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特開2024-29216生きた哺乳動物から熱、エネルギー、及び/又は流体を除去するためのデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029216
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】生きた哺乳動物から熱、エネルギー、及び/又は流体を除去するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61F 7/00 20060101AFI20240227BHJP
   A61F 7/12 20060101ALI20240227BHJP
   A61M 11/04 20060101ALI20240227BHJP
   A61M 16/16 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
A61F7/00 331Z
A61F7/12 D
A61M11/04
A61M16/16 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024002006
(22)【出願日】2024-01-10
(62)【分割の表示】P 2021527018の分割
【原出願日】2019-07-26
(31)【優先権主張番号】16/047,136
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521038337
【氏名又は名称】クールテック・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】CoolTech, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・ジー・デモア・ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・エイ・ケンドール
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・アール・レイン
(72)【発明者】
【氏名】チェスター・ビー・ラロウ
(72)【発明者】
【氏名】クン・リィ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・エル・リップフォード
(72)【発明者】
【氏名】オーウェン・ジェイ・ルー
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア・エム・マル
(72)【発明者】
【氏名】アーロン・エス・パール
(57)【要約】      (修正有)
【課題】生きた哺乳動物から熱、エネルギー、及び/又は流体を除去するための改良された方法及びデバイスを提供する。
【解決手段】デバイスは、空気流がファン/ブロア101によって生成され、空気流が、空気流センサ103、使い捨て/交換可能乾燥剤カートリッジ、ヒートシンク106、(1つ又は複数の)湿度、圧力および温度センサ107、生理食塩水バッグ500、ペリスタルティック(peristaltic(ぜん動))ポンプ159、マニホールドカートリッジ137の内側又は近くを通過する。空気は、デバイスを離れてマニホールドカートリッジ137内に移動した後、患者に送達するために、使い捨てフィルタ109、管111、および鼻マスク113を通過する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物の体液含有空間から体液を蒸発させるためのデバイスであって、前記デバイスは、組み込みユニット内に、空気供給サブアセンブリと、液体送達サブアセンブリと、を備え、
前記空気供給サブアセンブリは、
空気入口と、
空気出口と、
前記空気入口及び前記空気出口を接続する空気流路と、
空気の温度、圧力又はその両方を計測するように構成された空気入口センサと、
前記空気流路内に配置され、前記空気入口から周囲の空気を吸引し、前記空気流路を通って前記空気出口から前記周囲の空気を強制的に排出させるように構成された送風機と、
前記空気流路内に配置され、取り外し可能で交換可能な乾燥剤エレメントを受けるように構成された乾燥剤チャンバと、
前記空気流路内に配置され、前記乾燥剤エレメントによって前記空気から水分が除去される間に前記空気流路内の空気に加えられた熱を除去するように構成されたヒートシンクと、
を備え、
前記液体送達サブアセンブリは、
柔軟な液体供給管とインタフェースを持ち、外部の液体源から前記柔軟な液体供給管内に液体を強制的に引き込み、前記柔軟な液体供給管の出口から液体を排出するように構成された液体ポンプを備え、
ここで、前記空気送達サブアセンブリ及び前記液体送達サブアセンブリは、前記空気流路内の空気及び前記液体供給管内の液体が前記哺乳動物への送達の前のいずれの時点でも接触しないように、前記空気流路及び前記液体供給管との間の分離を維持する、
デバイス。
【請求項2】
前記液体ポンプは、ペリスタルティックロータリーポンプを備える、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記空気流路に接触していない前記ヒートシンクの一部分に周囲の空気を吹き付けるヒートシンクファンをさらに備える、
請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
圧縮空気源から圧縮空気を受け取るためのソレノイドバルブに接続された第2の空気入口をさらに備え、
前記可搬性デバイスは、前記ソレノイドバルブを前記送風機に接続する補助的な空気流路をさらに備える、
請求項1から3のうちいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項5】
前記液体ポンプは、前記液体供給管内の液体の存在及び前記液体供給管内の液体の圧力を決定する圧力センサをさらに備える、
請求項1から4のうちいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項6】
前記可撓性液体供給管の一部は、使い捨てカートリッジに取り付けられ、
前記液体ポンプは、前記液体供給管と前記液体ポンプとの位置合わせのために、前記取り外し可能カートリッジを受け取って係合するように構成された凹部を画定する、
請求項1から5のうちいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項7】
使い捨てマニホールドカートリッジを備え、
前記使い捨てマニホールドカートリッジは、
マニホールド空気流路により接続されたマニホールド空気入口及びマニホールド空気出口と、
前記使い捨てマニホールドカートリッジに取り付けられてそれを支持する液体供給管を備え、かつ一端において外部の液体源の接続されるように構成された液体供給流路であって、前記液体管は、前記マニホールド空気流路に入り、前記マニホールド空気流路を通過し、前記マニホールド空気出口を通って前記マニホールドカートリッジを出る配管部分を備える、前記液体供給流路と、
を備える、
請求項1から5のうちいずれか1つに記載のデバイス。
【請求項8】
前記使い捨てマニホールドカートリッジを受けるためのインタフェースを備え、
ここで、前記組み込みユニットは、前記マニホールド空気入口は前記空気送達サブアセンブリの空気出口に受けられ、
前記液体ポンプは、前記液体供給管を保持する前記使い捨てマニホールドカートリッジの部分を受けて嵌合するように構成された凹部を画定する、
請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記使い捨てマニホールドカートリッジを前記インタフェース及び前記凹部に可逆的にロッキングするロッキング機構をさらに備える、
請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
一端で前記マニホールド空気出口に接続され、第2の端部で患者インタフェースアセンブリに接続されるように構成された空気送達管をさらに備え
前記空気供給管は、前記使い捨てマニホールドカートリッジ内の前記液体供給管と流体接続された液体送達管が内部に配置された内腔を備え、
前記空気送達管内の空気流は、前記液体送達管内の液体から分離されて接触しない、
請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
ハーネスを備える患者インタフェースアセンブリをさらに備え、
前記ハーネスは、患者の唇の鼻孔直下に配置されるように構成され、
前記ハーネスは、2つの管コネクタをスライド可能に受ける1つ以上のスロットを画定し、
前記管コネクタは、遠位端でそれぞれの中空エラストマー鼻枕にそれぞれ取り付けられ、
前記鼻枕は、それぞれの管コネクタに接続された底部開口部と、患者の鼻孔に空気を送達するための上部開口部とを有し、
前記鼻枕は、内部空間内で、それぞれの水送達管に接続されたノズルアセンブリをそれぞれ支持し、
前記ノズルアセンブリは、前記ノズルアセンブリの遠位先端が前記鼻枕の上部開口部の外側に、2~10mm離れて延在するように配置される、
請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
分離された空気送達路及び水送達路を受けて、前記空気送達路及び前記水送達路を組み込み送達装置に結合するように構成された使い捨てマニホールドカートリッジであって、
前記組み込み送達装置は、
マニホールド空気流路により接続されたマニホールド空気入口及びマニホールド空気出口と、
前記使い捨てマニホールドカートリッジに取り付けられてそれを支持する液体供給管を備え、かつ一端において外部の液体源の接続されるように構成された液体供給流路であって、前記液体管は、前記マニホールド空気流路に入り、前記マニホールド空気流路を通過し、前記マニホールド空気出口を通って前記マニホールドカートリッジを出る配管部分を備える、前記液体供給流路と、
を備える、
使い捨てマニホールドカートリッジ。
【請求項13】
分離された空気流及び水流を患者の鼻孔に独立に送達するための装置であって、
前記装置はハーネスを備え、
前記ハーネスは、患者の唇の鼻孔直下に配置されるように構成され、
前記ハーネスは、2つの空気送達管コネクタをスライド可能に受ける1つ以上のスロットを画定し、
前記空気送達管コネクタは、遠位端でそれぞれの中空エラストマー鼻枕にそれぞれ取り付けられ、
前記鼻枕は、それぞれの管コネクタに接続された底部開口部と、患者の鼻孔に空気を送達するための上部開口部とを有し、
前記鼻枕は、内部空間内で、それぞれの水送達管に接続されたノズルアセンブリをそれぞれ支持し、
前記ノズルアセンブリは、前記ノズルアセンブリの遠位先端が前記鼻枕の上部開口部の外側に、2~10mm離れて延在するように配置される、
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、生きた哺乳動物から熱、エネルギー、及び/又は流体を除去するための方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願第13/579370号及び第14/578094号に、非侵襲的な解剖学的及び全身的な冷却及び神経保護のための方法及びデバイスが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、米国特許出願第13/579370号及び米国特許出願第14/578094号に開示されたデバイスへの改良を含み、これらの開示は、その全体が本明細書に援用される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
蒸発冷却とは、液体を気体に変化させるためには熱またはエネルギーを必要とするため、液体の蒸発によって物体または液体と接触しているものが冷却される物理現象である。液体を気体に変えるのに必要なエネルギー量は、気体に変えられる液体の総質量と気化のエンタルピーに正比例する。気化のエンタルピーは、気化潜熱とも呼ばれ、ある量(given quantity)の物質を液体から気体に変えるのに必要なエネルギー量である。異なる液体には異なる気化のエンタルピーが存在する。
【0005】
本発明は、この現象を利用して、人体からのエネルギーと液体の除去を実現している。本発明によれば、乾燥した空気が患者の鼻甲介を横切って吹き付けられ、これにより、鼻甲介内および鼻甲介上の液体水の蒸発が促進される。水を蒸発させるのに必要な熱またはエネルギーは、宿主表面から抽出され、体外に運ばれる。好ましい実施形態によれば、霧状化された水、好ましくは生理食塩水の供給が、患者の鼻の入口での供給点に先立って、乾燥空気流にさらされることなく、鼻に供給される。供給された生理食塩水は、蒸発熱伝達プロセス(体内で自然に発生する水を生成する粘膜を補う)をサポートまたは増強するために使用され、プロセス中に患者の体内から患者固有の水が蒸発した場合に、空気経路内の局所組織を乾燥させる可能性を低減または排除するのを助けるために使用される。
【0006】
乾燥空気流および水は、特別に設計された装置、管およびマスクを使用して、分離された送達経路を介して患者に提供され、乾燥空気および水は、鼻孔の開口部またはそのすぐ内側にある送達点で患者に送達され、その点まで、分離された乾燥空気および水の流路が互いに分離された状態で維持されている。装置の一部を鼻腔内に挿入する必要はない。
【0007】
したがって、本発明の様々な側面によれば、哺乳動物から熱および/または他のエネルギーを除去し、哺乳動物の解剖学的特徴を冷却し(例えば優先的な脳冷却)、哺乳動物における全身的な冷却を提供し、哺乳動物から過剰な体液を除去し、哺乳動物の代謝率を上昇させ、哺乳動物における体重減少を促進し、心房細動のためのカテーテルアブレーション治療中の食道バーンスルーを防止し、哺乳動物におけるb-アミロイド蓄積を減少又は阻害し、哺乳動物の鼻甲介等の体液を含む空間又は表面からの体液の制御された誘導蒸発により、偏頭痛の痛みを軽減し、不眠症を改善し、並びに/又は、ヒトにおける老人性痴呆症及び/又はアルツハイマー病の発症を遅延若しくは改善するための方法および改良されたデバイスが提供される。方法は、乾燥ガスとの接触時に制御された体液の蒸発および輸送(除去)を提供するために、冷却剤(すなわち、冷媒または冷えたガス若しくは蒸気)を含まない、水あり若しくは水なしの乾燥ガス(圧縮されているかどうかによらない)の分離された流れを、体液を含む空間または表面に、同時に送達することを含む。体液のそのような蒸発および輸送は、身体から熱、エネルギーおよび流体を除去する。
【0008】
本デバイスは、軽量かつ可搬的に構成され、標準的な壁コンセントへの接続を介して動作するように構成され、および/または任意にオンボードの充電式電池によって動作するように構成され得る。
【0009】
デバイスは、フィルタリングされた入口プレナム(inlet plenum)を介して周囲の部屋から、または入口バルブを介して病院の壁の加圧空気源から、空気を取り込んで患者に送達するために、空気を乾燥させる。装置内に入ると、空気の経路は、入口プレナム経路、バルクプレナム経路、乾燥剤カートリッジ、ヒートシンク、各種センサを通り、空気出口を通過する。デバイス内において、空気流路は、出口まで隔離されている。デバイスはまた、水流路を空気流路から分離した状態に保つ別個の水供給システムを有する。水供給システムは、一端に生理食塩水袋スパイクを備えた水供給管を含み、連続的に水/空気マニホールドカートリッジを通過し、他端におけるミストノズルで終了する。水/空気マニホールドカートリッジは、装置内の蠕動ポンプと水供給管を係合させ、分離された水と空気の送達経路を統合された管セットに結合するという二重の機能を有するが、水と空気の供給ラインの分離を個別に維持する。
【0010】
好ましい実施形態によると、本発明に係るデバイスは、デバイスを通る空気流路により接続された空気入口及び空気出口を有する携帯用ハウジングと、ハウジング内に配置されたファンであって、空気入口から空気流路を通って、空気出口から空気送出管に空気を吸引するファンと、空気を乾燥させるために空気流路内に配置された使い切り交換可能乾燥剤カートリッジと、空気流から水分を抽出する際に副産物として発生する熱を除去するためのヒートシンクと、流体供給ラインを介して独立した流体供給から流体を引き出して隔離された流体送達ラインを介して患者に流体を送達するために用いられる、ハウジング内に配置されたペリスタルティック回転流体ポンプと、を有する。デバイスはまた、温度、湿度、圧力、流量センサ、患者の温度センサ用の入力、並びに、壁電源用の標準接続(110V-240V)を伴う1つ以上の電池を含む。加えて、デバイスインタフェースは、空気流量を(低から高まで、複数の増分で)設定できるように、オペレータが手動で投与レベルを選択できるように構成され得る。デバイスはまた、オペレータが患者のために目標体温を設定することを可能にする比例積分微分(PID)制御システム(プロセッサ/コントローラおよびソフトウェア)を備えたクローズドループ制御モードで使用されてもよい。この実施形態によれば、デバイスは、患者の体温をデバイスに連続的に供給することを可能にする特許の温度モニタ出力プラグを受信するための入力ポートを有する。PID制御システムは、患者への空気流量を自動的に制御するように設定することができ、一般的に、初期温度のランプダウン期間中は高い空気流量で、その後、目標温度に達すると目標温度を維持するために空気流量を減少させる。PID制御装置は、患者に供給される空気の圧力、患者に供給される空気の温度、および空気流量自体の3つの別々の入力を使用して、患者に供給される空気流量を監視して設定する。PID制御システムは、患者に供給される空気の圧力と温度、患者への空気の流量が高くなりすぎないように、これらのパラメータを個別に監視して患者の安全を確保する。
【0011】
更なる好ましい実施形態によれば、本発明に係る、ペリスタルティック(peristaltic(ぜん動))水ポンプと係合するためにハウジング側面の相補的形状のインタフェースに配置され、かつ空気流出口と個別に係合するように構成された、交換可能マニホールドアセンブリ/カートリッジが提供される。マニホールドカートリッジは、患者に乾燥空気を送達するための空気送達管と、患者に水の隔離された流れを送達するための水送達管とを含む統合された管セットに取り付けられているか、又はその一部である。
【0012】
患者に到達する前のある時点で、管セットは、空気/水送達管の2つ(患者の鼻孔のそれぞれに1つずつ)のセットに分岐する。
【0013】
管セットの反対側の端部では、そこに含まれる2組の空気送達管および分離された水送達管は、乾燥空気および水の別々の流れを同時に患者の鼻孔の開口部で患者の鼻に送達するように構成された特別に設計された患者インタフェース/送達装置に接続されている。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によれば、患者インタフェースデバイスは、患者の唇に、若しくは患者の唇のすぐ上、即ち鼻のすぐ下に、設置され、かつ鼻のいずれかの側に延在し、患者の顔の患者の頬と耳との間のある点に設置されるように構成された可撓性樹脂ストリップを含む。ストリップの反対側の端は、調整可能なストラップに接続されており、デバイスをユーザの顔に固定する。ブリッジの中央部分は、患者の鼻孔の中心の間の異なる距離の範囲に対応するために、管セットの端部をスライド可能に/調整可能に受けるための1つ以上のスロットを画定する。空気送達管の端部は、患者の鼻孔の入口に設置されるように構成された鼻枕を備える。水送達管の端部にはノズルが取り付けられ、このノズルは、主に鼻枕の内側に配置され、水流と空気流が鼻の中の送達点まで互いに完全に隔離されるように、鼻枕の空気出口の中心から部分的に(数ミリメートル)外側に延在する。
【0015】
デバイスのいかなる部分も使用者のあご、あごのライン、口、または鼻の穴を除く使用者の鼻のどの部分をも覆うことはない。
【0016】
発明は、緊急時の設定、戦闘時の設定、スポーツ時の設定、さらには診療所および家庭用の設定を含む外来治療における使用に特に適している。
【0017】
本開示の様々な特徴および利点は、添付の図面を参照して、そのうちのいくつかの実施形態の以下の詳細な説明によって、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係るデバイスの模式図
図2】本発明の好適な実施形態に係るデバイスの三次元透視図
図3】本発明の実施形態に係るデバイスの上部部品アセンブリのシースルー三次元透視図
図4】本発明の実施形態に係るデバイスの底部部品アセンブリの三次元着色図
図5】本発明の実施形態に係るデバイスの底部部品アセンブリの透視模式図
図6】本発明の実施形態に係るデバイスの底部部品アセンブリの三次元着色切り取り透視図
図7】本発明の実施形態に係るデバイスの底部部品アセンブリの側面切り取り透視図
図8】乾燥剤カートリッジの切り取り図
図9】本発明の実施形態に係るデバイスの後端部の切り取り図
図10】病院供給ガスとのインタフェースに用いられるポートを示す、本発明の実施形態に係るデバイスの背面のシースルー透視図
図11図9の右側部分の拡大図、ただし矢印は、ガスポートを介してデバイスが病院/加圧ガス源にフックアップされたときの空気流を示す。
図12】本発明の実施形態に係る流体ポンプアセンブリの三次元正面透視図
図13】本発明の実施形態に係る流体ポンプアセンブリの三次元上面及び側面透視図
図14】本発明の実施形態に係る流体ポンプアセンブリの三次元拡大正面透視図
図15】本発明の実施形態に係るマニホールドカートリッジの分解透視図
図16a図15のマニホールドカートリッジの分解透視図
図16b】送水ライン、移送管、及び給水ラインの間の接続を示す、マニホールドカートリッジの切り取り図
図17】使い捨て患者セット、具体的には、患者インタフェースデバイスに接続され、管セット(内腔内に分離された送水管を含む送気管)に接続されたマニホールドカートリッジアセンブリの組立図
図18】本発明の実施形態に係る、組み合わせられた空気及び水送達患者インタフェースデバイスの上面透視図
図19】本発明の実施形態に係る、組み合わせられた空気及び水送達患者インタフェースデバイスの正面図
図20】本発明の実施形態に係る、組み合わせられた空気及び水送達アセンブリ患者インタフェースデバイスの分解図
図21】ポンプアセンブリハウジングの前方の大部分の要素が半透明に図示された、本発明の実施形態に係る流体ポンプアセンブリの三次元拡大正面透視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似または同等の任意の方法および材料を、本発明の実施または試験において使用することができるが、好ましい方法および材料が現在記載されている。
【0020】
本明細書で使用されるにあたり、「相対湿度」は、現在の状態(例えば温度)の関数として、気体と水蒸気の混合物中に存在する水蒸気の量を指すために使用される。本質的に、相対湿度は、空気が所定の温度および圧力で保持することができる最大量と比較して、空気中の水分の量を示す尺度である。様々な実施形態では、体液または送達されたミスト状液体と接触する前のガスの相対湿度は、約50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、又は0%以下である。様々な実施形態では、体液と接触された後のガスの相対湿度は、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、または約100%以上である。
【0021】
本明細書で使用されるにあたり、「乾燥した」ガスは、水蒸気または他の液体蒸気で不飽和であるガスを指すために使用される。様々な実施形態では、乾燥ガスは、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、約10%以下、約5%以下、または約0%以下の相対湿度を有する。
【0022】
いくつかのタイプのガスが、本発明による使用に適しており、具体的には、身体の既存の粘液(水)液体および/または本発明によって供給される他の液体との蒸発熱交換プロセスを誘導または増強することができるものである。そのようなガスは、空気、NO、CO、及びO、並びに、He、Ar、Xe等の不活性ガス、及びそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0023】
本発明に従って送達される乾燥ガスは、冷却剤を含まない。本明細書で使用されるにあたり、「冷却剤」の用語は揮発性ガスを含み、ドライアイス、液体窒素、冷蔵生理食塩水、冷蔵水、凍結防止溶液、冷媒(例えばフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン(CFC)、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、パーフルオロカーボン(PFC)、R-134a(1,1,1,2テトラフルオロエタン)、Freon(登録商標)、および他の冷却流体または冷媒)、またはそれらの組み合わせを含み得る。冷却剤はまた、通常の体温より10℃以上低い温度に冷却された流体と考えられる。ヒトの場合、冷却剤は、したがって、約27℃以下、約26℃以下、約25℃以下、約24℃以下、約23℃以下、約22℃以下、約21℃以下、約20℃以下、約19℃以下、約18℃以下、約17℃以下、約16℃以下、約15℃以下、約14℃以下、約13℃以下、約12℃以下、約11℃以下、約10℃以下、約9℃以下、約8℃以下、約7℃以下、約6℃以下、約5℃以下、約4℃以下、約3℃以下、約2℃以下、約1℃以下、約0℃以下に冷却された流体であろう。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、デバイスと共に使用される乾燥ガスは、空気または酸素であり、0℃から約40℃まで、好ましくは20℃以上、より好ましくは23℃以上の温℃で供給されるが、いかなる場合も40℃を超えない。
【0025】
本発明の好ましい実施形態によれば、乾燥ガスの投与は、体内の蒸発熱交換プロセスを補足するための液体の隔離された供給の同時送達を伴うとともに、おそらくは乾燥から体内を保護する。液体が水性である場合には、添加された水(デバイスによって供給される)はまた、そうでなければプロセス中に患者の体内から蒸発するであろう患者の固有の水の量を減少させるか、または除去するのを助けるために使用され得、それによって蒸発熱交換プロセスからの「乾燥」効果を減少させるか、または除去することができる。いくつかの臨床例では、目標は患者を乾燥させること、すなわち水分を除去することであるが、その場合、デバイスから患者に追加の水が供給されることはないであろう。
【0026】
本発明の好ましい実施形態では、液体は、人体の生理食塩水含有量にほぼ一致する生理食塩水溶液となり、周囲温度から通常の体温(例えば、人間の場合、37℃)までの温度で供給され、さらには最高の臨床的に許容可能な温度と同程度に暖かい温度で供給される。ここで、周囲環境温度の液体は、外来設定、特に緊急時の文脈において特に適している。本発明は、40℃が臨床的に許容可能な温度と考えられるため、(周囲温度)℃から約40℃までの液体温度を使用し得る。
【0027】
様々な実施形態によれば、本発明は、患者の鼻孔に供給される乾燥ガスの量を監視し、同時に、隔離された送達経路および患者の鼻孔の開口部に配置された霧状化ノズルを介して、蒸発熱伝達プロセスを支持するために必要とされる量の対応する液体を供給する。本発明の好ましい実施形態では、ガスは空気であり、液体は生理食塩水であり、必要とされる生理食塩水の量は、デバイスによって送達される空気の体積の水の運搬能力と一致するように、デバイスによって計算される。これは、送出される空気の体積、すなわち空気の流量と時間、送出される空気の温度と湿度を測定することによって行われる。デバイスはこれを利用して、供給される空気の保水能力を計算し、それに応じた量の生理食塩水を供給する。供給される液体の量は、供給される空気の保水能力と正確に一致するように、デバイスによって調整することができ、また、臨床上の必要性に応じて、より多くの液体を供給するように、またはより少ない液体を供給するように調整することができる。
【0028】
本発明は大流量を利用でき、これは、約20~200L/分、約40~130L/分、約20~80L/分、約40~500L/分、約100~500L/分、又は約200~500L/分の流量を含む。例えば、ガスは、約10L/分、約15L/分、約20L/分、約25L/分、約30L/分、約35L/分、約40L/分、約45L/分、約50L/分、約60L/分、約65L/分、約70L/分、約75L/分、約80L/分、約85L/分、約90L/分、約95L/分、約100L/分、約105L/分、約110L/分、約115L/分、約120L/分、約125L/分、及び約130L/分よりも大きい流量で供給され得る。本明細書で議論されるに際し、流量は、体液を含む空間または表面内で、または体液を含む空間または表面上での蒸発を最大化するために、送達の期間を通して変化させてもよい。
【0029】
図1は、空気流がファン/ブロア101によって生成され、空気流が、空気流センサ103、使い捨て/交換可能乾燥剤カートリッジ105、ヒートシンク106、(1つ又は複数の)湿度、圧力および温度センサ107、生理食塩水バッグ500、ペリスタルティック(peristaltic(ぜん動))ポンプ159、マニホールドカートリッジ137の内側又は近くを通過する、本発明の一実施形態に係るデバイスの模式図を示す。図1に示された実施形態によれば、空気は、デバイスを離れてマニホールドカートリッジ137内に移動した後、患者に送達するために、使い捨てフィルタ109、管111、および鼻マスク113を通過する。流量センサ、ヒートシンク、および/または湿度、温度、および圧力センサは、プロセッサまたはカスタム基板115と通信し、これにより、ディスプレイおよびデバイスインタフェース117を駆動する。電源119は、A/CまたはD/Cであってもよく、オンボードバッテリまたは外部電源によって供給されてもよい。
【0030】
図2は、本発明の一実施形態に従った携帯型デバイスの表現を示している。デバイスは、使用時には患者の隣に配置され、IVポールに取り付けられるか、または水平面上に配置される。デバイスは、大部分が独立して組み立てることができる複数のサブアセンブリで構成される。最も高いレベルでは、デバイスは、上部サブアセンブリ10および底部サブアセンブリ30から構成され、他のすべてのサブアセンブリを内包する。図3は、LCDスクリーン14およびメンブレンパネル16からなるユーザインタフェース12、乾燥剤カートリッジ105を受けるためのハッチ18およびコンパートメント20、並びに病院壁加圧空気供給(利用可能な場合)のための入口26(図10参照)およびバルブ24を含む、トップサブアセンブリ10を示す。特に図4図7に示す示されるデバイス底部サブアセンブリ30は、気流サブアセンブリ、流体ポンプアセンブリ、および主電気サブアセンブリを内包する。
【0031】
気流サブアセンブリは、空気入口32、入口プレナム149、入口フィルタ34、加圧空気入口26およびバルブ24、送風機/ファン101、送風機プレナム121、乾燥剤カートリッジ105、乾燥剤フィルタ123、中間プレナム125、ヒートシンク106およびヒートシンクファン127、圧力センサ129、温度センサ131、湿度センサ133、および空気出口35を含む。
【0032】
空気は、遠心送風機101によってシステムを通るように駆動される。空気は、デバイスの側面に設けられた入口32およびフィルタ34を介して、または加圧された病院壁空気用の入口26およびバルブ24を介してデバイスに入り、送風機101が吸引を作り出す開放空気入口プレナム149に出る。次いで、空気は、送風機101に入り、ベースプレート内の小さなチャンバ/送風プレナム121に出て、乾燥剤カートリッジ105に至る。空気は、水を吸着する分子篩材料を含む乾燥剤カートリッジ105を通過する際に乾燥される。乾燥剤カートリッジまたは入ってくる空気の流れの中の任意の汚染物、破片、または塵から患者を保護するために、高効率の細菌/ウイルスフィルタ123が各乾燥剤カートリッジ105の出口に含まれる。次いで、空気は、より大きなチャンバ/中間プレナム125内に移動し、ヒートシンク106を通過して、センサのアレイを通過して使い捨てマニホールド137内に出て行く。
【0033】
デバイスの代替の実施形態では、乾燥ガスは、デバイスを介して駆動され、空気または酸素のタンクまたは病院内の部屋の壁ポートのような外部の供給源から供給される高圧のガスによってのみ患者に供給される別の経路を有する。この実施形態では、供給された空気は、入口26を通ってデバイスに入り、空気または酸素のような乾燥ガスの圧力を、患者に提供するのに適切で安全なレベルまで下げるように調整するために使用される1つ以上の圧力調整器および/またはバルブの周縁を通過する。供給された空気は、依然として、水を吸着する分子篩材料を含む乾燥剤カートリッジ105、および高効率の細菌/ウイルスフィルタ123を通って流れる。加圧ガス源との使用中にファン101は電源がオフになるが、供給された空気はまた、依然としてファン101を通って実行されてもよい。この実施形態の一部として、デバイスは、ガスの高圧供給がオフまたは切断されたときを認識し、その時点で、デバイスは自動的に遠心ファン101を起動して作動させ、その遠心ファン101は、患者に乾燥ガスの流れを供給するための原動力を提供する。
【0034】
図8は、使い捨てカートリッジ105の一実施形態を示す。このカートリッジは、3つの主要構成要素:本体、キャップ、および中央の「ストロー」から構成され得る。また、乾燥剤材料を収容するためのメッシュ(カートリッジから漏れないように)、高効率の細菌/ウイルスフィルタ123を捕捉するためのアセンブリ、および使い捨てカートリッジとデバイスとの間にシールを作成するための1対のOリングがあってもよい。カートリッジを組み立てるために、トップキャップが取り外され、フィルタアセンブリを有するストローが本体内に配置され、摩擦フィットによって所定の位置に保持される。カートリッジの底部よりわずかに上にフィルタアセンブリを保持するスタンドオフとして機能するように、リブが提供されてもよい。本体に強度を加えることに加えて、これらのリブは、本体表面の上のメッシュをオフセットさせてもよく、より大きな空気の流れを可能にする。次に、乾燥剤材料が本体に流し込まれ、その後、図8に示す位置で、上部メッシュが分子篩の上に配置され得る。最後に、キャップがスナップオンされるか、何れにせよ取り付けられる。Oリングは、好ましくは、デバイスの一対のメス特徴部と嵌合するように構成され、入口と出口とを分離する放射状シールを形成する。
【0035】
乾燥剤カートリッジ105が完全に挿入されると、検出スイッチ139が作動する。このスイッチが開いているときには、送風経路が完全ではないため、システムは送風機101をオンにしない。スイッチは、乾燥剤が完全に着座しているときには常にトリガされるが、カートリッジが部分的にしか装着されていないときにはトリガされないように配置されている。これは、カートリッジのOリングシールがその時点では信頼できず、空気がカートリッジを迂回するか、またはデバイスを脱出できる可能性があるからである。
【0036】
乾燥剤材料は水分を吸着する能力が限られている。この能力が枯渇すると、カートリッジは新しい乾燥剤材料を含むものと交換されなければならない。排気までの時間は、水分含有量と流入空気の流量の両方に依存する。
【0037】
乾燥剤カートリッジ105による空気中の水分の除去は熱を発生させ、カートリッジ出口の空気温度は、場合によっては70℃を超える温度に達する。患者に到達する前に空気を冷却するために、カスタム両面ヒートシンク106が乾燥剤カートリッジ105の下流側に配置されている。ヒートシンク106の高温側141は、乾燥空気の流れの中に直接ある。ファン127は、第2の空気入口132を介して周囲の空気をハウジング内に引き込み、それをヒートシンクの反対側143を横切って強制移動させ、乾燥空気を冷却する。ファンはまた、内蔵のタコメータを有し、出口空気温度に基づいて速度を能動的に制御することができる。ヒートシンク106上のフランジ147は、2つの気流を分離するが、フランジを横切る熱の伝達を可能にする。2つの気流の間の温度差のために、ヒートシンク106は、一次側(高温側)141の空気から熱を伝導し、二次側143の冷却ファン127によって提供される周囲の空気を暖める。冷却空気がヒートシンク106を吹き抜けて熱を吸収すると、冷却空気は、デバイスの底部に設けられた通気孔を通ってデバイスから出る。
【0038】
デバイスは、病院や他の医療現場で一般的に見られるような標準的な医療用ガス管および継手を備えた加圧医療用空気源/タンクに接続することが可能である。医療用空気は、ほとんどの場合、周囲の空気よりも乾燥している。電磁弁24は、送風機101がオンにされると自動的に開かれる。空気は、標準的な医療用エアホースを介してバルブに供給される。デバイスの後部にある1/4インチNPT継手28が、還元継手を介してバルブ入口26に取り付けられ、このNPT継手28には、医療用エアホースに適合する継手(医療用エアホースとインタフェースする)が取り付けられている。
【0039】
バルブ24に内蔵されたオリフィスは、デバイスに入る空気流を制限する。バルブ24を出た空気は、管の一部分を通って送風機入力の入口プレナム149に向けられ、その後、周囲の空気供給に関して上述した空気流路に従う。加圧壁空気源から引き込む際にフィルタリングされた入口プレナム149内には小さな正圧があるため、一部の空気は、入口マニホールドグリル151を介してデバイスから排気される。
【0040】
3つの圧力タップ153(ベースプレート-蓋上に2つ、ベースプレート-底面上に1つ)は、1/8インチIDPVC管を介してPCB上の圧力センサ129に接続される。デバイス気流経路の端部の直前のタップは、出口圧力センサ129aに接続する。送風機101を通過した後、気流経路の残りの部分については、空気は周囲環境よりも高い圧力で動作している(これは気流のために必要とされる)。圧力センサ129aは安全機構として機能し、圧力が患者にとって安全でないレベルまで上昇しないようにする。圧力センサ129aは管セット157の先頭にあるため、その配置は保守的である。空気流は、管セットの途中で(管セット抵抗のために)圧力が低下し、したがって、デバイス内の測定値は、患者が経験する圧力よりも常に高くなる。
【0041】
他の2つの圧力タップ153は、流量を計算するために乾燥剤カートリッジを横切る圧力差を測定するセンサ129bに接続する。
【0042】
出口圧力センサ129aのためのタップに加えて、湿度センサ133および一対のサーミスタ131もまた、空気流路の出口のそばに配置されている。グロメットは、これらのセンサの周囲に空気が逃げられないようにする。デバイス内の空気は、ほぼ常に周囲温度よりも高温であるか、または周囲温度に等しいため、空気は、管を通過する際に温度が低下する可能性がある。空気は管セットを通過する際には周囲の空気に囲まれているが、この空気はほとんどの場合、空気流の温度よりも低いか、またはそれに等しい温度である。ある程度のエネルギーは、管の壁を通って周囲に移動し、空気流を冷却する。管セットを通過中に空気の温度が上昇する唯一のケースは、空気流の温度が周囲温度よりも低い場合であり、その場合、空気流が周囲温度よりも高い温度まで加熱されることはない。
【0043】
患者に送達される空気は、デバイスの入口にある入口フィルタ34、乾燥剤材料を通過した後の乾燥剤フィルタ123、およびデバイスを出て管セットに入る際の患者フィルタ(ディスポーザブルマニホールドフィルタ)109の3つの別々の場所でフィルタリングされる。乾燥剤フィルタ123および患者フィルタ109は、使い捨てエレメント内に収容されており、新しい使い捨てエレメントが使用されるときには、患者ごとに交換される。
【0044】
図12図14に示す流体ポンプアセンブリ159は、生理食塩水ディスペンサー用のペリスタルティック(peristaltic(ぜん動))ポンプ160とディスポーザブルマニホールドカートリッジ137との間のインタフェースを提供する。ポンプ160は、ステッピングモータ161と、それに一致するポンプヘッド163とから構成されている。ポンプヘッド内の2つのベアリングは並進支持を提供するが、ポンプロータ165とその4つの自由回転ローラ167の回転を可能にする。ポンプは、ヒンジ付きプレート169に取り付けられ、回転ノブ171およびリンケージ173を使用して位置決めされる。ノブ171の背後にあるボールデテント175は、全開または全閉のときにポンプの位置を維持するのに役立つ。閉じているときには、リンケージ173はオーバーセンター位置にあり、それが係合している管177のセクションによって上向きの力が加えられたときに確実に固定された状態を維持する。
【0045】
ノブ171は、開いたときの約9時の位置から閉じたときの約6時の位置まで、約100度回転する。
【0046】
ポンプロータ165は、その水平方向の整列から、ポンププラテン179によって規定される湾曲したプロファイルに管177を強制的に配置する。管は、ポンプロータ上のローラとポンププラテンの間にクランプされ、ポンプが静止しているときに管を完全に閉塞し、いずれかの方向への流れを防止する。リンケージ173とポンプマウント185との間のスプリング181により、管177の負荷は変位ベースではなく力ベースになり、これにより信頼性が向上し、摩耗が低減される。
【0047】
アセンブリはまた、2つの入力を含む。第1に、使い捨てマニホールド137が取り付けられたときに検出するためのレバーアーム式リミットスイッチ187である。リミットスイッチ187は、使い捨てマニホールドカートリッジ137上の小さな片持ちリブ189によってトリガされる。このリブは、リミットスイッチ187と確実に接触するように、意図的に上方に偏っている。リブの長さは、マニホールドが完全に取り付けられるまでスイッチがトリガされないように最適化されている。アセンブリの底部から上方に突出した2つのボールスプリングプランジャ193は、使い捨てマニホールド137内の戻り止め(detent)と界面し、マニホールドを所定の位置にスナップさせ、マニホールド配置のばらつきを減少させ、ノブが開いているときにマニホールドが不用意に所定の位置から滑り出すのを防止する。
【0048】
リミットスイッチに加えて、アセンブリは、基本的なPCB(図21参照)に取り付けられた小型の力変換器であるオクルージョン(occlusion(咬合))センサ195も含む。薄いステンレス鋼プレート197の上面は、トランスデューサに押し付けられている。ツマミを閉じると、プレート197の下側がポンプ管に押し付けられ、その力がオクルージョンセンサに伝達される。これは、ディスペンス中の管内の圧力を調べ、各ディスペンスが成功したかどうかを判断するために使用される。これは、正常なディスペンスが行われた場合には、異なる圧力プロファイルが作成されるためである。また、プレートのフラットプロファイルとカンチレバー取り付けにより、ポンプ管の位置合わせのばらつきを補正することができる。
【0049】
オクルージョンセンサ195は、漏れ、オクルージョン、ライン内の空気などの様々なエラーケースを検出することができる。ソース容器が空の場合には、デバイスは、センサを使用して、ラインが正常に再吸引されたかどうかを判断することができる。オクルージョンセンサ195はまた、管がこの時点で圧縮され、したがってセンサに力を加えるため、ポンプがラッチダウンされたときに検出する手段としても機能する(ラッチダウンされていないときにはセンサに力は加えられない)。
【0050】
ポンププラテン179は、ポンピング中に管177を支持して位置決めするための適切な表面を提供するが、2つの補助的な機能も果たす。リミットスイッチ187およびボールスプリングプランジャ193がそれに取り付けられ、それはまた、デバイスからマニホールド137への密閉された空気流路を形成する。これは、1つのガスケットと1つのグロメットによって達成される。前者は、スチールハウジング内のロッドワイパータイプのゴム製グロメット199であり、マニホールドとの半径方向シールを形成する。後者は、ベースプレート内の空気流路にプラテンをシールする発泡面シールガスケット201である。
【0051】
マニホールドカートリッジ137は、好ましくは、ベース部分203と蓋部分205とを有し、それぞれが、デバイス側と、デバイスから離れた方向を向く側(アウェイ側)とを有する。ベース部分203のアウェイ側は、蓋部分205のデバイス側に面しており、接続されると、ベース部分203と蓋部分205は、それらの間に空間206を画定する。空間206は、好ましくは、エアフィルタ109を含む。蓋部材205のアウェイ側には、空気送達管221に接続するための空気送達ポート207が設けられている。ベース部分203のデバイス側は、ゴムグロメット199を介してハウジングの空気出口135にぴったりと適合するように構成された空気受け部209と、流体ポンプとインタフェースするように構成された水供給部211とを有する。水供給部211は、給水管319を介して一端で独立した水源、例えば生理食塩水バッグに接続するように構成された使い捨て可撓性移送管177を含み、ベース部分203のデバイス側の水移送ポート/開口部215に接続されている。マニホールドカートリッジ137がデバイスハウジング内の相補的な形状の界面216に挿入されると、回転式流体ポンプが可撓性移送管177に係合する。流体ポンプが作動すると、回転式流体ポンプの回転アームが回転し、流体ポンプの曲面(プラテン179)に対して可撓性移送管177を押し付け、流体供給中の流体が移送管177内に引き込まれ、移送管177を介して強制的に押し込まれることを引き起こす。ベース部分203のデバイス側の水移送ポート215は、ベース部分のアウェイ側の対応する水移送ポート217に接続されている。デバイス側水移送ポートに接続された水送出管219は、ベース部と蓋部との間の空間206を通って(設けられている場合にはエアフィルタの小孔を通って)、エア送出ポート207を通ってエア送出管221内に出て行く。すなわち、空気送達管221は、空気送達ポート207上またはその内部にぴったりと収まる大きさになっている。水送達管219は、空気送達ポート207を出て、空気送達管221の内部を通って移動し、それによって、乾燥空気および水の分離された流れを独立して患者に送達する。別の実施形態によれば、水送達管219は、エアフィルタを通過しないように配置されてもよい。
【0052】
患者に到達する前のある時点で、その内腔内に独立して分離された水送達管229を含む空気送達管221は、好ましくは、2つの別個の遠位空気送達管223を提供するために分岐する。空気送達管の分岐は、1対2接続要素225を含む任意の既知の手段に従って達成することができる。同様に、かつ好ましくはほぼ同じ位置で、単一の水送達管219が、2つの別々の遠位の水送達管227に分岐し、それぞれが対応する遠位の空気送達管内を移動し続ける。
【0053】
遠位空気送達管223は、ブリッジ231のスロットに接続するブリッジコネクタ229で終端し、このブリッジコネクタ229は、ブリッジ231のスロットに接続し、このスロットは、ブリッジ231を左右に移動可能である。ブリッジ231は、好ましくは、患者の上唇上、又はそのすぐ上、即ち鼻のすぐ下に配置されるように構成された柔軟なプラスチックストリップであり、好ましくは、患者の頬骨と耳との間の点まで患者の顔に配置されて、鼻のいずれかの側に延在する。ブリッジ231の反対側の端部は、ブリッジ231を使用者の顔に保持するために患者の後頭部の周りを通る調節可能なストラップアセンブリ233を受けるように適合されている。ブリッジの中央部分は、ブリッジコネクタ229のネック部分を受けるための1つ以上のスロット235を画定し、これにより、異なる鼻のサイズ/鼻孔の離間距離に対応するために前後にスライドされ得る。
【0054】
遠位の送水管227の端部にはノズルアダプタ237が取り付けられており、ノズルアダプタ237は、それぞれがリング状の基部241と、ノズルを支持して中央に配置する3本以上の上方に伸びるスポーク245によってリング状の基部241に接続された中央ノズル243とからなるノズル部材239に接続されている。ノズル部材239およびノズルアダプタ237は、好ましくは一緒に圧入されており、それらの間の界面は、スプレーを発生させる旋回室の幾何学的形状を形成する。ノズルアセンブリ239は、柔軟なエラストマー性鼻枕247によって、それぞれのブリッジコネクタ229の遠位端に接続されている。鼻枕の底部開口部255は、ブリッジ231との界面のすぐ上にあるブリッジコネクタ229の遠位端の上に伸縮自在にフィットするような大きさになっている。ブリッジコネクタ229の遠位端は、好ましくは、鼻枕の弾性ボトムネックをより良く固定するために、外向きに伸びるフランジ249で形成されている。ノズル部材239の底リング部分241は、それぞれ下端255および上端253の開口部に向かって先細りする鼻枕247の幅広かつ短い肩部分251内に留まり、枕およびノズルアセンブリは、ノズル部材239の頂部が枕開口部の縁に接触することなく、枕のノズル端の開口部253の中心を通って延びるように大きさが決められている。このようにして、水流および空気流は、送達点まで互いに完全に隔離されている。
【0055】
様々な実施形態において、デバイスは、導入された流体を体液含有空洞から排出することを可能にする特徴をさらに含むことができる。参照により本明細書に援用される米国特許出願第13/579370号の段落[0047]を参照のこと。
【0056】
デバイスは、流体除去、解剖学的または全身的な冷却、エネルギー除去、代謝率調整および/または体重減少を達成するためのガス流量および圧力の調節を支援するための多数の追加機能を含んでもよい。デバイスは、ガス温度、圧力、およびガス流量の動的フィードバックおよび制御のための温度センサおよび/または圧力センサをさらに含んでもよい。参照により本明細書に援用される米国特許出願第13/579370号の段落[0057]を参照のこと。
【0057】
治療の期間は、体液の排出、解剖学的または全身的な冷却、エネルギーの除去、代謝率の調整、および/または体重減少の望ましいレベルによって異なる。
【0058】
本明細書に別段の定めがない限り、上述の実施形態は、一般に、乾燥した空気を鼻と鼻甲介に吹き込むための正圧源を生成して蒸発現象を誘発することに向けられている。これらの実施形態によれば、空気は鼻から入り、口から出ており、最も好ましい実施形態によれば、好ましい空気の流れを作り出すために、約20cm~30cmの水圧が生成されるが、他の実施形態では、40cm、50cm、および60cmまでの水圧を使用する。
【0059】
しかし、これらの実施形態を使用した試験では、圧力が上昇すると、鼻甲介内の微細な血管が圧縮され、血流および水の供給量が減少する可能性があり、その結果、蒸発冷却をサポートするために必要な熱の血管供給量が減少する可能性があることが示されている。このように、(あらゆる表面からの)蒸発とその結果として生じる熱除去は、空気圧が上昇するにつれて減少する可能性がある。
【0060】
したがって、本発明はまた、真空吸引または他の吸引の使用を介して鼻甲介上に空気の流れを作り出すことを含む。これらの実施形態によれば、2つの空気管が提供され、1つは各鼻孔に接続される。一方の側には負圧源(例えば、ファン)または真空源が接続され、乾燥した空気を他方の側に引き込む。乾燥した空気は第1の鼻孔に入り、鼻甲介の一方の側を横切り、他方の鼻孔(負圧源のある側)に出る。この負圧源/真空源はまた、血管拡張を引き起こし、これは、熱の血管供給を改善し、したがって、通常の呼吸状態を逸脱しても、蒸発モデルを改善し得る。本発明のこの実施形態は、使用者が口からの通気を気にする必要がない、すなわち、口を開けたままにしておく必要がないという付加的な利点を有する。この実施形態はまた、他の実施形態によれば空気の流れを妨げる可能性のある上気道の閉塞の影響を受けない。好ましい実施形態によれば、ファンまたは真空吸引によって、第1の鼻孔に入る前に乾燥剤カートリッジを介して空気を吸引する。別の実施形態によれば、送風機は、正圧ファン/送風機と負圧真空源とが互いにバランスを取りながら、鼻甲介を横切る正味のゲージ圧力が非常に低いかまたはゼロになるように、入口側に提供されてもよい。別の実施形態によれば、送風機は、一方の鼻孔の入口側に設けられ、他方の鼻孔は大気に開放されていてもよい。真空源が一方の鼻孔に設けられている実施形態によれば、入口鼻孔と入口管との間にシールが配置されて、入口鼻孔への周囲の(乾燥していない)空気の侵入を防止または抑制してもよい。
【0061】
本発明を上記の実施例を参照して説明してきたが、改変および変形が本発明の精神および保護範囲内に包含されることが理解されるであろう。従って、本発明は、以下の請求項によってのみ限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16a
図16b
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2024-02-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離された空気送達路及び水送達路を受けて、前記空気送達路及び前記水送達路を組み込み送達装置に結合するように構成された使い捨てマニホールドカートリッジであって、
前記組み込み送達装置は、
マニホールド空気流路により接続されたマニホールド空気入口及びマニホールド空気出口と、
前記使い捨てマニホールドカートリッジに取り付けられてそれを支持する液体供給管を備え、かつ一端において外部の液体源の接続されるように構成された液体供給流路であって、前記液体管は、前記マニホールド空気流路に入り、前記マニホールド空気流路を通過し、前記マニホールド空気出口を通って前記マニホールドカートリッジを出る配管部分を備える、前記液体供給流路と、
を備える、
使い捨てマニホールドカートリッジ。
【請求項2】
分離された空気流及び水流を患者の鼻孔に独立に送達するための装置であって、
前記装置はハーネスを備え、
前記ハーネスは、患者の唇の鼻孔直下に配置されるように構成され、
前記ハーネスは、2つの空気送達管コネクタをスライド可能に受ける1つ以上のスロットを画定し、
前記空気送達管コネクタは、遠位端でそれぞれの中空エラストマー鼻枕にそれぞれ取り付けられ、
前記鼻枕は、それぞれの管コネクタに接続された底部開口部と、患者の鼻孔に空気を送達するための上部開口部とを有し、
前記鼻枕は、内部空間内で、それぞれの水送達管に接続されたノズルアセンブリをそれぞれ支持し、
前記ノズルアセンブリは、前記ノズルアセンブリの遠位先端が前記鼻枕の上部開口部の外側に、2~10mm離れて延在するように配置される、
装置。
【外国語明細書】