(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002917
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】ステープル取外装置及びステープル抜き取り具並びに画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B25C 11/00 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
B25C11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】35
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023085443
(22)【出願日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】P 2022102254
(32)【優先日】2022-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022153155
(32)【優先日】2022-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022173827
(32)【優先日】2022-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】391063352
【氏名又は名称】グラドコジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081709
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴若 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】土屋 博志
【テーマコード(参考)】
3C068
【Fターム(参考)】
3C068AA04
3C068BB07
3C068CC07
3C068JJ05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】部品点数が少なく、簡単な構成でコンパクトであり、中綴じ製本物を含めた用紙束から確実にステープルを取り外すことが可能なステープル取外装置及びステープル抜き取り具並びに画像形成装置を提供する。
【解決手段】ステープル取外装置1は、ステープルと用紙面との間に挿入した挿入爪20を取外方向へ駆動し、挿入爪20とステープル押さえ30によりステープルを挟み用紙束から離し、ステープルを用紙束から離した後、挿入爪20を開放方向へ駆動し、挿入爪20とステープル押さえ30によるステープルの挟みを開放する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステープルにより綴じられた用紙束からステープルを取り外すステープル取外装置であって、
用紙束が載置された状態において、前記ステープルと前記用紙面との間に挿入可能な挿入爪と、
ステープルを押さえることが可能なステープル押さえと、
前記挿入爪と前記ステープル押さえを駆動する駆動手段と、を備え、
前記駆動手段は、
前記ステープルと前記用紙面との間に挿入した前記挿入爪を取外方向へ駆動し、前記挿入爪と前記ステープル押さえにより前記ステープルを挟み前記用紙束から離し、
前記ステープルを前記用紙束から離した後、前記挿入爪を開放方向へ駆動し、
前記挿入爪と前記ステープル押さえによる前記ステープルの挟みを開放することを特徴とするステープル取外装置。
【請求項2】
前記駆動手段は、
前記挿入爪を駆動可能に軸支する駆動軸部と、
前記駆動軸部を駆動するリンク機構と、
前記リンク機構を駆動する電動駆動源と、を含み、
前記電動駆動源は、装置本体の中央部長手方向に沿って配置され、
前記電動駆動源により前記リンク機構と前記駆動軸部を介して前記挿入爪を取外方向へ駆動し、前記挿入爪と前記ステープル押さえにより前記ステープルを挟み前記用紙束から離し、
前記ステープルを前記用紙束から離した後、前記リンク機構と前記駆動軸部を介して前記挿入爪を開放方向へ駆動し、前記挿入爪と前記ステープル押さえによる前記ステープルの挟みを開放することを特徴とする請求項1に記載のステープル取外装置。
【請求項3】
初期状態では、前記挿入爪と前記ステープル押さえとの間に隙間を形成する規制部を備え、
前記規制部は、
前記ステープル押さえを支持する筐体と、
前記ステープル押さえに連結した支持軸と、
前記筐体に形成され、前記支持軸を下方孔位置と上方孔位置とに移動可能に支持する規制孔と、
前記ステープル押さえを介して前記支持軸を常に前記下方孔位置方向へ付勢する付勢手段と、を含み、
前記支持軸が前記下方孔位置において、前記挿入爪と前記ステープル押さえとの間に隙間を形成し、
前記支持軸が前記規制孔に沿って移動して前記挿入爪と前記ステープル押さえにより前記ステープルを挟み前記用紙束から離し、
前記支持軸が前記上方孔位置から反転して、前記挿入爪と前記ステープル押さえは、前記下方孔位置方向へ向かい移動し、
前記支持軸は、前記下方孔位置において、前記規制孔により移動が規制され、前記挿入爪が移動して前記挿入爪と前記ステープル押さえとの間に隙間を形成し、
前記ステープルを開放することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のステープル取外装置。
【請求項4】
前記挿入爪、前記ステープル押さえ及び前記駆動手段を含む装置本体を組み付けた本体ベースと、
前記装置本体を覆う本体カバーと、 前記本体カバーに鉛直方向に移動可能に組付けられた先端カバーと、を備え、
前記挿入爪の上方に、前記ステープル押さえが位置し、前記挿入爪の先端が前記本体ベースの下面より下方へ突出し、
前記先端カバーは、カバー付勢手段により常に下方へ付勢され、
前記先端カバーの下端は、前記挿入爪の先端を覆い、作業者の前記挿入爪の挿入作動に伴う装置を用紙束に押し付ける動作により上方へ移動する構成であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のステープル取外装置。
【請求項5】
前記先端カバーは、
前記挿入爪が前記ステープルを用紙束から取り外す際に、用紙束が持ち上がることを規制する構成であることを特徴とする請求項4に記載のステープル取外装置。
【請求項6】
用紙束からステープルを取り外す際に前記用紙束の浮き上がりを規制する用紙束押さえ、を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のステープル取外装置。
【請求項7】
前記用紙束押さえは、
装置本体に固定され、用紙束からステープルを取り外す際に前記用紙束の浮き上がりを規制する構成であることを特徴とする請求項6に記載のステープル取外装置。
【請求項8】
前記用紙束押さえは、上下動可能であり、
下方位置において、用紙束からステープルを取り外す際に前記用紙束の浮き上がりを規制する構成であることを特徴とする請求項6に記載のステープル取外装置。
【請求項9】
前記ステープル押さえは、
ステープルを押さえる面側に弾性体を有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のステープル取外装置。
【請求項10】
前記挿入爪の一部と、前記ステープル押さえの一部とは、凹凸係合可能であり、
用紙束が載置された状態において、ステープルと用紙面との間に前記挿入爪を挿入し、
前記ステープル押さえが、ステープルに乗り上げて撓み、
前記挿入爪と、前記ステープル押さえを更に前進させ、前記ステープル押さえがステープルの乗り上げから外れ、
前記挿入爪の一部と、前記ステープル押さえの一部とが、凹凸係合状態になると、ステープルの適正位置を検知することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のステープル取外装置。
【請求項11】
前記挿入爪は、凹み部を有し、
前記凹み部に、前記ステープルが係合するクリック感により、
ステープルの適正位置を検知することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のステープル取外装置。
【請求項12】
前記挿入爪は、先端上側に傾斜面を有し、
前記ステープル押さえは、基準線を有し、前記挿入爪の傾斜面を通して挿入された前記ステープルを、前記ステープル押さえの基準線に一致させ、
ステープルの適正位置を検知することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のステープル取外装置。
【請求項13】
ステープルにより作動するアクチュエータと、
ステープルを検知するセンサと、を備え、 前記アクチュエータは、前記挿入爪の挿入により前記ステープルが、前記アクチュエータを押すことにより作動し、
前記センサは、前記アクチュエータの作動によりステープルの適正位置を検知することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のステープル取外装置。
【請求項14】
報知手段を備え、
前記報知手段によりステープルの適正位置の検知をユーザーに知らせることを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれか1項に記載のステープル取外装置。
【請求項15】
制御手段を備え、
前記制御手段によりステープルの適正位置の検知により前記挿入爪と前記ステープル押さえを駆動することを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれか1項に記載のステープル取外装置。
【請求項16】
前記挿入爪は、切込み部を有し、
前記切込み部に、不完全な取り外しで用紙束に残るステープルを挿入して取り外すことを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載のステープル取外装置。
【請求項17】
ステープルにより綴じられた用紙束からステープルを取り外すステープル取外装置であって、
用紙束が載置された状態において、前記ステープルと前記用紙面との間に挿入可能な挿入爪と、
前記挿入爪を駆動する駆動手段と、を備え、
前記駆動手段は、
前記ステープルと前記用紙面との間に挿入する前記挿入爪を、待機位置から取り外し位置へ移動する構成であり、
前記取り外し位置において、前記挿入爪に通電して前記ステープルを前記用紙束から離すとともに、前記挿入爪に磁力を与えて前記ステープルを保持し、
通電を遮断して前記挿入爪に与えた磁力を消去し前記ステープルの保持を開放することを特徴とするステープル取外装置。
【請求項18】
ステープルにより綴じられた用紙束からステープルを取り外すステープル取外装置であって、
用紙束が載置された状態において、前記ステープルと前記用紙束との間に挿入可能な挿入爪を、備え、
前記挿入爪は、先端に向けて尖る上部傾斜面を有する形状であり、
前記挿入爪を前記用紙束の表面に沿って移動し、
前記挿入爪の上部傾斜面による高さ変化によって、前記ステープルを前記用紙束から離すことを特徴とするステープル取外装置。
【請求項19】
ステープルを押さえることが可能なステープル押さえ、を備えることを特徴とする請求項18に記載のステープル取外装置。
【請求項20】
前記挿入爪を前記用紙束の表面に沿って移動する駆動手段を、備えることを特徴とする請求項18または請求項19に記載のステープル取外装置。
【請求項21】
用紙束から取り外したステープルを収納する収納ボックスを有することを特徴とする請求項1乃至請求項20のいずれか1項に記載のステープル取外装置。
【請求項22】
用紙束からステープルを取り外す状態を表示する拡大鏡を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項21のいずれか1項に記載のステープル取外装置。
【請求項23】
前記駆動手段を駆動する電源は、
商用電源に接続する交流電源または内蔵バッテリに接続する直流電源であることを特徴とする請求項1乃至請求項22のいずれか1項に記載のステープル取外装置。
【請求項24】
横置き動作型または縦置き動作型の構成であることを特徴とする請求項1乃至請求項23のいずれか1項に記載のステープル取外装置。
【請求項25】
前記挿入爪は、装置本体内の退避位置と装置本体外の取外位置との間を移動可能であり、
挿入爪を移動する挿入爪移動手段と、
挿入爪の操作状態を報知する操作状態報知手段と、
操作爪の操作を開始する操作開始手段と、を備え、
電源投入前、前記挿入爪は、前記退避位置に位置し、
電源投入により前記挿入爪移動手段により前記挿入爪を前記退避位置から前記取外位置へ移動し、
前記操作状態報知手段により前記挿入爪の操作状態を報知し、
前記操作開始手段により前記操作爪の操作を開始してステープルを取り外し、取り外し完了後、指定時間経過後に、
前記挿入爪移動手段により前記挿入爪を前記取外位置から前記退避位置へ移動することを特徴とする請求項1乃至請求項24のいずれか1項に記載のステープル取外装置。
【請求項26】
前記操作状態報知手段は、挿入爪の操作状態を報知する構成に、
電源投入後の使用開始可能報知と、挿入爪挿入後の取外可能報知と、を含むことを特徴とする請求項25に記載のステープル取外装置。
【請求項27】
ステープルにより綴じられた用紙束からステープルを取り外すステープル取外装置であって、
用紙束が載置された状態において、前記ステープルと前記用紙面との間に挿入可能な挿入爪と、
ステープルを押さえることが可能なステープル押さえと、
前記挿入爪と前記ステープル押さえを含む爪ユニットを前後進させる駆動手段と、を備え、
前記駆動手段は、
前進により、前記ステープルと前記用紙面との間に前記挿入爪を挿入し、更に前進して
前記爪ユニットを上方方向に傾けて前記挿入爪と前記ステープル押さえにより前記ステープルを挟み前記用紙束から離し、
後進により、前記挿入爪を開放方向へ駆動し、前記挿入爪と前記ステープル押さえによる前記ステープルの挟みを開放することを特徴とするステープル取外装置。
【請求項28】
前記爪ユニットは、
横方向及び上下方向に移動する前側突起と横方向に移動する後側突起を有し、
前記挿入爪と前記ステープル押さえを支持する移動ホルダーを含み、
前記駆動手段は、
駆動源となるモータと、
前記モータからの動力を伝達する動力伝達手段と、
前記前側突起と前記後側突起とを移動可能にするガイド溝を有する支持ブラケットと、を含み、
前記モータの回転力を直線の動きに変換して、
前記移動ホルダーを前進させて、前記ステープルと前記用紙面との間に前記挿入爪を挿入し、更に前進して前記前側突起の上方向の移動で前記挿入爪と前記ステープル押さえにより前記ステープルを挟み前記用紙束から離し、
前記移動ホルダーを後進させて、前記前側突起の下方向の移動で前記挿入爪を開放方向へ駆動し、前記挿入爪と前記ステープル押さえによる前記ステープルの挟みを開放することを特徴とする請求項27に記載のステープル取外装置。
【請求項29】
ステープルにより綴じられた用紙束から前記ステープルを抜き取るステープ
ル抜き取り具であって、
前記ステープルは、対向する両足が用紙束を貫通し、この貫通する両足により用紙束を綴じる構成であり、
前記用紙束が綴じられた状態において、前記ステープルと前記用紙束との間
に挿入可能な固定爪及び動作爪を、含み、
前記固定爪を前記ステープルと前記用紙束との間に挿入した状態にして、
前記動作爪により前記用紙束から前記ステープルを抜き取ることを特徴とするステープル抜き取り具。
【請求項30】
前記固定爪は、
前記ステープルの対向する両足の間に挿入可能な幅を有することを特徴とす
る請求項29に記載のステープル抜き取り具。
【請求項31】
抜き取り具本体に、前記固定爪を固定し、
前記抜き取り具本体に揺動可能に設けられた揺動ホルダーと、
前記揺動ホルダーを操作する操作レバーと、を含み、
前記揺動ホルダーに、前記動作爪を設け、
前記操作レバーは、
前記揺動ホルダーを介して前記動作爪により前記ステープルを抜き取る構成であることを特徴とする請求項29または請求項30に記載のステープル抜き取り具。
【請求項32】
抜き取り具本体に、爪ユニットを移動可能に設け、
前記爪ユニットに、前記固定爪を固定し、
前記爪ユニットは、
揺動可能な揺動ブラケットを含み、
前記揺動ブラケットに、前記動作爪を設け、
前記操作レバーの操作により、
前記爪ユニットを前進させて、前記固定爪と前記動作爪を、前記ステープル
と前記用紙束との間に挿入し、
その後の前記操作レバーの操作により、
前記揺動ブラケットを介して前記動作爪により前記ステープルを抜き取ることを特徴とする請求項29または請求項30に記載のステープル抜き取り具。
【請求項33】
前記操作レバーは、
前記爪ユニットを移動するカム部と、
前記揺動ブラケットを押すガイド部と、を含み、
前記操作レバーの操作により、
前記カム部は、前記爪ユニットを前進させ、
その後の前記操作レバーの操作により、
前記ガイド部は、前記揺動ブラケットを押して前記揺動ブラケットを揺動さ
せ、
前記動作爪により前記ステープルを抜き取ることを特徴とす
る請求項32に記載のステープル抜き取り具。
【請求項34】
前記カム部は、
前記爪ユニットを移動するカム部と、
前記揺動ブラケットを揺動するガイド部と、を含み、
前記カム部は、押動面と円弧面を有し、
前記操作レバーの操作により、
前記押動面が前記爪ユニットを前進させ、前記爪ユニットが前進して抜き取
り位置になると、前記円弧面が前記爪ユニットの移動を停止し、
前記爪ユニットの移動停止状態で、前記ガイド部は、前記揺動ブラケットを
揺動し、前記動作爪により前記ステープルを抜き取ることを特徴とする請求項33に記載のステープル抜き取り具。
【請求項35】
請求項1乃至請求項34のいずれか1項に記載のステープル取外装置またはステープル抜き取り具を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ステープルを用いて複数枚の用紙を綴じることで作成した用紙束からステープルを取り外すステープル取外装置及びステープル抜き取り具並びに画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な電動のステープル取外装置では、ステープル近傍の用紙を押さえた後、用紙束とステープルとの間に挿入爪を挿入し、ステープルを用紙束から取り外している。例えば、用紙束の上面に当接させられる当接部を有する押さえ手段と、用紙束と用紙束を綴じるステープルとの間に挿入される挿入部材と、を備えた綴じ部材除去装置が記載されている(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-78844公報
【特許文献2】特開2020-78845号公報
【特許文献3】特開2021-24076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、用紙束とステープルとの間に移動部の先端部が挿入されると、先端部の押し込み力により用紙束及びステープルが先端部の挿入方向に押し込まれて移動するが、それを予防するための押さえ手段等を構成する部品点数が多く、かつ複雑であり、装置が大型化するなどの問題がある。また、これらの構成では、用紙中央部付近を綴じられた中綴じ製本物の分解には使用できない。
【0005】
そこで、この発明は、上記課題を解決するために、部品点数が少なく、簡単な構成でコンパクトであり、中綴じ製本物を含めた用紙束から確実にステープルを取り外すことが可能なステープル取外装置及びステープル抜き取り具並びに画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0007】
請求項1に記載の発明は、
ステープルにより綴じられた用紙束からステープルを取り外すステープル取外装置であって、
用紙束が載置された状態において、前記ステープルと前記用紙面との間に挿入可能な挿入爪と、
ステープルを押さえることが可能なステープル押さえと、
前記挿入爪と前記ステープル押さえを駆動する駆動手段と、を備え、
前記駆動手段は、
前記ステープルと前記用紙面との間に挿入した前記挿入爪を取外方向へ駆動し、前記挿入爪と前記ステープル押さえにより前記ステープルを挟み前記用紙束から離し、
前記ステープルを前記用紙束から離した後、前記挿入爪を開放方向へ駆動し、 前記挿入爪と前記ステープル押さえによる前記ステープルの挟みを開放することを特徴とするステープル取外装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、 前記駆動手段は、
前記挿入爪を駆動可能に軸支する駆動軸部と、
前記駆動軸部を駆動するリンク機構と、
前記リンク機構を駆動する電動駆動源と、を含み、
前記電動駆動源は、装置本体の中央部長手方向に沿って配置され、
前記電動駆動源により前記リンク機構と前記駆動軸部を介して前記挿入爪を取外方向へ駆動し、前記挿入爪と前記ステープル押さえにより前記ステープルを挟み前記用紙束から離し、
前記ステープルを前記用紙束から離した後、前記リンク機構と前記駆動軸部を介して前記挿入爪を開放方向へ駆動し、前記挿入爪と前記ステープル押さえによる前記ステープルの挟みを開放することを特徴とする請求項1に記載のステープル取外装置である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、
初期状態では、前記挿入爪と前記ステープル押さえとの間に隙間を形成する規制部を備え、
前記規制部は、
前記ステープル押さえを支持する筐体と、
前記ステープル押さえに連結した支持軸と、
前記筐体に形成され、前記支持軸を下方孔位置と上方孔位置とに移動可能に支持する規制孔と、
前記ステープル押さえを介して前記支持軸を常に前記下方孔位置方向へ付勢する付勢手段と、を含み、
前記支持軸が前記下方孔位置において、前記挿入爪と前記ステープル押さえとの間に隙間を形成し、
前記支持軸が前記規制孔に沿って移動して前記挿入爪と前記ステープル押さえにより前記ステープルを挟み前記用紙束から離し、
前記支持軸が前記上方孔位置から反転して、前記挿入爪と前記ステープル押さえは、前記下方孔位置方向へ向かい移動し、
前記支持軸は、前記下方孔位置において、前記規制孔により移動が規制され、前記挿入爪が移動して前記挿入爪と前記ステープル押さえとの間に隙間を形成し、
前記ステープルを開放することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のステープル取外装置である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、
前記挿入爪、前記ステープル押さえ及び前記駆動手段を含む装置本体を組み付けた本体ベースと、
前記装置本体を覆う本体カバーと、
前記本体カバーに鉛直方向に移動可能に組付けられた先端カバーと、を備え、
前記挿入爪の上方に、前記ステープル押さえが位置し、前記挿入爪の先端が前記本体ベースの下面より下方へ突出し、
前記先端カバーは、カバー付勢手段により常に下方へ付勢され、
前記先端カバーの下端は、前記挿入爪の先端を覆い、作業者の前記挿入爪の挿入作動に伴う装置を用紙束に押し付ける動作により上方へ移動する構成であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のステープル取外装置である。
【0011】
請求項5に記載の発明は、
前記先端カバーは、
前記挿入爪が前記ステープルを用紙束から取り外す際に、用紙束が持ち上がることを規制する構成であることを特徴とする請求項4に記載のステープル取外装置である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、
用紙束からステープルを取り外す際に前記用紙束の浮き上がりを規制する用紙束押さえ、を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のステープル取外装置である。
【0013】
請求項7に記載の発明は、
前記用紙束押さえは、
装置本体に固定され、用紙束からステープルを取り外す際に前記用紙束の浮き上がりを規制する構成であることを特徴とする請求項6に記載のステープル取外装置である。
【0014】
請求項8に記載の発明は、
前記用紙束押さえは、上下動可能であり、
下方位置において、用紙束からステープルを取り外す際に前記用紙束の浮き上がりを規制する構成であることを特徴とする請求項6に記載のステープル取外装置である。
【0015】
請求項9に記載の発明は、
前記ステープル押さえは、
ステープルを押さえる面側に弾性体を有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載のステープル取外装置である。
【0016】
請求項10に記載の発明は、
前記挿入爪の一部と、前記ステープル押さえの一部とは、凹凸係合可能であり、
用紙束が載置された状態において、ステープルと用紙面との間に前記挿入爪を挿入し、
前記ステープル押さえが、ステープルに乗り上げて撓み、
前記挿入爪と、前記ステープル押さえを更に前進させ、前記ステープル押さえがステープルの乗り上げから外れ、
前記挿入爪の一部と、前記ステープル押さえの一部とが、凹凸係合状態になると、ステープルの適正位置を検知することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のステープル取外装置である。
【0017】
請求項11に記載の発明は、
前記挿入爪は、凹み部を有し、
前記凹み部に、前記ステープルが係合するクリック感により、
ステープルの適正位置を検知することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のステープル取外装置である。
【0018】
請求項12に記載の発明は、
前記挿入爪は、先端上側に傾斜面を有し、
前記ステープル押さえは、基準線を有し、前記挿入爪の傾斜面を通して挿入された前記ステープルを、前記ステープル押さえの基準線に一致させ、
ステープルの適正位置を検知することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のステープル取外装置である。
【0019】
請求項13に記載の発明は、
ステープルにより作動するアクチュエータと、
ステープルを検知するセンサと、を備え、
前記アクチュエータは、前記挿入爪の挿入により前記ステープルが、前記アクチュエータを押すことにより作動し、
前記センサは、前記アクチュエータの作動によりステープルの適正位置を検知することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のステープル取外装置である。
【0020】
請求項14に記載の発明は、
報知手段を備え、
前記報知手段によりステープルの適正位置の検知をユーザーに知らせることを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれか1項に記載のステープル取外装置である。
【0021】
請求項15に記載の発明は、
制御手段を備え、
前記制御手段によりステープルの適正位置の検知により前記挿入爪と前記ステープル押さえを駆動することを特徴とする請求項10乃至請求項13のいずれか1項に記載のステープル取外装置である。
【0022】
請求項16に記載の発明は、
前記挿入爪は、切込み部を有し、
前記切込み部に、不完全な取り外しで用紙束に残るステープルを挿入して取り外すことを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載のステープル取外装置である。
【0023】
請求項17に記載の発明は、
ステープルにより綴じられた用紙束からステープルを取り外すステープル取外装置であって、
用紙束が載置された状態において、前記ステープルと前記用紙面との間に挿入可能な挿入爪と、
前記挿入爪を駆動する駆動手段と、を備え、
前記駆動手段は、
前記ステープルと前記用紙面との間に挿入する前記挿入爪を、待機位置から取り外し位置へ移動する構成であり、
前記取り外し位置において、前記挿入爪に通電して前記ステープルを前記用紙束から離すとともに、前記挿入爪に磁力を与えて前記ステープルを保持し、
通電を遮断して前記挿入爪に与えた磁力を消去し前記ステープルの保持を開放することを特徴とするステープル取外装置である。
【0024】
請求項18に記載の発明は、
ステープルにより綴じられた用紙束からステープルを取り外すステープル取外装置であって、
用紙束が載置された状態において、前記ステープルと前記用紙束との間に挿入可能な挿入爪を、備え、
前記挿入爪は、先端に向けて尖る上部傾斜面を有する形状であり、
前記挿入爪を前記用紙束の表面に沿って移動し、
前記挿入爪の上部傾斜面による高さ変化によって、前記ステープルを前記用紙束から離すことを特徴とするステープル取外装置である。
【0025】
請求項19に記載の発明は、
ステープルを押さえることが可能なステープル押さえ、を備えることを特徴とする請求項18に記載のステープル取外装置である。
【0026】
請求項20に記載の発明は、
前記挿入爪を前記用紙束の表面に沿って移動する駆動手段を、備えることを特徴とする請求項18または請求項19に記載のステープル取外装置である。
【0027】
請求項21に記載の発明は、 用紙束から取り外したステープルを収納する収納ボックスを有することを特徴とする請求項1乃至請求項20のいずれか1項に記載のステープル取外装置である。
【0028】
請求項22に記載の発明は、
用紙束からステープルを取り外す状態を表示する拡大鏡を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項21のいずれか1項に記載のステープル取外装置である。
【0029】
請求項23に記載の発明は、
前記駆動手段を駆動する電源は、
商用電源に接続する交流電源または内蔵バッテリに接続する直流電源であることを特徴とする請求項1乃至請求項22のいずれか1項に記載のステープル取外装置である。
【0030】
請求項24に記載の発明は、
横置き動作型または縦置き動作型の構成であることを特徴とする請求項1乃至請求項23のいずれか1項に記載のステープル取外装置である。
【0031】
請求項25に記載の発明は、
前記挿入爪は、装置本体内の退避位置と装置本体外の取外位置との間を移動可能であり、
挿入爪を移動する挿入爪移動手段と、
挿入爪の操作状態を報知する操作状態報知手段と、
操作爪の操作を開始する操作開始手段と、を備え、
電源投入前、前記挿入爪は、前記退避位置に位置し、
電源投入により前記挿入爪移動手段により前記挿入爪を前記退避位置から前記取外位置へ移動し、前記操作状態報知手段により前記挿入爪の操作状態を報知し、
前記操作開始手段により前記操作爪の操作を開始してステープルを取り外し、取り外し
完了後、指定時間経過後に、前記挿入爪移動手段により前記挿入爪を前記取外位置から前記退避位置へ移動することを特徴とする請求項1乃至請求項24のいずれか1項に記載のステープル取外装置。
【0032】
請求項26に記載の発明は、
前記操作状態報知手段は、挿入爪の操作状態を報知する構成に、
電源投入後の使用開始可能報知と、挿入爪挿入後の取外可能報知と、を含むことを特徴とする請求項25に記載のステープル取外装置である。
【0033】
請求項27に記載の発明は、
ステープルにより綴じられた用紙束からステープルを取り外すステープル取外装置であって、
用紙束が載置された状態において、前記ステープルと前記用紙面との間に挿入可能な挿入爪と、
ステープルを押さえることが可能なステープル押さえと、
前記挿入爪と前記ステープル押さえを含む爪ユニットを前後進させる駆動手段と、を備え、
前記駆動手段は、
前進により、前記ステープルと前記用紙面との間に前記挿入爪を挿入し、更に前進して前記爪ユニットを上方方向に傾けて前記挿入爪と前記ステープル押さえにより前記ステープルを挟み前記用紙束から離し、
後進により、前記挿入爪を開放方向へ駆動し、前記挿入爪と前記ステープル押さえによる前記ステープルの挟みを開放することを特徴とするステープル取外装置である。
【0034】
請求項28に記載の発明は、
前記爪ユニットは、
横方向及び上下方向に移動する前側突起と横方向に移動する後側突起を有し、
前記挿入爪と前記ステープル押さえを支持する移動ホルダーを含み、
前記駆動手段は、
駆動源となるモータと、
前記モータからの動力を伝達する動力伝達手段と、
前記前側突起と前記後側突起とを移動可能にするガイド溝を有する支持ブラケットと、を含み、
前記モータの回転力を直線の動きに変換して、
前記移動ホルダーを前進させて、前記ステープルと前記用紙面との間に前記挿入爪を挿入し、更に前進して前記前側突起の上方向の移動で前記挿入爪と前記ステープル押さえにより前記ステープルを挟み前記用紙束から離し、
前記移動ホルダーを後進させて、前記前側突起の下方向の移動で前記挿入爪を開放方向へ駆動し、前記挿入爪と前記ステープル押さえによる前記ステープルの挟みを開放することを特徴とする請求項27に記載のステープル取外装置である。
【0035】
請求項29に記載の発明は、
ステープルにより綴じられた用紙束から前記ステープルを抜き取るステープ
ル抜き取り具であって、
前記ステープルは、対向する両足が用紙束を貫通し、この貫通する両足により用紙束を綴じる構成であり、
前記用紙束が綴じられた状態において、前記ステープルと前記用紙束との間
に挿入可能な固定爪及び動作爪を、含み、
前記固定爪を前記ステープルと前記用紙束との間に挿入した状態にして、
前記動作爪により前記用紙束から前記ステープルを抜き取ることを特徴とするステープル抜き取り具である。
【0036】
請求項30に記載の発明は、
前記固定爪は、
前記ステープルの対向する両足の間に挿入可能な幅を有することを特徴とす
る請求項29に記載のステープル抜き取り具である。
【0037】
請求項31に記載の発明は、
抜き取り具本体に、前記固定爪を固定し、
前記抜き取り具本体に揺動可能に設けられた揺動ホルダーと、
前記揺動ホルダーを操作する操作レバーと、を含み、
前記揺動ホルダーに、前記動作爪を設け、
前記操作レバーは、
前記揺動ホルダーを介して前記動作爪により前記ステープルを抜き取る構成であることを特徴とする請求項29または請求項30に記載のステープル抜き取り具である。
【0038】
請求項32に記載の発明は、
抜き取り具本体に、爪ユニットを移動可能に設け、
前記爪ユニットに、前記固定爪を固定し、
前記爪ユニットは、
揺動可能な揺動ブラケットを含み、
前記揺動ブラケットに、前記動作爪を設け、
前記操作レバーの操作により、
前記爪ユニットを前進させて、前記固定爪と前記動作爪を、前記ステープル
と前記用紙束との間に挿入し、
その後の前記操作レバーの操作により、
前記揺動ブラケットを介して前記動作爪により前記ステープルを抜き取ることを特徴とする請求項29または請求項30に記載のステープル抜き取り具である。
【0039】
請求項33に記載の発明は、
前記操作レバーは、
前記爪ユニットを移動するカム部と、
前記揺動ブラケットを押すガイド部と、を含み、
前記操作レバーの操作により、
前記カム部は、前記爪ユニットを前進させ、
その後の前記操作レバーの操作により、
前記ガイド部は、前記揺動ブラケットを押して前記揺動ブラケットを揺動さ
せ、
前記動作爪により前記ステープルを抜き取ることを特徴とす
る請求項32に記載のステープル抜き取り具である。
【0040】
請求項34に記載の発明は、
前記カム部は、
前記爪ユニットを移動するカム部と、
前記揺動ブラケットを揺動するガイド部と、を含み、
前記カム部は、押動面と円弧面を有し、
前記操作レバーの操作により、
前記押動面が前記爪ユニットを前進させ、前記爪ユニットが前進して抜き取
り位置になると、前記円弧面が前記爪ユニットの移動を停止し、
前記爪ユニットの移動停止状態で、前記ガイド部は、前記揺動ブラケットを
揺動し、前記動作爪により前記ステープルを抜き取ることを特徴とする請求項33に記載のステープル抜き取り具である。
【0041】
請求項35に記載の発明は、
請求項1乃至請求項34のいずれか1項に記載のステープル取外装置またはステープル抜き取り具を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0042】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0043】
請求項1乃至請求項35に記載の発明では、用紙束が載置された状態において、ステープルと用紙面との間に挿入可能な挿入爪と、ステープルを押さえることが可能なステープル押さえと、挿入爪とステープル押さえを駆動する駆動手段と、を備え、駆動手段は、ステープルと用紙面との間に挿入した挿入爪を取外方向へ駆動し、挿入爪とステープル押さえによりステープルを挟み用紙束から離し、ステープルを用紙束から離した後、挿入爪を開放方向へ駆動し、挿入爪とステープル押さえによるステープルの挟みを開放する構成であり、部品点数が少なく、簡単な構成でコンパクトであり、確実に用紙束中央部付近を綴じられた中綴じ製本物を含む用紙束からステープルを取り外すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図12】ステープル押さえの実施形態の斜視図である。
【
図13】ステープル押さえの実施形態の作動図である。
【
図14】ステープル位置検知の実施形態の平面図である。
【
図15】ステープル位置検知の実施形態の作動図である。
【
図16】ステープル位置検知の実施形態の側面図である。
【
図17】ステープル位置検知の実施形態の斜視図である。
【
図18】ステープル位置検知の実施形態の平面図である。
【
図19】ステープル位置検知の実施形態の斜視図である。
【
図20】ステープル位置検知の実施形態の作動図である。
【
図30】ステープル取外装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図34】ステープル取外装置の概略構成を示す平面図である。
【
図35】ステープル取外装置の概略構成を示す上から見た斜視図である。
【
図36】ステープル取外装置の概略構成を示す下から見た斜視図である。
【
図38】ステープル取外装置の動作を示す図である。
【
図42】は固定爪と動作爪による抜き取りを示す図である。
【
図43】は固定爪及び動作爪の第1形態動作図である。
【
図44】は固定爪及び動作爪の第2形態動作図である。
【
図46】は固定爪と動作爪を移動する構成を示す図である。
【
図48】は動作爪による抜き取りの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、この発明のステープル取外装置及びステープル抜き取り具並びに画像形成装置の実施の形態について説明する。この実施の形態は、ステープル取外装置の好ましい形態を示すものであるが、この発明はこれに限定されない。
【0046】
『第1の形態』
このステープル取外装置の実施の形態を、
図1乃至
図23に基づいて説明する。
図1はステープル取外装置の斜視図、
図2は装置本体の正面図、
図3は装置本体の平面図、
図4は装置本体の底面図、
図5は装置の動作を示す図、
図6は規制部の構成を示す斜視図、
図7はステープルの取り外しを示す図、
図8は先端カバーの動作を示す図、
図9は使用を示す図である。
【0047】
(ステープル取外装置の外観)
このステープル取外装置1は、
図1に示すように、ステープルにより綴じられた用紙束からステープルを取り外す装置であり、使用者が片方の手で持ち操作が可能な大きさ、構造である。ステープル取外装置1は、装置本体10を含み、この装置本体10を組み付けた本体ベース2と、装置本体10を覆う本体カバー3と、先端カバー4を備える。
【0048】
先端カバー4は、視認性を良くするために透明樹脂製であり、本体カバー3に上方へ移動可能に組付けられている。この先端カバー4の前側は、解放された構造であり、ステープル取外しの際に、解放部4aによって用紙束を綴じるステープルと干渉しないようになっている。本体カバー3には、駆動ボタン5が支持され、駆動ボタン5を押すことで、装置が作動してステープルにより綴じられた用紙束からステープルを取り外すことが可能である。
【0049】
(装置本体の構造)
装置本体10は、
図2乃至
図6に示すように、用紙束が載置された状態において、ステープルと用紙面との間に挿入可能な挿入爪20と、ステープルを押さえることが可能なステープル押さえ30と、挿入爪20とステープル押さえ30を駆動する駆動手段40と、を含む。
【0050】
この挿入爪20とステープル押さえ30は、近接して配置されている。挿入爪20は、駆動プレート21に固定され、挿入爪20の先端部20aは、ステープルと用紙面との間に挿入可能な尖った形状である。ステープル押さえ30は、一対のブロック体31に設けられ、ステープル押さえ30の先端部30aは、尖った形状である。
【0051】
ステープル押さえ30の先端幅W1は、挿入爪20の先端幅W2より狭くなっており、挿入爪20とステープル押さえ30の初期位置では、挿入爪20とステープル押さえ30との間に隙間L1を形成し、挿入爪20の先端部20aは、ステープル押さえ30の先端部30aより前方へ突出している。
【0052】
駆動手段40は、ステープルと用紙面との間に挿入した挿入爪20を取外方向へ駆動し、挿入爪20とステープル押さえ30とによりステープルを挟み用紙束から離し、ステープルを用紙束から離した後、挿入爪20を開放方向へ駆動し、挿入爪20とステープル押さえ30とによるステープルの挟みを開放する構成である。駆動手段40は、挿入爪20を駆動可能に軸支する駆動軸部60と、駆動軸部60を駆動するリンク機構70と、リンク機構70を駆動する電動駆動源80と、を含む。
【0053】
この駆動軸部60は、支持軸61により本体ベース2に回動可能に支持され、一端部60aと他端部60bからなるL字状に形成されている。駆動軸部60の一端部60aには、駆動プレート21が固定されて挿入爪20を駆動し、他端部60bには、リンク機構70が連結されている。
【0054】
リンク機構70は、長リンク71と、駆動軸72と、短リンク73を含む。長リンク71は、前後方向に配置され、駆動軸部60の他端部60bと、短リンク73を連結する。駆動軸72は、装置本体10の後側に支持体74を介して回動可能に支持され、短リンク73は、駆動軸72の両側に固定されている。
【0055】
電動駆動源80は、装置本体10の中央に配置されたモータ81と、出力軸82を含む。出力軸82は、はすば傘歯車83を介して駆動軸72に連結されている。駆動ボタン5の操作によってモータ81が駆動し、正転、反転する構成であり、モータ81の動力は、出力軸82からはすば傘歯車83を介して駆動軸72へ伝達される。
【0056】
支持体74には、下死点センサS1と、上死点センサS2が配置されており、駆動軸72の回転位置を検知する。下死点センサS1が、駆動軸72の一方側凸部を検知する位置は、リンク機構70を介して駆動される挿入爪20の初期位置である。上死点センサS2が、駆動軸72の他方側凸部を検知する位置は、リンク機構70を介して駆動される挿入爪20とステープル押さえ30とによりステープルを挟み用紙束から離す位置である。
【0057】
このステープル取外装置1は、初期状態では、挿入爪20とステープル押さえ30との間に隙間L1を形成する規制部50を備える。この規制部50は、ステープル押さえ30を支持する筐体51と、ステープル押さえ30にブロック体31を介して連結した支持軸52と、筐体51に形成され、支持軸52を下方孔位置P1と上方孔位置P2とに移動可能に支持する規制孔53と、ステープル押さえ30を介して支持軸52を常に下方孔位置P1方向へ付勢する付勢手段54と、を含む。
【0058】
付勢手段54は、ブロック体31と本体カバー3との間に配置されたスプリングで構成され、ステープル押さえ30を介して支持軸52を常に下方孔位置P1方向へ付勢する。
【0059】
この筐体51は、一対のプレートを所定間隔隔てて本体ベース2に立設した構成であり、この筐体51に規制孔53が形成され、規制孔53によってステープル押さえ30に連結した支持軸52が移動可能に支持されている。規制孔53は、前側が低くて後側に向かって高くなるように斜め方向に形成され、支持軸52を前側の下方孔位置P1と後側の上方孔位置P2とに移動可能に支持する構成である。
【0060】
挿入爪20は、駆動プレート21を介して駆動軸部60の一端部60aに連結されており、電動駆動源80によりリンク機構70を介して初期位置の挿入爪20を取外方向へ駆動するが、初期位置では、ステープル押さえ30のブロック体31を介して連結した支持軸52は、規制孔53の下方孔位置P1であり、ステープル押さえ30と挿入爪20との間に隙間L1を形成しており、用紙束が載置された状態において、ステープルSTと用紙面との間に挿入爪20を挿入する(
図7(a))。
【0061】
電動駆動源80によりリンク機構70を介して初期位置の挿入爪20を取外方向へ駆動すると、挿入爪20がステープルSTを用紙面から持ち上げてわずかに抜くため、ステープルSTは、ステープル押さえ30に当接する(
図7(b))。ステープル押さえ30によってステープルSTが押さえられた状態では、さらに電動駆動源80によりリンク機構70を介して初期位置の挿入爪20を取外方向へ駆動すると、支持軸52が付勢手段54の付勢力に抗して規制孔53に沿って移動して挿入爪20とステープル押さえ30とによりステープルSTを挟み用紙束から離す(
図7(c))。
【0062】
この挿入爪20とステープル押さえ30とによりステープルSTを挟み用紙束から離す位置で、上死点センサS2が、駆動軸72の他方側凸部を検知し、ステープルSTを用紙束から離した後、電動駆動源80によりリンク機構70を介して挿入爪20を開放方向へ駆動する。
【0063】
リンク機構70により駆動軸部60が解放方向へ回転するため、付勢手段54により付勢された支持軸52が規制孔53に沿って移動し上方孔位置P2から反転して、挿入爪20とステープル押さえ30は、下方孔位置P1方向へ向かう。
【0064】
支持軸52は、規制孔53の下方孔位置P1において、規制孔53により移動が規制されるが、挿入爪20は移動するため、ステープル押さえ30と挿入爪20との間に隙間を形成し、ステープルSTを開放する(
図7(d))。
【0065】
このように、支持軸52が下方孔位置P1において、挿入爪20とステープル押さえ30との間に隙間を形成し、支持軸52が規制孔53に沿って移動して挿入爪20とステープル押さえ30とによりステープルを挟み用紙束から離す。支持軸52が上方孔位置P2から反転して、挿入爪20とステープル押さえ30は、下方孔位置P1方向へ向かい移動し、支持軸52は、下方孔位置P1において、規制孔53により移動が規制され、挿入爪20が移動して挿入爪20とステープル押さえ30との間に隙間L1を形成し、ステープルを開放する。
【0066】
このように、駆動手段40は、挿入爪20を駆動可能に軸支する駆動軸部60と、駆動軸部60を駆動するリンク機構70と、リンク機構70を駆動する電動駆動源80と、を含み、電動駆動源80によりリンク機構70と駆動軸部60を介して挿入爪20を取外方向へ駆動し、挿入爪20とステープル押さえ30とによりステープルSTを挟み用紙束から離し、ステープルSTを用紙束から離した後、リンク機構70と駆動軸部60を介して挿入爪20を開放方向に駆動し、挿入爪20とステープル押さえ30とによるステープルSTの挟みを開放し、部品点数が少なく、簡単な構成でコンパクトであり、確実に用紙束からステープルを取り外すことが可能である。
【0067】
(先端カバーの構成)
この実施の形態のステープル取外装置1は、
図8に示すように、挿入爪20、ステープル押さえ30及び本体ベース2と、本体カバー3と、を備える。本体カバー3には、先端カバー4が鉛直方向に移動可能に組付けられ、この先端カバー4は、カバー付勢手段7により常に下方へ付勢されている。
【0068】
初期状態では、挿入爪20の上方に、ステープル押さえ30が位置し、挿入爪20の先端部20aが本体ベース2の下面2aより、長さL2だけ下方へ突出している(
図8(a))。先端カバー4の下端部4aは、挿入爪20の先端部20aを覆っているが、挿入爪20がステープルSTを用紙束から取り外す際に、用紙束が持ち上がるために先端カバー4は、作業者の挿入爪20の挿入作動に伴う装置を用紙束に押し付ける動作により上方へ移動する構成である(
図8(b))。
【0069】
先端カバー4は、視認性を良くするために透明樹脂製であり、挿入爪20、ステープル押さえ30の動作やステープルの取り外状態などを容易に目視可能になっている。
【0070】
ステープル取外装置1の使用を、
図9に基づいて説明する。
図9(a)は、挿入爪20の挿入時を示しており、先端カバー4は、カバー付勢手段7により常に下方へ付勢されているので、その分下方に押し付けて操作する必要がある。挿入爪20は、用紙束Pが載置された状態において、用紙束Pの表面上を移動してステープルSTと用紙面との間に挿入され、先端カバー4は、挿入爪20の挿入時には、用紙束Pの表面に沿った位置にある。
【0071】
図9(b)は、ステープルSTの除去時を示している。挿入爪20及びステープル押さえ30が引き抜き方向へ移動する。これにより用紙束Pに引っ張られて先端カバー4は、カバー付勢手段7の付勢力に抗して上方へ移動し、挿入爪20とステープル押さえ30とによりステープルSTを挟み用紙束から離す位置で、先端カバー4の上端が一瞬本体カバー3の上端より上方に突出し、下端が本体カバー3の下端と同一になる。
【0072】
図9(c)は、ステープルSTの除去後を示している。挿入爪20及びステープル押さえ30が引き抜き方向へ移動し、ステープルSTを挟み用紙束Pから離すと、反転して、挿入爪20とステープル押さえ30は、下方孔位置方向へ向かう。
【0073】
支持軸52は、規制孔53の下方孔位置において、規制孔53により移動が規制されるが、挿入爪20が移動するため、ステープル押さえ30と挿入爪20との間に隙間を形成し、ステープルSTを開放し、動作完了後、ステープルSTを振り落とす。
【0074】
先端カバー4は、挿入爪20の挿入時には、用紙束Pの表面に沿った位置にあり、ステープルSTを挟み用紙束から離す位置では、先端カバー4の上端が一瞬本体カバー3の上端より上方に突出し、下端が本体カバー3の下端と同一になるが、先端カバー4は、挿入爪20がステープルSTを用紙束Pから取り外す際に、用紙束Pが持ち上がることを規制する構成である。
【0075】
[用紙束押さえの実施形態]
このステープル取外装置1は、
図10及び
図11に示すような用紙束PからステープルSTを取り外す際に用紙束Pの浮き上がりを規制する用紙束押さえ100を備えることができ、用紙束押さえ100は、用紙束Pの浮き上がりを規制することで、用紙束PからステープルSTを容易かつ確実に取り外すことができる。
【0076】
図10の実施形態は、用紙束押さえ100を装置本体10に備えた構成であり、この用紙束押さえ100は、挿入爪20の両側に配置されている。用紙束押さえ100は、装置本体10に固定した構成でもよく、また用紙束Pに対して上下動可能な構成でもよい。
【0077】
用紙束押さえ100が上下動可能では、下方位置において、用紙束PからステープルSTを取り外す際に用紙束Pの浮き上がりを規制する構成である。用紙束押さえ100を上下動する構成は、電動で上下動し、また手動で上下動するものでもよい。
【0078】
図11(a)の実施形態は、用紙束押さえ100を装置本体10に固定したものであり、用紙束押さえ100の下端部100aは、常に用紙束Pを上方から押さえることで、用紙束PからステープルSTを取り外す際に用紙束Pの浮き上がりを規制する。
【0079】
図11(b)の実施形態は、用紙束押さえ100を装置本体10に手動で上下動する。必要時に手動で用紙束押さえ100を下方に移動し、下端部100aが用紙束Pを上方から押さえることで、用紙束PからステープルSTを取り外す際に用紙束Pの浮き上がりを規制する。
【0080】
図11(c)の実施形態は、用紙束押さえ100を装置本体10に電動で上下動する。電動で上下動する構成は、例えばモータ110によりベルト111を介してローラ112を回転し、ローラ112の回転により用紙束押さえ100を上下動する。必要時に電動で用紙束押さえ100を下方に移動し、下端部100aが用紙束Pを上方から押さえることで、用紙束PからステープルSTを取り外す際に用紙束Pの浮き上がりを規制する。
【0081】
[ステープル押さえの実施形態]
ステープル押さえ30は、
図12及び
図13に示すように構成することができる。
図12の実施形態は、ステープル押さえ30の先端部30aに、ゴムなどの弾性体120を、少なくともステープルを押さえる面側に有する構造である。
【0082】
用紙束が載置された状態において、ステープルSTと用紙面との間に挿入爪20を挿入し(
図13(a))、挿入爪20がステープルSTを用紙面から持ち上げてわずかに抜くため、ステープルSTは、ステープル押さえ30に当接するが(
図13(b))、弾性体120によってステープルSTが埋め込み状態になり強固に保持することができる。
【0083】
挿入爪20とステープル押さえ30とによりステープルSTを挟み用紙束から離すと(
図13(c))、弾性体120によってステープルSTを引き抜くことができ、ステープルSTを用紙束から離した後、ステープル押さえ30と挿入爪20との間に隙間を形成し、ステープルSTを開放する(
図13(d))。
【0084】
挿入爪20とステープル押さえ30とによりステープルSTを挟み用紙束から離す構成は、挿入爪20とステープル押さえ30とによりステープルSTを上方に持ち上げて捻って抜き、ステープルSTを用紙束から離した後、元の位置に戻してステープル押さえ30と挿入爪20との間に隙間を形成し、ステープルSTを開放してもよい。
【0085】
[ステープル位置検知の実施形態]
ステープル位置検知の実施形態を、
図14乃至
図20に基づいて説明する。
図14及び
図15の実施の形態は、挿入爪20の一部20cと、ステープル押さえ30の一部30cとは、凹凸係合可能であり、凹凸係合位置によりステープルSTを検知する。
【0086】
この実施の形態では、ステープル押さえ30が弾性部材で成形され、挿入爪20の一部20cが凹み部であり、この凹み部にステープル押さえ30の凸部が係合する構成である。
【0087】
凹凸係合位置によるステープルSTの検知は、挿入爪20の一部20cと、ステープル押さえ30の一部30cとは、凹凸係合状態であり(
図15(a))、用紙束が載置された状態において、ステープルSTと用紙面との間に挿入爪20を挿入すると、ステープル押さえ30は、ステープルSTに乗り上げて撓む(
図15(b))。
【0088】
挿入爪20と、ステープル押さえ30を更に前進させ、ステープルSTを用紙束から離す位置になると(
図15(c))、ステープル押さえ30がステープルSTの乗り上げから外れ、挿入爪20の一部20cと、ステープル押さえ30の一部30cとが、凹凸係合状態になる。このとき、ステープル押さえ30が解放されることによって、ステープルSTの適正位置を検知することが可能である。
【0089】
図16の実施の形態は、挿入爪20は、凹み部20dを有する構成である。挿入爪20を前進させ、凹み部20dに、ステープルSTが係合するクリック感により、ステープルSTの適正位置を検知することができる。
【0090】
図17の実施の形態は、挿入爪20は、先端上側に傾斜面20eを有し、ステープル押さえ30は、基準線Tを有する。ステープルSTと用紙面との間に挿入爪20を挿入し、挿入爪20の傾斜面20eを通してステープルSTが挿入され、ステープルSTを、ステープル押さえ30の基準線Tに一致させてステープルSTの適正位置を検知する構成である。
【0091】
図18の実施の形態は、ステープルにより作動するアクチュエータ140と、
ステープルを検知するセンサ141と、を備える。アクチュエータ140は、移動レバーで構成されており、アクチュエータ140は、挿入爪20の挿入によりステープルSTが、アクチュエータ140を押すことにより作動して移動する。センサ141は、アクチュエータ140の作動によりステープルの適正位置を検知する構成である。
【0092】
図19の実施の形態は、ステープルにより作動するアクチュエータ150と、
ステープルを検知するセンサ151と、を備える。アクチュエータ150は、回転レバーで構成され、検知部150aと、接触部150bと、回転支点150cを有する。このアクチュエータ150は、装置本体10に回転支点150cを支点に回転可能に支持され、スプリング152により常に初期位置に位置するように付勢されていている。
【0093】
ステープル押さえ130は、装置本体10に支持軸131を介して回動可能に支持され、スプリング132により常に初期位置に位置するように付勢されていている。
【0094】
挿入爪20の挿入前は、
図20(a)において、アクチュエータ150の接触部150bがステープルSTと接触していないため、検知部150aは、センサ151によって検知されない位置である。
【0095】
挿入爪20の挿入による検知は、
図20(b)において、挿入爪20の挿入によって、アクチュエータ150の接触部150bがステープルSTと接触して押されるため、アクチュエータ150は、スプリング152に抗して回転する。
【0096】
アクチュエータ150の回転によって、検知部150aは、センサ151によって検知される。このように、アクチュエータ150の作動によりステープルの適正位置を検知する構成である。
【0097】
アクチュエータ140は、挿入爪20の挿入によりステープルSTが、アクチュエータ140を押すことにより作動して移動する。センサ141は、アクチュエータ140の作動によりステープルSTの適正位置を検知する構成である。
【0098】
ステープル位置検知の実施形態を、
図14乃至
図20に基づいて説明したが、この実施形態において、
図21に示す構成を備えることができる。
【0099】
ステープル位置検知の実施形態は、検知手段200を備え、検知手段200は、接触センサ、または非接触センサで構成される。接触センサとしては、例えば接触スイッチ等を用いることができる。非接触センサとしては、例えば光学式スイッチ、静電容量スイッチ等を用いることができる。
【0100】
検知手段200からの検知情報は、報知手段210、または制御手段220に送り、または報知手段210及び制御手段220に送ることができる。
【0101】
報知手段210は、ステープルSTの適正位置の検知をユーザーに知らせる構成であり、例えばLEDの点灯、音の発生などでユーザーに知らせる。
【0102】
制御手段220は、ステープルSTの適正位置の検知により挿入爪とステープル押さえを駆動する構成であり、自動でステープルSTの抜き動作を開始する
【0103】
[挿入爪の実施形態]
挿入爪の実施形態を、
図22及び
図23に基づいて説明する。
図22は挿入爪の斜視図、
図23はステープルの取り外しを示す図である。
【0104】
図22の実施の形態では、挿入爪20は、先端上側に傾斜面20eを有するとともに、
先端中央に切込み部20fを有する。この切込み部20fは、ステープルSTの足が挿入可能な形状であり、ステープルSTの不完全な取り外しで用紙束に残る場合に、ステープルSTの足を切込み部20fに挿入して取り外すことが可能な構成である。
【0105】
ステープル押さえ30は、基準線Tを有している。挿入爪20と、ステープル押さえ30の両側には、用紙束押さえ100が装置本体10から延びており、ステープル押さえ30は、ステープル押さえ30に設けた基準線Tを容易に目視可能な高さに形成されている。したがって、挿入爪20の挿入によってステープルSTが、基準線Tの位置に一致することを容易に確認し、ステープルSTを取り外すことができる。
【0106】
この実施形態のステープル取外装置1を使用した場合でも、使い方を間違ったりするとステープルSTの片側の足だけ残る場合がある(
図23(a))。このようにステープルSTの除去が不完全になった場合には、挿入爪20の切込み部20fを、不完全な取り外しで用紙束に残るステープルSTに押し付け(
図23(b))、喰い込ませた後、ステープルSTの抜き動作を行って用紙束に残るステープルSTを取り外す(
図23(c))。
【0107】
『第2の形態』
このステープル取外装置の実施の形態を、
図24乃至
図25に基づいて説明する。
図24はステープル取外装置の概略構成図、
図25は装置の動作を示す図である。
【0108】
このステープル取外装置1は、ステープルSTにより綴じられた用紙束からステープルSTを取り外す装置であって、用紙束が載置された状態において、ステープルSTと用紙面との間に挿入可能な挿入爪200と、挿入爪200を駆動する駆動手段210と、を備える。
【0109】
挿入爪200は、ステープルSTと用紙束Pとの間に挿入される爪部201と、爪部201に連続する軸部202を有し、この軸部202にはコイル203が装着されている。
【0110】
駆動手段210は、挿入爪200を移動する移動手段211と、挿入爪200に通電する通電手段212を備え、通電手段212は、挿入爪200にコイル213を巻き付け、コイル213に通電することで、挿入爪200に磁力を与え、通電を遮断することで、挿入爪200の磁力を消去する。
【0111】
駆動手段210は、ステープルSTと用紙面Pとの間に挿入する挿入爪200を、待機位置から取り外し位置へ移動する構成であり、待機位置から取り外し位置へ移動し(
図25(a))、取り外し位置において、挿入爪200に通電し(
図25(b))、ステープルSTを用紙束Pから離すとともに、挿入爪200に磁力を与えてステープルSTを保持し(
図25(c))、通電を遮断して挿入爪200に与えた磁力を消去しステープルSTの保持を開放し(
図25(d))、挿入爪200を取り外し位置から待機位置へ移動する。
【0112】
『第3の形態』
このステープル取外装置の実施の形態を、
図26乃至
図27に基づいて説明する。
図26はステープル取外装置の概略構成図、
図27は装置の動作を示す図である。
【0113】
このステープル取外装置1は、ステープルSTにより綴じられた用紙束PからステープルSTを取り外す装置であって、用紙束Pが載置された状態において、ステープルSTと用紙束Pとの間に挿入可能な挿入爪300と、挿入爪300を用紙束Pの表面に沿って移動する駆動手段310と、用紙束Pから取り外したステープルSTを収納する収納ボックス360と、操作ボタン330を備える。
【0114】
挿入爪300は、先端300aを下側に折り曲げた爪形状であり、挿入爪300を用紙束Pの表面に沿って移動すると、挿入爪300の先端300aが、確実にステープルSTと用紙束Pとの間に入り込む。
【0115】
挿入爪300の両側には、ステープルSTを押さえることが可能なステープル押さえ320を備え、ステープル押さえ320は、用紙束PからステープルSTを取り外す際に用紙束Pの浮き上がりを規制し、用紙束PからステープルSTを容易かつ確実に取り外すことができる。
【0116】
操作ボタン330を操作すると、駆動手段310が駆動し、駆動手段310により、挿入爪300が初期位置から下方に移動する(
図27(a))。そして、挿入爪300は、用紙束Pの表面に沿って移動し、ステープルSTを用紙束Pから取り外す(
図27(b))。用紙束Pから取り外したステープルSTは、収納ボックス360に収納される(
図27(c))。
【0117】
『第4の形態』
このステープル取外装置の実施の形態を、
図28に基づいて説明する。
図28はステープル取外装置の概略構成図である。
【0118】
このステープル取外装置1は、『第3の形態』と同様に構成されるが、挿入爪300の先端部300bに傾斜面を形成した構成である。挿入爪300は、用紙束Pの表面に沿って移動すると、挿入爪300の先端部300bによってステープルSTが浮き上がり、用紙束Pから取り外すことができる。
【0119】
図28(a)の実施の形態は、ステープル取外装置1が横持ちタイプであるが、
図28(b)の実施の形態のように、縦持ちタイプとしてもよい。
【0120】
『第5の形態』
このステープル取外装置の実施の形態を、
図29に基づいて説明する。
図29はステープル取外装置の概略構成図である。
【0121】
このステープル取外装置1は、用紙束からステープルを取り外す状態を表示する拡大鏡400を備え、拡大鏡400は、用紙束からステープルを取り外す状態を拡大して表示し、ユーザーに知らせることができる。
【0122】
第1の形態乃至第5の形態において、駆動手段を駆動する電源は、商用電源に接続する交流電源または内蔵バッテリに接続する直流電源とすることができる。商用電源に接続する交流電源では、バッテリ搭載の分、装置を軽量化できる。内蔵バッテリに接続する直流電源では、ステープル取外装置1がワイヤレス対応となる。また、モータを24Vから12Vにしてバッテリを軽量化できる。
【0123】
また、第1の形態乃至第5の形態において、ステープル取外装置1は、横置き動作型または縦置き動作型の構成とすることができ、横置き動作型または縦置き動作型に限定されない。
【0124】
『第6の形態』
このステープル取外装置の実施の形態を、
図30乃至
図33に基づいて説明する。
図30はステープル取外装置の概略構成を示すブロック図、
図31は動作を示す図、
図32は通常モードの動作フロー図、
図33は自動モードの動作フロー図である。
【0125】
このステープル取外装置の実施の形態では、挿入爪20は、装置本体内の退避位置T1と装置本体外の取外位置T2との間を移動可能であり、挿入爪20を移動する挿入爪移動手段610と、挿入爪20の位置を検出する挿入爪位置検出手段620と、ステープルSTを検出するステープル検出手段630と、操作爪20の操作を開始する操作開始手段640と、用紙束からステープルSTを取り外すステープル取外手段650と、挿入爪20の操作状態を報知する操作状態報知手段660と、挿入爪移動手段610及びステープル取外手段650を制御する制御手段670と、を備える。
【0126】
挿入爪移動手段610は、例えばモータを駆動源として、ギヤ、リンクなどの機械機構で構成され、挿入爪20を移動して退避位置T1と取外位置T2との状態にする。挿入爪20の位置は、電源投入前は、
図31(a)に示す装置本体内の退避位置T1であり、電源投入後は、
図31(b)に示す装置本体外の取外位置T2である。
【0127】
挿入爪位置検出手段620は、例えば非接触センサで構成され、挿入爪20の退避位置T1と取外位置T2を検出し、この検出情報を制御手段670へ送る。
【0128】
ステープル検出手段630は、例えばステープル検知レバー631、フォトインタラプタ632を含む構成であり、挿入爪20によってステープル検知レバー631がステープルSTに当接して回転し、このステープル検知レバー631の回転をフォトインタラプタ632が検出し(
図31(c))、検出情報を制御手段670へ送る。
【0129】
操作開始手段640は、例えば透明の押しボタン641で構成され、押しボタン641の操作によって操作爪20の操作を開始し、制御手段670は、ステープル取外手段650を制御し、用紙束からステープルSTを取り外す。
【0130】
ステープル取外手段650は、例えば挿入爪20、ステープル押さえ、モータを駆動源としてギヤ、リンクなどの駆動機構などで構成され、用紙束からステープルSTを取り外す(
図31(d))。
【0131】
操作状態報知手段660は、例えばLED661、またはブザー等で構成され、挿入爪20の操作状態を報知する。この挿入爪20の操作状態を報知する構成は、電源投入後の使用開始可能報知と、挿入爪挿入後の取外可能報知と、を含む。電源投入後の使用開始可能報知は、例えばLED661では点灯し、またはブザーでは鳴らし、準備完了を知らせ、挿入爪挿入後の取外可能報知は、例えばLED661では間欠的に点灯し、またはブザーでは間欠的に鳴らし、操作を促す報知である。
【0132】
この実施の形態では、電源投入により制御手段670は、挿入爪移動手段610により挿入爪20を退避位置から取外位置へ移動し、操作状態報知手段680により挿入爪20の操作が可能であることを報知し、操作開始手段640により操作爪20の操作を開始し、ステープル取外手段650によりステープルSTを取り外し、取り外し完了後、指定時間経過後に、挿入爪移動手段610により挿入爪20を取外位置T2から退避位置T1へ移動する。
【0133】
挿入爪20は、装置本体内の退避位置T1と装置本体外の取外位置T2との間を移動可能であり、電源投入前では、挿入爪20が装置本体内の退避位置T1に位置し、電源投入により挿入爪20が退避位置T1から取外位置T2へ移動するから、挿入爪20が装置本体外の物と干渉することがなく安全である。
【0134】
また、操作状態報知手段660は、挿入爪20の操作状態を報知するが、挿入爪20の操作状態を報知する構成に、電源投入後の使用開始可能報知と、挿入爪挿入後の取外可能報知と、を含むことで、電源投入後の使用開始可能報知は、例えばLED661では点灯し、またはブザーでは鳴らし、ユーザーに準備完了を確実に知らせることができ、挿入爪挿入後の取外可能報知は、例えばLED661では間欠的に点灯し、またはブザーでは間欠的に鳴らし、ユーザーに操作を促す報知であるから、確実にステープル取外手段650により用紙束からステープルSTを取り外すことができる。
【0135】
この実施の形態では、通常モードの動作または自動モードの動作が実行される。
(通常モード)
図32において、挿入爪20は装置本体内の退避位置T1に位置しており、電源投入後(S111)、使用可能な取外位置T2に移動する(S112)。
【0136】
LEDが点灯し(S113)、このLEDの点灯を透明の押しボタン641から視認することで、使用可であることをユーザーに知らせる。
【0137】
LEDが点灯した状態で、一定時間(例えば1分)経過しない間に(S114)、挿入爪20を挿入し、挿入爪20がステープル検知レバー631を作動し、ステープル検知レバー631によってフォトインタラプタ632がONになると、LEDは高速点滅し(S115)、ユーザーに押しボタン641を押すことを促す。
【0138】
ユーザーが押しボタン641を押すと(S116)、抜き動作が開始し、完了すると(S117)、LEDは点灯に戻り(S118)、動作を終了し、次の動作を待つ。
【0139】
S114において、LEDが点灯した状態で一定時間(例えば1分)経過すると、挿入爪20は、退避位置T1に移動し(S119)、LEDは消灯する(S120)。
【0140】
再度、ユーザーが使用する場合は、押しボタン641を押すと(S121)、S117へ移行して、抜き動作が開始し、完了すると、LEDは点灯に戻り(S118)、動作を終了する。
【0141】
S121において、押しボタン641を押すことなく、電源プラグを抜くと(S122)、挿入爪20は、退避位置T1に移動し(S123)、LEDは消灯する(S124)。
【0142】
(自動モード)
図33において、挿入爪20は装置本体内の退避位置T1に位置しており、押しボタン641を押しながら電源を投入すると(S211)、LEDはゆっくり点滅し(S212)、挿入爪20は使用可能な取外位置T2に移動する(S213)。
【0143】
LEDがゆっくり点滅している状態で、挿入爪20を挿入し、挿入爪20がステープル検知レバー631を作動し、ステープル検知レバー631によってフォトインタラプタ632がONになると、LEDは高速点滅し(S214)、同時に自動で抜き動作が開始される(S215)。抜き動作が終了すると、LEDはゆっくり点滅して終了し(S216)、次の動作を待つ。
【0144】
S212において、一定時間(例えば1分)経過すると(S217)、挿入爪20は、退避位置T1に移動し(S218)、LEDは消灯する(S219)。また、電源を投入した状態で電源プラグを抜いた直後(S220)、挿入爪20は、退避位置T1に移動し(S221)、LEDは消灯する(S222)。
【0145】
通常モードにおいて、電源投入時、LEDが点灯することで、通常モード(ボタンを押して動作)で使える状態、この使える状態で、ステープルSTを検知するとLEDは高速点滅し、ステープルSTがあり、押しボタンを押せばステープルSTが抜ける状態を示している。
【0146】
自動モードにおいて、押しボタンを押した状態で電源を投入すると、LEDはゆっくり点滅し、自動モードであることを示し、ステープルSTを検知したときは、LEDが高速点滅し、ステープルSTがあり、押しボタンを押せばステープルSTが抜ける状態を示し、LEDの光り方で状態を表しているが、LEDの光り方は特に限定しない。
【0147】
『第7の形態』
このステープル取外装置の実施の形態を、
図34乃至
図38に基づいて説明する。
図34はステープル取外装置の概略構成を示す平面図、
図35はステープル取外装置の概略構成を示す上から見た斜視図、
図36はステープル取外装置の概略構成を示す下から見た斜視図、
図37は爪ユニットの斜視図、
図38はステープル取外装置の動作を示す図である。
【0148】
ステープル取外装置1は、ステープルにより綴じられた用紙束からステープルを取り外す装置であり、用紙束が載置された状態において、ステープルと用紙面との間に挿入可能な挿入爪20と、ステープルを押さえることが可能なステープル押さえ30と、挿入爪20とステープル押さえ30を含む爪ユニット710を前後進させる駆動手段700と、を備える。
【0149】
駆動手段700は、支持ブラケット730と、モータ740と、動力伝達手段750と、動力変換手段760と、を含む。
【0150】
爪ユニット710は、左右に配置された横方向及び上下方向に移動する前側突起721と横方向に移動する後側突起722を有し、挿入爪20とステープル押さえ30を支持する移動ホルダー720を含む。
【0151】
支持ブラケット730は、移動ホルダー720の両側に配置され、前側突起721と後側突起722とを移動可能にするガイド溝731を有し、このガイド溝731は、横方向に延びる部分731aと上方に延びる部分731bが連続している。
【0152】
移動ホルダー720に設けられた左右の前側突起721と後側突起722は、左右に配置された支持ブラケット730のガイド溝731に移動可能に係合している。移動ホルダー720に設けられた爪ユニット710は、装置本体10との間に設けられたスプリング770によって常に、挿入爪20とステープル押さえ30を初期位置方向へ付勢している。
【0153】
移動ホルダー720が前進し、前側突起721と後側突起722が、支持ブラケット730の横方向に延びる部分731aに沿って移動する際に、爪ユニット710の挿入爪20が、ステープルと用紙面との間に挿入する。移動ホルダー720がさらに前進すると、前側突起721が、上方向に延びる部分731bに沿って移動し、スプリング770のスプリング力に抗して前側が持ち上がり、爪ユニット710に備えた挿入爪20とステープル押さえ30によりステープルを挟み用紙束から離す。
【0154】
ステープルを用紙束から離した後、移動ホルダー720を後進させると、前側突起721が上方向に延びる部分731bに沿って下方向に移動し、スプリング770のスプリング力によって移動ホルダー720の前側が下がる。このように、前側突起721の下方向の移動で挿入爪20を開放方向へ駆動し、挿入爪20とステープル押さえ30によるステープルの挟みを開放する。
【0155】
モータ740は、一対の支持ブラケット730の間に配置され、モータ740の出力は、動力伝達手段750を介して動力変換手段760へ伝達される。動力伝達手段750は、モータ740の出力歯車751と、回転軸752に設けられた傘歯車753及び駆動プーリ754と、タイミングベルト755と、従動プーリ756を含み、モータ740の出力を、出力歯車751から傘歯車753、回転軸752、駆動プーリ754、タイミングベルト755、従動プーリ756を介して動力変換手段760へ伝達する。
【0156】
動力変換手段760は、駆動軸763の両側に設けられたピニオン761と、移動ホルダー720に固定されたラック762を含む。ラック762には、ガイド溝762aが形成され、支持ブラケット730に設けられた支持ピン730aは、ガイド溝762aに係合しており、ピニオン761の回転力をラック762の直線の動きに変換して、移動ホルダー720を前進させ、または後進させる。
【0157】
次に、ステープル取外装置1の動作を説明する。
図38(a)は、動作前であり、移動ホルダー720の前側突起721と後側突起722は、支持ブラケット730に形成されたガイド溝731の横方向に延びる部分731aに移動可能に係合している。
【0158】
モータ740を駆動すると、その出力は、出力歯車751から傘歯車753、回転軸752、駆動プーリ754、タイミングベルト755、従動プーリ756を介して動力変換手段760へ伝達する。動力変換手段760は、ピニオン761の回転力をラック762の直線の動きに変換して、移動ホルダー720を前進させる。移動ホルダー720の前側突起721と後側突起722は、支持ブラケット730に形成されたガイド溝731の横方向に延びる部分731aを移動して前進し、ステープルと用紙面との間に挿入爪20を挿入する(
図38(b))。
【0159】
移動ホルダー720がさらに前進すると、前側突起721が、支持ブラケット730に形成されたガイド溝731の上方向に延びる部分731bに沿って移動し、スプリング770のスプリング力に抗して移動ホルダー720の前側が持ち上がり、爪ユニット710に備えた挿入爪20とステープル押さえ30によりステープルを挟み用紙束から離す(
図38(c))。
【0160】
ステープルを用紙束から離した後、モータ740を逆方向へ駆動すると、その逆方向の出力は、出力歯車751から傘歯車753、回転軸752、駆動プーリ754、タイミングベルト755、従動プーリ756を介して動力変換手段760へ伝達される。動力変換手段760は、ピニオン761の逆方向の回転力をラック762の直線の動きに変換して、移動ホルダー720が後進し、移動ホルダー720の前側突起721が支持ブラケット730に形成されたガイド溝731の上方向に延びる部分731bに沿って下方向に移動する。
【0161】
この移動ホルダー720の後進によって、スプリング770のスプリング力によって移動ホルダー720は、前側が下方に向き、挿入爪20が開放方向へ駆動されて、挿入爪20とステープル押さえ30によるステープルの挟みを開放する。
【0162】
このように実施の形態では、ユーザーがステープルと用紙面との間に挿入爪20を挿入する操作を行う必要がなく、駆動手段700の駆動による前進により、ステープルと用紙面との間に挿入爪20を挿入し、挿入爪20とステープル押さえ30によりステープルを挟み用紙束から離し、ステープルを用紙束から離した後、後進により、挿入爪20を開放方向へ駆動し、挿入爪20とステープル押さえ30によるステープルの挟みを開放することができる。
【0163】
『第8の形態』
(画像形成装置の構造)
この画像形成装置の実施形態を、
図39に基づいて説明する。
図39(a)は画像形成装置の平面図、
図39(b)は画像形成装置の正面図である。
【0164】
この画像形成装置500は、ステープル取外装置1を備え、このステープル取外装置1は、ステープルにより綴じられた用紙束からステープルを取り外す装置であって、『第1の形態』乃至『第7の形態』の構成である。
【0165】
画像形成装置500は、ステープル取外装置1を備えることで、画像形成装置500の機能性が向上する。ステープル取外装置1は、収納ボックス320を備えることで、用紙束Pから取り外したステープルSTは、飛散することなく収納ボックス360に収納される。
【0166】
以下、この発明のステープル抜き取り具の実施の形態について説明する。この実施の形態は、ステープル抜き取り具の好ましい形態を示すものであるが、この発明はこれに限定されない。
【0167】
[第1の実施形態]
このステープル抜き取り具の実施形態を、
図40乃至
図44に基づいて説明する。
図40はステープル抜き取り具の斜視図、
図41は固定爪と動作爪の挿入を示す図、
図42は固定爪と動作爪による抜き取りを示す図、
図43は固定爪及び動作爪の第1形態図、
図44は固定爪及び動作爪の第2形態図である。
【0168】
(ステープル抜き取り具の構成)
ステープル抜き取り具1010は、ステープル1001により綴じられた用紙束1002からステープル1001を抜き取る構成であり、用紙束1001が綴じられた状態において、ステープル1001と用紙束1002との間に挿入可能な固定爪1011及び動作爪1012を、含む。
【0169】
ステープル1001は、対向する両足1001aが用紙束1002を貫通し、この貫通する両足の先端を曲げた曲げ部1001bにより用紙束2を綴じる構成である。
【0170】
ステープル抜き取り具1010は、抜き取り具本体1013を有し、この抜き取り具本体1013には、下端に沿って固定爪1011が固定されている。
【0171】
抜き取り具本体1013には、支持軸1014を介して揺動ホルダー1015が揺動可能に設けられ、この揺動ホルダー1015には、操作レバー1016が固定されている。揺動ホルダー1015には、動作爪1012が設けられ、操作レバー1016の操作により揺動ホルダー1015を介して動作爪1012を移動する。
【0172】
固定爪1011は、ステープル1001の対向する両足1001aの間に挿入可能な幅W1であり、前端に楔部1011aを有し、先端から爪軸方向に延びる開口部1011bを有する。
【0173】
動作爪1012は、ステープル1001の対向する両足1001aの間に挿入可能な幅W2であり、前端に楔部1012aを有し、中央部に先端から爪軸方向に延びる凸部1012bを有する。固定爪1011に動作爪1012を重ねた状態では、凸部1012bが、固定爪1011の開口部1011bに係合し、固定爪1011及び動作爪1012がステープル1001と用紙束1002との間に確実に挿入可能にしている。
【0174】
(ステープル抜き取り具の抜き取り)
ステープル抜き取り具1010は、
図40に示す状態であり、固定爪1011に動作爪1012を重ねた状態で、操作レバー1016は、初期位置に位置する。
【0175】
使用者は、片手で抜き取り具本体13を持ち、
図41に示すように、固定爪1011及び動作爪1012をステープル1001と用紙束1002との間に挿入する。
【0176】
このように、固定爪1011及び動作爪1012をステープル1001と用紙束1002との間に挿入した状態で、
図42に示すように、操作レバー1016を操作すると、揺動ホルダー1015を介して動作爪1012が固定爪1011から離れる方向に移動する。
【0177】
このステープル抜き取り具1010による抜き取りでは、固定爪1011は、ステープル1001の対向する両足1001aの間に挿入可能な幅W1を有しているため、ステープル1001の両足の先端を曲げた曲げ部1001bに対応して用紙束1002を押さえている。したがって、動作爪1012を抜き方向へ移動すると、固定爪1011が用紙束1002を押さえ、ステープル1001の曲げ部1001bの曲げを戻す方向にガイドするため、用紙束1002からステープル1001が円滑に抜け、曲げ部1001bが用紙束1002を抜ける際に紙を傷めることが軽減され、ステープル1001を抜いた後に残る孔を小さくすることができる。
【0178】
(固定爪及び動作爪の第1形態)
固定爪及び動作爪の第1形態は、
図43(a)に示すように構成される。固定爪1011は、前端に楔部1011aを有し、先端から爪軸方向に延びる開口部1011bを有し、挿入可能な幅W1である。動作爪1012は、前端に楔部1012aを有し、挿入可能な幅W2であり、楔部1012aにより用紙束1002が綴じられた状態において、動作爪1012をステープル1001と用紙束1002との間に容易に挿入可能にしている。
【0179】
動作爪1012は、固定爪1011の上に重ねる形状であり、中央部に先端から爪軸方向に延びる凸部1011bを有し、この凸部1011bが、固定爪1011の開口部1011bに係合し、固定爪1011及び動作爪1012がステープル1001と用紙束1002との間に確実に挿入可能にしている。
【0180】
固定爪1011及び動作爪1012がステープル1001と用紙束1002との間に挿入され、固定爪1011は、ステープル1001と用紙束1002との間に挿入した状態で、
図43(b)に示すように、動作爪1012を移動して用紙束1002からステープル1001を抜き取る。
【0181】
この用紙束1002からステープル1001を抜き取る際には、固定爪1011は、ステープル1001の対向する両足1001aの間に挿入可能な幅W1を有しているため、ステープル1001の両足の先端を曲げた曲げ部1001bに対応して用紙束1002を押さえている。したがって、動作爪1012を抜き方向へ移動すると、固定爪1011が用紙束1002を押さえ、ステープル1001の曲げ部1001bの曲げを戻す方向にガイドするため、用紙束1002からステープル1001が円滑に抜け、曲げ部1001bが用紙束1002を抜ける際に紙を傷めることが軽減され、ステープル1001を抜いた後に残る孔を小さくすることができる。
【0182】
(固定爪及び動作爪の第2形態)
固定爪及び動作爪の第2形態は、
図44(a)に示すように構成される。固定爪1011は、第1形態と同様に形成されるが、動作爪1012は、固定爪1011の開口部1011bに係合する形状で、挿入可能な幅W2である。
【0183】
固定爪1011及び動作爪1012がステープル1001と用紙束1002との間に挿入され、固定爪1011は、ステープル1001と用紙束1002との間に挿入した状態で、
図44(b)に示すように、動作爪1012を移動して用紙束1002からステープル1001の中央部を持ち上げて抜き取る。
【0184】
この用紙束1002からステープル1001を抜き取る際には、固定爪1011は、ステープル1001の対向する両足1001aの間に挿入可能な幅W1を有しているため、ステープル1001の両足の先端を曲げた曲げ部1001bに対応して用紙束1002を押さえている。動作爪1012を抜き方向へ移動すると、ステープル1001の中央部を持ち上げて抜き取るが、固定爪1011が用紙束1002を押さえ、ステープル1001の曲げ部1001bの曲げを戻す方向にガイドするため、用紙束1002からステープル1001が円滑に抜け、曲げ部1001bが用紙束1002を抜ける際に紙を傷めることが軽減され、ステープル1001を抜いた後に残る孔を小さくすることができる。
【0185】
[第2の実施形態]
このステープル抜き取り具の実施形態を、
図45乃至
図48に基づいて説明する。
図45はステープル抜き取り具の斜視図、
図46は固定爪と動作爪を移動する構成を示す図、
図47は操作レバーの操作を示す図、
図48は動作爪による抜き取りの構成を示す図である。
【0186】
(ステープル抜き取り具の構成)
ステープル抜き取り具1010は、ステープル1001により綴じられた用紙束1002からステープル1001を抜き取る構成であり、用紙束1002が綴じられた状態において、ステープル1001と用紙束1002との間に挿入可能な固定爪1011及び動作爪1012を、含む。
【0187】
ステープル抜き取り具1010は、抜き取り具本体1020を有し、この抜き取り具本体1020には、爪ユニット1030を移動可能に備える。
【0188】
爪ユニット1030は、移動可能である移動ブラケット1031と、移動ブラケット1031に揺動可能である揺動ブラケット1032を含む。移動ブラケット1031には、下側に固定爪1011が固定され、側部に支点軸1033とガイド軸1034が固定されている。
【0189】
揺動ブラケット1032は、支点軸1033を支点として揺動可能であり、一方側に動作爪1012が設けられ、他方側に揺動ローラ1035が設けられている。
【0190】
揺動ブラケット1032には、逃げ切り欠き1032aが形成され、逃げ切り欠き1032aは、揺動ブラケット1032が揺動するする際にガイド軸1034と干渉しないようになっている。
【0191】
移動ブラケット1031と揺動ブラケット1032との間には、スプリング1036が設けられ、この揺動ブラケット1032は、スプリング1036により、常に動作爪1012を固定爪1011の方向に付勢されている。
【0192】
抜き取り具本体1020には、爪ユニット1030が移動する方向に延びるガイド溝1020a及びガイド溝1020bが形成され、ガイド溝1020aに支点軸1033が移動可能に係合し、ガイド溝1020bにガイド軸1034が移動可能に係合している。
【0193】
移動ブラケット1031と抜き取り具本体1020と間には、スプリング1037が設けられ、スプリング1037は、移動ブラケット1031を常に初期位置に位置するように付勢している。
【0194】
抜き取り具本体1020には、操作レバー1040が設けられ。この操作レバー1040は、操作軸1041を支点に操作される。
【0195】
操作レバー1040は、移動ブラケット1031に設けたガイド軸1034を押すカム部1040aと、揺動ブラケット1032に設けた揺動ローラ1035を押すガイド部1040bと、を含む。
【0196】
カム部1040aは、押動面1040a1と円弧面1040a2を有する。押動面1040a1は、平面であり、ガイド軸1034と接する。円弧面1040a2は、操作軸1041を中心点とする円Mの円弧である。
【0197】
操作レバー1040を操作すると、押動面1040a1がガイド軸1034を押して爪ユニット1030を前進させる。爪ユニット1030が前進して所定位置、即ち抜き取り位置になると、押動面1040a1から円弧面1040a2がガイド軸1034に接触する。円弧面1040a2は、操作軸1041を中心点とする円Mの円弧であるため、ガイド軸1034を押さない。このように、操作レバー1040のカム部1040aは、動作爪1012による抜き取り動作の間、爪ユニット1030の前後位置では、形状によって変化しない構成である。
【0198】
ガイド部1040bは、爪ユニット1030の移動方向に延びる形状であり、揺動ローラ1035に対向する位置に形成されている。操作レバー1040の操作により爪ユニット1030が前進する際には、ガイド部1040bは、揺動ローラ1035に接触していない。さらに、操作レバー1040を操作して爪ユニット1030が所定位置、即ち抜き取り位置になると、ガイド部1040bは、揺動ローラ1035を押すため、揺動ブラケット1032は、スプリング1036に抗して揺動し、動作爪1012が抜き取り方向に移動して固定爪1011から離れる。
【0199】
(ステープル抜き取り具の抜き取り)
使用者は、片手でステープル抜き取り具1010の操作レバー1040を持ち、固定爪1011及び動作爪1012をステープル1001と用紙束1002との間に挿入する位置に合わせる。
【0200】
ステープル抜き取り具10は、
図45(a)及び
図46(a)に示す状態であり、固定爪1011に動作爪1012を重ねた状態で、操作レバー1040は、初期位置である。
【0201】
操作レバー1040を操作すると、
図45(b)及び
図46(b)に示すように、押動面1040a1がガイド軸1034を押し、爪ユニット1030は、スプリング1037に抗して前進し、固定爪1011及び動作爪1012をステープル1001と用紙束1002との間に挿入する。
【0202】
さらに、操作レバー1040を操作すると、
図45(c)及び
図46(c)に示すように、爪ユニット1030が所定位置、即ち抜き取り位置になると、押動面1040a1から円弧面1040a2がガイド軸1034に接触するため、爪ユニット1030は、前進しないでガイド部1040bは、揺動ローラ1035を押すため、揺動ブラケット1032は、スプリング1036に抗して揺動し、動作爪1012が抜き取り方向に移動して固定爪1011から離れる。
【0203】
このステープル抜き取り具1010による抜き取りでは、固定爪1011は、ステープル1001の対向する両足1001aの間に挿入可能な幅W1を有しているため、ステープル1001の両足の先端を曲げた曲げ部1001bに対応して用紙束1002を押さえている。したがって、動作爪1012を抜き方向へ移動すると、固定爪1011が用紙束1002を押さえ、ステープル1001の曲げ部1001bの曲げを戻す方向にガイドするため、用紙束1002からステープル1001が円滑に抜け、曲げ部1001bが用紙束1002を抜ける際に紙を傷めることが軽減され、ステープル1001を抜いた後に残る孔を小さくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0204】
この発明は、ステープルを用いて複数枚の用紙を綴じることで作成した用紙束からステープルを取り外すステープル取外装置及びステープル抜き取り具並びに画像形成装置に適用され、部品点数が少なく、簡単な構成でコンパクトであり、中綴じ製本物を含めた用紙束から確実にステープルを取り外すことが可能である。
【符号の説明】
【0205】
1 ステープル取外装置
2 本体ベース
3 本体カバー
4 先端カバー
5 駆動ボタン
7 カバー付勢手段
10 装置本体
20 挿入爪
21 駆動プレート
30 ステープル押さえ
30a ブロック本体
30b 押さえ部
40 駆動手段
50 規制部
51 筐体
52 支持軸
53 規制孔
54 付勢手段
60 駆動軸部
60a 一端部
60b 他端部
61 支持軸
70 リンク機構
71 一対の長リンク
72 駆動軸
73 一対の短リンク
74 支持体
80 電動駆動源
81 モータ
82 出力軸
83 はすば傘歯車
100 用紙束押さえ
110 モータ
111 ベルト
112 ローラ
120 シリコン
130 絶縁部材
140 アクチュエータ
141 センサ
200 挿入爪
201 爪部
202 軸部
203 コイル
210 駆動手段
211 移動手段
212 通電手段
213 コイル
300 挿入爪310 駆動手段
320 ステープル押さえ
330 操作ボタン
360 収納ボックス
400 拡大鏡
500 画像形成装置
610 挿入爪移動手段
620 挿入爪位置検出手段
630 ステープル検出手段
640 操作開始手段
650 ステープル取外手段
660 操作状態報知手段
670 制御手段
700 駆動手段
710 爪ユニット
720 移動ホルダー
721 前側突起
722 後側突起
730 支持ブラケット
731 ガイド溝
731a 横方向に延びる部分
731b 上方向に延びる部分
740 モータ
750 動力伝達手段
751 出力歯車
752 回転軸
753 傘歯車
754 駆動プーリ
755 タイミングベルト
756 従動プーリ
760 動力変換手段
761 ピニオン
762 ラック
T1 装置本体内の退避位置
T2 装置本体外の取外位置
1001 ステープル
1002 用紙束
1010 ステープル抜き取り具
1011 固定爪
1011a 楔部
1011b 開口部
1012 動作爪
1012a 楔部
1012b 凸部
1013 抜き取り具本体
1014 支持軸
1015 揺動ホルダー
1016 操作レバー
1020 抜き取り具本体
1020,1020b ガイド溝
1030 爪ユニット
1031 移動ブラケット
1032 揺動ブラケット
1033 支点軸
1034 ガイド軸
1035 揺動ローラ
1036,1037 スプリング
1040 操作レバー
1041 操作軸
1040a カム部
1040a1 押動面
1040a2 円弧面
1040b ガイド部