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特開2024-29154キャップを備えた流体透過性ヒーター組立品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029154
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】キャップを備えた流体透過性ヒーター組立品
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20240227BHJP
   A24F 40/46 20200101ALI20240227BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/46
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023222560
(22)【出願日】2023-12-28
(62)【分割の表示】P 2021212539の分割
【原出願日】2017-06-20
(31)【優先権主張番号】16180958.7
(32)【優先日】2016-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ミロノフ オレク
(72)【発明者】
【氏名】ジノヴィク イハル ニコラエヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィトマー ジャン-マルク
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンド キーザン ダスネイヴィス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】エアロゾル発生システムのためのヒーター組立品を提供する。
【解決手段】エアロゾル発生システム用の流体透過性ヒーター組立品10であって、第一および第二のキャップ開口部を有する中空体を備えるキャップ12であって、第一のキャップ開口部が、第二のキャップ開口部に対向する、キャップと、実質的に平面の導電性の流体透過性発熱体20であって、発熱体20が、エアロゾル形成基体を蒸発させるように構成され、発熱体20が第一のキャップ開口部を横切って延在するように、キャップ12に取り付けられる、流体透過性発熱体と、を備える。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生システム用の流体透過性ヒーター組立品(10)であって、
第一(16)および第二(18)のキャップ開口部を有する中空体(14)を備えるキャップ(12)であって、前記第一のキャップ開口部(16)が、前記第二のキャップ開口部(18)に対向し、前記キャップ(12)が一体的に形成され、(12)が、ホルダー開口部(30)を有するホルダー(28)をさらに備え、前記ホルダー(28)が、前記ホルダー開口部(30)が前記第一のキャップ開口部(16)の少なくとも一部分と一致するように、前記第一のキャップ開口部(16)を覆う、キャップと、
実質的に平面の導電性の流体透過性発熱体(20)であって、前記発熱体(20)が、エアロゾル形成基体(22)を蒸発させるように構成され、前記発熱体(20)が、前記発熱体(20)が前記第一のキャップ開口部(16)を横切って延在するように、前記ホルダー(12)に取り付けられる、流体透過性発熱体と、を備える、ヒーター組立品。
【請求項2】
前記液体エアロゾル形成基体(22)を保持するように構成される、ホスト材料片(24)をさらに備え、前記ホスト材料片(24)の少なくとも一部分が、前記第一(16)のキャップ開口部と前記第二(18)のキャップ開口部との間の前記中空体(14)内に配置される、請求項1に記載のヒーター組立品(10)。
【請求項3】
前記ホスト材料片(24)が、前記中空体(14)の内部空間と実質的に同じサイズおよび形状である、請求項2に記載のヒーター組立品(10)。
【請求項4】
前記中空体(14)の前記内部空間が、実質的に円筒形状である、請求項1または2に記載のヒーター組立品(10)。
【請求項5】
前記ホスト材料片(24)が、前記発熱体(20)と少なくとも部分的に接触して提供される、請求項2~4のいずれかに記載のヒーター組立品(10)。
【請求項6】
前記ホスト材料片(24)から前記発熱体(20)に液体エアロゾル形成基体(22)を輸送するように構成される、輸送材料片(26)であって、前記輸送材料片(26)が、前記発熱体(20)と接触して提供され、前記発熱体(20)と前記ホスト材料片(24)との間に配置される、輸送材料片をさらに備え、
前記発熱体(20)が、前記ホルダー(28)上に取り付けられる、請求項2~4のいずれかに記載のヒーター組立品(10)。
【請求項7】
前記輸送材料片(26)が、前記ホルダー開口部(30)に配置される、請求項1~6のいずれかに記載のヒーター組立品(10)。
【請求項8】
前記輸送材料片(26)が、前記ホルダー開口部(30)と実質的に同じサイズおよび形状を有する、請求項1~7のいずれかに記載のヒーター組立品(10)。
【請求項9】
前記発熱体(20)が、前記発熱体(20)の端領域にそれぞれ位置付けられる少なくとも二つの導電性接点領域(34)を有する、メッシュ(32)を備え、前記メッシュ(32)が、前記第一のキャップ開口部(16)の少なくとも一部分を横切って延在する、請求項1~8のいずれかに記載のヒーター組立品(10)。
【請求項10】
前記少なくとも二つの導電性接点領域(34)がそれぞれ、前記発熱体(20)の密な領域に位置付けられる、請求項1~9のいずれかに記載のヒーター組立品(10)。
【請求項11】
エアロゾル発生システム用のカートリッジ(40)であって、前記カートリッジ(40)が、
請求項1~10のいずれかに記載のヒーター組立品(10)と、
液体エアロゾル形成基体(22)を貯蔵するための液体貯蔵部分(36)と、
前記ヒーター組立品(10)の構成要素を保持するための、および前記ヒーター組立品(10)が前記液体貯蔵部分(36)と接触することを保持するための保持器(42)と、を備える、カートリッジ。
【請求項12】
前記カートリッジ(40)が、前記液体貯蔵部分(36)を保持するためのマウスピース(38)をさらに備える、請求項11に記載のカートリッジ(40)。
【請求項13】
主要ユニットおよび請求項11または12に記載のカートリッジ(40)を備え、前記カートリッジ(40)が、前記主要ユニットに取り外し可能に結合される、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手持ち式の電気的に作動する喫煙システムなどの、エアロゾル発生システムに関する。特に、本発明は、エアロゾル形成基体が、液体であり、蒸発される、エアロゾル発生システムのためのヒーター組立品に関連する。
【背景技術】
【0002】
電池および制御電子回路を備える装置部分と、液体貯蔵部分に保持されたエアロゾル形成基体の供給を備えるカートリッジ部分と、気化器として動作する電気的に作動するヒーター組立品とから成る、手持ち式の電気的に作動するエアロゾル発生システムが知られている。液体貯蔵部分に保持されたエアロゾル形成基体の供給および気化器の両方を備えるカートリッジは、時々「カトマイザー」と呼ばれる。ヒーター組立品は、液体貯蔵部分に保持された液体エアロゾル形成基体に浸された細長い芯のような毛細管媒体と接触する流体透過性発熱体を備えうる。カートリッジ部分は、一般にエアロゾル形成基体の供給および電気的に作動するヒーター組立品だけでなく、ユーザーが使用時に吸ってエアロゾルを口の中へと引き込むマウスピースも含む。
【0003】
流体透過性発熱体を備えたヒーター組立品は、壊れやすい構造を有しうる。ヒーター組立品の構成要素は、輸送、包装および使用の間に容易に移動しうる。こうしたヒーター組立品を備えたカートリッジを製造することは困難でありうる。
【0004】
低コストでの容易な製造を可能にし、かつより剛直な構造を提供して、ヒーター組立品の構成要素の移動を防ぐ、エアロゾル発生システムのための向上したヒーター組立品を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第一の態様によると、エアロゾル発生システム用の流体透過性ヒーター組立品であって、第一および第二のキャップ開口部を有する中空体を含むキャップであって、第一のキャップ開口部が、第二のキャップ開口部に対向する、キャップと、実質的に平面の導電性の流体透過性発熱体であって、発熱体が、エアロゾル形成基体を蒸発させるように構成され、発熱体が、発熱体が第一のキャップ開口部を横切って延在するように、キャップに取り付けられる、流体透過性発熱体と、を備える、ヒーター組立品が提供される。
【0006】
本明細書において提供される解決策は、発熱体の安定性を向上し、キャップの中空体に配置されうる毛細管媒体のための誘導を提供するために発熱体上に中空体を有するキャップを取り付けることである。キャップの使用により、ヒーター組立品の製造が単純化され、ヒーター組立品の剛直性が向上されうる。
【0007】
本発明によるヒーター組立品のさらなる目的は、充填されたカートリッジにふたをすることでありうる。この考えは、ヒーター組立品のすべての部品をあらかじめ組み立てて、その後、この一体型に形成された構成要素を操作して、カートリッジの閉止を容易にすることである。
【0008】
本明細書で使用される場合、「実質的に平面の」とは、初めに単一の平面内に形成され、かつ湾曲した形状またはその他の非平面形状に巻かれたりまたはその形状に適合されたりしていないことを意味する。本明細書で使用される「導電性」という用語は、1×10-4Ωm以下の比抵抗を有する材料から形成されていることを意味する。本明細書で使用される場合、「電気絶縁性」は1×104Ωm以上の比抵抗を持つ材料から形成されていることを意味する。本明細書で使用される場合、ヒーター組立品と関連しての「流体透過性」は、エアロゾル形成基体(気相であるが、液相である可能性もある)が、簡単にヒーター組立品の発熱体を通過できることを意味する。
【0009】
ヒーター組立品は、高い熱分解温度を有する材料から形成され、急な温度変化に耐えることが可能である、キャップを備える。発熱体は、キャップ上に支持される。キャップは、プラスチック細粒から成型されることが好ましい。プラスチック細粒は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)または任意のその他のポリマー材料を有してもよい。キャップ材料は、発熱体の下側に成形されることが好ましい。キャップは、メッシュ細片上への成形を介して、VICTREX PEEKで作られることがより好ましい。発熱体の下側は、第一のキャップ開口部の方へ方向付けられる。発熱体の下側にキャップを成形することは、キャップに発熱体を固定するために端子などの材料をさらに取り付ける必要がないため有利である。
【0010】
キャップは、液体貯蔵部分を発熱体から少なくとも1.5ミリメートルの距離だけ隔てるのに十分なサイズを持つことが好ましく、キャップを横切って十分な温度降下を提供するために3ミリメートル~6ミリメートルであることが好ましい。有利なことに、こうした実施形態において、液体貯蔵部分は、例えばポリエチレンまたはポリプロピレンなどの低めの熱分解温度を有しよりコスト効率の高い材料で作製されうる。
【0011】
ヒーター組立品は、単純な製造が許容される実質的に平面の発熱体をさらに備える。幾何学的には、「実質的に平面の」導電性発熱体という用語は、実質的に二次元の位相幾何学的マニホールドの形態である導電性フィラメント配列を意味するために使用される。従って、実質的に平面の導電性発熱体は、実質的に第三の寸法より大きい表面に沿って二次元的に延在する。特に、その表面内での二次元的な実質的に平面の発熱体の寸法は、表面に対して垂直の第三の寸法よりも少なくとも5倍大きい。実質的に平面の発熱体の例は、二つの実質的に平行な架空表面間の構造であって、ここでこれらの二つの架空表面間の距離は実質的にその表面内の延長部分よりも小さい。一部の好ましい実施形態で、実質的に平面の発熱体は平面である。その他の実施形態で、実質的に平面の発熱体は一つ以上の寸法に沿って曲がっており、例えばドーム形状またはブリッジ形状を形成する。
【0012】
「フィラメント」という用語は、本明細書全体を通して、二つの電気接点間に配置された電気的な経路を意味するために使用される。フィラメントは任意に、いくつかの経路またはフィラメントにそれぞれ枝分かれ・分岐させてもよく、またはいくつかの電気的な経路から一つの経路に合流させてもよい。フィラメントは丸型、正方形、平面型、またはその他の任意の断面形状を有してもよい。フィラメントは、真っ直ぐな様式または曲がった様式で配置されてもよい。
【0013】
「発熱体」という用語は、本明細書全体で一つのまたは好ましくは複数のフィラメントの配列を意味するために使用される。発熱体は、例えば相互に並列に配列された、フィラメントのアレイであってもよい。発熱体は、流体透過性である。発熱体は、第一のキャップ開口部を横切って発熱体を取り付けた時に開放面積を提供するように切り取られうる。開放面積は、発熱体の各側面から面取り付きの窓溝穴を切り取ることによって、製造されることが好ましい。フィラメントはメッシュを形成しうることが好ましい。メッシュは織物または不織布であってもよい。メッシュは、異なるタイプの織り構造または格子構造を使用して形成されてもよい。別の方法として、導電性発熱体は、互いに平行に配置されたフィラメントのアレイから成る。導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物はまた、液体を保持するその能力によって特徴付けられてもよい。
【0014】
好ましい実施形態において、実質的に平面の発熱体は、ワイヤーメッシュに形成されるワイヤーから構成されうる。メッシュは、平織設計を有することが好ましい。発熱体は、メッシュ細片から作られるワイヤーグリルであることが好ましい。
【0015】
導電性フィラメントはフィラメント間の隙間を画定でき、隙間の幅は10マイクロメートル~100マイクロメートルとしうる。フィラメントは、使用時に気化されることになる液体が隙間内に引き出されて発熱体と液体エアロゾル形成基体の間の接触領域が増大するように、隙間内に毛細管作用を引き起こさせることが好ましい。
【0016】
導電性フィラメントは、1センチメートル当たりのフィラメント数が60~240個(±10パーセント)のサイズのメッシュを形成してもよい。メッシュ密度は、1センチメートル当たりのフィラメント数が100~140個(±10パーセント)であることが好ましい。メッシュ密度は、1センチメートル当たりのフィラメント数がおよそ115個であることがより好ましい。隙間の幅は、100マイクロメートル~25マイクロメートル、好ましくは80マイクロメートル~70マイクロメートル、より好ましくはおよそ74マイクロメートルであってもよい。メッシュの合計面積に対する隙間の面積の比であるメッシュの開放面積の割合は、40パーセント~90パーセント、好ましくは85パーセント~80パーセント、より好ましくはおよそ82パーセントである。本明細書を通じて、こうしたメッシュの密度は、「第一のメッシュ密度」と言及される。
【0017】
追加的に、メッシュは、増加したメッシュ密度(「第二のメッシュ密度」と言及される)を有する一つ以上のセクションを有してもよく、フィラメント間の隙間は、5マイクロメートル未満、好ましくは2マイクロメートル未満、より好ましくはおよそ1マイクロメートルである。増加したメッシュ密度を有するメッシュの一つ以上のセクションは、本明細書を通じて「高密度領域」と言及される。
【0018】
導電性フィラメントは、8マイクロメートル~100マイクロメートルの直径を持ちうるが、10マイクロメートル~50マイクロメートルであることが好ましく、12マイクロメートル~25マイクロメートルであることがより好ましい。フィラメントは、丸い断面を有してもよく、または平面の断面を有してもよい。
【0019】
導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは織物の領域は、小さくてもよい(例えば、50平方ミリメートル以下、好ましくは25平方ミリメートル以下、より好ましくはおよそ15平方ミリメートル)。そのサイズは、手持ち式のシステム内に発熱体を組み込むように選択される。導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは織物を、50平方ミリメートル以下のサイズにすることで、導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは織物を加熱するのに要求される合計電力量が低減され、一方で、液体エアロゾル形成基体との導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは織物の十分な接触がさらに確保される。導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは織物は、例えば、長方形であり、2ミリメートル~10ミリメートルの長さおよび2ミリメートル~10ミリメートルの幅を有してもよい。メッシュは、およそ5ミリメートル×3ミリメートルの寸法を有することが好ましい。導電性フィラメントのメッシュまたはアレイは、発熱体がそれを横切って延在する第一のキャップ開口部の開放面積の30パーセント~90パーセントの面積を覆いうる。導電性フィラメントのメッシュまたはアレイは、第一のキャップ開口部の開放面積の50パーセント~70パーセントの面積を覆うことが好ましい。導電性フィラメントのメッシュまたはアレイは、第一のキャップ開口部の開放面積の55パーセント~65パーセントの面積を覆うことがより好ましい。
【0020】
発熱体のフィラメントは、適切な電気的特性を有する任意の材料から形成されうる。適切な材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金およびセラミック材料および金属材料でできた複合材料が挙げられるが、これに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープシリコン炭化物が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル、および白金族の金属が挙げられる。
【0021】
適切な金属合金の例としては、ステンレス鋼、コンスタンタン、ニッケル-、コバルト-、クロミウム-、アルミニウム-、チタン-、ジルコニウム-、ハフニウム-、ニオビウム-、モリブデン-、タンタル-、タングステン-、スズ-、ガリウム-、マンガン-、および鉄-含有合金、およびニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、鉄-アルミニウム系合金、ならびに鉄-マンガン-アルミニウム系合金が含まれる。Timetal(登録商標)は、Titanium Metals Corporationの登録商標である。フィラメントは、一つ以上の絶縁体で被覆されていてもよい。導電性フィラメント用の好ましい材料は、ステンレス鋼、および黒鉛であり、より好ましくはAISI 304、316、304L、316Lのような300系ステンレス鋼である。追加的に、導電性発熱体は、上述の材料の組み合わせを含みうる。材料の組み合わせを、実質的に平面の発熱体の抵抗の制御を改善するために使用しうる。例えば、本質的に高い抵抗の材料を、本質的に低い抵抗の材料と組み合わせてもよい。これは、材料のどれか一つが他の観点、例えば価格、機械加工性またはその他の物理的および化学的パラメータから見てより有益な場合に有利でありうる。有利なことに、抵抗を増大させた実質的に平面のフィラメント配列により無駄な損失が低減される。有利なことに、高い抵抗のヒーターにより、より効率の高い電池エネルギーの使用が許容される。
【0022】
フィラメントは、ワイヤーで作られることが好ましい。ワイヤーは、金属で作られることがより好ましく、ステンレス鋼で作られることが最も好ましい。
【0023】
発熱体の導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは織物の電気抵抗は、0.3オーム~4オームでありうる。電気抵抗は、0.5オーム以上であることが好ましい。導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物の電気抵抗は、0.6オーム~0.8オームであることがより好ましく、約0.68オームであることが最も好ましい。導電性フィラメントのメッシュ、アレイ、または織物の電気抵抗は、導電性接点領域の電気抵抗よりも少なくとも1桁大きいことが好ましく、また少なくとも2桁大きいことがより好ましい。これにより、発熱体に電流を通過させることにより発生した熱が、確実に導電性フィラメントのメッシュまたはアレイに局在化される。システムの電源が電池である場合、発熱体に対する全体抵抗が低いことは有利である。低抵抗で大電流のシステムは、発熱体に高電力を供給することを可能にする。これにより、発熱体が導電性フィラメントを素早く望ましい温度に加熱できる。
【0024】
キャップの中空体は、毛細管媒体を保持するように構成されうる。ヒーター組立品は、液体エアロゾル形成基体を保持するための毛細管媒体から作られる、ホスト材料片を備えることが好ましい。ホスト材料片の少なくとも一部分は、第一のキャップ開口部と第二のキャップ開口部との間で中空体内に配置されうる。
【0025】
有利なことに、キャップおよびホスト材料片は、およそ同じサイズの断面積を有するようにサイズ設定されうる。本明細書で用いられるような、およそ同じサイズとは、第一のキャップ開口部を備えるキャップの断面積が毛細管材料より最高で30パーセントまで小さくまたは大きくありうることを意味する。キャップの中空体の内部空間の形状も、組立品および材料が実質的に重なるように、毛細管材料の形状と同様としうる。ホスト材料片は、中空体の内部空間と実質的に同じサイズおよび形状であることが好ましい。中空体の内部空間は、実質的に円筒形状を持つことが好ましい。中空体の内部空間の容積は、50立方ミリメートル~500立方ミリメートル、好ましくは100立方ミリメートル~250立方ミリメートル、より好ましくはおよそ150立方ミリメートルであってもよい。
【0026】
ホスト材料片は、発熱体と少なくとも部分的に接触して提供されうる。組立品および材料のサイズおよび形状が実質的に同じである時、製造を単純化することができ、製造工程の確実性が改善される。
【0027】
ヒーター組立品は、ホスト材料片から発熱体に液体エアロゾル形成基体を輸送するための毛細管媒体から作られる輸送材料片を備えることが好ましい。輸送材料片は、発熱体と接触して提供されうる。輸送材料片は、発熱体とホスト材料片との間に配置されることが好ましい。この場合、ホスト材料は、発熱体と直接接触しない。
【0028】
輸送材料片は、第一のキャップ開口部を横切って延在する発熱体の表面の少なくとも一部分と液体エアロゾル形成基体が接触することを保証できる材料で作られうる。輸送材料片は、導電性フィラメントと接触してもよい。輸送材料片は、フィラメント間の隙間に延在してもよい。発熱体は、毛細管作用によって液体エアロゾル形成基体を隙間の中へと引き込んでもよい。輸送材料片は、実質的に第一のキャップ開口部の開放面積全体にわたり、導電性フィラメントと接触することが好ましい。
【0029】
毛細管材料は、液体を材料の一端から他端へ能動的に送達する材料である。毛細管材料は、別の毛細管媒体を介して直接的または間接的に、液体貯蔵部分と接触して、発熱体に向かって液体エアロゾル形成基体を送達するように方向付けられうる。
【0030】
毛細管材料は、エアロゾル発生を促進するために、発熱体の導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは織物と直接接触する毛細管材料の一つ以上の層を含む、三つ以上の毛細管材料を含みうる。
【0031】
毛細管材料は繊維質または海綿状の構造を持ってもよい。毛細管材料は一束の毛細管を含むことが好ましい。例えば、毛細管材料は複数の繊維もしくは糸、またはその他の微細チューブを含んでもよい。繊維または糸は一般に、液体エアロゾル形成基体を発熱体に運ぶために整列されうる。別の方法として、毛細管材料は海綿体様または発泡体様の材料を含んでもよい。毛細管材料の構造は複数の小さな穴またはチューブを形成し、これを通して液体エアロゾル形成基体は毛細管作用によって搬送されうる。毛細管材料は任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例としては、海綿体または発泡体材料、繊維または焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属またはプラスチックの材料、例えば紡がれたかまたは押し出された繊維(酢酸セルロース、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンまたはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)でできた繊維性材料がある。毛細管材料は、異なる液体物理特性で使用されるように、任意の適切な毛細管作用および空隙率を有してもよい。液体エアロゾル形成基体は、毛細管作用により液体エアロゾル形成基体を毛細管媒体を通過して搬送できるようにする粘性、表面張力、密度、熱伝導率、沸点および蒸気圧を含むがこれに限定されない物理的特性を持つ。
【0032】
少なくとも一つの毛細管材料は、不十分な液体エアロゾル形成基体が導電性フィラメントのメッシュ、アレイまたは織物と接触する毛細管材料に供給された場合に発生する「乾燥加熱」を阻止するために、最小量の液体エアロゾル形成基体が前記毛細管材料内に確実に存在するために、十分な体積を持つものとしうる。ユーザーによる20~40回の吸煙を許容するために、最低体積の前記毛細管材料が提供されうる。1~4秒間の吸煙中に揮発される液体エアロゾル形成基体の平均体積は、一般に1~4ミリグラムの液体エアロゾル形成基体である。従って、20~160ミリグラムの液体エアロゾル形成基体を保持する体積を持つ少なくとも一つの毛細管材料を提供することは、乾燥加熱を阻止しうる。
【0033】
キャップは、二つ以上の異なる毛細管材料を含みうるが、ここで発熱体と接触している輸送材料片はより高い熱分解温度を持っていてもよく、輸送材料片と接触しているが、発熱体とは接触してないホスト材料片はより低い熱分解温度を持っていてもよい。輸送材料片は、ホスト材料片がその熱分解温度を上回る温度に晒されないように、発熱体をホスト材料片から分離するスペーサーとしての役目を効果的に果たす。本明細書で使用される場合、「熱分解温度」は、材料が分解を始め、気体状の副産物を発生することにより質量を損失する温度を意味する。ホスト材料片は、有利なことに輸送材料片よりも大きな容積を占めてもよく、また輸送材料片よりも多くのエアロゾル形成基体を保持してもよい。ホスト材料片は、輸送材料片と比較して優れた吸い上げ性能を有しうる。ホスト材料片は、輸送材料片よりも安価でありうる。ホスト材料片はポリプロピレンであってもよい。
【0034】
輸送材料片は、輸送材料片にわたる十分な温度降下を提供するために、少なくとも0.5ミリメートル、好ましくは0.5ミリメートル~2ミリメートル、より好ましくはおよそ0.75ミリメートルの距離だけ、発熱体をホスト材料片から分離しうる。
【0035】
キャップは、ホルダー開口部を有するホルダーを備えることが好ましい。ホルダーは、少なくとも第一のキャップ開口部を覆い、また0.25ミリメートル~5ミリメートル、好ましくは0.5ミリメートル~2.5ミリメートル、より好ましくはおよそ0.8ミリメートルの厚さを有する、平面状のディスクであってもよい。ホルダー開口部は、10平方ミリメートル~50平方ミリメートル、好ましくは20平方ミリメートル~30平方ミリメートル、より好ましくはおよそ25平方ミリメートルのサイズを有しうる。ホルダーは、ホルダー開口部が第一のキャップ開口部の少なくとも一部分と一致するように、第一のキャップ開口部を覆いうる。発熱体は、ホルダーに取り付けられうる。ホルダーの表面は、発熱体と接触し、ホルダーのないキャップと比較して接触領域が大きい接触領域を表わす。ホルダーは、第一のキャップ開口部のサイズをホルダー開口部のサイズに縮小させる。ホルダーと発熱体との間の接触領域を拡張することは、ヒーター組立品の剛直性を向上することができ、その組み立てを容易にしうる。ホルダーを含むキャップは、発熱体の下側に成形されることが好ましい。
【0036】
キャップは、一体的に形成されることが好ましい。一体的に形成されたキャップは、ホルダーを含みうる。
【0037】
輸送材料片は、ホルダー開口部に配置されることが好ましい。輸送材料片は、ホルダー開口部と実質的に同じサイズおよび形状を有することが好ましい。
【0038】
キャップは、ホルダーから延在する中空体を形成する、少なくとも一つの壁を備えることが好ましい。壁は、ホルダーに対して垂直に延在することが好ましい。壁は、発熱体の面に対して垂直に延在することが好ましい。
【0039】
発熱体は、少なくとも二つの導電性接点領域を有しうる。導電性接点領域は、発熱体の端領域に位置付けられうる。
【0040】
少なくとも二つの導電性接点領域はそれぞれ、発熱体の密な領域に位置付けられることが好ましい。導電性接点領域は、発熱体の先端に位置付けられうる。導電性接点領域は、導電性フィラメントに直接固定されてもよい。導電性接点領域は、スズパッチを備えうる。別の方法として、導電性接点領域は、導電性フィラメントと一体型としうる。
【0041】
本発明の第二の態様によれば、エアロゾル発生システム用のカートリッジであって、本発明の第一の態様によるヒーター組立品と、液体エアロゾル形成基体を貯蔵するための液体貯蔵部分と、ヒーター組立品の構成要素を保持し、ヒーター組立品が液体貯蔵部分と接触する状態を保持する、保持器と、を備える、カートリッジが提供されている。
【0042】
カートリッジは、液体貯蔵部分を保持するためのマウスピースを備えることが好ましい。
【0043】
ホスト材料片は、ヒーター組立品のキャップの中空体の内部空間に配置されることが好ましい。輸送材料片は、第一のキャップ開口部を覆うホルダーのホルダー開口部に配置されうる。キャップは、輸送材料片およびホスト材料片のための剛直なハウジングとして機能する。保持器は、輸送材料片およびホスト材料片を介して、ヒーター組立品が液体貯蔵部分と接触することを保持する。キャップの壁の近位端は、ホルダーに隣接し、キャップの壁の遠位端は、液体貯蔵部分と係合することが好ましい。
【0044】
カートリッジは、使い捨て可能な物品であってもよく、それによりカートリッジの液体貯蔵部分が空になり、または最小の容積しきい値より低くなると、新しいカートリッジと取り替えられうる。カートリッジは、液体エアロゾル形成基体で前もって装填されていることが好ましい。カートリッジは、再充填可能としうる。
【0045】
カートリッジおよびその構成要素は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの熱可塑性ポリマーで作られていてもよい。
【0046】
本発明の第三の態様によれば、主要ユニットおよび本発明の第二の態様によるカートリッジを備え、カートリッジが、主要ユニットに取り外し可能に結合される、エアロゾル発生システムが提供されている。
【0047】
エアロゾル発生システムは、電気的に作動する喫煙システムであってもよい。
【0048】
本明細書で使用される、カートリッジが主要ユニットに「取り外し可能に結合される」という用語は、主要ユニットまたはカートリッジのいずれも著しく損傷することなく、カートリッジおよび主要ユニットが互いに結合および分離できることを意味する。
【0049】
エアロゾル発生システムは、ヒーター組立品および電源に接続された電気回路をさらに備えてもよく、電気回路は、ヒーター組立品の、またはヒーター組立品の一つ以上のフィラメントの電気抵抗をモニターし、ヒーター組立品または一つ以上のフィラメントの電気抵抗に依存してヒーター組立品への電力供給を制御するように構成される。
【0050】
電気回路はマイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラム可能マイクロプロセッサであってもよい。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路はヒーター組立品への電力供給を調節するように構成されてもよい。電力はシステムの起動後、ヒーター組立品に連続的に供給されてもよく、または断続的に供給(例えば、吸入ごとに毎回供給)されてもよい。電力は、電流パルスの形態でヒーター組立品に供給されてもよい。
【0051】
エアロゾル発生システムはハウジングの本体内に、典型的には電池の電源を有利にも備える。代替として、電源はコンデンサーなど別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は、再充電を必要とすることがあり、また一回以上の喫煙の体験のための十分なエネルギーの貯蔵が許容される容量を持ちうる。例えば、電源は約6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な生成を許容するのに十分な容量を持ちうる。別の実施例において、電源は所定回数の吸煙、またはヒーター組立品の不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0052】
エアロゾル発生システムはハウジングを含むことが好ましい。ハウジングは細長いことが好ましい。ハウジングは任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例には、金属、合金、プラスチック、もしくはそれらの材料のうちの一つ以上を含有する複合材料、または、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)およびポリエチレンなど、食品または医薬品の用途に適切な熱可塑性樹脂が挙げられる。材料は軽量であり、脆くないことが好ましい。
【0053】
エアロゾル発生システムは携帯型であることが好ましい。エアロゾル発生システムは従来型の葉巻たばこまたは紙巻たばこに匹敵するサイズであってもよい。喫煙システムの全長は、およそ30ミリメートル~およそ150ミリメートルであってもよい。喫煙システムの外径は、およそ5ミリメートル~およそ30ミリメートルであってもよい。
【0054】
エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成できる揮発性化合物を放出する能力を持つ基体である。揮発性化合物はエアロゾル形成基体の加熱により放出されてもよい。
【0055】
エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はたばこを含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含みうる。エアロゾル形成基体は少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。
【0056】
本発明の第四の態様によれば、第一の態様による流体透過性ヒーター組立品を製造するための方法であって、実質的に平面の導電性発熱体を提供する工程と、発熱体の一方の側面の端領域にキャップを成形する工程と、を含む、方法が提供される。キャップは、第一および第二のキャップ開口部を有する中空体を含む。第一のキャップ開口部は、第二のキャップ開口部に対向する。発熱体は、発熱体が第一のキャップ開口部を横切って延在するように、キャップ上に取り付けられる。
【0057】
発熱体を提供する工程は、メッシュ細片を提供することを含みうる。メッシュ細片は、第一のメッシュ密度および第二のメッシュ密度の交互シークエンスのメッシュセクションを含みうる。高密度のセクションを有することは、それを取扱う間のメッシュの安定性を増大しうる。
【0058】
発熱体を提供する工程は、第一のメッシュ密度のメッシュセクションの各側部から面取り付きの窓溝穴をダイカットすることと、第一のメッシュ密度の切り取られたメッシュセクションから弛み線を除去することと、をさらに含みうる。
【0059】
第一のメッシュ密度は、第二のメッシュ密度よりも低いことが好ましい。
【0060】
発熱体の一方の側部の端領域にキャップを成形する工程は、プラスチック細粒を予熱することと、キャップを形成するために型内にプラスチック細粒を注入することと、第二のメッシュ密度のメッシュセクションの下側にキャップを成形することと、を含むことが好ましい。
【0061】
発熱体の一方の側部の端領域にキャップを成形する工程は、ヒーター組立品からメッシュ細片を切り取ることと、ヒーター組立品から破片を除去することと、をさらに含むことが好ましい。
【0062】
ヒーター組立品からメッシュ細片を切り取る工程は、メッシュからメッシュ細片をダイカットすることを含み、発熱体は、メッシュを備え、メッシュは、メッシュが切り取られたメッシュのそれぞれの二つの端上の第二のメッシュ密度のメッシュセクションによって制限される第一のメッシュ密度のメッシュセクションを備えるように、第二のメッシュ密度のメッシュセクション内に切り取られることが好ましい。
【0063】
本発明の第一の態様による流体透過性ヒーター組立品を製造するための方法は、発熱体の他方の側面の端領域上にそれぞれ少なくとも二つの導電性接点領域を結合することをさらに含むことが好ましい。
【0064】
発熱体の他方の側面の端領域上にそれぞれ少なくとも二つの導電性接点領域を結合する工程は、スズ箔細片を提供することと、第二のメッシュ密度のメッシュセクションの形状およびサイズに適合するサイズにスズ箔細片からスズ箔パッチを切り取ることと、第二のメッシュ密度のメッシュセクション上にスズ箔パッチを押しつけることと、を含んでもよい。箔細片が発熱体の材料よりも軟化した材料で作られることは有利でありうる。
【0065】
本発明の第一の態様による流体透過性ヒーター組立品を製造するための方法は、ヒーター組立品を検査することをさらに含むことが好ましい。
【0066】
ヒーター組立品を検査する工程は、ヒーター組立品を検査ステーションに輸送することと、製造したヒーター組立品の発熱体の電気抵抗を測定することと、正確なワイヤーカウント、メッシュの汚れていない切り抜き部分、正確なメッシュ完全性、破片およびスズ箔取付けに関して、発熱体を目視検査することと、ヒーター組立品が発熱体の予期の電気抵抗および視覚的な検査の予期の結果のうちの少なくとも一つを損なっている場合、そのヒーター組立品を拒絶することと、を含むことが好ましい。
【0067】
本発明の第五の態様によれば、第四の態様による流体透過性ヒーター組立品を製造するための装置が提供される。
【0068】
キャップおよびメッシュを有する実質的に平面の導電性発熱体を備えたヒーター組立品を製造するために、流体透過性ヒーター組立品を製造するための装置は、以下の装置ユニットのうちの少なくとも一つを備えうる。
【0069】
- メッシュ細片を提供するためのメッシュ細片ボビン供給ユニットであって、メッシュ細片は、第一のメッシュ密度および第二のメッシュ密度の交互シークエンスのメッシュセクションを含む、メッシュ細片ボビン供給ユニット、
- スズ箔細片を提供するためのスズ箔細片ボビン供給ユニット、
- スズ箔の長さを割り出して、第二のメッシュ密度のメッシュセクション上に位置付けるための、および提供されたスズ箔細片からスズパッチを切り取るためのスズ箔切り取りステーション、
- 第二のメッシュ密度のメッシュセクションの上部面にスズパッチを押しつけて、接合させるためのスズ箔プレスステーション、
- 第一のメッシュ密度のメッシュセクションの各側部から面取り付きの窓溝穴をダイカットするためのメッシュ窓切り取りステーション、
- 空気圧を用いて洗浄し、切り取られたメッシュセクションの表面を電気掃除機で掃除して、破片を除去することによって、第一のメッシュ密度の切り取られたメッシュセクションからの弛み線、小粒子、ダストまたは破片を除去するための第一の洗浄ステーション、
- キャップを形成するために、プラスチック細粒を予熱し、および型内に同じものを注入するための注入成形機械、
- 第二のメッシュ密度のメッシュセクションの下側にキャップを成形するためのメッシュ注入成形ツール(可能であれば単一なくぼみまたはいくつかのくぼみを有する)、
- メッシュからメッシュ細片をダイカットすることによって、ヒーター組立品からメッシュ細片を切り取るためのヒーター組立品切り取りステーションであって、発熱体は、メッシュを備え、メッシュは、メッシュが切り取られたメッシュのそれぞれの二つの端上の第二のメッシュ密度のメッシュセクションによって制限される第一のメッシュ密度のメッシュセクションを備えるように、第二のメッシュ密度のメッシュセクション内に切り取られる、ヒーター組立品切り取りステーション、
- 空気圧を用いて洗浄し、ヒーター組立品の表面を電気掃除機で掃除して、破片を除去することによって、メッシュから弛み線を除去するための第二の洗浄ステーション、
- ヒーター組立品をヒーター組立品検査ステーションに輸送するための移動ユニットであって、ヒーター組立品検査ステーションは、ヒーター組立品抵抗測定ステーション、ヒーター組立品目視検査ステーション、およびヒーター組立品拒絶ステーションを含みうる、移動ユニット、
- メッシュ状態圧力試験ステーション、
- 製造したヒーター組立品のメッシュの電気抵抗およびスズ箔細片の電気抵抗を測定するためのヒーター組立品抵抗測定ステーション、
- ヒーター組立品を視覚的に検査するためのヒーター組立品目視検査、ならびに
- 仕様外のヒーター組立品を拒絶するためのヒーター組立品拒絶ステーション。
【0070】
好ましい製造プロセスにおいて、装置は、メッシュ細片、およびスズ箔細片から、およびプラスチック細粒から自動的にヒーター組立品を製造する。ヒーター組立品は、キャップおよび実質的に平面の導電性発熱体を備える。
【0071】
本発明の第四の態様による好ましい製造プロセスは、メッシュ細片ボビン、スズ箔細片ボビン、およびプラスチック細粒のうちの少なくとも一つの手動の装填を含みうる。好ましい製造プロセスは、製造装置によって自動的に実行される以下の方法工程のうちの少なくとも一つをさらに含んでもよい。
【0072】
- メッシュ細片を提供することであって、メッシュ細片は、第一のメッシュ密度および第二のメッシュ密度の交互シークエンスのメッシュセクションを含む、提供すること、
- スズ箔細片を提供すること、
- スズ箔の長さを割り出して、第二のメッシュ密度のメッシュセクションにわたって位置付けること、
- 提供されたスズ箔細片からスズパッチを切り取ること、
- 第二のメッシュ密度のメッシュセクションの上部面にスズパッチを押しつけて、接合させること、
- 第一のメッシュ密度のメッシュセクションの各側部から面取り付きの窓溝穴をダイカットすること、
- 空気圧を用いて洗浄し、切り取られたメッシュセクションの表面を電気掃除機で掃除して、破片を除去することによって、第一のメッシュ密度の切り取られたメッシュセクションからの弛み線、小粒子、ダストまたは破片を除去すること、
- プラスチック細粒を予熱すること、
- キャップを形成するために型内にプラスチック細粒を注入すること、
- 第二のメッシュ密度のメッシュセクションの下側にキャップを成形すること、
- メッシュからメッシュ細片をダイカットすることによって、ヒーター組立品からメッシュ細片を切り取ることであって、発熱体は、メッシュを備え、メッシュは、メッシュが切り取られたメッシュのそれぞれの二つの端上の第二のメッシュ密度のメッシュセクションによって制限される第一のメッシュ密度のメッシュセクションを備えるように、第二のメッシュ密度のメッシュセクション内に切り取られる、切り取ること、
- 空気圧を用いて洗浄し、メッシュの表面を電気掃除機で掃除して、破片を除去することによって、メッシュからの弛み線、小粒子、ダストまたは破片を除去すること、
- ヒーター組立品を検査ステーションに輸送すること、
- 製造したヒーター組立品のメッシュの電気抵抗を測定すること、
- 正確なワイヤーカウント、メッシュの汚れていない切り抜き部分、正確なメッシュ完全性、破片、およびスズ箔取付けに関して、ヒーター組立品を目視検査すること、ならびに
- ヒーター組立品が仕様外である場合、それを拒絶すること。
【0073】
一態様に関して説明される特徴は、本発明の他の態様にも等しく適用されてもよい。
【0074】
ここで本発明の実施形態を、以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるが説明する。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1A図1Aは、本発明の実施形態によるヒーター組立品の透視上面図である。
図1B図1Bは、本発明の実施形態によるヒーター組立品の透視下面図である。
図1C図1Cは、本発明の実施形態によるヒーター組立品の分解透視図である。
図2図2は、本発明の実施形態によるキャップおよびホルダーの断面上面図および透視図である。
図3図3は、本発明の実施形態によるホルダー、発熱体および接触領域の上面図である。
図4図4は、本発明の実施形態による二つの異なるメッシュ密度を有するメッシュの上面図である。
図5図5は、本発明の実施形態によるメッシュを製造するためのメッシュ細片の上面図である。
図6図6は、本発明の実施形態によるエアロゾル発生システムのためのカートリッジの分解透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
図1Aは、キャップの上面に第一のキャップ開口部16を有し、かつキャップ12の下面に第二のキャップ開口部18を有するキャップ12を備える、ヒーター組立品10を示す。第一のキャップ開口部16は、ホルダー開口部30を有するホルダー28によって覆われる。ヒーター組立品10は、ホルダー開口部30を横切って延在する発熱体20をさらに備える。
【0077】
図1Bは、下側から見た加熱組立品10を示す。キャップ12の中空体14の内部空間は可視的である。
【0078】
図1Cは、メッシュ32を備える発熱体20の構成要素を示す。メッシュ32は、第一のメッシュ密度の第一のメッシュセクション44、およびその二つの先端のそれぞれ上の第二のメッシュ密度の第二のメッシュセクション46を有し、第二のメッシュ密度は、第一の密度よりも高い。スズ箔パッチ50は、第二のメッシュ密度の二つのメッシュセクション46のそれぞれと接合される。そのメッシュ32のそれぞれの発熱体20は、キャップ12の上面にあるホルダー28のホルダー開口部30を横切って配置される。第一のメッシュ密度のメッシュセクション44全体は、ホルダー開口部30の上に配置される。
【0079】
図2は、キャップ12およびそのホルダー28を示す。ホルダー28は、別個の部品であってもよい。ホルダー28は、キャップ12の一体型の部品であることが好ましい。キャップ12の中空体14の内部体は、円筒形状を有する。図2の切れ目A-AおよびB-Bは、キャップ12および一体的に形成されたそのホルダー28を示し、図2の斜視図は、個々の部品としてのホルダー28を示す。図2の切れ目A-AおよびB-Bは、第一のキャップ開口部16の小さい方の部分(ホルダー開口部30と言及される)が、開放したままであり、発熱体がそれを横切って延在しうるように、ホルダー28により部分的に閉じられた第一のキャップ開口部16を示す。
【0080】
図3は、キャップ12の個々の部品として形成されたホルダー28を示し、ここにおいて、発熱体20は、第一のメッシュ密度のメッシュセクション44がホルダー開口部30を横切って延在するように取り付けられる。
【0081】
図4は、発熱体20のメッシュ32を示す。メッシュ32は、第一のメッシュ密度の第一のメッシュセクション44、およびその二つの先端のそれぞれ上の第二のメッシュ密度の第二のメッシュセクション46を備える。
【0082】
図5は、いくつかのメッシュ32がそれからダイカットされうるメッシュ細片42を示す。
【0083】
図6は、本発明の一実施形態によるカートリッジ40を示す。カートリッジ40は、キャップ12を有するヒーター組立品10と、キャップ12のホルダー28上に配置された発熱体20と、を備える。輸送材料片26は、ホルダー28のホルダー開口部30に配置される。ホスト材料片24は、キャップ12の中空体14の内部空間に配置される。キャップ12は、輸送材料片26およびホスト材料片24のための剛直なハウジングとして機能する。カートリッジ40は、液体エアロゾル形成基体を貯蔵するための液体貯蔵部分をさらに備える。保持器42は、ヒーター組立品10の構成要素を保持するために、および輸送材料片26およびホスト材料片24を介して、ヒーター組立品10が液体貯蔵部分36と接触することを保持するために使用される。さらに、カートリッジ40は、液体貯蔵部分36がその中に配置されるマウスピース38を備える。
【0084】
上述の例示的な実施形態は例証するが限定はしない。上記で考察した例示的な実施形態に照らすことによって、上記の例示的な実施形態と一貫したその他の実施形態も当業者には明らかとなろう。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6