(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002926
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】クロック同期
(51)【国際特許分類】
H04L 7/00 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
H04L7/00 160
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023091300
(22)【出願日】2023-06-02
(31)【優先権主張番号】2022901753
(32)【優先日】2022-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2023200522
(32)【優先日】2023-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(71)【出願人】
【識別番号】590003283
【氏名又は名称】コモンウェルス サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ オーガナイゼーション
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100216150
【弁理士】
【氏名又は名称】香山 良樹
(72)【発明者】
【氏名】ギャビン キャット
【テーマコード(参考)】
5K047
【Fターム(参考)】
5K047AA03
5K047GG56
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の装置にわたるクロック同期を行うためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】方法は、第1の装置において、第1のクロック信号に基づくタイミングパルスを発し、第1のイベント時間に関連するイベントを含むイベントデータを出力し、第2の装置において、タイミングパルスを受信し、第2のクロック信号に基づく基準時間に関連する各タイミングパルスの指示を含む基準データを生成し、1つ又は複数の処理装置において、イベントデータを受信し、ローカルクロック信号を使用してローカルイベント時間を記録し、ローカルイベント時間及び第1のイベント時間を使用して第1のクロック信号及びローカルクロック信号を関係付ける第1の関数を導出し、第1の関数及び基準データを使用して第1のクロック信号及び第2のクロック信号を関係付ける同期関数を導出し、同期関数を使用して第1のクロック信号及び第2のクロック信号のクロック同期を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の装置にわたるクロック同期を行う方法であって、
a)第1の装置において、
i)第1のクロック信号に基づくタイミングパルスを発するステップと、
ii)前記第1のクロック信号に基づく第1のイベント時間に関連するイベントを含むイベントデータを出力するステップと、
b)第2の装置において、
i)前記タイミングパルスを受信するステップと、
ii)第2のクロック信号に基づく基準時間に関連する各タイミングパルスの指示を含む基準データを生成するステップと、
c)1つ又は複数の処理装置において、
i)前記イベントデータを受信するステップと、
ii)ローカルクロック信号を使用して決定されるローカル受信時間に基づいて各イベントのおおよそのローカルイベント時間を記録するステップと、
iii)前記ローカルイベント時間及び前記第1のイベント時間を使用して前記第1のクロック信号及び前記ローカルクロック信号を関係付ける第1の関数を導出するステップと、
iv)前記第1の関数及び前記基準データを使用して前記第1のクロック信号及び前記第2のクロック信号を関係付ける同期関数を導出するステップと、
v)前記同期関数を使用して前記第1のクロック信号及び前記第2のクロック信号のクロック同期を行うステップと、
を含む、
方法。
【請求項2】
前記1つ又は複数の処理装置において、
a)前記第2のクロック信号及び前記ローカルクロック信号を関係付ける第2の関数を決定するステップと、
b)前記第2の関数を使用して前記同期関数を決定するステップと、
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a)前記第2の装置において前記基準データを出力するステップと、
b)前記1つ又は複数の処理装置において、
i)前記基準データを受信するステップと、
ii)前記ローカルクロック信号を使用して決定されるローカル受信時間に基づいて各タイミングパルスのおおよそのローカル基準時間を記録するステップと、
iii)前記ローカル基準時間及び前記基準時間を使用して前記第2の関数を導出するステップと、
を含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ又は複数の処理装置において、
a)前記第1の関数及び前記基準データを使用して前記タイミングパルスのおおよその第1の基準時間を回復するステップと、
b)前記タイミングパルスの正確な第1の基準時間を解決するステップと、
c)前記正確な第1の基準時間を使用して第3の関数を決定するステップと、
を含む、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のクロックが前記ローカルクロックであり、
前記1つ又は複数の処理装置が前記第2の装置の一部である、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の装置が幾つかの他の装置を同期するために使用されるマスタクロックである、
請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの関数が線形フィットに基づく、
請求項1乃至6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ又は複数の処理装置において、イベントを前記第2のクロック信号と同期するために、前記同期関数を使用して前記第2のクロック信号に基づく第2のイベント時間を計算するステップ、を含む、
請求項1乃至7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ又は複数の処理装置において、
a)受信イベントデータを前記第1の関数と比較するステップと、
b)前記比較の結果に応じて少なくとも1つの関数を選択的に再計算するステップと、
を含む、
請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ又は複数の処理装置において、前記比較の結果に基づいてずれが識別される場合に少なくとも1つの関数を再計算するステップ、を含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
複数の装置にわたるクロック同期を行う方法であって、
a)第1の装置において、
i)第1のクロック信号に基づくタイミングパルスを発するステップと、
ii)前記第1のクロック信号に基づく第1のイベント時間に関連するイベントを含むイベントデータを出力するステップと、
b)第2の装置において、
i)前記タイミングパルスを受信するステップと、
ii)第2のクロック信号に基づく基準時間に関連する各タイミングパルスの指示を含む基準データを出力するステップと、
c)1つ又は複数の処理装置において、
i)前記イベントデータを受信するステップと、
ii)ローカルクロック信号を使用して決定されるローカル受信時間に基づいて各イベントのおおよそのローカルイベント時間を記録するステップと、
iii)前記ローカルイベント時間及び前記第1のイベント時間を使用して前記第1のクロック信号及び前記ローカルクロック信号を関係付ける第1の関数を導出するステップと、
iv)前記基準データを受信するステップと、
v)前記ローカルクロック信号を使用して決定されるローカル受信時間に基づいて各タイミングパルスのおおよそのローカル基準時間を記録するステップと、
vi)前記ローカル基準時間及び前記基準時間を使用して前記第2のクロック信号及び前記ローカルクロック信号を関係付ける第2の関数を導出するステップと、
vii)前記第1の関数及び前記第2の関数並びに前記基準データを使用して前記第1のクロック信号及び前記第2のクロック信号を関係付ける第3の関数を決定するステップと、
viii)前記第3の関数を使用して前記第1のクロック信号及び前記第2のクロック信号のクロック同期を行うステップと、
を含む、
方法。
【請求項12】
複数の装置にわたるクロック同期を行うための機器であって、
a)第1の装置であって、
i)第1のクロック信号に基づくタイミングパルスを発し、
ii)前記第1のクロック信号に基づく第1のイベント時間に関連するイベントを含むイベントデータを出力する、
ように構成される、第1の装置と、
b)第2の装置であって、
i)前記タイミングパルスを受信し、
ii)第2のクロック信号に基づく基準時間に関連する各タイミングパルスの指示を含む基準データを生成する、
ように構成される、第2の装置と、
を含み、
(1)前記イベントデータを受信し、
(2)ローカルクロック信号を使用して決定されるローカル受信時間に基づいて各イベントのおおよそのローカルイベント時間を記録し、
(3)前記ローカルイベント時間及び前記第1のイベント時間を使用して前記第1のクロック信号及び前記ローカルクロック信号を関係付ける第1の関数を導出し、
(4)前記第1の関数及び前記基準データを使用して前記第1のクロック信号及び前記第2のクロック信号を関係付ける同期関数を導出し、
(5)前記同期関数を使用して前記第1のクロック信号及び前記第2のクロック信号のクロック同期を行う、
ように構成される、1つ又は複数の処理装置、を含む、
機器。
【請求項13】
前記1つ又は複数の処理装置が、
a)前記第2のクロック信号及び前記ローカルクロック信号を関係付ける第2の関数を決定し、
b)前記第2の関数を使用して前記同期関数を決定する、
ように構成される、
請求項12に記載の機器。
【請求項14】
前記1つ又は複数の処理装置が、
a)前記第2の装置から前記基準データを受信し、
b)前記ローカルクロック信号を使用して決定されるローカル受信時間に基づいて各タイミングパルスのおおよそのローカル基準時間を記録し、
c)前記ローカル基準時間及び前記基準時間を使用して前記第2の関数を導出する、
ように構成される、
請求項13に記載の機器。
【請求項15】
前記1つ又は複数の処理装置が、
a)前記第1の関数及び前記基準データを使用して前記タイミングパルスのおおよその第1の基準時間を回復し、
b)前記タイミングパルスの正確な第1の基準時間を解決し、
c)前記正確な第1の基準時間を使用して第3の関数を決定する、
ように構成される、
請求項12乃至14の何れか一項に記載の機器。
【請求項16】
前記第2のクロックが前記ローカルクロックであり、
前記1つ又は複数の処理装置が前記第2の装置の一部である、
請求項12に記載の機器。
【請求項17】
前記第2の装置が幾つかの他の装置を同期するために使用されるマスタクロックである、
請求項12乃至16の何れか一項に記載の機器。
【請求項18】
少なくとも1つの関数が線形フィットに基づく、
請求項12乃至17の何れか一項に記載の機器。
【請求項19】
前記1つ又は複数の処理装置が、イベントを前記第2のクロック信号と同期するために、前記同期関数を使用して前記第2のクロック信号に基づく第2のイベント時間を計算する、ように構成される、
請求項12乃至18の何れか一項に記載の機器。
【請求項20】
前記1つ又は複数の処理装置が、
a)受信イベントデータを前記第1の関数と比較し、
b)前記比較の結果に応じて少なくとも1つの関数を選択的に再計算する、
ように構成される、
請求項12乃至19の何れか一項に記載の機器。
【請求項21】
前記1つ又は複数の処理装置が、前記比較の結果に基づいてずれが識別される場合に少なくとも1つの関数を再計算するように構成される、
請求項20に記載の機器。
【請求項22】
複数の装置にわたるクロック同期を行うための機器であって、
a)第1の装置であって、
i)第1のクロック信号に基づくタイミングパルスを発し、
ii)前記第1のクロック信号に基づく第1のイベント時間に関連するイベントを含むイベントデータを出力する、
ように構成される、第1の装置と、
b)第2の装置であって、
i)前記タイミングパルスを受信し、
ii)第2のクロック信号に基づく基準時間に関連する各タイミングパルスの指示を含む基準データを出力する、
ように構成される、第2の装置と、
を含み、
(1)前記イベントデータを受信し、
(2)ローカルクロック信号を使用して決定されるローカル受信時間に基づいて各イベントのおおよそのローカルイベント時間を記録し、
(3)前記ローカルイベント時間及び前記第1のイベント時間を使用して前記第1のクロック信号及び前記ローカルクロック信号を関係付ける第1の関数を導出し、
(4)前記基準データを受信し、
(5)前記ローカルクロック信号を使用して決定されるローカル受信時間に基づいて各タイミングパルスのおおよそのローカル基準時間を記録し、
(6)前記ローカル基準時間及び前記基準時間を使用して前記第2のクロック信号及び前記ローカルクロック信号を関係付ける第2の関数を導出し、
(7)前記第1の関数及び前記第2の関数並びに前記基準データを使用して前記第1のクロック信号及び前記第2のクロック信号を関係付ける第3の関数を決定し、
(8)前記第3の関数を使用して前記第1のクロック信号及び前記第2のクロック信号のクロック同期を行う、
ように構成される、1つ又は複数の処理装置、を含む、
機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の装置にわたるクロック同期を行うためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過去の任意の刊行物(又はそこから導出される情報)又は知られている任意の事柄に本明細書で言及することは、本明細書が関係する努力傾注分野における共通の一般知識の一部を過去の刊行物(又はそこから導出される情報)又は知られている事柄が形成するという承認又は容認又は何らかの形の示唆ではなく、そのように解釈すべきではない。
【0003】
クロック同期は、さもなければ独立したクロックを調整することを狙うプロセスである。この点に関して、クロックが最初に正確に設定されていても、クロックが僅かに異なる速さで時間を刻むことによって引き起こされるクロックドリフトが原因で幾らかの時間の後でクロックが異なり、そのことはひいてはデータ処理の問題を招き得る。このことは、データを解釈し或いは解析する際に、データの捕捉/生成の時間が重要である状況においてとりわけ顕著である。例えば自律走行車等の応用では、車両が環境の中を進むときセンサデータが典型的には複数の異なるセンサから捕捉される。捕捉データは、典型的にはそのセンサにとってローカルなクロックに基づいて捕捉時間に関連付けられ、様々なセンサのクロックが同期されていない場合は同時に捕捉されたデータが異なる時点に捕捉されたかのように見え得る。従ってこの状況では、対象物の検出等のイベントが生じた場合、そのイベントは異なる時点において生じたかのように見える可能性があり、そのことはひいてはイベントの解釈を困難にし得る。
【0004】
クロック同期を行うための幾つかのメカニズムが存在する。例えばマスタクロックを使用して、マスタクロックに基づくパルス毎秒(Pulse Per Second、PPS)信号と呼ばれることもあるタイミングパルスを生成し出力することができる。このPPS信号はその後様々な装置によって受信され、それらの装置はPPS信号を使用して自らの内部クロックをマスタクロックと同期する。
【0005】
しかし、全ての装置がPPS信号を受信すること及びPPS信号を使用して同期を行えるとは限らない。例えばGPS(全地球測位システム、Global Positioning System)装置は、GPSシステムが効果的に機能するのに必要な、衛星信号から導出されるクロック信号を典型的には利用する。従って、この形式の装置は自らの内部クロックを別個のマスタクロックと同期することができない。
【0006】
かかるシステムは自らのPPS信号を生成し得る。しかし、このPPS信号を同期に使用することは必ずしも可能とは限らない。例えばGPS装置からのデータを他のセンサからのデータと組み合わせようとする場合、それらの他のセンサは、それ自体が外部のPPS信号を同期に使用できない場合があるマスタクロックにしばしば同期される。加えて、例えば新たな衛星が取得される場合、GPSシステム内のクロック信号は周期的に変化する場合があり、GPS装置からのPPS信号をマスタクロックとして使用できないことを意味し、そのためそのことがGPS及び他のセンサデータの同期を不確かなものにする。
【0007】
独自の内部処理要件が原因で外部クロック信号に同じく同期することができないLiDAR等の他の装置でも同様の問題が発生する。これらの問題は複数の装置にわたるセンサ融合を不確かなものにする場合があり、それは正確な位置計測及びナビゲーションを保証するのに複数のセンサからのデータを融合することが重大であり得る自律走行車及び他の同様の応用で特に表明される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの広範な形式では、本発明の一態様が複数の装置にわたるクロック同期を行う方法を提供しようとし、この方法は、第1の装置において、第1のクロック信号に基づくタイミングパルスを発するステップと、第1のクロック信号に基づく第1のイベント時間に関連するイベントを含むイベントデータを出力するステップと、第2の装置において、タイミングパルスを受信するステップと、第2のクロック信号に基づく基準時間に関連する各タイミングパルスの指示を含む基準データを生成するステップと、1つ又は複数の処理装置において、イベントデータを受信するステップと、ローカルクロック信号を使用して決定されるローカル受信時間に基づいて各イベントのおおよそのローカルイベント時間を記録するステップと、ローカルイベント時間及び第1のイベント時間を使用して第1のクロック信号及びローカルクロック信号を関係付ける第1の関数を導出するステップと、第1の関数及び基準データを使用して第1のクロック信号及び第2のクロック信号を関係付ける同期関数を導出するステップと、同期関数を使用して第1のクロック信号及び第2のクロック信号のクロック同期を行うステップと、を含む。
【0009】
一実施形態では、この方法が、1つ又は複数の処理装置において、第2のクロック信号及びローカルクロック信号を関係付ける第2の関数を決定するステップと、第2の関数を使用して同期関数を決定するステップとを含む。
【0010】
一実施形態では、この方法が、第2の装置において基準データを出力するステップと、1つ又は複数の処理装置において、基準データを受信するステップと、ローカルクロック信号を使用して決定されるローカル受信時間に基づいて各タイミングパルスのおおよそのローカル基準時間を記録するステップと、ローカル基準時間及び基準時間を使用して第2の関数を導出するステップとを含む。
【0011】
一実施形態では、この方法が、1つ又は複数の処理装置において、第1の関数及び基準データを使用してタイミングパルスのおおよその第1の基準時間を回復するステップと、タイミングパルスの正確な第1の基準時間を解決するステップと、正確な第1の基準時間を使用して第3の関数を決定するステップとを含む。
【0012】
一実施形態では、第2のクロックがローカルクロックであり、1つ又は複数の処理装置が第2の装置の一部である。
【0013】
一実施形態では、第2の装置が幾つかの他の装置を同期するために使用されるマスタクロックである。
【0014】
一実施形態では、少なくとも1つの関数が線形フィットに基づく。
【0015】
一実施形態では、この方法が、1つ又は複数の処理装置において、イベントを第2のクロック信号と同期するために、同期関数を使用して第2のクロック信号に基づく第2のイベント時間を計算するステップを含む。
【0016】
一実施形態では、この方法が、1つ又は複数の処理装置において、受信イベントデータを第1の関数と比較するステップと、比較の結果に応じて少なくとも1つの関数を選択的に再計算するステップとを含む。
【0017】
一実施形態では、この方法が、1つ又は複数の処理装置において、比較の結果に基づいてずれが識別される場合に少なくとも1つの関数を再計算するステップを含む。
【0018】
1つの広範な形式では、本発明の一態様が複数の装置にわたるクロック同期を行う方法を提供しようとし、この方法は、第1の装置において、第1のクロック信号に基づくタイミングパルスを発するステップと、第1のクロック信号に基づく第1のイベント時間に関連するイベントを含むイベントデータを出力するステップと、第2の装置において、タイミングパルスを受信するステップと、第2のクロック信号に基づく基準時間に関連する各タイミングパルスの指示を含む基準データを出力するステップと、1つ又は複数の処理装置において、イベントデータを受信するステップと、ローカルクロック信号を使用して決定されるローカル受信時間に基づいて各イベントのおおよそのローカルイベント時間を記録するステップと、ローカルイベント時間及び第1のイベント時間を使用して第1のクロック信号及びローカルクロック信号を関係付ける第1の関数を導出するステップと、基準データを受信するステップと、ローカルクロック信号を使用して決定されるローカル受信時間に基づいて各タイミングパルスのおおよそのローカル基準時間を記録するステップと、ローカル基準時間及び基準時間を使用して第2のクロック信号及びローカルクロック信号を関係付ける第2の関数を導出するステップと、第1の関数及び第2の関数並びに基準データを使用して第1のクロック信号及び第2のクロック信号を関係付ける第3の関数を決定するステップと、第3の関数を使用して第1のクロック信号及び第2のクロック信号のクロック同期を行うステップとを含む。
【0019】
1つの広範な形式では、本発明の一態様が複数の装置にわたるクロック同期を行うための機器を提供しようとし、この機器は、第1のクロック信号に基づくタイミングパルスを発し、第1のクロック信号に基づく第1のイベント時間に関連するイベントを含むイベントデータを出力するように構成される第1の装置と、タイミングパルスを受信し、第2のクロック信号に基づく基準時間に関連する各タイミングパルスの指示を含む基準データを生成するように構成される第2の装置とを含み、イベントデータを受信し、ローカルクロック信号を使用して決定されるローカル受信時間に基づいて各イベントのおおよそのローカルイベント時間を記録し、ローカルイベント時間及び第1のイベント時間を使用して第1のクロック信号及びローカルクロック信号を関係付ける第1の関数を導出し、第1の関数及び基準データを使用して第1のクロック信号及び第2のクロック信号を関係付ける同期関数を導出し、同期関数を使用して第1のクロック信号及び第2のクロック信号のクロック同期を行うように構成される1つ又は複数の処理装置を含む。
【0020】
一実施形態では、1つ又は複数の処理装置が、第2のクロック信号及びローカルクロック信号を関係付ける第2の関数を決定し、第2の関数を使用して同期関数を決定するように構成される。
【0021】
一実施形態では、1つ又は複数の処理装置が、第2の装置から基準データを受信し、ローカルクロック信号を使用して決定されるローカル受信時間に基づいて各タイミングパルスのおおよそのローカル基準時間を記録し、ローカル基準時間及び基準時間を使用して第2の関数を導出するように構成される。
【0022】
一実施形態では、1つ又は複数の処理装置が、第1の関数及び基準データを使用してタイミングパルスのおおよその第1の基準時間を回復し、タイミングパルスの正確な第1の基準時間を解決し、正確な第1の基準時間を使用して第3の関数を決定するように構成される。
【0023】
一実施形態では、第2のクロックがローカルクロックであり、1つ又は複数の処理装置が第2の装置の一部である。
【0024】
一実施形態では、第2の装置が幾つかの他の装置を同期するために使用されるマスタクロックである。
【0025】
一実施形態では、少なくとも1つの関数が線形フィットに基づく。
【0026】
一実施形態では、1つ又は複数の処理装置が、イベントを第2のクロック信号と同期するために、同期関数を使用して第2のクロック信号に基づく第2のイベント時間を計算するように構成される。
【0027】
一実施形態では、1つ又は複数の処理装置が、受信イベントデータを第1の関数と比較し、比較の結果に応じて少なくとも1つの関数を選択的に再計算するように構成される。
【0028】
一実施形態では、1つ又は複数の処理装置が、比較の結果に基づいてずれが識別される場合に少なくとも1つの関数を再計算するように構成される。
【0029】
1つの広範な形式では、本発明の一態様が複数の装置にわたるクロック同期を行うための機器を提供しようとし、この機器は、第1のクロック信号に基づくタイミングパルスを発し、第1のクロック信号に基づく第1のイベント時間に関連するイベントを含むイベントデータを出力するように構成される第1の装置と、タイミングパルスを受信し、第2のクロック信号に基づく基準時間に関連する各タイミングパルスの指示を含む基準データを出力するように構成される第2の装置とを含み、イベントデータを受信し、ローカルクロック信号を使用して決定されるローカル受信時間に基づいて各イベントのおおよそのローカルイベント時間を記録し、ローカルイベント時間及び第1のイベント時間を使用して第1のクロック信号及びローカルクロック信号を関係付ける第1の関数を導出し、基準データを受信し、ローカルクロック信号を使用して決定されるローカル受信時間に基づいて各タイミングパルスのおおよそのローカル基準時間を記録し、ローカル基準時間及び基準時間を使用して第2のクロック信号及びローカルクロック信号を関係付ける第2の関数を導出し、第1の関数及び第2の関数並びに基準データを使用して第1のクロック信号及び第2のクロック信号を関係付ける第3の関数を決定し、第3の関数を使用して第1のクロック信号及び第2のクロック信号のクロック同期を行うように構成される1つ又は複数の処理装置を含む。
【0030】
本発明の広範な形式及びその個々の特徴は組み合わせて及び/又は独立に使用することができ、別々の広範な形式に言及することは限定的であることは意図しないことが理解されよう。更に、方法の特徴はシステム又は機器を使用して実行することができ、システム又は機器の特徴は方法を使用して実装できることが理解されよう。
【0031】
次に本発明の様々な例及び実施形態を、添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1A】クロック同期を必要とするシステムの第1の例の概略図である。
【
図1B】クロック同期を必要とするシステムの第2の例の概略図である。
【
図2】クロック同期を行う際に使用するための方法の一例の流れ図である。
【
図6】クロック同期を行う際に使用するための方法の更なる例の流れ図である。
【
図7】クロック同期関数を更新する際に使用するための方法の一例の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、クロック同期を必要とするシステムの例を
図1A及び
図1Bを参照して説明する。
【0034】
この例では、システムが第1の装置110と、第2の装置120と、1つ又は複数の処理装置130とを含む。
【0035】
同期されている装置の好ましい実装形態及び/又は性質にもよるが、第1の装置110及び第2の装置120は任意の適切な形式のものとすることができる。
【0036】
概して、第1の装置110は、例えば1つ又は複数のイベントに関係するイベントデータをタイムスタンプするために内部的に使用される第1のクロックを含む。第1の装置110は、典型的にはPPS信号等の受信同期信号に基づいて第1のクロック信号を外部のマスタ又は他の同様のクロック信号と同期することができない。計測分野では、かかる第1の装置の例は、装置が自らの位置を正確に突き止めることを可能にするために第1のクロックが衛星システムと同期されることを必要とするGPS装置、又は環境からの光の反射を正確に解釈するために専用の内部クロックを典型的には必要とするLiDARセンサである。それでもなお、第1の装置110は典型的には第1のクロック信号に基づいてPPS信号等のタイミングパルスを生成することができる。
【0037】
対照的に、第2の装置120は、典型的には他の複数の装置140の同期を可能にするためのマスタクロック信号として機能する第2のクロック信号を含む装置である。例えば計測分野では、第2の装置120は、自らのクロックをマスタクロックと同期するために他の装置によって使用され得る、又は内部クロックの代わりにパルスを使用し得る、マスタクロック信号パルスを生成するマイクロ/マスタクロックユニットであり得る。計測分野では、第2の装置120は、例えば慣性測定装置(Inertial Measurement Unit、IMU)等の計測装置によって収集されるデータが第2の(マスタ)クロックと同期されることを可能にするために使用され得る。
【0038】
概して、第2の装置120は第1の装置によって生成されるPPS信号を受信することができる。しかし、第1のクロック信号が一貫していない場合があるので、第2の装置120は第2のクロック信号を第1のクロック信号に適合させない。例えばGPSセンサの場合、GPSセンサが新たな衛星信号を取得するとき、かかる取得はクロック信号の不連続性を招く第1のクロックの再同期を引き起こし得る。GPSセンサではこれが問題でなくても、かかる信号がマスタクロック信号として使用された場合、他の計測装置からのデータを解釈する際にかかる信号は問題を引き起こし得る。
【0039】
本システムは、例えば同時の位置特定及びマッピングを行うためにGPS及び/又はLiDAR110並びにIMUからのセンサデータを使用し、第1の装置110及び他の装置140によって生成されるデータを解釈するために典型的には使用される1つ又は複数の処理装置130も含む。本システムは、処理装置の1つ又は複数によって処理が実行された状態で複数の処理装置を使用し得るが、説明を容易にする目的で以下の例は単一の処理装置に言及するが、単一の処理装置への言及は、必要に応じて処理装置の間で処理が分散されている複数の処理装置を包含し、その逆もまた同様であると理解すべきことが認められよう。
【0040】
装置110、120、140から受信されるデータを解釈するとき、処理装置130は典型的にはローカルクロック信号と以下で呼ぶ独自の内部クロックを使用する。一例では、
図1Aの例にあるように処理装置130が1つ又は複数の別個の処理システムの一部を形成することができ、その場合、不定のレイテンシ等の伝送問題の影響を受ける可能性がある有線及び/又は無線接続を介して、任意に通信ネットワーク又は同様のものを介してデータが装置110、120、140から概して受信される。従ってこの例では、ローカルクロック信号が第1のクロック信号及び第2のクロック信号と異なる。別の例では、
図1Bに示すように処理装置が第2の装置120の一部である、第2の装置120に関連する、又は第2の装置120を含むことができる。この例では第2のクロック信号及びローカルクロック信号が、例えば内部同期によって同一又は実質上同じであり得る。何れの構成でも、第1の装置110からのPPS信号が電子パルスとして第2の装置120に有線又は無線接続を介して典型的には直接伝送され、そのためそれらの電子パルスは第2の装置120によって一貫して受信される。
【0041】
次に、クロック同期を行うためのプロセスの一例を、
図2を参照して説明する。
【0042】
この例では、ステップ211で、第1の装置が第1のクロック信号に基づいてPPSパルス等のタイミングパルスを発する。第1の装置はステップ212でイベントデータも出力し、イベントデータは典型的には第1のクロック信号に基づく第1のイベント時間に関連するイベントを含む。従って一例では、GPS装置110が第1のクロック信号に基づくタイムスタンプに関連する緯度及び経度等の位置情報を生成する。このプロセスは第1の装置110が動作している限り繰り返されることが理解されよう。
【0043】
同時に、第2の装置120がステップ221でタイミングパルスを受信し、ステップ222で、第2の装置120による受信時間を示す基準時間に関連する各タイミングパルスの指示を含む基準データを生成する。この事例では、基準時間が第2のクロック信号に基づく。この場合もやはり、このプロセスは第2の装置が動作している間繰り返される。
【0044】
ステップ231で、処理装置130が第1の装置110からイベントデータを受信し、ステップ232で、各イベントのおおよそのローカルイベント時間を記録する。ローカルイベント時間は処理装置130によるローカル受信時間に基づき、ローカルクロック信号を使用して決定される。ステップ233で、処理装置130がローカルイベント時間及び複数のイベントに関連する第1のイベント時間を使用して第1のクロック信号及びローカルクロック信号を関係付ける第1の関数を導出する。この点に関して、処理装置にイベントデータを伝送するプロセスは例えば伝送レイテンシに起因する様々な遅延を引き起こす可能性があり、そのため第1のクロック信号とローカルクロック信号との間に一貫したオフセットが必ずしもあるとは限らない。従って線形回帰、多項式関数、又は同様のもの等の関数は、第1のクロックとローカルクロックとの間のおおよそのオフセット等の関係を計算するために使用することができる。このことから、第1の関数は任意の適切な形式のものとすることができ、例えば線形回帰、多項式関数等を含み得ることが理解されよう。
【0045】
ステップ234で、処理装置が第1の関数及び第2の装置からの基準データを使用して第1のクロック信号及び第2のクロック信号を関係付ける同期関数を導出する。処理装置130が第2の装置に関連する場合、第2のクロック信号及びローカルクロック信号が同じである及び/又は固定オフセットに関連することができ、その場合、同期関数が第1の関数に容易に関係し得ることが理解されよう。しかし第2の装置と処理装置130とが別個であり、基準データが処理装置に対する不定の伝送遅延の影響を受ける場合は同期関数を導出することがより複雑であり、以下でより詳細に説明するように、基準データのローカル受信時間に基づいて導出される第2の関数を必要とし得る。いずれにしても、同期関数は任意の適切な形式のものとすることができ、例えば線形回帰、多項式関数、又は同様のものを含み得る。
【0046】
同期関数が決定されると、ステップ235で、その同期関数を使用して第1のクロック信号及び第2のクロック信号のクロック同期を行うことができる。例えばこの同期関数は第1のクロック信号及び第2のクロック信号間でイベントをマップするために使用することができ、そのため例えばイベントデータ内のイベントのタイミングを第1のクロック信号から第2のクロック信号に変換することができ、同じく第2のクロック信号に基づいて時間合わせされる他の装置140からのデータと共にかかるデータを処理することを可能にする。
【0047】
従って上記のプロセスは、さもなければ同期することができない装置間の効果的なクロック同期を行うために後処理を使用できるようにすることが理解されよう。特に、この手法はデータのローカル受信時間を使用して同期関数を導出し、次いでその同期関数を使用して異なるクロック信号間でイベントのタイミングを変換することができ、それにより第1の時間信号に基づく時間を用いて捕捉されたデータを第2の時間信号に基づく時間に変換すること(逆の場合も同じ)を可能にする。従って、このプロセスは既存のハードウェアの機能性を拡張し、後処理を使用して通常は同期することができない装置を同期することを可能にする。
【0048】
次に幾つかの更なる特徴を記載する。
【0049】
上記で述べたように、第2のクロック信号とローカルクロック信号とが異なる場合、同期関数を導出するために更なる処理が必要とされる。この例では、処理装置130が第2のクロック信号及びローカルクロック信号を関係付ける第2の関数を決定し、第2の関数を使用して同期関数を導出する。とりわけ第2の装置120及び処理装置が様々な遅延の影響を受ける通信チャネルを介して通信する場合、第2の装置は基準データを出力するように構成され、処理装置が基準データを受信し、ローカルクロック信号を使用して決定されるローカル受信時間に基づいて各タイミングパルスのおおよそのローカル基準時間を記録する。その後、処理装置がローカル基準時間及び基準時間を使用して第2の関数を導出する。第2のクロックとローカルクロックとの間の関係に応じて、第2の関数は任意の適切な形式のものとすることができ、例えば線形回帰、多項式関数、又は同様のものを含み得る。
【0050】
一例では、処理装置が第1の関数及び基準データを使用してタイミングパルスのおおよその第1の基準時間を回復する。次いで処理装置は、タイミングパルスの正確な第1の基準時間を解決し、正確な第1の基準時間を使用して第3の関数を決定する。概して、これはタイミングパルス間に固定された時間間隔があるという知識に基づいて行われ、そのためおおよその時間が導出されると、固定された時間間隔があるようにそれを調節し、各タイミングパルスの正確な第1の基準時間の計算をもたらすことができる。
【0051】
概して、第2のクロックは複数の異なる装置110、140からのデータの同期を可能にするマスタクロックとして使用されるが、第1のクロック、第2のクロック、及びローカルクロックを関係付ける関数を確立するとき、これは必須ではなく、クロック信号の何れかがマスタクロックとして機能し得ることが理解されよう。しかし第2のクロックがマスタクロックとして使用されると仮定し、処理装置は第1の装置によって捕捉されるイベントを第2のクロック信号と同期するために、同期関数を使用して第2のクロック信号に基づく第2のイベント時間を計算することができる。この場合もやはり、必要に応じて他のクロック信号のタイミングに変換するために他の計算が使用され得ることが理解されよう。
【0052】
上述のように、第1の装置110及び第2の装置120と処理装置130との間の伝送遅延によってばらつきが追加で引き起こされながら、第1の関数、第2の関数、又は同期関数等の関数はクロック間の相対的に一定のオフセットが概してあるという仮定の下で典型的には線形フィットに基づく。但し、必要に応じて他の関数が使用されてもよいことが理解されよう。
【0053】
上記のプロセスを行うことに加えて、クロック信号の変化を検出し、必要に応じて同期関数を更新するための手法も使用することができる。この状況は、例えば第1の装置が衛星の接続性を再取得し、第1のクロックを再計算するGPS装置である場合に生じ得る。この例では、処理装置が受信イベントデータを第1の関数と比較し、次いで比較の結果に応じて少なくとも1つの関数を選択的に再計算することによってこの状況を検出し得る。特に、例えばイベント時間とローカル時間とが第1の関数を所与として予期される時間と異なる場合に生じ得るずれがあることを突き止めるために処理装置はこの比較を使用することができる。かかるずれは幾つかのイベントにわたって検出することができ、新たなイベントに関するタイミングデータを使用して第1の関数が必要に応じて再計算される。
【0054】
次に第1の装置の具体例を、
図3を参照してより詳細に説明する。
【0055】
この例では、第1の装置310が、少なくとも1つのマイクロプロセッサ311と、メモリ312と、外部インタフェース313と、GPS受信機等のセンサ314とを含む。
【0056】
この例では、好ましい実装形態に応じて第1の装置310を通信ネットワーク等の通信チャネルに接続するために外部インタフェース313を利用することができる。単一の外部インタフェース313を図示するが、これは例示目的に過ぎず、実際には様々な方法(例えばイーサネット、シリアル、USB、無線等)を使用する複数のインタフェースが設けられてもよい。
【0057】
使用時に、マイクロプロセッサ311が、メモリ312内に記憶されるアプリケーションソフトウェア形式の命令を実行して所要のプロセスを実行できるようにする。アプリケーションソフトウェアは1つ又は複数のソフトウェアモジュールを含むことができ、オペレーティングシステム環境等の適切な実行環境内で実行され得る。マイクロプロセッサ311は典型的にはセンサから信号を受信し、それらの信号を使用してイベントデータを生成しイベントデータにタイムスタンプする。第1の装置がGPS受信機である場合、センサ314は衛星信号を検出し、マイクロプロセッサ311がそれらの信号を解析して第1のクロック信号を抽出し、位置を計算し、それがイベントデータとして記憶される。次いでイベントデータがインタフェース313を介して伝送される一方、第1のクロック信号に基づくPPS信号も別々に発することができる。
【0058】
次に第2の装置の具体例を、
図4を参照してより詳細に説明する。
【0059】
この例では、第1の第2の装置420が、少なくとも1つのマイクロプロセッサ421と、メモリ422と、外部インタフェース423と、クロック415とを含む。
【0060】
この例では、好ましい実装形態に応じて第2の装置420を通信ネットワーク等の通信チャネルに接続するために外部インタフェース423を利用することができる。単一の外部インタフェース423を図示するが、これは例示目的に過ぎず、実際には様々な方法(例えばイーサネット、シリアル、USB、無線等)を使用する複数のインタフェースが設けられてもよい。
【0061】
使用時に、マイクロプロセッサ421が、メモリ422内に記憶されるアプリケーションソフトウェア形式の命令を実行して所要のプロセスを実行できるようにする。アプリケーションソフトウェアは1つ又は複数のソフトウェアモジュールを含むことができ、オペレーティングシステム環境等の適切な実行環境内で実行され得る。マイクロプロセッサ421は典型的にはインタフェース423を介して第1の装置310からPPS信号を受信し、クロック415から得られる第2のクロック信号から決定される受信時間に基づいてそれらの信号にタイムスタンプする。結果として生じる基準データがインタフェース423を介して出力される。
【0062】
次に、第1の装置及び第2の装置並びに1つ又は複数の他の装置からのデータを処理するために使用される処理装置を含む処理システム530の具体例を、
図5を参照してより詳細に説明する。
【0063】
この例では、処理システム530が、図示のようにバス535を介して相互接続される少なくとも1つのマイクロプロセッサ531と、メモリ532と、キーボード及び/又はディスプレイ等の任意の入力/出力装置533と、外部インタフェース534とを含む。この例では、外部インタフェース534は処理システム530を通信ネットワーク等の周辺装置に接続するために利用され得る。単一の外部インタフェース534を図示するが、これは例示目的に過ぎず、実際には様々な方法(例えばイーサネット、シリアル、USB、無線等)を使用する複数のインタフェースが設けられてもよい。
【0064】
使用時に、マイクロプロセッサ531が、メモリ532内に記憶されるアプリケーションソフトウェア形式の命令を実行して所要のプロセスを実行できるようにする。アプリケーションソフトウェアは1つ又は複数のソフトウェアモジュールを含むことができ、オペレーティングシステム環境等の適切な実行環境内で実行され得る。
【0065】
従って処理システム530は、適切にプログラムされたクライアント装置、PC、ウェブサーバ、ネットワークサーバ等の任意の適切な処理システムから形成され得ることが理解されよう。但し処理システムは、マイクロプロセッサ、マイクロチッププロセッサ、論理ゲート構成、FPGA(書き換え可能ゲートアレイ、Field Programmable Gate Array)等のロジックを実装することに任意に関連するファームウェア、又は他の任意の電子装置、システム、若しくは構成等の任意の電子処理装置であり得ることも理解されよう。
【0066】
次に、第1のクロック信号及び第2のクロック信号を使用してデータを同期するためのプロセスの一例を、
図6を参照してより詳細に説明する。
【0067】
この例では、ステップ611で、第1の装置310が第1のクロック信号に基づいて1秒間隔で生成されるPPSパルス等のタイミングパルスを発する。ステップ612で、イベントの詳細及び第1のクロック信号に基づく関連するタイムスタンプを含む記録済みイベントデータがインタフェース313から伝送される。同時に第2の装置420が、ステップ621でタイミングパルスを受信し、ステップ622でタイミングパルスの受信時間に基づいて基準データを生成し、このデータはインタフェース423を介して出力される。
【0068】
ステップ631で、処理システム530が第1の装置310からイベントデータを受信し、ステップ632で、各イベントのおおよそのローカルイベント時間を記録し、ステップ633で、典型的には複数のイベントにわたり第1の時間及びおおよそのローカル時間を使用して線形回帰を行うことにより、そのローカルイベント時間を使用して第1の関数を回復する。
【0069】
ステップ634で、処理システム530が第1の第2の装置420から基準データを受信し、ステップ635で、各タイミングパルスのおおよそのローカル基準時間を記録し、ステップ636で、ローカル基準時間及び基準時間を使用して線形回帰を行うことにより、再びそのローカルイベント時間を使用して第2の関数を回復する。
【0070】
ステップ637で、処理システム530が、第1の関数及び第2の関数を使用して各タイミングパルスのおおよその第1の時間を計算する。この例ではタイミングパルスが1秒間隔で生成され、そのため処理システム530はステップ638でおおよその第1の時間から端数成分を除去して、それによりタイミングパルスの実際の第1の時間を回復する。今度はこれを使用して、基準時間及びタイミングパルスの実際の第1の時間を使用して行われる線形回帰を使用し、ステップ639で同期関数を回復する。次いで、第1のクロック信号から第2のクロック信号に変換することができるイベントデータ内のイベントのタイミングを変換することによって、第1のクロック信号及び第2のクロック信号のクロック同期を行うために同期関数を使用することができ、同じく第2のクロック信号に基づいて時間合わせされる他の装置140からのデータと共にかかるデータを処理することを可能にする。
【0071】
次に、イベントデータのタイミングをモニタし、それを使用してクロックを再同期するためのプロセスの一例を、
図7を参照して説明する。
【0072】
この例では、ステップ700で、処理システム530がイベントデータを受信し、ステップ710で、ローカルクロックに基づくローカル時間を記録する。ステップ720で、処理システムはローカル時間及び第1のイベント時間を第1の関数と比較し、それを使用して第1のクロックが変化したかどうかを判定する。変化している場合、処理システム530はステップ740で関数を選択的に再計算し、そのため関数は第1のクロック及び第2のクロックの現在の相対的なタイミングを反映する。
【0073】
上述のシステム及びプロセスは単一の第1の装置に関して記載してきたが、例えばシステムがLiDAR及びGPS計測ユニットの両方を組み込む場合は本技法を複数の第1の装置に拡張できることが理解されよう。更に、例えば自律走行車のナビゲーションのための計測分野に言及してきたが、かかる言及は限定的であることを意図せず、本技法は広範な異なる分野に適用できることが理解されよう。
【0074】
本明細書及び添付の特許請求の範囲の全体を通して、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「comprise(含む)」という用語及び「comprises(含む)」又は「comprising(含んでいる)」等の異体は、述べられた整数又は整数群又はステップを含むことを含意するが、他の任意の整数又は整数群を排除することは含意しないことが理解されよう。本明細書で使用するとき及び別段の定めがない限り、「おおよそ」という用語は±20%を意味する。
【0075】
多数の改変形態及び修正形態が明らかになることを当業者なら理解されよう。当業者に明らかになるそのような全ての改変形態及び修正形態が、前述した本発明の広範な趣旨及び範囲に含まれると考えるべきである。
【符号の説明】
【0076】
110 第1の装置
120 第2の装置
130 処理装置
140 他の装置
310 第1の装置
311 マイクロプロセッサ
312 メモリ
313 外部インタフェース
314 センサ
415 クロック
420 第2の装置
421 マイクロプロセッサ
422 メモリ
423 外部インタフェース
530 処理システム
531 マイクロプロセッサ
532 メモリ
533 入力/出力装置
534 外部インタフェース
535 バス
【手続補正書】
【提出日】2023-08-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の装置にわたるクロック同期を行う方法であって、
a)第1の装置において、
i)第1のクロック信号に基づくタイミングパルスを発するステップと、
ii)前記第1のクロック信号に基づく第1のイベント時間に関連するイベントを含むイベントデータを出力するステップと、
b)第2の装置において、
i)前記タイミングパルスを受信するステップと、
ii)第2のクロック信号に基づく前記第2の装置による受信時間を示す基準時間に関連する各タイミングパルスの指示を含む基準データを生成するステップと、
c)1つ又は複数の処理装置において、
i)前記第1の装置から前記イベントデータを受信するステップと、
ii)ローカルクロック信号を使用して決定されるローカル受信時間に基づいて各イベントの推定ローカルイベント時間を記録するステップと、
iii)前記ローカルイベント時間及び前記第1のイベント時間を使用して前記第1のクロック信号及び前記ローカルクロック信号を関係付ける第1の関数を導出するステップと、
iv)前記第1の関数及び前記第2の装置から受信した前記基準データを使用して前記第1のクロック信号及び前記第2のクロック信号を関係付ける同期関数を導出するステップと、
v)前記同期関数を使用して前記第1のクロック信号及び前記第2のクロック信号の時間同期を行うステップと、
を含む、
方法。
【請求項2】
前記1つ又は複数の処理装置において、
a)前記第2のクロック信号及び前記ローカルクロック信号を関係付ける第2の関数を決定するステップと、
b)前記第2の関数を使用して前記同期関数を決定するステップと、
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a)前記第2の装置において前記基準データを出力するステップと、
b)前記1つ又は複数の処理装置において、
i)前記基準データを受信するステップと、
ii)前記ローカルクロック信号を使用して決定されるローカル受信時間に基づいて各タイミングパルスのおおよそのローカル基準時間を記録するステップと、
iii)前記ローカル基準時間及び前記基準時間を使用して前記第2の関数を導出するステップと、
を含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ又は複数の処理装置において、
a)前記第1の関数及び前記基準データを使用して前記タイミングパルスのおおよその第1の基準時間を回復するステップと、
b)前記タイミングパルスの正確な第1の基準時間を解決するステップと、
c)前記正確な第1の基準時間を使用して第3の関数を決定するステップと、
を含む、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のクロックが前記ローカルクロックであり、
前記1つ又は複数の処理装置が前記第2の装置の一部である、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の装置が幾つかの他の装置を同期するために使用されるマスタクロックである、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの関数が線形フィットに基づく、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ又は複数の処理装置において、イベントを前記第2のクロック信号と同期するために、前記同期関数を使用して前記第2のクロック信号に基づく第2のイベント時間を計算するステップ、を含む、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ又は複数の処理装置において、
a)受信イベントデータを前記第1の関数と比較するステップと、
b)前記比較の結果に応じて少なくとも1つの関数を選択的に再計算するステップと、
を含む、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ又は複数の処理装置において、前記比較の結果に基づいてずれが識別される場合に少なくとも1つの関数を再計算するステップ、を含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
複数の装置にわたるクロック同期を行う方法であって、
a)第1の装置において、
i)第1のクロック信号に基づくタイミングパルスを発するステップと、
ii)前記第1のクロック信号に基づく第1のイベント時間に関連するイベントを含むイベントデータを出力するステップと、
b)第2の装置において、
i)前記タイミングパルスを受信するステップと、
ii)第2のクロック信号に基づく前記第2の装置による受信時間を示す基準時間に関連する各タイミングパルスの指示を含む基準データを出力するステップと、
c)1つ又は複数の処理装置において、
i)前記第1の装置から前記イベントデータを受信するステップと、
ii)ローカルクロック信号を使用して決定されるローカル受信時間に基づいて各イベントの推定ローカルイベント時間を記録するステップと、
iii)前記ローカルイベント時間及び前記第1のイベント時間を使用して前記第1のクロック信号及び前記ローカルクロック信号を関係付ける第1の関数を導出するステップと、
iv)前記基準データを受信するステップと、
v)前記ローカルクロック信号を使用して決定されるローカル受信時間に基づいて各タイミングパルスの推定ローカル基準時間を記録するステップと、
vi)前記ローカル基準時間及び前記基準時間を使用して前記第2のクロック信号及び前記ローカルクロック信号を関係付ける第2の関数を導出するステップと、
vii)前記第1の関数及び前記第2の関数並びに前記基準データを使用して前記第1のクロック信号及び前記第2のクロック信号を関係付ける第3の関数を決定するステップと、
viii)前記第3の関数を使用して前記第1のクロック信号及び前記第2のクロック信号の時間同期を行うステップと、
を含む、
方法。
【請求項12】
複数の装置にわたるクロック同期を行うための機器であって、
a)第1の装置であって、
i)第1のクロック信号に基づくタイミングパルスを発し、
ii)前記第1のクロック信号に基づく第1のイベント時間に関連するイベントを含むイベントデータを出力する、
ように構成される、第1の装置と、
b)第2の装置であって、
i)前記タイミングパルスを受信し、
ii)第2のクロック信号に基づく前記第2の装置による受信時間を示す基準時間に関連する各タイミングパルスの指示を含む基準データを生成する、
ように構成される、第2の装置と、
を含み、
(1)前記第1の装置から前記イベントデータを受信し、
(2)ローカルクロック信号を使用して決定されるローカル受信時間に基づいて各イベントの推定ローカルイベント時間を記録し、
(3)前記ローカルイベント時間及び前記第1のイベント時間を使用して前記第1のクロック信号及び前記ローカルクロック信号を関係付ける第1の関数を導出し、
(4)前記第1の関数及び前記第2の装置から受信した前記基準データを使用して前記第1のクロック信号及び前記第2のクロック信号を関係付ける同期関数を導出し、
(5)前記同期関数を使用して前記第1のクロック信号及び前記第2のクロック信号の時間同期を行う、
ように構成される、1つ又は複数の処理装置、を含む、
機器。
【請求項13】
前記1つ又は複数の処理装置が、
a)前記第2のクロック信号及び前記ローカルクロック信号を関係付ける第2の関数を決定し、
b)前記第2の関数を使用して前記同期関数を決定する、
ように構成される、
請求項12に記載の機器。
【請求項14】
前記1つ又は複数の処理装置が、
a)前記第2の装置から前記基準データを受信し、
b)前記ローカルクロック信号を使用して決定されるローカル受信時間に基づいて各タイミングパルスのおおよそのローカル基準時間を記録し、
c)前記ローカル基準時間及び前記基準時間を使用して前記第2の関数を導出する、
ように構成される、
請求項13に記載の機器。
【請求項15】
前記1つ又は複数の処理装置が、
a)前記第1の関数及び前記基準データを使用して前記タイミングパルスのおおよその第1の基準時間を回復し、
b)前記タイミングパルスの正確な第1の基準時間を解決し、
c)前記正確な第1の基準時間を使用して第3の関数を決定する、
ように構成される、
請求項12乃至14の何れか一項に記載の機器。
【請求項16】
前記第2のクロックが前記ローカルクロックであり、
前記1つ又は複数の処理装置が前記第2の装置の一部である、
請求項12に記載の機器。
【請求項17】
前記第2の装置が幾つかの他の装置を同期するために使用されるマスタクロックである、
請求項12乃至14の何れか一項に記載の機器。
【請求項18】
少なくとも1つの関数が線形フィットに基づく、
請求項12乃至14の何れか一項に記載の機器。
【請求項19】
前記1つ又は複数の処理装置が、イベントを前記第2のクロック信号と同期するために、前記同期関数を使用して前記第2のクロック信号に基づく第2のイベント時間を計算する、ように構成される、
請求項12乃至14の何れか一項に記載の機器。
【請求項20】
前記1つ又は複数の処理装置が、
a)受信イベントデータを前記第1の関数と比較し、
b)前記比較の結果に応じて少なくとも1つの関数を選択的に再計算する、
ように構成される、
請求項12乃至14の何れか一項に記載の機器。
【請求項21】
前記1つ又は複数の処理装置が、前記比較の結果に基づいてずれが識別される場合に少なくとも1つの関数を再計算するように構成される、
請求項20に記載の機器。
【請求項22】
複数の装置にわたるクロック同期を行うための機器であって、
a)第1の装置であって、
i)第1のクロック信号に基づくタイミングパルスを発し、
ii)前記第1のクロック信号に基づく第1のイベント時間に関連するイベントを含むイベントデータを出力する、
ように構成される、第1の装置と、
b)第2の装置であって、
i)前記タイミングパルスを受信し、
ii)第2のクロック信号に基づく前記第2の装置による受信時間を示す基準時間に関連する各タイミングパルスの指示を含む基準データを出力する、
ように構成される、第2の装置と、
を含み、
(1)前記第1の装置から前記イベントデータを受信し、
(2)ローカルクロック信号を使用して決定されるローカル受信時間に基づいて各イベントの推定ローカルイベント時間を記録し、
(3)前記ローカルイベント時間及び前記第1のイベント時間を使用して前記第1のクロック信号及び前記ローカルクロック信号を関係付ける第1の関数を導出し、
(4)前記基準データを受信し、
(5)前記ローカルクロック信号を使用して決定されるローカル受信時間に基づいて各タイミングパルスの推定ローカル基準時間を記録し、
(6)前記ローカル基準時間及び前記基準時間を使用して前記第2のクロック信号及び前記ローカルクロック信号を関係付ける第2の関数を導出し、
(7)前記第1の関数及び前記第2の関数並びに前記基準データを使用して前記第1のクロック信号及び前記第2のクロック信号を関係付ける第3の関数を決定し、
(8)前記第3の関数を使用して前記第1のクロック信号及び前記第2のクロック信号の時間同期を行う、
ように構成される、1つ又は複数の処理装置、を含む、
機器。
【外国語明細書】