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特開2024-29206非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029206
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/20 20200101AFI20240227BHJP
   A24D 3/17 20200101ALI20240227BHJP
【FI】
A24D1/20
A24D3/17
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024001627
(22)【出願日】2024-01-10
(62)【分割の表示】P 2022531413の分割
【原出願日】2020-11-27
(31)【優先権主張番号】1917513.2
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ディミック、バリー
(72)【発明者】
【氏名】ホルフォード、スティーヴン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品を提供する。
【解決手段】物品1は、材料体6を含み上流端2aと下流端2bを有するマウスピース2を含む。材料体6は非晶質固体材料からなるシートを含む。材料体6は、単独の非晶質固体シート材の寄せ集めシートから形成されている。このような物品1と、物品1のエアロゾル発生材3を加熱するための非燃焼系エアロゾル供給デバイスとを含むシステムおよびこのような物品の製造方法も特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品であって、該物品は、材料体を含むマウスピースを含み、材料体は非晶質固体材料を含む物品。
【請求項2】
材料体は、非晶質固体材料からなる寄せ集められたシートを含むことを特徴とする請求項1記載の物品。
【請求項3】
材料体は、非晶質固体材料からなる長尺の条片を含むことを特徴とする請求項1または2記載の物品。
【請求項4】
長尺の条片は、物品の長手方向軸に実質的に位置合わせされていることを特徴とする請求項3記載の物品。
【請求項5】
マウスピースは、さらにセクションを含み、このさらなるセクションは、繊維性材料体または中空の管状部材であり、マウスピースは吸い口端と、遠位端とを含むことを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の物品。
【請求項6】
前記さらなるセクションは、マウスピースの吸い口端に位置することを特徴とする請求項5記載の物品。
【請求項7】
前記さらなるセクションは、第1のさらなるセクションであり、マウスピースは、さらに第2のさらなるセクションを含むことを特徴とする請求項5または6記載の物品。
【請求項8】
第2のさらなるセクションは、繊維性材料体または中空の管状部材であることを特徴とする請求項7記載の物品。
【請求項9】
第1のさらなるセクションと第2のさらなるセクションは、両方とも中空の管状部材であることを特徴とする請求項7または8記載の物品。
【請求項10】
中空の管状部材のそれぞれは紙の管またはフィラメントトウから形成された中空の管状部材であることを特徴とする請求項9記載の物品。
【請求項11】
第2のさらなるセクションは、マウスピースの遠位端に位置することを特徴とする請求項7乃至10いずれか1項記載の物品。
【請求項12】
材料体はマウスピースの遠位端に位置することを特徴とする請求項5乃至8いずれか1項記載の物品。
【請求項13】
非晶質固体材料の厚さは、0.015mm~0.5mmまたは0.1mm~0.3mmまたは0.15mm~0.25mmであることを特徴とする請求項1乃至12いずれか1項記載の物品。
【請求項14】
非晶質固体材料は、支持材に積層されることを特徴とする請求項1乃至13いずれか1項記載の物品。
【請求項15】
支持材は紙または箔であることを特徴とする請求項14記載の物品。
【請求項16】
非晶質固体材料は皺寄せされていることを特徴とする請求項1乃至15いずれか1項記載の物品。
【請求項17】
非晶質固体材料は風味剤を含み、任意に風味剤はメンソールであることを特徴とする請求項1乃至16いずれか1項記載の物品。
【請求項18】
非晶質固体材料は、乾式重量で0.1~65%、または乾式重量で1%~60%、または乾式重量で10%~55%、好ましくは乾式重量で40%~50%のメンソールを含むことを特徴とする請求項17記載の物品。
【請求項19】
非晶質固体は、ゲル化剤を含み、ゲル化剤は、ペクチン、ゼラチン、多糖類またはカラギーナンのうちの1つであることを特徴とする請求項1乃至18いずれか1項記載の物品。
【請求項20】
さらにエアロゾル発生材を含むことを特徴とする請求項1乃至19いずれか1項記載の物品。
【請求項21】
エアロゾル発生材は、マウスピースの遠位端に接続されていることを特徴とする請求項20記載の物品。
【請求項22】
請求項20または21記載の物品と、物品のエアロゾル発生材を加熱するための非燃焼系エアロゾル供給デバイスとを含むシステム。
【請求項23】
非燃焼系エアロゾル供給デバイスは、コイルを含むことを特徴とする請求項22記載のシステム。
【請求項24】
非燃焼系エアロゾル供給デバイスは、物品のエアロゾル発生材を少なくとも200℃の最大温度に加熱するように構成されていることを特徴とする請求項22または23記載のシステム。
【請求項25】
非燃焼系エアロゾル供給デバイスは、物品のエアロゾル形成材を少なくとも約160℃または少なくとも200℃、または少なくとも約220℃または少なくとも約240℃または少なくとも約270℃の最大温度に加熱するように構成されていることを特徴とする請求項24記載のシステム。
【請求項26】
非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品の製造方法であって、この物品は、材料体を含むマウスピースを含み、材料体は非晶質固体材料を含み、前記方法は、非晶質固体材料源を供することと、寄せ集められた非晶質固体材料のロッドを形成するための装置内を非晶質固体材料を通過させることと、非晶質固体材料のロッドを切断して前記材料体を形成することとを含む物品の製造方法。
【請求項27】
非晶質固体材料は150mm~500mmの幅を有することを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項28】
非晶質固体材料は、装置内を通過させる前に片に切断されることを特徴とする請求項26または27記載の方法。
【請求項29】
非晶質固体材料は装置を通過する前に皺寄せされることを特徴とする請求項26、27または28記載の方法。
【請求項30】
非晶質固体材料体はエアロゾル発生材源と組み合わされて非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品を形成すること特徴とする請求項26、27、28または29記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品および物品を含む非燃焼系エアロゾル供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコ、シガーなどの喫煙品は使用時にタバコを燃やし、煙を発生させる。これとは別の喫煙品は、燃やさずに基材から化合物を放出することによって吸入可能なエアロゾルまたは蒸気を生成する。これらの物品は、非燃焼系喫煙品またはエアロゾル供給システムと言われている。そのような物品は、エアロゾルが通過してユーザーの口に届くようにするマウスピースを共通して含んでいる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様は、非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品を提供し、この物品は、材料体を含むマウスピースを含み、材料体は非晶質固体材料を含む。
【0004】
本発明の第2の態様は、エアロゾル発生材源に接続された本発明の第1の態様によるマウスピースを含む非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品を提供する。
【0005】
本発明の第3の態様は、物本発明の第2の態様による品および非燃焼系エアロゾル供給デバイスを含む非燃焼系エアロゾル供給システムを提供する。
【0006】
本発明の第4の態様は、本発明の第1の態様による物品を形成するための方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
添付図面を参照して本発明の実施態様をあくまで例示を目的として説明する。
図1】非燃焼系エアロゾル供給デバイスに使用するためのマウスピースを含む物品の側部断面図である。
図2】非燃焼系エアロゾル供給デバイスに使用するためのマウスピースを含む別の物品の側部断面図である。
図3】非燃焼系エアロゾル供給デバイスに使用するためのこの例では第2の中空部材を含むマウスピースを含む別の物品の側部断面図である。
図4】非燃焼系エアロゾル供給デバイスに使用するためのこの例では繊維材からなる胴体を含むマウスピースを含む別の物品の側部断面図である。
図5a】非燃焼系エアロゾル供給デバイスに使用するための別の物品の側部断面図であり、この物品はカプセル含有マウスピースを含む。
図5b図5aに示すカプセル含有マウスピースの断面図である。
図6図1a、2aおよび2bおよび3の物品のエアロゾル発生材からエアロゾルを発生させるための非燃焼系エアロゾル供給デバイスの斜視図である。
図7】外方カバーが取り外されていて物品がない図6のデバイスを示している。
図8図6のデバイスの一部の断面を示した側面図である。
図9】外方カバーが省略された図6のデバイスの分解図である。
図10A図6のデバイスの一部の断面図である。
図10B図10Aのデバイスのある領域の拡大図である。および
図11】非燃焼系エアロゾル供給デバイスに使用する物品の製造方法のフロー図である。
図12】本発明による材料体のロッドを製するための装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書中では「供給システム」なる用語はユーザーに少なくとも1つの物質を供給するシステムを包含することを意図し、次のものを含む、
紙巻きタバコ、シガリロ、シガーおよびパイプまたは手巻きまたは自作紙巻きタバコ用タバコ(タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ代替え品または他の喫煙材をベースにしているかに関係無く)などの燃焼性エアロゾル供給システム@@紙巻きタバコ、シガリロ、シガーおよびパイプまたは手巻きまたは自作紙巻きタバコ用タバコ(タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ代替え品または他の喫煙材をベースにしているかに関係無く)などの燃焼系エアロゾル供給システム、
電子タバコ、タバコ加熱製品、エアロゾル発生材の組み合わせを使用してエアロゾルを発生させるハイブリッドシステムなどのエアロゾル発生材を燃焼させずにエアロゾル発生材から化合物を放出する非燃焼系エアロゾル供給システムおよび
トローチ、ガム、パッチ、パッチ吸入可能な粉を含む物品およびスヌースまたはモイストスヌースを含む経口タバコなどの経口製品を含むがこれらに限定されないユーザーにニコチンを含むまたは含まない上記少なくとも1つの物質を経口的、経鼻的、経皮的または別の方法で供給するエアロゾルを含まない供給システム。
【0009】
本開示では「燃焼系」エアロゾル供給システムは、ユーザーへの送出を容易にするために、エアロゾル供給システム(またはその構成要素)の構成エアロゾル化可能な材料を燃焼するシステムである。
【0010】
本開示では「非燃焼系」エアロゾル供給システムは、ユーザーへの少なくとも1つの物質の送出を容易にするために、エアロゾル供給システム(またはその構成要素)の構成エアロゾル発生材を燃焼させないまたは燃やさないシステムである。
【0011】
本明細書で説明する実施態様において、送出システムは、非燃焼系エアロゾル供給システム、例えば電動非燃焼系エアロゾル供給システムである。
【0012】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、ベイピング装置または電子ニコチン送出システム(END)としても知られる電子タバコであるが、エアロゾル発生材中のニコチンの存在は要件ではないことに留意されたい。
【0013】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、エアロゾル発生材加熱システムであり、非燃焼加熱システムとしても知られている。このようなシステムの一例は、タバコ加熱システムである。
【0014】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、エアロゾル発生材の組み合わせを使用してエアロゾルを生成するハイブリッドシステムであり、その1種以上の材料を加熱することができる。エアロゾル発生材のそれぞれは、例えば、固体、液体、またはゲルの形体であり、ニコチンを含んでも含まなくてもよい。一部の実施態様ではハイブリッドシステムは、液体またはゲルのエアロゾル発生材および固体のエアロゾル発生材を含む。固体エアロゾル発生材は、例えばタバコまたは非タバコ製品を含んでもよい。
【0015】
通常は、非燃焼系エアロゾル供給システムは、非燃焼系エアロゾル供給デバイスと、非燃焼系エアロゾル供給デバイスと使用するための消耗品とを含んでもよい。
【0016】
一部の実施態様では本開示は、エアロゾル発生材を含み、非燃焼系エアロゾル供給デバイスに使用するように構成された消耗品に関する。これらの消耗品は、時には本開示を通して物品と言う。
【0017】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システム、例えばその非燃焼系エアロゾル供給デバイスは、動力源と、コントローラとを含んでもよい。動力源は、例えば電源または発熱動力源であってもよい。一部の実施態様では発熱動力源は、炭素基材を含み、これは動力を熱の形体で発熱動力源に近接したエアロゾル発生材または熱伝導材に分配するように励起される。
【0018】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムは、消耗品を収容するための領域と、エアロゾル発生器と、エアロゾル発生領域、ハウジング、マウスピース、フィルターおよび/またはエアロゾル変性剤とを含んでもよい。
【0019】
一部の実施態様では非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための消耗品は、エアロゾル発生材と、エアロゾル発生材貯蔵領域と、エアロゾル発生材移送部品と、エアロゾル発生器と、エアロゾル発生領域と、ハウジングと、ラッパーと、フィルターと、マウスピースおよび/またはエアロゾル変性剤とを含んでもよい。
【0020】
一部の実施態様では供給される物質は、エアロゾル発生材またはエアロゾル化されることを意図していない材料であってもよい。必要に応じて、いずれかの材料は、1つ以上の活性成分、1つ以上の風味料、1つ以上のエアロゾル形成材および/または1つ以上の他の機能性材を含んでもよい。
【0021】
一部の実施態様では供給される物質は、活性物質を含む。
【0022】
本発明で使用する活性物質は生理反応を達成するまたは高めることを意図した材料である生理的に活性な材料である。活性物質は、例えば栄養補助食品、向知性薬、向精神薬から選択されてもよい。活性物質は自然に発生したものまたは合成で得られたものであってもよい。活性物質は、例えばニコチン、カフェイン、タウリン、テイン、B6またはB12またはCなどのビタミン、メラトニン、カンナビノイド、またはこれらの成分、派生物または混合物を含んでもよい。活性物質はタバコ、大麻または他の植物の成分、派生物または抽出物の1つ以上を含んでもよい。
【0023】
一部の実施態様では活性物質はニコチンを含む。一部の実施態様では活性物質はカフェイン、メラトニンまたはビタミンB12を含む。
【0024】
本明細書で説明するように活性物質は植物またはその成分、派生物または抽出物を含むまたはそれらから派生したものであってもよい。ここで言う「植物」なる用語は抽出物、葉、樹皮、繊維、茎、根、種、花、果実、花粉、殻、さやなどの植物から派生したあらゆる材料を含むがこれらに限定されない。これとは別に材料は合成して得られる植物に天然に存在する活性化合物を含んでもよい。材料は、液体、気体、固体、粉体、塵、粉砕された粒子、粒、ペレット、小片、ストリップ、シートなどの形体であってもよい。植物の例としてはタバコ、ユーカリ、トウシミキ、オオアサ、ココア、大麻、ウイキョウ、レモングラス、ペパーミント、スペアミント、ルイボス、カミツレ、亜麻、ショウガ、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、月桂樹、リコリス(甘草)、抹茶、マテ茶、オレンジの皮、パパイヤ、バラ、セージ、緑茶または紅茶などの茶、タイム、チョウジ、シナモン、コーヒー、アニシード(アニス)、バジル、月桂樹の葉、カルダモン、コリアンダー、クミン、ナツメグ、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、ラベンダー、レモン果皮、ミント、ビャクシン、ニワトコの花、バニラ、ヒメコウジ、シオガマギク、クルクマ、ターメリック、サンダルウッド、シラントロ、ベルガモット、橙花、ギンバイカ、カシス、カノコソウ、ピメント、メース、ダミエン、ハナハッカ、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、ウイキョウ、バーベナ、タラゴン、ゼラニウム、桑、朝鮮人参、テアニン、テアクリン、マカ、アシュワガンダ、ダミアナ、ガラナ、クロロフィル、バオバブまたはこれらのあらゆる組み合わせがある。ミントは次のミント種から選択されてもよい、ハッカ、モロッコミント、エジプトミント、ペパーミント、オーデコロンミント、キャンディミント、カーリーミント、ケンタッキーカーネルミント、ホースミント、パイナップルミント、ペニーロイヤルミント、イングリッシュスペアミントおよびマルバハッカ。
【0025】
一部の実施態様では活性物質は、活性物質は植物またはその成分、派生物または抽出物の1つ以上を含むまたはそれらから派生したものであってもよく、植物はタバコである。
【0026】
一部の実施態様では活性物質は、植物またはその成分、派生物または抽出物の1つ以上を含むまたはそれらから派生したものであってもよく、植物はユーカリ、トウシミキ、ココアおよびオオアサから選択される。
【0027】
一部の実施態様では植物またはその成分、派生物または抽出物の1つ以上を含むまたはそれらから派生したものであってもよく、植物はルイボスおよびウイキョウから選択される。
【0028】
一部の実施態様では物質は、風味料を含む。
【0029】
本明細書中で使用する「風味料」および「風味剤」なる用語は、各地の条例で許可されており、成人消費者が望む味、匂いまたは他の体性感覚刺激を生じさせるために使用される。それらは自然発生の風味材料、植物、植物の抽出物、合成によって得られた材料またはそれを組み合わせたもの(例えば、タバコ、大麻、リコリス(甘草)、アジサイ、オイゲノール、ホオノキの葉、カミツレ、フェヌグリーク、チョウジ、メイプル、抹茶、メンソール、ニホンハッカ、アニシード(アニス)、シナモン、ターメリック、インドスパイス、アジアスパイス、ハーブ、ヒメコウジ、サクランボ、ベリー、レッドベリー、クランベリー、モモ、リンゴ、オレンジ、マンゴー、クレメンタイン、レモン、ライム、トロピカルフルーツ、パパイヤ、ダイオウ、ブドウ、ドリアン、ドラゴンフルーツ、キュウリ、ブルーベリー、桑、柑橘類、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、ジン、テキーラ、ラム、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、アロエ、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、サンダルウッド、ベルガモット、ゼラニウム、チャット、ナスワール、キンマ、シーシャ、マツ、ハチミツエキス、バラ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、橙花、サクランボ花、カシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイランノキ、セージ、ウイキョウ、ワサビ、ピメント、ショウガ、コリアンダー、コーヒー、オオアサ、ハッカ属のいずれかの種からのハッカ油、ユーカリ、トウシミキ、ココア、レモングラス、ルイボス、亜麻、イチョウ、ハシバミ、ハイビスカス、月桂樹、マテ茶、オレンジの皮、バラ、緑茶または紅茶などの茶、タイム、ビャクシン、ニワトコの花、バジル、ローリエの葉、クミン、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、レモン果皮、ミント、シオガマギク、クルクマ、シラントロ、ギンバイカ、カシス、カノコソウ、ピメント、メース、ダミエン、ハナハッカ、オリーブ、レモンバーム、レモンバジル、チャイブ、ウイキョウ、バーベナ、タラゴン、リモネン、チモール、カンフェン)、調味料、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容器部位活性化剤または刺激剤、糖及び/または糖置換体(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、サイクラミン酸塩、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトールなど)や、木炭、クロロフィル、鉱物、植物または息消臭剤などのその他の添加剤を含む。それらは、模倣物、合成または天然の成分またはそれらのブレンドであってもよい。それらは、例えば油などの液体、粉などの固体または気体などのあらゆる好適な形体であってもよい。
【0030】
一部の実施態様では風味料はメンソール、スペアミントおよび/またはペパーミントを含む。一部の実施態様では風味料はキュウリ、ブルーベリー、柑橘類および/またはレッドベリーの風味成分を含む。一部の実施態様では風味料はオイゲノールを含む。一部の実施態様では風味料はタバコから抽出された風味成分を含む。一部の実施態様では風味料は大麻から抽出された風味成分を含む。
【0031】
一部の実施態様では風味料は、感覚惹起剤を含んでもよく、これはアロマまたは味覚神経に加えてまたは代わりに通常第5脳神経(三叉神経)の刺激によって化学的に誘発そして認識され、それらは加熱、冷却、ヒリヒリ感、しびれ感を与える薬剤を含んでもよい。好適な熱作用剤は、バニリルエチルエーテルであるが、これに限定されず、好適な冷却剤はオイカリプトール、WS-3であるが、これらに限定されない。
【0032】
エアロゾル発生材は、例えば加熱、照射または何らかの他の方法で励起された際にエアロゾルを発生することができる材料である。エアロゾル発生材は、例えば活性物質および/または風味剤を含んでも含まなくてもよい固体、液体またはゲルの形体であってもよい。一部の実施態様ではエアロゾル発生材は、「非晶質固体」を含んでもよく、これはこれとは別に「モノリシック固体」(即ち、非繊維性)とも言われる。一部の実施態様では非晶質固体は乾燥ゲルであってもよい。非晶質固体は、その内部に液体などの流体を保持する固体材料である。一部の実施態様ではエアロゾル発生材は、約50wt%、60wt%または70wt%の非晶質固体から約90wt%、95wt%または100wt%の非晶質固体を含む。
【0033】
エアロゾル発生材は、1つ以上の活性物質および/または風味料、1つ以上のエアロゾル形成材および必要であれば1つ以上の他の機能材を含んでもよい。
【0034】
エアロゾル形成材は、エアロゾルを形成できる1つ以上の成分を含んでもよい。一部の実施態様ではエアロゾル形成材は、グリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソエリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息香酸ベンジル、酢酸ベンジルフェニル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、および炭酸プロピレンのうちの1つ以上を含んでもよい。他の実施態様ではエアロゾル形成剤は、1,3-ブタンジオールなどの1つ以上の多価アルコール、グリセロールモノ、ジまたはトリアセテートなどの多価アルコールのエステルおよび/またはドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなどのモノ、ジまたはポリカルボン酸の脂肪族エステルを含む。
【0035】
1つ以上の機能材は、pHレギュレーター、着色剤、保存料、バインダー、充填材、安定剤および/または酸化防止剤のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0036】
形成材は、基材を形成するために支持体上または内にあってもよい。支持体は、例えば紙、ボール紙、板紙、厚紙、再生材、プラスチック材、セラミック材、複合材料、ガラス、金属または金属合金であってもあるいは含んでもよい。一部の実施態様では支持体はサセプタを含む。一部の実施態様ではサセプタは、上記材料に埋め込まれている。一部の別の実施態様ではサセプタは材料の一方または両側にある。
【0037】
消耗品は、一部またはすべてが使用中にユーザーによって消費されることを意図したエアロゾル発生材を含むまたはからなる物品である。消耗品は、エアロゾル発生材貯蔵領域、エアロゾル発生材移送部材、エアロゾル発生領域、ハウジング、ラッパー、マウスピース、フィルターおよび/またはエアロゾル変性剤などの1つ以上の他の部材を含んでもよい。また消耗品は、使用時にエアロゾル発生材がエアロゾルを発生するように熱を放射するヒーターなどのエアロゾル発生器を含んでもよい。ヒーターは、例えば燃焼系材、電気伝導によって加熱可能な材料またはサセプタを含んでもよい。
【0038】
サセプタは、交番磁界などの変動磁場の侵入によって加熱可能な材料である。サセプタは、導電性材料であってもよく、変動磁場の侵入によって加熱材の誘導加熱を生じさせるようにしてもよい。加熱材は、導電性材料であってもよく、変動磁場の侵入によって加熱材の磁気ヒステリシス加熱を生じさせるようにしてもよい。サセプタは、導電性および磁力の両方によるものであってもよく、これにより加熱材は両方の加熱機構で加熱可能になる。変動磁場を発生させるように構成されている装置を本明細書では磁場発生器と言う。
【0039】
エアロゾル変性剤は、典型的にはエアロゾル発生領域の下流に位置し、発生したエアロゾルを例えばエアロゾルの味、風味、酸度または別の特徴を変えることによって変性するように構成された物質である。エアロゾル変性剤は、エアロゾル変性剤を選択的に放出するように動作可能なエアロゾル変性剤放出部材内に設けてもよい。
【0040】
エアロゾル変性剤は、例えば添加剤または吸着剤であってもよい。エアロゾル変性剤は、例えば風味剤、着色剤、水および炭素吸着剤のうちの1つ以上を含んでもよい。エアロゾル変性剤は、例えば固体、液体またはゲルであってもよい。エアロゾル変性剤は、粉、糸または粒体であってもよい。エアロゾル変性剤はろ過材を含まなくてもよい。
【0041】
エアロゾル発生器は、アロゾル発生材からエアロゾルを発生させるように構成された装置である。一部の実施態様ではエアロゾル発生器は、エアロゾル発生材を熱エネルギーに晒し、エアロゾルを形成するためにエアロゾル発生材から1つ以上の揮発性物質を放出するように構成されたヒーターである。一部の実施態様ではエアロゾル発生器は、熱することなくエアロゾル発生材からエアロゾルを発生させるように構成されている。例えば、エアロゾル発生器は、振動、高圧力または静電エネルギーのうちの1つ以上にエアロゾル発生材を晒すように構成してもよい。
【0042】
エアロゾル発生材は、上に非晶質固体が設けられるキャリアーであってもよい。キャリアーは、製造を容易にする非晶質固体層が形成された支持体として機能する。キャリアーは、取り扱いやすくするために非晶質固体層に引張強度を供してもよい。
【0043】
物品のマウスピースは、好適には非晶質固体材料からなる寄せ集めシートの形体の非晶質固体材料を含んでもよい。
【0044】
本発明は、非晶質固体材料を含むマウスピースを提供する。マウスピースに非晶質固体材料を含ませることにより望ましい風味特性を有し、温度が低くなった良好なエアロゾルが結果として得られ、ユーザーの感覚を向上させるという驚異的な発見をした。
【0045】
この場合、非晶質固体材料は、寄せ集められた、巻かれたまたはコイル状にされたシートである。場合によってはシートは、シート状のマウスピースに組み込まれてもよい。別例ではシートは、刻んでマウスピースに組み込んでもよい。
【0046】
非晶質固体を含むエアロゾル発生材は、30g/m~120g/mなどのあらゆる好適な面密度を有してもよい。場合によってはシートは、80~120g/m、または約70~110g/mまたは特に約90~110g/mまたは好適には約100g/mの単位面積当たりの質量を有する。
【0047】
一部の例ではシート状の非晶質固体は、約200N/m~約900N/mの引張強度を有してもよい。非晶質固体が充填材を含まないなどの一部の例では、非晶質固体は200N/m~400N/mまたは200N/m~300N/mまたは約250N/mの引張強度を有してもよい。
【0048】
一部の例では非晶質固体が充填材を含むなどの一部の例では、非晶質固体は600N/m~900N/mまたは700N/m~900N/mまたは約800N/mの引張強度を有してもよい。そのような引張強度は、非晶質固体材料が丸められたシート、好適には管の形でエアロゾル発生物品/集合体に含有される実施態様にとって特に好適である。
【0049】
場合によってはキャリアー層は、気体および/またはエアロゾルに対して実質的にまたは完全に非透過性であってもよい。これによりエアロゾルまたは気体がキャリアーを通過するのを妨げ、流れを制御し、ユーザーに確実に良好に供給されるようにする。
【0050】
キャリアーは、非晶質固体を支持するために使用可能なあらゆる好適な材料であってもよい。場合によってはキャリアーは、金属箔、紙、カーボン紙、耐油紙、セラミック、グラファイトおよびグラフェンなどの炭素同素体、プラスチック、ボール紙、木材またはそれらを組み合わせたものから選択される材料から形成してもよい。場合によってはキャリアーは、再生タバコのシートなどのタバコ材を含んでもよいまたは、タバコ材からなってもよい。場合によってはキャリアーは金属箔、紙、ボール紙、木材またはこれらを組み合わせたものから選択される材料から形成してもよい。場合によってはキャリアーは上記例から選択される材料からなる層を含む積層構造であってもよい。場合によってはキャリアーは、風味キャリアーとして機能してもよい。例えば、キャリアーは、風味料またはタバコ抽出物を含浸させてもよい。
【0051】
場合によっては非晶質固体と当接するキャリアーの面は、多孔性であってもよい。例えば、場合によってはキャリアーは、紙を含む。本発明者は、紙などの多孔性キャリアーは、特に本発明に好適であり、多孔性(紙)層は、固体層と当接し、強固に接着することを発見した。非晶質固体はゲルを乾燥させて形成され、いかなる理論に制限されるものではなく、ゲルが形成されるスラリーは、ゲルが硬化し、架橋を形成した際にキャリアーは部分的にゲルに結合するように一部が多孔性キャリアー(例えば紙)に含浸すると考えられている。これはゲルとキャリアーの間(そして乾燥したゲルとキャリアーの間)を強固に結合する。
【0052】
加えて表面粗さが非晶質固体とキャリアーの間の接着の強度に貢献する。本発明者は紙の粗さ(キャリアーと当接する面の)は、50~1000ベック秒、好適には50~150ベック秒の範囲内であり、より好適には100ベック秒である(50.66~48.00kPaの空気圧インターバルで測定した)。(ベック平滑度試験器は、特定の圧力で空気が滑らかなガラス面と紙のサンプルの間で漏れる紙の面の滑らかさを測定するために使用される装置であり、これらの面の間で染み出る所定の空気量での時間(秒)が「ベック平滑度」である。)別の場合には紙と耐油紙のラミネートは、本発明に特に有用であることが分かっている。紙の層は、非晶質固体と当接し、粘着性の非晶質固体は耐油紙キャリアー台紙に容易に接着しない。
【0053】
場合によってはキャリアーは、約0.010mm~約2.0mm、好適には約0.015mm、0.02mm、0.05mmまたは0.1mm~約1.5mm、1.0mmまた
は0.5mmの厚さを有する。
【0054】
場合によっては非晶質固体層は、約0.015mm~約1.5mm、好適には約0.0
5mm~約1.5mmまたは0.05mm~約1.0mmの厚さを有する。好適には厚さ
は、約0.1mmまたは0.15mm~約1mm、0.5mmまたは0.3mmの範囲であってもよい。非晶質固体は2つ以上の層を含んでもよく、本明細書に記載の厚さはこれらの層の合計の厚さを意味する。
【0055】
本明細書で規定した厚さは材料の平均厚さである。場合によっては非晶質固体の厚さは25%、20%、15%、10%、5%または1%以内で変化してもよい。
【0056】
場合によっては非晶質固体は1~60wt%のゲル化剤を含んでもよく、これらの重量は乾式重量基準で計算される。
【0057】
好適には非晶質固体は、約1wt%、5wt%、10wt%、15wt%、20wt%または25wt%~約60wt%、50wt%、45wt%、40wt%、35wt%、30wt%または27wt%のゲル化剤を含んでもよい(全て乾式重量基準で計算して)。例えば、非晶質固体は、1~50wt%、5~40wt%、10~30wt%または15~27wt%のゲル化剤を含んでもよい。
【0058】
ゲル化剤は、セルロース系ゲル化剤、非セルロース系ゲル化剤、グァーガム、アカシアゴムおよびそれらの混合物から選択される1つ以上の化合物を含んでもよい。
【0059】
一部の実施態様ではセルロース系ゲル化剤は、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロースアセテート(CA)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)およびこれらの組み合わせからなる
群から選択される。
【0060】
一部の実施態様ではゲル化剤は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース、グァーガムまたはアカシアゴムのうちの1つ以上を含む(またはである)。
【0061】
一部の実施態様ではゲル化剤は、寒天、キサンタンガム、アラビアゴム、グァーガム、イナゴマメゴム、ペクチン、カラギーナン、デンプン、アルギン酸塩、およびこれらの組み合わせを含む1つ以上の非セルロース系ゲル化剤を含む(またはである)が、これらに限定されない。好ましい実施態様では、非セルロース系ゲル化剤は、アルギン酸塩または寒天である。
【0062】
一部の実施態様ではゲル化剤は親水コロイドを含む。一部の実施態様ではゲル化剤はアルギン酸塩類、ペクチン類、スターチ(および派生物)、セルロース類(および派生物)、ゴム、シリカまたはシリコーン化合物、クレー、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせから選択される1つ以上の化合物を含む。例えば一部の実施態様ではゲル化剤はアルギン酸塩類、ペクチン類、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、プルラン、キサンタンガム、グァーガム、カラギーナン、アガロース、アカシアゴム、ヒュームドシリカ、PDMS、ケイ酸ナトリウム、カオリンおよびポリビニルアルコールの内の1つ以上を含む。場合によってはゲル化剤はアルギン酸塩および/またはペクチンを含み、非晶質固体の形成の際に硬化剤(カルシウム源などの)と混ぜてもよい。場合によっては非晶質固体はカルシウムで架橋したアルギン酸塩および/またはカルシウムで架橋したペクチンを含んでもよい。
【0063】
一部の実施態様ではゲル化剤は、アルギン酸塩を含み、アルギン酸塩は、非晶質固体のの10~30wt%の量(乾式重量基準で計算して)で非晶質固体に含まれる。一部の実施態様ではアルギン酸塩は非晶質固体に含まれる唯一のゲル化剤である。他の実施態様ではゲル化剤はアルギン酸塩と、少なくとも1つのペクチンなどのさらなるゲル化剤を含む。
【0064】
一部の実施態様では非晶質固体はカラギーナンを含むゲル化剤を含んでもよい。
【0065】
好適には、非晶質固体は約0.1wt%、0.5wt%、1wt%、3wt%、5wt%、7wt%または10%~約50wt%、45wt%、40wt%、35wt%、30wt%または25wt%(全て乾式重量基準で計算して)のエアロゾル発生剤を含んでもよい。エアロゾル発生剤は可塑剤として作用してもよい。例えば、非晶質固体は、0.5
~40wt%、3~35wt%または10~25wt%のエアロゾル発生剤を含んでもよい。場合によってはエアロゾル発生剤は、エリトリトール、プロピレングリコール、グリセロール、トリアセチン、ソルビトールおよびキシリトールから選択される1つ以上の化合物を含む。場合によってはエアロゾル発生剤はグリセロールを含む、実質的にグリセロールからなる、またはグリセロールからなる。本発明者は可塑剤の含有量が多すぎると、非晶質固体が水を吸収し、使用の際に適した消費経験を生じさせない材料になってしまうということを確認している。本発明者は、可塑剤の含有量が少なすぎると、非晶質固体は脆弱になり、壊れやすくなるということを確認している。本明細書で特定した量の可塑剤は非晶質固体に可撓性を供し、非晶質固体シートがエアロゾル発生品の製造に有用なボビンに巻き付けることができるようになる。
【0066】
非晶質固体は、風味剤を含んでもよい。場合によっては非晶質固体は、約80wt%、70wt%、60wt%、55wt%、50wt%または45wt%以下の風味剤を含んでもよい。場合によっては非晶質固体は、少なくとも約0.1wt%、1wt%、10wt%、20wt%、30wt%、35wt%または40wt%の風味剤(全て乾式重量基準で計算して)を含んでもよい。例えば、非晶質固体は、1~80wt%、10~80wt%、20~70wt%、30~60wt%、35~55wt%または30~45wt%の風味剤を含んでもよい。場合によっては風味料は、メンソールを含む、メンソールから実質的になるまたはメンソールからなる。
【0067】
非晶質固体は着色剤を含んでもよい。着色剤を加えることによって非晶質固体の外観を変えてもよい。非晶質固体中に着色剤が存在することで非晶質固体およびエアロゾル発生材の外観を向上させてもよい。非晶質固体に着色剤を加えることによって非晶質固体の色をエアロゾル発生材の他の成分または非晶質固体を含む物品の他の成分に合わせてもよい。
【0068】
種々の着色剤を非晶質固体の所望の色に応じて使用してもよい。非晶質固体の色は、例えば白、緑、赤、紫、青または黒であってもよい。また他の色も想定される。天然のまたは合成染料、食品グレードの着色剤および医薬品グレードの着色剤などの天然のまたは合成着色剤を使用してもよい。特定の実施態様において、着色剤は、非晶質固体を茶色の外観にするカラメルである。このような実施態様では非晶質固体の色は、非晶質固体を含むエアロゾル発生材中の他の成分(タバコ材など)の色と類似してもよい。一部の実施態様では非晶質固体に着色剤を加えることによってエアロゾル発生材の他の成分を視覚的に区別できるようにする。
【0069】
着色剤は、非晶質固体の形成中(例えば、非晶質固体を形成する材料を含むスラリーを形成中)に組み込んでもよく、あるいは非晶質固体にそれが形成された後に塗布してもよ
い(例えば、非晶質固体に噴霧することによって)。
【0070】
場合によっては非晶質固体は、製造中、溶融した風味料を乳化させた乳化剤を追加で含んでもよい。例えば、非晶質固体は、約5wt%~約15wt%、好適には約10wt%(乾式重量基準で計算して)の乳化剤を含んでもよい。乳化剤は、アカシアゴムを含んでもよい。
【0071】
一部の実施態様では非晶質固体は、ヒドロゲルであり、湿式重量基準で計算して約20wt%未満の水を含む。場合によってはヒドロゲルは、湿式重量基準で計算して約15wt%、12wt%または10wt%未満の水を含んでもよい。場合によってはヒドロゲルは少なくとも約1wt%、2wt%または少なくとも約5wt%の水を含んでもよい。
【0072】
非晶質固体は、酸を含んでもよい。酸は有機酸であってもよい。これらの実施態様の一部において、酸は、一塩基酸、二塩基酸および三塩基酸のうちの少なくとも1つであってもよい。一部のこのような実施態様では酸は、少なくとも1つのカルボン酸官能基を含んでもよい。一部のこのような実施態様では酸は、α-ヒドロキシ酸、カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸およびケト酸のうちの少なくとも1つであってもよい。一部のこのような実施態様では酸はα-ケト酸であってもよい。
【0073】
一部のこのような実施態様では酸は、コハク酸、乳酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、レブリン酸、酢酸、リンゴ酸、ギ酸、ソルビン酸、安息香酸、プロパン酸およびピルビン酸のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0074】
好適な酸は乳酸である。他の実施態様では酸は安息香酸である。他の実施態様では酸は無機酸であってもよい。これらの実施態様の一部において酸は鉱酸であってもよい。一部のこのような実施態様では酸は、硫酸、塩酸、ホウ酸およびリン酸のうちの少なくとも1つであってもよい。一部の実施態様では酸はレブリン酸である。
【0075】
特定の実施態様において、非晶質固体は、セルロース系ゲル化剤および/または非セルロース系ゲル化剤、活性物質および酸を含むゲル化剤を含む。
【0076】
一部の実施態様では非晶質固体は追加で活性物質を含む。例えば、場合によっては非晶質固体は追加でタバコ材および/またはニコチンを含む。場合によっては非晶質固体は、5~60wt%(乾式重量基準で計算して)のタバコ材および/またはニコチンを含んでもよい。場合によっては非晶質固体は、約1wt%、5wt%、10wt%、15wt%、20wt%または25wt%~約70wt%、60wt%、50wt%、45wt%、40wt%、35wt%または30wt%(乾式重量基準で計算して)の活性物質を含んでもよい。場合によっては非晶質固体は、約1wt%、5wt%、10wt%、15wt%、20wt%または25wt%~約70wt%、60wt%、50wt%、45wt%、40wt%、35wt%または30wt%(乾式重量基準で計算して)のタバコ材を含んでもよい。例えば、非晶質固体は、10~50wt%、15~40wt%または20~35wt%のタバコ材を含んでもよい。場合によっては非晶質固体は、約1wt%、2wt%、3wt%または4wt%~約20wt%、18wt%、15wt%または12wt%(乾式重量基準で計算して)のニコチンを含んでもよい。例えば、非晶質固体は、1~20wt%、2~18wt%または3~12wt%のニコチンを含んでもよい。
【0077】
場合によっては非晶質固体はタバコ抽出物などの活性物質を含む。場合によっては非晶質固体は5~60wt%(乾式重量基準で計算して)のタバコ抽出物を含んでもよい。場合によっては非晶質固体は、約5wt%、10wt%、15wt%、20wt%または25wt%~約60wt%、50wt%、45wt%または40wt%、35wt%または30wt%(乾式重量基準で計算して)のタバコ抽出物を含んでもよい。例えば、非晶質固体は、10~50wt%、14~40wt%または20~35wt%のタバコ抽出物を含んでもよい。タバコ抽出物は非晶質固体が1wt%、1.5wt%、2wt%または2.5wt%~約6wt%、5wt%、4.5wt%または4wt%(乾式重量基準で計算して)のニコチンを含む濃度でニコチンを含んでもよい。場合によってはタバコ抽出物から得られるもの以外の非晶質固体のニコチンは存在しない。
【0078】
一部の実施態様では非晶質固体はタバコ材を含まないが、ニコチンを含む。そのような一部の場合において、非晶質固体は、約1wt%、2wt%、3wt%または4wt%~約20wt%、18wt%、15wt%または12wt%(乾式重量基準で計算して)のニコチンを含んでもよい。例えば、非晶質固体は、1~20wt%、2~18wt%または3~12wt%のニコチンを含んでもよい。
【0079】
場合によっては活性物質と風味料の合計含有量は、少なくとも約0.1wt%、1wt%、5wt%、10wt%、20wt%、25wt%または30wt%であってもよい。場合によっては活性物質と風味料の合計含有量は、約90wt%、80wt%、70wt%、60wt%、50wt%または40wt%未満(全て乾式重量基準で計算して)であってもよい。
【0080】
場合によってはタバコ材、ニコチンおよび風味料の合計含有量は、少なくとも約0.1wt%、1wt%、5wt%、10wt%、20wt%、25wt%または30wt%であってもよい。場合によっては活性物質および/または風味料の合計含有量は、約90wt%、80wt%、70wt%、60wt%、50wt%または40wt%(全て乾式重量基準で計算して)未満であってもよい。
【0081】
非晶質固体はゲルから作製されてもよく、ゲルは追加で0.1~50wt%で含有される溶媒を含んでもよい。しかしながら、本発明者は、風味料が可溶な溶媒を含有させることでゲルの安定性が減少し、風味料がゲルから結晶化して出てしまうということを確認している。従って、場合によってはゲルは風味料が溶ける溶媒を含まない。
【0082】
一部の実施態様では非晶質固体は、60wt%未満、例えば1wt%~60wt%または5wt%~50wt%または5wt%~30wt%または10wt%~20wt%の充填材を含む。
【0083】
他の実施態様では非晶質固体は20wt%未満、好適には10wt%未満または5wt%未満の充填材を含む。場合によっては非晶質固体は1wt%未満の充填材を含み、場合によっては充填材を含まない。
【0084】
充填材は含まれるのであれば炭酸カルシウム、パーライト、バーミキュライト、珪藻土、コロイドシリカ、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウムおよびモレキュラーシーブなどの好適な無機吸着剤の内の1つ以上を含んでもよい。充填材はウッドパルプ、セルロースおよびセルロース派生物などの1つ以上の有機充填材を含んでもよい。場合によっては非晶質固体は1wt%未満の充填材を含み、場合によっては充填材を含まない。特に場合によっては非晶質固体はチョークなどの炭酸カルシウムを含む。
【0085】
充填材を含む特定の実施態様では充填材は繊維性である。例えば、充填材はウッドパルプ、麻繊維、セルロースまたはセルロース派生物などの繊維性充填材であってもよい。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、非晶質固体に繊維性充填材を含有させることは材料の引張強度を増加させることが確認されている。これは増加された引張強度により製造中に非晶質固体に欠陥が導入されにくくなるので特に有利である。
【0086】
一部の実施態様では非晶質固体はタバコ繊維を含まない。特定の実施態様では非晶質固体は繊維材を含まない。
【0087】
一部の実施態様ではエアロゾル発生材はタバコ繊維を含まない。特定の実施態様ではエアロゾル発生材は繊維材を含まない。
【0088】
場合によっては非晶質固体は、ゲル化剤、エアロゾル発生剤、水および選択的に風味料および/またはタバコ材および/またはニコチン源から実質的になるまたは、からなる。
【0089】
場合によっては非晶質固体は、ゲル化剤、水、エアロゾル発生剤および選択的に風味料および/または活性物質から実質的になるまたは、からなる。
【0090】
誘導加熱は、導電性物体に変動磁場を侵入させることによってその物体を加熱するプロセスである。このプロセスは、ファラデーの電磁誘導の法則及びオームの法則によって説明される。誘導ヒーターは、電磁石と、この電磁石に交流電流などの変動電流を流すための装置を備えることができる。加熱しようとする物体と電磁石が、電磁石によって生じた変動磁場がこの物体に侵入するような適切な相対位置に配置されると、この物体内に1つ以上の渦電流が発生する。この物体は電流の流れに対する抵抗を有する。したがって、この物体内にこのような渦電流が発生すると、渦電流が物体の電気抵抗に抗して流れ、それによってこの物体が加熱される。このプロセスは、ジュール加熱、オーム加熱、又は抵抗加熱と呼ばれる。誘導加熱することができる物体は、サセプタとして知られている。
【0091】
1つの実施態様ではサセプタは閉回路の形体である。サセプタが閉回路の形態のときは、使用時におけるサセプタと電磁石との磁気結合が強くなり、その結果、ジュール加熱が増大し、又は改善されることが分かっている。
【0092】
磁気ヒステリシス加熱は、磁性材料からなる物体に変動磁場が侵入することによって物体を加熱するプロセスである。磁性材料は、原子スケールの磁石すなわち磁気双極子を多く含んでいると考えることができる。磁場がこのような材料に侵入すると、磁気双極子は磁場に沿って整列する。したがって、交流磁場、例えば、電磁石によって生じたものなどの変動磁場が磁性材料に侵入すると、磁気双極子の向きは、印加された変動磁場に応じて変化する。このような磁気双極子の再配向によって、磁性材料内に熱が発生する。
【0093】
物体が導電性及び磁性の両方を有するときは、その物体に変動磁場を侵入させると、物体にジュール加熱及び磁気ヒステリシス加熱の両方を生じさせることができる。さらに、磁性材料を使用すると、変動磁場を強めることができ、それによりジュール加熱を強めることができる。
【0094】
上記のプロセスのそれぞれにおいて、熱は、外部熱源によって熱伝導により発生するのではなく、物体自体の内部で発生するので、物体内の急速な温度上昇と、より均一な熱分布を達成することができる。これは、特に、物体の材料及び幾何形状を適切に選び、その物体に対して変動磁場の大きさ及び向きを適切に選ぶことによって達成することができる。さらに、誘導加熱及び磁気ヒステリシス加熱では、変動磁場の源と物体との間に物理的な接続部を設ける必要がないので、設計自由度及び加熱プロファイルの制御性を高めるとともに、コストを抑えることができる。
【0095】
例えばロッド状の物品などの物品は、しばしば、製品の長さに従って次のように命名される。「標準」(通常は68~75mm、例えば約68mm~約72mmの範囲)、「ショート」または「ミニ」(68mm以下)、「キングサイズ」(通常は75~91mm、例えば約79mm~約88mmの範囲)、「ロング」または「スーパーキング」(通常は91~105mm、例えば約94mm~約101mmの範囲)、および「超ロング」(通常、約110mm~約121mmの範囲)。
【0096】
それらはまた、タバコの円周に従って次のように命名される。「標準」(約23~25mm)、「ワイド」(25mmを超える)、「スリム」(約22~23mm)、「デミスリム」(約19~22mm)、「スーパースリム」(約16~19mm)、「マイクロスリム」(約16mm未満)。
【0097】
従って、キングサイズの超細型規格の紙巻きタバコは、例えば、長さが約83mm、円周が約17mmである。
【0098】
各フォーマットは異なる長さのマウスピースが設けられてもよい。マウスピースの長さは、約30mm~50mmになる。チッピング紙はマウスピースをエアロゾル発生材に接続し、通常は例えば3~10mmの長さでマウスピースより長く、これによりチッピング紙がマウスピースを覆い、例えば基材からなるロッドの形体のエアロゾル発生材に重なり、マウスピースをロッドに接続する。
【0099】
本明細書に記載の物品、エアロゾル発生材およびマウスピースは上記フォーマットのいずれかで作製できるがこれらに限定されない。
【0100】
本明細書で使用する「上流」および「下流」なる用語は、使用の際物品またはデバイスを介して引き込まれる主流煙エアロゾル発生材の方向に対して定義される相対的な用語である。
【0101】
本明細書で説明するフィラメント状のトウ材料はセルロースアセテート繊維トウを含んでもよい。フィラメント状のトウ材料は、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(1,4-ブタンジオールスクシナート)(PBS)、ポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート)(PBAT)、スターチ系材料、紙、脂肪族ポリエステル材および多糖ポリマーまたはこれらを組み合わせたものなどの繊維を形成するために使用される他の材料を使用して形成してもよい。フィラメント状のトウ材料は、フィルター材がセルロースアセテートトウである場合、トリアセチンなどのフィルター材に適した可塑剤で可塑化してもよく、または可塑化されなくてもよい。トウは、「Y」字状または「X」字状などの他の断面、2.5~15の単糸繊度、例えば8.0~11.0の単糸繊度の繊維のデニール値および5,000~50,000、例
えば10,000~40,000の総繊度値を有する繊維のようにあらゆる好適な仕様を使用することができる。
【0102】
本明細書中では「タバコ材」なる用語は、タバコまたはその派生物または代替品を含むあらゆる材料を意味する。「タバコ材」なる用語はタバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替え品の内の1つ以上を含んでもよい。タバコ材は粉タバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押し出しされたタバコ、タバコ葉柄、再生タバコおよび/またはタバコ抽出物の内の1つ以上を含んでもよい。
【0103】
本明細書で図面において同等の特徴、物品または部材を示す場合には同じ参照番号が使用されている。
【0104】
図1は、非燃焼系エアロゾル供給デバイスに使用する物品1の側部断面図である。図1に示すように物品は、上流端2aと下流端2bを有するマウスピース2を含む。マウスピース2は、非晶質固体材料からなるシートを含む材料体6を含む。本例では非晶質固体材料は、寄せ集められ、第1のプラグラッパー7に巻かれて実質的に円筒状の材料体6を形成する。本例では材料体6は、単独の非晶質固体シート材の寄せ集めシートから形成されている。しかしながら、別の実施態様では非晶質固体材料のシートは、材料体6を形成するための寄せ集め前に条片に切断されてもよい。
【0105】
図1に示す実施態様では物品は、マウスピース2を含み、マウスピース2に接続されるエアロゾル発生材3、本例ではタバコ材の円筒状のロッドをさらに含む。マウスピースの上流端2aは、エアロゾル発生材に隣接して配置され、マウスピース2の下流端2bは、エアロゾル発生材3のロッドから遠位に配置される。
【0106】
本発明は、マウスピースに非晶質固体材料の本体の設けることでエアロゾルが使用時にマウスピースを通って引き込まれる際にエアロゾルに冷却効果を与えるという利点があることを発見した。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、エアロゾルが材料体6を通過する際にエアロゾルから非晶質固体材料へと移行する熱が非晶質固体材料の成分をエアロゾル化し、その結果、エアロゾルを冷却することになり、そして有利なことに必要に応じてマウスピースを通過するエアロゾルの風味を変性すると推察される。この構成によりエアロゾルが消費者の唇に到達した際に熱くなりすぎるという喫煙品の従来の問題点を軽減し、また製造を複雑にすることなくエアロゾルに追加の風味を加えるための手段を提供することもできる。
【0107】
本例では非晶質固体材料体6の長さは、40mmである。
【0108】
本体は、喫煙品用紙フィルターを製造するための当業者に知られている方法を使用して形成してもよい。本例では非晶質固体材料体6は、非晶質固体材料からなる単独の寄せ集めシートから形成される。別の実施態様では材料体6は、非晶質固体材料の2つ以上のシートまたは本体を形成するために寄せ集められる前に片に切断される単独のシート材から形成されてもよい。この場合、非晶質固体材料は、単一層を含み、キャリアー材に積層されていない。他の実施態様では非晶質固体材料は、紙または箔などのキャリアー材に積層されていてもよく、積層された非晶質固体材料は、本明細書に記載の方法のいずれかで本体を形成するために使用してもよい。
【0109】
この場合、非晶質固体材料の厚さは、0.09mmである。これとは別の実施態様では非晶質固体材料は、本明細書中で説明するあらゆる好適な厚さを有してもよい。好適には非晶質固体材料の厚さは0.05mm~0.2mmである。好適には本明細書で説明する実施態様のいずれかにおいて、非晶質固体層の厚さは、約50μm~約200μmまたは約50μm~約100μmまたは約60μm~約90μm、好適には約77μmである。
【0110】
材料体6の密度は、材料体6の総重量を材料体6の総容積で割ることによって定められ、総容積は、例えばノギスを使用して材料体6の適当な測定を使用して算出することができる。必要であれば適当な寸法を顕微鏡を使用して測定してもよい。この場合、材料体の密度は、0.51×10-3g/mmである。他の実施態様では材料体の密度は、0.1×10-3g/mm~1×10-3g/mmである。
【0111】
材料体6は、第1のプラグラッパー7に包まれている。好ましくは第1プラグラッパー7は、50gsm未満、より好ましくは約20gsm~40gsmの坪量を有する。好ましくは第1プラグラッパー7は、30μm~60μm、より好ましくは35μm~45μmの厚さを有する。好ましくは第1プラグラッパー7は、例えば100コレスタ単位未満、例えば50コレスタ単位未満の通気性を有する非孔性プラグラッパーである。しかしながら、他の実施態様では第1プラグラッパー7は、例えば200コレスタ単位超の通気性を有する多孔性プラグラッパーであってもよい。
【0112】
図2は、非燃焼系エアロゾル供給デバイスに使用するマウスピース2’を含む物品1’の側部断面図である。物品1’は、材料体6の長さが10mmである以外、図1を参照して説明したようなものと類似の材料体6を含む。材料体6に加えてマウスピース2’は、中空の管状部材8と、繊維材体4とを含む。図2に示す実施態様では物品1’は、マウスピース2’の下流端2’の反対のマウスピース2’の上流端2’に接続されているエアロゾル発生材からなるロッド3をさらに含む。
【0113】
好ましくは材料体6の長さは約15mm未満である。より好ましくは材料体6の長さは約10mm未満である。さらにまたは別例として材料体6の長さは、少なくとも約5mmである。好ましくは材料体6の長さは、少なくとも約6mmである。一部の好ましい実施態様では材料体6の長さは、約5mm~約15mm、より好ましくは約6mm~約12mm、さらにより好ましくは約6mm~約12mm、最も好ましくは約6mm、7mm、8mm、9mmまたは10mmである。本例では材料体6の長さは10mmである。
【0114】
マウスピース、例えばエアロゾル発生材3の下流の物品1の部分の圧力降下または圧力差(吸引抵抗とも言われる)は、好ましくは約40mmHO未満である。このような圧力降下は、風味化合物などを含む充分なエアロゾルがマウスピース2を介して消費者に移動できるようにすることが分かっている。より好ましくはマウスピース2の圧力降下は、約32mmHO未満である。一部の実施態様では31mmHO未満、例えば約29mmHO、約28mmHOまたは約27.5mmHOの圧力降下を有するマウスピース2を使用することで特にエアロゾルが改善された。これとは別にまたはこれに加えてマウスピース圧力降下は、少なくとも10mmHO、好ましくは少なくとも15mmHOそしてより好ましくは少なくとも20mmHOである。一部の実施態様ではマウスピース圧力降下は、約15mmHO~40mmHOであってもよい。これらの値によりマウスピース2がエアロゾルがマウスピース2を通過する際にエアロゾルを減速させ、これによりエアロゾルの温度がマウスピース2の下流端部2bに到達する前に低下する時間がある。
【0115】
材料体の圧力降下または圧力差は、好適には0.01mmHO~100mmHOである。一部の実施態様では材料体の圧力降下は、約50mmHO未満、約45mmHO未満または約30mmHO未満である。
【0116】
本例では材料体6は、冷却部材とも言われる中空の管状部材8の下流に隣接し、当接して位置する。中空の管状部材8は、平行に巻かれ、接合された継ぎ目を有する管状部材8を形成する複数の紙の層から形成される。本例では第1および第2の紙の層は二重の管に供されるが、他の例では3、4またはそれ以上の層を使用して3重、4重またはそれ以上重ねた管を形成してもよい。他の構造、例えば螺旋状に巻かれた紙の層、ボール紙管、混凝紙型工程を使用して形成された管、成型または押し出しされたプラスチック管または類似するものも使用できる。
【0117】
中空の管状部材8は、以下に詳しく説明する第3のプラグラッパー11および/またはチッピング紙5として堅いプラグラッパーおよび/またはチッピング紙を使用して形成してもよく、これは別個の管状部材を必要としないことを意味する。硬めのプラグラッパーおよび/またはチッピング紙は、製造中および物品1’の使用中に生じるであろう軸方向の圧縮力および曲げモーメントに耐えるに充分な剛性を有するように製造される。例えば、硬質のプラグラッパーおよび/またはチッピング紙は、70gsm~120gsm、より好ましくは80gsm~110gsmの坪量を有してもよい。さらにまたはこれとは別に硬質のプラグラッパーおよび/またはチッピング紙は、80μm~200μm、より好ましくは100μm~160μmまたは120μm~150μmの厚さを有してもよい。第3のプラグラッパー11およびチッピング紙5の両方において中空の管状部材8のための許容できる全般的なレベルの剛性を達成するためにこれらの範囲の値を有するのが望ましい。
【0118】
中空の管状部材8は、例えばノギスを使用して測定される少なくとも約100μmおよび約1.5mm以下、好ましくは100μm~1mmおよびより好ましくは150μm~
500μmまたは約300μmの壁厚を好ましくは有する。本例では中空の管状部材8は、約290μmの壁厚を有する。
【0119】
好ましくは中空の管状部材8の長さは約50mm未満である。より好ましくは中空の管状部材8の長さは、約40mm未満である。さらにより好ましくは中空の管状部材8の長さは、約30mm未満である。さらにまたは別例として中空の管状部材8の長さは、好ましくは少なくとも約10mmである。好ましくは中空の管状部材8の長さは、少なくとも約15mmである。一部の好ましい実施態様では中空の管状部材8の長さは、約20mm~約30mm、より好ましくは約22mm~約28mm、さらにより好ましくは約24~約26mm、最も好ましくは約25mmである。本例では中空の管状部材8の長さは、25mmである。
【0120】
中空の管状部材8は、マウスピース2の周囲に位置し、マウスピース内に空隙を画定し、これは冷却セグメントとして作用する。空隙は、エアロゾル発生材3によって発生させた加熱された揮発成分が流れるチェンバーを供する。中空の管状部材8は、エアロゾルの堆積のためのチェンバーを供するために中空であり、それでも製造中そして物品1’が使用されている間に生じるかもしれない軸方向の圧縮力および曲げ運動に充分耐える堅さを有する。中空の管状部材8は、エアロゾル発生材3と材料体6の間を物理的に移動する。中空の管状部材8による物理的移動は、中空の管状部材8の長さに亘って温度勾配を供する。
【0121】
中空の管状部材8は、中空の管状部材8の第1の上流端部に入る加熱されて揮発した成分と中空の管状部材8の第2の下流端部を出る加熱されて揮発した成分との間で少なくとも40℃の温度差を設けるように構成することができる。中空の管状部材8は、好ましくは中空の管状部材8の第1の上流端部に入る加熱されて揮発した成分と中空の管状部材8の第2の下流端部を出る加熱されて揮発した成分との間で少なくとも60℃、好ましくは少なくとも80℃およびより好ましくは少なくとも100℃の温度差を供するように構成される。中空の管状部材8長さに亘るこの温度差は、加熱された際のエアロゾル発生材3の高温から温度感受性の第1の材料体6を保護する。
【0122】
別の実施態様では中空の管状部材8は、別の冷却部材、例えばエアロゾルを長手方向に通過させ、エアロゾルの冷却機能も行う材料体、例えば非晶質固体材料体6から形成された部材に置き換えることもできる。
【0123】
本例では繊維性材料体4は、材料体6のすぐ下流でこれと当接関係にあるマウスピース2’の下流吸い口端2’bに位置する。繊維性材料体4は、第2のプラグラッパー9に包まれ、これは本例では第1のプラグラッパー7と同じである。材料体6と繊維性材料体4は、それぞれ実質的に全体が円筒形状を画定し、共通の長手方向軸を共有する。
【0124】
本例では中空の管状部材8、本体6および繊維性材料体4は、これら3つのセクション全てに巻かれる第3のプラグラッパー11を使用して組み合われる。好ましくは第3のプラグラッパー11は、50gsm未満、より好ましくは約20gsm~45gsmの坪量を有する。好ましくは第3のプラグラッパー11は、30μm~60μm、より好ましくは35μm~45μmの厚さを有する。第3のプラグラッパー11は、好ましくはコレス単位未満、例えば50コレスタ単位未満の通気度を有する非孔性プラグラッパー100である。しかしながら、別の実施態様では第3のプラグラッパー11は、例えば200コレスタ単位超の通気性を有する多孔性プラグラッパーであってもよい。
【0125】
本例では繊維性材料体4は、フィラメント状のトウから形成される。本例では繊維性材料体4に使用されるトウは、8.4の単糸繊度(d.p.f.)および21,000の総繊度を有する。これとは別にトウは、例えば9.5の単糸繊度(d.p.f.)と12,000の総繊度を有してもよい。これとは別にトウは、例えば8の単糸繊度(d.p.f.)と15,000の総繊度を有してもよい。本例ではトウは可塑化されたセルロースアセテートトウを含む。トウに使用される可塑剤は約7重量%のトウを含む。本例では可塑剤はトリアセチンである。他の例では異なる材料も繊維性材料体4を形成するために使用することができる。例えば、トウではなく、繊維性材料体4は、例えば紙巻きタバコに使用するための従来の紙フィルターと同じように紙から形成することも可能である。これとは別に繊維性材料体4は、セルロースアセテート以外、例えばポリ乳酸(PLA)、フィラメント状のトウについて本明細書に記載の他の材料または類似の材料から形成してもよい。トウはセルロースアセテートから形成されるのが好ましい。セルロースアセテートまたは他の材料から形成されるに関係無くトウは、好ましくは少なくとも5、より好ましくは少なくとも6およびさらにより好ましくは少なくとも7のd.p.f.を有する。単糸繊度のこれらの値によってこれより単糸繊度の低いトウより小さい表面積を有し比較的粗く、厚い繊維のトウが提供され、その結果、得られるマウスピース2’の圧力降下は、低いd.p.f.値のトウより小さくなる。好ましくは充分に均一な繊維性材料体4を得るためにトウは、12d.p.f.、好ましくは11d.p.f.未満そしてより好ましくは10d.p.f.未満の単糸繊度を有する。
【0126】
繊維性材料体4を形成するトウの総繊度は、好ましくは最大で30,000、より好ましくは最大で28,000およびさらにより好ましくは最大で25,000である。総繊度のこれらの値によりマウスピース2’の断面積の少ない割合を占めるトウを提供し、その結果、より高い総繊度値のトウよりマウスピース2’の吸引抵抗、したがって圧力降下が小さくなる。繊維性材料体4の適した硬度のためにトウは、好ましくは少なくとも8,000およびより好ましくは少なくとも10,000の総繊度を有する。好ましくは単糸繊度は、5~12であり、総繊度は、10,000~25,000である。より好ましくは単糸繊度は、6~10であり、総繊度は、11,000~22,000である。好ましくはトウのフィラメントの断面形状は、「Y」字形状であるが、他の実施態様では本明細書で供されるd.p.f.と総繊度値と同じ値の「X」字形状フィラメントなどの他の形状も使用可能である。
【0127】
好ましくは繊維性材料体4の長さは、約15mm未満である。より好ましくは繊維性材料体4の長さは、約10mm未満である。さらにまたは別例として繊維性材料体4の長さは、少なくとも約5mmである。好ましくは繊維性材料体4の長さは、少なくとも約6mmである。一部の実施態様では繊維性材料体4の長さは、約5mm~約15mm、より好ましくは約6mm~約12mm、さらにより好ましくは約6mm~約10mm、最も好ましくは約6mm、7mm、8mm、9mmまたは10mmである。本例では繊維性材料体4の長さは、10mmである。
【0128】
本例ではエアロゾル発生材3はラッパー10に包まれている。ラッパー10は、例えば紙または紙に支持された箔のラッパーであってもよい。本例ではラッパー10は実質的に空気を通さない。別の実施態様ではラッパー10は、好ましくは100コレスタ単位未満、より好ましくは60コレスタ単位未満の通気性を有する。低通気性、例えば100コレスタ単位未満、より好ましくは60コレスタ単位未満の通気性のラッパーは、結果としてエアロゾル発生材3でのエアロゾルの形成を向上させることになることが分かっている。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、これはラッパー10を介したエアロゾル化合物の損失が少なくなることによると推定される。ラッパー10の通気性は、シガレットペーパー、フィルタープラグラッパーおよびフィルター接合ペーパーとして使用される材料の空気透過度の測定に関するISO 2965:2009に従って測定することができる。
【0129】
本実施態様ではラッパー10はアルミニウム箔を含む。アルミニウム箔は、エアロゾル発生材3内でエアロゾルの形成を高める上で特に効果的であることが分かっている。本例ではアルミニウム箔は厚さが約6μmの金属層を有する。本例ではアルミニウム箔は台紙を有する。しかしながら、別の構成ではアルミニウム箔は、他の厚さ、例えば4μm~16μmの厚さであってもよい。またアルミニウム箔は、台紙を必要としないが、例えば箔に適度な引っ張り強度を供するのに役立つ他の材料から形成された裏当て材を有することも可能であり、あるいは裏当て材を持たなくてもよい。アルミニウム以外の金属層または箔も使用可能である。ラッパーの厚さの合計は、好ましくは20μm~60μm、より好ましくは30μm~50μmで、適した構造的完全性および伝熱特性を有するラッパーを供することができる厚さである。ラッパーが破れるまでのラッパーに加えることができる張力は、3,000グラム重量超、例えば3,000~10,000グラム重量または3,000~4,500グラム重量である。
【0130】
物品の物品を介して引き込まれるエアロゾルの換気レベルは、約60%である。別の実施態様では物品は物品を介して引き込まれるエアロゾルの50%~80%、例えば65%~75%の換気レベルを有してもよい。これらのレベルの換気は、マウスピース2’を介して引き込まれるエアロゾルの流れの減速を補助し、これによりエアロゾルをそれがマウスピース2’の下流端部に到達する前に冷ますことができる。換気は、物品1’のマウスピース2’内に直接設けられる。本例では換気は中空の管状部材8内に設けられ、これはエアロゾル発生プロセスを補助する上で特に有益であることが分かっている。換気は、マウスピース2’の下流吸い口端部2’からそれぞれ17.925mmおよび18.625mmの位置で、この場合レーザーによる穿孔として形成された第1および第2の平行な列のミシン目12を介して設けられる。これらのミシン目は、チッピング紙5および中空の管状部材8を通る。別の実施態様では換気は、マウスピースの他の位置、例えば繊維性材料体4または第1の管状部材11内に設けることができる。
【0131】
エアロゾル発生材は、エアロゾル形成材とも呼ばれるエアロゾル化可能な材料を含む。エアロゾル化可能な材料は、基材上に存在してもよい。基材は、例えば紙、ボール紙、板紙、厚紙、再生されたエアロゾル化可能な材料、プラスチック材、セラミック材、複合材料、ガラス、金属または金属合金であってもあるいは含んでもよい。
【0132】
本例ではエアロゾル発生基材3に加えられるエアロゾル形成材は、重量で14%のエアロゾル発生材3を含む。好ましくはエアロゾル形成材は、重量で少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%のエアロゾル発生材を含む。好ましくはエアロゾル形成材は、重量で25%未満、より好ましくは20%未満、例えば10%~20%、12%~18%または13%~16%のエアロゾル発生材を含む。
【0133】
好ましくはエアロゾル発生材3はエアロゾル発生材からなる円筒状ロッドとして提供される。エアロゾル発生材の形に関係無く、エアロゾル発生材は約10mm~100mmの長さを有する。一部の実施態様ではエアロゾル発生材の長さは、好ましくは約25mm~50mmの範囲内、より好ましくは約30mm~45mmの範囲内およびさらにより好ましくは約30mmから40mmである。
【0134】
設けられるエアロゾル発生材3の容積は、約200mm~約4300mm、好ましくは約500mm~1500mm、より好ましくは約1000mm~約1300mmで異なってもよい。例えば約1000mm~約1300mmといったエアロゾル発生材のこれらの容積を設けることは、その範囲の下方端部から選択された容積で達成される視認性および知覚性能より良好な視認性および知覚性能を有する優れたエアロゾルを達成することが有利に示されている。
【0135】
設けられるエアロゾル発生材3の質量は、200mg超、例えば約200mg~400mg、好ましくは約230mg~360mg、より好ましくは約250mg~360mgであってもよい。より質量の大きいエアロゾル発生材を供することは、結果として質量の小さいタバコ材から発生するエアロゾルと比較して良好な知覚性能が得られるという有利なことが分かっている。
【0136】
好ましくはエアロゾル発生材3は、タバコ成分を含む本明細書に記載したタバコ材から形成される。
【0137】
本明細書に記載したタバコ材においてタバコ成分は紙再生タバコを含む。タバコ成分は、葉タバコ、押し出しされたタバコおよび/またはバンドキャストされたタバコを含む。
【0138】
エアロゾル発生材3は、1立方センチメートル当たり約700ミリグラム(mg/cc)未満の密度を有する再生タバコ材を含んでもよい。そのようなタバコ材は、高密な材料と比較してエアロゾルを放出するために速く加熱することができるエアロゾル発生材を供するという点で特に有効であることが分かっている。例えば、本発明者は、バンドキャストされた再生タバコ材および紙再生タバコ材などの種々のエアロゾル発生材の加熱した際の特性を試験した。各所与のエアロゾル発生材の場合、熱を材料に加えている間、特定のゼロ熱流温度が存在し、それ以下では正味熱流が吸熱性になり、言い換えれば材料を出るより、より多くの熱が材料に入り、それ以上では正味熱量が発熱性になり、言い換えれば材料に入るより材料を出る熱が多くなる。700mg/cc未満の密度の材料は低いゼロ熱流温度であった。材料を出る熱流のかなりの部分がエアロゾルの形成を介しているので、低いゼロ熱流温度を有することはエアロゾル発生材から最初にエアロゾルを放出するのにかかる時間に亘って有益な効果を有する。例えば、700mg/cc未満の密度を有するエアロゾル発生材は、700mg/ccを超える密度を有し、ゼロ熱流温度が164℃超だった材料と比較して、ゼロ熱流温度が164℃未満であることを発見した。
【0139】
エアロゾル発生材の密度は、材料を伝わる熱の速度にも影響を与え、低い密度、例えば700mg/cc未満の密度では材料を伝わる熱の速度が遅くなり、従ってより持続性のあるエアロゾルの放出を可能にする。
【0140】
好ましくはエアロゾル発生材3は約700mg/cc未満の密度を有する再生タバコ材、例えば紙再生タバコ材を含む。より好ましくはエアロゾル発生材3は、約600mg/cc未満の密度を有する再生タバコ材を含む。これとは別にまたは加えてエアロゾル発生材3は、好ましくは材料を介した充分な量の熱伝導を可能にすると考えられている少なくとも350mg/ccの密度を有する再生タバコ材料を含む。
【0141】
タバコ材は刻みくずタバコの形体で供されてもよい。刻みくずタバコは1インチ当たり少なくとも15切断片の切断幅(1センチ当たり5.9切断部、約1.7mmの切断幅に等しい)に有する。好ましくは刻みくずタバコは、1インチ当たり少なくとも18切断片の切断幅(1センチ当たり約7.1切断片、約1.4mmの切断幅に等しい)、より好ましくは1インチ当たり少なくとも20切断片(1センチ当たり7.9切断片、約1.27mmの切断幅に等しい)の切断幅を有する。1つの例では刻みくずタバコは、1インチ当たり22切断片の切断幅(1センチ当たり8.7切断片、約1.15mmの切断幅に等しい)を有する。好ましくは刻みくずタバコは、1インチ当たり少なくとも40切断片以下の切断幅(1センチ当たり約15.7切断片、約0.64mmの切断幅に等しい)を有する。0.5mm~2.0mm、例えば0.6mm~1.5mmまたは0.6mm~1.7mmの切断幅は、特に加熱された際の表面積対体積比および発生材3の総合密度および圧力降下の点で好ましいタバコ材が結果として得られることが判明している。刻みくずタバコはタバコ材の形の混合物、例えば紙再生タバコ、葉タバコ、押し出しタバコおよびバンドキャストされたタバコのうちの1つ以上との混合物から形成することができる。好ましくはタバコ材は、紙再生タバコまたは紙再生タバコと葉タバコの混合物を含む。
【0142】
本明細書に記載したタバコ材においてタバコ材は充填材成分を含んでもよい。充填材成分は、一般に非タバコ成分、即ちタバコ由来の成分を含まない成分である。充填材成分は、木繊維またはパルプまたは小麦繊維などの非タバコ繊維であってもよい。充填材成分は、チョーク、パーライト、バーミキュライト、珪藻土、コロイドシリカ、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウムなどの無機材料であってもよい。充填材成分は、非タバコキャスト材または非タバコ押し出し材であってもよい。充填材成分は、タバコ材の重量で0~20%または組成物の重量で1~10%の量で存在してもよい。一部の実施態様では充填材成分は含まれない。
【0143】
本明細書に記載したタバコ材においてタバコ材はエアロゾル形成材を含む。本文脈において「エアロゾル形成材」は、エアロゾルの発生を促進させる化学物質である。エアロゾル形成材は、気体の初期の気化および/または吸入可能な固体および/または液体エアロゾルへの凝集を促進することによってエアロゾルの発生を促してもよい。一部の実施態様ではエアロゾル形成材は、エアロゾル発生材からの風味の供給を向上させてもよい。一般にあらゆる好適なエアロゾル形成材または形成剤を本願明細書で説明したものを含む本発明のエアロゾル発生材に含有させてもよい。他の好適なエアロゾル形成材としては、ソルビトール、グリセロールおよびプロピレングリコールまたはトリエチレングリコールのようなグリコール類などのポリオール、一価アルコールなどの非ポリオール、高沸点炭化水素、乳酸などの酸類、グリセロール誘導体、ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセタート、クエン酸トリエチルまたはミリスチン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルを含むミリスチン酸エステルなどのエステル類およびステアリン酸メチル、ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施態様ではエアロゾル形成材は、グリセロール、プロピレングリコールまたはグリセロールとプロピレングリコールの混合物であってもよい。グリセロールは、タバコ材の重量で10~20%、例えば組成物の重量で13~16%、または組成物の重量で約14%または15%の量で存在してもよい。プロピレングリコールは、もし含まれるのであれば、組成物の重量で0.1~0.3%の量で存在してもよい。
【0144】
エアロゾル形成材は、あらゆる部材、例えばタバコ材からなるあらゆる部材および/またはもしあれば充填材成分に含有されてもよい。これとは別にまたは加えてエアロゾル形成材はタバコ材に別個に加えられてもよい。いずれの場合においてタバコ材中のエアロゾル形成材の総量は本明細書に記載のものであってもよい。
【0145】
タバコ材は、10~90重量%のタバコ葉を含んでもよく、エアロゾル形成材は葉タバコの約10重量%の量で供される。タバコ材の重量で10%~20%のエアロゾル形成材の総量を達成するためにこれを再生タバコ材などのタバコ材別の成分に高い重量パーセンテージに加えると有利であることが分かっている。
【0146】
本明細書に記載のタバコ材はニコチンを含む。ニコチン含有量は、タバコ材の重量で0.5~1.75%であり、例えば、タバコ材の重量で0.8~1.5%であってもよい。
さらにまたはこれとは別に、タバコ材は、タバコ葉の重量の1.5%超のニコチン含有量を有するタバコ葉を10~90重量%含む。ニコチン含有量が1.5%超のタバコ葉を紙再生タバコなどの低ニコチンベース材料と組み合わせて使用することで適当な量のニコチンを含むが、紙再生タバコ単独で使用するより良好な知覚性能を有するタバコ材を得られるという有利なことが分かっている。タバコ葉、例えば刻みくずタバコは、例えばタバコ葉の重量で1.5%~5%のニコチン含有量を有してもよい。
【0147】
本明細書に記載のタバコ材は本明細書に記載のような風味料のいずれかのようなエアロゾル変性剤を含んでもよい。1つの実施態様ではタバコ材は、メンソール化された物品を形成するメンソールを含む。タバコ材は、3mg~20mgのメンソール、好ましくは5mg~18mg、そしてより好ましくは8mg~16mgのメンソールを含んでもよい。本例ではタバコ材は16mgのメンソールを含む。タバコ材は、2重量%~8重量%のメンソール、好ましくは3重量%~7重量%のメンソール、そしてより好ましくは4重量%~5.5重量%のメンソールを含んでもよい。1つの実施態様ではタバコ材は4.7重量%のメンソールを含む。メンソールのこのような高い充填量は、例えば重量で50%超のタバコ材などの高いパーセンテージの再生タバコ材を使用することで達成される。これとは別にまたはこれに加えて高い容量のエアロゾル発生材、例えばタバコ材を使用することで例えば約500mm超、または好適には1000mm超のタバコ材などのエアロゾル発生材が使用される場合に達成されるメンソール充填量を増加させることができる。
【0148】
本明細書に記載の組成において、量を重量%で示した場合、誤解を避けるためにこれは、特段の記載がない限り乾燥重量基準を意味する。従って、タバコ材またはそのあらゆる成分中に存在するすべての水は、重量%の測定の目的のために完全に無視する。本明細書で説明するタバコ材の水分量は異なってもよく、例えば5~15重量%であってもよい。本明細書で説明するタバコ材の水分量は、例えばその組成物が維持される温度、圧力および湿度条件に応じて異なってもよい。水分量は、当業者に知られているようなKarl~Fisher分析によって測定してもよい。一方、誤解を避けるためにエアロゾル形成材がグリセ
ロールまたはプロピレングルコールなどの液相にある成分の場合であっても水以外のあらゆる成分はタバコ材の重量に含まれる。しかしながら、エアロゾル形成材がタバコ材に別個に加えられる代わりにまたは加えることに加えてタバコ材のタバコ成分またはタバコ材の充填部材(ある場合)に供される場合、エアロゾル形成材はタバコ組成物または充填部材の重量で含まれず、本明細書で規定する重量%で「エアロゾル形成材」の重量で含まれる。タバコ組成物に存在する全ての他の成分は、非タバコ由来であっても(例えば紙再生タバコの場合の非タバコ繊維)タバコ成分の重量で含まれる。
【0149】
ある実施態様ではタバコ材は、本明細書で規定するようなタバコ成分と本明細書で規定するようなエアロゾル形成材とを含む。ある実施態様ではタバコ材は、実質的に本明細書で規定するようなタバコ成分と本明細書で規定するようなエアロゾル形成材とからなる。ある実施態様ではタバコ材は本明細書で規定するようなタバコ成分と本明細書で規定するようなエアロゾル形成材とからなる。
【0150】
紙再生タバコは、タバコ成分の重量で10%~100%の量で本明細書に記載したタバコ材のタバコ成分中に存在する。いくつかの実施態様では紙再生タバコはタバコ成分の重量で10%~80%または20%~70%の量で存在する。別の実施態様ではタバコ成分は紙再生タバコから実質的になるまたは紙再生タバコからなる。好ましい実施態様では、葉タバコは、タバコ成分の重量で少なくとも約10%の量でタバコ材のタバコ成分中に存在する。例えば、葉タバコはタバコ成分の重量で少なくとも10%の量で存在してもよく、タバコ成分の残りは、紙再生タバコ、バンドキャストされたタバコまたはバンドキャストされた再生タバコおよびタバコ粒などの別の形体のタバコの組み合わせを含む。
【0151】
紙再生タバコとは、タバコ原料が可溶分の抽出物と繊維材を含む残渣となるように溶媒で抽出され、次に抽出物(通常濃縮した後、そして任意にさらなる処理をした後)を残渣からの繊維材(通常、繊維材から不純物を除いた後、そして任意に非タバコ繊維を僅かに加えて)と抽出物を繊維材に堆積させることによって再結合する工程によって形成されるタバコ材を意味する。再結合工程は製紙工程に似ている。
【0152】
紙再生タバコは、当業界で知られているあらゆる種類の紙再生タバコであってもよい。
特定の実施態様では紙再生タバコは、タバコ条片、タバコ葉柄、および全葉タバコのうちの1つ以上を含む原料から製造される。別の実施態様では紙再生タバコはタバコ条片および/または全葉タバコおよびタバコ葉柄からなる原料から製造される。しかしながら、他の実施態様では、くず、微粉およびもみ殻をこれとは別にまたは加えて原料に採用してもよい。
【0153】
本明細書に記載のタバコ材に使用するための紙再生タバコは、紙再生タバコの調製のための当業者に知られている方法で調製してもよい。
【0154】
本例では物品1’は、約21mmの外周を有する(即ち、物品はデミ-スリムフォーマットである)。他の例では物品は、例えば15mm~25mmの外周を有する本明細書に記載のいずれのフォーマットで提供することができる。物品は加熱されてエアロゾルを放出するものであるので、加熱効率の改善は、この範囲内でより小さい外周、例えば23mm未満の円周を有する物品を使用することによって達成することができる。好適な製品長さを維持しつつ加熱によるエアロゾルの改善を達成するために19mm超の物品円周は特に有効であることが分かっている。19mm~23mm、より好ましくは20mm~22mmの円周を有する物品は効果的にエアロゾルを供給しつつ効率的な加熱を良好に両立することが分かっている。
【0155】
マウスピース2’の外周は実質的にエアロゾル発生材のロッド3の外周と同じであり、これによりこれらの部材間が円滑になる。本例ではマウスピース2’の外周は、約20.8mmである。チッピング紙5がマウスピース2’の全長およびエアロゾル発生材のロッド3の一部に亘って巻かれ、その内面に接着剤を有し、マウスピース2’とロッド3を接続する。本例ではチッピング紙5は、エアロゾル発生材のロッド3上を5mm延びているが、これとは別にロッド3上を3mm~10mmまたは4mm~6mm延びてマウスピース2’とロッド3とが確実に取り付けられるようにする。チッピング紙5は、物品1’に使用されるプラグラッパーの坪量より大きい坪量を有してもよく、例えば40gsm~80gsm、より好ましくは50gsm~70gsm、本例では58gsmの坪量を有してもよい。これらの範囲の坪量は、許容できる引張強度を有しつつ、物品1を包むのに充分に可撓性であり、紙の長手方向の抑え継ぎ目に沿ってそれ自体に接着するチッピング紙が結果として得られることが分かっている。チッピング紙5の外周は、マウスピース2’に巻かれると約21mmになる。
【0156】
図3は別の物品1’’の側部断面図である。物品1’’は、マウスピース2’’が繊維性材料体4の代わりに吸い口端2’’bで第2の中空の管状部材13を含むこと以外、物品1’と実質的に同じである。
【0157】
第2の中空の管状部材13は、フィラメント状のトウから形成される。これは物品1’’の使用時に消費者の唇に接触するマウスピースの下流端部2’’bでマウスピース2’’の外面の温度を著しく低下させるという有利な発見があった。加えて管状部材13の使用は、管状部材13の上流であってもマウスピース2’’の外面の温度を著しく低下させるということも分かっている。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、これはマウスピース2’’の中央に近いところでエアロゾルを向かわせ、従ってエアロゾルからの熱のマウスピース2’’の外面への移行を低減する管状部材13によると推定される。
【0158】
第2の中空の管状部材13の「壁厚」は、管13の半径方向の壁の厚さに対応する。これは中空の管状部材8の場合と同じ方法で測定してもよい。壁厚は0.9mm超、より好ましくは1.0mm以上であると有利である。好ましくは壁厚は、管状部材11の壁の全周囲で実質的に一定である。しかしながら、壁厚が実質的に一定でない場合、壁厚は、管状部材11の周囲の任意の箇所で好ましくは0.9mm超、より好ましくは1.0mm以上である。
【0159】
好ましくは第2の中空の管状部材13の長さは、約20mm未満である。より好ましくは第2の中空の管状部材13の長さは約15mm未満である。さらにより好ましくは第2の中空の管状部材13の長さは約10mm未満である。さらにまたは別例として第2の中空の管状部材13の長さは、少なくとも約5mmである。好ましくは第2の中空の管状部材13の長さは、少なくとも約6mmである。一部の好ましい実施態様では第2の中空の管状部材13の長さは、約5mm~約20mm、より好ましくは約6mm~約10mm、さらにより好ましくは約6mm~約8mm、最も好ましくは約6mm、7mmまたは約8mmである。本例では第2の中空の管状部材13の長さは、6mmである。
【0160】
好ましくは第2の中空の管状部材13の密度は、1立方センチメートル当たり少なくとも約0.25グラム(g/cc)、より好ましくは少なくとも約0.3g/ccである。好ましくは第2の中空の管状部材13の密度は、1立方センチメートル当たり約0.75
グラム未満(g/cc)、より好ましくは0.6g/cc未満である。一部の実施態様では第2の中空の管状部材13の密度は、0.25~0.75g/cc、より好ましくは0.3~0.6g/cc、より好ましくは0.4g/cc~0.6g/ccまたは約0.5g/ccである。これらの密度は高密度な材料によって生じた良好な堅さと低密度材料の低い熱伝導性とが良好に両立されることが分かっている。本例の目的のために第2の中空の管状部材13の「密度」は、組み込まれているなんらかの可塑剤を含む部材を形成するフィラメント状のトウの密度を意味する。第2の中空の管状部材13の密度は、材料体6で説明したのと同じ方法で測定してもよい。
【0161】
第2の中空の管状部材13を形成するフィラメント状のトウは、好ましくは、45,000未満、より好ましくは42,000未満の総繊度を有する。この総繊度によって高密度過ぎない管状部材13を形成することができることが分かっている。好ましくは総繊度は、少なくとも20,000、より好ましくは少なくとも25,000である。好ましい実施態様では第2の中空の管状部材13を形成するフィラメント状のトウは、25,000~45,000、より好ましくは35,000~45,000の総繊度を有する。好ましくはフィラメント状のトウの断面形状は、「Y」字形状であるが、他の実施態様では「X」字形状フィラメントなどの他の形状も使用可能である。
【0162】
第2の中空の管状部材13を形成するフィラメント状のトウは、単糸繊度が好ましくは3超である。この単糸繊度によって高密度過ぎない中空の管状部材13を形成することができることが分かっている。好ましくは単糸繊度は少なくとも4、より好ましくは少なくとも5である。好ましい実施態様では第2の中空の管状部材13を形成するフィラメント状のトウは、単糸繊度が4~10、より好ましくは4~9である。一例では第2の中空の管状部材13を形成するフィラメント状のトウは、セルロースアセテートから形成され、例えばトリアセチンなどの18%可塑剤を含む8Y40,000トウを有する。
【0163】
第2の中空の管状部材13は、内径が好ましくは3.0mm超である。これより小さい内径はマウスピース2を通って消費者の口へと移動するエアロゾルの速度が望ましい速度より速くなり、これによりエアロゾルが温かくなりすぎ、例えば40℃超または45℃超の温度に達してしまう。より好ましくは第2の中空の管状部材13は、3.1mm超、さ
らに好ましくは3.5mmまたは3.6mm超の内径を有する。1つの実施態様では第2の中空の管状部材13の内径は、約3.9mmである。
【0164】
第2の中空の管状部材13は、好ましくは15%~22重量%の可塑剤を含む。セルロースアセテートトウの場合、可塑剤は、好ましくはトリアセチンであるが、ポリエチレングリコール(PEG)などの他の可塑剤も使用可能である。より好ましくは管状部材13は、16重量%~20重量%の可塑剤、例えば約17重量%、約18重量%または約19重量%の可塑剤を含む。
【0165】
マウスピースの外面の温度を減少させる中空の管状部材8と材料体6および第2の中空の管状部材13のエアロゾル冷却効果の組み合わせは、エアロゾル温度および吸い口端での物品の外面の温度が低くなるので、結果としてユーザー経験をより快適なものにする。
【0166】
図4は別の物品1’’’の側部断面図である。物品1’’’およびマウスピース2’’’は、非晶質固体材料の材料体6がエアロゾル発生材3に隣接しかつ当接関係にあるマウスピース2’’’の遠位端に設けられ、中空の管状部材8が材料体6の下流に設けられ、マウスピースの遠位端にある材料体6とマウスピースの吸い口端にある繊維セクション4の間に位置していること以外、物品1’およびマウスピース2’と実質的に同じである。
【0167】
エアロゾル発生材に隣接して非晶質固体材料からなる材料体6を設けることは、材料体6が冷却部材の下流に位置する場合と較べてより高い熱に結果として晒されることになる。この構成は、前記非晶質固体材料が風味剤を含んでいる場合、非晶質固体材料からの風味の放出を良好にすることになる。
【0168】
図5aはカプセル含有マウスピース2’’’’を含む別の物品1’’’’の側部断面図である。図5bは、図5aに示したカプセル含有マウスピースの側部断面図である。物品1’’’’とマウスピース2’’’’は、中空の管状部材8、非晶質固体材料からなる材料体6および繊維性材料体4に加えてマウスピース2’’’’がカプセル含有セクション14を含むということ以外、物品1’およびマウスピース2’と同じである。カプセル含有セクション14は、カプセル15の形体で設けられたエアロゾル変性剤を含み、耐油性プラグラッパー16で囲まれている。
【0169】
他の例では、エアロゾル変性剤は、繊維性材料体4内に注入されるまたは糸、例えば風味剤または他のエアロゾル変性剤を担持し、繊維性材料体4内に配置されてもよい糸上に供される材料などの他の形体で供することも可能である。また材料体6を形成する非晶質固体材料は、風味剤などのエアロゾル変性剤を含んでもよい。非晶質固体材料が風味剤を含む場合、カプセル15内に含まれるエアロゾル変性剤は、非晶質固体材料に含まれる風味剤を補完するように選択されてもよい。
【0170】
カプセル15は、液体ペイロードを囲む固体の脆弱なシェルを有する。本例では1つのカプセル15が使用される。カプセル15は、繊維製材料体4と実質的に同じ材料体内に完全に埋め込まれる。言い換えればカプセル15は、材料体14を形成する材料によって完全に囲まれる。他の例では複数の破壊可能なカプセル、例えば2、3またはそれ以上の破壊可能なカプセルを繊維性材料体14内に配置してもよい。材料体14の長さは、必要とされる数のカプセルを収容するために長くすることができる。複数のカプセルが使用される例では個々のカプセルは互いに同じであってもよく、あるいは大きさおよび/またはカプセルペイロードが異なってもよい。他の例では複数の材料体14を設けてもよく、各材料体が1つ以上のカプセルを有する。
【0171】
カプセル15は、コア-シェル構造を有する。言い換えれば、カプセル15は、液剤、例えば本明細書で説明した風味剤またはエアロゾル変性剤のいずれかであってもよい風味剤または他の物質をカプセル化するシェルを含んでもよい。カプセルのシェルは、ユーザーが破裂させ、風味剤または他の物質を材料体14内に放出させることができる。耐油性のプラグラッパー16は、プラグラッパーの材料をカプセル15の液体ペイロードに対して実質的に非透過性にするバリアコーティングを含んでもよい。これとは別にまたは加えて第2のプラグラッパー9および/またはチッピング紙5は、そのプラグラッパーおよび/またはチッピング紙の材料をカプセル15の液体ペイロードに対して実質的に非透過性にするバリアコーティングを含んでもよい。
【0172】
本例ではカプセル15は、球体であり、約3mmの直径を有する。他の例では、他の形状および大きさのものも使用可能である。カプセル15の総重量は、約10mg~約50mgの範囲内であってもよい。
【0173】
本例ではカプセル15は、材料体14内に長手方向中央の位置に配置される。即ち、カプセル15は、その中心が材料体14の両端から4mm離れるように位置決めされる。他の例ではカプセル15は材料体14の長手方向の中心位置以外の位置、即ち上流端部より材料体14の下流端部に近いまたは下流端部より材料体14の上流端部に近い所に配置してもよい。マウスピース2’’’’は、カプセル15と換気孔12がマウスピース2’’’’内で互いに長手方向にオフセットするように構成されている。
【0174】
マウスピース2’’’’の断面を図5bに示す。図5bは、カプセル15、材料体14、耐油性プラグラッパー16、第3のプラグラッパー11およびチッピング紙5を示している。他の例ではカプセル15はマウスピース2’’’’の長手方向軸(図示せず)の中心にある。耐油性のプラグラッパー16、第3のプラグラッパー11およびチッピング紙5は、材料体14の周囲に同心に配置されている。
【0175】
破壊可能なカプセル15は、コア-シェル構造を有する。即ち、カプセル化材またはバリアー材はエアロゾル変性剤を含むコアの周囲にシェルを形成する。シェル構造は物品1’’’’の貯蔵時のエアロゾル変性剤の移動を妨げるが、使用時にはエアロゾル修飾剤とも言われるエアロゾル変性剤の放出の制御を可能にする。
【0176】
場合によってはバリアー材(カプセル化剤とも言われる)は脆弱である。カプセルはユーザーによって潰されるあるいはそうでなければ砕かれるまたは壊されてカプセル化されているエアロゾル変性剤を放出する。典型的にはカプセルは加熱が開始される直前に壊されるが、ユーザーがエアロゾル変性剤をいつ放出させるかを選択することができる。「壊れやすいカプセル」なる用語は、シェルがコアを放出するための圧力によって壊れるカプセルを意味し、例えばシェルは、ユーザーがカプセルのコアを放出させたいときにユーザーの指によって加えられる圧力によって破裂させることができる。
【0177】
場合によってはバリアー材は耐熱性である。即ち、場合によってはバリアーは、破裂せず、エアロゾル供給デバイスの作動中にカプセルが到達する温度で溶けるまたは機能しなくなる。具体的にはマウスピース内に位置するカプセルを例えば30℃~100℃の範囲内の温度に露して、バリアー材は少なくとも約50℃~120℃まで液体コアを保持し続けるようにしてもよい。
【0178】
他の場合にはカプセルは、加熱時に例えばバリアー材を溶かすまたはバリアー材を破裂させるカプセルの膨潤によってコア組成物を放出する。
【0179】
カプセルの総重量は、約1mg~約100mg、好適には約5mg~約60mg、約8mg~約50mg、約10mg~約20mgまたは約12mg~約18mgの範囲であってもよい。
【0180】
コア製剤の総重量は、約2mg~約90mg、好適には約3mg~約70mg、約5mg~約25mg、約8mg~約20mgまたは約10mg~約15mgの範囲であってもよい。
【0181】
本発明によるカプセルは、上述のようにコアと、シェルとを含む。カプセルは、約4.5N~約40N、より好ましくは約5N~約30Nまたは約28N(例えば、約9.8N~約24.5N)の破砕強度を呈してもよい。カプセル破砕強度は、カプセルを材料体1
4から取り除き、カプセルが2つの平らな金属プレートの間でプレスされた際に破裂した力を測定するゲージを使用して測定することができる。好適な測定装置は、平らな頭部があるアタッチメントを有するSauter FK 50フォールゲージであり、これはそのアタッチメントに類似する面を有する平らな硬い面に対してカプセルを砕くために使用することができる。
【0182】
カプセルは、実質的に球体であってもよく、少なくとも約0.4mm、0.6mm、0
.8mm、1.0mm、2.0mm、2.5mm、2.8mmまたは3.0mmの直径を有してもよい。カプセルの直径は、約10.0mm、8.0mm、7.0mm、6.0mm、5.5mm、5.0mm、4.5mm、4.0mm、3.5mmまたは3.2mm未
満であってもよい。具体的にはカプセルの直径は、約0.4mm~約10.0mm、約0.8mm~約6.0mm、約2.5mm~約5.5mmまたは約2.8mm~約3.2m
mの範囲であってもよい。場合によってはカプセルは約3.0mmの直径を有してもよい。これらの大きさは、本明細書に記載の物品にカプセルを組み込むのに特に適している。
【0183】
カプセル15のその最も大きい断面領域での断面積は、カプセル15が設けられているマウスピース2’の部分の断面積の28%未満、より好ましくは27%未満、さらにより好ましくは25%未満である。例えば、直径3.0mmの球体カプセルの場合、カプセルの最大断面積は、7.07mmになる。本明細書で説明した円周が21mmのマウスピース2’’’’の場合、材料体14は外周が20.8mmで、この部材の半径は、3.31mmになり、34.43mmの断面積に対応する。カプセルの断面積は、この例ではマウスピース2’’’’の断面積の20.5%である。別例として、カプセルの直径が3.2mmの場合、その最大断面積は8.04mmになる。この場合、カプセルの断面積は材料体14の断面積の23.4%になる。カプセル15が設けられているマウスピース2’’’’の部分の断面積の28%未満の最大断面積を有するカプセルは、マウスピース2’’’’の圧力降下がそれより大きい断面積を有するカプセルと比較して減少し、エアロゾルのための適当な空間がカプセルの周囲に残り、エアロゾルがマウスピース2’’’’を通過する際にかなりの量のまとまったエアロゾルを材料体14が除去することなくエアロゾルが通過できるという利点がある。
【0184】
好ましくは開放圧力降下(即ち、換気開口部が開いている)として測定される圧力降下または圧力差(吸引抵抗とも言われる)は、カプセルが壊れたときに8mmHO未満減少する。より好ましくは開放圧力降下は、6mmHO未満、より好ましくは5mmHO未満減少する。これらの値は同じ設計で作製された少なくとも80の物品によって得られる平均として測定される。そのような小さい圧力降下の変化は、所与の製品圧力降下の正しい換気レベルの設定などの製品設計の他の態様を消費者がカプセルを壊すことを選択するかしないかに関係無く達成できることを意味する。
【0185】
一部の実施態様ではエアロゾル形成材3が例えば本明細書に記載の非燃焼系エアロゾル供給デバイス内で加熱されてエアロゾルを供する際、カプセルが位置するマウスピース2の部分はエアロゾルを発生させるためにシステムを使用する間58~70℃の温度に到達する。この温度の結果としてカプセルの内容物は、カプセルの内容物、例えばエアロゾル変性剤がシステムによって形成されたエアロゾル内にエアロゾルがマウスピース2’’’’を通過する際に揮発することを促進するように充分に温められる。カプセル15の内容物を温めることは、例えばカプセル15が壊れた際にその内容物がマウスピース2’’’’を通過するエアロゾル内により放出されやすくなるようにカプセル15が壊れる前に行われてもよい。これとは別にカプセル15の内容物は、カプセル15が壊された後にこの温度に温めて、ここでも結果として内容物をエアロゾル内に多く放出させてもよい。有利なことに58~70℃の範囲のマウスピース温度がカプセル内容物がより放出されやすくするのに充分に高い温度であるが、カプセルが位置するマウスピース2’’’’の部分の外面がマウスピース2’’’’を押しつぶすことによってカプセル15を破裂させるために触れることに消費者が不快に感じる温度に到達するには充分低い温度であることが分かっている。
【0186】
カプセル15は、例えば消費者が指または他の機構を使用してマウスピース2’’’’を押しつぶすことによってマウスピース2’’’’に加えられる外力によって壊すことが可能である。上述のようにカプセルが位置するマウスピースの部分は、エアロゾルを発生させるためにエアロゾル供給システムを使用する間に58℃超の温度に到達するように配置される。好ましくはマウスピース2’’’’内に配置して、エアロゾル発生材3の加熱前のカプセル15の破裂強度は1500~4000重量グラムである。好ましくはマウスピース2’’’’内に配置して、エアロゾルを発生させるためにエアロゾル供給システムを30秒以内使用した場合の破裂強度は1000~4000重量グラムである。58℃を超える、例えば58℃~70℃の温度に晒されてもカプセル15は、カプセル15を消費者が容易に押しつぶすことできると分かっている範囲の破裂強度を維持することができ、さらに消費者にカプセル15が壊れたことの充分な触覚的フィードバックを供する。このような破裂強度を維持することは、例えば、アラビアゴム、ジェランガム、アカシアゴム、キサンタンガムまたはカラギーナンを含む多糖単独またはゼラチンとの組み合わせなどの本明細書で説明したようなカプセルに好適なゲル化剤を選択することによって行われる。さらにカプセルの壁は好適な厚さが選択される必要がある。
【0187】
好適には、マウスピース内に配置して、エアロゾル形成材の加熱前のカプセルの破裂強度は、2000~3500重量グラムまたは2500~3500重量グラムである。好適には、マウスピース内に配置して、エアロゾルを発生させるためにエアロゾル供給システムを30秒以内使用した場合の破裂強度は、1500~4000重量グラムまたは1750~3000重量グラムである。1つの例ではマウスピース内に配置して、エアロゾル形成材の加熱前のカプセルの平均破裂強度は、約3175重量グラムであり、マウスピース内に配置して、エアロゾルを発生させるためにエアロゾル供給システムを30秒以内使用した場合の平均破裂強度は、約2345重量グラムである。
【0188】
カプセルの破裂強度は、Texture Analyserなどの荷重測定機器を使用して試験することができる。
【0189】
バリアー材は、ゲル化剤、増量剤、バッファー、着色剤および可塑剤の1つ以上を含んでもよい。
【0190】
好適には、ゲル化剤は、例えば多糖またはセルロース系ゲル化剤、ゼラチン、ゴム、ゲル、ワックスまたはそれらの混合物であってもよい。好適な多糖類は、アルギン酸塩類、デキストラン類、マルトデキストリン類、シクロデキストリン類およびペクチン類を含む。好適なアルギン酸塩類は、例えばアルギン酸の塩、エステル化されたアルギン酸塩またはアルギン酸グリセリルを含む。アルギン酸の塩としてはアルギン酸アンモニウム、アルギン酸トリエタノールアミンおよびアルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウムおよびアルギン酸マグネシウムのようなIまたはII族金属イオンのアルギン酸塩などが挙げられる。エステル化アルギン酸塩としてはアルギン酸ポリプロピレングリコールおよびアルギン酸グリセリルが挙げられる。ある実施態様ではバリアー材はアルギン酸ナトリウムおよび/またはアルギン酸カルシウムである。好適なセルロース系材料は、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートおよびセルロースエーテル類などである。ゲル化剤は1つ以上の加工でんぷんを含んでもよい。ゲル化剤はカラギーナンを含んでもよい。好適なゴムは、寒天、ジェランガム、アラビアゴム、プルランゴム、マンナンガム、ガッチゴム、トラガカントゴム、カラヤゴム、イナゴマメ、アカシアゴム、グァー、マルメロ種子ゴムおよびキサンタンガムなどである。好適なゲルは寒天、アガロース、カラギーナン、フロイダンおよびフルセラランなどである。好適なワックスはカルナウバワックスなどである。場合によってはゲル化剤はカラギーナンおよび/またはジェランゴムを含んでもよく、これらのゲル化剤は、得られるカプセルを壊すのに必要とされる圧力が特に適している際のゲル化剤として含有させるのに特に好適である。
【0191】
バリアー材は、スターチ、加工スターチ(酸化スターチなどの)およびマルチトールなどの糖アルコールなどの増量剤を1つ以上含んでもよい。
【0192】
バリアー材は、エアロゾル発生デバイスの製造工程においてエアロゾル発生デバイス内にカプセルの配置を簡単にする着色剤を含んでもよい。着色剤は、好ましくは着色料および顔料の中から選択される。
【0193】
バリアー材は、クエン酸塩化合物またはリン酸化合物などの少なくとも1つのバッファーをさらに含んでもよい。
【0194】
バリアー材は少なくとも1つの可塑剤をさらに含んでもよく、これはグリセロール、ソルビトール、マルチトール、トリアセチン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールまたは可塑性を有する別の多価アルコールそして特にクエン酸、フマル酸、リンゴ酸等の任意の一酸、二酸または三酸型の内の1つの酸などである。可塑剤の量は、シェルの合計乾式重量の1~30重量%、好ましくは2~15重量%、さらにより好ましくは3~10重量%の範囲である。
【0195】
またバリアー材は1つ以上の充填材料を含む。好適な充填材料は、デキストリン、マルトデキストリン、シクロデキストリン(アルファ、ベータまたはガンマ)などのスターチ誘導体またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、カルボキシ-メチルセルロース(CMC)などのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ポリオールまたはこれらの混合物などである。デキストリンは好ましい充填材である。シェル中の充填材量は、シェルの総乾式重量で最大で98.5重量%、好ましくは25~95重量%、より好ましくは40~80重量%、さらにより好ましくは50~60重量%である。
【0196】
カプセルシェルは疎水性の外層を追加で含んでもよく、これはカプセルが水分によって崩壊しないようにするためのものである。疎水性の外層は、好適にはワックス、特にカルナウバワックス、カンデリラワックスまたは蜜ろう、カルボワックス、セラック(アルコール溶液または水性溶液に入った)エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ラテックス組成物、ポリビニルアルコール、またはこれらを組み合わせたものを含む群から選択される。より好ましくはその少なくとも1つの水分バリアー剤は、エチルセルロースまたはエチルセルロースとセラックの混合物である。
【0197】
カプセルコアはエアロゾル変性剤を含む。このエアロゾル変性剤は、エアロゾルの少なくとも1つの特性を変えるあらゆる揮発性物質であってもよい。例えば、エアロゾル物質は、pH、知覚特性、水分量、供給特性または風味を変えるものであってもよい。場合によってはエアロゾル変性剤は酸、塩基、水または風味剤から選択してもよい。一部の実施態様ではエアロゾル変性剤は1つ以上の風味剤を含む。
【0198】
風味剤は、好適にはリコリス、バラ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、ミント風味剤、好適にはメンソールおよび/またはペパーミント油および/またはスペアミント油などのハッカ属のいずれかの種からのハッカ油、またはラベンダー、ウイキョウまたはアニスであってもよい。
【0199】
場合によっては風味剤はメンソールを含む。
【0200】
場合によってはカプセルは、少なくとも約25%w/wの風味剤(カプセルの総重量基準で)、好適には少なくとも約30%w/wの風味剤、35%w/wの風味剤、40%w/wの風味剤、45%w/wの風味剤または50%w/wの風味剤を含んでもよい。
【0201】
場合によってはコアは、少なくとも約25%w/wの風味剤(コアの総重量基準で)、好適には少なくとも約30%w/wの風味剤、35%w/wの風味剤、40%w/wの風味剤、45%w/wの風味剤または50%w/wの風味剤を含んでもよい。場合によってはコアは、約75%w/w以下の風味剤(コアの総重量基準で)を含んでもよく、好適には約65%w/w以下の風味剤、55%w/wの風味剤、または50%w/wの風味剤を含んでもよい。具体的には、カプセルは25~75%w/w(コアの総重量基準で)、約35~60%w/wまたは約40~55%w/wの範囲内の量で風味剤を含んでもよい。
【0202】
カプセルは、少なくとも約2mg、3mgまたは4mgのエアロゾル変性剤、好適には少なくとも約4.5mgのエアロゾル変性剤、5mgのエアロゾル変性剤、5.5mgのエアロゾル変性剤または6mgのエアロゾル変性剤を含んでもよい。
【0203】
場合によっては消耗品は、少なくとも約7mgのエアロゾル変性剤、好適には少なくとも約8mgのエアロゾル変性剤、10mgのエアロゾル変性剤、12mgのエアロゾル変性剤または15mgのエアロゾル変性剤を含む。
【0204】
あらゆる好適な溶媒を使用してもよい。
【0205】
エアロゾル変性剤が風味剤を含む場合、溶媒は好適には短鎖または中鎖油脂を含んでもよい。例えば、溶媒は、C-C12トリグリセリドなどのグリセロールのトリエステル類、好適にはC-C10トリグリセリドまたはCs-C12トリグリセリドを含んでもよい。例えば、溶媒は、中鎖トリグリセリド(MCT-C-C12)を含んでもよく、これはパーム油および/またはココナッツ油由来のものであってもよい。
【0206】
エステル類はカプリル酸および/またはカプリン酸で形成してもよい。例えば、溶媒はカプリル酸トリグリセリドおよび/またはカプリン酸トリグリセリドである中鎖トリグリセリドを含んでもよい。例えば、溶媒は、Nos.73398-61-5、65381-09-1、85409-09-2によってCAS登録に特定されている化合物を含んでもよい。そのような中鎖トリグリセリドは、無味無臭である。
【0207】
溶媒の親水性親油性バランス(HLB)は、9~13、好適には10~12の範囲内であってもよい。カプセルの製造方法は、押し出しなどであり、選択的にその後遠心分離そして硬化および/または乾燥を行ってもよい。国際出願公開2007/010407A2の内容をその全体において参照することにより組み込まれる。
【0208】
マウスピース2、2’、2’’、2’’’および2’’’’は、別の実施態様ではそれぞれ本明細書に記載のマウスピース部材のあらゆる組み合わせから形成することができる。
【0209】
非燃焼系エアロゾル供給デバイスは、本明細書に記載の物品1、1’、1’’、1’’’、1’’’’のエアロゾル発生材3を加熱するために使用される。非燃焼系エアロゾル供給デバイスは、好ましくはコイルを含み、これは他の構成と比較して物品1、1’、1’’、1’’’、1’’’’への熱伝導を向上させることが分かっている。
【0210】
一部の例ではコイルは、使用時、少なくとも1つの導電性加熱素子を加熱するように構成され、これにより熱エネルギーがその少なくとも1つの導電性加熱素子からエアロゾル発生材へと伝導可能になり、これによりエアロゾル発生材の加熱を引き起こす。
【0211】
一部の例ではコイルは、使用時少なくとも1つの加熱素子の中を通るための変動磁場を発生させるように構成されており、これにより少なくとも1つの加熱素子の誘導加熱および/または磁気ヒステリシス加熱を引き起こす。このような構成では該または各加熱素子は、本明細書で定義されるように「サセプタ」と言ってもよい。使用時に1つの導電性加熱素子の中を通るための変動磁場を発生させ、これにより少なくとも1つの導電性加熱素子の誘導加熱を引き起こすように構成されているコイルは、「誘導コイル」または「インダクタコイル」と言ってもよい。
【0212】
本デバイスは、例えば1つ以上の導電性加熱素子などの1つ以上の加熱素子を含み、これら1つ以上の加熱素子はこれら1つ以上の加熱素子の加熱ができるように好適にはコイルに対して配置するまたは配置可能であってもよい。1つ以上の加熱素子はコイルに対して固定されてもよい。これとは別に少なくとも1つの加熱素子、例えば少なくとも1つの導電性加熱素子は、デバイスの加熱領域への挿入のために物品1、1’に含まれてもよく、物品1,1’は、エアロゾル発生材3を含み、使用後加熱領域から取り除かれる。これとは別にデバイスとそのような物品1、1’は少なくとも1つのそれぞれ用の加熱素子、例えば少なくとも1つの導電性加熱素子を含んでもよく、コイルは、物品が加熱領域にあるとき、デバイスと物品それぞれの1つ以上の加熱素子の加熱を引き起こす。
【0213】
一部の例ではコイルは螺旋形である。一部の例ではコイルは、エアロゾル発生材を収容するように構成されたデバイスの加熱領域の少なくとも一部を囲む。一部の例ではコイルは加熱領域の少なくとも一部を囲む螺旋コイルである。
【0214】
一部の例ではデバイスは、加熱領域を少なくとも部分的に囲む導電性加熱素子を含み、コイルは、導電性加熱素子の少なくとも一部を囲む。一部の例では導電性加熱素子は管状である。一部の例ではコイルはインダクタコイルである。
一部の例ではコイルを使用することによって非燃焼系エアロゾル供給デバイスを非コイルエアロゾル供給デバイス装置より速く作動温度に到達させることができる。例えば、上述のようにコイルを含む非燃焼系エアロゾル供給デバイスは、最初にパフがデバイス加熱プログラムの起動から30秒未満、好ましくは25秒未満で提供できるように作動温度に到達することができる。一部の例ではデバイスは、デバイス加熱プログラムの起動から約20秒で作動温度に到達することができる。
【0215】
エアロゾル発生材の加熱を引き起こすためにデバイスに本明細書に記載したようなコイルを使用することは生成されるエアロゾルを向上させることが分かっている。例えば、消費者は本明細書に記載したもののようなコイルを含むデバイスによって発せられたエアロゾルは、他の非燃焼系エアロゾル供給システムによって製せられたエアロゾルより工場製紙巻きタバコ(factory made cigarette、FMC)に感覚的に近いと報告している。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、これはコイルを使用した際に必要とされる加熱温度に到達する時間の短縮、コイルを使用した際に達成される高い加熱温度および/またはコイルによってそのようなシステムが比較的多量のエアロゾル発生材を同時に加熱することを可能にし、結果としてFMCのエアロゾル温度に似た温度のエアロゾルが得られると推定される。FMC製品では、燃えている燃えさしがエアロゾルがロッドを通して引き込まれる際にその燃えさしの後のタバコロッドのタバコを加熱する熱いエアロゾルを発生させる。この熱いエアロゾルが燃えている燃えさしの後のロッドのタバコから風味化合物を放出させていると理解されている。本明細書に記載したようなコイルを含むデバイスは、本明細書に記載したようなタバコ材などのエアロゾル発生材を加熱して、風味化合物を放出させることもでき、結果としてFMCエアロゾルにより類似していると報告されたエアロゾルが得られると考えられている。
【0216】
本明細書に記載したようなコイル、例えばエアロゾル発生材の少なくとも一部を少なくとも200℃、より好ましくは少なくとも220℃に加熱する誘導コイルを含むエアロゾル供給システムを使用することでFMC製品のエアロゾルにより類似すると考えられている特定の特性を有するエアロゾルをエアロゾル発生材から発生させることができる。例えば、ニコチンを含むエアロゾル発生材を2秒間少なくとも250℃に誘導ヒーターを使用して加熱した場合、次の特徴のうちの1つ以上が観察された、
少なくとも10μgのニコチンがエアロゾル発生材からエアロゾル化される、
発生したエアロゾル中のニコチンに対するエアロゾル形成材の重量比は少なくとも約2.5:1、好適には少なくとも8.5:1である、
少なくとも100μgのエアロゾル形成材がエアロゾル発生材からエアロゾル化される、
発生したエアロゾル中の平均粒径または滴径は約1000nm未満である、
エアロゾル密度は少なくとも0.1μg/ccである。
【0217】
場合によっては少なくとも10μgのニコチン、好適には少なくとも30μgまたは40μgのニコチンが、その2秒間の間少なくとも1.50L/mの空気流の下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化される。場合によっては約200μg未満、好適には約150μg未満または約125μg未満のニコチンがその2秒間の間少なくとも1.50L/mの空気流の下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化される。
【0218】
場合によっては少なくとも100μgのエアロゾル形成材、好適には少なくとも200μg、500μgまたは1mgのエアロゾル形成材がその2秒間の間少なくとも1.50L/mの空気流の下で前記エアロゾル発生材からエアロゾル化される。好適にはエアロゾル形成材はグリセロールを含んでもよいまたはグリセロールからなる。
【0219】
本明細書で定義される「平均粒径または滴径」なる用語は、エアロゾルの固体または液体成分(即ち、気体中に懸濁している成分)の大きさの平均を意味する。エアロゾルが懸濁した液滴および懸濁した固体粒子を含む場合、その用語はすべての成分を合わせた大きさの平均を意味する。
【0220】
場合によっては発生したエアロゾルの平均粒径または滴径は、900nm、800nm、700nm、600nm、500nm、450nmまたは400nm未満であってもよい。場合によっては平均粒径または滴径は約25nm、50nmまたは100nm超であってもよい。
【0221】
場合によっては上記期間の間に発生するエアロゾルの密度は、少なくとも0.1μg/ccであってもよい。場合によってはエアロゾル密度は少なくとも0.2μg/cc、0.3μg/ccまたは0.4μg/ccである。場合によってはエアロゾル密度は約2.5μg/cc、2.0μg/cc、1.5μg/ccまたは1.0μg/cc未満である。
【0222】
非燃焼系エアロゾル供給デバイスは、物品1、1’、1’’、1’’’、1’’’’のエアロゾル発生材3を好ましくは少なくとも160℃の最大温度に加熱するように構成されている。好ましくは非燃焼系エアロゾル供給デバイスは、非燃焼系エアロゾル供給デバイスによる加熱工程中に少なくとも一度、物品1、1’、1’’、1’’’、1’’’’のエアロゾル形成材3を少なくとも約200℃、または少なくとも約220℃または少なくとも約240℃,より好ましくは少なくとも約270℃の最大温度に加熱するように構
成されている。
【0223】
本明細書中で説明したようなコイル、例えば少なくともエアロゾル発生材の一部を少なくとも200℃、より好ましくは少なくとも220℃に加熱する誘導コイルを含むエアロゾル供給システムを使用することで、エアロゾルがマウスピース2、2’、2’’、2’’’、2’’’’の吸い口端部を出る際にFMC製品により近いと考えられているエアロゾルの発生に貢献する以前の装置より本明細書に記載した物品1、1’、1’’、1’’’、1’’’’のエアロゾル発生材からより高い温度のエアロゾルを発生させることができる。例えば、物品1、1’、1’’、1’’’、1’’’’の吸い口端部で測定される最大エアロゾル温度は、好ましくは50℃超、より好ましくは55℃超、さらにより好ましくは56℃または57℃超である。さらにまたはこれとは別に物品1、1’、1’’、1’’’、1’’’’の吸い口端部で測定される最大エアロゾル温度は、62℃未満、より好ましくは60℃未満、より好ましくは59℃未満である。一部の実施態様では物品1、1’、1’’、1’’’、1’’’’の吸い口端部で測定される最大エアロゾル温度は、好ましくは50℃~62℃、より好ましくは56℃~60℃である。
【0224】
図6は、本明細書に記載した物品1、1’、1’’、1’’’、1’’’’のエアロゾル発生材3などのエアロゾル発生媒体/材料からエアロゾルを発生させるための非燃焼系エアロゾル供給デバイス100の一例を示している。大筋においてデバイス100は、デバイス100のユーザーによって吸入されるエアロゾルまたは他の吸入可能な媒体を発生させるためにエアロゾル発生媒体を含む交換可能な物品110、例えば本明細書に記載の物品1、1’、1’’、1’’’、1’’’’を加熱するために使用してもよい。デバイス100と交換可能な物品110は共にシステムを形成する。
【0225】
デバイス100は、デバイス100の種々の部品を囲み、収容するハウジング102(外方カバーの形体)を含む。デバイス100は、一端部に開口部104を有し、それを介して物品110が加熱集合体による加熱のために挿入される。使用時、物品110は、加熱集合体に完全にまたは部分的に挿入され、そこで加熱集合体の1つ以上の部品によって加熱される。
【0226】
この例のデバイス100は、第1端部部材106を含み、これは蓋108を含み、この蓋は、物品110が所定の位置に無いときに開口部104を閉じるために第1端部部材106に対して可動である。図6では蓋108は開放構造に示されているが、蓋108は閉鎖構造に移動してもよい。例えば、ユーザーは矢印「B」の方向に蓋108をスライドさせる。
【0227】
デバイス100は、押されるとデバイス100を作動させるボタンまたはスイッチなどのユーザーが操作できる調整部材112を含んでもよい。例えば、ユーザーはスイッチ112を操作してデバイス100の電源を入れてもよい。
【0228】
またデバイス100は、ソケット/ポート114などの電機部品を含み、これらはデバイス100のバッテリーを充電するためのケーブルを収容してもよい。ソケット114はUSB充電ポートなどの充電ポートであってもよい。
【0229】
図7は、図6のデバイス100を外方カバー102が外され、物品110が存在しない状態を示している。デバイス100は長手方向軸134を画定する。
【0230】
図7に示すように第1端部部材106がデバイスの一端部に配置され、第2端部部材116がデバイス100の反対の端部に配置されている。第1および第2の端部部材106、116は、共にデバイス100の端部面を少なくとも部分的に画定している。例えば、第2端部部材116の底部面は、少なくとも部分的にデバイス100の底部面を画定している。外方カバー102の縁部も端部面の一部を画定している。この例では蓋108もデバイス100の上面の一部を画定している。
【0231】
開口部104に近い方のデバイスの端部は、使用時にユーザーの口に近くなるのでデバイス100の近位端(または吸い口端部)としても知られている。使用時、ユーザーは、開口部104に物品110を挿入し、ユーザー制御部を操作してエアロゾル発生材の加熱を開始し、デバイスに発生したエアロゾルを吸い込む。これによりデバイス100の近位端に向かう流路に沿ってデバイス100内にエアロゾルが流れるようにする。
【0232】
開口部104から離れている装置の他端部は、使用時にユーザーの口から離れる方の端部となるので、デバイス100の遠位端としても知られている。ユーザーがデバイスに発生したエアロゾルを吸い込むと、エアロゾルはデバイス100の遠位端から離れるように流れる。
【0233】
デバイス100は動力源118をさらに含む。動力源118は、例えば充電可能なバッテリーまたは充電不可のバッテリーなどのバッテリーであってもよい。好適なバッテリーの例としては、リチウムバッテリー(リチウムイオンバッテリーなどの)、ニッケルバッテリー(ニッケル-カドミウムバッテリーなどの)およびアルカリバッテリーなどが挙げられる。バッテリーは加熱集合体に電気的に接続され、エアロゾル発生材を加熱するために必要に応じてそしてコントローラ(図示せず)の制御の下電力を供給する。この例ではバッテリーはバッテリー118を所定の位置に保持する中央支持部120に接続される。
【0234】
デバイスは少なくとも1つの電子モジュール122をさらに含む。電子モジュール122は、例えば印刷回路板(PCB)を含んでもよい。PCB122は、少なくとも1つのプロセッサーおよびメモリーなどのコントローラを支持してもよい。またPCB122は、デバイス100の種々の電子部品を共に電気的に接続する1つ以上の電気トラックを含んでもよい。例えば、バッテリー端子がPCB122に電気的に接続され、電力をデバイス100全体に配分することができるようになっている。またソケット114は電気トラックを介してバッテリーに電気的に結合されてもよい。
【0235】
デバイス100の例では加熱集合体は、誘導加熱集合体であり、誘導加熱工程を介して物品110のエアロゾル発生材を加熱するための種々の部材を含む。誘導加熱は、電磁誘導によって導電性の物体(サセプタなどの)を加熱する工程である。誘導加熱集合体は、誘導部材、例えば1つ以上のインダクタコイルと、交流電流などの変動電流を誘導部材に通すためのデバイスとを含んでもよい。誘導部材内の変動電流は変動磁場を発生させる。変動磁場は、好適には誘導部材に対して位置決めされたサセプタに侵入し、サセプタの内側に渦電流を発生させる。サセプタは渦電流に対して電気抵抗を有し、従って、この抵抗に対する渦電流の流れによってサセプタがジュール加熱によって加熱されるようにする。サセプタが鉄、ニッケルまたはコバルトなどの強磁性材を含む場合、熱がサセプタ内の磁気ヒステリシス損失によって、即ち変動磁場と合致することの結果として磁性材の磁気双極子の向きの変化によって発せられてもい。誘導加熱では例えば伝導による加熱に較べて熱がサセプタの内側に発せられ、素早い加熱を可能にする。さらに誘電ヒーターとサセプタとの間になんら物理的な接触の必要が無く、構造および用途の自由度を高めることができる。
【0236】
デバイス100の例の誘導加熱集合体は、サセプタ構造体132(以下、「サセプタ」とする)、第1のインダクタコイル124と、第2のインダクタコイル126とを含む。第1および第2インダクタコイル124、126は、導電性材料から作製される。この例では第1および第2インダクタコイル124、126は、リッツ線/ケーブルから作製され、これは螺旋状に巻かれ、ヘリカルインダクタコイル124、126を供する。リッツ線は、複数の個別の線を含み、これらは個別に絶縁され、一緒にねじられて1本の線を形成する。リッツ線は、導体中の表皮効果損失を減らすように設計されている。デバイス100の例では第1および第2インダクタコイル124、126は、矩形断面の銅リッツ線から作製される。他の例ではリッツ線は円形などの他の形状の断面を有してもよい。
【0237】
第1インダクタコイル124は、サセプタ132の第1セクションを加熱するための第1の変動磁場を発生させるように構成され、第2インダクタコイル126は、サセプタ132の第2セクションを加熱するための第2の変動磁場を発生させるように構成されている。この例では第1インダクタコイル124は、デバイス100の長手方向軸134に沿った方向に第2インダクタコイル126と隣接する(即ち、第1および第2インダクタコイル124、126は、重ならない)。サセプタ構造体132は、単独のサセプタまたは2つ以上のサセプタを含んでもよい。第1および第2インダクタコイル124、126の端部130はPCB122に接続される。
【0238】
当然のことながら一部の例では第1および第2インダクタコイル124、126は、少なくとも1つの互いに異なる特徴を有してもよい。例えば、第1インダクタコイル124は、第2インダクタコイル126とは少なくとも1つの異なる特徴を有してもよい。例えば1つの例では第1インダクタコイル124は、第2インダクタコイル126とは異なるインダクタンスの値を有してもよい。図7において第1および第2インダクタコイル124、126は、第1インダクタコイル124が第2インダクタコイル126よりサセプタ132の小さいセクションに巻かれるように長さが異なる。従って、第1インダクタコイル124は、第2インダクタコイル126とは巻き数が異なってもよい(個々の巻き間の間隔は実質的に同じだと仮定して)。さらに別の例では第1インダクタコイル124は、第2インダクタコイル126とは異なる材料から作製されてもよい。一部の例では第1および第2インダクタコイル124、126は、実質的に同じであってもよい。
【0239】
この例では第1および第2インダクタコイル124、126は、反対方向に巻かれて示されている。これはインダクタコイルが異なる時間にアクティブな時に役に立つ。例えば、最初に第1インダクタコイル124が物品110の第1セクション/部分を加熱するために作動させて、その後に第2インダクタコイル126は物品110の第2セクション/部分を加熱するために作動させてもよい。異なる方向にコイルを巻くことは、特定の種類の制御回路と使用する場合にインダクタコイルに誘導される電流の減少の補助をする。図7において、第1インダクタコイル124は右巻き螺旋であり、第2インダクタコイル126は左巻き螺旋である。しかしながら、別の実施態様ではインダクタコイル124、126は同じ方向に巻かれてもよく、あるいは第1インダクタコイル124は、左巻き螺旋で、第2インダクタコイル126は、右巻き螺旋であってもよい。
【0240】
この例のサセプタ132は中空であり、従って中にエアロゾル発生材が収容される受け部を画定する。例えば、物品110はサセプタ132内に挿入される。この例ではサセプタ132は管状で円形の断面を有する。
【0241】
サセプタ132は1つ以上の材料から作製されてもよい。好ましくはサセプタ132はニッケルまたはコバルトのコーティングを有する炭素鋼を含む。
【0242】
一部の例ではサセプタ132は、少なくとも2つの材料を含んでもよく、これはその少なくとも2つの材料の選択的なエアロゾル化のための2つの異なる周波数で加熱することが可能である。例えば、サセプタ132の第1セクション(第1インダクタコイル124によって加熱される)は、第1の材料を含んでもよく、および第2インダクタコイル126によって加熱されるサセプタ132の第2セクションは、異なる第2の材料を含んでもよい。別の例では第1セクションは第1および第2の材料を含んでもよく、第1および第2の材料は第1インダクタコイル124の作動に基づいて別に加熱されてもよい。第1および第2の材料はサセプタ132によって画定された軸に沿って隣接してもよく、あるいはサセプタ132内に異なる層を形成してもよい。同様に第2セクションは第3および第4の材料を含んでもよく、これら第3および第4の材料は第2インダクタコイル126の作動に基づいて別に加熱されてもよい。第3および第4の材料はサセプタ132によって画定された軸に沿って隣接してもよく、あるいはサセプタ132内に異なる層を形成してもよい。例えば、第3の材料は第1の材料と同じでもよく、第4の材料は第2の材料と同じであってもよい。これとは別にこれら材料のそれぞれは異なってもよい。サセプタは、例えば炭素鋼またはアルミニウムを含んでもよい。
【0243】
図7のデバイス100は、一般に管状であり、少なくとも部分的にサセプタ132を囲む絶縁部材128をさらに含む。絶縁部材128は、例えばプラスチックなどの任意の絶縁材から構成されてもよい。この特定の例では絶縁部材はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から構成される。絶縁部材128は、デバイス100の種々の部品をサセプタ132内に発せられる熱から絶縁するのに役立つ。
【0244】
また絶縁部材128は、完全にまたは部分的に第1および第2インダクタコイル124、126を支持してもよい。例えば図7に示すように第1および第2インダクタコイル124、126は、絶縁部材128の周囲で位置決めされ、絶縁部材128の半径方向外方の面と接触する。一部の例では絶縁部材128は第1および第2インダクタコイル124、126と当接しない。例えば、小さい隙間が絶縁部材128の外面と第1および第2インダクタコイル124、126の内面の間に存在してもよい。
【0245】
具体的な例ではサセプタ132、絶縁部材128および第1および第2インダクタコイル124、126は、サセプタ132の中央長手方向軸を中心に同軸である。
【0246】
図8はデバイス100の一部断面にて示した側面図である。外方カバー102がこの例では示されている。第1および第2インダクタコイル124、126の矩形の断面形状がより明らかに視認できる。
【0247】
デバイス100は、サセプタ132を所定の位置に保持するためにサセプタ132の一端と係合する支持体136をさらに含む。支持体136は第2端部部材116に接続されている。
【0248】
またデバイスは調整部材112に関連付けられた第2プリント基板138を含む。
【0249】
デバイス100は、デバイス100の遠位端の方に配置された第2の蓋/キャップ140およびバネ142をさらに含む。バネ142は第2の蓋140を開けて、サセプタ132に触れられるようにする。ユーザーは第2の蓋140を開けてサセプタ132および/または支持体136を掃除してもよい。
【0250】
デバイス100は、サセプタ132の近位端から離れてデバイスの開口部104の方に延びた膨張チェンバー144をさらに含む。少なくとも部分的に膨張チェンバー144内に配置されているのは、デバイス100内に収容された際に物品110と当接し、保持する保持クリップ146である。膨張チェンバー144は端部部材106に接続されている。
【0251】
図9は外方カバー102が省略されている図8のデバイス100の分解図である。
【0252】
図10A図8のデバイス100の一部の断面図である。図10B図10Aのある領域の拡大図である。図8Aおよび8Bは、サセプタ132内に収容された物品110を示し、物品110は、その外面がサセプタ132の内面と当接するような寸法になっている。これにより加熱が最も効率的になる。この例の物品110はエアロゾル発生材110aを含む。エアロゾル発生材110aはサセプタ132内に位置決めされる。また物品110は、フィルター包装材および/または冷却構造体などの他の部材を含んでもよい。
【0253】
図10Bはサセプタ132の外面がサセプタ132の長手方向軸158に垂直な方向に測定して距離150の分だけインダクタコイル124、126の内面から離れていることを示している。1つの特定の例では距離150は、約3mm~4mm、約3~3.5mm
、または約3.25mmである。
【0254】
図10Bは絶縁部材128の外面がサセプタ132の長手方向軸158に垂直な方向に測定して距離152の分だけインダクタコイル124、126の内面から離れていることをさらに示している。1つの特定の例では距離152は、約0.05mmであ。別の例ではその距離152は、インダクタコイル124、126が絶縁部材128と当接し、触れるように実質的には0mmである。
【0255】
1つの例ではサセプタ132の壁厚154は約0.025mm~1mm、または約0.05mmである。
【0256】
1つの例ではサセプタ132の長さは、約40mm~60mm、約40mm~45mmまたは約44.5mmである。
【0257】
1つの例では絶縁部材128の壁厚156は、約0.25mm~2mm、0.25mm~1mmまたは約0.5mmである。
【0258】
使用時、本明細書に記載の物品1、1’、1’’、1’’’、1’’’’は、図6~10を参照して説明したデバイス100などの非燃焼系エアロゾル供給デバイス内に挿入される。物品1、1’、1’’、1’’’、1’’’’のマウスピース2、2’、2’’、2’’’、2’’’’の少なくとも一部は、非燃焼系エアロゾル供給デバイス100から突出し、ユーザーの口の中に入れられる。エアロゾルがデバイス100を使用してエアロゾル発生材3を加熱することによって生成される。エアロゾル発生材3によって生成されたエアロゾルは、マウスピース2、2’、2’’、2’’’、2’’’’を通ってユーザーの口へと移動する。
【0259】
本明細書に記載の物品1、1’、1’’、1’’’、1’’’’は、例えば図6~10を参照して説明したデバイス100などの非燃焼系エアロゾル供給デバイスに使用した場合に特に有利である。驚異的なことに非晶質固体材料体6は、物品1、1’、1’’、1’’’、1’’’’の吸い口端に送られるエアロゾルの温度に特にかなりの影響を与えることが分かっている。
【0260】
試験は2つの比較喫煙品と本発明の例示的実施態様に対して行った。比較例AおよびBは、比較例AおよびBが非晶質固体材料体6の代わりに繊維性材料体4を含むこと以外、物品1’’と同じである。比較例Aは、60%の換気レベルを有し、比較例Bは、75%の換気レベルを有する。例示的物品は、物品1’’と同じであり、60%の換気が設けられている。
【0261】
試験を物品の最初の2パフについて行った。各サンプルは、9回試験され、得られた温度はこれら9回の試験の平均である。公知のHealth Canada Intenseパフ型(puffing regime)(30秒ごとに2秒間55mlのパフ容量を適用される)を標準試験装置を使用し
て適用した。試験の結果を表1に示し、ここでパフ温度は、室温とエアロゾル温度の差を示している。
【0262】
表1に示すように非晶質固体材料体を含む例示的物品からの第1および第2のパフに亘るエアロゾル温度は、比較例AまたはBのいずれのこれらのパフに亘るエアロゾル温度より低い。60%換気の例示的物品のパフ1およびパフ2に亘るエアロゾル温度は、75%換気の比較例Bのパフ1およびパフ2に亘るエアロゾル温度に相当する。高い換気レベルは、エアロゾル温度を冷やす効果があり、したがって換気レベルが15%以下の物品において同等なエアロゾル温度を達成することは意義深い。
【0263】
【表1】
【0264】
図11は非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品の製造方法を説明している。工程S101では、シート状の非晶質固体材料源を装置を通過させてシート材を寄せ集めた非晶質固体材料からなるロッドに形成する。
【0265】
工程S102では、寄せ集められた非晶質固体材料からなるロッドを本明細書で定義したような非晶質固体材料体を形成するための長さに切断する。
【0266】
図12は本明細書による材料体ロッドを製造するための装置の側面図である。
【0267】
図12は、本発明による材料体を製造するための装置200を示し、舌部211と、漏斗部分を含むガイドノズル212とを含む。舌部211は広い入り口開口部211bと狭い出口開口部211aを有するテーパーしたダクトである。舌部211は、断面がほぼ円形であり、断面において舌部211は完全な円を形成しないように軸方向において舌部の長さに沿って延びた長尺のスロット(図示せず)の形体でその下側で開口してもよい。舌部211は形成トラックを含むガイド(図示せず)に位置してもよく、このトラックに沿って連続したベルトまたは「ガーニチャー」215が延びている。ガーニチャー215は、複数の案内ローラー216上を延び、矢印「A」に示す方向にローラー216の周囲を搬送されるように駆動する。ラッパー紙「P」がスプール217からガーニチャー215の上面に供給され、その移動するガーニチャー215によって舌部211を通過するように搬送される。ラッパー紙Pが舌部211内を移動する際、形成トラックは、ガーニチャーとその上のラッパー紙を変形させ、断面においてラッパー紙Pがそれが舌部211の広い入り口開口部211bに入る際に平坦である状態から(それがスプール内にあるときのように)それが舌部211の狭い出口開口部211aを出る際に閉じた円になって形成されたロッドを完全に囲むように構成されている。
【0268】
使用時、非晶質固体材料のボビン(図示せず)がガイドノズル212の漏斗内に供給され、舌部211内に案内され、非晶質固体材料は、非晶質固体材料のシートをそれが狭い遠位端211aを出た際に材料を寄せ集めることによってロッドに形成するために連続的にテーパーした舌部211内に供給される。
【0269】
非晶質固体材料が舌部211内に供給されると、それはガーニチャー215上で搬送されているラッパー紙P上に寄せ集められ、それと共に舌部211内を搬送される。非晶質固体材料が舌部211内を移動する際、材料は舌部211が内方にテーパーしているので押圧され、ラッパー紙Pは、非晶質固体材料が舌部211の狭い出口開口部211aを通って出る際に非晶質固体材料が外方ラッパー紙Pに囲まれた押圧された円筒状ロッドを形成されるように寄せ集められた非晶質固体材料からなる押圧された円筒の外側の周囲で畳まれる。
【0270】
ここで説明した方法で形成されたロッドは、本発明による複数の材料体を形成するための長さに切断される。
【0271】
本明細書に記載の種々の実施態様は、特許請求された特徴の理解と教示の単なる補助に提供されている。これらの実施態様は単なる代表的な具体例であり、包括的でも排他的でもない。当然だが、本開示の利点、実施形態、具体例、機能、特徴、構造、および/または他の側面は本開示を特許請求の範囲に規定されたとおりに限定するあるいは特許請求の範囲の均等物に限定すると考えるべきではなく、本開示の範囲および/または思想から乖離することなく他の実施形態を利用しても改変してもよいと考えるべきである。種々の実施形態は、開示された構成要素、成分、特徴、部品、工程、手段他の組合せを適切に備えても、これらで構成されても、基本的にこれらで構成されてもよい。また本開示は、現在は特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明を含む。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非燃焼系エアロゾル供給システムに使用するための物品であって、該物品は、材料体を含むマウスピースを含み、材料体は非晶質固体材料を含む物品。
【外国語明細書】