(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029263
(43)【公開日】2024-03-05
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 15/04 20060101AFI20240227BHJP
【FI】
B41J15/04
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024007313
(22)【出願日】2024-01-22
(62)【分割の表示】P 2019157883の分割
【原出願日】2019-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼田 健志
(72)【発明者】
【氏名】山田 陸生
(72)【発明者】
【氏名】小林 岳洋
(72)【発明者】
【氏名】西島 英昭
(57)【要約】
【課題】搬送ローラーが回転できなくなってしまうことを抑制することができる印刷装置を提供すること。
【解決手段】記録紙を巻いたロール紙を収容するロール紙収容部と、前記記録紙の第1面と接触する第1紙案内部と、前記記録紙の第2面と接触する第2紙案内部と、前記記録紙を搬送する搬送ローラーと、を備え、前記第1紙案内部と、前記第2紙案内部とは、対向して前記記録紙が通過可能な紙経路を形成し、前記搬送ローラーは、前記紙経路を通過した前記記録紙を搬送し、前記第2紙案内部は、前記ロール紙収容部に向けて突出する突出部と、前記ロール紙の外周面に沿って前記第1紙案内部から離れる方向に前記突出部から延伸する押さえ部と、を有する、印刷装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙を巻いたロール紙を収容するロール紙収容部と、
前記記録紙の第1面と接触する第1紙案内部と、
前記記録紙の第2面と接触する第2紙案内部と、
前記記録紙を搬送する搬送ローラーと、
を備え、
前記第1紙案内部と、前記第2紙案内部とは、対向して前記記録紙が通過可能な紙経路を形成し、
前記搬送ローラーは、前記紙経路を通過した前記記録紙を搬送し、
前記第2紙案内部は、
前記ロール紙収容部に向けて突出する突出部と、
前記ロール紙の外周面に沿って前記第1紙案内部から離れる方向に前記突出部から延伸する押さえ部と、
を有する、
印刷装置。
【請求項2】
前記ロール紙収容部を開閉するカバーを更に備え、
前記第2紙案内部及び前記搬送ローラーは、前記カバーに設けられており、
前記カバーが閉じた場合、前記第1紙案内部と、前記第2紙案内部とは、対向して前記紙経路を形成する、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記記録紙の搬送方向において前記第2紙案内部の下流に設けられており、前記搬送ローラーの表面の一部を覆う第3紙案内部を更に備える、
請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記記録紙と対向する前記第1紙案内部の面の少なくとも一部は、前記記録紙と対向する前記第2紙案内部の面に沿って屈曲しており、
前記記録紙と対向する前記第2紙案内部の面は、前記搬送方向における下流から上流に向かうほど前記搬送ローラーから離れるように屈曲しており、
前記記録紙と対向する前記第3紙案内部の面は、前記搬送ローラーの外周面に沿って屈曲している、
請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第1紙案内部は、前記搬送ローラーにより搬送中の前記記録紙と接触した場合、前記第2紙案内部から離れる方向に移動する、
請求項1から4のうちいずれか一項に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロール紙から引き出した記録紙に画像を印刷する印刷装置についての研究、開発が行われている。
【0003】
これに関し、ロール紙から引き出した記録紙と接触して記録紙をガイドする紙案内部を備えた印刷装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の印刷装置では、ロール紙を収容するロール紙収容部に収容されたロール紙から搬送ローラーの回転によって記録紙が引き出される。しかしながら、ロール紙をロール紙収容部に収容する際、ロール紙がたるんでいると、ロール紙のたるみ部分が搬送ローラーの回転に巻き込まれてしまう場合がある。この場合、当該印刷装置では、搬送ローラーが回転できなくなってしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の一態様は、記録紙を巻いたロール紙を収容するロール紙収容部と、前記記録紙の第1面と接触する第1紙案内部と、前記記録紙の第2面と接触する第2紙案内部と、前記記録紙を搬送する搬送ローラーと、を備え、前記第1紙案内部と、前記第2紙案内部とは、対向して前記記録紙が通過可能な紙経路を形成し、前記搬送ローラーは、前記紙経路を通過した前記記録紙を搬送し、前記第2紙案内部は、前記ロール紙収容部に向けて突出する突出部と、前記ロール紙の外周面に沿って前記第1紙案内部から離れる方向に前記突出部から延伸する押さえ部と、を有する、印刷装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、印刷装置において、前記ロール紙収容部を開閉するカバーを更に備え、前記第2紙案内部及び前記搬送ローラーは、前記カバーに設けられており、前記カバーが閉じた場合、前記第1紙案内部と、前記第2紙案内部とは、対向して前記紙経路を形成する、構成が用いられてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様は、印刷装置において、前記記録紙の搬送方向において前記第2紙案内部の下流に設けられており、前記搬送ローラーの表面の一部を覆う第3紙案内部を更に備える、構成が用いられてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様は、印刷装置において、前記記録紙と対向する前記第1紙案内部の面の少なくとも一部は、前記記録紙と対向する前記第2紙案内部の面に沿って屈曲しており、前記記録紙と対向する前記第2紙案内部の面は、前記搬送方向における下流から上流に向かうほど前記搬送ローラーから離れるように屈曲しており、前記記録紙と対向する前記第3紙案内部の面は、前記搬送ローラーの外周面に沿って屈曲している、構成が用いられてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様は、印刷装置において、前記第1紙案内部は、前記搬送ローラーにより搬送中の前記記録紙と接触した場合、前記第2紙案内部から離れる方向に移動する、構成が用いられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図1に示した印刷装置1の概略断面図である。
【
図3】開閉扉8を取り外した場合における印刷装置1を上側から下側に向かって見た図である。
【
図4】
図1に示した印刷装置1の開閉扉8からプリンターケース4を取り外した場合における開閉扉8を下側から上側に向かって見た図である。
【
図5】ロール紙2にたるみが発生した場合における印刷装置1の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
<印刷装置の構成>
まず、実施形態に係る印刷装置1の構成について説明する。
【0014】
図1は、実施形態に係る印刷装置1の斜視図である。
図2は、
図1に示した印刷装置1の概略断面図である。
【0015】
印刷装置1は、長尺状の記録紙3を巻いたロール紙2から引き出した記録紙3に印刷を行うロール紙プリンターである。ロール紙2は、印刷装置1の内部に格納されている。
図1に示すように、印刷装置1は、全体として直方体形状のプリンターケース4を備える。プリンターケース4には、記録紙3を排出するための排出口5が設けられている。
【0016】
ここで、三次元座標系TCは、三次元座標系TCが描かれた各図における方向を示す三次元直交座標系である。以下では、説明の便宜上、三次元座標系TCにおけるX軸を、単にX軸と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、三次元座標系TCにおけるY軸を、単にY軸と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、三次元座標系TCにおけるZ軸を、単にZ軸と称して説明する。
【0017】
また、以下では、説明の便宜上、
図1において、直方体形状のプリンターケース4が有する面のうち排出口5が設けられている面を、単に上面と称し、上面と反対側の面を単に下面と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、上面と直交する2つの方向のうち下面から上面に向かう方向を、単に上方向又は上と称して説明する。そして、以下では、一例として、
図1に示すように、上方向がZ軸の正方向と一致している場合について説明する。
【0018】
また、以下では、説明の便宜上、印刷装置1の内部に格納されたロール紙2の中心軸と平行な2つの方向を、まとめて印刷装置1の幅方向又は単に幅方向と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、上下方向と幅方向との両方に直交する2つの方向を、まとめて印刷装置1の前後方向又は単に前後方向と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、直方体形状のプリンターケース4が有する面のうち、前後方向と交差し、且つ、排出口5に近い方の面を、単に前面と称し、前面と反対側の面を後面と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、前後方向のうち後面から前面に向かう方向を、単に前方向又は前と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、前後方向のうち前面から後面に向かう方向を、単に後方向又は後と称して説明する。そして、以下では、一例として、
図1に示すように、後方向がY軸の正方向と一致している場合について説明する。この場合、X軸の正方向は、Y軸の正方向を向くベクトルとZ軸の正方向を向くベクトルとの外積により算出されるベクトルが向く方向に向いているため、前述の幅方向のうちの一方の方向と一致している。そこで、以下では、説明の便宜上、幅方向のうちX軸の正方向と一致している方向を、単に右方向又は右と称し、右方向と逆の方向を単に左方向又は左と称して説明する。
【0019】
すなわち、排出口5について換言すると、
図1に示した印刷装置1では、前述の排出口5は、プリンターケース4の上面の前側に設けられている。そして、排出口5は、左右方向に延びている。
【0020】
プリンターケース4は、箱型のケース本体6と、ケース本体6に上側から被せられた開閉扉8を備えている。ここで、ケース本体6は、ロール紙2を収容するロール紙収容部7を内部に備えている。また、開閉扉8は、ロール紙収容部7のロール紙投入口7aを上方向から封鎖する。
【0021】
開閉扉8は、排出口5の後方向に設けられている。開閉扉8の右方向には、開閉レバー9が設けられている。開閉レバー9の後方には、電源スイッチ10が設けられている。開閉レバー9を操作されると、開閉扉8のロックは、解除される。当該ロックが解除されると、開閉扉8は、開閉扉8の後端部分において左右方向に延びる回転軸周りに回動可能となる。開閉扉8は、平伏した姿勢において、ロール紙収容部7を封鎖する。一方、開閉扉8は、起立した姿勢でロール紙収容部7を開放する。換言すると、開閉扉8は、ロール紙収容部7を開閉する。
図1では、開閉扉8は、平伏した姿勢でロール紙収容部7を封鎖している。開閉扉8は、カバーの一例である。
【0022】
プリンターケース4の内部には、印刷ヘッド14、カッター15が搭載されている。また、プリンターケース4の内部には、ロール紙収容部7から印刷位置及び切断位置を経由して排出口5に至る搬送路が設けられている。ここで、印刷位置は、当該搬送路上の位置のうち印刷ヘッド14により記録紙3に印刷が行われる位置である。切断位置は、当該搬送路上の位置のうちカッター15により記録紙3の切断が行われる位置である。
【0023】
印刷ヘッド14は、サーマルヘッドである。印刷位置は、印刷ヘッド14と対峙するプラテンローラー17によって規定されている。プラテンローラー17には、
図1及び
図2において図示しない搬送モーターの回転駆動力が伝達される。プラテンローラー17及び搬送モーターは、前述の搬送路に沿って記録紙3を搬送する搬送機構を構成する。なお、プラテンローラー17は、搬送ローラーの一例である。
【0024】
印刷装置1は、印刷ヘッド14を駆動して、印刷位置を通る記録紙3に印刷を行う。更に、印刷装置1は、カッター15を駆動して、印刷が済んだ記録紙3の記録紙部分を切断する。なお、印刷装置1は、このような記録紙3の切断として、印刷が済んでいない記録紙3から当該記録紙部分を部分的に切断する構成であってもよく、印刷が済んでいない記録紙3から当該記録紙部分を完全に切断する構成であってもよい。
【0025】
また、印刷装置1は、搬送モーターを駆動してプラテンローラー17を回転させ、前述の搬送路に沿ってセットされた記録紙3を一定速度で搬送方向Z1に搬送する。ここで、搬送方向Z1は、搬送路に沿って記録紙3が搬送される方向のことである。
【0026】
また、印刷装置1は、第1紙案内部G1と、第2紙案内部G2を備える。そして、印刷装置1では、搬送路のうちのロール紙2から印刷位置までの間の経路の少なくとも一部が、第1紙案内部G1及び第2紙案内部G2によって形成されている。より具体的には、第1紙案内部G1と第2紙案内部G2とは、互いに対向して記録紙3が通過可能な経路を、紙経路RTとして形成する。すなわち、第1紙案内部G1と第2紙案内部G2とはそれぞれ、互いに対向する面を有する。そして、これらの対向する2つの面が、紙経路RTの少なくとも一部を構成する。このため、これらの対向する2つの面は、記録紙3が通過可能なように離間している。なお、これらの対向する2つの面のうちのいずれか一方又は両方の表面には、1以上の間隙が存在していてもよい。すなわち、これらの対向する2つの面のうちのいずれか一方又は両方は、例えば、互いに離間した複数のリブそれぞれが有する面が並ぶことによって形成される構成であってもよい。
【0027】
このように、第1紙案内部G1は、紙経路RTを構成する面を有する。また、第1紙案内部G1は、紙経路RTを通る記録紙3の第1面と接触する部材である。記録紙3の第1面は、記録紙3が有する面のうち、前述の印刷位置によって印刷が行われる側の面のことである。また、第1紙案内部G1は、印刷装置1の幅方向に延伸する図示しない軸によって当該軸周りに回動可能に支持された部材である。ただし、第1紙案内部G1は、紙経路RTを通る記録紙3の第1面側に向かって、バネ等の付勢部材によって付勢されている。そして、第1紙案内部G1は、プラテンローラー17により搬送中の記録紙3と接触した場合、記録紙3から第1紙案内部G1に加わる力に応じて、第2紙案内部G2から離れる方向に移動する。換言すると、第1紙案内部G1は、当該場合、記録紙3から第1紙案内部G1に加わる力に応じて、当該軸を中心として第2紙案内部G2から離れる方向に回動する。これにより、印刷装置1は、プラテンローラー17によって搬送される記録紙3の慣性負荷のばらつきを低減することができる。
【0028】
ここで、
図3は、開閉扉8を取り外した場合における印刷装置1を上側から下側に向かって見た図である。なお、
図3に示したロール紙収容部7の中には、ロール紙2が入っていない。
図3に示したように、第1紙案内部G1は、ロール紙収容部7の前方上側に設けられている。
図3に示した面M1は、第1紙案内部G1が有する面のうちの紙経路RTを構成する面の一例を示す。
【0029】
また、記録紙3と対向する第1紙案内部G1の面の少なくとも一部は、記録紙3と対向する第2紙案内部G2の面に沿って屈曲している。
【0030】
一方、記録紙3と対向する第2紙案内部G2の面は、搬送方向Z1における下流から上流に向かうほどプラテンローラー17から離れるように屈曲している。これにより、印刷装置1は、搬送方向Z1における紙経路RTの長さを長くすることができる。その結果、印刷装置1は、後述するように、ロール紙2においてたるんだ部分が発生した場合であっても、当該たるんだ部分が紙経路RTを介してプラテンローラー17の回転に巻き込まれてしまうことを抑制することができる。
【0031】
ここで、第2紙案内部G2は、突出部Sと、押さえ部Mを有する。
【0032】
突出部Sは、第2紙案内部G2が有する部位のうちロール紙収容部7に向けて突出している部位のことである。これにより、印刷装置1は、ロール紙2においてたるんだ部分が発生した場合であっても、当該たるんだ部分が紙経路RT内に入り込んでしまうことを抑制することができる。
【0033】
突出部Sの先端は、丸みを帯びた形状であってもよく、尖った形状であってもよい。ただし、突出部Sの先端は、尖った形状よりも、丸みを帯びた形状である方が望ましい。これにより、印刷装置1は、ロール紙2から引き出された記録紙3、ロール紙2においてたるんだ部分等に対して、突出部Sとの接触により折り目が付いてしまうことを抑制することができる。また、これにより、印刷装置1は、ロール紙2から引き出された記録紙3、ロール紙2においてたるんだ部分等が、突出部Sとの接触により切断されてしまうことを抑制することができる。なお、第2紙案内部G2は、突出部Sを有さない構成であってもよい。
【0034】
押さえ部Mは、第2紙案内部G2が有する部位のうち、ロール紙2の外周面に沿って第1紙案内部G1から離れる方向に突出部Sから延伸する部位のことである。これにより、印刷装置1は、ロール紙2においてたるんだ部分が発生した場合であっても、当該たるんだ部分を突出部Sとともにロール紙2の外周面側に押し付けることができ、当該たるんだ部分が紙経路RT内に入り込んでしまうことを、より確実に抑制することができる。なお、押さえ部Mの表面には、1以上の間隙が存在していてもよい。すなわち、押さえ部Mは、例えば、互いに離間した複数のリブそれぞれが有する面が並ぶことによって形成される構成であってもよい。なお、第2紙案内部G2は、押さえ部Mを有さない構成であってもよい。
【0035】
このように突出部Sと押さえ部Mとを有する第2紙案内部G2は、
図2に示したように、プラテンローラー17とともに開閉扉8に設けられている。そして、開閉扉8がロール紙収容部7を封鎖した場合、第1紙案内部G1と、第2紙案内部G2とは、対向して紙経路RTを形成する。前述のロール紙2のたるみは、開閉扉8によりロール紙収容部7が封鎖される際に生じ得る現象である。すなわち、印刷装置1は、開閉扉8がロール紙収容部7を封鎖する際にロール紙2においてたるんだ部分が、第1紙案内部G1と第2紙案内部G2とにより紙経路RTに入り込んでしまうことを抑制することができる。その結果、印刷装置1は、当該たるんだ部分がプラテンローラー17の回転に巻き込まれてしまうことを抑制することができる。換言すると、印刷装置1は、当該たるんだ部分を巻き込むことによってプラテンローラー17が回転できなくなってしまうことを抑制することができる。
【0036】
また、印刷装置1は、プラテンローラー17の表面の一部を覆う第3紙案内部G3を更に備える。このため、第3紙案内部G3は、
図2に示したように、プラテンローラー17及び第2紙案内部G2とともに開閉扉8に設けられている。印刷装置1において、第3紙案内部G3は、
図2に示したように、記録紙3の搬送方向Z1において第2紙案内部G2の下流に設けられている。また、記録紙3と対向する第3紙案内部の面は、プラテンローラー17の外周面に沿って屈曲している。これにより、印刷装置1は、紙経路RTが必要以上に長くなってしまうことを抑制することができる。また、これにより、印刷装置1は、開閉扉8がロール紙収容部7を封鎖する際にロール紙2においてたるんだ部分が紙経路RTに入り込んでしまった場合であっても、当該たるんだ部分がプラテンローラー17に巻き込まれてしまうことを抑制することができる。その結果、印刷装置1は、当該たるんだ部分を巻き込むことによってプラテンローラー17が回転できなくなってしまうことを、より確実に抑制することができる。なお、印刷装置1は、第3紙案内部G3を備えない構成であってもよい。
【0037】
ここで、
図4は、
図1に示した印刷装置1の開閉扉8からプリンターケース4を取り外した場合における開閉扉8を下側から上側に向かって見た図である。
図4に示したように、第2紙案内部G2及び第3紙案内部G3は、開閉扉8との間にプラテンローラー17を挟んで開閉扉8の後方上側に設けられている。
図4に示した面M2は、第2紙案内部G2が有する面のうちの紙経路RTを構成する面の一例を示す。
【0038】
また、
図5は、ロール紙2にたるみが発生した場合における印刷装置1の概略断面図である。
図5に示したたるんだ部分SKは、ロール紙2がたるんだ部分の一例を示す。
図5に示したように、印刷装置1では、たるんだ部分SKは、第2紙案内部G2の突出部S及び押さえ部Mによりロール紙2の外周面に近づくように押さえ込まれており、紙経路RTに入り込んでいない。また、印刷装置1では、たるんだ部分SKが紙経路RTに入り込んだ場合であっても、たるんだ部分SKは、記録紙3と対向する第1紙案内部G1の面の屈曲と、記録紙3と対向する第2紙案内部G2の面の屈曲とにより、プラテンローラー17の外周面まで近づくことが困難である。また、印刷装置1では、たるんだ部分SKが紙経路RTを通ってプラテンローラー17の外周面に近づいたとしても、たるんだ部分SKは、第3紙案内部G3により、プラテンローラー17の外周面に接触することが困難である。このように、印刷装置1は、搬送ローラーが回転できなくなってしまうことを抑制することができる。
【0039】
以上説明したように、実施形態に係る印刷装置は、記録紙を巻いたロール紙を収容するロール紙収容部と、記録紙の第1面と接触する第1紙案内部と、記録紙の第2面と接触する第2紙案内部と、記録紙を搬送する搬送ローラーと、を備え、第1紙案内部と、第2紙案内部とは、対向して記録紙が通過可能な紙経路を形成し、搬送ローラーは、紙経路を通過した記録紙を搬送し、第2紙案内部は、ロール紙収容部に向けて突出する突出部と、ロール紙の外周面に沿って第1紙案内部から離れる方向に突出部から延伸する押さえ部と、を有する。これにより、印刷装置は、搬送ローラーが回転できなくなってしまうことを抑制することができる。
【0040】
また、印刷装置は、ロール紙収容部を開閉するカバーを更に備え、第2紙案内部及び搬送ローラーは、カバーに設けられており、カバーが閉じた場合、第1紙案内部と、第2紙案内部とは、対向して紙経路を形成する、構成が用いられてもよい。
【0041】
また、印刷装置は、記録紙の搬送方向において第2紙案内部の下流に設けられており、搬送ローラーの表面の一部を覆う第3紙案内部を更に備える、構成が用いられてもよい。
【0042】
また、印刷装置は、記録紙と対向する第1紙案内部の面の少なくとも一部は、記録紙と対向する第2紙案内部の面に沿って屈曲しており、記録紙と対向する第2紙案内部の面は、搬送方向における下流から上流に向かうほど搬送ローラーから離れるように屈曲しており、記録紙と対向する第3紙案内部の面は、搬送ローラーの外周面に沿って屈曲している、構成が用いられてもよい。
【0043】
また、印刷装置は、第1紙案内部は、搬送ローラーにより搬送中の記録紙と接触した場合、第2紙案内部から離れる方向に移動する、構成が用いられてもよい。
【0044】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…印刷装置、2…ロール紙、3…記録紙、4…プリンターケース、5…排出口、6…ケース本体、7…ロール紙収容部、7a…ロール紙投入口、8…開閉扉、9…開閉レバー、10…電源スイッチ、14…印刷ヘッド、15…カッター、17…プラテンローラー、G1…第1紙案内部、G2…第2紙案内部、G3…第3紙案内部、M…押さえ部、M1、M2…面、RT…紙経路、S…突出部、SK…たるんだ部分、TC…三次元座標系、Z1…搬送方向
【手続補正書】
【提出日】2024-02-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録紙を巻いたロール紙を収容するロール紙収容部と、
前記記録紙の第1面と接触する第1紙案内部と、
前記記録紙の第2面と接触する第2紙案内部と、
前記記録紙の第2面と接触する第3紙案内部と、
前記記録紙を搬送する搬送ローラーと、
を備え、
前記第1紙案内部と、前記第2紙案内部とは、対向して前記記録紙が通過可能な紙経路を形成し、
前記搬送ローラーは、前記紙経路を通過した前記記録紙を搬送し、
前記第2紙案内部は、
前記ロール紙収容部に向けて突出する突出部と、
前記ロール紙の外周面に沿って前記第1紙案内部から離れる方向に前記突出部から延伸する押さえ部と、
を有し、
前記第3紙案内部は、
前記記録紙の搬送方向において前記突出部の下流に設けられており、前記記録紙の前記第1面に接する前記第1紙案内部の位置において、前記記録紙の前記第2面に接触する、
印刷装置。
【請求項2】
前記ロール紙収容部を開閉するカバーを更に備え、
前記第2紙案内部及び前記搬送ローラーは、前記カバーに設けられており、
前記カバーが閉じた場合、前記第1紙案内部と、前記第2紙案内部とは、対向して前記紙経路を形成する、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第3紙案内部は、前記搬送ローラーの表面の一部を覆う、
請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記記録紙と対向する前記第1紙案内部の面の少なくとも一部は、前記記録紙と対向する前記第2紙案内部の面に沿って屈曲しており、
前記記録紙と対向する前記第2紙案内部の面は、前記搬送方向における下流から上流に向かうほど前記搬送ローラーから離れるように屈曲しており、
前記記録紙と対向する前記第3紙案内部の面は、前記搬送ローラーの外周面に沿って屈曲している、
請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第1紙案内部は、前記搬送ローラーにより搬送中の前記記録紙と接触した場合、前記第2紙案内部から離れる方向に移動する、
請求項1から4のうちいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記突出部は、前記第1紙案内部が有する端部のうち前記ロール紙収容部側の端部よりも前記ロール紙収容部の近くに位置し、前記搬送方向において前記第1紙案内部よりも上流に設けられる、
請求項1から5のうちいずれか一項に記載の印刷装置。