(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029167
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】商品トレー
(51)【国際特許分類】
A47F 5/00 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
A47F5/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】書面
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2023223898
(22)【出願日】2023-12-17
(71)【出願人】
【識別番号】524017685
【氏名又は名称】山本 秀子
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀子
(57)【要約】 (修正有)
【課題】商品陳列棚の棚板に直接載置されている、複数の販売商品や管理商品の入れ替えや品出し、整理を容易にするトレーを提供する。
【解決手段】本発明のトレー12は、本体のトレー1と着脱式の背面部2を備えてなる。トレー1は、前端部に上方向に直立した前板1bか上下に直立した前板を備え、底部1aの棚板との接触面にマグネットやボルトなどの軸を備える。側端部は左右どちらか一方にだけ、もしくは左右一対の側板を備える。棚板に、左右どちらか一方の同一の側板を備えたトレー12を複数個載置することにより、商品の幅や形状、梱包資材に囚われず商品は整列する。背面部2は、トレー1との接触面の底板と、トレー1との接触面の側板とにマグネットを備えた着脱式で、容易に商品の増減に対応する。商品をならべたトレー12は、棚板から前後方向に出し入れされ、棚板の左右に可動する。よって商品の入れ替えや品出し、整理は格段と容易になる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体のトレーは収納空間の下端部に底板、前端部に前板、側端部の左右どちらか一方にだけに側板を備え、側端部に側板を備えていない片方と、上方および後方は開口している。
【請求項2】
本体のトレーは収納空間の下端部に底板、前端部に前板、側端部の左右に側板を備え、上方および後方は開口している。
【請求項3】
本体のトレーは側端部の側板の高さが前方より後方が高い、請求項1または請求項2に記載の本体のトレー。
【請求項4】
本体のトレーは側端部の左右どちらか一方にだけ側板を備え、側端部に側板を備えていない片方は開口しているため、たとえば右の側板を備えた複数の本体のトレーを並行して当接または近接した場合、最右端より2つ目以降の本体のトレーの側板は、左右の側板の役割をする、請求項1に記載の本体のトレー。
【請求項5】
本体のトレーの前端部の前板は、底部より上方向にだけ直立した、または底部の上下方向に直立した、いずれかを備えた、請求項1または請求項2に記載の本体のトレー。
【請求項6】
本体のトレーの底部にマグネットを備えた、請求項1または請求項2に記載の本体のトレー。
【請求項7】
本体のトレーの底板にボルトなどの軸を備えた、請求項1または請求項2に記載の本体のトレー。
【請求項8】
背面部は下端部に底板、後部に背面板、側端部の左右どちらか一方にだけ側板を備え、側端部に側板を備えていない片方は開口している
【請求項9】
背面部は下端部に底板、後部に背面板、側端部の左右に側板を備える。
【請求項10】
背面部は底部に、本体のトレーの底部との接触面にマグネットを備える。同様に左右の側板にも、本体のトレーの左右の側板との接触面にそれぞれマグネットを備えた、請求項8または請求項9に記載の背面部。
【請求項11】
背面部は本体のトレー内に着脱可能に設けられて、後方への開口を閉塞する。また後方より前方に可動させ、商品の増減に応じて商品を整列する、請求項8または請求項9に記載の背面部。
【請求項12】
請求項1~7のいずれか一項に記載の本体のトレーと、請求項8~11のいずれか一項に記載の背面部とを備える商品トレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分類】
【0001】
本発明は、販売商品や管理商品を陳列または管理するために、商品を並べ商品陳列棚(以下「商品棚」という)に載置するトレーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
段ボールやコンテナなどで管理されている商品を除き、デパートや各種量販店、スーパーなどで販売商品や管理商品を載置する商品棚には、複数の商品自体を棚板に直接載置(直置き)されている場合が大多数である。そのため、商品の入替えや品出し、整理等の場合、製造日や賞味期限および消費期限などを考慮して、棚板に既に載置された複数の商品を一旦取り出し、新たな商品を後方に載置し、取り出した複数の商品を前方に載置し直すといった作業である。
※ 品出しとは新たな商品を追加陳列することの、小売業おける業界用語である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2021-504094(P2021-504094A)
【0004】
【0005】
【0006】
【0007】
【非特許文献1】KAWAJUNプロダクトカタログ2009 カワジュン株式会社、2010年9月1日、第309項
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
最大の課題は上記のように、商品の入替えや品出し、整理等の場合、棚板に既に載置されている複数の商品を一旦取り出し、新たな商品を後方に載置し、取り出した複数の商品を前方に載置し直すといった作業である。この場合、一旦取り出して前方に載置し直した複数の商品については、これらを載置した過去の時間や労力が全て無駄なものとなってしまう。たとえば、デパートや各種量販店、特に大型スーパーなどは何万点という商品を、日々、上記の方法で商品の入替えや品出し整理などをしているが、無駄になった時間や労力を勘案すると、その損失は甚大なものである。
【0009】
また、上記の作業者にとっても、商品棚の中段および下段の作業については、立ち屈みを繰り返し中腰になるという動作を長時間強いられ、最下段の作業においては、堅い床に膝をついての作業であり、身体への負担(主に腰)やストレスが多い。そのため、この作業者の離職率は高く、スーパーなどは常にこの作業者の求人広告を掲載している。
【0010】
商品を並べた本発明のトレーを使用すれば、棚板に載置されている複数の商品の入替えも容易である。たとえば、従来であれば、棚板に載置きされている複数の商品を、棚板から段ボールやコンテナなどに入れて移動させ、さらに商品を段ボールより取り出し、別の棚板に載置するといった作業であった。しかし、本発明のトレーを使用すれば、複数の商品を並べたトレーを別の棚板に載置するだけでよい。複数の商品の、棚板から段ボール、段ボールから別の棚板への載置という作業に係る時間と労力は削減される。
【0011】
商品の追加についても、既に棚板に載置されている複数の商品を一旦取り出し、新たな複数の商品を後方に載置し、取り出した複数の商品を前方に載置し直すといった従来の作業ではなく、棚板より本発明のトレーを引き出し、追加する商品を、既にそのトレーに並べられている商品の後方に並べ、トレーを定位置に戻すだけでよい。棚板に載置された複数の商品を一旦取り出し、取り出した複数の商品を前方に載置し直すという作業に係る時間と労力も削減される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のトレー12-は、上方および後方と左右どちらかに開口した本体のトレー1、もしくは上方および後方に開口した本体のトレー1と、このトレー1本体内の後部に着脱可能に設けられて後方への開口を閉塞する、または、後方より前方に可動させ商品を整列させる背面部2とを備えてなることを特徴とする。本体のトレー1に着脱式の背面部2を装着した本発明のトレー12に商品を並べ、それを棚板に載置して陳列、管理する。上方および後方と左右どちらか一方が開口したトレー1は、収納空間sの下端部に底板1a、前端部に前板1bまたは前板1fを備える。側端部は左右どちらか一方にだけ右の側板1cまたは左の側板1gを備える。上方および後方が開口したトレー1は、収納空間sの下端部に底板1a、前端部に前板1bまたは前板1fを備える。側端部は左右の側板1hを備える。側板の高さは後方が前方より高くなる。背面部2は、下端部に底板2a、後部に背面板2bを備える。側端部はトレー1に準じて、左右どちらか一方にだけ右の側板2c、左の側板2g、または左右の側板2hを備える。底板2aには底板1aとの接触面にマグネット5aを備え、側板2cには側板1cとの接触面にマグネット5cを備え、側板2gには側板1gとの接触面にマグネット5gを備える。左右の側板2hには、左右の側板1hとの接触面にマグネット5cと5gを備える。
【0013】
トレー12の本体であるトレー1は、左右どちらか一方にだけ側板(左に側板があれば右は開口、右に側板があれば左は開口)を備えることにより、商品の幅や、袋入りや箱入りといった梱包素材に囚われることがない。たとえば、幅150mmの右の側板1cを備えるトレー12に対して170mmの商品を並べても、その左隣には右に側板を備える側板1cのトレー12を当接することで商品は整列する。要は、右の側板を1cを備えたトレー12ばかりを複数個棚板に載置した場合、最右端から2つ目以降の右の側板1cは、左右の側板の役目を果たすので、最左列に左右の側板1hを備えるトレー12を載置することにより、安易に商品の整列が可能である。左の側板1gを備えるトレー12を複数個載置する場合も同様であり、最右列に左右一対の側板1hを備えるトレー12を載置する。このように、トレー12には横幅の調節機能などは必要ない。作業者は1時間あたり、30種類以上の商品を扱うため、数量としては相当数である。デパートや各種量販店、スーパーの場合は、営業時間の店舗内での作業であるため、買い物客の迷惑にならぬように迅速な作業が必要とされる。よって特許文献1や特許文献2のような複雑な構造のトレーの扱いは億劫であり、また、手入れは不可能である。
【0014】
トレー12は、マグネット5aとマグネット5cまたは5gを備えた背面部2の着脱が容易であるため、商品の増減に応じて背面部2を前後に可動することで、商品の後ろ倒れを防ぐ。また、側板により横の整列は保たれているので、簡単な作業で商品は常に整列する。
【0015】
商品を並べたトレー12を既存の商品棚の棚板に容易に固定できるように、固定方法は3方式である。前板40fが棚面40aの上下部に直立している棚板40は、前板40fの上部がストッパになるため、トレー12を棚板に載置するのみでよい。前板50bが棚面50aの下部にのみ直立している棚板50には、棚面50aとの接触面の底板1aにマグネット5xを備え、棚板50に載置する。棚面60には、前板60b近傍に、前板60bと平行して多数の穴65が同間隔で備えられているため、トレー1の底板1に備えたボルトなどの軸66を穴65と隙間嵌めし、トレー12を棚板60に載置するといった3方式である。現在、デパートや各種量販店、スーパーが所有している既存の商品棚の棚板は、大多数がスチール製の上記3種類のいずれかの棚板であるため、上記の3方式のいずれかでカバーされる。また、これら3方式のいずれかで載置されたトレー12は、いずれも棚板からの着脱が容易であるため、前後左右の可動も容易である。
【発明の効果】
【0016】
上記のように、トレー12の使用は、従来に費やされていた時間や労力と比較すると、大幅なコスト削減になる。また、デパートや各種量販店、スーパーが所有している既存の商品棚や、既存の着脱可能式商品名プレートが使用できる。たとえば、トレー12の前板には、多数流通している着脱可能式商品名プレート20を取り付けることが出来るので、商品名や価格、JANコード、購入日、管理開始日時など商品情報を記載した、この商品プレートに挿入されている紙カード30も従来どおり使用できる。よって、設備投資としては軽微なものであり、作業する者の身体への負担やストレスも大幅に軽減される。
【0017】
トレー12の載置は、例えば、棚板の一列に20個のトレー12を載置する場合、19個は左右どちらか一方の同一の側板を備えたトレー12を載置し、最端列の1個のみ左右の側板のトレー12を備える。このように商品棚へは殆ど左右どちらか一方の側板のトレー12を備えればよい。左右どちらか一方の側板のトレーは、構造が単純であるため、素材によっては安価に製造可能である。併せて、複雑な商品陳列用具は手入れが億劫なため繋雑になり、汚れが目立つものが多いが、本発明トレーの手入れはいたって簡単である。
【0018】
販売商品については、前出しという商品を整列する作業がある。主に、後ろに倒れた商品を整頓させる作業である。その際、後ろ倒れを防ぐため、多くのデパートや各種量販店、スーパーでは、底部の底板と後部の背面板で形成されて、底板には棚板との接触部にマグネットやマグネットシートを備えた商品陳列用具を使用している(特許文献4、非特許文献1)。この商品陳列用具に商品を立てかけているが、軽量の商品は横に傾き、商品の梱包素材によっては滑り落ちるといった難点がある。また、複雑な構造の商品陳列用具は(特許文献3)作業者にとって扱いづらく、手入れが億劫である。そのため、従来の前出しは、商品棚の奥に手をいれる、又は、すべての商品を一旦取り出す、といった作業によって商品を整列させていた。しかし、トレー12は、背面部2がマグネットで可動するため、商品の増減に応じて前後に可能でき、後ろ倒れを防ぎ整頓する。また、側板により、横の整列は保たれているので、簡単な作業で商品は整列する。立ち屈みを繰り返し中腰になったり、堅い床に膝をついて最下段の商品棚の奥深くに手をいれるという煩わしい作業は半減し、作業者の身体への負担やストレスが大幅に軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本考の案トレーを商品棚に載置した一実施例を示す斜視図。
【
図2】
図2yは右に側板を備えた本体のトレーと着脱式の背面部の斜視図。
図2zは右に側板を備えた本体のトレーに着脱式の背面部を装着した本発明トレーの前板に、紙カードを挿入した既存の商品プレートを装着した斜視図。
【
図3】左右一対の側板を備えた本体のトレーと、左右一対の側板を備えた着脱式の背面部の斜視図。
【
図4】左右一対の側板を備えた本体のトレーに、左右一対の側板を備えた着脱式の背面部を装着した本発明トレーの斜視図。
【
図5】着脱式の背面部に備えたマグネットの斜視図。
【
図6】着脱式の背面部の可動による商品の整列を示す斜視図。
【
図7】前板が上下方向に直立した棚板に、本発明のトレーを載置する傾斜図。
【
図8】前板が下方向にのみ直立した棚板に、底板にマグネットを備えた本発明のトレーを載置する傾斜図
【
図9】棚面の前板近傍に、前板と並行して穴が多数開いた棚板の穴と、本発明のトレーに備えたボルトなどの軸2本とを隙間嵌めし、載置する傾斜図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面に沿っての本発明を説明する。
図1は、右の側板1cを備えたトレー12ばかり数個を商品棚70に載置し、最左列に左右一対の側板のトレー1hを載置した一例である。トレー12は左右どちらか一方にのみ側板(左に側板があれば右にはなく、右に側板があれば左にはない)を備えることにより、商品の幅および箱や袋など梱包素材などに囚われることがない。左の側板1gを備えたトレー12ばかり数個を棚板に載置した場合は、最右列に左右一対の側板トレー1hを載置する。
【0021】
図2yはトレー12を構成する、右の側板1cを備えたトレー1と、右の側板2cを備えた背面部2である。トレー1は、収納空間sの下端部に底板1a、前端部に前板1bを備え、側端部の右にのみ側板1cを備えている。片側のみの側板を備えることにより、商品を陳列もしくは管理する環境や態様、商品の形状や梱包素材などに順応できる。収納空間の背面部には、着脱式の背面部2を装着する。背面部2は下端部に底板2a、後部に背面板2bを備え、トレー1の側板に準じて、側端部には右にのみ側板1cを備える。底板2aにはトレー1の底板1aとの接触面にマグネット5a、側板2cにはトレー1の側板1cとの接触面にマグネット5cを備える。背面部2はトレー1の収納空間を可動できる。
図2zは右の側板1cを備えたトレー1に、右の側板2cを備えた背面部2を装着したトレー12である、トレー12の前板1bには、多数普及している既存の着脱可能式商品名のプレート20を取り付けることが出来る。プレート20の逆U字型をしている覆い部20aを、前板1bに取り付ける。プレート20のU字型をしている前板20bに挿入されている、商品名や価格、JANコード、購入日、管理開始日時など商品情報を記載した紙カード30も、従来どおり使用できる一例である。
【0022】
図3はトレー12を構成する、左右一対の側板1hを備えたトレー1と、左右一対の側板2hを備えた背面部2である。
図2y記載の前端部の前板1bは底板1aの上方向に直立しているが、
図3の前端部の前板1fは、底板1aの上下方向に直立している。既存の商品棚の棚板に準じて前板1b又は前板1fを使い分ける。底板2aにはトレー1の底板1aとの接触面にマグネット5a、側板2hにはトレー1の底板1hとの接触面にマグネット5cを備える。背面部2はトレー1の収納空間を可動できる。
【0023】
図4は左右一対の側板1hを備えたトレー1に、左右一対の側板2hを備えた背面部2を装着したトレー12である。
【0024】
図5は、トレー1の底板1aとの接触面である底板2aにマグネット5aを備え、トレー1の側板1cとの接触面である側板2cにマグネット5cを備えている。同様に、左の側板2gを備えた背面部2にはマグネット5g、左右一対の側板2hを備えた背面部2にはマグネット5cとマグネット5gを備える。
【0025】
図6はトレー1の収納空間を可動する背面部2である。背面部2が商品50の増減に応じて前後することにより、商品50の後ろ倒れは防がれ整列する。
【0026】
図7は前板40fが上部に直立している棚板40に、トレー12を直接載置している。前板40fの上部は、棚面40aの上部に直立しておりトレー12のストッパになっている
【0027】
図8は上記棚板40のようにストッパがない棚板50に、棚面50aとの接触面のトレー1の底板1aに、マグネット5xを備えたトレー12を載置している。
【0028】
図9は棚面60aの前板60b近傍に、前板60bと並行して多数の穴65が同間隔で備えられている棚板60に、トレー1の底板1に備えたボルトなどの軸66を穴65と隙間嵌めし、トレー12を棚板60に載置している。
【符号の説明】
【0029】
1 トレー本体
1a 底板
1b 上部に直立している前板
1f 上下に直立している前板
1c 右のみの側板
1g 左のみの側板
1h 左右一対の側板
2 着脱式の背面部
2a 底板
2b 背面板
2c 右のみの側板
2g 左のみの側板
2h 左右一対の側板
5a 底板2aに備えるマグネット
5c 側板2cに備えるマグネット
5g 側板2gに備えるマグネット
5x 底板1cに備えるマグネット
70 商品陳列棚
12 本発明のトレー
20 着脱可能式商品名プレート
30 紙カード
40 前板が上部に直立している棚板
50 前板及び棚面に特徴がない棚板
60 前板の近傍に、前板と並行して多数の穴を備えた棚板
70 商品棚