IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社KOHDENの特許一覧 ▶ LIGHTING BESON株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-カメラ及びカメラシステム 図1
  • 特開-カメラ及びカメラシステム 図2
  • 特開-カメラ及びカメラシステム 図3
  • 特開-カメラ及びカメラシステム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029035
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】カメラ及びカメラシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20240227BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240227BHJP
【FI】
H04N7/18 D
H04N23/60 300
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023214287
(22)【出願日】2023-12-19
(62)【分割の表示】P 2020111731の分割
【原出願日】2020-06-29
(31)【優先権主張番号】P 2019121606
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】512231598
【氏名又は名称】株式会社KOHDEN
(71)【出願人】
【識別番号】513049712
【氏名又は名称】LIGHTING BESON株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100199761
【弁理士】
【氏名又は名称】福屋 好泰
(72)【発明者】
【氏名】仙波 諭
(57)【要約】      (修正有)
【課題】設置に手間を要さず、また、設置場所に制限が生じないカメラおよびカメラシステムを提供する。
【解決手段】一の監視カメラ7aと他の監視カメラ7bをを備える監視カメラシステム1であって、他の監視カメラ7bは、カメラモジュール9bと、カメラモジュール9bによって生成された画像を一の監視カメラ7aに無線送信する無線LAN通信部43bを備え、一の監視カメラ7aは、カメラモジュール9aと、カメラモジュール9aによって生成された画像を送信するWAN通信部41と、他の監視カメラ7bから画像を受信する無線LAN通信部43aと、を備え、WAN通信部41は、通信会社Mcにより付与された通信情報を記憶するSIMカード39を有し、SIMカード39から読み出した通信情報に基づいて携帯電話通信網Mに接続し、携帯電話用通信網Mを介して画像および受信した画像の送信を行う。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話用通信網に対して無線通信を行う親機カメラと、
前記親機カメラを介して前記携帯電話用通信網に対して通信する複数の子機カメラと、
を備え、
前記子機カメラは、
カメラモジュールと、
前記カメラモジュールによって生成された画像を前記親機カメラに無線送信する無線LAN通信部を備え、
前記親機カメラは、
カメラモジュールと、
通信会社により付与された通信情報を記憶するSIMを有し、当該SIMから読み出した前記通信情報に基づいて前記携帯電話用通信網に接続するWAN通信部と、
前記子機カメラから画像を受信する無線LAN通信部と、
を備え、
前記WAN通信部は、当該親機カメラのカメラモジュールによって生成された画像および前記子機カメラから受信した画像を前記携帯電話用通信網に送信することを特徴とする、カメラシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ及びカメラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
防犯を目的として店舗や倉庫などを監視する監視システムが知られている。例えば、特許文献1には、複数の監視カメラと監視サーバが通信可能に接続された監視システムが記載されている。複数の監視カメラは撮影して生成した映像情報を監視サーバへと送信し、監視サーバは受信した映像情報を記憶装置に記憶させる。この監視サーバは、ディスプレイも備えており、記憶装置から映像情報を読み出しながら当該ディスプイレイに表示する。
【0003】
上記特許文献の監視システムでは、各監視カメラおよび監視サーバがSIMカードを有している。各々のSIMカードには、送信すべき映像情報を暗号化し、受信した映像情報を復号化するための鍵および暗号アルゴリズムが記憶されている。これにより当該監視システムは、送受信する映像情報のセキュリティを向上させている。また、新たな鍵や暗号アルゴリズムが記憶されたSIMカードを差し替えることで、セキュリティ方式を変更することができる。このように、特許文献の監視システムは、送受信される映像情報のセキュリティを向上させつつ、暗号化方式をSIMカードの交換といった簡便なメンテナンスにより実現させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-287858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の監視システムでは、ネットワークに接続された一のルータと他のルータを備えており、一のルータに対して複数の監視カメラが接続されており、他のルータに対して監視サーバが接続されている。したがって、各監視カメラから送信された映像情報は一のルータと他のルータを中継して監視サーバへと送られる。
【0006】
特許文献には一のルータと各監視カメラの通信方式が有線方式であるか無線方式であるかについて明記されていないが、有線方式の場合にはルータ-各監視カメラ間にLANケーブルを配線する手間や当該LANケーブルの配線態様によっては監視カメラの設置位置に制限が生じてしまうこととなる。一方、無線方式の場合には、一のルータを中心とする無線通信エリア内に各監視カメラを設置する必要があり、一のルータの設置場所によっては各監視カメラの設置場所に制限が生じる恐れがある。
【0007】
本発明は、設置に手間を要さず、また設置場所に制限が生じないカメラおよびカメラシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のカメラは、カメラモジュールと、前記カメラモジュールによって生成された画像を送信するWAN通信部と、を備え、前記WAN通信部は、通信会社により付与された通信情報を記憶するSIMを有し、当該SIMから読み出した前記通信情報に基づいて携帯電話用通信網に接続し、当該携帯電話用通信網を介して前記画像の送信を行うことを特徴とする。
【0009】
また、本発明のカメラは、前記WAN通信部を収容する筐体を備え、前記SIMは、カード型であって、前記筐体に開閉可能に設けられた開閉口を通じて当該筐体内に挿入されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のカメラは、前記カメラモジュールによって生成された画像を記憶するストレージを備えることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明のカメラは、前記携帯電話用通信網との接続障害または当該携帯電話用通信網自体の通信障害が生じた場合に、当該接続障害時または通信障害時に生成され、前記ストレージに記憶された画像を、接続障害または通信障害の回復後に送信することを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明のカメラは、前記ストレージがメモリカードであって、当該メモリカードは前記開閉口を通じて前記筐体内に挿入されることを特徴とする。
【0013】
さらにまた、本発明のカメラは、動作不良が検出された場合に、当該動作不良を通知する通知部を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明のカメラシステムは、一のカメラと他のカメラを備え、前記他のカメラは、カメラモジュールと、当該カメラモジュールによって生成された画像を前記一のカメラに無線送信する無線LAN通信部を備え、前記一のカメラは、カメラモジュールと、当該カメラモジュールによって生成された画像を送信するWAN通信部と、前記他のカメラから画像を受信する無線LAN通信部と、を備え、前記WAN通信部は、通信会社により付与された通信情報を記憶するSIMを有し、当該SIMから読み出した前記通信情報に基づいて携帯電話用通信網に接続し、当該携帯電話用通信網を介して前記画像および前記受信した画像の送信を行うことを特徴とする。
【0015】
また、本発明のカメラシステムは、前記一のカメラの前記WAN通信部および前記無線LAN通信部が、ルータモジュールによって実現されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のカメラおよびカメラシステムによれば、設置に手間を要さず、また設置場所にも制限が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る監視カメラシステムのシステム構成図
図2】上記監視カメラシステムが備える監視カメラの外観図
図3】上記監視カメラのハードウェア構成図
図4】上記監視カメラの機能ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0018】
監視カメラシステムを例にして、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1に示すように、店舗や倉庫などを監視するための監視カメラシステム1は、クライアント端末であるパーソナルコンピュータ3が、インターネットNを介して監視サーバ5と通信可能に設けられたクライアントサーバ型のシステムである。当該監視カメラシステム1のユーザは、当該パーソナルコンピュータ3を用いて、監視サーバ5にアクセスしログインすることにより監視サーバ5から監視箇所の映像をダウンロードし、当該映像を再生する。このようにして監視サーバ5から提供される映像は、監視カメラシステム1が有する監視カメラ7a,7bによって撮像された画像に基づいて生成されている。
【0020】
本実施形態では複数箇所を監視するために、当該箇所ごとに監視カメラ7a,7bを設置している。これら複数の監視カメラ7a,7bは、図2および図3に示すように、カメラモジュール9a,9bが実装されたカメラ基板、CPU11a,11bやメモリ31a,31bが実装されたメイン基板、無線LANルータモジュール13や無線LANモジュール15が実装されたネットワーク基板、及び電源回路が実装された電源基板を収容する筐体17と、当該筐体17を建物に取り付ける取付部品19と、を備えている。
【0021】
カメラモジュール9aは、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサに代表される撮像素子21と、当該撮像素子21に電気的に接続された画像処理プロセッサ23と、を含む。撮像素子21は、受光面に結像された光を、その強度に応じた電気信号に変換するデバイスであって、筐体17の正面に配された光学部品(レンズ25)を通過した光が受光面に結像されるよう設けられている。当該撮像素子21は所定のフレームレートで変換した電気信号を画像処理プロセッサ23へと出力する。画像処理プロセッサ23は、撮像素子21から入力された電気信号から所定フォーマットの画像を生成し、生成した画像をCPU11aに入力する。なお、カメラモジュール9bはカメラモジュール9aと同一の構成であり、カメラモジュール9bによって生成された画像はCPU11bへと入力される。
【0022】
監視カメラ7aのCPU11aは、第1ストレージ27aに記憶されたプログラムをメインメモリ29aへとロードして実行する。当該プログラムは、CPU11aに、カメラモジュール9aからの画像を取得する取得処理、取得した画像を一旦メインメモリ29aへと記憶させる記憶処理を実行させるプログラムである。したがって、当該プログラムを実行するCPU11aは、図4に示す機能ブロック図に示すように、監視箇所の画像を取得する取得部33a、取得した画像をメモリに記憶させる記憶処理部35aとして機能し、メインメモリ29aは画像を記憶する第1記憶部37aとして機能する。なお、監視カメラ7bのCPU11bは、監視カメラ7aのCPU11aと同様に構成されており、当該CPU11bは、取得部33b、記憶処理部35bとして機能する。また監視カメラ7bのメインメモリ29bは第1記憶部37bとして機能する。
【0023】
上記プログラムを実行するCPU11a,11bは、記憶処理を実行した後、取得した画像を監視サーバ5へと送信する送信処理を実行する。ここで、本実施形態では、図1に示すように、インターネットNに接続された一の監視カメラ7a(以下、親機カメラ7aという。)に対して他の監視カメラ7b(以下、子機カメラ7bという。)が無線により通信可能に接続されており、子機カメラ7bは親機カメラ7aを介してインターネットNに接続されている。すなわち、親機カメラ7aは、自身で生成した画像を監視サーバ5に送信するとともに、アクセスポイントとして機能し、各子機カメラ7bから受信した画像を監視サーバ5に送信している。
【0024】
具体的には、図3に示すように、親機カメラ7aは無線LANルータモジュール13を備えている。この無線LANルータモジュール13は、インターネットNを介した監視サーバ5との通信を行うために、スマートフォンに代表される携帯電話のデータ通信に用いられる携帯電話用通信網Mに無線接続する。ここで、当該携帯電話用通信網Mに接続するために、無線LANルータモジュール13にはSIMカード39が装着されている。SIMカード39は、携帯電話用通信網Mを提供している通信会社Mc(MNO、MVNO又はMVNE等)との間で利用契約を行った際に付与された通信情報であるプロファイル(契約者の識別番号やAPN設定情報等)を記憶するカード型の記憶媒体である。このような無線LANルータモジュール13は、起動した後に最寄りの無線基地局Mcからの電波を受信して通信を開始する。通信を開始する際には、SIMカード39からプロファイルを読み出して、無線基地局Mcに接続する。当該プロファイルが無線基地局Mcを介して通信会社Mcにおいて認証処理されると、親機カメラ7aはインターネットNに接続され、監視サーバ5との通信が開始可能となる。このように親機カメラ7aの無線LANルータモジュール13は、図4に示すようにインターネットNを介して監視サーバ5と通信を行うWAN通信部41として機能している。
【0025】
更に親機カメラ7aの無線LANルータモジュール13は、親機カメラ7aの設置位置を中心とする所定領域に無線LANを形成する。当該無線LANの通信領域内に設置された複数の子機カメラ7bは、図3に示すように無線LANモジュール15を備えている。当該無線LANモジュール15は、CPU11bと通信可能に電気的に接続され、親機カメラ7aの無線LANルータモジュール13と無線通信可能に接続されている。このように親機カメラ7aの無線LANルータモジュール13および子機カメラ7bの無線LANモジュール15は、図4に示すように、無線LAN通信部43a,43bとして機能している。
【0026】
また、親機カメラ7aには、図3に示すように、LANモジュール57が無線LANルータモジュール13とCPU11aの間に介在している。当該LANモジュール57は、無線LANルータモジュール13およびCPU11aと通信可能に電気的に接続しており、CPU11aによってメインメモリ29aから抽出された画像を受信し、当該画像を無線LANルータモジュール13を介して監視サーバ5へと送信する。このようにLANモジュール57は、図4に示すように、有線LAN通信部59として機能している。
【0027】
ここで、親機カメラ7aの無線LANルータモジュール13にはグローバルIPアドレスが付与されており、当該グローバルIPアドレスを用いて監視サーバ5との通信が確立される。また、親機カメラ7aおよび各子機カメラ7bには監視サーバ5との通信を行うためのプライベートIPアドレスおよびポートが予め設定されており、無線LANルータモジュール13はポートフォワーディング機能を用いて監視サーバ5と親機カメラ7aおよび子機カメラ7bとの通信を行う。
【0028】
監視サーバ5は、不図示のCPUおよびメモリを有しており、監視サーバ5のCPUは、親機カメラ7aおよび子機カメラ7bにおいて撮像された画像を受信し、パーソナルコンピュータ3からのリクエストに応じて受信した画像をパーソナルコンピュータ3に送信する。
【0029】
上記説明したように、本実施形態の親機カメラ7aは、SIMカード39が装着された無線LANルータモジュール13(WAN通信部41)を備えており、当該無線LANルータモジュール13によって無線基地局Mcと通信可能となっている。したがって、無線基地局Mcの通信エリア内であれば何処にでも親機カメラ7aを設置することができる。また、当該親機カメラ7aの無線LAN通信エリア内に子機カメラ7bが設置されており、子機カメラ7bは無線LANモジュール15(無線LAN通信部43b)を用いて画像を親機カメラ7aへと送信する。したがって、親機カメラ7aの無線LAN通信エリア内であれば何処にでも子機カメラ7bを設置することができる。また、本実施形態の親機カメラ7aや子機カメラ7bは配線作業を要さないため、移設が容易である。
【0030】
以上、本発明に係る監視カメラシステムを実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記した形態に限らないことは勿論であり、例えば、以下のような形態で実施されても構わない。
【0031】
<変形例>
【0032】
(1)本実施形態の監視カメラ7a,7bの各々は、図3に示すように、CPU11a,11bと電気的に接続された第2ストレージ45a,45bを備えても構わない。当該第2ストレージ45a,45bは、メインメモリ29a,29bや第1ストレージ27a,27bよりも大容量の記憶領域を有しており、CPU11a,11bが、カメラモジュール9a,9bから画像を取得する度に当該画像を第2ストレージ45a,45bにも記憶させる。このように親機カメラ7aおよび子機カメラ7bのCPU11a,11bは、カメラモジュール9a,9bから取得した画像を第2ストレージ45a,45bに記憶させる記憶処理部35a,35bとして機能し、第2ストレージ45a,45bは画像を記憶する第2記憶部47a,47bとして機能しても構わない。また、第2ストレージ45a,45bには、カメラモジュール9a,9bから取得した画像に加えて、当該画像を取得した日時を対応づけて記憶しても構わない。
【0033】
上記のように第2ストレージ45a,45bに記憶された画像や取得日時は、監視サーバ5からのリクエストに応じて監視サーバ5に送信される。例えば、無線LANや携帯電話用通信網Mの電波が不安定になることにより携帯電話用通信網Mとの接続に障害が生じ、監視カメラ7a、7bから監視サーバ5への画像の送受信が正常に行えない場合には、監視サーバ5において画像の欠損が生じることとなる。このような画像の欠損が生じた場合には、接続障害の回復後に、監視サーバ5のCPU(不図示)は、対象となる監視カメラ7a,7bに対して欠損画像の送信をリクエストするとともに、欠損が生じた日時情報を送信する。当該リクエストを受信した監視カメラ7a,7bのCPU11a,11bは、受信した日時情報に対応する画像を第2ストレージ45a,45bから抽出して監視サーバ5へと送信する。これにより、監視サーバ5は欠損した画像を補完することができる。このような欠損画像の送信は携帯電話用通信網M自体の通信障害が生じた場合も同様に処理される。
【0034】
また、パーソナルコンピュータ3が監視サーバ5に対して画像の送信リクエストを送信し、監視サーバ5は当該送信リクエストに基づいて監視カメラ7a,7bに対して画像の送信リクエストを送信してもよい。当該態様においては、例えば第2ストレージ45a,45bには1週間程度の画像が記憶されており、監視カメラ7a,7bは監視サーバ5からのリクエストに基づいて当該1週間程度の画像を送信する。なお、第2ストレージ45a,45bに記憶された画像を監視サーバ5に送信する処理は夜間に実行されるのが好ましい。夜間に送信処理を実行することで、携帯電話用通信網Mの利用料金を軽減させることができる。
【0035】
(2)上記の第2ストレージ45a,45bはメモリカードであっても構わない。当該メモリカードはメイン基板に実装されたコネクタに挿入されることで、CPU11a,11bと電気的に接続される。ここで、監視カメラ7a,7bは屋外にも設置され得るため、当該メモリカードは監視カメラ7a,7bの筐体17内に収容されるのが好ましい。また、監視カメラ7a,7bの設置後に当該メモリカードを着脱できるよう、監視カメラ7a,7bの筐体17下面には蓋体53によって開閉可能な開閉口55を設け、当該蓋体53を開けた場合にコネクタが露出するようメイン基板が筐体17内に配置されるのが好ましい。なお、開閉口は筐体17の下面に限られず、筐体17の側面に形成されても構わない。
【0036】
(3)また、監視カメラ7a,7bのCPU11a,11bは、監視カメラ7a,7bに生じた動作不良を監視サーバ5に通知する通知部として機能し、監視サーバ5のCPUは、監視カメラ7a,7bから受信した通知をパーソナルコンピュータ3へと転送する転送部として機能しても構わない。監視カメラ7a,7bに生じる動作不良とは、代表的には、上記第2ストレージ45a,45bに対する書き込みエラー(記憶処理エラー)であって、CPU11a,11bが第2ストレージ45a,45bに書き込み処理を実行した場合において、第2ストレージ45a,45bの動作不良(故障等)により、書き込むべき画像群の一部または全部が書き込めない状態である。このような動作不良を検出したCPU11a,CPU11bは、当該動作不良の症状に対応するエラーコードを監視サーバ5に対して送信する。なお、この際、CPU11a,CPU11bは、監視カメラ7a,7bの各々に付与された個体番号に対応づけてエラーコードを送信しても構わない。また、動作不良は、カメラモジュール9の故障や、親機カメラ7aと親機カメラ7bの通信不良であっても構わない。
【0037】
監視サーバ5は、監視カメラ7a,7bから通知(エラーコード)を受信すると、受信した通知に対応する監視カメラ7a,7bを特定する。監視カメラ7a,7bの特定は、各監視カメラ7a,7bが有するLANモジュール57,無線LANモジュール15に付与されたMACアドレスやプライベートIPアドレス、上記の個体番号に対応づけられた監視カメラ7a,7bの固体情報(監視カメラの設置場所、設置時期、品番)を監視サーバのメモリから抽出する。そして、さらに、監視サーバ5のCPUは、特定した監視カメラ7a,7bの個体情報および通知(エラーコード)をパーソナルコンピュータ3に対して送信する。
【0038】
このようにして監視カメラ7a,7bの動作不良が監視サーバ5を介してパーソナルコンピュータ3に対して送信されることで、ユーザは監視カメラ7a,7bの動作不良を遠隔において把握するという死活監視が可能となる。よって、従来、監視カメラ7a,7bを巡回しながら、各々の動作状態を確認する手間を省略することができる。
【0039】
上記の変形例(3)では、動作不良を検出した場合に監視カメラ7a,7bが監視サーバ5に対して通知を行なっているが、監視サーバ5からのリクエストに応じて各監視カメラ7a,7bの動作状態(動作不良の有無)を通知するものであっても構わない。
【0040】
(4)上記メモリカードと同様にSIMカード39も監視カメラ7aの筐体17内に収容されるのが好ましい。また、監視カメラ7aの設置後に当該SIMカード39を着脱できるよう、監視カメラ7の下面に設けられた蓋体53を開けた場合にSIMカード39のコネクタが露出するよう通信基板が筐体17内に配置されるのが好ましい。
【0041】
(5)本実施形態の監視カメラ7a,7bは光源49(図2)を備えても構わない。当該光源49は、筐体17に設けられたレンズなどの光学部品の近傍に配置され、監視カメラ7a,7bの撮像方向に向かって光を照射する。このような光源49は監視カメラ7a,7bのCPU11a,11bによって制御可能に電気的に接続されている。CPU11a,11bは、カメラモジュール9a,9bに対して画像をリクエストする際に、当該光源49を発光させるよう制御する。これにより、暗がりにおいても鮮明な画像が生成される。
【0042】
(6)本実施形態の監視カメラ7は、監視対象の明るさを検出するセンサ51(以下、明るさセンサ51という。(図2))を備えても構わない。明るさセンサ51は、自然光を受光して当該自然光の光量を電気信号へと変換するフォトトランジスタなどの素子であって、上記した光源の光と干渉しない位置に取り付けられる。この明るさセンサ51の出力はアナログデジタル変換器によりデジタル信号へと変換されてCPU11a,11bへと入力される。CPU11a,11bは、当該デジタル信号に基づいて周囲の明るさを特定し、予め決定した閾値を下回るときには、周囲が暗いものと判断し、上記した光源49を制御する。これにより、夜間にのみ上記光源49を発光させるといった発光制御が可能となる。なお、明るさセンサ51は、周囲の明るさを検出する明るさ検出部として機能しているが、フォトトランジスタに限定されず、カメラモジュール9によって生成された画像の明暗に基づいて周囲の明るさを特定しても構わない。
【0043】
(7)上記の実施形態では、カメラモジュール9a,9bが、常時、撮像を行って画像を生成するものとして説明したが、当該カメラモジュール9a,9bは予め定められた撮影スケジュールに基づいて撮像を行なっても構わない。
【0044】
(8)上記の実施形態では親機カメラにSIMカード39を備えていたが、当該SIMカード39に限定されず、UIMカードやUSIMカードであっても構わない。また、SIMはカード型に限定されず、予めネットワーク基板に実装されたe-SIMであっても構わない。すなわち、通信会社Mcと契約した際に付与される通信情報を記憶する通信情報記憶部として機能するものであればよい。
【0045】
(9)上記の実施形態では、一の監視カメラ7aに対して複数の他の監視カメラ7bが並列的に接続されたインフラストラクチャーネットワークが構成されていたが、複数の他の監視カメラ7bの無線LANモジュールがメッシュwifiによって互いに無線通信可能に接続され、他の監視カメラ7b間で画像が伝達され、最終的に一の監視カメラ7aを通じて画像が送信される態様であっても構わない。
【0046】
(10)上記の実施形態では、監視カメラシステム1を例にして本発明を説明したが、本発明は監視カメラシステム1に限定されず、防犯カメラシステムやネットワークカメラシステムなどインターネットNを用いて遠隔地の映像を見ることのできるシステムに用いることができる。
【0047】
(11)上記の実施形態では、一の監視カメラ7aにLANモジュール57と無線LANルータモジュール13が別個に設けられているが、当該態様に限定されず、LANモジュールと無線LANルータモジュールが単一の通信モジュールとして設けられても構わない。
【0048】
(12)上記実施形態の監視システムはタイムサーバを備えても構わない。当該タイムサーバはインターネットNを介して各監視カメラ7a,7bと通信可能に接続されており、各監視カメラ7a,7bに対して時刻情報を送信する。各監視カメラ7a,7bのCPU11a,11bは、タイムサーバから時刻情報を受信する度に、当該時刻情報に対応づけて画像を第2ストレージ45a,45bに記憶させる。このようにタイムサーバを備え、当該タイムサーバから受信した時刻情報に対応づけて画像を記憶することで、時間に対応した正確な映像情報を提供することが可能となる。
【0049】
(13)上記実施形態や変形例では、監視サーバ5を介して、各監視カメラ7a,7bによって生成された画像がパーソナルコンピュータ3に送信されていたが、このような送信態様に限定されず、各監視カメラ7a,7bとパーソナルコンピュータ3がpeer-to-peer接続されることにより、監視サーバ5を介さずに、監視カメラ7a,7bからパーソナルコンピュータ3へと画像が送信されても構わない。
【0050】
(14)監視カメラ7a,7bは、更に、カメラモジュール9a,9bによって生成された画像を記憶する第3ストレージを備えても構わない。このような態様において、監視カメラ7a,7bのCPU11a,11bは、カメラモジュール9a,9bから取得した画像を第2ストレージ45a,45bおよび第3ストレージに記憶させる。当該態様においては、第2ストレージ45a,45bおよび第3ストレージには同一の画像が記憶されるので、一方のストレージが故障した場合であっても他方のストレージによって画像が記憶されることとなる。なお、第2ストレージ45a,45bおよび第3ストレージとしては、SDカードに代表される着脱可能な記憶媒体が好ましい。
【0051】
本願発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【符号の説明】
【0052】
1 … 監視カメラシステム
7 … カメラ
7a … 一のカメラ
7b … 他のカメラ
9 … カメラモジュール
39 … SIMカード
41 … WAN通信部
43 … 無線LAN通信部
M … 携帯電話用通信網
Mc … 通信会社

図1
図2
図3
図4