(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028980
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】食品取扱い用途におけるポリオキシメチレン組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 59/00 20060101AFI20240227BHJP
C08K 5/07 20060101ALI20240227BHJP
C08K 3/01 20180101ALI20240227BHJP
C08K 5/098 20060101ALI20240227BHJP
C08K 5/20 20060101ALI20240227BHJP
C08L 23/04 20060101ALI20240227BHJP
C08L 27/18 20060101ALI20240227BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20240227BHJP
C08K 7/14 20060101ALI20240227BHJP
C08L 21/00 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
C08L59/00
C08K5/07
C08K3/01
C08K5/098
C08K5/20
C08L23/04
C08L27/18
C08L83/04
C08K7/14
C08L21/00
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023210746
(22)【出願日】2023-12-14
(62)【分割の表示】P 2020561012の分割
【原出願日】2019-05-30
(31)【優先権主張番号】62/680,171
(32)【優先日】2018-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/719,883
(32)【優先日】2018-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512225379
【氏名又は名称】セラニーズ・インターナショナル・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】ジア,カマー
(72)【発明者】
【氏名】テンネス,カイ-ウーベ
(72)【発明者】
【氏名】マークグラフ,キルステン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】食品取扱い用途に適切な添加剤パッケージを用いた、改良されたポリアセタールベースの組成物及び成形品を提供する。
【解決手段】ポリマー組成物は、当該ポリマー組成物中に約60重量%を超える量で存在し、温度190℃及び荷重2.16kgで試験された場合に約1cm
3/10分~約80cm
3/10分のメルトボリュームフローレイトを有するポリオキシメチレンポリマーと;抗酸化剤とを含み、当該ポリマー組成物は、グアナミン、尿素又はメラミンホルムアルデヒドスカベンジャーを含まないが、VDA試験275に従って試験された場合に約15ppm未満のホルムアルデヒド放出を示し、そしてホルムアルデヒド溶出試験に従って水中40℃の温度で10日間試験された場合に15ppm未満のホルムアルデヒド溶出可能含量を示す。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー組成物であって、
当該ポリマー組成物中に約60重量%を超える量で存在し、温度190℃及び荷重2.16kgで試験された場合に約1cm3/10分~約80cm3/10分のメルトボリュームフローレイトを有するポリオキシメチレンポリマーと;
無機核剤と;
抗酸化剤と
を含み、
当該ポリマー組成物は、グアナミン、尿素又はメラミンホルムアルデヒドスカベンジャーを含まないが、VDA試験275に従って試験された場合に約15ppm未満のホルムアルデヒド放出を示し、そしてホルムアルデヒド溶出試験に従って水中40℃の温度で10日間試験された場合に15ppm未満のホルムアルデヒド溶出可能含量を示す、
前記ポリマー組成物。
【請求項2】
すべてのホルムアルデヒドスカベンジャーを含まない、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
無機核剤がタルクを含み、該タルクは前記ポリマー組成物中に約0.01重量%~約1重量%の量で存在する、請求項1又は2に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
さらに酸スカベンジャーを含有し、該酸スカベンジャーはカルボン酸塩を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
カルボン酸塩がカルボン酸のアルカリ土類金属塩を含む、請求項4に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
酸スカベンジャーがヒドロキシステアリン酸カルシウムを含み、該酸スカベンジャーは前記ポリマー組成物中に約0.01重量%~約1重量%の量で存在する、請求項5に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
ポリマー核剤を含有しない、請求項1~6のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
水中40℃で10日間試験した場合に約8ppm未満、例えば約5ppm未満の溶出可能ホルムアルデヒド含量を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
さらに滑剤を含有する、請求項1~8のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
滑剤がエチレンビス(ステアラミド)を含み、前記エチレンビス(ステアラミド)は前記ポリマー組成物中に約0.01重量%~約1重量%の量で存在する、請求項9に記載のポリマー組成物。
【請求項11】
エチレンビス(ステアラミド)が植物由来である、請求項10に記載のポリマー組成物。
【請求項12】
一つ又は複数の着色剤をさらに含有する、請求項1~11のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項13】
一つ又は複数の着色剤が前記ポリマー組成物中に分散剤と共に存在する、請求項12に
記載のポリマー組成物。
【請求項14】
分散剤がポリエチレンポリマーを含み、前記ポリエチレンポリマーは約500g/mol~約10,000g/molの分子量を有し、前記ポリエチレンポリマーは非極性である、請求項13に記載のポリマー組成物。
【請求項15】
分散剤が、約0.92g/cm3~約0.94g/cm3の密度を有するポリマーを含む、請求項13又は14に記載のポリマー組成物。
【請求項16】
さらに滑剤を含有する、請求項1~15のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項17】
滑剤が、ポリテトラフルオロエチレン、超高分子量シリコーン、シリコーンオイル、又はワックスを含む、請求項16に記載のポリマー組成物。
【請求項18】
ガラス繊維をさらに含有する、請求項1~17のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項19】
熱可塑性エラストマーをさらに含有する、請求項1~18のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項20】
熱可塑性エラストマーが熱可塑性ポリウレタンエラストマーを含む、請求項19に記載のポリマー組成物。
【請求項21】
請求項2に記載のポリマー組成物であって、無機核剤がタルクを含み、タルクは前記ポリマー組成物中に約0.1重量%~約1重量%の量で存在し、前記ポリマー組成物はヒドロキシステアリン酸カルシウムを含む酸スカベンジャーをさらに含有し、前記ヒドロキシステアリン酸カルシウムは前記ポリマー組成物中に約0.01重量%~約1重量%の量で存在し、前記ポリマー組成物はエチレンビス(ステアラミド)をさらに含有し、前記ポリマー組成物はポリマー核剤を含まない、前記ポリマー組成物。
【請求項22】
ポリオキシメチレンポリマーが前記ポリマー組成物中に約90重量%を超える量で存在する、請求項21に記載のポリマー組成物。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか1項に記載のポリマー組成物から製造される成形品。
【請求項24】
生活家電製品の部品を含む、請求項23に記載の成形品。
【請求項25】
コンベヤー部品を含む、請求項23に記載の成形品。
【請求項26】
医療製品の部品を含む、請求項23に記載の成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001]本願は、出願日が2018年8月20日である米国仮出願第62/719,883号及び出願日が2018年6月4日である米国仮出願第62/680,171号に基づく優先権を主張し、両出願は引用によってそれらの全文を本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
[0002]ポリアセタールポリマーは、一般的にポリオキシメチレンと呼ばれているが、様々な用途において並外れて有用なエンジニアリング材料として確立されている。ポリオキシメチレンポリマーは、例えば、自動車工業や電気工業で使用するための部品などの成形部品の構築に広く使用されている。ポリオキシメチレンポリマーは、例えば、優れた機械的特性、耐疲労性、耐摩耗性、耐薬品性、及び成形性を有している。
【0003】
[0003]ポリアセタール樹脂は多くの有用な特性を備えているが、このポリマーは加熱されると分解傾向を有するほか、もともと酸化的雰囲気又は酸性もしくはアルカリ性環境中で不安定である。一側面において、ポリアセタール樹脂は、加工中もポリマーが部品に成形された後もホルムアルデヒドを放出しがちである。当業者は、ホルムアルデヒド放出を減少させるために、ポリアセタールポリマーと様々な添加剤化合物との組合せを試みてきた。例えば、過去にポリアセタールポリマーは低ホルムアルデヒド放出性能を達成するためにメラミンと組み合わされた。ほかにも様々な化合物がホルムアルデヒド放出を減少させるために提案されている。過去に使用された様々な化合物は、ポリオキシメチレンポリマーから製造された製品からのホルムアルデヒド放出の抑制に成功しているが、ホルムアルデヒドの放出及び溶出可能含量(xtractable content)における更なる改良が求められている。
【0004】
[0004]ポリアセタール樹脂の製造には、加工助剤及び重合促進添加剤など、他の添加剤もしばしば使用される。
【0005】
[0005]一般に、たとえ食品取扱い用途に適切な既存の添加剤化合物があっても、その既存添加剤化合物と同等か又はそれより良好な性能を発揮する食品取扱い用途に適切な添加剤を用いたポリアセタールポリマーを得ることが望ましいであろう。
【0006】
[0006]上記に鑑み、食品取扱い用途に適切な添加剤パッケージを用いた、改良されたポリアセタールベースの組成物に対する需要が存在する。
【発明の概要】
【0007】
[0007]一般に、本開示は、食品接触用途に特によく適しているポリオキシメチレンポリマー組成物に向けられる。本開示のポリマー組成物は、例えば、多くの従来添加剤を使用せずに劇的に低いホルムアルデヒド溶出可能レベル及びホルムアルデヒド放出レベルを有するように特別に配合(formulate)されている。例えば、本開示のポリマー組成物は、グ
アナミンホルムアルデヒドスカベンジャー(捕捉剤)、尿素ホルムアルデヒドスカベンジャー、メラミンホルムアルデヒドスカベンジャー、ジシアンジアミドホルムアルデヒドスカベンジャーなしに配合でき、一態様においてはホルムアルデヒドスカベンジャーを全く含有しない。また、ポリマー組成物は、クエン酸塩及び/又はポリマー核剤(polymeric nucleant)を含まないように配合することもできる。例えば、一態様において、ポリマー組成物は無機核剤(mineral nucleant)を含有する。
【0008】
[0008]一態様において、ポリマー組成物はポリオキシメチレンポリマーを含有する。ポリオキシメチレンポリマーは、ポリマー組成物中に約50重量%を超える量、例えば約60重量%を超える量、例えば約70重量%を超える量、例えば約80重量%を超える量、例えば約90重量%を超える量で存在しうる。ポリオキシメチレンポリマーは、190℃及び荷重2.16kgで試験された場合に約1cm3/10分~約80cm3/10分のメルトボリュームフローレイト(melt volume flow rate)を有しうる。一態様において、
例えば、メルトボリュームフローレイトは約6cm3/10分~約28cm3/10分でありうる。あるいは、ポリオキシメチレンポリマーは、約30cm3/10分~約55cm3/10分のメルトフローレイトを有していてもよい。
【0009】
[0009]ポリオキシメチレンポリマーは、無機核剤と、任意に抗酸化剤、酸スカベンジャー、及び滑剤と組み合わされる。上記のように、ポリマー組成物は、ホルムアルデヒドスカベンジャーを実質的に含まなくてもよいが、それでもなお、VDA試験275に従って試験した場合に、約15ppm未満、例えば約12ppm未満、例えば約10ppm未満、例えば約8ppm未満、例えば約6ppm未満、例えば約4ppm未満のホルムアルデヒド放出しか示さない。また、ポリマー組成物は、水中140℃の温度で10日間試験された場合に、約15ppm未満、例えば約12ppm未満、例えば約10ppm未満のホルムアルデヒド溶出可能レベルも示しうる。また、ポリマー組成物は、水中100℃で30分間試験された場合も、上記のホルムアルデヒド溶出可能レベルを有することができる。
【0010】
[00010]一態様において、無機核剤はタルクを含む。タルクは、ポリマー組成物中に、
例えば約0.01重量%~約1重量%の量で存在しうる。ポリマー組成物は、カルボン酸塩を含む酸スカベンジャーも含有しうる。例えば、酸スカベンジャーは、カルボン酸のアルカリ土類金属塩、例えばヒドロキシステアリン酸カルシウムを含みうる。一態様において、例えば、酸スカベンジャーは12-ヒドロキシステアリン酸カルシウムで、ポリマー組成物中に約0.01重量%~約1重量%の量で存在する。
【0011】
[00011]ポリマー組成物は任意に抗酸化剤及び/又は滑剤を含有していてもよい。滑剤
は天然由来ワックス、例えば植物由来ワックスを含みうる。例えば、滑剤はエチレンビス(ステアラミド)を含みうる。滑剤は、ポリマー組成物中に約0.01重量%~約1重量%の量で存在しうる。
【0012】
[00012]一態様において、ポリマー組成物は一つ又は複数の着色剤を含有できる。しか
しながら、一態様において、ポリマー組成物は酸化鉄顔料を含まなくてもよい。一態様において、着色剤は、ポリマーマトリックス内への着色剤の分散を助けるポリマーと組み合わせることができる。着色剤を分散させるのに使用されるポリマーは上記の滑剤を含みうる。例えば、ポリマー分散剤は、ポリエチレンワックスなどのポリオレフィンポリマーを含みうる。ポリエチレンワックスは、中分子量を有する非極性ワックスを含みうる。ポリエチレンワックスの分子量は、例えば、約10,000g/mol未満、例えば約8,000g/mol未満、例えば約6,000g/mol未満、例えば約4,000g/mol未満で、一般的に、約100g/molより大、例えば約500g/molより大、例えば約1,000g/molより大でありうる。ポリエチレンワックスは、約0.9g/cm3~約0.95g/cm3、例えば約0.92g/cm3~約0.94g/cm3の密度を有しうる。
【0013】
[00013]ポリマー組成物は、熱可塑性ポリウレタンエラストマーなどの熱可塑性エラス
トマーも含有しうる。
[00014]様々に異なる成形品が本開示に従って製造できる。上記のように、成形品は、
食品接触用途に使用するのに特によく適している。例えば、一態様において、成形品は、
生活家電製品(consumer appliance)の部品、例えばコーヒーメーカーの部品を含みうる。成形品は、コンベヤー部品、例えば食品産業用途のコンベヤーに組み込まれるコンベヤー部品も含みうる。本開示は、医療製品の製造にもよく適している。
【0014】
[00015]本開示のその他の特徴及び側面については以下でさらに詳しく論ずる。
[00016]本開示の完全かつ実施可能な開示は、添付図面への参照も含めて本明細書の後
半でさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本開示に従って製造された組成物を含むコーヒーメーカー装置の一態様を示す。
【
図2】
図2は、本開示に従って製造された組成物を含むコーヒーメーカー装置の部材の一態様を示す。
【
図3】
図3は、本開示に従って製造された組成物を含む医療器具の一態様を示す。
【
図4】
図4は、本開示に従って製造された組成物を含む医療器具の別の態様を示す。
【
図5】
図5は、本開示に従って製造された組成物を含むコンベヤー装置の一態様を示す。
【
図6】
図6は、本開示に従って製造された組成物を含む化粧品容器(cosmetic closure apparatus)の一態様を示す。
【0016】
[00017]本明細書及び図面における参照文字(符号)の反復使用は、本発明の同じ又は
類似の特徴又は要素を表すものとする。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[00018]当業者であれば、本議論は例示的態様の説明にすぎず、本開示のより広範な側
面を制限するものとして意図されていないことは分かるはずである。
[00019]一般に、本開示は、食品加工用途に適切な添加剤を含有する添加剤パッケージ
を含有するポリアセタール、又はポリオキシメチレン(POM)(を)ベース(にした)組成物に向けられる。
【0018】
[00020]例えば、本開示に従って製造されたPOMは、一部の態様において、有益なこ
とに、ポリオキシメチレンターポリマー核剤などの合成核剤又はポリマー核剤なしに良好な結晶化性能を示すことができる。POMは、ポリビニリデンフルオリド核剤、安息香酸誘導体核剤、リン酸塩核剤、カルボン酸塩核剤、ソルビタールベースの核剤、及びポリアミド核剤の一つ又は複数もなくてよい。有益なことに、POM組成物は、食品加工用途に適切な、タルク又はクレイ(例えば、ベントナイト、焼成カオリン)化合物などの無機核剤を含有できる。
【0019】
[00021]追加の利点のうち、本開示に従って製造されたPOMは、標準法(例えば、V
DA 275、GB4806.6-2016)によって測定された場合、ホルムアルデヒドスカベンジャーパッケージを何ら含有していなくても低いホルムアルデヒド放出、溶出可能性、又はその両方を示すことができる。一部の態様において、POMは、グアナミン化合物(例えば、脂肪族グアナミンベースの化合物、脂環式グアナミンベースの化合物、芳香族グアナミンベースの化合物、ヘテロ原子含有グアナミンベースの化合物など)、ヒダントイン化合物、コポリアミド化合物、アミノ酸化合物(例えば、モノアミノモノカルボン酸、モノアミノジカルボン酸、又はアルギニン)、メラミン化合物、及び尿素化合物の一つ又は複数を含有するものなどの一定のホルムアルデヒド捕捉組成物を含んでいなくてもよい。例えば、POM組成物は、ベンゾグアナミン、ジシアンジアミド、及びアラントインの一つ又は複数を含んでいなくてもよい。しかしながら、一部の場合、ジシアンジ
アミド及びコポリアミド、例えばナイロンターポリマー(例えばナイロン66/610/6)を含むホルムアルデヒドスカベンジャーを任意に使用することもできる。
【0020】
[00022]追加の利点のうち、本開示に従って製造されたPOM組成物は、ホルムアルデ
ヒド放出レベル及びホルムアルデヒド溶出可能レベルが、様々な食品接触規制、例えば、FDAの食品接触基準、例えば連邦規制基準(CFR)第21章;EU食品接触基準、例えば規制(EC)No.1935/2004、2023/2006、10/2011、Resolution AP(89)1、ドイツ BfR IX、スペイン Real Decreto 847/2011、及びイタリア Decreto 21/3/73;ならびに中国食品接触基準、例えばGB 9685-2016によって規定されている範囲内のレベルを示しうる。
【0021】
[00023]ポリオキシメチレンポリマーの製造は、ポリオキシメチレン形成モノマー、例
えばトリオキサン又はトリオキサンとジオキソランなどの環状アセタールとの混合物を、グリコールなどの分子量調節剤の存在下で重合させることによって実施できる。ポリマー組成物に使用されるポリオキシメチレンポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーを含みうる。一態様によれば、ポリオキシメチレンは、少なくとも50モル%、例えば少なくとも75モル%、例えば少なくとも90モル%及び例えばさらには少なくとも97モル%の-CH2O-反復単位を含むホモ又はコポリマーである。
【0022】
[00024]一態様において、ポリオキシメチレンコポリマーが使用される。該コポリマー
は、約0.01モル%~約20モル%、特に約0.5モル%~約10モル%の反復単位を含有しうる。前記反復単位は、少なくとも2個の炭素原子を有する飽和又はエチレン性不飽和アルキレン基、又はシクロアルキレン基を含み、その鎖内に硫黄原子又は酸素原子を有し、そしてアルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ハロゲン又はアルコキシからなる群から選ばれる一つ又は複数の置換基を含んでいてもよい。一態様において、開環反応によってコポリマーに導入できる環状エーテル又はアセタールが使用される。
【0023】
[00025]好適な環状エーテル又はアセタールは、式:
【0024】
【0025】
のものである。式中、xは0又は1であり、R2は、C2~C4-アルキレン基であり、適切であれば、C1~C4-アルキル基、又はC1~C4-アルコキシ基、及び/又はハロゲン原子、好ましくは塩素原子である一つ又は複数の置換基を有する。単なる例として、エチレンオキシド、プロピレン 1,2-オキシド、ブチレン 1,2-オキシド、ブチレン 1,3-オキシド、1,3-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、及び1,3-ジ
オキセパンを環状エーテルとして、そしてまた直鎖オリゴ-又はポリホルマール、例えばポリジオキソラン又はポリジオキセパンもコモノマーとして挙げることができる。99.5~95モル%のトリオキサンと、0.01~5モル%、例えば0.5~4モル%の上記コモノマーの一つとで構成されるコポリマーを使用するのが特に有益である。一態様において、ポリオキシメチレンポリマーは、比較的少量のコモノマーを含有する。例えば、コモノマーは、約2モル%未満、例えば約1.5モル%未満、例えば約1モル%未満、例えば約0.8モル%未満、例えば約0.6モル%未満の量で存在しうる。
【0026】
[00026]重合は、沈殿重合として又は溶融物中で実施できる。重合時間又は分子量調節
剤の量などの重合パラメーターの適切な選択により、得られるポリマーの分子量、ひいてはMVR値を調整することができる。
【0027】
[00027]一態様において、ポリマー組成物に使用されるポリオキシメチレンポリマーは
、比較的多量の反応基又は官能基を末端位置に含有しうる。反応基は、例えば、-OH又は-NH2基を含みうる。
【0028】
[00028]一態様において、ポリオキシメチレンポリマーは、末端ヒドロキシル基、例え
ばヒドロキシエチレン基及び/又はヒドロキシル側基を、ポリマー上の全末端部位の少なくとも約50%より多く(の部位)に有しうる。例えば、ポリオキシメチレンポリマーは、存在する末端基の総数を基にして、その末端基の少なくとも約70%、例えば少なくとも約80%、例えば少なくとも約85%がヒドロキシル基でありうる。存在する末端基の総数はすべての側末端基を含むと理解されるべきである。
【0029】
[00029]一態様において、ポリオキシメチレンポリマーは、少なくとも15mmol/
kg、例えば少なくとも18mmol/kg、例えば少なくとも20mmol/kgの末端ヒドロキシル基含量を有する。一態様において、末端ヒドロキシル基含量は18~50mmol/kgの範囲である。代替の態様において、ポリオキシメチレンポリマーは、20mmol/kg未満、例えば18mmol/kg未満、例えば15mmol/kg未満の量の末端ヒドロキシル基を含有しうる。例えば、ポリオキシメチレンポリマーは、約5mmol/kg~約20mmol/kg、例えば約5mmol/kg~約15mmol/kgの量の末端ヒドロキシル基を含有しうる。例えば、末端ヒドロキシル基含量は少ないがメルトボリュームフローレイトは高いポリオキシメチレンポリマーが使用されうる。
【0030】
[00030]末端ヒドロキシル基に加えて又はその代わりに、ポリオキシメチレンポリマー
は、これらのポリマーによくあるその他の末端基を有することもできる。これらの例は、アルコキシ基、ギ酸基、酢酸基又はアルデヒド基である。一態様によれば、ポリオキシメチレンは、少なくとも50モル%、例えば少なくとも75モル%、例えば少なくとも90モル%及び例えばさらには少なくとも95モル%の-CH2O-反復単位を含むホモ又はコポリマーである。
【0031】
[00031]一態様において、ポリオキシメチレンポリマーは、カチオン重合法と、それに
続く溶液加水分解により何らかの不安定な末端基を除去することによって製造できる。カチオン重合の最中、エチレングリコール又はメチラールなどのグリコールが連鎖停止剤として使用できる。ヘテロポリ酸、トリフルオロメタンスルホン酸(triflic acid)又はホウ素化合物が触媒として使用できる。
【0032】
[00032]ポリオキシメチレンポリマーは、任意の適切な分子量を有することができる。
ポリマーの分子量は、例えば、約4,000グラム/モル~約20,000g/molでありうる。しかしながら、他の態様において、分子量は20,000g/molよりはるかに高く、例えば約20,000g/mol~約100,000g/molでもよい。
【0033】
[00033]組成物中に存在するポリオキシメチレンポリマーは、一般的に、ISO 11
33に従って190℃及び2.16kgで測定した場合、約0.1~約80cm3/10分の範囲のメルトフローインデックス(MFI)を有しうる。一態様において、ポリオキシメチレンポリマーは、約1cm3/10分より大、例えば約2cm3/10分より大、例えば約5cm3/10分より大、例えば約10cm3/10分より大、例えば約20cm3/10分より大、例えば約30cm3/10分より大きいメルトフローインデックスを有しうる。ポリマーは、一部の場合、約55cm3/10分未満、例えば約45cm3
/10分未満、例えば約35cm3/10分未満、例えば約25cm3/10分未満、例えば約15cm3/10分未満、例えば約10cm3/10分未満、例えば約5cm3/10分未満のメルトフローインデックスを有しうる。
【0034】
[00034]ポリオキシメチレンポリマーは、ポリオキシメチレンポリマー組成物中に、少
なくとも50wt%、例えば少なくとも60wt%、例えば少なくとも70wt%、例えば少なくとも80wt%。例えば少なくとも85wt%、例えば少なくとも90wt%、例えば少なくとも93wt%の量で存在しうる。一般に、ポリオキシメチレンポリマーは、約100wt%未満、例えば約99wt%未満、例えば約97wt%未満の量で存在する。ここで、重量はポリオキシメチレンポリマー組成物の総重量に基づく。
【0035】
[00035]本開示のポリマー組成物は様々な添加剤及び成分を含有しうる。例えば、一態
様において、ポリマー組成物は酸スカベンジャーを含有しうる。酸スカベンジャーはカルボン酸塩を含みうる。
【0036】
[00036]例えば、カルボン酸塩は脂肪酸の塩、例えば脂肪酸の金属塩を含みうる。例え
ば、カルボン酸塩は脂肪酸のアルカリ土類金属塩を含みうる。塩のカチオンは、例えば、カルシウム、バリウム、リチウム、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛などを含みうる。
【0037】
[00037]脂肪酸は、一般的に、約3個の炭素原子~約20個の炭素原子の炭素鎖を含有
しうる。脂肪酸はジカルボン酸又はトリカルボン酸を含んでいてもよい。
[00038]一態様において、脂肪酸の金属塩は、クエン酸、プロピオン酸、ステアリン酸
、ブタン酸、ヘキサン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸などの金属塩の一つ又は複数を含みうる。一つの特別な態様において、脂肪酸の金属塩は、12-ヒドロキシステアリン酸リチウム、12-ヒドロキシステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、及びそれらの混合物を含みうる。一部の場合、クエン酸及びその塩(例えばクエン酸三カルシウム)はPOM組成物に含まれていてもよいが、組成物は前記クエン酸の塩を含んでいなくてもよい。
【0038】
[00039]一つ又は複数のカルボン酸塩は、ポリマー組成物中に一般的に約0.001重
量%を超える量、例えば約0.01重量%を超える量、例えば約0.05重量%を超える量、例えば約0.1重量%を超える量、例えば約0.2重量%を超える量、例えば約0.3重量%を超える量、例えば約0.4重量%を超える量、例えば約0.5重量%を超える量で存在する。一つ又は複数のカルボン酸塩はポリマー組成物中に一般的に約5重量%未満の量、例えば約3重量%未満の量、例えば約2重量%未満の量、例えば約1.5重量%未満の量、例えば約1重量%未満の量で存在する。
【0039】
[00040]本開示のポリマー組成物は、その他の公知添加剤、例えば、抗酸化剤、UV安
定剤又は熱安定剤、耐衝撃性改良剤及び/又は強化用繊維を含有していてもよい。さらに、組成物は、加工助剤、例えば、接着促進剤、滑剤、核剤、離型剤、充填剤、又は帯電防止剤のほか、組成物及びそれから製造される製品又は部品に所望の特性を付与する添加剤を含有しうる。
【0040】
[00041]一態様において、核剤が存在しうる。核剤は結晶化度を増大することができ、
タルク又はクレイなどの無機化合物を含みうる。例えば、核剤は、カオリン及びベントナイトを含むタルク又はクレイなどの無機化合物で構成されうる。核剤は、組成物中に、少なくとも約0.01wt%、例えば少なくとも約0.05wt%、例えば少なくとも約0.1wt%、そして約2wt%未満、例えば約1.5wt%未満、例えば約1wt%未満の量で存在しうる。ここで、重量は各ポリマー組成物の総重量に基づく。
【0041】
[00042]一態様において、立体障害フェノールなどの抗酸化剤が存在しうる。市販品の
例は、ペンタエリトリチルテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](抗酸化剤1010)及びトリエチレングリコールビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート](抗酸化剤245)である。抗酸化剤はポリマー組成物中に、少なくとも約0.01wt%、例えば少なくとも約0.05wt%、例えば少なくとも約0.075wt%、そして約1wt%未満、例えば約0.75wt%未満、例えば約0.5wt%未満の量で存在しうる。ここで、重量は各ポリマー組成物の総重量に基づく。
【0042】
[00043]一態様において、紫外線安定剤が存在しうる。紫外線安定剤は、ベンゾフェノ
ン、ベンゾトリアゾール、又はベンゾエートを含みうる。UV光吸収剤は、存在する場合、ポリマー組成物中に、少なくとも約0.01wt%、例えば少なくとも約0.05wt%、例えば少なくとも約0.075wt%、そして約1wt%未満、例えば約0.75wt%未満、例えば約0.5wt%未満の量で存在しうる。ここで、重量は各ポリマー組成物の総重量に基づく。一部の例において、UV光吸収剤は、ブタン二酸又はそのポリマーを含まないが、他の例では、例えば、オリゴマー性ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、例えば4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールとのブタン二酸ジメチルエステルポリマーを含有しうる。
【0043】
[00044]一態様において、紫外線安定剤に加えて立体障害アミンなどの光安定剤が存在
してもよい。使用できるヒンダードアミン光安定剤は、N-メチル化されたオリゴマー性ヒンダードアミン化合物などである。例えば、ヒンダードアミン光安定剤は、高分子量ヒンダードアミン安定剤を含みうる。光安定剤のその他の態様は、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル化合物、例えばビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート(セバシン酸)又はコハク酸ジメチルと1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンのポリマーなどである。一態様において、光安定剤は、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル) 4
,6-ビス(1-エチル-1-フェニル-エチル)フェノールを含みうる。光安定剤は、存在する場合、ポリマー組成物中に、少なくとも約0.01wt%、例えば少なくとも約0.05wt%、例えば少なくとも約0.075wt%、そして約1wt%未満、例えば約0.75wt%未満、例えば約0.5wt%未満の量で存在しうる。ここで、重量は各ポリマー組成物の総重量に基づく。
【0044】
[00045]一態様において、滑剤が存在してもよい。滑剤は様々な理由で組成物に添加さ
れうる。例えば、滑剤は成形工程を容易にする及び/又は型からの組成物の取り出しを容易にすることができる。滑剤は、溶融状態にある場合の組成物の粘度にも影響しうる。さらに、滑剤は、均一組成物を製造するために様々な成分の分散を支援するために存在することもできる。例えば、滑剤は、顔料及びその他の着色剤の分散における分散剤として作用することができる。
【0045】
[00046]滑剤はポリマーワックス組成物を含みうる。一部の例において、ポリエチレン
(例えばポリエチレングリコール)、ワックス(例えば、パラフィン、極性ポリエチレンワックス、又はモンタンワックス)、脂肪酸(例えばステアリン酸)、オレイン酸(例えばタル油)、シリコーン(例えばポリジメチルシロキサン)、及び金属石けんの一つ又は複数が組成物中に存在しうる。ポリエチレングリコールは、例えば、約1000~約5000、例えば約3000~約4000の分子量を有しうる。一態様において、例えば、PEG-35又はPEG-70が存在しうる。別の態様においては、エチレンビス(ステアラミド)などの脂肪酸アミドが存在しうる。他の態様において、POM組成物は、ステアリン酸マグネシウムなどの特定のステアリン酸塩を含まなくてもよい(ただし、一部の態様においてはステアリン酸マグネシウムが存在してもよい)。別の例において、組成物に
使用するためのポリエチレンワックス(極性又は非極性)は、高密度、高分子量の酸化ポリエチレンホモポリマーを含有しうる又はそれで構成されうる。一部の例において、POM組成物は非極性ポリエチレンワックスを含まなくてもよい。一部の態様においては六方晶窒化ホウ素などの固体滑剤が含有されてもよいが、他の態様では前記固体滑剤は含まれなくてもよい。一部の態様においてはペンタエリトリトールエステル(例えばステアリン酸との)が含有されてもよいが、他の態様では前記ペンタエリトリトールエステルは含まれなくてもよい。
【0046】
[00047]その他の滑沢添加剤はマスターバッチの形態で供給できる。一例において、ポ
リオキシメチレン中に分散されたシロキサンポリマー(例えば超高分子量(UHMW)シロキサン)は滑剤として組み込むことができる。他の態様では前記UHMWシロキサンは含まれなくてもよい。
【0047】
[00048]滑剤は、一般的に、ポリマー組成物中に、少なくとも約0.01wt%、例え
ば少なくとも約0.05wt%、例えば少なくとも約0.075wt%、そして約1wt%未満、例えば約0.75wt%未満、例えば約0.5wt%未満の量で存在しうる。ここで、重量は各ポリマー組成物の総重量に基づく。
【0048】
[00049]一態様において、ポリマー組成物及び該組成物から製造される物品は自然色を
有しうる。あるいは、着色剤が存在していてもよい。上記のように、一つ又は複数の着色剤は、着色剤を組成物全体に分散させるために滑剤と組み合わせることができる。使用できる着色剤は、任意の所望の無機顔料、例えば、二酸化チタン、ウルトラマリンブルー、コバルトブルー、ならびにその他の有機顔料及び染料、例えば、フタロシアニン、アントラキノンなどでありうる。一部の例において、POM組成物は、蛍光増白剤184、ピグメントオレンジ68、ピグメントレッド247、ピグメントグリーン7、ピグメントブルー15、キナクリドンレッド、ピグメントバイオレット23、ピグメントブラウン24、及びピグメントレッド122の一つ又は複数を含みうる。その他の着色剤は、カーボンブラック又は様々なその他のポリマー可溶性染料などである。一態様において、着色剤の組合せがポリマー組成物に含まれてもよい。
【0049】
[00050]一部の場合において、POM組成物は、様々な顔料、例えば、酸化鉄及び水酸
化鉄顔料(例えば、Bayferrox 110M、120M、3910、Colortherm Red 130M/160M/180M;例えば、粒径が0.1μm~1μm(この間0.1μmきざみ)であるもの)、ピグメントレッド101、ピグメントレッド254、ピグメントイエロー180、キノフタロン(chinophthalone)顔料、窒素系顔料(例えばNi/Sb/Ti酸化物顔料)、及び硫黄系顔料(例えばナトリウムアルミノスル
ホシリケート)を全く含まなくてもよい。当然ながら、除外されてもよい前記顔料が一定の態様において含まれることもある。
【0050】
[00051]Heliogen Blue K 7090は、ピグメントブルー15又は非
塩素化銅フタロシアニン(銅含有率約11wt%のベータ形)の代表である。避けられない不純物は、アンチモン20ppm未満、ヒ素20ppm未満、鉛20ppm未満、カドミウム30ppm未満、クロム50ppm未満、セレン20ppm未満、水銀20ppm未満、及び亜鉛20ppm未満に抑えられている。任意の芳香族第一アミンも100ppm未満に抑えられている。
【0051】
[00052]Sicotan Yellow K 2112は、酸化クロム(III)、五酸化アンチモン、及び二酸化チタンに基づくルチル顔料の代表である。任意の酸可溶性アンチモンは約20ppm未満の量で存在する。さらに、避けられない不純物は、ヒ素30ppm、鉛50ppm、カドミウム10ppm未満、コバルト10ppm未満、銅10ppm
未満、ニッケル50ppm未満、セレン1ppm未満、水銀1ppm未満、及び亜鉛100ppm未満に抑えられている。別の例はTitanorange 6994である。
【0052】
[00053]Printex FPは、カーボンブラック又はピグメントブラック7の代表
である。
[00054]Kronos 2220及び2233は、塩化物法によって製造されるルチル
顔料の代表、DIN EN ISO 591 パート1に対応するR2化合物の代表で、それぞれ最低95.5、92.5及び96wt%のTiO2を含有し、それぞれ、アルミニウム、アルミニウムとケイ素、及びアルミニウムとケイ素を含有する化合物で安定化されている。同じものを含有するプラスチゾル剤の分散能は、それぞれ約99及び104でありうる。様々なグレードの二酸化チタンが、標的設計の必要性に応じて使用できる。例えば、Kronos 2233は、担体ポリマーの分解に耐性を示し、高い加工温度でも着色効果を維持する二酸化チタンである。
【0053】
[00055]PV Fast Green GNXは、ピグメントグリーン7(銅フタロシ
アニン)の代表である。
[00056]PV Fast Red E5Bは、ピグメントバイオレット19又はキナク
リドンレッドの代表である。
【0054】
[00057]Heliogen Green K 8730は、ピグメントグリーン7又は
塩素化銅フタロシアニンの代表である(銅含有率約5.6wt%)。避けられない不純物は、アンチモン20ppm未満、ヒ素20ppm未満、鉛20ppm未満、カドミウム30ppm未満、クロム50ppm未満、セレン20ppm未満、水銀20ppm未満、及び亜鉛20ppm未満に抑えられている。任意の芳香族第一アミンも100ppm未満に抑えられている。
【0055】
[00058]着色剤は、組成物中に、少なくとも約0.01wt%、例えば少なくとも約0
.05wt%、例えば少なくとも約0.1wt%、例えば少なくとも約0.5wt%、例えば少なくとも約0.8wt%、例えば少なくとも約1wt%、そして約5wt%未満、例えば約2.5wt%未満、例えば約1wt%未満の量で存在しうる。ここで、重量は各ポリマー組成物の総重量に基づく。
【0056】
[00059]一態様において、一つ又は複数の着色剤は、分散剤として働く滑剤と共に組成
物に添加することができる。一態様において、滑剤は、ポリエチレンワックスなどのポリオレフィンを含みうる。一つの特別な態様において、分散剤は中分子量を有するポリエチレンワックスを含む。ポリエチレンの分子量は、例えば、一般的に、約10,000g/mol未満、例えば約8,000g/mol未満、例えば約6,000g/mol未満、例えば約4,000g/mol未満で、一般的に、約500g/molより大、例えば約1,000g/molより大でありうる。ポリエチレンワックスは、約0.9g/cm3~約0.95g/cm3、例えば約0.92g/cm3~約0.94g/cm3の密度を有しうる。密度は、ISO試験1183に従って測定できる。
【0057】
[00060]ポリエチレン分散剤は、一つ又は複数の着色剤と予備配合できる。あるいは、
分散剤は着色剤と一緒にポリマー組成物に添加されてもよい。一態様において、ポリエチレンワックスは、微粒子構造(fine grain structure)を有し、そして一般的に約2,000ミクロン未満で一般的に約500ミクロンより大きい粒径を有しうる。存在する場合、分散剤(又は滑剤)は、ポリマー組成物中に、一般的に約0.0001重量%を超える、例えば約0.001重量%を超える量で、一般的に約2重量%未満、例えば約1重量%未満の量で含まれうる。分散剤は、一つ又は複数の着色剤と共に、約50:1~約1:10、例えば約10:1~約1:5、例えば約5:1~約1:1の重量比で存在しうる。
【0058】
[00061]組成物に含まれうる充填剤は、ガラスビーズ、珪灰石、ローム、二硫化モリブ
デン又はグラファイト、及び/又は無機もしくは有機繊維などである。
[00062]組成物に使用できる補強充填剤は、ガラス繊維などの無機繊維を含む。これら
の繊維は、ポリマーへの接着を改良するために、例えばサイジングが行われる又は化学処理されるなど、改質形でも又は未改質形でもよい。ガラス繊維は特に好適である。一部の場合において、活性酸化亜鉛などの酸化亜鉛が組成物中の充填剤として使用されてもよいが、他の場合において、組成物は酸化亜鉛を含まなくてもよい。
【0059】
[00063]ガラス繊維は、ガラス繊維を保護するためにサイジングを行って、繊維を滑ら
かにするだけでなく、繊維とマトリックス材料間の接着も改良する。サイジングは、通常、シラン、皮膜形成剤、滑剤、湿潤剤、接着剤、任意に帯電防止剤及び可塑剤、乳化剤及び任意に更なる添加剤を含む。
【0060】
[00064]組成物は、任意に、エトキシル化アミン及びポリオキシエチレンアルキルアミ
ン脂肪酸エステルを含む特別な帯電防止剤を含有してもよいが、組成物は前記防止剤を含まなくてもよい。
【0061】
[00065]シランの具体例は、アミノシラン、例えば、3-トリメトキシシリルプロピル
アミン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシ-シラン、N-(3-トリメトキシシラニルプロピル)エタン-1,2-ジアミン、3-(2-アミノエチル-アミノ)プロピルトリメトキシシラン、N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタン-ジアミンである。
【0062】
[00066]皮膜形成剤は、例えば、ポリビニルアセテート、ポリエステル及びポリウレタ
ンである。
[00067]強化用繊維は、例えば押出機又はニーダー内でポリオキシメチレンマトリック
スに配合することができる。しかしながら、強化用繊維は、この目的のために適切な方法でポリオキシメチレン成形用組成物(molding composition)で被覆又は含浸された連続フ
ィラメント繊維の形態を取るのも有益であり、その後、連続ストランドの形態に加工又は巻き取られるか、又は繊維長とペレット長が同一になるように所望のペレット長に切断することができる。この目的のために特に適切な方法の例は引抜成形法である。
【0063】
[00068]強化用繊維は成形用組成物中に5~45wt%、例えば10~40wt%の範
囲の量で存在しうる。ここで、重量は組成物の総重量に基づく。
[00069]ポリマー組成物は摩擦添加剤(トライボアディティブ:triboadditive)を含んでいてもよい。例えば、一例においてはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。しかしながら、一部の例では組成物はPTFEを含んでいなくてもよい。
【0064】
[00070]ポリマー組成物はさらに、熱可塑性エラストマーなどの耐衝撃性改良剤を含ん
でいてもよい。熱可塑性エラストマーは、熱可塑性とエラストマー性の両方を有する材料である。熱可塑性エラストマーは、スチレン系ブロックコポリマー、熱可塑性オレフィンエラストマーと呼ばれるポリオレフィンブレンド、エラストマー合金、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性コポリエステル、及び熱可塑性ポリアミドなどである。
【0065】
[00071]本開示での使用によく適合する熱可塑性エラストマーは、ポリエステルエラス
トマー(TPE-E)、熱可塑性ポリアミドエラストマー(TPE-A)、及び特に熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPE-U)である。
【0066】
[00072]一つの特別な態様において、熱可塑性ポリウレタンエラストマーが使用される
。熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、例えば、長鎖ジオールの軟質セグメントと、ジイソシアネート及び連鎖延長剤に由来する硬質セグメントを有しうる。一態様において、ポリウレタンエラストマーは、長鎖ジオールをジイソシアネートと反応させてイソシアネート末端基を有するポリウレタンプレポリマーを製造し、次いでジオール連鎖延長剤を用いてプレポリマーを連鎖延長することによって製造されるポリエステルタイプである。代表的な長鎖ジオールは、ポリ(ブチレンアジペート)ジオール、ポリ(エチレンアジペート)ジオール及びポリ(ε-カプロラクトン)ジオールなどのポリエステルジオール;及び、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリカーボネートジオール及び/又はポリエステルポリカーボネートジオールなどのポリエーテルジオールである。適切なジイソシアネートは、4,4'-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、2,4-トルエンジイ
ソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート及び4,4'-メチレンビス(
シクロキシルイソシアネート)などである。適切な連鎖延長剤は、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール及びネオペンチルグリコールなどのC2-C6脂肪族ジオールである。熱可塑性ポリウレタンの一例は、本質的にポリ(アジピン酸-コ-ブチレングリコール-コ-ジフェニルメタンジイソシアネート)と特徴付けられる。
【0067】
[00073]ポリマー組成物中に含有される熱可塑性エラストマーの量は、様々な因子に応
じて変動しうる。例えば、熱可塑性エラストマーは、約0.5重量%~約50重量%の範囲の量で存在しうる。一態様において、例えば、熱可塑性エラストマー又は耐衝撃性改良剤は、組成物中に、約25重量%未満の量、例えば約15重量%未満の量、例えば約10重量%未満の量で存在しうる。熱可塑性エラストマー又は耐衝撃性改良剤は、一般的に、約2重量%を超える量、例えば約5重量%を超える量、例えば約8重量%を超える量、たとえば約10重量%を超える量で存在する。
【0068】
[00074]本開示の組成物は、当該技術分野で公知の任意の技術を用いて配合及びポリマ
ー製品に成形できる。例えば、各組成物を強力混合して実質的に均一なブレンドを形成させることができる。ブレンドは、高温、例えば、ポリマー組成物に利用されるポリマーの融点より高いが分解温度より低い温度で溶融混練することができる。あるいは、各組成物は、従来の一軸又は二軸スクリュー押出機内で一緒に溶融及び混合されてもよい。好ましくは、溶融混合は100~280℃、例えば120~260℃、例えば140~240℃又は180~220℃の範囲の温度で実施される。
【0069】
[00075]押出後、組成物はペレットに形成されうる。ペレットは、射出成形、熱成形、
ブロー成形、回転成形などの当該技術分野で公知の技術によってポリマー製品に成形することができる。
【0070】
[00076]一般に、本開示に従って製造されるポリマー組成物は、良好なホルムアルデヒ
ド放出及び溶出可能性能を示すことができる。例えば、一部の態様において、VDA-275によるホルムアルデヒド放出は、約15ppm未満、例えば約12ppm未満、例えば約10ppm未満、例えば約8ppm未満、例えば約6ppm未満、例えば約5ppm未満でありうる。放出は、一般的に約0.01ppmより大、例えば約0.5ppmより大でありうる。
【0071】
[00077]GB4806.6-2016によるホルムアルデヒド溶出可能性は、一部の態
様において、水中40℃で10日間測定された場合、水中100℃で30分間測定された場合、10%エタノール中40℃で10日間測定された場合、及び油中40℃で10日間測定された場合を含む任意の測定媒体中で、約15ppm未満、例えば約12ppm未満、例えば約10ppm未満、例えば約8ppm未満、例えば約6ppm未満、例えば約4
ppm未満でありうる。任意の媒体中での溶出可能性は検出限界より低く、例えば約0.3ppm未満でありうる。他の態様においては、溶出可能性は検出可能でありうる(例えば約0.3ppmより高く、例えば約1ppmより高い)。
【0072】
[00078]トリオキシメチレン及び1,3-ジオキソランの溶出可能性は、同じ条件下で
測定された場合、約5ppm未満、例えば約4ppm未満、例えば約3ppm未満、例えば約2ppm未満、例えば約1ppm未満、例えば約0.5ppm未満、例えば約0.25ppm未満、例えば約0.1ppm未満でありうる。任意の媒体中での溶出可能性は検出限界より低く、例えば約0.05ppm未満でありうる。他の態様においては、溶出可能性は検出可能でありうる(例えば約0.05ppmより高く、例えば約0.075ppmより高い)。
【0073】
[00079]本開示のポリオキシメチレンポリマー組成物及びそれから製造されるポリマー
製品は改良された放出特性を提供するが、当該組成物及び製品は優れた機械的特性(ISO試験527)も示すことができる。例えば、ISO試験番号527に従って試験した場合、ポリマー組成物は、約1,200MPaより高い、例えば約2,000MPaより高い引張弾性率を有しうる。引張弾性率は一般的に約10,000MPa未満である。
【0074】
[00080]ポリマー組成物は、23℃で約3kJ/m2より大きい、例えば約5kJ/m
2より大きいノッチ付きチシャルピー衝撃強さを示すことができる(ISO試験179-1)。ノッチ付きシャルピー衝撃強さは一般的に約20kJ/m2未満である。
【0075】
[00081]ポリマー組成物は、-30℃で約3kJ/m2より大きい、例えば約5kJ/
m2より大きいノッチ付きシャルピー衝撃強さを示すことができる。-30℃におけるノッチ付きシャルピー衝撃強さは一般的に約20kJ/m2未満である。
【0076】
[00082]本開示のポリマー組成物は、様々な成形部品を製造するために使用することが
できる。部品は、任意の適切な成形法、例えば射出成形法又はブロー成形法によって形成できる。本開示に従って製造できるポリマー製品は、制限なしに、ノブ、ドアハンドル、自動車の装飾的トリムピースなどである。本開示に従って製造できるその他のポリマー製品は、ラッチ、レバー、ギア、ピボットハウジング、スピーカーグリルなどである。
【0077】
[00083]一つの特別な態様において、ポリマー組成物は、
図1に示されているようなコ
ーヒーメーカー10の製造に使用される。コーヒーメーカーは、液体を非常に迅速に加熱し、加熱飲料を製造するように設計されている。その結果、コーヒーメーカーの運転環境、特に内部運転環境は室温から高温に比較的迅速に変化できる。
図1に示されているコーヒーメーカー10のようなコーヒーメーカーは、多数の部品も有する。本開示に従って、コーヒーメーカーの様々な内部及び外部部品、特に高温水に暴露される部品が本開示のポリマー組成物から製造できる。
【0078】
[00084]コーヒー製造装置は、典型的には、水加熱ユニット、コーヒーサプライユニッ
ト、及び浸出(brewing)アセンブリを含む。加熱飲料を製造するために、コーヒーは、コ
ーヒーサプライユニットから、そして熱水は水加熱ユニットから浸出アセンブリに供給される。典型的な浸出アセンブリは、浸出ヘッド、上部閉鎖エレメント、下部閉鎖エレメント、及び少なくとも一つのリニアガイドエレメントを含む。
【0079】
[00085]
図2を参照すると、コーヒーメーカー10は、第一の部材22と第二の部材2
4を含みうる。第一の部材22と第二の部材24は、一態様において、浸出アセンブリの部品又はコーヒーサプライユニットの部品でありうる。例えば、部材22と24は、コーヒー飲料を製造するために、コーヒーを受容し、カプセルなどの指定領域に投入するため
のものでありうる。熱水にごく近接しているため、部材22と24は、30℃をはるかに超える、例えば40℃より高い、例えば50℃より高い、さらには60℃より高い運転環境を経験しうる。有益なことに、本開示に従って製造された組成物を含む部材は、高温水に暴露されても、低いホルムアルデヒド放出及び溶出を示すことができる。
【0080】
[00086]前述のように、一態様において、ホルムアルデヒド安定剤パッケージは、グア
ナミン化合物、ヒダントイン、置換ヒダントイン、アミノ酸、及び/又はエチレン尿素を含まない。グアナミンを含まない組成物は、医療製品の製造に特によく適している。例えば、
図3を参照すると、吸入器30が示されている。吸入器30は、マウスピース34に取り付けられたハウジング32を含む。ハウジング32と動作的に関連して、吸入される組成物を含有するキャニスターを受容するためのプランジャー36がある。組成物はスプレー又は粉末を含みうる。
【0081】
[00087]使用中、吸入器30は、計量された用量の医薬、例えば喘息薬を患者に投与す
る。喘息薬は、噴射剤中に懸濁又は溶解されていても又は粉末中に含有されていてもよい。患者が医薬を吸入するために吸入器を作動させると、バルブが開いてマウスピースから医薬の吐出が可能になる。本開示に従って、ハウジング32、マウスピース34、及びプランジャー36はすべて、上記のポリマー組成物から製造できる。
【0082】
[00088]
図4を参照すると、本開示に従って製造できる別の医療製品が示されている。
図4には医療用注射器40が示されている。医療用注射器40は、プランジャー44と動作的に関連するハウジング42を含む。ハウジング42はプランジャー44に対してスライドできる。医療用注射器40はバネ押し式でもよい。医療用注射器は薬物を患者の典型的には大腿部又は臀部に注射するためのものである。医療用注射器は無針でも又は針を含有していてもよい。針を含有する場合、針先は典型的には注射前はハウジング内に遮蔽されている。他方、無針注射器は、針を使用せずに皮膚を通して医薬を噴射する加圧ガスのシリンダーを含有しうる。本開示に従って、ハウジング42及び/又はプランジャー44は上記のポリマー組成物から製造できる。
【0083】
[00089]一態様において、本開示に従って製造されるポリマー製品は、コンベヤーシス
テムの部品を製造するために使用することができる。コンベヤーシステムは、例えば、典型的には、トラック上を動くコンベヤーチェーンを含む。そのようなコンベヤーシステムは、あらゆる異なる種類の製品及び物品を移動させるのに使用できる。一態様において、例えば、そのようなコンベヤーは食品の輸送に使用される。
【0084】
[00090]
図5を参照すると、例えば、コンベヤーチェーン50の一部の一態様が示され
ている。示されているように、コンベヤーチェーン50は、複数のコンベヤー部品52又はリンクから作られている。コンベヤー部品52のそれぞれは、食品を受容及び輸送するための上面を含む。本開示に従って、コンベヤー部品52は、本開示のポリマー組成物から製造できる。特に有益なことに、コンベヤー部品52は、該部品に所望の表面外観を提供する一つ又は複数の着色剤を含むことができる。有益なことに、本開示に従って製造された組成物を含む部品は、過酷なクリーニング条件に暴露されても、低いホルムアルデヒド放出及び溶出を示すことができる。
【0085】
[00091]本開示のさらに別の態様において、ポリマー組成物を金属でコーティングして
化粧品容器(cosmetic closure)を製造することができる。例えば、
図6は、本開示に従って製造できる化粧品容器60の一態様を示している。
【0086】
[00092]上記開示は、以下の実施例を考慮することにより、より良く理解できるであろ
う。
【実施例0087】
[00093]ポリマー組成物(サンプル1)は、本開示に従って製造され、下記成分を含有
していた。
99.33wt% ポリオキシメチレン(MFI:8.5cm3/10分)、
0.30wt% トリエチレングリコールビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、
0.20wt% エチレンビス(ステアラミド)、
0.07wt% 12-ヒドロキシステアリン酸カルシウム、及び
0.10wt% タルク
[00094]サンプル1について以下の機械的特性が得られた。
【0088】
引張弾性率:2640MPa
降伏応力:63.5MPa
降伏歪:10.5%
破壊応力:54MPa
破壊歪:34%
ノッチ付きシャルピー(室温):5.8kJ/m2
ノッチ付きシャルピー(-30℃):5.5kJ/m2
[00095]サンプル1を、VDA-275によるホルムアルデヒド放出試験のために、射
出成形して80mm×50mm×1mmの板(plaque)にした。以下の放出結果が得られた。
【0089】
VDA-275:9.5ppm
[00096]上記のようにして製造された板をホルムアルデヒド溶出試験(ここでは“ホル
ムアルデヒド溶出試験(Formaldehyde Extraction Test)”と呼ぶ)に付した。特に、約160cm2の合計表面積を有する2枚の板を80℃(±10℃)で240mLの水浴中に30分間浸漬した。30分経過後、板を直ちに浴から取り出し、浴水を浴に使用されたのと同じ密封(蓋付き)容器中で室温に冷却した。水溶液をホモジナイズ後、ホルムアルデヒド含量の分光光度定量をルチジン法に従って実施した(サンプルを含有しない参照溶液との比較)。計算係数1.5を分光光度計によって測定された溶液の吸光度に乗じて溶出可能なホルムアルデヒド含量を求めた。下記の溶出可能含量が測定された。
【0090】
溶出可能ホルムアルデヒド:2.7μg/cm2
[00097]トリオキシメチレンと1,3-ジオキソランの移行試験をHS-GC-MSに
よって実施した。すべての移行試験はGB4806.6-2016、第一の方法に従って実施された。計算は、面積-体積比6dm2/1L(kg)を用いて実施した。試験結果を以下に報告する。
【0091】
【0092】
[00098]本発明に対するこれら及びその他の修正及び変形は、特許請求の範囲にさらに
詳細に示されている本発明の精神及び範囲を逸脱することなく当業者によって実施できる。さらに、様々な態様の側面は全体的に又は部分的に交換可能であることも理解されるべきである。さらに、当業者であれば、上記の説明は単なる例にすぎず、添付の当該特許請求の範囲で詳述されている本発明を制限する意図はないことも理解されるはずである。
分散剤がポリエチレンポリマーを含み、前記ポリエチレンポリマーは約500g/mol~約10,000g/molの分子量を有し、前記ポリエチレンポリマーは非極性である、請求項12に記載のポリマー組成物。