IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 396419 ビーシー リミテッドの特許一覧

特開2024-29136D因子を阻害するための組成物および方法
<>
  • 特開-D因子を阻害するための組成物および方法 図1
  • 特開-D因子を阻害するための組成物および方法 図2A
  • 特開-D因子を阻害するための組成物および方法 図2B
  • 特開-D因子を阻害するための組成物および方法 図3AB
  • 特開-D因子を阻害するための組成物および方法 図3C
  • 特開-D因子を阻害するための組成物および方法 図4
  • 特開-D因子を阻害するための組成物および方法 図5
  • 特開-D因子を阻害するための組成物および方法 図6
  • 特開-D因子を阻害するための組成物および方法 図7
  • 特開-D因子を阻害するための組成物および方法 図8
  • 特開-D因子を阻害するための組成物および方法 図9
  • 特開-D因子を阻害するための組成物および方法 図10
  • 特開-D因子を阻害するための組成物および方法 図11
  • 特開-D因子を阻害するための組成物および方法 図12
  • 特開-D因子を阻害するための組成物および方法 図13
  • 特開-D因子を阻害するための組成物および方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029136
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】D因子を阻害するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/115 20100101AFI20240227BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240227BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240227BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240227BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20240227BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20240227BHJP
   C07K 16/18 20060101ALN20240227BHJP
   A61K 39/395 20060101ALN20240227BHJP
【FI】
C12N15/115 Z ZNA
A61K45/00
A61P27/02
A61P43/00 111
A61K31/352
A61K31/7105
C07K16/18
A61K39/395 N
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023220791
(22)【出願日】2023-12-27
(62)【分割の表示】P 2018538551の分割
【原出願日】2017-01-20
(31)【優先権主張番号】62/281,092
(32)【優先日】2016-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/297,095
(32)【優先日】2016-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】520319222
【氏名又は名称】396419 ビーシー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】カール エリクソン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ピー. ルスコーニ
(72)【発明者】
【氏名】ケビン ジー. マクルール
(57)【要約】
【課題】D因子を阻害するための組成物および方法の提供。
【解決手段】本願は、副補体経路の阻害のための方法および組成物を開示する。本方法および組成物は、補体D因子を阻害するためのアプタマーの使用が関与する。本願は、乾性加齢性黄斑変性、地図状萎縮、湿性加齢性黄斑変性またはシュタルガルト病の処置のための抗D因子アプタマーをさらに提供する。一態様では、治療有効量のアプタマーを含む、眼疾患を処置するための医薬組成物であって、アプタマーが、補体D因子に関連する機能を阻害する、医薬組成物が提供される。一部の事例では、アプタマーは、補体D因子に結合する。一部の実例では、アプタマーは、補体D因子の触媒クレフトに結合する。一態様では、治療有効量のアプタマーを含む、眼疾患を処置するための医薬組成物であって、前記アプタマーが、補体D因子に関連する機能を阻害し、前記アプタマーが、補体D因子の活性部位、触媒クレフトまたはエキソサイトに結合する、医薬組成物が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図面に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、2016年1月20日に提出された米国仮出願第62/281,092号および2016年2月18日に提出された62/297,095号の利益を主張し、それらの出願を参照により本明細書に援用する。
【0002】
配列表
本願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された、その全体を参照により本明細書に組み込む配列表を含有する。2017年1月19日に作成された前記ASCIIコピーは、49644-701_601_SL.txtと命名され、37,821バイトのサイズである。
【背景技術】
【0003】
視力障害は、肉体的および精神的な健康にマイナスの影響を有する、国家および世界規模の健康上の懸念である。視力障害および失明を患う人の数は、全体的な老齢人口のせいで増加しつつある。視力障害および失明は、あらゆる年代層が罹患する多数の目の疾患および障害のいずれか1種に起因し得る。一例では、加齢性黄斑変性(AMD)は、現在、先進工業国における50歳またはそれを超える者における視力喪失の主因である、目の障害である。2020年までに、AMD患者の数が、1億9600万人を超え得ることが推定され、2040年までに、この数は、2億8800万人に上ると予想される。AMDは、疾患初期から進行期へと進行する目の変性疾患である。この疾患のリスク因子は、加齢、喫煙等の生活習慣因子、および遺伝を含む。AMDへの進行の最も明確な指標は、網膜下の黄白色沈着物であるドルーゼンの出現であり、これは、両方の型のAMD:滲出性(「湿性」)および非滲出性(「乾性」)の重要な構成成分である。湿性AMDは、ブルッフ膜を通る脈絡毛細管における異常血管成長による視力喪失を引き起こす。地図状萎縮として公知の、最も進行型の乾性AMDは一般に、より漸進的であり、斑状萎縮における感光性細胞が、罹患した目における視覚をぼやけさせ視覚を排除すると起こる。現在、湿性AMDにはいくつかの見込みがある処置が存在するが、乾性AMDまたは地図状萎縮には、FDA承認された処置は存在しない。
【0004】
第2の例は、一般に生後二十年以内に中心視の喪失を伴う遺伝的で希少な若年性黄斑ジストロフィーである、シュタルガルト1としても公知の小児期発症シュタルガルト病(「STGD」)である。STGDは、米国においておよそ1/20,000の有病率を有し、およそ30,000名が罹患する。STGDは、多くの年齢が罹患し、小児期発症人口は、最高リスクがあり、最も必要がある。小児期発症STGD患者は、初期重症視力喪失、顕著に損なわれた網膜機能、および急速な網膜色素上皮(RPE)細胞萎縮と付随する網膜機能喪失を発症する傾向がある。発病の年齢中央値およびベースライン試験における年齢中央値は、それぞれ8.5(範囲3~16)および12歳(範囲7~16)である。成人発症疾患患者は、より長い時間視力を保ち、より軽微な網膜機能障害を示す可能性がより高い。STGDは、ABCA4遺伝子における突然変異に起因する、常染色体劣性遺伝疾患または複雑なヘテロ接合性疾患である。ABCA4遺伝子は、光受容体細胞からのオールトランスレチナールの除去の原因となる、光受容体タンパク質ABCA4トランスポーターをコードする。光受容体細胞におけるオールトランスレチナールの蓄積は、酸化ストレスによりRPE細胞を損傷し、RPE細胞への補体媒介性損傷を誘発または促進し、網膜萎縮をもたらすと考えられる。STGD3としても公知の、シュタルガルト様黄斑ジストロフィーと呼ばれる関連疾患は、優性常染色体様式で遺伝し、ELOVL4遺伝子における突然変異によるものである。ELOVL4は、ELOVL脂肪酸エロンガーゼ(elongase)4であるELOVL4タンパク質をコードする。STGDに関連するELOVL4タンパク質における突然変異は、ELOVL4タンパク質のミスフォールディングおよび網膜細胞におけるその凝集体の蓄積をもたらし、これは、網膜細胞機能に影響を与え、最終的に、細胞死および網膜萎縮をもたらす。STGDまたはシュタルガルト様疾患には、処置が存在しない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、治療有効量のアプタマーを含む、眼疾患を処置するための医薬組成物であって、アプタマーが、補体D因子に関連する機能を阻害する、医薬組成物が提供される。一部の事例では、アプタマーは、補体D因子に結合する。一部の実例では、アプタマーは、補体D因子の触媒クレフトに結合する。一態様では、治療有効量のアプタマーを含む、眼疾患を処置するための医薬組成物であって、前記アプタマーが、補体D因子に関連する機能を阻害し、前記アプタマーが、補体D因子の活性部位、触媒クレフトまたはエキソサイトに結合する、医薬組成物が提供される。
【0006】
一部の実例では、アプタマーは、補体D因子のエキソサイトに結合することができる。一部の事例では、アプタマーは、抗D因子抗体またはその抗体断片によって認識される補体D因子の領域に結合し、抗D因子抗体またはその抗体断片は、補体D因子に関連する機能を阻害する。一部の例では、抗D因子抗体またはその抗体断片は、配列番号71に従った重鎖可変領域および配列番号72に従った軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗fD
Fab;配列番号85もしくは86に従った重鎖可変領域のアミノ酸配列および配列番号87~89に従った軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗fD Fab;またはMAb 166-32もしくはLS-C135735である。一部の事例では、アプタマーは、抗D因子小分子またはペプチドによって認識される補体D因子の領域に結合し、抗D因子小分子またはペプチドは、補体D因子に関連する機能を阻害する。一部の事例では、小分子は、ジクロロイソクマリン(DIC)または図13A図13Dに描写されている小分子のいずれか1種である。一部の事例では、領域は、抗D因子抗体またはその抗体断片によって認識されるエピトープである。一部の事例では、アプタマーは、RNAアプタマー、修飾RNAアプタマー、DNAアプタマー、修飾DNAアプタマーまたはこれらのいずれかの組合せである。一部の事例では、アプタマーは、高分子量ポリエチレングリコール(PEG)ポリマーにカップリングされている。PEGポリマーは、約10kDa~約80kDaの分子量を有することができる。医薬組成物は、硝子体内投与のために製剤化され得る。医薬組成物は、外用投与のために製剤化され得る。一部の事例では、眼疾患は、黄斑変性である。一部の事例では、眼疾患は、加齢性黄斑変性である。一部の事例では、眼疾患は、乾性加齢性黄斑変性である。一部の事例では、眼疾患は、地図状萎縮である。一部の事例では、眼疾患は、湿性加齢性黄斑変性である。一部の事例では、眼疾患は、シュタルガルト病である。一部の事例では、アプタマーは、ヒトにおける約7日間超の眼内半減期を有する。一部の事例では、アプタマーは、C3溶血アッセイによって測定された場合、約50nMまたはそれ未満のIC50で、補体D因子の機能を阻害する。一部の事例では、アプタマーは、C3溶血アッセイによって測定された場合、約5nMまたはそれ未満のIC50で、補体D因子の機能を阻害する。一部の事例では、アプタマーは、D因子エステラーゼ活性アッセイによって測定された場合、対照と比較して、補体D因子の活性を増加させ、溶血アッセイによって測定された場合、補体D因子の活性をさらに阻害する。他の事例では、アプタマーは、D因子エステラーゼ活性アッセイによって測定された場合、対照と比較して、補体D因子の活性を阻害し、溶血アッセイによって測定された場合、補体D因子の活性をさらに阻害する。さらに他の事例では、アプタマーは、D因子エステラーゼ活性アッセイによって測定された場合、対照と比較して、補体D因子の活性を阻害せず、溶血アッセイによって測定された場合、補体D因子の活性を阻害する。一部の事例では、アプタマーは、約50nM未満のKで、補体D因子に結合する。一部の事例では、アプタマーは、約5nM未満のKで、補体D因子に結合する。一部の事例では、アプタマーは、約500pM未満のKで、補体D因子に結合する。一部の事例では、アプタマーは、約50pM未満のKで、補体D因子に結合する。一部の事例では、アプタマーは、約5pM未満のKで、補体D因子に結合する。一部の事例では、アプタマーは、約50nM、5nM、50pMまたは5pM未満のKで、fDの触媒クレフト、活性部位、エキソサイトおよび/または自己阻害ループに結合する。一部の実例では、アプタマーは、アプタマーが、相対血清濃度でC3、C5、B因子、H因子またはI因子のいずれかに結合するよりも少なくとも10倍大きい特異性で、補体D因子に結合する。一部の実例では、アプタマーは、アプタマーが、相対血清濃度でC3、C5、B因子、H因子またはI因子のいずれかに結合するよりも少なくとも50倍大きい特異性で、補体D因子に結合する。一部の実例では、アプタマーは、アプタマーが、相対血清濃度でC3、C5、B因子、H因子またはI因子のいずれかに結合するよりも少なくとも100倍大きい特異性で、補体D因子に結合する。一部の事例では、治療有効量は、片目当たり約25μl~約100μl容量における約0.01mg~約60mgである。一部の事例では、医薬組成物は、4週間に1回の対象への送達のために製剤化される。一部の事例では、医薬組成物は、6週間に1回の対象への送達のために製剤化される。一部の事例では、医薬組成物は、8週間に1回の対象への送達のために製剤化される。一部の事例では、医薬組成物は、10週間に1回の対象への送達のために製剤化される。一部の事例では、医薬組成物は、12週間に1回の対象への送達のために製剤化される。
【0007】
別の態様では、対象における眼疾患を処置するための方法であって、治療有効量のアプタマーを含む医薬組成物を対象に投与するステップを含み、アプタマーが、補体D因子に関連する機能を阻害する、方法が提供される。一部の事例では、アプタマーは、補体D因子に結合する。一部の実例では、アプタマーは、補体D因子の触媒クレフトに結合する。一部の実例では、アプタマーは、補体D因子のエキソサイトに結合する。一部の事例では、アプタマーは、抗D因子抗体またはその抗体断片によって認識される補体D因子の領域に結合し、抗D因子抗体またはその抗体断片は、補体D因子に関連する機能を阻害する。一部の事例では、抗D因子抗体またはその抗体断片は、配列番号71に従った重鎖可変領域および配列番号72に従った軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗fD Fab;または配列番号85もしくは86に従った重鎖可変領域のアミノ酸配列および配列番号87~89に従った軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗fD Fab;またはMAb 166-32もしくはLS-C135735である。一部の事例では、アプタマーは、抗D因子小分子またはペプチドによって認識される補体D因子の領域に結合し、抗D因子小分子またはペプチドは、補体D因子に関連する機能を阻害する。一部の事例では、小分子は、ジクロロイソクマリン(DIC)または図13A図13Dに描写されている小分子のいずれか1種である。一部の事例では、領域は、抗D因子抗体またはその抗体断片によって認識されるエピトープである。一部の事例では、アプタマーは、RNAアプタマー、修飾RNAアプタマー、DNAアプタマー、修飾DNAアプタマーまたはこれらのいずれかの組合せである。一部の事例では、アプタマーは、高分子量ポリエチレングリコール(PEG)ポリマーにカップリングされている。一部の事例では、PEGポリマーは、約10kDa~約80kDaの分子量を有する。一部の事例では、医薬組成物は、硝子体内投与によって投与される。一部の事例では、医薬組成物は、外用投与によって投与される。一部の事例では、眼疾患は、黄斑変性である。一部の事例では、眼疾患は、加齢性黄斑変性である。一部の事例では、眼疾患は、乾性加齢性黄斑変性である。一部の事例では、眼疾患は、地図状萎縮である。一部の事例では、眼疾患は、湿性加齢性黄斑変性である。一部の事例では、眼疾患は、シュタルガルト病である。一部の事例では、アプタマーは、約7日間超の眼内半減期を有する。一部の事例では、アプタマーは、C3溶血アッセイによって測定された場合、約50nMまたはそれ未満のIC50で、補体D因子の機能を阻害する。一部の事例では、アプタマーは、C3溶血アッセイによって測定された場合、約5nMまたはそれ未満のIC50で、補体D因子の機能を阻害する。一部の事例では、アプタマーは、D因子エステラーゼ活性アッセイによって測定された場合、対照と比較して、補体D因子の活性を増加させ、溶血アッセイによって測定された場合、補体D因子の活性をさらに阻害する。他の事例では、アプタマーは、D因子エステラーゼ活性アッセイによって測定された場合、対照と比較して、補体D因子の活性を阻害し、溶血アッセイによって測定された場合、補体D因子の活性をさらに阻害する。さらに他の事例では、アプタマーは、D因子エステラーゼ活性アッセイによって測定された場合、対照と比較して、補体D因子の活性を阻害せず、溶血アッセイによって測定された場合、補体D因子の活性を阻害する。一部の実例では、アプタマーは、約50nM未満のKで、補体D因子に結合する。一部の実例では、アプタマーは、約5nM未満のKで、補体D因子に結合する。一部の実例では、アプタマーは、約500pM未満のKで、補体D因子に結合する。一部の実例では、アプタマーは、約50pM未満のKで、補体D因子に結合する。一部の実例では、アプタマーは、約5pM未満のKで、補体D因子に結合する。一部の事例では、アプタマーは、約50nM、5nM、50pMまたは5pM未満のKで、fDの触媒クレフト、活性部位、エキソサイトおよび/または自己阻害ループに結合する。一部の事例では、アプタマーは、アプタマーが、相対血清濃度でC3、C5、B因子、H因子またはI因子のいずれかに結合するよりも少なくとも10倍大きい特異性で、補体D因子に結合する。一部の事例では、アプタマーは、アプタマーが、相対血清濃度でC3、C5、B因子、H因子またはI因子のいずれかに結合するよりも少なくとも50倍大きい特異性で、補体D因子に結合する。一部の事例では、アプタマーは、アプタマーが、相対血清濃度でC3、C5、B因子、H因子またはI因子のいずれかに結合するよりも少なくとも100倍大きい特異性で、補体D因子に結合する。一部の事例では、治療有効量は、片目当たり約25μl~約100μl容量における約0.01mg~約60mgを含む。一部の事例では、医薬組成物は、4週間に1回対象に投与される。一部の事例では、医薬組成物は、6週間に1回対象に投与される。一部の事例では、医薬組成物は、8週間に1回対象に投与される。一部の事例では、医薬組成物は、10週間に1回対象に投与される。一部の事例では、医薬組成物は、12週間に1回対象に投与される。
参照による援用
【0008】
本明細書にて言及されているあらゆる刊行物、特許および特許出願は、あたかも個々の刊行物、特許または特許出願のそれぞれが、参照により本明細書に組み込まれていると特にかつ個々に示されているのと同じ程度まで、参照により本明細書に組み込まれている。
【0009】
添付の特許請求の範囲において、本発明の新規特色を詳細に記す。本発明の特色および利点についてのさらに深い理解は、本発明の原理が利用された説明的な実施形態を記す、次の詳細な説明と、下に説明する添付の図面を参照することにより得られるであろう:
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
補体D因子の触媒クレフト、エキソサイトまたは自己阻害ループに選択的に結合するアプタマー。
(項目2)
前記補体D因子に関連する機能を阻害する、項目1に記載のアプタマー。
(項目3)
前記アプタマーが、抗D因子抗体またはその抗体断片によって認識される前記補体D因子の領域に結合し、前記抗D因子抗体またはその抗体断片が、前記補体D因子に関連する機能を阻害する、項目1または2のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目4)
前記抗D因子抗体またはその抗体断片が、配列番号71に従った重鎖可変領域のアミノ酸配列および配列番号72に従った軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗fD Fabである、項目1から3のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目5)
前記アプタマーが、抗D因子小分子またはペプチド阻害剤によって認識される前記補体D因子の領域に結合し、前記小分子またはペプチド阻害剤が、補体D因子に関連する機能を阻害する、項目1から4のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目6)
前記小分子阻害剤が、ジクロロイソクマリンである、項目5に記載のアプタマー。
(項目7)
RNAアプタマーまたは修飾RNAアプタマーである、項目1から6のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目8)
C3溶血アッセイによって測定された場合、約50nMまたはそれ未満のIC50で、前記補体D因子の機能を阻害する、項目1から7のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目9)
C3溶血アッセイによって測定された場合、約10nMまたはそれ未満のIC50で、前記補体D因子の機能を阻害する、項目1から8のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目10)
C3溶血アッセイによって測定された場合、約5nMまたはそれ未満のIC50で、前記補体D因子の機能を阻害する、項目1から9のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目11)
D因子エステラーゼ活性アッセイによって測定された場合、対照と比較して、補体D因子の活性を増加させる、項目1から10のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目12)
D因子エステラーゼ活性アッセイによって測定された場合、対照と比較して、補体D因子の活性を阻害する、項目1から11のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目13)
溶血アッセイによって測定された場合、補体D因子の活性をさらに阻害する、項目1から12のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目14)
約50nM未満のKで、補体D因子の前記触媒クレフト、エキソサイトまたは自己阻害ループに選択的に結合する、項目1から13のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目15)
約25nM未満のKで、補体D因子の前記触媒クレフト、エキソサイトまたは自己阻害ループに選択的に結合する、項目1から14のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目16)
約10nM未満のKで、補体D因子の前記触媒クレフト、エキソサイトまたは自己阻害ループに選択的に結合する、項目1から15のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目17)
約5nM未満のKで、補体D因子の前記触媒クレフト、エキソサイトまたは自己阻害ループに選択的に結合する、項目1から16のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目18)
配列番号73~80を含まない、項目1から17のいずれか一項に記載のアプタマー。(項目19)
補体D因子の触媒クレフト、エキソサイトまたは自己阻害ループに選択的に結合するアプタマーの治療有効量を対象に投与するステップを含む方法。
(項目20)
前記アプタマーが、補体D因子に関連する機能を阻害する、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記アプタマーが、抗D因子抗体またはその抗体断片によって認識される前記補体D因子の領域に結合し、前記抗D因子抗体またはその抗体断片が、前記補体D因子に関連する機能を阻害する、項目19および20のいずれか一項に記載の方法。
(項目22)
前記抗D因子抗体またはその抗体断片が、配列番号71に従った重鎖可変領域のアミノ酸配列および配列番号72に従った軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗fD Fabである、項目19から21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
前記アプタマーが、抗D因子小分子またはペプチド阻害剤によって認識される前記補体D因子の領域に結合し、前記小分子またはペプチド阻害剤が、補体D因子に関連する機能を阻害する、項目19から22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
前記小分子阻害剤が、ジクロロイソクマリンである、項目23に記載の方法。
(項目25)
前記アプタマーが、RNAアプタマーまたは修飾RNAアプタマーである、項目19から24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
前記アプタマーが、C3溶血アッセイによって測定された場合、約50nMまたはそれ未満のIC50で、前記補体D因子の機能を阻害する、項目19から25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記アプタマーが、C3溶血アッセイによって測定された場合、約10nMまたはそれ未満のIC50で、前記補体D因子の機能を阻害する、項目19から26のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
前記アプタマーが、C3溶血アッセイによって測定された場合、約5nMまたはそれ未満のIC50で、前記補体D因子の機能を阻害する、項目19から27のいずれか一項に記載の方法。
(項目29)
前記アプタマーが、D因子エステラーゼ活性アッセイによって測定された場合、対照と比較して、補体D因子の活性を増加させる、項目19から28のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
前記アプタマーが、D因子エステラーゼ活性アッセイによって測定された場合、対照と比較して、補体D因子の活性を阻害する、項目19から29のいずれか一項に記載の方法。
(項目31)
前記アプタマーが、溶血アッセイによって測定された場合、補体D因子の活性をさらに阻害する、項目19から30のいずれか一項に記載の方法。
(項目32)
前記アプタマーが、約50nM未満のKで、補体D因子の前記触媒クレフト、エキソサイトまたは自己阻害ループに選択的に結合する、項目19から31のいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
前記アプタマーが、約25nM未満のKで、補体D因子の前記触媒クレフト、エキソサイトまたは自己阻害ループに選択的に結合する、項目19から32のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
前記アプタマーが、約10nM未満のKで、補体D因子の前記触媒クレフト、エキソサイトまたは自己阻害ループに選択的に結合する、項目19から33のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
前記アプタマーが、約5nM未満のKで、補体D因子の前記触媒クレフト、エキソサイトまたは自己阻害ループに選択的に結合する、項目19から34のいずれか一項に記載の方法。
(項目36)
前記アプタマーが、配列番号73~80を含まない、項目19から35のいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
C3溶血アッセイによって測定された場合、約50nMまたはそれ未満のIC50で、補体D因子の機能を阻害するアプタマー。
(項目38)
触媒クレフト、エキソサイトまたは自己阻害ループにおいて前記補体D因子に選択的に結合する、項目37に記載のアプタマー。
(項目39)
前記アプタマーが、抗D因子抗体またはその抗体断片によって認識される前記補体D因子の領域に選択的に結合し、前記抗D因子抗体またはその抗体断片が、前記補体D因子に関連する機能を阻害する、項目37および38のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目40)
前記抗D因子抗体またはその抗体断片が、配列番号71に従った重鎖可変領域のアミノ酸配列および配列番号72に従った軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗fD Fabである、項目37から39のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目41)
前記アプタマーが、抗D因子小分子またはペプチド阻害剤によって認識される前記補体D因子の領域に選択的に結合し、前記小分子またはペプチド阻害剤が、前記補体D因子に関連する機能を阻害する、項目37から40のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目42)
前記小分子阻害剤が、ジクロロイソクマリンである、項目37から41のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目43)
RNAアプタマーまたは修飾RNAアプタマーである、項目37から42のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目44)
C3溶血アッセイによって測定された場合、約10nMまたはそれ未満のIC50で、前記補体D因子の機能を阻害する、項目37から43のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目45)
C3溶血アッセイによって測定された場合、約5nMまたはそれ未満のIC50で、前記補体D因子の機能を阻害する、項目37から44のいずれか一項に記載のアプタマー。(項目46)
配列番号73~80を含まない、項目37から45のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目47)
D因子エステラーゼ活性アッセイによって測定された場合、i)対照と比較して、補体D因子の活性を増加させる、またはii)対照と比較して、補体D因子の活性を阻害する、アプタマー。
(項目48)
溶血アッセイによって測定された場合、前記補体D因子の活性をさらに阻害する、項目47に記載のアプタマー。
(項目49)
前記補体D因子に触媒クレフト、エキソサイトまたは自己阻害ループにおいて選択的に結合する、項目47および48のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目50)
前記アプタマーが、抗D因子抗体またはその抗体断片によって認識される前記補体D因子の領域に選択的に結合し、前記抗D因子抗体またはその抗体断片が、前記補体D因子に関連する機能を阻害する、項目47から49のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目51)
前記抗D因子抗体またはその抗体断片が、配列番号71に従った重鎖可変領域のアミノ酸配列および配列番号72に従った軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗fD Fabである、項目47から50のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目52)
前記アプタマーが、抗D因子小分子またはペプチド阻害剤によって認識される前記補体D因子の領域に選択的に結合し、前記抗D因子小分子またはペプチド阻害剤が、前記補体D因子に関連する機能を阻害する、項目47から51のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目53)
前記小分子阻害剤が、ジクロロイソクマリンである、項目47から52のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目54)
RNAアプタマーまたは修飾RNAアプタマーである、項目47から53のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目55)
配列番号73~80を含まない、項目47から54のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目56)
約50nM未満のKで、補体D因子に選択的に結合するアプタマー。
(項目57)
前記補体D因子に触媒クレフト、エキソサイトまたは自己阻害ループにおいて選択的に結合する、項目56に記載のアプタマー。
(項目58)
前記アプタマーが、抗D因子抗体またはその抗体断片によって認識される前記補体D因子の領域に選択的に結合し、前記抗D因子抗体またはその抗体断片が、前記補体D因子に関連する機能を阻害する、項目56または57のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目59)
前記抗D因子抗体またはその抗体断片が、配列番号71に従った重鎖可変領域のアミノ酸配列および配列番号72に従った軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗fD Fabである、項目56から58のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目60)
前記アプタマーが、抗D因子小分子またはペプチド阻害剤によって認識される前記補体D因子の領域に選択的に結合し、前記抗D因子小分子またはペプチド阻害剤が、前記補体D因子に関連する機能を阻害する、項目56から59のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目61)
前記小分子阻害剤が、ジクロロイソクマリンである、項目56から60のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目62)
RNAアプタマーまたは修飾RNAアプタマーである、項目56から61のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目63)
約25nM未満のKで、補体D因子の前記触媒クレフト、エキソサイトまたは自己阻害ループに選択的に結合する、項目56から62のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目64)
約10nM未満のKで、補体D因子の前記触媒クレフト、エキソサイトまたは自己阻害ループに選択的に結合する、項目56から63のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目65)
約5nM未満のKで、補体D因子の前記触媒クレフト、エキソサイトまたは自己阻害ループに選択的に結合する、項目56から64のいずれか一項に記載のアプタマー。
(項目66)
配列番号73~80を含まない、項目56から65のいずれか一項に記載のアプタマー。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、副補体経路の一側面を描写する。
【0011】
図2A図2は、様々なIVT濃度の抗D因子アプタマーによるD因子の硝子体内(IVT)阻害のモデリングを描写する。図2Aおよび図2Bは、様々なIVT濃度の抗D因子アプタマーにおけるD因子のIVT阻害を実証する。Fab(7日間、LUCENTIS(登録商標))およびペグ化アプタマー(10日間、MACUGEN(登録商標))に報告されたIVT半減期、ならびに関連するIVT濃度における各治療法によるD因子の1:1阻害(IC50データ)を仮定する、標準2コンパートメントモデルを使用して、IVT D因子阻害の有効な阻害をモデリングした。図2Aに描写される通り、抗D因子Fab(破線)、抗D因子アプタマーVT-001(実線)の、IVT注射後の有効阻害曲線が示され、血清レベルのD因子(点線)による妨害は、臨床的に関連するD因子阻害の喪失の代用として可視化され得る。図2Bは、IVT注射後の週数にわたる、ペグ化アプタマー(点線)および抗D因子抗体(実線)の予測されるIVT薬物濃度(nM)を描写する。
図2B】同上。
【0012】
図3AB図3A図3Cは、本開示の実施形態に従った抗D因子アプタマーの生成に利用することができる、アプタマーライブラリー配列の非限定的な例を描写する。図3Aは、配列番号95を開示する。図3Bは、出現順にそれぞれ配列番号95および65を開示する。
図3C】同上。
【0013】
図4図4は、本開示の実施形態に従った抗D因子アプタマーを選択するための方法の非限定的な例を描写する。
【0014】
図5図5は、本開示の実施形態に従ったフローサイトメトリーによる抗D因子アプタマーの結合解析を描写する。
【0015】
図6図6Aおよび図6Bは、本開示の実施形態に従った抗D因子アプタマーのK値の測定を描写する。
【0016】
図7図7は、本開示の実施形態に従った競合アッセイを描写する。
【0017】
図8図8は、ヒト補体fDに対するDNAアプタマーの生成において同定された特有の配列のパーセンテージのプロットを描写する。
【0018】
図9図9は、ヒト補体fDに対するDNAアプタマーの選択ラウンドにわたる平均塩基頻度のプロットを描写する。
【0019】
図10図10は、ヒト補体fDに対するDNAアプタマーの複数の配列アライメントに基づき生成される配列ロゴを描写する。
【0020】
図11図11は、本開示の実施形態に従った溶血アッセイから得られるデータの例を描写する。
【0021】
図12図12は、本開示の実施形態に従ったfDエステラーゼ活性アッセイから得られるデータの例を描写する。
【0022】
図13図13A図13Dは、fDの小分子阻害剤の非限定的な例を描写する。
【0023】
図14図14は、ヒト補体D因子のアミノ酸配列、キモトリプシンナンバリングスキームおよびfDナンバリングスキームを描写する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書における開示は、眼疾患または障害の処置のための方法および組成物を提供する。一部の事例では、眼疾患は、黄斑変性である。一部の事例では、黄斑変性は、加齢性黄斑変性である。一部の事例では、加齢性黄斑変性は、乾性加齢性黄斑変性である。一部の事例では、乾性加齢性黄斑変性は、進行型乾性加齢性黄斑変性(すなわち、地図状萎縮)である。一部の事例では、眼疾患は、湿性加齢性黄斑変性である。一部の事例では、眼疾患は、シュタルガルト病である。一部の事例では、方法および組成物は、副補体経路の阻害が関与する。一部の事例では、方法および組成物は、D因子(fD)に関連する機能の阻害が関与する。一部の事例では、方法および組成物は、眼疾患の処置のための、fDに関連する機能の阻害が関与する。一部の事例では、方法および組成物は、乾性加齢性黄斑変性または地図状萎縮の処置のための、fDに関連する機能の阻害が関与する。一部の事例では、方法および組成物は、湿性加齢性黄斑変性の処置のための、fDに関連する機能の阻害が関与する。一部の事例では、方法および組成物は、シュタルガルト病の処置のための、fDに関連する機能の阻害が関与する。一部の事例では、方法および組成物は、抗fDアプタマーの使用を含む。
【0025】
本明細書に開示されている一部の実施形態の実施は、他に断りがなければ、免疫学、生化学、化学、分子生物学、微生物学、細胞生物学、ゲノミクスおよび組換えDNAの従来技法を当業者の技能範囲内で用いる。例えば、SambrookおよびGreen、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第4版(2012年); Current Protocols in Molecular Biologyシリーズ(F. M. Ausubelら編);Methods In Enzymologyシリーズ(Academic Press, Inc.)、PCR
2: A Practical Approach(M.J. MacPherson, B.D. HamesおよびG.R. Taylor編(1995年))、HarlowおよびLane編(1988年)Antibodies, A Laboratory Manual, and Culture of Animal Cells: A
Manual of Basic Technique and Specialized Applications、第6版(R.I. Freshney編(2010年))を参照されたい。
【0026】
一般に、「配列同一性」は、それぞれ2種のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の正確なヌクレオチド対ヌクレオチドまたはアミノ酸対アミノ酸の一致を指す。典型的には、配列同一性を決定するための技法は、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定する、および/またはこれにコードされるアミノ酸配列を決定し、これらの配列を第2のヌクレオチドまたはアミノ酸配列と比較するステップを含む。2種またはそれよりも多い配列(ポリヌクレオチドまたはアミノ酸)は、その「パーセント同一性」を決定することにより比較することができる。核酸であれアミノ酸配列であれ、2種の配列のパーセント同一性は、短い方の配列の長さで割り、100を掛けた、2種の整列された配列の間の正確なマッチの数である。パーセント同一性は、例えば、国立衛生研究所(National
Institutes of Health)から入手できる、バージョン2.2.9を含む先進BLASTコンピュータプログラムを使用して、配列情報を比較することにより決定することもできる。BLASTプログラムは、KarlinおよびAltschul、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87巻:2264~2268頁(1990年)のアライメント方法に基づき、Altschulら、J. Mol. Biol.215巻:403~410頁(1990年);KarlinおよびAltschul、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90巻:5873~5877頁(1993年);ならびにAltschulら、Nucleic Acids Res.25巻:3389~3402頁(1997年)に記述されている通りである。手短に説明すると、BLASTプログラムは、2種の配列のうち短い方における記号の総数で割った、同一の整列された記号(一般にヌクレオチドまたはアミノ酸)の数として同一性を規定する。プログラムを使用して、比較されているタンパク質の長さ全体にわたるパーセント同一性を決定することができる。例えば、blastpプログラムによる短い問い合わせ配列による検索を最適化するためのデフォルトパラメータが提供される。プログラムは、WoottonおよびFederhen、Computers and Chemistry 17巻:149~163頁(1993年)のSEGプログラムによって決定される通り、問い合わせ配列のセグメントのマスクを外す(mask-off)ためのSEGフィルターの使用も可能にする。所望の程度の配列同一性の範囲は、およそ80%~100%およびその間の整数値である。典型的には、開示されている配列および特許請求されている配列の間のパーセント同一性は、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%である。
【0027】
用語「ペプチド」および「タンパク質」は、いずれかの長さのアミノ酸のポリマーを指すように本明細書において互換的に使用されている。ポリペプチドは、いずれかのタンパク質、ペプチド、タンパク質断片またはその構成成分となることができる。ポリペプチドは、自然において天然起源のタンパク質、または通常自然において存在しないタンパク質となることができる。ポリペプチドは、大部分は、標準的な20種のタンパク質構築アミノ酸からなることができる、または非標準アミノ酸を取り込むように修飾されていてよい。ポリペプチドは、典型的には、宿主細胞によって、例えば、リン酸化、アセチル化、アシル化、ホルミル化、アルキル化、メチル化、脂質付加(例えば、パルミトイル化、ミリストイル化、プレニル化等)および炭水化物付加(例えば、N結合型およびO結合型グリコシル化等)を含む、いずれかの数の生化学的官能基を付加することにより修飾されていてよい。ポリペプチドは、ジスルフィド架橋の形成またはタンパク質分解性切断等、宿主細胞において構造変化を起こすことができる。本明細書に記載されているペプチドは、例えば、疾患の処置に利用される治療用ペプチドとなることができる。
【0028】
用語「アプタマー」は、本明細書において、特異的標的分子に結合することができる、オリゴヌクレオチドおよび/または核酸アナログを指す。アプタマーは、RNA、DNA、いずれかの核酸アナログおよび/またはこれらの組合せを含むことができる。アプタマーは、一本鎖オリゴヌクレオチドとなることができる。理論に制約されることは望まないが、アプタマーは、標的分子の三次元構造に結合すると考えられる。アプタマーは、単量体(単一の単位で構成される)または多量体(複数の単位で構成される)となることができる。多量体アプタマーは、ホモマー(複数の同一単位で構成される)またはヘテロマー(複数の非同一単位で構成される)となることができる。
【0029】
用語「エキソサイト」は、本明細書において、別のタンパク質に結合することができるタンパク質ドメインまたはタンパク質の領域を指すことができる。エキソサイトは、本明細書において、「二次結合部位」、例えば、一次結合部位(例えば、活性部位)から遠隔のまたはそれから離れた結合部位と称することもできる。一部の事例では、一次および二次結合部位は、重複し得る。エキソサイトへの分子の結合は、タンパク質に物理的変化(例えば、立体構造変化)を引き起こすことができる。一部の事例では、タンパク質の活性は、エキソサイトの占有に依存し得る。一部の例では、エキソサイトは、アロステリック部位とは別個のものとなり得る。
【0030】
用語「触媒クレフト」または「活性部位」は、本明細書において、基質分子が結合し、化学反応を起こす、酵素のドメインを指す。活性部位は、基質と一時的結合を形成するアミノ酸残基(例えば、結合部位)、および該基質の反応を触媒するアミノ酸残基(例えば、触媒部位)を含むことができる。活性部位は、酵素内の深いトンネルまたは多量体酵素の界面間に位置することができる、酵素の溝またはポケット(例えば、クレフト)となることができる。
【0031】
用語「エピトープ」は、本明細書において、抗体によって特異的に認識される抗原(例えば、それに対する抗体を生成するように免疫系を刺激する物質)の部分を指す。一部の事例では、抗原は、タンパク質またはペプチドであり、エピトープは、抗体によって認識および結合されるタンパク質またはペプチドの特異的領域である。一部の事例では、本明細書に記載されているアプタマーは、抗fD抗体またはその抗体断片に対するエピトープであるfDの領域に結合し、抗fD抗体は、fDに関連する機能を阻害する。一部の事例では、fDのアプタマー結合領域は、抗fD抗体に対するエピトープまたは別のfD阻害分子の結合部位の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%または100%と重複する。
【0032】
用語「対象」および「患者」は、脊椎動物、好ましくは、哺乳動物、より好ましくは、ヒトを指すように本明細書において互換的に使用されている。哺乳動物として、マウス、サル、ヒト、家畜、競技用動物およびペットが挙げられるがこれらに限定されない。in
vivoで得られるまたはin vitroで培養される生物学的実体の組織、細胞およびその後代も包含される。
補体系および副補体経路
【0033】
補体系は、生物から病原体を排除する抗体および貪食細胞の能力を増強する自然免疫系の一部である。この系は、適応不能であり、個体の生涯の経過にわたって変化しないが、リクルートされ、適応免疫系によって作用され得る。
【0034】
補体系は、血液中に存在し、肝臓によって一般に合成され、正常では不活性前駆体(プロタンパク質)として循環する、いくつかの小型のタンパク質からなる。いくつかの誘発のうち1種によって刺激されると、この系におけるプロテアーゼは、特異的タンパク質を切断して、サイトカインを放出し、さらなる切断の増幅カスケードを惹起する。この補体活性化または補体固定化カスケードの最終結果は、応答の大量増幅および細胞を死滅させる膜侵襲複合体の活性化である。血清タンパク質、漿膜タンパク質および細胞膜受容体を含む、30種を超えるタンパク質およびタンパク質断片が、補体系を構成する。
【0035】
副補体経路は、補体系活性化および増幅のための急速な抗体非依存性経路である。副経路は、いくつかの構成成分を含む:C3、B因子(fB)およびfD。副経路の活性化は、C3のタンパク質分解性切断型であるC3bが、細菌等の活性化表面剤に結合されると起こる。続いて、fBが、C3bに結合され、fDによって切断されて、C3コンバターゼC3bBbを生じる。追加的なC3bが産生および沈着されると、C3コンバターゼ活性の増幅が起こる。増幅応答は、分解から活性コンバターゼを安定化し、その半減期を1~2分間から18分間へと延長する、正の調節因子タンパク質プロパージン(P因子)の結合によってさらに助けられる。
【0036】
C3コンバターゼは、C5コンバターゼ(C3b3bBb)へとさらにアセンブルする。この複合体はその後、補体構成成分C5を2個の構成成分:C5aポリペプチド(9kDa)およびC5bポリペプチド(170kDa)へと切断する。C5aポリペプチドは、本来白血球に関連付けられており、現在は肝細胞およびニューロンを含む種々の組織に発現されることが公知の、7回膜貫通Gタンパク質共役受容体に結合する。C5a分子は、ヒト補体系の主要走化性構成成分であり、白血球走化性、平滑筋収縮、細胞内シグナル伝達経路の活性化、好中球-内皮接着、サイトカインおよび脂質メディエーター放出ならびに酸化体形成を含む、種々の生物学的応答を誘発することができる。
【0037】
副補体経路は、加齢性黄斑変性、地図状萎縮、シュタルガルト病、全身性エリテマトーデス、関節リウマチおよび喘息を含む、種々の虚血性、炎症性および自己免疫性疾患の病態形成における役割を果たすと考えられる。よって、副補体経路の構成成分は、これらの疾患の処置のための重要な標的となり得る。
加齢性黄斑変性
【0038】
加齢性黄斑変性(「AMD」)は、米国、欧州および日本における回復不能な視力喪失の主因である、慢性かつ進行性の目の疾患である。AMDは、斑と称される、網膜の中心部の進行性増悪によって特徴付けられる。AMDへの進行の最も明確な指標は、網膜細胞の代謝性老廃物に由来する材料のプラークである、網膜下の黄白色沈着物であるドルーゼンの出現である。ドルーゼンの出現は、両方の型のAMD:滲出性(「湿性」)および非滲出性(「乾性」)の重要な構成成分である。多数の中間~大型のドルーゼンの存在は、地図状萎縮および/または新血管新生によって特徴付けられる、後期疾患への進行の最大リスクに関連する。湿性AMD患者の大部分は、疾患診断後数ヶ月から2年間以内に、罹患した目における重症視力喪失を経験するが、視力喪失は、数時間または数日間以内に起こり得る。乾性AMDは、より漸進的であり、斑における感光性細胞が徐々に萎縮すると起こり、罹患した目における中心視を漸進的にぼやけさせる。視力喪失は、ドルーゼンの形成および蓄積、場合により、網膜の増悪によって悪化されるが、異常な血管成長および出血を伴わない。地図状萎縮は、進行型乾性AMDを指すために使用される用語である。地図状萎縮は、萎縮した光受容体細胞の「島(island)」によって特徴付けられる。副補体経路が、AMDの病態形成における役割を果たし得ることが考えられる。
シュタルガルト病
【0039】
シュタルガルト病(「STGD」)は、米国においておよそ30,000個体が罹患する、1/20,000の発生率による、希少な遺伝的黄斑ジストロフィーである。STGDは、ABCA4遺伝子における突然変異に起因する、常染色体劣性または複雑なヘテロ接合性遺伝疾患である。ABCA4遺伝子は、光受容体細胞からのオールトランスレチナールの除去の原因となる、光受容体タンパク質ABCA4トランスポーターをコードする。光受容体細胞におけるオールトランスレチナールの蓄積は、酸化ストレスによりRPE細胞を損傷し、RPE細胞に対する補体媒介性損傷を誘発または促進し、網膜萎縮をもたらすと考えられる。STGDは、一般に生後二十年以内に始まる、斑と称される、網膜の中心部の進行性増悪によって特徴付けられる。STGDの進行の最も明確な指標は、オールトランスレチナールおよび他のビタミンA関連代謝物を含む網膜細胞の代謝性老廃物に由来する材料のプラークである、網膜下の黄白色沈着物であるドルーゼンの出現である。STGDの発病は典型的に、6~20歳の間であり、初期症状は、読字および光調整の困難を含む。小児期発症STGD患者は、初期重症視力喪失、顕著に損なわれた網膜機能および急速な網膜色素上皮(RPE)細胞萎縮と付随する網膜機能喪失を発症する傾向がある。発病の年齢中央値およびベースライン試験における年齢中央値は、それぞれ8.5(範囲3~16)および12歳(範囲7~16)である。成人発症疾患患者は、より長い時間視力を保ち、より軽微な網膜機能障害を示す可能性がより高い。光受容体細胞におけるオールトランスレチナールの蓄積は、炎症、酸化ストレス、網膜色素上皮における自家蛍光リポフスチン色素の沈着、および網膜萎縮をもたらす。リポフスチン沈着物(ドルーゼン)および酸化産物は、細胞死をもたらす炎症性応答へと副補体経路を誘発する。STGDにおける副補体の役割を支持するデータは、ヒト細胞モデル、遺伝的マウスモデル、および疾患進行中のヒトのドルーゼンにおける補体因子の蓄積を含む。したがって、補体、特に、補体D因子の阻害剤は、STGD個体における視力喪失の進行を停止するまたは遅くすることが予期される。STGD3としても公知のシュタルガルト様黄斑ジストロフィーと呼ばれる関連疾患は、優性常染色体様式で遺伝し、ELOVL4遺伝子における突然変異によるものである。ELOVL4は、ELOVL脂肪酸エロンガーゼ4であるELOVL4タンパク質をコードする。STGDに関連するELOVL4タンパク質における突然変異は、ELOVL4タンパク質のミスフォールディングおよび網膜細胞におけるELOVL4タンパク質凝集体の蓄積をもたらし、これは、網膜細胞機能に影響を与え、最終的に、細胞死および網膜萎縮をもたらす。補体経路活性化は、シュタルガルト様疾患における役割を果たすとも考えられ、したがって、補体、特に、補体D因子の阻害剤は、シュタルガルト様疾患個体における視力喪失の進行を停止するまたは遅くすることが予期される。
アプタマー
【0040】
一部の事例では、本明細書に記載されている方法および組成物は、眼疾患の処置のための1種または複数のアプタマーを利用する。アプタマーという用語は、本明細書において、非ワトソン・クリック塩基対形成相互作用を介して高い親和性および特異性で標的(例えば、タンパク質)に結合するオリゴヌクレオチド分子を指す。一般に、本明細書に記載されているアプタマーは、障害または疾患の処置のために単離および使用される、非天然起源のオリゴヌクレオチド(すなわち、合成により産生された)である。アプタマーは、タンパク質、オリゴヌクレオチド、炭水化物、脂質、小分子さらには細菌細胞を限定することなく含む、基本的にいかなる標的分子にも結合することができる。本明細書に記載されているアプタマーは、副補体経路のタンパク質に結合するオリゴヌクレオチドである。mRNA等、多くの天然起源のオリゴヌクレオチドが、その線形塩基配列に情報をコードする一方、標的分子へのアプタマーの結合が、保存された線形塩基配列よりもアプタマーの二次および三次構造に依存し、アプタマーが一般に、その線形塩基配列に情報をコードしないという点において、アプタマーは、そのような天然起源のオリゴヌクレオチドから区別することができる。
【0041】
アプタマーは、治療剤として適することができ、他の治療剤よりも好ましくなることができ、その理由として次のことが挙げられる:1)アプタマーは、完全にin vitroプロセスによって開発することができるため、アプタマーの産生は迅速かつ経済的となることができ;2)アプタマーは、低い毒性を有することができ、免疫原性応答を欠くことができ;3)アプタマーは、その標的に対し高い特異性および親和性を有することができ;4)アプタマーは、優れた溶解性を有することができ;5)アプタマーは、調節可能な薬物動態特性を有し;6)アプタマーは、PEGおよび他の担体の部位特異的コンジュゲーションを受け入れられ;7)アプタマーは、外界温度で安定することができる。
【0042】
本明細書に記載されているアプタマーは、アプタマーの機能または親和性に影響を与えることができる、いずれかの数の修飾を含むことができる。例えば、アプタマーは、修飾されていなくてよい、または安定性、ヌクレアーゼ抵抗性または送達特徴を改善するために修飾ヌクレオチドを含有することができる。斯かる修飾の例として、糖および/またはリン酸および/または塩基位置、例えば、リボースの2’位、ピリミジンの5位およびプリンの8位における化学的置換、様々な2’修飾ピリミジン、ならびに2’-アミノ(2’-NH)、2’-フルオロ(2’-F)および/または2’-O-メチル(2’-OMe)置換基による修飾を挙げることができる。一部の事例では、本明細書に記載されているアプタマーは、in vivo安定性を増加させるための2’-OMe修飾を含む。一部の事例では、本明細書に記載されているアプタマーは、特異的エピトープ、エキソサイトまたは活性部位に対するアプタマーの親和性および特異性を改善するための修飾ヌクレオチドを含有する。修飾ヌクレオチドの例として、グアニジン、インドール、アミン、フェノール、ヒドロキシメチルまたはボロン酸により修飾されたヌクレオチドが挙げられる。他の事例では、ピリミジンヌクレオチド三リン酸アナログまたはCE-ホスホラミダイトは、5位が修飾されて、例えば、5-ベンジルアミノカルボニル-2’-デオキシウリジン(BndU);5-[N-(フェニル-3-プロピル)カルボキサミド]-2’-デオキシウリジン(PPdU);5-(N-チオフェニルメチルカルボキシアミド)-2’-デオキシウリジン(ThdU);5-(N-4-フルオロベンジルカルボキシアミド)-2’-デオキシウリジン(FBndU);5-(N-(1-ナフチルメチル)カルボキサミド)-2’-デオキシウリジン(NapdU);5-(N-2-ナフチルメチルカルボキシアミド)-2’-デオキシウリジン(2NapdU);5-(N-1-ナフチルエチルカルボキシアミド)-2’-デオキシウリジン(NEdU);5-(N-2-ナフチルエチルカルボキシアミド)-2’-デオキシウリジン(2NEdU);5-(N-トリプタミノカルボキシアミド)-2’-デオキシウリジン(TrpdU);5-イソブチルアミノカルボニル-2’-デオキシウリジン(IbdU);5-(N-チロシルカルボキシアミド)-2’-デオキシウリジン(TyrdU);5-(N-イソブチルアミノカルボニル-2’-デオキシウリジン(iBudU);5-(N-ベンジルカルボキシアミド)-2’-O-メチルウリジン、5-(N-ベンジルカルボキシアミド)-2’-フルオロウリジン、5-(N-フェネチルカルボキシアミド)-2’-デオキシウリジン(PEdU)、5-(N-3,4-メチレンジオキシベンジルカルボキシアミド)-2’-デオキシウリジン(MBndU)、5-(N-イミジゾリルエチルカルボキシアミド)-2’-デオキシウリジン(ImdU)、5-(N-イソブチルカルボキシアミド)-2’-O-メチルウリジン、5-(N-イソブチルカルボキシアミド)-2’-フルオロウリジン、5-(N-R-トレオニニルカルボキシアミド)-2’-デオキシウリジン(ThrdU)、5-(N-トリプタミノカルボキシアミド)-2’-O-メチルウリジン、5-(N-トリプタミノカルボキシアミド)-2’-フルオロウリジン、5-(N-[1-(3-トリメチルアモニウム)プロピル]カルボキシアミド)-2’-デオキシウリジンクロリド、5-(N-ナフチルメチルカルボキシアミド)-2’-O-メチルウリジン、5-(N-ナフチルメチルカルボキシアミド)-2’-フルオロウリジン、5-(N-[1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)]カルボキシアミド)-2’-デオキシウリジン)、5-(N-2-ナフチルメチルカルボキシアミド)-2’-O-メチルウリジン、5-(N-2-ナフチルメチルカルボキシアミド)-2’-フルオロウリジン、5-(N-1-ナフチルエチルカルボキシアミド)-2’-O-メチルウリジン、5-(N-1-ナフチルエチルカルボキシアミド)-2’-フルオロウリジン、5-(N-2-ナフチルエチルカルボキシアミド)-2’-O-メチルウリジン、5-(N-2-ナフチルエチルカルボキシアミド)-2’-フルオロウリジン、5-(N-3-ベンゾフラニルエチルカルボキシアミド)-2’-デオキシウリジン(BFdU)、5-(N-3-ベンゾフラニルエチルカルボキシアミド)-2’-O-メチルウリジン、5-(N-3-ベンゾフラニルエチルカルボキシアミド)-2’-フルオロウリジン、5-(N-3-ベンゾチオフェニルエチルカルボキシアミド)-2’-デオキシウリジン(BTdU)、5-(N-3-ベンゾチオフェニルエチルカルボキシアミド)-2’-O-メチルウリジン、5-(N-3-ベンゾチオフェニルエチルカルボキシアミド)-2’-フルオロウリジン;5-[N-(1-モルホリノ-2-エチル)カルボキサミド]-2’-デオキシウリジン(MOEdu);R-テトラヒドロフラニルメチル-2’-デオキシウリジン(RTMdU);3-メトキシベンジル-2’-デオキシウリジン(3MBndU);4-メトキシベンジル-2’-デオキシウリジン(4MBndU);3,4-ジメトキシベンジル-2’-デオキシウリジン(3,4DMBndU);S-テトラヒドロフラニルメチル-2’-デオキシウリジン(STMdU);3,4-メチレンジオキシフェニル-2-エチル-2’-デオキシウリジン(MPEdU);4-ピリジニルメチル-2’-デオキシウリジン(PyrdU);または1-ベンズイミダゾール-2-エチル-2’-デオキシウリジン(BidU);5-(アミノ-1-プロペニル)-2’-デオキシウリジン;5-(インドール-3-アセトアミド-1-プロペニル)-2’-デオキシウリジン;または5-(4-ピバロイルベンズアミド-1-プロペニル)-2’-デオキシウリジンを生成することができる。
【0043】
本開示において企図されるアプタマーの修飾は、核酸アプタマー塩基にまたは全体としての核酸アプタマーに、追加的な電荷、分極率、疎水性、水素結合、静電相互作用および官能性を取り込む他の化学基を提供する修飾を限定することなく含む。ヌクレアーゼに対し抵抗性であるオリゴヌクレオチド集団を生成するための修飾は、1個または複数の置換、ヌクレオチド間連結、変更された糖、変更された塩基またはこれらの組合せを含むこともできる。斯かる修飾として、2’位糖修飾、5位ピリミジン修飾、8位プリン修飾、環外アミンにおける修飾、4-チオウリジンの置換、5-ブロモまたは5-ヨード-ウラシルの置換;骨格修飾、ホスホロチオエートまたはアルキルリン酸修飾、メチル化、ならびにイソ塩基であるイソシチジンおよびイソグアノシン等の珍しい塩基対形成組合せが挙げられるがこれらに限定されない。修飾は、キャッピング、例えば、エキソヌクレアーゼ抵抗性を増加させるための3’-3’-dTキャップの付加等、3’および5’修飾を含むこともできる。
【0044】
アプタマーの長さは、可変的となることができる。一部の事例では、アプタマーの長さは、100ヌクレオチド未満である。一部の事例では、アプタマーの長さは、10ヌクレオチドを超える。一部の事例では、アプタマーの長さは、10~90ヌクレオチドの間である。アプタマーは、限定することなく、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85または約90ヌクレオチドの長さとなることができる。
【0045】
一部の実例では、ポリエチレングリコール(PEG)ポリマー鎖が、アプタマーに共有結合により結合され、これは、本明細書において、ペグ化と称される。理論に制約されることは望まないが、ペグ化は、生理的条件でのアプタマーの半減期および安定性を増加させることができる。一部の事例では、PEGポリマーは、アプタマーの5’端に共有結合により結合される。一部の事例では、PEGポリマーは、アプタマーの3’端に共有結合により結合される。一部の事例では、PEGポリマーは、ピリミジンの5位またはプリンの8位を含む、アプタマー内の核酸塩基における特異的部位に共有結合により結合される。
【0046】
一部の事例では、本明細書に記載されているアプタマーは、一般式、H-(O-CH-CH-OHを有するPEGにコンジュゲートされ得る。一部の事例では、本明細書に記載されているアプタマーは、一般式、CHO-(CH-CH-O)-Hのメトキシ-PEG(mPEG)にコンジュゲートされ得る。一部の事例では、アプタマーは、直鎖PEGまたはmPEGにコンジュゲートされる。直鎖PEGまたはmPEGは、最大約30kDの平均分子量を有することができる。複数の直鎖PEGまたはmPEGを、一般的な反応基に連結して、多腕または分枝状PEGまたはmPEGを形成することができる。例えば、2個以上のPEGまたはmPEGを、アミノ酸リンカー(例えば、リシン)またはグリセリン等の別のリンカーを介して一体に連結することができる。一部の事例では、アプタマーは、分枝状PEGまたは分枝状mPEGにコンジュゲートされる。分枝状PEGまたはmPEGは、その総質量によって参照され得る(例えば、2個の連結された20kD mPEGは、40kDの総分子量を有する)。分枝状PEGまたはmPEGは、3本以上の腕を有することができる。多腕分枝状PEGまたはmPEGは、その総質量によって参照され得る(例えば、4個の連結された10kD mPEGは、40kDの総分子量を有する)。一部の事例では、本開示のアプタマーは、約5kD~約200kD、例えば、約5kD、約10kD、約20kD、約30kD、約40kD、約50kD、約60kD、約70kD、約80kD、約90kD、約100kD、約110kD、約120kD、約130kD、約140kD、約150kD、約160kD、約170kD、約180kD、約190kDまたは約200kDの総分子量を有するPEGポリマーにコンジュゲートされる。非限定的な一例では、アプタマーは、約40kDの総分子量を有するPEGにコンジュゲートされる。
【0047】
一部の事例では、ペグ化アプタマーの生成に使用することができる試薬は、20kD、40kDまたは60kD総分子量を有する、一般式:
【化1】
(例えば、式中、各mPEGは、約10kD、20kDまたは約30kDである)を有する分枝状PEG N-ヒドロキシサクシニミド(mPEG-NHS)である。上述の通り、分枝状PEGは、アミノ酸(例えば、リシンまたはグリシン残基)等、いずれか適切な試薬を介して連結され得る。
【0048】
非限定的な一例では、ペグ化アプタマーの生成に使用される試薬は、式:
【化2】
を有する[N-(モノメトキシ20Kポリエチレングリコールカルバモイル)-N-(モノメトキシ20Kポリエチレングリコールカルバモイル)]-リシンN-ヒドロキシサクシニミドである。
【0049】
さらに別の非限定的な例では、ペグ化アプタマーの生成に使用される試薬は、式:
【化3】
(式中、Xは、N-ヒドロキシサクシニミドであり、PEG腕は、およそ均等な分子量のものである)を有する。斯かるPEG構造物は、2腕または単腕直鎖状PEGにコンジュゲートされた同様のアプタマーと比較して低下した粘性を有する化合物を提供することができる。
【0050】
一部の例では、ペグ化アプタマーの生成に使用される試薬は、式:
【化4】
(式中、Xは、N-ヒドロキシサクシニミドであり、PEG腕は、異なる分子量のものである、例えば、この構造物の40kD PEGは、5kDの2本の腕および7.5kDの4本の腕で構成され得る)を有する。斯かるPEG構造物は、2腕PEGまたは単腕直鎖状PEGにコンジュゲートされた同様のアプタマーと比較して、低下した粘性を有する化合物を提供することができる。
【0051】
一部の事例では、ペグ化アプタマーの生成に使用することができる試薬は、一般式:
【化5】
(式中、mPEGは、約20kDまたは約30kDである)を有する非分枝状mPEG-サクシニミジルプロピオネート(mPEG-SPA)である。一例では、反応性エステルは、-O-CH-CH-CO-NHSとなることができる。
【0052】
一部の実例では、ペグ化アプタマーの生成に使用することができる試薬は、NOF Corporation、Japan製のSunbright(商標)シリーズ等、グリセロールにより連結された分枝状PEGを含むことができる。これらの試薬の非限定的な例として、次のものが挙げられる:
【化6】
【化7】
【0053】
別の例では、試薬は、一般式:
【化8】
(式中、mPEGは、10~30kDの間である)を有する非分枝状mPEGサクシニミジルアルファ-メチルブタノエート(mPEG-SMB)を含むことができる。一例では、反応性エステルは、-O-CH-CH-CH(CH)-CO-NHSとなることができる。
【0054】
他の実例では、PEG試薬は、一般式:
【化9】
を有するニトロフェニルカーボネート連結されたPEGを含むことができる。
【0055】
ニトロフェニルカーボネートを含む化合物は、一級アミン含有リンカーにコンジュゲートされ得る。
【0056】
一部の事例では、ペグ化アプタマーの生成に使用される試薬は、チオール修飾リンカーと共に使用することができる、チオール-反応基を有するPEGを含むことができる。非限定的な一例として、次の一般構造:
【化10】
(式中、mPEGは、約10kD、約20kDまたは約30kDである)を有する試薬を挙げることができる。別の非限定的な例として、次の一般構造:
【化11】
(式中、各mPEGは、約10kD、約20kDまたは約30kDであり、総分子量は、それぞれ約20kD、約40kDまたは約60kDである)を有する試薬を挙げることができる。上述の通り、チオール修飾リンカーと共に使用することができるチオール反応基を有する分枝状PEGは、分枝状PEGが約40kDまたは約60kDの総分子量を有する(例えば、各mPEGが約20kDまたは約30kDである)試薬を含むことができる。
【0057】
一部の事例では、ペグ化アプタマーの生成に使用される試薬は、次の構造:
【化12】
を有する試薬を含むことができる。一部の事例では、反応は、約pH6~約pH10の間で、または約pH7~pH9の間でまたは約pH8で行われる。
【0058】
一部の事例では、アプタマーは、単一のPEG分子に会合される。他の事例では、アプタマーは、2個またはそれよりも多いPEG分子に会合される。
【0059】
一部の事例では、本明細書に記載されているアプタマーは、所望の生物学的特性を有する1個または複数の分子に結合またはコンジュゲートされ得る。いかなる数の分子も、アプタマーに結合またはコンジュゲートされてよく、非限定的な例として、抗体、ペプチド、タンパク質、炭水化物、酵素、ポリマー、薬物、小分子、金ナノ粒子、放射標識、蛍光標識、色素、ハプテン(例えば、ビオチン)、他のアプタマーまたは核酸(例えば、siRNA)が挙げられる。一部の事例では、アプタマーは、アプタマーの安定性、溶解性またはバイオアベイラビリティを増加させる分子にコンジュゲートされ得る。非限定的な例として、ポリエチレングリコール(PEG)ポリマー、炭水化物および脂肪酸が挙げられる。一部の事例では、細胞浸透ペプチド等、アプタマーの輸送または送達を改善する分子を使用することができる。細胞浸透ペプチドの非限定的な例として、Tatに由来するペプチド、ペネトラチン、ポリアルギニンペプチドArg配列(配列番号90)、トランスポータン、単純ヘルペスウイルス(HSV)由来のVP22タンパク質、Buforin IおよびSynB等の抗菌ペプチド、ポリプロリンスイートアローペプチド分子、Pep-1およびMPGを挙げることができる。一部の実施形態では、アプタマーは、コレステロール、ジアルキルグリセロール、ジアシルグリセロール等の親油性化合物、またはポリエチレングリコール(PEG)等の非免疫原性高分子量化合物もしくはポリマー、またはポリアミノアミン(PAMAM)およびデキストランもしくはポリオキサゾリン(POZ)等の多糖が挙げられるがこれらに限定されない、他の水溶性の薬学的に許容されるポリマーにコンジュゲートされる。
【0060】
コンジュゲートされるべき分子は、目的のアプタマーと共有結合により結合され得るまたは非共有結合相互作用により会合され得る。一例では、コンジュゲートされるべき分子は、アプタマーに共有結合により取り付けられる。共有結合による取り付けは、アプタマーにおける種々の位置で、例えば、塩基における環外アミノ基、ピリミジンヌクレオチドの5位、プリンヌクレオチドの8位、リン酸のヒドロキシル基、または5’もしくは3’末端におけるヒドロキシル基もしくは他の基に起こることができる。一例では、共有結合による取り付けは、アプタマーの5’または3’ヒドロキシル基に為される。
【0061】
一部の事例では、アプタマーは、直接的に、またはスペーサーもしくはリンカーの使用により、別の分子に取り付けることができる。例えば、親油性化合物または非免疫原性高分子量化合物は、リンカーまたはスペーサーを使用して、アプタマーに取り付けることができる。様々なリンカーおよび取り付けのための化学が、本技術分野で公知である。非限定的な例では、6-(トリフルオロアセトアミド)ヘキサノール(2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピル)ホスホラミダイトを使用して、合成されたアプタマーの5’端にヘキシルアミノリンカーを付加することができる。このリンカーは、本明細書に提供されている他のアミノリンカーと同様に、アミンを保護する基が除去されると、PEG-NHSエステルと反応されて、共有結合により連結されたPEG-アプタマーを産生することができる。リンカーホスホラミダイトの他の非限定的な例として、構造:
【化13】
を有するTFA-アミノC4 CEDホスホラミダイト;
構造:
【化14】
を有する5’-アミノ修飾因子C3 TFA;
構造:
【化15】
を有するMTアミノ修飾因子C6 CEDホスホラミダイト;
構造:
【化16】
を有する5’-アミノ修飾因子5;
構造:
【化17】
を有する5’-アミノ修飾因子C12;
および構造:
【化18】
を有する5’チオール-修飾因子C6を挙げることができる。
【0062】
5’-チオール修飾リンカーは、例えば、PEG-マレイミド、PEG-ビニルスルホン、PEG-ヨードアセトアミドおよびPEG-オルトピリジル-ジスルフィドと共に使用することができる。一例では、アプタマーは、マレイミドまたはビニルスルホン官能性を介して5’-チオールに結合され得る。
【0063】
一部の事例では、本開示に従って製剤化されたアプタマーは、リポソーム内への被包によって修飾することもできる。他の事例では、本開示に従って製剤化されたアプタマーは、ミセル内への被包によって修飾することもできる。リポソームおよびミセルは、いずれかの脂質で構成されていてよく、一部の事例では、脂質は、ホスファチジルコリンを含むリン脂質となることができる。
【0064】
一部の事例では、本明細書に記載されているアプタマーは、副補体経路酵素に関連する機能を阻害するように設計される。一例では、抗fDアプタマーは、fDに関連する機能を阻害するように使用される(例えば、fDの触媒活性を阻害する)。他の事例では、本明細書に記載されているアプタマーは、副補体経路の2個またはそれよりも多いタンパク質の相互作用または結合を防止するように設計される。一例では、アプタマーは、fDに結合し、fDへの複合体C3bBbの結合を防止する。本明細書に記載されているアプタマーは、fDに関連する機能を阻害する抗体またはその抗体断片によって認識されるfDの領域に結合することができる。一部の事例では、fDに関連する機能を阻害する抗体またはその抗体断片は、
【化19】
の重鎖可変領域のアミノ酸配列および
【化20】
【化21】
の軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する。
【0065】
一部の事例では、fDに関連する機能を阻害する抗体またはその抗体断片は、
【化22】
の重鎖可変領域のアミノ酸配列;および
【化23】
の軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する。
【0066】
本明細書に記載されているアプタマーは、fDに関連する機能を阻害する小分子阻害剤によって認識されるfDの領域に結合することができ、非限定的な例として、ジクロロイソクマリンまたは図13A図13Dに描写されている化合物のうちいずれか1種が挙げられる。本明細書に記載されているアプタマーは、fDに関連する機能を阻害するペプチド阻害剤によって認識されるfDの領域に結合することができる。
【0067】
一部の事例では、本開示のアプタマーは、表1に記載されている次の配列のうち1種を含む。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【0068】
一部の態様では、本開示のアプタマーは、アプタマー1~3(配列番号1~3)のうちいずれか1種の核酸配列を含む。一部の事例では、アプタマー1~3のうちいずれか1種は、1個または複数の修飾ヌクレオチドを含む。好まれる例では、本開示のアプタマーは、アプタマー1~3のうち1種を含み、Gは、2’Fであり、A、CおよびUは、2’OMe修飾RNAである。一部の態様では、本開示のアプタマーは、アプタマー54~63(配列番号54~63)のうちいずれか1種の核酸配列を含む。一部の事例では、アプタマー54~63のうちいずれか1種は、1個または複数の修飾ヌクレオチドを含む。好まれる例では、本開示のアプタマーは、アプタマー54~63のうち1種を含み、W=5-(インドール-3-アセトアミド-1-プロペニル)-2’-デオキシウリジン;X=5-(アミノ-1-プロペニル)-2’-デオキシウリジン;およびY=5-(4-ピバロイルベンズアミド-1-プロペニル)-2’-デオキシウリジンである。
【0069】
一部の事例では、本開示のアプタマーは、本明細書に記載されているいずれかのアプタマーと、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%配列同一性を有することができる。例えば、本開示の抗fDアプタマーは、表1に記載されているいずれかのアプタマーと、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%配列同一性を有することができる。一部の事例では、本開示のアプタマーは、本明細書に記載されているいずれかのアプタマーと、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%配列相同性を有することができる。例えば、本開示の抗fDアプタマーは、表1に記載されているいずれかのアプタマーと、少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%配列相同性を有することができる。
【0070】
特異的ヌクレオチド修飾が列挙されたような事例では、いかなる数および種類のヌクレオチド修飾も置換されてよいことを理解されたい。例えば、2’OMeGは、2’FGに代えて置換され得る。ヌクレオチド修飾の非限定的な例を本明細書に提供してきた。一部の実例では、アプタマーのヌクレオチドの全てが修飾されている。一部の実例では、本開示のアプタマーのヌクレオチドの少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%が修飾されていてよい。
【0071】
一部の実例では、アプタマーは、次の核酸配列(5’から3’へ)のうち1種も含まない:
【化24】
抗fD組成物
【0072】
fDは、副補体経路の構成成分であり、AMDおよび他の眼障害の病態形成に関与すると考えられる。fDは、タンパク質分解活性の発現のためにチモーゲンの切断を要求しないという点において、セリンプロテアーゼの中でも特有である。むしろ、fDは、fDの触媒中心および基質結合部位の可逆的再配向をもたらす、複合体C3bBによって誘導されると考えられる立体構造変化を要求する。fDは主に、脂肪細胞によって産生され、血清において低レベルで全身的に利用できる。fDは、fDの触媒活性を防止する自己阻害ループを含有する。fDへのC3bB複合体の結合は、自己阻害ループを転置し、fDは、C3bBを切断して、C3コンバターゼC3bBbを形成する。fDの触媒活性は、複合体形成したfBの文脈においてのみ起こる;fDは、複合体形成していないfBを切断しない。fD、fBおよびC3bの複合体は、fDがその律速(rate-limited)酵素である副補体経路の増幅ループを形成する。
【0073】
一部の態様では、本明細書に記載されている方法および組成物は、副補体経路の増幅ステップの阻害をもたらすfDの阻害が関与する。本明細書における抗fD組成物は、眼疾患の処置のための1種または複数の抗fDアプタマーの使用が関与し得る。一部の事例では、眼疾患は、黄斑変性である。一部の事例では、黄斑変性は、加齢性黄斑変性である。一部の事例では、加齢性黄斑変性は、乾性加齢性黄斑変性である。一部の事例では、乾性加齢性黄斑変性は、進行型乾性加齢性黄斑変性(すなわち、地図状萎縮)である。一部の事例では、加齢性黄斑変性は、湿性加齢性黄斑変性である。一部の事例では、黄斑変性は、シュタルガルト病またはシュタルガルト様疾患である。
抗fD阻害剤
【0074】
本明細書に開示されている抗fD組成物は、高い特異性および親和性でfDの特異的領域に結合するように設計することができる。組成物は、酵素の触媒活性を直接的にまたは間接的に阻害するような仕方で、fDに結合することができる。一部の事例では、抗fDアプタマーは、fDの活性部位(例えば、触媒クレフト)に結合し、fDの触媒活性を直接的に阻害することができる。この例では、アプタマーは、fDの活性部位(例えば、触媒クレフト)を標的とするように設計することができる。アプタマーが、fDの活性部位に結合されると、基質(例えば、C3bB)が、活性部位にアクセスすることを防止することができる。一部の事例では、抗fDアプタマーは、fDのエキソサイトに結合し、例えば、C3bBの結合を防止することにより、fDの触媒活性を間接的に阻害することができる。一部の事例では、エキソサイトは、触媒部位から遠隔となることができる。他の事例では、触媒部位とある程度の重複があってよい。一部の事例では、抗fDアプタマーは、fDの自己阻害ループに結合して、自己阻害ループの転置を防止し、これにより、fDの活性化を防止することができる。
【0075】
fDのアミノ酸残基は、キモトリプシンナンバリングスキームに従って参照することができ、このナンバリング方式は、本開示を通して、fDの特異的アミノ酸残基を指すように使用されている。fDのキモトリプシンナンバリングスキームは、図14に描写されている通りとなることができる(配列番号94)(キモトリプシンナンバリングはアミノ酸配列の上に表示し、fDナンバリングスキームはアミノ酸配列の下に表示した)。
【0076】
本明細書に記載されている抗fDアプタマーは、fDまたはそのfDバリアントの活性をモジュレートまたは阻害することができる。fDバリアントは、本明細書において、fDと基本的に同じ機能を果たすバリアントを包含する。fDバリアントは、fDと基本的に同じ構造を含み、一部の事例では、fDタンパク質のアミノ酸配列(上に示す)に対する少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%または99.9%配列同一性を含む。
【0077】
本開示のある特定の実施形態では、fDのエピトープに特異的に結合するfDアプタマーの同定のための方法が提供される。このような方法を利用して、例えば、アプタマーの結合部位および/または作用機序を決定することができる。
【0078】
一実例では、赤血球細胞の副補体依存性溶血においてfDアプタマーを検査するための方法が提供される。C1q枯渇により古典的補体経路が欠損させられたヒト血清は、fDに依存し得る活性である、ウサギ赤血球細胞を溶解するために副補体活性に依存し得る(Katschke、Wu、Ganesanら(2012年)Inhibiting alternative pathway complement activation by targeting the Factor D exosite.、J. Biol. Chem.287巻、12886~12892頁)。一部の事例では、本明細書に開示されているfDアプタマーは、赤血球細胞の副補体依存性溶血を阻害することができる(実施例4を参照)。
【0079】
別の実例では、fDエステラーゼ活性アッセイにおいてfDアプタマーを検査するための方法が提供される(実施例5を参照)。fDの修飾ペプチド基質、Z-lys-S-Bzlの切断は、切断産物還元5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)によってモニターすることができる。FDは、ペプチドチオエステル基質を使用する場合、他の補体プロテアーゼよりも低い触媒反応速度を有することができ、斯かる一基質Z-lys-SBzlは、fDによって切断され、合成基質として有用であることが判明した(fDは、Kam、McRaeら(1987年)Human complement proteins D, C2, and B.、J. Biol. Chem.262巻、3444~3451頁においてタンパク質Dと呼ばれる)。一部の事例では、fDに結合する分子は、触媒クレフトにおいて結合して、fDの触媒残基へのペプチド基質のアクセスを立体的に防止することにより、触媒活性を遮断することができる(Katschke、Wu、Ganesanら(2012年)Inhibiting alternative pathway complement activation by targeting the Factor D exosite.、J. Biol. Chem.287巻、12886~12892頁)。他の事例では、fDに結合する分子は、酵素の構造変化を誘導するアロステリック機序によって触媒活性を遮断することができる。さらに他の事例では、fDに結合する分子は、fDエキソサイト領域に結合して、合成修飾ペプチド基質Z-Lys-SBzlではなく、生理的基質タンパク質C3bBの結合を立体的に阻害することができる(Katschke、Wu、Ganesanら(2012年)Inhibiting alternative pathway complement activation by targeting the Factor D exosite.、J. Biol. Chem.287巻、12886~12892頁)。一部の実例では、分子が、fD結合およびFBのタンパク質分解性切断を阻害するが、Z-Lys-SBzlを阻害しない場合、結合は、抗D因子FAb抗体断片が、エキソサイトに結合し、fD切断Z-Lys-S-Bzlを増加させる僅かな立体構造変化を誘導する仕方と同様のものになり得る(Katschke、Wu、Ganesanら(2012年)Inhibiting alternative pathway complement
activation by targeting the Factor D exosite.、J. Biol. Chem.287巻、12886~12892頁)。
【0080】
別の実例では、精製タンパク質fD、FBおよびC3bで構成された、再構成された生化学的fD活性アッセイにおけるfDアプタマーを検査するための方法が提供される(実施例6を参照)。fDが、FBおよびC3bの複合体(C3bB)に結合すると、FBは、fDによって断片BaおよびBbへと切断される(Katschke、Wu、Ganesanら(2012年)Inhibiting alternative pathway complement activation by targeting the
Factor D exosite.、J. Biol. Chem.287巻、12886~12892頁)。fDの活性は、Baに特異的に結合する抗体(Quidel、A033)を使用するELISAを使用して、またはBaレベルを測定するための本技術分野で公知の他の手段によって、FB切断およびBa断片産生の速度によってモニターすることができる。一部の事例では、FBおよびC3bの濃度は等しいため、1:1複合体を形成し、これは次いで、fDに結合し、酵素活性を有するfDが、FBを断片BaおよびBbへと切断することを可能にすることができる。一部の事例では、FB:C3b複合体は、fDの4倍過剰で存在する。他の事例では、fDおよび/またはC3bBの濃度は、kcat、Kおよびkcat/Kが挙げられるがこれらに限定されない、酵素定数を測定するような様式で変動される。
【0081】
さらに別の実例では、複合体におけるC3bBへのfD結合の同定のための方法が提供される(実施例7を参照)。FDは、副補体経路における律速酵素であり、プロコンバターゼC3bBおよびC3bBを変換して、活性C3コンバターゼC3bBbまたは活性C5コンバターゼC3bBbを形成する(Katschkeら、2012年)。FBとの安定複合体におけるfDを検出するための表面プラズモン共鳴(SPR)のため、FB:C3b複合体への結合によりFBを切断しないように、触媒的に不活性なfD(S195A)を使用することができる(Katschke、Wu、Ganesanら(2012年)Inhibiting alternative pathway complement activation by targeting the Factor D
exosite.、J. Biol. Chem.287巻、12886~12892頁)。C3bが、CM5チップにアミンカップリングされると、SPRは、質量増加としてFBの結合を検出することができ、C3b:FB複合体へのfDの結合は、さらなる質量増加として検出することができる。一態様では、fD結合化合物は、SPRによって検出される質量低下によって決定される通り、fDに結合し、FB:C3bへのfD結合を防止するアプタマーである。
【0082】
一部の事例では、シュタルガルト病の細胞モデルを使用して、抗fDアプタマーの活性を検出することができる(実施例8を参照)。網膜色素上皮(RPE)細胞は、シュタルガルト病進行の初期に細胞死を起こす場合があり、証拠は、RPE細胞死における副補体経路(AP)の関与を指し示す(Berchuck、Yangら(2013年)All-trans-retinal(atRal) sensitizes human RPE cells to alternative complement pathway-induced cell death.、Invest Ophthalmol Vis Sci 54巻、2669~2677頁)。ARPE-19細胞は、19歳男性の正常な目に由来する自発的に生じるRPE細胞株である。特異的培養培地において培養された立方状基底細胞層を使用して確立されたARPE-19細胞株は、RPE特異的マーカーの細胞性レチンアルデヒド結合タンパク質およびRPE-65を発現する。シュタルガルト病は、オールトランスレチナールをプロセシングするタンパク質をコードするABCA4遺伝子にホモ接合型突然変異を有する患者において起こる遺伝性若年性黄斑変性である(Molday(2007年)ATP-binding cassette transporter ABCA4: molecular properties and role in vision and macular degeneration.、J. Bioenerg Biomembr 39巻、507~517頁)。シュタルガルト病のABCA4およびRDH8マウスモデルは、蓄積されたatRalに起因する網膜病理を呈し、ABCA4突然変異は、AMD患者の16%において存在し、上昇したatRalが、シュタルガルト病およびAMD疾患進行に寄与し得ることを示唆する(Berchuckら、2013年)。機構的には、atRalは、in vitroでRPE細胞におけるCD46およびCD59の発現を減少させ、これは、RPE細胞膜に結合する抗RPE抗体に応答して、副補体によって媒介される細胞溶解に対する感受性を増加させた(Berchuckら、2013年)。一部の事例では、本開示は、ヒト網膜色素性上皮細胞の副補体媒介性溶解を阻害するfD阻害剤の同定を提供する。
【0083】
本明細書に開示されている抗fDアプタマーは、一部の事例では、活性部位クレフトを含むfDの領域に結合することができる。C3bBへの結合による活性化後に、fDは、fBに向けたセリンプロテアーゼ活性を示す。基質結合によるfDの活性化は、二段階プロセスである:第一に、fDは、ループ内のそのエキソサイト残基145~149、169~173、185~188および220~224を介して主に相互作用する、fBのフォン・ヴィルブランド因子A型(VWA)-セリンプロテアーゼ(SP)界面においてオープンC3bB立体配置でfBに結合する。C3bBへのfDの結合は、fDの自己阻害ループを活性部位クレフトから転置させる。fDの全般的構造物は、2個の逆平行ベータバレルドメインで構成され、各ドメインは、両方のドメインにおいて同じトポロジーを有する6または7個のベータストランドで構成される。ベータストランドは、14個のターン/ループおよび3個の短いアルファヘリックスによって接続される。活性部位クレフトは、2個のベータバレルの間に形成されたループ内に位置し、ヘリックス1、ループ7およびベータストランド7、ループ11およびベータストランド11、ベータストランド12、ループ13およびベータストランド13を含む構造的エレメントを包含する(Jingら、1998年)。活性部位クレフトに結合するアプタマーは、その内部に活性部位クレフトが存するfDの部分を含む、アルファヘリックス、ループおよびベータストランドのいずれかの部分を認識することができ、この領域に結合することにより、活性部位クレフトへのアクセスを防止することができる。斯かる残基は、触媒三連構造、His57、Asp102およびSer195、残基193およびSer195の骨格アミンを含むオキシアニオンホール、残基16、194およびSer195含む塩橋を介して触媒三連構造をオキシアニオンホールに連結する残基、残基189~192、214~216および224~228を含むS1ポケット、ならびにS2、S3、S4およびSnポケットを含む残基を含む特異性ポケットの他のエレメントを含む。特に、斯かるアプタマーは、fDの特異性ポケットS2~SnとfBのP2~Pn残基の相互作用を防止するであろう。一部の事例では、本明細書に記載されているアプタマーは、fDの活性部位クレフトまたは活性部位クレフトを含む領域に特異的に結合する。活性部位クレフトまたは活性部位クレフトを含む領域に結合すると言われるアプタマーは、触媒三連構造(His57、Asp102およびSer195);残基193およびSer195の骨格アミンを含むオキシアニオンホール;残基16、194およびSer195を含む塩橋を介して触媒三連構造をオキシアニオンホールに連結する残基;残基189~192、214~216および224~228を含むS1ポケット;ならびにS2、S3、S4およびSnポケットを含む残基を含む特異性ポケットの他のエレメントを含む領域のうち1種または複数に結合するいずれかのアプタマーを含むことができる。
【0084】
斯かるfD阻害剤は、赤血球細胞の副補体依存性溶血を阻害することができ、Z-Lys-S-Bzl等のfDのチオエステル基質に対するfDのエステラーゼ活性を阻害することができ、fDによるC3bB複合体におけるfB切断を阻害することができる。エステラーゼアッセイにおいて、斯かる阻害剤は、fDのkcatを低下させ、Kを増加させることができ、主な効果は、kcatの減少およびkcat/K(Hedstrom)の減少である。完全生化学アッセイにおいて、斯かる阻害剤は、kcatを減少させ、Kを増加させることができ、主な効果は、kcatの減少およびkcat/Kの減少である。斯かる阻害剤は、FornerisらもしくはKatschkeらに記載されている表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイ等の酵素アッセイもしくは酵素-基質アセンブリアッセイ、またはELISAもしくは同様のアッセイによって評価される同様のE-Sアセンブリアッセイにおいて評価された場合に、酵素-基質複合体(fD-C3bB複合体)の形成を防止しない場合がある。
【0085】
本明細書に開示されている抗fDアプタマーは、一部の事例では、fDの自己阻害状態を安定化することができるように、自己阻害ループ(残基212~218)および自己阻害ループに隣接する領域を含むfDの領域に結合することができる。成熟fDは、fDの自己阻害ループと称することができる、残基212~218の立体構造を含む遊離fD状態の立体構造のセットにより、自己阻害状態を維持する。これらの残基は、ポリペプチド結合部位の部分、およびfDのS1特異性ポケットを含むことができる。fDの不活性状態において、このループは、上昇した立体構造をとり、触媒三連構造およびS1特異性ポケットの鍵となる構成成分と特異的結合を形成し、fDを不活性にする。一部の事例では、本開示の抗fD化合物は、fDの活性化を防止するために、fDの自己阻害ループを標的とするように設計される。例えば、抗fD化合物は、自己阻害ループの活性部位クレフトからの転置を防止するために、自己阻害ループまたは自己阻害ループの周囲の領域に結合することができる。一部の事例では、抗fD化合物は、fDの残基212~218を標的とするように設計することができる。抗fDアプタマーが、fDのアミノ酸残基212~218のうち1個または複数を含む領域に結合する場合、斯かる抗fDアプタマーは、fDの自己阻害ループまたはその部分に結合すると言うことができる。
【0086】
斯かるfD阻害剤は、赤血球細胞の副補体依存性溶血を阻害することができ、Z-Lys-S-Bzl等のfDのチオエステル基質に対するfDのエステラーゼ活性を阻害することができ、fDによるC3bB複合体におけるfB切断を阻害することができる。エステラーゼアッセイにおいて、斯かる阻害剤は、fDのkcatを低下させ、Kを増加させることができ、主な効果は、kcatの減少およびkcat/Kの減少である。完全生化学アッセイにおいて、斯かる阻害剤は、kcatを減少させ、Kを増加させることができ、主な効果は、kcatの減少およびkcat/Kの減少である。斯かる阻害剤は、FornerisらもしくはKatschkeらに記載されている表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイ等の酵素アッセイもしくは酵素-基質アセンブリアッセイ、またはELISAもしくは同様のアッセイによって評価される同様のE-Sアセンブリアッセイにおいて評価された場合に、酵素-基質複合体(fD-C3bB複合体)の形成を防止しない場合がある。
【0087】
本明細書に開示されている抗fDアプタマーは、一部の事例では、ES複合体の形成を防止することができるように、fDのエキソサイトに結合することができる。理論に制約されることは望まないが、fBに対するfDの高い特異性は、fDおよびfBのエキソサイトの間のタンパク質間相互作用によるものである場合がある。fDのエキソサイトは、触媒中心からおよそ25Åであり、残基145~149、169~173、185~188および220~224で構成された(comprised by)4個のループからなる。一部の事例では、本開示の抗fD化合物は、fDのエキソサイトを標的とし、fBとfDとの相互作用を防止することができる。この性質の抗fD化合物は、fDエキソサイトの4個のループのうち1個または複数を標的とすることができ、例えば、抗fD化合物は、fDのアミノ酸残基145~149、169~173、185~188および220~224のうち1個または複数を標的とするように設計することができる。抗fDアプタマーが、アミノ酸残基145~149、169~173、185~188および220~224のうち1個または複数に結合する場合、斯かるアプタマーは、fDのエキソサイトに結合すると言うことができる。
【0088】
fDへのC3bB基質の結合を遮断するアプタマー阻害剤は、赤血球細胞の副補体依存性溶血を阻害することができる。斯かる阻害剤は、ヒトfDに結合された場合の抗fD Fabに観察される通り(Katschkeら)、Z-Lys-S-Bzl等のfDのチオエステル基質に対するfDのエステラーゼ活性を増強することができる。あるいは、fDのエキソサイトに結合するアプタマーは、例えば、Katschkeらにおける抗fD
Fabが、カニクイザル由来のfDに結合する場合のように、fDのエステラーゼ活性に影響を与えないことがあり、これは、fDエステラーゼ活性を阻害も増強もしない。エキソサイト結合アプタマーは、fDによるC3bB複合体におけるfB切断を阻害するであろう。エステラーゼアッセイにおいて、斯かる阻害剤は、kcatを増加させ、fDのKに影響が全くないまたは最小となることができ、主な効果は、kcatの増加およびkcat/Kの増加である、あるいは斯かる阻害剤は、kcatにもKにもkcat/Kにも影響を与えない。完全生化学アッセイにおいて、斯かる阻害剤は、主に、Kを増加させ、kcat/Kを減少させるであろう。斯かる阻害剤は、FornerisらもしくはKatschkeらに記載されている表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイ等の酵素アッセイもしくは酵素-基質アセンブリアッセイ、またはELISAもしくは同様のアッセイによって評価される同様のESアセンブリアッセイにおいて評価された場合に、酵素-基質複合体(fD-C3bB複合体)の形成を防止することができる。
【0089】
fBのfD活性化の触媒ターンオーバーは、非生産的状態でまたはfB切断後のEP(fD-C3bBb)複合体において結合された場合、ES複合体の解離を要求する。本明細書に開示されている抗fDアプタマーは、一部の事例では、C3bBまたはC3bBbからのfDの解離を防止するような仕方で、fDに結合することができる。想定される通り、斯かるアプタマーは、fDのエキソサイト付近に結合し、C3bBまたはC3bBbに対するfDの親和性を増加させるような様式で、この相互作用のオフレートを減少させることにより、fDに結合することができる。例えば、Ser195がAla195に突然変異された突然変異体型(Fornerisら)等、触媒的に不活性化された型のfDを使用することにより、斯かるアプタマーをfD-C3bB複合体に対する選択により生成して、選択のための標的としての安定した非反応性ES複合体を提供することができる。斯かる作用機序を保有するアプタマーは、赤血球細胞の副補体依存性溶血を阻害するであろう。斯かる阻害剤は、Z-Lys-S-Bzl等のfDのチオエステル基質に対するfDのエステラーゼ活性を阻害することができる、またはfDのエステラーゼ活性に影響を与えなくてもよい。斯かる結合アプタマーは、fDによるC3bB複合体におけるfB切断のターンオーバーを阻害するであろう。エステラーゼアッセイにおいて、斯かる阻害剤は、kcatを減少させ、fDのKにおける影響が全くないまたは最小となることができ、主な効果は、kcatの減少およびkcat/Kの減少である、または斯かる阻害剤は、kcatにもKにもkcat/Kにも影響を与えないであろう。完全生化学アッセイにおいて、斯かる阻害剤は、主に、Kcatを減少させ、kcat/Kを減少させるであろう。斯かる阻害剤は、Fornerisらに記載されている表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイ等の酵素アッセイまたは酵素-基質アセンブリアッセイにおいて評価された場合、酵素-基質複合体(fD-C3bB複合体)の形成を増強し、C3bBまたはC3bBbに対するfDの見かけ上の親和性を増加させることができる。
【0090】
一部の事例では、本明細書に記載されているアプタマーは、抗fD抗体またはその抗体断片と同じエピトープに結合することができる。一部の事例では、本明細書に記載されているアプタマーは、抗fD治療用抗体と同じエピトープに結合することができる。例えば、抗fDアプタマーは、配列番号71に従った重鎖可変領域のアミノ酸配列および配列番号72に従った軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗fD Fab;または配列番号85もしくは86のいずれか1種に従った重鎖可変領域のアミノ酸配列および配列番号87~89に従った軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗fD Fab;またはMab 166-3もしくはLS-C135735等、抗fD治療用抗体が結合するものと同じまたは同様のfDの領域に結合することができる。例えば、配列番号71に従った重鎖可変領域および配列番号72に従った軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗fD Fabは、残基129~132、残基164~178、Arg223およびLys224に結合することができ、相互作用の大部分は、アミノ酸170を包含するループ(「170ループ」)が関与する。一部の事例では、配列番号71に従った重鎖可変領域および配列番号72に従った軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗fD Fabが結合するものと同じまたは同様のfDの領域(例えば、アミノ酸残基129~132、164~178、Arg223およびLys224のうち1個または複数を含む領域)に結合するアプタマーは、fDのエキソサイトに結合していると言うことができる。
【0091】
一部の事例では、fDのモジュレーションのための抗fDアプタマーが提供される。一部の事例では、fDに関連する機能の阻害のための抗fDアプタマーが提供される。一部の事例では、抗fDアプタマーは、fDの触媒活性を阻害する。一部の事例では、乾性AMDまたは地図状萎縮の処置のための抗fDアプタマーが提供される。一部の事例では、湿性AMDの処置のための抗fDアプタマーが提供される。一部の事例では、シュタルガルト病の処置のための抗fDアプタマーが提供される。
【0092】
解離定数(K)を使用して、標的に対するアプタマーの親和性を描写することができる(またはどの程度緊密にアプタマーが標的に結合するかを描写することができる)、または標的の特異的エピトープ(例えば、エキソサイト、触媒クレフト等)に対するアプタマーの親和性を描写することができる。解離定数は、標的の結合部位の半分がアプタマーによって占有されるモル濃度として規定される。よって、Kが小さいほど、その標的へのアプタマーの結合は、より緊密となる。一部の事例では、抗fDアプタマーは、1mM未満、100μM未満、10μM未満、1μM未満、100nM未満、10nM未満、1nM未満、500pM未満または100pM未満の、fDタンパク質に対する解離定数(K)を有する。一部の事例では、抗fDアプタマーは、50nM未満のfDタンパク質に対する解離定数(K)を有する。一部の事例では、抗fDアプタマーは、25nM未満のfDタンパク質に対する解離定数(K)を有する。一部の事例では、抗fDアプタマーは、10nM未満のfDタンパク質に対する解離定数(K)を有する。一部の事例では、抗fDアプタマーは、5nM未満のfDタンパク質に対する解離定数(K)を有する。一部の事例では、抗fDアプタマーは、500pM未満のfDタンパク質に対する解離定数(K)を有する。一部の事例では、抗fDアプタマーは、50pM未満のfDタンパク質に対する解離定数(K)を有する。一部の事例では、抗fDアプタマーは、5pM未満のfDタンパク質に対する解離定数(K)を有する。一部の事例では、アプタマーは、約1mM、100μM、10μM、1μM、100nM、50nM、25nM、10nM、5nM、500pM、50pMまたは5pM未満のKで、fDの触媒クレフト、活性部位、エキソサイトおよび/または自己阻害ループに結合する。一部の事例では、Kは、本明細書に記載されているフローサイトメトリーアッセイによって決定される。
【0093】
本明細書に開示されているアプタマーは、約50nM未満のKで、fDの触媒クレフトに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約50nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約50nM未満のKで、fDの触媒クレフトに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約10nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約50nM未満のKで、fDの触媒クレフトに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約5nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約10nM未満のKで、fDの触媒クレフトに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約50nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約10nM未満のKで、fDの触媒クレフトに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約10nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約10nM未満のKで、fDの触媒クレフトに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約5nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約5nM未満のKで、fDの触媒クレフトに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約50nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約5nM未満のKで、fDの触媒クレフトに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約10nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約5nM未満のKで、fDの触媒クレフトに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約5nM未満のIC50を有することができる。
【0094】
本明細書に開示されているアプタマーは、約50nM未満のKで、fDの活性部位に結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約50nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約50nM未満のKで、fDの活性部位に結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約10nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約50nM未満のKで、fDの活性部位に結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約5nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約10nM未満のKで、fDの活性部位に結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約50nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約10nM未満のKで、fDの活性部位に結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約10nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約10nM未満のKで、fDの活性部位に結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約5nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約5nM未満のKで、fDの活性部位に結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約50nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約5nM未満のKで、fDの活性部位に結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約10nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約5nM未満のKで、fDの活性部位に結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約5nM未満のIC50を有することができる。
【0095】
本明細書に開示されているアプタマーは、約50nM未満のKで、fDのエキソサイトに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約50nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約50nM未満のKで、fDのエキソサイトに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約10nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約50nM未満のKで、fDのエキソサイトに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約5nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約10nM未満のKで、fDのエキソサイトに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約50nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約10nM未満のKで、fDのエキソサイトに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約10nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約10nM未満のKで、fDのエキソサイトに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約5nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約5nM未満のKで、fDのエキソサイトに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約50nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約5nM未満のKで、fDのエキソサイトに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約10nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約5nM未満のKで、fDのエキソサイトに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約5nM未満のIC50を有することができる。
【0096】
本明細書に開示されているアプタマーは、約50nM未満のKで、fDの自己阻害ループに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約50nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約50nM未満のKで、fDの自己阻害ループに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約10nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約50nM未満のKで、fDの自己阻害ループに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約5nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約10nM未満のKで、fDの自己阻害ループに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約50nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約10nM未満のKで、fDの自己阻害ループに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約10nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約10nM未満のKで、fDの自己阻害ループに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約5nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約5nM未満のKで、fDの自己阻害ループに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約50nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約5nM未満のKで、fDの自己阻害ループに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約10nM未満のIC50を有することができる。本明細書に開示されているアプタマーは、約5nM未満のKで、fDの自己阻害ループに結合することができ、C3溶血アッセイによって測定された場合、約5nM未満のIC50を有することができる。
【0097】
一部の態様では、本明細書に開示されているアプタマーは、抗体を含む他の治療薬と比較して、改善された半減期を有する。一部の事例では、アプタマーは、抗体と比較して、生体液または溶液において改善された半減期を有する。一部の事例では、アプタマーは、抗体と比較して、in vivoで改善された半減期を有する。一例では、アプタマーは、抗体と比較して、目に注射された場合に改善された半減期を有する(眼内半減期)。一部の事例では、アプタマーは、ヒトの目に注射された場合に改善された眼内半減期を有することができる。一部の事例では、アプタマーは、生理的条件下で抗体を上回る改善された安定性を実証することができる。
【0098】
一部の事例では、本明細書に記載されているアプタマーは、ヒトにおける少なくとも7日間の眼内半減期を有する。一部の事例では、本明細書に記載されているアプタマーは、ヒトにおける少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも20日間またはそれを超える眼内半減期を有する。
【0099】
一部の事例では、本明細書に記載されているアプタマーは、非ヒト動物(例えば、齧歯類/ウサギ/サル)における少なくとも1日間の眼内半減期を有する。一部の事例では、本明細書に記載されているアプタマーは、齧歯類、ウサギまたはサル等、非ヒト動物における少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10日間またはそれを超える眼内半減期を有する。
【0100】
一部の態様では、本明細書に記載されているアプタマーは、他の治療薬と比較して、より短い半減期を有することができる。例えば、無修飾または非コンジュゲートアプタマーは、修飾またはコンジュゲートアプタマーと比較して、より低い半減期を有することができるが、低分子量の無修飾または非コンジュゲート型は、数桁大きい初期濃度を可能にし、これにより、より大きい持続時間/有効性を達成することができる。一部の例では、アプタマーは、ヒトにおける約7日間未満の眼内半減期を有することができる。一部の例では、本明細書に記載されているアプタマーは、ヒトにおける約6日間未満、約5日間未満またはさらには約4日間未満の眼内半減期を有する。
【0101】
本明細書に開示されているアプタマーは、他の補体経路構成成分に対し、fDに対する高い特異性を実証することができる。一般に、アプタマーが、fDに対し高い親和性を有するが、他の補体経路構成成分またはセリンプロテアーゼに対する親和性がほとんどないから全くないように、アプタマーを選択することができる。一部の事例では、アプタマーは、アプタマーが、相対血清濃度におけるC3、C5、B因子、H因子またはI因子のいずれか(またはこれらの関連する二量体、三量体もしくは多量体複合体、単位もしくはサブユニットのいずれか)に結合するよりも少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍または20倍超大きい特異性で、fDに結合する。例えば、一部の事例では、アプタマーは、アプタマーが、相対血清濃度におけるC3、C5、B因子、H因子またはI因子のいずれか(またはこれらの関連する二量体、三量体もしくは多量体複合体、単位もしくはサブユニットのいずれか)に結合するよりも少なくとも50倍大きい特異性で、fDに結合する。例えば、一部の事例では、アプタマーは、アプタマーが、相対血清濃度におけるC3、C5、B因子、H因子またはI因子のいずれか(またはこれらの関連する二量体、三量体もしくは多量体複合体、単位もしくはサブユニットのいずれか)に結合するよりも少なくとも100倍大きい特異性で、FDに結合する。
【0102】
治療剤の活性は、最大半量阻害濃度(IC50)によって特徴付けることができる。IC50は、治療剤の最大阻害効果の半分が達成される、nM単位の治療剤の濃度として計算される。IC50は、値の計算に利用されるアッセイに依存する。一部の例では、本明細書に記載されているアプタマーのIC50は、C3溶血アッセイによって測定された場合、100nM未満、50nM未満、25nM未満、10nM未満、5nM未満、1nM未満、0.5nM未満、0.1nM未満または0.01nM未満である(Pangburn、1988年、Methods in Enzymology;およびKatschke、2009年、Journal of Biological Chemistry)。
【0103】
一部の例では、本明細書に記載されているアプタマーは、fDエステラーゼ活性アッセイによって測定された場合、対照と比較して、fDの活性を増加させ、溶血アッセイによって測定された場合、fDの活性を阻害する。他の例では、本明細書に記載されているアプタマーは、対照と比較して、fDの活性を阻害し、溶血アッセイによって測定された場合、fDの活性を阻害する。さらに他の事例では、アプタマーは、D因子エステラーゼ活性アッセイによって測定された場合、対照と比較して、補体D因子の活性を阻害せず、溶血アッセイによって測定された場合、補体D因子の活性を阻害する。
【0104】
アプタマーは一般に、延長された期間、外界温度で高い安定性を有する。本明細書に記載されているアプタマーは、30日目またはそれよりも後に、生理的条件下で溶液における70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、96%超、97%超、98%超、99%超、99.5%超または99.9%超の活性を実証する。
適応症
【0105】
一部の態様では、本明細書に提供される方法および組成物は、眼疾患または障害の処置に使用される。眼疾患または障害は、アレルギー性および巨大乳頭結膜炎を含む炎症性結膜炎、黄斑浮腫、ぶどう膜炎、眼内炎、強膜炎、角膜潰瘍、ドライアイ症候群、緑内障、虚血性網膜疾患、角膜移植拒絶、眼内レンズ植え込みおよび白内障外科手術に伴う炎症等の眼内外科手術に関する合併症、ベーチェット病、シュタルガルト病、免疫複合体血管炎、フックス病、フォークト・小柳・原田病、網膜下線維症、角膜炎、網膜硝子体炎症、眼球寄生虫の寄生/遊走、網膜色素変性症、サイトメガロ(cytomegla)ウイルス網膜炎ならびに脈絡膜炎症等、いずれかの補体媒介性眼障害を限定することなく含むことができる。
【0106】
本明細書に提供される方法および組成物による処置を受け入れることができる(amendable)眼疾患または障害の他の例は、眼瞼外反、兎眼、眼瞼皮膚弛緩症、眼瞼下垂、眼瞼の黄色板腫、眼瞼の寄生虫の寄生、眼瞼の皮膚炎、涙腺炎、流涙症、甲状腺機能異常性眼球突出症、結膜炎、強膜炎、角膜炎、角膜潰瘍、角膜擦過傷、雪盲、アークアイ(arc eye)、タイゲソン点状表層角膜症、角膜新血管新生、フックスジストロフィー、円錐角膜、乾性角結膜炎、虹彩炎、ぶどう膜炎、交感性眼炎、白内障、脈絡網膜炎症、限局性脈絡網膜炎症、限局性脈絡網膜炎、限局性脈絡膜炎、限局性網膜炎、限局性脈絡網膜炎、播種性脈絡網膜炎症、播種性脈絡網膜炎、播種性脈絡膜炎、播種性網膜炎、播種性脈絡網膜炎、滲出性網膜症、後側毛様体炎、毛様体扁平部炎、原田病、脈絡網膜瘢痕、後極の斑状瘢痕、日光網膜症、脈絡膜変性、脈絡膜萎縮、脈絡膜硬化症、網膜色素線条症、遺伝性脈絡膜ジストロフィー、全脈絡膜萎縮、脈絡膜ジストロフィー(中心性輪紋状(arealor))、脳回転状萎縮(脈絡膜)、オルニチン血症、脈絡膜出血および破裂、脈絡膜出血(他に指定なし)、脈絡膜出血(娩出性)、脈絡膜剥離、網膜分離症、網膜動脈閉塞、網膜静脈閉塞、高血圧性網膜症、糖尿病性網膜症、網膜症、未熟児の網膜症、黄斑変性、標的黄斑症、網膜上膜、末梢性網膜変性、遺伝性網膜ジストロフィー、網膜色素変性症、網膜出血、網膜層の分離、中心性漿液性網膜症、網膜剥離、黄斑浮腫、緑内障-視神経症、緑内障疑い例-高眼圧症、原発開放隅角緑内障、原発閉塞隅角緑内障、飛蚊症、レーベル遺伝性視神経症、視神経乳頭ドルーゼン、斜視、眼麻痺、進行性外眼筋麻痺、内斜視、外斜視、屈折および遠近調節の障害、遠視、近視、乱視(astigmastism)、不同視、老視、内眼筋麻痺、弱視、レーベル先天性黒内障、暗点、視覚消失、色覚異常、色覚障害、マスクン(maskun)、夜盲症、失明、河川盲目症、小眼球症、コロボーマ、赤い目、アーガイル・ロバートソン瞳孔、角膜真菌症、眼球乾燥症、無虹彩症、鎌状赤血球網膜症、眼球新血管新生、網膜新血管新生、網膜下新血管新生;虹彩血管新生(rubeosis iritis)、炎症性疾患、慢性後側および汎ぶどう膜炎、新生物、網膜芽細胞腫、偽神経膠腫、血管新生緑内障;硝子体切除術-2および水晶体切除術の組み合わせの後に生じる新血管新生、血管疾患、網膜虚血、脈絡膜血行不全、脈絡膜血栓症、視神経の新血管新生、糖尿病性黄斑浮腫、嚢胞状黄斑浮腫、増殖性硝子体網膜症、ならび目または眼球傷害の浸透による新血管新生を限定することなく含むことができる。
【0107】
一部の態様では、本明細書に提供される方法および組成物は、黄斑変性の処置に適する。一部の事例では、黄斑変性は、加齢性黄斑変性である。一部の事例では、方法および組成物を利用して、血管新生または滲出性(「湿性」)加齢性黄斑変性を処置することができる。他の事例では、方法および組成物を利用して、非滲出性(「乾性」)加齢性黄斑変性を処置することができる。一部の事例では、地図状萎縮を含む、進行型の乾性加齢性黄斑変性を処置することができる。一部の事例では、本明細書における方法および組成物を利用して、加齢性黄斑変性およびその関連疾患を防止することができる。他の事例では、本明細書における方法および組成物を利用して、加齢性黄斑変性およびその関連疾患の進行を遅くするまたは停止することができる。
【0108】
一部の態様では、本明細書に提供される方法および組成物は、シュタルガルト病の処置に適する。一部の事例では、本明細書における方法および組成物を利用して、加齢性シュタルガルト病を防止することができる。他の事例では、本明細書における方法および組成物を利用して、シュタルガルト病の進行を遅くするまたは停止することができる。
【0109】
一部の態様では、本明細書に提供される方法および組成物は、眼性症状を引き起こす疾患の処置に適する。本明細書に開示されている方法による処置を受け入れることができる症状の例として、次のものを挙げる:ドルーゼン体積の増加、読字速度の低下、色覚の低下、網膜肥厚、網膜中心体積および/または斑感受性の増加、網膜細胞の喪失、網膜萎縮の面積の増加、SnellenまたはETDRS尺度によって測定されるもの等の最高矯正視力の低下、低輝度条件下における最高矯正視力、夜間視力不良、光感受性不良、暗順応不良、対比感度、ならびに患者報告アウトカム。
【0110】
一部の事例では、本明細書に提供される方法および組成物は、疾患の症状を軽減または低下させることができる。一部の事例では、本明細書に提供されるアプタマーによる処置は、本明細書に記載されている症状のいずれかの重症度の低下をもたらすことができる。一部の事例では、本明細書に記載されているアプタマーによる処置は、本明細書に記載されている症状のいずれかの進行を遅くする、停止するまたは反転することができる。一部の事例では、本明細書に記載されているアプタマーによる処置は、本明細書に記載されている症状のいずれかの発症を防止することができる。一部の事例では、本明細書に記載されているアプタマーによる処置は、経験する症状の数および重症度によって測定される通り、疾患の進行を遅くする、停止するまたは反転することができる。アプタマーが治療効果を有し得る症状および関連するエンドポイントの例として、ドルーゼン体積の増加、読字速度の低下、色覚の低下、網膜肥厚、網膜中心体積および/または斑感受性の増加、網膜細胞の喪失、網膜萎縮の面積の増加、SnellenまたはETDRS尺度によって測定されるもの等の最高矯正視力の低下、低輝度条件下における最高矯正視力、夜間視力不良、光感受性不良、暗順応不良、対比感度、ならびに患者報告アウトカムが挙げられる。一部の実例では、本明細書に記載されているアプタマーによる処置は、ドルーゼン体積、読字速度、光干渉断層撮影または他の技法によって測定される網膜厚さ、網膜中心体積、網膜細胞の数および密度、眼底写真もしくは眼底自家蛍光または他の技法によって測定される網膜萎縮の面積、SnellenまたはETDRS尺度によって測定されるもの等の最高矯正視力、低輝度条件下における最高矯正視力、光感受性、暗順応、対比感度、ならびにNational Eye Institute Visual Function
Questionnaire and Health Related Quality of Life Questionnairesのようなツールによって測定される患者報告アウトカムを含む臨床エンドポイントによって測定される有益な効果を有し得る。
対象
【0111】
一部の態様では、本明細書に提供される方法および組成物は、それを必要とする対象の処置に利用される。一部の事例では、対象は、眼疾患または障害を患う。対象は、非ヒト動物、例えば、非ヒト霊長類、家畜動物、飼育されたペットまたは実験動物となることができる。例えば、非ヒト動物は、類人猿(例えば、チンパンジー、ヒヒ、ゴリラまたはオランウータン)、旧世界ザル(例えば、アカゲザル)、新世界ザル、イヌ、ネコ、バイソン、ラクダ、ウシ、シカ、ブタ、ロバ、ウマ、ラバ、ラマ、ヒツジ、ヤギ、バッファロー、トナカイ、ヤク、マウス、ラット、ウサギまたは他のいずれかの非ヒト動物となることができる。一部の事例では、対象は、ヒトである。一部の事例では、ヒトは、病院または診療所における患者である。
【0112】
対象がヒトである場合、対象は、いずれかの年齢のものとなることができる。一部の事例では、対象は、加齢性眼疾患または障害(例えば、加齢性黄斑変性、シュタルガルト病)を有する。一部の事例では、対象は、約50歳またはそれを超える。一部の事例では、対象は、約55歳またはそれを超える。一部の事例では、対象は、約60歳またはそれを超える。一部の事例では、対象は、約65歳またはそれを超える。一部の事例では、対象は、約70歳またはそれを超える。一部の事例では、対象は、約75歳またはそれを超える。一部の事例では、対象は、約80歳またはそれを超える。一部の事例では、対象は、約85歳またはそれを超える。一部の事例では、対象は、約90歳またはそれを超える。一部の事例では、対象は、約95歳またはそれを超える。一部の事例では、対象は、約100歳またはそれを超える。一部の事例では、対象は、約50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100歳または100歳超である。一部の事例では、対象は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20歳または20歳超である。
【0113】
対象がヒトである場合、対象は、いずれかの遺伝的プロファイルを有し得る。一部の事例では、対象は、補体H因子(CFH)、補体成分3(C3)、補体成分2(C2)、補体B因子、補体I因子(CFI)、ABC4A、ELOVL4またはこれらのいずれかの組合せにおいて突然変異を有し得る。
【0114】
一部の態様では、本明細書に提供される方法および組成物は、本明細書に記載されている眼性症状を患う対象の処置に利用される。一部の態様では、本明細書に提供される方法および組成物は、本明細書に提供される眼疾患を患う対象の処置に利用される。一部の事例では、本明細書に提供される方法および組成物は、湿性AMDを患う対象の処置に利用される。一部の事例では、本明細書に提供される方法および組成物は、乾性AMDまたは地図状萎縮を患う対象の処置に利用される。一部の事例では、本明細書に提供される方法および組成物は、シュタルガルト病を患う対象の処置に利用される。
【0115】
一部の態様では、本明細書に提供される方法および組成物を利用して、高度に活性な免疫系を有する対象を処置することができる。一部の事例では、本明細書に提供される方法および組成物を使用して、自己免疫性疾患を有する対象を処置することができる。一部の事例では、本明細書に提供される方法および組成物を使用して、炎症性疾患を有する対象を処置することができる。一部の事例では、本明細書に提供される方法および組成物を使用して、感染性疾患等の疾患に対する炎症性反応を起こしている対象を処置することができる。例えば、本明細書に記載されているアプタマーを使用して、発熱を有する対象を処置することができる。一部の事例では、本明細書に記載されているアプタマーを使用して、アレルギーを有する対象を処置することができる。一部の事例では、本明細書に記載されているアプタマーを使用して、アレルギー性応答を患う対象を処置することができる。一部の事例では、本明細書に記載されているアプタマーは、抗体処置に対するアレルギー性反応を経験した、および/または抗体処置に対する中和抗体を発生した対象の処置に特に有用となり得る。
医薬組成物
【0116】
眼疾患の処置のための医薬組成物が、本明細書に開示されている。一部の事例では、医薬組成物を使用して、AMDを処置することができる。一部の事例では、医薬組成物を使用して、非滲出性(乾性)AMDを処置することができる。一部の事例では、医薬組成物を使用して、地図状萎縮(進行型乾性AMD)を処置することができる。一部の事例では、医薬組成物を使用して、湿性AMDを処置することができる。一部の事例では、医薬組成物を使用して、シュタルガルト病を処置することができる。本明細書に記載されている医薬組成物は、乾性AMDの処置のための1種または複数のアプタマーを含むことができる。本明細書に記載されている医薬組成物は、湿性AMDの処置のための1種または複数のアプタマーを含むことができる。本明細書に記載されている医薬組成物は、シュタルガルト病の処置のための1種または複数のアプタマーを含むことができる。一部の事例では、1種または複数のアプタマーは、副補体経路の構成成分に結合し、これを阻害する。一部の事例では、1種または複数のアプタマーは、本明細書に記載されているfDの1種または複数の標的に結合する。一部の事例では、1種または複数のアプタマーは、本明細書に記載されているfDを阻害する。一部の事例では、組成物は、例えば、有効量のアプタマーを、単独で、または1種もしくは複数の媒体(例えば、薬学的に許容される組成物または例えば、薬学的に許容される担体)と組み合わせて含む。一部の事例では、本明細書に記載されている組成物は、1種または複数の追加的な医薬品処置と共に投与される(例えば、同時投与される、逐次投与される、または同時製剤化される)。一部の例では、本明細書に記載されている組成物は、抗血管内皮増殖因子(VEGF)療法、抗P因子療法、抗補体成分5(C5)療法、抗補体成分3(C3)療法、抗血小板由来増殖因子(PDGF)療法、抗低酸素誘導因子1-アルファ(HIF1α)療法、抗FAS療法、抗インテグリン療法または抗アンジオポエチン-2(Ang2)療法のうち1種または複数と同時投与される。
製剤
【0117】
本明細書に記載されている組成物は、液体製剤、固体製剤またはこれらの組合せを含むことができる。製剤の非限定的な例として、錠剤、カプセル、ゲル、ペースト、液体の溶液およびクリームを挙げることができる。本開示の組成物は、いずれかの数の賦形剤をさらに含むことができる。賦形剤は、ありとあらゆる溶媒、コーティング、調味料、着色料、潤滑剤、崩壊剤、保存料、甘味料、結合剤、希釈剤および媒体(または担体)を含むことができる。一般に、賦形剤は、本開示の治療用組成物と適合性である。医薬組成物は、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、ならびに例えば、酢酸ナトリウムおよびオレイン酸トリエタノールアミン等の他の物質等、少量の無毒性補助物質を含有することもできる。
投薬量および投与経路
【0118】
本開示の製剤の治療用量を、それを必要とする対象に投与することができる。一部の事例では、製剤は、対象の目に投与されて、例えば、乾性AMD、地図状萎縮、湿性AMDまたはシュタルガルト病を処置する。目への投与は、a)外用;b)局所的眼球送達;またはc)全身性となることができる。外用製剤は、目に直接的に(例えば、製剤をロードした点眼薬、コンタクトレンズ)または眼瞼に(例えば、クリーム、ローション、ゲル)適用することができる。一部の事例では、外用投与は、目から遠隔の部位、例えば、四肢の皮膚に為すことができる。この形態の投与は、目によって直接的に産生されない標的に適することができる。非限定的な一例では、fDは、脂肪細胞によって主に産生されると考えられることから、抗fDアプタマーは、身体の非眼球領域に外用投与することができる。一部の事例では、本開示の製剤は、局所的眼球送達によって投与される。局所的眼球送達の非限定的な例として、硝子体内(IVT)、前房内(intracamarel)、結膜下、テノン下(subtenon)、眼球後、後側強膜近傍(juxtascleral)および眼球周囲が挙げられる。一部の事例では、本開示の製剤は、硝子体内投与(IVT)によって送達される。局所的眼球送達は、一般に、液体製剤の注射が関与し得る。他の事例では、本開示の製剤は、全身性投与される。全身性投与は、経口投与が関与し得る。一部の事例では、全身性投与は、静脈内投与、皮下投与、注入、植え込みその他となり得る。
【0119】
本明細書に記載されている医薬組成物の送達に適した他の製剤は、眼部疾患の処置の際に植え込まれる生分解性マイクロサイズポリマー系、例えば、マイクロデバイス、マイクロ粒子もしくはスポンジまたは他の緩徐放出経強膜デバイスの外科的植え込みによる、または眼球送達デバイス、例えば、ポリマーコンタクトレンズ持続性送達デバイスによる、徐放ゲルまたはポリマー製剤を含むことができる。一部の事例では、製剤は、ポリマーゲル、自己組織化ゲル、耐久性インプラント、溶出インプラント、生分解性マトリックスまたは生分解性ポリマーである。一部の事例では、製剤は、目の表面から後側へと組成物を駆動するための電流を使用したイオントフォレーシスによって投与することができる。一部の事例では、製剤は、硝子体内リザーバ、硝子体外リザーバまたはこれらの組合せを備える外科的に植え込まれたポートによって投与することができる。植え込み式眼球デバイスの例は、Bausch&Lombによって開発されたDurasert(商標)技術、On Demand Therapeuticsによって開発されたODTxデバイス、ForSight VISION4によって開発されたポート送達系、およびReplenish,Inc.によって開発されたReplenish MicroPump(商標)系を限定することなく含むことができる。
【0120】
一部の事例では、ナノ球体、ナノ粒子、ナノカプセル、リポソーム、ナノミセルおよびデンドリマーを含む、ナノテクノロジーを使用して、医薬組成物を送達することができる。
【0121】
本開示の組成物は、各日1回または2回以上投与することができる。一部の事例では、組成物は、単一用量(すなわち、単回使用)として投与される。この例では、単一用量は、治癒的となり得る。他の事例では、組成物は、連続的に投与することができる(例えば、処置レジメンの持続時間において中断せず毎日服用される)。一部の事例では、処置レジメン(regime)は、1週間未満、1週間、2週間、3週間、1ヶ月間または1ヶ月間超となり得る。一部の事例では、組成物は、少なくとも12週間の期間にわたって投与される。他の事例では、組成物は、1日間、少なくとも2日間連続、少なくとも3日間連続、少なくとも4日間連続、少なくとも5日間連続、少なくとも6日間連続、少なくとも7日間連続、少なくとも8日間連続、少なくとも9日間連続、少なくとも10日間連続または少なくとも10日間超連続で投与される。一部の事例では、治療有効量は、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回、1週間に4回、1週間に5回、1週間に6回、1週間に7回、1週間に8回、1週間に9回、1週間に10回、1週間に11回、1週間に12回、1週間に13回、1週間に14回、1週間に15回、1週間に16回、1週間に17回、1週間に18回、1週間に19回、1週間に20回、1週間に25回、1週間に30回、1週間に35回、1週間に40回または1週間に40回超投与することができる。一部の事例では、治療有効量は、1日に1回、1日に2回、1日に3回、1日に4回、1日に5回、1日に6回、1日に7回、1日に8回、1日に9回、1日に10回または1日に10回超投与することができる。一部の事例では、組成物は、少なくとも1日2回投与される。さらなる事例では、組成物は、少なくとも1時間毎、少なくとも2時間毎、少なくとも3時間毎、少なくとも4時間毎、少なくとも5時間毎、少なくとも6時間毎、少なくとも7時間毎、少なくとも8時間毎、少なくとも9時間毎、少なくとも10時間毎、少なくとも11時間毎、少なくとも12時間毎、少なくとも13時間毎、少なくとも14時間毎、少なくとも15時間毎、少なくとも16時間毎、少なくとも17時間毎、少なくとも18時間毎、少なくとも19時間毎、少なくとも20時間毎、少なくとも21時間毎、少なくとも22時間毎、少なくとも23時間毎または少なくとも毎日に投与される。
【0122】
本明細書に記載されているアプタマーは、薬物の治療的硝子体内濃度をより長い期間持続し、これにより、より低頻度の投与を要求することができるため、抗体よりも特に有利となることができる。例えば、配列番号71に従った重鎖可変領域および配列番号72に従った軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗fD Fabは、4週間毎(q4w)に投薬された場合に10mgで、地図状萎縮の処置のための臨床有効性を示すことができるが、8週間毎(q8w)では示すことができない。本明細書に記載されているアプタマーは、配列番号71に従った重鎖可変領域および配列番号72に従った軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗fD Fabおよび他の抗体療法よりも、長い眼内半減期を有する、および/または薬物の治療的硝子体内濃度をより長い期間持続するため、より低頻度で投薬することができる。一部の事例では、アプタマーは、少なくとも4週間毎(q4w)、5週間毎(q5w)、6週間毎(q6w)、7週間毎(q7w)、8週間毎(q8w)、9週間毎(q9w)、10週間毎(q10w)、12週間毎(q12w)またはq12w超で投薬される。
【0123】
一部の態様では、治療有効量のアプタマーが投与される。「治療有効量」または「治療有効用量」は、本明細書において互換的に使用されており、対象において治療的または所望の応答を誘発する治療剤(例えば、アプタマー)の量を指す。組成物の治療有効量は、投与経路に依存し得る。全身性投与の場合、治療有効量は、約10mg/kg~約100mg/kgとなり得る。一部の事例では、治療有効量は、全身性投与に関して約10μg/kg~約1000μg/kgとなり得る。硝子体内投与に関して、治療有効量は、片目当たり約25μl~約100μl容量における約0.01mg~約150mgとなり得る。
方法
【0124】
眼疾患の処置のための方法が、本明細書に開示されている。一部の事例では、眼疾患は、乾性加齢性黄斑変性または地図状萎縮である。一部の事例では、方法は、治療有効量の組成物を対象に投与して、疾患を処置するステップが関与する。一部の事例では、組成物は、本明細書に記載されている1種または複数のアプタマーを含む。アプタマーは、本明細書に記載されているfDに関連する機能を阻害することができる。方法は、病院または診療所で行うことができ、例えば、医薬組成物は、医療従事者によって投与され得る。他の事例では、医薬組成物は、対象によって自己投与され得る。処置は、眼疾患(例えば、AMD)との対象の診断と同時に開始することができる。さらなる処置が必要とされる場合には、後続用量の組成物の投与、例えば、8週間毎の投与のための追跡調査の予約が予定されてよい。
アプタマーを生成する方法
SELEX(商標)方法
【0125】
本明細書に記載されているアプタマーは、アプタマーの生成に適したいずれかの方法によって生成することができる。一部の事例では、本明細書に記載されているアプタマーは、「試験管内進化法(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)」(「SELEX(商標)」)として公知のプロセスによって生成される。SELEX(商標)プロセスは、例えば、これらのそれぞれを参照により本明細書に組み込む、1990年6月11日に出願され、現在放棄された米国特許出願第07/536,428号、米国特許第5,475,096号、表題「Nucleic Acid Ligands」、および米国特許第5,270,163号(WO91/19813も参照)、表題「Nucleic Acid Ligands」に記載されている。反復性サイクルの選択および増幅を行うことにより、SELEX(商標)を使用して、いずれか所望のレベルの標的結合親和性を有するアプタマーを得ることができる。
【0126】
SELEX(商標)方法は、出発点として、ランダム化された配列を含む一本鎖オリゴヌクレオチドの大型ライブラリーまたはプールに頼る。オリゴヌクレオチドは、修飾または無修飾DNA、RNAまたはDNA/RNAハイブリッドとなることができる。一部の例では、プールは、100%ランダムまたは部分的にランダムなオリゴヌクレオチドを含む。他の例では、プールは、ランダム化された配列内に取り込まれた、少なくとも1個の固定された配列および/または保存された配列を含有するランダムまたは部分的にランダムなオリゴヌクレオチドを含む。他の例では、プールは、オリゴヌクレオチドプールの全分子によって共有される配列を含むことができる、その5’および/または3’端に少なくとも1個の固定された配列および/または保存された配列を含有するランダムまたは部分的にランダムなオリゴヌクレオチドを含む。固定された配列は、CpGモチーフ、PCRプライマーのためのハイブリダイゼーション部位、RNAポリメラーゼのためのプロモーター配列(例えば、T3、T4、T7およびSP6)、規定された末端ステム構造内のライブラリーのランダム化された領域を提示するためのステムを形成するための配列、制限部位、またはポリAもしくはポリTトラクト等のホモポリマー配列、触媒コア、親和性カラムへの選択的結合のための部位、ならびに目的のオリゴヌクレオチドのクローニングおよび/または配列決定を容易にするための他の配列等、予め選択された目的のために取り込まれた、プールにおけるオリゴヌクレオチドに共通している配列である。保存された配列は、同じ標的に結合するいくつかのアプタマーによって共有される、先に記載された固定された配列以外の配列である。
【0127】
プールのオリゴヌクレオチドは、ランダム化された配列部分と共に、効率的増幅に必要な固定された配列を含むことができる。典型的には、出発プールのオリゴヌクレオチドは、30~50個のランダムヌクレオチドの内部領域を挟む、固定された5’および3’末端配列を含有する。ランダム化されたヌクレオチドは、化学合成、およびランダムに切断された細胞核酸からのサイズ選択を含むいくつかの仕方で産生することができる。選択/増幅反復の前またはその最中における突然変異誘発によって、被験核酸における配列変種を導入または増加させることもできる。
【0128】
オリゴヌクレオチドのランダム配列部分は、いずれかの長さのものとなることができ、リボヌクレオチドおよび/またはデオキシリボヌクレオチドを含むことができ、修飾または非天然ヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログを含むことができる。自動DNA合成機器において実行される典型的な合成は、大部分のSELEX(商標)実験に十分な数である、1014~1016個の個々の分子を生じる。配列設計におけるランダム配列の十分に大型な領域は、各合成分子が、特有の配列を表す可能性が高いという見込みを増加させる。
【0129】
オリゴヌクレオチドの出発ライブラリーは、DNA合成機における自動化学合成によって生成することができる。ランダム化された配列を合成するために、合成プロセスにおける各ヌクレオチド付加ステップにおいて、全4種のヌクレオチドの混合物が加えられ、ランダムなヌクレオチド取り込みを可能にする。上述の通り、一部の事例では、ランダムオリゴヌクレオチドは、完全にランダムな配列を含む;しかし、他の事例では、ランダムオリゴヌクレオチドは、非ランダムまたは部分的にランダムな配列のストレッチを含むことができる。部分的にランダムな配列は、各付加ステップにおいて4種のヌクレオチドを異なるモル比で加えることにより作製することができる。
【0130】
オリゴヌクレオチドの出発ライブラリーは、RNA、DNA、置換されたRNAもしくはDNA、またはこれらの組合せとなることができる。出発ライブラリーとしてRNAライブラリーが使用されるべき実例では、これは典型的に、DNAライブラリーを合成し、任意選択でPCR増幅し、次いでT7 RNAポリメラーゼまたは修飾T7 RNAポリメラーゼ(例えば、突然変異Y639LおよびH784Aを有するT7 RNAポリメラーゼ)を使用してin vitroでDNAライブラリーを転写し、転写されたライブラリーを精製することにより生成される。次に、核酸ライブラリーは、結合に有利な条件下で標的と混合され、同じ一般選択スキームを使用した、結合、分割および増幅の段階的反復に付されて、結合親和性および選択性の実質的にいかなる所望の判断基準も達成する。より詳細には、核酸の出発プールを含有する混合物から開始して、SELEX(商標)方法は、(a)結合に有利な条件下で標的と混合物とを接触させるステップと;(b)標的分子に特異的に結合した核酸から結合していない核酸を分割するステップと;(c)核酸-標的複合体を解離するステップと;(d)核酸-標的複合体から解離された核酸を増幅して、リガンド濃縮された核酸混合物を得るステップと;(e)標的分子に対する高度に特異的で高い親和性の核酸リガンドを得るために望まれるだけの数のサイクルにより、結合、分割、解離および増幅のステップを反復するステップとを含む。RNAアプタマーが選択されている実例では、SELEX(商標)方法は、(i)ステップ(d)における増幅前に、核酸-標的複合体から解離された核酸を逆転写するステップと;(ii)プロセス再開前に、ステップ(d)由来の増幅された核酸を転写するステップとをさらに含む。
【0131】
多数の可能な配列および構造を含有する核酸混合物内には、所与の標的に対する広範囲の結合親和性が存在する。標的に対しより高い親和性(より低い解離定数)を有するものは、標的に結合する可能性が最も高い。分割、解離および増幅後に、第2の核酸混合物が生成され、より高い結合親和性の候補が濃縮される。その結果得られる核酸混合物が、単一または数個の配列で主に構成されるようになるまで、追加的なラウンドの選択は、最良のリガンドを次第に支持する。これを次に、クローニングし、配列決定し、1)標的結合親和性;および2)標的機能をもたらす能力に関してリガンドまたはアプタマーとして個々に検査することができる。
【0132】
選択および増幅のサイクルは、所望の目標が達成されるまで繰り返される。最も一般的な事例では、選択/増幅は、サイクル繰り返しにおいて結合強度における有意な改善が達成されなくなるまで続けられる。方法は典型的に、およそ1014個の異なる核酸種のサンプリングに使用されるが、約1018個もの異なる核酸種のサンプリングに使用されてもよい。一般に、核酸アプタマー分子は、5~20サイクル手順において選択される。
【0133】
一部の事例では、本開示のアプタマーは、上述の通りSELEX(商標)方法を使用して生成される。他の事例では、本開示のアプタマーは、SELEX(商標)方法のいずれかの修飾またはバリアントを使用して生成される。
【0134】
一部の事例では、本明細書に記載されているアプタマーは、標的タンパク質の活性または機能に関する特異的部位を選択するための方法論を使用して生成された。一部の事例では、本明細書に記載されているアプタマーは、所望の機能または所望の結合部位を有するアプタマーを選択する確率を改善する方法を使用して選択することができる。一部の事例では、本明細書に記載されているアプタマーは、fDに関連する機能を阻害する抗fD治療用抗体のエピトープとして機能するfDの領域に結合するアプタマーを選択する確率を増加させる方法を使用して生成される。
【実施例0135】
次の実施例は、本発明の様々な実施形態を説明する目的のために記されており、いかなる様式であっても本発明を限定することを意図しない。本実施例は、本明細書に記載されている方法と共に、本明細書にて好まれる実施形態を代表し、例示的であり、本発明の範囲における限定として企図されない。当業者であれば、特許請求の範囲によって規定される本発明の精神の内に包含されるその変化および他の使用を想定するであろう。
(実施例1)
fDに対する修飾RNAアプタマーの同定
A.抗D因子アプタマーの選択
【0136】
図3Aに描写される通り、ビルトインステム領域を含有する定常領域で挟まれた30ヌクレオチドランダム領域で構成されるN30ライブラリー(N30S)を使用して、抗D因子(fD)アプタマーを同定した。イタリック体の配列は、フォワードおよびリバースプライマー結合部位を表す。ビルトインステム領域を太字で示す。図3Bは、リバースオリゴがハイブリダイズした、N30Sライブラリーの表現を描写する。ヌクレアーゼ安定性のため、ライブラリーは、2’F Gおよび2’-O-メチルA/C/Uで構成された。図3Cは、標的fDに対する選択のためのN30Sライブラリーの生成に使用される修飾ヌクレオチドの構造を描写する。簡潔にするために、ヌクレオチド三リン酸ではなく、ヌクレオシドを示す。
【0137】
ライブラリー配列(下線を引いた配列は、ビルトインステムを表す)およびライブラリーの増幅に使用されるオリゴの配列を、表2に記載する。
【表2】
【0138】
ほぼ1014個の二本鎖DNA(dsDNA)分子のプールから出発ライブラリーを転写した。クレノウexo(-)DNAポリメラーゼ、プールフォワードプライマー(N30S.F)、およびライブラリーをコードする合成一本鎖DNA(ssDNA)分子を使用したプライマー伸長によって、dsDNAライブラリーを生成した。dsDNAをその後、効率的な転写を容易にするように最適化されたバッファーにおいて、2’F GTP、2’-O-メチルATP/CTP/UTPの混合物、および突然変異Y639LおよびH784Aを有するT7 RNAポリメラーゼのバリアントを使用した転写により、100%骨格修飾RNAへと変換した。転写後に、RNAをDNAseで処置して、鋳型dsDNAを除去し、精製した。
【0139】
Hisタグ付き組換えヒト補体D因子タンパク質および磁気His捕捉ビーズの使用により、fDを標的とする選択を容易にした。手短に説明すると、ビーズ(カップリングした標的タンパク質の量により変動する量)を、固定化バッファー(50mMリン酸ナトリウム、pH8.0、300mM NaCl、0.01%Tween-20)で3回洗浄し、50μLの固定化バッファーに再懸濁した。次に、固定化バッファーにおけるHisタグ付き組換えfDをビーズに添加し、室温で30分間インキュベートした。標的タンパク質の量は、ラウンドにより変動した(表3)。ビーズを、結合バッファーSB1T(40mM HEPES、pH7.5、125mM NaCl、5mM KCl、1mM MgCl、1mM CaCl、0.05%Tween-20)で3回洗浄して、全ての結合していないタンパク質を除去し、次いで、1μg/μl ssDNAおよび0.1%BSAを含有する50μL SB1Tバッファーに再懸濁した。
【0140】
選択の第1ラウンドのため、ほぼ3ナノモルのラウンド0 RNAプール、ほぼ1014個の配列を使用した。各ラウンドに先立ち、80℃で5分間加熱することにより、ライブラリーを熱的に平衡化し、1.5倍モル過剰のリバースプライマー(N30S.R)の存在下において室温で15分間冷却して、ライブラリーをリフォールディングさせ、同時に、プールの3’端を遮断した。復元後に、反応液の最終容量を、1μg/ml ssDNAおよび0.1%BSAを補充したSB1Tにおいて50μLに調整した。
【0141】
第1ラウンドのため、ライブラリーを、ビーズに固定化されたfDに添加し、断続的に混合しつつ、37℃で1時間インキュベートした。1時間後に、3×1ml SB1Tバッファーを使用してビーズを洗浄して、結合していないアプタマーを除去した。ラウンド0のため、各洗浄ステップを5分間インキュベートした。洗浄後に、200μL溶出バッファー(SB1Tバッファーにおける2Mグアニジン-HCl)を2回(総容量400μL)使用して、fD結合アプタマーを溶出した。40μLの3M NaOAc、pH5.2、1mlのエタノールおよび2μlのグリコーゲンを添加し、-80℃で15分間インキュベートすることにより、400μLの溶出バッファーに溶出されたアプタマーを沈殿させた。Super Script IV逆転写酵素を使用した逆転写によって、回収されたライブラリーをDNAに変換し、ssDNAをその後、PCRによって増幅した。その結果得られるdsDNAライブラリーをその後、上述の通り転写により修飾RNAへと再び変換した。DNase処理され、精製されたRNAを後続ラウンドに使用した。
【0142】
後続ラウンドのため、選択が進行するにつれて、洗浄時間および洗浄回数を変動させ、インプットRNAは25ピコモルに固定されたままにし、タンパク質インプットを変動させた(表3)。第1ラウンド後に、全後続ラウンドに負の選択ステップを含めた。負の選択のため、先に記載された通りにプールを調製し、先ず、SB1Tバッファーにおいて1時間37℃で無標識ビーズと共にインキュベートした。次に、ビーズをスピンダウンし、非標識ビーズに結合しなかった分子を含有する上清を、fD標識ビーズと共にさらに1時間37℃でインキュベートした。
B.選択の進行の評価
【0143】
フローサイトメトリーを使用して、選択の進行を評価した。このようなアッセイのため、各ラウンド由来のRNAを先ず、Dylight(登録商標)650で標識された2’OMe RNAで構成される逆相補体オリゴヌクレオチド(Dy650-N30S.R.OMe)とハイブリダイズさせた。手短に説明すると、ライブラリーを、1.5倍モル過剰のDy650-N30S.R.OMeと組み合わせ、80℃で6分間加熱し、室温で15分間冷却させ、その後、これを、0.1%BSAおよび1μg/μl ssDNAを含有するSB1Tバッファーにおいて、fDで標識したビーズと共にインキュベートした。1時間37℃でのインキュベーション後に、ビーズをSB1Tで3回洗浄し、SB1Tバッファーに再懸濁し、フローサイトメトリーによって解析した。図4に示す通り、ラウンド進行に伴う蛍光シグナルにおける改善が、早くもラウンド3で観察された。ラウンド6後に、ラウンド8まで結合シグナルの変化はほとんどなかった。「ビーズ」は、標識RNAの非存在下でのfD標識ビーズのシグナルを指す。フローサイトメトリーに基づくアッセイを使用して、fDに対するラウンド6、7および8の見かけ上の親和性も測定し、8~45nMの範囲内のKを明らかにした(図6A、表5)。
C.クローンの選択、精製および特徴付け
【0144】
選択のラウンド6、7および8から回収された、濃縮されたアプタマー集団を配列決定して、個々の機能的クローンを同定した。配列類似性に基づき配列をファミリーへとグループ分けした。ラウンド6、7および8の解析から、7個の個々のクローンを検査のために選択した。これらのクローンに対応する個々の細菌コロニーを採取し、QIAGEN Mini Prepキットを使用して、プラスミドを単離した。ライブラリーのFおよびRオリゴを使用して、クローン毎の配列をPCR増幅した。先に記載したプロトコールを使用して、PCR産物から各全長クローンを転写した。クローンをゲル精製し、さらなる解析に使用した。
【0145】
検査したクローンの概要を表4に示す。簡潔にするために、配列C1~C3から定常領域を省略した。
D.結合に関する個々のクローンのアッセイ
【0146】
選択の個々のラウンドのための上述と同様の様式で、フローサイトメトリーによって個々のクローンをアッセイした。クローンC1~C3の場合、上述の通り、Dy650-N30S.R.OMeへのハイブリダイゼーションにより各アプタマーの蛍光標識を達成した。
【0147】
初期アッセイとして、1時間37℃にて100nMでインキュベートされた場合の、ビーズに固定化されたfDを使用して、fDへの各アプタマーの結合を評価した。図5に示す通り、全アプタマーが、fDビーズへの有意なレベルの結合を表示した。標的がないまたは非特異的標的、ヒト増殖因子を有するビーズを使用して同様の実験が行われた場合、結合は観察されなかった。
E.ビーズにおける見かけ上のKの測定
【0148】
フローサイトメトリーを使用して、fDに対する個々のアプタマーそれぞれの結合親和性を測定した。各アプタマーの系列希釈した溶液を使用した以外は先に記載された通りに、再度アッセイを行った。1時間37℃でのインキュベーション後に、ビーズを洗浄し、フローサイトメトリーを使用して蛍光を測定し、および中央蛍光強度対アプタマー濃度のプロット(図6B)を使用して、クローン毎の見かけ上の結合定数を決定した。等式Y=BmaxX/(KD+X)を使用して、見かけ上のK値を得た。クローン毎の見かけ上の結合定数は、表5にも報告されている。fDに対するアプタマーの見かけ上の親和性は、およそ3~20nMに及んだ。
F.ラウンドまたは個々のクローンによる競合アッセイ
【0149】
配列番号71に従った重鎖可変領域および配列番号72に従った軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗fD Fabのクローン(以降「AFD」)を使用して、競合結合アッセイを行って、結合をさらに評価した。競合アッセイのため、fDで標識されたビーズを先ず、50μlのSB1T(ssDNAおよびBSA含有)において、50nMのラウンドまたは個々のアプタマーと共に30分間37℃でインキュベートした。次に、ビーズをSB1Tで洗浄して、結合していないアプタマーを除去し、100nM AFDありまたはなしで、30分間37℃でインキュベートした。インキュベーション後に、ビーズをSB1Tで3回洗浄し、フローサイトメトリーによってアッセイした(図7)。これらのアッセイは、ラウンド7および8集団の両方ならびに選択された全アプタマーに対して、AFDの結合が、アプタマーシグナルをほぼ75%~ほぼ90%低下させたことを明らかにした。上述の通りアプタマーがAFDによって十分に打ち負かされた場合、斯かるアプタマーは、fDのエキソサイトまたは自己阻害ループに結合していると推定された。
【表3】
【表4-1】
【表4-2】
【表5】
(実施例2)
ヒト補体D因子に対するDNAアプタマーの選択
【0150】
規定された固定された配列で挟まれた40ヌクレオチドランダム領域で構成されるアプタマーライブラリーを使用した選択によって、ヒト補体D因子(fD)に対するアプタマーを単離した(表6を参照)。ライブラリーは、無修飾DNAで構成された。固相DNA合成によって選択ライブラリーを産生し、使用に先立ちゲル精製した。
【表6】
【0151】
選択の各ラウンドに先立ち、リン酸緩衝食塩水および0.01%Tween-20からなるバッファーにおいて、200μlの反応容量で10μlのビーズに3μgのタンパク質を添加し、1時間4℃で回転しつつインキュベートすることにより、組換え6×Hisタグ付き(配列番号92)ヒトD因子を、Ni-NTA磁気ビーズに固定化した。このインキュベーションに続いて、磁気スタンドを使用してビーズを捕捉し、50mM HEPES、pH7.4、150mM NaCl、6mM KCl、2.5mM MgCl、2.5mM CaCl、0.01%Tween-20および10mMイミダゾールからなる選択バッファーで3回洗浄し、次いで選択バッファーを除去した。表7に概要を述べる通りに、補体fDに対するDNAアプタマーの選択を実行した。選択の各ラウンドのため、ライブラリーの5’末端においてDNAライブラリーを32Pで放射標識して、選択サイクルにおけるライブラリーの追跡を容易にした。典型的には、各ラウンドにおいて>20,000CPMのライブラリーをトレーサーとして使用し、残っているインプットDNAを非標識とした。選択の各ラウンドのため、DNAライブラリーを90℃まで5分間加熱し、次いで氷上で5分間冷却し、室温でさらに20分間置いた。このライブラリー復元ステップの後に、ビーズに固定化されたfDをライブラリー混合物に再懸濁することにより、選択ラウンドを開始した。次に、ライブラリーおよびfDを30分間37℃で回転しつつインキュベートした。この結合反応の後に、表7に記載されている通り、固定化されたfDを含有するビーズを洗浄し、次いでfD結合アプタマーを溶出させた。選択の第1ラウンドにおいて、ライブラリーは、およそ1~2×1015個の特有の配列で構成された。
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【0152】
溶出1において回収されたDNAをPCR1のための鋳型として使用して、選択ラウンド毎のアーカイブプールを生成した。PCR1由来の産物をその後、バルクPCR2増幅のための鋳型材料として使用して、選択のさらなるラウンド、結合アッセイおよび配列決定プールのためにライブラリーを再生した。5μL溶出1溶離液、500nMフォワードプライマー、500nMリバースプライマー1、200μM dNTP、1×PCRバッファーおよび2.5u Taq DNAポリメラーゼを含有する50μL容量においてPCR反応をセットアップした。95℃1分間、続いて繰り返しサイクルの95℃30秒間、55℃45秒間および72℃55秒間において、反応をサイクリングした。さらにはPCRサイクル由来のアリコートを解析して、適切な産物サイズおよび収量をチェックすることにより、ラウンド毎の増幅サイクルの最適数を決定した。初期選択ラウンド(1~4)において、複数反応に続いてプールを行うことにより、溶出1溶離液容量全体をPCR1増幅に使用した。後のラウンドにおいて、溶出1溶離液のほぼ10%をPCR1に使用した。最適であるとアガロースゲルによって決定された、増幅サイクルからプールされた反応液を水に1:50希釈し、-20℃でアーカイブとした。
【0153】
選択の次のラウンドのためのライブラリーを生成するために、希釈されたPCR1産物を、選択溶離液の代わりに鋳型として使用し、フォワードプライマーと遮断されたリバースプライマー2を使用して、PCR1と同様のサイクル条件下でPCRを実行した。サイクリング後に、PCR反応液をプールし、エタノール沈殿によって濃縮した。次に、使用に先立ち、濃縮されたPCR反応液をゲル精製し、センス鎖(80ヌクレオチド産物)が溶出されて、選択の次のラウンドに繰り越した。
【0154】
100nMインプットDNAおよび5μMヒトfDと結合したライブラリーの分率を測定することにより、二重フィルターニトロセルロースフィルター結合により選択の進行をモニターした。表8に示す通り、結合したライブラリーの分率は、選択の経過にわたり増加し、選択がラウンド0から9に進行するにつれて、ライブラリーにおけるfDアプタマーの濃縮を示した。
【表8】
【0155】
ディープシークエンシングによって、ラウンド2~8由来の選択されたDNAプールを解析した。ラウンド8において、溶出1および溶出2の両方をそれぞれ別々のプールR8E1およびR8E2として配列決定した。アーカイブとされた一次PCR産物を鋳型として使用して、個々の選択ラウンドのための配列決定ライブラリーを調製し、マルチプレックスIllumina DNA配列決定のための結合およびバーコード化配列を含むように修飾されたフォワードおよびリバースライブラリープライマーを使用したPCR反応において増幅した。150bpペアードエンド読み取りデータキットを使用したIllumina MiSeqシークエンサーにおいて、配列決定反応を実行した。未加工の配列決定データは、1個が各DNA鎖に対応する、2個のFASTQフォーマットファイルにおけるペアードエンド配列および読み取りデータ品質データからなる。
【0156】
Cutadaptソフトウェアパッケージを使用して、それぞれフォワードおよびリバース読み取りデータから、フォワードおよびリバースライブラリープライマー配列をトリミングした。次に、USEARCHソフトウェアパッケージを使用して、トリミングされたフォワードおよびリバース読み取りデータをコンセンサスセンス重複配列に統合した。重複領域において完全相補性を保有した配列のみを順送りにして、ランダムライブラリードメインのみのセンス読み取りデータを含有するFASTAファイルを得た。次に、USEARCHを使用して、このランダムドメイン配列ファイルを脱複製(dereplicate)して、各特有の配列のコピー数を注記する配列識別子を有する特有の配列のみを含有するFASTAファイルを産生した。読み取りデータ統合後の配列の総数を、脱複製後の特有の配列の数と比較することにより、選択の各ラウンドの配列多様性を決定した。このデータを表9に要約する。
【0157】
特有の配列読み取りデータをExcelにインポートし、カスタムVBAスクリプトを使用して、コピー>1を有する各配列の塩基組成を決定することにより、塩基頻度の解析を計算した。次に、濃縮されたラウンドの全体的塩基組成を、目的のラウンドにおける特有の配列塩基組成の平均および標準偏差として表した。
【0158】
目的の全ラウンドについて特有の配列読み取りデータをExcelにインポートすることにより、交差ラウンド配列解析を行った。配列データランク付けのための参照として使用されるように、典型的には最新の選択ラウンドである、1種の配列ラウンドを問い合わせラウンドとして選択した。ビルトインExcel関数を使用して、他の配列決定ラウンドにわたって問い合わせ配列を交差参照して、ラウンドにわたる所与の配列の分率的表現を示す表を構築した。
【0159】
MUSCLEソフトウェアパッケージにより処理される50個の最も豊富な特有の配列を使用して、複数配列アライメント(MSA)を実行した。その結果得られるFASTAフォーマットのアライメントファイルを、WebLogoソフトウェアパッケージを使用して配列ロゴに変換した。
【表9】
【0160】
配列多様性は、ラウンド5の後に、ラウンド8まで急速に減少し、ラウンド当たりおよそ12%減少した(図8)。R8E2溶出条件が粗いほど、R8E1における相対的に穏和な溶出条件と比較してより大きい多様性を有する集団を生じた。
【0161】
図8における多様性傾向と一致して、塩基組成の分布は、ラウンド5および6の間で劇的に変化し(図9)、グアニンリッチ配列が、ラウンド6から8において優勢であった。
【表10-1】
【表10-2】
【表10-3】
【表10-4】
【0162】
ラウンド8までの個々の配列結果を表10に示し、これは、R8E1配列決定結果から得られる50個の最も豊富な配列に基づき提示されている。これらの結果は、ヒトfDに対する優勢なDNAアプタマーファミリーが、G-四重鎖構造を形成する潜在力を有するアプタマーで構成されることを示した。上位50配列のうち6個のみが、40%未満のグアニンを含有する組成を有する。R8E1およびR8E2プールの間の濃縮を比較すると、コピー数≧10を有し、≧40%Gを保有するR8E1配列の18%は、<40%G組成を有する配列の57%と比較して、第2の溶出における濃縮を示した。>10コピーで存在する、≧10コピーおよび≧40%Gを有する配列を除去するための配列データベースのフィルタリングは、図10に示される配列ロゴを生じた。この解析は、この選択においていくつかの(3~5個の)マイナー非G-四重鎖アプタマーファミリーも同定されたことを示した。
【0163】
D因子に対する親和性の解析のため、潜在的G-四重鎖および非G-四重鎖配列を選択した。具体的には、表11において1、2、4、5および7にランク付けされた潜在的G-四重鎖配列、ならびに9、12および24にランク付けされた非G-四重鎖配列を固相DNA合成によって合成し、ゲル精製し、末端標識して、二重フィルターニトロセルロースフィルター結合アッセイにおいてfDへの結合を評価した。カゼインへの結合を測定することにより、結合の特異性を評価した。全結合反応において、オリゴヌクレオチド濃度は100nMであり、fD濃度は5μMであり、カゼイン濃度は20μMであった。表11に示す通り、いくつかの選択された配列は、fDへの特異的結合を示し、選択が、ヒト補体fDに対するDNAアプタマーの生成に成功したことを示し、G-四重鎖ファミリーのメンバーは、ヒト補体fDに対し最高の親和性および特異性を示した。
【表11-1】
【表11-2】
(実施例3)
fDに対する塩基修飾アプタマーの選択
A.ビーズに固定化された塩基修飾アプタマーライブラリーの調製
【0164】
fDに対するアプタマーの選択のためのビーズに固定化された塩基修飾ライブラリーを次の通りに構築した。手短に説明すると、ポリスチレンビーズを使用して、ビーズに基づくライブラリー設計を合成した。代表的ランダム領域を表12に示す。ライブラリー毎に、2塩基毎の後のプールおよびスプリットステップにより、4個の別々のカラムにおいて合成を行って、ソフトウェア作成された設計に基づく15個の2塩基ブロックのランダム領域を作製した。2塩基ブロックライブラリー設計は、結果としてのアプタマー配列データの解析において、塩基修飾残基の取り込みの部位を同定する手段を可能にする。5位修飾デオキシウリジン残基(太字表記)は、ランダム領域においてランダムに散在した。これは、0~12個の修飾を有するライブラリー配列を可能にする。本実施例で使用される3種の修飾(インドール、フェノールおよび一級アミン)を、ライブラリー合成において修飾ヌクレオシドホスホラミダイトにより導入した。
【表12-1】
【表12-2】
A.ビーズに固定化されたヒト補体fDの調製
【0165】
PBS、pH7.2において5μM最終濃度でヒト補体fDを再懸濁し、100μLのfDを、1μLの20mM EZ-Link(商標)NHS-PEG4ビオチンと組み合わせ、2時間氷上でインキュベートした。このインキュベーションに続いて、選択バッファーB(PBS pH7.4(10mMリン酸緩衝液、137.5mM NaCl)、5.7mM KCl、1mM MgCl、1mM CaClおよび0.05%Tween)への透析によって、未反応のビオチンを除去し、ビオチン取り込みを決定し、次いでビオチン化fDを500nMとなるよう選択バッファーBにおいて希釈した。
【0166】
X-アプタマー(XA)の選択に先立ち、ビオチン化fDを、Dynabeads(登録商標)M-280ストレプトアビジンビーズにカップリングした。M-280ビーズを250μLのバッファーBにおいて3回洗浄し、100μLのバッファーBに再懸濁し、次いで100μLの500nMビオチン化fDを添加し、この溶液を室温で回転しつつ30分間インキュベートした。次に、磁気スタンドを使用してfDカップリングビーズを捕捉し、穏やかな反転により200μlのバッファーBで3回洗浄し、100μlの選択バッファーA(PBS pH7.4(10mMリン酸緩衝液、137.5mM NaCl)、5.7mM KCl、1mM MgCl、1mM CaCl、0.2%BSAおよび0.05%Tween)に再懸濁した。
B.XAライブラリー調製およびM-280ビーズに対する負の選択
【0167】
ビーズカップリングしたXAライブラリーを、10mLのバッファーBに再懸濁し、3,000rcfで10分間の遠心分離によって洗浄し、上清を除去した。次に、XAライブラリーを3mLのバッファーBに再懸濁し、95℃で5分間加熱し、次いで30分間室温で冷却して、ビーズに固定化されたXAライブラリーを復元した。次に、7mLのバッファーBを添加し、続いて先の通りに遠心分離することにより、復元されたXAライブラリーを洗浄し、1.8mLのバッファーAに再懸濁した。250μLアリコートの非fDカップリングM-280ビーズを500μLのバッファーAで3回洗浄し、最終容量50μLのバッファーAに再懸濁し、XAライブラリーを含有するチューブに移した。XAライブラリーおよび非fDカップリングビーズを1時間37℃で回転しつつインキュベートして、M-280ビーズに対し親和性を有する全てのXAアプタマーを、M-280ビーズに結合させた。このインキュベーションに続いて、M-280ビーズおよび全ての会合したビーズに固定化されたXAライブラリーを磁気スタンドにおいて収集し、結合していないXAライブラリーを含有する上清を除去し、新鮮チューブに移した。M-280ビーズを500μLのバッファーAで穏やかに4回洗浄し、各洗浄由来の上清を、前の上清と組み合わせて、M-280ストレプトアビジンビーズに対し親和性を有するものがプレクリアされた、XAライブラリービーズのプールを生成した。プレクリアされたXAライブラリーをその後、10mLのバッファーAで3回洗浄し、fDに対するアプタマーの選択における使用に先立ち、1.8mLのバッファーAに再懸濁した。
C.fDに対するX-アプタマーの単離
【0168】
fDに対するX-アプタマーを同定するために、100μLのM-280固定化fDをプレクリアされたXAライブラリーに添加し、90分間37℃で回転しつつインキュベートして、fDに対し親和性を有するX-アプタマーの、M-280ビーズカップリングされたfDへの結合を可能にした。インキュベーションに続いて、磁気スタンドを使用したX-アプタマー/fDカップリングM-280ビーズ複合体の収集により、fDに結合されたX-アプタマーを単離し、上清を廃棄した。次に、X-アプタマー/fDカップリングM-280ビーズを1mLのバッファーAで8回洗浄し、続いて、1mLのバッファーBで2回洗浄し、全洗浄バッファーは、37℃に予熱した。その結果fDに対するアプタマーが濃縮された、X-アプタマー/fDカップリングM-280ビーズを次に、50μLのバッファーBに再懸濁した。
【0169】
次に、等容量の1N NaOHの添加および65℃で30分間のインキュベーションと、続く切断反応の80%に均等な容量の2M Tris-Clによる溶液の中和により、fDに対する濃縮されたアプタマーをビーズから切断した。次に、XAライブラリービーズから切断されたfDに対するアプタマーを選択バッファーBにおいて脱塩した。
【0170】
fDに対し親和性を有するものに関して単離されたX-アプタマーをさらに濃縮するために、15μLの切断されたXAプールを、150μLの総容量の選択バッファーBにおいて100nMビオチン化fDと共にインキュベートし、37℃で1時間、回転しつつインキュベートした。5μLのM-280ビーズの添加に続く、30分間で37℃のインキュベーションにより、X-アプタマーを単離し、その後、磁気スタンドで捕捉し、37℃に予熱した150μLのバッファーBで3回洗浄し、100μLのバッファーBに再懸濁して、fDに対するアプタマーが濃縮されたX-アプタマープールを生成した。配列比較のための対照を生成するために、最終容量150μLの選択Bに15μLの切断されたプールを含有する別々の反応液を調製し、5μLのM-280ビーズなし(開始対照)またはあり(陰性対照)でインキュベートし、fDと共にインキュベートされた切断されたプール毎にプロセシングした。
D.配列決定のための単離されたX-アプタマープールの調製
【0171】
1×PCRバッファー、2.5mM MgCl、0.2mM dNTP、0.4μMフォワードプライマーおよび0.4μMのリバースプライマーを含有する、5×20μLのPCR反応液のそれぞれに対する鋳型としての5μLの単離されたX-アプタマーまたは対照プールを組み合わせることにより、fD濃縮X-アプタマープールのためのPCR反応液ならびに開始および陰性対照反応液を調製し、PCR反応液の各セットは、次世代配列決定のための6ヌクレオチド指標を含有する特有のリバースプライマーおよび1ユニットTaqポリメラーゼを含有する。初期変性94℃1分間、続いて94℃30秒間;50℃30秒間;72℃1分間のサイクルと、72℃3分間の最終伸長を使用して、PCR反応サイクルを実行した。初期パイロットPCR反応において、条件毎に適切な数のPCRサイクルを決定した。PCR産物をその後、Qiagen MinElute PCR精製キットを使用して精製し、次世代配列決定に付した。
【0172】
選択戦略から得られる配列を次の通りに解析した。手短に説明すると、2塩基ブロック合成コードおよびライブラリーの設計に基づき、塩基修飾の部位を個々の配列に復旧した。条件毎の配列毎の頻度を決定し、各条件にわたり正規化し、対照画分のおよそ2×またはそれを超える濃縮を有する配列を潜在的fDアプタマーとして同定した。
【0173】
表13に示す通り、このアプローチは、ヒト補体fDに対して濃縮された、いくつかの塩基修飾X-アプタマーの同定をもたらした。
【表13-1】
【表13-2】
【表13-3】
(実施例4)
高い親和性でfDのエキソサイトに結合するアプタマーの同定
【0174】
一部の事例では、本開示は、fDに関連する機能を阻害するアプタマーの同定を提供する。一部の事例では、fDに関連する機能を阻害するアプタマーの同定は、副補体依存性溶血アッセイの実行が関与し得る。C1q枯渇により古典的補体経路が欠損させられたヒト血清は、fDに依存し得る活性である、ウサギ赤血球細胞を溶解するために副補体活性に依存し得る(Katschke、Wu、Ganesanら(2012年)Inhibiting alternative pathway complement activation by targeting the Factor D exosite.、J. Biol. Chem.287巻、12886~12892頁)。
【0175】
手短に説明すると、クエン酸処理ウサギ血液を500×gで5分間、室温にて遠心分離した。上部血漿画分を除去し、0.1%ゼラチンを含有する1×Veronalバッファー(5×Veronalバッファー、Lonza#12-624Eおよび2%ゼラチン溶液、Sigma-Aldrich、G1393から調製)により容量を置き換えた。赤血球細胞をさらに2回洗浄した。洗浄されたウサギ赤血球細胞を、2×10細胞/mL(RBC)の濃度となるよう1×Veronalバッファーに希釈した。
【0176】
V字底96ウェルプレートにおいて、最終容量250μLとなるよう次の試薬を添加した:適切な容量の1×Veronalバッファーと0.1%ゼラチン、100μLアプタマー、30μLのC1q枯渇ヒト血清および20μL RBC。この混合物を25分間、室温でインキュベートし、次いで5μLの500mM EDTAの添加により反応を停止した。プレートを5分間500×g、室温で遠心分離し、次いで100μLの上清を除去し、405nmの吸光度を測定することにより、RBC溶解の程度を決定した。C1q枯渇血清の非存在下での水による完全RBC溶解により、また、100μM小分子fD阻害剤3,4-ジクロロイソクマリンによるC1q枯渇血清に起因する溶解の阻害により、アッセイの対照を提供した。
【0177】
実施例1において同定されたC1~C3、非特異的対照オリゴ(C8)、および実施例1に記載されている1種の抗fD Fab抗体断片(AFD)を、C1q枯渇ヒト血清と共にインキュベートして、血清中に存在するfDへの結合を可能にし、次いでウサギ赤血球細胞のfD依存性溶解を阻害する能力をアッセイした(図11)。fDの内在性濃度は、10%C1q枯渇ヒト血清において約9.6nMであると予想されたため(Loyet、Good、Davancazeら(2014年)Complement inhibition in cynomolgus monkeys by anti-factor D antigen-binding fragment for the treatment of an advanced form of dry age-related macular degeneration.、J. Pharm. Exp. Ther.351巻、527~537頁)、1nM未満等、有意により優れた親和性でfDを結合した化合物は、アッセイに存在するfDにほとんど化学量論的に結合すると予想された。このことは、fDに対し低pM親和性を有すると報告された(20nM、Loyetら、2014年)、AFDの事例であると思われた(図11;表14)。C1~C3、C8およびAFDのIC50値を表14に描写する。
【表14】
(実施例5)
D因子エステラーゼ活性アッセイ
【0178】
一部の事例では、fDエステラーゼ活性アッセイを使用して、推定抗fDアプタマーの活性を検査することができる。一部の事例では、エステラーゼ活性の阻害は、抗fDアプタマーが、触媒クレフトおよび関連する基質結合特異性ポケットに結合していることを示唆し得る。一部の事例では、エステラーゼ活性の増強は、配列番号71に従った重鎖可変領域および配列番号72に従った軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗fD Fabに観察されるもの等、抗fDアプタマーが、アロステリック活性化を引き起こす様式でエキソサイトに結合していることを示唆し得る。さらに他の事例では、溶血の阻害と組み合わせてエステラーゼ活性における効果なしは、抗fDアプタマーが、アロステリック活性化を引き起こさない様式でエキソサイトに結合していること、またはエキソサイトにも触媒クレフトにも結合していないことを示唆し得る。Z-lys-S-Bzl等、fDの修飾ペプチド基質の切断は、還元5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸)(DTNB)の量を測定することによりモニターすることができる。ペプチドチオエステル基質を使用する場合、FDは、他の補体プロテアーゼよりも低い触媒反応速度を有することができ、斯かる一基質Z-lys-SBzlは、fDによって切断され、合成基質として有用であることが判明した(fDは、Kam、McRaeら(1987年)Human complement proteins D, C2, and B.、J. Biol. Chem.262巻、3444~3451頁においてタンパク質Dと呼ばれる)。
【0179】
一態様では、fDに結合する分子は、触媒クレフトにおいて結合して、fDの触媒残基へのペプチド基質のアクセスを立体的に防止することにより触媒活性を遮断することができる(Katschke、Wu、Ganesanら(2012年)Inhibiting
alternative pathway complement activation by targeting the Factor D exosite.、J.
Biol. Chem.287巻、12886~12892頁)。別の態様では、fDに結合する分子は、酵素における構造変化を誘導するアロステリック機序によって触媒活性を遮断することができる。さらなる態様では、fDに結合する分子は、fDエキソサイト領域に結合して、生理的基質タンパク質FBの結合を立体的に阻害することができるが、合成修飾ペプチド基質Z-Lys-SBzlの結合は阻害しない(Katschke、Wu、Ganesanら(2012年)Inhibiting alternative
pathway complement activation by targeting the Factor D exosite.、J. Biol. Chem.287巻、12886~12892頁)。
【0180】
分子が、fD結合およびFBのタンパク質分解性切断を阻害するが、Z-Lys-SBzlは阻害しないさらなる態様では、結合は、抗D因子FAb抗体断片が、エキソサイトに結合し、fD切断Z-Lys-S-Bzlを増加させる僅かな立体構造変化を誘導する仕方と同様のものとなり得る(Katschke、Wu、Ganesanら(2012年)Inhibiting alternative pathway complement activation by targeting the Factor D exosite.、J. Biol. Chem.287巻、12886~12892頁)。
【0181】
手短に説明すると、平底96ウェルプレートにおいて、最終容量200μLとなるように次の試薬を添加した:1×Veronalバッファーと0.1%ゼラチンおよび10mM MgCl;抗fD抗体(AFD)、アプタマー(C1~C3、実施例1を参照)または非特異的オリゴ対照(C8);ならびに10nM、20nM、40nM、80nMもしくは160nMにおけるまたはその5%以内の最終濃度のfD。10分間、室温のインキュベート後に、94μM、188μM、375μMもしくは750μMでまたはその5%以内でZ-Lys-SBzlを、5μM、20μMもしくは40μMでまたはその5%以内でDTNBを添加した。一部の事例では、41.7nMでfDを、375uMでZ-Lys-SBzlを、20.0uMでDTNBを添加した。1.5時間、405nmのプレートリーダーにおいて吸光度を直ちに読み取り、30秒間毎に読み取り、各読み取り前に3秒間のプレート振盪を行った。
【0182】
表15および図12にアッセイの結果を描写する。手短に説明すると、C3は、fDの公知活性部位阻害剤であるジクロロイソクマリン(DIC)に匹敵する阻害活性を有することに基づき、活性部位阻害剤であると決定された。これらの条件下でこのアッセイにおける陽性対照としてDICが使用される場合、fD活性は、29±15.8%(平均±SD)に低下され、この結果は、C3が、触媒または活性部位クレフトを介して操作する、強力なfD阻害剤であることを確立した。データは、C2が、AFDと同様の様式でエキソサイトに結合したことをさらに確立した。データは、C1が、C2およびC3とは異なる作用機序によって作用したか、またはエキソサイトを介してC2のように機能したが、fDのアロステリック活性化を引き起こす正確に同じ仕方でfDに影響を与えなかったことを確立した。
【表15】
(実施例6)
再構成された酵素fDアッセイにおけるfD阻害剤の同定
【0183】
一部の事例では、本開示は、精製タンパク質のfD、FBおよびC3bで構成される、再構成された生化学的fD活性アッセイにおけるfD阻害剤の同定を提供する。fDが、FBおよびC3bの複合体(C3bB)に結合すると、FBは、fDによって断片BaおよびBbへと切断される(Katschke、Wu、Ganesanら(2012年)Inhibiting alternative pathway complement
activation by targeting the Factor D exosite.、J. Biol. Chem.287巻、12886~12892頁)。fDの活性は、Baに特異的に結合する抗体(Quidel、A033)を使用するELISAを使用して、FB切断およびBa断片産生の速度によりモニターすることができる。
【0184】
FBコンバターゼアッセイ混合物は、0.1%ゼラチンVeronalバッファーおよび10mM MgClと、7.5nM、15nM、30nM、60nM、120nM、240nM(0.125μM)におけるまたはその5%以内の補体タンパク質fD、125nM、250nM、500nMまたは1μMにおけるB因子(FB)および125nM、250nM、500nMまたは1μMにおけるC3b、ならびに抗体またはアプタマーである。
【0185】
一例では、FBおよびC3bの濃度は等しいため、1:1複合体を形成し、これは続いて、fDに結合することができ、酵素活性を有するfDが、FBを断片BaおよびBbに切断することを可能にする。別の例では、FB:C3b複合体は、fDの4倍過剰で存在する。例えば、125nMのfDおよび0.5μMアプタマーの最終反応濃度(または濃度範囲)は、15分間混合され、次いで0.5μMのFBおよび0.5μMのC3bが、FD/阻害剤混合物に添加され、30分間37℃でインキュベートされ、次いで0.1%ゼラチンVeronalバッファーにおける10mM EDTAが添加されて、反応を停止する。
(実施例7)
C3bBへのfD結合の阻害剤の同定
【0186】
一部の態様では、本開示は、C3bとの複合体におけるFBへのfD結合の阻害剤の同定を提供する。FDは、副補体経路における律速酵素であり、プロコンバターゼC3bBおよびC3bBを変換して、活性C3コンバターゼC3bBbまたは活性C5コンバターゼC3bBbを形成する(Katschkeら、2012年)。FBとの安定した複合体におけるfDを検出するための表面プラズモン共鳴(SPR)のため、FB:C3b複合体への結合後にFBを切断しないように、触媒的に不活性なfD(S195A)が使用される(Katschke、Wu、Ganesanら(2012年)Inhibiting alternative pathway complement activation by targeting the Factor D exosite.、J. Biol. Chem.287巻、12886~12892頁)。
【0187】
C3bが、CM5チップにアミンカップリングされると、SPRは、FBの結合を質量増加として検出し、C3b:FB複合体へのfDの結合をさらなる質量増加として検出する。アッセイバッファー(Veronalバッファー、1mM NiClおよび0.05%サーファクタントP-20)におけるFB、触媒的に不活性なS195A fDおよびfD結合化合物は、流速10、20、30、40、50または60μL/分、90μLでSPRチップ上を流動される。FBは、0.25、0.5、1、2または4μMで固定化されたC3bの上を流動され、次いで7.8nM~8μMの2倍希釈濃度範囲において、FBおよびfDが0.25、0.5、1、2または4μM FBおよびfD(S195A)で同時注射される。一部の事例では、流速は30μL/分であり、FB濃度は1μMであり、形成された複合体は、アッセイバッファーにおいて5分間解離させられる。
【0188】
一例では、fD結合化合物は、FBおよびfDの混合物と同時注射される。例えば、1μM FBおよび1μM fD(S195A)は、1μM~128μMの2倍希釈範囲でアプタマーと同時注射される。一態様では、SPRによって検出される質量低下によって決定される通り、fD結合化合物は、fDに結合し、FB:C3bへのfD結合を防止するアプタマーである。
(実施例8)
シュタルガルト病における細胞に基づくモデル補体病理におけるfDの阻害
【0189】
網膜色素上皮(RPE)細胞は、シュタルガルト病の進行初期に細胞死を起こし、証拠は、RPE細胞死における副補体経路(AP)の関与を指し示す(Berchuck、Yangら(2013年)All-trans-retinal(atRal) sensitizes human RPE cells to alternative complement pathway-induced cell death.、Invest Ophthalmol Vis Sci 54巻、2669~2677頁)。ARPE-19細胞は、19歳男性の正常な目に由来する自発的に生じるRPE細胞株である。特異的培養培地において培養された立方状基底細胞層を使用して確立されたARPE-19細胞株は、RPE特異的マーカーの細胞性レチンアルデヒド結合タンパク質およびRPE-65を発現する。
【0190】
シュタルガルト病は、オールトランスレチナールをプロセシングするタンパク質をコードする、ABCA4遺伝子にホモ接合型突然変異を有する患者において起こる遺伝性若年性黄斑変性である(Molday(2007年)ATP-binding cassette transporter ABCA4: molecular properties and role in vision and macular degeneration.、J. Bioenerg Biomembr 39巻、507~517頁)。シュタルガルト病のABCA4およびRDH8マウスモデルは、蓄積されたatRalに起因する網膜病理を呈し、ABCA4突然変異は、AMD患者の16%に存在し、上昇したatRalが、シュタルガルト病およびAMD疾患進行に寄与し得ることを示唆する(Berchuckら、2013年)。
【0191】
機構的には、atRalは、in vitroでRPE細胞におけるCD46およびCD59の発現を減少させ、これは、RPE細胞膜への抗RPE抗体結合に応答した副補体によって媒介される細胞溶解に対する感受性を増加させた(Berchuckら、2013年)。
【0192】
一部の事例では、本開示は、ヒト網膜色素性上皮細胞の副補体媒介性溶解を阻害するfD阻害剤の同定を提供する。手短に説明すると、ヒトRPE細胞(ARPE-19細胞、ATCC、Manassas、Virginia、USA)は、ダルベッコ変法イーグル培地およびHam栄養素混合物F-12の1:1混合物(vol/vol);(Invitrogen-Gibco、Carlsbad、California、USA)、非必須アミノ酸10mM、0.37%炭酸水素ナトリウム、0.058%L-グルタミン、10%ウシ胎仔血清ならびに抗生物質(ペニシリンG 100U/mL、ストレプトマイシン硫酸塩0.1mg/mL、ゲンタマイシン10μg/mL、アンホテリシン-B 2.5μg/mL)において育成される。細胞は、37℃、5%CO2、95%相対湿度でインキュベートされる。
【0193】
シュタルガルト病のin vitroモデルにおける細胞生存率を決定するために、ARPE-19細胞を6ウェルプレートに蒔く。ウェル当たり2mLの培養培地における5×105個の細胞を蒔き、標準条件で24時間インキュベートする。atRalによる補体媒介性溶解に対し細胞を感作するために、ARPE-19細胞をatRalで90分間または24時間処置する。fD依存性副補体経路を活性化するために、細胞を24%ヒツジ抗RPE抗体と共に30分間インキュベートし、次いで6%C1q枯渇ヒト血清で処置する。90分間37℃の後に、96ウェルプレートにおいて上清を収集し、新鮮培地に置き換える。細胞毒性検出キットを使用して、上清におけるLDH放出を測定する。fD中和アプタマーの効果は、規定用量(対照 - 薬物なし、1/2×、1×、2×および10×)の全薬物を使用して、AP誘導性細胞毒性アッセイにおいて決定される。
(実施例9)
抗fDアプタマーによる地図状萎縮の処置
【0194】
本実施例では、患者は、AMDに続発する地図状萎縮と診断される。患者は、硝子体内投与により治療有効用量のペグ化抗fDアプタマーで処置される。アプタマーは、fDのエキソサイトを標的とし、C3bB複合体の結合および切断を防止する。患者は、4週間に1回または8週間に1回処置される。6ヶ月間の処置後に、1年間の処置後に、およびその後6ヶ月毎に、患者は、地図状萎縮の安定化に関して評価される。患者は、無処置患者と比較した場合に、有意により優れた安定化を示し、抗fD抗体断片療法で4週間に1回処置した患者と比較した場合に、匹敵するまたはより優れた安定化を示す。
【0195】
本発明の好まれる実施形態について本明細書に示し記載してきたが、当業者には、斯かる実施形態がほんの一例として提供されていることが明らかであろう。そこで、当業者であれば、本発明から逸脱することなく、多数の変種、変化および置換を想定するであろう。本発明の実施において、本明細書に記載されている本発明の実施形態の様々な代替を用いることができることを理解されたい。次の特許請求の範囲が、本発明の範囲を規定しており、このような特許請求の範囲内の方法および構造ならびにこれらの均等物が、これに網羅されることが企図される。
図1
図2A
図2B
図3AB
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【配列表】
2024029136000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0149
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0149】
配列番号71に従った重鎖可変領域および配列番号72に従った軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗fD Fabのクローン(以降「AFD」)を使用して、競合結合アッセイを行って、結合をさらに評価した。競合アッセイのため、fDで標識されたビーズを先ず、50μlのSB1T(ssDNAおよびBSA含有)において、50nMのラウンドまたは個々のアプタマーと共に30分間37℃でインキュベートした。次に、ビーズをSB1Tで洗浄して、結合していないアプタマーを除去し、100nM AFDありまたはなしで、30分間37℃でインキュベートした。インキュベーション後に、ビーズをSB1Tで3回洗浄し、フローサイトメトリーによってアッセイした(図7)。これらのアッセイは、ラウンド7および8集団の両方ならびに選択された全アプタマーに対して、AFDの結合が、アプタマーシグナルをほぼ75%~ほぼ90%低下させたことを明らかにした。上述の通りアプタマーがAFDによって十分に打ち負かされた場合、斯かるアプタマーは、fDのエキソサイトまたは自己阻害ループに結合していると推定された。
【表3】
【表4-1】
【表4-2】
【表5】
(実施例2)
ヒト補体D因子に対するDNAアプタマーの選択
【外国語明細書】