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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029211
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】ウォーターサーバー
(51)【国際特許分類】
   B67D 3/00 20060101AFI20240227BHJP
   B67D 1/08 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
B67D3/00 Z
B67D1/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024001759
(22)【出願日】2024-01-10
(62)【分割の表示】P 2019188749の分割
【原出願日】2019-10-15
(31)【優先権主張番号】P 2019016060
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】316003276
【氏名又は名称】株式会社コスモライフ
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【弁理士】
【氏名又は名称】地代 信幸
(72)【発明者】
【氏名】荒川 眞吾
(57)【要約】
【課題】ユーザーによる利用限度を制限することが可能なウォーターサーバーを提供する。
【解決手段】利用限度情報が記録された外部の利用制限解除キー71から前記利用限度情報を読み取る読取部72と、読取部72で読み取った前記利用限度情報をもとに、利用可能な限度を超過したと判定したら、筐体1内の操作部を操作しても飲料水の注出が制限されるように制御する制御部73とをウォーターサーバーに備えさせる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体(1)と、
前記筐体(1)の内部に配置された冷水タンク(7)と、
前記冷水タンク(7)内の低温の飲料水を前記筐体(1)の外部に注出する冷水注出管(8)と、
前記冷水注出管(8)を開閉する冷水注出弁(19)と、
前記冷水注出管(8)から低温の飲料水を注出するためにユーザーが操作する操作部(61)と、
ユーザーの利用限度情報を記憶する記憶部(74)と、
前記利用限度情報に基づいて、ユーザーの利用限度に達しているか否かを判定する利用限度到達判定手段(S105、S206)と、前記利用限度到達判定手段(S105、S206)で利用限度に達していると判定されたときは、前記ユーザーが前記操作部(61)を操作したときにも飲料水の注出を制限する水注出制限状態にし、一方、前記利用限度到達判定手段で利用限度に達していないと判定されたときは、前記ユーザーが前記操作部(61)を操作したときに飲料水の注出を許容する水注出許容状態にする注出可否制御手段(S104、S106、S204、S207)と、を実行する制御部(73)と、
を有し、サーバとは接続しないウォーターサーバー。
【請求項2】
前記冷水注出弁(19)は、ユーザーによる前記操作部(61)の冷水注出操作に応じて開閉する電磁開閉弁であり、
前記注出可否制御手段(S104、S106、S204、S207)は、前記利用限度到達判定手段(S105、S206)で利用限度に達していると判定されたときは、前記水注出制限状態として、前記操作部(61)の冷水注出操作があったときにも前記冷水注出弁(19)の閉弁を維持し、一方、前記利用限度到達判定手段(S105、S206)で利用限度に達していないと判定されたときは、前記水注出許容状態として、前記操作部(61)の冷水注出操作に応じて前記冷水注出弁(19)を開弁させる、請求項1に記載のウォーターサーバー。
【請求項3】
前記筐体(1)の内部に配置され、水を貯える内部タンク(7、22)と、
前記内部タンク(7、22)内の水位を検出する水位センサ(24)と、
前記内部タンク(7、22)に飲料水を送り込むポンプ(6)と、
を更に有し、
前記注出可否制御手段(S104、S106、S204、S207)は、前記利用限度到達判定手段(S105、S206)で利用限度に達していると判定されたときは、前記水注出制限状態として、前記内部タンク(7、22)内の水位が所定の下限水位を下回ったときにも前記ポンプ(6)の停止状態を維持し、一方、前記利用限度到達判定手段(S105、S206)で利用限度に達していないと判定されたときは、前記水注出許容状態として、前記内部タンク(7、22)内の水位が前記下限水位を下回ったときに前記ポンプ(6)を駆動させる、請求項1に記載のウォーターサーバー。
【請求項4】
前記冷水タンク(7)の飲料水の温度を検出する冷水温度センサ(28)と、
前記制御部(73)で制御され、前記冷水タンク(7)の飲料水を冷却する冷却装置(18)と、
を更に有し、
前記制御部(73)は、前記利用限度到達判定手段(S105、S206)がユーザーの利用限度に達していると判定すると否とにかかわらず、前記冷水温度センサ(28)で検出される温度が所定の上限温度を上回ったときに前記冷却装置(18)を作動させるように構成されている請求項1から3のいずれかに記載のウォーターサーバー。
【請求項5】
ユーザーが注出した飲料水の量を計測する水量計(65)を更に有し、
前記利用限度情報は、ユーザーが飲料水を利用できる残水量に対応する情報を含み、
前記制御部(73)は、前記水量計(65)で計測した水量に応じて前記利用限度情報を更新する、請求項1から4のいずれかに記載のウォーターサーバー。
【請求項6】
日時データを出力する時計部(75)を更に有し、
前記利用限度情報は、ユーザーが飲料水を利用できる残り日数に対応する情報を含み、
前記制御部(73)は、前記時計部(75)から出力される日時データと、前記ユーザーによる前記操作部(61)の操作の有無とに基づいて、ユーザーが飲料水を利用した日数に相当する分だけ前記利用限度情報を更新する、請求項1から4のいずれかに記載のウォーターサーバー。
【請求項7】
ユーザーの利用限度情報が記録された外部の利用制限解除キー(71)から前記利用限度情報を読み取る読取部(72)と、
日時データを出力する時計部(75)を更に有し、
前記利用限度情報は、ユーザーが飲料水を利用できる期間に対応する情報を含み、
前記制御部(73)は、前記読取部(72)で前記利用限度情報を読み取った後、前記期間の間は前記水注出許容状態とし、前記期間が経過したら前記水注出制限状態にする制御を行う、請求項1から4のいずれかに記載のウォーターサーバー。
【請求項8】
ユーザーの利用限度情報が記録された外部の利用制限解除キー(71)から前記利用限度情報を読み取る読取部(72)を有し、
前記利用制限解除キー(71)は、個々のキーを識別する固有識別番号と、通し番号とを有し、
前記読取部(72)は、前記利用限度情報に加えて、前記固有識別番号及び前記通し番号も読み取り、
前記制御部(73)は、一つの前記利用制限解除キー(71)を読み取って前記水注出許容状態にする制御を行ったのち、
前記固有識別番号が異なる別の前記利用制限解除キー(71)を読み取った際に、先の前記利用制限解除キー(71)の前記通し番号と、次の前記利用制限解除キーの前記通し番号とが、所定の条件を満たさない関係である場合、前記水注出制限状態にする制御を行う、
請求項1から7のいずれかに記載のウォーターサーバー。
【請求項9】
ユーザーの利用限度情報が記録された外部の利用制限解除キー(71)から前記利用限度情報を読み取る読取部(72)を有し、
前記利用制限解除キー(71)は、前記筐体(1)ごとに共通して設定される共通識別番号を有し、
前記記憶部(74)は、前記共通識別番号を記憶してあり、
前記読取部(72)は、前記利用限度情報に加えて、前記共通識別番号も読み取り、
前記制御部(73)は、新たに読み取った前記利用制限解除キー(71)に記録された前記共通識別番号が、前記記憶部(74)に記憶してある前記共通識別番号と一致しない場合、前記水注出制限状態にする、
請求項1から8のいずれかに記載のウォーターサーバー。
【請求項10】
ユーザーの利用限度情報が記録された外部の利用制限解除キー(71)から前記利用限度情報を読み取る読取部(72)を有し、
前記利用制限解除キー(71)は、近距離無線通信用のICチップであり、
前記読取部(72)は、近距離無線通信により前記ICチップ内の前記利用限度情報を更新可能である、
請求項1から9のいずれかに記載のウォーターサーバー。
【請求項11】
前記利用限度情報が、前記ユーザーによる課金処理に応じて前記ICチップにチャージされるポイントであり、
前記制御部(73)は、前記読取部(72)で前記利用限度情報を読み取った際に、前記ポイントが最低処理単位値以上であるか否かを判定し、
前記ポイントが最低処理単位値以上である場合には、前記ポイントを減算するとともに前記水注出許容状態とし、前記ポイントが最低処理単位値未満である場合には、前記利用限度情報を減算せず前記水注出制限状態にする制御を行う、請求項10に記載のウォーターサーバー。
【請求項12】
前記ICチップとして、携帯電話端末に内蔵された近距離無線通信用のICチップを用いる請求項10または11に記載のウォーターサーバー。
【請求項13】
前記ICチップとして、携帯電話端末に内蔵された近距離無線通信用のICチップを用いる請求項11に記載のウォーターサーバーと、
前記利用制限解除キーとなる近距離無線通信用の前記ICチップを備えた前記携帯電話端末(84)と、
前記ユーザーごとの前記利用限度情報を含むデータを記録するユーザ管理データベース(86)を管理する管理サーバ(82)と、
を備え、
前記管理サーバ(82)と前記携帯電話端末(84)は、前記ユーザ管理データベースに記録された前記ユーザーの前記ポイントと、前記ユーザーの前記携帯電話端末(84)の前記ICチップに記録された前記ポイントとを同期させるポイント同期手段を実行する、ウォーターサーバー利用システム。
【請求項14】
前記管理サーバ(82)は、前記ユーザーが課金サーバ(81)に対して行った課金処理に応じて前記利用限度情報を更新する課金情報反映手段を実行する請求項13に記載のウォーターサーバー利用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ユーザーによる利用限度を制限可能なウォーターサーバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主にオフィスや病院などでウォーターサーバーが利用されてきたが、近年は水の安全や健康への意識の高まりから、一般家庭においてもウォーターサーバーが普及しつつある。
【0003】
ウォーターサーバーは、一般に、筐体と、筐体の内部に配置された冷水タンクと、冷水タンクに供給するための飲料水が充填された交換式の水ボトルと、冷水タンク内の低温の飲料水を筐体の外部に注出する冷水注出管と、冷水注出管を開閉する冷水注出弁と、冷水注出管から低温の飲料水を注出するためにユーザーが操作する操作部とを有し、その操作部を操作することで、いつでもすぐに美味しい冷水を利用することができ、優れた利便性をもつ(例えば、特許文献1、2)。
【0004】
ここで、ウォーターサーバーの水ボトルは、ユーザーが水事業者から購入して使用される。すなわち、ユーザーは、筐体にセットされた水ボトル内の飲料水が無くなって空になると、その空の水ボトルを満水状態の新品の水ボトルに交換する。新品の水ボトルは、ユーザーが水事業者から購入し、ユーザーによって筐体にセットされる。
【0005】
一方、ウォーターサーバーの本体部分(水ボトル以外の部分)は、一般に、ユーザーが事業者からレンタルして使用することが多い。これにより、ユーザーは、ウォーターサーバーの本体部分を購入するための初期費用を必要とせずに、ウォーターサーバーを利用することができるというメリットがある。
【0006】
また、ウォーターサーバーとして、筐体と、筐体の内部に配置された冷水タンクと、浄水フィルタと、その浄水フィルタを介して冷水タンクに飲料水を送り込むポンプと、冷水タンク内の低温の飲料水を筐体の外部に注出する冷水注出管と、冷水注出管を開閉する冷水注出弁と、冷水注出管から低温の飲料水を注出するためにユーザーが操作する操作部とを有する浄水フィルタタイプのものも知られている(特許文献3)。この浄水フィルタタイプのウォーターサーバーも、ユーザーが事業者からレンタルして使用することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開第2010-228807号公報
【特許文献2】特開第2014-169120号公報
【特許文献3】特許第2542528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、事業者とユーザーの間でのウォーターサーバーのレンタル契約が終了したときや、ユーザーによる料金滞納が継続したとき等に、ユーザーは、レンタル品であるウォーターサーバーのそれ以上の使用をする権利が無くなることがある。
【0009】
この場合、事業者がユーザーからウォーターサーバーを回収しない限り、ウォーターサーバー自体はユーザーのところにあるため、ユーザーは、事業者に対してウォーターサー
バーのレンタル料金等の一切の対価を支払うことなく、そのままウォーターサーバーを継続して利用することが可能であるという問題がある。
【0010】
そして、正当な権利をもたずに一切の対価を支払うことなくレンタル品のウォーターサーバーを利用するユーザーが増加した場合、これに伴って生じる経済的損失は、事業者または他のユーザーが負担することとなってしまい、不合理である。
【0011】
ここで、本願の発明者は、ウォーターサーバーによって、ユーザーによるウォーターサーバーの利用限度を管理し、利用限度を超えた水の利用を制限できるようにすれば、上記問題を解消することが可能になるという着想を得た。
【0012】
この発明が解決しようとする課題は、ユーザーによる利用限度を制限することが可能なウォーターサーバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、この発明では、以下の構成のウォーターサーバーを提供する。
筐体と、
前記筐体の内部に配置された冷水タンクと、
前記冷水タンク内の低温の飲料水を前記筐体の外部に注出する冷水注出管と、
前記冷水注出管を開閉する冷水注出弁と、
前記冷水注出管から低温の飲料水を注出するためにユーザーが操作する操作部と、
ユーザーの利用限度情報が記録された外部の利用制限解除キーから前記利用限度情報を読み取る読取部と、
前記読取部で読み取った前記利用限度情報に基づいて、ユーザーの利用限度に達しているか否かを判定する利用限度到達判定手段と、前記利用限度到達判定手段で利用限度に達していると判定されたときは、前記ユーザーが前記操作部を操作したときにも飲料水の注出を制限する水注出制限状態にし、一方、前記利用限度到達判定手段で利用限度に達していないと判定されたときは、前記ユーザーが前記操作部を操作したときに飲料水の注出を許容する水注出許容状態にする注出可否制御手段と、を実行する制御部と、
を有するウォーターサーバー。
【0014】
このようにすると、ユーザーが、利用制限解除キーに記録されたユーザーの利用限度情報を読取部に読み取らせ、その利用限度情報に基づいてすでに利用限度に達していると利用限度到達判定手段で判定されたときは、注出可否制御手段によって、ユーザーが操作部を操作したときにも飲料水の注出が制限され、一方、まだ利用限度に達していないと利用限度到達判定手段で判定されたときは、注出可否制御手段によって、ユーザーが操作部を操作したときに飲料水の注出が許容される。そのため、ユーザーによる利用限度を超えたウォーターサーバーの利用を制限することが可能である。
【0015】
前記冷水注出弁として、ユーザーによる前記操作部の冷水注出操作に応じて開閉する電磁開閉弁を採用する場合、
前記注出可否制御手段は、前記利用限度到達判定手段で利用限度に達していると判定されたときは、前記水注出制限状態として、前記操作部の冷水注出操作があったときにも前記冷水注出弁の閉弁を維持し、一方、前記利用限度到達判定手段で利用限度に達していないと判定されたときは、前記水注出許容状態として、前記操作部の冷水注出操作に応じて前記冷水注出弁を開弁させるものを採用することができる。
【0016】
このようにすると、すでに利用限度に達していると利用限度到達判定手段で判定されたときは、ユーザーによる操作部の冷水注出操作があったときにも、冷水注出弁の閉弁が維
持されるので、冷水が注出されない。そのため、ユーザーによる利用限度を超えたときに、即座に冷水の利用を制限することが可能である。
【0017】
前記筐体の内部に配置され、水を貯える内部タンクと、
前記内部タンク内の水位を検出する水位センサと、
前記内部タンクに飲料水を送り込むポンプと、
を更に有する構成を採用する場合、
前記注出可否制御手段は、前記利用限度到達判定手段で利用限度に達していると判定されたときは、前記水注出制限状態として、前記内部タンク内の水位が所定の下限水位を下回ったときにも前記ポンプの停止状態を維持し、一方、前記利用限度到達判定手段で利用限度に達していないと判定されたときは、前記水注出許容状態として、前記内部タンク内の水位が前記下限水位を下回ったときに前記ポンプを駆動させるものを採用することができる。
【0018】
このようにすると、すでに利用限度に達していると利用限度到達判定手段で判定されたときは、冷水タンク内の水位が所定の下限水位を下回ったときにもポンプの停止状態を維持するので、冷水タンクへの飲料水の補給が行なわれない。そのため、ユーザーによる利用限度を超えたときに、冷水注出弁の不正操作等によって飲料水が継続して利用されるのを確実に制限することが可能である。
【0019】
前記冷水タンクの飲料水の温度を検出する冷水温度センサと、
前記制御部で制御され、前記冷水タンクの飲料水を冷却する冷却装置と、
を更に有する構成を採用する場合、
前記制御部は、前記利用限度到達判定手段がユーザーの利用限度に達していると判定すると否とにかかわらず、前記冷水温度センサで検出される温度が所定の上限温度を上回ったときに前記冷却装置を作動させるように構成すると好ましい。
【0020】
このようにすると、すでに利用限度に達していると利用限度到達判定手段で判定され、ユーザーによる冷水の利用が制限されているときにも、冷水タンクの飲料水の温度が、所定の上限温度以下の低温に保持される。そのため、ユーザーによる冷水の利用が制限されている間に、冷水タンク内に雑菌が繁殖するのを防止することが可能である。また、ユーザーが、新たに利用制限解除キーに記録された利用限度情報を読取部に読み取らせることで、水注出制限状態から水注出許容状態に切り替わったときに、速やかに低温の飲料水が利用可能である。
【0021】
ユーザーが注出した飲料水の量を計測する水量計を更に有する構成を採用する場合、
前記利用限度情報は、ユーザーが飲料水を利用できる残水量に対応する情報を含み、
前記制御部は、前記水量計で計測した水量に応じて前記利用限度情報を更新するように構成することができる。
【0022】
このようにすると、ユーザーによるウォーターサーバーの利用限度を、ユーザーが利用した水量に基づいて制限することが可能となる。
【0023】
日時データを出力する時計部を更に設け、
前記利用限度情報は、ユーザーが飲料水を利用できる残り日数に対応する情報を含み、
前記制御部は、前記時計部から出力される日時データと、前記ユーザーによる前記操作部の操作の有無とに基づいて、ユーザーが飲料水を利用した日数に相当する分だけ前記利用限度情報を更新するように構成することができる。
【0024】
このようにすると、ユーザーによるウォーターサーバーの利用限度を、ユーザーが飲料
水を利用した日数に基づいて制限することが可能となる。
【0025】
日時データを出力する時計部を更に設け、
前記利用限度情報は、ユーザーが飲料水を利用できる期間に対応する情報を含み、
前記制御部は、前記読取部で前記利用限度情報を読み取った後、前記期間の間は前記水注出許容状態とし、前記期間が経過したら前記水注出制限状態にする制御を行うように構成することができる。
【0026】
このようにすると、ユーザーによるウォーターサーバーの利用限度を、ユーザーが飲料水を利用できる期間に基づいて制限することが可能となる。
【0027】
前記利用制限解除キーが有する前記利用限度情報は、1週間や30日、1ヶ月といった期間を限ってウォーターサーバーの利用を可能にさせるものでもよいし、何リットルといった提供水量を限って利用を可能にさせるものでもよい。ユーザーが与えられた権限の範囲でウォーターサーバーを利用する場合には、前記制御部は前記水注出許容状態にし、利用限度を超過したら、前記水注出制限状態にする制御を行う。
【0028】
また、不正な利用制限解除キーによるウォーターサーバーの利用を防ぐために、次のような方式が可能となる。
前記利用制限解除キーは、個々のキーを識別する固有識別番号と、通し番号とを有し、
前記読取部は、前記利用限度情報に加えて、前記固有識別番号及び前記通し番号も読み取り、
前記制御部は、一つの前記利用制限解除キーを読み取って前記水注出許容状態にしたのち、
前記固有識別番号が異なる別の前記利用制限解除キーを読み取った際に、先の前記利用制限解除キーの前記通し番号と、次の前記利用制限解除キーの前記通し番号とが、所定の条件を満たさない関係である場合、前記水注出制限状態にする。
【0029】
さらに、不正な利用制限解除キーによるウォーターサーバーの利用を防ぐために、次のような方式も可能となる。
ウォーターサーバーが、情報を記録して読み出し可能な記憶部を有し、
前記利用制限解除キーは、前記筐体ごとに共通して設定される共通識別番号を有し、
前記記憶部は、前記共通識別番号を記憶してあり、
前記読取部は、前記利用限度情報に加えて、前記共通識別番号も読み取り、
前記制御部は、新たに読み取った前記利用制限解除キーに記録された前記共通識別番号が、前記記憶部に記憶してある前記共通識別番号と一致しない場合、前記水注出制限状態にする。
【0030】
前記利用制限解除キーとして、近距離無線通信用のICチップを用い、前記読取部は、近距離無線通信により前記ICチップ内の前記利用限度情報を更新可能である方式も可能となる。これにより、ユーザーによる課金や水の利用等に応じて、ICチップ内の前記利用限度情報の加算及び減算が自在にできるようになる。
【0031】
また、前記利用限度情報が、前記ユーザーによる課金処理に応じて前記ICチップにチャージされるポイントを含み、前記制御部は、前記読取部で前記利用限度情報を読み取った際に、前記ポイントが最低処理単位値以上であるか否かを判定し、前記ポイントが最低処理単位値以上である場合には、前記ポイントを減算するとともに前記水注出許容状態とし、前記ポイントが最低処理単位値未満である場合には、前記利用限度情報を減算せず前記水注出制限状態にする制御を行う方式も可能となる。適宜課金した額をチャージしたポイントとして前記利用制限解除キーで保有しておくことができるようになる。ユーザーは
必要なポイントを持っていればウォーターサーバーを利用できる。
【0032】
前記ICチップとして、携帯電話端末に内蔵された近距離無線通信用のICチップを用いることもできる。ユーザーはカードなどのキーを別途持ち歩かなくても、普段持ち歩いている携帯電話端末によって飲料水を利用できるようになる。
【0033】
ICチップに対応したウォーターサーバーと、
前記利用制限解除キーとなる近距離無線通信用の前記ICチップを備えた前記携帯電話端末と、
前記ユーザーごとの前記利用限度情報を含むデータを記録するユーザ管理データベースを管理する管理サーバと、
を備え、
前記管理サーバと前記携帯電話端末とは、前記ユーザ管理データベースに記録された前記ユーザーの前記ポイントと、前記ユーザーの前記携帯電話端末の前記ICチップに記録された前記ポイントとを同期させるポイント同期手段を実行する、ウォーターサーバー利用システムが構築できる。ユーザーが保有するポイントを管理サーバで管理し、不正利用を防止できる。
【0034】
さらに、前記管理サーバは、前記ユーザーが課金サーバに対して行った課金処理に応じて前記利用限度情報を更新する課金情報反映手段を実行する方式を採用できる。ネットワーク経由でのクレジットカードやプリペイドカードなどによる課金によって、適宜ウォーターサーバーを利用できるようになる。
【発明の効果】
【0035】
この発明のウォーターサーバーは、ユーザーが、利用制限解除キーに記録されたユーザーの利用限度情報を読取部に読み取らせ、その利用限度情報に基づいてすでに利用限度に達していると利用限度到達判定手段で判定されたときは、注出可否制御手段によって、ユーザーが操作部を操作したときにも飲料水の注出が制限され、一方、まだ利用限度に達していないと利用限度到達判定手段で判定されたときは、注出可否制御手段によって、ユーザーが操作部を操作したときに飲料水の注出が許容される。そのため、ユーザーによる利用限度を超えたウォーターサーバーの利用を制限することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】この発明の実施形態にかかるウォーターサーバーの制御部分の機能ブロック図
図2】利用限度情報を更新する実施形態での制御フロー図
図3】期間型の利用限度情報による実施形態での制御フロー図
図4】この発明の実施形態のウォーターサーバーを示す断面図
図5】この発明の他の実施形態のウォーターサーバーを示す断面図
図6】この発明のさらに他の実施形態のウォーターサーバーを示す断面図
図7】この発明の実施形態のウォーターサーバーを課金によって利用するシステムの機能ブロック図
図8】課金によりウォーターサーバーを利用可能にする実施形態での制御フロー図
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1に、この発明の実施形態にかかるウォーターサーバーの制御に関する機能ブロック図を示す。ウォーターサーバーの筐体1の中には、ポンプ6、冷水注出弁19、温水注出弁21、冷却装置18、加熱装置20が設けられている。これらの部材は、ソフトウェアを備えた演算装置である制御部73によって制御される。制御部73には、冷水注出操作スイッチ61、温水注出操作スイッチ62、水位センサ24、水量計65、冷水温度セン
サ28、温水温度センサ29、時計部75、読取部72からの信号が入力される。
【0038】
また、このウォーターサーバーは、利用限度情報に関する変化やユーザー認証を処理するために、必要な情報を記録して保存しておく記憶装置である記憶部74を有するとよい。停電やコンセントの抜けなどによってそれらの情報がリセットされることがないように、磁気ディスクや不揮発性メモリに記録されていると望ましい。衝撃耐久性の点から不揮発性メモリが特に望ましい。
【0039】
さらに、ウォーターサーバーは日時データを出力する時計部75を有する。
【0040】
この実施形態ではウォーターサーバーの筐体1の外部で持ち運びされる利用制限解除キー71を用いる。ウォーターサーバーを提供する事業者が、ユーザーに定期的に又は注文に応じて利用制限解除キー71を送付したり、必要な情報を電子的に送信してなんらかの媒体を利用制限解除キー71に設定したりする。利用制限解除キー71には、利用限度情報が記録されてある。この利用限度情報は、利用制限解除キー71を送付されたユーザーがウォーターサーバーを利用可能な時間、水量の情報である。この利用限度情報の範囲でユーザーはウォーターサーバーからの飲料水の注出を利用でき、範囲を超えたらウォーターサーバーからの飲料水の注出ができなくなる。
【0041】
利用限度情報の定義方式は事業者とユーザーとの契約に応じて適宜設定可能である。利用限度情報を時間により設定する例としては、利用開始からの期間を日数単位、週数単位、月数単位、年数単位で定義し、利用開始から決められた期間が経過したら機能の停止を行う方式が挙げられる。また別の設定方法としては、時間単位、又は日数単位で、利用可能な回数を定義する方式も挙げられる。時間単位の場合、飲料水の注出を行っている時間をカウントし、その合計時間が予め定めた期間を経過したら機能の停止を行う。日数単位の場合、実際の利用があった日ごとに日数を加算して限度日数に達したら飲料水の注出の制限を行う方式でもよいし、又は、実際の利用があった日ごとに日数を初期数値から減算していき0になったら飲料水の注出の制限を行う方式でもよい。
【0042】
利用限度情報を水量により設定する例としては、利用開始からの飲料水の提供水量で定義し、筐体1内の所定の箇所を経過した飲料水の量を提供水量から減算していき0になったら飲料水の注出の制限を行う方式でもよいし、筐体1内の所定の箇所を経過した飲料水の量を加算していき提供水量に到達したら飲料水の注出の制限を行う方式でもよい。
【0043】
利用限度情報を、ユーザーによる課金処理に応じて、ユーザーがもつICチップ(ユーザーの携帯電話端末に内蔵された近距離無線通信用のICチップや、ユーザーにあらかじめ配布したICカードに内蔵される近距離無線通信用のICチップなど)にチャージされるポイントで設定することも可能である。この場合、残存するポイントが、1回分の飲料水の注出ごとに減算するようにあらかじめ設定された最低処理単位値以上あれば、支払としてポイントを減算して、あらかじめ設定された1回分の水量または時間だけ飲料水を注出できるようにする。残存するポイントが前記最低処理単位値未満であればポイントをそのままとし、飲料水の注出を利用させない。
【0044】
また、利用制限解除キー71は、利用限度情報の他に、個々のキーを識別する固有識別番号を有してもよい。このようにすると、事業者にとって個々の利用制限解除キー71を管理しやすくなる。また、ウォーターサーバーの制御部73が、それまで使用していた利用制限解除キー71と異なる利用制限解除キー71を受け付けたとき、そのことを判別可能となる。
【0045】
さらに、利用制限解除キー71は、使用されるウォーターサーバーごとに共通する共通
識別番号を有していると望ましい。この場合、記憶部74には共通識別番号そのもの又は共通識別番号からのハッシュ値などの、照合可能な情報を記憶させておく。どのユーザーの下にあるどのウォーターサーバーにどの共通識別番号が付されているかを事業者は管理しておき、そのウォーターサーバーに対応する共通識別番号を有する利用制限解除キー71を該当するユーザーに送付する。共通識別番号を記憶部74の情報と照合させて、一致した場合には正規の使用として扱い、一致しない場合は不正な使用として扱うことで、不正な利用制限解除キー71の利用を防止することができる。
【0046】
さらにまた、利用制限解除キー71は、通し番号を有しているとよい。この通し番号は個々のウォーターサーバーで使われる利用制限解除キー71の順番に対応する。例えば、通し番号が1番の利用制限解除キー71の次に利用される利用制限解除キー71の通し番号は2番であるようにし、さらに次に利用される利用制限解除キー71の通し番号は3番であるようにする。順番から外れた通し番号を有する利用制限解除キー71を認識した場合は、不正な使用として扱い飲料水の注出を制限することで、不正な利用制限解除キー71の利用を抑止することができる。なお、通し番号は開始値が1である必要はなく、任意の数値でも文字列でもよい。また、個々の利用制限解除キー71の通し番号の違いは+1の等差数列である必要はなく、所定の法則に従っていればよい。例えば、値の異なる等差数列でもよいし、等比数列などその他の数列の関係にあってもよく、規定できる所定の条件であればよい。
【0047】
利用制限解除キー71としては、持ち運びでき、かつ情報を記憶できる媒体であることが必要である。実施形態によっては、記憶した情報を書き換えできる媒体であってもよい。具体的には、磁気カードやICカードのようなプリペイドカード型の利用制限解除キー、USBメモリやSDカード(登録商標。miniSDカード又はmicroSDカードを含む。以下同じ)のような不揮発性半導体メモリからなる汎用コンピュータ用利用制限解除キー、スマートフォンやスマートウォッチのようなポータブルデバイスの内部記憶装置などが挙げられる。
【0048】
このウォーターサーバーは、これらの利用制限解除キー71に対応して利用限度情報等を読み取る読取部72を有する。読取部72は、磁気カードに対しては磁気読み取り機能を有するカードリーダ(又はカードリーダライタ)、ICタグやICカードなどのICチップに対してはNFC(Near field communication)機能を有するNFCリーダ(又はNFCリーダライタ)となる。USBメモリに対しては、USB端子となる。SDカードに対してはSDカードリーダライタスロットとなる。USBメモリやSDカードには、利用限度情報がファイル又はその一部として記録され、規格に従って規定のファイルを読み込み、また、必要に応じて書き込みを行う。
【0049】
また、利用制限解除キー71がスマートフォンやスマートウォッチなどのポータブルデバイスの場合、伝達方法はポータブルデバイスの持つ機能により、特に限定されない。例えば、ポータブルデバイスのモニタに、利用限度情報をエンコードしたQRコードなどのコード化された画像を表示する場合には、これを読み取る読取部72はカメラとなり、後述する制御部でデコードして利用限度情報を取り出す。一方、ポータブルデバイスが有するBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信により利用限度情報を伝達する場合は、
それに対応した読取部72は無線インターフェースとなる。
【0050】
いずれの形態であっても、読取部72は利用限度情報の他に、利用制限解除キー71に記録された固有識別番号、共通識別番号、通し番号も読み取り可能であるとよい。
【0051】
制御部73は、読取部72にて読み取った利用限度情報に基づいて、ユーザーの利用限度に達しているか否かを判定する利用限度到達判定手段を実行する。ここで、利用限度に
達しているとは、例えば、残期間や残水量が0になっていたり、加算された期間や水量が利用可能な値の限度に到達していたり、前記ポイントが最低処理単位値未満になっていたりすることをいう。利用限度到達判定手段で利用限度に達していると判定されたときは、ユーザーが操作部を操作したときにも飲料水の注出を制限する水注出制限状態にし、一方、利用限度到達判定手段で利用限度に達していないと判定されたときは、ユーザーが操作部を操作したときに飲料水の注出を許容する水注出許容状態にする注出可否制御手段を実行する。
【0052】
ここで、操作部とは、飲料水を筐体の外部に注出する注出管から飲料水が注出される注出状態と、その注出を停止する注出停止状態とを切り替えるためにユーザーが操作する部位のことである。例えば、押すことで注水が開始される機械式のコックや、押すことで電気信号が制御部73に送られて電磁弁や電磁ロックを開放するスイッチ(19,21,61,62)が挙げられる。
【0053】
記憶部74には、制御部73が判定を行うための情報やログ、実行のためのソフトウェアなどが記録される。記憶される情報としては、ユーザーが利用している当該筐体1の共通識別番号や、ウォーターサーバーの使用開始日や契約更新日、現在使用している利用制限解除キー71の固有識別番号や通し番号、現在使用している利用制限解除キー71の利用限度情報のうち、利用状況に応じた日数や、ある時点からの累積水量などの進行する情報などが挙げられる。
【0054】
制御部73が行う処理フローの例を図2に示す。この実施形態にかかるウォーターサーバーは初期状態(S101)では、利用制限解除キー71が無ければ使用することができず、正規の利用制限解除キー71に記録された利用限度情報を読取部72に読み込ませることにより、所定の利用限度内で利用可能となる。
【0055】
まず、読取部72が利用制限解除キー71から情報を読み取る(S102)。読み取る情報としては、利用限度情報の他に、固有識別番号、共通識別番号、通し番号など、規格上定められた情報を読み取る。制御部73は、これらの読み取った情報から、利用制限解除キー71が正規のキーであるか否かを判定する正規キー判定手段を実行する(S103)。例えば、利用限度情報や固有識別番号などの規格が違っていたり、そもそも読み取れなかったりする場合や、共通識別番号が記憶部74にある情報と照合できなかった場合、通し番号が所定の規格に従っていない場合である。これらのように正規のものではない情報であった場合(S103→No)、ウォーターサーバーをレンタルしている事業者によって正規の手順で発行された利用制限解除キー71ではない可能性が高いため、制御部73は飲料水の注出を制限する水注出制限状態にする制御を行う(S104)。開始時点ではそもそも水注出制限状態であるため、この場合は水注出制限状態の続行となる。
【0056】
一方、利用限度情報や固有識別番号などの情報が正規のものであると判定される場合は(S103→Yes)、利用限度情報が、飲料水を利用可能な範囲であるか否かを判定する利用限度到達判定手段を実行する(S105)。利用可能な残り日数がまだ残存していたり、利用可能な提供水量の残水量がまだ残っていたりするような場合は、利用限度に達していないと判定する(S105→Yes)。逆に、利用可能な残り日数が0になっていたり、利用可能な期間を経過していたり、残水量が0になっていたりしたら、利用限度に達していると判定する(S105→No)。
【0057】
利用限度到達判定手段の判定結果に応じて、飲料水の注出を制限するか許容するかを切り替える(S104,S106)注出可否制御手段を実行する。
【0058】
利用可能な限度に達していないと判定していたら(S105→Yes)、制御部73は
水注出許容状態とする(S106)。スタート時点では水注出制限状態から水注出許容状態への切り替えとなり、既に水注出許容状態になっている場合はそれを続行することになる。これと併せて、利用制限解除キー71又は記憶部74に記憶された利用限度情報を更新する利用限度情報更新手段を実行する(S107)。残り日数であればそれを減算し、残水量であれば水量計で検知できる使用水量に応じてそれを減算し、ポイントであれば、1回分の飲料水の注出を行なうごとに最低処理単位値となる所定数のポイントを減算する。このとき、更新日時を登録しておくと、期間で規定する場合の判定に用いることができる。さらにこれと併せて、一度使用した利用制限解除キー71の固有識別情報や通し番号などを記憶部74に記憶させておくとよい。次に用いる利用制限解除キー71が正規のものであるか否か判定する際にそれらの情報を用いることができる。
【0059】
その後は、同一の利用制限解除キー71によりウォーターサーバーを利用する場合には、S103では、既に一度正規のものとして認識した利用制限解除キー71であると固有識別番号から判定して(S103→Yes)、利用限度情報の更新後も利用限度に達しているか否かを判定する(S105)。
【0060】
一方、利用限度に達していると判定していたら(S105→No)、制御部73は水注出制限状態にする(S104)。この場合、一旦飲料水の注出が可能な水注出許容状態であったので、水注出制限状態への切り替えとなる。
【0061】
なお、制御部73がS105で可否を判定する際には、利用限度情報と、必要に応じて記憶部74に記録された情報、及び時計部75から得られる日時データとを参照する。
【0062】
利用限度情報を更新する実施形態として、記憶部74又は利用制限解除キー71に残日数を書き込む場合、既に記録されている残日数を読取り、それに-1した値を書き込む方式が挙げられる。この場合、ウォーターサーバーは、利用制限解除キー71を読取部72にセットしたままの状態で使用される。ここで、同じ利用制限解除キー71を読取部72に認識させたまま、一日に何回もウォーターサーバーを利用することが考えられ、利用の度に残日数を-1したのではカウントが正しくない。このため、制御部73は時計部75で把握できる一日のうち、最初の利用時のみカウントを進めるようにするとよい。残日数が0になると、S105で限度を超えて水注出制限状態へと移行することになる。
【0063】
逆に、使用日数のカウントを書き込む場合、既に記録されている日数を読み取り、それに+1した値を書き込む方式が挙げられる。ただしこの場合も、同じ利用制限解除キー71を読取部72に認識させたまま、一日に何回もウォーターサーバーを利用することが考えられ、利用の度に使用日数を+1したのではカウントが正しくない。このため、制御部73は時計部75で把握できる一日のうち、最初の利用時のみカウントを進めるようにするとよい。使用日数が、当初登録されていた使用可能日数に到達すると、S105で利用可能な限度を超えて水注出制限状態へと移行することになる。
【0064】
次に、利用限度情報を更新する実施形態として、記憶部74又は利用制限解除キー71に、利用した水量や時間を書き込む場合、開始時点での数量(リットル)又は時間(秒、分)を読み取り、利用後はそれに利用分の数値を加算した値を書き込む方式が挙げられる。単純に利用量に応じたカウントとなり、利用量が当初決められていた利用限度に達したら水注出制限状態にする注出可否制御手段を実行する。水量の場合は、筐体1内の所定の箇所を通過した飲料水の量をカウントして、これを制御部73に入力させて残水量を更新する。例えば、ポンプ6によって汲み上げられた水の量をカウントする水量計65を設けておき、この水量計65のデータの差分を水量として用いる形態が挙げられる。具体的には、一つの利用制限解除キー71について利用始めからの累積水量を用いるとよい。
【0065】
利用制限解除キー71が、例えば30日分や半年分などの、まとまった期間分の利用限度情報を有するように設定することもできる。すなわち、いったん利用制限解除キー71の情報を読取部72で読み取らせると、その後、実際に使用した水量や、実際に水を使用した日数にかかわらず、予め設定された期間においてウォーターサーバーの利用を許容するというように構成することができる。
【0066】
この場合のフローを図3に示す。利用制限解除キー71の情報を読取部72が読み取る点(S202)は上記のS102と同じである。また、正規のキーであるか否かの判定をする正規キー判定手段(S203)も、上記のS103と同様である。S205以降が異なる。まず、その利用制限解除キー71が有する利用限度情報により利用を開始する開始日時を設定する(S205)。この開始日時は記憶部74に記憶させる。以後、時計部75からの時計データを読み込み、開始日時から当初設定された期間が経過した使用終了日までの残日数を計算する。これが利用限度到達判定手段に相当する。この残日数が0になっていなければ限度に達していないと判定し(S206→Yes)水注出許容状態を続け(S207)、残日数が0になったら、限度に達していると判定して(S206→No)水注出制限状態へ切り替える制御を行う(S204)注出可否制御手段を実行する。
【0067】
いったん水注出制限状態に切り替わったら、ユーザーは事業者から送付された新たな利用制限解除キー71を読取部72に読み取らせる(S202)。制御部73はこれを正規のキーと判定したら(S203→Yes)、開始日時を設定し(S205)、利用限度到達判定手段が実行され(S206)、水注出許容状態へ切り替える注出可否制御手段が実行される(S207)。
【0068】
なお、図3の実施形態の場合、一旦認識させた利用制限解除キー71はそれ以後不要となる。以後はユーザーが特段の操作をすることなく、決められた期間は自由にウォーターサーバーを利用することができるようにする。ただし、同じ利用制限解除キー71を別のウォーターサーバーで使えないようにするため、利用制限解除キー71には、利用開始日を書き込んだり、使用済みである旨の情報を書き込んだりすることで、二重の利用ができないようにするとよい。
【0069】
さらにS103やS203における正規のキーであるか否かの判定において、次のような認証方式が採用可能である。事業者は特定のユーザーに送付する利用制限解除キー71に記録する利用限度情報に、個々の利用制限解除キー71に固有の固有識別番号と、個々のウォーターサーバーを識別する共通識別番号と、通し番号を付しておく。一旦利用制限解除キー71を読み込んでウォーターサーバーの使用を開始した際に、記憶部74に固有識別番号と共通識別番号と通し番号とを記憶部74に記憶しておく。事業者が当該ユーザーに次に送付する新たな利用制限解除キー71には、共通識別番号と、先の通し番号から所定の条件に従って変更された番号とを付しておく。例えば先の通し番号に+1した番号である。制御部73は、固有識別番号が異なる利用制限解除キー71の読み取りを認識したら、当該新たな利用制限解除キー71に記録された共通識別番号が記憶部74に記録された共通識別番号と同一であるか否かを確認する共通識別番号確認手段を実行する。さらに、当該新たな利用制限解除キー71に記録された通し番号が、記憶部74に記録された先の利用制限解除キー71の通し番号に対して、所定の条件を満たす関係であるか否かを確認する通し番号確認手段を実行する。双方の確認がTrueであれば水注出許容状態にし、Falseであれば期限切れとして水注出制限状態にする。判定後の状態の切り替えは注出可否制御手段と同様である。この認証方式を採用すると、第三者により生成された不正な利用制限解除キー71を読み込ませてウォーターサーバーを不正利用しようとしても、共通識別番号と通し番号の連続性とを一般化することが難しいため、共通の利用制限解除キー71では認証方式を突破することができず、事業者が送付した正規の利用制限解除キー71による正規の利用のみを可能とすることができる。共通識別番号と通し番号の
連続性とのいずれか一方のみの認証でもある程度のセキュリティを確保できるが、両方を検証する認証方式とすることで、より高いセキュリティを確保できる。
【0070】
この実施形態にかかるウォーターサーバーの制御部73が、不正利用を検知したり、利用限度情報上の限度を超えたと判定した場合に、ウォーターサーバーの利用を制限する水注出制限状態を実現するには、筐体1内の注出のために必要ないずれかの部位を機能させないように制御するか、又は筐体1内のいずれかの部位を作動させて飲料水の注出を阻止するかのいずれかが挙げられる。ただし、機能させないようにする場合でも、ウォーターサーバー自体の電源は落とさずに維持する制御を行なうことが望ましい。電源を落としてしまうと、次の利用制限解除キー71の確認ができなくなり、ユーザーの利便性の点から好ましくない。また、電源が入ったままにしておくと、飲料水の品質管理に関する部位は稼働させ続けることができ、注出可否制御手段の実行で水注出許容状態に切り替わり利用を再開する際に速やかに対応可能になる。
【0071】
ウォーターサーバーの方式は特に限定されない。飲料水を充填した水ボトルから飲料水を注出させる水ボトル式でもよいし、水道水を充填した水道水タンクの水を、浄水フィルタカートリッジに導入して浄化した水を注出させる浄水機式でもよい。
【0072】
この実施形態にかかるウォーターサーバーの制御部73が水注出制限状態にするための制御を実行する部位について、ウォーターサーバーの実施形態を挙げて例示する。なお、以下の説明はあくまで例示であり、これらの説明に示していない部位への制御を妨げるものではない。また、以下に説明する以外の実施形態であっても、飲料水を筐体1外に注出するウォーターサーバーであれば、基本的には同じように制御することができる。
【0073】
図4に、上述の制御を行なうウォーターサーバーを示す。このウォーターサーバーは、上下に細長い筐体1と、筐体1の下部に設けられた水ボトル受け2と、水ボトル受け2に載置された水ボトル3の水出口4に着脱可能に接続されるジョイント部5と、ジョイント部5を通って水ボトル3の水を汲み上げるポンプ6と、ポンプ6で汲み上げられた水を導入して冷却する冷水タンク7と、冷水タンク7内の低温の水を筐体1の外部に注出する冷水注出管8と、ポンプ6で汲み上げられた水を導入して加熱する温水タンク9と、温水タンク9内の高温の水を筐体1の外部に注出する温水注出管10とを有する。
【0074】
筐体1は、上下方向に延びる筒壁13と、筒壁13の上端に設けられた天板14と、筒壁13の下端に設けられた底板15とを有する。筒壁13の前面下部には、水ボトル3を出し入れするための開口部16と、開口部16を開閉する前面扉17とが設けられている。
【0075】
冷水タンク7には、冷水タンク7内の水を冷却する冷却装置18が取り付けられている。また、冷水タンク7には内部の飲料水の温度を検出する冷水温度センサ28が取り付けられている。冷水温度センサ28で検出する温度が、所定の上限温度を上回ったときに冷却装置18を作動させ、冷水タンク7内の飲料水は、低温(5℃程度)に保たれている。この制御は冷水温度センサ28からの信号を受信した制御部73が行う。冷水タンク7の底面には、冷水注出管8が接続されている。冷水注出管8には、冷水注出弁19が設けられ、この冷水注出弁19を開くことによって冷水タンク7から低温の飲料水をカップ等に注出できるようになっている。
【0076】
温水タンク9には、温水タンク9内の水を加熱する加熱装置20が取り付けられている。また、温水タンク9には内部の飲料水の温度を検出する温水温度センサ29が取り付けられている。温水温度センサ29で検出する温度が、所定の下限温度を下回ったときに加熱装置20を作動させ、温水タンク9内の飲料水は、高温(90℃程度)に保たれている
。温水タンク9の上面には、温水注出管10が接続されている。温水注出管10には、温水注出弁21が設けられ、この温水注出弁21を開くことによって温水タンク9から高温の飲料水をカップ等に注出できるようになっている。
【0077】
本体の前面には冷水注出操作スイッチ61および温水注出操作スイッチ62が設けられている。これらが操作部にあたる。これらの操作部をユーザーが押すことで、その押したことを示す信号が制御部73に伝達され、制御部73から開弁の指令が冷水注出弁19や温水注出弁21に伝達され、冷水又は温水である飲料水が注出される。
【0078】
なお、図示しないが、物理的に動作させるコックによって冷水注出弁19や温水注出弁21を開弁させる実施形態でもよい。
【0079】
筐体1の内部には、冷水タンク7と水平に並ぶようにバッファタンク22が設けられている。バッファタンク22と冷水タンク7は、冷水タンク給水管23を介して連通している。また、冷水タンク7には、冷水タンク7内の水位を検出する水位センサ24が設けられている。この水位センサ24によって、冷水タンク7内の水位が予め設定された下限水位まで下がったことが検出されると、ポンプ6を駆動させる電動モータ30が作動し、そのポンプ6で汲み上げられた水が、バッファタンク22と冷水タンク給水管23を順に通って冷水タンク7に導入されるようになっている。なお、水位センサ24を設けて水位を検出する内部タンクは冷水タンク7に限定されず、バッファタンク22でもよい。その場合も、条件に応じてポンプ6で汲み上げられた水が、内部タンクであるバッファタンク22に導入される。このウォーターサーバーでは、これらのバッファタンク22又は冷水タンク7が、筐体の内部に配置され水を貯え、かつ水位センサ24で水位を検出される内部タンクである。
【0080】
温水タンク9は、バッファタンク22の下方に配置されている。バッファタンク22と温水タンク9は、温水タンク給水管25を介して連通しており、温水タンク9から飲料水を注出すると、その飲料水と同量の飲料水が、温水タンク給水管25を通ってバッファタンク22から温水タンク9に流入し、温水タンク9が常に満水状態に保たれるようになっている。
【0081】
ポンプ6は、ジョイント部5から延びる汲み上げ管26の途中に設けられている。汲み上げ管26の一端はジョイント部5に接続し、汲み上げ管26の他端はバッファタンク22に接続している。汲み上げ管26は、ジョイント部5よりも低い位置を通るように、ジョイント部5から下方に延び出した後、上方に向きを変えるように設けられている。そして、汲み上げ管26の最も低い位置にポンプ6が配置されている。
【0082】
水ボトル3は、筒状の胴部40と、その胴部40の一端に設けられた底部41と、胴部40の他端に肩部42を介して設けられた首部43と、首部43の先端に取り付けられたキャップ44とを有する。この水ボトル3の内部には飲料水が充填されている。キャップ44の中央に、水ボトル3の水出口4が設けられている。水ボトル3の胴部40は、残水量の減少に伴って収縮するように柔軟性をもたせて形成されている。水ボトル3は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂やポリエチレン(PE)樹脂のブロー成形によって形成することができる。水ボトル3の容量は、満水状態で7~15リットル程度である。
【0083】
水ボトル受け2は、水ボトル3を水ボトル受け2に載置した状態で、筐体1内に水ボトル3が収容される収容位置と、筐体1から水ボトル3が出る引出位置との間を水平に移動可能に設けられている。
【0084】
水ボトル受け2は、筐体1の底板15にスライド可能に取り付けられている。具体的には、水ボトル受け2と筐体1の底板15との間に、筐体1の底板15に固定される固定側スライド部材45と、その固定側スライド部材45にスライド可能に連結された移動側スライド部材46とが組み込まれ、その移動側スライド部材46に水ボトル受け2が取り付けられている。水ボトル3は、筐体1の内部に設けられたジョイント部5に水出口4が向くように首部43を水平にした姿勢で、水ボトル受け2に載置される。
【0085】
ジョイント部5は、水ボトル受け2を収容位置に移動させたときに水ボトル3の水出口4がジョイント部5に接続し、水ボトル受け2を引出位置に移動させたときに水ボトル3の水出口4がジョイント部5から外れるように筐体1内に固定して設けられている。
【0086】
水ボトル受け2に水ボトル3を載置し、その水ボトル3の水出口4をジョイント部5に接続する。この状態でポンプ6を作動させると、水ボトル3の水がポンプ6によって汲み上げられ、その汲み上げられた飲料水が、バッファタンク22および冷水タンク給水管23を通って冷水タンク7に導入される。
【0087】
この実施形態にかかるウォーターサーバーは、プリペイドカード型の利用制限解除キー71を、カードリーダである読取部72に読み込ませることで、利用限度情報を制御部73が判定する。記憶部74及び時計部75の情報を参照し、利用の限度に達していたら、制御部73の指示により、水注出制限状態にする。この水注出制限状態の形態として、電動で作動するポンプ6を、水位センサ24が所定の下限水位になっても駆動させないままとする方式が挙げられる。このようにすると、すでに利用限度に達していると利用限度到達判定手段S105、S206で判定されたときは、冷水タンク7内の水位が所定の下限水位を下回ったときにもポンプ6の停止状態を維持するので、冷水タンク7への飲料水の補給が行なわれない。そのため、ユーザーによる利用限度を超えたときに、冷水注出弁19の不正操作等によって飲料水が継続して利用されるのを確実に制限することが可能である。
【0088】
また別の水注出制限状態の形態として、冷水注出弁19、温水注出弁21、又はそれらの両方の開放を禁止し閉弁を維持させる方式が挙げられる。これらは、ユーザーによる冷水注出操作スイッチ61、温水注出操作スイッチ62の操作に応じて開閉する電磁開閉弁である。この電磁開閉弁が閉弁を維持することで、冷水、温水について、ユーザーによる注出操作があったときも注出のみができなくなる。このようにすると、すでに利用限度に達していると利用限度到達判定手段S105、S206で判定されたときは、ユーザーによる冷水注出操作スイッチ61の冷水注出操作または温水注出操作スイッチ62の温水注出操作があったときにも、冷水注出弁19および温水注出弁21の閉弁が維持されるので、冷水および温水が注出されない。そのため、ユーザーによる利用限度を超えたときに、即座に冷水および温水の利用を制限することが可能である。
【0089】
冷水タンク7の冷却装置18は、利用限度到達判定手段S105、S206がユーザーの利用限度に達していると判定すると否とにかかわらず、冷水温度センサ28で検出される温度が所定の上限温度を上回ったときに冷却装置18を作動させるように制御すると好ましい。このようにすると、すでに利用限度に達していると利用限度到達判定手段S105、S206で判定され、ユーザーによる冷水の利用が制限されているときにも、冷水タンク7の飲料水の温度が、所定の上限温度以下の低温に保持される。そのため、ユーザーによる冷水の利用が制限されている間に、冷水タンク7内に雑菌が繁殖するのを防止することが可能である。また、ユーザーが、新たに利用制限解除キー71に記録された利用限度情報を読取部72に読み取らせることで、水注出制限状態から水注出許容状態に切り替わったときに、速やかに低温の飲料水が利用可能となる。
【0090】
図5に、他の実施形態にかかるウォーターサーバーを示す。上記実施形態に対応する部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0091】
このウォーターサーバーは、筐体1と、水道水を貯留する水道水タンク12と、交換式の浄水フィルタカートリッジ50と、水道水タンク12と浄水フィルタカートリッジ50の間を連通する原水管51と、原水管51の途中に設けられたポンプ6と、浄水フィルタカートリッジ50で濾過した浄水を貯留する冷水タンク7と、冷水タンク7内の浄水を冷却する冷却装置18と、浄水フィルタカートリッジ50と冷水タンク7の間を連通する浄水管54と、冷却装置18で冷却された冷水タンク7内の低温の飲料水を筐体1の外部に注出する冷水注出管8とを有する。
【0092】
水道水タンク12は、筐体1に着脱可能に取り付けられている。筐体1の天板14には、水道水タンク12を収容するタンク収容凹部14aが設けられている。タンク収容凹部14aの内面には、原水管51の上流側の端部の原水導入口52が設けられている。
【0093】
水道水タンク12は、水道水を収容するタンク本体53と、タンク本体53に形成された給水用の開口を開閉する蓋体54とからなる。タンク本体53は、水道水タンク12をタンク収容凹部14aに取り付けたときに原水導入口52に対応する位置にタンク開閉弁55を有する。タンク開閉弁55は、水道水タンク12をタンク収容凹部14aから取り外した状態では、水道水タンク12の内部と外部の連通を遮断し、水道水タンク12をタンク収容凹部14aに取り付けた状態では、水道水タンク12の内部を原水導入口52に連通させる開閉弁である。
【0094】
ポンプ6は、水道水タンク12の側から水道水を吸い込み、その水道水を浄水フィルタカートリッジ50の側に吐出することで、原水管51内の水道水を、水道水タンク12の側から浄水フィルタカートリッジ50の側に移送する。このウォーターサーバーではポンプ6の駆動を判断するため、水位センサ24により内部の水位を検出する内部タンクは冷水タンク7である。
【0095】
浄水フィルタカートリッジ50は、水道水をろ過することで水道水に含まれる物質を除去する浄水フィルタを内蔵した交換カートリッジである。浄水フィルタとしては、中空糸膜フィルタ、活性炭フィルタ、イオン交換樹脂フィルタなどを使用することができる。浄水フィルタカートリッジ50は、カートリッジヘッド56に着脱可能とされている。
【0096】
次に、また別のウォーターサーバーについて制御部により利用を停止させる実施形態を図6に基づいて説明する。このウォーターサーバーも、筐体1と、筐体1の内部に収容された冷水タンク7と、冷水タンク7内の低温の飲料水を筐体1の外部に注出する冷水注出管8と、冷水注出管8を開閉する冷水注出弁19と、冷水注出弁19を開弁するためにユーザーが操作する冷水注出操作スイッチ61と、筐体1の内部に収容された温水タンク9と、温水タンク9内の高温の飲料水を筐体1の外部に注出する温水注出管10と、温水注出管10を開閉する温水注出弁21と、温水注出弁21を開弁するためにユーザーが操作する温水注出操作スイッチ62とを有する。これら冷水注出操作スイッチ61と温水注出操作スイッチ62が操作部にあたる。この実施形態での冷水注出弁19及び温水注出弁21は、電磁コイル63に通電すると開弁し、電磁コイル63への通電を遮断すると閉弁する電磁開閉弁である。
【0097】
筐体1の天板14内部の水ボトル受け2には、交換式の水ボトル3が着脱可能にセットされている。水ボトル3は、水出口4を下向きにした姿勢で水ボトル受け2に載置される。この水ボトル3は、内部の残水量の減少に伴って収縮するように柔軟性をもたせて形成されている。水ボトル受け2には、水ボトル3から冷水タンク7に飲料水を導入する原水
導入管27が設けられている。
【0098】
原水導入管27の一端は水ボトル3に着脱可能に接続され、原水導入管27の他端は冷水タンク7に固定して接続されている。原水導入管27の冷水タンク7側の端部には、冷水タンク7内の水位に応じて開閉するフロートバルブ24aが設けられている。
【0099】
この実施形態にかかるウォーターサーバーではICカード型の利用制限解除キー71を用いる。近距離無線通信により利用制限解除キー71の利用限度情報を読み取り、書き込み可能なICカードリーダ式の読取部72が筐体1の前面に設けてある。読取部72は利用制限解除キー71の利用限度情報を読み取り、利用限度情報に含まれる残日数が限度である0に到達しているか否かを判定する利用限度到達判定手段を実行する。残日数が0に到達していたら水注出制限状態にし、0に到達していなかったらその日の間、又はその時点から24時間に亘って水注出許容状態にする注出可否制御手段を実行する。その上で、残日数から-1した値を利用制限解除キー71の残日数として新たに書き込む利用限度情報更新手段を実行する。
【0100】
制御部73は読取部72で読み取った利用限度情報を元に、機能を制限する場合には、上記の電磁コイル63への通電を遮断する。これにより、冷水注出弁19及び温水注出弁21が動作しなくなり、冷水及び温水の注出のみができなくなる。この実施形態では水ボトル3から重力によって冷水が供給されるため、ポンプを停止する上述の実施形態のような停止は行えない。別の実施形態としては、水出口4に電磁弁を設け、水ボトル3からの水の供給を停止することが挙げられる。また、フロートバルブ24aを水位センサ24に変更し、水位センサ24の値を制御部73に伝達し、水位に応じてこの電磁弁を閉鎖する形態も挙げられる。
【0101】
次に、また別のウォーターサーバーについて、利用制限解除キー71を有する携帯電話端末84を用い、制御部により利用を停止させる実施形態を図7に基づいて説明する。この実施形態では、課金を行う課金サーバ81と、ユーザー管理を行う管理サーバ82とが、ネットワーク83を介して携帯電話端末84とが接続される。
【0102】
課金サーバ81は、ユーザーによる入金の情報を処理し、ユーザーを識別する情報とともに入金した旨及び入金した金額(以下纏めて「入金情報」という)を管理サーバ82へ伝達する課金情報処理手段を実行する。課金サーバ81の具体的形態は特に限定されないが、例えば、ユーザーが登録したクレジットカードについての料金の支払を管理するクレジットカード運営会社のサーバ(以下、「クレジットカードサーバ」という。)が挙げられる。また、プリペイドカード入金その他の方式により支払を受け付けて、支払われた金額やその他の処理に応じて加算されるポイントを他社のスマートフォンアプリ等への課金処理に充てるスマートフォン用アプリ運営会社によるプラットフォームのサーバ(以下、「プラットフォームサーバ」という。)が挙げられる。さらに、所定の口座への銀行振込や二次元コードによるその他の決済サービスなどによる入金処理がされたことを確認するウォーターサーバーレンタル事業会社による独自サーバが挙げられる。これらは一つに限定されるものではなく、これらの複数の形態のサーバが併用されていてもよいし、これらの複数の形態を兼務するサーバであってもよい。
【0103】
課金サーバ81への課金処理は、クレジットカードやプリペイドカードによる場合、ユーザーが用いる携帯電話端末84やパソコンなどの操作に従って行われ、その結果が管理サーバ82へ伝達される。独自サーバによる場合は、その他の手続によりされた課金を、データとして取得し、管理サーバ82へと伝達する。
【0104】
管理サーバ82は、個々のユーザごとの前記利用限度情報を含むデータを記録するユー
ザ管理データベース86を備えている。このユーザ管理データベース86は、前記ポイントの管理だけでなく、他のユーザー管理情報のためのデータベースサーバと兼用するものでもよい。
【0105】
この管理サーバ82は、上記の課金サーバ81による前記入金情報を受け付けて、ユーザごとに保有する利用可能なポイントを加算するように前記利用限度情報を更新する課金情報反映手段を実行する。この前記入金情報に応じて前記ポイントを加算することをチャージするという。
【0106】
また、管理サーバ82は、ユーザ管理データベース86に記録された個々のユーザーのポイントについて、ユーザーが保有する携帯電話端末84の前記ICチップに記録されたポイントと同期させるポイント同期手段を実行する。このポイント同期手段を実行するタイミングとしては、例えば、定期的な実行の他に、前記課金情報反映手段が実行された直後や、後述する水単位購入手段が実行されて携帯電話端末84でのポイントが減算された直後が挙げられる。課金情報反映手段が実行された直後の同期では、ユーザ管理データベース86での値の加算に応じて、携帯電話端末84側の上記ポイントが加算される。水単位購入手段が実行された直後の同期では、携帯電話端末84側の上記ポイントの減算に応じて、ユーザ管理データベース86の値が減算される。管理サーバ82でユーザーが保有するポイントを管理することにより、不正利用を防止することができる。
【0107】
ネットワーク83はインターネットを含み、特に限定されない。また、携帯電話端末84により接続されるため、携帯電話通信網を含んでいてもよい。さらに、無線LAN網を含んでいてもよいし、一部が事業者ネットワークに属していてもよい。
【0108】
携帯電話端末84は、NFC(Near Field Communication)などの近距離無線通信により読み取り、及び書き込み可能なICチップを内蔵する。このICチップ内に、上記の管理サーバ82におけるこの携帯電話端末84のユーザ情報と同期された前記ポイントを記録し、更新可能にする。このICチップを、利用制限解除キー71として利用する。すなわち、この実施形態では前記ポイントが前記利用限度情報となる。携帯電話端末84に利用制限解除キー71が内蔵されることになるため、ユーザーはキーとなるカードなどを別途持ち歩かなくても、普段から持ち歩いている携帯電話端末84によって、ウォーターサーバーからの飲料水を利用できるようになる。
【0109】
また、携帯電話端末84は、課金サーバ81がクレジットカードサーバやプラットフォームサーバである場合、webブラウザ又は専用アプリケーションを介してそれらの課金サーバ81と通信する。この専用アプリケーションは必要に応じて後からインストールできるものでよい。
【0110】
この実施形態にかかるシステムで用いるウォーターサーバーの筐体1は、読取部72としてNFCリーダなどの近距離無線通信モジュールを有する。すなわち、上記のICチップを近距離無線通信により読み取り、及び書き込んで更新可能なモジュールである。
【0111】
読取部72は、携帯電話端末84との間で規格を揃えたNFCなどの近距離無線通信により、前記のICチップ(利用制限解除キー71)に記録された前記利用限度情報を読取可能であり、かつ更新可能であるNFCリーダ機能を有する。
【0112】
制御部73は、読取部72で携帯電話端末84が内蔵する前記ICチップから前記利用限度情報を読み取った際に、前記ポイントが前記最低処理単位値以上であるか否かを判定する必要ポイント確認手段を実行する。前記最低処理単位値は、単位水量又は単位時間を購入するための必要ポイントに相当する。制御部73は、前記ポイントが前記最低処理単
位値以上である場合には、前記ポイントを減算するとともに前記水注出許容状態とし、前記ポイントが最低処理単位値未満である場合には、前記ポイントを減算せず前記水注出制限状態にする制御を行う水単位購入手段を実行する。電子マネーとして適宜課金した額を携帯電話端末84中の前記利用限度情報として前記利用制限解除キーで保有しておくことができるようになる。ユーザーは必要なポイントを持っていればウォーターサーバーを利用できる。
【0113】
この実施形態にかかるシステムを利用する際のフロー例を図8に示す。最初に(S301)、システムのユーザーについてユーザー登録を行う(S302)。このユーザー登録により、課金サーバ81と管理サーバ82とにユーザー登録がされ、ユーザー情報が紐付けられる。すなわち、課金サーバ81に対して行った課金処理が、管理サーバ82にユーザーを識別して伝達されるようになる。具体的には、管理サーバ82のユーザー管理データベース86において、ユーザー登録がされるとともに、クレジットカード情報などの課金情報も登録される。また、ユーザー登録の操作を行う携帯電話端末84にも、課金サーバ81及び管理サーバ82への通信を可能にするソフトウェアのインストール及び情報の登録を行う。
【0114】
その上で、ユーザーは課金サーバ81に対して課金処理を行う(S303)。具体的には、管理サーバ82及びウォーターサーバーの運用会社に対する支払となる。課金サーバ81はユーザーを識別する情報とともに、この入金情報を管理サーバ82へ伝達する課金情報処理手段を実行する(S304)。管理サーバ82はこの入金情報を反映してポイントを加算する課金情報反映手段を実行する(S305)。次に、管理サーバ82は、当該ユーザーの携帯電話端末84に対して、上記ポイントを同期するポイント同期手段を実行する(S306)。このタイミングでは、同期により携帯電話端末84のICチップに上記ポイントが加算されて、ウォーターサーバーが利用できるようになる。
【0115】
一方、管理サーバ82の運用者はウォーターサーバーの筐体1を、サービスが必要な箇所に予め設置しておく。ユーザーはこの設置されたウォーターサーバーの筐体1から飲料水の提供を受ける。具体的な操作としては、ユーザーは携帯電話端末84のICチップ(利用制限解除キー71にあたる)を、筐体1の読取部72に近づけるタッチ操作を行う(S311)。これにより、読取部72はICチップ内のポイントを含む利用限度情報を読み取る。
【0116】
その後の、正規のキーであるか否かの判断(S312)は、図2のS103と同様である。正規のキーで無ければ水注出制限状態に設定する(S313)。また、この実施形態では図2のS105の利用限度に達しているか否かの判断の代わりに、ポイントが最低処理単位値以上あるか否かを判断するポイント確認手段を実行する(S314)。すなわち、ポイントが注水分を購入できる残高を残しているか否かを判断する。ポイントが最低処理単位値に足りていなければ、水注出制限状態となり、飲料水の供給を受けることができなくなる(S313)。ただし、このときポイントは減算されない。ポイントが最低処理単位値以上であれば、制御部73は水注出許容状態に設定し(S315)、ポイントを減算する水単位購入手段を実行する(S316)。
【0117】
その後、ポイント同期手段が実行されて、減算されたポイントがユーザ管理データベース86のユーザー情報にも反映される(S317)。その後、ユーザーが課金する場合は(S318→Yes)、S303から処理を続ける。課金しない場合は(S318→No)次のタッチ操作(S311)までそのままとなる。
【符号の説明】
【0118】
1 筐体
2 水ボトル受け
3 水ボトル
4 水出口
5 ジョイント部
6 ポンプ
7 冷水タンク
8 冷水注出管
9 温水タンク
10 温水注出管
12 水道水タンク
14 天板
15 底板
18 冷却装置
19 冷水注出弁
20 加熱装置
21 温水注出弁
22 バッファタンク
23 冷水タンク給水管
24 水位センサ
24a フロートバルブ
25 温水タンク給水管
26 汲み上げ管
27 原水導入管
28 冷水温度センサ
29 温水温度センサ
30 電動モータ
50 浄水フィルタカートリッジ
61 冷水注出操作スイッチ
62 温水注出操作スイッチ
63 電磁コイル
65 水量計
71 利用制限解除キー
72 読取部
73 制御部
74 記憶部
75 時計部
81 課金サーバ
82 管理サーバ
83 ネットワーク
84 携帯電話端末
86 ユーザ管理データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8