(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029180
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】PD-L1発現低減用のオリゴヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20240227BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240227BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20240227BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240227BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240227BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240227BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240227BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20240227BHJP
A61P 33/00 20060101ALI20240227BHJP
C07H 21/00 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
C12N15/113 140Z
A61K31/7088 ZNA
A61K47/54
A61K48/00
A61K47/02
A61P31/12
A61P37/02
A61P31/20
A61P33/00
C07H21/00
【審査請求】有
【請求項の数】36
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024000251
(22)【出願日】2024-01-04
(62)【分割の表示】P 2021212541の分割
【原出願日】2017-03-14
(31)【優先権主張番号】16160149.7
(32)【優先日】2016-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166165
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 英直
(72)【発明者】
【氏名】ルゲ ピーダスン
(72)【発明者】
【氏名】ハッサン ジャバンバクト
(72)【発明者】
【氏名】マリーネ ジャクエロット
(72)【発明者】
【氏名】セーアン オトスン
(72)【発明者】
【氏名】スーファローヌ ルワンセイ
(57)【要約】
【課題】本発明は、標的細胞内でPD-L1の発現を低減させうるアンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。
【解決手段】オリゴヌクレオチドは、PD-L1のmRNAにハイブリダイズする。本発明は更に、オリゴヌクレオチドコンジュゲート及び医薬組成物、ならびにHBV、HCV及びHDVなどのウイルス性肝炎感染;マラリア、トキソプラズマ症、リーシュマニア症及びトリパノソーマ症などの寄生虫感染;肝臓癌又は肝臓における転移を、オリゴヌクレオチドを用いて治療する方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.PD-L1標的核酸に対して少なくとも90%の相補性を有する、10~30ヌクレオチド長さの連続ヌクレオチド配列を含む、オリゴヌクレオチド;および
b.(a)のオリゴヌクレオチドに共有結合された少なくとも1つの、アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分であって、前記連続ヌクレオチド配列が前記標的核酸の部分配列に相補的であり、前記部分配列が配列番号1の5467~12107位である、
を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【請求項2】
前記オリゴヌクレオチドが配列番号466の配列を含む、請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【請求項3】
前記連続ヌクレオチド配列が1又は複数の修飾ヌクレオシドを含む、請求項1又は2に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【請求項4】
前記1又は複数の修飾ヌクレオシドが2'糖修飾ヌクレオシドである、請求項3に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
前記1又は複数の2'糖修飾ヌクレオシドが、2'-O-アルキル-RNA、2'-O-メチル-RNA、2'-アルコキシ-RNA、2'-O-メトキシエチル-RNA、2'-アミノ-DNA、2'-フルオロ-DNA、アラビノ核酸(ANA)、2'-フルオロ-ANAおよびLNAヌクレオシドからなる群より独立して選択される、請求項4に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【請求項6】
前記修飾ヌクレオシドがすべてLNAヌクレオシドである、請求項3~5のいずれか1項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【請求項7】
前記連続ヌクレオチド配列が少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【請求項8】
少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間連結がホスホロチオエートヌクレオシド間連結である、請求項7に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【請求項9】
前記オリゴヌクレオチドがギャップマーである、請求項1から8のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【請求項10】
前記アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分が、ガラクトース、ガラクトサミン、N-ホルミルガラクトサミン、ナセチルガラクトサミン、N-プロピオニルガラクトサミン、N-n-ブタノイルガラクトサミンおよびニソブタノイルガラクトサミンからなる群から選択される少なくとも1つの炭水化物部分を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【請求項11】
前記アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分が1価、2価、3価または4価である、請求項1~10のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【請求項12】
前記アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分が3価のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分である、請求項1~11のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【請求項13】
式CTAattgtagtagtaCTCのアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、大文字はβ-D-オキシLNAヌクレオシドを表し、小文字はDNAヌクレオシドを表し、すべてのLNA Cは5-メチルシトシンであり、すべてのヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間連結である、アンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項14】
請求項13に記載のオリゴヌクレオチドと、前記オリゴヌクレオチドに共有結合で結合したコンジュゲート部分とを含むアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【請求項15】
前記オリゴヌクレオチドとコンジュゲート部位との間にリンカーが存在する、請求項14に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【請求項16】
前記コンジュゲート部分がアシアロ糖タンパク質受容体標的化部分である、請求項14または請求項15に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【請求項17】
前記アシアロ糖タンパク質受容体標的化部分が3価のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分である、請求項16に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【請求項18】
前記リンカーが生理学的に不安定なリンカーである、請求項15から17のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【請求項19】
前記生理的に不安定なリンカーがヌクレアーゼ感受性リンカーである、請求項18に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【請求項20】
前記生理的に不安定なリンカーがシチジンアデノシンジヌクレオチドからなる、請求項18または請求項19に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【請求項21】
前記オリゴヌクレオチドと前記結合部分との間にリンカーが存在し;さらに、前記結合部分が3価のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分であるアシアロ糖タンパク質レセプター標的化部分であり;前記リンカーが生理学的に不安定なリンカーであり;さらに、生理学的に不安定なリンカーがシチジン-アデノシンジヌクレオチドを含む、請求項14に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【請求項22】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートが式:GN2-C6
oc
oa
oCTAattgtagtagtaCTCであり、式中、C6は炭素数6のアミノアルキル基を表し、大文字はβ-D-オキシLNAヌクレオシドを表し、小文字はDNAヌクレオシドを表し、LNA Cはすべて5-メチルシトシンであり、 添え字oはホスホジエステルヌクレオシド結合を表し、特に断りのない限り、全てのヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合であり、GN2は
図3に示される3価GalNAcクラスターを表し、さらに
図3の波線はC6アミノアルキル基へのクラスターの共役部位を示す、請求項14~21のいずれか1項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【請求項23】
前記オリゴヌクレオチドコンジュゲートがCMP ID NO: 769_2である、請求項14から22のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【請求項24】
図7に示すアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか1項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートと、薬学的に許容される希釈剤、溶媒、担体、塩および/またはアジュバントとを含む、医薬組成物。
【請求項26】
前記薬学的に許容される希釈剤が滅菌リン酸緩衝生理食塩水である、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記薬学的に許容される塩がナトリウムである、請求項25または請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記薬学的に許容される塩がカリウムである、請求項25または請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項29】
PD-L1を発現している標的細胞におけるPD-L1発現を調節するためのin vitro方法であって、請求項1から請求項28のいずれか1項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは医薬組成物を、前記細胞に有効量投与することを含む、前記方法。
【請求項30】
ウイルスに対する免疫応答の回復における使用のための、請求項1~28のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは医薬組成物。
【請求項31】
ウイルスがHBVである、請求項30に記載の使用のためのアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは医薬組成物。
【請求項32】
寄生虫に対する免疫応答の回復に使用するための、請求項1~28のいずれか1項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは医薬組成物。
【請求項33】
免疫応答の回復が、対照と比較して、1つまたは複数のHBV抗原に特異的なCD8+T細胞の肝臓における増加である、請求項30~32のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは使用のための医薬組成物。
【請求項34】
医薬品として使用するための、請求項1~28のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは医薬組成物。
【請求項35】
HBV感染の治療または予防における使用のための、請求項1~28のいずれか1項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは医薬組成物。
【請求項36】
HBV感染の治療または予防のための医薬の調製のための、請求項1~28のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートまたは医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム死リガンド-1(PD-L1)に対して相補的であり且つ肝臓においてPD-L1の発現を低減させる、オリゴヌクレオチド(オリゴマー)に関する。本発明はまた、肝臓感染症又は肝臓における癌に起因するT細胞の疲弊を緩和する方法に関する。関連する感染症としては、マラリア及びトキソプラズマ症(例えば、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium)、特に三日熱マラリア原虫(P. vivax)種、P.マラリア(P. malariae)種、及びP.ファルシパルム(P. falciparum)種)の原生動物により引き起こされるもの)等の、慢性HBV、HCV及びHDV及び寄生虫感染がある。
【背景技術】
【0002】
プログラム死-1(PD-1)受容体及びそのリガンドであるPD-L1(又はB7-H1もしくはCD274)からなる共刺激経路は、T細胞の疲弊に直接寄与し、結果として肝臓の慢性感染中にウイルス制御が欠如することが、公知となっている。PD-1経路はまた、この経路において破壊されたマウスが自己免疫疾患を発呈した際に、自己免疫に関与する。
【0003】
PD-1とPD-L1との間の相互作用をブロックする抗体によって、T細胞応答、特にCD8+細胞傷害性T細胞の応答が増強されることが明らかにされてきた(Barber et al 2006 Nature Vol 439 p682及びMaier et al 2007 J. Immunol.Vol 178 p 2714を参照のこと)。
【0004】
国際公開第2006/042237号パンフレットには、腫瘍におけるPD-L1(B7-H1)の発現を評価することによる癌の診断法が記載されていると共に、PD-1/PD-L1の相互作用を妨害する薬剤を患者に送達することが示唆されている。妨害剤は、抗体、抗体断片、siRNA又はアンチセンスオリゴヌクレオチドとすることができる。そのような妨害剤の具体例も存在しないし、また慢性肝臓感染症の記載も存在していない。
【0005】
二本鎖RNA(dsRNA、RNAi又はsiRNA)分子を用いるPD-L1のRNA干渉媒介性阻害はまた、例えば、国際公開第2005/007855号パンフレット、国際公開第2007/084865号パンフレット、及び米国特許第8,507,663号明細書にも開示されている。これらはいずれも、肝臓への標的送達について記載されていない。
【0006】
Dolina et al.2013 Molecular Therapy-Nucleic Acids, 2 e72には、siRNA分子を標的化するPD-L1を、Kupffer細胞にインビボで送達し、それによりMCMV感染マウスにおけるNK及びCD8+T細胞クリアランスを増強することが、記載されている。この論文が結論付けているところによれば、肝細胞に送達されたsiRNA分子を標的化するPD-L1は、CD8+T細胞エフェクター機能の増強に関して有効ではない。
【0007】
siRNA手法が、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド手法とかなり異なるのは、生体内分布及び作用様式が全く異なるためである。Xu et al 2003 Biochem.Biophys.Res .Comm.Vol 306 page 712-717に記載されているように、アンチセンスオリゴヌクレオチド及びsiRNAは、mRNA中の標的部位に対する優先度が異なる。
【0008】
国際公開第2016/138278号パンフレットには、5’末端に連結された2つ以上の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた、PD-L1を含む免疫チェックポイントの阻害について、記載されている。この出願は、B型肝炎ウイルス(HBV)又は肝臓への標的送達に関しては、言及していない。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、Kupffer細胞及び肝臓の正弦波状内皮細胞(LSECs)などの非実質細胞における実質細胞(例えば、肝細胞)及び肝細胞の両方において、肝細胞内のPD-L1のmRNAを非常に効率的に低減させる、新規なオリゴヌクレオチドならびにオリゴヌクレオチドコンジュゲートを同定するものである。オリゴヌクレオチド及びオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、PD-L1の低減又はサイレンシングによって、PD-1媒介性阻害を減らし、それによって疲弊したT細胞の免疫刺激を促進する。肝臓の慢性病原性感染におけるT細胞の疲弊を軽減することによって、肝臓の慢性病原性感染中の血中ウイルス抗原レベルの低下、及び免疫制御が回復される。ナチュラルキラー(NK)細胞及びナチュラルキラーT(NKT)細胞はまた、本発明のオリゴヌクレオチド及びオオリゴヌクレオチドコンジュゲートによる活性化が可能であるとされている。
【0010】
オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、肝細胞においてPD-L1の局所的低減を確実に遂行し、それにより、PD-L1の全身枯渇に関連する肺炎、非ウイルス性肝炎及び大腸炎などの、自己免疫副作用リスクを低減する。
【0011】
本発明は、PD-L1の発現を調節できる核酸を標的化するオリゴヌクレオチド又はコンジュゲート、ならびにPD-L1の機能に関連する疾患を治療又は予防することに関する。オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、感染性因子に抗する免疫応答の疲弊した疾患を治療することを目的に、特に使用される場合がある。
【0012】
したがって、第1の態様において、本発明は、PD-L1標的核酸に対する相補性が少なくとも90%である長さ10~30ヌクレオチドからなる連続ヌクレオチド配列を含む、オリゴヌクレオチドを提供するものである。オリゴヌクレオチドは、好ましくはギャップマーデザインを有する、アンチセンスオリゴヌクレオチドでありうる。オリゴヌクレオチドは、標的核酸の開裂によってPD-L1の発現を阻害できるものであることが、好ましい。開裂は、ヌクレアーゼの補充によって達成されるのが、好ましい。
【0013】
更なる態様において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのアシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分、例えば、少なくとも1つのN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分を含む結合部分に結合されている。結合部分及びオリゴヌクレオチドは、リンカー、特に生体開裂性リンカーを介して、一体的に連結される場合がある。
【0014】
更なる態様において、本発明は、本発明のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドコンジュゲート、ならびに医薬的に許容される希釈剤、担体、塩及び/又は補助剤を含む医薬組成物を提供するものである。
【0015】
更なる態様において、本発明は、有効量の本発明のオリゴヌクレオチド又は組成物を前記細胞に投与することにより、PD-L1を発現する標的細胞におけるPD-L1発現量を減少させるインビボ又はインビトロ方法を提供するものである。
【0016】
更なる態様において、本発明は、ウイルスもしくは寄生虫に対する免疫回復に使用するための、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート又は医薬組成物を提供するものである。
【0017】
更なる態様において、本発明は、薬品として使用するための、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート又は医薬組成物を提供するものである。
【0018】
更なる態様において、本発明は、治療的もしくは予防的有効量の本発明のオリゴヌクレオチドを、疾患、障害又は機能障害、特にウイルス性肝炎感染もしくは寄生虫感染から選択される疾患に罹患しているか又は罹患しやすい被験者に投与することによって、疾患、障害もしくは機能不全を治療又は予防するために記載の方法を提供するものである。
【0019】
更なる態様において、本発明のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート又は医薬組成物は、HBV、HCV及びHDVなどのウイルス性肝炎感染;あるいは、マラリア、トキソプラズマ症、リーシュマニア症及びトリパノソーマ症などの寄生虫感染;あるいは、肝臓癌もしくは肝臓の転移の治療又は予防に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A-B】オリゴヌクレオチドは、波線(A-D)又は「オリゴヌクレオチド」(E-H)又はT
2(I)として表され、アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分は、3価N-アセチルガラクトサミン部分である例示的アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートを例証する。化合物A~Dは、PEG3スペーサーに対する分子中のジ-リジンプラグと、3つの末端GalNAc炭水化物部分と、を含む。化合物A及びBにおいて、オリゴヌクレオチドは、リンカーなしで、アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分に直接付着する。化合物C及びDにおいて、オリゴヌクレオチドは、C6リンカーを介して、アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分に直接付着する。化合物E-Iは、トレブラー分枝分子と、長さ・構造が可変のスペーサーと、3つの末端GalNAc炭水化物部分と、を含む。
【
図1C-E】オリゴヌクレオチドは、波線(A-D)又は「オリゴヌクレオチド」(E-H)又はT
2(I)として表され、アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分は、3価N-アセチルガラクトサミン部分である例示的アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートを例証する。化合物A~Dは、PEG3スペーサーに対する分子中のジ-リジンプラグと、3つの末端GalNAc炭水化物部分と、を含む。化合物A及びBにおいて、オリゴヌクレオチドは、リンカーなしで、アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分に直接付着する。化合物C及びDにおいて、オリゴヌクレオチドは、C6リンカーを介して、アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分に直接付着する。化合物E-Iは、トレブラー分枝分子と、長さ・構造が可変のスペーサーと、3つの末端GalNAc炭水化物部分と、を含む。
【
図1F-H】オリゴヌクレオチドは、波線(A-D)又は「オリゴヌクレオチド」(E-H)又はT
2(I)として表され、アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分は、3価N-アセチルガラクトサミン部分である例示的アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートを例証する。化合物A~Dは、PEG3スペーサーに対する分子中のジ-リジンプラグと、3つの末端GalNAc炭水化物部分と、を含む。化合物A及びBにおいて、オリゴヌクレオチドは、リンカーなしで、アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分に直接付着する。化合物C及びDにおいて、オリゴヌクレオチドは、C6リンカーを介して、アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分に直接付着する。化合物E-Iは、トレブラー分枝分子と、長さ・構造が可変のスペーサーと、3つの末端GalNAc炭水化物部分と、を含む。
【
図1I】オリゴヌクレオチドは、波線(A-D)又は「オリゴヌクレオチド」(E-H)又はT
2(I)として表され、アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分は、3価N-アセチルガラクトサミン部分である例示的アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートを例証する。化合物A~Dは、PEG3スペーサーに対する分子中のジ-リジンプラグと、3つの末端GalNAc炭水化物部分と、を含む。化合物A及びBにおいて、オリゴヌクレオチドは、リンカーなしで、アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分に直接付着する。化合物C及びDにおいて、オリゴヌクレオチドは、C6リンカーを介して、アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分に直接付着する。化合物E-Iは、トレブラー分枝分子と、長さ・構造が可変のスペーサーと、3つの末端GalNAc炭水化物部分と、を含む。
【
図2】実施例2で試験された化合物について、標的核酸上のそれらの位置に関して、EC50(A)及びPD-L1ノックダウンを生理食塩水の%(B)として図示したグラフである。この細胞系統において、試験の対象となった化合物はTHP1(●)及びKarpas(*)である。
【
図3】3価GalNAc集落(GN2)の構造式である。GN2は、本発明における結合部分として有用である。波線は、母集団の(例えばC6アミノリンカーに対する、又は直接的にオリゴヌクレオチドに対する)結合部位を例証する。
【
図4】CMP ID番号766_2の構造式である。
【
図5】CMP ID番号767_2の構造式である。
【
図6】CMP ID番号768_2の構造式である。
【
図7】CMP ID番号769_2の構造式である。
【
図8】CMP ID番号770_2の構造式である。
【
図9A-C】生理食塩水及び指示されたCMP ID番号で処置した後、ウェスタンブロットで、ポリ(IC)誘導動物由来の肝臓内でのPD-L1タンパク質発現を検出した。各ブロットは、同じオリゴヌクレオチド、すなわちブロットAの裸型オリゴヌクレオチドバージョン対GalNAc結合バージョン)CMP ID番号744_1及び755_2、B)CMP ID番号747_1及び758_2、C)CMP ID番号748_1及び759_2、D)CMP ID番号752_1及び763_2及びE)CMP ID番号753_1及び764_2を示す。上位バンドはビンキュリン・ローディング対照であり、下位バンドはPD-L1タンパク質である。各ブロット中での第1のレーンは、ポリ(IC)誘導を伴わない生理食塩水処置マウスを示す。これらのマウスは、PD-Lタンパク質をごく少量しか発現しない。
【
図9D-E】生理食塩水及び指示されたCMP ID番号で処置した後、ウェスタンブロットで、ポリ(IC)誘導動物由来の肝臓内でのPD-L1タンパク質発現を検出した。各ブロットは、同じオリゴヌクレオチド、すなわちブロットAの裸型オリゴヌクレオチドバージョン対GalNAc結合バージョン)CMP ID番号744_1及び755_2、B)CMP ID番号747_1及び758_2、C)CMP ID番号748_1及び759_2、D)CMP ID番号752_1及び763_2及びE)CMP ID番号753_1及び764_2を示す。上位バンドはビンキュリン・ローディング対照であり、下位バンドはPD-L1タンパク質である。各ブロット中での第1のレーンは、ポリ(IC)誘導を伴わない生理食塩水処置マウスを示す。これらのマウスは、PD-Lタンパク質をごく少量しか発現しない。
【
図10】● ビヒクル(第10群及び第1群)、 ◆ DNAワクチン(第11群及び第2群)、 〇 抗PD-L1抗体(第12群)、 ▲ 裸型PD-L1アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)+DNAワクチン第7群)又は △ GalNAc結合型PD-L1 ASO+DNAワクチン(第8群)での処置後の肝臓における単核球の母集団、群毎の個々の動物を表すと共に、群毎の平均を垂直線で示してある(表18を参照のこと)。DNAワクチン群と3つの処置群との間の統計的有意性が評価されており、存在する場合、群間に
*で示されている(
*=P<0.05、
***=P<0.001及び
****=P<0.0001)。A)は、 処置後の肝臓におけるT細胞の数を表す。B)はCD4+T細胞の画分を表す。C)は、CD8+T細胞の画分を表す。
【
図11】● ビヒクル(第10群及び第1群)、 ◆ DNAワクチン(第11群及び第2群)、 〇 抗PD-L1抗体(第12群)、 ▲ 裸型PD-L1 ASO+DNAワクチン(第7群)又は △ GalNAc結合型PD-L1 ASO+DNAワクチン(第8群)を用いての処置後の肝臓におけるPD-L1陽性細胞の調節、群毎の個々の動物を表すと共に、群毎の平均を垂直線で示してある(表19を参照のこと)。DNAワクチン群と3つの処置群との間の統計的有意性が評価されており、存在する場合、群間に
*で示されている(
*=P<0.05、及び
****=P<0.0001)。A)は、処置後の肝臓においてPD-L1を発現するCD8+T細胞のパーセンテージを表す。B)は、処置後の肝臓内でPD-L1を発現するCD4+T細胞のパーセンテージを表す。C)は、処置後の肝臓内でPD-L1を発現するB細胞のパーセンテージを表す。
【
図12】● ビヒクル(第10群及び第1群)、 ◆ DNAワクチン(第11群及び第2群)、 〇 抗PD-L1抗体(第12群)、 ▲ 裸型PD-L1 ASO+DNAワクチン第7群)又は △ GalNAc結合型PD-L1 ASO+DNAワクチン(第8群)を用いての処置後の肝臓内でのHBV抗原特異的CD8+サイトカイン分泌細胞、群毎の個々の動物を表すと共に、群毎の平均を垂直線で示してある(表20を参照のこと)。DNAワクチン群と3つの処置群との間の統計的有意性が評価されており、存在する場合、群間に
*で示されている(
*=P<0.05)。A)は、処置後のHBVプレS2+S抗原に対して特異的な肝臓におけるIFN-γ分泌CD8+T細胞のパーセンテージを表す。B)は処置後のHBVコア抗原に対して特異的な肝臓におけるIFN-γ分泌CD8+T細胞のパーセンテージを表す。C)は処置後のHBVプレS2+S抗原に対して特異的な肝臓におけるIFN-γ及びTNF-α分泌CD8+T細胞のパーセンテージを表す。
【
図13】GalNAc結合型PD-L1アンチセンスCMP番号:759_2(▼)で処置した後のAAV/HBVマウスにおけるHBV-DNA、HBs抗原及びHBe抗原と、ビヒクル(■)との比較。縦線は処置の終了を示す。
【0021】
定義
オリゴヌクレオチド
本明細書において「オリゴヌクレオチド」という用語は概ね、2つ以上の共有結合したヌクレオシドを含む分子として当業者に遍く理解されているものとして定義されている。そのような共有結合したヌクレオシドはまた、核酸分子又はオリゴマーでありうる。オリゴヌクレオチドは通例、実験室で(固相化学合成により)作製され、続いて精製される。オリゴヌクレオチドの配列に言及する場合、共有結合したヌクレオチドもしくはヌクレオシドの核酸塩基部分もしくはその修飾物の配列又は順序について説明する。本発明のオリゴヌクレオチドは人造、且つ化学的に合成されるものであり、精製又は単離されるのが一般的である。本発明のオリゴヌクレオチドは、1以上の修飾ヌクレオシド又はヌクレオチドを含む場合がある。
【0022】
アンチセンスオリゴヌクレオチド
本明細書において、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」という用語は、標的核酸、特に標的核酸上の連続配列にハイブリダイズすることによって標的遺伝子の発現を調節できるオリゴヌクレオチドとして定義される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、本質的に二本鎖ではなく、したがってsiRNAではない。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは一本鎖であるが、好ましい。
【0023】
連続ヌクレオチド配列
「連続ヌクレオチド配列」という用語は、標的核酸に対して相補的なオリゴヌクレオチドの領域を指す。この用語は、本明細書中では「連続した核酸塩基配列」及び「オリゴヌクレオチド・モチーフ配列」という用語と同義に使用されている。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドの全てのヌクレオチドは、連続ヌクレオチド配列を成している。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは隣接するヌクレオチド配列を含み、任意で、更なるヌクレオチド(例えば、連続ヌクレオチド配列に官能基を付着させるために使用可能なヌクレオチドリンカー領域)を含む場合がある。ヌクレオチドリンカー領域は、標的核酸に対して相補的である場合もあれば、あるいは相補的でない場合もある。
【0024】
ヌクレオチド
ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドの構築ブロックであり、本発明の目的のためには、天然ヌクレオチド及び非天然ヌクレオチドの両方を含む。自然界において、DNA及びRNAヌクレオチドのようなヌクレオチドは、リボース糖部分、核酸塩基部分、及び1つ以上のリン酸基(ヌクレオシドには存在しない)を含む。ヌクレオシド及びヌクレオチドはまた、同じ意味で「単位」又は「モノマー」と呼ばれる場合もある。
【0025】
修飾ヌクレオシド
本明細書において「修飾ヌクレオシド」又は「ヌクレオシド修飾」という用語は、糖部分又は(ヌクレオ)塩基部分の1つ以上の修飾を導入することによって、同等のDNAもしくはRNAヌクレオシドと比べて修飾されたヌクレオシドを指す。好ましい実施形態において、修飾ヌクレオシドは、修飾糖部分を含む。修飾ヌクレオシドという用語は、本明細書において、用語「ヌクレオシド類似体」又は修飾「単位」又は修飾「モノマー」と同義に使用することもできる。
【0026】
修飾ヌクレオシド間結合
「修飾ヌクレオシド間結合」という用語は、ホスホジエステル(PO)結合以外の結合として当業者に遍く理解されており、2つのヌクレオシドを一体的に共有結合させる結合として定義されている。修飾ヌクレオシド間結合を有するヌクレオチドはまた、「修飾ヌクレオチド」と呼ばれる。幾つかの実施形態において、修飾ヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル結合と比較してオリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を増加させる。天然起源のオリゴヌクレオチドの場合、ヌクレオシド間結合には、隣接するヌクレオシド同士の間にホスホジエステル結合を生じるリン酸基が含まれる。修飾ヌクレオシド間結合は、インビボでの使用のためにオリゴヌクレオチドを安定化するのに特に有用であり、本発明のオリゴヌクレオチド中のDNA又はRNAヌクレオシドの領域における、例えばギャップマーオリゴヌクレオチドのギャップ領域内、ならびに修飾ヌクレオシドの領域内のヌクレアーゼを開裂から防護する役目を果たしうる。
【0027】
実施形態において、オリゴヌクレオチドは、天然リン酸ジエステルから、例えばヌクレアーゼ攻撃に対する耐性が増強された結合へと修飾された1つ以上のヌクレオシド間結合を含む。ヌクレアーゼ耐性の定量方法には、オリゴヌクレオチドを血清中でインキュベートする方法、あるいはヌクレアーゼ耐性アッセイ(例えば、ヘビ毒ホスホジエステラーゼ(SVPD))を使用する方法を挙げることができ、これらの方法は両方とも当該技術分野において周知である。オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を増強できるヌクレオシド間結合は、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオシド間結合と呼ばれる。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列中のヌクレオシド間結合の少なくとも50%(例えば、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列中のヌクレオシド間結合の少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも80%、又は例えば少なくとも90%)が修飾される。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列中の全てのヌクレオシド間結合が修飾される。幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドを非ヌクレオチド官能基に連結するヌクレオシド(例えば結合)は、ホスホジエステルでありうることが、認識されるであろう。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列中の全てのヌクレオシド間結合は、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオシド間結合である。
【0028】
修飾ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート、ジホスホロチオエート及びボラノホスフェートを含む群から選択できる。幾つかの実施形態において、修飾ヌクレオシド間結合は、本発明のオリゴヌクレオチド、例えばホスホロチオエート、ジホスホロチオエート又はボラノホスフェートによるRNアーゼHの補充と適合する。
【0029】
幾つかの実施形態において、ヌクレオシド間結合は、硫黄(S)(例えば、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む。
【0030】
ホスホロチオエートヌクレオシド間結合は、ヌクレアーゼ耐性、有益な薬物動態及び製造の容易さのために特に有用である。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列中のヌクレオシド間結合の少なくとも50%はホスホロチオエート(例えば、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列中のヌクレオシド間結合の少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも80%、又は例えば少なくとも90%はホスホロチオエート)である。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列中の全てのヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートである。
【0031】
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、1つ以上の中性ヌクレオシド間結合、特にホスホトリエステル、メチルホスホネート、MMI、アミド-3、ホルムアセタール又はチオホルムアセタールから選択されるヌクレオシド間結合を含む。
【0032】
更なるヌクレオシド間結合は国際公開第2009/124238号パンフレットに開示されている(本明細書において参照により援用されている)。或る実施形態において、ヌクレオシド間結合は、国際公開第2007/031091号パンフレットに開示されているリンカーから選択される(本明細書において参照により援用されている)。特に、ヌクレオシド間結合は、-O-P(O)2-O-、-O-P(O,S)-O-、-O-P(S)2-O-、-S-P(O)2-O-、-S-P(O,S)-O-、-S-P(S)2-O-、-O-P(O)2-S-、-O-P(O,S)-S-、-S-P(O)2-S-、-O-PO(RH)-O-、0-PO(OCH3)-0-、-O-PO(NRH)-O-、-O-PO(OCH2CH2S-R)-O-、-O-PO(BH3)-O-、-O-PO(NHRH)-O-、-O-P(O)2-NRH-、-NRH-P(O)2-O-、-NRH-CO-O-、-NRH-CO-NRH-から選択可能であり、且つ/あるいはヌクレオシド間リンカーは、-O-CO-O-、-O-CO-NRH-、-NRH-CO-CH2-、-O-CH2-CO-NRH-、-O-CH2-CH2-NRH-、-CO-NRH-CH2-、-CH2-NRHCO-、-O-CH2-CH2-S-、-S-CH2-CH2-O-、-S-CH2-CH2-S-、-CH2-SO2-CH2-、-CH2-CO-NRH-、-O-CH2-CH2-NRH-CO-、-CH2-NCH3-O-CH2-(式中、RHが水素及びC1-4-アルキルから選択される)からなる群から選択可能である。
【0033】
ホスホチオエート結合のようなヌクレアーゼ耐性結合は、標的核酸との二本鎖形成の際にヌクレアーゼを補充する能力を有するオリゴヌクレオチド領域、例えばギャップマー用の領域G、又はヘッドマー及びテールマーの非修飾ヌクレオシド領域において特に有用であるが、ホスホロチオエート結合はまた、非ヌクレアーゼ補充領域及び/もしくはギャップマーのための領域F及びF’のような親和性増強領域において、又は頭部及び尾部の修飾されたヌクレオシド領域において有用であると思われる。
【0034】
しかしながら、デザイン領域の各々は、ホスホロチオエート以外のヌクレオシド間結合、例えばロックド核酸(LNA)などの修飾ヌクレオシドがヌクレアーゼ分解との結合を保護する領域において、ホスホジエステル結合などのヌクレオシド結合を含む場合がある。特に修飾されたヌクレオシド単位の間に(又は、通常は非ヌクレアーゼの補充領域に)、1つもしくは2つの結合のような、ホスホジエステル結合を含めることにより、オリゴヌクレオチドのバイオアベイラビリティ及び/又は生体分布を修飾することができる。これについては、本明細書において参照により援用されている国際公開第2008/113832号パンフレットを参照のこと。
【0035】
或る実施形態において、オリゴヌクレオチド内の全てのヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート結合及び/又はボラノホスフェート結合である。オリゴヌクレオチド内の全てのヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であるのが、好ましい。
【0036】
核酸塩基
核酸塩基という用語は、核酸ハイブリダイゼーションにおいて水素結合を形成するヌクレオシド及びヌクレオチド中に存在するプリン(例えば、アデニン及びグアニン)部分ならびにピリミジン(例えば、ウラシル、チミン及びシトシン)部分を包含される。本発明の文脈において、核酸塩基という用語はまた、天然起源の核酸塩基とは異なるが、核酸ハイブリダイゼーションの間に機能する修飾された核酸塩基を包含する。この文脈において、「核酸塩基」は、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチン及びヒポキサンチンなどの天然起源の核酸塩基、ならびに天然に存在しない変異体の両方を指す。そのような変異体は、例えば、Hirao et al (2012) Accounts of Chemical Research vol 45 page 2055、及びBergstrom (2009) Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl. 37 1. 4. 1に記載されている。
【0037】
幾つかの実施形態において、核酸塩基部分は、プリン又はピリミジンを、修飾プリン又はピリミジン(例えばイソシトシン、プソイドイソシトシン、5-メチルシトシン、5-チオゾロ-シトシン、5-プロピニル-シトシン、5-プロピニル-ウラシル、5-ブロモウラシル5-チアゾロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、2’-チオ-チミン、イノシン、ジアミノプリン、6-アミノプリン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン、及び2-クロロ-6-アミノプリンのような置換プリン又は置換ピリミジン)に変更することによって修飾される。
【0038】
核酸塩基部分は、それぞれの対応する核酸塩基の文字コード(例えば、A、T、G、C又はU)で表される場合があり、各英字は、任意で、同等の機能を有する修飾塩基を含んでいてもよい。例えば、例示的オリゴヌクレオチドにおいて、核酸塩基部分は、A、T、G、C、及び5-メチルシトシンから選択される。任意で、LNAギャップマーとして、5-メチルシトシンLNAヌクレオシドを使用できる。
【0039】
修飾オリゴヌクレオチド
修飾オリゴヌクレオチドという用語は、1つ以上の糖修飾ヌクレオシド及び/又は修飾ヌクレオシド間結合を含む、オリゴヌクレオチドを表す。キメラ「オリゴヌクレオチド」という用語は、修飾ヌクレオシドを有するオリゴヌクレオチドについて説明するため文献中に使用されている用語である。
【0040】
相補性
「相補性」という用語は、ヌクレオシド/ヌクレオチドのワトソン-クリック塩基対形成能力を説明するものである。ワトソン-クリック塩基対は、グアニン(G)-シトシン(C)及びアデニン(A)-チミン(T)/ウラシル(U)である。オリゴヌクレオチドは、修飾された核酸塩基を有するヌクレオシドを含みうる。例えば、5-メチルシトシンは多くの場合、シトシンの代わりに使用されるので、相補性という用語には、非修飾核酸塩基と修飾核酸塩基との間のワトソン-クリック塩基対形成が包含されることが理解される(例えば、Hirao et al (2012) Accounts of Chemical Research vol 45 page 2055及びBergstrom (2009) Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl. 37 1. 4. 1を参照のこと)。
【0041】
本明細書において「%相補的である」という用語は、核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)内の連続ヌクレオチド配列中のヌクレオチドの割合(パーセントで表された数)が、所与の位置で別個の核酸分子(例えば、標的核酸)の所与の位置で連続ヌクレオチド配列に対して相補的である(すなわちこの連続ヌクレオチド配列と共にワトソン-クリック塩基対を形成する)ことを指す。パーセンテージは、(標的配列5’-3’、及び3’-5’からのオリゴヌクレオチド配列と整列した場合)2つの配列間に対を形成するアラインメントされた塩基の数を数えることによって計算し、これをオリゴヌクレオチド中のヌクレオチドの総数で除算して、100を乗算した値である。そのような比較において、アラインメントしない(塩基対を形成する)核酸塩基/ヌクレオチドは、ミスマッチと呼ばれる。
【0042】
「完全に相補的である」という用語は、100%の相補性を指す。
【0043】
標的核酸(配列番号:772に対して完全に相補的なオリゴヌクレオチド(配列番号:5)の例を、以下に示す。
5’gcagtagagccaatta3’(配列番号:772)
3’cgtcatctcggttaat5’(配列番号:5)
【0044】
同一性
本明細書において「同一性」という用語は、核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)内の連続ヌクレオチド配列中のヌクレオチドの割合(パーセントで表された数)が、所与の位置で別個の核酸分子(例えば、標的核酸)の所与の位置で連続ヌクレオチド配列に対して同一であること(すなわち、相補的ヌクレオシドと共にワトソン-クリック塩基対を形成する能力)を指す。パーセンテージは、ギャップを含む2つの配列間で同一なアラインメントされた塩基の数を数えることによって計算し、これをオリゴヌクレオチド中のヌクレオチドの総数で除算して、100を乗算した値である。同一性%=(一致×100)/アラインメントされた領域の長さ(ギャップあり)
【0045】
ハイブリダイゼーション
本明細書において「ハイブリダイズ」又は「ハイブリダイズする」という用語は、反対側の鎖上の塩基対間に水素結合を形成し、それによって二本鎖を形成する2つの核酸鎖(例えば、オリゴヌクレオチド及び標的核酸)として理解される。2つの核酸鎖の間の結合の親和性は、ハイブリダイゼーションの強度であり、多くの場合、オリゴヌクレオチドの半分が標的核酸と二本鎖を成す温度として定義される融解温度(Tm)に関連して説明される。生理学的条件Tmは厳密に親和性に比例しない(Mergny及びLacroix, 2003, Oligonucleotides 13: 515-537)。標準状態のギブス自由エネルギーΔG°は、結合親和性のより正確な表現であり、ΔG°=-RTln(Kd)(式中、Rは気体定数であり、Tは絶対温度である)による反応の解離定数(Kd)に関連する。したがって、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の反応性が極めて低いΔG°は、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の強いハイブリダイゼーションを反映する。ΔG°は、水の濃度が1Mであり、pHが7であり、温度が37℃である反応に関連するエネルギーである。標的核酸へのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは自発的反応であり、自発的な反応Δが誘発されるようにG°はゼロ未満とされる。ΔG°は、例えば、Hansen et al., 1965, Chem.Comm.36-38及びHoldgate et al., 2005, Drug Discov Todayに記載されている等温滴定熱量測定法(ITC)で実験的に測定できる。当業者であれば、商業的機器がΔG°の測定に利用可能であることを知るであろう。ΔG°は、SantaLucia, 1998, Proc Natl Acad Sci USA. 95:1460-1465に記載されている最近傍点を使用して、Sugimoto et al., 1995, Biochemistry 34: 11211-11216及びMcTigue et al., 2004, Biochemistry 43: 5388-5405に記載されている適切に導出された熱力学的パラメータを使用して、数値的に推定できる。その意図された核酸標的をハイブリダイゼーションによって調節する可能性を有するために、本発明のオリゴヌクレオチドは、10~30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドに対して-10kcal未満の推定ΔG°値で標的核酸にハイブリダイズする。幾つかの実施形態において、ハイブリダイゼーションの程度又は強度は、標準状態のギブス自由エネルギーΔG°によって測定される。オリゴヌクレオチドは、8~30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドの場合に、推定ΔG°値が、-10kcal未満の範囲(例えば、-15kcal未満、-20kcal未満、例えば-25kcal未満)の標的核酸にハイブリダイズする。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、-10~-60kcal、例えば-12~-40、例えば-15~-30kcal又は-16~-27kcal、例えば-18~-25kcalの推定ΔG°値を有する標的核酸にハイブリダイズする。
【0046】
標的核酸
本発明によれば、標的核酸は、哺乳動物PD-L1をコードする核酸であり、例えば、遺伝子、RNA、mRNA、及びプレmRNA、成熟mRNA又はcDNA配列でありうる。したがって、標的は、PD-L1標的核酸と呼ばれる場合がある。本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば、哺乳動物PD-L1の標的エキソン領域であってもよいし、又は例えば、PD-L1プレmRNAの標的イントロン領域であってもよい(表1を参照のこと)。
【0047】
【0048】
好適には、標的核酸は、PD-L1タンパク質、特に哺乳類PD-L1、例えば、ヒトPD-L1をコードする(例えば、ヒト、サル及びマウスPD-L1のmRNA及びプレmRNA配列について解説した表2及び表3を、参照のこと)。本発明の文脈において、プレmRNAはまた、タンパク質をコードする核酸と考えられる。
【0049】
幾つかの実施形態において、標的核酸は、配列番号:1、2及び3又はその天然起源の変異体(例えば、哺乳類PD-L1タンパク質をコードする配列)からなる群から選択される。
【0050】
研究又は診断において本発明のオリゴヌクレオチドを使用する場合、標的核酸は、DNAもしくはRNA由来のcDNA又は合成核酸であってもよい。
【0051】
インビボ又はインビトロ用途では、本発明のオリゴヌクレオチドは典型的に、PD-L1標的核酸を発現する細胞におけるPD-L1標的核酸の発現を阻害しうる。本発明のオリゴヌクレオチドの核酸塩基の連続配列は典型的に、任意で1つ又は2つのミスマッチを除く、且つ任意で、オリゴヌクレオチドを任意の官能基(例えばコンジュゲート)、又は他の非相補的末端ヌクレオチド(例えば、領域D’又はD”)に連結できる、ヌクレオチドベースのリンカー領域を除く、オリゴヌクレオチドの長さにわたって測定した場合、PD-L1標的核酸に対して相補的である。幾つかの実施形態において、標的核酸は、RNA又はDNA(例えば、成熟mRNA又はプレmRNAのようなメッセンジャーRNA)でありうる。幾つかの実施形態において、標的核酸は、ヒトPD-L1などの哺乳動物PD-L1タンパク質をコードするRNA又はDNAであり、この哺乳動物PD-L1タンパク質は、ヒトPD-L1プレmRNA配列、例えば配列番号1として開示されるもの、又はNCBIリファレンス番号NM_014143を有するヒトmRNA配列である。例示的な標的核酸に関する詳細情報は、表2及び表3に示してある。
【0052】
【0053】
【0054】
標的配列
本明細書において「標的配列」という用語は、本発明のオリゴヌクレオチドに相補的な核酸塩基配列を含む、標的核酸中に存在するヌクレオチドの配列を指す。幾つかの実施形態において、標的配列は、本発明のオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列に対して相補的な、標的核酸上の領域からなる。幾つかの実施形態において、標的配列は単一のオリゴヌクレオチドの相補的配列よりも長く、例えば、本発明の幾つかのオリゴヌクレオチドによって標的化できる標的核酸の好ましい領域を表しうる。
【0055】
標的配列は、標的核酸のサブ配列でありうる。
【0056】
幾つかの実施形態において、サブ配列はa1~a149からなる群から選択される配列である(表4を参照のこと)。幾つかの実施形態において、サブ配列は、ヒトPD-L1のmRNAエキソンからなる群から選択される配列、例えば、e1、e2、e3、e4、e5、e6及びe7からなる群から選択されるPD-L1ヒトmRNAエキソンである(上の表1を参照のこと)。
【0057】
幾つかの実施形態において、サブ配列は、ヒトPD-L1のmRNAイントロンからなる群から選択される配列、例えば、i1、i2、i3、i4、i5及びi6からなる群から選択されるPD-L1ヒトmRNAイントロンである(上の表1を参照のこと)。
【0058】
本発明のオリゴヌクレオチドは、標的核酸に対して相補的であるか又はこの標的核酸にハイブリダイズする、連続ヌクレオチド配列(例えば、本明細書に記載の標的配列のような、標的核酸のサブ配列)を含む。
【0059】
オリゴヌクレオチドは、標的核酸分子中に存在する標的配列に対して相補的であるか又はその標的配列にハイブリダイズする、少なくとも8ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含む。連続ヌクレオチド配列(及び、ひいては標的配列)は、少なくとも8個の連続したヌクレオチド、例えば、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30連続ヌクレオチド(例えば、12~25、14~18連続ヌクレオチド等)からなる。
【0060】
標的細胞
本明細書において「標的細胞」という用語は、標的核酸を発現する細胞を指す。幾つかの実施形態において、標的細胞はインビボ又はインビトロでありうる。幾つかの実施形態において、標的細胞は、げっ歯類細胞(例えば、マウス細胞もしくはラット細胞)、又は霊長類細胞(例えば、サル細胞もしくはヒト細胞)のような哺乳動物細胞である。
【0061】
好ましい実施形態において、標的細胞は、PD-L1mRNA、例えばPD-L1プレmRNA又はPD-L1成熟mRNAを発現する。PD-L1のmRNAのポリA尾部は、典型的に、アンチセンスオリゴヌクレオチド標的化のために無視される。
【0062】
天然起源の変異体
「天然起源の変異体」という用語は、PD-L1遺伝子の変異体、又は標的核酸と同じ遺伝子座に由来する転写物であって、但し、同じアミノ酸をコードする複数のコドンを引き起こす遺伝コードの縮重、又は代替スプライシングに起因するプレmRNAの存在、又はポリモルフィズムの存在(例えば、単一ヌクレオチドポリモルフィズム、及び対立遺伝子変異体)が原因で、異なる可能性があるものを指す。したがって、本発明のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドに対する充分な相補的配列の存在に基づいて、標的核酸及びその天然起源の変異体を標的化できる。
【0063】
幾つかの実施形態において、天然起源の変異体は、哺乳類PD-L1標的核酸(例えば、配列番号1、2及び3からなる群から選択される標的核酸)に対して少なくとも95%、例えば、少なくとも98%又は少なくとも99%の相同性を有する。
多数の単一ヌクレオチド多型がPD-L1遺伝子において公知であり、例えば、下の表に開示されている(ヒトプレmRNA開始/参照配列は、配列番号2である)。
【0064】
【0065】
【0066】
発現の調節
本明細書において「発現の調節」という用語は、オリゴヌクレオチドの投与前のPD-L1の量と比較して、PD-L1の量を変化させるオリゴヌクレオチドの能力の包括的用語として理解すべきである。あるいは、発現の調節は、対照実験を参照して定量できる。対照は、非標的オリゴヌクレオチド(モック)で処理した生理食塩水組成物、個体もしくは標的細胞で処置した個体又は標的細胞であることが概ね理解されるが、また、ケア基準で処置される個体である場合もある。
【0067】
1つのタイプの調節は、例えばmRNAの分解又は転写の妨害によって、オリゴヌクレオチドがPD-L1の発現を阻害、下方制御、低減、抑制、除去、中断、ブロック、防止、軽減、低下、回避又は停止する能力である。別のタイプの調節は、オリゴヌクレオチドの、PD-L1の発現を回復、増加又は増強する能力である。スプライス部位の修復もしくはマイクロRNA抑制などの阻害機構のスプライシング、除去又は遮断の防止によって行うことができる。
【0068】
高親和性修飾ヌクレオシド
高親和性修飾ヌクレオシドは、オリゴヌクレオチド内に取り込まれた場合に、その相補的標的に対するオリゴヌクレオチドの、例えば融解温度(Tm)で測定された親和性を増強するように修飾されたヌクレオチドである。本発明の高親和性修飾ヌクレオシドは、修飾ヌクレオシド当たり好ましくは+0.5~+12℃、より好ましくは+1.5~+10℃、最も好ましくは+3~+8℃の間の融解温度の上昇をもたらす。当該技術分野において多数の高親和性修飾ヌクレオシドが公知であり、例えば、多数の2’置換ヌクレオシド、ならびにロックド核酸(LNA)が包含される(例えば、Freier & Altmann;Nucl.Acid Res., 1997, 25, 4429-4443及びUhlmann;Curr.Opinion in Drug Development, 2000, 3(2), 293-213を参照のこと)。
【0069】
糖修飾
本発明のオリゴマーは、修飾された糖部分、すなわちDNA及びRNAに見出されるリボース糖部分と比較して、糖部分の修飾を有する1つ以上のヌクレオシドを含む場合がある。
【0070】
主としてオリゴヌクレオチドの特定の特性、例えば親和性及び/又はヌクレアーゼ耐性を改善する目的で、リボース糖部分の修飾を伴う多数のヌクレオシドが作製されている。
【0071】
そのような修飾には、例えば、典型的にはリボース環(LNA)上のC2炭素とC4炭素との間のビラジカル架橋を有するヘキソース環(HNA)又は二環式環、又は典型的にはC2炭素とC3炭素との間の結合を欠く非連結リボース環(例えば、UNA)の置換によって、リボース環構造が修飾されたものが含まれる。他の糖修飾ヌクレオシドには、例えば、ビシクロヘキソース核酸(国際公開第2011/017521号パンフレット)又は三環核酸(国際公開第2013/154798号パンフレット)が含まれる。修飾ヌクレオシドはまた、例えばペプチド核酸(PNA)又はモルホリノ核酸の場合、糖部分が非糖部分で置換されたヌクレオシドも含む。
【0072】
糖修飾にはまた、リボース環上の置換基を、水素以外の基、又はDNA及びRNAヌクレオシド内に天然に存在する2’-OH基に変更することによって施される修飾も含まれる。置換基は、例えば、2’、3’、4’又は5’の位置に導入することができる。修飾糖部分を有するヌクレオシドにはまた、2’修飾ヌクレオシド、例えば2’置換ヌクレオシドも含まれる。実際、2’置換ヌクレオシドの開発にかなりの焦点が当てられてきており、2’置換ヌクレオシドの多くは、オリゴヌクレオチドに取り込まれたときに、ヌクレオシド耐性の増強及び親和性の増強などの有益な特性を呈することが見出されている。
【0073】
2’修飾ヌクレオシド。
【0074】
2’糖修飾ヌクレオシドは、2’位(2’置換ヌクレオシド)にHもしくは-OH以外の置換基を有するか、又は2’結合されたビラジドを含み、2’置換ヌクレオシド及びLNA(2’~4’ビラジカル架橋)ヌクレオシドを含む。例えば、2’修飾糖は、結合親和性の増大、及び/又はオリゴヌクレオチドに対するヌクレアーゼ耐性の増加をもたらしうる。2’置換修飾ヌクレオシドの例は、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、及び2’-F-ANAヌクレオシドである。更なる例については、例えば、Freier & Altmann;Nucl.Acid Res., 1997, 25, 4429-4443及びUhlmann;Curr.Opinion in Drug Development, 2000, 3(2), 293-213、ならびにDeleavey及びDamha, Chemistry and Biology 2012, 19, 937を参照のこと。以下は、幾つかの2’置換修飾ヌクレオシドの図である。
【0075】
【0076】
【0077】
ロックド核酸ヌクレオシド(LNA)。
LNAヌクレオシドは、C2’とC4’との間にリンカー基(ビラジカル又はブリッジと呼ばれる)を含む、修飾ヌクレオシドである。これらのヌクレオシドは、文献中では、架橋核酸又は二環式核酸(BNA)とも呼ばれる。
幾つかの実施形態において、本発明のオリゴマーの修飾ヌクレオシド又はLNAヌクレオシドは、式I又は式IIの一般構造を有する。
【0078】
【0079】
式中、Wは-O-、-S-、-N(Ra)-、-C(RaRb)-、例えば、幾つかの実施形態では-O-から選択され、Bは、核酸塩基又は修飾核酸塩基部分を表し、Zは、隣接ヌクレオシド、又は5’末端基へのヌクレオシド間結合を表し、Z*は、隣接するヌクレオシド、又は3’末端基へのヌクレオシド間結合を表し、Xは、-C(RaRb)-、-C(Ra)=C(Rb)-、-C(Ra)=N-、-O-、-Si(Ra)2-、-S-、-SO2-、-N(Ra)-、及び>C=Zからなるリストから選択される基を表す。
幾つかの実施形態において、Xは、-O-、-S-、NH-、NRaRb、-CH2-、CRaRb、-C(=CH2)-、及び-C(=CRaRb)-からなる群から選択される。
幾つかの実施形態において、Xは、-O-である。
Yは、-C(RaRb)-、-C(Ra)=C(Rb)-、-C(Ra)=N-、-O-、-Si(Ra)2-、-S-、-SO2-、-N(Ra)-、及び>C=Zからなる群から選択される基を表す。
幾つかの実施形態において、Yは、-CH2-、-C(RaRb)-、-CH2CH2-、-C(RaRb)-C(RaRb)-、-CH2CH2CH2-、-C(RaRb)C(RaRb)C(RaRb)-、-C(Ra)=C(Rb)-、及び-C(Ra)=N-からなる群から選択される。
幾つかの実施形態において、Yは、-CH2-、-CHRa-、-CHCH3-、CRaRb-
又は-X-Y-からなる群から選択され、共に2価リンカー基(基質とも呼ばれる)を表し、-C(RaRb)-、-C(Ra)=C(Rb)-、-C(Ra)=N-、-O-、-Si(Ra)2-、-S-、-SO2-、-N(Ra)-、及び>C=Zからなる群から選択される1、2、3又は4基/原子からなる2価リンカー基を表す。
幾つかの実施形態において、-X-Y-は、-X-CH2-、-X-CRaRb-、-X-CHRa-、-X-C(HCH3)-、-O-Y-、-O-CH2-、-S-CH2-、-NH-CH2-、-O-CHCH3-、-CH2-O-CH2、-O-CH(CH3CH3)-、-O-CH2-CH2-、OCH2-CH2-CH2-、-O-CH2OCH2-、-O-NCH2-、-C(=CH2)-CH2-、-NRa-CH2-、N-O-CH2、-S-CRaRb-及び-S-CHRa-からなる群から選択されるビラジカルを表す。
【0080】
幾つかの実施形態において、-X-Y-は-O-CH2-又は-O-CH(CH3)-を表し、式中、Zは-O-、-S-、及び-N(Ra)-から選択され、且つRaはRbを表す場合、各々が独立に、水素、任意で置換されたC1-6-アルキル、任意で置換されたC2-6-アルケニル、任意で置換されたC2-6-アルキニル、ヒドロキシ、任意で置換されたC1-6-アルコキシ、C2-6-アルケニルオキシ、C2-6-アルケニルオキシ、カルボキシ、C1-6-アルコキシカルボニル、C1-6-アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシカルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ-カルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ;モノ-及びジ(C1-6-アルキル)アミノ、カルバモイル;モノ-及びジ(C1-6-アルキル)-アミノ-カルボニル、アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル;モノ-及びジ(C1-6-アルキル)アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル、C1-6-アルキルカルボニルアミノ、カルバミド、C1-6-アルカノイルオキシ、スルホノ(sulphono)、C1-6-アルキルスルホノ(sulphono)オキシ、ニトロ、アジド、スルファニル、C1-6-アルキルチオ、ハロゲンから選択され、アリール及びヘテロアリールは任意で置換されていてもよく、2つのジェミナル置換基Ra及びRbは一緒になって、置換されていてもよいメチレン(=CH2)を示すことができ、ここで、全てのキラル中心について、不斉基はR又はS配向のいずれかに見出されうる。
R1、R2、R3、R5及びR5*は独立に、水素、任意で置換されたC1-6-アルキル、任意に置換されたC2-6-アルケニル、任意で置換されたC2-6-アルキニル、ヒドロキシ、C1-6-アルコキシ、C2-6-アルケニルオキシ、C2-6-アルケニルオキシ、カルボキシ、C1-6-アルコキシカルボニル、C1-6-アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシカルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ-カルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ;モノ-及びジ(C1-6-アルキル)アミノ、カルバモイル;モノ-及びジ(C1-6-アルキル)-アミノ-カルボニル、アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル;モノ-及びジ(C1-6-アルキル)アミノ-C1-6-アルキル-アミノカルボニル、C1-6-アルキルカルボニルアミノ、カルバミド、C1-6-アルカノイルオキシ、スルホノ(sulphono)、C1-6-アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、スルファニル、C1-6-アルキルチオ、ハロゲンからなる群から選択され、アリール及びヘテロアリールは任意で置換可能であり、且つ2つのジェミナル置換基が一緒になってオキソ、チオキソ、イミノ及び任意で置換されるメチレンを表しうる。
【0081】
幾つかの実施形態において、R1、R2、R3、R5及びR5*が独立に、C1-6アルキル(例えば、メチル及び水素)から選択される。
【0082】
幾つかの実施形態において、R1、R2、R3、R5及びR5*は全ていずれも水素である。
【0083】
幾つかの実施形態において、R1、R2、R3はいずれも水素であり、同様にR5及びR5*のいずれかは水素であり、且つR5及びR5*のうちの他方は水素以外(例えば、メチル等のC1-6アルキル)である。
【0084】
幾つかの実施形態において、Raは、水素又はメチルのいずれかである。幾つかの実施形態において、存在する場合、Rbは、水素又はメチルのいずれかである。
【0085】
幾つかの実施形態において、Ra及びRbの一方又は両方は、水素である。
【0086】
幾つかの実施形態において、Ra及びRbの一方は水素であり、他方は水素以外である。
【0087】
幾つかの実施形態において、Ra及びRbの一方はメチルであり、他方は水素である。
【0088】
幾つかの実施形態において、Ra及びRbは両方ともメチルである。
【0089】
幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は-O-CH2-であり、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*は全ていずれも水素である。そのようなLNAヌクレオシドは、いずれも本明細書において参照により援用されている国際公開第99/014226号パンフレット、国際公開第00/66604号パンフレット、国際公開第98/039352号パンフレット、及び国際公開第2004/046160号パンフレットに開示されており、β-D-オキシLNA及びα-L-オキシLNAヌクレオシドと俗称されているものが挙げられる。
【0090】
幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は-S-CH2-であり、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*は全ていずれも水素である。そのようなチオLNAヌクレオシドは、国際公開第99/014226号パンフレット、及び国際公開第2004/046160号パンフレットに開示されている。これらの出願は、本明細書において参照により援用されている。
【0091】
幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は-NH-CH2-であり、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*は全ていずれも水素である。そのようなアミノLNAヌクレオシドは、国際公開第99/014226号パンフレット、及び国際公開第2004/046160号パンフレットに開示されている。これらの出願は、本明細書において参照により援用されている。
【0092】
幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は、-O-CH2-CH2-又は-O-CH2-CH2-CH2-であり、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*は全ていずれも水素である。そのようなLNAヌクレオシドは、本明細書中で参照により援用されている国際公開第00/047599号パンフレット、及びMorita et al, Bioorganic & Med.Chem.Lett.12 73-76に開示されており、2’-O-4’C-エチレン架橋核酸(ENA)と俗称されているものを含む。
【0093】
幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は-O-CH2-であり、WはOであり、且つR1、R2及びR3の全てならびにR5及びR5*のうちの一方は水素で、これらR5及びR5*のうちの他方は水素以外、例えばメチル等のC1-6アルキル)である。そのような5’置換LNAヌクレオシドは、国際公開第2007/134181号パンフレットに開示されている。この出願は、本明細書において参照により援用されている。
【0094】
幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は-O-CRaRb-であり、Ra及びRbの一方又は両方は水素以外(例えばメチル)であり、WはOであり、且つR1、R2及びR3の全てならびにR5及びR5*のうちの一方は水素で、これらR5及びR5*のうちの他方は水素以外(例えばメチル等のC1-6アルキル)である。そのようなビス修飾LNAヌクレオシドは、国際公開第2010/077578号パンフレットに開示されている。この出願は、本明細書において参照により援用されている。
【0095】
幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は、2価リンカー基-O-CH(CH2OCH3)-(2’O-メトキシエチル二環式核酸を表す(Seth at al., 2010, J. Org.Chem.Vol 75(5) pp. 1569-81)。幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は、2価リンカー基-O-CH(CH2CH3)-(2’O-エチル二環式核酸を表す(Seth at al., 2010, J. Org.Chem.Vol 75(5) pp. 1569-81)。幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は-O-CHRa-であり、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*は全ていずれも水素である。そのような6’置換LNAヌクレオシドは、国際公開第10036698号パンフレット、及び国際公開第07090071号パンフレットに開示されている。これらの出願は両方とも本明細書において参照により援用されている。
【0096】
幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は、-O-CH(CH2OCH3)-、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*は全ていずれも水素である。そのようなLNAヌクレオシドは、当該技術分野において環状MOE(cMOE)としても公知であり、国際公開第07090071号パンフレットに開示されている。
【0097】
幾つかの実施形態において、-R-又はS-のいずれかの構成内で、ビラジカル-X-Y-は、2価リンカー基-O-CH(CH3)-を表す。幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は共に、2価リンカー基-O-CH2-O-CH2を表す(Seth at al., 2010, J. Org.Chem)。幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は、-O-CH(CH3)-、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*は全ていずれも水素である。そのような6’メチルLNAヌクレオシドは、当該分野においてcETヌクレオシドとしても知られており、国際公開第07090071号パンフレット(β-D)、及び国際公開第2010/036698号パンフレット(α-L)に開示されている(S)cET又は(R)cET立体異性体のいずれかでありうる。これらの出願は両方とも本明細書において参照により援用されている)。
【0098】
幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は-O-CRaRb-であり、Ra又はRbはいずれも水素ではなく、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*は全ていずれも水素である。幾つかの実施形態において、Ra及びRbは両方ともメチルである。そのような6’二置換LNAヌクレオシドは、国際公開第2009006478号パンフレットに開示されている。この出願は、本明細書において参照により援用されている。
【0099】
幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は-S-CHRa-であり、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*は全ていずれも水素である。そのような6’置換チオLNAヌクレオシドは、国際公開第11156202号パンフレットに開示されており、この出願は、本明細書において参照により援用されている。幾つかの6’置換チオLNAの実施形態において、Raはメチルである。
【0100】
幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は、-C(=CH2)-C(RaRb)-、例えば-C(=CH2)-CH2-であるか、又は-C(=CH2)-CH(CH3)-WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*は全ていずれも水素である。そのようなビニルカーボLNAヌクレオシドは、国際公開第08154401号パンフレット、及び国際公開第09067647号パンフレットに開示されており、これらの出願は両方とも本明細書において参照により援用されている。
【0101】
幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は-N(-ORa)-、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*は全ていずれも水素である。幾つかの実施形態において、Raは、メチル等のC1-6アルキルである。そのようなLNAヌクレオシドは、N置換LNAとしても公知であり、本明細書において参照により援用されている国際公開第2008/150729号パンフレットに開示されている。幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は、2価リンカー基-O-NRa-CH3を一緒に指定する(Seth at al., 2010, J. Org.Chem)。幾つかの実施形態において、ビラジカル-X-Y-は、-N(Ra)-、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*は全ていずれも水素である。幾つかの実施形態において、Raは、C1-6アルキル、例えばメチルである。
【0102】
幾つかの実施形態において、R5及びR5*のうちの一方又は両方は水素であり、且つ置換時に、R5及びR5*のうちの他方は、C1-6アルキル、例えばメチルである。そのような実施形態において、R1、R2、R3はいずれも水素であってよいし、ビラジカル-X-Y-は、-O-CH2-又は-O-C(HCRa)-、例えば-O-C(HCH3)-から選択可能である。
【0103】
幾つかの実施形態において、ビラジカルは、-CRaRb-O-CRaRb-、例えばCH2-O-CH2-、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*は全ていずれも水素である。幾つかの実施形態において、Raは、C1-6アルキル、例えばメチルである。そのようなLNAヌクレオシドは、立体構造的に制限されたヌクレオチド(CRN)としても知られており、国際公開第2013036868号パンフレットに開示されている。この出願は、本明細書において参照により援用されている。
【0104】
幾つかの実施形態において、ビラジカルは、-O-CRaRb-O-CRaRb-、例えばO-CH2-O-CH2-、WはOであり、且つR1、R2、R3、R5及びR5*は全ていずれも水素である。幾つかの実施形態において、RaはC1-6アルキル、例えばメチルである。そのようなLNAヌクレオシドは、COCヌクレオチドとしても知られており、Mitsuoka et al., Nucleic Acids Research 2009 37(4), 1225-1238に開示されており、この出願は、本明細書において参照により援用されている。
【0105】
指定されない限り、LNAヌクレオシドはβ-D又はα-L立体異性体でありうることが認識されるであろう。
【0106】
LNAヌクレオシドの或る例は、スキーム1に図示されている。
【0107】
【0108】
実施例に例証されているように、本発明の幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド中のLNAヌクレオシドは、β-D-オキシ-LNAヌクレオシドである。
【0109】
ヌクレアーゼ媒介分解
ヌクレアーゼ媒介分解は、そのような配列と二本鎖を形成する場合、相補的なヌクレオチド配列の分解を媒介できるオリゴヌクレオチドを指す。
【0110】
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、本発明のオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ、特にエンドヌクレアーゼ、好ましくはエンドヌクレアーゼ(RNアーゼ)、例えばRNアーゼHを補充する能力を有する標的核酸のヌクレアーゼ媒介性分解を介して機能できる。ヌクレアーゼ媒介機構は、典型的に少なくとも5もしくは6個のDNAヌクレオシドの領域を含み、親和性を高めるヌクレオシド、例えばギャップマー、ヘッダー及びテールマーによって片側又は両側に隣接するオリゴヌクレオチドである。
【0111】
RNアーゼHの活性及び補充
アンチセンスオリゴヌクレオチドのRNアーゼH活性は、相補的RNA分子と二本鎖を成す場合にRNアーゼHを補充する能力を指す。国際公開第01/23613号パンフレットは、RNアーゼHを補充する能力を決定するために使用できるRNアーゼH活性を測定するためのインビトロの方法を提供するものである。オリゴヌクレオチドは典型的に、RNアーゼHを補充する能力を有すると考えられ、相補的な標的核酸配列が提供されているとき、初期速度をpmol/l/minで測定した場合に、定量された初期速度の少なくとも5%、例えば少なくとも10%又は20%超の初期速度を有する(試験対象の修飾オリゴヌクレオチドと同じ塩基配列を有するオリゴヌクレオチドで、但し、オリゴヌクレオチド中の全てのモノマー間のホスホロチオエート結合を有するDNAモノマーのみを含有するものを使用し、且つ本明細書において参照により援用されている国際公開第01/23613号パンフレットの実施例91~95に記載の方法論を使用した場合)。
【0112】
ギャップマー
本明細書において「ギャップマー」という用語は、1つ以上の親和性を増強する修飾ヌクレオシド(側面又はウイング)を含む領域によって5’及び3’に隣接するRNアーゼH補充オリゴヌクレオチド(ギャップ)の領域を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドを指す。様々なギャップマーデザインが、本明細書に記載されており、RNアーゼHを補充する能力によって特徴付けられる。ヘッダー及びテールマーは、側面のうちの1つが欠けている、すなわちオリゴヌクレオチドの末端のうちの1つのみが親和性を増強する修飾ヌクレオシドを含む、RNアーゼHを補充する能力を有するオリゴヌクレオチドである。頭部の場合、3’側面は欠けている(すなわち、5’側面は親和性修飾ヌクレオシドを含む)、テールマーは5’側面が欠けている(すなわち、3’側面は親和性修飾ヌクレオシドを含む)。
【0113】
LNAギャップマー
LNAギャップマーという用語は、親和性増強修飾ヌクレオシドのうちの少なくとも1つがLNAヌクレオシドである、ギャップマー オリゴヌクレオチドを言う。
【0114】
混合ウイングギャップマー
混合ウイングギャプマー又は混合側面ギャップマーという用語は、側面領域のうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのLNAヌクレオシドと、少なくとも1つの非LNA修飾ヌクレオシド(例えば、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA及び2’-F-ANAヌクレオシドのような、少なくとも1つの2’-置換修飾ヌクレオシド)と、を含んでなるLNAギャプマーを指す。幾つかの実施形態において、混合ウイングギャップマーは、一方の側面にLNAヌクレオシド(例えば、5’又は3’)のみを含み、他方の側面(それぞれ3’又は5’)に2’置換修飾ヌクレオシド及び任意でLNAヌクレオシドを含む。
【0115】
ギャップブレイカー
「ギャップブレイカー・オリゴヌクレオチド」という用語は、ギャップ領域が非RNアーゼH補充ヌクレオシド(ギャップブレイカー・ヌクレオシド、E)で破壊された結果、ギャップ領域内に含まれる連続DNAヌクレオシド数が5未満となった場合でもRNアーゼHの補充を維持する能力を有するギャップマーに関して使用される。非RNアーゼH補充ヌクレオシドは、例えば、ヌクレオシドのリボース糖環のC2’とC4’との間の架橋がβ-D-オキシLNA又はScETヌクレオシドのようなβ立体配座にある、LNAのような3’末端立体構造のヌクレオシドである。ギャップブレイカー・オリゴヌクレオチドがRNアーゼHを補充する能力は、典型的に、配列特異的、又は化合物特異的でさえある(Rukov et al.2015 Nucl.Acids Res.Vol. 43 pp. 8476-8487を参照)。本文献には、「ギャップブレイカー」オリゴヌクレオチドが開示されている。このギャップブレイカー・オリゴヌクレオチドは、幾つかの例において標的RNAのより特異的な開裂を提供するRNアーゼHを補充するものである。
【0116】
幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、ギャップブレイカー・オリゴヌクレオチドである。幾つかの実施形態において、ギャップブレイカー・オリゴヌクレオチドは、5’-側面(F)とギャップ(G)と3’-側面(F’)とを含み、非RNアーゼH補充ヌクレオシド(ギャップブロッカーヌクレオシド、E)によってギャップが破壊され、ギャップ中に、少なくとも3又は4個の連続DNAヌクレオシドが含まれるようになる。幾つかの実施形態において、ギャップブレイカー・ヌクレオシド(E)がLNAヌクレオシドであり、ヌクレオシドのリボース糖環のC2’とC4’との間の架橋がβ立体配座であり、ギャップ領域内に配置されていて、ギャップ・ブレーカーLNAヌクレオシドが少なくとも3’(5’)及び3(3’)DNAヌクレオシド、又は少なくとも3(5’)及び4(3’)DNAヌクレオシド、又は少なくとも4(5’)及び3(3’)DNAヌクレオシド隣接した5’ならびに3’であり、且つオリゴヌクレオチドがRNアーゼHを補充する能力を有する。
【0117】
ギャップブレイカー・オリゴヌクレオチドは、次式で表すことができる。
F-G-E-G-F’;特にF1-7-G3-4-E1-G3-4-F’1-7
D’-F-G-F’、特にD’1-3-F1-7-G3-4-E1-G3-4-F’1-7
F-G-F’-D”、特にF1-7-G3-4-E1-G3-4-F’1-7-D”1-3
D’-F-G-F’-D”、特にD’1-3-F1-7-G3-4-E1-G3-4--F’1-7-D”1-3
【0118】
領域D’及びD”は、「ギャップマーデザイン」の節に記載されている。
【0119】
幾つかの実施形態において、ギャップブレイカー・ヌクレオシド(E)は、スキーム1に図示されているβ-D-オキシLNA又はScET、又は別のβ-LNAヌクレオシドである。
【0120】
コンジュゲート
本明細書において、コンジュゲートという用語は、非ヌクレオチド部分(結合部分又は領域C又は第3の領域)に共有結合しているオリオゴヌクレオチドを指し、オリゴヌクレオチドコンジュゲートとも呼ばれる。
【0121】
本発明のオリゴヌクレオチドが1以上の非ヌクレオチド部分に結合されている場合、オリゴヌクレオチドの薬理を改善しうる。オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布、細胞取り込み又は安定性に影響を与えることによって達成される。幾つかの実施形態において、結合部分はオリゴヌクレオチドを肝臓に対して標的化する。同時に、コンジュゲートは、非標的細胞型、組織又は器官(例えば、組織もしくは臓器)におけるオリゴヌクレオチドの活性を低下させるように機能し、対象外の細胞型、組織又は器官における標的活性又は活性を遮断する。本発明の一実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、非コンジュゲートオリゴヌクレオチドと比較して、標的細胞におけるPD-L1の阻害が改善されていることを示す。別の実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、非結合オリゴヌクレオチドと比較して、肝臓と、脾臓又は腎臓のような、他の器官との間の細胞分布が改善されている。すなわち、結合オリゴヌクレオチドは、脾臓又は腎臓によりも寧ろ肝臓に移行しがちである。別の実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドコンジュゲートによって、結合オリゴヌクレオチドと比較した場合、結合オリゴヌクレオチドの肝臓への細胞の取り込みが改善されたことが明らかにされる。
【0122】
国際公開第93/07883号パンフレット、及び国際公開第2013/033230号パンフレットは、好適な結合部分を提供するものであり、これらの出願は、本明細書において参照により援用されている。結合部分は、アシアロ糖タクパク質受容体(ASGPr)に結合する能力を有するものが、更に好適とされる。特に、3価N-アセチルガラクトサミン結合部分は、ASGPrへの結合に適している。例えば、本明細書において参照により援用されている、国際公開第2014/076196号パンフレット、国際公開第2014/207232号パンフレット、及び国際公開第2014/179620号パンフレットを参照のこと。この結合部分は、本質的に、核酸から構成されていないアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートの一部である。
【0123】
オリゴヌクレオチドコンジュゲート及びその合成についてはまた、Manoharan in Antisense Drug Technology, Principles, Strategies, and Applications, S.T.Crooke, ed., Ch. 16, Marcel Dekker, Inc., 2001、及びManoharan, Antisense and Nucleic Acid Drug Development, 2002, 12, 103による包括的総評もレポートされており、これらの文献は、その全容が本明細書において参照により援用されている。
【0124】
或る実施形態において、非ヌクレオチド部分(結合部分)は、炭水化物、細胞表面受容体リガンド、薬物物質、ホルモン、親油性物質、ポリマー、タンパク質、ペプチド、毒素(例えば細菌毒素)、ビタミン、ウイルスタンパク質(例えばカプシド)又はこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0125】
リンカー
連鎖(linkage)又はリンカーは、1つの化学基又は関心のあるセグメントを1つ以上の共有結合を介して別の化学基又は関心対象のセグメントに連結する2つの原子間の結合である。結合部分は、オリゴヌクレオチドに直接又は連結部分(例えば、リンカーもしくはテザー)を介して結合させることができる。リンカーは、第3の領域、例えば結合部分(領域C)を、第1の領域、例えば標的核酸に相補的なオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列(領域A)に共有結合するように機能する。
【0126】
本発明の幾つかの実施形態において、本発明のコンジュゲート又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、任意で、標的核酸(第1の領域、すなわち領域A)に相補的なオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列と結合部分(第3の領域、すなわち領域C)との間に位置するリンカー領域(第2の領域、すなわち領域B及び/もしくは領域Y)を含む。
【0127】
領域Bは、哺乳類の体内で通常遭遇するか又は遭遇するものに類似した条件下にて開裂可能な生理学的に易変的な結合を含むか又はそれからなる、生体開裂性リンカーを指す。生理学的に易変的なリンカーが化学的変換(例えば開裂)を受ける条件は、pH、温度、酸化的もしくは還元的条件又は薬剤等の化学的条件、及び哺乳類細胞内で見つかる塩濃度又は遭遇するものに類似の塩濃度を含む。哺乳類の細胞内状態にはまた、タンパク質分解酵素、加水分解酵素又はヌクレアーゼなどの哺乳動物細胞に通常存在する酵素活性の存在も含まれる。一実施形態において、生体開裂性リンカーは、S1ヌクレアーゼの開裂に感受性である。好ましい実施形態において、ヌクレアーゼ感受性リンカーは、1~10ヌクレオシド、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10ヌクレオシド、より好ましくは2~6ヌクレオシド、最も好ましくは少なくとも2連続ホスホジエステル結合、例えば少なくとも3又は4又は5連続ホスホジエステル結合、2~4連結ヌクレオシドを含む。ヌクレオシドは、DNA又はRNAが好ましい。ホスホジエステル含有の生体開裂性リンカーは、本明細書中で参照により援用されている国際公開第2014/076195号パンフレットに詳述されている。
【0128】
領域Yは、必ずしも生体開裂性ではないが、主に、結合部分(領域C又は第3領域)を、標的核酸に相補的なオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列(領域A又は第1領域)に共有結合させる機能を果たすリンカーをいう。領域Yのリンカーは、エチレングリコール、アミノ酸単位又はアミノアルキル基などの繰り返し単位の鎖構造又はオリゴマーを含みうる。本発明のオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、A-B-C、A-B-Y-C、A-Y-B-C又はA-Y-Cのように構成できる。幾つかの実施形態において、リンカー(領域Y)は、アミノアルキル(例えば、C6-C12アミノアルキル基等のC2-C36アミノアルキル基)である。好ましい実施形態において、リンカー(領域Y)は、C6アミノアルキル基である。
【0129】
処置
本明細書において「処置」という用語は、既存の疾患(例えば、本明細書で言及する疾患もしくは障害)の治療、又は疾患の防止、すなわち予防を指す。したがって、幾つかの実施形態において本明細書中で言及される治療は予防的でありうることが認識されるであろう。
【0130】
病原体に対する免疫応答の回復
免疫応答は、先天性及び適応性の免疫応答に分類される。自然免疫系は、即時的ではあるが非特異的な応答を提供するものである。適応免疫応答は、自然免疫応答によって活性化され、特定の病原体に対して高度に特異的である。抗原提示細胞の表面上に病原体由来抗原が提示されると、適応免疫応答の免疫細胞(すなわち、Tリンパ球及びBリンパ球)が、抗原特異的受容体を介して活性化され、病原性特異的免疫応答、及び免疫記憶の発生につながる。HBV及びHCVのような慢性ウイルス感染症は、ウイルス特異的T細胞の非応答性を特徴とするT細胞枯渇と関連している。T細胞の疲弊は充分に研究され、総説については、例えばYi et al 2010 Immunology129, 474-481を参照のこと。慢性ウイルス感染はまた、先天性免疫細胞であるNK細胞の機能低下に関連する。慢性感染のクリアランスのためには、ウイルス免疫応答の強化が重要である。T細胞及びNK細胞媒介性の病原体に対する免疫応答の回復は、増殖、サイトカイン分泌及び細胞溶解性機能の測定によって評価できる(Dolina et al.2013 Molecular Therapy-Nucleic Acids, 2 e72、及び本明細書中の実施例6)。
【発明を実施するための形態】
【0131】
本発明は、動物、特にヒトに感染した病原体に対する免疫応答を回復させるための、アンチセンスオリゴヌクレオチド及びそのコンジュゲート、ならびにこれらを含む医薬組成物の使用に関する。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、肝臓に感染した病原体、特にHBVのような慢性肝臓感染症に対して、特に有用である。コンジュゲートは、オリゴヌクレオチドの分布の標的化を可能にし、標的核酸の全身的ノックダウンを防止する。
【0132】
本発明のオリゴヌクレオチド
本発明は、PD-L1の発現を調節できるオリゴヌクレオチドに関する。調節は、PD-L1をコードする標的核酸又はPD-L1の調節に関与する標的核酸にハイブリダイズによって達成できる。標的核酸は、(例えば、配列番号:1、配列番号:2及び/又は配列番号:3からなる群から選択される配列)哺乳類PD-L1配列でありうる。標的核酸は、PD-L1の発現又は調節を支持する哺乳類の細胞から発現されたプレmRNA、mRNA又は任意のRNA配列であってもよい。
【0133】
本発明のオリゴヌクレオチドは、PD-L1を標的化するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0134】
本発明の一態様において、本発明のオリゴヌクレオチドは、結合部分、特にアシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分に結合されている。
【0135】
幾つかの実施形態において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドを阻害又は下方制御することによって標的の発現を調節できる。そのような調節によって、標的の正常発現レベルと比較して少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%標的の正常発現レベルを生ずることが好ましい。細胞もしくは生物体を感染性薬剤で抗原投与した場合、又は感染性薬剤で抗原投与をシミュレートする薬剤(例えば、ポリI:CもしくはLPS)で処置した場合、そのような調節によって、発現レベルと比較して少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%の発現の阻害を生ずることが好ましい。幾つかの実施形態では、本発明のオリゴヌクレオチドを、KARPAS-299又はTHP1細胞を使用して、PD-L1のmRNAの発現レベルをインビボで少なくとも60%又は70%阻害できる可能性がある。幾つかの実施形態では、本発明の化合物を、KARPAS-299又はTHP1細胞を使用して、PD-L1タンパク質の発現レベルをインビボで少なくとも50%阻害できる可能性がある。好適には、実施例は、PD-L1RNA(例えば、実施例1)を測定するために使用できるアッセイを提供する。標的の調節は、オリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列と標的核酸との間のハイブリダイゼーションによって誘発される。幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間のミスマッチを含む。ミスマッチに関係なく、標的核酸へのハイブリダイゼーションは、依然としてPD-L1発現の所望の調節を示すのに充分でありうる。ミスマッチの結果として結合親和性が低減した場合、オリゴヌクレオチド中のヌクレオチド数を増加させることによって、且つ/あるいは、標的(例えば、オリゴヌクレオチド配列内に存在する、LNA等の2’修飾ヌクレオシド)に対する結合親和性を増強することによって、補償するのが有利な場合がある。
【0136】
幾つかの実施形態において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、病原体特異的T細胞を回復させる機能を有する。幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、未処置対照、又は標準ケアで処置された対照と比較した場合、病原体特異的T細胞を少なくとも40%、50%、60%又は70%増加させる機能を有する。一実施形態において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はコンジュゲートは、未処置対照、又は標準ケアで処置された対照と比較して、HBV特異的T細胞を増加させる機能を有する。実施例は、HBV特異的T細胞(例えば、T細胞増殖、サイトカイン分泌及び細胞溶解活性)を測定するために使用できるアッセイを提供するのが好適である。別の実施形態において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はコンジュゲートは、未処置対照、又は標準ケアで処置された対照と比較して、HCV特異的T細胞を増加させる機能を有する。別の実施形態において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はコンジュゲートは、未処置対照、又は標準ケアで処置された対照と比較して、HDV特異的T細胞を増加させることができる。
【0137】
幾つかの実施形態において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは動物又はヒトのHBs抗原レベルを低減させることができる。幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、処置前のレベルと比較して、HBs抗原レベルを少なくとも40%、50%、60%又は70%、より好ましくは少なくとも80%、90%又は95%低減させることができる。本発明のオリゴヌクレオチドを、HBVに感染した動物又はヒトにおけるHBs抗原の血清変換を達成できることが、最も好ましい。
【0138】
本発明の態様は、PD-L1標的核酸に対する相補性が少なくとも90%である長さ10~30ヌクレオチドからなる連続ヌクレオチド配列を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。
【0139】
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも90%相補的、例えば標的核酸の領域に少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、又は100%に対して相補的な連続配列を含む。
【0140】
好ましい実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチド、又はこれらの連続ヌクレオチド配列は、標的核酸の領域に完全に対して相補的である(100%相補的である)、あるいは幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間に1つ又は2つのミスマッチを含む場合がある。
【0141】
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、配列番号:1又は配列番号:2内に存在する標的核酸領域に対して、少なくとも90%相補的、例えば完全に(すなわち100%)相補的である、10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド配列は、配列番号:1及び配列番号:2内に存在する対応する標的核酸領域に対して100%相補的である。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド配列は、配列番号:1及び配列番号:3内に存在する対応する標的核酸領域に対して100%相補的である。
【0142】
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、対応する標的核酸領域に対して少なくとも90%相補性、例えば100%相補性を有する長さ10~30ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含み、連続ヌクレオチド配列が、配列番号:1上の位置371-3068、5467-12107及び15317-19511からなる群から選択される標的核酸のサブ配列に対して相補的である。更なる実施形態において、標的核酸のサブ配列は、配列番号:1上の位置371-510、822-1090、1992-3068、5467-5606、6470-12107、15317-15720、15317-18083、18881-19494及び1881-19494からなる群から選択される。好ましい実施形態において、標的核酸のサブ配列は、配列番号:1上の位置7300-7333、8028-8072、9812-9859、11787-11873及び15690-15735からなる群から選択される。
【0143】
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、配列番号:1内に存在する対応する標的核酸領域に対して、少なくとも90%相補的、例えば100%相補的である、10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含み、標的核酸領域は、表4の領域a1~a449からなる群から選択される。
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列は、a7、a26、a43、a119、a142、a159、a160、a163、a169、a178、a179、a180、a189、a201、a202、a204、a214、a221、a224、a226、a243、a254、a258、269、a274、a350、a360、a364、a365、a370、a372、a381、a383、a386、a389、a400、a427、a435及びa438からなる群から選択される標的核酸の領域に対して相補的である。
【0149】
好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列は、a160、a180、a221、a269及びa360からなる群から選択される標的核酸領域の領域に対して相補的である。
【0150】
幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドが、8~35ヌクレオチド長、例えば9~30、例えば10~22、例えば11~20、例えば12~18、例えば13~17又は14~16連続ヌクレオチド長を含むか又はそれからなる。好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは、16~20ヌクレオチド長を含むか又はそれからなる。本明細書で示される任意の範囲は、範囲の端点を含むことを理解すべきである。したがって、オリゴヌクレオチドが10~30ヌクレオチドを含むと言える場合、10ヌクレオチドと30ヌクレオチドの両方が含まれる。
【0151】
幾つかの実施形態において、連続ヌクレオチド配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30連続ヌクレオチド長を含むか又はそれからなる。好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは、16、17、18、19又は20ヌクレオチド長を含むか又はそれからなる。
【0152】
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列は、表5に記載の配列からなる群から選択される配列を含むか又はそれからなる。
【0153】
幾つかの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列が、配列番号:5~743なる群から選択される配列に対して少なくとも90%同一、好ましくは100%同一の10~30ヌクレオチド長を含むか又はそれからなる(表5に掲載のモチーフ配列を参照のこと)。
【0154】
幾つかの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列が、配列番号:5~743及び771からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%同一、好ましくは100%同一の10~30ヌクレオチド長を含むか又はそれからなる。
【0155】
幾つかの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列は、配列番号:6、8、9、13、41、42、58、77、92、111、128、151、164、166、169、171、222、233、245、246、250、251、252、256、272、273、287、292、303、314、318、320、324、336、342、343、344、345、346、349、359、360、374、408、409、415、417、424、429、430、458、464、466、474、490、493、512、519、519、529、533、534、547、566、567、578、582、601、619、620、636、637、638、640、645、650、651、652、653、658、659、660、665、678、679、680、682、683、684、687、694、706、716、728、733、734、及び735からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%同一、好ましくは100%同一の10~30ヌクレオチド長を含むか又はそれからなる。
【0156】
幾つかの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列は、配列番号:287に対して少なくとも90%同一、好ましくは100%同一の10~30ヌクレオチド長を含むか又はそれからなる。
【0157】
幾つかの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列は、配列番号:342に対して少なくとも90%同一、好ましくは100%同一の10~30ヌクレオチド長を含むか又はそれからなる。
【0158】
幾つかの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列は、配列番号:640に対して少なくとも90%同一、好ましくは100%同一の10~30ヌクレオチド長を含むか又はそれからなる。
【0159】
幾つかの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列は、配列番号:466に対して少なくとも90%同一、好ましくは100%同一の10~30ヌクレオチド長を含むか又はそれからなる。
【0160】
幾つかの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列は、配列番号:566に対して少なくとも90%同一、好ましくは100%同一の10~30ヌクレオチド長を含むか又はそれからなる。
【0161】
オリゴヌクレオチドが(標的核酸に相補的な)連続ヌクレオチド配列よりも長い実施形態において、表5のモチーフ配列は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列部分を形成する。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドの配列は、(例えば、生体開裂性リンカーが添加されていない場合)連続的なヌクレオチド配列と同等である。
【0162】
連続した核酸塩基配列(モチーフ配列)は、例えばヌクレアーゼ耐性及び/又は標的核酸への結合親和性が増強するように修飾可能なことが理解される。修飾については、「定義」及び「オリゴヌクレオチドデザイン」の節に記載されている。表5には、各モチーフ配列の好ましいデザインが列挙されている。
【0163】
オリゴヌクレオチドデザイン
オリゴヌクレオチドデザインとは、オリゴヌクレオチド配列中のヌクレオシド糖修飾のパターンを指す。本発明のオリゴヌクレオチドは、糖修飾ヌクレオシドを含み、また、DNA又はRNAヌクレオシドを含む場合がある。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、糖修飾ヌクレオシド及びDNAヌクレオシドを含む。本発明のオリゴヌクレオチドに修飾ヌクレオシドを取り込むことによって、標的核酸に対するオリゴヌクレオチドの親和性を増強できる。その場合、修飾ヌクレオシドは、親和性増強修飾ヌクレオチドと呼ばれる場合があり、修飾ヌクレオシドは単位と呼ばれる場合がある。
【0164】
実施形態において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1修飾ヌクレオシド、例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15又は少なくとも16修飾ヌクレオシドを含む。或る実施形態において、オリゴヌクレオチドは、1~10修飾ヌクレオシド、例えば2~8修飾ヌクレオシド、例えば3~7修飾ヌクレオシド、例えば4~6修飾ヌクレオシド、例えば3、4、5、6又は7修飾ヌクレオシドを含む。
【0165】
実施形態において、オリゴヌクレオチドは、1以上の糖修飾ヌクレオシド、例えば2’糖修飾ヌクレオシドを含む。本発明のオリゴヌクレオチドは、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-DNA、アラビノ核酸(ANA)、2’-フルオロ-ANA及びLNAヌクレオシドからなる群から独立に選択された、1以上の2’糖修飾ヌクレオシドを含むことが、好ましい。更により好ましいのは、1以上の修飾ヌクレオシドは、ロックド核酸(LNA)である。
【0166】
更なる実施形態において、オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合を含む。好ましい実施形態において、連続ヌクレオチド配列内の全てのヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート又はボラノホスフェートヌクレオシド間結合である。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドの連続配列中の全てのヌクレオチド間結合は、ホスホロチオエート結合である。
【0167】
幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのLNAヌクレオシド、例えば1、2、3、4、5、6、7、又は8のLNAヌクレオシド、例えば2~6のLNAヌクレオシド、例えば3~7のLNAヌクレオシド、4~6のLNAヌクレオシド又は3、4、5、6又は7のLNAヌクレオシドを含む。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド中の修飾ヌクレオシドの少なくとも75%は、LNAヌクレオシドであり、修飾ヌクレオシドの例えば80%、例えば85%、例えば90%はLNAヌクレオシドである。なお更に実施形態において、オリゴヌクレオチド中の全ての修飾ヌクレオシドは、LNAヌクレオシドである。更なる実施形態において、オリゴヌクレオチドは、β-Dもしくはα-L構成又はそれらの組み合わせのいずれかに、β-D-オキシ-LNA及び以下のLNAヌクレオシド(チオ-LNA、アミノ-LNA、オキシ-LNA、及び/又はENAのうちの1以上)の両方を含みうる。更なる実施形態において、全てのLNAシトシン単位は5-メチル-シトシンである。好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列は、5’末端に少なくとも1つのLNAヌクレオシドを有し、且つヌクレオチド配列の3’末端に少なくとも2つのLNAヌクレオシドを有する。
【0168】
幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、2’-MOE-RNAヌクレオシド(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の2’-MOE-RNAヌクレオシド)である少なくとも1つの修飾ヌクレオシドを含む。幾つかの実施形態において、前記修飾ヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、2’-フルオロ-DNA(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の2’-フルオロ-DNAヌクレオシドである。
【0169】
幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのLNAヌクレオシド及び少なくとも1つの2’置換修飾ヌクレオシドを含む。
【0170】
本発明の幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、2’糖修飾ヌクレオシド及びDNA単位の両方を含む。オリゴヌクレオチドは、LNA及びDNAヌクレオシド(単位)の両方を含むのが好ましい。LNA及びDNA単位の総計は、8~30(例えば、10~25、好ましくは12~22(例えば、12~18、更により好ましくは11~16であるのが、好ましい。本発明の幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列(例えば、連続ヌクレオチド配列)は少なくとも1つの又は2つのLNAヌクレオシドからなり、残りのヌクレオシドはDNA単位である。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、LNAヌクレオシド、及び天然起源のヌクレオシド(RNA又はDNA、最も好ましくはDNAヌクレオシド)のみ、任意で、修飾ヌクレオシド間結合を有するもの(ホスホロチオエート等)を含む。
【0171】
本発明の実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、RNアーゼHを補充する能力を有する。
【0172】
本発明のオリゴヌクレオチドの構造デザインは、ギャプマー、ギャップブレイカー、ヘッドマー及びテールマーから選択できる。
【0173】
ギャップマーデザイン
好ましい実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、本明細書中で単に「ギャップマー」とも呼ばれる、ギャップマーデザイン又は構造を有する。ギャップマー構造において、オリゴヌクレオチドは、5’側面、ギャップ及び3’-側面の、少なくとも3つの別個の構造領域、すなわち「'5->3’」配向のF-G-F’を含む。このデザインでは、フランキングF領域及びF’領域(ウイング領域とも呼ばれる)は、PD-L1標的核酸に対して相補的な修飾ヌクレオチドの連続ストレッチを含み、ギャップ領域Gはヌクレオチドの連続ストレッチを含むオリゴヌクレオチドが標的核酸と二本鎖を成す場合、ヌクレアーゼ、好ましくはRNアーゼのようなエンドヌクレアーゼ、例えばRNアーゼHを補充する能力を有する。ヌクレアーゼ、特にRNアーゼHを補充する能力を有するヌクレオシドは、DNA、α-L-オキシ-LNA、2’-フルオロ(Flouro)-ANA及びUNAからなる群から選択できる。領域Gの5’末端及び3’末端に隣接する領域F及びF’は、好ましくは非ヌクレアーゼ補充ヌクレオシド(3’末端構造を有するヌクレオシド)、より好ましくは1つ以上の親和性増強修飾ヌクレオシドを含む。幾つかの実施形態において、3’側面は、少なくとも1つのLNAヌクレオシド、好ましくは少なくとも2つのLNAヌクレオシドを含む。幾つかの実施形態において、5’側面は、少なくとも1つのLNAヌクレオシドを含む。幾つかの実施形態において、5’及び3’側面領域は両方とも、LNAヌクレオシドを含む。幾つかの実施形態において、側面領域中の全てのヌクレオシドは、LNAヌクレオシドである。他の実施形態では、隣接領域は、DNAヌクレオシド及び/又は非LNA修飾ヌクレオシド(例えば、2’置換ヌクレオシド)のような、LNAヌクレオシド及び他のヌクレオシド(混合側面)の両方を含む場合がある。この場合、ギャップは、親和性増強修飾ヌクレオシド、好ましくはLNA(例えば、β-D-オキシ-LNA)を介して5’末端及び3’末端に隣接した少なくとも5つのRNアーゼH補充ヌクレオシド(2'エンド構造を有するヌクレオシド、好ましくはDNA)の連続配列として定義される。結果として、ギャップ領域に隣接する5’隣接領域、及び3’隣接領域のヌクレオシドは修飾ヌクレオシド、好ましくは非ヌクレアーゼ補充ヌクレオシドである。
【0174】
領域F
領域Gの5’末端に付着された領域F(5’側面又は5’ウイング)は、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド、例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7修飾ヌクレオシドを含むか、含有するか又はそれらからなる。或る実施形態において、領域Fが、1~7修飾ヌクレオシド、例えば2~6修飾ヌクレオシド、例えば2~5修飾ヌクレオシド、例えば2~4修飾ヌクレオシド、例えば1~3修飾ヌクレオシド、例えば1、2、3もしくは4修飾ヌクレオシドを含むか又はそれからなる。F領域は、その領域の5’末端及び3’末端に少なくとも修飾ヌクレオシドを有することによって、画定される。
【0175】
幾つかの実施形態において、領域F内の修飾ヌクレオシドは3’末端構造を有する。
【0176】
実施形態において、領域F内の修飾ヌクレオシドの1つ以上は、2’修飾ヌクレオシドである。一実施形態において、領域F内の全てのヌクレオシドは2’修飾ヌクレオシドである。
【0177】
別の実施形態において、領域Fは、2’修飾ヌクレオシドに加えて、DNA及び/又はRNAを含む。DNA及び/又はRNAを含む側面は、F領域の5’末端及び3’末端(G領域に隣接する)内に、2’修飾ヌクレオシドを有することを特徴とする。一実施形態において、領域Fは、DNAヌクレオシド(例えば、1~3又は1~2の連続DNAヌクレオシドのような、1~3の連続DNAヌクレオシド)を含む。側面に位置するDNAヌクレオシドは、RNアーゼHを当然補充できるものであるのが好ましい。幾つかの実施形態では、F領域の2’修飾ヌクレオシド、ならびにDNA及び/又はRNAヌクレオシドは、1~3個の2’修飾ヌクレオシド、ならびに1~3個のDNAと交互に存在し、及び/又はRNAヌクレオシドである。そのような側面は、交互の側面と呼ばれる場合もある。交互の側面を有するオリゴヌクレオチド中の5’側の側面(領域F)の長さは、4~10ヌクレオシド、例えば4~8、例えば4~6ヌクレオシド、例えば4、5、6又は7修飾ヌクレオシドでありうる。幾つかの実施形態では、オリゴヌクレオチドの5’側面のみが交互になっている。
交互ヌクレオシドを有する領域Fの具体例は、
2’1-3-N’1-4-2’1-3
2’1-2-N’1-2-2’1-2-N’1-2-2’1-2
である。
【0178】
式中、2’は、修飾ヌクレオシド及びN’がRNA又はDNAであることを表す。幾つかの実施形態において、交互側面内の全ての修飾ヌクレオシドはLNAであり、N’はDNAである。更なる実施形態において、領域F内の2’修飾ヌクレオシドのうちの1以上が、2’-O-アルキル-RNA単位、2’-O-メチル-RNA、2’-アミノ-DNA単位、2’-フルオロ-DNA単位、2’-アルコキシ-RNA、MOE単位、LNA単位、アラビノ核酸(ANA)単位及び2’-フルオロ-ANA単位から選択される。
【0179】
幾つかの実施形態において、F領域は、LNA及び2’置換修飾ヌクレオシドの両方を含む。これらは、多くの場合、混合ウイング又は混合側面オリゴヌクレオチドと呼ばれる。
【0180】
本発明の一実施形態において、領域F内の全ての修飾ヌクレオシドはLNAヌクレオシドである。更なる実施形態において、領域F内の全てのヌクレオシドは、LNAヌクレオシドである。更なる実施形態において、領域F内のLNAヌクレオシドが独立に、β-Dもしくはα-L構成又はそれらの組み合わせのいずれかに、オキシ-LNA、チオ-LNA、アミノ-LNA、cET、及び/又はENAからなる群から選択される。好ましい実施形態において、領域Fは、連続配列の5’末端に少なくとも1つのβ-D-オキシLNA単位を含む。
領域G
【0181】
領域G(ギャップ領域)は、前述のヌクレアーゼ、特にRNアーゼHを補充する能力を有する少なくとも4、例えば、少なくとも5、例えば、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15又は少なくとも16連続ヌクレオシドを含むか又はそれからなるのが、好ましい。更なる実施形態において、領域Gは、5~12、又は6~10又は7~9(例えば、前述のヌクレアーゼを補充する能力を有する8連続ヌクレオチド単位)を含むか又はそれからなる。
【0182】
或る実施形態において、ヌクレアーゼを補充する能力を有する領域Gのヌクレオシド単位は、DNA、α-L-LNA、C4’アルキル化DNA(国際出願PCT/EP2009/050349号明細書及びVester et al., Bioorg. Med.Chem.Lett.18 (2008) 2296-2300。これら両文献は本明細書に中で参照により援用されている)、ならびに、ANA及び2’F-ANAのようなアラビノース由来ヌクレオシドヌクレオシド(Mangos et al.2003 J. AM.CHEM.SOC.125, 654-661)、UNA(アンロックド核酸)(出典:Fluiter et al., Mol. Biosyst., 2009, 10, 1039。これらの文献は本明細書中で参照により援用されている)からなる群から選択される。UNAは、典型的には、リボースのC2とC3との間の結合が除去されてアンロックド「糖」部分を生じた、アンロックド核酸である。
【0183】
なお更なる実施形態において、領域G内の少なくとも1つのヌクレオシド単位は、DNAヌクレオシド単位(例えば、1~18DNA単位(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は17DNA単位、好ましくは2~17DNA単位(例えば、3~16DNA単位(例えば、4~15DNA単位、例えば、5~14DNA単位(例えば、6~13DNA単位(例えば、7~12DNA単位(例えば、8~11DNA単位、より好ましくは単位8~17DNA単位、又は9~16DNA単位、10~15DNA単位又は11~13DNA単位(例えば、8、9、10、11、12、13、14、154、16、17DNA単位である。幾つかの実施形態において、領域Gは100%DNA単位からなる。
【0184】
更なる実施形態において、領域Gは、RNアーゼH開裂を媒介できるDNAと他のヌクレオシドとの混合物からなりうる。領域Gは、少なくとも50%のDNA、より好ましくは60%、70%又は80%のDNA、更により好ましくは90%又は95%のDNAからなりうる。
【0185】
なお更なる実施形態において、領域G中の少なくとも1つのヌクレオシド単位は、α-L-LNAヌクレオシド単位(例えば、少なくとも1つのα-L-LNA(例えば、2、3、4、5、6、7、8又は9α-L-LNAである。更なる実施形態において、領域Gは、α-L-オキシ-LNAである少なくとも1つのα-L-LNAを含む。更なる実施形態において、領域Gは、DNA及びα-L-LNAヌクレオシド単位の組み合わせを含む。
【0186】
幾つかの実施形態において、領域G内のヌクレオシドは2’末端構造を有する。
【0187】
幾つかの実施形態において、領域Gは、RNアーゼHを補充する能力を有するギャップブレイカー・オリゴヌクレオチドにつながる、ギャップブレイカー・ヌクレオシドを含みうる。
【0188】
領域F’
領域Gの3’末端に付着された領域F’(3’側面又は3’ウイング)は、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド、例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7修飾ヌクレオシドを含むか、含有するか又はそれらからなる。或る実施形態において、領域F’は、1~7修飾ヌクレオシド(例えば、2~6修飾ヌクレオシド(例えば、2~4修飾ヌクレオシド(例えば、1~3修飾ヌクレオシド(例えば、1、2、3又は4修飾ヌクレオシドを含むか又はそれからなる。F’領域は、その領域の5’末端及び3’末端に少なくとも修飾ヌクレオシドを有することによって、画定される。
【0189】
幾つかの実施形態において、領域F’内の修飾ヌクレオシドは3’末端構造を有する。
【0190】
実施形態において、領域F’内の修飾ヌクレオシドのうちの1以上は、2’修飾ヌクレオシドである。一実施形態において、領域F’内の全てのヌクレオシドは2’修飾ヌクレオシドである。
【0191】
実施形態において、領域F’内の修飾ヌクレオシドのうちの1以上は、2’修飾ヌクレオシドである。
【0192】
一実施形態において、領域F’内の全てのヌクレオシドは2’修飾ヌクレオシドである。別の実施形態において、領域F’は、2’修飾ヌクレオシドに加えて、DNA又はRNAを含む。DNA及び/又はRNAを含む側面は、F’領域の5’末端(G領域に隣接する)及び3'末端内に、2’修飾ヌクレオシドを有することを特徴とする。一実施形態において、領域F’は、DNAヌクレオシド(例えば、1~3又は1~2の連続DNAヌクレオシドのような、1~4の連続DNAヌクレオシド)を含む。側面に位置するDNAヌクレオシドは、RNアーゼHを当然補充できるものであるのが好ましい。幾つかの実施形態において、F’領域の2’修飾ヌクレオシド、ならびにDNA及び/又はRNAヌクレオシドは、1~3の2’修飾ヌクレオシド及び1~3のDNAと交互に存在する及び/又はRNAヌクレオシドであり、そのような側面は、交互の側面と呼ばれる場合がある。交互の側面を有するオリゴヌクレオチド中の3’側の側面(領域F’)の長さは、4~10ヌクレオシド(例えば、4~8(例えば、4~6ヌクレオシド(例えば、4、5、6又は7修飾ヌクレオシドでありうる。幾つかの実施形態では、オリゴヌクレオチドの3’側面のみが交互になっている。
交互ヌクレオシドを有する領域F’の具体例は、
2’1-2-N’1-4-2’1-4
2’1-2-N’1-2-2’1-2-N’1-2-2’1-2
である。
【0193】
式中、2’は、修飾ヌクレオシド及びN’がRNA又はDNAであることを表す。幾つかの実施形態において、交互側面内の全ての修飾ヌクレオシドはLNAであり、N’はDNAである。更なる実施形態において、領域F’内の修飾ヌクレオシドは、2’-O-アルキル-RNA単位、2’-O-メチル-RNA、2’-アミノ-DNA単位、2’-フルオロ-DNA単位、2’-アルコキシ-RNA、MOE単位、LNA単位、アラビノ核酸(ANA)単位及び2’-フルオロ-ANA単位から選択される。
【0194】
幾つかの実施形態において、F’領域は、LNA及び2’置換修飾ヌクレオシドの両方を含む。これらは、多くの場合、混合ウイング又は混合側面オリゴヌクレオチドと呼ばれる。
【0195】
本発明の一実施形態において、全ての領域F’内の修飾ヌクレオシドは、LNAヌクレオシドである。更なる実施形態において、領域F’内の全ての修飾ヌクレオシドは、LNAヌクレオシドである。更なる実施形態において、領域F’内のLNAヌクレオシドが独立に、β-Dもしくはα-L構成又はそれらの組み合わせのいずれかに、オキシ-LNA、チオ-LNA、アミノ-LNA、cET、及び/又はENAからなる群から選択される。好ましい実施形態において、領域Fは、連続配列の3’末端に少なくとも2つのβ-D-オキシLNA単位を有する。
【0196】
領域D’及びD”
領域D’及びD”は、領域Fの5’末端又は領域F’の3’末端にそれぞれ結合できる。領域D’又はD”は任意選択的である。
【0197】
領域D’又はD”は、標的核酸に相補的であるか又は非相補的でありうる0~5個、例えば1~5個、例えば2~4個、例えば0、1、2、3、4又は5個の追加ヌクレオチドを含みうる。これに関して、本発明のオリゴヌクレオチドは、幾つかの実施形態では、更なるヌクレオチドによって5’及び/又は3’末端に隣接する標的を調節できる連続ヌクレオチド配列を含みうる。そのような付加的なクレオチドは、ヌクレアーゼ感受性の生体開裂性リンカー(リンカーの定義を参照)として機能しうる。幾つかの実施形態において、更なる5’及び/又は3’末端ヌクレオシドは、ホスホジエステル結合と結合し、DNA又はRNAでありうる。別の実施形態において、追加の5’及び/又は3’末端ヌクレオシドは、例えば、ヌクレアーゼ安定性を高めるために、又は合成の容易さのために含まれうる修飾ヌクレオシドである。一実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、連続ヌクレオチド配列の5’又は3’末端に、領域D’及び/又はD”を含む。更なる実施形態において、D’及び/又はD”領域は、標的核酸に対して相補的ではない1~5ホスホジエステル連結DNA又はRNAヌクレオシドからなる。
【0198】
本発明のギャップマー・オリゴヌクレオチドは、次式で表すことができる。
5’-F-G-F’-3’;特にF1-7-G4-12-F’1-7
5’-D’-F-G-F’-3’、特にD’1-3-F1-7-G4-12-F’1-7
5’-F-G-F’-D”-3’、特にF1-7-G4-12-F’1-7-D”1-3
5’-D’-F-G-F’-D’-3”、特にD’1-3-F1-7-G4-12-F’1-7-
D”1-3
【0199】
領域F、G及びF’、D’及びD”内の好ましいヌクレオシドの数及び種類は、上述されている。本発明のオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、オリゴヌクレオチドの5’又は3’末端のいずれかに共有結合した領域C、特に上に示したギャップマー・オリゴヌクレオチドを有する。
【0200】
一実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、式5’-D’-F-G-F’-3’又は5’-F-G-F’-D”-3’のオリゴヌクレオチドを含み、領域F及びF’が独立に、1~7修飾ヌクレオシドを含み、GはRNアーゼHを補充する能力を有する6~16ヌクレオシド間の領域であり、且つ領域D’又はD”が1~5 ホスホジエステルの連結ヌクレオシドを含む。領域D’又はD”は、結合部分への結合が企図されるオリゴヌクレオチドの末端に存在するのが好ましい。
【0201】
交互側面を有するオリゴヌクレオチドの例は、次式で表すことができる。
2’1-3-N’1-4-2’1-3-G6-12-2’1-2-N’1-4-2’1-4
2’1-2-N’1-2-2’1-2-N’1-2-2’1-2-G6-12-2’1-2-N’1-2-
2’1-2-N’1-2-2’1-2
F-G6-12-2’1-2-N’1-4-2’1-4
F-G6-12-2’1-2-N’1-2-2’1-2-N’1-2-2’1-2
2’1-3-N’1-4-2’1-3-G6-12-F’
2’1-2-N’1-2-2’1-2-N1-2-2’1-2-G6-12-F’
【0202】
側面は、F又はF’で示され、LNAヌクレオシドなどの2’修飾ヌクレオシドのみを含む。交互領域ならびに領域F、G及びF’、D’及びD”内の好ましいヌクレオシドの数及び種類は、上述されている。
【0203】
幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、16、17、18、19、20、21、22ヌクレオチド長からなるギャップマーであり、各F領域及びF’領域が、独立にPD-L1標的核酸に対して相補的な1、2、3又は4修飾ヌクレオシド単位からなり、且つ領域Gが8、9、10、11、12、13、14、15、16、17ヌクレオシド単位からなり、PD-L1標的核酸と二本鎖を成す場合にヌクレアーゼを補充でき、領域D’は2つのホスホジエステル結合DNAからなる。
【0204】
更なる実施形態において、オリゴヌクレオチドは、各F領域及びF’領域が独立に、2’-O-メトキシエチル-リボース糖(2’-MOE)を含む3、4、5又は6修飾ヌクレオシド単位(例えば、ヌクレオシド単位、又は2’-フルオロデオキシリボース糖を含むヌクレオシド単位、及び/又はLNA単位からなり、ならびに領域Gが、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は17ヌクレオシド単位(例えばDNA単位)、又は他のヌクレアーゼ補充ヌクレオシド(例えばα-L-LNA)、又はDNAとヌクレアーゼ補充ヌクレオシドとの混合物からなる、ギャップマーとされる。
【0205】
更に具体的な実施形態において、オリゴヌクレオチドは、各F領域及びF’領域が、それぞれ2つのLNA単位からなり、且つ領域Gが12、13、14ヌクレオシド単位、好ましくはDNA単位からなる、ギャップマーとされる。この性質の特異的ギャップマーデザインとしては、2-12-2、2-13-2及び2-14-2が挙げられる。
【0206】
更に具体的な実施形態において、オリゴヌクレオチドは、各F領域及びF’領域が、独立に3つのLNA単位からなり、且つ領域Gが8、9、10、11、12、13又は14ヌクレオシド単位、好ましくはDNA単位からなる、ギャップマーとされる。この性質の特異的ギャップマーデザインとしては、3-8-3、3-9-3、3-10-3、3-11-3、3-12-3、3-13-3及び3-14-3が挙げられる。
【0207】
更に具体的な実施形態において、オリゴヌクレオチドは、各F領域及びF’領域がそれぞれ4つのLNA単位からなり、且つ領域Gが8、9、10、11又は12ヌクレオシド単位、好ましくはDNA単位からなる、ギャップマーとされる。この性質の特異的ギャップマーデザインとしては、4-8-4、4-9-4、4-10-4、4-11-4及び4-12-4が挙げられる。
【0208】
この性質の特異的ギャップマーデザインとしては、6ヌクレオシドを含むギャップ、及び独立にウイング内の1~4修飾ヌクレオシド、例えば1-6-1、1-6-2、2-6-1、1-6-3、3-6-1、1-6-4、4-6-1、2-6-2、2-6-3、3-6-2、2-6-4、4-6-2、3-6-3、3-6-4及び4-6-3ギャップマーからなる群から選択されるF-G-F’デザインが挙げられる。
【0209】
この性質の特異的ギャップマーデザインとしては、7ヌクレオシドを含むギャップ、及び独立にウイング内の1~4修飾ヌクレオシド、例えば1-7-1、2-7-1、1-7-2、1-7-3、3-7-1、1-7-4、4-7-1、2-7-2、2-7-3、3-7-2、2-7-4、4-7-2、3-7-3、3-7-4、4-7-3及び4-7-4ギャップマーからなる群から選択される、F-G-F’デザインが挙げられる。
【0210】
この性質の特異的ギャップマーデザインとしては、8ヌクレオシドを有するギャップ、及びウイング内の独立に1~4修飾ヌクレオシド、例えば1-8-1、1-8-2、1-8-3、3-8-1、1-8-4、4-8-1,2-8-1、2-8-2、2-8-3、3-8-2、2-8-4、4-8-2、3-8-3、3-8-4、4-8-3及び4-8-4ギャップマーからなる群から選択される、F-G-F’デザインが挙げられる。
【0211】
この性質の特異的ギャップマーデザインとしては、9ヌクレオシドを含むギャップ、及び独立にウイング内の1~4修飾ヌクレオシド、例えば1-9-1、2-9-1、1-9-2、1-9-3、3-9-1、1-9-4、4-9-1、2-9-2、2-9-3、3-9-2、2-9-4、4-9-2、3-9-3、3-9-4、4-9-3及び4-9-4ギャップマーからなる群から選択される、F-G-F’デザインが挙げられる。
【0212】
この性質の特異的ギャップマーデザインとしては、10ヌクレオシドを含むギャップ、例えば1-10-1、2-10-1、1-10-2、1-10-3、3-10-1、1-10-4、4-10-1、2-10-2、2-10-3、3-10-2、2-10-4、4-10-2、3-10-3、3-10-4、4-10-3及び4-10-4ギャップマーからなる群から選択されるF-G-F’デザインが挙げられる。
【0213】
この性質の特異的ギャップマーデザインとしては、11ヌクレオシドを含むギャップ、例えば1-11-1、2-11-1、1-11-2、1-11-3、3-11-1、1-11-4、4-11-1、2-11-2、2-11-3、3-11-2、2-11-4、4-11-2、3-11-3、3-11-4、4-11-3及び4-11-4ギャップマーからなる群から選択されるF-G-F’デザインが挙げられる。
【0214】
この性質の特異的ギャップマーデザインとしては、12ヌクレオシドを含むギャップ、例えば1-12-1、2-12-1、1-12-2、1-12-3、3-12-1、1-12-4、4-12-1、2-12-2、2-12-3、3-12-2、2-12-4、4-12-2、3-12-3、3-12-4、4-12-3及び4-12-4ギャップマーからなる群から選択されるF-G-F’デザインが挙げられる。
【0215】
この性質の特異的ギャップマーデザインとしては、13ヌクレオシドを含むギャップ、例えば1-13-1、2-13-1、1-13-2、1-13-3、3-13-1、1-13-4、4-13-1、2-13-2、2-13-3、3-13-2、2-13-4、4-13-2、3-13-3、3-13-4、4-13-3及び4-13-4ギャップマーからなる群から選択されるF-G-F’デザインが挙げられる。
【0216】
この性質の特異的ギャップマーデザインとしては、14ヌクレオシドを含むギャップ、例えば1-14-1、2-14-1、1-14-2、1-14-3、3-14-1、1-14-4、4-14-1、2-14-2、2-14-3、3-14-2、2-14-4、4-14-2、3-14-3、3-14-4、4-14-3及び4-14-4ギャップマーからなる群から選択されるF-G-F’デザインが挙げられる。
【0217】
この性質の特異的ギャップマーデザインとしては、15ヌクレオシドを含むギャップ、例えば1-15-1、2-15-1、1-15-2、1-15-3、3-15-1、1-15-4、4-15-1、2-15-2、2-15-3、3-15-2、2-15-4、4-15-2及び3-15-3ギャップマーからなる群から選択される、F-G-F’デザインが挙げられる。
【0218】
この性質の特異的ギャップマーデザインとしては、16ヌクレオシドを含むギャップ、例えば1-16-1、2-16-1、1-16-2、1-16-3、3-16-1、1-16-4、4-16-1、2-16-2、2-16-3、3-16-2、2-16-4、4-16-2及び3-16-3ギャップマーからなる群から選択される、F-G-F’デザインが挙げられる。
【0219】
この性質の特異的ギャップマーデザインとしては、17ヌクレオシドを含むギャップ、例えば1-17-1、2-17-1、1-17-2、1-17-3、3-17-1、1-17-4、4-17-1、2-17-2、2-17-3及び3-17-2ギャップマーからなる群から選択される、F-G-F’デザインが挙げられる。
【0220】
全ての例において、F-G-F’デザインは、領域D’及び/又はD”を更に含み、領域D’及び/又はD”、1、2又は3ヌクレオシド単位(例えば、DNA単位(例えば、2ホスホジエステル連結DNA単位を有しうる。領域F及びF’のヌクレオシドは修飾ヌクレオシドであることが好ましく、領域Gのヌクレオチドは好ましくは未修飾ヌクレオシドである。
【0221】
各デザインにおいて、好ましい修飾ヌクレオシドはLNAである。
【0222】
別の実施形態において、ギャップマー内のギャップ中の全てのヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート及び/又はボラノホスフェート結合である。別の実施形態において、ギャップマー内の側面(F及びF’領域)中の全てのヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート及び/又はボラノホスフェート結合である。別の好ましい実施形態において、ギャップマー中のD’及びD”領域における全てのヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル結合である。
【0223】
本明細書中に開示されている特異的ギャップマーに関して、シトシン(C)部分が5-メチル-シトシンとして注釈されている場合、様々な実施形態において、オリゴヌクレオチド中に存在するCの1つ以上が、非修飾C部分でありうる。
【0224】
特定の実施形態において、ギャップマーは、参照により本明細書に援用されている国際公開第2008/113832号パンフレットに記載のいわゆるショートマーである。
【0225】
更なるギャップマーデザインは、国際公開第2004/046160号パンフレット、国際公開第2007/146511号パンフレットに開示されており、これらは、参照により援用されている。
【0226】
本発明の或る実施形態において、オリゴヌクレオチドは、CMP-ID番号:5_1~743_1及び771_1のオリゴヌクレオチド化合物からなる群から選択される。
【0227】
本発明の或る実施形態において、オリゴヌクレオチドは、CMP-ID番号6_1、8_1、9_1、13_1、41_1、42_1、58_1、77_1、92_1、111_1、128_1、151_1、164_1、166_1、169_1、171_1、222_1、233_1、245_1、246_1、250_1、251_1、252_1、256_1、272_1、273_1、287_1、292_1、303_1、314_1、318_1、320_1、324_1、336_1、342_1、343_1、344_1、345_1、346_1、349_1、359_1、360_1、374_1、408_1、409_1、415_1、417_1、424_1、429_1、430_1、458_1、464_1、466_1、474_1、490_1、493_1、512_1、519_1、519_1、529_1、533_1、534_1、547_1、566_1、567_1、578_1、582_1、601_1、619_1、620_1、636_1、637_1、638_1、640_1、645_1、650_1、651_1、652_1、653_1、658_1、659_1、660_1、665_1、678_1、679_1、680_1、682_1、683_1、684_1、687_1、694_1、706_1、716_1、728_1、733_1、734_1、及び735_1であるオリゴヌクレオチド化合物からなる群から選択される。
【0228】
本発明の好ましい一実施形態において、オリゴヌクレオチドは、CMP-ID番号:287_1である。
【0229】
本発明の別の好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは、CMP-ID番号:342_1である。
【0230】
本発明の別の好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは、CMP-ID番号:640_1である。
【0231】
本発明の別の好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは、CMP-ID番号:466_1である。
【0232】
本発明の別の好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは、CMP-ID番号:566_1である。
【0233】
本発明の更なる実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチド・モチーフ及びオリゴヌクレオチド化合物の連続ヌクレオチド配列は、2~4の付加的なホスホジエステルの連結ヌクレオシド5’末端に、連続ヌクレオチド配列(例えば、領域D’)を含む。一実施形態において、ヌクレオシドは、生体開裂性リンカー(「生体開裂性リンカー」の節を参照)としての役目を果たす。好ましい実施形態において、ca(シチジン-アデノシン)ジヌクレオチドは、ホスホジエステル結合を介して連続ヌクレオチド配列(すなわち、表5に列挙されたモチーフ配列又はオリゴヌクレオチド化合物のいずれか1つ)の5’末端に連結される。好ましい実施形態において、二本鎖ヌクレオチドは、連続ヌクレオチドのリマインダが相補的である位置にて、標的配列に相補的ではない。
【0234】
本発明の幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列は、配列番号:766、767、768、769及び770ヌクレオチドのモチーフ配列からなる群から選択される。
【0235】
本発明の幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、CMP-ID番号766_1、767_1、768_1、769_1及び770_1のオリゴヌクレオチド化合物からなる群から選択される。
【0236】
炭水化物結合部分
炭水化物結合部分は、ガラクトース、ラクトース、n-アセチルガラクトサミン、マンノース及びマンノース-6-リン酸が挙げられるが、これらに限定されない。炭水化物コンジュゲートは、肝臓及び/もしくは筋肉のような或る範囲の組織における送達又は活性を増強するために使用できる。例えば、欧州特許第1495769号明細書、国際公開第99/65925号パンフレット、Yang et al., Bioconjug Chem (2009) 20(2): 213-21.Zatsepin & Oretskaya Chem Biodivers.(2004) 1(10): 1401-17を参照のこと。
【0237】
幾つかの実施形態において、炭水化物結合部分は多価であり、例えば、2、3もしくは4個の同一又は非同一の炭水化物部分が、任意で、リンカー又はリンカーを介してオリゴヌクレオチドに共有結合可能である。幾つかの実施形態において、本発明は、本発明のオリゴヌクレオチドと炭水化物結合部分とを含む、コンジュゲートを提供するものである。
【0238】
幾つかの実施形態において、結合部分は、マンノースもしくはマンノース-6-リン酸であるか又はそれらを含む。これは、筋肉細胞を標的化するうえで特に有用である(例えば、米国特許出願公開第2012/122801号明細書を参照のこと)。
【0239】
アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPr)に結合できる結合部分は、肝臓内で肝細胞を標的化するうえで特に有用である。幾つかの実施形態において、本発明は、本発明のオリゴヌクレオチドとアシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分とを含む、オリゴヌクレオチドコンジュゲートを提供するものである。アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分は、ガラクトースの親和性以上の親和性でアシアロ糖タンパク質受容体(ASPGr結合炭水化物部分)に結合できる1つ以上の炭水化物部分を含む。多数のガラクトース誘導体に関して、アシアロ糖タンパク質受容体に対する親和性が研究されてきた(例えば、Jobst, S.T.及びDrickamer, K. JB.C.1996, 271, 6686を参照)。つまり、これらの親和性は当該技術分野において典型的な方法を使用して容易に判別されている。
【0240】
本発明の一態様は、a)PD-L1標的核酸に対して少なくとも90%の相補性を有する長さが10~30ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチド(領域A)と;b)a)においてオリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つのアシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分(領域C)と;を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートである。オリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列は、「本発明のオリゴヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチドデザイン」及び「ギャップマーデザイン」の節のいずれかに記載されているようにすることができる。
【0241】
幾つかの実施形態において、アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分は、ガラクトース、ガラクトサミン、N-ホルミル-ガラクトサミン、N-アセチルガラクトサミン、N-プロピオニル-ガラクトサミン、N-n-ブタノイル-ガラクトサミン及びN-イソブタノイルガラクトサミンからなる群から選択される少なくとも1つのASPGr結合炭水化物部分を含む。幾つかの実施形態において、アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分は、1価、2価、3価又は4価である(すなわち、アシアロ糖タンパク質受容体に結合できる1、2、3もしくは4個の末端炭水化物部分を含む)。アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分は、2価、更により好ましくは3価である。好ましい実施形態において、アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分は、1~3個のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分(GalNAcコンジュゲートとも呼ばれる))を含む。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、3価N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分であるアシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分を含む。GalNAcコンジュゲートは、ホスホジエステル, メチルホスホネート及びPNAアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、米国特許第5,994517号明細書、及びHangeland et al., Bioconjug Chem.1995 Nov-Dec; 6(6): 695-701, Biessen et al 1999 Biochem J. 340, 783-792、及びMaier et al 2003 Bioconjug Chem 14, 18-29)、siRNA(例えば、国際公開第2009/126933号パンフレット、国際公開第2012/089352号パンフレット、及び国際公開第2012/083046号パンフレット)、ならびにLNA及び2’-MOE修飾ヌクレオシドと併用されてきた(国際公開第2014/076196号パンフレット、国際公開第2014/207232号パンフレット、及び国際公開第2014/179620号パンフレット)。これらの文献は、本明細書中に参照により援用されている。
【0242】
アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分を生成するには、ASPGr結合性炭水化物部分(好ましくは、GalNAc)は、糖類のC-1炭素を介して分岐分子に結合している。ASPGr結合炭水化物部分は、スペーサーを介して分枝分子に連結されているのが好ましい。スペーサーとして好ましいのは、可撓性の親水性スペーサーである(U.S. Patent 5885968;Biessen et al.J. Med.Chern.1995 Vol. 39 p. 1538-1546)。好ましい可撓性の親水性スペーサーは、PEGスペーサーである。好ましいPEGスペーサーは、PEG3スペーサー(3つのエチレン単位)である。分枝分子は、2つ又は3つの末端のASPGr結合炭水化物部分の結合を可能にし、更に分岐点のオリゴヌクレオチドへの結合を可能にする任意の小分子でありうる。典型的な分岐分子はジリジンである。ジリジン分子は、3つのASPGr結合炭水化物部分が結合できる3つのアミン基と、ジリシンがオリゴヌクレオチドに結合できるカルボキシル反応基と、を含む。代替的な分枝分子は、Glen Researchによって供給されるもののようなダブラー又はトレブラーであってもよい。幾つかの実施形態において、ブランチャーは、1,3-ビス-[5-(4,4’-ペンチルアミド]プロピル-2-[(2-シアノエチル)-(N、N-ジイソプロピル)]ホスホラミダイト(Glen Researchカタログ番号:10-1920-xx)、トリス-2,2,2-[3-(4,4’-ジメトキシトリチルオキシ)プロピルオキシメチル]エチル-[(2-シアノエチル)-(N、N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(Glen Researchカタログ番号:10-1922-xx)、トリス-2,2,2-[3-(4,4’-ジメトキシトリチルオキシ)プロピルオキシメチル]メチレンオキシプロピル-[(2-シアノエチル)-(N、N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト及び1-[5-(4,4’-ジメトキシ-トリチルオキシ)ペンチルアミド]-3-[5-フルオルメトキシカルボニルオキシ-ペンチルアミド]-プロピル-2-[(2-シアノエチル)-(N、N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト(Glen Researchカタログ番号:10-1925-xx)からなる群から選択できる。国際公開第2014/179620号パンフレット及び国際出願PCT/EP2015/073331号明細書には、様々なGalNAc結合部分の生成が記述されており、これらの文献は、本明細書中で参照により援用されている。分岐分子とオリゴヌクレオチドとの間には、1以上のリンカーが挿入される場合がある。好ましい実施形態において、リンカーは生体開裂性リンカーである。リンカーは、「リンカー」及びそのサブセクションに記載されているリンカーから選択できる。
【0243】
アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分、特にGalNAc結合部分は、当該技術分野において公知の方法を用いてオリゴヌクレオチドの3’又は5’末端に付着させることができる。好ましい実施形態において、アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分は、オリゴヌクレオチドの5’末端に連結されている。
【0244】
siRNAの送達に関連する薬物動態調節剤は、国際公開第2012/083046号パンフレットに記載されている(本明細書において参照により援用されている)。幾つかの実施形態において、炭水化物結合部分は、16個以上の炭素原子を有する疎水性基、16~20個の炭素原子を有する疎水性基、パルミトイル、ヘキサデク-8-エノイル、オレイル、(9E、12E)-オクタデカ-9,12ジエノイル、ジオクタノイル及びC16-C20アシル及びコレステロールからなる群から選択される薬物動態学的調節物質を含む。好ましい実施形態において、炭水化物結合部分を含有する薬物動態学的調節物質は、GalNAcコンジュゲートである。
【0245】
炭水化物結合部分は、1~3個の末端のASPGr結合炭水化物部分、好ましくはN-アセチルガラクトサミン部分を含むのが好ましい。幾つかの実施形態において、炭水化物結合部分は、スペーサーを介して分枝分子に連結された3つのASPGr結合炭水化物部分、好ましくはN-アセチルガラクトサミン部分を含む。スペーサー分子は、8~30原子の長さでありうる。好ましい炭水化物結合部分は、PEGスペーサーを介してジ-リジン分枝分子に連結された3つの末端GalNAc部分を含む。PEGスペーサーとして好ましいのは、3PEGスペーサーである。好適なアシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分を、
図1に示す。好ましいアシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分を、
図3に示す。
【0246】
他のGalNAc結合部分としては、例えば、Tyr-Glu-Glu-(アミノヘキシルGalNAc)3(YEE(ahGalNAc)3)のような結合したGalNAc部分を有する小ペプチド;肝細胞上のアシアロ糖タクパク質受容体に結合する糖トリペプチド(例えば、Duff, et al., Methods Enzymol, 2000, 313, 297参照);リジンベースのガラクトース集落(L3G4;Biessen, et al., Cardovasc.Med., 1999, 214);及びコランベースのガラクトース集落(例えば、アシアロ糖タンパク質受容体の糖認識モチーフ)を挙げることができる。
【0247】
本発明の幾つかの実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、以下のCPM ID番号:766_2、767_2、768_2、769_2及び770_2からなる群から選択される。
【0248】
好ましい実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、
図4に図示されている化合物に対応している。
【0249】
別の好ましい実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、
図5に図示されている化合物に対応している。
【0250】
別の好ましい実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、
図6に図示されている化合物に対応している。
【0251】
別の好ましい実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、
図7に図示されている化合物に対応している。
【0252】
別の好ましい実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、
図8に図示されている化合物に対応している。
【0253】
リンカー
生体開裂性リンカー(領域B)
コンジュゲートの使用は、多くの場合、薬物動態特性又は薬力学的動的特性の増強に関連する。しかし、結合部分が存在する場合は、例えば、ハイブリダイゼーション又はヌクレアーゼ補充(例えば、RNアーゼH)を防止する立体障害を介して、意図された標的オリゴヌクレオチドの活性が妨げられる可能性がある。オリゴヌクレオチド(領域A又は第1領域)と結合部分(領域C又は第3領域)との間に生理学的に易変的な結合(生体開裂性リンカー)を使用することにより結合部分の存在による特性の改善が可能となる一方、いったん標的組織において結合基がオリゴヌクレオチドの有効な活性を妨げないことが保証される。
【0254】
易変的な結合を含む分子が適切な細胞内又は細胞外環境に到達すると、生理的に易変的な結合は自発的に生じる。例えば、分子が酸性化エンドソームに進入した際には、pH易変的な結合が開裂される場合がある。したがって、pH易変的な結合は、エンドソーム開裂可能な結合であると見なすことができる。酵素開裂可能な結合は、エンドソーム又はリソソーム又は細胞質に存在する酵素などの酵素に曝露されたときに開裂される場合がある。分子が細胞質の高還元性の環境に進入すると、ジスルフィド結合が開裂される場合がある。したがって、ジスルフィドを、細胞質の開裂可能な結合であると見なすことができる。本明細書において、pH易変的な結合は、酸性条件下(pH<7)で選択的に破壊される易変的な結合である。細胞エンドソーム及びリソソームは7未満のpHを有するので、そのような結合は、エンドソーム的に易変的な結合とも呼ばれる場合がある。
【0255】
標的化送達のための結合部分と会合した生体開裂性リンカーについては、標的組織(例えば、筋肉、肝臓、腎臓又は腫瘍)に見られる開裂速度が血清中に見られるものよりも大きいことが好ましい。S1ヌクレアーゼによる血清又は開裂に対する標的組織における開裂レベル(%)を定量するための好適な方法は、「材料と方法」の節に記載されている。幾つかの実施形態において、生体開裂性リンカー(生理学的に易変的なリンカー、又はヌクレアーゼ感受性リンカーもしくは領域Bとも呼ばれる)は、標準と比較して、少なくとも約20%、例えば少なくとも約30%、例えば少なくとも約40%、少なくとも約50%、例えば少なくとも約60%、例えば少なくとも約70%、例えば少なくとも約75%開裂されている。
【0256】
幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、3つの領域:i)標的核酸に相補的な10~25個の連続ヌクレオチドを含む第1の領域(領域A)と、ii)生体開裂性リンカーを含む第2の領域(領域B)と、iii)アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分のような結合部分を含む第3の領域(領域C)と、を含み、第3の領域は、第1領域に共有結合された第2領域に共有結合している。
【0257】
本発明の一実施形態において、オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、連続ヌクレオチド配列(領域A)及びアシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分(領域C)との間に、生体開裂性リンカー(領域B)を含む。
【0258】
幾つかの実施形態において、生体開裂性リンカーは、標的核酸(領域A)に相補的な隣接するヌクレオチドの5’末端及び/又は3’末端のいずれかに位置しうる。好ましい実施形態において、生体開裂性リンカーは、5’末端にある。
【0259】
幾つかの実施形態において、開裂可能なリンカーは、例えば、標的細胞において発現されうるヌクレアーゼに感受性である。幾つかの実施形態において、生体開裂性リンカーは、2~5個の連続ホスホジエステル結合で構成されている。リンカーは、ホスホジエステル結合ヌクレオシドの短い領域(例えば、リンカーの定義に詳述されているように1~10)であってもよい。幾つかの実施形態において、生体開裂性リンカー領域B中のヌクレオシドは、(任意で独立に)ヌクレアーゼの開裂を妨害しないDNA及びRNA又はその修飾物からなる群から選択される。ヌクレアーゼの開裂を妨げないDNA及びRNAヌクレオシドの修飾は、天然に存在しない核酸塩基でありうる。特定の糖修飾ヌクレオシドはまた、α-L-オキシ-LNAのようなヌクレアーゼの開裂を可能にしうる。幾つかの実施形態において、領域Bの全てのヌクレオシドは、2’-OHリボース糖(RNA)又は2’-H糖(すなわち、RNA又はDNA)のいずれかを(任意で独立に)含む。好ましい実施形態において、領域Bの少なくとも2つの連続ヌクレオシドは、DNA又はRNAヌクレオシド(少なくとも3もしくは4もしくは5連続DNA又はRNAヌクレオチドなど)である。更により好ましい実施形態において、領域Bのヌクレオシドは、領域Bが、1~5又は1~4の(例えば2、3、4連続ホスホジエステル連結DNAヌクレオシド)からなるDNAヌクレオシドであることが、好ましい。好ましい実施形態において、領域Bは、RNアーゼHが補充されないほど短尺である。幾つかの実施形態において、領域Bは、3個以下もしくは4個以下の連続ホスホジエステル連結DNA及び/又はRNAヌクレオシド(例えばDNAヌクレオシド)を含む。
【0260】
領域Bがホスホジエステル結合ヌクレオシドで構成される場合、領域A及びBは一体的に領域Cに連結されたオリゴヌクレオチドを形成する場合がある。この文脈において、領域Aは領域Bと区別することができ、領域Aは少なくとも1つ、標的核酸(例えば、2’置換糖部分を有するLNA又はヌクレオシド)及び領域Aに対する結合親和性が増強された2つの修飾ヌクレオシドは、それ自体で関連細胞系統における標的核酸の発現を調節できる。そのうえ、領域AがDNA又はRNAヌクレオシドを含む場合、これらヌクレオシドは、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオシド間結合、例えばホスホロチオエートもしくはボラノホスフェートと連結される。他方、領域Bは、DNA又はRNAヌクレオシド間のリン酸エステル結合を含む。幾つかの実施形態において、領域Bは、標的核酸と相補的ではないか、又は少なくとも50%のミスマッチを含む。
【0261】
幾つかの実施形態において、領域Bは、標的核酸配列に対して相補的でないか、又は領域A内の標的核酸に相補的な連続ヌクレオチドに対して相補的でない。
【0262】
幾つかの実施形態において、領域Bは、標的核酸配列と相補的である。この点で、領域A及び領域Bは一緒になって、標的配列に対して相補的な単一の連続配列を形成しうる。
【0263】
本発明の幾つかの態様において、第1の領域(領域A)と第2の領域(領域B)との間のヌクレオシド間結合は、第2の領域の一部と見なして差し支えない。
【0264】
幾つかの実施形態において、領域Bの塩基配列は、標的組織又は細胞又は亜細胞の区画に存在する主要なエンドヌクレアーゼの開裂酵素に基づいて、最適なエンドヌクレアーゼの開裂部位を提供するように選択される。この点に関して、標的組織及び非標的組織から細胞抽出物を単離することによって、領域Bで使用するためのエンドヌクレアーゼの開裂配列は、非標的細胞(例えば、腎臓)と比較した所望の標的細胞(例えば、肝臓/肝細胞)内での優先的な開裂活性に基づいて選択できる。これに関して、標的下方制御の化合物の効力は、所望の組織/細胞に対して最適化されうる。
【0265】
幾つかの実施形態において、領域Bは、配列AA、AT、AC、AG、TA、TT、TC、TG、CA、CT、CC、CG、GA、GT、GC又はGGのジヌクレオチドを含み、Cは5-メチルシトシンである場合があり、且つ/あるいはTはUで置換可能であり、ヌクレオシド間結合はホスホジエステル結合が好ましい。幾つかの実施形態において、領域Bは、配列AAA、AAT、AAC、AAG、ATA、ATT、ATC、ATG、ACA、ACT、ACC、ACG、AGA、AGT、AGC、AGG、TAA、TAT、TAC、TAG、TTA、TTT、TTC、TAG、TCA、TCT、TCC、TCG、TGA、TGT、TGC、TGG、CAA、CAT、CAC、CAG、CTA、CTG、CTC、CTT、CCA、CCT、CCC、CCG、CGA、CGT、CGC、CGG、GAA、GAT、GAC、CAG、GTA、GTT、GTC、GTG、GCA、GCT、GCC、GCG、GGA、GGT、GGC、及びGGGトリヌクレオチドを含み、Cは5-メチルシトシンである場合があり、且つ/あるいはTはUで置換可能であり、ヌクレオシド間結合はホスホジエステル結合であるのが好ましい。幾つかの実施形態において、領域Bは、配列AAAX、AATX、AACX、AAGX、ATAX、ATTX、ATCX、ATGX、ACAX、ACTX、ACCX、ACGX、AGAX、AGTX、AGCX、AGGX、TAAX、TATX、TACX、TAGX、TTAX、TTTX、TTCX、TAGX、TCAX、TCTX、TCCX、TCGX、TGAX、TGTX、TGCX、TGGX、CAAX、CATX、CACX、CAGX、CTAX、CTGX、CTCX、CTTX、CCAX、CCTX、CCCX、CCGX、CGAX、CGTX、CGCX、CGGX、GAAX、GATX、GACX、CAGX、GTAX、GTTX、GTCX、GTGX、GCAX、GCTX、GCCX、GCGX、GGAX、GGTX、GGCX、及びGGGXのトリヌクレオチドを含み、Xは、A、T、U、G、C及びこれらの類縁体からなる群から選択可能であり、Cは5-メチルシトシンである場合があり、且つ/あるいはTはUで置換可能である。ヌクレオシド間結合はホスホジエステル結合であることが、好ましい。(天然起源の)核酸塩基A、T、U、G、Cに言及する場合、これらは同等の天然核酸塩基(例えば、相補的ヌクレオシドとの塩基対)として機能する核酸塩基類似体で置換可能であることが認識される。
【0266】
他のリンカー(領域Y)
リンカーは、少なくとも2つの官能性基(一方はオリゴヌクレオチドに結合し、他方は結合部分に結合する)を有する場合がある。例示的なリンカー官能基は、オリゴヌクレオチド又は結合部分上の求核性基と反応するために求電子性である場合もあれば、あるいは求電子性基と反応するための求核性である場合もある。幾つかの実施形態において、リンカー官能基としては、ホスホロチオエート、ホスフェート、ホスファイト、不飽和(例えば、二重又は三重結合)などが挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの例示的なリンカー(領域Y)としては、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(ADO)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、6-アミノヘキサン酸(AHEX又はAHA)、6-アミノヘキシルオキシ、4-アミノ酪酸、4-アミノシクロヘキシルカルボン酸、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシ-(6-アミド-カプロン酸)(LCSMCC)、スクシンイミジルm-マレイミド-ベンゾイルエート(MBS)、スクシンイミジルN-e-マレイミド-カプロイル酸(EMCS)、スクシンイミジル6-(ベータ-マレイミド-プロピオンアミド)ヘキサノエート(SMPH)、スクシンイミジルN-(α-マレイミドアセテート)(AMAS)、スクシンイミジル4-(p-マレイミドフェニル)ブチレート(SMPB)、β-アラニン(β-ALA)、フェニルグリシン(PHG)、4-アミノシクロヘキサン酸(ACHC)、β-(シクロプロピル)アラニン(β-CYPR)、アミノドデカン酸(ADC)、アリレンジオール、ポリエチレングリコール、アミノ酸等が挙げられる。幾つかの実施形態において、リンカー(領域Y)は、アミノアルキル、例えばC2-C36アミノアルキル基、例えばC6-C12アミノアルキル基を含む。好ましい実施形態において、リンカー(領域Y)は、C6アミノアルキル基である。アミノアルキル基は、標準オリゴヌクレオチド合成の一部として、例えば保護されたアミノアルキルホスホルアミダイト等を使用して、オリゴヌクレオチド(領域A又は領域A-B)に添加できる。アミノアルキルとオリゴヌクレオチドとの間の連結基は、例えば、ホスホロチオエート又はホスホジエステル、又は本明細書中で言及される他のヌクレオシド連結基の1つでありうる。アミノアルキル基は、オリゴヌクレオチドの5’又は3’末端に共有結合している。市販のアミノアルキルリンカーは、例えば、オリゴヌクレオチドの3’末端における連結のための、及びオリゴヌクレオチドの5’末端における連結のための3’-アミノ修飾試薬である5’-アミノ修飾酵素C6が利用可能である。これらの試薬は、Glen Research Corporation(Sterling, Va.)から入手可能である。これらの化合物又は類似のものは、フルオレセインをオリゴヌクレオチドの5’末端に連結することを目的に、Krieg, et al, Antisense Research and Development 1991, 1, 161によって利用された。多種多様な更なるリンカー基が当該技術分野において知られており、オリゴヌクレオチドへの結合部分の結合に有用でありうる。有用なリンカー基の多くに関する総説は、例えば、Antisense Research and Applications, S. T. Crooke and B. Lebleu, Eds., CRC Press, Boca Raton, Fla., 1993, p. 303-350に見出される。アクリジンのような他の化合物は、ポリメチレン結合を介してオリゴヌクレオチドの3’末端リン酸基に結合している(Asseline, et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1984, 81, 3297)。上記の基は全ていずれも、単一のリンカー(領域Y)として、又は1つ以上の更なるリンカー(領域Y-Y’又は領域Y-BもしくはB-Y)と組み合わせて使用できる。
【0267】
リンカー、及びオリゴヌクレオチドのコンジュゲート調製時のリンカーの使用は、国際公開第96/11205号パンフレット、国際公開第98/52614号パンフレット、米国特許第4,948,882号明細書、同第5,525,465号明細書、同第5,541,313号明細書、同第5,545,730号明細書、同第5,552,538号明細書、同第5,580,731号明細書、同第5,486,603号明細書、同第5,608,046号明細書、同第4,587,044号明細書、同第4,667,025号明細書、同第5,254,469号明細書、同第5,245,022号明細書、同第5,112,963号明細書、同第5,391,723号明細書、同第5,510475号明細書、同第5,512,667号明細書、同第5,574,142号明細書、同第5,684,142号明細書、同第5,770,716号明細書、同第6,096,875号明細書、同第6,335,432号明細書及び同第6,335,437号明細書、ならびに国際公開第2012/083046号パンフレットにおける当該技術分野を通じて提供されており、これらの各出願はその全容が参照により援用されている。
【0268】
製造方法
更なる態様において、本発明は本発明のオリゴヌクレオチドを製造する方法を提供するものであり、この製法は、ヌクレオチド単位を反応させ、それにより、そのオリゴヌクレオチド内に含有されている共有結合の連続ヌクレオチド単位を形成することを含む。この方法は、ホスホラミダイト化学を使用するものであることが、好ましい(例えば、Caruthers et al, 1987, Methods in Enzymology vol. 154, pages 287-313を参照)。更なる実施形態において、本方法は、連続ヌクレオチド配列を結合部分(リガンド)と反応させることを、更に含む。更なる態様では、本発明のオリゴヌクレオチドもしくは結合オリゴヌクレオチドを、医薬的に許容される希釈剤、溶媒、担体、塩及び/又は補助剤と混合することを含む、本発明の組成物の製造方法が提供されている。
【0269】
医薬組成物
更なる態様において、本発明は、前述のオリゴヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチドコンジュゲート、ならびに医薬的に許容される希釈剤、溶媒、担体、塩及び/又は補助剤のいずれかを含む、医薬組成物を提供するものである。医薬的に許容される希釈剤としては、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)が挙げられる。医薬的に許容される塩としては、限定されるものではないが、ナトリウム塩及びカリウム塩が挙げられる。幾つかの実施形態において、医薬的に許容される希釈剤は、滅菌リン酸緩衝生理食塩水である。幾つかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、医薬的に許容される希釈剤中に50~300μMの濃度で使用される。
【0270】
本発明において用いるのに好適な製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Philadelphia, Pa., 17th ed., 1985に見出される。薬物送達方法の概略的な総説については、例えば、Langer(Science 249; 1527-1533, 1990)を参照のこと。国際公開第2007/031091号パンフレットには、医薬的に許容される希釈剤、担体、及び補助剤の更なる好適且つ好ましい例が提供されている(本明細書において参照により援用されている)。好適な投薬量、製剤、投与経路、組成物、剤形、他の治療剤との併用、プロドラッグ製剤はまた、国際公開第2007/031091号パンフレットに記載されている。
【0271】
本発明のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、医薬的に許容される活性物質、又は医薬組成物もしくは製剤の調製用の不活性物質と混合できる。医薬組成物の製剤用の組成物及び方法は、限定されないが、投与経路、疾患の程度、又は投与されるべき用量を含む多くの基準に依存する。
【0272】
これらの組成物は、従来の滅菌技術で滅菌することも、あるいは滅菌濾過することもできる。結果として得られた水溶液は、そのまま使用するためにパッケージングしてもよく、又は凍結乾燥してもよく、凍結乾燥製剤を投与前に滅菌水性担体と組み合わせてもよい。調製物のpHは、典型的には3~11、より好ましくは5~9又は6~8、最も好ましくは7~8(例えば、7~7.5)である。固体形態で得られた組成物は、各々が錠剤又はカプセルの密封パッケージのような固定量の上記薬剤を含有する複数の単回投与単位でパッケージングできる。固体形態の組成物はまた、局所的に塗布可能なクリーム又は軟膏用に設計された絞り出しチューブ等の、柔軟量の容器中にパッケージングできる。
【0273】
幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、プロドラッグである。特に、オリゴヌクレオチドコンジュゲートに関して、プロドラッグが作用部分(例えば標的細胞)に送達されると、結合部分はオリゴヌクレオチドから開裂される。
【0274】
用途
本発明のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、例えば、診断薬、治療薬及び予防用の研究試薬として利用できる。
【0275】
研究では、このようなオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートを用いて、細胞(例えば、インビトロ細胞培養物)及び実験動物におけるPD-L1タンパク質の合成を特異的に調節し、それにより、治療介入の標的として標的の機能解析又はその有用性の評価を促進する。標的調節は典型的に、タンパク質を産生するmRNAを分解又は阻害し、それによりタンパク質形成を妨げるか、又はタンパク質を産生する遺伝子もしくはmRNAの調節物質を分解、又は阻害することによって達成される。
【0276】
研究又は診断において本発明のオリゴヌクレオチドを使用する場合、標的核酸は、DNAもしくはRNA由来のcDNA又は合成核酸であってもよい。
【0277】
本発明は、PD-L1を発現する標的細胞におけるPD-L1の発現を調節するためのインビボ又はインビトロ方法であって、前記方法が、有効量の本発明のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートを前記細胞に投与することを含む方法を提供するものである。
【0278】
幾つかの実施形態において、標的細胞は、哺乳動物細胞、特にヒト細胞とされる。標的細胞は、インビトロ細胞培養物としてもよいし、あるいは哺乳動物の組織の一部を形成するインビボ細胞としてもよい。好ましい実施形態において、標的細胞は肝臓に存在する。肝細胞標的細胞は、実質細胞(例えば、肝細胞)、ならびにKupffer細胞、LSECs、星状細胞(又はIto細胞)、胆管細胞、及び肝臓関連白血球(T細胞及びNK細胞を含む)等の非実質細胞から選択できる。幾つかの実施形態において、標的細胞は抗原提示細胞である。抗原提示細胞は、その表面上に、主要組織適合複合体(MHC)クラスI又はクラスIIと複合体化した外来抗原を提示する。幾つかの実施形態において、抗原提示細胞は、MHCクラスII(すなわち、樹状細胞、マクロファージ及びB細胞などのプロフェッショナル抗原提示細胞)を発現する。
【0279】
診断の際には、オリゴヌクレオチドを使用して、ノーザンブロッティング、インサイチュハイブリダイゼーション又は類似の技術により、細胞及び組織におけるPD-L1発現を検出して定量できる。
【0280】
本発明のオリゴヌクレオチドもしくはオリゴヌクレオチドコンジュゲート、又はそれらの医薬組成物は、疾患もしくは障害を有する疑いのある動物又はヒトに投与することができ、その疾患もしくは障害は、PD-L1の発現を低減させることによって、特に肝臓標的細胞におけるPD-L1の発現を低減させることによって、緩和又は処置できる。
【0281】
本発明は、治療上もしくは予防上有効な量の本発明のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート、又は医薬組成物を、疾患に罹患しているかもしくは罹患しがちな被験者に投与することを含む、疾患の治療又は防止方法を提供する。
【0282】
また、本発明は、薬品として使用するための、本発明のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート、又は医薬組成物に関する。
【0283】
本発明によるオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート又は医薬組成物は、典型的に有効量で投与される。
【0284】
本発明はまた、本明細書中で言及されている疾患又は障害を治療するための医薬品の製造に関して記載されている、本発明のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲートもしくは医薬組成物の使用を提供する。一実施形態において疾患は、a)HBV、HCV及びHDVなどのウイルス性肝炎感染;b)マラリア、トキソプラズマ症、リーシュマニア症及びトリパノソーマ症などの寄生虫感染;ならびにc)肝臓癌又は肝臓における転移である。
【0285】
一実施形態において、本発明は、ウイルス感染症もしくは寄生虫感染症から選択される疾患又は障害の治療に使用するためのオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート又は医薬組成物に関する。更なる実施形態において、疾患は、a)HBV、HCV及びHDVなどのウイルス性肝炎感染;b)マラリア、トキソプラズマ症、リーシュマニア症及びトリパノソーマ症などの寄生虫感染;ならびにc)肝臓癌又は肝臓における転移から選択される。
【0286】
本明細書中で言及されている疾患又は障害は、免疫疲弊に関連する。特に疾患又は障害は、ウイルス特異的T細胞応答の疲弊と関連している。幾つかの実施形態において、疾患又は障害はPD-L1発現の低減によって緩和又は処置できる。
【0287】
本発明の方法は、免疫疲弊に関連する疾患に対する治療又は予防の目的に使用されるのが好ましい。
【0288】
本発明の一実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲートもしくは医薬組成物は、肝臓癌又は肝臓の転移に対する免疫応答の回復に使用される。
【0289】
本発明の一実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート、又は医薬組成物は、病原体に対する免疫応答の回復に使用される。幾つかの実施形態において、病原体は肝臓に見出すことができる。病原体は、ウイルス又は寄生虫、特に、本明細書に記載されるものでありうる。好ましい実施形態において、病原体はHBVである。
【0290】
本発明は更に、本明細書中に記載のウイルスもしくは寄生虫感染に対する免疫回復用の薬品製造を目的とした、本明細書中に定義されているオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート又は医薬組成物の使用に関する。
【0291】
本発明のオリゴヌクレオチドもしくはオリゴヌクレオチドコンジュゲート、又は医薬組成物は、ウイルス感染、特にPD-1経路に影響を与える肝臓におけるウイルス感染の治療に使用できる(例えば、Kapoor及びKottilil 2014 Future Virol Vol. 9 pp. 565-585、ならびにSalem及びEl-Badawy 2015 World J Hepatol Vol. 7 pp. 2449-2458を参照)。ウイルス性肝炎感染は、肝炎ウイルス、特にHBV、HCV及びHDV、特にこれらの感染の慢性形態からなる群から選択できる。一実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドもしくはオリゴヌクレオチドコンジュゲート、又は医薬組成物はHBV、特に慢性HBVの治療を目的に使用される。慢性HBV感染の指標は、高レベルのウイルス負荷(HBV DNA)であり、循環系において(ウイルス粒子を100倍超過する)より高レベルの空HBs抗原粒子である。
【0292】
本発明のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートはまた、HIVとの共感染症として発症するウイルス性肝炎感染の治療を目的に使用することもできる。本発明のオリゴヌクレオチドもしくはオリゴヌクレオチドコンジュゲート又は医薬組成物で治療できる他のウイルス感染は、lcmv(リンパ球脈絡髄膜炎ウイルス)、ならびに単感染としてのHIV、HSV-1、HSV-2、及び他のヘルペスウイルスである。これらのウイルスは、肝栄養性ではないが、PDL1下方制御に対する感受性がある可能性がある。
【0293】
幾つかの実施形態において、免疫もしくは免疫応答の回復は、T細胞及び/又はNK細胞応答の改善、ならびに/あるいはT細胞枯渇の緩和を含み、特に、HBV特異的T細胞応答、HCV特異的T細胞応答、ならびに/あるいはHDV特異的T細胞応答が回復する。T細胞応答の改善は、例えば、対照(処置前のレベル又はビヒクル処置済の被験者におけるレベル等)と比較して、肝臓内でのT細胞の増加(特に、CD8+及び/もしくはCD4+T細胞の増加)として評価できる。更なる実施形態において、ウイルス特異的CD8+T細胞は、対照と比較して回復又は増加し、特に、HBV特異的CD8+T細胞又はHCV特異的CD8+T細胞又はHDV特異的CD8+T細胞は、対照と比較して回復又は増加する。好ましい実施形態において、HBV s抗原(HBs抗原)に特異的なCD8+T細胞、及び/もしくはHBV e抗原(HBe抗原)に特異的なCD8+T細胞、及び/もしくはHBVコア抗原(HBcAg)に特異的なCD8+T細胞は、(IFN-γ)又は腫瘍壊死因子α(TNF-α)のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート又は医薬組成物を投与することを含む。HBV抗原特異的CD8+T細胞は、インターフェロンγ(IFN-γ)又は腫瘍壊死因子α(TNF-α)のような、1つ以上のサイトカインを産生するのが、好ましい。上記のCD8+T細胞の増加は、特に肝臓において観察される。本明細書中に記載されている増加は、対照と比較して統計的に有意であるべきである。この増加は、対照と比較して、少なくとも20%、例えば25%、例えば50%、例えば75%であるのが、好ましい。別の実施形態において、ナチュラルキラー(NK)細胞 及び/又はナチュラルキラーT(NKT)細胞は、本発明のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートによって活性化される。
【0294】
本発明のオリゴヌクレオチドもしくはオリゴヌクレオチドコンジュゲート、又は医薬組成物は、寄生虫感染症、特に、PD-1経路に影響を与える寄生虫感染症の治療に使用できる(例えば、Bhadra et al.2012 J Infect Dis vol 206 pp. 125-134;Bhadra et al.2011 Proc Natl Acad Sci U S A Vol. 108 pp. 9196-9201;Esch et al.J Immunol vol 191 pp 5542-5550;Freeman及びSharpe 2012 Nat Immunol Vol 13 pp. 113-115;Gutierrez et al.2011 Infect Immun Vol 79 pp. 1873-1881;Joshi et al.2009 PLoS Pathog Vol 5 e1000431;Liang et al.2006 Eur J Immunol Vol. 36 pp 58-64;Wykes et al.2014 Front Microbiol Vol 5 pp 249を参照のこと)。寄生虫感染症は、マラリア、トキソプラズマ症、リーシュマニア症及びトリパノソーマ症からなる群から選択できる。マラリア感染症は、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium)属、特に、三日熱マラリア原虫(P. vivax)、P.マラリア(P. malariae)及びP.ファルシパルム(P. falciparum)種の原虫によって引き起こされる。トキソプラズマは、トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)によって引き起こされる寄生虫性疾患である。リーシュマニア症は、リーシュマニア(Leishmania)属の原生動物寄生虫によって引き起こされる疾患である。トリパノソーマ症は、トリパノソーマ(Trypanosoma)属の原生動物によって引き起こされる。熱帯地方のチャガ病は種クルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)によって引き起こされ、且つ睡眠病は種ブルーストリパノソーマ(Trypanosoma brucei)によって引き起こされる。
【0295】
幾つかの実施形態において、免疫の回復は、寄生虫特異的T細胞及びNK細胞応答、特に、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium)特異的T細胞応答、トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)特異的T細胞、及びNK細胞応答、リーシュマニア(Leishmania)特異的T細胞、及びNK細胞応答、クルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)特異的T細胞、及びNK細胞応答又はブルーストリパノソーマ(Trypanosoma brucei)特異的T細胞、及びNK細胞応答の回復を伴う。更なる実施形態では、寄生虫特異的CD8+T細胞及びNK細胞応答が、回復される。
【0296】
投与
本発明のオリゴヌクレオチド又は医薬組成物は、局所的に(皮膚、吸入、眼もしくは耳)又は経腸(経口もしくは胃腸管など)又は非経口(静脈内、皮下、筋肉内、大脳内、脳室内もしくはクモ膜下腔内)投与できる。
【0297】
好ましい実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチド又は医薬組成物は、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内もしくは筋肉内の注射又は注入、クモ膜下腔内もしくは頭蓋内、例えば、髄腔内もしくは頭蓋内の経路を含む非経口経路によって投与される。大脳内又は腔内、硝子体内投与が含まれる。一実施形態において、活性なオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、静脈内投与される。別の実施形態において、活性なオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、皮下投与される。
【0298】
幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート又は医薬組成物は、0.1~15mg/kg(例えば、0.1~10mg/kg(例えば、0.2~10mg/kg(例えば、0.25~10mg/kg(例えば、0.1~5mg/kg(例えば、0.2~5mg/kg(例えば、0.25~5mg/kgの用量で投与される。投与は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、又は1か月に1回でありうる。
【0299】
併用療法
幾つかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート又は医薬組成物は、他の治療剤との併用治療の用途に使用される。治療剤は、例えば、上記の疾患又は障害に対する標準ケアとすることができる。
【0300】
慢性HBV感染症の治療には、抗ウイルス薬と免疫系調節物質の併用が推奨される。HBVに対して有効な抗ウイルス薬は、例えば、ヌクレオシド類似体である。処置のために認可された5つのヌクレオシドアナログがある。
【0301】
HBV、すなわちラミブジン(Epivir)、アデフォビル(Hepsera)、テノホビル(Viread)、テルビブジン(Tyzeka)、エンテカビル(Baraclude)は、ウイルス複製を抑制するのに効果的であるが、HBs抗原レベルには効果がない。他の抗ウイルス薬には、リバビリン及びHBV抗体療法(モノクローナル又はポリクローナル)が含まれる。免疫系調節物質は、例えば、インターフェロンα-2a及びPEG化インターフェロンα-2a(Pegasys)又はTLR7アゴニスト(例えばGS-9620)もしくは治療用ワクチンでありうる。IFN-α処置によるウイルス負荷の低減効果は極めて低いことが明らかにされているが、この処置の結果、極めて非効率ではあるが、HBs抗原が多少(48週間の処置後に10%未満)低減する。
【0302】
本発明のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、HBV対して有効な他の抗ウイルス薬、例えば国際公開第2012/145697号パンフレット及び国際公開第2014/179629号パンフレットに記載されているアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は国際公開第2005/014806号パンフレット、国際公開第2012/024170号パンフレット、国際公開第2012/2055362号、国際公開第2013/003520号パンフレット及び国際公開第2013/159109号パンフレットに記載されているsiRNA分子と併用できる。
【0303】
本発明のオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートが他の薬剤との併用療法で投与される場合、それらは逐次的にもしくは同時に個体に投与できる。あるいは、本発明の医薬組成物は、本明細書に記載されている医薬的に許容される賦形剤、及び当該分野において公知の別の治療剤又は予防剤と関連して、本発明のオリゴヌクレオチドもしくはオリゴヌクレオチドコンジュゲートの組み合わせから構成できる。
【0304】
本発明の以下の実施形態は、本明細書に記載されている他の実施形態と併用できる。
【0305】
1. PD-L1の発現を低減できる10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むか又はそれからなる、アンチセンスオリゴヌクレオチド。
【0306】
2. 連続ヌクレオチド配列がPD-L1標的核酸に対して少なくとも90%相補的である、実施形態1に記載のオリゴヌクレオチド。
【0307】
3. 連続ヌクレオチド配列が、配列番号:1、配列番号:2及び/又は配列番号:3からなる群から選択される標的核酸に対して相補的である、実施形態1又は2に記載のオリゴヌクレオチド。
【0308】
4. 連続ヌクレオチド配列が配列番号1上の位置1及び15720内の領域に対して相補的である、実施形態1~3に記載のオリゴヌクレオチド。
【0309】
5. オリゴヌクレオチドが、配列番号:1、配列番号:2及び/又は配列番号:3からなる群から選択される標的核酸にハイブリダイズできる、ΔG°が10kcal未満である、実施形態1~4に記載のオリゴヌクレオチド。
【0310】
6. 連続ヌクレオチド配列が標的核酸のサブ配列に対して相補的であり、サブ配列が、配列番号:1上の位置371-3068、5467-12107、15317-15720、15317-18083、15317-19511及び18881-19494からなる群から選択される、実施形態1~5に記載のオリゴヌクレオチド。
【0311】
7. サブ配列は、配列番号:1上の位置7300-7333、8028-8072、9812-9859、11787-11873及び15690-15735からなる群から選択される、実施形態6に記載のオリゴヌクレオチド。
【0312】
8. 標的核酸がRNAである、実施形態2~7に記載のオリゴヌクレオチド。
【0313】
9. RNAがmRNAである、実施形態8に記載のオリゴヌクレオチド。
【0314】
10. mRNAが前駆体mRNA又は成熟mRNAである、実施形態9に記載のオリゴヌクレオチド。
【0315】
11. 連続ヌクレオチド配列が少なくとも14連続ヌクレオチド、特に15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24連続ヌクレオチドを含むか又はそれからなる、実施形態1から10に記載のオリゴヌクレオチド。
【0316】
12. 連続ヌクレオチド配列が16~20ヌクレオチドを含むか又はそれからなる、実施形態1から10に記載のオリゴヌクレオチド。
【0317】
13. オリゴヌクレオチドが14~35ヌクレオチド長を含むか又はそれからなる、実施形態1から10に記載のオリゴヌクレオチド。
【0318】
14. オリゴヌクレオチドが18~22ヌクレオチド長を含むか又はそれからなる、実施形態13に記載のオリゴヌクレオチド。
【0319】
15. オリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列が一本鎖である、実施形態1から14に記載のオリゴヌクレオチド。
【0320】
16. 連続ヌクレオチド配列が標的核酸のサブ配列に対して相補的であり、サブ配列がA7、A26、A43、A119、A142、A159、A160、A163、A169、A178、A179、A180、A189、A201、A202、A204、A214、A221、A224、A226、A243、A254、A258、269、A274、A350、A360、A364、A365、A370、A372、A381、A383、A386、A389、A400、A427、A435及びA438からなる群から選択される、実施形態1から15に記載のオリゴヌクレオチド。
【0321】
17. サブ配列がA221、A360、A180、A160及びA269からなる群から選択される、実施形態16に記載のオリゴヌクレオチド。
【0322】
18. オリゴヌクレオチドがsiRNAではなく、且つ自己相補的ではない、実施形態1から17に記載のオリゴヌクレオチド。
【0323】
19. 連続ヌクレオチド配列が、配列番号:5~743又は771から選択される配列を含むか又はそれからなる、実施形態1から18に記載のオリゴヌクレオチド。
【0324】
20. 連続ヌクレオチド配列が、配列番号:6、8、9、13、41、42、58、77、92、111、128、151、164、166、169、171、222、233、245、246、250、251、252、256、272、273、287、292、303、314、318、320、324、336、342、343、344、345、346、349、359、360、374、408、409、415、417、424、429、430、458、464、466、474、490、493、512、519、519、529、533、534、547、566、567、578、582、601、619、620、636、637、638、640、645、650、651、652、653、658、659、660、665、678、679、680、682、683、684、687、694、706、716、728、733、734、及び735から選択される配列を含むか又はそれからなる、実施形態1から19に記載のオリゴヌクレオチド。
【0325】
21. 連続ヌクレオチド配列が、配列番号:466、640、342、287及び566から選択される配列を含むか又はそれからなる、実施形態1から20に記載のオリゴヌクレオチド。
【0326】
22. 連続ヌクレオチド配列が標的核酸と比較して0~3個のミスマッチを有し、該連続ヌクレオチドが該標的核酸に対して相補的である、実施形態1から21に記載のオリゴヌクレオチド。
【0327】
23. 連続ヌクレオチド配列が標的核酸と比較して1つのミスマッチを有する、実施形態22に記載のオリゴヌクレオチド。
【0328】
24. 連続ヌクレオチド配列が、標的核酸と比較して2つのミスマッチを有する、実施形態22に記載のオリゴヌクレオチド。
【0329】
25. 連続ヌクレオチド配列が、標的核酸配列に対して完全に補完的である、実施形態22に記載のオリゴヌクレオチド。
【0330】
26. 1以上の修飾ヌクレオシドを含む、実施形態1から25に記載のオリゴヌクレオチド。
【0331】
27. 1以上の修飾ヌクレオシドが高親和性修飾ヌクレオシドである、実施形態26に記載のオリゴヌクレオチド。
【0332】
28. 1以上の修飾ヌクレオシドが2’糖修飾ヌクレオシドである、実施形態26又は27に記載のオリゴヌクレオチド。
【0333】
29. 1以上の2’糖修飾ヌクレオシドが独立に、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-DNA、アラビノ核酸酸(ANA)、2’-フルオロ-ANA、及びLNAヌクレオシドからなる群から選択される、実施形態28に記載のオリゴヌクレオチド。
【0334】
30. 1以上の修飾ヌクレオシドがLNAヌクレオシドである、実施形態28に記載のオリゴヌクレオチド。
【0335】
31. 修飾LNAヌクレオシドがオキシ-LNAである、実施形態30に記載のオリゴヌクレオチド。
【0336】
32. 修飾ヌクレオシドがβ-D-オキシ-LNAである、実施形態31に記載のオリゴヌクレオチド。
【0337】
33. 修飾ヌクレオシドがチオLNAである、実施形態30に記載のオリゴヌクレオチド。
【0338】
34. 修飾ヌクレオシドがアミノ-LNAである、実施形態30に記載のオリゴヌクレオチド。
【0339】
35. 修飾ヌクレオシドがcETである、実施形態30に記載のオリゴヌクレオチド。
【0340】
36. 修飾ヌクレオシドがENAである、実施形態30に記載のオリゴヌクレオチド。
【0341】
37. 修飾LNAヌクレオシドが、α-L-オキシ-LNA、β-D-アミノ-LNA、α-L-アミノ-LNA、β-D-チオ-LNA、α-L-アミノ-LNA、チオ-LNA、(S)cET、(R)cETβ-D-ENA及びα-L-ENAから選択される、実施形態30に記載のオリゴヌクレオチド。
【0342】
38. 修飾LNAヌクレオシド以外に、少なくとも1つの2’置換修飾ヌクレオシドが存在する、実施形態30から37に記載のオリゴヌクレオチド。
【0343】
39. 2’置換修飾ヌクレオシドが2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-DNA、2’-フルオロ-ANAからなる群から選択される、実施形態38に記載のオリゴヌクレオチド。
【0344】
40. オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合を含む、実施形態1から39のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド。
【0345】
41. 修飾ヌクレオシド間結合がヌクレアーゼ耐性である、実施形態40に記載のオリゴヌクレオチド。
【0346】
42. 連続ヌクレオチド配列内のヌクレオシド間結合の少なくとも50%がホスホロチオエートヌクレオシド間結合又はボラノホスフェートヌクレオシド間結合である、実施形態40又は41に記載のオリゴヌクレオチド。
【0347】
43. 連続ヌクレオチド配列内の全てのヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、実施形態40又は41に記載のオリゴヌクレオチド。
【0348】
44. オリゴヌクレオチドがRNアーゼHを補充する能力を有する、実施形態1から43に記載のオリゴヌクレオチド。
【0349】
45. オリゴヌクレオチドがギャップマーである、実施形態44に記載のオリゴヌクレオチド。
【0350】
46. オリゴヌクレオチドが式5’-F-G-F’-3’のギャップマーであり、領域F及びF’が独立に1~7修飾ヌクレオシドを含むか又はそれからなり、且つGがRNアーゼHを補充する能力を有する6~16ヌクレオシド間の領域であり、実施形態44又は45に記載のオリゴヌクレオチド。
【0351】
47. ギャップマーが、式5’-D’-F-G-F’-3’又は5’-F-G-F’-D”-3’を有し、領域F及びF’が独立に、1~7修飾ヌクレオシドを含み、GがRNアーゼHを補充する能力を有する6~16ヌクレオシド間の領域であり、且つ領域D’又はD”が1~5ホスホジエステルの連結ヌクレオシドを含む、実施形態44又は45に記載のオリゴヌクレオチド。
【0352】
48. D’又はD”が任意選択的である、実施形態47に記載のオリゴヌクレオチド。
【0353】
49. 領域D’が2つのホスホジエステルの連結ヌクレオシドからなる、実施形態47に記載のオリゴヌクレオチド。
【0354】
50. ホスホジエステル連結ヌクレオシドがca(シチジン-アデノシン)である、実施形態49に記載のオリゴヌクレオチド。
【0355】
51. 修飾ヌクレオシドが2’糖修飾ヌクレオシドであり、独立に、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-DNA、アラビノ核酸酸(ANA)、2’-フルオロ-ANA、及びLNAヌクレオシドからなる群から選択される、実施形態46又は47に記載のオリゴヌクレオチド。
【0356】
52. F領域及びF’領域中の修飾ヌクレオシドのうちの1つ以上が、LNAヌクレオシドである、実施形態46から51に記載のオリゴヌクレオチド。
【0357】
53. F領域及びF’領域中の全ての修飾ヌクレオシドが、LNAヌクレオシドである、実施形態52に記載のオリゴヌクレオチド。
【0358】
54. F領域及びF’領域がLNAヌクレオシドからなる、実施形態53に記載のオリゴヌクレオチド。
【0359】
55. F領域及びF’領域中の全ての修飾ヌクレオシドがオキシ-LNAヌクレオシドである、実施形態52から54に記載のオリゴヌクレオチド。
【0360】
56. 領域F又はF’のうちの少なくとも1つが、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA、2’-アミノ-DNA及び2’-フルオロ-DNAからなる群から独立に選択された少なくとも1つの2’置換修飾ヌクレオシドを更に含む、実施形態52に記載のオリゴヌクレオチド。
【0361】
57. 領域G中のRNアーゼH補充ヌクレオシドが独立にDNA、α-L-LNA、C4’アルキル化DNA、ANA及び2’F-ANA及びUNAから選択される、実施形態46から56に記載のオリゴヌクレオチド。
【0362】
58. 領域G中のヌクレオシドが、DNA及び/又はα-L-LNAヌクレオシドである、実施形態57に記載のオリゴヌクレオチド。
【0363】
59. 領域Gが少なくとも75%DNAヌクレオシドからなる、実施形態57又は58に記載のオリゴヌクレオチド。
【0364】
60. オリゴヌクレオチドがCMP ID番号:5_1~743_1及び771_1(表5)のいずれか1つから選択される、実施形態1から59に記載のオリゴヌクレオチド。
【0365】
61. オリゴヌクレオチドがCMP ID番号:6_1、8_1、9_1、13_1、41_1、42_1、58_1、77_1、92_1、111_1、128_1、151_1、164_1、166_1、169_1、171_1、222_1、233_1、245_1、246_1、250_1、251_1、252_1、256_1、272_1、273_1、287_1、292_1、303_1、314_1、318_1、320_1、324_1、336_1、342_1、343_1、344_1、345_1、346_1、349_1、359_1、360_1、374_1、408_1、409_1、415_1、417_1、424_1、429_1、430_1、458_1、464_1、466_1、474_1、490_1、493_1、512_1、519_1、519_1、529_1、533_1、534_1、547_1、566_1、567_1、578_1、582_1、601_1、619_1、620_1、636_1、637_1、638_1、640_1、645_1、650_1、651_1、652_1、653_1、658_1、659_1、660_1、665_1、678_1、679_1、680_1、682_1、683_1、684_1、687_1、694_1、706_1、716_1、728_1、733_1、734_1、及び735_1からなる群から選択される、実施形態1から60に記載のオリゴヌクレオチド。
【0366】
62. オリゴヌクレオチドがCMP ID番号:287_1、342_1、466_1、640_1、566_1、766_1、767_1、768_1、769_1及び770_1からなる群から選択される、実施形態1から61に記載のオリゴヌクレオチド。
【0367】
63. a.請求項1から62のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド(領域A)と;
b.前記オリゴヌクレオチドに共有結合されている、少なくとも1つの結合部分(領域C);
を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【0368】
64. 結合部分が、炭水化物、細胞表面受容体リガンド、薬物物質、ホルモン、親油性物質、ポリマー、タンパク質、ペプチド、毒素、ビタミン、ウイルスタンパク質又はこれらの組み合わせから選択される、実施形態63に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【0369】
65. 結合部分が、部分を含有する炭水化物である、実施形態63又は64に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【0370】
66. 炭水化物結合部分が、少なくとも1つのアシアロ糖タンパク質受容体標的化部分を含み、請求項1から62のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドに共有結合されている、実施形態65に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【0371】
67. アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分が、ガラクトース、ガラクトサミン、N-ホルミル-ガラクトサミン、N-アセチルガラクトサミン、N-プロピオニル-ガラクトサミン、N-n-ブタノイル-ガラクトサミン及びN-イソブタノイルガラクトサミンからなる群から選択される少なくとも1つの炭水化物部分を含む、実施形態66に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【0372】
68. アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分が、1価、2価、3価又は4価である、実施形態66又は67に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【0373】
69. アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分が、2~4個の末端GalNAc部分と各GalNAc部分を分岐分子に連結するPEGスペーサーとからなる、実施形態68に記載のオリゴマーコンジュゲート。
【0374】
70. アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分が、3価N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分である、実施形態66から69に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【0375】
71. 結合部分が、
図1中の3価GalNAc部分のいずれか1つから選択される、実施形態66から70に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【0376】
72. 結合部分が
図3の3価GalNAc部分である、実施形態71に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【0377】
73. オリゴヌクレオチド又は連続オリゴヌクレオチド配列と結合部分との間にリンカーが存在する、実施形態63から72に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【0378】
74. リンカーが、生理学的に易変的なリンカー(領域B)である、実施形態73に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【0379】
75. 生理学的に易変的なリンカーがヌクレアーゼ感受性リンカーである、実施形態74に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【0380】
76. 生理学的に易変的なリンカーが、2~5個の連続するホスホジエステル結合で構成される、実施形態74又は75に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【0381】
77. 生理学的に易変的なリンカーが、実施形態47から50中に存在する領域D’又はD”に等しい、実施形態76に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【0382】
78. オリゴヌクレオチドコンジュゲートがCMP ID番号:766_2、767_2、768_2、769_2及び770_2から選択される、実施形態63から77のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【0383】
79. オリゴヌクレオチドコンジュゲートが
図4、
図5、
図6、
図7及び
図8に表されるオリゴヌクレオチドコンジュゲートから選択される、実施形態78に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【0384】
80. 非結合オリゴヌクレオチドと比較して、標的細胞におけるPD-L1の阻害の改善、又は肝臓と脾臓との間の細胞分布の改善、又はコンジュゲートオリゴヌクレオチドの肝臓への細胞への取り込みの改善を呈する、実施形態63から76に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
【0385】
81. 実施形態1から62に記載のオリゴヌクレオチド、又は実施形態63から80に記載のコンジュゲート、ならびに医薬的に許容される希釈剤、担体、塩及び/又は補助剤を含む、医薬組成物。
【0386】
82. ヌクレオチド単位を反応させ、それにより、そのオリゴヌクレオチド内に含有されている共有結合の連続ヌクレオチド単位を形成することを含む、実施形態1から62に記載のオリゴヌクレオチドの製造方法。
【0387】
83. 連続ヌクレオチド配列を非ヌクレオチド結合部分と反応させることを、更に含む、実施形態82に記載の方法。
【0388】
84. オリゴヌクレオチドを医薬的に許容される希釈剤、担体、塩及び/又は補助剤と混合することを含む、実施形態81に記載の組成物の製造方法。
【0389】
85. PD-L1を発現する標的細胞内でのPD-L1の発現を調節するためのインビボ又はインビトロ方法であって、前記方法が、有効量の実施形態1から62に記載のオリゴヌクレオチド、又は実施形態63から80に記載のコンジュゲート、又は実施形態81に記載の医薬組成物を前記細胞に投与することを含む、前記方法。
【0390】
86. 治療的もしくは予防的有効量の実施形態1から62に記載のオリゴヌクレオチド、又は実施形態63から80に記載のコンジュゲート、又は実施形態81に記載の医薬組成物を、疾患に罹患しているか又は罹患しやすい被験者に投与することを含む、疾患の治療又は防止方法。
【0391】
87. 治療的もしくは予防的有効量の実施形態63から80に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート、又は実施形態1から62に記載のオリゴヌクレオチド、又は実施形態81に記載の医薬組成物を、ウイルス又は寄生虫に感染した被験者に投与することを含む、ウイルスもしくは寄生虫に対する免疫回復法。
【0392】
88. 免疫性の回復が、対照と比較して、肝臓における1以上のHBV抗原に対して特異的なCD8+T細胞の増加である、実施形態87に記載の方法。
【0393】
89. 被験者における疾患の治療又は防止用の薬品として使用するための、実施形態1から62に記載のオリゴヌクレオチド、又は実施形態63から80に記載のコンジュゲート、又は実施形態81に記載の医薬組成物。
【0394】
90. 被験者における疾患の治療又は防止用の薬品を調製するための、実施形態1から62に記載のオリゴヌクレオチドの使用、又は実施形態63から80に記載のコンジュゲートの使用。
【0395】
91. ウイルスもしくは寄生虫に対する免疫性の回復に使用するための、実施形態1から62に記載のオリゴヌクレオチド、又は実施形態63から80に記載のコンジュゲート、又は実施形態81に記載の医薬組成物。
【0396】
92. 免疫性の回復が、対照と比較して、肝臓における1以上のHBV抗原に対して特異的なCD8+T細胞の増加である、実施形態91に記載の使用。
【0397】
93. HBV抗原がHBs抗原である、実施形態92に記載の使用。
【0398】
94. 疾患がPD-L1のインビボ活性に関連するものである、実施形態86から93に記載の方法、オリゴヌクレオチド又は使用。
【0399】
95. 疾患が、抗原提示細胞におけるPD-L1の発現の増加と関連するものである、実施形態86から94に記載の方法、オリゴヌクレオチド又は使用。
【0400】
96. PD-L1が、実施形態1から62に記載のオリゴヌクレオチド、又は実施形態63から80に記載のコンジュゲート、又は実施形態81に記載の医薬組成物での治療を受けない場合の発現又はその処置前の発現と比較して少なくとも30%、又は少なくとも40%、又は少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%低減される、実施形態95に記載の方法、オリゴヌクレオチド又は使用。
【0401】
97. 疾患が、ウイルス性肝炎感染症又は寄生虫感染症から選択される、実施形態86から95に記載の方法、オリゴヌクレオチド又は使用。
【0402】
98. ウイルス感染がHBV、HCV又はHDVである、実施形態98に記載の方法、オリゴヌクレオチド、又は使用。
【0403】
99. 疾患が慢性HBVである、実施形態86から95に記載の方法、オリゴヌクレオチド、又は使用。
【0404】
100. 寄生虫感染症が、マラリア、トキソプラズマ症、リーシュマニア症又はトリパノソーマ症である、実施形態98に記載の方法、オリゴヌクレオチド、又は使用。
【0405】
101. 被験者が哺乳動物である、実施形態86から100に記載の方法、オリゴヌクレオチド、又は使用。
【0406】
102. 哺乳動物がヒトである、実施形態101に記載の方法、オリゴヌクレオチド、又は使用。
【実施例0407】
材料と方法
モチーフ配列及びオリゴヌクレオチド化合物
【0408】
【0409】
【0410】
【0411】
【0412】
【0413】
【0414】
【0415】
【0416】
【0417】
【0418】
【0419】
【0420】
【0421】
【0422】
【0423】
【0424】
【0425】
【0426】
【0427】
モチーフ配列は、オリゴヌクレオチド中に存在する核酸塩基の連続配列を表す。
【0428】
デザインは、ギャップマーデザインF-G-F’を指す。各数字は連続した修飾ヌクレオシドの数を表す。2’修飾ヌクレオシド(第1の数=5’側面)、続いてDNAヌクレオシドの数(第2の数=ギャップ領域)、続いて修飾ヌクレオシドの数(例えば、標的核酸に相補的である連続した配列の一部ではないDNA及びLNAの更なる反復領域が先行するか又はその後に続く、2’修飾ヌクレオシド(第3の数=3’側面)を含む。
【0429】
オリゴヌクレオチド化合物は、モチーフ配列の特定の設計を表す。大文字はβ-D-オキシLNAヌクレオシドを表し、小文字はDNAヌクレオシドを表す。全てのLNA Cは5-メチルシトシンであり、全てのヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0430】
【0431】
モチーフ配列は、オリゴヌクレオチド中に存在する核酸塩基の連続配列を表す。
【0432】
デザインは、ギャップマーデザインF-G-F’を指す。各数字は連続した修飾ヌクレオシドの数を表す。2’修飾ヌクレオシド(第1の数=5’側面)、続いてDNAヌクレオシドの数(第2の数=ギャップ領域)、続いて修飾ヌクレオシドの数(例えば、標的核酸に相補的である連続した配列の一部ではないDNA及びLNAの更なる反復領域が先行するか又はその後に続く2’修飾ヌクレオシド(第3の数=3’側面)を含む。
【0433】
オリゴヌクレオチド化合物は、モチーフ配列の特定の設計を表す。大文字はβ-D-オキシLNAヌクレオシドを表し、小文字はDNAヌクレオシドを表す。全てのLNA Cは5-メチルシトシンであり、全てのヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0434】
【0435】
大文字はβ-D-オキシLNAヌクレオシドを表し、小文字はDNAヌクレオシドを表す。全てのLNA Cは5-メチルシトシンであり、添え字oはホスホジエステルヌクレオシド間結合を表し、別段の定めがない限り、他のヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0436】
【0437】
GN2は、
図3に示す3価のGalNAc集落を表し、C6は、6個の炭素を有するアミノアルキル基を表し、大文字はβ-D-オキシLNAヌクレオシドを表し、小文字はDNAヌクレオシドを表す。全てのLNA Cは5-メチルシトシンであり、添え字oはホスホジエステルヌクレオシド結合を表し、別段の定めがない限り、ヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。幾つかの分子を表す化学図面は、
図4から
図8に示す。
【0438】
AAV/HBVマウスモデル
パスツールモデル:
パスツール研究所(Institut Pasteur)で、HLA-A2.1-/HLA-DR1-トランスジェニックH-2クラスI-/クラスII-ノックアウトマウス(本明細書中ではHLA-A2/DR1マウスと呼ばれる)を作成し、飼育した。これらのマウスは、マウスMHC応答に何ら干渉することのない、ヒト免疫機能試験用のインビボ実験モデルである(Pajot et al 2004 Eur J Immunol.34(11): 3060-9)。
【0439】
これらの研究では、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、複製能HBV DNAゲノムを保有するAAV血清型2/8を使用した。AAV-HBVベクター(バッチGVPN#6163)を、5×1011vg/mLの力価に達するように滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈した。この希釈溶液100μL(用量/マウス:5×1010vg)を、マウスの尾静脈に静脈内(i.v.)注射した。HBV-キャリアマウスの血液中に、HBV DNAを含有する完全なウイルス粒子が検出された。血中HBV循環タンパク質HBe抗原及びHBs抗原と共に、肝臓においてHBc抗原が最大1年間検出された。全てのAAV2/8-HBV形質導入マウスにおいて、血清中のHBs抗原、HBe抗原、及びHBV DNAが少なくとも1年間持続した(Dion et al 2013 J Virol 87: 5554-5563)。
【0440】
上海モデル:
このモデルでは、HBVゲノム(AAV/HBV)を保有する組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)で感染したマウスは、30週間を超えて安定なウイルス血症及び抗原血症を維持する(Dan Yang, et al. 2014 Cellular & Molecular Immunology 11, 71-78)。
【0441】
特異的な病原体を含まない雄のC57BL/6マウス(4~6週齢)を、SLAC(Shanghai Laboratory Animal Center of Chinese Academy of Sciences)から購入し、動物飼育施設の個別換気ケージに収容した。WuXi IACUC(所内動物実験委員会、WUXI IACUCプロトコール番号R20131126-Mouse)に指示されている動物の飼育・利用に関するガイドラインを遵守した。マウスを3日間新しい環境に順応させ、実験的デザインに従って分類した。
【0442】
組み換えAAV-HBVを、PBS(注射当たり200μL)で希釈した。この組み換えウイルスは、HBVゲノム(遺伝子型D、血清型ayw)の1~3コピーを保有する。
【0443】
0日目に、全てのマウスの尾静脈に、200μLのAAV-HBVを注射した。AAV注射後の6日目、13日目及び20日目に、全てのマウスを顎下で採血し(0.1ml血液/マウス)、血清を採取した。注射後22日目に、ウイルス血症が安定なマウスにおけるオリゴヌクレオリゴヌクレオチド処置の準備が整った。オリゴヌクレオチドは、非結合型又はGalNAc結合型とすることができる。
【0444】
DNAワクチン
プラスミドDNAは、エンドトキシン不含で、Plasmid-Factory(Germany)で製造された。pCMV-S2.Sは、HBs抗原(遺伝子型D)のプレS2ドメイン及びSドメインをコードし、その発現はサイトメガロウイルス即時初期遺伝子プロモーターによって制御される(Michel et al 1995 Proc Natl Acad Sci U S A 92: 5307-5311)。pCMV-HBcは、肝炎コア(HBc)抗原を保有するHBVキャプシドをコードする(Dion et al 2013 J Virol 87: 5554-5563)。
【0445】
ここに記載されているように、DNAワクチンでの治療を行った。ワクチン接種の5日前に、カルジオトキシン(CaTx、Latoxan refL81-02、50μl/筋肉)を、マウスの筋肉に注射した。CaTxは、筋肉線維を脱分極させて細胞変性を誘導し、注射後5日目には新しい筋繊維が現われ、DNAワクチンの投与によって、トランスフェクション効果を改善するものである。pCMV-S2.S ayw及びpCMVCoreをそれぞれ1mg/mlで等量で混合し、以前にMichel et al 1995 Proc Natl Acad Sci U S A 92:5307-5311に記載されているように、麻酔(100μLの12.5mg/mLケタミン、1.25mg/mLキシラジン)下、カルジオトキシン処理した前脛骨筋への両側筋肉注射によって合計100μgを各マウスに投与した。
【0446】
抗PD-L1抗体
これは、Genetech社で内部的に産生されたマウス抗マウスPD-L1 IgG1抗体クローン6E11であり、Atezolizumabをブロックし、同様のインビトロでのブロッキング活性を有する代理抗体であり、ロッシュ(Roche)で内部的に産生されるアテゾリズマブである。抗体は、12.5μg/gの用量で腹腔内(i.p.)注射によって投与された。
【0447】
オリゴヌクレオチド合成
オリゴヌクレオチド合成は、当該技術分野において概ね公知である。以下は適用可能なプロトコールである。本発明のオリゴヌクレオチドは、使用される器具、支持体及び濃度の点で僅かに変化する方法によって製造されたものであってもよい。
【0448】
Oligomaker 48上でホスホルアミダイト法を使用して、ウリジンユニバーサル支持体上で、1μmolスケールでオリゴヌクレオチドを合成する。合成終了時に、オリゴヌクレオチドを、水性アンモニアを使用して60℃で5~16時間、固体支持体から開裂させる。オリゴヌクレオチドは、逆相HPLC(RP-HPLC)又は固相抽出によって精製され、UPLCによって特徴付けられ、分子量はESI-MSによって更に確認される。
【0449】
オリゴヌクレオチドの伸張:
5’-O-DMT保護アミダイトのアセトニトリル溶液(0.1M)、及びDCI(4,5-ジシアノイミダゾール)のアセトニトリル溶液(0.25M)を活性化剤として使用して、β-シアノエチル-ホスホラミダイト(DNA-A(Bz)、DNA-G(ibu)、DNA-C(Bz)、DNA-T、LNA-5-メチル-C(Bz)、LNA-A(Bz)、LNA-G(dmf)、又はLNA-T)のカップリングを行った。最終サイクル用に、所望の修飾を有するホスホラミダイトを使用できる。結合基を結合させるためのC6リンカー、又は結合基である。ホスホロチオエート結合の導入のためのチオール化は、水素化キサンタン(アセトニトリル/ピリジン9:1中0.01M)を使用して実施する。フォスフォジエステル結合は、THF/ピリジン/水(7:2:1)中の0.02Mヨウ素を使用して導入できる。残りの試薬は、オリゴヌクレオチドの合成に典型的に使用される試薬である。
【0450】
固相合成後の結合に備えて、市販のC6アミノリンカーホスホルアミダイトを固相合成の最後のサイクルで使用して、脱保護及び固体支持体からの開裂の後、アミノ結合脱保護オリゴヌクレオチドを単離させることができる。標準的な合成方法を使用することで、官能基の活性化を介してコンジュゲートが導入される。
【0451】
あるいは、国際出願PCT/EP2015/073331号明細書又は欧州特許出願公開第15194811.4号明細書に記載されているように、GalNAc-もしくはGalNAc集落のホスホラミダイトを用いることにより、結合部分を依然として固体支持体上に存在させながら、オリゴヌクレオチドに添加させることが可能である。
【0452】
RP-HPLCによる精製:
粗化合物を、Phenomenex Jupiter C18の10μ150×10mmカラムでの分取RP-HPLCによって精製する。0.1M酢酸アンモニウムpH8及びアセトニトリルを、5mL/分の流速で緩衝液として使用する。収集した画分を凍結乾燥して、典型的には白色固体として精製化合物を得る。
【0453】
略語:
DCI:4,5-ジシアノイミダゾール
DCM:ジクロロメタン
DMF:ジメチルホルムアミド
DMT:4,4’-ジメトキシトリチル
THF:テトラヒドロフラン
Bz:ベンゾイル
Ibu:イソブチリル
RP-HPLC:逆相高速液体クロマトグラフィー
【0454】
Tmアッセイ
オリゴヌクレオチド及びRNA標的(リン酸結合、PO)二本鎖を、500mlのRNアーゼ不含水中で3mMに希釈し、500mlの2×Tm緩衝液(200mMのNaCl、0.2mMのEDTA、20mMのリン酸ナトリウム、pH7.0)と混合する。溶液を95℃で3分間加熱し、次いで室温で30分間アニールさせる。PE Templabソフトウェア(Perkin Elmer)を用いたPeltier温度プログラマーPTP6を備えたLambda 40 UV/VIS分光光度計で、二本鎖融解温度(Tm)を測定する。温度を20℃から95℃まで上昇させ、次いで25℃まで下げ、260nmで吸収を記録する。一次導関数、ならびに融解及びアニーリングの両方の極大値を使用して、二本鎖Tmを評価する。
【0455】
組織特異的インビボリンカー開裂アッセイ
試験される生体開裂性リンカー(例えば、DNAホスホジエステルリンカー(POリンカー))を有するFAM標識オリゴヌクレオチドは、関連する組織(例えば、肝臓又は腎臓)及び血清のホモジネートを使用してインビトロで開裂される。
【0456】
組織及び血清試料を好適な動物(例えば、マウス、サル、ブタ又はラット)から収集し、ホモジナイゼーション緩衝液(0.5%のIgepal CA-630、25mMのTris pH8.0、100mMのNaCl、pH8.0(1規定のNaOHで調整)。組織ホモジェネート及び血清を200μg/g組織の濃度までオリゴヌクレオチドでスパイクした。試料を37℃で24時間インキュベートし、その後、試料をフェノール-クロロホルムで抽出する。Dionex DNApac p-100カラム及び10mM~1Mの過塩素酸ナトリウム(pH7.5)の勾配を用い、Dionex Ultimate 3000で、この溶液のAIE HPLC分析を行う。蛍光検出器(615nm)及びUV検出器(260nm)の両方を使用して、標準物質に対する開裂及び非開裂オリゴヌクレオチドの含量を定量する。
【0457】
S1ヌクレアーゼ感受性アッセイ
S1ヌクレアーゼ感受性リンカー(例えば、DNAリン酸ジエステルリンカー(POリンカー))を用いたFAM標識オリゴヌクレオチドを、S1ヌクレアーゼ抽出物又は血清中でインビトロ開裂させる。
【0458】
ヌクレアーゼ緩衝液(60U/100μL)中のS1ヌクレアーゼで、100μMのオリゴヌクレオチドに対してインビトロ開裂を20分間及び120分間行う。緩衝液にEDTAを加えることによって酵素活性を中断させる。Dionex DNApac p-100カラム及び10mM~1Mの過塩素酸ナトリウム(pH7.5)の勾配を用い、Dionex Ultimate 3000で、この溶液のAIE HPLC分析を行う。蛍光検出器(615nm)及びUV検出器(260nm)の両方を使用して、標準物質に対する開裂及び非開裂オリゴヌクレオチドの含量を定量する。
【0459】
肝臓単核細胞の調製
Tupin et al 2006 Methods Enzymol 417: 185-201に記載されている方法に若干の修正を加えて、AAV/HBVマウス由来の肝細胞を調製した。安楽死させた後のマウスの肝臓に、G25ニードル付きのシリンジを使用して、門脈経由で滅菌PBS10mlを灌流させた。臓器が蒼白のときは、その臓器を、ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)(GIBCO(登録商標)HBSS、24020)+5%の胎児牛胎仔血清(FCS)で採取した。採取された肝臓を100μm細胞ストレーナー(BD Falcon、352360)に通してゆっくりと加圧し、30mlのHBSS+5%FCS中に細胞を懸濁させた。細胞懸濁液を5分間50gで遠心分離させた後、上清を4℃にて10分間289gで遠心分離させた。遠心分離後、上清を捨て、ペレットを35%等張パーコール溶液(GE Healthcare Percoll#17-0891-01、RPMI 1640(GIBCO, 31870)に希釈)中で室温にて15ml単位で再懸濁させ、15mlチューブに移した。細胞を更に室温にて25分間1360gで遠心分離させた。上清を吸引により捨て、単核細胞を含有するペレットを、HBSS+5%FCSで2回洗浄した。
【0460】
10%のFCS(Hyclone, #SH30066、ロットAPG21570)、100U/mLのペニシリン+100μg/mLのストレプトマイシン+0.3mg/mLのL-グルタミン(Gibco, 10378)、1×非必須アミノ酸(Gibco, 11140)、10mMのHepes(Gibco, 15630)、1mMのピルビン酸ナトリウム(Gibco, 11360)及び50μMのβ-メルカプトエタノール(LKB, 1830))を補給したα最小必須培地(Gibco, 22571)からなる完全培地中で、細胞を培養した。
【0461】
細胞の表面標識
細胞をU底96ウェルプレート中に播種し、PBS FACS(1%ウシ血清アルブミンと0.01%アジ化ナトリウムとを含有するPBS)で洗浄した。ラット抗マウスCD16/CD32抗体と生存マーカーLDフィクサブルイエロー(Thermofisher, L34959)とを含有する5μLのPBS FACSで、4℃の暗所で細胞を10分間インキュベートした。次いで、NK P46 BV421(ラットMab抗マウスNK P46、Biolegend、137612)及びF4/80(ラットMab抗マウスF4/80 FITC、BD Biolegend, 123108)に対するモノクローナル抗体(Mab)を含有する25μLのPBS FACSで4℃の暗所にて細胞を20分間染色し、また、2つの補足的面マーカー:PDL1(ラットMab抗マウスPD1 PE、BD Biosciences, 551892)及びPDL1(ラットMab抗マウスPDL1 BV711、Biolegend, 124319)を添加した。
【0462】
細胞内サイトカイン染色(ICS)アッセイ
脾細胞及び肝臓単核細胞の両方でICSアッセイを実施した。細胞をU底96ウェルプレートに播種した。細胞を入れたプレートを、陰性対照としての完全培地単独で、又は表9に記載のペプチドとの併用のいずれかで、37℃にて2μg/mlの濃度で一晩インキュベートした。インキュベーションの1時間後に、2μg/mLのブレフェルジンA(Sigma, B6542)を添加した。
【0463】
一晩培養した後の細胞をPBS FACSで洗浄し、ラット抗マウスCD16/CD32抗体と生存マーカーLD定着性黄色(Thermofisher, L34959)とを含有する5μLのPBS FACSと共に、4℃の暗所で10分間インキュベートした。次いで、4℃の暗所にて、Mabを含有するPBS FACS25μLで細胞を20分間染色した。この混合物は、CD3(ハムスターMab抗マウスCD3-PerCP、BD Biosciences, 553067)、CD8(ラットMab抗マウスCD8-APC-H7、BD Biosciences, 560182)、CD4マウスCD4-PE-Cy7、BD Biosciences, 552775)及びNK細胞(Rat Mab抗マウスNK P46 BV421、Biolegend, 137612)に対するモノクローナル抗体で構成されていた。細胞を数回の洗浄後に固定し、室温の暗所にてCytofix/Cytopermで20分間透過化処置してから、4℃にてPerm/Wash溶液(BD Biosciences, 554714)で洗浄した。
【0464】
4℃の暗所で、IFNγ(ラットMab抗マウスIFNγ-APC、クローンXMG1.2、BD Biosciences、554413)及び腫瘍壊死因子α(TNFα)(ラットMab抗マウスTNFα-FITC、クローンMP6-XT22;1/250(BD Biosciences 554418)に対する抗体で、細胞内サイトカインを30分間染色した。MACSQuant Analyzerを使用してフローサイトメトリーで分析するに先立ち、細胞をPerm/Washで洗浄し、1%ホルムアルデヒド含有のPBS FACS中に再懸濁させた。
【0465】
生存細胞CD3+CD8+CD4-及びCD3+CD8-CD4+をゲートし、ドットプロット上に提示した。各サイトカインの陽性細胞に対して2つの領域をゲートするように定義した。これらゲート内の事象の検出数を親の母集団内の事象総数で除算して、T細胞の応答率を算出した。各マウスについて、培地単独で得られたパーセンテージをバックグラウンドと見なし、これをペプチド刺激で得られたパーセンテージから減算した。
【0466】
実験のバックグラウンド(すなわち、培地単独状態と2つの標準偏差における、群毎に得られた染色細胞の平均パーセンテージ)に従って、陽性の閾値を定義した。少なくとも5つの事象を表すサイトカインのパーセンテージのみを、陽性と見なした。
【0467】
【0468】
実施例1:インビトロ有効性の試験
主として16~20merのギャプマーを使用して、ヒトPD-L1転写産物全体に対して遺伝子ウォーク(gene walk)を実施した。有効性試験は、ヒト白血病単球細胞系統THP1及びヒト非ホジキンリンパ腫細胞系統(KARPAS-299)における、インビトロ実験で行った。
【0469】
細胞系統
THP1及びKarpas-299細胞系統は、当初ECACC(European Collection of Authenticated Cell Cultures)から購入し、加湿インキュベーター内で、供給者が推奨するように37℃にて5%CO2で維持した。
【0470】
オリゴヌクレオチドの効果
THP-1細胞(RPMI-GLutamax中3.104、10%FBS、1%Pen-Strep(Thermo Fisher Scientific)をオリゴヌクレオチド(4~5μl)に添加し、これを96ウェル丸底プレートに入れ、最終容量100μl/ウェルで6日間培養した。オリゴヌクレオチドを、単一濃度(20μM)にて、及び25μM~0.004μM(1:3希釈の水溶液)の用量範囲濃度にて、スクリーニングした。MagNA Pure 96 Cellular RNA Large Volume Kit(MagNA Pure 96 System(Roche Diagnostics))をメーカーの指示に従って使用して、総mRNAを抽出した。遺伝子発現解析用に、内因性対照として使用されるヒトPDL1及びACTBを標的化する予備設計済のTaqmanプライマー(Thermo Fisher Scientific)を用い、QuantStudioマシン(Applied Biosystems)で、TaqMan RNA-to-ct1-Stepキット(Thermo Fisher Scientific)を使用してRT-qPCRを行った。相対的なPD-L1のmRNA発現レベルは、2ΔΔC(T)(2(-Delta Delta C(T)))法及び対照試料(非処置細胞)と比較した割合(%)としての阻害パーセンテージを使用して計算された。
【0471】
Karpas-299細胞を、RPMI 1640、2mMグルタミン及び20%FBS(Sigma)中で培養した。この細胞を96ウェルプレートに10000細胞/ウェルで播種し、24時間インキュベートした後、PBS中に溶解させたオリゴヌクレオチドを添加した。オリゴヌクレオチドの最終濃度は、単回用量5μM、最終培養容量にて100μl/ウェル、あるいは、100μL培養容量中、50μM、15.8μM、5.0μM、1.58μM、0.5μM、0.158μM、0.05μM、0.0158μMの範囲用量反応で添加した。オリゴヌクレオチド化合物を添加した後の3日目に細胞を採取し、PureLink Pro 96 RNA Purificationキット(Ambion)をメーカーの指示に従って使用して、RNAを抽出した。M-MLT逆転写酵素、RETROscript、RNアーゼ阻害剤(Ambion)及び100mMのdNTPセット(Invitrogen, PCR Grade)を使用してcDNAを合成した。遺伝子発現解析用に、PD-L1(Applied Biosystems; Hs01125299_m1)及びTBP(Applied Biosystems; 4325803)用のTaqManプライマーアッセイを用いたデュプレックスセットアップで、TaqMan Fast Advanced Master Mix(2X)(Ambion)を使用してqPCRを行った。相対的なPD-L1のmRNA発現レベルを対照試料(PBS中で処置された細胞)の%として、表10に示す。
【0472】
【0473】
【0474】
【0475】
【0476】
【0477】
【0478】
【0479】
【0480】
【0481】
【0482】
【0483】
【0484】
【0485】
【0486】
【0487】
【0488】
【0489】
【0490】
【表10-19】
【表10-20】
【表10-21】
【0491】
実施例2 - 用量応答曲線におけるインビトロ有効性の試験
表10から選択されたオリゴヌクレオチドを、KARPAS-299細胞にて、半対数(half-log)連続希釈PBS溶液(50μM、15.8μM、5.0μM、1.58μM、0.5μM、0.158μM、μM、0.05μM、0.0158μMのオリゴヌクレオチド)を用いて試験し、実施例1に記載のインビトロ有効性アッセイにおいて評価した。IC50及び最大の阻害(残渣%PD-L1発現量)オリゴヌクレオチドについて評価した。
【0492】
GraphPad Prism6で、EC50の計算を行った。表11に、IC50及び最大PD-L1ノックダウンレベルを、対照(PBS)処置済細胞の%として示す。
【0493】
【0494】
【0495】
【0496】
表6から選択されたオリゴヌクレオチドを、実施例1に記載のインビトロ有効性アッセイにおいて、水25μM~0.004μMでの1:3連続希釈を用い、THP-1細胞における試験を行った。IC50及び最大の阻害(残存PD-L1発現率)をオリゴヌクレオチドについて評価した。
【0497】
GraphPad Prism6で、EC50の計算を行った。IC50及び最大PD-L1ノックダウンレベルは、対照(PBS)の処置済み細胞の%として表12に示してある。
【0498】
【0499】
表7及び表8の結果はまた、配列番号:1のPD-L1プレmRNAを標的化するそれらの位置に関しても
図2に示してある。
【0500】
このことから、ほとんど全ての化合物では、EC50値が1μM未満であり、且つ標的ノックダウンが対照細胞(生理食塩水で処置されたもの)においてPD-L1発現レベルの25%を下回っていることが分かる。
【0501】
実施例3 - 裸型の、及びGalNAc結合型のPD-L1アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用した、ポリ(I:C)誘導マウスにおける、インビトロ効力及び有効性ならびにインビボPD-L1低減
有効性及び効能試験は、表6のオリゴヌクレオチドを使用して、MCP-11細胞における用量応答研究におけるインビトロ実験で行った。同じオリゴヌクレオチド、ならびにGalNAc結合型バージョン(表8のCMP ID番号755_2~765_2)が、ポリ(I:C)誘発C57BL/6J雌マウスにおけるPD-L1のmRNA及びタンパク質の発現を低減させる能力を、インビボで試験した。
【0502】
インビトロアッセイ
10%ウマ血清、2mMのL-グルタミン、0.025mg/mlゲンタマイシン及び1mMのピルビン酸ナトリウムを補給したDMEM(Sigmaカタログ番号D0819)中に懸濁させたMCP-11細胞(当初ATCCから購入)を、96ウェル丸底プレート中のオリゴヌクレオチド(10μl)に8000細胞/ウェルの密度で加えて、5%CO2を含む37℃の加湿インキュベーター内で200μl/ウェルの最終容量で3日間培養した。オリゴヌクレオチドを用量範囲濃度(50μM、15.8μM、5.0μM、1.58μM、0.5μM、0.158μM、0.05μM及び0.0158μM)でスクリーニングした。
【0503】
PureLink Pro 96 RNA精製キット(Ambion)をメーカーの指示に従って使用して、総mRNAを抽出し、M-MLT逆転写酵素、ランダムデカマーRETROscript、RNアーゼ阻害剤(Ambion)及び100mM dNTPセット(Invitrogen, PCR Grade)をメーカーの指示に従って使用して、cDNAを合成した。遺伝子発現解析用に、PD-L1(Thermo Fisher Scientific; FAM-MGB Mm00452054-m1)及びGusb(Thermo Fisher Scientific; VIC-MGB-PL Mm01197698-m1)のTaqManプライマーアッセイを用いたデュプレックスセットアップで、TaqMan Fast Advanced Master Mix(2X)(Ambion)を使用してqPCRを行った。表9に、相対的PD-L1のmRNA発現レベルを、PBS対照試料の%(PBS処置済細胞)中の残渣PD-L1発現量の%として示す。GraphPad Prism6で、EC50の計算を行った。表13に、EC50及び最大PD-L1ノックダウンレベルを、対照(PBS)細胞の%として示す。
【0504】
インビボアッセイ
マウスPD-L1に対する5mg/kgの非結合オリゴヌクレオチド、又はマウスPD-L1に対する2.8mg/kgのGalNAc結合型オリゴヌクレオチドを、C57BL/6J雌マウス(20~23g;1群当たり5匹のマウス)に皮下注射した。3日後、10mg/kgポリ(I:C)(LWM、Invivogen)を、マウスに静脈内注射した。ポリ(I:C)注射後5時間目にマウスを屠殺し、肝臓試料をRNA抽出用のRNAlater(Thermo Fisher Scientific)に入れるか、又はタンパク質抽出に備えてドライアイスで凍結させた。
【0505】
PureLink Pro 96 RNA Purificationキット(Ambion)をメーカーの指示に従って使用して、ホモジナイズされた肝臓試験から総mRNAを抽出した。M-MLT逆転写酵素、ランダムデカマーRETROscript、RNアーゼ阻害剤(Ambion)及び100mMのdNTPセット(Invitrogen, PCR Grade)をメーカーの指示に従って使用して、cDNAを合成した。遺伝子発現解析用に、PD-L1のmRNA(Thermo Fisher Scientific;FAM-MGB Mm00452054-m1)及びTBP(Thermo Fisher Scientific;VIC-MGB-PL Mm00446971_m1)用のTaqManプライマーアッセイを用いたデュプレックスセットアップで、TaqMan(登録商標)Fast Advanced Master Mix TaqMan Fast Advanced Master Mix(2X)(Ambion)を使用してqPCRを行った。表13に、PD-L1のmRNAの相対的な発現レベルを、生理食塩水及びポリ(I:C)を注射されたマウス由来の対照試料の%として示す。
【0506】
1×停止プロテアーゼインヒビターカクテル、EDTA不含(Thermo Fisher Scientific)と混合した100mgの組織T-PER(登録商標)組織タンパク質抽出試薬(Thermo Fisher Scientific)当たり2mlの肝臓試料をホモジナイズして、肝臓ホモジネートを調製した。クーマシープラス(Bradford)アッセイ試薬(Thermo Scientific)をメーカーの指示に従って使用して、肝臓ホモジネート中のタンパク質濃度を測定した。iBLOT乾式ブロッティングシステム(Thermo Fisher Scientific)をメーカーの指示に従って使用して、1×MOPS泳動緩衝液中、4~12%のBis-Tris Plusポリアクリルアミドゲル(Thermo Fisher Scientific)上で、肝臓ホモジネート(タンパク質40μg)を分離させ、これをニトロセルロース膜に移した。各ブロットを、64kDaのバンドにて水平に2つの部分に切断した。膜を5%スキムミルクと0.05%のTween20とを含有するTBS中でブロッキングした後、1:10000希釈したウサギモノクローナル抗ビンキュリン(Abcamカタログ番号ab129002)(上側の膜)、又は5%スキムミルクと0.05%のTween20とを含有するTBS中で1:1000に希釈したヤギポリクローナル抗mPD-L1(R&D Systemsカタログ番号AF1019)(下側の膜)と共に、4℃で一晩インキュベートした。膜を0.05%のTween20を含有するTBS中で洗浄してから、1:3000に希釈されたHRP結合ブタ抗ウサギIgG(DAKO)、又は5%スキムミルクと0.05%のTween20とを含有するTBS中で1:2000に希釈されたHRP結合ウサギ抗ヤギIgG(DAKO)に、室温で1時間曝露させた。膜を洗浄した後、ECL Select(Amersham GE Healthcare)を使用して反応性を検出した。オリゴヌクレオチドで処置された群毎に、ビンキュリンバンドに対するPD-L1バンドの強度を、生理食塩水及びポリ(I:C)(対照)を注射されたマウスのPD-L1/ビンキュリンバンド強度と比較して評価した。結果を表13に示し、裸型オリゴヌクレオチド及び結合オリゴヌクレオチドの対を使用したウェスタンブロットを
図9A~
図9Eに示す。
【0507】
【0508】
表13のデータから分かるように、オリゴヌクレオチドのGalNAc結合によってインビボPD-L1の低減が改善されることが明らかである。mRNAの低減は概ね、PD-L1タンパク質の低減と相関する。CMP ID番号:754_1を除き、インビトロでのEC50値が低いことは、いったんオリゴヌクレオチドがGalNAcに結合された後に、インビボPD-L1mRNAの低減が良好であることが概ね反映されている。
【0509】
実施例4-ポリ(I:C)誘導マウス由来の選別された肝細胞及び非実質細胞におけるインビボPK/PD
ポリ(I:C)誘導マウスから単離された肝細胞及び非実質細胞における、裸型オリゴヌクレオチド及びGalNAc結合型オリゴヌクレオチドの分布、及びPD-L1mRNAの低減を調べた。
【0510】
マウスPD-L1のmRNAを標的化する5mg/kgの非結合オリゴヌクレオチド(748_1)又は7mg/kgのGalNAc結合型オリゴヌクレオチド(759_2)を、C57BL/6J雌マウスに皮下注射した(1群当たりn=3)。2日後、15mg/kgポリ(I:C)(LWM、InvivoGen)を、マウスに腹腔内注射した。マウスをポリ(I:C)注射後18~20時間麻酔し、肝臓を15mMのHepesと0.38mMのEGTAを含有するハンクス平衡塩類溶液を使用して、毎分7mlの流速で5分間灌流させた。続いて、0.17mg/mlコラゲナーゼ2型(Worthington 4176)、0.03%BSA、3.2mMのCaCl2及び1.6g/lのNaHCO3を含むコラゲナーゼ溶液(ハンクス平衡塩類溶液)で12分間洗浄した。灌流後、肝臓を摘出し、肝臓嚢を開き、ウィリアムスE培地を使用して肝臓懸濁液を70μmの細胞濾過器で濾過し、以後の分析に備えて細胞懸濁液(=混合肝細胞)のアリコートを摘出した。残りの細胞懸濁液を、50×gで3分間遠心分離した。後で非実質細胞を精製するため、上清を回収した。ペレットを25mlのウィリアムE培地(Sigmaカタログ番号W1878:1×Pen/Strep、2mMのL-グルタミン及び10%FBS(ATCC#30-2030)を補給したもの)中に再懸濁させ、90%パーコールと肝細胞とを含有する25mlのウィリアムE培地と混合し、50×gで10分間遠心分離して肝細胞を沈殿させた。ウィリアムE培地で2回洗浄した後、沈殿した肝細胞をウィリアムE培地中に再懸濁させた。非実体細胞を含有する上清を500×gで7分間遠心分離し、細胞をRPMI培地4ml中に再懸濁させて、2つのパーコール層(25%及び50%パーコール)に通して30分間1800×gで遠心分離した。2つのパーコール層間の非実体細胞が回収された後、細胞を洗浄し、RPMI培地中に再懸濁した。
【0511】
PureLink Pro 96 RNA Purificationキット(Ambion)をメーカーの指示に従って使用して、精製肝細胞、非実質細胞、及び総肝臓懸濁液(非分画肝細胞)から総mRNAを抽出した。M-MLTリバーストランスクリプターゼ、ランダムデカマーRETROscript、RNアーゼ阻害剤(Ambion)、及び100mMのdNTPセット(Invitrogen, PCR Grade)を、メーカーの指示に従って使用して、cDNAを合成した。遺伝子発現解析用に、PD-L1(Thermo Fisher Scientific; FAM-MGB Mm00452054-m1)及びTBP(Thermo Fisher Scientific; VIC-MGB-PL Mm00446971_m1)のTaqManプライマーアッセイを用いたデュプレックスセットアップで、TaqMan Fast Advanced Master Mix(2X)(Ambion)を使用してqPCRを行った。表10に、PD-L1のmRNAの相対的な発現レベルを、生理食塩水及びポリ(I:C)を注射されたマウス由来の対照試料の%として示す。
【0512】
配列5’-TACCGT-s-Bio-3’を有するビオチン化捕捉プローブ、及び配列5’-DIG-C12-S1-CCTGTG-3’を有するジゴキシゲニン結合検出プローブを用いたELISAを使用して、オリゴヌクレオチド内容物の分析を行った。プローブは、ホスホジエステル骨格を有するLNAのみからなっていた。5mm径ステンレススチールビーズ1個を含む2mLエッペンドルフチューブ中のMagNa純粋溶解緩衝液(Rocheカタログ番号03604721001)1.4mL中で、肝臓試料(約50mg)をホモジナイズした。均一な溶解物が得られるまで、Retsch MM400ホモジナイザー(Merck Eurolab)で試料をホモジナイズした。試料を室温で30分間インキュベートした。規定濃度の非結合アンチセンスオリゴヌクレオチド化合物(CMP ID番号748_1)を未処置の肝臓試料中にスパイクし、これらを試料として処置することにより、標準物質(Standards)を生成した。スパイクイン濃度を、予期される試料オリゴ含量(約10倍以内)に一致するように選択する。
【0513】
ホモジナイズした試料を5×SSCT緩衝液(750mMのNaCl、及び75mMのクエン酸ナトリウム、0.05%(v/v)Tween-20(pH7.0)含有)中で最小10倍に希釈し、捕捉-検出溶液(35nM捕捉プローブ及び5×SSCT緩衝液中35nM検出プローブ)を使用して、段階希釈で6×2倍希釈を行い、室温で30分間インキュベートした。試料を96ウェルのストレプトアビジン被覆プレート(Nuncカタログ番号436014)にウェル当たり100μLで移した。プレートを穏やかに撹拌しながら室温で1時間インキュベートした。2×SSCT緩衝液で3回洗浄し、新たに作製された0.05%(v/v)Tween-20(pH7.2)を含有するPBST(リン酸緩衝生理食塩水)で1:4000に希釈された抗DIG-AP Fabフラグメント(Roche Applied Science、カタログ番号11093274910)100μLを各ウェルに加えて、穏やかに撹拌しながら室温で1時間インキュベートした。2×SSCT緩衝液で3回洗浄し、100μLのアルカリホスファターゼ(AP)基質溶液(ブルーフォス(Blue Phos)基質、KPL製品コード50-88-00、新たに調製されたもの)を添加する。穏やかに撹拌しながら30分間インキュベートした後、色の強度を615nmで分光光度的に測定した。未加工データを、リーダー(Gen5 2.0ソフトウェア)からエクセル形式にエクスポートし、Excelで更に分析した。GraphPad Prism 6ソフトウェア及びロジスティック4PL回帰モデルを使用して、検量線を生成した。
【0514】
【0515】
結果から明らかなように、裸型(CMP ID番号:748_1)及び結合(CMP ID番号:759_2)オリゴヌクレオチドは、総肝細胞内でPD-L1mRNAを同様に良好に低減させる。単離された肝細胞において、結合オリゴヌクレオチドの効果は裸型オリゴヌクレオチドの効果よりも約5倍強力で、裸型オリゴヌクレオチドは非実質細胞のGalNAc結合オリゴヌクレオチドよりも2倍強力な効果を呈した。肝細胞及び非実質細胞において、PD-L1のmRNA発現の低下は、これらの細胞型におけるオリゴヌクレオチド含量と或る程度相関する。
【0516】
実施例5 - 裸型PD-L1アンチセンスオリゴヌクレオチド及びGalNAc結合PD-L1アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用した、AAV/HBVマウスにおける、インビボPD-L1ノックダウン
本研究では、AAV/HBVマウスを裸型又はGalNAc結合型PD-L1アンチセンスオリゴヌクレオチドで処置し、肝臓におけるPD-L1のmRNA発現量及びHBV遺伝子発現を評価した。
【0517】
第1週目に、5~8週齢の雌HLA-A2/DR1マウス(1群当たり動物5匹)を、ビヒクル(生理食塩水)、裸型PD-L1アンチセンスオリゴヌクレオチド(CMP ID番号752_1(5mg/kg sc))、及びGalNAc(5mg/kg sc)PD-L1アンチセンスオリゴヌクレオチド(7mg/kg皮下でのCMP ID番号763_2)で予備処置した。これらの用量はオリゴヌクレオチドの等モル濃度に対応する。マウスを0週目に5×1010vgのAAV-HBVにより形質導入した。詳細については、「材料と方法」の節のAAV/HBVマウスモデルの説明を参照のこと。AAV-HBV形質導入後の第1週目から第4週目まで1週間間隔で、PD-L1オリゴヌクレオチド又はビヒクル(生理食塩水)を更に4回皮下注射でマウスに投与した。
【0518】
形質導入の1週間前及び各注射の1週間後に血液試料を採取した。
【0519】
最後の注射の2週間後にマウスを屠殺し、その肝臓をPBS灌流後に除去した。肝臓をより小さな断片に切断して、直接凍結した。
【0520】
HBV遺伝子の発現を測定するに際して、QIAamp One-For-All Nucleic Acidキット、カタログ番号965672を使用してQiagen Biorobotで血清からDNAを抽出し、血清をPBS中で1:20希釈にて希釈して、合計100μlを200μlの緩衝液AL中に溶出させてから、本キットからDNAを100μl単位で溶出させた。
【0521】
リアルタイムqPCR用に、TaqMan Gene Expression Master Mix(カタログ番号4369016、Applied Biosystems)を、以下のプライマーF3_core、R3_core、P3_core(Integrated DNA Technologies)それぞれ100μMを1:1:0.5で加えたプライマー混合物と共に使用した。
フォワード(F3_core):CTG TGC CTT GGG TGG CTT T(配列番号:784)
リバース(R3_core):AAG GAA AGA AGT CAG AAG GCA AAA(配列番号:785)
プローブ(P3_core):56-FAM-AGC TCC AAA/ZEN/TTC TTT ATA AGG GTC GAT GTC CAT G-3IABkFQ(配列番号:786)
【0522】
HBVプラスミド(遺伝子型D、GTD)を用いた検量線を、初回の1×109コピー/μlから1コピー/μlまで、10倍希釈を用いて調製して、1反応当たり5μlで使用した。
【0523】
反応毎に、10μlの遺伝子発現マスターミックス、4.5μlの水、0.5μlのプライマーミックス、及び5μlの試料又は標準液を加えて、qPCRを行った。
【0524】
分析用に、検量線を使用して、コピー数/ml/ウェルを計算した。結果を表15に示す。
【0525】
PD-L1のmRNA発現量をqPCRで測定した。
【0526】
凍結した肝臓片からmRNAを抽出し、これをセラミックビーズ(Lysing Matrix D tubes、116913500、mpbio)とTrizol 1mlとを含有する2mlチューブに加えた。
【0527】
プリセリーズ(Precellys)製の組織破砕装置(Tissue Disruptor)を使用して肝臓片をホモジナイズした。200μlのクロロホルムをホモジネートに添加し、ボルテックスして、4℃にて10000rpmで20分間遠心分離した。清澄な相(約500μl)を含有するRNAを新しいチューブに移し、同じ容量の70%EtOHを添加した。よく混合した後、溶液をRNeasyスピンカラムに移し、RNeasy KitのマニュアルRNeasy Mini Kit、カタログ番号74104、Qiagen(RNA消化RNアーゼ不含DNアーゼセット、カタログ番号79254を含む)に従って、RNAを更に抽出した。50μlのH2O中での溶出最終RNA濃度を測定し、全ての試料について100ng/μlに調整した。
【0528】
Taqman RNA-to-ct 1-step Kit(カタログ番号4392938、Thermo Fisher)をメーカーの指示に従って使用して、7.5μlのRNAに対してqPCPを行った。混合して使用されたfprimerは、PD-L1_1-3(プライマー番号Mm00452054_m1、Mm03048247_m1及びMm03048248_m1)、ならびに内因性対照(ATCB Mm00607939_s1、CANX Mm00500330_m1、YWHAZ Mm03950126_s1及びGUSB Mm01197698_m1)が含有されていた。
【0529】
2^-ddct法を使用して、データを分析した。4つの内在性対照全ての平均を用い、dct値を計算した。内因性対照の平均に対するPD-L1発現量、及び生理食塩水(%)
【0530】
【0531】
これらの結果から、裸型及びGalNAc結合型オリゴヌクレオチドは両方とも、AAV/HBVマウスの肝臓におけるPD-L1のmRNAの発現量を低減させることができ、GalNAc結合オリゴヌクレオチドの方が幾分良好であることが分かる。また、両方のオリゴヌクレオチドによって、血清中のHBV DNAが若干低減された。
【0532】
実施例6 - AAV/HBVマウスにおけるT細胞応答に対するインビボ効果
本研究では、パスツール(Pasteur)から入手されたAAV/HBVマウスを、PD-L1を標的化する抗体又はアンチセンスオリゴヌクレオチドで処置した。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、裸型又はGalNAc結合型のいずれかであった。処置中に、抗原提示細胞による効率的なT細胞プライミングを確実にするために、HBs抗原及びHBc抗原に抗するDNAワクチンで動物を免疫した(「材料と方法」の節を参照のこと)。この処置が肝臓内及び脾臓内の細胞母集団ならびにこれらの母集団におけるPD-L1発現に対してどのように影響するか、またHBV特異的T細胞応答を同定できるかどうかを評価した。
【0533】
処置プロトコール:
雌のHLA-A2/DR1マウスを以下のプロトコールに従って処置した。本研究は、下の表16及び表17に示すような投与レジメンにおいて若干異なる2つの別個のサブ研究で実施された。
【0534】
「材料と方法」の節に記載されているように、DNAワクチン及び抗PD-L1抗体を投与した。使用されたアンチセンスオリゴヌクレオチドは、皮下注射(s.c.)として投与された場合に、5mg/kgのCMP ID番号748_1(裸型)、及び7mg/kgのCMP ID番号:759_2(GalNAc結合型)であった。
【0535】
【0536】
【0537】
屠殺時に各群からの各マウスの脾臓及び肝臓の単核細胞を採取し、赤血球細胞を枯渇させた(Lysing Buffer, BD biosciences, 555899)。「材料と方法」の節に記載されているように、肝単核細胞に特定の調製物が必要とされた。
【0538】
細胞母集団:
サイトメトリーを使用して肝臓単核細胞(「材料と方法」を参照)の表面標識によって、肝臓における細胞集団を分析した。
【0539】
対照群(すなわちビヒクル群及びDNA免疫群)と比較して、処置マウスの脾臓及び肝臓におけるNK細胞の頻度には、有意な変化が全く認められなかった。表18に示すように、肝臓において、裸型PD-L1オリゴヌクレオチド(CMP ID番号:748_1)及びGalNAc結合型PD-L1オリゴヌクレオチド(CMP ID番号:759_2)で処置された群は、いずれかの対照群(すなわち、ビヒクル及びDNAで免疫化された群)と比較してT細胞数が有意に増加した。これは、
図10Aにも同様に示されている。この増加は、CD4+及びCD8+T細胞母集団の両方の増加に起因するものであった(それぞれ表18、
図10B及び
図10C)。
【0540】
【0541】
PD-L1発現量:
屠殺の時点での、脾臓及び肝臓由来のマクロファージ、B細胞及びT細胞におけるPD-L1タンパク質の発現を評価した。表面標識抗体混合物中にPD-L1抗体を存在させることによって(「材料と方法」を参照)、サイトメトリーを用い、PD-L1発現細胞の定量が可能となった。
【0542】
脾臓における、マクロファージ内、B細胞内及びCD4+T細胞内でのPD-L1発現率(%)に処置間の有意差は観察されなかった。PD-L1を発現するCD8+T細胞の%は、他の処置と比較して、裸型PD-L1オリゴヌクレオチド(CMP ID番号748_1)及びGalNAc結合型PD-L1オリゴヌクレオチド(CMP ID番号759_2)で処置したマウスでは低かった(データ非公開)。
【0543】
肝臓において、PD-L1は主としてCD8+T細胞上で発現した。対照群(それぞれビヒクル接種群及びDNAワクチン接種群の2つを組み合わせた
図11A)では、平均頻度が32%及び41%であった。裸型PD-L1オリゴヌクレオチド又はGalNAc PD-L1オリゴヌクレオチドでの治療によって、PD-L1を発現するCD8+T細胞の頻度が減少した(表19及び
図11Aを参照)。これらの細胞型は、CD8+T細胞よりもPD-L1の発現率が有意に少ないが、ASO処置後のB細胞及びCD4+T細胞ではまた、PD-L1を発現する細胞の割合(%)における有意な差が認められた(表19、
図11B及び
図11Cを参照)。また、全ての細胞型において、抗PD-L1抗体での処置によるPD-L1の発現低減は明らかであった。しかしながら、この低減は、治療に使用される抗PD-L1抗体を介してPD-L1エピトープが部分的に遮断されたことに起因するものであり、その結果、表面標識抗体混合物中のPD-L1検出抗体がPD-L1に結合するのが妨げられることになる。したがって、処置に使用された抗PD-L1抗体を介したPD-L1下方制御のようなものと見られるのは、処置抗体と検出抗体との間でエピトープの競合が発生した結果でありうる。
【0544】
【0545】
HBV特異的T細胞応答:
IFNγ及びTNFα産生を検出する細胞内サイトカイン染色アッセイ(「材料と方法」の節を参照)を使用して、炎症性サイトカインを産生するNK細胞、CD4+T細胞、及びCD8+T細胞を検出した。
【0546】
屠殺時に、脾臓内でNK細胞、IFNγ-及びTNFα分泌CD4+T細胞は検出されなかった(頻度<0.1%)。裸型PD-L1オリゴヌクレオチド又はGalNAc PD-L1オリゴヌクレオチド、ならびにDNAワクチンのみを受けた本研究のマウス(データ非公開)で処置したマウスにおいて、2つのHBV抗原を標的化するIFNγ産生CD8+T細胞が検出された。
【0547】
屠殺時に、DNA免疫化HBVキャリアマウスの肝臓内では、IFNγ産生NK細胞は検出されなかった一方、幾つかのDNA免疫化マウスの肝臓内は、IFNγ分泌CD4+T細胞がコア(Core)又はS2+Sに特異的であった(<0.4%、データ非公開)。大部分のDNA免疫マウスにおいて、IFNγを産生するHBV S2+S特異的CD8+T細胞が検出された。DNAワクチンと裸型PD-L1オリゴヌクレオチド又はGalNAc PD-L1オリゴヌクレオチドとの組み合わせで処置したマウスにおいては、IFNγ分泌CD8+T細胞の頻度が増加したのに対して、抗PD-L1抗体で処置した場合には、DNAワクチン接種に対する明白な付加的効果が認められなかった(
図12)。エンベロープ及びコア抗原を標的化するIFNγ産生CD8+T細胞が、ほとんどのDNA免疫化群(抗PD-L1抗体を除く)で検出された(
図12B)。ほとんどのS2-S特異的T細胞では、IFNγ及びTNFαの両方が産生された(
図12C)。また、結果を表20に示す。
【0548】
【0549】
実施例7-AAV/HBVマウス血清中のHBV抗原及びHBV DNAに対するインビボ効果
本研究では、上海から入手されたAAV/HBVマウス(「材料と方法」の節を参照)を、GalNAc結合型PD-L1アンチセンスオリゴヌクレオチドCMP ID番号759_2で処置した。
【0550】
血清中のHBe及びHBs抗原ならびにHBV DNAレベルに対して処置が与えた影響を、ビヒクル処置動物と比較して評価した。
【0551】
処置プロトコール:
「材料と方法」の節で上海モデルに記載されているように、本研究では、HBVゲノムを保有する組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)(AAV/HBV)を感染させた雄のC57BL/6マウスを使用した。5mg/kg又は媒体(生理食塩水)のアンチセンスオリゴヌクレオチドCMP ID番号:759_2の両方を、8週間にわたって週1回マウス(1群当たりマウス6匹)に注射した。この注射は、皮下注射(s.c.)として投与された。処置中は毎週、処置後6週間に血液試料を採取した。以下に記載するように、HBV DNA、HBs抗原及びHBe抗原レベルを血清試験で測定した。最初の10週間分の結果を、表21及び
図13に示す。出願の時点で依然として調査が進行中であったので、残りの4週間分のデータは得られていない。
【0552】
HBs抗原及びHBe抗原の検出:
HBs抗原・化学発光イムノアッセイ(CLIA)及びHBe抗原CLIAキット(それぞれAutobio diagnostics Co. Ltd., Zhengzhou, China、カタログ番号CL0310-2及びCL0312-2)を使用して、製造業者のプロトコールに従い、感染AAV-HBVマウス血清中の血清HBs抗原及びHBe抗原レベルを測定した。概略説明すると、50μlの血清をそれぞれの抗体被覆マイクロタイタープレートに移し、50μlの酵素結合試薬を加えた。プレートを室温にて振盪機上で60分間インキュベートした後、自動洗浄機を使用して全てのウェルを洗浄緩衝液で6回洗浄した。25μlの基質A、次いで25μlの基質Bを、各ウェルに加えた。プレートを室温で10分間インキュベートした後、Envisionルミネセンスリーダーを使用して発光を測定した。1ngのHBs抗原=1.14IUとした場合、HBs抗原は単位IU/mlで与えられる。HBe抗原は、単位NCU/ml血清で与えられる。
【0553】
HBV DNAの抽出及びqPCR:
最初に、マウス血清をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で10倍(1:10)に希釈した。MagNA Pure 96(Roche)ロボットを使用して、DNAを抽出した。希釈された血清50μlを処置カートリッジ中で200μlのMagNA Pure 96外部溶解緩衝液(Roche、カタログ番号06374913001)と混合し、10分間インキュベートした。次いで、「MagNA Pure 96 DNA and Viral Nucleic Acid Small Volume Kit」(Roche、カタログ番号06543588001)及び「Viral NA Plasma SV external lysis 2.0」プロトコールを使用して、DNAを抽出した。DNA溶出容量は50μlであった。
【0554】
抽出されたHBV DNAの定量は、Taqman qPCRマシン(ViiA7、life technologies)を使用して行った。各DNA試料をPCRで二重に試験した。384ウェルプレート中TaqMan Gene Expression Master Mix(Applied Biosystems、カタログ番号4369016)10μlと、PrimeTime XL qPCR Primer/Probe(IDT)0.5μlと、蒸留水4.5μlとを含有するPCRマスターミックス15μlに、DNA試料5μlを加えて、PCRを行った。その際に使用した設定は以下のとおり:UDGインキュベーション(2分、50℃)、酵素活性化(10分、95℃)及びPCR40サイクル分(95℃にて15秒間変性;ならびに60℃にて1分間アニーリング及び伸長)。DNAコピー数は、ViiA7ソフトウェアによるHBVプラスミドDNA検定線に基づいて、Ct値から計算した。
【0555】
TaqManプライマーの配列及びプローブ(IDT):
フォワードコアプライマー(F3_core):CTG TGC CTT GGG TGG CTT T(配列番号:784)
リバースプライマー(R3_core):AAG GAA AGA AGT CAG AAG GCA AAA(配列番号:785)
Taqmanプローブ(P3_core):56-FAM/AGC TCC AAA /ZEN/TTC TTT ATA AGG GTC GAT GTC CAT G/3IABkFQ(配列番号:786)。
【0556】
【0557】
本研究から分かるように、GalNAc結合型PD-L1アンチセンスオリゴヌクレオチドCMP番号759_2が、6週間の処置後のHBV-DNA、HBs抗原及びHBe抗原レベルの低下に対する有意な効果と、処置後少なくとも2週間にわたって持続する効果と、を有する。
【0558】
実施例8 - GalNAc結合型PD-L1オリゴヌクレオチドを使用した、ヒト初代肝細胞におけるインビボPD-L1ノックダウン
初代ヒト肝細胞におけるPD-L1転写産物を減少させるGalNAc結合型PD-L1アンチセンスオリゴヌクレオチド化合物の能力を、ゲノミクスを用いて調べた。
【0559】
細胞培養
凍結保存されたヒト肝細胞を、10%ウシ胎児血清、ペニシリン(100U/ml)、ストレプトマイシン(0.1mg/ml)及びL-グルタミン(0.292mg/ml)を補給したWME中で5×106細胞/mlに希釈し、2×105細胞/ウェルの密度でコラーゲン被覆24ウェルプレート(Becton Dickinson AG、Allschwil、Switzerland)中に播種した。細胞を4時間前培養し、細胞培養プレートに付着させてから、最終濃度100μMのオリゴヌクレオチドでの処置を開始した。使用されたオリゴヌクレオチドは、表21及び表8に示すとおりであり、ビヒクルはPBSとされた。播種培地を、ペニシリン(100U/ml)、ストレプトマイシン(0.1mg/ml)及びL-グルタミン(0.292mg/mlを補給した315μlの無血清WMEで置き換えて、1mMのPBS中のオリゴヌクレオチドストック溶液35μlを細胞培養物に添加し、これを細胞上に24時間又は66時間放置した。
【0560】
ライブラリの調製
Stranded mRNAケミストリーを使用し、2×51bp対末端リード及び30M/試料(Q squared EA)の配列決定ストラテジーを用いて、転写物発現プロファイリングを行った。ウェル中にQiagen RLT緩衝液350μlを添加して、細胞を溶解させ、無作為化スキームで受託した。
【0561】
QiagenRNeasy Mini Kitを使用して、mRNAを精製した。mRNAを定量し、Agilent Bioanalyzerを使用して完全性を評価した。単離されたRNAを初期品質評価した際、全ての試料がRINスコア>7.0で、100ngの入力品質メトリックを満たしていることが観察された。
【0562】
100ngの全RNAから開始して、Illumina TruSeq Stranded mRNA Library Preparationを使用して、全ての試料について配列決定ライブラリを作成した。最終のcDNAライブラリをサイズ分布及びAgilent Bioanalyzer(DNA1000キット)を用いて分析し、qPCR(KAPA Library Quant Kit)で定量し、配列決定の準備に際して2nMに標準化した。Standard Cluster Generation Kit v5を使用して、cDNAライブラリをフローセル表面に結合させ、cBotを等温的に付着させて、付着されたcDNA構築物をそれぞれ約1000コピーのクローン集落まで増幅した。TruSeq SBSキットを用いた合成による配列決定技術によって、DNA配列を決定した。
【0563】
データ処理
GSNAPショートリードアライメントプログラムを使用して、長さ2×51bpのIlluminaペアエンド・シーケンシング・リード(paired-end sequencing reads)を、ヒト参照ゲノムhg19上にマッピングした。SAMTOOLSプログラムを使用して、SAMフォーマットアライメントを、ソートアライメントBAMフォーマットファイルに変換した。hg19に対応するGTFファイルで指定されたNCBI RefSeqからのエキソンアノテーションに基づいて、PD-L1の遺伝子読み取りカウントを推定した。各試料の異なるライブラリサイズを考慮した正規化工程が、DESeq2Rパッケージを使用して適用された。
【0564】
GalNAc結合型PD-L1アンチセンスオリゴヌクレオチド化合物とのインキュベーション後のPD-L1転写物の減少を、表22に示す。
【0565】
【0566】
ビヒクルで処理した試料と比較して、5つのGalNAc結合型アンチセンス化合物は全て24時間及び66時間のインキュベーション後に有意なPD-L1転写物の減少を示した。
【0567】
実施例9 - HBV感染ASGPR-HepaRG細胞における結合及び裸型PD-L1アンチセンスオリゴヌクレオチドのEC50
HBVに感染したASGPR-HepaRG細胞における2つの裸型PD-L1アンチセンスオリゴヌクレオチド及び同等のGalNAc結合型PD-L1アンチセンスオリゴヌクレオチドの効力を比較した。
【0568】
細胞系統
HepaRG細胞(Biopredic International, Saint-Gregoire, France)を、ウィリアムE培地(10%HepaRG増殖サプリメント(Biopredic)を添加したもの)で培養した。レンチウイルス法を使用して、この細胞系統から、ヒトASGPR1及びASGPR2を安定に過剰発現するHepaRG細胞系統を生成した。CMVプロモーター及びピューロマイシン耐性遺伝子の制御下でヒトASGPR1及び2をコードするSirion biotech(CLV-CMV-ASGPR1-T2a_ASGPR2-IRES-Puro)が必要に応じて産生したレンチウイルスを、増殖用HepaRG細胞に、感染多重度(MOI)を300として形質導入した。形質導入細胞を1μg/mlピューロマイシンで11日間選択し、次いで、確実に導入遺伝子が安定して発現するように、同濃度の抗生物質中で維持した。ASGPR1/2過剰発現を、RT-qPCR(ASGPR1:非形質導入対8560倍、ASGPR2:非形質導入対2389倍)によるmRNAレベル及びフローサイトメトリー分析によるタンパク質レベルの両方で確認した。
【0569】
感染前の少なくとも2週間、1.8%DMSOを使用して細胞を分化させた。HepG2.2.15細胞培養上清からHBV遺伝子型Dを取り出し、PEG沈殿を用いて濃縮した。試験化合物のHBVに対する活性を評価するため、96ウェルプレート中の分化したASGPR-HepaRG細胞の感染多重度(MOI)を20~30としてHBVを20時間にわたって感染させ、その後、細胞をPBSで4回洗浄して、HBV接種物を除去した。
【0570】
オリゴヌクレオチドの有効性
以下のオリゴヌクレオチド
【0571】
【0572】
を、25μMから0.4nM(1:4希釈PBS溶液)の連続希釈を使用して、感染後7日目及び10日目にHBV感染ASGPR-HepaRG細胞に添加した。感染後13日目に、細胞を収穫した。
【0573】
MagNA Pure 96 Cellular RNA Large Volume Kit(MagNA Pure 96 System(Roche Diagnostics))をメーカーの指示に従って使用して、総mRNAを抽出した。実施例5に記載されているように、遺伝子発現分析用のRT-qPCRを行った。
【0574】
2^-ddct法を使用して、データを分析した。アクチンBを内因性対照として使用して、dct値を計算した。PD-L1発現量は、内因性対照及び生理食塩水ビヒクルに関連する。
【0575】
GraphPad Prism6でEC50の計算を行った。これを、表23に示す。
【0576】
【0577】
これらのデータから明らかに分かるように、PD-L1アンチセンスオリゴヌクレオチドのGalNAc結合型は、EC50値を有意に改善する。
【0578】
実施例10-慢性HBV患者由来のPBMCにおける刺激T細胞機能
末梢血単核細胞(PBMC)のエクスビボでのHBV抗原刺激後に、裸型PD-L1アンチセンス化合物が、慢性的に感染したHBV(CHB)患者のT細胞機能を増強させうるかどうかを調べた。
【0579】
慢性HBV感染患者3例から採取されたPBMC凍結物を解凍し、100μlの培地(RPMI1640+GlutaMax+8%ヒト血清+25mMのHepes+1%PenStrep)中200,000細胞/ウェルの密度で播種した。翌日、100pg/mlのIL-12と5ng/mlのIL-7とを含有する100μlの培地中に、5μMのCMP ID番号:466_1又はCMP ID番号:640_1を含めた又は含めない、1μMのPepMixHBVラージエンベロープタンパク質又は1μMのPepMixHBVコアタンパク質で、細胞を刺激した(表9参照)。8日目にのみ、コンカナバリン刺激を適用した。4日後に、PD-L1アンチセンスオリゴヌクレオチド処置を、50IUのIL-2を含有する培地で更新した。最初の刺激後8日目に、PepMix又は5μg/mlのコンカナバリンA+PD-L1アンチセンスオリゴヌクレオチドで、細胞を24時間再刺激した。ここ5時間にわたって刺激が得られるように、0.1μlのブレフェルジンA(Brefeldin A)、0.1μlのモネンシン(Monensin)、及び3μlの抗ヒトCD-107(APC)を添加した。
【0580】
24時間後、細胞を染色緩衝液(PBS+1%BSA+0.09%アジ化ナトリウム+EDTA)で洗浄し、表面染色[抗ヒトCD3(BV605)、抗ヒトCD4(FITC)抗ヒトCD8(BV711)、抗ヒトPDL1(BV421)、抗ヒトPD1(PerCP-Cy5.5)、ならびに、生存及び死滅染色(BV510)(BD Biosciences)]を4℃で30分間適用した。細胞を4℃のBD固定緩衝液中で15分間固定した。翌朝、4℃で細胞をBD Perm/Wash Bufferで15分間透過処理し、4℃で細胞内染色[抗ヒトINF(PE)]を30分間行った。Perm/Wash Bufferで洗浄後、細胞を250μlの染色緩衝液中に溶解した。
【0581】
BD Fortessa(BD Biosciences)で、FACS測定を行った。分析用、全細胞母集団を、最初に生細胞(生存及び死亡染色、BV510)で、次いでCD3+(BV605)細胞でゲーティングした。続いて、CD3+細胞をCD107a+(APC)対IFN+(PE)としてグラフ化した。
【0582】
結果を表24に示す。
【0583】
【0584】
これらのデータから分かるように、CHB患者のPBMCにおいて、抗原刺激はそれ自体で、T細胞活性化(INF及び/又はCD107aを発現するCD3+細胞%の増加)を誘導できる(n=3)。PD-L1アンチセンスオリゴヌクレオチドCMP 466_1又は640_1を添加すると、CD3+T細胞応答が更に増加した。この増加が主に観察されたのは、HBVエンベロープ刺激群であった。
[1] a.PD-L1標的核酸に対して少なくとも90%の相補性を有する10~30ヌクレオチド長さの連続ヌクレオチド配列を含む、オリゴヌクレオチド(領域A)と;
b.(a)のオリゴヌクレオチドに共有結合された少なくとも1つの、アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分(領域C)と;
を含んでなる、アンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
[2] 前記連続ヌクレオチド配列が、配列番号:1、配列番号:2及び/又は配列番号:3からなる群から選択される標的核酸に対して相補的である、項目1に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
[3] 前記連続ヌクレオチド配列が標的核酸のサブ配列に対して相補的であり、前記サブ配列が、配列番号:1上の371-3068位、5467-12107位及び15317-19511位からなる群から選択される、項目1又は2に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
[4] 前記連続ヌクレオチド配列が標的核酸のサブ配列に対して相補的であり、前記サブ配列がA221、A360、A180、A160及びA269からなる群から選択される、項目1から3に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
[5] 前記オリゴヌクレオチドが、配列番号:466、640、342、287及び566から選択される配列を含む、項目1から4に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
[6] 前記連続ヌクレオチド配列が1以上の修飾ヌクレオシド(例えば、1以上の2’糖修飾ヌクレオシドを含む、項目1から5に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
[7] 前記1以上の2’糖修飾ヌクレオシドが独立に、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-DNA、アラビノ核酸酸(ANA)、2’-フルオロ-ANA、及びLNAヌクレオシドからなる群から選択される、項目6に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
[8] 前記全ての修飾ヌクレオシドがLNAヌクレオシドである、項目6又は7のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
[9] 前記連続ヌクレオチド配列が、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合(例えば、少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合)を含む、項目1から8のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
[10] 前記オリゴヌクレオチドがギャップマーである、項目1から9のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
[11] 前記ギャップマーが式5’-D’-F-G-F’-3’又は5’-F-G-F’-D”-3’を有し、領域F及びF’が独立に、1~7修飾ヌクレオシドを含み、GがRNアーゼHを補充する能力を有する6~16ヌクレオシド間の領域であり、及び領域D’又はD”は任意であり、且つ0~5ホスホジエステルの連結ヌクレオシドを含む、項目10に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
[12] 前記アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分が、ガラクトース、ガラクトースアミン、N-ホルミル-ガラクトサミン、N-アセチルガラクトサミン、N-プロピオニル-ガラクトサミン、N-n-ブタノイル-ガラクトサミン及びN-イソブタノイルガラクトサミンからなる群から選択される少なくとも1つの炭水化物部分を含む、項目1から11のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
[13] 前記アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分が1価、2価、3価又は4価である、項目1から12のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
[14] 前記アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分が、3価N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分である、項目1から13のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
[15] 前記アシアロ糖タンパク質受容体標的化結合部分が、
図3の前記3価GalNAc部分である、項目1から14のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
[16] 前記オリゴヌクレオチドコンジュゲートがCMP ID番号:766_2、767_2、768_2、769_2及び770_2から選択される、項目1から15のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート。
[17] オリゴヌクレオチド又は項目1から11のいずれか一項に記載の連続ヌクレオチド配列を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチド。
[18] 項目1から16に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート、又は項目17に記載のオリゴヌクレオチド、ならびに医薬的に許容される希釈剤、溶媒、担体、塩及び/又は補助剤を含む、医薬組成物。
[19] PD-L1を発現する標的細胞におけるPD-L1の発現を調節するためのインビボ又はインビトロ方法であって、前記方法が、有効量の項目1から16に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート、又は項目17に記載のオリゴヌクレオチドを前記細胞に投与することを含む、方法。
[20] ウイルスもしくは寄生虫に対する免疫応答の回復に使用するための、項目1から16に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート、又は項目17に記載のオリゴヌクレオチド、又は項目18に記載の医薬組成物。
[21] 前記免疫応答の回復が、対照と比較して、肝臓における1以上のHBV抗原に対して特異的なCD8+T細胞の増加である、項目20に記載の使用。
[22] 薬品として使用するための、項目1から16に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート、又は項目17に記載のオリゴヌクレオチド、又は項目18に記載の医薬組成物。
[23] HBV、HCV及びHDVなどのウイルス性肝炎感染;マラリア、トキソプラズマ症、リーシュマニア症及びトリパノソーマ症などの寄生虫感染;又は肝臓癌もしくは肝臓の転移の治療又は予防に使用するための、項目1から16に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲート、又は項目17に記載のオリゴヌクレオチド、又は項目18に記載の医薬組成物。
[24] HBV、HCV及びHDVなどのウイルス性肝炎感染;マラリア、トキソプラズマ症、リーシュマニア症及びトリパノソーマ症などの寄生虫感染;又は肝臓癌もしくは肝臓の転移の治療又は予防用の薬品を調製するための、項目1から16に記載のオリゴヌクレオチドコンジュゲートの使用、又は項目17に記載のオリゴヌクレオチド、又は項目18に記載の医薬組成物。