(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002905
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】生活傾向評価システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20231228BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023056510
(22)【出願日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】P 2022101384
(32)【優先日】2022-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】小田原 健雄
(72)【発明者】
【氏名】西田 竜太
(72)【発明者】
【氏名】村上 伸太郎
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC12
(57)【要約】
【課題】対象者の生活傾向を好適に評価することができる生活傾向評価システムを提供する。
【解決手段】対象者P1が使用する住宅1に設けられた複数の家電の利用状況を検出可能な電力センサ110と、複数の家電が複数の家電群の何れかに属するか記憶するサーバ120と、各家電群に属する家電の前回の中長期評価対象期間、及び、今回の中長期評価対象期間における利用傾向を取得し、取得した利用傾向に基づいて複数の家電群の各期間における順位を設定するサーバ120と、前回の中長期評価対象期間及び今回の中長期評価対象期間における複数の家電群の順位に基づいて、対象者P1の今回の中長期評価対象期間(第二の期間)における生活傾向の評価を行うサーバ120と、を具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者が使用する建物に設けられた複数の設備の利用状況を検出可能な検出部と、
前記複数の設備が複数のカテゴリの何れかに属するか記憶する記憶部と、
各カテゴリに属する前記設備の第一の期間、及び、前記第一の期間後の第二の期間における利用傾向を取得し、取得した前記利用傾向に基づいて前記複数のカテゴリの各期間における順位を設定する順位設定部と、
前記第一の期間及び前記第二の期間における前記複数のカテゴリの順位に基づいて、前記対象者の前記第二の期間における生活傾向の評価を行う生活傾向評価部と、
を具備する、
生活傾向評価システム。
【請求項2】
前記生活傾向評価部は、前記複数のカテゴリのうち前記第一の期間において前記利用傾向が最も高い一のカテゴリが、前記第二の期間において順位が低下した場合、低下度合いに応じて前記評価の内容を段階的に異ならせる、
請求項1に記載の生活傾向評価システム。
【請求項3】
前記生活傾向評価部は、前記一のカテゴリの前記第一の期間から前記第二の期間への順位の変化度を、前記一のカテゴリ以外の他のカテゴリの前記第一の期間から前記第二の期間への順位の変化度に優先して前記評価に反映させる、
請求項2に記載の生活傾向評価システム。
【請求項4】
前記生活傾向評価部は、前記第二の期間内において、当該第二の期間よりも短い第三の期間が経過するごとに、各カテゴリに属する前記設備の当該第三の期間における前記利用傾向を取得し、前記第一の期間における前記複数のカテゴリの順位、及び、取得した当該第三の期間における前記利用傾向に基づいて、前記対象者の当該第三の期間における生活傾向の評価を行う、
請求項1に記載の生活傾向評価システム。
【請求項5】
前記生活傾向評価部は、前記複数のカテゴリのうち前記第一の期間において前記利用傾向が最も高い一のカテゴリの、前記第三の期間における前記利用傾向を、前記一のカテゴリ以外の他のカテゴリの前記第三の期間における前記利用傾向に優先して前記評価に反映させる、
請求項4に記載の生活傾向評価システム。
【請求項6】
前記生活傾向評価部は、前記評価の結果を所定の報知部に報知させる、
請求項1に記載の生活傾向評価システム。
【請求項7】
前記複数のカテゴリは、衣服に関わるカテゴリ、食事に関わるカテゴリ、及び、暮らしに関わるカテゴリの、少なくとも何れかを含む、
請求項1または請求項4に記載の生活傾向評価システム。
【請求項8】
前記検出部は、
前記設備の利用状況として、家電の利用に基づく利用回数を検出可能であり、
前記家電の消費電力量が所定の第一閾値よりも大きい場合に、前回家電の利用回数を加算する、
請求項1から請求項7までの何れか一項に記載の生活傾向評価システム。
【請求項9】
前記検出部は、
前記家電の消費電力量が前記所定の第一閾値よりも大きい場合であっても、所定の補正条件を満たした場合は、前回家電の利用回数を加算しない、
請求項8に記載の生活傾向評価システム。
【請求項10】
前記所定の補正条件は、
前回の前記家電の消費電力量が前記所定の第一閾値よりも大きい場合が終了してから所定の待機期間内に、前記家電の消費電力量が前記所定の第一閾値よりも大きくなった場合を含む、
請求項9に記載の生活傾向評価システム。
【請求項11】
前記所定の補正条件は、
前記家電の消費電力量が前記所定の第一閾値よりも大きい場合であっても、当該家電の消費電力の最大値が所定の第二閾値以下である場合を含む、
請求項9又は請求項10に記載の生活傾向評価システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象者の生活傾向を評価する生活傾向評価システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象者の生活傾向を評価する生活傾向評価システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、建物の利用者の行動に伴って変化する特徴量を示す特徴量データとして、例えばキッチンでの行動等のエネルギー消費量を示すデータを取得し、取得したデータに基づいてスコアを算出し、算出したスコアの大小等に基づいて利用者の状態(生活傾向)を総合的に評価するシステムが記載されている。
【0004】
このようなシステムにおいて、例えば普段ガスコンロで調理を行っている対象者が数日間電子レンジで調理を行った場合、ガスコンロに関わるエネルギー消費量が極端に小さくなる一方、電子レンジに関わるエネルギー使用量が極端に大きくなると想定される。このような場合、食事の回数自体に変化がないにもかかわらず、普段とは異なるスコアが算出される可能性があるため、対象者の生活傾向を誤って評価するおそれがある。そこで、対象者の実情に沿って生活傾向を好適に評価可能なシステムが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、対象者の生活傾向を好適に評価することができる生活傾向評価システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、対象者が使用する建物に設けられた複数の設備の利用状況を検出可能な検出部と、前記複数の設備が複数のカテゴリの何れかに属するか記憶する記憶部と、各カテゴリに属する前記設備の第一の期間、及び、前記第一の期間後の第二の期間における利用傾向を取得し、取得した前記利用傾向に基づいて前記複数のカテゴリの各期間における順位を設定する順位設定部と、前記第一の期間及び前記第二の期間における前記複数のカテゴリの順位に基づいて、前記対象者の前記第二の期間における生活傾向の評価を行う生活傾向評価部と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記生活傾向評価部は、前記複数のカテゴリのうち前記第一の期間において前記利用傾向が最も高い一のカテゴリが、前記第二の期間において順位が低下した場合、低下度合いに応じて前記評価の内容を段階的に異ならせるものである。
【0010】
請求項3においては、前記生活傾向評価部は、前記一のカテゴリの前記第一の期間から前記第二の期間への順位の変化度を、前記一のカテゴリ以外の他のカテゴリの前記第一の期間から前記第二の期間への順位の変化度に優先して前記評価に反映させるものである。
【0011】
請求項4においては、前記生活傾向評価部は、前記第二の期間内において、当該第二の期間よりも短い第三の期間が経過するごとに、各カテゴリに属する前記設備の当該第三の期間における前記利用傾向を取得し、前記第一の期間における前記複数のカテゴリの順位、及び、取得した当該第三の期間における前記利用傾向に基づいて、前記対象者の当該第三の期間における生活傾向の評価を行うものである。
【0012】
請求項5においては、前記生活傾向評価部は、前記複数のカテゴリのうち前記第一の期間において前記利用傾向が最も高い一のカテゴリの、前記第三の期間における前記利用傾向を、前記一のカテゴリ以外の他のカテゴリの前記第三の期間における前記利用傾向に優先して前記評価に反映させるものである。
【0013】
請求項6においては、前記生活傾向評価部は、前記評価の結果を所定の報知部に報知させるものである。
【0014】
請求項7においては、前記複数のカテゴリは、衣服に関わるカテゴリ、食事に関わるカテゴリ、及び、暮らしに関わるカテゴリの、少なくとも何れかを含むものである。
【0015】
請求項8においては、前記検出部は、前記設備の利用状況として、家電の利用に基づく利用回数を検出可能であり、前記家電の消費電力量が所定の第一閾値よりも大きい場合に、前回家電の利用回数を加算するものである。
【0016】
請求項9においては、前記検出部は、前記家電の消費電力量が前記所定の第一閾値よりも大きい場合であっても、所定の補正条件を満たした場合は、前回家電の利用回数を加算しないものである。
【0017】
請求項10においては、前記所定の補正条件は、前回の前記家電の消費電力量が前記所定の第一閾値よりも大きい場合が終了してから所定の待機期間内に、前記家電の消費電力量が前記所定の第一閾値よりも大きくなった場合を含むものである。
【0018】
請求項11においては、前記所定の補正条件は、前記家電の消費電力量が前記所定の第一閾値よりも大きい場合であっても、当該家電の消費電力の最大値が所定の第二閾値以下である場合を含むものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0020】
本発明においては、対象者の生活傾向を好適に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る生活傾向評価システムの構成を示した模式図。
【
図3】生活傾向評価メイン処理の内容を示したフローチャート。
【
図4】利用傾向評価の処理の内容を示したフローチャート。
【
図5】(a)評価更新後の中長期評価対象期間の生活傾向の評価が規定されたテーブル。(b)評価更新後の中長期評価対象期間の生活傾向の評価に応じた対応実施について示した図。
【
図6】(a)評価更新後の中長期評価対象期間の生活傾向の評価及びその評価に対する対応実施の第一例を示す図。(b)同じく、第二例を示す図。(c)同じく、第三例を示す図。
【
図7】(a)前日の生活傾向の評価が規定されたテーブル。(b)前日の生活傾向の評価に応じた対応実施について示した図。
【
図8】(a)前日の生活傾向の評価及びその評価に対する対応実施の第一例を示す図。(b)同じく、第二例を示す図。(c)同じく、第三例を示す図。
【
図9】(a)テレビの消費電力の推移の第一の例を示す図。(b)電子レンジの消費電力の推移の一例を示す図。
【
図10】(a)テレビの消費電力の推移の第二の例を示す図。(b)テレビの消費電力の推移の第三の例を示す図。
【
図11】第二の利用回数加算処理の内容を示したフローチャート。
【
図12】第三の利用回数加算処理の内容を示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、
図1、
図2及び
図9を用いて、本発明の一実施形態に係る生活傾向評価システム100の構成について説明する。
【0023】
生活傾向評価システム100は、対象者P1の生活傾向を評価するものである。本実施形態において生活傾向とは、日常生活の特定の方向への偏りを意味し、主として対象者P1が利用する各種設備(例えば家電)の利用頻度に基づいて評価される。また本実施形態では、生活傾向評価システム100が適用される場面の一例として、高齢者を対象者P1とし、当該高齢者の生活傾向を評価する場面を想定している。生活傾向評価システム100は、主として電力センサ110、サーバ120及び端末130を具備する。
【0024】
電力センサ110は、対象者P1が利用する家電の消費電力を検出するものである。電力センサ110は、対象者P1が居住する建物(住宅1)の分電盤2に設けられる。電力センサ110は、分電盤2の分岐回路ごとの電力を検出することができる。
【0025】
これによって電力センサ110は、各分岐回路に接続された家電の利用状況(利用されているか否か)を検出することができる。すなわち、電力センサ110は、各家電の利用状況を検出することにより、間接的に、対象者P1の行動(どの家電を利用しているか)を検出することができる。例えば調理機器(IH)の利用が検出された場合、間接的に、対象者P1が調理機器を利用したこと(ひいては、食事をしたこと)が検出される。また例えばテレビの利用が検出された場合、間接的に、対象者P1がテレビを見たことが検出される。
【0026】
なお、家電の利用状況を検出する方法は、電力センサ110によって分岐回路ごとの電力を検出する方法に限るものではなく、種々の方法を用いることが可能である。例えば、分電盤2の主幹回路の電力(主幹電力)を検出し、その電力の波形を分析することで、利用されている家電を識別して把握することも可能である。また、分電盤2の電力を検出するのではなく、各家電自身の稼働状況(各家電の電源のオン・オフ、各家電が接続されたコンセントの電力等)を直接検出することも可能である。また、住宅1に各家電の利用状況を把握(管理)するシステム(例えば、HEMS:Home Energy Management System 等)が設けられている場合は、そのシステムが把握している情報を利用することも可能である。
【0027】
また、生活傾向の評価を行うために利用状況を検出する各種設備としては、家電(電気を利用する機器)に限るものではなく、種々の設備を採用することができる。例えば前記各種設備としては、ガス機器(ガスを利用する機器)を採用することができる。各種設備としてガス機器を採用した場合、当該ガス機器へのガス流入量を計測し、計測した結果に基づいて利用状況を検出したり、ガス機器自身の稼働状況(スイッチのオン・オフ)に基づいて利用状況を検出することも可能である。
【0028】
サーバ120は、電力センサ110の検出結果に基づいて各種処理を行うものである。サーバ120は、例えばクラウド上に設けられた仮想サーバ(クラウドサーバ)により構成される。サーバ120は、電力センサ110からの情報を取得することで、家電の利用状況を把握することができる。サーバ120は、電力センサ110から情報を取得するごとに、取得した情報を所定の記憶領域に記憶する。サーバ120は、家電の利用状況(本実施形態においては、利用頻度(利用回数)等)に基づいて、対象者P1の生活傾向の評価を行うことができる。具体的には、サーバ120は、対象者P1の生活傾向の評価を行うための処理(以下では「生活傾向評価メイン処理」と称する)を実行することができる。またサーバ120は、後述する端末130との間で、各種情報を送受信することができる。
【0029】
なお、本実施形態において、生活傾向の評価には、中長期評価と、日毎段階評価(短期評価)と、が含まれる。中長期評価とは、中長期間(例えば1ヶ月)が経過した後の生活傾向の評価である。中長期評価に関する処理は、後述の
図3に示す生活傾向評価メイン処理のステップS13~ステップS15で行われる。また日毎段階評価とは、前記中長期間内における短期間(例えば1日)ごとの生活傾向の評価である。すなわち、日毎段階評価には、毎日の生活傾向の評価が複数含まれる。日毎段階評価に関する処理は、後述の
図3に示す生活傾向評価メイン処理のステップS23及びステップS24で行われる。
【0030】
また、サーバ120は、住宅1の複数の家電を、複数のカテゴリに分類して記憶している。以下では、複数の家電が分類される各カテゴリを「家電群」と称する。本実施形態においては、
図2に示すように、複数の家電群に、衣食住それぞれに関わる家電群が含まれる。具体的には、複数の家電群には、衣服に関わる家電群(以下では「「衣」家電群」と称する)と、食事に関わる家電群(以下では「「食」家電群」と称する)と、暮らしに関わる家電群(以下では「「住」家電群」と称する)と、が含まれる。
【0031】
具体的には、「衣」家電群に属する家電には、洗濯機及び乾燥機等が含まれる。また「食」家電群に属する家電には、電子レンジ、オーブントースター、食洗機、IHコンロ、冷蔵庫及び炊飯器等が含まれる。また「住」家電群に属する家電には、ドライヤー等の熱源機器、照明機器、エアコン、TV、掃除機、トイレ及び給湯機等が含まれる。なおサーバ120は、家電が所属する家電群を、例えば対象者P1により入力された所定の情報に基づいて任意に設定することができる。またサーバ120は、各家電群に属する家電の数を記憶している。
【0032】
また、サーバ120は、家電の利用頻度(利用回数)を記憶することができる。すなわち、サーバ120は、電力センサ110により検出された家電の利用状況に基づいて、間接的に当該家電の利用を検出し、検出した回数を加算していくことにより、当該家電の利用回数を記憶していく。
【0033】
具体的には、例えばサーバ120は、電力センサ110により検出された電力波形の情報に基づいて当該家電の利用を検出する。例えば
図9(a)に示すように、サーバ120は、ある家電(
図9(a)においては、テレビ)の電力波形を解析することにより、消費電力量が0よりも大きい時間帯の間(
図9(a)においては、16時12分頃から16時29分頃までの間)に当該テレビの利用があったと判断し、当該テレビの利用回数に1を加算する。なお、テレビが利用(視聴)されていない間でも待機電力が消費されるが、待機電力は非常に小さいため、本実施形態では、待機電力による消費電力量を0と見做している。前記0は、本実施形態における所定の第一閾値の一例である。また待機電力による消費電力量も厳密に考慮し、0より大きい所定の閾値よりも大きな消費電力量の場合に、家電の利用を判断することも可能である。
【0034】
端末130は、各種情報を表示することが可能なものである。端末130は、対象者P1の生活傾向の評価を把握すべき者(例えば、対象者P1、対象者P1の家族、親戚等)によって所持される。本実施形態では、対象者P1、及び、当該対象者P1の家族P2が端末130を所持しているものとする。端末130は、例えば携帯可能な機器(例えば、スマートフォンやタブレット端末等)によって構成される。端末130は、サーバ120からの情報を適宜の方法(液晶画面への表示、音声等)で、所持者に報知することができる。
【0035】
以下では、
図3のフローチャートを用いて、サーバ120による生活傾向評価メイン処理の実行について説明する。
【0036】
サーバ120は、1日が終わった後で(例えば24時を経過し、前日に対して日毎段階評価が実行できるタイミングに)、生活傾向評価処理を実行する。なお生活傾向評価処理が実行されるタイミングは、上述のものに限定されない。すなわち、対象者P1が睡眠していると思われる時間帯の最中に生活傾向評価処理を行うのが好ましくない場合(例えば対象者P1の睡眠中における所定の家電の利用回数を考慮した場合等)は、対象者P1が確実に起床していると思われる時間帯(例えば、午前10時等)に生活傾向評価処理を実行することもできる。
【0037】
ステップS11において、サーバ120は、家電利用状況を取得する。すなわち、サーバ120は、所定の記憶領域を読み込んで、前日の各家電の利用回数を確認する。サーバ120は、ステップS11の処理を行った後、ステップS12へ移行する。
【0038】
ステップS12において、サーバ120は、前回の中長期評価(ステップS13~ステップS15)から一定期間が経過したか否かを判定する。なお本実施形態において、一定期間とは1ヶ月である。すなわち、サーバ120は、前回の中長期評価から1ヶ月が経過したか否かを判定する。サーバ120は、前回の中長期評価から1ヶ月が経過したと判定した場合、ステップS13へ移行する。一方、サーバ120は、前回の中長期評価から1ヶ月が経過していないと判定した場合、ステップS21へ移行する。
【0039】
ステップS13において、サーバ120は、一定期間の利用傾向の評価(以下では「利用傾向評価」と称する)を行う。ここで、利用傾向評価とは、中長期評価(1ヶ月が経過した後の生活傾向の評価)の判断基準となるものであり、複数の家電群の一定期間における家電の利用傾向(本実施形態では、複数の家電群の利用頻度の順位)の評価である。以下では、
図4のフローチャートを用いて、サーバ120による、利用傾向評価の処理について詳細に説明する。なお以下の説明では、便宜上、利用傾向評価は、過去に少なくとも1回行われている(すなわち、以下に説明する利用傾向評価の処理は、少なくとも2回目以降の処理である)ものとする。
【0040】
ステップS31において、サーバ120は、家電群ごとの家電利用回数を一定期間分取得する。本実施形態において、家電利用回数とは、各家電群に属する全ての家電の利用回数の合計を意味する。すなわち、サーバ120は、前回の中長期評価(又は、前回の中長期評価が無い場合には、本システム導入時)から今回の中長期評価の前日までの期間(以下では「今回の中長期評価対象期間」と称する)である1ヶ月間の、全ての家電の利用回数を所定の記憶領域から読み出す。またサーバ120は、読み出した全ての家電の利用回数を、家電群ごとに割り当てて合計する。サーバ120は、ステップS31の処理を行った後、ステップS32へ移行する。
【0041】
ステップS32において、サーバ120は、家電群ごとに、今回の中長期評価時における1家電当りの利用回数を算出する。すなわち、サーバ120は、家電群ごとに、ステップS31で算出した家電利用回数を、前回の中長期評価時に算出した家電利用回数に加算することにより、本システム導入時から現時点までの各家電群の家電利用回数(家電総利用回数)を算出する。そして、サーバ120は、家電群ごとに、算出した家電総利用回数を当該家電群に属する家電の数で除算することにより、本システム導入時から現時点までの中長期評価時における(最新の)当該家電群の1家電当りの利用回数を算出する。サーバ120は、ステップS32の処理を行った後、ステップS33へ移行する。
【0042】
ステップS33において、サーバ120は、家電群ごとの家電利用回数を同じ期間(一定期間)分取得する。すなわち、サーバ120は、ステップS31の処理と同様に、今回の中長期評価対象期間(1ヶ月間)の、全ての家電の利用回数を所定の記憶領域から読み出す。またサーバ120は、読み出した全ての家電の利用回数を、家電群ごとに割り当てて合計する。サーバ120は、ステップS33の処理を行った後、ステップS34へ移行する。
【0043】
ステップS34において、サーバ120は、家電群ごとに、前回の中長期評価時における1家電当りの利用回数を算出する。すなわち、サーバ120は、家電群ごとに、ステップS33で算出した家電利用回数を、ステップS32で算出した各家電群の家電総利用回数から減算することにより、本システム導入時から前回の中長期評価時までの各家電群の家電利用回数を算出する。そして、サーバ120は、家電群ごとに、算出した家電利用回数を当該家電群に属する家電の数で除算することにより、前回の中長期評価時における当該家電群の1家電当りの利用回数を算出する。サーバ120は、ステップS34の処理を行った後、ステップS35へ移行する。
【0044】
ステップS35において、サーバ120は、家電群ごとに、今回の中長期評価対象期間における1家電当りの利用回数の変化量を算出する。すなわち、サーバ120は、家電群ごとに、ステップS32で算出した今回の中長期評価時における家電群の1家電当りの利用回数から、ステップS34で算出した前回の中長期評価時における家電群の1家電当りの利用回数を減算することにより、今回の中長期評価対象期間における1家電当りの利用回数の変化量(以下では単に「1家電当りの利用回数」と称する場合がある)を算出する。サーバ120は、ステップS35の処理を行った後、ステップS36へ移行する。
【0045】
ステップS36において、サーバ120は、今回の(最新の)中長期評価対象期間における各家電群の利用頻度(利用傾向)の順位を決定する。すなわち、サーバ120は、家電群ごとの、ステップS35で算出した1家電当りの利用回数を参照し、利用回数の小さい家電群から大きい家電群へいくに従って、利用傾向の順位が上位であることを決定する。なお本実施形態では、利用傾向の順位が最も低い家電群を「低」、次に利用傾向の順位が大きい家電群を「中」、利用傾向の順位が最も大きい家電群を「高」と称する(
図5等参照)。サーバ120は、各家電群の利用傾向の順位を所定の記憶領域に記憶する。これにより、サーバ120は、利用傾向評価の処理を終了する。サーバ120は、ステップS36の処理を行った後、利用傾向評価の処理(ステップS13の処理)からステップS14へ移行する。
【0046】
なお上述の如き利用傾向評価の処理(ステップS31~ステップS36)の内容は一例であり、これに限定するものではない。すなわち、利用傾向評価の処理は、ステップS35の処理において、今回の中長期評価対象期間における1家電当りの利用回数の変化量を算出することができればよく、任意の手順や算出方法を採用することができる。また、上述の如き利用傾向評価の処理で用いた各種の値は、都度算出するのではなく、所定の記憶領域に記憶しておき、必要に応じて読み出して使用することもできる。
【0047】
図3に示すステップS14において、サーバ120は、ステップS13で取得した今回の(最新の)家電群の利用傾向を、前回の家電群の利用傾向と比較する。サーバ120は、前回と今回との家電群の利用傾向の比較結果に基づいて、今回の中長期評価対象期間の生活傾向の評価を行う。なお以下では「今回の中長期評価対象期間の生活傾向の評価」を単に「今回の生活傾向の評価」と称する場合がある。
【0048】
以下では、
図5(a)の表を用いて、今回の生活傾向の評価について詳細に説明する。なお
図5(a)の表は、今回の生活傾向の評価が規定されたテーブルを示している。当該テーブルに関する情報は、サーバ120の所定の記憶領域に予め記憶されている。
【0049】
サーバ120は、
図5(a)に示すテーブルの情報に基づいて、今回の生活傾向の評価を行う。ここで、
図5(a)に示すテーブルにおいて、3つの列に示す「高」・「中」・「低」は、前回の家電群の利用傾向を示している。すなわち、本実施形態において、3つの列に示す「高」・「中」・「低」のそれぞれには、前回の家電群の利用傾向の順位に従って、「衣」家電群、「食」家電群、「住」家電群の何れか一つが割り当てられる。
【0050】
そして、
図5(a)に示すテーブルにおいて、前回の家電群の利用傾向を示す3つの列と、6つの行とが交わる項目は、前回の家電群の利用傾向に対する今回の家電群の利用傾向の変化(「変化なし」・「高」・「中」・「低」)を示している。また「評価」の列は、前回の家電群の利用傾向に対する今回の家電群の利用傾向の変化における評価(換言すれば、今回の生活傾向の評価)を示している。本実施形態においては、「正常」・「注意」・「要注意」・「警戒」・「要対応」という5種類の評価が設けられる。
【0051】
以下では
図6に示す具体例を用いて、今回の生活傾向の評価について説明する。
図6に示す例においては、前回の家電群の利用傾向において、「衣」家電群、「食」家電群、「住」家電群がそれぞれ「高」・「中」・「低」であるものとする。
【0052】
例えば
図6(a)に示す第一例のように、今回の家電群の利用傾向においても、「衣」家電群、「食」家電群、「住」家電群がそれぞれ「高」・「中」・「低」である場合、前回の家電群の利用傾向に対して変化が無い。この場合、
図6(a)の表の色付き部分に示すように、3つの列と交わる項目が全て「変化なし」の行に対応する「評価」の項目が、今回の家電群の利用傾向の変化に対する評価、すなわち今回の生活傾向の評価「正常」を示している。
【0053】
また、
図6(b)に示す第二例のように、今回の家電群の利用傾向において、「衣」家電群、「食」家電群、「住」家電群がそれぞれ「中」・「低」・「高」である場合、
図6(b)の表の色付き部分に示すように、3つの列と交わる項目が「中」・「低」・「高」である行が選択される。そして、この行に対する「評価」の項目が、今回の家電群の利用傾向の変化に対する評価、すなわち今回の生活傾向の評価「警戒」を示している。
【0054】
また、
図6(c)に示す第二例のように、今回の家電群の利用傾向において、「衣」家電群、「食」家電群、「住」家電群がそれぞれ「低」・「高」・「中」である場合、
図6(c)の表の色付き部分に示すように、3つの列と交わる項目が「低」・「高」・「中」である行が選択される。そして、この行に対する「評価」の項目が、今回の家電群の利用傾向の変化に対する評価、すなわち今回の生活傾向の評価「要対応」を示している。
【0055】
サーバ120は、ステップS14の処理を行った後、ステップS15へ移行する。
【0056】
ステップS15において、サーバ120は、ステップS14で行われた評価に応じた対応を行う。具体的には、
図5(b)に示すように、サーバ120の所定の記憶領域には、今回の生活傾向の評価(「正常」・「注意」・「要注意」・「警戒」・「要警戒」)に応じた対応が予め規定されている。
【0057】
例えば、
図5(b)に示すように、今回の生活傾向の評価が「正常」である場合、対象者P1の生活に問題がないと想定される。この場合、サーバ120は、対応として特に処理を行わない。また、今回の生活傾向の評価が「注意」である場合、対象者P1の生活が少し乱れている可能性が有る状態と想定される。この場合も、サーバ120は、様子見の段階と判断し、対応として特に処理を行わない。また、今回の生活傾向の評価が「要注意」である場合、対象者P1の生活が少し乱れている状態と想定される。この場合、サーバ120は、対象者P1(居住者)自身へその旨を通知する。また例えば、今回の生活傾向の評価が「警戒」である場合、対象者P1の生活が乱れ、行動変容(例えば認知機能の異常)が疑われる、と想定される。この場合、サーバ120は、対象者P1(居住者)に注意喚起を行うと共に、家族P2にその旨を通知する。また例えば、今回の生活傾向の評価が「要対応」である場合、対象者P1の行動変容の可能性が非常に高い、と想定される。この場合、サーバ120は、対象者P1(居住者)及び家族P2に対して、何らかの対応を実施すべきである旨を通知する。
【0058】
こうして、サーバ120は、今回の生活傾向の評価では、前回の家電群の利用傾向において「高」の家電群の低下度合い(すなわち、利用傾向が減少する方向への変化度)が大きいほど、評価が下がる(何らか対応する必要性が高い)と判断する。具体的には、サーバ120は、例えば「高」の家電群が、「中」に変化するよりも「低」に変化した場合の方が、何らか対応する必要性が高いと判断し、この判断に応じた対応を実施する。また、サーバ120は、前回の家電群の利用傾向において「中」の家電群の低下度合い(すなわち、利用傾向が減少する方向への変化度)が大きいほど、評価が下がる(何らか対応する必要性が高い)と判断し、この判断に応じた対応を実施する。
【0059】
またステップS12から移行したステップS21において、サーバ120は、一定期間の利用傾向の評価(利用傾向評価)が行われたことがあるか否かを判定する。サーバ120は、本システム導入時から1回でも利用傾向評価が行われたことがあると判定した場合、ステップS23へ移行する。一方、サーバ120は、本システム導入時から1回も利用傾向評価が行われたことがないと判定した場合、ステップS22へ移行する。
【0060】
ステップS22において、サーバ120は、現時点の家電利用状況から、利用傾向評価を行う。この場合、前回の利用傾向評価が無く、本システム導入時から1ヶ月経過していないと想定されるが、サーバ120は、後述する日毎段階評価に関する処理(ステップS23及びステップS24)のため、
図4に示す利用傾向評価と同様の処理を行う。
【0061】
すなわち、サーバ120は、家電群ごとに、本システム導入時から現時点までの期間における1家電当りの利用回数を算出する。また、サーバ120は、算出した1家電当りの利用回数に基づいて、本システム導入時から現時点までの期間における(最新の)各家電群の利用傾向の順位を決定する。サーバ120は、ステップS22の処理を行った後、ステップS23へ移行する。
【0062】
ステップS23において、サーバ120は、家電の利用状況から日毎段階評価を行う。この処理において、サーバ120は、(日毎段階評価に含まれる)前日の生活傾向の評価を行う。そのため以下では、前日の生活傾向の評価について説明を行う。
【0063】
具体的には、サーバ120は、最新の家電群の利用傾向(「高」・「中」・「低」)、及び、前日の家電の利用回数に基づいて、前日の生活傾向の評価を行う。なお、最新の家電群の利用傾向とは、ステップS13の処理で評価したもの、又は、ステップS13の処理で評価したものが無ければステップS22で評価したものとなる。以下では、
図7(a)の表を用いて、前日の生活傾向の評価について詳細に説明する。なお
図7(a)の表は、前日の生活傾向の評価が規定されたテーブルを示している。当該テーブルに関する情報は、サーバ120の所定の記憶領域に予め記憶されている。
【0064】
サーバ120は、
図7(a)に示すテーブルの情報に基づいて前日の生活傾向の評価を行う。ここで、
図7(a)に示すテーブルにおいて、3つの列に示す「高」・「中」・「低」は、最新の家電群の利用傾向を示している。すなわち、本実施形態において、3つの列に示す「高」・「中」・「低」のそれぞれは、最新の家電群の利用傾向の順位に従って、「衣」家電群、「食」家電群、「住」家電群の何れか一つが割り当てられる。
【0065】
そして、
図7(a)に示すテーブルにおいて、最新の家電群の利用傾向を示す3つの列と、8つの行とが交わる項目は、前日の各家電群における家電の利用回数の有無を示している。本実施形態においては、前記項目において「○」は各家電群において家電が少なくとも1回以上利用されたことを示し、「×」は各家電群において家電が1回も利用されていないことを示している。なおこれに限定せず、所定の自然数の閾値(例えば、2回や3回)との比較に基づいて「○」・「×」を規定してもよい。
【0066】
また「評価」の列は、最新の家電群の利用傾向に対する各家電群の家電の利用回数の有無の組み合わせの評価(すなわち、前日の生活傾向の評価)を示している。本実施形態においては、「正常」・「レベル1」・「レベル2」・「レベル3」・「レベル4」・「緊急」という6種類の評価が設けられる。これらの評価は、「正常」から「緊急」へとレベルが上がるにつれて生活傾向に何らかの対応が必要と想定されることを示している。
【0067】
以下では
図8に示す具体例を用いて、前日の生活傾向の評価について説明する。
図8に示す例においては、最新の家電群の利用傾向において、「衣」家電群、「食」家電群、「住」家電群がそれぞれ「高」・「中」・「低」であるものとする。
【0068】
例えば
図8(a)に示す第一例のように、前日に全ての家電群に属する家電の利用があった場合、
図8(a)の表の色付き部分に示すように、(前回の家電群の利用傾向を示す)3つの列と交わる全ての項目が「○」である行に対応する「評価」の項目が、前日の生活傾向の評価を示している。この場合、前日の生活傾向の評価「正常」を示している。
【0069】
また、
図8(b)に示す第二例のように、前日に全ての家電群のうち「衣」家電群に属する家電の利用が無く、かつ、「食」家電群及び「住」家電群に属する家電の利用があった場合、
図8(b)の表の色付き部分に示すように、3つの列と交わる項目が左側から右側に順位に「×」・「○」・「○」である行に対応する「評価」の列が、前日の生活傾向の評価を示している。この場合、前日の生活傾向の評価「レベル3」を示している。
【0070】
また、
図8(c)に示す第三例のように、前日に全ての家電群に属する家電の利用が無かった場合、
図8(c)の表の色付き部分に示すように、3つの列と交わる全ての項目が「×」である行に対応する「評価」の項目が、前日の生活傾向の評価を示している。この場合、前日の生活傾向の評価「緊急」を示している。
【0071】
サーバ120は、ステップS23の処理を行った後、ステップS24へ移行する。
【0072】
ステップS24において、サーバ120は、ステップS23で行われた評価に応じた対応を行う。具体的には、
図7(b)に示すように、サーバ120の所定の記憶領域には、前日の生活傾向の評価(「正常」・「レベル1」・「レベル2」・「レベル3」・「レベル4」・「緊急」)に応じた対応が予め規定されている。
【0073】
例えば、
図7(b)に示すように、前日の生活傾向の評価が「正常」である場合、対象者P1の生活に問題がないと想定される。この場合、サーバ120は、対応として特に処理を行わない。また、前日の生活傾向の評価が「レベル1」である場合、対象者P1の生活が少し乱れている可能性が有る状態と想定される。この場合も、サーバ120は、様子見の段階と判断し、対応として特に処理を行わない。また、前日の生活傾向の評価が「レベル2」である場合、対象者P1の生活が少し乱れている状態と想定される。この場合、サーバ120は、対象者P1(居住者)自身へその旨を通知する。また例えば、前日の生活傾向の評価が「レベル3」である場合、対象者P1の生活が乱れている状態と想定される。この場合、サーバ120は、対象者P1(居住者)に注意喚起を行うと共に、家族P2にその旨を通知する。また例えば、前日の生活傾向の評価が「レベル4」である場合、対象者P1の生活が乱れており、対処が必要な可能性がある、と想定される。この場合、サーバ120は、対象者P1(居住者)及び家族P2に対して注意喚起を通知する。また例えば、前日の生活傾向の評価が「緊急」である場合、対象者P1は生活ができない状態と想定される。この場合、サーバ120は、家族P2へ緊急対応の要望を通知する。
【0074】
こうして、サーバ120は、前日の生活傾向の評価では、最新の家電群の利用傾向において「低」よりも「中」の家電群に属する家電の利用が無いほど、評価が下がる(何らか対応する必要性が高い)と判断し、この判断に応じた対応を実施する。また、サーバ120は、前日の生活傾向の評価では、最新の家電群の利用傾向において「中」よりも「高」の家電群に属する家電の利用が無いほど、評価が下がる(何らか対応する必要性が高い)と判断し、この判断に応じた対応を実施する。
【0075】
以上の如く、本実施形態に係る生活傾向評価システム100は、
対象者P1が使用する住宅1(建物)に設けられた複数の家電(設備)の利用状況を検出可能な電力センサ110と、
前記複数の家電(設備)が複数の家電群(カテゴリ)の何れかに属するか記憶するサーバ120(記憶部)と、
各家電群(カテゴリ)に属する前記家電(設備)の前回の中長期評価対象期間(第一の期間)、及び、前記前回の中長期評価対象期間(第一の期間)後の今回の中長期評価対象期間(第二の期間)における利用傾向を取得し、取得した前記利用傾向に基づいて前記複数の家電群(カテゴリ)の各期間における順位を設定するサーバ120(順位設定部)と、
前記前回の中長期評価対象期間(第一の期間)及び前記今回の中長期評価対象期間(第二の期間)における前記複数の家電群(カテゴリ)の順位に基づいて、前記対象者P1の前記今回の中長期評価対象期間(第二の期間)における生活傾向の評価(中長期評価)を行うサーバ120(生活傾向評価部)と、
を具備するものである。
【0076】
このような構成により、対象者P1の生活傾向を好適に評価することができる。
すなわち、家電の利用傾向に基づいて複数の家電群の順位を設定し、この順位に基づいて生活傾向の評価を行うため、例えば普段ガスコンロで調理を行っている対象者P1が数日間電子レンジで調理を行った場合に、異なる料理機器を用いているものの、食事の回数自体を誤って判断するのを防止することができる。このように、家電1つ1つの評価ではなく、広義に対象者P1の行動変容を評価することができる。これにより、対象者P1の実情に沿って生活傾向を好適に評価することができる。
【0077】
また、本実施形態に係る生活傾向評価システム100において、
前記サーバ120(生活傾向評価部)は、前記複数の家電群(カテゴリ)のうち前記前回の中長期評価対象期間(第一の期間)において前記利用傾向が最も高い一の家電群(カテゴリ)が、前記今回の中長期評価対象期間(第二の期間)において順位が低下した場合、低下度合いに応じて前記評価の内容を段階的に異ならせるものである。
【0078】
このような構成により、例えば本実施形態において、
図5(a)に示すように、前回の家電群の利用傾向の順位が最も上位である「衣」家電群は、今回(評価更新後)の家電群の利用傾向の順位が低下した場合、低下度合いに応じて(例えば「高」から「中」に低下した場合と、「高」から「低」に低下した場合とに応じて)評価の内容が段階的(「要注意」・「警戒」から「要対応」)に異なるため、対象者P1の生活傾向を好適に評価することができる。
【0079】
また、本実施形態に係る生活傾向評価システム100において、
前記サーバ120(生活傾向評価部)は、前記一の家電群(カテゴリ)の前記前回の中長期評価対象期間(第一の期間)から前記今回の中長期評価対象期間(第二の期間)への順位の変化度を、前記一の家電群(カテゴリ)以外の他の家電群(カテゴリ)の前記前回の中長期評価対象期間(第一の期間)から前記今回の中長期評価対象期間(第二の期間)への順位の変化度に優先して前記評価に反映させるものである。
【0080】
このような構成により、例えば本実施形態において、
図5(a)に示すように、前回の家電群の利用傾向の順位が最も上位である「衣」家電群に対して、生活傾向の評価(中長期評価)のための判断基準として重み付けされた状態となるため、対象者P1の生活傾向を好適に評価することができる。なお「順位の変化度」とは、順位の変化の大きさを指すものである。例えば「高」の家電群が「低」になった場合には、「中」の家電群が「低」になった場合よりも順位の変化度が大きい。
【0081】
また、本実施形態に係る生活傾向評価システム100において、
前記サーバ120(生活傾向評価部)は、前記今回の中長期評価対象期間(第二の期間)内において、当該今回の中長期評価対象期間(第二の期間)よりも短い短期間(第三の期間)が経過するごとに、各家電群(カテゴリ)に属する前記家電(設備)の当該短期間(第三の期間)における前記利用傾向を取得し、前記前回の中長期評価対象期間(第一の期間)における前記複数の家電群(カテゴリ)の順位、及び、取得した当該短期間(第三の期間)における前記利用傾向に基づいて、前記対象者P1の当該短期間(第三の期間)における生活傾向の評価(日毎段階評価(毎日の生活傾向の評価))を行うものである。
【0082】
このような構成により、生活傾向の評価として、中長期評価だけではなく、日毎段階評価(毎日の生活傾向の評価)を行うことができるため、対象者P1の生活傾向を好適に評価することができる。
【0083】
また、本実施形態に係る生活傾向評価システム100において、
前記サーバ120(生活傾向評価部)は、前記複数の家電群(カテゴリ)のうち前記前回の中長期評価対象期間(第一の期間)において前記利用傾向が最も高い一の家電群(カテゴリ)の、前記短期間(第三の期間)における前記利用傾向を、前記一の家電群(カテゴリ)以外の他の家電群(カテゴリ)の前記短期間(第三の期間)における前記利用傾向に優先して前記評価に反映させるものである。
【0084】
このような構成により、例えば本実施形態において、
図7(a)に示すように、前回の家電群の利用傾向の順位が最も上位である「衣」家電群に対して、毎日の生活傾向の評価のための判断基準として重み付けされた状態となるため、対象者P1の生活傾向を好適に評価することができる。
【0085】
また、本実施形態に係る生活傾向評価システム100において、
前記サーバ120(生活傾向評価部)は、前記評価の結果を端末130(所定の報知部)に報知させるものである。
【0086】
このような構成により、生活傾向の評価結果を有効に活用することができる。
【0087】
また、本実施形態に係る生活傾向評価システム100において、
前記複数の家電群(カテゴリ)は、衣服に関わる家電群(カテゴリ)、食事に関わる家電群(カテゴリ)、及び、暮らしに関わる家電群(カテゴリ)の、少なくとも何れかを含むものである。
【0088】
このような構成により、対象者P1の生活(衣食住)に基づいて、当該対象者P1の生活傾向を好適に評価することができる。
【0089】
なお、本実施形態に係る住宅1は、本発明に係る建物の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る電力センサ110は、本発明に係る検出部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るサーバ120は、本発明に係る記憶部、順位設定部、生活傾向評価部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る前回の中長期評価対象期間は、本発明に係る第一の期間の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る今回の中長期評価対象期間は、本発明に係る第二の期間の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る端末130は、本発明に係る報知部の実施の一形態である。
【0090】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術的思想の範囲内で適宜の変更が可能である。
【0091】
例えば、本実施形態に係る生活傾向評価システム100は、高齢者を対象者P1とした例を示したが、本発明は高齢者に限るものではなく、様々な人を対象者P1とすることができる。
【0092】
また本実施形態では、電力センサ110(検出部)は住宅1に設けられるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、対象者P1が利用する種々の建物に設けることも可能である。すなわち、住宅1に限らず、その他種々の建物、施設等において、生活傾向の評価を行うことができる。
【0093】
また本実施形態では、サーバ120(クラウド上に設けられた仮装サーバ等)が各種処理を行う例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、各種処理を実行する主体は任意に変更することが可能である。例えば、住宅1に設けられたホームサーバ、パソコン、携帯型端末等により実行することも可能である。
【0094】
また本実施形態で例示した各処理の対象となる期間(1ヶ月や、1日)は、任意に変更することも可能である。
【0095】
また本実施形態では、複数の家電群(カテゴリ)を3つとしたが、少なくとも2つ以上であればよい。
【0096】
また本実施形態では、サーバ120は、ある家電の消費電力量が0よりも大きい時間帯の間に当該家電の利用があったと判断し、当該家電の利用回数に1を加算する処理(以下では「利用回数加算処理」と称する)を実行していたが、家電の利用回数を加算するための処理は、これに限定されない。
【0097】
ここで、上記利用回数加算処理を行った場合、家電の種類によっては利用シーンや機器の特性により、適切な回数評価が困難な場合がある。
【0098】
以下では、上記利用回数加算処理を行った場合において、家電の利用シーンにより当該家電の適切な回数評価が困難となる場合の一例について説明する。
【0099】
例えば、電子レンジを稼動させ、食材の加熱を開始した後、暖めが十分であるかを確認するために加熱を停止する場合がある。この場合、開始から停止までの間(
図9(b)においては、18時5分頃から18時14分頃までの間)に消費電力量が0よりも大きいため、当該電子レンジの利用回数に1が加算される。そして、仮に暖めが不十分であって加熱を再開した場合には、同じ食材の加熱であるにもかかわらず、再開から停止までの間(
図9(b)においては、18時16分頃から18時20分頃までの間)に消費電力量が0よりも大きいため、電子レンジの利用回数に更に1が加算されることとなる。
【0100】
また複数の食材を加熱する場合、食材ごとに加熱を行う必要があるため、同じ食事(例えば、ある日の夕食)であるにもかかわらず、食材の数(暖めの回数)だけ、電子レンジの利用回数が加算されることとなる。
【0101】
また電子レンジだけでなく、例えば洗濯機の利用においても、洗濯動作中に洗濯物を追加するために動作を停止した場合や、洗濯コースの選択間違いにより動作を停止した場合には、洗濯が完了していないにもかかわらず、停止した回数だけ洗濯機の利用回数が加算されることとなる。また例えばテレビの利用においても、利用(視聴)中に誤って電源を切った場合(
図10(a)における6時40分頃参照)には、直ぐに電源を入れた場合でも、テレビの利用回数に1が加算されることとなる。
【0102】
このように、上記利用回数加算処理を行った場合、家電の利用シーンにより、家電の利用回数として1を加算すべきにもかかわらず、2以上を加算する場合がある。
【0103】
以下では、上記利用回数加算処理を行った場合において、家電の機器の特性により当該家電の適切な回数評価が困難となる場合の一例について説明する。
【0104】
また例えば、利用している家電が通信ネットワークに接続されて使用されるIoT家電(例えばテレビやスピーカ等)である場合、対象者P1による利用とは別に、データの送受信のために電力が消費される場合がある。具体的には、
図10(a)に示すテレビの場合、0時15分頃及び2時15分頃に、データを送受信することにより、電力が消費されている。また
図10(b)に示すテレビの場合、テレビの利用を終了した後(電源を切った後)、16時42分頃にデータを送受信することにより、電力が消費されている。このような場合、対象者P1によるテレビの利用ではないが、消費電力量が0よりも大きいため、テレビの利用回数に1が加算されることとなる。
【0105】
また家電の種類によっては、当該家電の利用後に付随して何らかの動作を実行する場合がある。例えば、利用後に冷却が行われる電子レンジのような家電では、対象者P1による利用が終了してから所定時間後に、冷却のために電力が消費される場合がある。このような場合、対象者P1による電子レンジの利用ではないが、消費電力量が0よりも大きいため、電子レンジの利用回数に1が加算されることとなる。
【0106】
このように、上記利用回数加算処理を行った場合、家電の機器の特性により、家電の利用回数を加算すべきではないにもかかわらず、利用回数を加算する場合がある。
【0107】
そこで、サーバ120は、上記利用回数加算処理とは異なる処理(以下では「別実施形態に係る利用回数加算処理」と称する)を実行することにより、所定の補正条件を満たした場合には家電の利用回数を加算しないこととし、家電の利用シーンや機器の特性に応じた適切な回数評価の実行を図っている。
【0108】
別実施形態に係る利用回数加算処理は、計測された消費電力を用いて利用回数が検出される家電ごとに、サーバ120により所定のタイミングで繰り返し実行される。これにより、サーバ120は、概ねリアルタイムで家電の利用状況を取得できる。別実施形態に係る利用回数加算処理には、互いに別々に実行される複数の処理が含まれる。ここでは前記複数の処理として、第二の利用回数加算処理と、第三の利用回数加算処理と、が含まれるものとする。
【0109】
第二の利用回数加算処理は、主として家電の利用シーンに応じた適切な回数評価を行うことを目的としている。また第三の利用回数加算処理は、主として家電の機器の特性に応じた適切な回数評価を行うことを目的としている。以下では、第二及び第三の利用回数加算処理について詳細に説明する。なお以下の説明では、第二及び第三の利用回数加算処理の実行の対象となる家電を「対象家電」と称する。
【0110】
まず以下では、
図11のフローチャートを用いて、サーバ120による第二の利用回数加算処理の実行について説明する。
【0111】
ステップS101において、サーバ120は、検出された対象家電の消費電力量が0よりも大きいか否かを判定する。サーバ120は、検出された対象家電の消費電力量が0よりも大きいと判定した場合、ステップS106へ移行する。一方、サーバ120は、検出された対象家電の消費電力量が0よりも大きくないと判定した場合、ステップS102へ移行する。
【0112】
ステップS102において、サーバ120は、運転フラグがONであるか否かを判定する。ここで、運転フラグとは、対象家電が運転中であることを示すフラグである。運転フラグは、後述するように、サーバ120によりON・OFFが設定される。本実施形態において運転中には、対象者P1が対象家電を実際に使用している状態だけでなく、対象者P1が対象家電の使用を終了した後の状態が含まれる。すなわち、第二の利用回数加算処理では、対象者P1が対象家電を実際に使用している期間だけでなく、対象者P1が対象家電の使用を終了した後の所定の期間(本実施形態では、30分間)は、対象家電の使用が継続していると見做して運転フラグがONに設定される。
【0113】
こうして、ステップS102において、サーバ120は、運転フラグがONであると判定した場合、ステップ103へ移行する。一方、サーバ120は、運転フラグがONではない(OFFである)と判定した場合、第二の利用回数加算処理を一旦終了し、ステップS101へ移行する。
【0114】
ステップS103において、サーバ120は、一定期間(本実施形態では、30分間)待機を行う。なお以下では、前記一定期間を待機期間と称する場合がある。サーバ120は、ステップS103の処理を行った後、ステップS104へ移行する。
【0115】
ステップS104において、サーバ120は、待機期間内に対象家電の電力消費を検出したか否かを判定する。サーバ120は、待機期間内に対象家電の電力消費を検出した場合、第二の利用回数加算処理を一旦終了し、ステップS101へ移行する。一方、サーバ120は、待機期間内に対象家電の電力消費を検出しなかった場合、ステップS105へ移行する。
【0116】
ステップS105において、サーバ120は、運転フラグをOFFに設定する。サーバ120は、ステップS105の処理を行った後、第二の利用回数加算処理を一旦終了し、ステップS101へ移行する。
【0117】
ステップS101から移行したステップS106において(すなわち、対象家電の消費電力量が0よりも大きい場合)、サーバ120は、運転フラグがOFFであるか否かを判定する。サーバ120は、運転フラグがOFFであると判定した場合、ステップ107へ移行する。一方、サーバ120は、運転フラグがOFFではない(ONである)と判定した場合、第二の利用回数加算処理を一旦終了し、ステップS101へ移行する。
【0118】
ステップS107において、サーバ120は、対象家電に対応する家電利用カウントに1を加算する。ここで、対象家電に対応する家電利用カウントとは、対象家電の利用回数を判定するための数値である。家電利用カウントは、サーバ120の所定の記憶領域に更新(加算又はリセット)可能に記憶されている。本実施形態では、家電利用カウントは、サーバ120による生活傾向評価メイン処理が実行された後にリセットされ、0となる。また家電利用カウントは、対象家電の利用があるごとに、1が加算される。サーバ120は、ステップS107の処理を行った後、ステップS108へ移行する。
【0119】
ステップS108において、サーバ120は、運転フラグをONに設定する。サーバ120は、ステップS108の処理を行った後、第二の利用回数加算処理を一旦終了し、ステップS101へ移行する。
【0120】
このような第二の利用回数加算処理によれば、対象家電が使用されている場合(ステップS101:YES)、これが、対象家電が運転中ではない状態(運転フラグがOFF)での判断であれば(ステップS106:YES)、対象家電の利用回数に1を加算する(ステップS107)。一方、対象家電が使用されていない場合(ステップS101:NO)、これが、対象家電が運転中である状態(運転フラグがON)での判断であれば(ステップS102:YES)、当該運転中である状態が継続している間(待機期間内)に対象家電の使用(電力消費)があったとしても(ステップS104:YES)、所定の補正条件を満たしたと判断し、対象家電の利用回数に1を加算しない(ステップS101:YES、ステップS106:NO)。
【0121】
こうして例えば、
図9(b)に示すように、電子レンジを稼動させ、食材の加熱を開始した後、暖めが十分であるかを確認するために加熱を停止した場合において、仮に暖めが不十分であって加熱を再開した場合(すなわち、確認のための停止から再開までの間に消費電力量が0となる期間があったとしても、これが待機期間内であれば)、当該再開に基づいて電子レンジの利用回数が加算されない。
【0122】
また複数の食材を加熱する場合に、食材ごとに加熱を行った場合でも、加熱間の期間が待機期間内であれば、電子レンジの利用回数が加算されない。
【0123】
また例えば洗濯機の利用においても、洗濯動作中に洗濯物を追加するために動作を停止した場合や、洗濯コースの選択間違いにより動作を停止した場合でも、次の動作を待機期間内に行えば、洗濯が完了していないにもかかわらず洗濯機の利用回数が加算されない。また例えばテレビの利用においても、利用(視聴)中に誤って電源を切った場合(
図10(a)における6時40分頃参照)に、直ぐに(待機期間内に)電源を入れると、テレビの利用回数が加算されない。
【0124】
このように第二の利用回数加算処理によれば、家電の利用シーンに応じた適切な回数評価を行うことができる。
【0125】
次に以下では、
図12のフローチャートを用いて、サーバ120による第三の利用回数加算処理の実行について説明する。
【0126】
ステップS201において、サーバ120は、検出された対象家電の消費電力量が0よりも大きいか否かを判定する。サーバ120は、検出された対象家電の消費電力量が0よりも大きいと判定した場合、ステップS202へ移行する。一方、サーバ120は、検出された対象家電の消費電力量が0よりも大きくないと判定した場合、第三の利用回数加算処理を一旦終了し、再びステップS201へ移行する。
【0127】
ステップS202において、サーバ120は、検出された対象家電の消費電力が0であるか否かを判定する。サーバ120は、検出された対象家電の消費電力が0である場合、ステップS203へ移行する。ここで、前記検出された対象家電の消費電力が0である場合とは、ステップS201にて判断された消費電力量が0よりも大きい状態(すなわち、対象家電が使用されている状態)が終了したことを示している。一方、サーバ120は、検出された対象家電の消費電力が0ではない場合、第三の利用回数加算処理を一旦終了し、ステップS201へ移行する。ここで、前記検出された対象家電の消費電力が0ではない場合とは、ステップS201にて判断された消費電力量が0よりも大きい状態(すなわち、対象家電が使用されている状態)が継続していることを示している。
【0128】
ステップS203において、サーバ120は、消費電力量が0よりも大きい期間における消費電力の最大値(Wmax)を取得する。すなわち、サーバ120は、対象家電が使用されている状態が終了した場合に、当該状態が継続した期間のうちで消費電力の最大値を取得する。サーバ120は、ステップS203の処理を行った後、ステップS204へ移行する。
【0129】
ステップS204において、サーバ120は、ステップS203にて取得された消費電力の最大値(Wmax)が、所定の閾値Tよりも大きいか否かを判定する。ここで、閾値Tとは、対象家電の使用が、対象者P1による使用ではなく、対象家電の機器の特性による使用(IoT家電におけるデータの送受信や、電子レンジにおける冷却等)であると判断するための閾値である。ここで、対象家電の機器の特性による使用は、対象者P1による使用の場合と比べて一般的に消費電力が小さいものである。そこで、本実施形態では、閾値Tを、対象家電が通常使用される場合の消費電力の最大値の50%の値に設定している。なお閾値Tの設定は、上述の如き値に限定されず、種々の値に設定可能である。
【0130】
こうして、ステップS204において、サーバ120は、Wmaxが閾値Tよりも大きい場合、ステップS205へ移行する。一方、サーバ120は、Wmaxが閾値T以下である場合、第三の利用回数加算処理を一旦終了し、ステップS201へ移行する。
【0131】
ステップS205において、サーバ120は、対象家電に対応する家電利用カウントに1を加算する。サーバ120は、ステップS205の処理を行った後、第三の利用回数加算処理を一旦終了し、ステップS201へ移行する。
【0132】
このような第三の利用回数加算処理によれば、対象家電が使用された場合(ステップS201:YES、ステップS202:YES)に、使用期間内における消費電力の最大値(Wmax)が閾値Tよりも大きい場合(ステップS204:YES)に対象家電の利用回数を加算する(ステップS205)。一方、対象家電が使用された場合(ステップS201:YES、ステップS202:YES)でも、使用期間内における消費電力の最大値(Wmax)が閾値T以下である場合(ステップS204:NO)には所定の補正条件を満たしたと判断し、対象家電の利用回数を加算しない。
【0133】
こうして例えば、
図10(a)に示すテレビの場合、閾値Tを1.2kwとする。この場合に、上述の如く、0時15分頃及び2時15分頃にデータを送受信しているが、データの送受信による消費電力の最大値は1.2kw以下であるため、これらの2回の消費電力に関しては、テレビの利用回数に加算されない。
【0134】
また例えば、利用後に冷却が行われる電子レンジの場合、対象者P1による利用が終了してから所定時間後に(例えば第二の利用回数加算処理における待機期間外に)冷却が行われても、電子レンジの利用回数に加算されない。
【0135】
このように第三の利用回数加算処理によれば、家電の機器の特性に応じた適切な回数評価を行うことができる。
【0136】
以上の如く、本実施形態に係る生活傾向評価システム100において、
前記検出部(電力センサ110・サーバ120)は、前記設備の利用状況として、家電の利用に基づく利用回数を検出可能であり、前記家電の消費電力量が所定の第一閾値(本実施形態では、0)よりも大きい場合に、前回家電の利用回数を加算するものである。
【0137】
このような構成により、家電の利用回数に基づいて、対象者P1の生活傾向を好適に評価することができる。
【0138】
また、本実施形態に係る生活傾向評価システム100において、前記検出部(電力センサ110・サーバ120)は、前記家電の消費電力量が前記所定の第一閾値よりも大きい場合であっても、所定の補正条件を満たした場合は、前回家電の利用回数を加算しないものである。
【0139】
このような構成により、家電の種類に応じて、適切な回数評価を可能とすることができる。
【0140】
また、本実施形態に係る生活傾向評価システム100において、前記所定の補正条件は、前回の前記家電の消費電力量が前記所定の第一閾値よりも大きい場合が終了してから所定の待機期間(本実施形態では、30分間)内に、前記家電の消費電力量が前記所定の第一閾値よりも大きくなった場合を含むものである。
【0141】
このような構成により、家電の利用シーンに応じて、適切な回数評価を可能とすることができる。
【0142】
また、本実施形態に係る生活傾向評価システム100において、前記所定の補正条件は、前記家電の消費電力量が前記所定の第一閾値よりも大きい場合であっても、当該家電の消費電力の最大値が所定の第二閾値(閾値T)以下である場合を含むものである。
【0143】
このような構成により、家電の機器の特性に応じて、適切な回数評価を可能とすることができる。
【0144】
なお、第二及び第三の利用回数加算処理は、必ずしも実行されなくてもよい。また第二及び第三の利用回数加算処理は、必ずしも両方同時に実行される必要はなく、何れか一方だけ実行されてもよい。
【0145】
また、対象家電(第二及び第三の利用回数加算処理の実行の対象となる家電)は、住宅1に設けられた家電の一部又は全部を任意に設定することができる。
【0146】
また、上記実施形態で使用された値(例えば待機期間である30分間等)は、本発明の趣旨に沿って任意に変更することができる。また、所定の補正条件としては、上述の如き条件だけでなく、その他の任意の条件を含むことができる。
【0147】
また、上記実施形態においては、第二及び第三の利用回数加算処理が所定のタイミングで繰り返し実行される(概ねリアルタイムで家電の利用状況を取得できる)としたが、これに限定されない。すなわち、第二及び第三の利用回数加算処理は、上述の如き生活傾向評価処理と同様に、1日が終わった後で(例えば24時を経過し、前日に対して日毎段階評価が実行できるタイミングに)実行してもよい。このように、第二及び第三の利用回数加算処理が実行されるタイミングは、特に限定されない。
【符号の説明】
【0148】
100 生活傾向評価システム
110 電力センサ
120 サーバ
130 端末