き起こされる。処置に対して応答した後又は自然にフレアが収まった後に、最大50%の患者が、持続性紅斑及び鱗屑(これは関節症状も含み得る)によって特徴付けられる慢性的なGPPに罹患している可能性があると推定されている。
【0053】
上記の限界に基づき、現在の治療選択肢は、生涯にわたる処置には適さず、大半の患者において持続的応答をもたらさない。それ故、(i)急性GPPフレアを呈する患者のための急速な作用開始を示す非常に効果的な処置を開発する、及び(ii)フレアの発生を確実に予防し、かつ生涯にわたる処置でも安全かつ耐容性がある、慢性GPPの効果的な処置を開発する高いニーズがある。
【0054】
von Zumbuschによって記載されているようなGPPフレアの古典的症状は、IL-36Rシグナル伝達経路の多形に強く相関している。内因性IL36R拮抗因子(IL-36RN)をコードしているIL36RN遺伝子の機能欠失突然変異を有する個体は、劇的に高いGPP発症率を示し、このことはIL36RN拮抗作用の欠陥に起因する、IL36シグナル伝達のアップレギュレーションが制御されないことにより、GPPに観察される炎症症状の発現がもたらされることを示す。ヒトの遺伝子研究は、IL36RNの機能欠失突然変異を有し、その結果、IL36Rシグナル伝達が制御されていない家族におけるGPPクラスターの発生を実証した。CARD14などのIL36経路に連鎖した他の遺伝子の突然変異もGPPに至る。最近公表された遺伝子発現研究は、好中球によるケモカイン発現、浸潤、及び膿疱形成を誘発する、GPPにおけるIL-1及びIL-36の持続的な活性化を示し、このことは、IL-1/IL-36炎症系が、GPPにおける疾患病態の強力な駆動因子であることを示唆する。さらに、近年のメタ分析では、233個の公表されているGPP症例を調べた。233中49(21.0%)の症例が、劣性IL36RN対立遺伝子を有していることが判明した。そうした49個の劣性IL36RN対立遺伝子は、早期発症及び高いリスクの全身炎症によって特徴付けられるGPP表現型を規定した。
【0055】
IL36Rは、皮膚及び腸における炎症応答に関与している細胞表面受容体である。それは、IL1Rアクセサリータンパク質とヘテロ二量体複合体を形成している、IL1Rファミリーの新規メンバーである。刺激性リガンド(IL36α、IL36β、IL36γ)及び抑制性リガンド(IL36Ra)を含むヘテロ二量体IL36R系は、IL1/IL1Rファミリーの他のメンバー、例えばIL1、IL18、及びIL33(R17-3602)と多くの構造的及び機能的類似性を共有する。全てのIL1ファミリーメンバー(IL1α、IL1β、IL18、IL36α、IL36β、IL36γ、及びIL38)は、特有な同族の受容体タンパク質を通してシグナルを伝達し、この受容体タンパク質にリガンドが結合すると、共通のIL1RacPサブユニットを動員し、受容体陽性細胞型におけるNFκB及びMAPキナーゼ経路を活性化する。ヒト皮膚組織では、IL36Rは、角化細胞、皮膚線維芽細胞、及び浸潤性骨髄系細胞に発現されている。皮膚組織におけるIL36R活性化は、炎症性メディエーター(例えばCCL20、MIP-1β、TNF-α、IL12、IL17、IL23、TGF-β)の産生を駆動し、組織リモデリング遺伝子(例えばマトリックスメタロプロテイナーゼ、TGF-β)の発現を調節する。それ故、GPPとIL36RNの突然変異との間の連鎖は、インターロイキン-1受容体拮抗因子の欠如によって引き起こされる、十分に確立されている新生児発症型の無菌性多巣性骨髄炎、骨膜炎、及び膿疱症に幾分類似している。この場合、受容体拮抗因子の欠如により、インターロイキン-1の作用に拮抗できなくなり、その結果、皮膚及び骨における発症と共に、生命を脅かす全身炎症が起こる。これらの臨床的特色は、組換え型インターロイキン-1受容体アンタゴニストのアナキンラを用いての経験的な処置に対して応答した。
【0056】
I.定義
「約」という用語は一般的に、測定の性質又は精度を考えれば、測定された量についての許容される誤差又は変動の程度を意味する。典型的には、例示的な誤差又は変動の程度は、所与の数値又は所与の数値の範囲の5%以内又は3%以内又は1%以内である。例えば、「約100」という表現は、105及び95、又は103及び97、又は101及び99、並びにその間の全ての数値(例えば、95~105の範囲では95.1、95.2など;又は97~103の範囲では97.1又は97.2など;99~101の範囲では99.1、99.2など)を含む。本明細書に示される数量は、特記されない限り概算であり、このことは、「約」という用語が、明確に記述されていない場合には推論され得ることを意味する。
【0057】
「医薬製剤」又は「製剤」は、活性な薬物又は薬剤を化学物質と配合して最終医薬品又は医療品を生産するプロセスを指すだけでなく、プロセスの製品も指し、それ故、最終製剤は、液剤、散剤、又は組成物などの医薬品も指す。それ故、1つの実施態様では、医薬製剤は医薬組成物である。
【0058】
「医薬組成物」は、本文の文脈では、活性成分(群)の生物学的活性が疑う余地なく効果的であることを可能とするような剤形であり、かつ該組成物が投与されるであろう被験者に対して有意に毒性である追加の成分を全く含有していない、液剤又は散剤を指す。このような組成物は無菌である。「散剤」は、非経口使用のための、フリーズドライすなわち凍結乾燥された又は噴霧乾燥された医薬組成物を指す。散剤は、典型的には水で復元されるか水中に溶解される。凍結乾燥は、製品を凍結させ、気圧を下げ、その後、昇華によって氷を除去することを含む、低温脱水プロセスである。フリーズドライの結果、加工処理に使用される低温のために、高品質の製品が得られる。良好に開発された凍結乾燥製剤では、製品の形状及び外見は時間が経過しても維持され、再水和製品の品質も優れている。噴霧乾燥は、高温ガスを用いて、一定した粒径の分布を達成する目標をもって、迅速に乾燥させることによって、液体又はスラリーから乾燥散剤を生成する別の方法である。
【0059】
本明細書において使用する「静脈内用量」、「皮下用量」という用語は、抗IL-36R抗体の投与の時系列を指す。したがって、「静脈内用量」は、処置処方計画の開始時に投与される用量である(「ベースライン用量」とも称される);それは「初回用量」又は「誘導用量」とも称され得る。「皮下用量」は、静脈内用量の後に投与される用量であり、これは「その後の用量」又は「維持用量」とも称され得る。静脈内用量、皮下用量は、同じ量の抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含有していてもよいが、一般的に、投与される抗体量又は投与頻度の点で互いに異なっていてもよい。1つの実施態様では、静脈内用量は、皮下用量と同等であるか又はより多い。「静脈内用量」は、「初回用量」又は「誘導用量」とも互換的に称され得るが、これは1回量であっても、又は代替的には1セットの用量であってもよい。皮下用量は、「その後の用量」又は「維持用量」とも称され得るが、これは1回の投与量であっても、又は代替的には1セットの投与量であってもよい。
【0060】
特定の実施態様では、誘導用量/初回用量/静脈内用量及び維持用量/その後の用量/皮下用量に含有される抗IL-36R抗体の量は、処置の経過中に互いに異なる。特定の実施態様では、1回以上の初回用量/誘導用量/静脈内用量は各々、1回目の量の抗体又はその抗原結合断片を含み、1回以上の維持用量/その後の用量/皮下用量は各々、2回目の量の抗体又はその抗原結合断片を含む。いくつかの実施態様では、1回目の量の抗体又はその断片は、2回目又はその後の抗体又はその抗原結合断片の量の1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、又は5倍である。特定の実施態様では、1回以上(例えば1回、2回、3回、4回又は5回以上)の初回用量が、処置処方計画の開始時に「負荷用量」又は「先導用量」として投与され、その後、より低い頻度で投与されるその後の用量(例えば「維持用量」)が続く。1つの実施態様では、静脈内用量、誘導用量又は初回用量は、約210mg、300mg、350mg、450mg、600mg、700mg、750mg、800mg、850mg、又は900mgの抗IL-36R抗体である。1つの実施態様では、皮下用量、維持用量又はその後の用量は、約150mg、225mg、又は300mgである。別の実施態様では、皮下用量又は維持用量又はその後の用量は、静脈内用量、誘導用量又は初回用量から少なくとも2週間後に投与される。
【0061】
本明細書において使用する「緩衝液」は、その酸-塩基コンジュゲート成分の作用によって、pHの変化に抵抗する緩衝化溶液を指す。本明細書の「pH」は、室温における組成物の酸性度又は塩基性度を指す。組成物のpHを測定する標準的な方法は、当業者には公知である。典型的には、pHの測定は、機器を検量し、電極を十分に混合された試料に入れ、その後、pHメーターから直接pHを読むことからなる。本発明の例示的な緩衝液としては、酢酸塩、クエン酸塩、ヒスチジン、コハク酸塩、リン酸塩及びトリスが挙げられる。
【0062】
本明細書において使用する「等張化剤(tonicifying agent)」又は「等張剤」又は「等張化剤(tonicifyer)」という用語は、塩(例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム)又は糖(例えばショ糖、トレハロース、ソルビトール、硫酸マグネシウム(MgSO)、グリセロール、マンニトール又はデキストロース)をはじめとする、生体内の血清と同等な浸透圧を与える物質を指す。さらに、溶液中に存在する糖は、タンパク質のための凍結保護剤として作用し、これは、薬物が損傷されることなく凍結することを可能とする。これは、凍結形での配送、及び医療品の充填前の薬物の長期保存を可能とする。本発明の例示的な等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム(塩)及び/又はショ糖、トレハロース、ソルビトール、硫酸マグネシウム(MgSO)、グリセロール、マンニトール又はデキストロース(糖)が挙げられる。
【0063】
本明細書において使用する「安定剤」すなわち「安定化剤」という用語は、医薬製剤中の活性成分の安定性に寄与する物質を指す。本発明の例示的な安定化剤としては、アルギニン、ヒスチジン、グリシン、システイン、プロリン、メチオニン、リジン、又は薬学的に許容されるその塩が挙げられる。
【0064】
本明細書において使用する「界面活性剤」という用語は、それらが溶解している液体の表面張力を低下させる傾向のある物質を指す。本発明の例示的な界面活性剤としては、ポロキサマー188、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、又はポリソルベート80が挙げられる。
【0065】
「抗体」、「抗IL-36R抗体」、「ヒト化抗IL-36R抗体」、「ヒト化抗IL-36Rエピトープ抗体」及び「変異ヒト化抗IL-36Rエピトープ抗体」という用語は具体的には、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異的抗体(例えば二重特異的抗体)、N末端及び/又はC末端の切断短縮などの小さな修飾を有する抗体、並びに抗体断片、例えば可変ドメイン、及び所望の生物学的活性(例えばIL-36Rとの結合)を示す他の抗体部分を包含する。
【0066】
「モノクローナル抗体」(mAb)という用語は、非常に特異的で、単一の抗原決定基である「エピトープ」に対して指向される抗体を指す。それ故、「モノクローナル」という修飾語は、同一のエピトープに対して指向される抗体を示し、いずれかの特定の方法による抗体の作製を必要とすると解釈されるものではない。モノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ法(Kohler et al., 1975, Nature 256:495)又は当技術分野において公知である組換えDNA法(例えば米国特許第4,816,567号参照)又はClackson et al., 1991, Nature 352: 624-628及びMarks et al., 1991, J. Mol. Biol. 222: 581-597に記載の技術を使用して、ファージ抗体ライブラリーを使用して、組換え産生されたモノクローナル抗体の単離法をはじめとする、当技術分野において公知の任意の技術又は方法によって作製され得ることが理解されるべきである。
【0067】
「モノマー」という用語は、均質形の抗体を指す。例えば、完全長抗体では、モノマーは、2本の同一な重鎖と2本の同一な軽鎖とを有するモノマー抗体を意味する。
【0068】
キメラ抗体は、ある種(例えば非ヒト哺乳動物、例えばマウス)に由来する抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域と、別の種(例えばヒト)の抗体の重鎖及び軽鎖の定常領域からなり、これは、第一の種(例えばマウス)に由来する抗体の可変領域をコードしているDNA配列を、第二(例えばヒト)の種に由来する抗体の定常領域のDNA配列に連結させ、宿主を、連結させた配列を含有している発現ベクターで形質転換することにより、該宿主がキメラ抗体を産生することを可能とすることによって得ることができる。あるいは、キメラ抗体はまた、重鎖及び/又は軽鎖の1つ以上の領域又はドメインが、別の免疫グロブリンクラス若しくはアイソタイプに由来するか、又は共通配列若しくは生殖系列配列に由来する、モノクローナル抗体内の対応する配列と同一であるか、相同であるか、又はその変異体であるものでもあり得る。キメラ抗体は、このような抗体の断片を含み得る。ただし、該抗体断片は、その親抗体の所望の生物学的活性、例えば同じエピトープへの結合を示す(例えば、米国特許第4,816,567号;及びMorrison et al., 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81: 6851-6855参照)。
【0069】
「抗体断片」、「抗IL-36R抗体断片」、「抗IL-36Rエピトープ抗体断片」、「ヒト化抗IL-36R抗体断片」、「ヒト化抗IL-36Rエピトープ抗体断片」、「変異ヒト化抗IL-36Rエピトープ抗体断片」という用語は、可変領域又は機能、例えばIL-36Rエピトープへの特異的結合などが維持されている、完全長抗IL-36R抗体の一部を指す。
【0070】
抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)、Fd、Fv、scFv、及びscFv-Fc断片、ディアボディ、鎖状抗体、一本鎖抗体、ミニボディ、抗体断片から形成されたディアボディ、及び抗体断片から形成された多重特異的抗体が挙げられるがこれらに限定されない。
【0071】
「静脈内注入」という用語は、約15分間以上、一般的には約30~90分間の時間をかけた、動物又はヒト患者の静脈内への薬剤の導入を指す。
【0072】
「静脈内ボーラス」又は「静脈内プッシュ」という用語は、生体が約15分間以内、一般的には5分間以内に薬物を受けるような、動物又はヒトの静脈への薬物の投与を指す。
【0073】
「皮下投与」という用語は、動物又はヒト患者の皮膚下への、好ましくは皮膚と根底にある組織との間のポケット内への、薬物貯蔵所からの比較的緩徐で持続的な送達による、薬剤の導入を指す。皮膚をつまむか、又は皮膚を引き上げて根底にある組織から引き離すことにより、ポケットが作られ得る。
【0074】
「皮下注入」という用語は、30分以内、又は90分以内を含むがそれに限定されない時間をかけての、動物又はヒト患者の皮膚下への、好ましくは皮膚と根底にある組織との間のポケット内への、薬物貯蔵所からの比較的緩徐で持続的な送達による、薬物の導入を指す。場合により、注入は、動物又はヒト患者の皮膚下に埋め込まれた薬物送達ポンプの皮下埋め込みによって行なわれ得、ここでポンプは、予め決定された時間かけて、例えば30分間、90分間、又は処置計画の長さにおよぶ時間をかけて、予め決定された量の薬物を送達する。
【0075】
「皮下ボーラス」という用語は、動物又はヒト患者の皮膚下への薬物の投与を指し、ここでボーラス薬物送達は、約15分以内であり;別の態様では、5分以内であり、さらに別の態様では、60秒以内である。またさらなる別の態様では、投与は、皮膚と根底にある組織との間のポケット内であり、ここでポケットは、皮膚をつまむか又は皮膚を引き上げて根底の組織から引き離すことによって作られ得る。
【0076】
処置の目的のための「哺乳動物」という用語は、ヒト、飼い慣らされた動物及び家畜、並びに動物園用、スポーツ用、又はペット用の動物、例えばイヌ、ウマ、ネコ、ウシなどをはじめとする哺乳動物として分類される任意の動物を指す。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0077】
本明細書において使用する「処置」及び「療法」などという用語は、1つ以上の症状の軽減又は緩和、疾患若しくは障害の後退、緩徐化、又は休止を含むがこれらに限定されない、あらゆる臨床的に望ましいか又は有益な効果をもたらす、疾患又は障害についての治療的措置並びに予防的又は抑制的措置を含むことを意味する。したがって、例えば、処置という用語は、疾患又は障害の症状の発症前又は発症後の薬剤の投与を含み、これにより、疾患又は障害の1つ以上の兆候が予防又は除去される。別の例として、この用語は、疾患の臨床徴候後に薬剤を投与することにより、疾患の症状と戦うことを含む。さらに、発症後及び臨床症状が発生した後の薬剤の投与は(ここでは、処置により疾患の寛解がもたらされるか否かに関係なく、投与が、疾患又は障害の臨床パラメーター、例えば組織損傷度、又は転移の量若しくは程度に影響を及ぼす)、本明細書において使用する「処置」又は「療法」を含む。さらに、単独での又は別の治療剤と組み合わせた本発明の組成物が、ヒト化抗IL-36R抗体組成物を使用しない場合の症状と比較して、処置される障害の少なくとも1つの症状を軽減又は寛解する限り、結果は、障害の全ての症状が軽減されるか否かに関係なく、根底にある障害の効果的な処置であると判断されるべきである。
【0078】
「治療有効量」という用語は、処置される障害の1つ以上の症状を緩和又は寛解する活性物質の量を指すために使用される。別の態様では、治療有効量は、疾患の進行を緩徐化させる上で効果的であることが示された標的の血清中濃度を指す。効力は、処置しようとする容態に依存して、慣用的な方法で測定され得る。
【0079】
「予防有効量」という用語は、所望の予防結果を達成するのに必要とされる用量及び期間において、有効な量を指すために使用される。典型的には、予防用量は、GPPフレアの発症前に及び/又はGPPの症状の発症前に被験者において使用され、これにより、急性フレアの発生を予防又は抑制する。1つの実施態様では、本明細書において考えられる皮下用量は、静脈内用量後に、患者におけるGPPフレアの再発の可能性を予防するために、急性GPP患者において使用される予防用量である。
【0080】
「添付文書」という用語は、適応症、使用法、投与法、禁忌、及び/又はこのような治療用製品の使用に関する警告に関する情報を含有している、治療用製品の商業包装に慣例上含まれる説明書を指すために使用される。
【0081】
II.抗体
本発明の抗IL-36R抗体は、米国特許第9,023,995号又は国際公開公報第2013/074569号に開示され、その各々の全内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【0082】
1つの態様では、本明細書において抗IL-36R抗体、特にヒト化抗IL-36R抗体、並びに1つ以上の抗IL-36R抗体、特に本発明の1つ以上のヒト化抗IL-36R抗体を含む組成物及び製品が記載及び開示されている。また、抗IL-36R抗体、特にヒト化抗IL-36R抗体の抗原結合断片を含む結合物質も記載されている。
【0083】
作用機序
本発明の抗IL-36R抗体は、ヒトIL36Rのシグナル伝達を遮断する、ヒト化拮抗作用性モノクローナルIgG1抗体である。IL36Rに対する本発明の抗IL-36R抗体の結合は、上皮細胞/線維芽細胞/免疫細胞により媒介される炎症を低減させ、かつ汎発性膿疱性乾癬(GPP)における病的なサイトカイン産生を駆動する炎症応答を中断させる目的で、同族リガンド(IL36α、β及びγ)によるIL36Rのその後の活性化、並びに炎症誘発性経路及び線維化誘発性経路の下流活性化を防ぐことが期待される。本明細書において提供されているように、本発明の抗IL-36R抗体は試験され、制御されていないIL36活性によって駆動される、重度の炎症性皮膚疾患である、急性汎発性膿疱性乾癬(GPP)を有する患者を処置するのに効果的であることが判明した。
【0084】
IL-36Rは、IL-1RL2及びIL-1Rrp2としても知られている。拮抗作用を有するIL-36リガンド(α、β又はγ)は、IL-36受容体に関与し、その後、IL-1受容体アクセサリータンパク質(IL-1RAcP)とヘテロ二量体を形成することによってシグナル伝達カスケードを開始すると報告されている。IL-36拮抗リガンド(IL-36RA/IL1F5、IL-38/ILF10)は、シグナル伝達カスケードを抑制する。
【0085】
本発明のそれぞれの抗体の可変領域及びCDRは、以下に開示されている:
【0086】
抗IL-36Rマウス抗体配列
本発明の代表的なマウスリード抗体(マウスリード)の可変領域及びCDRが以下に示されている:
【0087】
【表1】

【0088】
【表2】
【0089】
【表3】




【0090】
【表4】


【0091】
抗IL-36Rヒト化抗体配列
マウスリードのためのヒトフレームワーク配列は、フレームワーク相同性、CDR構造、保存されている標準的残基、保存的な界面に充填している残基、及びヒト化可変領域を生じる他のパラメーターに基づいて選択された(実施例5参照)。
【0092】
抗体81B4及び73C5から誘導された代表的なヒト化可変領域が以下に示されている。
【0093】
【表5】

【0094】
【表6】

【0095】
上記に示された抗体81B4及び73C5から誘導されたヒト化可変領域に由来するCDR配列が以下に示されている。
【0096】
【表7】





【0097】
1つの態様では、本発明の可変領域は、定常領域に連結されている。例えば、本発明の可変領域は、以下に示された定常領域と連結して、抗体の重鎖又は軽鎖を形成している。
【0098】
【表8】
【0099】
【表9】
【0100】
本発明の代表的な軽鎖配列及び重鎖配列が以下に示されている(定常領域に連結された、抗体81B4及び73C5から誘導されたヒト化可変領域)。
【0101】
【表10】

【0102】
【表11】



【0103】
上記に列挙されたCDRは、Chothia番号付け体系(Al-Lazikani et al., (1997) JMB 273, 927-948)を使用して定義される。
【0104】
1つの態様では、本発明の抗体は、例えば上記に示されているような、3つの軽鎖CDRと3つの重鎖CDRとを含む。
【0105】
1つの態様では、本発明の抗体は、上記に示されているような、1つの軽鎖可変領域と1つの重鎖可変領域を含む。1つの態様では、本発明の軽鎖可変領域は、軽鎖定常領域、例えばκ又はλ定常領域に融合されている。1つの態様では、本発明の重鎖可変領域は、重鎖定常領域、例えばIgA、IgD、IgE、IgG又はIgM、特にIgG、IgG、IgG、又はIgGに融合されている。
【0106】
本発明は、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む、抗IL-36R抗体(抗体B1)を提供する。
【0107】
本発明は、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号126のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む、抗IL-36R抗体(抗体B2)を提供する。
【0108】
本発明は、配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む、抗IL-36R抗体(抗体B3)を提供する。
【0109】
本発明は、配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む、抗IL-36R抗体(抗体B4)を提供する。
【0110】
本発明は、配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号126のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む、抗IL-36R抗体(抗体B5)を提供する。
【0111】
本発明は、配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む、抗IL-36R抗体(抗体B6)を提供する。
【0112】
本発明は、配列番号123のアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む、抗IL-36R抗体(抗体C3)を提供する。
【0113】
本発明は、配列番号123のアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号139のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む、抗IL-36R抗体(抗体C2)を提供する。
【0114】
本発明は、配列番号124のアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む、抗IL-36R抗体(抗体C1)を提供する。
【0115】
本発明の代表的な抗体が以下に示されている。
【0116】
【表12】


【0117】
【表13】

【0118】
いくつかの態様では、ヒト化抗体は遮断活性を示し、これにより、IL-36受容体に対するIL-36リガンドの結合を、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%減少させる。IL-36受容体に対するIL-36リガンドの結合を遮断する抗体の能力は、当技術分野において公知である競合的結合アッセイを使用して測定され得る。あるいは、抗体の遮断活性は、IL-8、IL-6及び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の生成などの、IL-36の生物学的作用を評価し、IL-36受容体によって媒介されるシグナル伝達が阻害されるかどうかを決定することによって測定され得る。
【0119】
さらなる態様では、本発明は、好ましい生物物理学的特性を有するヒト化抗IL-36R抗体を提供する。1つの態様では、本発明のヒト化抗IL-36R抗体は、緩衝液中、少なくとも90%は単量体の形態で、又は少なくとも92%は単量体の形態で、又は少なくとも95%は単量体の形態で存在する。さらなる態様では、本発明のヒト化抗IL-36R抗体は、緩衝液中、1か月間又は4カ月間、少なくとも90%は単量体の形態、又は少なくとも92%は単量体の形態、又は少なくとも95%は単量体の形態のままである。
【0120】
1つの態様では、本発明のヒト化抗体は、抗体B1、抗体B2、抗体B3、抗体B4、抗体B5、抗体B6、抗体C1、抗体C2、又は抗体C3である。したがって、1つの実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号115の軽鎖配列と配列番号125の重鎖配列とを含む(抗体B1)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号115の軽鎖配列と配列番号126の重鎖配列とを含む(抗体B2)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号115の軽鎖配列と配列番号127の重鎖配列とを含む(抗体B3)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号118の軽鎖配列と配列番号125の重鎖配列とを含む(抗体B4)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号118の軽鎖配列と配列番号126の重鎖配列とを含む(抗体B5)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号118の軽鎖配列と配列番号127の重鎖配列とを含む(抗体B6)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号124の軽鎖配列と配列番号138の重鎖配列とを含む(抗体C1)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号123の軽鎖配列と配列番号139の重鎖配列とを含む(抗体C2)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号123の軽鎖配列と配列番号138の重鎖配列とを含む(抗体C3)。
【0121】
さらなる実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号115の軽鎖配列と配列番号125の重鎖配列からなる(抗体B1)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号115の軽鎖配列と配列番号126の重鎖配列からなる(抗体B2)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号115の軽鎖配列と配列番号127の重鎖配列からなる(抗体B3)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号118の軽鎖配列と配列番号125の重鎖配列からなる(抗体B4)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号118の軽鎖配列と配列番号126の重鎖配列からなる(抗体B5)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号118の軽鎖配列と配列番号127の重鎖配列からなる(抗体B6)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号124の軽鎖配列と配列番号138の重鎖配列からなる(抗体C1)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号123の軽鎖配列と配列番号139の重鎖配列からなる(抗体C2)。別の実施態様では、本発明のヒト化抗体は、配列番号123の軽鎖配列と配列番号138の重鎖配列からなる(抗体C3)。
【0122】
いくつかの実施態様では、ヒト化抗IL-36R抗体(その抗原結合断片、例えば重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む)は、抗体B1、抗体B2、抗体B3、抗体B4、抗体B5、抗体B6、抗体C1、抗体C2、又は抗体C3に由来する残基のアミノ酸配列を含む。
【0123】
さらなる実施態様では、本発明は、本発明の抗体、例えば抗体B1、抗体B2、抗体B3、抗体B4、抗体B5、抗体B6、抗体C1、抗体C2、又は抗体C3と競合してヒト抗IL-36Rに結合する、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を提供する。IL-36Rに競合的に結合する抗体又は抗原結合断片の能力は、当技術分野において公知である競合的結合アッセイを使用して測定され得る。
【0124】
ヒト化抗IL-36R抗体は場合により、共通領域又は生殖系列フレームワーク領域に特定のアミノ酸置換を含む。これらのフレームワークの位置におけるアミノ酸残基の特異的な置換は、ヒト生殖系列フレームワーク領域内への相補性決定領域(CDR)又は超可変ループ(HVL)の「直接交換」によって形成されたヒト化抗体において実証されたものを上回る、結合親和性及び/又は安定性をはじめとする抗体の性能の様々な側面を向上させることができる。
【0125】
いくつかの実施態様では、本発明は、配列番号1~10のいずれか1つに示されたアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を有する他のモノクローナル抗体を記載する。いくつかの実施態様では、本発明は、配列番号11~20のいずれか1つに示されたアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を有する他のモノクローナル抗体を記載する。ヒト共通重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインのFRへのこのようなCDRの配置により、本発明の有用なヒト化抗体が得られるだろう。
【0126】
特に、本発明は、配列番号1/11、2/12、3/13、4/14、5/15、6/16、7/17、8/18、9/19、10/20の軽鎖可変領域と重鎖可変領域の組合せを有するモノクローナル抗体を提供する。このような可変領域は、ヒト定常領域と組み合わせることができる。
【0127】
いくつかの実施態様では、本発明は、配列番号76~86のいずれか1つに示されたアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域配列を有する他のヒト化抗体を記載する。いくつかの実施態様では、本発明は、配列番号87~101のいずれか1つに示されたアミノ酸配列を有する重鎖可変領域配列を有する他のヒト化抗体を記載する。特に、本発明は、配列番号77/89、80/88、80/89、77/87、77/88、80/87、86/100、85/101、85/100の軽鎖可変領域と重鎖可変領域の組合せを有するモノクローナル抗体を提供する。このような可変領域は、ヒト定常領域と組み合わせることができる。
【0128】
さらなる実施態様では、本発明は、配列番号77のCDRと、配列番号77の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域とを含むヒト化軽鎖可変ドメイン、及び配列番号89のCDRと、配列番号89の重鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域とを含むヒト化重鎖可変ドメインを含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片に関する。1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。
【0129】
さらなる実施態様では、本発明は、配列番号80のCDRと、配列番号80の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域とを含むヒト化軽鎖可変ドメイン、及び配列番号88のCDRと、配列番号88の重鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域とを含むヒト化重鎖可変ドメインを含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片に関する。1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。
【0130】
さらなる実施態様では、本発明は、配列番号80のCDRと、配列番号80の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域とを含むヒト化軽鎖可変ドメイン、及び配列番号89のCDRと、配列番号89の重鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域とを含むヒト化重鎖可変ドメインを含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片に関する。1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。
【0131】
さらなる実施態様では、本発明は、配列番号77のCDRと、配列番号77の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域とを含むヒト化軽鎖可変ドメイン、及び配列番号87のCDRと、配列番号87の重鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域とを含むヒト化重鎖可変ドメインを含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片に関する。1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。
【0132】
さらなる実施態様では、本発明は、配列番号77のCDRと、配列番号77の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域とを含むヒト化軽鎖可変ドメイン、及び配列番号88のCDRと、配列番号88の重鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域とを含むヒト化重鎖可変ドメインを含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片に関する。1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。
【0133】
さらなる実施態様では、本発明は、配列番号80のCDRと、配列番号80の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域とを含むヒト化軽鎖可変ドメイン、及び配列番号87のCDRと、配列番号87の重鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域とを含むヒト化重鎖可変ドメインを含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片に関する。1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。
【0134】
さらなる実施態様では、本発明は、配列番号86のCDRと、配列番号86の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域とを含むヒト化軽鎖可変ドメイン、及び配列番号100のCDRと、配列番号100の重鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域とを含むヒト化重鎖可変ドメインを含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片に関する。1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。
【0135】
さらなる実施態様では、本発明は、配列番号85のCDRと、配列番号85の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域とを含むヒト化軽鎖可変ドメイン、及び配列番号101のCDRと、配列番号101の重鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域とを含むヒト化重鎖可変ドメインを含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片に関する。1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。
【0136】
さらなる実施態様では、本発明は、配列番号85のCDRと、配列番号85の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域とを含むヒト化軽鎖可変ドメイン、及び配列番号100のCDRと、配列番号100の重鎖可変ドメインアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列に対して少なくとも90%同一、少なくとも93%同一、又は少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するフレームワーク領域とを含むヒト化重鎖可変ドメインを含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片に関する。1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。
【0137】
いくつかの具体的な実施態様では、本明細書において開示されたヒト化抗IL-36R抗体は、本明細書において開示されているようなマウスモノクローナル抗体又はヒト化抗体のCDR又はHVLと、ヒト生殖系列重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインのフレームワークとを含む、少なくとも1つの重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインを含む。
【0138】
1つのさらなる態様では、本発明は、配列番号21~29のいずれか1つの軽鎖CDR1(L-CDR1)配列;配列番号30~38のいずれか1つの軽鎖CDR2(L-CDR2)配列;配列番号39~47のいずれか1つの軽鎖CDR3(L-CDR3)配列;配列番号48~56のいずれか1つの重鎖CDR1(H-CDR1)配列;配列番号57~66のいずれか1つの重鎖CDR2(H-CDR2)配列;及び配列番号67~75のいずれか1つの重鎖CDR3(H-CDR3)配列を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を提供する。1つの態様では、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片は、上記に列挙されたL-CDR1、上記に列挙されたL-CDR2及び上記に列挙されたL-CDR3を含む軽鎖可変領域と、上記に列挙されたH-CDR1、上記に列挙されたH-CDR2及び上記に列挙されたH-CDR3を含む重鎖可変領域とを含む。
【0139】
さらなる態様では、本発明は、
a)それぞれ配列番号21、30、39、48、57及び67のL-CDR1配列、L-CDR2配列、L-CDR3配列、H-CDR1配列、H-CDR2配列、及びH-CDR3配列;又は
b)それぞれ配列番号22、31、40、49、58及び68のL-CDR1配列、L-CDR2配列、L-CDR3配列、H-CDR1配列、H-CDR2配列、及びH-CDR3配列;又は
c)それぞれ配列番号23、32、41、50、59及び69のL-CDR1配列、L-CDR2配列、L-CDR3配列、H-CDR1配列、H-CDR2配列、及びH-CDR3配列;又は
d)それぞれ配列番号24、33、42、51、60及び70のL-CDR1配列、L-CDR2配列、L-CDR3配列、H-CDR1配列、H-CDR2配列、及びH-CDR3配列;又は
e)それぞれ配列番号25、34、43、52、61及び71のL-CDR1配列、L-CDR2配列、L-CDR3配列、H-CDR1配列、H-CDR2配列、及びH-CDR3配列;又は
f)それぞれ配列番号26、35、44、53、62及び72のL-CDR1配列、L-CDR2配列、L-CDR3配列、H-CDR1配列、H-CDR2配列、及びH-CDR3配列;又は
g)それぞれ配列番号27、36、45、54、63及び73のL-CDR1配列、L-CDR2配列、L-CDR3配列、H-CDR1配列、H-CDR2配列、及びH-CDR3配列;又は
h)それぞれ配列番号27、36、45、54、64及び74のL-CDR1配列、L-CDR2配列、L-CDR3配列、H-CDR1配列、H-CDR2配列、及びH-CDR3配列;又は
i)それぞれ配列番号27、36、45、54、64及び73のL-CDR1配列、L-CDR2配列、L-CDR3配列、H-CDR1配列、H-CDR2配列、及びH-CDR3配列;又は
j)それぞれ配列番号28、37、46、55、65及び74のL-CDR1配列、L-CDR2配列、L-CDR3配列、H-CDR1配列、H-CDR2配列、及びH-CDR3配列;又は
k)それぞれ配列番号29、38、47、56、66及び75のL-CDR1配列、L-CDR2配列、L-CDR3配列、H-CDR1配列、H-CDR2配列、及びH-CDR3配列
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0140】
さらなる態様では、本発明は、
a)それぞれ配列番号26、103、44、53、62及び72のL-CDR1配列、L-CDR2配列、L-CDR3配列、H-CDR1配列、H-CDR2配列、及びH-CDR3配列;又は
b)それぞれ配列番号26、104、44、53、62及び72のL-CDR1配列、L-CDR2配列、L-CDR3配列、H-CDR1配列、H-CDR2配列、及びH-CDR3配列;又は
c)それぞれ配列番号27、36、45、107、63及び73のL-CDR1配列、L-CDR2配列、L-CDR3配列、H-CDR1配列、H-CDR2配列、及びH-CDR3配列;又は
d)それぞれ配列番号27、36、45、107、64又は73のL-CDR1配列、L-CDR2配列、L-CDR3配列、H-CDR1配列、H-CDR2配列、及びH-CDR3配列
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0141】
1つの態様では、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片は、上記に列挙されているL-CDR1とL-CDR2とL-CDR3の組合せを含む軽鎖可変領域、及び上記に列挙されているH-CDR1とH-CDR2とH-CDR3の組合せを含む重鎖可変領域を含む。
【0142】
具体的な実施態様では、これらの例示的な免疫グロブリン間でCDR領域が交換された(すなわち、例えば、マウス抗体又はそれから誘導されたヒト化抗体の中の1つの1つ以上のCDRを、別のマウス又はそれから誘導されたヒト化抗体に由来する類似したCDRと交換した)キメラ抗体により、有用な抗体が生じ得ると考えられる。
【0143】
特定の実施態様では、ヒト化抗IL-36R抗体は抗体断片である。様々な抗体断片が一般的に上記に考察されており、抗体断片の作製のために開発された技術がある。断片は、インタクトな抗体のタンパク質分解的消化を介して得ることができる(例えば、Morimoto et al., 1992, Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117;及びBrennan et al., 1985, Science 229:81参照)。あるいは、断片は、組換え宿主細胞において直接産生されてもよい。例えば、Fab’-SH断片を、大腸菌(E.coli)から直接回収し、これを化学的に結合させて、F(ab’)断片を形成することができる(例えば、Carter et al., 1992, Bio/Technology 10:163-167参照)。別のアプローチによると、F(ab’)断片は、組換え宿主細胞培養液から直接単離されてもよい。抗体断片の産生のための他の技術は当業者には明らかであろう。したがって、1つの態様では、本発明は、本明細書に記載のCDR、特に本明細書に記載のL-CDR1とL-CDR2とL-CDR3とH-CDR1とH-CDR2とH-CDR3の組合せの1つを含む、抗体断片を提供する。さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載の可変領域、例えば本明細書に記載の軽鎖可変領域と重鎖可変領域の組合せの1つを含む、抗体断片を提供する。
【0144】
特定の実施態様は、配列番号125、126又は127の重鎖配列と組み合わせて、配列番号115又は118のいずれかの軽鎖配列を含む、ヒト化抗IL-36R抗体のF(ab’)断片を含む。このような実施態様は、このようなF(ab’)を含むインタクトな抗体を含んでいてもよい。
【0145】
特定の実施態様は、配列番号138又は139の重鎖配列と組み合わせて、配列番号123又は124のいずれかの軽鎖配列を含む、ヒト化抗IL-36R抗体のF(ab’)断片を含む。このような実施態様は、このようなF(ab’)を含むインタクトな抗体を含んでいてもよい。
【0146】
いくつかの実施態様では、抗体又は抗体断片は、エフェクター機能を媒介する定常領域を含む。定常領域は、抗IL-36Rを発現している標的細胞に対する、抗体依存性細胞障害(ADCC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)及び/又は補体依存性細胞障害(CDC)応答を与えることができる。エフェクタードメイン(群)は、例えば、Ig分子のFc領域であり得る。
【0147】
抗体のエフェクタードメインは、任意の適切な脊椎動物種及びアイソタイプに由来し得る。異なる動物種に由来するアイソタイプは、エフェクター機能の媒介能が異なる。例えば、CDC及びADCC/ADCPを媒介するヒト免疫グロブリンの能力は一般的に、それぞれ、IgM≒IgG≒IgG>IgG>IgG及びIgG≒IgG>IgG/IgM/IgGの順である。マウス免疫グロブリンは、CDC及びADCC/ADCPを、一般的にそれぞれ、マウスIgM≒IgG>>IgG2b>IgG2a>>IgG及びIgG2b>IgG2a>IgG>>IgGの順で媒介する。別の例では、マウスIgG2aはADCCを媒介するが、マウスIgG2a及びIgMはどちらもCDCを媒介する。
【0148】
III.医薬の用量及び投与
本発明の抗IL-36R抗体は典型的には、アンタゴニストが薬学的に許容される担体又は賦形剤と混合されている医薬組成物として患者に投与される。例えば、レミントンの製薬科学及び米国薬局方:国民医薬品集、マック出版社、イーストン、ペンシルバニア州(1984)を参照されたい。医薬組成物は、目的の投与経路に適した任意の様式で製剤化され得る。医薬製剤の例としては、凍結乾燥散剤、スラリー剤、水剤、懸濁剤、及び持続放出製剤が挙げられる(例えば、Hardman et al. (2001) Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics、マグロウヒル、ニューヨーク、NY州;Gennaro (2000) Remington: The Science and Practice of Pharmacy、リッピンコット・ウィリアム・アンド・ウィルキンス社、ニューヨーク、NY州;Avis et al.(編)(1993)Pharmaceutical Dosage Forms: Parenteral Medications、マーセルデッカー社、NY州;Lieberman et al. (編) (1990) Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets、マーセルデッカー社、NY州;Lieberman et al. (編) (1990) Pharmaceutical Dosage Forms: Disperse Systems、マーセルデッカー社、NY州;Weiner及びKotkoskie (2000) Excipient Toxicity and Safety、マーセルデッカー社、ニューヨーク、NY州参照)。適切な投与経路としては、静脈内注射(動脈内注射を含む)及び皮下注射が挙げられる。
【0149】
第一の態様では、本発明は、患者における汎発性膿疱性乾癬(GPP)を処置する方法に関し、該方法は、治療有効量の抗IL-36R抗体を患者に投与する又は投与した工程を含む。
【0150】
第二の態様では、本発明は、治療有効量の抗IL-36R抗体を患者に投与する又は投与した工程を含む、患者における中等度から重度の汎発性膿疱性乾癬を処置する方法に関する。
【0151】
第三の態様では、本発明は、患者における急性期の汎発性膿疱性乾癬の突発の兆候及び症状を低減又は軽減する方法に関し、該方法は、治療有効量の抗IL-36R抗体を患者に投与する又は投与した工程を含む。
【0152】
第四の態様では、本発明は、汎発性膿疱性乾癬フレアの重症度及び持続時間を減少させる方法に関し、該方法は、治療有効量の抗IL-36R抗体を患者に投与する又は投与した工程を含む。
【0153】
第五の態様では、本発明は、急性汎発性膿疱性乾癬に関連した皮膚障害を処置する方法に関し、該方法は、治療有効量の抗IL-36R抗体を患者に投与する又は投与した工程を含む。
【0154】
第一から第五のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号35、102、103、104、105、106又は140のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域を含む。
【0155】
第一から第五のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、
I.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号102のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、
II.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号103のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、
III.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号104のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、
IV.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号105のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、
V.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号106のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、
VI.a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号140のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域
を含む。
【0156】
第一から第五のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、
(i)配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(ii)配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(iii)配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(iv)配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(v)配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(vi)配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(vii)配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(viii)配列番号85のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(ix)配列番号86のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号100のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
(x)配列番号86のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号101のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む。
【0157】
第一から第五のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、
i.配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ii.配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号126のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iii.配列番号115のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iv.配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
v.配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号126のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
vi.配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
vii.配列番号123のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
viii.配列番号123のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号139のアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ix.配列番号124のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号138のアミノ酸配列を含む重鎖
を含む。
【0158】
第一から第五のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、1回以上の静脈内用量(群)で投与される。関連した実施態様では、1回以上の静脈内用量(群)のそれぞれが、210mg、300mg、350mg、450mg、600mg、700mg、750mg、800mg、900mgの該抗IL-36R抗体を含む。
【0159】
第一から第五のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、抗IL-36R抗体は、1回の静脈内用量で投与される。上記のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、抗IL-36R抗体は、患者の体重1kgあたり約10mgの1回の静脈内用量で投与される。上記のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、抗IL-36R抗体は、210mgの1回の静脈内用量で投与される。上記のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、抗IL-36R抗体は、300mgの1回の静脈内用量で投与される。上記のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、抗IL-36R抗体は、350mgの1回の静脈内用量で投与される。上記のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、抗IL-36R抗体は、450mgの1回の静脈内用量で投与される。上記のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、抗IL-36R抗体は、600mgの1回の静脈内用量で投与される。上記のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、抗IL-36R抗体は、700mgの1回の静脈内用量で投与される。上記のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、抗IL-36R抗体は、750mgの1回の静脈内用量で投与される。上記のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、抗IL-36R抗体は、800mgの1回の静脈内用量で投与される。上記のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、抗IL-36R抗体は、850mgの1回の静脈内用量で投与される。上記のいずれかの態様に関連した別の実施態様では、抗IL-36R抗体は、900mgの1回の静脈内用量で投与される。
【0160】
本発明による用量及び用量処方計画の代表例が表1に開示されている。900mg及び750mgの用量が例示されているが、類似の用量処方計画が、210mg、300mg、350mg、450mg、600mg、700mg、及び800mgの用量にも同等に適用される。
【0161】
【表14】



【0162】
1つの実施態様では、1回、2回又は3回の静脈内用量(群)が表1に列挙された用量処方計画で患者に投与される。
【0163】
上記のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、哺乳動物又は患者は、(a)1週目の汎発性膿疱性乾癬に対する総合評価(GPPGA)のスコアが0又は1;(b)1週目のGPPGA膿疱形成サブスコアが0(これは、目に見える膿疱が全くないことを示す);(c)4週目の汎発性膿疱性乾癬の乾癬面積及び重症度指標(GPPASI)が75;(d)4週目の疼痛視覚的アナログスケール(VAS)スコアのベースラインからの変化;(e)4週目の乾癬症状尺度(PSS)スコアのベースラインからの変化;(f)4週目の慢性疾患治療・疲労の機能評価(FACIT)スコアのベースラインからの変化;(g)4週目のGPPGAが0又は1;(h)4週目のGPPGAの膿疱形成サブスコアが0(これは、目に見える膿疱が全くないことを示す);(i)1週目及び4週目のGPPASIが50;又は(j)1週目及び4週目のGPPASIの膿疱、紅斑、又は鱗屑の重症度サブスコアのベースラインからの変化によって定義されるような、改善された臨床寛解について評価される。関連した実施態様では、投与に応答した患者の比率は、列挙された評価項目のいずれかについて、プラセボ患者と比較して統計学的に有意により高い。
【0164】
1つの実施態様では、本発明は、患者における、汎発性膿疱性乾癬(GPP)を処置する方法、中等度から重度の汎発性膿疱性乾癬を処置する方法、急性期の汎発性膿疱性乾癬の突発の兆候及び症状を低減若しくは軽減する方法、汎発性膿疱性乾癬フレアの重症度及び持続時間を低減させる方法、又は急性汎発性膿疱性乾癬に関連した皮膚障害を処置する方法に関し、該方法は、各々210mg、300mg、350mg、450mg、600mg、700mg、750mg、800mg、又は900mgの1回以上の静脈内用量(群)の治療有効量の本発明の抗IL-36R抗体を患者に投与する又は投与した工程を含み、ここでの1回を超える静脈内用量は、2、4、6、8、10又は12週間隔で投与される。
【0165】
1つの実施態様では、本発明は、患者における、汎発性膿疱性乾癬(GPP)を処置する方法、中等度から重度の汎発性膿疱性乾癬を処置する方法、急性期の汎発性膿疱性乾癬の突発の兆候及び症状を低減若しくは軽減する方法、汎発性膿疱性乾癬フレアの重症度及び持続時間を低減させる方法、又は急性汎発性膿疱性乾癬に関連した皮膚障害を処置する方法に関し、該方法は、1回の900mgの静脈内用量で治療有効量の本発明の抗IL-36R抗体を患者に投与する又は投与した工程を含む。
【0166】
本発明は、患者における、汎発性膿疱性乾癬(GPP)を処置する方法、中等度から重度の汎発性膿疱性乾癬を処置する方法、急性期の汎発性膿疱性乾癬の突発の兆候及び症状を低減若しくは軽減する方法、汎発性膿疱性乾癬フレアの重症度及び持続時間を低減させる方法、又は急性汎発性膿疱性乾癬に関連した皮膚障害を処置する方法に関し、該方法は、各々210mg、300mg、350mg、450mg、600mg、700mg、750mg、800mg、又は900mgの1回、2回又は3回の静脈内用量(群)の治療有効量の本発明の抗IL-36R抗体を患者に投与する又は投与した工程を含み、ここでの2回又は3回の静脈内用量は、2、4、6、8、10又は12週間隔で投与される。
【0167】
第六の態様では、第一から第五のいずれかの態様又は上記の実施態様に記載の1回以上の静脈内用量(群)の抗IL-36R抗体で処置された患者における、汎発性膿疱性乾癬フレアの再発を予防する方法に関し、該方法は、1回以上の皮下用量の予防有効量の抗IL-36R抗体を患者に投与する工程を含む。
【0168】
第七の態様では、本発明は、第一から第五のいずれかの態様又は上記の実施態様に記載の1回以上の静脈内用量(群)の抗IL-36R抗体で処置された患者における、汎発性膿疱性乾癬に対する総合評価(GPPGA)スコア0を達成する方法に関し、該方法は、1回以上の皮下用量の有効量の抗IL-36R抗体を患者に投与する工程を含む。
【0169】
第八の態様では、本発明は、第一から第五のいずれかの態様又は上記の実施態様に記載の1回以上の静脈内用量(群)の抗IL-36R抗体で処置された患者における、汎発性膿疱性乾癬の症状の完全寛解を達成する方法に関し、該方法は、1回以上の皮下用量の有効量の抗IL-36R抗体を患者に投与する工程を含み;ここでの汎発性膿疱性乾癬の症状は、膿疱、紅斑又は鱗屑を含み、完全寛解はGPPGAスコア0を含む。
【0170】
第六から第八のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、1回以上の皮下用量の各々は、150mg、225mg、300mg、450mg、又は600mgの該抗IL-36R抗体を含む。
【0171】
第六から第八のいずれかの態様に関連した1つの実施態様又は関連した実施態様では、1回、2回、3回又はそれ以上の皮下用量が患者に投与され、ここでの初回の皮下用量は、最後の静脈内用量の後に投与される。
【0172】
第六から第八のいずれかの態様に関連した1つの実施態様又は関連した実施態様では、初回の皮下用量は、最後の静脈内用量が投与された2~8週間後、4~6週間後、2週間後、4週間後、6週間後、又は8週間後に投与され、2回目の皮下用量は、前記の初回の皮下用量が投与された4、6、8、10又は12週間後に投与される。
【0173】
1つの実施態様では、本発明は、1回以上の静脈内用量(群)の本発明の抗IL-36R抗体で処置された患者における、汎発性膿疱性乾癬フレアの再発を予防する方法に関し、該方法は、各々225mg、300mg、450mg又は600mgの該抗IL-36R抗体の1回以上の皮下用量で予防有効量の該抗IL-36R抗体を患者に投与する工程を含み、ここでの1回を超える皮下用量は、4、6、8、10又は12週間隔で投与される。
【0174】
1つの実施態様では、本発明は、1回以上の静脈内用量(群)の本発明の抗IL-36R抗体で処置された患者における、汎発性膿疱性乾癬に対する総合評価(GPPGA)スコア0を達成する方法、又は汎発性膿疱性乾癬の症状の完全寛解を達成する方法に関し、該方法は、各々225mg、300mg、450mg又は600mgの抗IL-36R抗体の1回以上の皮下用量で有効量の該抗IL-36R抗体を患者に投与する工程を含み、ここでの1回を超える皮下用量は、4、6、8、10又は12週間隔で投与され、ここでの汎発性膿疱性乾癬の症状は、膿疱、紅斑又は鱗屑を含み、完全寛解はGPPGAスコア0を含む。
【0175】
1つの実施態様では、本発明は、1回以上の静脈内用量(群)の本発明の抗IL-36R抗体で処置された患者における、汎発性膿疱性乾癬に対する総合評価(GPPGA)スコア0を達成する方法、又は汎発性膿疱性乾癬の症状の完全寛解を達成する方法に関し、該方法は、各々225mg、300mg、450mg又は600mgの抗IL-36R抗体の1回、2回又は3回の皮下用量で有効量の抗IL-36R抗体を患者に投与する工程を含み、2回又は3回の皮下用量は、4、6、8、10又は12週間隔で投与され、ここでの汎発性膿疱性乾癬の症状は、膿疱、紅斑又は鱗屑を含み、完全寛解はGPPGAスコア0を含む。
【0176】
第六から第八のいずれかの態様に関連した1つの実施態様又は関連した実施態様(群)では、患者の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%が、処置の12、24、36、48、60、又は72週間目に、0又は1のGPPGAスコアによって判断されるように臨床的に寛解したままである。
【0177】
第六から第八のいずれかの態様に関連した1つの実施態様又は関連した実施態様(群)では、患者の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%が、処置の12、24、36、48、60、又は72週間目にベースラインからのGPPASIの変化によって判断されるように臨床的に寛解したままである。
【0178】
第六から第八のいずれかの態様に関連した1つの実施態様又は関連した実施態様(群)では、患者の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%が、処置の12、24、36、48、60、又は72週間目にベースラインからのGPPASIの膿疱、紅斑、又は鱗屑の重症度サブスコアの変化によって判断されるように臨床的に寛解したままである。関連した実施態様では、投与に応答した患者の比率は、列挙される評価項目のいずれかについて、プラセボ患者と比較して、統計学的に有意により高い。
【0179】
第六から第八のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、患者の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%が、処置の12、24、36、48、60、又は72週間目に、0又は1のGPPGAスコアによって判断されるように臨床的に寛解したままである。第六から第八のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、患者の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%が、処置の12、24、36、48、60、又は72週間目にベースラインからのGPPASIの変化によって判断されるように臨床的に寛解したままである。第六から第八のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、患者の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%が、処置の12、24、36、48、60、又は72週間目にベースラインからのGPPASIの膿疱、紅斑、又は鱗屑の重症度サブスコアの変化によって判断されるように臨床的に寛解したままである。関連した実施態様では、投与に応答した患者の比率は、列挙される評価項目のいずれかについて、プラセボ患者と比較して、統計学的に有意により高い。
【0180】
第六から第八のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、患者の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%が、処置の12、24、36、48、60、又は72週間目に、0又は1のGPPGAスコアによって判断されるように臨床的に寛解したままである。関連した実施態様では、改善効果は、プラセボを用いたよりも、本発明の抗IL-36R抗体を用いた方がより高い比率で維持される。関連した実施態様では、哺乳動物又は患者の少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、又は90%が、プラセボを用いたよりも、本発明の抗IL-36R抗体を用いた処置の12、24、36、48、60又は72週後に改善された効果を維持している。
【0181】
第六から第八のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、患者の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%又は80%が、処置の12、24、36、48、60、又は72週間目にベースラインからのGPPASIの変化によって判断されるように臨床的に寛解したままである。関連した実施態様では、改善効果は、プラセボを用いたよりも、本発明の抗IL-36R抗体を用いた方がより高い比率で維持される。関連した実施態様では、哺乳動物又は患者の少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、又は90%が、プラセボを用いたよりも、本発明の抗IL-36R抗体を用いた処置の12、24、36、48、60又は72週目に改善された効果を維持している。
【0182】
第六から第八のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、患者の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%が、処置の12、24、36、48、60、又は72週間目にベースラインからのGPPASIの膿疱、紅斑、又は鱗屑の重症度サブスコアの変化によって判断されるように臨床的に寛解したままである。関連した実施態様では、改善効果は、プラセボを用いたよりも、本発明の抗IL-36R抗体を用いた方がより高い比率で維持される。関連した実施態様では、哺乳動物又は患者の少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、又は90%が、プラセボを用いたよりも、本発明の抗IL-36R抗体を用いた処置の12、24、36、48、60又は72週目に改善された効果を維持している。
【0183】
第九の態様では、本発明は、第一から第五の態様及びそれらの関連した実施態様に記載の、治療有効量の1回以上の静脈内用量(群)の抗IL-36R抗体を患者に投与し、その後、1回以上の皮下用量(群)の抗IL-36R抗体を投与する工程を含む、患者における汎発性膿疱性乾癬を処置する方法に関する。
【0184】
第九の態様に関連した1つの実施態様では、1回又は2回又は3回の静脈内用量(群)の抗IL-36R抗体の後に、1回又は2回又は3回の皮下用量(群)の抗IL-36R抗体が続く。
【0185】
第九の態様に関連した1つの実施態様では、1回の静脈内用量(群)の抗IL-36R抗体の後に、1回又は2回又は3回の皮下用量(群)の抗IL-36R抗体が続く。
【0186】
第九の態様に関連した1つの実施態様では、2回の静脈内用量(群)の抗IL-36R抗体の後に、1回又は2回又は3回の皮下用量(群)の抗IL-36R抗体が続く。
【0187】
第九の態様に関連した1つの実施態様では、3回の静脈内用量(群)の抗IL-36R抗体の後に、1回又は2回又は3回の皮下用量(群)の抗IL-36R抗体が続く。
【0188】
第九の態様に関連した1つの実施態様及びその関連した実施態様では、1回以上の静脈内用量(群)の各々は、210mg、300mg、350mg、450mg、600mg、700mg、750mg、800mg、850mg、又は900mgの抗IL-36R抗体を含み、1回以上の皮下用量(群)の各々は、150mg、225mg、300mg、450mg、又は600mgの抗IL-36R抗体を含む。関連した実施態様では、静脈内用量は、2、4、6、8、10又は12週間隔で投与され、皮下用量は、4、6、8、10又は12週間隔で投与され、初回の皮下用量は、最後の静脈内用量が投与された2~8週間後、4~6週間後、2週間後、4週間後、6週間後又は8週間後に投与される。
【0189】
上記のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、静脈内用量(群)の後に、1回以上の皮下用量(群)が続いてもよい。
【0190】
上記のいずれかの態様に関連した1つの実施態様では、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片(本明細書に開示)は、本発明の態様のいずれか1つに従って、哺乳動物又は患者に投与するための、安定な医薬製剤(2019年3月8日に出願された同時係属中の米国仮特許出願番号第62/815,405号(この全内容はここに、その全体の参照により本明細書に組み入れられる)に記載のような)中に存在する。
【0191】
別の実施態様では、製剤は、治療量の抗IL-36R抗体(本明細書において開示)、及び
i)薬学的に許容される緩衝液;又は
ii)薬学的に許容される等張化剤;又は
iii)薬学的に許容される安定化剤;又は
iv)薬学的に許容される塩;又は
v)薬学的に許容される界面活性剤;又は
vi)薬学的に許容される緩衝液及び薬学的に許容される等張化剤;又は
vii)薬学的に許容される緩衝液、薬学的に許容される等張化剤、及び薬学的に許容される安定化剤;又は
viii)薬学的に許容される緩衝液、薬学的に許容される等張化剤、薬学的に許容される安定化剤及び薬学的に許容される塩;又は
ix)薬学的に許容される緩衝液、薬学的に許容される等張化剤、薬学的に許容される安定化剤、薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される界面活性剤
を各々、薬学的に許容される量及び薬学的に許容されるpHで含む。
【0192】
別の実施態様では、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片は、製剤中に、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約30mg/mL、約60mg/mL、約75mg/mL、約80mg/mL、約100mg/mL、又は約150mg/mLの濃度で存在する。別の関連した実施態様では、薬学的に許容される緩衝液は、製剤中に、約20mM~約80mMの範囲内の濃度で、又は約20mM、約25mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、約60mMの濃度で存在する。別の関連した実施態様では、薬学的に許容される等張化剤は、製剤中に、約100mM~約250mMの範囲内の濃度で、又は約100mM、約120mM、約150mM、約180mM、約200mMの濃度で存在する。別の関連した実施態様では、薬学的に許容される安定化剤は、製剤中に、約0mM~約80mMの範囲内の濃度で、又は約25mM若しくは約50mMの濃度で存在する。別の関連した実施態様では、薬学的に許容される塩は、製剤中に、約0mM~約150mMの範囲内の濃度で、又は約3mM、5mM、10mM、25mM若しくは50mMの濃度で存在する。別の関連した実施態様では、薬学的に許容される界面活性剤は、製剤中に、約0g/L~約1.5g/Lの範囲内の濃度で、又は約0.1g/L、0.2g/L、0.4g/L、0.5g/L若しくは1g/Lの濃度で存在する。第一の態様に関連した実施態様では、製剤は、約5~約8の範囲内のpHによって特徴付けられる。別の関連した実施態様では、pHは約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5又は約8である。
【0193】
別の実施態様では、緩衝液は、ヒスチジン、リン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、又はトリスを含み;等張化剤は、1つ以上の糖及び/又はポリオール、例えば、ショ糖、トレハロース、ソルビトール、硫酸マグネシウム(MgSO)、グリセロール、マンニトール又はデキストロースであり;安定化剤は、アミノ酸、例えば、アルギニン、ヒスチジン、グリシン、システイン、プロリン、メチオニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、又はその薬学的に許容される塩を含み;塩は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化リチウム(LiCl)、塩化カルシウム(CaCl)、ホウ酸塩又は塩化亜鉛(ZnCl)を含み;界面活性剤はポロキサマー188、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60又はポリソルベート80を含む。
【0194】
1つの実施態様では、本明細書に記載のいずれかの態様に記載の処置法は、約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約20mM~約80mMの薬学的に許容される緩衝液(例えば酢酸緩衝液)、約100mM~約250mMの薬学的に許容される等張化剤(例えばショ糖)、約0mM~約80mMの薬学的に許容される安定化剤(例えばアルギニン)又はその薬学的に許容される塩、約0~約150mMの薬学的に許容される塩(例えば塩化ナトリウム)、及び約0g/L~約1.5g/Lの量の薬学的に許容される界面活性剤(例えばポリソルベート20)を含む、治療量の安定な医薬製剤を哺乳動物又は患者に投与する工程を含み、ここで、患者における汎発性膿疱性乾癬(GPP)が処置されるか、又は患者における中等度から重度の汎発性膿疱性乾癬が処置されるか、又は患者における急性期の汎発性膿疱性乾癬の突発の兆候及び症状が低減若しくは軽減されるか、又は患者における汎発性膿疱性乾癬フレアの重症度及び持続時間が低減されるか、又は患者における急性汎発性膿疱性乾癬に関連した皮膚障害が処置されるか、又は患者における汎発性膿疱性乾癬フレアが予防若しくは抑制されるか、又は患者における汎発性膿疱性乾癬に対する総合評価(GPPGA)スコア0が達成されるか、又は患者における汎発性膿疱性乾癬の症状の完全寛解が達成される。関連した実施態様では、安定な医薬製剤は、水性医薬製剤である。関連した実施態様では、水性医薬製剤のpHは約5~約7である。関連した実施態様では、医薬製剤は、哺乳動物又は患者への静脈内投与用である。関連した実施態様では、医薬製剤は、哺乳動物又は患者への皮下投与用である。関連した実施態様では、静脈内投与用の医薬製剤は、約60mg/mLの量の抗IL-36R抗体を含む。関連した実施態様では、皮下投与用の医薬製剤は、約150mg/mLの量の抗IL-36R抗体を含む。関連した実施態様では、抗IL-36R抗体は、(i)配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号125として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は(ii)配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号126として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は(iii)配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。関連した実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0195】
1つの実施態様では、先行するいずれかの態様に記載の処置法は、
I.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約40mMのヒスチジン、約120mMのショ糖、約50mMのL-アルギニン、約5mMのNaCl、及び約1.0g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.0の製剤;
II.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約150mMのショ糖、約25mMのL-アルギニン、約0.4g/Lのポリソルベート20を含む、pH約5.5の製剤;
III.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約180mMのショ糖、約25mMのグリシン、約0.4g/Lのポリソルベート80を含む、pH約5.5の製剤;
IV.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約150mMのトレハロース、約25mMのメチオニン、約0.2g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.0の製剤;
V.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのヒスチジン、約180mMのショ糖、約20mMのマンニトール、約0.2g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.5の製剤;
VI.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約200mMのショ糖、約0.4g/Lのポリソルベート80を含む、pH約6.5の製剤;
VII.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約150mMのショ糖、約25mMのL-アルギニン、約0.4g/Lのポリソルベート20を含む、pH約5.5の製剤;
VIII.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約35mMのヒスチジン、約180mMのトレハロース、約25mMのL-アルギニン、約3mMのNaCl、約0.4g/Lのポリソルベート80を含む、pH約6.0の製剤;
IX.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMの酢酸塩、約100mMのマンニトール、約50mMのNaCl、約0.2g/Lのポリソルベート20を含む、pH約5.5の製剤;
X.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約20mMのコハク酸塩、約220mMのショ糖、約0.1g/Lのポリソルベート80を含む、pH約6.0の製剤;及び
XI.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約0.4g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.5の製剤
からなる群より選択された安定な医薬製剤の治療量を哺乳動物又は患者に投与する工程を含み、ここで、患者における汎発性膿疱性乾癬(GPP)が処置されるか、又は患者における中等度から重度の汎発性膿疱性乾癬が処置されるか、又は患者における急性期の汎発性膿疱性乾癬の突発の兆候及び症状が低減若しくは軽減されるか、又は患者における汎発性膿疱性乾癬フレアの重症度及び持続時間が低減されるか、又は患者における急性汎発性膿疱性乾癬に関連した皮膚障害が処置されるか、又は患者における汎発性膿疱性乾癬フレアが予防若しくは抑制されるか、又は患者における汎発性膿疱性乾癬に対する総合評価(GPPGA)スコア0が達成されるか、又は患者における汎発性膿疱性乾癬の症状の完全寛解が達成される。関連した実施態様では、安定な医薬製剤は、水性医薬製剤である。関連した実施態様では、医薬製剤は、哺乳動物又は患者への静脈内投与用である。関連した実施態様では、医薬製剤は、哺乳動物又は患者への皮下投与用である。関連した実施態様では、静脈内投与用の医薬製剤は、約60mg/mLの量の抗IL-36R抗体を含む。関連した実施態様では、皮下投与用の医薬製剤は、約150mg/mLの量の抗IL-36R抗体を含む。関連した実施態様では、抗IL-36R抗体は、(i)配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号125として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は(ii)配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号126として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は(iii)配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。関連した実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
【0196】
1つの実施態様では、先行するいずれかの態様に記載の処置法は、
I.約20mg/mLの抗IL-36R抗体、約40mMのヒスチジン、約120mMのショ糖、約50mMのL-アルギニン、約5mMのNaCl、及び約1.0g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.0の製剤;
II.約60mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約150mMのショ糖、約25mMのL-アルギニン、約0.4g/Lのポリソルベート20を含む、pH約5.5の製剤;
III.約20mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約180mMのショ糖、約25mMのグリシン、約0.4g/Lのポリソルベート80を含む、pH約5.5の製剤;
IV.約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約150mMのトレハロース、約25mMのメチオニン、約0.2g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.0の製剤;
V.約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのヒスチジン、約180mMのショ糖、約20mMのマンニトール、約0.2g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.5の製剤;
VI.約20mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約200mMのショ糖、約0.4g/Lのポリソルベート80を含む、pH約6.5の製剤;
VII.約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約150mMのショ糖、約25mMのL-アルギニン、約0.4g/Lのポリソルベート20を含む、pH約5.5の製剤;
VIII.約15mg/mLの抗IL-36R抗体、約35mMのヒスチジン、約180mMのトレハロース、約25mMのL-アルギニン、約3mMのNaCl、約0.4g/Lのポリソルベート80を含む、pH約6.0の製剤;
IX.約80mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMの酢酸塩、約100mMのマンニトール、約50mMのNaCl、約0.2g/Lのポリソルベート20を含む、pH約5.5の製剤;
X.約100mg/mLの抗IL-36R抗体、約20mMのコハク酸塩、約220mMのショ糖、約0.1g/Lのポリソルベート80を含む、pH約6.0の製剤;及び
XI.約60mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約0.4g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.5の製剤
からなる群より選択された安定な医薬製剤の治療量を哺乳動物又は患者に投与する工程を含み、ここで、患者における汎発性膿疱性乾癬(GPP)が処置されるか、又は患者における中等度から重度の汎発性膿疱性乾癬が処置されるか、又は患者における急性期の汎発性膿疱性乾癬の突発の兆候及び症状が低減若しくは軽減されるか、又は患者における汎発性膿疱性乾癬フレアの重症度及び持続時間が低減されるか、又は患者における急性汎発性膿疱性乾癬に関連した皮膚障害が処置されるか、又は患者における汎発性膿疱性乾癬フレアが予防若しくは抑制されるか、又は患者における汎発性膿疱性乾癬に対する総合評価(GPPGA)スコア0が達成されるか、又は患者における汎発性膿疱性乾癬の症状の完全寛解が達成される。関連した実施態様では、安定な医薬製剤は、水性医薬製剤である。関連した実施態様では、医薬製剤は、哺乳動物又は患者への静脈内投与用である。関連した実施態様では、医薬製剤は、哺乳動物又は患者への皮下投与用である。関連した実施態様では、静脈内投与用の医薬製剤は、約60mg/mLの量の抗IL-36R抗体を含む。関連した実施態様では、皮下投与用の医薬製剤は、約150mg/mLの量の抗IL-36R抗体を含む。関連した実施態様では、抗IL-36R抗体は、(i)配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号125として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は(ii)配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号126として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は(iii)配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。関連した実施態様では、抗IL-36R抗体は、配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。第十の態様では、本発明は、(a)患者から生物学的試料を得る工程(ここでの、生物学的試料は、皮膚病変部又は全血を含む入手源から得られる);(b)1つ以上の遺伝子の遺伝子発現プロファイルを決定する工程;(c)第一から第五の態様に関連したいずれかの実施態様に記載の抗IL-36R抗体の有効量を患者に投与する工程を含む、患者における汎発性膿疱性乾癬を処置する方法に関する。
【0197】
第十の態様に関連した1つの実施態様では、1つ以上の遺伝子は、皮膚病変部ではIL12B、IL1B、IL6、CXCL1、IL23A、TNF、IL17C、IL24、又はIL1Bであり、全血ではIL1B、S100A9、S100A12、S100A8、MMP25、MMP9、又はCD177である。
【0198】
上記のいずれかの態様に関連した実施態様では、抗IL-36R抗体は、a)配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号35、102、103、104、105、106又は140のアミノ酸配列(L-CDR2);配列番号44のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域;及びb)配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号62、108、109、110又は111のアミノ酸配列(H-CDR2);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域を含む。
【0199】
上記のいずれかの態様に関連した実施態様では、抗IL-36R抗体は、本発明の抗IL-36R抗体である。1つの実施態様では、抗IL-36R抗体は、米国特許第9,023,995号又は国際公開公報第2013/074569号に開示されている。上記のいずれかの態様に関連した実施態様では、改善効果(寛解又は改善した症状を含む)は、1回量の本発明の抗IL-36R抗体の投与後、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、又は52週間続く。
【0200】
医薬組成物及びその投与
本発明の抗体は、単独で又は他の薬剤と組み合わせて投与してもよい。このような医薬組成物に使用するための抗体の例は、配列番号1~10のいずれかの軽鎖可変領域アミノ酸配列を有する抗体又は抗体断片を含むものである。このような医薬組成物に使用するための抗体の例は、配列番号11~20のいずれかの重鎖可変領域アミノ酸配列を有するヒト化抗体又は抗体断片を含むものである。
【0201】
このような医薬組成物に使用するための抗体のさらなる例は、配列番号76~86のいずれかの軽鎖可変領域アミノ酸配列を有するヒト化抗体又は抗体断片を含むものである。このような医薬組成物に使用するための好ましい抗体はまた、配列番号87~101のいずれかの重鎖可変領域アミノ酸配列を有するヒト化抗体又は抗体断片を含むものである。
【0202】
このような医薬組成物に使用するための抗体のさらなる例は、配列番号77及び89、配列番号80及び88、配列番号80及び89、配列番号77及び87、配列番号77及び88、配列番号80及び87、配列番号86及び100、配列番号85及び101、又は配列番号85及び10のいずれかの軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を有する、ヒト化抗体又は抗体断片を含むものである。
【0203】
このような医薬組成物に使用するための抗体のさらなる例はまた、配列番号115、118、123又は124のいずれかの軽鎖領域アミノ酸配列を有するヒト化抗体を含むものである。このような医薬組成物に使用するための好ましい抗体はまた、配列番号125、126、127、138又は139のいずれかの重鎖可変領域アミノ酸配列を有するヒト化抗体を含むものである。
【0204】
このような医薬組成物に使用するための抗体のさらなる例はまた、抗体B1、抗体B2、抗体B3、抗体B4、抗体B5、抗体B6、抗体C1、抗体C2、又は抗体C3を含むものである。
【0205】
様々な送達システムが知られており、これを使用して抗IL-36R結合物質を投与することができる。導入法としては、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、及び経口経路が挙げられるがこれらに限定されない。抗IL-36R結合物質は、例えば、注入、ボーラス、又は注射によって投与されてもよく、そして、他の生物学的に活性な薬剤、例えば化学療法剤と一緒に投与されてもよい。投与は全身性であっても局所性であってもよい。好ましい実施態様では、投与は、皮下注射による。このような注射用の製剤は、隔週毎に1回投与することのできる例えばプレフィルドシリンジに調製されてもよい。
【0206】
1つの態様では、本発明は、患者に一定用量の本発明の抗体を送達する、皮下投与用器具を含んでいる製品を提供する。いくつかの実施態様では、皮下投与用器具は、薬剤充填済み注射器、自己注射器、又は大容量注入器具である。例えば、大量の液状薬物の皮下投与を可能とする単回使用の注入器具であるロシュ製のMyDose(商標)製品が、投与用器具として使用されてもよい。数多くの再利用可能なペン型及び自己注射器型の送達器具は、本発明の医薬組成物の皮下送達に適用を有する。例としては、ほんのいくつか例を挙げると、オートペン(商標)(オーウェン・マンフォード社、ウッドストック、英国)、ジセトロニック(商標)ペン(ジセトロニック・メディカル・システム社、ブルグドルフ、スイス)、ヒューマログミックス75/25(商標)ペン、ヒューマログ(商標)ペン、ヒューマリン70/30(商標)ペン(イーライリリー社、インディアナポリス、インディアナ州)、ノボペン(商標)I、II及びIII(ノボノルディスク社、コペンハーゲン、デンマーク)、ノボペンジュニア(商標)(ノボノルディスク社、コペンハーゲン、デンマーク)、BD(商標)ペン(ベクトン・ディッキンソン社、フランクリン・レイクス、NJ州)、オプチペン(商標)、オプチペンプロ(商標)、オプチペンスターレット(商標)、及びオプティクリック(商標)(サノフィアベンティス社、フランクフルト、ドイツ)が挙げられるがこれらに限定されない。本発明の医薬組成物の皮下送達に適用を有する使い捨てペン型送達器具の例としては、ほんのいくつか例を挙げると、ソロスター(商標)ペン(サノフィアベンティス社)、フレックスペン(商標)(ノボノルディスク社)、及びクイックペン(商標)(イーライリリー社)、シュアクリック(商標)自己注射器(アムジェン社、サウザンドオークス、カリフォルニア州)、ペンレット(商標)(ハーゼルマイヤー社、シュツットガルト、ドイツ)、エピペン(Dey,L.P.社)、及びヒュミラ(商標)ペン(アボット・ラボラトリーズ社、アボットパークIII)、YPSOMATE(商標)、YPSOMATE2.25(商標)、VAIROJECT(商標)(イプスメッド社、ブルグドルフ、スイス)が挙げられるがこれらに限定されない。本発明の抗体と共に使用され得る例示的な送達器具に関する追加の情報は、例えば、CH705992A2、国際公開公報第2009/040602号、国際公開公報第2016/169748号、国際公開公報第2016/179713号に見られ得る。
【0207】
具体的な実施態様では、IL-36R結合物質の組成物は、注射によって、カテーテルを用いて、坐剤を用いて、又は埋込剤を用いて投与され、該埋込剤は、シリコンゴム膜などの膜又は繊維をはじめとする、多孔性であるか、無孔性であるか、又はゼラチン状である材料である。典型的には、該組成物が投与される場合、抗IL-36R抗体又は薬剤を吸収しない材料が使用される。
【0208】
他の実施態様では、抗IL-36R抗体又は薬剤は、放出制御システムで送達される。1つの実施態様では、ポンプが使用されてもよい(例えば、Langer, 1990, Science 249:1527-1533; Sefton, 1989, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201; Buchwald et al., 1980, Surgery 88:507; Saudek et al., 1989, N. Engl. J. Med. 321:574を参照)。別の実施態様では、ポリマー材料が使用されてもよい(例えば、Medical Applications of Controlled Release (Langer and Wise eds., CRC Press, Boca Raton, Fla., 1974); Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance (Smolen and Ball eds., Wiley, New York, 1984); Ranger and Peppas, 1983, Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61を参照。Levy et al., 1985, Science 228:190; During et al., 1989, Ann. Neurol. 25:351; Howard et al., 1989, J. Neurosurg. 71:105も参照)。他の放出制御システムも、例えば、上記のLangerに考察されている。
【0209】
IL-36R結合物質(例えば抗IL-36R抗体)は、治療有効量の結合物質と1つ以上の薬学的に適合可能な成分とを含む、医薬組成物として投与され得る。
【0210】
1つの実施態様では、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片(本明細書に開示)は、本明細書に記載のいずれか1つの態様に従って、哺乳動物又は患者に投与するのに適した医薬製剤(2019年3月8日に出願された同時係属中の米国仮特許出願番号第62/815,405号(この全内容はここに、その全体の参照により本明細書に組み入れられる)に記載のような)中に存在する。この実施態様の様々な例が、便宜上、以下の番号の付与された項(1、2、3など)として記載されている。これらは例として提供され、本願の技術を制限するものではない。なお、従属項は任意の組合せで組合せてもよく、それぞれの独立項、例えば第1項に配置してもよい。他の項も同様に提示され得る。
【0211】
1.a.約0.5mg/mL~約220mg/mLの範囲内の濃度で存在する、本明細書に開示されているような抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片;及び
b.約20mM~約80mMの範囲内の濃度で存在する薬学的に許容される緩衝液
を含む医薬製剤であって、ここでの製剤は、水溶液の形態である場合、約5~約8の範囲内のpHによって特徴付けられる。
【0212】
2.該製剤は、液剤形又は散剤形である、第1項の製剤。
【0213】
3.抗IL-36R抗体は、約10mg/mL~約200mg/mLの範囲内の濃度で存在する、第1項の製剤。
【0214】
4.抗IL-36R抗体は約20mg/mLの濃度で存在する、第1項の製剤。
【0215】
5.抗IL-36R抗体は約60mg/mLの濃度で存在する、第1項の製剤。
【0216】
6.抗IL-36R抗体は約150mg/mLの濃度で存在する、第1項の製剤。
【0217】
7.緩衝液は、ヒスチジン、リン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、又はトリスを含む、第1項の製剤。
【0218】
8.緩衝液はクエン酸塩又は酢酸塩を含む、第1項の製剤。
【0219】
9.緩衝液はヒスチジンを含む、第1項の製剤。
【0220】
10.緩衝液は酢酸塩を含む、第1項の製剤。
【0221】
11.製剤はさらに、約100mM~約250mMの範囲内の濃度で存在する薬学的に許容される等張化剤を含む、第1項の製剤。
【0222】
12.等張化剤は、1つ以上の糖及び/又はポリオールである、第11項の製剤。
【0223】
13.等張化剤は、1つ以上の糖及び/又はポリオール、例えばショ糖、トレハロース、ソルビトール、硫酸マグネシウム(MgSO)、グリセロール、マンニトール又はデキストロースである、第11項の製剤。
【0224】
14.等張化剤はショ糖又はトレハロースを含む、第11項の製剤。
【0225】
15.等張化剤はショ糖を含む、第11項の製剤。
【0226】
16.等張化剤はトレハロースを含む、第11項の製剤。
【0227】
17.製剤はさらに、約0mM~約80mMの範囲内の濃度で存在する薬学的に許容される安定化剤を含む、第1項の製剤。
【0228】
18.安定化剤は、アミノ酸、例えば、アルギニン、ヒスチジン、グリシン、システイン、プロリン、メチオニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、又はその薬学的に許容される塩を含む、第17項の製剤。
【0229】
19.安定化剤はL-アルギニン又はその薬学的に許容される塩を含む、第17項の製剤。
【0230】
20.製剤はさらに、約0~約150mMの範囲内の濃度で存在する薬学的に許容される塩を含む、第1項の製剤。
【0231】
21.塩は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化リチウム(LiCl)、塩化カルシウム(CaCl)、ホウ酸塩又は塩化亜鉛(ZnCl)を含む、第20項の製剤。
【0232】
22.塩は塩化ナトリウム(NaCl)を含む、第20項の製剤。
【0233】
23.製剤はさらに、約0g/L~約1.5g/Lの範囲内の濃度で存在する薬学的に許容される界面活性剤を含む、第1項の製剤。
【0234】
24.界面活性剤は、ポロキサマー188、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、又はポリソルベート80を含む、第23項の製剤。
【0235】
25.界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、又はポリソルベート80を含む、第23項の製剤。
【0236】
26.界面活性剤はポリソルベート20を含む、第23項の製剤。
【0237】
27.界面活性剤はポリソルベート80を含む、第23項の製剤。
【0238】
28.a.約10mg/mL~約200mg/mLの範囲内の濃度で存在する、本明細書に開示されているような抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片;
b.約20mM~約80mMの範囲内の濃度で存在する、酢酸塩及び/又はヒスチジン緩衝液;
c.約100mM~約250mMの範囲内の濃度で存在する、ショ糖及び/又はトレハロース;
d.約0mM~約80mMの範囲内の濃度で存在する、L-アルギニン及び/又はその薬学的に許容される塩;
e.約0~約150mMの範囲内の濃度で存在する、塩化ナトリウム(NaCl);
f.約0g/L~約1.5g/Lの範囲内の濃度で存在する、ポリソルベート20及び/又はポリソルベート80
を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、水溶液の形態である場合、約5~約7の範囲内のpHによって特徴付けられる。
【0239】
29.a.約20mg/mLの濃度で存在する、本明細書に開示されているような抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片;
b.約25mMの濃度で存在する、クエン酸緩衝液;
c.約200mMの濃度で存在する、ショ糖及び/又はトレハロース;
d.約0.4g/Lの濃度で存在する、ポリソルベート80
を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、水溶液の形態である場合、約6~約7の範囲内のpHによって特徴付けられる。
【0240】
30.a.約60mg/mLの濃度で存在する、本明細書に開示されているような抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片;
b.約45mMの濃度で存在する、酢酸緩衝液;
c.約150mMの濃度で存在する、ショ糖及び/又はトレハロース;
d.約25mMの濃度で存在する、L-アルギニン又はその薬学的に許容される塩;
e.約0.4g/Lの濃度で存在するポリソルベート20
を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、水溶液の形態である場合、約5~約6の範囲内のpHによって特徴付けられる。
【0241】
31.a.約150mg/mLの濃度で存在する、本明細書に開示されているような抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片;
b.約45mMの濃度で存在する、酢酸緩衝液;
c.約150mMの濃度で存在する、ショ糖又はトレハロース;
d.約25mMの濃度で存在する、L-アルギニン又はその薬学的に許容される塩;及び
e.約0.4g/Lの濃度で存在するポリソルベート20
を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、水溶液の形態である場合、約5~約6の範囲内のpHによって特徴付けられる。
【0242】
32.製剤は、約210ミリオスモル/kg~約390ミリオスモル/kgの範囲内のモル浸透圧濃度によって特徴付けられる、第1~31項のいずれか一項の医薬製剤。
【0243】
33.抗体の約5%未満が、製剤中で凝集体の形態で存在する、第1~32項のいずれか一項の医薬製剤。
【0244】
34.製剤は無菌である、第1~33項のいずれか一項の医薬製剤。
【0245】
35.製剤は、凍結時及び解凍時に安定である、第1~34項のいずれか一項の医薬製剤。
【0246】
36.製剤は水を含むか、又は水で復元される、第1~35項のいずれかの医薬製剤。
【0247】
37.製剤は、液体形において又は水で復元された場合に、約5~約6のpHを有する、第1~36項のいずれかの医薬製剤。
【0248】
38.製剤は、液体形において又は水で復元された場合に約6のpHを有する、第1~37項のいずれかの医薬製剤。
【0249】
39.製剤は、基準製剤と比較して、
(i)延長された有効期間、
(ii)温度に対するより良好な安定性、
(iii)低減した凝集体の形成、
(iv)化学物質に対するより良好な安定性、
(v)低減した粘度
からなる群より選択された少なくとも1つの特色を有する、第1~37項のいずれかの医薬製剤。
【0250】
40.製剤は、
(a)高性能サイズ排除クロマトグラフィー(HP-SEC)によって判断されるような、凝集体の比率の低下、
(b)HP-SECによって判断されるような、モノマーの比率がより高い、
(c)陽イオン交換によって判断される、メインピークの比率がより高い(荷電変異体のより少ない分解)、
(d)10μm以上及び25μm以上などの準可視的粒子の比率がより低い、及び
(e)基準製剤と比較して、約40℃で保存後、ホルマジン散乱比濁法単位(FNU)の濁度の数値がより低い
からなる群より選択された少なくとも1つの特色を有する、第1~37項のいずれかの医薬製剤。
【0251】
41.i.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号125として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号126として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、
I.約20mg/mLの抗IL-36R抗体、約40mMのヒスチジン、約120mMのショ糖、約50mMのL-アルギニン、約5mMのNaCl、及び約1.0g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.0の製剤;
II.約60mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約150mMのショ糖、約25mMのL-アルギニン、約0.4g/Lのポリソルベート20を含む、pH約5.5の製剤;
III.約20mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約180mMのショ糖、約25mMのグリシン、約0.4g/Lのポリソルベート80を含む、pH約5.5の製剤;
IV.約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約150mMのトレハロース、約25mMのメチオニン、約0.2g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.0の製剤;
V.約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのヒスチジン、約180mMのショ糖、約20mMのマンニトール、約0.2g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.5の製剤;
VI.約20mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約200mMのショ糖、約0.4g/Lのポリソルベート80を含む、pH約6.5の製剤;
VII.約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約150mMのショ糖、約25mMのL-アルギニン、約0.4g/Lのポリソルベート20を含む、pH約5.5の製剤;
VIII.約15mg/mLの抗IL-36R抗体、約35mMのヒスチジン、約180mMのトレハロース、約25mMのL-アルギニン、約3mMのNaCl、約0.4g/Lのポリソルベート80を含む、pH約6.0の製剤;
IX.約80mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMの酢酸塩、約100mMのマンニトール、約50mMのNaCl、約0.2g/Lのポリソルベート20を含む、pH約5.5の製剤;
X.約100mg/mLの抗IL-36R抗体、約20mMのコハク酸塩、約220mMのショ糖、約0.1g/Lのポリソルベート80を含む、pH約6.0の製剤;及び
XI.約60mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約0.4g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.5の製剤
からなる群より選択される。
【0252】
42.i.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号125として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号126として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、約20mg/mLの抗IL-36R抗体、約40mMのヒスチジン、約120mMのショ糖、約50mMのL-アルギニン、約5mMのNaCl、及び約1.0g/Lのポリソルベート20を含み、pH約6.0である。
【0253】
43.i.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号125として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号126として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、約60mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約150mMのショ糖、約25mMのL-アルギニン、約0.4g/Lのポリソルベート20を含み、pH約5.5である。
【0254】
44.i.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号125として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号126として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、約20mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約180mMのショ糖、約25mMのグリシン、約0.4g/Lのポリソルベート80を含み、pH約5.5である。
【0255】
45.i.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号125として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号126として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約150mMのトレハロース、約25mMのメチオニン、約0.2g/Lのポリソルベート20を含み、pH約6.0である。
【0256】
46.i.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号125として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号126として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのヒスチジン、約180mMのショ糖、約20mMのマンニトール、約0.2g/Lのポリソルベート20を含み、pH約6.5である。
【0257】
47.i.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号125として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号126として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、約20mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約200mMのショ糖、約0.4g/Lのポリソルベート80を含み、pH約6.5である。
【0258】
48.i.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号125として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号126として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約150mMのショ糖、約25mMのL-アルギニン、約0.4g/Lのポリソルベート20を含み、pH約5.5である。
【0259】
49.i.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号125として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号126として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、約15mg/mLの抗IL-36R抗体、約35mMのヒスチジン、約180mMのトレハロース、約25mMのL-アルギニン、約3mMのNaCl、約0.4g/Lのポリソルベート80を含み、pH約6.0である。
【0260】
50.i.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号125として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号126として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、約80mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMの酢酸塩、約100mMのマンニトール、約50mMのNaCl、約0.2g/Lのポリソルベート20を含み、pH約5.5である。
【0261】
51.i.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号125として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号126として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、約100mg/mLの抗IL-36R抗体、約20mMのコハク酸塩、約220mMのショ糖、約0.1g/Lのポリソルベート80を含み、pH約6.0である。
【0262】
52.i.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号125として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号126として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、約60mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約0.4g/Lのポリソルベート20を含み、pH約6.5である。
【0263】
53.配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、約20mg/mLの抗IL-36R抗体、約40mMのヒスチジン、約120mMのショ糖、約50mMのL-アルギニン、約5mMのNaCl、及び約1.0g/Lのポリソルベート20を含み、pH約6.0である。
【0264】
54.配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、約60mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約150mMのショ糖、約25mMのL-アルギニン、約0.4g/Lのポリソルベート20を含み、pH約5.5である。
【0265】
55.配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、約20mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約180mMのショ糖、約25mMのグリシン、約0.4g/Lのポリソルベート80を含み、pH約5.5である。
【0266】
56.配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約150mMのトレハロース、約25mMのメチオニン、約0.2g/Lのポリソルベート20を含み、pH約6.0である。
【0267】
57.配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのヒスチジン、約180mMのショ糖、約20mMのマンニトール、約0.2g/Lのポリソルベート20を含み、pH約6.5である。
【0268】
58.配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、約20mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約200mMのショ糖、約0.4g/Lのポリソルベート80を含み、pH約6.5である。
【0269】
59.配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約150mMのショ糖、約25mMのL-アルギニン、約0.4g/Lのポリソルベート20を含み、pH約5.5である。
【0270】
60.配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、約15mg/mLの抗IL-36R抗体、約35mMのヒスチジン、約180mMのトレハロース、約25mMのL-アルギニン、約3mMのNaCl、約0.4g/Lのポリソルベート80を含み、pH約6.0である。
【0271】
61.配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、約80mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMの酢酸塩、約100mMのマンニトール、約50mMのNaCl、約0.2g/Lのポリソルベート20を含み、pH約5.5である。
【0272】
62.配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、約100mg/mLの抗IL-36R抗体、約20mMのコハク酸塩、約220mMのショ糖、約0.1g/Lのポリソルベート80を含み、pH約6.0である。
【0273】
63.配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、約60mg/mLの抗IL-36R抗体、約20mMのクエン酸塩、約0.4g/Lのポリソルベート20を含み、pH約6.5である。
【0274】
64.i.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号125として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号126として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、
I.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約40mMのヒスチジン、約120mMのショ糖、約50mMのL-アルギニン、約5mMのNaCl、及び約1.0g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.0の製剤;
II.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約150mMのショ糖、約25mMのL-アルギニン、約0.4g/Lのポリソルベート20を含む、pH約5.5の製剤;
III.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約180mMのショ糖、約25mMのグリシン、約0.4g/Lのポリソルベート80を含む、pH約5.5の製剤;
IV.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約150mMのトレハロース、約25mMのメチオニン、約0.2g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.0の製剤;
V.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのヒスチジン、約180mMのショ糖、約20mMのマンニトール、約0.2g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.5の製剤;
VI.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約200mMのショ糖、約0.4g/Lのポリソルベート80を含む、pH約6.5の製剤;
VII.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約150mMのショ糖、約25mMのL-アルギニン、約0.4g/Lのポリソルベート20を含む、pH約5.5の製剤;
VIII.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約35mMのヒスチジン、約180mMのトレハロース、約25mMのL-アルギニン、約3mMのNaCl、約0.4g/Lのポリソルベート80を含む、pH約6.0の製剤;
IX.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMの酢酸塩、約100mMのマンニトール、約50mMのNaCl、約0.2g/Lのポリソルベート20を含む、pH約5.5の製剤;
X.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約20mMのコハク酸塩、約220mMのショ糖、約0.1g/Lのポリソルベート80を含む、pH約6.0の製剤;及び
XI.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約0.4g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.5の製剤
からなる群より選択される。
【0275】
65.配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号88のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;又は
配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤であって、ここでの製剤は、
I.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約40mMのヒスチジン、約120mMのショ糖、約50mMのL-アルギニン、約5mMのNaCl、及び約1.0g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.0の製剤;
II.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約150mMのショ糖、約25mMのL-アルギニン、約0.4g/Lのポリソルベート20を含む、pH約5.5の製剤;
III.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約180mMのショ糖、約25mMのグリシン、約0.4g/Lのポリソルベート80を含む、pH約5.5の製剤;
IV.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約150mMのトレハロース、約25mMのメチオニン、約0.2g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.0の製剤;
V.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのヒスチジン、約180mMのショ糖、約20mMのマンニトール、約0.2g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.5の製剤;
VI.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約200mMのショ糖、約0.4g/Lのポリソルベート80を含む、pH約6.5の製剤;
VII.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約150mMのショ糖、約25mMのL-アルギニン、約0.4g/Lのポリソルベート20を含む、pH約5.5の製剤;
VIII.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約35mMのヒスチジン、約180mMのトレハロース、約25mMのL-アルギニン、約3mMのNaCl、約0.4g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.0の製剤;
IX.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMの酢酸塩、約100mMのマンニトール、約50mMのNaCl、約0.2g/Lのポリソルベート20を含む、pH約5.5の製剤;
X.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約20mMのコハク酸塩、約220mMのショ糖、約0.1g/Lのポリソルベート80を含む、pH約6.0の製剤;及び
XI.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約0.4g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.5の製剤
からなる群より選択される。
【0276】
66.本発明の態様のいずれか1つに使用するための、第1項~第65項のいずれかに記載の医薬製剤を含むバイアル又は注射器を含む、医薬品。
【0277】
67.予め組み立てられた注射器具をさらに含む、第66項に記載の医薬品。
【0278】
68.予め組み立てられた注射器具は、針安全装置の付いた又は付いていない自己注射器又は注射器である、第67項の医薬品。
【0279】
69.本発明の態様のいずれか1つに使用するための、第1項~第68項のいずれかに記載の医薬製剤を含む、予め組み立てられた注射器具。
【0280】
70.該器具は、針安全装置の付いた又は付いていない自己注射器又は注射器である、第69項に記載の予め組み立てられた注射器具。
【0281】
71.該製剤は、静脈内、皮下、又は筋肉内投与に適している、第69項に記載の予め組み立てられた注射器具。
【0282】
72.針安全装置の付いた又は付いていない自己注射器又は注射器は、
i.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号125として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
ii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号126として示されるアミノ酸配列を含む重鎖;又は
iii.配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖
を含む、抗IL-36R抗体又はその抗原結合断片を含む、医薬製剤を含み;
ここでの製剤は、
I.約20mg/mlの抗IL-36R抗体、約40mMのヒスチジン、約120mMのショ糖、約50mMのL-アルギニン、約5mMのNaCl、及び約1.0g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.0の製剤;
II.約60mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約150mMのショ糖、約25mMのL-アルギニン、約0.4g/Lのポリソルベート20を含む、pH約5.5の製剤;
III.約20mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約180mMのショ糖、約25mMのグリシン、約0.4g/Lのポリソルベート80を含む、pH約5.5の製剤;
IV.約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約150mMのトレハロース、約25mMのメチオニン、約0.2g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.0の製剤;
V.約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのヒスチジン、約180mMのショ糖、約20mMのマンニトール、約0.2g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.5の製剤;
VI.約20mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約200mMのショ糖、約0.4g/Lのポリソルベート80を含む、pH約6.5の製剤;
VII.約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約150mMのショ糖、約25mMのL-アルギニン、約0.4g/Lのポリソルベート20を含む、pH約5.5の製剤;
VIII.約15mg/mLの抗IL-36R抗体、約35mMのヒスチジン、約180mMのトレハロース、約25mMのL-アルギニン、約3mMのNaCl、約0.4g/Lのポリソルベート80を含む、pH約6.0の製剤;
IX.約80mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMの酢酸塩、約100mMのマンニトール、約50mMのNaCl、約0.2g/Lのポリソルベート20を含む、pH約5.5の製剤;
X.約100mg/mLの抗IL-36R抗体、約20mMのコハク酸塩、約220mMのショ糖、約0.1g/Lのポリソルベート80を含む、pH約6.0の製剤;及び
XI.約60mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約0.4g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.5の製剤
からなる群より選択される。
【0283】
73.針安全装置の付いた自己注射器又は注射器は
a.約2mLの製剤容量中に約300mgの抗体;又は
b.約1.5mLの製剤容量中に約225mgの抗体;又は
c.約1mLの製剤容量中に約150mgの抗体;又は
d.約0.5mLの製剤容量中に約75mgの抗体;又は
e.約0.4mLの製剤容量中に約60mgの抗体
を含む、第70項に記載の予め組み立てられた注射器具。
【0284】
74.バイアルは、
a.約20mLの製剤容量中に約1200mgの抗体;又は
b.約15mLの製剤容量中に約900mgの抗体;又は
c.約10mLの製剤容量中に約600mgの抗体;又は
d.約150mLの製剤容量中に約300mgの抗体;又は
e.約2.5mLの製剤容量中に約1500mgの抗体
を含む、第66項に記載のバイアル。
【0285】
75.散剤形の約100mg~1500mgの抗IL-36R抗体を含むバイアル;抗IL-36R抗体の復元のための説明書;及び、注入のために復元された抗体を調製するための説明書を含む、医薬品であって、ここでの抗IL-36R抗体は、配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖と、配列番号125、126又は127のいずれか1つとして示されるアミノ酸配列を含む重鎖とを含み;復元説明書は、1~50mLの抽出可能な容量までの注射用水を用いて復元することを必要とする。
【0286】
さらに、医薬組成物は、(a)凍結乾燥形のIL-36R結合物質(例えば抗IL-36R抗体)を含有している容器と(b)注射用の薬学的に許容される希釈剤(例えば滅菌水)を含有している第二の容器とを含む、医薬品キットとして提供され得る。薬学的に許容される希釈剤は、凍結乾燥させた抗IL-36R抗体又は薬剤の復元又は希釈のために使用され得る。このような容器(群)には場合により、医薬品又は生物学的製剤の製造、使用及び販売を規制する政府機関によって規定された形式の注意書きが添付されていてもよく、この注記書きは、ヒトへの投与のために製造、使用又は販売が当局により認可されていることを反映する。
【0287】
このような併用療法の投与は、疾患パラメーター(例えば、症状の重症度、症状の数、又は再発頻度)に対する、相加作用又は相乗作用を有し得る。
【0288】
併用投与用の治療処方計画に関して、具体的な実施態様では、抗IL-36R抗体又はIL-36R結合物質は、治療剤と同時に投与される。別の具体的な実施態様では、治療剤は、抗IL-36R抗体又はIL-36R結合物質の投与の少なくとも1時間及び最大で数か月間前又は後に、例えば抗IL-36R抗体又はIL-36R結合物質の投与の少なくとも1時間、5時間、12時間、1日間、1週間、1か月間、又は3カ月間前又は後に投与される。
【0289】
本発明は以下の実施例においてさらに記載され、これは本発明の範囲を限定するものではない。
【0290】
実施例
実施例1:汎発性膿疱性乾癬の処置のためのIL-36受容体の阻害
本発明の抗体、すなわち、本発明の抗IL-36R抗体(本明細書及びまた米国特許第9,023,995号にも開示)は、ヒトIL36Rシグナル伝達を遮断する、ヒト化拮抗性モノクローナルIgG1抗体である。IL36Rに対する本発明の抗IL-36R抗体の結合は、上皮細胞/線維芽細胞/免疫細胞により媒介される炎症を低減させ、かつ汎発性膿疱性乾癬(GPP)における病的なサイトカイン産生を駆動する炎症応答を中断させる目的で、同族リガンド(IL36α、β及びγ)によるIL36Rのその後の活性化、並びに炎症誘発性経路及び線維化誘発性経路の下流活性化を防ぐことが期待される。
【0291】
本発明の抗IL-36R抗体の前臨床プロファイル及び健常な試験志願者の試験の臨床データは、本発明の抗IL-36R抗体が安全で耐容性があり、GPP患者におけるアンメット・メディカル・ニーズ(未だ満たされていない医療ニーズ)に対処し得ることを示唆する。
【0292】
背景
IL36RNの突然変異は、汎発性膿疱性乾癬の発病に強く関与している。急性汎発性膿疱性乾癬患者における、インターロイキン-36Rシグナル伝達を阻害するヒト化モノクローナル抗体である、本発明の抗IL-36R抗体の有効性及び安全性が、この単回投与・非盲検・概念実証・第I相試験において評価された。
【0293】
方法
7人の患者(そのうちの3人は、IL36RN突然変異陽性であった)は、10mg/kgの1回量の本発明の抗IL-36R抗体の静脈内投与を受け、20週間モニタリングした。主要評価項目は安全性であり;有効性評価項目は、汎発性膿疱性乾癬に対する医師総合評価(GPPGA)スコアが0(消失)又は1(ほぼ消失)である患者の比率、及び、2週目における汎発性膿疱性乾癬の面積及び重症度指標(GPPASI)スコアのベースラインからの変化率を含んでいた。
【0294】
結果
本発明の抗IL-36R抗体は良好な耐容性を示し、深刻な薬物関連有害事象又は安全性シグナルは全く伴わなかった。1週目に、GPPGAスコア0又は1が、5人の患者において達成され、4週目までに全患者において達成された。48時間以内に、3人の患者の膿疱が消失し、2週目までに6人の患者の膿疱が消失した。GPPASIの大きな改善が全患者において観察され、2週目におけるベースラインからの変化率の平均値(標準偏差)は73.2%(16.2)であり;4週目までに、これはさらに82.0%まで減少した。有効性は一般的に20週目まで維持された。
【0295】
結論
1回量の本発明の抗IL-36R抗体を用いてのインターロイキン-36経路の阻害により、急性汎発性膿疱性乾癬患者における臨床症状の迅速かつ持続的な寛解がもたらされた。あるいは、1回量の本発明の抗IL-36R抗体により、急性汎発性膿疱性乾癬患者において、IL36RNの突然変異状態に関係なく、有害な安全性シグナルを全く伴うことなく、臨床症状の迅速かつ持続的な寛解がもたらされた。
【0296】
序論
汎発性膿疱性乾癬は、発熱及びしばしば真皮外の臓器における併発をはじめとする、全身症状を伴う、播種性紅斑性皮疹及び膿疱性皮疹からなる、断続的な急性フレアによって特徴付けられる、von Zumbuschによって1909年に初めて記載された、稀で重篤な多臓器疾患である;場合によっては、生命を脅かす合併症が起こる場合もある。生物学的には、高い血清中C反応性タンパク質(CRP)レベル及び好中球増加を伴う白血球増加が、肝検査値異常と共に、最も一般的な特色である。疫学的研究では、100万人あたり1.76人という低い有病率が報告され、疾患が稀有であることが強調されている。
【0297】
汎発性膿疱性乾癬における治療的介入は大きな課題であり、米国又は欧州において現在認可されている処置は全くない。多種多様な乾癬に対する戦略が、尋常性乾癬モデルに基づいて提唱され、アフェレーシス、並びに腫瘍壊死因子、インターロイキン-17及びインターロイキン-23の阻害剤の有効性が非盲検試験及び症例報告において報告され、日本における汎発性膿疱性乾癬の認可の基盤を形成している。しかしながら、アフェレーシスは特殊な施設に限定され、一方、尋常性乾癬におけるこれらの重要な炎症性サイトカインの、汎発性膿疱性乾癬の発病に対する寄与は、依然として不明である。
【0298】
近年、膿疱性乾癬の基礎をなす機序の本発明者らによる解明における大きな進歩が、汎発性膿疱性乾癬を有する幾人かの患者における、機能欠失型ホモ接合性又は複合ヘテロ接合性IL36RN遺伝子突然変異を同定した遺伝子研究から得られた。これらの突然変異は、単一遺伝子モデルによると、IL36RNの産物、すなわち、インターロイキン-36受容体拮抗因子(インターロイキン-36Ra)の機能を著しく変化させ、その結果、炎症誘発性インターロイキン-36(IL-36α、IL-36β、及びIL-36γ)経路の調節不全が起こり、汎発性膿疱性乾癬に至る。これらの突然変異は、他の膿疱性乾癬サブタイプにも認められるが、該突然変異は、尋常性乾癬のみを有する患者においては検出されず、膿疱性乾癬の自己免疫的な性質が明らかとなり、汎発性膿疱性乾癬は、局面型乾癬とは別個のものであることが確立された。
【0299】
これらの免疫遺伝学的洞察は、汎発性膿疱性乾癬における治療標的であるインターロイキン-36Rの根拠を確立した。汎発性膿疱性乾癬の急性フレアを有する患者における安全性及び有効性を評価する、インターロイキン-36Rに対して標的化されたヒトモノクローナル抗体である、本発明の抗IL-36R抗体を用いて、ヒト疾患において実施された、この最初の試験の結果が報告されている。本発明者らの知る限りでは、これは、急性汎発性膿疱性乾癬患者における処置を評価する最初の試験である。
【0300】
方法
試験デザイン
この20週間の多施設・単群・非盲検・第I相・概念実証試験に、5つの場所(フランス、マレーシア、韓国、台湾、及びチュニジア)の患者が参加登録した。適格患者は、10mg/kgの1回量の本発明の抗IL-36R抗体の静脈内(IV)投与を受け、20週間モニタリングした。
【0301】
患者
18~75歳の患者が、IL36RN突然変異状態に関係なく、以前に発熱、及び/又は喘息、及び/又は筋肉痛、及び/又はCRP上昇、及び/又は好中球増加を伴う白血球増加というエビデンスと共に、体表面積(BSA)の10%以上に紅斑を併発した急性フレア、及び膿疱の存在、及び処置時に汎発性膿疱性乾癬に対する医師総合評価(GPPGA)スコア(修正された医師総合評価に基づいた、汎発性膿疱性乾癬の重症度の臨床評価[補足資料を参照];0[透き通るような皮膚]から4[重度の疾患]の範囲のスコア)3以上を呈する、既知の及び記録された汎発性膿疱性乾癬の病歴を有しているならば、適格であった。患者は、レチノイド及び/又はメトトレキサートを用いての皮下への処置を受け続けることができた。
【0302】
患者は、即座に生命を脅かす汎発性膿疱性乾癬フレア又は急性の汎発性発疹性膿疱症(完全な選択基準/除外基準については表2を参照)を有している場合には除外された。同意した患者は、フレアがない状態で試験に参加登録した。スクリーニング検査(1回目の来院)は、汎発性膿疱性乾癬のフレアの処置について認められる(2回目の来院)数日間前又は数週間前に開始した。選択基準/除外基準を満たした患者については、BI655130を用いての処置が、2回目の来院の翌日(3回目の来院)に開始された。
【0303】
【表15】

【0304】
【表16】
【0305】
全患者が、IL36RN、CARD14及びAP1S3の突然変異についての遺伝子型判定を受けた。
【0306】
遺伝子型判定
IL36RN、CARD14及びAP1S3の突然変異を同定するために、標的化再シークエンスが、Nextera Rapid Capture Custom Enrichmentキット(イルミナ社、サンディエゴ、CA州)と、イルミナ社のMiSeqを使用して実施された。配列をアラインさせ、MiSeq Reporter(イルミナ社、サンディエゴ、CA州)によってヒトゲノムバージョン19に対してマッピングした。公表されている関数データとの相関若しくは汎発性膿疱性乾癬に関連したリスクがあった場合、又は、突然変異が非同義の置換であったか、若しくは既知の遺伝子調節配列(例えば開始コドン)に位置していた場合、突然変異は病原性である可能性があると判断された。
【0307】
有効性及び安全性の評価
主要評価項目は、本発明の抗IL-36R抗体の安全性及び耐容性であった。安全性評価としては、有害事象(Medical Dictionary for Drug Regulatory Activities、バージョン20.1の使用を用いてコード化されている)、深刻な有害事象、臨床検査による評価、バイタルサイン、輸注反応、及び試験期間中の免疫原性が挙げられた。免疫原性の評価は、補足資料に記載されている。2週目における二次評価項目は、汎発性膿疱性乾癬の面積及び重症度指標(GPPASI;乾癬の面積及び重症度指標に基づいた修正された複合指標、(J Dermatolog Treat 2003;14:158-65)、これにより、硬化の構成要素は、膿疱の構成要素に置き換えられ;スコアの範囲は0~72であり、より高いスコアは、より大きな疾患重症度を示す)のベースラインからの変化率、GPPGAが0(消失)又は1(ほぼ消失)である患者の比率、慢性疾患治療・疲労の機能評価(FACIT-F;疲労及び患者に対するその作用をモニタリングするための、13の質問に基づいた尺度;スコアの範囲は0~52であり、より低いスコアは、より大きな疲労を示す)尺度のベースラインからの変化(J Pain Symptom Manage 1997;13:63-74)、及び視覚的アナログスケールによる患者による疼痛の評価(疼痛-VAS)のベースラインからの変化を含んでいた。ベースラインにおける患者の人口統計及び疾患の特徴については、表4を参照されたい。
【0308】
【表17】

【0309】
他の以前に明記された有効性評価項目には、膿疱の重症度(汎発性膿疱性乾癬の面積及び重症度指数の構成要素に基づく)のベースラインからの変化及び変化率、汎発性膿疱性乾癬の面積及び重症度指数のベースラインからの変化及び変化率、汎発性膿疱性乾癬に対する総合評価スコアが0又は1である患者の比率、浮腫が消失した患者の比率、膿疱の体表面積のベースラインからの変化、及び紅斑の重症度(汎発性膿疱性乾癬の面積及び重症度指数の構成要素に基づく)のベースラインからの変化及び変化率;1週目及び4週目における慢性疾患治療・疲労の機能評価及び疼痛-VASのベースラインからの変化;乾癬症状尺度(PSS;乾癬疼痛、発赤、かゆみ、及び灼熱感を評価する、患者により報告された評価項目の尺度である4つの項目;症状の重症度は、0(なし)から4(非常に重篤)の範囲の5段階のリッカート型の尺度を使用して評価され、総スコアは、全てのサブスコアを足すことによって計算される)スコアのベースラインからの変化(J Patient-Rep Outcomes 2017;1:4)、乾癬症状尺度の総スコアが0である患者の比率、並びに1、2及び4週目における臨床全般印象度の改善(7段階の尺度に基づいて、全般病状改善度を測定する、観察者により評定される尺度、スコアの範囲は1[非常に改善]から7[非常に悪化])(Jpn J Dermatol 2010;120:815-39)が含まれていた。事前に決められていなかった有効性評価項目は、経時的にGPPASIの50%以上、75%以上、及び90%以上の改善を達成した患者の比率、及び鱗屑重症度(GPPASI構成要素)のベースラインからの変化率を含んでいた。
【0310】
皮膚病変部の写真記録は、ベースラインにおいて及び処置後に行なわれた。皮膚及び全血中の生化学バイオマーカー、細胞バイオマーカー、及び薬理ゲノミクスバイオマーカーを評価した(バイオマーカー法については以下を参照されたい)。皮膚生検は、ベースライン時及び1週目に行なわれた(追加の任意選択の生検が2週目に行なわれた)。
【0311】
汎発性膿疱性乾癬に対する医師総合評価(GPPGA)
GPPGAは、患者の皮膚症状の臨床評価に依拠する。それは、汎発性膿疱性乾癬患者の評価に適応させた、修正された医師総合評価、すなわち医師による乾癬病変の評価である(J Dermatolog Treat 2015;26(1):23-31)。治験責任医師(又は資格のある治験施設職員)は、全ての乾癬病変の紅斑、膿疱、及び鱗屑に0~4のスコアを付ける。各構成要素は別々に等級付けされ、平均値が計算され、最終GPPGAがこの複合スコアから決定される。そこでは、より低いスコアはより低い重症度を示し、0は消失であり、1はほぼ消失である。0又は1のスコアを受け取るためには、患者は、皮膚症状の必要条件に加えて、発熱していないべきである。
【0312】
汎発性膿疱性乾癬の面積及び重症度指標(GPPASI)
GPPASIは、汎発性膿疱性乾癬患者のための、確立されている乾癬患者の乾癬病変の重症度及び面積の尺度である、PASI(乾癬の面積及び重症度指標)の応用である(Dermatologica 1978;157(4):238-44)。類似の応用が、掌蹠膿疱症に使用されている(J Eur Acad Dermatol Venereol 2009;23(4):415-9)。GPPASIでは、硬化の構成要素が、膿疱の構成要素で置き換えられている。それは、0~72の範囲の、患者の全体的な汎発性膿疱性乾癬疾患状態に関する、数値によるスコアを付けるツールである。それは、罹患している皮膚(身体領域面積スコア)の表面積%と、4つの身体領域(頭部、上肢、体幹、及び下肢)の上のある紅斑、膿疱、及び鱗屑(落屑)の重症度(0[最も重症度が低い]から4[最も重症度が高い]の範囲の5段階の尺度でスコア化される(表5参照))との線形結合である。
【0313】
【表18】
【0314】
免疫原性評価
抗薬物抗体の評価のために、全患者の血漿試料を、投薬前及び投薬から7、14、21、28、84及び140日後に採取した。試料を、QPS,LLC社(ニューアーク、DE州、米国)で、酸による解離を伴う、検証されたメソスケールディスカバリー(登録商標)(MSD)薬物ブリッジング電気化学発光(ECL)法を使用して、本発明の抗IL-36R抗体に対する抗体について分析した。抗薬物抗体血漿試料及び対照をまず、0.3Mの酢酸で希釈し、その後、1.5Mのトリス塩基及びマスターミックス(これはビオチンで標識された薬物及びスルホタグで標識された薬物を含む)を用いて中和し、その後、遮断されたMSDストレプトアビジンプレート上に移しインキュベートした。トリプロピルアミン含有リード(read)緩衝液の存在下で、スルホタグは電気化学発光シグナルを発生し、これはMSD Sectorイメージャー600sを使用して電圧がかけられた場合にトリガーされる。結果として生じた化学発光を相対発光量で測定し、これは、血漿試料中に存在する抗薬物抗体の量に比例する。本発明の抗IL-36R抗体の免疫原性は、3段階アプローチを使用して評価された。
【0315】
全ての抗薬物抗体試料をまず、抗薬物抗体スクリーニングアッセイで分析した。試料は、スクリーニングアッセイにおけるその応答が、スクリーニングプレートに特異的なカットポイントより高いか又は同等であった場合、及び、確認アッセイで陽性と確認された場合(過剰な本発明の抗IL-36R抗体の添加によって、確認カットポイントを上回り、電気化学発光応答が阻害された場合)、本発明の抗IL-36R抗体に対する抗体について試料が陽性であると判断された。本発明の抗IL-36R抗体に対する抗体について陽性であると確認された試料をさらに滴定アッセイで特徴付けた。力価は、試料の2倍連続希釈液の分析によって決定された。報告された力価は、プレートに特異的な滴定カットポイントより高いか又は同等な電気化学発光平均値を生じた最も高い希釈液であった。
【0316】
抗薬物抗体アッセイによる検証は、汎発性膿疱性乾癬の血漿中のスクリーニングアッセイの感度が、本発明の抗IL-36R抗体に対するウサギポリクローナル抗体陽性対照を使用して、2.5ng/mlであることを実証した。さらに、少なくとも2000μg/mLの本発明の抗IL-36R抗体の存在下で、100及び250ng/mLのレベルの陽性対照が検出された。どの抗薬物抗体試料も、2000μg/mLを超えるレベルの本発明の抗IL-36R抗体を有していなかった。アッセイ成績データは、該方法が、この試験の患者に由来する血漿試料中の本発明の抗IL-36R抗体に対する抗体の力価のスクリーニング、確認、及び決定について信頼性があることを示した。
【0317】
バイオマーカー評価
CRPレベル(高感度ではない)及び好中球絶対数の評価を、地域の研究所による標準的な方法を使用して実施した。評価のための試料は、処置開始前のベースライン時及び7、14及び28日目に回収した。
【0318】
薬理ゲノミクスバイオマーカー評価
全患者に由来する病変を有する及び病変を有さない皮膚生検試料並びに全血に由来するRNAの網羅的トランスクリプトームワイドシークエンスを、イルミナ社のHi-Seq3000(イルミナ社、サンディエゴ、CA州)を使用して成し遂げた。データは、edgeRパッケージを使用してTMMによって正規化され;log2変化倍率及び対応する偽発見率により補正されたp値を、limmaパッケージを使用して分析した(Bioconductor、米国)(Genome Biol 2010;11(3):R25; Nucleic Acids Res 2015;43(7):e47)。簡潔に言えば、データをvoom変換し、患者1人あたりのペア測定間の相関を、二重相関関数によって推定した。線形モデルをImFit関数を使用して当てはめ、病変を有するvs病変を有さない、及び、本発明の抗IL-36R抗体を用いての処置前vs処置後についての、調整t統計量をコンピューターで算出した(Nucleic Acids Res 2015;43(15):e97; Genome Biol 2014;15(2):R29)。0.05未満の補正p値が有意と判断された。
【0319】
統計分析
その標本サイズが小さいこと、及び対照薬が存在しないことに因り、この試験は、統計学的仮説を全く試験しなかった。評価項目のその全体が記載され、記述統計法によって評価される。安全性分析は、全ての処置される患者(最大の解析対象集団;FAS)を含んでいた;有効性分析は、GPPASI又はGPPGAのいずれかについて入手可能なベースライン時の測定及び少なくとも1回のベースライン後の測定を有する患者を用いて実施された;バイオマーカー分析は、少なくとも1つのバイオマーカーマトリックスについて、少なくとも1回の観察を行なった全ての処置患者を用いて実施された。非回答の補定が、レスキュー薬物の使用後のバイナリー有効性評価項目のために使用された;連続評価項目については、レスキュー薬物の使用前に回収された観察のみが要約された。1人の患者は試験中にレスキュー処置を受け、したがって、この使用以後のデータ(4週間目以後)は記載のように取り扱われる。
【0320】
結果
患者
5つの試験場所において、スクリーニングされた16人の患者の中で、中等度から重度の急性フレアを経験した、7人の患者(3人の男性及び4人の女性、22~58歳)が、10mg/kgの1回量の本発明の抗IL-36R抗体の静脈内投与を2月から8月の間に受けた。ベースラインの人工統計データ及び疾患の特徴を表3に報告する。2人の患者が、汎発性膿疱性乾癬を引き起こすことが知られているホモ接合性の機能欠失型IL36RN突然変異(rs387906914/p.Leu27Pro)を有し、1人の患者が、ホモ接合性IL36RN突然変異(rs148755083)及びヘテロ接合性CARD14突然変異(rs117360605/p.Arg275His)を含む、汎発性膿疱性乾癬を引き起こす可能性のある突然変異を有していた。全患者についての初回診断からの時間の平均値(標準偏差)は、16.4(16.8)年間であった。全患者が、GPPGA3及び膿疱サブスコア2~4(中程度から非常に高い密度)によって特徴付けられる、中等度のフレアを呈した。現在のフレアの発症から本発明の抗IL-36R抗体の注入までの間の時間間隔平均値(標準偏差)は、5.3(7.4)日間(範囲:0~18日間)であった。全患者が、汎発性膿疱性乾癬のための事前の全身処置を受け、本発明の抗IL-36R抗体を受ける前に中止された;シクロスポリンは、本発明の抗IL-36R抗体の投与の30日前に中止された。全患者が、20週目までに試験を完了したが、2つのプロトコール違反があった:1人の患者(患者8201002)は、汎発性膿疱性乾癬の既知の既往歴を有することについて選択基準を満たさなかったが、他の選択基準は満たし、第二の患者(患者6001004)は、「疼痛」の処置のために4週目にメトトレキサートの投与を受けた。どちらの患者も、最大の解析対象集団(FAS)に含まれたが、患者6001004については、4週目までの有効性データのみが含まれる。
【0321】
安全性
20週目まで、4人の患者(57.1%)が薬物関連有害事象を有していたと考えられた(表6);全てが軽度又は中等度と等級付けされた。重度又は深刻な有害事象は全く報告されなかった。本発明の抗IL-36R抗体を用いての処置後に、大半の患者において臨床検査パラメーターは正常であり、2人の患者(28.6%)は低いヘモグロビン値を有し;2人の患者(14.3%)は好酸球上昇を示し、1人の患者はクレアチニンキナーゼ上昇を示し、2人の患者はトリグリセリド上昇を示し、1人の患者は低い血糖値を示した。3人の患者(42.9%)は、2週目に抗薬物抗体陽性を示し、20週目まで持続し、2人の患者については12週目に最大力価を示した;既存の抗薬物抗体は全く検出されなかった。
【0322】
【表19】
【0323】
有効性
臨床評価項目
GPPGAスコア0又は1が、1回量の本発明の抗IL-36R抗体の投薬後、早くも1週目に5人の患者(71.4%)において、及び4週目までに全患者において達成された(図1A)。
【0324】
GPPASIの大きな改善が全患者において非常に早期に観察され、ベースラインからの変化率の平均値(標準偏差)は2週目において73.2%(16.2)であった(図1B);4週目までに、これはさらに79.8%まで減少し、20週目まで維持された(83.6%)。処置の48時間以内に、膿疱は3人の患者(42.9%)において完全に消失し;膿疱は、1週目までに5人の患者(71.4%)において消失し、2週目までに6人の患者(85.7%)において消失した(図1C)。1週目までに、患者の85.7%がGPPASI50を達成し、4週目までに患者の71.4%がGPPASI75を達成し、12週目までに患者の57.1%がGPPASI90を達成した(図2)。GPPASI紅斑サブスコアの平均値は、1、2及び4週目において、ベースラインからそれぞれ27.8%、48.3%、及び53.5%減少した。同様に、GPPASI鱗屑サブスコアの平均値は、1、2及び4週目において、ベースラインからそれぞれ38.1%、49.6%、及び57.1%減少した(図3)。
【0325】
患者により報告された評価項目
ベースラインから2週目までのFACIT-Fの改善の平均値(標準偏差)は12.3(10.1)であり、4週目まで維持された(図4)。疼痛-VASについては、ベースラインから2週目までの変化の平均値(標準偏差)は-45.9(32.3)であり、4週目まで維持された(図5)。同様に、2週目にPSSのベースラインからの変化の平均値(標準偏差)は-5.14(3.18)であり、これも4週目まで維持された(図6)。
【0326】
バイオマーカー分析
正常化に近づくCRPの急速な減少が、ベースラインから2週目までに-64.2(55.1)mg/dlというCRPの変化平均値(標準偏差)により観察され、これは4週目まで維持された(図7)。好中球絶対数は、2週目までに急速に減少し、4週目まで維持された(図8)。
【0327】
病変を有する及び病変を有さない皮膚生検試料の網羅的トランスクリプトーム分析により、病変を有する皮膚生検材料と病変を有さない皮膚生検材料との間で、ベースラインにおいて、3276個の遺伝子に発現差(1885個が上昇;1391個が減少)があることが判明した(補正P値≦0.05、変化倍率≧2)。本発明の抗IL-36R抗体を用いての処置の7日後に、皮膚病変部における1444個の遺伝子の発現が、強力にアップレギュレート又はダウンレギュレートされ、ほぼ病変を有さない皮膚レベルに達し;発現差を有する遺伝子は、生来の炎症(例えばIL6、TNF、及びCXCL1)及びTh1/Th17により媒介される炎症(例えばIL1B、IL12B及びIL23A)並びに炎症誘発による角化細胞活性化プロセス(例えばIL17C及びIL24)に関連していた(表7)。
【0328】
【表20】
【0329】
全患者において、IL-36α、IL-36γ及びIL-8は、病変を有する皮膚生検材料において強力に増加し;本発明の抗IL-36R抗体を用いての処置から7日後に、IL-36α及びIL-36γの発現は、4人の患者において強力に減少したが、IL-8は、3人の患者において強力に減少した(変化倍率≧2)。全血のRNA発現は、7、14及び28日後に発現差を有する遺伝子(補正P値≦0.05、変化倍率≧2)(それぞれ364、476及び568個の遺伝子)を検出した。IL1B、CD177、S100A8/9、S100A12、MMP9、及びMMP25などの、好中球活性化に関与する炎症誘発性メディエーターの遺伝子は、最も強力にダウンレギュレートされた部類の遺伝子であった(表8)。
【0330】
【表21】
【0331】
考察
本発明の抗IL-36R抗体、すなわち抗インターロイキン-36Rヒトモノクローナル抗体の安全性及び有効性を調べる、このファースト・イン・ヒューマン疾患試験は、有意な疾患負荷に因る汎発性膿疱性乾癬患者、高いアンメットニーズ、及びこの症候群における皮膚及び全身の炎症にインターロイキン-36調節不全が原因であることに関する確固たるエビデンスを研究した。実際に、IL36RNの突然変異に因るインターロイキン-36Raの欠如又は障害により、汎発性膿疱性乾癬が引き起こされるが、このような突然変異の出現率は、集団によって異なり、5%~70%の範囲であり、これによりDITRA(インターロイキン-36受容体拮抗因子欠損症)と呼ばれる新規な自己炎症症候群が同定される。汎発性膿疱性乾癬におけるインターロイキン-36阻害戦略の妥当性は、遺伝子工学操作されたDITRAのマウスモデルによって、及びインターロイキン-36の炎症作用を阻害する、本発明の抗IL-36R抗体の産生を可能とする、ヒトインターロイキン-36Rの構造及び機能の高度な知識によって強化されている。この概念実証研究の結果は、迅速な全身炎症の回復及び有効性を実証し、7人中5人の患者において、本発明の抗IL-36R抗体の注入から1週間後に消失又はほぼ消失し、全患者が4週目までにこの状態を達成した。これらの早期の時点における有効性の評価は、数週間から数か月間かけて通常起こる、汎発性膿疱性乾癬フレアの自然に自己寛解する経過を、(この単群試験における)薬物介入が原因であると間違うことを特に避けるために設計され、この疾患の特徴は、後の時点での有効性評価項目を用いた、汎発性膿疱性乾癬の多くの治療薬の試験の影響を制限する(Br J Dermatol 1968;80:771-93)。同様に、腫瘍壊死因子、インターロイキン-17及びインターロイキン-23の阻害剤などの、多種多様な標的化生物学的製剤を用いての提唱されている成功裡な処置は、注意深く考察されるべきである(J Dermatol 2016;43:1011-7; Arch Dermatol 2012;148:1423-5; Ann Intern Med 2010;153:66-7)。皮膚及び全身の両方の構成要素のこの早期の著しい応答パターンは、本発明の1回量の抗IL-36R抗体を用いてのインターロイキン-36Rの阻害により、汎発性膿疱性乾癬における炎症カスケードの急速かつ持続的な活動停止がもたされることを示唆する。これらの早期応答はまた、患者により報告された評価項目(FACIT-F、疼痛-VAS、及びPSS)の迅速な改善にも反映された。別の重要な観察は、IL36RN突然変異を有する及び有さない患者において観察された同様な有効性であり、これは、インターロイキン-36サイトカインが、異なる遺伝子的バックグラウンドを有する膿疱性乾癬サブタイプ間の皮膚炎症だけでなく、もしかすると尋常性乾癬病変における皮膚炎症にも関与しているという近年の仮説を支持する。臨床評価項目の迅速な改善は、皮膚病変部の遺伝子発現プロファイルが、7日間以内に、ほぼ正常な皮膚レベルへと迅速に改善されたことによって反映され、これはこの疾患におけるインターロイキン-36経路の中心的な役割を強調する。28日目まで全血中に発現差を有する遺伝子は、1回量の本発明の抗IL-36R抗体の持続可能で長く続く臨床効果を支持する。
【0332】
耐容性に関して、124人の健康な試験志願者の以前の安全性データ(公表されていないデータ)の他に、治療により発現した明らかな安全性シグナルは同定されず、これは、重複感染のリスク上昇のエビデンスも伴わず、自然免疫応答及び適応免疫応答に対する有意な影響も及ぼすことなく、インターロイキン-36Rの完全な欠如をもたらす、IL36Rノックアウト突然変異を有する個体の近年の特徴付けと矛盾しない(Sci Transl Med 2017;9)。
【0333】
試験における患者数が少ないことを考えると、安全性又は有効性のいずれかの変化と免疫原性との間には明確な関連は全く検出されなかった。
【0334】
希少疾患における概念実証試験(短期間の少数の非盲検試験)に伴う限界を考慮すると、1回量の本発明の抗IL-36R抗体を用いたインターロイキン-36Rの阻害のこれらの結果は、汎発性膿疱性乾癬の処置についての有望な展望を提供する。これらの所見を確認するためのより大きな無作為化対照試験が進行中である。現在の試験の結果はまた、インターロイキン-36経路の阻害が、IL36RN突然変異を有する患者以外の膿疱性乾癬においても有益であり得るという仮説に対するさらなる支持を提供する。
【0335】
結論すると、1回量の本発明の抗IL-36R抗体の投薬後のインターロイキン-36経路の阻害により、急性の汎発性膿疱性乾癬患者において、臨床症状の迅速かつ持続的な寛解が起こり、有害な安全性シグナルは全く伴なわなかった。
【0336】
実施例2:中等度から重度の強度の急性フレアを呈する汎発性膿疱性乾癬(GPP)患者における本発明の抗IL-36R抗体の有効性、安全性及び耐容性を評価するための、多施設・二重盲検・無作為化・プラセボ対照・第II相試験
急性汎発性膿疱性乾癬の制御、症状の完全な寛解、及びフレアの再発予防のための現在の処置選択肢は限定され、持続的な効力をもたらさない。米国及び欧州では汎発性膿疱性乾癬のために認可されている処置は現在ないが、レチノイド、シクロスポリン又はメトトレキサートの組合せが、慢性汎発性膿疱性乾癬の悪化を制御するための主な選択肢として推奨されている。しかしながら、これらの処置の長期使用は、副作用及び禁忌に因り限定されている(レチノイド:催奇形性、毛髪脱落;シクロスポリン:過剰な発毛、腎毒性;メトトレキサート:肝毒性)。毛髪脱落、過剰な発毛、及び催奇形性などの副作用は、女性におけるこれらの処置の使用を特に制限する。生物学的製剤(主にTNF阻害剤、時折IL-1阻害剤又はIL-17阻害剤)が、少数の公表されている一連の症例に基づいて、より重度であるか広範であるか又は処置抵抗性である汎発性膿疱性乾癬患者の処置に使用されることがますます増えている。しかしながら、これらの薬物はまた、有効性(不完全かつ遅延した応答が頻繁である)及び安全性(感染及び輸注反応のリスク)の限界も伴う。
【0337】
上記の限界に基づいて、現在の治療選択肢は長期の処置に適さず、大半の患者に持続応答をもたらさない。それ故、汎発性膿疱性乾癬における高いアンメット・ニーズに対処するために、(i)急性GPPフレアを呈する患者のための急速な作用開始を示す非常に効果的な処置を開発する;及び(ii)フレアの発生を確実に低減させ、広範な紅斑及び鱗屑などの徴候の完全な寛解をもたらし、生涯にわたる処置にも安全かつ耐容性がある、効果的な処置を開発する重要なニーズがある。さらに、現在の文献を検索しても、中等度から重度の汎発性膿疱性乾癬フレアに焦点を当てた公表されている試験は全く得られなかった。したがって、本発明者らの概念実証アプローチ及びその後の開発計画はさらに、汎発性膿疱性乾癬の処置選択肢のニーズに取り組む。
【0338】
IL36シグナル伝達経路と汎発性膿疱性乾癬と汎発性膿疱性乾癬を駆動する主なサイトカインとしてIL-36を同定する実験データとの間の強力な遺伝子連関は、ヒト化抗IL-36R抗体、すなわち本発明の抗IL-36R抗体を用いてのIL36Rシグナル伝達の阻害が、汎発性膿疱性乾癬の処置に有益であり得ることを示唆し、これは、アナキンラを用いての処置後に、無菌性多巣性骨髄炎を有するIL1R拮抗因子欠損患者に見られる強力な応答と類似している。さらに、ホモ接合性IL36Rノックアウト突然変異を有する個体の近年の特徴付けにより、正常な免疫機能が広範に保存されていることが判明し、このことは、IL36シグナル伝達経路の阻害が、宿主防御を損なわないことを示唆する。
【0339】
この理論に基づき、非盲検単群試験が、汎発性膿疱性乾癬患者における、1回量の本発明の抗IL-36R抗体の概念実証を調べるために実施された。合計で7人の患者が、10mg/kgの1回の本発明の抗IL-36R抗体の静脈内投与を用いて処置された。
【0340】
上記のように、IL36R活性の阻害により、汎発性膿疱性乾癬の皮膚及び全身の症状における迅速かつ持続的な改善がもたらされる。試験された患者では、本発明の抗IL-36R抗体は良好な耐容性を示した。20週間の試験期間を通じて、軽度又は中等度の有害事象しか報告されなかった。さらに、重度又は深刻な有害事象は全く報告されなかった。
【0341】
これらの結果に基づいて、この後続の汎発性膿疱性乾癬の試験の目的は、中等度から重度の急性フレアを呈する汎発性膿疱性乾癬患者における、プラセボと比較した、本発明の抗IL-36R抗体の有効性、安全性及び耐容性を評価することである。
【0342】
さらなる科学的問題に対処することを可能とするために、患者は、寄託のための生体標本を進んで寄付するかどうかを尋ねられるだろう。患者が同意すれば、寄託された試料は、将来のバイオマーカー研究及び薬物開発計画のために、例えば、処置により恩恵を受ける可能性がより高いか若しくは有害事象(AE)が起こる可能性がより高い患者を同定したり、又は薬物の効果の機序の解明若しくは遺伝子的解明を行ない、これにより、患者に治療法をより良好に適合させるために使用され得る。
【0343】
試験の目的及び評価項目
主な目的
中等度から重度の急性フレアを呈する汎発性膿疱性乾癬(GPP)患者における、本発明の抗IL-36R抗体の有効性、安全性及び耐容性を評価すること。
【0344】
臨床試験プロトコールの概要
【表22】



【0345】
この試験は、900mgの本発明の抗IL-36R抗体の投与を受け、その後、さらに12週間経過観察された、中等度から重度の急性GPPフレアを有する患者の、単回量プラセボ対照試験であろう。後続の非盲検延長試験の選択基準/除外基準を満たす患者は、皮下投薬によるGPPのための処置を受け続ける選択肢を受けるだろう。試験デザインについてのさらなる詳細については図9を参照されたい。
【0346】
実施例3:急性GPPフレアを有する患者の処置
この実施例では、抗IL-36R抗体(例えば、本発明の抗IL-36R抗体)を使用して、急性GPPフレア患者を処置する。最初に、各患者は、実施例2に列挙された1つ以上の選択基準を有する。900mgの1回量の本発明の抗IL-36R抗体(注入用の溶液中60mg/mLで)が各患者に投与される。
【0347】
抗IL-36R抗体(例えば本発明の抗IL-36R抗体)の投与後、安全性及び有効性の評価は、以下を明らかとする:患者の少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、又は90%が、(a)1週目の汎発性膿疱性乾癬に対する総合評価(GPPGA)のスコアが0又は1;(b)1週目のGPPGA膿疱形成サブスコアが0(これは、目に見える膿疱が全くないことを示す);(c)4週目の汎発性膿疱性乾癬の乾癬面積及び重症度指標(GPPASI)が75;(d)4週目の疼痛視覚的アナログスケール(VAS)スコアのベースラインからの変化;(e)4週目の乾癬症状尺度(PSS)スコアのベースラインからの変化;(f)4週目の慢性疾患治療・疲労の機能評価(FACIT)スコアのベースラインからの変化;(g)4週目のGPPGAが0又は1;(h)4週目のGPPGAの膿疱形成サブスコアが0(これは、目に見える膿疱が全くないことを示す);(i)1週目及び4週目のGPPASIが50;又は(j)処置の1週目及び4週目のGPPASIの膿疱、紅斑、又は鱗屑の重症度サブスコアのベースラインからの変化、によって定義されるような臨床的寛解を達成する。投与に応答した患者の比率は、評価項目(a)~(j)の中の1つ以上について、プラセボ患者と比較して、統計学的に有意により高い。
【0348】
実施例4:GPP患者におけるフレアの再発予防
この実施例では、900mgの1回量(静脈内)の本発明の抗IL-36R抗体(注入用の溶液中60mg/mLで)を使用して、急性GPPフレア患者を処置する。表1に示されているように、静脈内用量に続いて、抗IL-36R抗体の追加の皮下用量を投与して、GPPフレアの再発を予防する。
【0349】
抗IL-36R抗体(例えば本発明の抗IL-36R抗体)の最後の用量の投与後、患者の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%又は80%が、12、24、36、48、60、又は72週目におけるGPPGAスコアが0又は1によって判断されるように、臨床的に寛解したままである。改善された効果は、プラセボよりも、本発明の抗IL-36R抗体を用いた方がより高い比率で維持される。哺乳動物又は患者の少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、又は90%が、プラセボと比較して、抗IL-36R抗体の最後の用量が投与された12、24、36、48、60又は72週間後に改善された効果を維持している。
【0350】
抗IL-36R抗体(例えば本発明の抗IL-36R抗体)の最後の用量の投与後、患者の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%又は80%が、12、24、36、48、60又は72週目のベースラインからのGPPASIの変化によって判断されるように、臨床的に寛解したままである。改善された効果は、プラセボよりも、本発明の抗IL-36R抗体を用いた方がより高い比率で維持される。哺乳動物又は患者の少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、又は90%が、プラセボと比較して、抗IL-36R抗体の最後の用量が投与された12、24、36、48、60又は72週間後に改善された効果を維持している。
【0351】
抗IL-36R抗体(例えば本発明の抗IL-36R抗体)の最後の用量の投与後、患者の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%又は80%が、12、24、36、48、60又は72週目のベースラインからのGPPASIの膿疱、紅斑、又は鱗屑の重症度サブスコアのベースラインからの変化によって判断されるように、臨床的に寛解したままである。改善された効果は、プラセボよりも、本発明の抗IL-36R抗体を用いた方がより高い比率で維持される。哺乳動物又は患者の少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、又は90%が、プラセボと比較して、抗IL-36R抗体の最後の用量が投与された12、24、36、48、60又は72週間後に改善された効果を維持している。
【0352】
実施例5:GPP患者におけるGPP症状の完全寛解の達成
この実施例では、900mgの1回量(静脈内)の本発明の抗IL-36R抗体(注入用の溶液中60mg/mLで)を使用して、急性GPPフレア患者を処置する。表1に示されているように、静脈内用量に続いて、抗IL-36R抗体の追加の皮下用量を投与して、患者におけるGPP症状の完全寛解を達成する。
【0353】
抗IL-36R抗体(例えば本発明の抗IL-36R抗体)の最後の用量の投与後、患者の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%又は80%が、12、24、36、48、60又は72週目のGPPGAスコアが0によって判断されるように、GPP症状の寛解を完了する。改善された効果は、プラセボよりも、本発明の抗IL-36R抗体を用いた方がより高い比率で維持される。哺乳動物又は患者の少なくとも10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、又は90%が、プラセボと比較して、抗IL-36R抗体の最後の用量が投与された12、24、36、48、60又は72週間後に改善された効果を維持している。
【0354】
本発明の特定の態様及び実施態様が記載されているが、これらは、単に例として提示され、本発明の範囲を制限する意図はない。実際に、本明細書に記載の新規方法及びシステムは、その精神から逸脱することなく、多種多様な他の形態でも具現化され得る。添付の特許請求の範囲及びその均等物は、本発明の範囲及び精神の範囲内に該当するであろうような形態又は修飾形を網羅することを意図する。
【0355】
全ての特許及び/又は刊行物(本開示に列挙されたジャーナル記事を含む)は参照により本明細書に明確に組み入れられる。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9-1】
図9-2】
【配列表】
2024028951000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約0.5mg/mL~約220mg/mLの範囲内の濃度で存在する抗IL-36R抗体、及び約20mM~約80mMの範囲内の濃度で存在する薬学的に許容される緩衝液を含む、患者における急性期の汎発性膿疱性乾癬(GPP)の突発の兆候及び症状を低減若しくは軽減するための、又は患者におけるGPPフレアの重症度及び持続時間を低減させるための医薬製剤であって、ここでの製剤は、水溶液の形態である場合、約5~約8の範囲内のpHによって特徴付けられ、前記抗IL-36R抗体は、配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、医薬製剤。
【請求項2】
抗IL-36R抗体が、配列番号118のアミノ酸配列を含む軽鎖;及び配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1記載の医薬製剤。
【請求項3】
該製剤が、液剤形又は散剤形である、請求項1又は2記載の医薬製剤。
【請求項4】
抗IL-36R抗体が、約10mg/mL~約200mg/mLの範囲内の濃度で存在する、請求項1又は2記載の医薬製剤。
【請求項5】
抗IL-36R抗体が、約20mg/mLの濃度で存在する、請求項1又は2記載の医薬製剤。
【請求項6】
抗IL-36R抗体が、約60mg/mLの濃度で存在する、請求項1又は2記載の医薬製剤。
【請求項7】
抗IL-36R抗体が、約150mg/mLの濃度で存在する、請求項1又は2記載の医薬製剤。
【請求項8】
緩衝液は、ヒスチジン、リン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、又はトリスを含む、請求項1又は2記載の医薬製剤。
【請求項9】
緩衝液はクエン酸塩又は酢酸塩を含む、請求項1又は2記載の医薬製剤。
【請求項10】
緩衝液はヒスチジンを含む、請求項1又は2記載の医薬製剤。
【請求項11】
緩衝液は酢酸塩を含む、請求項1又は2記載の医薬製剤。
【請求項12】
製剤がさらに、約100mM~約250mMの範囲内の濃度で存在する薬学的に許容される等張化剤を含む、請求項1又は2記載の医薬製剤。
【請求項13】
等張化剤は、1つ以上の糖及び/又はポリオールである、請求項12記載の医薬製剤。
【請求項14】
等張化剤は、1つ以上の糖及び/又はポリオール、例えばショ糖、トレハロース、ソルビトール、硫酸マグネシウム(MgSO )、グリセロール、マンニトール又はデキストロースである、請求項12記載の医薬製剤。
【請求項15】
等張化剤はショ糖又はトレハロースを含む、請求項12記載の医薬製剤。
【請求項16】
等張化剤はショ糖を含む、請求項12記載の医薬製剤。
【請求項17】
等張化剤はトレハロースを含む、請求項12記載の医薬製剤。
【請求項18】
製剤がさらに、約0mM~約80mMの範囲内の濃度で存在する薬学的に許容される安定化剤を含む、請求項1又は2記載の医薬製剤。
【請求項19】
安定化剤は、アミノ酸、例えば、アルギニン、ヒスチジン、グリシン、システイン、プロリン、メチオニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、又はその薬学的に許容される塩を含む、請求項18記載の医薬製剤。
【請求項20】
安定化剤はL-アルギニン又はその薬学的に許容される塩を含む、請求項18記載の医薬製剤。
【請求項21】
製剤がさらに、約0~約150mMの範囲内の濃度で存在する薬学的に許容される塩を含む、請求項1又は2記載の医薬製剤。
【請求項22】
塩は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化マグネシウム(MgCl )、塩化カリウム(KCl)、塩化リチウム(LiCl)、塩化カルシウム(CaCl )、ホウ酸塩又は塩化亜鉛(ZnCl )を含む、請求項21記載の医薬製剤。
【請求項23】
塩は塩化ナトリウム(NaCl)を含む、請求項21記載の医薬製剤。
【請求項24】
製剤がさらに、約0g/L~約1.5g/Lの範囲内の濃度で存在する薬学的に許容される界面活性剤を含む、請求項1又は2記載の医薬製剤。
【請求項25】
界面活性剤は、ポロキサマー188、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、又はポリソルベート80を含む、請求項24記載の医薬製剤。
【請求項26】
界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、又はポリソルベート80を含む、請求項24記載の医薬製剤。
【請求項27】
界面活性剤はポリソルベート20を含む、請求項24記載の医薬製剤。
【請求項28】
界面活性剤はポリソルベート80を含む、請求項24記載の医薬製剤。
【請求項29】
a.約10mg/mL~約200mg/mLの範囲内の濃度で存在する、配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗IL-36R抗体;
b.約20mM~約80mMの範囲内の濃度で存在する、酢酸塩及び/又はヒスチジン緩衝液;
c.約100mM~約250mMの範囲内の濃度で存在する、ショ糖及び/又はトレハロース;
d.約0mM~約80mMの範囲内の濃度で存在する、L-アルギニン及び/又はその薬学的に許容される塩;
e.約0~約150mMの範囲内の濃度で存在する、塩化ナトリウム(NaCl);及び
f.約0g/L~約1.5g/Lの範囲内の濃度で存在する、ポリソルベート20及び/又はポリソルベート80
を含む、患者における急性期の汎発性膿疱性乾癬(GPP)の突発の兆候及び症状を低減若しくは軽減するための、又は患者におけるGPPフレアの重症度及び持続時間を低減させるための医薬製剤であって、ここでの製剤は、水溶液の形態である場合、約5~約7の範囲内のpHによって特徴付けられる、医薬製剤。
【請求項30】
a.約20mg/mLの濃度で存在する、配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗IL-36R抗体;
b.約25mMの濃度で存在する、クエン酸緩衝液;
c.約200mMの濃度で存在する、ショ糖及び/又はトレハロース;及び
d.約0.4g/Lの濃度で存在する、ポリソルベート80
を含む、患者における急性期の汎発性膿疱性乾癬(GPP)の突発の兆候及び症状を低減若しくは軽減するための、又は患者におけるGPPフレアの重症度及び持続時間を低減させるための医薬製剤であって、ここでの製剤は、水溶液の形態である場合、約6~約7の範囲内のpHによって特徴付けられる、医薬製剤。
【請求項31】
a.約60mg/mLの濃度で存在する、配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗IL-36R抗体;
b.約45mMの濃度で存在する、酢酸緩衝液;
c.約150mMの濃度で存在する、ショ糖及び/又はトレハロース;
d.約25mMの濃度で存在する、L-アルギニン又はその薬学的に許容される塩;及び
e.約0.4g/Lの濃度で存在するポリソルベート20
を含む、患者における急性期の汎発性膿疱性乾癬(GPP)の突発の兆候及び症状を低減若しくは軽減するための、又は患者におけるGPPフレアの重症度及び持続時間を低減させるための医薬製剤であって、ここでの製剤は、水溶液の形態である場合、約5~約6の範囲内のpHによって特徴付けられる、医薬製剤。
【請求項32】
a.約150mg/mLの濃度で存在する、配列番号80のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;及び配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗IL-36R抗体;
b.約45mMの濃度で存在する、酢酸緩衝液;
c.約150mMの濃度で存在する、ショ糖又はトレハロース;
d.約25mMの濃度で存在する、L-アルギニン又はその薬学的に許容される塩;及び
e.約0.4g/Lの濃度で存在するポリソルベート20
を含む、患者における急性期の汎発性膿疱性乾癬(GPP)の突発の兆候及び症状を低減若しくは軽減するための、又は患者におけるGPPフレアの重症度及び持続時間を低減させるための医薬製剤であって、ここでの製剤は、水溶液の形態である場合、約5~約6の範囲内のpHによって特徴付けられる、医薬製剤。
【請求項33】
製剤が、約210ミリオスモル/kg~約390ミリオスモル/kgの範囲内のモル浸透圧濃度によって特徴付けられる、請求項1~32のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項34】
抗体の約5%未満が、製剤中で凝集体の形態で存在する、請求項1~33のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項35】
製剤が無菌である、請求項1~34のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項36】
製剤が、凍結時及び解凍時に安定である、請求項1~35のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項37】
製剤が水を含むか、又は水で復元される、請求項1~36のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項38】
製剤が、液体形において又は水で復元された場合に、約5~約6のpHを有する、請求項1~37のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項39】
製剤が、液体形において又は水で復元された場合に約6のpHを有する、請求項1~38のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項40】
製剤が、基準製剤と比較して、
(i)延長された有効期間、
(ii)温度に対するより良好な安定性、
(iii)低減した凝集体の形成、
(iv)化学物質に対するより良好な安定性、及び
(v)低減した粘度
からなる群より選択された少なくとも1つの特色を有する、請求項1~39のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項41】
製剤が、基準製剤と比較して、
(a)高性能サイズ排除クロマトグラフィー(HP-SEC)によって判断されるような、凝集体の比率の低下、
(b)HP-SECによって判断されるような、モノマーの比率がより高い、
(c)陽イオン交換によって判断される、メインピークの比率がより高い(荷電変異体のより少ない分解)、
(d)10μm以上及び25μm以上などの準可視的粒子の比率がより低い、及び
(e)約40℃で保存後、ホルマジン散乱比濁法単位(FNU)の濁度の数値がより低い
からなる群より選択された少なくとも1つの特色を有する、請求項1~40のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項42】
配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む、抗IL-36R抗体を含む、患者における急性期の汎発性膿疱性乾癬(GPP)の突発の兆候及び症状を低減若しくは軽減するための、又は患者におけるGPPフレアの重症度及び持続時間を低減させるための医薬製剤であって、ここでの製剤は、
I.約20mg/mLの抗IL-36R抗体、約40mMのヒスチジン、約120mMのショ糖、約50mMのL-アルギニン、約5mMのNaCl、及び約1.0g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.0の製剤;
II.約60mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約150mMのショ糖、約25mMのL-アルギニン、約0.4g/Lのポリソルベート20を含む、pH約5.5の製剤;
III.約20mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約180mMのショ糖、約25mMのグリシン、約0.4g/Lのポリソルベート80を含む、pH約5.5の製剤;
IV.約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約150mMのトレハロース、約25mMのメチオニン、約0.2g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.0の製剤;
V.約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのヒスチジン、約180mMのショ糖、約20mMのマンニトール、約0.2g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.5の製剤;
VI.約20mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約200mMのショ糖、約0.4g/Lのポリソルベート80を含む、pH約6.5の製剤;
VII.約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約150mMのショ糖、約25mMのL-アルギニン、約0.4g/Lのポリソルベート20を含む、pH約5.5の製剤;
VIII.約15mg/mLの抗IL-36R抗体、約35mMのヒスチジン、約180mMのトレハロース、約25mMのL-アルギニン、約3mMのNaCl、約0.4g/Lのポリソルベート80を含む、pH約6.0の製剤;
IX.約80mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMの酢酸塩、約100mMのマンニトール、約50mMのNaCl、約0.2g/Lのポリソルベート20を含む、pH約5.5の製剤;
X.約100mg/mLの抗IL-36R抗体、約20mMのコハク酸塩、約220mMのショ糖、約0.1g/Lのポリソルベート80を含む、pH約6.0の製剤;及び
XI.約60mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約0.4g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.5の製剤
からなる群より選択される、
医薬製剤。
【請求項43】
配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む、抗IL-36R抗体を含む、患者における急性期の汎発性膿疱性乾癬(GPP)の突発の兆候及び症状を低減若しくは軽減するための、又は患者におけるGPPフレアの重症度及び持続時間を低減させるための医薬製剤であって、ここでの製剤は、約20mg/mLの抗IL-36R抗体、約40mMのヒスチジン、約120mMのショ糖、約50mMのL-アルギニン、約5mMのNaCl、及び約1.0g/Lのポリソルベート20を含み、pH約6.0である、医薬製剤。
【請求項44】
配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む、抗IL-36R抗体を含む、患者における急性期の汎発性膿疱性乾癬(GPP)の突発の兆候及び症状を低減若しくは軽減するための、又は患者におけるGPPフレアの重症度及び持続時間を低減させるための医薬製剤であって、ここでの製剤は、約60mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約150mMのショ糖、約25mMのL-アルギニン、約0.4g/Lのポリソルベート20を含み、pH約5.5である、医薬製剤。
【請求項45】
配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む、抗IL-36R抗体を含む、患者における急性期の汎発性膿疱性乾癬(GPP)の突発の兆候及び症状を低減若しくは軽減するための、又は患者におけるGPPフレアの重症度及び持続時間を低減させるための医薬製剤であって、ここでの製剤は、約20mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約180mMのショ糖、約25mMのグリシン、約0.4g/Lのポリソルベート80を含み、pH約5.5である、医薬製剤。
【請求項46】
配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む、抗IL-36R抗体を含む、患者における急性期の汎発性膿疱性乾癬(GPP)の突発の兆候及び症状を低減若しくは軽減するための、又は患者におけるGPPフレアの重症度及び持続時間を低減させるための医薬製剤であって、ここでの製剤は、約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約150mMのトレハロース、約25mMのメチオニン、約0.2g/Lのポリソルベート20を含み、pH約6.0である、医薬製剤。
【請求項47】
配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む、抗IL-36R抗体を含む、患者における急性期の汎発性膿疱性乾癬(GPP)の突発の兆候及び症状を低減若しくは軽減するための、又は患者におけるGPPフレアの重症度及び持続時間を低減させるための医薬製剤であって、ここでの製剤は、約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのヒスチジン、約180mMのショ糖、約20mMのマンニトール、約0.2g/Lのポリソルベート20を含み、pH約6.5である、医薬製剤。
【請求項48】
配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む、抗IL-36R抗体を含む、患者における急性期の汎発性膿疱性乾癬(GPP)の突発の兆候及び症状を低減若しくは軽減するための、又は患者におけるGPPフレアの重症度及び持続時間を低減させるための医薬製剤であって、ここでの製剤は、約20mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約200mMのショ糖、約0.4g/Lのポリソルベート80を含み、pH約6.5である、医薬製剤。
【請求項49】
配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む、抗IL-36R抗体を含む、患者における急性期の汎発性膿疱性乾癬(GPP)の突発の兆候及び症状を低減若しくは軽減するための、又は患者におけるGPPフレアの重症度及び持続時間を低減させるための医薬製剤であって、ここでの製剤は、約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約150mMのショ糖、約25mMのL-アルギニン、約0.4g/Lのポリソルベート20を含み、pH約5.5である、医薬製剤。
【請求項50】
配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む、抗IL-36R抗体を含む、患者における急性期の汎発性膿疱性乾癬(GPP)の突発の兆候及び症状を低減若しくは軽減するための、又は患者におけるGPPフレアの重症度及び持続時間を低減させるための医薬製剤であって、ここでの製剤は、約15mg/mLの抗IL-36R抗体、約35mMのヒスチジン、約180mMのトレハロース、約25mMのL-アルギニン、約3mMのNaCl、約0.4g/Lのポリソルベート80を含み、pH約6.0である、医薬製剤。
【請求項51】
配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む、抗IL-36R抗体を含む、患者における急性期の汎発性膿疱性乾癬(GPP)の突発の兆候及び症状を低減若しくは軽減するための、又は患者におけるGPPフレアの重症度及び持続時間を低減させるための医薬製剤であって、ここでの製剤は、約80mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMの酢酸塩、約100mMのマンニトール、約50mMのNaCl、約0.2g/Lのポリソルベート20を含み、pH約5.5である、医薬製剤。
【請求項52】
配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む、抗IL-36R抗体を含む、患者における急性期の汎発性膿疱性乾癬(GPP)の突発の兆候及び症状を低減若しくは軽減するための、又は患者におけるGPPフレアの重症度及び持続時間を低減させるための医薬製剤であって、ここでの製剤は、約100mg/mLの抗IL-36R抗体、約20mMのコハク酸塩、約220mMのショ糖、約0.1g/Lのポリソルベート80を含み、pH約6.0である、医薬製剤。
【請求項53】
配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む、抗IL-36R抗体を含む、患者における急性期の汎発性膿疱性乾癬(GPP)の突発の兆候及び症状を低減若しくは軽減するための、又は患者におけるGPPフレアの重症度及び持続時間を低減させるための医薬製剤であって、ここでの製剤は、約60mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約0.4g/Lのポリソルベート20を含み、pH約6.5である、医薬製剤。
【請求項54】
配列番号118として示されるアミノ酸配列を含む軽鎖、及び配列番号127として示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含む、抗IL-36R抗体を含む、患者における急性期の汎発性膿疱性乾癬(GPP)の突発の兆候及び症状を低減若しくは軽減するための、又は患者におけるGPPフレアの重症度及び持続時間を低減させるための医薬製剤であって、ここでの製剤は、
I.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約40mMのヒスチジン、約120mMのショ糖、約50mMのL-アルギニン、約5mMのNaCl、及び約1.0g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.0の製剤;
II.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約150mMのショ糖、約25mMのL-アルギニン、約0.4g/Lのポリソルベート20を含む、pH約5.5の製剤;
III.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約180mMのショ糖、約25mMのグリシン、約0.4g/Lのポリソルベート80を含む、pH約5.5の製剤;
IV.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約150mMのトレハロース、約25mMのメチオニン、約0.2g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.0の製剤;
V.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのヒスチジン、約180mMのショ糖、約20mMのマンニトール、約0.2g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.5の製剤;
VI.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約200mMのショ糖、約0.4g/Lのポリソルベート80を含む、pH約6.5の製剤;
VII.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約45mMの酢酸塩、約150mMのショ糖、約25mMのL-アルギニン、約0.4g/Lのポリソルベート20を含む、pH約5.5の製剤;
VIII.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約35mMのヒスチジン、約180mMのトレハロース、約25mMのL-アルギニン、約3mMのNaCl、約0.4g/Lのポリソルベート80を含む、pH約6.0の製剤;
IX.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMの酢酸塩、約100mMのマンニトール、約50mMのNaCl、約0.2g/Lのポリソルベート20を含む、pH約5.5の製剤;
X.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約20mMのコハク酸塩、約220mMのショ糖、約0.1g/Lのポリソルベート80を含む、pH約6.0の製剤;及び
XI.約20mg/mL~約150mg/mLの抗IL-36R抗体、約25mMのクエン酸塩、約0.4g/Lのポリソルベート20を含む、pH約6.5の製剤
からなる群より選択される、
医薬製剤。
【外国語明細書】