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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024029320
(43)【公開日】2024-03-06
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23Q 3/00 20060101AFI20240228BHJP
   F23D 14/02 20060101ALI20240228BHJP
   F24H 1/14 20220101ALN20240228BHJP
   F24H 9/1832 20220101ALN20240228BHJP
【FI】
F23Q3/00 102A
F23D14/02 C
F24H1/14 B
F24H9/1832 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131512
(22)【出願日】2022-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】白羽 悠介
(72)【発明者】
【氏名】竹内 健
【テーマコード(参考)】
3K017
3L034
【Fターム(参考)】
3K017AA02
3K017AA10
3K017AB08
3L034BA22
3L034BB01
(57)【要約】
【課題】バーナボディ11の開放面111を覆う燃焼板12を有するバーナ1と、燃焼筐2とを備える燃焼装置であって、燃焼筐の所定の側板に、燃焼板に臨む点火電極51が設置され、更に、バーナボディの燃焼板に対向する対向壁113に、内部が混合気の流入室1131aとなる膨出部1131が設けられ、流入室に、点火電極を設置した側板からこれに対向する側板に向かう方向への方向成分を持って混合気が流入するようにしたものにおいて、点火電極の先端部に対向する燃焼板の部分にも十分に混合気を分配して、点火性能を向上できるようにする。
【解決手段】対向壁113に、膨出部1131から流入室1131aへの混合気の流入方向先方に離れ、且つ、点火電極51の先端部に燃焼板12を介して対向しない部分に位置させて、燃焼板12との間の距離が短くなるように燃焼板12側にオフセットしたオフセット部1132を設ける。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に混合気が供給される、一面が開放面とされたバーナボディと、バーナボディの開放面を覆う燃焼板とから成るバーナと、燃焼板から噴出する混合気の燃焼空間を囲う燃焼筐とを備える燃焼装置であって、燃焼筐の所定の側板に、燃焼板に臨ませて点火電極が設置され、更に、バーナボディの燃焼板に間隔を存して対向する対向壁の一部に、燃焼板から離れる方向に膨出し、内部が混合気の流入室となる膨出部が設けられ、燃焼筐の前記所定の側板から当該側板に対向する燃焼筐の側板に向かう方向を所定方向として、流入室に、所定方向への方向成分を持って混合気が流入するようにしたものにおいて、
バーナボディの対向壁に、膨出部から流入室への混合気の流入方向先方に離れ、且つ、点火電極の先端部に燃焼板を介して対向しない部分に位置させてオフセット部が設けられ、オフセット部は、燃焼板との間の距離が対向壁の膨出部及びオフセット部以外の一般部よりも短くなるように燃焼板側にオフセットしていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記対向壁に、前記膨出部と前記オフセット部との間に位置させて、前記燃焼板との間の距離がオフセット部に向けて次第に減少する傾斜部が設けられることを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に混合気が供給される、一面が開放面とされたバーナボディと、バーナボディの開放面を覆う燃焼板とから成るバーナと、燃焼板から噴出する混合気の燃焼空間を囲う燃焼筐とを備える燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の燃焼装置として、燃焼筐の所定の側板に、燃焼板に臨ませて点火電極が設置され、更に、バーナボディの燃焼板に間隔を存して対向する対向壁の一部に、燃焼板から離れる方向に膨出し、内部が混合気の流入室となる膨出部が設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このものでは、燃焼筐の前記所定の側板から当該側板に対向する燃焼筐の側板に向かう方向を所定方向として、流入室に、所定方向への方向成分を持って混合気が流入するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-78526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来例のものでは、バーナボディの対向壁と燃焼板との間の空間に流入室から混合気の流入方向先方に向けて混合気が流れやすくなる。そして、混合気の流入方向が、燃焼筐の点火電極を設置した側板からこれに対向する側板に向かう方向成分を持つため、火花放電の発生箇所である点火電極の先端部に対向する燃焼板の部分に混合気が十分に分配されなくなる。その結果、点火性能が悪くなることがある。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、点火性能を向上できるようにした燃焼装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、内部に混合気が供給される、一面が開放面とされたバーナボディと、バーナボディの開放面を覆う燃焼板とから成るバーナと、燃焼板から噴出する混合気の燃焼空間を囲う燃焼筐とを備える燃焼装置であって、燃焼筐の所定の側板に、燃焼板に臨ませて点火電極が設置され、更に、バーナボディの燃焼板に間隔を存して対向する対向壁の一部に、燃焼板から離れる方向に膨出し、内部が混合気の流入室となる膨出部が設けられ、燃焼筐の前記所定の側板から当該側板に対向する燃焼筐の側板に向かう方向を所定方向として、流入室に、所定方向への方向成分を持って混合気が流入するようにしたものにおいて、バーナボディの対向壁に、膨出部から流入室への混合気の流入方向先方に離れ、且つ、点火電極の先端部に燃焼板を介して対向しない部分に位置させてオフセット部が設けられ、オフセット部は、燃焼板との間の距離が対向壁の膨出部及びオフセット部以外の一般部よりも短くなるように燃焼板側にオフセットしていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、バーナボディの対向壁と燃焼板との間の空間の通気抵抗が、膨出部から流入室への混合気の流入方向先方に離れたオフセット部で大きくなる。そのため、流入室から流入方向先方に向かう混合気の流れが適度に抑制され、火花放電の発生箇所である点火電極の先端部に対向する燃焼板の部分にも混合気が十分に分配されて、点火性能が向上する。
【0008】
また、本発明においては、バーナボディの対向壁に、膨出部とオフセット部との間に位置させて、燃焼板との間の距離がオフセット部に向けて次第に減少する傾斜部を設けることが望ましい。ここで、オフセット部の膨出部寄りの端部に段差が付いていると、バーナボディへの混合気の供給量を多くした状態では、段差における圧力損失により、オフセット部と燃焼板との間の空間に十分に混合気が分配されなくなる可能性がある。上記の如く傾斜部を設ければ、圧力損失が減少し、バーナボディへの混合気の供給量を多くした状態でも、オフセット部と燃焼板との間の空間に混合気を十分に分配することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の燃焼装置の斜視図。
図2図1とは反対側から見た燃焼装置の斜視図。
図3】実施形態の燃焼装置の平面図。
図4図3のIV-IV線で切断した断面図。
図5図3のV-V線で切断した断面図。
図6】実施形態の燃焼装置の構成要素であるバーナの燃焼板の分解状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1乃至図5に示す本発明の実施形態の燃焼装置は、内部に混合気(燃料ガスと一次空気との混合ガス)が供給される、一面たる下面が開放面111とされたバーナボディ11と、バーナボディ11の開放面111を覆う燃焼板12とから成る全一次燃焼式のバーナ1と、燃焼板12から噴出する混合気の燃焼空間を囲う燃焼筐2とを備えている。燃焼筐2の上端には、バーナボディ11の開放面111を囲うボディフランジ部112にビス21で締結される筐フランジ部22が設けられている。また、燃焼筐2の内部には、給湯用の熱交換器3が収納されている。
【0011】
熱交換器3は、多数のフィン31とこれらフィン31を貫通する複数の吸熱管32とを備えるフィンチューブ型熱交換器で構成されている。燃焼筐2の横方向一側と他側の側板23,24の外側には、隣り合う2本の吸熱管32,32を接続するUベント管33が複数設けられており、全ての吸熱管32が直列に接続される。また、上流端の吸熱管32には、端部に入水口34aが設けられた管34が接続されている。
【0012】
また、図5を参照して、燃焼筐2の前側の側板25の熱交換器3より上方の部分の内側には、下から順に管から成る第1と第5と第9の3本の水路4,4,4が側板25に接するように配置され、燃焼筐2の後側の側板26の熱交換器3より上方の部分の内側にも、下から順に管から成る第3と第7と第11の3本の水路4,4,411が側板26に接するように配置されている。また、燃焼筐2の横方向一側の側板23の外側には、図1図4に示す如く、熱交換器3の下流端の吸熱管32を第1水路4に接続する接続管35が設けられ、更に、熱交換器3より上方の側板23の部分には、第3水路4と第5水路4とを接続する第4水路4と、第7水路4と第9水路4とを接続する第8水路4と、第11水路411に接続される第12水路412とが設けられている。また、燃焼筐2の横方向他側の側板24には、図2図4に示す如く、熱交換器3よりも上方に位置させて、第1水路4と第3水路4とを接続する第2水路4と、第5水路4と第7水路4とを接続する第6水路4と、第9水路4と第11水路411とを接続する第10水路410とが設けられている。第2と第6と第10の各水路4,4,410と、第4と第8と第12の各水路4,4,412は、各側板24,23に形成した横方向内方への窪みとこの窪みを覆うように各側板24,23の外面に取付けた蓋41とで構成されている。熱交換器3で加熱された水は、第1水路4乃至第12水路412に順に流れて、第12水路412の端部に設けられた出湯口42からこれに接続される図外の出湯管に供給される。そして、これら第1乃至第12水路4~412に流れる水により燃焼筐2の各側板23~26が冷却されるようにしている。
【0013】
また、燃焼筐2の前側の側板25には、燃焼筐2内に突出して燃焼板12に臨む一対の点火電極51,51と一対のフレームロッド52,52とを有する電極部品5が設置されている。尚、両点火電極51,51の一方には高電圧が印加され、他方は接地されて、両点火電極51,51の先端部間で火花放電が行われ、燃焼板12から噴出する混合気に点火される。また、電極部品5には、燃焼筐2内を視認できる覗き窓53が付設されている。
【0014】
次に、バーナ1について詳述する。図6も参照して、燃焼板12は、額縁状のバーナ枠121と、バーナ枠121で囲われる開口部122をバーナボディ11側(上方)から覆う、混合気が透過する混合気透過体123とを有している。混合気透過体123は、金属繊維等の耐熱繊維の織布や不織布、又は、多孔質の焼結体等で構成することができる。また、混合気透過体123の混合気の流れ方向上流側の面である裏面(上面)には、多数の分布孔124aが形成された分布板124が重ねられている。そして、バーナボディ11内に供給された混合気が分布孔124aと混合気透過体123とを介して開口部122から噴出し、全一次燃焼(二次空気が不要な燃焼)する。尚、開口部122は、前後方向に沿う断面形状が図5に示す如く円弧状に湾曲しており、混合気透過体123及び分布板124も同様に前後方向に沿う断面形状が円弧状に湾曲している。
【0015】
バーナ枠121は、開口部122の周囲の開口周縁部1211と、開口周縁部1211からバーナボディ11側(上方)に屈曲した側板部1212と、側板部1212の上端から外方に張出す枠フランジ部1213とを有している。開口周縁部1211の内周寄り部分には、一段下がった絞り部1211aが設けられている。この絞り部1211aに混合気透過体123の周縁部が重ねられる。そして、混合気透過体123の裏面に分布板124を重ねた状態で、分布板124の周縁部を絞り部1211aの外側の開口周縁部1211の部分に一定間隔でスポット溶接することにより燃焼板12を組み立てている。枠フランジ部1213は、ボディフランジ部112と筐フランジ部22との間に挟み込まれる。また、枠フランジ部1213とボディフランジ部112との間にパッキン6を介設して、バーナボディ11と燃焼板12との間のシール性を確保する。尚、パッキン6は、枠フランジ部1213よりも外側に張出す部分を有している。そして、この部分がボディフランジ部112と筐フランジ部22との間に介設されて、ボディフランジ部112と筐フランジ部22との間のシール性が確保される。
【0016】
バーナボディ11は、燃焼板12に間隔を存して対向する対向壁113の一部に設けられた、燃焼板12から離れる方向たる上方に膨出する膨出部1131を有している。膨出部1131の内部は、混合気の流入室1131aになっている。また、燃焼筐2の横方向一側の側板23が存する方向を右方として、膨出部1131には、斜め前右方に開口する流入口1131bが開設されている。そして、流入室1131aに、流入口1131bを介して、電極部品5、即ち、点火電極51,51を設置した燃焼筐2の前側の側板25からこれに対向する後側の側板26に向かう方向たる後方への方向成分を持って、具体的には図3に矢印aで示す如く斜め後左方に向けて図外のファンからの混合気が流入するようにしている。
【0017】
この場合、バーナボディ11の対向壁113と燃焼板12との間の空間に流入室1131aから混合気の流入方向先方に向けて混合気が流れやすくなる。そして、混合気の流入方向が、燃焼筐2の点火電極51を設置した前側の側板25からこれに対向する後側の側板26に向かう方向成分を持つため、このままでは、火花放電の発生箇所である点火電極51,51の先端部に対向する燃焼板12の部分に混合気が十分に分配されなくなる。その結果、点火性能が悪くなる可能性がある。
【0018】
そこで、本実施形態では、バーナボディ11の対向壁113に、膨出部1131から流入室1131aへの混合気の流入方向先方(斜め後左方)に離れた部分に位置させてオフセット部1132を設けている。このオフセット部1132は、燃焼板12との間の距離が対向壁113の膨出部1131及びオフセット部1132以外の一般部1133よりも短くなるように燃焼板12側にオフセットしている。尚、本実施形態において、点火電極51,51の先端部に燃焼板12を介して対向する対向壁113の部分、即ち、点火電極51,51の先端部の真上に位置する対向壁113の部分は、膨出部1131の一部になっている。そのため、オフセット部1132は、点火電極51,51の先端部に燃焼板12を介して対向しない部分に位置することになる。また、本実施形態では、膨出部113から左方に離れた対向壁113の部分に亘ってオフセット部1132を設けている。
【0019】
以上の構成によれば、バーナボディ11の対向壁113と燃焼板12との間の空間の通気抵抗が、膨出部1131から流入室1131aへの混合気の流入方向先方に離れたオフセット部1132で大きくなる。そのため、流入室1131aから流入方向先方に向かう混合気の流れが適度に抑制され、火花放電の発生箇所である点火電極51,51の先端部に対向する燃焼板12の部分にも混合気が十分に分配されて、点火性能が向上する。
【0020】
尚、オフセット部1132の膨出部1131寄りの端部に段差が付いていると、バーナボディ11への混合気の供給量を多くした状態では、段差における圧力損失により、オフセット部1132と燃焼板12との間の空間に十分に混合気が分配されなくなる可能性がある。
【0021】
そこで、本実施形態では、図4図5に明示する如く、バーナボディ11の対向壁113に、膨出部1131とオフセット部1132との間に位置させて、燃焼板12との間の距離がオフセット部1132に向けて次第に減少する傾斜部1134を設けている。このように傾斜部1134を設ければ、圧力損失が減少する。そのため、バーナボディ11への混合気の供給量を多くした状態でも、オフセット部1132と燃焼板12との間の空間に混合気を十分に分配することができる。
【0022】
尚、本実施形態では、膨出部1131とオフセット部1132との間に、膨出部1131に隣接する一般部1133を設けて、当該一般部1133とオフセット部1132との間に傾斜部1134を設けている。膨出部1131とオフセット部1132との間に、一般部1133を設けずに、傾斜部1134のみを設けることも可能である。
【0023】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、点火電極51,51の先端部の真上に位置する対向壁113の部分が、上記実施形態とは異なり、膨出部1131に隣接する一般部1133の一部になっていてもよい。また、上記実施形態では、一対の点火電極51,51を設置しているが、単一の点火電極を設置して、この点火電極の先端部と燃焼板との間で火花放電させるようにしてもよい。更に、上記実施形態では、バーナボディ11の下面が開放面111とされているが、バーナボディ11の上面を開放面111とし、バーナ1の上方に燃焼筐2を配置する燃焼装置にも同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0024】
1…バーナ、11…バーナボディ、111…開放面、113…対向壁、1131…膨出部、1131a…流入室、1132…オフセット部、1133…一般部、1134…傾斜部、12…燃焼板、2…燃焼筐、25…前側の側板(所定の側板)、26…後側の側板(所定の側板に対向する側板)、51…点火電極。
図1
図2
図3
図4
図5
図6