(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029055
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】純粋コンデンサアレイ構造に適用される分割型静電容量校正回路
(51)【国際特許分類】
H03M 1/10 20060101AFI20240227BHJP
H03H 1/02 20060101ALI20240227BHJP
H03M 1/80 20060101ALI20240227BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
H03M1/10 B
H03H1/02
H03M1/80
H01L27/04 V
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2023215220
(22)【出願日】2023-12-20
(31)【優先権主張番号】202311595284.9
(32)【優先日】2023-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522499955
【氏名又は名称】四川和芯微電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】IPGoal Microelectronics (Sichuan) Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Rooms 801, 901 and 902, Building 1, No. 33, Jitai Road, High Tech Zone, Chengdu, Sichuan, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】汪 倫
(72)【発明者】
【氏名】郭 向陽
(57)【要約】 (修正有)
【課題】分割型静電容量校正回路を提供する。
【解決手段】校正回路は、純粋コンデンサアレイ構造のスケーリングコンデンサCsに接続される第1補正ユニット、第2補正ユニット及び切替スイッチScを含む。第1補正ユニット及び第2補正ユニットは何れも少なくとも1つのコンデンサを含み、切替スイッチはオン/オフで第1補正ユニット又は第2補正ユニットを選択して純粋コンデンサアレイ構造に接続し、スケーリングコンデンサの誤差が負の数である場合、切替スイッチはオンになり、第1補正ユニットは純粋コンデンサアレイ構造に接続されスケーリングコンデンサに並列接続されてスケーリングコンデンサの負の数の誤差を補正し、スケーリングコンデンサの誤差が正の数である場合、切替スイッチはオフになり、第2補正ユニットは純粋コンデンサアレイ構造に接続されスケーリングコンデンサに直列接続されスケーリングコンデンサの正の数の誤差を補正する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
純粋コンデンサアレイ構造に適用される分割型静電容量校正回路であって、純粋コンデンサアレイ構造の大容量アレイと小容量アレイとの間に設けられており、何れも純粋コンデンサアレイ構造のスケーリングコンデンサに接続される第1補正ユニット、第2補正ユニット及び切替スイッチを含み、前記第1補正ユニット及び第2補正ユニットは何れも少なくとも1つのコンデンサを含み、前記切替スイッチはオン/オフになることで、第1補正ユニット又は第2補正ユニットを選択して前記純粋コンデンサアレイ構造に接続し、前記スケーリングコンデンサの誤差が負の数である場合、前記切替スイッチはオンになり、前記第1補正ユニットは前記純粋コンデンサアレイ構造に接続されるとともに、前記スケーリングコンデンサに並列接続されて、スケーリングコンデンサの負の数の誤差を補正し、前記スケーリングコンデンサの誤差が正の数である場合、前記切替スイッチはオフになり、前記第2補正ユニットは前記純粋コンデンサアレイ構造に接続されるとともに、前記スケーリングコンデンサに直列接続されて、スケーリングコンデンサの正の数の誤差を補正することを特徴とする純粋コンデンサアレイ構造に適用される分割型静電容量校正回路。
【請求項2】
前記第1補正ユニットはn組の第1補正サブユニットを含み、各組の第1補正サブユニットは何れも第1スイッチ、及び2つの完全に同じ第1コンデンサを含み、2つの第1コンデンサ、第1スイッチは何れも直列接続され、何れか1組の第1補正サブユニットの第1スイッチはオンになり、現在組の第1補正サブユニットは前記スケーリングコンデンサに並列接続され、nは負の数の誤差を補正する所定ポジション数であり、且つ1以上の自然数であることを特徴とする請求項1に記載の純粋コンデンサアレイ構造に適用される分割型静電容量校正回路。
【請求項3】
前記小容量コンデンサアレイの総静電容量値と所定補正値との乗積の2倍を基準静電容量値に設定し、第1組の第1補正サブユニットにおける第1静電容量値を基準静電容量値に設定し、他の何れか1組の第1補正サブユニットの第1コンデンサの静電容量値を前の1組の第1補正サブユニットの第1静電容量値と基準静電容量値との和に設定することを特徴とする請求項2に記載の純粋コンデンサアレイ構造に適用される分割型静電容量校正回路。
【請求項4】
前記第2補正ユニットはm組の第2補正サブユニットを含み、各組の第2補正サブユニットは第2スイッチ及び第2コンデンサを含み、第2コンデンサは第2スイッチに直列接続され、何れか1つの組の第2補正サブユニットの第2スイッチはオンになり、現在組の第2補正サブユニットは前記スケーリングコンデンサに直列接続され、mは正の数の誤差を補正する所定ポジション数であり、且つ1以上の自然数であることを特徴とする請求項2に記載の純粋コンデンサアレイ構造に適用される分割型静電容量校正回路。
【請求項5】
スケーリングコンデンサの静電容量値をCsに設定し、第x組の第2補正サブユニットが補正したスケーリングコンデンサCsの誤差をbxに設定し、第x組の第2補正サブユニットの第2コンデンサの静電容量値をCx(1≦x≦m)に設定し、第2コンデンサの静電容量値Cxを演算する数式は、
であることを特徴とする請求項4に記載の純粋コンデンサアレイ構造に適用される分割型静電容量校正回路。
【請求項6】
前記切替スイッチがオフになった場合、各前記第1スイッチは何れもオフになることを特徴とする請求項4に記載の純粋コンデンサアレイ構造に適用される分割型静電容量校正回路。
【請求項7】
前記切替スイッチ、各第1スイッチ及び各第2スイッチは何れもトランスミッションゲート形態のスイッチであることを特徴とする請求項4に記載の純粋コンデンサアレイ構造に適用される分割型静電容量校正回路。
【請求項8】
前記切替スイッチ、各第1スイッチ及び各第2スイッチは何れも同じサイズを有するP型MOSトランジスタ及びN型MOSトランジスタから構成され、P型MOSトランジスタ及びN型MOSトランジスタのソースは共同に接続されてスイッチの1つの入力/出力端を形成し、P型MOSトランジスタ及びN型MOSトランジスタのドレインは共同に接続されてスイッチの別の入力/出力端を形成し、P型MOSトランジスタ及びN型MOSトランジスタのゲートはそれぞれスイッチの制御端を形成することを特徴とする請求項7に記載の純粋コンデンサアレイ構造に適用される分割型静電容量校正回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集積回路の分野に関して、より具体的に純粋コンデンサアレイ構造に適用される分割型静電容量校正回路に関している。
【背景技術】
【0002】
デジタルアナログ変換器はアナログ回路において重要なブリッジ接続作用を発揮し、SAR ADC(successive approximation register、逐次比較ADC)回路の適用は最も幅広い。SAR ADCの構造は抵抗器―抵抗器タイプ、コンデンサ―抵抗器タイプ、コンデンサ―コンデンサタイプがある。抵抗器―抵抗器(純粋抵抗器)タイプは電力の問題のため、めったに使用されなく、コンデンサ―コンデンサ(純粋コンデンサ)タイプは総体コンデンサの面積が大きすぎるため、高精度のADCにおいてめったに使用されなく、最もよく使われるのは両者の間にあるコンデンサ―抵抗器(混合)構造である。
【0003】
コンデンサ―コンデンサ構造の総体コンデンサ面積を無視してはいけないが、速い反応速度及び小さな電力のため、いくつかの重要な場合に重用され、使用過程で、伝統の設計は一般的に、その回路構造にスケーリングコンデンサを追加することで総体コンデンサを低減する。
【0004】
図1は、スケーリングコンデンサを追加した純粋コンデンサアレイ構造と元アレイとの比較図であり、以下の図面中のCsはスケーリングコンデンサである。スケーリングコンデンサCsによってMSB array(大容量アレイ)の全てのコンデンサは2倍の関係に従わない。また、スケーリングコンデンサCsによって、LSB array(小容量アレイ)の全てのコンデンサの加重は元アレイ(以上の図面)と同様である。元アレイの総静電容量値は32C(Cは所定の静電容量値であり、具体的な数値について、ドメイン設計及びコストに基づいて総合的に配慮して設定すればよく、ここで、各コンデンサの間の静電容量値の関係のみを示す)であり、スケーリングコンデンサを改良することで、アレイ全体のコンデンサの大きさは31C/8+Csになる。スケーリングコンデンサCsとLSBアレイとの直列接続組み合わせはMSBアレイの左に接続されなければならなくて、且つLSBアレイの総静電容量値はC/8であるため、
であり、上記の数式の演算によって、スケーリングコンデンサCsの静電容量値は2C/15である。コンデンサアレイ全体の総静電容量値は31C/8+2C/15であり、明らかに、スケーリングコンデンサCsを追加した後、元アレイの総体コンデンサより、総体コンデンサは8倍ほど小さくなり、高精度のSAR ADCにとって、非常に大きな改良であり、アレイ全体のコンデンサ面積を大幅に改良する。
【0005】
ところが、スケーリングCsの追加による改良の欠陥は、スケーリングCsの大きさが一般的にCの非整数倍であることにあり、静電容量のミスマッチの場合を配慮すれば、LSBアレイの最小コンデンサ(最小容量のコンデンサ)も一般的にCの非整数倍であるため、実際の適用過程で、スケーリングコンデンサCsの静電容量値がマッチしがたいので、スケーリングコンデンサCsの静電容量値は一定の誤差が生じて、さらに、LSBアレイの全ての加重値ビット(各コンデンサ)も誤差が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、上記欠陥を克服するために、スケーリングコンデンサを校正でき、純粋コンデンサアレイ構造に適用される分割型静電容量校正回路を提供する必要がある。
【0007】
本発明は、純粋コンデンサアレイ構造に適用される分割型静電容量校正回路を提供することを目的とし、純粋コンデンサアレイにおけるスケーリングコンデンサの誤差に対して高精度の校正を行うことができ、純粋コンデンサアレイ構造においてスケーリングコンデンサの精度誤差による非線形という問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を実現するために、本発明は純粋コンデンサアレイ構造に適用される分割型静電容量校正回路を提供し、純粋コンデンサアレイ構造の大容量アレイと小容量アレイとの間に設けられており、何れも純粋コンデンサアレイ構造のスケーリングコンデンサに接続される第1補正ユニット、第2補正ユニット及び切替スイッチを含み、前記第1補正ユニット及び第2補正ユニットは何れも少なくとも1つのコンデンサを含み、前記切替スイッチはオン/オフになることで、第1補正ユニット又は第2補正ユニットを選択して前記純粋コンデンサアレイ構造に接続し、前記スケーリングコンデンサの誤差が負の数である場合、前記切替スイッチはオンになり、前記第1補正ユニットは前記純粋コンデンサアレイ構造に接続されるとともに、前記スケーリングコンデンサに並列接続されて、スケーリングコンデンサの負の数の誤差を補正し、前記スケーリングコンデンサの誤差が正の数である場合、前記切替スイッチはオフになり、前記第2補正ユニットは前記純粋コンデンサアレイ構造に接続されるとともに、前記スケーリングコンデンサに直列接続されて、スケーリングコンデンサの正の数の誤差を補正する。
【0009】
好ましくは、前記第1補正ユニットはn組の第1補正サブユニットを含み、各組の第1補正サブユニットは何れも第1スイッチ、及び2つの完全に同じ第1コンデンサを含み、2つの第1コンデンサ、第1スイッチは何れも直列接続され、何れか1組の第1補正サブユニットの第1スイッチはオンになり、現在組の第1補正サブユニットは前記スケーリングコンデンサに並列接続され、nは負の数の誤差を補正する所定ポジション数であり、且つ1以上の自然数である。
【0010】
好ましくは、前記小容量コンデンサアレイの総静電容量値と所定補正値との乗積の2倍を基準静電容量値に設定し、第1組の第1補正サブユニットにおける第1静電容量値を基準静電容量値に設定し、他の何れか1組の第1補正サブユニットの第1コンデンサの静電容量値を前の1組の第1補正サブユニットの第1静電容量値と基準静電容量値との和に設定する。
【0011】
好ましくは、前記第2補正ユニットはm組の第2補正サブユニットを含み、各組の第2補正サブユニットは第2スイッチ及び第2コンデンサを含み、第2コンデンサは第2スイッチに直列接続され、何れか1つの組の第2補正サブユニットの第2スイッチはオンになり、現在組の第2補正サブユニットは前記スケーリングコンデンサに直列接続され、mは正の数の誤差を補正する所定ポジション数であり、且つ1以上の自然数である。
【0012】
好ましくは、スケーリングコンデンサの静電容量値をCsに設定し、第x組の第2補正サブユニットが補正したスケーリングコンデンサCsの誤差をbxに設定し、第x組の第2補正サブユニットの第2コンデンサの静電容量値をCx(1≦x≦m)に設定し、第2コンデンサの静電容量値Cxを演算する数式は:
である。
【0013】
好ましくは、前記切替スイッチがオフになった場合、各前記第1スイッチは何れもオフになる。
【0014】
好ましくは、前記切替スイッチ、各第1スイッチ及び各第2スイッチは何れもトランスミッションゲート形態のスイッチである。
【0015】
好ましくは、前記切替スイッチ、各第1スイッチ及び各第2スイッチは何れも同じサイズを有するP型MOSトランジスタ及びN型MOSトランジスタから構成され、P型MOSトランジスタ及びN型MOSトランジスタのソースは共同に接続されてスイッチの1つの入力/出力端を形成し、P型MOSトランジスタ及びN型MOSトランジスタのドレインは共同に接続されてスイッチの別の入力/出力端を形成し、P型MOSトランジスタ及びN型MOSトランジスタのゲートはそれぞれスイッチの制御端を形成する。
【発明の効果】
【0016】
従来技術に対して、本発明の純粋コンデンサアレイ構造に適用される分割型静電容量校正回路には、負の数の誤差を補正する第1補正ユニット、及び正の数誤差を補正する第2補正ユニットが設けられ、前記切替スイッチによって、現在、純粋コンデンサアレイ構造に接続する補正ユニットを選択し、前記第1補正ユニットを選択した場合、前記第1補正ユニットは前記スケーリングコンデンサに並列接続され、これによって、回路における総静電容量値が大きくなり、さらに、スケーリングコンデンサの一部の負の数の誤差を相殺でき、前記第2補正ユニットを選択した場合、前記第2補正ユニットは前記スケーリングコンデンサに直列接続され、これによって、回路における総静電容量値が小さくなり、さらに、スケーリングコンデンサの一部の正の数の誤差を相殺でき、スケーリングコンデンサに対する誤差校正を実現して、純粋コンデンサアレイ構造においてスケーリングコンデンサの精度誤差による非線形という問題を解決する。
【0017】
以下の記載及び図面を結合することで、本発明はより明瞭になり、これらの図面は本発明の実施例を解釈する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】従来技術の純粋コンデンサアレイの構造模式図の一例である。
【
図2】本発明の一実施形態による、純粋コンデンサアレイ構造に適用される分割型静電容量校正回路の構造模式図の一例である。
【
図3】本発明の一実施形態による、純粋コンデンサアレイ構造に適用される分割型静電容量校正回路におけるスイッチの構造模式図の一例である。
【
図4】本発明の純粋コンデンサアレイ構造に適用される分割型静電容量校正回路の1つの実施例の構造模式図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
これから、図面を参照し本発明の実施例を記載し、図面において類似の符号は類似の素子を示す。以上のように、本発明は純粋コンデンサアレイ構造に適用される分割型静電容量校正回路を提供し、純粋コンデンサアレイにおけるスケーリングコンデンサの誤差に対して高精度を校正でき、純粋コンデンサアレイ構造においてスケーリングコンデンサの精度誤差による非線形という問題を解決する。
【0020】
図2を参照し、
図2は、一実施形態による、本発明の純粋コンデンサアレイ構造に適用される分割型静電容量校正回路の構造模式図である。図面に示すように、純粋コンデンサアレイ構造に適用される本実施形態の分割型静電容量校正回路は、純粋コンデンサアレイ構造の大容量アレイと小容量アレイとの間に設けられ、
図2において、コンデンサCmsbは大容量コンデンサアレイに等価し、コンデンサClsbは小容量コンデンサアレイに等価する。前記校正回路は何れも純粋コンデンサアレイ構造のスケーリングコンデンサCsに接続される第1補正ユニット、第2補正ユニット及び切替スイッチScを含み、前記第1補正ユニット及び第2補正ユニットは何れも少なくとも1つのコンデンサを含み、前記切替スイッチScはオン/オフになることで、第1補正ユニット又は第2補正ユニットを選択して前記純粋コンデンサアレイ構造に接続し、前記スケーリングコンデンサCsの誤差が負の数である場合、前記切替スイッチScはオンになり、前記第1補正ユニットは前記純粋コンデンサアレイ構造に接続されるとともに、前記スケーリングコンデンサに並列接続されて、スケーリングコンデンサCsの負の数の誤差を補正し、前記スケーリングコンデンサCsの誤差が正の数である場合、前記切替スイッチScはオフになり、前記第2補正ユニットは前記純粋コンデンサアレイ構造に接続されるとともに、前記スケーリングコンデンサに直列接続されて、スケーリングコンデンサCsの正の数の誤差を補正し、前記切替スイッチScのオン/オフは外部回路によって制御されてもよく、本発明において贅言していない。
【0021】
以上から分かるように、本実施形態の純粋コンデンサアレイ構造に適用される分割型静電容量校正回路において、前記スケーリングコンデンサCsの誤差が負の数である場合、前記切替スイッチScはオンになり、前記第1補正ユニットは前記スケーリングコンデンサに並列接続されるとともに、少なくとも1つのコンデンサを含み、つまり、前記スケーリングコンデンサCsには少なくとも1つのコンデンサが並列接続され、これによって、回路における総静電容量値が大きくなり、さらに、スケーリングコンデンサCsの一部の負の数の誤差を相殺でき、対応するように、前記スケーリングコンデンサCsの誤差が正の数である場合、前記切替スイッチScはオフになり、前記第2補正ユニットは前記スケーリングコンデンサに直列接続されるとともに、少なくとも1つのコンデンサを含み、つまり、前記スケーリングコンデンサCsには少なくとも1つのコンデンサが直列接続され、これによって、回路における総静電容量値が小さくなり、さらに、スケーリングコンデンサの一部の正の数の誤差を相殺でき、スケーリングコンデンサCsに対する誤差校正を実現して、純粋コンデンサアレイ構造においてスケーリングコンデンサCsの精度誤差による非線形という問題を解決する。
【0022】
具体的に、
図2を再び参照し、本実施形態の純粋コンデンサアレイ構造に適用される分割型静電容量校正回路の前記第1補正ユニットはn組の第1補正サブユニットを含み、各組の第1補正サブユニットは第1スイッチSn(Sn1、Sn2……Snn)、及び2つの完全に同じ第1コンデンサCn1(Cn11、Cn21……Cnn1)、Cn2(Cn12、Cn22……Cnn2)を含み、2つの第1コンデンサCn1、Cn2、第1スイッチSnは何れも直列接続され、何れか1組の第1補正サブユニットの第1スイッチはオンになり、現在組の第1補正サブユニットは前記スケーリングコンデンサCsに並列接続され、nは負の数の誤差を補正する所定ポジション数であり、本実施形態において、各第1補正サブユニットには何れも2つの同じ且つ直列接続される第1コンデンサCn1、Cn2が設けられ、2つのコンデンサを直列接続した後、静電容量値がより小さな等価コンデンサを取得し、静電容量値が小さなコンデンサを直接的に使用すれば、静電容量が小さすぎるため、回路全体のミスマッチ係数が大きくて、回路全体の補正精度に影響し、従って、本実施形態において、静電容量値が大きな2つの第1コンデンサCn1、Cn2を直列接続することで、静電容量値がより小さな等価コンデンサを取得し、これによって、ミスマッチという問題を解決するとともに、静電容量値が小さな等価コンデンサを取得し、協働してスケーリングコンデンサCsに対する補正を実現し、nは1以上の自然数である。第1組の第1補正サブユニットを例として、当該補正サブユニットは第1スイッチSn1、2つの第1コンデンサCn11、Cn12を含み、2つの第1コンデンサCn11、Cn12が直列接続された後、第1スイッチSn1に接続され、当前記第1スイッチSn1がオンになった場合、当該第1組の第1補正サブユニットは前記スケーリングコンデンサCsに並列接続され、つまり、前記第1コンデンサCn11、Cn12が直列接続された後、前記スケーリングコンデンサCsに並列接続されるように、前記純粋コンデンサアレイ回路に接続され、これによって、回路に接続される総静電容量値が大きくなり、さらに、スケーリングコンデンサCsの一部の負の数の誤差を相殺できる。具体的に、前記小容量コンデンサアレイの最小容量コンデンサ(
図1の静電容量値がc/8であるコンデンサ)の静電容量値をkに設定し、補正精度係数をaに設定し、そして、前記補正精度係数aと最小容量コンデンサの静電容量値kとの乗積の2倍を基準静電容量値gに設定し、即ち、g=2k*aであり、第1組の第1補正サブユニットにおける第1コンデンサCn11、Cn12の静電容量値は前記基準静電容量値であり、即ち、前記第1コンデンサCn11、Cn12の静電容量値は何れもgであり、他の何れか1組の第1補正サブユニットの第1コンデンサCn1、Cn1の静電容量値は前の1組の第1補正サブユニットの第1静電容量値Cn1、Cn1と基準静電容量値gとの和であり、即ち、第2組の第1補正サブユニットの第1コンデンサCn21、Cn22の静電容量値は2gであり、対応するように、第3組の第1コンデンサCn31、Cn32の静電容量値は3gであり、第n組の第1コンデンサCnn1、Cnn2の静電容量値はngである。
【0023】
さらに、
図4を結合して参照し、4(即ち、n=4)組の第1補正サブユニットが設けられることを例として、第1補正ユニットによる、スケーリングコンデンサCsの負の数の誤差補正を説明し、切替スイッチSc及び第1スイッチS41がオンになり、第1スイッチS42、S43、S4がオフになった場合、スケーリングコンデンサCsには0.5gのコンデンサ、総静電容量値が0.5g増加した(第1コンデンサCn11、Cn12が直列接続された後のコンデンサ)コンデンサが並列接続され、切替スイッチSc及び第1スイッチS42がオンになり、第1スイッチS41、S43、S44がオフになった場合、スケーリングコンデンサCsには、1g(第1コンデンサCn21、Cn22が直列接続された後のコンデンサ)のコンデンサ、総静電容量値が1g増加したコンデンサが並列接続され、切替スイッチSc及び第1スイッチS43がオンになり、第1スイッチS41、S42、S44がオフになった場合、スケーリングコンデンサCsには、1.5g(第1コンデンサCn31、Cn32が直列接続された後のコンデンサ)のコンデンサ、総静電容量値が1.5g増加したコンデンサが並列接続され、切替スイッチSc及び第1スイッチS44がオンになり、第1スイッチS41、S42、S43がオフになった場合、スケーリングコンデンサCsには、2g(第1コンデンサCn41、Cn42が直列接続された後のコンデンサ)のコンデンサ、総静電容量値が2g増加したコンデンサが並列接続される。以上のように、4組の第1補正サブユニットが設けられる第1補正ユニット構造の調整可能な静電容量値の範囲はa*k-4a*kであり、補正する静電容量値の精度はa*kである。明らかに、前記スケーリングコンデンサCsに並列接続される第1補正サブユニットが多いほど(nの値が大きいほど)、校正範囲が高く、無論、補正の精度は何れも不変であり、従って、適用過程で、実際状況に応じて適切なnの値を選択して、適切な校正範囲を取得し、本発明において具体的に限定していない。
【0024】
また、
図2に示すように、本実施形態において、前記第2補正ユニットはm組の第2補正サブユニットを含み、mは1以上の自然数であり、各組の第2補正サブユニットは第2スイッチSm(Sm1、Sm2……Smm)及び第2コンデンサCm(Cm1、Cm2……Cmm)を含み、第2スイッチSmは第2コンデンサCmに直列接続され、何れか1組の第2補正サブユニットの第2スイッチSmはオンになり、現在組の第2補正サブユニットは前記スケーリングコンデンサCsに直列接続され、mは正の数の誤差を補正する所定ポジション数であり、且つ1以上の自然数である。第1組の第2補正サブユニットを例として、当該補正サブユニットは第2スイッチSm1、第2コンデンサCm1を含み、前記第2スイッチSm1がオンになった場合、当該第1組の第2補正サブユニットは前記スケーリングコンデンサCsに並列接続され、つまり、前記第2コンデンサCm1は前記スケーリングコンデンサCsに直列接続されるように、前記純粋コンデンサアレイ回路に接続され、これによって、回路に接続される総静電容量値が小さくなり、さらに、スケーリングコンデンサCsの一部の正の数の誤差を相殺できる。具体的に、スケーリングコンデンサCsの静電容量値をCsに設定し、第x組の第2補正サブユニットが補正したスケーリングコンデンサCsの誤差をbxに設定し、第x組の第2補正サブユニットの第2コンデンサCmxの静電容量値をCx(1≦x≦m)に設定し、何れか1組の第2補正サブユニットの第2コンデンサCmxの静電容量値Cxを演算する数式は、
である。このように、当該数式によって、各組の第2補正サブユニットから適切な静電容量値を有する第2コンデンサCmを選択すれば、所定誤差値に従って前記スケーリングコンデンサCsに対して誤差補正を行うことができる。
【0025】
具体的に、
図4を結合して参照し、例を挙げて前記第2補正ユニットの補正過程を説明し、スケーリングコンデンサCsは、小容量コンデンサアレイの最小容量コンデンサの静電容量値kに近いため、補正過程で、Cs=kを仮にするとともに、基準補正誤差をhに設定し、且つh=bx/x=b1であり、4(即m=4)組の第2補正サブユニットが設けられることを例として、第2補正ユニットによる、スケーリングコンデンサCsの正の数の誤差補正を説明し、各ポジションの誤差がそれぞれh、2h、3h、4hである場合、対応するスケーリングコンデンサCsの静電容量値と誤差静電容量値との和はそれぞれk+h、k+2h、k+3h、k+4hであり、具体的に、第1ポジションの誤差がh(誤差b1)である場合、(x=1)であり、第2スイッチSm1はオンになり、切替スイッチSc及第2スイッチSm2、Sm3、Sm4はオフになり、回路におけるコンデンサは、静電容量値がk+hであるコンデンサと、静電容量値がk/h(数式(1)によって演算することで取得できる)である第2コンデンサCm1とが直列接続された後、形成されるコンデンサであり、直列接続された後、取得される等価コンデンサの静電容量値は1/[1/(k+h)+h/k]であり、第2ポジションの誤差が2h(誤差b2)である場合、(x=2)であり、第2スイッチSm2はオンになり、切替スイッチSc及び第2スイッチSm1、Sm3、Sm4はオフになり、回路におけるンデンサは、静電容量値がk+2hであるコンデンサと、静電容量値がk/2h(数式(1)によって演算することで取得できる)である第2コンデンサCm2とが直列接続された後、形成されるコンデンサであり、直列接続された後、取得される等価コンデンサの静電容量値は1/[1/(k+2h)+2h/k]であり、第3ポジションの誤差が3h(誤差b3)である場合、(x=3)であり、第2スイッチSm3はオンになり、切替スイッチSc及び第2スイッチSm1、Sm2、Sm4はオフになり、回路におけるコンデンサは、静電容量値がk+3hであるコンデンサと、静電容量値がk/3h(数式(1)によって演算することで取得できる)である第2コンデンサCm3とが直列接続されて形成されるコンデンサであり、直列接続で得られる等価コンデンサの静電容量値は1/[1/(k+3h)+3b/k]であり、第4ポジションの誤差が4h(誤差b4)である場合、(x=4)であり、第2スイッチSm4はオンになり、切替スイッチSc及び第2スイッチSm1、Sm2、Sm3はオフになり、回路におけるコンデンサは、静電容量値がk+4hであるコンデンサと、静電容量値がk/4h(数式(1)によって演算することで取得できる)である第2コンデンサCm4とが直列接続されて形成されるコンデンサであり、直列接続で得られる等価コンデンサの静電容量値は1/[1/(k+4h)+4b/k]であり、以上の4組の第2補正サブユニットに対する演算から分かるように、直列接続されて得られる何れか1組の等価コンデンサの静電容量値は何れもkより小さく、且つ具体的に、kより小さな数値は、選択したポジション(xの具体的な値)に関連し、当該ポジションはスケーリングコンデンサCsの誤差の大きさに対応し、従って、当該ポジションに対応する第2補正サブユニットを前記純粋コンデンサアレイ構造に接続することで、スケーリングコンデンサCsの誤差を補正でき、さらに、スケーリングコンデンサCsに対してh-m*h範囲内の補正を行って、補正する静電容量の精度はhである。明らかに、前記スケーリングコンデンサCsに直列接続される第2補正サブユニットが多いほど(mの値が大きいほど)、校正の範囲が高く、無論、補正の精度は何れも不変であり、従って、適用過程で、実際状況に基づいて適切なmの値を選択して、適切な校正範囲を取得し、本発明において具体的に限定していない。
【0026】
また、各前記第1補正サブユニットと前記スケーリングコンデンサCsとは何れも並列接続関係にあり、各前記第2補正サブユニットと前記スケーリングコンデンサCsとは何れも直列接続関係にあるため、前記切替スイッチがオフになって、前記第2補正ユニットを選択した場合、各前記第1スイッチSn(Sn1、Sn2……Snn)は何れもオフになり、前記第2補正サブユニットへの影響を回避する。
【0027】
本発明の好適な実施形態として、前記切替スイッチ、各第1スイッチ及び各第2スイッチが含まれる、本発明における全てのスイッチは何れもトランスミッションゲート形態のスイッチであり、これによって、電荷注入による非線形という問題を解決し、具体的に、
図3に示すように、各スイッチは同じサイズを有するP型MOSトランジスタ及びN型MOSトランジスタから構成され、P型MOSトランジスタ及びN型MOSトランジスタのソースは共同に接続されてスイッチの1つの入力/出力端Vinを形成し、P型MOSトランジスタ及びN型MOSトランジスタのドレインは共同に接続されてスイッチの別の入力/出力端Voutを形成し、P型MOSトランジスタ及びN型MOSトランジスタのゲート(CT、CTN)はスイッチの制御端を形成する。また、本発明において、各スイッチの制御に対して、補正作業員が人工で一つずつ制御してもよいし、外部の制御回路によって実現してもよく、具体的な制御形態について、本発明は限定していなく、ポジションに基づいて一つずつ制御すればよい。
【0028】
以上、最適な実施例を結合して本発明を記載したが、本発明は以上に開示された実施例に限定されず、本発明の本質による各種の補正、同等組み合わせをカバーすべきである。