(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028979
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】成形可能な先端部及びバイパスカットを有するガイドワイヤデバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 25/09 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
A61M25/09 514
A61M25/09 516
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023210739
(22)【出願日】2023-12-14
(62)【分割の表示】P 2020546479の分割
【原出願日】2019-03-06
(31)【優先権主張番号】15/917,255
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515246317
【氏名又は名称】サイエンティア・バスキュラー・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】リッパート,ジョン・エイ
(72)【発明者】
【氏名】スナイダー,エドワード・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】デイビス,クラーク・シー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】成形可能な先端部及び有効なトルク性能を有するガイドワイヤデバイスを提供する。
【解決手段】ガイドワイヤデバイスは、近位区分及びテーパ状遠位区分912を有するコア902を含んでいる。コア902にはチューブ構造904が、テーパ状遠位区分がチューブ構造904の中へ延びるようにして連結されている。チューブ構造904は、チューブ構造904の可撓性を高めるように且つチューブ構造904からの弾性力がガイドワイヤデバイスの成形された遠位先端部922を崩す傾向を低減するように、チューブ構造904内に接線方向に形成された複数のバイパスカット930、940を含んでいる。
【選択図】
図9A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形可能な先端部を有するガイドワイヤデバイスであって、
近位区分及び遠位区分を有するコアと、
前記コアへ連結されたチューブ構造であって、前記チューブ構造は、前記コアの前記遠位区分が前記チューブ構造の中へ通るようにして前記コアへ連結されていて、第1区分及び前記第1区分より遠位の第2区分を有しており、
前記チューブ構造は、複数の周方向に延びる輪を連結する複数の軸方向に延びる桁を形成しているカットパターンを含み、
前記カットパターンは、前記第2区分内で各対の隣接する輪の間に単一の桁を形成し、前記第2区分の前記桁は優先的曲げ平面を形成する、チューブ構造と、
を備えているガイドワイヤデバイスにおいて、
前記チューブの前記第2区分を通過している前記コアの前記遠位区分の少なくとも一部分は、前記優先的曲げ平面に実質的に垂直に横たわる主平面を有する平坦なリボン部であり、
前記ガイドワイヤデバイスの遠位先端部は手で成形できるように構成されている、
ガイドワイヤデバイス。
【請求項2】
前記第2区分は長さが約0.5cm~5cmの間である、請求項1に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項3】
前記第2区分は長さが約1cm~2cmの間である、請求項1に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項4】
前記第2区分の前記輪の間の前記桁は、前記チューブ構造の第1の側から前記チューブ構造の前記第1側とは約180度反対側の第2の側へ位置を交互している、請求項1から請求項3の何れか一項に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項5】
前記第2区分の前記輪の間の前記桁は、前記チューブ構造の片側に整列して前記第2区分内の前記複数の輪を接続する整列した桁の背骨を形成している、請求項1から請求項3の何れか一項に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項6】
前記コアの前記遠位区分の外側表面と前記チューブ構造の内側表面の間に位置づけられるように前記チューブ構造内に配置されたコイル、を更に備えている請求項1から請求項5の何れか一項に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項7】
前記第1区分は、隣接する輪の間に2本又はそれ以上の桁のカットパターンを有している、請求項1から請求項6の何れか一項に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項8】
前記チューブ構造は超弾性材料から形成されている、請求項1から請求項7の何れか一項に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項9】
前記チューブ構造の曲げ剛性は、前記第1区分と前記第2区分の間の移行部に亘って連続的である、請求項1から請求項8の何れか一項に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項10】
前記第2区分の最も近位の輪の厚さは前記第1区分の最も遠位の輪の厚さより大きい、請求項1から請求項9の何れか一項に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項11】
前記第2区分は中間点を含んでおり、前記中間点の近位側の前記第2区分の前記輪は、前記中間点の遠位側の前記第2区分の前記輪の平均輪厚さより大きい平均輪厚さを有している、請求項1から請求項10の何れか一項に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項12】
前記チューブ構造は前記第2区分より遠位の第3区分を更に備えており、前記チューブ構造の前記第3区分は隣接する輪の間に2本又はそれ以上の桁を含んでいる、請求項1から請求項11の何れか一項に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項13】
前記ガイドワイヤデバイスは、前記チューブ構造の前記遠位端に配置された前記チューブ構造を前記コアへ連結する接着剤を更に備えており、前記接着剤は前記チューブの中へ及び前記チューブ構造の前記第3区分の2つ又はそれ以上の輪の間に延びている、請求項12に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項14】
成形可能な先端部を有するガイドワイヤデバイスであって、
近位区分及び遠位区分を有するコアと、
前記コアへ連結された成形可能なチューブ構造であって、前記チューブ構造は、前記コアの前記遠位区分が前記チューブ構造の中へ通るようにして前記コアへ連結されていて、第1区分及び前記第1区分より遠位の第2区分を有しており、
前記チューブ構造は、前記チューブ構造の中へ横断方向に延びる複数のカットを含み、各カットはチューブ材料の残存区分によって画定される1本又はそれ以上の桁を形成し、各桁はチューブ材料の2つの隣接する輪を接続し、
前記チューブ構造の前記第1区分は隣接した輪の間に2本又はそれ以上の桁を含み、前記チューブ構造の前記第2区分は隣接した輪の間に単一の桁を含み、
前記チューブ構造の曲げ剛性は前記第1区分と前記第2区分の間の移行部に亘って連続的である、チューブ構造と、
を備えているガイドワイヤデバイス。
【請求項15】
前記第2区分の最も近位側の輪の厚さは前記第1区分の最も遠位側の輪の厚さより大きい、請求項14に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項16】
前記第2区分は中間点を含んでおり、前記中間点の近位側の前記第2区分の前記輪は、前記中間点の遠位側の前記第2区分の前記輪の平均輪厚さより大きい平均輪厚さを有している、請求項14又は請求項15に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項17】
前記第2区分の前記複数のカットは、前記チューブ構造の遠位端に向かって離間間隔の減少するカットを配列されている、請求項14から請求項16の何れか一項に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項18】
成形可能な先端部を有するガイドワイヤデバイスであって、
近位区分及び遠位区分を有するコアと、
前記コアへ連結されたチューブ構造であって、前記チューブ構造は、前記コアの前記遠位区分が前記チューブ構造の中へ通るようにして前記コアへ連結されていて、第1区分、前記第1区分より遠位の第2区分、及び前記第2区分より遠位の第3区分を有しており、
前記チューブ構造は、前記チューブ構造の中へ横断方向に延びる複数のバイパスカットを含み、各バイパスカットはチューブ材料の残存区分によって画定される1本又はそれ以上の桁を形成し、各桁はチューブ材料の2つの隣接する輪を接続し、
前記チューブ構造の前記第2区分は隣接した輪の間に単一の桁を含み、前記チューブ構造の前記第3区分は、隣接した輪の間に2本又はそれ以上の桁を含んでいる、チューブ構造と、
を備えているガイドワイヤデバイス。
【請求項19】
前記チューブ構造の前記遠位端に配置された前記チューブ構造を前記コアへ連結する接着剤、を更に備えている請求項18に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項20】
前記接着剤は前記チューブの中へ及び前記チューブ構造の前記第3区分の2つ又はそれ以上の輪の間に延びている、請求項19に記載のガイドワイヤデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
[0001]本願は、2018年3月9日出願の「成形可能な先端部及びバイパスカットを有するガイドワイヤデバイス」(“GUIDEWIRE DEVICES HAVING SHAPEABLE TIPS AND BYPASS CUTS”)という名称の米国特許出願第15/917,255号に対する優先権を主張し、その開示をここに参考としてそっくりそのまま援用する。
【0002】
本発明は、成形可能な先端部及びバイパスカットを有するガイドワイヤデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
[0002]カテーテルや他の介入的デバイスを患者の身体内の目標とされる解剖学的場所へ導く又は案内するのにガイドワイヤデバイスが使用されることが多い。典型的には、ガイドワイヤは患者の脈管構造の中へ通され、例えば患者の心臓又は神経脈管組織もしくはその近傍とされることもある目標の場所に到達するために患者の脈管構造を通って送られてゆく。ガイドワイヤを目標とされる場所へナビゲートするのを支援するべく放射線画像化法が利用されるのが典型的である。多くの事例では、ガイドワイヤは介入的処置の間は身体内の所定場所に残され、ガイドワイヤを使用して複数のカテーテルや他の介入的デバイスを目標とされる解剖学的場所へ案内できるようにしている。
【0004】
[0003]一部のガイドワイヤは、施術者が患者の脈管構造をより巧みにナビゲートできるように湾曲した又は曲がった先端部を有して構築される。その様なガイドワイヤの場合、施術者は、先端部を所望の方向に置く又は向けるためにガイドワイヤの近位端もしくは付属の近位ハンドルへトルクを加えればよい。次いで施術者はガイドワイヤを患者の脈管構造の更に奥で所望の向きに方向決めすることができる。
【0005】
[0004]ガイドワイヤデバイスの可撓性、特にガイドワイヤの遠位区分の可撓性を調整することは懸念事項でもある。多くの状況では、目標とされる解剖学的構造に行き着くためにガイドワイヤデバイスに脈管構造の通路の蛇行した曲がりや湾曲を通って角度を付けさせることができるようにガイドワイヤの十分な曲げ性を提供するには比較的高いレベルの可撓性が望ましい。例えば、ガイドワイヤを神経脈管構造の諸部分へ方向決めするには、ガイドワイヤに頸動脈サイホン及び他の蛇行経路の様な湾曲した通路を通過させることが必要になる。
【0006】
[0005]ガイドワイヤデバイスに関係する別の懸念事項は、所与のガイドワイヤデバイスの、近位部分から遠位部分へトルクを伝達する能力(即ちガイドワイヤデバイスの「トルク性能」(torquability))である。ガイドワイヤのより多くの部分が蛇行性の脈管構造の通路の中へ通され通路を通って送られてゆくにつれ、ガイドワイヤと脈管構造の間の摩擦面接触量が増し、脈管構造の通路を通るガイドワイヤの容易運動が妨げられる。十分なトルク性能を有するガイドワイヤなら、近位端のトルク付与力がガイドワイヤを通して遠位端へ伝達されることを可能にし、ガイドワイヤが回転し摩擦力に打ち勝つことができるようにする。
【0007】
[0006]一部のガイドワイヤデバイスは、加えられる捩り力を更に遠位方向にデバイスの端へ向けて方向決めするために、ガイドワイヤコアの遠位端に重ねて配置される遠位設置型微細加工ハイポチューブを含むものもある。捩り力は主に部材の断面の外側区分を通って伝達されるので、チューブは、チューブを被されていないガイドワイヤコアによって伝達されるトルクの量に比較して増加したトルク伝達のための経路を提供するように構成されている。その様なチューブは、十分なレベルの可撓性を提供することに加えて所望のトルク伝達特性を提供するように、典型的にはニチノールの様な超弾性材料から形成されている。
【0008】
[0007]その様なガイドワイヤデバイスは多くの恩恵をもたらしてはいるが、幾つかの制限がいまだに存在する。例えば、トルク伝達性のチューブを有するガイドワイヤの設計特性の多くは、増加したトルク伝達を提供するように機能するとはいえ、ガイドワイヤ先端部の成形性能(shapeability)に不利に働き、成形性能を制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願第15/917,255号
【特許文献2】米国特許出願第15/698,553号
【発明の概要】
【0010】
[0008]本開示は、成形可能な先端部及び有効なトルク性能を有するガイドワイヤデバイスに関する。1つの実施形態では、ガイドワイヤデバイスは、近位区分及びテーパ状遠位区分を有するコアを含んでいる。コアにはチューブ構造が、テーパ状遠位区分がチューブ構造の中へ延びるようにして連結されている。チューブ構造は、チューブ構造の可撓性を高めるように且つチューブ構造からの弾性力がガイドワイヤデバイスの成形された遠位先端部を崩す傾向を低減するように、チューブ構造内に接線方向に形成された複数のバイパスカットを含んでいる。バイパスカットは、周方向及び横断方向に延びる複数の輪同士を連結している軸方向に延びる複数の桁を形成するカットパターンの一部である。バイパスカットは1本桁パターンを形成し、1本桁カットパターン内のそれぞれの隣接した輪の間に単一の桁が形成されるものである。
【0011】
[0009]幾つかの実施形態は、更に、コアの遠位区分の外側表面とチューブ構造の内側表面の間に位置づけられるようにチューブ構造内に配置されたコイルを更に含んでいる。コイルは、白金の様な放射線不透過性材料から形成されることができる。幾つかの実施形態では、コアはステンレス鋼から形成され、チューブ構造はニチノールの様な超弾性材料から形成されている。
【0012】
[0010]幾つかの実施形態では、カットパターンの少なくとも一部分は、ガイドワイヤデバイスの長手方向軸に対してチューブ構造の片側に複数の連続した桁が配置されるという片側1本桁カットパターンを含んでいる。幾つかの実施形態では、カットパターンは、1本桁カットパターンの近位側に配置された2本桁カットパターンを含んでいる。2本桁カットパターンは、深さ対称2本桁カットパターン及び深さオフセット2本桁カットパターンを含み、深さ対称2本桁カットパターンを深さオフセット2本桁カットパターンの近位側に配置させて、深さオフセット2本桁カットパターンを1本桁カットパターンと深さ対称2本桁カットパターンの間の移行部として機能させるようにしていてもよい。
【0013】
[0011]幾つかの実施形態では、1本桁カットパターンはチューブ構造の遠位端に向かってカットの深さを増加させながら配列されており、及び/又は、1本桁カットパターンは連続するカットの間の離間間隔がチューブ構造の遠位端に向かって減少するように配列されている。
【0014】
[0012]幾つかの実施形態では、コアの遠位部分は、成形可能な材料から形成されていて、遠位先端部が成形構成へと曲げられたときにコアの遠位区分がチューブ構造の弾性復元力によって引き起こされる歪みに耐えることができるような曲げ剛性を有するように構成されている。
【0015】
[0013]1つの実施形態では、チューブ構造は第1区分及び第1区分より遠位の第2区分を含んでいる。チューブの第2区分では、カッティングパターンは各対の隣接する輪の間に単一の桁を形成している。第2区分の桁は優先的曲げ平面を形成するように配列されている(例えば、それぞれの連続した桁を先の桁に対して大凡180度回転させることによる)。チューブは優先的曲げ平面内での曲げに対する抵抗が弱い。この実施形態では、コアの遠位区分は、チューブの第2区分を通過していて、少なくとも一部分と一致する平坦なリボン部へテーパしている。コアの平坦なリボン部は、チューブの第2区分の優先的曲げ平面に垂直に横たわる。
【0016】
[0014]別の実施形態では、チューブ構造は、第1区分及び移行点によって分離された第2区分を含み、第2区分は第1区分より遠位にある。第1区分は2本桁カッティングパターンを含み、第2区分は1本桁カッティングパターンを含んでいる。移行点の直近の近位側の2本桁カッティングパターン及び移行点の直近の遠位側の1本桁カッティングパターンは、チューブの曲げ剛性プロファイルが第1区分と第2区分の間の移行部に亘って大凡同じに保たれるように構成されている。同じくこの実施形態では、第2区分の最も近位の輪の厚さは第1区分の最も遠位の輪の厚さより大きい。
【0017】
[0015]別の実施形態では、チューブは、第1区分、第1区分より遠位の第2区分、及び第2区分より遠位の第3区分を含んでいる。第1区分は2本桁区分を含み、第2区分は1本桁カッティングパターンを含み、第3区分は2本桁カッティングパターンを含んでいる。チューブの遠位端から測定して、第3区分は近位方向に約0.25mm~2.5mm延びている。
【0018】
[0016]追加の特徴及び利点は、一部には次に続く説明に示されており、一部には説明から明らかであろうし、もしくはここに開示される実施形態の実践から知ることができる。ここに開示されている実施形態の目的及び利点は、付随の特許請求の範囲に特定的に指示されている要素及び組合せを用いて実現され、獲得されるだろう。以上の簡単な要約及び以下の詳細な説明はどちらも例示及び解説のみを目的としており、本明細書に開示され又は特許請求の範囲に記載されている実施形態を限定するものではないと理解されたい。
【0019】
[0017]以上に簡単に説明されている発明のより具体的な記述を、添付図面に例示されているその特定の実施形態を参照しながら描写してゆく。これらの図面は、発明の代表的な実施形態を描いているにすぎず、発明の範囲を限定するものではないとの理解の下に、添付図面の使用を通じて発明をなおいっそう具体的且つ詳細に記述し解説してゆく。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】[0018]有効なトルク性能を提供し成形可能な先端部を有するガイドワイヤデバイスの或る例示としての実施形態を描いている。
【
図2】[0019]
図1のガイドワイヤデバイスの断面図である。
【
図3】[0020]
図1及び
図2のガイドワイヤデバイスと共に利用することのできるチューブ構造の或る例示としての実施形態を描いており、チューブは遠位先端部の有効な可撓性と成形性能を提供するように構成されたバイパスカットパターン(即ち1本桁カットパターン)を有している。
【
図4】[0021]或る代わりの1本桁カットパターンを有する区分を含んでいるチューブ構造の或る代わりの実施形態を描いている。
【
図5】[0022]対称的に離間された対向する桁を有する2本桁カットパターンを含んでいるチューブ構造の或る実施形態を描いている。
【
図6】[0023]片側1本桁カットパターンを有する区分を含んでいるチューブ構造の或る実施形態を描いている。
【
図7】[0024]結果として得られる桁の螺旋パターンをもたらす例示としての角度オフセットを有するバイパスカットパターンを含んでいるチューブ構造の或る実施形態を描いている。
【
図8】[0025]3つの区分を含んでいるチューブ構造の或る実施形態の斜視図を描いている。
【
図9A】[0026]コアの遠位区分を中に配置させて含んでいるチューブの或る実施形態の側面図を描いている。
【
図9B】[0027]
図9Aのチューブの断面図を描いている。
【
図10】[0028]
図9A及び
図9Bのチューブの第1区分と第2区分の間の移行部の拡大側面図を描いている。
【
図11】[0029]
図9A及び
図9Bのチューブの、その第2区分及び第3区分を含む遠位先端部の拡大側面図を描いている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[0030]本開示は、有効な解剖学的ナビゲーション性能を提供するガイドワイヤデバイスに関する。ガイドワイヤを舵取りし目標とされる解剖学的場所へ方向決めする能力は、トルク性能と成形された先端部を維持する能力との間のバランスを取りトレードオフを最適化することに依存する。施術者が遠位先端部を回転させることによって先端部を脈管構造内で所望の方向に向かせることを可能にする成形可能な先端部をガイドワイヤデバイスが含んでいることはある。しかしながら、その様なガイドワイヤデバイスのトルク性能が不十分であれば、施術者は成形された遠位先端部の向き付けを制御するべく捩り力を成形された遠位先端部までずっと伝達させることができないだろう。この障害は、ガイドワイヤデバイスが脈管構造の中へ更に深く進められ増加する摩擦抵抗を経験するにつれ益々問題になってくる。加えて、ガイドワイヤデバイスが先端部を正しく形づけ、成形された先端部を維持することができないなら、ガイドワイヤデバイスには先端部の向き付けを調節するうえで制限された能力しかないということになり、脈管構造内ナビゲーションがより困難になるだろう。
【0022】
[0031]ここに説明されている実施形態は、ガイドワイヤトルク性能と先端部を形づけ成形された先端部を維持する能力との間のバランスを取り及び/又は関係を最適化する1つ又はそれ以上の特徴を提供する。その様なガイドワイヤは、ガイドワイヤ配備中の施術者の操作に対する応答が良く、成形された遠位先端部が伝達される捩り力を受け取れるようにすることによって有効なナビゲーション性能を提供する。
【0023】
[0032]幾つかの実施形態では、成形可能な先端部は、施術者が、ガイドワイヤデバイスを患者の脈管構造内に配備する直前に先端部を手で成形するなどにより、先端部を特注仕様式に成形することを許容する。ゆえに施術者は、所与の用途に固有の優先性及び/又は条件に従って遠位先端部の成形を特注仕様化できる。ガイドワイヤデバイスは、更に、成形された先端部を維持しながらも有効にトルクを伝達するように構成されている。ここに説明されている少なくとも幾つかの実施形態は、曲がった又は湾曲した形状を、処置の間中、又は複数の処置全体を通して、又は更には反対に作用する再成形力に曝されるまで無期限に、維持することのできる先端部を含んでいる。
【0024】
[0033]
図1は、コア102を有する或る例示としてのガイドワイヤデバイス100を描いている。コア102にはチューブ104が連結されていて、コア102への付着点103から遠位方向に延びている。図示されている様に、コア102の遠位区分はチューブ104の中へ延びていて、チューブ104によって取り囲まれている。幾つかの実施形態では、コア102がチューブ104内に嵌り合いチューブ104の中へ延びることができるように、コア102は1つ又はそれ以上のテーパ状区分を含んでいる。例えば、コア102の遠位区分は、遠位端の小直径に向かって漸進的にテーパしてゆくように研削されていてもよい。この実施例では、コア102とチューブ104は、両者が隣接し互いへ付着する付着点103に実質的に同等の外径を有している。幾つかの実施形態では、コア102とチューブ104は、両者が隣接し互いへ付着する付着点103に異なる外径を有し、直径の差は溶接部、はんだ、干渉嵌め、又は他の構造付着手段によって埋め合わされている。
【0025】
[0034]チューブ104は、捩り力がコア102からチューブ104へ伝達されるのを可能にし、それにより捩り力をチューブ104によって遠位方向に更に伝達されられるようにするやり方で(例えば、接着剤、はんだ付け、及び/又は溶接を使用して)コア102へ連結されている。デバイスの遠位端にてチューブ104をコアワイヤ102へ連結し無外傷性被覆を形成するべく医療等級の接着剤120が使用されてもよい。以下に、より詳細に解説されている様に、チューブ104は複数のカットを含むように微細加工されている。カットは、有益にも、ガイドワイヤデバイス100の遠位先端部近傍の有効な成形性能を提供し尚且つ優れたトルク性能も維持するカットパターンを形成するように配列されている。明確さを期して、
図1及び
図2にはカットパターンが示されていない。チューブ104で利用できるカットパターンの諸実施例は
図3から
図5に示されている。
【0026】
[0035]ガイドワイヤデバイス100の近位区分110は、目標とされる解剖学的区域への送達にとって十分なガイドワイヤ長さを提供するのに必要な長さまで近位方向に延びている。近位区分110は、典型的には、約50~350cmまでの範囲の長さを有している。近位区分110は、約0.014インチ(約0.356mm)の直径を有しているか、又は約0.008~0.125インチ(約0.203~3.175mm)の範囲内の直径を有していてもよい。コア12の遠位区分112は、約0.002インチ(約0.051mm)の直径へ又は約0.001~0.050インチ(約0.025~1.270mm)の範囲内の直径へテーパしていてもよい。幾つかの実施形態では、チューブ104は約3~100cmの範囲内の長さを有している。
【0027】
[0036]幾つかの実施形態では、コア102の遠位区分112は丸い断面へテーパしている。他の実施形態では、コア102の遠位区分112は、平坦又は矩形の断面を有している。遠位区分112は、更に、別の多角形状、卵形体形状、偏心形状、又は遠位区分112の長さに沿った異なる区域の異なる断面形状の組合せの様な、別の断面形状を有していてもよい。
【0028】
[0037]典型的には、使用者は、ガイドワイヤデバイス100の遠位1~3cm(近似)を手で曲げる、捻る、又はそれ以外のやり方で所望の形状へ操作することによって、ガイドワイヤデバイス100の遠位端を成形しようとする。この長さは
図1に遠位「先端部」106として概略的に示されている。幾つかの実施形態では、先端部106は、ステンレス鋼、白金、及び/又は他の成形可能な材料から形成された1つ又はそれ以上の成形可能な構成要素(チューブ104内)を含んでいる。好適な実施形態では、先端部106は、先端部が成形(即ち可塑的に変形)されたときに成形される前よりも高い弾性率を成形された区分に提供するような加工硬化性質を呈する材料から形成された1つ又はそれ以上の構成要素を含んでいる。
【0029】
[0038]
図2は、
図1のガイドワイヤデバイス100の断面図を描いている。図示されている様に、コア102は近位区分110及び近位区分110より小さい直径を有する遠位区分112を含んでいる。コア102の遠位区分112の少なくとも一部分にはコイル114が位置づけられている。コイル114は、白金族、金、銀、パラジウム、イリジウム、オスミウム、タンタル、タングステン、ビスマス、ジスプロシウム、ガドリニウム、などの様な、1つ又はそれ以上の放射線不透過性材料から形成されているのが望ましい。追加的又は代替的に、コイル114は、少なくとも部分的には、ステンレス鋼から、又は使用者によって曲げられるか又はそれ以外のやり方で操作された後の成形された状態を有効に保持することのできる他の材料から形成されていてもよい。描かれている実施形態では、コイル114はデバイスの遠位端又はその近傍に配置されていて、付着点103に向かって近位方向に或る距離を延びている。幾つかの実施形態では、コイル114は、チューブ104の長さと実質的に一致する長さを有している。他の実施形態ではコイル114はより短い。例えば、コイル114は遠位端から1cm、2cm、4cm、6cm、8cm、10cm、12cm、15cm、20cm、25cm、30cm、又は35cmだけ延びていてもよいし、又はコイル114は近位端から上記の値の何れか2つによって定義される範囲内の或る距離を延びていてもよい。
【0030】
[0039]幾つかの実施形態では、コイル114は1つの一体部片として形成されている。他の実施形態では、コイル114は、互いに隣接して位置づけられた及び/又は絡み合わせ式コイルを介してインターロックされた複数の別々の区分を含んでいる。追加的又は代替的に、その様な別々のセグメント同士は完全体のコイル114を形成するように互いへはんだ付けされてもよく、接着されてもよく、又はそれ以外のやり方で締結されてもよい。幾つかの実施形態は、2つ又はそれ以上のコイルを含んでいてもよく、その場合、コイルのうち少なくとも1つは放射線不透過性を提供するように構成され、コイルのうち少なくとも1つはチューブ104内部でのコア102の遠位区分112の心合せを改善する大きさ及び形状に構成される。
【0031】
[0040]描かれている実施形態はコイル114とチューブ104の間に空間を示しているが、これは視覚化を容易にするために模式的になされたものであることを理解しておきたい。幾つかの実施形態では、コイル114は遠位区分112とチューブ104の間の空間のより大きな割合を満たし充填する大きさである。例えば、コイル114は、コア102の遠位区分112とチューブ104の内側表面の両方に当接するような大きさであってもよい。他の実施形態は、ガイドワイヤデバイス100の区分の少なくとも一部分であってチューブ104とコア102が同一の広がりを有している(co-extensive)部分についてはコア102とチューブ104の間に空間を含んでいる。
【0032】
[0041]コイル114は、有益にも、コア102の遠位区分112の湾曲をチューブ104の湾曲と整列させるようにコア102とチューブ104の間の空間を充填する機能を果たすことができる。例えば、チューブ104に湾曲が形成されているとき、コイル114の密に詰まったセグメントはチューブ104と遠位区分112の間で遠位区分112へ同じ湾曲を与える充填材として機能する。対照的に、コイルを省略しているガイドワイヤデバイスは、チューブを湾曲させたときに、チューブと同じ曲線を描こうとはせず、チューブの内側表面に突き当たるまで延び、突き当たってようやく湾曲するよう強いられることになる。
【0033】
[0042]ここに説明されている実施形態は、遠位先端部106が所望の姿勢へ成形されるのを許容し、成形された姿勢に十分に長時間に亘って留まれるようにしているのが有益である。従来のガイドワイヤデバイスとは対照的に、描かれている実施形態は、成形構成を形成し、成形された構成を維持することができる。従来のガイドワイヤデバイスの場合、成形性能に関係する諸問題は、チューブ構造と内部構成要素(コア及びコイル)との間の性質の不整合の結果として起こることが多い。チューブ構造は典型的にはニチノール又は他の超弾性材料から形成されている。その様なチューブは、曲げられるか又は成形された際に、チューブの元の(まっすぐな)姿勢へ向けて付勢され、それにより何れかの成形可能な内部構成要素に逆らって復元力を与え、結果的に先端部の特注仕様化された形状を歪め喪失を引き起こしてしまうだろう。
【0034】
[0043]往々にして、例えば従来のガイドワイヤは配備に先立って成形された先端部を有しているつもりであっても、ガイドワイヤの使用中に超弾性のチューブが所望の先端部形状とは反対のその元の形状に向かって撓むことで成形された先端部が失われ又は損なわれてしまう。チューブによって与えられる復元力は、かくして、内部構成要素に逆らって作用し、使用者によって設定された所望の形状を整復させ又は損なわせる。対照的に、ここに説明されている実施形態は、チューブからのオーバーライド的な復元力を被ることなく先端部106が成形されることを可能にする特徴を含んでいる。以下に説明される様に、チューブ104は有効なトルク性能を維持し尚且つ先端部106の特注形状が崩されるのを回避するべく遠位先端部106に十分な可撓性を提供するカットパターンを含むことができる。
【0035】
[0044]
図3から
図7は、ここに説明されているガイドワイヤデバイスの実施形態の1つ又はそれ以上で利用することのできるチューブカットパターンの例示としての実施形態を描いている。例えば、
図1及び
図2に示されている実施形態のチューブ104は、
図3から
図7に示されている構成の1つ又はそれ以上に従ってカットされることができる。
【0036】
[0045]
図3は、桁530(軸方向に延びる)及び輪540(横断方向及び周方向に延びる)を形成する一連のカット508を有しているチューブ504を描いている。描かれている実施形態では、カット508は一連の「バイパスカット」として配列されている。本明細書での使用に際し、バイパスカットとは、チューブの長手方向軸に対し自身の真向かいに正対するカットを有さず、それにより、横断方向及び周方向に延びる材料の輪540の間に長手方向に延びる材料の単一桁530が残されるカットのことである。「バイパス」カットパターンは、ここでは「1本桁」カットパターンとも称されることができる。桁の横断方向断面幾何学形状は、円形ブレード付き切断鋸から作り出されるような半円形型、レーザー機械加工作業から作り出されるような平坦面型、又は任意の型式の断面形状を含む各種形状とすることができる。描かれている実施形態では、カットは、チューブ504の長さに沿って1つのカットから次のカットまで約180度だけオフセットされている交互式カットとして配列されているが、回転オフセットは更に、以下に説明されている様に180度~0度とは異なる角度で作り出されることもできる。
【0037】
[0046]示されているバイパス(即ち1本桁)カットの1つ又はそれ以上の区分を使用して形成されたチューブは、数多くの便益を、特にガイドワイヤデバイスの関連付けられる成形可能な先端部に関して提供することができる。例えば、バイパスカットを有しているチューブの可撓性は、カットを有していないチューブ又は連続した輪の間に複数の桁を残すカットを有しているチューブ(例えば、桁幅、輪の大きさ、及びカットの離間間隔はその他の点で等しいと仮定)の可撓性に比較して相対的に大きい。有益にも、バイパスカット配列によってもたらされる増加した可撓性は、チューブがガイドワイヤの内部構造の形状を歪めるのを最小限に抑え又は防止する。例えば、チューブ内に配置されたコア(例えばステンレス鋼)を、ガイドワイヤの先端部に所望の形状を提供するべく曲げる又は湾曲させる(即ち可塑的に変形させる)ことができる。
【0038】
[0047]以上に解説されている様に、多くの事例では、チューブの弾性復元に伴う力が成形されたコアに対して与えられ、少なくともチューブ内に配置されている成形されたコアの諸部分に関しては成形されたコアをまっすぐに伸ばそうとするだろう。したがって、チューブの可撓性を適切に調整することが、成形されたコアに対して与えられる復元力を小さくし、成形されたコアがその形状をより良好に維持できるようにする。
【0039】
[0048]幾つかの実施形態では、連続したバイパスカット又は複数組のバイパスカットの深さは、連続したカットそれぞれについて又はカットの組について、遠位端に行くにつれて漸進的に増加されている。したがって、カット深さプロファイルが、所与の用途にとって所望される可撓性及びトルク性能の特性を有するチューブを構成するのに使用できる。例えば、1つのチューブ構成は、相対的に低い可撓性と相対的に高いトルク性能を有する近位区分を含み、この近位区分が、バイパスカットが遠位端向けてどんどん漸進的に深さを増してゆくことで相対的に高い可撓性と相対的に低いトルク性能を有する遠位区分へと急激に進んでいくようになっていてもよい。幾つかの実施形態では、相対的に深いカットを有する区分は、成形性能が期待され又は所望されるチューブの最も遠位側の区分(例えばチューブの遠位1~3cm)にのみ形成され、チューブの残部についてはより高いトルク性能を温存させるようにしている。
【0040】
[0049]バイパスカット508は、深さ、幅、及び/又は離間間隔に従って変えられてもよい。例えば、カット508はデバイスの遠位先端部に近づくにつれ漸進的により深くなっていってもよく、及び/又は離間間隔がより密になっていってもよい。より深いカット及び/又は離間間隔のより密なカットは相対的に大きい可撓性を提供する。こうして、ガイドワイヤのより遠位の領域になればなるほどガイドワイヤの可撓性を増加させるように勾配が形成されてもよい。以下に、より詳細に説明されている様に、バイパスカット508は、更に、隣接するカット毎に適用される又は隣接するカットの組に適用される角度オフセットに従って角度位置を交互させて配列されていてもよい。描かれている実施形態は、1つのカットから次のカットまでの180度の角度オフセットを示している。幾つかの実施形態は、1つのカットから次のカットへの又は1つのカットの組から次のカットの組への約5度、約15度、約30度、約45度、約60度、約75度、約80度、又は約85度の角度オフセットを含むことができる。
【0041】
[0050]
図4は、バイパスカットと、バイパスカットより近位に配置された対向する深さオフセット2本桁カットの組と、を有するチューブ604の別の実施形態を描いている。描かれている実施形態では、一組のバイパスカットは桁630をもたらしている。桁630より近位には、一組のカットが、結果的に桁634をもたらす対向するカットとして配列されている。この図には見えないが、各桁634に対向して追加の桁が形成されている(この図では桁634の後ろに隠れている)。したがって深さオフセット2本桁カットパターン内の各輪640は、輪をそれの近位側の隣接する輪へ接続している2本の桁の組と、輪をそれの遠位側の隣接する輪へ接続している2本の桁の組と、を有しているのである。
【0042】
[0051]示されている様に、対向2本桁カットは、それぞれの対向するカット対(チューブの軸の各側に1つのカット)について一方のカットが反対側のカットよりも大きい深さを有するように、深さをオフセットされている。その様な深さオフセット2本桁カットは、(
図3に示されている様な)バイパスカットの長さ分から(
図5に示されている様な)非オフセット対向2本桁カットの長さ分へ移行するのに使用されるのが好都合である。
【0043】
[0052]
図5は、2本桁カットパターンを有するチューブ204の区分を描いており、それぞれの対向するカット対の各カットは大凡同じカット深さを有していて結果として得られる桁が実質的に周方向に等しく離間されるようにしている。図示されている様に、カットは結果として輪240それぞれの間に形成された一対の桁234をもたらす。ここに示されているカットは、対向するカットの1つの対から次の対まで約90度だけ角度オフセットされているものとして示されているが他の角度オフセットが利用されてもよい。
【0044】
[0053]実質的に周方向に等しく離間された桁の2本桁カットパターンを有するチューブの区分は、典型的には、相対的に高いトルク伝達能力と相対的に低い可撓性を有し、一方、バイパスカットを有するチューブの区分は、典型的には、相対的に低いトルク伝達能力と相対的に高い可撓性を有するはずである。深さオフセット2本桁カット構成を有するチューブの区分は、典型的には、深さ対称対向2本桁カットの区分とバイパスカットの区分の間のトルク伝達性能及び可撓性を有することになる。対向するカットの深さの差が大きいほど、得られる桁同士は周方向により近く寄りあい、ゆえにオフセット2本桁カットは1本桁/バイパスカットにより類似したものとなる。同じように、対向するカットの深さが類似するほど、オフセット2本桁カットは対称2本桁カットにより類似したものとなる。
【0045】
[0054]オフセット2本桁区分を含むチューブの実施形態は、遠位のバイパスカットゾーンと近位の対称的2本桁区分との間に所望の移行特性を提供するように位置決めされ構成され得る移行ゾーンを提供するのが好都合である。例えば、移行ゾーンは、移行ゾーンの長さに依存して及び/又は連続するカットのオフセットに対する変化の急進さに依存して、相対的に漸次的にもなれば相対的に急激的にもなり得る。したがって、チューブは、より大きなトルク性能及びより小さい可撓性を有する近位区分を提供し、当該近位区分を、施術者によって成形されたときに曲がった形状を維持しやすいようにより大きい可撓性を有するより柔軟な遠位区分へと移行させるように構成されることができる。近位区分、移行区分、及び遠位区分の位置及び構成は、有効なトルク性能と成形可能な先端部の性能の便益を最適化するように調整可能である。
【0046】
[0055]
図6は、複数の桁730及び輪740を形成する1本桁カットを有しているチューブ704の別の実施形態を描いている。図示されている様に、カットは、桁730が180度又は何か他の角度量で交互に配置されるのではなしにチューブ704の片側に沿って整列するように配列されている。その様な実施形態は、1つの方向への(例えば整列された桁730の方への)優先的曲げを提供し、チューブの軸方向に向かって戻ろうとする関連の復元力が更に最小化されるようにする。
【0047】
[0056]
図7は、バイパスカットパターン及びカットの組間角度オフセットを有するチューブ304の或る実施形態を描いている。図示されている様に、角度オフセットは、得られる桁330をチューブ区分の長さに沿った回転/螺旋周方向パターンに配置させる。幾つかの実施形態では、カットの組内の1つのカットから次のカットへ第1の回転オフセットが適用され、カットの1つの組からカットの次の組へ第2の回転オフセットが適用される。例えば、
図7に描かれている様に、隣接したカットの対内で各カット308を約180度ずつオフセットさせ、得られる桁330がガイドワイヤの長手方向軸に対して互いに反対側に残されるようにし、尚且つ各対を隣接する対から何かの他の角度オフセット(例えば、描かれている実施形態では約5度)でオフセットさせてもよい。この様にすれば、組内角度オフセットが桁330をガイドワイヤ軸の互いに反対側に位置づけ、しかも組間角度オフセットが連続する桁の角度位置を、ガイドワイヤの優先的曲げ方向をカット308の数組分の長さに亘って最小化させるよう十分に調節することができる。
【0048】
[0057]
図3から
図6に描かれているカットパターンへは更に回転オフセットが適用されてもよい。好適な諸実施形態では、所与の区分の長さに沿った連続した各カット又はカットの組(例えば、毎2番目のカット、毎3番目のカット、毎4番目のカットなど)が、約1度、約2度、約3度、約5度、又は約10度だけ回転オフセットされ、又は2本桁構成では90度から約1度、約2度、約3度、約5度、又は約10度ずらしてオフセットされ、又は1本桁構成では180度から約1度、約2度、約3度、約5度、又は約10度ずらしてオフセットされる。回転オフセット値は、有益にも、屈曲バイアスを排除するうえで十分な能力を示した。
【0049】
[0058]例えば、
図5に描かれている様な各対の桁が周方向に等しく離間されている2本桁カッティングパターンでは、90度から約1度、約2度、約3度、約5度、又は約10度ずれの回転オフセットが1つおきの桁対をカット区分の長さに沿って数度の不整列を持たせて位置づける。例えば、2番目の桁対は1番目の桁対から90度より僅かに大きく又は小さく回転オフセットされることになるが、3番目の桁対は1番目の桁対から数度しか回転オフセットされず、そして4番目の桁対は2番目の桁対から数度しか回転オフセットされない。このやり方で幾つかの連続した桁対をガイドワイヤデバイスのカット区分の長さに沿って配列させたとき、結果として得られる構造は、カットパターンが何れかの方向の可撓性バイアスを持ち込む又は悪化させることなしに可撓性を強化することを可能にする。
【0050】
[0059]
図3から
図7に示されているチューブの諸実施形態の別々の構成要素及び特徴を組み合わせて異なるチューブ構成を形成することもできる。例えば、幾つかのチューブは、バイパス(1本桁)カット(
図3、
図6、及び
図7)の区分と対称的に離間された2本桁カット(
図5)の区分とを有するように、随意的には1本又はそれ以上の深さオフセット2本桁カット(
図4)も有するように、構成されることができる。例えば、幾つかのチューブ実施形態は、対称的に離間された2本桁カットパターンを有する近位区分を、それがバイパスカット配列を有する遠位区分へ移行してゆくようにして含んでいてもよい。
【0051】
[0060]ここに説明されている諸実施形態は、有益にも、チューブのより近位の領域が相対的により多くのトルクを伝達できるようにすると共に、トルク性能を過度に犠牲にすることなく先端部の成形を許容するべくチューブのより遠位の区分のトルク性能を弱めることができる。したがって、ガイドワイヤデバイスの諸特徴は、個々の必要性又は用途に合わせて、トルク性能と可撓性と先端部成形性能の間の動作的関係を最適化するように調整されることができる。
【0052】
[0061]好適な実施形態では、コアの成形可能な遠位区分は、コアの遠位区分が成形された後に同区分に作用するチューブからの予想される曲げ力に耐えることができる曲げ剛性を有している。幾つかの実施形態では、コアの成形可能な遠位区分は、チューブを形成するのに使用されている(単数又は複数の)材料の弾性係数よりも約1.5~4倍大きい又は約2~3倍大きい弾性係数を提供する材料又は材料の組合せから形成されている。
【0053】
[0062]
図8は、第1区分850、第2区分860、及び第3区分870を有するチューブ804の或る実施形態を描いている。第2区分860は、第1区分850より遠位であり、第3区分870は第2区分860より遠位である。区分850、860、870のそれぞれは、各区分のカッティングパターンによって互いから区別できる。ここに説明されている他の実施形態に関して以上に論じられている様に、カッティングパターンは、チューブ内に輪840と桁803を現出させることができる。
図8に描かれている区分850、860、870は、個々の区分に異なるカッティングパターンを有することができる。例えば、第1区分850は2本桁カッティングパターンを有し、第2区分860は1本桁カッティングパターンを有し、第3区分870は2本桁カッティングパターンを有していてもよい。
【0054】
[0063]他の実施形態は
図8に描かれているものとは異なるカッティングパターンを含むことができるものと理解しておきたい。例えば、1つの実施形態では、第1区分850は2本より多い桁数のカッティングパターンを有し、第2区分860は2本桁カッティングパターン又は1本桁カッティングパターンを有し、第3区分870は1本桁カッティングパターンを有するか又は省略されている、というのであってもよい。更に、チューブ804の他の実施形態は、チューブ804の長さに沿って3つより多い又は少ない区分を含んでいてもよい。例えば、チューブ804の1つの実施形態は、4つ又はそれより多い区分を含んでいてもよい。更に、例えば、チューブ804の1つの実施形態はたった1つの区分又は2つの区分を含んでいてもよい。ここに説明されている他の実施形態の何れかに示されているカットパターンが利用されてもよい。利用できる追加のカットパターン及び他の特徴は更に同時係属の米国特許出願第15/698,553号に記載されており、同特許出願をここに参考文献として援用する。
【0055】
[0064]
図9Aは、
図8に描かれているチューブの実施形態と同様のチューブ904の或る実施形態の側面図を描いている。
図9Aのチューブは、コア902の遠位区分912がチューブ904及びコイル914を通って延びていることを説明するために第2区分960の部分断面図も示している。ここには部分断面図しか示されていないが、コア902は典型的にはデバイスの遠位端922までずっと延びているものと理解しておきたい。描かれている実施形態では、チューブ904の第2区分960は1本桁カッティングパターンを含んでいる。1本桁カッティングパターンは、一対の周方向に延びる隣接した輪940の間にそれぞれが配置された一連の軸方向に延びる桁930を作成する。
【0056】
[0065]描かれている実施形態では、連続した桁930は、チューブ904の第1の側916からチップ904の第2の側918へ位置を交互している(即ち、連続した各桁930は約180度の回転オフセットを有している)。別の実施形態では、第2区分960の1本桁カッティングパターンの桁930を全てチューブの同じ側に沿って配置させ、
図6に示されている実施形態と同じくチューブ904に沿って軸方向に延び複数の輪940を接続する整列した桁930から成る背骨を形成させるようにしてもよい。
【0057】
[0066]
図9Aに示されている第2区分960の1本桁カッティングパターンは、優先的曲げ平面Bを形成する。優先的曲げ平面Bは、
図9Aに表されている様に、チューブ904に沿って軸方向に及びチューブ904を横切って横断方向に延びている。第2区分960の桁930はチューブ904と共に軸方向に延びているので、チューブ904は優先的曲げ平面Bに沿って最も可撓性がある。つまり、桁930は、チューブ904が何れかの他の平面に比べ、優先的曲げ平面Bに沿って曲げられることに対し最も抵抗が少ないように構成されているのである。この例示としての実施形態では、第2区分960のカッティングパターンは、
図9Aに示されている交互式の桁930のパターンを現出させているにせよ上述の単一背骨型の桁930を現出させているにせよ、優先的曲げ平面Bを現出させる。
【0058】
[0067]同じく
図9Aに示されている様に、コア902の遠位区分912は、コイル914及びチューブ904を通って遠位方向に延びるにつれてテーパし、遠位部分にて平坦なリボン様の構成へとテーパしている。
図9Bは、
図9AのA-A平面を通るチューブ904の横断面図を描いている。コア902の遠位区分912は、チューブ904の少なくとも第2区分960内を軸方向に延びる実質的に平坦なリボン部である。コア912のリボン構成は、大寸法部(major dimension)D1と小寸法部(minor dimension)D2を有している。コア902のリボン様遠位区分912が優先的曲げ平面Bに直交して(及び好適には垂直に)延びるようにコア902の遠位区分912の大寸法部D1はコア912の小寸法部D2より広くなっている。このやり方では、コア902の遠位区分912は同じくチューブ904に沿って優先的曲げ平面B内での曲げに対して最も抵抗が少ない。他の言い方をするなら、コア912はリボン様構成へテーパしていて、コア902の遠位区分912が第2区分960の桁930と整列し優先的曲げ平面Bをチューブ904と共有するようにコア912はチューブ904に沿って軸方向に延びている。
【0059】
[0068]1つの実施形態では、チューブ904の第2区分960は長さが約0.5cm~約5cmである。別の実施形態では、チューブ904の第2区分960は長さが約1cm~約2cmである。更に別の実施形態では、チューブ904の第2区分960は長さが約1cm~約1.5cmである。遠位端922から第2区分960がどれだけの距離を延びているかは、所与の処置のために曲げられ又は成形されるチューブ904の長さに依存して変わるだろう。これらの距離は、必要に応じた様々な処置に適合するために実施形態間で異なってもよい。
図8から
図9Bに描かれている実施形態の他の特徴は、コイル914、チューブ904、及びコア902の材料及び寸法を含め、またカッティングパターンに関係する特定の特徴を含め、本明細書で他の図に関連して説明されている他の実施形態と同様であってもよい。
【0060】
[0069]
図10は、チューブ904の第1区分950と第2区分960の間の移行部のクローズアップ図を描いている。描かれている実施形態では、第1区分950は2本桁カッティングパターンを含み、第2の部分960は1本桁カッティングパターンを含んでいる。チューブ904の各区分の曲げ剛性は、少なくとも一部には、チューブ904のカット作成後に残存する材料の量及び残存する桁930の配列/離間間隔に依存する。例えば、各対の隣接する輪940の間に2本の桁930を有するチューブ904の区分は、その他すべてが等しいとするなら、各対の隣接する輪940の間に同じ大きさの単一桁930を有するチューブ904の区分よりも大きい曲げ剛性を有するはずである。同じく、例えば、カット間により大きい距離を有するチューブ904の区分は、その他すべてが等しいとするなら、カット間により小さい距離を有する区分よりも大きい曲げ剛性を有するはずである。つまり、カット間の距離が大きいほど、カット間に形成される輪940の厚さはより大きく、チューブ904の当該区分の曲げ剛性はより大きいということである。
【0061】
[0070]
図10に描かれているチューブ904の第1区分950と第2区分960の間の移行点又はその近傍に配置されたカット、輪940、及び桁930は、チューブ904の曲げ剛性プロファイルが2つの区分950と960の間の移行部に亘ってほぼ連続的となるように構成されている。別の言い方をするなら、第1区分950と第2区分960の間のカッティングパターンは、移行点の一方の側から他方の側への曲げ剛性の有意な急上昇又は急降下のジャンプを回避するように配列されている。
【0062】
[0071]当然ながら、曲げ剛性がチューブ904に沿って測定される際の細分性の固有のレベルに依っては、及び測定区分の特定の長さに依っては、測定区分ごとに或る程度の個別的変化が存在するかもしれない。無限回数の曲げ剛性測定は行えないので、実際的に測定可能な曲げ剛性プロファイルが、チューブの一連の別々の区分長さのそれぞれにて測定された曲げ剛性レベルから構成されることになる。1つの測定区分から次の測定区分へのジャンプ(即ち、曲げ剛性の変化)は個々にばらばらであるとはいえ、その様なジャンプの全体としてのパターンは直線状の連続又は少なくとも滑らかな曲線に近似しているのが望ましい。よって、本開示の文脈では、「有意なジャンプ」は、1つの区分から次の区分へのジャンプがどちらかの真隣のジャンプよりも約1.5倍を超えて大きい場合に起こる。というわけで、移行点に亘るジャンプがどちらかの真隣のジャンプより約1.5倍を超えて大きくないとき、有意なジャンプは回避され、その結果、移行点に亘る曲げ剛性プロファイルは「連続的」となる。移行点に亘るジャンプはどちらかの真隣のジャンプより約1.2倍を超えて大きくないのが望ましい。
【0063】
[0072]
図10は、区分950と区分960の間の移行部に亘る連続的曲げ剛性プロファイルを達成する輪940及び桁930を有するチューブ904の或る実施形態を描いている。描かれている実施形態では、第2区分960の最も近位の輪940aの軸方向厚さは第1区分95の最も遠位の輪940bの軸方向厚さよりも大きい。このやり方では、移行部におけるチューブ904の材料の全量は、移行部又はその近傍では区分950、960間で同等である。これは、上述の様に移行部に亘る連続的曲げ剛性をもたらす。加えて、第2区分960の輪940の軸方向厚さは、チューブ904の長さに沿って遠位方向に減少してゆき相応して曲げ剛性も減少するようになっていてもよい。これは
図10に描かれているが
図9Aにはより劇的に表されている。
【0064】
[0073]これより
図11を見ると、チューブ904の遠位先端部906が示されている。
図11に描かれている遠位先端部906は、第3区分970と、第2区分960の少なくとも一部分と、チューブ904の遠位端にて第3区分970より遠位に配置されているポリマー接着剤920と、を含んでいる。チューブ904の第3区分970は、各対の隣接した輪940の間に2本の桁930を形成する2本桁カッティングパターンを含んでいる。これは第2区分960の1本桁カッティングパターンとは対照的である。第2区分960と第3区分970の間の移行部は、上述の第1区分950と第2区分960の間の移行部に類似していてもよいということが理解されるだろう。つまり、チューブ904の曲げ剛性は、第2区分960から第3区分970への移行部に亘ってほぼ連続的であり得るということだ。
【0065】
[0074]チューブ904の遠位端922に配置された接着剤920は、チューブ904とコアを一体に固定するためにチューブ904の遠位端922にてチューブ904とコアの間に延在させることができる。
図1に描かれている様に、コア102の遠位区分112は遠位方向にチューブ104を超えて接着剤120の中まで延びている。ゆえに接着剤120はチューブ104をコア及び/又はコイル114へ連結する機能を果たすことができる。
【0066】
[0075]再度
図11を参照して、接着剤920はチューブ904の遠位端922に配置さ、少なくとも部分的には、近位方向に第3区分970の様々な輪940及び桁930の間のカットの1つ又はそれ以上の中へ導かれる(wick)ことになる。第3区分970の2本桁カッティングパターンは、第2区分960の1本桁カッティングパターンに比べ、接着剤を結着させることのできるチューブ904材料の追加の表面積を提供する。ゆえに、第3区分970の2本桁カッティングパターンは、接着剤920とコア及び/又はコイルの遠位区分との間により強い連結をもたらす。とすれば、各対の隣接した輪940の間に2本より多い桁930を含むカッティングパターンならチューブ904とコア102及び/又はコイルの遠位区分との間の連結の強さを強化するよう働くことができる、と考えられるだろう。しかしながら、以上に論じられている様に、カットがチューブ904から除去する材料が多くなればなるほどチューブ904の曲げ剛性は小さくなり、逆もまた然りである。
【0067】
[0076]更に、製造中にチューブ904の遠位端922へ大量の接着剤920を配置させると、接着剤920がチューブ904を近位方向に更に遡って導かれる結果になってしまう。第3区分970の2本桁カッティングパターンは、カッティングパターン内のカットの数及び離間間隔に因り、第3区分970を近位方向にどれほど遡って接着剤920が導かれるかを見極めるうえで製造者への有効な視覚的指示を提供する。第3区分970の視覚的指示は、更に、機械又は他の自動化された製造装置が、製造中に接着剤120が第3区分970を近位方向にどれほど遡って導かれるかを検知するのを支援することができるだろう。
【0068】
[0077]例えば、製造者が製造中にチューブ904の遠位端922へ接着剤920を配置させると、接着剤は第3区分970の輪940及び桁930の間の空間を通って導かれ始める。第3区分970の2本桁カッティングパターンは第2区分960の1本桁カッティングパターとは対照的に視覚的指示を提供するので、製造者はチューブ904を近位方向にどれほど遡って接着剤が1つの輪940から次の輪へ導かれるかをより容易に見分けることができる。したがって製造者はどれほど多くの接着剤120をチューブ904の遠位端922へ配置させるべきかを確定することができる。製造者は、更に、接着剤920が既定の距離又は輪940まで導かれたことに基づいて、接着剤120の追加を止めるときを確定することができる。
【0069】
[0078]1つの実施形態では、チューブ904の第3区分970は、チューブ904の遠位端922から約0.5mm~1.5mmの間で延びている。別の実施形態では、チューブ904の第3区分970は、チューブ904の遠位端922から約0.75mm~1.25mmの間で延びている。更に別の実施形態では、チューブ904の第3区分970は、チューブ904の遠位端922から約1mm延びている。遠位端922からの第3区分970が延びる距離は、曲げられるべき又は成形されるべきチューブ904の長さに又は接着剤920がチューブ904を十分に遡って導かれるのに必要な距離に依存して変わり得る。これらの距離は、必要に応じて様々なチューブ及び処置に適合するように実施形態間で異なってもよい。
図10及び
図11に描かれている実施形態の他の特徴は、コイル914、チューブ904、及びコア902の材料、性質、及び寸法を含め、本明細書で他の図に関して説明されている他の実施形態と類似していてもよい。
【0070】
[0079]ここでの使用に際し「大凡」、「約」、及び「実質的に」という用語は、表明されている数量又は条件に近い数量又は条件であって、なおも所望の機能を遂行する又は所望の成果を実現する数量又は条件を表す。例えば、「大凡」、「約」、及び「実質的に」という用語は、表明されている数量又は条件から、10%未満、又は5%未満、又は1%未満、又は0.1%未満、又は0.01%未満のずれのある数量及び条件を指すとしてもよい。
【0071】
[0080]ここに描かれ及び/又は記載されている何れかの実施形態に関連して説明されている要素は、ここに描かれ及び/又は記載されている何れかの他の実施形態に関連して説明されている要素と組み合わされてもよい。例えば、
図3から
図7の何れかの図のチューブ区分に関連して説明されている何れかの要素が、
図1及び
図2のガイドワイヤデバイス又は
図8から
図11のガイドワイヤデバイスのチューブの少なくとも一部分を形成するために組み合わされ使用されることもできるだろう。加えて、実施形態は、本明細書に説明されている複数のバイパスカット、深さオフセット2本桁カット、及び/又は深さ対称2本桁カットを有するチューブを含むことができる。上記組合せの何れかでは、コアワイヤの遠位先端部は、丸い形状、平坦な形状、又は別の形状をしていてもよい。
【0072】
[0081]本発明は、その精神又は本質的特性から逸脱することなく他の形態に具現化されることもできる。説明されている実施形態は、あらゆる点において、例示的であると解釈されるべきであり、制限を課すものと解釈されてはならない。したがって、発明の範囲は、以上の説明によるのではなく付随の特許請求の範囲によって指し示される。特許請求の範囲の意味及び等価の範囲の内に入る全ての変更は特許請求の範囲による範囲の内に網羅されるものとする。
【符号の説明】
【0073】
100 ガイドワイヤデバイス
102 コア
103 付着点
104 チューブ
106 先端部
110 近位区分
112 遠位区分
114 コイル
120 接着剤
204 チューブ
234 桁
240 輪
304 チューブ
330 桁
504 チューブ
508 カット
530 桁
540 輪
604 チューブ
630、634 桁
640 輪
704 チューブ
730 桁
740 輪
803 桁
804 チューブ
830 輪
850 第1区分
860 第2区分
870 第3区分
902 コア
904 チューブ
906 遠位先端部
912 遠位区分
914 コイル
916 第1の側
918 第2の側
920 接着剤
922 遠位端
930 桁
940、940a、904b 輪
950 第1区分
960 第2区分
970 第3区分
B 優先的曲げ平面
D1 大寸法部
D2 小寸法部
【手続補正書】
【提出日】2024-01-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形可能な先端部を有するガイドワイヤデバイスであって、
近位区分及び遠位区分を有するコアと、
前記コアへ連結されたチューブ構造であって、前記チューブ構造は、前記コアの前記遠位区分が前記チューブ構造の中へ通るようにして前記コアへ連結されていて、第1区分及び前記第1区分より遠位の第2区分を有しており、
前記チューブ構造は、複数の周方向に延びる輪を連結する複数の軸方向に延びる桁を形成しているカットパターンを含み、
前記カットパターンは、前記第1区分内で各対の隣接する輪の間に2本またはそれ以上の桁を形成し、前記第2区分内で各対の隣接する輪の間に単一の桁を形成し、前記第2区分の前記桁は優先的曲げ平面を形成する、チューブ構造と、
を備えているガイドワイヤデバイスにおいて、
前記チューブ構造の前記第2区分を通過している前記コアの前記遠位区分の少なくとも一部分は、前記優先的曲げ平面に実質的に垂直に横たわる主平面を有する平坦なリボン部であり、
前記第2区分の桁の各々は、前記優先的曲げ平面と交差し、前記桁の内面は前記平坦なリボン部の主平面に対向しており、
前記チューブ構造の曲げ剛性は前記第1区分と前記第2区分の間の移行部に亘って連続的である、
ガイドワイヤデバイス。
【請求項2】
前記第2区分は長さが約0.5cm~5cmの間である、請求項1に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項3】
前記第2区分の前記輪の間の前記桁は、前記チューブ構造の第1の側から前記チューブ構造の前記第1の側とは約180度反対側の第2の側へ位置を交互している、請求項1または2に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項4】
前記第2区分の前記輪の間の前記桁は、前記チューブ構造の片側に整列して前記第2区分内の前記複数の周方向に延びる輪を接続する整列した桁の背骨を形成している、請求項1または2に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項5】
前記コアの前記遠位区分の外側表面と前記チューブ構造の内側表面の間に位置づけられるように前記チューブ構造内に配置されたコイル、を更に備えている請求項1から請求項4の何れか一項に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項6】
前記第2区分の最も近位の輪の厚さは前記第1区分の最も遠位の輪の厚さより大きい、請求項1から請求項5の何れか一項に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項7】
前記第2区分は中間点を含んでおり、前記中間点の近位側の前記第2区分の前記輪は、前記中間点の遠位側の前記第2区分の前記輪の平均輪厚さより大きい平均輪厚さを有している、請求項1から請求項6の何れか一項に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項8】
前記チューブ構造は、超弾性材料から形成されている、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項9】
前記チューブ構造は前記第2区分より遠位の第3区分を更に備えており、前記チューブ構造の前記第3区分は隣接する輪の間に2本又はそれ以上の桁を含んでいる、請求項1から請求項9の何れか一項に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項10】
前記ガイドワイヤデバイスは、前記チューブ構造の遠位端に配置された前記チューブ構造を前記コアへ連結する接着剤を更に備えており、前記接着剤は前記チューブ構造の中へ及び前記チューブ構造の前記第3区分の2つ又はそれ以上の輪の間に延びている、請求項9に記載のガイドワイヤデバイス。
【請求項11】
前記チューブ構造の曲げ弾性は前記第2区分と前記第3区分の間の移行部に亘って連続的である、請求項9または10に記載のガイドワイヤデバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
[0081]本発明は、その精神又は本質的特性から逸脱することなく他の形態に具現化されることもできる。説明されている実施形態は、あらゆる点において、例示的であると解釈されるべきであり、制限を課すものと解釈されてはならない。したがって、発明の範囲は、以上の説明によるのではなく付随の特許請求の範囲によって指し示される。特許請求の範囲の意味及び等価の範囲の内に入る全ての変更は特許請求の範囲による範囲の内に網羅されるものとする。
(1)本発明の第1の態様のガイドワイヤデバイスは、成形可能な先端部を有するガイドワイヤデバイスであって、近位区分及び遠位区分を有するコアと、前記コアへ連結されたチューブ構造であって、前記チューブ構造は、前記コアの前記遠位区分が前記チューブ構造の中へ通るようにして前記コアへ連結されていて、第1区分及び前記第1区分より遠位の第2区分を有しており、前記チューブ構造は、複数の周方向に延びる輪を連結する複数の軸方向に延びる桁を形成しているカットパターンを含み、前記カットパターンは、前記第2区分内で各対の隣接する輪の間に単一の桁を形成し、前記第2区分の前記桁は優先的曲げ平面を形成する、チューブ構造と、を備えているガイドワイヤデバイスにおいて、前記チューブの前記第2区分を通過している前記コアの前記遠位区分の少なくとも一部分は、前記優先的曲げ平面に実質的に垂直に横たわる主平面を有する平坦なリボン部であり、前記ガイドワイヤデバイスの遠位先端部は手で成形できるように構成されている。
(2)本発明の第2の態様では、第1の態様において、前記第2区分は長さが約0.5cm~5cmの間である。
(3)本発明の第3の態様では、第1の態様において、前記第2区分は長さが約1cm~2cmの間である。
(4)本発明の第4の態様では、第1から第3のいずれかの態様において、前記第2区分の前記輪の間の前記桁は、前記チューブ構造の第1の側から前記チューブ構造の前記第1側とは約180度反対側の第2の側へ位置を交互している。
(5)本発明の第5の態様では、第1から第3のいずれかの態様において、前記第2区分の前記輪の間の前記桁は、前記チューブ構造の片側に整列して前記第2区分内の前記複数の輪を接続する整列した桁の背骨を形成している。
(6)本発明の第6の態様では、第1から第5のいずれかの態様において、前記ガイドワイヤデバイスは、前記コアの前記遠位区分の外側表面と前記チューブ構造の内側表面の間に位置づけられるように前記チューブ構造内に配置されたコイル、を更に備えている。
(7)本発明の第7の態様では、第1から第6のいずれかの態様において、前記第1区分は、隣接する輪の間に2本又はそれ以上の桁のカットパターンを有している。
(8)本発明の第8の態様では、第1から第7のいずれかの態様において、前記チューブ構造は超弾性材料から形成されている。
(9)本発明の第9の態様では、第1から第8のいずれかの態様において、前記チューブ構造の曲げ剛性は、前記第1区分と前記第2区分の間の移行部に亘って連続的である。
(10)本発明の第10の態様では、第1から第9のいずれかの態様において、前記第2区分の最も近位の輪の厚さは前記第1区分の最も遠位の輪の厚さより大きい。
(11)本発明の第11の態様では、第1から第10のいずれかの態様において、前記第2区分は中間点を含んでおり、前記中間点の近位側の前記第2区分の前記輪は、前記中間点の遠位側の前記第2区分の前記輪の平均輪厚さより大きい平均輪厚さを有している。
(12)本発明の第12の態様では、第1から第11のいずれかの態様において、前記チューブ構造は前記第2区分より遠位の第3区分を更に備えており、前記チューブ構造の前記第3区分は隣接する輪の間に2本又はそれ以上の桁を含んでいる。
(13)本発明の第13の態様では、第12の態様において、前記ガイドワイヤデバイスは、前記チューブ構造の前記遠位端に配置された前記チューブ構造を前記コアへ連結する接着剤を更に備えており、前記接着剤は前記チューブの中へ及び前記チューブ構造の前記第3区分の2つ又はそれ以上の輪の間に延びている。
(14)本発明の第14の態様のガイドワイヤデバイスは、成形可能な先端部を有するガイドワイヤデバイスであって、近位区分及び遠位区分を有するコアと、前記コアへ連結された成形可能なチューブ構造であって、前記チューブ構造は、前記コアの前記遠位区分が前記チューブ構造の中へ通るようにして前記コアへ連結されていて、第1区分及び前記第1区分より遠位の第2区分を有しており、前記チューブ構造は、前記チューブ構造の中へ横断方向に延びる複数のカットを含み、各カットはチューブ材料の残存区分によって画定される1本又はそれ以上の桁を形成し、各桁はチューブ材料の2つの隣接する輪を接続し、前記チューブ構造の前記第1区分は隣接した輪の間に2本又はそれ以上の桁を含み、前記チューブ構造の前記第2区分は隣接した輪の間に単一の桁を含み、前記チューブ構造の曲げ剛性は前記第1区分と前記第2区分の間の移行部に亘って連続的である、チューブ構造と、を備えている。
(15)本発明の第15の態様では、第14の態様において、前記第2区分の最も近位側の輪の厚さは前記第1区分の最も遠位側の輪の厚さより大きい。
(16)本発明の第16の態様では、第14または第15の態様において、前記第2区分は中間点を含んでおり、前記中間点の近位側の前記第2区分の前記輪は、前記中間点の遠位側の前記第2区分の前記輪の平均輪厚さより大きい平均輪厚さを有している。
(17)本発明の第17の態様では、第14から第16のいずれかの態様において、前記第2区分の前記複数のカットは、前記チューブ構造の遠位端に向かって離間間隔の減少するカットを配列されている。
(18)本発明の第18の態様のガイドワイヤデバイスは、成形可能な先端部を有するガイドワイヤデバイスであって、近位区分及び遠位区分を有するコアと、前記コアへ連結されたチューブ構造であって、前記チューブ構造は、前記コアの前記遠位区分が前記チューブ構造の中へ通るようにして前記コアへ連結されていて、第1区分、前記第1区分より遠位の第2区分、及び前記第2区分より遠位の第3区分を有しており、前記チューブ構造は、前記チューブ構造の中へ横断方向に延びる複数のバイパスカットを含み、各バイパスカットはチューブ材料の残存区分によって画定される1本又はそれ以上の桁を形成し、各桁はチューブ材料の2つの隣接する輪を接続し、前記チューブ構造の前記第2区分は隣接した輪の間に単一の桁を含み、前記チューブ構造の前記第3区分は、隣接した輪の間に2本又はそれ以上の桁を含んでいる、チューブ構造と、を備えている。
(19)本発明の第19の態様では、第18の態様において、前記ガイドワイヤデバイスは、前記チューブ構造の前記遠位端に配置された前記チューブ構造を前記コアへ連結する接着剤、を更に備えている。
(20)本発明の第20の態様では、第19の態様において、前記接着剤は前記チューブの中へ及び前記チューブ構造の前記第3区分の2つ又はそれ以上の輪の間に延びている。
【外国語明細書】