(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002923
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】ペーパーホルダー
(51)【国際特許分類】
A47K 10/36 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
A47K10/36 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089200
(22)【出願日】2023-05-30
(31)【優先権主張番号】P 2022102220
(32)【優先日】2022-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】722004296
【氏名又は名称】石橋 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】石橋 郁夫
(57)【要約】
【課題】片手で操作が可能で、使い勝手のよいペーパーホルダーを提供することを目的とする。
【解決手段】ホルダー本体3、スライダー5、フラップ6の3部品を有し、ホルダー本体3にはスライダー5を上下に移動するガイドとなるレール部3aを有し、スライダー5とフラップ6を枢着してフラップ6を回動させ、フラップ6にはロールペーパー2の上部を押さえるペーパー押さえ6jを有し、フラップ6のペーパー押さえ6jより手前に、引き出されたロールペーパー2aを切断する刃6aを設け、引き出されたロールペーパー2aを刃6aに押さえつけることで、フラップ6のペーパー押さえ6jがロールペーパー2の上部を押さえながら、フラップ6がペーパー押さえ6jを支点として回転しようとするときに、ストッパー6gがスライダー5のストッパー突き当て面5dに突き当たることにより、スライダー5が上方向に移動するとことを停止させるように構成する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレットペーパーなどのロールペーパーを保持し、引き出されたロールペーパーを切断する刃を設けたペーパーホルダーにおいて、ペーパーホルダーは少なくともホルダー本体、スライダー、フラップの3部品を有し、ホルダー本体にはスライダーが上下に移動するガイドとなるレール部を有し、スライダーとフラップを枢着してフラップを回動させ、フラップにはロールペーパーの回転を抑止するためにロールペーパーの上部を押さえるペーパー押さえを有し、フラップのペーパー押さえより手前に引き出されたロールペーパーを切断する刃を設け、引き出されたロールペーパーを切断するために引き出されたロールペーパーを刃に押さえつけることで、フラップのペーパー押さえがロールペーパーの上部を押さえながら、フラップがペーパー押さえを支点として回転しようとするときに、フラップに設けたストッパーが他の部品に突き当たる構造により回転が停止し、スライダーが上方向に移動するとことを停止させるように構成したことを特徴とする、ペーパーホルダー。
【請求項2】
引き出されたロールペーパーの切断方向は下向きで、フラップ軸から見て前後方向が刃と反対側でかつフラップ軸より下にフラップの一部として設けたストッパーがスライダーの突き当て面に突き当たることにより、スライダーが上方向に移動するとことを停止させるように構成したことを特徴とする、請求項1に記載のペーパーホルダー。
【請求項3】
引き出されたロールペーパーの切断方向は下向きで、フラップには刃から間隔を開けてロールペーパー上部を覆うカバーを有し、刃とカバーを湾曲した連結部でつないだことを特徴とする、請求項1または2に記載のペーパーホルダー。
【請求項4】
トイレットペーパーなどのロールペーパーを保持し、ロールペーパーを切断する刃を設けたペーパーホルダーにおいて、ロールペーパーの切断方向は下向きで、ロールペーパーを切断する刃に対し、ロールペーパー本体側でかつ引き出したロールペーパーの下側に、暗色の回動可能な板片を設けたことを特徴とするペーパーホルダー。
【請求項5】
トイレットペーパーなどのロールペーパーを保持し、ロールペーパーを切断する刃を設けたペーパーホルダーにおいて、ロールペーパーの切断方向は下向きで、ロールペーパーを切断する刃は、先端に向かって反り上がったかぎ爪形状の突起を複数並べた構成であることを特徴とするペーパーホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ペーパーホルダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
トイレットペーパーなどのロールペーパーを保持し、適当な長さで切断する刃を設けたペーパーホルダーがある。
【0003】
一般的なペーパーホルダー(例えば、特許文献3の
図8)は、ホルダー本体の背面近くの上部にフラップの軸を設け、フラップの手前先端を刃として、フラップ上面を片手で押さえながらもう片方の手で引き出されたロールペーパーを引き上げて、切断を行う。
【0004】
このようなペーパーホルダーは、引き出されたロールペーパーの切断に両手を必要とし、また、切断した残りのロールペーパーの先端がフラップの裏側に隠れてしまうので、連続して使用する場合はロールペーパー先端を引き出す操作が別途必要となっていた。
【0005】
そこで、フラップにロールペーパーの貫通穴を設け、フラップ先端の刃部までのロールペーパーを表面側に露出させることで続けて引き出すのを容易にし、引き出されたロールペーパーを下向きに切断する際にフラップの裏側でロールペーパーを押圧することで回転を抑止する構成が提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【0006】
また、上下に摺動する蓋にフラップの軸を設け、フラップの軸の前方に刃を、後方にペーパー押さえ部を設けて、引き出されたロールペーパーを上方に切断する際にペーパー押さえ部がロールペーパーを押圧することでロールペーパーの回転を抑制する構成が提案されている。(例えば、特許文献2参照)
【0007】
特許文献1または2の構成では、片手での切断操作を可能にしている。また、切断した残りのロールペーパーの先端が、一般的なペーパーホルダーに比べて取り出しやすい構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006-141921号公報
【特許文献2】実用新案登録第3149487号公報
【特許文献3】特開2000-287875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1のペーパーホルダーでは、フラップ(文献中ではカバーと記載)の軸がホルダー本体に固定されているため、ロールペーパーの残量が少ない場合はフラップの先端が下に下がってくる。また、フラップ裏側のロールペーパーの押さえる部分は、残量が減るとフラップの先端方向にずれてくる。これに伴い、引き出されたロールペーパーを切断する際に切断部で引き出されたロールペーパーを真下に引く場合に、フラップ裏側のロールペーパーを押さえる方向の力の成分は、ロールペーパーの残量が多い場合に比べて小さくなる。よって、ロールペーパーの残量にかかわらず、安定してロールペーパーの回転を抑えることが困難である。
【0010】
また、特許文献2に示す提案では、引き出されたロールペーパーを切断する際に、フラップ(文献中では切断板と記載)の回転軸が持ち上がるので、これに伴って蓋が持ち上がってしまい、フラップ後方でロールペーパーを押さえる力は十分に得られない。摩擦により蓋が持ち上がるのを停止させると記載されているが、特許文献2に示す形状では摩擦面に垂直に与える力がわずかであり、上昇を防ぐには特別に摩擦力を強くしなければならないが、下降やロールペーパー交換時の蓋の上昇は円滑に行われる必要があり、相反する作用を実現する方法の記載はない。また通常ペーパーホルダーは長期にわたって繰り返し使用されるものであるため、摩擦に依存した構成では劣化により意図した動作ができなくなってくる可能性がある。そのためスライド部の形状は、特別に摩擦力を強くするような表面処理を施さなくても蓋の上昇が停止するように設定することが望ましい。特許文献2の
図3に示す提案では、蓋の上昇を抑える構造となっているが、蓋は枢着されており、ロールペーパー残量にかかわらず安定した切断が可能な構造とはなっていない。
【0011】
また、特許文献1または2の構成では、切断時にロールペーパーを挟んで切断する構造ではないため、最後まで刃の箇所で切れずに裂けてしまうことがある。
【0012】
さらに、特許文献3の
図8のような一般的なペーパーホルダーにおいては、ロールペーパー先端を切断する刃の部分より引き出さないとミシン目が見えてこない。特許文献1の構成においてはミシン目が刃に至る前に視界に出てくるが、一般的にロールペーパーにミシン目が施されている場合でも、ミシン目は切手のように穴を打ち抜いている構成ではないため見えにくい。
【0013】
そこで本発明では、ロールペーパーの残量にかかわらず、また経時的な劣化も少なく、安定してロールペーパーの回転を抑えることができ、またロールペーパーの先端部をさらにつまみ取りやすくして、片手でも容易に引き出されたロールペーパーの切断操作が可能なペーパーホルダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の実施形態のペーパーホルダーは、少なくともホルダー本体、スライダー、フラップの3部品を有し、ホルダー本体にはスライダーが上下に移動する際にガイドとなるレール部を有し、スライダーとフラップを枢着してフラップを回動させ、フラップの軸より手前にはロールペーパーの上部を押さえるペーパー押さえを有し、フラップのペーパー押さえより手前にロールペーパーを切断する刃を設け、引き出されたロールペーパーの切断方向は下向きで、引き出されたロールペーパーを切断するために引き出されたロールペーパーを刃に押さえつけることで、フラップのペーパー押さえがロールペーパーの上部を押さえながら、フラップがペーパー押さえを支点として回転しようとするときに、フラップの軸より後方でかつフラップの軸より下に設けたストッパーがスライダーの突き当て面に突き当たることにより、スライダーが上方向に移動するとことを停止させる構成である。
【0015】
また、フラップに設けられた刃は、引き出されたロールペーパーを下向きに引くことで切断する構造であって、フラップには刃から前後方向に間隔を開けてロールペーパー上部を覆うカバー部を有し、刃とカバー部を湾曲した連結部でつないだ構成である。
【0016】
また、ロールペーパーを切断する刃に対し、ロールペーパー本体側でかつ引き出したロールペーパーの下側に、暗色の回動可能な板片を設けた構成である。
【0017】
また、ロールペーパーを切断する刃は、先端に向かって反り上がったかぎ爪形状の突起を複数並べた構成である。
【発明の効果】
【0018】
本発明のペーパーホルダーにおいては、引き出されたロールペーパーを切断する方向に引っ張ることで、ロールペーパーの回転を抑えることが可能で、ロールペーパーの残量にかかわらず刃の前後で引き出されたロールペーパーがなす角度が一定であるため、安定して片手で引き出されたロールペーパーの切断が可能である。ロールペーパーの切断箇所を挟まない構造でも途中で裂けることが少なく、最後まで刃の部分で切断できる。
【0019】
また、スライダーが上昇してロールペーパーを押さえる力が十分に得られなくなるような状態にならないように、複数の部品の突き当たり構造でスライダーの上昇を抑制しているため、経時的な機能の劣化が発生しにくい。
【0020】
また、引き出されたロールペーパーを切断した後に、ロールペーパー先端付近に、片手でつまむのに十分な空間を提供できる。
【0021】
また、ロールペーパーを引き出す際に、ロールペーパーに施されたミシン目の視認性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図3】第1の実施形態のスライダーおよびフラップの組み立てた状態の斜視図
【
図4】第1の実施形態のペーパーホルダーの通常時の正面図
【
図5】第1の実施形態のペーパーホルダーの
図4のA-Aでの断面図
【
図6】第1の実施形態のペーパーホルダーの
図4のB-Bでの断面図
【
図7】第1の実施形態のペーパーホルダーの
図4のC-Cでの断面図
【
図8】第1の実施形態のフラップに設けた刃および刃の取り付け部の断面拡大図
【
図9】第1の実施形態のロールペーパー引き出し時におけるフラップに設けた刃および刃の取り付け部の断面拡大図
【
図10】第1の実施形態のロールペーパー切断時におけるフラップに設けた刃および刃の取り付け部の断面拡大図
【
図11】第1の実施形態のフラップの手前を最大限持ち上げた状態の断面図
【
図12】第2の実施形態のペーパーホルダーの斜視図
【
図13】第2の実施形態のロールペーパー引き出し時におけるフラップに設けた刃および刃の取り付け部の断面拡大図
【
図14】
図13の状態の第2の実施形態のペーパーホルダーの斜視図
【
図15】第2の実施形態のロールペーパー切断時におけるフラップに設けた刃および刃の取り付け部の断面拡大図
【
図16】
図12におけるフラップに設けた刃の先端突起の拡大斜視図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の第1の実施形態について、図面に基づき説明する。
【0024】
図1に、本発明の第1の実施形態の一つであるペーパーホルダー1の外観を示す。本実施例では、ロールペーパー2にロール状のトイレットペーパーを想定し、ロールペーパー2を保持し、操作によりロールペーパー2の最外周部分を引き出して切断する機能を有する。
【0025】
本実施例を説明する際の向きの定義については、本実施例の場合、図示していないトイレなどの壁に取り付ける際に設置室の壁に接する面3cを後方もしくは奥側、壁に向かって手前を前方とする。また、左右も壁に向かった状態で定義する。
【0026】
ペーパーホルダー1は、主な部品としてホルダー本体3とスライダー5、フラップ6より構成される。
【0027】
図2にホルダー本体3を示す。ホルダー本体3には左右にロールペーパー支え4が設けられ、上方のみに回動するように枢着されることで、ロールペーパーの芯2c内部を左右から支える。また、ホルダー本体3には後に示すスライダー5を上下方向にのみ移動可能にするための溝状のレール部3aを、背面壁3bと左右側面の交わる二つのコーナー部にそれぞれ縦長に設けてある。レール部3aをコーナー部に配置することで、ペーパーホルダー1全体の大きさを抑えることができる。
【0028】
図3にスライダー5およびフラップ6の組み立てた状態を斜め下から見た図を示す。スライダー5の垂直板5aの前面には左右に軸支え5bが張り出しており、軸支え5bの先端にフラップ軸5cがそれぞれ設けてある。スライダー5の垂直板5a左右端がホルダー本体3のレール部3aに挿入され、前後左右の移動は摺動に必要なわずかな隙間以外規制されて上下のみに摺動できるように構成される。スライダー5の垂直板5a中央は前方に張り出しており、張り出した部分の前方となる面が斜め下を向いており、ストッパー突き当て面5dになっている。
【0029】
フラップ6は主にカバー6eと刃6aおよび刃の取り付け部6bとそれをつなげる連結部6kとからなる。カバー6eは組み立てた後にロールペーパー2の上部を覆う部分で、裏側の左右にフラップ軸受け6hを設けてある。スライダー5のフラップ軸5cをフラップ軸受け6hに枢着することで、フラップ6が回動する。カバー6eの左右方向中央付近の前方は、ロールペーパー2の交換時などに、ロールペーパー先端2bを取り出しやすいように、へこみ形状6fを設けて刃の取り付け部6bとの距離を広くしている。また、このへこみ形状6fは、ロールペーパー2引き出し時にミシン目2dを早く認識して刃6aの位置にミシン目2dを合わせるのに効果的である。さらに、引き出されたロールペーパー2aをカバー6eの上にのせながら折りたたむ操作を片手で行う際に、へこみ形状6fの部分でつまんで引き出しやすくなっている。
【0030】
フラップ6のカバー6e裏側には複数のリブ6iを前後方向に長くなるように設けてある。リブ6iは、ロールペーパー2切断操作時にフラップ6にかかる力による変形を防止するとともに、ロールペーパー2引き出し操作時には各々のリブ6iがロールペーパー2の頂点付近に接して重力によるフラップ6の押圧を分散させる。そのため、各々のリブ6iのロールペーパー2と接する部分の高さは同じに設定している。また、リブ6iの間隔はほぼ等間隔に15mm程度であり、ロールペーパー2の引き出し時の移動方向とリブ6iの方向が一致しているため、ロールペーパー2最外周とそのすぐ内側の紙とのずれによる紙のたるみを防止して、全幅にわたってまっすぐ滑らかに引き出せるように作用する。
【0031】
カバー6e裏面には、ロールペーパー2頂点付近の左右端に相当する部分にペーパー押さえ6jを設ける。ペーパー押さえ6jの高さすなわちカバー6e裏面からの距離は、リブ6iよりもわずかに低くすることで、ロールペーパー2の引き出し操作時にはロールペーパー2に接していないが、ロールペーパー2切断時にはロールペーパー2がリブ6iに押されて潰れることでこのペーパー押さえ6jがロールペーパー2を押圧し、押さえる面積が増えることで過度にリブ6iがロールペーパー2に食い込んでいかないようにしながらロールペーパー2の回転を抑制する。回転抑制の動作については後に詳述する。ロールペーパー2の巻きの固さによっては、ロールペーパー2切断時にペーパー押さえ6jがロールペーパー2に接しないこともある。この場合は複数のリブ6iのみでロールペーパー2の回転を抑止する。よって、この場合において請求項で記載されたペーパー押さえ6jとは、それぞれのリブ6iのロールペーパー2に接している部分を指すことになる。
【0032】
フラップ6裏側の左右のフラップ軸受け6hの間には、ストッパー6gが設けられている。ストッパー6gはロールペーパー2切断時にスライダー5のストッパー突き当て面5dに突き当たることで、フラップ6の回動を停止させる。
【0033】
図5から
図7に通常時の本実施例におけるペーパーホルダー1の断面を示す。断面の位置は、
図4に示す正面図におけるA-A断面が
図5で、ストッパー6gの断面が見える左右方向中央部、B-B断面が
図6で、フラップ軸5cが見える箇所、C-C断面が
図7で、ロールペーパー2の左端付近でペーパー押さえ6jの断面が見える箇所である。
図5ではフラップ軸5cがリブ6iにより隠れているので、破線で示してある。通常時とはペーパーホルダー1およびロールペーパー2に手を添えていない状態で、即ちロールペーパー2の引き出しもしくは切断時やロールペーパー2の交換作業時以外の状態を指す。また、通常時を示す図では、構造をわかりやすく見せるため、ロールペーパー先端2bは引き出さずにロールペーパー2の頂点に位置している。
【0034】
図3に示したスライダー5とフラップ6の組み立て品は、ホルダー本体3のレール部3aに挿入され、ロールペーパー支え4に支えられたロールペーパー2の上にフラップ6のリブ6iが当たるところまで、自重により下がって突き当たる。
【0035】
フラップ6はフラップ軸受け6hより前側が重くなっており、ストッパー6gがスライダー5のストッパー突き当て面5dに当たるまで、フラップ6が
図5における時計回りに回動して停止する。ただし、摩擦やスライダー5の重みにより、必ずしもストッパー6gがスライダー5のストッパー突き当て面5dに当たっているとは限らない。
【0036】
フラップ6の前側先端にはロールペーパー2を切断するための刃6aがあり、刃6aは刃の取り付け部6bを介して、カバー6eの裏側に、湾曲した連結部6kでつながっている。引き出されたロールペーパー2aは刃6aの上側を通り、切断時下方向に引っ張られるため、引き出されたロールペーパー2aの切断部が刃6aの上側に突き当てられる。これにより刃6aに下方向の力が加わり、フラップ6は確実にストッパー6gがスライダー5のストッパー突き当て面5dに当たるまで回動する。フラップ軸5cはロールペーパー2がリブ6iと接している箇所より後方にあるため、フラップ6がリブ6iのロールペーパー2に接している点を支点として回動するときにフラップ軸5cは上昇する。それに伴ってスライダー5もレール部3aに沿って上昇する。そしてストッパー6gがスライダー5のストッパー突き当て面5dに当たると、フラップ軸5cの周りの隙がなくなった時点でフラップ6とスライダー5は相対的な位置関係が固定される。すなわち、刃6aに下向きの力がかかっている間は、形状的に一体化された部品と見なすことができる。
【0037】
仮にホルダー本体3にレール部3aがなければ、スライダー5がレールに挿入されていないので、スライダー5はフラップ6のストッパー6gに持ち上げられてフラップ6とともに回動するが、スライダー5がレール部3aに挿入されているため、垂直方向以外の動きは抑えられており、回動することはない。フラップ6とスライダー5は一体となってレール部3aのわずかな隙間がなくなるまで移動した後動くことができなくなる。そして、フラップ6はストッパー6g先端を支点として回転を始めようとするが、実際にはロールペーパー2のつぶれと部品の変形による動き以外は抑えられることになる。これにより、引き出されたロールペーパー2aが刃6aを下に押し下げる力はカバー6e裏側のリブ6iおよびペーパー押さえ6jがロールペーパー2を押さえる力を与えることになる。
【0038】
引き出されたロールペーパー2a切断中は、フラップ6に対してストッパー6gを中心として、刃6aにかかる力とロールペーパー2が反発する力およびフラップ軸5c周りにかかる力のモーメントがバランスしながら引き出されたロールペーパー2aが切断される。ただし、フラップ軸5cとストッパー6gの上下方向の距離が前後方向の距離に対して短く、またスライダー5が上下に移動しやすい構造のため、ストッパー6g先端回りのフラップ軸5c部のモーメントは小さいと考えられる。
【0039】
図5において、ストッパー6g先端の位置はフラップ軸5cに対し、後方側でかつ下側となっている。フラップ6がフラップ軸5c周りに回転するときに、ストッパー6g先端は上昇しながら若干後方側に移動する。また、スライダー5に設けたストッパー突き当て面5dは上方が手前に出てくるような傾斜を設けてある。これにより、ストッパー6gは突き当て面に垂直に近い角度で当たることになり、滑らず確実にフラップ6のフラップ軸5c周りの回転を停止させてストッパー6g先端周りの回転に移行させることができる。ストッパー突き当て面5dは、垂直方向と約30度の傾斜を設けてある。このためスライダー5は、ストッパー突き当て面5dに上昇方向の力より大きな後ろ方向の力も受けるので、これがレール部3aを押さえつける力となり、スライドするための摩擦抵抗が大きくなる。しかも、スライダー5とフラップ6は一体となっていて、上下方向の外力は重力と刃6aの部分にかかる下向きの力とその反力であるため、上昇することはない。
【0040】
ロールペーパー2が押さえられる部分は、前後方向でストッパー6gと刃6aの間にあるため、てこの原理により、ロールペーパー2が押さえられる力は引き出されたロールペーパー2a切断のために刃6aを押す力より大きくなる。引き出されたロールペーパー2a切断時に刃6aに真下方向の力を与えた場合、ストッパー6gとペーパー押さえ6jの水平距離と、ストッパー6gと刃6aの水平距離の比でフラップ6はロールペーパー2を押さえることになる。この比は小さいと切断時に十分押さえられずに引き出されてしまい、大きいとストッパー6gにかかる力が大きすぎて周辺部の変形やロールペーパー2の潰れにより堅牢感の低下や引き出されたロールペーパー2a切断後の反発が大きくなるため、3から4程度が望ましい。
【0041】
例えばスライダー5の垂直板5aを一部切り欠いて、ストッパー6gがホルダー本体3の背面壁3bに直接突き当たる構成にしてもスライダー5の上昇を停止することが可能であるが、ストッパー6gとペーパー押さえ6jの水平距離と、ストッパー6gと刃6aの水平距離の比を3から4に設定することが困難で、より小さな値になってしまう。よって本実施例のように構成することは、安定した切断操作に極めて有効である。
【0042】
以上のように、ロールペーパー2は切断時に回転を抑制されるので、刃6aの部分で引き出されたロールペーパー2aがずれることがなく、片手でロールペーパー先端2bを持って引っ張るだけで容易に刃6aの部分で切断されることになる。
【0043】
図8は、フラップ6に設けた刃6aおよび刃の取り付け部6bの断面拡大図である。
図3に示すように、刃6aは多数のとがった突起6cである細かい形状が手前斜め上方に突き出た形状であるため、ロールペーパー先端2bを真下に引けば、突起6cの先端から引き出されたロールペーパー2aに接するので、突起6cの先端が引き出されたロールペーパー2aに刺さりやすく、容易に切断できる。また、
図1に示すように、それぞれの突起6cは上側に平面を持つ三角錐となっていて、ロールペーパー先端2bを下方向に引っ張った際に、突起6cの先端が刺さった後に引き出されたロールペーパー2aの長手方向に対して斜めに接しながら切断する。通常のトイレットペーパーは、長手方向に紙の繊維が伸びているため、繊維に対して斜めに切断することで少ない力で切断できる。さらに、突起の上側の面が水平面となす角8は角度が約30度と小さく、ロールペーパー2の引き出し時に、引き出されたロールペーパー2aと刃6aの接触が多少あっても、破れにくい角度となっている。特に薄いロールペーパー2において、意図しない箇所で引き出されたロールペーパー2aが破れる可能性を低減する作用がある。
【0044】
本実施例では、刃6aは刃の取り付け部6bと一体になっているが、刃6aに引っ掛けて衣服や肌を傷つける可能性を軽減させるために、エラストマーなどの別素材を取り付ける構造としてもよい。ミシン目2dでロールペーパー2を切断する場合は刃6aの突起6c部が不要となるため、刃6aを別部品とすることで、刃6aを取り外して使用することもできる。また、
図3に示すように、刃の取り付け部6bの左右両端に刃6aを挟むようにガード壁6mを立て、
図5に示すように真横から見てガード壁6mにより刃6aが完全に隠れる形状にすることで、刃6aの両端の突起6cに衣服や肌が接しにくくすると、より安全である。ガード壁6mは、引き出されたロールペーパー2aを引き出す際にまっすぐ引き出すためのガイドにもなる。
【0045】
図9はロールペーパー2引き出し時におけるフラップ6に設けた刃6aおよび刃の取り付け部6bの断面拡大図、
図10は引き出されたロールペーパー2a切断時におけるフラップ6に設けた刃6aおよび刃の取り付け部6bの断面拡大図である。必要な長さのロールペーパー2を引き出す方向9は、本実施例の場合約12度上向きで、ほぼ水平に手前側に引っ張っても破れない程度に設定してある。刃6aがロールペーパー2最上部より上にあることで、切断操作でロールペーパー先端2bを真下に引いたときに、刃6aの前後で引き出されたロールペーパー2aがなす角10が鋭角になるので、切断中に刃6aの箇所より手元側で引き出されたロールペーパー2aが破れてしまうことが防げ、きれいに切断される。また、ペーパーホルダー1の設置箇所にもよるが、片手が不自由な場合でも引き出したロールペーパーを膝の上に置くことが容易にできるので、切断までの操作も円滑に行える。
【0046】
刃6aの後方側に設けてある平面部6dの延長線上より刃6aの突起6c先端位置をわずかに下に設けているため、ロールペーパー2引き出し時に刃6aに当たりにくい。刃6aに当たる方向で引き出されたロールペーパー2aを引き出した場合でも、平面部6dに先に当たることで力が緩衝され、下方向の力が刃6aの突起6c先端にかかるのを抑制できる。また、引き出されたロールペーパー2aをミシン目2dで切断する際に、ロールペーパー先端2bの引き出し方向を斜め下向きにして引き出されたロールペーパー2aで平面部6dに下方向の力を与えながら手前に引っ張ることで、引き出されたロールペーパー2aのミシン目2dが刃6aの突起6c先端から多少前後にずれた場合でもミシン目2dで切断することが可能である。
【0047】
引き出されたロールペーパー2aを切断した際に、切断した後のロールペーパー先端2bが刃の取り付け部6bから滑り落ちないようにするため、平面部6dの表面は円滑面でないことが望ましい。ただし、ロールペーパー2引き出し時にこすれて破れてしまうほどの摩擦は望ましくない。
【0048】
図3に示すように、本実施例では刃の取り付け部6bは中央付近のみがカバー6e側に出っ張った形状になっている。これにより、ロールペーパー先端をつまむ空間7を確保しながら、ロールペーパー先端2bが滑り落ちにくくなっている。
【0049】
フラップ6のカバー6eと刃6aの間は、湾曲させた連結部6kでつないでいるため、引き出されたロールペーパー2a裏面と連結部6kの間のロールペーパー先端をつまむ空間7に指を挿入して引き出されたロールペーパー2aをつまみやすく、容易に引き出すことが可能である。引き出されたロールペーパー2a以外には一切触れずに、連続して引き出されたロールペーパー2aの切断操作が可能なため、衛生的である。
【0050】
刃6aの先端位置をロールペーパー2上端より上部に設けることで、刃6aをロールペーパー2より大きく手前に設定しなくても、湾曲させた連結部6kとロールペーパー2は横から見て重なる部分が少なくなるので、ロールペーパー先端をつまむ空間7を十分に確保できる。
【0051】
フラップ6のカバー6eと刃6aの間をつなぐ連結部6kは、フラップ6のカバー6e裏側に設けたリブ6iと、横方向から見て重なる部分があるため、刃6aに力がかかったときにカバー6eに応力が集中する箇所がなく、効果的にフラップ6の変形を防止している。
【0052】
本発明をキッチンペーパーのような、通常ミシン目2dで切断するロールペーパー2に使用する場合は、刃6a先に突起6c状の細かい形状を設けないことで、確実にミシン目2dでの切断が可能となる。また、発明の名称はペーパーホルダーとしているが、使用する対象をロールペーパーに限定するものではなく、ロール状の樹脂フィルムやポリ袋など、様々なロール状の製品の切断に使用可能である。
【0053】
フラップ6の軸について、フラップ6とスライダー5のどちらに軸受けを設けるかは設計事項であり、様々な理由により都合のよい方を選べばよい。また、レール部3aおよびフラップ6の軸および軸受けは、摩擦を軽減し、寿命を延ばすために別材料の部品をはめ込んでもよい
【0054】
ロールペーパー支え4は、上面4aが平面であるため、ロールペーパー2の軸に垂直な断面で見るとロールペーパー2を2点で支えている。これにより、ロールペーパー2の前後位置が安定し、フラップ6のペーパー押さえ6jが常にロールペーパー2頂点のわずかに後方側を押さえることができる。フラップ6のペーパー押さえ6jは、ロールペーパー支え4がロールペーパー2と接している点の真上近くであるため、特にロールペーパー2の残量が少ない場合にロールペーパーの芯2cの変形を防ぐことができる。また、ロールペーパー支え4の上面4a先端に傾斜部4bを設けることで、ロールペーパー2更新時に、下からロールペーパー支え4を跳ね上げさせながらフラップ6を円滑に持ち上げることができる。
【0055】
本実施例の構成の場合、湾曲させた連結部6kでロールペーパー先端2bをつまみ、ロールペーパー2を引き出す際に刃の取り付け部6bを避けるようにロールペーパー先端2bを持ち上げる必要がある。このときロールペーパー2がカバー6e最前部を持ち上げることで、フラップ6が回動し、これによりカバー6e裏側がロールペーパー2を押さえる力の解除が円滑に行われ、ロールペーパー2の引き出し操作が容易となる。同時にストッパー6gがスライダー突き当て部5dを押す力も、ロールペーパー2がカバー6e最前部を持ち上げることで解除されるので、摩擦や変形により引っかかっている場合でもロールペーパー2を引き出す操作に問題が発生しにくい。
【0056】
図11はフラップ6の手前を最大限持ち上げた状態の断面図である。フラップ6のカバー6e最前部を持ち上げる際は、約5度傾けることでフラップ6の後部がスライダー5と干渉するようになっている。ロールペーパー2を引き出す際に、ロールペーパー2をつまんだ指は刃6aを乗り越えるようにしながら手前に移動させる必要があるが、ロールペーパー2がいつまでもフラップ6を持ち上げ続けてしまうと、刃6aも持ち上がり続けるのでこの乗り越える動作がやりにくくなる。そのため、フラップ6の上向きの傾き角度は10度程度までに停止する構造であることが望ましい。また、フラップ6の後部がスライダー5と干渉するとき、フラップ6のストッパー6gはロールペーパー2に届いていない。すなわち、ストッパー6gがロールペーパー2に当たってロールペーパー2が回転するのを妨げることがない。
【0057】
特許文献2に示すような、引き出されたロールペーパー2aを下から上に向けて切断する構造の場合、ペーパー押さえ6jと刃6aの間にフラップ軸5cを配置することになり、ロールペーパー2を押さえる力を大きくしようとすると、フラップ軸5cはペーパー押さえ6jに近い位置に配置することになる。結果的にフラップ6の重心はフラップ軸5cより前に来ることになりやすく、通常状態で刃6aは垂れ下がっており、引き出されたロールペーパー2aの切断時に刃6aを持ち上げることになる。よって、切断時に引き出されたロールペーパー2aが刃6aに当たってから切断に必要な力が刃6aにかかるまで、持ち上げるストローク分だけ刃6aが移動してしまうので、切断操作がやりにくい。また、常に刃6aには下に戻ろうとする力がかかっており、引き出されたロールペーパー2aの切断途中に刃6aが下がろうとする力に引き出されたロールペーパー2aが負けて、刃6a以外の部分で破れてしまうことがある。本発明の実施形態のように引き出されたロールペーパー2aを下向きに引っ張って切断する構成では、刃6aにかかる重力と切断時に引き出されたロールペーパー2aから受ける力の方向がほぼ同じであり、安定した切断が可能となる。
【0058】
ロールペーパーの切断方向11は、一般的なペーパーホルダーが上方であるのに対して逆の下方になっているが、本発明の実施形態に示す形状は、粘着テープのホルダーカッターでは一般的であり、初めて見る人でも使い方に戸惑うことなく使用できる。また、一般的なペーパーホルダーのように、フラップ6を片手で上から押さえても不具合が発生するわけではないので、使用者の様々な好みに対応できる。
【0059】
以上のように、本発明のペーパーホルダー1は、ホルダー本体3にはスライダー5を上下に移動するガイドとなるレール部3aを有し、スライダー5とフラップ6を枢着してフラップ6を回動させ、フラップ6にはロールペーパー2の上部を押さえるペーパー押さえ6jを有し、フラップ6のペーパー押さえ6jより手前に引き出されたロールペーパー2aを切断する刃6aを設け、ロールペーパーの切断方向11は下向きで、引き出されたロールペーパー2aを切断するために引き出されたロールペーパー2aを刃6aに押さえつけることで、フラップ6のペーパー押さえ6jがロールペーパー2の上部を押さえながら、フラップ6がペーパー押さえ6jを支点として回転しようとするときに、フラップ軸5cより後方でかつフラップ軸5cより下にフラップ6の一部として設けたストッパー6gがスライダー5のストッパー突き当て面5dに突き当たることにより、スライダー5が上方向に移動するとことを停止させるように構成したことにより、片手で引き出されたロールペーパー2aを切断することが可能である。
【0060】
ロールペーパー2の残量が多いとき、すなわちロールペーパー2の径が大きいときには、ロールペーパー2を引き出すときに引き出されたロールペーパー2aがロールペーパー2全体を回転させるのに与えるトルクが大きく、残量が少ない場合は小さくなるが、ペーパー押さえ6jが外周部を押さえることで、ロールペーパー2の回転を抑えるのに必要な、ペーパー押さえ6jがロールペーパー2を押さえる力は、ロールペーパー2の残量にかかわらず一定となる。つまり、ロールペーパーの芯2cの内側を押さえるよりも安定してロールペーパー2の回転を抑えることが可能である。
【0061】
また、フラップ6の軸がスライダー5により上下することにより、ペーパー押さえ6jが常にロールペーパー2の頂点付近を押さえることができる。さらに、引き出されたロールペーパー2aが刃6aに触れないようにしながらロールペーパーを引き出す方向9および、切断時に刃6aの前後で引き出されたロールペーパー2aがなす角10を一定にできるので、ロールペーパー2の残量にかかわらず、同じような操作で確実に引き出されたロールペーパー2aの切断が可能である。カバー6eが常に水平に近い状態を保っているので、引き出されたロールペーパー2aをカバー6eの上に置いて折りたたみながら片手で引き出すことも可能である。
【0062】
スライダー5はロールペーパー2の使用量に伴い下がってくるので、残量が確認しやすい。スライダー5周辺に目盛りやタクトスイッチ、フォトインタラプタなどの位置検出手段を設けることで、さらに目視を容易にすることや、遠隔で残量を確認するシステムを構築することも可能となる。
【0063】
本発明の第1の実施形態では、一般的なペーパーホルダーに対し、部品点数としてはスライダー5の追加のみであり、ロールペーパー2を押さえるためのバネも使用せず組み立ても容易なため、安価に製造が可能である。
【0064】
図12は、本発明の第2の実施形態を示したものである。基本的な構成は
図1に示した第1の実施形態と同じであるが、刃の取り付け部6bの後方に板片6nが枢着されている。板片6nは、刃の取り付け部6b付近に軸受けがあり、刃の取り付け部6bに設けた板片用軸6qに枢着され、板片6nの下側から持ち上げることで回動する。回動させることにより、ロールペーパー2の更新時にロールペーパーの先端2bをカバー6eと板片6nの間から上方に繰り出す操作が容易になる。
【0065】
図13は、第2の実施形態のロールペーパー2引き出し時におけるフラップ6に設けた刃6aおよび刃の取り付け部6bの断面拡大図である。ロールペーパー2は、引き出しながら先端を下ろしていくと、最初に板片6nの奥側先端付近に接するように設定している。これにより、フラップ6は前側が下に押される力を与えられ、カバー6e裏面のリブ6iがロールペーパー2の頂点付近を押さえて、ロールペーパー先端2bからロールペーパー2の頂点付近にかけて張力が発生する。この張力は、
図13では図示していないミシン目2dを前後方向に広げることになり、ミシン目2dの穴が大きくなって視認性を向上させる。引き出されたロールペーパー2aが刃6aに接するまで下げなければ、引き出されたロールペーパー2aが板片6nを押し下げる力はわずかであるため、張力はミシン目2dを広げる程度で、引き出されたロールペーパー2aが破れることはほぼない。
【0066】
また、板片6を黒色などの暗色にすることで、
図14に示すようにミシン目2dを上方から見た際にミシン目2dの穴から板片6の暗色が透視され、
図14に示すように通常は白など薄い色であるロールペーパー2本体部分とのコントラストが強くなってさらに視認性を向上させる(図ではミシン目の濃淡を線の太さで表現している)。本発明の構成では刃6aの奥側すなわち引き出されたロールペーパー2aの途中の部分が、フラップ6に隠れない構造となっているため、ミシン目2dを確認しながらミシン目2dを刃6aの先端付近に合わせるように引き出す操作を停止させることが可能であり、ミシン目2dの視認性を向上させることは、ロールペーパー2の切断操作の改善に大きな効果がある。
【0067】
図15は、第2の実施形態のロールペーパー2切断時におけるフラップ6に設けた刃6aおよび刃の取り付け部6bの断面拡大図である。また、
図16は
図12におけるフラップに設けた刃の先端突起の拡大斜視図である。
【0068】
本発明の実施形態のように、ロールペーパー2を切断部でロールペーパー2の最外周部と刃6aで挟まずに刃6aの突起6c部分で切断する場合、粘着テープのように幅の狭い対象物を切断するのとは異なり、切断途中で裂けてしまうことがある。特に、ロールペーパー先端2bを真下に引いて全幅を同時に切断することは極めて困難であるため、第2の実施形態では、中央が下がった曲線上に突起6cを並べている。このため、引き出されたロールペーパー2aは、全幅で同時に刃6aの先端に接することがない。また、
図12に示すように、カバー6e上面手前に三角形の刻印を複数非対称に並べることで、端から切断するように操作を促している。
【0069】
さらに、
図16のように刃6aに設けた突起6cは、先端に向かって反り上がったかぎ爪形状となっている。この形状が及ぼす効果について以下に説明する。
【0070】
図15において、引き出されたロールペーパー2aはリブ6i、板片6n、突起6cの順に接し、ロールペーパーの切断方向11に引っ張ることで突起6cの先端に穴が開き、ミシン目2d以外の部分で切断する場合はこの穴が切断のきっかけとなる。穴は、突起の上側の面6p左右の辺で引き出されたロールペーパー2aを剪断することにより広がっていき、隣の突起6cから広がってきた穴とつながって最終的に引き出されたロールペーパー2aは切断される。
【0071】
切断のきっかけとなる突起6cの先端は、ロールペーパーの切断方向11に対しできるだけ反対向きに刺さるように構成されていることが望ましい。すなわち、突起の上側の面6pが先端でなす接線12とロールペーパーの切断方向11がなす角13が大きい方がよい。その後突起の上側の面6p左右の辺で剪断する段階では、引き出されたロールペーパー2aの繊維方向に対し、斜めに当たっていくことが望ましい。結果的に切断線は直線に近いものよりロールペーパー2の長手方向に長さを持った鋸刃形状となる構成である方が切断しやすい。すなわち、突起の上側の面6p左右の辺は、先端を起点として後方に距離のある形状が切断操作を確実にするためには望ましい。
【0072】
前項の二つの条件すなわち、ロールペーパーの切断方向11に対しできるだけ反対向きに刺さることと、突起の上側の面6p左右の辺かが先端を起点として後方に距離のある形状であることを実現するため、刃6aに設けた突起6cは、先端に向かって反り上がったかぎ爪形状となっている。
図15では、突起の上側の面6pが先端でなす接線12とロールペーパーの切断方向11がなす角13が
図10より大きくなっている。さらに突起の上側の面6pを反らせることで、左右の辺をより奥側に伸ばすことができている。
【0073】
さらに、突起6cの下辺も、隣の突起6cと接する点をできるだけ奥側にすることで、切断中のロールペーパー2のうち刃6aより前側の部分が突起6cの付け根部分に接するのを避け、確実に突起の上側の面6p左右の辺にロールペーパー2を当て続けながら切断を完了させる効果がある。
【0074】
以上のように、本発明の第2の実施形態によれば、ロールペーパー2のミシン目2dを刃6aに合わせやすく、ミシン目2d以外の部分で切断する場合でも確実に刃6aの部分で切断することが可能となる。
【符号の説明】
【0075】
1 ペーパーホルダー
2 ロールペーパー
2a 引き出されたロールペーパー
2b ロールペーパー先端
2c ロールペーパーの芯
2d ミシン目
3 ホルダー本体
3a レール部
3b 背面壁
3c 設置室の壁に接する面
4 ロールペーパー支え
4a 上面
4b 傾斜部
5 スライダー
5a 垂直板
5b 軸支え
5c フラップ軸
5d ストッパー突き当て面
6 フラップ
6a 刃
6b 刃の取り付け部
6c 突起
6d 平面部
6e カバー
6f へこみ形状
6g ストッパー
6h フラップ軸受け
6i リブ
6j ペーパー押さえ
6k 連結部
6m ガード壁
6n 板片
6p 突起の上側の面
6q 板片用軸
7 ロールペーパー先端をつまむ空間
8 突起の上側の面が水平面となす角
9 ロールペーパーを引き出す方向
10 刃の前後でロールペーパーがなす角
11 ロールペーパーの切断方向
12 突起の上側の面が先端でなす接線
13 突起の上側の面が先端でなす接線とロールペーパーの切断方向がなす角