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特開2024-2909半導体モジュール、半導体チップ及び半導体モジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002909
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】半導体モジュール、半導体チップ及び半導体モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20231228BHJP
   H01L 25/00 20060101ALI20231228BHJP
   H04B 5/48 20240101ALI20231228BHJP
【FI】
H01L27/04 E
H01L25/00 B
H01L27/04 U
H01L27/04 L
H04B5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074439
(22)【出願日】2023-04-28
(62)【分割の表示】P 2022101726の分割
【原出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】522485073
【氏名又は名称】株式会社Premo
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】辻 秀典
(72)【発明者】
【氏名】宮本 淳太
【テーマコード(参考)】
5F038
5K012
【Fターム(参考)】
5F038AZ04
5F038AZ07
5F038BE09
5F038CA05
5F038CD02
5F038CD04
5F038DF04
5F038EZ07
5K012AA01
5K012AA03
5K012AB03
5K012AC06
5K012AC07
5K012AC08
5K012AC10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より容易に製造することが可能な半導体モジュール、半導体チップ及び半導体モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】第1の半導体チップ1aと、第1の半導体チップと接合又は当接される基板100と、を備える半導体モジュールであって、基板100は、正極電極が露出した正極電源供給エリア52と、負極電極が露出した負極電源供給エリア51と、を備える。第1の半導体チップは、プロセッサと、他の半導体チップと無線通信を行うためのコイルと、正極電源供給エリアと接合又は当接する第1の正極電源端子62aと、負極電源供給エリアと接合又は当接する第1の負極電源端子61aと、を備える。正極電源供給エリアと負極電源供給エリアの少なくとも一方の面積は、正極電源端子と負極電源端子の少なくとも一方の端部の面積よりも広い。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の半導体チップと、前記第1の半導体チップと接合又は当接される素材と、を備える
半導体モジュールであって、
前記素材は、正極電極が露出した正極電源供給エリアと、負極電極が露出した負極電源供
給エリアと、を備え、
前記第1の半導体チップは、プロセッサと、他の半導体チップと無線通信を行うためのコ
イルと、前記正極電源供給エリアと接合又は当接する第1の正極電源端子と、前記負極電
源供給エリアと接合又は当接する第1の負極電源端子と、を備え、
前記正極電源供給エリアと前記負極電源供給エリアの少なくとも一方の面積は、前記正極
電源端子と前記負極電源端子の少なくとも一方の端部の面積よりも広いことを特徴とする
半導体モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体モジュールであって、
前記素材に設けられる前記正極電源供給エリアと前記負極電源供給エリアの間の距離は、
前記正極電源端子と前記負極電源端子の間の距離も短いことを特徴とする半導体モジュー
ル。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体モジュールであって、
前記第1の半導体チップは、前記素材側の第一面に前記第1の正極電源端子及び前記第1
の負極電源端子を備え、前記第一面と反対側の第二面に正極電極が露出した第1の正極エ
リア及び負極電極が露出した第1の負極エリアを備えることを特徴とする半導体モジュー
ル。
【請求項4】
請求項3に記載の半導体モジュールであって、
前記第1の半導体チップは、前記第1の正極電源端子と第1の正極エリアとを電気的に接
続する正極導電部と、前記第1の負極電源端子と第1の負極エリアとを電気的に接続する
負極導電部と、をさらに備えることを特徴とする半導体モジュール。
【請求項5】
請求項3に記載の半導体モジュールであって、
プロセッサと、前記第1の半導体チップと無線通信を行うためのコイルと、第1の正極エ
リアと接合又は当接する第2の正極電源端子と、前記第1の負極エリアと接合又は当接す
る第2の負極電源端子と、を有する第2の半導体チップを更に備え、
前記第2の半導体チップは、前記第1の半導体チップの前記第二面側に配置されることを
特徴とする半導体モジュール。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体モジュールであって、
前記第1の半導体チップは、前記素材とは逆側の第二面に前記第1の正極電源端子と、前
記第1の負極電源端子と、正極電極が露出した第1の正極エリアと、負極電極が露出した
第1の負極エリアを備えることを特徴とする半導体モジュール。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体モジュールであって、
プロセッサと、前記第1の半導体チップと無線通信を行うためのコイルと、第1の正極エ
リアと接合又は当接する第2の正極電源端子と、前記第1の負極エリアと接合又は当接す
る第2の負極電源端子と、を有する第2の半導体チップを更に備え、
前記第2の半導体チップは、前記第1の半導体チップの前記第二面側に配置されることを
特徴とする半導体モジュール。
【請求項8】
1つ又は複数の半導体チップと、前記半導体チップと接合される素材と、を備える半導体
モジュールであって、
前記半導体チップは、プロセッサと、他の半導体チップと通信を行うためのコイルと、第
1面に設けられる正極電源端子と、前記第1面と反対側の第2面に設けられる負極電源端
子と、を備え、
前記素材は、前記半導体チップの前記正極電源端子と接続する正極電源供給エリアを備え
る第一素材と、前記半導体チップの前記負極電源端子と接続する負極電源供給エリアを備
える第二素材と、を備え、
前記第一素材と前記第二素材は、前記複数の半導体チップを挟み込むように配置されるこ
とを特徴とする半導体モジュール。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体モジュールであって、
前記正極電源供給エリアと前記負極電源供給エリアの少なくとも一方の面積は、前記正極
電源端子と前記負極電源端子の少なくとも一方の端部の面積よりも広いことを特徴とする
半導体モジュール。
【請求項10】
半導体チップであって、
プロセッサと、
他の半導体チップと無線通信を行うためのコイルと、
前記プロセッサの駆動電力を前記半導体チップの外部から得る正極電源端子と負極電源端
子と、を備え、
前記半導体チップの有する端子は、前記正極電源端子と前記負極電源端子のみで構成され
、前記他の半導体チップとの通信は前記コイルを介した無線通信により行われることを特
徴とする半導体チップ。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体チップであって、
前記正極電源端子及び前記負極電源端子は、前記半導体チップの一方側の第一面に配置さ
れ、
前記半導体チップの前記第一面と反対側の第二面に、電極が解放している正極エリアと負
極エリアを備えることを特徴とする半導体チップ。
【請求項12】
請求項11に記載の半導体チップであって、
前記正極電源端子と前記正極エリアとを電気的に接続する正極導電部と、前記負極電源端
子と前記負極エリアとを電気的に接続する負極導電部と、をさらに備えることを特徴とす
る半導体チップ。
【請求項13】
請求項10に記載の半導体チップであって、
前記電源端子は、前記半導体チップの一方側の第一面に、前記電源端子及び電極が解放し
ている電極エリアを備えることを特徴とする半導体チップ。
【請求項14】
請求項11又は13に記載の半導体チップであって、
前記電極エリアは、前記他の半導体チップの前記電源端子と電気的に接続されて、前記半
導体チップの外部から得る電力を前記他の半導体チップへ供給することを特徴とする半導
体チップ。
【請求項15】
半導体チップであって、
プロセッサと、
他の半導体チップと無線通信を行うためのコイルと、
前記半導体チップの一方側の第1面に設けられ、前記プロセッサの駆動電力を前記半導体
チップの外部から得る正極電源端子と、
前記第1面と反対側の第2面に設けられる負極電源端子と、
を備えることを特徴とする半導体チップ。
【請求項16】
1つ又は複数の半導体チップと、前記複数の半導体チップと接合又は当接される素材と、
を備える半導体モジュールの製造方法であって、
前記素材の表面に、正極導電体が露出した正極電源供給エリアと、負極導電体が露出した
負極電源供給エリアと、を設ける工程と、
前記半導体チップの正極電源端子が前記正極電源供給エリアと当接し、かつ前記半導体チ
ップの負極電源端子が前記負極電源供給エリアと当接する位置に前記半導体チップを配置
する工程と、
前記正極電源供給エリアと前記負極電源供給エリアを硬化させる工程と、を備えることを
特徴とする半導体モジュールの製造方法。
【請求項17】
1つ又は複数の半導体チップと、前記複数の半導体チップと接合又は当接される素材と、
を備える半導体モジュールの製造方法であって、
前記素材の表面に、粘着性を有し正極導電体が露出した正極電源供給エリアと、粘着性を
有し負極導電体が露出した負極電源供給エリアと、を設ける工程と、
前記半導体チップの正極電源端子が前記正極電源供給エリアと当接し、かつ前記半導体チ
ップの負極電源端子が前記負極電源供給エリアと当接する位置に前記半導体チップを配置
する工程と、
前記正極電源供給エリアと前記負極電源供給エリアの粘着力を低下させる工程と、を備え
ることを特徴とする半導体モジュールの製造方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体モジュール、半導体チップ及び半導体モジュールの製造方法に関する
【背景技術】
【0002】
従来、複数の半導体チップを1つのパッケージ内に集積する半導体チップモジュールに
おいては、集積する複数の半導体チップ間の信号伝送に、ワイヤボンディングやシリコン
インタポーザなどを利用した有線による信号伝送が行われていた。このような有線での信
号伝送を行う半導体チップモジュールは、数千本の通信線を半導体チップと基板の間で接
続する必要があり、半導体チップを高い精度で基板上の所定位置に接着させる必要があり
、製造が容易ではないという課題があった。特許文献1には、上記した課題に対して、有
線の通信線に替えて、コイルを用いた無線通信を利用することで半導体チップと基板間の
通信線の数を低減する技術が提案されている。
【0003】
しかし、複数の半導体チップ間の信号伝送を無線通信により行い、通信線を利用しない場
合であっても、複数の半導体チップを機能させるには、各半導体チップへ電力を供給する
ために、基板と半導体チップを有線の電力線で接続する必要がある。そのため、半導体チ
ップを基板上の電力供給可能な所定位置に接着させる必要があり、従来と同様に、半導体
チップを高い精度で基板上の所定位置に接着させる必要があり、製造が容易ではないとい
う課題が残されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-87044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の情報処理装置では、より容易に製造できるようにす
るための半導体チップへ電力供給ラインの実装方法については考慮されていなかった。
【0006】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、より容易に製造することが可能
な半導体モジュール、半導体チップ及び半導体モジュールの製造方法を提供することを目
的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一つは、第1の半導体チップと、前記第1の半導体
チップと接合又は当接される素材と、を備える半導体モジュールであって、前記素材は、
正極電極が露出した正極電源供給エリアと、負極電極が露出した負極電源供給エリアと、
を備え、前記第1の半導体チップは、プロセッサと、他の半導体チップと無線通信を行う
ためのコイルと、前記正極電源供給エリアと接合又は当接する第1の正極電源端子と、前
記負極電源供給エリアと接合又は当接する第1の負極電源端子と、を備え、前記正極電源
供給エリアと前記負極電源供給エリアの少なくとも一方の面積は、前記正極電源端子と前
記負極電源端子の少なくとも一方の端部の面積よりも広いことを特徴とする。
【0008】
あるいは、上記課題を解決するための本発明の一つは、1つ又は複数の半導体チップと、
前記半導体チップと接合される素材と、を備える半導体モジュールであって、前記半導体
チップは、プロセッサと、他の半導体チップと通信を行うためのコイルと、第1面に設け
られる正極電源端子と、前記第1面と反対側の第2面に設けられる負極電源端子と、を備
え、前記素材は、前記半導体チップの前記正極電源端子と接続する正極電源供給エリアを
備える第一素材と、前記半導体チップの前記負極電源端子と接続する負極電源供給エリア
を備える第二素材と、を備え、前記第一素材と前記第二素材は、前記複数の半導体チップ
を挟み込むように配置されることを特徴とする。
【0009】
あるいは、上記課題を解決するための本発明の一つは、半導体チップであって、プロセ
ッサと、他の半導体チップと無線通信を行うためのコイルと、前記プロセッサの駆動電力
を前記半導体チップの外部から得る正極電源端子と負極電源端子と、を備え、前記半導体
チップの有する端子は、前記正極電源端子と前記負極電源端子のみで構成され、前記他の
半導体チップとの通信は前記コイルを介した無線通信により行われることを特徴とする半
導体チップ。
【0010】
あるいは、上記課題を解決するための本発明の一つは、半導体チップであって、プロセ
ッサと、他の半導体チップと無線通信を行うためのコイルと、前記半導体チップの一方側
の第1面に設けられ、前記プロセッサの駆動電力を前記半導体チップの外部から得る正極
電源端子と、前記第1面と反対側の第2面に設けられる負極電源端子と、を備えることを
特徴とする。
【0011】
あるいは、上記課題を解決するための本発明の一つは、1つ又は複数の半導体チップと
、前記複数の半導体チップと接合又は当接される素材と、を備える半導体モジュールの製
造方法であって、前記素材の表面に、正極導電体が露出した正極電源供給エリアと、負極
導電体が露出した負極電源供給エリアと、を設ける工程と、前記半導体チップの正極電源
端子が前記正極電源供給エリアと当接し、かつ前記半導体チップの負極電源端子が前記負
極電源供給エリアと当接する位置に前記半導体チップを配置する工程と、前記正極電源供
給エリアと前記負極電源供給エリアを硬化させる工程と、を備えることを特徴とする半導
体モジュール。
【0012】
あるいは、上記課題を解決するための本発明の一つは、1つ又は複数の半導体チップと
、前記複数の半導体チップと接合又は当接される素材と、を備える半導体モジュールの製
造方法であって、前記素材の表面に、粘着性を有し正極導電体が露出した正極電源供給エ
リアと、粘着性を有し負極導電体が露出した負極電源供給エリアと、を設ける工程と、前
記半導体チップの正極電源端子が前記正極電源供給エリアと当接し、かつ前記半導体チッ
プの負極電源端子が前記負極電源供給エリアと当接する位置に前記半導体チップを配置す
る工程と、前記正極電源供給エリアと前記負極電源供給エリアの粘着力を低下させる工程
と、を備えることを特徴とする。
【0013】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面に
より明らかにされる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、より容易に半導体チップ及び半導体チップモジュールを製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態である半導体チップのハード構成例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態であるセンシング部30と通信部40を実装する一例としてコイル70を適用した構成図である。
図3】本発明の一実施形態である半導体チップの機能構成を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態である処理の流れを説明する制御フロー図である。
図5】本発明の一実施形態である半導体チップを基板に実装する第一の実装例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態である半導体チップに複数レベルの電圧を供給する場合の半導体チップの構成図である。
図7】本発明の一実施形態である半導体チップに複数レベルの電圧を供給する場合の第一の実装例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態である半導体チップを基板に実装する第三の実装例を示す図である。
図9】本発明の一実施形態である半導体チップを基板に実装する第四の実装例を示す図である。
図10】本発明の一実施形態である半導体チップを基板に実装する第五の実装例を示す図である。
図11】本発明の一実施形態である半導体チップを基板に実装する第六の実装例を示す図である。
図12】本発明の一実施形態である半導体チップを基板に実装する第七の実装例を示す図である。
図13】本発明の一実施形態である半導体チップを基板に実装する第八の実装例を示す図である。
図14】本発明の一実施形態である半導体チップモジュールの製造工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<発明の概要>
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、たとえば、以下のような構成
を備える。
[項目1]
第1の半導体チップと、前記第1の半導体チップと接合又は当接される素材と、を備える
半導体モジュールであって、
前記素材は、正極電極が露出した正極電源供給エリアと、負極電極が露出した負極電源供
給エリアと、を備え、
前記第1の半導体チップは、プロセッサと、他の半導体チップと無線通信を行うためのコ
イルと、前記正極電源供給エリアと接合又は当接する第1の正極電源端子と、前記負極電
源供給エリアと接合又は当接する第1の負極電源端子と、を備え、
前記正極電源供給エリアと前記負極電源供給エリアの少なくとも一方の面積は、前記正極
電源端子と前記負極電源端子の少なくとも一方の端部の面積よりも広いことを特徴とする
半導体モジュール。
[項目2]
項目1に記載の半導体モジュールであって、
前記素材に設けられる前記正極電源供給エリアと前記負極電源供給エリアの間の距離は、
前記正極電源端子と前記負極電源端子の間の距離よりも短いことを特徴とする半導体モジ
ュール。
[項目3]
項目1又は2に記載の半導体モジュールであって、
前記第1の半導体チップは、前記素材側の第一面に前記第1の正極電源端子及び前記第1
の負極電源端子を備え、前記第一面と反対側の第二面に正極電極が露出した第1の正極エ
リア及び負極電極が露出した第1の負極エリアを備えることを特徴とする半導体モジュー
ル。
[項目4]
項目3に記載の半導体モジュールであって、
前記第1の半導体チップは、前記第1の正極電源端子と第1の正極エリアとを電気的に接
続する正極導電部と、前記第1の負極電源端子と第1の負極エリアとを電気的に接続する
負極導電部と、をさらに備えることを特徴とする半導体モジュール。
[項目5]
項目3に記載の半導体モジュールであって、
プロセッサと、前記第1の半導体チップと無線通信を行うためのコイルと、第1の正極エ
リアと接合又は当接する第2の正極電源端子と、前記第1の負極エリアと接合又は当接す
る第2の負極電源端子と、を有する第2の半導体チップを更に備え、
前記第2の半導体チップは、前記第1の半導体チップの前記第二面側に配置されることを
特徴とする半導体モジュール。
[項目6]
項目1又は2に記載の半導体モジュールであって、
前記第1の半導体チップは、前記素材とは逆側の第二面に前記第1の正極電源端子と、前
記第1の負極電源端子と、正極電極が露出した第1の正極エリアと、負極電極が露出した
第1の負極エリアを備えることを特徴とする半導体モジュール。
[項目7]
項目6に記載の半導体モジュールであって、
プロセッサと、前記第1の半導体チップと無線通信を行うためのコイルと、第1の正極エ
リアと接合又は当接する第2の正極電源端子と、前記第1の負極エリアと接合又は当接す
る第2の負極電源端子と、を有する第2の半導体チップを更に備え、
前記第2の半導体チップは、前記第1の半導体チップの前記第二面側に配置されることを
特徴とする半導体モジュール。
[項目8]
1つ又は複数の半導体チップと、前記半導体チップと接合される素材と、を備える半導体
モジュールであって、
前記半導体チップは、プロセッサと、他の半導体チップと通信を行うためのコイルと、第
1面に設けられる正極電源端子と、前記第1面と反対側の第2面に設けられる負極電源端
子と、を備え、
前記素材は、前記半導体チップの前記正極電源端子と接続する正極電源供給エリアを備え
る第一素材と、前記半導体チップの前記負極電源端子と接続する負極電源供給エリアを備
える第二素材と、を備え、
前記第一素材と前記第二素材は、前記複数の半導体チップを挟み込むように配置されるこ
とを特徴とする半導体モジュール。
[項目9]
項目8に記載の半導体モジュールであって、
前記正極電源供給エリアと前記負極電源供給エリアの少なくとも一方の面積は、前記正極
電源端子と前記負極電源端子の少なくとも一方の端部の面積よりも広いことを特徴とする
半導体モジュール。
[項目10]
半導体チップであって、
プロセッサと、
他の半導体チップと無線通信を行うためのコイルと、
前記プロセッサの駆動電力を前記半導体チップの外部から得る正極電源端子と負極電源端
子と、を備え、
前記半導体チップの有する端子は、前記正極電源端子と前記負極電源端子のみで構成され
、前記他の半導体チップとの通信は前記コイルを介した無線通信により行われることを特
徴とする半導体チップ。
[項目11]
項目10に記載の半導体チップであって、
前記正極電源端子及び前記負極電源端子は、前記半導体チップの一方側の第一面に配置さ
れ、
前記半導体チップの前記第一面と反対側の第二面に、電極が解放している正極エリアと負
極エリアを備えることを特徴とする半導体チップ。
[項目12]
請求項11に記載の半導体チップであって、
前記正極電源端子と前記正極エリアとを電気的に接続する正極導電部と、前記負極電源端
子と前記負極エリアとを電気的に接続する負極導電部と、をさらに備えることを特徴とす
る半導体チップ。
[項目13]
項目10に記載の半導体チップであって、
前記電源端子は、前記半導体チップの一方側の第一面に、前記電源端子及び電極が解放し
ている電極エリアを備えることを特徴とする半導体チップ。
[項目14]
請求項11又は3に記載の半導体チップであって、
前記電極エリアは、前記他の半導体チップの前記電源端子と電気的に接続されて、前記半
導体チップの外部から得る電力を前記他の半導体チップへ供給することを特徴とする半導
体チップ。
[項目15]
半導体チップであって、
プロセッサと、
他の半導体チップと無線通信を行うためのコイルと、
前記半導体チップの一方側の第1面に設けられ、前記プロセッサの駆動電力を前記半導体
チップの外部から得る正極電源端子と、
前記第1面と反対側の第2面に設けられる負極電源端子と、
を備えることを特徴とする半導体チップ。
[項目16]
1つ又は複数の半導体チップと、前記複数の半導体チップと接合又は当接される素材と、
を備える半導体モジュールの製造方法であって、
前記素材の表面に、正極導電体が露出した正極電源供給エリアと、負極導電体が露出した
負極電源供給エリアと、を設ける工程と、
前記半導体チップの正極電源端子が前記正極電源供給エリアと当接し、かつ前記半導体チ
ップの負極電源端子が前記負極電源供給エリアと当接する位置に前記半導体チップを配置
する工程と、
前記正極電源供給エリアと前記負極電源供給エリアを硬化させる工程と、を備えることを
特徴とする半導体モジュールの製造方法。
[項目17]
1つ又は複数の半導体チップと、前記複数の半導体チップと接合又は当接される素材と、
を備える半導体モジュールの製造方法であって、
前記素材の表面に、粘着性を有し正極導電体が露出した正極電源供給エリアと、粘着性を
有し負極導電体が露出した負極電源供給エリアと、を設ける工程と、
前記半導体チップの正極電源端子が前記正極電源供給エリアと当接し、かつ前記半導体チ
ップの負極電源端子が前記負極電源供給エリアと当接する位置に前記半導体チップを配置
する工程と、
前記正極電源供給エリアと前記負極電源供給エリアの粘着力を低下させる工程と、を備え
ることを特徴とする半導体モジュールの製造方法。
【0017】
<ハードウェア>
図1は、本発明の一実施形態である半導体チップのハード構成例を示す。半導体チップ
1は、プロセッサ10とセンシング部30と通信部40とを備え、プロセッサ10はメモ
リ20を備える。センシング部30は、半導体チップが配備された環境に応じた計測値を
計測する。プロセッサ10は、センシング部30で計測した計測値を受信してメモリ20
に記録し、測定値を計算ロジックに与えることで環境値を算出する。環境値とは、半導体
チップが配備された環境の状態を示す値である。プロセッサ10は、算出した環境値をメ
モリ20に記録する。また、半導体チップ1は、更に電源ライン60を有し、外部の電源
50からの電力をプロセッサ10とセンシング部30と通信部40に供給する。
【0018】
図2は、センシング部30と通信部40を実装する一例としてコイル70を適用したハ
ード構成例を示す。図2に示す例では、半導体チップをペアで用いた例を示しており、半
導体チップは、プロセッサ(10a, 10b)と、プロセッサ内に設けられたメモリ(20a, 20b
)と、プロセッサと通信可能に接続された送受信回路(80a, 80b)と、送受信回路と接続
されたコイル(30a, 30b)と、プロセッサと送受信回路に電力を供給するための負極側の
第1の電源端子(61a、61b)と、正極側の第2の電源端子(62a、62b)とを備え
ている。
【0019】
図2に示す隣接して配置される2つの半導体チップ(1a, 1b)は、それぞれコイル(70a,
70b)とコイルに流れる信号を生成する送受信回路(80a, 80b)を備えることで、隣接す
る他の半導体チップのコイル70と誘導結合により互いに信号を送受信することができる
。また、2つの半導体チップのコイル(70a, 70b)同士の相対距離や相対角度が変化する
ことにより、誘導結合の結合強度が変化し、コイルに発生する電圧値又は電圧の振幅値が
変化する。本実施形態では、送受信回路がコイルに発生する電圧値又は電圧の振幅値を検
出することで、プロセッサ10は、検出した電圧値又は電圧の振幅値を計測値として取得
し、半導体チップ同士の相対距離や相対角度を変化させる環境変化を環境値として算出す
ることができる。メモリ20は、算出された環境値を記録する。
【0020】
本実施形態の半導体チップは、複数の環境値の種類のそれぞれについて計算ロジックを
記憶しており、同じ計測値から複数種類の環境値を計算し得る。半導体チップは、指定さ
れた種類に対応する計算ロジックを用いることにより、同じセンサの計測値(コイル30
が測定した電圧)に基づいて異なる種類の環境値を求めることができる。また、図1に示
すプロセッサとセンシング部と通信部を分離不能に半導体チップ上に実装することにより
、本実施形態における半導体チップをCPUで構成することができる。その場合の半導体チ
ップの直径を、例えば0.3mm程度とすることができ、半導体チップを小型化することがで
きる。なお、このサイズに限定されるものではない。例えば、プロセッサとセンシング部
と通信部は、分離不能に、半導体チップ上(1チップ上)に実装されうる。ここで、半導
体チップとは、電子回路が組み込まれたシリコンの小さな薄片(シリコンダイ、又はダイ
)と定義する。あるいは、場合によっては、シリコンダイを封止したパッケージと定義す
ることも可能である。
【0021】
<ソフトウェア>
図3は、半導体チップの機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、半導体
チップは、取得部111と、計算部112と、送信部113と、受信部114と、登録部
115と、ロジック記憶部131と、環境値記憶部132を含んで構成される。
【0022】
ロジック記憶部131は、計算ロジックを記憶する。本実施形態のロジック記憶部13
1は、環境値の種類ごとに計算ロジックを記憶する。ロジック記憶部131には、環境値
の種類に紐付けて、計算ロジックが記憶される。上述したように計算ロジックは、計測値
に基づいて環境値を算出するアルゴリズムを含む。計測値は、送受信回路が検出したコイ
ルに発生する電圧値又は電圧の振幅値であり、本実施形態では例えばコイルに発生する電
圧値とすることができる。環境値は、センサチップが置かれた環境に関する値であり、例
えば、温度、振動、圧力、電磁波、音量、湿度などでありうる。例えば、2つのセンサチ
ップ間の位置関係が変化すると、コイルに発生する電圧又は電圧の振幅が変化する。また
、2つのセンサチップの位置関係の変化は、センサチップ周りの温度や圧力、湿度など、
センサチップの外部から与えられる音や電磁波などの振動、センサチップが埋め込まれ、
配置され、又は貼付された物の振動などにより変化することが知られており、このセンサ
チップの相対位置関係の変化に起因して発生するコイルの電圧又は電圧の変化を適切な計
算ロジックで処理することにより、例えば、温度、振動、圧力、電磁波、音量、湿度など
を算出することができる。
【0023】
環境値記憶部132は、環境値を記憶する。本実施形態の環境値記憶部132は、種類
ごとに環境値の履歴を記憶する。環境値記憶部132には、環境値の種類、環境値、計算
した時点(タイムスタンプ)等の情報が含まれるが、これらに限定されない。タイムスタ
ンプは、計測値が計測された時点としてもよい。
【0024】
条件記憶部133は、どの種類の環境値を計算するかを決定する情報を記憶する。本実
施形態の条件記憶部133は、半導体チップが取得可能な事象についての条件に対応付け
て、当該条件が満たされたときに計算するべき環境値の種類を記憶する。条件及び環境値
の種類のペアは複数登録されてもよい。なお、条件記憶部133には、無条件で計算する
環境値の種類を記憶するようにしてもよい。また、条件記憶部133には、条件を設けず
に、計算するべき環境値の種類を1つ又は複数記憶するようにしてもよい。
【0025】
取得部111は、半導体チップが備えるセンシング部(コイル)が計測した計測値を取
得する。本実施形態の取得部111は、コイル30に発生する電圧の値を計測値として取
得することができる。
【0026】
計算部112は、環境値を計算する。計算部112は、設定された種類に対応する計算
ロジックにより計測値から環境値を計算することができる。計算部112は、例えば、条
件記憶部133に記憶されている条件のうち満たされているものに対応する種類を特定し
、特定した種類に対応する計算ロジックをロジック記憶部131から読み出し、読み出し
た計算ロジックに、取得部111が取得した計測値を与えて環境値を計算することができ
る。
【0027】
また、計算部112は、コイル30から取得した計測値から、第1の計算ロジックによ
り第1の種類の環境値を計算するとともに、第1の計算ロジックとは異なる第2の計算ロ
ジックにより第2の種類の環境値を計算することもできる。例えば、計算部112は、計
測値を温度に対応する計算ロジックに与えるとともに、湿度に対応する計算ロジックにも
与え、温度と湿度とを計算するようにすることができる。
【0028】
また、計算部112は、条件に合致する計測ロジックに従って、対応する環境値を算出
することができる。計算部112は、例えば、クロック(不図示)から取得可能な時刻情
報やコイル30から取得した計測値などが、条件記憶部133に記憶されている条件を満
たすか否かを判定し、満たされた条件がある場合には、満たされた条件に対応する種類を
特定し、特定した種類に対応する計算ロジックをロジック記憶部131から読み出し、読
み出した計算ロジックを用いて環境値の計算を行うことができる。
【0029】
受信部114は、半導体チップの外部から信号を受信する。例えば、隣接する半導体チ
ップ(1b)から、当該半導体チップ(1b)の識別情報と当該半導体チップ(1b)で計測し
た環境値の情報などを受信することができる。また、環境値記憶部に記憶した環境値を出
力することを要求する環境値要求信号を受信することができる。
【0030】
<動作>
図4は、本発明の一実施形態である処理の流れを説明する制御フロー図である。
【0031】
半導体チップでは、取得部111が、センサで計測した計測値(本実施形態ではコイル
30の電圧)を取得する(S141)。次に、計算部112が、条件記憶部133に記憶
されている条件のうち成就しているものに対応する環境値の種類を特定し、特定した種類
に対応する計算ロジックをロジック記憶部131から特定し(S142)、特定した計算
ロジックに計測値を与えて環境値を計算し(S143)、計算した環境値に環境値の種類
及びタイムスタンプを対応付けて環境値記憶部132に登録する(S144)。
【0032】
送信部113は、外部装置から環境値要求信号を受信した場合(S145:YES)、
環境値記憶部132に登録されている環境値を外部装置に送信する(S146)。ここで
送信部113は、最新の環境値を送信するようにしてもよいし、一部又は全部の環境値の
履歴を送信するようにしてもよい。
【0033】
以下、図5~8において、上述した半導体チップを基板上に実装する際の具体例を説明す
る。複数の半導体チップを基板上に実装して、各半導体チップを機能させるためには、半
導体チップの間で必要な通信を行う必要があると共に、各半導体チップに対して電力を供
給する必要がある。後述する各実装例では、複数の半導体チップにおける通信と電力供給
を実現する実装構造の具体例を説明する。
【0034】
<実装例1>
図5は、本実施形態における半導体チップを基板に実装する第一の実装例を示す図である
図5aは側面図を示し、図5bは平面図を示している。図5に示す通り、基板100の
一方側には、負極側の電源供給エリア(51)と正極側の電源供給エリア(52)が設け
られている。また、複数の半導体チップ(1a、1b)は、基板100の一方側に配置さ
れており、半導体チップの負極側の電源端子(61)は負極側の電源供給エリア(51)
と接合され、半導体チップの正極側の電源端子(62)は正極側の電源供給エリア(52
)と接合される。
【0035】
半導体チップは、負極と正極の電源端子(61,62)を介して基板から電力供給を受
けることができ、また、他の半導体チップとコイル70などで構成される通信部を介して
無線通信を行うことができるため、基板と半導体チップの間で接続される配線は、電源ラ
イン以外は不要となり、従来数千本ほどあった配線を大幅に削減することができる。その
ため、基板と半導体チップの接続作業が簡素化され、また変形しやすい素材を基盤として
利用することも可能となる。
【0036】
図5に示す例では、各半導体チップに、負極側の電源端子(61)と、正極側の電源端
子(62)がそれぞれ2つずつ設けられているため、例えば、製造時のボンディング作業
の不備があったり、又はやわらかい基板が変形することに起因して、半導体チップ1aの
2つの負極側の電源端子61aの片方が負極側の電源供給エリア(51)と接触しなくな
った場合でも、他方の負極側の電源端子61aを介して半導体チップが電力を得ることが
できる。ただし、電源端子は必ずしも2つある必要は無く、3つ以上であっても良いし、
1つのみとしても良い。
【0037】
基板上に設けられる電源供給エリアは、正極又は負極の電極が露出したエリアであり、電
力供給エリアと接触する電源端子は、電力供給エリアを介して電力供給を得ることができ
る。負極側の電源供給エリア(51)と正極側の電源供給エリア(52)は、例えば、基
板の表面に設けた伝導性フィルムや電導板で実現することができる。または、基板を電導
体と非電導体の積層構造とした場合には、当該電導体の層で実現しても良い。図5bに示
す平面図に示す通り、負極側の電源供給エリア(51)と正極側の電源供給エリア(52
)は、互いに接触しないように一定の距離(400)を空けて隣接する位置に設けられて
いる。ここで、正極電源供給エリアと負極電源供給エリアの少なくとも一方の面積が、正
極電源端子と負極電源端子の少なくとも一方の端部の面積よりも広く生成されている。こ
の構成により、半導体モジュールの製造工程であって、基板と半導体チップを接続する工
程において、位置決め精度が悪くても電源供給エリアと電源端子の接続をより容易に行う
ことができる。さらに、基板に設けられる正極電源供給エリアと負極電源供給エリアの間
の距離(400)は、半導体チップ(1a、1b)の正極電源端子と負極電源端子の間の
距離(200)よりも短くすることが望ましい。この構成により、図5における上下方向
において半導体チップの配置位置の自由度が向上する。
【0038】
また、各電源供給エリアの短辺の長さ(500)は、電源端子(61、62)の幅よりも
長く構成されている。この構成により、基板と半導体チップを接続する工程において、電
源供給エリアの短辺方向における位置決め精度が悪くても電源供給エリアと電源端子の接
続を問題無く行うことができる。例えば、図5bに示すように、半導体チップ1aの向き
が基板や他の半導体チップ1bに対して相対的に10度程度回転している場合でも、基板
と電力ラインで接続され、かつ半導体チップ1bとの無線通信にも支障がでないため、製
造時の半導体チップの位置決め難易度がより低くなり、製造コストを低減することができ
る。特に、一辺の長さが1mmもしくは0.5mm以下の半導体チップを基板上に接続し
て半導体モジュールを製造する場合には、電源供給エリアと電源端子の位置を合わせるた
めに、高い位置決め精度が求められるため、一般的に製造コストが非常に高額となる。こ
のような場合、本発明のように、正極電源供給エリアと負極電源供給エリアの少なくとも
一方の面積が、正極電源端子と負極電源端子の少なくとも一方の端部の面積よりも広く生
成することにより、上述した位置決め精度が低くても半導体モジュールを製造することが
可能となる。本発明は、半導体モジュールのサイズの大小に関わらず、あらゆる半導体モ
ジュールに適用することが可能であるが、一辺の長さが1mmもしくは0.5mm以下の
小型の半導体チップやこれを用いた半導体モジュールに本発明を適用した場合に、本発明
の効果は特に大きくなる。
【0039】
ここで、一辺の長さが1mmである半導体チップを用いる場合には、一例として、正極
及び負極電源端子の端部の幅を約0.1mm~0.3mm、正極電源端子と負極電源端子
の間の距離(200)を約0.3~0.7mm、正極電源供給エリアと負極電源供給エリ
アの間の距離(400)を約0.1~0.6mm、正極電源供給エリアと負極電源供給エ
リアの縦方向の幅(500)を0.2mm以上、正極電源供給エリアと負極電源供給エリ
アの横方向(複数チップが配置される方向)の幅(300)を2.1mm以上、に設定す
ることができる。
【0040】
一般的な半導体チップの複数のピン(端子)の間隔として、1/10インチ(2.54mm)にな
っているフルピッチ、1/20インチ(1.27mm)になっているハーフピッチ、1/40インチ(0.
635mm)になっている1/4ピッチが知られており、更には、1/80インチ(0.3175mm)になっ
ている1/8ピッチが実用化されると予想されている。そのため、現時点では正極電源端子
と負極電源端子の間の距離(200)は、0.3mm以上にする必要があり、正極電源端子と
負極電源端子の幅を含めると、半導体チップの一辺の長さは0.5mm以上にする必要がある
。一方で、正極電源供給エリアと負極電源供給エリアの間の距離(400)は、短すぎる
と回路がショートするリスクが高くなるため、最低でも各エリア間の距離(500)を0.
1mm以上とする必要がある。また、半導体モジュール製造工程において、半導体チップの
位置決め精度として、0.1mm程度のズレを許容することが望ましい。そのため、正極電源
供給エリアと負極電源供給エリアの間の距離(400)は、0.1mm以上であり、かつ正極
電源端子と負極電源端子の間の距離(200)よりも短い値に設定することが望ましい。
上述した具体的な寸法は、あくまで本発明を適用した実装の一例であり、本発明はこれら
の具体的な寸法に限定されるものではない。
【0041】
<実装例2>
図6及び7において、半導体チップに複数レベルの電圧を供給する実装例を説明する。
図6は、センシング部30と通信部40を実装する一例としてコイル70を適用したハー
ド構成であって、図2とは異なる構成例を示す。図2に示す例とは、電源端子が、負極電
源端子61、第1の正極電源端子(低圧)62、第2の正極電源端子(高圧)63の3種
類で構成される点で相違する。第1の正極電源端子62は例えば3Vの電圧を供給する電
源と接続され、第2の正極電源端子63は、第1の正極電源端子62よりも高圧な例えば
5Vの電圧を供給する電源と接続される。負極の電源端子61はプロセッサと送受信回路
の両方に接続される共通の電源端子であり、第1の正極電源端子62は低圧の電源を必要
とする機能部(例えばプロセッサ)と接続され、第2の正極電源端子63は、より高圧の
電源を必要とする機能部(例えば送受信回路)と接続される。
【0042】
図7は、本実施形態における半導体チップを基板に実装する第2の実装例を示す図であ
る。図7の平面図に示す通り、基板100の一方側には、負極側の電源供給エリア(51
)と正極側の第1の電源供給エリア(52)と正極側の第2の電源供給エリア(53)が
設けられている。また、複数の半導体チップ(1a、1b)は、基板100の一方側に配
置されており、半導体チップの負極側の電源端子(61)は負極側の電源供給エリア(5
1)と接合され、半導体チップの正極側の第1の電源端子(62)は正極側の第1の電源
供給エリア(52)と接合され、半導体チップの正極側の第2の電源端子(63)は正極
側の第2の電源供給エリア(53)と接合される。正極側の第1の電源供給エリア(52
)は、例えば3Vの電圧を供給する電源と接続され、正極側の第2の電源供給エリア(5
3)は、第1の電源供給エリア(52)よりも高圧な例えば5Vの電圧を供給する電源と
接続される。
【0043】
図6,7に示す実装例のように、半導体チップが複数レベルの電圧を必要とする場合で
あっても、図7に示すように、各電圧に応じた電源供給エリア(51,52,53)を基
板に設けることにより、製造時の半導体チップの位置決め難易度がより低くなり、製造コ
ストを低減することができるという効果を得ることができる。
【0044】
<実装例3>
図8は、本実施形態における半導体チップを基板に実装する第3の実装例を示す図である
図8の平面図に示す通り、基板100の一方側には、負極側の電源供給エリア(51)
と正極側の電源供給エリア(52)が設けられている。また、複数の半導体チップ(1a
、1b)は、基板100の一方側に配置されており、半導体チップの負極側の電源端子(
61)は負極側の電源供給エリア(51)と接合され、半導体チップの正極側の電源端子
(62)は正極側の電源供給エリア(52)と接合される。ここで、図5に示す実装例1
とは異なり、基板100の一方側には、負極側の電源供給エリア(51)と正極側の電源
供給エリア(52)が交互にそれぞれ複数個所設けられている。そのため、負極側の電源
供給エリア(51)と正極側の電源供給エリア(52)の境界の任意の位置に半導体チッ
プを配置することで、基板から電力を得ることが可能となり、半導体チップを基板上に配
置する際の配置の自由度が向上する。
【0045】
<実装例4>
図9は、本実施形態における半導体チップを基板に実装する第4の実装例を示す図である
図9の平面図に示す通り、基板100の一方側には、負極側の電源供給エリア(51)
と正極側の電源供給エリア(52)が設けられている。また、複数の半導体チップ(1a
、1b、1c、1d、1e、1f)は、基板100の一方側に配置されており、半導体チ
ップの負極側の電源端子(61)は負極側の電源供給エリア(51)と接合され、半導体
チップの正極側の電源端子(62)は正極側の電源供給エリア(52)と接合される。こ
こで、図8に示す実装例3とは異なり、基板100の一方側には、負極側の電源供給エリ
ア(51)と正極側の電源供給エリア(52)が、一方が内側で、他方が一方の周囲を囲
う位置に、互いに接触しないように一定の距離(400)を空けて隣接して設けられてい
る。そのため、負極側の電源供給エリア(51)と正極側の電源供給エリア(52)の境
界の任意の位置に半導体チップを配置することで、基板から電力を得ることが可能となり
、半導体チップを基板上に配置する際の配置の自由度が向上する。
【0046】
<実装例5>
図10は、本実施形態における半導体チップを基板に実装する第5の実装例を示す図であ
る。図10aは側面図を示し、図10bはA-A断面図を示し、図10cは平面図を示し
ている。図10に示す通り、基板100の一方側(上側)には、負極側の電源供給エリア
(51)と正極側の電源供給エリア(52)が設けられている。また、半導体チップ(1
e)は、基板100の一方側(上側)に配置されており、半導体チップ(1e)の負極側
の電源端子(61e)は基板の負極側の電源供給エリア(51)と接合され、半導体チッ
プの正極側の電源端子(62e)は基板の正極側の電源供給エリア(52)と接合される
。ここで、図5-9に示す実装例1-4とは異なり、基板100と電源供給エリアを介し
て接触する半導体チップ(1e)は、電源端子(61e、62e)を備えるチップ下側と
は逆のチップ上側に負極側の電極が露出した負極エリア(91)と正極側の電極が露出し
た正極エリア(92)が設けられている。この負極エリア(91)と正極エリア(92)
は、互いに接触しないように一定の距離(400)を空けて隣接して設けられている。半
導体チップ(1e)の負極エリア(91)は、半導体チップ(1e)内に設けられた負極
導電部65を介して、負極電源端子(61e)と電気的に接続されており、半導体チップ
(1e)の正極エリア(92)は、半導体チップ(1e)内に設けられた正極導電部65
を介して、電源端子(62e)と電気的に接続されており、基板の電源と接続されている
【0047】
また、半導体チップ(1e)の上側には、更に、半導体チップ(1f、1g)が設けら
れており、半導体チップ(1f、1g)の負極側の電源端子(61f、61g)は半導体
チップ(1e)の負極エリア(91)と接合され、半導体チップ(1f、1g)の正極側
の電源端子(62f、62g)は半導体チップ(1e)の正極エリア(92)と接合され
る。このように、半導体チップが、基板上に複数の階層で配置される場合であっても、基
板と直接接触しない半導体チップ(1f、1g)は、基板と直接接触する半導体チップ(
1e)を介して基板から電力を得ることができる。更に、各半導体チップ(1e、1f、
1g)は、互いに隣接するため、コイル70などで構成される通信部40により、互いに
通信することができる。そのため、一部の半導体チップを基板に直接接触させる必要はな
くなり、複数の半導体チップにより情報処理装置を製造する際の半導体チップの配置の自
由度が向上する。
【0048】
<実装例6>
図11は、本実施形態における半導体チップを基板に実装する第6の実装例を示す図であ
る。図11aは側面図を示し、図11bはB-B断面図を示している。図11に示す通り
、半導体チップ(1h、1i、1j、1k)は、両側から複数の基板110,120に挟
まれる位置に設けられる。下側の基板110の上面(半導体チップ側の面)には、負極側
の電源供給エリア(51)が設けられている。他方、上側の基板120の下面(半導体チ
ップ側の面)には、正極側の電源供給エリア(52)が設けられている。また、基板11
0と基板120の間に配置される半導体チップ(1h、1i、1j、1k)は、それぞれ
一方側に負極側の電源端子(61)を備え、他方側に正極側の電源端子(62)を備えて
いる。
【0049】
半導体チップ(1h、1i、1j、1k)は、負極側の電源端子(61)が基板110の
電源供給エリア(51)と接触し、正極側の電源端子(62)が基板120の電源供給エ
リア(52)と接触する状態で、2枚の基板110,120に挟まれることにより、各基
板から電力供給を受けることができる。また、基板110に負極側の電源供給エリア(5
1)を、基板120に正極側の電源供給エリア(52)をそれぞれ設けているため、1枚
の基板で正極と負極の2つの電源供給エリアを設ける必要がなく、また、電源供給エリア
の間の間隔を設ける必要がないため、基板のほぼ全面に電源供給エリアを設けることがで
きる。そのため、半導体チップが基板のどの位置に配置されても、電源端子と電源供給エ
リアが接触するため、製造時における半導体チップを高い精度で所定位置に配置する必要
が無い。
【0050】
更に、基板110,120が柔らかい素材で構成される場合には、基板が湾曲変形するこ
とに起因して、基板の電源供給エリアと半導体チップの電源端子の接触位置がずれる可能
性があるが、そのような場合であっても、電源供給エリアを基板上の面に広く構成されて
いるため、半導体チップは電源供給エリアと接触し続けることができ、継続して電力供給
を得ることができる。
【0051】
<実装例7>
図12は、本実施形態における半導体チップを基板に実装する第7の実装例を示す図であ
る。図5―9に示す各実装例では、半導体チップの第一面(一方側)に電源端子を設け、
この第一面側で基板と接触する例を説明したが、図12に示すように、電源端子が、半導
体チップの側面を通って、半導体チップの第一面から第二面側に延びる構成とし、半導体
チップの第二面側に位置する基板100と接続されるようにしても良い。
【0052】
<実装例8>
図13は、本実施形態における半導体チップを基板に実装する第8の実装例を示す図であ
る。図10に示す実装例では、半導体チップ(1e)の第一面(一方側)に電源端子を設
け、第二面(他方側)に正極エリア及び負極エリアを設ける例を説明したが、図13に示
すように、半導体チップ(1e)の第一面(一方側)に電源端子と、正極エリア及び負極
エリア設けて、電源端子が、半導体チップの側面を通って、半導体チップの第一面から第
二面側に延びる構成とし、半導体チップの第二面側に位置する基板100や他の半導体チ
ップと接続されるようにしても良い。
【0053】
<製造方法>
図14は、本実施形態における半導体チップモジュールの製造工程を示すフローチャート
である。半導体チップモジュールの製造工程として、まず素材上に電極が露出した電源供
給エリア(51、52)を生成する(ステップ201)。このステップ(工程)で素材の
表面に生成する電源供給エリアは、例えば、電導性を有する塗料を塗装することで生成し
ても良いし、電導性を有する粘着シートを素材に張り付けることで生成しても良い。ある
いは、金属フィルムなどの電導性を有するフィルム材を素材の表面に張り付けることで生
成しても良い。
【0054】
次の工程として、半導体チップを電源供給エリア(51、52)の上に配置する(ステッ
プ202)。このステップ(工程)では、半導体チップの正極電源端子(62)が正極電
源供給エリア(52)と接触し、負極電源端子(61)が負極電源供給エリア(51)と
接書する位置に、半導体チップを配置する。ここで、ステップ201において電源供給エ
リアを電導性を有する塗料を塗装することで生成した場合には、塗料が乾燥又は硬化する
前に、正極電源端子と負極電源端子を当該塗料に当接させることで電源供給エリア(51
、52)と電源端子(61,62)を接合させることができる。あるいは、ステップ20
1において電導性を有する粘着シートを素材に張り付けることで生成した場合には、粘着
シートの粘着性が維持されている状態で、正極電源端子と負極電源端子を当該粘着シート
に当接させることで電源供給エリア(51、52)と電源端子(61,62)を接合させ
ることができる。なお、正極電源供給エリアと負極電源供給エリアの少なくとも一方の面
積が、正極電源端子と負極電源端子の少なくとも一方の端部の面積よりも広く生成されて
いるため、この工程における半導体チップの配置の位置決め精度を高くする必要が無い。
【0055】
次の工程として、電源供給エリア又は接触点の後処理を行う(ステップ203)。ここ
で、ステップ201において電導性を有する塗料を塗装することで電源供給エリアを生成
した場合には、不純物が正極電源供給エリア(52)と負極電源供給エリア(51)の間
に接合して、ショート回路を形成する不具合を抑制するために、当該塗料を硬化又は乾燥
させて、不純物が接合しにくい状態とすることが望ましい。具体的には、ファンで風を送
って乾燥させたり、加熱したり、または紫外線などの光線を照射することにより、塗料を
硬化又は乾燥させる。あるいは、ステップ201において電導性を有する粘着シートを素
材に張り付けることで電源供給エリアを生成した場合においても、不純物が正極電源供給
エリア(52)と負極電源供給エリア(51)の間に接合して、ショート回路を形成する
不具合を抑制するために、当該粘着シートの粘着力を低下させて、不純物が接合しにくい
状態とすることが望ましい。具体的には、ファンで風を送ったり、加熱したり、または紫
外線などの光線を照射することにより、粘着シートの粘着力を低下させる。
【0056】
上述した実装例1-8においては、正極電源供給エリアと負極電源供給エリアの少なく
とも一方の面積が、正極電源端子と負極電源端子の少なくとも一方の端部の面積よりも広
く生成される例を示した。この構成により、基板と半導体チップを接続する工程において
、各電源供給エリアの長辺方向における位置決め精度が悪くても、電源供給エリアと電源
端子の接続ができ、かつ隣接する半導体チップ同士が互いに通信可能な距離範囲内に配置
されていればよい。さらに、上述した実装例1-5において、基板に設けられる正極電源
供給エリアと負極電源供給エリアの間の距離(400)は、半導体チップ(1a、1b)
の前記正極電源端子と前記負極電源端子の間の距離(200)よりも短くする例を示した
が、この構成により、半導体チップの配置位置の自由度が向上する。
【0057】
また上述した実装例1-8においては、基板や半導体チップの表面に、電源供給エリア(
電極が露出したエリア)を設ける例を示したが、異物の混入により負極と正極の電源供給
エリアが一時的又は定常的にショートすることを防止するために、半導体チップを接合し
た後の基板及び半導体チップで構成される半導体チップモジュールを樹脂により封止(モ
ールド)しても良い。
【0058】
上述した各実装例1-5において、基板は従来の半導体基板のように柔軟性の低い硬い
素材を適用することもできるが、フレキシブル基板や布などのように柔軟性の高い柔らか
い素材を適用することもできる。また、各実装例では、複数の半導体チップが共通の基板
に接合される例を示したが、複数の半導体チップと接合される部材は必ずしも板状の基板
である必要は無く、表面に電源供給エリアを備えるあらゆる素材を基板として適用するこ
とができる。
【0059】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするため
のものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸
脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1 半導体チップ
10 プロセッサ
20 メモリ
30 センシング部
40 通信部
50 電源
51 負極電源供給エリア
52、53 正極電源供給エリア
60 電源ライン
61 負極電源端子
62、63 正極電源端子
65 導電部
70 コイル
80 送受信回路
91 負極エリア
92 正極エリア
111 取得部
112 計算部
113 送信部
114 受信部
131 ロジック記憶部
132 環境値記憶部



図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14