(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024028982
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】エアロゾル発生デバイス用の装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20240227BHJP
A24F 40/53 20200101ALI20240227BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/53
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023211019
(22)【出願日】2023-12-14
(62)【分割の表示】P 2021577349の分割
【原出願日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】1909377.2
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ホロッド、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト、ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ロペス、ヴィクトル クラベス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】1つ以上の特徴を特定することが可能なエアロゾル発生デバイスが提供される。
【解決手段】サセプタ装置16を誘導加熱してエアロゾル発生材を加熱し、これにより加熱操作モードでエアロゾルを発生させるインダクタ素子を含むエアロゾル発生デバイスの共振回路14を制御することと、インダクタ素子に流れる電流を測定することと、測定された電流に基づいてエアロゾル発生デバイスおよび/またはサセプタ装置の1つ以上の特徴を特定することとを含む方法および装置が記載されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サセプタ装置を誘導加熱してエアロゾル発生材を加熱し、これにより加熱操作モードでエアロゾルを発生させるインダクタ素子を含む共振回路と、
インダクタ素子に流れる電流を測定する電流センサと、
前記測定された電流に基づいてエアロゾル発生デバイス、装置およびサセプタ装置のうちの1つ以上の1つ以上の特性を特定するためのプロセッサとを含むエアロゾル発生デバイス用の装置。
【請求項2】
プロセッサによって特定される1つ以上の特徴は前記サセプタ装置の有無を含むことを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
サセプタ装置は取り外し可能な物品の一部として提供されることを特徴とする請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
プロセッサによって特定される前記1つ以上の特徴は、前記取り外し可能な物品の特性を含むことを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項5】
プロセッサによって特定される取り外し可能な物品の特性は、前記取り外し可能な物品の有無を含むことを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項6】
プロセッサによって特定される1つ以上の特徴は、1つ以上の故障状態を含むことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の装置。
【請求項7】
プロセッサによって特定される1つ以上の特徴は、電流が予め定義されたサセプタ装置の電流と一致するかどうかを特定することを含むことを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記1つ以上の特徴を特定することは、電流が第1の閾値温度を超えるおよび/または第2の閾値温度を下回る温度を有するサセプタ装置と一致するかどうかを特定することを含むことを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項記載の装置。
【請求項9】
交流電流をDC電圧供給装置から発生させ、インダクタ素子を流れるようにして加熱操作モードでサセプタ装置の誘導加熱を引き起こすことができる第1の切り替え部をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項記載の装置。
【請求項10】
第1の切り替え部は、Hブリッジを含むことを特徴とする請求項9記載の装置。
【請求項11】
共振回路はLC共振回路であることを特徴とする請求項1乃至10いずれか1項記載の装置。
【請求項12】
共振回路にインパルスを印加し、印加されたインパルスが前記共振回路のコンデンサとインダクタ素子の間に共振周波数を有するインパルス応答を誘導するインパルス生成回路と、
前記インパルス応答の1種以上の特性に依存する出力信号を提供する出力回路とをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至11いずれか1項記載の装置。
【請求項13】
出力信号はインパルス応答の共振周波数を示すことを特徴とする請求項12記載の装置。
【請求項14】
出力信号は、前記インダクタ素子の温度測定を提供するために使用されることを特徴とする請求項12または13記載の装置。
【請求項15】
請求項1乃至14いずれか1項記載の装置を含む非燃焼系エアロゾル発生デバイス。
【請求項16】
エアロゾル発生デバイスは、エアロゾル発生材を含む取り外し可能な物品を収容するように構成されていることを特徴とする請求項15記載の非燃焼系エアロゾル発生デバイス。
【請求項17】
前記エアロゾル発生材は、エアロゾル発生基材と、エアロゾル形成材とを含むことを特徴とする請求項16記載の非燃焼系エアロゾル発生デバイス。
【請求項18】
前記取り外し可能な物品は前記サセプタ装置を含むことを特徴とする請求項16または17記載の非燃焼系エアロゾル発生デバイス。
【請求項19】
サセプタ装置を誘導加熱してエアロゾル発生材を加熱し、これにより加熱操作モードでエアロゾルを発生させるインダクタ素子を含むエアロゾル発生デバイスの共振回路を制御することと、
インダクタ素子に流れる電流を測定することと、
前記測定された電流に基づいてエアロゾル発生デバイスおよび/またはサセプタ装置の1つ以上の特徴を特定することとを含む方法。
【請求項20】
プロセッサによって特定される1つ以上の特徴は、
前記サセプタ装置の有無、
前記取り外し可能な物品の特性、
前記取り外し可能な物品の有無、
1つ以上の故障状態、
電流が所定のサセプタ装置の電流と一致するかどうか、
電流が第1の閾値温度を超えるおよび/または第2の閾値温度を下回る温度を有するサセプタと一致するかどうか、または
電流が本物のサセプタの電流と一致するかどうかの内の1つ以上を含むことを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項21】
共振回路にインパルスを印加し、印加されたインパルスが前記共振回路のコンデンサとインダクタ素子の間に共振周波数を有するインパルス応答を誘導することと、
インパルス応答の1種以上の特性に依存する出力信号を生成することとをさらに含むことを特徴とする請求項19または20記載の方法。
【請求項22】
非燃焼系エアロゾル発生システムに使用するための物品を含む部品のキットであって、前記燃焼系エアロゾル発生システムは、請求項1乃至14いずれか1項記載の装置または請求項15乃至18いずれか1項記載のエアロゾル発生デバイスを含むキット。
【請求項23】
前記物品は、エアロゾル発生材を含む取り外し可能な物品であることを特徴とする請求項22記載のキット。
【請求項24】
少なくとも
サセプタ装置を誘導加熱してエアロゾル発生材を加熱し、これにより加熱操作モードでエアロゾルを発生させるインダクタ素子を含むエアロゾル発生デバイスの共振回路の制御、
インダクタ素子に流れる電流の測定、および
前記測定された電流に基づいてエアロゾル発生デバイスおよび/またはサセプタ装置の1つ以上の特徴の特定
を装置に実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書はエアロゾル発生デバイス用の装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコ、シガーなどの喫煙品は使用時にタバコを燃やして煙を発生させる。これらの物品に代わるものとして燃焼させずに化合物を放出する製品を作成する試みがなされている。例えば、タバコ加熱デバイスは、タバコなどのエアロゾル発生基材を加熱し、基材を燃やさずに加熱することによってエアロゾルを形成する。
【発明の概要】
【0003】
第1の態様では本明細書はエアロゾル発生デバイス用の装置について記載し、この装置は、サセプタ装置を誘導加熱してエアロゾル発生材を加熱し、これにより加熱操作モードでエアロゾルを発生させるインダクタ素子を含む共振回路(LC共振回路などの)と、インダクタ素子に流れる電流を測定する電流センサと、前記測定された電流(少なくとも一部)に基づいてエアロゾル発生デバイス、装置およびサセプタ装置のうちの1つ以上の1つ以上の特性を特定するためのプロセッサとを含む。
【0004】
プロセッサによって特定される1つ以上の特徴は、前記サセプタ装置の有無、1つ以上の故障状態または電流が所定のサセプタ装置の電流と一致するかどうかを含んでもよい。
【0005】
サセプタ装置は、取り外し可能な物品として提供されてもよい。さらにプロセッサによって特定される1つ以上の特徴は、前記取り外し可能な物品の特性を含んでもよい。プロセッサによって特定される特性は前記取り外し可能な物品の有無を含んでもよい。
【0006】
前記1つ以上の特徴を特定することは、電流が第1の閾値温度を超えるおよび/または第2の閾値温度を下回る温度を有するサセプタ装置と一致するかどうかを特定することを含んでもよい。
【0007】
一部の実施態様は交流電流をDC電圧供給装置11から発生させ、インダクタ素子を流れるようにして加熱操作モードでサセプタ装置の誘導加熱を引き起こすことができる第1の切り替え部(Hブリッジ回路などの)を含む。
【0008】
一部の実施態様は、共振回路にインパルスを印加し、印加されたインパルスが前記共振回路のコンデンサとインダクタ素子の間に共振周波数を有するインパルス応答を誘導するインパルス生成回路と、前記インパルス応答の1種以上の特性に依存する出力信号を提供する出力回路とをさら含む。出力信号はインパルス応答の共振周波数を示してもよい。出力信号は、前記インダクタ素子の温度測定を提供するために使用されてもよい。
【0009】
第2の態様では本明細書は上述の第1の態様の特徴のいずれかを含む装置を含む非燃焼系エアロゾル発生デバイスについて記載している。
【0010】
エアロゾル発生デバイスは、エアロゾル発生材を含む取り外し可能な物品を収容するように構成されてもよい。さらにエアロゾル発生材は、エアロゾル発生基材と、エアロゾル形成材とを含んでもよい。前記取り外し可能な物品は前記サセプタ装置を含んでもよい。
【0011】
第3の態様では本明細書はサセプタ装置を誘導加熱してエアロゾル発生材を加熱し、これにより加熱操作モードでエアロゾルを発生させるインダクタ素子を含むエアロゾル発生デバイスの共振回路(LC共振回路などの)を制御することと、インダクタ素子に流れる電流を測定することと(例えば加熱操作モードで)、前記測定された電流に(少なくとも部分的に)基づいてエアロゾル発生デバイスおよび/またはサセプタ装置の1つ以上の特徴を特定することとを含む方法について記載している。
【0012】
プロセッサによって特定される1つ以上の特徴は、前記サセプタ装置の有無、前記取り外し可能な物品の特性、前記取り外し可能な物品の有無、1つ以上の故障状態、電流が所定のサセプタ装置の電流と一致するかどうか、電流が第1の閾値温度を超えるおよび/または第2の閾値温度を下回る温度を有するサセプタと一致するかどうか、または電流が本物のサセプタの電流と一致するかどうかの内の1つ以上を含んでもよい。
【0013】
本発明の方法は、共振回路にインパルスを印加し、印加されたインパルスが前記共振回路のコンデンサとインダクタ素子の間に共振周波数を有するインパルス応答を誘導することと、インパルス応答の1種以上の特性に依存する出力信号を生成することとをさらに含んでもよい。
【0014】
第4の態様では本明細書は、計算機で実行されると、計算機に、第3の態様を参照して説明したような任意の方法を実行させるコンピュータ可読命令について記載している。
【0015】
第5の態様では本明細書は、上記の第1の態様の構造のいずれかを含む装置または上記の第2の態様の構造のいずれかを含むエアロゾル発生デバイスを含む非燃焼系エアロゾル発生システムで使用する物品を含む部品のキットについて記載している。前記物品は、例えば、エアロゾル発生材料を含む取り外し可能な物品でもよい。
【0016】
第6の態様では本明細書は、少なくとも装置に、サセプタ装置を誘導加熱してエアロゾル発生材を加熱し、これにより加熱操作モードでエアロゾルを発生させるインダクタ素子を含むエアロゾル発生デバイスの共振回路を制御することと、インダクタ素子に流れる電流を測定することと、前記測定された電流に(少なくとも部分的に)基づいてエアロゾル発生デバイスおよび/またはサセプタ装置の1つ以上の特徴を特定することとを実行させる命令を含むコンピュータプログラムについて記載している。
【0017】
例示的実施態様を以下の略図を参照して例示のみの目的として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
【
図2】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
【
図3】例示的な実施態様による非燃焼系エアロゾル発生デバイスを示している。
【
図4】例示的な実施態様による非燃焼系エアロゾル発生デバイスの図である。
【
図5】例示的な実施態様による非燃焼系エアロゾル発生デバイスと使用するための物品の図である。
【
図6】例示的な実施態様による回路のブロック図である。
【
図7】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図8】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図9】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図10】例示的な実施態様の例示的な使用を示すプロットを示している。
【
図11】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図12】例示的な実施態様による回路のブロック図である。
【
図13】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図14】例示的な実施態様の例示的な使用を示すプロットである。
【
図15】例示的な実施態様の例示的な使用を示すプロットである。
【
図16】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図17】
図16のアルゴリズムの例示的な使用を示すプロットである。
【
図18】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
【
図19】例示的な実施態様によるシステムのブロック図である。
【
図20】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図21】例示的な実施態様による回路切り替え部のブロック図である。
【
図22】例示的な実施態様による回路切り替え部のブロック図である。
【
図23】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【
図24】例示的な実施態様によるアルゴリズムを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書中では「送出システム」なる用語はユーザーに物質を送出するシステムを包含することを意図し、
紙巻きタバコ、シガリロ、シガーおよびパイプまたは手巻きまたは自作紙巻きタバコ用タバコ(タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ代替え品または他の喫煙材をベースにしているかに関係無く)などの燃焼性エアロゾル供給システム、
電子タバコ、タバコ加熱製品、エアロゾル化可能な材料の組み合わせを使用してエアロゾルを発生させるハイブリッドシステムなどのエアロゾル化可能な材料を燃焼させずにエアロゾル化可能な材料から化合物を放出する非燃焼系エアロゾル供給システム、
エアロゾル化可能な材料を含み、これらの非燃焼性エアロゾル供給システムのうちの1つに使用するように構成された物品、および
トローチ、ガム、パッチ、パッチ吸入可能な粉を含む物品などのエアロゾルを含まない供給システムおよびエアロゾルを形成せずにユーザーにニコチンを含むまたは含まない材料を供給するスヌースおよび嗅ぎタバコなどの無煙タバコ製品を含む。
【0020】
本開示では「可燃性」エアロゾル供給システムは、ユーザーへの送出を容易にするために、エアロゾル供給システム(またはその構成要素)の構成エアロゾル化可能な材料を燃焼するシステムである。
【0021】
本開示では「非燃焼系」エアロゾル供給システムは、ユーザーへの送出を容易にするために、エアロゾル供給システム(またはその構成要素)の構成エアロゾル化可能な材料を燃焼するまたは燃焼しないシステムである。
【0022】
本明細書で説明する実施態様において、送出システムは、非燃焼系エアロゾル供給システム、例えば電動非燃焼系エアロゾル供給システムである。
【0023】
一実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、蒸気を吸う装置または電子ニコチン送出システム(END)としても知られる電子タバコであるが、エアロゾル化可能な材料中のニコチンの存在は要件ではない。
【0024】
一実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、加熱式タバコシステムとしても知られているタバコ加熱システムである。
【0025】
一実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、エアロゾル化可能な材料の組み合わせを使用してエアロゾルを生成するハイブリッドシステムであり、その1種以上の材料を加熱することができる。エアロゾル化可能な材料のそれぞれは、例えば、固体、液体、またはゲルの形体であり、ニコチンを含んでも含まなくてもよい。一実施態様ではハイブリッドシステムは、液体またはゲルのエアロゾル化可能な材料および固体のエアロゾル化可能な材料を含む。固体のエアロゾル化可能な材料は、例えば、タバコまたは非タバコ製品を含んでもよい。
【0026】
通常は、非燃焼系エアロゾル供給システムは、非燃焼系エアロゾル発生デバイスと、非燃焼系エアロゾル供給システムと使用するための物品とを含んでもよい。しかしながら、それ自体がエアロゾル発生部材に動力を供給する手段を含む物品は、それ自体非燃焼系エアロゾル供給システムを形成することも想定される。
【0027】
1つの実施態様では非燃焼系エアロゾル発生デバイスは、電源と、コントローラとを含んでもよい。動力源は電力源または発熱動力源であってもよい。1つの実施態様では発熱動力源は、これに隣接するエアロゾル化可能な材料または伝熱材に熱の形体で動力を配分するようにエネルギーが加えられてもよいカーボン基材を含む。1つの実施態様では発熱動力源などの動力源は非燃焼系エアロゾル供給を形成するために物品に供される。
【0028】
1つの実施態様では非燃焼系エアロゾル発生デバイスと使用するための物品は、エアロゾル化可能な材料、エアロゾル発生成分、エアロゾル発生領域、マウスピースおよび/またはエアロゾル化可能な材料を収容するための領域を含んでもよい。
【0029】
1つの実施態様ではエアロゾル発生部材はエアロゾル化可能な材料と相互作用してエアロゾル化可能な材料から1つ以上の揮発性物質を放出してエアロゾルを形成することができるヒーターである。1つの実施態様ではエアロゾルはエアロゾル化可能な材料から加熱せずにエアロゾルを発生させることができる。例えば、エアロゾル発生部材は、エアロゾル化可能な材料からそれに熱を加えずに例えば振動、機械、加圧または静電手段によってエアロゾルを発生させることができる。
【0030】
1つの実施態様ではエアロゾル化可能な材料は、活性材、エアロゾル形成材および任意の1つ以上の機能材を含んでもよい。活性材は、ニコチン(任意にタバコまたはタバコ派生物に含まれる)と、1つ以上の他の無臭の生理的に活性な材料とを含んでもよい。無臭の生理的に活性な材料は、臭覚以外の生理的な反応を達成するためにエアロゾル化可能な材料に含まれる材料である。
【0031】
エアロゾル形成材は、グリセリン、グリセリロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリトリトール、メソ-エリトリトール、バニリン酸エチル、エチルラウレート、ジエチル基材、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、ベンジルベンゾエート、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸およびプロピレンカーボネートのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0032】
1つ以上の機能材は、風味料、キャリアー、pHレギュレーター、安定剤および/または酸化防止剤のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0033】
一つの実施態様では非燃焼系エアロゾル発生デバイスと使用するための物品は、エアロゾル化可能な材料またはエアロゾル化可能な材料を収容するための領域を含んでもよい。1つの実施態様では非燃焼系エアロゾル供給デバイスと使用するための物品は、マウスピースを含んでもよい。エアロゾル化可能な材料を収容するための領域は、エアロゾル化可能な材料を貯蔵するための貯蔵領域であってもよい。1つの実施態様ではエアロゾル化可能な材料を収容するための領域は、エアロゾル発生領域から離れてもよい、あるいは組み合わされてもよい。
【0034】
本明細書ではエアロゾル発生材とも称するエアロゾル化可能な材料は、例えば加熱、照射または他の何らかの方法で活性化されると、エアロゾルを発生させることができる材料である。エアロゾル化可能な材料は、例えばニコチンおよび/または風味剤を含むまたは含まない固体、液体またはゲルの形体であってもよい。一部の実施態様ではエアロゾル化可能な材料は「非晶質固体」を含んでもよく、これはこれとは別に「モノリシック固体」(即ち、非繊維性)とも言われる。一部の実施態様では非晶質固体は乾燥ゲルであってもよい。非晶質固体は、その内部に液体などの流体を保持する固体材料である。
【0035】
エアロゾル化可能な材料は、基材上に存在してもよい。基材は、例えば紙、ボール紙、板紙、厚紙、再生されたエアロゾル化可能な材料、プラスチック材、セラミック材、複合材料、ガラス、金属または金属合金であってもあるいは含んでもよい。
【0036】
図1は、例示的な実施態様による、概ね参照番号1で示すシステムのブロック図である。システム1は、電流センサ5、共振回路6、サセプタ装置3、およびプロセッサ4を含む。
【0037】
共振回路6は、サセプタ装置3を誘導的に加熱するコンデンサと1つ以上のインダクタ素子を備え、エアロゾル発生材料を加熱してもよい。エアロゾル発生材料を加熱すると、それによりエアロゾルが発生する。
【0038】
電流センサ5は、共振回路6の1つ以上のインダクタ素子を流れる電流を測定してもよい。共振回路6および電流センサ5は、誘導加熱装置2内で結合されていてもよく、誘導加熱装置2は、プロセッサ4に結合させてもよい。プロセッサ4は、電流センサからの測定された電流に関する情報を受け取ってもよい。
【0039】
図2は、例示的な実施態様による、概ね参照番号10で示すシステムのブロック図である。システム10は、直流(DC)電圧供給部11の形体の電源、切り替え部13、共振回路14、電流センサ15、サセプタ部16、およびプロセッサ18を含む。切り替え部13、共振回路14、電流センサ15は、誘導加熱装置内で結合させてもよい。
【0040】
共振回路14(共振回路6に類似する)は、サセプタ装置16を誘導加熱してエアロゾル発生材を加熱するコンデンサおよび1つ以上のインダクタ素子を含んでもよい。
【0041】
切り替え部13は、DC電圧供給部11から交流電流を生成することができる。交流電流は、共振回路14の1つ以上のインダクタ素子を流れ、サセプタ装置16の加熱を引き起こす。切り替え部13は、複数のトランジスタを含んでもよい。例示的DC-AC変換器には、例えば、Hブリッジまたはインバータ回路が含まれ、これらの例については後に説明する。なお、疑似AC信号が生成されるDC電圧供給11の提供は、本質的な特徴ではない。例えば、制御可能なAC電源またはAC-ACコンバータが提供されてもよい。したがって、(主電源やインバータなどから)AC入力を提供することができる。
【0042】
切り替え部13と共振回路14の例示的構成を
図6を参照して以下により詳しく考察する。
【0043】
図3および4は、例示的な実施態様による、概ね参照番号20で示す非燃焼系エアロゾル発生装置を示す。
図3は、外カバーを備えたエアロゾル発生デバイス20Aの斜視図である。エアロゾル発生デバイス20Aは、交換可能な物品21を備え、これは物品21内に含まれる(または他の場所に設けられる)。サセプタの加熱を可能にするためにエアロゾル発生デバイス20Aに挿入し得る。エアロゾル発生デバイス20Aは、エアロゾル発生デバイス20Aのスイッチを入れたり切ったりするために使用される起動スイッチ22をさらに備えてもよい。エアロゾル発生デバイス20の別の部材を
図4に示す。
【0044】
図4は、外カバーが取り外されたエアロゾル発生デバイス20Bを示す。エアロゾル発生デバイス20Bは、物品21、起動スイッチ22、複数のインダクタ素子23a、23b、および23c、ならびに1つ以上の空気管延長部24および25を含む。1つ以上の空気管延長部24および25は必須ではない。
【0045】
複数のインダクタ素子23a、23bおよび23cは、それぞれ、共振回路14などの共振回路の一部を形成してもよい。インダクタ素子23aは、螺線インダクタコイルを含んでもよい。一例では螺線インダクタコイルは、螺線状に巻かれて螺線インダクタコイルを提供するリッツ線/ケーブルでできている。プリント回路基板内に形成されたインダクタなど、多くの代替インダクタの形成が可能である。インダクタ素子23bおよび23cは、インダクタ素子23aに類似していてもよい。3つのインダクタ素子23a、23bおよび23cの使用は、すべての例示的な実施態様に必須ではない。したがって、エアロゾル発生デバイス20は、1つ以上のインダクタ素子を含んでもよいことになる。
【0046】
物品21の一部としてサセプタを提供することができる。例示的な実施態様では物品21をエアロゾル発生デバイス20に挿入することで、エアロゾル発生デバイス20を起動させてもよい。これは、適切なセンサー(例えば、光センサー)を用いてエアロゾル発生デバイス内の物品21の存在を検出すること、あるいはサセプタが物品21の一部を形成する場合、例えば、共振回路14を用いてサセプタの存在を検出することによって行われてもよい。エアロゾル発生デバイス20を起動すると、インダクタ素子23は、サセプタにより物品21を誘導的に加熱させることができる。別の実施態様ではサセプタを、エアロゾル発生デバイス20の一部として(例えば、物品21を受け入れるための保持部の一部として)設けてもよい。
【0047】
図5は、例示的な実施態様による、非燃焼系エアロゾル発生装置と共に使用するための、概ね参照番号30で示す物品の図である。物品30は、
図3および
図4を参照して上記で説明した交換可能な物品21の例である。
【0048】
物品30は、マウスピース31およびマウスピース31に接続されたエアロゾル発生材33、この場合はタバコ材料の円筒形ロッドを含む。エアロゾル発生材料33を、例えば、本明細書に記載されるように、エアロゾル発生デバイス20などの非燃焼系エアロゾル発生デバイス内で加熱すると、エアロゾルを発生する。エアロゾル発生材料33は、ラッパー32で包まれている。ラッパー32は、例えば、紙または紙で裏打ちされた金属箔ラッパーでもよい。ラッパー32は、空気に対して実質的に不浸透性である。
【0049】
一実施態様ではラッパー32はアルミ箔を含む。アルミ箔は、エアロゾル発生材料33内のエアロゾルの形成を促進するのに特に効果的であることが分かっている。一例ではアルミホイルは、約6μmの厚さを有する金属層を有する。アルミ箔には裏紙が付いている場合がある。しかしながら、別の配置ではアルミ箔は他の厚さ、例えば4μm~16μmの厚さであってもよい。アルミ箔にも紙の裏打ちが必須ではないが、たとえばホイルに適切な引張強度を提供するために、他の材料の裏打ち材を形成してもしなくてもよい。アルミニウム以外の金属層や箔も使用できる。さらにそのような金属層が物品21の一部として提供されることは必須ではない。例えば、そのような金属層は、デバイス20の一部として提供されてもよい。
【0050】
本明細書でエアロゾル発生基材33とも呼ばれるエアロゾル発生材33は、少なくとも1種のエアロゾル形成材料を含む。この例ではエアロゾル形成材料はグリセリンである。別の例ではエアロゾル形成材料は、本明細書に記載されるような別の材料またはそれらの組み合わせであってもよい。エアロゾル形成材料は、香味化合物などの化合物のエアロゾル発生材から消費者への移動を助けることで、物品の感覚性能を改善することが分かっている。
【0051】
図5に示すように、物品30のマウスピース31は、エアロゾル発生基材33に隣接する上流端31aと、エアロゾル発生基板33から遠位の下流端31bとを含む。エアロゾル発生基材はタバコを含むが、代用品も可能である。
【0052】
マウスピース31は、中空の管状部材34の上流に、この例では中空の管状部材34に隣接し、当接関係にある材料36の本体を含む。材料36の本体および中空の管状部材34はそれぞれ、実質的に円筒形の全体的な外形を規定し、共通の長手方向軸を共有する。材料36の本体は、第1のプラグラッパー37で包まれている。第1のプラグラッパー37は、約20gsm~40gsmなど、50gsm未満の坪量をもっていてもよい。
【0053】
この例では中空の管状部材34は第1の中空の管状部材34であり、マウスピースは、第1の中空の管状部材34の上流に、冷却部材とも呼ばれる第2の中空の管状部材38を含む。この例では第2の中空の管状部材38は、材料36の本体の上流と当接している。材料の本体36および第2の中空の管状部材38はそれぞれ、実質的に円筒形の全体的な外形を規定し、共通の長手方向軸を共有する。第2の中空の管状部材38は、平行に巻かれた複数の紙の層から形成され、継ぎ目が突き合わされて、管状部材38を形成する。この例では第1および第2の紙層が2プライ管で提供されるが、他の例では3層、4層またはそれ以上の紙層で、3プライ、4プライまたはそれ以上のプライ管を形成することができる。紙のらせん状に巻かれた層、ボール紙の管、張り子管のプロセスを使用して形成された管、成形または押し出しプラスチック管などの他の構造を使用することができる。第2の中空の管状部材38はまた、本明細書に記載の第2のプラグラッパー39および/またはチッピング紙35として堅いプラグラッパーおよび/またはチッピング紙を使用して形成することができ、これは、別個の管状部材が必要ないことを意味する。
【0054】
第2の中空の管状部材38は、冷却部として機能するマウスピース31の周囲に配置され、マウスピース31内の空隙を画定する。空隙は、エアロゾル発生材料33によって生成された加熱揮発成分が流れることができるチェンバーを提供する。第2の中空の管状部材38は、エアロゾル蓄積室を提供するために中空であるが、剛性が十分にあり、製造中および物品21の使用中に発生する可能性のある軸方向圧縮力および曲げモーメントに耐えることができる。第2の中空の管状部材38は、エアロゾル発生材33と材料本体36の間に物理的変位を提供する。第2の中空の管状部材38によって提供される物理的変位は、第2の中空の管状部材38の長さ全体にわたって温度勾配を提供する。
【0055】
もちろん、物品30は、単なる例として提供されている。当業者は、本明細書に記載のシステムで使用することができるそのような物品の多くの代替配置を知っている。
【0056】
図6は、例示的な実施態様による、概ね参照番号40で示す回路のブロック図である。回路40は、正の端子47および負の(接地)端子48(これらは、上記のシステム10のDC電圧供給11の実装例である)を含む。回路40は、切り替え部44(上記の切り替え部13を実施する)を含み、ここで、切り替え部44は、ブリッジ回路(例えば、FET Hブリッジ回路などのHブリッジ回路)を含む。切り替え部44は、第1の回路分岐44aおよび第2の回路分岐44bを含み、第1の回路分岐44aおよび第2の回路分岐44bは、共振回路49(上記の共振回路14を実装する)によって結合される。第1の回路分岐44aは、スイッチ45aおよび45bを含み、第2の回路分岐44bは、スイッチ45cおよび45dを含む。スイッチ45a、45b、45cおよび45dは、電界効果トランジスタ(FET)などのトランジスタであり、システム10の制御回路18などの制御装置からの入力を受け取ることができる。共振回路49は、共振回路49がLC共振回路であるように、コンデンサ46およびインダクタ素子43を含む。回路40は、インダクタ素子43を流れる電流を測定するための電流センサ50(上述の電流センサ15を実装する)をさらに含む。回路40はさらにサセプタ等価回路42を示す(それにより、サセプタ部16を実施している)。サセプタ等価回路42は、例示的なサセプタ部16の電気的効果を示す抵抗器とインダクタ素子含む。サセプタが存在する場合、サセプタ部42およびサセプタ素子43は、変圧器41として機能することができる。変圧器41は、回路40が電力を受け取るとサセプタが加熱されるように、変動磁場を生成することができる。サセプタ装置16が誘導装置によって加熱される加熱操作中、切り替え部44は、第1および第2の分岐部のそれぞれが交互に接続されて交流電流が共振回路14を流れるように(例えば、制御回路18で)駆動される。共振回路14は部分的にサセプタ部16に基づく共振周波数を有し、制御回路18は、共振周波数または共振周波数に近い周波数で切り替わるように切り替え部44を制御するように構成される。スイッチ回路を共振またはその近くで駆動すると、効率が向上し、スイッチ素子で失われるエネルギー(これにより、スイッチ素子が不必要に加熱される)が減少する。アルミ箔を含む物品21が加熱される例では切り替え部44は約2.5MHzの周波数で駆動される。しかしなが
ら、他の実装形体では周波数は、例えば、500kHz~4MHzの間のいずれかにある。
【0057】
サセプタは、交流磁場などの変動磁場を貫通することによって加熱可能な材料である。加熱材料は導電性材料でよいので、変動磁場によるその貫通は、加熱材料の誘導加熱を引き起こす。加熱材料は磁性材料でよいので、変動磁場によるその貫通は、加熱材料の磁気ヒステリシス加熱を引き起こす。加熱材料は、導電性および磁性のどちらでもよいので、加熱材料は、両方の加熱機構で加熱可能である。
【0058】
誘導加熱は、導電性物体に変動磁場を侵入させることによってその物体を加熱するプロセスである。このプロセスは、ファラデーの電磁誘導の法則及びオームの法則によって説明される。誘導ヒーターは、電磁石と、この電磁石に交流電流などの変動電流を流すための装置を備えることができる。加熱しようとする物体と電磁石が、電磁石によって生じた変動磁場がこの物体に侵入するような適切な相対位置に配置されると、この物体内に1つ以上の渦電流が発生する。この物体は電流の流れに対する抵抗を有する。したがって、この物体内にこのような渦電流が発生すると、渦電流が物体の電気抵抗に抗して流れ、それによってこの物体が加熱される。このプロセスは、ジュール加熱、オーム加熱、又は抵抗加熱と呼ばれる。誘導加熱することができる物体は、サセプタとして知られている。
【0059】
一実施態様ではサセプタは、閉回路の形体である。実施態様によっては、サセプタが閉回路の形体の場合、使用中のサセプタと電磁石の間の磁気結合が強化され、その結果、ジュール加熱がより大きく即ち改善されることが見出された。
【0060】
磁気ヒステリシス加熱は、磁性材料からなる物体に変動磁場が侵入することによって物体を加熱するプロセスである。磁性材料は、原子スケールの磁石すなわち磁気双極子を多く含んでいると考えることができる。磁場がこのような材料に侵入すると、磁気双極子は磁場に沿って整列する。したがって、交流磁場、例えば、電磁石によって生じたものなどの変動磁場が磁性材料に侵入すると、磁気双極子の向きは、印加された変動磁場に応じて変化する。このような磁気双極子の再配向によって、磁性材料内に熱が発生する。
【0061】
物体が導電性及び磁性の両方を有するときは、その物体に変動磁場を侵入させると、物体にジュール加熱及び磁気ヒステリシス加熱の両方を生じさせることができる。さらに、磁性材料を使用すると、変動磁場を強めることができ、それによりジュール加熱を強めることができる。
【0062】
上記のプロセスのそれぞれにおいて、熱は、外部熱源によって熱伝導により発生するのではなく、物体自体の内部で発生するので、物体内の急速な温度上昇と、より均一な熱分布を達成することができる。これは、特に、物体の材料及び幾何形状を適切に選び、その物体に対して変動磁場の大きさ及び向きを適切に選ぶことによって達成することができる。さらに、誘導加熱及び磁気ヒステリシス加熱では、変動磁場の源と物体との間に物理的な接続部を設ける必要がないので、設計自由度及び加熱プロファイルの制御性を高めるとともに、コストを抑えることができる。
【0063】
図7~9は、例示的な実施態様による、概ね参照番号60、70および80で示すアルゴリズムのフローチャートである。
図7~9は、操作をよく理解するための前の図(特に
図2)と併せて見てもよい。
【0064】
図7のアルゴリズム60に関し、操作61ではエアロゾル発生デバイスの共振回路が制御され、その際共振回路は1つ以上のインダクタ素子を含んでもよい。その1つ以上のインダクタ素子は、サセプタ装置を誘導加熱してエアロゾル発生材を加熱するために使用してもよい。エアロゾル発生材の加熱は、これによってエアロゾル発生デバイスの加熱操作モードでエアロゾルを発生させてもよい。例えば、システム10の共振回路14は、プロセッサ18で制御してもよい。操作62でインダクタ素子を流れる電流が電流センサで測定される。例えば、共振回路14の1つ以上のインダクタ素子を流れる電流は、電流センサ15で測定してもよい。操作63でエアロゾル発生デバイスおよび/またはエアロゾル発生デバイス用の装置の1つ以上の特徴をその測定された電流の少なくとも一部に基づいて特定されてもよい。
【0065】
図8のアルゴリズム70に関し、
図7のアルゴリズム60の操作61および62に類似する操作61および62が実行される。アルゴリズム70の操作71ではサセプタ装置16などのサセプタ装置の有無が測定された電流に基づいてプロセッサ18などのプロセッサによって特定される。サセプタ装置が存在しない場合(例えば、取り外し可能な物品が存在しない場合)、共振回路は非常に低い抵抗を読み取り、結果として高電流が流れる。したがって、高電流の検出は、サセプタ装置が無いことを表している。そのような装置の例示的実行を
図9を参照してさらに説明する。
【0066】
図9のアルゴリズム80に関し、
図7のアルゴリズム60の操作61と62に類似する操作61と62が実行される。アルゴリズム80の操作81では測定された電流が閾値レベルを超えるまたは下回るかが特定される。操作82ではサセプタ装置16などのサセプタ装置の有無が測定された電流が閾値レベルを超えるまたは下回るかに基づいてプロセッサ18などのプロセッサによって特定される。例えば、測定された電流が閾値レベルを超える場合、サセプタ装置は存在しないと特定される。測定された電流が閾値レベルを下回る場合、サセプタ装置がエアロゾル発生デバイス内に存在すると特定される。
【0067】
操作63で特定されたエアロゾル発生デバイスおよび/またはエアロゾル発生デバイス用の装置の1つ以上の特徴は、多くの形態であってもよい。さらに上記で考察したように前記特徴は、サセプタまたは取り外し可能な物品の有無を含んでもよい。これとは別にまたは加えて、前記特徴は以下に考察するオプションのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0068】
操作63で特定された1つ以上の特徴は1つ以上の故障状態を含んでもよい。1つ以上の故障状態はエアロゾル発生デバイスの誤った操作に関するものであってもよい。例えば、測定された電流レベルは、エアロゾル発生デバイスの1つ以上の部品が期待通りの通常の動作をしていない、または全く機能していないことを示してもよい。その他の故障状態は、取り外し可能な物品が正しくエアロゾル発生デバイスに挿入されているかどうか(正しい方法で挿入されているかおよび/または完全に挿入されているかなど)、取り外し可能な物品が良い状態にあるかなどを含む。一般に測定された電流は、なんら故障状態などが無い状況で得られるまたは特定される値である期待された電流値と比較される。期待される電流値は、デバイスの他のパラメータまたは作動状態に依存する(例えばデバイスが加熱回路に供給される多くの温度または電力のうちの1つを達成しようとするかどうか)。測定された電流値は、単独の期待される電流値および測定された値が期待された電流値より高いまたは低いかどうかの特定に対して比較され、他の例では測定された電流値は、期待された電流値の範囲および測定された電流値が期待された電流値の範囲内にあるかどうかの特定に対して比較される。
【0069】
操作63で特定される1つ以上の特徴は、測定された電流が所定のサセプタ装置(本物の挿入された物品など)の電流と一致するかどうかを含む。例えば、予め定義されたサセプタ装置は、本物かつ従来の製造者によって製造された本物の物品の一部である本物のサセプタを含む。例えば、エアロゾル発生デバイスは、挿入された物品と互換性があり、エアロゾル発生デバイスの操作は、互換性のある本物の物品が挿入された際に最適になってもよい。本物の物品が使用された際エアロゾル発生デバイスのインダクタ素子に流れる電流は、閾値電流レベルとして知られている。操作63で電流が閾値電流レベルと一致した場合、挿入されたサセプタは、予め定義されたサセプタ装置に類似し、挿入されたサセプタに対応する物品は、互換性のある本物の物品であると特定される。電流が閾値電流レベルと一致しない場合、挿入されたサセプタは、予め定義されたサセプタ装置に類似せず、挿入されたサセプタに対応する物品は、互換性のある本物の物品ではないと特定される。上記のように測定された電流値は、単独の期待される電流値および測定された値が期待された電流値より高いまたは低いかどうかの特定に対して比較され、他の例では測定された電流値は、期待された電流値の範囲および測定された電流値が期待された電流値の範囲内にあるかどうかの特定に対して比較される。
【0070】
操作63で特定される1つ以上の特徴は、測定された電流が第1の閾値温度を超えるおよび/または第2の閾値温度を下回る温度を有するサセプタ装置と一致するかどうかを含んでもよい。例えば、エアロゾル発生デバイスは、下に詳しく考察するようなサセプタの温度を測定するための温度感知装置を含んでもよく、あるいはインパルス応答をベースにした温度測定を含んでもよい。1つの例ではサセプタの温度は、第1の閾値温度を超えるおよび/または第2の閾値温度を下回るのが好ましい。サセプタが比較的高温の場合、エアロゾル発生デバイスで温度センサがその高温を検出する。しかしながら、サセプタがエアロゾル発生デバイスから取り除かれた場合(高温時に)、温度センサはサセプタが取り除かれたことを検出しない。これはいかにして温度が検知されるかの詳細に依存する多くの要因によるものである。一部の実行例では温度センサによって検出された温度は、エアロゾル発生デバイスが冷めるまで高くなる。他の実行例では温度センサまたはインパルス応答をベースにした温度測定などの温度センサアルゴリズムは、高温のサセプタとサセプタが無いことを区別できないかもしれない。上で考察したように電流測定は、サセプタの有無を特定するために使用してもよい。したがって、電流測定は、測定された電流が第1の閾値温度を超えるおよび/または第2の閾値温度を下回る温度を有するサセプタ装置と一致するかどうかを特定することによって温度センサが正確にサセプタの温度を示しているかどうか、またはサセプタが取り除かれているかどうかを確認するために使用してもよい。このことはエアロゾル発生デバイスが好ましくはスイッチが切られるまたはエアロゾル発生デバイスの加熱モードがサセプタが無いときにスイッチが切られるので安全機構として有益である。即ち、例えば電流センサは、熱いサセプタとサセプタが無い状態の区別をするために使用してもよい(この状態は、一部の状況において類似のインパルス応答を与え、これらの状況は下で詳しく考察するように温度検出アルゴリズムだけを使用するだけで区別するのは困難である)。
【0071】
図10は、例示的な実施態様の例示的な使用を概ね参照番号100で示す示すプロットを示している。プロット100は、時間(マイクロ秒)に対してプロットされた電流センサ出力を示している。プロット100は、サセプタが無い第1のプロット101、サセプ
タが比較的熱い第2のプロットおよびサセプタが比較的冷たい第3のプロットを含む。
【0072】
これらのプロットは、この例ではサセプタが無い状態では、電流センサ出力が大きく、振動がより長く続くことを明確に示している。この例ではサセプタが熱いそして冷たい場合、電流センサ出力は類似する。したがって、電流センサ出力は、サセプタについての情報を提供するために使用することができる。
【0073】
図11は、例示的な実施態様によるアルゴリズムを示す、概ね参照番号240で示すフローチャートである。
【0074】
アルゴリズム240は、1つ以上のインパルスが誘導加熱回路(上述のシステム10の共振回路14のような)に印加される操作241で始まる。操作242では1つ以上のインパルス応答が特定される(下でさらに考察するように)。操作243ではインダクタ素子に流れる電流が測定される(例えば電流センサ15を使用して)。操作244では関連するシステムの1つ以上の性能が前記測定された電流に基づいて特定される。
【0075】
図12は、例示的な実施態様による、概ね参照番号300で示すシステムのブロック図である。このシステム300は、上記のシステム10の共振回路14およびサセプタ16を含む。このシステム300は、インパルス生成回路302およびインパルス応答プロセッサ304をさらに含む。インパルス生成回路302およびインパルス応答プロセッサ304を、システム10の制御回路18の一部として実装してもよく、上述のアルゴリズム240の操作241および242を実行してもよい。
【0076】
インパルス生成回路302は、正と負の電圧源を切り替えてインパルスを生成するので、第1の切り替え部(Hブリッジ回路など)を用いて実装される。例えば、
図6を参照して上記で説明した切り替え部44を使用してもよい。以下にさらに説明するように、インパルス生成回路302は、切り替え部44のFETの切り替え状態を、スイッチ45bおよび45dが両方とも(切り替え部が接地されるように)入っておりかつスイッチ45aおよび45bは切られているある状態から第1および第2の回路分岐44aおよび44bのうちの1つのスイッチの切り替え状態が逆になるように変化させてインパルスを生成することができる。あるいは、インパルス生成回路302は、パルス幅変調(PWM)回路を用いて提供される。他のインパルス生成の配置も可能である。
【0077】
インパルス応答プロセッサ304は、インパルス応答に基づいて、共振回路14およびサセプタ16の1つ以上の性能測定基準(または特性)を特定することができる。そのような性能測定基準には、物品(取り外し可能な物品21など)の特性、そのような物品の有無、物品の種類、操作温度などが含まれる。
【0078】
図13は、例示的な実施態様による、概ね参照番号310で示すアルゴリズムを示すフローチャートである。アルゴリズム310は、システム300の使用例を示す。
【0079】
アルゴリズム310は、(インパルス生成回路302で生成された)インパルスが共振回路14に印加される操作312で始まる。
図14は、概ね参照番号320で示すプロットであり、操作312で印加される例示的なインパルスを示す。
【0080】
インパルスを共振回路14に印加してもよい。あるいは、複数のインダクタ素子を有するシステム(
図3および4を参照して上で説明した非燃焼系エアロゾル装置20など)ではインパルス生成回路302は複数の共振回路のうちの1つを選択することができ、各共振回路はサセプタを誘導加熱するインダクタ素子とコンデンサを含み、ここで、印加されたインパルスは、コンデンサと選択された共振回路のインダクタ素子の間にインパルス応答を誘導する。
【0081】
操作314で、操作312で印加されたインパルスに応答して生成されるインパルス応答に基づいて(インパルス応答プロセッサ304によって)出力を生成する。
図15は、概ね参照番号325で示すプロットであり、インパルス320に応答してインパルス応答プロセッサ304で受信される例示的なインパルス応答を示す。
図15に示すように、インパルス応答は、リンギング共振の形をとるかもしれない。インパルス応答は、共振回路14のインダクタとコンデンサの間で跳ね返る電荷の結果である。1つの構成では結果として、サセプタの加熱は引き起こされない。即ち、サセプタの温度は実質的に一定である(例えば、インパルスを印加する前の温度の±1℃または±0.1℃以内)。
【0082】
インパルス応答の特性の少なくとも一部(インパルス応答の周波数や減衰率など)は、インパルスが印加されるシステムに関する情報を提供する。したがって、以下でさらに説明するように、システム300を使用して、インパルスが印加されるシステムの1種以上の特性を特定することができる。例えば、故障状態、挿入された物品21の特性、そのような物品21の有無、物品21が本物であるかどうか、操作温度などの1種以上の性能特性を、インパルス応答から導かれる出力信号に基づいて特定することができる。システム300は、システム10の特定された1種以上の特性を使用して、例えば、サセプタ装置16の加熱を行うために、システム10を使用してさらなる操作を実行する(または必要に応じてさらなる操作を防止する)ことができる。例えば、特定された操作温度に基づいて、システム300は、サセプタ装置のさらなる加熱を引き起こすために誘導装置に供給される電力水準、または電力を供給するべきかどうかを選択することができる。障害状態や物品21が本物であるかどうかの特定など、一部の性能特性ではシステムの測定された特性(インパルス応答を使用して測定)を、特性の期待値または値の範囲と比較し、その比較に基づいてシステム300によって取られる操作を実行できる。
【0083】
図16は、例示的な実施態様による、概ね参照番号330で示されるアルゴリズムを示すフローチャートである。アルゴリズム330の操作332で、インパルスはインパルス生成回路302によって共振回路14に印加される。したがって、操作332は上記の操作312と同じである。
【0084】
アルゴリズム330の操作334において、加えられたインパルスに応答して誘導されるインパルス応答の周期は、インパルス応答プロセッサ304によって特定される。最後に、操作336において、(インパルス応答の特定された周期に基づく)出力が生成される。
【0085】
図17は、アルゴリズム330の使用例を示す、概ね参照番号340で示されるプロットである。プロット340は、インパルス生成回路302によって共振回路14に印加されるインパルス342を示す。インパルス342を印加すると、アルゴリズム330の操作332が実行される。インパルス応答344は印加されたインパルスに応答して誘導される。インパルス342は、測定の間、その最終状態(プロット340では高い)に保持されるが、これは必須ではない。例えば、高-低インパルスを印加する(かつ低く保持する)ことができる。
【0086】
インパルス応答プロセッサ304は、インパルス応答334の端部を示す信号346を生成する。以下でさらに説明するように、信号346は、比較器によって生成され、端部の発生と信号の生成の間に遅延があるかもしれない。一貫している場合、その遅延は処理にとって重要ではない場合がある。
【0087】
アルゴリズム330の操作334で、インパルス応答の周期が特定される。例示的な期間は、
図17の矢印348で示す。
【0088】
アルゴリズム330の操作336で、出力は、特定された周期348に基づいて生成される。したがって、出力信号は、インパルスの第1の端部および前記インパルス応答の完全な1サイクル後の第2の端部からの時間間隔に基づく。したがって、出力信号は、インパルス応答の電圧振動の時間間隔に依存し、その結果、出力信号は、インパルス応答の共振周波数を示す。
【0089】
一部の実施態様では期間348は温度に依存する。したがって、操作336で生成された出力は、温度推定値であってもよい。
【0090】
図18は、例示的な実施態様による、概ね参照番号350で示されるシステムのブロック図である。システム350は、上記のアルゴリズム330の操作336を実行するために使用される。
【0091】
システム350は、端部検出回路352、電流源353、およびサンプルアンドホールド回路354を含む。
【0092】
端部検出回路352は、上記のインパルス応答信号344などの信号の端部を特定するために使用することができる。したがって、端部検出回路352は、上記の信号346を生成することができる。端部検出回路352は、例えば、一台の比較器または何らかの同種の回路を用いて実装することができる。
【0093】
端部検出回路352は、電流源353にイネーブル(有効)信号を提供する。有効にされると、電流源253を用いて、出力(コンデンサ両端の電圧出力など)を生成することができる。電流源は、リセット入力として機能する放電入力を持っている。電流源出力は、端部検出回路352の出力が電流源を有効にしたので、持続時間を示すのに使用することができる。したがって、電流源出力は、持続時間(例えば、パルス持続時間)の表示として使用することができる。
【0094】
サンプルアンドホールド回路354を用いて、特定の時間における電流源353の出力に基づいて出力信号を生成することができる。サンプルアンドホールド回路は、基準入力を持つことができる。サンプルアンドホールド回路は、コンデンサ電圧をデジタル出力に変換するアナログ-デジタル変換器(ADC)として使用することができる。他のシステムでは電圧計などの他の適切な電子部品を使用して電圧を測定することができる。
【0095】
システム350は、充電時間測定部(CTMU)、例えば、統合CTMUを用いて実装される。
【0096】
図19は、例示的な実施態様による、概ね参照番号360で示すシステムのブロック図である。システム360は、例示的な実施態様で使用することができるCTMUの特徴を示す。
【0097】
システム360は、基準電圧発生器151、比較器152、端部検出モジュール153、電流源制御部154、定電流源155、データ出力157をデータバスに提供するアナログ-デジタル変換器156、および外部コンデンサ158を含む。以下にさらに説明するように、電圧発生器151、比較器152、および端部検出モジュール153を用いて、上記の端部検出回路352を実装することができ、電流源コントローラ154および定電流源155を用いて、電流源353を実装することができ、さらにアナログ-デジタル変換器156を用いて、上記のサンプルアンドホールド回路354を実装することができる。
【0098】
上記の操作314および334で生成されたインパルス応答は、比較器152の入力に送られ、インパルス応答は、基準電圧発生器151の出力と比較される。比較器は、インパルス応答が基準電圧よりも大きい場合に論理高(High)信号を出力し、インパルス応答が基準電圧よりも小さい場合に論理低(Low)信号を出力(またはその逆)してもよい。比較器152の出力は、端部検出回路153の入力(IN2)に供給される。端部
検出回路153の他の入力(IN1)は、ファームウェア制御入力である。端部検出回路153(これは単に選択可能なRSフリップフロップでよい)は、比較器152の出力での端部の識別に依存するイネーブル信号を生成する。端部検出回路153は、検出されるべき端部の性質(例えば、上昇または下降端部、第1の端部など)を示すことができるようにプログラム可能である。
【0099】
イネーブル信号は、電流源制御部154への入力として提供される。有効にされると、電流源制御部154は、外部コンデンサ158を充電するのに使用される電流を(定電流源155から)印加する。電流源制御部への放電入力を用いて、外部コンデンサ158を放電することができる(さらにコンデンサに蓄積された電荷を基底値に効果的にリセットする)。
【0100】
アナログ-デジタル変換器156は、外部コンデンサ158の両端電圧の特定に使用され、この電圧は、データ出力157の提供に使用される。このようにして、システム150は、識別された端部で初期化されかつ第2の端部が識別されると終了する電圧ランプを提供する。
【0101】
本明細書で説明したシステムの多くの他の使用例がある。例として
図20は、例示的な実施態様による、概ね参照番号370で示すアルゴリズムを示すフローチャートである。アルゴリズム370は、インパルスが生成されて共振回路14に印加される操作371で始まる。操作372で、加えられたインパルスに応答して誘導されたインパルス応答の減衰率が特定される。減衰率は、例えば、インパルスが印加される回路に関する情報を特定するために使用できる。例えば、Q値測定の形での減衰率を用いて、操作温度を推定することができる。操作372は、
図13の操作214の一例である。つまり、減衰率は、インパルス応答に基づく出力の例である。
【0102】
図21は、例示的な実施態様による、概ね参照番号380で示す回路切り替え部のブロック図である。切り替え部380は、概ね参照番号382で示す第1の状態および概ね参照番号383で示す第2の状態における回路40のスイッチ位置を示す。
【0103】
第1の状態382では回路40のスイッチ45aおよび45cは切れて(即ち、開いて)おり、第2の状態383ではスイッチ45bおよび45dは繋がって(即ち、閉じて)いる。したがって、第1の状態382では共振回路49の両側が接地に接続されている。第2の状態383では電圧パルスが共振回路に印加される。
【0104】
図22は、例示的な実施態様による、概ね参照番号390で示す回路切り替え部のブロック図である。切り替え部390は、概ね参照番号392で示す第1の状態および一般に参照番号393で示す第2の状態における回路40のスイッチ位置を示す。
【0105】
第1の状態392ではスイッチ45bは繋がって(即ち、閉じて)おり、スイッチ45a、45c、および45dは切れて(即ち、開いて)いる。したがって、共振回路49の片側は接地されている。第2の状態393では電圧パルス(即ち、インパルス)が共振回路に印加される。
【0106】
切り替え部380の第2の状態382では電流は第1のスイッチ45a、共振回路49
、およびスイッチ45dを流れることができる。この電流が流れると、電源(バッテリーなど)の発熱と放電が発生する可能性がある。逆に、切り替え部390の第2の状態393では電流はスイッチ45dを流れないので、発熱および電源放電を低減することができる。さらに各インパルスの生成時にノイズの発生を低減することができる。
【0107】
図23は、例示的な実施態様によるアルゴリズムを示す、概ね参照番号400で示されるフローチャートである。アルゴリズム400は、本明細書で説明されるシステムの使用例を示す。
【0108】
アルゴリズム400は、測定操作401から始まる。測定操作401は、例えば、温度測定を含む。次に、操作402で、加熱操作が実行される。加熱操作402の実施は、測定操作401の出力に依存するかもしれない。加熱操作402が完了すると、アルゴリズム400は、操作401に戻り、そこで測定操作が繰り返される。
【0109】
操作401は、インパルスがインパルス生成回路62によって印加され、測定(例えば、温度測定)がインパルス応答プロセッサ64の出力に基づいて特定されるシステム3000で実施される。上記のように、温度測定は、例えば、減衰率、インパルス応答時間、インパルス応答期間などに基づいてもよい。
【0110】
操作402は、システム10のサセプタ16を加熱するために回路40を制御することで実行することができる。誘導加熱装置12は共振回路の共振周波数またはその近くで駆動して効率的な加熱を引き起こしてもよい。共振周波数は、演算401の出力に基づいて特定してもよい。
【0111】
アルゴリズム400の1つの実装形体では測定操作が第1の期間に実行され、加熱操作402が第2の期間に実行され、その後、プロセスが繰り返される。例えば、第1の期間は10ミリ秒で、第2の期間は250ミリ秒であるが、他の時間間隔も可能である。換言すれば、測定操作は、連続する加熱操作の間に実行される。ただし、第2の期間に行われる加熱操作402は、第2の期間の全期間にわたって電力が誘導コイルに供給されることを必ずしも意味しない。例えば、電力は第2の期間のほんの一部しか供給されない場合がある。
【0112】
これに代わる実施態様ではアルゴリズム400は、必要な加熱水準に依存する持続時間を有する加熱操作402で実施される(より多くの加熱が必要な場合は加熱持続時間が増加し、より少ない加熱が必要な場合は加熱持続時間が減少する)。そのようなアルゴリズムでは測定操作401は、加熱が行われていないときに単純に実行され、その結果、測定操作401を実行するために加熱操作402を中断する必要はない。この交互的加熱部は、加熱制御へのパルス幅変調手法と呼ばれる場合がある。例えば、パルス幅変調方式は、100Hzの位の周波数で提供され、各周期は、(可変長の)加熱部分と測定部分とに分割される。
【0113】
図24は、例示的な実施態様によるアルゴリズムを示す、概ね参照番号410で示すフローチャートである。アルゴリズム410は、上記のシステム300を用いて実装することができる。
【0114】
アルゴリズム410は操作411で始まり、スイッチ回路13(例えば、回路40)がインパルスを共振回路14に印加する。操作413で、インパルス応答(例えば、インパルス応答プロセッサ64で検出される)を用いて、加熱されるシステム内に物品(物品21など)が存在するかどうかを特定する。上で考察したように、物品21の存在は、検出可能な方法でインパルス応答に影響を与える。
【0115】
操作413で物品が検出された場合、アルゴリズム410は操作415に移動する。それ以外の場合、アルゴリズムは操作419で終わる。
【0116】
操作415で、測定および加熱操作が実施される。例えば、操作415は、上記のアルゴリズム400を用いて実施することができる。もちろん、それに代わる測定および加熱の配置を提供することができる。
【0117】
何回かの加熱測定および加熱サイクルが実行されると、アルゴリズム400は操作417に移り、そこで(例えば、加熱期間が満了した場合、またはユーザー入力に応答して)加熱を停止すべきかどうかが特定される。その場合、アルゴリズムは操作419で終わりし、そうでなければ、アルゴリズム400は操作411に戻る。
【0118】
当然のことだが、誘導性部またはサセプタ部の1種以上の特性を特定する上記の技術は、個々のインダクタ素子に応用できる。複数のインダクタ素子を含むシステム、たとえば3つのインダクタ素子23a、23b、および23cを含むシステム20の場合、インダクタ素子のそれぞれに対して上記の手法を用いて1種以上のパラメータ、たとえば温度を特定できるようにシステムを構成できる。一部の実装ではシステムが各インダクタ素子に対して個別の測定値を用いて操作することが有益な場合がある。他の実装ではシステムが複数のインダクタの単一の測定値のみを用いて操作することが有益である場合(例えば、物品21が存在するかどうかを特定する場合)がある。このような状況ではシステムは、各インダクタ素子から得られた測定値に対応する平均測定値を特定するように構成される。他の例では複数のインダクタ素子のうちの1つだけを用いて、1種以上の特性を特定することができる。
【0119】
本明細書に記載の種々の実施態様は、特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。これらの実施態様は単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生デバイス用の装置であって、前記装置は、
サセプタ装置を誘導加熱してエアロゾル発生材を加熱し、これにより加熱操作モードでエアロゾルを発生させるインダクタ素子を含む共振回路と、
前記インダクタ素子に流れる電流を測定する電流センサと、
前記測定された電流に基づいてエアロゾル発生デバイス、装置およびサセプタ装置のうちの少なくとも1つについての1つ以上の特徴を特定するためのプロセッサと、を含み、
前記プロセッサによって特定される前記1つ以上の特徴は、前記測定された電流が予め定義されたサセプタ装置の電流と一致するかどうかを特定することを含む、装置。
【請求項2】
前記サセプタ装置は取り外し可能な物品の一部として提供されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記プロセッサによって特定される前記1つ以上の特徴は、前記取り外し可能な物品の特性を含むことを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記プロセッサによって特定される前記取り外し可能な物品の特性は、前記取り外し可能な物品の有無を含むことを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記プロセッサによって特定される前記1つ以上の特徴は、1つ以上の故障状態を含むことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記1つ以上の特徴を特定することは、前記測定された電流が第1の閾値温度を超えるおよび/または第2の閾値温度を下回る温度を有するサセプタ装置と一致するかどうかを特定することを含むことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の装置。
【請求項7】
交流電流をDC電圧供給装置から発生させ、前記インダクタ素子を流れるようにして加熱操作モードで前記サセプタ装置の誘導加熱を引き起こすことができる第1の切り替え部をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記第1の切り替え部は、Hブリッジ回路を含むことを特徴とする請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記共振回路はLC共振回路であることを特徴とする請求項1乃至8いずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記共振回路にインパルスを印加し、印加されたインパルスが前記共振回路のコンデンサとインダクタ素子の間に共振周波数を有するインパルス応答を誘導するインパルス生成回路と、
前記インパルス応答の1種以上の特性に依存する出力信号を提供する出力回路と、をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至9いずれか1項記載の装置。
【請求項11】
前記出力信号はインパルス応答の共振周波数を示すことを特徴とする請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記出力信号は、前記インダクタ素子の温度測定を提供するために使用されることを特徴とする請求項10または11記載の装置。
【請求項13】
請求項1乃至12いずれか1項記載の装置を含む非燃焼系エアロゾル発生デバイス。
【請求項14】
前記エアロゾル発生デバイスは、エアロゾル発生材を含む取り外し可能な物品を収容するように構成されていることを特徴とする請求項13記載の非燃焼系エアロゾル発生デバイス。
【請求項15】
前記エアロゾル発生材は、エアロゾル発生基材と、エアロゾル形成材とを含むことを特徴とする請求項14記載の非燃焼系エアロゾル発生デバイス。
【請求項16】
前記取り外し可能な物品は前記サセプタ装置を含むことを特徴とする請求項14または15記載の非燃焼系エアロゾル発生デバイス。
【請求項17】
サセプタ装置を誘導加熱してエアロゾル発生材を加熱し、これにより加熱操作モードでエアロゾルを発生させるインダクタ素子を含むエアロゾル発生デバイスの共振回路を制御することと、
前記インダクタ素子に流れる電流を測定することと、
前記測定された電流に基づいてエアロゾル発生デバイスおよび/またはサセプタ装置の1つ以上の特徴を特定することと、を含み、
前記プロセッサによって特定される前記1つ以上の特徴は、前記測定された電流が予め定義されたサセプタ装置の電流と一致するかどうかを特定することを含む、方法。
【請求項18】
前記特定される1つ以上の特徴は、
取り外し可能な物品の特性、
前記取り外し可能な物品の有無、
1つ以上の故障状態、
前記測定された電流が第1の閾値温度を超えるおよび/または第2の閾値温度を下回る温度を有するサセプタ装置と一致するかどうか、または
前記測定された電流が本物のサセプタ装置の電流と一致するかどうかの内の1つ以上を、更に含むことを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項19】
共振回路にインパルスを印加し、印加されたインパルスが前記共振回路のコンデンサとインダクタ素子の間に共振周波数を有するインパルス応答を誘導することと、
前記インパルス応答の1種以上の特性に依存する出力信号を生成することと、をさらに含むことを特徴とする請求項17または18記載の方法。
【請求項20】
非燃焼系エアロゾル発生システムに使用するための物品を含む部品のキットであって、前記非燃焼系エアロゾル発生システムは、請求項1乃至12いずれか1項記載の装置または請求項13乃至16いずれか1項記載のエアロゾル発生デバイスを含むキット。
【請求項21】
前記物品は、エアロゾル発生材を含む取り外し可能な物品であることを特徴とする請求項20記載のキット。
【請求項22】
装置が次のことを実行するための命令を含むコンピュータプログラムであって、前記次のことは、少なくとも
サセプタ装置を誘導加熱してエアロゾル発生材を加熱し、これにより加熱操作モードでエアロゾルを発生させるインダクタ素子を含むエアロゾル発生デバイスの共振回路を制御すること、
前記インダクタ素子に流れる電流を測定すること、および
前記測定された電流に基づいてエアロゾル発生デバイスおよび/またはサセプタ装置の1つ以上の特徴を特定すること、を含み、
前記プロセッサによって特定される前記1つ以上の特徴は前記測定された電流が予め定義されたサセプタ装置の電流と一致するかどうかを特定することを含むコンピュータプログラム。
【外国語明細書】