(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002928
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】セッティング装置用マウスピース、該マウスピースを備えたセッティング装置、および該マウスピースを用いたブラインドリベット要素のセッティング方法
(51)【国際特許分類】
B21J 15/38 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
B21J15/38 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023092616
(22)【出願日】2023-06-05
(31)【優先権主張番号】22305913.0
(32)【優先日】2022-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】522166080
【氏名又は名称】ベルホフ オタル エス.エー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ジョルディ ガーガルロ
(72)【発明者】
【氏名】バスティアン ビリーマズ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】当接端部と、セッティング装置の引張マンドレルが移動可能な中央貫通ボアと、を有する中空の、好ましくは中空円筒形の本体を備える、ブラインドリベット要素をセットするセッティング装置用のマウスピースが開示される。
【解決手段】第1のエンドレスシール18は、ブラインドリベット要素50のヘッド部分に当接するために、当接端部14で中央貫通ボア12に隣接して配置される。さらに、第2のエンドレスシール22は、構成要素9に当接するために、当接端部で第1のエンドレスシールの半径方向外側に配置される。最後に、流体チャネル24が、中空の、好ましくは中空円筒形の本体を少なくとも部分的に通って延び、それにより、出口開口部28が第1のエンドレスシールと第2のエンドレスシールとの間に設けられ、試験流体を供給するための入口開口部26が、好ましくは当接端部から離れて設けられる。
【選択図】
図3a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラインドリベット要素(50;50’)をセットするセッティング装置(1)用のマウスピース(10)であって、
a.当接端部(14)と、前記セッティング装置(1)の引張構成要素(3)が移動可能な中央貫通ボア(12)と、を有する中空の、好ましくは中空円筒形の本体と、
b.前記ブラインドリベット要素(50)のヘッド部分(52)に当接するために、前記当接端部(14)の中央貫通ボア(12)に隣接して配置された第1のエンドレスシール(18)と、
c.構成要素(9)に当接するために、前記当接端部(14)の第1のエンドレスシール(18)の半径方向外側に配置された第2のエンドレスシール(22)と、
d.出口開口部(28)が前記第1のエンドレスシール(18)と前記第2のエンドレスシール(22)との間に設けられ、試験流体を供給するための入口開口部(26)が、好ましくは前記当接端部(14)から離れて設けられるように、前記中空の、好ましくは中空円筒形の本体を少なくとも部分的に通って延びる流体チャネル(24)と
を備える、マウスピース(10)。
【請求項2】
前記第1のエンドレスシール(18)が、第1の軸方向位置の第1の部分(16)に配置され、前記第2のエンドレスシール(22)が、前記第1の軸方向位置とは異なる第2の軸方向位置の第2の部分(20)に配置され、前記第1の部分(16)と前記第2の部分(20)との間に移行部分または段差が存在する、請求項1に記載のマウスピース(10)。
【請求項3】
前記第1の部分(16)および/または前記第2の部分(20)が環状に形成され、および/または前記流体チャネル(24)の出口開口部(28)が前記第1の部分(16)に存在する、請求項2に記載のマウスピース(10)。
【請求項4】
1つの流体チャネル(24)のみが存在する、先行する請求項の一項に記載のマウスピース(10)。
【請求項5】
ブラインドリベット要素(50;50’)のためのセッティング装置(1)であって、以下の特徴:
a.軸方向に変位可能な引張構成要素(3)および前記引張構成要素(3)を回転させる構成要素駆動部であって、引張マンドレルとして形成された引張構成要素(3)は、ブラインドリベットナット(50)を螺合するための外ねじ(5)を含む作業端部を有するか、または引張ナットとして形成された引張構成要素は、ブラインドリベットスタッド(50’)をねじ込むための内ねじを含む作業端部を有し、前記引張構成要素は、前記マンドレル駆動部との解放可能な耐トルク接続を確立することができる駆動端部を有する、引張構成要素(3)および構成要素駆動部と、
b.前記引張構成要素(3)と動作可能に接続する軸方向引張駆動部であって、前記駆動端部の方向への前記引張構成要素(3)の軸方向変形変位が実現可能であり、前記ブラインドリベット要素(50)を変形させる、軸方向引張駆動部と、
c.請求項1から4のいずれか一項に記載のマウスピース(10)と、
を備える、セッティング装置(1)。
【請求項6】
前記セッティング装置(1)がハンドヘルド装置である、請求項5に記載のセッティング装置(1)。
【請求項7】
前記セッティング装置(1)が自動セッティングマシンである、請求項5に記載のセッティング装置(1)。
【請求項8】
a.前記マウスピース(10)内で前記流体チャネル(24)を通る試験流体の供給を制御し、
b.前記相対圧力を測定し、
c.前記測定された相対圧力に基づいて、前記ブラインドリベット要素(50)が前記構成要素開口部内にシール方式で配置されているかどうかを評価する
ための制御装置(30)をさらに備える、請求項5乃至7のいずれか一項に記載のセッティング装置(1)。
【請求項9】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のマウスピース(10)を有するセッティング装置(1)、好ましくは請求項5から8のいずれか一項に記載のセッティング装置(1)を用いたブラインドリベット要素(50)のセッティング方法であって、
a.前記ブラインドリベット要素(50)のヘッド部分(52)が第1のエンドレスシール(18)に当接するまで、前記ブラインドリベット要素(50)を引張構成要素(3)の作業端部にねじ込むステップ(ステップA)と、
b.前記ブラインドリベット要素(50)を所定の力で構成要素開口部に配置するステップであって、第2のエンドレスシール(22)は構成要素(9)に当接する、ステップ(ステップB)と、
c.流体チャネル(24)を通して試験流体を供給し、相対圧力を測定するステップ(ステップC)と、
d.前記測定された相対圧力に基づいて、前記ブラインドリベット要素(50)が前記構成要素開口部にシール方式で配置されているかどうかを評価するステップ(ステップD)と、
d1.はいの場合、前記ブラインドリベット要素(50)を軸方向に圧着することによって前記ブラインドリベット要素(50)を前記構成要素開口部にセットするステップ(ステップD1)、または、
d2.いいえの場合、前記ブラインドリベット要素(50)を取り外し(ステップD2)、新しいブラインドリベット要素(50)を用いて前記方法を繰り返すステップ(ステップE)と、
を含む、セッティング方法。
【請求項10】
前記新しいブラインドリベット要素(50)が前記構成要素開口部内にシール方式で配置されているかどうかが、前記繰り返しサイクルにおける測定された相対圧力に基づいて評価され、
e1.はいの場合、前記新しいブラインドリベットナット(50)を軸方向に圧着することによって前記新しいブラインドリベット要素(50)を前記構成要素開口部にセットする(ステップE1)、または、
e2.いいえの場合、前記構成要素(9)をチェックするように示し(ステップE2)、および/または前記構成要素(9)を排除する(ステップE2)、
請求項9に記載のセッティング方法。
【請求項11】
前記試験流体が、所定の供給期間および/または所定の圧力値に達するまで前記流体チャネル(24)を通して供給され、その後、前記相対圧力は、所定の測定期間および/または前記所定の測定期間が経過した後に測定され、その結果、前記評価は、
a1.前記最初に到達した相対圧力値と、前記所定の測定期間の終了時に測定された相対圧力値との比較、および/または
a2.前記所定の測定期間中に測定された一連の相対圧力
に基づく、請求項9または10に記載のセッティング方法。
【請求項12】
前記流体チャネル(24)を通して試験流体を供給し、前記相対圧力を測定するステップ、ならびに前記測定された相対圧力に基づいて前記ブラインドリベット要素(50)が前記構成要素開口部にシール方式で配置されているかどうかを評価するステップが、前記ブラインドリベット要素(50)または前記新しいブラインドリベット要素(50)が前記構成要素開口部にセットされた後に繰り返される(ステップF)、請求項9乃至11の一項に記載のセッティング方法。
【請求項13】
a.前記ブラインドリベット要素(50)もしくは前記新しいブラインドリベット要素(50)が前記構成要素開口部内にシール方式でセットされている場合、前記接続はOKとして分類される(ステップF1)、または
b.前記ブラインドリベット要素(50)もしくは前記新しいブラインドリベット要素(50)がシール方式でセットされていない場合、前記結果が示される(ステップF2)、
請求項12に記載のセッティング方法。
【請求項14】
加圧空気が試験流体として使用される、請求項9乃至13のいずれか一項に記載のセッティング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラインドリベット要素をセットするセッティング装置用マウスピース、ブラインドリベット要素用セッティング装置、および、マウスピースを有するセッティング装置を用いたブラインドリベット要素のセッティング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラインドリベットナットは、典型的には、雌ねじおよびリベットヘッドを有するリベットシャフトを有する。リベットシャフトは、ブラインドリベットナットがセットされる構成要素開口部に挿入される。同様に、ブラインドリベットスタッドは、外ねじを含むスタッドと組み合わせてリベットシャフトを有する。これらのブラインドリベット要素は、当技術分野で知られている。
【0003】
ブラインドリベット要素を構成要素開口部内に位置決めした後、ブラインドリベット要素のシャフトに軸方向の張力が加えられ、これにより、リベットシャフトが圧縮され、構成要素開口部にセットされる。その後、ブラインドリベット要素から引張構成要素が緩められる。
【0004】
ブラインドリベットナットをセットするために、引張マンドレルが引張構成要素として使用される。この目的のために、引張マンドレルはブラインドリベットナットの内ねじにねじ込まれる。
【0005】
ブラインドリベットスタッドをセットするために、引張構成要素として引張ナットが使用される。引張ナットは、例示的に、内ねじを有する半中空ロッドとして、または内ねじを有する中空マンドレルとして形成される。ブラインドリベットスタッドをセットするために、ねじ付きスタッドは、引張ナットの内ねじにねじ込まれる。
【0006】
そのようなブラインドリベットナットまたはインサートの例は、EP 3 885 589 A1(欧州特許出願公開第3885589号明細書)に記載されている。ここで、ブラインドリベットインサートは、環状フランジを形成する軸受ヘッドと、軸受ヘッドの下面から延在し、ヘッド端部、フット端部、およびヘッド端部からフット端部まで長手方向に延在する円筒状ボアを備えるシャンクと、を備える。また、シャンクは、雌ねじが設けられたフット端部付近の第1のボアセグメントと、第1のボアセグメントの直径よりも大きい直径を有するヘッド端部付近の第2のボアセグメントと、を有する。第2のボアセグメントを取り囲む壁は、シャンクの変形可能領域を形成する。軸受ヘッドの下面は、シャンクに同心に配置され、ブラインドリベットインサートの取り付け状態でシールリングを受け入れるように適合された環状のアンダーヘッド溝を備える。また、1つの環状保持シャンク溝のみがシャンクの周りに円周方向に延び、軸受ヘッドの下面に隣接して配置され、ブラインドリベットインサートを取り付ける前にシールリングを予圧位置に保持する。
【0007】
そのようなブラインドリベットナットまたはシールリングによるシール機能を有するインサートが構成要素にセットされると、その時点で、すべてのブラインドリベットインサートが最初にそれぞれの構成要素開口部に配置され、次いでセットされる。その後にのみ、構成要素は、気密性またはシール機能に関してチェックされる。言い換えれば、製造プロセスの終わりに、シール機能に関して構成要素全体のみがチェックされる。この一連の手順は、特に時間がかかり、構成要素の再加工または漏れの場合の完全な構成要素の排除につながる。これは、漏れ位置を特定するための時間およびコストの損失をもたらし、不良ブラインドリベットナットおよび/または不良構成要素を設置するリスクを負う。
【0008】
この目的のために、また工作機械のそれぞれの制御手順に関して、DE 10 2006 031 825 A1(独国特許出願公開第102006031825号明細書)が参照される。ここでは、プレート、ナット、またはボルトなどのワークピースをプレートなどで接合する機械について説明されている。機械は、スタンプと、スタンプと相互作用するダイまたはダウンホルダとからなる工具を有する。また、機械は、被試験点に供給することができる気体または液体の制御媒体で動作する試験装置と、制御媒体の状態の変化を検出する測定装置と、を備える。この目的のために、プランジャの端面に作用する制御媒体を受け入れるために、制御媒体空間が試験装置内に配置される。また、少なくとも1つの制御チャネルは、この制御媒体空間から破損の危険性がある工具の点まで通じる。最後に、制御媒体の状態(圧力または流れ)をチェックするために、制御媒体空間内、制御チャネル内、またはそこから分岐する測定チャネルにつながる空間内にセンサが配置され、その測定値をチェックされる測定装置に送ることができる。
【0009】
DE 10 2006 031 825 A1(独国特許出願公開第102006031825号明細書)に記載されているそれぞれの制御方法は、ツールとしてパンチ、ダイおよび/またはダウンホルダを備えた機械で使用され、パンチ、ダイおよび/またはダウンホルダは、接合プロセスにおいてワークピース(プレート、シート、リベット部品、ボルト)を接続するために使用されている。工具制御は、液体または気体の制御媒体を使用する。この目的のために、制御媒体の状態(圧力、流れ、または稠度)の変化を検出する測定装置が存在する。制御媒体は、制御媒体空間に収集され、目標とする方法でこの制御媒体空間から流出することができる。制御媒体は、制御媒体空間からチェックされるべき工具の点に向けられる。測定装置に供給される圧力、流れまたは稠度の状態値は、制御媒体空間内の制御媒体の値に基づく。
【0010】
この一連の手順ならびにそれぞれのツールの欠点は、ツールのみがチェックされることである。しかしながら、気密性またはシール機能に関して最終的に生成された接続の評価は行われない。
【0011】
したがって、本発明の課題は、個々のブラインドリベットナットが構成要素開口部にセットされる前および/またはセットされた後にシール機能をチェックすることができる、ブラインドリベットナットをセットするセッティング装置用のマウスピースを提供することである。また、本発明は、それぞれのセッティング装置およびそれぞれのセッティング方法を提供することを課題とする。
【発明の概要】
【0012】
上記課題は、独立請求項1に記載のブラインドリベットナットまたはブラインドリベットスタッドのようなブラインドリベット要素をセットするセッティング装置用マウスピース、独立請求項5に記載のブラインドリベット要素用セッティング装置、および独立請求項9に記載のマウスピースを有するセッティング装置を用いたブラインドリベット要素のセッティング方法によって解決される。さらなる好ましい実施形態および開発は、以下の説明、図面および添付の特許請求の範囲から生じる。
【0013】
ブラインドリベット要素をセットするセッティング装置用の本発明のマウスピースは、当接端部と、セッティング装置の引張構成要素が移動可能な中央貫通ボアと、を有する中空の、好ましくは中空円筒形の本体と、ブラインドリベット要素のヘッド部分に当接するために、当接端部の中央貫通ボアに隣接して配置された第1のエンドレスシールと、構成要素に当接するために、当接端部の第1のエンドレスシールの半径方向外側に配置された第2のエンドレスシールと、出口開口部が第1のエンドレスシールと第2のエンドレスシールとの間に設けられ、試験流体を供給するための入口開口部が、好ましくは当接端部から離れて設けられるように、中空の、好ましくは中空円筒形の本体を少なくとも部分的に通って延びる流体チャネルと、を備える。
【0014】
以下では、本発明のマウスピースを、ブラインドリベット要素をセットするためのセッティング装置におけるその使用法に基づいて説明する。本発明のマウスピースに加えて、そのようなセッティング装置は、軸方向に変位可能な引張構成要素と、引張構成要素を回転させるための構成要素駆動部と、を備える。引張構成要素は、ブラインドリベットナットを螺合するための外ねじを含む作業端部と、マンドレル駆動部との解放可能な耐トルク接続を確立することができる駆動端部と、を有する引張マンドレルで作られる。
【0015】
ブラインドリベットスタッドをセットするために、引張構成要素は、ブラインドリベットスタッドをねじ込むための内ねじを有する引張ナットで作られる。引張ナットは、マンドレル駆動部との解放可能な耐トルク接続を確立することができる駆動端部をさらに有する。また、引張構成要素と動作可能に接続する軸方向引張駆動部が設けられ、これにより、駆動端部の方向への引張構成要素の軸方向変形変位が実現可能であり、ブラインドリベット要素を変形させる。ブラインドリベットナットとしては、例えば、EP 3 885 589 A1(欧州特許出願公開第3885589号明細書)に記載されているようなタイプが使用されることが想定される。
【0016】
第1のステップにおいて、ブラインドリベット要素は、例えば、ブラインドリベットナットのヘッド部分が第1のエンドレスシールに当接するまで、ブラインドリベットナットを引張マンドレルの作業端部にねじ込むことによって、引張構成要素上に配置される。あるいは、ブラインドリベットスタッドは、ブラインドリベットスタッドのヘッド部分が第1のエンドレスシールに当接するまで、引張ナットの内ねじにねじ込まれる。
【0017】
次に、引張構成要素上に配置されたブラインドリベット要素を、所定の力で構成要素開口部内に配置する。所定の力は、好ましくは最大100N、好ましくは50N未満である。このような力は、シールリングを有しないブラインドリベット要素によるブラインドリベット要素の好ましいシールリングによって実現されるシール機能を最初に評価するのに十分である。また、この段階では、第2のエンドレスシールは構成要素に当接する。この構成の結果として、ブラインドリベット要素のヘッドに当接する第1のエンドレスシールと、構成要素に当接する第2のエンドレスシールと、ブラインドリベット要素の好ましいシールリングとの間に閉鎖チャンバが画定される。
【0018】
次に、ブラインドリベット要素のシールリングのシール機能を試験するために、試験流体は、第1のエンドレスシールと第2のエンドレスシールとの間に出口開口部を有する流体チャネルを通してこの空間に供給される。試験流体としては、加圧空気を用いることが好ましい。この供給は、例えば、所定の期間にわたって、または所定の圧力値に達するまで行われる。そして、相対圧力が測定される。
【0019】
相対圧力がほぼ一定である場合、ブラインドリベット要素、すなわちブラインドリベットナットまたはブラインドリベットスタッドは、構成要素開口部内にシール方式で配置され、したがって、後続のステップでセットすることによってその中に締結されることができる。これにより、セッティングプロセスが完了する。その結果、ブラインドリベット要素は、軸方向に圧着される。
【0020】
しかしながら、相対圧力の低下が検出された場合、ブラインドリベット要素は取り外され、プロセスは新しいブラインドリベット要素で繰り返される。
【0021】
この一連の進行の利点は、各ブラインドリベット要素がセッティング前にシール機能に関して試験されることである。これにより、セッティング前に、例えばシールリングを有しない不良ブラインドリベット要素を特定することが可能である。このような不良ブラインドリベット要素は、セッティング前に特定することができるので、それを取り外し、新しいブラインドリベット要素でプロセスを繰り返すことが可能である。また、その気密性に関して製造後に完全な構成要素を試験する必要がなく、不合格品の数を減らすことができる。また、それぞれの方法は、既知の方法と比較して時間効率的である。
【0022】
さらなる利点は、マウスピースの構造を異なる既知のセッティング装置と共に使用できることである。これにより、既知のセッティング装置に本発明のマウスピースを後付けすることができる。
【0023】
さらに、本発明のマウスピースは当接端部または当接面の設計に焦点を合わせているため、その残りの設計は他の基準を満たし得る。
【0024】
マウスピースの好ましい実施形態では、第1のエンドレスシールは、第1の軸方向位置の第1の部分に配置され、第2のエンドレスシールは、第1の軸方向位置とは異なる第2の軸方向位置の第2の部分に配置され、第1の部分と第2の部分との間に移行部分または段差が存在する。この実施形態に関して、第2の部分は、第1の部分と比較して、セッティング装置からより遠くに配置されることが特に好ましい。これは、通常、ブラインドリベット要素のヘッドが第1の構成要素上に配置され、したがってそれぞれの突起が存在するためである。その結果、マウスピースの当接端部は、この構成に対して相補的に形成されるべきである。
【0025】
これに関して、第1の部分は、ブラインドリベット要素のヘッドの直径よりも大きい内径を有することがさらに好ましい。したがって、試験流体を供給することができる間隙が存在し、その結果、構成の気密性を確実に評価することができる。
【0026】
さらに好ましくは、第1の部分および/もしくは第2の部分は環状に形成され、ならびに/または流体チャネルの出口開口部は第1の部分に存在する。ブラインドリベット要素およびそのヘッドは通常円形に形成されるため、第1の部分および/または第2の部分の好ましい形状は環状である。このため、試験流体を供給しなければならない閉鎖チャンバを効果的に制限することができる。その結果、流体チャネルの出口開口部は、好ましくは使用中にブラインドリベット要素のヘッド部分に配置されないように、第1の部分、好ましくは第2の部分に隣接する位置に存在することが好ましい。これは、試験流体の供給を容易にする。
【0027】
また、マウスピースの好ましい実施形態によれば、1つの流体チャネルのみが存在する。第1および第2のエンドレスシールとブラインドリベット要素のシールリングとの間に形成され、いかなるブロックまたはさらなるシーリングによっても中断されない閉鎖チャンバのために、1つの流体チャネルのみを使用することが特に有用である。これにより、マウスピースを製造する労力が軽減される。
【0028】
ブラインドリベット要素のための本発明のセッティング装置は、以下の特徴、すなわち、軸方向に変位可能な引張構成要素および引張構成要素を回転させる構成要素駆動部であって、引張マンドレルとして形成された引張構成要素は、ブラインドリベットナットを螺合するための外ねじを含む作業端部を有するか、または引張ナットとして形成された引張構成要素は、ブラインドリベットスタッドをねじ込むための内ねじを含む作業端部を有し、引張構成要素は、マンドレル駆動部との解放可能な耐トルク接続を確立することができる駆動端部を有する、引張構成要素および構成要素駆動部と、引張構成要素と動作可能に接続する軸方向引張駆動部であって、駆動端部の方向への引張構成要素の軸方向変形変位が実現可能であり、ブラインドリベット要素を変形させる、軸方向引張駆動部と、先行する実施形態の1つによるマウスピースと、を含む。
【0029】
本発明のセッティング装置では、上述の本発明のマウスピースが使用される。したがって、繰り返しを避けるために、技術的効果および利点に関する上記の説明を参照されたい。
【0030】
セッティング装置の好ましい第1の代替実施形態では、セッティング装置はハンドヘルド装置である。セッティング装置の好ましい第2の代替実施形態によれば、セッティング装置は自動セッティングマシンである。ハンドヘルドセッティング装置に関して、安全対策が容易に実施される。これにより、従業員が保護され、取り扱いプロセスが改善される。自動セッティングマシンに関しては、シール機能の試験の結果を記録することができ、次の構成要素開口部にブラインドリベットナットまたはブラインドリベットスタッドを自動的に設けることができるため、処理チェーンがより効率的になる。
【0031】
さらに好ましくは、セッティング装置は、マウスピース内で流体チャネルを通る試験流体の供給を制御し、相対圧力を測定し、測定された相対圧力に基づいて、ブラインドリベット要素が構成要素開口部内にシール方式で配置されているかどうかを評価するための制御装置を備える。この特徴により、制御ユニットはセッティング装置に統合され、システム全体をコンパクトにする。
【0032】
本発明のマウスピースを有するセッティング装置、好ましくは本発明のセッティング装置を用いたブラインドリベット要素の本発明のセッティング方法は、ブラインドリベット要素のヘッド部分が第1のエンドレスシールに当接するまで、ブラインドリベット要素を引張構成要素の作業端部にねじ込むステップと、ブラインドリベット要素を所定の力で構成要素開口部に配置するステップであって、第2のエンドレスシールは構成要素に当接する、ステップと、流体チャネルを通して試験流体を供給し、相対圧力を測定するステップと、測定された相対圧力に基づいて、ブラインドリベット要素が構成要素開口部にシール方式で配置されているかどうかを評価するステップと、はいの場合、ブラインドリベット要素を軸方向に圧着することによってブラインドリベット要素を構成要素開口部にセットするステップ、または、いいえの場合、ブラインドリベット要素を取り外し、新しいブラインドリベット要素を用いて方法を繰り返すステップと、を含む。好ましくは、加圧空気が試験流体として使用される。本発明のマウスピースを使用する本発明の方法によって、上述の技術的効果および利点を達成することができる。したがって、冗長性を回避するために、上記の説明を参照する。
【0033】
セッティング方法の好ましい実施形態によれば、新しいブラインドリベット要素が構成要素開口部内にシール方式で配置されているかどうかが、繰り返しサイクルにおける測定された相対圧力に基づいて評価され、はいの場合、新しいブラインドリベット要素は、新しいブラインドリベットナットを軸方向に圧着することによって構成要素開口部にセットされる、または、いいえの場合、構成要素をチェックするように示され、および/もしくは構成要素は排除される。これらの追加のステップによって、例えばバリまたは過大な穴に起因して不良構成要素または少なくとも不良な構成要素開口部を特定することが可能である。例えばディスプレイによるそれぞれの指示がユーザに提示される場合、ユーザは構成要素を直接チェックしてもよい。そうでなければ、システムは構成要素を完全に排除して、後でチェックできるようにしてもよい。
【0034】
さらに好ましくは、所定の力は、最大で100Nである。この圧力は比較的低いため、特に自動セッティングマシンが配置されているロボットが力を加えることができる。その結果、プロセスをさらに自動化することができる。
【0035】
好適な実施形態では、試験流体は、所定の供給期間および/または所定の圧力値に達するまで流体チャネルを通して供給され、その後、相対圧力は、所定の測定期間および/または所定の測定期間が経過した後に測定され、その結果、評価は、最初に到達した相対圧力値と、所定の測定期間の終了時に測定された相対圧力値との比較、および/または所定の測定期間中に測定された一連の相対圧力に基づく。シール機能が十分であるかどうかの評価は、代替ルートで実行されてもよい。一方で、試験流体は、流体チャネルを通して所定の供給期間にわたって供給される。この供給期間の後、相対圧力が測定され、ある期間が経過した後、相対圧力が再び測定される。これらの2つの値を比較することができ、偏差が十分に小さい場合、すなわち所定の範囲内である場合、シール機能はOKとして分類される。あるいは、相対圧力は、全期間にわたって監視されてもよい。
【0036】
一方、試験流体は、所定の相対圧力値に達するまで供給されてもよい。その後、一定時間が経過した後、再び相対圧力を測定し、両方の値を比較する。ここでも、相対圧力は、試験時間全体にわたって監視されてもよい。
【0037】
上述の方法ステップは、ブラインドリベットナットまたは新しいブラインドリベット要素が構成要素開口部にセットされた後に繰り返されてもよい。これにより、セッティングプロセスが接続不良につながったかどうかを二重チェックする。そのような接続不良がセッティングプロセス後に特定された場合、システムはそれに応じてユーザに通知し、接続不良を直接示してもよい。したがって、ユーザは、この接続不良に対処し得るため、接続不良を検索および特定するための時間が節約される。
【0038】
さらに好ましくは、流体チャネルを通して試験流体を供給し、相対圧力を測定するステップ、ならびに測定された相対圧力に基づいてブラインドリベット要素が構成要素開口部にシール方式で配置されているかどうかを評価するステップは、ブラインドリベット要素または新しいブラインドリベット要素が構成要素開口部にセットされた後に繰り返される。この目的のために、ブラインドリベット要素もしくは新しいブラインドリベット要素が構成要素開口部内にシール方式でセットされている場合、接続はOKとして分類され、またはブラインドリベット要素もしくは新しいブラインドリベット要素がシール方式でセットされていない場合、結果が示されることがさらに有利である。指示の結果、構成要素は排除または再加工され得る。上述したように、またこの経過によって、ユーザは、この接続不良に対処し得るため、接続不良を検索および特定するための時間が節約される。
【0039】
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。図面において、同じ参照符号は、同じ要素および/または構成要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】第1の位置に挿入されたブラインドリベットナットと、ブラインドリベットインサートに当接する従来技術のマウスピースと、を有する構成要素開口部の部分断面図。
【
図2】第2の位置に挿入されたブラインドリベットナットと、ブラインドリベットインサートに当接する従来技術のマウスピースと、を有する構成要素開口部の部分断面図。
【
図3a】本発明のマウスピースの第1の実施形態を有するセッティング装置の概略断面図。
【
図3b】本発明のマウスピースの第2の実施形態を有するセッティング装置の概略断面図。
【
図4】
図3によるマウスピースを有するセッティング装置の斜視図。
【
図5】シールリングを有するブラインドリベットナット、および試験位置に
図3のマウスピースを有するセッティング装置の概略図。
【
図7】シールリングを有するブラインドリベットナット、および試験位置に
図3のマウスピースを有するセッティング装置の概略図。
【
図9】制御装置を有するセッティング装置の概略図。
【
図10】本発明のセッティング方法の一実施形態のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0041】
最初に、
図1および
図2に関して、セッティングプロセス中のヘッド部分52およびシールリング54を有するブラインドリベットナット50の挙動を説明する。それぞれのブラインドリベットナット50は、例えばEP 3 885 589 A1(欧州特許出願公開第3885589号明細書)に記載されている。いずれの場合も、外ねじ5を有する軸方向に変位可能な引張マンドレル3がブラインドリベットナット50内に配置される。
【0042】
ブラインドリベットナット50のセッティング挙動は、セッティングプロセス中のブラインドリベットスタッド50’の類似のセッティング挙動と同様である。ブラインドリベットスタッド50’は、好ましい本発明のマウスピース10と組み合わせて
図3bに例示的に示されている。
【0043】
好ましいブラインドリベットスタッド50’はスタッド51を有する。スタッド51は、セッティングプロセス中に変形するリベットシャフトから延在する。リベットシャフトは、ブラインドリベットナット50のヘッド52と同様の構造を含むヘッド52を有する。さらに、リベットシャフトはまた、ブラインドリベットナット50と同様に配置され寸法決めされたシールリング54を有する。セッティングプロセス(下記参照)中にブラインドリベットスタッド50’を変形または圧着するために、引張ナット3がスタッド51の外ねじに螺合される。この目的のために、引張ナット3は、合致する内ねじを有する。内ねじを有する中空マンドレルとして引張構成要素3’を設けることも好ましい。
【0044】
図1では、ブラインドリベットナット50は、シールリング54が構成要素表面に隣接して配置されるように、構成要素9の開口部に配置される。ブラインドリベットナット50のヘッド52の反対面には、セッティング装置1のマウスピース7の当接端部が当接する。この目的のために、既知のマウスピース7は、当接端部と、セッティング装置1の引張マンドレル3が移動可能な中央貫通ボアと、を有する中空円筒形の本体を有する。
【0045】
図2では、ブラインドリベットナット50は、ヘッド部分52の下面が構成要素表面に当接するように、構成要素開口部に配置されている。ブラインドリベットナット50を構成要素開口部に押し込むために加えられる力により、シールリング54はブラインドリベットナット50のアンダーヘッド溝に押し込まれる。これにより、シールリング54により、このブラインドリベットナット50によってシール機能が提供される。
【0046】
構成要素9にセットされた各ブラインドリベットナット50または各ブラインドリベットスタッド50’がそのシール機能を果たすかどうかは、すべてのブラインドリベットナット50または各ブラインドリベットスタッド50’が構成要素にセットされた後、すなわち製造プロセスの終わりに、チェックされる。これは、構成要素の排除につながり、接続不良を特定するための時間のかかるプロセスを含むため、不利である。
【0047】
ここで
図3から
図9を参照して、それぞれのセッティング装置1と組み合わせた本発明のマウスピース10の実施形態を説明する。
【0048】
セッティング装置1は、ハンドヘルド装置であってもよいし、自動セッティングマシンであってもよい。ハンドヘルドセッティング装置に関して、安全対策が容易に実施される。これにより、従業員が保護され、取り扱いプロセスが改善される。自動セッティングマシンに関しては、
図3a、
図3bから
図9による実施形態に示すように、シール機能の試験の結果を記録することができ、次の構成要素開口部にブラインドリベットナット50またはブラインドリベットスタッド50’を自動的に設けることができるため、処理チェーンがより効率的になる。
【0049】
図3aの好ましい実施形態によるセッティング装置1は、軸方向に変位可能な引張マンドレル3と、引張マンドレル3を回転させるマンドレル駆動部と、を備える。引張マンドレル3は、ブラインドリベットナット50を螺合するための外ねじ5を含む作業端部と、マンドレル駆動部との解放可能な耐トルク接続を確立することができる駆動端部と、を有する。また、引張マンドレル3と動作可能に接続する軸方向引張駆動部が設けられ、これにより、駆動端部の方向への引張マンドレル3の軸方向変形変位が実現可能であり、ブラインドリベットナット50を変形させる。
【0050】
ブラインドリベットスタッド50’をセットするための好ましいセッティング装置1が
図3bに示されている。これは、
図3aのセッティング装置と同様の構造および機能を有する。
図3bのセッティング装置は、ブラインドリベットスタッド50’をセットするように適合されている。この目的のために、引張構成要素は引張ナット3’で作られている。引張ナット3’は、スタッド51の外ねじに螺合する内ねじを有する。内ねじは、引張ナット3’の作業端部を形成する。上述した構成上の違いの他に、引張ナット3’は、引張マンドレル3と同じ構造を有し、同じように動作する。これにより、引張マンドレル3ならびにそれぞれのマウスピース7およびセッティング装置1の詳細は、マウスピース10と組み合わせて引張ナット3’を使用するセッティング装置にも同様に当てはまる。
【0051】
本発明の一実施形態によるマウスピース10は、当接端部14と、セッティング装置1の引張マンドレル3が移動可能な中央貫通ボア12と、を有する中空円筒形の本体を有する。従来技術のマウスピースとは対照的に、マウスピース10は、第1のエンドレスシール18を有する第1の部分16と、第2のエンドレスシール22を有する第2の部分20と、を有する。好ましくは、第1の部分16および第2の部分20の一方または両方は、環状に形成される。この目的のために、第1のエンドレスシール18は、ブラインドリベットナット50のヘッド部分52に当接するために、当接端部14で中央貫通ボア12に隣接して配置される。第2のエンドレスシール22は、構成要素9に当接するために、当接端部14で第1のエンドレスシール18の半径方向外側に配置される。
【0052】
また、第1の部分16は、第1の軸方向位置に配置され、第2の部分20は、第1の軸方向位置とは異なる第2の軸方向位置に配置される。この構成により、通常、ブラインドリベットナット50のヘッド部分52は構成要素9の表面から突出するため、当接端部14は、以下に説明するように、閉鎖チャンバを形成できるように、この構造に合わせて形成される。特に、第2の部分20は、ブラインドリベットナット50が第1の部分16に当接するように配置されたときにブラインドリベットナット50を取り囲むように、構成要素9の方向にさらに配置される。
【0053】
第1の部分16と第2の部分20との間には、移行部分または段差が存在する。図示の実施形態では、両方の部分16と部分20との間に段差が存在するが、それにもかかわらず、適用分野に応じて、傾斜した移行部分が代わりにまたは加えて使用されてもよい。
【0054】
また、マウスピース10は、中空円筒形の本体を少なくとも部分的に貫通する流体チャネル24を備える。試験流体、好ましくは加圧空気を供給するための入口開口部26が、当接端部14から離れて設けられている。流体チャネル24の出口開口部28は、第1のエンドレスシール18と第2のエンドレスシール22との間に、好ましくは第1の部分16に設けられる。また、図に示すように、1つの流体チャネル24のみが存在する。
【0055】
このマウスピース10の利点は、マウスピース10の構造を異なる既知のセッティング装置と共に使用できることである。これにより、既知のセッティング装置に本発明のマウスピース10を後付けすることができる。
【0056】
さらに、本発明のマウスピース10は当接端部14または当接面の設計に焦点を合わせているため、その残りの設計は他の基準を満たし得る。
【0057】
この目的のために、セッティング装置は、ブラインドリベットナット50が構成要素開口部にシール方式で配置されているかどうかを評価するための制御装置30を備えることが特に好ましい。これに関して、制御装置30を示す
図5、
図7、および
図9を特に参照する。制御装置30は、マウスピース10内で流体チャネル24を通る試験流体の供給を制御するように構成され使用される。このため、試験流体ライン32は、流体チャネル24の入口開口部26を制御装置30、好ましくは制御ユニット34と接続する。また、制御装置30、特に制御ユニット34によって、相対圧力が測定される。同様に、制御装置30、特に制御ユニット34は、測定された相対圧力に基づいて、ブラインドリベットナット50が構成要素開口部内にシール方式で配置されているかどうかを評価することができる。
【0058】
ここで、本発明のセッティング方法の一実施形態のフローチャートを示す
図10をさらに参照して、マウスピース10を使用するプロセスを詳細に説明する。好ましいブラインドリベットナット50のセッティングプロセスは、好ましいブラインドリベットスタッド50’のセッティングプロセスと同様である。したがって、本発明のセッティング方法は、ブラインドリベットスタッド50’のセッティングプロセスにも適用される。
【0059】
第1のステップAでは、ブラインドリベットナット50のヘッド部分52が第1のエンドレスシール18に当接するまで、ブラインドリベットナット50は引張マンドレル3の作業端部に螺合される。次に、ステップBにおいて、引張マンドレル3上に配置されたブラインドリベットナット50を所定の力で構成要素開口部内に配置する。上述したように、所定の力は、最大で100Nであることが好ましい。このような力は、ブラインドリベットナットのシールリングによって実現されるシール機能を最初に評価するのに十分である。また、そのような力は、
図9に示すように、例えばセッティング装置1と組み合わせて使用されるロボットによって加えることができる。このステップの終わりに、第2のエンドレスシール22が構成要素9に当接し、閉鎖チャンバが、ブラインドリベットナット50のヘッド部分52に当接する第1のエンドレスシール18と、構成要素9に当接する第2のエンドレスシール22と、ブラインドリベットナット50のシールリング54との間に画定される。
【0060】
次に、ブラインドリベットナット50のシールリング54のシール機能を試験するために、試験流体は、第1のエンドレスシール18と第2のエンドレスシール22との間に出口開口部28を有する流体チャネル24を通してこの閉鎖チャンバに供給される。試験流体としては、加圧空気を用いることが好ましい。この供給は、例えば、所定の期間にわたって、または所定の圧力値に達するまで行われる。そして、相対圧力が測定される。
【0061】
続いて、測定された相対圧力に基づいて、ステップDにおいて、ブラインドリベットナット50が構成要素開口部内にシール方式で配置されているかどうかが評価される。
【0062】
特に、試験流体は、所定の供給期間および/または所定の圧力値に達するまで流体チャネル24を通して供給され、その後、相対圧力は、所定の測定期間および/または所定の測定期間が経過した後に測定され、その結果、評価は、最初に到達した相対圧力値と、所定の測定期間の終了時に測定された相対圧力値との比較、および/または所定の測定期間中に測定された一連の相対圧力に基づく。
【0063】
シール機能が十分であるかどうかの評価は、代替ルートで実行されてもよい。一方で、試験流体は、流体チャネルを通して所定の供給期間にわたって供給される。この供給期間の後、相対圧力が測定され、ある期間が経過した後、相対圧力が再び測定される。これらの2つの値を比較することができ、偏差が十分に小さい場合、すなわち所定の範囲内である場合、シール機能はOKとして分類される。あるいは、相対圧力は、全期間にわたって監視されてもよい。
【0064】
一方、試験流体は、所定の相対圧力値に達するまで供給されてもよい。その後、一定時間が経過した後、再び相対圧力を測定し、両方の値を比較する。ここでも、相対圧力は、試験時間全体にわたって監視されてもよい。
【0065】
このため、例えば、相対圧力がほぼ一定であれば、ブラインドリベットナット50は、構成要素開口部内にシール方式で配置されているものとする。その結果、後のステップD1において、ブラインドリベットナット50をセットして締結することができる。これにより、セッティングプロセスが完了する。その結果、ブラインドリベットナット50が軸方向(
図7および
図8を参照)に圧着され、この接続位置のためのプロセスが完了する。これにより、セッティング装置1が締結されたユーザまたはロボットは、同じ構成要素の次の接続位置に移動することが可能であり、プロセスまたは方法は、新しい位置で再び開始される。
【0066】
しかしながら、相対圧力の低下が検出され、したがって、ブラインドリベットナット50が構成要素開口部にシール方式で配置されていないと評価された場合、ステップD2においてブラインドリベットナット50が取り外される。その後、新しいブラインドリベットナット50を用いてプロセスが繰り返される。
【0067】
この一連の進行の利点は、各ブラインドリベットナット50がセッティング前にシール機能に関して試験されることである。これにより、セッティング前に、例えばシールリング54を有しない不良ブラインドリベットナット50を特定することが可能である。このような不良ブラインドリベットナット50は、セッティング前に特定することができるので、それを取り外し、新しいブラインドリベットナット50でプロセスを繰り返すことが可能である。また、その気密性に関して製造後に完全な構成要素9を試験する必要がなく、不合格品の数を減らすことができる。また、それぞれの方法は、既知の方法と比較して時間効率的である。
【0068】
ブラインドリベットナット50のシール機能がセッティング前にOKに分類されていると仮定すると、上述の、流体チャネルを通して試験流体を供給し、相対圧力を測定するステップ、ならびに測定された相対圧力に基づいてブラインドリベットナット50が構成要素開口部にシール方式で配置されているかどうかを評価するステップは、ブラインドリベットナット50が構成要素開口部にセットされた後に、ステップFにおいて繰り返される。これにより、セッティングプロセスが接続不良につながったかどうかを二重チェックする。
【0069】
ブラインドリベットナット50または新しいブラインドリベットナット50が構成要素開口部内にシール方式でセットされており、したがってシール機能を失わない場合、ステップF1で接続はOKとして分類される。
【0070】
一方、セッティングプロセスの後に接続不良が特定された場合、この結果はステップF2で示される。したがって、接続不良を示すことができるので、ユーザは、この接続不良に対処し得るため、接続不良を検索および特定するための時間が節約される。これにより、指示の結果、構成要素は再加工され得る。あるいは、構成要素は排除されてもよい。
【0071】
新しいブラインドリベットナット50を用いてプロセスを繰り返さなければならない場合、ステップEにおいて、新しいブラインドリベットナット50が構成要素開口部内にシール方式で配置されているかどうかが、繰り返しサイクルにおける測定された相対圧力に基づいて評価される。上記のブラインドリベットナット50と同様に、新しいブラインドリベットナット50についても、評価の結果、ブラインドリベットナット50が構成要素開口部にシール方式で配置された場合、新しいブラインドリベットナット50を軸方向に圧着することによって、ステップE1で新しいブラインドリベットナット50を構成要素開口部にセットすることが当てはまる。
【0072】
結果が、新しいブラインドリベットナット50も構成要素開口部にシール方式で配置されていないことを示す場合、ステップE2において、好ましくはユーザに、構成要素9をチェックすることを示す。代替的または追加的に、構成要素9はステップE2で排除される。これらの追加のステップによって、例えばバリまたは過大な穴に起因して不良構成要素または少なくとも不良な構成要素開口部を特定することが可能である。例えばディスプレイによるそれぞれの指示がユーザに提示される場合、ユーザは構成要素を直接チェックしてもよい。そうでなければ、構成要素を完全に排除して、後でチェックできるようにしてもよい。
【0073】
再び、新しいブラインドリベットナット50のシール機能がセッティング前にOKに分類されていると仮定すると、上述の、流体チャネル24を通して試験流体を供給し、相対圧力を測定するステップ、ならびに測定された相対圧力に基づいてブラインドリベットナット50が構成要素開口部にシール方式で配置されているかどうかを評価するステップは、ブラインドリベットナット50が構成要素開口部にセットされた後に、ステップFにおいて繰り返される。これにより、セッティングプロセスが接続不良につながったかどうかを二重チェックする。
【0074】
新しいブラインドリベットナット50が構成要素開口部内にシール方式でセットされており、したがってシール機能を失わない場合、ステップF1で接続はOKとして分類される。
【0075】
一方、セッティングプロセスの後に接続不良が特定された場合、この結果はステップF2で示される。したがって、接続不良を示すことができるので、ユーザは、この接続不良に対処し得るため、接続不良を検索および特定するための時間が節約される。その結果として、指示の結果、構成要素は再加工され得る。あるいは、構成要素は排除されてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 セッティング装置
3 引張マンドレル
3’ 内ねじ付き引張ナット
5 外ねじ
5’ 内ねじ
7 マウスピース
9 構成要素
10 マウスピース
12 中央貫通ボア
14 当接端部
16 第1の部分
18 第1のエンドレスシール
20 第2の部分
22 第2のエンドレスシール
24 流体チャネル
26 入口開口部
28 出口開口部
30 制御装置
32 試験流体ライン
34 制御ユニット
50 ブラインドリベットナット
50’ ブラインドリベットスタッド
51 外ねじ付きスタッド
52 ブラインドリベットナット、ブラインドリベットスタッドのヘッド
54 ブラインドリベット要素のシールリング
【外国語明細書】