(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029272
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 15/04 20110101AFI20240228BHJP
【FI】
G06T15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131427
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】522039773
【氏名又は名称】株式会社 ラセングル
(74)【代理人】
【識別番号】100153246
【弁理士】
【氏名又は名称】伊吹 欽也
(72)【発明者】
【氏名】石田 臣
【テーマコード(参考)】
5B080
【Fターム(参考)】
5B080AA13
5B080GA22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の部位や物体のテクスチャ毎にレイヤー分けされた画像データを効率良く生成することが可能な情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】テクスチャファイルからレイヤー分けされた画像データを生成する処理手順は、部位テクスチャが複数含まれ、PNG形式のテクスチャファイルから部位テクスチャの各々を区分けしS32、区分けされた部位テクスチャの各々に対して矩形を設定しS33、テクスチャファイルから区分けされた部位テクスチャが含まれる矩形の領域を取得することにより、区分けした部位テクスチャの各々の画像ファイルを生成しS34、これら画像ファイルに基づいて、部位テクスチャ毎にレイヤー分けされ、PSD形式である画像データを生成し、矩形情報に基づいて、対応するレイヤーにおいて区分けされた部位テクスチャを配置するべき位置を特定するS35。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
描画対象のテクスチャが複数含まれ、第一のファイル形式の第一の画像データから描画対象のテクスチャの各々を区分けする工程と、
前記区分けされた描画対象のテクスチャの各々に対して、該当する描画対象のテクスチャを自身の内側の領域に含むように矩形を設定する工程と、
前記第一の画像データから、前記設定された矩形の領域であって、その内側に対応する描画対象のテクスチャが含まれる矩形の領域を取得することにより、前記第一のファイル形式であり、前記矩形の領域に関する第二の画像データを生成する工程であって、前記設定された矩形の各々について前記第二の画像データを生成する工程と、
前記生成された第二の画像データに基づいて、前記描画対象のテクスチャ毎にレイヤー分けされ、前記第一のファイル形式と異なる第二のファイル形式である第三の画像データを生成する工程とを有し、
前記第三の画像データを生成する工程では、前記設定された矩形に関する情報に基づいて、対応するレイヤーにおいて前記第二の画像データを配置するべき位置を特定することを特徴とする情報処理方法。
【請求項2】
コンピュータに、
描画対象のテクスチャが複数含まれ、第一のファイル形式の第一の画像データから描画対象のテクスチャの各々を区分けする工程と、
前記区分けされた描画対象のテクスチャの各々に対して、該当する描画対象のテクスチャを自身の内側の領域に含むように矩形を設定する工程と、
前記第一の画像データから、前記設定された矩形の領域であって、その内側に対応する描画対象のテクスチャが含まれる矩形の領域を取得することにより、前記第一のファイル形式であり、前記矩形の領域に関する第二の画像データを生成する工程であって、前記設定された矩形の各々について前記第二の画像データを生成する工程と、
前記生成された第二の画像データに基づいて、前記描画対象のテクスチャ毎にレイヤー分けされ、前記第一のファイル形式と異なる第二のファイル形式である第三の画像データを生成する工程とを実行させるプログラムであって、
前記第三の画像データを生成する工程では、前記設定された矩形に関する情報に基づいて、対応するレイヤーにおいて前記第二の画像データを配置するべき位置を特定するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
3DCG(Three-dimensional computer graphics)のゲームグラフィクスにおいては、キャラクタ、武器、建物や地形といった多面体オブジェクトを表現するため、その多面体オブジェクトの形状を表すデータ(本明細書では、“ポリゴンメッシュ”とも呼ぶ)と、オブジェクトの質感を表現するために用いられるデータ(本明細書では、“テクスチャ”とも呼ぶ。なお、2次元、3次元問わない)とを組み合わせることがある。すなわち、あるポリゴンメッシュに対して、それに該当するテクスチャを貼り付けることにより、所定のオブジェクトを表現するのである(特許文献1参照)。
【0003】
こうしたゲームのキャラクタアニメーションを前提としたテクスチャ画像の制作現場では、その制作過程において、テクスチャのUV座標の調整や、容量削減のためのサイズ縮小、既存キャラクタに対するパーツ追加のための既存テクスチャへの加筆修正等を行うケースがある。例えば3DCGにおいては、こういった処理に対して、各キャラクタを部位(頭、手首、腕等)毎に分解して、部位毎にポリゴンメッシュとテクスチャとを生成し、各部位のテクスチャの各々に対して3DCG制作ソフトウエア(例えば、Maya)や画像編集ソフトウエア(Photoshop(登録商標))により上記UV調整やパーツ追加等の所定の加工を施すことがある。このような加工は、キャラクタの部位に限らず、武器等の物体に対しても施されることもある。
【0004】
実際のゲーム実行時においては、表示すべき部位や物体のポリゴンメッシュに、該当するテクスチャを貼り付けることになるのだが、そのレンダリング時においては、テクスチャファイル(テクスチャが含まれるファイル)はGPU専用メモリに格納され、上記ゲーム実行時では、シェーダといった描画プログラムがGPU専用メモリに格納されたテクスチャを参照して、部位に描画すべき色を算出する。
【0005】
このとき、シェーダが参照するテクスチャを切り替える処理が実行されるのだが、テクスチャファイルの数が多ければ多いほど、上記切替処理が頻繁に実行され、その分だけ処理負荷が重くなってしまう。そこで、1つのファイル(例えば、PNG形式のファイル)に対して1つの部位に対するテクスチャではなく、複数の部位のテクスチャを含ませることにより、GPU専用メモリに格納するテクスチャファイルの数の増加を抑えることができ、描画処理負荷を低減することができる。1つのテクスチャファイルに詰め込むテクスチャの数が多ければ多いほど、上述したテクスチャファイルの切替処理の回数を減らして処理負荷を低減することができ、その分、他の計算や描画表現に処理力を割くことができる。
【0006】
さて、例えばレイヤーのように、複数の透明のシート(=レイヤー)を重ねて1つの絵を組み上げる方式を採ることにより、様々な調整を容易に行うことができる。すなわち、1つの画像を複数のレイヤー(キャラクタAの頭のテクスチャのみが含まれるレイヤー、キャラクタAの腕のテクスチャのみが含まれるレイヤー等)に分けることにより、レイヤー毎に細かく修正したり削除したり前後のレイヤーを入れ替えるといった調整を容易に行うことができる。こういったレイヤー構造については、ファイル形式によっては持てるものと持てないものとがある。例えば、ファイル形式がPSD形式の場合は上記レイヤー構造を持つことができるが、PNG形式は該レイヤー構造を持つことができない。
【0007】
上述した1つのテクスチャファイルとして、そこに含むべき部位や物体毎にレイヤー分けしたPSD形式のデータを作成し、それを中間データとして受け渡し・使用する場合があるが、このような中間データを作成することにより、例えば後工程にて部位毎に調整を行うことができ、ゲーム等のアニメーション制作をより効率よく行うことができるので好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、処理負荷低減の観点から1つのテクスチャファイルになるべく多くの部位のテクスチャを含ませることは非常に好ましく、また後工程での容易な調整を実現するために部位や物体毎にレイヤー分けされたテクスチャファイルを作成することも好ましい。しかしながら、例えば、Maya等により様々な調整を施した部位や物体のテクスチャを複数含むテクスチャファイルをPNG形式にて用意されている場合、このままでは上述した部位毎のテクスチャにてレイヤー分けができない。こういった場合であっても、上記部位や物体毎にレイヤー分けされた中間データを効率良く生成することが望まれている。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、複数の部位や物体のテクスチャ毎にレイヤー分けされた画像データを効率良く生成することが可能な情報処理方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するために、本発明の第一の態様は、情報処理方法であって、描画対象のテクスチャが複数含まれ、第一のファイル形式の第一の画像データから描画対象のテクスチャの各々を区分けする工程と、前記区分けされた描画対象のテクスチャの各々に対して、該当する描画対象のテクスチャを自身の内側の領域に含むように矩形を設定する工程と、前記第一の画像データから、前記設定された矩形の領域であって、その内側に対応する描画対象のテクスチャが含まれる矩形の領域を取得することにより、前記第一のファイル形式であり、前記矩形の領域に関する第二の画像データを生成する工程であって、前記設定された矩形の各々について前記第二の画像データを生成する工程と、前記生成された第二の画像データに基づいて、前記描画対象のテクスチャ毎にレイヤー分けされ、前記第一のファイル形式と異なる第二のファイル形式である第三の画像データを生成する工程とを有し、前記第三の画像データを生成する工程では、前記設定された矩形に関する情報に基づいて、対応するレイヤーにおいて前記第二の画像データを配置するべき位置を特定することを特徴とする。
本発明の第二の態様は、コンピュータに、描画対象のテクスチャが複数含まれ、第一のファイル形式の第一の画像データから描画対象のテクスチャの各々を区分けする工程と、前記区分けされた描画対象のテクスチャの各々に対して、該当する描画対象のテクスチャを自身の内側の領域に含むように矩形を設定する工程と、前記第一の画像データから、前記設定された矩形の領域であって、その内側に対応する描画対象のテクスチャが含まれる矩形の領域を取得することにより、前記第一のファイル形式であり、前記矩形の領域に関する第二の画像データを生成する工程であって、前記設定された矩形の各々について前記第二の画像データを生成する工程と、前記生成された第二の画像データに基づいて、前記描画対象のテクスチャ毎にレイヤー分けされ、前記第一のファイル形式と異なる第二のファイル形式である第三の画像データを生成する工程とを実行させるプログラムであって、前記第三の画像データを生成する工程では、前記設定された矩形に関する情報に基づいて、対応するレイヤーにおいて前記第二の画像データを配置するべき位置を特定する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の部位や物体のテクスチャ毎にレイヤー分けされた画像データを効率良く生成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の概略構成を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るテクスチャファイルを説明するための模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るテクスチャファイルからレイヤー分けされた画像データを生成する処理手順を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態に係るテクスチャファイルにおいて部位テクスチャの区分けを説明するための図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る区分けされた部位テクスチャの各々を画像ファイルとして保存することを説明するための図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る部位テクスチャ毎にレイヤーを生成することを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。なお、以下で説明する図面で、同機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略することもある。
【0015】
本発明の一実施形態では、物体や物体の一部といった描画対象のテクスチャが複数含まれる第一のファイル形式(例えば、PNG形式)である第一の画像データ(1枚の第一のファイル形式の画像に複数の描画対象のテクスチャが存在している画像データ(例えば、テクスチャファイル))から描画対象の各々を切り出し、該切り出された描画対象の各々につて第一のファイル形式の第二の画像データを生成する。次いで、該生成された各描画対象に関する第二の画像データを第一のファイル形式とは異なる第二のファイル形式(例えば、PSD形式)に変換し、かつ上記画像データ毎にレイヤー分けし、第一の画像データと同一の位置に各描画対象が位置するように1つに統合して描画対象毎にレイヤー分けされた第三の画像データ(例えば、上述した中間データ)を生成する。
【0016】
なお、描画対象となる“物体”は、例えば、生物、武器、乗り物、書物、食べ物、植物、建物といった、ゲームやアニメ、所定の静止画コンテンツにおいて表示するべきものであれば、いずれも対象となる。また、描画対象となる“物体の一部”は、頭、手首、腕、胸、足首、ロボットアームの手首部分、ヘリコプターのプロペラ等、物体の一部であればいずれも対象となる。よって、例えばキャラクタの部位は、物体の一部に含まれる。
【0017】
また、上記テクスチャは3DCG用であっても2DCG(Two-dimensional computer graphics)であっても良い。また、ゲーム等のアニメーション用の画像が対象であっても良いし、静止画等アニメーションしない画像が対象であっても良い。
【0018】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置100の概略構成を示す図である。
情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)101、GPU(Graphics Processing Unit)102、ストレージ103、メモリ104、出力インタフェース(I/F)105、リーダ106、リーダインタフェース(I/F)107、入力インタフェース(I/F)108、通信モジュール109を備えている。情報処理装置100には、出力I/F105を介して表示部110が接続され、また入力I/F108を介して入力部111が接続される。
【0019】
CPU101は、種々の演算、制御、判別などの処理動作を実行するものであり、例えばストレージ103から所定のプログラムをメモリ104にロードし、該プログラムに含まれる一連の命令を実行することによって、様々な処理を実行するよう機能する。GPU102は、画像処理を行うためのプロセッサであって、CPU101からの所定の命令に応じて画像を描画し、表示部110に画像を表示させる。
【0020】
ストレージ103は、CPU101が読み出して実行するためのプログラム(例えば、
図3に示すプログラム等)及び各種のデータが格納されている。メモリ104は、データ及びプログラムを一時的に保持する。メモリ104は、揮発性メモリであり、CPU101やGPU102の処理動作中のデータや入力データ、さらにはリーダ106にて読み取られたデータ(画像等)を一時的に格納するものであって、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0021】
出力I/F105は、CPU101やGPU102の指令に従って、ディスプレイといった表示部110に映像を表示する。リーダ106は、情報処理装置100に設けられ、所定のテクスチャファイルや各種データ、プログラム等が格納されたメモリカードやDVD(Digital Versatile Disc)といった外部記憶媒体を装着可能に構成され、該装着された外部記憶媒体から所定のデータを読み取る。リーダI/F107は、CPU101からの指令に応じて、リーダ106に装着された外部記憶媒体からのデータの読み取りを行う。入力I/F108は、キーボード等の入力部111を介して使用者が操作することによって入力された操作に関する入力信号を受付ける。通信モジュール109は、通信回路網に接続されて、通信回路網に接続されている他のコンピュータと通信する。この通信は有線であっても無線であってもよい。通信モジュール109を介してテクスチャファイルといった所定のデータを取得しても良い。
【0022】
本実施形態は、3DCGを用いたゲームにおけるキャラクタアニメーションのテクスチャ画像の製作過程に適用されるものであり、キャラクタが所定の基準(例えば、モーションを軸に)で各種部位に分解され、これら部位毎にポリゴンメッシュとテクスチャとが取得されている。本実施形態では、処理負荷低減の観点から、1つのファイル(テクスチャファイル)に複数の部位のテクスチャ(各部位のテクスチャを、“部位テクスチャ”とも呼ぶ)が含まれている。すなわち、1つの画像ファイルに複数の部位テクスチャが存在することになる。さらに、本実施形態では、上記テクスチャファイルにおける各部位テクスチャとそれに対応するポリゴンメッシュとを関連付けておく。すなわち、ポリゴンメッシュの頂点が上記テクスチャファイルにおける、対応する部位テクスチャのどのピクセルに対応するのかに関する情報(=テクスチャファイル中のUV座標)が、事前にポリゴンメッシュに埋め込まれている。よって、情報処理装置100は、ある部位のポリゴンメッシュに張り付けるべき部位テクスチャをテクスチャファイルから抽出することができる。なお、本実施形態では、上記複数の部位テクスチャを含むテクスチャファイルのファイル形式は、PNG形式である。
【0023】
図2は、本実施形態に係るテクスチャファイルを説明するための模式図である。1つの画像であるテクスチャファイル200は、PNG形式であり、部位テクスチャ201~204を有している。テクスチャファイル200において、部位テクスチャ201~204以外の領域(背景)は白地(アルファ値がゼロに設定)であり、幅(ピクセル座標x軸)Mピクセル(Mは自然数)、高さ(ピクセル座標y軸)Nピクセル(Nは自然数)の画像(Mpx×Npx)である。なお、
図2においては、部位テクスチャ201~204の各々は、簡略化のため各図形で示しているが、実際は、顔や手首等、キャラクタの部位である。なお、テクスチャファイル200には、部位に限らず、武器や乗り物といった物体を含めても良いことは言うまでもない。
【0024】
本実施形態では、所定のゲームのアニメーションに係るキャラクタの各部位テクスチャを含むテクスチャファイル200と、上記各部位の各々に対するポリゴンメッシュであって、上記テクスチャファイル200にて該当する部位テクスチャのUV座標を有するポリゴンメッシュ(テクスチャファイル200にて対応する部位テクスチャと関連付けられたポリゴンメッシュ)とを用意する。画像処理装置100は、このようなテクスチャファイル200から部位テクスチャ201~204の各々を切り出し、切り出した部位テクスチャ201~204の各々についてPNG形式の画像ファイルとして書き出し、書き出された部位テクスチャ201~204の各々をテクスチャファイル201と同じ位置になるようにPSD形式のレイヤーデータに変換し、それらを1つのPSD形式のデータに統合する。こうすることによって、部位テクスチャ毎にレイヤー分けされ、部位テクスチャ201~204の各々の位置がテクスチャファイル200の位置と同位置となる画像データを生成するのである。
【0025】
本発明の一実施形態に係るテクスチャファイルからレイヤー分けされた画像データを生成する処理手順を示すフローチャートである。本処理は、CPU101がストレージ103に格納された
図3に示すプログラムを読み出し、該プログラムを実行することによって行われる。なお、本発明においては、テクスチャファイル200および該テクスチャファイル200に対応するポリゴンメッシュの生成は本質ではないので、どのような方法で生成しても良いが、本実施形態においては、情報処理装置100とは別の装置にて生成されて外部記憶媒体に保存され、該外部記憶媒体からリーダ106を介してストレージ103に格納されている。
【0026】
ステップS31では、CPU101は、ストレージ103に格納されているテクスチャファイル200を取得する。
【0027】
ステップS32では、CPU101は、ステップS31にて取得されたテクスチャファイル200に対してそこに含まれる部位テクスチャ201~204の各々を区分けする。本実施形態では、CPU101は、テクスチャファイル200について、特定のRGB値または透過色を境界とみなし、それぞれを別個のピクセルグループに切り分けることにより部位テクスチャ201~204の各々を区分けし、区分けされた部位テクスチャ201~204の各々に対してラベリングする。例えば、CPU101は、区分けされた部位テクスチャ201を構成する全てのピクセルに識別子として「1」を付与する。同様に、CPU101は、部位テクスチャ202を構成する全てのピクセルに識別子として「2」を、部位テクスチャ203を構成する全てのピクセルに識別子として「3」を、部位テクスチャ204を構成する全てのピクセルに識別子として「4」をそれぞれ付する。また、本実施形態では、「アルファ値がゼロ」=透過色という設定にしており、テクスチャファイル200において透過色(白地(背景))では無い1つの連続した領域を検出することにより、各部位テクスチャを区分けする。なお、任意値のRGB値を指定する場合は、該指定したRGB値が完全一致したピクセルを透過色として扱うようにすれば良い。
【0028】
ステップS33では、CPU101は、ステップS32にて区分けされた部位テクスチャ201~204の各々を、その内側に含むように仮想の矩形(テクスチャファイル200のピクセル座標系のX軸と平行な辺(横の辺)と該ピクセル座標系のY軸と平行な辺(縦の辺)とを有する四角形)を設定する。すなわち、
図4に示すように、CPU101は、部位テクスチャ201に対して、自身の領域内に部位テクスチャ201が位置するように矩形401を設定し、部位テクスチャ202に対して、自身の領域内に部位テクスチャ202が位置するように矩形402を設定し、部位テクスチャ203に対して、自身の領域内に部位テクスチャ203が位置するように矩形403を設定し、部位テクスチャ204に対して、自身の領域内に部位テクスチャ204が位置するように矩形404を設定する。さらに、CPU101は、各矩形401~404について、それぞれの矩形を特定するための矩形情報(ピクセル座標系における矩形の左上頂点の座標、矩形の横の長さ、矩形の縦の長さ)を取得し、それら矩形情報をステップS32にて各部位テクスチャに付与されたラベリングと関連付けて保存する。すなわち、CPU101は、矩形401について取得された矩形情報に対して部位テクスチャ201に付された識別子「1」を関連付ける。他の矩形情報に対しても同様に該当する識別子を関連付ける。なお、矩形402のように、部位テクスチャの形状によっては、それを取り囲む4角が直角の四角形としては正方形になることもある。よって、本発明では、矩形には、正方形も含むこととする。
【0029】
さらに詳細に説明すると、CPU101は、各部位テクスチャに対して、テクスチャファイル200におけるピクセル座標(XY座標系)を取得し、該ピクセル座標から各々の矩形を設定する。例えば、矩形401の生成については、CPU101は、識別子「1」を参照して部位テクスチャ201を構成する全てのピクセル(「1」でラベリングされている)を走査し、部位テクスチャ201におけるピクセルX座標の最大値XMaxおよび最小値XMin、ならびに部位テクスチャ201におけるピクセルY座標の最大値YMaxおよび最小値YMinを取得する。これにより、CPU101は、ピクセル座標系における矩形401の左上座標401aの座標値(最小値XMin、最小値YMin)、および右下座標401bの座標値(最大値XMax、最大値YMax)を取得することができ、これら座標に基づいて矩形401を設定する。さらに、CPU101は、
矩形の横の辺の長さ = 最大値XMax-最小値XMin+1
矩形の縦の辺の長さ = 最大値YMax-最小値YMin+1
を各々計算することによって、矩形401の横の長さ、および縦の長さを計算する。このようにして、CPU101は、矩形401の矩形情報(右上座標401aの座標値、横の長さ、縦の長さ)を取得する。CPU101は、これら処理と同様にして、矩形402~404の各々を設定し、それらに対応する矩形情報を取得する。
【0030】
S34では、CPU101は、ステップS32にて区分けされた部位テクスチャ201~204の各々の画像ファイルを生成する。ここで生成される部位テクスチャ201~204各々に対する画像ファイルはPNG形式である。上述のように、矩形情報によりテクスチャファイル200における矩形401~404の各々の位置を特定することができるので、CPU101は、矩形情報に基づいて矩形401~404を切り出すことによって、部位テクスチャ201~204の各々についてのPNG形式の画像ファイルを生成する。このとき、CPU101は、生成された画像ファイルの各々に対して、該当する部位テクスチャに付された識別子も関連付けておく。例えば部位テクスチャ201については、CPU101は、矩形401の矩形情報にて位置が特定されるテクスチャファイル200における領域の画像(矩形401の画像)を取得し、該取得された画像を含むPNG形式の画像ファイル501を生成する。上記取得された矩形401の画像には、部位テクスチャ201が含まれているので、画像ファイル501は、部位テクスチャ201のPNG形式の画像ファイルと言える。CPU101は、部位テクスチャ202~204についても同様の処理を行い、部位テクスチャ201~204の各々の画像ファイル(PNG形式)を生成する。
【0031】
ステップS35では、CPU101は、ステップS34にて生成された部位テクスチャ201~204に対応する画像ファイルの各々のファイル形式を、PNG形式からPSD形式に変換し、部位テクスチャ201~204毎に分けられたレイヤーを生成する。例えば部位テクスチャ201については、CPU101は、ステップS34にて生成された画像ファイルから識別子「1」に関連付けられた画像ファイルを特定して部位テクスチャ201の画像ファイルを読み出し、メモリ104にてPNG形式の部位テクスチャ201を部位テクスチャ201に関するPSD形式のレイヤーデータ601に変換する。すなわち、CPU101は、テクスチャファイル200と同じサイズ(Mpx×Npx)の透明シートにおいて、識別子「1」に関連付けられた矩形401の矩形情報に基づいて、左上座標の座標値から横の長さ、縦の長さで特定される矩形602の領域に読みだされた部位テクスチャ201を貼り付けることによって、PSD形式であり、部位テクスチャ201に関するレイヤーデータ601を生成する。なお、上述のように矩形401の矩形情報に基づいてテクスチャファイル200と同サイズの透明シート上に部位テクスチャ201を配置しているので、レイヤーデータ601における部位テクスチャ201の位置は、テクスチャファイル200における部位テクスチャ201の位置と同一となる。CPU101は、部位テクスチャ202~204に関しても同様の処理を行うことにより、部位テクスチャ202~204の各々に対応するレイヤーデータを生成する。
【0032】
次いでCPU101は、上述のようにして生成された部位テクスチャ201~204の各々に対応するレイヤーデータを重ねることにより、一旦バラバラになった部位テクスチャ201~204を1つのPSD形式のデータに統合する。このようにして、部位毎にレイヤー分けされた画像データが生成される。
【0033】
本実施形態によれば、テクスチャファイル200からそこに含まれる部位テクスチャの各々を区分けし、区分けした部位テクスチャの各々を自身の領域内に含むよう矩形を設定し、該矩形を切り出して部位テクスチャ毎の画像データ(PNG形式)を生成し、該生成された画像データから各部位テクスチャ毎にレイヤー分けされたデータ(PSD形式)を生成してそれらを1つの画像データ(出力画像データ)に統合しているので、テクスチャファイル200に含める部位テクスチャや物体に関するテクスチャの数が増加しても、効率良く部位テクスチャ毎にレイヤー分けされた画像データを生成することができる。
【0034】
また、上記レイヤー分け時において、矩形情報に基づいて各部位テクスチャの配置する位置を特定しているので、出力画像データにおける各部位テクスチャの位置を、入力画像データであるテクスチャファイル200と同一にすることができる。本実施形態では、上述のようにテクスチャファイル200に含まれる部位テクスチャの各々に対応するポリゴンメッシュには、テクスチャファイル200における対応する部位テクスチャのUV座標が埋め込まれている。従って、出力画像データにおける各部位テクスチャの位置がテクスチャファイル200と同一でなれば、ポリゴンメッシュに対して色ずれを起こす形で部位テクスチャが貼り付けられることに繋がってしまう。しかしながら、本実施形態では、出力画像データにおける部位テクスチャの位置がテクスチャファイル200における位置と同一であるので、上記色ずれの恐れを低減させることができる。
【0035】
さらに、本実施形態では、ステップS34にて区分けした部位テクスチャの各々に対するPNG形式の画像ファイルの生成とすることにより、大量のPNG形式のデータを一旦ファイルとして保存しておき、ステップS35での統合時に改めて読み直して処理することになるので、メモリ効率を良くすることができ、処理速度を速めることができる。
【0036】
(その他の実施形態)
上述した実施形態の機能を実現するように前述した実施形態の構成を動作させるプログラム(例えば、
図3に示す処理を行うプログラム)を記憶媒体に記憶させ、該記憶媒体に記憶されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も上述の実施形態の範疇に含まれる。即ちコンピュータ読み取り可能な記憶媒体も実施例の範囲に含まれる。また、前述のコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体はもちろんそのコンピュータプログラム自体も上述の実施形態に含まれる。かかる記憶媒体としてはたとえばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROM等を用いることができる。また上述の記憶媒体に記憶されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウエア、拡張ボードの機能と共同して、OS上で動作し上述の実施形態の動作を実行するものも上述した実施形態の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
100 情報処理装置
101 CPU
103 ストレージ
104 メモリ
200 テクスチャファイル
201~204 部位テクスチャ
401~404 矩形
501 画像ファイル
601 レイヤーデータ