(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029238
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】過熱蒸気発生装置および加熱調理装置
(51)【国際特許分類】
F22B 1/28 20060101AFI20240227BHJP
F24C 1/00 20060101ALI20240227BHJP
F22G 3/00 20060101ALI20240227BHJP
【FI】
F22B1/28 A
F24C1/00 320B
F22G3/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024003654
(22)【出願日】2024-01-15
(62)【分割の表示】P 2022539874の分割
【原出願日】2020-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】592162391
【氏名又は名称】愛知電熱株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】弁理士法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 良成
(72)【発明者】
【氏名】上野 稔
(72)【発明者】
【氏名】永井 一好
(72)【発明者】
【氏名】平野 正和
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 崇
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 智彦
(57)【要約】
【課題】過熱蒸気の単位時間当たりの発生量を向上させる。
【解決手段】過熱蒸気発生装置は、液体からミストを発生させるミスト発生部と、ミスト発生部によって発生したミストが流入する流入口側から、流入口よりも高い位置に位置する流出口側に向かって延びている上昇流路を有する流路部と、上昇流路内に、流入口から流出口に向かう上昇気流を発生させる気流発生部と、上昇流路内に配置され、上昇流路に流入するミストを加熱して過熱蒸気を発生させる過熱蒸気発生用ヒータと、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体からミストを発生させるミスト発生部と、
前記ミスト発生部によって発生したミストが流入する流入口側から、前記流入口よりも高い位置に位置する流出口側に向かって延びている上昇流路を有する流路部と、
前記上昇流路内に、前記流入口から前記流出口に向かう上昇気流を発生させる気流発生部と、
前記上昇流路内に配置され、前記上昇流路に流入するミストを加熱して過熱蒸気を発生させる過熱蒸気発生用ヒータと、
を備える、
過熱蒸気発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の過熱蒸気発生装置であって、
さらに、前記ミスト発生部によって発生したミストが供給される内部空間を有する収容部を備え、
前記流路部は、前記内部空間に配置され、下側が前記内部空間に開口し、上側が前記収容部の外部に開口している内管を含んでおり、
前記過熱蒸気発生用ヒータの少なくとも一部は、前記内管内に配置されており、
前記気流発生部は、前記内部空間に配置され、前記内管の周囲を囲む外管であって、上側と下側との両方が前記内部空間に開口している外管を備え、前記過熱蒸気発生用ヒータの加熱による前記内管の内と外との温度差に起因する圧力差によって前記内管内に前記上昇気流を発生させる構成である、
過熱蒸気発生装置。
【請求項3】
請求項2に記載の過熱蒸気発生装置であって、
前記過熱蒸気発生用ヒータの少なくとも一部は、前記内管の軸方向に延びる棒状体であり、
前記過熱蒸気発生用ヒータと前記内管の内壁との間には金属体が配置されている、
過熱蒸気発生装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の過熱蒸気発生装置であって、
前記過熱蒸気発生用ヒータの少なくともは、前記内管の前記下側から前記内管内に向かって伸びる棒状である、
過熱蒸気発生装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4までのいずれか一項に記載の過熱蒸気発生装置であって、
さらに、前記収容部の外部に配置された二次加熱部であって、前記内管に連通する伝達流路と、前記伝達流路から外部に開口する放出口とが形成された二次加熱部を備え、
前記過熱蒸気発生用ヒータは、前記内管内に配置される一次加熱ヒータと、前記伝達流路に配置されるとともに発熱温度が前記一次加熱ヒータよりも低い二次加熱ヒータと、を含んでいる、
過熱蒸気発生装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の過熱蒸気発生装置であって、
前記ミスト発生部は、液体を収容するタンクと、前記タンクの液体内に配置された超音波振動子と、前記タンク内にエアを注入するとともにエアの風量を変更可能なエア注入部を備える、
過熱蒸気発生装置。
【請求項7】
食材に加熱処理を施す加熱調理装置であって、
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の過熱蒸気発生装置と、
前記過熱蒸気発生装置によって発生した過熱蒸気が供給される加熱室を有する調理部と、
前記加熱室内に配置された食材を加熱する調理用ヒータと、
を備える、
加熱調理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の加熱調理装置であって、
前記過熱蒸気発生装置は、前記加熱室を構成する天井壁および側壁の少なくとも一方を含む対向壁に向けて過熱蒸気を出力する構成であり、
前記対向壁の形状は、過熱蒸気を前記加熱室内に還流させる曲面形状である、
加熱調理装置。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の加熱調理装置であって、
前記調理部は、前記加熱室が入口と出口とのそれぞれを介して外部に開口している構成であり、
前記加熱調理装置は、さらに、前記入口から前記出口に向けて食材を搬送する搬送部を備える、
加熱調理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、過熱蒸気発生装置および加熱調理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水から発生させたミストを加熱することによって過熱蒸気(過熱水蒸気ともいう)を発生させる過熱蒸気発生装置が知られている(例えば特許文献1参照)。このような構成であれば、例えば水を沸騰させて発生した水蒸気を加熱することによって過熱蒸気を発生させる構成に比べて、低エネルギーで過熱蒸気を発生させることができる。具体的には、この過熱蒸気発生装置では、水タンク内に備えられたミスト発生器によって発生したミストが、水タンクの上部開口部を通じて過熱部に移動し、この過熱部に備えられたヒータによって加熱されることで過熱蒸気が発生する。例えば、食材が配置された加熱室内に過熱蒸気を供給して食材に対して低酸素処理を施すことにより、食材の酸化を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ミストは、あくまでも微粒子の液体であり、空気よりも重い。このため、ミスト発生器によるミストの発生量に対して、水タンクの上部開口部から過熱部に移動するミストの移動量が相対的に少なく、この結果、過熱部にて十分な量の過熱蒸気を発生させることができないおそれがある。十分な量の過熱蒸気を発生させることができなければ、例えば、加熱室への過熱蒸気の供給量の不足によって食材の酸化を抑制できない等の問題が生じる。
【0005】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本明細書に開示される過熱蒸気発生装置は、液体からミストを発生させるミスト発生部と、前記ミスト発生部によって発生したミストが流入する流入口側から、前記流入口よりも高い位置に位置する流出口側に向かって延びている上昇流路を有する流路部と、前記上昇流路内に、前記流入口から前記流出口に向かう上昇気流を発生させる気流発生部と、前記上昇流路内に配置され、前記上昇流路に流入するミストを加熱して過熱蒸気を発生させる過熱蒸気発生用ヒータと、を備える。
【0008】
本過熱蒸気発生装置では、ミスト発生部によって発生したミストは、上昇流路内に生じる上昇気流によって上昇気流内を上昇しつつ、過熱蒸気発生用ヒータによって加熱されることにより過熱蒸気となる。すなわち、ミスト、および、ミストから発生した過熱蒸気(ミストの発生量、発熱温度や上昇気流の流速等の条件によって飽和水蒸気を含む場合もある)は、上昇流路内において、上昇気流によって重力に抗して上昇するため、比較的に高い濃度(密度)を保ったまま流出口側へと移動する。これにより、本過熱蒸気発生装置では、水平方向に延びる流路を移動するミストを加熱する構成に比べて、過熱蒸気の単位時間当たりの発生量を向上させることができる。
【0009】
(2)上記過熱蒸気発生装置において、さらに、前記ミスト発生部によって発生したミストが供給される内部空間を有する収容部を備え、前記流路部は、前記内部空間に配置され、下側が前記内部空間に開口し、上側が前記収容部の外部に開口している内管を含んでおり、前記過熱蒸気発生用ヒータの少なくとも一部は、前記内管内に配置されており、前記気流発生部は、前記内部空間に配置され、前記内管の周囲を囲む外管であって、上側と下側との両方が前記内部空間に開口している外管を備え、前記過熱蒸気発生用ヒータの加熱による前記内管の内と外との温度差に起因する圧力差によって前記内管内に前記上昇気流を発生させる構成である構成としてもよい。本過熱蒸気発生装置では、過熱蒸気発生用ヒータの加熱による内管の内と外との温度差に起因する圧力差によって内管内に上昇気流が発生する。これにより、例えばエア等を上昇流路内に直接供給して上昇気流を発生させる構成に比べて、エア等による内管内の温度低下に起因するエネルギー損失を抑制しつつ、過熱蒸気の単位時間当たりの発生量を向上させることができる。
【0010】
(3)上記過熱蒸気発生装置において、前記過熱蒸気発生用ヒータの少なくとも一部は、前記内管の軸方向に延びる棒状体であり、前記過熱蒸気発生用ヒータと前記内管の内壁との間には金属体が配置されている構成としてもよい。本過熱蒸気発生装置によれば、内管内(上昇流路内)において、上昇気流は、加熱された金属体に衝突しつつ更に上方へと流れる。このため、この上昇気流に含まれるミストや飽和水蒸気(湿り蒸気、乾き蒸気)は、加熱された金属体によって効率よく加熱されることにより、単位時間当たりの過熱蒸気の発生量をさらに向上させることができる。
【0011】
(4)上記過熱蒸気発生装置において、前記過熱蒸気発生用ヒータの少なくともは、前記内管の前記下側から前記内管内に向かって伸びる棒状である構成としてもよい。この本過熱蒸気発生装置によれば、過熱蒸気発生用ヒータが内管の下側に位置していない構成に比べて、内管の下側に存在する多量のミストを加熱して過熱蒸気を発生させて内管内に効率よく引き込むことができる。
【0012】
(5)上記過熱蒸気発生装置において、さらに、前記収容部の外部に配置された二次加熱部であって、前記内管に連通する伝達流路と、前記伝達流路から外部に開口する放出口とが形成された二次加熱部を備え、前記過熱蒸気発生用ヒータは、前記内管内に配置される一次加熱ヒータと、前記伝達流路に配置されるとともに発熱温度が前記一次加熱ヒータよりも低い二次加熱ヒータと、を含んでいる構成としてもよい。この本過熱蒸気発生装置によれば、過熱蒸気発生用ヒータが単一のヒータである構成に比べて、過熱蒸気の放出側の温度を低減させつつ、過熱蒸気の単位時間当たりの発生量を向上させることができる。
【0013】
(6)上記過熱蒸気発生装置において、前記ミスト発生部は、液体を収容するタンクと、前記タンクの液体内に配置された超音波振動子と、前記タンク内にエアを注入するとともにエアの風量を変更可能なエア注入部を備える構成としてもよい。この本過熱蒸気発生装置によれば、エア注入部からタンク内へのエアの風量を変更することによって過熱蒸気の単位時間当たりの発生量を調整することができる。
【0014】
(7)上記加熱調理装置において、食材に加熱処理を施す加熱調理装置であって、請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の過熱蒸気発生装置と、前記過熱蒸気発生装置によって発生した過熱蒸気が供給される加熱室を有する調理部と、前記加熱室内に配置された食材を加熱する調理用ヒータと、を備える構成としてもよい。本加熱調理装置によれば、過熱蒸気発生装置から加熱室内に大量の過熱蒸気を供給して、過熱蒸気の濃度が高い雰囲気で食材に加熱処理を施すことができる。
【0015】
(8)上記加熱調理装置において、前記過熱蒸気発生装置は、前記加熱室を構成する天井壁および側壁の少なくとも一方を含む対向壁に向けて過熱蒸気を出力する構成であり、前記対向壁の形状は、過熱蒸気を前記加熱室内に還流させる曲面形状である構成としてもよい。本加熱調理装置によれば、過熱蒸気による圧力が食材に付与されることを抑制しつつ、過熱蒸気の濃度が高い雰囲気で食材に加熱処理を施すことができる。
【0016】
(9)上記加熱調理装置において、前記調理部は、前記加熱室が入口と出口とのそれぞれを介して外部に開口している構成であり、前記加熱調理装置は、さらに、前記入口から前記出口に向けて食材を搬送する搬送部を備える構成としてもよい。本加熱調理装置によれば、いわゆるトンネル式の加熱室を有する構成においても、過熱蒸気の濃度が高い雰囲気で食材に加熱処理を施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態における加熱調理装置10の構成を概略的に示す斜視図
【
図2】
図1のII-IIの位置における加熱調理装置10の断面構成を示す説明図
【
図3】過熱蒸気発生装置100の構成を概略的に示す斜視図
【
図4】過熱蒸気発生装置100の上面構成を概略的に示す斜視図
【
図5】
図3のV-Vの位置における過熱蒸気発生装置100の断面構成を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
A.実施形態:
A-1.加熱調理装置10の基本構成:
図1は、実施形態における加熱調理装置10の構成を概略的に示す斜視図であり、
図2は、
図1のII-IIの位置における加熱調理装置10の断面構成を示す説明図である。
図2には、加熱調理装置10におけるX1部分が拡大して示されている。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸方向は、加熱調理装置10の上下方向であるとし、Y軸方向は、後述の搬送部40の搬送方向であるとし、X軸方向は、搬送幅方向であるとする。
図3以降も同じである。
【0019】
加熱調理装置10は、入口36と出口37とが形成された加熱室S1内に過熱蒸気G3を供給して加熱室S1内を過熱蒸気G3の体積率が高い高濃度過熱蒸気雰囲気としつつ、加熱室S1内に順次搬送される大量の食材に加熱処理を施すための装置である。
【0020】
図1および
図2に示すように、加熱調理装置10は、架台20と、調理部30と、搬送部40と、制御部22と、過熱蒸気発生装置100と、を備える。
【0021】
架台20は、枠体24と複数本の脚25と棚板26とを備える。枠体24は、所定の水平方向(
図1では搬送方向Y)に延びている長方形状の枠体である。各脚25は、枠体24の各角部から下方に延びている。棚板26は、水平方向に平行な矩形板状体であり、枠体24よりも下方の位置において、複数の脚25に固定されている。枠体24と棚板26との間に形成された設置用空間に制御部22が配置されている。
【0022】
調理部30は、調理室カバー32を備える。調理室カバー32は、架台20上に配置されている。調理室カバー32の内部には、加熱室S1が形成されている。加熱室S1は、搬送方向Yの前後の両側が開口したトンネル式の炉である。
【0023】
具体的には、調理室カバー32は、天井壁33と入口側壁34と出口側壁35とを有する。天井壁33は、水平方向に平行であり、かつ、搬送方向Yに延びている長方形状の板状体であり、架台20の枠体24の上方に配置されている。入口側壁34は、搬送方向入口側(
図1ではY軸正方向側)において架台20と天井壁33との間に配置されている。入口側壁34には、入口36が形成されている(
図2参照)。出口側壁35は、搬送方向出口側(
図1ではY軸負方向側)において架台20と天井壁33との間に配置されている。出口側壁35には、出口37が形成されている。これにより、調理部30では、加熱室S1が入口36と出口37とのそれぞれを介して外部に開口している。
【0024】
搬送部40は、加熱室S1を貫通するように設けられ、複数の食材(図示しない)を入口36から出口37に向けて順次搬送するコンベア装置である。搬送部40は、駆動部44と従動部46とベルト48とを備える(
図1参照)。駆動部44は、出口37側に配置され、駆動ローラおよびモータを有する。従動部46は、入口36側に配置され、従動ローラを有する。ベルト48は、例えば金属製(ステンレス製等)のメッシュ材によって構成されたエンドレス(無端)の網ベルトであり、駆動ローラと従動ローラとの間に架設されている。搬送部40が起動されると、ベルト48上に配置された複数の食材が入口36を介して加熱室S1内に搬入され、加熱室S1内を所定の速度で移動し、出口37を介して外部に搬出される。
【0025】
加熱室S1は、搬送方向Yに並ぶ複数のゾーン(例えば4つのゾーン)に分けられており、各ゾーンには、上側ヒータ164と下側ヒータ166とが設けられている。上側ヒータ164は、ベルト48(搬送部40)の上側に配置されており、下側ヒータ166は、ベルト48の下側に配置されている。本実施形態では、ゾーン毎に、そのゾーンに設けられた上側ヒータ164と下側ヒータ166との温度制御を個別に行うことができる。また、ゾーンごとに過熱蒸気発生装置100が設けられている。上側ヒータ164と下側ヒータ166とは、特許請求の範囲における調理用ヒータの一例である。
【0026】
A-2.過熱蒸気発生装置100の構成:
図3は、過熱蒸気発生装置100の構成を概略的に示す斜視図であり、
図4は、過熱蒸気発生装置100の上面構成を概略的に示す斜視図である。
図4には、過熱蒸気発生装置100におけるX2部分が拡大して示されている。
図5は、
図3のV-Vの位置における過熱蒸気発生装置100の断面構成を示す説明図である。
【0027】
図3から
図5に示すように、過熱蒸気発生装置100は、ミスト発生部110と、ミスト加熱部120と、二次加熱部130と、を備える。
【0028】
ミスト発生部110は、液体W(例えば水)からミストG1を発生されるための装置である。ミストG1は、霧状の液体(飛沫)であり、例えば、大気中に浮遊する直径10μm以下の液体の微粒子とすることができる。ミスト発生部110は、タンク112と、超音波振動子114と、風量ファン116と、を備える。タンク112は、内部に貯留室S2が形成されており、その貯留室S2に液体Wが貯留される(
図3および
図5参照)。超音波振動子114は、タンク112内に収容された液体W中に配置されており、超音波振動子114を振動させることにより、液体WからミストG1が発生する(
図5参照)。本実施形態では、
図3および
図4に示すように、タンク112(貯留室S2)は、上下方向視で、所定方向(
図1では搬送方向Y)に長い箱体であり、タンク112内には、搬送方向Yに並ぶように2つの超音波振動子114が配置されている。
【0029】
タンク112の上部には、ミスト出口113が形成されており、タンク112内で発生したミストG1は、ミスト出口113を介してタンク112の外部に排出される。なお、タンク112内における液体Wの上の空間は、発生したミストG1が充満する程度の比較的に小さい体積を有する。風量ファン116は、例えばタンク112の側壁に設けられており、タンク112における液体Wの上の空間内にエアF1(外気)を注入する(
図5参照)。風量ファン116は、例えばシロッコファンである。風量ファン116のファンの回転速度(風量)は、上述の制御部22によって制御可能とされており、ファンの回転速度が変更されることにより、単位時間当たりにタンク112内に注入されるエアF1の量(以下、「エア風量」という)が変更される。エア風量が多いほど、単位時間当たりにタンク112からミスト加熱部120側に放出されるミストG1の量が多くなる。
【0030】
ミスト加熱部120は、ミスト滞留部121と、二重管150と、ミスト加熱用ヒータ160と、を備える。ミスト滞留部121は、内部に滞留室S3が形成されている。ミスト滞留部121は、例えば断熱性の材料により形成されている。滞留室S3の底面には、ミスト供給口122が形成されており、ミスト供給口122は、連結管140を介してタンク112のミスト出口113に連通している。このため、ミスト発生部110により発生したミストG1は、滞留室S3に供給され、滞留室S3内で滞留(対流)する。本実施形態では、
図4に示すように、ミスト滞留部121(滞留室S3)は、上下方向Z視で、タンク112よりも搬送方向Yの幅が狭く、かつ、搬送幅方向Xに長い箱体であり、2つの超音波振動子114に対して中央に位置するように配置されている。このような構成により、2つの超音波振動子114のそれぞれによって発生した略同量のミストG1が、連結管140を介して集められて滞留室S3内へと供給される。ミスト滞留部121は、特許請求の範囲における収容部の一例であり、滞留室S3は、特許請求の範囲における内部空間の一例である。
【0031】
二重管150は、滞留室S3内において上下方向Zに延びるように配置されている。上下方向Z視で、二重管150は、ミスト供給口122とは異なる位置に配置されている(
図3および
図4参照)。二重管150は、外管152と内管154とを備える二重管構造を有する。外管152は、上下方向に直線状に延びる管状体である。外管152の形状は、円筒状であるが、角筒状などでもよい。外管152の上端は、滞留室S3の天井壁よりも下方の位置で滞留室S3内に開口している(
図3および
図5参照)。外管152の下端部の外周面には、ミスト導入口156が開口形成されている。ミスト導入口156は、外管152の下端部の外周面のうち、ミスト供給口122側に形成されている。外管152の下端部の外周面のうち、ミスト供給口122とは反対側は、滞留室S3の底面まで延びており開口していない。このため、ミスト出口113に供給されたミストG1は、ミスト導入口156を介して二重管150内に効率よく流入する。
【0032】
内管154は、上下方向に直線状に延びる管状体である。内管154の形状は、円筒状であるが、角筒状などでもよい。内管154は、外管152の内周側において、外管152と同軸上に配置されている。外管152と内管154との間には、外管152の下端側から上端側まで連通するサブ流路R2が形成されている。内管154の上端は、滞留室S3の天井壁を貫通してミスト滞留部121の外部に突出している。なお、内管154の外周面と滞留室S3との天井面との間は密閉されている。内管154の下端は、外管152のミスト導入口156よりも上方に位置している。内管154は、特許請求の範囲における流路部の一例であり、内管154の下端開口は、特許請求の範囲における流入口の一例であり、内管154の上端開口は、特許請求の範囲における流出口の一例である。なお、外管152と内管154とは、例えば金属(ステンレス等)によって形成されている。
【0033】
ミスト加熱用ヒータ160は、内管154の内周側の空間(以下、「上昇流路S4」という)に配置されている。ミスト加熱用ヒータ160は、上下方向Z(内管154の軸方向)に延びる棒状の発熱体であり、ミスト加熱用ヒータ160の外径は、内管154の内径よりも小さい。このため、内管154の内壁とミスト加熱用ヒータ160との間には、外管152の下端側から上端側まで連通するメイン流路R1が形成されている。ミスト加熱用ヒータ160は、内管154の下側から内管154内に向かって延びている。具体的には、ミスト加熱用ヒータ160は、ミスト導入口156から露出する位置まで延びている。さらに、ミスト加熱用ヒータ160は、滞留室S3の底面まで延びている。なお、ミスト加熱用ヒータ160の上端の位置は、外管152の上端の位置よりも低い。外管152とミスト加熱用ヒータ160とは、特許請求の範囲における気流発生部の一例であり、ミスト加熱用ヒータ160は、特許請求の範囲における一次加熱ヒータの一例である。
【0034】
内管154の内壁とミスト加熱用ヒータ160の外周面との間には、金属体が配置されている。金属体の上下方向Zの長さは、ミスト加熱用ヒータ160の上下方向Zの長さより短い。金属体は、例えば伝熱性の高い金属により形成された金属の塊である。具体的には、金属体は、複数の金属球170である。複数の金属球170は、ミスト加熱用ヒータ160の周囲を囲むように周方向に離間しつつ配列されている。各金属球170は、メイン流路R1内に球状の表面を露出させつつ支持部材(図示しない)により支持されている。各金属球170は、少なくとも、内管154の流入口側の表面が露出していることが好ましい。金属球170の形状は、球状に限らず、例えば円柱状などでもよく、要するに球面または曲面を有する形状でもよい。
【0035】
二次加熱部130は、ミスト滞留部121の外部に配置されている。二次加熱部130は、伝熱部312と、二次加熱ヒータ162と、を備える。伝熱部312は、全体として搬送幅方向Xに延びており、内部に伝達流路S5が形成された筒状である。伝熱部312の基端側は、内管154の上端に連結管142を介して連結されており、伝熱部312の先端側は、調理部30の加熱室S1内に配置されている(
図2参照)。伝熱部312の先端側は、加熱室S1を形成する天井壁38側に曲げられており、伝熱部312の先端面には、伝達流路S5から加熱室S1に開口する放出口133が、天井壁38に向けて開口している。
【0036】
二次加熱ヒータ162は、伝熱部312の伝達流路S5内に配置されている。二次加熱ヒータ162は、搬送幅方向Xに延びる棒状の発熱体であり、二次加熱ヒータ162の外径は、伝熱部312の内径よりも小さい。このため、伝熱部312の内壁と二次加熱ヒータ162との間には、二次加熱ヒータ162の基端側から先端側まで連通する流路が形成されている。ミスト加熱用ヒータ160と二次加熱ヒータ162とは、特許請求の範囲における加熱蒸気発生用ヒータの一例である。
【0037】
なお、過熱蒸気発生装置100には、3つの固定部材101が設けられており、ミスト発生部110とミスト加熱部120とは、加熱室S1の外部(搬送幅方向Xの一方側)において、固定部材101を介して架台20および調理部30に対して固定されている。
【0038】
図2に示すように、伝熱部312の放出口133が向けられた天井壁38の形状は、過熱蒸気G3を加熱室S1内に還流させる曲面形状である。具体的には、天井壁38には、水平方向(例えば搬送方向Y)視で、下方に開口した円弧形状の表面を有する均熱板39が設けられている。均熱板39の表面は、鏡面加工されている。
【0039】
A-3.加熱調理装置10の動作:
加熱調理装置10が起動されると、制御部22が加熱調理装置10の各部の制御を行う。例えば、過熱蒸気発生装置100は、過熱蒸気G3を調理部30の加熱室S1に発生させる。具体的には、
図5に示すように、超音波振動子114の振動によってタンク112内に貯留された液体WからミストG1が発生する。液体WおよびミストG1の温度は、例えば30℃以上、40℃以下である。制御部22は、超音波振動子114の振動周波数を変更することにより、ミストG1の単位時間当たりの発生量を調整することができる。発生したミストG1は、タンク112の貯留室S2における液体Wの上の空間に充満しつつ、連結管140を介してミスト加熱部120の滞留室S3内に移動する。
【0040】
タンク112に設けられた風量ファン116によって貯留室S2内に注入されるエアF1は、貯留室S2内で対流しつつ、連結管140を介して滞留室S3に流れ込む気流を発生させる。貯留室S2内に発生したミストG1は、エアF1の気流によって滞留室S3へと効率よく流れ込む。ここで、連結管140内の流路断面(XY断面積)は、貯留室S2のXY断面積と滞留室S3のXY断面積とのいずれよりも狭い。このように、貯留室S2と滞留室S3との間に流路面積を狭める連結管140が設けられていることにより、滞留室S3で加熱された後述の準過熱蒸気G2が貯留室S2に逆流することが抑制される。これにより、例えば、逆流した準過熱蒸気G2によってタンク112内の液体Wの温度が上昇して超音波振動子114が故障することを抑制することができる。
【0041】
滞留室S3に流れ込んだミストG1は、滞留室S3内で対流(滞留)する。滞留室S3内で対流するミストG1は、二重管150の内管154内に発生する上昇気流F2によってメイン流路R1内に引き込まれつつミスト加熱用ヒータ160によって加熱されることにより、準過熱蒸気G2が発生する。準過熱蒸気G2は、過熱蒸気の体積率が後述の過熱蒸気G3に比べて低く、飽和蒸気(湿り蒸気、渇き蒸気)やミストG1も多く含む。ミスト加熱用ヒータ160の発熱温度は、例えば450℃以上、550℃以下の温度であり、準過熱蒸気G2の温度は、例えば100℃以上、200℃以下である。
【0042】
具体的には、ミスト加熱用ヒータ160を発熱させると、内管154の上昇流路S4内において、ミスト加熱用ヒータ160の周囲のメイン流路R1と、メイン流路R1(ミスト加熱用ヒータ160)より上側の空間との間の温度差に起因する圧力差によって上昇気流F2が発生する。
【0043】
また、内管154の周囲が外管152に囲まれることによってサブ流路R2が形成されており、これにより、上昇気流F2の勢いがさらに強くなっている。この要因は定かでないが、次のようなことが考えられる。すなわち、内管154の内周側のメイン流路R1と外周側のサブ流路R2とで温度差が生じ、その温度差に起因して圧力差が生じる。相対的に圧力が高いメイン流路R1においてベンチュリ効果が生じることによって、上昇気流F2の勢いが強まると考えられる。
【0044】
二重管150の内管154内に上昇気流F2が発生すると、滞留室S3内において特にミストG1の密度が高い底面付近に滞留するミストG1がミスト導入口156からメイン流路R1内に引き込まれる。引き込まれたミストG1は、ミスト加熱用ヒータ160によって加熱されて準過熱蒸気G2が発生する。準過熱蒸気G2は、上昇気流F2によって重力に抗して上昇するため、比較的に高い濃度(密度 単位体積当たりの準過熱蒸気G2の体積率)を保ったまま二次加熱部130側に移動する。
【0045】
二次加熱部130側に移動した準過熱蒸気G2は、伝達流路S5を移動しつつ二次加熱ヒータ162に加熱されることにより、過熱蒸気G3が発生する。過熱蒸気G3は、過熱蒸気の体積率が準過熱蒸気G2に比べて高く、飽和蒸気(湿り蒸気、渇き蒸気)やミストG1をほとんど含まない。二次加熱ヒータ162の発熱温度は、ミスト加熱用ヒータ160の発熱温度よりも低く、例えば350℃以上、450℃以下であり、過熱蒸気G3の温度は、330℃以上、370℃以下である。二次加熱ヒータ162の発熱温度を極力低くすることにより、二次加熱ヒータ162によって加熱室S1内の食材が焼かれることを抑制することができる。
【0046】
発生した過熱蒸気G3は、伝熱部312の放出口133から天井壁38に向けて放出され、均熱板39によって還流し、滞留室S3内において均一に充満する。ここで、上述したように、加熱室S1は、入口36と出口37とを介して外部に開口したトンネル式の炉であり、加熱室S1内に供給された過熱蒸気G3は、外部に流れ出る。しかし、過熱蒸気発生装置100において過熱蒸気G3の単位時間当たりの発生量が多いため、加熱室S1内を過熱蒸気の体積率が高い高濃度過熱蒸気雰囲気に維持することができる。また、過熱蒸気G3が直接食材に向けて噴射されないので、過熱蒸気G3による圧力が食材に直接付与されることを抑制することができる。
【0047】
搬送部40を起動させて、ベルト48上に食材を順次配置し、上側ヒータ164と下側ヒータ166とを発熱させる。すると、複数の食材は、高濃度過熱蒸気雰囲気の加熱室S1に順次搬送されつつ、上側ヒータ164と下側ヒータ166とによって加熱されて焼かれる。高濃度過熱蒸気雰囲気下では、多量の過熱蒸気G3が食材の表面に付着するとともに食材の内部に浸透しやすい。このため、食材の表面および食材内部が低酸素状態で加熱されることとなり、その結果、食材の酸化を抑制しつつ食材の表面から内部まで全体を均一に焼くことができる。
【0048】
また、上述したように、制御部22は、各ヒータ160,162,164,166の温度制御やオンオフ制御、風量ファン116の風量制御、超音波振動子114の振動周波数制御を実行可能に構成されている。このため、例えばヒータ160,162の温度制御と風量ファン116の風量制御と超音波振動子114の振動周波数制御との少なくとも1つを変更するように制御することにより、ミストG1の単位時間当たりの発生量、準過熱蒸気G2や過熱蒸気G3における過熱蒸気の割合等を調整することができる。これにより、加熱室S1におけるミストG1の発生量を所望の量に調整することができる。さらに、制御部22は、各ヒータ160,162,164,166の温度制御やオンオフ制御、風量ファン116の風量制御、超音波振動子114の振動周波数制御を、ゾーンごとに個別に実行可能である。このため、ゾーンごとに各ヒータの加熱温度やオンオフ、過熱蒸気量等を切り替えることができる。
【0049】
A-4.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の過熱蒸気発生装置100では、ミスト発生部110によって発生したミストG1は、上昇流路S4内に生じる上昇気流F2によって上昇流路S4内を上昇しつつ、ミスト加熱用ヒータ160によって加熱されることにより準過熱蒸気G2となる。すなわち、準過熱蒸気G2は、上昇流路S4内において、上昇気流F2によって重力に抗して上昇するため、比較的に高い濃度(密度)を保ったまま流出口側へと移動する。これにより、本実施形態では、水平方向に延びる流路を移動するミストを加熱する構成に比べて、過熱蒸気G3(準過熱蒸気G2)の単位時間当たりの発生量を向上させることができる。
【0050】
本実施形態では、ミスト加熱用ヒータ160の加熱による内管154の内と外との温度差に起因する圧力差によって内管154内に上昇気流F2が発生する。これにより、例えばエア等を上昇流路内に直接供給して上昇気流を発生させる構成に比べて、エア等による内管154内の温度低下に起因するエネルギー損失を抑制しつつ、過熱蒸気G3(準過熱蒸気G2)の単位時間当たりの発生量を向上させることができる。
【0051】
ミスト加熱用ヒータ160は、内管154の軸方向に延びる棒状体であり、ミスト加熱用ヒータ160と内管154の内壁との間には金属球170が配置されている。内管154内(上昇流路S4内)において、上昇気流F2は、加熱された金属球170に衝突しつつ更に上方へと流れる。このため、この上昇気流F2に含まれる準過熱蒸気G2は、加熱された金属球170によって効率よく加熱されることにより、過熱蒸気G3(準過熱蒸気G2)の単位時間当たりの発生量をさらに向上させることができる。また、金属球170を設けることにより、ミスト加熱用ヒータ160の上下方向Zの長さを短くしつつ、ミストG1を効果的に加熱して準過熱蒸気G2を発生させることができる。
【0052】
ミスト加熱用ヒータ160は、内管154の下側から内管154内に向かって伸びる棒状である。これにより、ミスト加熱用ヒータ160が内管154の下側に位置していない構成に比べて、内管154の下側に存在する多量のミストG1を加熱して準過熱蒸気G2を発生させて内管154内に効率よく引き込むことができる。
【0053】
過熱蒸気発生用ヒータとして、ミスト加熱用ヒータ160と、発熱温度がミスト加熱用ヒータ160よりも低い二次加熱ヒータ162とを備え、多段階加熱によってミストG1から過熱蒸気G3を発生させる。これにより、過熱蒸気発生用ヒータが単一のヒータである構成に比べて、過熱蒸気G3の放出側の温度を低減させつつ、過熱蒸気G3の単位時間当たりの発生量を向上させることができる。
【0054】
風量ファン116からタンク112内へのエアF1の単位時間当たりの風量を変更することによって過熱蒸気G3の単位時間当たりの発生量を調整することができる。
【0055】
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0056】
上記実施形態における加熱調理装置10や過熱蒸気発生装置100の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、流路部(上昇流路)として、上下方向Zに延びる内管154(上昇流路S4)を例示したが、上下方向Zに対して傾斜した斜め方向に延びる内管でもよい。また、流路部(上昇流路)は、直線状に限らず、曲線状でもよい。また、流路部は、上昇流路の両側の少なくとも一方に水平方向に延びる部分を有していてもよい。要するに、流路部は、ミストが流入する流入口側から、流入口よりも高い位置に位置する流出口側に向かって延びている上昇流路を有する構成であればよい。
【0057】
上記実施形態では、加熱室として、入口36と出口37とを介して外部に開口するトンネル式の加熱室S1を例示したが、入口36と出口37との少なくとも一方を有しない構成でもよい。また、加熱室は、複数の3つ以上の開口部を有する構成でもよい。
【0058】
上記実施形態では、加熱調理装置10の加熱室S1は、複数のゾーンに分けられており、各ゾーンに過熱蒸気発生装置100とヒータ164,166とが配置された構成であったが、加熱室S1が複数のゾーンに分けられておらず、過熱蒸気発生装置100とヒータ164,166とを1ずつ備える構成でもよい。また、上記実施形態では、調理用ヒータとして、上側ヒータ164と下側ヒータ166とを例示したが、上側ヒータ164と下側ヒータ166とのいずれか一方だけを備える構成でもよい。
【0059】
上記実施形態では、タンク112の貯留室S2とミスト滞留部121の滞留室S3とが、相対的に流路断面が小さい連結管140を介して連結された構成であったが、貯留室S2と滞留室S3とが、連結管140を介さずに一体化された構成でもよい。また、上記実施形態では、タンク112がミスト滞留部121の下方位置する構成であったが、これに限らず、例えば、タンク112がミスト滞留部121の側方に位置する構成でもよい。
【0060】
上記実施形態では、エア注入部として、シロッコファンを例示したが、プロペラファンなど、他の風量ファンでもよい。また、エアを噴出するとともに、噴出量を調整可能な調整弁を有するエアタンクがタンク112に接続された構成などでもよい。また、ミスト発生部110は、風量ファン116を備えない構成でもよい。また、ミスト発生部110は、1つまたは3つ以上の超音波振動子114を備える構成でもよい。
【0061】
上記実施形態では二重管150は、上下方向Z視でミスト供給口122とは異なる位置に配置されている(
図4参照)。これにより、ミスト発生部110から流れ込むエアF1の勢いをミスト加熱部120の滞留室S3内において抑制しつつミストG1を十分に滞留させることにより、多くのミストG1を二重管150に引き込むことができる。ただし、上記実施形態において、二重管150は、上下方向Z視でミスト供給口122とは同じ位置に配置された構成でもよい。
【0062】
上記実施形態において、外管152を備えない構成でもよい。このような構成でも、ミスト加熱用ヒータ160の発熱による内管154の内外の温度差や風量ファン116からのエアF1によって内管154内に上昇気流を発生させることができる。このとき、風量ファン116は、特許請求の範囲における気流発生部の一例である。また、気流発生部は、例えば内管154の流路断面を部分的に狭くすることによって内管154内に上昇気流を発生させる構成でもよい。
【0063】
上記実施形態において、二次加熱部130の伝熱部312の側壁に1または複数の放出口が形成された構成でもよい。また、伝熱部312の放出口133が、加熱室S1を構成する側壁に向けて開口し、その側壁に均熱板39が形成された構成でもよい。また、伝熱部312の放出口133が食材(搬送部40)に向けられた構成でもよい。
【0064】
上記実施形態では、過熱蒸気発生用ヒータとして、2本のヒータ(ミスト加熱用ヒータ160、二次加熱ヒータ162)を備え、これら2本のヒータによって2段階で加熱することよりミストG1から過熱蒸気G3を発生させたが、これに限らず、複数本(3本以上)のヒータによって複数段階で加熱することよりミストG1から過熱蒸気G3を発生させてもよい。また、例えば過熱蒸気発生用ヒータを単一のヒータとし、この単一のヒータの加熱によってミストG1から過熱蒸気G3を発生させる構成でもよい。例えば上記実施形態において二次加熱部130を備えない構成とし、ミスト加熱用ヒータ160の発熱によってミストG1から過熱蒸気G3を発生させてもよい。
【0065】
上記実施形態における各部材の材料は、あくまで一例であり、種々変形可能である。
【0066】
上記実施形態において、例えばタンク112内に塩素を貯留し、制御部22の制御により、各ヒータ160,162,164,166をオフにした状態でミスト発生部110を稼働させることにより、塩素のミストを加熱室S1に供給して殺菌処理を施すことができる。
【符号の説明】
【0067】
10:加熱調理装置 20:架台 22:制御部 24:枠体 25:脚 26:棚板 30:調理部 32:調理室カバー 33,38:天井壁 34:入口側壁 35:出口側壁 36:入口 37:出口 39:均熱板 40:搬送部 44:駆動部 46:従動部 48:ベルト 100:過熱蒸気発生装置 101:固定部材 110:ミスト発生部 112:タンク 113:ミスト出口 114:超音波振動子 116:風量ファン 120:ミスト加熱部 121:ミスト滞留部 122:ミスト供給口 130:二次加熱部 133:放出口 140,142:連結管 150:二重管 152:外管 154:内管 156:ミスト導入口 160:ミスト加熱用ヒータ 162:二次加熱ヒータ 164:上側ヒータ 166:下側ヒータ 170:金属球 312:伝熱部 F1:エア F2:上昇気流 G1:ミスト G2:準過熱蒸気 G3:過熱蒸気 R1:メイン流路 R2:サブ流路 S1:加熱室 S2:貯留室 S3:滞留室 S4:上昇流路 S5:伝達流路 W:液体