(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029314
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】画像処理装置、印刷システム、及び、画像処理方法
(51)【国際特許分類】
G06T 3/4007 20240101AFI20240228BHJP
H04N 1/393 20060101ALI20240228BHJP
【FI】
G06T3/40 700
H04N1/393
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131504
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】奥村 嘉夫
(72)【発明者】
【氏名】萱原 直樹
(72)【発明者】
【氏名】中塚 翼
(72)【発明者】
【氏名】天狗石 悠斗
【テーマコード(参考)】
5B057
5C076
【Fターム(参考)】
5B057AA11
5B057CA08
5B057CB08
5B057CD06
5C076AA21
5C076AA22
5C076BA06
(57)【要約】
【課題】解像度変換後の画像内の色味をより調和させることが可能な技術を提供する。
【解決手段】画像処理装置は、複数の第一画素を有する入力画像に合わせられた座標平面において複数の第二画素を有する変換後画像に含まれる前記第二画素の画素値を決定するための基準点の座標を決定する基準点決定部と、前記複数の第一画素のうち前記基準点を基準とした所定範囲にある複数の参照画素の画素値に基づいて前記第二画素の画素値を決定する補間部と、を備える。前記基準点決定部は、前記複数の第一画素のうち第一方向の両端のそれぞれに存在する第一画素の前記第一方向における座標を第一方向端部座標として、前記複数の第二画素のうち前記第一方向の両端に存在する第二画素についての前記基準点の前記第一方向における座標を、0よりも大きく前記入力画像の1画素分よりも小さい範囲で前記第一方向端部座標よりも前記入力画像の内側にシフトした座標に決定する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向及び該第一方向と交差する第二方向へ並んでいる複数の第一画素を有する入力画像の解像度を変換することにより複数の第二画素を有する変換後画像を取得する画像処理を実行可能な画像処理装置であって、
前記入力画像に合わせられた座標平面において、前記変換後画像に含まれる前記第二画素の画素値を決定するための基準点の座標を決定する基準点決定部と、
前記複数の第一画素のうち前記基準点を基準とした所定範囲にある複数の参照画素の画素値に基づいて前記第二画素の画素値を決定する補間部と、を備え、
前記複数の第一画素のうち前記第一方向の両端のそれぞれに存在する第一画素の前記第一方向における座標を第一方向端部座標として、
前記基準点決定部は、前記複数の第二画素のうち前記第一方向の両端に存在する第二画素についての前記基準点の前記第一方向における座標を、0よりも大きく前記入力画像の1画素分よりも小さい範囲で前記第一方向端部座標よりも前記入力画像の内側にシフトした座標に決定する、画像処理装置。
【請求項2】
前記複数の第一画素のうち前記第二方向の両端のそれぞれに存在する第一画素の前記第二方向における座標を第二方向端部座標として、
前記基準点決定部は、前記複数の第二画素のうち前記第二方向の両端に存在する第二画素についての前記基準点の前記第二方向における座標を、0よりも大きく前記入力画像の1画素分よりも小さい範囲で前記第二方向端部座標よりも前記入力画像の内側にシフトした座標に決定する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記複数の第一画素のうち前記第一方向の始端にある第一画素を第一始端画素として前記第一方向の終端にある第一画素を第一終端画素とし、
前記複数の第二画素のうち前記第一方向の始端にある第二画素を第二始端画素として前記第一方向の終端にある第二画素を第二終端画素とし、
前記複数の第二画素のうち前記第一方向において前記第二始端画素と前記第二終端画素との間にある第二画素を介在画素とし、
前記第一始端画素及び前記第二始端画素の前記第一方向における座標を原点として前記第二終端画素の前記第一方向における座標を前記第一終端画素の前記第一方向における座標に割り当てる線形対応関係を基準として前記基準点が前記第一方向において前記入力画像の内側へシフトしている大きさをシフト量として、
前記基準点決定部は、前記介在画素における前記シフト量が前記第二始端画素及び前記第二終端画素における前記シフト量よりも小さくなるように、前記介在画素についての前記基準点の前記第一方向における座標を決定する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記基準点決定部は、前記第二画素が前記第一方向において前記第二始端画素と前記第二終端画素との中間位置に近いほど前記第二画素における前記シフト量が少なくなるように、前記介在画素についての前記基準点の前記第一方向における座標を決定する、請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記複数の参照画素の画素値は、バイキュービック法による補間演算に使用される16個の画素値であり、
前記補間部は、前記16個の画素値を用いる前記補間演算を行うことにより前記第二画素の画素値を決定する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記基準点決定部は、前記画像処理として前記第一方向において画素数を減らす処理を行う場合、前記複数の第二画素のうち前記第一方向の両端に存在する第二画素についての前記基準点の前記第一方向における座標を前記入力画像の0.5画素分、前記第一方向端部座標よりも前記入力画像の内側にシフトした座標に決定する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記基準点決定部は、前記画像処理として前記第一方向において画素数を増やす処理を行う場合、前記複数の第二画素のうち前記第一方向の両端に存在する第二画素についての前記基準点の前記第一方向における座標を、0よりも大きく前記入力画像の0.5画素分よりも小さい範囲で前記第一方向端部座標よりも前記入力画像の内側にシフトした座標に決定する、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
媒体に対して液体を吐出可能な複数のノズルを有する印刷ヘッドと、
前記媒体に前記変換後画像に基づいた印刷画像が形成されるように前記印刷ヘッドからの前記液体の吐出を制御する制御部と、を備える、印刷システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記印刷画像として前記変換後画像同士を隣り合わせて繰り返し配列したタイリングパターンが前記媒体に形成されるように前記印刷ヘッドからの前記液体の吐出を制御する、請求項8に記載の印刷システム。
【請求項10】
第一方向及び該第一方向と交差する第二方向へ並んでいる複数の第一画素を有する入力画像の解像度を変換することにより複数の第二画素を有する変換後画像を取得する画像処理方法であって、
前記入力画像に合わせられた座標平面において、前記変換後画像に含まれる前記第二画素の画素値を決定するための基準点の座標を決定する基準点決定工程と、
前記複数の第一画素のうち前記基準点を基準とした所定範囲にある複数の参照画素の画素値に基づいて前記第二画素の画素値を決定する補間工程と、を含み、
前記複数の第一画素のうち前記第一方向の両端のそれぞれに存在する第一画素の前記第一方向における座標を第一方向端部座標として、
前記基準点決定工程において、前記複数の第二画素のうち前記第一方向の両端に存在する第二画素についての前記基準点の前記第一方向における座標を、0よりも大きく前記入力画像の1画素分よりも小さい範囲で前記第一方向端部座標よりも前記入力画像の内側にシフトした座標に決定する、画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像の解像度を変換する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
互いに直交する2方向へ並んでいる複数の画素を有する画像の解像度を変換するため、バイキュービック法等による補間演算により画像の画素数を変換することが行われている。画像の解像度を高くする変換は画像の画素数を増やすことになり、画像の解像度を低くする変換は画像の画素数を減らすことになる。ここで、互いに直交する2方向をX方向及びY方向とする。バイキュービック法による補間演算を行うコンピューターは、入力画像に合わせられたX-Y座標平面において変換後画像の各画素の画素値を決定するための基準点の座標を決定し、入力画像において基準点を基準とした4×4画素の画素値を補間演算に用いる。例えば、変換後画像の原点にある画素の基準点は、入力画像の原点にある画素の位置に合わせられる。
【0003】
特許文献1に開示された技術は、処理対象画像からエッジを判定し、そのエッジ部分についてはバイキュービック法による色補間処理を行い、エッジ以外の部分については注目画素の周囲に設定されたn×mの画素範囲による一様平均による色補間処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バイキュービック法による補間演算において、基準点が入力画像の画素の位置に合っている場合、変換後画像において基準点に対応する画素の画素値は、入力画像において基準点の位置にある画素の画素値となる。例えば、変換後画像の原点にある画素の画素値は、入力画像の原点にある画素の画素値となる。また、変換後画像において原点を通る2辺に存在する画素の色味は、入力画像において原点を通る2辺に存在する画素の色味が強く現れる。これにより、変換後画像において原点を通る2辺に存在する画素と内側に存在する画素とで色味に違いが生じる。そこで、このような変換後画像内の色味の違いを低減させることが望まれる。
尚、上述のような問題は、バイリニア法による補間演算等、バイキュービック法による補間演算以外の補間演算を行う場合にも存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像処理装置は、第一方向及び該第一方向と交差する第二方向へ並んでいる複数の第一画素を有する入力画像の解像度を変換することにより複数の第二画素を有する変換後画像を取得する画像処理を実行可能な画像処理装置であって、
前記入力画像に合わせられた座標平面において、前記変換後画像に含まれる前記第二画素の画素値を決定するための基準点の座標を決定する基準点決定部と、
前記複数の第一画素のうち前記基準点を基準とした所定範囲にある複数の参照画素の画素値に基づいて前記第二画素の画素値を決定する補間部と、を備え、
前記複数の第一画素のうち前記第一方向の両端のそれぞれに存在する第一画素の前記第一方向における座標を第一方向端部座標として、
前記基準点決定部は、前記複数の第二画素のうち前記第一方向の両端に存在する第二画素についての前記基準点の前記第一方向における座標を、0よりも大きく前記入力画像の1画素分よりも小さい範囲で前記第一方向端部座標よりも前記入力画像の内側にシフトした座標に決定する、態様を有する。
【0007】
また、本発明の印刷システムは、
前記画像処理装置と、
媒体に対して液体を吐出可能な複数のノズルを有する印刷ヘッドと、
前記媒体に前記変換後画像に基づいた印刷画像が形成されるように前記印刷ヘッドからの前記液体の吐出を制御する制御部と、を備える、態様を有する。
【0008】
さらに、本発明の画像処理方法は、第一方向及び該第一方向と交差する第二方向へ並んでいる複数の第一画素を有する入力画像の解像度を変換することにより複数の第二画素を有する変換後画像を取得する画像処理方法であって、
前記入力画像に合わせられた座標平面において、前記変換後画像に含まれる前記第二画素の画素値を決定するための基準点の座標を決定する基準点決定工程と、
前記複数の第一画素のうち前記基準点を基準とした所定範囲にある複数の参照画素の画素値に基づいて前記第二画素の画素値を決定する補間工程と、を含み、
前記複数の第一画素のうち前記第一方向の両端のそれぞれに存在する第一画素の前記第一方向における座標を第一方向端部座標として、
前記基準点決定工程において、前記複数の第二画素のうち前記第一方向の両端に存在する第二画素についての前記基準点の前記第一方向における座標を、0よりも大きく前記入力画像の1画素分よりも小さい範囲で前記第一方向端部座標よりも前記入力画像の内側にシフトした座標に決定する、態様を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】画像処理装置を含む印刷システムの構成例を模式的に示すブロック図。
【
図2】入力画像から変換後画像への解像度変換の例を模式的に示す図。
【
図3】画像の解像度変換に用いられるバイキュービック法による補間演算を説明するための模式的な図。
【
図4】画素数を減らす解像度変換において変換後画像上の座標s2から入力画像上の座標s1を換算する例を模式的に示す図。
【
図5】画素数を減らす解像度変換において変換後画像の角部にある第二画素についての基準点及び参照点の例を模式的に示す図。
【
図6】入力画像からタイリングパターンを形成する例を模式的に示す図。
【
図7】画素数を増やす解像度変換において変換後画像上の座標s2から入力画像上の座標s1を換算する例を模式的に示す図。
【
図8】画素数を増やす解像度変換において変換後画像の角部にある第二画素についての基準点及び参照点の例を模式的に示す図。
【
図9】タイリングパターン出力処理の例を模式的に示すフローチャート。
【
図10】1画素線のストライプ画像からタイリングパターンを形成する例を模式的に示す図。
【
図11】1画素線のストライプ画像から形成された変換後画像の例を模式的に示す図。
【
図12】1画素線のストライプ画像から形成された変換後画像の比較例を模式的に示す図。
【
図13】1画素線のストライプ画像から形成された変換後画像の比較例を模式的に示す図。
【
図14】変換後画像上の座標s2から入力画像上の座標s1を換算する比較例を模式的に示す図。
【
図15】入力画像からタイリングパターンを形成する比較例を模式的に示す図。
【
図16】変換後画像からタイリングパターンを形成する比較例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
【0011】
(1)本発明に含まれる技術の概要:
まず、
図1~16に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。「本発明に含まれる技術の概要」において、括弧内は直前の語の補足説明を意味する。
【0012】
[態様1]
本技術の一態様に係る画像処理装置U0は、
図2,5等に例示するように、第一方向D1及び該第一方向D1と交差する第二方向D2へ並んでいる複数の第一画素PX1を有する入力画像IM1の解像度を変換することにより複数の第二画素PX2を有する変換後画像IM2を取得する画像処理を実行可能である。本画像処理装置U0は、基準点決定部U1と補間部U2(
図1参照)を備える。前記基準点決定部U1は、前記入力画像IM1に合わせられた座標平面300において、前記変換後画像IM2に含まれる前記第二画素PX2の画素値を決定するための基準点P0の座標(u,v)を決定する。前記補間部U2は、前記複数の第一画素PX1のうち前記基準点P0を基準とした所定範囲AR1にある複数の参照画素PX3の画素値に基づいて前記第二画素PX2の画素値を決定する。
ここで、前記複数の第一画素PX1のうち前記第一方向D1の両端のそれぞれに存在する第一画素の前記第一方向D1における座標を第一方向端部座標Xs,Xeとする。前記基準点決定部U1は、
図4,5,7~9に例示するように、前記複数の第二画素PX2のうち前記第一方向D1の両端に存在する第二画素(第二始端画素PX2s及び第二終端画素PX2eとする。)についての前記基準点P0の前記第一方向D1における座標を、0よりも大きく前記入力画像IM1の1画素分よりも小さい範囲で前記第一方向端部座標Xs,Xeよりも前記入力画像IM1の内側にシフトした座標に決定する。
【0013】
上記態様では、変換後画像IM2に含まれる第二始端画素PX2s及び第二終端画素PX2eの基準点P0の第一方向D1における座標は、0よりも大きく入力画像IM1の1画素分よりも小さい範囲で第一方向端部座標Xs,Xeよりも入力画像IM1の内側にシフトした座標となる。これにより、第一方向D1において第二始端画素PX2s及び第二終端画素PX2eの基準点P0が入力画像IM1の画素の位置からずれ、第二始端画素PX2s及び第二終端画素PX2eにおいて入力画像IM1の端部に存在する第一画素PX1の色味が強く現れることが回避される。従って、上記態様は、解像度変換後の画像内の色味をより調和させることが可能な画像処理装置を提供することができる。
【0014】
ここで、入力画像の解像度の変換は、第一方向と第二方向の少なくとも一方において、画素数を増やす拡大と画素数を減らす縮小の少なくとも一方を行う変換を意味する。従って、入力画像の解像度の変換は、例えば、第一方向において画素数を変えて第二方向において画素数を変えない変換、第一方向において画素数を増やして第二方向において画素数を減らす変換、等を含む。
本願における「第一」、「第二」、…は、類似点を有する複数の構成要素に含まれる各構成要素を識別するための用語であり、順番を意味しない。複数の構成要素のうちどの構成要素が「第一」、「第二」、…に当てはまるのかは、相対的に決まる。例えば、入力画像の複数の第一画素がX方向及びY方向に並んでいる場合、X方向が第一方向に当て嵌められるとY方向が第二方向に当て嵌まり、Y方向が第一方向に当て嵌められるとX方向が第二方向に当て嵌まる。
尚、上述した付言は、以下の態様においても適用される。
【0015】
[態様2]
また、前記複数の第一画素PX1のうち前記第二方向D2の両端のそれぞれに存在する第一画素の前記第二方向D2における座標を第二方向端部座標Ys,Yeとする。前記基準点決定部U1は、前記複数の第二画素PX2のうち前記第二方向D2の両端に存在する第二画素についての前記基準点P0の前記第二方向D2における座標を、0よりも大きく前記入力画像IM1の1画素分よりも小さい範囲で前記第二方向端部座標Ys,Yeよりも前記入力画像IM1の内側にシフトした座標に決定してもよい。
以上の場合、第二方向D2においても変換後画像IM2における第二始端画素PX2s及び第二終端画素PX2eの基準点P0が入力画像IM1の画素の位置からずれ、前述の第二始端画素PX2s及び第二終端画素PX2eにおいて入力画像IM1の端部に存在する第一画素PX1の色味が強く現れることが回避される。従って、上記態様は、解像度変換後の画像内の色味をさらに調和させることができる。
【0016】
[態様3]
さらに、
図2,5等に例示するように、前記複数の第一画素PX1のうち前記第一方向D1の始端にある第一画素を第一始端画素PX1sとして前記第一方向D1の終端にある第一画素を第一終端画素PX1eとする。前記複数の第二画素PX2のうち前記第一方向D1の始端にある第二画素を第二始端画素PX2sとして前記第一方向D1の終端にある第二画素を第二終端画素PX2eとする。前記複数の第二画素PX2のうち前記第一方向D1において前記第二始端画素PX2sと前記第二終端画素PX2eとの間にある第二画素を介在画素PX2bとする。前記第一始端画素PX1s及び前記第二始端画素PX2sの前記第一方向D1における座標を原点として前記第二終端画素PX2eの前記第一方向D1における座標を前記第一終端画素PX1eの前記第一方向D1における座標に割り当てる線形対応関係901を基準として前記基準点P0が前記第一方向D1において前記入力画像IM1の内側へシフトしている大きさをシフト量とする。前記基準点決定部U1は、前記介在画素PX2bにおける前記シフト量(例えばシフト量β)が前記第二始端画素PX2s及び前記第二終端画素PX2eにおける前記シフト量(例えばオフセット量α)よりも小さくなるように、前記介在画素PX2bについての前記基準点P0の前記第一方向D1における座標を決定してもよい。
【0017】
以上の場合、変換後画像IM2において第二始端画素PX2sと第二終端画素PX2eとの間にある介在画素PX2bの第一方向D1におけるシフト量(β)は、変換後画像IM2において第二始端画素PX2s及び第二終端画素PX2eの第一方向D1におけるシフト量(α)よりも小さくなる。これにより、第一方向D1において変換後画像IM2の端部と変換後画像IM2の内側とが調和した色味となる。従って、上記態様は、解像度変換後の画像内の色味をさらに調和させることができる。
また、第二方向D2についても、上記態様3と同様のことがいえる。
【0018】
[態様4]
図4,7に例示するように、前記基準点決定部U1は、前記第二画素PX2が前記第一方向D1において前記第二始端画素PX2sと前記第二終端画素PX2eとの中間位置IPに近いほど前記第二画素PX2における前記シフト量が少なくなるように、前記介在画素PX2bについての前記基準点P0の前記第一方向D1における座標を決定してもよい。
以上の場合、変換後画像IM2において第二画素PX2が第二始端画素PX2sと第二終端画素PX2eとの中間位置IPに近いほどシフト量が小さくなる。これにより、第一方向D1において変換後画像IM2が全体にわたって調和した色味となる。従って、上記態様は、解像度変換後の画像内の色味をさらに調和させることができる。
また、第二方向D2についても、上記態様4と同様のことがいえる。
【0019】
[態様5]
図3に例示するように、前記複数の参照画素PX3の画素値は、バイキュービック法による補間演算に使用される16個の画素値p11~p44でもよい。前記補間部U2は、前記16個の画素値p11~p44を用いる前記補間演算を行うことにより前記第二画素PX2の画素値pを決定してもよい。本態様は、高画質の変換後画像を得ることができる。
【0020】
[態様6]
前記基準点決定部U1は、
図4に例示するように前記画像処理として前記第一方向D1において画素数を減らす処理を行う場合、前記複数の第二画素PX2のうち前記第一方向D1の両端に存在する第二画素についての前記基準点P0の前記第一方向D1における座標を前記入力画像IM1の0.5画素分、前記第一方向端部座標Xs,Xeよりも前記入力画像IM1の内側にシフトした座標に決定してもよい。本態様は、高画質の縮小画像を得ることができる。
また、第二方向D2についても、上記態様6と同様のことがいえる。
【0021】
[態様7]
前記基準点決定部U1は、
図7に例示するように前記画像処理として前記第一方向D1において画素数を増やす処理を行う場合、前記複数の第二画素PX2のうち前記第一方向D1の両端に存在する第二画素についての前記基準点P0の前記第一方向D1における座標を、0よりも大きく前記入力画像IM1の0.5画素分よりも小さい範囲で前記第一方向端部座標Xs,Xeよりも前記入力画像IM1の内側にシフトした座標に決定してもよい。本態様は、高画質の拡大画像を得ることができる。
また、第二方向D2についても、上記態様7と同様のことがいえる。
【0022】
[態様8]
ところで、本技術の一態様に係る印刷システムSY1は、
図1に例示するように、上述した画像処理装置U0と、媒体ME1に対して液体を吐出可能な複数のノズルを有する印刷ヘッド220と、前記媒体ME1に前記変換後画像IM2に基づいた印刷画像IM3が形成されるように前記印刷ヘッド220からの前記液体の吐出を制御する制御部U10と、を備える。本態様は、印刷画像内の色味をより調和させることが可能な印刷システムを提供することができる。
【0023】
[態様9]
前記制御部U10は、
図6等に例示するように、前記印刷画像IM3として前記変換後画像IM2同士を隣り合わせて繰り返し配列したタイリングパターンTP1が前記媒体ME1に形成されるように前記印刷ヘッド220からの前記液体の吐出を制御してもよい。尚、タイリングパターンTP1としては、第一方向D1と第二方向D2の少なくとも一方において対称性のあるパターン模様が変換後画像IM2として繰り返されるテキスタイルパターン等が挙げられる。
上述したように変換後画像IM2において互いに反対側の端部にある第二始端画素PX2s及び第二終端画素PX2eにおいて入力画像IM1の端部に存在する第一画素PX1の色味が強く現れることが回避されるので、タイリングパターンTP1において変換後画像IM2同士の繋ぎ目が目立つことが回避される。従って、本印刷システムSY1は変換後画像IM2が繰り返されるタイリングパターンTP1において変換後画像IM2同士の繋ぎ目が目立つという課題の解決に好適であり、上記態様は良好な画質のタイリングパターンを印刷することができる。
【0024】
[態様10]
さらに、本技術の一態様に係る画像処理方法は、前記入力画像IM1の解像度を変換することにより前記変換後画像IM2を取得する画像処理方法であって、
図9に例示するように、以下の工程(A),(B)を含んでいる。
(A)前記入力画像IM1に合わせられた座標平面300において、前記変換後画像IM2に含まれる前記第二画素PX2の画素値を決定するための基準点P0の座標(u,v)を決定する基準点決定工程ST1。
(B)前記複数の第一画素PX1のうち前記基準点P0を基準とした所定範囲AR1にある複数の参照画素PX3の画素値に基づいて前記第二画素PX2の画素値を決定する補間工程ST2。
ここで、前記複数の第一画素PX1のうち前記第一方向D1の両端のそれぞれに存在する第一画素の前記第一方向D1における座標を第一方向端部座標Xs,Xeとする。本画像処理方法は、前記基準点決定工程ST1において、前記複数の第二画素PX2のうち前記第一方向D1の両端に存在する第二画素についての前記基準点P0の前記第一方向D1における座標を、0よりも大きく前記入力画像IM1の1画素分よりも小さい範囲で前記第一方向端部座標Xs,Xeよりも前記入力画像IM1の内側にシフトした座標に決定する。
上記態様は、解像度変換後の画像内の色味をより調和させることが可能な画像処理方法を提供することができる。
【0025】
さらに、本技術は、上述した画像処理装置を含む複合装置、上述した印刷システムのための印刷方法、コンピューターにおいて上述した画像処理方法を実現させる画像処理プログラム、上述した印刷システムのための印刷制御プログラム、前述のいずれかの制御プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体、等に適用可能である。前述のいずれかの装置は、分散した複数の部分で構成されてもよい。
【0026】
(2)画像処理装置を含む印刷システムの構成の具体例:
図1は、画像処理装置を含む印刷システムの構成例を模式的に示している。
図2は、入力画像から変換後画像への解像度変換の例を模式的に示している。
図1に示す印刷システムSY1は、ホスト装置100とプリンター200を含み、
図6に例示するタイリングパターンTP1を媒体ME1に形成可能である。タイリングパターンTP1は、対称性のあるパターン模様が変換後画像IM2として繰り返されるテキスタイルパターン等、変換後画像IM2同士を隣り合わせて繰り返し配列したパターンである。ホスト装置100は、プロセッサーであるCPU111、ROM112、RAM113、記憶装置114、入力装置115、表示装置116、通信I/F117、等を備える。ここで、CPUはCentral Processing Unitの略称であり、ROMはRead Only Memoryの略称であり、RAMはRandom Access Memoryの略称であり、I/Fはインターフェイスの略称である。前述の要素(111~117)は、電気的に接続され、互いに情報を入出力可能とされている。尚、ROM112とRAM113と記憶装置114はメモリーであり、少なくともROM112とRAM113は半導体メモリーである。
【0027】
記憶装置114は、不図示のOS、画像処理プログラムPR0、
図2に示す解像度変換に使用されるオフセット量α、印刷制御プログラムPR1、等を記憶している。ここで、OSはオペレーティングシステムの略称である。記憶装置114には、フラッシュメモリー等の不揮発性半導体メモリー、ハードディスク等の磁気記憶装置、等を用いることができる。入力装置115には、ポインティングデバイス、キーボードを含むハードキー、表示パネルの表面に貼り付けられたタッチパネル、等を用いることができる。表示装置116は、表示情報に基づいて該表示情報に対応する画面を表示する。表示装置116には、液晶表示パネル等を用いることができる。通信I/F117は、プリンター200の通信I/F230に接続され、プリンター200に対して印刷データ等といった情報を入出力する。通信I/F117,230の通信は、有線でもよいし、無線でもよく、LANやインターネット等といったネットワーク通信でもよい。ここで、LANはLocal Area Networkの略称である。
【0028】
図1に示す画像処理プログラムPR0は、基準点決定機能FU1と補間機能FU2をホスト装置100に実現させる。
図1に示す印刷制御プログラムPR1は、色変換機能FU3、ハーフトーン処理機能FU4、及び、タイリング機能FU5をホスト装置100に実現させる。
ホスト装置100のCPU111は、記憶装置114に記憶されている情報を適宜、RAM113に読み出し、読み出したプログラムを実行することにより各種処理を行う。CPU111は、RAM113に読み出されたプログラム(PR0,PR1)を実行することにより、上述した機能(FU1~FU5)に対応する処理を行う。画像処理プログラムPR0は、コンピューターであるホスト装置100を、基準点決定部U1と補間部U2を備える画像処理装置U0として機能させる。印刷制御プログラムPR1は、ホスト装置100を、色変換部U3、ハーフトーン処理部U4、及び、タイリング部U5として機能させる。また、画像処理プログラムPR0を実行するホスト装置100は、
図9に例示するように、基準点決定工程ST1と補間工程ST2を実施する。印刷制御プログラムPR1を実行するホスト装置100は、
図9に例示するように、色変換工程ST3、ハーフトーン処理工程ST4、及び、タイリング工程ST5を実施する。上述した機能(FU1~FU5)をコンピューターに実現させるプログラム(PR0,PR1)を記憶したコンピューター読み取り可能な記録媒体は、ホスト装置の内部の記憶装置に限定されず、ホスト装置の外部の記録媒体でもよい。
【0029】
尚、ホスト装置100には、パーソナルコンピューターといったコンピューター、スマートフォンといった携帯電話、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、等が含まれる。ホスト装置100は、一つの筐体内に全構成要素(111~117)を有してもよいが、互いに通信可能に分割された複数の装置で構成されてもよい。また、プリンター200の少なくとも一部がホスト装置100にあっても、本技術を実施可能である。
【0030】
図1に示すプリンター200は、色材としてCインク、Mインク、Yインク、及び、Kインクを印刷ヘッド220から噴射して印刷データに対応する印刷画像IM3を形成するインクジェットプリンターであるものとする。ここで、インクは液体の例であり、Cはシアンを意味し、Mはマゼンタを意味し、Yはイエローを意味し、Kはブラックを意味する。むろん、プリンター200は、トナーを使用するレーザープリンターといった電子写真方式のプリンター、3次元プリンター、等でもよい。印刷ヘッド220は、媒体ME1に対してCインク滴を吐出可能な複数のノズルNc、媒体ME1に対してMインク滴を吐出可能な複数のノズルNm、媒体ME1に対してYインク滴を吐出可能な複数のノズルNy、及び、媒体ME1に対してKインク滴を吐出可能な複数のノズルNkを有している。印刷ヘッド220には、インクカートリッジCc,Cm,Cy,CkからそれぞれC、M、Y、及び、Kのインクが供給される。これにより、印刷ヘッド220は、ノズルNc,Nm,Ny,NkからそれぞれC、M、Y、及び、Kのインク滴280を吐出する。インク滴280が媒体ME1に着弾すると、インクドットが媒体ME1に形成される。その結果、媒体ME1上に印刷画像IM3を有する印刷物が得られる。
媒体ME1は、特に限定されず、テキスタイルパターンが印刷される布帛、紙、樹脂、金属、等を含む。媒体ME1の形状は、ロール状でもよいし、カットされた2次元形状でもよいし、3次元形状でもよい。
【0031】
プリンター200は、印刷ヘッド220からのインクの吐出を制御するコントローラー210を備えている。コントローラー210は、印刷制御プログラムPR1を実行するホスト装置100とともに、媒体ME1に変換後画像IM2(
図2参照)に基づいた印刷画像IM3が形成されるように印刷ヘッド220からのインクの吐出を制御する制御部U10を構成する。
【0032】
図2に示すように、入力画像IM1は、X方向及びY方向へ並んでいる複数の第一画素PX1を有している。X方向とY方向とは直交しているものとするが、X方向とY方向とは交差していれば直交していなくてもよい。
図2に示す例において、X方向は第一方向D1に当て嵌められ、Y方向は第二方向D2に当て嵌められている。尚、Y方向を第一方向D1に当て嵌めてX方向を第二方向D2に当て嵌めることも可能である。
図2には、模式的な例としての入力画像IM1において、X方向へX1=13個の第一画素PX1が並べられ、Y方向へY1=13個の第一画素PX1が並べられていることが示されている。むろん、画素数X1は画素数Y1とは異なっていてもよい。入力画像IM1の表色系がRGBである場合、各第一画素PX1の画素値は、R値、G値、及び、B値の組合せとなる。ここで、Rは赤を意味し、Gは緑を意味し、Bは青を意味する。R値、G値、及び、B値は、例えば、0~255の階調値で表される。
【0033】
画像処理装置U0は、入力画像IM1の解像度を変換することにより変換後画像IM2を取得する。入力画像IM1の解像度の変換は、解像度を高くするために画素数を増やす拡大でもよいし、解像度を低くするために画素数を減らす縮小でもよく、X方向とY方向とで倍率が異なっていてもよい。従って、入力画像IM1の解像度の変換は、例えば、X方向の拡大率がY方向の拡大率よりも大きい拡大、X方向の縮小率がY方向の縮小率よりも大きい縮小、Y方向において画素数を変えてY方向において画素数を変えない変換、X方向において画素数を増やしてY方向において画素数を減らす変換、等を含む。得られる変換後画像IM2は、X方向及びY方向へ並んでいる複数の第二画素PX2を有している。
図2には、模式的な例としての変換後画像IM2において、X方向へX2=6個の第二画素PX2が並べられ、Y方向へY2=6個の第二画素PX2が並べられていることが示されている。むろん、画素数X2は画素数Y2とは異なっていてもよく、X2≧X1でもよく、Y2≧Y1でもよい。入力画像IM1の表色系がRGBである場合、変換後画像IM2の表色系はRGBとなり、各第二画素PX2の画素値はR値、G値、及び、B値の組合せとなる。R値、G値、及び、B値は、例えば、0~255の階調値で表される。
【0034】
本具体例の画像処理装置U0は、変換後画像IM2の各第二画素PX2に対応する基準点P0を基準とした複数の参照画素PX3の画素値を用いて第二画素PX2の画素値を算出する補間演算を行う。画像処理装置U0に含まれる基準点決定部U1は、入力画像IM1に合わせられたX-Y座標平面である座標平面300において、変換後画像IM2に含まれる第二画素PX2の画素値を決定するための基準点P0の座標(u,v)を決定する。複数の参照画素PX3は、入力画像IM1に含まれる複数の第一画素PX1のうち基準点P0を基準とした所定範囲AR1にある第一画素である。
図2には、変換後画像IM2において三角印が付された注目画素PX2tに対応する基準点P0が入力画像IM1において三角印で示されている。画像処理装置U0に含まれる補間部U2は、複数の参照画素PX3の画素値に基づいて第二画素PX2の画素値を決定する。本具体例の補間部U2は、複数の第一画素PX1のうち基準点P0の位置を含む最大4×4画素を参照画素PX3としてバイキュービック法による補間演算を行うことにより第二画素PX2の画素値を決定するものとする。尚、補間演算は、バイキュービック法による補間演算以外にも、バイリニア法による補間演算等でもよい。従って、複数の参照画素PX3は、4×4画素に限定されず、2×2画素等でもよい。
【0035】
便宜上、X-Y座標平面上の画素を位置に応じて以下のように呼ぶことにする。
入力画像IM1に含まれる複数の第一画素PX1の内、X方向の始端にある第一画素を第一始端画素PX1sとし、X方向の終端にある第一画素を第一終端画素PX1eとする。
図2には、入力画像IM1においてX方向へ並んでいる第一画素PX1(太線部)が下側へ抜き出されて示されている。また、複数の第一画素PX1の内、X方向において第一始端画素PX1sと第一終端画素PX1eとの間にある第一画素を介在画素PX1bとする。複数の第一画素PX1の内、X方向の両端のそれぞれに存在する第一始端画素PX1s及び第一終端画素PX1eのX座標をそれぞれ第一方向端部座標Xs,Xeとする。X座標は、X方向における座標である。第一始端画素PX1sの第一方向端部座標Xsは0であり、第一終端画素PX1eの第一方向端部座標XeはX1-1である。
入力画像IM1に含まれる複数の第一画素PX1の内、Y方向の始端にある第一画素を第一始端画素PX1sとし、Y方向の終端にある第一画素を第一終端画素PX1eとする。
図2には、入力画像IM1においてY方向へ並んでいる第一画素PX1(太線部)が右側へ抜き出されて示されている。また、複数の第一画素PX1の内、Y方向において第一始端画素PX1sと第一終端画素PX1eとの間にある第一画素を介在画素PX1bとする。複数の第一画素PX1の内、Y方向の両端のそれぞれに存在する第一始端画素PX1s及び第一終端画素PX1eのY座標をそれぞれ第二方向端部座標Ys,Yeとする。Y座標は、Y方向における座標である。第一始端画素PX1sの第二方向端部座標Ysは0であり、第一始端画素PX1sの第二方向端部座標YeはY1-1である。
【0036】
変換後画像IM2に含まれる複数の第二画素PX2の内、X方向の始端にある第二画素を第二始端画素PX2sとし、X方向の終端にある第二画素を第二終端画素PX2eとする。
図2には、変換後画像IM2においてX方向へ並んでいる第二画素PX2(太線部)が下側へ抜き出されて示されている。また、複数の第二画素PX2の内、X方向において第二始端画素PX2sと第二終端画素PX2eとの間にある第二画素を介在画素PX2bとする。
図2の下部に示すように変換後画像IM2に合わせられたX-Y座標平面において、第二始端画素PX2sのX座標は0であり、第二終端画素PX2eのX座標はX2-1である。
変換後画像IM2に含まれる複数の第二画素PX2の内、Y方向の始端にある第二画素を第二始端画素PX2sとし、Y方向の終端にある第二画素を第二終端画素PX2eとする。
図2には、変換後画像IM2においてY方向へ並んでいる第二画素PX2(太線部)が右側へ抜き出されて示されている。また、複数の第二画素PX2の内、Y方向において第二始端画素PX2sと第二終端画素PX2eとの間にある第二画素を介在画素PX2bとする。
図2の下部に示すように変換後画像IM2に合わせられたX-Y座標平面において、第二始端画素PX2sのY座標は0であり、第二終端画素PX2eのY座標はY2-1である。
【0037】
本具体例の基準点決定部U1は、X方向において、第二始端画素PX2s及び第二終端画素PX2eについての基準点P0のX座標を、0よりも大きく入力画像IM1の1画素分よりも小さい範囲で第一方向端部座標Xs,Xeよりも入力画像IM1の内側にシフトした座標に決定する。また、基準点決定部U1は、Y方向において、第二始端画素PX2s及び第二終端画素PX2eについての基準点P0のY座標を、0よりも大きく入力画像IM1の1画素分よりも小さい範囲で第二方向端部座標Ys,Yeよりも入力画像IM1の内側にシフトした座標に決定する。尚、基準点決定部U1の詳細は、後述する。
【0038】
まず、
図3を参照して、画像の解像度変換に用いられるバイキュービック法による補間演算を説明する。ここで、X-Y座標平面において、基準点P0の座標を(u,v)とし、X座標uの小数点以下の数値をΔuとし、Y座標vの小数点以下の数値をΔvとし、基準点P0の周囲にある4×4個の参照点G0の画素値をp11~p44とする。基準点P0は、画素値p22の参照点G0、画素値p23の参照点G0、画素値p33の参照点G0、及び、画素値p32の参照点G0で囲まれた正方形に含まれる。各参照点G0は、入力画像IM1の中にある場合、入力画像IM1に含まれる参照画素PX3に対応する。16個の参照点G0のうち入力画像IM1の外になる参照点G0については、入力画像IM1の縁部にある第一画素PX1の画素値を有する画素が入力画像IM1の外側に存在すると仮定して当該画素値を適用することにする。
【0039】
補間後の画素値pは、以下の式により算出される。
【数1】
変数x1,x2,x3,x4は基準点P0から参照点G0までのX方向における距離を示し、変数y1,y2,y3,y4は基準点P0から参照点G0までのY方向における距離を示している。ここで、変数tを変数x1,x2,x3,x4,y1,y2,y3,y4のいずれかとして、関数W(t)は、以下の式により算出される。
【数2】
定数aは、通常、-0.5又は-0.75に設定される。尚、定数aの値を変えることにより、補間の特性を変えることができる。
【0040】
画像処理装置U0は、上記式(1),(2)に従って、基準点P0を基準とした所定範囲AR1にある最大4×4個の参照画素PX3の画素値p11~p44を用いる補間演算を行うことにより、基準点P0に対応する注目画素PX2tの画素値pを算出することができる。
【0041】
ここで、
図14を参照して、基準点P0の座標(u,v)を決定する比較例を説明する。
図14は、変換後画像上の座標s2から入力画像上の座標s1を換算する比較例を模式的に示している。座標の換算は、X座標とY座標のそれぞれについて行われる。従って、変換後画像上のX座標は基準点P0のX座標uに換算され、変換後画像上のY座標は基準点P0のY座標vに換算される。
【0042】
図14に示す線形対応関係901は、(s2,s1)=(0,0)と(s2,s1)=(S2-1,S1-1)とを直線で結んだ対応関係である。ここで、画素数S1は入力画像のX方向又はY方向における画素数であり、画素数S2は変換後画像のX方向又はY方向における画素数である。X方向における画素数S1は
図2に示す画素数X1に相当し、Y方向における画素数S1は
図2に示す画素数Y1に相当し、X方向における画素数S2は
図2に示す画素数X2に相当し、Y方向における画素数S2は
図2に示す画素数Y2に相当する。尚、入力画像上のX座標X1-1は第一方向端部座標Xeであり、入力画像上のY座標Y1-1は第二方向端部座標Yeである。線形対応関係901は、以下の式で表される。
s1={(S1-1)/(S2-1)}×s2 …(3)
以上より、変換後画像上のX座標0は入力画像上のX座標0に変換され、変換後画像上のY座標0は入力画像上のY座標0に変換される。また、整数化等による計算誤差が生じなければ、変換後画像上のX座標X2-1は入力画像上のX座標Xe=X1-1に変換され、変換後画像上のY座標Ye=Y2-1は入力画像上のY座標Y1-1に変換される。従って、例えば、変換後画像上の原点(0,0)に対応する基準点P0の入力画像上の座標は原点(0,0)となり、計算誤差が無ければ変換後画像上の終点(X2-1,Y2-1)に対応する基準点P0の入力画像上の座標は終点(X1-1,Y1-1)となる。尚、整数化等による計算誤差は入力画像IM1のサイズ(X1,Y1)と解像度変換の倍率により異なるため、変換後画像上の終点(X2-1,Y2-1)に対応する基準点P0の入力画像上の座標にばらつきが生じる。
【0043】
図14に示す線形対応関係902は、(s2,s1)=(0,0)と(s2,s1)=(S2,S1)とを直線で結んだ対応関係である。ここで、変換後画像上の座標S2は変換後画像の外にあり、入力画像上の座標S1は入力画像の外にある。線形対応関係902は、以下の式で表される。
s1=(S1/S2)×s2 …(4)
以上より、変換後画像上のX座標0は入力画像上のX座標0に変換され、変換後画像上のY座標0は入力画像上のY座標0に変換される。また、整数化等による計算誤差が生じなければ、変換後画像上のX座標X2-1は入力画像上のX座標(S1/S2)×(X1-1)に変換され、変換後画像上のY座標Y2-1は入力画像上のY座標(S1/S2)×(Y1-1)に変換される。従って、例えば、変換後画像上の原点(0,0)に対応する基準点P0の入力画像上の座標は原点(0,0)となり、計算誤差が無ければ変換後画像上の終点(X2-1,Y2-1)に対応する基準点P0の入力画像上の座標は((S1/S2)×(X1-1),(S1/S2)×(Y1-1))となる。変換後画像上の終点(X2-1,Y2-1)に対応する基準点P0の入力画像上の座標には、ばらつきが生じる。
【0044】
バイキュービック法による補間演算において、基準点P0が入力画像の画素の位置に合っている場合、変換後画像において基準点P0に対応する画素の画素値は、入力画像において基準点P0の位置にある画素の画素値となる。例えば、線形対応関係901に従って基準点P0の座標が計算され、変換後画像における原点(0,0)及び終点(X2-1,Y2-1)に対応する基準点P0が入力画像の画素の位置となる場合を想定する。この場合、変換後画像において縁部に存在する画素の色味は、入力画像において縁部に存在する画素の色味が強く現れる。ここで、
図15に例示するように、入力画像IM1がX方向及びY方向において対称性を有する縦縞模様のストライプ画像である場合を想定する。この場合、変換後画像IM2においてY方向に沿った2辺に存在する第二画素PX2の色味は、入力画像IM1においてY方向に沿った2辺に存在する第一画素PX1の色味が強く現れる。その結果、変換後画像IM2においてY方向に沿った2辺に存在する第二画素PX2と内側に存在する第二画素PX2とで色味に違いが生じる。入力画像IM1においてY方向に沿った2辺に存在する第一画素PX1が濃色である場合、変換後画像IM2においてY方向に沿った2辺に存在する第二画素PX2の濃さは、入力画像IM1においてY方向に沿った2辺に存在する第一画素PX1の濃さが強く現れる。
特に、
図15の下部に示すように変換後画像IM2同士を隣り合わせて繰り返し配列したテキスタイルパターンといったタイリングパターンTP1が媒体ME1に形成される場合、タイリングパターンTP1において変換後画像IM2同士の繋ぎ目の色味、例えば、濃さが目立つ。むろん、
図15に示すような変換後画像IM2同士をY方向においても隣り合わせて繰り返し配列したタイリングパターンが形成されてもよい。図示していないが、入力画像IM1がX方向及びY方向において対称性を有する横縞模様のストライプ画像である場合も同様の色味の違いが生じ、Y方向において変換後画像IM2同士を隣り合わせて繰り返し配列したタイリングパターンにおいて、変換後画像IM2同士の繋ぎ目の色味、例えば、濃さが目立つ。
【0045】
また、変換後画像上の終点(X2-1,Y2-1)に対応する基準点P0の入力画像上の座標にばらつきが生じる場合も、変換後画像における原点(0,0)に対応する基準点P0は入力画像の画素の位置となる。この場合、変換後画像において原点を通る2辺に存在する画素の色味は、入力画像において原点を通る2辺に存在する画素の色味が強く現れる。入力画像IM1が縦縞模様のストライプ画像である場合、
図16に例示するように、変換後画像IM2においてX座標が0である辺に存在する第二画素PX2の色味は、入力画像IM1においてX座標が0である辺に存在する第一画素PX1の色味が強く現れる。その結果、変換後画像IM2においてX座標が0である辺に存在する第二画素PX2と内側に存在する第二画素PX2とで色味に違いが生じる。変換後画像IM2においてX座標が最大値である辺に存在する第二画素PX2の色味は、入力画像IM1のサイズ(X1,Y1)と解像度変換の倍率に応じて変わってしまう。
特に、
図16の下部に示すように変換後画像IM2同士を隣り合わせて繰り返し配列したタイリングパターンTP1が媒体ME1に形成される場合、タイリングパターンTP1において変換後画像IM2同士の繋ぎ目の色味、例えば、濃さが目立つ。図示していないが、入力画像IM1が横縞模様のストライプ画像である場合も同様の色味の違いが生じ、Y方向において変換後画像IM2同士を隣り合わせて繰り返し配列したタイリングパターンにおいて、変換後画像IM2同士の繋ぎ目の色味、例えば、濃さが目立つ。
【0046】
本具体例の基準点決定部U1は、
図14に示す線形対応関係901を基準として、変換後画像IM2の原点及び終点に対応する基準点P0の座標(u,v)については1画素未満の範囲で入力画像IM1の内側にシフトした座標に決定することにしている。
図4は、画素数を減らす解像度変換において変換後画像IM2上の座標s2から入力画像IM1上の座標s1を換算する例を模式的に示している。以下、
図2も参照して説明する。座標の換算は、X座標とY座標のそれぞれについて行われる。従って、変換後画像IM2上のX座標は基準点P0のX座標uに換算され、変換後画像IM2上のY座標は基準点P0のY座標vに換算される。
【0047】
線形対応関係901は、上記式(3)に示すように、s1={(S1-1)/(S2-1)}×s2で表される。X座標に着目すると、線形対応関係901は、第一始端画素PX1s及び第二始端画素PX2sのX方向における座標を原点0として第二終端画素PX2eのX方向における座標X2-1を第一終端画素PX1eのX方向における座標Xe=X1-1に割り当てる直線的な対応関係である。Y座標に着目すると、線形対応関係901は、第一始端画素PX1s及び第二始端画素PX2sのY方向における座標を原点0として第二終端画素PX2eのY方向における座標を第一終端画素PX1eのY方向における座標Yeに割り当てる直線的な対応関係である。
本具体例の基準点決定部U1は、オフセット量αを0<α<1として、第二始端画素PX2s及び第二終端画素PX2eについての基準点P0の座標0を入力画像IM1のα画素分、第一始端画素PX1s及び第一終端画素PX1eよりも入力画像IM1の内側にシフトした座標に決定することにしている。X座標に着目すると、基準点決定部U1は、第二始端画素PX2sについての基準点P0のX座標0をX方向において入力画像IM1のα画素分、第一始端画素PX1sよりも入力画像IM1の内側にシフトした座標αに決定する。また、基準点決定部U1は、第二終端画素PX2eについての基準点P0のX座標XeをX方向において入力画像IM1のα画素分、第一終端画素PX1eよりも入力画像IM1の内側にシフトした座標Xe-αに決定する。Y座標に着目すると、基準点決定部U1は、基準点決定部U1は、第二始端画素PX2sについての基準点P0のY座標0をY方向において入力画像IM1のα画素分、第一始端画素PX1sよりも入力画像IM1の内側にシフトした座標αに決定する。また、基準点決定部U1は、第二終端画素PX2eについての基準点P0のY座標YeをY方向において入力画像IM1のα画素分、第一終端画素PX1eよりも入力画像IM1の内側にシフトした座標Ye-αに決定する。
【0048】
線形対応関係901にオフセット量αを加味した対応関係401は、以下の式で表される。
s1={(S1-1-2α)/(S2-1)}×s2+α …(5)
計算は、第二始端画素PX2s及び第二終端画素PX2eについての基準点P0の座標が入力画像IM1に含まれる第一画素PX1の座標と一致しないように、例えば、浮動小数点数又は固定小数点数で行われる。
【0049】
上記対応関係401は、X座標に着目すると、以下の式で表される。
u={(X1-1-2α)/(X2-1)}×u2+α …(6)
ただし、X座標u2は、変換後画像IM2に合わせられたX-Y座標平面における注目画素PX2tのX座標である。入力画像IM1がX方向において対称性を有する場合、上記式(6)が適用されることにより、変換後画像IM2もX方向において対称性を有する。
Y座標に着目すると、上記対応関係401は、以下の式で表される。
v={(Y1-1-2α)/(Y2-1)}×v2+α …(7)
ただし、Y座標v2は、変換後画像IM2に合わせられたX-Y座標平面における注目画素PX2tのY座標である。入力画像IM1がY方向において対称性を有する場合、上記式(7)が適用されることにより、変換後画像IM2もY方向において対称性を有する。
【0050】
ここで、線形対応関係901を基準として基準点P0が入力画像IM1の内側へシフトしている大きさをシフト量とする。
図4に示す対応関係401を表す上記式(6)は、X方向において、第二画素PX2が第二始端画素PX2sと第二終端画素PX2eとの中間位置IPに近いほど第二画素PX2におけるシフト量が少なくなるような線形対応関係を表している。基準点決定部U1は、上記式(6)を用いて基準点P0のX座標を決定する。従って、基準点決定部U1は、X方向において、中間位置IPに近いほど第二画素PX2におけるシフト量が少なくなるように、第二始端画素PX2s、介在画素PX2b、及び、第二終端画素PX2eについての基準点P0のX座標を決定することになる。このことから、基準点決定部U1は、介在画素PX2bにおけるシフト量βが第二始端画素PX2s及び第二終端画素PX2eにおけるオフセット量αよりも小さくなるように、介在画素PX2bについての基準点P0のX方向における座標を決定することになる。
また、
図4に示す対応関係401を表す上記式(7)は、Y方向において、第二画素PX2が第二始端画素PX2sと第二終端画素PX2eとの中間位置IPに近いほど第二画素PX2におけるシフト量が少なくなるような線形対応関係を表している。基準点決定部U1は、上記式(7)を用いて基準点P0のY座標を決定する。従って、基準点決定部U1は、Y方向において、中間位置IPに近いほど第二画素PX2におけるシフト量が少なくなるように、第二始端画素PX2s、介在画素PX2b、及び、第二終端画素PX2eについての基準点P0のY座標を決定することになる。このことから、基準点決定部U1は、介在画素PX2bにおけるシフト量βが第二始端画素PX2s及び第二終端画素PX2eにおけるオフセット量αよりも小さくなるように、介在画素PX2bについての基準点P0のY方向における座標を決定することになる。
【0051】
図4には、画素数を減らす解像度変換に使用されるオフセット量αとして、オフセット量α1が示されている。オフセット量α1は、0.5が好ましい。α1=0.5である場合、基準点決定部U1は、複数の第二画素PX2のうちX,Y方向の両端に存在する第二画素についての基準点P0のX,Y方向における座標を入力画像IM1の0.5画素分、第一方向端部座標Xs,Xeよりも入力画像IM1の内側にシフトした座標に決定する。以下、
図5を参照して、α1=0.5が好ましい理由を説明する。
図5は、画素数を減らす解像度変換において変換後画像IM2の角部にある第二画素PX2についての基準点P0及び参照点G0を模式的に例示している。
【0052】
例えば、変換後画像IM2において原点(0,0)にある注目画素PX2tについての基準点P0の座標(u,v)は、(α1,α1)となる。α1=0.5である場合、16個の参照点G0のうち重みが大きい参照点は、(0,0)、(0,1)、(1,0)、及び、(1,1)に存在する4個の参照点である。これにより、注目画素PX2tの色は、当該4点の参照点の色を平均した色に近い色となり、入力画像IM1において原点(0,0)にある第一画素PX1の色に限定されない。変換後画像IM2において終点(X2-1,Y2-1)にある第二画素PX2についての基準点P0の座標(u,v)は、(Xe-α1,Ye-α1)となる。α1=0.5である場合、16個の参照点G0のうち重みが大きい参照点は、(Xe,Ye)、(Xe,Ye-1)、(Xe-1,Ye)、及び、(Xe-1,Ye-1)に存在する4個の参照点である。これにより、変換後画像IM2において終点にある第二画素PX2の色は、当該4点の参照点の色を平均した色に近い色となり、入力画像IM1において終点(Xe,Ye)にある第一画素PX1の色に限定されない。
変換後画像IM2において(0,Y2-1)や(X2-1,0)にある第二画素PX2についても、同様のことがいえる。
【0053】
変換後画像IM2に合わせられたX-Y座標平面においてX座標が0である介在画素PX2bの色は、入力画像IM1に合わせられたX-Y座標平面においてX座標が0である介在画素PX1bの色とX座標が1である介在画素PX1bの色とを平均した色に近い色となる。変換後画像IM2に合わせられたX-Y座標平面においてX座標がX2-1である介在画素PX2bの色は、入力画像IM1に合わせられたX-Y座標平面においてX座標がXeである介在画素PX1bの色とX座標がXe-1である介在画素PX1bの色とを平均した色に近い色となる。
変換後画像IM2に合わせられたX-Y座標平面においてY座標が0である介在画素PX2bの色は、入力画像IM1に合わせられたX-Y座標平面においてY座標が0である介在画素PX1bの色とY座標が1である介在画素PX1bの色とを平均した色に近い色となる。変換後画像IM2に合わせられたX-Y座標平面においてY座標がY2-1である介在画素PX2bの色は、入力画像IM1に合わせられたX-Y座標平面においてX座標がYeである介在画素PX1bの色とY座標がYe-1である介在画素PX1bの色とを平均した色に近い色となる。
【0054】
以上より、変換後画像IM2の4辺に存在する第二画素PX2において、入力画像IM1の4辺、及び、1画素分内側に存在する第一画素PX1の色味が強く現れることが回避される。従って、α1=0.5であることにより、高画質の縮小画像が得られる。また、X方向の両端部の基準点P0に同一のオフセット量α1が適用されることにより、X方向において、入力画像IM1の各第一画素PX1の色が対称性を有する場合、対称性を有する高画質の変換後画像IM2が得られる。Y方向の両端部の基準点P0に同一のオフセット量α1が適用されることにより、Y方向において、入力画像IM1の各第一画素PX1の色が対称性を有する場合、対称性を有する高画質の変換後画像IM2が得られる。
【0055】
図6は、X方向及びY方向において対称性を有する縦縞模様のストライプ画像である入力画像IM1を縮小してからタイリングパターンTP1を形成する様子を模式的に例示している。
図6に示すように、変換後画像IM2においてY方向に沿った2辺に存在する第二画素PX2の色味は、入力画像IM1においてY方向に沿った2辺に存在する第一画素PX1の色味の強さが抑えられている。その結果、変換後画像IM2においてY方向に沿った2辺に存在する第二画素PX2と内側に存在する第二画素PX2との色味に違いが抑制される。
図6に示すように入力画像IM1においてY方向に沿った2辺に存在する第一画素PX1が濃色である場合、変換後画像IM2においてY方向に沿った2辺に存在する第二画素PX2の濃さが抑えられる。入力画像IM1がX方向及びY方向において対称性を有する横縞模様のストライプ画像である場合も、同様のことがいえる。従って、本具体例の解像度変換は、変換後の画像内の色味をより調和させることができる。
【0056】
以上より、
図6の下部に示すように変換後画像IM2同士を隣り合わせて繰り返し配列したテキスタイルパターンといったタイリングパターンTP1が媒体ME1に形成される場合、タイリングパターンTP1において変換後画像IM2同士の繋ぎ目の色味は、目立たない。
【0057】
図7は、画素数を増やす解像度変換において変換後画像IM2上の座標s2から入力画像IM1上の座標s1を換算する例を模式的に示している。以下、
図2も参照して説明する。座標の換算は、X座標とY座標のそれぞれについて行われる。
図7には、画素数を増やす解像度変換に使用されるオフセット量αとして、オフセット量α2が示されている。
線形対応関係901にオフセット量α2を加味した対応関係402は、以下の式で表される。
s1={(S1-1-2α2)/(S2-1)}×s2+α2 …(8)
X座標に着目すると、対応関係402は、以下の式で表される。
u={(X1-1-2α2)/(X2-1)}×u2+α2 …(9)
Y座標に着目すると、対応関係402は、以下の式で表される。
v={(Y1-1-2α2)/(Y2-1)}×v2+α2 …(10)
【0058】
図7に示す対応関係402を表す上記式(9)は、X方向において、第二画素PX2が第二始端画素PX2sと第二終端画素PX2eとの中間位置IPに近いほど第二画素PX2におけるシフト量が少なくなるような線形対応関係を表している。基準点決定部U1は、X方向において、中間位置IPに近いほど第二画素PX2におけるシフト量が少なくなるように、第二始端画素PX2s、介在画素PX2b、及び、第二終端画素PX2eについての基準点P0のX座標を決定することになる。このことから、基準点決定部U1は、介在画素PX2bにおけるシフト量βが第二始端画素PX2s及び第二終端画素PX2eにおけるオフセット量α2よりも小さくなるように、介在画素PX2bについての基準点P0のX方向における座標を決定することになる。同様に、基準点決定部U1は、介在画素PX2bにおけるシフト量βが第二始端画素PX2s及び第二終端画素PX2eにおけるオフセット量α2よりも小さくなるように、介在画素PX2bについての基準点P0のY方向における座標を決定することになる。
【0059】
画素数増加時のオフセット量α2は、画素数減少時のオフセット量α1よりも小さい方が好ましく、0<α2<0.5が好ましい。
図7には、α2=0.125である場合の対応関係402が示されている。0<α2<0.5である場合、基準点決定部U1は、複数の第二画素PX2のうちX,Y方向の両端に存在する第二画素についての基準点P0のX,Y方向における座標を、0よりも大きく入力画像IM1の0.5画素分よりも小さい範囲で第一方向端部座標Xs,Xeよりも入力画像IM1の内側にシフトした座標に決定する。以下、
図8を参照して、0<α2<0.5が好ましい理由を説明する。
図8は、画素数を増やす解像度変換において変換後画像IM2の角部にある第二画素PX2についての基準点P0及び参照点G0を模式的に例示している。
【0060】
例えば、変換後画像IM2において原点(0,0)にある第二画素PX2についての基準点P0の座標(u,v)は、(α2,α2)となる。解像度変換において画素数が増える場合、各第二画素PX2についての基準点P0の間隔が入力画像IM1における第一画素PX1同士の間隔よりも狭くなる。仮に、オフセット量α2を0.5にすると、原点にある第二画素PX2の色は、(0,0)、(0,1)、(1,0)、及び、(1,1)に存在する4個の参照点G0の色を平均した色に近い色となり、入力画像IM1の原点(0,0)にある第一画素PX1の色から乖離した色となる。オフセット量α2を0.5よりも小さくすることにより、原点にある第二画素PX2についての基準点P0の座標(u,v)が原点(0,0)に近くなり、変換後画像IM2の端部の色が拡大前の入力画像IM1の端部の色に近付く。ただ、オフセット量α2を0にしてしまうと、原点にある第二画素PX2の色は、原点(0,0)にある第一画素PX1の色に限定され、目立ってしまう。そこで、オフセット量α2は、0よりも大きく0.5よりも小さくしている。
変換後画像IM2において終点(X2-1,Y2-1)や(0,Y2-1)や(X2-1,0)にある第二画素PX2についても、同様のことがいえる。
【0061】
変換後画像IM2に合わせられたX-Y座標平面においてX座標が0である介在画素PX2bの色は、拡大前の入力画像IM1に合わせられたX-Y座標平面においてX座標が0である第一画素PX1の色に近い色となる。オフセット量α2は0よりも大きいので、X座標が0である介在画素PX2bの色は、目立たない。X座標がX2-1である介在画素PX2bや、Y座標が0やY2-1である介在画素PX2bについても、同様のことがいえる。
従って、0<α2<0.5であることにより、高画質の拡大画像を得ることができる。
【0062】
上述したように、入力画像IM1の解像度変換の倍率は、X方向とY方向とで異なっていてもよい。例えば、X方向において画素数を減らしてY方向において画素数を増やす場合、基準点決定部U1は、X方向についてはオフセット量αをα1にして上記式(6)を適用し、Y方向についてはオフセット量αがα2である上記式(10)を適用してもよい。X方向において画素数を変えずにY方向において画素数を変える場合、基準点決定部U1は、X方向については基準点P0の座標(u,v)を第一画素PX1の座標に合わせ、Y方向についてはオフセット量αをα1にして上記式(7)を適用するか、又は、オフセット量αがα2である上記式(10)を適用してもよい。
【0063】
(3)タイリングパターン出力処理の具体例:
図9は、入力画像IM1からタイリングパターンTP1を出力するタイリングパターン出力処理を模式的に例示している。以下、
図1~8も参照して、タイリングパターン出力処理を説明する。
本具体例のタイリングパターン出力処理は、
図1に示すホスト装置100で行われる。タイリングパターン出力処理は、タイリングパターンTP1をプリンター200に印刷させるためのユーザー操作をホスト装置100が入力装置115において受け付けた時に開始する。ここで、ステップS104~S110は、基準点決定工程ST1、基準点決定部U1、及び、基準点決定機能FU1に対応している。ステップS112~S114は、補間工程ST2、補間部U2、及び、補間機能FU2に対応している。ステップS118は、色変換工程ST3、色変換部U3、及び、色変換機能FU3に対応している。ステップS120は、ハーフトーン処理工程ST4、ハーフトーン処理部U4、及び、ハーフトーン処理機能FU4に対応している。ステップS122は、タイリング工程ST5、タイリング部U5、及び、タイリング機能FU5に対応している。以下、「ステップ」の記載を省略し、括弧内にステップの符号を示すことがある。
【0064】
タイリングパターン出力処理が開始すると、ホスト装置100は、解像度変換前後の画像サイズを取得する(S102)。
図2に示すように、画像サイズには、入力画像IM1のX方向における画素数X1、入力画像IM1のY方向における画素数Y1、変換後画像IM2のX方向における画素数X2、及び、変換後画像IM2のY方向における画素数Y2が含まれる。尚、入力画像IM1の表色系がRGBである場合、各第一画素PX1の画素値はR値、G値、及び、B値の組合せである。
【0065】
次に、ホスト装置100は、X方向におけるオフセット量αを設定する(S104)。X2<X1である場合、解像度を低くするため画素数を減らす解像度変換が行われるので、縮小時のオフセット量α1(
図4参照)が設定される。X2>X1である場合、解像度を高くするため画素数を増やす解像度変換が行われるので、拡大時のオフセット量α2(
図7参照)が設定される。上述したように、α2<α1である。尚、X2=X1である場合、解像度変換が行われないので、α=0が設定されてもよい。
また、ホスト装置100は、Y方向におけるオフセット量αを設定する(S106)。Y2<Y1である場合、画素数を減らす解像度変換が行われるので、縮小時のオフセット量α1が設定される。Y2>Y1である場合、画素数を増やす解像度変換が行われるので、拡大時のオフセット量α2が設定される。尚、Y2=Y1である場合、解像度変換が行われないので、α=0が設定されてもよい。
【0066】
オフセット量αの設定後、ホスト装置100は、変換後画像IM2となる複数の第二画素PX2の中から注目画素PX2tを設定する(S108)。この処理は、注目画素PX2tの座標(u2,v2)を設定する処理とすることができる。
【0067】
次いで、ホスト装置100は、上記式(5)を用いて基準点P0の座標(u,v)を決定する(S110)。ホスト装置100は、X座標について解像度変換を行う場合、上記式(6)すなわちu={(X1-1-2α)/(X2-1)}×u2+αを用いて基準点P0のX座標uを算出する。ホスト装置100は、Y座標について解像度変換を行う場合、上記式(7)すなわちv={(Y1-1-2α)/(Y2-1)}×v2+αを用いて基準点P0のY座標vを算出する。むろん、画素数を減らす解像度変換が行われる場合はα=α1であり、画素数を増やす解像度変換が行われる場合はα=α2である。
以上のようにして、基準点決定部U1は、第二画素PX2がX,Y方向において第二始端画素PX2sと第二終端画素PX2eとの中間位置IPに近いほど第二画素PX2におけるシフト量(α又はβ)が少なくなるように、注目画素PX2tについての基準点P0のX,Y座標を決定する。
【0068】
次いで、ホスト装置100は、入力画像IM1に含まれる複数の第一画素PX1のうち基準点P0を基準とした4×4個の参照点G0の画素値p11~p44(
図3参照)を取得する(S112)。各参照点G0は、基準点P0を基準として、バイキュービック法による補間演算に使用される所定範囲AR1にある。入力画像IM1の表色系がRGBである場合、ホスト装置100は、R値、G値、及び、B値のそれぞれについて画素値p11~p44を取得する。
次いで、ホスト装置100は、画素値p11~p44を用いてバイキュービック法による補間演算を行うことにより注目画素PX2tの画素値pを算出する(S114)。入力画像IM1の表色系がRGBである場合、ホスト装置100は、R値、G値、及び、B値のそれぞれについて画素値pを算出する。
【0069】
以上のようにして、補間部U2は、複数の第一画素PX1のうち基準点P0を基準とした所定範囲AR1にある複数の参照画素PX3の画素値に基づいて第二画素PX2の画素値pを決定する。
【0070】
画素値pの決定後、ホスト装置100は、画素値pを決定していない未処理の第二画素PX2が有るか否かに応じて処理を分岐させる(S116)。未処理の第二画素PX2が有る場合、ホスト装置100は、S108~S116の処理を繰り返す。これにより、変換後画像IM2となる全ての第二画素PX2に画素値pが決定される。全ての第二画素PX2に画素値pを有する変換後画像IM2が生成されると、ホスト装置100は、処理をS118に進める。
【0071】
S118において、ホスト装置100は、変換後画像IM2を、C、M、Y、及び、Kの例えば28階調の整数値を有するインク量データに変換する色変換処理を行う。S118の色変換処理は、例えば、R、G、及び、Bの各階調値とC、M、Y、及び、Kの各階調値との対応関係が規定された色変換ルックアップを参照しながら各第二画素PX2のR値、G値、及び、B値をインク量データに変換する処理とすることができる。
【0072】
次いで、ホスト装置100は、インク量データを構成する各画素の階調値に対して所定のハーフトーン処理を行うことにより前記階調値の階調数を減らし、ハーフトーンデータを生成する(S120)。ハーフトーン処理には、ディザ法によるハーフトーン処理、誤差拡散法によるハーフトーン処理、濃度パターン法によるハーフトーン処理、等を用いることができる。ハーフトーンデータは、画素の単位でドットの形成状態を表し、ドットの形成有無を表す2値データでもよいし、小中大の各ドットといった異なるサイズのドットに対応可能な3階調以上の多値データでもよい。
【0073】
次いで、ホスト装置100は、ハーフトーンデータ同士をX,Y方向へ隣り合わせて繰り返し配列したタイリングパターンデータを生成するタイリング処理を行う(S122)。タイリングパターンデータは、印刷画像IM3として変換後画像IM2同士をX,Y方向へ隣り合わせて繰り返し配列したタイリングパターンTP1を媒体ME1に形成させるデータである。
【0074】
その後、ホスト装置100は、タイリングパターンデータをプリンター200に送信することにより、
図6に示すようなタイリングパターンTP1をプリンター200に印刷させ(S124)、タイリングパターン出力処理を終了させる。タイリングパターンデータを受信したプリンター200は、タイリングパターンデータに基づいてタイリングパターンTP1が媒体ME1に形成されるように印刷ヘッド220からインク滴を吐出させる。
以上のようにして、色変換部U3とハーフトーン処理部U4とタイリング部U5を含む制御部U10は、タイリングパターンTP1が媒体ME1に形成されるように印刷ヘッド220からのインクの吐出を制御する。
【0075】
尚、プリンター200がタイリング処理を実行可能である場合、ホスト装置100はハーフトーンデータをプリンター200に送信し、ハーフトーンデータを受信したプリンター200がタイリング処理を行ってもよい。プリンター200がハーフトーン処理も実行可能である場合、ホスト装置100はインク量データをプリンター200に送信し、インク量データを受信したプリンター200がハーフトーン処理を行ってもよい。プリンター200が色変換処理も実行可能である場合、ホスト装置100は変換後画像IM2をプリンター200に送信し、変換後画像IM2を受信したプリンター200が色変換処理を行ってもよい。
【0076】
各変換後画像IM2の縁部に着目すると、第二始端画素PX2s及び第二終端画素PX2e(
図2参照)の基準点P0のX,Y方向における座標は、0<α<1であるオフセット量αの画素分、入力画像IM1の端部の座標よりも入力画像IM1の内側にシフトした座標となる。これにより、第二始端画素PX2s及び第二終端画素PX2eにおいて入力画像IM1の端部に存在する第一画素PX1の色味が強く現れることが回避される。従って、本具体例の画像処理は、解像度変換後の画像内の色味をより調和させることが可能となる。
【0077】
タイリングパターンTP1に着目すると、第二始端画素PX2s及び第二終端画素PX2eにおいて入力画像IM1の端部に存在する第一画素PX1の色味が強く現れることが回避されるので、タイリングパターンTP1において変換後画像IM2同士の繋ぎ目が目立つことが回避される。従って、本具体例は、良好な画質のタイリングパターンTP1を印刷することができる。特に、タイリングパターンTP1がX方向とY方向の少なくとも一方において対称性のあるパターン模様が変換後画像IM2として繰り返されるテキスタイルパターンである場合、各変換後画像IM2は対称性を有する。これにより、タイリングパターンTP1において変換後画像IM2同士の繋ぎ目の色味が合い、良好な画質のタイリングパターンTP1が媒体ME1に形成される。
【0078】
尚、変換後画像IM2のX方向における第二始端画素PX2s及び第二終端画素PX2eが同じ画素値となるための条件は、以下の通りである。
X座標Xs=0及びX座標Xeの第一画素PX1が全て同じ画素値(q1とする。)を有し、X座標Xs+1及びX座標Xe-1の第一画素PX1が全て同じ画素値(q2とする。)を有し、X座標Xs+2及びX座標Xe-2の第一画素PX1が全て同じ画素値(q3とする。)を有すること。
第二始端画素PX2s及び第二終端画素PX2eの画素値は、q1になるとは限らず、例えば、q1<q2且つq1<q3であればq1よりも大きくなる。
【0079】
変換後画像IM2のY方向における第二始端画素PX2s及び第二終端画素PX2eが同じ画素値となるための条件は、以下の通りである。
Y座標Ys=0及びY座標Yeの第一画素PX1が全て同じ画素値(q1とする。)を有し、Y座標Ys+1及びY座標Ye-1の第一画素PX1が全て同じ画素値(q2とする。)を有し、Y座標Ys+2及びY座標Ye-2の第一画素PX1が全て同じ画素値(q3とする。)を有すること。
同様に、第二始端画素PX2s及び第二終端画素PX2eの画素値は、q1になるとは限らず、例えば、q1<q2且つq1<q3であればq1よりも大きくなる。
【0080】
以上より、画像処理装置U0は、上記条件を満たす入力画像IM1の解像度を、第二始端画素PX2sと第二終端画素PX2eとが同じ画素値となるように変換することにより、変換後画像IM2を取得する。
【0081】
(4)様々な適用例:
図10は、1画素線のストライプ画像である入力画像IM1からタイリングパターンTP1を形成する適用例を模式的に示している。
図10に示す入力画像IM1は、X1=Y1=13画素の画像サイズを有し、Y座標が偶数である第一画素PX1の画素値が全てブラックを示す階調値であり、Y座標が奇数である第一画素PX1の画素値が全てホワイトを示す階調値である。入力画像IM1の表色系がRGBである場合、Y座標が偶数である第一画素PX1の画素値(R値、G値、及び、B値)は例えば0であり、Y座標が奇数である第一画素PX1の画素値(R値、G値、及び、B値)は例えば255である。
図10に示す入力画像IM1は、X方向に沿ったブラックの1画素線と、X方向に沿ったホワイトの1画素線と、がY方向へ交互に配置された横縞模様のストライプ画像である。従って、入力画像IM1は、X方向及びY方向において対称性を有する。
図10に示す変換後画像IM2は、X2=Y2=3画素の画像サイズを有する。
【0082】
図10に示すように、変換後画像IM2においてY座標Ys=0及びY座標Ye=2の第二画素PX2は、入力画像IM1においてブラックの1画素線とホワイトの1画素線との間の色となり、全て同じ色となる。オフセット量α1が0.5である場合、変換後画像IM2においてY座標Ys=0及びY座標Ye=2の第二画素PX2は、入力画像IM1においてブラックの1画素線とホワイトの1画素線との中間の色に近い色となる。変換後画像IM2においてY座標1の第二画素PX2は、全て同じ色であり、Y座標Ys=0及びY座標Ye=2の第二画素PX2よりも濃い色である。従って、変換後画像IM2は、X方向に沿った比較的淡い1画素線と、X方向に沿った比較的濃い1画素線と、がY方向へ交互に配置された横縞模様のストライプ画像であり、X方向及びY方向において対称性を有する。変換後画像IM2同士をX,Y方向へ隣り合わせて繰り返し配列したテキスタイルパターンであるタイリングパターンTP1において、変換後画像IM2同士の繋ぎ目の色味は目立たない。
入力画像IM1が1画素線の縦縞模様のストライプ画像である場合も、同様のことがいえる。
【0083】
尚、
図14に示す線形対応関係901,902を表す上記式(3),(4)を用いて解像度変換を行う場合、変換後画像IM2において、Y座標Ys=0の第二画素PX2とY座標Ye=2の第二画素PX2とが異なる濃さになることがある。
【0084】
図11は、
図4に示す対応関係401を表す上記式(5)にオフセット量α1=0.5を適用した場合に1画素線のストライプ画像である入力画像IM1から形成された変換後画像IM2の4つの例を模式的に示している。
図11に示す4つの例において、入力画像IM1は、全て、Y座標が偶数である第一画素PX1の画素値(R値、G値、及び、B値)が全てブラックを示す階調値0であり、Y座標が奇数である第一画素PX1の画素値(R値、G値、及び、B値)が全てホワイトを示す階調値255である。入力画像IM1の画像サイズは、上から順に、X1=Y1=1000画素、X1=Y1=1001画素、X1=Y1=1002画素、及び、X1=Y1=1003画素である。各変換後画像IM2は、X,Y両方向ともに変換倍率0.25で入力画像IM1の画素数を減らす解像度変換を行うことにより得られた画像である。X1=Y1=1000画素及びX1=Y1=1001画素の入力画像IM1からはX2=Y2=250画素の変換後画像IM2が得られ、X1=Y1=1002画素及びX1=Y1=1003画素の入力画像IM1からはX2=Y2=251画素の変換後画像IM2が得られた。各変換後画像IM2の右側のグラフは、変換後画像IM2に合わせられたX-Y座標平面におけるY座標に対する第二画素PX2の画素値(R値、G値、及び、B値)を示している。各グラフにおいて、横軸は第二画素PX2のY方向における位置を示すY座標であり、縦軸は第二画素PX2の画素値である。
【0085】
図11に示すように、入力画像IM1の画像サイズに応じて、変換後画像IM2の画素値の変化に対応するモアレが変換後画像IM2に生じている。ただ、いずれの変換後画像IM2も、Y方向において両端の画素値が揃っており、Y方向において両端の濃さが揃っている。
【0086】
図12は、
図14に示す線形対応関係901を表す上記式(3)を用いて解像度変換を行う比較例において、1画素線のストライプ画像である入力画像IM1から形成された変換後画像IM2の4つの例を模式的に示している。
図13は、
図14に示す線形対応関係902を表す上記式(4)を用いて解像度変換を行う比較例において、1画素線のストライプ画像である入力画像IM1から形成された変換後画像IM2の4つの例を模式的に示している。
図12,13に示す各4つの入力画像IM1は、
図11に示す例における4つの入力画像IM1と同じである。X,Y方向における変換倍率は、
図11に示す例と同じ0.25である。得られた変換後画像IM2の画像サイズは、
図11に示す例と同じである。各変換後画像IM2の右側のグラフは、変換後画像IM2に合わせられたX-Y座標平面におけるY座標に対する第二画素PX2の画素値(R値、G値、及び、B値)を示している。
【0087】
図12に示すように入力画像IM1の画像サイズに応じて変換後画像IM2の画素値の変化に対応するモアレが変換後画像IM2に生じているが、
図12に示すモアレは、
図11に示すモアレとは異なる。
図12に示す比較例では整数化等による計算誤差が生じることがあり、
図12に示す変換後画像IM2のY方向における両端の濃さは、揃っている場合もあれば、揃っていない場合もある。
図13に示す変換後画像IM2において、入力画像IM1の画像サイズがX1=Y1=1000画素である場合にはモアレが生じておらず、入力画像IM1の画像サイズが他のサイズである場合には入力画像IM1の画像サイズに応じて異なるモアレが生じている。
図13に示すモアレは、
図11に示すモアレとは異なる。
図13に示す変換後画像IM2のY方向における両端の濃さは、揃っている場合もあれば、揃っていない場合もある。
【0088】
図11~13に示すように、本具体例の画像処理は、解像度変換の変換倍率や、変換後画像IM2の画像サイズによらず、色味の調和がとれた変換後画像IM2を生成することができる。
【0089】
(5)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、基準点決定部U1及び補間部U2は、プリンター200に設けられてもよい。従って、
図9に示すタイリングパターン出力処理は、プリンター200が行ってもよい。
タイリングパターン出力処理を行う主体は、CPUに限定されず、ASIC等といったCPU以外の電子部品でもよい。ここで、ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略称である。むろん、複数のCPUが協働してタイリングパターン出力処理を行ってもよいし、CPUと他の電子部品(例えばASIC)とが協働してタイリングパターン出力処理を行ってもよい。
【0090】
タイリングパターン出力処理は、順番を入れ替える等、適宜、変更可能である。例えば、タイリングパターン出力処理において、S104の処理とS106の処理とを入れ替えることが可能である。また、S118の色変換処理の直後にインク量データ同士を隣り合わせて繰り返し配列したタイリングパターンインク量データを生成するタイリング処理を行い、タイリングパターンインク量データに対してハーフトーン処理を行うことによりタイリングパターンデータを生成してもよい。さらに、変換後画像IM2が生成された直後に変換後画像IM2同士を隣り合わせて繰り返し配列したタイリングパターン画像を生成するタイリング処理を行い、タイリングパターン画像に対して色変換処理とハーフトーン処理を行うことによりタイリングパターンデータを生成してもよい。
【0091】
入力画像IM1の表色系は、RGBに限定されず、CMY、CMYK、等でもよい。変換後画像IM2の表色系は、入力画像IM1の表色系に合わせられる。
【0092】
線形対応関係901を基準とした基準点P0の入力画像IM1の内側へのシフト量(
図4,7参照)は、変換後画像IM2上の座標に応じて線形的に変化することに限定されない。第二始端画素PX2s及び第二終端画素PX2e(
図2参照)の基準点P0のX,Y方向における座標がオフセット量αの画素分、入力画像IM1の内側にシフトしていれば、解像度変換後の画像内の色味をより調和させる基本的な効果が得られる。従って、
図4,7に示す対応関係401,402は、曲線的な対応関係等に置き換えられてもよい。
【0093】
(6)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、解像度変換後の画像内の色味をより調和させることが可能な技術等を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
【符号の説明】
【0094】
100…ホスト装置、200…プリンター、220…印刷ヘッド、300…座標平面、401,402…対応関係、901…線形対応関係、AR1…所定範囲、D1…第一方向、D2…第二方向、G0…参照点、IM1…入力画像、IM2…変換後画像、IM3…印刷画像、IP…第二始端画素と第二終端画素との中間位置、ME1…媒体、P0…基準点、PX1…第一画素、PX1s…第一始端画素、PX1e…第一終端画素、PX2…第二画素、PX2s…第二始端画素、PX2e…第二終端画素、PX2b…介在画素、PX2t…注目画素、PX3…参照画素、ST1…基準点決定工程、ST2…補間工程、ST3…色変換工程、ST4…ハーフトーン処理工程、ST5…タイリング工程、SY1…印刷システム、TP1…タイリングパターン、U0…画像処理装置、U1…基準点決定部、U2…補間部、U3…色変換部、U4…ハーフトーン処理部、U5…タイリング部、U10…制御部、Xs,Xe…第一方向端部座標、Ys,Ye…第二方向端部座標、α,α1,α2…オフセット量、β…介在画素のシフト量。