(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002932
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】供給糸結合システム
(51)【国際特許分類】
B65H 69/06 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
B65H69/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023094063
(22)【出願日】2023-06-07
(31)【優先権主張番号】LU502347
(32)【優先日】2022-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(71)【出願人】
【識別番号】520171778
【氏名又は名称】ザウラー テクノロジーズ ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Saurer Technologies GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Weeserweg 60, 47804 Krefeld, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルクス シャウエンブアク
(72)【発明者】
【氏名】アルベアト シュティッツ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】繰出しボビンの糸終端部とリザーバボビンの糸始端部とを全自動で互いに結合する供給糸結合システムを提供する。
【解決手段】リザーバボビンの糸始端部を収容する収容ユニットおよび繰出しボビンの糸終端部を収容する収容ユニットと、糸スプライシング装置において糸終端部および糸始端部にそれぞれ結合された糸区分を位置決めする位置決めユニットと、糸始端部および糸終端部を準備し、結合する糸スプライシング装置と、スプライシング工程の開始を引き起こし、スプライシング工程を実施する制御ユニットとを備えている、供給糸結合システムに関する。さらに本発明は、供給糸結合システムを備えたボビンクリール装置、および供給糸結合システムを使用して繰出しボビンの糸終端部をリザーバボビンの糸始端部に結合する方法に関する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰出しボビン(11)の糸終端部(11A)とリザーバボビン(8)の糸始端部(8A)とを、前記繰出しボビン(11)および前記リザーバボビン(8)を収容する隣り合った少なくとも2つのボビン貯蔵箇所(31)を有するボビンクリール装置の領域において結合するための供給糸結合システムであって、該供給糸結合システムが、
-前記リザーバボビン(8)の前記糸始端部(8A)を収容する第1の収容ユニットと、
-前記繰出しボビン(11)の前記糸終端部(11A)を収容する第2の収容ユニットと、
-前記糸始端部(8A)に結合する糸区分を糸スプライシング装置(71)内に位置決めする第1の位置決めユニットと、
-前記糸終端部(11A)に結合する糸区分を前記糸スプライシング装置(71)内に位置決めする第2の位置決めユニットと、
-前記糸始端部(8A)および前記糸終端部(11A)を準備し、かつ互いにスプライシングするように構成されている、前記糸スプライシング装置(71)と、
-前記第1の収容ユニットおよび前記第2の収容ユニット、前記第1の位置決めユニットおよび前記第2の位置決めユニットならびに前記糸スプライシング装置(71)を対応して駆動制御することによりスプライシング工程を実施する制御ユニットと
を有しており、
前記制御ユニットが、前記スプライシング工程の開始を引き起こすように構成されている、供給糸結合システム。
【請求項2】
前記制御ユニットが、入力ユニットに通信可能に接続されており、該入力ユニットを介して、オペレータが、前記スプライシング工程の開始を引き起こす前記制御ユニットへの信号を手動で引き起こす、請求項1記載の供給糸結合システム。
【請求項3】
前記制御ユニットが、前記繰出しボビン(11)上に存在している糸量を求めるための検出ユニットに通信可能に接続されていて、繰出し終わり時点および/または繰出し終わった前記繰出しボビン(11)の交換時点を、求められた前記糸量に基づいて、前記スプライシング工程の開始を引き起こすために規定するように構成されている、請求項1または2記載の供給糸結合システム。
【請求項4】
前記第1の収容ユニットおよび前記第1の位置決めユニットまたは前記第2の収容ユニットおよび前記第2の位置決めユニットが、前記繰出しボビン(11)もしくは前記リザーバボビン(8)に対応配置された、前記糸終端部(11A)もしくは前記糸始端部(8A)を収容する収容位置と、前記糸終端部(11A)もしくは前記糸始端部(8A)を置くための置き位置との間で可動な、特に旋回可能または線形に可動なサクションユニット(73,74)、特にサクション開口を備えたサクション管により形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の供給糸結合システム。
【請求項5】
前記サクションユニット(73,74)が、該サクションユニット(73;74)内における前記糸終端部(11A)もしくは前記糸始端部(8A)の存在および/または不在を検出するセンサユニットを有している、請求項4記載の供給糸結合システム。
【請求項6】
前記サクションユニット(73,74)をサクション空気源に選択的に連結および分離する連結ユニットが設けられている、請求項4または5記載の供給糸結合システム。
【請求項7】
前記サクションユニット(73,74)内に糸を緊締して保持するための緊締装置が設けられている、請求項4から6までのいずれか1項記載の供給糸結合システム。
【請求項8】
前記糸スプライシング装置(71)、前記第1の収容ユニットおよび前記第2の収容ユニットならびに前記第1の位置決めユニットおよび前記第2の位置決めユニットが、1つの共通の支持フレーム(40)に配置されており、該共通の支持フレーム(40)が、特に、ガイドフレームにより描かれる平面内で移動可能に形成されている、請求項1から7までのいずれか1項または複数項記載の供給糸結合システム。
【請求項9】
無人搬送車両(80)が設けられており、該無人搬送車両(80)上に少なくとも前記第1の収容ユニットおよび前記第2の収容ユニット、前記第1の位置決めユニットおよび前記第2の位置決めユニットならびに前記糸スプライシング装置(71)が配置されており、前記無人搬送車両(80)が、実施すべきスプライシング工程の場所に向かって自律式に走行するように構成されている、請求項1から8までのいずれか1項または複数項記載の供給糸結合システム。
【請求項10】
前記無人搬送車両(80)が、ボビンクリール(3)への積み降ろしのためのグリッパユニット(85)を備えた操作ユニット(83)を支持し、前記グリッパユニット(85)が、多次元に可動に形成されている、請求項9記載の供給糸結合システム。
【請求項11】
前記無人搬送車両(80)が、少なくとも2つのボビン貯蔵箇所(31)を備えたボビン貯蔵器(82)を支持しており、一方のボビン貯蔵箇所(31)に、リザーバボビン(8)が装着されていて、他方のボビン貯蔵箇所(31)が空いており、操作ユニット(83)が、グリッパユニット(85)により、前記繰出しボビン(11)を取り出し、かつ空いている前記ボビン貯蔵箇所(31)に位置決めし、かつ前記リザーバボビン(8)を取り出し、かつ取り出された前記繰出しボビン(11)のボビンクリール箇所に位置決めするように構成されている、請求項9または10記載の供給糸結合システム。
【請求項12】
少なくとも2つのボビン貯蔵箇所(31)を含むボビンクリール(3)を備えたボビンクリール装置であって、一方のボビン貯蔵箇所(31)が、繰出しボビン(11)を収容するために、かつ他方のボビン貯蔵箇所(31)が、リザーバボビン(8)を収容するために形成されている、ボビンクリール装置において、
請求項1から11までのいずれか1項または複数項記載の供給糸結合システムが設けられていることを特徴とする、ボビンクリール装置。
【請求項13】
前記ボビン貯蔵箇所(31)が、運転位置と交換位置との間で可動に、特に旋回可能に配置されている、請求項12記載のボビンクリール装置。
【請求項14】
請求項1から11までのいずれか1項または複数項記載の供給糸結合システムにより、繰出しボビン(11)の糸終端部(11A)とリザーバボビン(8)の糸始端部(8A)とを、前記繰出しボビン(11)および前記リザーバボビン(8)を収容する隣り合った少なくとも2つのボビン貯蔵箇所(31)を有するボビンクリール装置の領域において結合する方法において、
-スプライシング工程を引き起こすステップと、
-前記繰出しボビン(11)の前記糸終端部(11A)および前記リザーバボビン(8)の前記糸始端部(8A)を探索して収容するために第1の収容ユニットおよび第2の収容ユニットを駆動制御するステップと、
-収容された前記糸終端部(11A)および収容された前記糸始端部(8A)を前記糸スプライシング装置(71)内に位置決めするために前記第1の位置決めユニットおよび前記第2の位置決めユニットを駆動制御するステップと、
-前記糸スプライシング装置(71)に対応配置された糸準備手段によって前記糸終端部(11A)および前記糸始端部(8A)を準備するために、前記糸スプライシング装置(71)を駆動制御するステップと、
-準備された前記糸終端部(11A)と前記糸始端部(8A)とを結合するために、前記糸スプライシング装置(71)を駆動制御するステップと
を有している、方法。
【請求項15】
前記スプライシング工程を引き起こすステップの適時に前に、または当該ステップと一緒に、特に直前に空になった前記ボビン貯蔵箇所(31)にリザーバボビン(8)を充填するステップを行う、請求項14記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繰出しボビンの糸終端部とリザーバボビンの糸始端部とを、繰出しボビンおよびリザーバボビンを収容する少なくとも2つのボビン貯蔵箇所を有するボビンクリール装置の領域において結合するための供給糸結合システムに関する。さらに本発明は、供給糸結合システムを備えたボビンクリール装置と、供給糸結合システムを用いて、繰出しボビンの糸終端部をリザーバボビンの糸始端部に結合する方法とに関する。
【0002】
ボビンクリールは、通常、完全に巻成された複数の給糸ボビンを収容するために働き、これらの給糸ボビンの各供給糸は、この供給糸を引き続き加工するために繊維機械へと供給される。このようなボビンクリールは、例えばケーブラ(撚合わせ機)に配置されていてよく、織機ボビンクリールとして、または整経クリールもしくは部分整経クリール(Zettel- oder Schaergatter)として形成されていてよい。このようなボビンクリールは、通常、給糸ボビンをそれぞれ収容するための少なくとも2つのボビン貯蔵箇所、例えば被嵌め心棒とも呼ばれるボビン心棒を有していることが共通しており、加工プロセスを受ける供給糸が引き出される第1の給糸ボビンは、繰出しボビンと呼ばれ、まだ糸が引き出されていない第2の給糸ボビンが、リザーバボビンと呼ばれる。繰出しボビンが空になった後もしくは繰出し終わった後に、連続的もしくは中断のない繰出し工程を達成するために、繰出し終わり前に、繰出しボビンの糸終端部が、リザーバボビンの糸始端部に結合されなければならず、これにより、糸結合に続いて、繰出しボビンから糸が繰出し終わった直後に、糸はリザーバボビンから引き続き繰出される。糸が加工プロセス中にリザーバボビンから繰出されるや否や、リザーバボビンは繰出しボビンになる。空になった繰出しボビンもしくは繰出し巻管は、対応してリザーバボビンを形成する新しい給糸ボビンに置き換えられる。リザーバボビンの糸始端部と繰出しボビンの糸終端部との結合は、公知のように、スプライサとしても知られている糸継ぎ装置を用いて実施される。
【0003】
例えば西独国特許出願公開第2048529号明細書および欧州特許出願公開第2196424号明細書は、少なくとも1つのボビンクリールに沿ってオペレータによって走行可能である糸継ぎ装置をそれぞれ開示している。しかし、これによって完全に自動的なスプライシング工程を可能にすることはできない。オペレータにより糸を結合するために連行されかつ使用されるハンドスプライサも公知である。
【0004】
本発明の根底を成す課題は、ボビン上に配置された供給糸、すなわち繰出しボビンの糸終端部とリザーバボビンの糸始端部とを全自動で互いに結合する供給糸結合システムを提供することである。さらに本発明の根底を成す課題は、対応する供給糸結合システムを備えたボビンクリール装置と、このような供給糸結合システムを用いてリザーバボビンの糸始端部と繰出しボビンの糸終端部とを自動的に結合する方法とを提供することである。
【0005】
本発明はこの課題を、請求項1に記載の特徴を備えた供給糸結合システム、請求項12に記載の特徴を備えたボビンクリール装置および請求項14に記載の特徴を備えた方法によって解決する。供給糸結合システムの好適な変化形は、従属請求項である請求項2~11に記載されている。
【0006】
本発明に係る供給糸結合システムは、繰出しボビンの糸終端部をリザーバボビンの糸始端部に結合するために働き、このためには供給糸を提供するボビンが、ボビンクリール装置のボビン貯蔵箇所に収容され、かつ支承されている。
【0007】
繰出しボビンの糸終端部をリザーバボビンの糸始端部に結合するために、供給糸結合システムは、糸スプライシング装置および搬送装置を有している。糸スプライシング装置は、構造および機能において十分に公知である通常の一般的に公知の装置である。糸スプライシング装置は、例えば、糸が互いにニューマチック式にスプライシングされるニューマチック式の糸スプライシング装置であってよい。代替的には、糸スプライシング装置は、糸が熱作用により互いにスプライシングされる熱的な糸スプライシング装置であってよい。糸継ぎが液状またはエアロゾル含有の気体状の流体の供給によって行われる、いわゆる湿式スプライサも考えられる。例えば、予め規定されたまたは予め規定可能な温度にまで加熱された気体状の流体が糸継ぎ工程のために供給されかつ使用されるニューマチック式の熱的な糸スプライサのような、上記の糸スプライシング装置の組み合わせも考えられる。流体は、必要に応じて、糸結合のために適した公知の流体の量から選択されていてよい。
【0008】
搬送装置は、リザーバボビンの糸始端部と繰出しボビンの糸終端部とを捕捉して、次いでこれらの糸端部を供給糸結合システムの糸スプライシング装置内に搬送するために働く。この糸スプライシング装置内において糸は、糸スプライシング装置によって通常の形式で、例えば保持ユニットを用いてその位置を固定され、次いで定義されて準備される。
【0009】
搬送装置は、詳細には、繰出しボビンの糸終端部およびリザーバボビンの糸始端部を捕捉し、糸スプライシング装置において確実に配置することを可能にするので、自動化された形式で、糸終端部と糸始端部との間の確実な結合を糸スプライシング装置によって形成することができる。これによって結果として、供給糸の中断のない連続的な繰出しを保証することができ、かつ停止、ひいては製造中断を回避することができる。したがって全体として、本発明に係る供給糸結合システムは、繰出しボビンの糸終端部とリザーバボビンの糸始端部との確実で自動的な結合を保証し、これにより作業ユニットの中断のない運転を保証する。
【0010】
リザーバボビンの糸始端部と繰出しボビンの糸終端部とを捕捉して、糸スプライシング装置内に搬送する、好適にはこのために糸終端部および/または糸始端部の位置を探索するセンサ機器が設けられていてよい搬送装置の構成は、繰出しボビンの糸終端部を収容する第1の収容装置と、リザーバボビンの糸始端部を収容する第2の収容装置とにより、糸始端部に結合する糸区分を糸スプライシング装置内に位置決めする第1の位置決めユニットおよび糸終端部に結合する糸区分を糸スプライシング装置内に位置決めするための第2の位置決めユニットに関連して実現されている。本発明の好適な構成によれば、少なくとも第1の収容ユニットおよび第1の位置決めユニットまたは第2の収容ユニットおよび第2の位置決めユニットが、繰出しボビンもしくはリザーバボビンに対応配置された、収容位置と置き位置との間で可動な、さらに好適には線形に、または軌道曲線に沿って可動かつ/または旋回可能なサクションユニット、特にサクション開口を備えたサクション管をそれぞれ形成していることが規定されている。
【0011】
代替的または付加的に好適には、少なくとも第1の収容ユニットまたは第2の収容ユニットは、定置のもしくは位置固定されたサクションユニット、特にサクション開口を備えたサクション管により形成されており、これらの収容ユニットに対応配置された第1の位置決めユニットもしくは第2の位置決めユニットは、収容位置と置き位置との間で可動に、特に線形に、または軌道曲線に沿って可動かつ/または旋回可能に構成されている。第1の収容ユニットもしくは第2の収容ユニットならびに対応配置された第1の位置決めユニットもしくは第2の位置決めユニットは、第1の収容ユニットもしくは第2の収容ユニットによって捕捉された糸が対応配置された第1の位置決めユニットもしくは第2の位置決めユニットに引き渡され、もしくは対応配置された第1の位置決めユニットもしくは第2の位置決めユニットにより引き取られ、かつこの第1の位置決めユニットもしくは第2の位置決めユニットによって糸スプライシング装置内に位置決めされ得るように、互いに作用結合されて構成されている。機能的に作用結合されたこのような搬送装置は、原則的に例えばオープンエンド紡績機の分野から公知である。
【0012】
糸終端部および糸始端部を収容するために可動のサクションユニット、特にサクション開口を備えたサクション管を使用することは、糸の対応する端部が多機能に構成されたサクションユニットによって糸端部収容位置に収容され、かつ糸端部置き位置で糸スプライシング装置内に位置決めされ得ることが特に確実に保証されることによって優れている。特に好適には、サクション管が、糸検出のためのセンサユニットを有しており、このセンサユニットによって、サクションユニットにおける、またはサクションユニット内における、特にサクション管内における、またはサクション開口の領域における糸の端部の配置を認識することができ、これによって糸終端部もしくは糸始端部の収容時の障害も、これらの糸始端部および糸終端部の糸スプライシング装置における、または糸スプライシング装置内における配置時の障害も確実に回避することができる。さらに好適には、サクションユニットが、サクションユニットの内部で捕捉された糸を緊締して保持するための緊締装置を有していてよい。このような緊締装置は、例えば、巻取り機およびオープンエンド紡績機のような巻取りパッケージを製造する繊維機械の分野から十分に知られている。
【0013】
糸終端部および糸始端部の高い糸結合品質を生じさせるために、糸スプライシング装置内、特に糸スプライシング装置のスプライシング通路の内部における、糸終端部および糸始端部の位置決めが特に重要である。本発明の好適な或る改良形によれば、供給糸結合システムは、スプライシング角柱体においてそれぞれの糸の解撚された端部を定義して位置決めする第3の位置決めユニットおよび第4の位置決めユニットを有していることが規定されている。第3の位置決めユニットおよび第4の位置決めユニットはそれぞれ、準備された、それぞれの糸の、つまり糸終端部および糸始端部の特に十分にその撚りが除去された端部を、これらの端部が実質的に同じ高さで相並んで平行にスプライシング通路内に配置されるが、逆向きの配向を有しているように、スプライシング角柱体のスプライシング通路内に引き込むように働く。第3の位置決めユニットおよび第4の位置決めユニットはそれぞれ、好ましくは、糸の各端部の定義された戻しを実行するように構成されていて、両端部が必要な形式で相並んで平行にスプライシング通路内に配置されるようになっている。さらに好適には、第3の位置決めユニットおよび第4の位置決めユニットは、糸スプライシング装置の構成部分である。
【0014】
ボビンクリール装置の領域における糸スプライシング装置、第1の収容ユニットおよび第2の収容ユニットならびに/または第1の位置決めユニットおよび第2の位置決めユニットの配置は、基本的には任意の形式および個数で行うことができる。本発明の好適な或る改良形によれば、糸スプライシング装置、第1の収容ユニットおよび第2の収容ユニットならびに/または第1の位置決めユニットおよび第2の位置決めユニットが、1つの共通の支持フレームに配置されていることが規定されている。この共通の支持フレームは、繰出しボビンおよびリザーバボビンを収容するためのボビン貯蔵箇所が配置されている支持フレームであってよい。代替的に好適には、共通の支持フレームは、これとは異なる支持フレームであってよい。1つの共通の支持フレームにおける配置は、確実に、供給糸結合システムを介して繰出しボビンの糸終端部をリザーバボビンの糸始端部に結合することができるように、ボビンクリールもしくはボビンクリールに配置された繰出しボビンおよびリザーバボビンに対して糸スプライシング装置、第1の収容ユニットおよび第2の収容ユニットならびに/または第1の位置決めユニットおよび第2の位置決めユニットを一緒に位置決めすることを可能にする。支持フレームは、好適な或る実施形態によれば、ボビン貯蔵箇所の領域で定置に配置されていてよく、または共通の支持フレームが、ボビン貯蔵箇所を保持する支持フレームとは異なっている代替的な好適な或る実施形態によれば、ボビンクリールに沿って可動であってよく、これにより、糸スプライシング装置、第1の収容ユニットおよび第2の収容ユニットならびに/または第1の位置決めユニットおよび第2の位置決めユニットを、必要に応じてボビンクリールの選択されたボビン貯蔵箇所において、リザーバボビンの糸始端部と繰出しボビンの糸終端部とを結合するために使用することができる。支持フレームは、さらに好適な或る実施形態によれば、2次元のガイドシステムを形成するように形成されていてよく、このガイドシステムは、走行平面を描くガイドフレームを有していて、このガイドフレーム内で共通の支持フレームが定義されて可動、特に走行可能である。換言すると、ガイドフレームは、好適な形式で、共通の支持フレームのためのx-y走行平面を形成する。
【0015】
さらに好適には、共通の支持フレームは、ボビンクリールに位置固定されていてよく、もしくは破壊なしに分離可能に位置固定可能であってよく、またはボビンクリールの固定された構成部材であってよい。
【0016】
第1の収容ユニットおよび第2の収容ユニットが、繰出しボビンの糸終端部もしくはリザーバボビンの糸始端部を収容するための、かつ特に糸スプライシング装置内において糸終端部もしくは糸始端部を移動させるためのサクションユニットとして有利に設けられている構成の場合、サクションユニットへの対応するサクション空気の供給が必要である。基本的には、好適な或る実施形態によれば、供給糸結合システムに、サクション空気源を含む対応するサクション装置を備え付ける可能性が生じる。
【0017】
本発明の代替的な好適な或る構成によれば、供給糸結合システムは、サクション空気源に接続するための連結ユニットを有していてよい。本発明のこの改良形によれば、供給糸結合システムは、連結ユニットを介して、必要な場合に、例えばボビンクリールまたは繊維機械における中央のサクション装置に接続可能であるので、供給糸結合システムのための別個のサクション装置を省くことができる。本発明のこの好適な構成は、ボビンクリールもしくは繊維機械において、供給糸結合システムへの供給のために、ボビンクリールおよび繊維機械のサクション装置への接続可能性が与えられている場合に、供給糸結合システムを可動に構成することも可能である。連結ユニットを介して、供給糸結合システムに、必要に応じてサクション空気を供給することができる。
【0018】
本発明の別の好適な或る構成によれば、糸スプライシング装置、第1の収容ユニットおよび第2の収容ユニットならびに/または第1の位置決めユニットおよび第2の位置決めユニットが、共通の支持フレームに移動可能に支承されていることが規定されている。本発明のこの構成によれば、個別のユニットが、共通の支持フレームにおいて移動可能であり、例えば一緒に1つの平面において個別のユニットの位置が互いに相対的に移動可能であるので、個別のユニットを、最適な形式でボビン貯蔵箇所およびボビン貯蔵箇所により貯蔵された給糸ボビンに対して位置決めすることができるので、特に確実な形式で糸始端部との糸終端部との結合を形成することができる。
【0019】
別の好適な或る構成によれば、複数の糸スプライシング装置、第1の収容ユニットおよび第2の収容ユニットならびに第1の位置決めユニットおよび第2の位置決めユニットが支持フレームに配置されており、この配置は、少なくとも1つの繰出しボビンおよびリザーバボビンを有する各ボビンクリール平面に、糸結合工程のために糸スプライシング装置、第1の収容ユニットおよび第2の収容ユニットならびに第1の位置決めユニットおよび第2の位置決めユニットのうちの1つが対応配置可能もしくは送り可能であるように規定されている。さらに好適には、糸スプライシング装置、第1の収容ユニットおよび第2の収容ユニットならびに第1の位置決めユニットおよび第2の位置決めユニットの個数は、少なくとも1つの繰出しボビンおよび対応配置されたリザーバボビンが配置されているボビンクリール平面の個数である。したがって、ボビンクリール平面もしくは繰出しボビンおよび対応配置されたリザーバボビンから成るそれぞれ少なくとも1つの配置を備えた平面の個数に対応して、ボビンクリール平面に糸スプライシング装置、第1の収容ユニットおよび第2の収容ユニットならびに第1の位置決めユニットおよび第2の位置決めユニットを対応配置させることができる。例えばボビンクリールが、少なくとも1つの繰出しボビンおよびこの繰出しボビンに対応配置されたリザーバボビンを備えた3つのボビンクリール平面を含んでいてよく、各平面に、繰出しボビンの糸終端部とリザーバボビンの糸始端部とのスプライシング工程を実施するための糸スプライシング装置、第1の収容ユニットおよび第2の収容ユニットならびに第1の位置決めユニットおよび第2の位置決めユニットが対応配置されている。
【0020】
供給糸結合システムのユニットを制御するために、制御ユニットが設けられており、この制御ユニットは、本発明の別の好適な或る構成によれば、例えばボビンクリール制御ユニット、ボビンクリールを操作する操作ユニットの制御ユニットまたはボビンクリールの上位の制御ユニットのような別の制御ユニットに通信可能に接続されている。通信可能な接続は、通常、有線かつ/または無線で実現されていてよい。制御ユニットの通信可能な接続は、ボビンクリールの既存の電子ユニット、例えばボビンクリール制御ユニットに接続されたセンサ機器を用いることを可能にする。これによって、結合すべき糸の改善された操作、例えば糸の端部の把持および糸スプライシング装置内へのこの糸端部の引渡しを促進することができる。本発明の代替的な好適な或る構成では、供給糸結合システムの制御ユニットは、ボビンクリール制御ユニット、別の制御ユニットまたは上位の制御ユニットに統合されており、これによって別個の制御ユニットを完全に省くことができる。
【0021】
制御ユニットは、第1の収容ユニットおよび第2の収容ユニット、第1の位置決めユニットおよび第2の位置決めユニットならびに糸スプライシング装置を制御ユニットによって対応して定義して駆動制御することにより、スプライシング工程の開始を引き起こし、スプライシング工程を実施するように構成されている。スプライシング工程の開始を引き起こすことは、作動情報に基づいている。このような作動情報は、好適な或る実施形態によれば、制御ユニットによって自動的に生成することができる。代替的な好適な或る実施形態によれば、作動情報が制御ユニットに伝達されてもよい。このような作動情報は、必要に応じて決定されていてよい。例えば、このような作動情報は、繰出しボビンが繰出し終わるかもしくは空になる、求められた時点に関する情報、繰出しボビンの、突き止められた行われた繰出し終わりに関する情報、または繰出しボビンまたはリザーバボビンの、ボビン貯蔵箇所への計画されたもしくは実行された装着に関する情報であってよい。スプライシング工程の開始の引き起こしにより、供給糸結合システムは、少なくとも1つのスプライシング工程を実施するために適時に予約され得る。好適な或る実施形態によれば、制御ユニットは、スプライシング工程の開始を引き起こすことを、スプライシング工程の定義された回数および/または実行すべきスプライシング工程の定義された作業順序を決定するために使用するように構成されている。
【0022】
好適な或る実施形態によれば、制御ユニットが、入力ユニットに通信可能に接続されており、この入力ユニットを介して、オペレータが、スプライシング工程の開始を引き起こす制御ユニットへの信号を手動で発信させる。対応して、伝達された作動信号は、スプライシング工程の開始を引き起こすために、制御ユニットに伝達された作動情報を含んでいる。
【0023】
作動情報は、概して好ましくは、スプライシング工程が実施されるべき、ボビンクリールの箇所もしくは作業位置に関する情報を含んでいてよい。代替的には、この情報は、作動情報の生成または伝達の前、同時または後に制御ユニットに別個に伝達され得る。ボビンクリールの場所もしくは作業位置に関する情報は、好ましくは、オペレータによって手動で入力ユニットにおいて入力することができるか、または繰出しボビンの今後のまたは行われる繰出しに関して自動的に検出された場所もしくは位置情報に基づいて生成することができる。さらに、好適には、場所もしくは位置情報は、付加的または代替的に、例えば上述の可動の支持フレームのような、供給糸結合システムを搬送するユニットの制御ユニットに伝達されるか、またはこの制御ユニットにより自動的に決定され得る。
【0024】
本発明の別の好適な或る構成によれば、無人搬送車両が設けられており、この搬送車両上に、少なくとも第1の収容ユニットおよび第2の収容ユニットならびに第1の位置決めユニットおよび第2の位置決めユニット、さらに好適には糸スプライシング装置が配置されている。本発明による無人搬送車両は、スプライシング工程を実施するために繰出しボビンに向かって自律的に走行し、特にさらに好適には、その目的箇所、つまりどの繰出しボビンに接近すべきかを自動的に決定するように構成されている。無人搬送車両は広く知られている。無人搬送車両は、定義された位置または箇所に走行するために、集団制御、中央制御、またはそれぞれ個別に制御される。集団制御の場合、少なくとも2つの無人搬送車両は、集団内のそれぞれの目標箇所が協調されて、個別の搬送車両のために決定されるように、互いに通信可能に接続されている。このためには、各無人搬送車両が制御ユニットを有しており、搬送車両の制御ユニットは、上位の制御装置との接続を必要とすることなしに互いに通信可能に、目標箇所およびこの目標箇所への走行を協調させて効率的に決定するための情報を交換するために相互に接続されている。それに対して、無人搬送車両の目標場所および走行経路は、中央制御の場合、この中央制御を介して協調される。これに対して代替的に、各無人搬送車両は、各自の目標箇所および走行経路を自動的に決定するように構成されてもよい。このことは、特に、無人搬送車両がセンサ機構を有していて、このセンサ機構を用いて、ボビンクリールが現在繰出されている給糸ボビンを検査することにより達成することができ、センサ機構はさらに好適には、無人搬送車両の制御ユニットに通信可能に接続されていて、制御ユニットは、センサシステムによって検出された情報に基づいて、どの繰出しボビンにおいて、いつどのような動作が適しているか、例えばスプライシングのような次の動作が適しているのかを評価し、かつ決定するように設計されている。代替的または付加的には、別の好適な実施形態によれば、これらの情報は、無人搬送車両外に配置された、この無人搬送車両の制御ユニットに通信可能に接続されている制御ユニットによって伝達され得る。
【0025】
別の好適な或る実施形態によれば、無人搬送車両は、ボビンクリールへの積み降ろしのためのグリッパユニットを備えたボビン交換ユニットを有している。グリッパユニットは、ボビン貯蔵箇所に必要に応じて例えば新規の給糸ボビンを充填するか、または空になった給糸ボビンを取り出すことができるようにするために、多次元に可動に無人搬送車両上に配置されている。これによって、プロセスのさらなる自動化を達成することができる。このようなグリッパユニットは、十分に知られている。グリッパユニットは、さらに好適な構成では、ボビンクリールへの積み降ろし時に、繰出し終わった繰出しボビンもしくはその巻管をボビンクリールから取り出す前に、巻管に取外し可能に取り付けられた繰出し補助部をまず引き出し、定義された箇所に中間貯蔵し、かつボビン貯蔵箇所へのリザーバボビンの充填後に、中間貯蔵部から繰出し補助部を取り出し、リザーバボビンもしくはリザーバボビンの巻管に被せ嵌めることが規定されていてよい。繰出し補助部は、糸ガイドであり、この糸ガイドは、繰出しボビンもしくはリザーバボビンの巻管端部に取外し可能に位置固定可能であり、かつこの糸ガイドを用いて、繰出しボビンの糸は改善された形式でガイドされ、この繰出しボビンから引き出され得る。中間貯蔵部は、繰出し補助部を一時的に収容するために適した装置である。中間貯蔵部は、ボビンクリールおよび/または無人搬送車両に配置されていてよい。
【0026】
さらに好適には、無人搬送車両には、ボビン貯蔵器が設けられていてよく、ボビン貯蔵器は、少なくとも2つのボビン貯蔵箇所を有し、これらのボビン貯蔵箇所は、それぞれ1つの給糸ボビンを、充填された状態または空の状態で貯蔵するために形成されている。好適には、一方のボビン貯蔵箇所には、充填された給糸ボビンが備えられている一方で、他方のボビン貯蔵箇所は空いている。これによって、スプライシング工程の実施中に、満管の給糸ボビンもしくは繰出しボビンを提供し、かつボビンクリールに配置し、かつ繰出し終わった繰出しボビンもしくは繰出しボビン巻管を取り出すことができることが確実にされ得る。
【0027】
本発明の好適な或る実施形態によれば、充填された給糸ボビンを支持するボビン貯蔵箇所は、好ましくは通常のボビン心棒により形成されており、ボビン心棒には、給糸ボビンもしくは巻管を確実に保持するために、さらに好適には走入可能かつ走出可能な緊締エレメントが設けられていてよい。空の給糸ボビン、もしくは繰出し終わった繰出しボビンもしくは巻管を収容すべきボビン貯蔵箇所は、好ましくはボビン容器によって形成されており、このボビン容器は、繰出し終わった少なくとも1つの巻管または定義された個数の巻管を収容することができる。これに対して代替的に好適には、繰出し終わった巻管を収容するボビン貯蔵箇所は、同様に通常のボビン心棒により形成されていてよく、したがって、充填された給糸ボビンも貯蔵することができる。
【0028】
別の好適な或る実施形態によれば、ボビン貯蔵箇所および/または各個別のボビン貯蔵箇所を備えたボビン貯蔵器は、好ましくは手動でまたは自動化されて回転可能に無人搬送車両上に配置されている。このことは、特に多数のボビン貯蔵箇所が設けられている場合に、個別のボビン貯蔵箇所への改善されたアクセスを可能にする。自動化された回転運動は、好適には、特に無人搬送車両上に付加的に配置された制御ユニット、無人搬送車両の制御ユニットおよび/または無人搬送車両の外部の制御ユニットであってよい制御ユニットによって引き起こされ得る。回転運動を実施するために、無人搬送車両上に配置された駆動装置、特に回転駆動装置が設けられていてよく、駆動装置は制御ユニットに通信可能に接続されている。代替的または付加的に、好適な実施形態によれば、回転運動を、ボビン貯蔵器を例えば定義された係止位置から別の係止位置に運動させるグリッパユニットを介して引き起こすことができる。このためには、ボビン貯蔵器は、好適には規定された係止位置を備えた回転支承部を有している。
【0029】
さらに本発明は課題を、少なくとも2つのボビン貯蔵箇所を含むボビンクリールを備えたボビンクリール装置であって、一方のボビン貯蔵箇所が、繰出しボビンを収容するために、かつ他方のボビン貯蔵箇所が、リザーバボビンを収容するために形成されているボビンクリール装置であって、ボビンクリール装置が、上述のような本発明によるまたは好適には改良された形式の供給糸結合システムを有している、ボビンクリール装置により解決する。対応するボビンクリール装置は、繰出しボビンの糸終端部がリザーバボビンの糸始端部に適時に確実に結合されることによって、加工プロセスが、繰出しボビンの繰出し終わり後もしくは空になった後に停止しないことにより優れている。
【0030】
ボビン貯蔵箇所は、必要に応じて形成されていてよい。基本的には、各ボビン貯蔵箇所は、少なくとも1つの給糸ボビンが収容され、空になった後に新しい給糸ボビンにより置き換えられ得るように、形成されなければならない。好適には、各ボビン貯蔵箇所は、公知の形式で、給糸ボビンを係合するように形成されているボビン心棒を有している。
【0031】
好適な或る実施形態によれば、各ボビン貯蔵箇所は、特にボビン貯蔵箇所に貯蔵された繰出しボビンの繰出し特性に関して、現在の運転状態を報知するための信号ユニットを有している。好ましくは、信号ユニットは、現在の動作状態が視覚的に、例えば、互いに異なる光色、光パルス、文字、記号、グラフィックおよび/またはコード、特に機械可読コードを用いて表示可能である表示ユニットである。特に好適には、特に、繰出しボビンの繰出しの正常な動作が第1の光色、例えば緑色光で、繰出しの妨害が第1の光色とは異なる第2の光色、特にオレンジ色光または黄色光で、繰出しの中断が第1の光色および第2の光色とは異なる第3の光色、特に赤色光により表示可能である色表示器である。さらに好適には、色表示器は、多色のLEDユニットである。
【0032】
本発明の好適な或る構成によれば、各ボビン貯蔵箇所、特に各ボビン心棒は、運転位置と交換位置との間で可動に、特に旋回可能に形成されている。このことは、ボビン貯蔵箇所もしくはボビン心棒およびボビン貯蔵箇所に貯蔵されたもしくはボビン心棒上に配置された給糸ボビンに対する、供給糸結合システムの最適な配向を可能にする。ボビンクリール装置の外側からの改善されたアクセス性を可能にする、運転位置と交換位置との間における可動性、特に旋回可能性は、簡単かつ快適な形式で、必要な場合に、空の巻管を除去し、満管のもしくは巻成された給糸ボビンを手動でまたは自動的に装着することを可能にする。回転可動性は、好ましくは、ボビン貯蔵器に関して前述した形式または一般的に公知の形式で実現されていてよい。
【0033】
さらに好適には、ボビンクリールは、繰出しボビンが空になったことおよび/または繰出し終わる繰出しボビンから、次いで繰出しボビンを規定するリザーバボビンへの走行する糸の交換および/またはボビン心棒の位置を検出するセンサ機器を有している。センサ機器は、例えば、繰出しボビンおよび対応するリザーバボビンを貯蔵するために設けられている各ボビン貯蔵箇所またはボビン貯蔵箇所対に対応配置されたセンサ機器によって、または全てのボビン貯蔵箇所を監視するセンサによって、または定義された個数のボビン貯蔵箇所を監視する複数のセンサによって実現されていてよい。センサ機器は、例えば、1つまたは複数のカメラであってよい。これにより、確実に、繰出しボビンが空になったこと、ひいては空になった繰出しボビンとリザーバボビンとの必要な交換を適時に認識することができる。センサ機器は、特に、空になった繰出しボビンを支持するボビン心棒の外方への旋回を引き起こす制御ユニットに通信可能に接続されている。ボビン心棒の位置も、好適にはセンサ機器によって監視することができる。制御ユニットは、特に、ボビンクリール制御ユニット、ボビンクリールを操作する操作ユニットの制御ユニット、またはボビンクリールの上位の制御ユニットであってよい。さらに、センサ機器は上述した表示ユニットに通信可能に接続されていてよい。これによって、表示ユニットに、例えば、繰出しボビンが空になったことを特に色により表示もしくは報知させることができる。
【0034】
本発明の別の態様によれば、課題は、繰出しボビンおよびリザーバボビンを収容するための、隣り合った少なくとも2つのボビン貯蔵箇所を有するボビンクリール装置の領域において、上述の本発明による、または改良された供給糸結合システムにより、繰出しボビンの糸終端部とリザーバボビンの糸始端部とを結合する方法によって解決される。この方法は、以下のステップを有する。
-スプライシング工程を引き起こすステップ、
-繰出しボビンの糸終端部およびリザーバボビンの糸始端部を探索および収容するために第1の収容ユニットおよび第2の収容ユニットを駆動制御するステップ、
-収容された糸終端部および収容された糸始端部を糸スプライシング装置内に位置決めするために第1の位置決めユニットおよび第2の位置決めユニットを駆動制御するステップ、
-糸スプライシング装置に対応配置された糸端部準備手段によって糸終端部および糸始端部を準備するために、糸スプライシング装置を駆動制御するステップ、
-準備された糸終端部と糸始端部とを結合するために、糸スプライシング装置を駆動制御するステップ。
【0035】
繰出しボビンの糸終端部およびリザーバボビンの糸始端部を探索するために、例えば対応するセンサを使用することができ、このセンサは、供給糸結合システムに、これらの糸の端部の対応する位置決めを提供し、これによって糸の端部を、好適に設けられたサクションユニットによって捕捉し、サクションユニットにおいて収容し、かつ位置決めユニットを用いて糸スプライシング装置内に移送することができる。位置決めユニットによって、糸のそれぞれの端部は糸スプライシング装置内に移送され、この糸スプライシング装置内で、糸のそれぞれの端部は、適切な糸端部準備手段を介して公知の形式で準備され、特に固定され、次いで長さを切断され、かつ特に解撚され、つまり糸端部はその撚りが十分に除去されるように処理される。
【0036】
最適な糸結合部を形成するために、準備された糸終端部および準備された糸始端部は、次いで、糸スプライシング装置のスプライシング角柱体のスプライシング通路内に引き込まれ、これによって糸終端部と糸始端部とは、ほぼ同じ高さにおいて相並んで平行にスプライシング通路内で配置され、しかしながら互いに逆向きの配向を有している。次いで、ニューマチック式に設計された糸スプライシング装置では、対応する入口開口を介してスプライシング通路内に圧縮空気が導入され、この圧縮空気は、糸の両端部の繊維の渦動をもたらし、これによって、糸結合部、ひいては連続する糸が形成される。
【0037】
方法の好適な或る実施形態によれば、スプライシング工程を引き起こすステップの前、またはステップ中に適時に、特に直前に空になったボビン貯蔵箇所にリザーバボビンを充填するステップが行われる。
【0038】
概して、空になったボビン貯蔵箇所への充填は、いつでも、しかし繰出しボビンの完全な繰出し終わりもしくは空になる時点の前に適時に行うことができる。適時とは、繰出しボビンの完全な繰出し終わりもしくは空になる時点の前に空になったボビン貯蔵箇所への充填のステップならびに繰出しボビンの糸終端部とリザーバボビンの糸始端部との間のスプライシング結合部を形成するステップとがいずれにせよ行われるような、繰出しボビンの完全な繰出し終わりもしくは空になる時点の前の十分な時間の猶予であると理解される。このようにしてのみ、繰出しボビンの糸終端部が、繰出しボビンの繰出し終わる、もしくは空になる前に、リザーバボビンの糸始端部に結合されることが確実に確保され、これによって製造中断を確実に回避することができる。
【0039】
次に図面を参照しながら、本発明の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】機械長手方向で両側に作業ユニットを備えたケーブラを示す概略的な側面図である。
【
図2】複数のボビン貯蔵箇所を備えたボビンクリールを示す概略的な背面図である。
【
図3】ボビンクリールに沿って走行可能なサービスユニットを備えた、
図2に示したボビンクリールの概略的な斜視図である。
【
図3A】
図3に示したサービスユニットの作業位置を拡大して示す概略的な斜視図である。
【
図3B】
図3に示したサービスユニットの別の作業位置を拡大して示す概略的な斜視図である。
【
図3C】
図3に示したサービスユニットの付加的な作業位置を拡大して示す概略的な斜視図である。
【
図4】ボビンクリールを操作する無人搬送車両を備えた、
図3に示したボビンクリールの概略的な斜視図である。
【
図4A】
図4に示した無人搬送車両の作業位置を示す概略的な斜視図である。
【
図4B】
図4に示した無人搬送車両の別の作業位置を示す概略的な斜視図である。
【
図4C】
図3に示したボビンクリールのボビン貯蔵箇所の中間位置を拡大して示す概略的な斜視図である。
【
図4D】
図3に示したボビンクリールのボビン貯蔵箇所の交換位置を拡大して示す概略的な斜視図である。
【0041】
実施例の以下の説明において、種々異なる図面に示されかつ同様に作用する要素に対しては、同一のまたは類似の参照符号が使用され、これらの要素に関して繰り返し説明することは大幅に省略される。
【0042】
図1は、本発明の実施例を示している。概略図には、機械長手方向で両側に作業ユニットを備えた、ケーブラ1として構成された繊維機械の側面図が示されている。この繊維機械の上面に、それぞれ互いに反対側に位置する機械側に供給するボビンクリール3が旋回可能に支承されている。個別のケーブラスピンドル2に対応配置されたボビンクリール3は、例えば四節機構4により機械フレーム5の上面に旋回可能に支承されている。
【0043】
ボビンクリール3は、支持プレート6を有しており、この支持プレート6には両側で、実質的に垂直方向に配向されたそれぞれ1つの保持プレート16が取り付けられており、保持プレート16は、繰出しボビン11として、かつリザーバボビン8として形成された給糸ボビンを被せ嵌めるための、鉛直方向で互いに上下に位置し、かつ前方に向かって配向された2つのボビン貯蔵箇所31を規定する被嵌め心棒を支持している。被嵌め心棒は、水平方向に対して5°~10°の範囲の角度だけ前方に向かって上昇するように傾斜させられていて、これにより被せ嵌められた給糸ボビン8,11の確実な装着を保証することができる。
【0044】
支持プレート6には、前方に向けられた支持アーム9が取り付けられており、支持アーム9は、糸変向穴10を支持しており、これによって、繰出しボビン11から引き出された糸14を、作業ユニットの下側の機械領域に、つまりケーブラスピンドル2の方向に変向することができる。この糸14は、通常の撚合わせプロセスに対応して、糸ガイド穴の領域において、ヘッドを介してケーブラスピンドル2内に位置する給糸ボビンから引き出される糸15と纏められる。ケーブラスピンドル2の上側には、通常の形式で、糸デリバリ装置12および糸巻取りユニット13が支承されている。
【0045】
支持アーム9には、供給糸結合システムの供給糸結合ユニット7が配置されている。この供給糸結合ユニット7は、糸スプライシング装置(図示せず)と、リザーバボビン8の糸始端部および繰出しボビン11の糸終端部を収容するための搬送装置とを有している。搬送装置は、リザーバボビン8の糸始端部を収容する第1の収容ユニットおよび繰出しボビン11の糸終端部を収容する第2の収容ユニットを含んでいる。さらに搬送装置には、第1の位置決めユニットおよび第2の位置決めユニットが設けられており、これらの位置決めユニットによって、糸の収容された端部は、供給糸結合ユニット7の、ここでは同様に図示されていない糸スプライシング装置内に配置可能である。糸スプライシング装置は、通常の形式で、糸の端部を準備しかつ結合するように構成されている。例えば、糸の端部を定義して準備し、かつ解撚するための準備ユニットと、スプライシング通路内に配置された糸端部をニューマチック式に渦動させるためのスプライシング角柱体を備えた、圧縮空気が供給可能であるスプライシング通路とが設けられている。さらに糸スプライシング装置は、糸の始端部もしくは終端部を固定するための保持ユニット、および別の位置決めユニットを含んでおり、この位置決めユニットを用いて、糸の始端部もしくは終端部をこれらの結合前に定義して引き戻すことができ、これによって糸の始端部および終端部が、スプライシング通路内において隣り合って配置される。
【0046】
繰出しボビン11が空になった場合に、ケーブラ1の作業ユニットの停止状態が生じることなしに、連続的な加工プロセスを保証するために、供給糸結合システムを用いて、ここでは図示しない第1の収容ユニットおよび第2の収容ユニットによって、繰出しボビン11の糸終端部11Aと、リザーバボビン8の糸始端部8Aとが捕捉され、第1の位置決めユニットおよび第2の位置決めユニットを用いて糸スプライシング装置内に挿入され、この糸スプライシング装置内において糸終端部11Aおよび糸始端部8Aは、公知の形式で互いに結合される。繰出しボビン11から糸14が完全に繰出し終わった後に、次いで残っている空の巻管が取り出され、満管の給糸ボビンが被せ嵌められ、この給糸ボビンの糸始端部は、供給糸結合システムにより、以前はリザーバボビン8として働いていた繰出しボビンの糸終端部に結合され得る。
【0047】
図2~
図6には、別の実施例が図示されている。
図2は、これに関連して、例えば織機に供給する、複数のボビン貯蔵箇所31を備えたボビンクリール3の概略的な背面図を示しており、各ボビン貯蔵箇所31は、給糸ボビンを収容するための被嵌め心棒として形成されており、給糸ボビンは、用途に依存して繰出しボビン11またはリザーバボビン8を定義する。
【0048】
ボビンクリール3は、互いに離間した複数の水平方向のフレーム要素32および鉛直方向のフレーム要素33を備えたフレームによって構成されており、水平方向のフレーム要素32および鉛直方向のフレーム要素33によって取り囲まれた中間室が、作業位置を形成しており、この作業位置には、それぞれ1つの繰出しボビン11およびリザーバボビン8が配置されている。各ボビン貯蔵箇所31もしくは被嵌め心棒は、鉛直方向のフレームエレメント33において、中間室内に互いに反対に位置するように配置されている。これにより、中間室の既存の構造空間を効率的に利用することができ、中間室をできるだけ小さく構成することができる。
【0049】
それぞれの中間室もしくはそれぞれの作業位置において、1つの実施例による供給糸結合システムに対応配置された糸スプライシング装置71が配置されており、この糸スプライシング装置71は、水平方向のフレームエレメント32に、構造空間のより効果的な利用のために中間室内において2つのボビン貯蔵箇所31の間の中心に取り付けられている。それぞれの中間室におけるボビン貯蔵箇所31および糸スプライシング装置71の別の配置も考えられるが、より大きな構造空間を必要とする。さらに代替的には糸スプライシング装置71は、中間室の外側で、図示しない別の実施例により例示的にさらに詳しく記載されるような別のユニットに配置されていてよい。
【0050】
図3は、
図2に図示されたボビンクリール3を示している。このボビンクリール3は、ボビンクリール3とは反対側に配置された支持フレーム40を備えており、この支持フレーム40は、ボビンクリール3の全ての作業位置のために働くサービスユニット50のためのガイドフレームを形成する。サービスユニット50は、支持フレーム40において、ボビンクリール3に沿って、ガイドフレームにより描かれる走行平面内で走行可能に配置されている。
【0051】
図3~
図3Cに詳しく示されているように、サービスユニット50は鉛直方向のガイド51を有している。この鉛直方向のガイド51には、供給糸結合システムに対応配置された支持ユニット72が鉛直方向で走行可能に配置されている。支持ユニット72は、枢着式の第1のサクションユニット73と、この第1のサクションユニット73から離間した枢着式の第2のサクションユニット74とを支持しており、これらのサクションユニット73,74はそれぞれ、支持ユニット72の走行軸線に対して平行に延びる回転軸線を中心にして回転可能もしくは旋回可能に形成されている。第1のサクションユニット73および第2のサクションユニット74は、リザーバボビン8の糸始端部8Aと繰出しボビン11の糸終端部11Aとを捕捉し、収容し、かつ糸スプライシング装置71のスプライシング角柱体71Aにおいて定義して位置決めするように形成されている。したがって、第1のサクションユニット73および第2のサクションユニット74は、本発明の意図における第1の収容ユニットもしくは第2の収容ユニットならびに第1の位置決めユニットもしくは第2の位置決めユニットを形成する。
【0052】
図4は、
図3に図示された、ボビンクリール3を操作する無人搬送車両80を備えたボビンクリール3の概略的な斜視図を示している。搬送車両80は、複数の車輪によって支持された搬送プラットフォーム81を含み、この搬送プラットフォーム81上には、複数のボビン貯蔵箇所31を備えたボビン貯蔵器82が配置されている。このボビン貯蔵箇所31には、それぞれ給糸ボビンが装着されている。ボビン貯蔵器82のボビン貯蔵箇所31は、傾斜した被嵌め心棒によって形成されており、これらの被嵌め心棒は、ボビン貯蔵器支持フレームに配置されている。
【0053】
さらに搬送プラットフォーム81は、特に巻管17、もしくは空になった繰出しボビン11を収容するための、容器84として成形されたボビン貯蔵器82を支持している。容器84とボビン貯蔵器82との間には、ボビン貯蔵器82、このボビン貯蔵器82内に収容された給糸ボビン8、容器84ならびに容器84内に置かれるべき巻管17を操作するための操作ユニット83が設けられている。操作ユニット83は、例えばロボットアームのような多関節式のグリッパユニット85を有しており、このグリッパユニット85は、操作ユニット83のガイドレール86に沿って鉛直方向で線形に走行可能である(
図4Aおよび
図4B)。
【0054】
図4Aおよび
図4Bに示したように、ボビンクリール3のボビン貯蔵箇所31は、巻管17をグリッパユニット85により把持し、容器84内に置くことによって、操作ユニット83を用いて操作され得る。次いでグリッパユニット85は、搬送車両80のボビン貯蔵器82から給糸ボビンを捕捉し、これによってこの給糸ボビンを、それ以前に巻管17が支承されていた空のボビン貯蔵箇所31に被せ嵌めることができる。たった今被せ嵌められた給糸ボビンは、この場合ボビンクリール3の作業位置においてリザーバボビン8を形成し、リザーバボビン8の糸始端部8Aは、続いて供給糸結合システムを用いて、上述の形式でボビンクリール3の作業位置において隣接する繰出しボビン11の糸終端部11Aに結合される。
【0055】
ボビンクリール3のそれぞれのボビン貯蔵箇所31は、
図4Cおよび
図4Dに示すように、運転位置から交換位置へと旋回可能である。
図4Cは特に、巻管17の中間位置と、ボビンクリール3の作業位置における、隣接した繰出しボビン11の運転位置とを示している。したがって中間位置は、運転位置と
図4Dに示した交換位置との間の位置である。
【0056】
図4Cおよび
図4Dは、ボビン貯蔵箇所31に、現在の運転状態を表示する表示ユニット90が備えられていることをさらに示している。空の巻管17を支持するボビン貯蔵箇所31の表示ユニット90は、赤色光に設定されており、これに対して給糸ボビンが装着されたボビン貯蔵箇所31は、緑色光を示す。赤色光表示は、新しい給糸ボビンが装着されるべきボビン貯蔵箇所31の直接的な報知および認識を可能にする。緑色光は、それぞれのボビン貯蔵箇所31における正常な運転状態を伝える。
【0057】
代替的な形式で、表示ユニット90は、図示しない或る実施例によれば、それぞれのボビン貯蔵箇所31もしくはボビンクリール3の作業位置の現在の運転状態を表示するために参照される。したがって、繰出しの形態での繰出しボビン11の正常な運転と、繰出しボビン11の糸終端部11Aとリザーバボビン8の糸始端部8Aとの間に存在する糸結合部の形態でのリザーバボビン8の正常な運転とが示されている、給糸ボビンを装着されたボビン貯蔵箇所31が緑色光で示される。黄色光またはオレンジ色光によって、糸始端部8Aと糸終端部11Aとの間の糸結合が未達である、もしくは糸結合部がさらに形成されるべき給糸ボビンを備えたボビン貯蔵箇所31が表示されている。赤色光を設定されたボビン貯蔵箇所31は、空になった繰出しボビン11および/または給糸ボビンの欠如を示している。
【0058】
図示しない或る実施例によれば、供給糸結合システムは、上述の実施例に対して代替的に、少なくとも1つの糸スプライシング装置71がサービスユニット50に設けられていることによって実現されていてよく、これによってボビンクリール3のために必要となる糸スプライシング装置71の量を、著しく減じることができる。この代替的な実施例では、糸スプライシング装置71は、特に第1のサクションユニット73と第2のサクションユニット74との間に位置決めされており、これによって繰出しボビン11の糸14およびリザーバボビン8の糸15の糸区分を、糸スプライシング装置71のスプライシング角柱体71A内で平行に敷設することを簡単に実施することができる。第1のサクションユニット73および第2のサクションユニット74を備えた糸スプライシング装置71は、サービスユニット50の鉛直方向軸線において走行可能に形成されており、これによってそれぞれ1つの繰出しボビン11と、この繰出しボビン11に隣接するリザーバボビン8とを収容するためのそれぞれ複数のボビン貯蔵箇所対が配置されている、ボビンクリール3の種々異なる平面のために役立つことができる。これに対して代替的には、サービスユニット50が、対応配置された第1のサクションユニット73および第2のサクションユニット74を備えた、サービスユニット50に配置された複数の糸スプライシング装置71を有していてよく、糸スプライシング装置71の個数は、好適には、水平方向で複数の繰出しボビン11および隣接するリザーバボビン8が配置されているボビンクリール平面の個数に一致する。本実施例では、4つの平面が設けられている。したがって、各ボビンクリール平面に、スプライシング工程を実施する第1のサクションユニット73および第2のサクションユニット74を備えた糸スプライシング装置71が対応配置されている。これにより、種々異なるスプライシング工程を済ますための時間を減じることができ、したがって生産性を高めることができる。糸スプライシング装置71および対応配置された第1のサクションユニット73および第2のサクションユニット74は、互いに相対的に可動に設けられていてよく、これによってスプライシング工程の効率がさらに高められ得る。したがって、例えば糸スプライシング装置71は、第1のサクションユニット73および第2のサクションユニット74によって張設された糸部分を糸スプライシング装置71のスプライシング通路内にもたらすために、鉛直方向の軸線において定義されて可動であってよい。
【0059】
図示しない代替的な別の実施例によれば、少なくとも供給糸結合ユニット7が、糸スプライシング装置71と、第1の収容ユニットおよび第2の収容ユニットならびに第1の位置決めユニットおよび第2の位置決めユニットを含む搬送装置とにより形成され、無人搬送車両80上に配置されている。これによって、ボビンクリール3ごとに設けられるべきサービスユニット50を省くことができる。
【0060】
供給糸結合システムは、制御ユニット(図示せず)を含んでおり、制御ユニットは、少なくとも、供給糸結合ユニット7の駆動制御すべき構成要素に無線でまたは有線で連結されている。制御ユニットは、第1の収容ユニットおよび第2の収容ユニット、第1の位置決めユニットおよび第2の位置決めユニットならびに糸スプライシング装置71の対応する駆動制御によりスプライシング工程を実施するために構成されている。制御ユニットは、必要に応じて位置決めされ得る。或る実施例によれば、制御ユニットは、ボビンクリール3の制御ユニット内に統合されており、もしくはボビンクリール3の制御ユニットと一緒に1つの共通の制御ユニットを構成している。別の或る実施例によれば、制御ユニットは、サービスユニット50に配置されていて、別の代替的な或る実施例によれば、無人搬送車両80上に配置されている。さらに代替的には、制御ユニットは、サービスユニット50または無人搬送車両80の制御ユニットに統合されているか、またはこれらの制御ユニットと一緒に1つの共通の制御ユニットを構成している。別の或る実施例によれば、制御ユニットは、オペレータによって携帯および/または操作される移動端末の統合された構成部材である。
【0061】
配置箇所に依存せず、制御ユニットは、固有の評価に基づき、または作動信号の受信後にスプライシング工程の開始を引き起こすか、もしくは惹起するように構成されている。或る実施例によれば、制御ユニットは、受信した情報の評価を実施するように構成されており、この評価に基づいて、繰出しボビン11が繰出し終わるか、もしくは空になる時点が予測可能または確認可能である。この評価情報に依存して、制御ユニットは、スプライシング工程の開始を引き起こす。特に、スプライシング工程の開始は、作業位置の連続的な運転を保証するために、繰出しボビン11が繰出し終わるか、空になる時点に対して十分な間隔を有している時点に引き起こされる。例えば、スプライシング工程の開始は、ボビンクリール3のボビン貯蔵箇所31に新たな給糸ボビンが装着されたという情報を受け取った直後に引き起こされる。代替的には、制御ユニットは検出ユニットに連結されており、この検出ユニットは、繰出しボビン11上に存在する糸量を求め、この糸量に基づいて、繰出しボビン11が繰出し終わる時点が決定され、この繰出し終わり時点に依存してスプライシング工程の開始が制御ユニットによって引き起こされる。
【0062】
供給糸結合システムは、自動化された形式でスプライシング工程の開始および実施を可能にし、スプライシング工程の開始後に、第1の収容ユニットおよび第2の収容ユニットは、繰出しボビン11の糸終端部11Aおよびリザーバボビン8の糸始端部8Aを探索しかつ収容するために駆動制御される。次いで第1の位置決めユニットおよび第2の位置決めユニットが、糸スプライシング装置71内に収容された糸終端部11Aおよび収容された糸始端部8Aを位置決めするために駆動制御される。次いで糸スプライシング装置71が、糸終端部11Aおよび糸始端部8Aを準備するために、糸スプライシング装置に対応配置された糸端部準備手段により駆動制御される。最後に糸スプライシング装置71は、それぞれ準備された糸終端部11Aを糸始端部8Aに結合するように駆動制御される。
【符号の説明】
【0063】
1 ケーブラ
2 ケーブラスピンドル
3 ボビンクリール
4 四節機構
5 機械フレーム
6 支持プレート
7 供給糸結合ユニット
8 リザーバボビン
8A リザーバボビンの糸始端部
9 支持アーム
10 糸変向穴
11 繰出しボビン
11A 繰出しボビンの糸終端部
12 糸デリバリ装置
13 糸巻取りユニット
14 繰出しボビンの糸
15 リザーバボビンの糸
16 保持プレート
17 巻管
31 ボビン貯蔵箇所
32 水平方向のフレーム要素
33 鉛直方向のフレーム要素
40 支持フレーム
50 サービスユニット
51 鉛直方向のガイド
71 糸スプライシング装置
71A スプライシング角柱体
72 支持ユニット
73 第1のサクションユニット
74 第2のサクションユニット
80 無人搬送車両
81 搬送プラットフォーム
82 ボビン貯蔵器
83 操作ユニット
84 容器
85 グリッパユニット
86 ガイドレール
90 表示ユニット
【外国語明細書】