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特開2024-29231放射線療法システム及びその位置決め装置の動作手順
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029231
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】放射線療法システム及びその位置決め装置の動作手順
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
A61N5/10 M
A61N5/10 T
A61N5/10 H
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024002900
(22)【出願日】2024-01-12
(62)【分割の表示】P 2022521627の分割
【原出願日】2020-09-28
(31)【優先権主張番号】201911034270.3
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520417207
【氏名又は名称】中硼(厦▲門▼)医▲療▼器械有限公司
【氏名又は名称原語表記】Neuboron Therapy System Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.2060 Wengjiao West Road, Haicang District Xiamen, Fujian Provance, 361026 P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼▲韋▼霖
(72)【発明者】
【氏名】▲貢▼秋平
(57)【要約】      (修正有)
【課題】放射線療法システムの位置決め装置の動作手順を提供する。
【解決手段】放射線療法システムは、治療用放射線を生成する放射線生成装置と、放射線の照射を受ける被照射体を置く照射室と、照射制御を実施する管理室と、被照射体を転送して載置する載置装置4とを含み、載置装置は、被照射体を載置する載置部材41と、載置部材の空間位置を調整する調整アセンブリ42と、載置部材を調整アセンブリと取り外し可能に一体に固定接続するクランプアセンブリ43とを含み、載置部材は、第1の載置部材と、第1の載置部材のサイズ及び/又は形状と異なる第2の載置部材とを少なくとも含む。実際の使用需要に応じて異なる形状及び/又はサイズの載置部材を自在に切り替えることができることにより、放射線療法システムは体型及び腫瘍位置の異なる患者に適応することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療用放射線を生成する放射線生成装置と、放射線の照射を受ける被照射体を置く照射
室と、照射制御を実施する管理室と、被照射体を転送して載置する載置装置とを含み、前
記載置装置は、被照射体を載置する載置部材と、前記載置部材の空間位置を調整する調整
アセンブリと、載置部材を調整アセンブリと取り外し可能に一体に固定接続するクランプ
アセンブリとを含み、前記載置部材は、第1の載置部材と、前記第1の載置部材のサイズ
及び/又は形状と異なる第2の載置部材とを少なくとも含む、ことを特徴とする放射線療
法システム。
【請求項2】
前記クランプアセンブリは、前記載置部材に設置された第1の位置決めブロックと、前
記調整アセンブリに設置された第2の位置決めブロックと、前記第2の位置決めブロック
を前記第1の位置決めブロックに対してロックするか又はロック解除するロック部材とを
含む、ことを特徴とする請求項1に記載の放射線療法システム。
【請求項3】
前記載置部材は、前記第1の位置決めブロックに向かって設置された第1の表面を含み
、前記第1の位置決めブロックは、前記第1の表面に設置され、前記第1の位置決めブロ
ックには、第2のストッパブロックが第1の表面に平行な第1の方向に沿って挿入される
ストッパ溝と、前記第1の表面と垂直な第2の方向に前記ストッパ溝と連通して前記調整
アセンブリが通る待避溝と、前記ストッパ溝と連通し、前記ロック部材と嵌合するロック
穴とが設置され、前記ストッパ溝は、第1の方向に第1の位置決めブロックの1つの面を
貫通して挿入口を形成し、前記第2の位置決めブロックは、該挿入口から第1の方向に沿
って前記ストッパ溝に挿入される、ことを特徴とする請求項2に記載の放射線療法システ
ム。
【請求項4】
前記ロック部材は、第2の位置決めブロックに固定接続された装着部と、前記ロック穴
に挿脱可能なロックピンと、前記ロックピンが前記ロック穴に挿脱するように駆動する第
1の駆動部材とを含み、前記ロック穴は、第1の位置決めブロックを貫通し、前記ストッ
パ溝と連通する、ことを特徴とする請求項3に記載の放射線療法システム。
【請求項5】
前記載置装置は、前記ロックピンが所定の位置まで移動するか否かを検出することによ
り、前記載置部材が前記調整アセンブリと効果的に一体に接続するか否かを確認する検出
アセンブリを更に含む、ことを特徴とする請求項4に記載の放射線療法システム。
【請求項6】
前記調整アセンブリと前記載置部材との間に設置されて、前記載置部材を前記調整アセ
ンブリに対して移動させることができる伝動装置を更に含む、ことを特徴とする請求項1
に記載の放射線療法システム。
【請求項7】
前記伝動装置は、前記調整アセンブリに固定接続された基板と、前記基板に設置された
ガイド部材と、前記ガイド部材に対して摺動できるスライダと、前記スライダを動かす駆
動ブロックと、前記駆動ブロックを動かす第2の駆動部材とを含む、ことを特徴とする請
求項6に記載の放射線療法システム。
【請求項8】
前記載置部材の移動軌跡を制御する位置決め装置を更に含む、ことを特徴とする請求項
1~7のいずれか一項に記載の放射線療法システム。
【請求項9】
前記位置決め装置は、レーザ位置決めアセンブリと、位置合わせアセンブリと、光学検
証アセンブリと、距離測定アセンブリと、前記調整アセンブリを動かして前記載置部材を
動かす駆動アセンブリと、前記調整アセンブリの移動軌跡を制御する制御アセンブリとを
含む、ことを特徴とする請求項8に記載の放射線療法システム。
【請求項10】
前記位置合わせアセンブリは、前記載置部材との相対位置が調整可能な位置決めフレー
ムと、前記載置部材と前記位置決めフレームとの間に接続されて前記位置決めフレームと
前記載置部材との相対位置を調整する支持ロッドと、前記位置決めフレームと前記載置部
材との相対位置をロッキングするロッキング部材とを含む、ことを特徴とする請求項9に
記載の放射線療法システム。
【請求項11】
照射室内には放射線が射出されるコリメータが設置され、放射線がコリメータの出口か
ら射出されて、最適な治療点を有する1本のビーム軸線が限定され、レーザ位置決めアセ
ンブリは、異なる方位に設置された少なくとも2つのレーザ照射部を含み、該少なくとも
2つのレーザ照射部から射出されたレーザは、1つのレーザ交差点を有し、治療過程にお
いて、被照射体の最適な照射点、レーザ交差点及び最適な治療点が重なり合う、ことを特
徴とする請求項10に記載の放射線療法システム。
【請求項12】
位置決めフレームは、位置決め点を有し、治療過程において、被照射体の最適な照射点
が位置決め点と重なり合う、ことを特徴とする請求項11に記載の放射線療法システム。
【請求項13】
光学検証アセンブリは、CCDカメラ及び画像処理・識別モジュールを含む、ことを特
徴とする請求項12に記載の放射線療法システム。
【請求項14】
請求項13に記載の位置決め装置の動作手順であって、
レーザ位置決めアセンブリによって、レーザ交差点により座標(X,Y,Z)及び相対
角度αに対応する最適な治療点をマークするS1と、
CCDカメラによって、該レーザ交差点の画面を撮影し、写真を取得し、画像処理・識
別モジュールによって、分析して写真中のレーザ交差点をマークするS2と、
被照射体を載置部材に置いて、医療従事者が位置決めフレームの位置決め点を被照射体
の最適な照射点に位置合わせし、その後にロッキング部材で位置決めフレームの位置をロ
ッキングするS3と、
CCDカメラによって、被照射体が載置部材に位置し、かつ位置合わせアセンブリが所
定の位置に調整された画面を撮影し、写真を取得し、次に画像処理・識別モジュールによ
って、写真中の位置合わせアセンブリの位置決め点の座標(X1,Y1)及び相対角度α
1を分析して記録し、次に位置決め点とレーザ交差点との間の座標差分値をX0=X1-
X、Y0=Y1-Y、α0=α1-αで計算するS4と、
制御アセンブリによって、光学検証アセンブリから取得された座標差分値に基づいて演
算により調整アセンブリの移動軌跡を決定し、次に駆動アセンブリを制御して調整アセン
ブリを動かすことにより、載置部材上の被照射体の最適な照射点を座標(x,y)及び相
対角度αに対応する位置に移動させるS5と、
距離測定アセンブリによって、位置決め点とレーザ交差点との距離を測定するS6と、
制御アセンブリによって、距離測定アセンブリから取得されたデータに基づいて演算に
より調整アセンブリの移動軌跡を決定し、次に駆動アセンブリを制御して調整アセンブリ
を動かすことにより、載置部材上の被照射体の最適な照射点を最適な治療点、すなわち座
標(X,Y,Z)及び相対角度αに対応する位置に移動させて、治療するS7とを含む、
動作手順。
【請求項15】
請求項13に記載の位置決め装置の動作手順であって、
レーザ位置決めアセンブリによって、レーザ交差点により座標(X,Y,Z)及び相対
角度αに対応する最適な治療点をマークするS1と、
CCDカメラによって、該レーザ交差点の画面を撮影し、写真を取得し、画像処理・識
別モジュールによって、分析して写真中のレーザ交差点をマークするS2と、
被照射体を載置部材に置いて、医療従事者が位置決めフレームの位置決め点を被照射体
の最適な照射点に位置合わせし、その後にロッキング部材で位置決めフレームの位置をロ
ッキングするS3と、
CCDカメラによって、被照射体が載置部材に位置しかつ位置合わせアセンブリが所定
の位置に調整された画面を撮影し、写真を取得し、次に画像処理・識別モジュールによっ
て、写真中の位置合わせアセンブリの位置決め点の座標(X1,Y1)及び相対角度α1
を分析して記録し、次に位置決め点とレーザ交差点との間の座標差分値をX0=X1-X
、Y0=Y1-Y、α0=α1-αで計算するS4と、
距離測定アセンブリによって位置決め点とレーザ交差点との距離を測定するS5と、
制御アセンブリによって、光学検証アセンブリ及び距離測定アセンブリから取得された
データに基づいて演算により調整アセンブリの移動軌跡を決定し、次に駆動アセンブリを
制御して調整アセンブリを動かすことにより、載置部材上の被照射体の最適な照射点を最
適な治療点、すなわち座標(X,Y,Z)及び相対角度αに対応する位置に移動させるS
6とを含む、動作手順。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線照射システムに関し、特に放射線療法システム及びその位置決め装置
の動作手順に関する。
【背景技術】
【0002】
原子科学の発展に従って、コバルト60、線形加速器、電子ビーム等の放射線療法は、
すでにがん治療の主な手段の一つとなった。放射線療法の過程において、ビームを用いて
一定の時間内に患者を連続的に照射する必要があり、この過程において、患者を載置部材
に固定し、載置部材に接続された調整アセンブリによって所定の位置まで搬送する必要が
ある。従来の治療デバイスでは、載置部材は、形状及びサイズが単一であるため、体型及
び腫瘍位置の異なる患者に適応することができず、また、照射室内に他の設備があり、あ
る形状及びサイズの載置部材の動き位置が干渉されると、最適な照射点及び最適な照射角
度で照射を実施することができなくなり、治療効果を低下させてしまう。
【発明の概要】
【0003】
上記問題を解決するために、本発明の一態様に係る、体型及び腫瘍位置の異なる患者に
適応することができる放射線療法システムは、治療用放射線を生成する放射線生成装置と
、放射線の照射を受ける被照射体を置く照射室と、照射制御を実施する管理室と、被照射
体を転送して載置する載置装置とを含み、前記載置装置は、被照射体を載置する載置部材
と、前記載置部材の空間位置を調整する調整アセンブリと、載置部材を調整アセンブリと
取り外し可能に一体に固定接続するクランプアセンブリとを含み、前記載置部材は、第1
の載置部材と、前記第1の載置部材のサイズ及び/又は形状と異なる第2の載置部材とを
少なくとも含む。
【0004】
更に、前記クランプアセンブリは、前記載置部材に設置された第1の位置決めブロック
と、前記調整アセンブリに設置された第2の位置決めブロックと、前記第2の位置決めブ
ロックを前記第1の位置決めブロックに対してロックするか又はロック解除するロック部
材とを含む。
【0005】
更に、前記載置部材は、前記第1の位置決めブロックに向かって設置された第1の表面
を含み、前記第1の位置決めブロックは、前記第1の表面に設置され、前記第1の位置決
めブロックには、第2のストッパブロックが第1の表面に平行な第1の方向に沿って挿入
されるストッパ溝と、前記第1の表面と垂直な第2の方向に前記ストッパ溝と連通して前
記調整アセンブリが通る待避溝と、前記ストッパ溝と連通し、前記ロック部材と嵌合する
ロック穴とが設置され、前記ストッパ溝は、第1の方向に第1の位置決めブロックの1つ
の面を貫通して挿入口を形成し、前記第2の位置決めブロックは、該挿入口から第1の方
向に沿って前記ストッパ溝に挿入される。
【0006】
更に、前記ロック部材は、第2の位置決めブロックに固定接続された装着部と、前記ロ
ック穴に挿脱可能なロックピンと、前記ロックピンが前記ロック穴に挿脱するように駆動
する第1の駆動部材とを含み、前記ロック穴は、第1の位置決めブロックを貫通し、前記
ストッパ溝と連通する。
【0007】
更に、前記載置装置は、前記ロックピンが所定の位置まで移動するか否かを検出するこ
とにより、前記載置部材が前記調整アセンブリと効果的に一体に接続するか否かを確認す
る検出アセンブリを更に含む。
【0008】
更に、前記放射線療法システムは、前記載置部材の移動軌跡を制御する位置決め装置を
更に含む。
【0009】
更に、前記位置決め装置は、レーザ位置決めアセンブリと、位置合わせアセンブリと、
光学検証アセンブリと、距離測定アセンブリと、前記調整アセンブリを動かして前記載置
部材を動かす駆動アセンブリと、前記調整アセンブリの移動軌跡を制御する制御アセンブ
リとを含む。
【0010】
更に、前記位置合わせアセンブリは、前記載置部材との相対位置が調整可能な位置決め
フレームと、前記載置部材と前記位置決めフレームとの間に接続されて前記位置決めフレ
ームと前記載置部材との相対位置を調整する支持ロッドと、前記位置決めフレームと前記
載置部材との相対位置をロッキングするロッキング部材とを含む。更に、前記放射線療法
システムは、前記調整アセンブリと前記載置部材との間に設置されて、前記載置部材を前
記調整アセンブリに対して移動させることができる伝動装置を更に含む。
【0011】
更に、前記伝動装置は、前記調整アセンブリに固定接続された基板と、前記基板に設置
されたガイド部材と、前記ガイド部材に対して摺動できるスライダと、前記スライダを動
かす駆動ブロックと、前記駆動ブロックを動かす第2の駆動部材とを含む。
【0012】
更に、照射室内には放射線が射出されるコリメータが設置され、放射線がコリメータの
出口から射出されて、最適な治療点を有する1本のビーム軸線が限定され、レーザ位置決
めアセンブリは、異なる方位に設置された少なくとも2つのレーザ照射部を含み、該少な
くとも2つのレーザ照射部から射出されたレーザは、1つのレーザ交差点を有し、治療過
程において、被照射体の最適な照射点、レーザ交差点及び最適な治療点が重なり合う。
【0013】
更に、位置決めフレームは、位置決め点を有し、治療過程において、被照射体の最適な
照射点が位置決め点と重なり合う。
【0014】
更に、光学検証アセンブリは、CCDカメラ及び画像処理・識別モジュールを含む。
【0015】
本発明の第2の態様に係る位置決め装置の動作手順は、レーザ位置決めアセンブリによ
って、レーザ交差点により座標(X,Y,Z)及び相対角度αに対応する最適な治療点を
マークするS1と、CCDカメラによって、該レーザ交差点の画面を撮影し、写真を取得
し、画像処理・識別モジュールによって、分析して写真中のレーザ交差点をマークするS
2と、被照射体を載置部材に置いて、医療従事者が位置決めフレームの位置決め点を被照
射体の最適な照射点に位置合わせし、その後にロッキング部材で位置決めフレームの位置
をロッキングするS3と、CCDカメラによって、被照射体が載置部材に位置し、かつ位
置合わせアセンブリが所定の位置に調整された画面を撮影し、写真を取得し、次に画像処
理・識別モジュールによって、写真中の位置合わせアセンブリの位置決め点の座標(X1
,Y1)及び相対角度α1を分析して記録し、次に位置決め点とレーザ交差点との間の座
標差分値をX0=X1-X、Y0=Y1-Y、α0=α1-αで計算するS4と、制御ア
センブリによって、光学検証アセンブリから取得された座標差分値に基づいて演算により
調整アセンブリの移動軌跡を決定し、次に駆動アセンブリを制御して調整アセンブリを動
かすことにより、載置部材上の被照射体の最適な照射点を座標(x,y)及び相対角度α
に対応する位置に移動させるS5と、距離測定アセンブリによって、位置決め点とレーザ
交差点との距離を測定するS6と、制御アセンブリによって、距離測定アセンブリから取
得されたデータに基づいて演算により調整アセンブリの移動軌跡を決定し、次に駆動アセ
ンブリを制御して調整アセンブリを動かすことにより、載置部材上の被照射体の最適な照
射点を最適な治療点、すなわち座標(X,Y,Z)及び相対角度αに対応する位置に移動
させて、治療するS7と、を含む。
【0016】
本発明の第3の態様に係る位置決め装置の動作手順は、レーザ位置決めアセンブリによ
って、レーザ交差点により座標(X,Y,Z)及び相対角度αに対応する最適な治療点を
マークするS1と、CCDカメラによって、該レーザ交差点の画面を撮影し、写真を取得
し、画像処理・識別モジュールによって、分析して写真中のレーザ交差点をマークするS
2と、被照射体を載置部材に置いて、医療従事者が位置決めフレームの位置決め点を被照
射体の最適な照射点に位置合わせし、その後にロッキング部材で位置決めフレームの位置
をロッキングするS3と、CCDカメラによって、被照射体が載置部材に位置しかつ位置
合わせアセンブリが所定の位置に調整された画面を撮影し、写真を取得し、次に画像処理
・識別モジュールによって、写真中の位置合わせアセンブリの位置決め点の座標(X1,
Y1)及び相対角度α1を分析して記録し、次に位置決め点とレーザ交差点との間の座標
差分値をX0=X1-X、Y0=Y1-Y、α0=α1-αで計算するS4と、距離測定
アセンブリによって位置決め点とレーザ交差点との距離を測定するS5と、制御アセンブ
リによって、光学検証アセンブリ及び距離測定アセンブリから取得されたデータに基づい
て演算により調整アセンブリの移動軌跡を決定し、次に駆動アセンブリを制御して調整ア
センブリを動かすことにより、載置部材上の被照射体の最適な照射点を最適な治療点、す
なわち座標(X,Y,Z)及び相対角度αに対応する位置に移動させるS6と、を含む。
【0017】
従来の技術に比べて、本実施例に記載の技術手段は、以下の有益な効果を有する。上記
クランプアセンブリが異なるサイズ及び/又は形状の載置部材を取り外し可能に前記調整
アセンブリに固定接続することができるため、本発明の放射線療法システムは、異なる使
用需要に応じて異なる形状及び/又はサイズの上記載置部材を切り替えることにより、体
型及び腫瘍位置の異なる患者に適応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】載置装置及び位置決め装置を除く本発明の放射線療法システムの平面図である。
図2】本発明の放射線療法システムの照射室の概略斜視図である。
図3】本発明の放射線療法システムの載置装置に伝動装置が取り付けられていない場合の概略斜視図である。
図4】本発明の放射線療法システムの平板状の載置部材及び第1の位置決めブロックの概略斜視図である。
図5】本発明の放射線療法システムの第2の位置決めブロック及びロック部材の概略斜視図である。
図6】本発明の放射線療法システムの椅子状の載置部材及び第1の位置決めブロックの概略斜視図である。
図7】本発明の放射線療法システムの平板状の載置部材及び位置合わせアセンブリの概略斜視図である。
図8】本発明の放射線療法システムの伝動装置の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
放射線療法は、癌を治療するための一般的な手段であり、図1図8に示すように、放
射線療法を行う放射線療法システムは、治療用放射線を生成する放射線生成装置1と、放
射線の照射を受ける被照射体を置く照射室2と、照射制御を実施する管理室3と、患者を
転送して載置する載置装置4と、載置装置4の移動軌跡を制御する位置決め装置とを含む
【0020】
図3に示すように、載置装置4は、患者を載置する載置部材41と、載置部材41の空
間位置を調整する調整アセンブリ42と、載置部材41を調整アセンブリ42と取り外し
可能に一体に固定接続するクランプアセンブリ43とを含む。
【0021】
載置部材41は、異なる形状及び/又はサイズに応じて様々な型番、例えば、平板状の
第1の載置部材41’、椅子状の第2の載置部材41’’を有し、体型及び腫瘍位置の異
なる患者に適応するために、第1の載置部材41’及び第2の載置部材41’’は、いず
れも様々なサイズや仕様に設定することができる。例えば、ある患者をある照射角度で照
射する必要があるが、現在の載置部材41が形状及び/又はサイズで照射室2の他の装置
と干渉して所定の位置に調整されない場合、現在の載置部材41を他の形状及び/又はサ
イズの載置部材41に切り替えることにより照射角度の調整を実現し、或いは患者が仰向
けになっている際に、いくつかの部位、例えば後頭部を照射することができない場合、載
置椅子で患者を載置すれば高い治療効果を達成することができる。
【0022】
図4に示すように、載置部材41は、クランプアセンブリ43が取り付けられる第1の
表面411と、患者を支持する第2の表面412とを含む。調整アセンブリ42は、載置
部材41を動かして6自由度で移動することができる。
【0023】
クランプアセンブリ43は、載置部材41の第1の表面411に設置された第1の位置
決めブロック431と、調整アセンブリ42に設置された第2の位置決めブロック432
と、第2の位置決めブロック432に設置され、第2の位置決めブロック432を第1の
位置決めブロック431に対してロックするか又はロック解除するロック部材433とを
含む。具体的には、第1の位置決めブロック431には、第2の位置決めブロック432
が第1の表面411に平行な第1の方向に沿って挿入されるストッパ溝4311と、第1
の表面411に垂直な第2の方向にストッパ溝4311と連通する待避溝4312と、ス
トッパ溝4311と連通し、ロック部材433と嵌合するロック穴4313とが設置され
る。ストッパ溝4311は、第1の方向に第1の位置決めブロック431の1つの面を貫
通して挿入口4314を形成し、第2の位置決めブロック432は、該挿入口4314か
ら第1の方向に沿ってストッパ溝4311に挿入される。
【0024】
第2の位置決めブロック432がストッパ溝4311に挿入される第1の方向を前後方
向、第1の表面411に垂直な第2の方向を上下方向、前後方向(第1の方向)及び上下
方向(第2の方向)のいずれにも直交する方向を左右方向と定義する。ストッパ溝431
1は、待避溝4312と上下方向に連通し、載置部材41から離れる方向に沿って第1の
位置決めブロック431を貫通し、調整アセンブリ42は、待避溝4312を通って第2
の位置決めブロック432に接続される。左右方向において、待避溝4312のサイズが
ストッパ溝4311のサイズ及び第2の位置決めブロック432のサイズより小さいため
、第2の位置決めブロック432は上下方向にストッパ溝4311から離脱しない。
【0025】
図5に示すように、ロック部材433は、第2の位置決めブロック432に固定接続さ
れた装着部4331と、ロック穴4313に挿脱可能なロックピン4332と、ロックピ
ン4332がロック穴4313に挿脱するように駆動する第1の駆動部材4333とを含
む。ロック穴4313は、左右方向に第1の位置決めブロック431を貫通し、ストッパ
溝4311と連通し、ロックピン4332は、ロック穴4313に挿脱することにより前
後方向に第1の位置決めブロック431の第1の位置決めブロック431に対する移動を
選択的に阻止し、ストッパ溝4311は、第1の表面411に平行な前後方向及び左右方
向に第1の位置決めブロック431の1つの面のみを貫通し、ロックピン4332がロッ
ク穴4313に挿入されるとき、第2の位置決めブロック432の第1の位置決めブロッ
ク431に対する前後方向及び左右方向の移動が阻止されるので、調整アセンブリ42が
載置部材41と取り外し可能に固定接続される。
【0026】
ロックピン4332が所定の位置まで移動しないため、第1の位置決めブロック431
及び第2の位置決めブロック432が強固に接続できないことを防止するために、載置装
置4は、ロックピン4332が所定の位置まで移動するか否かを検出することにより、載
置部材41が調整アセンブリ42と効果的に一体に接続されるか否かを確認する検出アセ
ンブリ(図示せず)を更に含む。
【0027】
図2及び図7に示すように、位置決め装置は、レーザ位置決めアセンブリ51と、位置
合わせアセンブリ52と、光学検証アセンブリ(図示せず)と、距離測定アセンブリ(図
示せず)と、調整アセンブリ42を動かして載置部材41を動かす駆動アセンブリ(図示
せず)と、調整アセンブリ42の移動軌跡を制御する制御アセンブリ(図示せず)とを含
む。
【0028】
調整アセンブリ42は、駆動アセンブリにより駆動されて載置部材41を動かして6自
由度で移動する。
【0029】
照射室2内には放射線生成装置1により生成された放射線が射出されるコリメータ21
が設置され、放射線がコリメータ21の出口から射出されて、コリメータ21の中心線と
重なり合う1本のビーム軸線Xが限定される。ビーム軸線Xにおいて、コリメータ21の
出口から15~20CM離れる位置は最適な治療点であり、治療過程において、患者の最
適な照射点を該最適な治療点と重ね合わせる必要がある。
【0030】
図2に示すように、レーザ位置決めアセンブリ51は、異なる方位に設置された少なく
とも2つのレーザ照射部を含み、該少なくとも2つのレーザ照射部は、それぞれ照射室2
の2つの異なる壁に設置され、一般的に、そのうちの1つは照射室2の頂壁に設置される
。該少なくとも2つのレーザ照射部から射出されたレーザは、上記最適な治療点と重なり
合う唯一のレーザ交差点を有する。
【0031】
図7に示すように、位置合わせアセンブリ52は、載置部材41との相対位置が調整可
能な位置決めフレーム521と、載置部材41と位置決めフレーム521との間に接続さ
れて位置決めフレーム521と載置部材41との相対位置を調整する支持ロッド522と
、位置決めフレーム521と載置部材41との相対位置をロッキングするロッキング部材
(図示せず)とを含み、位置決めフレーム521は位置決め点を有する。本発明の開示す
る実施例において、支持ロッド522は、3本の相対回転可能なロッドを有し、3本のロ
ッドの2つずつのロッドの間の相対角度及び位置を調整することにより位置決めフレーム
521の載置部材41に対する位置を調整する。患者が載置部材41に横たわるか又は座
ると、医療従事者が支持ロッド522を調整することにより位置決めフレーム521の位
置決め点を患者の最適な照射点に位置合わせし、その後にロッキング部材で位置決めフレ
ーム521の位置をロックする。
【0032】
光学検証アセンブリは、CCDカメラ及び画像処理・識別モジュールを含む。
【0033】
距離測定アセンブリは、載置部材41の第2の表面412に垂直な方向における位置決
め点とレーザ交差点との距離を測定し、距離測定アセンブリは、レーザ距離計などの常用
の距離計であってもよい。
【0034】
CCDカメラは、関連する画面を撮影し、画像処理・識別モジュールは、CCDカメラ
が撮影した画面中のある点の座標及び相対角度を分析する。
【0035】
位置決め装置の動作過程は以下のとおりである。
【0036】
S1では、レーザ位置決めアセンブリ51によって、レーザ交差点により座標(X,Y
,Z)及び相対角度αに対応する最適な治療点をマークし、
S2では、CCDカメラによって、該レーザ交差点の画面を撮影し、写真を取得し、画
像処理・識別モジュールによって、分析して写真中のレーザ交差点をマークし、
S3では、患者が載置部材41に横たわるか又は座り、医療従事者が支持ロッド522
を調整することにより位置決めフレーム521の位置決め点を患者の最適な照射点に位置
合わせし、その後にロッキング部材で位置決めフレーム521の位置をロッキングし、
S4では、CCDカメラによって、患者が載置部材41に横たわるか又は座り、かつ位
置合わせアセンブリ52が所定の位置に調整された画面を撮影し、写真を取得し、次に画
像処理・識別モジュールによって、写真中の位置合わせアセンブリ52の位置決め点の座
標(X1,Y1)及び相対角度α1を分析して記録し、次に位置決め点とレーザ交差点と
の間の座標差分値をX0=X1-X、Y0=Y1-Y、α0=α1-αで計算し、
S5では、制御アセンブリによって、光学検証アセンブリから取得された座標差分値に
基づいて演算により調整アセンブリ42の移動軌跡を決定し、次に駆動アセンブリを制御
して調整アセンブリ42を動かすことにより、載置部材41上の患者の最適な照射点を座
標(x,y)及び相対角度αに対応する位置に移動させ、
S6では、距離測定アセンブリによって、載置部材41の第2の表面412に垂直な方
向の位置決め点とレーザ交差点との距離を測定し、
S7では、制御アセンブリによって、距離測定アセンブリから取得されたデータに基づ
いて演算により調整アセンブリ42の移動軌跡を決定し、次に駆動アセンブリを制御して
調整アセンブリ42を動かすことにより、載置部材41上の患者の最適な照射点を最適な
治療点、すなわち座標(X,Y,Z)及び相対角度αに対応する位置に移動させて、治療
する。
【0037】
ステップS3を行う前に、目視で載置部材41をレーザ交差点に近い位置に移動させて
もよく、該位置は医療従事者によって経験に基づいて患者の体型、最適な照射点などを合
わせて決定される。
【0038】
ステップS5の前にステップS6を行ってもよく、このような場合に、ステップS5及
びステップS7を統合して載置部材41を座標(X,Y,Z)及び相対角度αに対応する
位置に直接的に調整する。
【0039】
以上の動作過程において、調整アセンブリ42上のある点を座標原点に設定し、当然の
ことながら、座標原点は他の任意の1つの点に設定されてもよい。
【0040】
本発明の開示する実施例において、位置決めフレーム521は、十字位置決めフレーム
であり、位置決め点は十字交差点であり、他の実施形態において、位置決めフレーム52
1はV字状位置決めフレームなどであってもよく、位置決め点は任意の位置決めフレーム
の任意のマーク点であってもよい。
【0041】
図8に示すように、照射室2内に様々な装置が存在するため、調整アセンブリ42があ
る位置でこれらの装置と干渉して調整アセンブリ42の移動軌跡に一定の制限をもたらす
可能性があるため、患者の最適な照射点が最適な治療点に移動できなくなる。本発明の他
の実施例において、調整アセンブリ42と載置部材41との間に伝動装置6が設置される
ことにより、載置部材41が調整アセンブリ42に対して移動して患者の最適な照射点が
最適な治療点まで最大限に移動できることを保証する。
【0042】
本発明の開示する実施例において、伝動装置6は、第2の位置決めブロック432と調
整アセンブリ42との間に設置され、調整アセンブリ42に固定接続された基板61と、
基板61に設置されたガイド部材62と、ガイド部材62に対して摺動できるスライダ6
3と、スライダ63と第2の位置決めブロック432との間に接続された駆動ブロック6
4と、駆動ブロック64を動かす第2の駆動部材65とを含む。
【0043】
ガイド部材62は、互いに平行に設置された2つの離間するガイドレールであり、スラ
イダ63は、ガイドレールに跨っており、駆動ブロック64は、第2の位置決めブロック
432に固定接続され、第2の駆動部材65とスライダ63との間に接続され、第2の駆
動部材65は、好ましくはモータであり、シリンダであってもよく、第2の駆動部材65
は、駆動ブロック64を動かしてスライダ63がガイド部材62によって限定された方向
に沿って移動するように駆動し、駆動ブロック64は、同時に第2の位置決めブロック4
32を動かして載置部材41を調整アセンブリ42に対してガイド部材62の所定の軌跡
上で移動させる。載置部材41と調整アセンブリ42とは相対的に移動可能であり、載置
部材41の移動範囲を30%向上させることにより、治療可能な範囲を増大させることが
できる。
【0044】
本発明の開示する実施例において、調整アセンブリ42は、ロボットアームであり、他
の実施形態において、調整アセンブリ42は、ブラケットなどの構造に設置されてもよい
【0045】
他の実施形態において、駆動ブロック64を設置せず、駆動ブロック64の代わりに第
2の位置決めブロック432を採用してもよく、他の実施例において、伝動装置6は、載
置部材41と第1の位置決めブロック431との間に設置されてもよく、また、伝動装置
6は、載置部材41と第1の位置決めブロック431との間に設置されてもよく、この場
合、伝動装置6と第1の位置決めブロック431を一体に設置し、そして迅速に着脱可能
な方式で伝動装置6と載置部材41とを一体に接続してもよい。
【0046】
本発明では、クランプアセンブリ43を採用して載置部材41と調整アセンブリ42と
を迅速に着脱することにより、実際の使用需要に応じて載置部材41のサイズ及び形状を
自由に切り替えることができ、放射線療法システムが体型及び腫瘍位置の異なる患者に適
応し、治療照射範囲を増加させ、効率を向上させ、操作者が照射室2に立ち入る時間を減
少させることができる。
【0047】
載置部材41が位置決め装置により自動的に、迅速に所定の位置に移動し、治療効率を
向上させ、操作者が照射室2に立ち入る時間を減少させる。
【0048】
載置部材41と調整アセンブリ42との間に伝動装置6が設置されることにより、載置
部材41と調整アセンブリ42とは相対的に移動可能となり、載置部材41の移動範囲を
30%向上させることにより、治療可能な範囲を増大させることができる。
【0049】
中性子捕捉療法は、がん治療の有効な手段として、近年の応用が増えてきており、ホウ
素中性子捕捉療法は最も一般的であり、ホウ素中性子捕捉療法に用いられる中性子は、原
子炉又は加速器から供給することができる。好ましくは、上記放射線は中性子線であり、
放射線生成装置1は中性子線生成装置であり、放射線療法システムは中性子捕捉療法シス
テムであり、より好ましくは、中性子捕捉療法システムは加速器ホウ素中性子捕捉療法シ
ステムである。
【0050】
本発明に開示される放射線療法システム及び載置台は、以上の実施例に記載の内容及び
図面に示す構造に限定されない。本発明に基づいて、構成要素の材料、形状及び位置に対
する明らかな変更、代替又は修正は、いずれも本発明の特許請求の範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療用放射線を生成する放射線生成装置と、放射線の照射を受ける被照射体を置く照射室と、照射制御を実施する管理室と、被照射体を転送して載置する載置装置とを含み、前記載置装置は、被照射体を載置する載置部材と、前記載置部材の空間位置を調整する調整アセンブリと、載置部材を調整アセンブリと取り外し可能に一体に固定接続するクランプアセンブリとを含み、前記載置部材は、第1の載置部材と、前記第1の載置部材のサイズ及び/又は形状と異なる第2の載置部材とを少なくとも含む、ことを特徴とする放射線療法システム。