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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029109
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】飲料を調製するための抽出装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/36 20060101AFI20240227BHJP
   A47J 31/44 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
A47J31/36 114
A47J31/44 180
A47J31/36 119
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023218615
(22)【出願日】2023-12-25
(62)【分割の表示】P 2021536809の分割
【原出願日】2019-12-24
(31)【優先権主張番号】102018000021049
(32)【優先日】2018-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102018000021412
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519201606
【氏名又は名称】カリマリ ソチエタ ペル アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】メラーティ,アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】デ ニコロ,ミケーレ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コーヒーまたは紅茶などの飲料を調製するための抽出装置1を提供する。
【解決手段】抽出材料を投入/排出するための開口部6を有する抽出室5と、抽出室5内にスライド可能に取り付けられたピストン7と、を備え、さらに、抽出材料を抽出室5に投入可能な投入構成と、ピストン7が抽出室5内の抽出材料を圧縮する圧縮構成と、ピストン7が抽出室5から排出物を抽出する排出構成との間で、ピストン7を移動させるようにプログラムされた電子制御ユニット8とを備えている。電子制御ユニット8は、投入構成において、ピストン7を、初期投入構成に対応する高位置から、最終投入構成に対応する低位置へと下降させるようにプログラムされている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にコーヒーや紅茶などの飲料を調製するための抽出装置(1)であって、
-好ましくは円筒形の形状の抽出室(5)であって、一端部に抽出材料を投入/排出するための開口部(6)を有し、反対側の端部では、前記抽出室(5)にスライド可能に取り付けられたピストン(7)によって区切られている、抽出室(5)と、
-前記ピストン(7)の移動を、前記抽出材料を前記抽出室(5)内に投入可能である投入構成と、前記ピストン(7)が前記抽出材料を前記抽出室(5)内で圧縮する圧縮構成と、前記ピストン(7)が前記抽出室(5)から排出物を抽出する排出構成との間で移動させるように制御する電子制御ユニット(8)であって、前記投入構成において、前記ピストン(7)を、初期投入構成に対応する高位置から、最終投入構成に対応する低位置へと下降させるようにプログラムされている、電子制御ユニット(8)と、
抽出流体を前記抽出室(5)に供給するための抽出流体供給ライン(13)であって、前記ピストン(7)に形成され前記抽出室(5)に流体的に接続されたチャネル(18)と、前記チャネル(18)に前記抽出流体を供給するために前記ピストン(7)に結合された供給管(14)とを備えた抽出流体供給ライン(13)と、を備え、
前記供給管(14)の少なくとも流体流出部(20)は前記チャネル(18)と同軸であり、前記ピストン(7)は、前記投入構成、前記圧縮構成、および前記排出構成の間の移動の間、前記供給管(14)に対して相対的にスライドするように取り付けられていることを特徴とする抽出装置(1)。
【請求項2】
前記供給管(14)は、前記抽出室(5)に対して定置して取り付けられている請求項1に記載の抽出装置。
【請求項3】
前記供給管(14)は前記チャネル(18)内に配置されている、請求項1または2に記載の抽出装置。
【請求項4】
前記供給管(14)と前記チャネル(18)との間に配置され、前記ピストン(7)のシートに装着されたOリングを含む動的シール部材(21)をさらに備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の抽出装置。
【請求項5】
前記ピストン(7)が、前記抽出室(5)の側方表面にスライド可能かつ流体密に係合するように取り付けられたピストンヘッド(15)と、前記ピストンヘッド(15)から前記抽出室(5)の外に延びるステム(17)とを備えており、前記チャネル(18)が、前記供給管(14)にスライド可能かつ流体的に係合する一端部と、前記ピストンヘッド(15)に形成された1つ以上の貫通通路を介して前記抽出室(5)に流体的に接続される別の端部とを有する前記ステム(17)の軸方向の孔として形成されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の抽出装置。
【請求項6】
前記抽出室(5)は、それに沿って前記ピストン(7)がスライドする長手方向軸線(3)を有し、前記ステム(17)、前記チャネル(18)、および前記供給管(14)の流体流出部(20)は、互いに同軸かつ前記長手方向軸線(3)と同軸になるように取り付けられている、請求項5に記載の抽出装置(1)。
【請求項7】
前記長手方向軸線(3)に沿って前記ピストン(7)を支持して軸方向に案内するように構成された定置本体(26)を備え、前記定置本体(26)は、前記ステム(17)によってスライド可能に係合される広い部分と、前記供給管(14)の前記流体流出部(20)が定置して延在する狭い部分とを有する軸方向の孔(27)を有する、請求項6に記載の抽出装置(1)。
【請求項8】
前記供給管(14)を前記定置本体(26)に着脱自在に固定する締結装置(29)を備えている請求項7に記載の抽出装置(1)。
【請求項9】
前記締結装置(29)は、前記供給管(14)に圧入され、前記定置本体(26)と一体であり前記ステム(17)の前記軸方向の孔(27)と同軸のねじ付き管状部材(31)に着脱自在にねじ込まれるクリップねじ付きブッシュ(30)を備えている、請求項8に記載の抽出装置(1)。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の抽出装置(1)を含む飲料調製機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連特許出願の相互参照)
本出願は、2018年12月28日に出願されたイタリア特許出願第102018000021412号および2018年12月24日に出願された同第102018000021049号の優先権を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、飲料、特にコーヒーまたは紅茶などの飲料を調製するための抽出装置、およびそれに関連する自動抽出プロセスに関するものである。
【背景技術】
【0003】
特にコーヒーベースまたは紅茶ベースなどの飲料を調製するための自動飲料調製機の分野では、抽出材料を投入/排出するための開口部が設けられた好ましくは円筒形の抽出室と、前記開口部の開位置と閉位置との間で抽出室に対して移動可能な蓋と、抽出室内にスライド可能に配置されたピストンを備えた抽出装置を使用することが知られており、ピストンは、抽出材料を開口部から抽出室内に挿入できる投入位置と、蓋と協働して抽出室を流体的に密閉し、通常は加圧熱水である抽出流体を抽出室内に供給して材料を抽出して飲料を製造できる吐出位置と、飲料抽出プロセスの終了時に、ピストンが、排出された材料を抽出室から排出する排出位置とに配置される。
【0004】
一般に、上述の構造を有する公知の抽出装置では、ピストンの投入位置は下側のエンドストローク位置であり、この位置ではピストンは完全に後退し、通常は抽出室の底部に接触して配置され、抽出材料を受け入れるために利用可能な容積が、抽出室で利用可能な最大容積に対応するようになっている。
【0005】
材料が投入されると、通常は粉砕・測定装置によって自動的に蓋が閉じ、ピストンが所定の位置で止まるまで蓋に向かって上昇し、この位置は、ユーザが選択した飲料を製造するために抽出材料に要求される圧縮の度合いに基づいて予め設定された吐出位置に相当する。
【0006】
飲料が分注され、蓋が再び開かれた後、ピストンはさらに排出位置まで上昇し、その後下降して初期投入位置に戻り、新たな動作サイクルを待機する。
【0007】
上述した一連のプロセスを実行するために、抽出装置はハンドリング時間と呼ばれる所定の時間を要し、この時間は、材料粉砕時間、飲料抽出および分注時間に加えて、いわゆるサイクル時間、すなわち、抽出装置が飲料製造サイクルを完了するのに要する時間を形成する。一般的には、粉砕速度、抽出装置の特性、および選択された飲料の種類に基づいて、サイクルタイムは約30~50秒となる。
【0008】
同じ粉砕装置と同じ抽出装置を使用した場合、サイクルタイムの長さは、製造する飲料の種類、すなわち、その飲料に必要な抽出および分注時間にほぼ依存する。例えば、約35ccの水を必要とするエスプレッソコーヒーのような「短い」飲料の場合、抽出時間が短く、したがってサイクルタイムも短くなるが、他方で、約120ccの水を必要とするロングコーヒーや紅茶のような「長い」飲料の場合、抽出時間が長く、したがってサイクルタイムも比例して長くなる。
【0009】
このことから、少なくとも抽出時間が非常に短い短い飲料については、粉砕時間とハンドリング時間が飲料製造サイクルの合計時間に大きな役割を担う。
【0010】
よく知られているように、サイクルタイムは、飲料製造機の性能を評価するための重要なパラメータであるが、それは、サイクルタイムは、飲料を連続して製造する機械の能力に影響を与え、また、ユーザが選択した飲料を入手するまでに待たなければならない時間を決定するからである。この待ち時間は、一般的にユーザにとって非常に不快なものであるため、飲料調製機のメーカーは、サイクルタイムを可能な限り短縮できる解決策を探していた。
【0011】
1つの解決策は、例えば、特許文献1から知られており、この解決策は、上述したタイプの構造を有する抽出アセンブリに関するものであり、サイクル時間を短縮するために、ピストンが下向きのストロークを行うとき、すなわち、排出位置から投入位置に向かうときにはピストン速度を高くし、抽出材料の投入後にピストンが投入位置から抽出位置に向かって上向きに移動して抽出室内の材料を圧縮するときにはピストン速度を低くするように制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】独国特許出願公開第102016002150号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、上述のタイプの抽出装置を提供することであり、この装置は、飲料調製サイクル時間を短縮するという問題に対して、効果的で、簡単で、安価な解決策を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明により、添付の請求項に記載されているように、抽出装置、前記抽出装置を備えた飲料調製機、および関連する自動抽出プロセスが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の好ましい実施形態による抽出装置の長手方向の平面に沿った断面を示す図である。
図2】飲料製造サイクルの順次のステップに対応するそれぞれの動作構成における図1の抽出アセンブリを示す。
図3】飲料製造サイクルの順次のステップに対応するそれぞれの動作構成における図1の抽出アセンブリを示す。
図4】飲料製造サイクルの順次のステップに対応するそれぞれの動作構成における図1の抽出アセンブリを示す。
図5】飲料製造サイクルの順次のステップに対応するそれぞれの動作構成における図1の抽出アセンブリを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、当業者が本発明を製造および使用できるように、添付の図を参照して本発明を詳細に説明する。説明された実施形態に対する様々な変更は、当業者にとって直ちに明らかになり、説明された一般的な原理は、それによって添付の特許請求の範囲で定義された本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態および用途に適用され得る。したがって、本発明は、説明および図示された実施形態に限定されると考えるべきではなく、本明細書で説明および請求項に記載の原理および特性に従って、最も広い保護範囲を与えるべきである。
【0017】
図1は、加圧熱水によって所定の量の粉砕した、または茶葉状の材料を抽出させることにより、飲料、特にコーヒーまたは紅茶を調製するための抽出装置を示している。
【0018】
通常の動作時には、抽出装置1は、飲料調製機に配置され、加圧熱水の供給源と、各飲料製造サイクルの開始時に抽出装置1に計量した量の抽出材料、例えば挽いたコーヒーまたはリーフティーを供給するように動作可能な粉砕装置(公知であり、図示せず)とに関連付けられる。
【0019】
図1は、飲料調製機の電源が切られたときに想定されるゼロ構成の抽出装置を示している。
【0020】
図1に示すように、抽出装置1は、長手方向軸線3を有し、抽出装置1のフレーム4によって定置支持された、好ましくは円筒形の管状本体2を備える。好ましくは、管状本体2は、フレーム4の一部であり便利には着脱自在に互いに一体化されて外側の箱状のケーシングを形成する2つのシェル(図示せず)の間に収容されている。
【0021】
内部では、管状本体2は、抽出室5を区切っており、その中に、動作中に抽出材料と加圧熱水が連続的に供給され、抽出プロセスが行われ得る。
【0022】
抽出室5は、一端部に、抽出材料の投入と、飲料の吐出終了時に抽出室を空にすることができるように設計された開口部6を有し、反対側の端部では、水を注入する前に抽出室5内の抽出材料を圧縮し、飲料の分注終了時に圧縮された排出物を抽出室5から排出する機能を有するピストン7によって、抽出室5が区切られている。
【0023】
この目的のために、ピストン7は、電子制御ユニット8によって制御されるアクチュエータ(図示せず)と関連しており、電子制御ユニット8は、以下で詳細に説明する所定の動作シーケンスに従って、ピストン7を長手方向軸3に沿って移動させるように設計されており、その際、ピストン7は、抽出材料が抽出室5に導入される投入構成(図2および図3)、ピストン7が抽出室5に以前に導入された抽出材料を圧縮する圧縮構成(図4)、およびピストン7が開口部6まで上昇して圧縮された排出物を抽出室5から抽出して排出する排出構成(図5)を順次とる。
【0024】
抽出装置1は、蓋9が開口部6を液密に閉鎖する閉位置または分注位置(図2)と、蓋9が開口部6を開放する開位置との間で移動可能な蓋9をさらに備え、飲料製造サイクルの開始時には抽出材料を抽出室5に投入し、飲料製造サイクルの終了時には圧縮された排出物を抽出室5から抽出してこれを排出することができるようになっている。
【0025】
より詳細には、蓋9は、蓋9が閉位置にあるときに開口部6を密閉するガスケットを備えた閉塞体10と、閉塞体10に枢着され、ピストン7が排出構成に達した後、ピストン7上に配置された排出物を管状本体2の上部に接続されたシュート12上に押し出して排出物を下層の回収容器(図示せず)に落下させるように、開口部6上を移動するように構成されたスクレーパ11とによって形成されている。
【0026】
閉塞体10には、ピストン7を介して抽出室5に供給される抽出流体によって、抽出材料を抽出して製造した飲料を流出させるための流出ダクト(図示せず)が形成されている。
【0027】
特に、例えばタンクや水道管などの外部ソースから来る加圧流体は、部分的にピストン7に形成され、さらにピストン7と外部ソースとの間に配置された供給管14を含む抽出液供給ライン13を介して抽出室5に供給される。
【0028】
図1に示すように、ピストン7は、ガスケット16を介在させて抽出室5の内周面にスライド可能に係合するヘッド15と、ヘッド15と一体であり、ヘッド15から抽出室5の外側に向かって長手方向軸3と同軸に延在するステム17とを備えている。
【0029】
ヘッド15は、ステム17に形成され供給抽出液ライン13の一部である抽出液供給チャネル18と抽出室5を流体連通させる1つ以上の貫通孔(図示せず)を有するシャワーヘッドとして作られている。抽出室5に面するヘッド15の面には、好都合なことに金網のディスクの形をしたフィルタ19が設けられており、動作中に抽出材料がヘッド15の貫通孔の入口(複数可)を妨害するのを防止するようになっている。
【0030】
好ましくは、チャネル18は、長手方向軸線3と同軸であり、動作中に、抽出室5に対して定置された供給管14から抽出流体を受け入れるように形成されており、また、長手方向軸線3と同軸であり、動作中に、長手方向軸線3に沿った移動中にピストン7が供給管14上をスライドするように、ピストン7にスライド可能に結合された流体流出端部20を備える。
【0031】
好ましくは、供給管14の端部20はチャネル18内に挿入される。図示されていない代替の実施形態では、端部20は、外側でピストン7とスライド可能に係合する。
【0032】
供給管14によってチャネル18に供給された全ての抽出流体が抽出室5に到達するようにチャネル18を外側で封鎖して、抽出流体がピストン7から滴下するのを防止するために、チャネル18と供給管14との間に動的シール要素21が設けられている。好ましくは、動的シール要素21は、長手方向軸線3と同軸であり、ステム17に形成されたシートに収容されたリング状のシールの形態である。
【0033】
好ましくは、添付の図に示すように、ピストン7のステム17は、内部空洞22を有しており、この内部空洞22は、ステム17を、チャネル18が形成されている中央部分23と、中央部分23と同様にヘッド15と一体化している管状の周辺部分24とに分割している。周辺部分24は、外側の側面に、アクチュエータ8の一部であり、ステム17、ひいてはピストン7を長手方向軸線3に沿って移動させるように動作可能な歯付きホイール25と噛み合うねじを有する。
【0034】
空洞22は、フレーム4の一部でありピストン7の軸方向の支持およびガイドとして機能する定置型の管状本体26によって係合されている。特に、管状本体26は、ステム17の中央部分23によってスライド可能に係合される上側の広い部分と、供給管14の端部20が定置して延在する下側の狭い部分とを有する軸方向の穴27を有している。
【0035】
管状本体26は、ステム17の関連する長手方向のスリットにスライド可能に係合する、2つの径方向に対向する横方向の付属物28をさらに備える。
【0036】
抽出装置1は、供給管14をフレーム4に固定するための締結装置29をさらに備える。
【0037】
好ましくは、締結装置29は、供給管14に圧入され、穴27と同軸で管状本体26と一体のねじ付きスリーブ31に着脱自在にねじ込まれるパイプロック式のねじ付きカラー30を備え、供給管14を管状本体26と一体にし、ひいてはフレーム4と一体にするようになっている。
【0038】
供給管14は、その目的に適した任意の材料、特にスライドを容易にする材料で作製され得る。好ましくは、供給管14は、例えばテフロン(登録商標)のような剛性または半剛性の高分子材料で作製され得る。
【0039】
供給管14は、締結装置29と外部供給源との間に、飲料調製機の内部で利用可能なスペースに適した任意の形状を有していてもよい。図示の例では、締結装置29の下流側で、供給管14は、ステム17の空洞22の底部から出て、供給管14の自由端を抽出流体の外部供給源に直接または間接的に接続する継手32まで延びている。
【0040】
以下、抽出装置1の動作について、図1図5を参照して説明するが、このうち図2図5は、製造サイクルの顕著なステップを表している。
【0041】
前述したように、図1では、抽出装置1は、飲料調製機の電源が切られているときにとられるゼロ構成で示されている。この状態では、ピストン7は、抽出室5内の任意の位置に配置され得るが、好ましくは、下死点、すなわち、抽出室5の底面に完全に後退した状態で配置される。通常、ゼロの状態では、蓋9は開位置にある。
【0042】
飲料調製機の電源を入れると、電子制御ユニット8は、アクチュエータを制御して、ピストン7を投入構成に配置させるようにプログラムされており、この状態では、ピストン7は、開口部6を介して粉砕装置(図示せず)から供給される抽出材料を受け入れる準備ができている。この点に関して、ピストン7の投入構成は、ピストン7の単一の位置を示すことを意図しておらず、むしろ、抽出室5に投入される抽出材料を受け入れるための当該構成におけるピストン7の予備配置を示すものであることを指摘しておく。
【0043】
言い換えると、本発明の文脈において、「投入構成」という表現は、複数の連続した投入位置、または、より良い方法として、ピストン7が長手方向軸3に沿って、より高い高さまたは位置から下降する、可変の投入位置を示すことを意味し、この位置は、予め設定されており、通常は、選択されたすべての飲料に対して同じであるが必ずしも同じではなくてもよく、それは、便利には、選択された飲料に依存し、その結果として、選択された飲料を製造するために抽出室5への供給が要求される材料の分量に依存するが、必ずしも依存するわけではない。図2に示すように、より高い位置での投入構成(以下、初期投入構成と呼ぶ)では、ピストン7はほぼ完全に抜き取られ、ヘッド15の頂部が開口部6と実質的に同一平面である排出構成よりもわずかに低い位置を占めている。
【0044】
初期投入構成は、好ましくは、各飲料製造サイクルの終了時に、新たな製造サイクルの開始前にピストン7がとるスタンバイ構成である。
【0045】
ユーザによる飲料の選択に応答して、選択された飲料の種類に基づいて予め設定された量の材料を粉砕するために、電子制御ユニット8の制御下にある粉砕装置(図示せず)が所定の期間オンにされる。あるいは、材料の量は、粉砕装置の開始時間を制御することによってではなく、他の既知のシステムを用いて、例えば、好ましくは粉砕前に抽出材料を計量することによって得られる。
【0046】
粉砕中、粉砕された材料は、ピストン7の上にある抽出室5に落下する。
【0047】
好ましい実施形態では、実際には、電子制御ユニット8は、抽出室5内の抽出材料の供給中にピストン7を徐々に下降させ、粉砕装置が停止された後、抽出室5内の材料の供給が終了すると同時に、以後、最終投入構成と呼ぶ低位置でピストン7を投入構成にて停止させるようピストン7のアクチュエータを制御するようにプログラムされている(図3)。粉砕ステップが長引くほど、ピストン7は下降し、その結果、抽出室5が拡大する。
【0048】
図4に示すように、この時点で、電子制御ユニット8は、抽出室5を密閉するように蓋9を閉位置に移動させ、ピストン7を最終投入構成から、圧縮構成をとるまで持ち上げるようにプログラムされている。最終投入構成と圧縮構成との間のピストン7のストロークの長さは、電子制御ユニット8によって、選択された飲料に基づいて計算され、したがって、選択された飲料を製造するために必要な相対圧縮度に基づいて計算される。
【0049】
材料の圧縮が必要でない場合には、ピストン7は上昇せず、したがって、最終投入構成と圧縮構成が一致することになる。
【0050】
供給ライン13を介した所定量の加圧熱水の供給に続いて、飲料が製造され、蓋9に形成された流出ダクト(図示せず)を介して抽出室5から流出する。あるいは、流出ダクトは、蓋9以外の抽出装置1の構成要素に、例えばピストン7を介して形成される。
【0051】
この時点で、図5に示すように、電子制御ユニット8は、蓋9を開位置に移動させ、ピストン7を排出構成にまで持ち上げるようにプログラムされる。その後の蓋9の閉位置への往復移動により、スクレーパ11が圧縮された排出物を排出する。
【0052】
飲料製造の動作サイクルは、ピストン7が初期投入構成に戻ることで終了する。
【0053】
上述のプロセスの代替的な実施形態(図示せず)では、ピストン7は、抽出室5内の材料の供給と同時に初期投入構成から最終投入構成へと下降させられるのではなく、飲料が選択されたとき、すなわち、抽出材料が抽出室5内に投入される前に下降させられる。
【0054】
実際には、両方のプロセスにおいて、最終投入構成は、表で格納され、選択可能な飲料に関連する所定の最終投入構成および圧縮構成を示すデータに基づいて、電子制御ユニット8によって計算される。
【0055】
さらに、初期投入構成から最終投入構成へのピストン7の移動が、抽出室5への抽出材料の供給の前に発生する場合に好ましく適用される代替の実施形態(図示せず)では、初期投入構成は、ピストン7のヘッド15の頂部が開口部6のレベルに配置される排出構成と一致する。
【0056】
上述したことの結論として、上述したプロセスによって提供される様々な利点を強調することが適切であり、これらの利点は、ピストン7の投入構成が、抽出室5の利用可能な最大容積が抽出材料を受け入れる固定位置ではなく、可変構成であり、抽出材料を受け入れることを意図した容積が、抽出室5に導入される抽出材料の量に応じて最小サイズ(初期投入構成)から最大サイズ(最終投入構成)まで拡大されるという事実に関連している。
【0057】
既知のプロセスと比較して、本発明のプロセスでは、抽出材料の圧縮ステップが高速化された結果、サイクルタイムを短縮することができる。実際、特に「短い」飲料、すなわちより少量の抽出材料を必要とする飲料を調製する場合には、ピストン7を圧縮構成の位置よりもはるかに低い位置から上昇させる必要はない。さらに、最終投入構成は圧縮構成に非常に近いため、場合によっては抽出材料の圧縮ステップを除外することさえ可能である。
【0058】
さらに、初期投入構成から最終投入構成へのピストン7の移動が、抽出室5内への抽出材料の供給と同時に行われる場合には、抽出室5内の抽出材料の落下がピストン7の漸進的な下降を伴うという事実に起因して、抽出室5内の抽出材料の分布がより良好になるというさらなる利点がある。抽出室5内の抽出材料の均一な分布は、ピストン7による抽出材料の圧縮の後続のステップにおいて、抽出材料の均一な圧縮を有利にし、その結果、水の均一な分布を有利にし、その結果、後続の抽出ステップにおいて、抽出材料の含浸を有利にするという利点がある。
図1
図2
図3
図4
図5