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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029304
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】光検出装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240228BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20240228BHJP
   H04N 25/61 20230101ALI20240228BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L27/146 A
H04N5/369
H04N5/357 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131489
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】田口 由香里
(72)【発明者】
【氏名】納土 晋一郎
(72)【発明者】
【氏名】桝田 佳明
(72)【発明者】
【氏名】寺田 啓介
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
【Fターム(参考)】
4M118AA05
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA04
4M118CA22
4M118CA34
4M118CB13
4M118DD04
4M118FA06
4M118FA27
4M118FA28
4M118GA02
4M118GA08
4M118GB03
4M118GB07
4M118GB11
4M118GC08
4M118GC11
4M118GC14
4M118GD03
4M118GD04
4M118GD15
4M118HA02
4M118HA25
5C024CX01
5C024CX11
5C024EX43
5C024EX51
5C024EX52
5C024GX02
(57)【要約】
【課題】フレアやゴーストの発生を抑制する。
【解決手段】光電変換部と、光電変換部に光を集光する第1の集光部を有する第1の画素と、第1の集光部と異なる形状を有する第2の集光部を有する第2の画素と、第1の画素と第2の画素が行列状に配置されている画素アレイ部とを備え、第2の画素は、画素アレイ部にランダムに配置されている。本技術は、光を検出する光検出装置に適用できる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換部と、
前記光電変換部に光を集光する第1の集光部を有する第1の画素と、
前記第1の集光部と異なる形状を有する第2の集光部を有する第2の画素と、
前記第1の画素と前記第2の画素が行列状に配置されている画素アレイ部と
を備え、
前記第2の画素は、前記画素アレイ部にランダムに配置されている
光検出装置。
【請求項2】
前記集光部は、オンチップレンズを含み、
前記第2の集光部に含まれるオンチップレンズは、前記第1の集光部に含まれるオンチップレンズと異なる大きさ、高さ、または扁平率で形成されている
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項3】
前記集光部は、カラーフィルタを含み、
前記第2の集光部に含まれるカラーフィルタは、前記第1の集光部に含まれるカラーフィルタと膜厚または材料が異なる
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項4】
前記第2の集光部は、光入射面側に複数の凹部を有する凹部領域を含み、前記第1の集光部は、前記凹部領域を含まない
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項5】
前記第1の集光部と前記第2の集光部はそれぞれ、光入射面側に複数の凹部を有する凹部領域を含み、
前記第1の集光部に含まれる前記凹部領域の凹部の個数と、前記第2の集光部に含まれる前記凹部領域の凹部の個数は異なる
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記第2の集光部は、配線層側に複数の凹部を有する凹部領域を含み、前記第1の集光部は、前記凹部領域を含まない
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記第2の集光部は、配線層側に、光を反射または吸収する膜を含み、前記第1の集光部は、前記膜を含まない
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項8】
断面視において、前記第1の集光部と前記第2の集光部はそれぞれ、光入射面側に設けられている凹部を有する凹部領域を含み、
平面視において、前記第1の集光部に含まれる前記凹部領域の形状と、前記第2の集光部に含まれる前記凹部領域の形状は異なる
請求項1に記載の光検出装置。
【請求項9】
光電変換部と、
前記光電変換部に光を集光する集光部と、
前記集光部を有する画素と、
前記画素が行列状に配置されている画素アレイ部と
を備え、
前記集光部は、第1の部材と第2の部材を含み、
前記画素アレイ部において、前記第1の部材が配置されている第1の周期と、前記第2の部材が配置されている第2の周期は異なり、
前記第1の周期よりも前記第2の周期の方が長い周期である
光検出装置。
【請求項10】
前記第1の部材は、カラーフィルタであり、
前記第2の部材は、オンチップレンズであり、
前記オンチップレンズは、第1のオンチップレンズと前記第1のオンチップレンズとは異なる大きさ、高さ、または扁平率で形成されている第2のオンチップレンズとがあり、
前記第2の周期は、前記第2のオンチップレンズが配置されている周期である
請求項9に記載の光検出装置。
【請求項11】
前記第1の部材は、オンチップレンズであり、
前記第2の部材は、カラーフィルタであり、
前記カラーフィルタは、第1のカラーフィルタと前記第1のカラーフィルタとは膜厚または材料が異なる第2のカラーフィルタとがあり、
前記第2の周期は、前記第2のカラーフィルタが配置されている周期である
請求項9に記載の光検出装置。
【請求項12】
前記第1の部材は、カラーフィルタまたはオンチップレンズであり、
前記第2の部材は、光入射面側に設けられている複数の凹部を有する凹部領域であり、
前記第2の周期は、前記凹部領域が配置されている周期である
請求項9に記載の光検出装置。
【請求項13】
前記第1の部材は、カラーフィルタまたはオンチップレンズであり、
前記第2の部材は、配線層側に設けられている複数の凹部を有する凹部領域であり、
前記第2の周期は、前記凹部領域が配置されている周期である
請求項9に記載の光検出装置。
【請求項14】
前記第1の部材は、カラーフィルタまたはオンチップレンズであり、
前記第2の部材は、配線層側に、光を反射または吸収する膜であり
前記第2の周期は、前記膜が配置されている周期である
請求項9に記載の光検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は光検出装置に関し、例えば、フレアやゴーストの発生を抑制して撮像できるようにした光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルビデオカメラやデジタルスチルカメラでは、被写体の細部まで映しだす高い解像力や携帯性を重視した機器の小型化が求められてきた。また撮像装置では、撮像特性を維持しつつ、画素サイズの小型化に向けた開発が行われてきた。
【0003】
高解像度や小型化の継続的要求に加えて、最低被写体照度の向上や高速度撮像などへの要求が高まり、その実現のために、撮像装置にはSN比をはじめとした総合的な画質向上への期待も高まっている。特許文献1では、受光面の画素境界に絶縁層を介して形成された遮光膜を形成することで、光学混色やフレアの低減により画質の向上を図ることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-186818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来からもフレアやゴーストなどの発生を抑制する対策が行われていたが、その抑制効果は十分ではなく、さらに抑制効果の高い対策を施すことが求められている。
【0006】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、フレアやゴーストの発生を抑制することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の一側面の第1の光検出装置は、光電変換部と、前記光電変換部に光を集光する第1の集光部を有する第1の画素と、前記第1の集光部と異なる形状を有する第2の集光部を有する第2の画素と、前記第1の画素と前記第2の画素が行列状に配置されている画素アレイ部とを備え、前記第2の画素は、前記画素アレイ部にランダムに配置されている光検出装置である。
【0008】
本技術の一側面の第2の光検出装置は、光電変換部と、前記光電変換部に光を集光する集光部と、前記集光部を有する画素と、前記画素が行列状に配置されている画素アレイ部とを備え、前記集光部は、第1の部材と第2の部材を含み、前記画素アレイ部において、前記第1の部材が配置されている第1の周期と、前記第2の部材が配置されている第2の周期は異なり、前記第1の周期よりも前記第2の周期の方が長い周期である光検出装置である。
【0009】
本技術の一側面の第1の光検出装置においては、光電変換部と、光電変換部に光を集光する第1の集光部を有する第1の画素と、第1の集光部と異なる形状を有する第2の集光部を有する第2の画素と、第1の画素と第2の画素が行列状に配置されている画素アレイ部とが備えられ、第2の画素は、画素アレイ部にランダムに配置されている。
【0010】
本技術の一側面の第2の光検出装置においては、光電変換部と、光電変換部に光を集光する集光部と、集光部を有する画素と、画素が行列状に配置されている画素アレイ部とが備えられ、集光部は、第1の部材と第2の部材を含み、画素アレイ部において、第1の部材が配置されている第1の周期と、第2の部材が配置されている第2の周期は異なり、第1の周期よりも第2の周期の方が長い周期である。
【0011】
なお、光検出装置は、独立した装置であっても良いし、1つの装置を構成している内部ブロックであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示に係る光検出装置の概略構成を示す図である。
図2】撮像装置の平面構成例について説明するための図である。
図3】撮像装置の断面構成例について説明するための図である。
図4】フレアやゴーストの発生原理について説明するための図である。
図5】セルサイズと回折角について説明するための図である。
図6】セルサイズと反射率の関係について説明するための図である。
図7】第1の実施の形態における撮像装置の構成について説明するための図である。
図8】第1の実施の形態における撮像装置の構成について説明するための図である。
図9】ブロックの構成について説明するための図である。
図10】ブロックの構成について説明するための図である。
図11】検証結果を示す図である。
図12】検証結果を示す図である。
図13】第2の実施の形態における撮像装置の構成について説明するための図である。
図14】第3の実施の形態における撮像装置の構成について説明するための図である。
図15】第4の実施の形態における撮像装置の構成について説明するための図である。
図16】第5の実施の形態における撮像装置の構成について説明するための図である。
図17】第6の実施の形態における撮像装置の構成について説明するための図である。
図18】第7の実施の形態における撮像装置の構成について説明するための図である。
図19】第8の実施の形態における撮像装置の構成について説明するための図である。
図20】第9の実施の形態における撮像装置の構成について説明するための図である。
図21】第9の実施の形態におけるトレンチの構成について説明するための図である。
図22】電子機器の構成例を示す図である。
図23】内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図24】カメラヘッド及びCCUの機能構成の一例を示すブロック図である。
図25】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
図26】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。
【0014】
<撮像装置の概略構成例>
図1は、本開示に係る撮像装置の概略構成を示している。本技術は、画像を撮像する撮像装置(カラー撮影する撮影装置)や、被写体までの距離を測定する測距装置などに適用できる。以下の説明では、カラー画像を撮像する撮像装置を例に挙げて説明するが、光を受光し、光量を検出する光検出装置に広く適用できる。
【0015】
図1の撮像装置1は、半導体として例えばシリコン(Si)を用いた半導体基板12に、画素2が2次元アレイ状に配列された画素アレイ部3と、その周辺の周辺回路部とを有して構成される。周辺回路部には、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5、水平駆動回路6、出力回路7、制御回路8などが含まれる。
【0016】
画素2は、光電変換素子としてのフォトダイオードと、複数の画素トランジスタを有して成る。複数の画素トランジスタは、例えば、転送トランジスタ、選択トランジスタ、リセットトランジスタ、及び、増幅トランジスタの4つのMOSトランジスタで構成される。
【0017】
また、画素2は、共有画素構造とすることもできる。この画素共有構造は、複数のフォトダイオード、複数の転送トランジスタ、共有される1つのフローティングディフュージョン(浮遊拡散領域)、および共有される1つずつの他の画素トランジスタとから構成される。すなわち、共有画素では、複数の単位画素を構成するフォトダイオード及び転送トランジスタが、他の1つずつの画素トランジスタを共有して構成される。
【0018】
制御回路8は、入力クロックと、動作モードなどを指令するデータを受取、また撮像装置1の内部情報などのデータを出力する。すなわち、制御回路8は、垂直同期信号、水平同期信号及びマスタクロックに基づいて、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5及び水平駆動回路6などの動作の基準となるクロック信号や制御信号を生成する。そして、制御回路8は、生成したクロック信号や制御信号を、垂直駆動回路4、カラム信号処理回路5及び水平駆動回路6等に出力する。
【0019】
垂直駆動回路4は、例えばシフトレジスタによって構成され、画素駆動配線10を選択し、選択された画素駆動配線10に画素2を駆動するためのパルスを供給し、行単位で画素2を駆動する。すなわち、垂直駆動回路4は、画素アレイ部3の各画素2を行単位で順次垂直方向に選択走査し、各画素2の光電変換部において受光量に応じて生成された信号電荷に基づく画素信号を、垂直信号線9を通してカラム信号処理回路5に供給する。
【0020】
カラム信号処理回路5は、画素2の列ごとに配置されており、1行分の画素2から出力される信号を画素列ごとにノイズ除去などの信号処理を行う。例えば、カラム信号処理回路5は、画素固有の固定パターンノイズを除去するためのCDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング)およびAD変換等の信号処理を行う。
【0021】
水平駆動回路6は、例えばシフトレジスタによって構成され、水平走査パルスを順次出力することによって、カラム信号処理回路5の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路5の各々から画素信号を水平信号線11に出力させる。
【0022】
出力回路7は、カラム信号処理回路5の各々から水平信号線11を通して順次に供給される信号に対し、信号処理を行って出力する。出力回路7は、例えば、バッファリングだけする場合もあるし、黒レベル調整、列ばらつき補正、各種デジタル信号処理などが行われる場合もある。入出力端子13は、外部と信号のやりとりをする。
【0023】
以上のように構成される撮像装置1は、CDS処理とAD変換処理を行うカラム信号処理回路5が画素列ごとに配置されたカラムAD方式と呼ばれるCMOSイメージセンサである。
【0024】
また、撮像装置1は、画素トランジスタが形成される半導体基板12の表面側と反対側の裏面側から光が入射される裏面照射型のMOS型撮像装置である。
【0025】
<撮像装置の平面、断面構成例>
図2の左図は、画素アレイ部3に配置されている4×5の20個の画素2を示し、右図は、カラーフィルタ51(図3)の配置例を示す。図3は、図2の線分a-a’における画素2の断面構成例を示す図である。
【0026】
図3の断面構成例を参照するに、撮像装置1は、半導体基板12と、その表面側に形成された多層配線層と支持基板(いずれも不図示)とを備える。
【0027】
半導体基板12は、例えばシリコン(Si)で構成され、例えば1乃至6μmの厚みを有して形成されている。半導体基板12では、例えば、P型(第1導電型)の半導体領域41に、N型(第2導電型)の半導体領域42が画素2毎に形成されることにより、フォトダイオードPDが画素単位に形成されている。半導体基板12の表裏両面に設けられているP型の半導体領域41は、暗電流抑制のための正孔電荷蓄積領域を兼ねている。
【0028】
図3に示すように、撮像装置1は、フォトダイオードPDを構成するN型の半導体領域42が画素2ごとに形成された半導体基板12に、反射防止膜61、透明絶縁膜46、カラーフィルタ51、およびオンチップレンズ52が積層されて構成される。
【0029】
電荷蓄積領域となるN型の半導体領域42の上側のP型の半導体領域41の界面(受光面側界面)は、入射光の反射を防止する反射防止膜61が形成されている。
【0030】
反射防止膜61は、例えば、固定電荷膜および酸化膜が積層された積層構造とされ、例えば、ALD(Atomic Layer Deposition)法による高誘電率(High-k)の絶縁薄膜を用いることができる。具体的には、酸化ハフニウム(HfO2)や、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、STO(Strontium Titan Oxide)などを用いることができる。図3の例では、反射防止膜61は、酸化ハフニウム膜62、酸化アルミニウム膜63、および酸化シリコン膜64が積層されて構成されている。
【0031】
さらに、反射防止膜61に積層するように画素2の間に遮光膜49が形成される。遮光膜49は、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、または窒化タングステン(WN)などの単層の金属膜が用いられる。または、遮光膜49として、これらの金属の積層膜(例えば、チタンとタングステンの積層膜や、窒化チタンとタングステンの積層膜など)を用いてもよい。
【0032】
透明絶縁膜46は、P型の半導体領域41の裏面側(光入射面側)全面に形成されている。透明絶縁膜46は、光を透過させるとともに絶縁性を有し、屈折率n1が半導体領域41および42の屈折率n2よりも小さい(n1<n2)材料である。透明絶縁膜46の材料としては、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化チタン(TiO2)、酸化ランタン(La2O3)、酸化プラセオジム(Pr2O3)、酸化セリウム(CeO2)、酸化ネオジム(Nd2O3)、酸化プロメチウム(Pm2O3)、酸化サマリウム(Sm2O3)、酸化ユウロピウム(Eu2O3)、酸化ガドリニウム(Gd2O3)、酸化テルビウム(Tb2O3)、酸化ジスプロシウム(Dy2O3)、酸化ホルミウム(Ho2O3)、酸化ツリウム(Tm2O3)、酸化イッテルビウム(Yb2O3)、酸化ルテチウム(Lu2O3)、酸化イットリウム(Y2O3)、樹脂などを、単独または組み合わせて用いることができる。
【0033】
遮光膜49を含む透明絶縁膜46の上側には、カラーフィルタ51が形成されている。Red(赤)、Green(緑)、またはBlue(青)のカラーフィルタ51が画素毎に形成される。カラーフィルタ51は、例えば顔料や染料などの色素を含んだ感光性樹脂を回転塗布することによって形成される。Red、Green、Blueの各色は、例えばベイヤ配列により配置されることとするが、その他の配列方法で配置されていてもよい。図3の例では、画素2-1-1と画素2-3-1には、Green(G)のカラーフィルタ51が形成されており、画素2-2-1と画素2-4-1にはblue(b)のカラーフィルタ51が形成されている。
【0034】
図2の右図を参照するに、カラーフィルタ51は、ベイヤ配列とされており、図中、左上に緑(G)のカラーフィルタ51、右上に青(B)のカラーフィルタ51、左下に赤(R)のカラーフィルタ51、右下にB(G)のカラーフィルタ51が配置されている。図2の右図に示した2×2の4つのカラーフィルタ51を1単位とした場合、画素アレイ部3には、縦方向と横方向に、それぞれ複数単位連続的に配置されている。
【0035】
図3に示した画素2の断面構成を参照するに、カラーフィルタ51の上側には、オンチップレンズ52が画素2毎に形成されている。オンチップレンズ52は、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンーアクリル共重合系樹脂、またはシロキサン系樹脂等の樹脂系材料で形成される。オンチップレンズ52では入射された光が集光され、集光された光はカラーフィルタ51を介してフォトダイオードPDに効率良く入射される。
【0036】
図2の左図を参照するに、オンチップレンズ52は、各画素2上に配置されている。図2の左図に示した四角形が、オンチップレンズ52の形状も表すとした場合、同一形状のオンチップレンズ52が、それぞれの画素2上に配置されている。
【0037】
図3に示した画素2の断面構成例を参照するに、画素2は、半導体基板12に画素2同士の間を分離する画素間分離部54が形成されている。画素間分離部54は、フォトダイオードPDを構成するN型の半導体領域42の間に、半導体基板12を貫通するトレンチを形成し、そのトレンチの内面に酸化アルミニウム膜63を成膜し、さらに酸化シリコン膜64を成膜する際に絶縁物55をトレンチに埋め込むことによって形成される。
【0038】
なお、酸化シリコン膜64のうち、画素間分離部54に充填される部分は、ポリシリコンを充填した構成とすることもできる。図3では、酸化シリコン膜64が、絶縁物55と一体化して形成された場合を示している。
【0039】
このような画素間分離部54を構成することにより、隣接する画素2同士は、トレンチに埋め込まれた絶縁物55によって電気的に完全分離される。これにより、半導体基板12の内部において発生した電荷が、隣接する画素2に漏れることを防止することができる。
【0040】
<ゴースト、フレアの発生について>
ゴーストやフレアなどと称される画質を劣化させる原因について、図4を参照して説明する。
【0041】
図4に示すように、撮像装置1の光入射面側には、シールガラス81と赤外線カットフィルタ82が配置されている。撮像装置1に入射した光は、オンチップレンズ52の表面の形成ピッチに応じて、ある回折次数(m)と回折反射角度(θ)を持った回折反射光を生じる。
【0042】
回折反射光は、撮像素子上方に形成されたシールガラス81で反射され、可視光成分を有する反射光となる。またシールガラス81を通過した光成分は、そのさらに上方に形成された赤外線カットフィルタ82で反射され、可視光領域中赤成分の多い反射光となる。
【0043】
シールガラス81と赤外線カットフィルタ82で反射された光は再度撮像素子に向かって進み、その成分の一部は、撮像素子のフォトダイオード42で光電変換されてしまう。これがゴーストやフレアとなり、撮像装置1の画質を劣化させてしまう可能性がある。
【0044】
図5は、画素2のサイズと回折角度との関係を説明するための図である。図5では、画素2のピッチとオンチップレンズ52の形成ピッチは等しく形成されている例を示している。
【0045】
回折反射光の回折次数(m)、回折角度(θ)は、次式(1)で表すことができる。
d×sinθ=m×λ ・・・(1)
【0046】
式(1)において、dは、画素のサイズ(セルサイズとの記述する)であり、λは入射光の波長である。式(1)から、λが一定の場合、オンチップレンズの形成ピッチであるセルサイズが小さくなると回折次数mは減少して、セルサイズが大きくなると、回折次数mは増加することが読み取れる。
【0047】
オンチップレンズの形成ピッチは、セルサイズとしたが、セルサイズが小さいと周期性が小さく、セルサイズが大きいと周期性も大きいと換言できる。上記したことを換言すると、周期性が小さくなると回折次数mは減少(図5の左図の状態)し、周期性が大きくなると回折次数mは増加(図5の右図の状態)することが読み取れる。
【0048】
このことを、グラフで表すと、図6に示したグラフとなる。図6に示したグラフの横軸は、セルサイズを表し、縦軸は、反射率を表す。図6の上のグラフは、0次光を含まない全反射の合計を表すグラフであり、下のグラフは、0次光を含まない分布内の最大値を表すグラフである。図6中、三角で表したグラフは、赤色(R)を入射したときの反射率を表し、四角で表したグラフは、緑色(G)を入射したときの反射率を表し、菱形で表したグラフは、B色(青)を入射したときの反射率を表す。
【0049】
図6の上に示したグラフから、入射光の色にかかわらず、セルサイズが大きくなると、換言すれば、周期性が大きくなると、反射の合計値は増加する傾向にあることが読み取れる。
【0050】
図6の下に示したグラフから、入射光の色にかかわらず、セルサイズが大きくなると、換言すれば、周期性が大きくなると、1つの次光(特定の角度)に集まる反射光の強度は減少する傾向にあることが読み取れる。換言すれば、セルサイズが小さいと、周期性が小さくなり、1つの次光(特定の角度)に集まる反射光の強度は強くなる傾向にあることが読み取れる。
【0051】
これらのことから、フレアやゴーストの発生を抑制するには、セルサイズを大きくし、周期性を大きくすることが有効であることが読み取れる。しかしながら、近年、画素2の微細化や多画素化へのニーズが高まり、セルサイズを大きくすること以外で、フレアやゴーストの発生を抑制することが望まれている。そこで、以下に、セルサイズを大きくすることなく、周期性を大きくすることで、フレアやゴーストの発生を抑制する撮像装置1について説明を加える。
【0052】
<構造部をランダムに配置した撮像装置について>
画素2の周期性を大きくすることで、特定角度で反射強度が強く出ることを軽減し、フレアやゴーストにより画質劣化を抑制することができる撮像装置1について説明を加える。
【0053】
画素2の周期性を大きくするために、画素2を構成する構造物をランダムに配置する。構造物とは、以下に説明するように、オンチップレンズ52、カラーフィルタ51、凹部領域48、反射膜131、トレンチ151などである。周期性について図2を参照して再度説明を加える。
【0054】
図2の左図は、画素2上に配置されているオンチップレンズ52を模式的に表しているが、画素2上に配置されているオンチップレンズ52は、全て同じ形状で構成されている。この場合のオンチップレンズ52の周期を、(1×1)周期と表すとする。(1×1)周期の括弧内の乗算の前の数値は、X方向(横方向)の周期を表し、乗算の後の数値は、Y方向(縦方向)の周期を表すとする。
【0055】
図2の右図に示した画素2上に配置されているカラーフィルタ51は、X方向においては、緑(G)、青(B)の繰り返し、すなわち2周期である。Y軸方向においては、緑(G)、赤(R)の繰り返し、または青(B)、緑(G)の繰り返しであり、どちらの場合も、2周期である。よって、カラーフィルタ51は、(2×2)周期である。
【0056】
図2に示した撮像装置1のオンチップレンズ52は(1×1)周期であり、カラーフィルタ51は(2×2)周期であるため、撮像装置1のオンチップレンズ52とカラーフィルタ51とからなる集光構造の周期は、(2×2)周期である。集光構造とは、撮像装置1の構造において、集光に係わる構造であるとし、主に、オンチップレンズ52から配線層(不図示)までの間に形成されている構造物であるとする。
【0057】
撮像装置1の集光構造の周期を大きくするには、オンチップレンズ52の周期を大きくする、または/およびカラーフィルタ51の周期を大きくすることが考えられる。そこで、図7では、集光構造に含まれるオンチップレンズ52の周期を大きくした場合について説明する。
【0058】
図7は、図2と同じく、左図に画素アレイ部3に配置されている画素2上に配置されているオンチップレンズ52を図示し、右図にカラーフィルタ51を図示した図である。カラーフィルタ51の配置は、図2に示した場合と同じく、RGB配置であり、2×2の4画素を1単位として繰り返される配置である。すなわちこの場合、カラーフィルタ51の周期は、(2×2)周期である。
【0059】
図7の左図を参照するに、オンチップレンズ52は、平面視において、2種類の形状のオンチップレンズ52が混在しており、一方は、画素2と同形状であり、他方は、画素2と異なる形状とされている。画素2は、平面視において四角形状であるとした場合、オンチップレンズ52は、四角形状で形成されているオンチップレンズと、四角形状以外の形状で形成されているオンチップレンズとがある。
【0060】
図7では、四角形状で形成されているオンチップレンズを、オンチップレンズ52Aと表し、四角形状以外の形状で形成されているオンチップレンズをオンチップレンズ52Bと表す。
【0061】
オンチップレンズ52Aの方が、オンチップレンズ52Bよりも多く配置され、オンチップレンズ52Aの方がオンチップレンズ52Bよりも集光性能が高いとする。画素アレイ部3には、基本的にはオンチップレンズ52Aが配置されるが、ランダムに、オンチップレンズ52Bが配置されている。
【0062】
オンチップレンズ52Bが画素アレイ部3にランダムに配置されることで、画素アレイ部3上におけるオンチップレンズ52の周期性を大きくすることができる。比較のため図2を参照するに、図2に示した例において画素アレイ部3上には、オンチップレンズ52Aのみが配置されているため、(1×1)周期である。図7に示した例において画素アレイ部3上には、オンチップレンズ52Aだけでなく、オンチップレンズ52Bも配置されることで、この周期を変更することができる。さらに、オンチップレンズ52Bの配置自体も、ランダムに配置することで、周期を大きくすることができる。
【0063】
図7に示した例では、4×5の20画素のうち、画素2-2-1、画素2-3-2、画素2-1-3、画素2-2-3、画素2-4-3、画素2-3-4、および画素2-2-5の7個の画素2に、オンチップレンズ52Bが配置されている。
【0064】
画素アレイ部3全体を見たとき、オンチップレンズ52Bが配置されている位置が、ランダムである。ランダムであるが、オンチップレンズ52Bが、まとまって配置されているようなことはなく、ある程度、画素アレイ部3上に散らばって配置されている。オンチップレンズ52Aとは形状が異なるオンチップレンズ52Bをランダムに配置することで、周期を(1×1)周期以外に変えられることができ、周期が大きくなるように変更できる。
【0065】
ただし、オンチップレンズ52の形状が異なることで、集光性能に差が出ることが想定される。オンチップレンズ52Aが配置されている画素2と、オンチップレンズ52Bが配置されている画素2との間で、感度や斜入射特性などの光学特性に差が無い(影響ない)、あるいは差が許容できる範囲であるように、オンチップレンズ52Bの形状は設定される。
【0066】
または、オンチップレンズ52Aが配置されている画素2と、オンチップレンズ52Bが配置されている画素2との間で特性に差が生じるような場合、後段の信号処理において、オンチップレンズ52Bが配置された画素2からの信号は、差を小さくするための補正が行われるようにしても良い。
【0067】
オンチップレンズ52の形状が異なることで、画素2の特性が変化するようなこともあり、後段で補正するように構成する場合、オンチップレンズ52Bが配置されている位置は、予め設定されており、補正する画素2が特定されている必要がある。そこで、オンチップレンズ52Bの配置に、ある程度の規則性を持たせ、オンチップレンズ52Bの配置されている位置が特定されるように構成しても良い。
【0068】
ある程度の規則性を有してオンチップレンズ52Bが配置されても、画素アレイ部3上を見たときには、ランダムに配置され、周期も(1×1)周期以上になるように配置されている。
【0069】
図7に示した例において、X方向の周期を3周期とし、Y方向の周期を5周期とした(3×5)周期となる15画素を、1ブロックとする。この(3×5)周期のブロック単位で、画素アレイ部3の縦方向と横方向に繰り返し配置されている。この場合、オンチップレンズ52の周期は(3×5)周期であり、カラーフィルタ51の周期は、(2×2)周期であるため、オンチップレンズ52とカラーフィルタ51とからなる集光構造の周期は、(6×10)の周期となる。X周期は、3×2の6周期となり、Y周期は、5×2の10周期となる。
【0070】
図2に示した例では、集光構造の周期は、(2×2)周期であったが、その周期は、図7に示した例では、(6×10)周期となり、周期が大きくなっていることがわかる。図4乃至6を参照して説明したように、フレアやゴーストは、周期を大きくすることで、抑制することができるため、図7に示した構造によれば、フレアやゴーストが抑制できる。
【0071】
図8は、図7の線分b-b’における画素2の断面構成例を示す図である。オンチップレンズ52Aとオンチップレンズ52Bは、異なる形状であるとして説明したが、その異なる形状の具体例としては、図8に示したように、オンチップレンズ52の大きさが異なる例がある。
【0072】
図8に示した撮像装置1a(他の実施の形態と区別を付けるため、第1の実施の形態としてaを付して記載する)の断面構成例においては、画素2-2-1上に配置されているオンチップレンズ52Baの直径は、例えば、画素2-2-1上に配置されているオンチップレンズ52Aよりも小さい直径で形成されている。
【0073】
撮像装置1aにおいては、オンチップレンズ52Bが配置されている周期が、カラーフィルタ51の周期より大きくなるように形成されることで、オンチップレンズ52Bとカラーフィルタ51の構造周期の最小公倍数で周期サイズを大きくしていくことができる。
【0074】
このように、大きさが異なるオンチップレンズ52Baが、画素アレイ部3上にランダムに配置されている構成とすることで、フレアやゴーストを抑制できる撮像装置1aの構成とすることができる。
【0075】
<ブロックの構成について>
図9を参照し、ブロックの構成について説明する。画素アレイ部3は、複数のブロック101に分割される。なお、説明の都合上、ブロックに分割されるとの記載をするが、画素アレイ部3が物理的に分割されたり、間隔が設けられていたりするわけではない。
【0076】
図9に示した例では、画素アレイ部3は、ブロック101-1乃至101-8に分割されている例を示した。各ブロック101は、3×5の15個の画素2から構成されている。図9に示したように、各ブロック101は、同一の形状、同一の大きさで構成されている。
【0077】
ブロック101内の所定の位置に配置されている画素2上に、オンチップレンズ52Bが配置される。例えば、ブロック101-1の一番上の左に位置する画素2に、オンチップレンズ52Bが配置されている場合、他のブロック101-2乃至101-8においても、ブロック101内の一番上の左に位置する画素2に、オンチップレンズ52Bが配置されている。
【0078】
ブロック101内に配置されるオンチップレンズ52Bの個数も同数とされている。例えば、ブロック101-1内に、5個のオンチップレンズ52Bが配置されている場合、他のブロック101-2乃至101-8のそれぞれにおいても、5個のオンチップレンズ52Bが配置されている。
【0079】
図10に示すようなブロック111の形状、大きさ、配置であっても良い。図10に示した例は、画素アレイ部3を、2種類のブロック111で分割した例である。ブロック111-1、ブロック111-2、ブロック111-8、ブロック111-9は、3×5の15個の画素2から構成される縦長のブロックである。ブロック111-3乃至111-7は、6×2の12個の画素2から構成される横長のブロックである。
【0080】
図10に示したように、形状が異なるブロック111や大きさの異なるブロック111が混在していても良い。同一形状、大きさで形成されているブロック111同士は、ブロック111内の同一の位置にオンチップレンズ52Bが配置され、同数のオンチップレンズ52Bが配置されている。
【0081】
例えば、ブロック111-1、ブロック111-2、ブロック111-8、ブロック111-9のそれぞれに5個のオンチップレンズ52Bが配置され、そのうちの1つのオンチップレンズ52Bは、各ブロック111内の一番上の左に位置する画素2上に配置されている。同様に、例えば、ブロック111-3乃至111-7のそれぞれに4個のオンチップレンズ52Bが配置され、そのうちの1つのオンチップレンズ52Bは、各ブロック111の一番上の左に位置する画素2上に配置されている。
【0082】
図10では、2種類のブロック111が混在している場合を例に挙げて説明したが、2以上の種類のブロック111が混在しているように構成することもできる。
【0083】
複数の種類のブロック111を用いた場合も、同一種類のブロック111内のオンチップレンズ52Bが配置される位置や個数は同じとされている。これは、上記したように、オンチップレンズ52Bが配置されている画素2からの信号は、補正する構成とした場合に、オンチップレンズ52Bが配置されている位置の特定を容易にするためである。
【0084】
<効果について>
図11図12を参照し、ランダムにオンチップレンズ52Bを配置したときの効果について説明する。図11図12は、オンチップレンズ52Bを配置しなかった場合、すなわち、図2に示したようなオンチップレンズ52が配置されている場合をリファレンスとし、図7に示したようなランダムにオンチップレンズ52Bが配置されている場合と比較したグラフである。
【0085】
図中、白丸は、リファレンスのデータを示し、黒丸は、ランダムにオンチップレンズ52Bを配置したときのデータを示す。リファレンスの方の撮像装置1は、図2に示したように、カラーフィルタ51が(2×2)周期であり、オンチップレンズ52が(1×1)周期で構成されている。
【0086】
検証対象とされた方の撮像装置1は、カラーフィルタ51が(2×2)周期であり、オンチップレンズ52が(3×2)周期で構成されている。オンチップレンズ52が(3×2)周期とは、3×2の6個の画素2のうち、1つの画素2上に、オンチップレンズ52Bが配置されている場合であるとする。
【0087】
これらの撮像装置1に、波長が540nmの緑色光を入射光としたときのデータである。グラフの横軸は、回折角度を表し、縦軸は、反射光の強度を表す。
【0088】
図11に示したグラフを参照するに、0次光、1次光、2次光に該当する部分で反射光があることが読み取れる。1次光のリファレンスの反射強度は、0.00324であり、検証対象の反射強度は、0.0025という結果が得られた。この結果から、ランダムにオンチップレンズ52Bを配置することで、周期が大きくなり、その結果、反射強度が21%程度減少し、改善されることが確認された。
【0089】
図12は、図11の楕円で囲った部分を拡大したグラフである。1画素周期は、1次と2次の部分で反射光が強く出ているのがわかる。2画素周期の場合、1次、2次、3次、および4次において反射光が出ており、1画素周期と比べると、反射が出る角度が分散し、各反射光の強度は小さくなっていることが読み取れる。
【0090】
さらに3画素周期の場合、1次、2次、3次、4次、5次、および6次において反射光が出て、2画素周期と比べると、反射が出る角度が分散し、各反射強度は小さくなっていることが読み取れる。
【0091】
6画素周期の場合、1次乃至10次において反射光が出て、3画素周期と比べると、反射が出る角度が分散し、各反射強度は小さくなっていることが読み取れる。
【0092】
検証対象とされた撮像装置1は、カラーフィルタ51が(2×2)周期であり、オンチップレンズ52が(3×2)周期であるため、集光構造の周期は、(6×4)周期となる。この撮像装置1から得られるデータは、図12においては、6画素周期の部分のデータに該当し、1次乃至10次において反射光が発生するが、その反射光の強度は、どれも小さく、強度が散らばって出るという検証結果が得られた。また、6画素周期は、2画素周期と3画素周期に該当する部分に反射光が発生するということも読み取れる。
【0093】
このように、オンチップレンズ52Bを、ランダムに配置することで、周期を大きくすることができ、反射光が発生する回折角度を分散させることができ、1つの回折角度あたりの反射光の強度を弱めることができることが確認できる。よって、フレアやゴーストの発生を抑制することもできることも確認できる。
【0094】
このように、集光構造が同じ画素2が配置されている中に、集光構造が異なる画素2をランダムに配置することで、フレアやゴーストの発生を抑制することができる。
【0095】
<第2の実施の形態>
図13は、第2の実施の形態における撮像装置1bの断面構成例を示す図である。
【0096】
以下の説明において、図7図8に示した第1の実施の形態における撮像装置1aと同一の箇所には、同一の符号を付し、その説明は適宜省略する。第2の実施の形態以降の撮像装置1における平面構成例は、図7に示した平面構成例と基本的に同一であるとし、図7の線分b-b’における断面構成例を参照しながら各実施の形態について説明する。
【0097】
図13に示した撮像装置1bは、オンチップレンズ52Bbが、他のオンチップレンズ52Aと比較して、その高さが高く形成されている点が、図8に示した撮像装置1aと異なり、他の点は同様である。
【0098】
周期を大きくするために、異なる構造物を配置する場合に、構造物をオンチップレンズ52とし、そのオンチップレンズ52の大きさを、高さ方向で高くした構成である。このように、オンチップレンズ52Bbの構成として高さを変えるようにしても良い。
【0099】
図13では、オンチップレンズ52Bbの高さが、他のオンチップレンズ52Aよりも高い場合を例に挙げて説明したが、他のオンチップレンズ52Aよりも低く形成されているように構成することもできる。
【0100】
撮像装置1bにおいては、オンチップレンズ52Bが配置されている周期が、カラーフィルタ51の周期より大きくなるように形成されることで、オンチップレンズ52Bとカラーフィルタ51の構造周期の最小公倍数で周期サイズを大きくしていくことができる。
【0101】
<第3の実施の形態>
図14は、第3の実施の形態における撮像装置1cの断面構成例を示す図である。
【0102】
図14に示した撮像装置1cは、オンチップレンズ52Bcが、他のオンチップレンズ52Aと比較して、その扁平率が異なるように形成されている点が、図8に示した撮像装置1aと異なり、他の点は同様である。図14に図示したオンチップレンズ52Bcは、断面において、他のオンチップレンズ52Aが円弧であるのに対して、一部直線となるような形状で形成されている。
【0103】
周期を大きくするために、異なる構造物を配置する場合に、構造物をオンチップレンズ52とし、そのオンチップレンズ52の扁平率を、他のオンチップレンズ52の扁平率よりも大きい値にした構成である。このように、オンチップレンズ52Bcの構成として扁平率を変えるようにしても良い。
【0104】
図14では、オンチップレンズ52Bcの扁平率が、他のオンチップレンズ52Aと異なる場合を例に挙げて説明したが、他のオンチップレンズ52Aを凸形状のレンズとし、オンチップレンズ52Bcを凹形状のレンズとするといった構成でも良い。また、オンチップレンズ52Bcは、インナーレンズとした構成でも良い。
【0105】
オンチップレンズ52Aとオンチップレンズ52Bの形状や大きさは同一であるが、材料が異なるように構成することもできる。オンチップレンズ52Bを形成せずに、換言すれば、平らな形状とするなども、本実施の形態に含まれる。
【0106】
第1乃至第3の実施の形態においては、オンチップレンズ52Bの大きさや形状を変える例を挙げて説明した。オンチップレンズ52Bの形状や大きさは、製造時に、マスクパターンの形状や大きさを変更することで所望の形状や大きさのレンズを形成することができる。またオンチップレンズ52Aとオンチップレンズ52Bを作る工程を分けることで、異なる形状や大きさのオンチップレンズ52が形成されるようにすることもできる。
【0107】
撮像装置1cにおいては、オンチップレンズ52Bが配置されている周期が、カラーフィルタ51の周期より大きくなるように形成されることで、オンチップレンズ52Bとカラーフィルタ51の構造周期の最小公倍数で周期サイズを大きくしていくことができる。
【0108】
<第4の実施の形態>
図15は、第4の実施の形態における撮像装置1dの断面構成例を示す図である。
【0109】
図15に示した撮像装置1dは、構成の異なるカラーフィルタ51がランダムに配置された構成とされている。画素アレイ部3に配置されているカラーフィルタ51のうち、多く配置されているカラーフィルタ51を、カラーフィルタ51Aと記述し、少なく配置され、形状が、他のカラーフィルタ51と異なるカラーフィルタ51を、カラーフィルタ51Bと記述する。上述した実施の形態においては、オンチップレンズ52Aに該当するのが、カラーフィルタ51Aであり、オンチップレンズ52Bに該当するのがカラーフィルタ51をBであるとして説明を続ける。
【0110】
図15に示したカラーフィルタ51のうち、画素2-1-1、画素2-3-1、画素2-4-1に配置されているのはカラーフィルタ51Aであり、画素2-2-1に配置されているのはカラーフィルタ51Bである。カラーフィルタ51Bは、カラーフィルタ51Aよりも膜厚が厚く形成されている。
【0111】
カラーフィルタ51のコーディングは仕様により決まっているが、同じ色のフィルタでも顔料濃度が異なるカラーフィルタ51を使うことも可能である。そこで、カラーフィルタ51の透過率が異なる場合は、膜厚を変えてトータルの透過量を合わせることも可能であり、そのような技術を用いて、カラーフィルタ51Aとカラーフィルタ51Bの膜厚が異なるように構成することができる。
【0112】
なお、図15に示した例では、B(青)のカラーフィルタ51が、カラーフィルタ51Bである例を示したが、この記載は、カラーフィルタ51Bは、青色のカラーフィルタであることを示している記載ではない。カラーフィルタ51Bは、何色であっても良く、ランダムに配置される配置位置に合った色のカラーフィルタ51とされる。
【0113】
カラーフィルタ51Bは、白色(透明)としても良い。また、カラーフィルタ51Bは、形成せずに、カラーフィルタ51が形成される領域には透明絶縁膜46が形成されているような構成としても良い。
【0114】
周期を大きくするために、異なる構造物を配置する場合に、構造物をカラーフィルタ51とし、そのカラーフィルタ51の膜厚を、他のカラーフィルタ51の膜厚よりも厚くした構成である。なお、カラーフィルタ51Bの膜厚は他のカラーフィルタ51Aよりも薄く形成されるようにしても良い。このように、カラーフィルタ51の構成として膜厚を変えるようにし、周期性が大きくなるように構成されるようにしても良い。
【0115】
撮像装置1dにおいては、膜厚が厚く形成されているカラーフィルタ51が配置されている周期が、オンチップレンズ52の周期より大きくなるように形成されることで、カラーフィルタ51とオンチップレンズ52の構造周期の最小公倍数で周期サイズを大きくしていくことができる。
【0116】
第4の実施の形態と、第1乃至第3の実施の形態のいずれかを組み合わせ、カラーフィルタ51Bとオンチップレンズ52Bがランダムに配置される構成とすることもできる。この場合、カラーフィルタ51Bとオンチップレンズ52Bが、同一の画素2に配置されているように構成することもできるし、異なる画素2に配置されているように構成することもできる。またこの場合、カラーフィルタ51Bで周期を大きくすることができ、さらにオンチップレンズ52Bでも周期を大きくすることができるため、フレアやゴーストをより抑制できる構成とすることができる。
【0117】
<第5の実施の形態>
図16は、第5の実施の形態における撮像装置1eの断面構成例を示す図である。
【0118】
図16に示した撮像装置1eは、一部の画素2に設けられている反射防止膜61が、微細な凹凸構造を形成した凹部領域48を備える構成とされている。図16に示した撮像装置1eは、凹部領域48がランダムに配置された構成とされている。
【0119】
凹部領域48は、微細な凹凸が形成された領域である。凹部領域48は、電荷蓄積領域となるN型の半導体領域42の上側のP型の半導体領域41の界面(受光面側界面)に形成された、微細な凹凸構造を有する領域である。
【0120】
図16に示した例では、画素2-2-1には、凹部領域48が形成されているが、画素2-1-1、画素2-3-1、および画素2-4-1には、凹部領域48は形成されず、平坦な反射防止膜61が形成されている。
【0121】
周期を大きくするために、異なる構造物を配置する場合に、構造物を凹部領域48とし、その凹部領域48が形成されている、または形成されていない画素2を、ランダムに配置した構成とする。このように、特定の構造物のあり、なしで周期を変える構成とすることもできる。
【0122】
撮像装置1eにおいては、凹部領域48が配置されている周期が、カラーフィルタ51または/およびオンチップレンズ52の周期より大きくなるように形成されることで、凹部領域48とカラーフィルタ51または/およびオンチップレンズ52の構造周期の最小公倍数で周期サイズを大きくしていくことができる。
【0123】
第5の実施の形態と、第4の実施の形態を組み合わせ、凹部領域48とカラーフィルタ51Bがランダムに配置される構成とすることもできる。この場合、凹部領域48とカラーフィルタ51Bが、同一の画素2に配置されているように構成することもできるし、異なる画素2に配置されているように構成することもできる。またこの場合、凹部領域48で周期を大きくすることができ、さらにカラーフィルタ51Bでも周期を大きくすることができるため、フレアやゴーストをより抑制できる構成とすることができる。
【0124】
また、第5の実施の形態と、第1乃至第3の実施の形態のいずれかを組み合わせ、凹部領域48とオンチップレンズ52Bがランダムに配置される構成とすることもできる。この場合、凹部領域48とオンチップレンズ52Bが、同一の画素2に配置されているように構成することもできるし、異なる画素2に配置されているように構成することもできる。またこの場合、凹部領域48で周期を大きくすることができ、さらにオンチップレンズ52Bでも周期を大きくすることができるため、フレアやゴーストをより抑制できる構成とすることができる。
【0125】
さらに、第5の実施の形態と、第4の実施の形態と、第1乃至第3の実施の形態のいずれかを組み合わせた構成とすることも可能である。凹部領域48、カラーフィルタ51、およびオンチップレンズ52といった異なる構造物を、それぞれランダムに配置する構成とすることで、周期をより大きくすることができ、フレアやゴーストをより抑制できる構成とすることができる。
【0126】
<第6の実施の形態>
図17は、第6の実施の形態における撮像装置1fの断面構成例を示す図である。
【0127】
図17に示した撮像装置1fは、画素2が凹部領域48を備えている構成であり、その備えられている凹部領域48の形状が異なる構成とされている。
【0128】
画素2-1-1に設けられている凹部領域48f-1は、谷が3個形成され、画素2-2-1に設けられている凹部領域48f-2は、谷が5個形成され、画素2-3-1に設けられている凹部領域48f-3は、谷が4個形成され、画素2-4-1に設けられている凹部領域48f-4は、谷が3個形成されている。このように、凹部領域48の谷の個数が異なるようにし、谷の個数が異なる凹部領域48がランダムに、画素アレイ部3内に配置されている構成とすることができる。
【0129】
周期を大きくするために、異なる構造物を配置する場合に、構造物を凹部領域48とし、その凹部領域48の谷の個数が異なる画素2をランダムに配置した構成である。このように、特定の構造物の形状を変えることで、フレアやゴーストを抑制できる構成とすることもできる。
【0130】
撮像装置1fにおいては、同じ谷(凹部)の数を有する凹部領域48が配置されている周期が、カラーフィルタ51または/およびオンチップレンズ52の周期より大きくなるように形成されることで、凹部領域48とカラーフィルタ51または/およびオンチップレンズ52の構造周期の最小公倍数で周期サイズを大きくしていくことができる。
【0131】
第6の実施の形態は、第1乃至第4の実施の形態と組み合わせて用いることが可能であり、上記した第5の実施の形態の代わりに適用することができる。
【0132】
<第7の実施の形態>
図18は、第8の実施の形態における撮像装置1gの断面構成例を示す図である。
【0133】
図18に示した撮像装置1gは、光入射面側とは逆側の面であり、配線層(不図示)が配置されている面側に、凹部領域48が備えている画素2がランダムに配置されている構成とされている。図18に示した例では、画素2-2-1には、凹部領域48gが形成されているが、画素2-1-1、画素2-3-1、および画素2-4-1には、凹部領域48gは形成されていない。
【0134】
光電変換領域に入射した光のうち、光電変換領域の底面まで達し、配線層側に抜ける光もある。特に赤外波長帯域の光は、光電変換領域の底面まで到達しやすいため、仮に配線層側に凹部領域48fが形成されていないと、配線層側に抜ける光成分が多くなる可能性がある。
【0135】
図18に示したように、配線層側に凹部領域48gを形成することで、配線層側に到達した光を、凹部領域48gで反射させ、光電変換領域に戻すことができる。よって、光電変換領域に閉じ込めることができる光量をより多くすることが可能となる。凹部領域48gを設けることで、特に波長の長い赤外光(IR)を扱う画素2においては、画素2の厚み、換言すれば、半導体基板12の厚みを厚くしなくても感度を向上させることが可能となる。
【0136】
赤外光などの波長の長い光の反射光を制御するには、配線層側に凹部領域48gを設けることは有効であり、集光構造の周期を大きくするためのランダムに配置する構造物としても、利用することができる。
【0137】
周期を大きくするために、異なる構造物を配置する場合に、構造物を凹部領域48gとし、その凹部領域48gが形成されている、または形成されていない画素2をランダムに配置した構成とするこができる。このように、特定の構造物のあり、なしで周期を変える構成とすることもできる。
【0138】
図17に示した第6の実施の形態と同じく、凹部領域48gを、配線層側に、画素2毎に設け、各画素2に設けられている凹部領域48gの谷の個数が異なるように構成することも可能である。
【0139】
凹部領域46gが形成されている画素2を多く配置し、凹部領域46gが形成されていない画素2が少なく配置されるような構成としても良い。この場合、凹部領域46gが形成されていない画素2が、ランダムに配置された構成とされる。
【0140】
撮像装置1gにおいては、凹部領域48gが配置されている周期が、カラーフィルタ51または/およびオンチップレンズ52の周期より大きくなるように形成されることで、凹部領域48gとカラーフィルタ51または/およびオンチップレンズ52の構造周期の最小公倍数で周期サイズを大きくしていくことができる。
【0141】
第7の実施の形態と、第5または第6の実施の形態を組み合わせ、光入射面側と配線層側の両方に、凹部領域48が形成されている構成とすることも可能である。
【0142】
第7の実施の形態と、第1乃至第4の実施の形態のいずれかと組み合わせることも可能であり、組み合わせることにより、周期を大きくするためにランダムに配置される構造物の種類を増やすことができ、より周期を大きくし、フレアやゴーストを抑制できる構成とすることができる。
【0143】
<第8の実施の形態>
図19は、第8の実施の形態における撮像装置1hの断面構成例を示す図である。
【0144】
図19に示した撮像装置1hは、光入射面側とは逆側の面であり、配線層(不図示)が配置されている面側であり、配線層内に、反射膜131を備えている画素2がランダムに配置されている構成である。図19に示した例では、画素2-2-1には、反射膜131が形成されているが、画素2-1-1、画素2-3-1、および画素2-4-1には、反射膜131は形成されていない。
【0145】
反射膜131は、タングステン(W)やアルミニウム(Al)などの遮光性を有する材料で形成することができる。反射膜131は、光を反射する材料で形成することができる。反射膜131が形成されることで、配線層側に光が漏れることを防ぐことができる。また図18に示した第7の実施の形態における撮像装置1gの凹部領域48gと同じく、光電変換領域に光を戻すこともでき、光電変換効率を向上させることもできる。
【0146】
なお、反射膜131との記載をしたが、光を吸収する材料で形成された膜であっても良く、光を吸収することで配線層側に光が漏れることを防ぐ構造となっていても良い。
【0147】
周期を大きくするために、異なる構造物を配置する場合に、構造物を反射膜131とし、その反射膜131が形成されている、または形成されていない画素2をランダムに配置した構成とすることもできる。このように、特定の構造物のあり、なしで周期を変える構成とすることもできる。
【0148】
反射膜131が形成されている画素2を多く配置し、反射膜131が形成されていない画素2が少なく配置されるような構成としても良い。この場合、反射膜131が形成されていない画素2が、ランダムに配置された構成とされる。
【0149】
撮像装置1hにおいては、反射膜131が配置されている周期が、カラーフィルタ51または/およびオンチップレンズ52の周期より大きくなるように形成されることで、反射膜131とカラーフィルタ51または/およびオンチップレンズ52の構造周期の最小公倍数で周期サイズを大きくしていくことができる。
【0150】
図17に示した第6の実施の形態と同じく、反射膜131を、配線層側に、画素2毎に設け、各画素2に設けられている反射膜131の形状や材質が異なるように構成することも可能である。反射膜131の形状として例えば、反射膜131の長さが異なるように形成されていても良い。材質の違いとしては、光を反射する材料で構成される反射膜131と光を吸収する材料で構成される反射膜131とが混在しているようにしても良い。
【0151】
第8の実施の形態と、第7の実施の形態を組み合わせ、配線層側に、凹部領域48と反射膜131が形成されている構成とすることも可能である。
【0152】
第8の実施の形態と、第5または第6の実施の形態を組み合わせ、光入射面側に凹部領域48が形成され、配線層側に反射膜131が形成されている構成とすることも可能である。
【0153】
第8の実施の形態と、第1乃至第4の実施の形態のいずれかと組み合わせることも可能であり、組み合わせることにより、周期を大きくするためにランダムに配置される構造物の種類を増やすことができ、より周期を大きくし、フレアやゴーストを抑制できる構成とすることができる。
【0154】
<第9の実施の形態>
図20は、第9の実施の形態における撮像装置1iの断面構成例を示す図である。
【0155】
図20に示した撮像装置1iは、トレンチ151がランダムに配置されている。図20に示した例では、画素2-2-1には、トレンチ151が形成されているが、画素2-1-1、画素2-3-1、および画素2-4-1には、トレンチ151は形成されていない。
【0156】
画素2-2-1に設けられているトレンチ151は、断面視において図20に示すように四角形状で形成されている。トレンチ151の深さは、N型の半導体領域42に達しない位置までであり、P型の半導体領域41内に形成されている凹形状の部材である。
【0157】
トレンチ151は、反射防止膜61と透明絶縁膜46の界面であり、遮光膜49が形成されている面を基準とした場合に、深さ方向に窪みを有する形状で形成されている。
【0158】
トレンチ151を設けることで、画素2に入射してきた光の光路長を稼ぐことができる。画素2に入射してきた光はトレンチ151の側面にあたり、反射し、対向した位置にある画素間分離部54の側面にあたり、反射し、といった反射を繰り返しながら、N型半導体領域42(フォトダイオード)に入射される。反射が繰り返されることで、光路長が長くなるため、例えば、近赤外光のような波長が長い光であっても効率良く吸収することができる構成とすることができる。
【0159】
周期を大きくするために、異なる構造物を配置する場合に、構造物をトレンチ151とし、そのトレンチ151が形成されている、または形成されていない画素2がランダムに配置された構成とすることもできる。このように、特定の構造物のあり、なしで周期を変える構成とすることもできる。
【0160】
トレンチ151が形成されている画素2を多く配置し、トレンチ151が形成されていない画素2が少なく配置されるような構成としても良い。この場合、トレンチ151が形成されていない画素2が、ランダムに配置された構成とされる。
【0161】
断面視において、トレンチ151の本数が異なる構造とすることもできる。図20に示した画素2-2-1には、断面視においてトレンチ151が1本形成されているが、例えば、画素2-1-1には、2本のトレンチ151が形成され、画素2-3-1には、4本のトレンチ151が形成されているなど、トレンチ151の本数が異なる画素2が、ランダムに配置されているような構成とすることもできる。
【0162】
深さが異なるトレンチ151がランダムに配置されるようにしても良い。
【0163】
図21は、画素2の平面視におけるトレンチ151の形状、大きさについて説明するための図である。図21に示したように、トレンチ151の形状は、+や×の形状とすることができる。例えば、図21のAでは、トレンチ151は平面視において+形状であるが、図21のBでは、+が少し傾き、×の形状となっている。このように、同じ形状であっても、異なる傾きにすることで異なる形状とし、周期が大きくするためのランダムに配置される構造物として用いることができる。
【0164】
図21のAに示したトレンチ151よりも、図21のBに示したトレンチ151は大きく形成されている。このように、大きさが異なるトレンチ151が、ランダムに画素アレイ部3内に配置されるように構成しても良い。
【0165】
周期を大きくするために、異なる構造物を配置する場合に、構造物をトレンチ151とし、そのトレンチ151の形状、大きさ、個数などを変える構成とすることもできる。
【0166】
撮像装置1iにおいては、トレンチ151が配置されている周期が、カラーフィルタ51または/およびオンチップレンズ52の周期より大きくなるように形成されることで、トレンチ151とカラーフィルタ51または/およびオンチップレンズ52の構造周期の最小公倍数で周期サイズを大きくしていくことができる。
【0167】
第9の実施の形態と、第7または/および第8の実施の形態を組み合わせ、配線層側に、凹部領域48や反射膜131が形成されている構成とすることも可能である。
【0168】
第9の実施の形態と、第1乃至第8の実施の形態のいずれかと組み合わせることも可能であり、組み合わせることにより、周期を大きくするためにランダムに配置される構造物の種類を増やすことができ、より周期を大きくし、フレアやゴーストを抑制できる構成とすることができる。
【0169】
<電子機器への適用例>
本技術は、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置や、撮像機能を有する携帯端末装置や、画像読取部に撮像素子を用いる複写機など、画像取込部(光電変換部)に撮像素子を用いる電子機器全般に対して適用可能である。撮像素子は、ワンチップとして形成された形態であってもよいし、撮像部と信号処理部または光学系とがまとめてパッケージングされた撮像機能を有するモジュール状の形態であってもよい。
【0170】
図22は、本技術を適用した電子機器としての、撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【0171】
図22の撮像素子1000は、レンズ群などからなる光学部1001、撮像素子(撮像デバイス)1002、およびカメラ信号処理回路であるDSP(Digital Signal Processor)回路1003を備える。また、撮像素子1000は、フレームメモリ1004、表示部1005、記録部1006、操作部1007、および電源部1008も備える。DSP回路1003、フレームメモリ1004、表示部1005、記録部1006、操作部1007および電源部1008は、バスライン1009を介して相互に接続されている。
【0172】
光学部1001は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで撮像素子1002の撮像面上に結像する。撮像素子1002は、光学部1001によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。
【0173】
表示部1005は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の薄型ディスプレイで構成され、撮像素子1002で撮像された動画または静止画を表示する。記録部1006は、撮像素子1002で撮像された動画または静止画を、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録する。
【0174】
操作部1007は、ユーザによる操作の下に、撮像素子1000が持つ様々な機能について操作指令を発する。電源部1008は、DSP回路1003、フレームメモリ1004、表示部1005、記録部1006および操作部1007の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
【0175】
図22に示した撮像装置の一部に、第1乃至第9の実施の形態における撮像装置1を適用することができる。
【0176】
<内視鏡手術システムへの応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、内視鏡手術システムに適用されてもよい。
【0177】
図23は、本開示に係る技術(本技術)が適用され得る内視鏡手術システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0178】
図23では、術者(医師)11131が、内視鏡手術システム11000を用いて、患者ベッド11133上の患者11132に手術を行っている様子が図示されている。図示するように、内視鏡手術システム11000は、内視鏡11100と、気腹チューブ11111やエネルギー処置具11112等の、その他の術具11110と、内視鏡11100を支持する支持アーム装置11120と、内視鏡下手術のための各種の装置が搭載されたカート11200と、から構成される。
【0179】
内視鏡11100は、先端から所定の長さの領域が患者11132の体腔内に挿入される鏡筒11101と、鏡筒11101の基端に接続されるカメラヘッド11102と、から構成される。図示する例では、硬性の鏡筒11101を有するいわゆる硬性鏡として構成される内視鏡11100を図示しているが、内視鏡11100は、軟性の鏡筒を有するいわゆる軟性鏡として構成されてもよい。
【0180】
鏡筒11101の先端には、対物レンズが嵌め込まれた開口部が設けられている。内視鏡11100には光源装置11203が接続されており、当該光源装置11203によって生成された光が、鏡筒11101の内部に延設されるライトガイドによって当該鏡筒の先端まで導光され、対物レンズを介して患者11132の体腔内の観察対象に向かって照射される。なお、内視鏡11100は、直視鏡であってもよいし、斜視鏡又は側視鏡であってもよい。
【0181】
カメラヘッド11102の内部には光学系及び撮像素子が設けられており、観察対象からの反射光(観察光)は当該光学系によって当該撮像素子に集光される。当該撮像素子によって観察光が光電変換され、観察光に対応する電気信号、すなわち観察像に対応する画像信号が生成される。当該画像信号は、RAWデータとしてカメラコントロールユニット(CCU: Camera Control Unit)11201に送信される。
【0182】
CCU11201は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等によって構成され、内視鏡11100及び表示装置11202の動作を統括的に制御する。さらに、CCU11201は、カメラヘッド11102から画像信号を受け取り、その画像信号に対して、例えば現像処理(デモザイク処理)等の、当該画像信号に基づく画像を表示するための各種の画像処理を施す。
【0183】
表示装置11202は、CCU11201からの制御により、当該CCU11201によって画像処理が施された画像信号に基づく画像を表示する。
【0184】
光源装置11203は、例えばLED(light emitting diode)等の光源から構成され、術部等を撮影する際の照射光を内視鏡11100に供給する。
【0185】
入力装置11204は、内視鏡手術システム11000に対する入力インタフェースである。ユーザは、入力装置11204を介して、内視鏡手術システム11000に対して各種の情報の入力や指示入力を行うことができる。例えば、ユーザは、内視鏡11100による撮像条件(照射光の種類、倍率及び焦点距離等)を変更する旨の指示等を入力する。
【0186】
処置具制御装置11205は、組織の焼灼、切開又は血管の封止等のためのエネルギー処置具11112の駆動を制御する。気腹装置11206は、内視鏡11100による視野の確保及び術者の作業空間の確保の目的で、患者11132の体腔を膨らめるために、気腹チューブ11111を介して当該体腔内にガスを送り込む。レコーダ11207は、手術に関する各種の情報を記録可能な装置である。プリンタ11208は、手術に関する各種の情報を、テキスト、画像又はグラフ等各種の形式で印刷可能な装置である。
【0187】
なお、内視鏡11100に術部を撮影する際の照射光を供給する光源装置11203は、例えばLED、レーザ光源又はこれらの組み合わせによって構成される白色光源から構成することができる。RGBレーザ光源の組み合わせにより白色光源が構成される場合には、各色(各波長)の出力強度及び出力タイミングを高精度に制御することができるため、光源装置11203において撮像画像のホワイトバランスの調整を行うことができる。また、この場合には、RGBレーザ光源それぞれからのレーザ光を時分割で観察対象に照射し、その照射タイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御することにより、RGBそれぞれに対応した画像を時分割で撮像することも可能である。当該方法によれば、当該撮像素子にカラーフィルタを設けなくても、カラー画像を得ることができる。
【0188】
また、光源装置11203は、出力する光の強度を所定の時間ごとに変更するようにその駆動が制御されてもよい。その光の強度の変更のタイミングに同期してカメラヘッド11102の撮像素子の駆動を制御して時分割で画像を取得し、その画像を合成することにより、いわゆる黒つぶれ及び白とびのない高ダイナミックレンジの画像を生成することができる。
【0189】
また、光源装置11203は、特殊光観察に対応した所定の波長帯域の光を供給可能に構成されてもよい。特殊光観察では、例えば、体組織における光の吸収の波長依存性を利用して、通常の観察時における照射光(すなわち、白色光)に比べて狭帯域の光を照射することにより、粘膜表層の血管等の所定の組織を高コントラストで撮影する、いわゆる狭帯域光観察(Narrow Band Imaging)が行われる。あるいは、特殊光観察では、励起光を照射することにより発生する蛍光により画像を得る蛍光観察が行われてもよい。蛍光観察では、体組織に励起光を照射し当該体組織からの蛍光を観察すること(自家蛍光観察)、又はインドシアニングリーン(ICG)等の試薬を体組織に局注するとともに当該体組織にその試薬の蛍光波長に対応した励起光を照射し蛍光像を得ること等を行うことができる。光源装置11203は、このような特殊光観察に対応した狭帯域光及び/又は励起光を供給可能に構成され得る。
【0190】
図24は、図23に示すカメラヘッド11102及びCCU11201の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0191】
カメラヘッド11102は、レンズユニット11401と、撮像部11402と、駆動部11403と、通信部11404と、カメラヘッド制御部11405と、を有する。CCU11201は、通信部11411と、画像処理部11412と、制御部11413と、を有する。カメラヘッド11102とCCU11201とは、伝送ケーブル11400によって互いに通信可能に接続されている。
【0192】
レンズユニット11401は、鏡筒11101との接続部に設けられる光学系である。鏡筒11101の先端から取り込まれた観察光は、カメラヘッド11102まで導光され、当該レンズユニット11401に入射する。レンズユニット11401は、ズームレンズ及びフォーカスレンズを含む複数のレンズが組み合わされて構成される。
【0193】
撮像部11402を構成する撮像素子は、1つ(いわゆる単板式)であってもよいし、複数(いわゆる多板式)であってもよい。撮像部11402が多板式で構成される場合には、例えば各撮像素子によってRGBそれぞれに対応する画像信号が生成され、それらが合成されることによりカラー画像が得られてもよい。あるいは、撮像部11402は、3D(dimensional)表示に対応する右目用及び左目用の画像信号をそれぞれ取得するための1対の撮像素子を有するように構成されてもよい。3D表示が行われることにより、術者11131は術部における生体組織の奥行きをより正確に把握することが可能になる。なお、撮像部11402が多板式で構成される場合には、各撮像素子に対応して、レンズユニット11401も複数系統設けられ得る。
【0194】
また、撮像部11402は、必ずしもカメラヘッド11102に設けられなくてもよい。例えば、撮像部11402は、鏡筒11101の内部に、対物レンズの直後に設けられてもよい。
【0195】
駆動部11403は、アクチュエータによって構成され、カメラヘッド制御部11405からの制御により、レンズユニット11401のズームレンズ及びフォーカスレンズを光軸に沿って所定の距離だけ移動させる。これにより、撮像部11402による撮像画像の倍率及び焦点が適宜調整され得る。
【0196】
通信部11404は、CCU11201との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11404は、撮像部11402から得た画像信号をRAWデータとして伝送ケーブル11400を介してCCU11201に送信する。
【0197】
また、通信部11404は、CCU11201から、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を受信し、カメラヘッド制御部11405に供給する。当該制御信号には、例えば、撮像画像のフレームレートを指定する旨の情報、撮像時の露出値を指定する旨の情報、並びに/又は撮像画像の倍率及び焦点を指定する旨の情報等、撮像条件に関する情報が含まれる。
【0198】
なお、上記のフレームレートや露出値、倍率、焦点等の撮像条件は、ユーザによって適宜指定されてもよいし、取得された画像信号に基づいてCCU11201の制御部11413によって自動的に設定されてもよい。後者の場合には、いわゆるAE(Auto Exposure)機能、AF(Auto Focus)機能及びAWB(Auto White Balance)機能が内視鏡11100に搭載されていることになる。
【0199】
カメラヘッド制御部11405は、通信部11404を介して受信したCCU11201からの制御信号に基づいて、カメラヘッド11102の駆動を制御する。
【0200】
通信部11411は、カメラヘッド11102との間で各種の情報を送受信するための通信装置によって構成される。通信部11411は、カメラヘッド11102から、伝送ケーブル11400を介して送信される画像信号を受信する。
【0201】
また、通信部11411は、カメラヘッド11102に対して、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を送信する。画像信号や制御信号は、電気通信や光通信等によって送信することができる。
【0202】
画像処理部11412は、カメラヘッド11102から送信されたRAWデータである画像信号に対して各種の画像処理を施す。
【0203】
制御部11413は、内視鏡11100による術部等の撮像、及び、術部等の撮像により得られる撮像画像の表示に関する各種の制御を行う。例えば、制御部11413は、カメラヘッド11102の駆動を制御するための制御信号を生成する。
【0204】
また、制御部11413は、画像処理部11412によって画像処理が施された画像信号に基づいて、術部等が映った撮像画像を表示装置11202に表示させる。この際、制御部11413は、各種の画像認識技術を用いて撮像画像内における各種の物体を認識してもよい。例えば、制御部11413は、撮像画像に含まれる物体のエッジの形状や色等を検出することにより、鉗子等の術具、特定の生体部位、出血、エネルギー処置具11112の使用時のミスト等を認識することができる。制御部11413は、表示装置11202に撮像画像を表示させる際に、その認識結果を用いて、各種の手術支援情報を当該術部の画像に重畳表示させてもよい。手術支援情報が重畳表示され、術者11131に提示されることにより、術者11131の負担を軽減することや、術者11131が確実に手術を進めることが可能になる。
【0205】
カメラヘッド11102及びCCU11201を接続する伝送ケーブル11400は、電気信号の通信に対応した電気信号ケーブル、光通信に対応した光ファイバ、又はこれらの複合ケーブルである。
【0206】
ここで、図示する例では、伝送ケーブル11400を用いて有線で通信が行われていたが、カメラヘッド11102とCCU11201との間の通信は無線で行われてもよい。
【0207】
<移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0208】
図25は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0209】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。図25に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(Interface)12053が図示されている。
【0210】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0211】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0212】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0213】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0214】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0215】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0216】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0217】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12030に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0218】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。図25の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0219】
図26は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0220】
図26では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0221】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0222】
なお、図26には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0223】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0224】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0225】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0226】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0227】
本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0228】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0229】
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0230】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
光電変換部と、
前記光電変換部に光を集光する第1の集光部を有する第1の画素と、
前記第1の集光部と異なる形状を有する第2の集光部を有する第2の画素と、
前記第1の画素と前記第2の画素が行列状に配置されている画素アレイ部と
を備え、
前記第2の画素は、前記画素アレイ部にランダムに配置されている
光検出装置。
(2)
前記集光部は、オンチップレンズを含み、
前記第2の集光部に含まれるオンチップレンズは、前記第1の集光部に含まれるオンチップレンズと異なる大きさ、高さ、または扁平率で形成されている
前記(1)に記載の光検出装置。
(3)
前記集光部は、カラーフィルタを含み、
前記第2の集光部に含まれるカラーフィルタは、前記第1の集光部に含まれるカラーフィルタと膜厚または材料が異なる
前記(1)または(2)に記載の光検出装置。
(4)
前記第2の集光部は、光入射面側に複数の凹部を有する凹部領域を含み、前記第1の集光部は、前記凹部領域を含まない
前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の光検出装置。
(5)
前記第1の集光部と前記第2の集光部はそれぞれ、光入射面側に複数の凹部を有する凹部領域を含み、
前記第1の集光部に含まれる前記凹部領域の凹部の個数と、前記第2の集光部に含まれる前記凹部領域の凹部の個数は異なる
前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の光検出装置。
(6)
前記第2の集光部は、配線層側に複数の凹部を有する凹部領域を含み、前記第1の集光部は、前記凹部領域を含まない
前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の光検出装置。
(7)
前記第2の集光部は、配線層側に、光を反射または吸収する膜を含み、前記第1の集光部は、前記膜を含まない
前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の光検出装置。
(8)
断面視において、前記第1の集光部と前記第2の集光部はそれぞれ、光入射面側に設けられている凹部を有する凹部領域を含み、
平面視において、前記第1の集光部に含まれる前記凹部領域の形状と、前記第2の集光部に含まれる前記凹部領域の形状は異なる
前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の光検出装置。
(9)
光電変換部と、
前記光電変換部に光を集光する集光部と、
前記集光部を有する画素と、
前記画素が行列状に配置されている画素アレイ部と
を備え、
前記集光部は、第1の部材と第2の部材を含み、
前記画素アレイ部において、前記第1の部材が配置されている第1の周期と、前記第2の部材が配置されている第2の周期は異なり、
前記第1の周期よりも前記第2の周期の方が長い周期である
光検出装置。
(10)
前記第1の部材は、カラーフィルタであり、
前記第2の部材は、オンチップレンズであり、
前記オンチップレンズは、第1のオンチップレンズと前記第1のオンチップレンズとは異なる大きさ、高さ、または扁平率で形成されている第2のオンチップレンズとがあり、
前記第2の周期は、前記第2のオンチップレンズが配置されている周期である
前記(9)に記載の光検出装置。
(11)
前記第1の部材は、オンチップレンズであり、
前記第2の部材は、カラーフィルタであり、
前記カラーフィルタは、第1のカラーフィルタと前記第1のカラーフィルタとは膜厚または材料が異なる第2のカラーフィルタとがあり、
前記第2の周期は、前記第2のカラーフィルタが配置されている周期である
前記(9)または(10)に記載の光検出装置。
(12)
前記第1の部材は、カラーフィルタまたはオンチップレンズであり、
前記第2の部材は、光入射面側に設けられている複数の凹部を有する凹部領域であり、
前記第2の周期は、前記凹部領域が配置されている周期である
前記(9)乃至(11)のいずれかに記載の光検出装置。
(13)
前記第1の部材は、カラーフィルタまたはオンチップレンズであり、
前記第2の部材は、配線層側に設けられている複数の凹部を有する凹部領域であり、
前記第2の周期は、前記凹部領域が配置されている周期である
前記(9)乃至(12)のいずれかに記載の光検出装置。
(14)
前記第1の部材は、カラーフィルタまたはオンチップレンズであり、
前記第2の部材は、配線層側に、光を反射または吸収する膜であり
前記第2の周期は、前記膜が配置されている周期である
前記(9)乃至(13)のいずれかに記載の光検出装置。
【符号の説明】
【0231】
1 撮像装置, 2 画素, 3 画素アレイ部, 4 垂直駆動回路, 5 カラム信号処理回路, 6 水平駆動回路, 7 出力回路, 8 制御回路, 9 垂直信号線, 10 画素駆動配線, 11 水平信号線, 12 半導体基板, 13 入出力端子, 41 半導体領域, 42 N型半導体領域, 46 透明絶縁膜, 48 凹部領域, 49 遮光膜, 51 カラーフィルタ, 52 オンチップレンズ, 54 画素間分離部, 55 絶縁物, 61 反射防止膜, 62 酸化ハフニウム膜, 63 酸化アルミニウム膜, 64 酸化シリコン膜, 81 シールガラス, 82 赤外線カットフィルタ, 101 ブロック, 111 ブロック, 131 反射膜, 151 トレンチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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