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特開2024-29095口内溶解性フィルムおよび口内溶解性フィルムを製造し、使用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029095
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】口内溶解性フィルムおよび口内溶解性フィルムを製造し、使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/00 20060101AFI20240227BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20240227BHJP
   A61K 31/593 20060101ALI20240227BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
A61K9/00
A61K31/05
A61K31/593
A61K45/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023217927
(22)【出願日】2023-12-25
(62)【分割の表示】P 2022540512の分割
【原出願日】2020-12-31
(31)【優先権主張番号】62/955,484
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】522428553
【氏名又は名称】キュア ファーマシューティカル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バウミク パテル
(57)【要約】
【課題】口内溶解性フィルムおよび口内溶解性フィルムを製造し、使用する方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、口内溶解性フィルムおよび口内溶解性フィルムを製造し、使用する方法を提供する。本発明は、(a)医薬活性成分、(b)界面活性剤、(c)医薬活性成分のための溶媒、(d)フィルムマトリックス、および(e)水を含む口内溶解性フィルムであって、(1)医薬活性成分が親油性または疎水性である場合、(i)界面活性剤は、親油性または疎水性であり、(ii)医薬活性成分のための溶媒は、親油性または疎水性であり、(2)医薬活性成分が疎油性または親水性である場合、(i)界面活性剤は、疎油性または親水性であり、(ii)医薬活性成分のための溶媒は、疎油性または親水性である、口内溶解性フィルムを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2019年12月31日に出願された米国仮特許出願第62/955,484号の優先権を主張し、その内容は、それらの全体が本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
経口投与された薬物の生物学的利用率は、相対的に低い。加えて、感受性活性成分(例えば、水分、酸素、光、pH、および/または熱に対して感受性がある)は、適切な剤形および投与経路の選択における難問である。これには、経口投与のために構成された剤形が含まれる。
【0003】
現在、水分、酸素、光、pH、および熱に対して増大したバリアを有し、それによって感受性活性成分を保護する医薬製剤が必要である。あまり強力ではなく、生体利用可能性が低い活性成分の生物学的利用率を改善し、それによって、あまり強力ではない活性成分を低用量で使用可能にすることも必要である。加えて、様々な医薬製剤を用いる場合、活性成分による粘液層への浸透および横断を増大し、それによって活性成分を体循環に入れることを可能にする必要がある。肝臓/GI毒性を低減すると同時に、上述のことが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の概要
本発明は、(a)医薬活性成分、(b)界面活性剤、(c)医薬活性成分のための溶媒、(d)フィルムマトリックス、および(e)水を含む口内溶解性フィルムであって、(1)医薬活性成分が親油性または疎水性である場合、(i)界面活性剤は、親油性または疎水性であり、(ii)医薬活性成分のための溶媒は、親油性または疎水性であり、(2)医薬活性成分が疎油性または親水性である場合、(i)界面活性剤は、疎油性または親水性であり、(ii)医薬活性成分のための溶媒は、疎油性または親水性である、口内溶解性フィルムを提供する。
【0005】
本発明はまた、(a)親油性の医薬活性成分、(b)親油性の医薬活性成分のための油担体、(c)親油性の医薬活性成分のための自己乳化性の親油性の界面活性剤、(d)1種または複数の共界面活性剤(co-surfactant)、(e)1種または複数の親水性の界面
活性剤、(f)フィルムマトリックス、および(g)水を含む、口内溶解性フィルムを提供する。
【0006】
本発明はまた、(a)親水性の医薬活性成分、(b)親水性の医薬活性成分のための水担体、(c)親水性の医薬活性成分のための親水性の界面活性剤、(d)1種または複数の共界面活性剤、(e)1種または複数の自己乳化性界面活性剤、(f)フィルムマトリックス、および(g)水を含む、口内溶解性フィルムを提供する。
【0007】
本発明はまた、口内溶解性フィルムを形成する方法であって、(a)医薬活性成分を第1の溶媒系に溶解させて、第1の混合物を形成するステップであって、(i)医薬活性成分が親油性または疎水性である場合、医薬活性成分を、親油性もしくは疎水性の溶媒、親油性もしくは疎水性の界面活性剤、またはその組合せに溶解させるか、あるいは(ii)医薬活性成分が親水性または疎油性である場合、医薬活性成分を、親水性もしくは疎油性の溶媒、親水性もしくは疎油性の界面活性剤、またはその組合せに溶解させるステップと、(b)第1の混合物および親油性または疎水性の界面活性剤を接触させて、第2の混合物を形成するステップと、(c)第2の混合物を、水および親水性または疎油性の界面活性剤と接触させて、第3の混合物を形成するステップと、(d)第3の混合物をフィルム形成成分と接触させて、スラリーを形成するステップと、(e)スラリーを基材上に流延し、硬化させて、口内溶解性フィルムを形成するステップとを含む、方法を提供する。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
(a)医薬活性成分、
(b)界面活性剤、
(c)前記医薬活性成分のための溶媒、
(d)フィルムマトリックス、および
(e)水
を含む口内溶解性フィルムであって、
前記医薬活性成分が親油性または疎水性である場合、(i)前記界面活性剤は、親油性または疎水性であり、(ii)前記医薬活性成分のための前記溶媒は、親油性または疎水性であり、
前記医薬活性成分が疎油性または親水性である場合、(i)前記界面活性剤は、疎油性または親水性であり、(ii)前記医薬活性成分のための前記溶媒は、疎油性または親水性である、
口内溶解性フィルム。
(項目2)
前記界面活性剤が、親油性または疎水性であり、前記医薬活性成分のための前記溶媒が、親油性または疎水性である、項目1に記載の口内溶解性フィルム。
(項目3)
前記親油性または疎水性の界面活性剤が、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリル酸プロピレングリコール、モノオレイン酸グリセリル、モノラウリン酸プロピレングリコール、カプリル酸/カプリン酸グリセリル、モノリノール酸グリセリル、ソルビタンモノオレエート(Span 80)、ジベヘン酸グリセリル、ジラウリン酸プロピレングリコール、トリカプリル酸/トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸/カプリン酸グリセリル、モノおよびジオレイン酸デカグリセリル、オレオイルマクロゴールグリセリド、ラウロイルマクロゴールグリセリド、ステアロイルマクロゴールグリセリド、ステアロイルポリオキシルグリセリド、ポリオキシエチレン、ならびにカプリル酸/カプリン酸グリセリルの少なくとも1つを含む、項目1~2のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目4)
前記親油性または疎水性の界面活性剤が、0.5~40wt%で存在する、項目1~3のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目5)
前記界面活性剤が、疎油性または親水性であり、前記医薬活性成分のための前記溶媒が、疎油性または親水性である、項目1に記載の口内溶解性フィルム。
(項目6)
前記疎油性または親水性の界面活性剤が、ポロキサマー、ポリオキシルヒマシ油、ポリエチレン-ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween 20)、Tween 80、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(Tween 60)、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、オクチルグルコシド、Triton X-100、ノノキシノール9、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、Brij、ラウリン酸グリセリル、リン脂質、n-ドデシルホスホコリン、およびコレステリルエステルの少なくとも1つを含む、項目1および5のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目7)
前記疎油性または親水性の界面活性剤が、0.5~40wt%で存在する、項目1および5~6のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目8)
前記医薬活性成分のための前記親油性または疎水性の溶媒が、中鎖トリグリセリド油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、パーム油、キャノーラ油、ベニバナ油、ゴマ油、モノカプリル酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノリノール酸グリセリル、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、およびオレイルアルコールの少なくとも1つを含む、項目1~3のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目9)
前記医薬活性成分のための前記親油性または疎水性の溶媒が、0.5~40wt%で存在する、項目1~3および8のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目10)
前記医薬活性成分のための前記疎油性または親水性の溶媒が、水を含む、項目1および5~7のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目11)
前記医薬活性成分のための前記疎油性または親水性の溶媒が、0.5~20wt%で存在する、項目1、5~7、および10のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目12)
前記医薬活性成分が、親油性または疎水性である、項目1~11のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目13)
前記医薬活性成分が、疎油性または親水性である、項目1~11のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目14)
前記医薬活性成分が、カンナビノイド、テルペン、フラボノイド、またはその組合せを含む、項目1~13のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目15)
前記医薬活性成分が、シクロスポリン、リトナビル、サキナビル、アンプレナビル、バルプロ酸、カルシトリオール、ベキサロテン、トレチノイン、イソトレチノイン、チプラナビル、および薬学的に許容されるその塩の少なくとも1つを含む、項目1~13のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目16)
前記医薬活性成分が、幻覚剤を含む、項目1~13のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目17)
前記医薬活性成分が、リゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)、3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)、N,N-ジメチルトリプタミン(DMT)、サイロシビン、メスカリン、およびイボガインの少なくとも1つを含む幻覚剤を含む、項目1~13のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目18)
前記医薬活性成分が、イベルメクチンを含む、項目1~13のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目19)
少なくとも10wt%の前記医薬活性成分を含む、項目1~18のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目20)
前記フィルムマトリックスが、可塑剤およびフィルム形成剤を含む、項目1~19のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目21)
前記フィルムマトリックスが、プロピレングリコール、グリセリン、トリアセチン、クエン酸トリエチル、およびポリエチレングリコールの少なくとも1つを含む可塑剤を含む、項目1~20のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目22)
前記フィルムマトリックスが、0.5~20wt%で存在する可塑剤を含む、項目1~21のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目23)
前記フィルムマトリックスが、プルラン、アラビアガム、グアーガム、マルトデキストリン、微結晶性セルロース、キトサン、ペクチン、カラギーナン、HPMC、HPC、変
性コーンスターチ、Carbopol 974P、Carbopol 934P、Kollidon 25、Soluplus、Lycoat NG73、Kollicoat、Polyox N-10、Polyox N-80、Polyox N-750、Methocel E4M、Methocel E10M、およびCMCナトリウムの少なくとも1つを含むフィルム形成剤を含む、項目1~23のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目24)
前記フィルムマトリックスが、1~60wt%で存在するフィルム形成剤を含む、項目1~23のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目25)
共溶媒をさらに含む、項目1~24のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目26)
ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびカプリロカプロイルポリオキシル-8グリセリドの少なくとも1つを含む共溶媒をさらに含む、項目1~25のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目27)
0.5~40wt%で存在する共溶媒をさらに含む、項目1~26のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目28)
抗酸化剤、抗菌剤、香味剤、着色剤、および甘味料の少なくとも1つをさらに含む、項目1~27のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目29)
(a)親油性の医薬活性成分、
(b)前記親油性の医薬活性成分のための油担体、
(c)前記親油性の医薬活性成分のための自己乳化性の親油性の界面活性剤、
(d)1種または複数の共界面活性剤、
(e)1種または複数の親水性の界面活性剤、
(f)フィルムマトリックス、および
(g)水
を含む、項目1に記載の口内溶解性フィルム。
(項目30)
(a)親水性の医薬活性成分、
(b)前記親水性の医薬活性成分のための水担体、
(c)前記親水性の医薬活性成分のための親水性の界面活性剤、
(d)1種または複数の共界面活性剤、
(e)1種または複数の自己乳化性界面活性剤、
(f)フィルムマトリックス、および
(g)水
を含む、項目1に記載の口内溶解性フィルム。
(項目31)
対象の口腔粘膜表面と接触すると、20秒以内に自己乳化するように構成されている、項目1~30のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目32)
対象の口腔粘膜表面と接触すると、20秒以内に水中油(O/W)エマルションを形成するように構成されている、項目1~31のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。(項目33)
対象の口腔粘膜表面と接触すると、20秒以内に0.1ミクロン~120ミクロンの平均液滴サイズを有する水中油(O/W)エマルションを形成するように構成されている、項目1~32のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目34)
対象の口腔粘膜表面と接触すると、20秒以内に
d(10):0.5~10ミクロン、
d(50):1~20ミクロン、および
d(90):15~100ミクロン
の平均液滴サイズを有する水中油(O/W)エマルションを形成するように構成されている、項目1~33のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目35)
経口投与(PO)、頬側投与、舌下投与、または粘膜投与に適している、項目1~34のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目36)
3~13wt%の含水量を有する、項目1~35のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目37)
対象に頬側投与されると、15分以内に崩壊するように構成されている、項目1~36のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目38)
対象に経口(PO)投与されると、30秒以内に崩壊するように構成されている、項目1~36のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目39)
30秒以内にin vitroで崩壊するように構成されている(USP<701>In-vitro崩壊法)、項目1~36のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目40)
(i)約45分~約120分の間のTmax、(ii)少なくとも3.5ng/mlのCmax、および(iii)少なくとも13ng/時間/mlのAUC0-tから選択される少なくとも1つの薬物動態パラメーターを示す、項目1~39のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目41)
(i)1.5時間のTmax、(ii)4.4ng/mlのCmax、および(iii)13.5ng/時間/mlのAUC0-tから選択される少なくとも1つの薬物動態パラメーターを示す、項目1~40のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目42)
20分以下のin vivo溶解時間を示す、項目1~41のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目43)
約10分~約15分の間のin vivo溶解時間を示す、項目1~42のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目44)
少なくとも15%の生物学的利用率を示す、項目1~43のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目45)
少なくとも18%の生物学的利用率を示す、項目1~43のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目46)
40℃/75%RH加速条件下で測定した場合、9カ月後に少なくとも約96%の安定性を示す、項目1~45のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目47)
25℃/60%RH加速条件または40℃/75%RH加速条件下で測定した場合、3カ月後に100%の安定性を示す、項目1~45のいずれか一項に記載の口内溶解性フィルム。
(項目48)
口内溶解性フィルムを形成する方法であって、
(a)医薬活性成分を第1の溶媒系に溶解させて、第1の混合物を形成するステップであって、
(i)前記医薬活性成分が親油性または疎水性である場合、前記医薬活性成分を、親油性もしくは疎水性の溶媒、親油性もしくは疎水性の界面活性剤、またはその組合せに溶解させるか、あるいは
(ii)前記医薬活性成分が親水性または疎油性である場合、前記医薬活性成分を、親水性もしくは疎油性の溶媒、親水性もしくは疎油性の界面活性剤、またはその組合せに溶解させる、ステップと、
(b)前記第1の混合物および親油性または疎水性の界面活性剤を接触させて、第2の混合物を形成するステップと、
(c)前記第2の混合物を、水および親水性または疎油性の界面活性剤と接触させて、第3の混合物を形成するステップと、
(d)前記第3の混合物をフィルム形成成分と接触させて、スラリーを形成するステップと、
(e)前記スラリーを基材上に流延し、硬化させて、前記口内溶解性フィルムを形成するステップと
を含む、方法。
(項目49)
前記フィルム形成成分が、粘膜付着性ポリマー、可塑剤、結合剤、充填剤、増量剤、唾液刺激剤、安定化剤および増粘剤、ゲル化剤、香味剤、矯味剤、着色剤、色素、滑沢剤、放出調節剤、アジュバント、甘味剤、可溶化剤および乳化剤、フレグランス、乳化剤、界面活性剤、pH調整剤、緩衝剤、脂質、流動促進剤、安定剤、抗酸化剤、粘着防止剤、保水剤、溶媒、浸透促進剤、ならびに防腐剤の少なくとも1つを含む、項目48に記載の方法。
(項目50)
前記親油性または疎水性の溶媒が油を含む、項目48~49のいずれか一項に記載の方法。
(項目51)
前記親水性または疎油性の溶媒が水性液体を含む、項目48~49のいずれか一項に記載の方法。
(項目52)
前記硬化が、熱風オーブン中、約38℃~約110℃の間の空気温度で行われる、項目48~51のいずれか一項に記載の方法。
(項目53)
前記硬化が、熱風オーブン中、約45℃~約80℃の間の空気温度で行われる、項目48~52のいずれか一項に記載の方法。
(項目54)
前記硬化が、熱風オーブン中(50℃~70℃の空気温度)で行われる、項目48~53のいずれか一項に記載の方法。
(項目55)
前記硬化が、約0.8フィート/分~約2.5フィート/分の間の速度で行われる、項目48~54のいずれか一項に記載の方法。
(項目56)
前記硬化が、約0.8フィート/分~約1.0フィート/分の間の速度で行われる、項目48~55のいずれか一項に記載の方法。
(項目57)
前記硬化が、約2.0フィート/分~約2.5フィート/分の間の速度で行われる、項目48~56のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の詳細な説明
本発明は、口内溶解性フィルムおよび口内溶解性フィルムを製造し、使用する方法を提供する。
【0009】
定義
以下の用語は、別段特定されない限り、それらに帰する意味を有する。
【0010】
「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(include)」、「含
んでいる(including)」および「含む(includes)」という単語は、本明細書および特
許請求の範囲で使用される場合、記述される物質、特色、整数、構成成分、またはステップの存在を特定することを意図されるが、他の1つまたは複数の物質、特色、整数、構成成分、ステップ、またはその組合せの存在または追加を排除しない。
【0011】
本明細書に記載される口内溶解性フィルムは、医薬活性成分、界面活性剤、医薬活性成分のための溶媒、フィルムマトリックス、および水から形成されたポリマーマトリックスを含む。口内フィルムを製造するために使用される必要に応じた追加の賦形剤(代替として、「添加剤」と呼ばれる)には、例えば、粘膜付着性ポリマー、可塑剤、結合剤、充填剤、増量剤(bulking agent)、唾液刺激剤、安定化剤および増粘剤、ゲル化剤、香味剤(flavoring agent)、矯味剤、着色剤、色素、滑沢剤、放出調節剤、アジュバント、甘味剤、可溶化剤および乳化剤、フレグランス、乳化剤、界面活性剤、pH調整剤、緩衝剤、脂質、流動促進剤、安定剤、抗酸化剤、粘着防止剤(anti-tacking agent)、保水剤
、溶媒、浸透促進剤、ならびに防腐剤の1つまたは複数が含まれ得る。口内フィルムの製剤において使用することができる、適切な賦形剤または添加剤は、例えば、Lachman, et
al., "The Theory and Practice of Industrial Pharmacy," 4th Edition (2013)、Rowe et al., "Handbook of Pharmaceutical Excipients," 8th Edition
(2017)、およびRemington, "The Science and Practice of Pharmacy," 22nd Edition (2015)に記載されている。規制上の観点から、本明細書に記載される口内フィ
ルムの製剤において使用されるすべての賦形剤および添加剤は、好ましくは、経口医薬剤形における使用について承認されるべきである。
【0012】
本明細書で使用される場合、「溶解性フィルム」という用語は、持続性物質であり、医薬品または食品等級の成分から構成され、相対的に平坦であり別個の寸法を有し、液体(例えば、粘膜表面上に存在する液体)に溶解するように構成されている、単位剤形を指す。また好ましくは、溶解性フィルムは自立し、または言い換えれば、別々の支持体がない状態でそれらの完全性および構造を維持することができる。適当な寸法に定寸する(それによって単位剤形を提供する)前に、溶解性フィルムは、巻かれていない形態(例えば、シート)または巻かれた形態(例えば、バルクロール)のいずれかで存在することができる。
【0013】
本明細書に記載される溶解性フィルムは、投与される場合、口腔粘膜、舌、目、膣または直腸などの身体の粘膜表面に有効に投与することができるという条件で、任意の所望の形状およびサイズを有することができる。例えば、本明細書に記載される溶解性フィルム
は、ストリップ(strip)、テープ、パッチ、シート、または当業者に公知の任意の他の
適切な形態などの物品の形態に作製することができる。
【0014】
具体的には、溶解性フィルムは、相対的に薄く、約0.025mm~約0.30mmの厚さを有することができ、またはより厚く、約0.30mm~約0.775mmの厚さを有することができる。一部の溶解性フィルムについて、厚さは、さらに大きく、例えば、約0.775mmを超えることができる。加えて、「溶解性フィルム」という用語は、単層組成物(例えば、単層積層フィルム)、二層組成物(例えば、二層積層フィルム)、および多層組成物(例えば、多層積層フィルム)を含む。
【0015】
溶解性フィルムは、溶解性フィルム上に存在する成分(不活性および活性)の必要な安定性を、梱包、輸送および保存に典型的にかかる長期間にわたって、有効に維持することができる。溶解性フィルムまた、このような構成成分の相対的に均一な分布を、梱包、輸送および保存に典型的にかかる長期間にわたって、有効に維持することができる。規制上の観点から、溶解性フィルムには、フィルムの単位面積当たりに許容される活性成分の変動しかない。
【0016】
溶解性フィルムは、特有の疾患または障害の処置を必要する対象(例えば、ヒト患者)に投与することができる。本明細書に記載される単位剤形内の活性成分の選択は、処置されることになる特有の疾患または障害に依存する。The Physician's Desk Reference,
2018 Edition; The Merck Index, 15th Edition (2013)、United States Pharmacopeia (USP) (2018)、National Formulary as the USP-NF (2018)、およびthe International Pharmacopoeia (Pharmacopoeia Internationalis, Ph. Int.) (2017)は、特定の活性成分が、生成物のマーケティングおよび販売(例えば、米国または
欧州内)において承認された(例えば、米国FDAまたはEMAにより)、疾患または障害の説明を提供している。したがって、当業者は、特に興味深い特定の疾患または障害の処置に基づいて単位剤形内に存在することになる活性成分の選択における指針について(逆の場合も同じ)、このような参考文献を見ることができる。
【0017】
口内溶解性フィルム(代替として、口内溶解性フィルム、ODF、口内溶解性フィルムストリップ、食用フィルム、食用ストリップ、口内フィルムストリップ、口内薬物ストリップ、頬側フィルム、舌下フィルム、口内可溶性フィルムなどとして公知)は、溶解性フィルムが、特に口腔内に投与されるように構成され、所望の期間にわたって崩壊する、単位剤形である。
【0018】
「口内溶解性フィルム」という用語は、特に経口投与のために構成された溶解性フィルムを指す。口内溶解性フィルムは、食用のまたは摂取可能な、薬学的に許容される成分から構成される。口内溶解性フィルムは、多方向または単方向放出のために構成することができる。郵便切手のサイズおよび形状に類似の口内溶解性フィルムが、経口投与のために設計され、使用者は、舌の上(経腸)、舌の下(舌下)、口腔粘膜を介して(粘膜)、頬の内側に対して(頬側)、または歯茎の上(歯肉)にストリップを置く。経腸経路を除いて、これらの薬物送達選択肢により、医薬は初回通過代謝を迂回することができ、それによって、その医薬は生体利用可能がより高くなる。フィルムが溶解すると、薬物は、経腸、経粘膜、頬側、歯肉、および/または舌下により血流に入ることができる。したがって、特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、舌の上または頬側口腔で溶解し、体液と接触すると溶解することにより薬物を体循環に送達する親水性ポリマーを使用して、調製することができる。したがって、口内フィルムによる薬物送達は、口内吸収(頬側、舌下、または歯肉)および/または小腸(経腸)を介して薬物を投与するために、溶解性フィルムを使用する。特に、初回通過効果によって広く代謝される薬物のために、本明細書に記載される口内フィルムは、より急速な作用およびより良好な吸収プロファイルをもたら
す機会を提供する。
【0019】
全身送達(例えば、経粘膜送達)が望ましい場合、処置部位には、本明細書に記載される付着性フィルムが、血液、リンパ、または他の体液における医薬品の所望のレベルを維持することができる、任意の区域が含まれ得る。典型的に、このような処置部位には、口腔粘膜(例えば、舌、舌下、歯茎、頬内側など)が含まれる。
【0020】
口内溶解性フィルムは、四角形の形状である場合、典型的に、約65mmまでの長さおよび約35mmまでの幅の2つの寸法プロファイルを有する。口内溶解性フィルムは、形状に関係なく、典型的に、その最大の長さ、幅、直径、または横断面の長さが約75mm未満であるプロファイルを有する。
【0021】
口内溶解性フィルムは、典型的に、ストリップ形成ポリマー(例えば、粘膜付着性ポリマー)、医薬活性成分(API)、および溶媒の1つまたは複数から形成されたポリマーマトリックスを含む。口内フィルムを製造するために使用される、必要に応じた追加の賦形剤(代替として、「添加剤」と呼ばれる)には、例えば、可塑剤、結合剤、充填剤、増量剤、唾液刺激剤、安定化剤および増粘剤、ゲル化剤、香味剤、矯味剤、着色剤、色素、滑沢剤、放出調節剤、アジュバント、甘味剤、可溶化剤および乳化剤、フレグランス、乳化剤、界面活性剤、pH調整剤、緩衝剤、脂質、流動促進剤、安定剤、抗酸化剤、粘着防止剤、保水剤、ならびに防腐剤の1つまたは複数が含まれ得る。口内フィルムの製剤において使用することができる適切な賦形剤は、例えば、Lachman, et al., "The Theory
and Practice of Industrial Pharmacy," 4th Edition (2013)、Rowe et al., "Handbook of Pharmaceutical Excipients," 8th Edition (2017)、およびRemington, "The Science and Practice of Pharmacy," 22nd Edition (2015)に記
載されている。規制上の観点から、本明細書に記載される口内フィルムの製剤において使用されるすべての賦形剤は、好ましくは、経口医薬剤形における使用について承認されるべきである。
【0022】
「口内薄フィルム」(OTF)という用語は、本明細書の他所に記載される、特定の性能の特徴および物理的寸法を有する口内溶解性フィルムを指す。具体的には、OTFは、約0.400mm未満(典型的に約0.250mm未満)の厚さを有する口内溶解性フィルムであり、薬物負荷に関係なく粘膜付着性になるように構成することができ、唾液と接触すると非常に迅速に溶解および/または崩壊するように構成される。具体的には、OTFは、相対的に短いin vitro崩壊時間(例えば、約120秒またはそれ未満)で、口腔内(例えば、口腔粘膜表面)で崩壊することができる。
【0023】
OTFの開発においては相反する影響力が登場する。一方では、既存のOTFは、典型的に、「薄い」という理由で高い薬物負荷(例えば、200mgまたは40wt%を超える活性成分)を有していない。同様に、薬物負荷を増大するためにOTFの厚さを増大することにより、結果として得られたフィルムは、ある時点で、もはや「薄い」とみなされなくなるはずである。このようなフィルムは、OTFの審美的特徴および性能の特徴を喪失するリスクがある。具体的には、高い薬物負荷を支えるために既存のOTFの厚さを増大することにより、結果として得られたフィルムは、唾液に接触しても迅速に、有効に浸食されることができず、溶解することができず、かつ/または崩壊することができない場合がある。結果として得られたフィルムは、フィルムが浸食されるときに粘膜表面に「くっ付かせ」、残存させるはずの、フィルムに望ましい必要な粘膜付着性を有することができない。加えて、結果として得られたフィルムは、生成物の梱包、輸送および保存に典型的にかかる長期間にわたって、必要な機械的特性を保持することができない。さらに、結果として得られたフィルムは、治療有効量の活性成分を、意図される通りに対象に送達する能力を保有することができない。
【0024】
本明細書に記載される溶解性フィルムは、典型的に、スラリーから形成される。「スラリー」という用語は、液体に懸濁および/または溶解した固体の混合物を指し、押し出され、基材上に流延させられ、硬化させられて、溶解性フィルムを形成するのに適切である。固体および液体は、口内溶解性フィルムを製造するために使用される物質を、期待通りに含むことになる。口内溶解性フィルムの製造において用いられる固体物質は、液体に溶解および/または懸濁することができる。口内溶解性フィルムは、流延スラリーを硬化させることによって形成することができ、ここで硬化は、ある期間にわたって高温で行うことができる。硬化を行うには、大量の溶媒(例えば、水)が除去されることになる。
【0025】
本発明は、(1)所望の結果、例えば対象の処置を得る、(2)対象においてAPIの所望のレベルを得る(例えば、APIの血漿レベルによって明らかになる通り)、および/または(3)対象においてAPIの活性代謝産物の所望のレベルを得る(例えば、APIの活性代謝産物の血漿レベルによって明らかになる通り)のに十分なまたは有効な量の、本明細書で「医薬活性成分」(API)(および等価な用語、例えば「活性成分」など)と呼ばれる所望の所定の物質を投与するために使用することができる、溶解性フィルムに関する。
【0026】
「医薬活性成分」または「活性成分」という用語は、任意の「薬物」、「生理活性剤」、「調製物」、「医薬」、「治療剤」、「生理学的薬剤」、「栄養補助剤」または「医薬品」を含むために使用され、疾患または障害の処置において使用するための物質を含む。栄養補助食品、ビタミン、機能性食品(例えば、ショウガ、緑茶、ルテイン、ニンニク、リコペン、カプサイシンなど)も、この用語に含まれる。
【0027】
標準参考文献、例えば、The Physician's Desk Reference, 2018 Edition; The
Merck Index, 15th Edition (2013)および米国薬局方(USP)(2018)などは、本明細書に記載される溶解性フィルムと共に使用するのに適した、特定の医薬活性成分および薬学的に許容されるその塩の説明を提供している。
【0028】
本明細書で使用される場合、「界面活性剤」という用語は、2種の液体の間、気体と液体の間、または液体と固体の間の表面張力(または界面張力)を下げる物質を指す。界面活性剤は、洗浄剤、湿潤剤、乳化剤、発泡剤、または分散剤として作用し得る。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、双性イオン性、または非イオン性であってよい。
【0029】
「溶媒」という用語は、溶質を溶解して溶液をもたらす物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムでは、溶質には、例えばフィルム形成ポリマー、活性成分、ならびに賦形剤、例えば可塑剤、甘味料、香味剤、結合剤、防腐剤、着色剤およびpH調整剤などが含まれ得る。加えて、本明細書に記載される口内溶解性フィルムでは、スラリーは、溶液であってよい。したがって、溶媒は、スラリー(その後、口内溶解性フィルム)に含まれることになる所望の物質を溶解させることによってスラリーを形成するために用いられる。溶媒は、水性溶媒であってよく、それによって水を含む。代替として、溶媒には、有機液体、例えばエタノールが含まれ得る。本明細書に記載される口内溶解性フィルム中に存在する水は、溶媒として機能することができる。加えて、水はさらに、必要に応じて可塑剤、処理助剤、またはその組合せとして機能することができる。「溶媒」という用語はまた、溶液(例えば、スラリー)を提供するために溶質の溶解を助け、促進し、または増進する、溶媒と共に存在する物質である「共溶媒」を包含する。共溶媒には、典型的に、有機液体、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、またはその組合せが含まれる。
【0030】
本明細書で使用される場合、「医薬活性成分のための溶媒」という用語は、特に医薬活
性成分を溶解させることができる、本明細書に記載される溶媒を指す。
【0031】
「マトリックス」、「フィルムマトリックス」または「ポリマーマトリックス」という用語は、活性成分が包埋されている、フィルム形成ポリマーのマトリックスを指す。ポリマーマトリックスは、活性成分に加えて、それに包埋された追加の物質をさらに含むことができる。これらには、スラリーを形成するために使用される物質の任意の1つまたは複数が含まれ得る。流延スラリーは、溶解性フィルムを提供するために硬化させられるので、包埋された活性成分(および必要に応じて1つまたは複数の追加の物質)を含有するポリマーマトリックスが形成される。例えば、スラリーが活性成分、フィルム形成ポリマー、溶媒、結合剤、および可塑剤を含有する場合、溶解性フィルムを提供するために流延し硬化させると、活性成分、フィルム形成ポリマー、溶媒、結合剤、および可塑剤のそれぞれを含有することができるポリマーマトリックスが形成される。代替として、活性成分、フィルム形成ポリマー、結合剤、および可塑剤のそれぞれを含有する(すなわち、溶媒を含有しない)ポリマーマトリックスが形成され得る。
【0032】
本明細書に記載される口内溶解性フィルムは、単一のフィルムマトリックスを含むことができる。代替として、口内溶解性フィルムは、複数(例えば、2つ、3つ、4つなど)のフィルムマトリックスを含むことができる。
【0033】
本明細書で使用される場合、「親油性」という用語は、脂肪、油、脂質、および非極性溶媒、例えばヘキサンまたはトルエンに溶解する化合物の能力を指す。このような非極性溶媒は、それら自体が親油性であり(「脂肪に非常によく溶ける(fat-loving)」または「脂肪によく溶ける(fat-liking)」と訳される)、「似たもの同士はよく溶ける(like
dissolves like)」という公理が一般に成立する。したがって、親油性物質は、他の
親油性物質に溶解する傾向があるが、親水性の(「水に非常によく溶ける(water-loving)」)物質は、水および他の親水性の物質に溶解する傾向がある。親油性、疎水性、および非極性は、それらの用語がしばしば交換可能に使用される通り、ロンドン分散力への関与に対する同じ傾向を説明することができる。しかし、「親油性」および「疎水性」という用語は、疎水性であるが親油性ではないシリコーンおよびフルオロカーボンから分かる通り、同義ではない。
【0034】
本明細書で使用される場合、「疎水性」という用語は、一見するとある質量の水からはね返される、分子の物理的特性である(疎水性物質として公知)。(厳密にいえば、斥力は関与せず、引力の欠如である)。それとは対照的に、親水性物質は、水に引き寄せられる。疎水性分子は、非極性である傾向があり、したがって、他の中性分子および非極性溶媒を好む。水分子は極性なので、中でも疎水性物質はあまり溶解しない。水中の疎水性分子は、一緒にクラスター化して、ミセルを形成することが多い。疎水性表面上の水は、高い接触角を示す。疎水性分子の例として、アルカン、油、脂肪、および一般に脂肪分の多い物質が挙げられる。疎水性の材料は、水からの油の除去、油流出の管理、および極性化合物から非極性物質を除去するための化学的分離プロセスのために使用される。疎水性は、親油性の「脂肪に非常によく溶ける」と、交換可能に使用されることが多い。しかし、これらの2つの用語は同義ではない。疎水性の物質は、通常は親油性であるが、シリコーンおよびフルオロカーボンなどの例外がある。疎水性物質という用語は、古代ギリシア語「水」および古代ギリシア語「恐れる」から構成された、古代ギリシア語「水を恐れる」に由来する。
【0035】
本明細書で使用される場合、「疎油性」という用語は、嫌脂肪性(lipophobia)(ギリシア語「脂肪」および「恐れる」に由来する)と呼ばれることもあり、「脂肪拒絶」、文字通り「脂肪を恐れる」を意味する、化合物の化学的特性である。疎油性化合物は、脂質または他の非極性溶媒に可溶性ではない化合物である。その他の観点から見ると、疎油性
化合物は、脂肪を吸収しない。「撥油性(Oleophobic)」(ラテン語「油」、ギリシア語「油」および「恐れる」に由来する)は、一見すると油からはね返される、分子の物理的特性を指す。(厳密にいえば、斥力は関与せず、引力の欠如である)。最も一般的な疎油性物質は、水である。
【0036】
本明細書で使用される場合、「親水性」という用語は、水に溶解する化合物の能力を指す。このような極性プロトン性溶媒は、それら自体が親水性であり(「水に非常によく溶ける」または「水によく溶ける(water-liking)」と訳される)、「似たもの同士はよく溶ける」という公理が一般に成立する。したがって、親水性の物質は、水および他の親水性の物質に溶解する傾向がある。
【0037】
本明細書で使用される場合、「親油性または疎水性」という用語は、(i)親油性、(ii)疎水性、または(iii)親油性かつ疎水性である物質を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「疎油性または親水性」という用語は、(i)疎油性、(ii)親水性、または(iii)疎油性かつ親水性である物質を指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、「カンナビノイド」という用語は、脳内の神経伝達物質の放出を抑止する、細胞上のカンナビノイド受容体に対して作用する、あるクラスの多様な化合物を指す。これらの受容体タンパク質には、内在性カンナビノイド(ヒトおよび動物によって体内で自然に産生される)、植物性カンナビノイド(カンナビスおよび一部の他の植物に見出される)、および合成カンナビノイド(化学的に製造される)が含まれる。最も注目すべきカンナビノイドは、カンナビスの主要な精神賦活性化合物である、植物性カンナビノイドであるΔ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)である。カンナビジオール(CBD)は、その植物の別の主な構成成分であり、その植物の樹脂エキスの40%までに上る。カンナビスから単離された、少なくとも85種の異なるカンナビノイドが存在し、それらは多様な効果を示す。カンナビノイドは、合成により調製(またはバイオ合成(bio-synthesized))することができ、または代替として、自然に得ることができ
る(例えば、植物物質から)。いずれにしても、カンナビノイドは、要求される純度を有することができる。例えば、栄養補助剤または栄養補助食品として販売される場合、カンナビノイドは、少なくとも80wt%の純度、少なくとも85wt%の純度、または少なくとも90wt%の純度を有することができる。加えて、医薬生成物として販売される場合、カンナビノイドは、少なくとも95wt%の純度、少なくとも98wt%の純度、少なくとも99wt%の純度、または少なくとも99.5wt%の純度)を有することができる。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表2-1】
【表2-2】
【0040】
商業的に入手可能な、合成により調製されたカンナビノイド(例えば、Athens、GAのPurisys(商標))を、以下に提供する。
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0041】
本明細書で使用される場合、「テルペン」という用語は、天然産物として見出され、イソプレン単位のオリゴマー化によってバイオ合成された炭化水素またはその誘導体を指す。テルペンは、非環式、単環式、二環式、または多環式であり得る。例として、例えば、セスキテルペン(例えば、(-)-β-カリオフィレン、フムレン、ベチバズレン、グアイアズレン、ロンギホレン、コパエン、およびパチョロール)、モノテルペン(例えば、
リモネンおよびプレゴン)、モノテルペノイド(例えば、カルボン)、ジテルペン(例えば、タキサジエン)、およびトリテルペン(例えば、スクアレン、ベツリン、ベツリン酸、ルパン、ルペオール、ベツリン-3-カフェエート、アロベツリン、およびコレステロール)が挙げられる。テルペンは、合成により調製(またはバイオ合成)することができ、または代替として、自然に得ることができる(例えば、植物物質から)。いずれにしても、テルペンは、要求される純度を有することができる。例えば、栄養補助剤または栄養補助食品として販売される場合、テルペンは、少なくとも80wt%の純度、少なくとも85wt%の純度、または少なくとも90wt%の純度を有することができる。加えて、医薬生成物として販売される場合、テルペンは、少なくとも95wt%の純度、少なくとも98wt%の純度、少なくとも99wt%の純度、または少なくとも99.5wt%の純度)を有することができる。
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【0042】
商業的に入手可能な、合成により調製されたテルペン(例えば、ジョージア州、アセンズのPurisys(商標))を、以下に提供する。
【表9】
【0043】
本明細書で使用される場合、「フラボノイド」という用語は、様々なポリフェノール構造を有する、広範に分布する植物天然産物を指す。フラボノイドは、果物、野菜、穀物、樹皮、根、茎、花および茶葉から抽出することができ、またはバイオ合成により生成することができる。植物におけるフラボノイドの役割には、UVからの保護、植物成長の補助、斑に対する防御が含まれ、花の色および芳香を提供する。
【0044】
フラボノイドは、B環が結合しているC環の炭素、ならびにC環の不飽和および酸化の度合いに応じて、複数のクラス(例えば、アントシアニン、カルコン、フラボン、フラボノール、イソフラボン、およびフラボノン)および複数のサブクラスに分けることができる。
【化1】
【表10】
【表11】
【0045】
フラボノイドに関する研究により、数々の炎症促進酵素および酸化促進酵素(例えば、キサンチンオキシダーゼ(XO)、シクロ-オキシゲナーゼ(COS)、リポキシゲナーゼ、ホスホイノシチド3-キナーゼ、およびアセチルコリンエステラーゼ)を阻害することによって、抗酸化性、抗炎症性、抗変異原性、および抗発癌性の特性を示す健康上の利益の増加が明らかになった。このことは、数々の疾患および病状(例えば、疼痛、がん、アテローム性動脈硬化(arthersclerosis)、アルツハイマー病)に対して利益を有する
ことができる。カンナビス(Cannabis sativa、Cannabis indica、Cannabis ruderalis)の薬用特性には、関心が高まりつつある。研究では、プレニル化フラボンであるカン
ナフラビン(Cannaflavin)AおよびカンフラビンBが、アスピリンを超える抗炎症特性
を有することが示された。カンフラビンAおよびBは、Cannabis sativaから単離し、バイオ合成することができる。近年の報告は、フラボノイドFBL-03Gが、膵臓がんに罹患している対象の生存率を増大することが示されたことを示した。
【0046】
商業的に入手可能な、合成により調製されたフラボノイド(例えば、Toronto Research Chemicals製のカンフラビンB)を、以下に提供する。
【表12】
【0047】
フラボノイドは、合成的に調製することができ、または代替として自然に(例えば、植物物質から)得ることができる。いずれにしても、フラボノイドは、要求される純度(例えば、少なくとも95wt%の純度、少なくとも98wt%の純度、少なくとも99wt%の純度、または少なくとも99.5wt%の純度)を有することができる。
【0048】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症なしにヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに適しており、合理的な損益比に見合う、化合物、対イオン、塩、賦形剤、活性成分、材料、組成物、および/または剤形を指す。これには、例えば、FDAの不活性成分データベース(IID)(https://www.accessdata.fda.gov/scripts/cder/iig/index.Cfm)に存在する物質および一般に安全と認識され
る(GRAS)と考えられる物質が含まれ得る。
【0049】
本明細書で使用される場合、「幻覚剤(psychedelic agent)」または「幻覚物質(psychedelic)」という用語は、その主な効果が、セロトニン2A受容体アゴニズムを介し
て、通常ではない意識状態(幻覚経験または「トリップ」として公知)を引き起こすことである、幻覚発現クラスの精神賦活性薬物を指す。これは、特定の心理学的、視覚的および聴覚的な変化、ならびにしばしば意識状態の実質的な変更を引き起こす。「古典的」幻覚薬物には、メスカリン、LSD、サイロシビン、およびDMTが含まれる。ほとんどの幻覚薬物は、トリプタミン、フェネチルアミン、またはリセルガミドの3つのファミリーの化合物のうちの1つに該当する。これらの化学物質は、すべて、感覚的知覚および認知に関与する脳内の非常に重要な回路の活性をモジュレートするセロトニン5-HT2A受容体を活性化するが、幻覚物質がどのように5-HT2A受容体を介して知覚および認知の変化を誘発するかについての正確な性質は、未知である。幻覚経験は、通常ではない意識形態、例えば瞑想における経験、神秘的経験、および臨死経験と比較されることが多い。自我の崩壊現象は、幻覚経験の非常に重要な特色として説明されることが多い。例として、以下が挙げられる。
・LSD(リゼルグ酸ジエチルアミド、別名リゼルグ酸ジエチルアミド酸)は、ライムギに感染する真菌である、麦角に見出される物質から作製される。
・サイロシンは、サイロシビンを含むキノコに見出される、自然に存在する物質であり、世界中の多くの場所に見出される。
・メスカリンは、メキシコペヨーテ(Mexican peyote)およびサンペドロサボテンか
ら誘導され、LSDに類似の効果を提供する。
・DMT(ジメチルトリプタミン)は、サイロシビンを含むキノコに見出されるアルカロイドであるサイロシンに構造的に類似している。DMTは、実験室で合成することができるが、いくつかの植物の自然に存在する構成成分でもある。
・DOMは、それらの高い効力、長い作用期間、ならびに幻覚および刺激の混合効果について公知の、DOxファミリーの化合物のメンバーである。
・2C-B(4-ブロモ-2,5-ジメトキシフェネチルアミン)は、1974年に最初に合成された幻覚薬物である。2C-Bは、幻覚物質および軽度の共感物質(entactogenic)の両方とみなされる。「共感薬(entactogen)」は、「内面のつながり(touching
within)」を意味し、MDMAおよび関連薬物を分類するために精神医学者によって使用される用語である。
・ペヨーテ(Lophophora williamsii)は、最も小さく、最もゆっくり成長するが、最も周知の強力な幻覚性サボテンである。上方に成長して円柱を形成するのではなく、地表に低く「ボタン」のように成長する。ペヨーテは、5000年間にわたってアメリカ先住民によって使用されてきた。
・25-NBOMe(N-メトキシベンジル)は、幻覚効果を有する一連の薬物の名称である。入手可能ないくつかの異なる型のNBOMeが存在し、それらはすべて異なる効果を有することが、報告により指し示されている。
・エクスタシー(代替として、MollyまたはMDMAとして公知)は、3,4-メチレンジオキシメタンフェタミンである。エクスタシーは、アンフェタミンと呼ばれる刺激薬に類似の「高揚」を提供する、実験室で作製された薬物である。エクスタシーはまた、幻覚発現剤(hallucinogen)であるメスカリンおよびLSDに類似の幻覚効果を提供する。
【0050】
「単位投薬」または「単位剤形」という用語は、個々のフィルムが、所望の量の活性成分を含有するような、適当な寸法に定寸された口内溶解性フィルムを指す。適当な寸法を定寸する(それによって単位剤形を提供する)前に、溶解性フィルムは、巻かれていない形態(例えば、シート)または巻かれた形態(例えば、バルクロール)のいずれかで存在することができる。
【0051】
「可塑剤」という用語は、ポリマーに添加されると、ポリマーをより柔軟および軟質にし、脆性を低減しながらフィルムの可撓性および柔軟性を増強する物質を指す。可塑剤は、ポリマー構造に浸透し、分子内水素結合を破壊し、分子間引力を永久的に下げると考え
られる。可塑剤は、初期フィルム形成を可能にし、脆性を低減し、結果として得られたフィルムの加工性および可撓性を改善し、それによって、例えば硬化プロセス中の亀裂を回避するために使用することができる。適切な可塑剤には、例えば、グリセリン、水、ポリエチレングリコール、ハチミツ、プロピレングリコール、モノアセチン、トリアセチン、クエン酸トリエチル、ソルビトール、1,3-ブタンジオール、D-グルコノ-1,5-ラクトン、ジエチレングリコール、ヒマシ油、およびその組合せが含まれる。
【0052】
本明細書で使用される場合、「抗菌剤」という用語は、微生物を死滅させるか、または微生物の成長を阻止する薬剤を指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、「自己乳化」という用語は、経口(PO)投与、頬側投与、舌下投与、経腸投与、または歯肉投与について、口腔粘膜表面と接触させられた後にエマルションを形成する(例えば、口腔内に置かれる場合)、本明細書に記載される溶解性フィルムの能力を指す。エマルションは、口腔粘膜表面と接触してから、例えば120秒、90秒、60秒、または30秒以内に形成され得る。
【0054】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、生物、例えばヒト、イヌ、ネコおよび他の哺乳動物を指す。本発明の口内溶解性フィルムに含まれる医薬の投与は、対象の処置に有効な投薬量で、有効な期間にわたって行うことができる。一部の実施形態では、対象は、ヒトである。別段特定されない限り、ヒト対象は、男性でも女性でもよく、さらに、成人、青年、子ども、幼児または乳幼児であってよい。
【0055】
「粒径分布」または「PSD」という用語は、存在する粒子の、典型的に質量による相対量を、サイズに従って定義する値の一覧または数学関数を指す。例えば、質量メジアン直径(MMD)(例えば、d10、d50、d90などとして表現される)は、対数正規分布の質量メジアン直径を指す。MMDは、質量による平均粒径であると考えられる。粒径分布は、Malvern Mastersizerを用いて得ることができる。
【0056】
粒径分布D10(またはd10)は、X10、D(0.1)またはX(0.1)としても表記される。10%積算(0~100%)ふるい下粒径分布に対応する粒径を表す。言い換えれば、粒径D10が7.8umである場合には、試験される試料中の粒子の10%が7.8マイクロメートルよりも小さく、または7.8マイクロメートルよりも小さい粒子の百分率が10%である。D10は、粒径分布分析における代表点である。D10はまた、Dv10、Dw10およびDn10に分けられる。Dv10は体積D10を意味し、Dw10は質量D10であり、Dn10は数D10である。
【0057】
粒径分布D50(またはd50)は、X50、D(0.5)またはX(0.5)としても表記される。50%積算(0~100%)ふるい下粒径分布に対応する粒径を表す。言い換えれば、粒径D50が7.8umである場合には、試験される試料中の粒子の50%が7.8マイクロメートルよりも小さく、または7.8マイクロメートルよりも小さい粒子の百分率が50%である。D50は、粒径分布分析における代表点である。D50はまた、Dv50、Dw50およびDn50に分けられる。Dv50は体積D50を意味し、Dw50は質量D50であり、Dn50は数D50である。
【0058】
粒径分布D90(またはd90)は、X90、D(0.9)またはX(0.9)としても表記される。90%積算(0~100%)ふるい下粒径分布に対応する粒径を表す。言い換えれば、粒径D90が7.8umである場合には、試験される試料中の粒子の90%が7.8マイクロメートルよりも小さく、または7.8マイクロメートルよりも小さい粒子の百分率が90%である。D90は、粒径分布分析における代表点である。D90はまた、Dv90、Dw90およびDn90に分けられる。Dv90は体積D90を意味し、
Dw90は質量D90であり、Dn90は数D90である。
【0059】
本明細書で使用される場合、「粘膜」(および関連する「粘膜」および「粘膜表面」)という用語は、体内の様々な腔を被覆するか、またはそれらの表面を覆う膜を指す。粘膜は、緩い結合組織の層の上にかぶせる上皮細胞の1つまたは複数の層からなる。粘膜は、ほとんど内胚葉起源のものであり、身体の様々な開口部、例えば目、耳、鼻の内側、口の内側、唇、膣、尿道口および肛門において皮膚と連続している。一部の粘膜は、厚い保護性流体である粘液を分泌する。膜の機能は、病原体および汚れが体内に入るのを阻止し、体組織が脱水するのを防止することである。粘膜表面には、具体的には、例えば口腔粘膜、舌、膣内粘膜、鼻粘膜、および肛門管が含まれる。
【0060】
本明細書で使用される場合、「経粘膜」という用語は、本明細書で使用される場合、粘膜または粘膜表面を介する任意の投与経路を指す。例として、頬側、舌下、経鼻、膣内、および直腸が挙げられるが、それらに限定されない。
【0061】
本明細書で使用される場合、「頬側投与」という用語は、頬側区域(頬内の)に保たれるか、または塗布された薬物が、口腔粘膜(口を被覆する組織)を介して拡散し、血流に直接的に入る、局所投与経路を指す。頬側投与は、医薬が消化器系を通過せず、それによって初回通過代謝を回避するので、経口投与と比較して、一部の薬物のより良好な生物学的利用率およびより迅速な作用開始を提供することができる。肝臓およびGI毒性も回避され得る。
【0062】
本明細書で使用される場合、「頬側空間」(頬筋空間とも称される)という用語は、頭頸部の筋膜空間(時として、筋膜組織空間または組織空間とも称される)を指す。頬側空間は、頬内の潜在的空間であり、各側に対を成す。頬側空間は、頬筋に表在し、広頸筋の筋肉および皮膚までの深さを有する。頬側空間は、頭部からつま先まで続く皮下空間の一部である。
【0063】
本明細書で使用される場合、「口腔」または「口」または「頬側口腔」という用語は、多くの動物がそれを介して食品を摂取し、声を出す開口部を指す。この開口部はまた、消化管の上端にあり、唇によって外側に、かつ咽頭により内側につながっており、高等脊椎動物では舌および歯を含む空洞である。ヒトの解剖において、口は、食品を受け入れ、唾液を生成する消化管の起始部である。口腔粘膜は、口の内側を被覆する粘膜上皮である。口は、前庭および固有口腔の2つの領域からなる。口は、普通は湿っており、粘膜で被覆され、歯を含んでいる。唇は、粘膜から、身体のほとんどを覆う皮膚への移行を目立たせる。
【0064】
本明細書で使用される場合、「口腔粘膜」という用語は、口の内側を被覆する粘膜を指し、口腔上皮と称される重層扁平上皮および粘膜固有層と称される下層結合組織からなる。口腔粘膜は、機能および組織学に基づいて、以下の3つの主な分類に分けることができる。(1)角質化した重層扁平上皮であり、舌の背側、硬口蓋および付着歯肉上に見出される咀嚼粘膜、(2)角質化されていない重層扁平上皮であり、口腔内の他のほぼすべてに見出され、以下を含む被覆粘膜:(a)頬および口腔底の内側被覆を指し、被覆粘膜の一部である頬粘膜、(b)唇の内側被覆を指し、被覆粘膜の一部である口唇粘膜、および(c)頬粘膜と口唇粘膜の間の被覆を指す歯槽粘膜。この被覆粘膜は、多くの血管により滑らかで艶やかなより明るい赤色であり、乳頭間突起(rete pegs)により下層組織とは結合していない、ならびに(3)具体的には、一般的な感覚受容および味覚の知覚のための神経終末を含有する、舌の背側表面の舌乳頭上の味蕾領域にある特殊粘膜。
【0065】
本明細書で使用される場合、「口腔粘膜表面」という用語は、口腔粘膜の表面を指す。
【0066】
本明細書で使用される場合、「舌下投与」という用語は、「舌の下」のラテン語に由来し、物質が舌下組織を介して血液に拡散する、薬理学的投与経路を指す。薬物が舌の真下にある粘膜と接触すると、薬物が吸収される。上皮の真下にある結合組織は、多数の毛細血管を含有するので、次に物質は、その毛細血管に拡散し、静脈循環に入る。それとは対照的に、腸内で吸収された物質は、肝臓において初回通過代謝を受けた後、全身循環に入る。舌下投与は、経口投与を上回るある特定の利点を有する。より直接的には、舌下投与はより急速であることが多く、物質が血流に入る前に唾液酵素によって分解されるリスクしかないが、経口投与された薬物は、胃腸管の過酷な環境を生き抜いて通過しなければならず、それによって薬物が、胃酸もしくは胆汁のいずれかによって、またはモノアミンオキシダーゼ(MAO)などの酵素によって分解されるリスクがあるということが確実である。さらに、胃腸管から吸収された後、このような薬物は、肝臓まで到達しなければならず、そこで大幅に変更される場合がある。これは、薬物代謝の初回通過効果として公知である。胃および腸の消化活動に起因して、経口経路は、ある特定の物質には適していない。
【0067】
本明細書で使用される場合、「歯肉投与」という用語は、物質が歯茎の組織を介して血液中に拡散する、薬理学的投与経路を指す。歯茎または歯肉(gingiva)(複数形:歯肉
(gingivae))は、口内の下顎骨および上顎骨にわたって存在する粘膜組織からなる。
【0068】
本明細書で使用される場合、「経腸投与」という用語は、ヒト胃腸管を介する薬物投与を指す。経腸投与には、食道、胃、ならびに小腸および大腸(すなわち、胃腸管)が関与する。投与方法には、経口および直腸が含まれる。経腸投与は、GI管への進入点に応じて、経口(口による)、胃(胃を介する)、および直腸(直腸から)の3つの異なる分類に分けることができる。(胃への導入は、鼻孔を介する管(NG管)または胃に直接的につながる腹部の管(PEG管)の使用を伴う。直腸投与は、通常、直腸坐剤を伴う)。経腸医薬は、例えば、嚥下されるか、咀嚼されるか、または水に溶解される錠剤、カプセル剤およびチュアブルカプセル剤(胃または腸内で溶解して、そこで医薬を放出するコーティングを有する)、口内可溶性フィルム、徐放性または持続放出性の錠剤およびカプセル剤(医薬を徐々に放出する)、浸透圧送達系、散剤または顆粒剤、ならびに液体医薬またはシロップ剤を含めた様々な形態を取る。
【0069】
本明細書で使用される場合、「経口投与」または「PO」という用語は、物質が口を介して摂取される投与経路を指す。多くの医薬は、血流を介して身体の様々な部分に達する全身作用を有することが意図されるため、経口摂取される。
【0070】
本明細書で使用される場合、「含水量」という用語は、本明細書に記載される溶解性フィルムに含有されている水の量を指す。含水量は、結合水および非結合水を包含することができる。含水量は、0(完全に乾燥)から飽和状態の溶解性フィルムの多孔性の値までの範囲を取ることができる比として表される。含水量は、体積測定または質量(重量測定)ベースで与えられ得る。典型的に、含水量は、重量パーセント(例えば、10wt%)として表される。
【0071】
含水量は、乾燥オーブンを使用して直接測定することができる。試料の含水量を決定する他の方法には、加熱時(おそらく不活性ガスの存在下で)またはフリーズドライ後の質量喪失を決定する化学的滴定(例えば、カールフィッシャー滴定)が含まれる。ディーン-スターク法も一般に使用される。別段特定されない限り、乾燥減量(LOD)法は、本明細書に記載される溶解性フィルムの含水量を計算するために用いることができる。
【0072】
本明細書で使用される場合、「崩壊」という用語は、破断またはばらばらになる物質(
例えば、口内溶解性フィルムのマトリックス)を指す。この物質は、粘着または強度を喪失し、小片に細分化することができる。この物質は、口内に置かれる場合、唾液でばらばらになる。
【0073】
本明細書で使用される場合、「生物学的利用率」という用語は、吸収のサブカテゴリを指し、体循環に達する、投与された薬物の分率(%)である。医薬が静脈内投与される場合、その生物学的利用率は100%である。しかし、医薬が、静脈内以外の経路を介して投与される場合、その生物学的利用率は、一般に、腸管内皮吸収および初回通過代謝に起因して、静脈内の生物学的利用率よりも低い。それによって数学的には、生物学的利用率は、血管外製剤についての時間に対する血漿薬物濃度曲線下面積(AUC)と、血管内製剤についてのAUCを比較した比に等しい。AUCは体循環に入った用量に比例するので、AUCが利用される。
【0074】
本明細書で使用される場合、「溶解」という用語は、溶解しているまたは溶解させられる物質(例えば、口内溶解性フィルムの活性成分またはマトリックス)を指す。口内に置かれる場合、物質は、唾液に溶解する。
【0075】
「有効量」という用語は、本明細書では、本明細書に記載される通り対象の疾患、障害、または状態を処置または防止するのに有効な、口内溶解性フィルムに存在する活性成分の量を一般に含むために使用される。
【0076】
対象に関する「処置」という用語は、対象の疾患、障害、または状態の少なくとも1つの症状の改善を指す。処置には、疾患、障害もしくは状態、またはその症状のいずれかの治癒、改善、または少なくとも部分的な寛解が含まれる。
【0077】
本明細書で使用される場合、「薬物動態学」は、時として「PK」と略され、生物に投与された物質の運命の決定に特化された薬理学の分科を指す。これは、投与された瞬間から、身体から完全に排出される時点までの化学的代謝を分析し、化学物質の運命を発見しようとすることである。薬物動態学は、生物が薬物に対してどのように影響を及ぼすかについての研究であり、一方、薬力学(PD)は、薬物が生物に対してどのように影響を及ぼすかについての研究である。それらは共に、PK/PDモデルに見られる通り、投薬、利益、および有害効果に対して一緒に影響を及ぼす。
【0078】
したがってPKは、ある期間にわたる、身体による薬物の取込み、薬物が受ける生体内変換、組織における薬物およびそれらの代謝産物の分布、ならびに薬物およびそれらの代謝産物の身体からの排出の研究を指す。
【0079】
以下は、一般に測定される薬物動態基準である。
【表13】
【0080】
本明細書で使用される場合、「基材」という用語は、その上にスラリーが硬化させられる、基礎となる物体を指す。基材は、スラリーでコーティングされると、典型的に乾燥機の中を進み、そこでスラリーが少なくとも部分的に硬化させられる。典型的に、基材のロールが巻き出しステーションに置かれ、そのラインに張力が適用される。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはシリコン処理した紙などの任意の適切な基材を使用することができる。PETは、生成物をコーティングし、乾燥させる場合、基材として使用されるポリエステルファミリーの熱可塑性ポリマー樹脂である。同様に、生成物をコーティングし、乾燥させる場合、シリコン処理した紙は、両面をポリエチレンで製造され、基材として使用される片面がシリコンポリマーでコーティングされた、安定な剥離紙である。
【0081】
本明細書で使用される場合、「硬化」という用語は、溶解性フィルム(本明細書に記載される通り)を、スラリー(また本明細書に記載される)から生成する化学プロセスを指す。このプロセスは、溶媒(水)を除去することによって、スラリーに存在するポリマー材料を強化または硬化させることによって、ポリマー鎖を架橋することなどによって行うことができる。硬化という用語は、液体(または半固体)溶液(例えば、スラリー)から出発し、固体生成物(例えば、溶解性フィルム)を得るプロセスを指すために使用することができる。硬化は、熱、放射線、電子線、または化学的添加剤によって惹起することが
できる。IUPACから引用すると、硬化は、「化学的硬化剤と混合することが要求される場合と、混合しなくて済む場合がある」。IUPAC. Compendium of Chemical Terminology, 2nd ed. (the "Gold Book"). Compiled by A. D. McNaught and A.
Wilkinson. Blackwell Scientific Publications, Oxford (1997). Online version (2019-) created by S. J. Chalk. ISBN 0-9678550-9-8. https://doi.org/10.1351/goldbook。したがって、(i)化学的添加剤(硬化剤、硬膜剤とも呼ばれる)により誘発される硬化、および(ii)添加剤がない状態での硬化の、2つの幅広いクラスがある。その中間の場合は、硬化を誘発するのに外部刺激(光、熱、放射線)を要求する、樹脂および添加剤の混合物を伴う。
【0082】
本明細書で使用される場合、「粘膜付着剤」という用語は、粘膜表面(例えば、口腔)と接触するとそれに付着する物質を指す。粘膜付着剤は、口腔内に置かれ口腔内粘膜と接触すると、粘膜に付着する。粘膜付着剤は、粘膜への組成物の付着を増進し、組成物からの活性成分の放出を促進することによって、口内溶解性フィルムの組成物の、対象の粘膜表面との密接な長時間の接触を可能にする。粘膜付着剤は、ポリマー化合物、例えばセルロース誘導体であり得るが、天然ガム、アルギネート、ペクチン、またはこのような類似のポリマーであってもよい。粘膜付着剤の濃度は、フィルムが粘膜に付着する時間の長さを変えるか、またはフィルムと粘膜との間に生じる付着力を変えるように調整することができる。粘膜付着剤には、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシルプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、カーボポール、ポリカルボフィル、カルボキシビニルコポリマー、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸、メチルメタクリレートコポリマー、トラガントガム、グアーガム、カラヤガム、エチレン酢酸ビニル、ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレンブロックコポリマー、ペクチン、キトサン、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、アラビアガム、ローカストビーンガム、およびヒドロキシエチルメタクリレートコポリマーが含まれる。
【0083】
本明細書で使用される場合、「結合剤」という用語は、成分を一緒に保つために使用される物質、典型的にポリマーを指す。結合剤は、口内溶解性フィルムが、要求される機械的強度を伴って確実に形成され得るようにする。結合剤はまた、溶解性フィルムに存在する少量の活性成分に必要な体積を提供する。結合剤の存在はまた、硬化フィルムの形成を促進する。したがって、結合剤には、流延スラリーに存在する場合、硬化すると硬化フィルムを有効に提供する物質が含まれる。結合剤はまた、「フィルム形成剤」と呼ぶことができ、またはより具体的には、結合剤がポリマーである場合には「フィルム形成ポリマー」と呼ぶことができる。ポリマーは、天然高分子または合成ポリマーであり得る。天然高分子には、例えば、プルラン、アルギン酸ナトリウム(アルギン酸Na)、ペクチン、ゼラチン、キトサン、およびマルトデキストリンが含まれる。合成ポリマーには、例えば、ヒドロキシプロピル(hydroxpropyl)セルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)、微結晶性セルロース(MCC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリビニルピロリドン(PVP)、およびKollicoat(登録商標)(例えば、Kollicoat(登録商標)ProtectまたはKollicoat(登録商標)IR)が含まれる。
【0084】
本明細書で使用される場合、「充填剤」または「増量剤」という用語は、医薬剤形の嵩を増して、非常に少ない活性成分の構成成分を消費者が容易に摂取できるようにする物質を指す。充填剤は、これらの生成物の製造および安定化の助けにするために、医薬剤形に添加される。充填剤は、剤形を結合し、安定化する。充填剤は、医薬活性成分(API)
の有効性を変更することも、それに影響を与えることもない。例として、ラクトース、グルコース、植物セルロース、微結晶性セルロース(MCC)、および炭酸カルシウムが挙げられる。
【0085】
本明細書で使用される場合、「唾液刺激剤」または「唾液刺激物質」という用語は、唾液の生成を増大し、それによって唾液流量を増大することができる物質を指す。適切な唾液刺激剤には、有機酸(例えば、アスコルビン酸およびリンゴ酸)、副交感神経刺激薬物(例えば、コリンエステル、例えば塩酸ピロカルピンおよびコリンエステラーゼ阻害剤)、フィゾスチグミン、および他の物質(例えば、キシリトール、キシリトール/ソルビトール、およびニコチンアミド)が含まれる。
【0086】
本明細書で使用される場合、「安定化剤および増粘剤」または「ゲル化剤」という用語は、流延の前にスラリーの粘度および粘稠度を改善するために用いられる物質を指す。活性成分の含量の均一性は、すべての剤形、特に低用量の非常に強力な活性成分を含有する剤形のための要件であることが多い。この要件を独自に満たすために、口内溶解性フィルム製剤は、製造プロセス全体を通して活性成分の均一な分散液を含有することができる。安定化剤および増粘剤の例として、例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、寒天、カラギーナン、ローカストビーンガム、ペクチン、およびゼラチンが挙げられる。
【0087】
本明細書で使用される場合、「香味剤」という用語は、例えば対象にとっての魅力および許容性を改善するために、フレーバーを付与するために使用される物質を指す。基本的な味覚は、塩味、甘味、苦味、酸味、および旨味である。フレーバーは、天然および合成香味物質から選択され得る。このような薬剤の例示的な一覧には、揮発性油、合成フレーバー油、香味芳香族、油、液体、オレオレジン、または植物、葉、花、果物、茎およびその組合せから誘導されたエキスが含まれる。香味剤には、例えば、ハチミツ、アニス、サクランボ、ミント、ペパーミント、スペアミント、メントール、レボメントール、ウォーターミント、ジンジャーミント、レモングラス、カルダモン、セージ、シナモン、ショウガ、オールスパイス、クローブ、オイゲノール、オレンジ、ウィンターグリーン、レモン、ライム、タンジェリン、ショウガ、およびナツメグの1つまたは複数が含まれ得る。香味剤は、固体(例えば、粉末)として、液体(例えば、油)として、またはその組合せとして入手可能であり得る。
【0088】
本明細書で使用される場合、「矯味剤(taste masking agent)」という用語は、対
象にとっての魅力および許容性を改善するために、製剤に存在する物質の不快な味を遮蔽するために使用される物質を指す。例えば、矯味剤は、活性成分の苦味を遮蔽するために使用される物質を指すことができる。本明細書に記載される口内溶解性フィルムでは、矯味剤には、例えば、ハチミツ、アニス、ミント、ペパーミント、シナモン、magnaスイート、シトラス、および果物(例えば、サクランボ)の少なくとも1つが含まれ得る。香味剤はまた、フレーバーを付与することに加えて、必要に応じて、口内溶解性フィルムに存在する任意の不快なまたは苦味のある物質(例えば、活性成分)の味を遮蔽することができる。このような実施形態では、同じ物質が、香味剤および矯味剤の両方として働くことができる。
【0089】
本明細書で使用される場合、「着色剤」、「着色料」または「色素」という用語は、例えば、対象にとっての魅力および許容性を改善するために、色を付与するために使用される物質を指す。色の一貫性は、対象にとって医薬の識別を容易にするので、重要であり得る。さらに、色は、医薬の審美的見た目および感覚を改善することが多い。これらの感覚器官を刺激する特性を増大することによって、対象は、対象のスケジュールを忠実に守る可能性が高まり、治療目的もまた、より良好な転帰を対象にもたらす。
【0090】
本明細書で使用される場合、「放出調節剤」という用語は、対象に投与される場合、口内溶解性フィルムからの活性成分の放出を調節し、かつ/または活性成分の吸収を調節するために用いられる物質を指す。調節された薬物放出は、即時放出(IR)とは対照的であり得、調節された薬物放出には、例えば、延長放出(XR)または遅延放出(DR)が含まれる。
【0091】
本明細書で使用される場合、「アジュバント」という用語は、活性成分の効果または有効性を調節する(例えば、増大する)物質(例えば、薬理学的または免疫学的薬剤)を指す。
【0092】
本明細書で使用される場合、「甘味料」または「甘味剤」という用語は、甘い味を提供する物質を指す。甘味料は、天然であっても人工であってもよい。適切な甘味料には、糖(例えば、グルコース、コーンシロップ、フルクトース、およびスクロース)、および糖代用品(例えば、ハチミツ、顆粒状ハチミツ、アスパルテーム、ネオテーム、アセスルファムカリウム(Ace-K)、サッカリン、サッカリンナトリウム、アドバンテーム、スクラロース、モンクフルーツエキス(モグロシド)、ステビア、レバウジオシドA、ソルビトール、キシリトール、およびラクチトール)が含まれる。
【0093】
本明細書で使用される場合、「可溶化剤および乳化剤」または「乳化剤」という用語は、エマルションを形成または増進することができる物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムへの特定の言及において、乳化剤は、相(例えば、水性および脂質)の分離を増進する一方、それらの相が混合されるようにすることができる。適切な乳化剤には、例えば、ポリソルベート80、グリセリン、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコールが含まれる。
【0094】
「エマルション」という用語は、液体-液相分離により、普通は不混和性(混合不可能またはブレンド不可能)である2種またはそれよりも多い液体の混合物を指す。2種の液体は、様々な種類のエマルションを形成することができる。例として油および水は、まず、油が分散相であり水が連続相である、水中油エマルションを形成することができる。次にそれらは、水が分散相であり油が連続相である、油中水エマルションを形成することができる。「水中油中水」エマルションおよび「油中水中油」エマルションを含めた、多重エマルションも可能である。エマルションは液体であり、静的内部構造を示さない。連続相に分散させられた液滴(時として「分散媒」と呼ばれる)は、通常、ほぼ球形の液滴を生成するように統計的に分布すると想定される。分子が液体-液相分離中に秩序化される場合、それらの分子は、エマルションではなく液晶を形成する。すべての生物によって使用される脂質は、エマルション(例えば、球形ミセル、リポタンパク質)または液晶(脂質二層膜)のいずれかを形成することができる分子の一例である。
【0095】
液滴は、非晶質、液体-結晶性、またはその任意の混合物であり得る。分散相を構成する液滴の直径は、通常、およそ10nm~100μmの範囲であり、すなわち、液滴は、コロイド粒子について通常の許容限界サイズを超える場合がある。エマルションは、分散相が有機材料であり、連続相が水または水溶液である場合には、油/水(o/w)エマルションと称され、分散相が水または水溶液であり、連続相が有機液体(「油」)である場合には、水/油(w/o)と称される。
【0096】
100nm未満の液滴サイズを有する、マイクロエマルションおよびナノエマルションの2つの特別なクラスのエマルションは、半透明に見える。この特性は、それらのサイズが、入射光の波長の約4分の1を超える場合に初めて、光波が液滴によって散乱させられることに起因する。目に見える光スペクトルは、390~750ナノメートル(nm)の
波長から構成されるので、エマルションにおける液滴サイズが約100nm未満である場合、その光は、散乱することなくエマルション中に透過することができる。半透明ナノエマルションおよびマイクロエマルションは、それらの外観が類似しているため、頻繁に混同される。生成されるために特殊装置を要求する半透明ナノエマルションとは異なり、マイクロエマルションは、界面活性剤、共界面活性剤、および共溶媒の混合物で油分子を「可溶化する」ことによって、自然発生的に形成される。しかし、マイクロエマルションにおいて要求される界面活性剤の濃度は、半透明ナノエマルションにおけるよりも数倍高く、分散相の濃度を著しく超える。界面活性剤によって引き起こされる多くの望ましくない副作用のせいで、界面活性剤の存在は不利益であり、または多くの適用において禁止される。加えて、マイクロエマルションの安定性は、希釈により、加熱により、またはpHレベルの変化により、容易に損なわれることが多い。
【0097】
「脂質」という用語は、脂肪、ワックス、ステロール、脂溶性ビタミン(例えば、ビタミンA、D、E、およびK)、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質などを含む、自然に存在する分子の群を指す。「脂質」はまた、エトキシ化脂肪アルコール、例えばオレス-10およびラウレス-10、ならびにエトキシ化モノおよびジグリセリドの混合物、例えばPEG-16マカダミアグリセリドおよびPEG-10ヒマワリグリセリドを指すことができる。その化合物は、疎水性または両親媒性の小分子である。一部の脂質の両親媒性性質により、脂質は、水性環境において小胞、リポソーム、または膜などの構造を形成することができる。生物学的脂質は、ケトアシル基およびイソプレン基の、2つの別個の種類の生化学的サブユニットまたは「構成要素」から全体的または部分的に由来する。この手法を使用すると、脂質は、脂肪酸、グリセロ脂質、グリセロリン脂質、スフィンゴ脂質、糖脂質、およびポリケタイド(ケトアシルサブユニットの縮合から誘導される)、ならびにステロール脂質およびプレノール脂質(イソプレンサブユニットの縮合から誘導される)の8つの分類に分けることができる。脂質という用語は、時として脂肪の同義語として使用されるが、脂肪は、トリグリセリドと呼ばれる脂質のサブグループである。脂質はまた、脂肪酸およびそれらの誘導体(トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、およびリン脂質を含む)、ならびに他のステロール含有代謝産物、例えばコレステロールなどの分子を包含する。適切な脂質には、例えば、アーモンド油、アルガン油、アボカド油、キャノーラ油、カシュー油、ヒマシ油、カカオバター、ヤシ油、ナタネ油、コーン油、綿実油、ブドウ種子油、ヘーゼルナッツ油、大麻油、ヒドロキシル化レシチン、レシチン、亜麻仁油、マカダミア油、マンゴーバター、マルーラ油、モンゴンゴナッツ油、オリーブ油、パーム核油、パーム油、ピーナッツ油、ピーカン油、エゴマ油、松の実油、ピスタチオ油、ケシ種子油、カボチャ種子油、米ぬか油、ベニバナ油、ゴマ油、シアバター、大豆油、ヒマワリ油、クルミ油、およびスイカ種子油が含まれる。
【0098】
本明細書で使用される場合、「フレグランス」(代替として、付臭剤または芳香化合物としても公知)という用語は、所望の香りまたは香気を付与するために用いられる物質を指す。
【0099】
本明細書で使用される場合、「pH調整剤」という用語は、水溶液(例えば、スラリー)に添加される場合、pHを変化させる物質を指す。例えば、pH調整剤は、水溶液(例えば、スラリー)に添加される場合、pHを低下させるような酸であり得る。代替として、pH調整剤は、水溶液(例えば、スラリー)に添加される場合、pHを上昇させるような塩基であり得る。塩基は、有機塩基(例えば、重炭酸ナトリウム)または無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム)であり得、酸は、無機酸(例えば、塩酸)および/または有機酸(例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸など)の少なくとも1つであり得る。
【0100】
本明細書で使用される場合、「緩衝剤」という用語は、別の酸または塩基の添加後に、溶液(例えば、スラリー)のpH(例えば、酸性度または塩基性度)を、選択された値近
くに維持するために使用される弱酸または弱塩基を指す。すなわち、緩衝剤の機能は、酸または塩基が溶液(例えば、スラリー)に添加されるときにpHの迅速な変化を防止することである。緩衝剤は、様々な特性を有し、あるものは他よりも可溶性が高く、あるものは酸性である一方、他のものは塩基性である。酸は、有機酸、鉱酸、またはその組合せであり得る。同様に、塩基は、有機塩基、無機塩基、またはその組合せであり得る。
【0101】
「滑沢剤」または「流動促進剤」という用語は、処理特徴を改善するために製剤(例えば、スラリー)に添加される物質を指す。例えば、滑沢剤は、微粒子間(interparticulate)摩擦を低減することによって、スラリー流を増強することができる。適切な滑沢剤には、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、水素化植物油(例えば、Sterotex、Lubritab、およびCutina)、鉱物油、ポリエチレングリコール4000~6000(PEG)、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ヒアルロン酸ナトリウム、スクロースエステル、ベヘン酸グリセリル(stelliesters)、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチル、トリアセチン、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジ(2-メチルエチル)、アジピン酸ジヘキシル、糖の部分的脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪アルコールエーテル、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、2-エトキシエタノール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、酒石酸ジブチル、ヒマシ油、またはその任意の組合せが含まれる。
【0102】
本明細書で使用される場合、「安定剤」という用語は、スラリーおよび/または口内溶解性フィルム中に存在する複数の物質のいずれか1つの分解を防止するために用いられる物質を指す。この複数の物質には、活性成分および不活性成分のいずれか(例えば、賦形剤または添加剤)が含まれ得る。
【0103】
本明細書で使用される場合、「抗酸化剤」という用語は、スラリーおよび/または口内溶解性フィルム中に存在する複数の物質のいずれか1つの酸化を阻害または防止する物質を指す。この複数の物質には、活性成分および不活性成分のいずれか(例えば、賦形剤または添加剤)が含まれ得る。抗酸化剤の例として、例えば、アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンA、α-トコフェロール(ビタミンE)、ベータ-カロテン、グルタチオン、ユビキノール(補酵素Q)、およびセレンが挙げられる。
【0104】
本明細書で使用される場合、「粘着防止剤」という用語は、粉末化または粒状化材料の塊(粘結)の形成を防止するために用いられる物質を指す。粘着防止剤の使用は、スラリーを形成するために使用される固体粉末の流動しやすさをもたらすことができる。結晶固体は、液体架橋の形成およびその後の微結晶の融合によって粘結することが多い。非晶質材料は、ガラス転移および粘度変化によって粘結する場合がある。多形相転移も、粘結を誘発する場合がある。例として、例えば、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、および炭酸マグネシウムが挙げられる。
【0105】
本明細書で使用される場合、「保水剤」という用語は、スラリーおよび/または口内溶解性フィルムを湿潤させたままにするために使用される物質を指す。保水剤は、近くの空気中の水分を吸収により引き寄せ、保持し、水蒸気を口内溶解性フィルムの表面にまたはその下に引き込む。これは、水分を引き離すのに使用される乾燥剤として使用される場合の吸湿性材料の逆の使用である。保水剤は、口内溶解性フィルムにおいて、活性成分の溶解度を増大し、粘膜表面に浸透する活性成分の能力またはその活性時間を増大するために使用することができる。例として、例えば、プロピレングリコール、へキシレングリコール、ブチレングリコール、アロエベラゲル、アルファヒドロキシ酸(例えば、乳酸)、ト
リ酢酸グリセリル、および糖アルコールまたはポリオール(例えば、グリセロール、ソルビトール、キシリトール、およびマルチトール)が挙げられる。
【0106】
本明細書で使用される場合、「浸透促進剤」という用語は、in vivo(例えば、経口)投与される場合、所望の身体表面(例えば、口腔粘膜、例えば頬側、舌下、粘膜もしくは歯肉、または腸管表面)にわたって活性成分の送達を増大して、活性成分の吸収の増大をもたらすために用いられる物質を指す。
【0107】
本明細書で使用される場合、「防腐剤」という用語は、微生物の成長または望ましくない化学的変化による分解を防止するために添加される物質を指す。医薬製剤において使用される一部の典型的な防腐剤には、抗酸化剤、例えばビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、パルミチン酸ビタミンC、パルミチン酸レチニル、およびセレン;アミノ酸であるシステインおよびメチオニン;クエン酸およびクエン酸ナトリウム;合成防腐剤、例えばパラベンであるメチルパラベンおよびプロピルパラベンが含まれる。本明細書に記載される口内溶解性フィルムでは、防腐剤は、例えば、安息香酸ナトリウム、安息香酸、亜硝酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、およびアスコルビン酸の任意の1種または複数を含むことができる。
【0108】
本明細書で使用される場合、「油」という用語は、周囲温度で粘性液体であり、疎水性(水と混合しない、文字通り「水を恐れる」)かつ親油性(他の油と混合する、文字通り「脂肪に非常によく溶ける」)である、任意の非極性の化学物質を指す。油は、炭素および水素の含量が高く、通常は可燃性であり、表面活性がある。ほとんどの油は、室温で液体の不飽和脂質である。油の一般的定義には、それ以外で構造、特性、および使用に無関係であり得るクラスの化合物が含まれる。油は、動物または植物起源であり得、揮発性または不揮発性であり得る。油は、典型的に、食品に使用される(例えば、オリーブ油)。
【0109】
本明細書で使用される場合、「油担体」という用語は、溶媒として有用な、本明細書に記載される油を指す。
【0110】
本明細書で使用される場合、「水性液体」という用語は、水を含む液体を指す。
【0111】
本明細書で使用される場合、「熱風オーブン」という用語は、対流熱を放射するオーブンを指す。
【0112】
「対流熱」という用語は、対流によって得られた熱を指す。「対流」は、流体(例えばガス、例えば空気)の移動による、ある場所から別の場所への熱の伝達を指す。対流は、通常、液体およびガスにおける熱伝達の主要な形態である。対流熱伝達は、別個の熱伝達法として論じられることが多いが、未知の伝導(熱拡散)および移流(バルク流体流による熱伝達)を組み合わせたプロセスを伴う。(1)自由または自然対流、および(2)強制対流の2種類の対流熱伝達に区別することができる。本発明の方法において用いられる対流熱には、(1)自由もしくは自然対流、および/または(2)強制対流が含まれ得る。
【0113】
自由または自然対流は、流体運動が、流体における熱温度の変動に起因する密度の変動によって起こる浮力によって引き起こされる場合に発生する。内部供給源が存在しない状態で、流体が高温表面と接触させられる場合、その流体分子は分離し、散乱して、流体の密度を低下させる。結果として、流体は変位すると同時に、より冷たい流体は密度が上昇し、その流体が沈む。したがって、より温かい体積が、その流体のより冷たい体積に向かって熱を伝達する。よく知られた例が、火または高温物体に起因する空気の上昇流、および下から加熱されるポットにおける水の循環である。それとは対照的に、強制対流は、内
部供給源、例えばファンによって、撹拌することによって、およびポンプによって、または人工的に誘発された対流を作り出すことによって、流体が表面にわたって強制的に流される場合に発生する。
【0114】
「厚さ」という用語は、口内溶解性フィルムの両面の間の距離を指す。厚さは、3つの寸法(長さ、幅、および厚さ)のうち最も小さい寸法である。フィルムの厚さは、マイクロメートルねじゲージまたは較正済みのデジタル式バーニヤノギスによって測定することができる。厚さは、5つの異なる位置(4つの角および中心の1点)で評価することができ、特定の実施形態では、フィルムにおける用量分布の精度に直接的に関係し得るので、フィルムの厚さの均一性を確認するのに重要になり得る。
【0115】
「質量」という用語は、物質が物体にどれ程存在するかの測定値を指す。質量は、原子の総数、原子の密度、および物体における原子のタイプの組合せである。質量は、通常、グラム(gと略される)またはミリグラム(mgと略される)で測定される。
【0116】
「薬物負荷」または「活性成分の負荷」という用語は、口内溶解性フィルム(またはスラリー)中に存在する医薬活性成分の量を指す。例えば、特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、医薬活性成分がそのフィルムに相対的に多量に(例えば、口内溶解性フィルムの30wt%を上回って)存在するように、高い薬物負荷を有することができる。
【0117】
「密度」という用語は、物体(例えば、口内溶解性フィルム)の単位体積当たりの質量を指す。密度は、物体の質量を、その物体の体積で割ることによって計算される。立方センチメートルまたはミリリットルは共に等価であるため、物体の体積は、それらとして記述することができる。
【0118】
「乾燥減量(LOD)」という用語は、特定の条件下で物体(例えば、口内溶解性フィルム)から出すことができる水および/または揮発性物質から結果として得られる、w/w百分率として表される重量喪失を指す。この技術では、材料(例えば、口内溶解性フィルム)の試料を秤量し、オーブン中で適当な時間にわたって加熱し、デシケーターの乾燥雰囲気中で冷却し、次に再び秤量する。その重量差が乾燥減量(LOD)である。例えば、口内溶解性フィルムは、10±2wt%の乾燥減量(LOD)を有することができる。
【0119】
「粘着性」という用語は、口内溶解性フィルムが、フィルムと接触して圧縮された付属物(1枚の紙)に付着する粘り強さを指す。
【0120】
「引張強度」という用語は、口内溶解性フィルム試験片が破断される点まで適用された最大応力を指す。引張強度は、以下の等式で与えられる通り、適用された破裂負荷を口内溶解性フィルムの断面積で割ることによって計算される。
引張強度=破壊負荷×100/フィルム厚さ×フィルム幅
【0121】
「伸びパーセント」という用語は、応力の適用時の長さの量の相対的な増大を指す。応力がフィルム試料上に適用されると、フィルムは延伸する。これは歪みと呼ばれる。歪みは、基本的に、応力に起因して破断する前のフィルムの変形である。歪みは、hounsfield万能試験機を使用することによって測定することができる。一般に、フィルムの伸びは、可塑剤含量が増大するにつれて増大する。伸びは、次式によって計算される。
伸び%=フィルムの長さの増大×100/フィルムの初期の長さ
【0122】
「引裂抵抗」という用語は、いくらかの負荷または力がフィルム試験片に適用されるときにフィルムが提示する抵抗性を指す。具体的には、引裂抵抗は、試験片を引き裂くのに要求される最大力である。主に適用される負荷は、非常に低速(例えば、51mm/分)
でかけることができる。引裂抵抗の単位は、ニュートンまたは重量ポンドである。
【0123】
「ヤング弾性率」または「弾性率」という用語は、溶解性フィルムの剛性の尺度を指す。これは、以下の通り、弾性変形領域における歪みに対する適用応力の比として表される。
ヤング弾性率=勾配×100/フィルム厚さ×クロスヘッド速度
硬く脆弱なストリップは、高い引張強度およびヤング弾性率と小さい伸びを実証する。
【0124】
「耐折強さ」という用語は、破断することも目に見えるいかなる亀裂もなく、フィルムが折り返され得る回数を指す。耐折強さは、フィルムの脆性を与える。強さ値を決定するのに従う方法は、破断するまで、または目に見える亀裂が観察されるまで、フィルム試験片を同じ場所で繰り返して折り畳むという方法である。破断することも目に見えるいかなる亀裂もなく、フィルムが折り返され得る回数は、耐折強さの計算値である。
【0125】
「薬物含量均一性」、「投薬量単位の均一性」または「CU」という用語は、投薬量単位の間の薬物物質の量の均一性の度合いを指し、別段特定されない限り、USP-NF General Chapter <905> Uniformity of Dosage Unitsに記載されている。
【0126】
口内溶解性フィルムの製造は、(1)流延(例えば、溶媒流延または半固体流延)、(2)押出し(例えば、熱溶融押出しまたは固体分散)、および(3)圧延などの様々な方法によって行うことができる。口内溶解性フィルムを製造するこれらの方法は、一般に当業者に周知である。例えば、"Manufacturing Techniques of Orally Dissolving Films," Pharmaceutical Technology, Volume 35, Issue 1 (Jan 02, 2011)、"Current Advances in Drug Delivery Through Fast Dissolving/Disintegrating Dosage Forms," Vikas Anand Saharan, pp. 318-356 (39) (2017)、A short review on "A novel approach in oral fast dissolving drug delivery system and their patents," M.N. Siddiqui, G. Garg, P.K. Sharma, Adv. Biol.
Res., 5 (2011), pp. 291-303、"Orally disintegrating films: A modern expansion in drug delivery system," Ifran et al., Saudi Pharmaceutical Journal, Volume 24, Issue 5, pp. 537-546 (September 2016)、"Development
and characterization of pharmacokinetic parameters of fast-dissolving films containing levocetirizine," D.R. Choudhary, V.A. Patel, U.K. Chhalotiya, H.V. Patel, A.J. Kundawala; Sci. Pharm., 80 (2012), pp. 779-787
、"Orally disintegrating preparations: recent advancement in formulation and technology," R.R. Thakur, D.S. Rathore, S. Narwal; J. Drug Deliv.
Therap., 2 (3) (2012), pp. 87-96、"Development of innovative orally fast disintegrating film dosage forms: a review," B.P. Panda, N.S. Dey,
M.E.B. Rao; Int. J. Pharm. Sci. Nanotechnol., 5 (2012), pp. 1666-1674を参照されたい。
【0127】
複数の実施形態にわたって、口内溶解性フィルムに存在する物質は、それに存在する物質の量によって特徴付けられる。この物質は、医薬活性成分および/または賦形剤の任意の1つもしくは複数であり得る。別段の明確な記載がない限り、フィルムに存在する物質の量は、無水フィルム(例えば、水を含有していない口内溶解性フィルム)に基づく。明らかな例外が、溶解性フィルムに存在する水(水分)の量である。例として、以下の表に例証される生成物(100個のストリップのバッチについて計算された量)に言及する。溶解性フィルムは、230.82mgのストリップにつき活性成分(CBD単離物)が50mg(21.66wt%)で存在するスラリーから調製することができる。これは、以下の通り計算することができる。
【数1】
【0128】
この計算に達するには、ストリップの乾燥重量(無水)の質量に水は含まれない。このことは、活性成分(CBD単離物)が6.5wt%で存在するスラリーとは対照的である。この計算に達するときは、スラリーの質量に水が含まれる。これは、以下の通り計算することができる。
【数2】
【0129】
スラリーの質量(769.4mg)は、ストリップの乾燥重量(無水)の量(質量)(230.82mg)に、スラリーに添加された精製水の量(質量)(538.58mg)を加算して得られる。
【表14】
【0130】
本明細書で使用される場合、「モノカプリル酸グリセリル」という用語は、IUPAC名1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルオクタノエート、CAS番号4228-48
-2、化学式C1122、およびモル質量218.29g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、モノカプリル酸グリセリルは、少なくとも、親油性または疎水性の界面活性剤として機能することができる。
【0131】
本明細書で使用される場合、「モノカプリル酸プロピレングリコール」という用語は、IUPAC名2-ヒドロキシプロピルオクタノエート、CAS番号23794-30-1、68332-79-6、化学式C1122、およびモル質量202.29g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、モノカプリル酸プロピレングリコールは、少なくとも、親油性または疎水性の界面活性剤として機能することができる。
【0132】
本明細書で使用される場合、「モノオレイン酸グリセリル」という用語は、IUPAC名2,3-ジヒドロキシプロピル(Z)-オクタデカ-9-エノエート、CAS番号111-03-5、25496-72-4、67701-32-0、37220-82-9、化学式C2140、およびモル質量356.5g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、モノオレイン酸グリセリルは、少なくとも、親油性または疎水性の界面活性剤として機能することができる。
【0133】
本明細書で使用される場合、「モノラウリン酸プロピレングリコール」という用語は、IUPAC名2-ヒドロキシプロピルドデカノエート、CAS番号142-55-2、27194-74-7、化学式C1530、およびモル質量258.4g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、モノラウリン酸プロピレングリコールは、少なくとも、親油性または疎水性の界面活性剤として機能することができる。
【0134】
本明細書で使用される場合、「カプリル酸/カプリン酸グリセリル」という用語は、IUPAC名11-(2,3-ジヒドロキシプロポキシカルボニル)ヘプタデカノエート、CAS番号73398-61-5、化学式C2139、およびモル質量387.5g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、カプリル酸/カプリン酸グリセリルは、少なくとも、親油性または疎水性の界面活性剤として機能することができる。
【0135】
本明細書で使用される場合、「モノリノール酸グリセリル」という用語は、IUPAC名2,3-ジヒドロキシプロピル(9E,12E)-オクタデカ-9,12-ジエノエート、CAS番号2277-28-3、化学式C2138、およびモル質量354.52g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、モノリノール酸グリセリルは、少なくとも、親油性または疎水性の界面活性剤として機能することができる。
【0136】
本明細書で使用される場合、「ソルビタンモノオレエート(Span 80)」という用語は、IUPAC名[(2R)-2-[(2R,3R,4S)-3,4-ジヒドロキシオキソラン-2-イル]-2-ヒドロキシエチル](Z)-オクタデカ-9-エノエート、CAS番号1338-43-8、9015-08-1、化学式C2444、およびモル質量428.6g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ソルビタンモノオレエート(Span 80)は、少なくとも、親油性または疎水性の界面活性剤として機能することができる。
【0137】
本明細書で使用される場合、「ジベヘン酸グリセリル」という用語は、IUPAC名ドコサン酸;プロパン-1,2,3-トリオール、CAS番号99880-64-5、化学
式C2552、およびモル質量432.7g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ジベヘン酸グリセリルは、少なくとも、親油性または疎水性の界面活性剤として機能することができる。
【0138】
本明細書で使用される場合、「ジラウリン酸プロピレングリコール」という用語は、IUPAC名2-ドデカノイルオキシプロピルドデカノエート、CAS番号22788-19-8、化学式C2752、およびモル質量440.7g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ジラウリン酸プロピレングリコールは、少なくとも、親油性または疎水性の界面活性剤として機能することができる。
【0139】
本明細書で使用される場合、「トリカプリル酸/トリカプリン酸グリセリル」という用語は、IUPAC名2,3-ジ(オクタノイルオキシ)プロピルオクタノエート、CAS番号538-23-8、化学式C2750、およびモル質量470.7g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、トリカプリル酸/トリカプリン酸グリセリルは、少なくとも、親油性または疎水性の界面活性剤として機能することができる。
【0140】
本明細書で使用される場合、「トリカプリル酸/カプリン酸グリセリル」という用語は、IUPAC名11-(2,3-ジヒドロキシプロポキシカルボニル)ヘプタデカノエート、CAS番号73398-61-5、化学式C2139、およびモル質量387.5g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、トリカプリル酸/カプリン酸グリセリルは、少なくとも、親油性または疎水性の界面活性剤として機能することができる。
【0141】
本明細書で使用される場合、「モノオレイン酸デカグリセリル」という用語は、IUPAC名(Z)-オクタデカ-9-エン酸;プロパン-1,2,3-トリオール、CAS番号、化学式C4811432、およびモル質量1203.4g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、モノオレイン酸デカグリセリルは、少なくとも、親油性または疎水性の界面活性剤として機能することができる。
【0142】
本明細書で使用される場合、「ジオレイン酸デカグリセリル」という用語は、IUPAC名[2-ヒドロキシ-3-[2-ヒドロキシ-3-[2-ヒドロキシ-3-[2-ヒドロキシ-3-[2-ヒドロキシ-3-[2-ヒドロキシ-3-[2-ヒドロキシ-3-[2-ヒドロキシ-3-[2-ヒドロキシ-3-[2-ヒドロキシ-3-[(Z)-オクタデカ-9-エノイル]オキシプロポキシ]プロポキシ]プロポキシ]プロポキシ]プロポキシ]プロポキシ]プロポキシ]プロポキシ]プロポキシ]プロピル](Z)-オクタデカ-9-エノエート、CAS番号33940-99-7、化学式C6612623、およびモル質量1287.7g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ジオレイン酸デカグリセリルは、少なくとも、親油性または疎水性の界面活性剤として機能することができる。
【0143】
本明細書で使用される場合、「オレオイルマクロゴールグリセリド」という用語は、杏仁油から得られた成分を指す。オレオイルマクロゴールグリセリドは、モノグリセリド(MG)、ジグリセリド(DG)およびトリグリセリド(TG)、ならびにオレイン酸(18:1)のモノPEG-6エステル(MPEGE)およびジPEG-6エステル(DPEGE)から構成された複合混合物を含む。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、オレオイルマクロゴールグリセリドは、少なくとも、親油性または疎水性の界面活性剤として機能することができる。
【0144】
本明細書で使用される場合、「ラウロイルマクロゴールグリセリド」という用語は、コーン油から得られた成分を指す。ラウロイルマクロゴールグリセリドは、モノグリセリド(MG)、ジグリセリド(DG)およびトリグリセリド(TG)、ならびにリノール酸(18:2)のモノPEG-6エステル(MPEGE)およびジPEG-6エステル(DPEGE)から構成された複合混合物を含む。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ラウロイルマクロゴールグリセリドは、少なくとも、親油性または疎水性の界面活性剤として機能することができる。
【0145】
本明細書で使用される場合、「ステアロイルマクロゴールグリセリド」という用語は、グリセロールのモノエステル、ジエステルおよびトリエステル、ならびにポリエチレングリコールのモノエステルおよびジエステルの混合物を指す。使用されるポリエチレングリコールは、300~4000の間の平均分子量を有する。それらは、ポリエチレングリコールを用いる、主にステアリン酸のトリグリセリドを含有する飽和油の部分的アルコーリシスにより、脂肪酸によるグリセロールおよびポリエチレングリコールのエステル化により、またはグリセロールエステルおよび水素化油の脂肪酸とのエチレンオキシド縮合物の混合物として、生成される。ヒドロキシル価は、標識された名目上の値の85パーセント以上および115パーセント以下であり、けん化価は、標識された名目上の値の90パーセント以上および110パーセント以下である。ステアロイルマクロゴールグリセリドは、遊離ポリエチレングリコールを含有し得る。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ステアロイルマクロゴールグリセリドは、少なくとも、親油性または疎水性の界面活性剤として機能することができる。
【0146】
本明細書で使用される場合、「ステアロイルポリオキシルグリセリド」という用語は、グリセロールのモノエステル、ジエステルおよびトリエステル、ならびにポリエチレングリコールのモノエステルおよびジエステルの混合物を指す。使用されるポリエチレングリコールは、300~4000の間の平均分子量を有する。それらは、ポリエチレングリコールを用いる、主にステアリン酸のトリグリセリドを含有する飽和油の部分的アルコーリシスにより、脂肪酸によるグリセロールおよびポリエチレングリコールのエステル化により、またはグリセロールエステルおよび水素化油の脂肪酸とのエチレンオキシド縮合物の混合物として、生成される。ヒドロキシル価は、標識された名目上の値の85パーセント以上および115パーセント以下であり、けん化価は、標識された名目上の値の90パーセント以上および110パーセント以下である。ステアロイルポリオキシルグリセリドは、遊離ポリエチレングリコールを含有し得る。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ステアロイルポリオキシルグリセリドは、少なくとも、親油性または疎水性の界面活性剤として機能することができる。
【0147】
本明細書で使用される場合、「ポリオキシエチレン」という用語は、IUPAC名1-(2-メトキシエトキシ)ヘキサデカン、CAS番号、化学式C1940、およびモル質量300.5g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ポリオキシエチレンは、少なくとも、親油性または疎水性の界面活性剤として機能することができる。
【0148】
本明細書で使用される場合、「カプリル酸/カプリン酸グリセリル」という用語は、パーム核またはヤシ油から作製された油性液体を指す。カプリル酸/カプリン酸グリセリルは、グリセリン骨格に結合しているカプリル酸およびカプリン脂肪酸から構成された混合エステルを含む。カプリル酸/カプリン酸グリセリルは、その脂肪酸が6~12個の範囲の炭素原子の鎖であるトリグリセリドから主に作製され、この場合、エステルは、カプリン酸(10個の炭素原子)およびカプリル酸(8個の炭素原子)から構成される。カプリル酸/カプリン酸グリセリルは、ヤシ油およびパーム核油に低レベルで自然に存在する。
カプリル酸/カプリン酸グリセリルはまた、油が分離され、特定の脂肪酸(カプリン酸およびカプリル酸が単離され、グリセリン骨格と再び合わされて純粋なカプリル酸/カプリン酸グリセリルを形成し、次にそれが、粘土、熱および蒸気を使用してさらに精製される(漂白され、脱臭される)場合に、得ることができる。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、カプリル酸/カプリン酸グリセリルは、少なくとも、親油性または疎水性の界面活性剤として機能することができる。
【0149】
本明細書で使用される場合、「ポロキサマー」という用語は、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)およびポリ(プロピレンオキシド)(PPO)のブロックコポリマーを指し、これは、両親媒性の特徴、ならびにこれから生まれる有用な会合特性および吸着特性を有する。ポロキサマーは、化合物の可溶化または安定化を要求する多くの適用において使用され、低毒性を含めた注目すべき生理学的特性も有する。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ポロキサマーは、少なくとも、疎油性または親水性の界面活性剤として機能することができる。
【0150】
本明細書で使用される場合、「ポリオキシルヒマシ油」という用語は、エトキシ化グリセロールのトリリシノール酸エステルと少量のポリエチレングリコール(マクロゴール)リシノレエートおよび対応する遊離グリコールの混合物を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ポリオキシルヒマシ油は、少なくとも、疎油性または親水性の界面活性剤として機能することができる。
【0151】
本明細書で使用される場合、「ポリエチレン-ポリプロピレングリコール」という用語は、主に乳化剤または可溶化剤として使用される非イオン性ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーを指す。ポリオキシエチレンセグメントは親水性であり、一方、ポリオキシプロピレンセグメントは疎水性である。ポリエチレン-ポリプロピレングリコールは、化学的に組成が類似しており、製造中に添加されたプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの相対量だけが異なっている。それらの物理的特性および表面活性特性は、広い範囲にわたって変動する。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ポリエチレン-ポリプロピレングリコールは、少なくとも、疎油性または親水性の界面活性剤として機能することができる。
【0152】
本明細書で使用される場合、「ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween(登録商標) 20)」という用語は、ソルビタンのエトキシル化後にラウリン酸を付加することによって形成された、ポリソルベート型の非イオン性界面活性剤を指す。その安定性および相対的な非毒性により、いくつかの科学的適用において洗浄剤および乳化剤として使用される。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween 20)は、少なくとも、疎油性または親水性の界面活性剤として機能することができる。
【0153】
本明細書で使用される場合、「Tween 80」という用語は、ソルビタンのエトキシル化後にラウリン酸を付加することによって形成された、ポリソルベート型の非イオン性界面活性剤を指す。その安定性および相対的な非毒性により、いくつかの科学的適用において洗浄剤および乳化剤として使用される。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、Tween 80は、少なくとも、疎油性または親水性の界面活性剤として機能することができる。
【0154】
本明細書で使用される場合、「ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(Tween 60)」という用語は、ソルビタンのエトキシル化後にラウリン酸を付加することによって形成された、ポリソルベート型の非イオン性界面活性剤を指す。その安定性および相対的な非毒性により、いくつかの科学的適用において洗浄剤および乳化剤として使
用される。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(Tween 60)は、少なくとも、疎油性または親水性の界面活性剤として機能することができる。
【0155】
本明細書で使用される場合、「デシルグルコシド」という用語は、IUPAC名(3R,4S,5S,6R)-2-デコキシ-6-(ヒドロキシメチル)オキサン-3,4,5-トリオール、CAS番号54549-25-6、68515-73-1、化学式C1632、およびモル質量320.42g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、デシルグルコシドは、少なくとも、疎油性または親水性の界面活性剤として機能することができる。
【0156】
本明細書で使用される場合、「ラウリルグルコシド」という用語は、IUPAC名(2R,3R,4S,5S,6R)-2-ドデコキシ-6-(ヒドロキシメチル)オキサン-3,4,5-トリオール、CAS番号59122-55-3、化学式C1836、およびモル質量348.5g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ラウリルグルコシドは、少なくとも、疎油性または親水性の界面活性剤として機能することができる。
【0157】
本明細書で使用される場合、「オクチルグルコシド」という用語は、IUPAC名2-(ヒドロキシメチル)-6-オクトキシオキサン-3,4,5-トリオール、CAS番号4742-80-7、化学式C1428、およびモル質量292.37g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、オクチルグルコシドは、少なくとも、疎油性または親水性の界面活性剤として機能することができる。
【0158】
本明細書で使用される場合、「Triton X-100」という用語は、親水性のポリエチレンオキシド鎖(平均で9.5のエチレンオキシド単位を有する)および親油性または疎水性の芳香族炭化水素基を有する、非イオン性界面活性剤を指す。炭化水素基は、4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェニル基である。この物質は、IUPAC名2-[4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノキシ]エタノール、CAS番号2315-67-5、63869-93-2、9002-93-1、化学式C1626、およびモル質量250.38g・mol-1を有する。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、Triton X-100は、少なくとも、疎油性または親水性の界面活性剤として機能することができる。
【0159】
本明細書で使用される場合、「ノノキシノール9」(N-9と略されることがある)という用語は、IUPAC名2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-[2-(4-ノニルフェノキシ)エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]エタノール、CAS番号26571-11-9、26027-38-3、14409-72-4、化学式C336010、およびモル質量616.8g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ノノキシノール9は、少なくとも、疎油性または親水性の界面活性剤として機能することができる。
【0160】
本明細書で使用される場合、「ラウリル硫酸ナトリウム」という用語は、IUPAC名ドデシル硫酸ナトリウム、CAS番号151-21-3、1335-72-4、8012-56-4、化学式NaSO1225またはC1225S.NaまたはC1225NaOS、およびモル質量288.38g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ラウリル硫酸ナトリウムは、少なくとも、疎油性または親水性の界面活性剤として機能することができる。
【0161】
本明細書で使用される場合、「ラウリル硫酸カリウム」という用語は、IUPAC名ドデシル硫酸カリウム、CAS番号4706-78-9、化学式C1225KOS、およびモル質量304.49g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ラウリル硫酸カリウムは、少なくとも、疎油性または親水性の界面活性剤として機能することができる。
【0162】
本明細書で使用される場合、「Brij」または「Brij(登録商標)」という用語は、非イオン性界面活性剤のファミリーを指す。適切なBrij界面活性剤には、例えば、25℃、37℃および40℃における、Brij 78(C183720)、Brij 98(C183520)およびBrij 700(C1837100)(ここでEは、ポリ(エチレンオキシド)鎖のOCHCH単位を表す)が含まれる。追加のBrij界面活性剤には、例えば、Brij 23、Brij 30、Brij 35、Brij(登録商標)S20、Brij(登録商標)O20、Brij(登録商標)O10、Brij(登録商標)C10、Brij(登録商標)C20、Brij(登録商標)L4、Brij(登録商標)S2、Brij(登録商標)S20および他のBrij(登録商標)生成物が含まれる。特定のポリオキシエチレンアルキルエーテルには、Brij(登録商標)L4およびBrij(登録商標)S20が含まれる。Brij(登録商標)生成物は、Sigma-Aldrich(St.Louis、MO)およびCroda(East Yorkshire、U.K.)から商業的に入手可能である。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、Brijは、少なくとも、疎油性または親水性の界面活性剤として機能することができる。
【0163】
本明細書で使用される場合、「ラウリン酸グリセリル」という用語は、IUPAC名1,3-ジアセチルオキシプロパン-2-イルウンデカノエート、CAS番号120602-37-1、化学式C1832、およびモル質量344.4g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ラウリン酸グリセリルは、少なくとも、疎油性または親水性の界面活性剤として機能することができる。
【0164】
本明細書で使用される場合、「リン脂質」という用語は、IUPAC[2-[デシル(ヒドロキシ)ホスホリル]オキシ-3-(10-メトキシ-10-オキソデコキシ)プロピル]2-(トリメチルアザニウミル)エチルホスフェート、CAS番号、化学式C2961NO10、およびモル質量645.7g・mol-1を有する物質またはそれらの誘導体を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、リン脂質は、少なくとも、疎油性または親水性の界面活性剤として機能することができる。
【0165】
本明細書で使用される場合、「n-ドデシルホスホコリン」という用語は、IUPAC名ドデシル2-(トリメチルアザニウミル)エチルホスフェート、CAS番号29557-51-5、化学式C1738NOP、およびモル質量351.5g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、n-ドデシルホスホコリンは、少なくとも、疎油性または親水性の界面活性剤として機能することができる。
【0166】
本明細書で使用される場合、「コレステリルエステル」という用語は、IUPAC名[(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)-10,13-ジメチル-17-[(2R)-6-メチルヘプタン-2-イル]-2,3,4,7,8,9,11,12,14,15,16,17-ドデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル](Z)-ヘプタデカ-9-エノエート、CAS番号、化学式C4476、およびモル質量637.1g・mol-1を有する17:1コレステリルエステルなど
の物質、またはそれに限定されるものではないが、17:0、15:0、22:4、20:3および22:3コレステリルエステルを含めたそれらの誘導体を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、コレステリルエステルは、少なくとも、疎油性または親水性の界面活性剤として機能することができる。
【0167】
本明細書で使用される場合、「中鎖トリグリセリド油」という用語は、6~12個の炭素原子の脂肪族末端を有する2~3個の脂肪酸を有するトリグリセリドを有する物質を指す。中鎖トリグリセリド油には、それに限定されるものではないが、ヘキサン酸またはカプロン酸、オクタン酸またはカプリル酸、デカン酸またはカプリン酸、ドデカン酸またはラウリン酸などの脂肪酸が含まれる。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、中鎖トリグリセリド油は、少なくとも、油担体として、または活性成分のための親油性もしくは疎水性の溶媒として機能することができる。
【0168】
本明細書で使用される場合、「ヤシ油」という用語は、IUPAC名(1-デカノイルオキシ-3-オクタノイルオキシプロパン-2-イル)ドデカノエート、CAS番号68991-68-4、化学式C3362、およびモル質量554.8g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ヤシ油は、少なくとも、油担体として、または活性成分のための親油性もしくは疎水性の溶媒として機能することができる。
【0169】
本明細書で使用される場合、「コーン油」という用語は、トウモロコシの胚芽から抽出された物質および物理的に修飾されたその誘導体を指す。コーン油には、それに限定されるものではないが、IUPAC名、CAS番号8001-30-7、化学式、およびモル質量g・mol-1を有する、脂肪酸であるリノール酸、オレイン酸、パルミチン酸およびステアリン酸のグリセリドが含まれる。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、コーン油は、少なくとも、油担体として、または活性成分のための親油性もしくは疎水性の溶媒として機能することができる。
【0170】
本明細書で使用される場合、「オリーブ油」という用語は、IUPAC名ヘキサデカン酸;(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン酸;オクタデカン酸;(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエン酸;(Z)-オクタデカ-9-エン酸、CAS番号92044-96-7、化学式C8816410、およびモル質量1382.2g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、オリーブ油は、少なくとも、油担体として、または活性成分のための親油性もしくは疎水性の溶媒として機能することができる。
【0171】
本明細書で使用される場合、「パーム油」という用語は、IUPAC名1-ヒドロキシプロパン-2-オレエート;3-オキソドデカン酸;CAS番号91052-70-9、化学式C1529 、およびモル質量289.39g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、パーム油は、少なくとも、油担体として、または活性成分のための親油性もしくは疎水性の溶媒として機能することができる。
【0172】
本明細書で使用される場合、「キャノーラ油」という用語は、様々なナタネから誘導された、エルカ酸が少ない物質を指す。キャノーラ油には、アブラナ科植物のいくつかの栽培品種のいずれかの種子から生成された油が含まれる。例えば、キャノーラ油には、ブラシカ属(Brassica napus、Brassica rapa、またはBrassica juncea)の種子から抽出された油が含まれ、それらから得られた油は、その脂肪酸プロファイルに2%未満のエルカ酸を含有するものであり、固体構成成分は、油を含まない風乾された固体1グラム当たり30マイクロモル未満の、3-ブテニルグル
コシノレート、4-ペンテニルグルコシノレート、2-ヒドロキシ-3ブテニルグルコシノレート、および2-ヒドロキシ-4-ペンテニルグルコシノレートのいずれか1つまたはそれらのいずれかの混合物を含有するものである。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、キャノーラ油は、少なくとも、油担体として、または活性成分のための親油性もしくは疎水性の溶媒として機能することができる。
【0173】
本明細書で使用される場合、「ベニバナ油」という用語は、ベニバナ植物の種子から抽出された物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ベニバナ油は、少なくとも、油担体として、または活性成分のための親油性もしくは疎水性の溶媒として機能することができる。
【0174】
本明細書で使用される場合、「ゴマ油」という用語は、ゴマ種子から抽出された物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ゴマ油は、少なくとも、油担体として、または活性成分のための親油性もしくは疎水性の溶媒として機能することができる。
【0175】
本明細書で使用される場合、「モノカプリル酸プロピレングリコール」という用語は、IUPAC名2-ヒドロキシプロピルオクタノエート、CAS番号23794-30-1、68332-79-6、化学式C1122、およびモル質量202.29g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、モノカプリル酸プロピレングリコールは、少なくとも、油担体として、または活性成分のための親油性もしくは疎水性の溶媒として機能することができる。
【0176】
本明細書で使用される場合、「モノラウリン酸プロピレングリコール」という用語は、IUPAC名2-ヒドロキシプロピルドデカノエート、CAS番号142-55-2、27194-74-7、化学式C1530、およびモル質量258.4g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、モノラウリン酸プロピレングリコールは、少なくとも、油担体として、または活性成分のための親油性もしくは疎水性の溶媒として機能することができる。
【0177】
本明細書で使用される場合、「モノリノール酸グリセリル」という用語は、IUPAC名2,3-ジヒドロキシプロピル(9E,12E)-オクタデカ-9,12-ジエノエート、CAS番号2277-28-3、化学式C2138、およびモル質量354.5g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、モノリノール酸グリセリルは、少なくとも、油担体として、または活性成分のための親油性もしくは疎水性の溶媒として機能することができる。
【0178】
本明細書で使用される場合、「セチルアルコール」という用語は、IUPAC名ヘキサデカン-1-オール、CAS番号2277-28-3、化学式C1634O、およびモル質量242.44g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、セチルアルコールは、少なくとも、油担体として、または活性成分のための親油性もしくは疎水性の溶媒として機能することができる。
【0179】
本明細書で使用される場合、「ステアリルアルコール」という用語は、IUPAC名オクタデカン-1-オール、CAS番号112-92-5、68911-61-5、化学式C1838O、およびモル質量270.5g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ステアリルアルコールは、少なくとも、油担体として、または活性成分のための親油性もしくは疎水性の溶媒として機能することができる。
【0180】
本明細書で使用される場合、「セトステアリルアルコール」という用語は、IUPAC名ヘキサデカン-1-オール;オクタデカン-1-オール、CAS番号67762-27-0、化学式C3472、およびモル質量512.9g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、セトステアリルアルコールは、少なくとも、油担体として、または活性成分のための親油性もしくは疎水性の溶媒として機能することができる。
【0181】
本明細書で使用される場合、「オレイルアルコール」という用語は、IUPAC名(Z)-オクタデカ-9-エン-1-オール、CAS番号143-28-2、化学式C1836O、およびモル質量268.5g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、オレイルアルコールは、少なくとも、油担体として、または活性成分のための親油性もしくは疎水性の溶媒として機能することができる。
【0182】
本明細書で使用される場合、「シクロスポリン」という用語は、IUPAC名30-エチル-33-[(E)-1-ヒドロキシ-2-メチルヘキシ-4-エニル]-1,4,7,10,12,15,19,25,28-ノナメチル-6,9,18,24-テトラキス(2-メチルプロピル)-3,21-ジ(プロパン-2-イル)-1,4,7,10,13,16,19,22,25,28,31-ウンデカアザシクロトリトリアコンタン-2,5,8,11,14,17,20,23,26,29,32-ウンデカオン、CAS番号59865-13-3、化学式C621111112、およびモル質量1202.6g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、シクロスポリンは、少なくとも、医薬活性成分として機能することができる。
【0183】
本明細書で使用される場合、「リトナビル」という用語は、IUPAC名1,3-チアゾール-5-イルメチルN-[(2S,3S,5S)-3-ヒドロキシ-5-[[(2S)-3-メチル-2-[[メチル-[(2-プロパン-2-イル-1,3-チアゾール-4-イル)メチル]カルバモイル]アミノ]ブタノイル]アミノ]-1,6-ジフェニルヘキサン-2-イル]カルバメート、CAS番号155213-67-5、化学式C3748、およびモル質量875.106g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、リトナビルは、少なくとも、医薬活性成分として機能することができる。
【0184】
本明細書で使用される場合、「サキナビル」という用語は、IUPAC名(2S)-N-[(2S,3R)-4-[(3S,4aS,8aS)-3-(tert-ブチルカルバモイル)-3,4,4a,5,6,7,8,8a-オクタヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]-3-ヒドロキシ-1-フェニルブタン-2-イル]-2-(キノリン-2-カルボニルアミノ)ブタンジアミド、CAS番号127779-20-8、化学式C3850、およびモル質量670.8g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、サキナビルは、少なくとも、医薬活性成分として機能することができる。
【0185】
本明細書で使用される場合、「アンプレナビル」という用語は、IUPAC名[(3S)-オキソラン-3-イル]N-[(2S,3R)-4-[(4-アミノフェニル)スルホニル-(2-メチルプロピル)アミノ]-3-ヒドロキシ-1-フェニルブタン-2-イル]カルバメート、CAS番号161814-49-9、化学式C2535S、およびモル質量505.6g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、アンプレナビルは、少なくとも、医薬活性成分として機能することができる。
【0186】
本明細書で使用される場合、「バルプロ酸」という用語は、IUPAC名2-プロピルペンタン酸、CAS番号99-66-1、化学式C16、およびモル質量144.21g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、バルプロ酸は、少なくとも、医薬活性成分として機能することができる。
【0187】
本明細書で使用される場合、「カルシトリオール」という用語は、IUPAC名(1R,3S,5Z)-5-[(2E)-2-[(1R,3aS,7aR)-1-[(2R)-6-ヒドロキシ-6-メチルヘプタン-2-イル]-7a-メチル-2,3,3a,5,6,7-ヘキサヒドロ-1H-インデン-4-イリデン]エチリデン]-4-メチリデンシクロヘキサン-1,3-ジオール、CAS番号32222-06-3、化学式C2744、およびモル質量416.6g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、カルシトリオールは、少なくとも、医薬活性成分として機能することができる。
【0188】
本明細書で使用される場合、「ベキサロテン」という用語は、IUPAC名4-[1-(3,5,5,8,8-ペンタメチル-6,7-ジヒドロナフタレン-2-イル)エテニル]安息香酸、CAS番号153559-49-0、化学式C2428、およびモル質量348.5g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ベキサロテンは、少なくとも、医薬活性成分として機能することができる。
【0189】
本明細書で使用される場合、「トレチノイン」という用語は、IUPAC名(2E,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸、CAS番号302-79-4、4759-48-2、97950-17-9、化学式C2028、およびモル質量300.4g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、トレチノインは、少なくとも、医薬活性成分として機能することができる。
【0190】
本明細書で使用される場合、「イソトレチノイン」という用語は、IUPAC名(2Z,4E,6E,8E)-3,7-ジメチル-9-(2,6,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)ノナ-2,4,6,8-テトラエン酸、CAS番号4759-48-2、97950-17-9、化学式C2028、およびモル質量300.44g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、イソトレチノインは、少なくとも、医薬活性成分として機能することができる。
【0191】
本明細書で使用される場合、「チプラナビル」という用語は、IUPAC名N-[3-[(1R)-1-[(2R)-4-ヒドロキシ-6-オキソ-2-(2-フェニルエチル)-2-プロピル-3H-ピラン-5-イル]プロピル]フェニル]-5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-スルホンアミド、CAS番号174484-41-4、化学式C3133S、およびモル質量602.7g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、チプラナビルは、少なくとも、医薬活性成分として機能することができる。
【0192】
本明細書で使用される場合、「リゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)」という用語は、IUPAC名(6aR,9R)-N,N-ジエチル-7-メチル-6,6a,8,9-テトラヒドロ-4H-インドロ[4,3-fg]キノリン-9-カルボキサミド、CAS番号50-37-3、化学式C2025O、およびモル質量323.4g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、リゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)は、少なくとも、医薬活性成分として機能することがで
きる。
【0193】
本明細書で使用される場合、「3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)」という用語は、IUPAC名1-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-N-メチルプロパン-2-アミン、CAS番号42542-10-9、化学式C1115NO、およびモル質量193.24g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)は、少なくとも、医薬活性成分として機能することができる。
【0194】
本明細書で使用される場合、「N,N-ジメチルトリプタミン(DMT)」という用語は、IUPAC名2-(1H-インドール-3-イル)-N,N-ジメチルエタンアミン、CAS番号61-50-7、化学式C1216、およびモル質量188.269g・mol-1を有する物質を指す。DMTは、多くの植物および動物に発生し、共にトリプタミンの誘導体および構造的アナログである化学物質である。DMTは、幻覚薬物として消費される場合があり、歴史的には様々な文化によって、エンセオジェン(entheogen)として儀式的目的で調製されてきた。DMTは、O-アセチルプシロシン(4-Ac
O-DMT)、5-MeO-DMT、サイロシビン(4-PO-DMT)、プシロシン(4-HO-DMT)、およびブホテニン(5-HO-DMT)などの他の幻覚性トリプタミンの機能的アナログおよび構造的アナログである。DMTの構造は、セロトニンおよびメラトニンのように、一部の重要な生体分子内に発生し、それによってセロトニンおよびメラトニンはDMTの構造的アナログとされる。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、N,N-ジメチルトリプタミン(DMT)は、少なくとも、医薬活性成分として機能することができる。
【0195】
本明細書で使用される場合、「サイロシビン」という用語は、IUPAC名[3-(2-ジメチルアミノエチル)-1H-インドール-4-イル]リン酸二水素、CAS番号520-52-5、化学式C1217P、およびモル質量284.252g・mol-1を有する物質を指す。サイロシビンは、200種を超える真菌によって産生される、自然に存在する幻覚性プロドラッグ化合物である。最も強力なものは、シビレタケ属、例えばP.azurescens、P.semilanceata、およびP.cyanescensのメンバーであるが、サイロシビンは、約12種の他の属からも単離された。プロドラッグとしてのサイロシビンは、一部の態様では、LSD、メスカリン、およびDMTの効果に類似の向精神効果を有するサイロシンに、身体により急に変換される。一般に、その効果には、多幸症、視覚的および精神的幻覚、知覚変化、時間感覚のゆがみ、ならびに知覚される霊的経験が含まれ、悪心およびパニック発作などの、起こる可能性がある有害反応を含む場合もある。
【0196】
本明細書で使用される場合、「メスカリン」という用語は、IUPAC名2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)エタンアミン、CAS番号54-04-6、化学式C1117NO、およびモル質量211.261g・mol-1を有する物質を指す。メスカリンは、LSDおよびサイロシビンの効果と同等のその幻覚発現効果について公知の、置換フェネチルアミンクラスの自然に存在する幻覚性プロトアルカロイドである。メスカリンは、ペヨーテサボテン(Lophophora williamsii)、サンペドロサボテン(Echinopsis pachanoi)、ペルビアントーチ(Echinopsis peruviana)、および他のサボテン種に自然に存在する。Acacia berlandieriを含めた、マメ科Fabaceaeのある特定のメンバーにおいても少量で見出される。
【0197】
本明細書で使用される場合、「イボガイン」という用語は、IUPAC名12-メトキシイボガミン、CAS番号83-74-9、化学式C2026O、およびモル質量
310.441g・mol-1を有する物質を指す。イボガインは、キョウチクトウ科、例えばTabernanthe iboga、Voacanga africana、およびTabernaemontana undulataの植物に見出される、自然に存在する精神賦活性物質である。イボガインは、解離特性を有する幻覚物質である。
【0198】
本明細書で使用される場合、「イベルメクチン」という用語は、IUPAC名22,23-ジヒドロアベルメクチンB1a+22,23-ジヒドロアベルメクチンB1b、CAS番号70288-86-7および71827-03-7、化学式C487414(22,23-ジヒドロアベルメクチンB1a)およびC477214(22,23-ジヒドロアベルメクチンB1b)、ならびにモル質量875.106g・mol-1(22,23-ジヒドロアベルメクチンB1a)および861.079g・mol-1(22,23-ジヒドロアベルメクチンB1b)を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、イベルメクチンは、少なくとも、医薬活性成分として機能することができる。
【0199】
本明細書で使用される場合、「プロピレングリコール」という用語は、IUPAC名プロパン-1,2-ジオール、CAS番号57-55-6、25322-68-3、63625-56-9、化学式CまたはCHCHOHCHOH、およびモル質量76.09g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、プロピレングリコールは、少なくとも、可塑剤として機能することができる。
【0200】
本明細書で使用される場合、「グリセリン」という用語は、IUPAC名プロパン-1,2,3-トリオール、CAS番号56-81-5、8043-29-6、25618-55-7、8013-25-0、化学式CまたはCHOH-CHOH-CHOH、およびモル質量92.09g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、グリセリンは、少なくとも、可塑剤として機能することができる。
【0201】
本明細書で使用される場合、「トリアセチン」という用語は、IUPAC名2,3-ジアセチルオキシプロピルアセテート、CAS番号102-76-1、化学式C14またはC(OCOCH、およびモル質量218.2g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、トリアセチンは、少なくとも、可塑剤として機能することができる。
【0202】
本明細書で使用される場合、「クエン酸トリエチル」という用語は、IUPAC名トリエチル2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシレート、CAS番号77-93-0、化学式C1220または(CHCOOCCOHCOOC、およびモル質量276.28g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、クエン酸トリエチルは、少なくとも、可塑剤として機能することができる。
【0203】
本明細書で使用される場合、「ポリエチレングリコール」という用語は、IUPAC名エタン-1,2-ジオール、CAS番号107-21-1、25322-68-3、化学式Cまたは(CO)nHO(n=分子量6000に対応するエチレンオキシド単位の数、約140)またはHOCHCHOHまたはCHOHCHOH、およびモル質量62.07g・mol-1を有する物質のポリマーを指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ポリエチレングリコールは、少なくとも、可塑剤として機能することができる。
【0204】
本明細書で使用される場合、「プルラン」という用語は、IUPAC名[(2R,3S,4R,5R,6S)-4,5-ジヒドロキシ-3-[(2R,3R,4S,5S,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)オキサン-2-イル]オキシ-6-[[(2R,3S,4S,5R,6R)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-[(2R,3S,4R,5R,6S)-4,5,6-トリヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)オキサン-3-イル]オキシオキサン-2-イル]メトキシ]オキサン-2-イル]メチルヘキサデカノエート、CAS番号53572-58-0、化学式C407222、およびモル質量905g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、プルランは、少なくとも、フィルム形成剤として機能することができる。
【0205】
本明細書で使用される場合、「アラビアガム」という用語は、IUPAC名17-アセチル-3,7-ジヒドロキシ-4,4,10,13,14-ペンタメチル-2,3,5,6,7,12,16,17-オクタヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-11,15-ジオン、CAS番号97653-92-4、化学式C2434、およびモル質量402.5g・mol-1を有する、アカシアセネガルから抽出された物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、アラビアガムは、少なくとも、フィルム形成剤として機能することができる。
【0206】
本明細書で使用される場合、「グアーガム」という用語は、IUPAC名二ナトリウム;[[[5-(6-アミノプリン-9-イル)-3-ヒドロキシオキソラン-2-イル]オキシ-メトキシホスホリル]オキシ-オキシドホスホリル]リン酸水素、CAS番号9000-30-0、化学式C1014Na12、およびモル質量535.15g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、グアーガムは、少なくとも、フィルム形成剤として機能することができる。
【0207】
本明細書で使用される場合、「マルトデキストリン」という用語は、IUPAC名(3R,4S,5S,6R)-2-[(2R,3S,4R,5R)-4,5-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-6-[(2R,3S,4R,5R,6S)-4,5,6-トリヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)オキサン-3-イル]オキシオキサン-3-イル]オキシ-6-(ヒドロキシメチル)オキサン-3,4,5-トリオール、CAS番号9004-53-9、化学式C183216、およびモル質量504.4g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、マルトデキストリンは、少なくとも、フィルム形成剤として機能することができる。
【0208】
本明細書で使用される場合、「微結晶性セルロース」という用語は、IUPAC名2-[4,5-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-6-メトキシオキサン-3-イル]オキシ-6-(ヒドロキシメチル)-5-メトキシオキサン-3,4-ジオール、CAS番号9004-34-6、化学式C142611、およびモル質量370.35g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、微結晶性セルロースは、少なくとも、フィルム形成剤として機能することができる。
【0209】
本明細書で使用される場合、「キトサン」という用語は、IUPAC名メチルN-[(2S,3R,4R,5S,6R)-5-[(2S,3R,4R,5S,6R)-3-アミノ-5-[(2S,3R,4R,5S,6R)-3-アミノ-5-[(2S,3R,4R,5S,6R)-3-アミノ-5-[(2S,3R,4R,5S,6R)-3-アミノ-5-[(2S,3R,4R,5S,6R)-3-アミノ-5-[(2S,3R,4R,5S,6R)-3-アミノ-4,5-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)オキサン-2-イル]オキシ-4-ヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)オキサン-2-イル]オ
キシ-4-ヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)オキサン-2-イル]オキシ-4-ヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)オキサン-2-イル]オキシ-4-ヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)オキサン-2-イル]オキシ-4-ヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)オキサン-2-イル]オキシ-2-[(2R,3S,4R,5R,6S)-5-アミノ-6-[(2R,3S,4R,5R,6R)-5-アミノ-4,6-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)オキサン-3-イル]オキシ-4-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)オキサン-3-イル]オキシ-4-ヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)オキサン-3-イル]カルバメート、CAS番号9012-76-4、化学式C5610339、およびモル質量1526.5g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、キトサンは、少なくとも、フィルム形成剤として機能することができる。
【0210】
本明細書で使用される場合、「ペクチン」という用語は、IUPAC名(2S,3R,4S,5R,6R)-3,4,5,6-テトラヒドロキシオキサン-2-カルボン酸、CAS番号18968-14-4、化学式C10、およびモル質量194.14g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ペクチンは、少なくとも、フィルム形成剤として機能することができる。
【0211】
本明細書で使用される場合、「カラギーナン」という用語は、IUPAC名亜鉛;1-(5-シアノピリジン-2-イル)-3-[(1S,2S)-2-(6-フルオロ-2-ヒドロキシ-3-プロパノイルフェニル)シクロプロピル]ウレア;ジアセテート、CAS番号9000-07-1、化学式C2323FNZn、およびモル質量551.8g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、カラギーナンは、少なくとも、フィルム形成剤として機能することができる。
【0212】
本明細書で使用される場合、「HPMC」または「ヒドロキシプロピルメチルセルロース」または「ヒプロメロース」という用語は、CAS番号9004-65-3を有する半合成の不活性な粘弾性ポリマーを指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、HPMCは、少なくとも、フィルム形成剤として機能することができる。
【0213】
本明細書で使用される場合、「HPC」または「ヒドロキシプロピルセルロース」という用語は、IUPAC名1-[[(2R,3R,4S,5R)-3,4,5-トリス(2-ヒドロキシプロポキシ)-6-[(2R,3R,4S,5R,6R)-4,5,6-トリス(2-ヒドロキシプロポキシ)-2-(2-ヒドロキシプロポキシメチル)オキサン-3-イル]オキシオキサン-2-イル]メトキシ]プロパン-2-オールまたはそれらのアナログもしくは誘導体、CAS番号、化学式C367019、およびモル質量806.9g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、HPCは、少なくとも、フィルム形成剤として機能することができる。
【0214】
本明細書で使用される場合、「変性コーンスターチ」という用語は、IUPAC名5-[5-[3,4-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)-5-メトキシオキサン-2-イル]オキシ-6-[[3,4-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)-5-メトキシオキサン-2-イル]オキシメチル]-3,4-ジヒドロキシオキサン-2-イル]オキシ-6-(ヒドロキシメチル)-2-メチルオキサン-3,4-ジオールまたはそれらのアナログもしくは誘導体、CAS番号、化学式C274820、およびモル質量692.7g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、変性コーンスターチは、少なくとも、フィルム形成剤として機能することができる。
【0215】
本明細書で使用される場合、「carbopol 974P」という用語は、高分子量の架橋ポリアクリル酸ポリマーまたはその誘導体のアナログを含めたカルボマーファミリーのメンバーを指す。carbopolには、それに限定されるものではないが、carbopolホモポリマー:アリルスクロースまたはアリルペンタエリスリトールで架橋されたアクリル酸、carbopolコポリマー:アリルペンタエリスリトールで架橋されたアクリル酸およびC10~C30アルキルアクリレート、ならびにcarbopolインターポリマー:ポリエチレングリコールおよび長鎖アルキル酸エステルのブロックコポリマーを含有するカルボマーホモポリマーまたはコポリマーが含まれる。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、carbopol 974Pは、少なくとも、フィルム形成剤として機能することができる。
【0216】
本明細書で使用される場合、「carbopol 934P」という用語は、高分子量の架橋ポリアクリル酸ポリマーまたはその誘導体のアナログを含めたカルボマーファミリーのメンバーを指す。carbopolには、それに限定されるものではないが、carbopolホモポリマー:アリルスクロースまたはアリルペンタエリスリトールで架橋されたアクリル酸、carbopolコポリマー:アリルペンタエリスリトールで架橋されたアクリル酸およびC10~C30アルキルアクリレート、ならびにcarbopolインターポリマー:ポリエチレングリコールおよび長鎖アルキル酸エステルのブロックコポリマーを含有するカルボマーホモポリマーまたはコポリマーが含まれる。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、carbopol 934Pは、少なくとも、フィルム形成剤として機能することができる。
【0217】
本明細書で使用される場合、「kollidon 25」という用語は、高分子量の架橋ポリマーまたはその誘導体のアナログを含めたポリビニルピロリドンファミリーのメンバーを指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、kollidon 25は、少なくとも、フィルム形成剤として機能することができる。
【0218】
本明細書で使用される場合、「soluplus」という用語は、IUPAC名2-ヒドロキシエチル12-ヒドロキシオクタデカノエートまたはそれらのアナログもしくは誘導体、CAS番号105109-85-1、6284-41-9、化学式C2040、およびモル質量344.5g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、soluplusは、少なくとも、フィルム形成剤として機能することができる。
【0219】
本明細書で使用される場合、「lycoat NG73」という用語は、ヒドロキシプロピルマメデンプンファミリー、例えばポリマーまたはそれらのアナログもしくは誘導体のメンバーを指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、lycoat NG73は、少なくとも、フィルム形成剤として機能することができる。
【0220】
本明細書で使用される場合、「Kollicoat」または「Kollicoat(登録商標)」という用語は、BASF(Florham Park、NJ)から商業的に入手可能な生成物を指す。これらには、例えば、Kollicoat(登録商標)ProtectおよびKollicoat(登録商標)IRが含まれる。「Kollicoat(登録商標)Protect」という用語は、(i)35~45wt%のポリビニルアルコール(PVA)、(ii)55~65wt%のポリビニルアルコール(PVA)-ポリエチレングリコール(PEG)グラフトコポリマー、および(iii)0.1~0.3wt%の二酸化ケイ素を含有する商品を指す。Kollicoat(登録商標)Protectは、水溶性Kollicoat(登録商標)IRおよびポリビニルアルコールの組合せであり、ここでKollicoat(登録商標)IRは、ポリビニルアルコール(PVA)-ポリエチレングリコール(PEG)グラフトコポリマーである。Kollicoat
(登録商標)IRのPEG部分は、PEG 6000である。Kollicoat(登録商標)Protectは、化学名ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールコポリマーおよびポリビニルアルコール(PVA)を有する。Kollicoat(登録商標)Protectは、CAS番号:Kollicoat(登録商標)IR 96734-39-3、ポリビニルアルコール9002-89-5、および二酸化ケイ素7631-86-9を有する。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、Kollicoat(登録商標)生成物は、少なくとも、フィルム形成剤として機能することができる。
【0221】
本明細書で使用される場合、「polyox N-10」という用語は、IUPAC名2-メチルオキシラン;オキシランまたはそれらのアナログもしくは誘導体、CAS番号691397-13-4、9003-11-6、106392-12-5、化学式C10、およびモル質量102.13g・mol-1を有する物質のポリマーなどのポリオキサレンファミリーのメンバーを指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、polyox N-10は、少なくとも、フィルム形成剤として機能することができる。
【0222】
本明細書で使用される場合、「polyox N-80」という用語は、IUPAC名2-メチルオキシラン;オキシランまたはそれらのアナログもしくは誘導体、CAS番号691397-13-4、9003-11-6、106392-12-5、化学式C10、およびモル質量102.13g・mol-1を有する物質のポリマーなどのポリオキサレンファミリーのメンバーを指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、polyox N-80は、少なくとも、フィルム形成剤として機能することができる。
【0223】
本明細書で使用される場合、「polyox N-750」という用語は、IUPAC名2-メチルオキシラン;オキシランまたはそれらのアナログもしくは誘導体、CAS番号691397-13-4、9003-11-6、106392-12-5、化学式C10、およびモル質量102.13g・mol-1を有する物質のポリマーなどのポリオキサレンファミリーのメンバーを指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、polyox N-750は、少なくとも、フィルム形成剤として機能することができる。
【0224】
本明細書で使用される場合、「methocel E4M」という用語は、IUPAC名6-(ヒドロキシメチル)-5-メトキシ-2-[4,5,6-トリメトキシ-2-(メトキシメチル)オキサン-3-イル]オキシオキサン-3,4-ジオールまたはそれらのアナログもしくは誘導体、CAS番号99638-59-2、化学式C173211、およびモル質量412.4g・mol-1を有する物質のポリマーなどのメチルセルロースエーテルファミリーのメンバーを指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、methocel E4Mは、少なくとも、フィルム形成剤として機能することができる。
【0225】
本明細書で使用される場合、「methocel E10M」という用語は、IUPAC名6-(ヒドロキシメチル)-5-メトキシ-2-[4,5,6-トリメトキシ-2-(メトキシメチル)オキサン-3-イル]オキシオキサン-3,4-ジオールまたはそれらのアナログもしくは誘導体、CAS番号99638-59-2、化学式C173211、およびモル質量412.4g・mol-1を有する物質のポリマーなどのメチルセルロースエーテルファミリーのメンバーを指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、methocel E10Mは、少なくとも、フィルム形成剤として機能することができる。
【0226】
本明細書で使用される場合、「CMCナトリウム」または「カルボキシメチルセルロースナトリウム」という用語は、IUPAC名ナトリウム;2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキサナール;アセテートまたはそれらのアナログもしくは誘導体、CAS番号9004-32-4、化学式C15NaO、およびモル質量262.19g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、CMCナトリウムは、少なくとも、フィルム形成剤として機能することができる。
【0227】
本明細書で使用される場合、「ジエチレングリコールモノエチルエーテル」という用語は、IUPAC名2-(2-エトキシエトキシ)エタノール、CAS番号111-90-0、化学式C14またはCHCHOCHCHOCHCHOH、およびモル質量134.17g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、ジエチレングリコールモノエチルエーテルは、少なくとも、フィルム形成剤として機能することができる。
【0228】
本明細書で使用される場合、「カプリロカプロイル(caprylocapryol)ポリオキシル-8グリセリド」という用語は、IUPAC名2,3-ジヒドロキシプロピルデカノエート;2,3-ジヒドロキシプロピルオクタノエートまたはそれらのアナログもしくは誘導体、CAS番号、化学式C2448、およびモル質量464.6g・mol-1を有する物質を指す。本明細書に記載される口内溶解性フィルムに存在する場合、カプリロカプロイルポリオキシル-8グリセリドは、少なくとも、フィルム形成剤として機能することができる。
【0229】
特定の範囲、値、および実施形態
以下に提供される範囲および値を記載する特定の実施形態は、単に例示的な目的のものであり、その他の点でも、特許請求の範囲によって定義される本開示の主題の範囲を制限しない。
【0230】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、親油性または疎水性である医薬活性成分を含む。
【0231】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、親油性かつ疎水性である医薬活性成分を含む。
【0232】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、親油性または疎水性である界面活性剤を含む。
【0233】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、親油性かつ疎水性である界面活性剤を含む。
【0234】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、医薬活性成分のための溶媒を含み、その溶媒は、親油性または疎水性である。
【0235】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、医薬活性成分のための溶媒を含み、その溶媒は、親油性かつ疎水性である。
【0236】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、(1)親油性または疎水性である医薬活性成分、(2)親油性または疎水性である界面活性剤、および(3)親油性または疎水性である溶媒を含む。
【0237】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、(1)親油性かつ疎水性である医薬活性成分、(2)親油性かつ疎水性である界面活性剤、および(3)親油性かつ疎水性である溶媒を含む。
【0238】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、疎油性または親水性である医薬活性成分を含む。
【0239】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、疎油性かつ親水性である医薬活性成分を含む。
【0240】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、疎油性または親水性である界面活性剤を含む。
【0241】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、疎油性かつ親水性である界面活性剤を含む。
【0242】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、医薬活性成分のための溶媒を含み、その溶媒は、疎油性または親水性である。
【0243】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、医薬活性成分のための溶媒を含み、その溶媒は、疎油性かつ親水性である。
【0244】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、(1)疎油性または親水性である医薬活性成分、(2)疎油性または親水性である界面活性剤、および(3)医薬活性成分のための、疎油性または親水性である溶媒を含む。
【0245】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、(1)疎油性かつ親水性である医薬活性成分、(2)疎油性かつ親水性である界面活性剤、および(3)医薬活性成分のための、疎油性かつ親水性である溶媒を含む。
【0246】
特定の実施形態では、界面活性剤は、親油性または疎水性であり、医薬活性成分のための溶媒は、親油性または疎水性である。
【0247】
特定の実施形態では、親油性または疎水性の界面活性剤は、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリル酸プロピレングリコール、モノオレイン酸グリセリル、モノラウリン酸プロピレングリコール、カプリル酸/カプリン酸グリセリル、モノリノール酸グリセリル、ソルビタンモノオレエート(Span 80)、ジベヘン酸グリセリル、ジラウリン酸プロピレングリコール、トリカプリル酸/トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸/カプリン酸グリセリル、モノおよびジオレイン酸デカグリセリル、オレオイルマクロゴールグリセリド、ラウロイルマクロゴールグリセリド、ステアロイルマクロゴールグリセリドまたはステアロイルポリオキシルグリセリド、ならびにポリオキシエチレンカプリル酸/カプリン酸グリセリルの少なくとも1つを含む。
【0248】
特定の実施形態では、親油性または疎水性の界面活性剤は、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリル酸プロピレングリコール、モノオレイン酸グリセリル、モノラウリン酸プロピレングリコール、カプリル酸/カプリン酸グリセリル、モノリノール酸グリセリル、ソルビタンモノオレエート(Span 80)、ジベヘン酸グリセリル、ジラウリン酸プロピレングリコール、トリカプリル酸/トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸/カプリン酸グリセリル、モノおよびジオレイン酸デカグリセリル、オレオイルマクロゴールグリセリド、ラウロイルマクロゴールグリセリド、ステアロイルマクロゴールグリセリド
、ステアロイルポリオキシルグリセリド、ポリオキシエチレン、ならびにカプリル酸/カプリン酸グリセリルの少なくとも1つを含む。
【0249】
特定の実施形態では、親油性または疎水性の界面活性剤は、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリル酸プロピレングリコール、モノオレイン酸グリセリル、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノリノール酸グリセリル、ソルビタンモノオレエート(Span
80)、ジラウリン酸プロピレングリコール、ならびにモノおよびジオレイン酸デカグリセリルの少なくとも1つを含む。
【0250】
特定の実施形態では、親油性または疎水性の界面活性剤は、モノカプリル酸プロピレングリコール、モノオレイン酸グリセリル、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノリノール酸グリセリル、およびソルビタンモノオレエート(Span 80)の少なくとも1つを含む。
【0251】
特定の実施形態では、親油性または疎水性の界面活性剤は、0.5~40wt%で存在する。
【0252】
特定の実施形態では、親油性または疎水性の界面活性剤は、3~25wt%で存在する。
【0253】
特定の実施形態では、親油性または疎水性の界面活性剤は、8~14wt%で存在する。
【0254】
特定の実施形態では、親油性または疎水性の界面活性剤は、11wt%で存在する。
【0255】
特定の実施形態では、親油性または疎水性の界面活性剤は、以下に示される1種または複数の物質を含む。さらなる実施形態では、親油性または疎水性の界面活性剤は、以下に示される量/範囲の1種または複数の物質を含む。
【表15-1】
【表15-2】
【0256】
特定の実施形態では、界面活性剤は、疎油性または親水性であり、医薬活性成分のための溶媒は、疎油性または親水性である。
【0257】
特定の実施形態では、疎油性または親水性の界面活性剤は、ポロキサマー、ポリオキシルヒマシ油、ポリエチレン-ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween 20)、Tween 80、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(Tween 60)、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、オクチルグルコシド、Triton X-100、ノノキシノール9、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、Brij、ラウリン酸グリセリル、リン脂質、n-ドデシルホスホコリン、およびコレステリルエステルの少なくとも1つを含む。
【0258】
特定の実施形態では、疎油性または親水性の界面活性剤は、ポロキサマー、ポリエチレン-ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween 20)、Tween 80、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(Tween 60)、Triton X-100、ラウリル硫酸ナトリウム、Brij、リン脂質、n-ドデシルホスホコリン、およびコレステリルエステルの少なくとも1つを含む。
【0259】
特定の実施形態では、疎油性または親水性の界面活性剤は、ポロキサマー、ポリエチレン-ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween 20)、リン脂質、およびn-ドデシルホスホコリンの少なくとも1つを含む。
【0260】
特定の実施形態では、疎油性または親水性の界面活性剤は、ポロキサマー、ポリオキシルヒマシ油、ポリエチレン-ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween 20)、Tween 80、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(Tween 60)、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、オクチルグルコシド、Triton X-100、ノノキシノール9、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、Brij、ラウリン酸グリセリル、リン脂質、n-ドデシルホスホコリン、およびコレステリルエステルの少なくとも1つを含む。
【0261】
特定の実施形態では、疎油性または親水性の界面活性剤は、0.5~40wt%で存在する。
【0262】
特定の実施形態では、疎油性または親水性の界面活性剤は、0.5~25wt%で存在する。
【0263】
特定の実施形態では、疎油性または親水性の界面活性剤は、3~7wt%で存在する。
【0264】
特定の実施形態では、疎油性または親水性の界面活性剤は、5wt%で存在する。
【0265】
特定の実施形態では、疎油性または親水性の界面活性剤は、以下に示される1種または複数の物質を含む。さらなる実施形態では、疎油性または親水性の界面活性剤は、以下に示される量/範囲の1種または複数の物質を含む。
【表16-1】
【表16-2】
【0266】
特定の実施形態では、医薬活性成分のための親油性または疎水性の溶媒は、中鎖トリグリセリド油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、パーム油、キャノーラ油、ベニバナ油、ゴマ油、モノカプリル酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノリノール酸グリセリル、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、およびオレイルアルコールの少なくとも1つを含む。
【0267】
特定の実施形態では、医薬活性成分のための親油性または疎水性の溶媒は、中鎖トリグリセリド油、ヤシ油、オリーブ油、ゴマ油、モノカプリル酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、およびモノリノール酸グリセリルの少なくとも1つを含む。
【0268】
特定の実施形態では、医薬活性成分のための親油性または疎水性の溶媒は、中鎖トリグリセリド油、オリーブ油、ゴマ油、モノカプリル酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、およびモノリノール酸グリセリルの少なくとも1つを含む。
【0269】
特定の実施形態では、医薬活性成分のための親油性または疎水性の溶媒は、中鎖トリグリセリド油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、パーム油、キャノーラ油、ベニバナ油、ゴマ油、モノカプリル酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノリノール酸グリセリル、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、およびオレイルアルコールの少なくとも1つを含む。
【0270】
特定の実施形態では、医薬活性成分のための親油性または疎水性の溶媒は、0.5~40wt%で存在する。
【0271】
特定の実施形態では、医薬活性成分のための親油性または疎水性の溶媒は、3~25wt%で存在する。
【0272】
特定の実施形態では、医薬活性成分のための親油性または疎水性の溶媒は、8~14wt%で存在する。
【0273】
特定の実施形態では、医薬活性成分のための親油性または疎水性の溶媒は、11wt%で存在する。
【0274】
特定の実施形態では、医薬活性成分のための疎油性または親水性の溶媒は、水を含む。
【0275】
特定の実施形態では、医薬活性成分のための疎油性または親水性の溶媒は、0.5~20wt%で存在する。
【0276】
特定の実施形態では、医薬活性成分のための疎油性または親水性の溶媒は、以下に示される1種または複数の物質を含む。さらなる実施形態では、医薬活性成分のための疎油性または親水性の溶媒は、以下に示される量/範囲の1種または複数の物質を含む。
【表17-1】
【表17-2】
【0277】
特定の実施形態では、医薬活性成分は、親油性または疎水性である。
【0278】
特定の実施形態では、医薬活性成分は、疎油性または親水性である。
【0279】
特定の実施形態では、医薬活性成分は、カンナビノイド、テルペン、フラボノイド、またはその組合せを含む。
【0280】
特定の実施形態では、フラボノイドは、FBL-03Gを含む。
【0281】
特定の実施形態では、医薬活性成分は、シクロスポリン、リトナビル、サキナビル、アンプレナビル、バルプロ酸、カルシトリオール、ベキサロテン、トレチノイン、イソトレチノイン、チプラナビル、および薬学的に許容されるその塩の少なくとも1つを含む。
【0282】
特定の実施形態では、医薬活性成分は、幻覚剤を含む。
【0283】
特定の実施形態では、医薬活性成分は、リゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)および3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)の少なくとも1つを含む幻覚剤を含む。
【0284】
特定の実施形態では、医薬活性成分は、イベルメクチンを含む。
【0285】
特定の実施形態では、医薬活性成分は、0.5~40wt%で存在する。
【0286】
特定の実施形態では、医薬活性成分は、0.5~30wt%で存在する。
【0287】
特定の実施形態では、医薬活性成分は、0.5~20wt%で存在する。
【0288】
特定の実施形態では、医薬活性成分は、0.5~10wt%で存在する。
【0289】
特定の実施形態では、医薬活性成分は、少なくとも10wt%で存在する。
【0290】
特定の実施形態では、医薬活性成分は、10~40wt%で存在する。
【0291】
特定の実施形態では、医薬活性成分は、10~35wt%で存在する。
【0292】
特定の実施形態では、医薬活性成分は、10~30wt%で存在する。
【0293】
特定の実施形態では、医薬活性成分は、10~25wt%で存在する。
【0294】
特定の実施形態では、医薬活性成分は、10~20wt%で存在する。
【0295】
特定の実施形態では、医薬活性成分は、0.01~5wt%で存在する。
【0296】
特定の実施形態では、医薬活性成分は、0.01~2.5wt%で存在する。
【0297】
特定の実施形態では、医薬活性成分は、0.01~1.0wt%で存在する。
【0298】
特定の実施形態では、医薬活性成分は、0.01~0.5wt%で存在する。
【0299】
特定の実施形態では、医薬活性成分は、2.5wt%まで存在する。
【0300】
特定の実施形態では、医薬活性成分は、1.5wt%まで存在する。
【0301】
特定の実施形態では、医薬活性成分は、1.0wt%まで存在する。
【0302】
特定の実施形態では、医薬活性成分は、0.5wt%まで存在する。
【0303】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムのフィルムマトリックスは、可塑剤およびフィルム形成剤を含む。
【0304】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムのフィルムマトリックスは、プロピレングリコール、グリセリン、トリアセチン、クエン酸トリエチル、およびポリエチレングリコールの少なくとも1つを含む可塑剤を含む。
【0305】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムのフィルムマトリックスは、プロピレングリコール、グリセリン、およびポリエチレングリコールの少なくとも1つを含む可塑剤を含む。
【0306】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムのフィルムマトリックスは、グリセリンおよびポリエチレングリコールの少なくとも1つを含む可塑剤を含む。
【0307】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムのフィルムマトリックスは、0.5~20wt%で存在する可塑剤を含む。
【0308】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムのフィルムマトリックスは、3~20wt%で存在する可塑剤を含む。
【0309】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムのフィルムマトリックスは、8~14wt%で存在する可塑剤を含む。
【0310】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムのフィルムマトリックスは、12wt%で存在する可塑剤を含む。
【0311】
特定の実施形態では、可塑剤は、以下に示される1種または複数の物質を含む。さらなる実施形態では、可塑剤は、以下に示される量/範囲の1種または複数の物質を含む。
【表18】
【0312】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムのフィルムマトリックスは、プルラン、アラビアガム、グアーガム、マルトデキストリン、微結晶性セルロース、キトサン、ペクチン、カラギーナン、HPMC、HPC、変性コーンスターチ、Carbopol 974P、Carbopol 934P、Kollidon 25、Soluplus、Lycoat NG73、Kollicoat、Polyox N-10、Polyox N-80、Polyox N-750、Methocel E4M、Methocel E10M、およびCMCナトリウムの少なくとも1つを含むフィルム形成剤を含む。
【0313】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムのフィルムマトリックスは、プルラン、アラビアガム、微結晶性セルロース、キトサン、ペクチン、カラギーナン、HPMC、変性コーンスターチ、Kollidon 25、およびSoluplusの少なくとも1つを含むフィルム形成剤を含む。
【0314】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムのフィルムマトリックスは、プルラン、微結晶性セルロース、キトサン、ペクチン、HPMC、変性コーンスターチ、Kollidon 25、およびSoluplusの少なくとも1つを含むフィルム形成剤を含む。
【0315】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムのフィルムマトリックスは、1~60wt%で存在するフィルム形成剤を含む。
【0316】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムのフィルムマトリックスは、5~40wt%で存在するフィルム形成剤を含む。
【0317】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムのフィルムマトリックスは、10~20wt%で存在するフィルム形成剤を含む。
【0318】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムのフィルムマトリックスは、1~20wt%で存在するフィルム形成剤を含む。
【0319】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムのフィルムマトリックスは、3~7wt%で存在するフィルム形成剤を含む。
【0320】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムのフィルムマトリックスは、14wt%で存在するフィルム形成剤を含む。
【0321】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムのフィルムマトリックスは、5wt%で存在するフィルム形成剤を含む。
【0322】
特定の実施形態では、フィルム形成剤は、以下に示される1種または複数の物質を含む。さらなる実施形態では、フィルム形成剤は、以下に示される量/範囲の1種または複数の物質を含む。
【表19-1】
【表19-2】
【0323】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、共溶媒をさらに含む。
【0324】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびカプリロカプロイルポリオキシル-8グリセリドの少なくとも1つを含む共溶媒をさらに含む。
【0325】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、0.5~40wt%で存在する共溶媒をさらに含む。
【0326】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、0.5~25wt%で存在する共溶媒をさらに含む。
【0327】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、3~7wt%で存在する共溶媒をさらに含む。
【0328】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、5wt%で存在する共溶媒をさらに含む。
【0329】
特定の実施形態では、共界面活性剤は、以下に示される1種または複数の物質を含む。さらなる実施形態では、共界面活性剤は、以下に示される量/範囲の1種または複数の物質を含む。
【表20】
【0330】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、抗酸化剤、抗菌剤、香味剤、着色剤、および甘味料の少なくとも1つをさらに含む。
【0331】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象の口腔粘膜表面と接触すると、120秒以内に自己乳化するように構成されている。
【0332】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象の口腔粘膜表面と接触すると、100秒以内に自己乳化するように構成されている。
【0333】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象の口腔粘膜表面と接触すると、90秒以内に自己乳化するように構成されている。
【0334】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象の口腔粘膜表面と接触すると、75秒以内に自己乳化するように構成されている。
【0335】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象の口腔粘膜表面と接触すると、60秒以内に自己乳化するように構成されている。
【0336】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象の口腔粘膜表面と接触すると、45秒以内に自己乳化するように構成されている。
【0337】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象の口腔粘膜表面と接触すると、30秒以内に自己乳化するように構成されている。
【0338】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象の口腔粘膜表面と接触すると、20秒以内に自己乳化するように構成されている。
【0339】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象の口腔粘膜表面と接触すると、120秒以内に水中油(O/W)エマルションを形成するように構成されている。
【0340】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象の口腔粘膜表面と接触すると、100秒以内に水中油(O/W)エマルションを形成するように構成されている。
【0341】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象の口腔粘膜表面と接触すると、90秒以内に水中油(O/W)エマルションを形成するように構成されている。
【0342】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象の口腔粘膜表面と接触すると、75秒以内に水中油(O/W)エマルションを形成するように構成されている。
【0343】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象の口腔粘膜表面と接触すると、60秒以内に水中油(O/W)エマルションを形成するように構成されている。
【0344】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象の口腔粘膜表面と接触すると、45秒以内に水中油(O/W)エマルションを形成するように構成されている。
【0345】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象の口腔粘膜表面と接触すると、30秒以内に水中油(O/W)エマルションを形成するように構成されている。
【0346】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象の口腔粘膜表面と接触すると、20秒以内に水中油(O/W)エマルションを形成するように構成されている。
【0347】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象の口腔粘膜表面と接触すると、20秒以内に0.1ミクロン~120ミクロンの平均液滴サイズを有する水中油(O/W)エマルションを形成するように構成されている。
【0348】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象の口腔粘膜表面と接触すると、20秒以内にd(10):0.5~10ミクロン、d(50):1~20ミクロン、およびd(90):15~100ミクロンの平均液滴サイズを有する水中油(O/W)エマルションを形成するように構成されている。
【0349】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、d(10):0.5~5ミクロン、d(50):1~10ミクロン、およびd(90):15~50ミクロンの平均液滴サイズを有する水中油(O/W)エマルションを形成するように構成されている。
【0350】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、d(10):0.5~2ミクロン、d(50):1~5ミクロン、およびd(90):15~30ミクロンの平均液滴サイズを有する水中油(O/W)エマルションを形成するように構成されている。
【0351】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、以下に示される平均液滴サイズを有する水中油(O/W)エマルションを形成するように構成されている。
【表21】
【0352】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、経口投与(PO)、頬側投与、舌下投与
、または粘膜投与に適している。
【0353】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、3~13wt%の含水量を有する。
【0354】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、5~13wt%の含水量を有する。
【0355】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、5~12wt%の含水量を有する。
【0356】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、5~11wt%の含水量を有する。
【0357】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、5~10wt%の含水量を有する。
【0358】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、5~9wt%の含水量を有する。
【0359】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、6~13wt%の含水量を有する。
【0360】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、6~12wt%の含水量を有する。
【0361】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、6~11wt%の含水量を有する。
【0362】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、6~10wt%の含水量を有する。
【0363】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象に頬側投与されると、20分以内に崩壊するように構成されている。
【0364】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象に頬側投与されると、15分以内に崩壊するように構成されている。
【0365】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象に頬側投与されると、10分以内に崩壊するように構成されている。
【0366】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象に頬側投与されると、5分以内に崩壊するように構成されている。
【0367】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象に経口(PO)投与されると、120秒以内に崩壊するように構成されている。
【0368】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象に経口(PO)投与されると、100秒以内に崩壊するように構成されている。
【0369】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象に経口(PO)投与されると、90秒以内に崩壊するように構成されている。
【0370】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象に経口(PO)投与されると、70秒以内に崩壊するように構成されている。
【0371】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象に経口(PO)投与されると、60秒以内に崩壊するように構成されている。
【0372】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象に経口(PO)投与されると、45
秒以内に崩壊するように構成されている。
【0373】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象に経口(PO)投与されると、30秒以内に崩壊するように構成されている。
【0374】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、対象に経口(PO)投与されると、20秒以内に崩壊するように構成されている。
【0375】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、120秒以内にin vitroで崩壊するように構成されている(USP<701>In-vitro崩壊法)。
【0376】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、100秒以内にin vitroで崩壊するように構成されている(USP<701>In-vitro崩壊法)。
【0377】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、90秒以内にin vitroで崩壊するように構成されている(USP<701>In-vitro崩壊法)。
【0378】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、75秒以内にin vitroで崩壊するように構成されている(USP<701>In-vitro崩壊法)。
【0379】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、60秒以内にin vitroで崩壊するように構成されている(USP<701>In-vitro崩壊法)。
【0380】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、40秒以内にin vitroで崩壊するように構成されている(USP<701>In-vitro崩壊法)。
【0381】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、30秒以内にin vitroで崩壊するように構成されている(USP<701>In-vitro崩壊法)。
【0382】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、20秒以内にin vitroで崩壊するように構成されている(USP<701>In-vitro崩壊法)。
【0383】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、(i)約45分~約120分の間のTmax、(ii)少なくとも3.5ng/mlのCmax、および(iii)少なくとも13ng/時間/mlのAUC0-tから選択される少なくとも1つの薬物動態パラメーターを示す。
【0384】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、(i)1.5時間のTmax、(ii)4.4ng/mlのCmax、および(iii)13.5ng/時間/mlのAUC0-tから選択される少なくとも1つの薬物動態パラメーターを示す。
【0385】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、20分以下のin vivo溶解時間を示す。
【0386】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、約10分~約15分の間のin vivo溶解時間を示す。
【0387】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、少なくとも10%の生物学的利用率を示す。
【0388】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、少なくとも12.5%の生物学的利用率を示す。
【0389】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、少なくとも15%の生物学的利用率を示す。
【0390】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、少なくとも18%の生物学的利用率を示す。
【0391】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、少なくとも20%の生物学的利用率を示す。
【0392】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、少なくとも25%の生物学的利用率を示す。
【0393】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、40℃/75%RH加速条件下で測定した場合、9カ月後に少なくとも約96%の安定性を示す。
【0394】
特定の実施形態では、口内溶解性フィルムは、25℃/60%RH加速条件または40℃/75%RH加速条件下で測定した場合、3カ月後に100%の安定性を示す。
【0395】
口内溶解性フィルムを形成する方法を伴う特定の実施形態では、フィルム形成成分は、粘膜付着性ポリマー、可塑剤、結合剤、充填剤、増量剤、唾液刺激剤、安定化剤および増粘剤、ゲル化剤、香味剤、矯味剤、着色剤、色素、滑沢剤、放出調節剤、アジュバント、甘味剤、可溶化剤および乳化剤、フレグランス、乳化剤、界面活性剤、pH調整剤、緩衝剤、脂質、流動促進剤、安定剤、抗酸化剤、粘着防止剤、保水剤、溶媒、浸透促進剤、ならびに防腐剤の少なくとも1つを含む。
【0396】
口内溶解性フィルムを形成する方法を伴う特定の実施形態では、親油性または疎水性の溶媒は、油を含む。
【0397】
口内溶解性フィルムを形成する方法を伴う特定の実施形態では、親水性または疎油性の溶媒は、水性液体を含む。
【0398】
口内溶解性フィルムを形成する方法を伴う特定の実施形態では、硬化は、熱風オーブン中、約38℃~約110℃の間の空気温度で行われる。
【0399】
口内溶解性フィルムを形成する方法を伴う特定の実施形態では、硬化は、熱風オーブン中、約45℃~約80℃の間の空気温度で行われる。
【0400】
口内溶解性フィルムを形成する方法を伴う特定の実施形態では、硬化は、熱風オーブン中(50℃~70℃の空気温度)で行われる。
【0401】
口内溶解性フィルムを形成する方法を伴う特定の実施形態では、硬化は、約0.8フィート/分~約2.5フィート/分の間の速度で行われる。
【0402】
口内溶解性フィルムを形成する方法を伴う特定の実施形態では、硬化は、約0.8フィート/分~約1.0フィート/分の間の速度で行われる。
【0403】
口内溶解性フィルムを形成する方法を伴う特定の実施形態では、硬化は、約2.0フィ
ート/分~約2.5フィート/分の間の速度で行われる。
【0404】
番号付きの実施形態
以下に提供される、特定の番号付きの実施形態[1]~[57]は、単に例示的な目的のものであり、その他の点でも、特許請求の範囲によって定義される本開示の主題の範囲を制限しない。これらの番号付きの実施形態は、本明細書に記載されるすべての組合せ、部分的組合せ、および多重に参照される(例えば、多重に従属的な)組合せを包含する。
【0405】
実施形態[1]
本発明は、
(a)医薬活性成分、
(b)界面活性剤、
(c)医薬活性成分のための溶媒、
(d)フィルムマトリックス、および
(e)水
を含む口内溶解性フィルムであって、
医薬活性成分が親油性または疎水性である場合、(i)界面活性剤は、親油性または疎水性であり、(ii)医薬活性成分のための溶媒は、親油性または疎水性であり、
医薬活性成分が疎油性または親水性である場合、(i)界面活性剤は、疎油性または親水性であり、(ii)医薬活性成分のための溶媒は、疎油性または親水性である、
口内溶解性フィルムを提供する。
【0406】
実施形態[2]
本発明は、界面活性剤が、親油性または疎水性であり、医薬活性成分のための溶媒が、親油性または疎水性である、実施形態[1]の口内溶解性フィルムを提供する。
【0407】
実施形態[3]
本発明は、親油性または疎水性の界面活性剤が、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリル酸プロピレングリコール、モノオレイン酸グリセリル、モノラウリン酸プロピレングリコール、カプリル酸/カプリン酸グリセリル、モノリノール酸グリセリル、ソルビタンモノオレエート(Span 80)、ジベヘン酸グリセリル、ジラウリン酸プロピレングリコール、トリカプリル酸/トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸/カプリン酸グリセリル、モノおよびジオレイン酸デカグリセリル、オレオイルマクロゴールグリセリド、ラウロイルマクロゴールグリセリド、ステアロイルマクロゴールグリセリド、ステアロイルポリオキシルグリセリド、ポリオキシエチレン、ならびにカプリル酸/カプリン酸グリセリルの少なくとも1つを含む、実施形態[1]~[2]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0408】
実施形態[4]
本発明は、親油性または疎水性の界面活性剤が、0.5~40wt%で存在する、実施形態[1]~[3]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0409】
実施形態[5]
本発明は、界面活性剤が、疎油性または親水性であり、医薬活性成分のための溶媒が、疎油性または親水性である、実施形態[1]の口内溶解性フィルムを提供する。
【0410】
実施形態[6]
本発明は、疎油性または親水性の界面活性剤が、ポロキサマー、ポリオキシルヒマシ油、ポリエチレン-ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(Tween 20)、Tween 80、ポリオキシエチレンソルビタンモノステ
アレート(Tween 60)、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、オクチルグルコシド、Triton X-100、ノノキシノール9、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、Brij、ラウリン酸グリセリル、リン脂質、n-ドデシルホスホコリン、およびコレステリルエステルの少なくとも1つを含む、実施形態[1]および[5]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0411】
実施形態[7]
本発明は、疎油性または親水性の界面活性剤が、0.5~40wt%で存在する、実施形態[1]および[5]~[6]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0412】
実施形態[8]
本発明は、医薬活性成分のための親油性または疎水性の溶媒が、中鎖トリグリセリド油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、パーム油、キャノーラ油、ベニバナ油、ゴマ油、モノカプリル酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノリノール酸グリセリル、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、およびオレイルアルコールの少なくとも1つを含む、実施形態[1]~[3]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0413】
実施形態[9]
本発明は、医薬活性成分のための親油性または疎水性の溶媒が、0.5~40wt%で存在する、実施形態[1]~[3]および[8]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0414】
実施形態[10]
本発明は、医薬活性成分のための疎油性または親水性の溶媒が、水を含む、実施形態[1]および[5]~[7]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0415】
実施形態[11]
本発明は、医薬活性成分のための疎油性または親水性の溶媒が、0.5~20wt%で存在する、実施形態[1]、[5]~[7]、および[10]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0416】
実施形態[12]
本発明は、医薬活性成分が、親油性または疎水性である、実施形態[1]~[11]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0417】
実施形態[13]
本発明は、医薬活性成分が、疎油性または親水性である、実施形態[1]~[11]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0418】
実施形態[14]
本発明は、医薬活性成分が、カンナビノイド、テルペン、フラボノイド、またはその組合せを含む、実施形態[1]~[13]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0419】
実施形態[15]
本発明は、医薬活性成分が、シクロスポリン、リトナビル、サキナビル、アンプレナビル、バルプロ酸、カルシトリオール、ベキサロテン、トレチノイン、イソトレチノイン、チプラナビル、および薬学的に許容されるその塩の少なくとも1つを含む、実施形態[1]~[13]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0420】
実施形態[16]
本発明は、医薬活性成分が、幻覚剤を含む、実施形態[1]~[13]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0421】
実施形態[17]
本発明は、医薬活性成分が、リゼルグ酸ジエチルアミド(LSD)、3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA)、N,N-ジメチルトリプタミン(DMT)、サイロシビン、メスカリン、およびイボガインの少なくとも1つを含む幻覚剤を含む、実施形態[1]~[13]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0422】
実施形態[18]
本発明は、医薬活性成分が、イベルメクチンを含む、実施形態[1]~[13]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0423】
実施形態[19]
本発明は、少なくとも10wt%の医薬活性成分を含む、実施形態[1]~[18]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0424】
実施形態[20]
本発明は、フィルムマトリックスが、可塑剤およびフィルム形成剤を含む、実施形態[1]~[19]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0425】
実施形態[21]
本発明は、フィルムマトリックスが、プロピレングリコール、グリセリン、トリアセチン、クエン酸トリエチル、およびポリエチレングリコールの少なくとも1つを含む可塑剤を含む、実施形態[1]~[20]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0426】
実施形態[22]
本発明は、フィルムマトリックスが、0.5~20wt%で存在する可塑剤を含む、実施形態[1]~[21]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0427】
実施形態[23]
本発明は、フィルムマトリックスが、プルラン、アラビアガム、グアーガム、マルトデキストリン、微結晶性セルロース、キトサン、ペクチン、カラギーナン、HPMC、HPC、変性コーンスターチ、Carbopol 974P、Carbopol 934P、Kollidon 25、Soluplus、Lycoat NG73、Kollicoat、Polyox N-10、Polyox N-80、Polyox N-750、Methocel E4M、Methocel E10M、およびCMCナトリウムの少なくとも1つを含むフィルム形成剤を含む、実施形態[1]~[23]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0428】
実施形態[24]
本発明は、フィルムマトリックスが、1~60wt%で存在するフィルム形成剤を含む、実施形態[1]~[23]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0429】
実施形態[25]
本発明は、共溶媒をさらに含む、実施形態[1]~[24]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0430】
実施形態[26]
本発明は、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびカプリロカプロイルポリオキシル-8グリセリドの少なくとも1つを含む共溶媒をさらに含む、実施形態[1]~[25]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0431】
実施形態[27]
本発明は、0.5~40wt%で存在する共溶媒をさらに含む、実施形態[1]~[26]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0432】
実施形態[28]
本発明は、抗酸化剤、抗菌剤、香味剤、着色剤、および甘味料の少なくとも1つをさらに含む、実施形態[1]~[27]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0433】
実施形態[29]
本発明は、
(a)親油性の医薬活性成分、
(b)親油性の医薬活性成分のための油担体、
(c)親油性の医薬活性成分のための自己乳化性の親油性の界面活性剤、
(d)1種または複数の共界面活性剤、
(e)1種または複数の親水性の界面活性剤、
(f)フィルムマトリックス、および
(g)水
を含む、実施形態[1]の口内溶解性フィルムを提供する。
【0434】
実施形態[30]
本発明は、
(a)親水性の医薬活性成分、
(b)親水性の医薬活性成分のための水担体、
(c)親水性の医薬活性成分のための親水性の界面活性剤、
(d)1種または複数の共界面活性剤、
(e)1種または複数の自己乳化性界面活性剤、
(f)フィルムマトリックス、および
(g)水
を含む、実施形態[1]の口内溶解性フィルムを提供する。
【0435】
実施形態[31]
本発明は、対象の口腔粘膜表面と接触すると、20秒以内に自己乳化するように構成されている、実施形態[1]~[30]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0436】
実施形態[32]
本発明は、対象の口腔粘膜表面と接触すると、20秒以内に水中油(O/W)エマルションを形成するように構成されている、実施形態[1]~[31]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0437】
実施形態[33]
本発明は、対象の口腔粘膜表面と接触すると、20秒以内に0.1ミクロン~120ミクロンの平均液滴サイズを有する水中油(O/W)エマルションを形成するように構成されている、実施形態[1]~[32]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0438】
実施形態[34]
本発明は、対象の口腔粘膜表面と接触すると、20秒以内に
d(10):0.5~10ミクロン、
d(50):1~20ミクロン、および
d(90):15~100ミクロン
の平均液滴サイズを有する水中油(O/W)エマルションを形成するように構成されている、実施形態[1]~[33]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0439】
実施形態[35]
本発明は、経口投与(PO)、頬側投与、舌下投与、または粘膜投与に適している、実施形態[1]~[34]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0440】
実施形態[36]
本発明は、3~13wt%の含水量を有する、実施形態[1]~[35]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0441】
実施形態[37]
本発明は、対象に頬側投与されると、15分以内に崩壊するように構成されている、実施形態[1]~[36]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0442】
実施形態[38]
本発明は、対象に経口(PO)投与されると、30秒以内に崩壊するように構成されている、実施形態[1]~[36]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0443】
実施形態[39]
本発明は、30秒以内にin vitroで崩壊するように構成されている(USP<701>In-vitro崩壊法)、実施形態[1]~[36]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0444】
実施形態[40]
本発明は、(i)約45分~約120分の間のTmax、(ii)少なくとも3.5ng/mlのCmax、および(iii)少なくとも13ng/時間/mlのAUC0-tから選択される少なくとも1つの薬物動態パラメーターを示す、実施形態[1]~[39]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0445】
実施形態[41]
本発明は、(i)1.5時間のTmax、(ii)4.4ng/mlのCmax、および(iii)13.5ng/時間/mlのAUC0-tから選択される少なくとも1つの薬物動態パラメーターを示す、実施形態[1]~[40]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0446】
実施形態[42]
本発明は、20分以下のin vivo溶解時間を示す、実施形態[1]~[41]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0447】
実施形態[43]
本発明は、約10分~約15分の間のin vivo溶解時間を示す、実施形態[1]~[42]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0448】
実施形態[44]
本発明は、少なくとも15%の生物学的利用率を示す、実施形態[1]~[43]のい
ずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0449】
実施形態[45]
本発明は、少なくとも18%の生物学的利用率を示す、実施形態[1]~[43]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを提供する。
【0450】
実施形態[46]
本発明は、40℃/75%RH加速条件下で測定した場合、9カ月後に少なくとも約96%の安定性を示す、実施形態[1]~[45]の口内溶解性フィルムを提供する。
【0451】
実施形態[47]
本発明は、25℃/60%RH加速条件または40℃/75%RH加速条件下で測定した場合、3カ月後に100%の安定性を示す、実施形態[1]~[45]の口内溶解性フィルムを提供する。
【0452】
実施形態[48]
本発明は、口内溶解性フィルムを形成する方法であって、
(a)医薬活性成分を第1の溶媒系に溶解させて、第1の混合物を形成するステップであって、
(i)医薬活性成分が親油性または疎水性である場合、医薬活性成分を、親油性もしくは疎水性の溶媒、親油性もしくは疎水性の界面活性剤、またはその組合せに溶解させるか、あるいは
(ii)医薬活性成分が親水性または疎油性である場合、医薬活性成分を、親水性もしくは疎油性の溶媒、親水性もしくは疎油性の界面活性剤、またはその組合せに溶解させるステップと、
(b)第1の混合物および親油性または疎水性の界面活性剤を接触させて、第2の混合物を形成するステップと、
(c)第2の混合物を、水および親水性または疎油性の界面活性剤と接触させて、第3の混合物を形成するステップと、
(d)第3の混合物をフィルム形成成分と接触させて、スラリーを形成するステップと、(e)スラリーを基材上に流延し、硬化させて、口内溶解性フィルムを形成するステップと
を含む、方法を提供する。
【0453】
実施形態[49]
本発明は、フィルム形成成分が、粘膜付着性ポリマー、可塑剤、結合剤、充填剤、増量剤、唾液刺激剤、安定化剤および増粘剤、ゲル化剤、香味剤、矯味剤、着色剤、色素、滑沢剤、放出調節剤、アジュバント、甘味剤、可溶化剤および乳化剤、フレグランス、乳化剤、界面活性剤、pH調整剤、緩衝剤、脂質、流動促進剤、安定剤、抗酸化剤、粘着防止剤、保水剤、溶媒、浸透促進剤、ならびに防腐剤の少なくとも1つを含む、実施形態[48]の口内溶解性フィルムを形成する方法を提供する。
【0454】
実施形態[50]
本発明は、親油性または疎水性の溶媒が油を含む、実施形態[48]~[49]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを形成する方法を提供する。
【0455】
実施形態[51]
本発明は、親水性もしくは疎油性の溶媒が水性液体を含む、実施形態[48]~[49]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを形成する方法を提供する。
【0456】
実施形態[52]
本発明は、硬化が、熱風オーブン中、約38℃~約110℃の間の空気温度で行われる、実施形態[48]~[51]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを形成する方法を提供する。
【0457】
実施形態[53]
本発明は、硬化が、熱風オーブン中、約45℃~約80℃の間の空気温度で行われる、実施形態[48]~[52]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを形成する方法を提供する。
【0458】
実施形態[54]
本発明は、硬化が、熱風オーブン中(50℃~70℃の空気温度)で行われる、実施形態[48]~[53]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを形成する方法を提供する。
【0459】
実施形態[55]
本発明は、硬化が、約0.8フィート/分~約2.5フィート/分の間の速度で行われる、実施形態[48]~[54]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを形成する方法を提供する。
【0460】
実施形態[56]
本発明は、硬化が、約0.8フィート/分~約1.0フィート/分の間の速度で行われる、実施形態[48]~[55]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを形成する方法を提供する。
【0461】
実施形態[57]
本発明は、硬化が、約2.0フィート/分~約2.5フィート/分の間の速度で行われる、実施形態[48]~[56]のいずれか1つの口内溶解性フィルムを形成する方法を提供する。
【0462】
すべての刊行物、特許、および特許文献は、それらがあたかも参照により個々に援用されるかのように、参照により本明細書に援用される。様々な特定の好ましい実施形態および技術を参照しながら、本発明を記載してきた。しかし、本発明の精神および範囲内から逸脱することなく、多くの変更および修正を加えることができることを理解されたい。本発明はまた、以下の実施例および実験を参照することにより記載され得るが、それらは本発明の範囲を別段制限しない。
【実施例0463】
実施例および実験
溶解性フィルムの製剤は、活性成分およびポリマーを含むことができる。薄フィルムの製剤化は、以下の因子(1~3)によって困難になる場合がある。(1)ある特定の活性成分の安定性が欠如していることにより、口内薄フィルム(OTF)もしくは他の薄フィルムの製剤化が複雑になる場合があること、(2)活性成分の生物学的利用率が低いこと、または(3)活性成分の浸透性が低いこと。
【0464】
因子(1)に関して、熱、水分、光、および/または酸素の存在により、熱、水分、光、または酸素に対して感受性がある活性成分が分解される場合がある。口内薄フィルム(OTF)系は、(i)活性成分の多形遷移、(ii)活性成分を含有する製剤のポリマーの水和、ならびに(iii)光分解性または加水分解性プロセスを介する活性成分の分解および/または酸化を示す場合がある。吸湿性(すなわち、水を吸着または吸収する)は、薄フィルムの製剤に影響を与える因子である。薄フィルムにおける吸着または吸収され
た水分は、薄フィルムの機械的強度、付着特性、および摩損度に影響を与える場合がある。活性成分の吸湿性に加えて、薄フィルムの製剤化中の水のレベルは、(i)ポリマーおよびそのポリマーを溶解させるために使用される溶媒、ならびに(ii)製造技術により上昇する場合がある。活性成分の安定性は、(i)製造技術中に使用されるフィルムを乾燥するために適用された熱の量、および(ii)乾燥時間(すなわち、湿潤薄フィルムが乾燥のために熱に曝露される時間の長さ)によって、さらに影響を受ける場合がある。
【0465】
因子(2)に関して、薄フィルムの使用は、(i)高用量で投与されるあまり強力ではない薬物についての、低い薬物負荷能力、または(ii)生物学的利用率が低い強力な薬物などの困難を含む。
【0466】
因子(3)に関して、上皮細胞を覆う粘液層は、小分子薬物活性成分などの物質を濾過し、その物質による上皮細胞への浸透を制限する。加えて、粘液層の厚さにより、物質の拡散が緩徐される。
【0467】
本発明の例示的な利点
本明細書に記載される系および方法は、活性成分を含有する自己乳化性薄フィルムに向けられる。自己乳化性薄フィルムの製剤は、特定の実施形態では、以下の利点を提供する。(1)水分、酸素、光、pH、および熱に対してバリアが増大しており、それによって水分、酸素、光、pH、および熱に対して活性成分が保護されること、(2)あまり強力ではなく、生体利用可能が低い活性成分の生物学的利用率が改善され、それによって、あまり強力ではない活性成分が低用量で使用されるようにすること、(3)肝臓/GI毒性の低減が見込まれること、ならびに(4)活性成分による粘液層への浸透および横断が増大し、それによって活性成分が体循環に入れられるようにすること。
【0468】
利点3に関して、自己乳化性薄フィルムの活性成分は、(i)腸細胞を介する輸送のために結合受容体を促進するか(すなわち、経細胞プロセス)、または(ii)(a)細胞間の輸送および(b)体循環のための小分子薬物の活性成分の輸送(すなわち、傍細胞プロセス)のために、密接な細胞間結合を緩めることによって、投与される。本明細書に記載される系および方法は、特定の組合せまたは単独様式として得ることができる薄フィルムの利点を提供する。
【0469】
特定の組合せ1
本明細書に記載される系および方法は、より高い生物学的利用率を特徴とし、ここで薄フィルムは、(i)口腔中で溶媒と接触し、(ii)薄フィルムを消費する患者の口によって穏やかにかき混ぜられると、迅速に自己乳化することができる。微細な油/水(o/w)エマルションが形成される。薄フィルムの頬側投与、および比較的程度は低いが経口投与、すなわちPer Os(PO)について、自己乳化性薄フィルムから放出された活性成分の生物学的利用率が増大し、浸透性が増大する。加えて、自己乳化性薄フィルムのフィルムマトリックスは、口腔を介して血液に入る活性成分の直接的な吸収を可能にする、粘膜付着特性を有する。
【0470】
特定の組合せ2
本明細書に記載される系および方法は、より高い安定性を特徴とし、ここでOTFは、自己乳化することができる。自己乳化性OTFの製剤は、熱ゲル化特性を有し、したがって物理的に安定な製剤を生み出す。活性成分を、高温への曝露による分解に対して保護することができる自己乳化性OTFの製剤は、(i)自己乳化性OTFの形成のゼラチン化プロセス中の熱への曝露、(ii)成分の乳化、および(iii)その後の冷却に応答して作り出される。
【0471】
活性成分としてビタミンD3を用いる具体例
ビタミンD3は、感受性が高い親油性の医薬活性成分(API)である。ビタミンD3をモデル薬物として使用し、上記製剤化を使用して製剤化し、ビタミンD3の口内薄フィルムを、4週間の安定性研究について試験した。通常の状況では、高熱および高湿度でビタミンD3の分解が引き起こされるが、この製剤化では、本発明者らは、OTFにおけるビタミンD3の著しい保護および安定性を観察した。
【表22】
【0472】
活性成分としてカンナビジオール(CBD)を用いる具体例
同様に、活性成分であるカンナビノイドCBDを、T=3M安定性について試験した。本発明者らは、フィルム製剤においてAPIのより良好な安定性および著しい保護を観察した。
【表23】
【0473】
単独様式
活性成分として薬物を含有する薄フィルムは、自己乳化して、(i)より一貫した経時的な薬物吸収プロファイル、(ii)胃腸(GI)管における特定の吸収可能時間を標的化する選択的薬物、および(iii)腸内での分解からの薬物の保護を提供することができる。腸は酸性であり、薬物を生化学的に破断(すなわち、分解)することができる厳しい条件を課すことができる。より具体的には、親油性の化合物である薬物は、溶解速度律速吸収を示す。薬物を含有する薄フィルムは、(i)薬物の吸収速度および吸収度の増大、ならびに(ii)より再現性のある血中時間プロファイルをもたらすことができる。活性成分を含有する薄フィルムは、自己乳化することができ、ここでその活性成分は、親油性、疎油性、親水性、または疎水性である。
【0474】
活性成分を含有する自己乳化性薄フィルムが崩壊すると、活性成分は口腔内に放出され、o/wエマルションに変わる。より具体的には、活性成分は口腔を迅速に通過し、それによって、小分子薬物などの活性成分の広範な分布を、口腔またはGI管でくまなく促進することができる。それによって、崩壊した自己乳化性薄フィルムは、バルク薬物物質と腸壁/口腔壁との間の長い接触時間の間に頻繁に遭遇する刺激を、最小限に抑えることができる。
【表24】
【0475】
薄フィルムに向けられた本明細書に記載される系および方法のさらなる利点には、(i)丸剤を嚥下するための水/飲料の必要性、(ii)薬物の胃酸への曝露および組織刺激、(iii)腸を介する薬物吸収、ならびに(iv)肝臓代謝および潜在的傷害を回避することも含まれる。
【0476】
好ましい実施形態
活性成分が親油性である場合、
1)親油性の活性成分と、油担体および1種の自己乳化性の親油性の界面活性剤
2)1種または複数の共界面活性剤および親水性の界面活性剤
3)フィルムマトリックスを作り出す成分
4)水
【0477】
活性成分が親水性である場合、
1)水における親水性の活性成分と、親水性の界面活性剤
2)1種または複数の共界面活性剤および自己乳化性の界面活性剤
3)フィルムマトリックスを作り出す成分
4)水
【0478】
本明細書に記載される系および方法の薄フィルムは、(i)少なくとも1種の自己乳化性界面活性剤、(ii)1種または複数の共界面活性剤、(iii)活性成分を含有する油または水溶液、および(iv)マトリックスを利用する。活性成分は、医薬活性成分、親油性の活性成分、親水性の活性成分であってよい。薄フィルムは、フィルム形成系に包埋される自己乳化性系を含有する。
【0479】
より具体的には、薄フィルムは、以下の特色を有する。(1)フィルムへの活性成分の包埋に応答するエマルションが存在しないこと、(2)初期エマルションから誘導されるマトリックスおよびフィルムの構成のための構成成分、ならびに(3)マトリックスによって保護された活性成分。
【0480】
上記の特色(2)に関して、下記のステップを行って、マトリックスを得、次に薄フィルムを得る。
【0481】
ステップ1:活性成分を適切な溶媒系に溶解させて、ミックス1を得、ここで
a)活性成分が親油性である場合には、親油性の活性成分を、油担体もしくは親油性の界面活性剤に溶解させるか、または
b)活性成分が親水性である場合には、親水性の活性成分を、水もしくは親水性の界面活性剤を含有する水に溶解させる。
【0482】
ステップ2:親油性の界面活性剤をミックス1に添加して、ミックス2を得る。
【0483】
ステップ3:水に親水性の界面活性剤を添加して、ミックス3を得る。
【0484】
ステップ4:形成成分をミックス3に添加して、湿潤しているが均一な状態のスラリー
を得、ここでその成分は、水、マトリックス形成成分、可塑剤、香味剤、および着色剤を含む。スラリーが湿潤状態である場合、活性成分は、親油性および/または親水性の界面活性剤系によって覆われる。
【0485】
ステップ5:スラリーを流延し、そのスラリーを熱風オーブン(38℃~110℃)中で乾燥させて、薄フィルムを得る。
【0486】
ステップ6:薄フィルムを乾燥させた後、薄フィルムの剥離、切断、およびパッキングを実施し、それによって、薄フィルムから誘導されるストリップを得る。薄フィルムの乾燥時に、親油性および親水性の界面活性剤、ならびにフィルム形成成分の構築物であるマトリックスは、活性成分の保護を提供し、薄フィルムの安定性を改善するよう助ける。
【0487】
マトリックスは、ゲル化現象から誘導されるゲルであり得る。ゲル化現象は、疎水性のポリマー鎖の間の相互作用に起因する。温度を上昇させることによって、疎水性のポリマー鎖は、ミセル構造に凝集し始める。ミセル構造の形成は、疎水性ポリマー鎖における疎水性の繰り返し単位の脱水の結果である。このゲル化現象は、可逆的であり、溶液-ゲル遷移温度(Tソル-ゲル)によって特徴付けることができる。
【0488】
薄フィルムの温度がTソル-ゲルよりも低い場合、自己乳化性親水性-疎水性の界面活性剤は、流体状態に留まる。薄フィルムの温度がTソル-ゲルよりも高い場合、スラリーにおける溶液相材料は、半固体材料に変わる。
【0489】
本明細書に記載される系および方法は、以下の特性(1および2)を増大する。(1)薄フィルムの安定性、および(2)活性成分の生物学的利用率。次に、薄フィルムの溶解時に、より多くの活性成分が放出されて、標的区域に達することができる。本明細書に記載される系および方法では、GIにおける活性成分の分解または喪失を補償する必要がない。特性1および2に基づいて、本明細書に記載される系および方法は、(i)薄フィルムを消費する個体によって必要とされる活性成分の量を低減することができ、(ii)活性成分の消費により起こる可能性がある副作用の量を減少させることができ、(iii)活性成分を含有する薄フィルムの製造コストを低減することができる。
【0490】
より具体的には、薄フィルムは、(i)活性成分の多形遷移、(ii)口内薄フィルムのポリマーの水和、ならびに(iii)光分解性または加水分解性分解による活性成分の分解および酸化を受ける場合がある。
【0491】
より具体的には、本明細書に記載される系および方法の自己乳化物(self-emulsion)
は、特性1および2を増大することができる。特性1および2に基づいて、本明細書に記載される系および方法は、(i)製造プロセス中の損傷から活性成分を有効に保護することができ、(ii)自己乳化性口内薄フィルムにおけるゲル化現象中に可逆性を付与することができる。
【0492】
特性1に関して、図1に示されるエマルションおよびマトリックスは、活性成分を水、光、および熱から遮断することによって、活性成分を含有する口内薄フィルムを安定化することができる。ビーカー105において、溶解した親水性の界面活性剤(H)を有する底部の水層と、溶解した親油性の界面活性剤(L)および活性成分を有する油層の、2種の不混和層が存在する。
【0493】
ビーカー105において内容物を激しく混合すると、親油性の界面活性剤(L)および親水性の界面活性剤(H)は、ビーカー110に図示される通り、活性成分を取り囲むことができるエマルションを作製する。活性成分が親油性であり、有機溶媒への溶解度が高
く、水への溶解度が低いという理由で、活性成分は、ビーカー110においてLの近くにあり(すなわち、Lは活性成分に引き寄せられる)、Hの遠くにある(すなわち、Hは活性成分と反発する)。以下の表に列挙されるフィルム形成成分(F)をビーカー110に添加し、したがってビーカー115を結果として得る。
【0494】
光または熱が加わる場合、ビタミンD3などのある特定の活性成分は、フィルム形成成分の一部との環化付加反応を受ける場合がある。光および熱が加わると、ビタミンD3に見出されるものなどの、ジエンのパイ系における電子が励起され、フィルム形成成分(F)の1つであるソルビン酸の電子不足アルケンとのディールス-アルダー反応を受け得る。結果として得られたディールス-アルダー付加物は、望ましくない副産物である。この副産物は、製造プロセス中に除去することが難しいと同時に、投与されることになる活性成分の全収率を低減し、OTFを消費する個体を逃してしまう。
【0495】
Lが活性成分の近くにあり、Hが活性成分の遠くにあるエマルションは、活性成分を取り囲み、したがって、光、水、熱、酸化、および他の分解性プロセスに対する化学的-物理的バリアになる。ビーカー115の内容物を混合した後、Fは、ビーカー120に図示される通り、スラリー形成の初期段階で、マトリックスを構築するためのフィルム(F’)に変換され得る。点線によって図示される通り、エマルションは、F’に包埋されることになる前駆体に崩壊し始める。
【0496】
活性成分を水から遮断するために、水および活性成分との相互作用が低減または除外される(すなわち、吸湿性が低減される)ように、活性成分は、親油性の界面活性剤によって取り囲まれる。活性成分を光から遮断するために、自己乳化物は、光の進入を妨害することができる物理的バリアとなる追加の層になる。活性成分を熱から遮断するために、ゲル化現象(すなわち、ゲルマトリックス)が熱を消散し、それによって活性成分との熱相互作用を低減する(すなわち、活性成分の熱分解を低減する)。
【化2】
【0497】
特性2に関して、自己乳化する口内薄フィルムの組成は、活性成分の生物学的利用率を改善することができる。図2に図示される通り、混合および加熱を完了した後、上の図にも下の図にも図1のエマルションは存在しない。図2の上部の図は、70%の水(重量による)とマトリックスに変換されたフィルム形成成分のスラリーである。活性成分は、ミ
セルによって取り囲まれ、そこで活性成分は油に溶解している。ミセルの頭部は、油と直接接触している親油性の界面活性剤(L)であり、ミセルの尾部は、水と直接接触している親水性の界面活性剤(H)である。オーブン中でスラリーを加熱した後、図2の下の図では、乾燥させられたOTFが形成されている。図2の下の図の水の量は、10%の水(重量による)まで低減されている。活性成分およびミセルの濃度は、図2の上の図と比較して、図2の下の図の方が上昇している。このことは、OTFの投与の前および最中の活性成分の生物学的利用率を増大する一助になる。
【化3】
【0498】
さらに特性2に関して、口腔粘膜によって水和されるこの口内薄フィルムを投与すると、口内薄フィルムは、図3に図示される通り、崩壊して口腔粘膜に入り始める。例えば、OTFの界面活性剤系(例えば、親油性および親水性の界面活性剤)は、図4に図示される通り、口内で自己乳化し、経細胞輸送(親油性の界面活性剤)および/または傍細胞輸送(親水性の界面活性剤)により、体循環のために活性成分の放出を促進することができる。
【0499】
さらに特性2に関して、図4に図示される通り、経細胞輸送は、トランスサイトーシスによる、上皮細胞を介する物質の経路を指す。トランスサイトーシスは、親油性などの粒子の様々な物理化学的特性に応じて、粒子が細胞によって取り込まれるプロセスである。本明細書に記載される系および方法の自己乳化口内薄フィルムは、活性成分の親油性を調節することができ、経細胞拡散経路を介する活性成分の移動を促進することができる。図4に図示される通り、口内薄フィルムは崩壊し、したがって経細胞拡散のために活性成分を放出する。経細胞拡散は、高濃度区域から低濃度区域に移動する、拡散勾配に基づく活性成分の移動を伴う。
【化4】
【0500】
さらに特性2に関して、図4に図示される通り、傍細胞輸送は、細胞の間の細胞間空間を通過することによる、上皮にわたる活性成分または食品成分などの物質の輸送を指す。細胞の間の細胞間空間は、最小限であり、したがって細胞間空間を密接な結合にする場合がある。物質の輸送は、密接な結合のモジュレーションを必要とする場合がある。自己乳化性薄フィルムの構成成分は、密接な結合をモジュレートすることができる。より具体的には、界面活性剤系の第1の脂肪酸鎖が、界面活性剤系がない状態で観察されるものよりも長時間にわたって、活性成分を上皮細胞表面に付着させることができる。加えて、界面活性剤系の第2の脂肪酸鎖が、細胞間空間を収縮させるための機序を阻害することができる。付着および細胞間空間を収縮させるための機序の阻害により、密接な結合を緩めて、あまり密接でない結合を得て、活性成分による上皮への浸透を促進することができる。緩める機序は可逆的であり、したがって、細胞間の細胞空間を密接な結合に戻すことができる。図4に図示される通り、口内薄フィルムは崩壊し、したがって、密接な結合を調節するための活性成分を放出する。
【化5】
【0501】
本明細書に記載される系および方法は、複数の生成物に統合することができるプラットフォーム技術である。しかし、特許請求の範囲から逸脱することなく、特色1~3を維持したまま、成分および/または添加順にわずかな違いが生じる場合がある。プラットフォーム技術の適用は、相当量の水を保たない、経皮/局所用パッチ、クリーム、バーム、半
固体生成物、およびプロセスである。相当量の水とは、薄フィルムの有効性の有害効果を有する場合がある、重量パーセントによる水の量である。
例示的な実施形態および組合せ
【表25-1】
【表25-2】
【表25-3】
【表25-4】
【0502】
(実施例1)
【表26】
【0503】
実験手順
1)ビタミンD3およびBHTを、40℃±5℃に加温することによってMCT油に溶解させ、それによってミックス1を得る。
2)Span 80をミックス1に添加し、それによってミックス2を得る。
3)Tween 20を精製水(前述の通り70%のうち20%)と共にミックス2に添加し、それによってミックス3を得、ここで水の温度は40℃±5℃である。
4)ミックス3を機械的かき混ぜによりかき混ぜる。
5)残りの水をミックス3に添加し、ここで水の温度は80℃±5℃である。
6)食品用加工デンプン、プルラン、グリセリン、ソルビン酸カリウム、赤色40、スクラロース、およびベリーフレーバーをミックス3に添加し、それによってミックス4を得る。
7)ミックス4が均一な状態に達するまでミックス4をかき混ぜ、それによってスラリーを得る。
8)フィルム流延プロセスのためにスラリーを流し、それによって薄フィルムを得る。
9)流延後、薄フィルムを、乾燥オーブン中で15分間以下または乾燥するまで160°F~180°Fで乾燥させる。薄フィルムの厚さを測定し、ここで薄フィルムの仕様は、0.12mm~0.20mmである。これは、流延プロセス中に調整することができる。10)乾燥後、22mm×36mmのストリップが得られるように、薄フィルムを切断する。これは、用量に従って調整することができる。
【0504】
(実施例2)
【表27】
【0505】
実験手順
1)ビタミンD3およびBHTを、40℃±5℃にMCT油を加温することによってMCT油に溶解させ、それによってミックス1を得る。
2)Span 80をミックス1に添加し、それによってミックス2を得る。
3)Kolliphor RH40を精製水(70%のうち20%)と共に添加し、それによってミックス3を得、ここで水の温度は40℃±5℃である。
4)ミックス3を機械的かき混ぜによりかき混ぜる。
5)残りの水をミックス3に添加し、ここで水の温度は80℃±5℃である。
6)食品用加工デンプン、プルラン、グリセリン、ソルビン酸カリウム、赤色40、スクラロース、およびベリーフレーバーをミックス3に添加し、それによってミックス4を得る。
7)ミックス4が均一な状態に達するまでミックス4をかき混ぜ、それによってスラリーを得る。
8)フィルム流延プロセスのためにスラリーを流し、それによって薄フィルムを得る。
9)流延後、薄フィルムを、乾燥オーブン中で15分間以下または乾燥するまで160°F~180°Fで乾燥させる。薄フィルムの厚さを測定し、ここで薄フィルムの仕様は、0.12mm~0.20mmである。(これは、流延プロセス中に調整することができる。)
10)乾燥後、22mm×36mmのストリップが得られるように、薄フィルムを切断する。(これは、用量に従って調整することができる。)
【0506】
(実施例3)
【表28】
【0507】
実験手順
1)ビタミンD3およびBHTを、40℃±5℃にMCT油を加温することによってMCT油に溶解させ、それによってミックス1を得る。
2)Span 80をミックス1に添加し、それによってミックス2を得る。
3)Poloxamer 407を精製水(前述の通り70%のうち20%)と共にミックス2に添加し、それによってミックス3を得、ここで水の温度は40℃±5℃である。4)ミックス3を機械的かき混ぜによりかき混ぜる。
5)残りの水をミックス3に添加し、ここで水の温度は80℃±5℃である。
6)食品用加工デンプン、プルラン、グリセリン、ソルビン酸カリウム、赤色40、スクラロース、およびベリーフレーバーをミックス3に添加し、それによってミックス4を得る。
7)ミックス4が均一な混合物に達するまでミックス4をかき混ぜ、それによってスラリーを得る。
8)フィルム流延プロセスのためにスラリーを流し、それによって薄フィルムを得る。
9)流延後、薄フィルムを、乾燥オーブン中で15分間以下または乾燥するまで160°F~180°Fで乾燥させる。薄フィルムの厚さを測定し、ここで薄フィルムの仕様は、0.12mm~0.20mmである。(これは、流延プロセス中に調整することができる。)
10)乾燥後、22mm×36mmのストリップが得られるように、薄フィルムを切断する。(これは、用量に従って調整することができる。)
【0508】
(実施例4)
【表29】
【0509】
実験手順
1)CBD単離物を、55℃±5℃にモノカプリル酸プロピレングリコールを加温することによってモノカプリル酸プロピレングリコールに溶解させ、それによってミックス1を得る。
2)Span 80をミックス1に添加し、それによってミックス2を得る。
3)Tween 20を精製水(前述の量の70%のうち20%)と共にミックス2に添加し、それによってミックス3を得、ここで水の温度は55℃±5℃である。
4)ミックス3を機械的かき混ぜによりかき混ぜる。
5)残りの水をミックス3に添加し、ここで水の温度は80℃±5℃である。
6)食品用加工デンプン、プルラン、グリセリン、ソルビン酸カリウム、赤色40、スクラロース、およびベリーフレーバーをミックス3に添加し、それによってミックス4を得る。
7)ミックス4が均一な混合物に達するまでミックス4をかき混ぜ、それによってスラリーを得る。
8)フィルム流延プロセスのためにスラリーを流し、それによって薄フィルムを得る。
9)流延後、薄フィルムを、乾燥オーブン中で15分間以下または乾燥するまで160°F~180°Fで乾燥させる。薄フィルムの厚さを測定し、ここで薄フィルムの仕様は、0.12mm~0.20mmである。(これは、流延プロセス中に調整することができる。)
10)乾燥後、22mm×36mmのストリップが得られるように、薄フィルムを切断する。(これは、用量に従って調整することができる。)
【0510】
(実施例5)
【表30】
【0511】
実験手順
1)CBD単離物を、55℃±5℃にモノカプリル酸プロピレングリコールを加温することによってモノカプリル酸プロピレングリコールに溶解させ、それによってミックス1を
得る。
2)Span 80をミックス1に添加し、それによってミックス2を得る。
3)Tween 20を精製水(前述の量の70%のうち20%)と共にミックス2に添加し、それによってミックス3を得、ここで水の温度は55℃±5℃である。
4)ミックス3を機械的かき混ぜによりかき混ぜる。
5)残りの水をミックス3に添加し、ここで水の温度は80℃±5℃である。
6)食品用加工デンプン、ペクチン、キトサン、グリセリン、ソルビン酸カリウム、赤色40、スクラロースおよびベリーフレーバーをミックス3に添加し、それによってミックス4を得る。
7)ミックス4が均一な混合物に達するまでミックス4をかき混ぜ、それによってスラリーを得る。
8)フィルム流延プロセスのためにスラリーを流し、それによって薄フィルムを得る。
9)流延後、薄フィルムを、乾燥オーブン中で15分間以下または乾燥するまで160°F~180°Fで乾燥させる。薄フィルムの厚さを測定し、ここで薄フィルムの仕様は、0.12mm~0.20mmである。(これは、流延プロセス中に調整することができる。)
10)乾燥後、22mm×36mmのストリップが得られるように、薄フィルムを切断する。(これは、用量に従って調整することができる。)
【0512】
安定性研究およびデータ
【表31】
1)本技術の主な適用は、活性成分のより良好な安定性を提供し、生物学的利用率を増大することである。
2)自己乳化送達の組成物は、OTFおよび他の適用(すなわち半固体)、例えばパッチに組み込むことができる。
【0513】
代替実施形態
Sandimmune(登録商標)(シクロスポリンA/I)
腎臓、肝臓、および心臓の同種移植の臓器拒絶反応の予防に適応される
コーン油、リノレオイルマクロゴールグリセリド、およびソルビトール
Neora(登録商標)(シクロスポリン)
全身免疫抑制剤
コーン油-モノ-ジ-トリグリセリド、ポリオキシル40水素化ヒマシ油NF、DL-αトコフェロールUSP
Gengraf(登録商標)(シクロスポリンA/III)
全身免疫抑制剤
ポリエチレングリコールNF、ポリオキシル35ヒマシ油NF、ポリソルベート80NF、プロピレングリコールUSP、ソルビタンモノオレエートNF、二酸化チタン
Norvir(登録商標)(リトナビル)
HIV-1感染症の処置のための他の抗レトロウイルス薬剤との組合せ
ブチル化ヒドロキシトルエン、エタノール、オレイン酸、ポリオキシル35、およびヒマシ油
Fortovase(登録商標)(サキナビル)
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロテアーゼの阻害薬
中鎖モノおよびジグリセリド、ポビドン、ならびにdl-アルファ-トコフェロール
Agenerase(登録商標)(アンプレナビル)
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロテアーゼの阻害薬
d-アルファトコフェロールPEG1000コハク酸(TPGS)、PEG400、およびプロピレングリコール
Depakene(登録商標)(バルプロ酸)
孤発でまたは他の種類の発作と関連して起こる複雑部分発作を有する患者の処置における単剤療法および補助治療
コーン油、グリセリン、メチルパラベン、およびプロピルパラベン
Rocaltrol(登録商標)(カルシトリオール)
二次性副甲状腺機能亢進症の管理および低カルシウム血症の管理
ヤシ油のトリグリセリド
Targretin(登録商標)(ベキサロテン)
過去の少なくとも1つの全身治療に対して不応性である患者の皮膚T細胞リンパ腫の皮膚徴候の処置
ポリエチレングリコール400、NF、ポリソルベート20、NF、ポビドン、USP、およびブチル化ヒドロキシアニソール、NF
Vesanoid(登録商標)(トレチノイン)
急性前骨髄球性白血病(APL)の成熟を誘発するレチノイド
蜜蝋、ブチル化ヒドロキシアニソール、エデト酸二ナトリウム、水素化大豆油フレーク、水素化植物油、および大豆油
Accutane(登録商標)(イソトレチノイン)
重症の抵抗性の結節性座瘡
蜜蝋、ブチル化ヒドロキシアニソール、エデト酸二ナトリウム、水素化大豆油フレーク、水素化植物油、および大豆油
Aptivus(登録商標)(チプラナビル)
HIV-1の抗レトロウイルスの組合せ処置
無水アルコール(7%w/wまたはカプセル1つ当たり0.1g)、ポリオキシル35ヒマシ油、プロピレングリコール、カプリル酸/カプリン酸のモノ/ジグリセリド
【0514】
実験データ
薬物動態研究およびデータ
単回用量投与のオープンラベル無作為化クロスオーバーおよび均等配分研究(balanced
study)において、記載される送達系は、商業的に入手可能なソフトゲルの投与と比較
して、CBDの改善された生物学的利用率を有する。この研究は、絶食状態の健康な成人で、性別の平等な代表性(8/6の男性と女性)で実行した。
【表32】
【表33】
【表34】
【化6】
【外国語明細書】