(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029282
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】昇降装置
(51)【国際特許分類】
B66B 9/00 20060101AFI20240228BHJP
B66B 9/04 20060101ALN20240228BHJP
【FI】
B66B9/00 Z
B66B9/04 M
B66B9/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131457
(22)【出願日】2022-08-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 集会名、集会の開催日 福岡県水泳連盟福岡県高校新人水泳競技大会兼全九州(末弘杯)予選会、2021年10月2~3日 日本マスターズ協会日本マスターズ水泳長距離大会、2021年10月23~24日 第9回・第10回なみはやマスターズ公認記録会2021、2021年12月4日 福岡県水泳連盟春季高校選抜水泳大会、2022年5月21~22日 福岡県水泳連盟第2回北九州OPEN水泳大会、2022年5月28~29日 福岡県水泳連盟福岡県高校選手権水泳大会、2022年6月4~5日 日本スイミングクラブ協会九州支部第45回全九州スイミングクラブ夏季水泳競技大会、2022年7月30~31日
(71)【出願人】
【識別番号】506223680
【氏名又は名称】蠣原 和隆
(74)【代理人】
【識別番号】240000394
【弁護士】
【氏名又は名称】渥美坂井法律事務所弁護士法人
(74)【代理人】
【識別番号】230122390
【弁護士】
【氏名又は名称】石原 一樹
(72)【発明者】
【氏名】蠣原 和隆
【テーマコード(参考)】
3F301
【Fターム(参考)】
3F301AA02
3F301BA03
3F301BA05
3F301BB12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】昇降動作することにより利用者が昇降することを支援することができる昇降装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る昇降装置1は、利用者が昇降に用いる昇降装置1であって、昇降する昇降部と、昇降部に設けられ利用者Aが手で掴む把手部20と、昇降部に設けられ利用者Aの足場となる足場部40と、昇降部を昇降させるための駆動部と、を有する。把手部20は、前方に突出するように設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が昇降に用いる昇降装置であって、
昇降する昇降部と、
前記昇降部に設けられ前記利用者が手で掴む把手部と、
前記昇降部に設けられ前記利用者の足場となる足場部と、
前記昇降部を昇降させるための駆動部と、
を有することを特徴とする昇降装置。
【請求項2】
前記把手部は、前方に突出するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項3】
前記把手部は、前記本体の右側に設けられる右側把手部と、前記本体の左側に設けられる左側把手部と、を有していることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項4】
前記把手部は、上方から下方に向かって側方の外側に傾斜するように設けられ、前記右側把手部と前記左側把手部は、ハの字状に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項5】
前記足場部は、前方に突出するように、前記本体の下部側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項6】
前記足場部の前方への突出長さは、前記把手部の前方への突出長さよりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項7】
前記駆動部は、気体または油以外の液体の圧力により駆動することを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項8】
前記駆動部は、エアシリンダまたは水圧シリンダを有し、エア駆動または水圧駆動であることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項9】
前記駆動部は、前記昇降部の上昇動作の初期において所定にタイムラグが生じる構成とすることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項10】
前記駆動部は、前記本体の背面側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項11】
前記駆動部を駆動させるための駆動釦を有し、
前記駆動釦は、前記昇降部を上昇させる上昇釦を有することを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【請求項12】
前記上昇釦は、前記昇降部の側方側に設けられていることを特徴とする請求項11に記載の昇降装置。
【請求項13】
前記上昇釦は、斜め前方の外側を向くように設けられることを特徴とする請求項11に記載の昇降装置。
【請求項14】
前記駆動釦は、前記昇降部を下降させる下降釦を更に有することを特徴とする請求項11に記載の昇降装置。
【請求項15】
前記下降釦は、前記昇降部の上方側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
競技や娯楽などで広く一般にプールが使用されている。プールには、特許文献1に示すように、利用者が出入りするための梯子がサイド側に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、水泳競技では利用者(競技者)が競技を終えてプールから出るときは、サイド側に取り付けられている梯子を使わずにゴールしたプールサイドから直接出ることがある。
【0005】
しかしながら、利用者は競技により体力を消耗しプールサイドに上がり切れなかったり、競技関係者に手を借りてプールサイドから出る等することがあり、利用者がプールから出ることを支援することができる技術の開発が熱望されていた。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、昇降動作することにより利用者が昇降することを支援することができる昇降装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述目的を達成するため、本発明に係る昇降装置は、利用者が昇降に用いる昇降装置であって、昇降する昇降部と、前記昇降部に設けられ前記利用者が手で掴む把手部と、前記昇降部に設けられ前記利用者の足場となる足場部と、前記昇降部を昇降させるための駆動部と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、上下方向に動作し、昇降する昇降部と、前記昇降部に設けられ前記利用者が手で掴む把手部と、前記昇降部に設けられ前記利用者の足場となる足場部と、前記昇降部を昇降させるための駆動部と、を有することにより、利用者が足場部に足を乗せ把手部を手で掴んだ状態で駆動部により昇降部を上昇させることができる等、昇降動作により利用者が昇降することを支援することができる。
【0009】
前記把手部は、前方に突出するように設けられていることにより、利用者が容易に把手部を掴むことができる。
【0010】
前記把手部は、前記本体の右側に設けられる右側把手部と、前記本体の左側に設けられる左側把手部と、を有していることにより、右側の利用者は右側把手部を掴むことができ、左側の利用者は左側把手部を掴むことができる。
【0011】
前記把手部は、上方から下方に向かって側方の外側に傾斜するように設けられ、前記右側把手部と前記左側把手部は、ハの字状に設けられていることにより、右側の利用者が右側から、左側の利用者は左側から容易に把手部を掴むことができる。
【0012】
前記足場部は、前方に突出するように、前記本体の下端側に設けられていることにより、利用者が容易に足場部に足を乗せることができる。
【0013】
前記足場部の前方への突出長さは、前記把手部の前方への突出長さよりも大きく設定されていることにより、利用者が把手部を掴んだときに、利用者と昇降部とが略平行になるようにすることが可能となる。
【0014】
すなわち、足場部の前方への突出長さが小さい場合、利用者の足が支点となって利用者が外側に傾むく恐れがあり、このような場合には、昇降部の上昇時に利用者に水圧がかかって、利用者が把手部から手を放して転落する恐れがあるが、上記のように、足場部の前方への突出長さを、把手部の前方への突出長さよりも大きく設定されていることにより、利用者が把手部を掴んだときに、利用者と昇降部とが略平行になるようにすることが可能となり、利用者が転落することを少なくすることができる。
【0015】
前記駆動部は、気体または油以外の液体の圧力により駆動することができる。
すなわち、前記駆動部は、エアシリンダまたは水圧シリンダを有し、エア駆動または水圧駆動であることにより、エアまたは水がシリンダから漏れる場合にあっても水が汚染されることを少なくすることができる。
【0016】
前記駆動部は、前記昇降部の上昇動作の初期において所定にタイムラグが生じる構成とすることにより、上昇動作するまでに利用者が上昇動作に耐える姿勢を確保することができる。
【0017】
前記駆動部は、前記本体の背面側に設けられていることにより、駆動部を本体の側方にはみ出ることなく設けることが可能となる。
【0018】
前記昇降部を上昇させる上昇釦を有することにより、釦操作で昇降部の上昇動作を行うことができる。
【0019】
前記上昇釦は、斜め前方の外側を向くように設けられることにより、釦操作を更にし易くすることができる。
【0020】
また更に、昇降部を下降させる下降釦を更に有することにより、釦操作で昇降部の下降動作を行うことができる。
【0021】
また、下降釦は、昇降部の上方側に設けられていることにより、利用者が昇降部により上昇した後で下降動作を行うことができる
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、昇降動作することにより利用者が昇降することを支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の昇降装置の構成を示す斜視図である。
【
図2】同昇降装置が上昇した状態を示す斜視図である。
【
図4】同昇降装置の把手部を拡大して示す拡大正面図である。
【
図8】同昇降装置の昇降部の構成を示す図で、(a)は昇降部を破線で示した昇降装置の正面図、(b)は昇降部の正面図、(c)は昇降部の側面図である。
【
図9】同昇降装置の昇降部の構成を示す別の図で、(a)は上昇する前の状態を示す正面図、(b)は上昇した後の状態を示す正面図である。
【
図10】同昇降装置の駆動部の空気供給系統を示す図である。
【
図11】同昇降装置の効果を説明するための側面図である。
【
図12】同昇降装置の効果を説明するための別の側面図である。
【
図15】本発明の更に別の変形例を示す平面図である。
【
図16】本発明のまた更に別の変形例を示す平面図である。
【
図17】本発明の更にまた別の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の昇降装置の構成を示す斜視図、
図2は、同昇降装置が上昇した状態を示す斜視図、
図3は、同昇降装置の正面図、
図4は、同昇降装置の把手部を拡大して示す拡大正面図、
図5は、同昇降装置の側面図、
図6は、同昇降装置の平面図、
図7は、同昇降装置の別の平面図、
図8は、同昇降装置の昇降部の構成を示す図、
図9は、同昇降装置の昇降部の構成を示す別の図、
図10は、同昇降装置の駆動部の空気供給系統を示す図、
図11は、同昇降装置の効果を説明するための側面図、
図12は、同昇降装置の効果を説明するための別の側面図である。なお、以下の説明においては、昇降装置1の把手部20,30、足場部40が設けられている側を前方、その反対側(プールサイドP3側)を後方、昇降装置1が上昇する側を上方、下降する側を下方、昇降装置1を正面側から見て右側を右方、左側を左方とし、各方向を図において明示するものとする。
【0025】
これらの図を参照して、昇降装置1の構成の概要を説明すると、昇降装置1は、利用者AがプールPから出るときの昇降に用いる装置であり、昇降部10、第1の把手部20、第2の把手部30、足場部40、駆動部50、第1の駆動釦60、および第2の駆動釦70を有している。昇降装置1は、プールP内に満たされた水に浸漬されている。昇降装置1は、水に浸漬した状態で昇降動作することができる。
【0026】
昇降部10は、上下方向に動作し、プールPの内面P2側に設けられている。昇降部10は、プールPの内面P2側に沿って上下方向に延びており、上下方向に昇降動作することができる。
【0027】
昇降部10は、ケーシング1A内に備えられており、上下方向に延びて昇降動作する板状の昇降部本体11を有している。昇降部10は、ケーシング1Aとは独立して昇降動作することができる(ケーシング1Aは、昇降部10が昇降動作しても昇降せず位置が固定されている)。昇降部本体11は、中央部側に上下方向の中間部から下部側に延びるように長孔状の貫通穴12が設けられている。ケーシング1Aは、中央部側に上下方向に延びるスリット1A´が設けられている。スリット1A´は、貫通穴12と対応するように設けられており、貫通穴12およびスリット1A´は、コースロープBの芯材B´が挿通可能な寸法となっている。これにより、昇降装置1を、コースロープBに跨るように設けることができる。ケーシング1Aは、背面1A3側の中間部から後方に延出する延出部1Bを有しており、昇降装置1は、延出部1Bを介してプールデッキP3に固定されている。
【0028】
第1の把手部20は、昇降部10に設けられており、昇降部10とともに昇降動作することができる。第1の把手部20は、利用者Aが手で掴むことができる。第1の把手部20は、前方に突出するように、昇降部本体11における貫通穴12の上端12´の上方側に設けられており、環状となっている。第1の把手部20は、D環の如く構成されている。
【0029】
第1の把手部20は、昇降部本体11の正面11Aの右側に設けられる右側把手部21と、昇降部本体11の正面11Aの左側に設けられる左側把手部22と、を有している。第1の把手部20は、
図4に拡大して示すように、上方から下方に向かって側方の外側に傾斜するように設けられており、右側把手部21と左側把手部22は、正面側から見たときに略ハの字状に設けられている。
【0030】
第1の把手部20は、板状の取り付け部20Aに取り付けられている。取り付け部20Aは、正面20A1側に第1の把手部20を取り付け、背面20A2側に連結部20Bを設け、連結部20Bを介して取り付け部20Aと昇降部本体11とを連結している。連結部20Bの左右方向の幅寸法は、ケーシング1Aのスリット1A´の幅寸法以内となっており、連結部20Bは、スリット1A´の幅内に収まる寸法となっている。連結部20Bは、前端20B´側が取り付け部20Aの背面20A2側に設けられ、後端20B´´側が昇降部本体11に設けられている。これにより、第1の把手部20は、昇降動作の障害となることなく、ケーシング1Aの正面1A1側に沿って昇降部本体11とともに昇降動作することができる。
【0031】
第2の把手部30は、ケーシング1Aの上面1A2側に設けられており、環状となっている。第2の把手部30は、D環の如く構成されている。第2の把手部30は、昇降部10とは連結されておらず、位置が常時固定されている。駆動部40により昇降部10とともに利用者Aを上昇させた後に利用者Aが第2の把手部30を手で掴みながら昇降部10から降りることができる。
【0032】
足場部40は、昇降部10に設けられており、昇降部10とともに昇降動作することができる。足場部40は、利用者Aの足場とすることができる。足場部40は、前方に突出するように、昇降部本体11の下部側に設けられ、昇降部本体11とともに昇降動作することができる。より詳しくは。足場部40は、貫通穴12の下端12´´よりも下方に設けられている。
【0033】
足場部40は、水平方向に延びる板状の足場部本体41を有しており、足場部本体41の後端41A側が昇降部本体11の下部側に設けられている。足場部40は、スペーサ42を有し、足場部本体41は、スペーサ42を介して昇降部本体11の下部側に設けられている。これにより、足場部本体41の後端41A側は、ケーシング1Aの正面1A1から前方側に所定に離間している。また、スペーサ42は、幅寸法がケーシング1Aのスリット1A´の幅寸法以内となっており、スリット1A´の幅内に収まる寸法となっている。すなわち、足場部本体41およびスペーサ42が昇降動作に際して障害となることがないように考慮されている。
【0034】
また、足場部本体41は、裏面41B側を支持部43により支持されている。支持部43は、上下方向に延びる板状で略直角三角形状をなしている。支持部43は、左右方向の幅寸法(厚み)がケーシング1Aのスリット1A´の幅寸以内となっており、スリット1A´の幅内に収まる寸法となっている。すなわち、支持部43が昇降動作に際して障害となることがないように考慮されている。
【0035】
ここで、
図6に示すように、足場部40の前方への突出長さL2は、第1の把手部20の前方への突出長さL1よりも大きく設定されている。これにより、利用者Aが第1の把手部20を掴んだときに、利用者Aと昇降部10とが略平行になるようにすることが可能となる。
【0036】
すなわち、
図11に示すように、足場部40の前方への突出長さL2が小さい場合、利用者Aの足が支点となって利用者Aが外側に傾むく恐れがあり、このような場合には、昇降部10の上昇時に利用者Aに水圧がかかって、利用者Aが第1の把手部20から手を放して転落する恐れがある。一方、
図12に示すように、足場部40の前方への突出長さL2が、第1の把手部20の前方への突出長さL1よりも大きく設定されている場合、利用者Aが第1の把手部20を掴んだときに、利用者Aと昇降部10とが略平行になるようにすることが可能となり、利用者Aが転落することを少なくすることができる。
【0037】
また、
図7に示すように、足場部40の左右の長さM1は、コースロープBの幅寸法M2以内の寸法に設定されている。足場部40の左右の長さM1を、コースロープBの幅寸法M2以内の寸法に設定することにより、コースロープBの左右から足場部40がはみ出ることを少なくすることができ、利用者Aが足を引っ掛ける等の不具合が発生することを少なくすることができる。
【0038】
なお、足場部40は、プールPの水面Hから下方に90cm以上離間するように設けられている。
【0039】
駆動部50は、昇降部10を昇降動作させることができる。
駆動部50は、気体の圧力により駆動することができる。すなわち、駆動部50は、エアシリンダ51を有しており、エア駆動とすることができる。駆動部50は、昇降部10の上昇動作の初期において所定にタイムラグが生じる構成とすることができる。駆動部50は、上昇動作の初期において所定にタイムラグが生じる構成とすることにより、上昇動作するまでに利用者Aが上昇動作に耐える姿勢を確保することができる。
【0040】
駆動部50は、空気源52からのエアを供給弁53を介して供給する構成となっており、第1の駆動釦60を押下することにより、供給弁53が開放してエアシリンダ51に空気が供給され駆動部50が昇降部10を上昇させるように駆動する(駆動部50は、第2の駆動釦70を押下することにより、排気弁53Aが開放してエアシリンダ51の空気が排気され駆動部50が昇降部10を下降させるように駆動する)。第1の駆動釦60が押下されてから供給弁53が開放されるまでの時間を遅らせることにより、タイムラグを生じさせることができる(駆動部50は、第1の駆動釦60が押下されてから供給弁53が開放されるまでの時間を遅らせるための動作遅れ回路を設けることができる)。また、タイムラグは、空気源52の圧力を単に調整することによっても調整することができる。エアシリング51は、液体を駆動源とするシリンダよりも単に圧力を調整することで所望のタイムラグを生じさせることができる。
【0041】
駆動部50は、昇降部本体11の背面11B側に設けられている。
すなわち、駆動部50においてエアシリンダ51のシリンダ部54は、ケーシング1Aの内面側に連結部材57を介して設けられるとともに、昇降部本体11とは非連結となっている。一方、エアシリンダ51の上下方向に往復動するピストンロッド部55は、ケーシング1Aの内面側と非連結とするとともに、昇降部本体11の背面11B側とは連結している。これにより、昇降部本体11は、駆動部50によりケーシング1Aに対して独立に昇降動作することができ、ケーシング1Aとの相対位置を変更することができる。
【0042】
なお、エアシリンダ51は、昇降部本体11の背面11B側に2本並行するように設けられている。並行する2本のエアシリンダ51のピストンロッド部55は、連結部材56により橋架されるように連結されている。
【0043】
すなわち、本実施形態にあっては、利用者Aは左右両側からそれぞれ足場部40に乗り、把手部21,22を掴むこととなるため、並行する2本のエアシリンダ51のピストンロッド部55には左右方向の外側に大きな力がかかり、上昇するときに間隔が広がることがあるが、並行する2本のエアシリンダ51のピストンロッド部55を連結部材56により連結することにより、間隔が広がることを防止することができる。
【0044】
第1の駆動釦60は、駆動部50を駆動させるためのものである。第1の駆動釦60は、駆動部50を駆動させることにより昇降部10を上昇させる上昇釦である(以下、第1の駆動釦60は、上昇釦60とする)。
【0045】
上昇釦60は、ケーシング1Aにおける昇降部10の側方側に設けられている。上昇釦60は、斜め前方の外側を向くように設けられている。上昇釦60は、右側を向く右側上昇釦61と左側を向く左側上昇釦62を有している。
第2の駆動釦70は、駆動部50を駆動させるためのものである。第2の駆動釦70は、駆動部50を駆動させることにより昇降部10を下降させる下降釦70である(以下、第2の駆動釦70は、下降釦70とする)。
【0046】
下降釦70は、ケーシング1Aにおける昇降部10の上方側に設けられている。下降釦70は、ケーシング1Aの上面1A2側に設けられている。上昇釦60および下降釦70は、ケーシング1Aに設けられているため、昇降部10の昇降動作によらず位置が常時固定されている。
【0047】
昇降装置1は、背面1aがプールPの内面P2側に対し所定に離間してプールPの内面P2側との間に所定のスペースSが形成されている。スペースSは、プールPの前面P1の内面P2側に設けられるタッチ板90の端部90Aが挿入可能な寸法に設定されており、タッチ板90とは非接触となっている。
【0048】
以上のように構成された昇降装置1の次のように使用することができる。
すなわち、利用者Aは、足場部40に足を乗せるとともに、第1の把手部20を手で掴む。利用者Aは、コースロープBを挟んで両側から同時に乗ることができる。コースロープBを挟んで右側の利用者Aは右側把手部21を手で掴み、左側の利用者Aは左側把手部22を掴む。
【0049】
次いで、右側の利用者Aおよび左側の利用者Aのいずれか一方が右側上昇釦61および右側上昇釦62のいずれか一方を押す。これにより、駆動部50が駆動して昇降部10が下位置から上位置に上昇し、利用者AがプールPから出ることができる。
【0050】
昇降部10の上昇後は、右側の利用者Aおよび左側の利用者Aが第2の把手部30を手で掴みながら降りる。右側の利用者Aおよび左側の利用者Aのいずれか一方が下降釦70を押すことにより、駆動部50が駆動して昇降部10が上位置から下位置に下降する。以後、同様に利用者Aは、昇降装置1により昇降することができる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態によれば、上下方向に動作し、プールPの内面P2側に沿って上下方向に昇降する昇降部10と、昇降部10に設けられ利用者Aが手で掴む把手部20と、昇降部10に設けられ利用者Aの足場となる足場部40と、昇降部10を昇降させるための駆動部50と、を有することにより、利用者Aが足場部40に足を乗せ把手部20を手で掴んだ状態で駆動部50により昇降部10を上昇させて、利用者AがプールPから出ることができる等、昇降動作により利用者AがプールPから出るときに昇降することを支援することができる。
【0052】
また、昇降部10は、昇降する昇降部本体11を有するとともに、昇降部本体11は、上下方向に延びるように貫通穴12が設けられ、貫通穴12は、コースロープBを挿通可能に構成されていることにより、コースロープBを挟んで両側において利用者AがプールPから出ることを支援することが可能となる。
【0053】
更に、把手部20は、前方に突出するように設けられていることにより、利用者Aが容易に把手部20を掴むことができる。
【0054】
更にまた、把手部20は、昇降部本体11の右側に設けられる右側把手部21と、昇降部本体11の左側に設けられる左側把手部22と、を有していることにより、コースロープBを挟んで右側の利用者Aは右側把手部21を掴むことができ、コースロープPを挟んで左側の利用者Aは左側把手部22を掴むことができる。
【0055】
更にまた、把手部20は、上方から下方に向かって側方の外側に傾斜するように設けられ、右側把手部21と左側把手部22は、ハの字状に設けられていることにより、コースロープBを挟んで右側の利用者Aが右側から、左側の利用者Aは左側から容易に把手部20を掴むことができる。
【0056】
また更に、足場部40は、前方に突出するように、昇降部本体11の下部側に設けられていることにより、利用者Aが容易に足場部40に足を乗せることができる。
【0057】
また、駆動部50は、エアシリンダ51とし、エア駆動であることにより、エアがシリンダから漏れる場合にあってもプール内の水が汚染されることを少なくすることができる。
【0058】
更に、駆動部50は、昇降部10の上昇動作の初期において所定にタイムラグが生じる構成とすることにより、上昇動作するまでに利用者Aが上昇動作に耐える姿勢を確保することができる。
【0059】
更にまた、駆動部50は、昇降部本体11の背面11B側に設けられていることにより、駆動部50を昇降部本体11の側方にはみ出ることなく設けることが可能となり、装置の全体の左右方向の寸法をコースロープBの幅寸法M2以内の寸法に設定することが可能となる。これにより、装置全体の幅寸法を小さくすることができ、昇降装置1による死角を少なくすることができる。
【0060】
また更に、背面11B側がプールPの内面P2側に対し所定に離間してプールPの内面P2側との間に所定のスペースSが形成されるとともに、スペースSは、プールPの内面P2側に設けられるタッチ板90の端部90Aが挿入可能な寸法に設定され、昇降装置1がタッチ板90とは非接触としていることにより、タッチ板90の時間計測機能の障害となることを防止することができる。
【0061】
また、昇降部10を上昇させる上昇釦60を有することにより、釦操作で昇降部10の上昇動作を行うことができる。
【0062】
更に、上昇釦60は、昇降部10の側方側に設けられていることにより、利用者Aが側方側から釦操作を行うことができる等、釦操作をし易くすることができる。
【0063】
更にまた、上昇釦60は、斜め前方の外側を向くように設けられることにより、釦操作を更にし易くすることができる。
【0064】
また更に、昇降部10を下降させる下降釦70を更に有することにより、釦操作で昇降部10の下降動作を行うことができる。
【0065】
また、下降釦70は、昇降部10の上方側に設けられていることにより、利用者Aが昇降部10により上昇した後で下降動作を行うことができる(なお、従前においては、上昇釦60および下降釦70を兼用として把手部20に設け昇降部本体11とともに昇降することとしていたが、上昇時および下降時ともに釦操作がし難く、本実施形態においては、上昇釦60および下降釦70を別体とし更に上記のような構成とした)。
【0066】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず各種の変形実施、応用実施が可能であることは勿論である。
【0067】
すなわち、上述した実施形態にあっては、駆動部50は、エアリンダ51とすることとしているが、水を汚染させない他の気体の圧力により駆動する構成とすることとしても所要の効果を奏することができる。
【0068】
また、油以外の液体の圧力により駆動する構成としてよく、例えば、駆動部50は、水圧シリンダとし、水圧駆動とすることとしても所要の効果を奏することができる。
【0069】
更に上述した実施形態にあっては、足場部40は固定して設けることとしているが、左右に回動するように構成することとしてもよい。この場合にあっては、昇降部本体11と足場部本体41とを軸体を介して連結し、足場部本体41を軸体回りに回動させることができる。
【0070】
更にまた、上述した実施形態にあっては、把手部20は、上方から下方に向かって側方の外側に傾斜するように設けられ、右側把手部21と左側把手部22は、ハの字状に設けられていることとしているが、
図13に示すように、上下方向に沿って設けることとしたり、
図14に示すように、水平方向に沿って設けることとしても所要の効果を奏することができる。ただし、上述したように、把手部20は、上方から下方に向かって側方の外側に傾斜するように設けられ、右側把手部21と左側把手部22は、ハの字状に設けられていることとすれば、コースロープBを挟んで右側の利用者Aが右側から、左側の利用者Aは左側から容易に把手部20を掴むことができより好ましい実施形態となる。
【0071】
また更に、上述した実施形態にあっては、足場部40の左右の長さM1は、コースロープBの幅寸法M2以内の寸法に設定されていることとしているが、
図15に示すように、コースロープBの幅寸法M2よりも長く設定することとしてもよい。足場部40の左右の長さM1をコースロープBの幅寸法M2よりも長く設定した場合には、コースロープBの左右から足場部40がはみ出るものの、足を乗せ易くすることができる。
【0072】
また、上述した実施形態にあっては、上昇釦61,62は、斜め前方の外側を向くように設けられることとしているが、
図16に示すように、側方を向くこととしたり、
図17に示すように、前方を向くこととしても所要の効果を奏することができる。ただし、上述したように、上昇釦60は、斜め前方の外側を向くように設けられることとすることにより、釦操作を更にし易くすることができより好ましい実施形態となる。
【0073】
更に、上述した実施形態にあっては、貫通穴12は、コースロープBを挿通可能に寸法となっていることとし、コースロープBを挟んで両側において利用者AがプールPから出ることを支援することとしているが、貫通穴12を設けずにコースロープBを挟まず昇降装置1を設け両側において利用者AがプールPから出ることを支援することとしても所要の効果を奏する。
【0074】
更にまた、上述した実施形態にあっては、右側把手部21と左側把手部22を有することとしているが一の把手部として一の利用者AのみがプールPから出ることを支援することとしても所要の効果を奏することができる。
【0075】
また更に、上述した実施形態にあっては、駆動部50は、昇降部本体11の背面11B側に設けることとしているが、昇降部本体11の側方側に設けることとしても所要の効果を奏することができる。ただし、駆動部50は、昇降部本体11の背面11B側に設けることとた方が装置全体の幅寸法を小さくすることができ、昇降装置1による死角を少なくすることができるのでより好ましい実施形態となる。
【0076】
また、上述した実施形態にあっては、昇降装置1は、背面側がプールPの内面P2側に対し所定に離間してプールPの内面P2側との間に所定のスペースSが形成されるとともに、スペースSは、プールPの内面P2側に設けられるタッチ板90の端部90Aが挿入可能な寸法に設定され、タッチ板90とは非接触とすることとしているがタッチ板90がない場合には、スペースSを設けることを要しないのは勿論である。
【0077】
更に、上述した実施形態にあっては、昇降装置1を利用者AがプールPから出るときの昇降に用いることとしているが、昇降装置1を船舶に設置し、利用者Aが川、海、沼、湖、池から船舶に乗るときに用いる等各種の昇降に利用することも所要の効果を奏することができる。また、昇降装置1は水に浸漬した状態で昇降する場合に限定されず各種の用途に用いることができる。
【0078】
ただし、昇降装置1を水に浸漬した状態で昇降する場合、特に利用者AがプールPから出るときの昇降に用いることとすることにより、上述した各種の格別の効果を奏することができ、昇降装置1をプールPに設置して利用することはより好ましい実施形態となる。
【符号の説明】
【0079】
A:利用者
B:コースロープ
B´:芯材
L1,L2:突出長さ
M1:長さ
M2:幅寸法
P:プール
P2:内面
P3:プールデッキ
S:スペース
1:昇降装置
1a:背面
1A:ケーシング
1A1:正面
1A2:上面
1A3:背面
1A´:スリット
1B:延出部
10:昇降部
11:昇降部本体
11A:正面
11B:背面
12:貫通穴
12´:上端
12´´:下端
20:第1の把手部
20A:取り付け部
20A1:正面
20A2:背面
20B:連結部
20B´:前端
20B´´:後端
21:右側把手部
22:左側把手部
30:第2の把手部
40:足場部
41:足場部本体
41A:後端
41B:裏面
42:スペーサ
43:支持部
50:駆動部
51:エアシリンダ
52:空気源
53:供給弁
53A:排気弁
54:シリンダ部
55:ピストンロッド部
56:連結部材
57:連結部材
60:第1の駆動釦
61:右側上昇釦
62:左側上昇釦
70:第2の駆動釦
90:タッチ板
90A:端部