(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029159
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】農園芸用粒状組成物および当該組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
A01N 25/12 20060101AFI20240227BHJP
A01N 47/12 20060101ALI20240227BHJP
A01N 55/10 20060101ALI20240227BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20240227BHJP
A01P 7/04 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
A01N25/12
A01N47/12 Z
A01N55/10 300
A01P3/00
A01P7/04
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023222634
(22)【出願日】2023-12-28
(62)【分割の表示】P 2019042617の分割
【原出願日】2019-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2018043166
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】303020956
【氏名又は名称】三井化学クロップ&ライフソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】江崎 竜太郎
(57)【要約】
【課題】雨天等の状況下で機械散布する場合においても、詰まり等のトラブルの発生が抑制され、さらに、製品収率が高く、さらに生産性に優れる農園芸用粒状組成物を提供する。
【解決手段】本発明の農園芸用粒状組成物は、農薬活性化合物と、20℃における3%水溶液の粘度が1~100mPa・sであるα化デンプンと、無機鉱物物質とを含み、所定の測定方法で測定された水中強度指数が0%を超え10%以下である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農薬活性化合物と、20℃における3%水溶液の粘度が1~100mPa・sであるα化デンプンと、無機鉱物物質とを含み、以下に示す測定方法で測定された水中強度指数が0%を超え10%以下である、農園芸用粒状組成物。
(測定方法)
目開きが710μmと1700μmの篩で篩分した農園芸用粒状組成物10gを、室温下で、3度硬水100mlを入れた300ml容の三角フラスコ(直径9cm、高さ14cm)に入れ、三角フラスコの蓋をして30分間静置する。その後、当該三角フラスコを10回転倒混和した後、内容物の全量を目開き500μmの篩を通過させる。篩上に残った残渣の乾燥重量を測定し、以下の計算式に従って、水中強度指数を算出する。
水中強度指数(%)=(1-(乾燥後の残渣の重量)/(試験に供した農園芸用粒状組成物の重量(10g))×100
【請求項2】
以下の式で示される、前記3%α化デンプン水溶液のチクソインデックス指数(TI値)が2~10である、請求項1に記載の農園芸用粒状組成物。
式:TI値=60rpmにおける粘度/6rpmにおける粘度
【請求項3】
前記α化デンプンは、α化バレイショデンプン、α化トウモロコシデンプン、α化コムギデンプン、α化コメデンプンまたはα化エンドウ豆デンプンである請求項1または2に記載の農園芸用粒状組成物。
【請求項4】
前記α化デンプンは、α化トウモロコシデンプンまたはα化エンドウ豆デンプンである請求項1ないし3のいずれかに記載の農園芸用粒状組成物。
【請求項5】
前記α化デンプンは、α化トウモロコシデンプンである請求項1ないし4のいずれかに記載の農園芸用粒状組成物。
【請求項6】
前記α化デンプンを2~11重量%含む、請求項1~5のいずれかに記載の農園芸用粒状組成物。
【請求項7】
前記無機鉱物物質が、炭酸カルシウム、クレー、タルク、珪藻土、ゼオライト、ベントナイト、酸性白土および活性白土からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1ないし6のいずれかに記載の農園芸用粒状組成物。
【請求項8】
前記無機鉱物物質が、炭酸カルシウム、クレー、タルクおよびベントナイトからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項7に記載の農園芸用粒状組成物。
【請求項9】
前記無機鉱物物質が、炭酸カルシウム、クレーおよびタルクからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項7または8に記載の農園芸用粒状組成物。
【請求項10】
さらにポリカルボン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、αオレフィンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アリールスルホン酸塩、メチルタウリン酸塩、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩およびポリオキシエチレンアリールエーテルリン酸塩からなる群から選択されるアニオン系界面活性剤を含有する請求項1ないし9のいずれかに記載の農園芸用粒状組成物。
【請求項11】
前記アニオン系界面活性剤が、αオレフィンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩またはポリオキシエチレンアリールエーテルリン酸塩である、請求項10に記載の農園芸用粒状組成物。
【請求項12】
前記アニオン系界面活性剤が、αオレフィンスルホン酸塩である、請求項10または11に農園芸用粒状組成物。
【請求項13】
前記農薬活性化合物が、殺虫剤および/または殺菌剤の少なくとも1種である、請求項1ないし12のいずれかに記載の農園芸用粒状組成物。
【請求項14】
前記殺虫剤が、フェニルピラゾール系化合物、ネオニコチノイド系化合物、スルホキシイミン系化合物、メソイオン系化合物、スピノシン系化合物、ネライストキシン化合物(類縁体)およびジアミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種である請求項13に記載の農園芸用粒状組成物。
【請求項15】
前記殺菌剤の作用機構分類が、コハク酸脱水素酵素阻害剤、Qo阻害剤、脱メチル化阻害剤、メラニン生合成阻害剤または病害抵抗性誘導である、請求項13または14に記載の農園芸用粒状組成物。
【請求項16】
前記殺菌剤が、ペンチオピラド、シメコナゾールまたはトルプロカルブである、請求項13ないし15のいずれかに記載の農園芸用粒状組成物。
【請求項17】
前記殺菌剤が、トルプロカルブである、請求項13ないし16のいずれかに記載の農園芸用粒状組成物。
【請求項18】
前記農薬活性化合物を1~20重量%含む、請求項1ないし17のいずれかに記載の農園芸用粒状組成物。
【請求項19】
農薬活性化合物と、20℃における3%水溶液の粘度が1~100mPa・sであるα化デンプンと、無機鉱物物質とを混合する工程1と、
前記工程1で得られた混合物を造粒し、次いで乾燥して農園芸用粒状組成物を得る工程2と、
以下に示す測定方法で測定された前記農園芸用粒状組成物の水中強度指数が0%を超え10%以下であることを確認する工程3と、を含む、農園芸用粒状組成物の製造方法。
(測定方法)
目開きが710μmと1700μmの篩で篩分した農園芸用粒状組成物10gを、室温下で、3度硬水100mlを入れた300ml容の三角フラスコ(直径9cm、高さ14cm)に入れ、三角フラスコの蓋をして30分間静置する。その後、当該三角フラスコを10回転倒混和した後、内容物の全量を目開き500μmの篩を通過させる。篩上に残った残渣の乾燥重量を測定し、以下の計算式に従って、水中強度指数を算出する。
水中強度指数(%)=(1-(乾燥後の残渣の重量)/(試験に供した農園芸用粒状組成物の重量(10g))×100
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結合剤として特定のα化でんぷんを用いた粒状の農園芸用組成物および当該組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、農業分野においては、低コスト化および省力化を指向した農薬製剤の開発が求められている。低コスト化に関しては、優れた性能を持つ製剤を高い生産性で製造することが求められている。また省力化に関しては、農薬の施用量および施用回数を削減するような製剤が望まれている。かかる状況下、水稲用農薬としては田植え前の育苗箱に農薬を処理する育苗箱施用法の普及が進んできている。このような施用法は、これまで環境中に流亡する等して有効に植物体へ吸収されなかった農薬活性化合物を効率よく植物体へ吸収させることができ、少量の有効成分で長期間の植物体内濃度の維持が可能となり、低コスト化および環境負荷の低減につながる。更には、当該施用法は、従来行っていたような、水田中に作業者が踏み入り、かつ重い散布機等を背負って農薬を散布する必要がなく省力的であるので、理想的な施用方法と言える。
【0003】
一方、特に水稲栽培では生産者の作付けの大規模化が進み、田植えと同時に育苗箱に薬剤を散布する散布機械の普及が進んでいる。このような機械は、田植え機に取り付ける専用装置として各社より市販されている。当該散布機械による農薬の散布は、薬剤に応じて散布量の調整ができる上、水田で農薬を施用するため、育苗ハウス内へこぼれた薬剤が後作に影響するという問題も発生しない。
【0004】
しかしながら、水田で育苗箱に薬剤を散布する施用法の課題は、天気の影響を受けやすい点が挙げられる。すなわち、育苗ハウス内で薬剤処理する場合は降雨の影響は無いが、水田内で薬剤処理する場合は降雨の影響で稲の葉に水滴がつき、これに粒剤が固着して薬害の原因となる場合がある。また、水滴で溶けだした粒剤が散布装置の出口で固結するので、固結した粒剤は、散布装置の詰まりの原因となる場合がある。機械による薬剤散布が普及するに従い、当該散布機械に適した性状を持つ薬剤が特に求められるようになってきている。
【0005】
一方、農薬粒剤の一般の製造法として押出型の造粒方法が知られている。例えば、非特許文献1には、農薬原体、結合剤等の粉体に水(液)を加え混練し、スクリュー、ローラー等で圧力をかけスクリーンあるいはダイから押し出す造粒方法が記載されている。押出型の造粒方法は、単位時間当たりの生産能力が高く、また硬度に優れた粒剤が得られやすいので、農薬粒剤の製造法として一般に採用されている。
【0006】
しかしながら、押し出し粒剤の製造は、粒剤を構成する組成物のスクリーン通過性や当該組成物のスクリーン通過後の円柱状の湿潤物の状態に大きく影響を受ける。すなわち、当該組成物のスクリーン通過性が悪いと造粒機の負荷が大きくなって当該組成物の連続した生産が不可能になり、また当該組成物の湿潤物が互いにくっついてしまうと、押し出し造粒後の篩分工程で篩上に残る当該組成物の割合が増え、当該組成物の良品が得られる割合が減少してしまい、目的とする粒剤の生産性が不十分となる課題が存在する。
【0007】
先行技術として、例えば、WO2004/089091(特許文献1)には、結合剤としてのα化デンプン、ステアリン酸カルシウムおよびクレーを配合するプロベナゾール農薬粒剤が記載されている。特許文献1の課題は、プロベナゾールの溶出が制御された農薬粒剤を得ることである。実施例には、粒剤からのプロベナゾール溶出が抑制され、さらに粒剤を水中に投入してから42日経過した後においても粒剤の外観に変化がないか、わずかに膨潤したことが記載されている。
【0008】
特開2009-298708号公報(特許文献2)には、オリサストロビンと、α化デンプンと、ベントナイトと、を含有し、前記α化デンプン100重量部に対して前記ベントナイトの含有割合が20~800重量部であり、α化デンプンおよびベントナイトの合計含有量が、5~45重量%であることを特徴とする農薬粒剤が開示されている。特許文献2の課題は、薬効の持続等を目的としてオリサストロビンを徐放化することのできる農薬粒剤を得ることである。
【0009】
特開2009-298782号公報(特許文献3)には、20℃における水溶解度が700mg/L未満、且つ、20℃におけるオクタノール/水分配係数が1.4~3.5の範囲内である農薬活性化合物と、α化デンプンと、ベントナイトと、を含有し、前記α化デンプン100重量部に対する、前記ベントナイトの含有量が20~800重量部である農薬粒剤が開示されている。特許文献3の課題は、農薬活性化合物の水中での溶出が抑制され、農薬活性化合物の効果を長期間持続する農薬粒剤を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO2004/089091号公報
【特許文献2】特開2009-298708号公報
【特許文献3】特開2009-298782公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、これらの文献に記載の技術は以下の点で改善の余地があった。
特許文献1に記載の技術は、農薬粒剤を水中で非崩壊とすることによりプロベナゾールの溶出を制御するものである。しかしながら、このような農薬粒剤を得るためには、成分の添加量や製造条件を厳密に管理する必要があり、これらの条件を満足しない場合、当該農薬粒剤のスクリーン通過性が悪く造粒機の負荷が大きくなることがある等、当該農薬粒剤の生産性に問題を生じるため、当該問題の改善の余地があった。なお、特許文献1には、農薬粒剤の機械散布性や生産性について記載されていない。
【0012】
特許文献2または3に記載の農薬粒剤は、水中で容易に崩壊するため、雨天等の状況下における機械散布において散布装置に詰まりが発生することがあった。
【0013】
本発明の課題は、雨天等の状況下においてトラブルなく機械散布が可能で、かつ製品収率が高く、生産性に優れた農薬粒剤を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そこで、発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の水溶液の粘度範囲を有するα化デンプンを用い、さらに特定の水中強度指数を備えた粒剤が上記の課題を同時に解決しうることを見出し、本発明に至った。
【0015】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]農薬活性化合物と、20℃における3%水溶液の粘度が1~100mPa・sであるα化デンプンと、無機鉱物物質とを含み、以下に示す測定方法で測定された水中強度指数が0%を超え10%以下である、農園芸用粒状組成物。
(測定方法)
目開きが710μmと1700μmの篩で篩分けした農園芸用粒状組成物10gを、室温下で、3度硬水100mlを入れた300ml容の三角フラスコ(直径9cm、高さ14cm)に入れ、三角フラスコの蓋をして30分間静置する。その後、当該三角フラスコを10回転倒混和した後、内容物の全量を目開き500μmの篩を通過させる。篩上に残った残渣の乾燥重量を測定し、以下の計算式に従って、水中強度指数を算出する。
水中強度指数(%)=(1-(乾燥後の残渣の重量)/(試験に供した農園芸用粒状組成物の重量(10g))×100
[2]以下の式で示される、前記3%α化デンプン水溶液のチクソインデックス指数(TI値)が2~10である、[1]に記載の農園芸用粒状組成物。
式:TI値=60rpmにおける粘度/6rpmにおける粘度
[3]前記α化デンプンは、α化バレイショデンプン、α化とうもろこしデンプン、α化コムギデンプン、α化コメデンプンまたはα化エンドウ豆デンプンである、[1]または[2]に記載の農園芸用粒状組成物。
[4]前記α化デンプンは、α化トウモロコシデンプンまたはα化エンドウ豆デンプンである、[1]ないし[3]のいずれかに記載の農園芸用粒状組成物。
[5]前記α化デンプンは、α化トウモロコシデンプンである、[1]ないし[4]のいずれかに記載の農園芸用粒状組成物。
[6]前記α化デンプンを2~11重量%含む、[1]~[5]のいずれかに記載の農園芸用粒状組成物。
[7]前記無機鉱物物質が、炭酸カルシウム、クレー、タルク、珪藻土、ゼオライト、ベントナイト、酸性白土および活性白土からなる群から選択される少なくとも1種である、[1]ないし[6]のいずれかに記載の農園芸用粒状組成物。
[8]前記無機鉱物物質が、炭酸カルシウム、クレー、タルクおよびベントナイトからなる群から選択される少なくとも1種である[7]に記載の農園芸用粒状組成物。
[9]前記無機鉱物物質が、炭酸カルシウム、クレーおよびタルクからなる群から選択される少なくとも1種である、[7]または[8]に記載の農園芸用粒状組成物。
[10]さらにポリカルボン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、αオレフィンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アリールスルホン酸塩、メチルタウリン酸塩、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩およびポリオキシエチレンアリールエーテルリン酸塩からなる群から選択されるアニオン系界面活性剤を含有する、[1]ないし[9]のいずれかに記載の農園芸用粒状組成物。
[11]前記アニオン系界面活性剤が、αオレフィンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩またはポリオキシエチレンアリールエーテルリン酸塩である、[10]に記載の農園芸用粒状組成物。
[12]前記アニオン系界面活性剤が、αオレフィンスルホン酸塩である、[10]または[11]に農園芸用粒状組成物。
[13]前記農薬活性化合物が、殺虫剤および/または殺菌剤の少なくとも1種である、[1]ないし[12]のいずれかに記載の農園芸用粒状組成物。
[14]前記殺虫剤が、フェニルピラゾール系化合物、ネオニコチノイド系化合物、スルホキシイミン系化合物、メソイオン系化合物、スピノシン系化合物、ネライストキシン化合物(類縁体)およびジアミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種である、[13]に記載の農園芸用粒状組成物。
[15]前記殺菌剤の作用機構分類が、コハク酸脱水素酵素阻害剤、Qo阻害剤、脱メチル化阻害剤、メラニン生合成阻害剤または病害抵抗性誘導である、[13]または[14]に記載の農園芸用粒状組成物。
[16]前記殺菌剤が、ペンチオピラド、シメコナゾールまたはトルプロカルブである、[13]ないし[15]のいずれかに記載の農園芸用粒状組成物。
[17]前記殺菌剤が、トルプロカルブである、[13]ないし[16]のいずれかに記載の農園芸用粒状組成物。
[18]前記農薬活性化合物を1~20重量%含む、[1]ないし[17]のいずれかに記載の農園芸用粒状組成物。
[19]農薬活性化合物と、20℃における3%水溶液の粘度が1~100mPa・sであるα化デンプンと、無機鉱物物質とを混合する工程1と、
前記工程1で得られた混合物を造粒し、次いで乾燥して農園芸用粒状組成物を得る工程2と、
以下に示す測定方法で測定された前記農園芸用粒状組成物の水中強度指数が0%を超え10%以下であることを確認する工程3と、を含む、農園芸用粒状組成物の製造方法。
(測定方法)
目開きが710μmと1700μmの篩で篩分した農園芸用粒状組成物10gを、室温下で、3度硬水100mlを入れた300ml容の三角フラスコ(直径9cm、高さ14cm)に入れ、三角フラスコの蓋をして30分間静置する。その後、当該三角フラスコを10回転倒混和した後、内容物の全量を目開き500μmの篩を通過させる。篩上に残った残渣の乾燥重量を測定し、以下の計算式に従って、水中強度指数を算出する。
水中強度指数(%)=(1-(乾燥後の残渣の重量)/(試験に供した農園芸用粒状組成物の重量(10g))×100
【発明の効果】
【0016】
本発明の農園芸用粒状組成物は、雨天等の状況下で機械散布する場合においても、詰まり等のトラブルの発生が抑制されているため作業性に優れる。さらに、本発明の農園芸用粒状組成物は、所定の水中強度指数を満たす生産安定性に優れた構成を備えるため、製品収率が高く、さらに生産性に優れるため、製造コストを低く抑えることができ、農家にとって安価で使い易い商品を供給することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本明細書で使用する各種の用語について説明する。
本発明において粘度としては、特に記載の無い限り単一円筒形回転粘度計で液温20℃、円筒の回転数60rpmで測定した値を指し、また測定法はJIS Z 8803に規定されている方法に従って測定する。
【0018】
粘度の測定に用いるでんぷん水溶液は、以下に示す方法にて調製する。まず室温でのイオン交換水に撹拌しながらα化でんぷんを少しずつ加える。加え終わったのち、撹拌を続けながら90℃になるまで加熱を続け、1時間以上撹拌しでんぷんの凝集物が完全に無くなり水溶液が均一になったことを確認してから、加熱を終了する。そののち、20℃に設定したウォーターバス等の恒温機に放置し、液温が20℃になったことを確認した後に速やかに粘度の測定に供する。
【0019】
本発明において「水中強度指数」とは、下記の測定方法で得られた数値から算出される指数を示す。
(測定方法)
目開きが710μmと1700μmの篩で篩分けした農園芸用粒状組成物10gを、室温下で、3度硬水100mlを入れた300ml容の三角フラスコ(直径9cm、高さ14cm)に入れ、三角フラスコの蓋をして30分間静置する。その後、当該三角フラスコを10回転倒混和した後、内容物の全量を目開き500μmの篩を通過させる。篩上に残った残渣の乾燥重量を測定し、以下の計算式に従って、水中強度指数を算出する。
水中強度指数(%)=(1-(乾燥後の残渣の重量)/(試験に供した農園芸用粒状組成物の重量(10g))×100
【0020】
本発明において「チクソインデックス指数(TI値)」とは、B型粘度計を用い、測定温度20℃、回転速度60rpmおよび6rpmで計測される粘度(mPa・s)に基づき、下記式により求められる。
式:TI値=60rpmにおける粘度/6rpmにおける粘度
rpmは、円筒の角速度を指す。すなわち、TI値は円筒の角速度60rpmにおける粘度測定値を6rpmにおける測定値で除した値を指す。
【0021】
本発明において「アニオン系界面活性剤」とは、ポリカルボン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、αオレフィンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アリールスルホン酸塩、メチルタウリン酸塩、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩およびポリオキシエチレンアリールエーテルリン酸塩等の金属塩もしくはアンモニウム塩が挙げられ、好ましくは、αオレフィンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩およびポリオキシエチレンアリールエーテルリン酸塩等が挙げられるが、特にαオレフィンスルホン酸塩等が好ましい。
【0022】
本発明において「農薬活性化合物」とは、有害生物を防除する効果を有するものであればよく、例えば、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤および殺バクテリア剤等を挙げることができる。本発明の粒状農薬組成物は、これらの一種または農薬活性化合物の種類を越えて二種以上の農薬活性化合物を含有することができ、殺虫剤および/または殺菌剤の少なくとも1種であることが好ましい。以下に本発明の農薬活性化合物を具体的に例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
前記の除草剤としては、例えば、ブトロキシジム、プロフォキシジム、クレトジム、テプラロキシジム、トラルコキシジム、セトキシジム、シクロキシジム、プロパキザホップ、キザロホップ、ハロキシホップ、フルアジホップブチル、フルアジホップ-P-ブチル、シハロホップブチル、クロジナホッププロパルギル、ジクロホップメチル、フェノキサプロップ-P-エチル、アミドスルフロン、アジムスルフロン、トリフロキシスルフロン、ベンスルフロンメチル、シクロスルファムロン、フルピルスルフロンメチル、フォーラムスルフロン、クロリムロンエチル、エタメトスルフロンメチル、ハロスルフロンメチル、ニコスルフロン、クロルスルフロン、エトキシスルフロン、イマゾスルフロン、オキサスルフロン、ピラゾスルフロンエチル、トリトスルフロン、シノスルフロン、フラザスルフロン、ヨードスルフロンメチル、プリミスルフロンメチル、リムスルフロン、チフェンスルフロンメチル、メソスルフロンメチル、メトスルフロンメチル、プロスルフロン、トリアスルフロン、トリフルスルフロンメチル、スルホスルフロン、トリベヌロンメチル、トリフロキシスルフロン、フルカルバゾン、プロポキシカルバゾン、ビスピリバック、ピリベンゾキシム、ピリチオバック、ピリフタリド、ピリミノバックメチル、クロランスラムメチル、ジクロスラム、フロラスラム、フルメトスラム、メトスラム、ペノキススラム、イマザピック、イマザピル、イマザメタベンズメチル、イマザキン、イマザモックス、イマゼタピル、デスメディファム、フェンメディファム、ブロマシル、レナシル、ターバシル、メタベンチアズロン、クロロトルロン、フルオメツロン、イソプロツロン、イソウロン、ジウロン、リニュロン、テブチウロン、ヘキサジノン、メタミトロン、メトリブジン、アメトリン、アトラジン、ジメタメトリン、シアナジン、プロメトリン、シマジン、シメトリン、パラコート、ジクワット、アシフルオフェン、ビフェノックス、ホメサフェン、ラクトフェン、オキシフルオルフェン、カルフェントラゾンエチル、スルフェントラゾン、オキサジアルギル、オキサジアゾン、ブタフェナシル、サフルフェナシル、ピラゾレート、ピラゾキシフェン、ベンゾフェナップ、トプラメゾン、ピラスルフォトール、トルピラレート、メソトリオン、スルコトリオン、ベンゾビシクロン、テフリルトリオン、テンボトリオン、ビシクロピロン、フェンキノトリオン、ランコトリオン、グリホサート、グルホシネート、ビアラホス、ベンフルラリン、エタルフルラリン、ペンディメタリン、ブトラリン、オリザリン、トリフルラリン、アセトクロール、ブタクロール、アラクロール、ジメタクロール、ジメテナミド、プロパクロール、テニルクロール、メタザクロール、メトラクロール、S-メトラクロール、プレチラクロール、ペトキサミド、ベンチオカーブ、ブチレート、エスプロカルブ、モリネート、ジメピペレート、オルベンカルブ、プロスルホカルブ、トリアレート、トリクロピル、クロピラリド、フルロキシピル、ピクロラム、キンクロラック、キンメラック、クロメプロップ、MCPA、MCPB、2,4-DB、アイオキシニル、ブロモキシニル、ジクロベニル、アミカルバゾン、クロリダゾン、ベンタゾン、カルブチレート、プロパニル、ピリデート、ピラフルフェンエチル、シニドンエチル、フルミクロラックペンチル、フルミオキサジン、ピコリナフェン、アクロニフェン、フルリドン、ノルフルラゾン、ジフルフェニカン、ベフルブタミド、フルロクロリドン、フルルタモン、イソキサフルトール、クロマゾン、アシュラム、ジチオピル、チアゾピル、ジカンバ、ベナゾリン、ジフルフェンゾピル、ナプタラム、ナプロパミド、テトラピオン、ピノキサデン、ピロキサスルホン、フェノキサスルホン、イプフェンカルバゾン、インダジフラム、アミノシクロピラクロール、ハラウキシフェンメチル、フロルピラウキシフェンベンジル、チアフェナシル、トリフルジモキサジン、シクロピリモレート等を挙げることができる。中でも、ピラゾレート、シクロピリモレート等が好適である。
【0024】
前記の殺虫剤、殺ダニ剤および殺線虫剤としては、例えば、ホスホカルブ、アラニカルブ、ブトカルボキシム、ブトキシカルボキシム、チオジカルブ、チオファノックス、アルジカルブ、ベンジオカルブ、ベンフラカルブ、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、エチオフェンカルブ、フェノブカルブ、ホルメタネート、フラチオカルブ、イソプロカルブ、メチオカルブ、メソミル、オキサミル、ピリミカルブ、プロポキスル、トリメタカルブ、XMC、アリキシカルブ、アルドキシカルブ、ブフェンカルブ、ブタカルブ、カーバノレート、メトルカルブ、キシルイルカルブ、フェノチオカルブ、キシリルカルブ、ベンダイオカルブ、アセフェート、アザメチホス、アジンホス-メチル、アジンホス-エチル、エセフォン、カズサホス、クロルエトキシホス、クロルフェンビンホス、クロルメホス、クロルピリホス、クロルピリホス-メチル、クマホス、シアノホス、デメトン-S-メチル、ダイアジノン、ジクロフェンチオン、ジクロルボス、ジクロトホス、ジメトエート、ジメチルビンホス、ジスルホトン、O-エチル O-4-ニトロフェニル フェニルホスホノチオアート、エチオン、エトプロホス、ファムフール、フェナミホス、フェニトロチオン、フェンチオン、ホスチアゼート、ヘプテノホス、イソフェンホス-メチル、イソカルボホス、イソキサチオン、マラチオン、メカルバム、メタミドホス、メチダチオン、メビンホス、モノクロトホス、ナレッド、オメトエート、オキシデメトン-メチル、パラチオン、パラチオン-メチル、フェントエート、ホレート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ホキシム、ピリミホス-メチル、プロフェノホス、プロペタンホス、プロチオホス、ピラクロホス、ピリダフェンチオン、キナルホス、スルホテップ、テブピリムホス、テメホス、テルブホス、チオメトン、トリアゾホス、トリクロルホン、バミドチオン、クロルチオン、ブロムフェンビンホス、ブロモホス、ブロモホス-エチル、ブタチオホス、カルボフェノチオン、クロルホキシム、スルプロホス、ジアミダホス、テトラクロルビンホス、プロパホス、メスルフェンホス、ジオキサベンゾホス、エトリムホス、オキシデプロホス、ホルモチオン、フェンスルホチオン、イサゾホス、イミシアホス、イサミドホス、チオナジン、ホスチエタン、クロルデン、エンドスルファン、リンデン、ジエノクロル、エチプロール、フィプロニル、アセトプロール、アクリナトリン、アレスリン[(1R)-アイソマー]、ビフェントリン、ビオアレスリン、ビオアレスリン S-シクロペンテニル アイソマー、ビオレスメトリン、シクロプロトリン、シフルトリン、ベータ-シフルトリン、シハロトリン、ガンマ-シハロトリン、ラムダ-シハロトリン、シペルメトリン、アルファ-シペルメトリン、ベータ-シペルメトリン、セタ-シペルメトリン、ゼダ-シペルメトリン、シフェノトリン[(1R)-トランス-アイソマー]、デルタメトリン、エンペントリン[(EZ)-(1R)-アイソマー]、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルメトリン、タウ-フルバリネート、ハルフェンプロックス、イミプロトリン、メトトリン、メトフルトリン、イプシロン-メトフルトリン、モンフルオロトリン、イプシロン-モンフルオロトリン、ペルメトリン、フェノトリン[(1R)-トランス-アイソマー]、プラレトリン、レスメトリン、カデトリン、シラフルオフェン、テフルトリン、テトラメトリン、テトラメトリン[(1R)-アイソマー]、トラロメトリン(tralomethrin)、トランスフルトリン、ZXI8901、バイオペルメトリン、フラメトリン、プロフルトリン、フルブロシトリネート、ジメフルトリン、DDT、メトキシクロル、フェノトリン、フルバリネート、アセタミプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、イミダクロプリド、ニテンピラム、チアクロプリド、チアメトキサム、ニコチン、硫酸ニコチン、スルホキサフロル、フルピラジフロン、トリフルメゾピリム、スピノサド、スピネトラム、アバメクチン、エマメクチン安息香酸塩、レピメクチン、ミルベメクチン、ヒドロプレン、キノプレン、メトプレン、フェノキシカルブ、ピリプロキシフェン、臭化メチル、クロルピクリン、クリオライト、フッ化スルフリル、ホウ砂、ホウ酸、オクタホウ酸ニナトリウム塩、メタホウ酸ナトリウム塩、吐酒石、ダゾメット、メタム、カーバムナトリウム塩、ピメトロジン、ピリフルキナゾン、クロフェンテジン、ジフロビダジン、ヘキシチアゾクス、エトキサゾール、ジアフェンチウロン、アゾシクロチン、シヘキサチン、フェンブタチンオキシド、「c-12.5」プロパルギット、「c-12.6」テトラジホン、クロルフェナピル、DNOC、ビナパクリル、スルフルラミド、ベンスルタップ、カルタップ塩酸塩、チオシクラム、モノスルタップ、ビストリフルロン、クロルフルアズロン、ジフルベンズロン、フルシクロクスロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、ノビフルムロン、テフルベンズロン、トリフルムロン、ブプロフェジン、シロマジン、クロマフェノジド、ハロフェノジド、メトキシフェノジド、テブフェノジド、アミトラズ、ヒドラメチルノン、アセキノシル、フルアクリピリム、ビフェナゼート、フェナザキン、フェンピロキシメート、ピリダベン、ピリミジフェン、テブフェンピラド、トルフェンピラド、ロテノン、インドキサカルブ、メタフルミゾン、スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマト、リン化アルミニウム、リン化カルシウム、リン化水素、リン化亜鉛、シアン化カルシウム、シアン化ナトリウム、シアン化カリウム、シエノピラフェン、シフルメトフェン、ピフルブミド、クロラントラニリプロール、シアントラニリプロール、フルベンジアミド、フロニカミド、アザジラクチン、ベンゾキシメート、フェニソブロモレート、キノメチオナート、ジコホル、ピリダリル、ブロモプロピレート、トリアザメート、ジシクラニル、ジノブトン、ジノカップ、シアン化水素、ヨウ化メチル、カランジン、塩化水銀、メチルイソチオシアネート、ペンタクロロフェノール、ホスフィン、ピペロニル ブトキシド、ポリナクチン複合体、サバディラ、スルコフロン塩(スルコフロン-ナトリウム)、トリブホス、アルドリン、アミジチオオン、アミドチオエート、アミノカルブ、アミトン、アラマイト、アチダチオン、アゾトエート、ポリスルフィドバリウム、ベンクロチアズ、5-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)-3-ヘキシルシクロヘキサ-2-エノン、1,1-ビス(4-クロロフェニル)-2-エトキシエタノール、ブトネート、ブトピロノキシル、2-(2-ブトキシエトキシ)エチル チオシアナート、カンフェクロル、クロルベンシド、クロルデコン、クロルジメホルム、クロルフェネトール、クロルフェンソン、フルアズロン、メタアルデヒド、ビアラホス、塩酸レバミゾール、アミドフルメト、ピラフルプロール、ピリプロール、トラロピリル、フルピラゾフォス、ジオフェノラン、クロルベンジレート、フルフェンジン、ベンゾメート、フルフェネリム、アルベンダゾール、オキシベンダゾール、フェンベンダゾール、メタム・ナトリウム、1,3-ジクロロプロペン、フロメトキン、シクラニリプロール、テトラトラニリプロール、ブロフラニリド、ジクロロメゾチアズ、エチレンジブロマイド、アクリロニトリル、ビス(2-クロロエチル)エーテル、1-ブロモ-2-クロロエタン、3-ブロモ-1-クロロプロパ-1-エン、ブロモシクレン、二硫化炭素、四塩化炭素、ネマデクチン、シミアゾール、カルシウム ポリスルフィド、サイトカイニン、2-(オクチルチオ)エタノール、オレイン酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、マシン油、タール油、アナバシン、酒石酸モランテル、除虫菊(ピレトリン)、ナタネ油、ダイズレチシン、デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、脂肪酸グリセリド、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ケイソウ土、アフォキソラネル、フルアザインドリジン、アフィドピロペン、シハロジアミド、チオキサザフェン、フルヘキサフォン、フルララネル、フルキサメタミド、テトラクロラントラニリプロール、サロラネル、ロチラネル、シクロキサプリド、フルエンスルホン、TPIC、D-D、ペルオキソカルボナート、MB-599、ビス(2,3,3,3-テトラクロロプロピル)エーテル、DCIP、ENT-8184、Bayer 22408、Bayer 32394、オキサゾスルフィル、クロロプラレスリン、ベンズピリモキサン、アシノナピル、スピロピジオン、フルピリミン、チクロピラゾフロル等を挙げることができる。
【0025】
前記の殺菌剤および殺バクテリア剤としては、例えば、ベナラキシル、ベナラキシルMまたはキララキシル、オキサジキシル、フララキシル、メタラキシル、メタラキシルMまたはメフェノキサム、オフラセ、ベノミル、カルベンダジム、フベリダゾール、チアベンダゾール、チオファネート、チオファネートメチル、ジエトフェンカルブ、ゾキサミド、エタボキサム、ペンシクロン、フルオピコリド、フェナマクリル、ベノダニル、ベンゾビンジフルピル、ビキサフェン、ボスカリド、カルボキシン、フェンフラム、フルオピラム、フルトラニル、フルキサピロキサド、フラメトピル、イソフェタミド、イソピラザム、メプロニル、オキシカルボキシン、ペンチオピラド、ペンフルフェン、ピジフルメトフェン、セダキサン、チフルザミド、ピラジフルミド、アゾキシストロビン、クモキシストロビン、ジモキシストロビン、エノキサストロビン、ファモキサドン、フェンアミドン、フェナミンストロビン、フルフェノキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシムメチル、マンデストロビン、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、ピラオキシストロビン、ピリベンカルブ、トリクロピリカルブ、トリフロキシストロビン、シアゾファミド、アミスルブロム、ビナパクリル、メプチルジノカップ、ジノカップ、フルアジナム、アメトクトラジン、シプロジニル、メパニピリム、ピリメタニル、ストレプトマイシン、ブラストサイジンS、カスガマイシン、オキシテトラサイクリン、フェンピクロニル、フルジオキソニル、キノキシフェン、プロキナジド、クロゾリネート、ジメタクロン、イプロジオン、プロシミドン、ビンクロゾリン、エジフェンホス、イプロベンホス、ピラゾホス、イソプロチオラン、ビフェニル、クロロネブ、ジクロラン、キントゼン、テクナゼン、トルクロホスメチル、エトリジアゾール、ヨードカルブ、プロパモカルブ、プロチオカルブ、アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾールM、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェナリモル、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、キンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イマザリル、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ヌアリモール、オキスポコナゾール、オキスポコナゾールフマル酸塩、ペフラゾエート、ペンコナゾール、プロクロラズ、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、ピリフェノックス、ピリソキサゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリフルミゾール、トリホリン、トリチコナゾール、メフェントリフルコナゾール、イプフェントリフルコナゾール、アルジモルフ、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、トリデモルフ、フェンプロピジン、ピペラリン、スピロキサミン、フェンヘキサミド、フェンピラザミン、ピリブチカルブ、ナフチフィン、テルビナフィン、ポリオキシン類、ジメトモルフ、フルモルフ、ピリモルフ、ベンチアバリカルブ、ベンチアバリカルブイソプロピル、イプロバリカルブ、マンジプロパミド、バリフェナレート、フサライド、ピロキロン、トリシクラゾール、カルプロパミド、ジクロシメット、フェノキサニル、トルプロカルブ、アシベンゾラルSメチル、プロベナゾール、チアジニル、イソチアニル、ラミナリン、マンコゼブまたはマンゼブ、マンネブ、メチラム、プロピネブ、チウラム、ジネブ、ジラム、フェルバム、キャプタン、キャプタホール、ホルペット、フルオロホルペット、グアザチン、イミノクタジン、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン三酢酸塩、塩基性塩化銅、水酸化第二銅、塩基性硫酸銅、有機銅化合物、ドデシルベンゼンスルホン酸ビスエチレンジアミン銅錯塩[II]、硫黄、フルオルイミド、クロロタロニル、ジクロフルアニド、トリルフルアニド、アニラジン、ジチアノン、キノメチオナート、ハウチワマメ苗木の子葉からの抽出物(BLAD)、ジクロベンチアゾクス、フェンピコキサミド、ジピメチトロン、ブピリメート、ジメチリモール、エチリモール、酢酸トリフェニルスズ、塩化トリフェニルスズ、水酸化トリフェニルスズ、オキソリニック酸、ヒメキサゾール、オクチリノン、ホセチル、亜リン酸、亜リン酸のナトリウム塩、亜リン酸のアンモニウム塩、亜リン酸のカリウム塩、テクロフタラム、トリアゾキシド、フルスルファミド、ジクロメジン、シルチオファム、ジフルメトリム、メタスルホカルブ、シフルフェナミド、メトラフェノン、ピリオフェノン、ドジン、フルチアニル、フェリムゾン、オキサチアピプロリン、テブフロキン、ピカルブトラゾクス、バリダマイシン類、シモキサニル、キノフメリン、ピラプロポイン、イプフルフェノキン、ピリダクロメチル、メチルテトラプロール、インピルフルキサム、フルインダピル、イソフルシプラム、アミノピリフェン等を挙げることができる。
【0026】
前記の農薬活性化合物は、殺虫剤および/または殺菌剤の少なくとも1種であることが好ましい。
殺虫剤としては、フェニルピラゾール系化合物、ネオニコチノイド系化合物、スルホキシイミン系化合物、メソイオン系化合物、スピノシン系化合物、ネライストキシン化合物(類縁体)およびジアミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましいが、これらに限定されるものではない。フェニルピラゾール系化合物としては、例えば、エチプロール、フィプロニル等が挙げられる。ネオニコチノイド系化合物としては、例えば、アセタミプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、イミダクロプリド、ニテンピラム、チアクロプリド、チアメトキサム等が挙げられる。スルホキシイミン系化合物としては、例えば、スルホキサフロル等が挙げられる。メソイオン系化合物としては、例えば、トリフルメゾピリム等が挙げられる。スピノシン系化合物としては、例えば、スピネトラム、スピノサド等が挙げられる。ネライストキシン化合物(類縁体)としては、例えば、ベンスルタップ、カルタップ、チオシクラム、チオスルタップナトリウム塩等が挙げられる。ジアミド系化合物としては、例えば、クロラントラニリプロール、シアントラニリプロール、フルベンジアミド等が挙げられる。
【0027】
殺菌剤としては、作用機構分類が、コハク酸脱水素酵素阻害剤、Qo阻害剤、脱メチル化阻害剤、メラニン生合成阻害剤または病害抵抗性誘導であるもの等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。コハク酸脱水素酵素阻害剤としては、例えば、フルトラニル、メプロニル、フルオピラム、チフルザミド、ベンゾビンジフルピル、ビキサフェン、フルキサピロキサド、フラメトピル、イソピラザム、ペンフルフェン、ペンチオピラド、セダキサン等が挙げられ、中でも、ペンチオピラドが好ましい。Qo阻害剤としては、例えば、アゾキシストロビン、メトミノストロビン、オリサストロビン等が挙げられる。脱メチル化阻害剤としては、例えば、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェンブコナゾール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、プロピコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、プロチオコナゾール等が挙げられ、中でも、シメコナゾールが好ましい。メラニン生合成阻害剤としては、例えば、ピロキロン、トリシクラゾール、ジクロシメット、トルプロカルブ等が挙げられ、中でも、トルプロカルブが好ましい。病害抵抗性誘導剤としては、例えば、プロベナゾール、チアジニル、イソチアニル等が挙げられる。
【0028】
本発明において「α化デンプン」とは、通常のでんぷんを原料とし、水懸濁液を加熱したりアルカリ性にしたり塩類を加える等で糊化した後に急速に乾燥することで冷水で容易に膨潤溶解するように加工したでんぷんを指す。
でんぷんの原料となる植物にはコメ、コムギ、とうもろこし(コーン)、バレイショ、カンショ、タピオカ、エンドウ豆、サゴヤシ等が挙げられる。
【0029】
本発明におけるα化デンプンとしては、本発明の効果の観点から、20℃における3%水溶液の粘度が1~100mPa・s、好ましくは10~80mPa・s、より好ましくは20~50mPa・sであるものを用いることができる。
さらに、下記式で示される、3%α化デンプン水溶液のチクソインデックス指数(TI値)が2~10、好ましくは2.2~5、より好ましくは2.5~4であるものを用いることができる。
式:TI値=60rpmにおける粘度/6rpmにおける粘度
【0030】
このようなα化デンプンとしては、具体的に、α化バレイショデンプン、α化トウモロコシデンプン、α化コムギデンプン、α化コメデンプンまたはα化エンドウ豆デンプンを挙げることができ、α化トウモロコシデンプンまたはα化エンドウ豆デンプンが好ましく、α化トウモロコシデンプンがより好ましい。
【0031】
本発明の粒状の農薬組成物におけるα化デンプンの配合割合は、本発明の効果の観点から、本発明組成物100重量%に対して、1.5~20重量%、好ましくは1.8~15重量%、さらに好ましくは2~11重量%とすることができる。
【0032】
本発明の粒状の農薬組成物における「農薬活性化合物」の配合割合は、製剤が可能な量であればよく、特に限定されないが、本発明の効果の観点から、本発明組成物100重量%に対して、0.01~40重量%、好ましくは0.1~30重量%、より好ましくは1~20重量%である。
【0033】
本発明の粒状の農薬組成物には、その効果を妨げない範囲内において、例えば、無機鉱物物質等の粘土鉱物類・充填剤、着色剤、界面活性剤類、溶剤類・オイル類、グリコール類・糖類、水溶性高分子類、防腐剤・防黴剤、無機塩類、紫外線遮蔽剤、ラテックス類・エマルジョン類、消泡剤、pH調整剤、香料類等を含むことができる。
【0034】
前記の粘土鉱物類・充填剤としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、蛙目粘土、カオリナイト、カオリン、ベントナイト、クロマイトサンド、珪砂、珪砂シリカ、珪酸ジルコニウム、珪石粉、珪藻土、窒化アルミニウム、炭酸バリウム、サポナイト、コレマナイト、焼成珪藻土、シラス、シラスバルーン、シリコンカーバイド、ジルコン砂、ジルコン、ジルコンフラワー、水酸化アルミニウム、ゼオライト、石英ガラス粉、ソジウムベントナイト、ソジウムモンモリトナイト、長石粉、陶石、ハロサイト、硼砂、マグネシア、木節粘土、蝋石、パーライト、セメント、炭酸カルシウム、マイカ、クレー、タルク、滑石、石筆石、石鹸石、ガラスビーズ、アルミナ、燐酸カルシウム、硅灰石、ワラストナイト、合成ハイドロタルサイト、合成マイカ、シルクパウダー、消石灰、セリナイト、超微粒酸化亜鉛、沈降性硫酸バリウム、ドロマイト粉末、ナイロン粉体、硫酸バリウム、微粒子水酸化アルミニウム、ポリエチレンワックス、溶融シリカ、ロウ石、酸性白土および活性白土等を挙げることができる。
【0035】
本発明の農園芸用粒状組成物に含まれる無機鉱物物質としては、本発明の効果の観点から、炭酸カルシウム、クレー、タルク、珪藻土、ゼオライト、ベントナイト、酸性白土および活性白土からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、炭酸カルシウム、クレー、タルクおよびベントナイトからなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、炭酸カルシウム、クレーおよびタルクから選択される少なくとも1種が特に好ましい。
【0036】
前記の着色剤としては、例えば、亜鉛華、亜酸化銅、一酸化鉛、ウォッチングレッド、塩素法酸化チタン顔料、オイルファーネスブラック、黄鉛、黄色酸化鉄、オキシサルファイド蛍光体、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、蛍光顔料、黒鉛、黒色酸化鉄、極微細炭酸カルシウム、コバルト青、コバルト緑、コバルト紫、胡粉、紺青、サーマルブラック、酸化クロム、酸化チタン(アタナース)、酸化チタン(ルチル)、酸化テルビウム、酸化銅、ジスアゾイエロー、赤色酸化鉄、造粒カーボンブラック、茶色酸化鉄、チャンネルブラック、超微粒子状酸化チタン、鉄黒、天然黒鉛粉末、天然土状黒鉛、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、パーマネントレッド、バナデート蛍光体、微粒子酸化チタン、ファストイエロー10G、ベンガラ、モリブデンレッド等を挙げることができる。
【0037】
前記の界面活性剤類としては、アニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤を挙げることができる。
【0038】
前記のアニオン系界面活性剤としては、上述の化合物を用いることができる。
前記の非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアシル(炭素数6~18)エステル、アルキルジエタノールアミド、ポリオキシアルキレントリグリセリドエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー等を挙げることができる。
【0039】
前記のカチオン系界面活性剤としては、例えば、モノアルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、トリアルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルジメチルアミノプロピルアミド等を挙げることができる。これら界面活性剤の塩としては、例えば、塩素、臭素等のハロゲンを挙げることができる。
【0040】
前記の両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、2-アルキル-N-カルボキシルメチル-N-ヒドロキシエチル-イミダゾリニウムベタイン、アルキルジエチレントリアミノ酢酸、ジアルキルジエチレントリアミノ酢酸、アルキルアミンオキシド等を挙げることができる。
【0041】
前記の溶剤類・オイル類としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、1-ブタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、酢酸、無水酢酸、アセトフェノン、オレイン酸メチル、ヤシ油、ナタネ油、大豆油、ひまし油、アマニ油、パラフィン油、ケロシン、高級アルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、へキシレングリコール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピルセロソルブ、γ-ブチロラクトン、脂肪酸メチルエステル、メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、クロロベンゼン、クロロトルエン、ジクロロアニリン、トルエン、キシレン、アルキルベンゼン、ノルマルパラフィン、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、シクロヘキサノン、アセトニトリル、灯油、マシン油、芳香族溶剤等を挙げることができる。
【0042】
前記のグリコール類・糖類としては、例えば、α-含水乳糖、α-無水乳糖、β-無水乳糖、ジオール化合物、グリセリンとその誘導体、ペンタエリスリトール、ソルビトール、キシリトール、ショ糖、ブドウ糖、果糖等を挙げることができる。
【0043】
前記の水溶性高分子類としては、例えば、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、デンプン、デキストリン、ポリビニルピロリドン等を挙げることができる。
【0044】
前記の防腐剤・防黴剤としては、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラクロロメタキシレノール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ポリへサメチレンビグアニジドハイドロクロライド、1,2-ベンゾチアゾリン-3-オン、メチルパラヒドロキシベンゾエート、エチルパラヒドロキシベンゾエート、プロピルパラヒドロキシベンゾエート、ブチルパラヒドロキシベンゾエート、ヘプチルパラヒドロキシベンゾエート、ベンジルパラヒドロキシベンゾエート、パラオキシ安息香酸エステル、オルソフェニルフェノール、ソディウムオルソフェニルフェネート、グルタルジアルデヒド、第四級アンモニウム化合物、トリ-(N-クロロヘキシルジアゼニウムジオキシ)-アルミニウム、テトラヒドロ-3,5-ジメチル-2H-1,3,5-チアジアジン-2-チオン、2,5-ジメトキシテトラヒドロフラン、ジメチロール尿素、N-メチルジチオカルバミン酸ナトリウム、フェノキシエタノール、グリオキサール、グルタルアルデヒド、1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)-1,3,5-ヘキサヒドロトリアジン、塩化ベンザルコニウム、フェノキシプロパノール、テトラメチルアセチレンジ尿素、ポビドンイオディン、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、チアゾロン等を挙げることができる。
【0045】
前記の無機塩類としては、例えば、珪酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、塩化カリウム等を挙げることができる。
【0046】
前記の紫外線遮蔽剤としては、例えば、サリチル酸系紫外線遮蔽剤、ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤等を挙げることができる。
【0047】
前記のラテックス類・エマルジョン類としては、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-アクリル共重合体、メチルメタクリレート-ブタジエン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル共重合体、シリコーン-アクリル共重合体、ポリウレタン、ポリウレア等のラテックス類やエマルジョン類等を挙げることができる。
【0048】
前記の消泡剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、sec-ブタノール、ブタノール等の低級アルコール系消泡剤、アミルアルコール、ジイソブチルカルビトール、トリブチルフォスフェート、オレイン酸、トール油、金属セッケン、ソルビタンラウリン酸モノエステル、ソルビタンラウリン酸トリエステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、プルロニック型非イオン界面活性剤、アセチレングリコール誘導体等の有機極性化合物系消泡剤、シリコーン樹脂、シリコーン樹脂の界面活性剤配合品、シリコーン樹脂の無機粉末配合品等のシリコーン樹脂系消泡剤等を挙げることができる。
【0049】
前記のpH調整剤としては、例えば、リン酸等の無機酸、クエン酸、フタル酸、コハク酸等の有機酸、クエン酸ナトリウム、フタル酸水素カリウム等の有機金属塩、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸ナトリウム等の無機金属塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物、トリエタノールアミン等の有機アミン類等を挙げることができる。
【0050】
前記の香料類としては、例えば、ラベンダー油、ジャスミン油、ローズ油、レモン油、オレンジ油、ハッカ油、タイム油、ショウブ油、ウイキョウ油、スギ油、ヒバ油、ヒノキ油、ユーカリ油、カンファー、ペパーミント油、スペアミント油、ゲラニオール、シトロネラール、オイゲノール、リモネン、ミカン油、トウヒ、シトロネロール等を挙げることができる。
【0051】
本発明の農園芸用粒状組成物は、農薬活性化合物と、20℃における3%水溶液の粘度が1~100mPa・sであるα化デンプンと、無機鉱物物質とを含み、水中強度指数が0%を超え10%以下、好ましくは1%~10%、さらに好ましくは1%~5%、特に好ましくは1%~3%とすることができる。
【0052】
本発明の農園芸用粒状組成物は、上記構成を満たすことにより、雨天等の状況下で機械散布する場合においても、詰まり等のトラブルの発生が抑制されているため作業性に優れる。さらに、所定の水中強度指数を満たす生産安定性に優れた構成を備えるため、製品収率が高く、さらに生産性に優れるため、製造コストを低く抑えることができる。より具体的には、農園芸用粒状組成物を連続的に大量生産する場合においても、生産途中で水中強度指数をチェックすることにより、高い製品収率で当該組成物が得られていることを確認することができ、生産性に優れる。さらに、本発明の農園芸用粒状組成物は、農薬活性化合物の溶出を制御することもできる。
【0053】
なお、水中強度指数が0%である農園芸用粒状組成物は、雨天等の状況下で機械散布する場合において詰まり等のトラブルの発生が抑制されるものの、成分の添加量や製造条件を厳密に管理する必要があり、これらの条件を満足しない場合、組成物のスクリーン通過性が悪く造粒機の負荷が大きくなることがある等、生産性が大きく低下する。
【0054】
次に、本発明の農園芸用粒状組成物の製造方法について説明する。
本発明の農園芸用粒状組成物の製造方法は以下の工程を含む。
工程1:農薬活性化合物と、20℃における3%水溶液の粘度が1~100mPa・sであるα化デンプンと、無機鉱物物質とを混合する。
工程2:工程1で得られた混合物を造粒し、次いで乾燥して農園芸用粒状組成物を得る。
工程3:得られた農園芸用粒状組成物の水中強度指数が0%を超え10%以下であることを確認する。
【0055】
工程1においては、例えば、農薬活性化合物、20℃における3%水溶液の粘度が1~100mPa・sであるα化デンプン、無機鉱物物質、並びに、必要であれば、界面活性剤、その他の任意の添加物を加えることにより、本発明の粒状の農薬組成物を製造するための混合物を得ることができる。得られた混合物は、水、および、必要であればその他の任意の添加物を加えることにより、混錬物とすることができる。
【0056】
工程2においては、得られた混合物または混錬物を、混練機を用いて混練し、次いで押出造粒器を用いて押出造粒物とすることができる。得られた押出造粒物を、乾燥、整粒することにより、本発明の農園芸用粒状組成物を得ることができる。本製造方法において使用される原料の混合方法と混合順序は、本発明の効果が得られる限り、特に制約はなく、混合条件、混練条件、造粒条件、乾燥・整粒条件を適宜選択して行うことができる。
【0057】
本発明の粒状の農薬組成物の製造方法の代表的な条件としては、混合、混錬および造粒工程は、通常、常温ないし必要に応じて冷却することができる。乾燥工程は、通常、50℃~90℃の温度で行うことができる。各工程で使用する機器としては、以下を例示できる。
【0058】
混練機としては、例えば、ニーダー、ナウターミキサー、万能混合ミキサー、レディゲミキサー等を挙げることができる。
【0059】
押出造粒機としては、例えば、スクリュー型押出造粒機、ロール型押出造粒機、ディスクペレッター型押出造粒機、ペレットミル型押出造粒機、バスケット型押出造粒機、プレード型押出造粒機、オシレーティング型押出造粒機、ギア式押出造粒機、リングダイス式押出造粒機等を挙げることができる。
【0060】
前記製造方法において、液状または固体の農薬有効成分を、予め増量剤、必要であれば任意の添加物と混ぜ合わせ、必要であれば粉砕して使用してもよく、液状または固体の農薬有効成分を、粘土鉱物類・充填剤もしくは水溶性高分子類等に吸着もしくは包接して使用してもよく、また、ラテックス類・エマルジョン類等を用いてマイクロカプセル化して使用してもよい。さらに、液状または固体の農薬有効成分を、水、溶剤類もしくはオイル類に、溶解もしくは懸濁分散して使用してもよい。
【0061】
工程3においては、得られた農園芸用粒状組成物の水中強度指数を確認する。
具体的には、農園芸用粒状組成物の水中強度指数が、0%を超え10%以下、好ましくは1%~10%、さらに好ましくは1%~5%、特に好ましくは1%~3%であることを確認する。農園芸用粒状組成物の水中強度指数が上記範囲である場合、工程1および工程2を継続して行うことができ、水中強度指数が上記範囲外である場合、添加成分や添加量等、工程の諸条件等を見直して工程1および工程2を行い、再度工程3において、得られた農園芸用粒状組成物の水中強度指数を確認する。
【0062】
当該範囲であることにより、雨天等の状況下で機械散布する場合における、詰まり等のトラブルの発生が抑制された農園芸用粒状組成物が得られていることを確認することができ、さらに高い製品収率で農園芸用粒状組成物が得られていることを確認することができる。つまり、農園芸用粒状組成物を連続的に大量生産する場合においても、生産途中で当該組成物の水中強度指数をチェックするだけで、高い製品収率で当該組成物が得られていることを容易に確認することができ、当該組成物の生産性に非常に優れる。
【0063】
本発明の農園芸用粒状組成物は、農薬活性化合物としてトルプロカルブ1~20重量%と、α化トウモロコシデンプン2~11重量%と、無機鉱物物質とを含み、水中強度指数が1%~10%であることが好ましい。
このような農園芸用粒状組成物によれば、雨天等の状況下で機械散布する場合においても、詰まり等のトラブルの発生が大きく抑制されているため作業性に非常に優れる。さらに、このような農園芸用粒状組成物は、所定の水中強度指数を満たす生産安定性に優れた構成を備えるため、製品収率が非常に高く、さらに生産性に特に優れるため、製造コストをより低く抑えることできる。
【実施例0064】
以下に実施例、比較例および試験例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、ここで示す配合割合はすべて重量%とする。
【0065】
実施例において、農園芸用粒状組成物の水中強度指数の測定は以下の方法で行った。
目開きが710μmと1700μmの篩で篩分した農園芸用粒状組成物10gを、室温下で、3度硬水100mlを入れた300ml容の三角フラスコ(直径9cm、高さ14cm)に入れ、三角フラスコの蓋をして30分間静置する。その後、当該三角フラスコを10回転倒混和した後、内容物の全量を目開き500μmの篩を通過させる。篩上に残った残渣の乾燥重量を測定し、以下の計算式に従って、水中強度指数を算出する。
水中強度指数(%)=(1-(乾燥後の残渣の重量)/(試験に供した農園芸用粒状組成物の重量(10g))×100
【0066】
[実施例1]
トルプロカルブ4.0%、アミコールC(α化とうもろこしデンプン、3%水溶液の粘度30mPa・s、TI値3.0、日澱化学社製)6.0%、ニューカルゲンTG-100(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、竹本油脂社製)0.3%およびタルクGTA(タルク、セイコー産業社製)20.0%、ワンドークレー(クレー、昭和KDE社製)69.7%を袋に入れて混合し、水を加えた後にニーダーを用いて混練した。得られた混練物をバスケット型押出造粒機(型番BR-150、ダルトン社製)で目開き1.0mmのスクリーンを用いて造粒した。得られた造粒物を、流動層乾燥機を用いて品温70℃にて乾燥後、ニュースピードミル(型番ND-02、岡田精工社製)にて解砕、篩分(篩目開き710~1700μm)して実施例1の農園芸用粒状組成物を得た。なお、造粒の際の最大電流は3.3A、造粒物の形状は円柱状であった。収率は90%であった。
【0067】
[実施例2]
アミコールCの配合量を2.0%、ワンドークレーの配合量を73.7%にした他は実施例1と同様の方法にて農園芸用粒状組成物を得た。なお、造粒の際の最大電流は2.7A、造粒物の形状は円柱状であった。収率は88%であった。
【0068】
[実施例3]
トルプロカルブ9.0%、アミコールC 6.0%、エアロールCT-1(アルキルスルホコハク酸塩、東邦化学工業社製)0.2%およびタルクGTA 20.0%、ワンドークレー64.8%を袋に入れて混合し、水を加えた後にニーダーを用いて混練した。得られた混練物をバスケット型押出造粒機(型番BR-150、ダルトン社製)で目開き1.0mmのスクリーンを用いて造粒した。得られた造粒物を、流動層乾燥機を用いて70℃にて乾燥後、ニュースピードミルにて解砕、篩分(篩目開き710~1700μm)して実施例3の農園芸用粒状組成物を得た。なお、造粒の際の最大電流は3.0A、造粒物の形状は円柱状であった。収率は89%であった。
【0069】
[実施例4]
シメコナゾール4.5%、アミコールC 6.0%、エアロールCT-1(アルキルスルホコハク酸塩、東邦化学工業社製)0.2%およびタルクGTA 30.0%、NS#100(炭酸カルシウム、日東粉化工業社製)59.3%を袋に入れて混合し、水を加えた後にニーダーを用いて混練した。得られた混練物をバスケット型押出造粒機(型番BR-150、ダルトン社製)で目開き1.0mmのスクリーンを用いて造粒した。得られた造粒物を、流動層乾燥機を用いて70℃にて乾燥後、ニュースピードミルにて解砕、篩分(篩目開き710~1700μm)して実施例4の農園芸用粒状組成物を得た。なお、造粒の際の最大電流は3.0A、造粒物の形状は円柱状であった。収率は90%であった。
【0070】
[比較例1]
アミコールCの配合量を1.0%、ワンドークレーの配合量を74.7%にした他は実施例1と同様の方法にて粒状組成物を得た。なお、造粒の際の最大電流は2.7A、造粒物の形状は円柱状であった。収率は85%であった。
【0071】
[比較例2]
アミコールCの配合量を12.0%、ワンドークレーの配合量を63.7%にした他は実施例1と同様の方法にて粒状組成物を得ようとしたが、造粒物同士が貼り付き、円柱状の粒剤を得ることができなかった。なお、造粒の際の最大電流は3.4Aであった。粒剤を得ることができなかったので、収率を算出することができなかった。
【0072】
[比較例3]
アミコールCの配合量を18.0%、ワンドークレーの配合量を57.7%にした他は実施例1と同様の方法にて粒状組成物を得ようとしたが、造粒物同士が貼り付き、円柱状の粒剤を得ることができなかった。なお、造粒の際の最大電流は3.4Aであった。粒剤を得ることができなかったので、収率を算出することができなかった。
【0073】
[比較例4]
アミコールCの代わりにアミコールHF(α化バレイショデンプン、3%水溶液の粘度175mPa・s、TI値1.7、日澱化学社製)を用いた他は実施例1と同様の方法にて粒状組成物を得ようとしたが、造粒機の最大電流が5Aを超え、過負荷となり連続して造粒することができなかった粒剤を得ることができなかったので、収率を算出することができなかった。
【0074】
試験例1(水中強度指数)
実施例1、2および比較例1で得られた農園芸用粒状組成物の水中強度指数の測定を実施した。結果を以下に示す。
【0075】
【0076】
実施例1および2の農園芸用粒状組成物の水中強度指数は、所定の範囲に含まれていることから、製品収率が高く、生産性に優れていることが確認された。さらに、雨天等の状況下で機械散布しても詰まり等のトラブルが起こらず、作業性に優れていた。一方、比較例1の農園芸用粒状組成物は、製品収率が若干低くなるものの、製品収率としての問題はないが、高湿度下での機械による散布時において、当該組成物によって詰まりが生じ、連続して散布することができなかった。
本発明の組成物は、雨天等の状況下で機械散布しても詰まり等のトラブルが起こりにくいだけでなく、高い生産能力を得ることができるため、製造コストを低く抑えることで、農家にとって安価で使い易い商品を供給することが可能となる。